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平成26年原子力安全対策等特別委員会 名簿 開催日:2014年01月24日
平成26年原子力安全対策等特別委員会 本文 開催日:2014年01月24日

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  1. 佐賀県議会 2014-01-24
    平成26年原子力安全対策等特別委員会 本文 開催日:2014年01月24日


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     午前十時三分 開会 ◯石丸委員長=ただいまから原子力安全対策等特別委員会を開催いたします。     ○ 会議録署名者指名 2 ◯石丸委員長会議録署名者として、八谷克幸委員米倉幸久委員内川修治委員稲富正敏委員、以上の四人を指名いたします。  閉会中の継続審査となっております原子力安全・防災対策、エネルギー対策に関する諸問題の調査に関する件を議題といたします。     ○ 参考人の出席について 3 ◯石丸委員長=最初に、参考人の出席についてお諮りいたします。  原子力安全・防災対策、エネルギー対策に関する諸問題の調査に関する件について、本日、北海道大学大学院教授、奈良林直氏を参考人として本委員会に出席を求め、別紙日程のとおり、お手元に配付しています事項について意見を聞きたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 4 ◯石丸委員長=御異議ないものと認めます。よって、そのように決定し、その旨、議長に申し出ることにいたします。  暫時休憩します。準備が整い次第、委員会を再開しますので、このままお待ちください。     午前十時四分 休憩     午前十時五分 開議 5 ◯石丸委員長=委員会を再開します。  ただいまからお手元の日程表に従いまして、参考人から意見を聞くことにいたします。  それでは、参考人として北海道大学大学院教授、奈良林直氏が入室いたします。     〔参考人入場〕 6 ◯石丸委員長奈良林参考人に一言御挨拶申し上げます。  本日は御多忙中にもかかわらず、本委員会のために御出席をいただき、まことにありがとうございます。
     これより、奈良林参考人原子力発電所に係る新規制基準に対する所見等について御意見を述べていただき、その後、委員の質疑にお答えいただくようお願いいたします。  なお、参考人は着席のまま意見を述べられて結構です。  それでは、よろしくお願いいたします。 7 ◯奈良林参考人=北海道大学の奈良林です。  それでは、これから原子力発電の大切さ、それから新規制基準、何がポイントか、そして、現在の新規制基準、それに対して今まで何が不足していたか、そういったことを、まず一時間ぐらい時間をいただきまして説明をさせていただきたいというふうに思います。  それでは、着席のままパワーポイントを使って説明いたします。     〔資料を76頁から124頁に掲載〕 8 ◯奈良林参考人=それでは、ちょっと広い範囲で原子力というものを捉えてみたいと思いまして、今、ここに書いてございます演題は「地球環境と人類の長期存続のための原子力」というふうに書いてあります。  福島第一原発事故の教訓と対策、これについては、国内のいろいろな講演会場、あるいは海外、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国、そして中東、いろんなところでこの教訓について私は講演をしております。学会発表もしております。福島のような事故を二度と起こしてはいけないと、そういう思いから世界中へ行って、こういった教訓、何が欠けていたのか、そういったことを講演しております。  そして、あわせて海外で既にいろんな核事故対策がとられておりました。そういった海外のグッドプラクティス、こういったものを抽出して、事故後、国の保安院の意見聴取会等でこういったものをつける必要があるということを提案いたしました。きょうはそういったことも含めてお話しいたします。  ここに略歴が書いてございますが、私は今現在、北海道大学の教員をしておりますが、東工大の修士課程を卒業しました。そして、同じ研究室の一年後輩が福島第一原子力発電所の所長をしていた吉田昌郎さんであります。熱心にいろいろな海外の文献も──輪講といいますけれども、勉強し合う、そういうことをずっと大学時代はやっておりました。  それから、私は東芝に行きまして、研究所に配属されました。この間、ずうっと新型炉、ちょうど私が入社して一年後にアメリカのスリーマイルアイランドの事故が起きまして、そういったことから研究所で原子炉の安全性に関する実験とか解析、そういったことをやっていました。  もともと原子炉には大量の放射能が内蔵されていますので、それを外へ出してはいけない、つまり炉心溶融をさせてはいけないと、それが研究にいる人間としていろいろな開発をやったことにつながっています。  一つは、改良型沸騰水型原子炉、ABWRといいますが、これが大体一九九二年ぐらいに完成しました。それから、一九八六年にチェルノブイリの事故が起きまして、このときに環境に放射能が大量に出るという事態が生じてしまいました。そのころから非常に過酷事故に関してのいろんな研究が国際的には進んでいまして、そして今、中国、それからアメリカで建設されている原子炉については、原子炉自体に自分で事故時に冷却をする能力を持たせている、静的冷却系といいますが、パッシブな機能によって原子炉に事故が起きたときに自分で冷やす機能を持っている、こういうものを私は研究所で開発をしていました。  そして、東芝にいた最後の十年ぐらいは研究所にいまして、発電所でトラブルが起きると、そのトラブルを解決する責任者をさせられていまして、大体半年とか一年に一回や二回、折れたとか割れたとか漏れたとか、そういった事象もあります。大体そういった事象で対策室に呼ばれると、そこから半年は睡眠時間三時間くらいのそんな状態が続きます。徹夜の連続で実験をして、実際に事故が起きた状態をちゃんと実験装置で再現して、次は恒久対策というんですが、それを再発させないようにするための実験をすると。そして、完全に事故が防止できるということを確認しましたら、それを電力会社を通じて国の委員会に報告しまして、そして、対策工事をやると。  そういうことをずっと十年間やっていましたので、原子炉の炉心の燃料の例えば、ばね──スペンサーといいますが、スプリングからタービンの羽根、それから給水加熱器、あるいは復水器、こういったものをほとんど原子炉の系統の全てにわたって大なり小なりいろんなトラブル対応を実施いたしました。  私の信条として、トラブル対応があったら必ずその研究成果は公表するという方針を貫きました。事業者の電力会社の許可もいただいて、これは開示許可といいますが、それをとって論文を出して、国際会議で発表するということをずっとやっていました。  それで、数十件の論文を書いて、国際会議も含めて百件ぐらいは発表しています。そういう論文の数で大学の人事の公募が行われますので、ちょうど私自身が北大に移るころに、毎回対策室に呼ばれるとメンバーは同じで若い人が入ってこないんですよね。このままいくと、ただ我々対策室に呼ばれる人間が年をとっていくだけで技術継承もちゃんとできなくなってしまうという危機感がありましたので、北海道大学にちょうどタイミングよく公募がありましたので、移ったわけでございます。それで、今、原子力を含めて学生をしっかり教育していると。  今、一年生、新入生も講義をしておりますが、工学部だけではなくて、文学部、経済学部、法学部、医学部、水産、獣医、いろんな北大全体の学部から、選択科目なんですが、約二百人の学生が受講してくれていまして、「地球環境問題と原子力・倫理」という科目ですが、例えば、文学部の学生さんはマスコミに行きますし、法学部の学生さんは原子力を規制する法律をつくりますし、経済学部の学生はこれから国の経済を考えていく、そういう人たちになるわけですから、そういった学生の中には、反対の立場をとる学生ももちろんいます。私はそういうことにとらわれずに、ちゃんと学生が四年間、あるいは修士にも進みますが、自分としての意見がちゃんと持てるように正しい知識を与えていくと、それが私の使命だと思っていますので、そういう観点で講義をしています。  講義は非常に好評で、これで四年間、大学で勉強をしていく目標ができましたとか、そういう感想を書くと、A四の紙に真っ黒になるほど学生がいろんな意見を書いてくれます。もちろん、講義の中では反対の立場をとる先生も北海道大学にはたくさんおられますので、そういった先生にもお願いして、講義を分担していただいています。そういう面で、多様な意見を学生たちが聞くという機会も教育の中で必要だというふうに思っております。  あと、いろいろな国際会議の技術委員長をやりましたし、今ここに書いてあります原子炉工学国際会議、ICONE、このときには世界から七百人が集まる国際会議の技術委員長をしました。その中で過酷事故のセッションがあって、ちょうど過酷事故が起きたときに原子炉の底がどういうふうに抜けるのか、そういったことを国際会議の場ではディスカッションしています。  既に研究者の中では、炉心溶融が起きたときに、その後、メルトスルーする。そして、その溶融物が下に落ちたときにコンクリートと溶融物がどういう反応をするか。そして、その下に水があったときに水蒸気爆発するかしないか。そういう条件まで詳しく世界中の人たちが研究を既にしています。ですから、そういったことも含めて、きょうはいろいろとお話をしたいというふうに思っています。  事故の後は、原子力学会のシニアネットワークというのがございまして、経験豊富な人たち、既に第一線を退いたシニアの方々なんですが、ここで福島の事故の分析をして、対策を早く提案しようということで、復興チームF──Fは福島のF、あるいは復興のFをとったんですが、こういったチームができまして、私は現役だったものですから代表をやってくださいということになって、三月中に大体汚染水が垂れ流しの状態になってしまっていましたので、タービン建屋に出た汚染水を回収してリサイクルすると。  つまり、今行われています循環貯水システムが必要であるということを三月末に意見をまとめて、これを提言しました。四月に提言して、テレビでもそれは大事だということを主張しましたし、いろんなことをやったんですが、実際に国がやるまでは二カ月、六月にNRCが水棺をしろということを強く主張していて、この循環貯水システムの導入がおくれています。  それから、あとフィルターベントが必要だということで、こういったことも海外調査をもとに原子力学会で講演を行いました。私は、これは今でもよく覚えているんですが、二〇一一年九月の原子力学会、福岡の国際会議場であったんですが、そのときにフィルターベントが必要だという講演をしましたら、会場から何でそんなものをつけるんだと、それから、座長まで要らないじゃないかというような指摘があって、私は原子力に携わる人間ですが、いわゆる原子力ムラというのを感じました。  そのときの福島民報か、新聞記事があって、私が拳を振り上げて「フィルターベント、必要です」ということを主張している写真が載って、記事になっております。ですから、私は必要なものはちゃんと必要だという主張をしますし、それから、なぜすぐつけないんだということがあるかもしれませんけど、ちゃんとものは設計をして、そして、しっかりした施工をして、それで供用に入ると、そういうしっかりした準備も必要ですので、これは欧米全てがそうですが、工事をするときには適切な猶予期間を認めて工事をするというのが世界の趨勢です。  ですから、日本の現状というのは、非常におかしい状況であるというふうに認識しておりますし、これは後でまた御説明させていただきたいというふうに思います。  それで、まず、原子力の必要性についてもう少し詳しく皆さんに、これは国民の多くの方に知っていただく必要があると思います。  これはサウジアラビアに行って講義をしております。キング・アブドゥルアズィーズ大学、世界最大の産油国で日本が最も石油を輸入している国であります。この王立大学で実は原子力工学科があって、学生たちがこのように勉強しています。教室スタイルじゃなくて、丸テーブルになって、その中で学生たちが相談しながら打ち合わせをしているところです。  左下の写真は、白いものを着て座っていらっしゃる方がいますが、これが工学部長、それから立っている方が原子力工学科長です。学生たちが熱心に勉強している。  なぜ産油国で原子力を勉強しているかということです。サウジアラビアの石油の産油量、これは年率二・一%で増産に励んでいます。これが目いっぱいだそうです。六百メガトンぐらいのところ、青いグラフがずうっといっていますけれども、それに対してピンク色のグラフがずうっと上がってきています。こちらが実は石油の国内の消費量、予測値なんです。年率八・七%でふえ続けている。  今、産油国、エネルギー資源国というのは経済発展が著しくて、国内の石油消費が非常にふえています。砂漠の国でラクダ、月の砂漠みたいなイメージだったんですけれども、私も実際に行ってみると、上り下り五車線、全部で十車線の高速道路に車がばんばん走って、両側は高層ビルが建って、それは全部マンションなんですね。そのマンションは冷房がついて、おいしい飲み水が欲しいということで、石油で水をつくります。  その高速道路は銀色のぴかぴかのタンクローリーが走っていまして、ぴかぴかのステンレスのタンクローリーですけど、タンクの横にブルーのストライプが入っている、そういうものが高速道路をたくさん走っています。これは何かというと、ガソリンなんかは安いので商売にならないんですね。水がガソリンの十倍の値段するので、水商売をやっているのがサウジアラビアです。水が非常に貴重で高く、おいしい水は高いお金がかかってもそれを買うと。そういうことで、国のエネルギー消費が経済発展とともに非常にふえていると。  今、日本が輸入しているのはサウジアラビアから二八%を占めます。約三分の一。それから、その次がUAE、アラブ首長国連邦ですが、これが二二・八%、この二つの国だけで日本が輸入している石油の半分以上を占めるんですね。  今、アラブ首長国連邦もほとんど同じ状況で、私はアラブ首長国連邦の原子力供給のアドバイザリーボードのボードメンバー、日本で私だけです。あとアメリカ、イギリス、そういった方々で国際的なボードメンバーを組織しているんですが、アラブ首長国連邦もほとんど同じような情勢です。  つまり、日本人は気がついていないんですが、産油国が必死で原子力発電所をつくろうとしているのは、このままいくと石油が輸出できなくなる。ですから、原子力発電所を建設して石油の消費量を抑えて、そして、余った分を日本に輸出してあげますと。国際的にはそんな状況になってしまっています。  飛行機から写真を撮った、これは私がシャッターを押しましたけれども、地球の一周は四万キロです。これはメートル原器をつくるのに北極点と赤道を一万キロにするという定義で、一周すると約四万キロですけれども、大気の厚さは大体四十キロぐらいですね。ですから、一メートルの物差しをとると、大気の差というのはわずか一ミリしかない。それをぐるっと輪にして、大気の厚さは一ミリしかないわけですから、その薄い層の中に大量の二酸化炭素を出しているのが今の人類です。  これはアメリカに航空宇宙局、NASAがありますけれども、そこにイギリスから地球環境学者ラブロック博士という方が招聘されて、火星移住のプロジェクトに参加されました。この方は、火星と地球を比較するうちに地球が非常に貴重な惑星であるということに気づかれました。  大気の二〇%を占める酸素というのは、実は生物がつくり出したものですね。化石燃料を使っていくと、その二〇%の酸素がどんどん減っていくわけです。ですから、究極の化石燃料を燃やし尽くしてしまうと地球には酸素がなくなってしまう。火星と地球との対比から地球上の大気の重要さというのを指摘したのがラブロック博士です。  地球の平均気温が約五度上がると、北極と南極以外は全部砂漠になってしまいます。海も陸地も砂漠になりますというのが「ガイアの復讐」という本、日本でも出版されておりますが、ラブロック博士が書いた著書の中の主張です。  今、陸地の砂漠化は進んでいますし、それから、なぜ大量の海水がある海が砂漠になるんだということを皆さん疑問に思われるかもしれませんけど、ヒントはお風呂のお湯を沸かしたときの対流です。上が熱くなってしまうと下に熱いお湯はおりてこない。つまり、海水温度が上がると対流が弱まってしまうということなんです。  今、砂漠の拡大は、ここにありますように赤道を挟んで砂漠の地帯があります。アフリカとか中東も、それからモンゴル、中国、ここら辺に今砂漠が広がっていますし、南アフリカ、オーストラリア、ブラジル、チリ、ここら辺に砂漠がどんどん広がっています。  それから、北アメリカでも西海岸ではハリウッドの近くの高級住宅街の森が火事になったりしていますけれども、非常に空気が乾燥してきています。砂漠が拡大しています。  例えば、ブラジルの熱帯雨林のアマゾンが、右下にありますように時々とうとうと流れる川の水が干上がってしまっていると、こういうことが既に現実に起きているわけです。熱帯雨林のアマゾンが、今、砂漠化が始まっているんですね。そういうことを皆さん御存じないと思います。  それから、北海道大学も越冬隊に参加していまして、南極のアイスコアというのを採取してきています。約三千メートルある南極の氷に鉄パイプを打ち込んで、三千メートルの氷の柱を持ち帰って、それを分析するわけです。南極でも夏と冬はありますので、氷にしま模様がついています。そのしま模様を数えると、過去六十五万年間分の、六十五万のしま模様がついているということです。  各年のスライスをして、そこの中の氷に閉じ込められている空気の成分を調べる。二酸化炭素とかメタンがどのくらいあるか調べると、当時の、例えば六十万年前の大気の組成もわかるわけです。  これがグラフなんですが、メタン、あるいは二酸化炭素は過去六十五万年間にわたって多少ぎざぎざしていますが、ほとんど一定です。ところが、今現在、ゼロの、このグラフでいくとちょうど右端のところなんですが、メタンも二酸化炭素も垂直に上がっている。過去六十五万年間に起きていないことが今起きているんですね。  このイメージを書いてみると、ウルム氷河期から縄文までは地球上全体が温暖に向かったときです。それから、縄文の後は氷河期に向かっていったんです。寒冷化していた。ところが、今、温度が急激に、百年に二、三度というんですから、このグラフ上ではほとんど垂直に上がります。これが先ほどのラブロック博士がおっしゃっていた五度までいってしまうのか、二度で済むのか、ここら辺が今、世界中で環境学者が集まって議論しているホットな話題のところになります。  三・一一以降、ほとんどマスコミは地球温暖化について報道しなくなってしまっています。でも、決して地震、津波で原発がやられたからといって、こういった地球温暖化の問題が見過ごされるわけにはいかないんですね。  これは、二〇〇三年、二〇〇六年のヨーロッパの熱波でございます。この二年度で、約五万人が熱波で死んでいます。今、気温が四十八度になっていますね。ヨーロッパはクーラーの普及率が低かったこともあって、お年寄りを中心に五万人亡くなってしまっている。これは放射能ではありません。二酸化炭素で亡くなっているんです。  ですから、まず放射能を心配する前に、ちゃんと地球環境を心配しなきゃいけない。原子力が怖いと言っていらっしゃる方いらっしゃいますけれども、むしろずっと本質的に怖いのは地球の環境破壊であります。  これは厳島神社の回廊、これJALのカレンダーから拝借したんですけども、今、厳島神社が月一回、大潮のときにこの女性の方が立っていらっしゃる床が冠水する、そういう事態も起きている。明らかに温暖化が進んで、全体の海水面が今上がっているといいます。ベネチアもゴンドラの行き交うまちですけども、お店の中に海水が入ってきていると、こういう状態ですから、確実に温暖化して、今、北極では、ロシアですね、氷がなくなってタンカーが今自由に航行ができると、そういう状況まで進んでしまっています。  それから、漁業にも随分被害が出ていまして、海水温度が上がって、二、三度上がっていると。そして、今、魚が四万五千匹死んだり、アサリが大量死したり、それから、ノリ養殖に影響が出ています。これ今、佐賀って書いてありますね。  それで、こういう海水温度が上がっているということで何が起きるかというと、これちょうど今、日本列島の周りずっとですね、海水温度が今、左上の図ですけども、一・二度とか、一・三度とか、高いところは一・六度上がっています。これで何が起きるかというと、下の写真ですけども、海は下は黒いんですよね、海草が生えていますから、日本の近海の海は。ところが、今、いそ焼けが起きて、右下のような写真が見られます。大間に行ったとき、漁業をやっている方々が何か海を指しながら、何か話しているのを聞いたら、いそ焼けだと言うんですね。マグロの大間ですけども。それで、海に面する三十九都道府県のうち三十四都道府県でいそ焼けが起きています。  私、北海道の稚内でこの話をしていました。会場の後ろ、体の大きい方がいらして、こんな推進派の話なんか聞きに来るんじゃなかったと、後ろからヤジを飛ばされている。ところが、この話になった途端、ぴたっとそのヤジがとまりました。それで、講演が終わったら、その方が私のところに来てくださいまして、「先生、よろしくお願いします」と。こういう地球環境、今どういう状況にあるかということは、漁業をやっている方が一番詳しいんですよね。その方は北海道の漁連のナンバーツーの方でした。この地球環境の大事さを気づいてくださったというふうに私は思います。  そして、今、ニューヨークにハリケーンが行ったり、ニューオリンズに前、ハリケーン・カトリーナが行ったり、リタが行ったりしました。それから、この間、フィリピンを強烈な台風が襲いました。なぜこういうことが起きているかというと、海水温度が二度上がると、海水が蒸発して台風に、あるいはハリケーンにエネルギーを供給していますので、二度上がっただけでハリケーン、台風の強さは二倍になるんです。先ほど、今、この左上の図ですが、一・二度か三度上がっている。つまり、台風が今どんどん強烈になってきているのは、この理由なんです。  これはハリケーン・カトリーナですけども、こういうことで何千人もの人が洪水で命を落しているということが起こっていますし、この間、去年、ニューヨークでハリケーンが襲って大停電が起きたりしています。どんどんどんどん地球が人類に対して、ラブロック博士が書いていらっしゃる「ガイアの復讐」、人類に対して復讐を始めたということが今起きているわけです。  北海道もめったに強い台風は来ないんですが、二〇〇四年には台風十八号が来まして、函館の木全部、上が吹っ飛んじゃいましたし、札幌市内では台風で車が横転しています。それから、北大の名物のポプラ並木が全部折れたり、根こそぎ倒れてしまって、それを後で、これ観光名所ですから、クレーンで全部起こして、H鋼でおもしをして土をかぶせて、今、移植していますが、強烈な台風が北海道も来ています。これ北大の歴史百三十年間でなかったことですね。  それから、これは少し今度は文明とエネルギーについてちょっと議論をしたいんですが、この間、モンゴルに行きました。あそこは、一〇〇%再生可能エネルギーで生きている国です。そこではどうしているかというと、羊やヤギに草を食べさせて、そのふんで固形燃料をつくって、その燃料で生活している。もっと豊かな生活がしたいと言って、例えば、家畜をふやすと、草を食べ尽くして砂漠になっちゃうんです。ですから、砂漠になるか、ちゃんと家畜が生きていけるか、そのぎりぎりのところで生きているのが再生可能エネルギーの人たち。  この今、左下の写真も、これ究極のエコカーだと思いますが、車のエンジンを切断して馬車にしているわけです。二酸化炭素を出すのは非常に少ないと思いますけども、こういう生活を日本人が望んでいるのかどうか。  それから、真ん中はドバイのカリファ・ドバイの八百二十メーターのタワー。それから、こちらは上海ですね。経済発展がどんどん、主権国、中国の支援国です、どんどん発展を遂げています。ですから、こういう国々と日本は競争していかなきゃいけないんですね。日本はいろいろな製品をつくって輸出する国ですから、経済的にちゃんと国が成り立たなきゃいけないわけです。  今、世界のエネルギーというのは、人口の増加と非常に密接に関係していまして、特にワットの蒸気機関が発明されたその後ですね、人類がエネルギーを自在にハンドリングするという時代が来まして、蒸気機関であったり、あるいは石油の時代になったりして、太陽の恵みで生きていた時代、地球の人口は大体数億人ですね。ところが、今、七十億人になっていますので、その太陽の恵みで生きていく人間の人口の約十倍の人たちが地球上で生活しているわけです。これはエネルギーがそれを支えているわけです。二〇五〇年には大体九十三億人とか百億人になってしまいますので、これからさらにエネルギーの奪い合いというのは激化するわけです。こんなときで脱原発なんか、のんきなことを言っていいのかというのかというのが私の考えです。  特に我が国は、ここにありますとおり、先進国の中で最もエネルギー自給率が低い国です。四%しかありません。フランスも非常に低いんですが、原子力発電で電気を約八七%原子力で賄っている国です。ドイツは脱原発だと言ったって、そのドイツの電気、かなりドイツの国境にあるフランスから送電線で電気がドイツに来ているわけです。ですから、ドイツが本当に脱原発をしたいんだったら、フランスから電気を輸入しないようにしなきゃいけません。非常に勝手なことを言っているというふうに私は思います。  それで、この世界の人口、特に今、人口が二〇%占めているのは、これ中国。その次がインド。この二つの国がまだ人口がどんどんふえている状態です。そして、世界のエネルギーの最大の消費国が現在中国であります。もうアメリカを抜いてしまいました。日本は世界の中でエネルギー消費のシェアは四%です。ですから、二五%排出を削減しますと、日本で仮にそういう積極的な取り組みをしたとしても、世界シェアからすれば一%にしかいかない。ですから、中国とか、アメリカとか、こういったところのエネルギー消費を抑えなきゃいけないわけです。  さらに、一人当たりのエネルギー消費でいきますと、ちょうど中国が今世界平均ぐらいです。一エネルギーの消費量を石油換算で一人当たり何トン使っているかというグラフですけども、日本を含めて先進国は大体四トンぐらい年間に使っているわけです。ところが、カナダは寒い国ですから、七・五トン、アメリカも大変エネルギーを使っています。ところが、先ほどの中国、ブラジル、インド、この資源国で経済発展を遂げている国々というのは、現段階でエネルギー消費が非常に少ない。  中国がエネルギー消費のトップに来ていますので、仮に中国が今の二倍から三倍の一人当たりエネルギーを消費するようになったときには、この人口に掛ければ、もちろんおわかりかと思いますが、世界の三分の一ぐらいのエネルギーを全部中国が使ってしまうというような時代がもうすぐに来るというふうに思います。日本が高度成長してエネルギーを大量に使うようになったというのは、ほとんど十年、二十年でそういう状態になっているわけです。  これから原子力を使わないで、再生可能エネルギーで行けるかどうか、そのバイオとか、いろいろな風力、太陽、これがいろいろと期待も込めて言われているわけですけども、私自身はこれは非常に悲観的です。なぜかというと、サンシャイン計画とか、それからムーンライト計画とか、国が大量のお金を投入して、いろんな技術開発をしましたけども、ほとんど物になっていない。ですから、今、小泉元首相が、頭のいい人が何か考えてくれると言っていますけど、過去三十年、四十年にわたって頭のいい人がいろいろなことを考えたんですけど、ほとんど失敗しています。太陽光とか風力、唯一少し残っているんですが、これも今、風力に限って言えば、日本の八割は、各自治体のつけた八割は風車は赤字です。ですから、札束を回さないと、込めないと風車は回らないわけです。  それから、太陽光についても非常にコストが高いです。これは今、ドイツの再生可能エネルギーを示したものなんですけども、左側のグラフで二二・六%原子力が出しています。それに対して再生可能エネルギーは一六・五%。互角に出しているじゃないかと思われるかもしれませんけども、今現段階でドイツの原発の設備容量と、それから、太陽光の設備容量はほぼコンパラブルで、最近は太陽光が抜いてしまいました。原発よりもキロワットでいくと、電気を太陽光が出す、そういう設備は持っているんです。  ところが、こちらが再生エネルギーの内訳を見ますと、風力が六%、バイオマスが四・六%、水力が三・一%なんですが、太陽光は一・九%、二%ぐらいしかない。原発の十分の一しかない。これはなぜかというと、一日のうちの太陽が照っている時間は六時間ぐらい。ですから、二十四時間のうちの四分の一、二五%。それに制御率五〇%を掛けると、一二・五%になります。今、日本の実績ベースで太陽光の稼働率は一二%。ドイツはもっと曇りの日が多いので、一〇%だそうです。  ということで、原子力に二二・五%と太陽光の一%、これ一致しているわけです。これをNHKのテレビに出たときに私がこれを示して、向かい側に飯田哲也さんが座っていましたけど、顔がこわばりました。だから、太陽光万々歳と言っているんですけども、実は実力的には原発の十分の一しか電気が出ていない。しかも、コストは十倍高い。ですから、百倍コストパフォーマンスが悪いんです。こんなことをずっと続けていたら、国の経済はもちません。  それで、太陽光の買い取り価格を大幅に下げてしまったのはドイツです。これは朝日新聞は報道しません。日本経済新聞はちゃんと日本の経済を心配しているから報道しています。買い取り価格を半分にしました。ということは、もうドイツはこれ以上太陽電池パネルはふやさないということです。こういう今状況にドイツは追い込まれて、メルケル首相が再任されましたけども、総選挙の争点というのは、再生可能エネルギー貧乏、生活弱者ほど電気代が上がって困るんです。これもこれから日本で起きてきます。  今、北海道にいますけども、電気代はどんどん上がっています。北海道にメガソーラーたくさん建設される。ところが、雇用は全然ふえない。太陽電池パネルを敷きつめたら終わり。そして、電気代だけが上がっている。学生も含めて、電気代たくさん払っているわけです。それは太陽電池の事業をやっている何とかバンクさんのそういう電力、太陽光の発電をやっている事業者にお金が吸い上げられていく。そういう仕組みです。  フィードインタリフ、この買い取り制度というのは、そういう意味で大変経済を歪める、それから、生活弱者に非常に厳しい制度だというふうに思います。これ二〇一一年九月に、先ほど原子力学会が九州であったというお話をしましたけども、会場でたくさんの方がビラを配っていまして、これ反対派の方がこの太陽光発電はとんでもない制度だというのをビラを配っていまして、私もそれをいただいて、なるほどちゃんとよく反対の方もわかっていらっしゃるというふうに思いました。  そして次に、一番ひどい事故があったチェルノブイリに行ってきた話をちょっといたします。  これはチェルノブイリの四号機の石棺の前で撮った写真です。それで、当時、事故の後、よく全土に黒い雲が出ていますが、放射性物質が降り注いだ、それで、大体福島に比べると、五十倍の放射能がばらまかれました。チェルノブイリでは周りの森が放射能で枯れる、オレンジの森と言われているんですが、強烈な放射能汚染によって、森が枯れたんです。もちろん生物もたくさん死にました。すごい悲惨なことが起きたわけです。福島の比ではありません。どうなったかというと、チェルノブイリの事故が起きてから今二十七年ぐらいたっていますが、ずっとその後、チェルノブイリで環境調査をやっているんです。この女性の研究者が説明してくださいました。  それで、このチェルノブイリの事故後、原発の周りの池があるんですけども、この池のところから生物をサンプリングして、ヘビとか、トカゲとか、カエルとか、小鳥とか、そういうものをつかまえて、がんの危険があるか、その遺伝子に異常があるか、がんが発生しているか、そういうことをずうっと調べ続けているんです。最近はもう小動物に奇形とか、がんが発生していないんですね。もうその枯れた森は緑に再生して、アニマルキングダムになっていると、こういうふうに向こうの人が言っているわけですから、そういう説明を受けました。  それで、何が言いたいかというと、過度に放射能を心配するのではなくて、チェルノブイリの事故の後のウクライナをちゃんと冷静に見なきゃいけないということです。  それで、このiPS細胞の研究でがんを抑えるメカニズム、あるいは遺伝子が破壊されると、がんになるメカニズム、こういったものは随分明らかになっています。iPS細胞というのは、がん細胞をふやしても意味がないので、がん細胞にならないように正常な細胞を増殖させることが、それがキーポイントになるわけです。  この研究が進んでわかってきたことは、P53遺伝子というのがあって、人で十七番染色体にあるそうですけども、これががんを抑制する遺伝子です。弱い放射線で、例えば、二重らせんの一本が切れたときには、これはもう一本正常な塩基の配列がありますので、RNAというDNAを転写する、コピーするときの作用で、全部遺伝子を修復してしまいます。それから、強い放射能で、あるいは発がん物質で二本切られた場合、これも九〇%は修復してしまうそうです。残り一〇%が修復されないもののうち、がん細胞になるものが出てくる。そうすると、がん細胞が出てくると、それを殺すアポトーシスと言うんですが、がん細胞を殺す機能がこの遺伝子にあります。この弱い放射線、あるいは強い放射線、このP53遺伝子が働いて、がん細胞を抑え込んでいるわけです。これがいわば一種の免疫機能で、これがちゃんと働いていれば、がんになるのを抑えているんですね。  今、日本人、大体二人から三人に一人はがんで死にます。年をとると、この免疫機能が落ちるので、がんになっていくわけです。ですから、がんになるのは放射線とか、いろんな要因があります。アスベストもそうですし、発がん物質、いろんなおこげとか、いろんな発がん物質があるというふうに言われています。ただ、その免疫作用をちゃんと発揮するような生活習慣を持っていれば、がんにならない、がんを抑え込んでくれるということにもなるわけです。  それから、強い放射線は、勝手に増殖してしまうP53遺伝子のブレーキがきかないのががん細胞ですので、逆にがん細胞は放射線を当てると死ぬんです。ですから、今、放射線で死ぬ人はもうめったにいませんけれども、放射線によってがんを治療して助かっている人はもう何千人というオーダーで多分いると思います。北大にも陽子線加速器が今年度に入って、四月から病院で稼働をします。今は放射線によってがんを治す時代に入っているということです。  それから、福島のちょっと反省に移りたいと思います。あと十五分くらいですが。  海水が入ってしまったというのが一番致命的な要因であります。それで、あと地震によって配管が破断したじゃないかというような話がありましたけども、いろいろとデータを分析しますと、これは国の委員会でも分析されています。保安院のときの福島の事故の分析に関する検討会、それから、今、原子力規制委員会の福島の事故の分析検討会、両方とも結論は大きな漏えいが生じるような事故、配管破断は発生していないというような結論でございます。もしあったとしても、二平方ミリメーターとか、八平方ミリメーターとか、そのような非常に微細なものは否定はできないと言っている。これはそれ以下のものは検出しようがないからです。  このグラフは、例えば、八平方ミリメーターの蒸気相の破断があったとすると、ブルーの線のように、ぐうっと圧力が上がっていってしまう。ですから、今、実測値がほとんど赤い線ですけども、ほとんど横ばいよりちょっと上がるぐらいなんですが、今、八平方ミリとか、二平方ミリのような破損さえなかったということなんです。  あったのは、空調がとまったので、格納容器の中の温度が上がった、約五度ぐらい上がっているので、それで、方程式を解くと、その五度によって、実測値ぐらいの圧力上昇はちょうどそれが説明できるぐらいの範囲に入ります。ですから、配管破断は起きていなくて、その格納容器の冷却がとまったということによって少し圧力が上がったというのが実際のところだというふうに思います。  さらに、漏えい検出機で下の漏えいもはかっていまして、格納容器の中へ漏えいがあると、それを検知する仕組みがあるんですが、それでも漏えい検知針の漏えい量の増加もありませんので、地震時に格納容器の中の重要な配管の損傷はなかったというふうに考えます。  何が起こったかということなんですけれども、その後、炉心が空だきになった後が悲惨だったんです。過熱蒸気と言って、何百度も、数百度の蒸気が出てしまうわけです。炉心が空だきになっていますから、真っ赤っかの電気ストーブみたいになっているわけですから、中の蒸気が加熱されて、そしてその加熱された蒸気が鋼材を弱めます。大体鉄は五百度か六百度になると強度がどんどん低下していきます。そうすると、ボルトや何かで締め込んでいるわけなので、ボルトや何かが伸びていってしまう。それから、パッキンが劣化しますので、例えば、ここにある主蒸気逃がし安全弁──SR弁の管台のボルトで締めておるところがありますので、そういったところから蒸気が漏れていく。あるいは圧力容器の上の一インチぐらいのベントのノズルもありますので、そういうところもフランジで、ボルトで締めてありますので、そういったところが伸びて、そこから数百度の高温の蒸気が漏れていく。  この漏れた蒸気が、実は格納容器、その外側にあるフラスコの上のふたのOリングのパッキン、これはシリコンゴムでできているそうなんですが、このシリコンゴムを劣化させて、蒸気と、それからそれに含まれる水素、それから放射性物質を、このオペレーションフロアと言いますが、この格納容器の上のいろんな作業をする場所に、オペレーションフロアに漏らしてしまった。これに引火して水素爆発が起きたと。これが非常に過酷な事故に発展してしまった要因でございます。ですから、この格納容器の閉じ込め機能をちゃんと確保しなきゃいけないというのは、やはり対策として必要になります。  今これはエアフォートサービスという地図をつくる会社が福島にラジコンの飛行機を飛ばして高精細な写真を撮ってくれて、これは社長に電話して講義で使いたいから使わせてくださいというので、文字を入れたら、クレジットを入れたら使っていいですということなので、使用許諾をいただいているんですけれども、この水素爆発が起きたということが事故を悲惨にしています。  それから、二号機は水素爆発は起きていないんです。今、黄色い矢印で格納容器漏えいと書いてありますけど、ブロワートパネルの四角い穴があいていますけれども、このパネルがあいてしまって、そこから水素が出てしまったので、二号機は水素爆発が起きなかった。  それで、三、四号機は、四号機は炉心には燃料が入っていなかったんですけれども、三号機からのもらい水素で爆発をしてしまったと。三号機と四号機でベントの配管を共有していた。こんな配管一本のために四号機が水素爆発して使えなくなってしまったんですね。  このときの事故後の空間線量をずっと見ていますと、三月十二日に一号機でベントをしてしまいます。それから、三月十三日に三号機をベントしているんですが、緑色の丸に囲んであるように、このベントしたときの空間線量の増加は非常にわずかです。ところが、三月十五日に、二号機なんですけれども、二号機はラプチャーディスクが割れなかったので、格納容器自体が漏えいを起こしてしまった。このときに格納容器の圧力はぐっと二号機下がっていますけれども、そのときに空間線量は上がっているんです。ですから、コントロールされていなくて、水をくぐらないで直接大気に出てしまった格納容器の気体、これに含まれる放射性物質によって福島の汚染が発生したわけです。  こういう対策は、既に実はチェルノブイリの後、ヨーロッパで行われていました。フランス、ドイツ、スイス、フィンランド、スウェーデン、全ての原発にフィルターベントが設置されていました。根本的には、チェルノブイリの教訓として、たとえ事故が起きても地元には迷惑はかけません、これがフィルターベントを設置する目的でございます。  実際にヨーロッパに行きましてフィルターベントを見てきました。これはフランスのショーの発電所です。ベルギーの国境近くにある百六十九万キロの大きなPWRの発電所、二基ございますが、ここにフィルターベントがついています。銀色のおわんを伏せたような形をしているのが、これがフィルターです。これはサンドフィルターと言って、砂というか、砂利が入っているんですね。そこを蒸気を通して、その砂利に放射性物質を付着させるというフィルターです。  それから、スイスのライプシュタットでは、これは水フィルターなんですが、二基、この建屋と建屋のすき間を利用してフィルターベントが設置されています。  これは保安院の意見聴取会で、私この写真を出して日本でつけなきゃだめだということを言いました。原子力学会でも主張しました。  それから、格納容器の上のOリングがやられたというお話をしましたけれども、スイスの格納容器の上はプールになっていて、上ぶたを直接水で冷やしています。ですから、これも意見聴取会でこういうことをちゃんとやらなきゃだめだということで、日本の発電所でも事故が起きたら速やかに原子炉の上に水を注水して冷やすようになっています。  それから、サンフランシスコでも、これは地震とともに津波がたくさん来ています。これは発電所はどうなっているかというと、海岸にシュノーケルのパイプがあって、津波が来ても海水ポンプがぬれないように、シュノーケルというのは泳いだときにパイプを伸ばしますよね。こうやって海面、顔をつけていてもちゃんと呼吸できるようになっているんですけれども、この赤丸のところの煙突みたいなのがシュノーケル管で、モーターが津波より、海面よりも下にあってもモーターがぬれないで、モーターが空冷で空気を吸い込んで排出して冷却できるようになっている。つまり津波が来てもちゃんとデュアボロキャニオン発電所では原子炉の冷却が続けられるようになっています。  それから、そういう重要なポンプ室や何かの入り口は、潜水艦のハッチみたいな、こういう水密ドアがついている。つまり福島の津波の事故の前に、ちゃんと海外では津波が来るところでこういう対策をとっているんですね。  それから、福島第一の二号機と同じ時期に建設されたピーチボトムの発電所に行きました。当時、新聞が、福島はアメリカと同じ設計をしたから津波対策をとっていなかったんだという報道がいろんな記事で載っていましたけれども、本当かというのを見に行きました。それで、このピーチボトムの発電所は、サスケハナという大きな川があって、これを冷却源にしています。この発電所は洪水がデザインベースアクシデント、DBA、設計基準事象になっていまして、この非常用ディーゼル建屋があって、その建物の下の水色のドアがありますが、全部止水ドアになっているんです。だから、福島第一と同じ、二号機と同じ時期に建設を開始して、営業運転開始も同じ時期です。
     ところが、アメリカはちゃんとこういう洪水対策をとっていた。非常用ディーゼルの発電機の吸気口は建屋の一番てっぺんにある。なぜ福島で津波対策がとられていなかったか。十メートルの敷地で多分安心してしまったんだと思うんですけれども、そのときに同じように建設をした東北電力女川発電所、ここでは東北大学に依頼して、津波、地震の専門家も入れて議論をしています。すごい議論をして、議事録も私拝見しました。そしたら、最終的に副社長が貞観津波もあるので、敷地高さ十五メートルをちゃんと確保しなさいということで、十五メートルというのは床面で十五メートルなので、コンクリートの厚さを入れると、実際に敷地高さは十四・八メートルなんですけれども、その副社長決裁で、最後、その決断によって今回の東日本大震災、最も震源に近い発電所が生き残ったわけです。  ですから、この建設するに当たって、幹部を含めて、自然災害に対する畏怖の念、それにしっかり対策をとるという心構えができていないと、それによって、こういう津波に耐える、耐えないというのが分かれ道になってしまう。私は、津波というものは、決して想定外ではないと思います。地震、津波というのは、日本でずっと歴史的にあるわけですから、それをしっかり調べて対策をとるということが大事で、福島を襲った津波というのは、高さだけが想定外かもしれませんけれども、津波という自然事象に対しては、今まで日本で起きている災害の一つであります。  ハワイに行くと、ヤシの木のてっぺん近くに銀色のリンゴがはめてあります。あれは何だと聞いたら、あそこまで津波が来たと現地の人が言うんですね。ちゃんと津波の何か博物館みたいなのがあって、津波が来たときの写真が展示してありました。ハワイでも、太平洋でチリ地震とかいろんな地震があると、ハワイを津波が襲うんですね。ですから、地震の記録というのがちゃんと捉えているかどうかということが非常に大事なことだというふうに思います。  日本では貞観津波は、当時の清和天皇がすぐに役人を、復興大臣を任命して、そこの東北地方の多賀城を修復させて、地元の年貢を免除して復興に当たらせて、瓦れき撤去も速やかにやっています。それが当時の記録が正確に残っているんですね。そういう話をしましたら、アメリカの方が日本って何てすばらしい国だと。アメリカはそのとき存在しなかったと。日本はそんな貞観津波の時代からちゃんと政府が機能して震災対応をやっていると。ところが、今は一体何ですか、福島の事故の後の対応は何ですかと、何でそんなギャップがあるんですかというのが欧米の疑問です。  それから、日本の隣の金山、台湾電力の金山は、実は敷地高さ六十二メートルのところにダムがあります。それから、敷地高さ二十二メートルのところに六メガワットのガスタービン電源二基設置しています。日本の、可搬式の発電機の十倍ぐらいの容量があります。これを一九七八年とか一九七九年の建設当時に既に設置しています。なぜ、これも実際、私、見に行きました。この間見に行ったんですけれども、なぜこういうことを考えていたかというと、台湾というのはもともと停電が多かったというので、停電が起きても大丈夫なように発電所をちゃんと設計しましたと。ですから、ちゃんと停電、ステーション・ブラックアウトをちゃんと考慮していた台湾電力の金山の発電所は、ちゃんとこういう停電対策がとられているということです。  こうやって海外の状況を見ると、いかに日本は津波というのを考えていなかったか、軽視していたかということが浮き彫りになってくるわけです。これは大きな反省点だというふうに思います。  福島の事故の原因と対策をここにまとめました。地震で壊れたのは、実は配管ではなくて受電設備です。碍子が折れてしまって、受電設備、開閉器が壊れてしまった。女川発電所はGISというガス・インシュレーテッド・スイッチギアという新しいタイプのガス遮断器を使っていますので、地震に耐え抜いているんですね。受電設備がやられたというのが一つ。  それから二番目が、津波で非常用電源とか直流が使用不能になったこと。これは今、高台に電源車を置くとか、バッテリーを予備を置くとか、実はきょう、こういう参考人として議会に来ますので、きのうちょっと予習を含めて九州電力に頼んで下見をさせてもらいました。それで、バッテリーも上がらないように、さらにバッテリー専用の、例えば、直流電源、電源車をちゃんと持っています。そういうものを配備している。ですから、この原因に対しての対策をちゃんととれているかどうかということが今回のポイントになります。  それから、原子炉の冷却がちゃんと継続できるか。福島の場合は注水不能になってメルトダウンして水素が発生したわけです。水素爆発すると、先ほど御紹介したようなとんでもない状態になってしまいます。一つの注水系に頼ることなく、多様な冷却源を持っておくということが必要です。冷却源、それから注水手段、それからいろんな安全弁とかバルブが事故時にちゃんと動くようにしておかなきゃいけない。こういったことが大きな対策、反省事項でありますし、対策になります。  それから四番目が、格納容器が過温破損、温度が上がってOリングが溶けて、もうぼろぼろになってしまう。放射性物質を出してしまった。それから、水素爆発が起きたり放射能が飛散するという事故を招いてしまいました。ですから、この格納容器を壊してはいけない。速やかなベント、それから格納容器の冷却、スプレイによる冷却、それからフィルターベントです。で、玄海の場合には、この格納容器をスプレイで冷却する系統と、もう一つは再循環ユニットと言って、熱交換器を使って外部で、エアコンの室内機みたいなものですが、冷たい水を熱交換器に送り込んで、格納容器を熱交換器によって冷やすと。再循環冷却と言いますけれども、この二つ、格納容器スプレイと、それから再循環冷却と全く原理が違うものを二つ用意しています。  それから五番目が、事故時の計測監視、それから通信ができなかった、それからいろんな防災体制、政府も含めて非常に遅かったんですけれども、この玄海では、衛星携帯も含めていろんな通信手段をちゃんと持っているということ、それから制御盤、中央制御室の制御盤がもし電気が断たれて表示されなくなっても、小型のシステムで、大体緊対所ですけれども、ここで原子炉の状態がわかるように、主要パラメーターが表示されるシステムをもう既にちゃんと用意していました。これは非常に大事なことで、大きな制御盤が使えなくなっても、ちゃんと原子炉の状態が把握できているということが必要です。これによって的確な判断ができると。  あの公開されたテレビ会議を私見ていましたら、吉田所長がいら立って、人をつけておけと言ったのに何でついていないんだと、何にも報告が来ていないんじゃ現場の状況がわからないんですよね。それが結局、いろんな注水や何かのタイミングが、どんどんおくらせていった要因になっていたというふうに思います。  それから、原子力が動くと二酸化炭素を減らせるということで、これは北海道電力の場合ですけれども、泊の三号機が動いただけで二〇%のCO2の削減ができています。きのう聞いたら、九州電力の場合、約五〇%近くが原子力の電気だったということで、それが今とまって、石油とか天然ガスをたいているんですね。これも非常に困ったことだと思います。  あと特徴的なのは、地熱発電は結構一〇数%ありますね。これは九州電力の特徴だというふうに思います。ただ、私は八丁原の発電所を前に見せていただいたんですけれども、あそこも地熱発電というのもそう簡単じゃないんです。大体二、三年で蒸気のパイプが、何かシリカで目詰まりしてしまうので、大体一回三千メートルぐらいまで三十センチぐらいの鉄パイプを打ち込んでいくんですけれども、それが大体三、四年で目詰まりしてしまう。五億円かかるのを、三、四年ごとにずっとその投資しないと地熱発電というのは続けられない。それから排水処理も、ヒ素とか、いろんな有害物質が出てきますから、そういったものを処理しなきゃいけない。だから、地熱発電、簡単だと思われるかもしれませんけれども、九州電力さんも相当苦労しながら地熱発電をやっているというふうに思います。  ここからあと反省事項で、ちょっともう一時間、あと五分ぐらいいいですかね。いろんな反省事項があります。特に今の規制において、構造強度に関しての規制になっていて、例えば、津波によって電気系がぬれてしまうというような、あるいは過酷事故が起きるというような、物が破壊された後の対応がとれるかどうかという、そういう観点での規制が行われていなかったと。過酷事故に対する規制がちゃんとしっかりしていなかったという、こういうところに要因があると私は思います。物は削っていない、割れていない、健全であれば大丈夫という考え方で、それが破壊された後のことをちゃんと考えていなかったということが大きな反省事項だと思います。  それから、シビアアクシデントが事業者の自主的行為に任されていたこと。欧米では、先ほどのフィルターベントも含めていろんな過酷事故対策が進んでいたにもかかわらず、日本では行われていませんでした。何か寝た子を起こすなというような保安院の方の発言もあったということが事故調の報告書にどこか書いてあったというふうに思いますけれども、寝た子というのは、私が察するに反対派の方々だと思うんですね。安全装置を、例えば、フィルターベントをつけるということになると、なぜフィルターベントをつけるんですかと、事故が起きるんですかと。こういうことが反対派から指摘されると、いや、事故は起きないからフィルターベントをつけるのはやめますと、多分こういうことが日本の規制だったというふうに思うんです。ですから、こういう規制側が反対のとりこになっていたというふうに私は思いますけれども、必要なものはちゃんとつけるということをしっかりやらなきゃいけないんですね。  それからもう一つは、欧米に比べて非常に日本がおくれていることは、書類主義の検査になってしまっているということです。日本では、ポンプやバルブの実物を点検する、それをチェックするのではなくて、報告書を点検しています。誤字脱字があると報告書の品質が悪いと言って突っ返す。そういう書類主義、書類を一枚ずつ検査するような、そんな検査になっていて、検査する対象を間違っている。欧米ではポンプならポンプ、実物を、あるいはポンプが動いたときのシステムとしての対応がちゃんと正常に動くかどうかということを検査しています。  これがアメリカからはまだ指摘されていますけれども、日本は安全文化最後進国ですということも指摘されています。書類の検査になっちゃっているんです。実物の検査をしていない。実物の検査でなくて、書類づくりに追われているし、電力会社は書類づくりに追われているし、大体十メートルぐらいの高さの書類をつくる。それを今度規制側も手分けして、その十メートルの書類を全部一枚ずつ、レ点、合格の判こを押してあるかどうか、全部チェックするわけです。そんな検査をやっていて、原発の安全性が高まるとはとても思えませんというのが旧保安院の駐在検査官から聞いた話です。本音ベースで話していただきました。ですから、書類の検査をするのではなくて、発電所のシステム、発電所のポンプ、発電所のバルブそのものの検査、点検をしなきゃいけないんです。  アメリカ、ヨーロッパは、重要度分類を設けて、一番安全上重要なものから重点的に検査をするようになっています。そして、システムに不備があれば直ちに改善命令を出すようになっているんです。これが非常に福島の事故の遠因として大きな要因であるというふうに私は思います。ですから、再稼働に合わせて、この検査体制もちゃんと欧米並みの、書類主義から実際の現場を見るという、そういうことに変えないといけないというふうに思います。  これは旧保安院、あるいは規制庁に行って、私、報告書をつくって説明して、反省してくださいということで、国の委員会でも反省を求めました。反省してくださいと。そしたら、今、規制庁ですけれども、反省していますと言うので、九十分、私は規制庁の職員の幹部も含めて講義を行いました。そして規制庁は、今度、駐在検査官を呼んで、その私のつくった報告書をもとに、また教育も研修もしてくれました。ただ、これからそれが実際に欧米並みの実物に基づいた十分な検査ができるかどうかということがポイントだというふうに私は思います。  それで今、いろんな事故の教訓もあります。これは、もう既に多分九州電力の方、あるいは規制庁の方が来て、ここで説明されていますので省きますけれども、その規制基準、今、何が強化されたかというと、自然災害です。内部溢水も含めてですけれども、火山、竜巻、森林火災含めて、今、自然災害に対する審査が強化されています。それからあとテロ対策等、意図的な航空機衝突、これはテロ対策ですが、こういったもの、それから放射性物質の拡散抑制、放水砲を使って格納容器が損傷したときに水をかけて飛散を防止するとか、あるいはフィルターベントをつけるとか、それから、それによって格納容器の破損を防止すると、こういったことが今徹底されるようになってきています。  深層防護について、後でちょっと質問が出たときに答えようと思いますが、深層防護の本質的なところは前段否定です。だから、各層で完璧に守り切る、そして、自分のところは前の段で防いでくれるから大丈夫だという安心はしてはいけない、必ず前段否定といって、どんなに完璧に守ったとしても、前段が壊れると、それに対する備えをちゃんと自分の層のところで持っていなきゃいけない、これが深層防護の──これは、もともとは軍事用語なんですけれども、この深層防護を徹底しなきゃならないというのが今回の規制基準の根幹をなすものですし、これが実際にちゃんと機能するかどうかをチェックしなきゃいけないというのが適合審査になります。  これの話はちょっと専門的になりますが、時間も来ましたのでもし御質問があれば後で御説明したいと思います。  私、国の委員会でいろんな主張をしまして、かなりの部分は国の規制基準に取り入れられました。フィルターベントも含めて取り入れられています。それ自体はよかったというふうに思いますけれども、実際の基準に従った適合審査、そして、さらに発電所のアクシデントマネジメントの運転訓練、ここがしっかりしているということ、それから、さらにそれがちゃんと適切に行われているかどうかという国の審査が書類主義じゃなくて、現場でちゃんとアクションを確認すること、そういったことが大事だというふうに私は思います。  安全文化という言葉があるんですが、安全文化というのはカルチャーセンターじゃないんです。安全文化と、英語はこれカルチャーというんですね、語源が。カルチャーというのは、危険の芽を摘んで、常に耕し続けると、安全を育てるということができなきゃいけないんです。ですから、どんな適合審査に合格したからといって、これで安全だということで安心してはいけない。常に安全性を高める努力をずうっと永続的に行わなきゃいけない、これによって初めて原子力発電所の安全が担保されることになります。どんなことがあってもセーフティーゴールに絶対終わりはないというのは、これは原子力の安全に関する国際会議でも全く共通の認識です。  セーフティーゴールに終わりはないんです。ずうっと永続的な努力をし続けるということを、そういうマインドを持っていないと、気が緩んでしまうと事故が起きます。ですから、そういう永続的な努力が行われる世界、そういう規制、それから事業者の心構え、あるいは我々大学の有識者も含めて厳しい目で見ていくと、こういうことをしないといけないというふうに思います。  それから、今、チェルノブイリの事故の──さっき見てきたということをお話ししましたが、福島の方々をウクライナへお連れしました。そして、地元の事故に遭った当時の方々と交流会をしたりしています。最も厳しかったのが、放射能汚染でなくて、情報汚染、風評被害だと、これはウクライナの方々から直接お聞きしました。ラジエーションコンタミネーション──放射能の汚染の百倍厳しかったのがインフォメーションコンタミネーション、マスコミの報道、これによって、ヨーロッパ全体で六千人のお母さんがお腹にいた赤ちゃんをおろしちゃっています。そして、経済破綻によって自殺したり、アル中になったり、鬱になったりして、何万人もの人が命を落としてしまっている、これが原発の事故があった、チェルノブイリの事故を起こしたウクライナで実際に発生していることです。  今、ウクライナは、ここにありますようにおとぎの国をつくる、子供たちが安心して暮らせる町を、楽しい町をつくりましょうということで、事故後速やかに、二年以内にニュータウンを建設して、被災した人たちを全部仮設住宅からこういうおとぎの町に、ニュータウンに移しています。スラブチッチ市というんですけれども、福島の方々をお連れして、このスラブチッチ市の市長さんにもお会いしてきました。  ですから、事故が起きたときの、ちゃんとその後の修復プロセス、それもしっかりマスタープランを持っていなきゃいけない。ですから、そこまで考えていなければ、地元の方は安心できないと思いますし、それから、今まだ福島の方はほっとかれっ放しになっちゃっています。まだ仮設住宅です。もう千三百人の方が亡くなっている。ですから、それを防ぐには、早く福島にこのスラブチッチ市のような夢の町を、ニュータウンをつくらなきゃいけない。これは今、福島の方々が元気になって、これをぜひ実現しようという活動を始めていらっしゃいます。二万四千人が住む町を二年間でつくってしまった。日本は非常に遅いです。  ちょっと時間がありませんので飛ばしますけれども、ここにありますように、いろんな産業を興して、工場もつくって、雇用も確保して、そして楽しい町を実現したというのがウクライナです。日本で何でできないか。この病院へ行きました。国立放射線医学研究所を訪問しました。福島の方々と訪問しました。そして今、ここに書いてありますように、放射能汚染よりも情報汚染のほうが被災者には厳しいですと。福島の方々に向かって向こうのお医者さんが言ったことは、あなたたちは精神的なビクティム──被害者と思わないでください。力強く生き残るサバイバル者になってください。生存者と訳すと、何かやっぱり瀕死の重傷を負ったような感じになってしまいます。自分たちで生き抜くという強い意志を持って生き抜いてくださいと。  つまり、精神的な汚染、情報汚染を防ぐには、それが一番、自分たちが能動的になることが一番重要ですというのが向こうのウクライナの病院、二十六年間にわたってチェルノブイリの事故で被曝した人たちの治療をしている、医療をしているお医者さんたちの御意見です。  農業対策も非常にしっかりされていますので、こういったことをこれから日本でもちゃんとやっていかなきゃいけないと思います。  民主党時代の震災対策、ウクライナに比べると、はるかにおくれています。これはウクライナ政府が当時の民主党政権に、ウクライナはどういうことをやったか、資料を出しているんです。ところが、それが全く生かされていなかったんです。ですから、福島が不幸になってしまっていて、それで反原発運動が助長されてしまっている、あるいは助長してしまっているということにしか私は見えません。過剰な報道とか風評被害、嵐が日本でも起きてしまっています。インフォメーションコンタミネーションが日本でも起きました。ですから、こういったことを防がなきゃいけないですね。ですから、いろんな事故の対応について正しく冷静な報道をするという、そういうこともあわせてこれから対策をとっていかなきゃいけないというふうに思います。  ちょっと時間が延びましたけれども、以上で私の参考人としてのお話を終わりにさせていただきたいと思います。  どうも御清聴ありがとうございました。(拍手) 9 ◯石丸委員長=ありがとうございました。以上で奈良林参考人からの意見陳述は終わりました。  次に、ただいまの陳述に対して質疑を行います。  なお、念のために申し上げますが、発言の際は挙手にて委員長の許可を得ていただくことになっております。  また、参考人の方は、委員に対し質疑をすることはできないことになっていますので、御了承ください。  それでは、最初の質疑者である稲富正敏委員は質疑席へお願いします。     〔稲富委員質疑席着席〕 10 ◯石丸委員長=通告に従いまして、順次発言を許可します。 11 ◯稲富委員=きょうはどうもありがとうございました。  自由民主党鄙の会の稲富と申します。  本日のこの質疑のために、机の上に載せております四冊の本で、十七項目のお尋ねを用意させていただきましたので、前振りは抜きにして、いきなりお尋ねをさせていただきたいと思います。  我が国は稲作文化の土地柄でありまして、ヨーロッパ、欧米は小麦を主な生産物として飯の種にしております。小麦は一粒から二百ないし三百粒しかなりませんが、幸いなことに、米は一粒から二千粒から三千粒になって、私たちを賄ってまいりました。弥生時代からの稲作文化のおかげで、狭い郷土である日本の繁栄が可能となったのであります。  エネルギーもしかりであり、日本では一九六〇年代の高度成長期にエネルギー革命が起き、エネルギーの主役は石炭から石油へ転換されました。一九七〇年代にはオイルショックが起こり、原油は供給不足、そして価格は高騰、それでも資源に乏しい日本の産業競争力が落ちなかったのはなぜか、それは、より効率の高い新エネルギーである原子力が実用化されたからにほかならないのであります。この点について、奈良林先生はどうお考えでありますか。 12 ◯奈良林参考人=それでは、回答させていただきます。  おっしゃるとおり、小麦に比べて米作というのは、単位面積当たり二倍の人口を養うことができます。これが東南アジアを含めて、非常に今、人口が多くなっている、中国も十三億、十四億人の人口を今抱えておりますが、非常に人を養う力が強いというのが稲作だと思います。  その稲作の文化を支えているのは、協力し合うということです。水田に水を引いて、田植えをして、そして刈り取るまで、共同作業をやらなきゃいけない。狩猟社会である欧米と、獲物をハンティングで捕まえて肉を食べていくという文化と違うのは、共同作業をするというのが日本の大きな特徴だというふうに思います。これはアジアの国々もそうだと思います。  大事なのは、原子力もですね、玄海もそうだと思いますが、必ず地元の方々とちゃんと協力し合う体制ができているんですね。ですから、大事なのは、そういった地元の協力もいただいて、今おっしゃった高度成長のときから原子力がしっかりした基幹電源として使われ続けてきたと、日本の高度成長を支えてきたしっかりした電源であるということだったと思いますけれども、それを支えていたのは地元の方の協力があってだというふうに思います。  ですから、今、非常に私が憂慮をしているのは、原子力発電所の停止が長期にわたると、それらを支えていた地元の方々の生活が成り立つかどうか、そして、優秀な技術を持っている下請の方々、中小企業の方々、そういった非常に優秀な技術者の方々がいなくなってしまうことが私は一番心配です。これは原子力発電所の危険性が増す方向に行ってしまいますので。ですから、しっかりした安全対策をとった後には、速やかに再稼働していただきたいというふうに思います。  回答になっていますでしょうか。 13 ◯稲富委員=答弁は簡潔にお願いしたいと思います。  二点目でありますが、私は、一つ一つの問いにタイトルをつけたんですね。第一問目は、「資源に乏しい日本はなぜ繁栄できたか」というタイトルをつけております。今度は、タイトルとして「脱原発で多くの人が犠牲になっているのではないか」と、そういうタイトルをつけさせていただきました。  人は、食料とともにエネルギーなしでは生きられません。エネルギーをつくる際には必ず危険が伴います。原発反対論者からは、原子力は多くの人命の犠牲を伴うと言われておりますが、トータルで考えれば、石炭や石油の採掘ではおびただしい数の人が亡くなっております。火力発電による大気汚染では、多くの人が苦しんでおります。アメリカのオークリッジ国立研究所を初め、世界のさまざまな研究によれば、発電一テラワットアワー当たりの犠牲者数は、石炭や石油は原子力の千倍程度と報告されております。また、そういうふうなことで原子力ゼロだと、日本では毎年三千人以上の死者が出るとの試算もあります。  このように、マクロの視点で健康被害を見れば、原発をなくすリスクは原発のリスクよりも高いのではないかと言えるのではないでしょうか。この点について、奈良林先生はどのようにお考えですか。 14 ◯奈良林参考人=簡潔に回答させていただきます。  おっしゃるとおりだというふうに思います。きのうテレビを見ていましたら、PM2・5の粒子が来て、今、佐賀県でいろんな雪の成分を調べると、やはり中国から飛んできたPM2・5だということなんです。ですから、中国も今、原発をふやそうとしていますけれども、猛烈に今、石炭をたいているので、それで結局、そのばい煙が今、日本を、佐賀県を中心に襲っているということですね。ですから、私はこの健康を取り戻すには、原子力発電というのは非常に有益なものだというふうに思いますし、それから、しっかりした安全対策をすることによって、この事故の確率を千分の一でも、一万分の一でもできると思います。ですから、それをしっかりやるということが大事だというふうに思います。 15 ◯稲富委員=次に、タイトルは「自然エネルギーの不都合な真実」についてであります。先ほど先生の説明の中でも、私なりに理解することはできましたけれども、もう一度お尋ねしたいと思います。  原子力の代替として、自然エネルギーの活用をという声があります。そもそも世界の総エネルギー消費のうち、自然エネルギーが占める割合は二%にすぎず、日本で考えれば一%にも満たないということであります。また、そもそも太陽光や風力といった自然エネルギーは、大量の土地を必要とします。電力会社の資料によれば、原発一基を太陽光発電で置きかえるためには、今、選挙で問われております東京都でいえば、山の手線の内側と同じ面積が必要で、風力発電に至っては、山の手線の内側面積の三・七倍の面積が必要となるとあります。これを踏まえると、国土の狭い日本で自然エネルギーの活用は、いかに非現実的であるかと言わざるを得ません。このような自然エネルギーの不都合な真実について、奈良林先生はどのようにお考えでしょうか。 16 ◯奈良林参考人=私も全くその意見に同意いたします。  今、自然エネルギーが非常にもてはやされておりますけれども、自然エネルギーの実力について、正確な報道がされていないというふうに思います。「朝まで生テレビ!」とか、NHKの対談でも、自然エネルギー礼賛している人たちの話を聞いていますと、全く実態を知らない。例えば、飯田哲也さん、さっき私が出したグラフ、あれを見て顔がこわばっていますし、それから東京中日新聞論説委員の長谷川幸洋さんというのは私の高校の同級生なんですけれども、「ドイツが二、三%しか電気を出していないことを知っていますか」と言ったら、そんなつまびらかなことは存じ上げていない。つまり新聞社は現地をちゃんと取材もしないで、再生可能エネルギーで大丈夫だと言っているわけですから、こんな危ないことはないと思います。実力がないということを思い知ったときには、既に日本経済にとって手おくれになると、私はそれを一番懸念しております。 17 ◯稲富委員=次に、「放射能は果たして危険か」、サブタイトルといたしまして、「被ばく線量『一ミリシーベルト神話』の不可解さ」についてであります。  日本では、原発事故による追加被曝線量を年間一ミリシーベルト以下に、また、緊急時から普通の状態に戻る過程では、年間二十ミリシーベルト以下としております。一方、ICRPによれば、広島・長崎の原爆被爆者の調査結果では、年間百ミリシーベルト以下の低線量被曝の発がんリスクは、他の要因によって隠れてしまうほど小さいとされております。また、札幌医科大学の高田純教授の調査によれば、福島県民の外部被曝は年間十ミリシーベルト以下、大半が五ミリシーベルト以下であった。日本人は一ミリシーベルトの神話にとらわれ、必要以上に放射能を恐れていると言わざるを得ませんが、奈良林先生はどのようにお考えか、大体先ほどのお話でわかりましたけれども、再びお尋ねをさせていただきます。 18 ◯奈良林参考人=今、私もお話ししましたけれども、チェルノブイリの事故のあったウクライナ、病院の先生方がおっしゃっているのは、三百ミリシーベルト以下は全く差はないということを直接福島の方々におっしゃっていました。福島の方々は心から安心した様子でした。  大事なことは、チェルノブイリ、二十五年前に、福島の前に事故があった、五十倍も悲惨な事故を起こした発電所の事故ですけれども、そういったことがあったことをずうっと二十五年間にわたって調査し続けているわけですね。ですから、今御指摘のとおり、二十ミリシーベルトを国際基準で、ICRPでは二十ミリシーベルト以下なら戻ってきていいということになっているんですね。目標を一ミリシーベルト以下に下げることを目標にしなさいとなっているんですけど、日本では最初から一ミリシーベルトに下げちゃったために、戻れる人が戻れなくなっちゃっている。それによって仮設住宅暮らしが長く続いて、千三百人ぐらい今、仮設住宅で亡くなってしまっているということですので、その風評被害、情報汚染によって、人が今、福島で千三百人亡くなったというふうに考えても、私は過言ではないというふうに思います。 19 ◯稲富委員=そこで、「生きているだけで放射線を浴びているという現実」についてお尋ねいたします。  そもそも日本人は、年間で平均一・四八ミリシーベルトの自然放射線を浴びております。加えて、レントゲン検査やMRI検査などの医療行為で年間四ミリシーベルト、さらに食べ物を介して〇・五ミリシーベルト、計約六ミリシーベルトの放射線を浴びているということであります。  さらに、世界平均では日本よりも自然放射線を一ミリシーベルト多く浴びており、事故による追加被曝線量である年間一ミリシーベルトを加えても世界平均と同程度になります。この事実を踏まえると、必要以上に放射能を恐れる必要はないのではないかと思われますが、先生はどうお考えですか。これについても先ほどの御説明でわかりましたけれども、お尋ねいたします。 20 ◯奈良林参考人=先ほど御説明をしたとおりで、私、全くその御意見に同意です。  それで、今、我々は宇宙線がたくさん空から降ってくる中で農作物ができて、その農作物、植物の中には既に放射性同位体ができているんですね。カリウムとかカーボン、こういったものをおいしいと言って食べています。ですから、食べ物を高感度の放射線の検出器の上に置きますと、例えば、レンコンですとレンコンの形に穴があいたやつが映像で映ります。カボチャを切れば、カボチャの皮のほうは放射能が少なくて、おいしい黄色いところは放射能が強いんですね。  人が死ぬと、何万年前に死んだ人ですとわかるのは、実は体内に入った放射性物質が減衰していく半減期からこの人が何万年前に御飯を食べるのをやめたというのがわかる。ですから、我々はそういう放射性物質を日常的に摂取して、そして元気に生きているわけです。  この生きている理由というのは、先ほどのDNAのがんにならないメカニズムがあるということですので、放射能を過度に恐れるということは、かえって福島でも人が仮設住宅で亡くなっていますし、それから、心を汚染してしまう。そして、怖がることによって鬱になって自殺したり、そういった精神的被害を生みますので、過度に放射能を怖がるということを報道であおってはいけないというふうに思います。全く同感でございます。 21 ◯稲富委員=次に、先生の先ほどの説明でもほぼ理解はできておりますけれども、タイトルは「被ばくによるがんのリスク」についてであります。  国立がん研究センターが発表している「わかりやすい放射線とがんのリスク」(二〇一一年)によれば、百ミリシーベルトないし二百ミリシーベルトを浴びた場合、がんになるリスクが一・〇八倍であるのに対し、塩分の取り過ぎは一・一一倍ないし一・一五倍、運動不足は一・一五倍ないし一・一九倍、肥満は一・二二倍、喫煙は一・六倍とされております。これを見ても放射能を必要以上に恐れる必要はないと思われますが、どうお考えですか。 22 ◯奈良林参考人=全くおっしゃるとおりだと思います。これも放射能を恐れることによって、福島の方々が今、非常に心にストレスがかかってしまうんですね。ですから、それによって鬱になったりしてしまうと。これはチェルノブイリのあったウクライナでも、何万人もそういうことで鬱になったりアル中になったりしていますので、放射能を正しく怖がる、これは寺田寅彦先生がおっしゃっていることなんですけど、正しく怖がるということをちゃんとやらなきゃいけなくて、もちろん強い放射能、被曝量にすれば一シーベルト、千ミリシーベルトを超えるような段階に入れば危険領域に入ってきますけれども、過度に恐れるということはなくて、正しくそれを理解して使っていくと。放射能とつき合っていくということが必要だというふうに私は思います。 23 ◯稲富委員=七問目といたしまして、「大量の放射線を浴びるのは危険か」ということであります。  二〇一一年十月には、東京世田谷の民家で高い放射線量が検出され、床下からラジウム226が入った瓶が発見されましたが、民家の居住者は年間最低三十ミリシーベルトを浴びていた可能性があると言われております。  また、民家の横の歩道では計画的避難区域である福島県の飯舘村を超える年間十四・二ミリシーベルトの放射線量が検出されたとのことであります。だが、民家に住んでいた当時九十二歳の女性が放射線の影響で体に不調を来したという事実は確認されておりません。放射能の危険性に対し、この真実をどうお考えですか。 24 ◯奈良林参考人=全く同意でございます。敬服するぐらい、よく調査されているというふうに私も思います。  本当に、放射能を余りにも恐怖を際立たせるという報道がずうっと続いたために、日本人全員が放射能をすごく怖がる民族になってしまったのではないかと思います。太古の昔から、空から宇宙線が降ってくる中、この中で全ての生物が進化を遂げて生きているわけですから、放射能に対する抵抗力はDNAレベルで持っているわけですから、そのDNAレベルの防御機構、これをちゃんと免疫作用を強くするには先ほど御指摘のとおり、運動をするとか、肥満にならないとか、はるかにそっちのほうが効果的なはずなんですね。  ですから、正しい知識を持って明るく生きていくということが非常に重要だと私は思います。 25 ◯稲富委員=次に、「私たち人間と放射能との関係」についてであります。  アフリカのガボンのオクロ鉱山には、露天掘りのウラン鉱床の中に約二十億年前、天然の原子炉が存在しておりました。このような中で進化してきた人間には、放射能に耐性があると言えるのではないでしょうか。  また、アメリカの生化学者トーマス・ラッキー氏が提唱した放射線ホルミシス効果では、放射能の刺激があると細胞のがんを抑える力が高まるとされております。放射能のこういった面についてどうお考えですか。これについても先ほど少しばかり説明があったようですけれども、せっかく用意をしておりますので、お尋ねいたします。 26 ◯奈良林参考人=また敬服いたします。オクロの原子炉を御存じの方は非常に少ないです。  実はオクロの原子炉は、アフリカのガボン共和国にあるんですが、フランスがそこからウランを採取したんですね。受け入れ検査をしたら、ウラン235という核分裂を行う物質が少ない、比率が違うと。現地調査をしたら、核分裂生成物がたくさん岩の中に閉じ込められていて、調べてみると、二十億年前に天然の原子炉が動いていたと。  だから、原子炉というのは、人類の頭のいい人たちが集まってつくったものじゃなくて、天然に昔存在していた。それで、約五十万年間運転していた原子炉が十六個発見されています。ですから、そこから多分放射能を含む湯気が上がっていたと思うんですけれども、そういう時代が二十億年ぐらい前にあって、これは放射能半減期からするとちょうど七億年ごとに倍になってきますので、今、〇・七%なんですが、七億年前は一・四%、十四億年前は二・八%、二十一億年前は五・六%になりますから、ちょうど原子炉で今使っている低濃縮ウランと同じぐらいのウラン235の比率があるので、理論的にはちゃんとそれで原子炉が成立するんですね。  ですから、今おっしゃったとおり、天然にも原子炉があったし、それから、放射能が非常に強い環境下でも生物は進化を遂げていますし、そして、天然の原子炉ではちゃんと核分裂生成物が二十億年にわたって閉じ込められているということです。  ですから、小泉元首相がばかなことを言っていますけれども、放射能はしっかり考えて埋めれば、ちゃんと閉じ込められるんですね。そういうこともあわせて大事なことだと思いますし、それから、ラッキー博士のあれは私も持っています。放射線ホルミシスと、こんなに分厚い本です。あれをずっとページを繰るとたくさんの事例が書いてあります。  そういう科学的データがあって、それを言うと反対派の人からやり玉に上がります。私もネット上では罵詈雑言で徹底的に攻撃されていますけど、結局、そういう放射能を浴びることによって、さっきのDNAが活性化されるんですね。それで活性化されることによって、微弱な放射線を少しずつ当てると集積線量よりも高く浴びているとしても、致死量はずっと高いところに上がってくるという例がありますので、放射線を定期的に浴びることによって放射能に対する抵抗力がずっと増すということも、これはもう科学的データとしても存在いたします。  ですから、そういったホルミシス効果も私はあると思いますけれども、それを言うと、今、不都合な真実なので、反対派の人たちが徹底的に攻撃に入ってきます。ですから、不都合な真実こそ本来の真実なので、それをちゃんと知っていただくということが大事だというふうに私は思います。 27 ◯稲富委員=余談ですけれども、原子力工学、あるいは物理学を一生懸命勉強していた日本人の先生が、天然の原子炉があるというふうなことをアメリカの大学で発表されたようであります。そして、その実証はフランスの原子力研究所といいますか、そこが発表後何十年もたって、その先生が発表された後何十年もたってフランスの原子力公社か何というか知りませんけれども、そこが証明をして、その人の学説が正しいと証明されたようであります。  次に、「高度経済成長時のほうが私たちは放射線をたくさん浴びていた」ということで、気象庁の気象研究所のデータによりますと、日本が高度成長真っただ中であった六十年代まで、米ソが核実験を繰り返していた影響でしょうか、東京における放射線セシウムの降下量は福島の事故が起こる前までの千倍以上の数値であったそうであります。  また、時期によっては、平時の一万倍にも上る放射線を浴びていたと言われておりますが、当時の被曝による健康被害は特段報告されておりません。これについて先生はどうお考えでしょうか。 28 ◯奈良林参考人=ちょうど私が小学生のころ、アメリカが核実験をやるから、きょうは外へ出て野球やっちゃだめだとか、子供たちの中でもそういう認識がございました。ですから、今御指摘のことはよく覚えています。我々が特にがんになったということはないと思います。  今、食べ物が欧米化して、そっちによるがんになりやすい体質になっているので、そういう方向で多分がんがふえていることもあると思いますけれども、あるいは医療が行き届いて、がん以外で死ぬ、ほかの病気が随分減ったということもあると思います。  ですから、その当時、非常に強い一万倍、たしかそのくらい濃い放射能が空から雨にまじって降っていたはずですので、そういったときには外へ出て遊ぶと頭が剥げるぞみたいな、そんな冗談を我々子供たちの中でも言っていましたけれども、そのくらいの認識だったんですね。  ですから、今、過度に放射能を恐れるようになってしまっていて、余りにも怖がることによって、かえって危険性がいろんな面で増しているというふうに思います。
    29 ◯稲富委員=問い十でありますが、次のタイトルは「内部被曝は問題ない」というパートワンであります。  食品の放射線セシウムなどについて、健康への被害はなく、安全は確保されている値といたしまして、年間線量五ミリシーベルトを暫定基準値としておりましたが、平成二十四年四月より、さらに安全性を強化するため、基準値が一ミリシーベルトに引き下げられました。  一方で、福島県によるホールボディカウンター検査では、対象者の九九・九%以上の預託実効線量──成人で五十年間、子供から七十歳までの線量を合計したものでありますけど──が一ミリシーベルト未満、最大で三・五ミリシーベルトであり、全員が健康に及ぶ数値ではなかった。この事実からも、内部被曝は問題ないと言えると思われますが、どうでしょうか。 30 ◯奈良林参考人=非常に微弱な放射性物質、これは毎日我々が食べ物の中で摂取しています。大体成人男性で体重六十キログラムぐらいで七千ベクレルぐらいの放射能を我々自身が今常に持っています。これは、外で放射線を浴びながら育った作物を我々が食べていることによって体内に放射性物質が蓄えられて、これが血となり肉になっているわけですから、そういう内部被曝の段階でもレベルが低ければ特に健康に支障が出るわけではなくて、先ほど申し上げたようなDNAによる、ちゃんとがん細胞を抑え込むメカニズムがありますので、内部被曝を特に怖がることはないと思います。  やはり危険なレベルは危険なレベルでございますので、そういったレベルからはるかに今は低いわけですから、そういったことで過度に怖がる必要はないというふうに思います。 31 ◯稲富委員=続きましても、内部被曝は問題ないのではないかという考えであります。  オックスフォード大学のウェード・アリソン教授によりますと、医療用の画像診断一回分の被曝量を浴びるのには、四カ月間汚染された肉を一トン食べなければならないということであります。  また、ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、事故直後に漏れた汚染水を四十五リットル飲んでもCTスキャン一回分の被曝量にしかならないとのことであります。この事実から内部被曝は問題ないと思われますが、しつこいようですが先生はどうお考えですか。 32 ◯奈良林参考人=そういった内部被曝に対していろいろ心配される方、マスコミの記事もございました。それで、確かに内部被曝が非常に強い場合には健康に被害が出ますし、例えば、ストロンチウムのように骨にとどまりやすい物質もございます。ただ、人体自身が生態的半減期といいまして、放射性物質を体外に出してしまいますので、一トンの肉ですか、そのくらいの量を食べないと被曝量としては実質的には出てこないこともあります。  それから、私が最初にマスコミに出たころに、プルトニウムの経口致死量が三十二グラムで食塩は二百グラムですといって相当それに非難を浴びたわけですけれども、その発言をした真意というのは、過度にそういうことを怖がってはいけないということ、それから、経口致死量は三十二グラムであるということはちゃんと科学的なデータに基づいてなんですね。いろいろなプルトニウムを扱う工場で火災が起きたり、それを吸い込んでしまったり、あるいは広島、長崎、そういったプルトニウムの影響を全部調べて、相当精緻な調査結果が出ています。  ですから、科学的データに基づいて正確な判断をして、危険か、あるいは大丈夫かということをちゃんと仕分けしてやっていかなければいけないと思いますので、御指摘のとおりだというふうに思います。 33 ◯稲富委員=問い十二でありますけれども、タイトルは「チェルノブイリ・福島のトラウマはないか」。  東京大学医学部の中川恵一准教授によれば、チェルノブイリの事故による健康被害は子供の甲状腺がんだけでありますが、福島の千人を超える子供たちを対象に甲状腺の被曝量を測定した結果、最大でも三十五ミリシーベルトにとどまっており、チェルノブイリ、十シーベルト──一万ミリシーベルトでありますが──であったことと比べると、桁が三つも違います。その上、甲状腺の被曝量として五十ミリシーベルト以下ではがんはふえていないとのことであります。  また、セシウムについても、チェルノブイリでの全身の被曝量は高線量汚染値の二十七万人は五十ミリシーベルト以上、低線量汚染値では五百万人は十ないし二十ミリシーベルトの被曝量と計算されております。そういう中で、セシウムによる発がんは二十五年経過した現在でも全く確認されていない。まして福島の場合は全く問題ないとのことであります。我々は福島の例で放射能に過敏になり過ぎているように思われますが、先生はどのようにお考えですか。 34 ◯奈良林参考人=全くおっしゃるとおりだと思います。  今マスコミ報道が三・一一以降、放射能の恐怖を非常にあおる報道がたくさんございまして、それによって今日本は過度に放射能を恐れてしまっていると思います。恐れることが精神的な汚染、鬱やノイローゼ、そういった引き金になりますので、そっちのほうがはるかに私は危険であるというふうに思います。  チェルノブイリの調査をして、ウクライナで一番被曝線量が高い人たちを治療している病院に行きましたけども、先ほどお話ししたように、三百ミリシーベルト以下の被曝は全く差が出ていないということですので、それから、あとチェルノブイリの発電所で働いていて、当時三シーベルト、三千ミリシーベルト浴びた方、エンジニアの方二人、今元気でいらっしゃいまして、当時のお話もお聞きしました。  残念だったのは、事故が起きたという情報の周知が遅くて、新鮮なミルクですか、要はもう汚染されてしまったミルクを飲んでしまった、あるいは汚染されたイチゴを食べてしまったお子さんたちが、たしか数千人甲状腺のがんになってしまった、小児がんになってしまった。これ自体はやはり気をつけなきゃいけないと思います。それで、ただ、それ自体は医療治療によって救われていて、たしか亡くなった方は九人くらいだと思いますけども、チェルノブイリの博物館に行きますと、そういったことはちゃんと詳しく展示されております。  ですから、今回、日本では事故が起きた情報はかなり早い段階で周知されましたので、特に汚染もひどくなかったですので、そういった甲状腺がんやなんかの増加はないというふうに私は考えております。  ですから、過度に怖がってはいけませんし、その過度に怖がることによってトラウマみたいなことで福島の復興がおくれてしまうということのほうが非常に大きな問題ではないかというふうに私は思います。 35 ◯稲富委員=私の先輩議員の中の一人が、近いうちにチェルノブイリに見にいくようにしたという議員さんもおりますので、近いうちに実現するかもわかりません。  次に、問い十三といたしまして、「耐震補強より先にやるべきこと」というタイトルであります。  先ほど先生が言われました欧米の原子力発電所には、放射性物質の放出量を千分の一にするフィルターがつけられております。フィルターベントはスイスでは十億円、コストがかかっても二十億円ぐらいでつけられるとのことであります。今般の原発の審査のように、津波対策として耐震補強に膨大な金と時間をつぎ込むことばかりではなく、フィルターベントをつければ済む話ではないかと思われますが、先生はどうお考えでありますか。これも先ほど先生の説明でわかりましたけれども。 36 ◯奈良林参考人=確かにおっしゃるとおり、フィルターベント本体の値段は大体十億円とか二十億円とか言われている数値だと思います。ただ、日本の場合は、今、御指摘の耐震補強をしなきゃいけないので、この間、ある発電所に行ったんですが、深さ三十メーター、直径十メーターの穴が掘られていて、岩を出して、その岩の上にフィルターベントを設置すると。大きなトンネル工事みたいになっていまして、そういった費用を含めると、大体百億円ぐらいかかると言われています。ただ、その百億円かけてでもちゃんとフィルターベントをつけるというのが、もう日本中の発電所の電力会社の方々も決意をされていますので、ちゃんとしっかりした工事期間はやっぱりとらなきゃいけませんので、猶予期間を認めた上で設置すべきだというふうに思います。  それで、大事なのは、ヨウ素も取れるフィルターが今開発されて、これが今ヨーロッパでも開発されていますので、これから日本に設置されるフィルターベントはヨウ素も除去できる性能を持ったものになるというふうに思いますので、それもあわせて地元への被害を軽減する上で非常に重要なことだというふうに思っております。 37 ◯稲富委員=次に、問い十四でありますけれども、過剰報道により生まれた「マスヒステリーこそ問題」というタイトルであります。  一九九〇年代に日本のバブルが崩壊しますと、大蔵省を解体せよと叫ばれ続け、解体されました。経済停滞が長くなると、郵政を解体せよと絶叫し、金融危機でにっちもさっちも行かなくなりますと、TPPで日本農業を解体せよと怒鳴っておられます。そして、今度は東電解体せよと言われ続けております。また、とにかく放射能は危険だと叫ぶ。日本全体がまさにマスヒステリー状態ではないでしょうか。今必要なのは、事実を冷静に把握し、分析することだと思われますが、先生はどのようにお考えですか。 38 ◯奈良林参考人=全く同感でございます。事実を冷静に見ていく、そして、冷静に対処するということが今日本に最も求められていることだというふうに思います。  郵政民営化の後どうなったかというと、日本中の人たちが心が暗くなってしまったんですね。それで、今、大学もそうですが、職員の半分は派遣の人たちになってしまいました。ところが、派遣法というのができて、そういう人たちは三年とかなんか任期を切られて、また、違う人になんなきゃいけない。つまり、働いている人にとっては非常に過酷な時代になってしまった。これによって国全体が暗くなってしまって、長期の経済停滞の要因になっているというふうに思います。大学を卒業した学生もなかなか就職口がないとか、非常に悲惨な状態が続きました。  ですから、私、今御指摘のとおり、小泉さんは郵政民営化をやった後の日本を貧乏にしたんだというふうに思います。  日本が中国に投資した額は五百兆円に達するというふうに言われています。その五百兆円で中国は元気になっていまして、空母をつくったりなんか、尖閣列島の周りをいろんな威嚇をするような国になってしまって、一体日本はどうなっているのかというふうに私も思います。  ですから、放射能の危険性をこれは正しく、そして、科学技術に基づいて的確な対処をするということとあわせて、やはり原子力もしっかり安全性を高めて使っていくということが日本経済にとって非常に重要であるというふうに思います。  こういうことで、こんなことを都知事選の争点にすべきではないというふうに思います。東京都は東京都のちゃんと都民のための政治をすべきだと、それが論点であるべきだというふうに思います。 39 ◯稲富委員=福島での原発事故は人災ではなく天災。絶対安全というものはこの世に存在をしないと私は思います。これを前提にして、先ほど先生のお話では、一つの安全の基準が認められても、それ以上の安全性を追求して、慢心したら事故のもとであるというふうなお話がありました。我々は原発とそういう状況の中でどうつき合っていくべきか、まずはこれまで述べて、お尋ねしてきましたように、放射能は怖くないという事実をきちんと認識し、そして、玄海原発の再稼働について規制委員会、あるいは国の基準に合格したならば再稼働を行うべきと思いますが、先生はどのようにお考えですか。 40 ◯奈良林参考人=確かに福島の事故は天災でございました。ただ、天災でございましたけれども、東北電力は十五メーターの敷地を確保しろということで、最も震源に近く、そして、福島の第一と同じで十五メーターの津波に襲われても原子炉の事故は食いとめております。ですから、単に天災というだけで済ませてしまうのではなくて、やはり自然災害に対する畏怖の念を持つ、これは日本人が昔から持っていたものですね。神棚をつくっているところでは神頼みするわけではなくて、神に安全、ちゃんと我々がしっかりやるということを約束する上で祈願しているわけですから、各工場やなんかにみんな神棚があって安全祈願をしますけども、これは自分たちの心を、しっかり心構えをちゃんと正すということで安全祈願をやります。  ですから、安全文化というのは本来日本はちゃんと持っていたものだと思いますけども、それが反対派が騒ぐから寝た子を起こすなで、しっかりした原子力規制をやっていなかったと。こういうことも要因として私はあると思います。  ですから、電力会社だけを責めるんではなくて、規制側にもちゃんとしっかりした規制をやってもらわなきゃいけないですし、それから、書類検査みたいなことじゃなくて、実質的に安全性を高めるためのそういう規制行政をやはりやっていただきたいというふうに思います。 41 ◯稲富委員=問い十六でありますけれども、タイトルは「フランスを見習え」ということであります。  日本では、高速増殖炉「もんじゅ」で一回トラブルがあって、十数年とめさせられております。フランスでは三十二年間に三十五回ナトリウム漏れ事故を起こしても、たくさん稼働しながらたくさんの事故データをとって、ちゃんと前に進めておるとのことであります。日本がエネルギーをどう確保するかという観点では、フランスのように開発を進めるべきではないかと考えますが、先生はどうお考えですか。 42 ◯奈良林参考人=今、御指摘の高速増殖炉も非常に人類にとって大事なものです。今、軽水炉だけでいきますと、大体、地上で採掘されるウラン、これは大体百年とか百四十年で尽きてしまうと言われております。  それから、海水からウランはとれるんですが、これはもうちょっとウランの値段が上がらないとペイしません。  それで、最も有力な手段として、燃料、ウラン235が燃えている間にウラン238がプルトニウム239に変わる、その高速増殖炉ですね。これを使いますと、ウランの利用効率が飛躍的に高まりますので、約二千五百年ぐらいウランによる人類へのエネルギー供給ができるようになります。それをしっかりやっているのがフランスですし、今、御指摘の回数、実はそれ国際会議で私どもも議論している数値でございます。三十二年間で三十五回ぐらい、確かにナトリウム漏えい事故を起こしているんですが、それは事故じゃなくて、ナトリウム漏えいが起きたという事実をちゃんとデータとしてとっているんですよね。どこが漏れやすいかとか、どこに亀裂が入りやすいという、そこまで調べて、それを貴重な改善項目のデータとしてとっていますので、そういった継続的なデータをとるという意味で、「もんじゅ」をちゃんと動かしておくということが本当は大事だと私は思うんです。  それが今、いろんなことでとめさせてしまっていて、日本のこれからの基幹電源、次の時代の電源になるべき高速炉も開発がおくれてしまっています。今、中国は高速増殖炉をつくって、臨界に達成して、これから発電に入ります。完全に高速炉を中国に抜かれてしまっているんです。ですから、これからいろんなエネルギーの主導権をどんどん中国に奪われてしまうのではないかというふうに思いまして、私自身も高速炉の開発が今の日本で停滞しているというのは非常に危機感を持っております。 43 ◯稲富委員=フランスとか、中国とか、韓国では、磨耗は磨耗でして、日本で原発でちょっとしたトラブルがあれば、専門家が磨耗と言っても事故として報道されるようであります。  最後に、「広島・長崎のトラウマはないか」。  東京大学医学部の中川先生によれば、広島、長崎の原爆が人体に与えた影響に関するデータからは、百ミリシーベルトより低い被曝で発がんの増加は確認されておらず、また、親が被爆者である被爆二世への遺伝的影響も確認されていないとのことであります。放射能を語るとき、私たちは広島や長崎のトラウマになっているのではないかと思われますが、先生はどうお考えですか。 44 ◯奈良林参考人=広島とか、それから長崎、この原爆が落されて悲惨な状況が出ました。ただ、その事実、それから、決して我々原子力に携わる者が核兵器をつくってはいけないというふうに思います。  私も広島の原爆記念館に行きました。女子学生が原爆で焼かれて、階段のところに人の影が焼きついているんですね。そういう悲惨な状況を見ると、人類の、せっかく貴重なエネルギーを殺りく兵器として使ってはいけないということは私は心に深く刻み込んでおります。  ですから、核兵器の開発、原子力のエネルギーを人類を殺すものに使ってはいけないということはもう鉄則ですし、それから、事故の後、広島、長崎、これも米軍が来て詳しい調査をしているんですね。ですから、そういうものがある程度軍事機密として公開されていない部分もあるというふうに私聞いていますけれども、こういった貴重なデータをやはり長年、もう何十年もたっていますから、今、御指摘のとおりのがんがふえていないとか、遺伝していないとか、そういったことをちゃんとみんなが、日本人全員が、あるいは世界が、その貴重なデータを共有すべきだというふうに思います。(「終わります」と稲富委員呼ぶ) 45 ◯石丸委員長=以上で稲富委員の質疑は終了いたしました。稲富委員は自席へお願いします。  暫時休憩します。十三時五分をめどに委員会を再開いたします。     午後零時二分 休憩     午後一時六分 開議 46 ◯石丸委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続きまして、質疑を行います。  内川委員は質議席へお願いいたします。     〔内川委員質疑席着席〕 47 ◯内川委員=県民ネットワークの内川と申します。きょうは先生、大変お忙しいところ、何か数日前までアメリカにおられたということで、本当にどうもありがとうございます。  きょうは、特別委員会、いわゆる原子力発電所の新規制基準に対する所見等──等ということもありますので、少し違う観点からも何点か質問をさせていただきたいと思います。それでは、早速質問に入らせていただきます。  この原子力発電所の怖さというか、そういったものはもう本当に以前からずっと語り継がれてきておりまして、また、一部の人たちによっては、ずっとこの原発に対する反対運動というか、そういうこともずっと展開されてきたと思います。  私自身も、この原発についての怖さというか、そういったものはイメージ的には何となく抱いているものがあったんですけれども、正直申し上げて、実感的にはちょっとほど遠い部分であったと自分なりに思っているんですけれども、ただそういった中で、あの三・一一の大震災以来、原発の恐ろしさというか、いわゆるメディア等々から通じてくるいろんな映像、情報、そういったものを見るにつけて、本当に恐ろしさを目の当たりにしてしまったというのが正直なところでございます。  確かに、一たびこの原発の重大事故というか、そういったものが発生すると、なかなか人間の力というか、技術ではコントロールがなかなか難しいというのも事実なのかなというふうに考えております。  実際、あの原発事故から約三年近くたった現在でも、福島第一原発の格納容器等々を中心としたものに対する調査等々がまだ十分にできていないというふうにも聞いております。  そういった中、一方で、全国の原発の再稼働に向けた動きが加速化していると申し上げても過言じゃないかなと思うわけですね。先ごろも安倍総理が規制委員会で安全性が確認された原発は再稼働すると明言されました。しかし、今の福島の悲惨な惨状がまだまだままならない、そういう状況下においては、ちょっと拙速過ぎはしないかなというのが私の思いでございますが、そういった思いも含めて、幾つか質問をさせていただきたいと思います。  きょう、先生のほうからいろいろと原発の必要性と申しますか、環境面、あるいは文明の進化、あるいは経済活動、そういった意味においては、原子力エネルギーの重要性というか、そういったところをお示しなされたのかなと。それで、この大震災の福島第一原発に対しては、ただただ反省という言葉できょうは終始されたのかなという思いです。  まず、福島第一原発事故について少し質問をさせていただきたいと思いますけれども、先ほど申し上げたように、この爆発から三年近くたった現在も、いわゆる格納容器周辺には人が近づくことすらままならないというのが現状かと思います。しかも、汚染水問題等々もまだまだ収束を見せていない。非常に困難をきわめているかなという思いなんですが、現在の福島第一原発における事故の究明、そういった現状を先生はどのように捉えられているのか、まずそこから質問したいと思います。 48 ◯奈良林参考人=確かに、福島は、あの事故の後、汚染されてしまって地元の方々に大変な被害を与えてしまったということは、原子力に携わる者の一人として非常に残念であるし、悔しい思いが私はいっぱいでございます。  先ほど申し上げましたように、欧米ではいろいろな対策が、過酷事故に対する対策がしっかりとられていたと。それから、米国ではテロリストに襲われても、つまり送電線を切られて、それからヒートシンクと言いますが、海等の冷却ですね、今、日本の原子力発電所は熱を最終的に海に捨てていることになります。熱交換器を通じて海に熱を伝えて原子炉の冷却を確保するわけですが、その原子炉の冷却ができなくなってしまった。つまり、ヒートシンク、海の海水ポンプが津波によって動かなくなってしまったということは、アメリカのB5bというテロリストの対策については、送電線が切られてヒートシンクが断たれても原子炉を炉心溶融してはいけない、そういう対策をとりなさいということが米国でしっかり指示が出されていました。  ですから、アメリカの発電所は、福島の事故の後、いろんな点検が入ったんですが、基本的には既に対策はとられていたと、フィルターベントは別として、炉心溶融を起こさない設備がちゃんと備わっているということで、特段の対策をとらなくても米国は発電所の運転を継続するということで、全米の発電所は現在、幾つかのプラントを除いて運転がされております。  ですから、本質的には日本の発電所、特に東京電力の福島第一については、基本的な幾つかの重要な点について設備上の大きな問題があったということだというふうに思います。それが反省事項だというふうに私が指摘しているところなんですが、特に、究極的には、運転員の人たちがアクシデントマネジメントとして原子炉の冷却を再開しようとして海水注入をしたり、それから、ベントをしようとしたりしたわけですけれども、事故の要因、バルブ一つずつ加圧まで全部調べてみますと、結局、運転員の人がバルブを操作しようとしてもできない状態になっていた。  例えば、アイソレーションコンデンサー、非常用復水器のバルブが勝手に閉まっちゃったとか、それから、その制御盤の電気が断たれて、そのバルブの開閉状態がわからなくなってしまっていたとか、それから、アイソレーションコンデンサーを一回も運転したことがない人たちがプラントを運転していたので、アイソレーションコンデンサーの起動の状態がどういうことか経験がなかったとか、究極的にはそういったところが問題になっています。  ベントをしようとしても、ベントの系統のラインの構成といいますか、たくさんのバルブを開閉しなきゃいけない、そういう状態で真っ暗の中で図面を見ながらそんなことをやっているわけですから、全部後手に、私の目から見ると全部後手に回っていました。ですから、究極的には、まずそういった事態に陥らないような対策をするということが対策の根幹になります。  私、参考人として立ちますので、九州電力の玄海の発電所をしっかり見てきたい、確認させてくださいということで、きのう見てまいりました。今、私が指摘したようなことは既に対策としてとられています。例えば、重要な機器に海水が入らないような、金庫のドアみたいな、そういう水密ドア、それから、電源が断たれても、さらに高台にいろんな各種の電源があったり、さらに電源がなくてもディーゼルポンプで注水できるようにとか、数々のそういう対策がとられています。まず、そこが非常に大事だと私は思います。  ですから、今、一般の方々は、福島の事故がまた起きると、再開するのがそれで反対だと、そういうふうに思い込んでいらっしゃいますが、少なくとも千倍ぐらいは安全性が高まっているというふうに私は思います。これは、例えば、津波が来るときのいろいろな確率とか、今、玄海の場合には大きなプレートが近くにないということで、想定される地震動も小さいですし、それから、想定される津波の高さも三、四メートルです。今、敷地が既に十メートルを超えていますので、その津波に襲われる確率も非常に低い、そういうことがこの玄海の特徴だと思います。  それに加えて、津波が来ないとしても、その止水ドアとか高台に電源車とか、そういうことをとっていますし、それから、さらにその注水ができなくて炉心溶融に至った場合でも、格納容器を冷却する、それから、発生した水素をイグナイター、これはイグナイターも実物、現物を確認させていただきました。それから、PARと言うんですが、静的触媒再結合器──水素を酸素と反応させて水にしてしまう装置、こういったものを既に設置されていました。  ですから、再稼働をするということに対しての備えがどのくらいできているかということが非常に大事であって、これをもっと電力会社はしっかり説明する必要があると思います。  それから、総理も規制委員会が適合審査で合格したといった場合には、ちゃんとこれは国民に向かって福島の事故の原因、それからあるべき対策、そして、今、規制の条文がどうなっているか。そして、どうして適合審査に合格になったか、そこら辺をわかりやすくマスコミを呼んでしっかり説明する必要があると思います。それをやらないで大臣が地元に来て再稼働してくださいと言って、そして、知事さんが入っていった途端に、その知事さんは自分で県民の方々に説明しなきゃいけなくなってしまう。  ですから、これはあくまで国としてちゃんと説明することが必要だというふうに私は思います。まず、これを全国区でやる必要があります。それで、その全国区で共通の規制の条文に対して、個々の発電所がどういうふうに対策がとられているかどうか、これを確認するのは、今ここで言えば県の仕事になるのではないかというふうに思います。  ですから、そういう原因と対策がしっかりとられているかどうか、それをまず確認するということが大事であって、そういうことをちゃんと手順を踏んでやるということが大事ですので、むやみに再稼働という言葉は適切ではありませんし、それから、今、再稼働が加速されるという感じでは私全然なくて、逃げ水現象のようにどんどん再稼働が延びていってしまっている、この間に県の財政、それから、働いていた方々の仕事、これがちゃんと雇用が確保できるのかどうか、技術者がちゃんと確保できているのかどうか、そういったマイナスの要因のほうが私は非常に今気になっております。 49 ◯内川委員=参考に、先生、私の質問からかなり逸脱したような答弁しか聞かれなかったような気がしているんですよね。確かに、今、先生おっしゃったように、さまざまな原因がわかってきて、それに対してそれなりの対応がかなり、例えば、玄海原発を見ても感じられたとおっしゃっていましたけれども、何か先ほどから聞いていると、ほとんどが外部対策、要するに原子炉の外側のそういう外部的な対策はもう粛々と進んでいるんだけれども、私が聞きたいのは、そういうことも含めてなんですが、いわゆる福島原発の現状が、特に建屋の中の格納容器とか、あるいは原子炉ですね、そういったもの自体が今どうなっているかもよくわからないというふうに私は聞いています。  例えば、一号機も二号機も三号機も、人がまだ入れないような状態であると。ということは、実際、原子炉の中がどういうふうな状況になっているかさえわからないと私は思うんですよね、厳密に言えば。そういったことに対する事故究明に対しては、今、先生方はどういうふうにお考えかというのを私が本当は聞きたかったんですけれども。 50 ◯奈良林参考人=私は、かなり、今原子炉の状況というのはわかっているというふうに思います。これは人が立ち入ることはできませんが、既にロボットが点検をしております。  そして、先週ですか、ロボットが入って、格納容器の、ちょうど主蒸気隔離弁室ですね、ここに水が流れ出ているというのは、先週報道がございましたが、あれを見て私は、ここまで一応、その格納容器の中が水がたまっているということがわかりました。  つまり、原子炉の下に溶融して落ちている、その燃料というのは、ちょうどこの図ですが、隔離弁室がちょうどここですので、中間のあたりですね。ここまで今、格納容器のちょっとフラスコの半分までは水がたまっております。ですから、これは我々も過酷事故研究からすると、溶融物は、かなりの部分は、ここに落ちています。  それから、三号機は、この間、東電が進捗報告ということで後出しのような形になって、私はよくないと思うんですが、事故のときに消防ポンプをつないだんですが、バルブがあちこちあいたままで、炉心にほとんど入っていなかった。そういうことの報告がされていました。  私は、事故直後から、ずうっとデータを分析していました。それで、炉心の中のいろんな状況が、実はキャムスといって、ガンマ線でこの原子炉の格納容器の外から、上と下のガンマ線の強さをはかっている計測器があるんです。私は、そのデータをずうっと見ていて、ほとんど炉心の下に燃料が落ちちゃったというのはわかっていました。ところが、東電が発表した報告書では、まだ燃料が炉心に残っている。おかしい。データが示しているのは、溶融物はもうほとんど下に落ちちゃっている。それが、この間の進捗報告で、実はバルブがあいていて、炉心に水が入っていなかったから冷却ができていなかったということですから、私がそのキャムスのデータを分析したとおり、大部分の燃料が下に落ちています。  これは、中に人が入らなくても、我々はいろんな過酷事故対策、チェルノブイリの事故も含めて、スリーマイルアイランド事故も含めて、いろいろな調査研究をやっていますし、アメリカ、スリーマイルアイランドの原子炉の場合は、このふたをあけて、中の燃料を取り出すところまで全部やっています。  それから、チェルノブイリは、中に入れないんですが、たくさん穴をあけて、コンクリートの建屋に穴をあけて、そこに放射線の検出器を垂らしたり、あるいはカメラを垂らして、中の状況を詳細に調べています。ですから、全くそんなわかっていないという状態じゃなくて、かなりのことがわかっているというふうに私は思います。  それをあと確認する作業がこれから入ってくるんですが、当然、その放射線が強いので人が入れませんから、ロボットを使って中を点検していくということが、これから数年にわたって行われると思います。ただ、私が予想していた燃料は、このペレスターに落ちています。ここは今、水がここにあふれたということは、今三号機については、水がここまで、真ん中ぐらいまでたまっているということもわかりました。  今、一号機とか、二号機とか、それぞれ次第にその全貌がわかってきていまして、結局、どういうふうに考えればいいかというと、溶融した燃料は、全て下に落ちていたとして対策をとらなきゃいけない。ですから、下に溶融物が落ちても大丈夫なように、この原子炉のペレスターにちゃんと注水しなさいとか、それから、ここの格納容器の上から放射能が出ないように水を張りなさいとか、そういうことは全部国の委員会で発言していまして、それが全部規制基準に今入っています。  ですから、全然そんなことがわかっていないというわけじゃなくて、かなり我々専門家の中では、事故のイメージ、それから事故のいろんなデータから弁室の状況はわかっています。ですから、それに対する的確な対策をとるということが大事であって、私は、その国の委員会で、しっかりそれは発言して、書類も配って、対策を迫っています。  ですから、フィルターベントもその一環で、格納容器の外へ放射性物質が出てしまって、地元を汚染したわけですから、それに対する対策として、当然フィルターベントはつけるべき。それもやっぱりバックフィットで法制化されていますので、そういうことで、ちゃんとその事故に対する対策というものは、今、各発電所でしっかりとられているというふうに認識を持っております。 51 ◯内川委員=はい、わかりました。ある程度のところまでは、もう把握できているだろうという先生のお言葉だと思いますけれども、ただ、いわゆるそうは言ったものの、格納器の中、あるいは周辺等々の破損状況とか、そういったものが本当にどこまで明確に把握されているのか、また、そういったところを念入りに調べることによって、こういった現象に、状況に陥った新たな原因、そういったものも見つかるんじゃなかろうかと思うんですね。そういったものが、本当に、じゃあいつごろまでにその原因等々まで含めてわかったら、それをいつ、どの段階で例えば、公表するとか、そういうところが明確になっているかどうか、まずお聞きしたいと思います。 52 ◯奈良林参考人=今、事故の原因については、かなりのところまでわかっていますので、対策はとれるというふうに思います。ただ、その確認が、人が入ることが今できない高い線量の中ですので、ロボットを使った点検をするということになります。ただ、もう既に格納容器の中の開口部については、ファイバースコープを入れて中の状況を見たりとか、いろいろなことをしていますから、チェルノブイリでやっているような、中がどうなっているということも、かなりはっきりわかってきています。  それから、事故のときに、内部に熱センサーがついていますので、格納容器のこの部分は、例えば、七百度とか四百度になっているというのも、それも全部データは残っています。ですから、我々専門家のレベルでは、事故の状況がどういうふうになっていたか。中に入らなくても、かなりのことは推定でわかっています。ですから、そういう事象が起きた、スリーマイルアイランド事故、それから、ウクライナのチェルノブイリの事故、その状況を見て、そして対策をとるべきだということです。  それから、今、玄海については、BWRと違って、PWRですので、また事故の想定は違います。これはアメリカのスリーマイルアイランドのときに、PWRの過酷事故はもう既に経験していますので、そのときに炉心がどうなったか、それから、格納容器がどういうふうになったか。  実は、格納容器は破損していません。スリーマイルアイランドのときは、これはドライ格納容器で、PWRの十倍の大きさを持っているので、非常に事象が緩慢で、そういう格納容器の破損は起きていません。  あと、気体排気弁をあけて、事故後三日にベントしています。ですから、そういうベントも既にスリーマイルアイランドの二号機ではやっている。ですから、過酷事故のときにどういう対応をすればいいかということは、かなりはっきりわかっているというふうに私は思っています。 53 ◯内川委員=そしたら、今の先生のお話だと、ほぼ、ある程度の現状が把握できているということでございますけれども、そういったのが我々の目にまだとまらないんですね。あるいは聞こえてこないんですよね。やはり、先生方みたいに責任ある方たちの立場として、そういった状況報告というか、それは一定の時期、時間が必要かもしれないんだけれども、しっかりと早目に公表していただきたいと思うんですが、その辺はどうお考えですか。
    54 ◯奈良林参考人=既に私は保安院の福島の事故の分析の検討会ですか、技術的知見の委員会、意見聴取会ですね。それで、そのメンバーの一人として、報告書のいろいろなあそこの内容についても審議をして、既にその報告書は公表されています。  それから、今、規制委員会で、さらに福島の事故の検討委員会、それができて、今、さらに深く調べていますけれども、それは政府事故調、国会事故調、その他事故調の報告書、それの食い違う部分が、本当はどうなのかということを今、確認をしているところです。  それについても、ほぼ、その結論が出てきていまして、例えば、地震で格納容器の中の大きな配管の破損はないと。これは先ほど説明したとおりですけれども、そういったところもわかってきています。おっしゃるとおり、そういうことを報告書に書いただけなんですね。ですから、誰かがちゃんと説明しなきゃいけない。  私が呼ばれれば、こういうところにも来て説明しておりますけれども、これは全国区じゃないんです。ですから、御依頼があれば、私は私の専門家としての説明ができますけれども、責任ある立場というのは、要は政府がちゃんと説明する、あるいは政府がシンポジウムを主催して、いろいろ反対の立場をとる方も呼んで、ちゃんとディスカッションをするとか、そういった場をちゃんと設けなきゃいけないというふうに思います。  こういう議論を通じて、国民の方々に事故の現状、それから、とるべき対策、そして、福島の事故が起きてしまった原因というのが明らかになっていくと思います。ですから、そこのギャップが非常に大きいと私も思います。ですから、それを埋める努力をしきなゃいけないというのは、御指摘のとおりだというふうに思います。 55 ◯内川委員=はい、わかりました。  先生がおっしゃるように、ある程度のところまでは解明が進んでいるということだろうと思いますけれども、ただ、今回──新しい規制基準が出されたわけですよね。やはり、先ほど冒頭申し上げたように、そういう外部の施設というんでしょうか、あるいは電力関係のものとか、あるいは水を扱うものとか、そういう外部的な施設は、それなりの対応や、それぞれの事業所でもできているかもしれませんけれども、先ほど申し上げたように、こういう人間で言えば心臓部分ですよね。心臓部分については、まだ明確な分析、状況把握ができていない中で、こういった新しい規制基準が出されること自体、ちょっと拙速で、不十分じゃなかろうかという懸念を私は抱いているんですけれども、それは先生、どうお考えでしょうか。 56 ◯奈良林参考人=今、御指摘のことは、アメリカのスリーマイルアイランドの二号機の事故、それからチェルノブイリの事故、そして福島の事故を通じて、いろいろなコンピューターシミュレーションによって、事故の進展、それからそれがどういう結果をもたらすか、そういうところがかなりの高い精度で予測されるようになっています。  これはカザフスタンやなんかで実際にウランを使って事故を起こして、模擬実験ですね。そして、その溶融物がどうなるかとか、非常に国際的な広範な研究がされていまして、それとコンピューター行動、予測する、その値がちゃんと一致するかどうか、そういう検証をずうっとやっているんです。ですから、そういう過酷事故研究というのは国際会議の場でも、午前中申し上げたとおり、物すごいディスカッションをされています。  ですから、私自身は、かなりのことでコンピューターシミュレーションで原子炉の中はどういう状況になっているか、わかっているというふうに思います。それに対しての対策も既にとられています。ですから、それをどうやってちゃんとわかりやすく説明するかということが、そこが大きく欠けているところだというふうに思います。  先ほど申し上げたように、燃料はもうほとんど下に落ちています。キャムスのデータで私見ていました。ですから、東電の最初三分の二ぐらい燃料が炉心に残っていると言っていましたけれども、結果的にキャムスのデータはほとんど下に落ちているデータを示していましたので。ですから、とにかく溶融物は下に落ちているということだと思います。ですから、炉心の心臓部の部分、ウランは、大部分がこの原子炉の下に落ちています。ですから、ちゃんと燃料が下に落ちたとしても、その後の格納容器がちゃんと損傷しないように、コアコンクリート反応が起きないように、そういった対策をしっかりとらなきゃいけない。  それについては、今、水を注入するというのが対策になっています。実は、これについても国際的ないろいろな過酷事故の研究が進んでいまして、一番懸念されるのが、水蒸気爆発なんですが、水蒸気爆発が起きる条件は七つあるんです。その一番大きなものは、溶融物の温度が三千度以上であること、それから、落ちた先の水が三十度以下であること、七つあるんですが、例えば、そういうものが一つでも欠けると水蒸気爆発が起きません。  チェルノブイリの事故のとき、一番心配されたことは、水蒸気爆発だったんです。その水蒸気爆発を食いとめるために消防士がたくさん入って砂をまいたり、溶融物が冷たい水の中に落ちないように頑張ったんですけれども、結果的にそれは果たせなかった。結果的に溶融物が冷たい水の中に落ちたんですけれども、水蒸気爆発が起きませんでした。ですから、いろんな予測が、シミュレーション、コンピューターも含めて、専門家の中ではそういったことが解析評価できるようになっています。  ですから、その心臓部についても、かなりのことはわかっているというふうに私は思いますし、それから、もともとの最も原因というのは、炉心の冷却ができなかったこと、それから、格納容器の中に高温の蒸気が出てしまったこと。ですから、それを防ぐということが根本の対策になります。その対策がとれているかどうかということをちゃんと国の規制で見なきゃいけない。ですから、そこら辺のところが今後、今、適合審査のところになっているというふうに思います。 57 ◯内川委員=ということは、今度の新しい規制基準の中には、そういった原子炉に関するようないろいろな懸念事も含めてしっかりと取り組んであるというふうに捉えていていいですか。 58 ◯奈良林参考人=今御指摘のとおり、今の規制基準、その根幹は過酷事故対策です。そして、炉心溶融が起きた場合、あるいはそれを食いとめる、その対策が条文としてしっかり定められています。  それを審査している更田委員なんですが、この方はJAEA──昔の名前でいきますと、原研で、燃料ハンドルを投入して、燃料を溶かして、そしてその燃料がどういう振る舞いをするかということを研究した研究者です。ですから、核事故のところは、今、規制委員が五人いますが、その中で更田委員が一番詳しくて、そこのいろんな過酷事故の根幹のところは、更田委員がかなりリーダーシップを発揮して、その条文はつくられているというふうに私は認識しております。 59 ◯内川委員=先生、そういうふうにおっしゃるんですけど、やはりこの原子力発電に対して慎重な立場というんですか、とっておられる方たちの中には、やはり先生は先ほど、この原子炉格納容器あたりの周辺の状況はかなり把握できて、それなりの対策もとりつつあるというふうにおっしゃっているんですが、その辺を非常に疑問視している方々が多いんですね。その辺についての先生の見解は何かございますか。 60 ◯奈良林参考人=特に今、ここに書いてありますのが、この格納容器から放射能が漏れた想定箇所です。慎重派といいますか、原子炉の事故を懸念されている方々、これも私もそれは同じだと思います。どこから放射能が漏れたかということはやっぱり大事であって、そして、その放射能が漏れてしまったことで地元を汚染してしまいましたので、その漏れたところをちゃんと漏れないようにする対策、それがとれているかどうかだと思うんですね。  今、黄色くもくもく書いてあるところは、蒸気が漏れたあたりで、特に午前中御説明したように、格納容器の上ぶたのところにOリングが使われていて、そのOリングが四百度を超える温度になっていて、劣化してしまって、格納容器の根幹である閉じ込め機能を失ってしまった。それが福島の事故です。  ところが、こちらの玄海のほうは格納容器が大きくて、そしてその上にこういうOリングで上ぶたみたいなフランジがありませんから、大分構造も違います。ですから、そういったところは福島と、それからこちらのPWR、加圧水型原子炉、これの構造の違いは明確ですので、その対策がどこがポイントかということも我々専門家の間ではわかっていますし、それから国の適合審査のところもそういったところを審査していますので、今、PWRを先に審査しているというのも、そういうこともあって審査がしやすいということがあるんですね。福島のほうのBWR側は、BWRとしてのいろんな対策をもっと厳しく求められますので、その対策がちゃんと報告書に盛り込まなきゃいけないので、その審査の提出が半年ぐらいおくれているということだというふうに思います。 61 ◯内川委員=はい、わかりました。  先生、そういうふうにおっしゃっていただいたんですが、まだまだ私自身もよく理解できないところもありますし、本当に格納容器の内部あるいはその周辺あたりの関連器具とか、そういったものが本当に我々素人から見れば一種の恐怖を覚えてしまうようなところがあるんですね。そういったところはやっぱり、先生がそこまで自身をお持ちであるならば、そこをしっかりと訴えていただきたいし、まだまだ詳細にわかっていないところがあればしっかりとその辺は究明していただきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、新規制基準は、そういう建屋の外側の、いわゆる可搬設備というんでしょうか、そういったものは非常に、先ほど先生が玄海原発でもこれがきれいにできましたよとかおっしゃっているけれども、この可搬設備はもうしっかりと対策できているかなという気がしないでもないんですね。  ただ、それだけでなくて、本当に今回の爆発の原因となった、特にメルトダウンまで起こしてしまった背景には、その破壊力となったものは、ひょっとしたら地震かもしれぬ、津波かもしれぬ、あるいは水素爆発かもしれぬ、あるいは高温、高圧かもしれぬ。いろんな原因が考えられるわけですよね。そういったそれぞれの破損箇所の原因がどれによるものか、そういったところまで本当に先生方がしっかりと確認して実証できるならばいいんですけれども、それが私たちにはまだ伝わってこないもんですから、だから冒頭、先ほど申し上げましたように、可搬設備だけは規制基準に合わせている。しかし、本当に肝心なところはわかっていないんじゃないかというのが私の思いなんですけど、それは先生どうお考えですか。 62 ◯奈良林参考人=今御指摘のとおり、皆さんそういうふうに思われるのは、私は当然だと思います。そういう説明を今、国がしてないんです。ですから、情報が非常に欠落していて、ですから今、地元の方も含めて、この立地県の方々、不安に思っているのは当然だと思います。  今、福島の事故では、特に──ちょっと深層防護について語らせていただきたいと思うんですが、今、この深層防護の五層があるんですが、今、実は福島の事故でやられたのは、深層防護の第三層です。第三層というのは、ここは実はECCS、非常用炉心冷却計、格納容器のスプレイ、これが作動する部分です。ちょうどこれでいくと、この第三層になるんですね。これが津波で使えなくなってしまった。  それから、第四層、第五層がほとんど準備されていなかった。つまり、ECCSが動かないとき炉心溶融になってしまうんですが、それを防ぐためのその次の備えがほとんどできていなかった。これが福島の本質的な問題点です。  今、可搬式のいろんな機器を強化しているというのは、この第四層を強化する。今回、第四層、第五層、ちゃんと防災で地元のいろんな連携も必要ですということで、県にもいろんなことが実際の防災の段階では入ってきますけれども、この過酷事故対策可搬式用機器をちゃんと使いこなして事故に立ち向かうというのが深層防護の第四層なんです。ここが今までほとんど出てきていなかったので、ここを今強化しているのがポイントです。  それから、第三層については、津波で全部、重要な機器が非常用ディーゼルも、それからいろんなパーセンターとかコントロールセンターとかいうスイッチ類ですね、それが使えなくなってしまったというのは、これは第三層ですから、ここが今止水対策、津波対策、ここを強化して、さらに電源がやられたとしても高台から電源を供給できるようにする。それも今、つなぎ込むと遅くなるというので、もうきのう見たときには全部、配線済んでいました。ですから、スイッチを入れると、非常用ディーゼルが動かなくても高台から電気を送れるようになっています。ですから、そういう取り組みが今、第三層について行われているということですので、そういう観点で、第三層と第四層、今、深層防護の観点からいくと、両方とも今対策を推し進められています。  特に、今目立っているのが、可搬式のいろんな機器ですので、そういったことについては、この間、規制庁の方も、それから九州電力の方も説明したと思いますけれども。ですから本来、第三層に対する手当てがどのくらい進んでいるかどうかについても、これは心臓部を冷却する部分ですので、そこら辺のところも本来、対策としてしっかり説明しなきゃいけないことだというふうに思います。 63 ◯内川委員=そういうことであるなら、本当に我々には知らされていないというか、そういう部分がたくさんあるようでございますので、その辺について、じゃ、例えば先生、今後どういう形で一刻も早くそういった究明されたこと、あるいは取り組んできたことをオープンにされるか、その辺もしよかったらお聞きしたいと思いますけど。 64 ◯奈良林参考人=一つは、やはり規制委員会がちゃんと説明することが必要だと思うんですね。ところが今、規制委員会は審査するだけで、自分たちで説明しない、地元に説明しない、それは政治でやってくれということになっているんですね。それから、今度は政府がなかなか専門家じゃないので、的確な説明ができていない。これが大きな問題だというふうに私は思います。ですから、これはちゃんと総理が、あるいは経済産業大臣、あるいは規制委員長、こういった方々にちゃんと説明するということがまず大事だと思います。  ここの場でもたしか規制庁の方が来て説明されていると思うんですが、規制庁の方がどのくらい理解して説明されたかだと思うんですね。  今、規制側にいる方々も、実は米国の規制監、NRCの職員に比べると訓練がまだ行き届いていないんです。先ほど書類審査になっちゃっているというふうに申し上げましたけれども、米国ではNRCの職員の検査官、物すごい研修があります。専門性を非常に高めている。ところが、日本では、今まで規制の保安院の人たちが二年たつと別の職場へ異動してしまうとかいうことで、専門性が低かった。ですから、発電所の設備をちゃんとしっかりするということと、あわせて規制庁の職員、規制の委員の方々、そういった方々の専門性も高めなきゃいけないと思います。これも大きな課題であるというふうに私は思います。 65 ◯内川委員=そういった中で、さっき深層防護の四の段階、シビアアクシデントと若干関連するかと思いますけれども、残余のリスクという言葉がございますが、これは、いわゆる二〇〇六年に耐震設計審査指針で残余のリスクという概念というものが導入されたと聞いています。  しかし、結果としては単なる努力目標というんでしょうか、そういった部分で終わってしまったんじゃないかなというふうにも言われています。私は個人的には、本来ならば、この残余のリスクというのは、いわゆる想定外じゃなくて想定内に組み込まなければならないかと思うんですね。しかし、実際そういうことはあり得るはずがないとか、確率的にそれは無視できるだろうとか、そういった安易な思いというんですかね、そういったところが結局、事業者あたりにもほとんど残余のリスクについては努力を怠ってきたと。そして、その結果が今回の福島原発で露呈されたんじゃないかなと私は思っているんですけれども、今回のこの新しい規制基準に残余のリスクというものがどのように具体的に取り組まれてきているのか、もしあれば先生方にお聞きしたいと思いますけれども。 66 ◯奈良林参考人=今御指摘の点は、ほとんど私、合意いたします。  それで、残余のリスクというのは、今、深層防護の第三層が設計の世界なんです。ですから、ある値を想定して、その想定、例えば地震の加速度、これを想定して、そのものがその加速度まで地震が加わっても破損しないようにするということで、これは設計的に対応しているものです。  中越沖地震の後にやはり耐震のバックチェックということで厳しい見直しが行われまして、この間の東日本大震災のときは、この福島第一も含めて格納容器の中の重要な施設が地震でやられていません。これはなぜかというと、中越沖地震の後に耐震補強工事が物すごく徹底的にやられています。ですから、私はその残余のリスクについての議論は、非常に役に立っていて、震災のときにマグニチュード九・〇に対しても、少し加速度は想定よりも上に出てしまいましたけれども、材料は非常に粘っこい、ステンレスも含めて鋼材は粘っこいので、それを超えたからいきなりガラスのように割れるということではないので、ほとんどのプラントが加速度、女川をちょっと超えたところがありますけれども、全て地震に耐え抜いています。  ですから、私はそれぞれの時点で耐震補強工事をやるという、そういう残余のリスクについての対応というのは、ちゃんとできたというふうに私は思います。  それから、残余のリスクは、本来第四層が担うべきものなんですね。その第四層の残余のリスクをちゃんと正しく評価するのは、私はストレステストが非常に重要だったというふうに思います。ストレステストを各発電所、玄海も含めてストレステストの評価の報告書が出されました。私はその安全性総合評価の保安院の委員でもあったので、全国の発電所のストレステストの結果、全部報告書を見ています。  それで、津波の高さを一メートルずつ上げていく、あるいは地震の加速度を少しずつ上げていく。そうすると、最初に壊れるものが、これがクリフェッジになるかどうかということですね。そういう評価というのは非常に大事で、おっしゃるとおりに、その設計されて大丈夫だというその範囲を逸脱して、その上になったときに、ストレステストによって何が起こるかということをちゃんと見きわめておくと。そして、それが深刻な事態になるんであれば、それに対する対策はとるべきだと思います。  例えば、東電は津波ですけれども、十メートルのところまでは津波が入らないから大丈夫です。ところが、十一メートル、十二メートルになったら、あれはストレステストをちゃんとやっていれば、タービン建屋の中に海水が入ってしまうということがわかったわけです。ですから、東電の社内でもそういうことを技術者たちが議論していたということですので、そういうストレステストみたいなことは、やっぱり今後もちゃんと継続していろんな分野においてやるべきものだというふうに思います。  ですから、残余のリスクについては、そういう現実的な対応、そして弱点を見出して、その弱点を手当てすると、そういうことで深刻な事態を回避するということが、これからも安全規制の中で、あるいは事業者が自主的に取り組むべき項目としてあるというふうに私は思います。これは御指摘のとおりだと思います。 67 ◯内川委員=きょう先生が安全文化ということをおっしゃったかと思います。これは私も詳しく知らないですが、チェルノブイリの事故以来にこの安全文化というのが使われたというふうに聞いているんですけれども、約三十年間この安全文化というのが使われてきて、で、きょうも先生はそれをおっしゃったんですけれども、それだけ二十八年間もの間、この言葉は生きておったけれども、日本ではこの安全文化というのが、ある意味十分に生かされていなかったと。その反省がこの福島原発だと申し上げても過言でないと私は思うんですね。まずその辺、先生はどうお考えですか。 68 ◯奈良林参考人=全くおっしゃるとおりだと思います。安全文化は、この間、去年の二月にアメリカのNEIというところに行きました。それで、NEIが何を言っているかというと、あれだけの事故を起こしておきながら、日本の規制、事業者の取り組み、前と変わっていないんじゃないか。日本は安全文化の最後進国だというふうに、去年ですよ、言っています。  翻って見るに、やはり安全性を自主的に高めていくということを、やはり経営幹部を含めて電力会社の全職員がそういう意識を持っていなきゃいけないですし、それから、規制側の規制に携わる人も、そういった認識を持ってなきゃいけないと思います。  これは、寝た子を起こすなということでいろんな対策、規制側としてとるべき対策をとっていなかったということも事故調の報告書に書いてありますけれども、やはりそういうことはあってはいけないと、常に原子炉が炉心の中に危険な放射能を閉じ込めているんだという認識のもとに原子炉を運転する必要があると思います。  飛行機だって、あれはエンジンがとまれば墜落するんですよね。ですから、墜落しないように必死でメンテナンスして、その日の点検、それから、一週間ごとの点検、一カ月、三カ月、半年、一年、十年、五年、十年って全部検査項目が決まっています。ですから、アメリカは今、オンラインメンテナンスといって、運転中にもう計画的に精緻な点検をやるようになっています。いついかなるときでもプラント、そこの系統を配列してメンテナンスをして直して編入するということをごく当たり前のようにやっている。  アメリカはリスク管理をして、きょうのこの何時から何時まで炉心溶融確率はこのくらいですというのが常に表示されています。それから、作業をしている人たちの被曝線量がきょうはどのくらいになっていますと、そういうことまで全部表示されて、作業服がどうなっているか、そういう管理が全部やられて、日々の計画案、年間を通じて非常に計画的にやられている。  日本は、さっき言ったように書類検査で定期検査のとき二カ月とめてばらばらにしてまた組み立てると。内面に傷があるかどうかチェックしていますと、そういうことなんで、かなり世界的には点検整備のことも含めて、おくれをとっているというふうに私は思います。ですから、今回の福島の事故を契機として、そういう部品の点検まで含めてしっかりした体制をちゃんと組み直さなきゃいけないと思います。  私は、これについてはNEIはこういうことを言っていましたということを書類にして規制委員会に提出しました。それから、今の書類検査はだめですと言って、さっき講習会をしましたということも説明しましたけれども、そういったことも規制庁に働きかけて、幹部も含めてそういう意識を持ってもらうように働きかけております。  これは今、私は単なる大学の教員ですけれども、できることは、とにかく私自身も頑張っていますし、それから、これはやはり全国でいろんな原発に関心がある方、こういうことをやはり取り組みとして求めていくということが必要だと思います。  アメリカの原子力発電所、この間、福島と同じ時期に洪水攻めになった発電所があります。フォートカルフーンという発電所。そこでは、もうすかすかな土のうを積んで川の水が入る直前まで行ったんですけれども、その後、いろんな改善提案を、アメリカの規制当局からアクションアイテムを出しなさいということを求められて、それで、電力会社はこれだけやりますというのを約束を出して、それを一つずつ全部果たしているんですけれども、それを地元の議会も含めて地元の政治リーダー、それから、環境団体、それからあと、電力会社の職員、幹部、それから、NRCの職員、NRCのヘッド、マスメディアも含めて全て公開されて、今どこまで進んでいますということがわかるようになっているんです。ですから、それだけの透明性ある規制をやはり日本でも実現しなきゃいけないというふうに思います。ですから、これは皆さん大きな声でやはりそれを国に求めていくということも私は必要だというふうに思います。 69 ◯内川委員=もう少し手短にお願いします。ちょっと時間がありませんので済みません。  さっき安全文化を実施するに当たっては、結局それを実施するのは、努力するのは事業主というか、そういうところで終わっているところに私は一つ原因があると思うんですね。じゃ、国はどこまで責任を持つんだと。あるいは、そういうのをいろいろと、いわゆるアドバイスというか、いろんないわゆる資料等々を提出いただく、例えば、学者の皆さんとか専門家ですね。そういった方たちの責任はどこまであるかとか、その辺が全く曖昧にされている。  例えば、二〇〇五年に佐賀県でプルサーマルの公開討論会というのがございました。そのときに、いわゆるパネリストとして東京大学のある教授が出席されたんですが、彼の口から出る言葉は、もう本当に、どう言ったらいいんでしょうか、何というんですかね、言葉が余りにも横柄というんですかね。例えば、格納容器が破損するのは一億年に一度起こるかどうかという確率とか、あるいは格納容器が破損するということは物理的に考えられんとか、地震なんかは全然関係ない話とか、プルトニウムは飲んでも安全ですとか、それから、水蒸気爆発なんか絶対起きないとか、こういうことをずうっと、いわゆる学者がこういうことを平気で言っているんですよね。だから、こういう体質も安全文化が非常に前に進んでいかないというところの要因にあると思うんですよ。  ですから、この安全文化を本当にきょう先生がおっしゃるように徹底して実施していくならば、単なる事業主任せじゃなくして、そこは国であろうが政治家だろうが、あるいは先生方だろうが、もうちょっと本当に我々が信頼できるような、そういう取り組みをしてほしいんですね。そうしないと我々は、ああ、大学の先生が言いよんさっけん間違いなかろうとか、それで終わっちゃうんですよ。  ところが現実問題、この東大のある先生が佐賀のプルサーマル討論会でおっしゃったことが見事に覆されたんですね。それが福島の原発ですよ。そういうことが起こっていますので、本当にそういったところはもうちょっと先生方も責任のある言葉を発していただきたいと思います。  時間がありませんので次に行きたいと思います。  先生は私が知る限り、さまざまな観点から原発を基幹電源にすべきという御意見だと伺っています。ただ、現実を見てみますと、原発から放出された放射性廃棄物の処理方法がいまだなかなか未定である部分が非常に多いかなと思っているんですね。原発サイトごとの使用済み燃料の貯蔵プールの問題、あるいは中間貯蔵の問題、あるいは再処理の問題、あるいは最終処分の問題等々、課題を抱えているわけですが、そして、それぞれの問題は、ある意味喫緊の課題と言っても過言ではないと思うんですね。ところがそれについては、今、国民の理解が本当に得られるような状況にないと私は思うんですよ。その辺について、先生のお考えをお聞きできればと思いまして。 70 ◯奈良林参考人=おっしゃるとおりだと思います。これだけの事故を目の当たりにしてしまうと、専門家の信用というのも失墜していると思います。ですから、今御指摘のとおり、我々大学に籍がある有識者と呼ばれている人間も、ちゃんとしっかりした反省をして、そして正しいことを主張し続ける必要があるというふうに思います。  ちょっと前の御指摘なんですが、一応、原子力学会で倫理規定を改定しまして、そこら辺のところは学会に所属する学問をやる人間、それに対する倫理規定をちゃんと明確に定めました。  それから、今、事業者は一義的に事業者に責任があるという法律になっています。ですから、本質的には曖昧ではなくて事業者に全て責任があるということになっております。  ただ、私、福島の事故の対応を見ていると、規制側にも相当責任があって、許認可をした以上、許可した以上、応分の責任が国にあると思います。ですから、それぞれのところでちゃんと責任を持って責任を果たさなきゃいけない、それは御指摘のとおりだと思います。  それから、高レベル廃棄物の問題なんですが、日本では今ガラス固化をして、それを最終的に埋設処分するということになっています。そこら辺のところの説明がほとんど国民の皆さんに届いていないと思うんですね。それで、今これは、福島では、実は高レベル廃棄物はフランスに委託して、ガラス固化体になって戻ってきていて、青森でこうやって貯蔵されています。ガラス固化体を空気で冷やして、建物の中で監視しながら冷やしていると。これをやることによって、四十年で放射能の強度が千分の一になります。千分の一になって冷えてから、土の中三百メートル以下のところに埋めますということなんですけれども、ここら辺のところがやはりちゃんと理解されていませんし、それから、四十年これを埋めるまで時間がありますけど、この間に私はちゃんと国民のコンセンサスをとるべきだと思います。  ですから、今これで埋められないからだめだということでもないし、それから、国民の理解なしに埋めてしまうということも、やっぱりこれは必ず行き詰まりので、今このグラフにあるとおり、四十年で千分の一になります。それから、百五十年で放射能の強さは一万分の一になります。三千年で百万分の一になって、数万年でウランの鉱石と同じになってしまう。  ですから、これは、例えばピラミッドのように、石の建物の中にこういったガラス固化体を保管するということでも、十分保管できると私は思います。ただ、そういう管理をしなくてもいいように、土の中に埋めるというのが埋設処分の基本的な考え方ですので、そういった考え方がちゃんと全部コンセンサスがとれるまでの議論を、ちゃんとこれからも続けるべきだというふうに思います。これは拙速にやるべきではないというふうに思います。 71 ◯内川委員=私の質問は、これもそうなんですけれども、例えば、質問の中で申し上げたように、使用済み燃料の貯蔵プール、これは各原発サイトごとに貯蔵プールを抱えて、そこに使用済み燃料を冷却していると思うんですけれども、この貯蔵プールの、いわゆる使用済み燃料の貯蔵量というんでしょうか、もうそれがほとんどの原発サイトが七割、八割ぐらいで、もう貯蔵プールがいっぱいになりつつあるんですね。もう早いところだったら、あと一、二年で満杯になりますよというところが幾つもあるんです。佐賀県の玄海原発だって、あと二、三年で満杯になるでしょうという状況なんですね。こういう状況が一つ。  それと、今度じゃあ貯蔵プールに入り切れんから、どこか中間貯蔵施設にそれを預けようと思っても、これもまだ十分に解決されていない。それを受けて、本来ならば六ケ所村の処分、そこに回す手だてもまだできていない。六ケ所村の件だって、本当に今まだまだ課題がいっぱい山積しているわけですよ。そういうことがいっぱい、何と言うんでしょうか、再処理を行うにしても、その六ケ所村がままならない状態。それで、いよいよ今度、六ケ所村で再処理して、最終的には本当の最終処分場、これもまだまだ解決というか、めどが立っていないような状況ですね。  ですから、先生方がこうやって原子力エネルギーの必要性、重要性をしっかりとお訴えなさるのは結構なんですが、先行きが全くめどが立っていない。これは私の言葉じゃない、よく使われている言葉だから言いますけれども、「トイレなきマンション」という言葉がありますけれども、もうまさにそのような状況になっているわけですよね。  今のことを先生が一生懸命おっしゃるのは、あるいは将来のことを一生懸命おっしゃるのは結構なんですけれども、ただ、その中間の対応が全く現実的に、まだまだ未定なところがたくさんあるというところなんですよ。それについて先生はどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。 72 ◯奈良林参考人=ここは大分、私は意見が異なります。そして、今御指摘のところは、二つに分けなきゃいけません。一つは、技術的に解決できているかどうか。もう一つは、政治的に解決できているかどうか、それなんです。  それで、今、使用済み燃料プールにある燃料を乾式キャスクに納めるということは、これは技術的に可能です。そして、今、福島も汚染された燃料を含めて、いろんな処理に入っていますけれども、少なくとも使用済み燃料プールの燃料は取り出して乾式キャスクに移してきます。ですから、これは技術的に可能ですし、原発の敷地の中に保管するということも技術的にできます。  あと、青森県の六ケ所村のほうにも、そういったキャスクを使って中間貯蔵する施設が既に建設されて、実際に保管されています。原電東海にもそういう施設があります。ですから、技術的にはちゃんとそれはできています。ですから、「トイレなきマンション」じゃなくて、ちゃんとそのトイレのものを一回保管する、そういう施設もあります。  問題は最終処分なんです。ここがコンセンサスが得られていないんです。技術的には高レベル廃棄物、六ケ所村の再処理工場はちゃんと動くようになって、予定していたガラス固化体をちゃんとつくれるようになりました。これは日本の技術がおくれているんであって、フランスでは、もうとっくの昔にガラス固化体をつくる技術があって、先ほど御説明しているように、日本の使用済み燃料はフランスで処理したものはちゃんと日本に戻ってきているわけです。ですから、技術的にはもう既にほとんど完結していて、最終的にこの高レベル廃棄物をどこに埋めるかという、その政治的なコンセンサスができていないというのが、私はそこのところがまだペンディングになっているところだと思います。ですから、そこは私、大きく意見を異にします。 73 ◯内川委員=今、先生は、使用済み燃料にしても、再処理、あるいは中間貯蔵施設、技術的にはもう可能だとおっしゃいましたけれども、じゃあ、現実的にそれが即対応できるかという点についてはどうでしょうか。 74 ◯奈良林参考人=少なくとも、まず原子力発電所の敷地の中に、そういうキャスクを設けて保管するということは技術的にもできますし、各事業者の責任の範囲の中でそれはできると思います。ですから、あと、その使用済み燃料プールがあふれて困るということがないように、もしそういう事態が差し迫ってくれば、そういう貯蔵施設を発電所の中につくることは十分できると思います。  そして、あと問題なのは高レベル廃棄物なんですね。これを三千年保管するのか、一万年保管するのか、そういう話ですので、ここについては、そこのところがやはり、これは政治の問題になってしまうと思います。  今、高レベル廃棄物、埋設処分場をここにつくりますと言ったら、物すごい、猛烈な反対運動が起きると思いますし、今、世の中の状況はそういう状況にないと思います。  ただ、フィンランドでは、ちゃんともうそういう施設がつくられて、今、試験的にそういう埋設処分をやっています。ですから、私はそういう海外の進捗状況をちゃんと見て、適切な処理ができるということを、ちゃんと日本人が冷静に判断できるようになったときまでに、国民のコンセンサスを得ればいいんだというふうに思いますので、そういうことであれば時間的な制約も特に、今慌てて何かすることが必要かということであれば、まずは原子力発電所の安全性を高めるほうが優先課題だというふうに私は思います。 75 ◯内川委員=では、再度確認しますが、使用済み燃料の貯蔵、そして中間貯蔵、あるいは六ケ所村の再処理問題ですね、ここまではもう全く問題ないというふうに認識しとっていいですかね。 76 ◯奈良林参考人=技術的にはそういう技術はもう確立されています。ですから、粛々とそういうことは進めることはできると思います。  ただ、その中間貯蔵と高レベル廃棄物のガラス固化体の違いは、キャスクに納める、これは金属の容器に納めたものですから、何百年はもたないと思います。今、埋設処分をしてしまうのは、その外側を粘土で囲って、漏れても大丈夫にするという前提で埋めるわけですけれども、今、日本はガラス固化体で埋設処分をするという道を選んでいます。このガラス固化体が貯蔵と違うのは、再処理をして、本当の高レベル廃棄物の部分を、例えば鉛ガラスってありますけれども、あれは鉛とガラスを溶かしてまぜるんです。  鉛ガラスが、実は透明なガラスになってしまいます。鉛の金属がガラスとまじって透明になる。そのくらいの均一化をするというのが、ガラス固化体なんです。そういうものをステンレスのキャニスターの容器に入れて、溶接をして塞いで、それを保管していくと、これが高レベル廃棄物、ガラス固化体のやり方です。  ですから、この手法が、私は今一番その安全対策としてはしっかりしていると思います。ガラスにしてしまう、しっかり固めてしまう、これをちゃんとやって、それをこういう施設で冷やして、そしてこの劣化がないということも確認した上で、将来埋設処分に進むということが正しいやり方だというふうに思います。 77 ◯石丸委員長=内川委員、申し合わせの時間が過ぎています。 78 ◯内川委員=はい、わかりました。じゃ、時間も来ましたので、少し急いで質問したいと思います。  あと、原発のコストという点についてお聞きしたいと思いますけれども、原発は結局、後年にかかるコストというのは、事業計画から始まって、建設、運営、維持等々のコストが当然発生するわけですけれども、私がちょっと気になっているのが、この原発というのは、今の日本の決まりでは一応四十年と。若干、将来延びるかなという今動きになっていますけれども、これはいずれは廃炉にしなきゃいけないわけですよね。そしたら、廃炉に向けたコストというのが、何か私が聞くところによると、べらぼうに高いと。しかも、ある意味、恒久的な時間と、あるいはその技術とか、あるいはコスト、そういったものがかかるというふうに聞いているんですけれども、この原発のコストについて、この件についてちょっと、この廃炉に至るまでがどういうふうになるのか、先生のお考えがあればお聞きしたいと思います。 79 ◯奈良林参考人=これも私、米国の状況を調査してきております。  今、アメリカではシェールガスが非常に安い燃料としてもてはやされています。総体的に古い発電所は手を入れるとコストがかかるので廃炉にしてしまうという、そういう状況があって、数プラントが今、廃炉にかかっています。  それで、実際に廃炉をしている発電所に行って、中も見させてもらいました。で、どうやっているかというと、ワイヤーカッターといって、ワイヤーの上にダイヤモンドの粉をまぶしたやつで、そのワイヤーでずっと切断していくんです。それをコンクリートのキャスクに入れて保管しているんですね。そういうことをやるのに、一基当たりどのくらい値段がかかるかというと、約四百億円です。今、一日電気をとめると、化石燃料をたかなきゃいけない。それが一日二億円とか三億円とか言われております。ですから、二百日分の電気代なんです。ですから、廃炉がそんなにコストがかかるわけではなくて、既に米国で実施しています。大体四百億円とかそのくらいのところでできています。 80 ◯内川委員=わかりました。ただ、この廃炉というのは、一旦廃炉してからも、例えば今、先生おっしゃったように、イギリスのある原発を見ていると、稼働に二十六年、そして廃炉に九十年ということが書いてあるんですね。これはある大手新聞でいただいた資料なんですが。  そして、私が一番驚いたのは、結局、廃炉はしたものの、放射性廃棄物というんですか、そういったものが恒久的に隔離管理に関しては未定というふうなことが書いてあるわけですね。つまり、一応イギリスでは九十年で廃炉になるんだろうけれども、その間にいろんな経費が発生すると。ですから、今、先生がおっしゃったような金額、コストぐらいではおさまらないというふうなことがここに書いてあるんですよ。  だから、それについて、先生の言葉はちょっと、本当に原発はコストが安いということは私もよく耳にするんですが、こういった課題もあるということは、ちょっと先生ももう一遍調べておいていただきたいなと思います。  それでは、最後の質問にしたいと思いますが、これは先生に聞いていいかどうかわかりませんが、きょう冒頭、挨拶の中でも申し上げましたように、今回、安倍総理が、規制委員会が安全であるということを確保できれば原発は再稼働するということをおっしゃっているんですが、この安全を確保するところは、これが規制委員会ですよね。どうですか、先生、教えてください。 81 ◯奈良林参考人=安全性を確保するのは規制委員会の指示に従って事業者がやることだと思います。ですから、安全性を達成して、それを判断するのは規制委員会、規制庁ですが、実際に安全性を高めて、しっかり規制を満たしているところまで持っていくというのが事業者の役割だと思います。 82 ◯内川委員=ということは、責任は事業主にあるというふうに先生はお考えなんですか。 83 ◯奈良林参考人=今、日本の法律は事業者が一義的に責任があるという法律になっております。法律に従うと、そういうことになります。
    84 ◯内川委員=私は、この問題はやはりもうちょっとしっかりと法律を含めた検討をやるべきだと思うんですね。安倍さんはそういうふうなことをおっしゃいましたけれども、安倍さんが責任をとるわけじゃないわけですよね。今、先生の話だと、この問題についての、この言葉についての責任は事業主にあるということで確認しとってよろしゅうございますか。 85 ◯奈良林参考人=先ほど既にこの問題についてはお答えしているとおり、一事業者に全部責任を押しつけるわけではなくて、規制にも責任がありますし、有識者にも責任があるというのは、たしか十五分前に議論を闘わせたというふうに思います。これについては合意になっていると思いますが。 86 ◯内川委員=はい、わかりました。どうもありがとうございました。 87 ◯石丸委員長=以上で内川委員の質疑は終了しました。内川委員は自席へお戻りください。  暫時休憩します。     午後二時十三分 休憩     午後二時十六分 開議 88 ◯石丸委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  宮原真一委員の質疑を行います。宮原委員は質議席へお願いします。     〔宮原委員質疑席着席〕 89 ◯宮原委員=三人目、質問させていただきます自由民主党会派、宮原真一でございます。きょうはお世話になりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、これまでにも質疑応答があっておりましたけれども、本委員会におきましては、これまで原子力規制庁においては新基準の概要等の説明がなされたところでございまして、それについても質疑がなされました。  そして、先月ですけれども、金属材料の専門家であられます井野東京大学名誉教授にも参考人として来ていただきまして、新基準についての不十分な点というようなものも御説明いただき、そして、玄海三号機、四号機の適合性の審査の問題点というようなところも御指摘をいただいたところでございました。  いろいろとそういった質疑もなされる中で、やはり県民の皆様方が不安に思われていることが多くあろうと思っております。そして、そこを先生がどのようにお考えなのか。先ほど来お話にあっているように、教授によってそれぞれ考え方が違うということでもございます。  この委員会は多くのお考えを吸収しながら、玄海の原発がどうあるべきかというところを議論するところであろうかと思っておりますので、質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず、新基準について先生のお考えをお伺いさせていただきたいと思いますけれども、最高レベルであると、しなければならないという話もあっておりますし、また、最低水準に近い評価という話も出ております。  そして、従来あるべき姿は当然ながら最高基準でなければならないわけでありまして、先ほど来お話にあっておったとおり、最高水準をつくっても、より高い水準を目指していくことが重要であるということは私も同様に考えるところでございます。参考人は、今回の新たな規制基準に対して全体としてどのような評価をなされているのか。  それから、午前中の参考人の説明の中には、参考人自身もいろいろと助言をさせていただいたということでございました。全部が適用されたわけではないんだろうと思っていますので、もし足りない点があれば、そのこともお話ししていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 90 ◯奈良林参考人=まず、県民の方々、それから国民の皆さんが心配されているということは当然だと思います。なかなか原子力発電所が安全になっていくということについて、マスメディアの報道がないんです。東電が汚染水を流したとか、ここから漏れていたとか、そういうことはどんどんニュースになるんですが、安全性を高めたということはニュース性が少ないんですね。ですから、ほとんど報道されていないんです。  これは非常に困ったことで、どのくらい安全になったかどうかを知ることが一番本来メディアの視聴者なり読者が求めているところなんですね。そこのニーズと実際の報道とが乖離してしまっているというふうに私は思います。  新規制基準がどういうふうになっているかということも、この資料は、自治体ごとに規制庁が来て、全部説明しているというふうに思いますけど、これをかみ砕いて詳しく新聞の紙面に載っていないと思うんですよ。小さく解説記事が出ていたことはあると思いますが。ですから、そういうことをまず説明していくということが非常に大事だと思います。  その規制基準全体としては、やはり今回、自然災害に大きな抜け落ちがあったということで、自然災害を中心にそこら辺が強化されているということは言えると思います。ただ、短い時間につくったので、例えば、竜巻の基準がまだ不完全であったりといったことがございますので、そこら辺のところは私が規制委員会に行って、こういうところはちゃんと直さなきゃだめですよということは専門家として発言しております。 91 ◯宮原委員=今、マスコミ等の説明ということもお話にあっておりました。そして、まずは報告書等もあろうかと思います。報告書についてちょっと疑問点がございましたので、その点についてお伺いをいたしたいと思います。  福島原発事故の原因について複数の事故調査報告書が出されている中において、政府事故調査報告書と国会事故調査報告書では大分見解が異なっているということでございます。  そこで、国会事故調査報告書の中では事故の直接的原因について、安全上、重要な機器の地震による損傷はないとは確定的に言えない。一号機においては小規模のLOCAが起きた可能性を否定できないという記載があっておるわけでございますけれども、どのようにお考えになられるか、お伺いさせていただきたいと思います。 92 ◯奈良林参考人=地震による大きな影響は、今ここに書いてあります受電設備ですね、外部電源喪失の大きな要因になっております。  やはり福島の事故の後、修復過程を見ますと、ちゃんと電気が発電所に来たというのが大きなしっかりした冷却の足がかりになっていますので、外部電源が喪失したということは、これは地震で破損していますので、大きな要因だと思います。  ただ、非常電源がありますので、短期的には外部電源が喪失した間、電気を供給できたはずなんですが、それが津波によって供給できなかったということが事故拡大した要因だと思います。  ただし、格納容器の中で大きな配管の破損があったかということは、それはないんですね。微小な漏えいがあったかもしれないんですけど、これはあったというわけではなくて、あった可能性が否定できないということなんです。  これはどのくらいの容量になるかというと、八平方ミリメートルとか、二平方ミリメートルとか、非常に微弱な漏えい、例えば、赤鉛筆の芯の太さぐらいから蒸気が吹き出したような現象です。こういうものは否定できないという、これは学問上に否定できないということなんですけれども。  今、私の大学の実験装置で、二ミリの穴から蒸気が出るとこういうふうになりますと、これはちゃんと実験できています。学生が安心して実験できるような施設になっています。ですから、こういう微小漏えいは事故とは言いません。  それから、LOCAというのは冷却材喪失事故ですから、ある一定流量以上のものがLOCAとして定義されていますので、LOCAに分類されるようなことは福島の第一発電所では起きていません。ですから、そこははっきり言えると思います。 93 ◯宮原委員=そして、井野参考人のときにいろいろ御指摘をいただいた点がございまして、その点について参考人にもお伺いをさせていただきたいと思っております。  まずは原子力の規制基準では、複数ある機器のうち一つしか壊れないことを想定する単一故障という考え方で行われており、これは新たな規制基準でも変わっていないというような御指摘があっておりました。  同時に複数の機器が損傷することも考慮すべきという御指摘があっておりましたけれども、先生はどのようにお考えになっておられますでしょうか。 94 ◯奈良林参考人=その井野参考人の指摘は、ちょっとおかしいと私は思います。  確かに従来の発電所の設計は単一故障、ある機器が一つ壊れて、それによって大事故に至らないような設備を設けると。確かにそれは単一故障を前提としてプラントのシステムは設計されておりました。  そのときに単一故障を回避するやり方として、同じものを複数設ける、これは冗長性というんですが。だから、非常用ディーゼル発電機は三台設けている。一台故障しても、あと二台あるから大丈夫だと。これが今までの多重性、基本的には冗長と、同じものを用意して一つ壊れても大丈夫という設計でした。  ところが、今回の規制基準では抜本的に変えています。深層防護を強化しているんです。ですから、同じものが壊れても大丈夫なように、違う原理のものをたくさん用意しなさいと。ですから、これも全くそこは今までの考え方が変わっています。  ですから、炉心注水するECCSのポンプが動かなくても、玄海の場合には常設の電動ポンプが追加されていまして、本体にECCSを置かなくても電動ポンプと高台の電源車を組み合わせて炉心注水ができるようになっています。  さらに、それができない場合でも可搬式のポンプ車だとか電源車とかいろんなものを動員して炉心注水するようになっていますし、格納容器の注水も行うようになっています。  ですから、私は今回の規制基準で抜本的にそこは改善されたというふうに思います。 95 ◯宮原委員=それから、このような御指摘もあっておりました。立地審査指針が抜けていること、また、基準地震動を超える残余のリスクが抜けていること、また、設計基準が見直されていないこと、それから、過酷事故対策がつけ焼き刃であるというような四点の指摘があっておりました。  まず、この中からお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、従来あった原発立地の適否を審査する立地審査指針が新規制基準では抜けているということでございますけれども、これを盛り込むとなかなか日本には原発をつくる土地がないというような御発言もあっておりました。  このことについてどのようなお考えがあられますか、お伺いをさせていただきます。 96 ◯奈良林参考人=立地については、各発電所は既に安全審査を受けています。それで、今回の新規制基準で見直されたのは、活断層が露頭する敷地の上に原子力発電所の原子炉建屋ですか、それを建設してはいけないという条文が加わりました。ですから、それが新しくなったところを今見ているんであって、従来許可になっていて、それが問題ない部分についてはそのままです。  ただし、地震の加速度、これは各プレートを連動も含めて今見直しておりますので、当然、過去にオーケーをもらったプラントであっても加速度が今度大きくなりますので、その対応が求められていますので、井野参考人の言われた発言はちょっと私は理解できません。 97 ◯宮原委員=それから、原子力規制委員会の田中委員長は、立地審査指針のかわりにフィルターベントを設置することでセシウムの放出量を福島事故の一〇〇分の一に抑えることができると言われているということでございました。  そして、フィルターベントを設置しても、キセノンやクリプトンといった希ガスは除去できないので、これが全て大気中に出た場合には被曝線量が二千五百ミリシーベルトにもなってしまう。そして、フィルターベントは役に立たないというような御発言もあっておりました。  このことについてどのようなお考えか、お伺いをさせていただきたいと思います。 98 ◯奈良林参考人=今、立地指針と合わせるのはちょっとおかしいと思います。あくまでフィルターベントは深層防護の第四層に属するものです。その立地指針の審査の部分では工学的安全施設、深層防護の第三層までの範囲で設置許可申請も含めてやられています。  それで、現段階で各発電所に、これは私も必要性を訴えて、バックフィットでこれをつけるようにということになりましたけれども、希ガスの問題ですが、既にスリーマイルアイランドのときに希ガスを放出しております。  これはTMIの事故のときですけれども、カーター大統領がデントンさんを連れて、スリーマイルアイランドの発電所に来ました。物すごいパニックが起きていたんですが、大統領が訪れられるように発電所が安全になったということで、カーター大統領が発電所に来てパニックがおさまったんです。日本では、菅直人元総理が行って怒鳴りまくっていたので、逆になっちゃったんですね。  そのときのデントンさんに私は直接お聞きしました。気体排気弁をあけて、ここにフィルターがついています。事故後三日に気体排気弁をあけて、中の蒸気を抜いているんです。  新聞報道では蒸気を排出したと書いてあるんですが、当然そこには水素も放射性物質も入っています。ですから、それが世界で初めてのフィルタードベントになっています。そのときにヘリコプターを使って上空に待機していて、線量をはかっていました。ところが、有意な増加、危険なレベルでの増加はありませんでした。希ガスは全部上に上がっていっちゃいますので、下には落ちてきません。  結果的に、福島はヨウ素とセシウムなんですね。特にセシウムが最後まで残って汚染をしてしまっている、これが非常に大きな被害になっています。  ですから、フィルターベントは、セシウムを取り除くというのは非常に効果があって、今は一〇〇分の一ではなくて、既に実績ベースで一〇〇〇分の一、それから、現在これから日本につくものは大体一万分の一になると思います。  今、ヨーロッパもフィルターベントを改良していまして、世界的な趨勢は一万分の一、それから、さらに有機ヨウ素が取れるようなところまで改良が加えられていますので、これからつくるフィルターベントは世界最高性能のものが日本の発電所にもつくというふうに思います。 99 ◯宮原委員=次の項目に移らせていただきますけど、残余のリスクについて抜けているという指摘についてはどのようにお考えなのか、お伺いさせてください。 100 ◯奈良林参考人=必ずリスクというのは最後まで残ります。今、マグニチュード九・〇の地震があったということですが、マグニチュード九・五がないとは言い切れないわけです。これが残余のリスクになるわけです。  ところが、物には設計しなきゃいけませんから、ある値まで仮定して物を設計します。その設計範囲外になってしまうリスクをどうやって対処するかということなんですが、これが先ほどストレステストで設計値を超えた場合にどういうふうになるかということをまずしっかり見ておくということと、それから、超えて、もし非常に深刻な事態になるのであれば、そこが設計範囲外であっても他の手段による対策をとるべきだというふうに思います。それが深層防護の第四層に所属するいろんな可搬機器だとか、そういったものでそこを対処していくということになると思います。  ですから、ストレステストのような危険のレベルをずうっと上げていって、どういうことが起きるかということを常日ごろそういう作業をやって、危ないところを見出していくことが必要だというふうに思います。  ですから、残余のリスクについてはそういう対処で十分可能だというふうに私は思います。 101 ◯宮原委員=それから、次についてお伺いをします。設計基準についてなんですけれども、設計基準がなかなか見直されていないというような御指摘があっておりました。そこで、例に挙げられたこともお話をさせていただきますと、発電所外の外部電源については耐震性がクラスC、つまり、最低レベルの耐震性のままである。そして、クラスS、つまり、最高レベルの耐震性を求められなければならないということでございました。発電所外の外部電源、すなわち送電鉄塔や変電所については耐震CクラスやSクラスといった発電所で要求される基準ではないというようなことでございますけれども、新基準について、仮にそうした外部電源の喪失があった場合にも対応できなければならないと私も考えております。その方法を幾つか考えられることを上げていただきたいと思いますし、また、特徴等があれば、そのことも御説明願いたいと思います。 102 ◯奈良林参考人=今、外部電源の御指摘がございましたけれども、私、外部電源で一番指摘したいのは、この福島第一と女川の違いです。福島第一の場合は受電設備、これは気中遮断器というんですね。空気中に距離をとって、碍子で距離をとって、高圧の電源がショートしないようにしている、そういう設備です。これが地震で揺れてしまって、碍子が折れて、つり下げていたものがみんな落っこっちゃった、これが福島の外部電源喪失が起きた一番の原因です。  それから、震源に一番近かった女川の発電所、これは地震でも受電設備は壊れませんでした。これはこちらにありますGIS、ガス・インシュレーター・スイッチギアという、中にSF6というガスを詰め込んでいて、電気を絶つときに簡単にスイッチ切れないんですね。電気を絶ちますと、そこにプラズマの稲妻が走って、その稲妻が一メーター離しても電気通っちゃうんです。それをSF6のガスを吹きかけて、そのプラズマを飛ばす。それで初めて電気を絶つことができる。そういう構造を持っているものがこのGISなんです。これは碍子がほとんど使われていませんので、非常に地震に対して堅牢です。  ですから、一般建築も含めて、それは耐震Cクラスなんですね。一般の建築物、ビルも高層ビルも含めて耐震Cクラスです。ただ、一般品であっても非常に地震に強いものがあります。今、送電線は全部Cクラスになっているんですが、これは風や何か吹いても倒れないように設計してあることで、結果的に耐震設計よりもずっと厳しい強度設計になっているというふうに思います。  ですから、単に耐震Cクラス、Sクラスって、そういう分類じゃなくて、本質的にそれが地震に耐えるものかどうかということを見きわめなきゃいけないと思います。  それで、今、移動電源なんですが、実はあれはトレーラーに乗っています。車というのは三次元免震の機能を持っていまして、トレーラーが地震でひっくり返ったという話はほとんど福島ではなかったと思います。ですから、単に岸着して固定してしまうと、岩と同じに揺すられてしまうので、ガスタービンの羽根が振動してしまうわけですから、よっぽどタイヤに乗っかった、トレーラーの上に乗っているほうが安全なわけです。ですから、これはケース・バイ・ケースで対処すべきであって、岸着するという設計方針のもとであれば、耐震Sクラスの設計しなきゃいけませんし、これはフィルターベントがそういう設計になります。  それから、電源については可搬式のものはトレーラーに乗っけておくほうが安全です。ですから、各発電所ではトレーラーのまま設置して、竜巻で飛ばないように今度、固縛管理をするということになりますので、その一律な考えではなくて、そういう原始的な対応が今回行われているということだというふうに思います。 103 ◯宮原委員=それぞれに新たなことが確立されているということも確認させていただいたところでございます。  設置に時間がかかるフィルターベントについて、当委員会でもいろいろと議論がなされておりました。また、免震重要棟などの設備は事業者の意向を酌んで五年間の猶予が設けられているが、このようなことがあっていいのかというような御指摘もあっておりました。まず、フィルターベントについてですけれども、フィルターベントは加圧式型と沸騰水型で、やはりいささか異なる点もあろうかと思いますけれども、その点も御説明していただきながら、その五年間の猶予について、どのようにお考えになられているかお伺いをさせていただきたいと思います。 104 ◯奈良林参考人フィルターベントですが、今、日本では乾式のものと、それから湿式のものと二つ予定されています。それで、玄海につくのは多分湿式のものだというふうに思います。まだ詳しい話を聞いたわけではありませんが。  格納容器から出たものは、〔パワーポイントを示す〕これは今ベントですけども、ちょっと説明のために追加したので、そこのフィルターベントのところまで出します。  それで、フィルターベントですが、湿式の場合にはノズルを通して、蒸気を通して、周りの水を吸い込んで液滴と蒸気に含まれた放射性物質等をまぜて、そして、蒸気に含まれているエアロゾルと言うんですが、そのパーティクルを取り除くようになっています。  それから、乾式の場合には金属ファイバーを使って、そのファイバーの非常に目の細かいフィルターですけど、そのファイバーの繊維の間にエアロゾルの粒子がトラップされて、フィルターの機能を発揮するというものです。  これについてはやはり日本では耐震設計をして、ちゃんとした基礎をつくってやりますので、工事期間が必要になるんです。ですから、それをつけなきゃ運転しちゃだめということではなくて、海外では全てその新しいものをつける、バックフィットを本質的にやる場合には、必ず適切な猶予期間を認めています。これは世界の趨勢です。ですから、それが設置されるまで動かしちゃだめということではなくて、そのフィルターベントをつける。さらに、ほかにまだ必要なものがあれば、また追加で設置を求めていくというのは欧米の原子力行政ですので、ですから、特段フィルターベントがついていないから運転再開はいけませんということではなくて、きのう大飯もちゃんと再稼働しましたし、今回また新規制基準に適合したものは順次稼働していくべきというふうに私は考えております。 105 ◯宮原委員=フィルターベントなんですけれども、福島の事故を見てみますと、細いパイプがなされていて、本当に地震が来て、地震に対応できるかなという不安な一面も私も持ってしまいました。できれば、数多くのそのパイプも必要であろうかと思いますし、また、より強固なものもしなければなりませんし、しかしながら、かたい金属を使ってしまいますと、地震ではもろくなってしまう可能性もありますので、かえって柔らかい、ホースみたいな感じの柔らかい金属が開発されて、新たなベントをつくっていただく必要があるのかなというようなことも考えておりました。  対立軸にあって、右からと左からがあれば、前後に揺れれば、必ず折れやすいというようなこともあろうかと思います。ですから、四方八方、それから上下、それなりにお考えをしていただかなければならないという思いもしておりますので、フィルターベントにつきましては数多くのやり方、先ほど先生からお話を聞いておりますと、違うやり方で新しいことを導入していってやっているということでもございましたので、その方策がとられているんだろうと思っております。また、その点それぞれの事業者にも御指摘いただきたいというような思いもしておるところでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  それでは、次の質問に移らせていただきますけれども、これは外的要因のことについて指摘がなされておりました。先生も先ほど竜巻等のことが新規制基準には載っていないということでありましたので、これからそのことについては指摘をしていくということでもございましたけれども、そのときに、十二月の参考人招致ではこのようなお話があっておりました。航空機の落下や突入について、確率が低いからといって対策を講じていないのはおかしいのではないだろうかと。それから、地震、津波、竜巻の自然災害に対することもいささか不十分であるというような御指摘があっておりましたので、そのことについてどのようにお考えになっているのかをお伺いをさせていただきたいと思います。 106 ◯奈良林参考人=まず、竜巻のほうを先にお答えしておきますと、全く新規制基準に盛り込まれていないわけではなくて、しっかり入っています。ただ、竜巻大国のアメリカの規制基準と少しずれているんです。例えば、最大の竜巻のその風速を何メーターにするかというのは、アメリカですと、竜巻はもう年間何百回も起きていますので、ちゃんと地域ごとに竜巻の最高風速がその観測結果から定められておるんです。日本はデータが少ないので、それが今定められなくて、結局、つくばで百メーター・パー・エスくらいの竜巻が一回起こっているんですね。それで全部やんなきゃいけないということになっています。  それから、いろいろな解析手法もまだ私の目から見ると、流体の専門家から見ると、おかしいところがありますので、そこをちゃんと現実の、藤田スケールと言って、アメリカの藤田先生がつくられた世界の竜巻モデルがあるんですが、それにかなり近いものでやっぱり評価すべきだというふうに思っています。ですから、竜巻についてはそういう流体工学的な観点でのもうちょっと規制のやり方を、風の評価をもう少し精度を上げる必要があるというふうに思っています。  それから、あと航空機のほうなんですが、例えば、これ各飛行場で飛行機の進入経路について、ここに物を建ててはいけませんというのが各空港で定められています。多分、佐賀空港でも定められていると思いますが。  例えば、ジャンボジェット機があるものに着陸しようとすると、大体水平か十五度ぐらいの、ほとんど水平に近い角度で進入しないと、ちゃんと安定した操縦ができないそうです。つまり、ジャンボジェット機を乗っ取って、発電所をめがけて飛んでくるとすると、非常に水平に近いところを飛んできますので、例えば、航空機を落とすのにいろんな風車を建てたり、それから、いろんな棒を立てたり、アンテナ立てたりして、例えば、航空機が建屋にぶつかる前に、羽根がもげて取れてしまうと、手前に墜落するとか、そういう対策もあり得るわけです。ですから、今この辺の対策は詳しくは多分お話しできない状況だと思いますけども、テロ対策、それから、例えば、航空機対策についても、やはりいろんな取り組み方があると思います。  それから、あわせて日本の発電所の上空を航空機は飛んではいけないことになっていますので、だから、航空機がその上空に来るということは非常にまれな事象です。そういうまれな事象を今度テロに対してどう戦うかというのは、これ自衛隊との連携になると思います。ですから、地元と自衛隊の連携を密にしておくと。あらかじめいろんなことを想定して、ちゃんと相談しておくと。知事さんがいつ要請するかとか、そういったことは、これは原発事故に限らず、いろんな自然災害ございますので、自衛隊の非常に輸送力を持った組織としっかりした連携をとっていくということが、私は今必要だというふうに思います。  海外でも、例えばスイスだと、スイス軍に、必要な電源車なんか、戦車を積んで飛べるようなヘリコプターありますから、ああいうもので運ぶということが、ちゃんと約束が取り交わされていて、軍の施設に原発の倉庫があって、いろんな機材がそこに保管されています。ですから、そこまで、スイスというのは永世中立国なので、どこの国にも助けを得ないで、自分の国で自分の国を守るという国なんですね。ですから、そういったしっかりした備えがスイスの原発でも行われています。 107 ◯宮原委員=溶融についてもいろいろ懸念される点を御指摘されておりました。玄海原子力発電所では、原子炉につながる大きな配管が破断し、非常用の冷却系統も故障し、さらに、全交流電源が停止するという場合には、炉心溶融を防ぐ対策は行わず、溶け落ちた燃料を冷やす対策を行うとしているというようなことでございました。もしそうであるならば、私も若干驚いたところでもございましたけれども、炉心溶融というのは大変な事態であり、これを放置するような対策はおかしいというような意見でございました。  事業者が最初から炉心溶融を放置することはせずに、炉心溶融を防ぐための対策を何重にも重ねた上で、それでももし最悪の場合の炉心溶融を想定して、放射性物質の外部への放出を防ぐ対策を行わなければならないと私も考えておりますけれども、本当に基準では、そういったことがなされているのか。そして、そういったことにならないように、どのようにお考えになられているのかお伺いをさせていただきたいと思います。 108 ◯奈良林参考人=これについては私も非常に気になっております。特にECCSが動かない、(委員長、副委員長と交代)つまり、外部電源を喪失して、さらに今回のように非常電源、ディーゼル発電機はもともと安全系として設備されているものが動かないという、そういう段階でさらに冷却材喪失事故が起きて、冷却材が抜けちゃったと。それでも炉心溶融が起きないようにしなさいという、まず、そういうことがあるんですが、これはそういっても起きてしまうかもしれません、起きないかもしれない。  それはどういうふうになっているかというと、これ仮にECCSが全部動かないとします。これは各加圧式型の原子炉発電所で今だんだん追加されつつある設備です。高台に電源車がありますので、ECCSのポンプ系が動かなくても、電動のポンプをもう一つ追加して、これと電源車を直結しておいて、いつでも炉心に水を入れられるようにしましょうと。配管破断が起きて、この冷却材が抜けたとしても、炉心に水を突っ込むという機能を持たせています。  従来は、この蒸気発生器に注水タービン動の補助給水ポンプで注水して、蒸気発生器の二次側に注水して、蒸気発生器を介して一次側の水を冷やすと、冷却する、炉心を冷やすというのがPWRのアクシデントマネジメントなんですけども、現在、炉心に直接注水するポンプが設置されることになりました。  これはきのうちょっと行って写真撮ってくださいと言って、自分で撮れないんですね、発電所は。必ず電力会社に撮ってもらわなきゃいけないんですけど、これはきのう撮ってもらった写真です。(写真を示す)これが常設の電動ポンプです。これは高台にある電源車と直結されていて、水がもしECCSが入れられない場合にはこれで水を入れられるようになっています。ですから、炉心溶融しないようにまずこれで注水します。  今度は深層防護ですから、前段否定なので、こういう設備をつけていたとしても、それが動かないこともさらに考えなさいと、これが深層防護なんです。これがちょっと一般の方にはわかりにくいんですけども。  だから、まずこういう設備をつけて炉心溶融を防ぎます。ただし、炉心溶融が起きちゃったことを前提にして、これが動かないことも前提にして次の対策をとりなさいということで、これが機能しない場合には今度、炉心が溶融して、燃料が圧力容器の下に出ることになります。そのときに下に注水するというのは、次の第四層の事故対応になります。そちらのほうも注水系が今設置されています。  あと、そこの、たしか井野委員の話ですと、そこで水蒸気爆発が起きるかどうかというような議論もあったかと思いますが、ヨーロッパのEPRでは玄武岩を敷いているんですね、火山性の岩を敷いていて、これはマグマで加熱された岩なので、もともと加熱されて変なガスが出ないものですね。ですから、そういうコアキャッチャーを設置すると。これはヨーロッパの発電所が義務化されています。コアキャッチャーが設置されています。  ただ、日本の場合には今、そういうコアキャッチャーを設置できるような構造でないので、注水するということになっています。注水するんですけども、既に世界中で多くのシビアアクシデント研究者が研究して実験をして、さっきの三千度と三十度以下の水と、この組み合わせで、あとほかに五つ条件があるんですが、それが成立しないと、水蒸気爆発が起きないということになっていますので、まず、私はこの注水することでコンクリートの健全性もある程度保たれると思います。ですから、それでコンクリートが全部貫通して、分厚いコンクリートを突き抜けて、メルトダウン、チャイナシンドロームが起きるということはあり得ないというふうに思います。  大体福島の場合でも六十センチぐらいです、コンクリートが浸食される深さは。今、大学でテルミット反応で三千度の物質をつくって、それをコンクリートの上に落としたり、玄武岩の上に落としたりして、それがどういう状況になるかというのは、今、私の研究室で学生が実験していますので、そういう情報もあわせて、そういう溶融物とコンクリートの反応というのは、いろんな面でもうかなり定量的にわかるようになってきています。 109 ◯宮原委員=電源に頼るということばかりのお考えで、こういう想定がなされているわけでございますけれども、先ほど先生は玄海のほうに行かれたということで、現地を見ていただきますと、上のほうに高台がございます。あそこに実際は水をためるところをつくれば、そのまま流せるような状況もつくれば、電源が要らないわけでございまして、そういった考え方、その土地柄に合った方策もあろうかと思いますので、玄海についてはそのようなお考えもしていただけるようにお願いしたいと思いますし、福島にはあそこの平ったいところでございますので、そういった策がとれないということかなというような思いがしております。
     次にお伺いをさせていただきたいと思っておりますけれども、次に、こういう御指摘もあっておりました。福島を含むBWR型の原子力発電所では、水素爆発防止のために窒素の充填がなされているが、玄海原子力発電所を含むPWR型の原子力発電所ではそうしたことが行われていないということでございました。玄海原子力発電所でも水素再結合装置や水素燃焼装置を設置しているが、非常に不確実性が高いからBWR同様、格納容器に窒素を充填すべきだというような御指摘があっておりましたけれども、この点についてどのようなお考えをお持ちなのかお伺いをさせていただきたいと思います。 110 ◯奈良林参考人=PWR、それからBWR、加圧水型原子炉、沸騰水型原子炉、それぞれ格納容器の設計の思想が違います。これは最初にアメリカで開発したメーカーが違うということでもあるんですけれども、BWRの場合には、なるべく格納容器を小さくして、コンパクトにして、建屋も小さくしますというのがまず設計の前提にあって、それで圧力抑制プールが用いられています。PWRの場合には、格納容器をドライとして大きくして、そして何か事故が起きたとしても、ため込む先のタンクの容量が大きくなっていますので、例えば、ジルコニウム、燃料を構成している被覆管ですね、これがジルカロイという金属なんですけれども、そのジルカロイの中で、その中にペレットが入っている部分、これが一〇〇%反応したと。つまり、全ジルコニウムの七五%が水と反応したとしても、そこから出る水素が全て格納容器に出たとしても、格納容器の中で爆ごう領域に入らないということが確認されています。  爆ごう領域というのはデトネーションといって非常に激しい燃焼です。燃焼波面が音速で飛びます。音速で飛んで衝撃波が来ると、気体ががっと圧縮されますので、水素も含む気体が圧縮されて温度が上がるんです。上がるともう、温度が上がりますからすぐ燃焼してしまって、(副委員長、委員長と交代)これが爆発的な燃焼現象で、これがデトネーションといって、あの福島の分厚いコンクリートを吹き飛ばしてしまった現象です。だから、一〇〇%ウランペレットと接しているジルコニウムが反応したとしても、その領域以下の水素であるということが確認されています。ですから、まず、そこがポイントなんですね。  あと、その不確実さということなんですけれども、一応今、ここに静的触媒式水素再結合装置、それからイグナイタ、私、現物を確認に行きました。実は、この静的触媒式水素再結合装置なんですが、これはPARと言うんですね。パッシブ何とかという略なんです。既にヨーロッパではこれが実際の発電所、特にフランスでは、これもPARが実際の格納容器なんか設置されています。それは今、アレバ社が供給しているんですが、実際に、おととし私ドイツに行きまして、このアレバ社の触媒再結合装置の実物を見てきています。それと同じものがここに設置されていまして、まだ稼働していませんから、カバーがかぶっていますが、この中に白金の触媒がずらっと並んでいて、そこを通過すると、格納容器の中の空気と、つまり、窒素を置換していない空気ですね、二〇%酸素がありますので、その酸素と出てきた水素を触媒で結合するようになっています。  で、深層防護の観点からすると、多様な手段を設けなきゃいけないというので、この触媒のほかに、もう一つイグナイタという設備を持っています。このイグナイタは、この部分が電気ヒーターになってですね、これが真っ赤っかに焼けます。だから、六、七百度ぐらいまで上がると思います。このところに水素と酸素があれば、これが加熱しますので、ここで水素、酸素が燃焼してしまいます。  ですから、こういう二つの原理の違うものを用意しているということと、私はこれ、ちょっと不安があったのは、このイグナイタって普通、自動車のスパークプラグみたいなのを使うんです。で、高電圧を出して、格納容器のてっぺんでパチパチと火花を飛ばすんですけれども、これは格納容器スプレイをかけるとぬれちゃうんですよね。ですから、それが私心配だったんですけど、これ実際、現物を見せてもらったら、電気ヒーターで加熱しているタイプのほうだったので、これはもし高圧スプレイ、格納容器スプレイをかけて、これがぬれたとしても、電気ヒーターで自分で乾かしてしまいますので、ちゃんとこれは作動するというふうに思います。  それから、こちらのアレバ社のものも相当な試験をして、実際の格納容器の環境、非常に厳しい環境下で触媒性能を発揮するということをちゃんと確認したものが来ていますので、こちらも大丈夫だというふうに思います。 111 ◯宮原委員=こういった写真を見させていただきますと、先生は玄海の発電所について大分調査をされたんだなという認識をしたところでもございます。もし新基準をクリアしたなら、稼働において安心できるのかどうかをお伺いさせていただきたいと思いますけれども。 112 ◯奈良林参考人=この安心という言葉が安全神話につながってはいけないと思うんです。ですから、発電所で働いている方々は、常に炉心の中に放射性物質があるという前提のもとで、そういう危険なものを我々は扱っているんだという認識のもとで、安全性を高める努力をして運転に入っていただきたいというふうに思います。  それから、規制当局も寝た子を起こすなじゃなくて、必要な指摘はどんどんすると。そして、米国とかヨーロッパはそうなんですが、規制のセーフティーゴールというのは、究極の目的というのは人と環境を守るなんです。ですから、人を被曝させないですし、それから、環境を放射性物質で汚染してはいけない。これは規制側も、それから電力会社も目標は同じなんです。ですから、その同じ究極の目標に向かってお互いが協力し合うということはごく自然のこと、当たり前のことなんです。  ですから、その当たり前のことを達成する上で必要な指摘は、ちゃんと規制側はしなきゃいけないですし、規制からそういう指摘を受けたら、それは電力会社はちゃんと取り組まなきゃいけないということですし、今の新規制基準で格納容器の中の水素対策をとりなさいということであれば、ちゃんとこういうものがもう既に設置されていますので、着々と今、再稼働に向けて準備が適切に進んでいるという印象を私は持ちました。  これ、国内の発電所で設置されているのを初めて見ました。このイグナイタとPARですね、触媒ですが。ですから、ちゃんと準備が進んでいるということがこれでわかりました。 113 ◯宮原委員=玄海について、もう少し希望といいましょうか、先生の見解の中で、こういったものも必要だよというものが見受けられたとするならば、どういった点だったでしょうかお伺いさせてください。 114 ◯奈良林参考人=あと大事なのは、福島では格納容器が高温になってしまって、いろんなパッキンや何かが破損、これは加温破損というんですが、温度が上がり過ぎてパッキンがやられてしまったということなんですが、一応、今、PWRのドライの大きな格納容器では、この再循環冷却ユニットというのがあって、通常これ、ブロアで中の空気を循環して、そして、クーラーの室内機と同じなんですけど、伝熱管が入っていて、冷たい水を通して格納容器の中を冷やしているんですね。これが停電してブロアが回らなくても、自然循環で格納容器を冷やす機能を持っているものです。これが非常に巨大なものなんですけれども、この再循環冷却ユニットがちゃんと停電した状態で使える状態になっているかどうか、それをきのうは確認させてくださいということで、これを確認しました。  それから、もう一つ大事な点ですね。格納容器を破損させないという意味で、再循環ユニットと別の原理で格納容器を守らなきゃいけない、別の手段を持っていなきゃいけない、これが深層防護の一番重要な、同じものをそろえても共倒れ、枕を並べて共倒れするかもしれないので、違う原理をそろえなきゃいけないんです。  この右側の写真は、これはスプレイヘッダで、格納容器の天井を写したものです。ここにスプレイヘッダがあって、格納容器が温度が上がると、ここから水をスプレイして格納容器を冷やすようになっています。これは通常は、深層防護の第三層のECCS、格納容器のスプレイ系から水が注水されるんですが、これがもし第三層がだめな場合には、消防ポンプを直結して格納容器の上から水を降らせるようになっていますので、ここについても深層防護の第三層、第四層に対する備えができているというふうに思いました。  これは格納容器を守る上で非常に重要なことです。この対策がとられているということも確認いたしました。 115 ◯宮原委員=では、質問のとおり、補充しなければいけないところがまだまだあるならば、その点をお伺いさせていただきたいということでございます。 116 ◯奈良林参考人=あと、重要免震棟や何かはこれからですね。今、代替緊急時対策所ということで、玄海の発電所は岩が非常に高いところまであって、これは岩を削って岩着した建物になっています。ですから、この緊対所でも十分地震に耐えて、事故後の対応ができると思いますけど、あと、免震建屋をつくりなさいというのが規制基準に求められていますので、それをこれから平成二十七年か、完成すると言っていましたけど、それがこれからつくることになります。ですから、これは適切な猶予期間を求めて設置するという項目に入りますので、こういったものはかなりこれに戦列に加わるということです。  大事なことは、停電したときもプラントの状況がわかるように、ここでコンピューターを使って、プラントの主要パラメータが見られるようになっているんですよ。福島では停電して全くその状況がわからなくなってしまったわけですけれども。それと、あといろんなカメラをもって、津波が来ているかどうかも含めて発電所の所内から各所が見られるようになっています。いろんな赤外線を使ったカメラもありまして、真っ暗な中でも津波が見えるとか、そういう対策もとられていますので、こういったものを、だから、重要免震棟ができたとしても、こういう施設はやっぱり残しておいたほうがいいと思うんですね。ですから、こういう対策がこれから実施されていくことが大事だというふうに思います。 117 ◯宮原委員=それから、先ほど内川先生の質問の中に使用済み燃料の話もあっておりました。使用済み燃料をいかに少なくするかということであれば、若干私はプルサーマルを使うべきなんだろうと思っています。  そこで、確かにウランの番号が違いますけれども、そこの違いによる想定される被害というものがどのぐらい違うのか、そこをお話もしていただきたいと思いますし、プルサーマルの活用の利点と、そしてまた弱点といいましょうか、短所をお示ししていただきたいと思います。 118 ◯奈良林参考人=たしか井野参考人の議事録を拝見すると、プルサーマルで非常に危険になるというような表現があったと思いますが、実際、炉物理的には、全く支障なく炉心を構成することができます。ですから、問題点はないと思います。  それから、あと事故が起きたときにプルトニウムが飛び散るというような、そういう指摘もありましたけれども、実際に福島の事故を見てみると、プルトニウムとか、ウランとか、重い金属は飛んでいないんです。温度の低い状態で出てくるヨウ素とかセシウムが出てしまっているんです。  ですから、そこが大分認識が違うところで、実際の福島の事故を分析すると、プルトニウムはほとんど出ていません。どこか一カ所だけちょっと検出されたところもありますけれども、大部分が過去の核兵器のときに降り注いだプルトニウムの残骸みたいなものがぽつぽつとあるような状況だったと思います。ですから、重たい金属、融点の高いものはそんなに簡単には飛ばないです。ですから、そこら辺のプルトニウム、プルサーマルのほうについては、特段それをプルサーマルにすることによってプラントが危険になるということはないと思います。  今、御指摘のとおり、プルトニウムをちゃんと有効に活用していく、再利用していくということは、今、六ケ所村の再処理施設が動いて、使用済み燃料の中から使えるウランとプルトニウムを取り出して、それをまた再び原子炉で使うという、リサイクルをするということは、これはウランの有効活用につながりますので、これも進めるべきだというふうに思います。  あと、プルサーマルの欠点を指摘くださいということなんですが、これは炉物理の専門家からすると、プルトニウムをだんだん燃やしていくと、プルトニウムの番号が多いやつが出てくるんです。これが結構毒性が高い、つまり放射線をいっぱい出す物質であったり、あるいは半減期が長い物質もあります。ですから、あるところまで燃やしたら、それ以上は、次は高速増殖炉でプルトニウムを使っていくことにしないといけないんです。だんだん扱いが厄介になってきたりしてまいります。  ですから、プルサーマルは一回使ったら、その次は、今度は高速炉に使うということを考えたほうがいいと思います。そこら辺の技術開発との整合性といいますか、高速炉も早い段階で戦列に加わるように、やはり日本も技術開発をしなきゃいけないというふうに思います。 119 ◯宮原委員=それから、まだ時間もあるようでございますので、お伺いしたいのが、原発をなくすために移行していって火力発電をまた使おうではないかというような論調をされている方も今いらっしゃいます。その中で新しい火力発電が研究なされたそうでございますけれども、まずその点についてお伺いをさせていただきたいと思いますが、どのような見識をお持ちでしょうか。 120 ◯奈良林参考人=私は日本機械学会の動力エネルギーシステム部門といいまして、会員六千人の発電に関する部門の部門長をやったことがあります。原子力発電だけではなくて、火力発電からいろんな地熱、水力、それから、あと鶏ふん発電みたいなのがあるんですね、ふん尿から発熱するみたいな、いろんなさまざまな発電方式があります。  その中をいろいろと公平に見ますと、やはり火力は天然ガスが優位です。あと、石炭を燃やす発電がありまして、今、御指摘の新しい発電方式というのは、一つは、石炭をガス化して燃焼させるというものです。石炭の中には非常にいろんな有害物質が含まれていまして、石炭をそのまま燃やすと大気汚染のもとになるんです。これがきのうテレビでやっていましたが、佐賀県まで中国のPM2・5が飛んできていますと。これは結構有害な物質で発がん性もありますみたいな報道をきのうやっていたんですが、ですから、火力発電のほうが実は放射能をいっぱい出すんです。地下にあった石炭に放射能がいっぱいくっついているので、それを燃やすと、原発が出している放射能よりたくさん出るんです。これは最初に質問された先生が読んでいらっしゃる本に書いてあります。ですから、火力発電というのは使うと放射能はいっぱい出てくるんです。  あとは、ですから、安全に燃やさなきゃいけないですし、それから、あと効率を上げなきゃいけないんです。もう一つの火力の新しい発電方式は今のコンバインドサイクルというんですが、ガスタービンの排熱で蒸気を沸かして蒸気タービンを駆動すると。これは複合発電といってコンバインドサイクルなんです。さらにその上にセラミックの燃料電池をつけて三段階のコンバインドサイクルにするというのがあって、これは福岡県のEAGLEかな、電源開発さんが試験をやっていたと思いますが、それが実用化されると熱効率が大体六〇%を超えるというふうに思います。  ですから、火力発電はなるべく二酸化炭素を出さないためには燃焼効率を上げる、少ない燃料でたくさん電気を出すということが基本ですので、そういった技術開発も、もちろん日本としては手をこまねいているんじゃなくて、しっかり開発しなきゃいけないですし、そういった技術を中国とか発展途上国にそれを売り込まなきゃいけないんです。それでPM2・5のすすが日本に飛んでこないように北京の空気をきれいにするとか、そういうことも日本としてはやらなきゃいけないことだというふうに思います。 121 ◯宮原委員=ありがとうございました。私も本当に安全というものをやはり確保しなければならないと常日ごろ考えておりますし、また、もしも原子力発電所しか今頼るものがないとするならば、やはり科学の発展がなされ、技術の進歩が遂げられて、絶対なる安全を確保していただきたいという思いでもおりますし、また新しいエネルギーのあり方というものもこれからそれぞれに研究をなされていただければという思いでございます。  きょうは参考人におかれましては、大変本当に過密スケジュールの中にこの佐賀県にお見えいただきましたことを私からも御礼申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。  終わります。 122 ◯石丸委員長=以上で宮原委員の質疑は終了しました。宮原委員は自席へお願いします。  これからほかの委員の質疑を行いますが、これからの質疑は質問のある委員の挙手をお願いし、こちらから指名の後、指名された委員はその場からお願いをいたします。なお、多くの方が質疑していただけるように簡潔明瞭にお願いいたします。 123 ◯武藤委員=日本共産党の武藤明美と申します。きょう奈良林参考人においでいただいて御説明ございましたけれども、時間はきょうのローテーションの質問者のように長い時間を持っておりませんけれども、三点ないし四点ぐらい質問をさせていただきたいと思います。  まず、このパワーポイントの説明資料で幾つか質問したいんですが、ちょっとページ数があったりなかったりなので、非常に聞きづらい面もありますけれども、まずこれは三十一ページに属するところだと思いますが、「小動物に奇形や癌の発生なし」というところがございました。これについてですが、まず、出典は何なのかということ、誰が言っておられるのかということについてお聞きしたいと思います。 124 ◯奈良林参考人=これは今ここに書いてございますとおり、ウクライナ、このチェルノブイリセンターという国の研究機関がございまして、ちょっと名前は忘れましたが、この写真に写っている女性の方がこの見学者用のパネルにポスターを張ってありまして、そのポスターに書かれているものが出典となっております。これについては国際会議が開かれて、このチェルノブイリセンターで実際に各国の人たちと議論を交わした後のものが成果としてここに掲示されております。 125 ◯武藤委員=それは展示物だということですね。誰の研究によってそういう展示物にされたのかということはおわかりになりますか。 126 ◯奈良林参考人=この女性の研究員によってなされたものです。 127 ◯武藤委員=その場合、その研究員さんは最近のデータに基づいてされたんでしょうか。一体いつのデータなのかということを知りたいと思います。 128 ◯奈良林参考人=このチェルノブイリセンターでは、事故後、あるところからですけど、多分ウクライナが独立してからだと思いますが、その間ずっと二十数年間にわたってこの調査をやっています。これはもう驚くべき努力でありまして、今ここにありますように、ここがチェルノブイリの原発ですね、こういうところに代表的な調査地点を設けて、ここが餅網みたいに細かいメッシュで切られていて、グリッドの交点のところを毎回サンプリングしているんです。ですから、定点観測を一点だけではなく複数の、百個ぐらいに分かれていて、ここで小動物をサンプリングして、持ち帰って、いろんな放射線計測器で放射性物質の付着度をはかったり、それから骨の奇形を見たり、あるいはDNAの異常が出ているかどうかをここで調べていました。 129 ◯武藤委員=今、小動物だとおっしゃいました。先ほどの言葉ではヘビやカエルではないかということでおっしゃったように思いますけれども、そのほかにも何かあるんでしょうか。 130 ◯奈良林参考人=小動物というのは、先ほど申し上げたとおり、ヘビとかトカゲとかカエルとか小鳥です。リスもあったかもしれませんが、そういったものです。要は採取して殺してしまってもいいようなものです──いいようなものって、生物に対してそういう言い方はないかもしれませんが、人に対して行うことはできませんので、こういった同じ生物、脊椎動物含めて、カエルは両生類ですけれども、いろんな鳥類も含めてそういう調査をしているということだと思います。 131 ◯武藤委員=二〇一三年十一月三十日に福島事故の小動物の異変があったということで発表されているので、インターネットなどでも公表されておりますけれども、長蛇とかツバメなどですね、本当にこの場合、琉球大学の先生の研究チームで百二十一匹のヤマトシジミというチョウを調べられた結果、一二%、羽が小さいものが発見されたり、目が陥没しているという奇形が発見されたということが出されていて、かなり世界的にも今知られているということにもなっているわけですけれども、チェルノブイリはそういう結果だったかもしれないんですけれども、実際に福島ではそういった小動物に対しての異常が発見されているということで、遠いチェルノブイリのことではなくて、現代の日本の状況も多くの方にもやはり知っていただくことが大事だったんではないかなというふうにも思っております。それについてはどのように認識しておられますか。 132 ◯奈良林参考人=福島の五十倍放射能が濃いところで、今、二十五年間、二十六年間にわたるこういう調査で奇形が出ていないということです。福島で、ヤマトシジミというのはチョウですか、そういう昆虫や何かに奇形が出ているとかそういうことがあるとすれば、そのデータはやっぱりちゃんと精査する必要があると思います。ですから、それがどういう目的、どういう条件で採取されたのか、それが定点観測で長期にわたって調査されているのかどうか、単に何か異常がある昆虫を採取してそれだけ取り上げているのかどうか、そういうことをちゃんと精査する必要があるというふうに思います。 133 ◯武藤委員=そこの大学の研究チームは、これをイギリスの科学誌に発表したりした場合に、その後、この研究者チームの研究費がカットされるというような事態まで起こっていると。つまり、今の日本が原子力推進の方たちに都合の悪いデータはやはりなるべく目に触れさせないというようなことが起こっているということも指摘申し上げたいというふうに思っています。  もう一つちょっとお聞きしたいのは、この資料のページでいいますと、何ページになるのかな、これもページ数が書いていないんですが、三十五ページになろうかと思いますが、「福島第一原発では地震による冷却材喪失事故は発生していない」ということを言い切っておられます。残念ながら、まだ福島の原発事故については調査途中でありまして、結論というのは出ていないんですね。先ほどの奈良林参考人の御発言の中でも、発生していないと考えるという言葉をおっしゃっていました。なので、こういう場合にこのように言い切っておられるということの根拠は何なのかということもお聞きしたいと思います。 134 ◯奈良林参考人=冷却材喪失事故の定義というのがありまして、ある一定量以上の漏えいがあった場合、事故と申します。その許容値以下ですので、保安規程から判断しても、もし仮に二平方ミリメートルとか八平方ミリメートル漏えいがあったとしてもこれは事故とは呼びません。 135 ◯武藤委員=まだ結論が出ていないのに事故とか事象だとかいうふうにおっしゃることは少しいかがだろうかというふうにも思っております。  ここに出されているグラフですが、青い色で出されているグラフは、最初は多分変動でジグザグは大きいと思うんですけど、平均的な形で出されたものをお示しになっていると思うんですけれども、ちょっとこの辺はどうなんだろうかというふうなことも思います。これは日本の原発の場合は、とめる、冷やす、閉じ込めるということでされていたものが、今は閉じ込めるからさらに大気中に逃す、あるいは水中に逃すというようなことに変わってきておりますし、そこら辺の資料の状況がこれを使っていて果たしてどうなんだろうかという思いも持ちますので、もう少し慎重であるべきではないかなというふうにも指摘しておきたいと思いますが、いかがでしょう。 136 ◯奈良林参考人=これは冷却材喪失事故の定義からして判定したものであって、今、青いグラフ、これ八平方ミリメートルの蒸気相の漏えいがあった場合は、この青いようなグラフの形で圧力が上昇してまいります。実測値は赤いグラフでございます。ですから、八平方ミリメートルのような漏えいはなかったということになります。これだけの乖離が出ています、そういうことです。これはテクニカルに私が持ち上げていることであります。 137 ◯武藤委員=それでは、先ほど宮原委員が質問をしておられました航空機の墜落や、あるいは意識的なテロの場合ですけれども、この参考人の資料でいいますと何ページになるのかな……そうそうその資料ですね、ポールを立てて羽が折れるか何かという形で少し、そのままの形じゃないものにできるようにして予防するということになっているかと思うんですが、ポールだけでいいのかと。テロ対策や航空機の墜落事故などの場合に、真上から落ちてくる場合だってあり得るし、そこら辺で非常に今の日本の原発、特に玄海原発の場合は外側の建屋の部分が弱いんではないかということも指摘されておりますので、ポールだけで果たしていいのかなという疑問も持っておりますが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。 138 ◯奈良林参考人=現在の規制基準では、格納容器、あるいは原子炉建屋に航空機が直撃した場合を想定しております。このポールはそれの抑止力となるものです。ですから基本は原子炉建屋、あるいは格納容器に航空機が直撃した場合でも大きな損傷がないようにということです。  それから、先ほど申し上げたように、大きな航空機が上から落ちてくることはほとんどあり得ません。エンジンを落とすとか、そういう重量物を落とすとか、そういうことがない限りは、ジャンボジェット級の大きな航空機は水平にしか飛べない。先ほど申し上げたように十五度ぐらいの角度で進入してきますので、上から落ちてくるということはほとんど理論的にもないと思います。ですから、これあとあるとすればミサイル攻撃とか、そういう戦争状態ですので、これについては、この発電所を、事業者を守るんではなくて、これは国と連携して自衛隊が迎撃ミサイルで打ち落とすとか、そういう世界になると思います。 139 ◯武藤委員=立地条件と設置条件というのは非常に今原発の問題では、特に今度の新基準の問題では大事になってきているというふうに思いますけれども、先ほども幾つか質問があっていたように、佐賀県の場合は、城山活断層というのが上場地域の下のほうに走っているというようなことも指摘されておりまして、まだ規制委員会がそこについては今後も調べてみる必要があるんだということも言っておられて、本当に立地条件がクリアできているかというと、まだまだそうではないんじゃないかというふうに思っております。  それから、設置条件の面では、先ほど参考人がアメリカや諸外国の場合、炉心溶融をしないような設備を整えているんだというようなことをおっしゃいましたけど、それは具体的にどういったことを察してそういう設備を整えているというふうになっているんでしょうか、それをお答えいただきたいと思います。 140 ◯奈良林参考人=アメリカのB5bの、これはテロ対策ですので、その中身を語ることはできません。ただし、私が推定するに、外部電源、送電線を断ち切られた場合ですが、これはさっき申し上げました。それから海水ポンプによるヒートシンクを絶たれた場合、この場合に炉心溶融を起こさないようにと、それがB5bで対策として求められているところであります。  翻って、現在の玄海原発に設置された先ほどの常設の電動モーター、これは深層防護の第三層に関して有効なもの。  それから、あとそれ以外も、深層防護の第四層に対して、ディーゼルの注水ポンプ、それから、あとヒートシンクについては、これは移動式の代用ポンプ車ですね。こういうものを用いて冷却をしたり、あるいはヒートシンクを確保するために海水とつないで原子炉の中にある冷却機を作動させる、そういった設備がどんどん導入されています。ですから、B5bで実際にアメリカがどういう対策をとっているか、これは私は正確には知りませんが、それと同等以上のものが今玄海原発に備わっているというふうに判断いたします。 141 ◯武藤委員=もしそうであるならば、日本の原発もそういう装置を備えなければならないというふうに思いますけれども、なかなかそうはなっていない。  せんだってお聞きしたお話では、コアキャッチャーなどをちゃんと備えるとか、あるいは窒素を充填するとか、そういった話がございましたけれども、そういうこともされないままに再稼働に進むというのはおかしいんではないかと思いますし、今の新基準の範囲内で先ほど例を出されたアメリカのような厳重なものにはなかなかなり得ていないんじゃないかというふうに思いますけれども、それはどのようにお考えでしょう。 142 ◯奈良林参考人=今申し上げましたように、繰り返しますが、B5bは炉心損傷を起こしてはいけないという基準です。ですから、今お話のあったような炉心溶融物が下に落ちるとか格納容器が壊れるとか、それは、それをその手前でとめるというのがB5bの精神ですので、それに対しての備えができているということだと思います。 143 ◯武藤委員=なかなか備えができていないというのが現状ではないかというふうに思っております。  また、ここで先生のパワーポイントの資料を見てみますと、ページ数が四十八になるんですかね。「福島第一原発事故の原因と対策」ということで出されておりますけれども、ここの違いですね。これの違いも問題が多いというふうに思いますし、もう一つは、ウクライナと日本における、民主党時代の震災対策ということが、ページ数がちょっとここにも書いていないので非常に指摘しづらいんですが、ニュータウン建設とか酪農とか農業とかの違いでずっとここに出されていました。確かにウクライナの場合は新しい町を一年半ぐらいでつくったというふうなことが言われているんですけれども、現状、これは民主党時代の震災対策という位置づけで書かれておりますけど、現状の自民党政権になってからも、ここはもうほとんどあんまり変わりはないというふうに思うんですが、なぜそうできていないのかという点は、先生はどのようにお考えなんでしょう。  私は、これは国民の暮らしや命にかかわる部分について、あるいはなりわいにかかわる部分について、政府がお金を出し渋っているということが言えるのではないかと思うんですけれども、それについてはどのようにお考えなんでしょう。 144 ◯奈良林参考人=これは先ほど御質問がありました、二十ミリシーベルトを一ミリシーベルトに下げてしまったために、福島では、その土をどかすのに数兆円のお金が必要になってしまいました。その一ミリシーベルトを二十ミリシーベルトでいいですということになれば、その六兆円とかいうお金が浮くわけです。  こういう財源を確保するということは非常に大事なんですけれども、御指摘のとおり、民主党から自民党に変わって私期待していたんですが、今御指摘のとおり全然進んでいません。これは、やはり二十ミリシーベルトを一ミリシーベルトに戻すとか、まずそこら辺の基準がおかしくなってしまっているので、これは田中委員長もちゃんと二十ミリシーベルト、国際基準に戻すべきだというふうな発言もされていますし、こういったところを、まず法制度をもう一回、この数値を見直す必要があります。  それから、この二万人ぐらいの町をつくるのに大体一兆円ぐらいですね、ざっと計算しますと、これは二兆円か五千億円で済むか、それはちょっといろいろと正確に見積もりをとらなきゃいけないと思いますが、マンションの値段で大体やると一兆円ぐらいです。こういう対策が、二万人の町が大体一兆円でつくれれば、六兆円もし一ミリシーベルトの土をどかさないで浮いたお金があれば十二万人が住める町がつくれるわけですから、御指摘のとおり、私はこれは一刻も早く実現すべきだというふうに私は思います。これについてはぜひ応援していただきたいと思います。 145 ◯武藤委員=自民党政権にしても、個人財産の形成になるということを理由にして、住宅も商店も工場も医療機関も復旧支援になかなか力が入らないという部分があるんですね。そういうことから言えば、人間の場合は避難することができるけれども、土地、建物、あるいは田畑や地域ですね、それはもう絶対に移動するわけにはいかないわけですから、そこのところに本当に人の暮らし、なりわいに思いをはせていけるかどうなのか、そこの違いだと思います。  何よりも、それができないんであれば、原発を動かすというようなことは絶対にしてはいけないし、先ほどから言われているように、参考人自身も人と環境を守るということが大事なんだということをおっしゃったわけですから、本当に安全神話につながるようなことはしてはいけないし、人と環境を守るということをきちっと位置づけていくならば、今原発とまっていても電気はこうやって使っているわけですし、新しいエネルギー、いろんな形で方策を探っていくということは十分可能な力を持っているわけです。  放射能事故を低く軽く見せるというようなことではなくて、やはり再稼働をやめるという立場に立つことを多くの県民、多くの国民は願っていると思いますので、そこらあたりを原発を推進するという立場でお考えになるのではなくて、国民の命や安全をしっかり守っていくという立場に立たれるように申し上げて、質問を終わりたいと思います。 146 ◯石丸委員長=ほかにはございませんか。宮崎委員。簡潔にお願いいたします。 147 ◯宮崎委員=市民リベラルの宮崎でございます。  二点ほど質問したかったんですけど、一点にちょっと絞って質問してみたいと思います。  原子力規制委員会で新規制基準が昨年の七月に決定して、今、玄海原発の三号、四号機を含めて申請をしておりますね。マスコミ等の報道によりますと、今春あたりにはもう審査が終わるんじゃないかというような報道でありますし、また、原子力規制委員会の田中委員長もそのような旨の発言が報道されておりますよね。その中で、伊方原発が一番トップに走っておったやつが、ちょっといろんな事情によりまして、玄海原発、川内原発がトップになってきたような報道がなされておるわけですね。いずれにせよ、原子力規制委員会の審査は今春か初夏ぐらいまでに終わっていくだろうというふうに想定はできるわけですね。  私が質問したいのは、この第一陣の審査が終わった後の問題についてお伺いしたいと思うんですよ。というのは、これは奈良林参考人に質問するのはお門違いということは重々わかった上で質問するんですけれども、玄海原発の三号、四号機の審査が終わった段階で、じゃ、次のステップとしまして、これは電力事業者が考えてやることであるということは重々わかっていますけれども、玄海原発一、二号機の審査、申請について行うようなことが考えられるのかどうか、その辺についてはいかがでしょうか。 148 ◯奈良林参考人=まず今、三、四号の審査ですが、地震動のSsというのがまだ定められていないので、そこが事業者が今まだ計算できていないんですね。ですから、私は夏も難しいんじゃないかと、今、個人的にはそんな感想を持っています。これからSsを決めて解析をして、それから報告書を作成して審査ですから、ひょっとすると秋になってしまうんじゃないかという気もします。  これは非常に今、これだけ原子力発電所がとまっていると、国民が、あるいは佐賀県もそうですけれども、結局これ全部、原発がとまったツケというのは、何兆円のお金のツケは全部、お金を払う人たち、一般の方々にツケが回ってくるんです。その認識がないんですよね。ですから、非常に経済をむしばみますし、ドイツで今原発をとめたりすると、再生可能エネルギー貧乏と先ほど申し上げましたけれども、生活弱者が第一番に痛手を受けます。ですから、こういう原発が長期にとまるということは私は正常なこととは思えません。  それから、あと御質問の玄海一、二号機ですが、たしか玄海一号機は三十八年ぐらいになっているんですね。そうすると、今、四十年というもう一つ壁がありまして、この四十年をちゃんと乗り越えて、さらに二十年間の延長をするというのは、規制基準で相当厳しくなっています。  ですから、四十年を乗り越えるためにいろんな設備投資も要りますし、これは経営判断になると思いますが、運転できるかどうかわからないという状況で、この経営判断で四十年を超えて運転する申請が出せるかどうか、それも含めて、非常に今規制が、さっきアメリカの規制は言いましたけれども、ちゃんとアクションアイテムを全部終えれば全部再稼働できるんです。ところが日本の場合には、まず適合審査があって、これが今ずるずる延びていて、それからさらに地元の同意が必要で、こうなってくると本当に再稼働できるかどうかわからない。こういう中で、電力会社がどういう経営判断するか、これはやっぱり佐賀県の経済も含めて、影響力が非常に大きいと思いますので、ここら辺は難しい問題になってくるんじゃないかなというふうに私は思います。 149 ◯宮崎委員=奈良林参考人の見解としまして、今、私が、規制委員会の審査が、何といいますか、今春あたりにはもう審査が終わるんじゃないかというマスコミ報道なんですね。今、奈良林参考人のお話によると、そうじゃなくて秋口ぐらいになるんではなかろうかという見解ですけれども、実際にして大体いつぐらいになるような予測でございましょうか。 150 ◯奈良林参考人=これは非常に難しい問題なんですけど、Ssの地震の波形が決まらないと耐震の計算ができませんので、今それができていない状況なので、幾ら頑張ったって春は無理です。  それから、夏はどうかというんですが、今、波形が決まれば計算をして報告書で出して審査に入れると思うんですが、それがどのくらい延びてしまうかですね。延びた分はずっと、どんどんずるずる再稼働がおくれるという状況だと思います。 151 ◯宮崎委員=それから、もう一点は最終処分場の問題ですね。今、稼働可能な原発が五十基ですね。五十基に対して福島原発の五、六号機が廃炉ということが正式に言明されたようでございますので、四十八基ですね、四十八基が審査をして稼働していくについて、やっぱり今申し上げましたように、玄海原発一号機がことし三十九年目に入るんです。そして、御承知のようにあそこは脆性遷移温度も結構高うございまして、恐らく二十年の稼働の延長は難しいだろうという専門家の指摘もありますね。  そうなってまいりますと、廃炉する原発が相当出てくる可能性がこれからありますね。そうなったときに、いわゆる今の中間貯蔵庫では間に合わないような事態になってくる。やっぱり最終処分場をつくって処理をしなければもう手に負えないような状態に陥るというふうに私は思うんですね。  その辺について、最終処分場の建設のめども立っていないのに再稼働するということはいかがなものかというふうに私は思うんですけれども、その辺の見解はいかがでしょうか。 152 ◯奈良林参考人原子力発電所を廃炉にしたときに出るごみと、それから、再処理をしたときに出る高レベル廃棄物、これは別物です。  今、アメリカの場合もそうなんですが、廃炉にする場合にはいろいろな配管だとか機器をワイヤーカッターですたすた切っていました。ワイヤーにダイヤモンドの粉がまぶしてあって、それがビーンと回ると簡単にステンレスのブロックなんか切断できる。そういうものを切断していくんですが、これ表面を洗うと、放射性物質が付着しているのがかなりとれるので、線量は下がります。ですから、これ裾切りといって、低レベルの廃棄物にするとか、あるいは保管方法をやるとか、これは高レベル廃棄物とは、埋設処分とは全く別の保管方法になります。  それと、高レベル廃棄物のほうは、これは今まで燃やしてしまった燃料は全てこれから使用済み燃料として再処理することになりますので、これはフランスに送ってガラス固化体にするか、あるいは六ケ所村も動かしてガラス固化体にするということになりますが、今度持ってきたものが、さっき言った建物の中に保管するのか、まず四十年保管することになっていますので、それからその後どうするかということは、これはこれからコンセンサスを得て決めればいいことであって、別に百年建物の中に入れて保管していたって私は構わないと思います。大事なのは、ちゃんと国民のコンセンサスを得るほうがはるかに大事で、これについて強行してはいけないというふうに思います。 153 ◯宮崎委員=やっぱり問題は高レベルの廃棄物よね。今おっしゃったように、例えばガラス化をして、いわゆる貯蔵するという、建屋でしてもいいかもわかりませんけれども、ただ、建屋でするということについては余りにも危険度が高くなる可能性があるわけですね。スウェーデンですか、ノルウェーですか、地下三百メートルから五百メートルに埋設をして保管するというのが一番、今の技術では最大の処分場じゃなかろうかと思うんですけれども、日本にそういう施設をつくるということは、まだ、まあ十年、二十年ではできませんね。五十年たったって難しいだろうと思いますね。  今、北海道の幌延町ですか、あそこで試験掘削をやっているようですけれども、あそこがなるというわけにはまいりませんでしょうからね。そういう状況の中にあるわけですから、私は再稼働については、最終処分場がある程度見通しがたった上でないとできないというふうに思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。 154 ◯奈良林参考人=今、高レベル廃棄物ができているということは、既に運転してしまっているので、これは再稼働するしないの問題とは別の問題です。  それから、私、この高レベル廃棄物を積み上げている青森の施設の建屋のフロアを歩いてきました。全く大丈夫です。ですから、ここでは安全に空気で冷やして、何も電気要らないんです、これあったまるので空気が上がって対流が起きて自然空冷で冷えています。こういう施設は、これで百年でも百五十年でも冷やしておけばいいと私は思います。  もう一つ、技術的には高レベル廃棄物の埋設処分場適地は日本には数十カ所あると言われています。ただ、そのまちの名前を言ったとたんに大騒ぎになるので、今それも言えない状況ということですので、これはやはりもっと国民が冷静になるまで時間を待たなきゃいけないというふうに思います。  その時点では、諸外国では高レベル廃棄物の埋設処分が進んでいると思いますので、その実績を見た上で判断すればいいことであって、もともと高レベル廃棄物の容積というのはそんなにべらぼうに大きいものではありませんので、こういったガラス固化体にすると減容処理ができますので、十分こういう建物の中で保管するという管理ができるものでありますので、しっかり時間をとって国民のコンセンサスを得られるように、しっかり議論をすべきだというふうに思います。 155 ◯石丸委員長=ほかにはありませんか。(「一点だけ確認」と武藤委員呼ぶ)ほかの方にちょっと先に優先をしますが。ありませんね。武藤委員、簡潔にお願いします。
    156 ◯武藤委員=もう一点だけ確認します。  先ほど参考人は、高速増殖炉のことで、ヨーロッパで稼働しているかのようにおっしゃったと思うんですが、もう既にそれはとまっているんではないですか。どうですか。それだけ確認したいと思います。 157 ◯奈良林参考人=今、フランスのスーパーフェニックスですが、御指摘のとおり、三十数年間の運転をしてデータをとり終わって、今、その高速増殖炉は停止しております。ただ、今、インド、中国、これが今、高速増殖炉をつくって、もう既に中国ではこれから発電する段階に入っています。ですから、これから世界的には高速増殖炉がふえてくる時代に入るというふうに思います。これは日本がとやかく言う問題ではなくて、中国は中国政府で科学技術に力を入れて粛々とやっていますので、そういう時代が来て、少なくとも軽水炉だけでも中国はこれから二百機建設するというふうに言われていますので、これが事故を起こさないようにしっかり我々がサポートしていく、そういうことを指摘していく、あるいは福島の事故の原因と対策をちゃんとしっかり教えていくということも我々の使命であるというふうに思います。 158 ◯八谷委員=自由民主党の八谷と申します。  先ほどの最終処分の関係でございますが、使用済み核燃料、昨年ですか、三月末で一万七千トン、核施設の中と、それから六ケ所村、二千九百トンということで言われておるようでございますけれども、その処分を、再処理をして最終的に、それは先ほどおっしゃったように建屋でも大丈夫だという、その減る割合というのはどれくらい減るものなんでしょうか。 159 ◯奈良林参考人=キャスクにそのまま再処理しないで埋める場合に比べて、半分以下になるというふうに言われています。これは、実はガラス固化体としては非常にコンパクトになるんです。ところが、ガラス固化体の外側のステンレス、これがまた腐食するかもしれないので、その外側をオーバーパックという、鉄とか銅の分厚い塊で容器に入れます。その外側を今度は粘土で囲みます。その粘土で囲った状態で、岩盤をくり抜いた穴の中に埋めます。ですから、そういうボリュームを含めると半分ぐらいということになります。 160 ◯江口委員=県民ネットワークの江口善紀と申します。  福島第一原発の事故のときの状況で、メルトダウンしましたよね。参考人が何かキャムスのデータとかで温度とかで状況はわかっていたと。燃料ペレスターにたまっているということはわかったと。  私も、三月十一に事故があって十二、十三日、新聞とか見ていると燃料が損傷したとか、水が半分になったとか、そしたらもう、えっ、それはもうすぐ溶けるべとすごく思ったんですが、東京電力は損傷しているとか、大丈夫だというふうなニュアンスでございました。結果的に、奈良林参考人が、これはもう溶けて下にたまっているよと、あるいは圧力容器より下に、格納容器のほうに落ちたというふうに感じられたのはいつぐらいだったんでしょうか。 161 ◯奈良林参考人=もう三月の下旬くらいです。実際にキャムスのデータを見ていると、時々刻々ですから、その週のうちにかなり燃料が下に落ちたという認識は持っていました。ただ、そのキャムスのガンマ線という放射線の強度の比なんですね。これが下のほうがずっと強くなってしまったのでそういうことが起きていたというんですけど、水位が余りはっきりしなかったので、東京電力はまだ水位が高くなっているということで、私自身はそこにデータの矛盾を感じていたんです。  この間、その進捗報告で、消防車の水もバルブがあいていたので、そっちへ、炉心へ行かないで外で、タービン建屋にたまったとかいうのがこの間、報告書で公表されて、やっとこれで全部つじつまが合ったと。やっぱり炉心は冷却されないで溶けてしまったと。で、私自身は朝日新聞や何かそのときは取材に来ていましたので、もう原子炉の容器の下に穴があいて、そこから赤い溶融した燃料が下へぽたぽた雨のように落ちているはずですということは取材に応じて説明していまして、それ自身は記事になっていました。 162 ◯江口委員=結局、圧力容器から燃料が下に漏れてしまったことを東京電力が認めるまで約半年ぐらいなりましたよね。それは会社としてどうしても認めたくなかったのか、あるいは確認に細心の注意を払ったからなのか、その辺どういうふうに東京電力は思いがあったと思われるのか、その辺いかがでしょうか。 163 ◯奈良林参考人=保安院の方でメルトダウンしましたと言ったら次の日からテレビに出られなくなった方がいました。ですから、そういう力が働いたんじゃないかと思います。全てのデータは、たしか六千枚ぐらいのファクスを東京電力が保安院に出したと言われています。そのうちのごく一部しか公表されていません。これは菅直人元総理が、自分が理解した以外のデータは公表するなと、情報管制をしたというふうに私は聞いています。そのために必要な情報が外へ出てこなかった、これは東京電力、事故を起こした当事者だけではなくて、規制側にも大きな問題点があったというふうに私は思います。 164 ◯江口委員=ありがとうございます。  あと、保安院の方にもこちらの議会に来ていただいて、新規制基準についてはいろいろ説明をしていただきました。その中で、福島の事故を経た結果でしょうか、これで、この基準で絶対に事故を防ぎ切るというものではないとか、あるいは最新の知見を用いながら常々チェック、あるいは改善していくという、それは本当に福島以前ではあり得なかった態度かなと感じたんですけれども、では今回の規制基準、一言で言って、私としては日本の原子力発電は世界一の安全性を、そして、世界一の運用技術、日本人の電力会社の運用技術、世界一の安全性を持って運用すべきだと思っているんですが、今回の規制基準、参考人は海外でもいろんな調査をされて、日本の今回の規制基準、余り変わっていないかという声も先ほどお示しになられましたけれども、結論というか、端的に言って今回の規制基準は本当に世界一安全性を担保できるぐらいの高いレベルの規制基準と言っていいものか、その辺について所管をお願いします。 165 ◯奈良林参考人=今、規制基準は、求めているものは確かに世界最高に厳しいものを求めているということは言えると思いますが、その運用のほうですね、それで、結局この運用については、再稼働のニンジンをぶら下げて、早くやれと言っていて、従わせているわけです。これは三・一一の前に保安院がやっていた規制と全く同じです。ですから、米国はこれで、あれだけの事故を起こしていながら、日本の規制と事業者の関係は変わっていないと言っているんです。  ですから、それは大きな問題点であって、アメリカはどうしたかというと、アメリカのスリーマイルランドの事故の後に規制を厳しくしたんです。そしたら、どんどん電力会社がやる気をなくしてしまって、トラブルがどんどんふえてしまって、規制を厳しくしたと言っても事故がふえてしまったじゃないかと。国民からすごい批判が出て、もうNRCなんかやめちまえと。存亡の危機に立ったということです。  私はそのNRCで存亡の危機に立った人から直接聞きましたけれども、そのときにNRCが半年かけて数名の人がどうやってNRCが国民から信頼を回復できるか、どうやったらいい規制ができるか、それを議論したそうです。その結論は、電力会社が自分みずから安全性を高めないとやっていけないような、そういう規制にすべきだと。それが北風政策、何か小さなトラブルを起こしたら罰金を取る、そういう北風政策から、事業者たちが喜んで安全性を高められるような規制にすべき、それが実現したのはアメリカです。ただ、その実現するまでに十年かかっております。  それはどういうことかというと、安全性を高めた原子力発電所は、ベースラインスペクションといって、安全性に一番重要なところを重点的に見る、その検査だけで、あとは自主検査に任せますと。ただし、それを違反していたら厳しく取り締まりますと、そういうルールにしたんです。電力会社にとって、それは名誉なことなんですね。米国の場合、それは株価に連動しているんです。ですから、手を抜いて検査が厳しくなってしまうと株価は下がってしまう。要は経営幹部も含めて安全性を高めなきゃいけなくなってしまった。安全性を一生懸命努力して高めると、それが報われる世界ができたんです。それで、それを指導しているNRCも、国民の命と環境を守る、これが達成できたので、全米の連邦政府の中で、この職場の中で最も満足度の高い職場がNRCになったんです。  ですから、日本の規制も、あるいは事業者も、こういう関係が早くできなきゃいけない。これは多分、米国の例からすると十年ぐらいかかるかもしれませんけど、そういった規制と事業者の関係、あるいはそれを見守るステークホルダー、国民がそういう意識のもとで原子力をちゃんと使いこなしていくということがこれからやらなきゃいけないことだというふうに思います。 166 ◯江口委員=確かに今、電力会社、原子力規制委員会のやりとりの中で、地元と東京で相当な人数で書類をつくったり、調べ、整理をしていると。何か労働基準監督署から注意を受けるぐらい担当の方は激務をされているということですが、しかし、本日、参考人がおっしゃった書類審査から、ある意味で実地の、本当に必要な部分での審査というのがもっと進むべきかなと。そして、今おっしゃったような形に日本の原子力行政もならないと国民としては安心できないかなということを感じました。ありがとうございます。 167 ◯石丸委員長=ほかにはございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕 168 ◯石丸委員長=質問がないようですので、これで質疑を終了いたします。  以上で奈良林参考人に対する質疑を終了いたしました。  奈良林参考人には御多忙中、長時間にわたり貴重な御意見を述べていただきました。まことにありがとうございました。(「どうもありがとうございました」と呼ぶ者あり)(拍手)  参考人は御退席されて結構でございます。遠いところ御苦労さまでした。ありがとうございました。  以上をもちまして、本日予定の参考人からの意見聴取を終了しました。  本日の委員会において参考人から述べられました意見につきましては、今後の委員会審議に十分反映させたいと存じます。  なお、本日の委員会での説明及び質疑応答などにおいて、数字または字句の誤り及び不適切な表現などがありました場合は、適宜委員長の手元で精査の上、訂正などを行うことに御承認を願っておきます。  これをもって原子力安全対策等特別委員会を閉会いたします。どうも御苦労さまでした。     午後三時五十六分 閉会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...