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  1. 佐賀県議会 2018-03-13
    平成30年農林水産商工常任委員会 本文 開催日:2018年03月13日


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     午前十時二分 開議 ◯八谷委員長=おはようございます。ただいまから農林水産商工常任委員会を開催いたします。  これより質疑に入ります。通告に従い順次発言を許可します。 2 ◯土井委員=皆さん、おはようございます。本日の農林水産商工常任委員会トップバッターを務めます自由民主党の土井敏行でございます。どうぞよろしくお願いします。  さて、きょうは五項目にわたって質問をいたしますので、なるべく再質問が重ならないように明快な御答弁をお願いしたいと思います。  それでは一項目めでありますが、中山間地域耕作放棄地対策についてお伺いしたいと思います。  最近の農業を取り巻く情勢といいますのは、農業従事者の高齢化や減少、消費者ニーズの多様化、農産物価格の低迷、さらには、生産資材価格の高騰など、一層厳しさをましているのは、皆さん、御案内のとおりであります。  特に、中山間地域においては、農業者の高齢化が著しく、担い手不足に一層拍車がかかっている状況にあります。また、平たん地と比べて圃場の条件が悪く、日照時間が短いなど生産条件が厳しいことなどから、誰かに耕作を頼もうとしても引き受けてくれる人が見つからない。また、耕作されないまま放置されている農地、いわゆる耕作放棄地が多く見受けられるようになりました。今後もさらに拡大していくことが懸念されているところであります。  先月の二十日ごろでしたか、鹿島市の市役所の関係者、農業委員会の関係者、農協の関係者、また、地権者の方も含めて鹿島市の多良岳のパイロット事業がありました七開地区の中山間地を視察に行きました。そのときの状況を写真にしてきております。(パネルを示す)このように非常に荒れておるわけであります。大変荒れています。これは、中山間地総合整備事業で、ここから車で十分走ったぐらいのところですけど、整備をしたところです。大きく違うわけであります。  こういう耕作放棄地といいますか、荒れているところは、車で中に入って行くのもなかなか大変で、これも二、三年前までは地元の地権者の方が整備をしておられたんですけれども、高齢化で体がなかなか動かなくなったというような状況にあります。こういう地域であります。  同じく、車を走らせましたら、整備した地域にこういう茶畑がございました。(パネルを示す)ここは圃場がきれいに整備されていて、新しい担い手の方がこういうふうにお茶を生産しておられます。  地元の方々は、何とか中山間地域を荒らさずに、これを生かして再度活性化をしていきたいというふうな願いはあられるわけですが、自分たちは高齢化して跡取りもいないので新しい担い手の方に何かやっていただけないか、そういう方策はないかというようなことを懇願しておられまして、そういう状況を実は見てきたところであります。  こうした耕作放棄地の発生というのは、近隣の優良農地の農業生産はもとより、県土や環境の保全など広範にわたり影響を及ぼすこととなることから、その発生を防止するような取り組みを強化するとともに、既に耕作放棄地となった農地についても再生に向けた取り組みを進めていく必要があると考えるところであります。  そこで、何点かお伺いをしたいと思います。  まず一点目は、耕作放棄地の推移についてであります。  本県における耕作放棄地は、中山間地域を中心に増加していると聞いておりますが、過去二十年間における耕作放棄地の面積の推移はどのようになっているのかお伺いします。 3 ◯永渕農産課長耕作放棄地の推移についてお答えいたします。  本県における耕作放棄地面積の推移を五年ごとに調査されている農林業センサスで見てみますと、約二十年前の平成七年には三千九十四ヘクタールであったものが、平成十二年に三千八百八十一ヘクタール、平成十七年に四千四百五十八ヘクタール、平成二十二年に四千七百七十七ヘクタール、平成二十七年には五千六十九ヘクタールとなっておりまして、この二十年間で約二千ヘクタール増加をしております。  また、平成二十七年の耕地面積に占める耕作放棄地面積の割合を市町別に見てみますと、太良町が二〇・三%と最も高く、次いで唐津市の一六・九%、玄海町の一五・八%などとなっておりまして、中山間地域を有する市町でその割合が高くなっております。 4 ◯土井委員=非常にふえてきておるわけでありますが、この耕作放棄地はますますふえる傾向にあるのではないかと非常に危惧をしております。
     二点目でありますが、耕作放棄地を再生していくための支援事業をずっとやってこられているんじゃないかと思いますが、この事業の内容についてまずお伺いしたいと思います。  耕作放棄地の再生について、国の支援事業が活用されていると聞いていますが、事業内容はどういうものでありましょうか。 5 ◯永渕農産課長=事業内容についてお答えいたします。  耕作放棄地の再生につきましては、農業者等が行う雑草、雑木の除去や深耕・整地などの再生作業を初め、土づくり、再生後の営農に必要な施設の整備等の取り組みを総合的に支援いたします耕作放棄地再生利用緊急対策事業が活用されております。  この支援事業は、農業者等が賃貸借や所有権の移転により耕作放棄地を引き受け、営農再開のための再生作業に係る経費を助成するものでございまして、具体的には簡易な再生作業や土壌改良に対する助成、これは十アール当たり五万円になっております。  続きまして、荒廃程度が大きく重機等を用いて行う再生作業に対する助成、これは事業費の二分の一以内でございまして、中山間地域等は平成三十年度から五%上乗せすることになっております。  また、耕作放棄地を再生した農地で生産した農産物の加工品の試作や試験販売、実施圃の設置に対する助成、これは定額でございます。  それに、再生農地への作物の導入に対する助成、これは一年のみですが、十アール当たり二・五万円などとなっております。  なお、県では、平成二十七年度から、この国庫事業を活用した中山間地域での再生事業に対しまして二割の上乗せ補助を行って耕作放棄地の再生を促進しているところでございます。  以上、お答えいたします。 6 ◯土井委員=今、本県で二割の上乗せということでありましたが、本県の取り組み状況ですが、耕作放棄地の再生に対しての取り組み状況はどういうふうになっておりますか。実際、再生の効果はどういうふうになっているでしょうか。 7 ◯永渕農産課長=本県でのこの事業を活用した取り組み状況についてお答えいたします。  国の支援事業は、平成二十年度から実施されておりまして、本県では平成二十八年度までの九年間で五十一・五ヘクタールの耕作放棄地の再生が行われております。  この事業で再生された農地の活用状況を見てみますと、タマネギやキャベツなどの野菜が二十九・五ヘクタール、全体の五八%と最も高くなっておりまして、ミカンやブルーベリーなどの果樹が十一・〇ヘクタールで全体の二二%になっております。それ以外では、ソバやハーブ、飼料作物などで十・七ヘクタールなどとなっております。  以上、お答えいたします。 8 ◯土井委員=現在までやってきてもらっておりまして、五十一・五ヘクタールが再生の実績ということですが、耕作放棄地が二千ヘクタールからふえている状況の中で、まさに微々たるものだというような形でしかないという気がします。もともと中山間地域というのは条件不利地で非常に厳しい状況にあって、しかも、もともと基盤整備したところも、長年たって最近は老朽化で使えなくなってきているところが多くなっております。  次の質問ですが、国では、こういうことに対しまして農地中間管理機構関連農地整備事業を計画しているようです。条件の悪い中山間地域の農地は、ある程度集積していかなければ、そこで仕事をしても稼げないわけですので、集積を促進するために平成三十年度の新規事業として農地中間管理機構関連農地整備事業を創設されるとなっておりますが、この事業の内容はどういうふうになっておりますでしょうか。 9 ◯下川農地整備課長農地中間管理機構関連農地整備事業についてお答えします。  平成二十八年度末の担い手への農地の集積率は、全国平均が約五二%となっており、ここ数年停滞していることから、農林水産省では、担い手が利用する面積が平成三十五年までに全農地面積の八割となるように農地を集積するという政策目標を立てているところでございます。  このため、平成三十年度予算の概算決定において、担い手への農地集積・集約化を推進するため、新規事業として農地中間管理機構関連農地整備事業が盛り込まれているところでございます。  この事業は、農地中間管理機構が借り入れている農地について、県が事業主体となり、農地の区画整理などの基盤整備を農業者の同意や費用負担を求めないで実施することとなっております。  本県においては、平成二十八年度末の担い手の農地集積率は、北海道に次ぐ全国第二位の約六九%で、圃場整備などの基盤整備を終えている平場の集積率は、県平均を大きく上回る八割以上となっております。  しかしながら、高齢化の進行、基盤整備が十分に行われていない中山間地域においては、農地集積率は低い状況でございます。  このため本県では、地域の営農展開などに合意形成が図られた地域、中でも、平場に比べ基盤整備が十分に行われていない中山間地域を主体に、市町や関係機関と一緒になって農地中間管理機構関連事業の推進に向けた検討を進めることとしております。  以上、お答えいたします。 10 ◯土井委員=中山間地ではなかなか集積が進んでいないと。それでも全国では高いほうなのかもしれませんが、そういう状況にあるということです。  中山間地の皆さんにお伺いすると、この採択の要件について非常に不満を漏らされている声をたくさん聞きます。農地中間管理機構関連農地整備事業の採択要件についてお伺いしたいと思いますが、この採択要件が示されておりますけれども、大変厳しいという声を多く聞きます。どういう内容になっておるのかお伺いしたいと思います。 11 ◯下川農地整備課長農地中間管理機構関連農地整備事業の採択要件についてお答えします。  現時点において国から示された事業の採択要件については、事業対象農地の全てについて農地中間管理権が設定されていること。事業対象農地面積は、平場では十ヘクタール以上、中山間地域等では五ヘクタール以上。農地中間管理権の設定期間が十五年以上であること。事業対象農地の八割以上を事業完了後五年以内に担い手に集団化すること。事業実施地域の収益性が事業完了後五年以内に二〇%以上向上することなどが採択要件となっているところでございます。  以上、お答えいたします。 12 ◯土井委員=今、採択要件についてお話を聞きましたが、大変厳しい内容ですよね。十五年以上と。ここで声を上げていらっしゃる方は、八十歳以上の方なんですよ。人生百年時代といっても、十五年以上生きないといけないということで、「とてもこういう事業に参加できない」と言われている方がほとんどではないかと思います。  そういった意味では、賃貸になっておるようですが、賃貸借の利用ではなくて、土地の利用について売買で利用できるようにならないのかなという気がするんですけれども、その辺についての御見解はいかがでしょうか。 13 ◯下川農地整備課長農地中間管理機構関連事業につきましては、あくまでこれは中間管理機構を通して担い手へ集積することになっておりますので、売買ということでは対象にならないと聞いております。  以上、お答えします。 14 ◯土井委員=そういうふうになると、さっき言いましたように、高齢の方は担い手が、例えば、自分の子供さんとか後継ぎがいればいいです。この後、担い手のことについて質問いたしますが、そういったことが実際利用できないようなことになっている、実態に合っていないという気がするんですよね。そこを非常に危惧しておられます。この事業はまだ始まったばっかりですので、今からやっていかれるから、いろんな問題、課題というのはこれから出てくるのかもしれませんけれども、これでは使えないんじゃないかという気がしておりますので、売買でも利用できる事業の創設も次の段階では考えていただかないといけないのではないかなと思っているところであります。  それと、老朽化した、遊休化した農地を以前の基盤整備事業で整備して、それに対する検査が非常に厳しいというような御意見も聞いております。そういったことも、確かに以前、基盤整備をやったでしょうけれども、今はもう使えなくなってきて、実際それを使おうとしている担い手の方は高齢化して、実際そこを維持できなくなっているわけですので、そういった意味では、そこはもう一度再利用できるようにしないと、それこそ、以前に投資した分が本当の意味で無駄になってしまうと思うわけです。  そういった意味では、これも将来的に、将来的にいっても喫緊のことであると思いますが、再生できるような事業をもう一つつくり出すといいますか、そういう方向を見出していくことが必要ではないかと思います。  そういったいろんな課題があると思いますが、今後の取り組みについて、県では耕作放棄地の発生防止や再生に向けてどのように取り組んでいかれるのかお伺いしたいと思います。 15 ◯永渕農産課長=今後の取り組みについてお答えいたします。  耕作放棄地は、有害鳥獣のすみかや病害虫の発生源になるなど、周辺の優良農地の農業生産はもとよりですが、県土や景観の保全など広範にわたり影響を及ぼしますことから、まずはその発生を防止するような取り組みを進めていくことが重要と考えております。  このため県では、中山間地域の特性を生かした生産対策はもとより、農地の受け手となる担い手の確保・育成対策、農地を守るための中山間地域等直接支払制度、さらには有害鳥獣防止対策など、各種事業の活用を推進しまして中山間地域における農業生産を後押ししているところでございます。  また、県単事業といたしまして平成二十七年度から中山間地域担い手農地集積促進対策事業を創設いたしまして、中山間地域の農地の受け手、出し手双方に協力金を交付するなどして、担い手への円滑な農地集積を推進しているところでございます。  このような取り組みを進めてはいるものの、担い手が減少し、限られた農業者で全ての農地を維持管理していくことには限界があると考えております。  このため、地域の関係者による十分な話し合いのもと、他地域の担い手や農業参入企業などの多様な担い手としての連携による耕作放棄地の解消に努めるとともに、どうしても守っていくことが困難な農地につきましては、山林など非農地化を検討していくことも市町や農業委員会等と連携しながら取り組んでいくこととしております。  また、耕作放棄地の再生につきましては、再生すべき農地や新たな担い手などの準備が整ったところから、先ほど述べた国庫事業を活用いたしまして着実に実施していくこととしております。  いずれにしましても、国の施策等を積極的に活用しながら、こうした取り組みを関係機関・団体と連携して進めることによりまして、耕作放棄地の発生防止や再生にしっかり取り組んでまいります。  以上、お答えいたします。 16 ◯土井委員=ただいま、課長に耕作放棄地の発生防止や再生に向けての取り組みについてお伺いをしましたが、本来、日本の農業というのは狭い国土を使ってやっておりますので、攻めと守りの戦略が必要だと思います。平たん地は攻めの農業をやりやすい。条件不利地の中山間地域というのは、やっぱり守りの農業をやらなければいけない部分があります。  しかし、守りもできれば転じて攻めにできるような内容も最近はできてきているのではないかと思いますが、そこに至るまでは担い手の問題もありますが、一つは条件不利地でありますので、ある程度、農地の集約と基盤整備をきちっとできる、コストに見合う分が稼げる農地にできるということをやってやらなければいけないと思います。そういったことを根本的にやらないと、今までの中山間地の対策、いわゆる中山間地で遊休農地を広げないというようなことになっていますが、どんどん荒廃して、もう、あと残っているのが少ないぐらいの感じになってきているわけでありますので、ここはもう少し一歩踏み込んで考えて、国に対しても、逆に言えば施策を変えてもらうようなことをこちらから提案していかなければいけないのではないかと思っているところであります。  中山間地の再生という視点で、もう一度、今後の方向性について部長の意気込みをお伺いしたいと思います。 17 ◯御厨農林水産部長=中山間地の耕作放棄地の再生に向けての考え、私なりの意気込みという御質問でございます。  私も、特に多良岳のオレンジ街道あたりパイロット事業で鹿島市から太良町にかけて園地を開いてミカンの一大産地を築かれたものが、今は本当に放棄地が大分目立ってきて非常に寂しい思いをしているところでございます。  こういった中山間地域での放棄地というのは、主に樹園地が多いんですけれども、高齢化して担い手がなかなか見つからない。また、どういった作物が収益性が上げられるかといったものがなかなか見つからないといったことで放棄地が年々ふえてきているのが現状かと思っております。  したがいまして、本来は担い手に優良な園地を集積してしっかり営農してもらうことが求められますことから、まずは、そういった担い手に集積をするような取り組み、あるいはその地域で担い手がなかなか見つからないところについては、もっと広げて担い手を探す、あるいはそういった作業を受託するような組織が必要かどうかの検討なり、行く行くは企業参入あたりも考えていかなくちゃいけないなのかなと思っております。担い手ができたところにつきましては、十八年間で五十ヘクタールぐらいしか再生できてないんですけれども、今後も国庫事業等を活用しながら県としても再生対策はしっかりやっていかなくちゃいけないのかなと思っております。  基盤整備につきましては、先ほど言われました売買が対象になってなくて、貸借しか対象になっていない。そのあたりは、この中間管理事業の実績がなかなか残せないというところで基盤整備がネックになっているんじゃないかということから起こったので、こういう形になっておりますけれども、一回整備したところをもう一回整備するのも、とにかく事業を活用しやすいようにすべきだという御意見もございましたので、このあたり、全体の要領・要綱が全て出尽くしているわけではないので、今後出たものを我々としてかみ砕いて国とも、運用段階でいろいろ活用できる分は活用させていただきたいと思っております。  先ほど、農産課長からも答弁がありましたとおり、せっかくできた制度でございますので、我々としても可能な限り活用したいと思いますが、今回、皆様方が非常に興味を持たれているのが、農家負担とか何もなしにできるよというところですが、まさしく公的な整備になりますので、その辺は将来にわたってきっちり残す、その場の延命措置、五年、十年の延命措置じゃなくて、担い手の方にしっかり残すというような形でやれるところは、こういった事業も活用しながらしっかりやらないと、安易に、ただでできるからということになるとモラルハザードで、この事業自体がなかなか予算の確保、拡大というのが難しくなりますので、その辺、我々としてもしっかりと必要なところにつきましては国にいろいろ相談なり要請もしていきながら、耕作放棄地の再生対策を基盤整備も含めてしっかりやっていきたいと考えておるところでございます。 18 ◯土井委員=わかりました。力強い言葉をいただきましたので、しっかりと進めていただきたいと思います。非常に難しい問題だと思います。先ほど、部長のお話もありましたが、企業の参入についても、誰かにやってもらわなければいけないわけですので、その誰かにやってもらうところが、そういう条件を備えた、農地の適格法人というか、そういったところがやっていただければ企業さんも視野に入れるべきではないかなと私は思っているところであります。そういったことも含めて中山間地の対策についてしっかり取り組んでいただきたいと思っているところであります。  それでは、問一に関連しておりますが、農業経営の継承について質問を移したいと思います。  これは事業承継と言ってもいいと思いますが、農産物の消費低迷や国内外における産地間競争の激化など、諸般の事情が重なり、近年の農業を取り巻く情勢は一層厳しさを増してきている状況にあります。  こうした中で私が最も懸念していることは、本県農業の担い手が減少していることであります。先ほど、中山間地のことを取り上げて言いましたが、実は、平たん地でもそういうことが出てきております。これは農業だけの問題ではなくて、地域の中小企業でもなかなか、会社はうまくいっているのに、息子さんがリスクを負いたくないということで跡取りをされない、跡取りがいないというような状況が出てきているようであります。  農業というのは、地域でこれを担う人がいてこそ、継続的に営むことができるものでありますし、県内外から新たに農業経営を目指す方を招き入れて地域の農業の担い手として育成していくことも大変重要であると思います。まず、新規就農者確保の足元とも言える農家の子供がしっかりと事業を継承していくことが大変重要であると考えるところであります。  昨日、武雄に皆さんと一緒にキュウリのトレーニングファームを見に行きました。あそこの生徒さんを見ていたら、新規就農の方と跡取りの方がバランスよくいらっしゃったので非常に頼もしく思ったところでありますが、実態としては跡取りの方が、なかなか戻ってこれてない状況にあるのではないかという気がしております。  私の地元であります鹿島市のミカン農家においても、「自分の代まで」とか、「子供はもう就職して跡取りがいない」という声をよく聞くところであります。  一方、先日聞いた農業関係の後援会でサラリーマン以上の所得を上げている農業経営の事例も紹介されたところでありますし、きのう行ったトレーニングファームでも、そういったことを聞いたところであります。稼げる、もうかる農業を行うことで自然に子供への継承がなされていくのではないかと思います。  今後、本県農業の持続的な発展を図っていくためには、農家の子供がしっかりと親の農業経営の継承を行い、次世代の担い手として、さらに事業を発展させていくことが一つの近道ではないかと思っているところであります。  そこで、何点かお伺いしますが、一点目は就農の状況についてです。  最近五カ年における新規就農者数及びそのうちの農家出身者の状況はどのようになっているのかお伺いします。 19 ◯永渕農産課長=就農の状況についてお答えいたします。  県が毎年実施しております調査結果によりまして、最近五カ年間の新規就農者数を見てみますと、平成二十五年は百六十七人、平成二十六年は百八十三人、平成二十七年は百三十五人、平成二十八年は百二十四人、平成二十九年は百三人となっておりまして、ここ三年間は減少している状況にあります。  このうち、農家出身の新規就農者数は、平成二十五年は八十六人、全体の五一%でございます。平成二十六年は百四人、全体の五七%、平成二十七年は八十四人、全体の六二%、平成二十八年は七十四人、全体の六〇%、平成二十九年は四十七人で全体の四六%となっております。  以上、お答えいたします。 20 ◯土井委員=県全体でこの人数というのが、果たして多いのか少ないのか、ちょっと議論になるところだと思いますが、なかなかスムーズにいっていないのではないかなという気がしているところであります。  この間、我々、自由民主党の農業農村振興議員連盟で東京で自民党の農林部会とお話をする機会があって、このことが議論になりました。そういった意味では、全国的に非常に深刻な問題ではないかなと思っているところであります。特に、新規就農者に対しては、新規にやっていただけるということで、かなり手厚くいろんな事業をされておりますけれども、跡取りの方に対しては、そうでもないんじゃないかというような声が多々出ておるところであります。  次の質問ですが、農業次世代人材投資事業についてお伺いします。  就農前の研修促進や就農直後の経営確立を支援する農業次世代人材投資事業、旧青年就農給付金というものですけれども、これにおいて農家子弟の交付要件はどのようになっておりますでしょうか。 21 ◯永渕農産課長=農業次世代人材投資事業についてお答えをいたします。  この農業次世代人材投資事業は、就農前の研修を後押しいたします準備型と、就農直後の経営確立を支援します経営開始型に区分されておりまして、準備型では年間百五十万円を最長二年間、経営開始型では前年の所得に応じまして年間最大百五十万円を最長五年間交付されます。  まず、準備型の主な要件につきましては、就農予定時の年齢は、原則四十五歳未満であること。研修終了後は、独立・自営就農、親元就農、あるいは雇用就農を目指すこと。また、研修期間はおおむね一年以上かつ年間おおむね千二百時間以上であること。研修先とは雇用契約を結んでいないこと。さらに、生活費を支給する国の事業、生活保護でありますとか失業給付などと重複して受給されていないことなどとなっておりまして、これらの全ての要件を満たす必要がございます。  さらに、研修終了後に親族が経営する農業経営体に就農する場合につきましては、家族経営協定等によりまして交付対象者の責任や役割を明確にすること。就農後五年以内に農業を継承することを確約することなどの要件がございます。  次に、経営開始型の主な要件についてでございますが、独立・自営就農時の年齢が原則四十五歳未満であること。それに、農地や機械施設を本人名義で所有または借りていること。それと、就農後五年後には農業で生計が成り立つ実現可能な計画を立てて市町の認定を受けていることなどとなっております。  これに加えまして、交付対象者が農家子弟の場合は新たな品目の導入でありますとか経営の多角化など、新規参入者と同等の経営リスクを負うと市町が認められることが必要となっております。  以上、お答えいたします。 22 ◯土井委員=それでは、新規就農の支援についてですが、親の農業経営を継承する場合と新規に参入して就農する場合の支援はどのようになっているのかお伺いします。 23 ◯永渕農産課長=新規就農支援についてお答えいたします。  新規就農者に対する支援策といたしましては、農業経営を開始するために必要な資金を長期に無利子で貸し付ける青年等就農資金、農業機械等を導入する際の融資残に対して補助いたします経営体育成支援事業、園芸ハウスや農業用機械等の導入経費に対して支援いたします県独自のさが園芸農業者育成対策事業などがございますが、いずれの事業におきましても、親の農業経営を継承する場合と新規に参入して就農する場合のどちらにもかかわらず、支援の対象となっております。  また、先ほど申し上げました農業人材次世代投資事業につきましては、親の経営をそのまま継承する場合でありましても、新たな品目を導入いたしますとか、一定の要件を満たせば活用可能となっております。  なお、昨日見ていただきました地域が主体となって新規就農者を確保・育成いたしますトレーニングファームにおきましては、地域外や農外からの参入だけはなく、農家の子弟が就農に向けて研修することも含めて研修の募集を行っているところでございます。  このように新規就農者に対する支援につきましては、国の農業次世代人材投資事業につきましては、親の農業経営をそのまま継承する場合に限りまして対象にはなりませんけれども、そのほかの支援策につきましては、農家の子弟と農外からの新規参入者に大きな違いはないものと考えております。  以上、お答えいたします。 24 ◯土井委員=わかりました。農業の後継ぎをされる方が、親が非常に成功していて、成功してというか、ある程度の事業をやっておられて、それを跡取りしてもらうわけですから、それはそれで事業継承という意味で支援をしてやらなければいけないんじゃないかなと思うんですけれども、そこについてどうも支援がされていないという思いを皆さん言われるわけですね。それがただ単に親がやっている農業じゃないことを新たにやらなければ、新規品目をやるとか、そういうことをやらないと支援をしてもらえないと今なっているようですので、そうじゃなくて、親の跡を継いでやるについても、きちっと親の経営を成長発展させるというような取り組みをすることに対しても支援をしてやるべきではないかなと私は思うんですけれども、こういったことで今後の取り組みについてお伺いします。  親の農業経営を継承する場合の就農について、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いしたいと思います。 25 ◯永渕農産課長=今後の取り組みについてお答えいたします。  親の農業経営を継承し、その子弟が就農する場合には、親が所有いたします農地や農業機械施設等が既にあり、また、親から栽培技術や経営ノウハウなどのアドバイスも受けられるなど、新規就農者に比べまして農業に取り組みやすいという利点がございます。しかしながら、農家においても所得が伸び悩んでいる場合につきましては、子弟が農業経営を継承せず、他産業に就職する事例も多く見られます。  このため、農家子弟の経営継承を促していくためには、農業者が楽しく生き生きと農業に取り組む姿を見せていくとともに、そのほかの優良な経営事例を紹介し、刺激を与えまして農業に憧れるような仕掛けが必要ではないかと思っております。  具体的には、農業者の所得向上を図ることはもとよりでございますけれども、農家子弟に対しまして、農業や食の大切さを広める活動や、農業高校、農業大学校への進学に向けた働きかけ、農業高校や農業大学校の学生と県内で活躍しております若手農業者との交流や意見交換の実施。  さらに、今、農産課では「SAGAアグリの星」というホームページを立ち上げておりますけれども、そういうものを活用した本県で楽しく意欲的に農業に取り組んでいる青年等の紹介などを引き続き取り組んでいくこととしております。  加えまして、農業改良普及センターを六カ所設置しておりますが、来年度から全ての農業改良普及センターで農業所得の向上と新規就農者の確保・育成というものを普及指導の重点プロジェクトに位置づけまして、関係機関と連携しながら取り組みを強化することといたしております。  いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、基本は稼げる農業をきっちりつくり上げていくということが重要ではないかと思います。きのう見ていただきましたトレーニングファームでも、研修生であっても、もう三十トンをとっているということは、十アールでいけば一千万円の収入があるということですので、十アールで一千万円の収入があるということは、他産業よりもはるかに有利ではないかと思っていますので、そういう事例をどんどんつくり上げていきながら、将来の担い手として貴重な人材であることから、稼げる農業に向けた取り組みを進めますとともに、農業のいわゆる新三K、「稼げる、かっこいい、感動がある」を掲げながら、親の農業経営を継承し、就農を目指す後継者の確保に努めてまいりたいと考えております。  以上、お答えいたします。 26 ◯土井委員=今、課長から今後の取り組みについて思いを聞きましたけれども、要は、後継ぎがいないという声が現在出てきているわけでありますが、後継ぎをどうつくるかということで、意欲ある若い方がトレーニングファーム等で新しい農業に取り組んでいただくことは大変すばらしいことであります。親がやっている事業の跡をしっかり継いで、またやっていく方々に対しても、その担い手をいかに育てていくかというようなことも一つ大きなポイントだろうと思います。そこは単に農業者だけに任せるのではなくて、全体として考えていく必要があるのではないかと思います。
     この間、自民党の農林部会で議論した時もその辺が議論になって、いわゆる新規就農だけではなくて、農業の事業継承ということで中小企業も今考えているけれども、そこと一緒になって今考えていますというようなお話をそのとき聞いたわけですけれども、具体的にどういうものだということはまだ出ていませんが、そういった担い手をどうやって確保していくか、育てていくかということで、よければ部長にその辺の思いをお伺いしたいと思います。 27 ◯御厨農林水産部長=農業の担い手、継承も含めて、どう取り組んでいくのかというお尋ねでございます。  先ほど来、国の以前の青年就農給付金事業の発端は、農家の後継ぎの方に就農してもらうということと、それだけでは足りないので農外からも参入してもらうということで取り組みを進めているんですけれども、農外からの参入者は、御案内のとおり、農地もないし、設備もない、技術もない、知り合いもいないというような非常に高いハードルをクリアしないと、なかなか就農までたどりつけないということでの給付金事業が始まったということで、基本的にはそれに特化した事業になっております。  ただ、先ほど課長から説明いたしましたとおり、親の跡を継ぎつつもリスクを抱える、違う作物を導入したり、そういうものについては同じように給付の対象になっているということと、給付金事業以外につきましては、基本的には同じような形で我々としては支援を申し上げているということで御理解いただきたいと思っております。  先ほど課長が答弁したとおり、後継者の確保というのは、もうかる農業を実現したら給付金とかなくても自然に担い手というのは育ってくるものでございますので、まずはそこの取り組みを充実、強化しなければいけないと思っております。  また、これも先ほど課長から申したとおり、私は一般質問でも一部お答えさせてもらったんですが、今、非常に意欲的で生き生きと農業を展開されている若い方が多ございます。その方たちは稼ぐということについてもしっかり稼がれているというようなことで、そういった場面を今の若い人たちに、こういった農業も展開できるというようなことをどんどん情報提供といいますか、そのようなことに触れる機会をしっかりつくっていかないと、親の経営だけを見ていたら、その先、大変じゃないかとか、そういうことが先にいって、就農をしっかりしていこうという気にはならないのかなと思っております。  親御さんがしっかり稼いで、本当に生き生きとされているところはしっかり後継ぎができていますし、それと同時に、親と同じ形じゃなくても、いろんなやり方で農業というのは、やり方によっては他産業よりも非常におもしろい、稼げるものだというようなものも我々としてはあわせて提供していきたい。就農に意欲を持たれている方につきましては、技術習得から営農開始までいろんな段階でしっかりと支援していきたいと思いますので、農家の子弟につきましても、今後ともいろんな面で、こういうことをもっと充実してほしいというような意見もいろいろ伺いながら、やれることをしっかりやって新規就農者の確保・育成に努めてまいりたいと考えております。 28 ◯土井委員=いずれにしても、親の跡を継いでやられる方に対してリスクを負うことを求めているわけですけれども、その負担が非常に大きいと感じておられる方が多いんですよね。今、親がやっていることを、もっとうまくやれるような経営改善なり作業の改善なりやっていかれる。そういうことに対してもきちっと支援をしていかなければいけないんじゃないかと思います。新たなリスクを負うことだけを要件として求めるのは非常に厳しいかなと、そこはやっぱり要件を少し緩和してやるべきではないかなと思います。そうしないと育たないのではないかと私は感じておりますが、その辺いかがでしょうか。 29 ◯御厨農林水産部長=人材育成の給付金事業だけを見ると、そういう形ですが、我々としては、それ以外の総合的な対策、リスクを負わなくてというか、やっぱり負担が非常におもしになっているような、例えば、ハウスを増設して規模を拡大したとか、そういうものに対しては同じような形で御支援はしっかりと申し上げたいと思っております。  給付金事業だけを捉えると、確かにその差はありますが、できた経緯が、やっぱり何も持たない方が外から参入した場合にハードルが高すぎるということでできたというところからスタートしているので、そこの差は若干あるかと思います。  我々としては、そういった声があるということはお届けしますけれども、そこのところ、我々も最初は後継ぎにもということは国にも大分申し上げたところがございますが、そこは要件は若干緩和されましたけれども、事業創設のベースのところでございまして、国としては簡単にはなかなか認めてくれないという状況も御理解いただきたいと思います。 30 ◯土井委員=よくわかります。もともと新規就農のためにできた事業でありますので。ですから、逆に言えば、跡取りのための、事業継承のための新しい事業を創設していただかなければいけないんじゃないかなという気がしておりますので、そこら辺もできれば現場の声を届けていただきたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  有明海水産資源回復技術確立事業についての質問であります。  諫早湾干拓事業の開門問題をめぐる裁判につきましては、福岡高裁での請求異議訴訟の控訴審が結審し、二月二十六日に和解協議が開始され、三月五日には、福岡高裁から開門しない前提での和解勧告が示され、原告漁業者・弁護団は即日拒否したということになっております。先が見通せない状況となりました。  国も原告漁業者も和解を望んでいたと聞いており、和解協議が成立しない場合、国が提示した基金がなくなり、有明海再生事業も今後どうなるか非常に心配しているところであります。  また、これまで有明海の環境変化の原因究明の一つの手段として開門調査の実施を国に求めてきましたが、国は開門しない方針を明確にしており、調査の実現は厳しい状況にあります。  一方で、有明海の水産資源の回復は漁業者にとって待ったなしの問題であります。漁業不振で苦しんでいる漁業者の本来の目的であります有明海の再生に向け、漁業者に寄り添いながら現在の有明海の環境条件に適合した水産資源の回復に地道に取り組んでいくことも必要ではないかと考えます。  こうした中で、有明海の水産資源の回復に向け、タイラギ、アゲマキ、ウミタケ等の主要魚介類を対象とした有明海水産資源回復技術確立事業に取り組まれておりますが、その中で一部で成果が見られ、長年、漁獲が見られなかったアゲマキやウミタケが食卓に上がるところまで近づいていると聞いております。この間、一般質問で定松議員がこの件について質問したときも、アゲマキやウミタケについては成果が出てきているようなお話もちょっとお伺いしました。ここではそれぞれの魚介類について今取り組んでおられる状況について具体的に少し詳しく掘り下げてお伺いしたいと思います。  一番目がタイラギの資源回復についてですが、これまでどのような取り組みを実施されてきたのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いしたいと思います。 31 ◯川原水産課長=タイラギの資源回復についてお答えいたします。  タイラギにつきましては、今年度で六年連続休漁となるなど、大変厳しい資源状況が続いております。  こうした中、これまで県ではタイラギ資源の回復を図るため、有明海水産資源回復技術確立事業の中で、稚貝の着底を促進させるための底質改善技術の開発や、卵を産む母貝の数をふやすための移植技術の開発などに取り組んできたところでございます。  具体的には、細かく砕いたモガイの貝殻を海底に散布して底質に混ぜ込むことで、タイラギ稚貝の着底を促進する技術の開発に取り組みまして効果が見られたことから、平成二十六年度より本格的にモガイ殻散布耕うん事業として漁場改善に取り組んでいるところでございます。  また、母貝をふやす取り組みにつきましては、これまで他の海域のタイラギを移殖する技術の開発に取り組みまして、これまで有明海に約四万個の母貝移殖に成功し、移殖した貝が産卵していることを確認しているところでございます。  しかし、残念ながら、タイラギ漁につながるまでの成果は得られていないのが現状であります。  このため、来年度からは、これまで以上に産卵する母貝をふやすため、国や有明海沿岸の三県と連携いたしまして、人工的に稚貝を大量生産し、その稚貝を放流する、いわゆる種苗生産放流技術の開発に新たに取り組むこととしておりまして、タイラギ漁の再開を目指して取り組みを強化していくこととしております。  以上でございます。 32 ◯土井委員=わかりました。タイラギは非常に難しいと思いますが、象徴的にとれなくなったということで、この回復については皆さん非常に期待しているところでありますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、アゲマキの資源回復についてでありますが、アゲマキは従来から非常に人気のある貝でございますので、これまでどのように取り組みを実施してこられたのか。また、今後どのよう取り組んでいかれるのかお伺いしたいと思います。 33 ◯川原水産課長=アゲマキの資源回復についてお答えいたします。  アゲマキにつきましては、平成六年以降、天然資源がほとんど見られない状況の中で、資源の回復を図っていくために稚貝を大量に放流し、卵を産む母貝の集団をつくり、産卵を行わせる、いわゆる再生産サイクルを復活させる取り組みを継続して行ってきたところであります。  具体的には、七ミリから八ミリの大きさの稚貝を大量に生産する技術の開発に取り組みまして、現在では年間二百万個以上を生産できるレベルまで達成しており、これまでに一千万個以上の稚貝の放流を行ってきたところであります。  また、こうした稚貝の生産技術の開発とあわせまして、最適な放流方法の検討を行い、放流後に稚貝の拡散を防ぐ囲い網などを漁場にかぶせることによりまして稚貝の生き残りが高まることを明らかにしたところであります。  こうした取り組みの結果、ここ二、三年、特に鹿島市地先では放流した貝が順調に生き残りまして、それらの貝から生まれた稚貝が放流漁場の周辺に、多いところでは一平方メートルに四十個ほど確認されるなど、再生産サイクルの復活が見られ、成果が上がってきたところでありまして、このまま順調に生育していけば、ことしの六月にも一部の漁場で漁獲が再開できるのではないかと期待しているところでございます。  今後も、こうした稚貝の大量放流を引き続き実施いたしまして、卵を産む母貝の数をさらに増加させるとともに、漁獲禁止エリアを設定するなどして母貝の保護にもあわせて取り組んで持続的な漁獲につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。 34 ◯土井委員=ありがとうございます。アゲマキについては、質問のたびに、うまくいっていると、もうそろそろと、来年は食卓に上るかなとずっと期待をしながら、もう数年が経過してしまいましたので、今の状況をお聞きしますと、かなり成果が出ているようですので、早く我々の口に入ることを期待して、アサリの質問に移したいと思います。  アサリの資源回復に向けては、どのような取り組み状況になっておりますかお伺いします。 35 ◯川原水産課長=アサリの資源回復についてお答えいたします。  アサリにつきましては、平成十七年以降、漁獲量が減少傾向にありまして、特に、太良町地先の干潟におきましては、平成十九年以降、地域ブランドとして認知されておりました「糸岐アサリ」が全くとれないなど、厳しい資源状況が続いておりました。  こうしたことから、まずは佐賀県有数のアサリ漁場であります太良町地先を中心に、稚貝の着底を促進するための方法といたしまして、小石や貝殻を詰めた袋網を漁場に多数設置するとともに、その袋網に付着した稚貝の生き残りを高めるために、生息環境が良好な場所へ移殖する方法ですとか、ナルトビエイの食害を防ぐための網の設置などについて検討し、実施してきたところでございます。  こうした取り組みが実を結びまして、平成二十八年には十年ぶりに本格的な漁が再開され、約五トンのまとまった漁獲が見られるとともに、平成二十九年にも引き続き漁獲が行われたところであります。  さらに、食害を防ぐ網を設置していない漁場では、ナルトビエイによる食害の影響が大きく、また、直径二十センチほどの大きさの石が点在する漁場では食害が少ないことが明らかになったことから、現在、稚貝の着底促進とナルトビエイの食害防止を兼ね備えた投石による新たな漁場造成手法の開発にも取り組んでいるところであります。  今後は、その漁場造成手法の効果検証に努めるとともに、生き残りを高める移殖などの取り組みを漁業者の皆さんと連携して実施するなど、アサリ資源の保護・育成に取り取り組むことによりまして安定した漁獲につなげていきたいと考えております。  以上でございます。 36 ◯土井委員=ありがとうございました。  次に、ウミタケの資源回復について、今後どのように取り組んでいかれるかお伺いしたいと思います。 37 ◯川原水産課長=ウミタケの資源回復についてお答えいたします。  平成十九年以降、休漁が続いておりますウミタケにつきましては、資源回復を目的として早津江川沖合で海底の浚渫と、それによって生じた土砂を用いて盛り土をする方法で海底に凹凸をつくる試験的な漁場造成を行いまして、その効果の検証を行ってきたところでございます。  その結果、平成二十九年五月の調査におきまして、漁場造成を実施した場所には海底の傾斜部に漁獲サイズの貝が、多いところでは一平方メートル当たり四十個ほどの生息が確認されまして、漁協と連携し、この年、試験出荷に結びつけたところであります。  市場でのウミタケの評価は非常に高く、一箱に二十個ほど入ったものが最高で九千円という高値がつけられ、夏場の収入源として期待の持てる結果となりました。  今後は、さらに資源回復を図るためにアゲマキやタイラギと同様に、来年度から新たに種苗生産と放流技術の開発にも着手することとしておりまして、ウミタケの漁獲再開に向けて漁場造成と一体的に取り組んでいきたいと考えております。  以上でございます。 38 ◯土井委員=ウミタケについては、先ほど課長からお話がありましたように、ニーズが大変高いというか、これを加工して販売している麺製造業者がいらっしゃいますが、原料が入ってこないのでどうしようもないということで、ことしの夏も、できる分、少しやられたようですけれども、その後、すぐ品切れになって、後が補充できないということで、問い合わせばっかりあっていると嘆いておられました。ウミタケ資源が一日も早く回復しますようにですね。そうしないと、これを扱っている水産業者も困られると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、ガザミの資源回復についてお伺いしたいと思います。  これまでの取り組み、そして、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いします。 39 ◯川原水産課長=ガザミの資源回復についてお答えいたします。  有明海のガザミにつきましては、「竹崎カニ」として地域ブランドが定着しており、漁業資源だけではなくて、観光資源としても重要な魚種であることから、県では、減少したガザミ資源を回復させるために効果的な放流技術の開発に取り組んでいるところであります。  具体的には、有明海沿岸四県が連携いたしまして、遺伝子解析により放流したガザミを区別する方法を用いまして、最適な放流場所とか放流サイズなどについて効果の検証を進めてまいりました。  その結果、二十ミリの大きさの種苗を放流したほうが生き残る割合は高いものの、種苗生産や放流に係る費用を考慮すると十ミリ種苗のほうが経済的であること。夏期に放流した十ミリサイズの種苗が、放流後、約百日で漁獲され始めること。各県の海域で放流された種苗は、他県の海域でも漁獲され、ガザミは四県の共通資源であることなどが判明したところであります。  ガザミ資源の回復対策といたしましては、種苗放流は有効な方法の一つでありますので、今後とも、より効果的な放流手法の検討について資源を共有する有明海沿岸四県が一体となって取り組みましてガザミの資源回復に努めてまいります。  以上でございます。 40 ◯土井委員=ガザミについては、観光資源として大きな役割を果たしておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。  今、五つの魚種についていろいろお伺いしましたが、それぞれについて水産課、水産試験場は非常によく頑張っていただいていると思います。長崎県側の方々とか、開門に反対している方々からは、「有明海全体の漁獲高は減ってないじゃないですか」ということをよく言われます。でも、それはノリを入れて見ておられます。ノリの占めるウエートが非常に大きいものだから、魚介類だけ見ればはるかに減っているということが一目瞭然なわけでありまして、そこについては開門調査は一つの手段であって、本来の目的は有明海の再生でありますので、有明海の再生に向けてできることはどんどんやっていただきたいと思います。そのために佐賀県だけでできないことは連携してどんどんやっていただきたいなと思っているところであります。  漁業生産の安定に向けた今後の取り組みについて最後にお伺いしたいと思います。  有明海の環境異変の原因究明の一つの手段であります開門調査の実現が非常に厳しい中でありますが、有明海の再生という本来の目的を見失わず、水産資源の回復に向けた取り組みを一層強化していく必要があると考えます。  今後、県では有明海の漁業生産の安定に向けてどのように取り組んでいかれるのか、部長にお伺いします。 41 ◯御厨農林水産部長=漁業生産の安定に向けた今後の取り組みということでございます。  これまで県では、環境変化の原因究明が進まない中、有明海の漁業生産の安定に向けまして、今できることといたしまして漁場環境の改善ですとか種苗の放流など、委員からもおっしゃっていただきましたが、試行錯誤しながら懸命に取り組んできたところでございます。  このうち漁場環境の改善につきましては、海底を耕して貝類が生息しやすい海底にするための海底耕うん、また、みおを掘ることで流れを改善してノリや貝類等の生産を安定させるための作澪などを実施してきたところでございます。  また、タイラギなどの二枚貝を食べるナルトビエイの駆除ですとか、ガザミなどの水産資源を直接ふやすための種苗放流などにも力を入れてきたところでございます。  こうした取り組みに加えまして、先ほど課長が答弁いたしましたように、養殖技術の開発にも取り組んできておりまして、その成果として先ほど申し上げましたとおり、アゲマキやウミタケなどについては資源の回復が見られてきております。特に、アゲマキについては、ぜひことしの夏にはお口に入るように引き続き頑張っていきたいと思っております。  今後につきましては、有明海漁協を初め、漁業者の方々の意見をしっかりと聞きながら、漁場環境の改善ですとか養殖技術の開発などの取り組みを引き続き行ってまいりますとともに、象徴的でございますタイラギの再生に向けて種苗生産、放流技術の開発といった新たな技術開発にも挑戦をしていきたいと考えているところでございます。  いずれにいたしましても県といたしましては、有明海の再生を切に願う漁業者の気持ちに寄り添いながら、一日も早く漁業者が有明海の水産資源の回復を実感できますよう、四県、関係県とも連携をとりながらしっかり取り組んでまいります。  以上でございます。 42 ◯土井委員=よろしくお願いします。  次に、四番目の質問に移りたいと思います。  ものづくり企業への支援と人材確保についての質問であります。  今、県内の経済界で一番問題になっているのは人手不足です。昨今、県内企業の人手不足感といいますか、人材確保難は深刻化しています。このような中、人材確保の円滑化のためにはさまざまな方策があると思いますが、その一つに企業の認知度を高めていくことが挙げられます。  この点で県では、平成二十七年度に創設しました佐賀県ものづくり人財創造基金を活用して、ものづくり企業の認知度を高めるため、例えば、児童生徒や保護者による企業見学会や、マスメディアを通じた「SAGAものスゴ」の放映など、各種施策の改善充実に取り組んできておられるようであります。  あわせて、人材確保のためには企業の魅力向上も不可欠であります。このための一策としては、技術力を持った人材の育成がありますが、この点で県が取り組まれているものづくりマイスターを活用した県内の工業高校生や、ものづくり企業の就業者への溶接人材育成事業なども大いに評価しているところであります。  この溶接人材育成については、数年前に私が質問したとき、以前の県内企業の評価としては、教育委員会ではしっかりやっているという認識でおられたんでしょうけれども、井の中のカワズではなかったかもしれませんが、他県の高校生のほうがより進んでいた。同じ溶接の技能を持った生徒を採用するんだったら、他県の工業高校生のほうがいいと言われるのが一般的な評価でしたけれども、最近はそれが随分変わってきたなと思っています。そういった意味では非常に成果が出てきたのではないかと評価しているところであります。  県には、今後ともこのような取り組みを継続し、県内企業の認知度向上や魅力向上に努め、もって人材確保につながるよう、一層注力をいただきたいと考えております。  そこで、何点か御質問しますが、一点目は、ものづくり企業の認知度向上についてであります。  認知度向上に取り組むに当たって、児童生徒のみならず、保護者への啓発も、先々の子供たちの進路選択や企業の人材確保を考えた場合、大変重要ではないかと思います。親が、「地元には大した会社はなかけんがよそに行け」ということで、大きい会社ばっかり、宣伝に出てくるような会社ばっかり目にして、そんなことばっかり言うと、やっぱり子供も自然にそうなってしまうんですが、実際、見学会を体験された方に聞いてみると、親御さんがびっくりしてるんですね。地元にこんな会社があったのかと。親御さんが最初に聞かれるのは、「うちの子をここに入れるためには何を勉強させればいいですか」という質問をされたと。子供さんも、「ここで働くために何を勉強すればいいですか」と聞いたということですね。そういう大変いい成果が出ているんじゃないかと思います。  そういったことで地元のことを知っていただくことが非常に必要ではないかと思います。県では、ものづくり企業の認知度向上のためにどのように取り組んでこられたのかお伺いしたいと思います。 43 ◯澤田ものづくり産業課長=ものづくり企業認知度向上の取り組みにつきましてお答えいたします。  佐賀県の産業活性化のためには、佐賀が輩出する優秀な人材が県内企業に就職して活躍されることが重要であると考えております。そのため県としましては、委員の御指摘にもありましたとおり、県内ものづくり企業の認知度向上を図ることが人材確保を目指す上で効果が高いと考えておりまして、さまざまな事業に取り組んでいるところでございます。  まず、県内ものづくり企業への就職促進ということでは、最も直接的な対象となりますのが県内の工業系高校生でございます。それで、まず、彼ら、工業系の高校生に対しまして県内にも優良なものづくり企業が多数存在するということを知ってもらうための取り組みを行っているところでございます。  具体的には、県内のものづくり企業で働く先輩である人材を紹介する冊子を作成して配布するとか、県内のものづくり企業の情報などを掲載しましたウェブサイトを作成しまして、そういったものを使って発信しているところでございます。  他方、高校の進路指導の先生などの御意見などを聞いてみますと、先ほど委員がおっしゃられたとおり、進路決定には保護者を初めとする周りの家族の影響が大変強いということがわかっております。また、実際に先生方自身も県内にどのようなものづくり企業があるかということを余り御存じないという実態も明らかになったところでございます。  こうしたことにつきましては、保護者向けのものづくり企業見学会ですとか、そういったことに取り組む工業系高校に対して助成を行うなど、そういった大人の認知度を向上させるための取り組みも進めているところでございます。  こうした取り組みに加えまして、県民全体に対して情報発信をする取り組みとしまして、先ほど委員の発言にもございましたが、平成二十七年十月から県内のものづくり企業を紹介するテレビ番組の「SAGAものスゴ」をサガテレビで放映しているところでございます。  さらには、今、高校生、それから保護者の話をしましたが、高校に入る前、つまり小中学生のころからものづくりへの興味や関心を高めることが、将来のものづくり人材の確保につなげるために必要な取り組みだということを我々としては考えております。そのために学校単位で県内のものづくり企業の職場見学ですとか出前講座を行ってもらうことをコーディネートするための取り組みも行っているところでございます。  県として、このようにさまざまな取り組みを実施してきているところでございますが、今後、永続的に佐賀県としてものづくりの伝統を将来に続けていくためには、それぞれの地域で行政、企業、それから学校が一体となってものづくりの機運を醸成していくことが肝要であると考えております。  このため、こうした地域の企業や学校の有志による取り組みを立ち上げようとする場合の支援も行っております。例えば、委員の地元であります鹿島市におきまして、小中学生とその保護者を対象にしたものづくり企業を見学する「かしま仕事めぐりツアー」が昨年行われましたが、そういったことに対する助成も行っているところでございます。  こうした一連の事業を通じまして、県内のものづくり企業で働きたいとか、親からすれば働かせたいといった意識を高められるように今努力しているところでございます。 44 ◯土井委員=ありがとうございます。  それでは、ものづくり人財創造基金というものがあるわけですが、その成果と課題についてお伺いします。
     今、お話がありましたが、認知度の向上を初め、平成二十七年度から取り組まれてきたものづくり人財創造基金事業については、平成三十年度で終わりになると聞いておりますが、現時点での成果と課題として県ではどのように捉えておられますかお伺いします。 45 ◯澤田ものづくり産業課長=ものづくり人財創造基金の成果と課題につきましてお答えいたします。  まず、これまでの成果でございますが、ものづくり人財創造基金が指標としておりますのが県立工業系高校生の県内就職率の向上でございます。これに関しましては、本年二月十九日時点の数字でございますが、平成二十七年度から三ポイント上昇しまして四二・六%となっております。  また、県立工業系高校二年生にアンケートをとりまして、県内ものづくり企業を全く知らない生徒がどれくらいいるかということですが、こちらにつきましては平成二十八年度から十ポイント減少しておりまして、こうしたところにもものづくり人財創造基金事業の効果が着実に出始めていると我々としても考えております。  実際、事業に参加された方々からの声を幾つか御紹介させていただきますが、まず、職場見学に参加した小学生の声として、「佐賀には何もないと思っておりましたが、すごい企業があって佐賀には何もないわけじゃないということがわかった」という言葉がありましたり、また、職場見学に参加した保護者の方からの声としましては、「地元の企業がどんな仕事をして活躍しているのか知らなかったので大変よい体験になりました」ということを聞かせていただいております。このように、県内ものづくり企業の認知度向上に着実に結びついていると私どもは実感しているところでございます。  一方で現時点で見えてきている課題でございますが、今年度実施しております県立工業系高校の二、三年生の保護者約二千人、それから、十八歳以上の県民全体に向けて約四千人を対象にしたアンケート調査をしておりまして、その結果ですが、依然として約七割の方が県内ものづくり企業を四社以下しか知らないという実態も明らかになっております。そういうことから工業系高校生の就職に最も影響力がある保護者を初めとします大人に対する県内ものづくり企業の認知度向上をさらに進めることが必要であると考えているところでございます。  また、先ほど、委員からのお話にもありましたが、溶接人材育成事業のように、県内ものづくり企業では、熟練技能者の高齢化の問題も顕在化しておりますので、そういう中で平成二十七年度に実施した調査では、約六割の事業所が技能や技術の継承に不安を抱えているという実態がございまして、そうした事業に取り組むことによって若い人が技能や技術の継承に積極的に取り組むという体制づくりや機運の醸成ということが必要になっていると考えております。  我々としても、このような課題を解決していくために、今後ともしっかり取り組んでいく必要があると考えております。 46 ◯土井委員=今、課題についてお話をお伺いしましたが、全くそのとおりではないかと思います。  このものづくり人財創造基金の継続についてお伺いします。  認知度向上や溶接人材育成を初め、ものづくり人財創造基金事業については、地元の企業等からもかなり評価されております。基金がなくなったら事業も打ち切りになるのではないかという声も聞いているところであります。中小企業の人材確保が大変厳しくなる中、基金事業を平成三十一年度以降もぜひ継続してほしいと私は考えているところであります。  県では、基金終了後、どのように取り組んでいかれるつもりなのかお伺いしたいと思います。 47 ◯澤田ものづくり産業課長=ものづくり人財創造基金の継続につきましてお答えさせていただきます。  まず、我々が行っておりますものづくり人財創造基金事業につきまして評価されていることは大変ありがたいことでございます。こうしたこれまで取り組んできた効果を維持させていくためには、引き続きものづくり人財創造基金事業が目指しております技能、技術を持つ人が、これまで以上に社会で尊敬され、また、若者がさらに誇りと自信を持ち、ものづくりに従事する社会の実現に取り組んでいく必要があると考えております。  来年度で基金は終了してしまいますが、この基金終了後の取り組み方針につきましては、関係機関の意見ですとか、これまでの取り組みによって明らかになった課題などを踏まえまして、来年度、平成三十年度に産学官金のメンバーで構成します「佐賀県型ものづくり人財創造・育成プログラム研究会」におきましてしっかり議論しながら、実効性の高い取り組みとなるよう検討していきたいと考えております。基金の有無に関係なく、必要な取り組みはしっかりと実施していかなければいけないと考えております。  いずれにしましても、ことし、明治維新百五十年でございますので、この年が、佐賀のものづくり、人づくりの伝統を将来にわたってつなげていくための契機となるよう努めていく所存でございますので、県議会の皆様におかれましても、今後とも一層御指導いただければと思います。 48 ◯土井委員=基金のありなしは関係なくということでありましたが、何らかの形でこの事業を継続して成果を上げていただきたいと思います。  この事業は、単に企業が人材を外に求めるというだけではなくて、企業内にいる人材が例えば講師となって出ていくことによって非常にスキルアップして、逆に企業の中で後輩を指導する能力を上げておられるという成果も出ているんですよね。そういった意味で経営者の人たちは非常に期待をし、評価をしておられるのではないかと思います。ぜひ続けていただきたいと思います。  そして、先ほど、課題で出ましたが、まだまだ認知度が低いという意味では、こういう事業をもっともっと進めていただきたいなと思っているところであります。  四番目ですが、人材確保の支援についてお伺いします。  冒頭申し上げましたように、昨今、県内企業の人手不足、人材確保難は深刻化しております。このような中では、先ほどまでの基金事業を通じた認知度向上等の中長期的な視野、視点での取り組みはもちろん、より即効性のある人材確保の支援策も大変重要であると思います。  この点で、この間、県でもこうした状況を踏まえ、各種施策の改善、充実に努めてきており、実際、来年度当初予算案にも採用力向上支援事業が盛り込まれております。今議会で審議中でありますが、私は、もちろん、こうした動きはいいことだと思いますし、大いに期待するところであります。  県には、今後とも、この間の取り組みにおける成果と課題を踏まえ、県内企業の人材確保支援になお一層注力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。最後にこのことについてお伺いします。 49 ◯狩野産業人材課長=県内企業の人材確保の支援についてお答えいたします。  委員御指摘のとおり、実際確保は、昨今、最重要の経営課題であります。このため県でも、これまでの「さが就活ナビ」の運営や、県内外での合同企業説明会の開催などに加えまして、昨年度、平成二十八年九月補正予算では県内企業と高校とを橋渡しする緊急支援員の配置、平成二十九年度当初予算では県内企業にUJIターン就職する大学新卒者などへの奨励金の支給などに着手したところでございます。  その結果、例えば、高卒就職者の県内就職率が四十七都道府県で最大の改善幅となるとともに、「さが就活ナビ」の閲覧者数が前年比で二・一倍に急増するなど、一定の成果が出たところでございます。  とはいえ、これらに取り組む中で一層の人材確保には県内企業自身にも、労働環境、労働条件などの改善向上はもとより、県内活動の工夫や採用条件の改善に自ら取り組んでいただくことが必要と実感したところでございます。このため、それら企業の取り組みを促すために、今回、採用力向上支援事業に取り組むこととしたところでございます。  産業人材の確保につきましては、企業経営や産業振興のみならず、人口減少社会の中、地域社会の持続可能性にもかかわる問題であると認識しております。  そうした重要性にも鑑み、今後もさらに実効性のある施策の立案、推進に鋭意取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 50 ◯土井委員=これからも県内企業の人材確保支援を、今の人手不足について解決していくようにぜひ御努力いただきたいと思います。  それでは、最後の質問に移りたいと思います。  問五ですが、今後の産業政策についての質問であります。  我が国の経済につきましては、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、極めて緩和的な金融環境と政府の経済対策などを背景に緩やかに回復しているところであります。  県内では、ことし一月の有効求人倍率が過去最高を更新するとともに、企業倒産件数が減少するなど、景気回復の影響が県内経済にも波及してきております。  一方で、景気回復の影で人口減少、少子・高齢化を背景とした人材確保や経営者の高齢化が進展する中、多くの企業で後継者が不在という状況、いわゆる事業承継問題が企業にとって重要な課題となっています。さっきの農業の質問でも申し上げたところであります。  また県内には、世界に誇れる高い技術力を持つ企業や、世界でトップシェアを持つ企業など、幕末・明治維新期から引き継がれる佐賀のものづくり精神が宿るすばらしい企業が多数あります。  昨日は鹿島市で川島金属さんの起工式が行われたと思います。ここは大変すばらしいものづくり企業でありまして、鹿島市の東亜工機さんを初め、「ものづくり企業の精神に非常にほれてここへ来た」というふうに言われているようでありまして、我々も非常に期待しているところであります。社長さんは、「本社をこっちへもってきたい」というふうなことも言っておられるようでありますので。  そういういわゆる明治維新以来のものづくりのDNAが息づいているかなと思っております。第四次産業革命という世界的な潮流の中、県内の企業がしっかりとこれから生き残っていくことができるか、やや危惧される面もあります。  一方で、昨日視察に行きました佐賀大学のオプティムのように、そういったことの片りんをのぞかせる企業も登場してきているなということで頼もしく思ったところもあります。  ことしは明治維新百五十年を迎える年であり、今議会には「佐賀県中小企業・小規模企業振興条例(案)」が上程されております。県内企業が持続的に成長し、発展していくため、県として今後どのような産業政策が必要と考えているのか、産業労働部長に所見をお伺いしたいと思います。  偶然でありますが、この答弁をいただきたい産業労働部長は、私が敬愛してやみません石橋正彦君であります。私と同じ鹿島高等学校の赤門をくぐった私の後輩で「鹿城」の同窓であります。  皆さん、御案内のとおり、石橋部長はことしで県庁奉職三十八年、今年度で退職されます。佐賀県の県庁マンの誰もが認める、目標とまで言われた逸材だと私は思います。頭脳明晰、その情報分析力、判断力、政策立案能力は群を抜いており、佐賀県政の牽引役の一人であったということは間違いないと私は思っております。  石橋部長には、これまでの三十八年の県庁生活の思い出を含め、積み上げてこられた経験と知見、熱き思いから御答弁を賜りたいと思います。 51 ◯石橋産業労働部長=なんか穴の中に入りたいような気持ちもありますけれども。私、先ほど言われたように三十八年の県庁生活ということです。商工、あるいは労働行政のかかわりというものを振り返りますと、昭和六十二年、六十三年に財政課で商工労働部の担当ということで、当時の財政課ですから、本当に重箱の隅まで突つくような、二十万円、三十万円の工技センターの経常的な研究提案まで、そういうところまでしっかりと勉強させてもらいました。また、その後、平成九年から平成十二年ということで、急激な円高で一ドル八十円とか、そういった時代で国内企業の海外移転が進んで、まさに空洞化というのが社会問題化している時代に担当係長ということで、技術でありますとか、情報通信、ベンチャー、あるいは科学技術とか、そういったことの担当ということで四年間、在職しまして、地域内発型の産業振興ということで取り組ませてもらいました。  先ほど、委員からも言われましたが、当時、支援した学生ベンチャーが、今ではオプティムということで成長したこと、あるいはきのうも視察の中でありましたけれども、当時、アントレプレナー教育のために民主導で立ち上げてもらった「鳳趨塾」が今でもしぶとく生き残っていることでありますこと、あるいは当時立ち上げたシンクロトロン光研究センターが順調に稼働している、そういったことは担当した者としてほっとしているところでございます。  そしてまた、最後にこの四年間、部長としてかかわらせていただいたということで、財政課の担当時代も含めると都合十年間、商工労働行政を担当し、そして、ちょうど十年から十五年ぐらいの間隔をあけながら、都合三十年にわたって商工労働行政の移り変わりを見てきたということでございます。  この間、佐賀県を取り巻く社会経済情勢は大きく変わりました。特に、一九九〇年代後半あたりから世界的にもITブームであったりとかインターネットの普及ということで、ユビキタス社会の到来ということが叫ばれて、今でいう第四次産業革命というのがうごめき出したということがあります。  また一方で、昭和の時代からその到来が確実視されておりました少子・高齢化でありますとか、人口減少社会というのは、予想どおりに現実のものとなりました。今後、少なくとも三十年から五十年の間は人口が、特にお金を使える人が減り続けていくということが確実でございます。  こういったことに伴いまして国内市場は確実にシュリンクし続けますし、産業従事者、あるいは労働者のありようも変わっていきます。  加えて、国際経済連携による自由貿易の拡大でございますとか、AIによる翻訳機能の普遍化などでさらなるグローバル化の進展でありますとか、ネットショッピングの拡大等々で社会全体としても、いやが応でもモノやサービスの国境を越えた経済活動の中に引き込まれていくということは明らかでございます。  このように産業労働を取り巻く環境が大きく変わる中で、それぞれの企業が何らかの取り組みにチャレンジしなければ、当然のことながら企業も地域も先細りするしかないという状況でございます。  一方で、ICTでございますとか、ネットショッピング機能を活用した新たなサービスの創出でございますとか、あるいは輸出の促進など、時代のトレンドにうまく乗っていくことで新たな活路も開けていくという状況でございます。生きるために変化に対応するにしろ、変化を活用するにせよ、そこにはチャンレジというものが必要でございまして、今回の中小企業等振興条例におきまして、経営環境の変化に対応し、積極的な取り組みを行う企業等を支援する、そういった規定をしたのもそうした考え方によるものでございます。  では、今後、県内産業が生き残って成長を拡大していくためにどうするかということで、私たちは大きくは四つあると思っております。  まず一つが、いち早く社会環境の変化を自覚することだろうと思っています。例えば、AIとかIoTの関連でいえば、既にクラウド上で安価な3D化ソフトや経営管理ソフトが使えるようになってきていますけれども、そうしたことを背景に、例えば、県内でも3D化された設計画像がなければ受注競争で負けてしまうと。現にそういうことが起きています。  また、東南アジアの工場では、既に経営管理ソフトを駆使した生産性の向上に普通に取り組み始めていると聞いておりまして、競争力が向こうのほうが格段に向上してきています。つまり第四次産業革命の波というのは、もうそこに打ち寄せているという状況です。  そうしたことのほか、その他の環境変化も同様でございまして、企業経営者はもちろんのこと、我々の行政であるとか支援機関も同様に環境の変化をいち早く自覚し、我々自身の意識をどう変えることができるのかということが鍵になってくるだろうと思っています。  二つ目は、付加価値の高い地域、あるいは企業とすることだろうと思っています。もともと大企業、とてつもなく大きな大企業もなく、全てにおいてロットが小さい佐賀県でいかに稼ぐかということを考えれば、やはり付加価値の高い企業が集積すること、あるいはまた異なる各セクションが連携することで、地域として付加価値を高めていく、そういう地域であることが重要だろうと思っています。  先ほどちょっと申しましたが、係長時代に情報通信とか科学技術を一緒に所管するようにしたのも、従来の産業にプラス情報通信でございますとか、プラス技術的イノベーションとか、そういったことにもっていくことで県内産業の高付加価値化につなげたかったからということでございます。  また、昨今はネーミングやストーリーづけによる差別化など、売り方一つでも大きく結果が変わってくる時代でございます。今後は、個々の企業の高付加価値化ということに加えて、例えば、ITとかクリエイティブの領域で新しいビジネス創出を目指すために、「やわらかBiz」とかやっていますけれども、そうしたように業種の異なるさまざまな企業が連携することで、そこでつくり出されるモノやサービスの高付加価値化というものを進めていく必要があろうと思います。  これはもちろん、企業誘致の場面においても同じでございまして、研究開発の機能でございますとか、製品開発機能を有する企業、あるいは高度な技術やノウハウを有する企業、地元企業との連携が期待される企業、そして、その延長線上としてICT等の事務系企業でありますとか本社機能など、その地域の付加価値を高めるような企業の誘致にシフトしてきているところでございますけれども、これはさらに今後とも進めていく必要があろうかと思っております。  三番目には、新しい事業や産業を興すことでございます。内発的な地域産業振興を図る上で、域内で新しい事業や産業を興していくということは非常に重要でございます。シンクロトロン光研究センターもそういった観点から創設したものでございますが、まだまだそこまでには至っておらず、今後の努力が必要だろうと思います。  また、コスメ産業は、ある意味、意図せず着手したものではございますが、それなりの芽出しはできてきておりまして、大きく育つかどうかは、まさにこれからが正念場ということでございますが、世界的に見れば今後の成長分野でございますし、期待できると考えております。  また、再生可能エネルギー分野もいち早く対応するということで域内の産業化の可能性も大いに秘めているだろうと思っています。  加えて、今後は佐賀を実証フィールドとしてAIやIoTを活用した社会的課題の解決にも寄与できる新たなサービスの創出を行うことも必要ですし、これは私の個人的な思いですけれども、例えば、サガハイマットであるとか、シンクロトロンの存在などを背景に、量子ビームを活用した先端的な医療産業といったことも考えられるのではないかと思っているところでございます。  いずれにしても、例えば、三十億円企業が五十億円企業になるとか、五十億円企業が百億円企業になるなど、それぞれの企業がもうワンランク成長するためにも、また、県内産業の厚みを増すためにも新事業の展開や新産業の創出は不可欠だろうと思っています。  四点目がプレイヤーを維持してふやすことでございます。少子・高齢化の中で放っておけばプレイヤーは確実に減ってきます。産業は衰退していくしかありません。そうさせないためにはプレイヤーを維持し、あるいはとってかわるプレイヤーを輩出することしかなく、そのためには円滑な事業承継とベンチャーの育成が不可欠です。  特に、事業承継については、本県には世界に誇れる技術を持つなどの特徴的な企業も多く、かつ、これはいいほうなんでしょうけど、カリスマ性の高い経営者も多いです。ただ、これが事業承継にとっては一つのネックとなり、待ったなしの対応が必要だろうと思っています。  実際の事業承継の場面では、我々の応援の仕方はいろいろあろうかと思います。ただ、まずは経営者の方にみずからの事業承継のことを意識してもらうことが大事でございますので、来年度から積極的に進めていこうということにしております。  以上、いろいろ申し上げましたが、こうした取り組みを展開して付加価値の高い厚みのある産業をつくり上げていくことが、県勢の発展だけではなく、働く人の労働条件、あるいは労働環境の改善でございますとか、若者の県内定着の促進にもつながっていくと思っています。  とりもなおさず、産業労働部、我々の存在の意義は三点ございまして、一つには、県民の所得の確保・拡大による民生の安定ということ。二つ目には、個人、企業収益の拡大による税源の確保と拡大ということ。そして、三点目には多様で良質な仕事の場の確保、拡大、この三点にあると私は思っています。  環境変化の大きな流れとしては、冒頭申したようなことでございますが、直近ではリーマンショックで経験したように、その時々の社会経済情勢は、いつ何どき、どう変わるかわかりません。  そうしたものも考えあわせながら、今後、どういった政策を、どのようなタイミングで、どのように選択していくのかということになると思いますが、こうしたことも、これが正解という決まったものはございませんし、そういった意味では政策の立案や選択そのものも我々のチャレンジにほかならないわけでございます。  今後とも、県内産業が生き残り、そして、成長拡大していくように、そして、良質な仕事の場がふえていくように、議会と執行部とで大いに議論し、そして、チャレンジし続けていくということを期待して答弁とさせていただきます。 52 ◯土井委員=ありがとうございました。今、石橋部長からるるお話をお伺いしました。これまで時代の変化を見据えて、いわゆるビジネスマインドといいますか、あるいは起業家精神といいますか、そういったもの等もしっかり持ちながら事業に取り組んでこられて、種をまかれてきて、その種が今実りを迎えようとしております。また、今まかれている種が今後どういう形で実っていくか。残った皆さんも、その志を継いでいただきたいなと思っているところであります。  石橋部長、長い間、本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。今後は、十分に健康に御留意をいただいて、違う立場から県勢発展のためにお力添えをいただきますようお願い申し上げますとともに、これまでの御活躍、お働きに対して心より感謝申し上げたいと思います。  最後にですが、今度、明治維新百五十年で駅から中央通りのほうに二十五体のモニュメントができておりますが、その中に我がふるさと鹿島の、日本の青年団の父と言われた田澤義鋪先生のモニュメントがございます。田澤先生の言葉に、「ふるさとに錦を飾ることを考える前に、ふるさと自体を錦で飾れ」という言葉がございます。石橋部長は、もう十分にふるさとに錦を飾っておられますけれども、今後も常に初心忘れず、ふるさとを錦で飾る活動を今後とも続けていただきますよう、最後にこの言葉を添えまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 53 ◯野田委員=改めまして、もうお昼近くになりましたが、よろしくお願いいたします。今回は三点の質問をさせていただきます県民ネットワークの野田でございます。  それでは、早速、質問に入らせていただきます。  まず、酪農の振興についてお尋ねいたします。  先月の十七日、十八日、特に私は地元ということもあり、多久市にある佐賀県食肉センター、あるいはJA佐賀畜産センターで四年に一度開催される第二十四回佐賀県畜産共進会に出席したところ、県内の畜産農家を初め、関係者でにぎわいを見せていたところであります。  十七日に食肉センターでは豚肉の品評会が開催されておりましたが、個人的には工場内設備にも興味があり、施設内を職員の方に案内していただきました。今まで思っていたよりも、実際の加工工程の現場というところは一直線のラインではなく、一つの部屋を左右前後に曲がりくねったラインでの作業ということを拝見いたし、その狭さに驚きを感じたところです。今後、新たに整備される食肉センターの重要性を感じたところでありました。十八日の畜産センターは、より一層、県内の人たちでにぎわいを見せておりました。  共進会は、農家の皆さんにとって日ごろ取り組んでおられる黒毛和牛やホルスタインなどの改良の成果を競い合うということで、今後のさらなる産肉能力や肉質、乳量、乳質の向上につながる研さんの場であると聞いたところであります。  私は、本県の畜産については、全国に名をはせるようになったリーディングブランドの「佐賀牛」を中心に生産振興が取り組まれているものとの認識があります。  そうした中、今回の共進会に出品されていたホルスタインの審査を見学していたところ、私が見ても大変すばらしい体格とわかるホルスタインが多数出品されており、「佐賀牛」の陰になりながらでも、県内の多くの酪農家が大変な努力をされていることを再認識したところであります。  また、このとき交雑種牛(F1)も見ることができました。畜産牛として、和牛、交雑種牛、乳用種に品種別で区別されるということでありますが、この交雑種は乳用種に和牛の種をつけることにより、その牛が交雑種(F1)として肉用牛となり、酪農家の経営安定にも一役買っているとのことでありました。  酪農の現状につきましては、高齢化による後継者の問題や、餌の濃厚飼料の高値、WCSなど粗飼料の自給率の低さ、子牛価格の高騰など、取り巻く環境は厳しく、全国的にも酪農家の数、乳用牛頭数ともに、調べてみましたところ、一九八五年以降減少傾向にあり、残念ながら本県は全国ベース以上の減少率になっていると聞いたところであります。  今後は、酪農家の皆さんが生産コストを控えながら生産性を向上させていくことが大変重要であると考えた次第であります。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  県内の酪農家の現状についてであります。  まず、酪農家数の推移について、この十年間の推移がどうなっているのかお尋ねいたします。 54 ◯田代畜産課長=酪農家数の推移についてでございます。  農林水産省の畜産統計で県内の酪農家数の五年ごとの推移を見てみますと、十年前の平成十九年には百四十二戸であったものが、平成二十四年、五年前でございますが、八十三戸、平成二十九年には五十五戸となっているところでございます。この十年間で八十七戸の酪農家が廃業されまして、酪農家戸数は約四〇%程度に減少しているところでございます。  以上、お答えいたします。 55 ◯野田委員=八十七軒が酪農をやめられたという報告であります。  それでは、これだけ減ると乳用牛頭数がどうなったかでありますが、この十年間の推移、乳用牛頭数のほうもお願いいたします。 56 ◯田代畜産課長=同じく農林水産省の畜産統計で県内の乳用牛頭数の五年ごとの推移を見てみますと、十年前の平成十九年には三千九百六十頭であったものが、五年前の平成二十七年には二千五百七十頭、平成二十九年には千九百頭となっておりまして、この十年間で約二千頭が減少いたしまして、乳用牛頭数は半減となっているところでございます。  一方、一戸当たりの乳用牛の頭数につきましては、平成十九年度の二十八頭から平成二十九年には三十五頭と増加いたしまして、若干ではございますけれども、規模拡大も一方では進んでいる状況にございます。 57 ◯野田委員=県内の乳用牛頭数が減少している割に一戸で飼育される頭数がふえているということに関しましては、少し安心するところであります。しかしながら、どの業界も今減少しているところが大変多うございます。今後の要因に対してもしっかりと把握しないといけないなと感じます。  酪農家数の減少、頭数の減少の要因などどういうふうにお考えなのかお尋ねいたします。 58 ◯田代畜産課長=酪農家数と乳用牛の減少要因ということでございます。
     酪農家数や乳用牛頭数が減少した要因につきましては、主に長期にわたる乳価の低迷でございますとか、配合飼料価格の高騰などによりまして、酪農経営の環境が非常に厳しくなったことが挙げられると考えているところでございます。とりわけ高齢の酪農家につきましては、酪農の特殊要因でございます朝夕の搾乳が早朝から夜半まで続くということで、しかも、一日も休みがないという状況の労働環境にあるということでございます。それと、老朽化した機械や設備等につきましては、更新に多額の投資が必要になってくるということ。また、餌となります牧草など割高な輸入牧草等に依存しているためコストが高くなっていることなどから経営を中止されたものと考えているところでございます。  さらには、肥育素牛の価格が高騰している中、委員からも御指摘があった和牛と乳用牛の交雑種の子牛も高値で取引されておりますことから、乳用牛の雌に和牛を交配させる農家が増加しておりまして、交雑種の子牛の増加に伴いましてホルスタインの子牛が減少しております。こうしたことから乳用牛の雌の子牛の確保ができていない状況となっているところでございます。  こうした状況から農家数、乳用牛の頭数とも減少につながっているものと考えているところでございます。  以上、お答えいたします。 59 ◯野田委員=特に労働環境についてですが、確かに、生き物を育てるということに関しまして、そしてまた、毎日搾乳をするという独特の環境でございます。一般的には毎日が作業で休めないんじゃないかと危惧するようなことですが、こういった労働環境に関しましてはどういった対策があるのかお尋ねいたします。 60 ◯田代畜産課長=労働環境ということでございます。酪農については、委員からも御指摘があったとおり、毎日が搾乳ということでございます。休日が取得しがたいところでもございます。こうしたことから県と農協と一体となって酪農ヘルパー制度というものを創設しておるところでございます。利用者としましては、酪農家の部会員の賛同される方々が利用組合ということで出資をして事業を運営されているところでございます。  この内容につきましては、毎日が搾乳、餌やり等で休日の取得が非常に難しいという面がございます。それとあわせて家族経営が主体でございますので、突発的な事故、病気等がありますし、当然、冠婚葬祭もございます。集落での行事ごと等もございます。そういうものに対応できるような代替え、要は、ヘルパーという形での事業支援を、人を派遣する事業を酪農ヘルパー制度で創設していただいているところでございます。  そうした酪農ヘルパー制度に対しまして、県単独または畜産振興機構の事業を活用しまして活動費なりを助成して酪農ヘルパー制度の支援をあわせて行っているところでございます。  以上、お答えいたします。 61 ◯野田委員=酪農ヘルパー制度があるということは、なかなか一般には知れ渡っていないと思います。これはまた後でつなげさせていただきたいと思います。  それでは、平均乳量についてお尋ねいたします。  共進会の牛を拝見いたしますと、本当に体格がよくて改良が進んでいるように感じました。一頭当たりの平均乳量も伸びているというお話も伺います。ここ十年間の平均乳量の推移はどうなっているのかお尋ねいたします。 62 ◯田代畜産課長=平均乳量についてお答え申し上げます。  県内の乳用牛一頭当たりの平均乳量をJAグループの実績で五年ごとに見てみますと、十年前の平成十八年は七千三百四十五キログラムであったものが、五年前の平成二十三年は七千四百十一キログラム、平成二十八年は八千三十四キログラムとなっておりまして、この十年間で六百八十九キログラム増加しているところでございます。  このように県内の平均乳量は増加しているということではございますが、北海道を除く都府県の平成二十八年度の一頭当たりの平均乳量は八千七百五十七キログラムでございまして、まだまだ届いていない状況であると思っているところでございます。  以上、お答えいたします。 63 ◯野田委員=このあたりがこれから技術向上するところだと思っているところです。十分な御支援をお願いしたいと思います。  乳価についてお尋ねです。  酪農家からは乳価が上がってきたと伺っております。乳価はどのようにして決定されているのでしょうか。ここ十年間の乳価の推移もあわせてお尋ねいたします。 64 ◯田代畜産課長=乳価についてお答えいたします。  県内の酪農家につきましては、牛乳、バター、チーズなどの原料となるいわゆる生乳でございますが、その生乳を九州生乳販売農業協同組合連合会、これは各県の農協の連合会でありますとか酪連、酪農業協同組合連合会が構成農家となってつくっているものでございますが、その連合会を通じまして乳業メーカーに販売しているところでございます。  その生乳の取引価格についてですが、九州生乳販売農業協同組合連合会と各乳業メーカーとの間で毎年の交渉によりまして、需給状況でありますとか生産コストの変動を反映しながらメーカーごとに決定されているところであり、近年は配合飼料価格の高騰を受けまして引き上げにつながっているところでございます。  こうした中、酪農家に支払われます一キログラム当たりの乳代でございますが、これはプール乳価と呼ばれているものでございまして、先ほど言いました生乳の取引価格から、生乳を集めるための集送乳経費でありますとか手数料を差し引きまして、加工原料乳生産者補給金を加算したものが、いわゆるプール乳価と言われるものでございます。このプール乳価の五年ごとの推移を見てみますと、十年前の平成十九年に約八十五円であったものが、平成二十四年には九十五円、平成二十八年には約百一円というふうに乳価については引き上げられているところでございます。  乳価は上昇しているものの、委員さんからもお話があったとおり、生産費については飼料価格が非常に高騰しているということで経営環境は非常に厳しい状況にあると認識しているところでございます。 65 ◯野田委員=上がってはきているけれども、なかなか厳しい状況ということでございます。  それでは、二番目でございます乳用後継牛緊急確保対策事業について二点お尋ねいたします。  本県では、平成二十九年度から乳用後継牛緊急確保対策事業を創設されるなど、酪農振興にこれまで以上に力を入れて取り組まれているところであります。  そこでまず、事業の目的と内容についてお尋ねいたします。 66 ◯田代畜産課長=乳用後継牛緊急確保対策事業の目的と内容についてお答え申し上げます。  乳用後継牛緊急確保対策事業につきましては、乳用後継牛の外部導入や高能力な乳用牛の精液の利用を推進することによりまして、乳用牛頭数の確保と酪農経営の安定を図ることを目的といたしまして、今年度から新たに取り組むこととしたところでございます。  また、事業内容につきましては、酪農家が県外など外部から乳用牛を導入する経費に対する補助と、乳量向上が期待できる高能力な乳用牛の精液を購入する経費に対する補助となっております。具体的に申しますと、乳用牛の外部導入に対する補助につきましては、初妊牛、種つけをして初めて妊娠する牛でございますが、これは一頭当たり十万円。育成牛という種つけをしていない子牛につきましては一頭当たり五万円。経産牛、分娩をしたことのある牛につきましては一頭当たり三万円を助成しているところでございます。  続きまして、乳用牛の凍結精液の価格につきましては、一般的に利用されている精液は一本当たり一千五百円程度でございます。高能力な精液につきましては、約三千五百円程度になっておりまして、高いものにつきましては一万円を超える精液もあるところでございます。  こうしたことから、高能力な精液の購入に対する補助につきましては、一般的な精液の価格でございます千五百円を超える額の二分の一を助成しているところでございます。  以上、お答えいたします。 67 ◯野田委員=今の事業の部分というのは、安定に向けた取り組みの非常に根本的なところだと思っております。  それでは、この事業に対する進捗状況についてお尋ねいたします。どのようになっておりますでしょうか。 68 ◯田代畜産課長=進捗状況についてお答え申し上げます。  本年度につきましては、乳用後継牛の外部導入につきましては、三十一戸の酪農家で六十五頭、高能力な精液の購入につきましては三十六戸の酪農家で二千六百六十本を見込んでいるところでございます。  現在、最終的な調整を行っており、ほぼ予算の全額を活用する見込みとなっている状況でございます。  以上、お答え申し上げます。 69 ◯野田委員=成果が少しずつ上がってきているようであります。  酪農家の声についてお尋ねいたします。反響をお尋ねいたします。 70 ◯田代畜産課長=酪農家の皆さんの声についてお答え申し上げます。  乳用後継牛緊急確保対策事業につきましては、酪農家の皆様から、「酪農家の仲間が少なくなって乳牛頭数や生乳生産量が減少し、産地としてこれからどうなるんだろうかという不安を持っている中にあって、県が支援してくれたことが非常に心強かった」というお話も聞いております。また、「今回の県の補助事業のおかげで乳用牛の導入に踏み切ることができた」という声も聞いているところでございます。さらに、農協とか部会員の中においては、「今回の事業によって生産者の生乳生産量の維持・拡大への意欲が喚起された」ということで、私ども、本事業を評価する声も多く聞かせていただいているところでございます。  以上、お答え申し上げます。 71 ◯野田委員=今後の振興にますます貢献していただきたいと思っております。  それでは最後でございます。今後の酪農振興対策の取り組みについてお尋ねいたします。  先ほど、酪農家が減っていく状況、経営自体もまだまだ厳しいんだという状況、そんな中、今、県の事業とかで少しずつ兆しが見えているように感じた次第でありますけれども、担い手といったことが一番の問題かなと思っているところです。  ある酪農家さんの成功事例ということですが、家族で経営なさっていますが、家族でもしっかりと作業の役割分担をやっていること。それと、先ほど答弁がございましたWCSなど粗飼料の自給率をぐっと上げて、その土地も借りてしっかりとコストダウンを図っていらっしゃること。そして、何よりも六次産業に手がけているということでありました。  特に担い手の方々からいいますと、三Kみたいなことだけじゃなくて、六次産業、しかも、私は六次産業という、ここに人が集まってくる、それがひいては観光にもつながるような、もう一つ上の大きな取り組みになればなと感じている次第であります。  そこで、質問であります。生乳よりも日持ちがよいアイスクリームやチーズなどを加工販売する六次産業化に取り組むことも本当に必要と思っているところです。最近ではこの言葉を知らない農業従事者はいないほど関心がある分野でもあります。国では、六次産業の市場規模を平成三十二年に十兆円に拡大するとの目標を掲げ、各種事業が推進されているとも伺っています。  これまでの対策に加えて、県では今後の酪農振興対策にどのように取り組んでいかれるのか、いろいろな対策があればお尋ねいたします。 72 ◯田代畜産課長=今後の酪農振興対策の取り組みについてお答え申し上げます。  本県の酪農振興を図るため、先ほど御答弁申し上げました乳用後継牛緊急確保対策事業につきましては、積極的に推進いたしまして、乳用後継牛の確保にしっかり取り組みを進めていきたいと考えております。  加えまして、規模拡大に必要な牛舎でございますとか、自動給餌機などの省力化機械の整備の推進でありますとか、先ほど御答弁いたしました酪農ヘルパー制度でございますが、そういう働きやすい環境を整備するためのヘルパー制度についてもしっかり御支援をしていきたいと思っております。  自給飼料の生産拡大につきましては、WCS用の稲の生産拡大に必要な機械等の導入に対する支援、あわせまして乳用牛を確保できる最新技術でございます性判別が可能な精液の販売も行われております。あわせまして、黒毛和種の受精卵移植というものも、現実、受胎率が高い割合で最新技術もできてきておりますので、そうした技術にも引き続き取り組んでいきたいと思っているところでございます。  また、委員から御提案がございました六次産業化の取り組みにつきましては、既に県内で五戸の酪農家がチーズでありますとかアイスクリーム等の加工販売に取り組まれておりまして、聞いたところによりますと、直売所での販売等に取り組まれております。こうした取り組みを他の農家にもしっかり広めていくことが重要であろうと思っているところでございます。  こうした中、国では平成二十九年度補正予算で国産チーズ原料乳の高品質化や低コスト化に向けまして、国産チーズ競争力強化対策を実施されることになっております。こうした取り組みを酪農部会でありますとか、個別の酪農家にきめ細かに説明をするなどいたしまして、チーズなどの加工販売などの六次産業化の取り組み拡大につなげていきたいと考えているところでございます。  今後とも、酪農家の声を聞きながら、市町や農業団体とも連携を深めまして、本県酪農の振興にしっかり取り組みを進めてまいりたいと思っているところでございます。  以上、お答え申し上げます。 73 ◯八谷委員長=暫時休憩します。午後は一時十分をめどに委員会を再開します。     午後零時九分 休憩     午後一時十一分 開議 74 ◯八谷委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続き質疑を行います。 75 ◯野田委員=それでは、午前中に引き続きまして質問に入らせていただきます。  第二問目、それぞれの中山間チャレンジ事業についてのお尋ねです。  先日、「佐賀県開拓農業三十年史」、これは一九七六年、約四十二年前に出版された開拓農業を記録した本ですが、これをある人の紹介で拝見することができました。四十二年前に三十年史ですから、この開拓に対する昔の生活、そして開拓をやっていく大変さというのが如実に書かれた本であります。これを思いまして、本当に機械がなかった当時の農業の中山間、特に開拓団というのは、開拓するところは中山間しかございませんでした。そういった意味で現代でもしっかりと当てはまるような時代になってきているんじゃないかというふうに私は感じた次第です。  昨年六月のこの常任委員会の開口一番に、私自身も開拓団出身であるということを皆様にお話をいたしました。私は、そういう親の姿を目の当たりにして、大変厳しい生活というものを見てまいりました。時代が変わって、幾ら機械化になったにしても、中山間地域の方々の本当に今後の農業を考えたときに、昔と同じくらいの将来への不安というのがあるのではないかと強く感じているところです。  それでは、質問に入らせていただきます。  県では、これまでも中山間地域農業の振興につきまして、さまざまな施策に取り組まれてきたと思いますが、中山間地域は平たん地域と比べて農業者の高齢化や担い手の減少が進み、また圃場が狭く、傾斜もきついなど生産条件が厳しいことなどから担い手不足耕作放棄地の増大などにより農業生産活動が縮小しており、数年前までは地域の活力も低下しているように感じていました。  さらには、高齢化が進んでいることから活動の中心となるリーダーやリーダーを補佐する人材などが不足していたり、地域の方々が集まり、地域農業の課題や将来像を話し合う場もほとんど見られないような状況にある、いわゆる先細りの状態であり、今はその活力低下に危機感を覚えている次第であります。中山間地域の農村は、このままでは衰退する一方であり、こうした状況を変えていくためにもリーダーなどを育成する人づくりや、地域や関係者の皆さんが一緒になって話し合いを行う場づくり、あるいは農業所得の向上につながるものづくりに取り組んでいく必要があると思っております。  また、県や市がリーダーシップをとり、地域にやる気を起こさせて、地域型の頑張っている地域を見て刺激を受けたり、お互いに切磋琢磨したりしながら、それぞれの地域が目標に向けて一丸となって取り組んでいくことも非常に重要なことと考えております。なぜなら、きっかけをつくっていただくことの重要さをしみじみ感じているからであります。  地域には、目に見えぬやっかみや足引きなどがあり、出るくぎは打たれるという話を幾度か聞いたことがあります。県では、平成三十年度当初予算案として中山間地域における人材育成や、集落や産地が取り組む活動に対する支援などを行う「それぞれの中山間チャレンジ事業」を今議会に提案しておられます。当事業が今の中山間地域農業の状況を好転させてくれるものと大変期待しているところであります。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  まず、事業の目的についてであります。  大変期待しているところです。この事業はどういった目的で行うのかお尋ねいたします。 76 ◯山田農政企画課長=まず、事業の目的でございますが、委員御指摘のとおり、中山間地域の農村におきましては、高齢化や担い手不足などによりまして、地域によっては、その地域の方向性を話し合う機会がほとんど見られていない状況になっていると考えております。  このため、佐賀県中山間地・離島・県境振興対策本部の取り組みといたしまして、来年度から「それぞれの中山間チャレンジ事業」を創設いたしまして、県や市町、JAなどの関係機関が一体となりまして中山間地域の集落や産地が現状をどう変えていくのかについての話し合いを行い、目標の実現に向けて実践していくといった活動を支援することによりまして、中山間地の農業・農村の維持、この守りの部分と、農業所得の向上、攻めの部分の両面を目指すことといたしております。  以上でございます。 77 ◯野田委員=先ほど、私は一つのきっかけになることを非常に楽しみにしている、期待をしているというふうに申し上げました。どうぞ、地域において何かをやろうとした時に、自分でやっていると、先ほども申し上げたようなやっかみ、あるいは足を引っ張りなんかの、出るくぎは打たれるというようなことで、なかなかやりにくい部分もあるんだ、何かきっかけが欲しいというようなことでありましたので、ぜひこういったことに取り組んでいただきまして、冒頭に申し上げました中山間地域の維持発展、そして所得の向上に結びつけていただければと思っております。  それでは、内容についてお尋ねいたします。この事業は具体的にどういった内容となっているのかお尋ねいたします。 78 ◯山田農政企画課長=事業の内容でございます。  本事業は、県段階や農林事務所を範囲といたしました地域段階及び市町村の段階でそれぞれにおきまして、県、市町、JAなどの関係機関で組織をいたします推進チームを設置いたしまして、それぞれの管内の中山間地域の集落や産地を対象としまして、地域を何とかしていこうという機運の醸成を図ったり、集落や産地が主体的に取り組む話し合い、さらには、課題解決のための実践活動を支援していくものでございます。  また、中山間地域の全ての集落や産地を一律に支援していくことは非常に難しいということから、現場に最も近い市町の推進チームにおきまして、関係機関が一体となって集中的に支援を行いますチャレンジ集落やチャレンジ産地を設置いたしまして、ほかの集落や産地の参考となります成功事例をつくり上げていくことにしております。  さらには、それぞれの集落や産地の実践活動を支援するため、県や市町などのOB、OGの方々を「ふるさと営農応援隊」として登録をいたしまして、現役時代に培った地域づくりに関する知識やノウハウ、こういうものを活用して集落産地に対してアドバイスや協力を行う活動ですとか、企業やNPOなどが「ふるさと協働応援隊」といたしまして、農作業のお手伝い、また、地域交流イベントの開催支援等をボランティアで行う活動などにも取り組むことといたしております。  以上でございます。 79 ◯野田委員=私も長年、地域活動、あるいは今も役を仰せつかりながら、なかなか果たしていない部分もあるんですけれども、「ふるさと水と土指導員」とか、いわゆる地域活性、あるいは地域力を引き上げるための活動をやってきたつもりであります。  そういった中で感じるのは、やはり地域にはリーダーとなる人が非常に大切だなと思います。このリーダーとなる方々が手を挙げてくれるというのが非常に難しいように、私は今までの活動の中で思っております。  こういった人材育成については、どういうふうに取り組まれていくのかお尋ねいたします。 80 ◯山田農政企画課長=中山間地域の人材育成につきましてお答えいたします。  集落や産地におきますリーダーや、先ほど委員から御指摘がありましたリーダーを補佐するような人材の育成につきましては、その候補者となるような方々に、それぞれの段階において開催いたします研修会等に参加してもらって、例えば、既にリーダーとして活躍されている方々から直接話を聞いたり、意見交換会を行ったりすることでリーダーとしてのスキルを身につけていただきたいと思っております。  以上でございます。 81 ◯野田委員=ぜひよろしくお願いいたします。  それでは、集落や産地における話し合いについてのお尋ねです。  事業内容で出てきたチャレンジ集落やチャレンジ産地における話し合いは、実際に具体的にどのように進めていかれるのかお尋ねいたします。 82 ◯山田農政企画課長=集落や産地におきます話し合いの進め方についてでございます。  市町推進チームが設置いたしますチャレンジ集落やチャレンジ産地に対しましては、市町やJA、県との関係者と、必要に応じて外部からのファシリテーターやふるさと営農応援隊などが一緒になって何度も集落や産地に出向いていくこととしております。  そうした中で、例えば、アンケート調査や地域の点検活動などを通じて、まずは現状の把握をしっかり行い、その後のワークショップ等によりまして、さまざまな課題の中から、特に重要な課題を抽出いたしまして、その上で地域の方々が、自分たちの地域をどう変えたいのかということを明確にしてもらうということから始めたいと考えております。
     その後、課題の解決手段や目標を実現するための方策などを検討いたしまして、最終的には集落や産地のビジョンとして取りまとめてもらうということで進めていきたいと思っております。  以上でございます。 83 ◯野田委員=何度も通うというお話をいただきましたが、恐らくそうでないと、解決策、あるいは本当のものがなかなか見えてこないんじゃないかなと思っているところです。  そういったところから見えてくる課題の取り組みについてお尋ねいたします。  それぞれの集落、あるいはそれぞれの産地において課題解決をどのように図っていかれるのかお尋ねいたします。 84 ◯山田農政企画課長=課題解決の取り組みについてでございます。  課題解決や目標の実現に向けた実践活動に当たりましては、例えば、担い手不足の課題に対しては、営農を継続していくために農作業受託組織を設立する場合には、組織の体制や運営方法についての、より特化した話し合いをしてもらって、必要であれば各種の補助事業を活用して農作業の機械や施設整備に対して支援を行うこととしております。  また、農業所得の向上を図る中で新規品目の導入をする場合には、その試験栽培を県やJAが支援したり、あるいは地元の農産物を活用した加工に取り組む場合には六次産業化のコーディネーターを別途派遣したり、補助事業を活用して加工品の試作や機械施設の整備に対する支援などを行うようにしております。集落や産地でまとめたビジョンの実現に向けまして、しっかり後押しをしていきたいと思っております。  以上でございます。 85 ◯野田委員=ぜひお願いしたいところです。現地の方々とお話しすると、事業を上から地域におろすのは本当に簡単なことなんだけれども、実際にどういう目的で、どういう効果があるんだというしっかりとした、リーダーシップのところまでを理解するような形で動かしていただきたいという声なんですね。自分たちが現場で理解度が低いと、どうしても一つの事業で終わってしまって、なかなか根づかないというようなことを伺いました。  ですから、こういった打ち合わせをし、いろんな問題がはっきりと見えて、じゃ、どうやっていこうということができた時に本当のリーダーが育つんじゃないかなと思っている次第です。  ですから、そういう意味では、まずは県のほうで初めはリーダーシップをしっかりととっていただいて、その意気込み、その目標を地域の人にしっかりと根づかせていただくようにお願いしたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは例えば、「自分たちは近隣のことはよくわかるけど、全体でもっと話をしたい、話を聞きたい」というような声もあります。そういった中でいろんな話を伺ってみますと、案外と市町の近隣での意見交換はあったとしても、情報源としてはなかなか少ない、狭いというふうなことを強く感じております。  課題解決を図ることのできた集落や産地の成功事例といったものに関して、他の地域にどのように波及させていただくのかお尋ねいたします。 86 ◯山田農政企画課長=成功事例の波及についてでございます。  本事業によりまして創出された成功事例につきましては、県域や地域段階で開催いたします推進大会、さらには研修会などで発表してもらい、特に、話し合いを始めてから目標を実現するまでに苦労した点ですとか工夫した点をほかの集落や産地にも広く伝えてもらいたいと考えております。  その結果、影響を受けた集落や産地が話し合いの活動を希望すれば、各段階の推進チームが連携しながら、可能な範囲で支援を行っていきたいと思っております。  また、そうした成功事例を中山間地域の方々に広く紹介するために事例集を作成したり、その冊子を配布したり、ホームページに掲載するなどもあわせて行っていきたいと考えております。  さらには、成功した集落の産地のリーダーの方々が県内のほかの産地に出向いてアドバイスを行っていただくことも検討したいと考えております。  いずれにいたしましても、本事業の実施によりまして、県内の中山間地域において一つでも多くの集落や産地が元気になるよう、機運の醸成から目標の実現、さらには、成功事例の波及までの一連の活動につきまして、地域の方々と県、市町、JA等の関係機関が一体となって進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 87 ◯野田委員=そういったことで御指導とか、あるいは事例ということをしっかりと理解していただくための活動をお願いしたいと思っております。  実は、私も、「ふるさと水と土指導員」とか、あるいは棚田研修会とかに出向かせていただいています。そういった中で座学とかパネルディスカッションとか、大変参考になることがございます。しかしながら、それはどちらかというと一方通行での話であって、なかなか大きな会場、あるいはデスクワークの中ではしっかりとした話ができないこともあります。しかしながら、その後のよなべ談義といいますか、夜の懇親会で皆さん方、しっかりと話し合ってくださいという、このシステムは研修会以上の人とのつながり、そして、腹を割った話し合いができていると私は感じている次第です。  どうぞ、全て物事がきれいごとだけじゃなくて、そういった泥臭さがしっかりと伝わる、泥臭さがしっかりと解決できる、そういった場にしていただきたいと思っている次第です。  あわせて、佐賀県内の何らかの問題を抱える中山間地域の皆さん全てが出そろって、そして、いろんな課題に対して話し合っていくというような中山間プロジェクトチームもあったらいいなという声も伺った次第です。そのあたりも御検討いただければと思います。  ここにことしの米の食味ランキングの、この間の一般質問の席でもお話がございました。確かに、「さがびより」は八年連続ということですばらしいんですが、「夢しずく」が初めて最高ランクの特Aの評価をいただきました。これはもう本当に皆様方の御指導が実を結んだものとして喜んでいる次第です。  しかし、例えば、この「夢しずく」が初めて特Aをとったというのは、西多久の中山間地域と伊万里の産地だと聞いています。喜びはやっぱりみんなで分かち合って、褒めてやることによって、山本五十六ではないですけど、「褒めてやらねば人は動かず」で、こういったことを情報源として大切にして、その地域の人たちを取り扱うことによって、ああ、あそこができるんだったらおいどんも頑張ろうという、本当に先ほど言いました泥臭さの中の励みになると思っている次第です。  残念なことに、新聞記事でもこれ以上の情報は発信されておりませんけれども、そういった中山間地域での頑張りを、もっと大きく情報発信として取り上げていただきたいなと強く感じた次第です。  どうぞ、この辺に当たりましても、問題ばっかりじゃなくて、いい情報発信ということについてもう一度所見がございましたらお願いしたいと思います。 88 ◯山田農政企画課長=一つは、例えば、よなべ談義、そういうものでのリーダーの育成といいますか、そういった場を設けてはどうかという御提案がございました。これにつきましては優良事例の地域の方々や、県内でいろんな同じような課題を抱えている地域の方々と交流会などの場で意見交換をすることによりまして、委員おっしゃられるように、お互いが刺激し合い、励まし合うことで自分たちの集落や産地を変えていこうとするやる気ですとか、前向きな姿勢につながると思いますので、交流会の開催につきましても検討していきたいと思っております。  また、中山間地のいい情報の発信でございます。先ほど、特Aのことを例に御指摘がありましたが、一つは、今やっていることとしては、農村ビジネスの部分につきましては、中山間地でいろんなことで頑張っている方々がおられます。その方々につきましては、現在、フェイスブックとかホームページ等で情報発信をしているところでございます。  今後は、農村ビジネスの枠にとらわれずにいろんな角度から情報の発信についても積極的にやっていきたいと思っております。  以上でございます。 89 ◯野田委員=この事業は中山間地域の人たちにとってはわらをもつかむような思いをなさっている方もいらっしゃると思います。ぜひ期待に応えていただきたいと思います。  続きまして、三番目の質問です。野田といえば、もう有害鳥獣対策の質問をせざるを得ないというふうに思います。それほど実は被害で地域は大変なんです。にもかかわず、頭数は減るどころか、なお、頭のいいイノシシがふえているというような状況であります。  それでは、質問に入らせていただきます。  有害鳥獣対策についてお尋ねいたします。  イノシシなどの野生鳥獣による農作物などへの被害は、中山間地域を中心に大きな被害を及ぼしており、その防止を図ることは重要な課題であると考えているところです。  しかしながら、本県は農業県にもかかわらず、本当に地域の隅々、あるいは捕獲従事者など現場の方々にしっかりと事業として情報の共有や防護、捕獲活動が一丸となっていなければならないのに、そこに疑問を感じたりもしているところであります。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  まず、国の鳥獣被害防止総合対策交付金についてお尋ねいたします。  国では、野生鳥獣による農作物などの被害を防止するための総合的な対策を支援する交付金といたしまして、鳥獣被害防止総合対策交付金を措置しておりますが、その平成三十年度予算の概算決定額を見ると、平成二十九年度当初予算の九十五億円と比べまして八億五千万円多い百三億五千万円が計上され、現在、国会において審議が行われていると承知しているところです。  昨年秋ごろは、ひょっとしたら百五十億円とのうわさもあり、私どもといたしましては非常に期待していたところもありますが、そこは残念なことであります。それでも国の予算が増額されたことは、少しでも有害鳥獣対策の強化につながるものと期待しているところであります。  そこで、平成三十年度予算の前年度からの変更点についてお尋ねいたします。  交付金に係る平成三十年度予算の前年度からの変更点はどのようになっているのかお尋ねいたします。 90 ◯松隈生産者支援課長=平成三十年度予算の前年度からの変更点についてお答えいたします。  国の鳥獣被害防止総合対策交付金に関する平成三十年度予算と前年度予算の変更点のうち、最も大きなものは、平成三十年度は、従来の鳥獣被害防止を図るための対策に加えまして、新たに捕獲した野生の鳥獣の肉、いわゆるジビエの利活用を推進するための対策が大きく打ち出されたところにございます。  具体的には、平成二十九年度までは鳥獣被害の深刻化・広域化に対応するため、市町が作成しました被害防止計画に基づき実施します侵入防止柵等の被害防止施設の整備や捕獲活動経費への直接支援、いわゆる捕獲報償金の交付などへの支援を行う内容が中心となっていたところでございます。  これが平成三十年度は、前年度までの支援に加えまして新たにジビエ倍増モデル整備事業を創設いたしまして、ビジネスとして持続できる安全で良質なジビエの提供を実現するため、捕獲から搬送・処理加工がしっかりとつながったモデル地区に対する中核的な処理加工施設や移動式解体処理車、いわゆるジビエカー等の整備への支援や、全国的な需要拡大のためのプロモーション等の取り組みを支援することとされているところでございます。  加えまして、捕獲報償金の交付単価の上限につきましても、一部見直すこととされておりまして、イノシシ、鹿の成獣につきましては、従来、一頭当たり八千円であったものが、平成三十年度はジビエの処理加工施設に搬入した場合は、一頭当たり九千円、それ以外のジビエとして活用せずに埋却などの処理をした場合は一頭当たり七千円とすることとされております。  以上でございます。 91 ◯野田委員=ただいま御説明がありましたように、ジビエ利活用に方向性が動いているということです。その中でお答えいただきました、今まで八千円だった報償金が、ジビエのほうに持ち込めば九千円、あるいは持ち込まれないようなものに関しては七千円という報償金だとお伺いいたしました。これは非常に不公平といいますか、不公正といいますか、そういう感が現場の声として上がっております。  なぜならば、今の制度はほとんどが、例えば、地元でとれたものは地元で処理できるかというと、その設備がないところはオール七千円になっちゃうわけですね。もう一つの見方といたしまして、食肉になるのであれば食肉としての価値ある肉代としての対等なお金が支払われるわけですけれども、同じ一頭をとるに対して、かなり山に行ったり、餌を入れかえたり、見回りをしたりという、そこの動作は一緒なんですよね。そういった中で肉代ももらえるわ、そこに持って行くと九千円というそのシステムが、なかなか声が届かなかったというところに現場としての不公平さを非常に感じているところです。  どうぞ、現場の声ということに関しましては、ぜひ引き続き今後、国へ御要望していただきたいと思っております。  続きまして、国の交付金に対する県の活用方向についてお尋ねいたします。  国の鳥獣被害防止総合対策交付金につきましては、平成三十年度予算で増額される見込みでありますが、県はどのように活用していこうとお考えなのかお示しください。 92 ◯松隈生産者支援課長=国の交付金に対する県の活用の方向についてお答えいたします。  県におきましては、野生鳥獣による農作物等への被害を防止するために、平成三十年度は有害鳥獣対策費としまして、約三億八千万円の予算を今議会にお願いしているところでございます。  県としましては、地元からの要望等を踏まえまして、国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用できるものは積極的に活用するという方針のもと、対応することとしております。  具体的には、先ほど申し上げた予算のうち、国の交付金につきましては、市町で構成します協議会などが行います捕獲報償金の交付等に要する経費の約一億七千八百万円と、同協議会が行います箱わなの導入やワイヤーメッシュ柵などの侵入防止施設の整備に対して助成する経費約一億三千五百万円、あわせて約三億一千三百万円を見込んでいるところでございまして、この額は、県の有害鳥獣対策費の約八二%超に当たる額でございます。  以上でございます。 93 ◯野田委員=ありがとうございます。捕獲に対するものが平成二十八年度は四月から十一月までが報償金として支払われました。前回の委員会で、一昨年の十二月から昨年の報償金に対する補正予算がどうなっているのかお尋ねしたところですが、それに当たりましては今年度の中で、一昨年の十二月からぐるっと回って今年度の一月分までの報償金をということで、それだけ予算をしっかりとつけていただいたということに関しましては、皆さん、非常に喜んでいらっしゃいます。ありがとうございます。  こういった交付金に関しましては、そういう状況で頑張っていただいているということは非常にありがたいことです。確かに、報償金というのは特措法で動き始めた事業ですけれども、本来、私が訴えているように、実は、お金目当てじゃなくて、そういった商品が回る仕組みづくりをやっていただきたいということもありまして、昨年、うわさであった百五十億円というのがジビエ関係、あるいは食肉加工センターとか、そういったところに力を入れるといううわさもありまして非常に期待をしていたところなんですね。その辺で残念ながら、そこまでの金額はありませんでしたけれども、報償金で一億七千八百万円、箱わなといった防御対策で一億三千五百万円の予算でやっていただくということでありました。そこはそこでまた評価をさせていただきたいと思います。  続きまして、有害鳥獣対策に関する情報発信についてお尋ねいたします。  一点目です。捕獲従事者の確保に向けた若者への情報発信についてお尋ねいたします。  有害鳥獣の捕獲対策を進めていく上で必要となる狩猟免許を取得している捕獲従事者につきましては、高齢化や減少が進んでおり、特に若い捕獲従事者の確保が喫緊の課題となっていることは承知のとおりであります。  しかしながら、地元で若い人を増やそうと思っても、人伝えで候補者を探し出すような方法ぐらいしかなく、非効率だと感じているところであります。もっとメディアなどを使って日の目を見るような形で情報発信がなされれば、今より多くの若者が有害鳥獣による被害の実情に関心を持ち、捕獲従事者となるべく狩猟免許を取得してみようと考えるのではないかと思う次第であります。  県には、捕獲従事者の確保に向けて若者に対する情報発信に力を入れてほしいと切に思いますが、御所見をお願いいたします。 94 ◯松隈生産者支援課長=捕獲従事者の確保に向けた若者への情報発信についてお答えいたします。  捕獲従事者の高齢化や減少が進む中、今後とも、必要な有害鳥獣の捕獲対策を維持・継続していくためには、若い捕獲従事者を一人でも多く確保していくことが重要と考えております。  県では、まず、捕獲従事者となる上で必要な狩猟免許を取得してもらいやすくするために、狩猟免許試験の受験機会や場所を複数設定しておりまして、現在では年四回実施しているところでございます。  また、こうした情報を県のホームページなどで紹介するとともに、市町や猟友会などの協力を得まして市町の広報誌への狩猟免許試験案内の掲載であるとか、地元の若い捕獲狩猟免許取得希望者の掘り起こしなどに取り組んでいるところでございます。  加えまして、本年度につきましては、狩猟免許取得を促すための県のテレビ放映枠を活用しまして、狩猟者の仕事を紹介しましたり、環境省主催の「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」を県内で初めて開催いたしまして、県猟友会とともに、特に県内に住まわれる若者や女性に対して、直接、狩猟の魅力や関心を深める場を創出したところでございます。  また、農業大学校の学生への狩猟免許取得の推奨ということにも取り組んだところでございます。  このような取り組みが功を奏したこともありまして、本年度の狩猟免許試験の免許取得者数は、現在の免許区分が四つになった平成二十一年度以降で最も多い、また、前年度の倍以上の延べ百七十三名となりまして、このうち四十歳未満の若い方につきましても、前年度の倍以上の延べ六十七名となったところでございます。  また、今後は、県猟友会においても、若い狩猟者らによる仲間づくりなどの新たな活動の動きもあると聞いておりますことから、そうした方々からのSNSなどを使いました若い世代への情報発信力にも期待できると考えているところでございます。  県におきましては、今後とも、市町や猟友会などと連携しながら、さまざまな媒体を活用しました若者への情報発信に努めまして、捕獲従事者の確保を図っていきたいと考えているところでございます。  以上でございます。 95 ◯野田委員=ありがとうございます。猟友会とともにというお話をいただきました。案外、猟友会の方々も高齢者なので若者に対する情報発信がうまくできるかどうかというところは、ぜひ御指導していただきたいと思っている次第です。  あわせて、このフォーラム開催の成果というのが本当に出たなと私は思っています。前回は全国大会ということでございましたけれども、今後、県レベルでこういった若者が興味を持つような取り組みをぜひお願いしたいと思っているところです。  二番目の質問に入ります。国や県の関係事業などに関する情報提供についてお尋ねいたします。  私は、地元の有害鳥獣対策協議会の会議へ参加することがあります。協議会の事業実績や計画案などの議案となる情報などの提供はあるのですが、毎年度、国や県の関係事業や予算がどのようになっているかなどがわかる関連資料をその場で見たことが余りございません。協議会事務局である市町は、最低限必要な情報を提供しているんでしょうかというような、せっかく開催される協議会の会議でありますので、議案の関連情報であるそうした国や県の関連事業や予算のことなどがわかる資料を提供してほしいと私は強く感じております。  実は、私たちのこの議会での勉強会もそうだと思います。私自身がかなり関心を持っているからかもしれませんが、なかなか見開きのページに載ってこないということで、その動きがなかなか見えない部分も感じている次第です。  県は、情報発信におきまして、市町や地域の有害鳥獣対策協議会に対しまして、どのようにして関係事業などの情報を提供しているのかをお尋ねいたします。 96 ◯松隈生産者支援課長=国や県の関係事業などに関する情報提供についてお答えいたします。  有害鳥獣対策事業に携わっている方に知っていただくべき情報といたしましては、市町や地域の有害鳥獣対策協議会などが国や県の関係事業を実施する上で遵守すべき事項や必要な手続、あるいは関係予算の概要、その他事業推進の参考となる統計資料や事例など各種情報などがあると考えております。  こうした情報につきましては、県ではできる限り速やかに市町の鳥獣被害防止対策を担当する部署に通知をしたり、あるいは適宜、担当者会議を開くなどして、それぞれの地域で国や県の関係事業を適切に活用できるよう提供に努めているところでございます。  さらには、米や園芸などの農業者が集まる研修会や農業まつりなどにおきましても、直接、農業者に対し、鳥獣対策関係のチラシ等を配布することなどによりまして情報提供を行っているところでございます。  このほかにも、農業者が直接県などの取り組みに関する情報を入手できるよう、本年度から県のホームページの農業の項目に「佐賀県の中山間地域・鳥獣対策」というページを設けておりまして、順次、関連情報の掲載を進めているところでございまして、充実を図っている最中でございます。  県といたしましては、今後もこうした取り組みによりまして市町や地域の有害鳥獣対策協議会、さらには、捕獲従事者や鳥獣被害で悩まれている方などへの関係事業の情報提供に努めていきたいと考えております。  以上でございます。 97 ◯野田委員=冒頭にも申し上げましたが、鳥獣被害というのは、農業県でありながら、しっかりと根づいたものでなければならないと私は強く感じております。  ホームページに関しましては、コストに対しての効果は非常に大きいんでしょうけれども、残念なことに、猟友会といったところの方々の年齢から見ますと、ホームページを拝見する方は非常に少のうございます。そういったことから考えまして、本当にA4の一枚紙でも結構です、協議会を通して年に一回でも結構です、そういったことで高齢者にも届くような改善を図っていただきたいと思っているところですが、それに関しましての御所見をお願いいたします。 98 ◯松隈生産者支援課長=高齢者の方にも届くような情報提供ということでお答えいたします。  県としましても、今後、そういうお話がございましたので、市町などに対しまして、事業説明などを行う機会に、そうした声があったことを伝えまして積極的に情報提供するよう働きかけたいと思っております。  また、資料につきましても、字ばっかりで見にくい資料じゃなくて、絵とか、簡単に略図とか、そういったものを多く取り込んだ資料を用意して、市町を通じて捕獲従事者、あるいは農業をされている方に届けたいと考えております。  以上でございます。 99 ◯野田委員=どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 100 ◯中本委員=公明党の中本正一でございます。今回、農林水産商工常任委員会の所管事項につきまして、大きく三つのテーマで質問させていただきます。執行部の皆様には、どうか明快な御答弁をよろしくお願いいたします。  それでは、早速質問に入らせていただきます。
     まず一点目に、スマート農業の推進について質問をいたします。  最近、よく耳にするようになった言葉の一つに「ソサエティー5・0」があります。「ソサエティー5・0」は、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新たな社会を指すもので、政府の第五期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として提唱されているものであります。  「ソサエティー5・0」で実現する社会は、あらゆるものがインターネットでつながり、さまざまな知識や情報が全ての人のために共有、活用され、情報社会が抱える課題や困難を克服することができるようになるとされており、そうした未来社会を支える人工知能、いわゆるAIであるとか、あらゆるものをインターネットでつなぐIoT、ビッグデータ、ロボット技術等、これら社会の発展に寄与する最新の技術開発が大変注目をされているところであります。  本県でも山口知事は、明治維新百五十年を迎えた今、佐賀から第四次産業革命を起こすことを目指すとの決意を、今定例会初日の提案事項説明や一般質問に対する答弁においても、その決意を示されており、平成三十年度当初予算案として、AIやIoTを活用して県内産業の生産性向上、経営力向上や新たなサービス等の創出に向けた支援を行うAI、IoT等活用推進事業費が上程されているところであります。  私は、こうした取り組みが全国の先駆けとなり、県内産業構造の変革や産業の活性化、そして、新たなビジネスに寄与するものと期待を寄せているところであります。  こうした中、本県の基幹産業である農業分野においても、県農林水産部と佐賀大学農学部、株式会社オプティムとの間で三者連携協定が締結されるなど、AIやIoT、ドローン等を活用した次世代型農業とも言えるスマート農業の取り組みが始まっています。  昨日の現地視察では、武雄のトレーニングファームにおける環境制御型園芸施設や株式会社オプティムの取り組みを聞かせていただき、その志と、想像していたよりもさらに一歩先を行く農業のあり方に目からうろこが落ちる思いであります。  本県の農業は、価格低迷や生産資材の高騰による農業所得の伸び悩みや生産者の高齢化、担い手不足、次世代への技術承継など多くの課題を抱えており、スマート農業の推進により、今後、こうした課題を克服する方策の一つになるものと期待をするところであります。こうした観点から、以下、順番に質問をしてまいります。  まず、スマート農業の定義について質問をいたします。  スマート農業は、ロボット技術やICT、情報通信技術を活用した次世代型農業と言われていますが、まだまだ耳慣れない言葉であります。  そこで、このスマート農業の定義について、県の認識について改めてお伺いをいたします。 101 ◯山田農政企画課長=スマート農業の定義につきましてお答えいたします。  平成二十五年十一月に農林水産省内に設置されました「スマート農業の実現に向けた研究会」におきまして、スマート農業とは、先ほど委員の御質問の中でありましたように、ロボット技術やICT等の先端技術を活用して、超省力化、高品質生産等を可能にする新たな農業というふうに定義をされております。  具体的な事例といたしましては、GPSによります自動走行システム等を導入した農業機械の夜間走行ですとか、複数走行によります超省力・大規模生産を行うことや、さまざまなセンサーで取得したデータなどに基づくきめ細かな栽培管理によります従来にない多収・高品質化を実現する技術。さらには、収穫物の積みおろしなどの重労働の作業をアシストするスーツの着用によります労働負担の軽減などが示されているところでございます。  以上でございます。 102 ◯中本委員=スマート農業は、ロボット技術や、いわゆるICTを活用して超省力、そして、高品質生産を実現するための新たな農業ということでございました。  それでは、スマート農業の導入、普及に向けた国の取り組みはどのようになっているかお伺いをいたします。 103 ◯山田農政企画課長=スマート農業の実現に向けました国の動向についてでございます。  国では、先ほど答弁いたしましたスマート農業の実現に向けた研究会におきまして、ロボット技術やICTを活用した超省力・高品質生産を可能にする技術を農業現場へ速やかに導入するための方策につきまして、この研究会の中で検討されております。  平成二十六年三月には検討結果の中間取りまとめが公表されておりまして、現在、スマート農業を推進するため、民間企業や地方公共団体とも連携しながら、例えば、AIによります画像解析結果を活用した病害虫診断などの新たな技術の開発や現地での実証、また、土壌の状態をセンサーによりまして把握して自動的に肥料の量を調整する田植え同時施肥機などの新技術の普及や導入支援、さらには、自動走行トラクターの現場導入に向けた安全性の確保策のルールづくりなど、先進技術が導入できる環境づくり、そういったものに取り組まれているところでございます。  以上でございます。 104 ◯中本委員=国でも平成二十五年にこの研究会が立ち上がって調査研究が始まったということで、わずか四年ちょっとぐらいの、まだまだ日が浅いということであったかと思います。  それでは、本県において、このスマート農業を推進するに至った背景、また、これを推進する目的についてお伺いをいたします。 105 ◯山田農政企画課長=スマート農業の推進の背景及び目的についてでございます。  まず、背景といたしましては、本県といたしましても農業所得の伸び悩み、さらには担い手の高齢化、新規就農者数の減少など、本県農業が直面する課題に的確に対応して本県農業の持続的な発展を図っていくためには、AIですとかIoTなどの技術を活用しながら、農業生産の省力化や収量の大幅な向上などを可能にする革新的な技術の開発導入が必要であることが挙げられると考えております。  次に、推進する目的といたしましては、このような革新的技術を開発、普及させることで、例えば、施設園芸におきます飛躍的な収量の向上、また、農作業の大幅な省力化や労働負担の軽減、さらには、生産コストの大幅な減少などを可能にすることによりまして、稼げる農業を実現し、ひいては本県農業の担い手が希望を持って農業に取り組めるようにしたいと考えております。  以上でございます。 106 ◯中本委員=私、昨日、現地視察をさせていただく中で、佐賀県がいち早くスマート農業に取り組める背景につきましては、先ほど言われましたように、農家所得の低迷であったり、また、生産者の高齢化、そして担い手不足、こうした課題を克服するために、AI、IoT活用の可能性が非常にあるということ。そして、そのマッチングといいますか、課題に挑戦する企業であったり人が、この佐賀県にいたというのが非常に大きな要因ではないかと考えます。  また、スマート農業を推進する目的につきましても、三者連携協定時に楽しく、かっこよく、稼げる農業の実現というキャッチフレーズが使われているようでありますが、まさしく稼げる農業という言葉に尽きるのではないかと私は思います。  昨日、武雄のトレーニングファームでキュウリ栽培に挑戦されます新規就農家の方は、研修がまだ一年間残っているにもかかわらず、目を非常に輝かせながら、「反三十トンの収量で一千万円を目指したい」と、このように力強く語っておられた言葉が非常に印象的でありました。  稼げる農業になれば後継者がいないということはなくなろうかと思います。また、稼げる農業を目指すためのさまざまな課題を解決するためのツールとして、こうしたロボット技術やICTをいかに使うかということが大変大切な視点になってくるものと思います。  次に、本県におけるこれまでの取り組みについてお伺いをいたします。  県では、佐賀大学農学部、株式会社オプティムとの間で三者連携協定を締結されるなど、全国に先駆けてスマート農業の導入、推進を図るとされていますが、これまでの具体的な取り組みについてお伺いをいたします。 107 ◯山田農政企画課長=本県におきますこれまでの取り組みについてでございます。  佐賀大学、株式会社オプティム、佐賀県の三者によります「IT農業推進に関する連携協定」におきましては、AI解析を活用したキュウリなどの収量向上のための最適な管理システムとか、ドローンを活用した空撮画像によります病害虫の早期検知や、農作物の生産状況の確認などの技術開発に向けまして、現在、ワーキンググループを立ち上げ、データの収集等を行っている状況でございます。  また、県独自の取り組みといたしまして、農業試験研究センターなどにおきまして、オランダ式の統合環境制御技術を改良しました佐賀県版のイチゴの高収量生産技術の開発ですとか、ICTを活用した米・麦・大豆の省力化技術の開発と実証。また、ロボットによります畦畔の除草作業の省力化。また、ICT機器を活用して新規就農者に対しまして熟練の農家が作業内容を遠隔地から指示する手法の開発、こういう研究を現在行っているところでございます。さらには、飛躍的な収量増加や高品質化が可能な統合環境制御ハウスにつきましては、その整備費に対しまして助成を行い、導入の推進を図っているところでございます。  以上でございます。 108 ◯中本委員=昨日の現地視察におきましても、実証実験におけるさまざまな具体的な取り組みの事例といったものもお聞きしたところでありますが、スマート農業というのは、まさにこれまでの農業のイメージを一新するような取り組みだと考えます。  これから実用化に向けた課題の抽出であったり、また、検証も既に始まっているものと考えますけれども、これまでの取り組みを進める中でスマート農業を推進する上での課題については、どのように整理をされているかお伺いいたします。 109 ◯山田農政企画課長=スマート農業を推進する上での課題についてでございます。  スマート農業につきましては、技術開発などの取り組みを始めたばかりということもありまして、データ収集や分析もまだまだこれからといったところでございますけれども、現時点におきましては、AIやIoTを活用した機械や施設の導入、整備に係るコストを吸収できるような生産性をいかに確保していくか、コストに見合う生産性をどう上げていくかということ。また、ドローンなどの新しい機械でも使用できる農薬などの生産資材を充実させることや、機械を操作するオペレーターの育成・確保などを課題として認識しているところでございます。  以上でございます。 110 ◯中本委員=実は、先週視察させていただきました先進的な花卉園芸を実践されている農家は、ハウス内にセンサーを設置されまして、温度や湿度、そしてCO2、日照量を分単位でモニターに表示され、その農家では自動制御じゃなくて、自分できちっと現場を確認して、見て、その質感を確認した上でないと心配だと、不安があるということで手作業でやっておられました。そうした中で、かなり高品質な花卉を生産されておりまして、各種品評会でも高い評価を得られております。また、そうした質の高い花卉を生産されておりますので、利益もかなりとられておりまして、後継者ももう決まっておるという話をされておりました。  ハウス園芸に取り組まれる農家の中では、このように自動制御まで至らなくても、生産性向上や高品質化を図るため、こうした環境制御型農業を目指している農家も非常に多いのではないかと考えます。  また、三者連携協定により、現在は佐賀大学内の圃場で実証実験として実施されている株式会社オプティムのさまざまな取り組みについても、今後、実際の圃場での普及を目指していくことが大切になってくると思います。  先ほど、課題としまして、コストに見合うだけの生産性があるか。また、オペレーターの育成や生産資材の開発といった点も挙げられておりましたが、そうした観点から、さまざまな課題を克服して、佐賀県が真のスマート農業の先進県になっていくために、今後、どのように取り組んでいく考えかお伺いをいたします。 111 ◯山田農政企画課長=今後の取り組みについてでございますが、先ほど委員から御指摘がありましたように、やはり厳しい環境を打破していくためには、稼げる農業を実現し、農業所得を確保していくことが重要であると考えております。この一つのツールでありますスマート農業の推進に当たりましては、三者連携協定の取り組みなどで得られますデータを収集・解析することによりまして、今後、どのような取り組みが可能となるか、検証を進めていきたいと思っております。  それに加えまして、県の各試験研究機関や現地圃場におきます生産性を確保するための実証試験の実施。さらには、ドローンでの薬剤防除を可能にするための登録農薬の適用拡大、こういうことを国や企業へも働きかけを行っていきたいと考えております。  さらに、先端技術を活用した新たな生産方式や新たな農業機械などの情報につきましては、生産者に対しても積極的に提供していくこととしております。  いずれにいたしましても、先人の皆様方が築き上げてこられた佐賀農業にスマート農業などの新しい技術を取り入れながら、さらなる生産性の向上、品質の向上を目指していきたいと思っております。  以上でございます。 112 ◯中本委員=来年度ですかね、全農さんのゆめファーム事業として佐賀市内に大規模な環境制御型実証園芸施設が設置されるという話も聞いておりますので、そうした機関ともしっかり連携しながら進めていただきたいと思います。  いずれにしましても、他県に先駆け、このスマート農業を実践する意義は大変大きいものと考えますので、これまでにも増した取り組みを期待いたしまして、このテーマについての質問を終わらせていただきます。  次に、中小企業・小規模企業への事業承継につきまして質問をいたします。  日本の中小企業、小規模企業は、全国で三百八十一万社あり、従業員数は三千三百六十一万人と、雇用全体の七割を支えており、日本経済の活力の源泉となっています。しかし、その現状は非常に厳しく、経営者の高齢化が進んでいます。  中小企業庁の調査では、経営者が最も多い年齢は六十六歳、二十年前に比べて二十歳近く上がっているそうであります。さらに、今後五年間で三十万人以上の経営者が七十歳に達しますが、このうち六割の中小企業等において後継者が決まっていないといった現状が示されています。  また、近年、景気の回復基調が続く中、企業倒産は減少しているものの、経営者の高齢化に伴い、休廃業、解散する企業が増加傾向となっています。  ちなみに、東京商工リサーチの二〇一六年の調査では、倒産企業八千四百四十六件に対し、休廃業、解散は二万九千五百八十三件と、倒産件数の三・五倍に及び、過去最高を記録しています。  さらに、全国で今後十年間に七十歳を超える中小企業等の経営者は約二百四十五万人、うち約半数の百二十七万人が後継者未定の状態にあり、こうした現状を放置した場合、二〇二五年ごろまでの十年間累計で約六百五十万人の雇用と、約二十二兆円のGDPが失われる可能性があり、特に、中小企業等が大部分を占める地方において、事業承継問題が深刻になってくると指摘をされています。  また、経営者の年齢が上がるほど投資意欲の低下やリスク回避性向が高まる傾向にあるのに対して、経営者が若返った企業は利益率や売上高が向上する傾向にあり、事業承継を後押しする意義は、この点でも大変大きいとの指摘もされているところであります。  県内の中小企業や小規模企業は、企業数で県内企業の九九・九%、従業員数で九〇・五%を占めており、企業活動や雇用を通じて本県の財政や地域経済に大きく貢献をいただいております。  仮に円滑な事業承継ができなければ、雇用はもちろん、技術やノウハウが失われ、経済的な損失が生じることは言うまでもなく、県が進める地方創生にも大きな打撃を与えることになり、事業承継対策は本県においても喫緊の課題となっています。  実際、日ごろ地元でおつき合いのある中小企業を訪問いたしますと、経営者の高齢化や後継者問題について悩む声を大きく聞かせていただきます。子供さんが帰ってきて会社に入って引き継いでくれるところはよいのでありますけれども、子供がいなかったり、また、子供さんが帰ってこないところは大変深刻な状況であります。そうした認識のもと質問をさせていただきたいと思います。  まず、県内中小企業等の現状及び課題についてお伺いをいたします。  東京商工リサーチの調査では、佐賀県内の経営者の六〇・九%が六十歳を超えており、この高齢化率は九州・沖縄で最も高く、全国でも三番目に高い数値となっています。  また、帝国データバンクが実施した企業の意識調査では、県内で事業承継を経営上の課題と捉えている企業の割合は八〇%に上っており、この数値も九州・沖縄で最も高い数値となっています。  そこで、県内の中小企業、小規模企業の経営者の高齢化の現状はどのようになっているか。そして、事業承継に向けた準備は進んでいるかお伺いをいたします。また、進んでないとすれば、その背景や課題についてどのように認識されているか、あわせてお示しください。 113 ◯福地経営支援課長=県内中小企業等の現状及び課題についてお答えいたします。  先ほど、委員から東京商工リサーチや帝国データバンクの調査結果について紹介されましたが、県におきましても現状把握のため平成二十八年八月に県内の中小企業を対象にアンケート調査を実施しております。県内の約千百事業者から回答を得ておりまして、その結果によると、県内経営者の五二%が六十歳を超え、また、そのうち後継者が決定していない事業者の割合は四八%となっております。  こうした中で県内中小企業におきまして、早期に事業承継に向けた準備を進めることが重要であるという意識が高いとは言えない状況にありまして、県が設置している事業承継支援センターへの相談件数も伸び悩んでいる状況でございます。  中小企業において事業承継に向けた準備が進んでいない要因を商工団体に聞き取りましたところ、経営者において事業承継の課題解決には長期間を要する場合が多いという認識が希薄であること。また事業承継よりも経営改善など目の前の経営課題を優先してしまうこと。事業承継は扱いに注意が必要であるデリケートな問題であり、商工団体や金融機関等の支援機関にも相談しづらいことなどが挙げられたところです。  このように、早くから事業承継の準備に取り組むことの重要性について経営者の意識醸成が十分に図られていない状況であり、まずは経営者の意識を変えていくことが課題であると認識しているところでございます。  以上でございます。 114 ◯中本委員=若干数字は違いますけれども、県内においても経営者の高齢化が進んでおり、事業承継に対する準備も進んでいない、こういう実態をお示しいただいたものと思います。  そうした中、本県では全国に先駆けて平成二十七年九月に佐賀県事業承継支援センターを設置し、県内事業者の事業承継に関するさまざまな相談に応じるとともに、問題解決に向けた支援にも取り組まれております。  そこで、これまでの事業承継支援センターの取り組みについてお伺いをいたします。 115 ◯福地経営支援課長=県の事業承継支援の取り組み状況についてお答えいたします。  県では、平成二十七年九月に事業承継支援センターを設置し、国が設置した事業引き継ぎ支援センターと、その役割を補完し合いながら中小企業の事業承継支援を行ってきたところです。  事業承継支援センターでは、事業者のさまざまな相談への対応や事業承継計画の策定支援を行うとともに、普及啓発のためのセミナーの開催などに取り組んでまいりました。  平成三十年二月末までの実績といたしましては、二百十四件の相談があり、このうち十九件において事業承継が成立しております。  また、早期に事業承継に取り組むことの重要性をお伝えする啓発セミナーを県内各地で計四十二回開催するとともに、積極的な出張相談を実施することにより、経営者の意識醸成を図ってきたところでございます。  以上でございます。 116 ◯中本委員=積極的な取り組みを図ってこられたということで、二百十四件の相談で事業承継が十九件成立されていると、こういうお話でありました。  この事業承継には、いわゆる三つの類型があると言われておりまして、一つは、親族承継、小規模事業者の場合、この親族承継が大半を占めると言われているようであります。また、親族外承継ということで、これは従業員等の社内人材が大半ということでありますが、これも約三分の一ぐらいを占めると言われています。さらに、後継者がいない場合の事業の譲渡、売却、統合、いわゆるM&Aと。佐賀県の場合、この三つの類型の中の特徴といったものがあればお示しをいただきたいと思います。 117 ◯福地経営支援課長=先ほど、どういう状況になっているかということでお尋ねがありました。先ほど、相談受け付け件数が二百十四件と申し上げましたけれども、内訳といたしましては、親族間承継が四十一件の一九%、従業員承継が一四件の七%、M&Aが百五十九件の七四%となっております。  佐賀県の特徴といたしましては、これはほぼ全国と同じような傾向になっていると思います。  以上でございます。 118 ◯中本委員=M&Aに関する相談件数も多いようでありますけれども、県では昨年の二月に後継者人材バンクといったものも設置をされているようであります。ここでの登録状況はどのようになっているかお伺いをいたします。 119 ◯福地経営支援課長=後継者人材バンク事業の実績についてお答えします。  後継者人材バンク事業につきましては、国の事業でございますけれども、平成二十九年二月の事業開始からこれまでの実績として創業を目指す起業家から十件の登録があっておりますものの、後継者不在の経営者からの登録はあっておらず、現時点ではマッチングに結びついた事例はございません。  本県に限らず、全国的に見ても後継者人材バンクの活用によるマッチング事例は少ない状況にあります。中小企業において、この事業の活用が進んでいない要因として、経営者がそもそも自分の会社が売れる、または積極的に売りたいとは思っていないということが挙げられます。とはいいましても、今後、後継者が見つからずに廃業していく事業者もふえていくことが想定されますことから、後継者人材バンクについて、さまざまな機会を通じて周知を図っていきたいと考えております。  以上でございます。 120 ◯中本委員=特に売り手側の登録が非常に進んでいないということでありました。  こうした課題に対しまして、実は、国が平成三十年度の税制改正におきまして、事業承継を後押しすることを目的に、承継時の株式の贈与税、相続税を猶予するなど、これまでの事業承継税制の対象拡充や要件緩和を図っているというように聞いております。  そこで、事業承継税制の拡充の概要はどのようになっているかお伺いいたします。 121 ◯福地経営支援課長=事業承継税制の拡充の概要についてお答えします。  先ほど一部御説明がありましたけども、事業承継税制は、後継者が非上場会社の株式を先代経営者から相続、または贈与により取得した場合において、経営承継円滑化法における知事の認定を受けたときに相続税及び贈与税の納税が猶予される制度でございます。  国におきましては、中小企業の円滑な世代交代を通じた生産性向上を図るため、事業承継支援は、これは非常と重要と捉えられておりまして、今後十年間で集中して実施することとされており、その一環として事業承継を行う際の税負担のさらなる軽減を図る事業承継税制を拡充する特例措置について、十年間限定で講じることとされております。  具体的には対象株式数の上限について、現在、三分の二となっているものを撤廃し、全株式数を対象とするとともに、相続税の納税猶予割合についても、現在の八〇%を一〇〇%に拡大されます。  次に、対象者について、一人の株主から一人の後継者への事業承継を対象としていたものを、複数の株主から複数の後継者──最大三名ですけれども──への事業承継も対象として拡大されます。
     また、株式評価額につきまして、現在、承継時における額をもとに納税額を計算していたものを、売却時や廃業時の評価額をもとに納税額を計算することに変更されます。  さらに、雇用要件について、承継後五年間で平均八割以上の雇用が保たれることを要件としていたものを、その要件を満たせない正当な理由があれば未達成でも猶予を継続できるよう緩和されることとなっており、この四点について拡充することとされております。  なお、この特例措置につきましては、今後、五年以内に事業承継計画を策定した事業者で、実際に十年以内に事業承継を行った者について適用されます。  また、この特例措置とは別に、M&Aによる事業承継については、中小企業等経営強化法を改正し、同法に基づく経営力向上計画の認定を受ければ事業譲渡の際の不動産の所有権移転登記に係る登録免許税及び不動産取得税を軽減する措置を創設することとされております。  以上でございます。 122 ◯中本委員=税制のカバー率を従来の八〇%から一〇〇%まで拡充するということで、実質、承継時の負担をゼロにするということであります。こういった点など、かなり思い切った改正内容となっていると思います。  今回の事業承継税制は、先ほど御答弁にもありましたように、今後、五年以内に事業承継計画を策定し、十年以内に実際に承継される方が対象となっていることから、この制度を活用してもらうためには県内の中小企業等に対して広く周知を図る必要があるものと考えます。  そこで、県はどのようにこの周知を図っていく考えかお伺いをいたします。 123 ◯福地経営支援課長=事業承継税制の拡充内容の周知についてお答えいたします。  委員御指摘のとおり、事業承継税制の拡充措置は、事業承継を後押しするものでありまして、このことによりまして事業承継に取り組みやすくなりますことから、経営者に対してしっかりと周知を図ることが重要と考えております。  まず、国におきまして、中小企業庁あるいは中小企業基盤整備機構が主催する制度説明会におきまして、制度に関する情報提供が行われているところであります。  また、民間団体や税理士会が主催するセミナー等への講師派遣要請があれば積極的に協力するとともに、今後、さまざまな機会を活用し、情報発信を実施する予定であると聞いております。  県としては、こうした国の動きを踏まえながら、まずは商工団体等を通じて経営者への周知を図っていくこととしております。  また、来年度から商工会議所及び商工会に事業承継支援員を配置して積極的に企業訪問を行うこととしていることから、この企業訪問の機会を活用して事業承継税制を初めとする国の支援制度についても周知を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 124 ◯中本委員=それでは、このテーマの最後の質問ですが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。  最近、福祉分野におきましても、いわゆるひきこもりの問題など相談窓口で待っていても、なかなか相談に来ないということで、いわゆるアウトリーチ型、支援が必要なところに出向いていって信頼関係をつくりながら継続的に支援を行うという、いわゆる伴走型へと変化しております。事業承継に関する問題につきましても、先ほど、大変デリケートな問題だという話もありました。掘り起こしが大変大切になってくるものと考えます。積極的に訪問し、働きかけるとともに、継続的な支援といったものも必要になってくるものと思います。  佐賀県事業承継支援センターは、平成三十年度より国の委託事業でありますところの佐賀県事業引継ぎ支援センターに一元化するということも伺っております。  県は、中小企業等における円滑な事業承継に向け、今後どのように取り組んでいく考えかお伺いをいたします。 125 ◯福地経営支援課長=今後の取り組みについてお答えいたします。  これまで県では、事業承継支援センターにおきまして、相談対応や経営者の意識醸成に取り組んでまいりましたが、県内に中小企業が約二万五千ある中で、事業承継支援センターへの相談件数は平成三十年二月末現在で二百十四件にとどまっており、事業承継対策に意識が高い事業者への支援には一定の効果があったものの、今後は、より積極的な支援が必要であると認識しております。  また、一言で事業承継といいましても、承継に至るまでに後継者問題を初めとして経営の改善を要するものや、新たな事業展開を考える必要があるものなど、個々の事業者によって、その課題は多種多様なものとなっております。  このため来年度からは、県内を幾つかのブロックに分けまして、各地域の商工会議所及び商工会に計七名の事業承継支援員を配置し、経営者の年齢が六十歳を超えている企業を中心に積極的な企業訪問を行うこととしております。  目標といたしまして、今後三年間で一万五千件の事業者を訪問し、事業承継に関する潜在的な課題やニーズを把握するための事業承継診断を実施してまいりたいと考えております。  また、事業承継支援員による事業承継診断を通して明らかとなった課題やニーズについて、県や市町、商工団体、金融機関、士業等がそれぞれの強みを生かして連携して対応することにより、各企業に的確かつきめ細やかな支援を行っていくため、これらの関係機関等を構成員としたネットワークを構築したいと考えております。  いずれにしましても、中小企業、小規模企業の事業承継につきましては、喫緊の課題として重点的に取り組むべき必要がありますことから、今後、関係機関等と緊密に連携しながら、県内中小企業、小規模企業の円滑な事業承継を推進してまいります。  以上でございます。 126 ◯中本委員=支援員の増員など体制の強化や、また、関係機関との連携も深めていくということでありますので、ぜひそうした掘り起こしを進めていただきながら、経営者に寄り添った支援を求めておきたいと思います。  今後十年間、今回の税制改正を含めました国の集中的な時限措置によりまして事業承継が促進することができれば、若い新たな経営者がふえてくることにもなります。一方で、この若い新しい経営者には経験であるとかノウハウといったものが不足しており、特に、地元に戻って間もない経営者につきましては、経済界や地域コミュニティーにおける人脈づくりに苦労する、こういうことも想像されます。また、事業承継後、変化し続ける経営環境に対応し、企業を存続、成長させるには、事業の拡大や新たなニーズへの対応などが必要になってくるケースも考えられます。  このように集中的に促進される事業承継により、今後、若くて経験が浅い経営者が増加することも予想されることから、こうした経営者への支援についても、これから充実、そして、強化されることをぜひ求めておきたいと思います。  このテーマについての質問を終わらせていただきます。  それでは、三点目であります。県産農産物等の輸出促進について質問をいたします。  去る二月七日に長崎市で開催されました九州各県議会議員交流セミナーに参加をさせていただき、その中で「グローバル化のなかの地方創生─ジェトロの役割」というテーマで、日本貿易振興機構──ジェトロの前田茂樹理事の講演を聞かせていただくことができました。  講演では、世界的な日本食ブームにより海外の日本食レストランは二〇一五年の約八万九千店から二〇一七年には約十一万八千店と、わずか二年で一・三倍に増加。特に、アジアや中東での伸びが大きいようであります。  一方、国においては「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」の実施に向けて、品目別輸出団体やジェトロを通じたオールジャパン体制で農産物等の輸出に力を入れてきたところでありますが、二〇一五年から二〇一七年の三年間で見ると、その輸出額の伸びは大きく鈍化しており、海外での日本食ブームに農林水産物や加工食品の輸出が追いついていない実態であるとか、また、二〇一九年における政府の輸出額一兆円の目標達成は非常に厳しいといった見通しも示されたところであります。  県においては、二〇〇七年にJAや関係市と佐賀県農林水産物等輸出促進協議会を立ち上げ、輸出業者や各種の輸入業者等と連携しながら、現地のバイヤーの招聘や商談会の開催、現地取扱店でのプロモーションや広報活動など、「佐賀牛」、イチゴ、ミカン、ナシといった農産物を初め、日本酒や加工品など世界に誇れる佐賀の高品質な県産品を中心に輸出拡大に取り組まれてきたところであります。  また、二〇一八年四月には、これまで県の流通通商課が担ってきた県産品の販路拡大や販売促進支援を引き継ぎ、新たに「さが県産品流通デザイン公社」が発足されています。人口減少と少子・高齢化が、今後、加速度的に進行し、国内、県内の食料需要が縮小していくことが予測される今日、本県の農林水産業や加工業を将来にわたって維持・発展させていくためには、国内にとどまらず、広く世界に向け、より有利な販路拡大に取り組んでいくことが求められており、県産農産物や加工食品のさらなる輸出促進を期待しながら、この質問をさせていただきます。  まず、「さが県産品流通デザイン公社」の現状についてお伺いをいたします。  民間で流通の仕事に携わってこられた新規採用四人を含め、十七人の体制でスタートされ、もうすぐ一年が経過しますが、当初期待された成果は上げることができているのか、公社の現状についてお伺いをいたします。 127 ◯金澤流通・通商課長=さが県産品流通デザイン公社の現状についてお答えいたします。  厳しい産地間競争を勝ち抜き、「稼げる」流通環境をつくり出していくため、民間ノウハウを有効活用し、県産品の販売促進を図る専門家集団として「さが県産品流通デザイン公社」を昨年四月に新たに設置したところでございます。  運用を開始して一年になるところですが、関係者からは好意的な声が届いているほか、民間ノウハウ等を有する専門スタッフによる成果なども徐々にあらわれつつあります。  具体的には、「公社になってから相談への対応が早くなった」、「テストマーケティングの場の創出など、県では難しかった迅速かつ臨機応変な対応が公社ではできるようになった」といった声が事業者等から寄せられているところです。  これは担当する職員が販促支援業務に専念できる体制になったことや、実施可否の判断がより積極的かつ迅速に行われるようになったことが高く評価されているのではないかと考えております。  また、輸出関係の具体的な成果事例としましては、公社に大手商社OBを採用したことにより、現役時代のネットワークを活用したブラジルへの県産茶葉の輸出が実現したことや、中国籍のスタッフを採用したことにより、日本人にはなじみの薄い中国シンセンへの「佐賀酒」の輸出が実現したこと。また、貿易の経験があるスタッフを採用したことにより、ニューヨークでの商談会を通した県産花の輸出が実現したことなどの成果も出てきているところでございます。  以上、お答えいたします。 128 ◯中本委員=非常に好意的な評価が多くあり、また、民間出身の方を採用することによって、ブラジルへの茶葉であったり、中国はお酒、ニューヨークでの花の展示ということで、非常に成果が上がってきているということでありました。  「さが県産品流通デザイン公社」では、県産農産物や加工品の輸出拡大に向け、県から引き継いだ事業であります「海外市場における佐賀ブランド確立事業」や、「Oishii!SAGA輸出チャレンジ支援事業」、県産品海外リサーチ・アンド・トライ事業、そして、佐賀県農林水産物等輸出促進協議会事業と、大きく四つの事業に取り組まれておられますけれども、それぞれ事業の取り組み状況はどのようになっているかお伺いをいたします。 129 ◯金澤流通・通商課長=さが県産品流通デザイン公社の事業の取り組み状況についてお答えします。  先ほど委員からもおっしゃられましたように、「さが県産品流通デザイン公社」では、大きく四つの輸出促進事業に取り組んでいるところでございます。  まず一つ目に、県やJA、関係市、公社で構成する佐賀県農林水産物等輸出促進協議会では、香港や台湾、タイなどにおいて、食肉や加工食品の輸入業者等のバイヤー招聘及び商談会の開催。また、香港やマカオ、シンガポールにおける「佐賀牛」や青果物などのプロモーション活動や広報活動などの事業を実施しております。  続きまして、「Oishii!SAGA輸出チャレンジ支援事業」では、加工食品事業者三十二社を対象として、海外の展示会、商談会への参加や市場調査などに対する補助、専門スタッフによる中国や台湾などの海外への同行など、きめ細やかな支援を行っております。  三つ目に、県産品海外リサーチ・アンド・トライ事業では、平成二十八年度に実施しました輸出可能性等調査事業の結果を踏まえまして、輸出の可能性が高いとされた日本酒やお茶などについて、ブラジルやEUなどの新たな国、地域への販路開拓に取り組んでおります。  四つ目の「海外市場における佐賀ブランド確立事業」では、高品質な県産品の輸出促進を図るため、先月、シンガポールで高級レストランのシェフなどを対象に、「佐賀牛」やイチゴ、アスパラガスなど県産農産物等を試食していただく「佐賀県フェア」を開催し、県産品のすばらしさをPRしてきたところでございます。  以上、お答えいたします。 130 ◯中本委員=今、四つの事業を御紹介いただきました。その中で県産品海外リサーチ・アンド・トライ事業の中で、平成二十八年度に実施した輸出可能性等調査事業の結果を踏まえて、お茶であったり、また、日本酒に取り組まれているということでありました。  実は、十日の佐賀新聞、地元紙に、嬉野茶がシンガポールで市場調査を行い、現地の飲食業者など七社と販売契約に向けた協議が進んでいるというような記事も出ております。これまで県産品といいますと、「佐賀牛」であったりイチゴというのが主流であったわけでありますけれども、これから特に有望な品目として嬉野茶というのは非常にいいんじゃないかと思いますけれども、今後のお茶の見通し等について、わかるようであれば教えていただきたいと思います。 131 ◯金澤流通・通商課長=昨年度実施いたしました輸出可能性調査の結果にも、緑茶というものは輸出の非常に有望な品目として挙げられておりました。対象となる地域としましては、ロンドンやロサンゼルスといったような都市で有望であるというような調査結果を得ておるところでございます。  先日、新聞で紹介されておりました取り組みではシンガポールということでございまして、アジア地域におきましても日本茶が健康によいということで、世界的に日本茶が健康によいという印象を持たれておりますので、輸出品目としては非常に有望であると考えております。  以上でございます。 132 ◯中本委員=嬉野茶につきましては、ジェトロが海外市場でのブランド確立を支援する地域団体商標海外展開支援事業、一県一支援プロジェクトと言われているようでありますけれども、これにも採択をされているようでありますので、シンガポールを初め、今後の輸出促進を期待しておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  「佐賀県総合計画二〇一五」では、県産農産物や加工品の輸出促進を図るための手法として、事業者等の輸出に向けた取り組み件数や県産品を取り扱う海外輸入業者数、また、牛肉や青果物など主要品目別の輸出量等の指標が示されているところであります。  これらの成果指標の達成状況、これまでの取り組みを通しながら、ここはどういうような達成見込みになるのかお伺いをいたします。 133 ◯金澤流通・通商課長=「佐賀県総合計画二〇一五」の成果指標の達成につきましてお答えいたします。  先ほど申し上げました「さが県産品流通デザイン公社」の取り組みなどが功を奏したことによりまして、「佐賀県総合計画二〇一五」に掲げる今年度の成果指標に対する現在の状況につきましては、まず、事業者等の輸出に向けた取り組み件数は目標の百十八件に対して二百五件、県産品を取り扱う海外輸入業者数は目標の三十七社に対して四十三社、加工食品の輸出事業者数は目標の二十七社に対して三十六社、日本酒の輸出事業者数は目標の十三社に対して十五社となっており、既に今年度の目標を達成しております。  一方で、牛肉の出荷頭数に占める輸出頭数の割合は目標の六・三%に対して五・二%、青果物の輸出量は目標の七十トンに対して三十六・九トンとなっており、平成三十年二月末現在で、それぞれ前年度より数値は伸びているものの、目標は未達成の状況です。  以上でございます。 134 ◯中本委員=おおむね達成する中で、特に牛肉の輸出と青果物については、大きく下回っているようでありますが、その要因についてお示しをいただきたいと思います。 135 ◯金澤流通・通商課長=目標未達の現状の要因についてお答えさせていただきます。  正確には、年度を終了しまして、その数値を締めて集計をした後で細かい内容を分析させていただくことになりますが、牛肉の出荷頭数の達成状況につきまして、現在、佐賀県内の肥育牛の出荷頭数は年々減少しております。そういった中で国内仕向けで海外に持ち出されるものが減少しているのではないかと推定しているところでございます。  それから、青果物につきましては、デザイン公社が支援しております二つの国内輸出商社の取扱品目でございますが、荷傷みの発生や、業者の取扱数量が昨年度よりも今年度が減少しているということで、そういった事情が実際に海外の香港やシンガポールに起因するものかどうかというところを今後内容を精査して現状を把握していきたいと思っております。  以上でございます。 136 ◯中本委員=牛肉はわかりました。ただ、青果物につきましては、荷傷みの問題、また、業者の取扱量が減っているといった点がありましたけれども、その内容をよく分析いただきたいと思います。  本県の農産物の輸出促進に当たりましては、これまでも輸送コストが高く、さらに上乗せされるといった問題であるとか、また、ロットが少ないといった課題もこれまで言われておりました。さらに、相手国の検疫等の輸入規制に関する課題であったり、さらには、輸送中の鮮度保持に関する課題、こういった点が指摘されてきたところであり、そうした課題の克服に向け取り組んでこられたところでありますけれども、なかなか壁も厚いようであります。  こうした点も含めながら、今後、さらなる輸出促進を図るに当たって、どのような課題があるものと整理されているかお伺いをいたします。 137 ◯金澤流通・通商課長=輸出促進の課題についてお答えいたします。  先ほど委員がおっしゃられましたとおり、輸出促進の取り組み上の課題といたしましては、繰り返しになりますけれども、国内での生産コストに加えまして、海外の輸送コストなどが上乗せされることから、輸出先での販売価格が現地の市場の相場に比べて相当程度高くなりますが、それに見合った価格での取引ができていないことや、輸出先として有望な国、地域であっても、相手国の検疫条件や残留農薬基準値の設定、その他の輸入規制等により輸出品目が限定される場合があることなどが挙げられます。  このような課題につきましては、短期間での解決は難しく、なかなか前進が図られていない現状でございます。  そのほかに先ほど委員も言われましたが、生鮮品である青果物につきましては、輸送中に鮮度が低下したり、荷傷みが発生することなどが課題となっております。  一方、流通デザイン公社における課題といたしまして、これまでの取り組みを通し、輸出にチャレンジする事業者は増加しているものの、マンパワー不足により海外バイヤー招聘や現地プロモーションを実施した後のフォローなど、きめ細やかな支援が十分ではないといったことが課題として挙げられます。  以上、お答えいたします。 138 ◯中本委員=今、御答弁いただきました課題については、数年前からずっと同じやりとりが続いているのかなという思いもいたします。少しでもここに風穴をあけるようなさらなる御努力を求めておきたいと思います。  少子・高齢化や人口減少に伴い、国内市場が大きく縮小していく中、県産農産物や加工品の輸出促進は大変重要な取り組みとなってまいりますが、日本の農産物をめぐっては来年発効予定のTPP11や日欧EPAの影響がどのような形であらわれてくるものか、これも懸念されております。  また、二〇二〇年の東京オリ・パラ後を見越し、国際レベルでのGAPの認証取得が輸出の条件となってくる可能性もあり、今後、先行きが不透明で難しい局面も考えられます。  冒頭に御紹介させていただきましたジェトロの方の講演では、九州を中心とした各地の事例が紹介されており、その中で焼酎、日本酒等、九州酒類の海外プロモーション事業といったものが紹介されていました。産地や企業間の壁を越えたオール九州ブランドによるプロモーションを行い、海外市場での販路拡大を支援する一つの事例として佐賀県を含めた九州四県でベトナムからバイヤーを招聘し、酒蔵を訪問するといった事業であります。  海外に効果的にプロモーションを図るには、市町や県という小さな単位での産地ブランドだけでなく、ジャパンブランド、九州ブランドというようにできるだけ単位を大きくすることも大切といった話もされました。産地ブランドの維持・確立を目指すのか、また、ジャパンブランド、九州ブランドとして販売促進を進めていくのか、これは大変難しいところであります。  こうした点も踏まえ、県産農産物や加工品の輸出促進に向け、今後、どのように取り組んでいくお考えかお伺いをいたします。 139 ◯金澤流通・通商課長=今後の輸出促進の取り組みについてお答えいたします。  輸出を取り巻く環境が大きく変化している中、国においてはオールジャパンやオール九州での取り組みが進められているところでございます。  新たに輸出を開始する相手国に対しましては、まずは日本の食文化等の認知度向上を図る必要があることから、国によるジャパンブランドのプロモーション活動に対し、県としても引き続き連携協力をしていきたいと考えております。  その上で、本県における県産品のさらなる輸出促進を図っていくためには、国内の他産地との差別化を図りながら、品目ごとに相手国の輸入条件などに応じた対応をしていくことが重要であると考えているところです。  また、課題となっております相手国の検疫条件や残留農薬基準値の設定、その他の輸入規制等につきましては、政府間交渉の迅速化が図られるよう、政策提案などを通して引き続き国への働きかけを行っていくこととしております。  青果物の鮮度保持の課題につきましては、県や佐賀大学、九州大学、鮮度保持技術を有する県内外の企業などで構成するコンソーシアムにおいて、革新的な輸出用ケースや鮮度保持技術を活用したコンテナによる大量輸送の実証実験に取り組んでおり、引き続き、調査研究を行っていくこととしております。  最後に、流通デザイン公社における体制の強化につきましては、現在、御審議をお願いしております平成三十年度当初予算において専門スタッフの増員をお願いしているところでございます。  いずれにいたしましても、流通デザイン公社を中心に、県や農協、漁協、酒造組合等の関係機関との一層の連携強化を図り、ジェトロの協力も得ながら県産品の輸出促進に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 140 ◯中本委員=ありがとうございました。  最後に、県産農産物等の輸出促進に向けた秘策といったものはあるのか、県庁職員として長く県内産業の浮揚に取り組んでこられた経験を踏まえながら、県産農産物等の輸出促進に向けた石橋産業労働部長の所見をお伺いし、全ての質問を終わらせていただきます。 141 ◯石橋産業労働部長=委員からも冒頭お話がございましたように、人口減少であるとか少子・高齢化という中で、今後、三十年から五十年にわたって国内の市場というものは確実にシュリンクし続けるということが予想されます。  またその一方で、去る三月八日にはTPP11が関係国により署名されましたけれども、世界の流れとしては、国際経済連携による自由貿易の枠組みというものは今後さらに拡大していくだろうと。そういうことでさらなるグローバル化の進展が見込まれるわけでございます。こうした中では、本県としても輸出促進というものは販路を拡大するという意味で非常に重要な取り組みであろうと考えております。
     一方で、本県の県産品などの状況を見ますと、確かに高品質なものが多い。これは非常に海外からも受け入れられると、品質の面では自信がございますけれども、ただ、ロットを考えますと、輸出対象として見た場合にはかなり小さいということがございます。  こうした県産品の状況、あるいは輸送コストの問題等々考えると、例えば、これまで「佐賀牛」がどういうことで進出したかといいますと、高級なレストランをターゲットとして一軒一軒つぶしていくということをやって、「佐賀牛」のロットの少なさをカバーし、かつ、価格を維持してきたという流れがございますので、全体としてロットが少ないということを考えますと、現地の富裕層をターゲットとして、いいものを高く売るという戦略を目指していく必要があるんだろうと思います。  現に、佐賀の酒蔵の中には、既にフランスの高級レストランにおいて、それ用の日本酒をつくって七百二十ミリの一本で数万円で出しているという事例もございます。フランスとかシンガポールの富裕層向けには、高いものほど売れているという現状もございます。ロットが少ないということは、逆に希少価値であるとか、あるいはストーリー性をつけられるという、逆に言えば利点でございますので、そういった意味で高品質な県産品にさらに付加価値をつけながら、例えば、現地の高級レストランのシェフやソムリエの評価を得られるように一つ一つのレストランにアタックしていく、あるいは富裕層向けの高級スーパーなどの棚を一つ一つとっていくといった取り組みを引き続き行っていくべきだろうと考えています。  なお、先ほど来、話がありましたが、現在の輸出におきましては、生産体制や集荷体制も国内市場向けとの区別ができておりません。そうなってきますと、生産者にとっても国内向けと輸出向けとの差別化ができないということもございますし、それだけではなくて、そのまま輸出をすれば、必然的に輸出向け用であるがゆえの特別な生産コストであるとか、輸送コストが回収できないというのが現在の構図でございます。これを改善するのは一朝一夕にいくわけではございませんけれども、今後はそうした点にも目を向けて、付加価値のより高い特別な商品を生産するということも含めて、輸出向けであるがゆえに、その恩恵を県内の生産者とか事業所に還元できるような仕組みというか、集荷体制といったものをつくり上げていくということも必要になってくるであろうと考えております。  いずれにしましても、今後ともそうした輸出促進のための新たな仕組みづくりでありますとか、支援体制の充実強化ということを一層図って、本県において輸出がさらに促進されるようにしっかりと取り組みを続けてもらいたいと思っております。  以上、お答えします。 142 ◯八谷委員長=暫時休憩します。十五時二十分をめどに委員会を再開します。     午後三時五分 休憩     午後三時二十一分 開議 143 ◯八谷委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続き質疑を行います。 144 ◯井上祐輔委員=日本共産党の井上祐輔です。  本日、最後の質問者となりますので、よろしくお願いいたします。  今回は、年明けから地域の初会であったり、また、私が行っている議会報告会などで伺った声について、一点目に伺いたいと思います。  まず、上場地域の土地改良事業についてです。本県の西北部に位置する上場地域は、東松浦半島の大部分を占める標高百メートルから二百メートルの台地であります。古くから水源に乏しく、日照りが少しでも続けば、たちまち干ばつとなってしまい、農作物が収穫できなくなるような地域でもありました。これに対応するために先人の皆さんは上場地域のさまざまな場所にため池をつくり、その数は五百カ所にも及んでいますが、そういった対策をして用水確保に苦労してきたという歴史があります。  このような厳しい農業を強いられてきた台地へ水を引くという農家の方々の強い思いから、上場台地を潤すための事業が計画され、昭和四十八年に国営上場土地改良事業が始まりました。これと合わせ県営畑地帯総合整備事業四地区が実施され、総事業費一千六百三十四億円という巨額の投資が行われました。  国営事業では松浦川から二百メートルの高さまで水を引き上げる揚水機場と、その水を貯留する五カ所のダム、また、新たに八百ヘクタールの農地が開拓され、農道は六十四キロ、また、九十四キロに及ぶ用水路が整備されました。さらに、県営事業においては、三千四百ヘクタールの水田及び畑の区画整理、道路やかんがい排水施設等が平成十八年度までに整備をされてきたところです。  このような事業によって、農家の皆さんの願いであった農業用水の安定的確保や農家経営の安定化など、大きな貢献と成果を上げていると思います。  一方で、地域の方々からは、「この負担金はいつまで払えばいいのか」といった声や、「後継者がおらんとに負担金を今後どうやって払っていこうか」、このような不安や悩みの声も伺っているところです。  政府は、この四月から米の直接支払制度を廃止し、今後、TPP11や日欧EPAなど、際限ない輸入自由化が進められるといった状況がある中で、農家経営に与える影響は不透明なままです。現状でも土地改良事業の負担金や償還金が払えない農家もふえていると聞いている中で、国営事業の完了から約十五年、県営事業の完了からも約十年が経過しているため、施設の老朽化によって故障や維持管理についても多額の費用を要しており、施設の更新や長寿命化などが課題となっているようです。私は、このような施設は農家経営にも大きな役割を果たしていると思いますが、農家の皆さんの負担は大変苦しく、これ以上の負担はできないのではないかとも感じているところであります。  そこで、次の点について伺います。  まず、上場地域の土地改良事業の農家負担についてです。  先ほども述べましたように、上場地域の土地改良事業については、国が行うもの、県が行うものがありますが、まずは国営土地改良事業の概要について、事業内容や事業費、農家負担などがどのようになっているのかお伺いをします。 145 ◯下川農地整備課長=国営土地改良事業の概要についてお答えします。  国営土地改良事業は、農業用水の安定供給と経営規模拡大のための農地造成を行い、生産性の向上と農家経営の安定を図ることを目的として、受益面積五千二百二十七ヘクタールにおいて、国営かんがい排水事業上場一期地区と二期地区に分けて、ダムや揚水機場などの基幹的な農業用施設の整備や農地造成が行われたところでございます。  一期地区は、工期が昭和四十八年度から平成四年度、総事業費が七百四十六億円。事業内容としまして、ダム四カ所、揚水機場十二カ所、用水路九十四キロメートル、農地造成八百八ヘクタール、農道六十四キロメートル。二期地区につきましては、工期が平成二年度から平成十四年度、総事業費が三百六十億円、事業内容はダム一カ所となっております。  一期地区の負担割合は、農地造成以外の工種は、国五八%、県三一・五%、市町一〇・五%で、農家負担はゼロ。農地造成につきましては、国七四%、県一七・六%、農家負担が八・四%となっております。なお、二期地区の負担割合は、国七〇%、県三〇%で、農家負担はゼロでございます。  この農家負担金については、事業完了の翌年度から二十五年間、毎年、土地改良区が農家から徴収し、県を通じて国へ納付されており、国や県独自の制度により償還利子に対する助成やピーク償還額の低減などの軽減策を講じてきたところでございます。  以上、お答えします。 146 ◯井上祐輔委員=それでは、もう一つの県営土地改良事業の概要について、どのようになっているのかお伺いします。 147 ◯下川農地整備課長=県営土地改良事業の概要についてお答えします。  県営土地改良事業は、圃場整備や農道、国営事業の末端の用排水路を畑地帯総合整備事業として一体的に整備したものであり、受益面積が三千四百九十三ヘクタール、工期が昭和五十一年度から平成十八年度。総事業費が五百二十八億円。事業内容としまして、用水路百六十五キロメートル、圃場整備千三百十四ヘクタール、農道百十五キロメートルとなっております。  事業の負担割合は、国五〇%、県三〇%、残りの二〇%を市町と農家が負担することとなっております。この市町と農家の割合は施設で区分され、基幹的な施設や農道については、全額市町の負担、これ以外の施設については、農家が負担しており、農家の負担割合は平均で約一〇%でございます。  農家負担金につきましては、土地改良区が事業の実施年度に日本政策金融公庫から借り入れを行い、県へ納付済みとなっております。この借入金につきましては、公庫へ償還する際に土地改良区が特別賦課金として農家から徴収しており、国や県独自の制度により償還利子に対する助成やピーク償還額の低減などの軽減策を講じてきたところでございます。  以上、お答えします。 148 ◯井上祐輔委員=今、国営、また県営の土地改良事業についての概要をそれぞれ示していただきました。負担金の割合についても示していただいたんですけれども、地域に行ってお話をすると、その負担金のことについて多くの方から声をいただきます。  その中で、地域では農家経営が厳しい中で土地改良事業の負担金についても大きな関心事となっています。  このように負担金を払えない農家の方々もいらっしゃると伺っておりますが、この上場土地改良区において、過去五年の滞納額はどのような状況になっているのか、土地改良事業の農家負担金についてお伺いをします。 149 ◯下川農地整備課長=土地改良事業の農家負担金についてお答えします。  土地改良事業の農負担金の償還に充てるため、上場土地改良区が組合員から特別賦課金を徴収しておりますが、納入意識の欠如や生活困窮等の理由により、平成二十四年度から平成二十八年度の五カ年間で滞納額が約三千七百四十八万四千円となっております。  この滞納額につきましては、単年度で見た場合、土地改良区の徴収努力もあり、未収割合は徐々にではありますが、減少しているところでございます。 150 ◯井上祐輔委員=平成二十二年度以前では約三千八百万円、また、過去五年についても徐々に滞納が減ってきているというお話がありました。そういった状況の中でも、やっぱり農家経営が厳しくなって、この負担金を払えない状況というのは、厳しい農業状況が反映したものではないかとも思っています。  これまでもさまざまな負担軽減策が図られてきたというお話がありましたが、上場土地改良区では農業情勢の変化、また、苦しい農業経営を強いられる中で、そういった負担金が払えない、滞納されている方が出てきています。  この滞納されている方の解消について、農家所得をふやしていく取り組みも大事なことではないかと私は思います。無理な徴収などなく、農家の状況に応じた対応も必要であるかと思います。この滞納解消の取り組みについてどのような対応を行われているのかお伺いをいたします。 151 ◯下川農地整備課長=土地改良区の滞納解消の取り組みについてお答えします。  上場土地改良区においては、役職員一体となって滞納者への働きかけを行いながら、未収賦課金の解消に努められており、組合員負担の公平性の観点から、長期・多額にわたる滞納者に対しては、時効や負担能力を考慮しながら、土地改良法で定められている滞納処分の手続をとっているところでございます。  また、委員御指摘の昨今の農業情勢などにより、農家経営が苦しくなっている組合員に対しては、不動産の差し押さえ等で時効成立を防止しながらも、分割での納付や営農が困難な方には農業委員会への農地の賃貸借や売買の相談促進などの対応が行われております。  滞納解消について、県では土地改良区に研修や指導を行っているところであり、今後も滞納者に対して理解を得るために丁寧に対応していくよう周知してまいりたいと考えているところでございます。  以上、お答えします。 152 ◯井上祐輔委員=滞納解消についても県から指導が行われているということでありましたが、この負担金については、いつまで支払いが続くのかといった声も聞いているところです。国営事業、県営事業がありまして、負担の状況も違うかと思います。  こういった、いつまで負担金を払っていくのかということについてよく聞くわけでありますが、この点についてはどのようになっているのかお伺いします。 153 ◯下川農地整備課長=農家負担金の支払いがいつまでかということについてお答えします。  国営事業の農地造成分につきましては、平成二十九年度、今年度で償還が終わることとなっております。県営事業につきましては、平成四十一年度までで完了することになっております。  以上、お答えいたします。 154 ◯井上祐輔委員=ありがとうございます。そういった、いつまで払うのかという状況についても農家の皆さんにもしっかりお伝えしながら明確にしていくことも大事なことではないかなと思っています。  上場地区農業振興・施設保全協議会について伺います。  国営事業では完成から約二十年、そして、県営事業では約十年が経過して、今後の施設の更新、また維持管理が課題となっています。このような中で唐津市、玄海町にまたがり、上場地区農業振興・施設保全協議会が設立されています。この協議会について三点伺いたいと思います。  まず、この協議会はどのような目的のもとに設置されたのか、目的についてお伺いをします。 155 ◯下川農地整備課長=協議会の目的についてお答えします。  本協議会は、現在の営農状況や水利用の実態を把握した上で今後の農業の方向性を見据え、将来の担い手確保や農業用水の利活用を推進することで農業の振興を図ることを目的としております。  これとあわせて上場地域の農業水利施設の長寿命化対策を検討することとしており、唐津市、玄海町、上場土地改良区、唐津農業協同組合、国及び県をメンバーとして、唐津市が事務局となり、平成二十八年一月に設立されたところであります。  以上、お答えいたします。 156 ◯井上祐輔委員=さまざまな自治体や国、県も加わりながら今後について考えていくということでありますが、この協議会の開催について、いつ開催されて、どのような協議が行われたのか、その点について伺います。 157 ◯下川農地整備課長=協議会の開催状況についてお答えいたします。  協議会の設立以降、協議会だけではなく、下部組織の幹事会や作業部会において、水利用の実態調査、農家への営農状況や将来の営農計画などの聞き取り、さらには、農業水利施設の長寿命化対策に向けた検討を平成三十年二月までに八回行っているところでございます。  このほかにも担当者レベルでの現地の確認調査や検討会、他県での取り組みや優良事例の情報収集など、各メンバーで役割を分担し、協議会の開催に向けて取り組んでいるところでございます。  以上、お答えします。 158 ◯井上祐輔委員=これまでの状況把握など、いろいろな状況について協議をされているということであります。  この協議会については、今後、施設の改修や維持をどのようにしていくのかという点についても話されていると思いますが、今後どのような取り組みがされようとしているのか、この点についてお伺いをします。 159 ◯下川農地整備課長=今後の協議会の取り組みについてお答えします。  農業の振興を図っていくためには、その基盤として農業水利施設が健全に機能することが必要でございます。本地区の施設は老朽化が進んでおり、地元からは早期に対応を望む声が上がっているところでございます。  このため、今後は施設の老朽化の度合いや規模に応じた対応策の検討をしていくこととしております。  さらに、今後の農業の方向性を見据え、関係機関が連携して農業用水の利活用推進と上場地区の農業振興を図っていくことを検討することとしております。  以上、お答えします。 160 ◯井上祐輔委員=この施設については、上場地区の農業に対して大きな役割を果たしており、上場地域の今後の農業発展にも欠かせない事業であると思います。  この施設改修の維持や管理について、農家負担があるのかないのか、この点について少しお伺いしたいと思います。 161 ◯下川農地整備課長=現状、施設の維持管理費につきましては、上場土地改良区のほうで農家から徴収されているところでございます。  今後の長寿命化対策を行う事業につきましては、なるべく農家に負担がかからないような事業で対応していくことを検討していくこととしております。  以上、お答えします。 162 ◯井上祐輔委員=農家の皆さんも本当に厳しい状況の中で頑張っておられる現状があると思います。こういった施設についても必要不可欠な施設であり、回収についてもお金もかかってくるかと思いますけれども、県としてもしっかり支援を行うなど取り組みをしていただきたいと思っております。  大きな二問目の人材流出と産業人材の確保について伺います。  私は、議会活動の中の一つのテーマとして、若者の力輝く佐賀県にしたい、こういった思いを持って活動させていただいております。これまでもブラック企業の問題、また、賃金の問題などについても取り組みを行い、先日は弁護士の皆さんたちと一緒にミッドナイト労働相談という取り組みを行いました。今回の県議会の質疑の中でも、佐賀県は産業人材流出県であり、そのことが昨今、全国的にも問題化している企業の人材確保をより一層深刻なものとしている、こういった答弁もあったところです。  実は、私自身も工業高校を卒業して県外企業に就職した経験がありまして、私の実体験としても理解できるところであります。そして、私が選挙に立候補させていただいた時にも、高校の同級生から、こういったことを言われたことがあります。「県外に就職をしたけれども、できれば親のいる地元で仕事ができないのか、いい職場がないだろうか」、そういった声を聞きました。そのときに私も含めて、やっぱり生まれ育った地元で働いて結婚をして子育てをしていきたい、そういう思いを持っていたんですけれども、そういう思いを持っている人は本当に多いのではないかと感じました。  また、最近では、沖縄の旅行関連会社に勤める友人から、「そろそろ佐賀に帰ってきたいけれども、自分のスキル、また、経験を生かせる仕事があれば早く地元に戻ってきたい」、そういった声も伺っております。  このような中で、県では、この一、二年ほど、こうした人材流出県としての現状に危機感を抱き、産業人材確保に向けた施策の充実についても取り組まれているところです。  私自身の経験としても、また紹介をさせていただいた同級生などの声からも強い思いがあり、ぜひ県としても一層頑張っていただきたいと思っております。  そこで、大きく四点について伺います。  まず、人材流出の背景についてです。  本会議での石橋部長の答弁でも、「佐賀県は人材流出県」といった言葉がありましたが、その現状や背景について県ではどのように考えておられるのかお伺いをいたします。 163 ◯狩野産業人材課長=人材流出の現状や背景についてお答えさせていただきます。  文部科学省の調査によりますと、本県では高校卒業後、進学者の八割、就職者の四割が県外に流出しておりまして、いずれも四十七都道府県でワーストファイブに入ります。双方ともこれほど高いのは本県と奈良県のみとなっているところでございます。この点が昨今の全国的な労働市場の売り手市場化に加え、県内企業の人材確保を困難にしていると認識しているところでございます。  その最たる要因につきましては、賃金水準及び就業機会の地域間格差であり、厚生労働省の調査では、本県は四十七都道府県中、平成二十九年三月の高校新卒者の初任給が高いほうから数えて三十六位、求人倍率が四十位にとどまっているところでございます。加えて、本県の場合、福岡県に隣接していることも影響しており、ハローワークなどの職業紹介の現場からも若者や女性が求める事務系職種が紹介できずに福岡に出て行く方が多いとの声も上がっているところでございます。  これらを踏まえて統計学的に解析いたしますと、各都道府県の高卒就職者の県外就職率の八割は、賃金水準や求人倍率、都市圏との近接性などで説明が可能であります。つまり賃金水準の相対的な低さや多様性に欠く就業機会が人材流出の背景と認識しているところでございます。  以上でございます。 164 ◯井上祐輔委員=大きく言うと、背景は賃金格差であったり、また、就業機会、そういったものがあるということでした。近くには福岡県もあり、私が住む唐津でも自分の家から通えるということもあって、就業場所として福岡を選ぶといった方も多くいる現状であります。  こういった状況の中、この委員会でもさまざまな議論が行われてきました。昨年度から人材流出県からの脱却をテーマに施策の充実に取り組んできておられると認識しております。  これまで県では具体的にどのような取り組みが行われてきたのか、この点についてお伺いをいたします。 165 ◯狩野産業人材課長=これまでの取り組みの概要につきましてお答えさせていただきます。  これまで、例えば県内企業の情報を集約・発信する「さが就活ナビ」の運営、県内外での求職者向けの合同企業説明会の開催、「佐賀県のしごと相談室」やジョブカフエSAGAを通じた企業と求職者とのマッチング支援などに取り組んできたところであります。
     さらに、昨今の人材確保難などを踏まえまして、より一層の施策の改善充実が必要と判断いたしまして、昨年度九月補正では県内の企業と高校とを橋渡しする緊急支援員を配置し、高校生の県外就職率の改善を図る産業人材確保緊急支援事業。今年度の当初予算につきましては、県内企業にUJIターン就職する大学新卒者等に奨励金を支給することで県外からの人材還流を促す産業人材還流促進事業にも新たに着手したところでございます。 166 ◯井上祐輔委員=高卒就職者の県内の定着であったり、県外に進学をした方の還流について取り組みが行われてきたということであります。  先ほどもお話をいたしましたが、県としてこういった人材流出にフォーカスをして取り組みが行われていることは、私としても経験をしたことでもありますし、ぜひとも力を入れて頑張っていただきたいと思っています。  この間取り組んできた事業の成果、また、その中でどういった課題が浮かび上がってきたのか、成果と課題についてどのように考えているのかお伺いをいたします。 167 ◯狩野産業人材課長=事業の成果と課題についてお答えさせていただきます。  まず、昨年春の高校生の県内就職率は四十七都道府県で最大の三・二ポイントの改善となるとともに、この春卒業分も一月末時点で引き続き改善傾向にあります。  また、UJIターン就職者への奨励金には目標を上回る五百八名の応募がありまして、そのために企業情報を発信している「さが就活ナビ」の閲覧者数も前年比で二・一倍に急増したところであります。  以上の成果の一方、数年前までは採用側優位の買い手市場だったこともあって、少なくない県内企業において、採用活動の創意工夫や採用条件の改善の必要性について、まだ十分認識されていない。一定の認識はあったとしても、では、具体的にどのようにすればいいのかわかっていないなどの状況にあることが判明いたしましたので、今後はこうした点につきまして企業側の理解や認識を深め、その取り組みを幅広く促していくことが必要と考えているところでございます。  以上でございます。 168 ◯井上祐輔委員=県の取り組みに対して県内就職者の改善、また、UJIターンの予想以上の申し込みがあったということで、大きな効果があったのではないかと思っております。  次の今後の取り組みについて伺いたいと思います。  本会議でも質疑がなされましたが、産業労働部の来年度予算案の主要事項として、採用力向上支援事業が盛り込まれています。執行部の説明では、県内企業が都市部の大手企業などと人材争奪戦に直面する中で、円滑な人材を確保するために求職者へのアピール力向上や賃金、処遇の改善を通じた魅力的な採用条件の提示が可能となるよう、セミナーやコンサルティングを行う、こういった内容でありました。  確かに、昨今の労働市場の売り手市場のもと、人手不足の解消、人材確保の円滑化には、企業側の賃金や処遇、あるいは労働環境の改善なども不可欠であるとも感じております。  県には、県内企業の人材確保はもとより、そのことを通じて広く人材流出県からの脱却に寄与する、つまり県内で働く方々がそのことに魅力や安心を感じ、人材の定着や還流にもつながる、そういった地域づくりにつなげていくといった意味でも、企業のそうした取り組みをさらに応援していくことが必要だと思います。  今後の取り組みについて、県ではどのように考えておられるのかお伺いをいたします。 169 ◯狩野産業人材課長=今後の取り組みについてお答えさせていただきます。  これまでも人材流出の背景にあります賃金や就業機会の問題につきまして、統計資料を用いたチラシや資料を作成いたしまして、関係各課の企業訪問を通じた啓発や、会議やセミナーにおいて講演や意見交換などをしてきたところでありますが、それだけでは深刻化する人材確保難の中、都市部の大手企業等におくれをとる懸念が否めないことから、今回、外部の専門的な企業等の知見も活用し、県内企業の採用力向上を強力に推し進めるため、採用力向上支援事業に取り組むこととしたところであります。  いずれにいたしましても、御指摘いただいたとおり、人手不足の解消や人材確保の円滑化には究極的な県内企業みずからによる賃金・処遇の改善、また、労働環境の改善が必要と考えているところでございます。  このため、今回新たに取り組みます採用力向上支援事業はもとより、例えば、労働環境の改善やワーク・ライフ・バランスの推進といった観点で既に取り組んでいる事業も活用いたしまして、労働局など関係機関とも連携しながら、企業側の理解と認識を深めて取り組みを促してまいりたいと考えております。 170 ◯井上祐輔委員=これまでの取り組みと今後の取り組みについてもお話をしていただきました。冒頭、私がお話をしましたように、生まれ育ったふるさとで働いて結婚して子育てをしていく、こういった思いは多くの県民の願いでもあると思っています。県内にはそのポテンシャルを持つ企業も数多く存在しており、午前中にも質疑がありましたものづくり企業のアピールなど、そういった取り組みも始まっております。  今後の取り組みについても大いに頑張っていただいて、若い方たちが活躍できる佐賀県にできるように私自身も頑張っていきたいと思っています。  大きな三項目め、再生可能エネルギーの推進についてお伺いをいたします。  山口知事は、ちょうど一年前の二月県議会で再生可能エネルギー等先進県実現化構想策定事業を提案され、この二月県議会においても、「原子力発電に依存しない再生可能エネルギーを中心とした社会を目指す」と表明され、佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想(案)が示されました。  この取り組みについては、私自身も賛同できるものであり、さまざまな課題もある中ですが、再生可能エネルギーの先進県を目指してしっかりと取り組みを進めていただきたいと思っております。  そして、来年度予算案では、先ほどの構想案のほかにも海エネ産業推進事業、また、再生可能エネルギー関連産業促進事業費が当初予算の主なものとして挙げられております。  海エネについては、唐津市呼子の加部島沖などでも国の実証フィールドに選定されて取り組みが行われておりますし、こういった再生可能エネルギーによって電気をつくるだけではなくて、関連産業の振興であったり、地域産業へも貢献をするものであってほしいと考えているところであります。  そこで、次の点について伺います。  まず、海エネ産業推進事業についてであります。  海エネ産業推進事業については、これまでも関連の取り組みをされてきたかと思います。まず、平成二十九年度の取り組みについてですが、どういった取り組みをされたのかお伺いをいたします。 171 ◯池田新エネルギー産業課長=海エネ産業推進事業の平成二十九年度の取り組みについてお答えいたします。  本県の玄界灘沖合海域は、風況賦存量が豊富で、先ほど委員からも御紹介いただきましたように、唐津市加部島沖が国の海洋再生可能エネルギーの実証フィールドに選定されており、また、佐賀大学海洋エネルギー研究センター、通称IOESが伊万里市に立地するなど、海洋再生可能エネルギーの実用化を目指す上での条件が佐賀県には整っていると考えております。  海洋再生可能エネルギーを我々は「海エネ」と呼んでおりますが、海エネ産業推進事業では、この地域特性を生かしまして実証フィールドや海エネの研究拠点となるIOES含みます関連地域を海エネの中核拠点とすることによりまして、海エネ産業の創出、海エネの実用化、海エネの普及促進を通じて地域活性化を目指すことを目的として平成二十七年度から実施しております。  平成二十九年度の主な取り組みですが、まず、海エネ産業の創出については、産業界、学術機関、金融機関、官公庁で組織された「佐賀県海洋エネルギー産業クラスター研究会」──「J☆SCRUM」と呼んでおりますが、この「J☆SCRUM」におきます海エネの情報共有や機運の醸成、また、研究会会員が実施する研究開発事業への補助金の交付などに取り組んでおります。  次に、海エネの実用化については、海域を利用する漁業者の代表、学識経験者、地元関係機関の代表で組織された佐賀県海洋再生可能エネルギー推進協議会におきます漁業協調、地域振興を踏まえた調整、実証フィールドの今後の利用促進に対応するための運営管理業務の委託などに取り組んでいるところです。  また、海エネの普及促進としまして、国際風力発電展等の展示会への出展、海洋エネルギーセミナー等での講演活動、パネル、プロモーションDVD等の普及啓発用コンテンツの作成などに取り組んできたところでございます。  こうした取り組みとともに、実証フィールド周辺海域における事業者の誘致活動を積極的に行ってまいりましたことなどによって、現在、当海域において洋上風力発電事業に関する相談が複数出てきている状況でございます。  以上、お答えいたします。 172 ◯井上祐輔委員=この海エネ事業は、地域の特性を生かした事業であり、本当にいい取り組みであるなと感じております。  こういったこれまでの取り組みや、取り組みの中でのいろいろな課題を踏まえた上で、平成三十年度もまた新たに取り組みをされるというふうに提案があっておりますが、平成三十年度の取り組みについて、どういった取り組みをしようと考えていらっしゃるのかお伺いをします。 173 ◯池田新エネルギー産業課長=平成三十年度の取り組みについてお答えいたします。  平成三十年度の主な取り組みとしましては、平成二十九年度に引き続き、海エネ産業の創出につきましては、「J☆SCRUM」における海エネの情報共有や機運の醸成、また、「J☆SCRUM」会員に対する研究開発事業や実証実験事業への補助金の交付、また海エネの実用化につきましては、佐賀県海洋再生可能エネルギー推進協議会の運営、また実証フィールドの運営管理業務の委託とともに、実証フィールド周辺海域におきます風況の解析にも取り組む予定としております。  また、海エネの普及啓発についても、展示会への出展やセミナー等での講演活動に、引き続き取り組む予定としております。  また、洋上風力発電事業に関する相談が複数出てきているということを踏まえまして、国の補助事業を活用し、洋上風力発電事業が可能な海域を選定するための調査の実施、あわせて誘致検討のための委員会を設置・運営するとともに、唐津市など関係市町との連携を図りながら事業者の誘致に努めてまいることとしております。  以上、お答えします。 174 ◯井上祐輔委員=各市町とも連携して取り組みを進めるということで、そういった県内の市町と連携しながらこういった取り組みを進めていくことは大事なことではないかと私も思っています。  もう一つの再生可能エネルギー関連産業推進についても、これまで取り組みが行われていますけれども、平成二十九年度の取り組みはどういった取り組みが行われたのかお伺いをします。 175 ◯池田新エネルギー産業課長=再生可能エネルギー関連産業促進事業の平成二十九年度の取り組みについてお答えします。  再生可能エネルギー関連産業促進事業は、佐賀県内企業の参入が可能な再生可能エネルギーの事業モデルを構築することなどにより、県内企業に同分野への進出を促し、県内における再生可能エネルギー関連産業の創出に資するために実施しております。  平成二十九年度は、小水力発電の事業モデル構築、未利用熱の利用に関する可能性検討、再エネコーディネーターの派遣事業に取り組んできたところです。  まず、小水力発電の事業モデル構築につきましては、九州大学の協力のもと、県内企業の参画を得まして、本県の地形などに適した小規模でも採算性が確保できる事業モデルの構築に向けて平成二十八年度から取り組んでまいっております。  平成二十九年度は、モデルの候補地を具体的に選定し、事業化の検討に必要な河川の流量等のデータの取得、水利権の確認、地元との意見交換などを行うとともに、整備コストの低減に向けた検討をしてきたところでございます。  次に、未利用熱の利用につきましては、佐賀平野における地中熱利用のポテンシャル把握に向けた検討、また、佐賀市内の下水熱利用のポテンシャル把握に向けた検討、それと温泉地における熱利用の可能性検討に取り組んできたところでございます。  地中熱の利用は、夏は気温と比較して温度が低く、冬は暖かいという地中の温度を空調などに利用しようとするもので、佐賀平野は地下水が豊富で地盤が軟弱かつ均質であるということから、熱利用が容易で、比較的安価に掘削ができる可能性があるということから、平成二十九年度には、国、県内外の専門家及び未利用熱の利用を推進します県内の団体の協力を得まして、佐賀平野が有する地中熱のポテンシャルを把握するための手法についての確認などを進めているところでございます。  また、下水熱の利用ですが、これは年間を通じて摂氏十五度から二十五度で安定しているとされております下水道内の熱を空調や給湯に利用しようとするものでございます。  平成二十九年度は、佐賀市と連携し、実際に下水管内の温度を計測するなど、佐賀市が管理する下水道が有する熱ポテンシャルの把握のための検討を進めているところでございます。  また、温泉地における熱利用の可能性については、県内の一部の温泉地を対象に現状把握のための聞き取り調査などを行っているところです。  また、本年度から太陽光発電、風力発電、小水力発電、木質バイオマス発電及び地中熱利用の各分野で、普及啓発や事業化支援ができる人材を、県が再エネコーディネーターとして認定し、県内において新たに再生可能エネルギーの導入を進めようとする企業様などを対象に派遣しまして、事業化に向けた検討を支援しております。平成二十九年度は、平成三十年二月末現在で十回派遣を行ったところでございます。  以上、お答えいたします。 176 ◯井上祐輔委員=これまでの取り組みについて御紹介いただきましたが、こういった新たな産業を進めていく中で、県内企業が参入をして産業創出につなげていくことが大変大事なことであると思っています。  先ほど御紹介いただきました再エネコーディネーター派遣事業については、再生可能エネルギーの事業化を検討する県内事業者等に再エネコーディネーターを派遣していくということで、昨年は十回ということで答弁がありました。  このコーディネーターについてですが、今、佐賀県の中ではどれぐらいのコーディネーターがいらっしゃるのか、この点について少しお伺いしたいと思います。 177 ◯池田新エネルギー産業課長=再エネコーディネーターの人数についてお答えいたします。  佐賀県再エネコーディネーターといたしましては、十七名登録していただいております。ただ、専門分野ということで小水力発電なり太陽光発電なり、そうした分野ごとでいきますと、複数の分野にわたって登録していただいている方もいらっしゃいますので、延べでいきますと二十四名でございます。  以上、お答えいたします。 178 ◯井上祐輔委員=コーディネーターについても、今後しっかり活躍をしていただいて、県内の企業がどんどん参入できるように支援をしていただきたいと思っております。  こういったこれまでの取り組みを踏まえた中で、平成三十年度についても再生可能エネルギー関連産業促進事業費が計上されております。平成三十年度については、どのようなことに取り組もうと考えていらっしゃるのかお伺いをいたします。 179 ◯池田新エネルギー産業課長=平成三十年度の取り組みについてお答えいたします。  平成三十年度は、基本的には平成二十九年度に実施しております事業を引き続き取り組むこととしております。それに加えまして新たに海外市場開拓調査に取り組むこととしております。  まず、継続事業のうち主なものとして小水力発電の事業モデル構築につきましては、事業化の検討には河川の流量などのデータを一年以上継続して取得する必要がございますので、平成二十九年度に引き続き必要なデータを取得した上で費用対効果などを精査し、事業モデルの正否を判断することにしております。  また、未利用熱の利用分野につきましては、佐賀平野における地中熱の計測及び評価の具体的な手法についてを検討していくこと。また、佐賀市内における下水熱の利用の可能性を検討していくこと。温泉地におきましては、引き続き熱利用の可能性を検討していくことの予定をしております。  また、海外市場開拓調査につきましては、県内に立地をしますNGO等と連携しまして、エネルギーインフラが未成熟な発展途上国において、県内の企業様等が持つ技術などの活用が可能なニーズにつきまして把握して検討を進めてまいりたいと考えているところです。  以上、お答えします。 180 ◯井上祐輔委員=平成三十年度につきましては、基本的に引き続き取り組む事業、そして、新規事業として海外市場開拓調査が加わったということであります。  今回、新規事業として、この海外市場開拓調査を入れられた意義と目的について、どういったことがあってこの新規事業に取り組まれるのか、その点について伺いたいと思います。 181 ◯池田新エネルギー産業課長=海外市場開拓調査をやる意義等につきましてお答えいたします。  これにつきましては、先ほど委員からも御紹介いただきました佐賀県再生可能エネルギー等実現化構想の策定過程で、委員であります有識者の方や県内企業から、県内にはほかの地域と比較しても多くのNGOが立地していること、また、県内に立地するNGOは、活動地域が二十以上の国や地域に及んでいるということ。また、県内企業の取り組みを学ぶために海外の大学から、そうした県内企業にインターンも来ているということ。これらを連携させることで、県内企業であっても発展途上国などを中心として活躍できる可能性があることについて提案を受けまして検討することにしたものです。  また、ことし一月にナイジェリアの駐日大使の方が県内企業が開発した製品等の視察で佐賀にいらっしゃいました。そのときのお話などを聞いておりましても、県内企業の技術や製品が海外展開の可能性があるという認識を深めているところでございまして、まずはそうした市場調査を実施しようということで予算化をしたものでございます。  以上、お答えします。 182 ◯井上祐輔委員=ありがとうございます。  それでは、先ほどもお話がありました佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想について伺います。  これは冒頭述べましたように、昨年、知事が再生可能エネルギー等先進県実現化構想策定事業を提案され、具体的に進められてきたものであると思います。この策定の経緯について、さまざまな世界情勢、国内情勢が変化する中で、どのような経緯から佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想を策定することとされたのか、この点についてお伺いをいたします。 183 ◯池田新エネルギー産業課長=構想策定の経緯についてお答えいたします。  県としましては、地球温暖化の進展を背景としまして、その原因となる温室効果ガスの排出削減に有効な再生可能エネルギーの導入を積極的に推進していくことが必要と考えております。このため、さきに答弁しましたように、これまでも海洋再生可能エネルギーや小水力発電などの導入促進などに取り組んできたところです。  しかしながら、再生可能エネルギーのうち県内でも導入が進んでおります太陽光発電や風力発電につきましては、気象条件に大きく左右され不安定な電源であるということ。また、九州におきましては、平成三十年一月末現在で、太陽光発電については固定価格買取制度に基づく電力系統への接続可能量が八百十七万キロワットであるのに対し、既に七百七十四万キロワットが接続され、さらに四百三十八万キロワットが接続の承諾を受けているような状況です。  また、風力発電についても、接続可能量百八十万キロワットに対し、接続済み、承諾済み及び接続契約申し込みの合計が百九十二万キロワットに達しており、この接続可能量を超過しますと、無期限、無制限、無保証の接続制限への同意が求められることから、今後は量的な拡大が難しくなるということが予想されるところです。  一方、発電が安定しております再生可能エネルギーのうち、小水力発電や地熱発電につきましては、県内の賦存量が少なく、また、木質バイオマスにつきましては、県内には利用可能な資源の量が少ないということから、いずれも導入量を大きくふやすのは難しいというのが実情と考えております。  こうした状況においても、県内に存在する技術やノウハウを生かし、再生可能エネルギーの導入促進に積極的に貢献していくための構想といたしまして佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想を策定することとしたものでございます。 184 ◯井上祐輔委員=いろいろな課題がある中でこういった構想をつくられたということです。  その課題の一つとして接続可能量についても言及がありました。これについてですが、接続可能量自体を拡大していく、再生可能エネルギーの接続可能量をふやしていくといったことはできるのか、できないのか、その状況はどういうふうになっているのか教えていただきたいと思います。 185 ◯池田新エネルギー産業課長=接続可能量につきましては、電力会社が国と協議しまして決めておられます。そもそも系統線の能力を増強しない、もしくは今いろいろ検討されておりますけれども、系統線の空き容量の有効活用といったものが進まないと、この接続可能量はなかなかふえていかないのではないかと思っております。  以上、お答えいたします。 186 ◯井上祐輔委員=そういった課題がある中でこの構想がつくられたんですが、この構想の概要について伺いたいと思います。 187 ◯池田新エネルギー産業課長=構想の概要についてお答えいたします。  ただいま御答弁させていただきましたとおり、現状において県内で再生可能エネルギーの大量導入というのはなかなか難しい状況にあると考えております。  しかしながら、県内には佐賀大学海洋エネルギー研究センターにおきます低位熱利用や海洋エネルギー関連の技術や研究実績、本県の陶磁器産業から発展したセラミックス関連の技術、また、小水力発電に関連する技術や製品を持つ企業など、国内のみならず世界的にも再生可能エネルギーの普及拡大に貢献できる技術などが存在しております。  世界的に見て再生可能エネルギーなどの分野は、まだまだ長期的な成長が期待できること。また、産業としての裾野が広いとされ、中小企業であってもアイデアや技術力で参入が可能な分野であることから、国内はもとより世界に目を向けることで再生可能エネルギーの普及拡大への貢献とともに、県内産業の振興にもつなげることができる可能性があると考えております。  こうした点を踏まえまして、県内にある技術や研究実績などを生かし、県内初や県にゆかりある人、企業、技術、製品などで、日本、世界の再生可能エネルギー等の普及拡大に貢献することを目指す姿としているところでございます。  この目指す姿の実現に向けた具体的な取り組みの方針としまして、第一に太陽光及び風力発電を将来的にさらに拡大するため、発電量の不安定さを調整する仕組みの構築に取り組むこととしており、例えば、電力に余剰が生じた際に水素や熱などの形でエネルギーを蓄え、必要に応じてエネルギーとして活用するといった方法などを考えていければと考えております。  第二に、多様な再生可能エネルギー資源の活用を推進することとしており、これは先ほど御答弁しました海エネ産業推進事業や再生可能エネルギー関連産業促進事業の取り組みが該当してまいるかと思っております。  第三に、CO2の排出がより少ないガス燃料への転換や、エネルギー消費量を減らすための取り組みなど、多様なCO2削減手段の検討。
     第四に、県内の技術、製品などを発展途上国を中心とした諸外国に展開するための方策についての検討、こういったものを設定しているところでございます。  以上、お答えします。 188 ◯井上祐輔委員=この問いの最後に石橋産業労働部長にお伺いをしたいと思います。  石橋部長は、これまでも産業労働部長として産業労働分野全体について統括され、佐賀県の産業労働分野に力を発揮していただいたと思っております。この再生可能エネルギーの普及や推進についても同様であると思います。  今、社会的にも再生可能エネルギーの普及が叫ばれている中で、県はこの構想の実現に向けた取り組みとしてどのような取り組みを進められるのか、石橋産業労働部長にお伺いをいたします。 189 ◯石橋産業労働部長=この構想の実現に向けた取り組みにつきまして、先ほど来、課長が答弁しておりますように、県といたしましては、温室効果ガスの排出削減に有効な再生可能エネルギーの導入を積極的に推進していくことが必要との考え方から、これまでもその導入促進に取り組んできたところでございます。  ただ、御承知のとおり、本県は再生可能エネルギーの賦存量が少ないと、気候も穏やかというところがございまして、その賦存量が少のうございます。太陽光発電、風力発電、先ほど系統の問題が出ていましたが、それだけ不安定な電力を活用するためには、そのバックアップ電源としてどうしても火力を必要としますし、余りにも切りかえが急激に大量な量になりますと、そこの切りかえがうまくいかずに大停電を起こすというようなおそれもありますので、ある一定の接続容量は維持しなければいけない。  そういうことを考えますと、佐賀県自体として、地域自体として再生可能エネルギーを量的に拡大していくということはかなり難しいだろうと思っています。  ただ一方で、先日のパリ協定の発効など、再生可能エネルギーの重要性というのは世界的にも増しておりまして、こういったことからすると、産業として見た時にも長期的にも成長が見込まれる分野でございます。  また、アフリカやアジア諸国などにある未電化地域では、県内企業が取り組めるような規模の小さな発電設備に対する需要がございます。きのうの視察の時にもフロッグジャンプというものがございましたけれども、何もかもすっ飛ばして真っ直ぐ電気を使う、そのためには配線がないところでどう使うかといったことを考えなければいけないとすれば、県内の企業に技術があるような規模の小さな発電設備をその場所で使える、そういったことを考えると、これから市場として見た時には、かなりの規模の可能性が期待できるのではないかと考えております。  そうした意味でも、再生可能エネルギーの分野というのは、県内の中小企業にとりましても事業分野としても有望であって、産業政策としても取り組みが必要だと思っております。  一方で、再生可能エネルギーということでエネルギーの地産地消を進めることになってきますと、今、その地域の資金の一〇%はエネルギー代とし外に出ていると一般的に言われています。その外に出ている資金をエネルギーの地産地消を進めることで地域内での循環に持ってくるということも可能になるだろうと考えております。  そうしたことを踏まえると、この構想に書かれているように、とにかく将来の産業化につなげることを強く意識しつつ、県内発、あるいは県にゆかりがある人、技術、製品等で日本や世界の再生可能エネルギーの普及拡大に貢献していきたいと考えております。  今後、海洋再生エネルギーとか小水力発電など、これまで行ってきた取り組みについては成果が出せるように引き続き取り組むとともに、策定した構想を踏まえ、例えば、太陽光発電や風力発電の課題でございます発電出力の不安定さの解消でございますとか、現状では十分に活用ができていない再生可能エネルギーの用途開発といった長期的な視点で、佐賀県でその取り組みを展開していく。そういうことでこの分野の先進県に必ずやなれると思っていますし、そのことが日本、さらには世界における再生可能エネルギーを中心とした社会というものの実現に貢献できると思っておりますので、今後、県としてしっかりとそういったことにも取り組んでいくこととしているところでございます。  以上、お答えいたします。 190 ◯井上祐輔委員=ありがとうございました。この再生可能エネルギーの先進県に必ずやなれるという強い思いも感じました。今後、県としても地産地消の発電、また、地域産業の振興についても寄与するこの再生可能エネルギーの推進について、より一層力を入れていただきたい。このことをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。 191 ◯八谷委員長=これで質疑を終了いたします。  暫時休憩します。     午後四時二十五分 休憩     午後四時二十七分 開議 192 ◯八谷委員長=委員会を再開します。  これより議案についての討論に入りますが、ただいまのところ討論の通告はあっておりません。討論はないものと認めます。よって、討論を終結し、直ちに採決に入ります。     ○ 採      決 193 ◯八谷委員長=まず、甲第一号議案「平成三十年度一般会計予算」中本委員会関係分、甲第十八号議案「平成二十九年度一般会計補正予算(第五号)」中本委員会関係分、以上二件の議案を採決いたします。  原案に賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 194 ◯八谷委員長=起立者多数と認めます。よって、以上二件の議案は原案のとおり可決されました。  次に、乙第三十八号議案「県営土地改良事業に対する市町の負担について」を採決いたします。  原案に賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 195 ◯八谷委員長=起立者多数と認めます。よって、乙第三十八号議案は原案のとおり可決されました。  次に、甲第四号議案、甲第五号議案、甲第九号議案から甲第十一号議案まで三件、甲第十七号議案、甲第二十号議案、甲第二十一号議案、甲第二十五号議案から甲第二十七号議案まで三件、甲第三十一号議案及び乙第二十六号議案、乙第二十七号議案、以上十四件の議案を一括して採決いたします。  原案に賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 196 ◯八谷委員長=全員起立と認めます。よって、以上十四件の議案は原案のとおり可決されました。  次に、請願についての討論に入りますが、ただいまのところ討論の通告はあっておりません。討論はないものと認めます。よって、討論を終結し直ちに採決に入ります。  請第一号請願「住民の理解は得られていません 玄海原発の再稼働を認めないことを求める請願」を採決いたします。  本請願を採択することに賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 197 ◯八谷委員長=起立者少数と認めます。よって、本請願は不採択となりました。     ○ 継 続 審 査 198 ◯八谷委員長=最後に、十一月定例会から引き続き審議中の 一、産業労働行政について 一、農林水産行政について  以上、二件につきましては、諸般の検討が必要ですので、閉会中の継続審査といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 199 ◯八谷委員長=御異議なしと認めます。よって、以上二件についての継続審査を議長に申し出ることにします。  以上で本委員会に付託された案件の全部を議了いたしました。  これをもちまして農林水産商工常任委員会を閉会いたします。どうも御苦労さまでした。     午後四時三十一分 閉会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...