佐賀県議会 2014-09-03
平成26年9月定例会(第3日) 本文
最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ○ 開 議
◎議長(木原奉文君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。
○
決算特別委員会設置
2 ◎議長(木原奉文君) お諮りいたします。
決算特別委員会設置の件を本日の日程に追加して議題といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
3 ◎議長(木原奉文君) 御異議なしと認めます。よって、
決算特別委員会設置の件を本日の日程に追加して議題といたします。
お諮りいたします。
既に議題となっております乙第百二号議案及び乙第百三号議案につきましては、十四人の委員をもって構成する
決算特別委員会を設置し、審査することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
4 ◎議長(木原奉文君) 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
○
決算特別委員会委員選任
5 ◎議長(木原奉文君) お諮りいたします。
ただいま設置されました
決算特別委員会の委員選任につきましては、
委員会条例第五条の規定により、お手元に配付いたしております名簿のとおり指名いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
6 ◎議長(木原奉文君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、
決算特別委員会委員に選任することに決定いたしました。
後刻、正副委員長を互選の上、議長まで通知をお願いいたします。
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決算特別委員会委員名簿
┌───────┬────────┬───────┬───────┐
│ 自由民主党 │県民ネットワーク│自民党・鄙の会│ 一真の会 │
├───────┼────────┼───────┼───────┤
│古 賀 善 行│原 康 彦 │稲 富 正 敏│内 川 修 治│
│竹 内 和 教│江 口 善
紀 │ │ │
│桃 崎 峰
人│ │ │ │
│原 田 寿 雄
│ │ │ │
│伊 東 猛
彦│ │ │ │
│指 山 清
範│ │ │ │
│川 崎 常
博│ │ │ │
│坂 口 祐
樹│ │ │ │
│向 門 慶
人│ │ │ │
│古 賀 陽 三
│ │ │ │
└───────┴────────┴───────┴───────┘
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7 ◎議長(木原奉文君) それでは、昨日に引き続き一般質問を行います。
通告に従い、順次発言を許可いたします。
8 ◎内川修治君(拍手)登壇=おはようございます。一真の会の内川修治でございます。
先ほど登壇する際に拍手をいただきました。まさか拍手があるとは思っていなかったものですから、やはり旧友はありがたいなと、本当にうれしく思っているところでございます。それでは、感謝しながら、元気よく質問をさせていただきたいと思います。
まず一つ目でございますが、佐賀空港の
オスプレイ問題について質問させていただきます。
降って沸いたような佐賀空港への
オスプレイ配備問題。七月に防衛副大臣、八月に防衛大臣が古川知事と面談されました。古川知事に対し詳細な説明はなく、一方的と思われるような形で佐賀空港の
オスプレイ利用を要請してきました。防衛省による県議会への説明会も、議員の皆さんが理解、納得できるものにはほど遠い内容でございました。
これまで佐賀空港は、民間空港として厳しい運営状況の中、関係者のこれまでのさまざまな努力や
財政支援等によって、昨今は利用客や便数の増加、国際便の就航など、明るい兆しも見え始めてきました。空港の活性化に伴う地域経済への波及効果こそが目指してきたものであり、佐賀空港が県民に愛親しまれ、利用されることが重要であります。
そんなやさきの今回の
オスプレイ問題、自衛隊のみならず米軍の利用をも予定しているとのことでございますが、
オスプレイの安全性については賛否両論分かれており、単独飛行や編隊飛行の騒音、あるいは
運用方法等も明らかになっておりません。地元の意向を無視した国の手法には疑問を感じざるを得ません。
今回の問題で、佐賀県は拙速な判断をすることは許されません。特に米軍の利活用についてはさらなる慎重さが要求される、そのように思います。将来、県民が「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、周到な対応、判断が必要であろうと思います。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
国の進め方に対する所見についてであります。
国は、県や
地元自治体、地権者、
地元住民等との何の合意も経ることなく、平成二十七年度概算要求に関連経費を計上しておりますが、甚だ失礼きわまりないと感じております。通常の公共工事にはこういった手法はありがちでございますが、今回のように佐賀県にとって極めて重要な案件の場合は拙速過ぎると言わざるを得ません。国は何ゆえにここまで急いでいるのかと感じますが、知事の所見をお伺いします。
二番目に、情報収集の状況でございます。
今、佐賀県では
自衛隊使用対策チームを立ち上げ、防衛省とやりとりを始めるとのことでしたが、現在、各分野でどこまで明確になっているのかお伺いいたします。
三つ目の質問ですが、国の情報提供についてであります。
七月二十二日、副大臣が唐突に佐賀空港を使わせてほしいと要請してから、防衛省による県議会、
佐賀市議会への説明会、そして、大臣と知事との懇談会が開催されたにもかかわらず、具体的な情報提供がなされていません。
オスプレイ問題の可否の判断に当たっては、県民が本当に知りたい情報が得られないということがあってはなりません。県民が聞きたい情報、知りたい情報が軍事機密という名目で得られないということはあってはならないと思います。現在国から、この項目は機密上答えられないと言われているものがあるのかどうか。また、今後、軍事機密として県が知らされない情報があり得るのか、国は全ての情報を提供してくれると思っているのか、この辺についてお伺いをいたします。
四番目に、判断の時期及び判断基準についてであります。
現段階では、
オスプレイの運用形態や防衛省での
位置づけ等が明確にされておらず、不明確なまま受け入れした場合、配備や訓練が始まったときに、「こんなはずでなかった」ということになりかねません。これらの情報が明確になるまで可否の判断はすべきでないと考えますが、知事の所見をお伺いします。
また、知事は何をもってして最終判断をされるのか。あわせて、
状況いかんによっては今回の防衛省の要請に対し、ノーという選択肢もあり得るとお考えかお伺いをいたします。
五つ目に、自衛隊問題と米軍問題の分離についてでございます。
佐賀県議会では、平成二十二年三月に「
米軍普天間飛行場の佐賀空港への移設に反対する決議」を可決いたしております。この決議案はあくまでも
米軍普天間飛行場の移設に関するものであり、
佐賀県議会における、まさに全会一致での可決は大変重いものがあります。
今回の防衛省の要請は、佐賀空港における自衛隊と米軍の使用でありますが、この二つは明確に分けて可否を慎重に判断すべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
六つ目は、
民間機優先の確約書についてであります。
現在、佐賀空港は、LCCを含め
民間航空機増便に向けたさらなる取り組みを行っております。防衛省も民間空港としての発展を前提とし、民間空港としての機能を損なわないとしております。しかし、もし仮に
オスプレイが配備された際、あくまでも民間機を優先させるという確約書のようなものをとることはあり得るのか知事にお伺いいたします。
オスプレイ問題の最後でございます。七番目の
目達原駐屯地についてであります。
防衛省によれば、
目達原駐屯地の
ヘリコプター部隊を佐賀空港に移転する計画となっています。もし部隊が移転するとなれば、関係隊員、そして、その家族も移転することとなり、その数は二千人前後に及ぶものと思われます。このことは、吉野ヶ里町に及ぼす経済的、財政的影響は極めて大きいものがあり、町の運営に対し危惧するところであります。
仮に防衛省の要請を受け入れるとなった場合、吉野ヶ里町やその周辺自治体のダメージに対し、どのようなフォロー、ケアを行っていくつもりなのかお伺いをいたしたいと思います。
続きまして、問二の
高次脳機能障害者への支援についてを質問させていただきます。
交通事故や脳卒中などにより受けた脳へのダメージに起因して、
高次脳機能障害者となり、生活が一変してしまった方々が県内でも推定で四百名を超えていると言われております。
高次脳機能障害は、手足の
運動機能障害のように明らかな変化として見えないために、周囲からはわかりにくいが、退院し社会生活を送るようになると、今まで不自由なくできていたことが困難となり、「物事に集中できない」、「新しいことを覚えることが難しい」、「感情や行動をコントロールできない」などの症状が明らかになると言われております。
まるで性格が変わってしまったような発言や行動がトラブルの種になり、周囲の人たちを戸惑わせてしまうこともあります。中には、地域や学校の方々から批判を受けたり、警察沙汰になったりすることもたびたびのことと聞いております。しかし、一番困っているのは、当事者と、それを支える家族の皆さんであります。
佐賀県では、平成十九年度から
高次脳機能障害への支援に取り組み、総合計画二〇一一では“進”重点項目として充実化を目指しております。県議会でも、過去数名の議員さんがこのことについて質問をされており、徐々にその浸透が図られているところであります。
総合計画では、
高次脳機能障害者支援普及事業として、
支援拠点機関の充実強化を図り、
支援関係者の
ネットワークを構築し、
支援関係者に対する研修及び県民への普及啓発を行うということがうたわれております。もし相談したいことがあれば、
佐賀大学医学部附属病院に設置されております
高次脳機能障害者支援拠点機関や市町役場の福祉の窓口などに相談することになりますが、現場における相談対応に課題があると耳にいたしております。
障害者や家族の方々に必要な支援を行うことが、障害のあるなしにかかわらず、住みなれた地域で、笑顔で暮らせる共生社会につながるものと考えております。
そこで、質問をさせていただきます。
まず一点目、
高次脳機能障害者への支援の課題についてであります。
高次脳機能障害者への支援について、まだまだ支援体制が十分でないと聞いておりますし、また感じてもおります。現在、県はどのような課題があるとお考えなのかお伺いをいたします。
二番目に、市町の相談窓口の対応についてであります。
高次脳機能障害者への支援を行う上で、まずは
高次脳機能障害に対する市町の正しい理解が不可欠であります。市町の窓口の対応がまだまだ不十分であるとの声を聞いていますが、県としてどのように考えているのかお伺いいたします。
三つ目の質問は、
高次脳機能障害者を受け入れる
医療機関リストの公表についてであります。
県では、
高次脳機能障害者を受け入れることができる医療機関を調査し、リスト化したとのことでありますが、広く公開することなく、行政や
支援拠点機関の担当者から情報提供するようになされています。一般に公開することにより、
高次脳機能障害に対する理解も進むのではないでしょうか。
一般公開することには是々非々あるかと思いますが、一般公開することの利点を鑑み、公開に踏み切るべきと思いますが、公開の予定があるのかどうかをお伺いいたします。
四つ目は、
高次脳機能障害者リハビリテーション講習会のあり方についてであります。
県では、当事者や家族、医療機関、
福祉サービス関係者、
行政職員等を対象にした講習会を開催されていますが、受講者の中からは具体的な
対応方法等をもっともっと学びたいとの意見があると聞いております。研修会の内容の充実化を図る必要があると考えますが、どのように対応されるのかお伺いいたします。
最後の質問ですが、
高次脳機能障害者支援センターの設置及び
支援コーディネーターの増員について質問させていただきます。
現在、
佐賀大学医学部附属病院に
高次脳機能障害者支援拠点機関を設置されていますが、福岡県や長崎県では総合的に
高次脳機能障害者を支援するための
高次脳機能障害者支援センターが設置されております。本県でも専門性の充実化を図るために設置するよう前向きに検討すべきと考えますが、所見をお伺いします。
また、現在
支援コーディネーターを一名配置されていますが、一人ではどんなに頑張っても対応に限界があります。体制の充実をさらに図るためにも、いい人材の追加配置が必要と考えますが、県の考えをお伺いいたします。
続きまして、問い三番目の心肺蘇生に係る応急手当の普及啓発について質問させていただきます。
平成十六年、厚労省の通知により、一般市民によるAEDの使用が可能となりました。以来、全国各地で
AED使用による救命の報道がなされてきたことは周知のとおりであります。
私たちは、ふだんの生活において、いつ、どこで突然のけがや病気に襲われるかわかりません。
さまざまなけがや病気の中でも最も重篤で緊急を要するものは、心臓や呼吸が突然とまってしまう場合であり、そういった事態に陥った人の命を救うためには、そばに居合わせた人の応急手当が必要不可欠であります。
特にAEDは、心停止者の救命の可能性を向上させるのに有効であるとし、平成十六年以降、一般の人でも使用が認められており、現在、県内では主に学校や運動施設、福祉施設、
大型商業施設などに計千十九台のAEDが設置されているとのことであります。
本県でも、AEDの使用でとうとい命が救われた例として、昨年、勤務中の五十代の男性が突然
意識不明状態となり、その後、心停止となったことから直ちにAEDを使用したところ、意識を取り戻した例があったと聞いております。
一般的に、救命を成功させるには三分以内に使うことが望ましいと言われています。そのことから、AEDの操作については、その場に居合わせた人が率先してやることが必要となります。しかし、訓練や講習会などを一回だけでなく、何回も受けたような人でないと実際に扱うのは難しいし、まして全く知らない人がAEDを使用するのは大変な決断が伴うものであろうと思います。
また、人工呼吸や
心臓マッサージなどの
心肺蘇生法についても同様であります。先日、テレビで消防団の人工呼吸、
心臓マッサージの訓練の様子が放映されておりました。そのとき、その団員の方が「初めての経験で勉強になりました」と訓練の必要性を認めておられました。県内の消防団の中でも
心肺蘇生法を訓練しているところは少ないようであります。県民の命を守っていくためにも、こうした応急手当ができる人をふやしていくことが大切だと考えます。
そこで、次の点についてお伺いをさせていただきます。
まず一点目、
応急手当講習についてであります。
一つ目に、AEDを使用した講習についてであります。
これまでにAEDを使用した
応急手当講習は、県内の各消防本部によると、開催回数、受講人数とも平成十八年がピークとなっているようですが、現在どの程度開催されているのかをお伺いします。
二つ目に、講習内容についてであります。
心肺蘇生法を身につけるには、AEDの使用法だけでなく、人工呼吸や
心臓マッサージなどの方法もあわせて学ぶのが効果的と考えますが、講習内容は主にどのようなものになっているのかをお伺いいたします。
三つ目は、実施場所についてであります。
一般的に、講習は公共施設や商業施設、企業といった人の集まる場所で実施されることが多いと思いますが、それ以外の地域や場所ではどのように行われているのかをお聞きいたします。
二点目の質問ですが、今後の取り組みについてであります。
AEDや人工呼吸、
心臓マッサージなどの
心肺蘇生法を使った訓練や講習は、主に消防署や日赤を中心として実施されていると聞いておりますが、対応が十分か疑問であります。県を中心とした行政がもっと積極的に取り組むべきと思いますが、県として今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
こういう私も、このAEDを使った経験がございません。多分ここにおられる県議の皆さんも、この蘇生法についてはなかなか体感できないところがあろうと思いますので、この辺については県もしっかりと取り組んでいただけたらなと思うところでございます。
問四、水田農業の振興についてお伺いいたします。
佐賀県は、恵まれた自然条件、整備の進んだ水田や
共同利用施設等を生かし、米、麦、大豆を柱とした生産性の高い水田農業が展開されておりますが、近年の少子・高齢化、米離れの進行等による米の消費の減退などにより、最近の米価は低落傾向を続けているところであります。
例えば、本県産についてヒノヒカリの六十キログラム当たりの価格を見てみますと、平成六年の
入札取引価格は二万三百二十九円であったものが、平成二十五年産の相対価格では一万四千四百円と大幅に低下いたしております。特に本年産米の価格は、佐賀県の主な品種のほとんどがさらに下落するだろうと言われており、深刻度が増しております。
さらに、国は昨年、五年後の
減反制度見直しを柱とした米政策の見直しを打ち出し、米の需給調整は
生産者団体みずからが行うこととしており、米価が回復する見込みは小さく、米づくりへの不安度は増すばかりであります。
私は、こうした傾向が今後も続けば、離農者がますますふえ、水田の荒廃が進み、
農村そのものが崩壊するのではないかと大変危惧いたしております。
こうした中で、本県の水田農業を持続的に発展させ、生き残りをかけていくためには、
消費者ニーズに即した県産
ブランド米の生産振興に力を注ぎ、かつその販売対策にも全力で取り組んでいくことが重要と考えます。
また一方で、厳しい米づくりを強いられる中で、佐賀県の水田作の三本の矢の二つであります、全国的に見てトップクラスの佐賀県産大豆や麦といかに向き合うかということが重要になってきます。国内産の安定的な需要が見込まれる大豆や麦の質量をさらに高めることによって、生産農家の
経営安定化につながるものと思います。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
まず、米価の低落に関する見解と今後の販売対策についてであります。
本年産米の価格は低く推移しており、本県産の
七夕コシヒカリや
上場コシヒカリなどの価格も大変苦戦していると聞いております。
私は、今後収穫が開始される「さがびより」、あるいはヒノヒカリなどの価格も低落するのではないかと大変危惧いたしているところであります。
県では、こうした米価の低落に関して、将来の見通しを含め、どういった見解を持っているのかお伺いします。
また、こうした状況を踏まえ、本県産米が生き残っていくため、どういった対策を講じていこうと考えているのか、具体的にお伺いしたいと思います。
次に、大豆、麦の生産振興についてであります。
大豆や麦については、我が国の
食料自給率向上を図る上で重要な作物であります。このため、国では
経営所得安定対策のうち畑作物の直接
支払交付金において、生産者が出荷した数量に品質ごとの交付単価を乗じた金額を交付し、より高品質な大豆、麦の生産拡大に結びつけるなど支援策が講じられています。つまり、わかりやすく言いますと、良質な大豆、麦を多く生産すればするほど収入がふえる制度になっております。
今後、中長期的に国内の米の需要量が減少していく中、大豆や麦の生産拡大により生産者の所得を確保していくことは重要であります。そのためにも大豆や麦の単収や品質向上に取り組んでいく必要があると考えますが、県では今後、具体的な施策を初め、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
次は五番目の質問、城原川の治水対策についてであります。
城原川ダム事業の検証についてお伺いします。
この問題については、過去、八谷議員も質問されておりますが、私も再度質問させていただきます。
平成二十二年九月、
国土交通大臣よりダム事業の検証に係る検討を進めるよう通告があり、全国で検証を必要とするダムについての検討が始まり、全国で八十三の事業の中、ことし八月時点で六十七の事業については検証が終了し、残り十六事業が検証中とのことであります。
しかし、残念なことに、既に検証が終了したダム事業の中には、地元住民の意向が無視され、検証結果に反映されなかったケースとか、
有識者会議自体が科学的かつ民主的でないと指摘する新聞報道もされております。
いまだ「検討の場」すら開催されていない
城原川ダムについては、このような検証にならないようにしなければなりません。
私は、三年前の一般質問でも、
ダム事業検証の際は客観的な
学識経験者や地元住民の声が反映されるような運営をすべきだとお願いした経緯もございます。
本来、「今後の治水対策のあり方に関する
有識者会議」は、ダムに頼らない治水対策を新たに検討することを目的として発足いたしております。こういった観点からも、ダム事業の検証は民主的かつ科学的に運営されなければなりません。
そこで、お伺いをいたします。
一つ目、
城原川ダム事業の検証についてですが、まず現在の事業内容についてお伺いします。
城原川ダムは
実施計画調査段階のダムでありますが、現在の状況はどのようになっているのかお伺いします。
次に、
学識経験者等の意見の反映についてであります。
検証の客観性を確保するために
学識経験者等の意見聴取は、「検討の場」と時期を合わせた初期の段階から行うか、または「検討の場」の構成員に加えることも必要と思いますが、県はどのように考えられるかお伺いいたします。
次に、今後のスケジュールについてであります。
城原川ダム事業の検証の最終結果として、国土交通省による対応方針の決定が示されるのはいつごろと考えているのかお伺いいたします。
二つ目の質問は、城原川の河川整備についてであります。
城原川の河川整備については、危険と目される箇所から逐次対応していただいており、大変感謝いたしておりますが、お茶屋堰から下流については、現在、川底に相当な泥土が堆積しており、本来の流量が損なわれております。安全な川としての機能が低下し、危険度が増しております。この十年以上放置した状況であり、河川の維持も含めて一刻も早い対応が求められますが、県の考えをお伺いします。
最後の質問、学力向上対策でございます。
県教育委員会では、全国学力・学習状況調査の全区分において、標準化得点を全国平均以上にするということを目標にこれまで取り組んでこられました。
八月末に公表された平成二十六年度調査の結果を見てみますと、全国平均以上となっているものが、小学校六年では四区分中三区分、中学校三年では四区分全てが全国平均を下回るという結果になっております。
県教育委員会は、これまで学校、家庭、地域などさまざまな角度から学力向上対策に取り組んできたとは思いますが、全国調査の結果では、なかなかその成果が見られない結果となってしまいました。
昨年、文教厚生常任委員会の視察で訪問いたしました秋田県も、数十年前までは全国調査で下位に低迷しておりましたが、継続的な地道な取り組みにより、全国調査で常に上位に位置するようになったとのことでありました。
こうした地道な取り組みが実を結ぶためには、さまざまな努力が必要ですが、その一つとして、私は教員一人一人が主体的にかつ意欲を持って教育活動に取り組むことが重要であり、そうすることで子供たちも生き生きと前向きに学び、学力も向上するのではないでしょうか。そのための環境づくりをすべき教育委員会の責務は重大であると考えます。
そこで、質問をさせていただきます。
全国学力・学習状況調査の結果の要因についてであります。
全国調査の結果においても、県教育委員会が目標として掲げている全国調査で「全区分で全国平均以上」という目標達成に至らなかったこの要因について、どのようにお考えになっているかお伺いいたします。
次に、秋田県及び福井県への教員派遣の成果についてであります。
一つ目に、指導方法の変化についてであります。
秋田県と福井県に教員を派遣する前と派遣した後を比べて、県内の学校指導方法等で何か変わってきたところはあるのかお伺いします。
二つ目に、目標達成に至らなかった要因についてであります。
秋田県、福井県の指導方法導入にもかかわらず、目標達成に至らなかった要因をどのように捉えているのかお伺いします。
次に、学校現場での意見聴取について質問いたします。
学力向上要因の一つは、直接子供たちにかかわる教員が、主体的に、かつゆとりと意欲を持って教育活動に取り組むことが重要であると考えます。県教育委員会は、学校現場との連携を図りながら学力向上に取り組むべきと考えますが、今後どのように対応するおつもりなのかをお伺いして、一回目の質問を終わらせていただきます。(拍手)
9 ◎古川知事 登壇=内川修治議員の御質問にお答えします。
私からは、佐賀空港の
オスプレイ問題について何点かお答えを申し上げます。
まず最初に、この間の国の進め方に対する所見についてというお尋ねでございます。
議員からは、国が平成二十七年度の概算要求に関連経費を計上していることを、失礼きわまりなく拙速であるということで御指摘をいただいているところでございます。また、国はなぜここまで急いでいるのかということについても御指摘をいただきました。
まず最初に、概算要求についての私の見解を申し上げれば、概算要求そのものは国の内部手続でございまして、国が内部的にどのような要求をまとめられるのかということについては、それは国が独自でやられることであろうと考えております。
一方で、この概算要求に計上することにしたということの御説明に来られた当時の小野寺防衛大臣は、私との面談の中で、しっかりと地元の皆様に御説明させていただいて、一つ一つ御理解いただく努力を続けていくスタートだというふうにおっしゃっておられます。私もそのとおりだろうと思っております。
「なぜ国は急ぐのだろうか、知事の所見を」ということでございます。
私自身の印象から見て、国は本当にそんなに急いでいるのかなという点がよくわかりません。七月に副大臣が来られて、そのときから、例えば、秋になれば漁民の方々はノリでお忙しいということは国も御存じだったはずでございます。だとするならば、本格的にノリで忙しくなる前に、漁民の方や漁協の方、あるいは周辺の方々にもお話を重ねられるというようなことをされるのかなと思って見ておりましたけれども、まだそういった段階にはなっていないようでございまして、私から見ると、何か余り急いでおられないような印象を受けているところでございます。
もちろん国が、佐賀空港を含むさまざまなところを候補地として検討していたというところでございましょうが、今回、こうしたことで要請に来られた背景としては、昨年の十二月十七日に、平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱及びこの大綱に基づきました平成二十六年度から平成三十年度までを対象とする中期防衛力整備計画が閣議決定されておりまして、今回、配備の要請がなされておりますティルトローター機十七機については、それを導入するということがこれらの計画に盛り込まれておりますので、このティルトローター機の十七機の導入を、この計画に基づいて実行できるようにあらかじめ所要の措置を講じておく必要があると、そういうお考えのようでございまして、あらかじめ所要の措置を講じておく必要があるとの考え方から、平成二十七年度の概算要求に所要の経費を計上したものであるという説明を私どもとしては受けているところでございます。
次に、七月二十二日、副大臣が要請されてから今日に至るまで、何回か説明会や面談が開催されたにもかかわらず、具体的な情報提供がなされていないということについて、何点か御質問をいただいておりました。
まず一点目、国の情報提供についてですが、軍事機密だから提供できないと言われたことがあるかというお尋ねをいただきました。
国からは、軍事機密だということを理由に答えられないと言われているものはございません。まだ整理ができていないとかということで返事をいただいていないものはありますけれども、軍事機密だから、あるいはそのような趣旨で答えることができないと言われたものはございません。
次に、知事は何をもってして最終判断をしていくのか、あわせて
状況いかんによっては防衛省の要請に対してノーという選択肢もあり得ると考えているのかどうかというお尋ねでございます。
これについては、まず何をもって判断していくのかということについてお答えを申し上げます。
今回の国からの要請については、佐賀空港の設置者、管理者として、今回の国からの要請を考える大前提となります、佐賀空港の民間航空機の使用や今後の発展に支障がないのかということ、これが何よりの前提でございまして、これがクリアできないということになりますと、もう私どもとしては、防衛省からの要請ではありますけれども、わかりましたという返事はできないということになるだろうと思っております。
また、これとは違った意味でございますけれども、県民の安全・安心を守る立場で、県民の代表として県民の安全が確保されるかということ、県民の安心が得られるかということ、こうしたことについて県としての判断が求められていると考えております。
現時点では、佐賀空港の民間航空機の使用や今後の発展に支障がないかどうかということについて、大きなキーとなるのが飛行ルートがどうか、回数がどうか、そういったところでございますけれども、こうしたところについてはまだ国からの説明が十分尽くされていないという点もございます。ですので、国に対してさらなる情報提供や説明を求めているところでございます。現時点でどうかと言われますと、現時点では今回の要請に対してイエスともノーとも判断できるような材料がそろっていない、判断できる状況にはないと答えざるを得ないと思っております。
イエスということもあれば、ノーという選択肢もあるのかということについては、それは防衛省のお答え次第ということになろうかと思っております。あらかじめ何か結論を決めているというわけではございません。
県としては、こうした疑問点やよくわからないことについての国からの説明が尽くされ、県としての判断ができるようになった時点で、地権者や周辺住民の状況、佐賀市などの意見や理解の様子、また県議会などにおいてどのような議論がなされるかを見ながら総合的に判断をしたいと考えているところでございます。
次に、自衛隊と米軍について、これは分離して可否を判断すべきではないかということの御質問をいただいております。
米国海兵隊の佐賀空港の活用の内容については、国からは訓練移転を想定しているけれども、さらに沖縄の負担軽減の観点から、佐賀空港の有効利用について米側と相談をしていきたい。米側と話が調い次第、相談をさせていただきたいと説明を受けているところでございます。現在、まだその内容は明確になっておりません。
という状況でございますので、もちろん平成二十二年三月の
佐賀県議会の決議というのは重々承知をいたしているところでございますが、自衛隊と米軍の使用要請に対する可否の判断について、切り離して判断することができるのか、あるいはそれはできないのか、私自身も正直まだ道筋がよく見えないところでございます。ですので、今の段階でそれは切り離して判断するとか、それはなかなか難しいとかいうことをちょっと断定的に申し上げることができない状況でございまして、その点はどうか御理解を賜りたいと存じます。
次に、仮に
オスプレイが配備された場合、あくまでも民間機を優先させるという確約書のようなものをとることはあり得るのかということでございますが、これまで私どもが調査をしたほかの類似の空港においては、何らかの形で取り決めをしているということは確認できております。
ただ、今回の国からの要請に対する判断の際にどうするのか、確約書をとるのかどうかという点については、そもそもこの要請に対してどうするのかということについて、まだ判断する状況にはないと思っておりますので、現段階で仮に配備される場合には確約書のようなものをとりますとか、それはとりませんとか、そういったことについて、正式に私の考えを申し上げるようなこうした場においては、現時点では何とも申し上げられないというところでございます。いわばちょっと先を行き過ぎているのかもしれないと思っておりまして、そこも御理解賜りたいと存じます。
次に、目達原の駐屯地についてでございます。仮に防衛省の要請を受け入れることとなった場合、吉野ヶ里町やその周辺自治体のダメージに対し、どのようなフォローやケアを行っていくのかというお尋ねでございます。
これにつきましても、確かに仮にそのようなことが起きるとした場合には、この地域にとっての大きな変化というものが生じてくるであろうということは想像にかたくないと思っているところでございますが、そもそも申し入れベースのものが、果たしてこれからの議論によってどのようなことになるのかということが全く見えていかない状況でございます、私どもが聞いておりますのはこのヘリ部隊が全部移転をするというようなお話でございますけれども、果たしてそれがそのとおりになるのかどうかということについても、まだはっきりとはわからない状況だと私は思っておりまして、ということは、ヘリの部隊が、全部なのか一部なのかわかりませんが、移転をした後にどういう状況になっていくのか、他の機能というものを含めて目達原の駐屯地が活用されるのかどうか、そういったことも含めて、私どもには御説明をいただいていない、明確になっていないと考えておりまして、移転後に吉野ヶ里町にどのような影響があるのか、またそれに対してどのように対応していくのかということについては、今申し上げるという段階にはないと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
10 ◎西中統括本部長 登壇=私からは、大きく二つの項目について御答弁申し上げます。
まず一つ目が、佐賀空港の
オスプレイ問題につきまして、対策チームの情報収集の状況についてでございます。
対策チームといたしましては、これまで自衛隊が日常的に利用をしております民間空港の調査を行いましたほか、佐賀空港の民間空港としての使用や発展に支障が生じないかや、県民の安全・安心を守るという視点で、疑問点やよくわからない点につきまして、九州防衛局を窓口に国とやりとりをし、説明を求めているところでございます。
各分野でどこまで明確になっているのかという点につきまして、県議会の説明と重複する点もございますけれども、主な項目の状況をお答えさせていただきます。
まず、なぜ佐賀空港かについてでございますが、国のほうからは、水陸機動団の配備地の佐世保に近い、北部九州に存在する他部隊と連携しやすいという防衛政策上の観点、滑走路の長さ千五百メートル以上という施設の能力的な観点、周辺に市街地がないという周辺環境の観点、三十ヘクタール以上の一団の土地の確保のしやすさという観点、
目達原駐屯地の抱える課題解決上の観点などから総合的に検討して、佐賀空港が最適と判断したとの説明があっております。
このうち、防衛政策上の観点に関連いたしまして、なぜ海上自衛隊の大村飛行場ではないんですか、その隣の長崎空港ではだめなんですかという点につきましては、大村飛行場は滑走路が足りない、また市街地化が進み用地確保が難しい、長崎空港は用地の確保が難しいとの説明があっているところでございます。
それから、
オスプレイの安全性につきましては、導入当初、十万飛行時間におけます事故件数というのがございまして、それを見ますと、量産決定後、二件であると。これは、米軍の軍用機の中では平均以下で最少の部類に入ること。このことは、
目達原駐屯地所在の機種よりも少ないといった説明があっているところでございます。
また、
オスプレイの騒音レベルについてでございますが、自衛隊が運用する他のヘリコプターなどと比べて著しく騒音レベルが高まることはないと。地上千五百フィート──約五百メートルのところでございますけれども、これは飛行モードによるんですが、ピアノとか犬の鳴き声、あるいはそのモードによっては電車が通るときのガード下に相当する大きさで、CH46というヘリコプターと比較していずれも小さいという説明があってございます。
それから、風圧についてでございます。
風圧については、上空六メートルでホバリングをした場合に、半径約十三メートルの範囲で毎秒の平均風速が二十五メートルから三十メートルの下降気流が発生するというふうにされてございますけれども、この点について、海上でこのような低空でホバリングすることはないので、影響はないですという説明があってございます。
騒音とか風圧につきましては、基本的な飛行ルートを踏まえた説明が求められると考えておりまして、国にはさらなる情報提供と説明を求めているところでございます。
以上のほか、基本的なデータといたしまして、九州防衛局管内の主な防衛施設の場所や
目達原駐屯地の状況などについて確認をしているところでございます。
続きまして、心肺蘇生に係る応急手当ての普及啓発につきまして、四点お答えをさせていただきます。
まず一つ目が、応急手当ての講習についてのうちのAEDを使用した講習の実績についてのお尋ねがございました。
県内の各消防本部におきましては、一般住民の方を対象に、AEDを使用した応急手当て講習といたしまして、消防庁が定めました「応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱」というものがございますけれども、これに基づいて救命講習が実施をされております。
平成十八年におきましては合計三百八十一回実施されまして、約七千名が受講されました。これが開催回数、受講人数ともに最高でございます。直近の実績といたしましては、平成二十五年の実績として二百六十五回、約四千四百名の受講となってございます。
なお、参考までにでございますけれども、各消防本部以外の住民の方を対象にしたAEDを使用した救命講習としては、日赤の佐賀県支部においては平成二十五年度に約七千百名の方、そして消防学校におきましては、消防団員や女性防火・防災クラブ、事業所の自衛消防組織の方々を対象に、平成二十五年に三百四名の方が受講されておりまして、AEDを使用した救命講習が始まりました平成十七年以降の累計で申し上げますと、県内では延べ約十万四千人の方が講習を受講されておられます。
次に、講習の内容についてのお尋ねがございました。
各消防本部では、救命講習におきまして、AEDの使用法とあわせまして、人工呼吸法や胸骨圧迫法──いわゆる
心臓マッサージでございます──を初めとした基本的な
心肺蘇生法についての講習を実施されておられます。
また、日本赤十字社の佐賀県支部や消防学校において行われる講習におきましても、同様に人工呼吸法や
心臓マッサージの講習が行われておりまして、いずれの講習実施機関におきましても、受講者が実際の現場におきましてより効果的な応急手当てを行えるようなカリキュラムとなっているところでございます。
次に、講習の実施場所についてのお尋ねがございました。
議員からも御指摘ございましたように、こういった講習は県内の各消防本部や日赤はもとより、より広くAEDの使用を初めとした救急処置についての関心と理解を広めるために、救急の日、九月九日などに合わせて、集客力のある
大型商業施設での講習や事業所で行われております。このほか、地域の求めに応じて積極的に職員が出向いていく出前講習なども実施をされております。
さらに、消防学校や消防本部の講習を修了した地域の消防団員や女性防火・防災クラブ員の方々が、それぞれの組織内で構成員を対象にした講習会を実施されているほか、地域におけます行事や防災訓練などの際に、習得した基本的な
心肺蘇生法やAEDの使用法の講習を実施されておりまして、住民の方々にとって身近なところでの普及活動も行われているところでございます。
私から最後でございますが、今後の取り組みについてのお尋ねがございました。
議員からも御指摘いただきましたように、基本的な
心肺蘇生法は、一度講習を受ければ誰でもすぐに身につくというものではないと認識をしてございます。一度受講された方も二度目、三度目と繰り返して講習を受けていただくことで、この心肺蘇生に係ります知識と技術をしっかりと身につけていただき、万が一の場合には自信を持って応急手当てを行っていただけるよう、習熟度を高めていくことが重要であると考えております。
そのため、県といたしましては、各消防本部や日赤の佐賀県支部などの講習実施機関に積極的に働きかけて、繰り返し講習を受講できる機会を設けていきますとともに、未受講の方には、まずは講習会を気軽に一度は受講をしていただいて、応急手当の重要性や応急手当の具体的な手順について理解をしていただくこと。そしてまた、各消防本部を通じて県内のAEDを設置しております施設や事業所の管理者、多くの人を集客する会合であるとかイベントの主催者、さらには消防団、あるいはスポーツの関係団体などに対しまして、従業員や関係者の方々の講習の継続的な受講を呼びかけていくこと、こういったことによって、万が一、応急手当てを必要とする事態が発生した場合には、その場に居合わせた方の中に応急手当てができる人がいるという環境になるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上、お答え申し上げます。
11 ◎船津健康福祉本部長 登壇=私からは、
高次脳機能障害者への支援に関して五点お答えをいたします。
まず、
高次脳機能障害者への支援の課題の認識についてということでございます。
議員から御指摘ございましたように、
高次脳機能障害は、脳血管疾患や転落、交通事故による頭部外傷などにより、脳が損傷を受けることが原因で起こる精神疾患であります。しかしながら、外見上は健常者と変わらないために、暮らしていく中で、あるいは仕事をしていく中で、本人の生活上の支障や周囲とのトラブルが生じることがございます。県民の方の中には、まだ、
高次脳機能障害はこのようなものであることを十分に理解されていない方も多く、この普及啓発が課題というふうに考えております。
また現在、
高次脳機能障害者に対する医療面や就労面からの相談対応を行うため、
佐賀大学医学部附属病院を
高次脳機能障害者支援拠点機関に指定をし、
支援コーディネーターを配置しております。しかしながら、
高次脳機能障害者の方々はさまざまな悩みをお持ちでありまして、まだ十分には対応できてない点もあるかというふうに認識をしております。
県としては、これらの課題を解消するために、例えば、リーフレットを作成、配布するとか、
高次脳機能障害者のリハビリテーション講習会も実施しております。また、県立の地域生活リハビリセンターにおきまして、
高次脳機能障害者の方が早期に社会復帰できますように、機能訓練や生活訓練などの充実に取り組んできているところでございますが、今後も関係者の皆様と協議をしながら、支援の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
次に、市町の相談窓口の対応についてお答えいたします。
高次脳機能障害者は、障害を受けた脳の部位や損傷の程度で症状も異なるために、一律な支援ではなく、個々のニーズに応じたきめ細かな対応が求められます。このため、できるだけ身近なところで相談ができるよう、市町での相談体制を充実させることが大変有用であるというふうに考えております。しかしながら、マンパワーの不足や支援の難しさもありまして、市町の対応には温度差があることも承知をしております。
各市町には、身体障害、知的障害、精神障害の三障害に関する相談を総合的に受け付ける総合相談窓口が開設されております。
高次脳機能障害につきましても、この総合相談窓口でしっかりと対応していただくことが必要であるというふうに考えております。
このため、県といたしましても、障害者全般への支援体制に関する課題についての情報共有や関係機関の連携強化などを図るために、障害者総合支援法に基づき、市町に設置しております自立支援協議会の場などを活用いたしまして、
高次脳機能障害者の支援に関する情報を提供するなど、市町の総合相談窓口の職員の理解、促進とスキルアップに努めてまいりたいというふうに考えております。
次に、
高次脳機能障害者を受け入れる
医療機関リストの公表についてでございます。
現在、県内の
高次脳機能障害に対応できる医療機関のリストにつきましては、医療、福祉、就労、教育等の関係者や家族の代表者などで構成します
高次脳機能障害者支援推進委員会で検討して作成をしております。
このリストは、
高次脳機能障害者やその御家族から、行政や
支援コーディネーターが相談を受けた場合に、適切に医療機関を紹介するために、それぞれの医療機関の専門分野や対応可能な医療機能などに応じて、約五十カ所の医療機関をリスト化したものでございます。このため、さまざまな症状をお持ちの
高次脳機能障害の方やその御家族が、直接、医療機関に連絡をされても、連絡を受けた医療機関では、その方に応じた対応ができない場合もございます。また、他県におきまして、リストを公表したことでトラブルが生じたこともあるというふうに聞いております。
このようなことから、現在、
高次脳機能障害者や御家族の方々に対してリストの公開は行っておりませんが、議員御指摘になったように、リストを公開することで、これらの方々にとっては問い合わせできる窓口がわかりやすくなるという点もございます。今後、
高次脳機能障害者支援委員会におきまして、公開の方法や公開するリストの内容などについて検討してまいりたいというふうに考えております。
次に、
高次脳機能障害者リハビリテーション講習会のあり方についてでございます。
このリハビリテーション講習会は、現在、年二回開催をしておりますが、そのうち一回は、障害特性の概要等につきまして、
高次脳機能障害者支援推進委員会の委員の先生方から推薦いただいた講師に依頼をし、もう一回は、その時々の
高次脳機能障害を取り巻く課題につきまして、
高次脳機能障害者や御家族の方々が要望された講師に依頼を行いまして、その都度、テーマに応じた講習を行っているところであります。
研修の内容につきましても、御家族の方々の意見をお伺いした上で企画を行っているところでありますけれども、例えば、症状に応じた対応や事例検討などといった具体的なことも講習内容に盛り込みながら、さらに充実した研修となるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
私からは最後でございますが、
高次脳機能障害者支援センターの設置及び
支援コーディネーターの増員についてお答えをいたします。
他県で開設されております
高次脳機能障害者支援センターを見てみますと、診療、リハビリテーション、相談支援、普及啓発、人材育成など、
高次脳機能障害を総合的に支援することができる施設というふうになっております。
県内には、一カ所におきまして、全ての機能を有する施設はございませんけれども、
佐賀大学医学部附属病院内に設置している
高次脳機能障害支援拠点機関においては、医療や相談支援業務、普及啓発、人材育成等を行っております。また、身体障害者の機能訓練を目的としている県立地域生活リハビリセンターにおきましては、新たにことしの四月から
高次脳機能障害者の生活訓練も実施しているところでございます。
現在の状況といたしましては、まだ
高次脳機能障害者や御家族のニーズに対し、十分満足を得られるような支援を提供できているとは言いがたい面もございます。現場の関係者の方々の意見を十分聞きながら、支援体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
また、相談業務や関係機関との調整を行います
支援コーディネーターの増員につきましても、その必要性を認識しております。平成二十七年度の増員に向けまして、関係者と協議をしていくこととしておりまして、その際には議員から御指摘がありましたように、適切な方を選任できるように努めていきたいというふうに考えております。
私からは以上でございます。
12 ◎石橋農林水産商工本部長 登壇=私からは、水田農業の振興についてのうち、米価の低落に関する見解と、今後の販売対策について御答弁させていただきます。
まず、米価の低落に関する見解でございますが、本年産の米価につきましては、米の需給見通しを上回る米の需要の減少ということがございまして、平成二十六年六月末の民間在庫量が二百二十二万トンということで、過去十年で最高水準であった前年とほぼ同じ水準となってございます。また、八月十五日時点における今年産の水稲の全国の作柄見込みによりますと、ほとんどの産地で平年並み以上の作柄が見込まれてございます。そうしたことから、厳しい米価が予想されるところでございます。
今後、国内では人口の減少や高齢化率の上昇ということが確実に見込まれております。また、米離れということで、一人当たりの米の年間消費量も平成二十四年度には五十六・三キログラムと、ピーク時でありました昭和三十七年度の約半分にまで落ち込むということで、その消費量も年々減少してございまして、この傾向は今後とも続くということで考えられます。こうしたことから、今後とも米の需要の減少が見込まれるところでございまして、米の販売は厳しい状況が続くのではないかというふうに考えてございます。
今後の販売対策でございますが、本県産の米が生き残っていくためには、何よりも一層高品質な佐賀米の生産に注力していくということが最も重要でございますが、それに加えて、県産米の存在を際立たせ、他県産米との差別化を図り、より多くの消費者に佐賀県産米を選んでいただけるというふうにしていく必要がございます。このため県では、農業団体などと連携しまして、米専門店や卸業者の協力を得ながら、例えば、神埼市の城田西カントリーの「プレミアム天使の詩」でございますとか、伊万里市の深山米部会の「深山清流米」など、きめ細やかな栽培方法や調製基準を徹底した、いわゆるこだわりの佐賀米の育成とそのPR、あるいは県内や福岡県における「さがびより」のCMの放送、あるいはフリーペーパー等でのPRなどに取り組んでいるところでございます。
今後とも、全国に向けた発信力を持つ大都市圏の卸業者や米専門店とタイアップした取り組み、あるいはメディアを生かした宣伝活動などに積極的に取り組んでいくこととしてございます。
また、消費拡大に向けた取り組みも必要と考えておりまして、現在、米を使った料理教室等へのサンプル提供でございますとか、米粉を使った新たな需要への対応などに取り組んでいるところでございます。
また、そうしたこととあわせまして、先ほど申し上げましたように、国内市場が今後縮小していくことが予想されることから、海外の有望な市場に向けた輸出にもチャレンジしていく必要があると考えているところでございます。このため、特に検疫要件などの輸出障壁が低く、食味や安全性などにこだわりを持つ日本料理店が多い香港でございますとかシンガポールなどをターゲットとして「さがびより」などの輸出を開始したところでございます。
今後とも、輸出業者や現地の輸入業者と連携いたしまして、現地量販店などにおける試食販売やPR、現地バイヤーが参集する商談会への出展、あるいは日本料理店など、業務用需要の掘り起こし、こうしたことに取り組みながら、米の輸出にも力を入れていくこととしてございます。
いずれにいたしましても、米は本県の水田農業の基幹品目でございまして、農家経営の中でも重要な位置づけとなっているところでございますので、米の販売対策につきましては、生産農家が安心して営農に取り組めるように、引き続き関係団体や事業者と一体となって、多方面にわたりしっかりと取り組んでまいります。
以上、お答えいたします。
13 ◎副島県土づくり本部長 登壇=私のほうから、城原川の治水対策について二項目四点をお答えいたします。
まず、
城原川ダムの現在の事業内容についてでございます。
城原川ダムは、検証中のダムとなっておりまして、検証が進まない限りは新たな段階に入らないこととされてございます。このため、現在、治水対策を進めるために必要な雨量、流量などの水理・水文調査や、鳥類、昆虫類、景観などについての環境調査などが継続して行われている状況にございます。
続きまして、「検討の場」における
学識経験者等の意見の反映についてお答えいたします。
検証におきます実施要領細目では、地域の意見を反映させるため、住民意見を代表して述べることができる「関係地方公共団体からなる検討の場」を設けることとされております。さらに、この「検討の場」を公開するとともに、主要な段階でパブリックコメントを行い、広く意見を募集することとなってございます。
その上で、学識経験を有する者、関係住民、関係地方公共団体の長の意見を聞くこととされておりまして、これらの過程を経ることによりまして、
学識経験者を含め、さまざまな人の意見を反映させるようになってございます。この進め方は、「今後の治水対策のあり方に関する
有識者会議」で提言されているものでございまして、基本的にはこれに沿って進められるものと考えているところでございます。
このような中でも、議員から御指摘がございましたように、より客観性を高められるように検証に当たっては早い段階から情報提供を行っていただくなど、
学識経験者を含むさまざまな分野の方々からの意見が反映されるよう、国にお願いしてまいります。
また、今後のスケジュールでございますが、
城原川ダムにおきましては、ことし五月に行われた地元説明会で、国からできるだけ早く具体的な動きが示せるよう努力するとの発言もございまして、何らかの動きがあるものと期待しているところでございます。
現時点では、まだ国からダム検証のスケジュールは示されておりませんが、早急な治水方針の決定に向けまして、県及び地元市の協力のもと、今後も国に対して一日も早く検証を進めていただくようお願いしていきたいと考えているところでございます。
私から最後の項目でございます。城原川の河川整備についてでございます。
現在、城原川におきましては、平成二十一年七月の洪水において、堤防からの漏水によるのり崩れが発生し、氾濫の危険性が高まったことから、堤防の弱い箇所から優先的に堤防補強が行われている状況にございます。
具体的には、漏水があった神埼橋付近の延長約五キロにおきまして、平成二十二年度から平成二十五年度にかけまして、災害対策緊急事業推進費などを活用しながら実施されたところでございます。平成二十六年度も引き続き、神埼橋下流右岸の本告牟田地区の堤防補強が予定されておりまして、引き続き下流部についても堤防補強や河道掘削を順次進められると聞いているところでございます。
また、河川の維持管理につきましても、定期的な河川測量や巡視等により、河川の状況を把握しながら、流下能力が低下しないように樹木の伐採や堆積土砂の撤去などによりまして、適切な維持管理に努められていると聞いているところでございます。
具体的には、平成二十一年度、堂地大橋上流付近におきまして、この橋は、県道佐賀大川線の橋梁でございますが、そこにおきまして、二万五千立方メートルを、平成二十五年度は佐賀江川合流付近におきまして、一万五千立方メートルのしゅんせつ等が行われたと聞いておるところでございます。また、平成二十四年度には、新橋付近、これは県道市武諸富線の橋でございますが、河川内に繁茂をした樹木等の伐採を四千平方メートル実施されたと聞いているところでございます。
今後も城原川の堤防補強などの必要な河川整備とあわせまして、堆積土砂の撤去などによります適切な維持管理についてもしっかりと取り組んでいただくよう、国に働きかけてまいります。
私からは以上でございます。
14 ◎古賀生産振興部長 登壇=私からは、水田農業の振興についてのお尋ねのうち、大豆、麦の生産振興についてお答えをいたします。
大豆や麦につきましては、水田農業に取り組む生産者の所得確保を図る上で極めて重要な作物でありますことから、生産コストの低減とあわせまして、議員からもお話しがありましたように、これまで以上に単収の増加や品質向上に積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
大豆や麦はもともと畑作物でありますので、本県のように水田で栽培をする場合には排水対策が不可欠でございます。このため、国の事業を活用して老朽化した暗渠の再整備を行っているところでございまして、今後とも必要な整備を進めていくこととしております。
また、栽培管理につきましては、病害虫や雑草の防除などの基本技術の徹底とともに、大豆では今年のような気象条件が悪いときでも安定した収量が期待でき、大幅な低コスト化が可能な不耕起播種技術の導入。麦では、耕うんと播種を一工程で行い、収量増につながる逆転ロータリー──アップカットロータリーと言われておりますが、こういった新技術の普及などを推進しているところでございます。
特に大豆の不耕起栽培技術につきましては、昨年の約二百五十ヘクタールから、今年は約四百二十ヘクタールと増加をしているところでございます。とりわけ今年は、大豆が天候の影響から残念ながら生育が悪い状況がございますが、こうした新技術の効果につきましてきちんと検証して、今後の普及に生かしていきたいと考えております。
また、これらの栽培管理技術や新技術につきましては、毎年、大豆や麦の作付前に開催をしております研修会などによりまして、生産者や関係者などに周知をし、実施の徹底をお願いしているところでございます。さらに、関係の技術者から編成をいたします、例えば、麦高品質生産技術指導チームなどによります現地巡回指導を行いますとともに、これらの新技術などに必要な機械の導入に対しまして、県の独自事業によりまして支援を行っているところでございます。
いずれにいたしましても、水稲に大豆や麦などの畑作物を適切に組み合わせた水田農業の確立は、本県農業の振興上、極めて重要でございますことから、今後とも大豆や麦の生産振興に積極的に取り組んでまいります。
以上、お答えいたします。
15 ◎池田教育長 登壇=内川議員の御質問にお答えをいたします。
学力向上対策について、四点御質問がございました。
まず、全国学力・学習状況調査の結果の要因、目標達成に至らなかったその要因は何かというお尋ねでございました。
教科に関する調査では、議員御指摘のとおり、国から示された標準化得点で見てみますと、小学校六年生では四区分中三区分は全国平均以上となりましたけれども、中学校三年生では四区分とも全国平均に達しておりませんでした。昨年度と比べまして、小学校は幾分改善傾向にあると考えておりますけれども、中学校では改善が見られず厳しい状況であると受けとめております。
その要因につきましては、さまざまあると思われますけれども、文部科学省が教科の正答率との関係が見られる項目として挙げております学習規律──これは私語をしないとか、話をしている人のほうを向いて聞くなど、こういった学習規律の維持徹底、それから、調べたり文章を書いたりする宿題を与える、こういった質問項目が全国平均を下回っておりまして、授業態度や家庭学習の取り組みが要因の一つではないかと考えております。
次に、福井県、秋田県に教員を派遣してどう指導方法が変わったのかといったようなお尋ねであったかと思います。
今回の全国調査のうち、学習環境等に関する調査の結果を見てみますと、授業の冒頭で目標──これは目当てとか狙いですけれども、目標を示す活動を計画的に取り入れること。それから、授業の最後に学習したことを振り返る活動を計画的に取り入れることなどにつきまして、昨年度と比べて肯定的な回答が増加し、全国平均も上回っているところであります。このような取り組みは秋田県及び福井県で積極的に行われている取り組みでありまして、本県の多くの学校で両県の取り組みを取り入れた指導方法が改善されてきているものと考えております。
しかしながら、議員からはそういった指導方法の導入にもかかわらず目標達成に至らなかった要因をどのように捉えているのかといった御指摘がございました。
秋田県、福井県の効果的な指導方法につきましては、昨年度、各小中学校の管理職や学力向上対策コーディネーターを対象に研修会等を開催いたしまして、その内容についてはそれぞれの学校の教員に伝達されたところであります。
こうした秋田県及び福井県の取り組みを参考に、各学校では昨年秋以降、指導方法等の改善に取り組み始めたところでありますけれども、個々の教員まで十分浸透しているとまでは言えず、そのことが目標達成に至らなかった要因ではないかと考えております。
このようなことから、本年度は秋田県及び福井県への派遣教員を本県の学力向上推進教員として課題のある学校に配置しまして、チームティーチングの授業を通して、指導方法等について他の教員への指導、助言を行っているところであります。
また、県の教育委員会としては、秋田県及び福井県の効果的な取り組みを広く県内に広げていくことが必要と考えておりまして、今後、各学校で、日々、授業改善に取り組む教員の参考としてもらうために、学力向上推進教員を講師とする授業実践に係る研修会を県内三地区で開催することといたしております。
最後にですけれども、学校現場の意見聴取についてのお尋ねでございました。
県教育委員会といたしましても、教員が主体的に教育活動に取り組むことは重要であると考えておりまして、今後、学校現場との意見交換をしながら学力向上対策を進めていくことといたしております。
具体的には、県教育委員会の指導主事が市町教育委員会と協力しながら、県内の各小中学校に赴き、おのおのの学校が抱える課題について情報を共有し、取り組み事例の情報提供を行うなど、課題解決に向けての具体的な助言を行いますとともに、学校現場での学力向上の取り組みについて教員と意見交換をする場を持つことといたしております。
いずれにいたしましても、各学校が抱える課題はそれぞれでありますので、県教育委員会といたしましては、市町教育委員会と連携協力して、各学校の実情をよく把握しながら、学力向上に向けた必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
私からは以上であります。
16 ◎内川修治君 登壇=それでは、何点か再質問をさせていただきたいと思います。
まず、知事に対して
オスプレイの再質問でございますけれども、基本的には、古川知事はこの
オスプレイの配置問題については、まだまだ判断する状況にないと、まだそういう時期でないというようなのが基本的なお答えかなと思うんですね。それはよくわかりました。いわゆる私の自衛隊と米軍を分離して考えてくれたらというような問いかけに対しては、知事の答弁はわかったんですが、やはり私は平成二十二年三月に出された
佐賀県議会の決議というものの重み、これは知事にしっかりと受けとめていただきたいと思うんですね。
この決議を一部ですけれども読ませていただきますと、皆様も多分頭の中に入っておられると思いますが、再度読んでみたいと思います。「米軍基地の問題については、その大部分を沖縄県のみに依存してきた過去に対する沖縄県民の怒りや苦しみは十分理解するものであり、国全体の問題として考える時期に来ている。しかしながら、県民が平和に暮らし、秋にはバルーンが舞う風光明媚な佐賀平野や、豊かな恵みに育まれた有明海の上空を米軍機が飛び交う姿など、想像することもできず、佐賀県民として到底受け入れられるものではない。」という文章がこの決議に入っているんですね。
ですから知事は、これは議会の問題とはいえ、この問題については非常に判断材料の一つにしていただきたいということと、それと、実は昨日、一般質問の中で、ある議員さんの質問の中に、私は、その質問に対して古川知事の答弁の中で物すごく驚くというか、ちょっと「えっ」という部分があったんですね。それをちょっと、これは再質問という形になるかどうかわかりませんが、これは判断材料の一つにしなきゃいけないかなと思ったもんですから、少しそのことについて触れさせてもらいます。
きのう、ある議員さんの質問に対し、知事がこういう答弁をなさっています。「次に、佐賀空港に
オスプレイ等が配備されると、佐賀空港が攻撃の対象になっていくのではないかというお尋ねでございます。そのような心配の声があることは私も承知をしております。政府からは、以下のような説明を受けております。万が一、我が国への攻撃の予兆などが確認されれば、その攻撃の対応に応じて必要な措置をとることとしています。また、我が国に弾道ミサイルによる攻撃の予兆が確認された場合には、全国に十一カ所ある弾道ミサイルを探知、追尾するレーダーなどを張りめぐらせて、イージス艦や迎撃ミサイル部隊を展開させるなど、佐賀空港はもちろんのこと、我が国を守るために万全の態勢をとりますとのことでございます。」と。それで、このことについては、「御心配されている地域住民の方がいらっしゃるのは事実でございますので、政府はこうした点をしっかりと説明していただきたいと考えているところでございます。」という答弁をきのう知事がされているんですね。
私、この答弁はとりようというか、私のとり方がおかしいのかもしれませんけれども、まだまだ情報がほとんど入ってきていないとおっしゃっている知事のお言葉から、もう既に政府の人からこういうような説明を受けていますと。もし有事の際に、本当に佐賀空港が軍事空港としてなっているならば、場合によっては、佐賀空港を初め、佐賀県にもそういった敵国の攻撃があり得るかもしれませんと。もちろん我が国の迎撃能力というものは高いでしょうから、そんな心配は要りませんよというようなことをおっしゃっているんですよね。
私は、こういうことがあり得る、よしんば、我が国の迎撃能力がどんなミサイルが来ても完全に撃ち落とすとか、防御するとかいう能力が一〇〇%あるにしても、いざ有事になったら、佐賀県が、あるいは佐賀空港がそういう攻撃の対象になり得るんですよということを言っているわけですね。ということは、県民の皆さんにもこういうことはあり得るんですよという判断材料の一つにすべきだと私は思うんです。
私は、きのう知事の言葉を聞いていて、ちょっと本当に自分の耳を疑ったんですが、もし佐賀空港がそういう軍事空港となれば、有事の際の敵国からのミサイル攻撃等々があり得る。きのうの一般質問の、いわゆる
オスプレイのやりとりをもし敵国が聞いていたとするならば、ひょっとしたら、まずは太良町に落とせと言ったかもしれません。
このように、これを知事がおっしゃったこと自体、私は非常に驚くところでありまして、もし知事が、本当に判断材料まだ何にもないと、なかなかそういう時期にないとおっしゃっているならば、このこと自体をも佐賀県民に知らしめていただきたいんです。その点をお伺いしたいと思います。
それから、西中本部長の御答弁の中で、自衛隊の都合のいいデータばかりをきょうおっしゃったような感じですけれども、やはりこの対策チームというのは、佐賀県の、あるいは佐賀県民の皆さんの安全・安心を守るというスタンスに立って、国に対して受け身的でなく、対等以上の思いでしっかりと対策を推し進めていただきたいと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
それから、
高次脳機能障害の問題ですけれども、要望いたしました支援センター設置でございますが、先ほど本部長よりもいただきました、現場と一緒になって検討してみたいという答弁だったかと思いますが、この現場というのは、極端に言えば、医師とか、そういう専門家が中心となって現場を担っておられるんですね。そしたら、それに対して、県の職員あるいは県庁の皆さんが、なかなかこういう人たちに意見をすることが非常に雰囲気的に難しいというふうに聞いております。でも、やはりここで一番大事なのは、現場で働いているそういう担当者以上に
高次脳機能障害に悩む本人さんであり、そしてその家族なんですね。
ですから、こういう物事を判断する際には、やはり何と言っても当事者や家族の皆さんの意見をもっともっと重要視してほしいという思いで、こういうことに対する判断をしていただきたいんですが、それについてお伺いします。
それから、最後の再質問ですが、
城原川ダムの問題です。
先ほど本部長から説明がありました、最終的には
有識者会議の意見等々を判断に結論を出すだろうということでしょうけれども、やはり私が質問の中で申し上げたように、この
有識者会議自体が非常に疑問が多いというふうな意見が結構出されているんですね。
有識者会議自体が客観性、それから科学的な観点からの判断が非常に鈍っているとおっしゃっているグループ、このグループはどんなグループかといいますと、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」というのがあるんですね。呼びかけ人は京都大学の今本先生、慶應大学の川村先生、それから東京大学の宇沢先生とか、約九人の先生方がそういう会をつくっておられるんですけれども、そういった人たちはダム検証に対して非常に疑問を持っておられるんですね。ですから、やはり私はもうちょっと今、本部長の答弁で、こういう流れでちゃんと結論、決定、検証していますよということをおっしゃっていたんですけれども、やっぱり私は何度も指摘してきましたように、順番とかそういうところにまず課題があると思うんです。
例えば、「複数の治水対策案の立案」という項目が第五章にありますよね。これなんかも、中間取りまとめで二十六のいわゆるダムに頼らない治水方法を検討しましょうということなんですけれども、いわゆる検証は国交省の中でやってしまうんですね。検証するところには
学識経験者とか、あるいはそういった地元の人たちの意見は全く反映されない。そのことからして、私はもうこの検証機構というか、この取り組みは非常に疑問が多いんです。
もちろん、この国のやり方に対して、県がああだ、こうだ言うのはなかなか難しいかなと思うんですが、やはり何と言っても、最終検証する際に一番大事なのは、本当に客観的にきちっと判断されるかどうか、国の恣意的な部分を取り入れてしまったような、こういう
有識者会議のやり方では、多分、将来に禍根を残すと思うんです。
ですから、これはもう質問というか要望です。どうか本部長においては、この
城原川ダムの検証に際しては、本当にそういう客観的、科学的に対応、そういったところをしっかりと取り入れてもらうようにぜひお願いしたいと思います。
以上で再質問を終わります。
17 ◎古川知事 登壇=内川議員の再質問にお答えします。
私からは、昨日御答弁申し上げました、佐賀空港にティルトローター機を初め、防衛省所管の航空機が配備されると、有事の際にどうなるのかと、標的になるのではないかと心配する声もあるということに対する防衛省の見解を紹介した際のことでございました。
私どもは、いろんな方々から今回の要請を受けることによる不安の声、あるいは心配というものを耳にします。そのように耳にしたことについては、防衛省に伝えるようにしています。これが県民の声です、県民の不安があります、これらに対してあなた方はどう考えるのですかということのお尋ねをするようにしています。そういう県民の声を国のほうに伝えるのも私たちの大事な役割だと思っているからでございまして、昨日は、その不安の声の一つとして、有事の際のことについての防衛省の見解というものを私が紹介させていただいたということでございます。
私どもは、こうしたことについて、今、この防衛省の見解を佐賀県庁の見解にしているわけではございません。防衛省はこのようにおっしゃっておられますということで、このことについて、こうしたことをもって心配の住民の方々にぜひ国はしっかりと説明をしていただきたいということを国に対しても申し上げているところでございます。
私どもが、防衛省の見解をこのようにおっしゃっていますよということを防衛省のかわりになって説明をするということは、それは私どもの役割を超えることになるのではないかと思っておりますし、具体的に、これをどうするのかと聞かれたときに、私どもは答えを持ち合わせておりません。その意味では、こうしたことに対する不安の声に対しては、防衛省がしっかりとそこは説明をするという責任を果たしていただきたいと思っているところでございます。
なお、ここに書いてあることは、万が一の場合でございます。本来、こういったことはあってはならず、そうならないように全力を挙げて、外交的な措置を初め、さまざまな措置を講じていくべきだろうと考えておりますけれども、仮にこのようなことが必要な事態が生じた場合には、これは私の理解が間違っているかもしれませんけれども、そのような国家の緊急事態になったときには、仮に佐賀空港が、今回防衛省の航空機を受け入れていようがいまいが、そういうときには防衛上の協力するということをしていく一般的な義務というものはあるのではないかと思っております。
もともと空港は公のものでございます。仮に防衛省の航空機だからといって離発着を拒否するということはできません。それが一旦、国家を防衛するという必要が生じたような場合には、そういう国家防衛上の必要があって離発着するものについて、ノーと言えるのかというと、それは難しいのではないかと思います。(発言する者あり)それともう一つ、佐賀県内には目達原の駐屯地もございます。既に、防衛的な施設というものは配備をされているわけでございます。
いずれにしても、あらゆる力を結集してこうしたことにならないようにする努力がまず何よりだろうと思いますけれども、標的にされるのではないかと心配する声がありますよということをお伝えしたときに、防衛省の見解からは、以下のようなことがございましたといったことを紹介させていただいたというものでございました。
私からは以上でございます。
18 ◎西中統括本部長 登壇=対策チームのやりとりは、受け身ではなくて対等以上でやりとりをすべきではないかという御趣旨の再質問だったかと思います。
もちろん受け身の姿勢でやるというようなことではございません。先ほどの知事の答弁ともちょっと重なってしまいますけれども、我々自身が疑問に思うこととか、そういうことに限らず、マスコミとか県議会を通じて、あるいは直接県民の方から伺う疑問の点、あるいは心配の声、そういったものにつきましては、これまでも随時ただしてまいりましたし、今後もそういったものを随時そういうスタンスで質問をしてまいるということで、対策チームとしてはやっていきたいというふうに思ってございます。
以上、お答え申し上げます。
19 ◎船津健康福祉本部長 登壇=私のほうからは、
高次脳機能障害者の支援に関する答弁の中で、当事者の意見を聞きながら検討してまいりたいというふうにお答えしたことに関して、医師のみならず、障害の当事者の方々、あるいは家族の方の意見もよく聞いてほしいというふうな御質問だったかと思います。
我々、この支援体制を構築するに当たりまして、先ほども御答弁いたしましたが、
高次脳機能障害者支援推進委員会というのを設置しております。これは平成二十年につくったものですけれども、いろんな支援体制の推進を図るためというふうなものでございまして、この委員の中には、医療機関、あるいは医療関係者のほかに当事者団体ということでメンバーとしても入っていただいておりますし、こういう場でも意見を聞くことも当然できます。それから、こういう委員会の場でなくても、県のほうにおいでいただいたり、頻繁に意見交換をしている部分もございますので、当事者の方たち、家族の方たちの御意見を聞きながら、しっかり検討を進めていきたいというふうに思っております。
以上でございます。
20 ◎内川修治君 登壇=それでは、再々質問、一点だけ知事にお願いしたいと思います。
こうやって、私たちが聞けば答えるというか、聞かなければなかなか情報が出てこないとか、そういうことは、特に今回の
オスプレイ問題、やはり佐賀県民の皆さんは、いろんな情報が知りたい、いろんなことが知りたい。しかし、そういうところがある意味恣意的に、例えば隠されてしまうとか、そういうことは絶対にあってはならないと思うんですね。きょう私が読み上げる文書の中でも言いましたように、こんなはずじゃなかったというようなことが、本当に起こってはこれは大変なことになります。ですから、そういう意味において、知事を初め執行部の皆さんには、この問題については特に、特に情報が入り次第、本当に隠し事をすることなく、県民の皆さんにきちっとした情報を提供していただくことをお願いして、最後のお答えを聞きたいと思います。
21 ◎古川知事 登壇=内川議員の再々質問にお答えします。
議員から今御指摘をいただきました、私どもが入手した情報については、県民にしっかりと公開をしていくべきであるということについては、私どももしっかり肝に銘じてまいりたいと思っております。
その上ででございますけれども、こうした私どもが質問をいたします。答えが返ってまいります。ただ、私どもは、防衛や安全保障について、立場上、きちんとした知見を持っているわけではございませんので、さらにそこから質問があったりとか、これはどうなのと聞かれますと、もう一度、それは防衛省に尋ねないといけないというようなことになってまいります。私どもは私どもとして、議会や県民からしっかり果たすべきとされている役割を果たしてまいりますが、私どものほうとしては、ぜひ国にもその責任を果たしていただきたいと思います。
今回は国からの提案でございます。そして、国は私どもよりもはるかに、それに対する答えをお持ちのはずであります。その国が、しっかりと説明の責任を果たしていくということをやっていただかない限りは、私ども限りで全てを理解し説明をするということは、事この問題に関しては難しいという要素もあることを、どうか御理解賜りたいと存じます。
繰り返しになりますが、今、議員から御指摘をいただいた、入手した情報については、しっかりと県民に公開をし、共有をしていくべきということについては、これからもしっかりと肝に銘じてまいります。
22 ◎伊東猛彦君(拍手)登壇=通告に従いまして順次質問をいたします。
一項目めは、沖縄の負担軽減から見た今回の防衛省の提案についてであります。
我々日本人にとって忘れてはならない四つの日があります。八月十五日、終戦記念日。八月六日、広島原爆投下の日。八月九日、長崎原爆投下の日。六月二十三日、沖縄戦終結の日。この四つの日は、日本が敗戦国であるという事実、世界唯一の被爆国であるということ。国内唯一の地上戦が沖縄で行われたこと。沖縄に、今も在日米軍基地が七〇%以上集中しているという事実を我々に突きつけます。
広島で被爆された平山郁夫さんは、「広島生変図」という絵を描かれました。これは、一面真っ赤に燃え上がる広島の絵が描かれております。広島原爆ドームも小さく描かれております。その中で、不動明王が、不死鳥のように生きよと、広島よ生きよという思いで描かれております。ことしの八月に長崎県美術館で展示をされました。
私たち佐賀県の子供たちは、小中学校の折に必ず長崎で平和学習会を行います。それは、綿々と続いております。私たちは常に不戦の誓いを胸に刻まなければなりません。
安倍首相は、本年六月二十三日の沖縄戦没者追悼式において、次のように挨拶をされております。「我が国の暦には、格別の意味をもつ日付があります。老いも、若きも、静かに目を閉じて、私たちが、どこから来たかを振り返り、自らに問う日であります。そして、本日、また、その大切な日を迎えました。沖縄で失われた、二十万人もの尊い命、痛ましい犠牲、筆舌に尽くし難い苦難の歴史を経て、今を生きる私たちがあること、平和と、安全と、自由と、繁栄を、享受していることを、改めて、噛みしめる日であります。」。
私も、沖縄にはこの十九年間、三十回以上訪れました。沖縄を訪れるたびに、日本の戦後は終わっていないと痛感いたします。同じ九州の人間として、沖縄の負担を分かち合う責務があると常に思ってまいりました。
また、沖縄の負担軽減に関しては、全国知事会が平成二十二年五月に「普天間基地の移設及び沖縄県の負担軽減について」というタイトルで見解を表明しており、「政府から熟慮された具体的な提案があった場合には、関係する市町村や住民の理解を前提とし、それぞれの地域の歴史的な経緯を踏まえつつ、今後とも真摯に対応していく」とされております。
このような中、先ほど来から議論になった七月、八月に、当時の防衛副大臣、防衛大臣が相次いで本県にお見えになり、一つ、自衛隊が今後配備する予定をしているティルトローター機の配備先として佐賀空港を使用させてほしいこと。二つ、
目達原駐屯地の
ヘリコプター部隊についても、佐賀空港を使用させてほしいこと。沖縄の負担軽減のため、米軍海兵隊の訓練移転を含めて、佐賀空港を活用させてほしい、この三つでありました。
米軍の佐賀空港利用に関しては、
佐賀県議会は平成二十二年三月、「
米軍普天間飛行場の佐賀空港への移設に反対する決議」を可決しております。
今回の要請は、米軍海兵隊の訓練移転を含めて佐賀空港を活用したいということであり、普天間基地の移設先はあくまで辺野古であるという政府の方針は変わっていないと副大臣が断言をされております。
沖縄で実施されている米海兵隊の
オスプレイの訓練を、できるだけ本土に移転する中、佐賀空港も活用したいというものであり、沖縄の負担軽減の一つにつながると認識をしております。古川知事は、今議会の演告において、「国の安全保障に関する方針については、一般論として、地方公共団体は協力する立場にあると考えます」と述べられております。
そこで、次の点を伺います。
一つ、沖縄の負担軽減についてであります。
古川知事は、かつて沖縄での勤務経験もあられ、平成二十二年五月に全国知事会が声明をまとめる際には、沖縄の負担軽減のために「協力」するという言葉にこだわられたと聞いております。こうした経緯もあり、古川知事は、ほかの知事よりも沖縄に対する強い思いをお持ちだと思っております。
沖縄の負担軽減という観点から、今回の政府の要請について、知事はどのように受けとめられているかを伺います。
二つ目、新設される水陸機動団の一翼を担うことについてであります。
新防衛大綱には、一層厳しさを増す安全保障環境において、我が国を防衛するための柱として、我が国自身の努力、日米同盟の強化、安全保障協力の積極的な推進の三つのアプローチを示しております。
中期防衛力整備計画では、島嶼部への侵攻に対応するため、約三千人規模の水陸機動団が新設されることになっており、佐賀空港への配備を要請されている陸上自衛隊のティルトローター機は、その輸送に活用されると聞いております。新設される水陸機動団の役割の一部を佐賀空港に担ってほしいという防衛省からの要請について、知事はどのように受けとめられているか伺います。
二項目めに移ります。原子力行政についてであります。
「福島の復興なくして原子力の今後なし」、私は東日本大震災以降、そのことを常に肝に銘じ、真剣に向き合っていかなければならないと思い続けてまいりました。大震災が起きた年の九月、私が福島県庁の災害対策本部を訪ねた折、もう既に、オフサイトセンターも福島県庁の中に、本来の部屋を出される形で別館にありました。その折の県の担当の方が、「全ての皆さんが御自宅に帰られるまで私たちの仕事は終わらない」。私は、その言葉が強く残り、その過酷な覚悟と決意、また行動に頭が下がる思いでありました。
佐藤福島県知事は、中間貯蔵施設の建設受け入れを、大熊、双葉、両町長とともに、安倍首相に伝えられました。佐藤知事は、「地元に大きな負担を強いるが、本県の一日も早い環境回復と復興実現のため苦渋の決断をした」と述べられました。
私ども、昨年、総務常任委員会で原発から十キロ圏内の楢葉町に行って除染の作業を視察いたしました。一つの布で、裏表を使ったら廃棄。雨どいのところに放射性物質も集中して、家一軒の除染の作業、何十人も過酷な作業をされておりました。
また、福島市内にある飯舘村の避難所に行きましたところ、皆さんにお話を聞けば、半数の家族が分かれて避難、福島市を中心に、広域に分散。今後の勤め先、コミュニティーなど、多様な悩みを抱えておられました。福島県内の避難の方々は、今も十五万人以上が避難生活を強いられております。これらのことを踏まえて質問をいたします。
一つ、原子力規制委員会における審査状況についてであります。
原子力規制委員会では、昨年七月に新規制基準が施行されて以降、これまでに事業者から申請のあった全国の二十プラントについて、適合性審査が行われているところでありますが、去る九月十日には、全国で初めて川内原子力発電所について基準に適合していることが確認されたところであります。
原子力規制委員会の田中委員長は、玄海原子力発電所と高浜発電所についても基準地震動はほぼ了解されているところに来ていると発言されるなど、この二つのプラントが川内に次ぐ第二グループではないかと見られております。
私は、去る八月に、福井県の関西電力高浜原発を視察してまいりました。これまでの情報漏えいなど、関西電力もさまざまな事件、事故を起こしております。また、立地の状況も違い、津波についても、それぞれの原発が、真剣に新安全基準についての備えをされている現場を見てまいった次第であります。
玄海原子力発電所についても、遠からず審査に合格する時期が来るのではないかと思いますが、知事はどのように受けとめておられるのか。
二、国から協議があった場合の対応についてであります。
本年三月、参議院予算委員会において、安倍総理は、原子力発電所の再稼働を進めるに当たって、地元の理解を得ることについて、国としても全面的に支援をしていくと述べられており、再稼働の責任を担う強い決意を感じたところであります。
私は、この総理答弁を受けて、七月二日の県議会原子力安全対策等特別委員会において、再稼働の責任という観点で質問をいたしましたが、答弁によりますと、国は、地元の範囲や手続など、地域ごとに協議し対応するということで、具体的な進め方は示されていなかったと。私は、総理がおっしゃるこの強い意志、地元の理解という観点での具現化が、まだなされていないと痛感した次第です。
先般、九月十二日には、鹿児島県の伊藤知事が国に要請していた川内原子力発電所の再稼働に関する国の方針を示した文書が提出され、川内原発再稼働に取り組む国の姿勢を示されましたが、玄海原子力発電所について、審査がある程度進んだ段階で国から協議がなされるものと受けとめております。
私は、再稼働については、国がその枠組みなり手順を定め、地元の理解を得ようと責任を持って進めるべきと考えておりますが、国から協議があった場合、国に対してどのようなことを求めていこうと考えているのか、知事にお尋ねします。
三番目、原子力災害対策に関する国の認識についてであります。
鹿児島県の川内原子力発電所については、九月十二日の国の原子力防災会議において、万が一原子力災害が発生した場合の対応について、避難計画を含めた緊急時対応が具体的、合理的であることを、県や関係省庁が確認し了承したとされております。
玄海原子力発電所について、県や関係市町において、地域防災計画(原子力災害対策編)や避難計画が策定されておりますが、これらは国と共有すべきものであり、鹿児島県と同様に、国が確認、了承する形をとるべきと考えますが、知事がどう考えられるのか。
四番目、県民への説明についてであります。
川内原子力発電所が立地する鹿児島県は、去る九月十日、原子力規制委員会から設置変更許可が出たその日に、十月九日から審査結果の住民説明会を開催すると発表されており、再稼働に向けた具体的な動きをされております。
玄海原子力発電所の再稼働についても、そう遠くない時期に来るのではないかと思いますが、本県では、これまでのメール問題などもあり、こうしたことを考えると、より丁寧に県民の理解促進を図るために取り組んでいくべきと考えております。
知事は、平成二十五年三月十九日の県議会原子力安全対策等特別委員会において、「これから原子力のことについて議論をしていく際に、このことはもうこれで終わったということではなく、常に今回こうしたことがあっているということをしっかり肝に銘じて事柄に臨んでいかなければならないということを強く感じております。」と答弁されました。
原子力発電所の再稼働について、この発言を踏まえ、今後どのような姿勢で臨んでいこうと考えているのか。中でも私は、県民の理解促進を図るためには、本県においても原子力規制委員会による審査結果が出た段階で、審査結果の説明会を開催すべきと考えますが、知事の考えを伺います。
三項目めは、国際戦略についてであります。
日本は、人口減少社会にあっても必ず成長できると私は確信いたします。日本には、あらゆる分野で人材が豊富であり、世界に誇るべき企業も産業も農業も漁業もあります。アベノミクスも、我々地方に住まいする者への波及こそ最大の課題であります。
私は、この七月に自民党県議団でオランダを訪問いたしました。日本が一億二千万人、オランダ一千七百万人。小さい国だから輝いていないのかと思いきや、私は生き生きと見えました。また、江戸時代、唯一日本に開かれた国はオランダでした。オランダの影響をさまざまな分野で日本も受けております。東インド会社は、伊万里港からアムステルダム港へ古伊万里を運び、ヨーロッパ中を魅了いたしました。今回、訪問した折、アムステルダム国立美術館には、一番いい部屋に有田焼が誇らしげに飾ってありました。
県では、本県の国際化が次のステージに進んでいくことを目指し、世界の一員として発展していくための取り組みをまとめた新たな国際戦略「世界とともに発展する佐賀県行動計画~羅針盤~」を六月に策定されました。冒頭申し上げましたとおり、人口減少、少子・高齢化により国内市場の縮小がありますが、海外に目を向けることにより我が国は必ず成長できると考えております。県においても、新たな国際戦略に基づく施策をより一層推進されたい。
県では、これまで国際戦略においては、中国を初めとした東アジアを主たるターゲットに位置づけてさまざまな事業を展開されましたが、最近は有田焼創業四百年事業や唐津コスメティック構想など、欧州における展開も積極的に進められているところであります。欧州におけるこうした新たな取り組みについては、県内産業の振興につながるものであり、その成果を大いに期待しております。
オランダへ行ったときも痛感いたしましたが、欧州──EUはノンパスポートで、もう壁が取り払ってあります。ヨーロッパじゅうにオランダの農産物、さまざまな製品が出ております。欧州という巨大市場において有田焼創業四百年事業や唐津コスメティック構想をやみくもに展開するのではなくて、フランスやオランダにターゲットを絞り込むべきだと私は考えております。このようなターゲットを明確にすることで、県の国際戦略をぶれないようにすることで着実に推進してもらいたいと思います。
まず最初に、有田焼創業四百年事業についてであります。
私は先般、オランダのデザイナー等の新たな商品開発の先駆けをされた百田陶園の社長と意見交換をいたしました。
百田さんは二〇一三年、世界三大見本市の一つである「ミラノサローネ」のデザインアワードで世界一に輝いた、それが今回の取り組みのきっかけにも大いになっていると聞いております。
私がオランダの国立美術館に有田焼があったということを紹介いたしますと、歴史と美術館だけでは有田焼は生きていけない。その歴史を踏まえて、新たな展開をしなければじり貧であると。民芸品になってしまうと。そういう大変な危機感をお持ちでありました。なぜオランダのデザイナーですかとの私の問いかけには、化学反応を期待しておりますと。そして、大きく新たな展開もなしていったところであると、そのようなお話を聞かせていただきました。
この四百年事業の一環として、フランス・パリで開催された国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」への有田焼の出展や、オランダを初めとした海外デザイナーとのコラボによる有田焼の新商品開発など、欧州をターゲットにした事業展開をされております。
今回、知事はこの国際見本市に行かれました。現地に行かれ、トップセールスを実施されたと聞いております。
そこで、伺います。
現地でのトップセールスを通じて、欧州における有田焼創業四百年事業の展開について知事は何を感じたのか。また、これらの取り組みによって何を目指そうとしているのかを伺います。
二番目、国際戦略における今後の事業展開についてであります。
欧州での新たな事業を展開される一方、これまでの国際戦略において主たるターゲットとしていた東アジアも依然として重要な地域にあることは変わりがありません。県が海外拠点を開設している中国の瀋陽、香港、上海はもとより、例えば、平成二十五年十一月、知事みずから観光プロモーションを実施された、非常に親日的である台湾など、東アジアにおける取り組みについても腰を据えてやってほしいと考えます。
私ども、石井団長を先頭に日台議連を開設いたしました。観光の分野で石川県の「日勝生加賀屋」を訪問しました。全て日本のまま理解していただいて、それが非常に受けて、お客さんがひっきりなしであると。日本文化をそのまま輸出して成果を上げている現場も見てまいりました。
このように、これまでの東アジアから欧州へとターゲットとなる地域が拡大していく中、県として国際戦略上、どのような考え方に立ち、事業を展開していくのかをお伺いし、質問を終わります。(拍手)
23 ◎議長(木原奉文君) 暫時休憩します。
午後零時十分 休憩
平成二十六年九月十七日(水) 午後一時十五分 開議
出席議員 三十五名
一番 江 口 善 紀 一五番 岡 口 重 文 三一番 伊 東 猛 彦
二番 原 康 彦 一七番 伊 藤 豊 三二番 石 井 秀 夫
三番 古 賀 陽 三 一八番 内 川 修 治 三三番 留 守 茂 幸
四番 服 巻 稔 幸 一九番 田 崎 信 幸 三四番 石 丸 博
五番 川 崎 常 博 二〇番 大 場 芳 博 三六番 竹 内 和 教
六番 定 松 一 生 二一番 古 賀 善 行 三七番 福 島 光 洋
七番 八 谷 克 幸 二二番 指 山 清 範 三八番 藤 木 卓一郎
八番 徳 光 清 孝 二三番 土 井 敏 行
九番 藤 崎 輝 樹 二四番 桃 崎 峰 人
一〇番 米 倉 幸 久 二五番 石 倉 秀 郷
一一番 向 門 慶 人 二七番 武 藤 明 美
一二番 坂 口 祐 樹 二八番 宮 崎 泰 茂
一三番 宮 原 真 一 二九番 稲 富 正 敏
一四番 原 田 寿 雄 三〇番 中 倉 政 義
欠席議員 一名
三五番 木 原 奉 文
欠 員 二名
地方自治法第百二十一条による出席者
知 事 古 川 康
副 知 事 坂 井 浩 毅
副 知 事 牟 田 香
統 括 本 部 長 西 中 隆
くらし環境本部長 古 谷 宏
健康福祉本部長 船 津 定 見
農林水産商工本部長 石 橋 正 彦
県土づくり本部長 副 島 良 彦
経営支援本部長 山 口 康 郎
文化・スポーツ部長 伊 藤 正
国際・観光部長 黒 岩 春 地
生産振興部長 古 賀 俊 光
交通政策部長 西 村 平
会 計 管 理 者 西 村 宏 之
公 安 委 員 長 吉 冨 啓 子
警 察 本 部 長 長 嶋 良
教 育 委 員 長 牟 田 清 敬
教 育 長 池 田 英 雄
人 事 委 員 長 大 西 憲 治
人事委員会事務局長 社 頭 文 吾
職務のため議場に出席した事務局職員
議会事務局長 中 島 博 文
同 副事務局長
議事調査課長事務取扱 蓮 把 邦 彦
総 務 課 長 向 井 久美男
政務調査室長 毛 利 明 彦
議事調査課参事 前 田 利 則
総務課副課長 松 本 定 利
議事調査課副課長 篠 田 博 幸
議事調査課議事担当係長 山 口 義 徳
同 議事担当主査 佐 藤 隆 一
○ 開 議
24 ◎副議長(藤木卓一郎君) これより会議を開きます。
午前中に引き続き一般質問を行います。
伊東猛彦君の質問に対する答弁から開始いたします。
25 ◎古川知事 登壇=伊東猛彦議員の御質問にお答えします。
まず、沖縄の負担軽減から見た今回の防衛省の提案についてというお尋ねに対する答弁でございます。
沖縄の負担軽減、特に沖縄における基地負担の現状は、議員が御指摘をいただいたとおりでございます。私も議員と同じように、我が国の安全保障は沖縄の大きな負担のもとに成り立っているという事実をしっかりと認識しなければならないと思います。この問題を沖縄だけの問題にするのではなく、みずからの問題として考えて、日本国全土が協力をしなければ解決しないと思うところでございます。
また、このことに関しては、議員からも引用がございましたが、平成二十二年五月二十七日に開催されました全国知事会議の場で、当時の鳩山総理大臣から沖縄県の負担軽減について、全国を挙げて協力してほしいという要請がありました。そして、それを受けた形で、全国知事会として、「政府から熟慮された具体的な提案があった場合には、──あと幾つかの言葉がございますけど、最終的には──真摯に対応していく」ということで、そういう決議を行いました。
議員からもございましたけれども、この決議案をまとめるに当たりまして、私もいわば一人の事務方といいますか、まとめる側の人間としてさまざまな提案をし、できる限り、その沖縄県の負担を全国が分かち合う形になるようにということで御意見を申し上げたということも事実でございます。
その結果、全国知事会としての決議文がまとまりました。「関係する市町村や住民の理解を前提とし」ということではございますけれども、今回の提案が沖縄の負担軽減につながるというものであれば、この知事会の趣旨に沿った形で対処したいと考えているところでございます。
次に、新設される水陸機動団の一翼を担うということについて、どのように受けとめをしているのかというお尋ねでございます。
この水陸機動団というのは、新しく創設される部隊でございまして、平成二十五年十二月十七日に閣議決定されました、「平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱について」及びその大綱に基づきました「中期防衛力整備計画」に基づいて配備されるものと理解をしております。
私の知るところでは、この水陸機動団というのを、たしか国内で三カ所つくるということになっておりまして、そのうちの一カ所の拠点が佐世保になるということが報道されていると認識をしているところでございます。
このことについて、どのように受けとめをしているのかというのが議員からのお尋ねでございますが、こうした水陸機動団が必要なのか、あるいは必要ではないのか。そしてまた、拠点を置く場所の一つとして、佐世保が適当なのかどうか。このことについて、私が責任を持って議員に答弁するだけの知見を残念なことに有しておりません。
したがいまして、私自身がこの場で水陸機動団が必要かどうかということについて申し上げるような立場にはございませんが、ただ、水陸機動団の配備先に佐世保がなるということを所与の前提として考えますと、そこから比較的近いところにティルトローター機を配備したいというのが防衛省の気持ちだろうなということは、物事の筋道としては理解できるところでございまして、そうしたこともありますので、この一月一日の新聞報道、そのほかに、この佐世保が水陸機動団の拠点になるというふうなことも報道がなされました、事実でございましたけれども。そうしたことを総合していろいろ考えたときに、佐賀空港が一つのティルトローター機の拠点になり得るかもしれない、そうしたことについては可能性としては思っておりましたので、実際に今回の話があったときには、ああ、本当にそういう提案が来たのかという意味で驚いたところでございました。
この要請についてどう考えるのかというお尋ねについては、これまでの答弁でも申し上げておりますが、一般論として申し上げれば、国の防衛や安全保障政策については、地方自治体は協力する立場にあると私は考えております。
ただ、今回の要請については、クリアしなければならない課題が幾つもございます。一つは、佐賀空港の民間航空機としての使用や発展に支障がないのかどうかということ、これが大前提でございまして、その上に立って、県民の安全・安心を守る立場で、安全が確保されるか、安心が得られるのか、こうした点について十分に検討をしていく必要があると思っているところでございます。
次に、原子力行政についてお尋ねを幾つかいただきました。
まずは、原子力規制委員会における審査状況についてでございます。
玄海原子力発電所三、四号機の新しい規制基準への適合性の審査の状況については、去年の七月十二日に九州電力が申請をして以降、これまでに地震、津波、火山などの自然現象に対する対策や重大事故が発生したときの炉心損傷対策、格納容器損傷対策などの審査が行われておりまして、基準地震動がおおむね了承されるなど、少しずつ進んできているものと理解をしております。しかしながら一方で、現時点においてもなお、指摘事項に対する回答準備中のものなどが残っているということも伺っております。
いずれにしても、原子力規制委員会におきましては、新しい規制基準に基づいて厳格な審査を行っていただくということが最も重要なことでございます。審査の期間がどうなるのかといったことに関して、審査を行っている原子力規制委員会が明確にしていない中で、私から今後の見通しについて責任を持って申し上げることはできないということは、どうか御理解を賜りたいと存じます。
次に、国から協議があった場合の対応についてでございます。
原子力発電所の再稼働に関して、国はエネルギー基本計画を閣議決定したことで、規制基準に適合した原子力発電所は再稼働するという判断を既にしております。また、国が個別プラントごとの再稼働について、立地自治体等関係者の理解、協力を得るためにどのように取り組んでいかれるのかということについては、エネルギー基本計画にこう書いてございます。「国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む。」、このようにされておりますので、国として、その責任において主体的に取り組んでいただきたいと考えております。
七月二日に行われました
佐賀県議会原子力安全対策等特別委員会におきまして、資源エネルギー庁からは、個別プラントごとに各地域と協議しながら具体的な対応を考えていく、その際には、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、国も前面に立って誠実に説明等を行っていくという考え方が示されたところでございます。県としては、各立地地域の実情に応じて個別でとの考えは一定理解するところでございます。
議員御指摘のように、国は個別プラントの設置変更許可が出て、基本的な安全性が確認された段階から、各地域と協議しながら具体的な対応を考えていくとされておりますが、玄海原子力発電所三、四号機については、現在行われております新規制基準に対する適合性確認の審査がいつ終了するのか見通せない状況でございまして、現時点で審査後どうするのかという対応について述べる段階にはまだ至っていないと考えております。
県としては、玄海三、四号機の設置変更許可が出て、具体的な対応策などについて国から協議があったときに、国の考え方をしっかり確認したいと考えているところでございます。
次に、原子力災害対策に関する国の確認についてでございます。
九月十二日の国の原子力防災会議においては、川内原子力発電所に関して、原子力災害に備えた避難計画を含む緊急時対応について、自治体や関係省庁が参加するワーキングチームで確認された結果の報告を受け、了承されたものと聞いております。
会議において、安倍総理からは、その他の原発立地地域についても同様の取り組みを進めるべく、政府を挙げて自治体を全面的に支援していくという考えを示されました。
このことから、国としては鹿児島県以外の原発立地地域についても、緊急時対応について確認し、自治体の取り組みを支援する考えであると思われますが、緊急時対応の内容やこれに対する国の支援のあり方については、各立地地域の実情により異なるところもあると思われますので、福岡県、長崎県を含む玄海原子力発電所の周辺地域の実情に即したものとなるよう、国ともよく協議をしてまいります。
原子力災害対策は、国、県、市町を含めた関係機関が連携して取り組むべき事項でございます。国にもその責任を十分に果たしていただけるよう、引き続き協議をし、働きかけてまいります。
次に、県民説明会の開催についてのお尋ねでございます。
原子力発電所の再稼働について、いわゆるメール問題を踏まえた私の姿勢と県民への説明会の開催についてのお尋ねであると考えますが、原子力発電にかかわることについては、電力事業者との関係において、きちんとした距離感、緊張感を保って、県民から見て安心、信頼できる関係でなければならないと考えております。その上で、原子力発電所の再稼働に関しては、国の再稼働に対する考え方や対応を確認した上で、一つ一つの場面において丁寧に対応していきたいと考えております。
また、原子力発電所の再稼働に関しては、まずは原子力発電所についての安全性が確認されることが前提でございます。原子力規制委員会設置法第三条に基づきまして、原子力利用における安全確保を任務とする原子力規制委員会において、新たな規制基準に基づき、厳格な審査を行っていただくことが必要であると考えております。
川内原子力発電所一、二号機については、先般、九月十日に設置変更許可が出されたところでございますが、玄海三、四号機については、いつ審査が終了するのか見通せない状況でございまして、県としてはその状況を注視しているところでございます。
議員からは、審査の終了後に県民への説明会を開催すべきとのことでございますが、エネルギー基本計画に「国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む。」とされておりまして、具体的に個別のプラントごとの再稼働について、このことに基づいてどのような責任を果たそうとされているのかをしっかりと確認し、見てみたいと思います。
また、鹿児島県においてはさまざまな議論があったことと思いますが、今回実施されることになりました。今回実施されることになる県民説明会が、果たして説明会をやっただけのことはあるという成果になるのか、あるいはそうではないのか。また、県だけでなく、国もやるということになるのか、やらないのか。こうしたいろんな過程において、国が必要な責任をどのように果たしていくのか、そういったことをしっかり見ておきたいと思っております。
いつの日かは、玄海三、四号機についても設置変更許可が出されるという可能性が高いわけでございまして、そのときにどのようにしていくのかということについては、今回の川内の一、二号機における関係者の対応の状況ということをしっかり見据えた上で、いつの日か玄海三、四号機のことについて、そういうプロセスが始まったときに、私どもとしても国と議論をしていきながら、どのようにしていくのかを決めていきたいと考えております。
次に、国際戦略についてのお尋ねでございます。
大きく二点ございましたが、まず一点目が有田焼創業四百年事業について去る九月五日から九日まで、パリで行われた国際見本市であります「メゾン・エ・オブジェ」への有田焼の出展について、私が何を感じ、何をこれから目指していくのかというお尋ねでございます。
この「メゾン・エ・オブジェ」は、議員からも御紹介いただきましたが、いわば世界的な三大見本市の一つでございます。先般、出展をいたしました「ミラノサローネ」がどちらかといえばデザインを重視したものであったのに対しまして、この「メゾン・エ・オブジェ」はまさにビジネスそのものでございまして、取引をする相手方を探す場とでも言うべきものでございました。
私自身は、この「メゾン・エ・オブジェ」そのものを見るのは二回目でございましたけれども、前回にも増してたくさんの物が出展をされておりまして、ヨーロッパ経済は現時点では沈滞していて、上昇するのがなかなか難しいという状況にありましたが、それだからこそということで、新しい商品に対する関係者の方々の強い意欲というものを感じた次第でございました。
この「メゾン・エ・オブジェ」に有田としては初めて出展をいたしました。「ARITA」という非常におしゃれなロゴをつくったブースをつくりましたけれども、そこに八つの窯元や商社から御参加をいただきました。まさに選りすぐりの八社でございまして、たくさんある有田の、産地有田といいましても、今、伊万里や嬉野といったところも含みますけれども、そういったところも含めて、この「メゾン・エ・オブジェ」に出展すればいい反応が得られるであろうというところをプロデューサーの奥山さんと、この「メゾン・エ・オブジェ」の主催者と一緒になってピックアップをして選んで行きました。既存のものも出しましたし、また、このオブジェ用に新しく開発したものも出しました。それぞれこのヨーロッパのマーケットからどのような反応があるのか、批評があるとしたらそれを受けとめ、改善につなげていく、即ビジネスの取引につながるようなものがあれば、それをきっちりと実際の取引につなげていく、そうしたことを目指したものでございます。
大きな目標としては、八社から参加をしていただいていますので、八社がそれぞれにどこかの取引先との関係をつくること、それを実現することを目標として出展をしていただきました。
私は、初日しかおりませんでしたけれども、その初日の様子を現に目にしただけでも、またずっとおりました担当から全体の様子の報告を受けた印象からしても、参加された各社にとっていい形での成果があったのではないかと思います。たくさんの方々がこのブースを訪れていただき、ただ「いいね」というだけで終わるのではなくて、これは幾らなのか、どのようにすれば手に入るのか、違う色はないのか、そういったさまざまな具体的な提案や商談が行われておりましたし、もともと売るかどうかを決めていなかったようなものについても、この物がすばらしいので、ぜひ持って帰りたいということで値段をつけて販売をしたりとか、そういったケースもございました。
一回目の出展というのは、どちらかといえばどこまで自分の球が通用するのかを試すような場でもあったわけでございますけれども、今回の「メゾン・エ・オブジェ」への出展はそれ以上の成果があったものと受けとめをしているところでございます。
有田焼創業四百年事業は、私ども、そして町、また業界でさまざまな目標を設定しているところだろうと思っておりますけれども、私どもの一つの目標は、かつて世界中を席巻した、世界の人から称賛された有田焼を今の暮らしに合った形でもう一度リニューアルして売り込んでいく、輸出をふやしていくということでございまして、現在、数千万円のレベルでございます輸出額を五億円ぐらいまで持っていきたいと思っているところでございます。これは産地全体の売り上げが現在五十億円と言われておりますので、その五十億円の一割を輸出で稼ごうというものでございます。
有田焼の輸出の取り組み、数年前から既に始めておりますけれども、当初から熱心に取り組んでいただいている窯元、商社の中には、この輸出の分野で非常に売り上げをふやしておられるところもございます。ある窯元の方からは、もう最近売り上げが伸びているのは輸出しかないよということもおっしゃっていただいたりもしました。
もちろん輸出だけで有田焼創業四百年事業をやっていくということではございませんけれども、こうした新しい可能性を現実のものにしていくことによって、産地全体に元気を取り戻したいと考えているところでございますし、また有田を訪れる外国人の方々もふえていくような取り組みができるのではないかと期待しているところでございます。
最後でございますが、その国際戦略における今後の事業展開についての私の見解ということでございます。
国際戦略上、これまでの東アジアから欧州へとターゲットとなる地域が拡大していく中、どのような考え方に立って事業を展開していくのかというお尋ねでございます。
東アジアは、本県にとって重要なターゲットであるということに変わりはございません。中国の景況感についてはさまざまな数字などがございますけれども、とは申せ、巨大なマーケットとしての中国の存在感は今なお健在でございますし、地域によってかなりいろんな違いがございますので、今なお成長を続けている地域、これから発展していく地域、そういったところを見据えて、佐賀県の物産や佐賀県の企業が進出していくという可能性は十分にまだあると考えております。
そういったことについて、上海デスク、瀋陽、香港の代表事務所が期待される役割を果たしていくことをまずしっかりと支援をしていきたいと考えております。
議員からは、外国人の宿泊観光客数についても言及をいただきました。宿泊の観光客数について申し上げますと、韓国からのお客様が例年半数近くを占めております。そして、御指摘のございました台湾についてでございますが、近年、いろんな形でアピールをしたり、お願いに参ったりしておりました結果、平成二十五年については、前年比で二倍近い観光客の方に来ていただけるようになりまして、宿泊者数も一万人を超えております。平成二十五年、中国から来られた方の宿泊者数は八千七百二十名でございますので、この台湾のお泊まりの方、一万三千八百人という数は中国の方よりもはるかに上回っているということでもございます。
議員からも御指摘がございましたが、この台湾というのは、全体的な感情として親日的というところがございます。日本にあるものを非常に喜んでいただけたり、大事にしていただけたりするということもございます。現在、直行便がないのが残念でございますけれども、こうした台湾と佐賀とのいろんな関係については、もっと強化していくべきだろうと考えているところでございまして、さまざまな機会を捉えて台湾と佐賀との関係を強化していく取り組みを私としても、また観光連盟や関係機関としても行うように支援をしていきたいと考えているところでございます。
私自身が昨年、台湾に参りまして、佐賀県の観光や物産をPRいたしました。その中で非常に印象的だったのは、いろんなことを言ってみたんですが、その中で何が印象的でしたかというアンケートを行ったところ、断トツで第一位だったのが呼子のイカでございました。そのほかにもおいしい魚の話や「佐賀牛」の話などいろいろしたんでありますけれども、牛肉がおいしいというのは日本のどこの地域からでも聞くけれど、イカがおいしいと聞いたのは初めてだったというような感想がございまして、何が喜ばれるのかというのは実際にやってみないとわからないなということを感じたところでもございました。
県としては、新たな国際戦略におきましても、これまでの東アジアにおける取り組みをしっかり推進していくということとした上で、欧州や東南アジアなど、世界各地域に活動の範囲を広げていくことにしております。
その中で、企業の海外展開については、中国などの東アジアや、製造業であれば東南アジアといったところが当面のターゲットとなると考えております。
「佐賀牛」の輸出につきましては、もう既に香港はブランド牛として定着をしておりますが、シンガポールも「佐賀牛」が非常に人気でございますし、これからはタイなども十分に可能性があると思っております。
また、先般、カリフォルニアに出張した際に、北米のスーパーマーケットで「佐賀牛」、正確に言えば佐賀産和牛でしたけれども、それが売られている様子なども見てまいりましたけれども、こうしたものについても可能性があるなと感じたところでございます。
このように、物によって、内容によって地域の絞り込みというものが必要になるということだと思っておりまして、議員からも御指摘があったように、余り何でもかんでも、どこでもみたいなことにならないように、何をやっていくのか、何を実現するのかということを明確にした上で取り組んでいくということにしたいと考えております。
欧州については、有田焼創業四百年事業、唐津コスメティック構想を展開しておりますフランス、オランダを重点地域と考えております。まずはこの二つの国において一定の存在感のある事業を展開していきたいと思っております。
フランスはコスメティック構想のほか、「メゾン・エ・オブジェ」の開催のところでもございまして、さまざまなところで御縁ができつつございます。また、オランダは、議員からも御紹介いただきましたけれども、人口規模が千七百万人と、大体九州と同じぐらいでございます。そして、一番高い山というのも、恐らく四、五百メートルぐらいしかないところで、国土の大部分が干拓によってできたところでございまして、議員もあるいは同じような印象を持たれたかもしれませんけど、私はオランダの農村地帯の風景を見ておりますと、佐賀平野の干拓地帯を見ているような気がいたしております。
一方で、オランダは家族経営のような比較的小さい経営単位で、しかも世界で二位の農業の輸出大国にもなっております。このような非常に生産性の高い農業というのは、私どもも学ぶべきところもいろいろあるのではないかとも思っておりまして、先般、オランダを訪問した際に見てきました高性能の農業用のハウスなどは、それを試しに佐賀県の農業試験場でも入れてみて、果たして日本の気候風土に合ったものなのか、例えば、台風などにも対応できるぐらいの強度を持ったものなのか、そういったことの分析などを行っているところでございます。
ただ、物事を受け入れるだけ、輸出していくだけではなく、このようにオランダとの間にはお互いに強みを持ったものが存在していると思っておりまして、ぜひともいい関係をこれからも築いていきたいと考えているところでございます。
最後になりますが、取り組み分野や内容に応じてそれぞれの国や地域における市場規模、将来の発展性、こうしたものを見きわめながら取り組まなければならないと考えているところでございまして、またさまざまな形で御提案、御指導を賜ることができればと存じます。
以上でございます。
26 ◎定松一生君(拍手)登壇=自由民主党の定松一生でございます。今回は三つの点で一般質問をさせていただきます。
ことしはまれに見る悪天候が続きました。農作物の被害等が大変気になるところでございますが、まず初めに、本年産の水稲に対する生産指導についてお伺いをさせていただきます。
本年産の水稲栽培においては、田植え後の梅雨明け時期が平年より遅く、その後、長雨や日照不足により全体的に茎数が少なく、稲の姿は軟弱で伸び過ぎの傾向となっております。
異常気象とも言えるこの天候不順、これは私が今まで経験したことのない、また人に聞きますと、長老さえも昭和になってからこういう天候不順はなかったよと言われるような状況だと聞いております。
例えば、八月のひと月間の日射量は八十八時間で、平年比のわずか四二%、逆にこの期間の降水量は六百七十一ミリで、平年比の三四二%と大きく上回っております。
このような中、既に収穫を終えた白石地区の
七夕コシヒカリについては、農産物検査で全量が高品質な一等米ということで、高品位な規格が確保されてきたものの、上場地区のコシヒカリにつきましては、平年であれば八月末には収穫を終えているものが、本年産は降雨により収穫が順調に進まず、現在の九月中旬までかかっており、品質低下が懸念されるところであります。
本年産は約二千トン程度の収穫が見込まれておりますが、現在千トンが出荷され、その大半は一等となっている模様でございますが、この長雨と収穫が重なり、倒伏した稲の多くが田面の湿田化で収穫ができずに大幅におくれたものであります。あと千トンの品質低下が心配されるところでございます。
今後、本格的な収穫が始まる「夢しずく」、「さがびより」、「ヒヨクモチ」などの主要な品種につきましては、このような長雨、日照不足など天候不順の年に発生しやすいカビの一種であるいもち病や、株の根元から腐れが発生し上部に拡大していく紋枯れ病といった、収量、品質ともに大きな影響を与える病気が発生しやすい状況にあります。さらに、昨年産に大きな被害をもたらした害虫のトビイロウンカについて、本年産にも九月以降に増加傾向があると聞き及んでいます。
このような水稲の病害虫被害への対応がおくれれば、収量や品質の低下による農家所得の減少、ひいては生産意欲の減退などにつながることから、このような天候不順に対応し、米の高品質安定生産に向けた指導を強化していく必要があると思います。
県では、本年産の天候不順に対応し、これまで生産者に対しどのような指導を行ってきたのか。また、今後、収穫までどのような指導を行おうとしているのかお伺いをさせていただきます。
これは見解は必要でございませんが、知事にお願いでございます。
今、政府が見込んでいた生産目標の面積より二万七千ヘクタールが全国で過剰作付されている傾向にございます。本年産は十四、五万トンの生産過剰になるということから、また、二十五年産の現在ある在庫米、これがことしの需要期終盤でさえ二十万トンを超える超過米ということになってしまいます。その在庫米が国内の業務向けにシフトされ、二十六年産米については全体の五割程度が収穫以前に契約される数量契約で行われるもので、関東近辺では一万円割れも出ているという状況であります。佐賀県産米の有利販売については、非常に苦慮する年になると見込まれることから、知事を先頭に県産米のPRに取り組まれますようお願いを申し上げます。
次に、有明佐賀空港についてお伺いをさせていただきます。
今議会では、十一名の議員さんより
オスプレイ配備についての質問が集中しておりますが、それだけ佐賀県はもちろん、事の重要性は認識しているつもりでございます。
私からは、有明佐賀空港についての運営全般について、また利用状況に関して質問させていただきたいと思います。
昭和四十四年に佐賀空港の建設が表明され、長い年月を経て、平成十年七月に待望の有明佐賀空港として開港を迎えたわけでございます。当初、東京、大阪、名古屋便の就航でスタートいたしました。
一方、くしくも世界経済は、それまで世界中が踊らされたようなバブル経済が一気に崩壊し、負のスパイラル経済へと落ち込んでいったのであります。国内の景気も低迷を続け、空港の利用者数が伸びないまま大阪、名古屋便の運休と苦しい状態が続いて、インバウンドチャーター便や佐賀─東京の夜間貨物便の就航、佐賀─東京便を一日三便に増便、平成二十年十一月には一日四便化され、二十四年からは国際便、春秋航空の上海便が週二往復で開設、二十五年十二月にはティーウェイ航空のソウル便が週三便で就航、二十六年七月に東京一日五便化、八月に成田便の就航等、積極的な試行錯誤の末、現在に至っていると思います。
またさらに、本日、先ほどでございますが、佐賀─上海、この便からシンセンまでの運航区間延長申請が行われましたという報告をいただきました。これは十月二十七日から就航予定とし、週三往復、月、水、土、エアバスA320、百八十席ということでございます。一番安い席で六千八百円ということもあり、これは相当な利用者数が見込まれるのでありましょう。
こういった取り組みをなされながら、増便二カ月の利用状況、前年比では約一万人増加となる六万九千人となっていると聞いております。増便効果が早速あらわれておりますが、今後、東京便の増便効果をさらに引き出していくためには、積極的に利用促進に取り組む必要がございます。またあわせて、多くの方々に活用していただけるよう、しっかりとPRをしていただきたいと考えております。
有明佐賀空港の大きな特徴の一つであり、ことし七月に就航十周年を迎えた夜間貨物便については、今年二月、有明佐賀空港からの出発便の目的地が変更になり、約五年八カ月ぶりに羽田空港行きの便が復活したところであり、今後、貨物便の取扱量が急増する期待が持たれております。
その一方で、この夜間貨物便については、飛行ルートに当たる私の住んでいる白石町においては、航空機の音が響くことにより畜産に影響が出ているのではないかというふうな危惧がなされているところでございます。こういった声があることから、県はこのような声に配慮した取り組みを行う必要があると考えております。
なお、平成十年七月の開港から二十五年度までの佐賀空港の決算状況を見ますと、着陸料などによる歳入が十七億三千百万円、滑走路や航空灯火などの維持管理に要する歳出が五十五億八千二百万円となっております。累計では、支出が収入を三十八億五千百万円上回っているという状況になっています。
そのほかに、航空各社への支援状況も顕著であります。
全日空への支援として、二十三年度は四千三百八十六万八千円。これが二十六年度には五千四百五十九万四千円。そして、五便化へ増便に伴う支援、これが六千二百万円。
春秋航空への日本の支援として、保安検査のための費用一千二百万円。そして、着陸料や保安点検等、
広報費用支援、誘客補助、それが二十三年度に三千七百二十三万円。これが、上海便、週二でスタートしましたが、週三便に増加をいたしました。その後、この支援額もどんとふえてまいりまして、平成二十六年度には一億四千百三十三万六千円。
ティーウェイ航空には、ソウル便に対して二十五年度が一千五百六十五万円。二十六年度には五千三百四十五万九千円。これは、支援額の増加は利用者数の増加に比例するというふうにもとれますが、今回の防衛省からの有明佐賀空港の利用の要請について、空港の収支改善につながるのではないかというふうな意見もございます。ただ、これは要請にかかわらず、収支の改善を図りながら利用促進に努めていく必要があると考えております。
そこで、次の点についてお伺いをさせていただきます。
まず、東京便についてであります。
増便後の利用実績についてですが、県は増便後、利用実績についてどのように評価しているのかお伺いをいたします。また、全日空はどのように評価しているのか、それもあわせてお伺いをします。
二点目に、今後の利用促進の取り組みについてですが、県は増便効果をさらに拡大していくため、今後、利用促進にどのように取り組んでいくのか。
次に、夜間貨物便についてでございます。
最近の利用状況についてですが、利用状況はどのようになっているのか。また、県はどのように評価をしているのかお答えください。
また、地元の声への対応についてでございます。
県は夜間貨物便の畜産への影響を危惧する地元の声にどのように対応しようとしているのかお伺いをします。
今後の利用促進の取り組みについてですが、貨物便取扱量の拡大に向けて、今後、夜間便の利用促進にどのように取り組んでいくのか。そして、この空港に進入する際の夜間貨物便の騒音が非常にやかましいというふうな意見についてですが、白石町まで来ないうちに旋回してくれろというふうな地元からの声もあるんですが、そういったことも可能なのか、そういうこともひとつお答えいただきたいと思います。
続いては、白石平野の農業用深井戸についてということで質問をさせていただきます。これは嘉瀬川ダムの導水事業と深く関係があることではございますが、ここ近年、地下水の水位上昇等で問題が発生しておりますので、あわせてお伺いをさせていただきます。
白石平野は、全国有数の水田農業地帯で、水稲を中心として麦、タマネギ、大豆、レンコン等が栽培をされております。当地域の農業用水は、ため池、クリーク、小河川等に依存しておりましたが、広大な農地に対して山が低いために、永年、水不足が生じておりました。また、当地域は干拓事業により、昔から農地が造成されてきた歴史があります。その中で、農業用水の水源を深井戸による地下水に求めてきた結果、昭和四十年代から地下水の過剰なくみ上げによる地盤沈下が深刻化したわけであります。
このようなことから、農業用水の地下水からの転換を目的として昭和五十一年度から嘉瀬川ダムを水源とする筑後川下流土地改良事業などの対策が実施されてきました。私の住む白石でも、歴代の町長たちは、この事業の推進にかなり知事様に要請をかけられたというふうなことが続いておりました。会うたびに、水をどがんかしてくんさいというふうに歴代の町長が言っておったのも、私も記憶しております。
平成二十四年度には、嘉瀬川ダムの完成とともに、農業用水が白石平野へ配水されることとなり、農業用水の地下水取水が転換され、地盤沈下の被害がなくなるものと地域の方々は大変感謝しているところでございます。今後は、安定的に農業用水が供給されることから、さらなる地域農業の振興が図られるものと期待をしております。
しかしながら、嘉瀬川ダムからの農業用水の通水が始まったものの、一部の農地においては水が届きにくいとの声も聞かれております。また、水源転換により、地下水の揚水をとめたことから、深井戸の水位が上昇し、干拓地を中心に数カ所の深井戸から地下水が自噴するという現象が見られ、農地や周辺にも影響があるのではないかと心配する声が上がっております。嘉瀬川ダムを水源とする農業用水の地下水からの水源転換は達成しておりますが、事業の最終章を迎えるためには、隅々の農地までダムの恩恵を受けなくてはなりません。
そこで、次の点についてお伺いをさせていただきます。
まず第一点目に、農業用水の末端農地までの通水についてでございます。
国営筑後川下流土地改良事業等で白石町に十個の分水工がございますが、農地まで水が届きにくい地域が一部にあると、そのような声にどのように対応するのか、県土づくり本部長、お答えください。
第二点目に、白石平野の深井戸の水位調査でございます。
昨年、国において、深井戸の水位上昇による地下水の農地や作物への影響調査が行われたと聞いておりますが、どのような調査結果となったのか。また、今後の対応についてお答えをお願いいたします。
また、最後になりましたが、佐賀空港の利用促進につきましては、こういったリムジンタクシーでありますとか、(資料を示す)いろんな恩恵があります。佐賀空港まで乗り合い制でお一人様千円で行けるのかというふうな、こういったPR活動はもっとどんどんどんどんやってほしいなと思った次第であります。
まずは一回目の質問を終わらせていただきます。(拍手)
27 ◎副島県土づくり本部長 登壇=定松議員の質問のうち、私のほうからは、白石平野の農業用深井戸について二点お答えいたします。
まず、農業用水の末端農地までの通水についてでございます。
嘉瀬川ダムから導水した農業用水は、国営事業等で設置いたしました分水工から県営事業等により整備をいたしました水路を介して末端農地まで配水することにしておりまして、その操作については土地改良区が行っているところでございます。
しかしながら、地下水からの水源転換を図ったことから、用水系統が変わりまして、分水工から遠方にあること、また、水路が構造的に流れにくいことなどで配水要請から用水到達までに時間を要している農地があるというふうなことは聞いておるところでございます。このため、計画的な配水ができるよう、水路の改修などの整備を行うほか、土地改良区への指導を通して、操作実務者といいますか、操作をされる方の習熟にも取り組んでいきたいと考えているところでございます。
いずれにしましても、ダムで開発した貴重な水でございますので、有効に活用されるとともに、営農者が安心できるよう取り組んでまいります。
続きまして、白石平野の深井戸の水位調査についてでございます。
農業用水が平成二十四年度に地表水へ転換されまして、これまでの水源であった深井戸は地下水取水をやめたことから、その水位が上昇し、現在数カ所、確認しておりますところで八カ所でございますけれども、自噴が見られるという状況でございます。
県では、自噴の状況を確認するとともに、農家の不安の声もあることから、農地の地下水への影響調査を町とともに国に依頼したところでございます。
この調査結果は、農地の地下水位は、クリークの水位とは連動しているものの、被圧地下水の影響を受けていないものと思われるとされましたけれど、観測期間が短期間でございましたことから、農地からの湧水といいますか、湧き水等も一カ所見られるところでございますので、今後も引き続き調査を依頼していくこととしておるところでございます。
今後の調査結果を踏まえまして、新たな課題が確認されれば、国、白石町とも一緒になって協議をいたしまして、課題解決に向け努力してまいりたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
28 ◎古賀生産振興部長 登壇=私からは、本年産水稲に対する生産指導についてお答えを申し上げます。
本年産水稲につきましては、議員からお話がございましたように、長雨、日照不足の影響によりまして、茎が通常以上に長く、やわらかく伸びておりまして、例年よりも病害虫の発生を受けやすい状況にあると考えております。
まず、いもち病につきましては、山麓部に加え、例年ほとんど発生が見られない平たん部においても発生株が増加したことから、八月六日には注意報、さらに八月二十日には平成五年以来、これは冷夏、長雨の年でございますが、その年以来の二十一年ぶりとなる警報を発表したところでございます。
いもち病は、病気が葉から穂に移行いたしますと、穂が枯れて、大幅な減収につながりますことから、生産者には水田を見回って発生状況を確認するとともに、葉いもちの発生が見られる水田や地域では、穂が出る前の時期、また、発生が多いと予想される場合には、穂が出そろう時期にも防除を行うように指導してきたところでございます。
生産現場では、今回の警報を受けまして、八月下旬から九月上旬に穂いもち対策の防除が例年よりも入念に行われたと聞いております。まだ予断は許されませんけれども、いもち病につきましては、天候の回復もあって、ほぼ落ちついた状況になりつつあるんではないかと思っているところでございます。
また、紋枯れ病につきましても、平年より発生が多くなっておりまして、今後の品質や収量の低下が懸念されることから、技術情報などを出しまして、発生状況に応じた防除を徹底し、被害の防止を図ってきたところでございます。
さらに、トビイロウンカにつきましては、記憶に新しいように、昨年大発生をいたしました。大きな被害をもたらしたということから、昨年の被害状況の分析結果を踏まえまして、田植え前の早い時期から苗箱や水田における効果の高い薬剤の使用や、密植や早植えをしないなどの適切な栽培管理などの対策をとるよう、早期から指導をしてきたところでございます。
なお、トビイロウンカにつきましては、ことしはこれまでは発生は少なく推移をしておりますけれども、九月下旬以降に本格的に被害を引き起こしますいわゆる第三世代と言われる幼虫が発生する時期になりますので、引き続き発生状況を注視しながら、適切に対応していきたいと考えております。
間もなく「夢しずく」から収穫が始まってまいりますので、品種ごとの生育状況や病害虫の発生状況に応じたきめ細かな対策、例えば、もみの充実と根の活力の維持を図るための適切な水管理、これは数日ごとに水をためたり落水したりすることを繰り返しますいわゆる間断かん水と呼ばれるものの実施でございますとか、適期防除などにつきまして、技術情報の発行や巡回指導などをきめ細かく行うなどいたしまして、農家の方々が収量の安定と品質向上に最後まで努力いただけますように、残された期間、技術面からの支援に全力で取り組んでまいります。
以上、お答えいたします。
29 ◎西村交通政策部長 登壇=私からは、有明佐賀空港の東京便と夜間貨物便についてお答えいたします。
まず、東京便についての質問のうち、増便後の利用実績についてでございますが、有明佐賀空港の東京便は、ことし七月一日の増便後、二カ月間の利用者数が前年同時期と比べて一万七百三十四人、率にして一八・四%増となる六万九千六十三人となっております。
県としましては、今回の増便により、おおむね三時間の等間隔でのダイヤが設定されたこと、午前九時四十分に羽田空港を出発する首都圏からの利用者に御利用いただきやすい便ができたことなど、利便性が大きく向上したことから、利用者の増加につながっているものと考えております。
次に、今後の利用促進の取り組みについてでございますが、東京便は、全日空から見れば、堅調な滑り出しである、増便効果が出ているとの評価をいただいているところでございます。そうした全日空の言葉どおり、堅調な滑り出しになっておりますが、今後とも継続して増便に見合う利用客を確保していくことが重要であることから、県としては引き続き地元、首都圏双方からの利用促進に積極的に取り組んでいくこととしております。
具体的には、地元からの利用促進の取り組みとして、これまで便数が少なく、利用しにくいダイヤ編成になっていることを理由に、利用に消極的だった事業所などに対して、増便や東京発最終便の繰り下げなど、利用しやすいダイヤ編成となったことなどをしっかりアピールし、きめの細かい営業活動を行うことでリピーターとして期待できるビジネス需要のさらなる獲得に積極的に取り組んでいるところでございます。
また、首都圏からの利用促進については、佐賀県や福岡県南西部に本店や支店がある首都圏の事業所に対して、今月一日に増便を記念して開始しました四十八時間千円レンタカーキャンペーンをアピールしながら、積極的に営業活動に取り組んでいるところでございます。加えて、首都圏の旅行会社に対して、新しい便を利用した旅行商品の造成を強く働きかけてきた結果、十月以降、県内の観光地を巡る旅行商品などの販売が始まっているところでございます。
さらにアクセス対策として、年末年始の繁忙期でも収容台数が不足しないよう無料駐車場の拡張工事を進めております。
また、車を利用しない利用客が佐賀空港を選択する大きなきっかけとなっているリムジンタクシーについて、改めて丁寧に情報発信を行っていくとともに、路線の拡大について準備を進めているところでございます。
県としては、このような取り組みを着実に実施することにより、東京便の利用促進に取り組んでいくこととしております。
次に、夜間貨物についての質問のうち、最近の利用状況についてでございますが、夜間貨物便については、ことし二月四日から有明佐賀空港からの出発便の目的地が、これまでの関西国際空港から羽田空港へ変更となっております。
その結果、これまでのアジア方面に加えて北米、欧州向けの貨物の取扱量が増加したことから、路線変更後の利用状況は前年同時期と比べて二・二倍となる八百四十四・七トンとなっております。
主な取扱品目は電子部品や自動車部品でありますが、これまで取り扱いのなかった合成樹脂や乗用車の車体フレームなども輸送されております。
一方で、国内貨物を輸送している羽田空港からの到着便については、ことし二月からの機材が貨物専用機から旅客機に変更され、貨物スペースが小さくなっております。その結果、前年同時期と比べて貨物取扱量は減少しておりますが、貨物スペースについては安定的に埋まっている状況にございます。
県としては、機材変更の影響で首都圏からの国内貨物の取扱量が減少はしているものの、佐賀からの国際貨物の取扱量は着実に増加しつつあり、路線変更による一定の効果はあらわれているものと考えております。
次に、地元の声への対応についてでございますが、県においては、夜間貨物便の運航による畜産への影響調査を求める畜産農家の要請を受けて、平成二十三年度に夜間貨物便就航前後の肥育牛の状況、具体的には出荷体重、枝肉単価、肉質等級等を調査し、騒音など畜産環境に詳しい専門家の方に分析を依頼したところでございます。
それによりますと、一概に航空機の騒音による影響があるとは言いがたいという結果が出されたところであります。県としては、引き続き騒音調査を実施し、その結果について関係者に報告するとともに、意見交換を行うなど丁寧に対応していくこととしております。
また全日空に対して、今後とも基本的な着陸コースや高度を遵守するよう引き続き強く要請しながら、夜間貨物便の運航を続けていきたいと考えております。
さらに、議員から白石町の上空を飛ばないような飛行ルートの見直し検討はどうなっているのかという質問がありましたが、このことにつきましては、現在、国において新たな技術を活用した着陸時の経路の見直し検討がされていると聞いております。
この経路の見直しがなされれば、陸域部における騒音の負担が相当軽減されることから、できるだけ早く実現できるよう国に対して強く働きかけを行っていくこととしております。
最後に、今後の利用促進の取り組みについてでございますが、県としましては、国際線
ネットワークが拡大している羽田空港に接続するメリットをより大きく引き出すため、全日空と連携をとりながら、これまで有明佐賀空港を利用いただいている運送事業者や荷主の利用拡大とあわせて、新たな運送事業者や荷主の獲得に努めているところでございます。
具体的には、九州の空港で唯一夜間に貨物の搬入を受け入れることができることや、羽田空港を午前中に出発する国際線に接続できることなどのメリットを強くアピールするため、引き続き荷主や運送事業者への営業活動を行うこととしております。
さらに、全日空との連携を強化しながら、荷主向けの商品説明会の開催や物流イベントへの参加を計画しており、このような取り組みを通じて夜間貨物便の利用拡大に取り組んでいくこととしております。
私からは以上でございます。
30 ◎定松一生君 登壇=再質問をさせていただきます。
有明佐賀空港につきましては、今まで開港以来、紆余曲折、試行錯誤を重ねた取り組みで、やっと本来の佐賀空港の形になったのかなと。今後、県執行部を中心にさらなる利用促進のために御努力を賜りますようお願いを申し上げるところでございます。
再質問につきましては、白石平野の深井戸のことでございます。
質問が質問だけにちょっと掘り下げてみたいと思いますが、今、八カ所と申されましたけれども、四カ所程度見てまいりました。確かに地表から高いところで一メートル程度自噴をしております。その水が、例えば、水位がどのくらいまであるかとか、そういったことについてはすぐでも調査できるわけですね。
ただ、その水が常態化していつも出ているのか、そして水量が毎時何リットルなのかとか、そういった詳しい状況を調べていただきたい。
嘉瀬川の導水事業によります水というのは貴重な水でありまして、土地改良区が運営をしておりますが、既存のため池、それから水路の水も大切に使わせていただくと、そういう観点から見れば、余剰地下水的な部分をそのままほったらかしにせずに、利用できるものならば、その可能性があるかについてもひとつ調査を願いたいという思いがいたしますので、その点について御答弁を願います。
31 ◎副島県土づくり本部長 登壇=定松議員の再質問にお答えいたします。
自噴している余剰水の調査についてでございますが、先ほども御答弁申し上げましたけれども、今年度も引き続き調査をするようにいたしております。
議員から御指摘ございました自噴の量、水位の高さ、それから時期あたりにつきましては、調査できるように国に依頼したいと考えております。
また、有効利用につきましては、一つは深井戸自身が、くみ上げによる地盤沈下対策のため、地表水に転換したわけでございますので、これを改めてくみ出して使用するということは今のところ考えていないところでございます。
しかしながら、こぼれ出る水につきましては、排水溝とかクリークに落とすことによりまして、何らかの形で使えるのではないかと。その分につきましては、検討していきたいというふうに考えております。
以上でございます。
32 ◎米倉幸久君(拍手)登壇=こんにちは。米倉でございます。
今回、四項目について質問させていただきます。
まず、人口減少社会への対応についてでございます。
ことしの五月、有識者でつくる日本創成会議の人口減少問題検討分科会から、二十歳から三十九歳までの若年女性が二〇四〇年までに五〇%以上減少する、全国の八百九十六市区町村を消滅可能性都市とする発表がなされました。何ともショッキングな将来像が示されたと思っております。
それ以降、人口減少問題に対する関心は、国、地方ともに日ごとに高まってきております。
会議の座長、増田寛也元総務相は、自治体の運営が難しくなり、将来、消滅する可能性があると、地域崩壊の危機を指摘しております。
この発表においては、県内においても二十市町のうち八市町が消滅可能性都市として挙げられております。該当するどの市町でも危機感が募り、動揺が広がりました。
先日、自民党総務部会で佐渡市を訪れました。平成十六年三月に一市七町二村が合併して人口七万人を有しておりましたが、現在の人口は六万人と。この十年間で一万人、年間平均千人ずつ減少している状況にあります。
新潟県も佐渡市も交流促進や移住、定住促進に力を入れ、各種施策を講じております。成果があらわれることを期待したいものです。佐渡に限らず、全国どこでも似たような状況があるのではないかと感じたところです。
このまま人口が減り続けると、経済活動が縮小し、税収減による行政サービス低下や、医療、福祉、教育環境の維持が困難になり、地域社会、コミュニティー機能が低下していき、結果、過疎化に拍車がかかり、人口がますます流出するといった悪循環が起こると言われております。
日本総合研究所主任研究員の矢野勝彦氏は、こうした状況を負のスパイラルと指摘しております。ひところ叫ばれた限界集落ごときより深刻であります。
私自身も、人口減少問題は決して他人事ではなく、地域に生きる誰もがみずからの問題であると認識し、取り組みを進めなければならないと強く感じたところであります。
国土の均衡ある発展はどこへ行ってしまったのか。田舎から人を奪ってきた都会から人々を田舎に呼び戻すこと、都会へ逃れる人々をどう食いとめるか。都会にない魅力、子育て最適環境としての田舎、大自然への憧れなどが鍵になりそうです。
増田氏は、若者が地方にとどまるための産業育成や子育て環境の充実に取り組むべきと提案しております。
また、明治大学教授の小田切徳美氏は、東日本大震災後の若者の田園回帰の動きに活路を見出し、知恵と工夫で移住者をふやし、存続可能性都市に転換すべきだと言っております。
こうした中、政府においては、今月三日、安倍首相を本部長とする「まち・ひと・しごと創生本部」が設置され、国としても人口減少対策や地方再生に全力を挙げて取り組むこととされ、先週十二日に初会合が開催されたとうかがっております。
ここでは、「若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現」、「『東京一極集中』の歯止め」、「地域の特性に即した地域課題の解決」の三つの視点を基本として、魅力あふれる地方を創生し、地方への人の流れをつくり、経済の回復を全国津々浦々で実感できるようにするとうたっております。
いずれにしましても、人口減少問題については、国と地方がそれぞれの立場において何ができるかを真剣に議論し、それこそ待ったなしの課題に全力を挙げて取り組む時期に来ていると思っております。
そこで、次の点についてお伺いします。
日本創成会議の発表について、知事としてはどのように受けとめられておられるか、お考えをお聞かせください。
次に、七月に唐津市で開催されました全国知事会では、異例の「少子化非常事態宣言」を採択するなど、人口減少問題が大きなテーマだったとうかがっておりますが、どのような議論が展開されたのか。また、知事としてその成果をどのように捉えておられるのかお尋ねいたします。
今後の取り組みでございますが、政府は「まち・ひと・しごと創生本部」を設置し、人口減少対策や地方再生に取り組むといたしております。
県としても、人口減少対策をさらに強化していく必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。
二項目めでございます。
唐津コスメティック構想の推進についてでございます。
佐賀県が唐津市、玄海町とともに進めているプロジェクト、唐津コスメティック構想は、唐津市、玄海町を中心とした佐賀県、ひいては北部九州一帯に化粧品関連産業を集積し、成長著しいアジア市場へ展開する一大拠点づくりを目指し、地域産業の振興を図るものと理解しております。
唐津コスメティック構想を推進するための中核組織として、昨年十一月に産・学・官の連携組織であるジャパン・コスメティックセンターが設立され、その初代会長にはフランス・コスメティックバレー名誉会長のアルバン・ミュラー氏を選出し、以来、約十カ月が経過いたしました。
事務局体制も充実しつつあり、民間企業の化粧品部門の部長をされていた方がこの七月からプロジェクトマネジャーに着任されて、唐津コスメティック構想の推進に御尽力いただいていると伺っております。また、会員となる企業も順次増加してきており、現在では県内外から九十社を超える企業が入会しているとの情報も得ております。
先般開催されました唐津市商工会議所創立八十周年記念式典には、坂井副知事も御出席いただいておりましたが、その折、九州経済産業局長の祝辞の中で、唐津コスメティック構想についてはしっかりと支援をしていきたいとの発言があるなど、私どもとしては大変心強く、各方面からの期待値は非常に高いものがあると思っております。
また、先週九日から十一日にかけては、フランス・パリで開催された化粧品展示会にジャパン・コスメティックセンターとしてブースを構え、会員企業九社が出展し、フランス企業の多くがこのブースを訪れたと聞いており、今後、商談が進むことを大いに期待しているところでございます。
ところで、唐津市は九月補正予算でコスメティック原料開発調査費を提案いたしております。これは、地元の農林水産物を使った天然由来の化粧品原料の研究開発及び商品化を促進するため、エキスやオイルを抽出するなどの化粧品原料サンプルの製造に必要な機械装置を設置し、サンプルの試験製造及び成分の分析、評価を行うとともに、原料ビジネスの方策の検討を行うものとされており、総務省の採択を受けたと聞き及んでおります。
機器の設置場所は、唐津にある佐賀大学農学部附属機関のアグリ創生教育研究センターの一角を予定しているとのことで、佐賀大学も積極的な協力姿勢であると伺っております。
また、唐津市では唐津市コスメティック原料素材栽培促進補助金を用意し、市内でコスメティック原料素材となる植物の栽培ビジネスに取り組む人を対象に、種苗の購入に要する経費の一部を補助することとしており、早速その募集を開始しております。
このように、産・学・官連携による華々しい印象のあるコスメティック構想でありますが、ただ、具体的なイメージが描きづらく、このプロジェクト全体像がよく見えてまいりません。
そこで、次の点についてお伺いします。
これまでの活動を踏まえた現在の取り組み状況、また、今後の課題と取り組み方針についてお尋ねをいたします。
三項目めです。「これからのまなびの場のビジョン検討懇話会」についてでございます。
県立図書館や県立博物館は、昭和四十年前後に建てられて以来、今日まで継続して業務を行い、長い間、県民サービスに努めてこられましたが、当時と現在とでは経済情勢の変化、少子化や高齢化、あるいは生活の中への情報・通信技術の急速な浸透など、社会環境や生活環境、そして、人々の意識も大きく変化し、この間、県民の図書館や博物館、美術館に求める役割や期待もまた随分違ったものになってきているのではないかと考えられます。
このような中で、図書館や博物館、美術館は、単に本を貸し出したり資料を見てもらうだけでなく、社会的ニーズに積極的に応えていくべきであり、身近でより楽しめる場として、また、ICTを駆使した新たなサービスを提供することなどを常に考えていく必要があります。
県でも、同じような問題意識に基づき、県立図書館や県立博物館・美術館の将来の機能のあり方を検討するため、昨年六月に、「これからのまなびの場のビジョン検討懇話会」を設置して、専門的な観点、あるいは利用者の視点に立った幅広い意見を聞いているものと理解しております。
もとより図書館は図書館法、博物館、美術館は博物館法にその意義や役割が規定されており、いずれも社会教育法において社会教育のための機関と位置づけられております。また、文化財法や著作権法などの規定もございます。これら施設は、学びを通して人を育み創造することに寄与するとされており、そのことはまた、人々が心豊かに生活していくすべでもあると思います。
懇話会では、博物館、図書館に公文書館を交え、互いに連携協力を行っていくこと、これはいわゆるミュージアム、ライブラリー、アーカイブの頭文字をとったMLA連携と呼ばれており、このMLA連携が重要であるとの意見があったと伺っております。
私自身は、施設整備をするとなりますと、資料の種別にかかわらず総合的にサービスができるよう図書館、博物館、美術館に公文書館機能をあわせ持った、いわゆる複合施設としての考え方もあろうかと思います。
いずれにしましても、昨年九月、一般質問でこのことについて取り上げてから一年が経過し、この間、懇話会でどのような議論がなされてきたのか。また、老朽化の目立つ現施設の再整備の議論につながるような結論が出せるのかどうか注目しているところでございます。国家百年の大計とまではいかずとも、少なくとも十年、二十年、三十年先を見据えたしっかりとした構想が求められます。人々が求めるMLAの機能とは何ぞやをしっかりと議論していただきたいと思っております。
そこで、次の点についてお伺いします。
ビジョン検討懇話会において、これまでにどのようなことが検討されてきたのか。また、現在どのような状況にあるのか。
次に、今後、ビジョン検討懇話会をどのように進めていこうとされているのかお尋ねします。
四項目めでございます。
幾人かの方が質問されましたけれども、全国学力・学習状況調査についてお伺いをいたします。
全国学力・学習状況調査の結果が先月発表され、小学校六年生で四区分中三区分が全国平均以上、また、中学三年生では四区分中全てが全国平均を下回る結果となり、「佐賀県総合計画二〇一一」に掲げる全国学力・学習状況調査の全区分において標準化得点を全国平均以上という目標には至りませんでした。最も調査結果に一喜一憂するのはいかがなものかと思いますけれども、しかしながら、結果が出てくるとどうしてもそれなりの評価は必要になってきます。
県教育委員会は、昨年度、秋田県、福井県に教師を一年間派遣し、現地の学校で得られた情報を学校関係者や保護者、地域に伝えるための報告会やフォーラムを開催したり、学力向上のPDCAサイクルを確立するため、「佐賀県学力向上対策検証・改善委員会」を設置するなど、学力向上対策に取り組んでいますが、私はそんなにすぐに成果があらわれるものでもないと思っております。
私が昨年、文教厚生常任委員会で視察した秋田県は、ここ数年、全国の上位を占めていますが、学校の指導法や家庭学習など長年の積み重ねの上に今の状況があると感じております。本県の学力向上対策も、秋田県のようにじっくりと腰を据えた取り組みが必要であると考えているところです。ただ、くれぐれも教師への負担増にならないような手だて、子供たちがみずから学ぶ姿勢を培っていくことが肝要であると思います。
今月上旬、某新聞のコラムに「武雄発 学びの改革」と題し、「人格形成に多大な影響を及ぼす小学校時代。子どもたちが一生に一度通る学びの道は、引き返すことも、やり直すこともままならない。」とございました。お互いにそのことを肝に銘じていく必要があろうかと思います。
そこで、次の点について伺います。
全国学力・学習状況調査では、教科に関する調査と、生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査がありますが、それぞれの調査結果はどうであったのかお聞かせください。
次に、学校と家庭、地域の連携についてでございます。
子供たちにしっかりとした学力を身につけさせるためには、県、市町の教育委員会や学校だけで一生懸命にやっても、なかなか効果は出ないのではないかと考えております。秋田県がそうでありますように、家庭を含めた地域ぐるみでの一体となった取り組みがあってこそ効果があらわれてくるものと思います。こうした、いわゆる「学びの風土づくり」こそが今日求められているものと思います。
近年は両親共働き世帯が増加し、親が子供と向き合う時間が少なく、子供との十分な会話ができないとか、地域の人口が減り、地域で子供を見守ることができにくくなっているところもあると聞き及んでおりますが、やはり私は、学校と家庭、地域の連携は学力向上のためには不可欠と思います。
県教育委員会は、今後こうした学校、家庭、地域の連携にどう取り組んでいくのかお尋ねいたします。
学力向上を図るためには、腰を据えた取り組みが必要であると考えます。
県教育委員会としては、今回の全国学力・学習状況調査の結果を踏まえ、今後、学力向上対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
たしか六月議会だったと思いますが、教育長は就任に当たって、特に学力向上対策、ICT利活用教育の推進、県立高等学校の再編整備を最重要課題として重点的に取り組みたいと申されました。こうした教育長の思いも含め、答弁をよろしくお願いいたします。
これで質問を終わります。(拍手)
33 ◎古川知事 登壇=米倉幸久議員の御質問にお答えします。
私からは、人口減少社会への対応についてお答え申し上げます。
まず一点目が、日本創成会議の発表に対する受けとめについてでございます。
人口が減っていくという問題は、ついこの間言われ始めたわけではございません。その意味では、これからの日本、人口が減っていくという、その内容そのものについてはびっくりするようなことはなかったと言えばそうなんでございますが、ただ、分析の仕方が大変ユニークであったと思っております。といいますのは、人口全体を考えるというのではなくて、若年女性という言い方で、二十歳から三十九歳までの出産を中心的に担われる女性の数がどのように変化をしていくのかということに着目された、この点は大変ユニークで大きかったと思います。
これから高齢化社会になり、高齢者の割合がふえていくというのは一般的なこととして認識をしているわけでございますけれども、その高齢化社会というのが高齢者の率が高くなっていくということであるわけですが、それを足しても、それを全体として見ると人口が減っていくんだと。その率と数の誤謬といいますか、そういったものについても御指摘があったのも大変新鮮であったと思っております。
また、今回の日本創成会議の発表の中で、この合計特殊出生率が経済の成熟化とともに小さくなっていくというのは、OECD加盟国の多くに共通する事柄ではあるけれども、日本特有の問題として、地方から都市部に人口が流出しているという現状が明らかになったこと、これも非常にユニークであったと思います。合計特殊出生率がだんだん下がっていくということは共通の現象としながらも、日本だけが地方から都市へ、特に東京へ人口が流出しているというのは日本特有の現象で、成熟国家共通のものではないんだという指摘は非常に示唆的であったと思います。
この日本創成会議の発表を契機に、人口減少という、できれば目を背けたい、不都合な真実とでも言うべきものに対して、さまざまな取り組みがなされるべきであると議論が巻き起こっていることについては大変よかったと思っております。
この県議会におきましても、この日本創成会議の発表がある前に人口問題に対する質疑がございまして、それを受ける形で佐賀県庁の中に人口問題について検討する組織を設けました。その後にこの発表があったということで、私どもも県議会における議論を契機として、勉強しておいてよかったという感想を持ったところでございました。そのことが政府による、「まち・ひと・しごと創生本部」の設置に今回つながったと考えています。
この人口減少問題を解決するというのは、技術的に解決をするということではなく、社会のありようをどう持っていくのかという非常に大きな課題だと思っております。であればこそ、政府を挙げて、まさに私どもも含めて、しっかりと取り組んでいかなければならないものだと改めて感じたものでございました。
次に、全国知事会議においてどういう議論がなされたのかということについてでございますが、七月に唐津市で開催されました全国知事会議、夏の知事会議は、秋以降に向けてのいわば作戦会議でございますが、今回は人口減少問題というのをテーマに取り上げました。
このテーマをつくるというのは、夏の知事会議では珍しいことでございますけれども、特に今回はこの人口減少問題を考えようということで、一つには、特に地方開催の場合、なかなかお出ましをいただけない東京都知事にぜひとも御出席いただいて、人口問題を語るときに、東京都の知事の発言がなければ、それは画竜点睛を欠いたものになるということで、御参加いただいたということが一つございました。
また、普通、全国知事会議は知事だけで議論をするわけでございますけれども、今回は日本創成会議の責任者を務められております増田寛也さんにもお越しいただいて、簡単に基調講演みたいなものを一応していただいた後にメンバーとのやりとりをしていただきました。こうしたことによって、かなり充実した議論ができたと思っております。
増田寛也さんからは、この人口減少問題に今すぐ立ち向かわなければ本当に大変なことになるということ、また、今すぐ立ち向かっても、実は成果が出るのは随分後になってしまうんだ、それでも立ち向かわなければならないんだというお話をいただき、メンバーが同じような気持ちに立ったと思います。
また、東京一極集中という社会的な構造の問題にも歯どめをかけるように取り組まなければならない、こうした議論を行いました。
こうした議論を踏まえて、全国知事会として人口減少問題に関する危機感を共有することができたと思います。それを「少子化非常事態宣言」という形で採択をしました。そこの中に、「今こそ、思い切った政策を展開し、国・地方を通じたトータルプランに総力を挙げて取り組む時である」と書いたということが、先ほど申し上げましたような、今回の「まち・ひと・しごと創生本部」の設置にもつながったのではないかと思っているところでございます。
次にじゃ、今後の展開をどうしていくのかということでございます。
これは、さまざまな対策が求められます。単に結婚をしたい人の結婚応援をする、結婚した人同士が欲しいと思っている子供の数を実現する、それはそれで大事なことでございますけれども、そうしたこととあわせて、これも最近多くの識者から取り上げられております、女性が活躍できる社会をどう実現していくのかということでありますとか、これは女性に限らず、社会の中での大事な存在である障害のある人たちや高齢者の人たち、あるいは外国から来られた方たち、こうした我が国の構成員の人たちが、それぞれ自分の能力や意欲に合った形で力を発揮できる社会をどうつくっていくのかということ自体が問われていると私は思っているところでございまして、そういう大きな取り組みをしていくことが求められると思います。
そういう中、特に直接的な話としてやっていかなくてはいけないのが、自然減と社会減の対策をどうしていくのかということであろうかと思います。二〇一三年の佐賀県の人口の減少数は約四千人でございます。毎年四千人減っていっているということで、四千人程度の町が毎年なくなっていっているということでもございます。
そのうち、それを社会減と自然減とどっちが多いのかということで分析いたしますと、実は自然減のほうが多うございまして、何となくのイメージとしては、高校生たちが就職や進学で県の外に出ていく、その風景を毎年見ておりますので、そちらによる社会減のほうが大きいのかとも思っておりましたが、数字を分析してみますと、六割が自然減でございました。すなわち、出生して生まれる数と亡くなられる、死亡する数の差でございます。約四千人の六割でございますので、二千四百人程度が自然減になっているということです。
また、社会減対策というものは、この四割を占めるものでございまして、本来であれば、高校生が専修学校や大学に行こうとするときに、県外に行かなくても済む大学を設置するというのは、社会減対策の一つの即効性のある効果的な手段であろうかと思います。ただ、子供の数が減っていく中、特に地方に最近立地することになっております大学、特に私立の大学などは、学生の募集に苦労したりしているところもございます。これからは日本人だけで考えますと、十八歳人口が減っていくということがわかっておりますので、そういう中、必要とされる魅力のある大学を佐賀県内に設置するということであれば、それはそれとして非常に効果のあることだと思っておりますので、こうしたことを考えていかなければいけないと思っております。
日本の大学と専修学校の定員の約四割が東京圏に集中をしております。ということは、日本国中の若い十八歳ぐらいの人たちの四割が東京に一旦は集まるということでございます。四年たち、六年たち、あるいは三年後には一定の人たちは地元に、あるいは地方に行ったりするわけでございますけれども、一遍四割の若い人たちが東京圏に集まらざるを得ない、この構造がほかの国から見ると特殊なようにも私には思えます。
こういう学校をどう分散させるのかということも大きな政策課題だろうと思っておりますが、特に私立の大学の場合は、なかなか簡単にできることではないとも思っております。
さらに申し上げれば、上場企業の約六割が東京圏に本社機能を有しているところでございます。このような社会的な構造をどうしていくのかということについて、具体的な提案をしていかなければならないと考えております。
私どもとしても、もうこれから臨時国会に向けて政府は法案を出していくということを予定しているようでございますので、それに間に合うように、人口減少問題に対応できるような具体的な提案を政府や与党に対してもしていかなければいけないと考えているところでございますが、キーになるのは、人材を地方に移住させること、住んでもらうことだろうと思っているところでございます。究極の解決というのは、地域に住む人たちがそれぞれで次の時代に希望が持てるかどうかということに尽きるだろうと思っております。
この人口問題については、何回か政府でお取り上げをいただいたことがございましたけれども、これほど政府を挙げて取り組もうとされていることはないと思います。今回がラストチャンスだという思いで、人口問題の解決に向けてしっかりと取り組みをしてまいりたいと存じます。
私からは以上でございます。
34 ◎石橋農林水産商工本部長 登壇=私からは、唐津コスメティック構想の推進についてお答えいたします。
この唐津コスメティック構想を進める中核的な組織でございますジャパン・コスメティックセンターは、その理事に民間企業だけでなく、佐賀大学あるいは九州大学も加わっていただいておりまして、いわゆる産・学・官で連携してこの構想を推進するということでしてございます。その点でも企業からの注目は高いものとなってございまして、九月現在で会員企業数は九十四社というふうになってございます。
この構想は、唐津、玄海を中心とした北部九州に、美しさという意味で、美と健康に関する産業、すなわちコスメ産業の集積を図ること、そして、それに関する天然由来原料の供給地となること、この二つを目指しているものでございます。
まず、一つ目のコスメ産業の集積のために、まずはフランスのコスメティックバレーとの取引の活性化を進めることとしてございます。既に輸入化粧品の販売網を国内に有する会員企業と、フランスのコスメティックバレーの企業との間で取引が成立してございまして、この十月上旬には日本初上陸の輸入化粧品が店頭に並ぶ予定でございます。ジャパン・コスメティックセンターがかかわった輸入化粧品ビジネスの第一号が、いよいよ登場する運びとなったところでございます。
また、もう一つの天然由来原料の供給地となるために、大学や公設の試験研究機関など関係機関との連携を強固にしつつ、また、さらには会員企業のニーズを取り入れながら、地域資源をコスメ商品へ展開できないかとの可能性を探っているところでございます。
先ほど御紹介がございました、唐津市が九月補正予算において提案されているコスメティック原料開発調査費について、佐賀大学に機器設置場所の御協力をいただくことになったというのもその一環でございます。
ただ、この二つの目指すコスメ産業の集積にしろ、天然由来原料の供給地にいたしましても、いずれもまだまだ緒についたばかりで、目に見えるものとはなってございません。ただ、ジャパン・コスメティックセンターの一番の強みといいますのは、フランスにございます世界最大級の産業クラスターであるコスメティックバレーとの友好関係が既にでき上がっているという点でございます。この友好関係を活用しながら、今後の取引の拡大に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
先ほど議員からも紹介がございましたけれども、先週の九日から十一日にかけて、パリで行われた化粧品の展示会、フランスのコスミーティングに出展した会員企業については、そのうち何社か商談に発展する見込みがあるとの報告も受けているところでございます。
今後も、その具体的な成果を目に見える形で積み重ねていくことが大事であると考えておりまして、フランス企業との個別具体の取引の活発化に向け、まずはビジネスマッチングに重点的に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
35 ◎伊藤文化・スポーツ部長 登壇=私からは、「これからのまなびの場のビジョン検討懇話会」についてお答えいたします。
まず、検討の経過と現状についてでございますが、懇話会では長期的視点に立って、公立の図書館、博物館、美術館の機能に関して展望し、いわゆるビジョンとして取りまとめることを目指して、昨年六月を皮切りに、これまで六回の会議を開催しました。
会議では、関係法令や施設運営の基準などを前提としながら、学びの場の必要性や意義、将来あるべき機能について議論が行われたところでございます。
その結果、公立の図書館、博物館、美術館を人々が生涯にわたり学び続けていく拠点と位置づけられ、これら学びの場の空間とプログラムを考える上での七つの基本概念が整理されました。
幾つか御紹介いたしますと、「図書館・博物館・美術館の資源は地域の公共財である」、あるいは、「常に新鮮さを志向し、新鮮さを提供・共有できる場である」、あるいは、「あらゆる人が快適に過ごせる空間である」、こういったことでございます。
最終的には、前回八月二十七日の会議におきまして、これら七つの基本概念のもとに検討されていた事柄が集約され、ビジョンとして取りまとめていただきました。現在は、このビジョンに基づいた県立図書館及び県立博物館・美術館の機能のあり方について、検討に着手していただいているところでございます。
次に、今後、ビジョン検討懇話会をどのように進めていこうとしているのかということでございますが、今後の懇話会では、これまでに取りまとめていただいたビジョンに基づき検討していただくことになりますが、具体的には、電子資料の収集や活用の方法など変化の激しいICTの動向の把握とサービスへの応用、資料や情報などさまざまな資源を用いた利用者同士の議論や共同作業、いわゆる「まなび合い」を活性化していくための方策、あるいは、県内における県立図書館の役割と市町立図書館支援の考え方など、各館の機能のあり方に関する議論を深めていただくこととしております。
最終的には、個々の施設ごとの検討結果をビジョンと対をなすものとして、今年度末までに整理していただきたいと考えております。懇話会で整理いただく、将来あるべき機能は、これからの施設のあり方を考えていく上での重要な要素であると受けとめており、充実した議論をいただけるよう、しっかりと懇話会の運営に当たってまいりたいと考えております。
以上、お答えいたします。
36 ◎池田教育長 登壇=米倉議員の御質問にお答えをいたします。
全国学力・学習状況調査について、三点御質問をいただきました。
まず、全国学力・学習状況調査の結果についてのお尋ねでございました。
教科に関する調査では、国から示された標準化得点で見ますと、小学校六年生では、四区分中三区分は全国平均以上となりましたけれども、中学校三年では四区分とも全国平均に達しておりませんでした。
生活習慣や学習環境等に関する調査におきましても、家庭での学習時間が短いことや、テレビゲームの時間が増加傾向にあることなど課題も見られましたが、一方で、朝食を毎日食べる、家で宿題をする、自分で計画を立てて勉強する、図書館に行く頻度が多いなど、学力との相関関係が大きいとされる項目で全国平均を上回ったり、改善傾向にある項目も見られまして、今後の学力向上につながるのではないかと考えております。
次に、学校と家庭、地域の連携についてのお尋ねでございました。
学力は、学校の教育力はもとより、家庭の教育力、さらには地域の教育力が相互に関係し合う総合的な教育力によって育まれるものと考えております。昨年度、秋田県や福井県に派遣した教員の報告からも、家庭学習の充実や学校への信頼など、家庭や地域の教育力の重要さを改めて認識したところであります。
こうしたことから、県教育委員会では、家庭、地域の教育力向上、家庭学習の改善に向けて保護者への啓発活動といたしまして、学力向上フォーラムやミニフォーラムの開催、あるいは「家庭学習の手引き」の配布などに取り組んでいるところでございます。また、市町教育委員会を中心に、学校、家庭、地域が一体となって取り組んでおります家庭学習向上に向けた活動をモデル事業として指定し、支援を行いますとともに、その成果につきましては、報告会などを通じて他の市町に波及させていくこととしております。
さらに県教育委員会では、こうした家庭、地域の取り組みを徹底するため、県PTA連合会と連携いたしまして、PTAの各研修会に県教育委員会から講師を派遣し、学力向上をテーマとした講話を行うこと、あるいは、今年度新たに県内全小中学校保護者に配布予定の「家庭学習の手引き」について、保護者により浸透するように、PTAの意見を取り入れながら作成することなどに取り組むことといたしているところでございます。
最後に、今後の学力向上対策についてのお尋ねでございました。
昨年度の全国調査の結果と今回の調査結果を比較して、学力面で改善が見られる学校に着目してみますと、調査結果をきちんと分析し、これを改善に生かしていること。それから、授業の冒頭に目標、これは目当てとか狙いですけれども、これを児童生徒に示していること。それから、学習内容が十分に定着していない児童生徒に対する補充学習をよくやっていることなどが見受けられております。
このようなことから、今後の学力向上の基本は、これまで取り組んできたことの継続と徹底であると考えております。まずは、学校現場における学力向上のための検証、改善サイクルを徹底しますとともに、現在取り組んでおります学力向上対策を点検、検証し、見直すべきところは見直した上で、市町教育委員会や各学校としっかりと連携を図りながら取り組みを継続、徹底させていく必要があると考えております。
なお、議員からは、教育長の思いをというお尋ねもございました。
今回の調査結果は、大変厳しいものでございましたけれども、私は、屋上屋を重ねるように、矢継ぎ早に施策を出すべきではないと考えまして、継続と徹底の方針を出したところでございます。その方針を臨時の市町教育長会や校長会でその旨を伝えたところでございます。
それぞれの会からは、何とかしなければならないという思いは一緒である。昨年に続いて、ことしも矢継ぎ早の施策が出されると思って来たが、継続と徹底ということでほっとしたという意見や、今回、こういう結果であったが、今まで取り組んできたものをじっくりと継続して徹底していきましょうという、そのようなメッセージを県のほうからシンプルに出してもらえば、学校現場も意欲を持って取り組めるといった、県の継続と徹底という方針を支持するものでございました。
学力向上は、佐賀県の教育の最重要課題の一つでありますので、県教育委員会では、議員御指摘のように、じっくりと腰を据えて、児童生徒の学力向上に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上です。
37 ◎副議長(藤木卓一郎君) 暫時休憩いたします。
午後三時七分 休憩
平成二十六年九月十七日(水) 午後三時四十分 開議
出席議員 三十六名
一番 江 口 善 紀 一五番 岡 口 重 文 三一番 伊 東 猛 彦
二番 原 康 彦 一七番 伊 藤 豊 三二番 石 井 秀 夫
三番 古 賀 陽 三 一八番 内 川 修 治 三三番 留 守 茂 幸
四番 服 巻 稔 幸 一九番 田 崎 信 幸 三四番 石 丸 博
五番 川 崎 常 博 二〇番 大 場 芳 博 三五番 木 原 奉 文
六番 定 松 一 生 二一番 古 賀 善 行 三六番 竹 内 和 教
七番 八 谷 克 幸 二二番 指 山 清 範 三七番 福 島 光 洋
八番 徳 光 清 孝 二三番 土 井 敏 行 三八番 藤 木 卓一郎
九番 藤 崎 輝 樹 二四番 桃 崎 峰 人
一〇番 米 倉 幸 久 二五番 石 倉 秀 郷
一一番 向 門 慶 人 二七番 武 藤 明 美
一二番 坂 口 祐 樹 二八番 宮 崎 泰 茂
一三番 宮 原 真 一 二九番 稲 富 正 敏
一四番 原 田 寿 雄 三〇番 中 倉 政 義
欠席議員 なし
欠 員 二名
地方自治法第百二十一条による出席者
知 事 古 川 康
副 知 事 坂 井 浩 毅
副 知 事 牟 田 香
統 括 本 部 長 西 中 隆
くらし環境本部長 古 谷 宏
健康福祉本部長 船 津 定 見
農林水産商工本部長 石 橋 正 彦
県土づくり本部長 副 島 良 彦
経営支援本部長 山 口 康 郎
文化・スポーツ部長 伊 藤 正
国際・観光部長 黒 岩 春 地
生産振興部長 古 賀 俊 光
交通政策部長 西 村 平
会 計 管 理 者 西 村 宏 之
公 安 委 員 長 吉 冨 啓 子
警 察 本 部 長 長 嶋 良
教 育 委 員 長 牟 田 清 敬
教 育 長 池 田 英 雄
人 事 委 員 長 大 西 憲 治
人事委員会事務局長 社 頭 文 吾
職務のため議場に出席した事務局職員
議会事務局長 中 島 博 文
同 副事務局長
議事調査課長事務取扱 蓮 把 邦 彦
総 務 課 長 向 井 久美男
政務調査室長 毛 利 明 彦
議事調査課参事 前 田 利 則
総務課副課長 松 本 定 利
議事調査課副課長 篠 田 博 幸
議事調査課議事担当係長 山 口 義 徳
同 議事担当主査 佐 藤 隆 一
○ 開 議
38 ◎議長(木原奉文君) これより会議を開きます。
○ 報 告
39 ◎議長(木原奉文君) まず、報告を行います。
本日の
決算特別委員会において、互選の結果、
竹 内 和 教 君が委員長に、
桃 崎 峰 人 君が副委員長に
それぞれ当選された旨、通知がありました。
以上、御報告いたします。
次に、休憩前に引き続き一般質問を行います。
40 ◎八谷克幸君(拍手)登壇=自由民主党の八谷克幸でございます。
きょうは五項目について通告をいたしておりますので、順次質問をしてまいります。
まず一項目めは、市町村財政の現状と今後の対応についてお伺いいたします。
昭和の大合併に続き、平成十五年から十七年にかけてピークを迎えました、市町村のいわゆる平成の大合併は、人口減少とかつてない少子・高齢化等の社会情勢の変化、地方分権の担い手である基礎自治体の行財政基盤の確立、モータリゼーションの進展と生活圏の広域化への対応などを目的として全国で行われ、平成十一年三月末に、三千二百三十二あった市町村は、平成二十二年三月末の時点で千七百二十七まで減少をしております。
本県におきましても、同様な目的で市町村合併が行われ、その結果、県内の市町村数は、これまでの七市四十二町村から、十市十町の現在の市町の枠組となったところであります。
ところが、市町村合併が進んだ時期が、いわゆる三位一体改革の時期とも重なって、地方交付税が大幅に削減されるなど、県内市町の財政運営に大きな影響を与え、特に財政基盤の弱い市町村では、厳しい財政運営を強いられたところであります。
加えまして、旧合併特例法による合併市町におきましては、合併後十年経過すれば、地方交付税の合併算定がえという特例措置がなくなり、今後、さらに厳しい財政運営を余儀なくされようとしております。
私の地元であります神埼市及び吉野ヶ里町におきましても、平成十八年三月にそれぞれ合併がなされ、来年度で十年を迎えようとしております。今後、地方交付税の一本算定によりまして、平成二十六年度の算定によりますと、神埼市では約九億一千八百万円、吉野ヶ里町では約四億六千七百万円の普通交付税が、今後五年間の間に逓減していくと試算をされており、一般財源の確保が困難な今、これまでのような行政サービスが維持できなくなるのではないかと強く懸念されているところであります。
今後とも、住民サービスの低下を招くことなく、県内の市町の財政運営が健全に行われるように助言、指導していくことは、県の責務であると考えております。
そこで、まず県としては、今の市町の財政状況の現状をどのように認識しているのかをお尋ねいたします。
特に、合併市町においては、合併後、最大十年間の特例期間を経て、五年間の段階的な逓減が行われた後、一本算定に移行することとなっておりますけれども、県内市町におきまして、その影響額は全体でどのくらいであるのかお伺いをいたします。
今後の市町の財政運営への対応でありますけれども、今後、合併市町の普通交付税の減少が目前に迫る中で、市町の財政運営が健全に行われるためには、制度改正等を含めて、地方創世本部など国に対し、強く働きかけをしていくことが必要と考えますが、県は今後、どのように対応をしていくのかお伺いをいたします。
二項目めの質問は、
城原川ダムの検証についてであります。
この夏は、梅雨に逆戻りしたような長雨となり、気象庁が三十年ぶりの異常気象と発表し、「平成二十六年八月豪雨」と命名しましたように、台風や前線の影響などにより、全国各地で記録的な大雨による浸水被害や土砂災害が発生をいたしました。
高知県では、八月の降水量が平年の二百八十二・五ミリに対し、ことしは千五百六十一ミリと、五・五倍を記録し、京都府福知山市では、八月十六日と十七日の二日間に降った雨量が、観測記録を更新する大雨に見舞われ、床上、床下浸水、二千四百棟以上となる大規模な浸水被害が発生したところであります。
特に、広島市では、二十日明け方からの集中豪雨で猛烈な雨を観測し、死者、行方不明者が七十名を超す甚大な土砂災害が発生している状況であります。ことしも、このような災害により、多くのとうとい人命や貴重な財産が失われたことは、まことに残念なことであります。ここに改めて、犠牲者の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げ、一日も早い復興を願うものであります。
近年、地球温暖化の影響にも一因があると言われておりますが、全国各地で記録的な豪雨が頻発し、水害や土砂災害等の発生がこれまで以上に一層激化しているのではないかと感じているところであります。城原川におきましても、平成二十一年、二十二年に、大雨により神埼橋下流の左岸側堤防が決壊寸前となるなど、危機的な状況を経験しており、沿川の住民は、大変不安な中に暮らしている状況であります。
今、全国各地で頻発している予想を超える激しい災害の状況を目の当たりにいたしますと、城原川沿川に暮らす方々が、安全・安心な生活を送るために、治水対策の推進は、一刻の猶予も許されない状況にあることは明白な事実であります。城原川は、下流で合流する筑後川の水位や有明海の潮位の影響を受けるため、特に洪水と満潮が重なれば、平成二十一年次のように、排水が困難となる状況が生じます。また、川底が沿川の宅地より高い、いわゆる天井川であるため、一たび堤防が決壊すれば、重大な被害が発生する危険性を常にはらんでおります。
このような城原川の特性に対応し、かつ早期に治水対策を実現させるためには、ダムが最も有効であると考えておりますが、
城原川ダム事業は現在、九州地方整備局によりダム検証の検討作業が行われてはいるものの、平成二十二年十二月の準備会開催以降、いまだに関係地方公共団体からなる「検討の場」が開催されていない状況であります。
城原川の治水対策を進めるためには、ダム検証を早急に行う必要があると考えていますが、ダム検証が進んでいないこの現状を、知事はどう認識されているのか。また、今後どのような対応を行っていくのかお伺いをいたします。
三項目めに入ります。筑後川下流域の農業用水・排水対策についてであります。
佐賀平野では、農業の近代化を図るため、昭和四十年代から国営、県営によるかんがい排水事業や圃場整備事業が実施されてまいりました。特に、筑後川下流域におきましては、筑後川下流土地改良事業等により、不安定なアオ取水を筑後大堰に合口し、幹線水路の整備によって農業用水が安定的に供給されるようになったところであり、また同時に、圃場整備事業に取り組んだところ、水田の区画整理やクリークの統廃合など、農地と用排水路の改良が行われたところであります。その結果、圃場の排水対策が一段と功を奏し、施設園芸の普及や大型機械の導入が可能となるなど、水田営農の効率化と農地の高度利用が図られ、耕地利用率が全国一位になるなど、本県の農業振興に大きく寄与しているところであります。
しかしながら、こうした農業基盤の整備が進む一方で、排水系統が変わったことにより、思わぬ事態が生じてきております。いわゆる幹線水路が上流から下流まで直線的に整備されたこと、また、宅地開発に伴う雨水の流れ込みで、排水が一気に下流へ流れ、これまで地域全体で受け持っていた湛水が、下流域に集中しているのであります。
また、整備後、年数の経過とともに、水路ののり面が崩落し、コンバインやトラクターなどの耕作機械が近寄れないほど危険な状態になっていることや、崩落した泥などが堆積したことにより、水路機能に支障を来していることから、現在、重要施策として、国営及び県営事業によりクリークのり面対策が進められているところであります。
佐賀平野のほとんどのクリークは、洪水防止機能などの排水機能とともに、農業用水の貯留も重要な機能を持つものであります。ことしは、長雨が注目されておりますが、少雨傾向で干ばつ寸前でありました代かき期におきましては、泥で埋まった水路の水位が浅くなって、貯留機能が著しく低下した水路にある揚水ポンプが計画どおりに稼働せず、田植えの準備作業に支障が出た地区も見られたところであります。
そこで、次の点についてお伺いをいたします。
排水系統が変わったことにより、湛水が下流域に集中をしており、特に、平成二十四年の九州北部豪雨では、千代田町の国営水路三田川線下流域が二日間にわたり湛水をいたしました。こうした排水の現状をどう認識し、今後どう対応するのかお伺いをいたします。
次に、用水機能の回復でありますが、現在、佐賀平野で展開されているクリークののり面対策は、排水機能の回復とともに、用水機能の回復という観点からも整備が重要と考えております。用水路の断面確保など、用水面からも優先順位の決定など、現場によって整備内容が異なるため、地区の実態に即した整備を進める必要があると考えますが、どのように進めるのかお伺いをいたします。
四点目は、鳥獣保護法の改正とイノシシ対策についてであります。
イノシシや猿、カラスなどの有害鳥獣による農作物への被害は、県内におきましてもピーク時──ちなみに、ピークは県内の被害額で申し上げますと、平成十四年の四億一千七百万円から、現在は一億円台に減少はしておりますものの、脊振山系などの中山間地域を中心に、依然として被害の発生が続いております。
特に、イノシシにつきましては、県内の農作物被害の半分以上を占めており、中山間地域の重要な作物である水稲や果樹への食害により、農家の経営に影響を及ぼすとともに、収穫目前に荒らされるなど、営農意欲の減退にもつながっているところであります。地元の農家の方々の話によりますと、長い期間、苦労をして栽培し、やっと収穫間際になった農作物が、一晩でイノシシに食べられてしまったときには、本当に力が抜けて、もう農業をやめてしまおうかという気持ちになるといった切実な声を聞いております。
また、イノシシが農地に入らないように、侵入防止柵を張られておりますが、集落周辺に耕作放棄地がふえて、イノシシがまた出没するようになって、柵の中まで入ってしまう場合も出てきているとのことでありました。
こうしたイノシシの対策として、これまで、県や市町からの支援を受けながら、ワイヤーメッシュによる防護柵の整備や捕獲の実施等を進めてきた結果、農作物被害の低減に一定の効果は出てきていると認識しているところでありますが、高齢化が進んでいる中山間地域の集落では、これからもイノシシを相手に、日々、厳しい戦いを続けていかなければならないのが現状であります。
こうした中で、国ではことし五月に、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」、いわゆる「鳥獣保護法」を改正し、これまでの野生鳥獣の保護を主な目的とした法律から、ふえ過ぎた野生鳥獣については、生息数や生息域を適正な水準まで減少させる「管理」もその目的に加えて、法律名も、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に改められたところであります。
この法律では、特に全国的にも被害が多い鹿とイノシシを指定管理鳥獣として指定し、積極的な捕獲などの対策を強化することとし、国の来年度予算の概算要求も拡充されていると聞き及んでおります。
この法律の改正を一つの契機として、県内でもさらに積極的にイノシシ対策に取り組んでいく必要があると考えておりますが、耕作放棄地の増加と働き盛りの農家人口の減少によって、思うようなイノシシ対策がとられていないのが現状であります。
県では、現在の県内のイノシシによる農作物被害について、どのように認識をされているのか。また、今後、効果あるイノシシ対策のために制度の柔軟な対応を含めて、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
五項目めは、数多くの議員さんがこれまでも質問されました
オスプレイの問題であります。
オスプレイ等の佐賀空港配備問題についてお伺いをいたします。
佐賀空港は昭和四十四年に当時の池田知事が建設を表明されて以来、幾多の困難を乗り越え、地元の理解と協力及び数多くの関係者の努力の末、約三十年という時間をかけて完成した空港であります。
今日、地方空港間の競争が激しさを増す中にあって、昨年度の佐賀空港の利用者数は、過去最高の三十七万二千人を記録し、特に東京便の搭乗率に至っては、九州のANA路線の中では第二位となる六六・二%を記録したと聞いております。
また、東京便の増便やLCCによる国内外路線の新規開設など、大きく羽ばたこうとしているところのこのやさきに、陸上自衛隊の
オスプレイのようなティルトローター機の佐賀空港への配備と、
目達原駐屯地のヘリ部隊の佐賀空港への移設についての協力要請、またあわせて沖縄の負担軽減の観点から、沖縄米海兵隊による佐賀空港利用の協力も要請されたところであります。これを佐賀県民としてはどのように受けとめればよいのか。
確かに、昨今の北朝鮮の核開発やミサイル発射実験、あるいは中国の尖閣諸島をめぐる動き、さらには領土、領空、領海のたび重なる侵犯事件を見ましても、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している状況にあると考えています。こうした中で、九州南西地域の島嶼防衛についてはますます重要性を増しており、この島嶼部の防衛強化のために水陸機動団の新設が決められたところであります。その部隊の輸送のために、
オスプレイの配備先として今回要請があったことは、国全体の防衛力強化の観点から、しっかりと受けとめて、真摯に検討すべきであると思います。
国防、安全保障は国の専管事項であり、一義的には国の責任で考え、実施されるべきものでありますが、知事の演告や、さきの一般質問の答弁にもありましたとおり、一般論としては、一人の国民、一つの地方自治体としては協力する立場にあると考えます。
また、沖縄の基地負担軽減のことについて目を転じれば、我々県民、国民は沖縄の置かれている現状に対して他人ごととして目を背けることなく、真摯に向き合う必要があると思います。
今回の政府からの要請を契機に、我が国の国防、安全保障が沖縄の大きな負担のもとに成り立っている現実をきちんと直視して、どう対応すべきか真剣に考えなければならないと考えているところであります。
その一方で、今回の要請に対しましては、
オスプレイの安全性は大丈夫なのか、風圧や排水などでノリ養殖に影響が出るのではないか、自衛隊基地になったら真っ先に攻撃されるのではないか、米軍が来たら怖いなど、県民の皆さんに大きな不安があるのも事実であります。
県として政府からの提案を検討するに当たっては、こういった県民の疑念や不安の声を政府にしっかり届けて、政府が責任を持って地元住民や関係者に説明をしてもらう必要があると同時に、佐賀空港の民間空港としての発展に支障がないこと、そして何よりも県民の安心、安全が確保されることを前提として真剣に検討すべきであると考えます。
そこで、以下の点についてお伺いをいたします。
まず、県議会決議の受けとめについてでありますが、平成二十二年の県議会で「
米軍普天間飛行場の佐賀空港への移設に反対する決議」がある中、今回の要請があったことについて、知事はどのように考えておられるのかお伺いをいたします。
また、アメリカ海兵隊の佐賀空港利用については、沖縄の負担軽減のほか、米兵による犯罪など治安を不安視する声もありますが、米軍の佐賀空港利用についてはどう考えておられるのかお伺いをいたします。
三つ目に、佐賀空港周辺のメリットについてお伺いをいたします。
佐賀空港に自衛隊のヘリ部隊が仮に配備された場合の佐賀空港周辺における経済的メリットや波及効果をどのように考えておられるのかお伺いをいたします。
四点目は、
目達原駐屯地の運用の現状についてであります。
目達原駐屯地には、昭和三十一年に第四飛行隊が山口県小月から移駐されて以来、昭和四十三年に西部方面ヘリコプター隊、平成二年には第三対戦車ヘリコプター隊が配備され、合わせて五十機のヘリ部隊が配備され、現在に至っているとのことであります。吉野ヶ里町を初め、周辺自治体では住民の騒音対策が行政の大きな課題でありました。
そこで、現在の状況についてお伺いをいたします。
目達原駐屯地におけるヘリコプターの年間の離着陸回数はどうなっているのか。また、騒音の苦情件数はどうなっているのか。さらにその騒音に対してどのような対策が講じられているのかお伺いをいたします。
最後に、
目達原駐屯地周辺への影響についてお伺いをいたします。
目達原駐屯地のヘリ部隊を移駐させることにつきましては、吉野ヶ里町周辺では騒音被害が解消されるというメリットがある反面、隊員という住民が減少する経済的な影響、例えば、特定防衛施設周辺整備調整交付金や住民税の減少などが考えられますが、このことについてどう考えておられるのか。また、吉野ヶ里町の財政運営に大きく影響する経済的デメリットを補完する上でも、現在の目達原自衛隊の持つ機能や施設設備などを生かしたヘリ部隊にかわる部隊の誘致なども検討すべきと思いますが、知事の考え方をお伺いいたします。
以上、五項目につきまして知事以下の答弁を求めます。(拍手)
41 ◎古川知事 登壇=八谷克幸議員の御質問にお答えします。
まず、
城原川ダムの検証についてお答えをいたします。
今、具体的な例を挙げてのお話がございましたが、城原川では最近大きな洪水が連続して発生をしております。川沿いにお住まいの住民の方々から大変不安に感じているという声も寄せられております。治水対策を速やかに進めていくことがこれまで以上に喫緊の課題であり、重要だと私自身強く感じているところでございます。
また一方で、
城原川ダムの水没予定地の住民の方々には、四十年を超える長きにわたって御苦労をおかけしております。しかしながら、本当に残念なことに、
城原川ダムが検証ダムとなってから数年たちますが、検証がなかなか進んでおりません。私は、ことしも五月に国に対しダム検証を含めて城原川の治水対策の推進などを訴えてまいりました。また、六月には太田
国土交通大臣が来県される機会を捉えて、大臣に直接、近年の出水の状況や天井川である城原川の危険性などを説明して、地域の安全と安心を一日も早く確保したいという思いを訴えました。大臣からは、できるだけ早く結論を出して、総合的な治水対策ができるようにしたいとのお答えをいただきました。
このような提案活動を行ってきたところではございますが、五月に行われました水没予定地域の方々への説明会では、国からできるだけ早く具体的な動きが示せるよう努力するとの発言もありまして、何らかの動きがあるものと期待しているところでございます。
長年にわたって御苦労をおかけしている水没予定地の皆さんはもとより、城原川沿川の地域にお住まいの方々の安全と安心のためにも、ダムの検証を早急に進めることによりまして、一日も早く治水の方針が決定されて、対策を実施していただくよう今後とも国に繰り返し働きかけをしてまいります。
次に、
オスプレイ等の佐賀空港配備問題について、何点か御質問をいただきました。
まず一点目が、平成二十二年の県議会における決議がある中、今回の要請についてどのように考えているのかというお尋ねでございます。
平成二十二年の当時の県議会での決議、これは米軍の普天間飛行場の佐賀空港への移設に反対する決議でありましたが、これは全会一致の決議ということでもございます。重いものだと考えているところでございます。
今回の政府からの要請を受けて、この決議と今回の要請との関係を含め、県議会でどのような議論がなされるのか、しっかりと耳を傾けたいと考えているところでございます。
次に、米海兵隊の利用についてでございます。
米軍に佐賀空港を利用させることについて、治安が悪化するのではないかという不安視する声もあると思うがどうかというお尋ねでございました。
確かに議員御指摘のように、米兵による犯罪などを心配する声があるのは事実でございます。こうしたことについて、どういう対策をとるのか、どう対応していくのか、政府はしっかりと説明をしていただかなくてはならないと考えているところでございます。
また、この米軍の利用について、私ども県としての基本的な考え方を申し上げれば、平成二十二年五月の全国知事会における決議でございます。「政府から熟慮された具体的な提案があった場合には、関係する市町村や住民の理解を前提とし、それぞれの地域の歴史的な経緯を踏まえつつ、今後とも真摯に対応していく」このように決議をしているところでございます。
議員からも御指摘がありましたように、沖縄の負担軽減は国を挙げて全国的に図らなくてはならないと私も考えているところでございまして、まだ具体的に細かな内容がわかりませんが、政府から内容が調い次第、改めて相談したいと言われておりますので、そういう相談があれば真摯に対応する必要があると考えているところでございます。
次に、仮に自衛隊のヘリ部隊が配備される場合、佐賀空港周辺にはどのような経済的なメリット、波及効果があるのかというお尋ねでございます。
現時点では説明が始まったばかりでございまして、私どもとしてこの配備を前提にした経済的メリット、波及効果についてはまだ計算などをしておりません。直接的にはそういうことでございまして、どうか御理解を賜りたいと存じます。
一方で、全国の状況などを見ますと、災害時において自衛隊が近くにあったほうが迅速な対応がとれるということや、あるいは直接的な人口増加につながる、税収増につながる、地域の活性化につながる、こうしたメリットを期待して、ぜひ我が地域に自衛隊をという自衛隊の誘致活動が行われている例も少なくないとも聞いているところでございます。
今回の政府の提案についての経済的メリットなどについては、繰り返しになりますが、いまだ計算をするような状況には至っていないと考えておりまして、どうか御理解を賜りたいと存じます。
私から最後でございますが、
目達原駐屯地周辺が、今回の政府の提案を仮に受け入れるとした場合には、ヘリ部隊を佐賀空港周辺に移駐させていくということになるわけでございますが、そうした場合にどのように影響があるのか、あるいはそういうヘリ部隊にかわる部隊の誘致なども検討するべきではないかというお尋ねでございます。
まず、移転した場合にどのような影響が出てくるのかという影響についてのお尋ねでございますが、これも今回の政府からの要請に対して、私どもとしてどのように判断をするのか、その可否の判断については、まだできる状況ではないと考えております。さらに申し上げれば、ヘリの部隊が移転した後の
目達原駐屯地の姿がどのような姿になるのかということについて、今の時点では明確になっておりません。ということで、議員からは移転後の吉野ヶ里町の経済的な影響、デメリットについてはどうなるのかというお尋ねでございますが、現時点でそれを具体的に申し上げる段階にはないと考えているところでございます。
また、ほかの部隊を誘致してはどうかということも含めてでございますが、仮に
目達原駐屯地の
ヘリコプター部隊を移駐させるということになったときに、どの程度のものがどういう形で行われるのかはまだ全くわかりませんが、仮に住民減少の経済的なデメリットが生じることとなった場合には、これは住民も減少するとともに騒音も減少するといったところも一般的には考えられますので、そうしたことを含めて、吉野ヶ里町自身がどのようにお考えになるのかということが何より重要だと思うところでございます。その上で吉野ヶ里町からお話があれば、相談には乗りたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
42 ◎西中統括本部長 登壇=私からは、
オスプレイ等の佐賀空港配備問題についてのうち、
目達原駐屯地の運用の現状につきまして、三点お答えを申し上げます。
まず一つ目が、離着陸の回数についてのお尋ねでございました。
この数字につきましては、九州防衛局に確認をしたものでございます。
過去三年間の年間の離着陸回数として申し上げますが、平成二十三年度が約一万二千九百回、平成二十四年度は約一万二千百回、平成二十五年度は約一万二千八百回となっているということでございました。
それから、二つ目のお尋ねが騒音の苦情件数についてでございました。
これも九州防衛局のほうから聞いた数字でございますが、平成二十三年度は六十四件、平成二十四年度は百四十三件、平成二十五年度は百十件となっているというふうに聞いてございます。
それから、三つ目でございます。騒音対策についてどのような対策が講じられているのかというお尋ねでございました。
目達原の駐屯地におけます現在の
ヘリコプター部隊の騒音対策といたしましては、まず離着陸の時間帯は原則八時から十七時としていること、夜間訓練は二十一時以降は行わないこと、住宅密集地は飛行制限区域として、飛行高度は千五百フィート、約五百メートル以上を確保するようにしていること、病院上空は飛行禁止区域として飛行を禁止していること、長時間のホバリングは実施しないこと、学校などの配置を考慮して飛行経路を設定していることなどを実施しているというふうに聞いてございます。
また、防音の対策といたしましては、周辺住宅の防音天井や防音壁への改造、防音窓の取りつけ、空調の設置などへの補助などをあわせて行っていると聞いてございます。
私からは以上でございます。
43 ◎副島県土づくり本部長 登壇=私のほうからは、筑後川下流域の農業用水・排水対策について二点お答えさせていただきます。
まず、農業排水の現状認識と今後の対応についてでございます。
佐賀平野の排水施設につきましては、国営筑後川下流土地改良事業の計画に基づきまして、十年に一回の確率で生じる大雨に対応できるよう整備されておりまして、全体としては湛水被害が軽減されたという認識でございます。しかし、議員御指摘のとおり、排水系統が直線的になり、短時間で水が流下してくることや、ゲート等の管理形態が大きく変わったことなどから、下流域で湛水が見られるようになったというふうに考えているところでございます。
このようなことから、国営三田川線流域では、クリークの管理者である市町や土地改良区において、降雨の予想に合わせまして、河川からの取水施設の全閉、幹線水路の事前排水、幹線水路の制水ゲートの操作など、排水が一気に集中しないよう、広域的な管理体制強化に取り組まれてきたところでございます。
今後は、さらに排水機能が高まるよう、既存の排水機場を最大限活用するために、クリーク防災事業の促進とあわせまして、関連の深い老朽化している排水機場の機能向上について、市と連携いたしまして、国土交通省及び農林水産省に働きかけていきたいと考えております。
いずれにしましても、農家の方々が安心して営農できるように、市町及び土地改良区と連携し、排水対策に取り組んでまいります。
続きまして、農業用水機能の回復をどのように進めているかという問いでございました。
クリークは、排水や降雨時の一時貯留のみならず、農業用水の送水や貯水といった機能も有していると認識しているところでございます。これらのクリークは、圃場整備等によりまして、土水路で整備されてきましたが、時間とともにのり面が崩壊し、営農や通行車両の安全性及びクリーク機能の障害が生じているというふうに考えているところでございます。
また、平成二十年度に実施いたしました実態調査の結果、整備が必要なクリークの延長は、県内で約七百五十キロと、膨大になるということもわかってきた次第でございます。このため、国営、県営事業でクリーク整備を行うに当たっては、相当の時間を要しますことから、関係市町や土地改良区と協議をしまして、緊急性の高い箇所を選定していただいているところでございます。
いずれにしましても、今後とも市町や土地改良区としっかり連携し、事業効果の高い箇所からクリーク整備に取り組むとともに、少しでも多くのクリーク整備ができますよう、国に対して予算の確保を強く要望してまいります。
私からは以上でございます。
44 ◎山口経営支援本部長=私からは、市町村財政の現状と今後の対応、特に合併市町村についての御質問を三項目頂戴いたしました。
まず、市町の財政運営の現状についてでございます。
議員からお話がございましたように、市町村合併の時期といわゆる三位一体の改革の時期が重なったことによりまして、合併市町におきましては、当初から厳しい財政運営を強いられてきたところでございます。
最近の状況についてでございますが、市町の財政の健全化を判断する数値のうち、公債費による財政負担の度合いを示します実質公債費比率を見てみますと、平成二十五年度の速報値では、県内の全市町平均で一一・五%となっております。これは早期健全化基準であります二五%を下回っているところでございます。
また、将来負担すべき負債による財政負担の度合いを示す将来負担比率につきましては、県内全市町平均で五六・三%となっておりまして、これも同じく早期健全化基準であります三五〇%を下回っているところでございます。
この二つの数値を、平成十九年度に「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が制定された後の推移を見てみますと、実質公債費比率につきましては、平成二十年度のピークの一五・三%、将来負担比率につきましては平成十九年度のピークが一一四・一%でございましたが、いずれも低下の傾向を見ているところでございます。
このように、最近の地方交付税の増額などによる一般財源総額の確保などもございまして、総じて県内市町の財政の健全化は進んでいますものの、なお、公債費が高い水準で推移していることですとか、社会保障関係の経費の自然増などが見込まれることから、今後も引き続きまして、堅実な財政運営に市町のほうで努めていただく必要があると認識をしているところでございます。
二つ目に、合併市町におきます合併算定がえ終了時によります交付税の影響額についてでございます。
合併算定がえは、合併後、最大十年間を特例期間として、合併前の旧市町村の単位で計算した場合の普通交付税の合算額を保障していくものでございまして、なお十年後、さらに五年間は段階的に逓減をしながら、いわゆる十五年をかけて一本算定といいましょうか、合併市町村単独での算定の金額に移行していくという制度でございますけれども、県内の合併の市町が一本算定に移行した場合の影響額につきましては、あくまでも現時点、平成二十六年度の地方交付税の算定の方法によります試算によりますと、合併算定がえの金額と一本算定の金額の差額は、合併しました十市町全体で約百六十二億円となっているところでございます。
それから、最後に、今後の市町の財政運営への県の対応についてでございますが、市町におけます不断の経営努力は必要であるということは申すまでもございませんけれども、歳入面におきましては、地方交付税の役割は非常に大きいものがあると考えているところでございます。地方交付税は、合併した市町村、あるいは非合併の市町村を問わず、市町村が標準的な水準の行政を行うために必要な経費の財源を保障するという機能を担っておりまして、市町村の姿が変われば、その財源保障のための地方交付税の算定のあり方も変える必要があるというふうに考えているところでございます。
こういう考え方から、平成二十五年五月には九州地方知事会として「『平成の合併』後の市町村の実態を反映した地方交付税の算定を行うこと。」という特別決議を行いました。そういうことから、地方から国に対して算定方法の見直しについて提言を行ってきたところでございますし、県といたしましても、地方交付税法の第十七条の四に定めますところによりまして、意見の申し出制度を活用しまして、総務省に対して意見を提出しているところでございます。
こういうような動きを受けまして、国は平成の合併により市町村の姿が大きく変化し、合併をした時点では想定されなかった新たな行政需要が生じているといたしまして、今年度の平成二十六年度以降、五年程度の期間で交付税の算定方法を見直すという方針を出され、平成二十六年度におきましては、特に合併市町村においては、災害時の拠点として、あるいはコミュニティーの維持管理における支所の重要性が増しているということで、支所に対する経費が交付税算定に反映されたところでございます。
県といたしましても、今回の交付税算定の見直しについての国の動きを注視しますとともに、今後とも市町が将来にわたって安定的に行政サービスの提供が行えるよう、必要に応じまして国に対し働きかけを行っていきますとともに、市町に対しては適宜適切な助言や情報提供に努めてまいりたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
45 ◎古賀生産振興部長 登壇=私からは、鳥獣保護法の改正とイノシシ対策についてお答えをいたします。
まず、イノシシによる農作物被害についての認識でございますが、イノシシによる農作物被害金額は、議員からも御紹介いただきましたように、ここ数年は減少傾向が続いておりまして、平成二十五年度は約一億一千万円になっているところでございます。
一方、イノシシの捕獲頭数は、平成二十五年度が約二万三千頭となっており、平成二十二年度以降は毎年二万頭以上を捕獲しているという状況がございます。
しかしながら、ワイヤーメッシュ防護柵の整備がなされておらず、侵入防止対策が十分でない地域でありますとか、一度防護柵を設置したものの、その後の管理が十分にできずにイノシシから再び侵入された圃場、あるいは最近では、防護柵の下を掘って侵入された事例や防護柵が押し倒された事例、こういったものも出るなど、地域や圃場ごとに見てまいりますと、依然として被害の発生が続いているところも多く見られるところでございます。
こうしたことから、県としては、今後とも中山間地域農業の振興を図っていく上でイノシシ対策の取り組みは大変重要な課題であると認識をしております。
次に、今後のイノシシ対策でございますが、イノシシは野生鳥獣でございますので、生息数や生息域を簡単にコントロールしていくことは非常に難しいことなどから、各地域において被害軽減対策に着実に取り組んでいくことが重要と考えております。
具体的には、集落単位などで地域でまとまってイノシシの餌につながります、例えば、出荷されなかった規格外の果実や生ごみなどを圃場に捨てないなどのすみ分け対策、防護柵などを設置し、イノシシを圃場に入れない侵入防止対策、さらには箱わななどによる捕獲対策、この三つの対策を適切に組み合わせて進めていくことが必要でございます。
こうしたことから、県といたしましては、集落などに対しましてすみ分け対策や侵入防止対策の普及や指導を行います、これはJAの職員でありますとか、市町の職員、さらに猟友会、県職員、こういったものから成っておりますが、鳥獣被害対策指導員の育成とあわせまして、集落単位での防護柵の整備と設置後の適正な管理の実施などを推進しているところでございます。
また、生息数を減らすための捕獲対策につきましては、県独自のイノシシ捕獲報奨金の交付に加えまして、国の緊急対策を活用いたしまして、平成二十五年度からの三年間は捕獲報奨金に上乗せを行いまして、集中的に取り組みの強化を図っているところでございます。
県としては、議員からお話がありましたが、今回鳥獣保護法が改正されたことに伴いまして、国が制度の見直しや予算の拡充等を検討されておりますことから、これまでの取り組みに加えまして、今回の改正に伴います予算や制度の見直しなども効果的に活用しながら、引き続きイノシシ対策に積極的に取り組んでまいります。
以上、お答えいたします。
46 ◎八谷克幸君 登壇=二項目について、お尋ねというか、提案をいたします。
一つの項目は、通告をいたしておりませんでしたので答弁を求められませんが、副知事に対して、一つは筑後川下流域問題の国営水路三田川線下流域の排水の問題であります。
これは、先ほどの質問でも申し上げましたとおりに、いわゆる内水面ばかりの問題の中に住宅開発、そういったものの水と同時に直線的な水の流れということで、いわゆる内水面の動きが大きく変わったわけでありますので、ここに農林水産省でつくった施設だから、国土交通省の施設だからじゃなくて、それを例えば合体するような、三田川線に排水機場をつくるとか、そういった思い切った考え方ができないものなのか。
これは、かつて行政に身を置いた私としましても非常に無理なことを言っているなということはわかりますけれども、そういう状況の変化があること、そして、一番困っているのは流域の住民の方々だということであれば、これは農地だ、農業用水だ、都市用水だということは関係ないわけでありますので、改めてそういった検討ができないのか、提案をいたしたいと思います。
それから、再質問を一つですが、毎回しておりますが、相変わらず
城原川ダム問題についてであります。
このことについては、私も就任以来、再三取り上げてまいりました。
この五月三十一日と六月一日に開催されました地元組織の総会に合わせた国の説明会に私も同行させていただきましたが、その中では、本当に一向に進んでいないダム検証へのいら立ち、一部には諦めにも似たような感も見受けられましたけれども、そうした中で、今、知事の答弁にありましたが、国からはできるだけ早く具体的な動きを示せるよう努力するといった、今までとは違った、一歩進んだ内容のことがありました。
そうしたことを受けて、知事は平成二十年度以降、一回も現地を訪問されておりません。今後、しかるべき時期を見て、水没予定地の地元に足を運んでいただきたいと思いますが、その件について答弁を求めます。
47 ◎古川知事 登壇=八谷議員の再質問にお答えをいたします。
城原川の現地については、平成二十年の議員御指摘いただいたあのとき以来、公式な形で足を運んだことはございません。その後の動きが非常に遅々たるもので、関係者の方々に申しわけない思いというのは、先ほど答弁でも申し上げたとおりでございます。
今、少し国の動きが出てきているように思います。大臣も力強く言っていただきました。また、現場のほうでもいろんな動きが出てきているようでございます。
議員からは、もう一度足を運んで現場の方たち、住民の方たちと一緒に話をする機会をつくってみるべきだという御提案をいただきました。私もタイミングを見て、しかるべきときに現場にお伺いをしたいと考えるところでございます。
水の問題は、本当に最近、雨の降り方からいろんなものが変わってきております。先日は、この不作の状況の視察に県内の幾つかの圃場を拝見させていただいたときにも、先ほどイノシシのお話がございましたけれども、せっかく電気牧柵をつくっても、ことしは雨が多くて下の土の状況が緩くなっているので、いつもの年だったらそんなことはないんだけれども、イノシシが土を掘って出ていくんだと。そして、できが悪いもんだから、イノシシもいいできのところを見つけてはそこに集中して、本当に虎の子の、ここはやっとできたと思ったところがやられている、そういうふうなお話も伺ったところでございまして、有害鳥獣の問題は本当に真剣に効果のある政策を取り組まなければならないことだということも感じております。
また、国営水路三田川線の下流域の問題についても、これも私、先日現場に行って話を聞いてまいりましたけれども、まさにどこの所管ということではなくて、二年に一遍つかると言われると、どんな営農者でもさすがにやる気がなくなるのではないかということを心配いたしました。
かつては、あそこは米作が中心の地帯でございましたけれども、最近は施設園芸もふえておりまして、そうなると水につかるということが許されないような状況にあるなということも感じてまいりました。
そのゲートの操作から始めて、いろいろ今の状態でやらなければいけないことも多々あるとは存じますけれども、営農者の方々が意欲を持って続けられるような、そういったことになるように、私からもしっかりと指示をしてまいりたいと存じます。
以上でございます。
48 ◎議長(木原奉文君) 本日の会議はこれで終了いたします。あす十八日は一般質問及び議案の委員会付託を行います。
本日はこれで散会いたします。
午後四時三十八分 散会
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