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  1. 佐賀県議会 2017-12-12
    平成29年農林水産商工常任委員会 本文 開催日:2017年12月12日


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     午前十時一分 開議 ◯八谷委員長=おはようございます。ただいまから農林水産商工常任委員会を開催いたします。  これより質疑に入ります。通告に従い順次発言を許可します。 2 ◯井上祐輔委員=おはようございます。日本共産党井上祐輔です。今回、国の農業政策について二項目、質問をさせていただきます。  まず、農業についての考え方を述べさせていただきたいと思います。  農業には、私たちが生きていくために必要不可欠な食料を生産すると同時に、農業を営むことによって人が集まり定住する。農地があることで川や里山を保全しながら、そこではお祭りなどの地域特有伝統文化が育まれ、地域での消防団活動など、さまざまな活動が行われていく循環する社会の中で、全ての礎となるものが農業ではないかと思います。だからこそ、何よりも最優先で守っていかなければいけないものだと思います。  人口減少が進む中、多くの農村地域を持つ本県において、農業を守っていくということは、地域コミュニティーを守り、人が暮らし続けていく環境を継続していく大変重要な役割を持つものだと思います。  全国では、自営の農業を生活の中心とする四十九歳以下の基幹的農業従事者は、二〇一五年十七万七千五百人でしたが、二〇一六年には十六万二千三百人、二〇一七年には十五万八千六百人と減少し、農業者の高齢化も一つの問題となっています。  このような中、政府は、「企業が一番活躍しやすい国」を公言し、TPPの国会批准、日欧EPAでは、TPP水準を上回る市場の解放を受け入れるなど、農産物の自由化拡大に突き進んでいます。国内では、来年から米の生産調整や、十アール当たり七千五百円の米の直接支払交付金が廃止されます。  戦後、食料難を経験した日本は、食料の確保のためには種子が大事であり、国民に食料を供給する責任を負う、こういった国の明確な意思のもとで、米、麦、大豆などの主要農作物を対象に、優良な種子の安定供給を支えてきた種子法が廃止されることが、ことし二月の閣議決定、四月の衆参それぞれ、たった五時間ずつの短時間の審議で、国民にも十分知らされない中で廃止することが決められてしまいました。このことは、作物をつくる農家や、また、消費者にとっても大きな不安を与えています。  人口減少が進む中で、本県の基幹産業でもある農業の維持発展にさらに力を注ぎ、農業の再生産のみではなく、農業にかかわる方も育てていくことが重要だと思います。  まず、一項目めの主要農作物種子法の廃止について伺います。  主要農作物種子法については、先ほど述べた経緯があり、戦後、一九五二年、サンフランシスコ講和条約が結ばれた翌月、五月に法がつくられました。これまで長い間、国、県、農協などと共同して地域の特性に合わせた開発や種子の安定供給が行われてきました。米については、日本の中でも気候や特性に合わせ、約三百品種の種子が開発、生産されているとも伺っています。  しかし、今回、政府の規制改革推進会議で、主要農作物種子法が民間の品種開発意欲を阻害しているなど、強い指摘が行われ、本年四月に国会で廃止が決定しました。国会の参考人招致では、慎重審議や十分な資料の説明をすること、国民的な議論が必要だとの意見もある中で、委員長の職権で審議が打ち切られ、本会議で廃止法の可決、成立がなされました。  国は、法律を廃止しても種子の安定供給をしっかり行うと言っていますが、法律がなくなることで国や都道府県の関与が薄くなり、予算の措置がこれまでどおりに行われないことや、安心・安全な米、麦、大豆の生産、供給に支障を来すのではという声も伺うところです。  そこで、幾つかの点を確認していきたいと思います。  まず、主要農作物種子法の役割についてです。  米、麦、大豆などの生産にも力を入れている本県にとって、これまで主要農作物種子法はどのような役割を果たしてきたのか伺います。 3 ◯永渕農産課長主要農作物種子法の役割についてお答えいたします。  主要農作物種子法は、委員が述べられましたとおり、戦後の食料増産を果たすために、稲・麦類及び大豆の種子については、国や都道府県が主導して生産普及を進める必要があるとの観点から、昭和二十七年に制定されたものでありまして、この法律に基づきまして都道府県が中心となって種子の生産を進めるものとなっております。
     具体的には、都道府県が行う役割といたしましては、稲、麦、大豆それぞれの種子の安定供給のための計画を策定すること、次に、種子やその親となる原種などを生産する圃場を指定し、優良な種子が生産されているかどうかを栽培期間中に確認するということで、これは圃場審査が二回、それに、生産された種子の品質を検査、生産物審査といいますけれども、これは発芽率審査をやるということでございます。次に、種子の生産者に対して優良な種子を生産する上での勧告、助言、指導をすること。次に、地域の実情に応じた優良品種を選定するための試験を行うことなどが規定されておりまして、県では、この規定に沿って農業団体とも連携しながら、優良品種の選定、優良種子の生産や管理などを行ってきたところでございます。  本県におきましては、こうした取り組みによりまして、地域に適応し、広く普及するにふさわしい優良品種の良質な種子が農業者に安定的に供給されてきたところでございまして、主要農作物種子法につきましては、本県農業者の米、麦、大豆の安定生産に寄与してきたものと考えております。 4 ◯井上祐輔委員=これまで長い間、種子を安定的に供給してきた主要農作物種子法の役割ですが、具体的に佐賀県の中では米の種類についても「さがびより」とかいろいろな種類がありますが、これまで県として具体的にどのような品種の育種をし、開発されてきたか、その点について伺いたいと思います。 5 ◯永渕農産課長=まず、優良品種につきましては、県で奨励品種ということで決定するようになっております。現在、米については、十五品種あります。大豆については、現在、二品種ございます。麦については、大麦で二品種程度だったと思います。小麦は二品種、「シロガネコムギ」と「チクゴイズミ」という品種がございます。(130頁で訂正)  まず、県段階では、今後、県内に普及する品種を奨励品種ということで決定します。それに基づきまして、その品種に必要な種子を農業試験研究センターで元種をつくります。それを一般の種子生産者に配布して、種子生産者が種子として生産されたものを一般の農家に普及するということで生産しているところでございます。  以上でございます。 6 ◯井上祐輔委員=今、答弁をされたように、米だけでも十五品種あるということは、私も今初めて知ったところです。この間、県とJAなどとも共同して、その地域に合った特性のある種子を開発されて、また、安定的に供給されてきたということです。  今回、政府は、当面、従来同様の財政措置を行うと言っており、仕組みも大きく変わらないと、このようにも言われていますが、今回の主要農作物種子法の廃止によって、県ではどのような影響があると考えられているのかお伺いをします。 7 ◯永渕農産課長主要農作物種子法廃止の影響についてお答えをいたします。  昨年、規制改革推進会議が、「戦略物資である種子・種苗については、国は、国家戦略知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する。そうした体制整備に資するため、地方公共団体中心システムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法は廃止する」という提言を行ったところでございます。  これを受けまして、国では、良質で、かつ低廉な農業資材の供給を進めていく観点から、現在の種子の開発・供給体制が、先ほど申し上げましたとおり、地方公共団体中心システムになっているということから、民間の品種開発意欲を阻害しているという観点で主要農作物種子法を廃止するとされたところでございます。  しかしながら、去る十一月二十日に九州農政局で開催されました主要農作物種子法の廃止に関する国の会議におきまして、国のほうからは、主要農作物種子法は廃止するものの、県がこれまで実施してきた種子に関する業務を直ちに取りやめることを求めているものではない。また、民間事業者による稲・麦・大豆の種子生産への参入が進むまでの間、県は、種子の増殖に必要な栽培技術等の種子の生産に係る知見を維持し、それを民間事業者に対して提供する役割を担うことが重要ということで、現在、主要農作物種子法に基づき、県が実施している事務に対して講じられております地方交付税措置につきましては、引き続き措置していくと説明されたところでございまして、都道府県に対しましては、これまでどおりの対応を求められたところでございます。  こうしたことから県では、主要農作物種子法が廃止されます来年四月以降も、農家の皆さんが優良種子の確保に困ることがないよう、地域に適応する優良品種の選定や種子の生産や管理などについても、これまでと同じような対応をしていくこととしておりまして、現時点で、この法律が廃止されても影響はないものと考えております。  以上でございます。 8 ◯井上祐輔委員=現時点で大きな影響はないという答弁でありましたが、政府の説明の中でも、地方交付税措置は引き続き行っていくといった説明もあったようです。  しかし、公的資金が減少していく可能性、現段階では、そういった影響はないと言われるものの、この法がなくなったことによって将来的に長い目で見れば、これまで種子の開発や育種などに対して国が行ってきた財政措置がどんどん減らされてしまうのではないか、そういった声も伺っているところです。  国は、予算を確保していくために努力をすると言われていますが、これまでの予算が維持できるのかという国会での質問に対して、「現状が維持できる」、このようにはっきりと答弁することはありませんでした。  今後、法が廃止されたことによって、これまでと同等の財源措置が行われない可能性がないことはないと思いますが、県としても、これまで安定的な種子を供給してきた立場で、今後、そういった財源についても減る可能性があるという認識を持っておくことは大事なことではないかと思いますけれども、その点についてはどのように認識されているでしょうか。 9 ◯永渕農産課長=国からは、これまでどおり財政措置はきちんとするという話をいただいておりますので、その点についてはきちんと対応していただくよう、国に対して今後きっちり申し上げていきたいと思います。いずれにしても、農家の皆さんが困らないようなことを国に対しては求めていきたいと思っております。  以上でございます。 10 ◯井上祐輔委員=私も、国に対する要望は大事なことであると思います。  今回、主要農作物種子法の廃止後も、従来どおり、都道府県種子生産に予算が確保されるように求める附帯決議が国会で採択されています。しかしながら、そういった心配をされている方々もおられる中で、そのような農家の皆さんの声もしっかりと受けとめて、国に対しても、さまざまな機会を通じてしっかりと要望を行っていただきたいと思います。  今回、この質問をする際に、大学の農学部の教授にもいろいろお話を聞いたり、また、農協関係者の方々にもお話を聞いてきました。  この主要農作物種子法の廃止については、公的資金のサポートがなくなれば、佐賀県など各県でこれまでつくられてきた仕組みが維持できなくなってしまって、農家は企業の高価な種子を買わざるを得なくなる状況も、もしかすれば生まれるのではないか。しかも、その地域の特性に合った作物の種子が得られなくなる可能性もあるのではないかということも指摘しておられました。  そうなってしまえば、佐賀県独自の特産品、これまでつくってこられたさまざまなノウハウや知見などの蓄積についてもどうなってしまうのかという心配もしておられます。そういったことにならないように県としてもしっかりと対応していただきたいと思います。  三番目の今後の対応について伺います。  廃止は、ことし四月に決まり、国からは夏ごろをめどに、今後、国、県、農協などが具体的にどのように対応していくのかガイドラインを示すという話も伺っております。農協にも伺ってお話を聞かせていただいたんですけれども、どこがどのように変わっていくのか、なぜ変えないといけないのかよくわからないといったお話もされていました。  県として、来年三月の主要農作物種子法廃止に対して、今後、どのように対応していこうと考えられているのかお伺いいたします。 11 ◯永渕農産課長=その前に、先ほど奨励品種の数を申し上げましたが、正式に現時点の数を再度申し上げます。稲が十一品種です。麦が十五品種です。大豆は同じく二品種です。すみません。  今後の対応についてお答えをいたします。  県といたしましては、種子の生産や管理などに関しまして、これまでと同じような対応を行っていくこととしておりますが、主要農作物種子法廃止後の県の対応につきましては、先ほど、委員からもお話がありましたように、ガイドラインが国からまだ示されていない点もあります。そうした点がきちっと明らかになり次第、優良種の確保や、その利用に影響を及ぼさないことを念頭に置きながら、農業団体とも協議して対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。 12 ◯井上祐輔委員=夏にそういったガイドラインを示すと言われていたものが、冬になっても、いまだに国は示さないと。こういう状況の中で、なぜ急いで主要農作物種子法を廃止する必要があったのかということも私は感じています。  県では、農協や農家の皆さんとしっかりと協力していきながら、今後も安定的に種子を供給していく、その役割をしっかり担ってほしいと思っています。  次に大きな二項目め、持続可能な佐賀県水田農業の発展について伺います。  最近の農業を取り巻く情勢を見ると、農業者の減少や担い手不足に加え、農産物価格の低迷など厳しい状況が続いています。  また、日EU、EPA大枠合意や「包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」の大筋合意などによって、日本の農林水産業は、今後、新たな国際環境にさらされ、厳しくなっていくことも予想されます。このような中、農業者の皆さん、県も含めてそれぞれの地域で佐賀農業の発展のために一生懸命頑張っておられると思います。  冒頭にも述べましたが、このような農業の生産活動は、食料の生産だけでなく、人が住むためのコミュニティーを維持・発展させる役割も担っていると思います。私がお話を伺った農協関係者の方からも、農業は単に農作物の生産だけではなくて、経済的な政策、所得の部分と地域政策、地域をどう保全して、誰が守っていくのか、この二つがかみ合っていかなければならない、このようなお話もされていました。しかし、今の政府に対しては、経済にウエイトが置かれているのではないかと、このようなお話もされていました。  そして、特に難しいのは中山間地域だとも言われていました。中山間地域での農業振興には特効薬はなく、地域でどの圃場を残して保全していくのかを話し合っても、じゃ、五年後、また十年後に誰が責任を持ってやるのか、そういった話をしていくと、なかなか展望も見えてこない、そういったところも多いとお話をされていました。  このような中で、国は、米政策の見直しとして、行政による米の生産調整を平成三十年産からやめるとともに、米をつくる農家の経営安定に貢献してきた米の直接支払交付金まで廃止することとなっています。このことは農業者にとっても大きな打撃であり、本県の水田農業の衰退にもつながるのではないか、そういった危惧もしているところであります。そのようにならないためにも、国、県は、農業者が安心して農業経営ができるように、さらに農業者に寄り添った対応をしていただきたいと思います。  まず一番目に、県内の今の状況について伺いたいと思います。  全国では、二十二年前の平成七年、自営の農業を生活の中心とする基幹的農業従事者が二百五十六万三十二人から、平成十七年には二百二十四万六百七十二人、平成二十七年には百七十五万三千七百六十四人と、この二十年間で約八十万人の減少、率にすると六八%まで落ち込み、歯止めがかからない状況が続いています。  本県における過去二十年間の基幹的農業従事者の推移について、どのような状況になっているのかお伺いをします。 13 ◯永渕農産課長基幹的農業従事者の状況についてお答えをいたします。  基幹的農業従事者数の推移を農林水産省が五年ごとに公表しております「農林業センサス」で見てみますと、平成七年に三万九千九百四十三人であったものが、平成十二年には三万六千八百三十九人、平成十七年に三万二千六百二十人、平成二十二年に二万七千六百四十八人、平成二十七年に二万三千九百六十六人と、この二十年間で約六割まで減少している状況にあります。  以上でございます。 14 ◯井上祐輔委員=全国でも六割程度まで減少していますが、佐賀県の中でも同じように六割ぐらいの減少となっています。  また、県からいただいた資料を見てみますと、年齢構成で言えば十五歳から八十五歳以上までの年齢で分けてありますが、これで六十五歳以上の農業者を見てみると、農業にかかわっておられる二万三千九百六十六人のうち五七・九%が六十五歳以上の農業者となっているということで、この数字からも、高齢化も大きな特徴ではないかと思います。  二つ目の米農家の推移について伺います。  これも過去二十年について、どのような状況になっているのかお伺いします。 15 ◯永渕農産課長=米農家の推移についてお答えをいたします。  米農家の推移を「農林業センサス」における販売目的で水稲を作付している経営体数で見てみますと、平成七年に三万六千六百九十一経営体であったものが、平成十二年に三万一千四百五十二経営体、平成十七年に二万七千二百三十六経営体、平成二十二年に一万二千百五十五経営体、直近の平成二十七年の経営体数は一万四百九十一経営体となっております。  なお、平成十七年から平成二十二年の間に経営体数が大きく減少しておりますけれども、これは「農林業センサス」における経営体の捉え方が変更されて、それまで集落営農組織の場合は、構成員それぞれを一経営体とカウントしておりましたけれども、集落営農組織自体が一経営体とカウントされるようになりましたこと。加えまして、平成十九年に始まりました品目横断的経営安定対策によりまして、県内では平成十七年以降、多くの集落営農組織が設立されましたことから、統計上、経営体数が大きく減少したように見えているところでございます。  以上でございます。 16 ◯井上祐輔委員=それでは、耕地面積の推移について伺いたいと思います。  県内での田畑などの耕地面積がどのように推移してきたのか。これについても過去二十年の状況をお示しいただきたいと思います。 17 ◯永渕農産課長耕地面積の推移についてお答えいたします。  田の耕地面積の推移を農林水産省作物統計調査から五年ごとに見てみますと、平成七年に四万六千五百ヘクタールであったものが、平成十二年に四万五千ヘクタール、平成十七年に四万四千五百ヘクタール、平成二十二年に四万三千八百ヘクタール、平成二十七年に四万三千百ヘクタールと、この二十年間で三千四百ヘクタール、率にして約七%程度減少している状況にあります。  以上でございます。 18 ◯井上祐輔委員=率にすれば七%くらいの減少ということで、この数字を見れば最初の一九九五年では、五年間の減少面積として二千二百ヘクタールが減少していますが、二〇一五年では七百ヘクタールの減少ということで、徐々にこの減少は落ち着いてきているのかなというふうな感じも見受けられます。  しかし、この面積が減った分、どのようなものになっていったのかというところを見てみますと、荒廃農地が二〇〇五年では二十九ヘクタールだったのが、二〇一五年では二百六十八ヘクタールと大きな荒廃農地になっていることが少し気になるところではないかと思います。この荒廃農地がふえていくことは、できる限り抑えていかなくてはいけないと思いますけれども、県としては、この荒廃農地がふえたことをどのように考えておられるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。 19 ◯永渕農産課長荒廃農地の増加の要因についてでございますが、佐賀県を大別しますと、佐賀県の水田の約七割が平たん地にございます。残りの三割が中山間地でございます。この増えた要因については、平たん地では荒廃農地はほとんど発生していないと思っていますけれども、中山間地域を中心に条件が非常に悪い、例えば、機械が入れないような圃場については、農家の皆さんが、もう管理ができないということで、それが徐々に荒廃した農地があるということで、その分がふえている状況にあるという認識でございます。 20 ◯井上祐輔委員=この数値からも、中山間地の農業がいかに厳しいかということがわかるのではないかと思います。  二項目め、米の直接支払交付金について伺いたいと思います。  米の直接支払交付金は、米の生産数量目標に従い、販売目的で生産、耕作をする販売農家、集落営農に対して、十アール当たり七千五百円が支払われるという制度です。この制度が米の生産調整と同時に来年から廃止されることは、農家にとっても深刻な影響を与えるのではないかと危惧しています。  食糧法第一条では、米が主食として重要な農作物としての地位を占めていることを踏まえ、主要食糧の需給及び価格の安定を図り、もって国民生活と国民経済の安定に資することを目的とすると明記されています。  このような重要な米でありますけれども、今回の廃止については、平成二十五年、安倍政権のもとでつくられた「農林水産業・地域の活力創造プラン」で、米については、諸外国との生産条件格差から生じる不利はなく、構造改革にそぐわないとして廃止することが決定されました。  激変緩和措置として、十アール当たり一万五千円支払われていたものが、平成二十六年から半額の七千五百円。そして、今回、その全額が払われなくなるというもので、農家に与える影響は大きく、生産意欲の低下や農業従事者の減少にもつながるのではないかと思います。  私は、守るべきものは、しっかりと守り、農家の所得保障や価格保証などを行い、安心して農業に取り組める環境整備も大切なことではないかと思います。  まず、県内の米づくりの現状について伺いたいと思います。  二〇一四年の米価暴落は、県内にも大きな影響を及ぼしました。三年たった今も、価格は回復してきたといっても、また米価暴落が起きるのではないか、こういった不安を持つ方もいらっしゃると思います。このような中で、県内での米の生産費や価格など、米づくりの現状がどのようになっているのかお伺いをします。 21 ◯永渕農産課長=県内の米づくりの現状についてお答えいたします。  本県では、整備された水田や共同乾燥調製施設を活用いたしまして生産性の高い米づくりが行われておりまして、平成二十七年産で申し上げますと、本県の十アール当たりの水稲の生産費は十二万一千六百八十六円となっておりまして、これは全国で十番目の順位になっています。  ちなみに、前年の平成二十六年産で見ますと、全国一位でございました。これはサンプルのとりようで若干数字が変わりますけれども、いずれにしても、全国トップクラスの低コスト生産を実現しているということでございます。  これは、本県が米のみならず、麦や大豆も含めまして、農業機械や乾燥調製施設などの有効利用を図っていることによるものでございます。  また、平成二十八年産米の相対取引価格を国の資料で見てみますと、本県の主力品種でございます「さがびより」につきましては、六十キロ当たり一万四千百三十三円となっておりまして、相対取引されています全国主要百十六銘柄の中で、「コシヒカリ」に次いで全国第二位の作付品種であります宮城県の「ひとめぼれ」よりも若干上の四十六番目ということで、ちょうど中位に位置しております。  以上でございます。 22 ◯井上祐輔委員=さまざまな努力がなされて、低コストで米が生産されているということでありました。  二番目の米の直接支払交付金の実績について伺いますが、米の直接支払交付金について、本県での直近三カ年の交付面積、また、交付金額の実績はどのようになっているのかお伺いをします。 23 ◯永渕農産課長=直接支払交付金の交付実績についてお答えをいたします。  本県における米の直接支払交付金の直近三カ年の交付面積及び交付実績につきましては、平成二十六年度は、交付面積が二万二千七百八十二ヘクタールに対しまして、交付金額が約十七億一千万円。平成二十七年度は、交付面積が二万二千五百八十三ヘクタールに対しまして、交付金額が十六億九千万円。平成二十八年度は、交付面積が二万二千四百三十二ヘクタールに対しまして、交付金額が十六億八千万円となっております。  以上でございます。 24 ◯井上祐輔委員=平成二十八年度では、本県に十六億八千万円の米の直接支払交付金の実績があると。これが来年からはゼロになるということでは、大きな影響があると言っても過言ではないと思います。  県内農業者の受けとめについて、県として米の直接支払交付金が廃止されることによって、農業をされている皆さんがどのような声を出されているのか、どういうふうに把握しておられるのかお伺いをします。 25 ◯永渕農産課長=県内の農業者の今回の廃止に伴う受けとめ方についてでございますが、米の直接支払交付金が廃止されますことについて、県内の農業者からは、まず、「収入が減少することにより経営的に影響がある」、「米価が下落したときにありがたかったけれども、この交付金がなくなることで農業機械や施設への投資が難しくなる」など、比較的規模が大きい農業者ほど今後の経営を心配する声が聞かれたところでございます。  以上でございます。 26 ◯井上祐輔委員=そういった農家の声も踏まえて、米の直接支払交付金がなくなることは、県内農家にとっても大きい影響を与える。そういったことに対して県内米農家に対する影響について、県としてどのように認識されているのかお伺いをします。 27 ◯永渕農産課長=県内米農家への影響についてお答えをいたします。  米の直接支払交付金の廃止が平成二十五年末に決められまして以降、国による周知が図られてきたところでございます。農業者は不満を持たれておりますけれども、米の直接支払交付金が廃止されること自体は認識されているものと考えております。  今回の米の直接支払交付金の廃止によりまして、米農家にとりましては一定の収入減になることは事実でございます。ただ、そうした一方で、国において、水田活用の直接支払交付金などの支援を充実されておりまして、例えば、飼料用米などの主食用以外の作物への作付誘導が図られました結果、全国的には五十年間の間、一回も生産調整を達成していませんけれども、実は、平成二十七年、平成二十八年に初めて生産調整が達成されました。これによりまして、ことしの米の価格は上昇している状況にございます。  これを十アール当たり粗収益で試算してみますと、本年産は現時点で平成二十八年産と比較いたしまして約六千七百円上回っております。交付単価でございます十アール当たり七千五百円の約九割は、既に補えている状況にあります。  したがいまして、今後、米の需給調整による米価の安定を図りますとともに、コスト低減による農家の所得確保が、より重要になってくるものと考えております。  以上でございます。 28 ◯井上祐輔委員=作付の誘導などで生産調整が行われていたというお話もありましたが、私が住んでいる唐津などは中山間地が多く、田んぼの水はけも余りよくないということで、麦がつくれなかったり、裏作ができなかったり、そういった条件もございます。県内の七割が平たん地の圃場であり、三割が中山間地だというお話もありましたけれども、中山間地に対してどのように対応していくのかということが非常に大事なことではないかと思っております。  最後に、課題と今後の対応について伺いたいと思います。  国の制度や方針も変化していく中で、本県として水田農業が維持・発展することは、地域コミュニティーを守り、また、生活を守る上でも欠かせないものだと思います。  県では、佐賀県水田農業が持続的に発展していくためにも、課題をどのように捉え、また、どのように対応していこうと考えられているのかお伺いをいたします。 29 ◯永渕農産課長水田農業の課題と今後の対応についてお答えをいたします。  人口減少や食生活の変化に伴いまして米の消費量が減少する中では、先ほども述べましたが、米の需給の均衡が図られるよう、需要に応じた米の生産に取り組むことが重要でございます。  平成三十年産は、委員御指摘の米の直接支払交付金十アール当たり七千五百円の交付もなくなりますことから、農家所得を確保するために、平たん部におきましては、主食用米に需要のある麦でありますとか大豆などを適切に組み合わせた水田フル活用を推進しますとともに、加えて、農業機械の共同利用でありますとか、農地中間管理事業を活用した担い手への農地の集積によって生産コストの一層の低減を推進してまいりたいと考えております。
     また、先ほどお話があった中山間地域では、棚田米でありますとか、例えば、伊万里市の「深山夢しずく」でございますとか、唐津市の「天川コシヒカリ」など、地域の特徴を生かしたこだわりや物語りのある米づくり、または野菜などの高収益作物の導入、さらには、交付金によって一定の所得が期待できる、例えば、飼料用米などの需要に応じた作付を推進することによりまして、農家所得の確保を図りますともに、農作業の受委託を活用した省力化などにも力を入れていきたいと考えております。  特に、飼料用米につきましては、例えば、伊万里市ではライスセンターを飼料用米専用にいたしまして広域的な取り組みをやっている事例もございますので、そういう事例を紹介しながら、中山間地域にとって一番所得が上がる品目の選定を含めて、これから力を入れていきたいと思っております。  いずれにしましても、地域の実情に応じた担い手を育成いたしますとともに、高品質で低コストな生産を一層推進するなどしまして、本県農業の基盤でございます水田農業の維持・発展にしっかり取り組んでまいります。  以上でございます。 30 ◯井上祐輔委員=本県の中でもさまざまな環境の条件がある中で、その地域、地域に適した政策をしっかりと行っていただいて、本県の水田農業、また、全体の農業としても維持・発展させていただきたいとお願いをして、私の質問を終わります。 31 ◯井上常憲委員=自由民主党の井上常憲です。今回は六項目についてお伺いいたします。  森林・林業を取り巻く状況は、採算性の悪化などによって非常に厳しいものがあります。適切な森林の手入れが進まずに荒廃した森林が増加していくのではないかと危惧されております。  このような中、県では、平成二十年度から佐賀県森林環境税を導入して、現在は平成二十五年度から平成二十九年度までの五カ年を第二期目として、県民初め、県や市町が力を合わせて荒廃森林の再生などに取り組まれているところでございます。  森林環境税については、今年度が最終年度となっておりまして、県では、これまでの事業の検証を行うとともに、県民アンケート調査などを踏まえて、税の継続や事業内容の見直しなどについて検討を行って、平成三十年度以降の継続に向けて、今、議会に条例の改正案を提案されています。  私は、森林環境税について、県内の森林整備を進めていく上で非常に有効であって、今後とも継続するということで、効果的に活用すべきであると考えております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  まず、森林環境税の仕組みと税収についてお伺いいたします。  森林環境税の制度内容はどのようになっているのか。また、二期目の税収はどのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。 32 ◯外尾森林整備課長=森林環境税の制度内容と第二期目の税収についてお答えいたします。  まず、制度内容でございますが、森林環境税は、水源の涵養、県土の保全や地球温暖化の防止など、多様な公益的機能を有する森林を県民みんなで支えるとの趣旨から、森林環境保全のための財源に充てることを目的に、平成二十年四月から導入しております。  森林環境税は、県民税均等割に上乗せしまして一括して課税しております。個人の方には個人県民税均等割に年額で五百円を加算しており、法人には法人県民税均等割の年額二万円から八十万円に、その五%相当であります千円から四万円を加算して負担いただいているところでございます。  森林環境税の税収につきましては、佐賀県森林環境税基金に積み立て、森林環境の保全のための各種事業に充てております。  続きまして、第二期目の税収額についてでございますが、個人県民税分と法人県民税分の合計額で、平成二十五年度から毎年約二億四千万円となっておりまして、今年度までの五カ年で約十二億円を見込んでいるところでございます。  以上でございます。 33 ◯井上常憲委員=それでは、主な事業の内容についてお伺いいたします。  森林環境税は、荒廃森林の整備などに活用されていると思いますが、第二期目における主な事業内容はどのようになっているのか。また、森林整備のために高性能の林業機械等の導入についての支援を行っているのか、そのことについてお伺いいたします。 34 ◯外尾森林整備課長=主な事業の内容についてお答えいたします。  森林環境税の主な事業の内容としましては、まず、環境保全の観点から、特に重要な森林として県内一円に十カ所設定しております環境林内の荒廃した人口林におきまして、県が森林所有者にかわって間伐を行い、将来的に針葉樹と広葉樹が混じり合った森林に誘導します荒廃森林再生事業、また、環境林以外の森林で公益的機能の発揮が期待される森林を対象に市町が行う間伐などの公的整備に対して支援を行います重要森林公有化等支援事業、さらに、CSOなどの県民の皆様が自ら企画して行う活動、例えば、侵入した竹の除去や広葉樹植栽活動などに対しまして支援を行います県民参加の森林(もり)づくり事業などを実施しております。  なお、委員が御指摘されました高性能林業機械の導入支援についてでございますが、高性能林業機械は、森林組合等が行う搬出間伐などの効率化を図るために導入するものでありまして、森林環境の保全を目的とする森林環境税ではなく、林業振興の観点から国の交付金等を活用して支援しているところでございます。  以上でございます。 35 ◯井上常憲委員=それでは、これまでの実績と成果についてお伺いします。  第二期における主な事業の実績と成果はどのようになっているかお伺いいたします。 36 ◯外尾森林整備課長=これまでの主な事業の実績と成果についてお答えいたします。  まず、県が森林所有者にかわって行う荒廃森林の間伐については、県内十カ所の環境林におきまして、計画面積の一千八百ヘクタールに対して千八百四十五ヘクタールの実施見込みとなっております。  この事業の成果といたしましては、例えば、県北部の玉島川周辺環境林では、森林の土壌流亡を防ぐ下草のカバー率、植被率といいますが、それが間伐実施前は二〇%であったものが、実施後では八〇%まで向上しております。  このように、間伐を実施した箇所では植物の自然導入が進み、森林の土壌保全機能の向上が図られております。  また、市町による公的整備につきましては、唐津市ほか九市町において、計画面積の二百ヘクタールに対して三百八ヘクタールの実施見込みとなっておりまして、地域の状況に応じて荒廃森林の間伐や荒廃竹林を伐採して広葉樹を植栽するなど、きめ細かな森林の公的管理が進みつつあります。  さらに、CSOなどの県民参加による森林(もり)づくりでは、人工林に侵入した竹の除去や広葉樹の植栽など、二期目のこれまで五年間では三十団体、延べで言いますと七十七件の活動に対して支援しておりまして、活動参加者数も年々増加するなど、森林づくりに対する理解醸成が見られているところでございます。  このように、いずれの事業においても一定も成果があらわれており、森林環境税を活用した県民協働による多様な森林(もり)づくりが進みつつあると考えております。  以上でございます。 37 ◯井上常憲委員=それでは、今後の取り組みについてお伺いします。  県では、森林環境税について、平成三十年度以降の継続に向けて今議会に条例の改正案を提案されておりますが、今後の取り組みについてどのように考えているのかについてお示しください。 38 ◯外尾森林整備課長=今後の取り組みについてお答えいたします。  森林環境の保全のためには、森林の適切な管理が重要であると認識しております。平成二十三年度末時点における森林の実態調査では、十年以内に間伐を行う必要がある荒廃森林が約一万五千三百ヘクタール存在しておりまして、森林環境税事業等による公的整備や森林所有者による整備によりまして、今年度末までに七千二百ヘクタールの荒廃森林を解消することとなります。  しかしながら、依然としまして県内一円に荒廃森林が約八千百ヘクタール残存する見込みとなっております。  このため、平成三十年度からの第三期については、基本的に残存する荒廃森林の解消のため、これまでの森林環境税事業は継続するとともに、必要な取り組みを強化することとしております。  具体的には、県や市町による公的整備を継続するとともに、森林所有者などによる森林整備の一層の促進、さらには、県民協働による多様な森林(もり)づくりの継続ですとか、県民の皆様へ森林環境税事業の内容や効果をわかりやすく情報発信する普及啓発の強化などに取り組むこととしているところでございます。  いずれにいたしましても、県民の皆様を初め、市や町とともに力を合わせ、森林の整備に取り組み、森林をかけがえのない県民共有の財産として後世へ引き継げるよう努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 39 ◯井上常憲委員=県の森林環境税とは別に、現在、国においても間伐などの地球温暖化防止対策の安定的な財源を確保するために、都市、地方を通じて国民にひとしく負担を求める新たな税制度の創設に向けて、今、検討が進められています。これについては、まだ不透明な部分もありますが、新たな財源が確保されれば県内の荒廃森林の整備も、より一層加速すると期待されております。国の新たな税制度の早期実現を期待して、次の質問に移ります。  次に、コスメティック構想についてお伺いいたします。  コスメティック構想の推進組織として、ジャパン・コスメティックセンター(JCC)が平成二十五年十一月に創設されました。四年が経過しましたが、地元の唐津市民はもちろん、佐賀県民のコスメティック構想に対する期待は大きいものがあると感じております。  元来、化粧品の原料として、農産物、薬用作物、海産物など多種多様な原料が活用されていると聞いております。コスメティック構想の中心である唐津市や玄海町には豊かな農産物、海産物があることから、地元の素材が化粧品原料となれば付加価値が増すのではないかと注目されております。  さらに、薬用作物が、生薬の原料としてだけではなく、化粧品原料として活用されれば、地元の取り組みで中山間地域の耕作放棄地の解消にも寄与するのではないかと考えております。  また、産業集積の取り組みでは、国内の化粧品関連企業の誘致のみならず、世界最大級の産業クラスターでありますフランスのコスメティックバレーとの協力連携協定の強みを生かして、将来的にはフランスの大手化粧品関連企業が来てくれればなと期待しているところでもあります。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  地産素材のコスメ原料化についてお伺いいたします。  化粧品の原料となり得る地元素材にはどのようなものがあるかお伺いいたします。 40 ◯大橋コスメティック構想推進室長=地産素材のコスメ原料化についてお答えいたします。  地産素材を活用したコスメ商品としましては、例えば、耕作放棄地となっている唐津のミカン畑、嬉野の茶畑、こういったところから摘みとったミカンの花やお茶の実を使ったもの。また、佐賀大学が開発しました国産初のグレープフルーツであります「サガンルビー」を使ったもの。さらには、全国に先駆けて唐津で栽培された白いキクラゲを使ったものがございます。  このほかにもオリーブ、シロイチゴ、トマト、酒かす、有明海産のノリ、こういったさまざまな佐賀の農産物等を使ったコスメ商品が開発されているところでございます。  また、コスメの原料として企業と売買契約が結ばれている地産素材としましては、唐津市加唐島で生産されるつばき油、玄海町で栽培される薬用作物のヤマトトウキといったものがございます。  以上、お答えします。 41 ◯井上常憲委員=次に、薬用作物の取り組み状況についてお伺いいたします。  玄海町薬用植物栽培研究所を中心に、薬用作物の栽培に取り組んでおられると聞いておりますが、栽培状況はどのようになっているか。また、収益的には採算が合うのか、そういった点についてお伺いいたします。 42 ◯大橋コスメティック構想推進室長=薬用作物の取り組み状況についてお答えいたします。  玄海町薬用植物栽培研究所では、カンゾウ、ヤマトトウキ、ミシマサイコを中心に研究、普及に取り組まれております。このほか、シャクヤク、ドクダミ、こういった生薬だけではなく、コスメや飲料の原料にするため企業から依頼のあった薬用作物の栽培研究にも取り組まれているところでございます。  栽培研究所では、こうした栽培研究の成果に基づいて地元農家への栽培指導も行っておりまして、玄海町における薬用作物の栽培状況は、八戸の栽培農家が、カンゾウ、ヤマトトウキ、ミシマサイコなど七種類の作物を試験的に栽培しており、その栽培面積は約一・二ヘクタールと徐々に栽培が広まっております。  なお、収益面につきましては、昨年度、地元農家と関東の企業との間でヤマトトウキの売買契約が締結されたところでございまして、まだまだ収益面ではこれからというところでございます。  以上、お答えいたします。 43 ◯井上常憲委員=化粧品関連企業へのアプローチについてお伺いいたします。  地元素材を活用してくれるよう、企業へどのようなアプローチをしていらっしゃるのかについてお伺いいたします。 44 ◯大橋コスメティック構想推進室長=化粧品関連企業へのアプローチについてお答えいたします。  化粧品原料を求める企業からは、「その土地ならではのストーリー性が大事」でありますとか、「成分に関する科学的なデータが必要」といった声が多いところでございます。  このため、展示会とかパンフレット等で地産素材を企業に紹介する際には、その素材が持っている歴史や背景、生産者のすぐれた技術や素材に対する情熱等をあわせて紹介し、生産者の顔が見える佐賀ならではの地産素材としてアピールしているところでございます。  また、科学的データにつきましては、大学や県の工業技術センターとも連携しまして、農産物等の成分分析を行い、素材が持つ特徴を整理し、企業に提案しているところでございます。  委員御指摘のとおり、地産素材が化粧品原料に活用されることは、ブランド力や高品質といった付加価値を増すことにもつながりますので、引き続き積極的に企業にアプローチしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 45 ◯井上常憲委員=それでは、海外の化粧品関連企業の集積についてお伺いいたします。  国内のみならず、将来的には海外からも化粧品関連産業の集積が進むことが期待されております。今後、どのようなことに取り組んでいくのかについてお伺いいたします。 46 ◯大橋コスメティック構想推進室長=海外の化粧品関連企業の集積についてお答えします。  まず、関連して国内企業の誘致についてですが、化粧品受託製造で国内トップクラスの東洋ビューティ株式会社の神埼市進出が決まるなどの成果が出てきております。  また、海外とのビジネスという面では、これまでにフランスからの輸入や、韓国、シンガポールへの輸出などを実現しているところでございます。  一方、海外の化粧品関連企業の誘致については、まだ実現までには至っておりません。このため、海外企業と日本企業とのパートナー関係の構築や販売ルートの確立など、まずは海外企業が佐賀県に進出するための土台づくりにしっかり取り組んでいくことで佐賀県への誘致を実現させたいと考えております。  以上でございます。 47 ◯井上常憲委員=コスメティック構想の実現に向けてさまざまな取り組みを進めていらっしゃると思います。今後の取り組みの方向性についてお伺いいたします。 48 ◯大橋コスメティック構想推進室長=コスメティック構想の今後の取り組みについてお答えいたします。  コスメティック構想につきましては、四年前に、いわばゼロに近い状態からスタートしましたが、現在、ジャパン・コスメティックセンター(JCC)の会員企業は百九十社となり、着実に増加してきております。また、地産素材による化粧品の原料化・商品化、企業誘致、国際取引などにおいても、さまざまなビジネスの芽が出始めているところでございます。  まずは、こうした成果を着実に積み上げていくことが重要と考えておりまして、その中で全国で、さらには海外でヒット商品を生むなどしてJCCの認知度も上げていきたいと考えております。  今後とも、JCCを中心とした各種取り組みの充実、強化に取り組みまして、佐賀県、ひいては北部九州に化粧品産業を集積させ、地域産業の活性化に寄与するよう努力してまいりたいと考えております。  以上でございます。 49 ◯井上常憲委員=ありがとうございます。  次に、農業改良普及センターの活動についてお伺いいたします。  本県農業の持続的な発展を図っていくためには、県内各地域において、農業者に対し、技術指導等を行う農業改良普及センターの役割は大変重要であると考えております。  私の地元である上場地域では、昭和四十八年から上場土地改良事業が行われたわけですが、農地とかんがい設備の整備が行われて、本県を代表する農業地帯に生まれ変わったと思っております。  この上場開発のもと、国と県を挙げてこのプロジェクトが進んできたわけですが、当時の上場普及所の普及員さんたちが、陰で計画段階から集落説明会とか新規作物の試験とか、本当に昼夜を分かたず指導に奔走されたと聞いております。この上場開発の成功の陰には、県の普及員さんたちの地道な活動の積み重ねがあったと聞いております。  現在でも、例えば、上場地域におけるサツマイモの「からゆたか」などの特産品となる作物の普及とか、「佐賀牛」の生産のもととなる高品質の肥育技術の普及などにすばらしい成果が上がっていると聞いております。また、他県に負けない特色ある佐賀県農業の振興を図るためには、今後も農業改良普及センターの活動に大いに期待しているところです。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  農業改良普及センターの設置目的はどのようなものか。また、県内の設置状況について、設置数とか、何人ぐらいの指導員さんがいらっしゃるのか、その辺についてお伺いいたします。 50 ◯永渕農産課長=農業改良普及センターの設置目的と設置状況についてお答えをいたします。  農業改良普及センターは、昭和二十三年に制定されました農業改良助長法に基づきまして、効率的かつ安定的な農業経営の育成及び地域の特性に即した農業を振興するため、普及指導員が農業者に直接接して技術・経営指導等を行う拠点として、国と県が協同して設置しております。  現在、本県では、農業改良普及センターを佐城、三神、東松浦、西松浦、杵島、藤津の六つの地域に配置しておりまして、作物、野菜、果樹、畜産、経営などの専門技術を備えた普及指導員九十三名を地域農業の実情に応じて配置しております。  また、高度な専門性を有し、普及指導員の普及指導活動に対する指導でありますとか研修等を行う専門技術員九名を農業技術防除センターの専門技術部として配置しております。  以上でございます。 51 ◯井上常憲委員=それぞれの地域で、それぞれの地域に合った農業指導を行っているという説明がありましたが、主な活動内容、成果についてお伺いします。
     現在、農業改良普及センターで取り組んでいる、それぞれの地域での普及指導の主な内容、また、それぞれの地域においてどのような成果が上がっているのかについてお伺いいたします。 52 ◯永渕農産課長=主な活動内容と成果についてお答えをいたします。  まず、各農業改良普及センターでは、地域の実情に応じまして、毎年、農業者を初め、市町、JA等の関係機関・団体の意見を踏まえまして普及活動計画を策定いたしまして、その計画実現に向けた活動を展開しております。  具体的には、経営感覚・技術にすぐれた意欲ある若手農業者の育成でありますとか、新規作物の導入など経営の多角化による集落営農の発展強化、また、イチゴ、キュウリなどの施設園芸における統合環境制御技術の普及推進、また、繁殖牛の分娩間隔短縮による経営改善など、地域のさまざまな課題解決のための活動を行っております。  次に、農業改良普及センター別に主な活動成果を申し上げますと、まず、県北部中山間地を管轄いたします佐城普及センターでは、農業者と「NPO佐賀中部障がい者ふくしネット」との農福連携によりまして、ホウレンソウやパセリの調製作業などの労力補完の仕組みづくりを実現いたしました。  また、県東部平たん地域を管轄いたします三神普及センターでは、アスパラガスの生産の経験が浅い若手生産者の収量が低かったために、そのグループ化を図りまして重点的な指導によりまして地域全体の単収向上を実現いたしました。これは平成二十六年に比べて平成二十八年は一五%増収したということでございます。  また、委員の地元の東松浦普及センターでは、唐津市浜玉町鳥巣地区、ここは標高が六百メートルありますが、そこで作出されましたユリの新品種でございます「鳥巣の白蕾」を県内の下場の地域と連携いたしまして、リレー出荷による長期出荷、これまで三カ月だったものを六カ月に延長することが実現しまして、ユリ産地の拡大と市場の評価向上につなげております。  また、県西部の中山間地域を管轄いたします西松浦普及センターでは、ブドウの新しい品種の「シャインマスカット」の園地に土壌水分計を設置いたしまして、土壌の水分管理を徹底いたしますとともに、生産者が出荷基準を一目でわかるカードを作成いたしまして、ブドウの房の大きさや粒ぞろいなどを統一することによりまして有利販売につなげております。これは、「シャインマスカット」自体、全国的に生産量が非常に伸びていますけれども、平成二十五年に比べまして平成二十八年は平均単価が五%アップしたということでございます。  また、杵島普及センター、白石町にございますが、集落単位で組織されておりました集落営農組織に対しまして、将来を見据えた広域的な農地、機械の効率利用を提案いたしまして、これまで十五集落あった集落営農を束ねて九州最大規模の集落営農法人組織を誕生させております。  また、藤津普及センターでは、酒米を生産する複数の農業法人が地元の蔵元、これは五町田酒造さんと瀬頭酒造さんでございますが、ここと連携いたしまして、この蔵元にも入っていただきまして酒米の需給を調整する組織を立ち上げまして、生産者と蔵元が一体となった収益性の高い生産体制に取り組んでおります。これは、これまでウルチ米を生産しておりましたけれども、酒米の「山田錦」を生産することによりまして、粗収益が三五%増収したということでございます。  このほかにも、例えば、近年問題になっていますタマネギの「べと病」対策につきましては、試験研究機関等と連携いたしまして被害軽減のための技術実証圃の設置でございますとか、生産者を集めた栽培管理に関する現地での研修会を開催するなどして、早期課題解決に向け重点的に取り組んでいるところでございます。  以上でございます。 53 ◯井上常憲委員=私も、夏に唐津の鎮西町の普及センターへ行ってきたんですけど、夏イチゴを研究されているということで現場を見てきました。それが実現すれば年間を通したイチゴの販売等ができるということで非常に期待しております。  これまで佐賀県の農業を牽引してこられた普及員さんたちの功績は非常に大きいものがあったと評価しております。農業改良普及センターの普及指導活動には、今後も期待しているところでありますが、本県の農業改良普及事業について、今後、どのように取り組んでいくのかについてお示しください。 54 ◯永渕農産課長=今後の取り組みについてお答えをいたします。  委員から御意見がございましたように、農業を取り巻く情勢につきましては、一層厳しさを増しております。こういう中、農業の革新技術の普及でありますとか、さらには、人や農地を守る仕組みづくりなどについて、農業者等からの農業改良普及センターへの期待はますます高まっているところでございます。  このような状況に対処するため、農業改良普及センターにおきましては、今後、本県が抱えますさまざまな課題の中でも、とりわけ緊急かつ早急に解決しなければならない課題。例えば、新規就農者の確保・育成でありますとか、所得向上の支援、それに、先ほどから課題になっています中山間地域農業の振興、この三つを県重点プロジェクトとして設定することにしております。これにつきましては、普及だけではなく、行政、試験研究機関とも一層連携をとりまして課題解決に向けた取り組みを来年度から強化することとしております。  いずれにしましても、農業者を初め、関係機関・団体の農業改良普及センターへの期待は大きく、その成果は、本県農業の発展に直接結びつきますことから、今後とも、地道ではありますけれども、こつこつと一つずつ成果を積み上げて本県農業の振興に貢献できますよう、農業者はもとより、JAや市町等、関係機関・団体とも緊密に連携いたしまして、しっかりと頑張ってまいりたいと思っております。  以上でございます。 55 ◯井上常憲委員=次に、第四項目めのイカ釣り漁業の振興についてお伺いいたします。  ケンサキイカは、本県玄海地区を代表する魚介類であります。唐津市呼子町の周辺では、イカの活きづくりを提供する旅館とか、活きイカ料理店等が立ち並んで、週末ともなると、そのイカを目当てに県外から大勢の観光客が押し寄せていまして、大変な交通渋滞を巻き起こしております。佐賀県を代表する観光資源の一つとなっております。  私の地元であります唐津市肥前町の高串地区でも、昔からケンサキイカを対象としたイカ釣漁が盛んに行われておりまして、ケンサキイカの漁獲高が地域経済に及ぼす影響は非常に大きなものになっております。  このような中、先日の議会勉強会において、玄海沿岸の水揚げ状況の説明の中で、玄海漁協の魚市場に水揚げされるケンサキイカが例年よりも非常に減少しているという部長の報告がありました。水産業への影響はもちろんのこと、唐津市の観光業への影響についても大変懸念しているところであります。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  ケンサキイカの漁獲状況について、生態と近年の漁獲量についてお伺いいたします。  先日、ニュース番組を見ておりますと、ケンサキイカが台湾の東側の東シナ海から日本海中部まで大きな移動をしているということが報道されておりました。玄海地区で漁獲されるケンサキイカは、どのような生態を持っているのか。そして、ここ十年間の漁獲量はどのように変化しているのかについてお伺いいたします。 56 ◯川原水産課長=ケンサキイカの生態と近年の漁獲量についてお答えをいたします。  玄海地区で漁獲されますケンサキイカにつきましては、長年、生態が不明でありましたが、玄海水産振興センターが九州大学や国の西海区水産研究所と情報交換しながら調査研究を行った結果、東シナ海の中部から南部の海域で生まれていること。生まれたイカは対馬暖流に乗って成長しながら北上いたしまして、日本海の中部まで移動していること。こうした広大な海洋を生活の場としているために、地球規模の海洋環境の影響を受けて資源がふえたり減ったりしていること、こういったことが明らかになりつつあります。  次に、ここ十年、平成十八年から平成二十七年のケンサキイカの漁獲量について、玄海水産振興センターの推定値で見ますと、約三百トンから六百トンの間で増減を繰り返しているところでございます。なお、まだ漁獲データが整理されておりませんが、委員御指摘のとおり、ことしは漁獲が少ない状況となっております。  以上でございます。 57 ◯井上常憲委員=三百トンから六百トンの間を上下していて、ことしの水揚げが少なかったということですが、ことしの漁獲高といいますか、水揚げが少なかった要因を県ではどのように分析していらっしゃるのかについてお伺いいたします。 58 ◯川原水産課長=ことしの水揚げが少なかった要因についてお答えをいたします。  ケンサキイカの漁模様について、イカ釣り漁業者へ聞き取りを行いましたところ、ことしは、例年、ケンサキイカがとれ始めます五月が不漁であったこと。それから、一年間のうちで漁獲が最も多い十月においてしけが続き、出漁ができない日数が多かったこと。これらがことしの水揚げが少ない要因となっているとのことでありました。  この五月の不漁につきましては、今後、さらに検証が必要でありますけれども、ことしは対馬暖流の流れが強くなっておりまして、この影響を受けてケンサキイカが例年よりも北寄りに分布したため、佐賀の漁業者の皆さんが操業されます漁場へのイカの来遊量が少なかったことが要因となっているのではないかと推測しております。  このことを裏づけるように、ことしは佐賀の漁場よりも北側に位置します長崎県の対馬周辺や山口県の漁場では、五月から六月に例年の約二倍の漁獲があったとの報告がなされております。  以上でございます。 59 ◯井上常憲委員=報道等によりますと、海水温の上昇によって暖水性、暖かい海流のブリが北海道でとれたり、それから、寒いところのサンマがいつまでたっても日本沿岸に南下してこないといったことが報道されておりました。ケンサキイカについても、こうした海水温の上昇の影響を受けているのか、その点についてお伺いいたします。 60 ◯川原水産課長=海水温上昇の影響についてお答えをいたします。  ケンサキイカにつきましては、海水温上昇の影響が具体的にどの程度あるかについては、不明であります。しかしながら、例えば、沿岸域の水温が低かった平成二十七年は、ケンサキイカが漁獲される漁場が岸近くになりまして豊漁となった一方、平成二十五年など水温が高かった年には漁場が遠くなりまして、その結果、漁場までの燃料費がかかるために漁業者の皆さんが出漁を控えることもあって漁獲量が少なくなる傾向が見られております。  このように、ケンサキイカにおきましても、海水温の上昇が少なからずマイナスの影響を及ぼしているものと考えております。  以上でございます。 61 ◯井上常憲委員=そうしたことで、今度、県ではICTを活用したスマート漁業について調査研究されているということです。県では、イカ釣り漁業などの漁獲の効率化に向けてICTを活用したスマート沿岸漁業に取り組まれていると聞いております。事業の概要について御説明ください。 62 ◯川原水産課長=事業概要についてお答えをいたします。  委員御指摘のとおり、玄海水産振興センターでは、漁業の効率化を図るために平成二十八年度から平成三十一年度までの計画で、九州大学や民間企業、さらには、長崎県や福岡県などと共同いたしましてICTを活用したスマート沿岸漁業に向けたシステムの開発に取り組んでいるところでございます。  具体的には、人工衛生による水温観測データや現場における水温、潮の流れなどの観測データ、さらには、気象情報や漁獲情報を総合的に解析することで漁場が今後どのように変化するかを予測いたしまして、その情報を漁業者に配信するシステムを構築し、漁場の探索ですとか、出漁するかしないかの判断の一助にするものでございます。  平成二十八年度には、人工衛星の観測データをもとにした海況予報を携帯電話で閲覧できる取り組みを開始するとともに、精度の高い予報を配信するために漁船を使った現場の海況データを集める手法の検討を行いました。  今年度は、さらにイカ釣り漁船に観測センサーを設置し、より多くの現場データを収集するとともに、漁獲状況の聞き取りを行いまして、どういった海況や、どういった気象条件の場合に漁場が形成されやすいのかなどの解析を始めたところでございます。  以上でございます。 63 ◯井上常憲委員=そうした技術が完成すればなと思います。  今後の展開についてお伺いいたします。今後、この技術開発が進むことで、どのような展開が図られるのか、どういう効果があるのかについてお伺いいたします。 64 ◯川原水産課長=今後の展開についてお答えをいたします。  本事業によりまして、数日先の漁場がどこに形成されるかが予測可能となれば、漁場の探索時間が短縮されますとともに、漁場が遠かったり、あるいは漁獲が期待できない場合は出漁を控えるなどの判断ができるようになります。このことによりまして漁獲の効率がよくなるとともに、漁業コストに占める燃料費の割合が非常に高いイカ釣り漁業では、燃料費の削減ができることになり、ひいては漁業者の皆さんの所得向上につながるものと考えております。  また、漁場の探索が容易になることで、イカ釣りの経験がない漁業者でも早期に安定した漁獲が可能となると考えられますことから、新規の漁業就業者の参入を促すことにもなると期待しております。  このように、ICTを活用した新たな海況情報予測システムを構築することによりまして、所得向上や新規漁業就業者の参入が見込まれますことから、今後も予測の精度を向上させ、多くの漁業者の皆さんに利用していただけるようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 65 ◯井上常憲委員=ありがとうございました。  次に、軽油引取税の免税措置についてお伺いいたします。  軽油引取税については、従来は道路建設等を目的とする財源であったため、地方税法の改正によって平成二十一年度から使途を特定しない一般財源化に改められたところです。  このような中、トラクターやコンバインなどの農業用機械、水産業における船舶の燃料として使用する軽油については、平成二十一年度から平成二十三年度の三年間、軽油引取税の課税免除の特例措置がとられました。また、その後も関係団体等からの強い要請もあって、三年間単位の延長措置が二度にわたって行われております。現行の特例措置の適用期限は、平成三十年三月三十一日までと、あと四カ月足らずとなっております。  このようなことから、佐賀県議会では、本年七月に、「軽油引取税の課税免除措置の継続を求める意見書」を内閣総理大臣などに提出したところです。私の住む唐津市では、農業、水産業とも非常に盛んな地域です。さらに、佐賀県では水田農業のフル活用とか、十四年連続のノリ養殖生産日本一など、全国に誇る取り組みが行われております。この免税の特例措置については、農業者や漁業者の生産コストの低減にもなっております。もし免税措置が廃止されるようなことになれば、本県の主要な産業である農林水産業に大きな打撃を与えることが懸念されます。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  本県における免税軽油の使用状況について、農業用とか水産業における免税軽油の使用者数と、その使用料がどのようになっているのかについてお伺いいたします。 66 ◯鍵山園芸課長=免税軽油の使用状況についてお答えいたします。  県の税政課の直近のデータであります平成二十八年度の実績によりますと、まず、農業におきます免税軽油の使用者数は一万五千百九十三件でありまして、その数量は六千百八十キロリットルとなっております。次に、水産業における使用者数は千三百二十七件でございまして、その数量は七千四百七十キロリットルとなっております。  以上、お答えいたします。 67 ◯井上常憲委員=それでは、本県の農業及び水産業における軽油引取税の免税額はどのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。 68 ◯鍵山園芸課長=軽油引取税の免税額についてお答えいたします。  これも同じく県税政課の直近のデータであります平成二十八年度の実績によりますと、軽油引取税の免税額については、一リットル当たり三十二・一円となっております。先ほど答弁いたしました使用料を乗じますと、農業におきましては約一億九千八百万円となっております。水産業におきましては約二億四千万円となっております。  以上、お答えいたします。 69 ◯井上常憲委員=ありがとうございました。  この免税措置の継続について、国の審議状況はどのようになっているのでしょうか。また、県はどのように対応していくのかについてお伺いいたします。 70 ◯鍵山園芸課長=まず、国の審議状況についてお答えいたします。  軽油引取税の課税免除の特例措置につきましては、現在、国におきましては、三年延長に向けた審議が行われると聞いております。  また、今後は十二月中旬ごろに取りまとめられます政府の税政改革大綱の中に、その審議結果が盛り込まれるスケジュールとなっております。  これまでのところ、農林水産業の分野においては、この延長措置が認められないというような情報は入ってきておりません。  また、免税措置が継続となった場合には、現行の特例措置の期限となります来年三月までに必要な法改正が行われると、このようなスケジュールになります。  次に、県としての対応についてお答えいたします。  県といたしましては、免税措置が継続となった場合には、農協や漁協などの関係機関を通じまして、農業者や漁業者に対する周知、必要な指導、助言を速やかに行うようにしております。  なお、県では、これまで農業者や漁業者の経営安定を図るため、全国知事会や担当主務課長会議等を通じまして、国に対して免税措置の延長を要請してきたところでございます。今回、この免税の適用期間が延長された場合であっても、また三年後には延長措置の期限を迎えることになります。そういうことでありますので、引き続き、農業団体や関係部署とも連携しながら、国に対し、免税措置の延長について働きかけを続けてまいりたいと考えております。  以上、お答えいたします。 71 ◯井上常憲委員=ありがとうございました。  それでは最後に、風力発電及び小水力発電の導入についてお伺いいたします。  私の住む唐津市肥前町は、海と山に恵まれた風光明媚なところでありますが、一方で再生可能エネルギーの導入が進んだ地域でもあります。例えば、風力発電については、再生可能エネルギーの導入促進、環境先進地として地域のイメージアップ、観光資源としての活用を目的として、平成十五年度に当時の肥前町が出資する第三セクター方式による商業用風力発電設備の導入をきっかけに、現在では合計二十一基の風力発電設備が肥前町に集積しております。第三セクターの風車については、平成二十一年度に経済産業省とNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)による「新エネ百選」にも選出されております。  また、東松浦半島の大部分を占める上場台地には五カ所の農業用ダムがありまして、松浦川の水を揚げてためているわけですが、そのうちの一つで唐津市が管理する玄海町にあります農業用ダムの藤ノ平ダムにおいては、平成二十九年四月に小水力発電が設置されるなど、肥前町の周辺地域においては、再生可能エネルギーの導入が進んでいる状況であります。  再生可能エネルギーは、発電時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど排出しないエネルギーとして注目されてはいるものの、風力発電については風の影響によって発電量が影響されること、小水力発電については設置地点ごとに発電条件が異なって、さほどのコスト減にはなりにくいという問題なども指摘されております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  まず、固定価格の買取制度についてお伺いいたします。  再生可能エネルギーを買い支えて大きく育てることを目的に、平成二十四年七月に固定価格買取制度が開始されておりますが、売買価格が同じ電気なのに各電源ごとに違う、買取価格が太陽光と風力と違っております。また、電気の使用者から広く集められております再生可能エネルギー発電促進賦課金を電気料と一緒に払うわけですけど、これは太陽光発電だけの普及拡大を目的としているのかについてお伺いいたします。 72 ◯池田新エネルギー産業課長=固定価格買取制度についてお答えをさせていただきます。  本制度は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの五種類の再生可能エネルギー源を用いて発電される電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務づけるものでございます。このことによって発電設備の高い建設コストを回収する見通しが立ちやすくなり、再生可能エネルギーの導入促進が図られることを目的としております。  調達価格、これは買取価格の法令上の正式名称になりますが、この調達価格は、電源ごとに、その規模や種別で区分されております。平成二十九年度の一キロワット時当たりの調達価格を見ますと、太陽光では、六つの区分で最低税抜きで二十一円から最高税込みで三十円に設定されております。ちなみに、二千キロワット以上はことしより入札制度ということになっております。  同じように、以下は全て税抜き価格で申し上げさせていただきますが、風力では四つの区分で最低十八円から最高五十五円。水力では八つの区分で最低十二円から最高三十四円。地熱では六つの区分で最低十二円から最高四十円。バイオマスでは七つの区分で最低十三円から最高四十円となっております。  このように、電源によって調達価格が異なっておりますのは、それぞれ、通常必要となるコストを基礎として適正な利潤などを勘案して算定されているためとなっております。  また、再生可能エネルギー発電促進賦課金ですが、再生可能エネルギーで発電した電気の買い取りに要する費用を賄うため、広く電気利用者から毎月の電気料金と合わせて集められております。  この集めた賦課金は、最終的に太陽光だけでなく、風力、水力、地熱、バイオマスの再生可能エネルギーで電気をつくり、売電をしている事業者等に支払う買い取り費用として使われております。  実際には、固定価格買取制度開始後の設備の導入量の九割以上を太陽光発電が占めております。そのことから買い取り費用のほとんどが太陽光発電となっておりますが、賦課金は先ほど申し上げました五種類の再生可能エネルギーの普及を目的としたものとなっております。  以上、お答えします。 73 ◯井上常憲委員=肥前町の周辺地域においては、風力発電及び小水力発電の導入が進んでおりますが、県内における風力発電及び小水力発電の導入実績についてどうなっているのかお伺いいたします。 74 ◯池田新エネルギー産業課長=県内におきます導入実績についてお答えします。  経済産業省の公表資料によりますと、固定価格買取制度に基づく県内の導入実績は、平成二十九年三月末現在で、風力発電は発電容量が四万二千六百五十キロワット、認定件数としては六件、風車の本数としては二十九基となっております。
     また、発電出力が千キロワット未満の、いわゆる小水力発電につきましては、発電容量が三百六十九キロワット、認定件数が四件となっております。  なお、これに加え、先ほど委員からも御紹介がありましたように、平成二十九年四月一日から唐津地区の藤ノ平ダムで四十九キロワットの小水力発電が開始されております。  以上、お答えします。 75 ◯井上常憲委員=県内における導入計画の状況についてお伺いいたします。  唐津市内では、風力発電及び小水力発電の導入が計画されていると聞いておりますが、県内における風力発電及び小水力発電の導入計画についてどうなっているのかお伺いいたします。 76 ◯池田新エネルギー産業課長=県内におきます導入計画の状況についてお答えをいたします。  固定価格買取制度に基づきます設備認定業務は国が行っているため、県では、県内における導入計画全てを把握することは難しゅうございますが、市町や報道等から得られた情報によりますと、風力発電については、平成三十年に唐津市内に二件、それぞれ風車が一基ずつ設置されまして稼働する見込みと聞いております。  また、環境影響評価の手続中ではございますが、事業として検討されているものが唐津市内に二件あると認識しております。  また、小水力発電につきましては、民間企業主体の計画が二件、佐賀市が主体の計画が一件あると認識しております。  以上です。 77 ◯井上常憲委員=今後もそうした計画があるという報告を受けました。風力発電及び小水力発電を県内で導入する場合、どのような課題があるのかについてお伺いいたします。 78 ◯池田新エネルギー産業課長=風力発電、小水力発電の課題と今後の取り組みについてお答えします。  風力発電の課題につきましては、主に気象条件に大きく左右される不安定な電源であることから、需要に応じた供給が困難でございます。現時点では導入規模に相当するバックアップ電源としての火力発電が必要でございます。  また、固定価格買取制度に基づいて定められております再生可能エネルギーの受け入れ容量の上限である接続可能量の百八十万キロワットを超える導入計画が既に九州各地で進められていることなどが挙げられ、量的な導入拡大が難しくなりつつあると考えております。  また、小水力発電の課題につきましては、発電には落差や流量が容易に確保できるような急峻な地形が適しておりますが、県内にはそういった適地が少なく、さらに、採算が見込まれる場所につきましては、既に開発がされているということ。  また、地形や流量など設置場所の特性に応じて設計をするために、現状においては事業化をするためにはコストが高くつくことなどが挙げられます。  今後の取り組みとしましては、風力発電を県内において、さらに導入を拡大するためには、発電出力の不安定さを解消するための仕組みが必要であり、水素などによる電力調整手段の構築について取り組んでまいりたいと考えております。  また、小水力発電については、本県の地形などに適した小規模でも採算が見込まれる事業モデルの構築が必要と考えており、県内企業などの参画を得まして平成二十八年度から具体的なモデルの検討に取り組んでいるところでございます。  県としては、このような取り組みを含め、再生可能エネルギーの有する課題を踏まえた取り組みを長期的な視点で展開していく必要があると考えており、本県がこの分野の先進県となることを目指し、現在、仮称ではございますが、「佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想(仮称)」を策定しているところでございます。  本構想を今年度内に取りまとめ、風力発電や小水力発電を含めた再生可能エネルギーの導入拡大に資するよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 79 ◯八谷委員長=暫時休憩します。十三時をめどに委員会を再開します。     午前十一時四十六分 休憩     午後一時一分 開議 80 ◯八谷委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 81 ◯野田委員=改めまして、皆さん、こんにちは。県民ネットワークの野田でございます。ただいま、委員長より質問の許可を頂戴いたしましたので、本日、三項目の質問をさせていただきます。  まず、棚田地域の保全についてお尋ねいたします。  私は、議員になる前から地域活動におきましていろんな地域で、自分としては地域力の向上ということで活動をさせていただいておりました。そういった中で小さいときからいろんな棚田が身近にありましたけれども、そのほとんどがなくなっていってる、そういうふうに強く感じています。棚田の定義は、百分の五以上の傾斜があるということみたいですけれども、私が知っている傾斜というのは、もうとんでもない、百分の三十、百分の四十五に近いようなところが今まではたくさんありました。そういったところがどんどんなくなっていることの中で、今回、我が地元におきまして非常にいいことがありました。地域のいろんな方々、あるいは行政の御担当の方の熱い御支援、そして、報道関係の御支援の賜物で非常にいい結果が出たということで今回質問をさせていただきます。  県内には、中山間地域の厳しい環境の中、先人たちが築き、代々にわたって保全されてきた棚田が数多く存在しているところです。棚田は、中山間地特有の土地利用形態であり、農業生産活動を通じて国土や環境の保全、農村の美しい原風景の形成、伝統文化などの多面的機能を有しているところでありますが、一般的に斜面での階段状で、しかも、狭小な圃場の厳しい状況、そして、過疎化や高齢化の進展により、中山間地を取り巻く状況は大変厳しいものとなっております。棚田は、その影響をもろに受けているところと認識しているところです。  私の地元の北多久町岸川地区におきましても、以前は、小学校の児童やその父兄さんを連れて棚田のウオーキングといった活動もやっておりましたが、そういったところさえも耕作をしなくなり、以前に比べますと棚田の耕作放棄地が多く見られるようになり、何か保全に向けた手段はないものかと考えていたところであります。  そうした中、ことし十月二十四日に首相官邸で開催された有識者懇談会で、多久市西多久町の平野地区の農家でつくる「ひらの棚田米振興協議会」が、全国の数多いエントリーの中から「ディスカバー農産漁村(むら)の宝」の優良事例に選定されたことは、皆さんも新聞で御承知のことだと思います。  このように、県内には、棚田地域の保全や中山間地域の活性化のために一生懸命努力している地域や団体が多く存在しており、そこにさらに行政が寄り添い、手を差し伸べることで、より一層、棚田地域の問題解決や地域の活性化につながっているのではないかと考えており、非常に期待するところでもあります。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  棚田の現状と課題についてであります。  県内には、身近に大小の棚田が数多く存在しておりますが、現在、どれくらい存在しているのかお尋ねいたします。 82 ◯中村農山漁村課長=棚田の面積についてお答えいたします。  平成十七年の「農林業センサス」の中で、棚田とは傾斜地に等高線に沿ってつくられた水田と定義されておりまして、県内では五千四百二十ヘクタールであり、県内の水田面積の約一三%を占めているところでございます。  以上でございます。 83 ◯野田委員=その棚田の保全における問題は、どのような問題があると御認識でしょうか、お尋ねいたします。 84 ◯中村農山漁村課長=棚田の保全における課題についてお答えいたします。  棚田地域は、傾斜地で面積が狭く、形も整っていないことから、平たん地の農地と比較しますと、大型機械が入れず、一部、手作業が必要であったり、転落の危険が伴うなど、営農条件が大変厳しい状況にあります。  また、農業者の高齢化や後継者不足によりまして、耕作放棄地の増加や、その周辺の荒廃化が進んでいること。さらには、棚田を保全していく上で地域をまとめるリーダーの不在などが問題となっております。  このため、棚田の保全を担う人手の確保や地域をまとめるリーダーの育成が課題と考えております。  以上でございます。 85 ◯野田委員=狭くて危なくて、高齢者的なところもあってリーダー的な人がなかなか育たないという人手不足の部分を今おっしゃっていただきました。  棚田というのは、ぱっと大きく見ますと、今、両極端な方向に動いているんじゃないかなと思っています。そんなに大きくない集落の棚田でも担い手がいらっしゃらないから、失礼ですけど、これができないのかというところもあれば、平野みたいに集落全体の方々が参加されて、おばあちゃんでも一生懸命、何かできることがないかということで出かけて参加していらっしゃいます。  それこそ、やる気のあるリーダーの方、そして、その地域の総合力でこういったところが保たれていくと私は思っています。皆さん、よくおっしゃいます「もうかる農業」といったことについて本当に一生懸命なさっているなと感じています。  そういった意味で、例えば、皆さんが県政のほうで現場に行かれて、こういったことはよそにも紹介できるなというような動きがあれば御紹介いただけますでしょうか。 86 ◯中村農山漁村課長=県内にはいろいろな棚田地域がございます。その中で江里山地区におきましては、彼岸花まつりとか、棚田のコンサート、かかしコンテストなどのイベントも盛んに行われています。  また、平野地区では、畦畔の簡易な補修、稲刈り体験、棚田米のネット販売なども行われております。  それから、蕨野地区というところが唐津市にありますが、そこでも田植えの体験、稲刈りの体験、棚田ウオーク、それから、棚田でのコンサートなどのイベントも盛んに行われているところでございます。 87 ◯野田委員=活動的なところは、そうやっていろんなことをなさっています。小城市の江里山地区の棚田の祭りのときは私もお伺いするんですけれども、そのときは職員さんもしっかりサポートに入っておられます。多久市の平野の催しのときも数名の方が本当ににこにこして活動なさっていらっしゃるんです。  つい先日は、さっきおっしゃった蕨野のほうにも行ってまいりましたということで、疲れを知らず活動なさっている姿、支援をしていただいている姿に、もちろん、地元の方々はすごく感謝していらっしゃいますし、私もいろんなところで拝見する中で、すばらしい体制で応援なさっているんだなと感じた次第です。  そういった中で、「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」での快挙がなされたわけですが、この「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」についてお尋ねいたします。  まず、制度の内容です。棚田地域は大変厳しい状況にある中、多久市平野地区のひらの棚田米振興協議会が、今回、優良事例となった「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」とは、どういったものなのか、その応募状況や選定状況がどうなっているのかお尋ねいたします。 88 ◯中村農山漁村課長=制度の内容についてお答えいたします。  「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」といいますのは、内閣官房と農林水産省が共催しまして、農山漁村の有するポテンシャルを引き出すことによりまして、地域の活性化や所得向上に取り組んでいる優良事例を選定し、全国へ発信するもので、今年度で四回目となります。  この中で選定された地区の代表者は、首相官邸に招待され、総理大臣出席のもと、表彰式と交流会に出席することとなっております。ちなみに、今年度は十一月二十二日に開催されております。  今年度は、全国から八百四十四地区の応募がありまして、九州から百四地区、県内からも九地区の応募がなされたところでございます。この中から全国で三十一地区が、今回、優良事例として選定されておりまして、その一つに、ひらの棚田米振興協議会の取り組みが佐賀県で初めて選定されたところであります。  以上でございます。 89 ◯野田委員=佐賀県で初めて選定されたということです。皆さんがいろんな熱い支援をもって活動されているんですが、平野地区が選定された理由をお尋ねいたします。 90 ◯中村農山漁村課長=選定された理由についてお答えいたします。  今回、選定された理由としましては、まず、平野地区は多久市西多久町の標高百九十メートル付近の約七・七ヘクタールの棚田地域でございまして、春のレンゲソウを肥料に使った「夢しずく」を栽培し、水車で精米しました付加価値を高めた棚田米として販売するなど、ブランド化に取り組んでおられます。  また、都市住民を対象にした収穫体験を実施したり、直売所での試食販売、それから、インターネットでの販売も行うなど、その販売額が大きく伸びていることが挙げられます。  具体的には、棚田米の販売単価がオリジナルギフトでは千グラムにつき六百円と高い単価で販売されておりまして、販売量につきましては、平成二十四年の約二・五トンから、平成二十八年には約十一トンに増加し、その販売額も約九十万円から約三百七十万円に大幅に伸びております。  また、棚田米につきましては、イベントの景品やふるさと納税の返礼品にも使用されているところでございます。さらには、都市との交流も盛んに行われておりまして、稲作収穫体験では、平成二十六年が三十六人であったのに対しまして、平成二十九年は百二十二人の参加となっております。このような成果に対しまして、地域の努力が認められたものと思われます。  以上でございます。 91 ◯野田委員=私も、ほかの地域で活動させていただいてきましたが、こういった成果というのは、地元の皆さんの熱意はもとより、行政も、いろんなところに行かれて、いろんなところを見てこられた方々の適切なアドバイスもあったのではないかと思っているところです。  例えば、平野地区では、そういった皆さんからのアドバイスで一番施しなさった点というのは、よかったら聞かせていただけますでしょうか。 92 ◯中村農山漁村課長=「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」についてのアドバイスについては把握しておりませんが、平野地区におきましては、地域の住民活動への支援としまして、平成二十二年度からこの事業に取り組んでおられまして、都市住民との交流イベントなどの情報発信とか、そういうものを県からも積極的に支援しているというような状況でございます。  以上です。 93 ◯野田委員=八年間の裏舞台の末ということであります。地域でやっていますと、八年間、地元の方が熱い思いを持ってされるところは非常に少ない。こういった成功事例は、やっぱりそうだよねと改めて感心させられるところであります。私も、こういった大きな結果が出た地域に対して、周りの、例えば岸川地域におきましても、努力の連続、積み重ねといったことをしっかりお伝えしていきたいと思ってます。  それでは、棚田地域の保全についてお尋ねいたします。  県では、棚田地域の保全のため基金を造成し、事業を実施していると伺っているところです。その基金事業の制度はどうなっているのか。また、具体的にどのような取り組みをなさっていらっしゃるのかお尋ねいたします。 94 ◯中村農山漁村課長=棚田地域の保全に対する取り組みについてお答えいたします。  本県では、平成十年度から平成十二年度までに六億円の「棚田地域水と土保全対策基金」を造成しまして、その運用益等によりまして棚田地域を支援するさが農村のよさ発掘・醸成事業を創設しております。その事業の中で情報発信や地域活動に対する支援を実施しているところでございます。  具体的な取り組みとしましては、平成十五年六月に棚田を有する市町などと連携しまして棚田地域の情報を共有することを目的に、「さが棚田ネットワーク」を組織しております。その中で棚田の魅力や多面的機能などをPRする「棚田展」の開催、それから、棚田ホームページを活用した優良事例の紹介やイベントの開催など、棚田地域の情報発信に努めているところでございます。  また、地域活動への支援事業としまして、棚田や水路、ため池などの農業用施設の保全活動や、棚田を生かしたイベントによる都市住民との交流活動を支援するため、四十万円を上限に、その事業費の三分の二を補助する佐賀県棚田地域保全活動支援事業を実施しております。平成十三年度から平成二十九年度までに延べ四十九地区が取り組まれております。  さらに、棚田地域と企業とのマッチングを行い、企業等によるボランティア活動によって棚田地域の保全を支援する棚田ボランティア事業を昨年度から取り組んでおります。  現在、八地区の十三企業・団体によりまして十四の協定が締結され、棚田地域での草刈りなどの保全活動を支援されているところでございます。今年度も十地区で企業等とのマッチングを希望されておりまして、現在、その調整作業を行っているところであります。  以上でございます。 95 ◯野田委員=この基金事業の具体的な取り組みの一つに、この間ございました棚田の研修会、こういったものも含まれているのでしょうか。 96 ◯中村農山漁村課長=この間実施しました研修会につきましても、この基金事業の中で実施しております。 97 ◯野田委員=いろんな棚田地域で頑張っている方々の事例等の皆さんの説明をしっかりと、市町の行政の方、あるいは関係者、そして、水と土指導員の方とか、地元の方々もたくさん来て、本当に一生懸命に開催されて、何とかやりたいという気持ちが伝わってくる場所だなと思っているところです。  今後の取り組みについてお尋ねいたします。  中山間地域は、今後ますます高齢化、過疎化が進み、耕作放棄地が増加するなど、棚田地域の保全がさらに難しくなることが懸念されているところです。県といたしまして、棚田地域の保全にどう取り組まれていくのかお尋ねいたします。 98 ◯中村農山漁村課長=今後の取り組みについてお答えいたします。  棚田地域を保全していくためには、農業者ばかりではなく、地域住民が一体となった地域活動が必要でありまして、その活動を取りまとめる人づくり、それから、地域活動に対する支援も重要であると考えております。  このため県では、佐賀県ふるさと水と土指導員として、現在、三十二名の方を認定しまして、棚田や農業用施設の草刈り活動などの保全活動や、子供たちの田植え、稲刈りなどの農作業体験などを推進するリーダーとして地域活動に取り組んでいただいております。  さらには、地域みずからが行う棚田や農業用施設の保全活動や棚田を生かしたイベントの開催に対しまして、引き続き支援していくとともに、その活動を外部の人たちに支援してもらう企業ボランティアの取り組みをさらに広げていくこととしております。  いずれにしましても、このような基金を活用した取り組みを今後とも積極的に展開しまして、佐賀県ふるさと水と土指導員の方々の御協力を得ながら、棚田地域の保全や活性化に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 99 ◯野田委員=ぜひ頑張っていただきたいと思います。平野棚田の代表の小園さんが、棚田は、あぜの草刈りやため池の維持など手間や労力は平たん地の何十倍もかかるということをおっしゃっているところです。でも、イノシシの被害が広がらないように荒廃地をつくらない、こういったことを地域の皆さんと共有して、費用対効果を考えると成り立っていかんけれども、もうかる農業に近づけるためにみんなで力を合わせてやっていきたいというふうに、本当に皆さんが今おっしゃられたことを受けとめて頑張っていこうということでなさっているなと思います。わずか十数戸の地域で、こういった成果が出たということに関して、それをお支えいただいた担当課の皆様の御尽力と御足労に本当に感謝する次第です。どうぞ、今後とも日本の棚田の風景を守るためにも、あるいは活性のためにも頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  続きまして、佐賀県産米の生産振興と販売対策についてお尋ねいたします。  この点につきましては、午前中に井上祐輔委員からも、来年度からの厳しい面での御質問がありました。私も、そういった面からは同じですが、どう見ても、今回、聞き取りといいますか、お互いにやりとりをする中で私の頭から離れないことがありました。それは福岡県産米の宣伝です。「金のめし丸元気つくし」というあの歌が耳から離れないんです。よく宣伝をやるなと思ってました。この間の日曜日も午前中と夕方にその宣伝を見たんですね。来年から減反が廃止されて生産過剰になるかもしれない。そうなると米価が下がるであろうとか、そういった中で、佐賀県のお米って、どう流通され、あるいはどういった宣伝をして販売拡大といったところに力を入れていらっしゃるのかなと感じた次第です。  それでは、質問に入らせていただきます。  佐賀県産米の生産振興と販売対策についてお尋ねいたします。  本県では、温暖な気候などの恵まれた自然条件や整備の進んだ水田を活用し、生産性の高い水田農業が展開されており、日本でも有数の米どころとなっております。  また、全国の産地から新しいブランドのお米が次々と出される中、「さがびより」が米の食味ランキングで平成二十二年から七年連続で最高位の「特A」を獲得するなど、佐賀県は高品質のお米を生産できる産地として評価されているものと認識しているところであります。
     こうした中、米の生産について、平成三十年度以降、国からの生産数量目標を配分する生産調整、減反は廃止となり、同時に二〇一三年から継続してきた農家への戸別所得補償制度、いわゆる価格が生産コストを下回った場合に、国がその差額を生産農家に補償する制度も廃止されます。  この平成三十年問題は、自信のある米をつくっている生産者は、恐らくつくりたいだけ自由に米を作付する、そういった方々がふえるものと私は思っておりますので、需給バランスが不安定になることが懸念され、そういった報道もございます。そうした中で産地間競争は、これまで以上に厳しくなっていくのではないかと報道でも伝えているところです。  今後、「さがびより」を初めとする佐賀県産米が生き残っていくためには、消費者や需要者から選ばれる米づくりがますます重要となることから、一層の生産振興に取り組んでいく必要があると考えております。  さらには、消費者に向けた広告、PRや販促活動の展開など、しっかりとした販売対策も必要であると考えているところであります。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  佐賀県産米の生産、販売状況についてであります。  まず、作付状況について、品種別の作付状況はどのようになっているのかお尋ねいたします。 100 ◯永渕農産課長=米の作付状況についてお答えをいたします。  本県における平成二十九年産米水稲の品種別作付面積を収穫時期の早い順に申し上げますと、まず、早生品種の「夢しずく」が五千六百二十ヘクタール、これは全体の二三%でございます。次に、中生品種の「ヒノヒカリ」が五千二百九十ヘクタール、これは全体の二二%でございます。同じく中生の「さがびより」が五千百八十ヘクタール、全体の二一%でございます。それに晩生のモチの品種であります「ヒヨクモチ」が五千二百十ヘクタール、全体の二一%でございます。これらの主力四品種で県内の水稲作付面積の約八割を占めている状況でございます。  なお、本県における主食用米の作付面積の合計は二万四千四ヘクタールでございまして、全国に占めるシェアは一・八%となっております。モチ米につきましては、全国の一一%を占めておりまして、これは北海道に次いで全国第二位のシェアを占めております。  以上でございます。 101 ◯野田委員=佐賀県は米の産地といえども、全国でいきますと一・八%ということで、改めてびっくりする低さかなと感じました。県の面積からいきますと、やむを得ないかもしれません。にもかかわらず、モチ米が全国で二位であるということで心強さも感じた次第であります。  それでは、品種別の価格はどのようになっておるのかお尋ねいたします。 102 ◯金澤流通・通商課長=品種別の価格についてお答えいたします。  平成二十九年産の新米販売時期における本県産の主食用米の主力品種について、JAさがと卸売業者との玄米六十キログラムあたりの相対取引価格で見てみますと、「ヒノヒカリ」が一万三千八百円、「夢しずく」が一万四千円、「さがびより」が一万四千八百円となっており、「さがびより」は「ヒノヒカリ」よりも千円、「夢しずく」よりも八百円高く設定されております。これは、「さがびより」が七年連続で「特A」を獲得し、高品質な米と高く評価されたことが取引価格に反映しているものと考えております。  なお、モチの品種であります「ヒヨクモチ」につきましては、六十キログラム当たり一万五千三百円となっております。  以上、お答えいたします。 103 ◯野田委員=ありがとうございます。「ヒノヒカリ」が一万三千八百円、「夢しずく」が一万四千円、「さがびより」が一万四千八百円ですね。全体的にお米の生産コストは一万二千円ぐらいというふうに私は聞いているところですけれども、こういったことを踏まえまして次の質問に入らせていただきます。  「さがびより」のブランド化に向けた取り組みについてお尋ねいたします。  「さがびより」は、本県を代表するブランド米として認知されつつあると思いますが、生産対策にどのように取り組んでいらっしゃるのかお尋ねいたします。 104 ◯永渕農産課長=「さがびより」のブランド化に向けた取り組みについてお答えをいたします。  「さがびより」につきましては、それまで本県産米の主力品種でございました「ヒノヒカリ」が温暖化の影響で収量、品質の低下が著しかったことから、温暖化に強い品種として平成二十一年産から導入した、県で育成した品種でございます。  この「さがびより」につきましては、生産者の方々を初め、関係機関・団体が一体となって、佐賀米を代表する県産米として位置づけ、その銘柄の確立を図ってきたところでございます。  ウルチ米で見ますと、魚沼の「コシヒカリ」が全国最高ランクに位置づけられておりますけれども、あられ、おかきの米菓業界からは、佐賀の「ヒヨクモチ」はウルチ米の「魚沼コシヒカリ」と同様に日本最高ランクという高い評価をいただいております。こういう中で、ウルチ米についても県産米をつくろうということで動き出したところでございます。  具体的には、地域や気象条件に応じたきめ細かな栽培管理が徹底されますように、県段階に専門家から成る技術指導チームを設置いたしまして、地区段階の指導者と一体となった技術指導を実施しております。  また、ほかの生産者にアドバイスができます卓越した栽培技術を有する生産者を「さがびより米スター」として認定しまして、JAの技術指導員、県の普及員と緊密に連携して生産者への濃密指導を徹底しているところでございます。  さらに、生産者みずからが、おいしさの目安となりますたんぱく質含有率の上限、「さがびより」は六・八%以下に設定することや、一等米に限定するなどの厳しい出荷基準を設けまして、その基準をクリアしたものだけを統一した米袋で販売することで商品の品質確保と保証を行うことなどに取り組んでおります。生産者みずからが出荷基準を県段階で取り組んだのは本県が初めてだと認識しております。  こうした取り組みを関係者が一丸となって継続してきた結果、「さがびより」につきましては、食味ランキングで七年連続して「特A」を取得するなどの高い評価を得ておりまして、本県を代表する品種として認知されてきたものと考えております。  以上でございます。 105 ◯野田委員=稲をつくるに当たっては非常に厳しい条件のもと、みずから出荷基準の管理ということでお話をいただいたところです。「さがびより」に関しましては、この後の質問で、また関連の質問をさせていただきます。  それでは、佐賀県産米の振興に向けた取り組みについてお尋ねいたします。  米の産地間競争の激化が見込まれる中、米の産地として生き残っていくためには、「さがびより」を初め、佐賀県産米の振興に一層力を入れていく必要があると思います。今後、どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。  まず、生産対策についてお尋ねいたします。  国全体で見ますと、毎年八万トンずつ消費量が減っていると聞いているところですが、こういった中で今後の生産対策をどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 106 ◯永渕農産課長=生産対策についてお答えをいたします。  平成三十年産以降、国による米の生産数量目標の配分はなくなりますが、人口減少や食生活の変化等に伴いまして米の消費は、委員おっしゃいましたように、年間ベースでいいますと八万トン程度ずつ減少しております。こういう中で、需要に応じた米の生産に努めることはもとよりでございますが、これまで以上に消費者を意識しながら、高品質な米の生産や多様なニーズに応じた米の生産を行っていくことが重要と考えております。  このため県では、平成二十四年度から佐賀米のブランド力の向上や多様な視点で選ばれる米づくりなどに取り組みます「佐賀米」高品質化プロジェクトを進めているところでございます。  具体的には、佐賀米のレベルアッププロジェクトといたしまして、佐賀米の一層の高品質化、均一化を進めるために、県段階及び地区段階における生産者を対象とした技術研修大会の開催、携帯メールを活用した生産者などへの迅速な栽培技術の情報の提供、若手JA営農指導員の養成研修の充実など、農業団体と一体となった取り組みを進めております。  また、こだわりの佐賀米プロジェクトといたしましては、特別な基準などによりましてブランド力のある産地を育成しているところでございまして、この取り組みによりまして、例えば、粒の大きさやたんぱく質含有率など、通常の「さがびより」の出荷基準よりも、さらに厳しい基準で調製された武雄市橘地区の「さがびより」が、ことしの一月からJR九州の豪華寝台列車「ななつ星」に採用されたところでございます。  さらに、選ばれる佐賀米プロジェクトとして、これまでの価値観にとらわれない多様な視点で米づくりに取り組んでおりまして、この取り組みでは、例えば、伊万里市において首都圏の米専門店と連携しまして、国産品種の長粒米品種「ホシユタカ」の生産・販売に挑戦されているなど、産地独自の取り組みも芽生えているところでございます。  こうした取り組みを進める一方、委員おっしゃいましたように、農林水産省の資料によれば、消費がどんどん減少しております。加えて、近年では中食・外食の占める割合が増加し、直近の平成二十八年度では三割を超える状況まできておりまして、年々増加しております。そういう中で全国的な飼料用米の作付拡大などもございます。また、実需者からは、業務用米が非常に不足しているという声も強く言われておりますことから、こうした用途向けの米の生産などについても今後検討していく必要があると考えております。  いずれにしましても、今後、佐賀米の生産振興に当たりましては、佐賀県の特徴であります高度に整備された水田や共同乾燥調製施設などを生かしまして生産性の高い米づくりを進めますとともに、全国的にも評価の高いモチ米と「さがびより」や「夢しずく」などウルチ米を適切に組み合わせた特色のある米づくりを推進するなどして他県との競争に打ち勝っていけるよう、しっかり取り組んでまいります。  以上、お答えいたします。 107 ◯野田委員=お尋ねしようと思っていたこともお答えいただきました。ありがとうございました。  今の答弁の中に、乱立する米の需要の中に「ホシユタカ」の話が出ました。これは県民の皆さんにはなかなか知られていない分だと思います。私も情報をもらって伊万里のほうに行きましたが、この「ホシユタカ」について詳しく御説明をお願いいたします。 108 ◯永渕農産課長=先ほどお答えしました高品質化プロジェクトの一環として伊万里での取り組みを進めております。  これは、非常に有名な米専門店でございます埼玉県にございます金子商店という五ツ星お米マイスター、マスコミによく出られますが、その社長の金子さんとの意見交換の中で、世界的に見ると長粒種が八割を占めていると。日本の短粒種、ジャポニカ種は世界的に見ると二割しかないということで、今後は国産の長粒米も可能性が非常に高いのではないかという提案をいただきまして、農業試験研究センターで国産長粒種の中でいい品種がないかということで試験を始めました。  その中から、長粒種ではありますけれども、余り臭いがしない、非常にぱらぱら感があるということで「ホシユタカ」を選定しまして、今、生産に取り組んでおります。  ただ、問題は、現時点では販路が大きく膨らむ状況ではございません。地道にこつこつやるしかないかなと思っておりまして、今、いろんな方面で取り組みを進めていただいています。JA伊万里が非常に熱心にされておりまして、今度のオリ・パラに向けてGAPもとろうということで、組合長以下、一生懸命になられていますので、今後、取り組みはより強化されるのではないかと思っています。  現時点で作付面積は三・五ヘクタールです。今後まだ拡大していくということで、我々もJA伊万里と一体となって、その振興に努めてまいりたいと思っています。  以上でございます。 109 ◯野田委員=お米の中でも洋食風のパエリアを初めとするようないろんなものがございます。私は、この話を聞いたときに、ひょっとして将来、有望な品種に育つんじゃないかと思って期待しているところであります。どうぞ、こちらのほうにも御尽力を賜りたいと思っています。  それでは、販売対策についてお尋ねいたします。  販売対策について、今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。 110 ◯金澤流通・通商課長=販売対策についてお答えいたします。  厳しさが増す産地間競争に佐賀米が勝ち残っていくためには、「特A」評価を継続して獲得している「さがびより」などの生産面の努力とあわせまして、消費者からのニーズを高めて佐賀米を食べたいと思っていただける状況をつくり出すことが必要と考えております。  このため、県とJAで組織する「佐賀の米・麦・大豆マーケティング協議会」におきまして、県内や福岡都市圏を中心に新米発売時期である十一月から十二月まで、「さがびより」のテレビCMをFBS福岡放送とSTSサガテレビで放映しております。本年は生産者の顔が見えるようにリニューアルをしたところでございます。  また、昨年十一月から十二月まで博多駅福岡市営地下鉄ホームに試験的に掲示しました「さがびより」のデジタルサイネージ看板を、本年十一月からは年間を通じて掲げることとしております。  このほか、新米を購入いただいた方に抽選で県産農産物が当たるキャンペーンや、ラジオ、新聞、雑誌などを活用した情報発信、各種イベント等で佐賀米のPRを行うなど、消費者の購買意欲を高めていく取り組みを行っているところでございます。  こうした取り組みによりまして、福岡県内における「さがびより」の認知度調査では、「「さがびより」を知っている」と答えた方の割合が、平成二十三年度の四五%から平成二十九年度には七八%に達しており、消費者の認知度は着実に高まっていると考えております。  農産課長からの答弁にもありましたとおり、本年一月にはクルーズトレイン「ななつ星」の車内食として武雄市橘町の「さがびより」が採用されたことによりまして、改めて消費者を初め、小売業者や卸売業者に「さがびより」の品質の高さやおいしさを広く知っていただけたのではないかと感じているところです。  いずれにいたしましても、他県との競合に打ち勝っていくためには、本県を代表する銘柄米「さがびより」の評価をより一層高めるとともに、「夢しずく」や「ヒノヒカリ」などを含む佐賀米全体の有利販売に向け、JAとしっかり連携しながら販売対策に取り組んでまいりたいと考えております。  以上、お答えいたします。 111 ◯野田委員=流通におきましても、いろんなことに御尽力いただいているんだなと思いました。四五%だった認知度が平成二十九年度は七八%まで上がったと。これはやっぱり広告やいろんなPRの成果だと思っています。確かに、佐賀のお米は福岡県のほうで、福岡県産のお米では賄えないから福岡の人たちに食べていただく流れが主体であるとお伺いいたしました。  そういった中で、「夢しずく」に対する、つくり手の厳しさとか販売に対する力の入れ方の話がありましたが、この間、ちょっとお話ししたと思うんですけど、例えば、お米とトイレットペーパーは、今や通販で買う時代と言われています。かさばるからです。田舎だと車で買いに行くのであんまり関係ないと思います。  そういった中で通販の大手であるアマゾンさんで「さがびより」を買った方の評価の悪いほうを拾ってみました。「佐賀県のものです。本当に「さがびより」なんでしょうか。くず米が混ざってました」というのがあります。あるいは「今まで「ゆめぴりか」を食べていましたが、テレビで「さがびより」がお薦めだと言われたので十キロ購入しました。私にとっては期待外れでした。値段は安いのですが、「ゆめぴりか」と同じ手法で炊飯してもおいしくなかった、芯が残った」と。この辺は本人さんの炊き方の問題もあるんじゃないかなと思うんですけど。あるいは「計量してみると十キロじゃなくて九キロ五百グラムしか入ってなかった」とか、「米はつやつやどころか、黄ばんで臭いも悪くてこんなにひどい米は初めて見た」と言わんばかりの悪態、「ちなみに炊飯ジャーは象印の圧力IH釜でグレード的にも高いやつで炊いたんだけれども、まずかった」というようなものがありました。  「夢しずく」です。例えば、「精米してから十九日も経過したものが来た」と、これはそれがいいのか、悪いのか、私はちょっとわかりませんけど、そういう不満を持つ方もいらっしゃったということですね。あるいは「炊き上がりに粘り気がなくぱさぱさでした。まるでインディカ米のようでした。おいしくありませんでした」、「梱包の甘さ、袋のもろさがありました」、これは袋の問題ですね。これが「夢しずく」です。  私がちょっとびっくりしたのがこれです。これは両方の「夢しずく」でも「さがびより」でもない、佐賀県のお米、県産米として流通しているものです。その販売元を見てみると県内の業者さんでありました。「あけてびっくり、すごく残念。ここまで悪いとは」としか書いてないですね。「返品したくてもできない」と書いてあります。これはひどいなと思ったのは、「五合炊くのにお米をとぐのですが、黒い米、茶色い米、緑がかった米、白過ぎる米、本当に目視検査しているのと思うほどたくさん出てまいりました。もう二度と買いません」と。それと、「九州で佐賀県産米を購入しました。中身は雑穀米ならぬ雑米、色もまばらで、精米で欠けてる米、九州産一〇〇%で佐賀に非常に魅力を感じてるんだけれども、小鳥の餌に」というふうに書いてあります。あるいは「死骸と虫入り」というふうにですね。「佐賀発〇〇屋を購入したのですが、袋を開封したら黒い生きた虫が六匹出てきて、羽が生えた虫の死骸も入っていました。この店はかなりやばいです。残念でした。もう買うことはないですね」というふうにあります。あるいはほかの方も「虫がたくさん入っていました。もう買いません」と。  せっかく佐賀県で力を入れてなさっているんですけれども、こういった評価があるのも事実なんですね。今後は、こういった評価の悪さ、評判というのは、人から人へと口伝えに広がります。こういった流通面でのチェックといいますか、そういったところにもぜひ目を向けていただきたいと思います。  今後、生産側と販売側の連携、日経新聞なんかを見ておりますと、先ほどおっしゃいました業務米、外食米とか中食米ですね、こういったところを何割に上げよう、二〇%を四〇%にもっていこうとか、きめ細かに、よそとの差別化を図るために出荷、流通に関して、この八月ぐらいから動きがあっているようです。  そういったことを考えますと、今後、佐賀県米が商品の差別化によってどんどん販売されていく中で、せっかく地域の方が一生懸命つくっていらっしゃいますので、そういった悪評を持たれずに進んでいくことを望むものですけれども、今、県の中で生産と販売の連携はいかにお考えなのか、もしよかったらお願いいたします。 112 ◯永渕農産課長=先ほど、委員からお話がありました佐賀米の評価について、我々が「さがびより」を出すときに一番心配したのは、農産課にいますと、全国の消費者からクレームが入ってきます。委員と全く同じようなクレームが入ってきまして、「佐賀米を買ってみたものの、くず米だらけだった」と、そしたら電話でお聞きすると、「袋には佐賀県産米と書いてあった」ということで、それは事実だと思います。流通に少し問題があるかというのははっきりわかりませんけれども、実は、生産者段階では、出荷するときの袋は農林水産省で決められた袋でありまして、検査の等級が打ってあります、一等、二等と。それが卸に行って袋詰めした段階では、一般の消費者に渡る時には一等米であるのか、二等米であるのか、くず米であるのかというのは全くわかりません。  ですから、我々がやろうとしたのは、先ほどお答えしましたように、佐賀県で生産して、生産者が一生懸命つくって誇りを持っている米については、やっぱり品質保証をやろうということで、「さがびより」については、お人形さんで透明袋、わざと透明にしています、品質がわかるように。それで、この袋で出荷されたものは、先ほども申し上げましたけれども、たんぱく質含有量が六・八%以下、整粒歩合が七〇%以上、それと一等米に限ってあの袋で出荷をして品質保証をするということにしています。  さっきお話があった、我々も危惧するのは、ネットで買われるときに、その袋だったかどうかというのが非常に問題でありまして、一般に出荷をされるのは袋が決められているわけではなくて、「さがびより」であれば一・九ミリ以上のものしかあの袋には入れていませんけれども、極端に言うと、ふるい下米が入っていたかもわかりませんので、そういうことで評価されては、生産者の努力が全く水の泡になってしまいます。そういうことがないようにやっていきたいということで、米については、JAさがと県と一緒になってマーケティング協議会というものをつくって、生産から販売まで一貫して取り組んでいこうということで、今の取り組みを進めております。  いずれにしても、佐賀県産米が一般の消費者に、いいものであるということをきっちり評価していただけるような仕組みについて、さらに検討してまいりたいと思っております。  以上でございます。 113 ◯野田委員=ぜひよろしくお願いいたします。「ひよりちゃん」ですかね。STSでお昼前に宣伝があっていて、私は初めて拝見したんですけれども、「ひよりちゃん」と、隣のスズメが「ちゅんくん」ですね。残念ながら、このツイッターですか、がありますが、今年度になって七月ぐらいに一回だけしか記入されてなくて、昨年度までは結構されていたみたいなんですけど。  そういったことよりも、例えば、「新之助」、「するがの極」、「雪若丸」、「だて正夢」、「金色の風」、「いちほまれ」、「青天の霹靂」、「風さやか」、「銀河のしずく」、「つや姫」、「ゆめぴりか」、「ななつぼし」、これは、ここ近々、各県のブランド米が続々と出てきております。こういった全国的なこだわりのお米に対抗していくために、先ほど、農産課長がおっしゃったように、生産者レベルでの厳しい生産をなさっていると思っているところです。  せっかくこういったところで品質を保持しながら七年間連続でやってこられている佐賀県のいいお米でございます。福岡県が県民の胃袋を福岡のお米だけで満たせないから佐賀県米が向こうで消費されるというだけじゃなくて、全国的なこだわりのお米に十分対応していく、あるいは知名度を上げていく。福岡だけじゃなくても、そういった戦略的な活動が今後必要じゃないかなと。大局を捉えると、そういうことが必要だと思っているところです。  このことは御担当の方にもお話ししたかと思うんですが、いわゆる車の社会で「技術の日産、技術の日産」と言っていたのが、いつの間にか商業ベースのトヨタさんに大きく抜かれてしまった。おいしい米をつくればつくるほど、その価値観をよりたくさんの方に知ってもらう必要があると思っています。  そういった意味で全体の連携ということが、今後、戦略的に絶対に必要だと私は思っているところです。そういったことに関しまして部長の御所見をお伺いしたいと思います。 114 ◯御厨農林水産部長=佐賀米の今後の戦略的な対応についての考え方ということでございます。  私も、佐賀の米の生産について、若い時に流通の担当もしていましたので流通にもかかわってまいりました。我々、じくじたる思いがずっとあったのが、昔は「ヒノヒカリ」が主体だったんですね。佐賀の「ヒノヒカリ」はこんなにおいしいのに、なんで価格が上がらないんだということで、米屋さんとかを回って話を大分聞きました。「ヒノヒカリ」は国が開発した品種で西日本のほとんどの県がつくっていたわけです。福岡で佐賀の「ヒノヒカリ」を売ろうとしても、「ヒノヒカリ」は熊本県産から福岡県産からいっぱいあって米屋さんは差別化が難しい。昔はもっとおいしいものと差があったと思うんですけど、今の米は、いろんなところで各県が競い合うように品種開発もして、国も品種開発をするということで、基本的においしいレベルの差があんまりなくなったところでの競争を実はしています。だから、恐らく目隠しで、おいしいお米と、そうでないお米を食べ比べると、三者三様で、はっきりわかるというのは、さっきみたいな、よっぽどひどい米じゃない限りは、なかなか差が見えてこない。  そういう中で、温暖化で「ヒノヒカリ」が調子が非常に悪い、収量、品質が落ちるということで「さがびより」を開発できた。これについては、「さがびより」は佐賀独自の品種であるということで、先ほど農産課長が申しましたように、生産段階から大切に育てたという経緯がございます。  これを大切に、その品質のいいところを売っていこうということで、マーケティング協議会あたりで対応しております。それにつきましては今後とも連携をとりながらやっていきたいと思います。  ただ、佐賀米の宿命として、先ほど、委員も言われたように、福岡県の人の胃袋を満たすには福岡産だけでは半分ぐらいしか胃袋を満たせなくて、よそから米を入れなくちゃいけない。佐賀県は二倍半ぐらいつくっているので外に出さんといかぬ。だから、福岡の戦略としては、県産米、県内消費にとにかく特化してどんどん宣伝して県民を洗脳したら、わざわざ運賃をかけて東京、大阪に持っていく必要はないということでの戦略で福岡はやっています。  佐賀の場合は、外に打って出ていかなければいけませんけれども、全体の数量が十三万トンぐらいの生産力しかございません。そのうちJAが扱っているのは八万トンぐらいで、そのうちの二、三万トンはモチ米なので、実質、ウルチ米というのは五万トンぐらいです。五万トンぐらいで関東とかで名を上げるというのはほとんど難しくて、今、我々がやっているのはピンポイントで量販店の有名なところに持っていって、こだわり的なところでマスコミ等に広めてもらうというような売り方をしています。基本的には県内、九州近県を中心に、関西ぐらいを主体としていくという販売戦略です。  先ほど委員も言われましたとおり、今後の戦略としては、しっかりとした品質の米をつくり上げて、それをきっちりと訴求していくという売り方をやっていきたい。新品種についても、今後、必要性があれば、今も継続して試験場で品種開発は行っていますが、新たな品種がどんどん出てくると、販売のところで、せっかく定着したものをまた一から積み上げんといかぬというところもございますので、「さがびより」につきましては、今、いろんなところで定着している分を、より生かしつつ、全体の情勢に応じて新品種を投入せんといかぬのか、新たな販売対策を、どこをターゲットに、どういう形で売っていくのかということは、今後とも団体と一緒になって試行錯誤しながらやっていきたい。今もいろんな形で、農業団体もそうですし、うちの職員も流通、生産の両方でいろいろ創意工夫を凝らしながら佐賀米の銘柄確立に向けて頑張っているところでございます。今後ともしっかり頑張ってまいりたいと思います。 115 ◯野田委員=どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、三項目めです。有害鳥獣対策についてであります。  私は、この委員会が終わったら、早速、有害鳥獣駆除活動に携わった方々への四月から十二月分までの報償金を支払うための計算に入らなければいけません。そういった意味で、この報奨金関係で不透明なところがあるなというふうにちょっと感じた次第であります。そこをちょっとお尋ねしたいのが趣旨であります。  まず一番目、国の緊急捕獲報償金についてお尋ねいたします。  現在、イノシシなどを有害捕獲した場合、捕獲従事者に対し、国から県、地域の鳥獣対策協議会を経て鳥獣被害防止緊急捕獲活動支援事業による交付金、いわゆる緊急捕獲報償金が交付されているところです。  ところで、この報償金について、国からは県に対し、平成二十九年度は前年度に続き、県からの要望額を下回って配分されたと聞いております。今、季節は狩猟シーズンを迎え、イノシシの有害捕獲頭数も多くなってきている中、私の地元の捕獲従事者からは、今、捕獲しているイノシシにはきちんと報償金が交付されるのかどうか心配される声を聞くところであります。  この報償金は、捕獲従事者の捕獲活動経費への対価となり得るというだけではなく、これによって有害鳥獣による農作物被害を防止することで農家の方々が安心して農業を続けられることになり得るという効果もあることから、必要な予算については、国においてきちんと確保していただきたいと考えているところです。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  国における今年度の予算措置についてであります。  鳥獣被害防止対策として、今年度、どれくらいの予算を措置されているのか。また、このうち緊急捕獲報償金分はどれくらいなのかお尋ねいたします。 116 ◯松隈生産者支援課長=国における今年度予算措置についてお答えいたします。  国におきましては、鳥獣による農林水産業等に係ります被害を防止、軽減するための地域の取り組みを支援する予算としまして、鳥獣被害防止総合対策交付金を措置しております。この交付金の平成二十九年度の当初予算額は、総額で九十五億円となっております。
     このうち有害鳥獣の捕獲活動経費への交付金であります緊急捕獲報償金分につきましては、地域の有害鳥獣対策協議会が実施します被害防止を図るためのソフト事業において、研修会の開催や箱わなの購入などの経費と合わせまして五十三億五千万円の予算が措置されているところでございます。  以上でございます。 117 ◯野田委員=わかりました。  そしたら、直近の、ここ数年間の動きというのはわかりますでしょうか。 118 ◯松隈生産者支援課長=最近の予算の動きでございますが、総額としては平成二十七年度から九十五億円で推移しているところでございます。このうちソフト事業につきましては、平成二十七年度が四十五億四千三百九十二万四千円、平成二十八年度が五十億五千万円。それから、平成二十九年度が先ほど言いましたとおり五十三億五千万円となっております。  以上でございます。 119 ◯野田委員=ということは、ソフトのほうに結構力がいっているのかなというふうにお聞きいたしました。  では、今年度の国への要望額と本県への配分額についてお尋ねいたします。  県は、鳥獣被害防止対策として、今年度、国に対し、どれくらいの予算の要望を行い、国からは県に対し、どれくらいの配分が行われているのか。また、このうち緊急捕獲報償金分についてはどうなのかお尋ねいたします。また、これについても近々の動きがわかればお尋ねいたします。 120 ◯松隈生産者支援課長=今年度の国への要望額と本県への配分額についてお答えいたします。  鳥獣被害防止総合対策交付金につきましては、県では今年度、国に対しましてイノシシなどの農地への侵入を防ぎますワイヤーメッシュ柵や電気柵の設置などの経費を対象とするハード事業分と、緊急捕獲報償金などの経費を対象としますソフト事業分とを合わせまして三億四千七百五十三万七千円を要望していたところでございます。  これに対しまして国から本県に配分された交付金の額は、ハード事業分とソフト事業分を合わせて一億八千九百一万七千円となっておりまして、要望額に対する配分額の割合は約五四%となっているところでございます。  なお、このうち緊急捕獲報償金分を含みますソフト事業分としましては、国に二億一千四百五十五万九千円を要望していましたところ、国からの配分は一億一千八百四十八万円でございました。これは要望額に対する配分額の割合としては、約五五%となっております。  それから、ソフト事業分の緊急捕獲報償金の要望額と配分額の直近の状況でございますが、平成二十七年度は、一億三千五百二十四万七千円の要望額に対して七千七百六十三万二千円、率にして五七%。平成二十八年度につきましては、一億五千五十七万三千円の要望額に対しまして一億二百六十五万五千円、割合としましては六八%。それから、平成二十九年度につきましては、二億百十七万七千円を要望していたところ、これに対する配分につきましては一億一千百九万円ということで、大体五五%という形になります。  以上でございます。 121 ◯野田委員=単純な質問です。イノシシは、私も何回となく、被害額は減っているけど、イノシシの頭数は減ってはいないと訴えをさせていただいております。国がこうやって増額しない理由というのは、何かはっきりしたところがあればお尋ねいたします。 122 ◯松隈生産者支援課長=国が増額しない理由については、全国でイノシシの頭数は非常にふえているということですが、そういう中で農林水産省としては総額を確保しているということにはなると思いますけれども、詳細については、うちのほうでは把握しておりません。  以上でございます。 123 ◯野田委員=それでは、県への配分に対する国の考え方です。  緊急捕獲報償金の県への配分に対する国の考え方はどのようになっているのかお尋ねいたします。 124 ◯松隈生産者支援課長=県への配分に対する国の考え方についてお答えいたします。  緊急捕獲報償金の県への配分につきましては、国は、農林水産省生産局長から通知されております「鳥獣被害防止総合対策交付金に係る交付金の配分基準について」の中で定められておるところでございます。  具体的に書かれていることを申し上げますと、前年度の捕獲計画に対する実績や有害捕獲等に対する都道府県、市町村の負担などを考慮し算定するものとされているところでございます。なお、この場合、各都道府県の要望額を上限とするとされております。  以上でございます。 125 ◯野田委員=前年度の実績、あるいは全国の状況を見てという御回答でした。  それでは、全国の要望額の状況についてお尋ねいたします。  緊急捕獲報償金に対する全国の要望額はどういうふうに広がっているものなのか、そういったところをお尋ねいたします。 126 ◯松隈生産者支援課長=全国の要望額の状況についてお答えいたします。  緊急捕獲報償金について、全国でどのくらいの要望があったかは公表されておりませんため、国に状況を確認いたしましたところ、全国からの要望額は鳥獣被害防止総合対策交付金のソフト事業分の予算を大幅に上回っているということでございまして、九州全体におきましても要望額に対する充足率は約六〇%ということを教えていただきました。  以上でございます。 127 ◯野田委員=緊急捕獲対策というのは、平成二十五年度ぐらいからあったと思うんですが、それから全国的にも被害は広がっていますし、全国的に頭数は減っていない状況です。そういった中で、先ほどの、国としては予算総額としては確保していると言いながらも、九州に対しても六〇%ぐらいしか支払いをしていないといった状況です。  現場で捕獲していらっしゃる方々は、国からの要請に対して、自分たちは地域を守っている、あるいは語弊があるかもしれませんけれども、狩猟じゃなくて、とってやっているんだ、有害鳥獣を捕獲しているんだという誇りをお持ちなんですね。それがこういった報償金という形で国からまず八千円、そして、市町から五千円、合わせて一万三千円、こういった金額を手にいたしますと、やはり期待をしていくわけです。私は、前にも申し上げたんですけど、お金で活動するよりも、世の中に組み込んだ体制づくりということを訴えさせていただいている。だから、肉や、ほかのものを有効活用する仕組みづくりを考えていただきたいというふうに訴えているんですけれども。  例えば、去年なんかも十二月で報償金はとまったんです。十二月以降は平成二十九年度分で賄いますということだったんですけども、実は、年度で区切ったり、あるいは上限として支払っているのであれば、「すみません、これは三月まで出せませんので頭数でこの予算を割ってください」というはっきりとした指示があれば、恐らく地域もそれに従うんじゃないかと思うんです。それを来年度の予算に追加して次年度に支払いますというふうになると、皆さん、やっぱり一万三千円を期待しちゃうわけです。そういう中で、今回、補正予算も組んでいらっしゃらなくて、状況的には、じゃ満額来るのかなということが今回の質問の原点であります。  それでは、県から地域の鳥獣対策協議会への配分についてお尋ねいたします。  県へ配分された緊急捕獲報償金について、地域の鳥獣対策協議会にはどのような考え方で配分されているのかお尋ねいたします。 128 ◯松隈生産者支援課長=県から地域の有害鳥獣対策協議会への配分についてお答えいたします。  県では、地域の有害鳥獣対策協議会への緊急捕獲報償金の配分に当たりまして、各協議会ごとに緊急捕獲報償金として要望されている額に対しまして、ソフト事業分として国から県へ配分された額の要望額に対する割合、約五五%を一律に乗じて算定しまして配分しているところでございます。  以上でございます。 129 ◯野田委員=それでは、今年度の県内での執行状況についてお尋ねいたします。  緊急捕獲報償金の今年度の県内での執行状況についてお尋ねいたします。 130 ◯松隈生産者支援課長=今年度の県内での執行状況についてお答えいたします。  緊急捕獲報償金の今年度の県内での執行状況については、各地域の有害鳥獣対策協議会から定期的に報告をいただいているところでございます。現在、報告があっている直近の十月末現在では、配分額に対し、約八〇%の進捗となっているところでございます。  以上でございます。 131 ◯野田委員=今、予算の八〇%は、もう上がってきているということですね。わかりました。  それでは、国への今年度予算の確保に向けた県の対応状況についてお尋ねいたします。  このような状況を踏まえて、県では今年度の緊急捕獲報償金関係予算の確保に向けてどのような対応を行っていらっしゃるのかお尋ねいたします。 132 ◯松隈生産者支援課長=国への今年度予算確保に向けた県の対応状況についてお答えいたします。  緊急捕獲報償金を含む鳥獣被害防止総合対策交付金につきましては、本県の有害鳥獣対策を進める上で不可欠な事業でありますことから、県では、その予算の確保に向けまして、例年、五月ごろに実施いたします政策提案活動を初め、会議などさまざまな機会を通じまして国に要請を行っているところでございます。  また、今年度は十月にも農林水産部長をトップとしまして、平成三十年度予算に係る要請活動を行う中で、平成二十九年度分の緊急捕獲報償金についても、地域が必要とする予算を確保してもらうよう農林水産省へ要請したところでございます。  また、各市町に対しましても、それぞれのルートでの国等への働きかけをお願いしているところでございます。  以上でございます。 133 ◯野田委員=ぜひ市町からの要望額を満たす活動、結果となるような戦略をもってお願いしたいと感じているところです。  効果的な要望活動の取り組みについてお尋ねいたします。  国に当年度に必要な本予算を確実に確保してもらうために、地域の実態をきちんと理解してもらうよう、例えば、同じような状況、悩みを持つ県であったり、あるいは県の農産物生産者、いわゆるJAの団体であったり、県の猟友会であったりなどと一緒に要請活動を行うなど、そのやり方、効果が上がるように工夫すべきだと思いますけれども、その点お尋ねいたします。 134 ◯松隈生産者支援課長=効果的な要請活動への取り組みについてお答えいたします。  有害鳥獣による農作物等の被害防止は、本県のみならず、九州各県や全国でも重要な課題となっておりますことから、本県単独のみならず、全国知事会や九州地方知事会としても他県と共同いたしまして、国に対し、強く要請しているところでございます。  また、全国市長会や全国町村会においても、予算の確保について国に対し要請されているところでございます。  委員から御提案のありました関係団体と一緒に要請活動を行うことについては、さまざまなやり方、それから、タイミング等あると考えておりますので、その中で効果的なものを検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 135 ◯野田委員=ぜひよろしくお願いいたします。この件に関しましては、また最後にお尋ねしたいと思います。  それでは、次に入らせていただきます。  「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」についてであります。  六月、九月と、この委員会でも県内で初めて全国レベルでの狩猟フォーラムがあるということでお尋ねいたしました。ことしの十月十五日に武雄市の北方公民館において行われた次第であります。  このフォーラムに対する県の評価並びに今後の活用、得られた成果をどのように生かしていこうとお考えなのか、あわせてお尋ねいたします。 136 ◯松隈生産者支援課長=今回開催されましたフォーラムに対する評価と、その成果を今後どう活用していくかについてお答えいたします。  本県で初めて開催されました「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」につきましては、県では、県内開催を環境省へ応募する段階から県猟友会と入念な打ち合わせを行ってきました。また、本年四月に本県開催が決定して以降は、県猟友会はもとより、主催者であります環境省がフォーラムの開催・運営を委託している業者とも連携いたしまして、会場の確保やパネリストの人選、テレビなどの媒体も活用しましたPR活動、ジビエ料理店を初めとする出展者との調整などについて、限られた時間の中でフォーラムの開催に向け、精力的に準備を進めたところでございます。  さらに、フォーラム当日は、運営面での協力や狩猟免許相談コーナーの対応などの役回りもこなしまして、無事に終えることができたと考えております。  そうした今回のフォーラムの評価につきましては、当日はあいにくのどしゃ降りの雨にもかかわらず、約二百七十名の参加者がありまして、主催者である環境省の担当係長も、「いろんな地区の開催を経験しておりますが、非常によかった」というふうに言われておりました。  また、当日実施しました来場者アンケートに回答いただいた参加者の半分以上が四十代以下の若い世代で、三割程度が女性であったこと。  同じくアンケートに回答いただいた七割の方が、「狩猟に対するイメージがよくなった」、あるいは「狩猟免許を取得しようと思った」と積極的な回答をしていただいていること。  実際、先月に実施しました狩猟免許試験を受験された三十九名のうち五名の方がフォーラムに来場されていたことなどから、多くの方々、特に若い方が狩猟への関心を高め、一人でも多くの方が狩猟免許取得を志してもらうきっかけを提供するという所期の目的はおおむね達成できたのではないかと考えております。  そうした中で、パネリストとして出席いただいた県内の若い狩猟者の方からは、これを契機に若い狩猟者同士で何か一緒に活動を行いたいといった新たな取り組みのアイデアを持たれていることなどをお聞きしたところでございます。  また、こうしたことを県猟友会に相談しましたところ、県猟友会としても、若い仲間の意見は尊重すべきということで、具体的な活動イメージやスケジュール感はこれから議論を始めることになりますが、今後、若い狩猟者による活動が動き出す兆しが出てきているところでございます。  県としましても、こうした関係団体の自主的な活動がより確かなものになりまして、そうした活動を通じて狩猟免許取得者の確保や有害鳥獣による農作物被害の防止、さらには、捕獲した有害鳥獣の有効利用などの取り組みが進むよう、できる限りの支援に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 137 ◯野田委員=私も来場いたしました。今、お話しいただいたように、若い方々もたくさん目立った次第です。「うわー、こんなにたくさん若い人が集まった」と私は喜んでいたんですけれども、隣で話を聞いていると、その人たちは熊本からおいでになった方でした。佐賀県の方がほとんどかなと思っていたんですけれども、環境省がやる九州大会でございますので、近隣の県からもいらっしゃったということです。  こういったことが、全体を縮小した感じでも結構ですし、また、猟友会の日ごろの活動を理解していただくためにも県単位でも結構です。何か狩猟免許者が多くなる、活動が多くなるような取り組みを行っていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。  最後になりますが、平成三十年度の予算状況を見ますと、この鳥獣対策に関しましては百五十億円ぐらいの予算計上になっていると国の予算を拝見いたしました。その中で大きな違いは、ジビエに対する予算が組み込まれているということで、お話を伺うと、その中の五、六十億円がそちらに充てられているんじゃないかという予想のお話でした。となれば、ジビエに対する積極的な考えを県にもお願いしたいし、何よりも、そうやって鳥獣対策を続けていかなければいかん県内における被害とイノシシの頭数の増、こういったことに関して捕獲に対する報償制度がある限り、予算獲得のための活動についても戦略をしっかり練っていただきたいと強く思うところです。  先ほども申し上げましたように、一度、高額な金額を手にいたしますと、減ったらもう参加せんばいとか、実際にこの国の緊急捕獲対策が出たからこそ、わなの免許を取る人がぐっとふえたんですね。これもまた事実です。だからこそ、魅力ある事業を、一石二鳥の、捕獲して減少させることと、とったら報償金がもらえるというシステムでございますので、これに関しては、イノシシの捕獲が少なくなっているんだったら報償金も少なくなる、予算が少なくなるのはわかるんですけれども、相変わらず右肩上がり、全体的にいきますとそういう状況でありますので、こういったことに関して、その制度を維持していただくのが御担当のお務めだというふうに私は感じているところです。  そういった意味で平成三十年度の予算獲得に向けての部長の所見をお伺いします。よろしくお願いします。 138 ◯御厨農林水産部長=鳥獣被害防止対策の平成三十年度の予算獲得に向けた対応ということでございます。  この捕獲報償金について先ほどからやりとりがございましたが、私といたしましても、捕獲対策を進めていく上で重要な施策、制度だと思っております。そのために先ほど課長からも答弁いたしましたとおり、その必要額の獲得に向けて予算の政府提案はもとより、個別にも私自身もじかに農林水産省に出向いてお願いをしているところでございます。  農林水産省の担当者と話したところ、この有害鳥獣対策は、十数年前と比べたら、国のほうでも議員連盟ができて鳥獣対策をしっかりせんといかんという動きの中で、以前と比べると相当な金額が拡充されたということです。ここ数年はなかなか大きくはふえてないという中で、その確保に苦慮されているということで、捕獲報償金が途中で足らなくなりますということに対しては、補正等でできる限りは努力はするということでございましたけれども、簡単にはなかなかふえないということが現状のようでございます。  ただ、今後、最初に申したとおり、この捕獲報償制度というのは、捕獲対策を支える大きな制度でございますので、国にも予算確保は当然引き続きお願いしていくと。そのやり方についても、先ほど委員からいろいろ御提案もございましたが、そういう工夫はやっていきたいと思っております。  それと、もう一つは、ここ数年、現場段階でも途中で予算が足らなくなるということで現場も非常に混乱されているという状況でございます。先ほど委員もおっしゃられたように、今は予算が足らなくなったときは翌年に繰り越してということで国に認めてもらっていますけれども、それがいつまで続くかというところもございますので、その辺は国とも協議しながら、また、そういった場合の対応については猟友会とか市町の対策協議会の皆さんとも、どういう形だったら余り混乱させずに対応できるのか、ここら辺は少し知恵を絞っていく必要があるのかなと思っております。  いずれにいたしましても、予算獲得に向けて引き続きしっかりと対応してまいりたいと思っているところでございます。 139 ◯野田委員=不透明な、いつまで続くかわからないということで、今、部長もお話しいただきました。そういった政策があるのかなというふうに首をかしげているのが現場の方々なんですね。県内の狩猟にかかわる全ての方々、あるいは有害鳥獣駆除にかかわる皆さんの期待は大きいものがございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 140 ◯八谷委員長=これで質疑を終了いたします。  暫時休憩します。     午後二時四十一分 休憩     午後二時四十二分 開議 141 ◯八谷委員長=委員会を再開します。  これより討論に入りますが、ただいまのところ討論の通告はあっておりません。討論はないものと認めます。よって、討論を終結し、直ちに採決に入ります。     ○ 採      決 142 ◯八谷委員長=まず、乙第五十五号議案「県営土地改良事業に対する市町の負担について」を採決いたします。  原案に賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 143 ◯八谷委員長=起立者多数と認めます。よって、乙第五十五議案は、原案のとおり可決されました。  次に、甲第三十九号議案中本委員会関係分及び乙第六十六号議案、以上二件の議案を一括して採決いたします。
     原案に賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 144 ◯八谷委員長=全員起立と認めます。よって、以上二件の議案は、原案のとおり可決されました。     ○ 継 続 審 査 145 ◯八谷委員長=最後に、九月定例会から引き続き審議中の 一、産業労働行政について 一、農林水産行政について  以上、二件につきましては、諸般の検討が必要ですので、閉会中の継続審査といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 146 ◯八谷委員長=御異議なしと認めます。よって、以上二件についての継続審査を議長に申し出ることにします。  以上で本委員会に付託された案件の全部を議了いたしました。  これをもちまして農林水産商工常任委員会を閉会いたします。どうも御苦労さまでした。     午後二時四十四分 閉会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...