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  1. 佐賀県議会 2017-06-27
    平成29年農林水産商工常任委員会 本文 開催日:2017年06月27日


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     午前十時四分 開議 ◯八谷委員長=ただいまから農林水産商工常任委員会を開催いたします。  これより質疑に入ります。通告に従い順次発言を許可します。 2 ◯井上常憲委員=皆さん、おはようございます。先日の雨で私の住む上場地方も何とか一息ついたかなというような感じを持っております。ことしは本当に空梅雨で六月六日から梅雨入りしたんですけど、六月十二日から私が住む上場地域では節水や時間を区切った取水の呼びかけが行われるなど、非常に水不足の様相を呈していました。  きのう伺ったところ、現在、上倉ダムの貯水が約四〇%、それから赤坂ダムが一九・九%ですか、二〇%にふえたということで、本当に一息ついたかな、もっと雨が欲しいなというような状況でございます。  上場地域は、上場開発等で一大畑総地帯になったわけですが、松浦川からの取水がこうした空梅雨のときはなかなか十分にできないということが現状であります。  そうした意味で、改めて自然環境に非常に左右される農業の大変さを感じているところでございます。  さて、私の地元であります中山間地域では、集落の棚田をみんなで守ってきたということでありまして、そうした取り組みを進める上で非常に役に立っているのが中山間地域等直接支払制度であります。私は、この制度は日本の中山間地域にとっては必要不可欠なものであり、それぞれの地域で今後も有効に活用していくべきだと考えております。  そこで、次の点についてお伺いします。  まず、本県における平成二十八年度の協定数、協定の面積、それから交付実績はどのようになっているのかについてお伺いいたします。 3 ◯松隈生産者支援課長=中山間地域等直接支払制度におきます平成二十八年度の協定数、協定面積、交付実績についてお答えいたします。  本制度は、農業生産条件の不利な中山間地域等におきまして、集落等を単位に、農用地を維持・管理していくための取り決め、いわゆる集落協定を締結しまして、それに従って農業生産活動等を行う場合に、面積に応じて交付金を交付するものでございます。  御案内のとおり、中山間地域の皆様にとっては、今や、欠くべからざる制度となっているところでございます。  この制度の本県におきます平成二十八年度の協定数につきましては、四百九十五の集落で結ばれておりまして、協定面積は七千百七十三ヘクタール、交付実績につきましては約十一億六千百万円となっているところでございます。  以上、お答えします。 4 ◯井上常憲委員=七千百七十三ヘクタール、十一億六千百万円ということでお聞きいたしました。この交付金制度は、部落みんなで話し合って、自分たちの地域をみんなで守っていこうという制度ですが、さまざまな工夫を凝らして本制度が活用されていると思いますけど、活用事例としてどのようなものがあるかについてお示しください。 5 ◯松隈生産者支援課長=交付金の活用事例についてお答えいたします。  交付金の活用事例としましては、多くの集落におきまして、農道の草刈りや水路の泥揚げなどの農道、水路の管理、のり面の草刈りなどの農地の管理、イノシシなどの有害鳥獣の被害を防止するためのワイヤーメッシュの設置や捕獲用わなの購入などに活用されているほか、集落によっては、例えば、集落内で共同利用します農業用機械の購入、景観作物の作付やホタルの幼虫の購入など多面的機能を高める活動、田植えや稲刈りなどの農業体験の受け入れなどの都市住民との交流促進活動などがございます。  以上でございます。 6 ◯井上常憲委員=先ほど、平成二十八年度が十一億六千百万円交付されているということでしたが、本制度が創設されてから本県において総額ではどれくらいの交付金が交付されているのかについてお伺いいたします。
    7 ◯松隈生産者支援課長=本制度は、平成十二年度から五カ年の第一期対策として始まっておりまして、現在、平成二十九年度は、ちょうど第四期対策の真ん中の十八年目を迎えているところでございます。  本制度の本県への交付総額につきましては、平成十二年度から平成二十八年度までの十七年間におきまして、約二百十二億八千九百万円の累計となっているところでございます。  以上でございます。 8 ◯井上常憲委員=十七年間で二百十二億八千万円ということをお伺いしました。制度創設以来、非常に多額の交付金が県内の各中山間地域に交付されているということで、このことを見ても、経済効果といいますか、波及効果が非常に上がっている。また、農業者みんなが自分たちの地域について相談しながら共同作業でやっているということで非常に効果があったと思っております。  しかし、地元の棚田を見ると、それでも、ところどころ管理が行き届かなくなってきていますし、近隣の集落でも耕作されていない農地が出てきています。本制度は、今の御説明では第四期目に入っていますが、第三期対策から第四期対策に向けて協定面積が減少したと聞いております。具体的にどのようになったのか。また、その要因はどのように受けとめられているのかについて御説明ください。 9 ◯松隈生産者支援課長協定面積の減少についてお答えいたします。  佐賀県全体の協定面積は、第三期対策の最終年度でございます平成二十六年度が八千三百五ヘクタールであったものが、第四期対策の初年度であります平成二十七年度は七千百三十ヘクタールと、数字にして千百七十五ヘクタール、率にして約一四%減少しているところでございます。  このように、協定面積が減少した要因につきまして、私どもにおきまして、第三期対策から第四期対策にかけて集落協定を継続できなかった集落や、十ヘクタール以上協定面積が減少しました集落、あわせて六十二の集落協定の代表者の方に対しまして、昨年度、アンケートを実施いたしました。  そのアンケート調査の結果では、協定に不参加の理由として、「すぐには農業はやめないけれども、高齢化等によりまして五年間継続して農地を管理する自信がなくなった」との回答が最も多かったという結果になっております。  これは、この制度が協定農用地の全てを五年間継続して維持・管理しなければ、原則、集落に支払われた交付金をさかのぼって全額返還する規定となっておりまして、この規定が協定面積等の減少につながった主な要因と考えているところでございます。  以上でございます。 10 ◯井上常憲委員=それでは、こうした状況を踏まえて、今後、県では本制度の推進についてどのように取り組んでいかれるのかについてお伺いいたします。 11 ◯松隈生産者支援課長=今後の取り組みについてお答えいたします。  先ほどお答えしました本制度の規定については、県では、これまで国に対して要件を緩和するよう、さまざまな機会を捉えまして要望してきたところでございます。その結果、第四期対策の二年目となります平成二十八年度から、その要件が緩和されまして、協定内の農地や集落の将来像などをまとめました「集落戦略」というものを策定した集落協定につきましては、五年間維持できなくなった農地が出たとしましても、集落に交付された全額ではなく、その維持できなくなった農地だけを対象に交付された金額のみの返還とされまして、協定参加者の負担が軽減されたような改正が行われたところでございます。  このようなことから、県におきましては、四期対策に入って集落協定を廃止した集落はもとより、現に集落協定を結んでいる集落に対しても、この「集落戦略」の策定を推進しているところでございます。  あわせまして、交付金が加算されるような取り組み、例えば、複数の集落同士が連携しまして相互に支援する体制づくりなどを行う取り組みの推進。それから、各集落が抱える課題等に対しまして優良取り組み事例や対応策を紹介するなど、きめ細かな助言や指導を行っているところでございます。  さらには、本年度、平成二十九年度からは、本制度の取り組み拡大を図るために推進員を生産者支援機関に配置したところでございまして、関係する市町と連携しながら、特に、協定面積が大きく減少した集落などに対しましては、推進員が直接集落に出向き、それぞれの集落が抱える課題や意見を酌み上げるとともに、対応策を検討する集落での話し合いや集落戦略策定の推進などについてきめ細かに支援したいと考えております。  今後とも、このような取り組みを初め、市町、それから現地機関とも一緒になりまして、しっかりと取り組みを進めていきまして、少しでも多くの集落が農業生産活動を維持できるよう、本制度の積極的な活用を図っていきたいと考えております。  以上でございます。 12 ◯井上常憲委員=ありがとうございました。  次に、ため池の整備についてお伺いいたします。  佐賀平野や白石平野といった非常に広大な水田地帯は、国営事業を初めとして大規模な事業によって新たな水源の確保とか用水路の整備などが行われております。そして、安定的な農業用水の供給が図られていると認識しております。  その一方で、中山間地域や大きな河川を持たない地域は、地形的な制約もあって新たな水源開発が難しく、既存のため池や渓流からの取水で賄われているのが現状であるようです。ことしのように梅雨入り後に雨が少ない場合は、農家の方々は農業用水の確保に非常に御苦労されているようです。  特に、ため池は、その多くが藩政時代に、まさに先人たちが、それこそ、つるはしともっこを担いで長き期間をかけて、それこそ人力によって、その地域の力で築き上げた水源でありまして、今日まで地域の貴重な財産として受け継がれてきております。  しかし、経年変化によるため池の老朽化に加えて、また、農家の減少によって適切な維持管理が難しくなってきていると感じております。  また、ため池は集落の近くに位置しているものも多く、集中豪雨などの大雨や地震などで決壊すれば下流地域に甚大な被害を及ぼすおそれもありますことから、農業用水の確保の面だけではなく、防災面においてもため池の整備が非常に重要であると考えております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  まず、ため池の現状と整備についてお伺いいたします。  ため池の現状について、県内にあるため池は大体どれぐらいあるのか。そのうち整備を必要とするため池の数はどのように県は把握されているかについてお伺いいたします。 13 ◯中村農山漁村課長=ため池の現状についてお答えいたします。  平成二十六年度に実施しましたため池調査によりますと、県内のため池総数は二千八百八十二カ所でありまして、県西部地域の唐津、伊万里、杵藤農林事務所管内に約九割のため池が集中している状況でございます。  そのうち、ため池の老朽化などによりまして堤体の補強など整備を必要とするため池は千九十七カ所となっております。また、三百六十九カ所のため池につきましては、既に農業用としての利用が廃止されている状況でございます。  以上、お答えします。 14 ◯井上常憲委員=二千八百八十二カ所のため池の数で、唐津、伊万里、杵藤地区の西部地域にその約九割が集中している。そのうち千九十七カ所が整備を必要としているということで報告がありました。  その千九十七カ所のため池の整備状況について、整備を必要とするため池の現在までの整備状況はどのようになっているかについてお伺いいたします。 15 ◯中村農山漁村課長=ため池の整備状況についてお答えいたします。  整備を必要としますため池千九十七カ所のうち、平成二十八年度までに国庫補助事業県単独事業によりまして八百三十七カ所の整備が完了しておりまして、その整備率は七六%となっております。  以上、お答えします。 16 ◯井上常憲委員=八百三十七カ所、約七六%が完了しているという報告がありました。  次に、ため池整備の事業内容についてお伺いいたします。  ため池整備は、どのような事業で、どのような工事を行っているのか。また、その事業を行うための要件はどのようになっているのかについてお伺いいたします。 17 ◯中村農山漁村課長=ため池の事業内容についてお答えいたします。  ため池の整備は、一定の要件を満たすものは国庫補助事業ため池等整備事業を活用しまして行っております。  また、その要件に該当しないものにつきましては、県単独事業ため池災害防止事業によりまして整備を行っている状況でございます。  まず、国庫補助事業ため池等整備事業につきましては、県が事業主体となりまして堤体からの漏水を防止するための遮水工事、堤体ののり面を補強する工事、取水に必要な施設の改修、必要以上に流入した水を安全に下流に流すための洪水吐きの整備のほか、ため池内にたまった土砂のしゅんせつなどを行っております。  このため池等整備事業の採択要件につきましては、大規模地区の場合は、かんがい受益面積が百ヘクタール以上で、総事業費が八千万円以上となっており、事業費の負担割合は、国五五%、県三〇%、市町を含む地元が一五%となっております。  次に、小規模地区の場合は、かんがい受益面積が十ヘクタール以上で総事業費が八百万円以上となっておりまして、事業費の負担割合は、国五〇%、県三〇%、市町を含む地元が二〇%となっております。  なお、中山間地域につきましては、受益面積要件が十ヘクタール以上から五ヘクタール以上に緩和されております。また、国庫補助率も五五%にかさ上げされております。そうしますと、事業費の負担割合は、国五五%、県三〇%、市町を含む地元が一五%となっております。  さらに、ため池堤体の遮水工事、取水施設の整備、洪水吐きの整備といった高度な技術を必要とする場合は、受益面積の要件がさらに緩和されまして、二ヘクタール以上となっております。  次に、県単独事業ため池災害防止事業は、市町が事業主体となっておりまして、ため池の部分的な整備を行っております。  採択要件は、事業費が二百万円以上で緊急性が高いものとしておりまして、県費補助率は五〇%で、市町が二五%以上を負担することを条件としております。  以上でございます。 18 ◯井上常憲委員=ありがとうございました。そのほとんどが大きな事業は国庫補助事業で行われて、県単の場合は二百万円以上、緊急性の高いものを市町主体でやっているという回答でした。  七六%が済んでいるということですが、今年度のため池整備はどのようになっているかについてお伺いいたします。 19 ◯中村農山漁村課長=今年度の整備についてお答えいたします。  今年度は、国庫補助事業ため池等整備事業によりまして、唐津市の苔見堂ため池や有田町の大谷ため池など八地区を、約二億二千万円の予算でため池の堤体や取水施設などの改修工事を実施することとしています。  この八地区のうち、新規地区としまして伊万里市の鞍谷ため池について今年度から事業着手することとしています。  以上でございます。 20 ◯井上常憲委員=この中には整備が必要でありながら、なかなか整備に着手できないため池もあると思いますが、整備を推進していくための課題としては、県としてはどのようなことを考えておられるかお示しください。 21 ◯中村農山漁村課長ため池整備の課題についてお答えいたします。  現時点で整備を必要としますため池が二百六十カ所残っておりますので、計画的な対応が必要と考えています。  しかしながら、ため池の多くは地元の行政区や水利組合などが所有・管理しておりまして、整備するには水利組合などが費用の一部を負担する必要があります。しかしながら、近年の厳しい農業情勢やため池がかりの受益農地が減少していることなどから、その費用負担の対応が難しくなっているケースが見受けられます。  また、整備に要する分担金を支払う市町の財政事情なども整備を進めていく上での課題であると考えています。  さらに、ため池がかりの受益面積が農地転用などによりまして減少していることから、水源をため池から渓流などに切りかえて、ため池そのものを廃止することや、減少した受益農地の規模に応じてため池の規模を縮小しまして整備コストを縮減することの検討も必要であると考えております。  以上、お答えします。 22 ◯井上常憲委員=今、課題について説明していただきました。  最後に、ため池整備を今後どのように取り組んでいこうとされているかについてお伺いいたします。 23 ◯中村農山漁村課長ため池整備の今後の取り組みについてお答えいたします。  県としましては、ため池からの漏水量が多いもの、堤体断面が脆弱なもの、洪水吐きの断面が狭小なものなど、整備の必要性や緊急性が高いため池を優先的に整備していくこととしています。  特に、整備を必要とするため池の中でもため池の下流に人家や公共施設があるものを最優先として整備していくこととしています。  このため、整備の必要性、緊急性をしっかりと見極めながら新規地区の選定を行いまして、関係市町や地元関係者と調整した上で計画的に整備を進めていきたいと考えております。  また、ハード整備に加えまして下流域に人家や公共施設があるため池につきましては、ハザードマップの作成や監視体制の強化などのソフト対策を推進していく必要があると考えておりまして、ソフト対策に取り組む市町に対しまして、県としても支援、助言していくこととしています。  いずれにしましても、ため池は防災上も重要な施設でありまして、ひとたび決壊すれば農地や農業施設だけでなく、人命や財産にも影響を及ぼすことから、今後とも市町や地元関係者と協議しながら整備推進に努めてまいります。  以上、お答えします。 24 ◯井上常憲委員=今後とも、ため池整備に取り組んでいただきますようよろしくお願いして、次の質問に移ります。  次に、野菜の生産振興についてお伺いいたします。  最近の農業を取り巻く状勢を見ますと、農家の高齢化や担い手の減少、さらには農業資材価格の高どまりなどで大変厳しい状況にあると考えております。  そのような中、本県では、園芸農業、とりわけ野菜については、農業産出額が増加傾向で推移しているようで、平成二十六年には初めて四百億円を突破したと聞いております。さらに、翌平成二十七年は四百三十七億円と過去最高を更新して、県全体の農業産出額に占める割合が三四%になるなど、本県農業を支える基幹的な作物になっていると思っております。  また、先日の会派別勉強会において、御厨部長から報告があったように、平成二十八年産のイチゴでは十アール当たりの販売額が過去最高を記録するなど、大変好調な品目もあるようです。  私の地元の唐津市でも、イチゴ、タマネギ、アスパラガス、コネギなどを初め、さまざまな野菜が生産されております。野菜は所得の確保が期待できることから、担い手農家はもとより、新規就農者定年帰農者など多くの方が経営の柱として選択されていると伺っております。  また、少しの面積であれば高齢の方でも生産を続けることができるため、多くの高齢者の方も野菜生産に取り組まれております。  また、生産されたさまざまな野菜が私たちの地元ではJAからつの「うまかもん市場」などの近くの直売所へ出荷されておりまして、野菜生産農家はもとより、地域ににぎわいと潤いをもたらしていると思っております。  このように、担い手農家の経営や地域経済を支える重要な作物でありまして、しっかりと振興していくことが必要であると考えております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  本県の主要な野菜についてお伺いいたします。  県内では、さまざまな野菜が生産されているところでありますが、産出額の多い野菜として主にどのようなものがあるのかをお示しください。 25 ◯鍵山園芸課長=本県の主要な野菜についてお答えいたします。  本県の野菜につきまして、平成二十七年の産出額の多い順に見てみますと、タマネギが最も多く百三十九億円となっております。次いでイチゴが九十九億円、キュウリが三十三億円、アスパラガスが三十三億円の順となっております。これら主要四品目の産出額を合計しますと三百四億円ということで、野菜の産出額全体四百三十七億円の七割を占めている状況でございます。このほかにもコネギ二十四億円、トマト十八億円、レンコン十七億円、ナス十二億円などの野菜が県内では生産されております。  以上、お答えします。 26 ◯井上常憲委員=タマネギ百三十九億円を初め、多くの野菜が生産されているようですが、その野菜の生産、販売状況についてお伺いいたします。  主要な野菜の作付面積の推移についてお伺いいたします。  タマネギ、イチゴ、キュウリ、アスパラガスといった主要な野菜の作付面積は、五年前と比べてどのように推移しているのかについてお伺いいたします。 27 ◯鍵山園芸課長=主要な野菜の作付面積の推移についてお答えいたします。  主要な四品目の野菜の作付面積を平成二十二年と平成二十七年の比較で見てみますと、まず、タマネギでございますが、二千七百五十ヘクタールから二千七百ヘクタールということで五十ヘクタール減少しております。次に、イチゴですが、二百六十八ヘクタールから二百十五ヘクタールということで五十三ヘクタールの減少、率にしますと二〇%の減少となっております。次に、キュウリですが、百五十二ヘクタールから百五十八ヘクタール、これは六ヘクタール増加となっております。最後に、アスパラガスですが、百三十三ヘクタールから百二十七ヘクタールということで六ヘクタールの減少となっております。このように、主要な四品目を見てみますと、キュウリ以外では作付面積は減少傾向にございます。  以上、お答えいたします。 28 ◯井上常憲委員=キュウリ以外が作付面積が減少しているという説明でした。  それでは、これらの主要な産出額が五年前と比べてどのようになっているのかについてお伺いいたします。 29 ◯鍵山園芸課長=産出額の推移についてお答えいたします。  この産出額につきましても、五カ年の推移を平成二十二年と平成二十七年の比較で見てみますと、まず、タマネギでございますが、百十二億円から百三十九億円ということで二十七億円、率にしますと二四%の増加となっております。次に、イチゴですが、八十八億円から九十九億円ということで十一億円、率で一三%の増加となっております。キュウリにつきましては、二十五億円から三十三億円ということで八億円、率にしますと三二%の増加。最後に、アスパラガスは二十八億円から三十三億円ということで五億円、率にしますと一八%増加しております。このように主要な四品目全てで産出額は増加しております。  以上、お答えいたします。
    30 ◯井上常憲委員=タマネギについては二四%、キュウリについては三二%も増加しているということでした。  これらの販売単価の推移についてお伺いしたいと思っております。販売単価は五年前に比べてどのように推移しているのか。また、昨年、タマネギの生産量が「べと病」などの影響から全国二位から三位になったという新聞報道がありました。順位は一つ落ちたものの、耕作面積が小さな本県が全国のトップクラスの産地となっていることは非常にすばらしいことだと思っております。  タマネギのほかにも全国でトップクラスになっている品目があるのかについてもお伺いいたします。 31 ◯鍵山園芸課長=主要な野菜の販売単価、それと全国のトップの品目についてお答えいたします。  まず、主要な野菜の販売単価につきましては、これはJAグループ佐賀の販売実績を見てみますと、平成二十二年と平成二十七年を比較してみますと、まず、タマネギでございますが、一キログラム当たり百三円から百十八円と十五円上昇しております。次に、イチゴですが、一キログラム当たり九百四十八円から千二百五円ということで二百五十七円、率にしますと二七%の上昇となっております。キュウリにつきましては、一キログラム当たり二百四十四円から二百七十九円と三十五円上昇しております。最後に、アスパラガスですが、一キログラム当たり九百四十三円から千百六十三円ということで二百二十円、割合で見ますと二三%の上昇となっております。  このように、主要な野菜につきましては、近年、販売単価は上昇傾向となっております。これは全国的に産地が縮小しておりまして、生産量が減少傾向にあることなどが要因となっており、その結果、先ほど答弁したとおり、産出額も増加しているというような状況になっております。  次に、このような主要な野菜を含めて全国でのトップとなる品目があるのかということですが、先ほど言いましたように、タマネギの作付面積は全国で二位という状況でございます。それから、イチゴの十アール当たりの収量は全国で二位というようなデータになっております。それから、アスパラガスの収穫量につきましても全国で二位となっております。  それから、主要作物以外でありますが、レンコンの作付面積、収穫量は、茨城県、徳島県に次いで三位となっておりまして、面積的には小さな県ではございますけれども、全国の中でもトップクラスとなる作物、野菜があるということで、以上、お答えいたします。 32 ◯井上常憲委員=ありがとうございました。私の地元にもイチゴのパッケージセンターがありまして、その前の駐車場には北海道ナンバーのトラックがとまっているのをよく目にします。唐津市上場地区のイチゴが、遠く北海道へも出荷されていると伺っております。  それらの主要な野菜は、主にどのような地域へ出荷されているのかについてお伺いいたします。隣接する百五十万都市の福岡市があるわけですが、そこら辺についてもお伺いいたします。 33 ◯鍵山園芸課長=主要な野菜の出荷先についてお答えいたします。  主要な野菜の出荷につきまして、これも国の資料でございますが、まず、タマネギにつきましては、関東方面へ全体の四一%が出荷されております。関西へ一二%、本県以外の九州各県へ二二%というような出荷の割合となっております。  次に、イチゴですが、一番多いのが関東方面で三五%、関西へ二四%、中国地方へ一三%出荷されております。委員が言われました北海道への出荷の割合につきましては、唐津を中心に四%の出荷割合となっております。  次に、キュウリでございますが、キュウリにつきましては関東への出荷はほとんどございません。関西へ四一%、本県以外の九州各県へ二六%を出荷しているというような状況です。  最後に、アスパラガスでございますが、関東へ四八%、関西へ二六%、本県以外の九州各県へ一三%となっており、このように本県の主要な野菜は全国各地へ出荷されているところでございます。  委員が言われましたように、隣接する百五十万都市の福岡市にとどまらず、関東・関西方面への出荷割合が高くなっているというような状況でございます。  以上、お答えいたします。 34 ◯井上常憲委員=ありがとうございました。福岡方面や関西方面が多いのかなと思っておりましたら、関東方面に約半分近くの四〇%から四八%が送られているということで、非常に感心したというか、驚いたというか、そういった感じを持っております。  野菜の次に生産振興についてお伺いいたします。  本県の野菜は、全国各地へ出荷されまして、国民の豊かな食生活を支えているようです。記憶に新しいところですと、昨年、「べと病」の被害で本県産のタマネギの出荷量が大幅に減少した際、全国でタマネギ不足と価格の高騰を招いて国民生活へ大きな影響を及ぼしたと思っております。改めて責任産地として安定的に野菜を消費者へ届けることの重要性を感じたところであります。  加えて、先ほど申し上げましたとおり、野菜は担い手農家を初め、多くの農家を支える重要な作物であります。将来にわたり本県農業が持続的に発展していくためには、その振興が極めて重要であると考えております。  県では、今後、野菜の生産振興にどのように取り組んでいかれるかについてお伺いいたします。 35 ◯鍵山園芸課長=野菜の生産振興についてお答えいたします。  先ほど答弁いたしましたとおり、野菜については、最近、販売単価については上昇傾向にあります。しかしながら、委員から指摘がございましたように、農業資材価格の高騰が続いておりまして、収益性の低下など依然として厳しい状況にあることには変わりございません。  このようなことから、本県の野菜の振興に当たりましては、一層の省力化や低コスト化、収量の向上や高品質化などに取り組み、収益性の高い野菜経営を確立していくことが必要と考えております。  このため、県では試験研究機関における新品種、新技術の開発を進めるとともに、このような新技術等につきまして農業改良普及センター等を通じた各産地への普及拡大を継続的に実施しております。  また、強い農業づくり交付金や産地パワーアップ事業などの国の補助事業の活用や県独自の支援策を実施しながら生産体制の強化に取り組んでいるところでございます。  主要な品目ごとにつきまして、まず、タマネギでございますが、効率的な集出荷貯蔵施設の整備や、定植機、収穫機等省力化機械の導入に対する支援。それから、需要が増大しております加工・業務用の生産拡大に向けた支援。さらには、先ほど指摘がございました、昨年大きな被害をもたらしました「べと病」の被害軽減対策の確立などを進めているところでございます。  また、イチゴにつきましては、作業の軽労化につながります高設栽培システムやハウスの整備に対する支援を行いますとともに、今、新しい品種の導入の検討を進めているところでございます。  次に、キュウリですが、ハウス内の温度や二酸化炭素濃度などの環境を調整することで飛躍的に収量を向上させることが可能な技術、いわゆる統合環境制御システムを備えた耐候性ハウスの整備に対する支援などを行っているところでございます。  さらに、アスパラガスにつきましては、夏場の猛暑による収量低下に対応するための全面開放装置の導入支援。さらには、農家の出荷調整の省力化を図るための集出荷施設の整備などを進めているところでございます。  加えまして、消費者が求めます商品づくりを進めるため、意欲ある農業者を対象としたマーケティング力・デザイン力向上塾というものを開催しております。この塾では、農家のマーケティング力の向上を図るとともに、各農家の特色ある生産物に即した販売先のリストの作成、販売先との結びつけ、いわゆるマッチングの支援などにも取り組んでいるところでございます。  いずれにしましても、野菜は本県の農業産出額の三分の一を占め、今後も拡大することが期待できる本県農業の基幹となる作物でありますとともに、担い手を初め、多くの農家の経営を支える重要な作物であります。  このようなことから、県といたしましては、今後とも収益性の高い野菜経営の確立に向け、JAや市町と一体となって、その振興にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  以上、お答えいたします。 36 ◯井上常憲委員=ありがとうございました。  次に、玄海地区における水産資源の回復についてお伺いいたします。  本県議会では、九州佐賀国際空港問題に絡んで、諫早湾干拓事業における有明海の水産資源の問題が大きく取り上げられていますが、有明海の漁業に限らず、玄海地区における沿岸漁業の不振もかなり深刻になっております。近年、玄海地区では赤潮の発生や藻場の減少、さらには南方系の魚が捕獲されるなど、漁場の環境に大きな変化が見られております。こうした要因が漁獲量の不安定さをもたらして、そして漁業者の所得の低下を招いていると考えております。  このように、玄海地区の漁業を取り巻く環境は非常に厳しさを増しておりますが、そうした中にあっても漁家経営の安定を図るためには漁業者の生産の場となる沿岸漁場の水産資源を回復させることが重要でありまして、種苗放流を中心とした、つくり育てる漁業、いわゆる栽培漁業の推進や漁場環境の改善などにも積極的に取り組む必要があると考えております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  まず、種苗放流の取り組みについてお伺いいたします。  種苗放流の体制について、栽培漁業を効果的に推進するためには元気な種苗を生産することや、場所や季節などの海の環境に適したそれぞれの魚種の放流の実施が不可欠でありますが、玄海地区ではどのような体制で種苗放流に取り組まれているかについてお伺いいたします。 37 ◯川原水産課長=種苗放流の体制についてお答えいたします。  委員御指摘のように、種苗放流によって水産資源の回復を図るためには、健全な種苗を生産し、継続して放流することが重要であります。  このため、県では、玄海水産振興センター波戸庁舎におきまして、健全な種苗を大量生産する技術の開発に取り組んでおります。  その結果、技術開発できたアワビ、アカウニ、バフンウニ、クルマエビにつきましては、その技術を公益社団法人佐賀県玄海栽培漁業協会に移管いたしまして、そこで種苗を大量生産し、放流を行う漁業者の方々などに供給をしているところでございます。  次に、放流の実施についてでございますが、アワビ、ウニ・ナマコ・クルマエビなど放流後の移動が比較的少ない定着性の種類につきましては、栽培協会から供給を受けた漁業者等が主体となって放流されております。  また、マダイ、ヒラメ、トラフグなどの回遊性魚類につきましては、漁業者、漁協、市町との連携のもとに栽培協会が主体となって放流が行われている状況でございます。  なお、回遊性魚類につきましては、施設の関係上、栽培協会での生産が難しいことから、マダイ、ヒラメ、トラフグは県外から、カサゴは玄海水産振興センターから調達して放流されているところでございます。  以上でございます。 38 ◯井上常憲委員=先ほど、課長から説明がありました佐賀県の公益社団法人玄海栽培漁業協会の取り組みについてお伺いいたします。  玄海地区の栽培漁業を推進するために公益社団法人であります佐賀県玄海栽培漁業協会が重要な役割を担っているとの説明がさっきありましたが、どのような取り組みを行っているのかについて御説明をお願いいたします。 39 ◯川原水産課長=佐賀県玄海栽培漁業協会の取り組み内容についてお答えいたします。  佐賀県玄海栽培漁業協会は、種苗放流を中心とした栽培漁業を推進し、水産資源の回復と漁家経営の安定を図ることなどを目的といたしまして、平成十二年三月に玄海地区の漁業団体、唐津市などの当時の二市五町、それから県が一体となって設立されました。  佐賀県玄海栽培漁業協会では、目的を達成するために三つの事業を行っております。一つ目は、アワビ、アカウニ、バフンウニ、クルマエビの種苗生産事業。二つ目は、佐賀県玄海栽培漁業協会で生産した種苗や玄海水産振興センターが生産したカサゴ、ナマコの種苗を漁協や漁業者の方々に供給する事業。三つ目は、放流後、広範囲を移動するマダイ、ヒラメ、カサゴ、トラフグの放流事業でございます。  このように、佐賀県玄海栽培漁業協会は玄海地区における栽培漁業の中心的な役割を担っております。  以上でございます。 40 ◯井上常憲委員=ありがとうございます。  玄海地区では、小規模の漁業者が狭い漁場で定置網や潜水などの海女業、それから一本釣りや底びき、船引きの五智網など多種多様な漁業が営まれております。そこではさまざまな魚介類が捕獲されていますが、こうした水産資源をふやすためにどのような種類をどのくらい放流されているのかについてお伺いいたします。 41 ◯川原水産課長=種苗放流の実績についてお答えをいたします。  玄海地区におけます種苗放流につきましては、これまでも継続して取り組んできたところでありまして、平成二十七年度は十二魚種、合計約八百九十万尾の種苗の放流を行ったところでございます。  その主な種類と放流数につきましては、マダイが約七万尾、ヒラメが約十万尾、カサゴが約十六万尾、ナマコが約九十万尾、クルマエビが約五百八十五万尾などとなっております。  以上でございます。 42 ◯井上常憲委員=種苗放流については、漁業者からも「資源回復対策として大変有効だ」という声を聞いております。  そこで、成果はどのようになっているのか、県ではどのように把握されているかについてお示しください。 43 ◯川原水産課長=種苗放流の成果についてお答えいたします。  種苗放流の成果の把握には、放流したものと天然のものを識別することが必要となります。このため、例えば、カサゴでは放流魚のひれの一部を切って印をつけて天然魚との識別をし、ヒラメでは体の色の違いによって放流魚と天然魚の識別をいたしまして、放流の成果を把握しております。  具体的な事例で御説明いたしますと、玄海水産振興センターでは、毎月定期的に玄海漁協の魚市場におきまして、こうした識別方法を用いて水揚げされたカサゴやヒラメの中に占める放流魚の割合を調査しておりまして、その結果によりますと、カサゴについては約七%、ヒラメについては約一二%が放流魚となっております。  また、放流と天然の識別ができないナマコやウニなどにつきましては、数値で成果を把握することは困難ですが、放流を行っている多くの漁業者の方々から、「漁をした実感として放流の成果を感じている」、「放流を行わないと漁獲が減少する」といった声を聞いておりまして、一定の成果が上がっているものと考えております。  さらに、マダイでは漁船一隻の一日の漁獲量が平成十五年の約二十キロから平成二十六年には約三十キロに増加したという調査結果も出ておりまして、これまでの継続した放流によって成果が出てきたものと考えております。  以上でございます。 44 ◯井上常憲委員=種苗放流の効果は非常に大きいと伺っております。今後も事業拡大に向けて取り組んでいただきたいというふうに要望いたします。  次に、漁場環境の改善の取り組みについてお伺いいたします。  幾ら種苗を放流しても、その子供たちが遊んで餌を食べ、それから、大きな魚から隠れるための藻場がないと成長できないと思っております。いつかNHKの報道番組で、藻場育成とカキの養殖棚が死の海だった瀬戸内海を豊穣の海によみがえらせたというふうな放送があっておりました。  藻場は、魚介類の産卵や稚魚の生育の場として非常に重要であります。また、水中の栄養塩や炭酸ガスを吸収して酸素を供給するなど、海水の浄化にも大きな役割を果たしている場所だと言われております。  そこで、玄海地区の藻場の現状はどのようになっているかについてお伺いいたします。 45 ◯川原水産課長=玄海地区の藻場の現状についてお答えをいたします。  玄海地区全域における藻場の状況につきましては、これまでおよそ十年置きに調査を実施しております。その結果によりますと、玄海地区の藻場の面積につきましては、昭和五十二年、昭和五十三年の調査時には千七百六十四ヘクタールあったものが、平成四年、平成五年には千二百八ヘクタール、平成十六年には千三百三十一ヘクタール、平成二十五年には千二百八十六ヘクタールとなっておりまして、昭和五十二年、昭和五十三年から平成四年、平成五年にかけては面積が約三〇%減少したものの、その後はほぼ横ばいで維持されている状態となっております。  また、藻場の消失、いわゆるいそ焼けの状況につきましては、平成十六年の調査では四カ所確認されたものが、平成二十五年の調査でも五カ所確認されておりまして、いそ焼けが継続して発生している状況となっております。  以上でございます。 46 ◯井上常憲委員=ありがとうございます。今、課長から天然藻場の一部が消失するいそ焼けと呼ばれる現象について、四、五カ所確認できるという報告がありましたが、そうした藻場の回復対策としてどのような取り組みを行っているかについてお伺いいたします。 47 ◯川原水産課長=藻場の回復対策についてお答えいたします。  本県で見られるいそ焼けにつきましては、玄海水産振興センターの調査・研究によりまして、近年増加している南方系のウニの仲間であるガンガゼによる食害が大きく影響していること。それから、いそ焼けした藻場からガンガゼを駆除し、一平方メートル当たりの生息数を一個程度に減らすと藻場が回復することなどが明らかになっております。  県では、こうした調査・研究結果を「藻場回復マニュアル」としてまとめ、効率的な駆除方法などを漁業者の方々に普及いたしますとともに、国の補助事業であります水産多面的機能発揮対策事業や離島漁業再生支援交付金を活用いたしまして、漁業者みずからが取り組むガンガゼの駆除活動に支援を行うなどし、藻場回復対策に取り組んでいるところであります。  加えまして、平成十二年度から藻場の回復を目的といたしまして、藻場の造成事業にも取り組んでいるところでございます。  以上でございます。 48 ◯井上常憲委員=今、課長から報告がありました平成十二年度から藻場造成に取り組んでいるということですが、その実績についてお伺いいたします。 49 ◯川原水産課長=藻場造成の実績についてお答えします。  県では、玄海地区の岩礁域におきまして、平成十二年度から海藻でありますアラメやホンダワラなどが繁茂する藻場の造成を投石あるいは増殖礁の設置により行っておりまして、実績といたしましては、平成二十八年度までに二十九カ所で合計約十八ヘクタールを造成したところでございます。  また、内湾の砂泥域におきましては、平成十六年度から海草のアマモが繁茂する藻場の造成を覆砂と移植により行っておりまして、実績としては、平成二十一年度までの六年間で七カ所、合計約三ヘクタールを造成いたしました。  以上でございます。 50 ◯井上常憲委員=ありがとうございました。  これまでの藻場造成の成果についてお伺いいたします。  これまで造成してきた藻場のその後の状況はどのようになっているのかについて現状をお伺いします。  あわせて、今後の取り組みについてですが、県では、玄海地区における水産資源の回復のためにどのように取り組んでいくのか、今後の取り組みについてもあわせて御質問いたします。 51 ◯川原水産課長=藻場造成の成果、それから、今後の取り組みについてお答えいたします。  まず、藻場造成の成果についてでございますが、玄海水産振興センターが潜水などの調査を実施して藻場のその後の状況を把握しております。  その結果によりますと、岩礁域の藻場につきましては、造成一年後には長さ十~二十センチ程度のアラメやクロメといった海藻が繁茂し始め、造成後三年以上を経過いたしますと、これらの海藻に加えてホンダワラなどが群生いたしまして、そこにはアワビやウニなどのいそ根生物、メバルなどの魚類が多数確認されて天然の藻場と同様な状態となっております。  また、砂泥域の藻場につきましても、造成一年後には移植したアマモが順調に生育いたしまして、株数が二倍以上に増加し、そこにはアオリイカやコウイカの卵が産みつけられていることが確認されております。  全国的に藻場の減少が進行する中、本県の玄海地区では藻場の面積が維持されておりまして、これまでの回復対策等の成果があらわれているものと考えております。
     次に、今後の取り組みについてお答えをいたします。  玄海地区の水産業は、漁獲量の減少、販売単価の低迷など大変厳しい状況にありまして、こうした状況を改善するためには、何より水産資源の回復を図ることが重要であると考えております。  こうしたことから、県では、今後も水産資源を直接ふやす種苗放流や放流効果を高める技術の開発に積極的に取り組みますとともに、藻場造成やガンガゼ駆除などの漁場環境の改善の取り組みも一層推進していくこととしております。  そのうち種苗放流につきましては、マダイやカサゴなど放流により漁獲が安定してきている魚種もあること、それから、消費者が求める魚種も変化していることなどがありますことから、漁業者や市場関係者へのアンケート調査を実施するなどいたしまして、今後、放流に取り組む新たな魚種の検討を現在進めているところでございます。  また、漁場環境改善の取り組みにつきましては、藻場造成の取り組みのほか、昨年度から内湾の海底にカキ殻を散布することによって底質の改善や魚などの餌生物をふやす技術の開発を実施しておりまして、今後の事業化を目指して取り組みを進めていくこととしております。  今後とも、栽培漁業協会や市町、漁協と十分に連携をとりながら、こうした取り組みをしっかり実施して玄海地区の水産資源の回復につながるように努めてまいります。  以上でございます。 52 ◯野田委員=皆さん、おはようございます。当委員会では初めての質問になります。無所属、現場主義、そして県民ネットの野田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  私は、生まれ育ちが標高四百メートル前後の、実は長者原という開拓団で生まれて十歳まで育っております。当時の開拓団は戦争の帰国者の受け入れというようなことで開拓団があっております。ですから、その場所には十幾つの集落、集落といいますか、農家があったんですけれども、それ以外の土地というのは、ほとんど、もともと住んであった方々の土地でありまして、水田なんかは、もう開拓団としてはありませんでした。稲をつくるにしても陸稲、今はほとんど見ることのないような光景だと思います。畑で稲をつくる、そういった農業があっていました。十歳までということは、なかなか厳しくて、一軒一軒、少しずつ少しずつ離農していって開拓団は解散となりました。その間、私が幼心に見てきた開拓団の生活というのは、本当に、これが昭和三十年後半の生活だろうかというくらいに厳しいものがございました。両親もその厳しさの中で私たちをしっかりと育ててくれた次第です。  ですから、中山間、山間部の農業に関する思いは、しっかりと自分が体験してきておりますので、こういったことをもとに地域の皆さんに寄り添った形で今後は質問をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。  昨年九月の議会におきまして、知事から「農業なくして佐賀県なし」という言葉をいただきました。これは知事の本県の基幹産業である農業に対する本当に熱い思い、重い思いだと私は受けとめております。  さきの一般質問では、岡口議員さんが佐賀農業振興について現状と取り組み、あるいは担い手確保と育成についての質問をしていらっしゃいます。それぞれ部長さんから本当に手厚い形の寄り添った行政をしていただいているということを私は感じとりました。  そういった中で、今回、三つの質問をさせていただきます。早速、質問に入らせていただきます。  第一問目です。新規就農者の確保対策についてお尋ねいたします。  政府の「二〇一六年度食料・農業・農村白書」によると、二〇一五年の新規就農者は前年比一三%増の六万五千三十人となり、二〇〇九年以来、六年ぶりに六万人を上回り、四十九歳以下は二万三千三十人となり、調査を開始した二〇〇七年以降、最多を記録したそうであります。  不景気の中、先々の不安を抱えた方々の、「みずから経営の采配が振れる」、または「努力の成果が直接見える」などのやりがい、期待や魅力が見直されているためと見られているようであります。若者は、どんなことができるか可能性に興味があり、年齢が上がると、どんな支援策があるかに関心があるようです。いずれも需要が高まっていることも事実であります。  本県でも、農業の持続的な発展を図っていくためには新規就農者を安定的に確保していくことが極めて重要なことがわかります。ふえ続けるかもしれない耕作放棄地が少しでもなくなり、美しい景観、安全な環境が保たれるようになり、空き家対策の解消、そして、地域の活性化にもつながるので、新規就農者は歓迎すべき大切な存在であります。  私の地元の多久では、中山間地域ということもあり、農家の高齢者の進行により農業の担い手が急激に減少しており、このままでは先人たちが築いてきたミカンやイチゴ、ビワなどの産地は衰退し、ひいては地域の活力も著しく低下し、ますます人口減に拍車がかかるのではないかと大変危惧しているところであります。  こうした中にあっても、白書が示すとおり、農業に魅力を持ち、就農意欲が高い人もおり、今後、本県農業が持続的に発展していくためには、こうした人たちを一人でも多く確保するとともに、営農開始へ向けてきめ細かな支援を行っていくことが大切と考えています。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  新規就農者数の推移についてであります。  本県における過去五年間の新規就農者数の推移はどのようになっているのかお尋ねいたします。 53 ◯永渕農産課長=新規就農者数の推移についてでございますが、県が毎年実施しております調査では、平成二十四年は百八十六人、平成二十五年は百六十七人、平成二十六年は百八十三人、平成二十七年は百三十五人、平成二十八年は百二十四人となっておりまして、ここ二年間は減少している状況にあります。  以上、お答えします。 54 ◯野田委員=残念ながら、ここ二年間は減少している傾向ということでした。その原因についても本当はお伺いしたいんですが、こういったところはおつかみでしょうか。 55 ◯永渕農産課長=ここ二年間の減少している要因についてでございますが、平成二十七年と平成二十八年の二年間の傾向を見てみますと、就農の形態といたしましては、農業法人等に雇用されて就農されます法人就業、それに他産業に従事していた人が地元に帰って就農するUターン就農が減少していることなどから、ここ二年間は企業等の雇用情勢がよくなっていることが挙げられると考えております。  以上でございます。 56 ◯野田委員=ありがとうございました。法人への就農ということもあるということでした。  実績が、百八十六人、百六十七人、百八十三人、百三十五人、百二十四人と減ってきているというお答えをいただいたんですが、こういった就農者の中には青年就農給付金制度なんかを利用なさっている方もいらっしゃるんじゃないかと思います。そういった方の中で、希望して新規就農したけど、やっぱり思ったとおりじゃなかったとか、なかなか自分では収益を上げ切れなかったとか、そういった感じで半ばにしてやめたがために就農金を返済するような事案というのはあったんでしょうか。 57 ◯永渕農産課長=これまでの青年給付金、今は人材投資型と申しますけれども、この事業につきましては、研修をする二年間で一人当たり年間百五十万円、給付されます。それに、経営を開始して最長五年間、百五十万円給付されるものの二種類がございます。リタイヤというか、研修の二年間において、ほかの産業につきたいということで研修をリタイヤされる方は数名いらっしゃいますけれども、五年間の給付型でやめられる方は、例えば病気であるとか、そういうこと以外は我々が把握している中では、そう数多くないということでつかんでおります。  以上でございます。 58 ◯野田委員=ありがとうございます。というのは、これはしっかりとした手だてのあらわれだと私は感じております。新規就農で収益を上げていくとか、あるいはそれを続けていく上での人間関係とか地域にまじり合っていくという、この辺の大切さ、難しさというのは非常に大きいものがあると考えておりますけれども、今のお話をお伺いしますと、その辺があるからこそ、やめられる方の数が非常に少ないと私は感じております。  それでは、就農希望者への対応についてお尋ねいたします。  就農希望者には、さまざまな実績、実情があり、営農を開始するにはそれぞれの実情に即した相談対応を行う必要があると思っております。  県では、就農希望者に対してどのような対応を行っていらっしゃるのかお尋ねいたします。 59 ◯永渕農産課長=就農希望者への対応についてでございますが、就農希望者が就農するに当たりましては、それぞれの実情によりまして、まず、農地の確保でありますとか技術の習得、さらには資金調達などのさまざまな課題がございます。就農希望者からのこうした課題に関する相談につきましては、それぞれの地域におきまして農業改良普及センターが中心となりまして、市町、農業団体、それに農業委員会などとともにワンストップ相談窓口を設置しまして迅速な相談対応を行っております。  具体的には、農地に関する各種情報の提供や貸借のあっせん、それと技術や経営ノウハウ習得のための先進農家や農業大学校での研修受講の働きかけ、それに各種の融資制度や各種補助事業の活用助言などを実施しておりまして、就農希望者の実情に即したきめ細かな支援を行っているところでございます。  以上、お答えいたします。 60 ◯野田委員=先日の担い手の育成のときの部長さんの対応と同じく、しっかりとした対応ということで働きかけを、しかも、ワンストップ窓口でしていただいているということに心強さを感じた次第であります。  それでは三番目、新規就農者の経営開始に当たっての支援策についてお尋ねいたします。  新規就農者を確保していくためには、就農希望者が安心して営農を開始できるような支援が必要と考えております。国や県の支援策はどのようなものがあるのかお尋ねいたします。また、佐賀県独自のような特色のあるものがあるのかお尋ねいたします。 61 ◯永渕農産課長=新規就農者の経営開始に当たっての支援策についてでございますが、県では、就農希望者が安心して経営を開始でき、早期に自立できるように、国の事業を積極的に活用いたしますとともに、県独自の支援を実施しております。  まず、国の支援策といたしましては、就農前の研修や就農後の経営確立を支援する資金を交付する。先ほど申し上げました旧青年就農給付金事業、現在は農業次世代人材投資事業となっておりますが、これは先ほど言いましたように、年間百五十万円を交付して研修するための準備型が二年間、経営開始型が五年間、交付するものでございます。それに農業経営を開始するために必要な資金を長期・無利子で貸し付ける青年等就農資金、それに農業機械等を導入する際の融資残について補助する経営体育成支援事業などがございます。  また、県独自の支援策といたしましては、地域が主体となって意欲ある就農希望者を地域内外から募集しまして生産技術や経営ノウハウの習得等を行います、いわゆるトレーニングファーム整備推進事業、それに経営開始に必要な園芸ハウスや高性能農業機械等の整備を支援いたします「さが園芸農業者育成対策事業」につきましては、新規就農者については、県の補助率を通常三分の一から二分の一にかさ上げをさせていただいております。  さらには、本年度から新たな取り組みといたしまして、先進農家が新規就農者に生産技術や経営ノウハウなどのアドバイスを行うトレーナー制の導入を支援する受入体制整備事業、それにリタイヤされる農業者のハウスでありますとか樹園地を技術とともに円滑に継承する仕組みづくり、いわゆるのれん分けに対する支援などを県独自で実施しているところでございます。  以上、お答えいたします。 62 ◯野田委員=いろいろな支援を頂戴いたしました。例えば、先ほども私、ちょっとお話ししましたけど、新規就農者が販売をやっていく上での難しさもあるというふうに伺ったところでありますが、こういった販売に関する支援というものがございましたらお伺いいたします。 63 ◯永渕農産課長=新規就農者が経営開始するに当たって一つ非常に大きな課題になっていますのは、販路の開拓ということでございます。  基本的に佐賀県の場合は系統、農協の組織力が強いということもあって、まず、それぞれのJAにございます生産部会に部会員として入っていただけば、販路はもう安心して確保できるということになると思います。ただ、一方で自分で特色を出して販売したいという方も当然いらっしゃいますので、それは園芸課がされていますマッチングの事業でありますとか、流通・通商課もされていると思いますが、各種販路開拓のための事業の活用をお願いしているところでございます。  以上でございます。 64 ◯野田委員=ありがとうございます。そういったいろんな対策で、ぜひ佐賀県の新規就農者に対する支援を続けていただければと思っているところです。  それでは、新規就農者の確保に向けた今後の取り組みについてお尋ねいたします。  県では、一人でも多く、そして安定的に新規就農者を確保するためどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 65 ◯永渕農産課長=新規就農者の確保に向けた今後の取り組みについてでございますが、本県の農業が将来にわたりまして発展していくためには、それぞれの地域の農業者や関係機関、団体が現状における危機感を共有し、産地や地域を支えていく人材を地域が主体となって安定的に確保していくことが重要であります。  このため、県では本年五月、県の関係各課や各JA、農業公社、農業会議などで構成いたします「佐賀県新規就農者確保育成対策会議」を設置いたしまして、各地域に対しまして新規就農者の確保・育成に向けた機運醸成を図りますとともに、先ほど申し上げました国や県の支援事業の周知、活用を呼びかけております。こういうことをすることによって積極的な取り組みの推進を図ることといたしております。  今後、これまで取り組んできました新規就農者に対しますきめ細かな支援を引き続きしっかりと実施していきますとともに、これまで以上に関係機関・団体が連携いたしまして取り組みを強化することによりまして、本県農業を担う新規就農者が一人でも多く確保できるように努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 66 ◯野田委員=地域が主体となってということでございます。私も、まさにそういうふうに感じております。各市町や、その担当者、そして、地域の方々の一体となった取り組み、意思疎通、こういったものが発揮できてこそ、こういった事業は前に進むのだと思っております。  先ほど答弁いただきました新規就農者を確保するための対策会議にも大きく期待したいところであります。  実は、新規就農者でリタイヤされた方があるかということを伺ったのは、今後の取り組みの参考として、皆さん、御存じだと思うんですけど、島根県が四十年ほど前に日本で「過疎」という言葉が出てきた地域らしいです。それだからこそ、中山間地に対する思いというのは、先進県らしくてオール島根で取り組んでいるということを伺っています。あそこは国の施策を受けるのにちょっと不安があると、「一年間しいきろうか」とか、「リタイヤするんじゃなかろうか」というようなことがある人でも安心してできる一年間の体験的なものがある。そして、それでうまくいったらどんどん国の対策に入っていくというものがあるらしいです。  ぜひ、地域と一体となった運営とともに、こういったものが佐賀県において新しい就農者を一人でも多く、先ほど「減っている」ということでありましたけれども、一人でも多くの就農者が不安なく手を挙げて佐賀県に来ていただけることが大切じゃないかなと思っている次第です。  もう一つの資料といたしまして、ふるさと回帰支援センターのデータといたしまして、ここはあくまでもふるさとに帰るだけの方々ではないようです。田舎暮らしをしたい、あるいは農業をしたいという方々もここに寄っていらっしゃるところですけれども、残念なことに、移住希望ランキングベスト二十の中に九州で入ってないのは佐賀県だけなんですね。福岡県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県は、何らかの形で上位に入っていますし、十位を上下したりしています。佐賀県だけは一回も入ってないです。  こういったことを見ますと、佐賀県も一生懸命に佐賀県への定住政策をやっております。こういったものとあわせて佐賀県の魅力、その中でも農業をやっていくにはこれだけの魅力があるんですよという、そういった一つの佐賀県方式というものを確立していくべきだなと思っているところです。  それともう一つ、なかなか手厚い対応をしていただいているんですけれども、新規就農者に対することで、昨年、私に相談がございました。それは親が高齢なので県外から、多久に戻ってきてほしかったんですけど、多久の方じゃないですね、武雄にお住まいです。その方が行く行くは自分も農業をやっていきたいんだというようなことで、住所を移してしっかりと農業に取り組む構えで帰ってこられました。ところが、新規就農の相談をしたところ、残念なことに、時間が足りないということで当てはまらないということで制度が受けられないということでした。何回も何回も通われたそうですけれども、そこにやる気と、やっぱり住所を移してこちらに来られてますので、そのやる気と、いろんなお話を聞いていく中でしっかりとした対応といいますか、指導ですね、こういったものがぜひ必要だと私は感じた次第です。  その指導の必要性をお話ししたところ、二カ月しないうちに、その方のお父さんから「通りました」という御連絡をいただきました。初めからしっかりとそういった就農に対する御指導をいただければ、もっと早くすんなりと新規就農のことができたんじゃないかなと感じた次第です。ぜひそういったことに関する今後のより細やかな、マンツーマンになるかと思いますけれども、そういった対応をしていただきたいと思っております。お願いいたします。  続きまして、二番目の中山間地域の農業・農村の活性化についてお尋ねいたします。  中山間地域は、河川の上流に位置するなど、その立地条件から、国土の保全、水源の涵養、食料の供給、豊かな自然や景観の形成、温暖化の防止など、本当に多面的な機能を有しており、そこには日本文化の原点とも言える心の豊かさの生活が存在いたしております。また、そこで行われる農業生産活動は、そうした機能を維持・増進する上で極めて重要な役割を果たしていることは、皆さん十分御承知のとおりであります。  しかしながら、地元の中山間地域を見ると、若者は地元を離れ、年寄りだけが残っているというのが実態であります。このままでは中山間地域から農業や農村、そして、歴史までもなくなってしまうのではないかと大変心配しており、何とかこうした状況に待ったをかけ、若者が地元に戻ってきたい、外部の者を地域に迎え入れたいと思うような環境づくり、特色づくりを進めていくことがとても大切であると考えております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  中山間地域における農業人口等の推移についてであります。  まずは、中山間地域における現状です。農業人口や農地面積は十年前と比較してどのようになっているのかお尋ねいたします。 67 ◯松隈生産者支援課長=中山間地域におきます農業人口、それから、農地面積の推移についてお答えいたします。  まず、数値の出典について若干御説明申し上げたいと思います。  中山間地域における農業人口につきましては、五年ごとに行われております国の統計調査でございます「農林業センサス」において、農林統計上、農業地域類型というのがございまして、ここでの中間農業地域、それと山間農業地域、「山の間」と書きまして山間農業地域に該当するもので旧市町に属する農業就業人口の合計をお答えしたいと思います。それから、農地面積につきましては、同じく農林業センサスから耕地面積として推計し直したもののうち、同じく中間農業地域と山間農業地域に該当します旧市町分の合計をお答えさせていただきます。  そうした上で中山間地域における農業就業人口を積み上げますと、直近のデータでいきますと、二〇一五年、平成二十七年につきましては一万一千三百二十四人で、十年前の二〇〇五年、平成十七年の一万九千五百三十四人と比べますと四二%減少しているところでございます。  それから、中山間地域におきます耕地面積につきましては、二〇一五年が約一万六千百ヘクタール、十年前の二〇〇五年の約一万七千七百ヘクタールと比べますと約九%減少しているところでございます。  このうち農業人口につきましては、農林業センサス上、二〇〇五年と二〇一五年にかけまして、集落営農に関する農業者についてカウントの仕方が若干変わっておりまして単純に比較することはできないと思いますが、人口につきましても、面積につきましても、いずれも減少傾向にあるということで認識しておるところでございます。  以上でございます。 68 ◯野田委員=随分と人口が減っていると思います。私も、例えば山間部の敬老会なんかに呼ばれた際、話を聞きますと、「野田さん、うちは今度、敬老会に新人として二十四名入りさったですよ。ばってんですね、小学校一年生が二人しかおらんとですよ」という、本当に笑い話でも笑えないような現状です。そういったことで私の地元でも結婚すると地元を離れて佐賀市近郊、あるいは市内に移住するという方々が多くなってきており、清流流れる山奥のきれいないいところの文化をもっと大切にしていただきたいなと思っている次第です。  今、農林統計に用いる中山間農業地域とか山間農業地域ということではっきりとお示しいただきました。以前、一般質問で中山間地域としての割合をお尋ねしたことがあります。そのときは、ある見方によっては五割、ある見方によっては八割というような数字をお答えいただきました。なかなかやはり政策によって大変だなというふうには思いますが、この中山間地域という定義は、佐賀県はしっかりとお持ちでしょうか、お尋ねいたします。 69 ◯松隈生産者支援課長=中山間地域の定義についてお答えいたします。  国の定義によりますと、中山間地域というものにつきましては、平野部の外縁部から山間地を指すという簡単な定義がございます。ただ、この中山間地域におきます農業につきましては、全国でいきますと耕地面積の約四割、総農家数の約四割を占めるなど、我が国農業の中で重要な位置を占めているというふうに認識されているところでございます。  以上でございます。 70 ◯野田委員=ぜひ、先ほどの農林統計による中間地域、山間地域、こういったことをもって中山間地域というというふうにぜひ定義づけをしていただければなと思います。いろんな政策に対していろんな手ほどきは、本当にたくさんのことでやっていただいているのは事実です。地図を見ますと、いろんなところが、その手ほどきをいただいている、政策の恩恵をいただいている佐賀県の地図まで拝見させていただきました。ただし、それは政策上のことであって、中山間という定義に関して、例えば、有明海沿いも中山間地域なのかというような語弊を招きやすい部分を私は感じました。  そういった意味で、県の御担当者の方も年がたてばかわってまいりますし、そういった意味での中山間地域の定義づけが必要じゃないかなと思っているところです。これに対してはいかがでしょうか。 71 ◯松隈生産者支援課長=先ほど申し上げました農業地域類型でいきますと、中間農業地域は耕地率二〇%未満で、ほかの地域類型であります都市的地域、山間農業地域以外の旧市区町村または市町村、耕地率二〇%以上で都市的地域及び平地農業地域以外の旧市区町村または市町村というふうに定義されております。  それから、山間農業地域につきましては、林野率八〇%以上かつ耕地率一〇%未満の旧市区町村または市町村と定義づけてあるところでございます。  私どもの中山間地域に当たる施策上、しっかりと中山間地域は定義づけていって施策を展開してまいりたいと思っております。  以上でございます。 72 ◯野田委員=ということは、この農林統計に用いられる表現を中山間地域というふうにとっていいということでしょうか。 73 ◯御厨農林水産部長=中山間地域等をしっかり定義すべきではないかということでございますが、中山間地域は非常に捉え方が難しいもので、統計上でいくと山間地域とか中間地域とか、そういう形になるんですけれども、中山間地域等直接支払制度の対象地域が何となく中山間地域みたいな形の捉え方もございます。  ただ、この制度は中山間地域に限らず、離島とか半島とか過疎地域とか、そういうちょっと条件が悪いようなところに対して、中山間地域と同じようにちょっと厳しさがあるので支援しましょうという形であっておりますので、山がないところも一部対象となっているところがございます。ただ、大宗は山間、中山間、山際のところが主なところでございます。  我々といたしましては、そういった生産条件が不利な地域につきましては、余り定義を深くすると、そこは同じように支援をしなくちゃいけないところもあるんじゃないかということで、基本は中山間地域として我々が一般的に対象にしているのは、中山間地域等直接支払制度の対象地区というのは法律に基づいて、また、旧市町村の中でも傾斜がどのくらいあるところよという形で定義していますので、そういうところを対象としております。  委員のお話は、しっかり定義をして、そこにもっと集中すべきというような御趣旨かと思いますので、そういった部分につきましては、しっかりそこの実情に応じた対応をしなくちゃいけないですけれども、そこを余りにも一本調子で定義をしてしまいますと、今、実際に支援をしているところとちょっと混乱が生じてきますので、そこにつきましてはケース・バイ・ケースで、委員が言われるように、ここは、こういう地域は、こういう状況だから、そこをしっかり明確にして何かをしなくちゃいけないというような必要性が出たときには、そういったことをしていきたいということで、ちょっと曖昧な表現になりますけれども、余りにも決め過ぎると逆に支障も出てくるということで、我々は状況に応じて対象地域というものをしっかり捉えて対応させていただきたいと思っております。  以上でございます。 74 ◯野田委員=ありがとうございます。ということは、地域振興五法の地域指定等、いろんな条件を見ながら加味していくというようなとり方をこれからも続けていくということでしょうか。 75 ◯御厨農林水産部長=そういう形で我々としてはやっていきたいと思いますし、委員おっしゃるとおり、中山間地域、山間、山際の地域は、どうしても条件的には平坦地と比べて不利な状況がございますので、そのような地域に対してはしっかりとした支援等が必要だという認識で対応してまいりたいと思っております。 76 ◯野田委員=よろしくお願いいたします。あくまでも定義がしっかりしていないから手だてがぼやけているというような趣旨で質問しているわけではございません。県のほうでは、この話をしていく中で、本当にいろんな方面で手ほどきをしていただいている。だからこそ、おっしゃるとおり、いろんなところについても対応、措置されていると思っているところです。了解いたしました。  続きまして、農業についての二番目、「守り」の取り組みについてお尋ねいたします。  中山間地域の農業・農村の活性化を図っていくためには、先ほども申したように、まずは厳しさを増している現状に対してできる対策など、あらゆる手ほどきで待ったをかけ、中山間地域において農業・農村の維持が図られるようにしていく「守り」の取り組みが非常に重要であると思っております。
     そうした中、平成十二年度から始まった中山間地域等直接支払制度に加え、平成十九年度から、昔の表現でいう農地・水保全管理支払交付金により、地域共同による農地、農業用水路の資源の保全管理がもととなっている多面的機能支払制度や、平成二十三年度から化学肥料、化学合成農薬を原則五割以上低減する取り組みをあわせて行う地球温暖化防止や、生物多様性保全に効果の高い営農活動を支援する環境保全型農業直接支払制度が施行され、現在、「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律」に基づき、いわゆる日本型直接支払制度として中山間地域の活性化に大いに役立つ制度となっております。  そして、その活用に当たっては、単なる場つなぎではなく、中山間地域を次世代にきちんと受け渡していく環境整備につながるようにしていかなければならないと私は強く思っているところであります。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  中山間地域等直接支払制度について、県内における取り組み状況についてお尋ねいたします。  先ほども井上常憲委員から質問がございましたが、本制度の県内での取り組み状況はどのようになっているのかお尋ねいたします。 77 ◯松隈生産者支援課長=中山間地域等直接支払制度の県内における取り組み状況についてお答えいたします。  本制度が始まった平成十二年度につきましては、県内の中山間地域における集落等におきまして六百二十の協定が締結されまして、七千六百三十五ヘクタールの協定面積に対し、約十二億二千万円の交付金が交付されたところでございます。翌年度以降、協定面積は八千ヘクタール台で、また、交付金額も毎年十二億円から十三億円前後で推移しておりました。これが平成二十七年度に再び協定面積が八千ヘクタールを割り込んで、直近の平成二十八年度では四百九十五の協定、七千百七十三ヘクタールの協定面積に対し、約十一億六千万円の交付金が交付されているところでございます。  本制度を活用した主な共同活動の取り組みといたしましては、農道の草刈りや水路の泥揚げなどの農道、水路の管理、のり面の草刈りなどの農地の管理、イノシシなどの有害鳥獣の被害を防止するためのワイヤーメッシュの設置や捕獲用わなの購入などがございます。  以上でございます。 78 ◯野田委員=このあたりは井上常憲議員さんの質問とのダブりもあって、いろんな方面で活用していただいている大切な、本当に必要不可欠な制度だと思っているところです。  それでは、取り組みの効果についてお尋ねいたします。  この制度に取り組み、これまでどのような効果が各中山間地域であったかお尋ねいたします。 79 ◯松隈生産者支援課長=中山間地域等直接支払制度の取り組みの効果についてお答えいたします。  本制度に取り組みましたことによりまして、そうした集落におきましては、例えば、地域の十年から十五年後の将来像と、その達成に向けた活動計画を定めます集落マスタープランを作成する必要がございますが、その作成を通じて集落の皆様で現状認識や目標を共有化できて具体的な活動につながった、あるいは農地や水路、農道等の維持管理作業を計画的、定期的に取り組むことによりまして、中山間地域での営農が継続された、あるいは農地周辺の林地の草刈りやイノシシ侵入防止柵の設置を集落共同で実施することで耕作放棄地の発生防止につながった、あるいは機械、農作業の共同化や営農組織の育成に取り組むことによりまして、省力化や低コスト化が図られたなどの効果がございました。  このように、平成十二年度から本制度を実施してきたことによりまして中山間地域農業生産活動の維持や強化、それから耕作放棄地の発生防止、さらには地域の活性化などに一定の効果を上げ、高く評価されていると認識しているところでございます。  以上でございます。 80 ◯野田委員=ありがとうございます。マスタープランをしっかりつくって、いわゆる地域でのコミュニケーションが深くなっていった上での、こういったいろんな問題の共有とか共同作業の一体感が出てくるんじゃないかなと思っております。  この制度をもっともっとたくさんの方に知っていただきたい。本当は知っていらっしゃる方も多いんですけど、どういった面に使っていいのかわからないといったところも伺った次第であります。  それでは、次の多面的機能支払制度についてお尋ねいたします。  取り組み状況について、本年度の県内での取り組み状況の中で、今度は多面的機能支払制度ですね、先ほどは中山間地等直接支払制度でした、これについて取り組み状況がどのようになっているのかお尋ねいたします。 81 ◯中村農山漁村課長=県内における取り組み状況についてお答えいたします。  多面的機能支払制度につきましては、国土の保全や自然環境の保全など、農業・農村の持つさまざまな多面的機能の維持を図るための地域活動に対して支援するものでございまして、大きく二つの制度から構成されております。  一つ目は、農業者などで構成する組織が取り組む水路の泥揚げや草刈りなどの維持保全活動を支援する農地維持支払制度、二つ目は、水路、農道などの軽微な補修、植栽による景観形成などの農村環境の保全活動並びに施設の長寿命化のための活動を支援する資源向上支払制度の二つでございます。  そのうち、現在、農地維持支払制度として実施しています農業施設の維持保全活動の取り組み状況につきましては、制度が始まった平成十九年度は、県内十八市町、七百四十二の活動組織が、約二万八千六百ヘクタールで取り組まれており、活動組織への交付額は約十一億八千六百万円でありました。平成二十八年度は、県内十九市町、八百七十四の活動組織が約三万五千九百ヘクタールで取り組まれており、活動組織への交付額は約十億二千九百万円となっております。  なお、県全体の農振農用地面積、約五万四千五百二十ヘクタールに占める割合は、平成十九年度は約五三%でありましたが、平成二十八年度は約六六%の取り組みとなっておりまして、全国で八番目に高い状況となっております。  さらに、資源向上支払制度のうち施設の軽微な補修や農村環境の保全活動を行う共同活動につきましては、平成二十八年度は県内十九市町、八百三十九の活動組織が約三万二千九百ヘクタールで取り組まれており、活動組織への交付額は約五億四千八百万円で、県全体の農振農用地面積に占める割合は約六〇%となっております。  また、資源向上支払制度のうち、老朽化が進む農業用施設の補修、更新などを実施します長寿命化対策につきましては、平成二十八年度は県内十八市町、五百六十一の活動組織が約二万六千八百ヘクタールで取り組まれておりまして、活動組織への交付額は約九億九千三百万円で、県全体の農振農用地面積に占める割合は約四九%となっております。  以上でございます。 82 ◯野田委員=かなりの利用率と伺いまして、びっくりいたしました。本来、俗に言う三大直接支払制度ですね、中山間地域等直接支払制度と多面的機能支払制度、また、この後に言います制度、こういった三つの制度は、それぞれどういったところで、どういうふうに使われているのかという質問をさせていただいているんですけれども、実は、取り扱っている担当課が三つに分かれているということで同じような質問を三つさせていただくような状況になっている次第です。日本で八番目に高い利用率であるということを聞いて驚いた次第であります。  それでは、八番目に高い利用率ですけれども、こういったところは県内でもばらつきみたいなことは感じていらっしゃいますでしょうか、この制度の利用についてのばらつきですね。あれば教えていただけませんか。 83 ◯中村農山漁村課長=県内の市町で取り組みの率が多いところを御紹介したいと思います。  一番多いのが、農地維持の支払いのほうで言いますと、上峰町が九九%の取り組み率となっています。それから、玄海町が八一%、小城市も八一%、大町町も八一%、江北町が八五%、白石町が八三%、みやき町が九〇%というような取り組み状況となっております。  以上でございます。 84 ◯野田委員=ありがとうございます。  そしたら、この制度に対する取り組みについて、これまでどのような効果があったのか。中山間地域等直接支払制度と違う面がございましたらお伺いいたします。 85 ◯中村農山漁村課長=取り組みの効果についてお答えいたします。  昨年度実施しました活動組織に対するアンケート調査では、「草刈りや泥揚げなどの共同活動によりまして農業者の作業に係る負担が軽減された」、「水路の目地補修や農道の砂利補充により施設の機能が維持された」、「菜の花の作付などによりまして農村景観がよくなった」、「農業者と非農業者の交流が図られ地域のコミュニティーが活性化した」などの意見が多く寄せられたところでございます。  このように、本制度に取り組むことによりまして農地や水路、農道などの農業用施設はもとより、集落や、その周辺における農村環境についても良好な維持保全に貢献しているものと考えています。  また、地域ぐるみでの活動を契機としまして、地域の連帯感が生まれ、地域の活性化につながるという効果も見られているところでございます。  以上でございます。 86 ◯野田委員=その三つ目の環境保全型農業直接支払制度についてお尋ねいたします。  この制度における取り組みの状況はどういうふうになっているのかお尋ねいたします。 87 ◯鍵山園芸課長=環境保全型農業直接支払制度の県内における取り組み状況についてお答えさせていただきます。  この制度は、委員さん言われましたとおり、化学肥料や化学合成農薬の使用をそれぞれ五割以上低減する取り組みとあわせまして、一つはレンゲなどのカバークロップ作物の作付など地球温暖化防止に効果の高い営農活動、もう一つは有機農業など生物多様性保全に効果の高い営農活動、この二つのいずれかを農業者のグループが計画的に行った場合に、活動対象ごとに設定された単価に取り組み面積を乗じて交付金が交付されるものでございます。  県内での取り組み状況につきましては、制度が始まりました平成二十三年度は、県内十四市町において、農業者五十一人と四団体が、合わせて百四ヘクタールで取り組まれておりまして、平成二十三年度は八百三十万円が交付されております。  これが直近の平成二十八年度には、県内十六市町において四十一団体が合計約三百三十一ヘクタールで取り組まれており、約二千三百六十万円が交付されております。このように、この制度の取り組み面積は年々拡大しております。  平成二十八年度の取り組みを具体的に見ますと、まず、地球温暖化防止に効果の高い営農活動では、レンゲなどの緑肥を作付しますカバークロップの取り組みが全体の中で百九十六ヘクタールと最も多い状況でございます。また、大豆の不耕起播種の取り組みが二十六ヘクタールというようなことになっております。  次に、生物多様性保全に効果の高い営農活動につきましては、有機農業の取り組みが七十九ヘクタール、冬の間に水田に水を張る湛水管理の取り組みが二十二ヘクタールというような形になっております。  以上、お答えいたします。 88 ◯野田委員=ありがとうございます。かなりの数で利用がふえてきているということで、私は大変頼もしく感じた次第です。環境とか、あるいはよく言われる生物多様性、いわゆるビオトープの世界とか、こういったことは、今後、農業にとっても、人が住んでいく上でも大切なことでございますので、どうぞ、これに対しては取り組みをますますふやしていただきたいと思いますが、今後の取り組みにあわせて効果についてもお尋ねいたします。 89 ◯鍵山園芸課長=環境保全型農業直接支払制度の取り組みの効果についてお答えいたします。  これまでの取り組みを具体的に見ますと、集落営農組織を取り組み主体としまして、大豆の不耕起播種により作業時間や燃料コストを削減したもの。また、水稲の「夢しずく」の作付前後にレンゲを作付しましてすき込みを行うことによりまして肥料のコストを削減したものなどが挙げられます。  また、地域全体で特別栽培米、それから地域独自によっては黒米の生産に取り組みまして、差別化による有利販売につなげたものなどが挙げられます。  このように、本制度の取り組みの効果としては、地域が一体となりまして化学肥料や化学合成農薬の使用削減に取り組むことによりまして、CO2の削減による地球温暖化防止はもとより、生産コストの削減、それから、物語があり付加価値の高い農産物の販売強化につなげるといった、このような効果が出てきていると考えております。  以上、お答えいたします。 90 ◯野田委員=どうぞよろしくお願い申し上げます。  四番目です。県内の中山間地域では、地域によって本制度の周知が生産者に十分図られていないようなケースも散見されるところであります。私も、これは本当にどうやって皆さんの手厚い制度、手厚い農業に対することの現場に伝わることの難しさというか、どうやって伝えていったらいいんだろうかと感じるところが現場に入って強く思います。本制度の周知について、県ではどのような方法で行っているのかお尋ねいたします。  また、これらの制度が、さらに地域にしっかりと根づくように、さらに周知を徹底してほしいと思いますが、所見をあわせてお願いいたします。 91 ◯松隈生産者支援課長=制度の周知とその徹底についてお答えいたします。  日本型直接支払制度の施策の推進に当たりましては、市町やJA、土地改良区などの関係機関・団体と連携しながら対応しているところでございます。  具体的には、県では、関係機関・団体などを対象とした制度説明会の開催や、制度の概要や取り組み例などを紹介したパンフレット、チラシの紹介や作成・配布、県外を含む優良取り組み事例や各種関連シンポジウムの紹介などを実施しまして、これらを受けまして関係市町などにおかれましては、それぞれの実情に応じまして集落代表者に対し、制度内容や事務手続などに関する説明会を開催するなどしまして周知がなされております。  また、委員からは、本制度に関し、さらに周知を徹底ということでございますが、例えば、中山間地域等直接支払制度におきましては、先ほど井上常憲委員の御質問でもお答えしましたように、県では、今年度から新たに推進員を設置しておりまして、この推進員につきましては、集落対策の推進につきましてノウハウや知見を有した人材を配置しておりまして、この推進員が市町などと連携しながら、直接、集落に出向いて制度を周知したり、各集落の実態を聞き取り、それぞれの実情に応じたアドバイスなどを行うことにしております。  その際、集落の状況によっては、中山間地域等直接支払制度以外の多面的機能支払制度などの話も出てくると考えられることから、そうした情報を把握した場合には速やかに関係課、関係団体と共有するなどして適切に対応できるようにしたいと考えております。  いずれにしましても、今後とも、以上のような取り組みを市町、JAなどの関係機関・団体と連携しながら進めまして、本制度の周知徹底に努めてまいりたいと考えております。  以上、お答えします。 92 ◯野田委員=現場への周知徹底については、とにかく新しい制度で現場に周知をしていただくというお話でございました。代表者にあわせて、そういった方々の活動が皆様方の思いと同じ思いでしっかりと伝わっていく、温度差のない形で伝わっていく。そういった意味で、早わかりでも、図解入りでもいいんですけれども、いろんなちょっとしたグッズみたいなものがあれば、もっとヒントにもなるのかなというふうに感じる次第です。代表者の方が聞かれても、現場で、あるいは集落でうまく伝えられない部分があるというのは、これは事実でありますので、例えば、公民館に張っておくようなものとか、大それたプリントじゃなくてコピーしたものでも構いません。どういった方にもわかりやすいよう、こういった制度、あるいは窓口、聞けるところ、こういったことの周知徹底をぜひお願いしたいと思います。所見をお願いいたします。 93 ◯松隈生産者支援課長=委員御指摘のとおり、農業に関する制度や補助事業の推進に当たりましては、県としましても、例えば、補助事業につきましてポイントを示したり、イラストや図を使って概要をまとめたポンチ絵をつくったり、農林事務所では地域の実情に応じて資料を加工するなどして、できるだけわかりやすい資料の提供や説明に努めているところでございます。  また、国の事業などにつきましても、国に対し、生産者の方々にわかりやすい説明資料や申請書類の提示を求めているところでございまして、今後とも、生産者の立場に立ったわかりやすい情報提供や説明に努めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  以上でございます。 94 ◯野田委員=期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 95 ◯八谷委員長=暫時休憩します。十三時十分をめどに委員会を再開します。     午後零時十二分 休憩     午後一時十分 開議 96 ◯八谷委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続き質疑を行います。 97 ◯野田委員=それでは、引き続き質問に入らせていただきます。  午前中の中山間地域等直接支払制度が、人口が減ったり高齢化になっている中山間地域の皆さんにとっては「守り」の制度であれば、次は「攻め」の取り組みについてお尋ねをさせていただきます。  中山間地域の農業・農村を取り巻く状況は非常に厳しいものがあるからこそ、守りの取り組みで土台を固めた上で、農家や地域の所得向上につながる「攻め」の取り組みが必要と強く思う次第であります。  地域によっては、中山間地域の特性を生かしたこだわりのある農産物づくりや特産品の開発に取り組まれていますが、例えば、農産物直売所によくある付加価値を加えた加工品の販売など、地域資源を活用して所得を得る農村ビジネスの取り組みについても積極的に推進していく必要があると考えているところです。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  県内において、農産物直売所や農家レストランなど農村ビジネス関連の施設はどのくらいあるかお尋ねいたします。 98 ◯山田農政企画課長=農産物直売所や農家レストランなどの農村ビジネスの関連施設につきましては、女性や高齢者の地域社会活動への参画意識の高まり、こういうものを背景に、平成に入ってから増加しております。平成二十八年十月時点におきましては、例えば、七山村の「鳴神の庄」や多久市の「幡船の里」などの農産物直売所につきましては、県内で百二十三カ所、富士町の「菖蒲ご膳」、武雄市の「一膳めし屋」などの農家レストランにつきましては二十八カ所、あと、ブルーベリー狩りやそば打ち体験などができます大和町の西山田農園などの体験観光農園につきましては、県内で四十三カ所設置されているところでございます。  以上です。 99 ◯野田委員=私が思っていたよりたくさんあるなと感じた次第です。県内を動いておりますと、道の駅は目立つところにあるんですけれども、直売所関係はなかなか目につかない部分がありますので、百二十三カ所ある、それと農家レストランが二十八カ所、体験農園が四十三カ所あるということでありました。非常に心強く思った次第であります。この件につきましては、後ほど質問させていただきます。  それでは、県内の農村ビジネスの現状について、どのような課題があると考えておられるのかお尋ねいたします。 100 ◯山田農政企画課長=本県の農村ビジネスの現状と課題につきましては、農産物直売所につきましては、一部には道の駅のような大規模な施設があるものの、全体で見ると比較的小規模の施設が多い状況にございます。また、農家レストラン、体験農園、農家民宿などにつきましては、九州各県に比べると、まだ取り組み数が少ない状況にございます。  さらに県内では、集客力が高い農産物直売所や農家レストランが一部あるにもかかわらず、地域での連携が不十分で、他の施設への周遊化が図られていない状況にございます。  加えまして、ぜひ佐賀県の農村に行ってみたいと思わせるような魅力づくりや福岡都市圏への売り込み、PRが十分でない、できていないということから、多くの消費者を抱えます福岡都市圏から車で一時間以内という高いポテンシャルを十分に生かし切れていないということも課題として認識しているところでございます。  以上でございます。 101 ◯野田委員=そうですね、地域での連携が不十分、福岡都市圏からの取り込みができていないというような現状を回答いただきました。いわゆる農村ビジネスに関しての現状は、こういったことを全体として受けとめさせていただきます。  それでは、農村ビジネスに取り組む人材の育成についてお尋ねいたします。  農村ビジネスを推進していくためには新たに取り組む人を掘り起こすとともに、地域のリーダーとなる人材を確保・育成していくことが重要と考えているところです。これは本当に私も「ふるさと水と土指導員」を市議になる前からさせていただいておりますけれども、地域に入って活動をやっても、一部の方の反応があったり、あるいは一部の方の反応があっても、それに連携をしていただけないというところがあります。でも、こういった農村ビジネスというのは、やはりやる気のある方がいらっしゃいますし、こういったところを核にして、いろんな広がり、学ぶこと、あるいは気づき、こういったものが次の農村、あるいは中山間での人材づくりに大きく貢献すると私は思っています。  そういった意味で、地域のリーダーとなる人材を確保・育成していくことが重要と考えているところですが、どんな取り組みを行っているのかお尋ねをいたします。 102 ◯山田農政企画課長=農村ビジネスに取り組む人材の育成についてでございますが、農村ビジネスを推進していく上では、消費者ニーズをしっかり踏まえて個々の取り組みを磨き上げるとともに、それらをネットワーク化しまして、地域としての魅力を高め、消費者が何度も訪れたいと思うようにしなければならないと思っております。  そのためには新たに農村ビジネスに取り組む事業者を掘り起こしますとともに、地域の事業者間のネットワークを牽引する地域のリーダーとなる人材を育成していくことが非常に重要であると考えております。  このため、平成二十八年度からは、これから新たに農村ビジネスに取り組もうとしている人、既に農村ビジネスを実践している方、さらには、地域が連携した新たなビジネス展開を検討している人などを対象にしまして、商品開発や効果的なPR手法などの経営ノウハウを習得するための研修、さらには、先進事例の紹介ですとかワークショップなどを通じましてリーダーを養成するための研修、こういうことを実施しているところです。  さらには、研修受講後には公益社団法人佐賀県地域産業支援センターに、二名農村ビジネスコーディネーターを配置しております。こういう方々が研修会参加者の地元を訪問して相談に応じるなど、継続的にフォローすることで事業化や魅力アップに向けた支援を行いますとともに、地域の話し合いに参加してアドバイスを行うなど、地域の農村ビジネスを牽引してもらう人材の育成を図っているところでございます。  以上でございます。 103 ◯野田委員=いろいろな対策の中でも、平成二十八年度から高めるためのいろんな講座というふうなお話をいただきました。反響はどうでしょうか。
    104 ◯山田農政企画課長=平成二十八年度から研修会を開催しておりますが、参加者も多くて、参加者の中には自主的に地域間の連携をしたいという構想を持って参加していらっしゃる方もおられます。今後、こういう研修会は継続していきたいと思っております。  以上でございます。 105 ◯野田委員=あわせて、コーディネーターが二名いらっしゃるということをお伺いしました。どういったお働きをいただいているんでしょうか、お尋ねいたします。 106 ◯山田農政企画課長=地域産業支援センターにコーディネーターを二名、平成二十八年度から配置しておりますこの二名につきましては、基本的には現場に出向いていろんな相談に乗っていただくということで配置しております。地域づくりから経営の診断に至るまで幅広く相談に対応するということで、センターに来てもらうんじゃなくて、できるだけみずから現場に出向いてということで対応させていただいております。  以上でございます。 107 ◯野田委員=そういった現場に入り込んでの細かい対応が地元の方にとってはありがたいことだと思っています。どうぞ、お二人をどんどんふやしていただくような方向になっていけばなと願う次第であります。  それでは、今後の農村ビジネスの取り組みについてお尋ねいたします。  農村ビジネスの創出や磨き上げにどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 108 ◯山田農政企画課長=今後の農村ビジネスの取り組みについてでございますが、農村ビジネスの推進に当たりましては、福岡都市圏等の消費者のニーズを踏まえて農村ビジネスの創出や個々の取り組みの磨き上げ、さらには、ネットワーク化による農村地域全体の魅力アップを図るとともに、それらの効果的な情報発信を行うなど、総合的な取り組みを推進していくことが重要であると考えております。  このため県におきましては、先ほど答弁しましたとおり、農村ビジネスの創出や磨き上げ、事業者間の連携を促進するための人材育成研修会の開催や新商品開発に対する助成などのソフト面の取り組みに加えまして、農家レストラン、体験農園などの施設・設備の整備とか改修に対して助成を行いますハード面の対策もあわせて実施しております。  また、福岡都市圏や佐賀県内の消費者に本県の農村地域の魅力を知ってもらうためにホームページやフェイスブック、スマートフォンのアプリ等を活用した農産物直売所や農家レストラン、イベント等の情報発信にも積極的に取り組んでおります。特に、福岡都市圏に向けた情報発信につきましては、発行部数が多い、例えば、雑誌の「るるぶ」ですとか「福岡ウォーカー」等で佐賀県の農村ビジネスの紹介をしてみたり、福岡の消費者を対象としましたモニターツアーを実施したりしてPRを強化しているところでございます。  今後とも、佐賀県の農村地域の魅力を磨き上げまして、その魅力を福岡都市圏や佐賀県の消費者に対してしっかりPRするとともに、地域の将来を担う人材の育成、新たな事業化への支援を行うなどしまして、本県の農村ビジネスの取り組みを一層進めてまいりたいと思っております。  以上でございます。 109 ◯野田委員=一つ質問ですけど、例えば直売所、あるいは力を入れていらっしゃいます六次産業なんかに対して、それぞれの仲間意識というか、ネットワークづくりとか、そういったことの現状はいかがでしょうか。 110 ◯山田農政企画課長=直売所とか加工グループ等のネットワークづくり、情報交換の必要性でございますが、現在、県内の各地域、六カ所でそういう直売所とか加工グループ等で組織しました自主的なネットワークグループがございます。県内に六カ所ございますが、そのうち一カ所は、ことし五月に代表者の変更に伴って一旦解散されていますけれども、そういう地域の中でそれぞれの情報交換とか研修、また、消費者との交流活動、そういうことも積極的に行われております。さらに、県段階におきましては、そのネットワーク組織の代表者を集めて、年一回、意見交換もやっているところでございます。  やはりそれぞれの地域で情報交換を行って、課題ですとか成功事例、そういうものを共有していくことは、今後の直売所等の経営改善につながると思っておりますので、今後とも支援を行い、そういう会議の場も設定していきたいと思っております。  以上です。 111 ◯野田委員=ぜひその辺をお願いしたいと思っています。中山間、あるいは農村地域で活動しておりますと、一歩深い話をやろうとしたら、どうしても公民館やリーダーの自宅で一杯飲みながらというような機会が多くなります。我が地域でも、そういったときには必ず市の方とか建設課の方は覚悟して来られています。しっかり飲みながら話をされる、そこで初めてコミュニケーションが、地域の人たちの一二〇%に近いようなコミュニケーションが図られるんですね。挨拶だけされて帰られるよりも、それはそれはもう本当に強いものがあると思います。要するに、きずなですね。農業関係、特に農村地域では、こういったところの覚悟もしていただきながら、しっかりと地域の方とのふれあいの中から、こういったリーダー研修とか、あるいは直売所の今後のさらなる発展を支援していただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  続きまして、鳥獣対策です。  鳥獣対策ですが、私も免許を取ってやっているところですけど、いろいろな思いがあって、前回の一般質問のときに、まずは諸問題を抱える各地域の猟友会の実態を調査してくださいということでお願いをしていたところです。今回の質問については、特に新たな動きがございますので、そういった質問に入らせていただきます。  イノシシは、繁殖力が本当に強いということは皆さんも御存じだと思います。イノシシは満二歳で初産を迎え、毎年四、五頭ほどで繁殖してまいります。このごろでは繁殖期にとられた子供は種を守るために二回出産するというような話も猟友会の中であっているほどであります。千葉県では、一九九八年、これは統計が残っています。千葉県では一九九八年にわずか百頭未満の捕獲数が二〇一二年には一万五千頭を超え、十四年で百五十倍に達したとの記録があるほどです。そういったイノシシは、捕獲すると生体での埋め合わせをする力が強いと言われており、全体の半分ほどを捕獲しても、その数はなかなか減少しない可能性があることも言われているところであります。  イノシシの生育地は、だんだんと北上しております。二〇一三年には岩手県盛岡市で目撃され、つい十日ほど前です、青森県三沢市で目撃されております。東北、雪の深いところにはイノシシはいないという定説があります。なぜならば雪が深いと足の短いイノシシは動きにくいということで、なかなかそこにすまないということですけども、かつては八戸で一七四九年から一七五〇年かけてイノシシ被害による凶作があっております。実は、三千人ほどの飢え死に者を出して「イノシシけがじ」と呼ばれた歴史も残るほどの被害が記録されております。青森県全域に、またイノシシが復活するのも時間の問題と私は思っている次第です。  このように、なかなか衰退しないイノシシ問題ですが、捕獲、駆除は緩めるわけにはいきません。しかしながら、一方で懸念すべきことがあるんです。狩猟という行為は、例えば、イノシシなど有害鳥獣の捕獲活動を通じて地域の農作物被害を防止し、もって地域を守るという役割を果たしているにもかかわらず、私は常々、県民の方々へのもろもろの認知は十分ではないと感じているところであります。  そのイメージをもっと高めたいと考えているところに、せんだって、県の猟友会の通常総会に参加した際に、この秋、佐賀県の武雄市北方町において「狩猟フォーラム」が開催されることを知りました。この「狩猟フォーラム」は、全国津々浦々、年に三カ所ぐらいで開かれている全国組織的な動きのフォーラムであります。これこそ、願ってもいないことであります。  そこで、大きく二点の質問であります。  一、「狩猟フォーラム」についてお尋ねいたします。  今回開催するフォーラムの趣旨や日程、場所などについてどのようになっているのか、詳しくわかっている範囲でのお答えをお願いいたします。 112 ◯松隈生産者支援課長=フォーラムの趣旨、日程、場所についてお答えいたします。  今回のフォーラムにつきましては、「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」と称しまして、環境省が主催し、佐賀県猟友会及び県が共催する形で開催されるものでございます。  趣旨は、多くの人に狩猟の魅力や狩猟が持つ社会的役割、安全な狩猟方法等を紹介しまして、鳥獣保護管理の担い手となるきっかけを提供することとされております。  フォーラムの開催日程は、平成二十九年十月十五日、日曜日の午後を使って、開催場所は武雄市の北方公民館となっておるところでございます。  なお、参集人員につきましては、三百人から四百人を予定しているところでございます。  以上、お答えします。 113 ◯野田委員=三百人から四百人と聞いて、ちょっとがっくりした次第であります。私は、イノシシ問題について県民にもっと深刻に知っていただきたい。というのは、農業に対する被害もさることながら、イノシシの捕獲状況を知っていただきたいですし、捕獲されたイノシシの活用に対しても、やはり興味を持っていただきたいと思っています。三百人から四百人じゃなくて、もう少し幅広いところが欲しいなと思います。この三百人から四百人というのは、どういったところを対象にしていただいているのかお尋ねいたします。 114 ◯松隈生産者支援課長=まず、私ども、どういった人を対象にしているかについてお答えいたします。  私が三百人から四百人程度を予定していると申し上げましたのは、現在まで全国で三十会場で開かれておりまして、そこでの平均来場者数が二百五十五人という数字が上がっております。これからいきますと大体三百人程度と考えておりますが、委員がおっしゃいましたように、できるだけ多くの方に参集していただきたいと考えておりまして、参加される人については、もちろん、狩猟免許を持っていらっしゃる方、農業者、それから狩猟とはなじみの薄い方、特に若い方、女性の方。それから、農業とは関係のない子供さん方についてもぜひ来ていただいて、いろんな話を聞いたり、体験をされながら、中山間で農業をされている方の御苦労や狩猟者の日頃の御苦労あたりを実感していただきたいと考えております。  以上でございます。 115 ◯野田委員=今おっしゃった幅広い方々、子供や女性の方々に広報していただければと思っております。  続きます。今回、佐賀県で開催されることになったのは何か理由がございますでしょうか、質問いたします。 116 ◯松隈生産者支援課長=佐賀県で開催される理由についてお答えいたします。  今回、本フォーラムが佐賀県で開催されることになりましたのは、県内の狩猟者の高齢化や減少が進み、県としても狩猟者の確保のために何らかの手だてを検討する中、他県で開催されていた同じフォーラムに私ども職員が参加したところ、多くの人が集まり、狩猟への関心を高め、理解を深めるのにはよい機会であったと思われたこと。また、こうした情報を県の猟友会にお伝えしたところ、ぜひ平成二十九年度は佐賀県で開催してほしいという強い意向がございましたことなどから、平成二十九年二月に環境省から開催についての希望調査がありました折に、佐賀県開催の希望を回答していたところ、この四月に開催決定の連絡があったところでございます。  以上でございます。 117 ◯野田委員=まさに、その状況が深刻なところに来ております。これを機会にイノシシの被害であること、あるいは狩猟者へのアピールというか、いざないというか、狩猟に対する興味を持っていただくような取り組みをお願いしたいところであります。このチャンスを一つの踏み台にして大きくジャンプしたいと私は思っています。  これに関しては猟友会として何かできることがないだろうかということで提案しようと私は思っていたところでありました。ちょうど、本当にいい機会ですので、連携した形でしっかりと成功させていきたいと思っているところであります。  それでは、フォーラムの内容についてお尋ねいたします。  せっかく佐賀県で開催するので、一般の方々への狩猟への関心を高めてもらうため、狩猟の模擬体験や一般の方々、特に女性を対象としたジビエ料理の試食会などを行ってほしいと考えているところです。フォーラムの内容は、どのような計画になっているのかお尋ねいたします。 118 ◯松隈生産者支援課長=フォーラムの内容についてお答えいたします。  フォーラムの内容につきましては、県内の狩猟者の現状や鳥獣被害の状況を参加者へ伝えることを初めとしまして、ハンターによる講演や、県猟友会の若手及び女性ハンターによる「私がハンターになった理由」と題して狩猟の魅力について語っていただくトークセッションを予定しております。  また、会場内にワークショップブースを設けまして、ビームライフルによる狩猟の模擬体験や模擬銃の展示、ジビエの試食・販売、イノシシ等の牙、角の製品の販売、狩猟免許取得相談窓口の設置や、若手ハンターとフリートークができるスペースの設置など、女性の方を含め、多くの方の関心を高めてもらうような内容が予定されているところでございます。  以上でございます。 119 ◯野田委員=今、答弁いただきました。私は、きょう、実はイノシシの牙を持ってくる予定だったんです。おっしゃるとおり、猟をやっておりますと、いろんな方から、「キーホルダーにしたいから手に入らないだろうか」ということで、すごく大きな牙を今回用意していたんですけど、答弁なさっているとき、「あっ、忘れた」と思ってですね。非常に魅力がある形です。イノシシの牙というのは三角形です。ですから、角がとがっているんです。これはもう非常に危ないんですけれども、人様によっては非常に魅力を感じて欲しがっていらっしゃる方が多いのも事実であります。  実は、フォーラム開催の中で本当にお願いしたいのは、もちろん、狩猟への関心で、答弁いただいたビーム銃による模擬射撃、これは非常に人気があると聞いております。一番お願いしたいのは女性への誘客です。そして、もう一つは、これは私も内部的にお願いしないといけないんでしょうけれども、女性部、猟友会会員の女性部によるイベントですね。あるところでは、女性たちがジビエ料理という専門的な料理じゃなくて家庭料理として料理を振る舞ったということがあります。実は、私は以前、多久の祭りでイノシシ汁の振る舞いをやったことがあります。一時間に六百食がなくなるほど非常に人気があります。  そういった活動をやっている中で、うちにもあるけれども、どうやって食べたらいいかわからなかったとか、あるいはどういう料理にもっていっていいか全くわからないというような方が女性に多かったんです。  私たちは、一つは駆除としてとって、ほとんど埋却、あるいは焼却という形にしているんです。その活動の報酬として緊急対策報奨金とかそういったものが来ています。でも、これが今だんだんパンクし始めてきて制度が終わるかもしれない危うい状況になってきているのも事実です。  こういったイノシシを報奨金対象でとるとか駆除でとるということも一つですが、しっかりと生活の中に回していくということも大切じゃないかなと強く感じているんです。だから、女性の方がつくっている家庭料理に対して、女性の方が抵抗がなくなるとイノシシの肉の消費が地元でも活発になるかと思っています。鹿児島県、宮崎県、熊本県の三県が接するような山間部は、「お正月に出向いたけれども、あそこはシシ肉も出んかったばい」というような食文化があるところです。それに比べると佐賀県は食文化が、やろうと思っても、「初めて食べたとっかかりが臭かったけん、もう絶対食べん」とか、そういったことがあります。  でも、前回もお話ししたとおり、イノシシをとってもとっても減っていないというのが現場の実感です。先ほども言いましたように、半数ぐらいとってもすぐに戻るというような話も出てきております。  そういった状況で、このフォーラムを使って女性の方々の認識をぜひ変えていただいて、家庭でも簡単に料理が出るような状況にしていただくことも一つの大きなきっかけになるんじゃないかなと思っている次第であります。  それともう一点、もしお願いができるのであれば、これはイノシシの皮革でつくったバッグです。(資料を示す)眼鏡入れです。あるいは小銭入れ、これはお子さんの靴です。スマートフォンのカバーです。こういった商品が既にあるんですね。一般的にイノシシは何頭かに一頭、「これはよか肉ばい」ということで猟師さんがとって、それを近所の人に分けたりなさいます。皮なんかは今まで見向きもしたことがないです。でも、しっかりとこういった産業化する方法もあるんですね。  私は、ぜひこのフォーラムで、こういった製品の生かし方、あるいはペットフード、骨も骨粉としてペットフードに使われたり、肉もジャーキーとしてペットフードに使える。何も食するばっかりが利用価値じゃないと思います。  こういった意味での、さっき言いました、私たちの生活の中に回るような、こういった提案もぜひこれからは必要じゃないかなと思っている次第です。だから、このフォーラムの内容をしっかりとそういう身近なものにしていただきたいと思いますが、所見のほどお願いいたします。 120 ◯松隈生産者支援課長=さらに、フォーラムの内容についてお尋ねがございました。私ども、こういったフォーラムにつきましては、先ほども委員がおっしゃいましたように、昨年は全国で三カ所、開かれております。そのぐらいの数ですので、佐賀県で開きますと、近隣の県からも参加が見られるということで、そういった先進県の方から、どういった活用をしているのかという新しい情報を交換することもできますので、そういった情報を交換することによって、じゃ、佐賀県はどうしたらいいのかというような新たな知恵を受けることもございます。  フォーラムの中身については、現在、猟友会と、それから環境省が開催運営を委託している業者とずっと打ち合わせを進めているところでありまして、我々も共催という立場ではございますが、積極的にかかわって内容的なものについては充実したものにしていきたいと考えておりますので、どうか猟友会の会員の方からも、意見を猟友会で集約してもらって非常に有意義なイベントにしていきたいと思います。  以上でございます。 121 ◯野田委員=そういった中での取り組みについて、私も声を上げて頑張っていきたいと思っているところです。  こういったフォーラムに関して、今、猟友会のほうもしっかりということでございました。県としてもしっかりとしたかかわりを持って取り組んでほしいと思っているところでございますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。 122 ◯松隈生産者支援課長=県のかかわりですけれども、県としましては、このフォーラムの開催については、県内の多くの方、それから、県外の方が多く訪れていただきまして、狩猟や野生鳥獣による農作物被害への関心を高めるよい機会、それから、いろんな情報を交換してそれぞれの知見を高めていくよい機会と捉えておりますので、引き続き、県猟友会と連携を密にしながら、しっかりと成功させるものとして取り組んでいきたいと考えております。  以上でございます。 123 ◯野田委員=ぜひ連携をよろしくお願い申し上げます。  それでは、二番目です。捕獲した野生鳥獣の有効活用についてお尋ねいたします。  先ほどもいろいろお話しいたしました。まだまだ埋却や焼却により処分している分がほとんどであります。捕獲した野生鳥獣を地域の資源と捉え、肉、皮革、骨などを製品として販売するなど有効に活用することのきっかけとしてこのフォーラムを活用していただきたいというお話を今したところでありますが、実際にこれからはこの活用についてお尋ねいたします。  猟師の方の収入増にもつながり、モチベーションも高まるのではないかと考えているところです。単なる捕獲、駆除が報奨金という構図ではなく、流通する仕組みがサイクル的に組み込まれるという意義、いわゆる社会の仕組みの中の一員という意識を高めて、質も高めていくものだと確信しているところです。  こうした中、近県の状況を見ますと、県のホームページでイノシシの肉を販売している小売店を掲載したり、ジビエ料理のレシピを紹介したりしており、そろそろ佐賀県も手をつけていかないとおくれてしまうのではないかと感じている次第であります。  そこで、次の点についてお尋ねいたします。  現在、県内における野生鳥獣処理施設の整備状況はどういうふうになっているのかお尋ねいたします。 124 ◯松隈生産者支援課長=県内での野生鳥獣肉処理施設の状況についてお答えいたします。  県内の保健福祉事務所から食肉処理業の許可を受けてイノシシを取り扱っている野生鳥獣肉処理施設としては、十一カ所整備されております。また、本年度は新たに一カ所の処理施設の整備が予定されているところであります。  以上でございます。 125 ◯野田委員=個人でされているのか、市町でされているのか、そのあたりをわかる範囲でお答え願えますか。 126 ◯松隈生産者支援課長=個人でされているのは十一カ所のうち八カ所、法人でされているところが三カ所ございます。  以上でございます。 127 ◯野田委員=ありがとうございます。本当に活用していこうと思いますと、個人八カ所という数はびっくりしたんですけれども、個人でやっていくのはなかなか難しい面がございます。まずは屠殺したときの衛生上の問題もですけれども、体液とか血液の処理をするための浄化槽とか、さばくところと精肉にするところの場所の違いとか、いろんな制約があったかと思っているところです。こういったところも行く行くは、例えば、鳥獣対策の協議会単位とか、あるいはもっと大きな単位で何らかのことも考えていかんばいかぬかなというふうに考えております。  それでは、現在、十一カ所、解体場があるということですが、県内におけるジビエの提供状況はどういうふうなことになっているのかお尋ねをいたします。 128 ◯松隈生産者支援課長=県内でのジビエの提供状況についてお答えいたします。  私ども、具体的な販売量までは把握しておりませんけれども、インターネットなどを調べまして把握している情報につきましては、通信販売やふるさと納税の返礼品などでの活用や、旅館・ホテルでの提供が見られるところでございます。  また、イノシシ肉を販売している店は七店舗ございまして、そのうち食肉処理施設がある場所で販売しているところが二店舗、食肉処理施設以外の道の駅など直売所で販売されているところが五店舗ございます。そのほかには、あくまでインターネットからの情報ですけれども、焼肉、鍋などのジビエ料理を提供している飲食店が七店舗ほど確認できるぐらいでございます。  以上でございます。 129 ◯野田委員=今のお話ですと、一般家庭で出てくる形に近いかなと。燻製とかソーセージは難しいにしても、熊本なんかでは、えっ、これがジビエなのかというふうに本当にフランス料理っぽい形で出てきたりとか、原形をとどめずにいろんな形で出てくる状況であります。まずは、そういったものを提供することによってハードルを下げる。そして、たくさんの方々が関心を持つということが大切じゃないかなと思っているところであります。  よその県に比べてまだまだ普及はしていないなというふうに感じた次第ですが、捕獲した野生鳥獣をジビエとして活用する際の課題としては、どういった課題がございますでしょうか、お尋ねいたします。 130 ◯松隈生産者支援課長=ジビエ活用に当たっての課題についてお答えいたします。  ジビエとして活用します野生鳥獣につきましては、人為的に飼育管理できる家畜と大きく異なるところがございますので、品質のよい野生鳥獣肉を一定量・継続的に確保することが難しいこと。また、その上で安定的な販売先の確保が容易でないこと。消費者への調理方法など情報提供が不足していることなどが課題として考えられるところでございます。  以上でございます。 131 ◯野田委員=確かに、天然物でございますから、品質というばらつきはあります。そういった中での食品への、あるいはいろんなメニューへの適材適部というのはあるかと感じているところであります。もう一つは販売先ですね。販売先についてはどこでも苦慮なさっているからこそ、なかなか前に進まないというのが実情じゃないかと思っています。  調理方法につきましては、先ほども言いましたように、こういったフォーラムを通じてたくさんの方々に知っていただく方法、あるいは先進的な取り組みをなさっている県への積極的な働きかけによって大きな開催をしていただかないと、なかなか先に進まないのではないかなと感じております。  実は、ここにイノシシと和牛の成分比較表というのがあります。これは、長崎県の江迎町がいち早くイノシシの肉を市場に出したところです。イノシシと和牛の比較をしてあります。エネルギーは、百グラム当たり、和牛が四百九十八キロカロリーに対して二百二十三キロカロリーです。飽和脂肪酸は、和牛が十六・五ミリグラムに対して六・九五ミリグラムです。DHA──ドコサヘキサエン酸、EPA──エイコサペンタエン酸がサーロイン和牛では一・一三ミリグラム、イノシシでは一・五五ミリグラムと少しでも体にいいと。鉄分は、和牛〇・九ミリグラム、イノシシは二・〇ミリグラムです。ビタミンB1に至っては、和牛が〇・〇五ミリグラム、イノシシは〇・五六ミリグラムです、百倍ぐらいであります。  こういったことでイノシシのよさを言えば、まだまだたくさんあります。こういったこともまだまだ皆さんに知られていない部分だと思います。いろんな形でぜひジビエに関して一歩前に足を出していただきたいと感じております。  今後の取り組みについてお尋ねいたします。県では、今後、こういったジビエ料理、あるいはイノシシの肉の流通に対してどう取り組んでいかれるのかお尋ねをいたします。 132 ◯松隈生産者支援課長=今後の取り組みについてお答えいたします。  委員がおっしゃいましたとおり、本県の場合、捕獲されました野生鳥獣のほとんどが埋却または焼却処分されているところでございます。これがジビエとしてもっと有効的に活用できれば中山間地域等におきます農業者等の所得の向上と地域の活性化にもつながるものと考えておるところでございます。  このため県におきましては、これまでも佐賀六次産業化サポートセンターに登録されております野生鳥獣肉の利活用に関する助言などを行うプランナーを派遣したり、ジビエ料理の商品開発や試作検討会の開催などへの支援、野生獣肉加工関連機器の整備支援などに取り組んできたところでございます。  また、このほか県内におきましては、各地域で地元が主体となってジビエ料理試食会を催すなどして地元の住民の方々にジビエ料理を提供されていることも承知しているところでございます。
     なお、県におきましては、昨年度、県の農業試験研究センターなどで開催しましたイベント、「農と食のふれあい参観デー」におきまして、イノシシ肉の空揚げなどを振る舞い、ジビエ料理への理解と利用促進を図ったところでございます。  今後も、こうした取り組みを推進しますとともに、現在、国のほうでジビエの利用拡大策を検討するような形で方向性が示されておりますので、そういった情報も収集しながら、ことし十月に開催されます「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」を活用しましてジビエのPRに努めるなどして、捕獲した野生鳥獣肉の有効活用に努めていきたいと考えております。  以上でございます。 133 ◯野田委員=どうぞよろしくお願いいたします。  最後に一つ質問でございます。  今後、活用していくための取っかかりとして、より多くの方々にイノシシ肉の食味といいますか、知っていただきたいと思っている次第です。県内で行われるいろんなイベント、祭り、こういったところにそれぞれの猟友会でも結構です、あるいはまちおこし関係でも結構です、あるいは商工会、商工会は無理かな、野生動物ですからね。そういった意味での、試食できる、皆さんに振る舞いができる場を提供していただくような取り組みをぜひ推進していただきたいなと思っている次第です。何回も言うようですけれども、とったものが、報奨金のためにだけやるんじゃなくて、世の中に役に立つ、回せるものになる、そういう感覚に、もうそろそろ私たちも、猟友会もならないといけないというふうに非常に思っている次第です。  そういったところへの支援といいますか、後押しというか、そういったことの取り組みに対することをお願いしたいんですけれども、所見をお願いいたします。 134 ◯松隈生産者支援課長=イベントでのジビエ料理の活用についてお答えいたします。  委員御提案のとおり、県内ではさまざまなイベントが開催されている現状と思っております。これにつきましては、県民にまずはジビエ料理を味わってもらって知っていただくことが意義があると考えております。まずは県猟友会、あるいは市町とも御相談させていただいて、実際にやるとなればどういった対応が可能なのか、どういった点が注意すべきところなのかについて話をしていきたいと考えております。  以上でございます。 135 ◯野田委員=ぜひよろしくお願い申し上げます。  以上で質問を終わります。 136 ◯井上祐輔委員=こんにちは。日本共産党の井上祐輔です。本日最後の質問者なので、最後までよろしくお願いいたします。  まず、一点目の農業改良資金制度について質問をさせていただきます。  県では、農業や畜産業など佐賀県の基幹産業である一次産業に対して、日ごろからさまざまな支援、取り組みをしていただいていることは、生産者にとっても心強いのではないかと思っております。  この六月県議会でも、産地パワーアップ事業として麦などの品目を生産する団体や農業者に対して、トラクターやコンバイン等の機械をリースする導入費の補助、園芸集団産地育成事業費の中で佐賀県農業協同組合、唐津農業協同組合などが取り組むホウレンソウやアスパラガスなどの選果場の整備に対しても、安定的な生産、出荷体制の強化を図るために補助をするなどの取り組みが提案され、支援が行われているところであります。  このようなさまざまな支援は、農業、また、生産者にとってもありがたいことだというふうには思うんですが、先日、県が取り組んでいた農業改良資金制度を利用した方からお話を伺う機会がありました。そのお話を伺う中で、経営支援を目的に資金の融資を受けた。しかし、非常に厳しい経営状況になって、何とかして借りたお金の返済を進めたいというふうに思って、返済する金額なども県と相談をしながら進めている、そういった状況でもなかなか折り合うことがなくて、食べ物が喉を通らないほど、精神的にも、また身体的にも苦しんでいる、どうにか解決の道に進めないか、そういったお話を伺いました。  初めは分割をして返済をする計画だった、そういったことも聞かせていただいたんですけれども、その計画をつくられた際に、経営の状況であったり、返済能力に見合った計画がされていたのか。また、返済できなかった場合に、この低い金利の時代でも一二・五%という高い損害金、利息がかけられているということにも私自身も大変驚いたところでありました。  県の事業で行われているということは、県民の皆さんから、また、国民の皆さんから集められた税金で貸し付けされているものですし、返済することは当然であると私自身も思っています。しかし、その徴収のあり方など疑問を持つ点がありましたので、償還を進めたいというふうに、そういった県の思いもあるとは思うんですけれども、もう少し生産者に寄り添った対応ができるのではないかと感じる点もありましたので、今回、取り上げさせていただくことにしました。  まず、一点目の制度の概要について伺いたいと思います。  農業改良資金制度は、昭和三十一年に制定された農業改良資金助成法に基づいて始まったものだと認識をしています。この制度の目的や貸し付けを行う対象者、使途など、この制度の概要についてお伺いをします。 137 ◯松隈生産者支援課長=制度の目的、対象者、使途等についてお答えいたします。  御案内のとおり、農業改良資金は、昭和三十一年に施行されました農業改良資金助成法に基づく制度として創設されたものでございます。  その目的は、農業者が農業経営の改善を目的としまして新たな農業部門の経営や農畜産物の加工業の経営を開始したり、農畜産物やその加工品の新たな生産もしくは販売の方式を導入するのに必要な資金の貸し付けを行うことによりまして、農業経営の安定と農業生産力の増強に資することとされておるところでございます。  貸し付けの対象者は、農業経営を主とされている主業農家や認定農業者などとなっております。  貸付使途は、本資金の目的を実現する上で必要となる農業施設の改良、造成または取得、果樹の植栽または育成、家畜の購入または育成などの実施等に必要な資金を無利子で貸し付けることとされております。  なお、農業改良資金につきましては、平成二十二年十月一日から貸付主体が都道府県から政府一〇〇%出資の株式会社日本政策金融公庫に移管されておりまして、現在、県で行っている業務は、過年度に貸し付けました資金の償還対応が主な業務となっているところでございます。  以上でございます。 138 ◯井上祐輔委員=目的については、農業者が農業経営の改善をするために県が貸し付けを行ってさまざまな取り組みに対して使っていただくと。例えば、その目的を達成していくために資金の貸し付けだけではなくて、経営の相談であるとか、また、具体的な内容の支援であるとか、そういったものについてはどういう取り組みがされていたのか、もしあればお伺いをしたいと思います。 139 ◯松隈生産者支援課長=農業改良資金の経営状況の支援についてお答えいたします。  農業改良資金を貸し付けた後につきましては、経営についてのアドバイスを改良普及センターなどを通して、JAとも一緒になりながら、経営についてアドバイスをしていくというような形をとっているところでございます。  以上でございます。 140 ◯井上祐輔委員=私がこの質問をしたのは、貸し付けるだけが目的ではなくて、その経営がしっかり改善されることが大事なことだと思うので今の質問をさせていただいたんですが、借りた人の経営を助けていくという点で、経営の実態をどういったふうに把握をして、どのような基準をもって判断をしてこられたのか。  また、誰もが経営を継続して発展させていく、そういったことに期待をしてこういった制度を利用しておられると思うんですけれども、そういった判断は極めて重要な部分であると思うんですけれども、その判断についてはどういった形でされてきたのか、その点をお伺いしたいと思います。 141 ◯松隈生産者支援課長=農業改良資金につきましては、本人から申請書をとって、そして、その申請をもとに審査をしているわけでございますが、あくまで貸し付けによって、その後はいろんな経営支援、アドバイス、助言というものをやっていくわけでございますが、それによって非常に成功される方もいらっしゃいますし、あるいは当初の予測どおりにはいかなかった人も見られるところでございます。  以上でございます。 142 ◯井上祐輔委員=今、お話をされたように、うまくいく人、うまくいかない方というふうに出てくるところもあるかと思います。そういう中で貸し付けを受けた方々、また、まだ収入未済が出ている、返済ができていない方々もいるかと思っています。  次の質問に移りますが、県では、制度が始まった昭和三十一年から日本金融公庫に制度が移管をするまでの平成二十二年度まで取り組みが行われてきたと思います。この貸し付けの実績と、一番近い決算での収入未済額の状況についてお伺いをします。 143 ◯松隈生産者支援課長=貸付実績と収入未済額についてお答えします。  本県におきます農業改良資金制度における貸し付けにつきましては、昭和三十一年の制度開始から平成二十二年の日本政策金融公庫移管前までの実績では、累計で金額にしまして百九十一億五千五百四十二万一千円、貸し付け件数で一万四千九百二件となっております。  また、先ほど申し上げました貸付実績のうち、平成二十七年度末現在の元金償還におきます収入未済額につきましては、調停件数三十六件、四千四百一万二千円という収入未済額になっております。  以上でございます。 144 ◯井上祐輔委員=私も資料をいただいたんですが、平成二十七年度の決算分では三十六件、そういった収入未済の件数があるということでした。なかなか返済できないというふうな困難な状況に陥っている方々の状況について、どういった状況、ケースが多いのか。もし把握をされていれば紹介していただきたいと思います。 145 ◯松隈生産者支援課長=償還が滞っていらっしゃる方の状況についてお答えいたします。  償還が滞っている主な理由としましては、負債過多、多重債務であったり、飼料価格の高騰や販売価格の低迷があったとか、家族の家業の倒産によって多額の補償債務が発生したとか、そういった事情によるものが挙げられるところでございます。  以上でございます。 146 ◯井上祐輔委員=さまざまなケースによって、この返済をしていくことが困難な状況に陥っているということであります。今、県としては、その返済に対して徴収をどういうふうにされているのかということで、徴収の対応のあり方について伺いたいと思います。  先ほど、収入未済については、平成二十七年度の決算で三十六件あるという答弁がありました。こういったものについても、先ほども言いましたが、税金で行われてきた支援制度であるので、そういった貸し付けを受けられた方についてはしっかり返済をしていただかなければならない、そういうふうに思います。その中で、この返済をする計画については、できる、できない状況というのも経営の状況によっては出てこようかと思います。県と貸し付けを受けられた方が相談をされていく中で、なかなかできそうもないような計画を立てて返済を求めたりとか、また、借りた本人が納得をしていない計画を立てられる、そういうふうになってしまうと、また返済が進んでいかないと、こういう状況も生まれてしまうのではないかと私は思います。  その中で、その人の状況に寄り添った徴収の対応ということをしていかなければいけないと思うんですけれども、この徴収の対応のあり方についてどういったふうにされているのかお伺いをします。 147 ◯松隈生産者支援課長=徴収の対応のあり方についてお答えいたします。  償還金の徴収、言い換えますと収入未済額の解消につきましては、県では、佐賀県農業改良資金貸付債権保全等事務処理要領や、平成二十四年に当時の財務課から発出されました「税外未収金の縮減に向けた取組方針」などに基づき対応しているところでございます。  具体的に申し上げますと、借受者と連体保証人に対して延滞状況に応じた催告や財産調査を行い、債権回収に努めており、また、借受者への訪問などにより面談を行いまして、その面談の中では必要に応じて農業協同組合など関係機関と連携しながら、経営状況や生活状況などの聞き取りを行って償還能力を適切に把握し、その状況に合った償還計画を立てるなどして対応しているところでございます。  以上でございます。 148 ◯井上祐輔委員=相談や面談を行いながら状況に応じた対応をしているということでありました。例えば、相談の際に借りている本人を訪問しても会えないということもたびたびあるんじゃないかと思うんですけれども、そういった場合、本人とは話ができずに家族とお話をされるとか、そういう状況の中で、例えば、月に幾らずつ返済をしてくださいということを借りた本人ではなく家族とお話をした場合、その計画というのは、約束というのは成立をするんでしょうか、この点をお伺いしたいと思います。 149 ◯松隈生産者支援課長=基本的には債務者本人と直接話をして決めていくことだというふうに思っております。  以上でございます。 150 ◯井上祐輔委員=私もそういうふうにならなければ、本人が納得をして返済していくというふうにはなかなか進んでいかないのではないかと思います。  今後の対応についてですが、先ほども話をしたように、借りたものは返していくということが当然です。償還が滞った方というのは、経済的な問題であったり、借りているという負い目から相談をされた内容について無理な状況であっても、そのことについてイエスというふうに言うしかない、こういうふうに感じる方もおられるかと思います。  今後もこういった対応をしていく際に、そういった生産者の生活の状況とか経済的な状況を踏まえながら、その方に寄り添った対応をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。 151 ◯松隈生産者支援課長=今後の対応についてお答えいたします。  借受者において償還が滞っている場合は、先ほど申し上げましたとおり、可能な範囲において、その方の経営状況や生活状況に合った償還計画を立てるなどの対応を行っているところでございます。  例えば、収入に大きな変動が生じたり、他の事業資金の借り入れ負担が重いなど、経営的要因により償還が滞っている方には、その変動状況や返済状況に合わせて償還計画を見直したり、また、子供の学費負担や扶養家族の医療費負担、そのほかの借り入れの返済負担など、経営以外の要因で一時的に負担が重なり償還が滞っている方には、その費用負担や返済が終わるまでの本資金の償還金額を減額するなど、借受者などの実情を踏まえて対応しているところでございます。  いずれにしても、償還金の徴収に当たりましては、まずは債務者に会うことがなかなか、連絡をしても会っていただけることが少のうございます。まずは債務者と約束をとって、しっかりと会って、借受者本人、それから連体保証人との面談、調査などを行いまして、借受者の実情をはっきりと把握した上で、その状況に合った償還計画のもと、収入未済額の早期解消が図られるように努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 152 ◯井上祐輔委員=借りている方も何とかして返したいというふうに頑張っていても、その返済計画については利益を上げている以上のものになっていたりとか、そういった生産をして経営をしていくというためには、原材料費がかかったり、また、その人自身も生活をしなければいけない。そこにプラスアルファ出たところでしか返済をしていくということは難しいと思います。県としても、このそもそもの目的が経営の改善というところを目的にされていますので、その方自身にしっかり寄り添っていただきながら今後も対応していただきたいと思います。  二問目の再生可能エネルギーの推進について伺いたいと思います。  昨日は、当委員会の現地視察で伊万里市にある中国木材株式会社さんを訪問させていただいて、住宅建築に用いられるプレカット加工から出た端材や山にある間伐材といったものを細かいチップに加工して発電する木質バイオマス発電についても勉強させていただきました。発電の規模は九千八百五十キロワットアワーということで、伊万里市は二万四千戸あるそうですが、二万四千戸が使う電力を一月賄うことができる、それぐらいの発電を中国木材さんだけでもされているというふうなことでした。  無駄なく利用して循環型社会にも沿ったすばらしい取り組みが行われているというふうにも感じました。山口知事も、二月の県議会の当初予算では再生可能エネルギー等先進県実現化構想策定事業を提案され、私も、この取り組みについては大いに賛同する立場ですし、応援をしていきたいと思っています。  原子力による発電には、福島の事故を経験して多くの国民が不安を抱えて、クリーンな、安心して使用できる再生可能エネルギー、新エネルギーの普及は、多くの国民、県民からも期待をされている必要不可欠な事業であると思っています。  私たちの佐賀県だけではなく、多くの自治体も、この再生可能エネルギーの推進に取り組む中で、知事が「先進県を目指す」というふうに言われたことは、相当な覚悟と、また、取り組みが必要であると感じています。今の時点での先進事例はしっかり学んでいきながらも、新たに生み出す点については挑戦をしながら佐賀県が引っ張っていく、そういった気概を持って取り組んでいただきたいと思っているところです。  まず、一点目の再生可能エネルギーの県内の状況について伺いたいと思います。  佐賀県では、平成十七年一月に県民と行政が共同して新エネルギーの促進に取り組むための「新エネルギー推進県民宣言」、こういったものが行われています。その後の県議会において、県民、事業者及び行政が一体となって環境に対する負荷を低減し、持続的発展が可能な循環型社会をつくり上げることを目指して、「佐賀県新エネルギー・省エネルギー促進条例」が制定されています。その条例に基づいた形で平成十九年三月には具体的な計画として、「佐賀県新エネルギー導入戦略的行動計画」が策定され、県として新エネルギーの考え方や、どういったものに重点を置くのか。また、平成三十二年、今が平成二十九年ですから、残り三年後を中期目標、長期目標として平成十六年、二〇〇四年に一・六八%だった最終エネルギー消費量に対する新エネルギーの供給割合を、平成三十二年度には一〇%にする、こういった目標を立てられています。  そういった中で、今現在の状況についてどのようになっているのかお伺いをいたします。 153 ◯池田新エネルギー産業課長=長期目標に対する現状につきましてお答えいたします。  佐賀県新エネルギー・省エネルギー促進条例では、太陽光や風力を利用して得られる電気、いわゆる太陽光発電や風力発電、また、出力が千キロワット以下である水力発電設備で発生させる電気、いわゆる小水力発電。また、燃料電池を利用して得られる電気など、十六種類のエネルギーまたはエネルギーの利用形態を新エネルギーとして定義づけております。  委員御指摘のとおり、佐賀県新エネルギー導入戦略的行動計画では、平成三十二年度までに県内におけるエネルギー消費量に対しますこれらの新エネルギーの割合を一〇%とすることを目標としており、その進捗状況を三年ごとに公表することとしております。  直近では、平成二十七年度末の状況を県ホームページにて公表しておりまして、計画策定時点一・六八%だった新エネルギーの供給割合は、平成二十七年度末現在で七・二六%となっております。  以上です。 154 ◯井上祐輔委員=平成二十七年度で七・二六%ということで、二〇一五年度には七・二六%だったと。今、二〇一七年ですので、次の公開というのは三年ごとということでありましたが、次に公開されるのはいつになるでしょうか。 155 ◯池田新エネルギー産業課長=三年ごとに公表するということにしておりますので、平成二十七年度末のものを昨年度、平成二十八年度に公表しておりますので、三年後になりますと平成三十一年度に平成三十年度末現在のものを公表するということを今予定しているところでございます。  以上です。 156 ◯井上祐輔委員=次は平成三十一年度末に公表されるということですが、この計画では、二〇二〇年度に長期目標として一〇%を目指すというふうに書いてあります。私も県が出しているホームページを見て確認したんですけれども、この新エネルギー導入目標というところには、長期目標ということも言われているんですけれども、これには中期目標というふうにも書かれているんです。この一〇%ということを二〇二〇年度までにやりたいという目標を持っておられます。これは中期目標ということをこっちに書いてあるんですけど、最終的な目標ではないというふうに認識をしていいんでしょうか。 157 ◯池田新エネルギー産業課長=先ほどの新エネルギーの割合につきましては、長期目標ということで二〇二〇年度の目標が最終的な目標と考えております。 158 ◯井上祐輔委員=そのときにつくられた県の目標では、二〇二〇年度の一〇%が最終の目標であるということでいいということですね。  これについては、私は、国が二〇三〇年度に二二%から二四%の再生可能エネルギーを目指していくと言われている中で、今の時点では、以前の計画ですので、平成三十二年度、二〇二〇年度に一〇%というところは、私は、もう少し高い目標を持って取り組んでいいのではないかと感じているところです。そういった点についてどのような認識を持たれているかのお伺いをしたいと思います。 159 ◯池田新エネルギー産業課長=長期目標の目標値についての認識ということでございますが、委員おっしゃられますとおり、エネルギーに関しては、三・一一以後、大きく目まぐるしく変わっているというような状況もございますので、この計画につきましては、いずれまた見直し等をしなくてはならないのではないかというふうにも思っております。  以上です。 160 ◯井上祐輔委員=今後、見直すことも必要ではないかという答弁だったんですが、こういった計画をつくった上で、この目標に向けてこれまで県では取り組みを進められてきたと思います。  これまでの県の取り組みについてお伺いをしたいと思いますが、先ほどお示しをしていただいた長期目標の達成に向けて、太陽光発電や小水力発電などさまざまな取り組みをされてきたと思います。特に、再生可能エネルギーを推進していくためにどういった取り組みをしてこられたのかお伺いいたします。 161 ◯池田新エネルギー産業課長=これまでの取り組みについてお答えいたします。  県では、これまで再生可能エネルギーの普及拡大に向けまして、まず、太陽光発電分野で申しますと、平成十八年度から平成二十六年度まで一般住宅を対象としました導入への支援、また、平成二十四年度、平成二十五年度には県有施設の屋根貸し、それから、県有地へのメガソーラー発電所の誘致などに取り組んできたところでございます。  また、小水力発電分野につきましては、平成二十四年度から平成二十五年度で事業者によります発電実証研究への支援。また、昨年度からは新たな事業モデルの構築などに取り組んできたところでございます。  また、直ちに普及拡大には結びつかないものの、再生可能エネルギーの利活用につながる研究開発への支援に取り組みますとともに、海洋再生可能エネルギー分野では、国の実証フィールド及びその周辺海域で実証実験または発電事業を実施するための具体的な取り組みを始める事業者の誘致でありますとか、企業、大学、自治体などによる研究会、通称「ジェイ・スクラム」を設立しまして、関連産業の振興や集積に向けての働きかけなどに取り組んできたところでございます。  さらに、再生可能エネルギー由来電力の貯蔵手段として期待されております水素エネルギーにつきまして、まずは水素をエネルギーとして活用する社会の実現を目指しまして、実用化に向けた実証研究への参画や水素ステーションの整備支援、燃料電池自動車の率先的導入などに取り組んできたところでございます。  以上です。 162 ◯井上祐輔委員=太陽光発電については、全国でもナンバーワンの普及率だということであったり、小水力発電についても唐津のほうでも玄海町にある藤ノ平ダムなんかを試験的に活用して、どういった可能性があるのかという研究もしてきたと思っています。  また、唐津では離島のほうで風レンズ風車といって小さい風力発電みたいなものを使って、狭い面積の中で風力をどういうふうに生かしていくかという研究も行われていました。  いろいろな取り組みをされてきた中でうまくいった事業であったり、また、一方でうまくいかなかった事業、そういったものもあろうかと思います。取り組みに対する成果と課題についてというところで伺いたいと思うんですけれども、今後、さらに再生可能エネルギーを推進していく。そういったために課題としてはどういったものがあるのか。また、どういった成果が出たのかということもお伺いしたいと思います。 163 ◯池田新エネルギー産業課長=これまでの取り組みの成果と普及させるための課題についてお答えいたします。  これまでの取り組みの結果といたしまして、委員が先ほどおっしゃられましたように、太陽光発電分野におきましては、住宅用太陽光発電の普及率が全国一位となるなど、太陽光発電の普及が拡大いたしました。また、小水力発電分野では県内企業と連携しまして具体的な事業モデルの構築に取り組んでおります。海洋再生可能エネルギー分野では、実証フィールド周辺海域におきまして洋上風力発電の事業化に関する相談が出てきております。また、水素エネルギー分野では、国が燃料電池自動車の普及に必要な水素ステーションを先行的に整備する地域に本県も含まれたことによりまして、商用水素ステーションの整備が実現し、県内におきましても燃料電池自動車の販売が開始された。こういったことが成果として得られているところでございます。
     一方、再生可能エネルギーをさらに普及させるための課題といたしましては、まず、現状では発電コストが高いことがございます。さらに、太陽光や風力発電につきましては、気象条件に大きく左右される不安定な電源であり、需要に応じた供給が困難であることから、現時点では導入規模に相当する火力発電などのバックアップ電源が必要となるということや、さらに、固定価格買取制度におきましては、電力の安定確保のために電力系統への接続可能量が定められておりますが、九州におきましては、この制度に基づく接続済、承諾済及び接続契約申込量の合計が、平成二十九年五月二十五日までに、この接続可能量の上限に達しているというようなことがございます。  また、再生可能エネルギーは、太陽光や風力、水力など自然界にあるエネルギー源を利用するものでございますが、面積が小さく気候が穏やかで急峻な地形が少ない本県では、必ずしもこれらに恵まれているとは言いがたくございます。  あわせて、安定的に発電を行うことが可能な地熱や小水力などに関しては、本県では、その賦存量は小さい状況にございます。  こうしたことから、県内において再生可能エネルギー由来電力の導入量を大きくふやしていくということは難しい状況にあると考えております。  以上です。 164 ◯井上祐輔委員=今、これまで取り組んでこられた中で成果と課題ということで、いろいろな課題もあるというふうなことでした。今後、再生可能エネルギーを普及していく上で、そういった課題をいかにクリアして取り組んでいくのかというところも重要ではないかと思っています。  そういった見えてきた課題について、今後、どういった対策を行っていくのか。また、新たな取り組みができる点については挑戦をしていくということも必要になってくると思いますが、今後、県の取り組みについてどのような考えを持っておられるのかお伺いをします。 165 ◯池田新エネルギー産業課長=今後の取り組みについてお答えいたします。  これまでも取り組んできたところではございますが、国や電力事業者に対して電源としての不安定さの解消や発電コストの低減などの再生可能エネルギーが有している課題に対し、しっかりと責任を持って取り組むことを求めてまいります。  また、現状において、県内で再生可能エネルギー由来電力の導入量を大きく増やしていくことは難しい状況にはございますが、他方、佐賀大学海洋エネルギー研究センターは、海洋エネルギーに関する国内唯一の全国共同利用施設でございまして、特に、海洋温度差発電の分野では世界を牽引しておりますし、また、本県の陶磁器産業から発展したセラミックス関連技術も太陽熱利用や燃料電池分野など再生可能エネルギーの利用を支える技術として注目を集めつつあるなど、県内には、国内のみならず、世界的に再生可能エネルギーの普及拡大に貢献できる技術シーズがあると考えております。  こうしたことを踏まえまして、県としては、再生可能エネルギーの電源としての不安定さの緩和や、電気以外の利用推進などに資するため、電力貯蔵手段としての水素エネルギーに関する検討や、海洋再生可能エネルギーの実用化及び産業化の推進、さらには、小水力発電や未利用熱の利用などについて率先的な事業モデルの構築などに引き続き取り組んでいきたいと思っております。また、県内にある技術シーズ等を生かしまして圏域を超えて再生可能エネルギーの導入・普及の促進に貢献できるよう取り組んでいきたいと考えております。そのために本年度中に「再生可能エネルギー等先進県実現化構想(仮称)」を取りまとめていくこととしております。  以上です。 166 ◯井上祐輔委員=いろいろな取り組みについて御紹介をいただきました。ことし二月に知事が提案された再生可能エネルギー先進県ということで、先進県ということでは国内でもいろいろなところが、こういった再生可能エネルギーの普及推進について取り組んできておられると思いますし、国外でも世界的に再生可能エネルギーを普及しようという機運が大きく高まっているんじゃないかと思っています。  今、県として水素エネルギーなんかについては先進的にやっていくんだということも紹介をしていただいたんですが、そのほかの太陽光発電であったり、小水力発電であったり、洋上風力発電とか、そういったものがありますけれども、今、ここの県ではこのような分野で先進県ではないかとか、そういった把握はされているのかどうか伺いたいと思います。 167 ◯池田新エネルギー産業課長=どういった分野での先進県と捉えているかという点についてお答えいたします。  先ほど委員からもお話がございましたように、水素エネルギーに関しましてでございますが、先ほど答弁をいたしましたように、国が燃料電池自動車の普及に必要な水素ステーションを先行的に整備する地域に含まれていると先ほど申し上げました。これは、これまでの水素に関する本県での取り組みが評価されたということと考えておりますので、全国的にも割と進んでいるほうではないかと思っております。  また、小水力発電につきましては、佐賀県は地理的条件が余りよくないと先ほど申し上げましたが、そうした中でも導入可能なマイクロ水力発電という発電規模が小さいもの、そうしたものを開発するような事業モデルの構築にも取り組んでいるところでございます。そういった点で佐賀県が再生可能エネルギーの普及に貢献していければなと思っているところでございます。  以上です。 168 ◯井上祐輔委員=それぞれの県で地域性の違い等もありますので、佐賀県で取り入れられるものはどんどん取り入れていただいて、先進事例があるところについてはしっかり学んでいくことも必要だと思います。  再生可能エネルギーに取り組む県の姿勢について、最後に部長にお伺いしたいと思います。  山口知事は、原発の依存度を下げていくということはしっかりやっていくと。また、再生可能エネルギーの導入には佐賀県が旗を振っていく、こういったこともお話をされています。新エネルギー分野を担当する産業労働部長として、今後、再生可能エネルギーの推進について、私は、国への政策提言も含めて、今もされていると思うんですけれども、そういったことも含め、再生可能エネルギーの推進についてどういった姿勢を持って取り組んでいかれるのか、石橋部長にお伺いをしたいと思います。 169 ◯石橋産業労働部長=知事も申しましたように、佐賀県として再生可能エネルギーに関してトップバッターでありたいと思っています。ただ、それは先ほど課長からるる御説明いたしましたが、導入量をふやすという意味では、到底成り立ち得ません。今、我が国の再生可能エネルギーの方向性が太陽光から地熱に移っておりますけれども、それは地熱のほうが安定性があるということです。ただ、地熱となりますと、佐賀県には火山がございませんので、到底それはありません。  一方、我々は太陽光発電をこれまでやってきましたが、ちょっとそこはまずったかなというところもあります。つまり太陽光発電というのは、一方で二酸化炭素を相当に排出するということです。つまり太陽光発電の設備、例えば一万キロワットのものをつくりましたと。ただ、その稼働率は一〇%程度しかございませんので、一万キロワットの太陽光発電設備をつくると、その九倍の火力をたかないと一日分は賄えないということになりますので、そこをどうにかしなければいけない。太陽光というのは、日本にも、世界にも、どこにもあるわけですから、それはなぜそういうふうになるかというと、それはあくまでも不安定さということです。では、それをどうやってためるかということを考えなきゃいけない。今までは太陽光発電が少なかったので揚水でためていましたけれども、もうその能力を超えるようになってきたと。この今の世の中でダムをつくるというわけにはいきませんので、違う形での電力貯蔵というシステムをつくっていかなければいけない。そういう中で我々が着目したのが水素ということでございます。  そういうこともあって、これまで水素というものに力を入れ、水素というものが世の中で普通に使われるような形をすることによって電力の貯蔵手段としても、一般的なエネルギーとして使われるということでも、いわばプロパーみたいに使われていけば、その技術も高まっていくし、安い中で回っていくだろうと考えているところでございます。  そういうことがございますので、我々としては、社会システムであるとか、あるいは新しい技術であるとか、そういうところで日本、あるいは世界をリードしていくような地域になっていきたいと思っております。そういうことをすることが我々は産業を支えるところですので、大きなビジネスチャンスにもなっていくのではないかと考えています。  こういうふうに賦存量が少ないところではございますが、技術であるとか、システムであるとか、あるいは人材であるとか、そういったことで再生可能エネルギーを中心とした社会の実現に向けて世界が回っていくようにしっかりと取り組んでいきたいと考えているところでございます。  以上、お答えします。 170 ◯井上祐輔委員=地理的な要因なんかいろいろある中で、社会システムであったり、技術、人材についてトップバッターを走っていきたいということで部長からも答弁をいただきました。  政府は、エネルギー基本計画の中で原発を重要なベースロード電源と位置づけをして、二〇三〇年度の原発の発電量は二〇%から二二%と言われています。計算上、そうしていくためには国内で二十五基から三十基の原発の再稼働が必要なのではないかと思います。四十年を超えるような老朽化をした原発を使わなければ、この数値は達成していけないという点では、私は、こういった点については評価できないと思っています。一方、再生可能エネルギーについては、二〇三〇年度に日本国内で二二%から二四%を目指すというふうに言われています。  世界を見てみますと、スペインでは二〇二五年までに四〇%、ドイツでは四〇%から四五%、EU全体では再生可能エネルギーの割合を二〇三〇年までに四〇%にもっていこうということが言われています。また、アメリカのカリフォルニア州では二〇三〇年までに五〇%を目指すと。こういうふうに世界でも再生可能エネルギーを大きくふやしていこうという拡大の流れであると認識をしています。  その中でエネルギーの面だけではなくて、再生可能エネルギーを活用して地元の中小企業の仕事や雇用といったところに結びつくように追求をしていきながら、地域経済の活性化にもしっかり取り組んでいかなければいけないと思っております。  そういった点について一点だけお伺いをしたいと思いますが、今後、そういった再生可能エネルギーや新エネルギーに取り組んでいく上で地域経済にもしっかりと波及させていくような取り組みを私としてもお願いをしたいと思いますけれども、部長の考えをお伺いしたいと思います。 171 ◯石橋産業労働部長=先ほども申し上げましたが、我々は産業部局でございます。そこで、例えば新しくできた技術であるとか、あるいは製品でありますとか、そういったものが地場にどう落とされるかということが非常に大事だと思っています。例えば、海洋再生可能エネルギーの実証フィールドにしても、そこで実際に実験をやるのは海外の企業だったり大手の企業です。ただ、それをいかに地元でメンテナンスをするかとか、係留をどうするとか、そういったところで地域経済に循環をさせていく。そういう視点がなければならないと思っていますので、今後、いろいろな研究とか取り組みをしていく中で、いかにうまく地元の企業に落とし込めるか、あるいは同じ部品の中でもどこかに地元の企業が食い込めないか、そういったことで取り組んでいきたいと思っております。  以上です。 172 ◯八谷委員長=これで質疑を終了いたします。  暫時休憩します。     午後二時五十二分 休憩     午後二時五十三分 開議 173 ◯八谷委員長=委員会を再開します。  これより討論に入りますが、ただいまのところ討論の通告はあっておりません。討論はないものと認めます。よって、討論を終結し、直ちに採決に入ります。     ○ 採      決 174 ◯八谷委員長=まず、甲第三十三号議案中本委員会関係分、甲第三十四号議案及び乙第二十七号議案、以上三件の議案を一括して採決いたします。  原案に賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 175 ◯八谷委員長=全員起立と認めます。よって、以上三件の議案は、原案のとおり可決されました。     ○ 継 続 審 査 176 ◯八谷委員長=最後に、二月定例会から引き続き審議中の 一、産業労働行政について 一、農林水産行政について  以上、二件につきましては、諸般の検討が必要ですので、閉会中の継続審査といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 177 ◯八谷委員長=御異議なしと認めます。よって、以上二件についての継続審査を議長に申し出ることにします。  以上で本委員会に付託されました案件の全部を議了いたしました。  これをもちまして農林水産商工常任委員会を閉会いたします。どうも御苦労さまでした。     午後二時五十四分 閉会 Copyright © 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