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  1. 佐賀県議会 2017-09-27
    平成29年農林水産商工常任委員会 本文 開催日:2017年09月27日


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     午前十時一分 開議 ◯八谷委員長=おはようございます。ただいまから農林水産商工常任委員会を開催いたします。  これより質疑に入ります。通告に従い順次発言を許可します。 2 ◯野田委員=皆さん、おはようございます。県民ネットワークの野田でございます。ただいま委員長より質問の許可を頂戴いたしました。大きく三問の質問をさせていただきます。  それでは、早速、質問に入らせていただきます。  まず、第一問です。産業人材確保緊急支援事業についてお尋ねいたします。  有効求人倍率が過去最高水準に達し、労働市場の売り手市場化が進む中、人材確保は、昨今、全国的な課題であり、県内企業にとっても最重要の経営課題であると考えています。  特に、佐賀県では、高校卒業後の人材流出が著しく、進学者の八割、就職者の四割が県外に仕事や学びの場を求めて出ていくとも伺っているところです。県の資料によれば、労働生産性は高ければ高いほど初任給も高いとのことですが、佐賀県では三百七十六万円で全国三十八位、新卒初任給労働配分率は全国四十五位。こういう状況であれば産業人材の確保は他県にも増して最重要の政策課題だと思います。  もっとも、こうした危機感は、知事を初め、県側でも一定の共通理解となっているようであり、例えば、今年度当初予算では、県内企業にUJIターン就職する大学新卒者に対して、十万円から三十万円の奨励金を支給する「佐賀さいこうUJI就職応援事業」が始まりました。その規模は最大で五百名と、かなり大胆であり、非常に大きな事業だと思っています。それだけの危機感が県の側にもあることがうかがえます。  他方、こうした県外からの人材の還流を促す策とともに、若者の県内定着もまた重要であります。この点で昨年九月補正予算では新たに高校生の県内就職を促すため、産業人材確保緊急支援事業に着手されました。  実は、この事業に参画している支援員の一人と以前からの面識があり、折に触れてこの事業の話を聞くことがございます。支援員からは、常々、「本当にいい事業である。やりがいも本当にある」ということで、ときには給料も要らないというほどにやりがいを感じていらっしゃるところです。そういった高い評価をお持ちであります。  県といたしましても、着手後、ほぼ一年を経過し、成果や課題が見えてきたところであると思います。  つきましては、次の点についてお尋ねいたします。  事業目的についてであります。  まずは、そもそもなぜこの事業に取り組むことにしたのかお尋ねいたします。 3 ◯狩野産業人材課長=事業目的についてお答えいたします。  本県におきましては、高校生の県外就職率が全国四十七都道府県でワースト五に入るなど、人材流出が顕著であります。この背景にありますのは、都市部との間での賃金水準や就業機会の格差であり、実際、各県の県外就職率について統計学的に解析いたしますと、初任給や有効求人倍率などで八割方は説明可能でございます。ただ、このうち賃金水準につきましては、行政施策を通じて改善することがなかなか困難と考えているところでございます。しかしながら、就業機会につきましては、地元にもこのような仕事があり、自分が望む機会があるといったことを学校や生徒、保護者にきめ細かく伝えていくことは可能と考えております。  このため、これらを中心に県内の高校と企業とを橋渡しする支援員の配置に取り組むこととしたところでございます。  以上でございます。 4 ◯野田委員=ありがとうございます。
     それでは、取り組み内容についてであります。  まず、概要についてお尋ねいたします。  全国的に見ても高い高校生の県外就職率に着目し、県内への定着を促すために、県内の学校と企業との橋渡しをする事業とのことであります。では、実際にこの事業の中でどのようなことに取り組んでおられるのかお尋ねいたします。 5 ◯狩野産業人材課長=事業概要についてお答えいたします。  県内に、今年度につきましては九名の緊急支援員を配置いたしまして、主に企業訪問で得た企業情報などの学校への提供、希望する高校の校内での企業紹介会の開催に取り組んでいるところでございます。  具体的に申しますと、昨年度は九月補正後の半年間で学校側へは二十校に五百六十四回、企業側へは五百九社に五百八十回訪問するとともに、十一校で企業紹介会を開催したところでございます。  今年度につきましては、九月十一日までの五カ月間で、学校側へは十九校に二百三十六回、企業側へは五百八十社に七百三十七回訪問するとともに、年度末にかけて十五校で企業紹介会を予定しているところでございます。  企業と学校双方に半年で千回を超えるペースで訪問することなどはもちろん、支援員によっては学校の求めに応じて、例えば面接指導を行うなど精力的に取り組んでいただいているところでございます。  以上でございます。 6 ◯野田委員=ただいま、七名の企業支援員と二名の学校支援員の方々が、それぞれ学校の巡回、あるいは企業の紹介を初め、企業を回っておられるということの報告を頂戴いたしました。  私も、知人の支援員の方からこの体制のお話を伺ったところでありますが、毎週、全支援員さん及び受託先企業関係による定例ミーティングが行われて、それら相互の情報共有や活動方針の決定、修正などが行われていると伺ったところであります。  その中で、実は企業支援員である知人の話によりますと、ミーティングの場ではなかなか言いづらい、あるいは微妙なニュアンスとか、企業さんの本音のところが、生徒の県内就職の促進にとっては大切と感じることもありながら、そうした情報を自分で直接学校に伝えたいんだというところがあって、なかなか間をとっての意見、情報交換が、企業さんの思いが学校に伝わらないというような話をお伺いして、そうした情報を企業支援員の方々が学校に直接伝えたいという希望が強くあるようでした。  こうした声も今後の事業に生かして、生の情報が伝わるようにしてほしいと考えますが、この点についてお尋ねいたします。 7 ◯狩野産業人材課長支援員相互の連携につきましてお答えいたします。  まず、今後のより充実した事業展開に向けて大変貴重な御指摘をいただいたと受けとめているところでございます。  昨年度につきましては、学校支援員企業支援員の区別をしなくて全支援員が学校と企業双方を訪問していたところです。ただ、その結果、学校と企業のどちらに重点を置くべきなのかが難しいとか、学校の繁忙期に支援員へ作業協力の依頼があって、可能な範囲で対応しているところでございますけれども、その結果、「企業の人材確保支援という趣旨が曖昧になりかねない」などの声もあったところでございます。  このため、受託者とも検討いたしまして、今年度につきましては、企業支援員学校支援員と区分したところでございます。  御指摘いただいたことは、これら試行錯誤の中で生じた、いわば副作用の一つでありまして、毎週のミーティングには県の担当者も参加しておるところでございますので、今回御指摘の点につきましても、より充実した事業展開に向けて、ぜひ参考にさせていただきたいと考えるところでございます。  以上です。 8 ◯野田委員=やはり現場の声というのは、いい方向に生かしていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  次です。中小企業への支援強化についてお尋ねいたします。  現場の当事者の生の声であり、ぜひそういった方向で生かしてほしいところでありますが、その知人によりますと、おっしゃるとおり、企業支援員として相当数の企業を回る中で、三十人以下の小さな企業は、資料などをもらっても理解していないところが非常に多いという話を伺ったところです。このような企業をしっかり回り、力を入れていくことが大事との重要な話も伺っているところであります。  確かに、大手と違って中小企業は、採用を初め、人事や人材育成、組織マネジメントなどに不慣れな点、あるいは規模的にそういった専門の人を置いていないということもあり、事業の中でも支援していくことは、とても大切なことだと思っております。実は、ここが佐賀県での大きなポイントじゃないかなと私は感じております。  こういった支援についてはどうお考えでしょうか、お尋ねいたします。 9 ◯狩野産業人材課長=中小企業への支援強化につきましてお答えいたします。  御指摘いただきました県内企業の、いわば採用力というべき点は、県でも人材確保施策の中で重要課題と認識しているところでございます。その上で、この事業に着手後これまでの間、人材流出県からの脱却に向け、まずはより多くの生徒に県内企業に就職いただくとの考えで、どちらかといいますと一定規模の採用が見込まれる企業を中心に訪問していたところでございます。  しかしながら、先日、上半期の進捗につきまして受託者と協議した中で、「当初、意図した企業はおおむね一巡し、今後は新たな企業の開拓に重点を」との報告もあったところでございます。御指摘の点は、こうした中で今後の対象企業選定に当たって一つの視点とさせていただきたいと考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、産業人材の確保のためには県内企業採用力向上は重要な課題であり、このため、今後、この事業での知見、経験も糧に、事業の範疇に限らず、さらに何らかの手だてが必要かといったことも含めて改めて検討してまいりたいと考えているところでございます。  以上です。 10 ◯野田委員=佐賀県内での中小あるいは零細企業という面におきましても、ここは非常に大事な部分だと思いますので、どうぞ検討のほどよろしくお願い申し上げます。  三番目です。成果についてであります。  企業情報の提供や校内での企業紹介会の開催など、地域に若者を残すという点で大変意義のある取り組みをされていると思います。知人を初め、各支援委員さんは、おっしゃるとおり、本当に精力的に取り組んでおられるようであります。私自身も一旦は地元佐賀から出て行った側の一人ですが、もし当時、こういった仕組みが地域にあれば人生の選択が変わっていたのかもとさえ感じるほど、大切な、いいことをしていただいていると感じているんです。  現在、私は、地元の多久高校などにもかかわりがあり、今後の事業の改善・充実や、よりよい学校運営の参考としても、引き続き動向を見ていきたいと思うほど、本当に魅力を感じている事業です。  それで、取り組み内容自体は私も評価しているところですが、着手後一年を経過して、そろそろ、そもそもの契機となった高校生の県外就職率などの直近のデータが出ているかと思っているところです。  そこで、お尋ねいたしますが、実際にそれら定量的な部分での成果があったのでしょうかお尋ねいたします。 11 ◯狩野産業人材課長=事業成果につきましてお答えいたします。  先ごろ公表されました文部科学省学校基本調査速報によりますと、平成二十九年三月の本県の県外就職率は四一・〇%、依然として四十七都道府県で五位の高水準でありますが、前年度比三・二ポイント減で、この改善幅は四十七都道府県で最大となっているところでございます。  もちろん、過去の推移からしまして、あり得る振れ幅の範囲ではありますけれども、昨年度後半からこの事業に取り組み、支援員を初め、受託企業にも精力的に活動いただいたこと。毎年行っている経済団体の採用要請活動で昨年度から賃金など処遇改善や求人票の早期提出を促したことも一定程度寄与したと考えているところでございます。  以上でございます。 12 ◯野田委員=四一%で五位だったのが三・二%の大きな減になって、四十七都道府県で最大の改善幅ということです。もちろん、もともと県外就職率が高いこともあってのこととは思いますが、それでもやはり相当の成果が出てきていると私も感じています。  支援員の方はもちろん、受託企業であるキャリアサプライや県の関係者も含めた、まさに総合力の成果として評価させていただき、本当に皆さんに対して敬意を表したいと思っております。  課題についてであります。これだけの事業に御尽力いただければ、見えない御苦労もあるはずでありますが、事業を通じて見えてきた課題の中で特にどのようなことが重要とお考えなのかお尋ねいたします。 13 ◯狩野産業人材課長=課題についてお答えいたします。  先ほど答弁いたしましたが、本県の高い県外就職率の背景には、賃金水準や就業機会の都市部との格差があると申し上げたところでございます。このうち就業機会は、この事業などを通じて行政施策でもある程度カバーが可能であり、実際、今回の県外就職率の低下からも一定の手応えを感じたところであります。  ただ、賃金水準につきましては、まずは各企業が労働生産性を高め、その果実を分配することがあって初めて持続可能な改善が図られるものと考えております。  行政といたしまして、各分野の振興策を通じて生産性向上を支援することは可能でございますが、その果実を従業員にどの程度分配するということにつきましては、専ら企業側の判断であると考えております。  このため県でも、この事業への取り組みと並行いたしまして、本県の人材流出の現状や、その背景にある賃金水準などとの関係をまとめたチラシや資料を作成いたしまして、例えば、関係各課の企業訪問を通じた配布・啓発、産業人材確保プロジェクト推進会議での意見交換、経営者協会など関係団体のセミナーでの要請などしてきたところでございます。  いずれにいたしましても、県の取り組みが実効性のあるものとなるためには、受け皿となる県内企業での賃金や処遇など、採用条件の改善も不可欠であり、今後の課題と認識しているところでございます。  以上でございます。 14 ◯野田委員=もう一つお尋ねいたします。事業期間終了後の対応についてお尋ねいたします。  これは、先日公表された最低賃金です。佐賀でも確かに改善はしたものの、いまだ全国で最下位グループであり、本当にがっかりというか、残念に思うところであります。とはいえ、そうしたことが人材流出の背景にあるのであれば、地場企業もこのところ、業種や業態によっては、一定程度、業況の改善もあることから、その成果を従業員にも配分することで人材確保につなげ、それらがさらに新たな事業への創出につながるといった好循環を目指していく時期であるとも考えているところです。  学校側といたしましても、こういった企業訪問の方からの情報というのは、学校の教師の多忙化とかいろんな面で助かっておりますという話をいただいています。また、学校側もそれなりに幾つかの問題をお持ちですけれども、全体的にいろいろと御苦労があると思いますが、ぜひそうしたことを今後とも県におかれましても企業側に折に触れ伝えていただきたいと強く思う次第でございます。  ところで、地域に若者を残すための仕組みづくりという点で、何回も申し上げますけれども、私はこの事業を高く評価させていただいているのですが、聞くところによると、来年度を一応の事業終期としていると伺っております。しかしながら、人口減少社会が到来する中、地域にとって不可欠な事業であることは論をまたないし、ぜひ、再来年度以降も何らかの形で残していただき、優秀な若者を残すための一助としていただきたいと思っておるところです。魅力ある財産ということで本当に残していただきたいと思っています。  現時点では、まだ確定的なところは言えないと思いますが、事業終了後の平成三十一年度以降、こういった一生懸命取り組まれている事業に関しまして、今後の対応をどうしようと考えておられるのかお尋ねいたします。 15 ◯狩野産業人材課長事業期間終了後の対応につきましてお答えいたします。  委員御指摘のとおり、人口減少社会到来の中、地域産業の担い手確保は、今後ますます重要であります。高校生の県内就職の促進は対応を要する課題の一つと考えているところでございます。  また、今回の事業につきましては、現時点で一定の成果を上げ、確かに、地域にとって有益な事業と考えております。加えて、最近、NHK佐賀放送局としても、この事業に大変興味を持たれまして、十月四日、夕方六時のニュースで特番を組んで放送されるということで、外部からも一定評価されております。一層の取り組みを通じて期待に応えることも大事かと考えているところでございます。  と申しましても、実際に事業の遂行を通じて、例えば、県内の高校と企業との間で密な関係が構築され、これが県内就職率の改善に今後も持続的に寄与していく、いわば財産となるだろうということ。他方、賃金など処遇改善や、いわば採用力の向上など企業側での新たな課題も見えてきたこと。さらに、経済社会の情勢変化、例えば、求人数の急増の中での学校の進路指導体制のあり方など、教育委員会で考えてもらうべき課題も見えてきたことなどから、現行事業の枠組みを事業期間終了後も再度そのまま踏襲することが最善とは限らないと考えているところでございます。  いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、人材流出著しい本県の産業振興を考える上で、人材の定着、還流は、今後も最重要の政策課題の一つと考えております。  この点を基本にいたしまして、まずは当事業の着実な推進に努め、また、その中で得られた知見、経験を大事にしながら、教育委員会など関係部署とも連携し、事業終了後、さらに何らかの手だてが必要なのか。もし必要だとすれば、どのような手だてが考えられるのかなどを協議、検討してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。 16 ◯野田委員=ぜひよろしくお願いいたします。実は、進学校といえども、今はもう少子化によって、多様性を持って学校経営をやっていかないと成り立っていかないだろうという校長先生もいらっしゃいます。そういった中で、こういったことに今一生懸命頑張っておられますけれども、実は、このきっかけで佐賀県の零細企業、あるいは中小企業が少しでもレベルアップすることを皆さんが望んでいらっしゃいます。  あわせて、先ほどおっしゃいましたが、教育委員会側ともしっかりとした連携といいますか、教育委員会、いわゆる学校側は学校側での責任といいますか、そういった連携をもって、この事業は終わらせていただきたくない。強いて言えば、就職する子供たちだけじゃなくて佐賀県全体の底上げにつながっていくと思っています。非常に大切な事業をなさっていらっしゃると思いますので、私たちも応援していきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  続きまして、大きな二番目の質問であります。キャトルステーションについてのお尋ねです。  実は、きのう、JAからつのキャトルステーション施設を視察したところであります。先週、私は多久に住んでおりまして、地元に畜産公社、あるいは畜産センターがございます。そういったことから牛や豚といったものに関心がある方が多く、畜産公社においては、今、大きく改築、改築というより、古くなった建物の建て直しみたいな形で県も非常に御尽力いただいているところです。  そういった折、地域の方々から畜産公社の話があっています。いろいろ話をしていく中で、今まで何十年と隣接したところで事業として行われてきたのであれば、うまく相互を活用し、共存していく方法を考えましょうよと。今度、畜産公社が新しい設備になった場合には、地域とともに活性化のことをお互い図ってやっていきましょうと、肉の地域として頑張っていきましょうという話をしましたところ、「そういうこともあるね」と皆さんが驚嘆というか、初めてそういったことを聞いたと。何十年もそこにおって、そういったことを考えていらっしゃらなかったことに私自身、びっくりしたんです。私も今まで地域活動をやってきた人間として、そういった意味でこのキャトルステーションに興味を持ったところでございますので質問をさせていただきます。  現在の畜産業界を取り巻く状況は、非常に厳しいものがあり、公益財団法人日本食肉消費総合センターによる「国産牛肉が当面する課題と対応方向」を拝見すると、和牛繁殖農家及び繁殖頭数の減少が進行しており、現職農家数は、二〇〇五年に七万六千二百戸あったものが、二〇一四年には五万戸と三五%もの大きな減少となっており、繁殖農家一戸当たりの平均頭数も八頭から十頭ちょっとと、相変わらず小規模家族経営が中心をなしており、原因として、高齢化した小規模繁殖農家のリタイヤが影響していると言われているところです。  和牛繁殖頭数は、二〇〇五年、全国規模でいきますと六十二万二千頭から、二〇一〇年に六十八万四千頭まで増加いたしましたが、二〇一六年には五十八万九千頭と、また減少しているところです。和牛という資源そのもの持続的確保が重要な課題となっております。  子牛価格の高騰、肉不足から枝肉価格も高騰しております。飼料の高騰と相まって、このまま続けば消費者の国産牛肉離れも懸念されているところであります。よって、和牛飼育経営は厳しい状況が続いており、和牛という資源を確保するためにも繁殖・増頭が重要な課題と思っているところです。  この問題に対しまして、県といたしましても先々を見据えた新たな海外市場などを開拓するとか、あるいはこうした取り組みによって「佐賀牛」の銘柄を一層確立して農家所得の向上を図ってまいりたい。こういった構想のもと、キャトルステーション施設ができたと思っているところです。  飼育素牛の生産基盤を強化するため、県内自給率の向上を目指し整備されたものであり、繁殖農家や肥育農家の両方から大変喜ばれていると聞いたところであります。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  繁殖農家数、繁殖雌牛・子牛の生産頭数の推移について、財団法人日本食肉総合センターの全国的な状況は先ほど述べましたが、県内の繁殖農家数や繁殖雌牛・子牛の生産頭数のここ五年間の推移はどうなっているのかお尋ねいたします。 17 ◯田代畜産課長=繁殖農家数、繁殖雌牛・子牛の生産頭数の五年間の推移についてお答え申し上げます。  繁殖農家数と繁殖雌牛の頭数につきましては、五年前の平成二十四年の数値と直近の平成二十九年度の農林水産省の畜産統計を私ども持っておりますので、それでお答えを差し上げたいと思います。  繁殖農家数につきましては、先ほど委員からも御報告がありましたように、農家の高齢化等によりまして、六百十四戸だったものが四百七十二戸となりまして百四十二戸、減少しているところでございます。平成二十四年度比七七%という状況でございます。  また、繁殖雌牛の頭数につきましては、同様に高齢化によりまして一万百頭だったものが平成二十八年には九千七十頭と減少してきたところでございます。ただ、これまでの一戸当たりの規模拡大が少しずつ進んでおりましたのが、平成二十九年度に花を開きまして、雌牛で九千二百三十頭と増加に転じたところでございまして、平成二十八年度が底を打ったという状況で、これからだんだん増えてくると思っているところでございます。  また、子牛の生産頭数につきましては、畜産統計がないものですから、家畜改良センターの個体識別耳標の出生データから申しますと、五年前の平成二十三年度が八千百七頭だったものが、平成二十八年度につきましては七千四百五十九頭となりまして、六百四十八頭の減少になっております。平成二十三年度比の九二%になっているところでございます。  先ほど申し上げたとおり、繁殖雌牛につきましては、底を打って増頭となっております。今後は、子牛の出荷頭数も増加に転じていくものと思っておるところでございます。  以上でございます。 18 ◯野田委員=全体的には減っているものの、繁殖雌牛に関しては、平成二十八年度に底を打って、今は増加を続けているということです。これは非常に明るいニュースでありますし、今後、期待されるところであります。  それでは、次の質問に移ります。肥育素牛の県内自給率についてお尋ねいたします。  県内の肥育農家は、肥育素牛の多くを県外に依存していると聞くところであります。現在の県内自給率はどうなっているのかお尋ねいたします。 19 ◯田代畜産課長=肥育素牛の県内自給率についてお答え申し上げます。  肥育牛出荷頭数に占めます県内産の肥育素牛の割合、いわゆる肥育素牛の県内自給率については、五年前の平成二十三年度には二三・一%だったものが、平成二十八年度は二五・八%となりまして、二・七ポイント向上しているところでございます。  以上でございます。 20 ◯野田委員=二・七%の増ということで、こういった取り組みが徐々に実を結んできているのかなと感じた次第です。  それでは、キャトルステーションの整備効果についてであります。  きのうも、現地視察でお伺いした際に大体の効果のお話はいただきました。預けることにより畜産農家の労働力の減少、あるいは高齢農家での負担の軽減、そして、同一条件での飼育による子牛の品質の統一ということを教えていただきました。こういった効果は目をみはるものがあると思いますが、全体的にもっとたくさんの効果がございましたらお示しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 21 ◯田代畜産課長=キャトルステーションの整備の効果ということでお答えさせていただきたいと思います。  キャトルステーションにつきましては、繁殖農家や肥育農家が子牛の生産まで行う、いわゆる一貫農家の方々から、七日齢または三カ月齢の子牛を預かりまして子牛市場へ出荷いたします九カ月から十カ月齢程度まで飼育する施設でございます。  そうしたキャトルステーションの整備によって、先ほど委員から申し上げられましたとおり、共同で統一した管理によりまして、肥育農家が望む発育のそろった資質のよい肥育素牛を生産できること。繁殖農家や一貫農家では、子牛を預けることによって空いたスペースや余剰労力を活用いたしまして飼養規模を拡大できること。また、高齢農家につきましては、手間がかかり、最も注意が必要となっております初期の育成管理とか、労働負担が大きい出荷作業等について委託することができまして、経営を継続しやすいという利点もあると思っておるところでございます。  そのほかには、きのうの説明でもありましたが、全農とJAが一緒になってやっている事業で、酪農家の乳用牛のホルスタインに受精卵を移植しましてホルスタインから黒毛和種を産ませるということの取り組みをいただいております。その黒毛牛をキャトルステーションに預けることで、酪農家にとっても非常に有益な施設、重要な施設にキャトルステーションがなっているところでございます。  こういうふうな効果があると私どもは認識しているところでございます。  以上でございます。 22 ◯野田委員=ありがとうございます。園芸においてはトレーニングファームというのがあって、そこで研修生を養成して地域の産業を発展させようということで県でも頑張っておられます。  そういった意味で、キャトルステーションなんかを見ますと、研修の場で人が研修をして育っていく。そして、若手が新たに畜産を始めるというようなことも伺っているところですが、こういったところでの、いわゆる唐津のキャトルステーションが研修の場となっているのか、あるいは今後そういった計画があるのかお尋ねいたします。 23 ◯田代畜産課長=委員からの御提案でございますキャトルステーションを活用した新規就農者の育成という観点でございます。  私ども、畜産についても、新規就農者の確保・育成については、非常に重要な課題だと認識しているところでございます。ただ、畜産の新規就農につきましては大きな課題が数点あると認識しておるところでございます。  まず、経営を開始するに当たってはかなりの資本整備が必要なこと。あわせまして技術をしっかり学んでいること。それと、畜舎をどこにするか、特に畜舎につきましては地元の同意を得ながら進めていく、地域と調和しながら進めていくことが大事になってきますので、そういうもろもろの就農についての大きな課題があると認識しているところでございます。
     そうした中、先ほど委員から御提案がありましたキャトルステーションを活用しました新規就農者の確保・育成につきましては、JAグループと一緒になって研究、検討をしっかり進めていきたいと思っているところでございます。 24 ◯野田委員=ぜひ活用していただきたいと思います。ほかの農業の面では、のれん分け制度が佐賀県はございまして、リタイヤしたところへの引き継ぎというようなお考えも佐賀はございますが、先ほどのお話の中に資本整備、あるいは畜舎の問題、これは場所の問題だと思いますけれども、そういった中でも、今後、のれん分けということも踏まえまして後継者、あるいは生産増につながる取り組みをしっかりと行っていただきたいと思っています。  次であります。利用状況についてであります。  JAからつで整備されたキャトルステーションについては、整備した当初は利用状況が伸び悩んでいると聞いたところです。この原因と現在の利用状況についてお尋ねいたします。 25 ◯田代畜産課長=JAからつのキャトルステーションの利用状況でございます。  平成二十三年十月から稼働を始めまして、直近の平成二十九年八月末までで累計で四千八百二十頭の子牛を受け入れている状況でございます。昨日、視察で見ていただいたとおり、現在は六百三十六頭の牛が飼養されておりまして、空いた牛房がないと、ほとんど埋まっているという状況にあります。  なお、委員から御指摘がありました稼働した当初につきましては、適正飼養頭数を超えた密飼い、要は、一部牛房の中で若干多く飼っているということもありまして、肺炎とか病気の発生、下痢等々が発生いたしまして発育不良等が発生したところでございます。そうしたこともあって受け入れ頭数は計画を下回っておったところでございます。  そういう状況の中、飼養管理する人員の増強、管理体制の強化、普及センター、家畜保健衛生所による適切な飼養管理の指導等をしっかり行うことによりまして、子牛の発育も改善しまして、農家からはキャトルステーションへの管理委託の要望が現在では多く寄せられている状況に改善をしているところでございます。  こうしたことから、きのうも見ていただいたところでございますが、国のクラスター事業を活用いたしまして、平成二十八年度に哺育牛舎を増設されたところでございます。さらに、本年度の平成二十九年度につきましては、育成牛舎と堆肥舎を増設される計画となっているところでございます。  以上でございます。 26 ◯野田委員=わかりました。いろいろと拡張もあり、飼育レベルの向上ということで日々努力なさっているというふうに受けとった次第です。  続いて、他地区での整備についてであります。  現在のキャトルステーションは、JAからつ以外の地区からは利用できないと、先日、多久の畜産農家から伺ったところでございます。そういった地域の要望を非常に強く感じた次第です。今後、他地区へも整備していく必要があると私は思った次第ですが、県のお考えをお示しください。 27 ◯田代畜産課長=他地区でのキャトルステーションの整備という観点で、JAからつのキャトルステーションに対する評価は、唐津以外の農家にも大きく広がっていると認識しているところでございます。そういうことから他地区でもJAに対して新たな整備について強い要望があると伺っているところでございます。  しかしながら、整備に当たりましては、多額の費用、用地の確保、運営に対しての整備などさまざまな課題があるところでございまして、県といたしましては、新たなキャトルステーションの整備に向けた検討をJAとしっかり話をしながら進めてまいりたいと思っているところでございます。  以上でございます。 28 ◯野田委員=他県の情報を見ますと、他県もかなり頑張っていろんなことをなさっていらっしゃるみたいです。そういったことに対しまして県のブランド、「佐賀牛」が力負けしない形での邁進といいますか、御努力をぜひお願いしたいと思っております。  次です。肥育素牛の生産拡大についてお尋ねいたします。  今後とも「佐賀牛」ブランドを維持・拡大していくために、肥育素牛を生産拡大し、県内自給率を向上させていく必要があると考えているところです。県ではどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 29 ◯田代畜産課長=肥育素牛の生産拡大についてでございます。  全国的な子牛不足の中で、繁殖雌牛を増頭いたしまして、県内産の肥育素牛を一頭でも多く確保していくことが、今後の「佐賀牛」の生産振興を図る上で最重要な課題と認識しているところでございます。  こうしたことから県では国の制度や県の独自事業を活用いたしまして、繁殖農家の規模拡大に必要となる優良な繁殖雌牛の導入に対する支援でございますとか、繁殖牛舎の整備に対する支援等を実施しているところでございます。  特に、近年は子牛価格が高騰しておりまして、繁殖農家の規模拡大、意欲も高まってきているところでございます。  こうした機会を逃さないという観点で、平成二十八年度からは繁殖牛舎の整備など、国庫補助事業を活用する場合は、県費で一〇%をかさ上げをするとか、さらに、平成二十九年度からは繁殖雌牛の導入事業で導入する雌牛一頭当たりの補助金額の上限を二十八万円から三十二万円に引き上げるなどして支援を強化しているところでございます。  さらには、先ほど申し上げましたとおり、唐津以外の地域でもキャトルステーションの整備を推進するとともに、適切な繁殖管理を指導して分娩間隔を短縮させる取り組みですとか、繁殖成績の向上を目指した新たな飼養管理技術の開発にも取り組むこととしているところでございます。  いずれにいたしましても、「佐賀牛」ブランドが将来にわたり発展していくよう、生産者を初め、市町や農業団体と一体となって肥育素牛の生産拡大にしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。 30 ◯野田委員=ぜひよろしくお願いいたします。JAさんからもキャトルステーションの強い要望があっているという話ですし、今のいろんな対策に対しまして、ぜひ市町、あるいはJAさんのみならず、地域の経営者の方々、特に若い方々の参入といったことにも力を入れていただきたい。あくまでも佐賀県内で頑張ることじゃなくて、「佐賀牛」が全国のブランド牛に負けないための戦いだと私は思っていますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  大きな最後の質問になります。有害鳥獣に対しての質問をさせていただきます。  これは、実はタイミング的にこの時期に強く思うところがございましたので質問に上げさせていただきました。  ここで、委員長、ちょっと資料を提出させていただいてもよろしいでしょうか。 31 ◯八谷委員長=はい。 32 ◯野田委員=ありがとうございます。  それでは、大きな項目の質問に入らせていただきます。  有害鳥獣捕獲の担い手の確保・育成についてであります。  御存じのとおり、私は地元の猟友会に所属しており、事務局もさせていただいているところです。その上で狩猟者登録申請手続の取りまとめ役を、この時期的にしたところです。その際感じたのは、狩猟者の数は一向にふえず、また、どんどん高齢化が進んでいることを痛感し、非常に頭を痛めているところであります。  狩猟者は、単に趣味で狩猟を行う時代ではなく、最近では市町による有害鳥獣捕獲許可を得て農業の天敵であるイノシシ、アナグマ、アライグマ、カラスなどの有害鳥獣駆除に従事されています。特に、カラスの駆除に関しましても、四月から十一月まで、私が住んでいる多久市では月に一度、早朝よりの出ごととして定着しているところであります。  こうした方々の協力もあって、鳥獣による農作物への被害額は、県全体としてはピーク時と比べて減ってきてはいるものの、依然として被害は継続し、地域農業に大きな影響を及ぼしております。引き続き狩猟者による捕獲対策は欠かせないと考えております。  以前、お話ししたように、個体は減っていないというのが実感であります。しかしながら、このまま狩猟者の減少や高齢化が続けば、今後、適切な捕獲対策ができなくなるおそれがあり、本県においても、将来の有害鳥獣捕獲の担い手の確保・育成に力を入れていくべきではないかと本当に身をもって感じる次第であります。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  まず、こういった資格関係です。狩猟免許取得手続についてであります。  狩猟を始めるときは、ほとんどが趣味の分野で狩猟をしたいということで免許を取るわけですが、一体その狩猟免許というのはどういうもなのか、皆さんにも知っていただくために質問をさせていただきます。よろしくお願いします。 33 ◯松隈生産者支援課長=狩猟免許についてお答えさせていただきます。  狩猟免許は、「鳥獣保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」、いわゆる鳥獣保護管理法におきまして、国が定める銃器やわな、あるいは網を使用して狩猟鳥獣の捕獲等を行おうとする者に、その取得が義務づけられているものでございまして、その取得に当たりましては、都道府県知事の許可を受けなければならないとされております。  狩猟免許の種類は、猟の方法に応じまして、網猟免許、わな猟免許、散弾銃、ライフル銃などの第一種銃猟免許、それから空気銃の第二種銃猟免許の四つの種類に区分されております。  また、免許の有効期間につきましては、当該狩猟免許試験を受けた日から起算しまして三年を経過した日の属する年の九月十四日までということで、法律によって日付まで指定されているところでございます。その後は三年ごとに更新の手続が必要となるものでございます。  以上でございます。 34 ◯野田委員=ありがとうございます。  では、狩猟免許取得に必要なものについてお尋ねいたします。  狩猟免許を取得するために必要なものを改めてお尋ねいたします。 35 ◯松隈生産者支援課長=狩猟免許取得に必要なものについてお答えいたします。  狩猟免許を取得しようとする方につきましては、都道府県知事が行う狩猟免許試験に合格する必要がございます。その狩猟免許試験といいますのは、視力、聴力、運動能力に関します適正試験、それから、鳥獣保護管理法令や、猟具、鳥獣並びに鳥獣の保護及び管理に関する知識試験、それから、猟具の使用の判別や猟具の操作、鳥獣の判別などに関します技能試験の三つから成っております。  その合格基準は、それぞれ三つの試験ごとに定められておりまして、例えば、適正試験につきましては、視力が、網猟免許またはわな猟免許にあっては、両眼で〇・五以上あること。それから、知識試験につきましては、七〇%以上の正解率であること。それから、技能試験につきましては、百点の持ち点からの減点方式となっておりまして、減点が三十点を超えない範囲を合格とするということになっております。  以上でございます。 36 ◯野田委員=ありがとうございます。  では、具体的な狩猟免許取得のための手続はどのようになっておりますか、お尋ねいたします。 37 ◯松隈生産者支援課長=具体的な取得手続についてお答えいたします。  まず、狩猟免許を受けようとする者につきましては、その者の住所地を管轄する都道府県知事に、先ほど申し上げましたように、狩猟免許試験を受けるための申請書を提出する必要がございまして、本県の場合、試験の約二週間前までに県に提出していただくことになっております。  狩猟免許試験につきましては、本県では、例えば、今年度につきましては、試験実施日を七月二十日、八月六日、十一月十九日、また、来年の一月二十八日の計四回を設定いたしまして対応しているところでございます。試験の合否につきましては、その日の夕方には発表しておりまして、合格すれば狩猟免許を取得することができます。  本県では、都道府県知事から試験合格者に対し、狩猟免状を交付して行うこととされておりますことから、試験結果の発表後、できるだけ速やかに交付することとしております。  なお、本県では、これらの申請書の作成指導や助言や取りまとめ事務、さらには、狩猟免状の交付事務の一部などにつきまして、一般社団法人佐賀県猟友会に委託して実施しておりまして、狩猟免許を受けようとするほとんどの方は、佐賀県猟友会の各支部の窓口を通じて手続を行っていただいているところでございます。  以上でございます。 38 ◯野田委員=ありがとうございます。そういうことで手続を行っていただいているのが現状であります。  それでは、ここ十年間における県内の狩猟免許取得者数と、そのうちの高齢者の割合の推移についてお尋ねいたします。 39 ◯松隈生産者支援課長=ここ十年間における県内の狩猟免許所持者数と、そのうちの高齢者の割合の推移についてお答えいたします。  まず、県内の狩猟免許所持者数は、平成十八年度が千八百三十四人であったものが、増減を繰り返しながら徐々に減少しまして、平成二十八年度には千六百五十七人と、十年前の約九割となっております。  そうした中で、狩猟免許区分ごとに見ますと、主にイノシシの捕獲に従事されているわな猟の免許所持者の方は、平成十八年度が九百十七人であったものが、平成二十一年度以降、千人を超えて推移しておりまして、平成二十八年度は千六十九人となっておるところでございます。  また、県内の狩猟免許所持者数のうち六十歳以上の方の占める割合を見てみますと、その割合は平成十八年度が四九%であったものが、平成二十八年度には六八%と、ここ十年間で十九ポイント増えておりまして、高齢化が進んでいると認識しているところでございます。  以上でございます。 40 ◯野田委員=イノシシについては、九百十七名が千六十九名、これは多分、警察によるいろんな事件の背景で銃許可が非常に厳しくなった背景があると思っています。  あと、六十歳以上ということで改めて聞きますと、私も今年六十歳になったので、私も入っているなとびっくりしました。七十歳以上ぐらいで言ってほしかったなという感じです。(笑声)四九%が六八%になった。実は、私、猟友会では若いほうなんですね。私でも若いというくらいに思うほどですから、ほとんどが七十歳に近い方々がいらっしゃるはずです。  といいますのが、このグラフですけど、(資料を示す)この濃いところが六十歳以上なんです。どんどん高齢化していって、緑の二十歳代というのはほとんどないんですね。水色は五十歳代です。そういったふうにして高齢者が全国的にも非常に多いというのがわかります。  それと、わなとか銃の免許保持者のグラフですが、(資料を示す)もともと鉄砲撃ちさんは五十万人を超していたんですね、五十一万人に近いような数字だったんです。ところが、これは平成二十六年の数字ですけど、十万人を完全に下っています。もう五分の一になっているんですね。そういった意味で、わなのほうが若干増えてきているのが現状です。これは先ほど言いましたように、警察の銃所持許可が厳しくなった分と、国の捕獲緊急事業による奨励金が出始めましたので、手っとり早くわなの免許を取ろうという方がふえたことによる、こういったグラフだと思っております。  それでは、次の質問に入ります。狩猟者登録手続についてであります。  先ほどは狩猟免許の取得についてお伺いいたしました。狩猟免許をしたからといって狩猟はできないんですね。狩猟期間というのが十一月十五日から始まります。こういったことに対して狩猟をやりたいという人は、再度、狩猟者の登録手続を県に対してしなければなりません。具体的な登録手続についてどうなっているのでしょうか、お尋ねいたします。 41 ◯松隈生産者支援課長=狩猟者登録の具体的な登録手続についてお答えいたします。  まず、狩猟をしようとする者につきましては、狩猟免許を所持した上で狩猟をしようとする区域を管轄します都道府県知事に狩猟者登録をするための必要事項を記載した申請書を提出する必要があります。  この申請書につきましては、住所、氏名はもちろんのこと、免許に係る狩猟免状の番号や交付年月日、あるいは狩猟しようとする猟具の種類などを記載した申請書を作成していただくことになります。提出された申請書につきましては、県は、その内容を確認し、適切と判断されたものにつきましては、県が管理しております狩猟者登録簿に必要事項を登録するとともに、遅滞なくその旨を申請者に通知することになっております。あわせて、狩猟登録されている方には、登録証と登録を受けたことを示す記章を交付することとしております。  以上でございます。 42 ◯野田委員=ここが、今、私たちが手続をやっている最中でございまして、やっときのう終わりました。この手続の簡素化についてお尋ねです。  実は、先ほど申し上げましたように、実態といたしましては高齢者が非常に多いんです。そこで、たくさんの資料に記入して提出をしていただくのですが、若い人であればそんなに負担にもならないと思うんですけれども、毎年のことながら、簡素化について私は非常に疑問を持つ次第です。もう少し手がかからないように簡素化してほしいと思うのですが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。 43 ◯松隈生産者支援課長=手続の簡素化についてお答えいたします。  狩猟者登録申請手続につきましては、狩猟の適正化や鳥獣保護を図る観点から、国の関係法令や関係通知によって子細に記載する項目や申請書の提出方法などが定められておるところでございます。  また、現在の申請書の様式につきましては、県内からだけではなく、他県からの狩猟者登録申請があることも踏まえ、九州各県の関係者の意見を反映しまして、九州各県で統一した様式で運用しているところでございます。  このような状況の中で、大幅な簡素化を直ちに実施することは難しいと考えておりますが、すぐできる方法としましては、例えば、申請者が入力できる申請書様式を県のホームページからダウンロードできるようにしておけば、それを利用した申請者が記載したデータを自身でパソコンに保存しておき、翌年度の申請の際に活用するといったことはできるんじゃないかと考えております。  また、これは県が簡素化するということではございませんが、申請者のほうの工夫としましては、例えば、申請者が作成した申請書をコピーして持っておかれたり、あるいはそれをスキャンしてパソコン内部に保管したり、そういったことで翌年度の申請の際に活用するといったことでも間違いを少なくすることができるのではないかと考えているところでございます。  いずれにしましても、この手続については、現在、県では佐賀県猟友会へ委託して実施しているところでございまして、先ほど申し上げた以外でも少しでも簡素化できる方法はないか、まずは委託先である佐賀県猟友会とも話し合ってみたいと考えております。  以上でございます。 44 ◯野田委員=改善点はいっぱいあるんです。ダウンロードしてと言われましたが、七十歳以上の方は、なかなかダウンロードという言葉自体も御存じありませんし、まず、パソコンの前に座ろうとなさいません。そういった意味では猟友会事務局としていろんなお知恵を今いただいたのかなと思っています。できるところから電子化をやっていきたいと思いますけれども、今までの手書きによる統一ということ自体を、九州全体、統一されているということですから、そういったこともぜひ議題に挙げていただきながら、現状と、いわゆるもっと簡素化、電子化ということを真に議論を進めていただきたい。今から議論を始めていただいてもかなりの年月がかかるかと思っています。本当、そこをお願いしたいと思っています。  それでは、狩猟者の確保のための取り組み状況についてであります。  捕獲する担い手となる狩猟者の確保が不可欠でありますが、狩猟者の確保に向けて県はどのような取り組みをなさっているのかお尋ねいたします。 45 ◯松隈生産者支援課長=狩猟者の確保に向けた取り組み状況についてお答えいたします。  有害鳥獣捕獲の担い手となる狩猟者を確保するためには、何と申しましても、狩猟免許所持者数を増やすことが重要なことから、県では、メディアを活用した狩猟免許取得を促すための情報発信、一例を挙げますと、ことしの七月にSTSの「かちかちワイド」で狩猟者の仕事をPRさせていただきました。  また、先ほど申し上げましたように、狩猟免許試験の受験機会をふやすために、試験の回数や会場を一年間で複数設定、四回実施しておるところでございます。  また、佐賀県猟友会が開催しておられます狩猟免許取得のための講習会受講に必要な経費につきまして、地域協議会が主体的に支援を行う場合、国の交付金を活用しまして助成をしているところでございます。  また、狩猟免許を持たない方も含めた地域ぐるみでの捕獲体制、いわゆる捕獲班の設置に取り組むモデル地域におきまして、狩猟免許取得のための講習会を開催して、その受講経費等が必要であれば、当該経費への県独自の助成などについても取り組んでいるところでございます。  さらに、今年度から新たな取り組みとしまして、将来の佐賀農業の担い手となる佐賀県農業大学校の学生にも、今後、不可欠となるであろう資格の一つとして狩猟免許の取得を積極的に勧めているところでございます。  以上でございます。 46 ◯野田委員=取り組みが大分進んでいることに関しまして感謝申し上げます。  その中で、例えば、大阪では狩猟者の後継者を育てる講座を開催され、本当にたくさんの方々が受講されていると聞いております。また、大分県では、狩猟に取り組みやすくするために、先ほどの狩猟免許申請などに係る手数料などを免除しているところがございます。
     こうした取り組みもぜひ県のバックアップをいただきたいと思うところでありますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。 47 ◯松隈生産者支援課長=狩猟者の確保に向けた新たな取り組みの検討についてお答えいたします。  委員から御提案いただきました取り組みのうち、まず、大阪府の事例でございます「大阪ハンティングアカデミー」につきましては、新規狩猟免許取得者の技術力を高め、狩猟者の後継者を育てることを目的としまして、大阪府猟友会が主催しまして、平成二十八年度から開催されているものでございます。  その特徴としましては、受講者から受講料を徴収して、座学や技術実習を行う講師陣は、全て大阪府猟友会のメンバーによる対応を基本とされているなど、大阪府猟友会の自主事業として実施されていること。受講対象者は、基本、狩猟免許を取得してから間もない方を対象としているということなどが挙げられます。  この大阪府の事例につきましては、大阪府猟友会が自主事業として取り組まれているものであることから、まずは同じ目的で設立されています本県の猟友会へ、こういう事例があるという形で紹介してみたいと考えております。  次に、大分県の事例である狩猟免許申請等の手数料を免除とする取り組みにつきましては、狩猟参入への負担を軽減するため、本年度から大分県が独自にスタートさせているもので、新たに免許を取得したり、有害鳥獣捕獲に従事する場合に、狩猟免許や狩猟者登録の申請書などを県が負担し、全額免除することとされております。  この大分県の事例につきましては、まだ取り組みが始まったばかりでございまして、まずはその取り組みによってどういった効果が出たのかといったことを見きわめる必要があると考えておるところでございます。  以上でございます。 48 ◯野田委員=ぜひ自治体と一体となるような猟友会との取り組みを本当にしっかりと、地盤構築のためにもお力添えをいただきたいと思う次第です。よろしくお願いいたします。  あと、狩猟フォーラムについてお尋ねいたします。  これも六月の委員会の折にちょっとお尋ねいたしました。現在の進捗状況についてお尋ねいたします。 49 ◯松隈生産者支援課長=狩猟フォーラムに向けた現在の進捗状況についてお答えいたします。  「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」につきましては、ことし四月に本県での開催が決定して以降、県としても主催の環境省や共催の県猟友会などと連携して準備を進めているところでございます。  フォーラムの内容については、現時点において、メーン会場で行いますハンターによる講演内容や講師が決定しまして、トークセッションに参加いただく県内の若手ハンターとの参加調整も完了しているところでございます。また、ワークショップブースに出展していただく県内のジビエ料理店を初めとする各出展者との調整は、ほぼ最終段階に入っているところでございます。現時点では、ほぼ予定どおりの進捗と考えているところでございます。  また、集客のための情報発信については、既に今月の十五日に報道機関向けに環境省及び県も、同日、十五日にプレスリリースを行うとともに、現在、市町、JA、県猟友会など関係機関・団体のほか、県内の直売所やアウトドア用品店、JRの各駅、大学・短期大学など、人が多く集まる場所などを中心に、ポスターやチラシの配布を進めており、その作業をほぼ終えているところであります。  今後は、会場の配置や展示品等の細かい内容調整、それから、当日の関係者の役割分担の最終確認など、残されている詰めの作業をきっちりと行いましてフォーラム当日を迎えたいと考えております。  以上でございます。 50 ◯野田委員=おっしゃったこのチラシですね。(資料を示す)実は、多久市役所にも置いてありました。ところが、かなりの数のチラシが玄関先に並べてありますので、こういう状況で置いてあるんですね。「すみません、これは時期が迫ってきていますので、これだけもっと目立つようにできませんか」とお話ししたところ、「こればかりは優遇できません」という話でした。そういった中で、「中には目を通して持って行かれる方がいらっしゃいますよ」ということでした。ただ、アウトドアということからアウトドアショップにも置いているということでしたけれども、釣り具店なんかにも置いてございますか。(「はい」と呼ぶ者あり)狩猟する方の中には釣りをなさる方も非常に多いので、ぜひそういった目立つところに置いていただきたいし、ホームセンターなんかのお客さんにも興味を持つ方が結構多いんじゃないかなと感じます。ぜひよろしくお願い申し上げます。  それでは、今後の有害鳥獣捕獲の担い手の確保・育成についてであります。  これまでの議論も踏まえて、県では、今後、有害鳥獣捕獲の担い手の確保・育成についてどのように取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。 51 ◯松隈生産者支援課長=今後の有害鳥獣捕獲の担い手の確保・育成についてお答えいたします。  有害鳥獣捕獲の担い手の確保・育成に当たりましては、県では、今後とも先ほど申し上げました有害鳥獣捕獲の担い手となる狩猟免許取得者の確保に向けた各種の取り組みを積極的に進めるとともに、地域の捕獲体制を強化するための捕獲班の設置の促進、あるいは自分の農地や林地内で囲いわなを用いて捕獲する場合は、狩猟免許がなくても被害を受けている農林業者みずからによる捕獲を可能とする自衛捕獲もございますので、そういったことを進めていくということを考えております。  また、先ほど御質問がありました「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」につきましては、県としても、これを機会に多くの方々、特に若い方が狩猟への関心を高め、一人でも多くの方が狩猟というものを知り、それから、狩猟者を志してもらうことを大いに期待しているところでございまして、狩猟免許試験の日程の一部をフォーラム開催日以降にも設定しているところでございます。  いずれにしましても、有害鳥獣の被害防止のためには、その生息数を減らすことが不可欠でございます。そういったことから、今後も市町やJA、猟友会などと一体となって有害鳥獣捕獲の担い手の確保・育成にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 52 ◯野田委員=どうぞよろしくお願いいたします。  この「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」にいたしましても、前回申し上げましたとおり、一つの大きなきっかけになると思っています。  調べておりましたら、こういったものがありました。「日本人の生活の中に野生動物との関わりを取り戻すため──野生動物とのかかわりというのは、昔は野生動物を生活の中にしっかりと取り込んでいたという、そういう意味でのかかわりです。──関わりを取り戻すためには、家庭の中核を担う女性の力が必要だと考えます。家庭の食卓に狩猟鳥獣を取り入れることは、次世代育成にもつながります。野生動物を資源として利用し、自然と人とのバランスを取り戻すために、野生動物に関わる様々な活動をしている女性たちの会を発足いたしました。」ということで、「TWIN」という女性だけの狩猟の組織もあります。「目指せ狩りガール」ですか、そういったことも今頻繁に言われています。いわゆる女性を取り込んでいこうということも一つの動き、大きな社会現象となっています。一番は北海道ですか、もう二%を超えている状況で進んでおります。ぜひこのフォーラムをきっかけに女性へのアプローチ、そして、今後もそういったところにも、視点を広める意味で女性への取り組みもお願いしたいと強く思う次第であります。  そこをお願いいたしまして質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 53 ◯中本委員=皆さん、改めておはようございます。公明党の中本正一でございます。今回、農林水産商工常任委員会の所管事項につきまして、大きく三つのテーマで質問をさせていただきます。執行部の皆様には、どうか明快な答弁をいただきますよう、よろしくお願いいたします。  それではまず第一点目に、GAPの推進について質問をいたします。  食の安全・安心に関する消費者の関心が高まる中、農産物の安全性と消費者の信頼を確保していくことは大変重要な取り組みとなることから、播種から出荷までの全ての生産工程を対象として、農薬の適正使用や衛生管理など、農産物の安全性に影響のある危害要因を洗い出し、チェックリストに基づきながら生産を行うGAP、日本語では農業生産工程管理と呼ばれておりますが、このGAPの取り組みは、近年、世界的な潮流となっており、東京オリンピック・パラリンピック競技大会における食料の調達基準にGAPの認証が求められる可能性が高まったことから、日本におきましても注目されるようになりました。  昨年十一月定例議会では、GAPの推進を求める私の質問に対しまして、御厨部長は、「平成十九年度に策定したGAP導入マニュアルにより基礎的なGAPの導入に取り組んできており、今後、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の食料調達基準などを注視しながら農林水産省のガイドラインに準拠した、よりレベルの高いGAPに取り組んでいけるよう、導入マニュアルの見直しを進めていく」と、このように答弁されております。  その後、本年五月にはオリ・パラ東京大会における農産物の調達基準が公表され、グローバルGAP、またはJA─GAPアドバンス、もしくは国のガイドラインに準拠したGAPに基づき生産され、都道府県等公的機関による第三者の認証を受けることが要件とされております。  さらに、国内流通大手や小売業界において、安全・安心にこだわったGAP認証食材を使うことで消費者へのPRや他店との差別化を図るため、このGAPの認証を取引条件に位置づけるといった動きが見受けられるようになり、今後、さらに拡大、加速化すると言われております。  こうした動きを受け、県においては、本年七月、GAPの取り組みを推進するため、「佐賀県GAP推進協議会」を立ち上げ、あわせてGAPの推進に関する県の基本的なGAP推進方針を取りまとめられたと伺っております。  今定例議会に上程されています補正予算は、GAP指導員の育成等を進めるためのGAP普及啓発推進事業は、まさにその推進方針に基づく事業の一環と受けとめております。  今後、GAPの取り組みや認証取得の重要性がますます高まっていくことから、本県においてもしっかりとこの取り組みの拡大を進めていく必要があるものと考え、今回改めて質問に取り上げさせていただいたところでございます。  そこで、まず、これまでのGAPの取り組み状況について伺ってまいります。  平成十九年三月に「GAP導入マニュアル」を策定されて以降、県内における基礎的なGAPの取り組み状況はどのようになっているかお伺いをいたします。 54 ◯鍵山園芸課長=基礎的なGAPの取り組み状況についてお答えいたします。  県では、平成十九年三月にGAPの取り組み手順や点検項目のチェックシートを盛り込んだ「佐賀県産農産物におけるGAP導入マニュアル」、いわゆる県版基礎GAPを策定し、その普及を図ってきたところでございます。  また、県内のJAにおきましても、この県版基礎GAPを踏まえ、「JAグループ食の安全基準」に基づきましたJGAPの普及に取り組まれてきたところでございます。  これまでの推進の結果、野菜や米麦・大豆などの生産部会を中心に、基礎的なGAPの取り組みが拡大しております。平成二十九年三月末時点の基礎的なGAPの取り組み産地数は、県内九十二産地のうち七割を超えます七十一産地となっております。  その内訳を見てみますと、先ほど申し上げました県版基礎GAPに取り組んでいる産地が十六産地、JAのGAPに取り組んでいる産地が五十一産地、その他生協独自のGAPなどに取り組まれている産地が四産地、このような内訳となっております。  なお、県では、先ほど委員御指摘のとおり、平成三十二年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の食材調達基準を満たすために、これまで取り組んできました県版基礎GAPを農林水産省が定めますガイドラインに準拠したGAPとなるよう改定作業を進めてきたところであり、本年七月に農林水産省の承認を受けたところでございます。  以上、お答えいたします。 55 ◯中本委員=九十二の産地の中で生協GAPも含め、七十五の産地がいわゆる基礎的なGAPに取り組んでおられるという現状をお示しいただきました。  それでは、県内におけるグローバルGAPやJGAPなど、国際水準のGAPについてはどのような状況になっているかお伺いいたします。 56 ◯鍵山園芸課長=国際水準GAPの取り組み状況についてお答えいたします。  基礎的なGAPに比べますと、取り組みの内容がより高度で、さらに民間団体による第三者認証を備えたグローバルGAPやJGAPなどの国際水準GAPの平成二十九年三月末時点での取り組み状況につきましてお答えします。  まず、グローバルGAPに取り組んでいる農場が三農場ございます。JGAPに取り組んでいる農場が九農場となっております。そのうちグローバルGAPとJGAP双方に取り組んでいる農場が一農場となっております。  これらの取り組みを品目別に見てみますと、レタスなどの葉物野菜が六農場、タマネギが二農場、お茶が二農場、キウイフルーツが一農場、このような内訳になっております。  以上、お答えいたします。 57 ◯中本委員=国際水準のGAPについては、県内ではまだ十二農場ということで、まさに国際水準のGAPについてもこれからという状況をお示しいただいたと思います。  そうした現状に対しまして、県では、先般、基本的なGAP推進方針を作成されたということでありますが、その内容はどのようになっているかお伺いいたします。 58 ◯鍵山園芸課長=県におけるGAP推進方針についてお答えいたします。  県では、本年七月二十四日に県及びJAなどの農業団体、それから流通関係団体等をメンバーとします「佐賀県GAP推進協議会」を設立しまして、この協議会において、平成三十二年度を目標年度とした「佐賀県におけるGAP推進方針」を策定いたしました。  この方針では、このたび改定しました県GAPを農業者等が取り組む基本的なGAPとしてしっかり位置づけたいということで位置づけた上で、国際水準GAPの認証取得も視野に入れながら、県内におきますGAPの普及拡大を進め、安全性の確保による産地の信頼性の向上とイメージアップを目指していくこととしております。  平成三十二年度までの具体的な目標数値でございますが、まずは、県の農業改良普及員やJAの営農指導員を対象に、GAP指導員として育成することとしておりまして、その人数を、現在二名のところを六十名に増やしていくことにしております。また、今回、改定しました県版GAPへの取り組み産地の割合を七〇%以上にしていくこと。さらに、オリ・パラ東京大会に本県の主要作物でありますタマネギなど五品目を食材として提供していくこと。こういうことを目標に掲げております。  以上、お答えいたします。 59 ◯中本委員=平成三十二年の第一期の集中期間ということで、GAPの指導員を六十人、県版GAPの取り組み産地についても七〇%以上ということで、かなり精力的な目標を立てられたものと思います。  それでは、今お示しいただきましたこの推進方針に基づきまして、県では具体的にどのようなことに取り組んでいこうとされているのかお伺いいたします。 60 ◯鍵山園芸課長=GAP推進方針を踏まえました具体的な取り組みについてお答えいたします。  県では、このGAP推進方針を踏まえまして、GAP指導員として育成するため、民間組織が実施します指導者向け研修会への派遣、それから、県内での集合研修の開催などを進めてまいります。それから、改定しました県GAPの普及啓発を図るための推進大会や、地区別説明会の開催などを行うこととしております。  さらには、オリ・パラ東京大会への県産農産物の食材提供を実現するため、重点取り組み産地というものを設置しまして、提供に向けた取り組みを進めてまいることとしております。  このような取り組みを進めてまいることとしております。  以上、お答えいたします。 61 ◯中本委員=オリ・パラ東京大会に向けた県産農産物の重点取り組み産地の選定ということで、五産地ということを先ほど示していただきました。これは具体的なターゲットは決まっているんでしょうか。 62 ◯鍵山園芸課長=オリ・パラ東京大会へ向けた具体的なターゲットということでございますが、現在、国のオリンピック組織委員会では、どういう産地に、どういうものを求めるかというようなものがまだ作成中でございます。それから、先般、国に打ち合わせに参ったんですが、実際の作業に当たってはケータリング会社という食材を扱う業者を指名しまして、そこからいろんな食材を要望するという形になります。  これからの作業に当たりましては、そういう業者、ケータリング会社が佐賀県にこういうものを求めたいとか、そういう声と連動しながら重点取り組み産地の育成に働きかけ関係をやっていきたいと考えております。  以上です。 63 ◯中本委員=それでは、GAPの推進体制について伺いをしたいと思います。  これからGAP推進方針に基づきまして県内の産地や農業者にこのGAPを普及拡大させていくためには、県だけではなくて、市町やJA等の関係団体との連携が非常に必要になってくるものと考えます。  そこで、GAPの推進体制についてどのように考えているかお伺いいたします。 64 ◯鍵山園芸課長=推進体制についてお答えいたします。  GAPの取り組みを円滑に導入し、その普及を図っていくためには、先ほど答弁しましたとおり、県段階に「佐賀県GAP推進協議会」を設置したところでございます。また、地区段階においても、現在、農業改良普及センターを単位としまして、市町やJAの支所などをメンバーとします地区推進協議会の設置を進めているところでございます。  それぞれの地区推進協議会では、それぞれの地区の実情に即した研修会の開催、GAP指導員による技術指導などに取り組んでいくこととしております。  以上、推進体制についてお答えいたします。 65 ◯中本委員=GAPをこれから普及啓発していく中におきまして、生産現場で生産履歴の記帳であったり、また、点検する作業は、生産者にとって非常に負担となっていると聞きます。また、認証を取得する場合には費用負担が生じるなど、GAPの取り組みに対して負担感が大きいとの農業者の声も聞きます。特に、国際水準のGAPの認証取得に要する費用は、認証審査費用とコンサルに係る指導費用等を含めまして、グローバルGAPで最低六十万円程度、また、JGAPでも最低三十五万円程度と言われており、認証後も毎年審査料が発生すると聞いております。  GAPを推進していく上で、そうした課題に対しましてどのように対応されていく考えかお伺いいたします。 66 ◯鍵山園芸課長=GAPを推進していく上での課題への対応についてお答えいたします。  委員御指摘のとおり、GAPを推進していく上でさまざまな課題があると認識しております。例えば、農業者等におかれては生産履歴の記帳やそのチェック作業に係る事務負担がかなり大きいということ。さらには、グローバルGAPなどの国際水準GAPの認証取得に当たりましては、先ほど言われたように高額な審査費用、それと審査に当たってその前にコンサルタント費用が五十万円かかるとか、こういうような状況になっております。このような課題に適切に対応しながらGAPの取り組み拡大を進めていく必要があると考えております。  このため、まず、生産履歴等の記帳作業に伴う負担感を軽減するため、例えば、記帳様式などの文字を大きくしたり、ポイントとなる事項につきましては写真やイラストを大きく掲載するなど、わかりやすい推進マニュアルを作成することとしております。この推進マニュアルの作成に当たりましては、国や他県の取り組み状況を情報収集しながら取り組んでまいりたいと考えております。  また、農業者や産地などが認証取得に取り組む場合には国庫事業の活用ができるようになっております。まずは、認証取得等の費用負担の軽減を図るため、可能な限り国庫事業の活用を推進することとしております。  また、認証取得に当たりましては、個人ではなく団体認証による取得を推進することによりまして、一人当たりの認証コストの削減ができるようになります。先ほど言われました一件当たり五、六十万円という経費につきましても、例えば、産地全体で取り組むことによりまして、一人当たりにすると一万円から二万円になるとか、そういうことで一人当たりのコストの削減を図るという形になります。  このようなことを一つずつ進めながら課題への対応を進めていきたいと考えております。  以上、お答えいたします。 67 ◯中本委員=ぜひ、作業面、また、費用面におきます負担軽減のためのいろんな取り組みをお願いしたいと思います。  確認でありますが、今回、県が推進します農林水産省のガイドラインに準拠した新たな県版GAPの認証、また、更新等については費用が発生しないということでよろしいか、確認をさせていただきます。 68 ◯鍵山園芸課長=県が改定しましたGAPの取り組みについては、費用がかかるようなものではございません。ただ、東京オリンピック・パラリンピックに出すためには何らかの認証というのが必要になってきます。そこについても現在のところ、費用を求めるということについては考えておりません。  以上、お答えいたします。 69 ◯中本委員=それでは次に、GAP教育についてお伺いいたします。  若い世代に向けたGAP教育の取り組みにつきましては、先行している事例といたしまして、青森県の五所川原農林高校が全国の高校で初めてグローバルGAPの認証を取得し、世界大会で表彰を受けるなど、国内外で高い評価を受けております。  こうした次世代の農林水産業を担う人材育成の観点からも、農業大学校や農業高校などの教育機関でのGAP教育も、今後、重要な取り組みになってくるものと考えます。  そこで、農業高校などの教育機関でのGAP教育についてどのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。 70 ◯鍵山園芸課長=本県におきますGAP教育の取り組みについてお答えいたします。  まず、県の農業学校におきましては、本年度からGAPをカリキュラムに盛り込んだところでありまして、JGAPの指導員資格を持った専門の講師による講義を行うことにしております。  また、県内の農業高校におきましては、教育庁学校教育課に確認したところ、県内の五つの農業高校では、現在、教科書などに書かれましたGAPについて授業が行われているということでありますけれども、GAPをカリキュラムとした授業や認証取得につながるような講義は行われておらず、今後の取り組み強化について現在検討しているところでございます。  県では、今後、GAPに関して農業高校との意見交換なども行って、このGAPについて推進していくことにしております。
     いずれにしましても、未来の佐賀県農業を担う若い世代へのGAP教育は、大変重要であると考えており、教育機関など関係部署とも十分に連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。  以上、お答えいたします。 71 ◯中本委員=農業高校におけるGAPの推進につきましては、農林水産省、そして文部科学省の連名による通知が来ていると聞いておりますので、ぜひ教育委員会と連携した取り組みをお願いしたいと思います。  最後に、今後の展開についてお伺いいたします。  県の方針では、平成二十九年度から東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される平成三十二年度までに県内におけるGAPの取り組みのレベルアップを図るとともに、オリ・パラ東京大会への県産農産物の提供実現に向け集中的に取り組んでいくとされております。  しかしながら、オリ・パラ東京大会後のGAPの取り組みを視野に入れながら取り組んでいく必要もあると考えます。国は、平成三十三年度以降、農産物の輸出拡大を見据え、GAPの農林水産省ガイドラインを国際水準レベルまで引き上げていくことも検討されているようであります。  私は、GAPに取り組むことは、県産農産物の輸出環境の整備につながるとともに、農業従事者の経営改善等の効果が高いことから、将来にわたって佐賀県農業を支える若い担い手の育成にもつながるものと考えます。  そうした観点から、今後、県はどのようにGAPの取り組みを展開していこうと考えているのか、これは御厨農林水産部長にお伺いいたします。 72 ◯御厨農林水産部長=私からGAPの今後の取り組みにつきましてお答えさせていただきます。  GAPにつきましては、これまでやりとりがありましたとおり、委員もおっしゃられましたとおり、まずは安全・安心という信頼性を高めるということとあわせまして、生産者側としても、品質が向上するとか、作業であるとか、経営の効率化につながるということで、生産する側としてみずから取り組んでいくべき非常に重要なものと考えているところでございます。  このようなことから、これまでは基礎GAPということで基礎的なGAPの推進に取り組んできたところでございますが、今後、オリ・パラとか、あるいは輸出等を見越しますと、よりレベルの高いGAPの取り組みが不可欠となっております。  当面、平成三十二年度まではオリ・パラの食材提供をにらんで、まずは農林水産省のガイドラインに準拠した改定した県版GAPを中心に進めていきたいと考えておりまして、一つでも多くオリ・パラへの食材提供ができるように頑張っていきたい。  また、その後は国際水準に応じたGAPのレベルでないと輸出なり最近の大手の流通業者、製造業者のニーズには応えられないんじゃないかというところでございますので、段階的には、まず、改定版の県版GAPに取り組んだ後、その次の段階を目指すという考えで進めていきたい。  ただ、これもるる御議論がありましたとおり、非常に手間がかかるということと、特に問題なのが経費が非常に高額ということで、本来でありますと、それだけ努力した部分は価格あたりで、それを利用していただく方に御負担いただくという理解も必要であると思いますので、そういった課題を関係者、あるいは国等にも要請しながら、先ほど言いましたとおり、一気呵成に一番最高のものにすぐ到達するというわけにはなかなかいかない状況ではございますけれども、段階を踏んでGAPの取り組みについてはしっかりと進めていきたいと考えているところでございます。 73 ◯中本委員=全国各県それぞれこのGAPについては取り組みを強化されているということでございますので、農業県であります本県がこの取り組みに乗りおくれないような、そうしたリーダーシップを御厨部長に期待させていただきたいと思います。よろしくお願いします。  次に、農業者のための収入保険制度について質問いたします。  政府の農林水産業・地域の活力創造本部が昨年十一月に決定した「農業競争力強化プログラム」では、農業者の所得向上を図るためには、農業者が自由に経営展開できる環境を整備するとともに、農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決していくことが必要であるとして、生産価格の引き下げや農産物の流通・加工構造の改革を初めとする十三の改革プログラムの一つとして収入保険制度の導入が明記されたところであり、これを受け、さきの通常国会におきまして農業経営の新たなセーフティーネットとなる収入保険制度の創設を盛り込んだ改正農業災害補償法、いわゆる農業保険法が成立したところであります。  現在、農業者の経営安定を図るための制度としては、農業共済制度がありますが、現行の制度は自然災害による収量減少を対象としており、価格低下については対象としていないこと。また、収量減少を把握することを前提としているため、対象品目が限定されており、農業経営全体を一括してカバーできないといった課題が指摘されていたところであります。  昨年、ベト病による大きな被害を受けたタマネギについては、農業共済制度の対象とはなっていたものの、佐賀県は加入条件が整わなかったため加入されておらず、また、価格の下落がなかったことから野菜価格安定制度でも対応できず、被害を受けた農業者の経営悪化を招いたことは記憶に新しいところであります。  収入保険制度は、品目の枠にとらわれず、農業経営者ごとの収入全体を見て総合的に対応し得る保険制度であることから、現在、農業共済制度の対象とはなっていないタマネギ等の野菜や花卉を栽培されている本県の農業者にとっても農業経営の安定化に資する制度と考えます。  そこで、今回、新設された収入保険制度の概要について伺ってまいります。  まず、収入保険制度の補償内容はどのようになっているかお伺いいたします。 74 ◯松隈生産者支援課長=補償内容についてお答えいたします。  収入保険制度につきましては、御案内のとおり、農業者ごとの収入全体を対象とした総合的なセーフティーネットとして導入されることになっております。  その補償内容につきましては、農業者ごとに過去五年間の平均収入を求めまして、これが基準収入といいます。この基準収入に一定の割合を乗じて補償限度額を求めます。これを当年の収入が下回った場合に、下回った分の一定割合の金額が補填されることになっております。結局、下回った分に支払率を乗じて求めることになります。  なお、基準収入に対します補償限度額の割合や支払率は、複数の選択肢が設けられておりまして、農業者が保険料等の負担を勘案しまして選択できる仕組みとなっております。  以上でございます。 75 ◯中本委員=基準収入を設定すると。過去五年間の実績に基づいて、それが一つの基準収入になるということですが、例えば、今年度について規模拡大したいということで生産資材等を投資した上で臨むといった場合、その部分は、例えば収入が減少した場合について対象となるのかお伺いしたいと思います。 76 ◯松隈生産者支援課長=具体的に示しました事例についてお答えします。  当年の経営計画を修正しまして申請という形になりますので、それに基づいた形で対応することになるかと思います。  以上でございます。 77 ◯中本委員=規模拡大にも対応できるということでありました。  本制度に加入する際、農業者が負担する掛金には掛け捨てとなる保険料と、そして別に積立金が必要になってくると聞いております。これはどのような仕組みになっているかお伺いをいたします。  わかりやすいところで、一千万円の基準収入がある農業者の場合、保険料や積立金、収入が減少した場合の補填金はどのようになっているかお示しいただきたいと思います。 78 ◯松隈生産者支援課長=保険料、積立金、それから補填金についてお答えいたします。  農業者が負担します掛金は、保険料と上乗せ分の任意加入の積立金から成っております。  まず、保険料につきましては、五年間平均の基準収入の最大八〇%までの分を補償の対象としまして、掛け捨てでございます。これには五〇%の国庫補助がございまして、国庫補助後の農業者が支払う保険料率は、現時点の国の試算では一%程度になると聞いております。  また、積立金につきましては、基準収入の最大一〇%までの部分を補償の対象とし、掛け捨てとはならない積み立て方式で、七五%の国庫補助がございます。これでいきますと、農業者の支払う積立金は一〇%のうちの二五%ということになります。  それで、一千万円の基準収入がある農業者の保険料等につきましては、補償限度額の割合を保険料部分の八〇%、それに積立金部分の一〇%を合わせた九〇%と仮定しますと、保険金の支払率を九〇%を選択して、国庫補助後の農業者が支払う保険料率を仮に一%として試算いたしますと、農業者が支払う保険料は七万二千円、積立金は二十二万五千円となりまして、農業者が用意すべきお金は、合わせて二十九万七千円という金額になります。  収入が減少した場合に農業者が受け取る補填金につきましては、二割減収で九十万円、五割減収で三百六十万円、収穫ゼロで八百十万円となりまして、当年の収入と補填金を合わせると八百万円台の収入が確保されるという試算になっております。  以上でございます。 79 ◯中本委員=保険料の五〇%、そして積立金については七五%の国庫補助があるということであり、また、収量減少の場合についても、この補償額についてはある程度設定できるということの中で、いわゆる九〇%補償で、基準収入一千万円の場合、収入ゼロでも八百十万円が補償されるということでありますので、そういった面では非常に魅力的な制度ではないかと思います。  次に、対象者や対象品目について伺っていきたいと思います。  収入保険制度に加入する場合の加入条件はどのようになっているか等、心配する声も聞きます。本制度における対象者や対象品目についてはどのようになっているかお伺いいたします。 80 ◯松隈生産者支援課長=対象者や対象品目についてお答えいたします。  本制度の対象者は、青色申告を五年間継続している農業者となっておるところでございますが、五年間継続していない場合でも、加入申請時に青色申告の実績が一年分以上あれば補償限度額を一定程度引き下げて加入が認められることになっております。  また、対象品目につきましては、農業者がみずから生産している全ての農産物となっているところでございます。ただ、肉用牛、肉用子牛、肉豚、鶏卵については、収入減少だけではなく、コスト増も補填する肉用牛肥育経営安定対策事業、いわゆるマルキン等の対象でございまして、収入保険制度の対象外となっているところでございます。  以上でございます。 81 ◯中本委員=それでは、本制度を担う事業の実施主体はどのようになっているかお伺いいたします。 82 ◯松隈生産者支援課長=実施主体についてお答えします。  収入保険制度においては、全国を区域として設立される予定の農業共済組合連合会が実施主体となり、地域の窓口は農業共済組合が担うことになっております。  本県においては、県内七地区に設置されております各農業共済組合が地域の窓口を担い、佐賀県農業共済組合連合会が県段階での推進体制の構築や全国組織との調整等を行うことになっております。  以上でございます。 83 ◯中本委員=それでは、既存の類似制度との違いや関係について伺ってまいります。  農業共済と同様の既存の類似制度といたしましては、米・麦・大豆等を対象とした収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策や野菜価格安定制度がありますが、それらの制度とはどのように違うのか。また、収入保険制度との併用が可能となるかなど、制度間の関係についてお示しいただきたいと思います。 84 ◯松隈生産者支援課長=既存の類似制度との違いや関係についてお答えいたします。  収入保険制度の類似制度としましては、農作物、家畜、果樹、畑作物及び園芸施設を対象として、自然災害、病虫害、鳥獣害等によって収穫量の減少等があった場合、共済金が交付されます農業共済制度、それから、米・麦・大豆の収入額の合計が標準的収入額を下回った場合、減収額の九〇%を補填される収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策。それから、野菜の平均販売価格が補償基準額を下回った場合、補償基準額と平均販売価格との差額の一定割合が補填されます野菜価格安定制度などがございます。  これらの類似制度と収入保険制度の主な違いは、類似制度が対象品目が限定されていること。それから、農業共済制度は収穫量の減少、野菜価格安定制度は、価格の低下などといったように、補填の対象となる収入減少の要因が限定されていること。ナラシ対策や野菜価格安定制度は、個人のデータではなく、地域の統計データや全国の市場価格等を用いまして補填額を算定することなどとなっているのに対しまして、収入保険制度では、全ての農作物を対象に、収入減少要因に限定されない制度となっておりまして、農業者ごとの収入全体に対応し得る制度となっているところでございます。  なお、収入保険制度と既存の類似制度とは併用できないことになっておりまして、いずれか一方を選択する仕組みとなっております。  以上でございます。 85 ◯中本委員=次に、制度運用に向けたスケジュールについて伺ってまいります。  収入保険制度の対象は、平成三十一年度産からということになっているようでありますが、これから制度運用に向けたスケジュールはどのようになっていくのかお伺いいたします。 86 ◯松隈生産者支援課長=制度運用に向けたスケジュールについてお答えいたします。  収入保険制度は、平成三十一年一月から保険期間が開始する予定となっております。それまでのスケジュールとしましては、既に青色申告を行っている農業者は、平成三十年三月十五日までに確定申告を行っていただく。それから、平成三十年十一月に予定されている加入申込期限までに申込書を提出する。平成三十年十二月末までに保険料等を納入する。こういったことを経まして平成三十一年一月一日からの保険期間の開始ということになります。  なお、青色申告を行っていない農業者につきましては、青色申告を行う前年の三月十五日までに青色申告承認申請書の提出が必要なことから、早くて平成三十二年産からの加入といった形になるかと思います。  こうした状況の中、国では、収入保険制度の運用がスムーズに進むよう、年内をめどに農業者を対象としました都道府県単位での説明会を予定しているところでございます。  以上でございます。 87 ◯中本委員=最後に、今後の進め方について伺ってまいります。  これまで収入保険制度の概要についてお示しいただいたところでありますが、今後、この制度の普及を進めるに当たりましては幾つかの課題があると考えます。  例えば、この制度に加入するためには、先ほど答弁いただきましたように青色申告を行っていることが条件となりますが、農業者の中で青色申告を行っている方は、それほど多くないと聞いております。青色申告をどのように進めていくのかということが大きな課題となってまいります。  また、米麦を中心とした土地利用型なのか、それとも施設園芸との複合型といった営農の類型や農業者の個々の経営状況により、ナラシ対策や野菜価格安定制度など、どの制度への加入が有利なのかという点が農業者の最大の関心事であり、その判断材料をどうやって農業者に提供していくのかも大変大きな課題となってまいります。  こうした課題への対応を含め、県としてはどのように制度の周知を進め、普及を図っていく考えかお伺いいたします。 88 ◯松隈生産者支援課長=今後の進め方についてお答えいたします。  収入保険制度が新設されることにつきましては、既存の農業共済制度等に加え、農業者の経営安定を図るセーフティーネットの選択肢がふえることから、農業経営の安定に資するものと考えております。  先ほど述べましたとおり、収入保険制度と既存の類似制度は、いずれか一方を選択する仕組みとなっておりまして、農業者がどの制度への加入が有利なのか判断できるように、既存の類似制度を含め、負担と補償等の具体的な内容をわかりやすく説明することが重要だと考えております。  このため県では、本年五月に行いました国への政策提案におきましても、収入保険制度と類似制度について、個々の農業者の経営形態に適した制度を選択するためにシミュレーションができるシステム等を構築することを農林水産省に対して提案したところでございます。  こうしたこともありまして、現在、国においては、収入保険のシステム整備や加入相談の際に類似制度と比較できるシミュレーションソフトというものの開発を進めているところでございます。  また、こうした中、佐賀県農業共済組合連合会におきましては、制度の普及推進を図るため、県段階においてJAや国や県などの関係機関・団体と連携した推進体制を構築することとされております。  また、農業共済組合では、ことし十月に収入保険加入意向のアンケート調査を実施することを予定しておりまして、加入希望者の把握に努めるほか、本制度に関する問い合わせ窓口を常設しまして、青色申告についても確定申告の時期に農業団体と連携しまして相談に応じていくこととされております。  県といたしましては、制度の周知や農業者が最も有利な制度を選択するための情報提供、それから、青色申告の相談対応等の取り組みがスムーズに進むよう、農業共済組合に対して働きかけを行いますとともに、JA等の関係団体と連携しながら収入保険制度が本県において円滑に推進できるよう努めていきたいと考えております。  以上でございます。 89 ◯中本委員=この収入保険制度につきましては、農業経営の安定につながる安心の保険制度でありますので、ぜひ関係団体等としっかり連携を図りながら丁寧な説明とスピード感を持った対応を求めまして、このテーマについての質問を終わらせていただきます。 90 ◯八谷委員長=暫時休憩します。十三時五分をめどに委員会を再開します。     午後零時三分 休憩     午後一時六分 開議 91 ◯八谷委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 92 ◯中本委員=それでは、午前中に引き続きまして、三つ目のテーマであります県内企業における働き方改革の推進について質問いたします。  平成二十七年に起きた電通新入社員の過労自殺事件は、長時間労働の是正に向け、大きく動き出す教訓になるとともに、国民一人一人が働き方について真剣に考える契機となったところであり、こうした悲惨な事件が繰り返されないためにも働き方改革の一層の推進が求められるものと考えます。  さて、政府においては、安倍総理を議長とし、労働界と産業界のトップと有識者が集まって議論する「働き方改革実現会議」が平成二十八年九月に立ち上げられ、同一労働同一賃金など、非正規雇用の処遇改善や賃金引き上げと労働生産性の向上、時間外労働時間の上限規制のあり方などが協議されてきました。  その結果、本年三月二十八日、政労使のトップによる画期的な合意形成がなされ、同一労働同一賃金や非正規雇用の処遇改善など十三項目にわたる「働き方改革実行計画」が決定したところであります。  厚生労働省では、この計画に基づき、来年度の概算要求において、非正規雇用の待遇改善や長時間労働の是正、社会保険労務士や中小企業診断士らが労務管理などの相談に応じる、仮称でありますが、「働き方改革推進支援センター」を都道府県へ設置するための予算を含めた二千八百億円を重点配分することが示されており、働き方改革を推進する政府の意気込みがあらわれたものと歓迎するところであります。  今定例議会の一般質問では、がん患者の就労や教職員の働き方改革、また、保育士等のキャリアアップによる処遇改善など、まさに働き方改革に関連したさまざまな質問がなされており、働き方改革は、佐賀県においても身近で切実な問題であることを示しているものと考えます。  そこで、以下、順番に伺ってまいります。  まず、働き方改革を推進する意義についてお伺いをいたします。  政府においては、先ほど御紹介しましたように、安倍総理を先頭に働き方改革を推進しているところでありますが、県が働き方改革を推進するその意義についてどのように考えておられるかお伺いいたします。 93 ◯狩野産業人材課長=県が働き方改革を推進する意義につきましてお答えさせていただきます。  少子化による労働力人口が減少している昨今、労働力の確保や労働生産性の向上を通じて経済成長を持続させることが重要であります。  そのために政府は労働環境を根本から見直し、長時間労働の抑制とともに、個々人の実情に応じたさまざまな生活スタイルに対応できる多様な働き方や効率的な働き方を広めるなど、働き方改革を推進することといたしまして、それを実現するために国では労働局を通じてさまざまな取り組みを行っているところであります。
     そのような中、本県におきましては、労働時間が全国平均を大きく上回り、年次有給休暇の取得率は下回っている状況であることから、国と連携して取り組んでいく必要があると考えているところでございます。  このことによりまして、ワーク・ライフ・バランスの実現にもつながり、県が目指す安心して子供を産み、健やかに育てることができる「子育てし大県”さが”」につながるといったように、本県の発展に寄与するものと認識しているところでございます。  以上でございます。 94 ◯中本委員=今の答弁の中で、県内企業における労働者一人当たりの年次有給休暇の取得率は、全国平均を下回り、また、年間総実労働時間については、逆に全国平均を大きく上回っているということでありました。  県内企業におけるこうした総実労働時間や年次有給休暇の取得率はどのような状況になっているかお示しいただきたいと思います。 95 ◯狩野産業人材課長=県内における労働時間等の現状についてお答えいたします。  毎月勤労統計調査によりますと、事業所規模が三十人以上の従業員一人当たりの年間総実労働時間は、本県におきましては、平成十九年の千九百五十五時間から平成二十八年の千八百七十九時間へ七十六時間の減となっております。しかし、全国平均の千七百八十三時間と比較いたしますと、本県がいまだ九十六時間上回っている状況であります。  また、年次有給休暇取得率につきましては、全国の間で調査方法が異なるものの、本県におきましては、平成十九年の三九・二%から平成二十八年の四七・一%と大きく改善いたしております。しかし、全国平均の四八・七%と比較しますと、いまだ一・六ポイント下回っている状況でございます。  また、政府の目標である二〇二〇年までに七〇%という目標につきましては、大きく下回っている状況でございます。  以上でございます。 96 ◯中本委員=平成二十八年では年間総実労働時間で全国平均より九十六時間長くなっており、若干改善はできたものの、全国平均を上回っているということでありました。また、年次有給休暇の取得率も全国平均より一・六ポイント下回っているということでありました。  こうした労働時間等の現状を踏まえ、県では、これまで長時間労働の是正などにつきましてどのような取り組みを行ってきたのかお伺いいたします。 97 ◯狩野産業人材課長=これまでの県の取り組みにつきましてお答えさせていただきます。  県では、有給休暇の取得推進やノー残業デーの実践など、企業が取り組んでもらう「Let’s”ゆとり”!キャンペーン」、それと、「ワーク・ライフ・バランスアドバイザー」による企業訪問を通じた年休取得促進などの働きかけ、社会保険労務士の派遣による仕事と育児の両立支援への制度面での助言・支援を行う「パパママ”ファイティン”サポート事業」などを展開しているところでございます。  また、平成二十七年九月には、行政だけでなく、経営者や労働者が連携して働き方改革を進めていく姿勢を示すために、県、佐賀労働局、佐賀県経営者協会、日本労働組合総連合会佐賀県連合会による「佐賀『働き方改革』に向けた共同宣言」を行ったところでございます。  また、平成二十八年度からは、九州・山口各県と共同いたしまして、ワーク・ライフ・バランスの啓発事業、例えば、キャンペーン動画「知事が妊婦に」の制作なども実施したところでございます。  さらに、平成二十八年二月には、いわゆる地方版政労使会議であります「佐賀県魅力ある職場づくり推進会議」が佐賀労働局によって設置されまして、これまでのところ、三回の会議が開かれたところでございます。  このうち、平成二十九年一月の会議では、人材確保の観点からもさまざまな問題提起がなされまして、例えば、経済団体からは、「従業員の健康の維持・増進が企業の生産性や収益性の向上にも重要、従業員の健康管理を戦略的に行う「健康経営」に対する政府の助成など優遇措置が必要」などの意見があった一方、労働者団体からは、働き方改革を企業の隅々まで周知することの難しさについての意見が、さらに、オブザーバーの金融機関からも、「顧客に国の制度を説明したいので研修会を行っていただきたい」などの要望があり、それぞれについて内容の確認と今後の相互協力の姿勢が確認されたところでございます。  以上でございます。 98 ◯中本委員=県独自の取り組みとしましては、「Let’s”ゆとり”!キャンペーン」であったり、また、「ワーク・ライフ・バランスアドバイザー」の派遣事業、こういったことにも取り組んでこられているということでありました。  ただ、平成十六年度から始まっています「Let’s”ゆとり”!キャンペーン」につきましては、年度によって大きく伸びた時期がありましたが、ここ数年は少し伸び悩んでいる状況ではないかと思います。  同様の取り組みについては、各都道府県においてもいろんな取り組みが行われているようであります。例えば、東京におきます「ライフ・ワーク・バランス認定企業」ということの取り組みでありますが、こうした取り組みの中では、平成二十八年度の東京都の取り組みについて、ここで認定された企業についてホームページ等で、その取り組みを紹介するといったことも行われています。また、ここで認定を受けた企業については、例えば、都が発注する工事の入札のうち、いわゆる総合評価について加点するといった取り組みも行われているようであります。  こうした実践的な取り組みをやられている企業に対しましてインセンティブを与えるということについて県の見解をお伺いいたしたいと思います。 99 ◯狩野産業人材課長=企業に対するインセンティブについてお答えいたします。  先ほど委員から御説明いただきました東京都の取り組みと同様に、当県におきます「Let’s”ゆとり”!キャンペーン」でいろんな企業にチャレンジしてもらって、その中での優良企業につきましては、県のホームページに掲載するとともに、「ワーク・ライフ・バランスアドバイザー」による企業訪問時に優良企業としての紹介をさせていただいているところでございます。  以上でございます。 100 ◯中本委員=既に取り組まれているということでありますが、東京都の画期的なところは総合評価における加点といったことであるかと思いますので、今後、こういうような取り組みについては、そういう評価について各部署との連携の中で、さらにいろんな検討をしていただくことを求めておきたいと思います。  それと、佐賀労働局と連携しました「佐賀『働き方改革』に向けた共同宣言」であったり、「佐賀県魅力ある職場づくり推進会議」など、政府と同様に県内におきましても行政機関と使用者団体、労働団体が連携した取り組みが行われてきたということであり、これは働き方改革を進められる上で大変重要なことだと思います。  しかしながら、例えば、「佐賀『働き方改革』に向けた共同宣言」は、佐賀県経営者協会会長、佐賀県連合会会長、佐賀労働局長、そして佐賀県の山口知事が働き方改革を強く進めるということに対して合意した宣言でありますが、佐賀労働局がこの共同宣言に賛同する県内の市町や団体を募集し、それを公表しているわけでありますけれども、二十市町の中で賛同した市町は六市町、団体においては、県内でわずか十団体しか賛同されていないという実態があります。こうした意識の低さが働き方改革を推進する上で最大のネックになっているのではないかと考えるところであります。  これは一つの事例でありますが、県内において働き方改革を推進していく上での課題についてどのように認識されているかお伺いいたします。 101 ◯狩野産業人材課長=働き方改革を推進する上での課題につきましてお答えさせていただきます。  働き方改革を進めていこうという機運は高まりつつありますけれども、まだまだ進んでいないのが現状と考えているところでございます。  経営者におきましては、従業員の健康や維持・増進が、企業の生産性や収益性の向上に重要であるにもかかわらず、目先のコストが優先していること。労働者においては、時間外労働縮減による収入減への不安、また、上司や同僚への遠慮による有給休暇を取得しにくいということ、さらには、社会全体では企業間競争による過剰なサービスの例として宅配便の時間指定配達に見られるような利便性優先になっていることなど、社会全体でも働き方改革は十分でない状況であります。  このため、経営者や労働者の意識改革を進め、社会全体として働き方を変えていくことが必要と考えているところでございます。  以上でございます。 102 ◯中本委員=先ほど紹介しました佐賀労働局との「佐賀『働き方改革」に向けた共同宣言」については、先ほど御紹介しましたように、二十市町の中でまだ六市町しか賛同していないということもありますので、こういった共同宣言につきましては、賛同されていない市町について、ぜひ県での働きかけを求めておきたいと思います。  最後に、今後の取り組みについて伺ってまいります。  長時間労働を前提としたこれまでの働き方は、健康を損なうばかりか、生産性の向上を阻む要因になっています。  また、我が国では、少子・高齢化という構造的な問題に直面し、今後、労働力人口が大幅に減少することが想定されている中、いかに労働生産性を上げていくかという視点は極めて重要であり、そうした意味からも、この働き方改革は避けて通れない課題と考えます。  しかしながら、中小・零細企業の経営者から見れば、日々の経営に追われ、なかなか将来に夢を向けられない現状にあることも、日ごろ、おつき合いをさせていただいている経営者の方々とのお話の中で感じているところであります。  このことは、単に景気のよしあしだけではなく、日本の企業文化や日本人のライフスタイル、もっと言えば日本人にとっての働くという価値観そのものに手をつけていくような問題ではないかと思います。  こうした問題の解決に向けて、なかなか即効性のある施策といったものがないため、政労使がしっかり連携し、合意形成を図るといった息の長い取り組みが必要であり、そうした取り組みの中で県の果たすべき役割も決して小さくないものと考えます。  そこで、県では、今後、県内企業における働き方改革を推進するため、どのように取り組んでいく考えか、最後に石橋産業労働部長にお伺いいたします。 103 ◯石橋産業労働部長=働き方改革に向けて県としてどのように考え、取り組んでいくかということでございます。  働き方を変えるというのは非常に難しいことだと思います。といいますのも、働き方というのは、社会のありようであるとか価値観が投影されたものとして今の働き方があるわけでございます。特に、日本においては、勤勉であることが美徳とされてきましたし、これまで、例えば昔は「モーレツ社員」という言葉がありました。また、「滅私奉公」であるとか、「身を粉にして働く」とか、そういう働くことがいいという形で捉えられている、そういう価値観そのもの自体を変えていかなければいけないと思います。  私自身が若いころは、月三百時間の残業なんてざらにあって、それを自分自身も、それがいいことだと。身を粉にして働くことで課題を解決することはいいことだと自分自身、思っていましたし、議会でも通告が遅くなって、じゃ、みんなで残業して十二時ごろに部長のところに入って、そのときに言われる言葉が、「これ、修正しとってね、あしたの朝まででいいから」という、半ばやさしいか厳しいかわかりませんけど、そういう言葉をかけられるとか、そういう中でずっと働いてきて、委員も含めて、みんながそういう中で働いてきた。ただ、これからの日本の持続的成長を見たときに、そういうことではだめなんだと。今、変わりつつある価値観の中では、それでは持続的な成長はできないということで、今まさにそれが問われているということでございます。  こういう価値観の変更であればこそ、一般的な広報とか、そういったものはなかなか届かないというところがございますので、本県におきましては、労働時間が長いとか、年次有給休暇の取得率が低いということがありますので、そこをきちんと変えていかなければいけない。そうすると、まずは働き方改革は、働かせ方改革でありますので、経営者の方の意識、個々人の意識をどういうふうに変えていくかということが第一歩だろうと思っています。  そういったことから、個々人の意識改革のためのいろんなセミナーの開催でありますとか、平成二十七年度からアドバイザーの派遣とかしましたけれども、直接、アドバイザーが経営者に会って、そこでいろいろ話をしていくということでやっていかなきゃいけないだろうということで始めたわけでございます。そういった個々の経営者の意識を変えていくことをまず始めなければいけないだろうと。  そういったときに、先ほど委員からお話がありましたように、中小・零細企業では、「そうは言われても」ということがありますので、できるだけ他県の、あるいは本県の優良な事例を集めて、そこに提示できるような、こういうことがありますよと言えるようなことを集めて紹介していきながら少しずつ変えていく、そういう地道なことをやっていくしかないんだろうなと思っています。  いずれにしましても、この働き方改革につきましては、先ほどから申しましたように、働き方に関する我が国の社会全体の意識を根本から変えていく必要があります。なかなか即効性のある施策は見出しづらいところがあります。だからこそ、逆に地道でも息の長い取り組みが不可欠だと考えておりますので、今後とも政労使各方面の関係機関と連携して引き続き取り組んでまいりたいと思っております。  以上、お答えします。 104 ◯坂口委員=皆さん、お疲れさまでございます。自由民主党の坂口祐樹でございます。  佐賀県議会には、四つの常任委員会が設置してあって、一期四年の中で、私は年度を変えて全ての常任委員会に所属をするということを決めています。前回、いつ、この委員会で質問したかということを調べてみたら七年前でした。七年ぶりのこの農林水産商工関係の委員会ということで、たまりにたまった課題を克服するための議論をしようと思ったら、ついつい九項目というボリュームになってしまって、反省もしながら、この九項目を各論まで議論をし続けると多分三時間では足らないということになるんですね。ですから、今日は一般論の議論をさせていただいて、十一月十五日に決算の特別委員会が開催されます。私は、その委員に任命をされていますので、やる気のある答弁をいただいた課長の皆さんとは、そこで各論の議論をさせていただきたいと思います。  また、今、中本委員が働き方改革という話をされまして、石橋部長の話を聞いて、そうだなと思いました。要は、この県庁の中での働き方改革というのは、長時間勤務なんですね。山口知事が何と言ったかというと、時間外をいかに圧縮するか、このことについて県庁でも努力をしたいというお話をされました。そのことを受けて私たちもこの議会の中での仕事のあり方については、ここは一定配慮をしなければならないんだろうと思います。  例えば、皆さんが時間外の勤務をしないということになると、この議論は五時までに終わらなければならないんですね。きょうの審議は五時までということになると、四人の委員の方が質問されますので一人当たり一時間半ということを考えれば、私は一時間半以内で質疑をするということを約束して、議論に入りたいと思います。  一項目め、中山間地域等直接支払制度についてです。  平成十二年にこの制度が始まりました。五年刻みですから、今、四期目を迎えています。中山間地の皆さんは大変喜ばれました。じゃ、なぜこの事業が行われるようになったか、その背景は、佐賀県における中山間地域の農業就業人口と農地面積を見てみると、二〇〇〇年、今から十七年前の中山間地の農業者は何人だったかというと二万二千人でした。今、何人かというと一万一千人を切って半分以下になったということなんですね。農地面積は、一万八千ヘクタールが一万六千ヘクタール、ここは微減です。就業人口は半分になったけれども、農地の面積を見るとまだまだ努力をされている。  しかし、十七年間でこういう推移になったということは、農地面積が十五年後にどうなるかということは、想像すればわかりますね。中山間地域がどうなっているか。若い皆さんは作業効率の悪い中山間地から低地におりていく。そして、そこでは七十歳前後の皆さんが努力をされている。十五年後どうなるかということを想像すれば、答えは想像できますね。じゃ、私たちは何をしなければならないかということが議論であります。  私が言いたいことは、第四期に入って、中山間地域等直接支払制度は、中山間地の皆さんは大変ですよね、しかし、農地を農地として守るために行政が支援しますからと言って、緩傾斜、急傾斜のところに支援をしていった。そしたら四期になってどういうことが起こったかというと、協定数が減ってしまった。太良町でいうと三十の協定数が二十一、九も減ってしまったんですね。その九も減ってしまった集落はこれからどうなるか、想像つきますね。じゃ、私たちはどうしなければならないか、協定をもとに戻す努力をしなければならないということになろうかと思います。  現実的には、一期、二期、三期、四期の中で協定数の推移を見ながら行政は手を加えていきます。協定数が減った、どうしよう。じゃ、皆さんが協定しやすいように単価を上げよう。これまでは急傾斜の水田は二万一千円だった。それを急傾斜を設けてプラス六千円加算をしましょうよ。集落戦略、皆さん、集落で努力をしてくださいと。今までは一人の人が農業をやめると全員が今まで受けた補助を返さなければならなかった。しかし、それではあんまり酷ですよ。私はもう七十歳になったので五年間の担保は持てませんと。だから、私は参加をしませんという人が当然出てくるということで、いやいや、集落戦略を立てれば、一人の人が抜けたときには、その一人分だけ返還すればいいですよ、そのかわり十五ヘクタール以上が条件ですとか、いろいろ努力はされている。  しかし、決定的なものは、要は厳格化されたことです、運用を厳格化された。当たり前と言えば当たり前。これまでは草刈りだけでよかったんですね。しかし、草刈りだけではもうだめですと。平成二十七年からは、ちゃんと水田であるならば水を張ってください。畑であるならば耕うんをしてください。それがセットでなければいけません、補助金の返還ですよと。おっしゃることはよくわかる、当たり前と言えば当たり前。農地を農地として、きちっと農作業をしてくださいねということなんです。  しかし、結果として減ってしまった。全県下で微減なんですね。十五年後、どうなるか、想像がつきますね。私たちは手当てをしなければならない。私も実は解決策を持っていないんですね。どうすれば協定を抜けられた方が再度戻ってくるかという答えを持ち合わせていません。  ですから、農林水産省に言ってもそう、県の担当者に言ってもそう、単価が足りないのであるならば、もっと魅力ある単価にしましょうよであるとか、草刈りだけと簡単に言うかもしれませんけれども、中山間地のあの棚田を耕作されている皆さんの草刈りは、もうそれは大変なものですよ、のり面。農薬は使えない。一回だけでは済みません、三回、四回、草刈りをしなきゃならない。それは大変ですよ。じゃ、誰が作業をしてますか。四十代ですか、五十代ですか。六十代、七十代の皆さんたちが努力をされている。この現状をどうにかしなきゃならないというのが発端です。すばらしい事業です。すばらしい事業だったけれども、皆さんがこの事業に対して限界を感じている。  このことについて今後どう取り組んでいくのか見解をお伺いいたします。 105 ◯松隈生産者支援課長=中山間地域等直接支払制度の推進についてお答えいたします。  本制度につきましては、その活用を通して中山間地域の農業生産の維持や農地の保全に大きな役割を果たしていることから、今後もその推進についてしっかり取り組んでいくことが必要だと思っております。  しかしながら、第三期から第四期対策にかけては、高齢化等によりまして五年間継続して農地の管理ができなくなった場合、法制度上、協定集落に支払われた交付金をさかのぼって全額返還しなければならないという規定がネックになったことなどが主な要因となりまして、取り組み面積が大幅に減少したところでございます。  このようなことから、県では、まずこうした全額返還の要件緩和を国へ要望し、その結果、御案内のとおり、昨年度からは五年間維持できなくなった農地が出たとしても、集落全体ではなく、その維持できなくなった農地に交付された交付金のみの返還で済むよう要件が緩和されたところでございます。  このような状況の中、第四期対策から集落協定を廃止した集落や、現在、集落協定を結んでいる集落に対しても、この緩和措置の活用について周知を行い、強く推進しているところでございます。  あわせて、集落同士が連携して農業生産を維持する活動など、交付金が加算される取り組みの促進、優良取り組み事例や対応策の紹介などに取り組んでいるところでございます。  加えて、今年度からは本制度の取り組み拡大を図るために推進員一名を生産者支援課内に配置しまして、現在、関係市町の担当者とともに各集落に直接出向くなどしまして課題や意見を聞きながら、きめ細やかな対応を行っているところでございます。  また、ことし五月の国への政策提案におきましても、協定期間の短縮など、制度がさらに使いやすいものとなるよう、さらなる要件緩和を農林水産省へ提案したところでございます。  いずれにしても、現下の中山間地域の農業を維持していくのは、そう簡単なことではございません。そこで、頑張っておられる方々が行う農業生産活動は、多くの県民が享受する多面的機能を発揮しているという重要性を踏まえまして、今後とも、市町と一緒になって一つでも多くの集落において農業生産が維持・継続されるよう、本制度の推進を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 106 ◯坂口委員=それでは、二項目めに入らせていただきます。イノシシですね。  ミスターイノシシの野田委員の質問の後ですので少しやりにくいんですけど、私もたくさんの相談を受けます。中山間地でいうとイノシシ。もう今は高いところばかりではなくて低いところにもワイヤーメッシュが張り巡らされて、それだけイノシシが低地にまで来ているということなんですね。(委員長、副委員長と交代)  イノシシによる農作物の被害額を見てみると、平成十四年が約四億円で現在が一億円、四分の一に減っている。これはありがたいことでありますけれども、イノシシの捕獲頭数を見ると、平成二十年度が約九千頭、それが現在では二万四千頭、ふえているんですね。  今回、各論の議論もさまざまありましたので、私からは捕獲班について。佐賀県は、一人一人ではなくて捕獲班を設置してイノシシの駆除に努力したいということです。私は詳しくはわかりませんので、私の近所にイノシシ名人の方がいらっしゃって、もう七十歳を過ぎて一匹オオカミで、一人で駆除されているんですね。基本的には箱わな。その人は銃の許可を得られていませんので、基本的にはやりで突くということなんですね。しかしながら、三十キロ、四十キロだったら一人でも大丈夫ですけれども、百キロ近くになると怖いですから猟友会の皆さんたちの協力を得て銃でしとめてもらう。そして、私もたまに恩恵にあずかって、しとめてもらったおいしいイノシシをいただいている。やっぱりイノシシというのは処理ですもんね。いかに短時間で、いかに素早く処理をするかということによって、あのおいしい肉が提供されるんですね。  本来は駆除と活用について議論をしなければなりません。しかし、活用というのはやっぱり難しいですね。この委員会においても、八谷委員長のもと、下関に行ってきました。  下関はハンターを育てる、そして、ジビエ料理として市民の皆さんのみならず、皆さんに提供して、いいサイクルをつくりたいというお話でしたけれども、残念ながら、イノシシがおいしくなかったですね。やっぱりおいしくなければだめなんですよ。いかにおいしい肉を、さばき方だけで、おいしい肉を提供することができるんですね。しかし、それがなかなか、いかに下関市が頑張っていても、ああ大変なんだなということがよくわかりました。しかし、それでもやっぱりおいしいお肉を提供するということの努力も佐賀県で考えていただきたい。今、武雄市山内町で努力をされていますけれども、そこだけではちょっと足りないのかなと思っています。  今回は捕獲についてです。イノシシは大変ですね。ですから、一人一人ではなくて、いかにみんなで捕獲する体制をつくるか。実は、僕も野田委員とお話をしていて、これはいかんばいと、私自身も免許を取って捕獲ば手伝わんばいかぬ、加勢せんばいかぬと思いました。  しかし、よくよく調べると、いろいろ大変なんですね。多分、勉強して試験を受けることについては、そうそう大きな問題はないのかもしれませんけれども、実際、税を払って登録をしてどうのこうのとすると、なかなか大変だということに気づきました。ですから、多くの農業者の皆さんたちが自分の田畑を荒らされても自分が捕獲をしようとする気になれないんですね。捕獲するための敷居が余りにも高過ぎるということを今感じているんですね。ですから、きょうの野田委員の質疑は、私も応援したいと思いましたし、皆さんもその努力をしていただきたい。  今回お伺いしたいのは、捕獲班について、これがどういうものか。そして、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。 107 ◯松隈生産者支援課長=捕獲班についてお答えいたします。  県内各地域におきまして、狩猟免許所持者の減少や高齢化が進展しまして、狩猟免許所持者によるイノシシなどの有害鳥獣の捕獲活動への負担が大きくなる中で、必要な人材の確保や技術の継承を図っていくためには、狩猟免許を持たない方も含めた地域ぐるみでの捕獲体制を整備することが重要だと考えております。  こうしたことから、狩猟免許所持者を班長としまして、班長を補助する狩猟免許を持たない農業者や地域の住民の方を補助者として一つの班を編成いたしまして、捕獲活動に取り組む班体制のことを捕獲班と呼んでおります。  捕獲班の中での役割分担としましては、狩猟免許所持者でなければすることができないわなの設置や撤去、捕獲した有害鳥獣にとどめを刺す止め刺しについては、班長が主たる作業を担い、補助者については班長の指導監督のもとで補助的な作業を行う一方、わなの見回りや餌まき、通報については補助者単独でも行うことができるとしております。  このように班長である狩猟免許所持者の捕獲活動への負担を軽減することによりまして、免許所持者にとっては被害発生から捕獲までが迅速に行える、わなの見回りの手間が省ける、より多くのわなが仕掛けられるといったメリットがあるだけではなく、冒頭で申し上げましたように、免許を持たない農業者や地域住民が地域を悩ます有害鳥獣被害に積極的に対峙することによりまして有害鳥獣捕獲への関心が高まって、みずからも狩猟免許取得を志す動きが出てくることを期待しているところでございます。  以上でございます。 108 ◯坂口委員=それでは、三項目めです。農地中間管理事業、農地バンクについてお伺いをさせていただきます。  三年前にこの事業が始まったときに大いに期待をしました。私は、標高五十メートルのところで生活をしていて、そこのそばに今から六年半前、多良岳オレンジ街道という広域農道が整備をされて物すごく助かりました。これは当然、広域農道ですから農業者ため、農業者の皆さんが農業活動をしやすいための道路なんですね。景色がすごくいいですね。大きな橋をかけていただいてますので、多良岳山系を望めて、そして有明海を望める。すごくすばらしいところであります。そして、便利なところであります。  しかし、その便利なところでさえも耕作放棄地が出てきている状況にあるんですね。百歩譲って、不利地を耕作放棄地に、要は遊休地にするということはやむを得ない。しかし、そうそう不利地じゃないところも耕作放棄地になり得るという状況の中で、この農地バンクは、八十歳を迎えた皆さんたちが、この農地を誰かに託したいと。そして、担い手の皆さんたちが、じゃ、私がと手を挙げて、そしていいマッチングができて、その農地を農地として守り続ける。これはすばらしい事業だなと思いました。しかし、ふたをあけてみると、なかなか利用者が少なかった。  なぜか。要は、手放すところの多くが不利地なんですね。じゃ、不利地を不利地として受けることができるかというと、なかなかそうはいかない。当然、資料を見ると、きちっと基盤整備をして担い手の皆さんたちに手渡しますよと書いてありましたけど、そこにもたくさんの条件があって、現実はそうそう簡単にはいっていない。  今月十六日の「日本農業新聞」の一面に、農家負担なしで整備、面積要件を半減ということが書かれていましたので、これから間違いなく農地を提供する方はたくさんいらっしゃいます。しかし、需要と供給ですね。それを受ける方がいらっしゃるかというと、それは簡単にはいかない。今の若い皆さんは、もう手いっぱいですよ。ですから、効率的な作業をするための基盤整備をきちっとして若い皆さんに渡す。このことが農林水産省のこの制度なんだろうと思いますけれども、よくよく確認したら、これはまだ方針であって、財務省の予算等も確保されていません。どれだけ佐賀県がこの事業を活用できるかというのはまだ不透明なんですというお話です。ですから、その推移を見守らなければなりませんけれども、しかし、やっぱりこの事業も活用していただきたいと思っているんです。  佐賀県における平成二十六年度、平成二十七年度、平成二十八年度の実施状況。そして、今後、どのように佐賀県らしく推進をしていこうとされているのかお伺いをいたします。 109 ◯永渕農産課長=まず、農地中間管理事業の実施状況についてお答えいたします。  本事業による耕作者への農地の貸付面積は、事業開始四年目の平成二十六年度は六十八ヘクタール、平成二十七年度は千三百七十一ヘクタール、平成二十八年度は三百八十二ヘクタールとなっておりまして、三年間の累計は千八百二十一ヘクタールとなっております。  なお、平成二十七年度の実績が突出しておりますのは、集落営農組織が農地の受け手となり得る法人となって、この農地中間管理事業を活用した場合につきましては、農地集積の実績に応じまして交付される機構集積協力金の対象とされておりましたので、貸付面積が増加したことによるものでございます。  次に、今後の推進についてでございますが、中山間地域は、農地の条件や担い手の状況など、地域によって課題がさまざまでありますので、まずは地域における話し合いによりまして課題を共有し、自分たちの農地をどのように守っていくのかなどの方向性を定めまして、地域ぐるみで農地中間管理事業を活用していくことが重要であると考えております。  そうした取り組みの先行事例といたしまして、太良町江岡地区では生産者や農地所有者による徹底した話し合いを行ってもらいまして、将来にわたり残すべき優良なミカン園、そのミカン園を耕作していく担い手などを明確化し、今後、十年間にわたる担い手への計画的な園地の継承計画を策定した上で、この農地中間管理事業の活用が進められているところでございます。
     県では、こうした取り組みがより多くの地域で行われるように、各市町に対しまして将来の農地の管理など、地域農業の維持・発展に問題意識や課題を持つ百五十七地域を県内の重点地域に設定いたしまして、市町、農業委員会、JA、農地中間管理機構、県などで構成いたします支援チームを組みまして、各重点区域の話し合いや取り組みを濃密に支援しているところでございます。  いずれにしましても、中山間地域では、地域それぞれの課題がありますので、農地管理の方向性を定め、それを実行するまでの話し合いには時間もかかりますが、モデルとなる地区を一つずつつくっていきながら、その成果を広く他地域へ波及していくなどして本事業を推進してまいりたいと考えております。  以上、お答えいたします。 110 ◯坂口委員=では、次に四項目めです。ライフワークの一つであるミカンについてです。  私の選挙区は鹿島市と太良町です。で、見渡すと、どういう就業構成になっているか。山でいうとミカン、海でいうとタイラギとノリです。この三つがよくとれて、よく生産されれば、間違いなく私の地域は潤うんです。経済の出発点として、この人たちが潤えば、間違いなく経済の好循環がこの地域の中で生まれるんですね。しかし、この三つがなかなか厳しい状況にあるということで、商工業を含めてみんながなかなか厳しい状況にあるんですね。ですから、まずはミカンについて質問いたします。  ミカンの状況を見ると、耕作面積でいうと、ピークは昭和五十年、今から約四十年前は一万四千八百ヘクタールでしたが、それが今は二千二百ヘクタール、六分の一になりました。価格は、なかなか難しい。自然相手でございますので、上下があります。去年はすごくよかった、基本的には姿、形がよくて甘いもの、これがもう大前提ですね。いいものをつくらないと売れない。そして、できるならば需要と供給、需要に対して供給が去年は九割だったんですよ。これがモアベターですね。九割、すると市場での価格が皆さんが望むものになっている。ですけれども、この状況をつくることは難しいんですね、自然環境の中で。そして、佐賀県だけでも当然ありません、産地はほかにもありますので。しかし、この需要と供給の体制をつくるのは今後の課題であろうと思います。  今回はミカンの新品種についてです。佐賀県の果樹試験場で、登録番号三十五号というものが今開発されています。もう間近でございます。多くの皆さんが期待をしています。  国の事業に改植事業というものがあります。一反当たり二十三万円。ミカンというのは、植えてすぐとれるものではありません。四年間はとれませんからということで未収益の補償として二十二万円。合計、一反改植することによって四十五万円、補助をいただくんですね。そうやって、要は今まで多過ぎた極わせから優良品種に変えてねという取り組みをしていて、これは大いに成果が上がっている。しかし、まだまだ道半ば。  そして、皆さんが何を待っているかというと、三十五号なんです、三十五号を期待して待っているんです。この苗木が農家の皆さんに配布されたら間違いなく改植事業が進んで、そして、希望もってこの三十五号という新品種を生産されるということになると思います。  私も果樹試験場に行っていただいてきました。おいしかったですね。味はデコポン、甘みはデコポンと変わらずに糖度がすごく高い。酸というのは低いほうがいい、当然酸っぱいよりはいい。その酸がデコポンよりも低いということなんですね。要は、酸っぱくなくて甘いということです。重量もあって、食べごたえもあります。ああ、これは売れるだろうなと思いました。  多くのミカン農家の皆さんたちが期待をしている状況の中で、まずお伺いしたいのは、この品種の特徴、そして導入するためのスケジュールについてお伺いいたします。 111 ◯鍵山園芸課長=「佐賀果試三十五号」の特徴、それから、今後の導入のスケジュールなどについてお答えいたします。  「佐賀果試三十五号」は、県の果樹試験場において開発したもので、普通温州ミカンの後に収穫期を迎えます中晩生のかんきつの品種でございます。この品種は、現在、県内で主に普及しています、先ほど話がありました「不知火(デコポン)」を超える高品質な果実特性を持つことから、ミカンの経営者におきましては、主に露地温州ミカンやハウスミカンと組み合わせた栽培体系として導入されることにより、農家の所得向上、委員が言われました潤う、そういうことに貢献していくものと考えております。  具体的にこの品種の特徴でございますが、同時期に収穫をされます「不知火(デコポン)」と比較しまして、酸切れが早くて糖度が高い。それから、大玉生産が可能であるという特徴を持っております。さらには、果実の品質のばらつきが少なく、果肉の粒々した食感がよい、そうしたすぐれた特徴を持っております。  また、貯蔵性にすぐれているため、適切な貯蔵管理を行うことで長期間にわたっての出荷が可能となっております。例えば、無加温ハウスで栽培して一月の中旬ごろに果実が成熟した後に四月ころまで出荷が可能という特徴を持っております。  続きまして、この品種の導入のスケジュールについてお答えいたします。  この「佐賀果試三十五号」については、先般、平成二十九年八月二十一日付で品種の登録をされております。今後、県内農家への普及に当たりましては、まずは生産技術がほぼ確立しています無加温ハウス栽培から現地導入を推進していくこととしております。  具体的には、平成三十年三月に無加温ハウス栽培のモデル園を県内十一カ所の約一ヘクタールに設置することとしております。また、平成三十一年度以降には、それぞれの県内各産地の意向を踏まえながら、順次、栽培面積を拡大していく計画にしております。  なお、市場へのデビューにつきましては、平成三十年三月に設置予定の無加温ハウス栽培のモデル園の苗木が本格的に結実し始めるのには四年かかります。そういうことで平成三十四年春に収穫という形で、市場へのデビューは平成三十四年春を目指して頑張っております。  なお、委員が言われました改植ということについては、特に露地栽培のことを言われているかと思いますが、露地栽培につきましては、現在、果樹試験場におきまして技術確立に向けた栽培試験に取り組んでいるところであり、栽培技術が確立され次第、農家への導入を図っていく形にしております。  それから、現地導入に向けた具体的な取り組みでございますが、委員が言われましたように、生産農家の期待が大きいことから、県だけではなくて、関係団体がしっかり連携して導入を進めていきたいと考えております。  このため、まずは、現地導入の方針や販売戦略などを検討するため、県とJAで「佐賀果試三十五号推進チーム」を平成二十八年十二月に設置したところでございます。現在、この推進チームの会議を初め、各産地と普及推進に向けた検討を始めております。  また、先ほど説明しました無加温ハウス栽培のモデル園の農家などで構成いたします「佐賀果試三十五号栽培技術研究会」というものを設置したいと考えておりまして、こういう研究会を中心に現地検討会の開催など、高品質な果実生産に向けた取り組みを進めることとしております。  いずれにしましても、この「佐賀果試三十五号」は、食味などの果実品質が高く、ミカン農家の所得向上に寄与するものと期待されることから、農業団体と一体となって、その普及に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。  以上、お答えいたします。 112 ◯坂口委員=課題は現地導入ということになると思うんですね。試験栽培をして、次にモデル園を指定して、そして一般の皆様に広く栽培をしてもらう。悩ましいですね。私は、一年でも早く、一刻も早く苗木を皆さんに配布してほしいと思います。しかし、スタートでつまづくと後々苦労しますので、やっぱりいいものをつくらなければならない。慎重にも急いでねというお話なんですね。──大丈夫ですね。ということで、現地導入に向けた取り組みについてお伺いをいたします。 113 ◯鍵山園芸課長=現地導入に向けた取り組みですが、先ほど委員から言われましたように、スタートがとにかく大事なところでございます。現在、来年三月に県内十一カ所の一ヘクタールに設置しますモデル園の十一戸の農家の無加温ハウスの土壌の調査とか、この農家の方を集めた研究会をスタートしております。まずはここで必ず成功するように技術確立を進めていきたいと考えております。  あわせまして、今、平成三十年に向けた希望を産地と協議しております。苗木の生産量からすると、平成三十年産については、約二・四ヘクタールぐらいの苗木を準備しておりますので、ここでも間違いなく成功するように進めていきたいという形にしております。  まずは、無加温ハウスのモデル園を中心にしっかり進めてまいりたいと考えております。そして、技術確立が進んだ後に露地栽培に移行したいと考えております。  以上、お答えいたします。 114 ◯坂口委員=では次、五項目め、日本とEUとのEPAの対応についてでございます。  急遽、新聞で「大枠合意に至った」ということでございました。私たち県議会においても特別委員会を設置してTPPの議論をさまざまな角度から行わせていただきました。国が影響試算を出して、TPPを発動するとこういうことになりますよ、ついてはきちっと対策を打ちますから、対策を打った後は影響としてこういう額が考えられますということが示されましたので、佐賀県はそれにならって影響を試算した。  そして、今、アメリカが離脱表明をされてどうなるかわからない状況にある中で、今度はEUです。ヨーロッパとの貿易がどうなるのかということについて、一部の皆さんたちが、よくわからないと、そして不安に思っていらっしゃいます。私もわからないし、多分、皆さんもわからない。しかし、私たちは、行政、政治の立場で一定の努力をしなければならない。その努力というのは情報発信です。  私が資料を見て影響があると思うのは、豚肉、乳製品、そして木材です。ここには多分、佐賀県の生産者の皆さんたちが特に不安をお持ちで、影響があるということが推測できるということを考えれば、そういう皆さんにわかる範囲で情報を発信していくべきだと思います。いやいや、国の動向がよくわかりませんというのは重々わかりますけれども、それでも皆さんは、わかりやすく対象の皆さんたちに説明をしていく努力が必要なんだろうと思います。  無理、勝手な質問かと思いますけれども、答弁を求めます。 115 ◯山田農政企画課長=農業におきます日本とEUとのEPAにつきまして、まず、国の動きでございますが、新聞報道等によりますと、現在、大枠合意後に決着を先送りした分野の協議が続けられておりまして、今後は年内をめどに最終合意を行いまして二〇一九年の発効を目指すということにされております。  そうした中、国におきましては、大枠合意後に強い農林水産業の構築に向けた万全の体質強化対策を講じるための基本方針を公表しまして、ことしの秋をめどに、TPPの発効に向けて策定されておりました「総合的なTPP関連政策大綱」を改定してEPA対策を盛り込むとされております。  次に、県の対応でございますが、まず、大枠合意が発表された翌日の四月七日に「佐賀県TPP・日欧EPA等経済連携協定対策本部」を設置いたしまして、同日、第一回対策本部会議を開催しております。この中で関係機関の声や国が打ち出します対策の検討状況の情報収集を行っていくことなどを申し合わせたところでございます。  しかし、委員御指摘のとおり、今のところ、国から国民に対して十分な情報提供がされているとは言えない状況でございます。  県といたしましては、引き続き、国に対して県内の生産者の方々の不安や懸念が払拭されるよう、EPAによります国内農業の影響、農業の体質強化策を柱としました国内対策の実施に関する情報を現場に近いところで丁寧かつ速やかに提供していく要請を行っていくこととあわせまして、県内の生産者に対しまして関連情報の発信に努めていくこととしております。  また、現場からの意見などを踏まえまして、本県農業の実情に即した事業の創設、拡充を講じていただくよう国に対して働きかけを行っていきたいと考えております。  いずれにいたしましても、農業は本県にとって大切な産業でございます。EPAにかかわらず、その振興を図っていくことが重要であると考えておりますので、県としましては、今後とも市町、農業団体などと一体となってしっかり佐賀農業の振興に取り組んでいきたいと思っております。  以上でございます。 116 ◯坂口委員=では、次の六項目めです。農産物等の直売所の展開方向ということでございます。  そもそも、この質問をするに当たっては観光条例、県議会が議員提案として観光を推進するための条例をつくりたいという思いで、その準備をこれからするということになりました。  なぜか、来年は明治維新から百五十年ということで佐賀県は「維新博」を開催して多くの県外からのお客さんを迎えようとしている。そして、今から六年後は国体と全国障害者の皆さんのスポーツ大会等が開催される予定であって、これから佐賀の地にたくさんの皆さんを迎えることになる中で観光。観光と見たときに私は食のイメージが湧きました。  観光条例をつくるときに佐賀県らしさって何だろうなということを思い出したときに、やっぱり食。うちは地味ですけれども、おいしいものがたくさんある。そして、このおいしいものをまず佐賀県内の地元の皆さんがきちっと再認識をして磨きをかけて、そして食べに来てもらう。食べに来てもらって皆さんから評価を得れば、当然よそにも売り出すという努力を再度しなければならない。多分これまでもやってきたんですね。地産地消、農商工連携、六次化等々、これまで努力をしてこられましたけれども、なかなか成果が生まれない。  皆さん、行政側の悩みもそうですね。皆さんが強制的にこれをしてくださいと言えることではありません。特に、この農林水産商工関係の皆さんのお仕事というのは、きっかけを与えることしかできないです。さあ、道路整備だ、福祉だというと、強制的に何かできるかもしれない、予算さえあれば。しかし、皆さんはそういうわけにはいかない。市場主義の中で、いいきっかけを与えるということが皆さんの仕事になるんだろうと思うし、そのためにこういう議論をさせていただいているんですね。  地元にもおいしいものがあって、今でいうコハダ、オスプレイの議論があって、オスプレイで一番被害を受けるのはコハダですよと。これまでコノシロという名称を使用していたがために、何となく安い魚だと、地元の皆さんが振り向きもしなかった。そしたら、いやいやコハダですよと。そしたら名前は聞いたことある、「江戸前のコハダですね」と、「そうです、江戸前のコハダです」と。それが佐賀県が送って江戸前でコハダとして食べられていたというお話なんですね。  そして、知事が流通課に指示をしてコハダについて調査をしなさいと。調査をしたら、築地市場の中での取扱量は日本一でしたと。ああ、日本一なら誇れるじゃないかということで、じゃ、これを何とかしなさいということで、今、さが創生推進課の皆さんたちが努力をしている。  しかし、これもなかなか簡単にはいかないんですよ。すしとしてはおいしいかもしれませんけれども、これをいかに地元の皆さんに食べてもらうかというと、簡単にはいかない、やっぱり努力をしなければならない。東京に送るだけではもったいない。できるだけ地元で商品化をして、そして、よそから来た人にきちっと食べてもらう。そういう状況をつくり出すことができればいいですよね。これはあくまでもコハダだけですけれども、ほかにもたくさんのことがあります。  強制できるのは、せいぜい学校給食ですね。学校給食もさまざまな議論をして、学校給食での自給率というのは、ここ十年、二十年で格段に上がりました。できるならば市場の中でも自給率を上げたい。私たちは、福岡県民、長崎県民の幸せよりも佐賀県民の幸せを望まなきゃならないんですね。そしたらやっぱり流通、黒字にならなきゃならないんです。地元の人たちが地元のものを食べて、そして、できるだけ地元のものをよその人に食べてもらう、その努力をし続けていかなければならない。  ですから、もう一回、地産地消という原点に返って何ができるかという議論をしているときに、できることはなかなかありませんけれども、直売所、今、直売所が物すごく元気です。しかし、一定成熟してきました。これから直売所はどうなるんだろうかと思います。しかし、現時点では土日はお祭り騒ぎですね。私の地元の「たらふく館」であったり「千菜市」は、もうお祭り騒ぎ。そして、小さな直売所も日々努力をされている状況にあります。ただ、直売していただけのものが、パンを焼いたり、ミカンを使ってお菓子をつくったり、ゼリーをつくったりということで、さまざまな加工の努力も確かにされている。  ただ、問題は、例えば、旅館に行きました、カキ焼きに行きました、帰りに直売所に寄りましたという話はよく聞きますけれども、今はもう直売所にわざわざ行く時代なんですね。しかし、直売所に行った帰りにカキを食べてきた、カニを食べてきたということは聞かないんですね。ですから、この直売所をいかに生かすかということを考えなければならないのかなと思っています。  直売所の佐賀県内での状況、そして、今後、直売所を核としてどのようにいろんな商品を振興していくかということについてお伺いいたします。 117 ◯山田農政企画課長=農産物直売所の現状と今後の展開方向についてお答えいたしたいと思います。  農産物直売所の取り組みでございますが、消費者の方々が中山間地域などの農村に来て消費することから地産地消が推進されるとともに、直接、農家の所得の向上につながること。さらに、県内はもとより、福岡などの多様な消費者が農村に入ってくることで、農業以外の面も含めて地域全体の活性化につながることなどの効果が期待されることから、その推進を図ることは重要であると考えております。  県内におきます農産物等の直売所の数でございますが、平成二十八年十月時点の調査では、全ての市町にございます。佐賀市に四十一カ所、唐津市に二十一カ所、鹿島市に九カ所など、全体で百二十三カ所となっております。  その中には年間の販売金額が二億円を超える施設が県内で十二カ所あるなど、本県の地産地消、それから、都市農村交流の拠点ということで重要な役割を担っていただいております。  次に、今後の展開でございますが、本県の直売所の状況を見ますと、集客力の高い直売所は一部でございます。先ほど委員から御指摘のありました農家レストランや体験・観光農園などの他の施設への周遊化が十分に図られていないなど、また、福岡都市圏から車で一時間という高いポテンシャルを生かし切れていないということも課題として認識しております。  このため県では、直売所の活性化や魅力アップを図りますとともに、地域における直売所、農家レストラン、体験・観光農園などとの連携を促進するため、直売所の代表者を参集しました経営改善に関する研修会の開催、地域産業支援センターにコーディネーターを二名配置いたしまして、直売所間や直売所と観光農園などの他の施設との連携に向けたアドバイスを行いますとともに、直売所におきます新商品の開発ですとか、直売所と周辺施設を周遊するイベントに対する助成、こういうものを実施しております。  このような取り組みを通じまして、直売所には県内全域の農村ビジネスの情報発信の拠点としての役割、また、直売所に来られた方が、その後、農家レストランや体験農園などのほかの施設に行っていただけるような地域における周遊化の拠点としての役割を担っていただきたいと考えております。  いずれにいたしましても、直売所を核といたしまして地産地消の取り組みや農村ビジネスの取り組みを展開することによりまして農村地域の活性化が図られるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 118 ◯坂口委員=では、次に七項目め、間伐の推進と県産木材の利用促進ということについてお伺いいたします。  実は、七年前にこの質問をしていました。そのときの、例えば、「伐採期を迎えた森林の割合はどのぐらいですか」という問いに対して、「約五割です」という答弁でした。七年たって今どうなったかというと、要は伐採期。杉が大体四十年、ヒノキが四十五年と言われますけれども、四十年を過ぎた伐採期の割合が約八割になりました。要は、伐採できない、主伐ができない。なぜできないか、売れないからです。  木材の価格の推移を見てみると、ピークは昭和五十五年です。杉が三万九千円、現在は一万円です。ヒノキは六万一千円です、今は一万五千円です。昭和五十五年と今と比べると約四分の一になりました。そういうことを考えれば、本来、木を植えて四十年、五十年たったものは主伐をして市場に出して新たに植えるというサイクルが成り立たなくなったんですね。  じゃ、私たちは何をしなければならないか。やれることは二つです。一つは利用促進です。利用を促進して木材の価格を上げなければならない。四倍にせろとは言いません。しかし、倍にしなきゃならない。杉を二万円、ヒノキを三万円にしないと、山の自主的な再生は行われません。しかし、そこも簡単にはいかない。七年前にこの議論をして、じゃ、単価が上がったか、そんなことはあり得ません。簡単にはいかないけれども、地道な努力が必要です。  じゃ、今、私たちは具体的に何をしなければならないか。それは間伐です。木は当然成長しています。成長していく中で、もっと大きくしようと思ったら間引きをしていかないと木は成長しないんですね。健全な山を築こうと思うならば間伐しかないんです。枝打ち、間伐、下刈り、そのサイクルしかありません。主伐ができないのであれば間伐を続けるということで、私の地元の太良町は「二百年の森」をつくろうとしています。いい山を見つけて、ここは主伐期を迎えています。この山をどうするか、じゃ、二百年の森をつくろうよと。大きな木を育てて、大きくなった時は、もう一回、価値が見直されているのかもしれない。二百年構想、そして百年の木をつくる、そういう努力をされているんですね。  現在の間伐の状況についてお伺いいたします。 119 ◯有田林業課長=現在の間伐の実施状況についてお答えいたします。  まず、直近の五カ年平均でどれぐらいしているかということで量を申しますが、年間二千四百五十ヘクタール程度実施しております。このうち主に林業経営を目的としました森林組合等が行う増林事業等で千四百五十ヘクタール程度を実施しております。  それから、森林の保全を目的としまして県が森林所有者にかわりまして行う森林環境税事業とか治山事業によりまして千ヘクタール程度を実施しております。  以上でございます。 120 ◯坂口委員=次に、間伐のあり方ですね、搬出間伐。間伐をして、その間伐した木材を売るという行為ですね。  私の森林の先生は、太良町森林組合の村井組合長さんです。この方は全国トップクラスに知恵と情熱をお持ちなんですね。山を守ることがいかに大事なことかということについて情熱を燃やして一生懸命努力をされております。  今言った間伐は、約二つの方法があります。定性間伐と列状間伐。簡単に言うと、定性というのは間引き。要は、成長のいいものと成長のよくないものがありますので、ここを見きわめながら成長の悪い木だけを切っていくということです。  列状間伐は、三列に一列は強制的にブルドーザーが通った後のように間伐をしていくんですね。当然、作業効率は列状間伐がいい。しかし、山にとってどっちがいいんだろうかということを考えたときには、明らかに定性間伐のほうがいい。  昭和三十七年に佐賀県内で大雨が降りました。そして、私が住んでいる近くの権現山が崩れた。それはしようがなかったんですか。いやいや、当時、ミカンがよかったので木を切り倒しました。結果、この山が崩れて小学校が埋まったんですね。しかし、当日はたまたま日曜日だった、生徒がいなくてよかったねというお話なんですね。ですから、山を守るということはこういうことなんですよ。  この話をすると、それは森林組合の皆さんたちが、山の所有者の皆さんたちが決めることですから佐賀県がどうこう言うことではありませんというお話なんですね。私も絶対とは言いません。しかし、私は両方の山を見てきました。定性間伐の山、そして列状間伐の山を見たときに、五感で、ああ、列状間伐というのは機能としては弱いんだろうなと。(副委員長、委員長と交代)ただ、作業効率、森林組合の運営面だけを見ると明らかに効果的ですね。それは作業効率がいいですもん。そして、切った木を売るわけですから、定性間伐よりも明らかに作業効率がいい。しかし、この列状間伐というのはまだ歴史が浅いんですね。ですから、本当にこの列状間伐のやり方がよかったか、悪かったかというのは、何十年後にしかわからないかもしれない。しかし、林業課の皆さんたちは、いやいや、自分たちは指導はする立場ではありませんといえども、一定のプラスの面、マイナスの面をきちっと話をしていく。  村井組合長さんが言われるんですね、「列状は絶対いかん。麓に住んでいる皆さんたちは怖いことになるよ。ですから、佐賀県は定性できちっと統一して間伐をしていくべきだ」と。私も実際山に連れていってもらって、そう感じたから代弁をさせていただいております。  今、列状間伐と定性間伐はどういう状況になっているか。そして、搬出間伐推進のためにどういう取り組みをされているのかお伺いをいたします。 121 ◯有田林業課長=間伐の手法の実施状況について。それから、今後、搬出間伐をどのように進めていくかということについてお答えをいたします。  まず、委員がおっしゃいました間伐の方法につきましては、県内では二つの手法で現在されております。まず、定性間伐につきましては、委員もおっしゃいましたように、きめ細かな間伐作業が必要な、いわゆる太良みたいな優良材生産に有効な手法であると考えます。それから、列状間伐につきましては、切る木を選木する作業が非常に簡単になりまして効率的な間伐方法であるということでございます。  この間伐の方法につきましては、委員も言われましたように、現地の地形とか風向き、風の当たり方、そういう地形的な条件や木の生育状況などを考慮しまして、あと、森林所有者の意向もございます。そういうものを聞きながら事業主体である森林組合等は決められておりますし、県も一緒になって現地を見ながら指導しているところでございます。実際、定性間伐と列状間伐の割合を面積で見ますと、おおむね一対一という状況でございます。  それから、搬出間伐の推進につきましては、間伐をする上では、今言いましたような手法を事業体とも検討しながら、それから、間伐を進める上では搬出間伐というのが、いわゆる木材の収益を森林所有者に還元できて、それを次の整備に当てることができるというような有効な手段であると考えております。  このため、先ほど言いましたような手法につきましても検討しながら、森林の保全なども考慮しつつ、効率的な搬出間伐を推進できるように、森林施業の集約化の推進とか路網の整備、それから、高性能林業機械の導入に対する支援などにしっかりと取り組んでまいります。  以上でございます。 122 ◯坂口委員=次に、県産木材の利用促進についてお伺いをさせていただきます。  戦後は、鉄路を引くための枕木、そして、電柱に多くの木材が使われたんだろうなと想像します。現在は県産木材は何に使うんですかというと、やっぱり住宅です。住宅で県産木材を利用してもらわなきゃならないと思っているんですね。  ついては、今、どういう取り組みをされているのかお伺いいたします。 123 ◯有田林業課長=県産木材の利用に向けたこれまでの取り組みについてお答えいたします。  具体的には、これまで需要拡大につきましては、まず、公共工事につきまして、公共建築物の木造化や内装の木質化に対する支援。それから、クリーク防災用の木柵など、土木用資材としての活用などに取り組んでまいりました。  また、民間住宅等につきましては、県産木材を利用した木造住宅のデザインや居住性を磨き上げるためのコンクールの開催、県産木材を利用した木造住宅の新築費に対する支援、自治会公民館など公共的施設の整備や木製の学習机・椅子等の導入に対する支援などに取り組んでまいりました。  あわせまして、木材の供給につきましても、先ほどお答えしましたような効率的な搬出間伐を進めるためのモデル団地の設定などにも取り組んでまいりました。  以上でございます。 124 ◯坂口委員=続きまして、県産木材の生産量と消費量の推移、そして、今後の取り組みについてです。  クリーク等で使ってもらうのはありがたいですね。それはそれとして、いずれ事業も終わりますので。やっぱり住宅ということに考えたときに、今、県産木材の利用割合五〇%以上ということで、三十名の方に五十万円の補助をしています。平成十九年から続けられていて、すごくいい事業だなと思っているんですね。  要は、県民の皆さんに対して、山を守る意味、県産木材を使う意味ということについて啓発をしていかなきゃならない。私は、条例化を望んでいるんですね。森林を守り育てるための県民条例みたいなものですね、皆さんがつくるのか、僕たちがつくるのか。しかし、県議会の事務局体制というのは、そうそう厚くないんですね。ですから、なかなか条例制定というのは難しい。ですから、県民の皆さんがいかに山を守り育てるために関与をしなければならないかということを一緒に考える。例えば、皆さんの中で、自分の家は県産木材でつくってますよという方、いらっしゃいますか。──いらっしゃらないですね。なかなかそこまで頭が回らないし、そこまで気がつかない。私は、八年前に住宅をつくるときに、県産木材、いや、町の木材を使ってくださいという依頼をして、そうしています。すごくありがたいですね。  県産木材の生産量、消費量がどのように推移しているのか。今後の推移。そして、利用促進をどう図っていくのかお伺いをいたします。 125 ◯有田林業課長=県産木材の生産量と消費量の推移について、直近の五カ年の推移について答弁させていただきます。
     平成二十二年と平成二十七の比較でいきますと、平成二十二年が十二万三千立米から十五万一千立米と、約二割、増加しております。それから、県内での県産木材の消費量について、同じような推移を見てみますと、五万八千立米から七万二千立米と、これも約二割の増加となっております。  次に、今後の県産木材の利用促進に向けた取り組みについてでございますが、さらに利用を促進させるためにこれまでの取り組みに加えまして、需要の面につきましては、建築士と大工・工務店のコラボレーションによる、例えば、木のぬくもりが感じられる家など、新たな木造住宅のプラン設計。それから、斬新な家具、木製品の開発などのデザイン力を生かした県産木材のイメージアップ。それから、こだわりの家づくりグループ等が施主さんに対しまして行う、例えば、山で自分の家の柱となるような木を実際に見てもらうというような活動に対しましても支援するなどに取り組んでまいります。そういうことに取り組んでいきたいと思います。  それから、県内でも新たな事例の取り組みがございますので、そういうことにも取り組んでまいりたいと思っております。  あわせまして、先ほど申しました生産拡大に対しても、高性能林業機械の導入を促進するなどして生産コストの低減を図るように努めてまいりたいと思います。  また、太良では「二百年の森」ということに取り組まれておりますが、間伐をしても、なかなか健全な成長が見込めないという森林もございます。そういうところにつきましては、造林コストの低減が可能となるような品種導入とか、伐採と植林を一体的に行うシステムの構築などによりまして皆伐なども進めていきたいと考えております。  いずれにしましても、こうした生産から加工、流通、消費に至る取り組みを市町や関係機関・団体と一体となりまして、県産木材の一層の利用促進につなげてまいる所存でございます。  以上でございます。 126 ◯坂口委員=次、八項目め、有明海の漁業振興についてであります。  本来は開門調査に触れなければならない。しかし、この課題については、皆さんと多分共有をしていますので、ここで議論をしても何の解決策も浮かばない。しかし、それぞれの皆さんたちがこのことを忘れてはならないということ自体も共有しなきゃならない。  一九九七年四月十四日、「ギロチン」という手法で有明海、諫早湾は閉め切られました。そして、当然、閉め切った調整池からは定期的に排水される。農林水産省は何と言っているか、「漁業に与える影響はありません」とおっしゃっているんですね。しかし、一目瞭然です。一九九七年、その翌年、タイラギは激減しました。その翌年、ゼロになりました。当然、サルボウもいなくなった。アゲマキは、その七、八年前からいなくなった。カニもそうですね。竹崎ガニのブランドカニも確かに減った。一九九七年は、一つの起点なんですよ。  そこから有明海がどうなったか。この異変を解明する開門調査のことを私たちは忘れてはならない。しかし、最近、裁判でごたごたしていますので、何となく口に出しにくいような状況もあるかもしれませんけれども、このことを忘れずに、きょうは漁業振興についてお話をさせていただきたいと思います。  有明海の漁業者は、大きく三者に分かれます。一つは、有明海漁協というのは十五の組合が合併して、今それぞれ支所を設けられています。そのうちの一つの大浦が唯一、漁船漁業なんですね。それ以外は基本的にはノリです。ノリも東部地区のノリと南西部地区のノリの生産状況は明らかに違います。筑後川、早津江川、そういう大きな川があるところにおいては、生産が安定している。しかし、諫干に近いからなのかどうかわかりません、大きな川がないからかもしれません。結果、塩田川より南のほう、鹿島・太良地区の皆さんたちは大いに苦戦をしている。年が明ければ赤潮が発生し、そして、色落ちが起こるということなんですね。ですから、この三者の皆さんたちが共存共栄できる、そんな有明海になればいいなというふうな思いで議論をさせていただきたいと思います。  まずは、ノリ養殖と漁場環境の関係についてであります。  酸処理と施肥、いわば消毒と栄養分ですね。これは認められているんですね。何にも悪いことではない。熊本から始まって、そして佐賀県も導入をして、もう二十年以上、そうやって安定的に、皆さんの技術もあり、化学物質も使いながら皆さんたちが努力をして、佐賀県だけで二百億円、去年は二百四十九億円という高値、有明海全体でいうと五百億円の水揚げをする大きな産業なんですね。  しかし、それでもやっぱり人間が手を加えるということは、環境に対して負荷を与えているということにもなりますので、漁船漁業の皆さんたちとも共存共栄できるように、酸処理、施肥、そしてノリの切り流しですね。ノリというのは、最後は色落ちが起こるんですね。そして、当然、商品化されません。去年はたまたま生産量が少なかったので色落ちしたノリも売れました。売れるということは、誰も切り流しをしない。しかし、売れなければ、わざわざ切ったものを船に乗せて、そして陸揚げをしなきゃならないので、お金と手間がかかる。そしたら、やったらいけないけれども、ついつい切り流しをしてしまうということは、本来あってはならないし、多くの皆さんたちはやっていません。しかし、一部の皆さんたちが行われている可能性があるということです。色落ちしたノリが流れていますからですね。  ですから、共存共栄を図る意味でも、酸処理と施肥、そして、この切り流しについて、どういう対応をとられているのか、お伺いをいたします。 127 ◯川原水産課長=酸処理と施肥の実施状況、それから、切り流しの県の対応状況についてお答えいたします。  まず、酸処理と施肥の実施状況についてでございますが、酸処理につきましては、果物などに含まれ、食品添加物として認められておりますクエン酸やリンゴ酸などが主成分の酸処理剤を海水で薄めまして、これにノリ網をつけ込むことで病原菌等の雑物を落として、ノリの健全度や品質の向上を図る、全国的に実用化されている技術でございます。  佐賀県におきましては、毎年、学識経験者、県及び漁協で組織いたします活性処理専門部会が定めた使用基準をもとに、有明海漁協が酸処理剤の種類ですとか使用期間、監視体制等を盛り込んだ実施要領を策定いたしまして、厳しい管理体制のもと、酸処理が実施されております。  また、施肥につきましては、ノリの色落ち対策を目的といたしまして、一般的に使用されております窒素肥料を船の上で十分溶解して海中に散布することによって栄養塩の添加を行う技術でございます。  佐賀県では、毎年、学識経験者、県及び漁協で組織いたします佐賀県有明海ノリ養殖漁場環境改善対策連絡協議会が定めました実施基準に基づきまして、海水中の窒素塩濃度が低下してノリの色落ちが見られ、生産に支障を来すと協議会が判断した場合のみ、必要最小限で実施されているところでございます。  次に、ノリの切り流しでございますが、この切り流しという行為につきましては、有明海の漁場環境に負荷を与えることはもとより、海洋汚染防止法に抵触する違法行為でございます。  このため県では、これまでも講習会や漁期反省会などあらゆる機会を通じまして、切り流しを行わないよう指導するなどいたしまして防止に努めてきたところでございます。  また、海上で切り流されたと思われるノリが確認される場合もございますが、そうした際には県から漁協に対し、養殖業者を指導するよう文書を出すとともに、漁業取締船による巡回指導を強化し、三池海上保安部に対しても取り締まりの協力要請をしてきたところでございます。  以上でございます。 128 ◯坂口委員=次に、南西部地区の赤潮と貧酸素水塊への対応についてであります。  赤潮によってノリの色落ち、貧酸素水塊によってタイラギのへい死等が発生して、自然というのはなかなか難しくて、皆さん、いろんな調査をしていただいていますけれども、僕たちはよく理解することができない。結果、対処することができない状況が続いているのかなというふうに思っていますけれども、これを抑制するためにどのような努力がなされているのかお伺いをいたします。 129 ◯川原水産課長=赤潮、それから貧酸素対策についてお答えいたします。  赤潮や貧酸素水塊の発生を抑制する方法につきましては、これまで他県の海域を含めてさまざまな試験研究が行われてきましたけれども、いずれも、人為的に発生をコントロールすることはできておらず、現在の技術では抜本的な対策を講じることは極めて困難であります。  このため本県では、これまで被害をできる限り軽減させる対策を行ってきたところであります。例えば、赤潮被害の軽減対策といたしましては、ノリの色落ち被害が発生しやすい岸寄りの漁場の一部を被害の発生しにくい沖合の漁場に移すこと、あるいはノリ網の枚数を削減することや配置を変えることなどで流れを改善させることなどを行っているところでございます。  また、貧酸素水塊による被害の軽減対策といたしましては、これまでの調査結果をもとに貧酸素水塊が発生しやすい海域を把握いたしまして、例えば、サルボウでは貧酸素のリスクが高い漁場に生息するカイをリスクの低い漁場に移植すること。タイラギでは、卵を産ませる母貝の移植に際しまして貧酸素のリスクが低い場所を母貝団地に設置することなどの対策を行っているところでございます。  以上でございます。 130 ◯坂口委員=次に、有明海の二枚貝の資源回復加速化事業について。  今議会で補正予算として計上されていますアサリ、ウミタケ、アゲマキについて、いい兆しがあるということでございますので、この資源をもっと加速的に回復させたいという思いがあるんだろうと思います。来年はもうアゲマキを漁獲できそうですというお話も聞いています。おいしいですもんね。もう間違いがないようにきちっと育てて、そして、漁業者の皆さんが試験ではなくて、きちっと漁獲できるような体制を望んでいます。  加速的な回復事業にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。 131 ◯川原水産課長=有明海二枚貝資源回復加速化事業の取り組み内容についてお答えをいたします。  まず、アゲマキでございますが、アゲマキにつきましては、二十年以上漁獲がない状況が続いてきましたが、これまで放流した稚貝が順調に生育し、さらに、その貝から生まれた貝が放流漁場周辺で定着してきておりまして、今後、順調に生育すれば、来年六月には漁獲できるサイズになると見込んでおります。  しかしながら、まだ漁場が狭い状況でありますので、今後も漁獲を続けていくためには、漁獲エリアと保護エリアを設置することが重要となります。本事業では、そのエリアを設定するために必要なアゲマキの精密な生息状況を調査することとしております。  また、休漁が続くウミタケにつきましても、昨年、早津江川沖合で浚渫による試験的な漁場造成を行った結果、ことし五月の調査において、漁獲サイズの貝が多数確認されまして、十年ぶりに試験的にではありますが、出荷に結びついたところでございます。  このため、本事業では、今後、漁場を造成する適地を探索することを目的に、ことしの秋に生まれるウミタケを対象といたしました生息状況調査や底質環境調査等を実施することとしております。  最後に、アサリにつきましては、被覆網によるナルトビエイの食害防止対策等の取り組みによりまして、昨年、太良町で十年ぶりに本格的な漁獲が再開され、ことしも引き続き漁獲が行われました。一方で、被覆網を設置していない漁場では、ナルトビエイによる食害の影響が大きいことが見えてきたことから、本事業では、稚貝の着底促進とナルトビエイの食害防止を兼ね備えた投石による新たな漁場造成手法の開発に取り組むこととしております。  以上でございます。 132 ◯坂口委員=次に、漁場環境改善の取り組みについてであります。  ウミタケ、アサリ、アゲマキの事業は、すごくいいことだと思います。しかし、二枚貝の象徴はタイラギです。単価が一番高いのはタイラギなんですね。ですから、タイラギが水揚げされると漁家の収入が上がるということになります。ですから、タイラギが再生するまで努力を続けてほしいと思います。  そのタイラギが生息する海底は、現在、海底耕うん、そして、モガイ殻を粉砕して散布をしていただいている。そして、二枚貝を食べるナルトビエイを駆除してもらっています。しかし、もっと加速的にこの事業を推進しなければならないと思います。確かに、予算もかかることでございますけれども、この取り組み状況、そして、どのような効果があるのかお伺いいたします。 133 ◯川原水産課長=漁場環境改善の取り組みについてお答えをいたします。  まず、海底耕うんは、底質が悪化している漁場の海底を「ケタ」と呼ばれる鉄製の道具で耕うんをし、魚介類の生息環境の改善を図るもので、県が沖合域、市町が干潟域で実施しております。平成十三年度から平成二十八年度までの十六年間では、沖合域、干潟域合わせまして約二万八千四百ヘクタールの実績となっております。  効果につきましては、事業実施箇所に近い鹿島魚市場の取り扱い状況を見ますと、スズキやガザミの取扱量が事業実施前と比較して増加していることや、耕うんした場所で、平成二十一年にタイラギが着底して漁獲につながった漁場もありまして、一定の効果が上がっているものと考えております。  また、モガイ殻散布耕うんは、細かく砕いたモガイの貝殻を海底に散布いたしまして、「ケタ」を使って海底の泥と混ぜ込むことにより、魚介類の生息環境の改善とタイラギの稚貝の着底を促進させるものでありまして、平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間の実施面積は約二十四ヘクタールとなっております。実施した場所では底質が改善されまして、タイラギの稚貝の着底が確認されており、また、漁業者の皆さんからは、この場所でガザミやイイダコ等が漁獲されるとの声を聞いているところでございます。  最後に、ナルトビエイの駆除につきましては、平成十三年度から継続して実施しておりまして、平成二十八年度までの十六年間で六百七十六トンのナルトビエイを駆除したところでございます。これまでの駆除実績を見ますと、一日一隻当たりの駆除量が減少しておりまして、一定の効果があるものと考えております。  今後とも、国や市町、漁協と連携しながら、こうした漁場環境改善の取り組みを継続して実施いたしますとともに、回復の兆しがあったものにつきましては、着実に漁獲に結びつけていけるよう、稚貝の放流、漁場造成などの技術開発の取り組みを強化いたしまして、二枚貝を初めとする水産資源の回復に努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。 134 ◯坂口委員=最後に、九項目め、佐賀さいこうUJI就職応援事業についてであります。  十年で雇用環境がさま変わりしました。十年前、私たちはどういう相談を受けてきたかというと、「うちの息子ば、うちの娘ば、どこか就職先のなかろうか」という相談をよく受けていました。しかし、今は全然違います。求人で困っていらっしゃるんですね。人がいません。どの団体もそうですね。どの業界のお話を聞いても、人がいない、求人で困っている。就職で困っていたものが、十年で求人で困っているという状況に世の中は変わりました。アベノミクスの成果かもしれません。  佐賀県もいろんな取り組みをされていることを知りました。要は、十八歳対策、二十二歳対策、そして若年対策、そして私はできるならば六十歳対策も必要であるだろうと思っています。石橋部長さんたちも六十歳になったらですね、第二の人生がありますので、当然、その人たちのことも考えなければならない。私の友人も、出稼ぎじゃないけれども、就職して行くんですね。そしたら最低でも、できるならば今の時期に帰ってきてほしい。しかし、やっぱり仕事を頑張っている。じゃ、できるならば六十歳で帰ってきてねというお話をするんですね。ですから、そういう世の中、そういう佐賀県をつくっていきたいと思っています。  例えば、「さが就活ナビ」ということで、企業と就職をしようとしている方のマッチングであったり、「ジョブカフェSAGA」、若い皆さんに対して窓口を設けて、やさしく相談を受ける。そして、野田委員が言われていました十八歳対策、支援員の方に努力をしていただく。そして、仕事相談室等々いろんな努力をされている。  そして、今回、十月から開始されようとしている二十二歳ですか、大学卒業予定の方と三十五歳以下の方、私は四十七歳です。できればこれは四十七歳にしてほしいかったですね。そしたら友達にお話ができますけれども、なぜ三十五歳なのかよくわからないけれども、よくも悪くも、山口県政らしい事業だなと思います。九州の方が就職すれば十万円、関西までの方が二十万円、関東よりも北の方が三十万円、就職すると差し上げますよということなんですね。  今回、目標を高く掲げられて五百名の若人たちを確保するということがうたわれています。その意気込みについてお伺いをいたします。 135 ◯狩野産業人材課長=佐賀さいこうUJI就職応援事業についてお答えいたします。  まず、この事業の意気込みといいますか、取り組みの背景について申し上げます。  本県では、大学や短大の進学者のうち約三千名が県外に出て行っています。県内に入ってくるのはその半数であって、毎年約千五百名が流出超過となっている状況でございます。  県内企業の人材確保にとりまして、まずはこの流入出のバランスを数年後の就職期に是正できるかが鍵であると考えているところでございます。  このため、まずは大学などの卒業を控えた方々に県内企業への就職を選択肢と認識いただくことが不可欠であり、そういたしますと、ただでさえ都市部との間で賃金や就業機会に格差がある中、話題性のある三十万円の奨励金を出そうというような大胆な策も必要ではないかと考えたところでございます。  次に、目標であります五百名の現在の見通しについてでございます。  四月以降、これまで公共交通機関やWebサイトでの広報、広告掲出など、いわば空中戦と、職員によります大学訪問など、いわば地上戦の両面から周知、広報を展開しているところでございます。  その結果、事業の告知や今後の申請受け付けに用いる「さが就活ナビ」の実閲覧者数が昨年度の一・七倍に急増しているところでございます。  また、合同企業説明会などの折に学生から、当事業のマスコット、猫を使っているんですが、「『根子(ねこ)シンジ』というキャラクターを知ってますよ」、「奨励金が始まったんですね」というような声も聞こえるなど、一定の手応えを感じているところでございます。  とは申しますものの、これらが実際に県内企業への就職につながるか、応募を開始してみないと何とも言えないことも事実であります。つきましては、今後もそれらの状況を見きわめて、まずは目標とするUJIターン就職者五百名の確保に向け、臨機応変に創意工夫を凝らしてさまざまな取り組みをやってまいりたいと思っております。  以上でございます。 136 ◯坂口委員=それでは、約束の九十分を三分残して私の質問を終わりますので、皆さんも超過勤務をすることなくスムーズに御帰宅をいただくことを期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。 137 ◯八谷委員長=暫時休憩します。十五時五分をめどに委員会を再開します。     午後二時五十二分 休憩     午後三時七分 開議 138 ◯八谷委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続き質疑を行います。 139 ◯井上委員=皆さん、こんにちは。日本共産党の井上祐輔です。本日、最後の質問者となりますので、よろしくお願いいたします。  まず一点目に、中小企業の振興について伺いたいと思います。  県内の中小企業は全企業の九九・九%を占めると言われ、地域の中で活動し、地域雇用を支える大きな役割を果たしています。また、国全体を見れば全企業の中で〇・三%とも言われる大企業は、空前の利益を上げる一方、働く者の実質賃金は上がらず、格差と貧困が広がっています。  バブル経済の崩壊以降、廃業率が開業率を上回り、二〇〇九年から二〇一二年にかけて中小企業は四百二十万社から三百八十五万社へと三十五万社が減少しています。県内では、負債額一千万円以上の倒産企業数は、直近十年で五百三十六社に上り、また、一千万円以下のものについては把握すらできていない、これが現状です。  このような状況のもとで、県内経済を建て直していくには、企業の九九・九%を占める中小企業の振興、地域経済の振興が鍵であると思っております。  ことし、二〇一七年は、二〇一四年に施行された小規模企業振興法に基づいて、国、自治体が立案した五年間の小規模企業振興基本計画の折り返し地点ともなっています。人口減少、過疎化が進む地方において、地域を元気にしていくためにも、地域雇用、地域コミュニティーを支える中小企業、小規模事業者の持続的発展に対し、自治体の役割も一層重要となっています。佐賀を元気にする、地域を活性化できるよう、中小企業の振興をさらに進めてほしいと思っております。  まず一点目に、現状について伺いたいと思います。  県内の状況について、中小企業や小規模企業の数や従業員などについてどのような状況になっているのかお伺いをいたします。 140 ◯井上産業企画課長=中小企業等の数や従業員等の現状についてお答えをさせていただきます。  「平成二十六年経済センサス基礎調査」によりますと、平成二十六年七月時点におきます県内企業等の数については、総数が二万五千五百五十五社、この中で中小企業は二万五千五百十一社、九九・九%。そのうち小規模企業が二万一千六百九十八社で、全体に占める割合は八四・九%となっております。  また、同じ調査ですが、県内の従業者数については、総数が二十一万三千六百九人、この中で中小企業は十九万三千三百五十七人、九〇・五%。そのうち小規模企業が七万三千七十九人で、全体に占める割合は三四・二%となっております。  以上でございます。 141 ◯井上委員=今、県内の企業の数、また、従業員の数について示していただきました。この区分については資料をいただいておりまして、大企業、中小企業、また、中小企業の中では小規模企業ということで区分がされております。この区分について、その資本金であったり、従業員の数などについて、その定義はどのようになっているのかお示しいただきたいと思います。 142 ◯井上産業企画課長=企業規模の区分についてお答えをさせていただきます。  まず、中小企業につきましては、製造業、建設業、運輸業その他の業種については、資本金三億円以下または常用雇用者で規模三百人以下となっております。また、小売業につきましては、資本金五千万円以下または常用雇用者規模で五十人以下。主なところはこういうふうになっております。また、小規模企業につきましては、製造業、建設業、運輸業その他の業種については、常用雇用者規模で二十人以下。また、商業、サービス業につきましては、常用雇用者規模で五人以下となっております。  以上でございます。 143 ◯井上委員=県内の企業の状況についてお示しいただきました。  二点目の課題について伺いたいと思いますが、取り組みを行う上でも、こういった中小企業、また、小規模事業者がどういった課題を抱えながら事業を行っているのか、そういったことを知っていくこと、把握をしていくことは、大変重要であると思っております。  県として、この中小企業、また、小規模企業といった企業がどういった課題を抱えているのか、どのような方法で把握をして、県としてはどのように認識しておられるのかお尋ねをします。 144 ◯井上産業企画課長=中小企業等の課題の把握方法、また、その課題についてお答えを申し上げます。  県として取り組みを行っていく上では現場の声が大切だと考えております。このため、小規模企業者を含めました中小企業者の課題を把握するため、県としては、毎年、県内全ての商工会、商工会議所を訪問いたしまして意見交換を行っているところでございます。  また、中小企業者に対します支援を行う中核機関でございます公益財団法人佐賀県地域産業支援センターとは、事業の実施等を通じまして日ごろから意見交換を行っておりまして、中小企業者の状況について把握しているところでございます。  さらには、毎年、さまざまな団体等から要望書等も提出されておりまして、こうしたものを通じまして意見やニーズを把握しているところでございます。  県としては、こうした意見交換等を通しまして、現在、中小企業者の方が抱える課題としまして、販路拡大や生産性向上を図る必要があること。また、従業者を募集しても募集がないなどの人手不足、さらには、経営者の高齢化と後継者不足による廃業などの意見を聞いているところでございます。
     以上でございます。 145 ◯井上委員=現場の声が大切だということは、私も一緒であります。全ての商工会、また、地域産業支援センターとは日常的に意見を交換されている。また、いろいろな団体と交渉されるときに声を聞いていただいているということでありました。  私が伺ったお話では、五人以下の業者の実態をなかなかつかまれていないのではないかという声であったり、数としては把握してあるのかもしれませんが、その中身、実態について、もう少し声を聞いてほしいという声も伺っているところであります。  後に議論をさせていただく小規模企業振興法では、中小業者の声を聞き施策を検討する審議会等が設置され、産業振興ビジョンや計画がつくられるようになっています。この審議会をつくる際、この委員についても実態や意見を広く反映をさせていく必要があるかと思います。  そのような面で、今、佐賀県として中小企業の施策をつくる際に、いろいろな現状把握をして、どういった具体的な策が必要なのかといったことを協議する場所があるのか確認をしたいと思います。 146 ◯福地経営支援課長=先ほど、いろんな場で意見を聴取すべきではないか、県としてどのようにやっているのかということの御質問にお答えいたします。  先ほど、産業企画課長から御答弁を差し上げましたが、県といたしましては、商工会、商工会議所等を通じまして、さまざまな場面で意見聴取や意見交換を行っているところでございます。  それから、政策につきましては、佐賀県総合計画に基づいて中小企業の振興についての取り組みを進めているところであります。総合計画の策定に当たりましては、県民のさまざまな意見を聴取して策定したところでありまして、そういったことに基づいて進めております。  また、いろんな事業を進めるに当たりまして、各事業者様からいろんな意見を聞いたり、そういったことも含めましてさまざまな手段を通じまして広く意見聴取に努めているところでございます。  以上、お答えいたします。 147 ◯井上委員=具体的な委員会があるわけではなくて、日ごろから声を聞きながら、それを具体化しているということで認識したいと思います。  三つ目、県の取り組みについて伺いたいと思います。  今、お話をされた課題を踏まえつつ、県では中小企業や小規模企業の支援についてもさまざまな取り組みがなされていると思います。現在、どのような取り組みをされているのか、この点についてお伺いいたします。 148 ◯井上産業企画課長=現在の取り組みについてお答えをさせていただきます。  中小企業者に対する支援につきましては、県、市町、商工団体等が相互に連携しながら取り組みを行っているところでございます。  こうした中で県の取り組みといたしましては、販路拡大や生産性の向上ということに関しましては、商談会等への出展、また、新たに開発されました製品等の県の機関による試験的な発注を通した販路開拓事業、また、新たな事業活動計画の策定を支援することによりまして経営向上を図るような事業。それから、資金調達の分野では、企業の資金繰りや設備投資を支援する制度金融事業。それから、人材確保の面では、合同説明会や奨励金支給等により県内企業への就職を促進する事業。また、事業承継につきましては、円滑な承継を推進するための支援機関や専門機関と連携した相談事業、こういうことを行っているところでございます。  以上でございます。 149 ◯井上委員=いろいろな課題がある中で現在の県の取り組みについてお示しいただきました。  それでは、県として、これからどのような取り組みを考えられているのか、この点についてお伺いしたいと思います。 150 ◯井上産業企画課長=今後の取り組みについてお答えをさせていただきます。  先ほど申し上げました生産性の向上、また、人口減少、少子・高齢化などの社会構造の変化の中で、県としては、さらなる発展や持続を目指しチャレンジしていく中小企業者、小規模企業者の積極的な取り組みをしっかりと支援していきたいと考えております。  また、こうした支援に当たりましては、県、市町の行政、商工団体、県地域産業支援センター、金融機関、佐賀県信用保証協会等の支援機関が、それぞれの強みを発揮しつつ、連携を深め、行政と支援機関が一丸となって今後とも中小企業、小規模企業の振興にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 151 ◯井上委員=発展をするだけではなくて、企業を持続させていくといった点についても、しっかり位置づけを行いながら取り組みを進めていただきたいと思っています。  先ほど、少し議論させていただいた意見の聴取について少し意見を言いたいと思います。  国においては、小規模事業者、個人事業者への支援に光を当てられた小規模企業振興法が制定された時に、これは二〇一四年六月二十日に制定されたわけですが、そのとき、参議院の経済産業委員会の参考人質疑において三つの団体から意見を聞いておられます。一つは全国商工会連合会、二つ目に従業員五人以下の小規模事業者と個人事業者を中心に組織をされている全国商工団体連合会、三つ目に中小企業家同友会全国協議会、この三つの団体から意見陳述の機会がありました。こういったことも参考にしながら、県内の企業の意見、また、声を拾っていただきたいということで、これは要望しておきたいと思います。  次に、中小企業振興条例について伺いたいと思います。  先ほども述べましたが、二〇一四年六月二十日の第百八十六回国会において、小規模企業振興基本法が制定されました。  当時の茂木経済産業大臣は、この法の制定に当たり、中小企業基本法は、中小企業の成長・発展を一つの考え方にしていたと。もちろん、この考え方は引き継いでいくけれども、多くの小規模事業者にとっては、成長・発展だけではなくて、現下の厳しい経営環境の中で事業を継続する、雇用を維持すること。また、技術を伝承していくこと。こういったこと自体も重要であるとして事業の持続的な発展を新たな基本原則して位置づけられました。  これまでより小規模企業に焦点を当て、そこの中でも事業の持続的な発展のための具体的な方向性を打ち出したのが今回の法案だと話されています。大臣の説明からもわかるように、中小企業の九割を占める小規模企業の振興を図るために、中小企業振興法とは別に小規模企業振興法を策定したということになります。  それぞれの県では、中小企業振興基本条例や地域産業振興条例など形はさまざまあるようですが、国の基本法制定を機に条例の制定がなされています。今県議会の一般質問でも紹介されていましたが、この中で制定されていない都県は東京都、広島県、高知県、佐賀県の四都県が制定されていない状況です。  本県においても、中小企業、特にその中でも県内では八五%を占めている小規模企業の振興を図っていくためにも、条例の制定によって、より小規模企業者の声を具体的に取り入れながら政策を具体化していくことが重要だと思っております。  まず、一点目に小規模企業振興基本法制定の背景と概要について伺いたいと思います。  この小規模企業振興基本法は、どういった背景で制定されたのか。また、どのような概要になっているのかお尋ねをいたします。 152 ◯福地経営支援課長=小規模企業振興基本法制定の背景及び概要についてお答えいたします。  先ほど、一部、委員から御説明がありましたが、小規模企業振興基本法につきましては、国において、経済の好循環を全国に浸透させていくために、地域の経済や雇用を支える重要な存在である小規模企業の活力を最大限に発揮させることが必要不可欠であるということで、平成二十六年六月に制定されました。  この基本法は、小規模企業の振興に関する施策について、総合的かつ計画的に、国、地方公共団体、商工団体などの支援機関が一丸となって実施するため、国において基本計画を策定するなどの新たな施策体系を構築するものであり、小規模企業の事業の持続的発展を図ることを基本原則として位置づけられたものでございます。  この基本法に基づく国の基本計画では、小規模企業の振興に関して小規模企業の前向きな一歩を関係者が一丸となって応援するため、新たな需要の開拓など需要を見据えた経営の促進、起業、創業支援などによる新陳代謝の促進、地域のブランド化、にぎわいの創出など地域経済の活性化に資する事業活動の推進、地域ぐるみで総力を上げた支援体制の整備の四つの目標が設定され、その目標の実現に向け、需要開拓に向けた支援や人材の確保・育成など、十項目の重点施策を実施することが盛り込まれており、これを指標として、地方公共団体や支援機関等が連携して、それぞれの立場で小規模企業振興を実行することが求められたところでございます。  以上、お答えいたします。 153 ◯井上委員=この法が制定された背景、また、法律の概要についてお示しいただきました。この小規模企業振興基本法の概要と同時に、措置事項の概要があると思います。この中では、基本原則としては小規模企業の活力発揮の必要性が増大していることから、小規模事業者を含む小規模企業について、事業の持続的な発展を図るであったり、各主体の責務として、国、地方公共団体、支援機関等、関係者相互の連携及び協力などが定められております。  二点目になりますが、一九六三年に制定された中小企業基本法では、経済成長が優先とされ、活力ある成長発展が中小企業の基本理念とされていました。しかし、現状を見てみると、中小企業の大幅な減少、また、地位の低下を招いたという意見もございます。  そのような反省に立って、対象を小規模に絞った小規模企業振興基本法が制定されて、基本理念を事業の持続的な発展に転換をして、国、地方自治体等の責務を明確にした、これが特徴ではないかと認識しているところです。  法の施行から三年が経過した現状認識について伺いたいと思います。  基本法では、第五条で国の責務、第七条で地方公共団体に対し、自然的、経済的、社会的諸条件に応じた施策を策定し、実施する責務が定められています。県は、この基本法に対し、現状としてどのように認識されているのかお伺いをしたいと思います。 154 ◯福地経営支援課長=法の施行から三年が経過した現状の認識についてお答えいたします。  本県では、企業数で約九九%を占める中小企業のうち、さらに約八五%が小規模企業という状況にありまして、県は従来から企業規模の大小にかかわらず、国、市町、支援機関と連携しながら中小企業の振興に積極的に取り組んできたところでございます。  小規模企業振興基本法におきまして、地域で雇用を維持して頑張る小規模企業を応援するとの考えのもと、先ほども委員から話がありましたが、事業の持続的発展を図ることとされており、これはまさに県が従来から取り組みを進めてきたことと同じであると捉えているところでございます。  こうした中で小規模企業振興基本法の制定及び小規模支援法、これは商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律でありますが、その改正により商工会及び商工会議所の機能強化がなされたところでございます。  こうしたことも相まって商工会及び商工会議所は、従来の税務、労務、金融等に係る経営指導はもとより、経営状況の分析、需要を見据えた事業計画の策定、新たな販路開拓等を小規模企業者に寄り添って伴走型で支援する動きが出始めており、意識改革が進んでおります。  また、市町におきましても、小規模企業基本法の制定を契機として、産業競争力強化法に基づく創業支援事業計画の認定を受け、創業支援に積極的に取り組む動きが出ております。  さらに、このように市町、商工団体、よろず支援拠点等の他の支援機関が連携して支援を行ってきた中で、今後期待する支援として、販路開拓やICTの利活用への支援を上げる小規模企業者もふえてきておりまして、徐々にではありますものの、小規模企業者自身の意識も変わってきていると考えております。  いずれにしましても、人口減少や少子・高齢化による社会構造の変化、グローバル化の進展等による競争の激化はもとより、第四次産業革命の急速な進展など地域の産業構造が変化する中、小規模企業の事業が持続的に発展するためには、さまざまな課題に対応する必要があり、小規模企業振興基本法の趣旨も踏まえながら、国、県、市町及び商工団体がそれぞれの役割分担のもと、連携を図りながら支援に取り組む必要があると認識しているところでございます。  以上、お答えいたします。 155 ◯井上委員=佐賀県においては、八五%が小規模企業ということで、そこに重きを置いてこれまでも取り組みを実施してきたということでありましたが、本県議会の一般質問でも、自民党の川崎議員が質問されておりました県条例の制定について伺いたいと思っています。  二〇一七年五月末現在では、都道府県では先ほど紹介したように制定していないところが四県、そして、制定をしているところでは小規模企業振興条例という形で制定しているのが北海道、群馬県、新潟県、奈良県の四県。また、中小企業振興条例の中で小規模企業の振興に言及しているところもあるようです。  私は、この小規模企業振興基本法に基づいて小規模企業の役割を改めて確認をして条例制定をする。それは今、厳しい状況で頑張っておられる小規模事業者に対して、県もしっかり応援をしていますよと、そういったエールになるのではないかと思っています。この条例の制定について、県はどのように考えておられるのかお尋ねをいたします。 156 ◯福地経営支援課長=県の中小企業振興条例の制定について、どのように考えているかについてお答えいたします。  中小企業の振興に関する条例につきましては、商工団体からも制定の要望があっておりまして、どのような条例とするのか検討に着手しているところでございまして、小規模企業の振興という視点も含めまして検討していきたいと考えております。  以上、お答えいたします。 157 ◯井上委員=現在、検討に着手しているということで、地域を支えている小規模企業が事業を維持していること自体が積極的意義があると私は思います。基本法についても、そういったところに重点が置かれています。小さくても強い企業、また、小さくても長く続く企業を目指して、今後も県としても取り組みを強めていただきたいと思います。  問二の玄海地区における水産振興についてお伺いをします。  玄海地区では、対馬暖流の影響下にある壱岐水道の外洋性漁場や、唐津湾、仮屋湾などの内湾性の漁場を持ち、本県唯一の有人離島を七つ抱えています。リアス式海岸が続く中に砂浜が点在するなど、多様な漁場を持っています。  そこでは、小型底びき網、五智網、釣り、はえ縄、採貝藻などそれぞれの漁場の環境に応じた漁業が営まれており、その地域では基幹産業の一つとして地域社会を支えています。  近年、玄界灘では赤潮の発生や藻場の減少、水温上昇により南方系の魚介類等が漁獲されるなど、漁場環境に大きな変化が見られています。こうした要因が漁獲量の不安定さをもたらしているのではないかということも考えているところであります。  そうした中で、漁家の経営安定を図るためには、漁業者の生産の場となる沿岸漁場の水産資源を回復させることが重要であり、種苗放流を中心とした、つくり育てる漁業の推進や、魚介類の産卵や稚魚育成の場として重要な藻場の回復、造成などの漁場環境の改善などにもしっかり取り組む必要があると思っています。  まず一点目に、漁獲量の推移についてお尋ねをします。  ここ十年間の主な魚介類の水揚げ量や水揚げ額について、どのような現状となっているのかお伺いをします。 158 ◯川原水産課長=ここ十年間の水揚げ量、水揚げ額についてお答えをいたします。  玄海地区におきます水揚げ量、水揚げ額につきまして、玄海漁協魚市場の平成十九年から平成二十八年の統計資料で見ますと、市場全体の水揚げ量は、平成十九年に二千三百七十六トンあったものが、その後、増減を繰り返しながら減少いたしまして、直近の平成二十八年には千六百四十四トンとなっております。  また、水揚げ額につきましては、平成十九年に十三億九千百万円あったものが、平成二十一年に約十億九千八百万円となった後は十一億円前後で推移している状況でございます。  以上でございます。 159 ◯井上委員=平成十九年から直近の平成二十八年まで御紹介していただきました。私が地域でお話を聞くと、魚の単価自体も横ばいか低下していく中で、船の燃料価格の高騰が漁民の皆さんの生活を苦しめているという話も伺いました。  こうした状況に対して前向きの変化をつくっていくためにも水産資源の回復が不可欠ではないかと思います。  二点目の水産資源の回復に向けて県としてどのような取り組みをされているのかお伺いをします。 160 ◯川原水産課長=水産資源の回復に向けた取り組みについてお答えをいたします。  玄海地区を取り巻く環境は、水揚げ量の減少や魚価の低迷等、大変厳しい状況にありまして、魚価経営の安定を図るためには、委員おっしゃいますように、まずは水産資源の回復が喫緊の課題と県としても考えております。  このため、マダイ、ヒラメ、カサゴなどの水産資源を直接ふやします種苗放流や、漁業者の皆さんがみずから取り組む食害生物の駆除などの漁場環境保全活動への支援、また、魚介類の産卵や育成の場となる藻場の造成などに取り組んでいるところでございます。  以上でございます。 161 ◯井上委員=主に種苗放流、藻場の藻を食べてしまう食害の生物の駆除といったことに取り組んでいるということであります。  水産資源が悪化する要因の一つに魚の産卵場所、また、稚魚の隠れ家ともなっている藻場の消失があるとも言われています。  次に、藻場の回復対策について伺いたいと思いますが、現在、玄海地区の藻場の現状はどのようになっているのかお伺いをします。 162 ◯川原水産課長=玄海地区の藻場の現状についてお答えをいたします。  本県の玄海地区全域における藻場の状況につきましては、これまでおおむね十年置きに調査を実施しております。  その結果によりますと、玄海地区の藻場の面積は、昭和五十二年、昭和五十三年の調査時には千七百六十四ヘクタールあったものが、平成四年、平成五年には千二百八ヘクタール、平成十六年には千三百三十一ヘクタール、平成二十五年には千二百八十六ヘクタールとなっておりまして、昭和五十二年、昭和五十三年から平成四年、平成五年にかけて、面積で約三〇%減少したものの、その後はほぼ横ばいで推移している状況でございます。  また、藻場の消失、いわゆる磯焼けの状況につきましては、平成十六年の調査で玄海地区において四カ所確認をされたものが、平成二十五年の調査でも五カ所確認されておりまして、他県と比較して小規模ではありますが、磯焼けが継続して発生している状況となっております。  以上でございます。 163 ◯井上委員=今、藻場の状況について、磯焼けが四カ所から五カ所、発生しているとお話がありました。この磯焼けの原因についてお尋ねをしたいんですが、この磯焼けについては、県として、どのような要因があって、この磯焼けが起こると考えておられるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。 164 ◯川原水産課長=磯焼けの原因についてお答えをいたします。  磯焼けにつきましては、佐賀県だけではなく、日本全国で発生しておりまして、地域、地域によって要因はいろいろあると言われております。例えば、北海道等では水温の上昇等が海藻の繁茂に影響を与えているということもあります。水温の上昇につきましては、西日本も同じような状況であるかと思います。また、食害生物がおりまして、海藻を食べますウニ類とか魚類といったものの増加によって海藻が消失する磯焼けというものが発生すると考えております。  佐賀県では、玄海水産振興センターの調査で一番影響が大きいのは、ウニ類による食害であるという調査結果が出ておりまして、そういうふうに考えております。  以上でございます。 165 ◯井上委員=水温上昇と食害生物、ウニ、ガンガゼの駆除などもされていると思いますが、この藻場の回復の対策について、県ではどういった取り組みをされているのか。また、どういうふうに考えられているのかお伺いをします。 166 ◯川原水産課長=藻場の回復対策についてお答えをいたします。  先ほども答弁いたしましたように、本県で見られる磯焼けにつきましては、玄海水産振興センターの調査、研究によりまして、近年増加している南方系のウニの仲間、ガンガゼなどのウニ類による食害が大きく影響していること。それから、磯焼けした藻場からガンガゼを駆除し、一平方メートル当たりの生息数を一個以下に減らすと藻場が回復することが明らかになっております。  県では、こうした調査研究結果を藻場回復マニュアルとしてまとめまして、ガンガセの効率的な駆除方法などを漁業者の皆さんに普及いたしますとともに、国の補助事業であります水産多面的機能発揮対策事業ですとか、離島漁業再生支援交付金を活用いたしまして、漁業者の皆さんみずからが取り組むガンガゼの駆除活動に支援を行うなどし、藻場の回復対策に取り組んでいるところでございます。  加えまして、平成十二年度からは藻場の回復を目的といたしまして藻場の造成事業にも取り組んでいるところでございます。  以上でございます。 167 ◯井上委員=藻場の回復対策について、ガンガゼの駆除を中心にされているということであります。私は、この藻場の状況について海に潜るあるダイバーさんからお話を聞いたことがありますが、水温が上昇することによって、本来、南方にいるはずのアイゴ、バリですね、これが冬場も唐津地区の海域にずっと存在して、そのアイゴが海藻を食べてしまうといったことも、この藻場の磯焼けの原因になっているのではないかと、そういったことのお話も伺いました。アイゴの害、魚の食害というふうに言われたのかもしれませんけれども、ここについても被害が大きくなる前にしっかり対策を打つ必要もあるのではないかと私は思っているところです。  県として、アイゴ、バリについて現状でどういった対策がされているのか、その点をお伺いしたいと思います。 168 ◯川原水産課長=アイゴの食害対策についてお答えをいたします。
     委員御指摘のように、佐賀県の玄海地区におきましても、アイゴによる食害というのは確かに発生しております。ただ、玄海水産振興センターの調査によりますと、現時点で一番影響が大きいのはウニ類のガンガゼの食害ということで、これはウニをしっかり駆除してやれば、そこにアイゴが存在したとしても、海藻が回復していく、磯焼けが回復するというような状況がございますので、現時点ではウニ類の対策というものが重要かと思っております。  ただ、アイゴにつきましても、今後、数がふえたりいたしますと大きな影響が出てくる可能性もありまして、これについては数年前にアイゴの駆除の方法ということを玄海水産振興センターで検討しております。ただ、この時点ではなかなか効率的な漁獲方法を見つけることができておりませんでしたので、この点については今後の検討課題と思っております。魚の食害についても、今後、いろいろと考えていきたいと思っております。  以上でございます。 169 ◯井上委員=アイゴについても、状況に応じてしっかりとした対応をしていただきたいと思います。  神奈川県に城ヶ島漁協がありますが、ここはアイゴの対策について取り組みを行って、全国漁業協同組合連合会が行っておられる青年・女性漁業者交流大会で最高位となる農林水産大臣賞を受賞されています。  城ヶ島で磯焼けが顕著となったのが二〇〇八年前後と言われています。当時は島の西側で磯焼けが出てきたということでありますが、同時に、ガンガゼの分布も見られたそうです。五年ほどで被害は島全域に拡大して、ガンガゼ同様に藻類を餌とするアイゴが漁師の刺し網にかかって、すぐさま駆除に乗り出したと言われています。大きな被害にならないうちに、先ほどもお話があったように、しっかり対策をお願いしておきたいと思います。  次に、藻場造成の実績について伺います。  県では、魚介類の産卵や育成の場となる藻場の造成に取り組んでおられると先ほどの答弁でありましたが、これまでの藻場の造成の実績がどのようになっているのかお伺いをします。 170 ◯川原水産課長=藻場造成の実績についてお答えをいたします。  県では、玄海地区の岩礁域におきまして、平成十二年度からアラメやホンダワラなどが繁茂いたします藻場の造成を投石や増殖礁の設置により行っておりまして、実績といたしましては、平成二十八年度までの十七年間で二十九カ所、合計約十八ヘクタールを造成したところでございます。  また、内湾の砂泥域におきましては、平成十六年度からアマモ場の造成を覆砂と移植により行っておりまして、実績としては、平成二十一年度までの六年間で七カ所、合計約三ヘクタールを造成したところでございます。  以上でございます。 171 ◯井上委員=それでは、今後、県で玄海地区における水産資源の回復に向けてどのように取り組まれていくのかお尋ねをします。 172 ◯川原水産課長=今後の取り組みについてお答えをいたします。  玄海地区の水揚げ量は、以前と比べますと減少しておりまして、こうした状況を改善するためには、何より水産資源を回復させることが重要であると考えております。  こうしたことから県では、今後も水産資源を直接ふやす種苗放流や、放流効果を高める技術の開発に積極的に取り組みますとともに、藻場造成やガンガゼ駆除などの漁場環境の改善の取り組みもより一層推進していくこととしております。  そのうち種苗放流につきましては、マダイやカサゴなど放流により漁獲が安定してきている魚種もあること、それから、消費者が求める魚種も変化していることなどから、漁業者や市場関係者へのアンケート調査を実施するなどいたしまして、今後、放流に取り組む新たな魚種の検討を進めているところでございます。  また、漁場環境改善の取り組みにつきましては、藻場造成のほか、昨年度から内湾の海底にカキ殻を散布することによって底質の改善や魚類等の餌生物を増やす技術開発を実施しておりまして、今後の事業化を目指して取り組みを進めていくこととしております。  今後とも、市町や漁協、さらには玄海地区の栽培漁業推進の中核であります玄海栽培漁業協会とも十分に連携をとりながら、こうした取り組みをしっかりと実施し、玄海地区の水産資源の回復につながるよう努めてまいります。  以上でございます。 173 ◯井上委員=今後もしっかり取り組んでいただきたいと思います。  佐賀県玄海海域における藻場回復マニュアルを県は作成されておりますけれども、この中でも、今後、玄海地区の水産業の振興に寄与できるように、この藻場回復のマニュアルの追加・更新もしていくとされています。  私は、そこの中で、漁場、また、漁業されている皆さんからお話を聞くだけではなくて、唐津の海に潜って直接自分の目でそういった状況を見られているダイバーの方々、また、研究者の声も聞きながら、こういった藻場の回復、水産資源の回復に取り組んでいただきながら、基幹産業の一つとして地域経済を支えている玄海地区の水産振興について取り組んでいただきたい、そのことをお願いをして、私の質問を終わります。 174 ◯八谷委員長=これで質疑を終了いたします。  暫時休憩します。     午後三時五十三分 休憩     午後三時五十五分 開議 175 ◯八谷委員長=委員会を再開します。  これより討論に入りますが、ただいまのところ討論の通告はあっておりません。討論はないものと認めます。よって、討論を終結し、直ちに採決に入ります。     ○ 採      決 176 ◯八谷委員長=乙第三十九号議案「国営土地改良事業に対する市町の負担について」、乙第四十号議案「県営土地改良事業に対する市町の負担について」、乙第四十一号議案「独立行政法人水資源機構事業に対する市町の負担について」、以上三件の議案を一括して採決いたします。  原案に賛成の方の起立を求めます。      〔賛成者起立〕 177 ◯八谷委員長=起立者多数と認めます。よって、以上三件の議案は、原案のとおり可決されました。  次に、甲第三十五号議案中本委員会関係分、乙第三十五議案及び乙第三十六号議案、以上三件の議案を一括して採決いたします。  原案に賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 178 ◯八谷委員長=全員起立と認めます。よって、以上三件の議案は、原案のとおり可決されました。     ○ 継 続 審 査 179 ◯八谷委員長=最後に、六月定例会から引き続き審議中の 一、産業労働行政について 一、農林水産行政について  以上、二件につきましては、諸般の検討が必要ですので、閉会中の継続審査といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 180 ◯八谷委員長=御異議なしと認めます。よって、以上二件についての継続審査を議長に申し出ることにします。  以上で本委員会に付託された案件の全部を議了いたしました。  これをもちまして農林水産商工常任委員会を閉会いたします。どうもお疲れさまでした。     午後三時五十七分 閉会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...