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◯御厨農林水産部長=今回の多久市での
油流出事故に関する私の所見ということでございます。
御案内のとおり、
田植え作業というのは、本田での一番最初の農作業でございまして、農家にとっては非常に重要な作業だし、気を遣うし、気合いもしっかり入っているものでございます。そういった中で、今回、
油流出事故が発生したわけでございます。現地の近くの水田では、先ほど課長が答弁いたしましたとおり、田植えを終えたばかりの水田であったり、田植えを直前に控えて、その準備作業に追われている状況だったということで、関係農家の方は、植えたばかりの稲がどうなるのか、また、
田植え準備の作業が今ストップしているわけですので今後どうなっていくのか等、大変心配されているところでございます。
今回の流出事故の発生原因につきましては、不可抗力的なものではなく人為的なミスと伺っているところでございまして、本来、しっかりと気を配って対応していたなら今回の事故も発生していなかっただろうし、多くの関係者、農家の方の不安を煽ることもなかったのではないかと思います。事故を起こした
施設関係者には猛省を促したいと思いますし、二度とこういった事故がないように
再発防止対策に万全を期してもらいたいと思っております。
ただ、今、現場では重油の除去作業とか、被害が拡大しないための対策を関係者が必死になって行ってもらっているところでございまして、
農林水産部といたしましては、先ほど言いましたとおり、
農業改良普及センターや
農林事務所が対応いたしておりますけれども、農家の方の不安を少しでも和らげられるように、今後とも農家の方の気持ちに寄り添ってしっかり対応してまいりたいと思います。
以上でございます。
6 ◯定松委員=このようなことが二度と発生しないように対応をお願いいたします。
それでは、本題の
水田農業の振興についてお伺いをさせていただきます。
佐賀県は、温暖な気候など恵まれた自然環境のもと、整備の進んだ水田を活用した生産性の高い
水田農業が展開されているわけであります。
そうした中で、
日本穀物検定協会の
米食味ランキングにおきまして、「さがびより」が平成二十二年から八年連続で最高位の特Aを獲得するとともに、そしてまた、「
夢しずく」が平成二十九年産で初めて特Aを獲得いたしました。佐賀の米が高く評価されたということで大変誇りに思っているところであります。
稲作を中心とした佐賀県の
水田農業が今後とも発展していくためには、
特A評価を生かした
有利販売や、
特A評価につながる良質な米生産を行っていくことが重要だと考えています。
そこで、次の点についてお伺いをさせていただきます。
有利販売についてでございますが、実需者の評価について、
特A評価を獲得している「さがびより」、そして、「
夢しずく」については、どのように評価しておられるのかお伺いをさせていただきます。
7
◯金澤流通・通商課長=実需者の評価についてお答えします。
今回、初めて特Aを獲得しました「
夢しずく」は、県で開発した品種で、「さがびより」に比べ、ほどよい粘りと食感がやわらかいのが特徴で、平成十二年のデビュー以来、実需者である卸売業者や小売業者からは、これまでも高い評価を受けてきております。
また、平成二十一年にデビューしました「さがびより」は、翌平成二十二年から八年連続で特Aを獲得しており、八年以上連続して特Aを獲得した銘柄は、全国でも三銘柄のみとなっております。これは、「さがびより」の特徴であるもっちりとした食感や甘みが強いといった品種の特性を高く評価いただいた結果と認識しておりますが、何より、県民を初め、全国の消費者に佐賀のおいしいお米を食べてもらいたいとの生産者の皆様の熱い思いと並々ならぬ努力のたまものであると考えております。
このような日々の栽培努力のみならず、「さがびより」が持つ本来の品質や特徴を損なわないよう、生産者みずからが、
たんぱく質含有率六・八%以下などの厳しい出荷基準を定め、それに沿って生産に取り組まれていることなどにより、高い品質を維持できていることから、実需者の評価も非常に高いものとなっております。
さらに、「さがびより」や「
夢しずく」のいずれにも共通することでございますが、本県は、
水稲作付面積に対する
共同乾燥調製施設の利用面積の割合が八割を超え、全国一のカバー率となっており、その施設を活用して乾燥から保管までを一貫して行っていることから、食味にぶれがなく、安定した高品質の米を、必要な時期に、必要な数量、確実に手に入れられると高く評価されております。
このような評価に加えまして、県内を初め、福岡や首都圏などの実需者からは、「『さがびより』は、
特A評価を連続して獲得していることからお客様に自信を持って勧めることができる」、「米袋に
特Aシールを張ることで差別化した販売ができる」、「初めて
特A評価を獲得した『
夢しずく』もぜひ扱いたい」などの声が届いており、高い評価を得ているところでございます。
以上、お答えいたします。
8 ◯定松委員=大方の評価は、大変好ましい、高評価を受けているようであります。「さがびより」の連続八年の
特A評価というのは、いわゆる他産地とは区別した付加価値のつくものと思っているところでありますが、このメリットを最大限に生かして販売してほしい。農家からすれば、やっぱり百円でも二百円でも他産地より高く売ってほしい。そういった思いがするわけでございますが、その取り組みについてお伺いをいたします。
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◯金澤流通・通商課長=
有利販売に向けた取り組みについてお答えします。
近年、全国の産地から新しい品種が次々とデビューしており、本県も他産地との厳しい競争にさらされております。
このような中、生産者の皆様がきめ細やかな管理のもとに生産された高品質な佐賀米をしっかりと販売していくことが重要であることから、県や
農業団体で組織しております「佐賀の
水田農業さいこう
運動推進協議会」や、「佐賀の米・麦・
大豆マーケティング協議会」などにおきまして、
有利販売につながる取り組みを協議、決定し、その方針に基づき、
農業団体、県がそれぞれの立場で、その推進を図っていくこととしております。
具体的には、流通前の段階では実需者と収穫前契約、
複数年契約など、多様な契約方法による高値で安定した取引や、
栽培履歴記録の徹底、佐賀県
特別栽培認証制度の推進などによる実需者、
消費者ニーズに対応した安全・安心な米の生産、また、
共同乾燥調製施設での
コンピューター制御による高水準で均質化された米の供給などを引き続き実施してまいります。
流通段階では、厳正な炊飯試験に基づく品種別の食味評価などの実需者への提供や、消費者の食生活の変化に対応した
パック御飯向けの米の販売なども継続してまいります。
これらに加えまして、
特A評価獲得をしっかりと打ち出したPRを強化するために、実需者に向けては、流通・食品関係の新聞や雑誌への広告掲載、全国各地で開催される
産地応援キャンペーンなどへの
サンプル米、販促資材の提供などに取り組むこととしております。
また、
有利販売を図る上では、消費者から選ばれる米であることが重要なことから、県内の
消費者向けには、
県出身タレントや
県内生産者に出演いただいている「さがびより」の
テレビコマーシャルの放映や、JR佐賀駅での「さがびより」、「
夢しずく」の電子看板の掲出、また、
佐賀市内全戸配布の
フリーペーパーへの広告掲載などを引き続き行ってまいります。
同様に、
福岡都市圏の消費者に向けても、「さがびより」の
テレビコマーシャルや「さがびより」、「
夢しずく」の
福岡市営地下鉄博多駅での電子看板の掲出のほか、多くの人出があるイベントへの佐賀米の提供など、積極的なPRを行っていくこととしております。
いずれにいたしましても、本県農業の基幹作物である米が他県との競争に打ち勝ち、
水田農業のさらなる振興、発展につながるよう、
農業団体と連携し、「さがびより」や「
夢しずく」の
特A評価などを積極的にPRしながら、佐賀米全体の
有利販売に向け、しっかり取り組んでまいります。
以上、お答えいたします。
10 ◯定松委員=八年連続で
特A評価を受けた米は、全国で三銘柄しかないということでございます。であるならば、全国で三位までに入らんばいかんねというふうな思いがするわけでありますので、今後、なお一層のPR活動、それから、
特A評価を生かした販売に努めていただきたいと感じたところでございます。
続きまして、良質米の生産についてお伺いをさせていただきます。
米づくりというのは、苗づくりから田植え後の水管理、生育期の
施肥管理等、
水稲生育段階に応じて的確な栽培管理を実践していく。そのことが収量、質に大きく響く要因であります。
この水田管理の指導状況にどのように取り組んでおられるのか、お伺いをさせていただきます。
11 ◯永
渕農産課長=水田管理の指導についてお答えをいたします。
人口減少などによりまして主食用米の需要が減少傾向にありまして、また、本年産から行政による
生産数量目標の配分がなくなるなど、国の米政策が大きく見直された中では、米の
産地間競争がますます厳しくなることが見込まれます。
こうした中で、佐賀米を銘柄米として
有利販売につなげていくためには、良質でおいしい米を安定的に生産していくことが極めて重要であると考えております。
このため県では、関係機関やJAなど
農業団体とも一緒になりまして、県段階、地域段階それぞれに稲作の技術者で構成いたします「
普通作技術者連絡協議会」を組織しております。その中には県の
専門技術員、
農業改良普及指導員、JAの
営農技術員が緊密に連携いたしまして、水稲の生産上の技術的な課題などについて議論しながら稲作の指導に当たっているところでございます。
具体的には、各地域に設置しました標準田を使いまして、水稲の生育状況をつぶさに観察し、今後の管理上の留意点などにつきまして、県とJAの技術者の間でしっかり検討しながら、その年の気象条件なども考慮いたしまして、肥料のやり方でありますとか、
病害虫対策等、さまざまな課題に対する現地での研修会などを適宜開催するなどして生産農家の指導を徹底しているところでございます。
あわせまして、水稲、それに麦と大豆の生育段階に応じまして、その時々に行います
栽培管理作業のタイムリーな情報ということで、実は、「さがの米麦大豆 今せんば!メール」というもので、台風など
気象災害等に関した情報でありますとか、そういうものを技術者や生産者の皆さんのパソコンとか
携帯電話宛てに適宜発信するようにしております。これに基づきまして、日々の指導でありますとか水田管理に活用していただいているところでございます。
さらに、毎年十二月には県内の稲作の技術者を招集いたしまして、
農業試験研究センターにおきまして「
稲作反省会」を開催しております。これにつきましては、各地区に設置いたしました試験田の取り組み結果などを持ち寄りまして、成果と残された課題を整理いたしまして、次年産以降の栽培管理の指導に生かしているところでございます。
いずれにいたしましても、良質米の安定生産、安定供給は、佐賀米の評価に直結いたしますので、生産農家の皆さんが水田管理を徹底していただきますよう、引き続き、
JA等関係機関・団体と連携しながら、その指導に万全を期してまいりたいと考えております。
以上、お答えいたします。
12 ◯定松委員=水稲管理につきましては、「さがの米麦大豆 今せんば!メール」、大変感心いたしました。実際、風台風が来るよというときには、昔の者は、水をいっぱい入れとかんばといった指導、それから、葉先が風によって
ひび割れ状態になるよと、それから、過乾燥になって
光合成作用がその後行われないということだと思うんです。そういった適時な指導をしていただくものと思いますので、よろしくお願いしておきます。
私も農業に従事した最初のころは、米は、窒素、リン酸、カリの三要素がそろえばしっかりできると考えておったところでございますが、ここ最近では、佐賀の農業は表も裏もつくるものですから土壌的には大変なダメージを加えながら農業をしているということが言えるかと思います。
米につきましては、唯一、連作に強い作物であります。しかしながら、米も千年も二千年もつくっていると、土というのは、どうしても劣化してくるものであります。
土づくりは、農業の基本と言われております。堆肥をしっかり投入する、それから、稲わら、麦わら等のすき込みもちゃんと行って土に還元してやることが大事だと思うんです。
そういった
土づくりについては、どのように指導なされているのかお伺いします。
13 ◯永
渕農産課長=
土づくりの推進についてお答えをいたします。
安全・安心で、おいしくて、良質な米を安定的に生産していく上で、
土づくりは、土壌環境を改善いたしまして生育の健全化を図るための基本技術でありまして、非常に重要であると考えております。
土づくりを行う上では、本来であれば、
牛ふん堆肥などを施用したほうが最も効果的ではありますけれども、本県の場合は、先ほど委員おっしゃられたように、米と麦の二毛作を行っております。特に、
本県平たん部におきましては、表作と裏作の間、例えば、稲を刈ってから麦をまくまでの期間が非常に短いということもありますので、
土づくりをするための作業時間がとれないという課題がございます。
このため県では、関係機関やJAなどの関係団体と一体となって、「佐賀県稲わら・
麦わら適正処理対策会議」というものを組織しております。最も手軽な
土づくり資材でございます稲わらや麦わらを焼却せずに圃場にすき込むことなどによりまして、水田での
土づくりを推進しているところでございます。
具体的には、中山間地域の
稲単作地帯では、稲わらの多くがすき込まれておりますけれども、平たん地の
二毛作地帯では、稲わらの多くが畜産農家に供給されております。こうした地域におきましては、稲ではなくて麦わらをすき込むことを推進しております。
しかしながら、生産者には、麦わらが
田植え作業に支障を来すということで非常に抵抗感がありまして、麦わらをすき込むに当たりましては注意すべき留意点もございますので、その手順やポイントを「
麦わらすき込み実践マニュアル」というものを、麦を作付されている農家の皆さん全てに配布をさせていただいて、その啓発を行っているところでございます。
こうした取り組みの結果、麦わらのすき込みは、直近の平成二十九年産で見ますと、生産量に対して約八一%になっておりまして、十年前の平成十九年産と比較いたしますと二十九ポイント上昇しております。こういうことで水田への
土づくり資材としての投入が着実に進んでいると思っております。
いずれにいたしましても、稲わらや麦わらは本県の
水田農業にとって、手軽で、かつ低コストに活用できる有効な有機物でございますので、毎年、そのいずれかを水田にすき込むことによりまして地力が維持されますので、今後とも、その活用を主体にした
土づくりを推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
14 ◯定松委員=さらには、稲わらをそのまま投入するのではなくて、有機質をしっかりと入れる取り組みも必要かなと思います。先ほど、課長が言われたように、稲刈りが済んだら、すぐに麦をまく、その間が半月ぐらいしかないということで、その間に畜産農家から堆肥をもらってマニアスプレッダでまくというのは、なかなか困難なことなんですね。何年に一度かでもいいから、そういったことを指導してほしいなと感じたところでございます。
その点については、耕畜連携もありましょうが、そこら辺で何かアイデアがあればお伺いいたします。
15 ◯永
渕農産課長=先ほど、定松委員が言われましたように、特に、麦を刈った後の田植えの期間が梅雨と重なるので、そこがなかなか難しいということであります。ですから、本来、麦わらも畜産農家に提供したり、果樹園にやったほうがいいという意見がありますけれども、どうしても雨に遭ってしまうと、後、どうしようもないということで、そこがなかなか解決できない部分であります。
同様に、
牛ふん堆肥についても、期間が短いので、そこがなかなか思うようにならないということで、一部は対応していただいておりますので、委員おっしゃるように、我々も何年に一回は
素材有機物の麦わらとか稲わらでなくて、本来、堆肥と言われます牛ふんであるとか、そういうものを入れたほうがいいと思っておりますので、その辺はやり方を含めて、ペレットであるとか、そういうことも含めて検討していきたいなと思っております。
以上でございます。
16 ◯定松委員=有機質の投入については、私も農業者として大変苦慮するところであります。
WCS米あたりは、収穫が早い。実が充実する前にWCS米としてとります。そして、稲わらはとるんだけれども、牛ふんをかわりに水田に入れる。それだと八月末から約一カ月半ぐらいの期間がありますので、その間に
堆肥投入あたりをして、そして、スタブルカルチで起こしてやる。それは全ての農地ではできませんが、
輪作あたりで
ローテーション方式のようにして組み合わせたらいいのかなという気がいたしたところでございます。そういったことも含めてしっかりと指導していただきたいと思います。
続きまして、田植えの後の管理についてお伺いをさせていただきます。
昨年はトビイロウンカの被害が県内各地で見受けられました。この被害を最小限に抑えるためには、適切な時期に適切な防除を行うことが重要であります。
トビイロウンカの被害軽減に向けてどのように取り組んでおられるのかお伺いさせていただきます。
17 ◯永
渕農産課長=トビイロウンカの対策についてお答えをいたします。
平成二十九年産水稲におきましては、県内各地でトビイロウンカの被害発生を受けまして、県では、JAなど関係機関・団体の協力を得ながら、農家の皆さんへのアンケート調査や、現在使用しております薬剤の効果試験などを行いまして、多発生要因の分析を行ったところでございます。
その結果、トビイロウンカの多発生につきましては、梅雨明け後の高温・乾燥によりまして、トビイロウンカの増殖率が平年に比べて高かったこと。
それと、何回となくトビイロウンカの飛び込みがあったということで、防除時期の適期がなかなか明確にならなかったこと。そういうことで薬を散布しても生き延びた虫が多かったということでございます。
それと、平成二十九年産は稲の生育も非常によかったということで、特に、盆明け以降の防除につきましては、株元まで薬がなかなか入りづらかったということも考えられるということでございます。
また、農家に実施いたしましたアンケート調査結果を分析いたしましたところ、収穫時期が遅い「さがびより」やヒヨクモチの被害が大きかったところでございますが、この中でも同じ地域でありますとか、同じ品種であっても、田植えの時期の違いでありますとか、防除の時期の違いなどによりまして被害の程度が非常に違っていたというのが明らかになりました。
さらに、薬剤の効果試験につきましては、現在使用している薬剤に実用上問題になるような効果の低下は見られないことも明らかになりました。
こうした結果を踏まえまして、本年産のトビイロウンカ防除対策につきましては、まず、被害が毎年見られる多発性地域では、田植えの時期を遅らせることの指導を今行っております。
それと、育苗箱に施用します薬剤につきましては、適切な時期に適正量、むらがないように散布していただくということ。
さらに、平成二十九年産と同じように多発生となることが懸念される場合もありますので、最近はヘリコプター防除が中心になっていますけれども、例えば、乗用管理機でありますとか動力噴霧器を持たれない方も相当いらっしゃいますので、そういう方に対応いたしまして簡単に手で散布できる豆つぶ剤というのが最近出ています。それをひしゃくで振るんですが、そういうものを本年産から使用することにいたしております。
このような取り組みによりまして、生産者が参加する研修会でありますとか、さまざまな機会を捉えて、今、周知をいたしているところでございまして、本年産水稲におきましては、トビイロウンカによる被害を可能な限り小さくすることができるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
18 ◯定松委員=このウンカにつきましては、中国から飛んでくるウンカで、耐性がかなり強い。ひところはアプロード剤を使えば一網打尽だと言われていたものが、それにさえ耐性が強いですね。そういったことから、これは虫との闘いということも言えるかと思います。
ただ、最近はJAのヘリ散布に任せっきりの方がいらっしゃる。自分の田も見に行かないといったことも相まって被害が出ていると思われます。タイミングを逃してしまった散布というのもあるかと思います。散布を依頼されて、「散布しましたよ」と。どの時期にしたかが本当は重要ですけれども、そういったことが行われていないと有効性がないとなりますので、そういった指導も含めてしていただきたいと思いますが、その辺の指導体系はどうなっていますか。
19 ◯永
渕農産課長=まず、さっき言われたように、ヘリ防除は相当の農家の方がお任せじゃないですけど、委託されています。地区にもよりますけれども、ヘリ防除の散布をする面積によって、自分のところに来るのが遅いという話があります。我々が今、思っている範囲では、そんなに時期が遅れている状況ではないと思います。ただ、時期というよりも、風が強かったり、強くなかったりということも少しは影響しているのではないかと思いますので、そこは今、オペレーターの皆さんの研修であるとか、そういうのはJAを中心に強力にやっていただいていると思っています。
それと、よく観察するということが一番重要ですけれども、各
農業改良普及センターでありますとか農協には発生予察の圃場を持っていまして、各地区でウンカの発生の状況はつぶさに観察をしています。
例えば、白石地区であれば白石地区の圃場を見て、いつの時期が防除の時期だということを決めて、県一本じゃなくて、そこで決めて防除をやっていますので、そんなに逸していないと思っています。ただ、多発生した時の対応が、先ほども申しましたように、昔みたいに自分で粉薬をかける機械を持たれていないので手の施しようがないというのが実情でしたけれども、先ほど申しましたように、今年産から手で簡単に振れる薬剤を使用することになりましたので、そこは今まで以上に対応できると思っております。
20 ◯定松委員=続きまして、水田フル活用の推進であります。
農業所得の確保については、表作の米、大豆に加えて、裏作には麦や露地野菜、そういった裏、表の両方つくっていくことが大変重要だと思います。効率的かつ最大限に利用した生産性の高い経営を展開していくことが重要と考えているところでございます。
今後、この水田フル活用にどのように取り組んでいかれるのかお伺いします。
21 ◯永
渕農産課長=水田フル活用の推進についてお答えをいたします。
本県におきましては、これまでも整備された水田でありますとかカントリーエレベーターなどの
共同乾燥調製施設を活用いたしまして、生産性の高い
水田農業が営まれておりまして、実需者からは、本県の良質で質のそろった米、麦、大豆への高い評価をいただいているところでございます。
しかしながら、全国的に主食用米の需要が減少傾向にありまして、先ほども述べましたが、本年産から行政による
生産数量目標の配分がなくなるなど、国の米政策が大きく見直されたことも踏まえまして、これまで以上に実需者や消費者を意識しながら、主食用米に、需要のある大豆や麦、それにタマネギなど露地野菜などを適切に組み合わせて水田をフル活用することによりまして、農家所得を確保していくことが何よりも重要と考えております。
具体的には、主食用米につきましては、「さがびより」でありますとか「
夢しずく」が、さっきもお話がありましたように、食味ランキングにおきまして
特A評価を得ることができましたので、この二つの品種を核として佐賀米の評価が一層高まるように、その生産対策や販売対策にしっかり取り組んでいきたいと思っております。
また、全国屈指の産地を形成しております麦や大豆につきましては、収量が上がるほど、国の制度であります直接支払交付金の交付によって所得が向上いたしますことから、平成二十八年度から十アール当たり収量で、小麦で六百五十キロ、大豆で三百五十キロを目指す「佐賀段階 麦・大豆一トンどりプロジェクト」を展開いたしております。これにつきましては排水対策の強化でありますとか、適期に種まきをすることなど、基本技術の徹底によりまして収量の向上が図られますように取り組んでいるところでございます。
さらに、最近、加工業務用として需要が高まっておりますタマネギやキャベツなどの露地野菜につきましても、収穫機械などの導入を支援するなどによりまして、その生産拡大を推進しているところでございます。
いずれにいたしましても、こうした取り組みを通じまして、本県農業の基盤でございます水田がフルに活用されまして生産者の皆さんが将来にわたって経営を継続していただけますよう、
農業団体と一体となってしっかり取り組んでまいります。
以上、お答えいたします。
22 ◯定松委員=農家の経営が、私が若いときといいますか、結婚した当時は、サラリーマン並みの所得が目標だと言われておりました。大規模化になってきますと、それでは追いつかない、一千万円の所得を確保せよというふうに言われておりました。現在では、二十ヘクタール以上、そして、農業生産高が五千万円ということも夢ではない時代になってきています。ただ、その可能性はあるものの、一作、不作しますと大変な損益になるといった側面もあるわけでございますので、大変御苦労でございましょうが、しっかりとした指導を徹底していただきたいと思います。
また、佐賀の農業では、最近、新聞にたびたび載るのであります。これは高齢者の農業機械の事故であります。重大な事故が発生しているということは見逃せないことであります。この実態を見ますと、トラクターの転落、転倒、そしてロータリー部分への巻き込まれといったこと、それから、コンバインのチェーンに手を挟んだとか、そういったことも聞きます。
このようなことでとうとい命が奪われている。そして、農業経営はもとより、地域の農業、農村にとっても大きな痛手となるわけであります。稼げる農業の確立を図る上でも、これまで以上にきめ細かく農業機械による事故防止対策をとっていただく必要がございます。
そこで、お伺いをさせていただきます。
この農業機械による死亡事故の発生件数はどのようになっているのかお伺いいたします。
23 ◯鍵山園芸課長=農業機械による死亡事故の発生件数についてお答えいたします。
農林水産省が公表しました直近の五年間の農業機械による死亡事故の発生件数でございますが、まず、全国では、平成二十四年が二百五十六件、平成二十五年が二百二十八件、平成二十六年が二百三十二件、平成二十七年が二百五件、そして平成二十八年が二百十七件と、このように毎年二百件を超える死亡事故が発生している状況でございます。
タイラギにつきましては、平成十九年は百三十八トン、平成二十二年には一時的に千八百八十四トンとなりましたが、平成二十五年以降は全く漁獲がない状況が続いております。
最後に、アゲマキにつきましては、平成三年に七十五トンでありましたが、平成九年からは全く漁獲がない状況となっております。
以上でございます。
98 ◯武藤委員=今お答えいただいたように、コノシロ、スズキで見てみると、スズキ類は年々悪くなっているということで、平成二十八年度が最低になっている状況がわかります。それから、エビ類は、今もち直しておりますけれども、ガザミが最低の八トンになって年々落ち込んでいるということがわかりました。それから、貝類ですが、アサリ類ですね、これが本当に少なくなっているなということもわかりますし、サルボウも悪くなっているということがわかりました。今、全体の漁獲量がふえているのはヒゼンクラゲなどがふえているからだということも言えるのではないかと思うんですね。
貝類は、海の底で貧酸素の状況が多くなっている、影響があるのではないかと思います。とにかく貝類が、佐賀県の漁業者の方たちがおいしい有明海の貝を食べてほしいと思っておられながらも、こういう悪い状況が続いているということは大変残念です。
アゲマキについては、先ほど述べたように、漁が再開されているといううれしいニュースがありました。これまで漁獲が全くないという大変厳しい状況が続いていたのですけれども、県は、この不漁原因についてどのように考えておられるのでしょうか、それについてもお示しいただきたいと思います。
99 ◯川原水産課長=アゲマキの不漁原因についてお答えをいたします。
アゲマキは、昭和六十三年から平成四年ごろにかけまして漁場で大量死が発生して資源がほとんどいない状況となりました。その原因につきましては、当時、有明水産振興センターが中心となりまして養殖漁場の底質環境やウイルスなどの病気、あるいは生理障害等の観点から調査、研究が行われております。
その中で、高知大学との共同研究によりまして、衰弱したアゲマキからウイルスが検出されまして、これが大量死に関与しているのではないかと推定されましたけれども、最終的には原因の特定までには至っていない状況でございます。
以上でございます。
100 ◯武藤委員=今回、二十二年ぶりの漁獲になったわけですが、この間、資源回復に取り組まれる中で、皆さんたち、本当にさまざまな課題に直面してこられたかと思います。そして、それを乗り越えるために技術的な革新もあったのだと思います。皆さん方のアゲマキの資源回復における取り組みや技術革新のポイントなどお示しいただけたらと思います。
101 ◯川原水産課長=資源回復におきます技術革新のポイントについてお答えをいたします。
アゲマキにつきましては、平成六年以降、天然資源がほとんど見られない状況の中で、稚貝を大量に放流し、卵を産む母貝の集団をつくり、産卵を行わせます、いわゆる再生産サイクルを復活させ、資源の回復を図ることとし、平成八年度から人工種苗の生産技術、それから、放流技術の開発に取り組んできたところでございます。
その中で種苗生産技術の開発につきましては、どのようにして親貝に卵を産ませるのか、どのような餌を与えると良好な成長が得られるのか、水槽の中で、どのような方法で飼育すると生き残りが高まるのかなど、さまざまな課題を一つずつクリアしたことで、現在は放流に適した七、八ミリの大きさの稚貝を、年間二百万個以上生産できるレベルに達したところでございます。
この中で、特に水槽の中での稚貝飼育では、技術開発当初、干潟の泥を用いておりましたが、生産が不安定であったことから改良を重ねまして、現在は水槽の底に水質浄化機能を持ちますセラミックの粒を敷いて、その上にベントナイトと呼ばれる粘土をまく方法で生産が安定するようになっておりまして、このことが生産数の増加につながる一つのポイントになったと考えております。
また、放流技術の開発につきましても、適正放流サイズ、あるいは放流の場所、放流の仕方などを一つずつ明らかにいたしまして、放流後の生き残りが徐々に高まってきたところでございます。
特に、放流した稚貝が移動することを発見いたしまして、その対策として、漁場に目の細かい網をかぶせる方法をとることで、放流後の生き残りをさらに高めることができるようになりました。
こうした有明水産振興センターの地道な取り組みによりまして、放流した貝から生まれて成長した貝が増加いたしまして、今年度、漁の再開につながったところでございます。
以上でございます。
102 ◯武藤委員=いろんな研究の成果がようやく実を結んできたなと思っております。今後の取り組みもさらに期待しておきたいと思います。
次に、タイラギの資源回復の取り組みについてです。
タイラギ漁は、平成二十二年前後は久しぶりの漁獲があったんですけれども、先ほども述べたように、平成二十四年以降、六年連続休漁となっています。大変厳しい状況が続いているわけですけれども、不漁の原因についてはどのように考えておられるんでしょうか。
103 ◯川原水産課長=タイラギの不漁原因についてお答えをいたします。
タイラギにつきましては、生まれた後、その時々の潮流や環境によって生き残りが左右されやすく、もともと資源の変動が大きな貝類でありまして、過去にも不漁となる年もございました。
しかしながら、近年はこれまでになく不漁が続いているところでありまして、その原因は、平成十二年に初めて大牟田沖のタイラギ漁場で発生した立ち枯れへい死と呼ばれる大量死が一つございます。それから、平成二十二年に鹿島・太良沖で発生した貧酸素水塊等による大量死。それから、ふわふわとした泥、いわゆる浮泥と呼ばれておりますが、この浮泥の堆積による漁場の悪化。それから、ナルトビエイによる食害など、さまざまな要因が複合的に関与しているものと考えられております。
また、これらの原因によりまして、卵を産む親貝が著しく減少して産卵数がより一層少なくなるなど悪循環が続いている状況でございます。
104 ◯武藤委員=平成二十八年には漁期の直前までタイラギが生息していたのが、漁業者の方たちも久しぶりに、これはもう漁に出れるぞと喜んでおられたんですけれども、期待されていたにもかかわらず、ナルトビエイの食害に遭って漁業者の方たちの落胆は大きいものがございました。
ナルトビエイの食害についての対策は、今後も重要になっていくと思われます。どんな対策をとっておられるのでしょうか。
105 ◯川原水産課長=ナルトビエイの食害対策についてお答えをいたします。
ナルトビエイにつきましては、繁殖のために春ごろに外海から有明海に侵入をしてまいります。また、外海に出て行く前の春から秋にかけて二枚貝を大量に食べることが知られております。本県におきましても、タイラギやサルボウなどの二枚貝を大量に捕食して資源の維持・回復に大きな障害となっております。
そのため県では、平成十三年度から継続して駆除を実施しておりまして、平成二十九年度までに約六百九十二トンを駆除したところでございます。
これまでの駆除実績を見ますと、平成二十一年までは一日一隻当たりの駆除量が五百キロ前後であったものが、近年は三百キロ前後と減少しておりますので、一定の駆除効果が上がっているものと考えております。
しかしながら、先ほど委員から御指摘がありましたように、平成二十八年度の漁期が食害によってタイラギの漁獲につながらなかったところであります。このため、今年度からより効果的な駆除方法を検討するために、国と有明沿岸四県で連携しながら、ナルトビエイが外海から有明海に入ってくる数ですとか、どういった経路を通ってくるのか、こういったより詳細な調査を始めたところでございます。
以上でございます。
106 ◯武藤委員=そういった調査が、駆除が成功する道筋となるように願っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、有明海の水産資源の回復に向けてお聞きしたいと思います。
有明海をなりわいの場としている漁業者の人たちは、生活が本当に困難になっていることは冒頭にも申し上げました。平成十五年には二千六百四十九人だった漁協組合員が、平成二十六年の統計年鑑によりますと千八百二十人になっております。十一年で八百二十九人が廃業しておられるという現状だと思います。
豊かな宝の海を返してほしいという思いが漁業者の方たちにはあふれております。本質的には、先ほども述べたように、諫早湾干拓の水門の開門を求めたいけれども、せめて水産課の皆さんには、アゲマキやタイラギはもとより、ほかの漁船漁業の振興のためにも水産資源の回復に向けてしっかり取り組んでいただくようお願いしたいのです。
今後、どんな取り組みを展開されていくのでしょうか。
107 ◯川原水産課長=水産資源の回復に向けた今後の取り組みについてお答えをいたします。
これまで県におきましては、環境変化の原因究明が進まない中、有明海の漁業生産の安定に向けてさまざまな魚介類に応じた漁場環境の改善ですとか種苗の放流などに懸命に取り組んできたところでございます。
このうち、漁場環境の改善につきましては、海底を耕して貝類等が生息しやすい底質にするため、海底耕うんやモガイ殻の散布耕うんなどを実施してきたところでございます。
また、タイラギ等の二枚貝を食べるナルトビエイの駆除や、ガザミなどの水産資源を直接ふやすための種苗放流に加えまして、先ほど答弁いたしましたとおり、資源回復技術の開発などにも力を入れてきたところでありまして、こうした取り組みの成果がアゲマキやウミタケなどの資源回復にもつながったものと考えております。
今後とも、有明海漁協を初め、漁業者の方々の声をしっかりと聞きながら、漁場環境の改善や、今年度から取り組むタイラギやウミタケの種苗生産、放流技術の開発といった新たな技術開発にも積極的に挑戦しながら、一日も早く漁業者の方々に有明海の水産資源の回復を実感していただけるようにしっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
108 ◯武藤委員=有明海は、私たち県民にとっても本当に大事な恵みの海だと思っております。水産資源回復技術確立について今御答弁いただきましたが、これが毎年、一億数千万円から二億数千万円かけて努力していただいていることは感謝しております。少しずつ効果が上がってきていると受けとめております。
有明海の再生事業は、モガイ殻の散布耕うん事業で五千六十六万円、また、海底耕うんも県で二千九百二十七万九千円、市町で八千六百十九万円、お金を使って頑張っていただいております。ナルトビエイの駆除、先ほども申し上げましたけれども、これも三百八十四万円、あわせて一億六千万円程度、再生事業に平成二十九年度だけでもお金をかけて取り組んでいただいているんです。これらをしっかり取り組んでいただくことは大変大事なことだと思っております。
同時に、私が強調したいのは、諫早湾干拓の水門を開門していただきたいということです。皆さん方は、直接答弁する立場におられないと思いますが、私、ここに有明水産振興センターが出してくださった資料を持ってきております。(資料を示す)平成九年度、海のところに黒い丸がいっぱいついているんですけれども、小さな丸で言えば百平米当たり十個体ぐらい発見されている、これが生息状況です。中ぐらいの丸で百平米当たり五十個体、そして、大き目の丸が百平米当たり百個体あるということで、平成九年度までは黒い丸がたくさんありました。ところが、平成九年に諫早湾が閉め切られ、その翌年はまだ小さい黒丸がついている状態ですけれども、ほとんどありません。そして、平成十四年に短期開門調査をやりました。その翌年は、本当に黒い丸も含めてたくさん生息状況が確認され、漁獲もあったということなんです。
これが平成十五年、平成十六年、平成十七年と続いて、平成十九年まで一部黒い丸がついております。そして、平成二十一年に一部またふえたんですけれども、その後は全く黒い丸がついていないという状況で、この平成十四年度の短期開門調査が本当に大きくタイラギの生息に生かされていると。つまり海底がかき混ぜられてタイラギが立つような状況になっていたということです。この有明水産振興センターにいただいた資料を見ると、諫早湾干拓の閉め切りの影響が大きいことがわかります。そして、短期開門調査の後も、先ほど示したような状況になっているわけです。
私は、漁業者の方たちにしっかり寄り添っていただきたいという思いは持っておりますし、知事も本会議場で西南部の漁業者と会うというようなことも御答弁しておられました。開門には言及できないかもしれないけれども、部長さん、漁業者の人たちに寄り添っていただくという姿勢を述べていただきたいんです。どうでしょうか。
109
◯御厨農林水産部長=私の立場で水産資源の回復という形でお答えをさせていただきたいと思います。
もちろん、有明海再生、諫早湾干拓問題につきましては、委員おっしゃるとおり、県民環境部の所管でございまして、私から答える立場にはございませんけれども、県の立場といたしましては、開門調査を含む有明海の環境の変化、その原因究明が必要という考えは何ら変わっておりませんで、これからも国に求めていくということは私も承知しているところでございます。私の所管の水産資源の回復というのは、漁業者にとって待ったなしの状態と認識をいたしております。
したがいまして、これまで委員もいろいろおっしゃっていただきましたが、今考えられる取り組みとして、漁業者の皆さん方の御意見や御要望を伺いながら、漁場環境の改善ですとか、あるいは増殖技術の開発など、試行錯誤しなから懸命に取り組んできたところでございます。
そのような結果、二十二年ぶりにアゲマキ漁が再開される。ウミタケにつきましても二年連続で試験操業という形に結びついたわけでございまして、漁業者の方も大変喜んでおられますし、今後のことを期待なさっております。これはひとえに有明水産振興センターが、アゲマキとウミタケについては、どこも技術がない中で本当に頑張ってくれた。長い間、なかなか漁という結びつきまでいかない中で、いろいろお金をかけてやっているけど、なかなか成果が上がらないじゃないかという声も途中あったんですけれども、そこは漁業者の皆さんの思いに応えたいという非常に高い気持ちで頑張ってくれた結果だと思っております。
今後も、我々といたしましては、漁業者の皆さんの思いに寄り添った形で、いろんな形での水産資源の回復に関係者が一体となってしっかり取り組んでいきたいと思っております。
110 ◯江口委員=県民ネットワークの江口善紀です。どうぞよろしくお願いいたします。農林水産商工の分野は、自分としては余り得手な分野ではございませんけれども、頑張って勉強して、一年間、委員を務めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。中には、とても当たり前のような基本的な質問もさせていただくかもしれませんが、県民の普通の目線と思って御容赦いただければと思います。
昨日は、委員会の視察で有田焼関係と伊万里市の森林づくり事業ということで現地視察をさせていただきました。きのう行った伊万里の八幡の会がされている里山の環境整備事業は、県の森林環境税がどういうふうに使われているのか、全然見たことがなかったんですが、会の平均年齢六十九歳の二十四名の方と地域の方が協力して、里山をあんなにきれいに整備されていることに驚きました。年間に交付されている補助金は七十万円前後で、ほとんどは苗木とかそういったものに使われておりまして、地域の皆さんが協力して里山をきれいにされている現場を見て本当に感銘を受けました。ぜひこれからもああいう取り組みが県内に広がっていけばなというふうに感心いたしました。
人あっての地域でございます。きょうは、農業関係のことと企業誘致のこと、二問を通告させていただきました。
早速、一問目の新規営農者の確保、育成についての質問に入らせていただきます。よろしくお願いいたします
本県の農業は、地域ごとの気象条件などに応じて、生産者が不断の創意工夫により特色あるさまざまな農産物が生産されております。中でも、「佐賀牛」やイチゴの「さがほのか」を初め、八年連続で食味ランキング最高評価の
特A評価を獲得した「さがびより」、さらには、全国でも上位の生産量を誇るタマネギやアスパラガスなどは、高い品質と安定した生産により、東京や大阪、福岡などの都市圏においても高い評価を受けていると認識しております。
私は、農業の振興なくして佐賀県全体の地域経済の活性化はないと考えております。また、地域生活者の視点から見ても、安全・安心かつ高品質でおいしい地元の農産物を身近に手に入れることができる環境は大変ありがたいです。そして、それは県民の誇りであるとも考えます。
こうした中で、本県の農業を担う農業者については、農業従事者の高齢化の振興がかなり顕著だと思います。先日、NHK特集を見ておりましたら、この二十年間で十五歳から六十四歳までのいわゆる生産年齢人口が日本国内で約一千万人減少したということです。これは東京二十三区内の人口に匹敵するそうです。そういった人口減少の中、特に若い人たちが将来に夢や希望を持って農業に取り組めるようにしていくことは、とても重要なことだと考えます。
そこで、今回の質問に入らせていただきます。
まず、新規就農者数の状況についてです。
佐賀県における過去五年間の新規就農者数の推移というのは、一体どのような現状なのか、その点からお願いいたします。
111 ◯永
渕農産課長=新規就農者数の状況についてお答えをいたします。
過去五年間の新規就農者数の推移につきましては、県で毎年実施しております調査結果では、平成二十五年は百六十七人、平成二十六年は百八十三人、平成二十七年は百三十五人、平成二十八年は百二十四人、平成二十九年は百三人となっておりまして、ここ三年間は減少している状況にあります。
これは、経済状況が回復傾向にあることの影響によりまして、主に他産業の雇用情勢が改善されていることなどが影響していると考えております。
以上でございます。
112 ◯江口委員=ありがとうございます。大体の年間の目標数を設定されていると伺っておりますが、経済状況等々含めて新規就農者の現状が、何と言ったらいいんでしょうか、少し厳し目なのかなと感じます。
では、新規就農者確保のための取り組みについてですが、新規就農者数が減少している状況の中で、県ではどのような施策を展開しているのでしょうか、その対策についてお示しください。
113 ◯永
渕農産課長=新規就農者確保のための取り組みについてお答えをいたします。
県では、将来にわたって本県農業を支える担い手をしっかり確保し、プロ農業者として育成することを目的に、就農前から、就農して経営発展するまでの各段階に対応した切れ目のない支援や事業を実施する「佐賀段階『農』の担い手育成プログラム」を一つのパッケージとして展開しております。
まず、就農前の就農希望者に対しましては、
農業改良普及センターやJAなど、関係機関・団体が一体となった就農啓発セミナーの開催や、きめ細やかな相談対応。また、農業大学校における、生産から流通、加工、販売、経営管理まで総合的に学ぶ実践教育。就農前の研修を後押しする資金の交付、これは年間最大で百五十万円でございます。さらに、モデル的な取り組みでございますが、地域が主体となった担い手育成システムでありますトレーニングファームでの実践研修などに取り組んでおります。
また、就農後におきましては、できるだけ早期にプロ農業者になることが重要でございますので、
農業改良普及センターなどによる新規就農者への濃密指導や集合研修の実施、農業青年クラブ活動を通じた技術研さんや資質向上に向けた支援。それに、就農直後の経営確立を支援する資金、これは年間最大百五十万円、最長五年間ですけれども、この交付、こうした取り組みを行っております。
以上でございます。
114 ◯江口委員=ありがとうございます。本当にいろんな取り組みをしていただいているというふうに伺いました。
私は、最近、東脊振の方で他県から移住して営農されている方と知り合いになったんですが、いろんな御苦労があったみたいで、でも、やっぱり地域の方にいろいろと支えていただいて何とか軌道に乗った、そういったお話を伺ったことを思い出します。
それでは、次に進みますが、今議会で佐賀県トレーニングファーム整備支援条例が上程されております。その主な内容はどのようなものか、その点についてお願いいたします。
115 ◯永
渕農産課長=佐賀県トレーニングファーム整備支援条例についてお答えをいたします。
この条例は、今年度に整備を予定しております白石町のイチゴ及び鹿島市のトマトのトレーニングファームが、国の地方創生拠点整備交付金の採択を受けるに当たりまして、JAなど民間事業者等が管理運営する施設につきましては、条例によりまして公共性のある施設と位置づけることが、この交付金の要件に追加されたことから制定するものでございます。
条例の主な内容でございますが、まず、第一条に目的として、新たに就農しようとする者の農業技術及び経営方法の習得をしてもらうためのトレーニングファームの整備を県が支援することによりまして、意欲ある農業の担い手の確保と育成を図り、本県農業・農村の振興に資することを定めております。また、第二条におきましては、トレーニングファームの整備に要する費用の補助に関すること。さらに、第三条では、県を初め、トレーニングファームで研修を受講する者やトレーニングファームを設置する者の役割を定めております。
このトレーニングファームにつきましては、地域が主体となって取り組む研修施設のモデルとして、その運営方法等を確立することによりまして、他の地域においても意欲ある新規就農者の確保、育成につながるよう、市町、
JA等関係機関と一体となってしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
116 ◯江口委員=では、そのトレーニングファームの件ですが、実際に佐賀県内でのトレーニングファームの設置の状況や研修生の状況などはどのような現状になっているのか、その点についてお願いします。
117 ◯永
渕農産課長=トレーニングファームの取り組み状況についてお答えをいたします。
まず、平成二十九年度に整備いたしました武雄市のキュウリ及び佐賀市富士町のホウレンソウの研修施設については、県内外から人材を募集いたしまして、既に農業技術や経営方法等の研修を実施しております。
そのうち武雄市のキュウリの研修施設では、愛知県から移住された三十代の御夫婦を含む一期生、三組四名が昨年十月から既に研修を開始しております。また、二期生、これは四組五名でございますが、ことしの四月から研修を開始しております。
一期生につきましては、三組それぞれがキュウリのハウスをそれぞれ分担して管理しております。まだ研修一年目ではございますが、県の平均収量の約倍程度の収量を上げておりまして、非常に注目されております。
実は、本日も農林水産省の鈴木審議官がトレーニングファームにお越しいただいて意見交換をするということで、現在あっているという状況でございます。
次に、佐賀市富士町のホウレンソウの研修施設では、一期生のうち県内出身の二十代男性一名が、今年一月から研修を開始しておりまして、七月からは首都圏から富士町に移住される御夫婦が研修を開始される予定となっております。
なお、今年度に整備予定の二地区のうち、鹿島市のトマトにつきましては、今月二十九日に入校式を行いまして、まだ施設ができておりませんので、七月から近隣の生産農家で研修を始めまして、十月ごろの研修施設の完成後に本格的な研修を開始する予定となっております。
また、白石町のイチゴにつきましては、平成三十一年四月からの研修開始を目指して、現在、研修生の募集や研修施設の整備を行うこととされております。
以上でございます。
118 ◯江口委員=農林水産省からわざわざトレーニングファームを見に来られるということで、農産課長とか部長は行かんでよかったですかね。(笑声)委員会と日にちががっちゃしてしもうたとですね。平均収量の倍とか新聞なんかにも書いてありましたけど、すごいなと思いながら、ほかの農家さんも、そういった意味では注目されるかもしれませんので、やり方とかまた広がっていくといいんじゃないかと期待をいたします。
それでは、今後の取り組みについてでありますが、本県農業を持続的に発展させていくためには、夢と希望を持って取り組む次世代の農業の担い手を安定的に確保するとともに、収益性が高い経営を実践できる農業者へと育成していくことが重要だと考えます。
県では、今後どのように取り組んでいくのか、その点についてお願いします。
119 ◯永
渕農産課長=江口委員が御指摘のとおり、本県農業の持続的な維持発展を図っていくためには、新規就農者をしっかりと確保いたしまして、地域を担う、稼げる農業者に育成していくことが大変重要だと考えております。
このため本年度から、県内六カ所に設置しております全ての
農業改良普及センターにおきまして、緊急かつ早急に解決すべき課題として、新規就農者の確保、育成を県重点プロジェクトに位置づけまして取り組みを強化することといたしております。
また、農業の魅力を伝え、就農への意欲を喚起するために、県内にはすばらしい経営を展開している若い青年農業者がいっぱいいますので、こうした先進的な若手農業者の活躍を紹介する動画を作成いたしまして、農業高校等の教育現場や就農セミナー等で活用すること、こういうことを新たに進めているところでございます。