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平成25年地域経済・雇用対策特別委員会 名簿 開催日:2013年03月14日
平成25年地域経済・雇用対策特別委員会 本文 開催日:2013年03月14日

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  1. 佐賀県議会 2013-03-14
    平成25年地域経済・雇用対策特別委員会 本文 開催日:2013年03月14日


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     午前十時一分 開会 ◯大場委員長=おはようございます。ただいまから地域経済・雇用対策特別委員会を開催いたします。     ○ 会議録署名者指名 2 ◯大場委員長=最初に、会議録署名者として、原田寿雄君、岡口重文君、原康彦君、伊藤豊君、以上四名を指名いたします。  緊急経済対策、新産業の創出、企業の誘致、中小企業の経営規模の強化、商業の振興、雇用の安定・創出に関する諸問題の調査に関する件を議題といたします。  これより質疑に入ります。通告に従い順次発言を許可いたします。 3 ◯伊東猛彦委員=おはようございます。通告に従いまして順次質問をいたします。  まず、経済対策についてであります。  長い間、日本の政治に対する表現として「経済一流、政治三流」と言われてきました。高度経済成長時は企業群を支えるだけで国力が上がって、東京タワーができ、東京オリンピックが開催され、経済が伸び続けた時代が長くあって、そういう表現がよくされたわけであります。毎年のように政権が交代し、竹下元総理はかつて、「演歌歌手三年、総理一年の使い捨て」と、そういう表現がされるぐらいに、私たち地方においても政治をやゆする表現として使っていたわけであります。  安倍首相が一月の所信表明演説の最後のくだりで芦田均元首相の言葉を例に挙げられて、「芦田元首相は、戦後の焼け野原の中で、『将来はどうなるだろうか』と思い悩む若者たちを諭して、こう言いました。『どうなるだろうか』と他人に問いかけるのではなく、『我々自身の手によって運命を開拓するほかに道はない』と」。ケネディー大統領ではありませんが、国に何をしてくれるのかを問うなと、国に何ができるのかを問えと、その言葉に例えられるような表現です。私は、頑張る人が必ず報われる社会、日本はそうあってほしいし、そうなければならないと、そういう観点で質問していきたいと思います。  安倍首相が唱えられる三本の矢、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略。私ども特別委員会は、二月七日に関口日銀佐賀事務所長においでいただいて、大胆な金融政策、これはまさに国の政策ですが、このことについてこういう表現をされておりました。金利がゼロ、これは長い間、そのようにやってきたわけですが、新たに消費者物価の前年比上昇率二%、政策協定を政府と結んでそのことが始まらんとしております。国債とか政府短期証券といったものを日銀が金融機関から買い取ることによって資金をマーケットにどんどん出していくことが一つ。二〇一四年から前回の決定会合に決まっておった毎月十三兆円をまた買い入れていくということ。三番目に市中の金融機関が貸し出しをする。昨年に比べてことしはこれだけ貸し出しが伸びましたということになりますと、その貸し出しで伸びた金額については無制限に日銀がバックファイナンスを行う。とにかく金融機関が融資する際には、お金が手元にないということがないような形で資金を出していくと。二月の段階で白川総裁は退任会見をされましたが、そのようなことでした。  私は、その折も関口所長に質問したわけですが、この三本の矢については、久しく見なかった政治が経済を動かすという期待感があると。この政府の動きをどう捉えておられるのかという問いかけに対して、期待感ということだと思いますと。マーケットが期待して、それに向けて円安が進み、そして株価も高くなっていると。それで刺激されて実体経済がなおよくなるということにしていかなければならない。マーケットのエリアを広げていくことが大事ではないかと、そのようにやりとりをさせてもらいました。  つい先週の土曜日も、たまたまある会合で関口所長と会って、関口所長は群馬県御出身だそうですが、私が改めて所長に申し上げたのは、東京栄えて国滅ぶと、地方あっての日本だと、そういうお話もいたしました。その私の意見に対して関口所長も賛同されておりました。  山口本部長金融政策国そのものでありますが、私が今申し上げましたことに対する所感をお尋ねしたいと思います。 4 ◯山口農林水産商工本部長伊東委員がおっしゃった後段のところに対する私の所感といいましょうか、東京栄えて国滅ぶというようなことにつきましては、私も全く共感するところでございます。日本全国を大きな木とすれば、地方はある意味毛根みたいなところ、体で言えば毛細血管みたいなところ、そういう枝葉がないところに幹が栄えるわけはございませんから、そういう意味においても地方の活力維持、活性化というものが、日本全体の活力につながるものと、私もそういうふうに思っているところでございます。 5 ◯伊東猛彦委員=本部長も長く東京の司令塔という責任を預るお仕事をされて、東京というのはいわゆる政府、民主党であろうが、自由民主党であろうが、その政策をもって地方がよりよい形をもって受けて政治を動かしていく、佐賀県政においては佐賀県民の暮らしがよくなるということが私どもの最大の目標であろうと、そのように思っている次第であります。  先般、二月二十六日に「日本経済再生に向けた緊急経済対策」を政府は決定いたしました。先ほど申し上げましたとおり、景気回復への期待感を先取りする形で円安の流れとなり、株価も上昇し、企業収益が回復しております。一昨日の三月十二日、大手製造業である三菱重工は労使交渉の結果、一時金の満額回答を獲得したと。トヨタも多くの企業がそのようなことになってアベノミクスがうまく軌道に乗り始めたと。総理みずから経済団体に賃上げを要請される、こんなことはかつてなかった。デフレを脱却するためには我々の給料が上がって暮らしがよくなると、そういう観点が必要だろうと思います。  私は、この三本の矢について代表質問でも同じ思いを言わせていただきましたが、どこの都道府県よりも、どこの地区よりも最大限に生かして恩恵を受けてしっかりと県が捉えて佐賀県民の皆さんの暮らしがよくなると。この三本の矢の果実を最も早く、最も効果的に体現をしたのは佐賀県であると、そうあってほしいと思い、代表質問をし、きょうも質問させていただいております。  服巻議員が一般質問でこういう表現をしておられました。「サガノミクスとも呼べるような」と、アベノミクスをもじって。私も、サガノミクスと言われるぐらいにしっかりと施策実現をしてほしいと、デフレ脱却をした最初の県だと言われるようにしてほしい、そういう思いを持っております。  県においても、国の経済対策に応じて佐賀県緊急経済対策を実施されました。私は、県のこの取り組みが国の経済対策の資金を最大限に活用したもので、先ほども申し上げましたように、効果的で効率的に実施されることを願います。
     私は、六つの視点でこの点を評価したいと思います。需要が拡大され、設備投資が増加され、生産の拡大、企業収益の改善、賃金のアップと、経済は密接に連動しております。このことによって個人消費が増加をすると。私は、これを六つの視点と呼んでおりますが、この六つの点がよりよく回っていき、景気が好循環につながることを切に願っております。  政府は、今回の経済対策の中で世界で一番企業が活動しやすい国、個人の可能性が最大限に発揮され、雇用と所得が拡大する国を目指すと同時に、海外投資収益の国内還元を日本の成長に結びつける国際戦略を進め、貿易立国と産業投資立国双発型エンジンが互いに相乗効果を発揮するハイブリット経済立国を目指すとされています。  我が国は、既に人口減少社会に突入しております。佐賀県も人口減少が始まって五、六年たちましょうか。私は、人口減少社会であっても、イノベーションによって、そして、今、経済立国と申し上げましたが、オープンな姿勢で日本経済が新たな活力を取り入れて、冒頭にも申し上げました頑張る人が必ず報われる社会を実現することが最も大切なことであると思っております。国においては、十五カ月予算の考え方、切れ目のない経済対策に取り組んでいくとされております。  佐賀県においても平成二十四年度二月補正予算及び平成二十五年度当初予算、さらには六月補正、古川知事は「三段ロケット」という表現で決意を県民の前に披瀝されました。私は、なぜ六月補正まで予算がかかるのかと思わなくもなかったんですが、知事の三段ロケットと、政府は三本の矢と、そのことを実現したいという決意を知事がおっしゃった。施策を実行する皆さん、また、その恩恵を受けてよりよくなろうとする私たち県民、県内経済の回復を確実なものにしていかなければなりません。  そこで、次の点についてお伺いします。  現在の景気の認識について、現在の県内の経済の状況についてどのような認識がありますか。 6 ◯古賀農林水産商工本部副本部長=現在の県内の経済認識についてお答えをいたします。  県では、県内の経済状況を把握するため、国の公表資料でありますとか、各種の経済指標を参考にいたしますとともに、県内企業の景況感の実情を把握するため、職員が直接、企業の声を聞き取ります企業訪問調査、これは六十社でございますが、これを四半期ごとに実施しているところでございます。  まず、経済指標などについて申し上げますと、一月三十日に佐賀財務事務所から公表されました県内経済情勢報告では、県内経済は緩やかな持ち直しに足踏みが見られる。前回、これは十月期でございますが、この判断を据え置いてありますが、足元の動きとして企業収益の改善などを期待する明るい声も聞かれているというふうにされているところであります。  また、先日十二日に佐賀財務事務所から公表されました法人企業景気予測調査、これは先行きの経済情勢を企業の方がどう捉えているかということを見通す調査でございますけれども、一月から三月期の企業の現状判断は、前回がマイナス一二ポイントでございましたが、プラス六・九へ上昇しておりまして、全産業で上昇に転じているとされております。また、先行きにつきましても、四月から六月期はプラス一〇・九、さらに、七月から九月期はプラス一八・八という見通しとなっているところでございます。  さらに、二月二十八日に取りまとめられました県の主要経済統計速報で主な経済指標を見てまいりますと、個人消費については大型小売店販売額、これが対前年同月比三・三%減少はしておりますものの、前月に比べて二五・六%の増加になっております。また、乗用車の新規登録台数一月でございますが、前月に比べて二四・六%増となっております。  次に、生産活動でございますが、これは十二月の数字でございますが、鉱工業生産指数は前月から一・六ポイント増加していると、こういった数字が出ているところでございます。  また、先ほど申し上げました一月に実施いたしました企業訪問調査結果といたしまして、前回、十一月に実施をしておりますけれども、「悪化」と回答した企業が大きく減少するとともに、「上向き」や「横ばい」と回答した企業が増加するといった回答をいただいております。この訪問した企業の方々からは、円安による原材料費や燃料費の高騰を懸念する声が聞かれましたものの、「円安により輸出が伸びており、生産が増加している」でございますとか、「今が底であり、今後、市場の回復が見込まれる」といった声も聞いているところでございます。  今、るる申し上げました各種の経済指標でございますとか企業訪問調査結果を踏まえまして、最近の県内の経済情勢を総合的に判断いたしますと、一部で弱い動きが見られますものの、下げどまりの兆しが見られ、委員からも先ほど御指摘がありましたように、最近の円安や株高の動きによりまして、今後の景気回復への期待感が高まっていると、このように認識をしているところでございます。  以上でございます。 7 ◯伊東猛彦委員=白川総裁の退任の記者会見において、経済の上方修正ということの御発言がございました。先ほど、弱い動きであるが、下げどまり、市場が回復する期待感とおっしゃいました。今議会の勉強会で、上向きが一五%、横ばい七〇%、悪化が一五%という資料を出していただいておりますが、その期待感ということ。総理の期待感、県内企業の期待感、実態は上向き一五%、横ばいが七〇%と。この七〇%が上向きに変わっていかなければいけませんね。円安によって重油とか痛手をこうむるところもありますが、関口所長がおっしゃるように、マーケットを広げていくと。県議会でもミャンマーを視察しましたが、日本企業の進出はこれからなんですね。韓国はどんどん、サムソンみたいな会社がまちじゅうにあふれておりまして、先を越されたりしている部分がありますが、この横ばいの七〇%をどうしていくのか。これに対して副本部長はどう所感をお持ちですか。 8 ◯古賀農林水産商工本部副本部長=お答えいたします。  先ほど御答弁させていただきましたように、今、マーケット動きそのものが非常にいい方向で動いているというのが、いわゆる実体経済として、企業さんが消費なり営業といったものに結びついていくということが極めて大事だと思っております。今るる申し上げたのは現状の数字でございますので、これが実態として次の調査、さらにはその次の調査、こういったもので出てくるように、企業の技術開発でございますとか海外展開といったものについても県独自の取り組みを初めといたしまして、今回、企業さんにお使いいただける経済対策は、経済産業省が所管しているのが大部分でございますが、ほとんどが直接採択という形で、私どもの当初予算なりに反映はしておりませんものの、こういったものを積極的に御活用いただいて、技術開発を初め、設備投資といったものに積極的に取り組みいただきながら、それが企業業績として反映していくような取り組みを今後とも進めていく必要があると感じております。 9 ◯伊東猛彦委員=期待感が実体経済に反映して、次の調査でよりよくなるということを国を挙げて、県も三段ロケットの中で実体経済に反映させて、六つの視点と申し上げた、最後は賃金アップ個人消費の増につながることを引き続き精力的にやっていただきたいと思います。  次に、政府予算に対する評価についてです。  国では、経済再生に向けて緊急経済対策に基づく平成二十四年度予算と一体的なものとして平成二十五年度予算、いわゆる十五カ月予算として編成されております。今回の安倍政権の政府予算について県はどのように評価をしていますか。 10 ◯井上政策監=今回の政府予算に対する評価について御答弁申し上げます。  我が国は、震災からの復興を初め、長引く円高・デフレや人口構造の激変などの大きな課題を抱えており、日本経済再生に向けて、政府におきましては、先ほど委員から御紹介いただきましたが、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を一体として実行していくこととされたところでございます。  その第一弾といたしまして、先般、緊急経済対策に基づく平成二十四年度補正予算が成立したところでございまして、この大型補正予算と一体的なものとして平成二十五年度予算が、いわゆる十五カ月予算として編成されたところでございます。  これにより切れ目のない経済対策を実行し、景気の底割れの回避とデフレからの早期脱却及び成長力の強化を図ることとされておりまして、政府におきましては、日本経済を持続的な成長軌道に乗せていくという強いメッセージを込められたものと考えているところでございます。  以上でございます。 11 ◯伊東猛彦委員=日本再生、日本を取り戻すという強いメッセージだと。  次に、佐賀県緊急経済対策についてお伺いいたします。  これは本部長にお答えいただきたいと思いますが、二百五十億円の予算なり、六月補正まで三段ロケットと、私たち県民の生活に資するものであってほしいと。予算が通って、そして県民に届くプロセスの中でそのような実態がよりよく届くように期待をしております。予算を編成する責任者として、国の緊急経済対策を受けて県では今回どのような考え方で緊急経済対策に取り組むこととされましたか。 12 ◯石橋統括本部長=今回、円高・デフレ不況から脱却して雇用や所得の拡大を目指して強い日本経済に転換させるための対策ということで国の緊急経済対策を打ち出されたわけでございます。我々としましても、それに乗りおくれることなく、国の資金を目いっぱい活用して県としての緊急経済対策を実施していこうと。それで県内経済の活性化を図っていこうということにしたわけでございます。  三本の矢は、金融、財政出動、それと成長戦略であるわけですが、金融の部分については我々としてはいかんともしがたいわけですが、財政出動の部分、先ほど古賀農林水産商工本部副本部長から答弁がありましたけれども、今回の財政出動のうち産業政策にかかる部分は、国が直接、企業に対して支援するという形になっております。単独で幾つかやることがありますけれども、基本的には県の予算にはのらない。ただ、それでも先ほど申されたように、県として国の資金を直接的に企業に配分される資金をいかに獲得していくかということは、側面的に、あるいは能動的に農林水産商工本部のほうでやられていくと。我々としても公共投資を中心とした直接的な財政出動の部分については、国の資金をフル活用しながら二月補正を組んでおります。また、今度新しい元気交付金ができました。この基本的な考え方としては、平成二十四年度補正予算で国が措置した裏に当てるということ。ただ、箇所づけがまだきちんと終わっていないものですから総額の配分ができないということで、六月補正でその分を対応していくということにならざるを得ないということで、知事も三段ロケットという言い方をしたわけでございます。  そういうふうに直接的に我々として執行していく部分については、もちろん、国の資金をフルに活用して、かつスピード感を持ってやっていくこと。それが今、金融政策である一定の条件整備をし、財政出動でカンフル的に今の経済を上向きにさせて、それを持続的に発展させるために、成長戦略を打っていくと。そういう流れの中で、我々としても今の実体経済カンフル剤的に資金をいかに早く投入していくのか。それとあわせて将来の県内の産業というか、経済の自立を目指して、どれだけ産業政策と企業を結びつけていくのか、そういった考え方の中でフルに活用していきたいと考えているところでございます。 13 ◯伊東猛彦委員=「乗りおくれることなく」、「能動的」と表現されました。また、箇所づけが終わっていなから六月にならざるを得ないと、そういう苦しい答弁もありました。能動的、機動的な財政運営について、今後とも十二分に注意して実体経済につながるようにやっていただきたい。カンフル剤、経済の充実に向けてよくなったと、効果はすぐ出ないとしても、一年後の二月にはそういう報告ができるように、六月補正も含めて施策実現をやってほしいということを申し上げておきます。  二番目の質問に移ります。産学官連携による中小企業への技術支援についてであります。  日本の企業の九割以上が中小企業であります。マスコミ、あらゆる広告でにぎわしているのは、ほとんど大手の企業の広告です。日本は、中小企業の下支えがあって初めて、その裾野の広さがあって初めて、長い間、経済成長を遂げ、低成長の時代といえども世界に冠たるものを示し続けてきました。そこは中小企業の力があるからであります。小惑星探査機「はやぶさ」の中にも中小企業の英知が数多く積み込まれております。そういう基礎体力、裾野の広さがあるにもかかわらず、長い間のデフレ、経済の低迷によって町工場を閉じたりとか、そういうことが相当数あって、裾野の広さ、技術度の高さが生かされていないような部分が出てきたのが今の経済だろうと思います。  政府の審議会委員に入っているコマツの会長や楽天の社長、技術で勝って商売で負けると、そういうことが今の日本経済のある種、大きな部分を占めてしまっているという現況があります。大手マスコミ中小企業のすばらしさを伝えています。あるときは東京の下町の中小企業群、また、東大阪市の中小企業群、この二つだけと言っていいほど、代表的な中小企業のすばらしいケースとして報道しています。  安倍首相の先般の施政方針演説の中でも、すばらしい試みとして、「(世界一を目指す気概)、小さな町工場から、フェラーリやBMWに、果敢に挑戦している皆さんがいます。自動車ではありません。東京都大田区の中小企業の皆さんは、仲間と共に、ボブスレー競技用『そり』の国産化プロジェクトを立ち上げました。『世界最速のマシンをつくりたい』三十社を超える町工場が、これまで培ってきた、ものづくりの力を結集して、来年のソチ五輪を目指し、世界に挑んでいます」という表現がありました。  いつも東京、大阪の下町の企業群のことが報道されますが、佐賀県にそういう企業はないのか、どういう企業があるのか、ゼロじゃないだろうと。我が党の土井議員は東亜工機のことをおっしゃいました。以前、この特別委員会で鹿島の森鉄工とか視察しましたが、みんなが知っているような著名な、有力な、世界と勝負するような企業もあります。無名であっても世界に伍する企業があります。困ったことを技術革新して、相手先の企業に「よかった」と思われるような製品をつくっている企業がないのかと思って皆さんとやりとりをしている中で、佐賀市蓮池の中島製作所という企業に行き着いて、本部長と一緒に訪問させていただき、専務とお会いしました。  すばらしい試みをされておりました。佐賀市の中部学校給食センターに「ミールメイト」百三十台を納入されたと。中学校の食事を大量に学校に提供し続けなければいけない。やっぱり温かいものを食べたい。そういう技術が現段階ではなかったと。学校給食でつくっていたのが、変わっていく時代の中でそのようなものを開発されて、全国初となる配食サービス用冷却機能つきマイクロ波加熱カートの商品化に向けた開発をされておりました。例えば、食事がつくような長距離の飛行機に乗ったときに、温かいものをおいしく、地上で食べているみたいに食べられるということが一番いいわけですね。  二、三カ月前にたまたまBSを見ておりましたら、イギリスのブリティッシュエアラインが五つ星のレストランに委託をして、飛行機の中でよりおいしいものを食べられないのかと。出すところが非常に狭くて、器も限定される、食べ物も限定される。いかにうまく出せるのかということで相当な葛藤とチャレンジと、そして最終的にはいいものを提供できたという内容でしたが、この会社もJALの食事の提供のときのカートの下に保温機材をつけて、そのようなことをやっているということを披瀝されておりました。  例えば、久留米大学病院は千床の規模です。どれだけの人海戦術で千床に対して食事を出していくのか。まさに千ベッドですから相当な努力が必要です。その皆さんが助かるような技術があればいいじゃないかと。今度購入するときはしっかり考えていきたい、そういうこともあったわけです。  まず、尊田副本部長に株式会社中島製作所を訪問して、佐賀大学の小川先生の紹介であったと。メニューの開発は西九州大学に頼んでいると。そういうことをお聞きしましたが、まさに産学官での取り組みを、言葉ではなくて必要に迫られて技術の開発のために、医療福祉のために、患者さんのために、そういう努力を続けられております。そういう点を見られて副本部長はどのように感じられましたか。 14 ◯尊田農林水産商工本部副本部長=企業訪問をしたことにつきましての所感についてお答えをさせていただきたいと思います。  委員と一緒に訪問させていただきました、ただいま紹介のありました株式会社中島製作所は、板金加工、切削加工、プレス加工、溶接、組み立て、そういう金属加工全般に対応できる県内でも数少ない企業であると認識をしております。そこが近年におきまして、これまでの部品の受注生産だけではなく、自社製品の製造にチャレンジしようということで、先ほど御紹介がありました配食サービス用冷却機能つきマイクロ波加熱カートの開発に取り組まれているところであります。  このマイクロ波再加熱カートにつきましては、先ほど医療の現場の話もございましたが、医療や福祉の現場を改善する画期的な製品ではないかというふうに感じたところでございます。  この訪問の際、同社から次のようなお話を伺いました。それは佐賀大学の先生に、自社では開発できないような技術協力や、大手企業への自社製品の紹介、プレゼンへの立ち会い、そういうこともしていただいて、小さな企業だけではそういう機会を得ることは難しいわけですけれども、そういうことで非常に感謝をしているというようなことでございました。  そういうことを聞き、中小企業が自社製品の開発など新たな事業を展開するに当たっては、このような支援が得られます産学官連携の取り組みが重要であることを本当に実感をしたところであります。  県といたしましても、企業の立場に立ちまして技術支援や販路開拓などの支援をしっかりと行っていかなければいけないと改めて感じたところでございます。  以上でございます。 15 ◯伊東猛彦委員=今、副本部長が所感としておっしゃったところに答えがあるんですよね。株式会社中島製作所が、大手の企業に行かれてすばらしい技術のプレゼンをやったとしても、それだけではなかなか、百人規模の会社であったり、対外的に著名な会社じゃないとなかなか信用してくれないと。小川先生は経済産業省にも人脈があり、企業にも人脈がありと、先生に座っていただいているだけで信用してもらえたと。これこそ、県行政が英知を絞る、後押しをする、背中を押すということをしていかなければならないことだと。一緒に訪問したことを契機に、今までもあらゆる方法でやってこられたでしょう。それは私たちも敬意を表しておりますが、実際にこのように困られている。ここだけではないと思います。そういう点を支えてほしいと。  研究開発体制の中で、佐賀県工業技術センター、器を開発しなければならないときは佐賀県窯業技術センター、株式会社匠でありますとか、西九州大学、株式会社日米クックと、私たちが「どうですか」と言う前に、工業技術センター、窯業技術センター、まさに県の技術の粋を集めたセンターとの相談もチームとしてやっていただいていると。これこそ県が、また、私たちが取り組んでいくべきことだろうと。私も教示をいただいたということを感じました。  そこで、二番目として産学官の連携についてお尋ねします。  産学官という、言葉だけが非常に躍るような、私の産学官のイメージは、かつて、東北大学の西澤潤一教授の、東北の企業群と東北大学の英知を使った強固な体制と。産学官といったら私はそういうイメージを持っております。かつては北部学研都市構想、松尾出納長が企画局長のときだったと思いますが、そういうことがあったりとか、私も代表質問でも触れました。鳥栖にある佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター、他県に持っていないものをしっかりとやっていく、そういういろんなことに取り組んできたはずですよね。  そこで、県の県内中小企業産学官連携の推進に向けた支援体制はどのようになっておりますか。 16 ◯尊田農林水産商工本部副本部長=産学官連携の支援体制ということでお答えをさせていただきます。  産学官連携を推進することで、大学等が持ちます研究シーズを有効に活用することにより、企業単独では行うことが難しい研究とか商品開発が可能になるため、産学官連携によるメリットは大変大きいと考えております。  このため、県におきましては、随分以前のことになりますが、平成十一年度から佐賀県地域産業支援センターに科学技術コーディネーターを配置いたしまして、県内企業のニーズと大学等の研究シーズとの橋渡し、マッチングを行うとともに、マッチング後の共同研究を実施する際に必要な研究開発資金の紹介や獲得、そういうことのための支援を行っているところでございます。  また、平成二十一年度より産学官連携技術革新支援事業に取り組んでおりまして、産学官のコーディネートチームを形成し、新製品・新技術開発を志向します県内中小企業に対しまして、ニーズ調査やシーズとのマッチングという、いわゆる川上から川中としての研究開発支援、川下としての販路開拓まで一貫した支援を行っているところでございます。  以上です。 17 ◯伊東猛彦委員=次に、産学官連携に対する助成の支援策についてですが、今、副本部長はニーズとシーズという言葉で表現をされましたが、その結果、どういう製品になったのか。山中教授ではありませんが、すばらしい発明があって、どんどん生産されているということが目に見えてこないんですよね。多くあったでしょう。  そこで、産学官連携による製品開発等の助成等の支援策、ニーズとシーズを一体化した結果、どのようなことになっておりますか。 18 ◯尊田農林水産商工本部副本部長=取り組みの成果についてお答えいたします。  先ほど申し上げました産学官連携技術革新支援事業につきましては、平成二十一年度から今年度まで二十二件を支援してきております。その具体的事例の一つとして、先ほどの中島製作所も入っております。中島製作所様は、初期の段階でマイクロ波の均一分布というようなテーマでの基礎研究に対する助成をしておりまして、それにつきましては百五十万円という助成額でございますが、そういうような最初の開発支援を行ったことが、今、このような商品化に至ったということがございまして、大変意義のある喜ばしいことではないかと思っておりまして、今後もこのような支援を行っていきたいと思っております。そういうことで実用化につなげていく事例をさらにふやしていくことが必要かと思っております。  以上です。 19 ◯伊東猛彦委員=皆さんの支援のもとで中島製作所が商品化されたように、中島製作所だけじゃないですよね、県内の企業の商品化を支えるという観点で今後ともやっていただきたいと思います。  企業と大学との連携の事例について質問いたします。  分野は全く違いますが、佐賀大学が美術館を持つと、二月から工事が始まっておりますが、大学が美術館を持つのは日本の国立大学で二番目であると。佐賀大学「特美」の沿革、綿々とした美術に対する下支えがあって、美術館というのはあらゆる皆さんに向けたメッセージ、成果、また、これからのことだと思います。それが産業分野に対しては一体どうなっているのかと。佐賀県内の四年制大学は、佐賀大学、西九州大学、短大も三つしかない。大学との連携といって思いつくのは佐賀大学、九州大学、早稲田大学、そういうことが過去には多かったと思いますが、県内企業が大学と連携して製品開発を行った事例はどのようなものがありますか。 20 ◯尊田農林水産商工本部副本部長=企業と大学等の連携の事例ということでお答えをさせていただきます。  先ほど申し上げました産学官連携技術革新支援事業は、平成二十一年度から今年度まで二十二件の支援をしているということで申し上げましたが、この大半が佐賀大学との連携事業となっております。そういう中でも、これまでの産学官連携によります研究のうち主な事例ということで挙げさせていただくと次のようなものがございます。  まず、高効率鋼管杭打設機と高効率地中熱交換システムの開発というものでございます。これは株式会社ワイビーエムが鋼管杭の高効率打設機を開発するとともに、佐賀大学が開発した多管式の熱交換器を活用し、住宅の鋼管杭の中に熱交換器を導入するというようなもので、効率的に地中熱交換をするシステムということで、そういう開発に至っております。  次に、加圧熱水処理法を用いた農産廃棄物からの糖質系機能性食品製造システムの構築というのがございます。これにつきましては株式会社ミゾタが加圧熱水処理を開発いたしまして、水などの溶媒の圧力を高くし、溶媒の沸点を変化させることにより通常の沸点で抽出できない成分を抽出可能としたものでございます。その際、佐賀大学は抽出物の分析・試作オリゴ糖の糖組成分解を行っております。この装置を使ってもみ殻や麦わらといった農業廃棄物からオリゴ糖抽出方法を実現したというものでございます。その後、株式会社ミゾタにおきましては、この装置を使いまして「鹿角霊芝抽出エキスを配合した保湿クリーム」など、いろいろな商品を開発されております。  大学との連携事業は多々ございますが、主な事例として以上のとおり説明をさせていただきます。  以上です。 21 ◯伊東猛彦委員=株式会社ミゾタを初め、複数の会社がそのような開発をされたということであります。  今後の支援について山口本部長にお答えいただきたいと思いますが、中島製作所に行って専務にお会いして、技術開発をしている途中の部屋というか、六人ぐらいのチームで試行錯誤しながら、大手企業もその推移を見守っていくようなすばらしいものになるだろうと予感しました。技術者魂というか、大学教授や企業とのパイプだとか後押しをしてやれば大きく伸びていくような、すばらしい気概と魂を感じて、こういう企業がもっともっとふえてほしいと改めて強い気持を持ちました。名前は知られていない、技術力はあと一歩、東京エレクトロンの下請ばかりじゃないと、自社製品をつくりたいという願望、そのことが会社の発展に大きくつながっていくと。会社に来ている車のナンバーを見ましたら、福岡県あたりからも相当お見えでした。そういうことで雇用の確保もしていただいているでしょうし、製品化されればもっともっと飛躍が望めると。眠った資質を持った企業は数多くあると思うんですね。こういう高い技術力とやる気を持った企業を今後どのように支援されていきますか。 22 ◯山口農林水産商工本部長=やる気のある企業の支援、特に技術者魂を持った企業と申しましょうか、社員の方々をどうやって支援していくかというお尋ねでございました。  私どもは、先ほど申しました科学技術コーディネーターというものを配置しております。ほかにも県内の企業と他の企業をマッチングさせるようなコーディネーターの配置、それから、佐賀大学に徐福フロンティアラボという地域の農産物等の資源を活用した研究開発をするような施設を持っております。そういういろんな人材、あるいは施設、こういうものを配置しながら、委員おっしゃいましたような、やる気のある県内の企業をちょっと後押しすればそれが顕在化していく、こういう施策に私どもも一生懸命取り組んでいるところでございます。今後とも、本庁の関係課、それから、先ほど御紹介いただきましたように工業技術センター、窯業技術センター、さらには産総研の九州センターという非常に誇るべき国の研究施設がございます。こういうところの研究者とも連携をとりながら企業の後押し、やる気を表に出す、形にあらわすような、後押しするような施策、それから、形にするときの資金的支援、そういうことで支援策、支援の後押しに一生懸命取り組んでいきたいと思っております。  以上でございます。 23 ◯伊東猛彦委員=とにかく積極的にさまざまな企業の背中を押して、世に出すと、自分たちの社員のためにやっていらっしゃいます。皆さんのためにということでやられておりますので、製品化された後は、医療福祉だけではなくて、大きく羽ばたかせていただくような後押しを今後とも期待したいと思います。  次の質問に移ります。新たな視点からの商店街支援についてです。  商店街支援の万能薬はないですよね。ある種、施策は打っても、かなり厳しかった時代もありますし、花開いたこともありましょう。厳しい結果も皆さんが一番おわかりだと思いますが、商店街支援ぐらい難しいものはないと私は常々感じております。  この特別委員会で青森市に行きました。青森市新町商店街振興組合の理事兼事務局長の堀江さんとお話ししました。三月十一日に東日本大震災から二年がたちました。被災主要三県という言葉を出しておりますが、青森県もその被害を大きく受けた県の一つであります。  日本には二つの「はやぶさ」があります。小惑星探査機の「はやぶさ」、JR東日本が技術の粋を集めて最速の新幹線をつくりました。これも「はやぶさ」です。「はやぶさ」が新青森まで運行を開始した後に東日本大震災が起きました。商店街としても相当な痛手であったということをおっしゃっておりました。青森市の顔の商店街であります。どこの商店街も商店案内がありますね。「お店まわりツアー」をやられたりとか、「あおもり雪灯りまつり」でありますとか、とにかく取り組みが、味わって、味わって、私たちが夜行ったお店も、事務局長が紹介された人気のお店でした。とにかく命がけでやってあるみたいな、新幹線の「はやぶさ」が来たこと、震災で厳しかったけれども、それに負けないように、自分たちがやらなければ誰もやらない、自分たちがやるしかないと、そういう商店街の幹部の方の決意と覚悟、気概を感じてまいりました。  そして、これもまた皆さんと話す中で、佐賀県一元気な商店街は一体どこなんだと、そういうやりとりの中で皆さんと一緒に行ったのが鳥栖市の駅前の本町通筋商店街です。理事長に皆さんと一緒にお会いしました。戦後すぐできたような、百円のアイスキャンディーを買って皆さんと一緒に食べました。やっぱり商店街は物を買って食べてみないとわかりませんから。サガン鳥栖がJ1に昇格して、おもてなしということで、相手のチームの応援者にも、どうぞいろんなところに入ってくださいと。大型店がこの商店街の前にありまして、「共存共栄ができているのか」と理事長にお話を聞いたら、苦しい、厳しいと。私たちから見たら、トイザらスじゃないですが、おもちゃ屋さんもあり、金融機関が四店舗もあり、魚屋さんもありました。食べ物屋さんもいっぱいありました。食べ物屋さんが一番多くなったということでしたけれども、それでも活路を見出したいと、そういうことをお話になっておりました。  佐賀市のバルーンのパレードではありませんが、鳥栖市のこの商店街では一年ぐらいで、サガン鳥栖のJ1昇格のパレード、ミスインターナショナルの吉松育美さんのパレードと二回もパレードがあったと。吉松さんのパレードはすごかったと、これだけ人がいるのかと。そんな体験を一年少々で経験をされた商店街です。やっぱり商店街の核になるのは食料品等を売っている小規模なスーパーです。Aコープがここにあったそうですけれども、それがなくなって、佐賀銀行が建ったということです。「お年寄りにとってこの商店街は優しい商店街ですか」と問うたところ、このスーパーがなくなった以降、そうじゃないと。お年寄りの方が、なんと、コンビニでお米を買わなければならないぐらいだそうです。加盟店が五十店舗以上ありましたが、米屋さんがないと、スーパーもなくなったと。コンビニでお米を買わなければならないということで、お年寄りの皆さんもすごく困っているということでした。  商店街というのはコミュニティーの場でもあります。この二つのパレードのときは人出でごった返りはしたけれども、商店に入ってもらったかといったら、そうではないと。イベントイコール商店街振興になるような時代ではないという認識を理事長は示されたわけであります。  ゆえに、商店街支援の歴史は苦闘の歴史だと私は位置づけておりますが、何もしないというわけにはいかない。少しでもよくなるように、ハード、ソフトを含めてよかったと言っていただけるように、今はソフトの時代だと思います。駐車場があるからよくなったかというと、そうではない。  まずは、県内の商店街の現況についてお尋ねしたいと思いますが、県内の商店街の状況はどのようになっておりますか。 24 ◯池田商工課長=県内の商店街の状況についてお答えいたします。  平成二十四年十月に県内六十四の商店街を対象に実施いたしました実態調査によりますと、平成十八年度と比較いたしまして、店舗数は二千七百三十八店舗から二千四百六十四店舗へと約一割減少、空き店舗率は約一三%から約一七%へと悪化するなど、依然として厳しい状況が続いているところでございます。 25 ◯伊東猛彦委員=私たちは、毎日、ゆめタウンとかジャスコに買い物に行くのかと、そうではないと。近所の人は、ひょっとしたら毎日行かれる方もいらっしゃるかもわかりませんが、そこに商店街があり、自分の知り合いの店があり、日用品、生きるためには商店街なり核になる店舗で、私どもを含めて地域の商店に行けるようなものでなければならないと思います。  厳しい商店街を活性化するために、昭和四十年代ぐらいから共同店舗というのができてまいりました。一番早いところでは伊万里中央市場、佐賀ダイコーであったり、昭和五十年代に神埼ショッピングセンター、北波多ショッピングセンター、中原ショッピングセンターができましたが、北波多も中原も閉鎖ということになっております。私の地元の小城市でいいますと、三日月町のバニーズ、最近はセリオでやっておりましたけれども、撤退して、そこにスーパーモリナガが入りました。福岡にも進出して活路を見出されているということだそうですけれども、小城のアーバンも閉鎖になりました。新たにスーパー等が入るということでしたが。共同店舗は地域の皆さんで構成されております。少しでも核になりたいと、地域のために資したいと、大型店じゃなくて地元に顔が見える理事長や商店の人たちが一緒に肩を寄せ合って日常の買い物のために資していきたいと。私はずっと県内の共同店舗を支援してまいりました。  そこで、共同店舗の状況についてお尋ねしたいと思います。大型店に対抗するための一つの形として共同店舗が各地に整備されました。今申し上げたように、当初にオープンしたところは閉鎖に追い込まれたりしています。ただ、経営が厳しくても、閉鎖が相次いでも、みんなでつくった共同店舗なので生き残ってもらわないといけない、地元初の共同店舗なので頑張っていただきたいという思いが私は強くあります。そこで、現在の状況をお尋ねいたします。 26 ◯池田商工課長=県内の共同店舗の状況につきましてお答えいたします。  県内の中小の商業者が立ち上げました共同店舗のうち、高度化資金を貸し付けたものは二十一店舗ございまして、うち、現在、十四店舗が引き続き営業されているところでございます。一方、売り上げの減少や近隣店との競合などにより七店舗が閉店をされているという状況でございます。  以上でございます。 27 ◯伊東猛彦委員=七店舗が廃業と。形を変えて残ったところもあると思いますが、厳しい中でも頑張れる支えであってほしいと私は思います。巨大店舗は県内ではゆめタウンが最後だと思いますが、大型小売店舗の進出は相当あります。商店街の衰退の大きな原因になっております大型小売店舗の進出状況はどうなっておりますか。 28 ◯池田商工課長=お答えいたします。  売場面積が千平方メートルを超える大型小売店舗につきましては、現在、県内に九十一店舗ございまして、うち売場面積が一万平方メートルを超える店舗は十四店舗ございます。  平成十八年度にまちづくり三法が改正されまして、売場面積一万平方メートルを超える規模の店舗が、商業地域、近隣商業地域、準工業地域の三つの用途地域にのみ出店可能とされまして、市街化調整区域などへは原則として出店不可となりました。こういうことから平成十九年度以降は、売場面積が一万平方メートルを超える規模の店舗の県内出店はないという状況でございます。
     一方で、売場面積が千平方メートル程度の店舗がホームセンターでございますとかドラッグストアなどを中心にふえておりまして、平成二十一年度は四件、平成二十二年度は九件、平成二十三年度は十三件、平成二十四年度は二月末現在で八件と新規の出店が続いている状況でございます。  以上でございます。 29 ◯伊東猛彦委員=次に、中心市街地活性化法は、地域の創意工夫を生かしつつ、市街地の整備の改善、商業等の活性化等を支援するためのものでありますが、認定を受けたのは、県内では唐津市と小城市、全国では百カ所程度にとどまっていると。私も小城市に住んでおりますが、現在進行形ですよね。苦闘も続いております、貸自転車を貸したりとか。小城市はようかんであったり、コイのあらいであったり、そういうまちでありますので、今ある体力のものを生かしてやっていくと。県によって街路の整備も整えられつつあります。残って活性化するための法律なので、そういう点を踏まえて、全国で百カ所だと。中心市街地活性化法がちゃんとなっていく、そして選ばれた百カ所がよかったと言われるようになってほしいと地元の一人としてこいねがっております。  百カ所にとどまって、結果として広がらなかった要因をどう捉えていますか。 30 ◯池田商工課長=お答えいたします。  中心市街地活性化法につきましては、県内では、委員御指摘のように、小城市と唐津市が同法に基づきまして、それぞれに策定いたしました基本計画が国に認定されているところでございます。  計画に基づきました具体的な事業といたしましては、例えば、唐津市では認定地域のみが対象でございます戦略的中心市街地商業活性化支援事業費補助を活用いたしまして、町なかに残る昭和初期の洋風建築物でございます「旧村上歯科」をカフェやコミュニティースペースなどの集客施設に改修をするとか、小城市を例にとりますと、認定地域におきまして交付率の上限が四〇%から四五%に拡充をされます社会資本整備総合交付金といったものを活用いたしまして、国指定の文化財でございます小柳酒造昭和西蔵をイベントスペースに改修するなどのまちづくりが進んでいるところでございます。  現在のところ、県内の他の市や町においては、認定を受けようという動きはないといったところでございます。その要因といたしまして、基本計画におきましては、市街地の整備の改善、都市福利施設の整備、町なか居住の推進、商業等の活性化、公共交通機関利用者の利便の増進、中心市街地における都市機能の集積の促進などの全てを盛り込まなければならず、小規模な地域の場合、そのような総合的かつ一体的な取り組みによる計画づくりが難しかったことなどが大きな原因ではないかと考えているところでございます。  以上でございます。 31 ◯伊東猛彦委員=今おっしゃったように小柳酒造も立派になりました。佐賀大学の先生たちが美術品を持ち込んでイベントをしていただいたり、音楽を聞いたりとか、にぎわいの創出になっております。そこと商店街の売上だとか、日々、ろうそくの火をともしたりとかさまざまされております。唐津に行けば元気があるな、小城に行けば元気があるなと。やっぱりこの二つの市には責任がありますよね。ですから、引き続き全面支援をしていただいて、この法律を生かしてよりよいことになるように支援をしていただくことを改めてこの場でお願いしておきたいと思います。  私が冒頭に申し上げました他県の商店街の活性化の事例、青森県の青森市新町商店街、すばらしかったです。もちろん、本屋も、お菓子屋さんも、食べ物屋さんも、何でもありました。北の表玄関という自負、雪まつり、訪問のツアー、そしてまた、福祉型対応の商店とか、地域の皆さんにも優しい、夕方でしたが、学生もいっぱい歩いていました、お客さんも多かったです。商店街活性化の成功事例はどのようなところがありますか。 32 ◯池田商工課長=他の県の商店街活性化の成功事例についてお答えいたします。  商店街活性化の成功事例といたしましては、経済産業省中小企業庁がまとめました「がんばる商店街七十七選」というものがございます。これによりますと、例でございますが、一店逸品運動の発祥地と言われております静岡県静岡呉服町名店街、あるいは土地の所有と利用を分離した商店街のマネジメントなどの実現を図られております香川県高松市の高松丸亀商店街、あるいは商店街に元気を取り戻そうということで、昭和をキーワードにまちの再生へ向けた共同作業を展開されております大分県豊後高田市内の八つの商店街などの事例が紹介されているところでございます。  このような商店街につきましては、行政の一定の支援があるものの、商店街みずからが強い意思と危機感を持って取り組んでおられる点が共通しているところでございます。  以上でございます。 33 ◯伊東猛彦委員=静岡呉服町名店街、高松丸亀商店街、豊後高田市内の商店街の事例の紹介がありました。私は、去年の夏過ぎごろ、滋賀県の長浜市の黒壁スクエア、議会の方たちも数多く行かれております。私は、銀行の副頭取をされた知り合いに案内していただきました。日曜日の昼どきで、ごった返しておりました。黒をキーワードに、黒いアイスクリームが出たり、アイスクリームだけじゃなくて、私が入った伝統的なそば屋さんの入り口には、全国から来たいろんな方の名刺が張ってありました。著名の方の名刺もいっぱいありました。長浜は大成功例とよく言われます。長浜だって十数年前はかなり厳しかった、そして立ち上がった。長浜なので関西都市圏のどこからでも行けるような地の利のすばらしさはもちろんありますけれども、それ以上にこうおっしゃるんですよ。「自分たちは太閤秀吉が最初につくった長浜の商売人なんだ。長浜は太閤のおひざ元の出発点で、その誇りが自分たちにある」と。そのことが厳しかった時代を超えて再び光が当たって、行った我々が元気になるぐらいすばらしいものでありました。  鳥栖市の本町通筋商店街の理事長にお会いしたときにこうおっしゃったんですよ。二つのイベントでは商店街になかなか来ていただけなかった。やっぱり回遊性だと。私が好きなお祭りの一つに「佐賀城下ひなまつり」があります。私は大ファンなんですよ。一人で行ったり、家族を連れたりして毎年行きます。あれは歩かせるんです。それぞれのお店が、ひなまつりメニューを出して、歩いている皆さんの姿を見て、ことしもお客さんが多くてよかったなと。旧福田家もごった返しているあの姿。やっぱり光を当てて誇りを持ってやれば私たちもできるという勇気を佐賀城下ひなまつりは私たちに与えていただいていると思っています。  空き店舗対策、呉服元町アーケードを通ったとき、何かもう終戦直後のような、バラックのような、本当に大丈夫だろうかという感じを受けましたが、そんなことばかり言っていられないと。一軒ふえ、二軒ふえ、三軒ふえ、四軒ふえと、夜も明かりがこうこうとついている商店街であってほしいと私は願っております。町並み景観は大切です、空き店舗対策も大切です。イベントも大切です。鳥栖市の本町通筋商店街の理事長がおっしゃるには、ちょうど入り口の大型店舗の横に公園があります。そこに例えば若いカップルの出会いの場みたいなメルヘンチックなシンボルをつくって、そして商店街、四十数店舗の組合員さんたちに、ここの店に行けば、こういうものが得れるとか、そういう物語性をつくって歩いてもらわないといけない、イベントだけではだめだと。回遊性があるような、ロマンがあるような、メルヘンがあるような、若いカップルが押し寄せるような、そういうことをしていきたいと。手かせ足かせがないような国の補助金のメニューが出てきたと、今度説明会にも行きますと、そんなことをおっしゃっていました。理事長と話して、何とか頑張ってほしいなと私は思いました。  最後に本部長に答えていただきたいと思いますが、新たな視点からの商店街の支援について、農林水産商工本部の商業の施策は商店街の支援の歴史だったと思います。あらゆる取り組みを県にしていただきました。そういう点を踏まえて、今やりとりした他県の成功事例、新たな視点と。万能薬はないかもわからない。でも、活力を持った商店街が全国にいっぱい出現していると。もう願うような気持で、新たな視点から商店街の支援策に取り組む決意表明という思いで聞かせてください。 34 ◯山口農林水産商工本部長伊東委員から決意表明をしろという御指示でございました。  確かに、これまで商店街振興ということで、ハード面、ソフト面の支援をやってきました。成功したところもございますし、必ずしもそうでなかったところもございます。これからの商店街振興をどうするかということで、今、委員からもいろんな新たな視点ということの御指摘を頂戴しました。他県の成功事例を見ますと、商店街というのは、単に物を売るお店機能といいましょうか、販売機能だけではなくて、地域社会を支えるインフラですとか、ご紹介がありました町なかを回遊するような一つのエリアといいましょうか、ゾーンといいましょうか、そういうようなものとして、さらに、子育て支援ですとか高齢者が集まるような場所が併設されるところ、そういう社会的なニーズに合ったサービスと交流の場としてですとか、ひなまつりもそうですし、佐賀市内で言えばえびすさんを紹介して回遊性を持たせるとか、そういう地域の歴史ですとか自然、文化を伝える町の顔としてといったような新たな視点から商店街を使っていこうということの取り組みが求められているところでございます。  県としましても、こういうような成功事例、取り組みを参考にしながら、こういうような情報は県としてかなり調べたものもございますが、これを地元の市、町ですとか、あるいは商店街のお店の方々にきちっとお伝えし、共有をしていく、そこがまず第一歩かなと思っています。  その中で、さっき青森の話もございましたが、自分たちがやらなきゃ誰もやらないというような気概をしっかり持っていただく、自分たちの町をこれからどう進めていこうかというような認識をちゃんと持ってもらいたいというようなことがございます。そういう地元を思います強い思いと熱意を持って取り組んでいただくような機運を高めていくことも非常に大事だと思っています。そういう気持を持っていただきました地元の方々の取り組みに対しましては、地元の市町、あるいは商工団体と県が一緒になって密接に連携をとりながら、新たな視点に立った商店街振興施策についての取り組みを進めていきたいと思っております。 35 ◯伊東猛彦委員=私たちは佐賀県に生きております。そこには地元の商店街の各店舗があります。生きるにふさわしい豊かな空間を持たなければなりません。楽しいひとときも必要です。それが相まっていい商店街なり商店主になってくれればいいと思いますし、国の経済対策、三本の矢をしっかりと生かして、三段ロケットでちゃんと形になって、県民の皆さんに喜んでいただくように。企業支援においても、きらりと光るものがいっぱいあります。それを商品化して新たな福祉、医療、また、女性の進出のためによくやったと、これまで以上によくなった、そういう佐賀県であることを願いつつ、質問を終わります。 36 ◯藤崎委員=では、引き続き質問に入らせていただきます。  初めに、中小企業の再生支援についてでありますが、平成二十一年十二月に制定されました中小企業金融円滑化法は、今月末をもっていよいよ期限切れとなります。この問題については、これまでにも幾度となく議会で取り上げられてきたところでありますが、金融円滑化法は、その役割を終え、これからは企業の経営改善をどのようにして進めていくのかという点に政策がシフトされていくと理解しております。実効性ある経営改善計画の策定と、その計画に対しての進捗率を厳しく見きわめていく金融機関の目ききが問われていくことになると思います。本来であれば、リスケジュールによる企業再生の実態を詳細に調査した後に今後の対応を行政にお願いしたいところでありますが、中小企業再生と雇用の確保を同時に図る必要性から、現時点における県の対応については評価をしているところであります。  ただ、当然のことですが、今後、事業再生にかける中小企業は、その経営内容を一から見直し、例えば、収益が上がっていない部門を廃止、縮小するなどの措置も必要に迫られます。緊急経済対策に伴い、地域経済の活性化が現実のものとなり、雇用の安定につながり、初めて中小企業再生の達成と言えます。そのような観点から中小企業金融円滑化法の出口戦略が問われているわけであります。  そこで、改めて中小企業の再生支援について何点か伺ってまいります。  経営改善支援についてでありますが、中小企業経営力強化支援法について、国は昨年八月三十日に中小企業経営力強化支援法を施行されました。その内容についてまず御説明いただきたいと思います。 37 ◯池田商工課長=中小企業経営力強化支援法につきましてお答えをいたします。  中小企業経営力強化支援法は、中小企業の経営課題が多様化、複雑化する中、課題解決の鍵となります事業計画の策定支援の担い手として、商工会、商工会議所等の中小企業支援者に加えまして、財務及び会計等の専門的知識を有する者、例えば、金融機関でありますとか、税理士、公認会計士等を経営革新等支援機関として国が認定いたしまして、これらの認定支援機関による専門性の高い支援事業を後押しすることによりまして中小企業の経営力を強化することを目的に制定されたものでございます。  国におきましては、この認定経営革新等支援機関による支援事業を加速化するために、事業計画策定や実施のための指導や助言に係る企業の費用負担に対します補助や、中小企業基盤整備機構による専門家派遣などの各種施策を講じることとされているところでございます。  以上でございます。 38 ◯藤崎委員=では、その県の対応について伺いますが、県は、中小企業経営力強化支援法への対応を含め、中小企業の経営力改善を進めるためにどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。 39 ◯池田商工課長=お答えいたします。  県におきましては、中小企業経営力強化支援法に基づき創設されました国の経営力強化保証制度を活用いたしました企業経営力強化資金を創設いたしまして、平成二十五年度から県制度金融の資金メニューに追加したいと考えているところでございます。  この資金でございますが、認定経営革新等支援機関が融資の実行後も継続的に事業改善計画の実現を支援することを条件とするものでございます。貸付限度額は八千万円でございまして、貸付期間が十年以内、貸付利率は年一・八%でございまして、保証料率につきましては年〇・六%以内としているところでございまして、運転資金、設備資金だけではなくて、企業の借入金の一本化のための借りかえもできる資金となっているところでございます。  また、商工会、商工会議所に配置しております経営改善サポーター全員の常勤化でございますとか、専門家派遣事業の拡充などによりまして中小企業の経営改善に向けた取り組みを支援していくこととしているところでございます。  以上でございます。 40 ◯藤崎委員=金融円滑化法がいよいよ終わるということで、これからは事業計画書の策定が非常に重要になってくるかと思います。そういう意味では、今回の新たな法に基づいて専門的なプロが介在することで、いわゆる中立的に策定を行う。そうすることで計画書どおりに進んでいるのかという進捗率のモニタリングがきちんとなされていくであろうというところが私は今回非常に期待しているところです。  そうしますと、認定をされる商工会等の専門機関が県内においてどの程度あるのか、そういったところも非常に気になるところであります。どういったところがそういう事業計画書の策定にかかわっていくのか。要は、中立的にやっていただくのですが、事業所、債務者というのはいろんなパターンといいますか、個性があるわけですね。そこに適した形で事業計画書をつくってもらわなければならない。いわゆる見ばえのいいものよりも実態に即した事業計画書をつくることで着実に進めていく、そのことが非常に大事だと思っています。また、そうしておかなければ、金融円滑化法が二回延長されながらも、なぜ今回いよいよ終了となるのか、これは負の部分において問題が指摘されてきた。  例えば、見込みの非常に厳しいところ、問題が多くて再生がなかなか難しいところの問題を先延ばしにしてきた点もあろうかと思います。そういったところについては、いわゆるこの金融円滑化法において区分が厳しくなされなかったことによって先延ばしになってきた。では、そういったところの事業を今後どうしていくのか。そういうところは出口戦略として、やはりソフトランディングをしていかなければならない。そういうことが今回の国の意思のあらわれであろうと思っております。  そこで、もしわかればで結構ですが、現在、そういう認定を受けている箇所の状況がどういうふうになっているか、計画書をつくるところの状況がわかれば教えていただきたいと思います。 41 ◯池田商工課長=リスケを受けている企業の計画書作成の状況ということでございますが、計画書につきましては、計画書自体はおおむね作成されているということでお聞きしているところでございます。 42 ◯藤崎委員=昨年、延長されるときに、そこのリスケがなされているけれども、要は、事業計画書がきちっとできていないと。そこがきちっと策定されることで、本来であればリスケがなされるということだったんだけれども、そこがきちんとなされていないという指摘もあったかと思います。ただ、そこは今きちっとなされているというふうに認識をしております。後は、そこが適した形で実効性を伴って進められていくということが非常に大事ですので、ここは県においても引き続きしっかり監視をしていっていただきたいと思っております。  次に、事業再生ファンドについて質問したいと思います。  中小企業の再生を支援するために、全国的に事業再生ファンドの取り組みが相次いでおります。ファンドのイメージ、先入観もありますが、事業再生ファンドについて説明を求めたいと思います。 43 ◯池田商工課長=事業再生ファンドの概要についてお答えいたします。  一般的にファンドとは、ファンドの運営管理者が複数の投資家から資金を集めて投資いたしまして、そこから得られるリターンというものを投資家に分配する仕組みでございます。  このうち、御質問がございました事業再生ファンドでございますが、経営の多角化での過剰投資などにより債務超過に陥ってはいるものの、企業の本業の部分では相応の収益力があり再生が見込まれる企業でございますとか、すぐれた技術を持ち将来性のある企業などを対象に、中長期的な支援を行うことで投資先企業の再生を図ることを目的としたファンドでございます。  金融機関は、投資先企業に対する貸付債権を額面よりも安い価格でファンドへ譲渡いたしまして、ファンドの運営管理者は貸付債権を安く買い取ったことで投資先企業に対しまして債権の一部の放棄というものが可能となります。企業といたしましては、ファンドによる債権の放棄で過剰債務の軽減を図ることができるという仕組みとなっております。  また、ファンドの運営管理者でございますが、債権の一部放棄だけでなく、必要に応じまして経営者の派遣などの人的支援や新たな取引先の開拓などもあわせて行うことによりまして、投資先企業の収益改善を促進するといったような効果もございます。  投資先企業の健全化が達成できました後に、ファンドの運営管理者は金融機関から買い取りました債権を購入時よりも高い価格でもとの金融機関に買い戻してもらうことによりまして、そのファンドとしての収益を確保することができるというものが一般的な仕組みとなっております。  以上でございます。 44 ◯藤崎委員=事業再生ファンドについては、先入観として、バブル崩壊後の、俗に「ハゲタカファンド」などと言われていましたバルクセールによって非常な利益を上げたものもあると。ただ、それが本当に地域の活性化につなげたかというと、そうではなかったところもあるという負のイメージもあります。今回は今の状況の中から、ある意味、まさに切り札的な地域の活力につなげていく、そういう本来の趣旨に沿ったものが期待されていると思っております。  国においても、官民一体型の事業再生ファンドというもの、いわゆる独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する事業再生ファンドなるものがありますが、これについて改めて説明を求めたいと思います。 45 ◯池田商工課長=お答えいたします。  中小企業基盤整備機構が出資いたします事業再生ファンドは、投資事業有限責任組合というファンド組合を金融機関や地方公共団体などと一緒になって設立いたしまして、中小企業基盤整備機構がファンド総額の最大二分の一まで出資するというものでございます。  投資先の企業につきましては、中小企業再生支援協議会で再生計画策定支援を受けた企業が主な対象でございます。  また、ファンドの運営管理者には、金融機関の関連会社や民間ファンド会社が担っているところでございまして、中小企業基盤整備機構は一組合員という立場で参加しているところでございます。ファンド運営管理者の経営状況を定期的に把握するとともに、中小企業基盤整備機構の各種支援策を投資先企業に提供しているところでございます。  これまでに中小企業基盤整備機構は、全国で二十九の事業再生ファンド組成に参加し、総額四百三十億円を出資しているところでございます。  以上でございます。 46 ◯藤崎委員=県内の事業再生ファンドの取り組み状況はどのようになっているのか伺いたいと思います。 47 ◯池田商工課長=県内のファンドの状況についてお答えいたします。  県内の事業再生ファンドといたしましては、県内八金融機関と佐賀県信用保証協会及び佐賀県中小企業再生支援協議会が参加いたします「さが事業再生ファンド」が平成二十四年十二月七日に組成されているところでございます。  このファンドでございますが、中小企業金融円滑化法の期限到来を控えまして、総合的な出口戦略が求められる中、抜本的な事業再生や事業転換が必要とされる県内中小企業の早期再生を図り、地域経済の活性化に寄与することを目的に組成された民間ファンドでございます。  ファンドの運営管理は、事業再生について数多くの実績を持つ株式会社リサ・パートナーズ──本社は東京都でございます──が行いまして、ファンドへの出資は投資先企業の案件ごとに行われるために総額は決まっておりません。  また、佐賀銀行におかれましては、オリックス株式会社が運営管理会社となります「さぎん広域事業再生ファンド」を平成二十五年二月二十日に単独で組成されたところでございます。投資先は、佐賀銀行の取引先で北部九州を経営基盤とする中小企業となっておりまして、ファンドへの出資は投資先企業の案件ごとに行われるために総額は決まっていない。このような状況でございます。  以上でございます。 48 ◯藤崎委員=今の厳しい状況を受けて、必要なのは企業分析、例えば事業計画書等でセグメントして自社の強みは何であるのか、なぜ売り上げが伸びないのか、そういったことを詳細に知ることで戦略を練ることができる。かつ、この再生ファンドにおいては、マッチングを行うことや新たな販路の開拓、また、収益の上がるところを伸ばしていく、そういうことに伴って、今回、国の緊急経済対策に伴って活力を上げていただきたい。企業再生に伴うものは、ある意味、雇用の創出が一旦的には起きてくるのではないかという心配をしております。もちろん、伸びることによって、そこで本来の目的である雇用が生まれてくるわけですから、そこまで確実につなげなければならない。そうしなければ企業の再生も、ある意味、何のためにやったのか、そういうところも指摘されるようになると思いますので、ファンド等についても引き続きしっかり注視していただきたいと思っております。  最後に、再生支援のあり方についてでありますが、この項について、県は関係機関との役割分担のもと、中小企業の再生支援についてどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。 49 ◯池田商工課長=お答えいたします。  企業が事業再生を進めていくためには、経営者の現状認識と事業再生に向けた熱意が最も重要であると考えているところでございます。そのためにはまず商工団体の経営指導員や経営改善サポーターが中小企業者との間に密接な関係を構築いたしまして、経営者の前向きな姿勢を引き出していくことが肝要だと考えているところでございます。  また、中小企業経営力強化支援法の施行によりまして、金融機関や税理士などの中小企業の支援を行う担い手が多様化しております。このようなことによりましてそれぞれの専門分野を生かしました支援が可能となっておりまして、早期の事業再生を図るためには各支援機関が連携を強化し、チームとして中小企業の支援を行うことが大切であると考えているところであります。  このため、県といたしましても、今後も円滑な資金繰り対策を講じますとともに、商工団体を初め、信用保証協会、中小企業再生支援協議会及び金融機関などの中小企業の支援機関のネットワーク構築の旗振り役となりまして、中小企業に対する支援機能の質を高めることで中小企業の事業再生に向けた取り組みをしっかりと支援してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。 50 ◯藤崎委員=しっかりと頑張ってやっていただきたいと期待をしております。  次に、雇用対策について質問させていただきますが、リーマンショックによる急激な経済・雇用情勢の悪化を踏まえて、これまで数次にわたる雇用基金の積み増しが行われ、さまざまな事業が実施されてきました。今議会においても関連予算が提案されておりますが、雇用情勢については、雇用基金事業の下支え効果や経済の回復に伴い徐々に回復し、直近、平成二十五年一月の県内の有効求人倍率は〇・七八倍と平成八年八月以来、実に十六年五カ月ぶりの水準となっております。長期化しているデフレの脱却に向けて、円安、株高とともに明るい兆しが見え始めてきた感はあるものの、実体経済を反映しているとは、まだ言いがたく、国の経済対策や金融対策等への期待感が先行したものと感じております。  県においては、今なお多くの県民が仕事につけずにいる現状を踏まえ、引き続き雇用基金事業を有効に実施し、求職者の支援に力を入れていただきたいと思います。一方で、持続的な雇用を創出し、確保していくためには、経済の成長が必要であり、中長期的な視点に立ち、人材面から県内の産業や企業の競争力を高める施策にもしっかりと取り組んでいく必要があります。  そこで、何点か伺ってまいりますが、雇用基金事業について、平成二十一年の基金造成からこれまでどのような事業を実施してきたのか説明を求めます。 51 ◯西雇用労働課長=これまでの雇用基金事業の実績につきましてお答えいたします。  委員御指摘のとおり、雇用基金につきましては、平成二十一年二月補正で基金の積み立てを開始いたしました。事業としましては平成二十年度末から開始いたしております。  基金事業につきましては、大きく分けて二種類ございます。一つは、雇用期間が一年単位で最長三年間という長期雇用基金がございます。もう一つは、雇用期間が六カ月で一回更新の最長一年間という短期雇用基金の二つがございます。  このうち長期につきましては、平成二十三年度をもちまして一応終了しているところでございます。現在、実行しておりますのは短期のほうでございます。短期については、国のほうで状況を踏まえまして幾つかの事業が追加されております。紹介いたしますと、緊急雇用創出事業、重点分野雇用創出事業、地域人材育成事業、震災等緊急雇用対応事業、こういったものがメニュー化されております。今年度につきましては、このうち重点分野雇用創出事業、地域人材育成事業、震災等緊急雇用対応事業の三つの事業を執行しているところでございます。 52 ◯藤崎委員=それでは、これまでの事業の実績はどのようになっているのか伺いたいと思います。 53 ◯西雇用労働課長=これまでの実績についてお答えいたします。  まず、二十三年度までの実績を申し上げます。県と市町で実施したものを合わせますと、長期雇用基金で四百六十三事業の二千百二十六人の雇用、それから短期雇用基金は千四百三十三事業で八千六百二十三人の雇用、合わせますと千八百九十六事業で一万七百四十九人の雇用となっております。  今年度につきましては、同じように県と市町分を合わせますと、短期雇用基金のみですが、三百十四事業で千四百十五人の雇用を見込んで現在進行形で取り組んでいるところでございます。 54 ◯藤崎委員=リーマンショック後の大変厳しい中で福祉的見地から、いわゆるセーフティーネットとして雇用をつくっていただいたということは地域経済にとって非常によい施策であったと私は評価しているところであります。こういったものをずっと継続していくのはなかなか難しいという点は現実としてあるわけであります。ただ、今回、平成二十五年度の事業においても雇用といったものについては対策をとらざるを得ない状況にある中で、どのような事業を実施して、どの程度の雇用効果を見込んでいるのか伺いたいと思います。 55 ◯西雇用労働課長=平成二十五年度の事業につきましてお答えいたします。  今議会に関連予算をお願いしているところでございますが、来年度におきましては、国の予備費に対応いたしました重点分野雇用創出事業十七億円分と、経済対策で新たに創設されました起業支援型地域雇用創造事業の五億円分、この二つの事業を実施することといたしております。  今回新たに創設されました起業支援型地域雇用創造事業につきましては、これまで県なり市町で事業を仕込みまして関連団体等に委託するというやり方と性質を若干異にしておりまして、基本的に民間企業等に委託して、民間活力による雇用をつくっていくということで、その性質から委託事業終了後の事業の継続でありますとか、雇用の継続の可能性が高いというふうに我々としても期待をしているところでございます。  このように、来年度におきましては、従来型の重点分野雇用創造事業と、今回新たに創設されました起業支援型地域雇用創造事業の二つを実施することによりまして、まずは雇用の確保、それから新たな雇用の創出、こういったものに取り組んでいきたいと考えております。この二つを合わせまして八百五十五人程度の雇用を見込んでいるところでございます。 56 ◯藤崎委員=短期間で次なる施策を打っていかなければならないという点で非常に労力を要する事業かと思っております。ただ、これまでの福祉的見地の施策も重要ながら、やはり継続的に雇用を維持していくためには民間活力を生かさなければならない、そういう流れになっているということは非常によい流れだと思っております。  そこで、産業人材の育成、確保といったものが今後課題になってくるであろうと思いますが、民間活力による持続的な雇用をつくるには産業戦略や企業のニーズに沿った人材の育成、確保も重要と思います。県の認識について伺いたいと思います。 57 ◯西雇用労働課長=産業人材の育成、確保に関します認識についてお答えいたします。  委員御指摘のとおり、民間活力によります雇用をつくり出していくためには、企業の自主的な事業の拡張でありますとか、新規分野への進出、経営革新、それから新たな起業、創業といったものの支援、さらに即効性のあります企業誘致、こういったものに取り組んでいく必要があろうかと考えております。  そのために、これまでも技術開発でありますとか商品開発の支援、経営支援、起業支援といったものに県として取り組んできているわけでございますが、ベースとなります企業を支える人材の育成、確保という人材面からの支援も大変重要であると考えております。  こうした考えのもと、総合計画二〇一一におきましては、新たに県内企業を支える産業人材の育成・確保というものを“進”重点項目に位置づけまして重点的に取り組んでいるところでございます。 58 ◯藤崎委員=どのような方針で取り組んでいくのか伺いたいと思います。
    59 ◯西雇用労働課長=取り組み方針についてお答えいたします。  総合計画におきましては、幾つかの取り組み方針を定めております。御紹介いたしますと、まず、県内企業の人材のニーズを的確に把握する必要がありますので、そのニーズの把握。それから、ニーズに即した人材を育成していくこと。それから、本県の場合、多くの若者が県外に出ていっている現状を何とか改善しようということで、高校生や大学生等の県内就職を促進し、若者の県内定着を図る。それから、県外からのUJIターン希望者等と県内企業をマッチングさせていく。それから、県内企業の国際化を支援するため、グローバル人材を育成、確保していく。それから、県が運営しております産業技術学院の機能を強化していく。さらに、技能振興に取り組む産学官によります連携組織を設置するとともに、若年技術者の底辺拡大とレベルアップに取り組む。こういったことを基本方針として位置づけているところでございます。 60 ◯藤崎委員=総合計画については、議会でも議論させていただいて、あとはそれを着実に進めていくという中にあって、結果を出さなければならないということで今取り組んでいただいているものと評価しております。  そこで、具体的にどのようなことに取り組んでいるのか伺いたいと思います。 61 ◯西雇用労働課長=取り組みについてお答えいたします。  産業リーダーの育成、確保というものを進めていく上におきましては、農林水産商工本部だけではなかなか難しいところでございます。先ほど来出ましたように、県庁内の連携はもとよりですが、こういった分野も産学官でしっかり連携して取り組むということが重要かと考えております。  こうした認識のもと、平成二十三年十一月に産業人材確保プロジェクトというものを立ち上げました。このプロジェクトでは県内企業の人材確保を支援するための合同企業説明会でありますとか、県内企業を県民の方々に知ってもらおうということで新たに立ち上げました就職支援サイト「さが就活ナビ」による情報発信、あるいは高校生の進路指導に影響力の強い高校の進路指導者を対象としました県内企業を紹介する研究セミナー、あるいは県外の人材、あるいは外国人留学生と県内企業のマッチングの支援、それから、学生のインターンシップ、こういった総合的な取り組みを幅広く展開しているところでございます。  それから、私どもが直接経営をしております産業技術学院につきましては、県内のものづくり企業のニーズを改めて詳細にお聞きしまして、そのニーズに沿って今年度から若年技術者の養成機関として再スタートするということで、学科の再編でありますとか、入校年齢を二十九歳以下に限定するなどの抜本的な改革に着手しているところでございます。  それから、既に県内企業で活躍されている在職者の方々のスキルアップも大変重要でございますので、ここにも力を入れていくということで、平成二十三年度から個々の企業ニーズに応じました新たなオンデマンド型訓練というものも創設いたしまして、来年度においては、この予算を大幅に拡充して強化していくこととしております。  さらに、技能振興でございますが、これについては基本方針に基づきまして、昨年四月に「さがものづくり振興協議会」という産学官による連携組織を立ち上げて取り組みを強化しております。  また、議会のほうに条例改正をお願いしまして、昨年四月から、今年度からでございますが、県独自に高校生や専修学校生、大学生等の技能検定の受験料を大幅に減免することで資格取得の促進を図っているところでございます。  以上でございます。 62 ◯藤崎委員=では、その取り組みの実績についてどのようになっているのか伺いたいと思います。 63 ◯西雇用労働課長=取り組みの実績についてお答えいたします。  総合計画におきまして、成果指標を幾つか設定しておりまして、その達成状況について御紹介いたします。  まず、産業技術学院の就職内定率でございますが、目標九五%に対しまして、平成二十三年度の実績は九六・四%となっております。それから、企業在職者の訓練の修了者数ですけれども、目標二百六十人に対しまして二百十人、これは目標を若干下回っております。それから、県外人材と企業とのマッチングでございますが、目標二十人に対して実績三十一人ということです。佐賀大学留学生の県内企業への就職者数ですけれども、目標二人に対して実績は一人ですが、今年度については既に五人ということで大幅に上回っております。高校生の技能検定ですけれども、三級の合格者数が目標百四十人に対しまして実績が百九十五人、二級は八人に対して十人ということで、いずれも目標を上回っております。  以上のような実績状況になっております。 64 ◯藤崎委員=では、課題と今後の取り組みについてでありますが、現状における課題について取り組みを推進するに当たり、どのような課題があると認識しているのか伺います。 65 ◯西雇用労働課長=課題についてお答えいたします。  現時点におきましても、先ほど来申し上げておりますように、産学官の関係者で連携して取り組んでいるところでございますが、この連携の程度といいますか、中身がまだまだ十分ではないということで考えておりまして、今後、事業を通しながら、その連携を深化させていきたいと考えております。  また、産業界のニーズをいかに教育に反映していくかということも極めて重要でございますが、現状におきましては、ニーズを産業サイドから教育サイドに伝える程度にとどまっているというふうに認識しておりまして、ここを改善していくことが大きな課題でございます。  さらに、県民の方、特に学生たちに県内企業の認知度を高めていくということも課題と考えておりまして、先ほど紹介しました、県内企業を紹介します「さが就活ナビ」という新たな開設したサイトの認知度を高め、登録者数をふやしていく。  こういったことが現状における課題であろうと認識しております。 66 ◯藤崎委員=最後ですが、雇用の問題というのは社会の基本だと考えております。少子・高齢社会、また、国、地方財政の厳しい状況というのは、現在、国が緊急経済対策を行って、いわゆる大型の公共事業もやっていただいておりますが、実は時代背景というのは何ら変わっていない。そのことを鑑みたときに、いかにして国力、地域の活力を保っていくか。そこに大事なものは雇用をいかにつくっていくか。そうすることで納税をしていただく。働きたくても働けない方の福祉を、しっかりとセーフティーネットをつくっていく。そういう好循環をつくるためにも、この雇用というのは非常に大事であります。  その観点から、現在進められている施策については、しっかりと前に進めていただきたいと思いますが、先ほど御答弁いただきました課題を踏まえた今後の取り組みについてでありますが、取り組み方針や課題を踏まえて今後どのように取り組んでいくのか、最後に伺いたいと思います。 67 ◯西雇用労働課長=今後の取り組みについてお答えいたします。  先ほど、我々が認識しております課題を三つほど答弁させていただきましたが、今後はそうした課題をしっかりと踏まえまして、産学官の連携を深化させるために、関係者が形式ではなく、率直に意見交換できる場を積極的につくっていくという環境を推進していきたいと思っています。  それから、産業界のニーズを教育に伝えるから反映させる、こういった仕組みづくり。さらには、「さが就活ナビ」の認知度を向上させる。こういったことを最重点課題ということで念頭に置きながら、総合計画に基づきました施策をできることから一歩一歩、着実に前進させていきたいと、このように考えております。 68 ◯大場委員長=暫時休憩いたします。十三時十分をめどに委員会を再開いたします。     午後零時五分 休憩     午後一時十分 開議 69 ◯藤崎副委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続き質疑を行います。 70 ◯八谷委員=自由民主党の八谷です。四項目について通告をしておりましたので、順次質問をいたします。  まず、第一項目は若者の雇用対策についてお尋ねいたします。  二月二十八日に閣議決定をされました平成二十五年度の経済見通しによりますと、平成二十五年度の我が国経済は、世界経済の緩やかな回復が期待される中で、平成二十五年度の経済財政運営の基本的態度、その前にまた緊急経済対策が定められました。午前中のお話にもありましたように、三本の矢、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして、民間投資を喚起する成長戦略に基づく緊急経済対策、いわゆる切れ目のない十五カ月の経済対策を講ずることによりまして、着実な需要の発現と雇用創出が見込まれ、国内需要主導で進むというふうにされております。  その経済見通しの中で、労働雇用に関しましては、景気が緩やかに回復するもとで緊急経済対策による雇用創出効果があらわれることから、雇用者数は増加を続け、対前年度比〇・九%程度の増とされております。また、完全失業率は三・九%程度低下するとなっております。  こうしたことでありますと、地元で就職を希望する若者にとりましては、希望の持てる施策が展開されるものと期待されるわけであります。しかし、現実的にはまだまだ厳しい状況にあります。特に、若者の離職率、いわゆる七五三現象と言われておりますが、そういった離職率の問題なり、あるいは非正規雇用の割合が高い、そういった状況があるわけであります。  まず、このような現状をどのように認識しているのかお尋ねいたします。 71 ◯西雇用労働課長=若者の置かれております雇用の情勢における基本認識についてお答えいたします。  これからの地域や社会、あるいは我が国を担います若者の離職率は、委員御指摘のとおり、現在、七五三現象とよく言われますように、非常に高い状況が続いております。  また、非正規雇用の割合が高い、こういった問題につきましては、単に雇用の問題ということにとどまらず、不安定な就労は、結果的に収入が不安定ということで結婚になかなか踏み切れない。そのことが少子化にさらに拍車をかける、こういった社会全体にとっても非常に大きな問題であると考えております。  また、産業面から見てみましても、産業の担い手が育ちませんで、中長期的には地域なり我が国の企業の競争力、生産力の低下が懸念されますことから、雇用の問題等さまざまな問題がありますが、その中でも最優先で取り組むべき課題であるというふうに認識をしております。 72 ◯八谷委員=そういうことでまだまだ厳しい状況にあるわけであります。特に、若者をめぐる問題は非常に厳しいわけでございます。  次に、新規学卒者対策についてお尋ねをいたします。  まず、高校生についてでありますが、昨年春の卒業生の就職内定率は、過去最高ということで九八・四%だったということであります。ことし春の卒業生につきましても、昨年同様高い水準で推移していると思われます。就職率そのものは非常に高い率を示しているわけでございますけれども、県外就職者がそのうち四割を占めているということ。これにつきましてはやはり地元で働きたいという要望が強い中で、四割は県外へ行かざるを得ないといった状況。さらにまた、厚生労働省が昨年十月末に発表した数字によりますと、先ほど、七五三現象と申しましたけれども、高卒では就職後三年以内に離職した者が三五・七%と、いわゆる就職後、短期間のうちに離職をしているといった問題が大きな問題だと考えるわけでございます。こういった高校生をめぐる就職支援につきまして今後どのように対応していくのかお尋ねいたします。 73 ◯西雇用労働課長=高校生をめぐる課題と今後の取り組みについて答弁させていただきます。  委員御指摘のとおり、高校生の内定率こそ、過去十年で最高でありました昨年をやや上回る状況で推移をしております。しかしながら、その中身を見てみますと、まず、求人の中身ですが、求人数は昨年とほぼ同程度の求人が県内の企業から出ておりますが、規模の大きい企業からの求人が大きく減っておりまして、その分を従業員の少ない中小零細の企業がカバーしているという状況が一つあります。  それから、委員も御指摘のように、本県の場合、高校生の約四割は県外に就職をしているということで、せっかく県内で生まれ育った若者の多くが県外の企業に就職しているという問題がございます。  それから、企業からの話で私どもがよく耳にしておりますのは、また、いろんなアンケート調査等の結果を見ますと、最近の若者はコミュニケーション能力が足りない、あるいは積極性が足りない、言われたことはするけれども、それ以上のことはしない、あるいは忍耐力が不足している、こういったことがよく聞かれます。こういったことを課題として認識しているところでございます。  こういったことを踏まえまして、現在も県の教育委員会でありますとか佐賀労働局といった関係のところと連携をしながら取り組んでいるところでありますが、今後は、まず経済団体への要請行動、あるいは求人開拓といった点におきましては、求人が減る傾向にあります規模の大きい企業へ特に強く要請していくということで取り組んでまいりたいと考えております。  それから、できるだけ県内に就職してもらう取り組みが重要でありますので、まず、高校生の進路指導に大きな影響力を持ちます各高校現場の進路指導担当者、こういった方々に県内企業をよく知ってもらう必要がありますので、セミナー等を積極的に開催するなどして先生たちに県内企業を知ってもらう取り組みを積極的に進めていきたいと思います。  それから、藤崎委員の答弁でも申し上げましたが、昨年一月に県内企業を紹介する「さが就活ナビ」というサイトを新たに立ち上げておりますので、こういったものを高校を通じて生徒に広く認知をさせるという取り組みをあわせてやっていきたいと思っております。  それから、企業の最近の若者に対する厳しい評価の声を踏まえまして、現在もやっておりますが、キャリア教育であるとかインターンシップのさらなる充実強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。 74 ◯八谷委員=高校生の問題につきましては、地元で就職をしたいという希望、これは私も地域活動をする中でいろんな方から要望、希望としてあるわけでございますので、ぜひともそういったことに取り組む、そのことがこれからの人口減少社会の中で佐賀県が幾らかでもその歯どめになるといったことにも大きくつながっていくわけでありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  また、大学生についてでありますが、文部科学省の平成二十四年度の学校基本調査によりますと、ことし春の卒業生の正社員として就職した者の割合は六〇%にとどまっているということで、依然として厳しい状況があることとあわせて、就職後三年以内の離職率は、大卒も二八・八%と、就職した学生が三年以内にやめるといった状況もあるわけです。こういった若者に対する卒業後の支援も行政として非常に重要な課題ではないかと思うわけであります。大学生につきましては、基本的には大学自体の取り組みだろうと思いますけれども、こういった現状に鑑みますと、大学生の就職についても行政として何らかの取り組みが必要であると思うわけでありますが、どのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。 75 ◯西雇用労働課長=大学生の就職支援についてお答えいたします。  委員も申されたとおり、大学生については、基本的には高校と違いまして学校の全面的な支援というものがありません。県におきましても、大学については、どちらかというとこれまでは大学の問題ということで、高校生を中心に支援をしてまいりましたが、最近、先ほどのように高校生は非常に高い就職内定率で推移している一方、大学生の就職内定状況は非常に厳しい状況が続いていることから、平成二十三年度ぐらいから本県におきましては大学生の支援にも力を入れていくということで取り組みを強化しているところであります。  具体的には平成二十三年度から佐賀大学のキャンパス内におきまして、大学生、短大生、あるいは専門学校生等含めました学生限定の県内企業の合同説明会といったものも、この間、三回、県独自に開催してきているところであります。 76 ◯八谷委員=平成二十三年度から新たに大学生についても取り組みをされたということでございますが、大学生の就職支援について、今後もぜひとも力を入れていただきたいと思うわけでありますが、どのような課題があると認識しているのか。また、今後、大学生の就職支援についてどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 77 ◯西雇用労働課長=大学生の就職支援に当たります課題と今後の取り組みについてお答えいたします。  委員も先ほど申されたとおり、大学生につきましては、文部科学省の平成二十四年度学校基本調査によりまして、正社員として就職した者は六〇%にとどまっております。さらに、就職後三年以内に離職する者の割合も高い状況で推移しているということがございます。こうした背景には、学生本人、あるいはその保護者等の根強い大手企業志向といったものがありますし、求人とのミスマッチもあろうかと考えております。  一方、先ほどもちょっと申しましたが、大学生は個人で就職活動をするというのが基本になっておりまして、インターネット等の普及によりまして大学生の就職状況というのは、インターネットでエントリーするというのが主流になっております。実情を聞いておりますと、知名度の高い、あるいは安定している大きい企業にエントリーが極端に集中しまして、一方で本県で大半を占める中小企業には大学生の求人を出してもなかなか求職が来ない、あるいは極端な話、応募がないとか、そういった実際の声も県内企業から聞いているところでございます。  こういった状況を踏まえまして、これまでの取り組みをさらに強化し、佐賀大学等の県内の大学との連携を強めて合同会社説明会でありますとか、先ほど申しました「さが就活ナビ」といった県内企業を紹介するツールもつくっておりますので、大学等を通じて学生たちに広く知らしめていくということを通して県内への就職、あるいは県内企業の人材確保といったものにつなげていきたいと考えております。 78 ◯八谷委員=先ほどの答弁の中で、インターネットで調査をしながら就職先を絞る。私も実際に就職段階での面接試験を何度かいたしました。そういう中で求めている人材とは全く違う学生が希望している。「何で調べたのか」と聞くと、「インターネットで調べた」というのが大半であったわけであります。  そういった中で離職率の問題については先ほど課長の答弁があったように、忍耐力のなさはもちろんですが、やはりミスマッチがあるわけでありますので、インターンシップなどを通じた実際の現場での体験といったものをどしどし取り入れていただきたいと思っております。  次に、ハローワーク特区についてお伺いをいたします。  私たちの佐賀県の未来は若者たちにかかっているわけであります。若者が希望とやりがいを持って活躍できる社会に向けて就職支援、正社員化に雇用労働課として積極的に取り組んでいただきたいと思っているわけであります。  昨年十月に全国に先駆けてハローワーク特区に取り組まれてまいりました。十月から三月まで五カ月がたったわけでありますが、これまでの取り組みの実績についてお伺いをいたします。 79 ◯西雇用労働課長=ハローワーク特区のこれまでの実績についてお答えいたします。  特区を開始しました十月から二月末時点までの途中経過になりますが、私ども県が運営しておりますジョブカフェと国が運営しているヤングハローワークを特区開始後、「ユメタネ」という愛称をつけておりますので、以降は「ユメタネ」ということで答弁させていただきます。  この利用者数につきましては五千九百四人となっておりまして、これを昨年同期と比較しますと、昨年が四千九百七人でございましたので、利用者は約一・二倍に増加しております。  そのうち、利用した者の数でございますが、実績は八百三人でございまして、昨年の実績五百六十二人に比べまして約一・四三倍にふえております。  内訳を見てみますと、八百三人のうち四百九十四人が正社員として就職しております。これを昨年同期と比べますと、昨年が三百五十五人でございましたので一・三九倍ということで増加をしているところでございます。  また、特区におきまして新たな取り組みとして、なかなか就職することができない、長期間、求職活動している、あるいは何社も応募したけれども、採用内定をもらえない、こういった若者に対するチーム支援というものも国と連携してやっております。これは現在、支援中の方も含めまして、十月以降、四十一名を対象として支援を行い、そのうち十五名、内訳は正社員八名、正社員以外が七名となっておりますけれども、就職に結びついているという実績となっております。  これらにつきましては、特区において定めております事業計画というものをつくっておりますが、その中で事業目標として位置づけておりまして、利用者数、就職者数、チーム支援の実績、いずれの指標につきましても目標を達成する状況で推移しているところでございます。 80 ◯八谷委員=かなりの成果について回答いただきました。  この実績について、課長はどう評価していますか。 81 ◯西雇用労働課長=この実績の評価でありますが、数こそ上がっております。上がっておりますけれども、まだまだこれで十分とは思っておりません。真の意味で国と県が利用者、県民の立場に立って力を合わせればもっともっと成果は出るであろうと確信しておりますので、現状に甘んじることなく今後もしっかり取り組んでいかねばならないということで、担当職員とも常々そういう話をしながら、今後何をすべきかということを議論しているところでございます。 82 ◯八谷委員=今、「数は多いが」ということでございました。評価の中で十分ではない部分があるということです。  今後の課題についてお伺いをいたします。数字で見ますと一定の成果が出ているようでありますが、国と県が連携して、先ほど言っておりました早期離職の防止といったものの支援、やめた人の支援、あるいは今、佐賀に常設、唐津がサテライトということであります。そういった状況の中でサテライトの拡充など、数的に非常に実績があるということであれば、これは佐賀、唐津に限らず、県内全体で離職者のアフターフォローなど、そういった支援の充実強化が必要であると思いますけれども、これについてどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 83 ◯西雇用労働課長=課題と今後の取り組みについてお答えいたします。  先ほどの評価ということの答弁と少しかぶるところがあるかもしれませんが、現状、数値そのものはそれなりの成果が出ておりますけれども、現状における課題といたしましては、国との連携が十分でないこと。それから、「ユメタネ」そのものの県民の認知度も十分ではないと考えております。  それから、現場で直接相談に当たります相談員の全体の底上げを図る必要がありますし、さらなる資質の向上も課題であると考えております。  それから、委員御指摘の就職後のアフターフォロー、こういったものも若者の早期離職を防止するということから踏み込んで取り組みを強化していく必要があろうと考えております。  こういった考えのもと、今後の取り組みといたしましては、まず、「ユメタネ」の認知度を向上させるということで、新たに来年度、「ユメタネ」のホームページの開設を予定しております。また、ソーシャルネットワークを積極的に活用して情報発信をするということで、ターゲットである若者に直接的に知らしめるような対策を強化していきたいと考えております。  それから、相談員の資質向上でございますが、専門機関が企画、実施します研修に積極的に相談員を派遣するだけでなく、外部講師等を積極的に招聘しました内部研修の充実を図りまして、相談員全体のカウンセリング能力、あるいは接遇といったもののレベルアップを図っていきたいと考えております。  また、委員から御提案がありました就職後のアフターフォローといったものも来年度から大幅に拡充いたしまして、就職前から就職した後のフォローまで総合的な支援の充実を図りたいと考えております。  さらに、ジョブカフェのサテライトでございますが、現在、県内にはハローワークが六カ所ございます。現在、特区でやっておりますハローワーク佐賀、それから、唐津と武雄に週二回、サテライトということでやっておりますが、残りの鳥栖、伊万里、鹿島の三ハローワークにはサテライトは開設しておりません。このため、この三カ所へのサテライト開設に向けまして労働局と協議を行っているところでございます。県としましては、できるだけ早期の開設に向けて進めていきたいと考えております。  こうした取り組みを通しまして、県民の方々から特区を実施してよかった、サービスが向上した、実績も上がった。そして、一人でも多くの若者が正社員として安定した雇用環境に置かれるように、また、生活が安定するように取り組んでいきたいと考えております。 84 ◯八谷委員=今、新たな取り組みについてお聞かせいただきました。県民の方々にとりましては、自宅から通える範囲内での就職、あるいは正社員化といった声が強いわけであります。離職率の問題も、若者については多々問題があるわけでありますが、きめの細かい対応、相談を高校生に限らず、そういった者に対してもこれからも取り組んでいただきたいと思います。  それでは、二点目の問題に入ります。二項目めは緊急経済対策における雇用創出事業についてであります。  県では、日本経済再生に向けた緊急経済対策、これは先ほど申し上げました国の方針で経済対策が取り組まれたわけであります。これに呼応して佐賀県緊急経済対策を策定し、その関連予算を今議会に提出をされておるわけでありますが、これが執行されますと県内経済の活性化が期待されるところであります。  特に、県民生活の安定のためには一人でも多くの安定した雇用を創出することが必要であると考えております。この中で来年度の新規事業として雇用基金事業五億円が予算要求をされておりまして、起業支援型地域雇用創造事業を有効に活用して地域に根差した雇用対策を講ずることも重要であると思います。この事業名をそのまま読めば地域産業の創出という点では大いに期待が持てるわけであります。そもそもこの起業支援型地域雇用創造事業とはどういうものなのか、その内容をお聞かせください。 85 ◯西雇用労働課長=起業支援型地域雇用創造事業の内容についてお答えいたします。  この事業は、雇用基金事業でございますが、県や市町が創業後十年以内の民間企業等に委託することによりまして、失業者を一年間雇っていただきまして、企業の成長を促すということで民間活力による雇用の創出と継続雇用をつくっていこうと、こういう事業でございます。 86 ◯八谷委員=この背景ですね。これまでの分析というか、どういったことの上に立ってこの事業が創設されたのかお伺いいたします。 87 ◯西雇用労働課長=事業創設の背景につきましてお答えいたします。  御案内のとおり、経済のグローバル化でありますとか、競争の激化等を背景としまして、ここ最近、電機関連などの産業分野におきまして、大型の工場閉鎖でありますとか、工場の海外移転等が進んでおりまして、そういったことによって地域の雇用が失われるという事案が相次いでおります。
     こうした厳しい雇用情勢に直面いたしております地域が全国に増加しているわけでございますが、こういったことを踏まえまして安倍政権が打ち出されました経済対策の一つとして、地域に根差した安定的な雇用の受け皿をつくっていこうということで、今回、雇用基金事業の一つとして、これまでにない民間活力による雇用創造事業というこの事業が新たに創設されたというところでございます。 88 ◯八谷委員=民間活力ということでございます。事業の概要について少し詳しく教えてください。これは県や市町が委託するということでありますが、委託先としては、どのような事業者が考えられるのかお聞かせください。 89 ◯西雇用労働課長=事業の委託先についてお答えいたします。  これは、起業後十年以内の企業等ということが条件になっております。また、県内で創業し、本社が県内にある企業等ということになっております。企業等ということの中身は、いわゆる一般企業、それからNPO法人、公益法人、中小企業等組合、こういったものとなっております。  また、こういった法人格を有しない個人事業主でありましても、会計でありますとか労務関係、こういった帳簿類等をきちんと整備しておられます場合には、また、事業を適正に運営できる能力があると判定される場合には個人事業主も対象になるということになってございます。  また、創業後、十年以上を経過していましても、例えば建設業が農業分野、介護分野、福祉分野、そういった異業種分野に新たに進出するという場合には、その異業種進出のために新たな部門を社内に設置しまして、その部門だけは実質的に起業と同等と判断できます場合は、会社そのものは十年以上経過しておりましても、異業種進出から十年以内の場合は対象となるということになっております。 90 ◯八谷委員=事業の実施期間はどのようになっておりますかお伺いします。 91 ◯西雇用労働課長=実施期間についてお答えいたします。  事業は、平成二十五年度から平成二十六年度までとなっております。ただ、実際の事業期間につきましては、最長一年間ということでございますので、平成二十五年度中に開始して、平成二十六年度中のちょうど一年後までということになっております。 92 ◯八谷委員=そういった中で対象となる経費、事業で認められる経費はどのようになっておりますか。 93 ◯西雇用労働課長=対象経費についてお答えいたします。  まず、この事業で新たに失業者を雇用する人件費が当然対象になります。その次に、新たに雇った方をお世話するといいますか、社内研修ということで、それに当たる従業員にかかる人件費。それから、職場外研修、OFF─JTと呼んでおりますけれども、外の研修機関等に派遣するとか参加させる、そういった経費も対象となっております。また、事業経費としまして、旅費、消耗品費、備品、自動車等のリース費、あるいは広報費、印刷費、通信運搬費等の事業を執行するに当たりまして必要となる活動経費も対象となります。 94 ◯八谷委員=期間が一年ということと、それから、今の経費の中で、例えば初期投資、設備投資、異業種分野に進出するときにはそういったものがかなり必要になるのではないかと思いますが、その辺の設備投資関係についてはどのようになりますか。 95 ◯西雇用労働課長=お答えいたします。  これは委託事業ということになりますので、企業等が資産形成になるような、固定資産とか備品等を購入することは認められておりません。そういった場合はリースということで対応していただければ対象となると考えております。 96 ◯八谷委員=それから、対象事業の経費の内訳を聞きましたが、一件当たりの限度額というのはあるんですか。 97 ◯西雇用労働課長=お答えいたします。  一件当たりの限度額というのは設けられておりません。ただ、一つ注意していただきたいのは、雇用基金事業でありまして、総事業費に占める人件費の割合というものは、全体の事業費の二分の一以上という条件がついております。 98 ◯八谷委員=今までにない基金事業だと思います。現段階ではまだ詳しいことはわからないと思いますが、これを来年に向けて実施する上で、現在、問題点としてどのようなことが考えられるのかお聞かせください。 99 ◯西雇用労働課長=お答えいたします。  事業を実施するに当たっての問題点でございますが、これはいかに対象となる企業にこの情報をお知らせして有効に活用してもらうかということが最大のポイントと思っておりまして、事業を実施しようとする企業等の掘り起こしといった仕組みをしっかり事前に構築をして、期間も一年と限られておりますので、短期間のうちにいかに成果を出すかということに取り組んでいく必要があろうかと考えております。 100 ◯八谷委員=問題点として、やはり短期間だということで、予算化して四月以降取り組むわけですが、二カ年という限られた期間の中で果たしてどういったことがやれるか、非常に心配なわけであります。特に、雇用労働サイドでこういったことをされる。話を聞いたときには経済産業省の事業かなと思ったわけですけれども、改めて厚生労働省がこの問題に取り組むということは、並々ならぬ雇用面での取り組みだろうと思うわけであります。今後、この事業を推進する上で、その推進体制として本部内、本部の中では商工課等との結びつきが深いわけでありますけれども、雇用労働サイドとしては、今後、これにどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。 101 ◯西雇用労働課長=事業の推進につきましてお答えいたします。  委員御指摘のとおり、この事業は、これまでの雇用基金事業とは性格を異にしておりまして、いかに民間企業の自主的なやる気を引き出していくかということが鍵であろうと思っております。  したがいまして、これを実施するに当たりましては、そうした地域の個々の企業の実情に最も詳しい、あるいは経営革新に対するアドバイスのノウハウを持っております商工会議所、あるいは商工会、こういったところに事業の周知や掘り起こし、あるいは事業計画の作成の支援、事業委託後のフォロー、こういったものを別途委託をするということで事業をやっていきたいと考えております。  それから、国が示しております条件の一つとしまして、事前に有識者、専門家、例えば中小企業診断士でありますとか、金融機関の経験者の方々の専門家の目から、事業として本当に実現可能性があるのかとか、雇用の継続性は大丈夫かといった審査を行うように条件づけがされております。そういったことから、こういった事前審査業務につきましては、中小企業診断士で組織されております佐賀県中小企業診断協会に委託することを考えております。  こういった仕組みでやるときに、委員御指摘のとおり、雇用労働サイドだけではなかなか厳しい面がございますので、農林水産商工本部内の、商工課、新産業・基礎科学課、雇用労働課の三課によります推進チームを設けまして本部横断的に、雇用労働課の事業という視点ではなくて、農林水産商工本部の事業という認識のもとに連携して推進していきたいと考えております。 102 ◯八谷委員=新規事業で五億円の新しい取り組み。しかも、それが所管がちょっと違うんじゃないかというような取り組みですね。雇用の安定のためにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。そういった意味で横の連携があったわけですが、新しい取り組みの中での部内の意思統一、そういったものについての決意を改めて本部長にお伺いしたいと思います。 103 ◯山口農林水産商工本部長=八谷委員がおっしゃいましたように、事業の仕組みとしては初めてというような新規性を持った事業でございます。課長が答弁しましたように、本部内の関係各課が一丸となって、この事業の成果が発現できますように取り組んでいきたいと思っております。 104 ◯八谷委員=部長のしっかりした答弁をお聞きいたしました。期間が限られた中で、しかも、予算が二カ年ということでございます。そうした中で安定雇用のためにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  続きまして、三項目めは企業誘致の推進についてお伺いをいたします。  佐賀県の今後さらなる発展を目指すためということで、八つの分野に向けた総合計画二〇一一が掲げられ、積極的に取り組むということで、その関連予算が今議会に提案されております。  私も、本県の発展のためには何よりも経済の発展が不可欠であると考えております。中でも地場企業の技術力向上支援や、新しく事業を起こす者への起業支援とあわせて、県外からの企業誘致を積極的に推進することも大切な方策であると考えております。  企業誘致は、雇用の場の創出はもとより、地場企業の新たな取引の機会をつくることにもなるわけであります。地場企業と誘致企業が相まって成長することで本県経済がさらに発展していけばと願っているところであります。  しかしながら、現在の企業動向を見ますと、国内市場の規模縮小、諸外国よりも高い法人税率といったものに加え、さらには、東日本大震災を契機とした電力供給に対する不安など、そういったことから国内の製造拠点の集約、あるいは拠点を海外に移す企業がふえていると聞いておるわけであります。これまで推進してきました県の企業誘致の取り組みも変わらざるを得ない時期に来ているのではないかと考えるわけであります。  そこで、まず、最近の企業誘致の状況についてお伺いをいたします。  リーマンショック以降、企業誘致を取り巻く環境は非常に厳しくなったと思いますが、資料で見ましたところ、平成二十三年度は本県は目標を上回ったと聞いております。これまでどのような取り組みをされたのかお伺いいたします。 105 ◯大野企業立地課長=最近の企業誘致の状況についてお答えいたします。  委員御指摘のとおり、ここ数年の国内企業を取り巻く環境は、いわゆる六重苦と言われる厳しい環境にあったことから、一般的には企業誘致においても厳しい環境でございました。  そのような中で本県における最近三カ年の企業誘致の状況を御紹介しますと、平成二十二年度が誘致件数が十二件、新規地元雇用計画者数が六百九十八人、平成二十三年度が誘致件数が二十件、新規地元雇用計画者数千六百七十七人、平成二十四年度、現在までですが、誘致件数が十二件、新規地元雇用計画者数が八百八十五人となっておりまして、リーマンショック前には及ばないものの、物流業を中心としまして一定の成果を上げることができたと考えております。  以上でございます。 106 ◯八谷委員=今、企業数なり、あるいは雇用者数を伺いました。課長は、一定の成果を上げたとおっしゃいました。この厳しい状況の中でも、これだけの誘致ができたわけでありますが、今後、さらに企業誘致を進めるためには、その受け皿であります工業団地の整備が重要であります。  平成十九年度に分譲が開始されました鳥栖の流通業務団地「グリーン・ロジスティクス・パーク鳥栖」は、平成二十四年度で完売したと聞いておるわけですが、切れ目のない企業誘致を推進するためには次の工業団地を整備する必要があります。  現在、鳥栖地域におきましては、新産業集積エリア鳥栖の整備が進められておりますが、鳥栖市内において工業用地の確保が困難ということでありますと、鳥栖市から神埼市まで含めた県東部地域の比較的広い範囲において、各企業からのオーダーはそれぞれ違う部分があると思いますので、そういったオーダーに対して即戦力となるような工業用地を調査をし、市町と連携した工業用地の確保が必要であるということを考えております。県東部地域の工業用地の確保についてどう取り組むのかお伺いいたします。 107 ◯大野企業立地課長=県東部地区の工業用地の確保についてお答えいたします。  県東部地区におきましては、九州の交通の要衝というすぐれた立地環境から、これまでも堅調に企業が立地してきたところでございます。先ほど委員からもお話がありましたように、平成十八年度に分譲を開始しました鳥栖流通業務団地「グリーン・ロジスティクス・パーク鳥栖」についても、昨年十二月に最後の売買契約が終了しまして完売したところでございます。その結果、県東部地区の工業団地は、残すところ、鳥栖市営団地の約二ヘクタール弱となっておりまして、企業のニーズに十分に応え切れていない状況にあります。  こうしたことから、県では短期的には、県、市町において保有している工業用地のほかにも、民間の工場用物件などの即戦力となる建物とか土地、そういうものの物件の調査や、市町が主体となって行います小規模な工業団地造成の支援などを行い、企業ニーズに合った物件を提供できる取り組みを強化するとともに、長期的には雇用効果や経済効果の大きな大規模企業を誘致する受け皿であります新産業集積エリア鳥栖を早期に分譲できるよう、これは県と鳥栖市の共同事業で進めておりますので、鳥栖市と共同でなるべく早期に進めていきたいと考えております。  企業誘致を推進するに当たっては、その受け皿となる工業団地の確保が何より重要でございまして、企業動向を的確に把握しながら、市町とも連携し、その確保に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 108 ◯八谷委員=先ほど、課長の答弁にありましたように、鳥栖地区を含めた東部地区においては、地の利を生かした企業誘致を図っていただきたい。これについては地元の方も自宅で働きながらということが大いにあるわけでありますので、ぜひとも工業用地の確保について、大規模というばかりではなくて、市町とも連携したきめの細かい即戦力地としての工業用地の確保にぜひとも取り組んでいただきたいと思います。  今後の企業誘致の取り組みでありますが、現在の経済情勢から国の新成長戦略におきます環境・エネルギー分野を初めとした成長産業分野への開拓なり、あるいは東日本大震災を契機といたしました地震に対します企業のリスク分散、そういった面からの企業誘致の中で、やはり状況の変化があるのではないか。今後、そういった変化に対してどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。 109 ◯大野企業立地課長=今後の企業誘致の取り組みについてお答えいたします。  委員からもお話がありましたように、リスク分散の観点、また、海外に製造拠点を移すというふうな経済情勢の中でも、中にはチャイナリスクから逆に国内に製造拠点を移す動きも見受けられるところでございます。  このため、リスク分散や施設の老朽化による工場移転や集約化の情報を得た企業などを中心としまして、本県が全国で地震が一番少ない県であること。また、今後、市場の拡大が見込まれる中国、東南アジアに近い県であること、そういった本県の利点をアピールしながら誘致活動を行っているところでございます。  直近では、アベノミクスと称される国の政策により企業の動きも変わっておりまして、景気回復やデフレ脱却に期待する声も多く、また、企業からの立地ニーズもふえるのではなかろうかと考えております。  企業誘致に当たっては、こうした経済情勢や企業動向をこれまで以上に注視しまして、企業動向、企業ニーズに的確に応えることが何よりも肝要であると考えております。  いずれにしましても、企業誘致は地域の雇用創出や地域経済の活性化、税収の確保を同時に実現できる有効な手段であることから、誘致活動に当たっては、今後ともアンテナを高く掲げ、市町との連携を強化し、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 110 ◯八谷委員=企業動向なり、アンテナを高くということでございます。本部長も東京におられました。そういった人脈をフルに活用して企業誘致にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  その企業誘致ですが、総合計画の中の「雇用」の項目で、「企業立地や成長分野での雇用創出により県民の雇用の場の確保」ということが書いてあります。「今後、若者が正社員として働いていくことを目指す」としっかりと明記されています。この企業立地と雇用についてのこれまでの取り組みについてお伺いいたします。 111 ◯西雇用労働課長=企業誘致と連動しました雇用対策につきましてお答えいたします。  先ほど、企業立地課長から最近の企業誘致の動向を説明いたしましたが、一方で最近の傾向としまして、いわゆる工業団地に入ります大型の製造業であるとか物流以外にも、事務系の、例えばコールセンターでありますとかバックオフィス系、こういった分野の進出や引き合いもふえてきております。特に、こうした事務系の業種の場合、企業との交渉におきまして、勤勉性であるか、求職者そのものの数がどれぐらいあるか、あるいは賃金相場、こういったものが交渉をするに当たってのポイントとなる傾向にあります。こういった意味で、特に我々雇用サイドとのかかわりが重要となってきております。  このため、企業立地課のほうからそういった要請なり連絡、情報等がありましたら、雇用労働課のほうで直ちに関連の情報を収集し、あるいは資料を作成しまして、当該の企業に私どものほうから直接、本県におきます人材の育成、確保の支援策でありますとか、県で実施しております職業訓練の現場に企業の方をお連れしまして現場を直接見ていただくとか、特に昨年度あたりからかなり連携した取り組みの強化を図っているところでございます。 112 ◯八谷委員=これまでの取り組みをお聞きしました。この中で現状で把握している課題をどう認識して、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。 113 ◯西雇用労働課長=課題と今後の取り組みについてお答えいたします。  先ほど申し上げましたが、企業誘致サイド、企業立地課との連携を強めて取り組みを進めているところでございますが、既に県内に進出をされた企業様からは、進出後の人材確保にも協力をしていただきたいという要望も聞いております。また、例えば、機械系であるとか溶接とか、そういった特定の資格を持つ人材を一定の数、誘致交渉の際に希望が出るというようなことも考えられますが、そういった場合には、その企業のための特別の職業訓練を企画しまして人材を養成しますから佐賀県にぜひ来てくださいというようなことも必要であろうかと思いますが、現状においては、まだそういったところまでは連携ができておりません。  したがいまして、来年度は、現時点ではっきり申し上げられるのは、コールセンター対策としまして、平成二十五年度の新規事業としてコールセンターの人材確保を支援します「コールセンターイメージUPで人材確保支援事業」と銘打っておりますが、これを新たに取り組むこととしております。(副委員長、委員長と交代)  それから、雇用労働課でやっております職業訓練に企業誘致向けの特別枠というものを設けまして、先ほど言ったようなオーダーがいつ飛び込んで来ましても柔軟に対応できるように特別なコースを、予算も一定確保して対応できるようにしていきたいと、このように考えております。  いずれにしましても、県内に企業が一つでも多く来ていただくためには、まず、企業立地課のほうでしっかり営業していただいて、人材面の支援があれば我々がしっかりサポートするということでしっかり連携して取り組んでいきたいと、このように考えております。 114 ◯八谷委員=企業誘致について答弁いただきました。工業用地につきましても、その準備については、きめ細かい対応ができるような用地の確保、さらに、今、課長が答弁しましたような、やはり人材について各企業は求められているわけであります。いわゆるかゆいところに手の届くサービスができるかどうか。これは企業誘致の担当課と力を合わせ、また、誘致企業の情報収集についても、そういった面にも対応できますよといったことでしっかりと情報を持ちながら対応していただきたいと思います。  それでは、四項目めの農商工連携による町なか再生についてお尋ねいたします。  まちの顔として栄えた町なかは、どこも衰退をしております。県内はもちろん、全国的にも大きな課題であります。国、県、市町、また、地元の商工団体でも、これまでさまざまな町なか再生に取り組んできたところでありますが、残念ながら、一部の地域を除いて成功事例というものがまだまだ少ない状況にあるわけであります。  午前中の伊東委員のお話のように、まさしく、このまちづくり、町なか再生には万能薬はないわけでございます。これまでも中心市街地活性化法に基づくハード、ソフト両面からの事業に取り組まれてきておりますけれども、私は、本県が誇る農業を地域資源として新しい商品の開発、農業ビジネスの拡大を図る、いわゆる農商工連携により、農業の成長産業化とともに、町なかの再生につなげていくことができないかと考えているわけであります。  しかしながら、現行の農商工連携事業につきましては、平成二十一年度の支援制度発足後、これまで農産加工品等二十四件の取り組みがされてきました。これはまさしく佐賀米「さがびより」、アスパラ、ミカン、茶、ノリ、ワサビ、ゼスプリゴールドキウイ、さまざまな県内の特産品を活用した地域資源の活性化がなされておりますが、あくまでも地域資源の活用に終わっておるわけであります。これが直ちに町なかの再生につながっているものではありません。  そこで、まず、これまでの町なか再生に向けた取り組み状況についてお伺いいたします。 115 ◯池田商工課長=これまでの取り組みにつきましてお答えいたします。  町なかの中核を担ってきました商店街は、空洞化に歯どめがかからず大変厳しい状況が続いておりますが、商店街は商機能だけではなく、近隣に住む人々の生活を支える地域コミュニティーの機能も果たしてきており、今後とも、商店街を活性化し、また、支えていくことが必要だと考えているところでございます。  こうしたことから、県におきましては、町なか再生に向けた取り組みといたしまして、これまで空き店舗への新規出店者の誘致、若手商業者の育成を図るためのチャレンジショップの設置、特色ある商品をアピールする一店逸品運動を初めとしたソフト事業、唐津市と小城市における中心市街地活性化基本計画に基づいたにぎわいづくりのための拠点整備や集客イベントなどに対する支援を行ってきたところでございます。  このうち、平成十六年度から重点的な支援を続けてまいりました唐津市の中央商店街の中町地区におきましては、店舗の外観の統一的な整備でございますとか、空き店舗への新規出店者の誘致を進めたことで、空き店舗率が平成十八年度の一六・七%から平成二十四年度には一二・四%へと改善するなど、少しずつではございますが、効果があらわれているところでございます。  以上でございます。 116 ◯八谷委員=これまでの取り組みでの実績で効果があったということでありますが、現在、この支援制度に取り組んでいるところ、支援をしている状況、現在の状況をお聞かせください。 117 ◯池田商工課長=現在の支援の状況ということでお答えさせていただきます。  平成二十四年度におきましては、引き続きまして商店街における空き店舗対策でございますとか、ソフト事業への支援を行いますとともに、少子化等による商圏の縮小に対応し、販路を県内外に広げていくため、インターネットを活用した販売を支援しております。また、唐津市商店街における共通ポイント、電子マネー導入に向けた研究会の開催、あるいは買い物弱者対策に関する情報交換会の開催のほか、国の緊急経済対策を積極的に活用するため、神埼市の櫛田宮・長崎街道といった地域資源に注目した町なかイベントの採択などにつきまして国に働きかけているところでございます。 118 ◯八谷委員=これまでの取り組みと、それから現在の取り組みについてお伺いいたしました。しかし、目に見えた形でにぎわいづくりができているわけではないと思うわけであります。  そうした中で、私は、先ほど、「農業資源を活用した」と申しましたが、いわゆる農商工連携の考え方を広げて、今、農村部や郊外に立地しております農産物の直売所を町なかの商店街の空き店舗を活用して出店する。これは空き店舗に限らずですけれども、そのまま持ってこれないかということを提案したいと思っております。  現在、県内には百三十五の直売所があり、唐津市の「うまかもん市場」、あるいは大和町の「道の駅大和そよかぜ館」、そういったところは十二億円、五億円といった売り上げがあると聞いております。県内はもちろん、県外からも多くの買い物客を集めるなど、農家と消費者が交流する場としてにぎわっていることは、皆さん、周知のとおりであります。  こうした直売所を商店街の中に設置して農産物や加工品を販売する、これについては農家にとっては販路の拡大と収入の増。そして、何よりも物を買うということについては、コンビニで買える、スーパーで買える、あるいはネットで物を買えるわけでありますけれども、これらは全てしゃべらない買い物であります。やはり対話をして、会話を通じた買い物ができないか。そういったためにも誘致することによって町なかのにぎわい創出ができるだろうと思います。  今、くしくも地域コミュニティーの話がありました。総合計画二〇一一の「はじめに」にしっかりと書いてあります。地域コミュニティー機能の低下が懸念されています。県民、CSO、企業、行政等が担う新しい公共で、自助、共助、公助、この仕組みを変えていくということが第一ページの冒頭に書かれているわけでありまして、まさしく、今、各地で地域のコミュニティーが崩壊をしていると。そういう中で、先ほど伊東委員が言われましたように、ショッピングセンターの閉鎖が出ているわけでありますけれども、何とかそれぞれに、直売所は直売所で農林水産省サイドの事業としては確立しております。商店街は商店街の事業、空き店舗対策事業もあります。それは、それぞれではなくて、もっと踏み込んだ事業、人の交流ができないかと考えているわけです。  私は、昨年の九月議会でも質問いたしましたが、買い物弱者と言われております買い物不自由者対策は、これから人口減少社会の中において、特に高齢化が進んでいく中では大きな問題になるだろうと思います。ほかの都市では徒歩圏マーケットといいますか、歩いて行ける場所にお店ができる。そして、そのことは町なか再生に限らず、いわゆるコンパクトシティーのもともとの推進にも寄与するのではないか。  そういった中ににぎわいを創出するのは、やはり交流人口の増、これは何も観光客とか、そういったものをいきなりするのではなくて、まずは、誰が商店街に買いに来るのかといえば近在の方たちです。その近在の方たちが一緒にまちづくりをしましょうという歩み寄りを農林水産業者のほうから、そして、商店街のほうから、それぞれの事業をそれぞれがやるのではなくて、そういったことでまずは足元、地元を見直す、そこでにぎわいを創出することによって、「あらっ、あそこで何のあいよろうか」ということで、よそからの人が初めてそこに来るわけでありますので、その原点をしっかりと見直したらどうかという気持ちを持っているわけであります。  そういった点から、県では町なか再生にどういうふうに取り組んでいくのかお聞かせください。 119 ◯池田商工課長=まず、空き店舗の活用といった点からお答えいたします。  県では、平成二十五年度におきましては、商店街の空き店舗対策につきまして、平成二十四年度の十件から十六件に拡充したいと考えております。また、商店街による高齢者等の買い物サービスを支援する事業といたしまして、買い物弱者対策事業の創設を行うこととしております。空き店舗が活用されることによりまして、委員御指摘のように、町なかの再生でございますとか、あるいは買い物弱者対策などにつながっていく可能性もあるものと考えているところでございます。  空き店舗対策につきましては、これまで商店街に必要な業種であるのか、あるいは継続的な運営が期待できるのかなどの観点に立ち、商店街、あるいは商工会等が採択をしてきたところでございます。  委員御提案のありました、町なかに直売所を設置したいという声があった場合におきましては、まずは同様の観点から検討を行うこととなると考えているところでございます。 120 ◯八谷委員=今、それぞれ空き店舗対策なり買い物不自由者対策について答弁をいただきました。せんだっても白石町の商店街が商店街交流施設をという記事が新聞に載りました。また、買い物弱者対策ということで、議会よりも早く新聞で発表されていました。これはあくまでも商工サイドの事業です。それぞれにそういった取り組みがありますよということはわかるわけですけれども、空き店舗対策の予算もさることながら、農村パワーを域内に取り込んでお互いの交流をやらなければ、商店街は商店街だけでやっても、誰がここに来るんですかというと、やはり近在の人なんです。では、近在の人が来るためにどうするか。それは農村の持つパワーを入れなければならない。それは縦割りの予算がありますけれども、何とかそれをしていただけないか。例えば、農村部に「直売所をつくりなさい」と言っても、採算性がとれません、販売のノウハウがありませんといったことがありますけれども、片や、商店街でその対策をすると、一体それは誰に買ってもらうためにつくっているのかという視点が欠けているのではないかと私は思うわけであります。  そういった意味で、地場の生鮮品等を地場の人に買いに来てもらう、その中で初めて対話ができる。それは今まさに地域社会の中で求められていることではないでしょうか。ネットで物が買えるけれども、それではやっぱりだめだと思います。  そういった意味で一つの取り組みとして、お互いのパワーを、お互いの予算がそれぞれ縦割りであるのではなくて、パワーの交流をもっともっと推進してはどうかと思うわけであります。  農林水産商工本部では、国と県との特区をやりました。直売所を商店街に出店する、これは商工会と農村部ができないわけはありません。午前中の伊東委員の話の中でも、産学官連携という非常に響きのいい言葉の中で、そういった成功事例が出てきたわけですね。そういったそれぞれの予算は無機質なものです。それを使ってお互いがしっかりとした交流をする。そういった意味で農商工連携による町なか再生に取り組んではどうか、それを一つの例として直売所という形で言いましたが、そういったことをする。それは本部制になって農林水産商工本部という、昔でいえば農林部、水産局、経済部、それが一本化されたわけで、その本部長は人事、予算等一手に握っているわけでありますので、そこを本部制としての力を遺憾なく発揮するためにも、そういった点から取り組んでいただきたいと私は思いますので、最後に本部長の決意を聞いて質問を終わります。 121 ◯山口農林水産商工本部長=大変重い御指摘でございました。農林水産商工本部という組織ができております。先ほど委員から御提案のありましたような町なかの空き店舗等を活用した直売所は一つの事例だと思いますが、そういうふうに生産者が出荷して消費者が購入するだけの場所ではなくて、地域が生産する農産物の産地の情報ですとか調理法等の情報を生産者、農家の方が住民の方に提供する。そういう双方向の、対面販売のよさ、昔はごく普通に行われていましたけれども、そういうことで生産者と消費者が交流する場になり、それが地域活性化につながるということは委員御指摘のとおりだと思います。
     一方、商店街にこうした直売所を設置する場合に、その商店街の中に八百屋さんがあるとちょっとまずいというような、競合店との関係ですとか、さっきもおっしゃいましたように、生産者が直売所をどう運営していくのか、あるいは安定的な出荷、あるいは品ぞろえがどう確保されるのかといったような問題もございます、駐車場の問題もございます。基本的なところでは採算性の問題も十分に検討を行う必要がございますが、我々、農林水産商工本部は、委員が御指摘になったとおり、農産物にしても、加工品にしても、生産の指導から経営の指導、販売の指導、あるいは販路開拓の支援、そういうような川上から川下まで一貫して支援を行うような体制になっております。そういうような体制を縦割りじゃなくて本部が一体となって、一例として御指摘いただきましたような直売所の空き店舗への出店など農水産業と地域商業との総合的な活性化の取り組みにつきましては、我々が持ちます総合的な指導ですとか支援体制を総動員するようなことにしまして、我々、農林水産商工本部に求められているような重要な役割をしっかり果たしていきたいと考えているところでございます。 122 ◯大場委員長=これにて質疑を終了いたします。     ○ 継 続 審 査 123 ◯大場委員長=お諮りいたします。  緊急経済対策、新産業の創出、企業の誘致、中小企業の経営基盤の強化、商業の振興、雇用の安定・創出に関する諸問題の調査に関する件につきましては、重要な問題が残されておりますので、閉会中もなお継続審査に付する必要がある旨を議長に申し出ることにいたしたいと思います。これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 124 ◯大場委員長=異議なしと認めます。よって、そのように決定いたします。  これをもちまして地域経済・雇用対策特別委員会を閉会いたします。  どうも御苦労さまでした。     午後二時二十四分 閉会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...