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  1. 佐賀県議会 2012-12-17
    平成24年有明玄海・環境対策特別委員会 本文 開催日:2012年12月17日


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     午前十時三十二分 開会 ◯土井委員長=おはようございます。ただいまから有明玄海・環境対策特別委員会を開催します。     ○ 議 席 指 定 2 ◯土井委員長=まず、議席の件を議題といたします。  峰委員の議員辞職に伴う議席は配付していますとおりにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 3 ◯土井委員長=御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ○ 会議録署名者指名 4 ◯土井委員長会議録署名者として、古賀善行君、桃崎峰人君江口善紀君、武藤明美君、以上の四人を指名いたします。  海洋環境の保全、水産資源の確保、環境対策に関する諸問題の調査に関する件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  通告に従い、順次発言を許可いたします。 5 ◯江口委員=おはようございます。県民ネットワーク江口善紀でございます。  有明玄海・環境対策特別委員会の中で初めて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、有明海の再生についてということで質問をさせていただきます。  諫早湾干拓事業潮受け堤防排水門開門調査については、判決上の開門期限であります来年の十二月まで、残すところほぼ一年となりました。九州農政局におきましては、平成二十二年から開門調査の実施に向けた環境アセスメントを実施してきたところでございます。そして、この環境アセスメントにつきましても、先月十一月二十二日に最終的な図書であります「評価書」が一カ月間の公告縦覧に供されました。ことしじゅうに全ての手続が終わる見込みとなっております。  このように、環境アセスメントの手続だけを見ると、開門調査の実施に向けて何とか一歩一歩順調に推移しているように思える点もございますが、諫早湾干拓の現地に目を転じますと、長崎県側の依然とした強硬な反対によりまして、開門に伴う被害を防止するための対策工事など、まだほとんど実施されないままの膠着状態が続いております。  こうした中、郡司農林水産大臣は先月十一月四日、環境アセスメント準備書に対する長崎県の意見書への回答を持って長崎県を訪れ、意見交換会の際に、来年十二月に開門調査を実施することや、その工程などが示されました。長崎県側としては、環境アセスメントを準備書からやり直すべきと、非常に強く反発をし、また、議論は依然として平行線に終わっているというふうに伺っているところでございます。  このように、昨年来から政権の農林水産大臣に長崎県、そして佐賀県をぜひとも訪れ、現場の漁民の皆さんの声、あるいは佐賀県の皆さんの声をしっかりと受けとめ、潮受け堤防排水門開門調査にしっかりと取り組んでほしいということで、佐賀県としてもずっと要望し、そして、何とか大臣の来訪というところまではこぎつけたこの七月以降の状況につきまして、るる質問させていただきたいと思います。  このように、開門調査に向けた足どりは実際にはなかなか順調というにはほど遠く、刻一刻と来年十二月の期限までの時間がなくなる中で、本当に開門調査が実施できるのかと私自身不安に思いながら、状況の推移を見守ってきたところでございます。
     また、今期の有明海の状況でございますが、これまでのところ、ノリの養殖に関しましては、順調に推移しているということで聞いておりますが、有明海の漁船漁業の主幹でありますタイラギのヘルメット潜水器漁業ですね、こちらのほうは二〇〇九年が百十二・六トン、二〇一〇年が四十三・一トン、二〇一一年が三・六トンと、おととしは非常に豊漁だったものの、また、一昨年、昨年と減少傾向になり、そして、ことしに関しましてはタイラギの資源状況が極めて悪いということから、七年ぶりに休漁することが決定されたと報道されているところでございます。  このように、有明海の漁場環境は依然として非常に厳しい状況にあります。漁業者の方々は、有明海の再生につながる開門調査の一刻も早い実施を強く望まれております。  また、この件につきましては、佐賀県としても県、そして議会、そして漁業者、関係の皆さん一致団結して、開門調査、それは本当の意味で有明海の再生につながる意味での開門調査の実施を強く求めてきたところでございます。  そこで、そういうことを踏まえた上で今後の対応についてお伺いしたいと思います。  まず、一点目の長崎県側の懸念と農林水産省の対応についてでございます。  開門調査、開門に対する長崎県側の営農上、また漁業上、そして防災上の懸念についてでございますが、現在の状況につきまして、どのような懸念を長崎県側が、現在のところまとめ、持っておられるのか、そこの認識についてまずお尋ねをいたします。 6 ◯宮崎有明海再生自然環境課長=それでは、長崎県側の営農上、漁業上、防災上の懸念についてお答えいたします。  委員御案内のとおり、長崎県側は、開門によりまして、営農、漁業、防災、これらに重大な影響が出るのではないかと心配されているところでございます。営農につきましては、調整池が塩水化することによりまして、農業用水、これが必要な水量を確保できなくなること。あるいは、背後地への塩水浸透によりまして塩害が発生すること。さらに、潮風害が発生すること。漁業につきましては、開門に伴います濁りなどの増加でアサリのへい死、あるいは養殖カキの成育不良が発生すること。防災につきましては、背後地で湛水被害が発生すること、老朽化した既設堤防の補修が必要になることなどについて懸念を示されているところでございます。  以上でございます。 7 ◯江口委員=確かに長崎県側におきましては、漁業者の方、そしてまた、営農されている方、それぞれの立場での懸念があることは重々承知をいたします。また、ボーリングの調査ですとか、そういったものについて反対運動、それは座り込みなどありますけれども、気持ちはわかるんですが、長崎県側も協力するところはぜひ理解して協力してほしいと常々思うところでございます。  もちろん、開門調査に伴っていろんな被害が出るのは、極力防止しながら進めていかなければならないと思いますが、しっかりとした対策を講じた上で、ぜひとも開門調査に向けて一歩一歩進めていただければと、そういう取り組みを期待するところでございます。  次に、今申された懸念に対して被害の防止対策の現状についてお尋ねをいたしますが、長崎県側が懸念する開門に伴う被害を防止するために、農林水産省としていろいろな対策を講じられているということで伺っておりますが、具体的にどのような対策を考えているのか、その点についてお尋ねをいたします。 8 ◯宮崎有明海再生自然環境課長農林水産省の被害の防止対策についてお答えいたします。  長崎県側から示された懸念に対しまして、農林水産省といたしましては、開門をケース三─二で行うことを基本にはしておりますけれども、営農につきましては、農業用水の確保が必要となりますが、やはり地下水案では地元関係者の懸念が強いということから、海水淡水化施設と新たにため池を設置すること。さらに調整池から排水路への塩水浸透を防止するために、鋼製の矢板を打設すること。また、国の責任で飛来塩分の監視、散水体制を整備すること。漁業につきましては、アサリや養殖カキなどに悪影響を及ぼします濁りの拡散を抑制するための汚濁防止膜を設置すること。防災につきましては、調整池の水位を現行と同じ水準で管理を行い、防災上は現在と変わらないとした上で、常時排水ポンプを新設すること。さらに老朽化、劣化した施設堤防を補修すること。また、排水樋門前面のみお筋をしゅんせつすることなどの対策を行う考えを示されているところでございます。  このように、農林水産省では、長崎県側の開門に対する懸念を払拭するためにさまざまな対策を打った上で、さらに追加の対策もお示しされているところでございます。しかしながら、現時点においては、まだ長崎県側の理解を十分に得るというところまでは至っていないという状況でございます。  以上でございます。 9 ◯江口委員=やはり開門調査に際しましては、さまざまな対策や、あるいは被害防止のための施策が必要ということで答弁をいただきました。こういったいろんな手順を着実に講じながら、そして、被害を防止しつつ、そして、実効的な開門調査の手順を一歩一歩進めることが大切だと思います。  では、今御答弁いただきましたいろいろな対策、そして、その状況も踏まえた上で、農林水産省は長崎県側の理解を得なければいけません。もちろん長崎県の考えや、あるいは漁業者、また、営農の方々、それぞれの立場があられると思いますが、そうして長崎県側の理解を得るためということで、今後どういったことに農林水産省は努力をすべきと考えるのか、その点についてお尋ねいたします。 10 ◯宮崎有明海再生自然環境課長農林水産省の長崎県側への対応、どう努力すべきかという質問でございました。  開門するためには、開門に伴います営農、漁業、防災等の影響を回避、軽減するための事前対策が必要となってまいります。これを実施しなければならないということでございます。しかしながら、これらを実施するためには、地元土地の所有者や管理者などの了解を得ていく必要もございます。  一方、そういった状況の中で、長崎県側は開門の問題点や対策の不備を繰り返し指摘するとともに、農林水産省には十分な対策を示さないとして、強硬に開門反対の姿勢を崩していないというところでございます。  こうしたことから、県といたしましては、開門に向けて時間が経過していく中で、農林水産省には本当に時間がないといったことを十分念頭に置いていただきまして、長崎県側の理解と協力が早期に得られるよう、長崎県側の指摘に対してしっかりと対応していくこと、これに最大限の努力をしていただきたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 11 ◯江口委員=お互いの立場は違えども、やはり高裁判決がしっかりとある中で反対の方の意見もそれは確かに理解する部分がありますが、法的に決まっている期限もございます。また、強硬な現場での反対、そういったもので全体の工程におくれが生じてしまったり、来年の十二月という期限までに本当に実効性のある開門調査が実現できるのか、さまざまな反対運動、そういったもののせいで十分な対策を講じないまま結果的に十二月を迎えてしまったり、あるいは本当に十二月の開門調査の期限までに開門調査が始められないという、そういった事態をぜひとも回避するためにも、農林水産省のほうにもしっかりとした対応をとっていただきたいと考えるところでございます。  それでは、続きまして佐賀県の説明についてということで質問をさせていただきたいんですが、郡司大臣が長崎県を訪問された同じ日、十一月四日、それ以前に七月二十八日に大臣は一度佐賀のほうにも訪問され、県の関係者、また、漁業関係者とも意見交換をなさったりして、ぜひとも佐賀県の漁業者の意見や、そして、長崎県の意見、そういったものをしっかりと農林水産大臣には受けとめた上でこの開門調査を進めていただきたいということを常々申し入れしていたところ、やっとことしの七月二十八日、そして、続いて十一月四日に長崎県を郡司大臣が訪問されました。  その十一月四日、佐賀県の担当職員のほうにも、農林水産省として職員の方から郡司大臣が長崎県に対して回答した内容についての説明を聞いたというふうに伺っております。具体的にこの十一月四日の段階での農林水産省から佐賀県への説明、その内容についてどういう内容であったのか、その点についてお尋ねをいたします。 12 ◯宮崎有明海再生自然環境課長農林水産省からの佐賀県への説明内容についてお答えいたします。  委員御案内のとおり、郡司農林水産大臣が十一月四日に長崎県を訪れたその当日、農林水産省職員が、郡司大臣が長崎県に対して回答した内容を佐賀県にも説明するということで来県されたところでございます。  具体的内容でございます。農林水産省からは、開門方法について、環境アセスメントで示したケース三─二以外の方法で開門した場合、営農上、漁業上、防災上の影響が大きいということから、ケース三─二で五年間開門すること以外の方法は考えていないことを農林水産省の基本的な考え方とした上で、開門に向けたスケジュールにつきましては、農業用水の代替水源としての海水淡水化案の工事は十四カ月が必要であると。一月以降入札手続等を行い、その後早急に工事を開始し、平成二十五年十二月、これが開門期限でございますけれども、平成二十五年十二月から畑地に水を供給と。その後、水田につきましては、平成二十六年五月、これで十四カ月ということになりますけれども、平成二十六年五月に水田については水の供給を開始する予定であるということ。  それから、補償につきましては、開門に伴い、万が一開門と直接的に因果関係のある被害が生じた場合には、国が被害に応じた補償を行うこと。  さらに漁業上の対策といたしまして、濁り対策として汚濁防止膜を排水門の前面に設置すること。あるいは、アサリ漁などに影響を及ぼす可能性があるため、慎重な上に慎重を重ねた開門操作を行うこと。さらに、濁りなどの異常がある場合などにおきましては、直ちに開門操作を中断することなどの説明を受けたところでございます。  以上でございます。 13 ◯江口委員開門調査をするための準備、あるいは調査を始めてからの被害の懸念、そういうもの、あらゆることについての対策について内容が示されたということでございますが、私個人的には、農業用水の確保のための淡水化の施設でございますが、やはり農業にしても漁業にしても、自然の環境に準じて、人間と協働しながら、その中での農業の営みであり、漁業であると思います。その中で、農業用水を機械で、淡水化施設でつくり続けていくというのは、これは果たして本当にそういうことで未来永劫続くのか、非常に懸念を持っているところでございます。もともと人工的につくった諫早湾干拓事業、その中での営農や漁業の影響について、また人工的なもので補完をし続けていくというのは、私は個人的には非常に懸念を持っているところですが、ぜひとも自然のサイクルにしっかりとマッチした形で農業も漁業も営んでいくべきだと、個人的にはそういうふうな感想を持っております。  さて、そういった中で、農林水産省に対して佐賀県としていろいろな何点かのこういった状況を踏まえた上で質問書を提出しているということで伺っておりますが、県のほうから農林水産省への質問書、具体的にどのようなことを質問しているのか、そこについてお尋ねをいたします。 14 ◯宮崎有明海再生自然環境課長=具体的に農林水産省に対する質問書の内容についてお答えします。  その前に、まず先ほど説明を受けた十一月四日の佐賀県側の受けとめについて先にお答えさせていただきたいと思います。  先ほど説明いたしました内容につきましては、やはり開門方法開門開始の時期については、農林水産省におきましては、佐賀県を初め関係者と話し合っていくと、そういった考えを示されておられました。そういったことにかかわらず、十分な話し合いを行わないまま、一方的に五年間の開門方法開門開始時期まで言及されたことは、佐賀県側としては納得できるものではないというふうに考えております。  そうしたことから、直ちに説明を受けた後、県、関係市町及び有明海漁協で構成します佐賀県関係者連絡会で協議を行いました。そして、暫定的な水源対策などを行うことによって開門時期を前倒しできないか、そういったような質問書を農林水産省に提出し、回答を求めているところでございます。  その具体的な内容でございます。大きく三項目ございます。具体的には、開門開始時期の前倒しについてということでございます。開門開始時期を前倒しするために、複数の水源の組み合わせなどによる暫定的な水源対策は考えられないのか。これはどういった意味かと申しますと、海水淡水化施設だけの完成、その完成だけに頼ることなく、いろんな水源も組み合わせて、本格的な海水淡水化施設が完成する前に水の手当ては本当にできないのか、そういったことをお尋ねしております。  二点目が、やはり開門方法についてということでございまして、ケース三─二の開門方法だけで諫早湾干拓事業による有明海の影響を検証し、有明海の再生につながる調査になると考えているのかといったことをお尋ねしています。  さらに三点目で、開門の実現についてでございます。いつまでに長崎県側の理解を得る必要があると考えておられるのか。長崎県側の理解が得られずに、開門時期までに開門できない事態が訪れた場合、農林水産省は十二月に向けてどのように対応するのかと、そういった質問を行っているところでございます。  以上でございます。 15 ◯江口委員=確かに開門方法三─二、まさに決まったようなふうで佐賀県としても納得できない。また、高裁の判決受け入れ時に際しましても、ただ単に開放と、非常に言葉のほうも少ない表現になっておりますが、私たちが望むのはあくまで有明海の真の再生につながるような開門調査というところでございます。農林水産省という霞が関の官僚のその組織に対して、有明海の再生につながるというその一言があるかないか、これはもう非常に大きな意味合いがあると思いますので、ぜひともこのところ、農林水産省にも理解をしてほしいと思いますし、本当にそうあるべき開門調査を実現するべきだと思います。  では、それに加えまして、農林水産省に対して、また別の方策で、技術的なことについても質問を投げかけているというふうに伺っております。この質問書とは別に、どのような技術的な観点からの質問なのか、具体的にどのような内容なのか、その点についてお尋ねをいたします。 16 ◯宮崎有明海再生自然環境課長農林水産省に対する技術的な質問についてお答えいたします。  委員御案内のとおり、農林水産省の説明だけでは開門開始時期の前倒しが本当にできないのかといった疑問がございました。そういったことから、農林水産省に提出した質問書とは別に、九州農政局に対しまして技術的な点について質問を行っているところでございます。  主な質問項目を御紹介いたしますと、海水淡水化施設排水ポンプなどの工事における、各地区の各施設ごとの最短の工期が本当にどうなのかということを聞いております。といいますのも、説明の中でありましたのが、十二月に開門するとすればこういった工程の目安になりますということでありましたので、本当に最短ではどうなのですかということを聞いております。  さらに、開門開始前から、その海水淡水化施設を完成する前の話でございます。中小河川の余剰水を今回計画されているため池、これはため池といいますのは、海水淡水化施設に伴って新たにため池を設けるという話でございました。そういったものが早くできれば、今現在の中小河川の余剰水をためることができないのかと、そういったこと。  さらには、潮遊池といいまして、潮遊池といいますのは農地の塩害を防ぐために、その堤防の内側に堤防に沿って設けておりますけれども、現在はそこから農業用水として使っておりますが、今回、調整池が海水化されると、これが塩水化するとかいうのを長崎県が心配されているところでございます。  いずれにしても、潮遊池に塩水が入ってくるのか来ないのかということがございますけれども、入ってくるにしても調整池の海水よりも塩水が薄い状態だと思います。そういったことを、直接調整池の水をくみ上げて淡水施設で淡水化するよりも、もっと塩水が薄い潮遊池の水を使うことによって、海水淡水化施設の規模縮小に伴いまして、工期が短縮されたり、あるいは工事の費用、そういったものが軽減できるんじゃないかと、そういった可能性があるのではないですかといったようなこと。  さらには、我々、やはりなかなか農地の現場、その諫干の中の現状、一体どれくらい水が必要なのかというのも具体的には我々はなかなかわからない部分がございますので、地区別、季節別の農作物の作付面積でありますとか、農業用水実績用水量、あるいは計画水量、こういったものがどういったふうになっているのか。実際、どういった水量が必要なのかという参考といいますか、そういう目安にしたいと思いまして、そういった質問を投げかけているというところでございます。  以上でございます。 17 ◯江口委員=そうなんですね。来年十二月の開門に向けて、いろんな対策の工事など、工期が本当に間に合うのか。また、農業用水の確保にしてもいろんな方策があると思うんです。本当に反対、反対の一点張りだけではなく、本当に長崎県への協力を求めたいと、ぜひ理解していただきたいと思うんですね。そして、ぜひこのようなこと、本当に営農上、どれぐらいの作付面積ですとか、どれぐらい農業用水が必要なのか、そういった基本的なことをしっかり情報公開をしていただかないと、対策工事などがどれぐらいの規模で必要なのか、そういったものが客観的に判断をできないと私も思うんです。  いつもこういう公共工事や問題について、なかなか核心の部分で情報公開なされていないと、よく行政の間でありますが、長崎県側としてもぜひ国の指導のもとでそういった諸元をしっかりと公表していただき、本当に農業用水のことや、あるいは開門調査に伴う準備、そして予想される、想定される被害の、またその備えという点で、本当に公表すべきところはしっかりと公表して、農林水産省、長崎県、佐賀県、協議の上、ぜひ合意できる対策というふうに一歩一歩進められればと、本当に心から願う次第です。  それでは、そういった対策や技術的なことも踏まえた上で、今後の取り組みについてお尋ねをいたしますが、いよいよ開門期限でございます来年十二月まで、あと一年となった今、漁業者の方々が望む、我々佐賀県、県民としても望む真の有明海の再生に向けての開門調査の実現に向けて、県として農林水産省に提出している質問への対応も含めて、今後、基本的にどのように取り組んでいくのか、その姿勢についてお尋ねいたします。 18 ◯宮崎有明海再生自然環境課長=有明海再生に向けた今後の取り組みについてお答えいたします。  まず、技術的な質問についてお尋ねございました。  まずは、その技術的な質問につきまして、現在、県の関係課とか機関、そういったものの助言などをいただきながら、九州農政局とも事務的にやりとりを行っているという段階でございます。  いずれにいたしましても、開門調査に関する対応につきましては、県だけでなく、県、有明海沿岸関係市町及び有明海漁協で構成いたします佐賀県関係者連絡会で取り組んできたところでございます。委員御案内の質問書への対応を含めまして、引き続き佐賀県関係者連絡会で協議しながらしっかり対応してまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。 19 ◯江口委員=今年度は農林水産大臣の佐賀県訪問、そういったことから、また直接漁業者、また佐賀県の関係者の方から農林水産大臣に直接現場の声を届け、そしてやっと環境アセスメント、そして具体的な工程まで一歩一歩と、あと一歩のところというふうに感じております。昨日、国政選挙が行われましたが、これからまた中央、国政の中でどのように状況が変わってくるのか、まだまだ注視していく必要があると思います。場合によっては農林水産大臣がかわったりということも想定をされると思います。今後、どういった方が農林水産大臣に起用されるのか、そういった意味で非常に私自身も大変注目をしております。  この諫早湾干拓事業開門調査について、国として、これから政府としてどのように方策がとられるのか。二年前、当時の政府の判断で高裁判決が上告をされない、そのまま受け入れられて開門調査をするということが決まってから二年たちました。そして、開門調査をしなければいけないその期限まで残すところあと一年となった中で、これからの農林水産省の対応、政府の方針がどのようにとられるのか、非常に注目をしているところでございますが、本部長におかれましては、この今後の開門調査、有明海の再生に向けてどのようにお考えを持っておられるのか、最後にお尋ねしたいと思います。 20 ◯古谷くらし環境本部長=今後の佐賀県としての対応について、私のほうからその基本的な考え方をということだったろうと思います。  県といたしましては、今回、選挙がございましたけれども、政権の枠組みが変わっても、福岡高裁の控訴審判決の確定によって、国は来年十二月までに開門する義務を負っております。その義務を免れるということにはならないという認識でございます。その上で、農林水産大臣が仮に交代するということであれば、新大臣に対しても開門調査に対する佐賀県側の考えというものを十分に理解していただく必要があるというふうに考えております。  課長も申しましたけれども、開門調査の件に関する対応につきましては、これまで佐賀県側としては、県だけではなくて、沿岸の関係の市町、それから有明海漁協と一緒になって構成しております佐賀県関係者連絡会のほうで対応してまいりました。取り組んでまいりましたので、この佐賀県関係者連絡会のメンバーとも協議しながら対応してまいりたいというふうに基本的には考えております。  いずれにしても、残された時間が少なくなっていく中でございます。国には一日も早く開門までの道筋を示すように引き続き求めてまいりますとともに、有明海の再生につながる、まさに委員おっしゃったように再生につながる、そういった開門調査の早期実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。  以上でございます。 21 ◯武藤委員=おはようございます。日本共産党の武藤明美でございます。  まず、有明海の再生について質問していきたいと思います。  有明海四県の漁業者の人たちが本当に一刻も早く諫早干拓の水門をあけてほしいと願っているのは、もう本当にあと一年というふうに期限が迫っている中で、本当にもう待ったなしというお気持ち、切実だと思っております。国は来年十二月に形式的にあければ済むかのような気分でいるんではないか。もう先ほどから言われておりますけれども、開門の方法がケース三─二であるということから見ても、そういうふうに思っております。  佐賀県を初めとする有明海沿岸の漁民や住民の願いの切実さは、もう少しも受けとめていないのではないかという思いで本当に歯がゆい気持ちで今日まで過ごしているところでございますけれども、本当に遅々とした状態で、長崎県側の言い分のみしか聞かれていないのではないかという思いです。  諫早湾締め切りから十五年近くになってまいりましたけれども、ギロチンと呼ばれる締め切りから以降、潮の流れが遅くなったり、浮泥の堆積、貧酸素水塊が頻発しておりまして、ことしはタイラギ漁もできないと、潜水器業界の漁業者の方たちで決定されたとの本当に残念な報道もあっております。県民どなたもが有明海の状況に心を痛め、一刻も早い開門調査をと求めています。  福岡高裁の判決に従うというふうに当時の菅総理が発表されましてから、あれは二〇一〇年の十二月でした。それからもう二年たちまして、あと残された期間一年という状況になっておりますけれども、当時の菅総理の英断は歓迎すべきものではありましたけれども、歴代農林水産大臣がころころかわられるという不安定な民主党政権の農林水産行政のあり方の中で、今日まで引き延ばされてきたというふうに思っております。本当に一刻も猶予がない、そういう状況に追い込まれていく中で、漁業者の方たちも御苦労を重ねながら、きょうまで至っているという現状です。  県当局としても、本当に一刻も早い開門をと願っておられると思いますが、まず、今漁期の本県の有明海での漁業がどういう状況なのか、そこからお聞きしていきたいと思います。 22 ◯柴山水産課長=今漁期の有明海漁業の現状についてお答えいたします。  まず、今年度のノリ養殖でございますが、十月十六日から種つけが開始されてスタートしましたが、その後、水温や栄養塩などの海況も安定しており、今のところ、比較的順調に推移をしているところでございます。  これまで二回の入札会が開催されておりますが、その結果を見ますと、販売枚数では四億一千万枚、これは平年の九九%と、ほぼ平年並みでございます。平均単価が十三・六円、これは平年の一〇五%と若干上回っております。販売金額につきましても約五十五億円と、平年の一〇四%の数字となってございます。  次に、今、委員御指摘のありましたタイラギ漁につきましては、今期の漁獲の対象であります平成二十二年の夏に生まれましたタイラギが、昨年の夏の貧酸素の影響などによりまして、衰弱し、ことしの六月までには残念ながらほとんどがへい死しております。こういったことから、今期は休漁を余儀なくされるという非常に大変厳しい結果となったところでございます。  また、貝類で非常に重要なサルボウでございますが、これにつきましては、まだ正式な統計はございませんが、漁協等からの聞き取りをもとに有明水産振興センターのほうで推定したところでございますが、今年度の漁獲量は約三千トンとなっておりまして、このサルボウは年により非常にばらつきが多いんですが、ここ十年ぐらい平均しますと、大体五千トンぐらいが平年値でございまして、それと比べると少ない状況になってございます。  さらに、ガザミにつきましては、まだ漁期の途中でございますが、聞き取りによれば、夏は一日一隻当たり三十キロぐらいと、例年の三倍以上の水揚げがあったと聞いております。また、最近は漁獲される尾数は多いんですが、小型の雄が中心であって、水揚げ漁は昨年よりも少ないという状況になっているというところでございます。  以上でございます。 23 ◯武藤委員=魚介類は自然の流れの中で発生していくものですので、例年より少ないとか、あるいはタイラギのように本当にへい死状態ということではっきりしています。ノリの場合は養殖ですので、漁業者の方たちの御苦労が、本当に毎日毎日の努力の中でこういった高い売り上げになっていったりしているわけですよね。本当に養殖という点では漁業者の方たちが寒い海に出て、毎日の管理をしっかりされているからこそ、こういう形、成績として出てきてはいますけれども、有明海の状況が悪化していることを魚介類が見事に示しているというふうに今の御答弁聞きながら思ってお聞きしておりました。  そういう中で、やはり心配だったのが、ノリが始まってすぐの十月十六日、十七日、十八日ですね。三日間連続して三百万トンの汚濁水が調整池から排水されています。北部排水門から排水されたということで、本来ならば、北部排水門よりも、ノリ漁期はなるべく南部排水門のほうからということになっていたにもかかわらず、こういったことがされているということを、もう本当にどうしてこんなことになってしまったんだろうかという思いで怒りの気持ちを持って発表を見ていたわけです。心配していた漁業者の方たちにもお話をお聞きすると、本当にこの三日間、もうどうしようかと思ったというふうなこともおっしゃっていました。その悪影響が出るのではないかという危機感を持っていたわけです。そこで、今漁期のノリ期における諫早湾干拓の調整池からの排水状況、十月、十一月、そして十二月というふうにありますけれども、それがどのようになっているかお聞きしたいと思います。 24 ◯宮崎有明海再生自然環境課長=今漁期の排水状況についてお答えいたします。  今漁期は、これまでのところ、これは十月一日から十二月八日までの実績ベースでお答えいたします。  北部排水門から延べ十四回、合計二千百万トン、これを一回当たりに直しますと百五十万トンになります。南部排水門からは延べ十五回、合計二千七百万トン、これを一回当たりに直しますと百七十七万トンがそれぞれ調整池から排水されているという状況でございます。  以上でございます。 25 ◯武藤委員=今、御答弁いただきましたけど、本当に合わせて四千百五十七万トン、本当にこれだけの量が排水されているということをお聞きいたしまして、やっぱり漁業者の方たちの状況が心配を持っておられるということや、ノリ業者の方たちが管理を本当に身を削ってでもしておられるという御苦労がしのばれる内容になっていると思います。  これらの中で、赤潮の発生だとか、プランクトンの発生などについてどうなんでしょうか。お聞きしたいと思います。 26 ◯柴山水産課長=諫早湾干拓の調整池からの排水の影響ということでございますが、赤潮の発生を含めて、まず、漁業の現状のほうからお話ししますと、先ほどお話ししましたように、ノリ養殖につきましては、委員御指摘ありましたように、漁業者の頑張りということもありまして、何とか平年並みの生産状況で推移をしております。  ただ、先ほど委員からも御指摘ありましたように、赤潮、貧酸素、特に貧酸素状況、ここ数年続いておりまして、そういう影響もありまして、残念ながらタイラギについては、稚貝がうまく育ってもなかなか生産に結びつかないと、そういう状況が出てございます。  まず、赤潮につきましては、御承知のとおり、特に西部地区で冬の低水温の時期からアストリオネラという赤潮が出て、西部のノリの生産者の皆さんは非常に厳しい状況が続いているという、そういう現状もございます。そういったことから、ノリだけ見ますと、ことしは何とかという話もありますが、漁業者の皆さんの中からは、調整池からの排水がやっぱり赤潮の発生と関係があるのではないかとか、あるいは潮の流れの速さや方向が変わっているのではないかという声も聞かれているところでございます。  以上でございます。 27 ◯武藤委員=だから、一刻も早い開門を心から願っているところでございます。  郡司大臣は十一月四日に長崎県に出向いて、報告されたということなんですけれども、来年の十二月に開門の開始をするということですよね。開始をするということは、十二月中に少しずつでもあけ始めればいいという考え方のようなんですね。汚濁水、漁民の方たちは毒水というふうに呼んでいますけど、あの汚濁水が流れ出るということがもう毎日のように続いていくわけです。これがもう本当にノリ漁期の最盛期にこんなことをされるならば、漁業者の方たちの納得を得られるのだろうかと、絶対得られるはずはないと思うんですよね。それはもう本当に最悪のパターンだと思っております。  佐賀県当局が前倒しはできないのかというふうに意向を伝えておられますけれども、本当に私自身も最悪のパターンを避けて、前倒ししていくべきだと思うんですね。本当にこの十二月にあけ始めるということについては、私自身納得できないことですし、県当局としても改めてどのようなお気持ちなのか、十二月にあけるということそのもの、それについてお考えをお聞きしておきたいと思います。 28 ◯宮崎有明海再生自然環境課長農林水産省が十二月に開門開始するということについて県はどう考えるかという質問でございましたが、まず、国は十二月に開始するということを決定したわけではないということはお断りがあっています。ただ、しかしながら、長崎県への説明とか見ますと、もう十二月は前提というふうに我々は受け取っております。  もちろん我々も、先ほども江口委員にもお答えしましたけども、そういった話を受けて、これは長崎県への説明ではございましたけれども、我々もそういった説明がされたということを知りましたので、直ちに、もう翌日でございました、有明海漁協の組合長のところに行きまして、今後どういった対応をしたらいいのかという御相談もしました。そういった中で、やはり佐賀県側、佐賀県含めた漁業者、市町も一緒でございます。そして、議会の先生方も一緒だと思いますけども、やはり十二月開門というのは受け入れがたいということを我々も思っておりますし、佐賀県関係者連絡会でもそういうふうな確認をしております。  さらに、具体的に有明海漁協のほうにも再度確認をした中で、やはりノリ漁期を避けた前倒しが絶対必要であるということをおっしゃいました。  さらに、その前倒しをする中で自分たちが一番ベストと考えているのは五月、六月であるということを確認できましたので、佐賀県側といたしましても、漁業者のそういった声をしっかり受けとめまして、これからも引き続き国に対してそういったことを諦めることなく、そういう可能性を求めて実現できるように、最大限の努力をしてまいりたいというふうに思っております。
     以上でございます。 29 ◯武藤委員=私が九月議会で、文教厚生常任委員会だったと思うんですが、そこで質問したときに、開門方法や開門期間など九州農政局が漁業者とも話し合う場をつくるというふうなことで御答弁があっておりました。それが実際に行われたのかどうなのか、行われたとすれば、いつ行われたのか、そのことをお聞きしたいと思います。 30 ◯宮崎有明海再生自然環境課長=県内漁業関係者九州農政局との話し合いについてお答えいたします。  まず、九州農政局と県内漁業者の話し合いにつきましては、環境アセスメント評価書が公表されました八月二十一日以降で考えますと、まず、八月三十一日と九月二十八日に行われております。  まず、八月三十一日におきましては、九州農政局から環境アセスメント評価書の内容について説明がございまして、有明海漁協組合長、それから、有明海漁協の各支所の運営委員長、あるいは有明海沿岸市町及び佐賀県が参加した形になっております。  また、九月二十八日におきまして、これ委員から質問があった後、具体的に実現したものでございます。もうその前から実は九州農政局に対しまして、もっと関係者に対して説明を行っていただきたいという申し入れをしておりました。それが具体的に実現したものでございまして、現在の排水開門の操作状況や開門調査時の操作方法などにつきまして、まずは説明を受けております。さらに、一方的な説明だけじゃなくて、お互いに意見をフリーに意見を交わせるような意見交換会をその場で行っております。参加したのは有明海漁協の本所、支所の職員及び佐賀県の職員が参加したということでございます。  以上でございます。 31 ◯武藤委員=その話し合いの中で、漁業者側の方たちは九州農政局の説明を受けてどういう意見を出されたのかお聞きしたいと思います。 32 ◯宮崎有明海再生自然環境課長漁業関係者の意見についてお答えいたします。  二回の話し合いにおきまして、漁業関係者から開門調査のあり方、開門時期の前倒しなどについて意見が出されたところでございます。  具体的には、有明海の再生につながる開門調査を実施すること。さらに、十二月はやはりノリ漁期のため、開門は五月、六月の時期に前倒しをする必要があるということ。そのためにも、開門に向けた工程表を早く公表していただきたいということ。それから、開門開始当初は、やはり漁業に影響がある可能性もございますので、漁業に影響のない方法で開門をすることなどの意見が出されたところでございます。  以上でございます。 33 ◯武藤委員=本当に漁業に影響のない方法での開門ということであれば、五月、六月がベターだというふうに思うわけですね。ところが、国はそういう意見を聞きながらも、長崎県側には十二月に開門を開始するという言い方をしているという点、もう本当に納得ができない状況です。長崎県側の意見のほうしか聞いていないじゃないかというようなことを思うわけですけれども、漁業者の方たちの意見を聞いて、県はどのように思っておられますか。 34 ◯宮崎有明海再生自然環境課長=漁業者の声を聞いて県はどういうふうに思うのかという質問でございました。  先ほどの答弁と一部ダブるところもございますけれども、やはり県といたしましては、漁業関係者は有明海の現在の厳しい状況、そういったことから、やはり開門するからには有明海再生につながる開門であるべきだと、そういった調査であるべきだということ、その実施を求めているということ。それから、やはり開門開始時期については十二月ではなく、五月、六月に前倒しをしていただきたいということを求めていること。そういったことを改めて実感したわけでございます。その実現に向けて、これは漁業者だけの問題ではなく、県、関係市町も含めまして、佐賀県関係者が一体となって努力していく必要があるというふうに改めて認識したというところでございます。  以上でございます。 35 ◯武藤委員=長崎県側が開門に強硬に反対しているという中の理由に、営農の面、漁業の面、防災の面というふうにあると思うんですけれども、それらのことについて、佐賀県としても積極的な提言を国に上げていくべきだというふうに思うんですよね。  その営農、漁業、防災について、どういう形で県は長崎県の不安に反論する形で国に提言していくのか、それについてお聞きしたいと思います。 36 ◯宮崎有明海再生自然環境課長=長崎県側が懸念を持っておられます防災対策等に関して県からどういった提案をするのかという話でございました。  まず、長崎県側の懸念するところがどういったことにあるのかということから御説明いたしますと、長崎県側は開門によりまして、やはり営農、漁業、防災、これらに重大な影響が出るというようなことを心配されております。  さらに、利水につきましては、調整池が塩水化することに伴いまして、営農に係る農業用水が本当に確実に必要な量を確保できるのかと、そういった懸念を示されているところでございます。  さらに、防災につきましては、背後地での湛水被害が発生すること。あるいは、老朽化した施設堤防の安全性の確認が不十分であること。そういったことについて懸念を示されているところでございます。  こういった長崎県の懸念に対しまして、農林水産省からはこれまでの対策の拡充、あるいは新たな対策を追加されております。  具体的には、農業用水の確保のための海水淡水化施設と新たにため池を設置すること。あるいは、調整池から排水路への塩水の浸透を防止するための鋼製の矢板を打設すること。あるいは、国の責任で飛来塩分の監視、散水体制を整備すること。あるいは、今回配置予定の排水ポンプの規模をさらに見直すと、そういったこと。あるいは、排水樋門前面のみお筋をしゅんせつすること。さらに、そういった対策を打ってもなお万が一被害が出た場合、開門と直接的に因果関係のある被害につきましては、国が被害に応じて補償を行うことということで、長崎県側の懸念の払拭に努めているというふうに受けとめております。  しかしながら、こういった提案を示しても、長崎県側は反対の姿勢を崩していないところでございます。  委員のほうからは、佐賀県側から提案したらどうかという話もございました。我々が話を伺っているところによりますと、こういった農林水産省の対策に対して、長崎県側はその対策は絶対だめだよというところよりも対策が不十分であるということの意見を申されております。例えば、先ほどの堤防の補修とか、箇所数が足りないのではないかとか、そういったふうに対策そのものに反対といいますか、対策が不十分、足りないということをおっしゃっています。  これに対しまして、農林水産省は、これまでもずっとその声を受けまして、いろんな対策を追加してきております。今回の追加した形でも、長崎県側は納得されていません。それに対して農林水産省は、さらに対策が不十分な点については、地元の声を聞いて、地元からこういったものが足りませんよとか不十分ですよという声があれば、さらに対策を見直すということの考えをきちんとお示しされておりますので、それは国のほうでしっかりとその声を聞いて対応していただきたいというふうに考えております。  ただ、佐賀県側としては、やっぱり佐賀県側としてきちっと言うべきものは言い、先ほど申しました農業用水の確保について、暫定的な水源対策などを行って本当に前倒しできないのかと、そういった提案をしっかりやっていきたいというふうに考えておりますので、国のほうはしっかり地元の声を聞きながら対応していただきたい。佐賀県にとっては、やはりそういった漁業者が求めるような開門開始時期・方法でやれるのかどうかというのを、しっかり国のほうに提案してまいりたいというふうに思っているところでございます。  以上でございます。 37 ◯武藤委員=佐賀県側の提案は、現実的な提案だと思うんですね。それを本当にやりつつ開門を急ぐというふうにしないと、より被害が佐賀県有明海側の漁業に出てくるということを思いますので、長崎県側の被害だけが中心ではありません。有明海の漁業者の方たちのこれまでの苦しみ、それを思うなら、いつまでも長崎県の言い分だけ聞いて時間稼ぎをされるというようなことはあってはならないと思いますので、より現実的な提案を佐賀県側がしていく、そのことが一刻も早い開門調査につながるというふうに思いますので、ぜひそれはさらにお願いしておきたいと思います。  どなたが農林水産大臣になられるかまだわかりませんが、新しい農林水産大臣に本当に十分にわかってもらう、そのことを努力していく必要もまた出てきたと思うんですね。本当に不安定な政権の中で、また政権が交代するというような事態にも直面しておりますので、新たな農林水産大臣には本当に有明海の問題をしっかり受けとめて、積極的に佐賀県やほかの有明海沿岸の声を聞いていただくということで佐賀県の役割はますます重要だと思っておりますので、お願いしておきたいと思います。  先ほどから調整池の水が塩水化すると農業用水としては心配だという声もお聞きしておりますけれども、しかし、現実的には調整池の水は農業用水としては使われていないわけですよ。アオコも発生している中で、何で農業用水に使えるでしょうか。現実的には本明川からの水で農業用水を賄っているという状態なんですね。  しかも、潮風水害の発生が心配だというようなことも長崎県側の意見としてあるようですけど、台風の時期、いろんな風向きがありまして、佐賀県だって台風の時期に、たまには本当にひどい塩害を受けるというようなこともありますし、これは沿岸農業をされているところはどこでも似たようなことは自然現象の中で起こってくるわけで、そのときの対策をどうするかということは、そのときにまた考えていけばいいわけで、今のような長崎県側の懸念に対して、それでどうするかということで時間ばかりが費やされるというのは私は納得いかないことです。  それで、ぜひこの対策が終わらなければ開門できないというようなことではなくて、徐々に一つずつでも解決しながら、やはり開門は五月、六月にやっていくというようなことで、私たち佐賀県を中心として有明海四県が本当に強く主張していく、このことがいささかでも緩まってはいけないというふうに思います。  それで、国及び関係者が話し合う場の設置、これをやっぱり求めていかなくてはいけないと思うんです。先ほどお聞きしておりますと、九州農政局と関係者の話し合いというのは、じかの漁業者ということではなくて、漁業団体の、漁業関係者の話だったと思うんですが、学者の方とか、弁護士さんとか、生の漁業者の方たちも意見を聞く場、それを必要としていると思いますので、それが済まなければ開門という形ではなくて、そういうことも並行して行ってもらえるように、生の漁業者の声、それから、実際に有明海の研究をなさっておられる方たちの声も聞いていただく場の設置を求めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。 38 ◯宮崎有明海再生自然環境課長=話し合う場の設置についてお答えいたします。  まず、我々といたしましては、まさに漁業者の声は非常に大事なものと我々も思っておるところでございます。  先ほど委員からも言われたとおり、九月議会の文教厚生常任委員会で質問があったとき答弁いたしました、漁業者と九州農政局が話し合う場を設けていくということでございました。この件につきまして、有明海漁協とも御相談させていただきました。そうした中で、もちろん漁業者の方々と直接お話しする機会を設けるということも考えましたけれども、今まで大臣が来られたり、副大臣が来られたときに漁業者の方からいろんな意見を言ってもらっています。  ただ、実際にあけるという時期が近づいてきた中で、ある程度ばらばらという意見ではなくて、やはりきちっとしたこういった方向でぶれないんだという形での進め方をやりたいと。それは実際に本所、支所の職員の人たちがきちっと理解、今の現状なり実際の新たな開門調査に向けてのいろんな問題について、まずは自分たちがきちっと把握した上で実際の漁業者の方々にもきちっと質問とか、それにお答えできるようになりたいと。きちんと佐賀県側の考えをぶれずに表明したいということで、まずは職員の方々という形で開かせていただいたと。これは有明海漁協と相談した形でそういった形になったわけでございます。  もちろん、それからノリの種つけとか、実際ノリの作業で業者が忙しいということもありまして、なかなかそれ以上のことができない状況でございますけれども、そういったあたりはどういった形がいいのかというのは、漁協とまた再度調整しながら、御相談しながら、どういった形でいいかというのはもちろん考えていきたいと思いますし、研究者、特に我々の意見をよくいただいております有明海再生機構におきましても、説明とかなんとかは国に対しても漁業者に対しても九州農政局に対してもいつでもやると、そういった返事をいただいておりますので、そういった場ができれば、そういった形で科学的な観点からも議論を交わしていきたいと思っています。  ただ、各県の問題もございます。実は県といたしましては、関係者の協議というのは、やはり開門調査の目的を共有した上で開門調査を進めていくことが重要だと考えております。  こうしたことで、開門を前提とした協議の場を設置することについては、具体的には四月、鹿野前農林水産大臣が来県した際に知事が提案しております。その実現のためには、やはりまずは農林水産省が長崎県側の理解を得るなどして話し合いを行うための環境整備が必要だと考えております。  開門前提ということになれば、長崎県側がなかなかテーブルに着かないという状況にはございます。まずはそこの問題がクリアできなければ話し合いというのが進みませんので、そこはきちっと国が長崎県に対して引き続き理解を得られるような働きかけをしていただきたいと思っております。  そういった環境整備ができた折には、それは長崎県と佐賀県、国だけではなく、やはりこれは有明海四県、福岡県、熊本県も含めた形での話し合いの場が必要だと思っておりますので、そうした場が実現できるよう、国に対しても引き続きそういったことを要請してまいりたいと思っております。  以上でございます。 39 ◯武藤委員=長崎県側も強硬に開門反対というのは一部なんですよね。本当に漁業者の方たち、漁協ぐるみで開門してほしいんだという声を発信しておられるところが幾つも出てまいりました。そして、住民の方たちも、誤った情報を信じて開門したらいけないんだというふうに思っておられる、そういう状況もあります。そういう中で、本当に佐賀県が有明海四県漁民の声をしっかり代表する立場で頑張って五月、六月の開門に向けてイニシアチブを発揮していただきたいというふうに思っている次第です。  どなたが農林水産大臣になられるかわかりませんが、一刻も早く有明海の問題について、情報も佐賀県側として提供しながら、そして、誠心誠意、一刻も早い開門をと、五月、六月の開門を前倒ししてでもやっていくんだという不退転の決意で臨んでいただきたいと思うんですが、最後に本部長、そのイニシアチブの発揮と、それから、五月、六月に絶対にあけてもらうという決意、もう後がない、待ったなしだという思いで取り組んでいただきたいと思っておりますが、もちろん私たち議会もそういう思いで頑張りますが、県当局としてどういうお考えなのか、その決意も示していただきたいと思います。 40 ◯古谷くらし環境本部長=佐賀県側として、本当に漁業者の方、一日も早い開門の実現、そして、その開門調査の内容が本当に再生につながるようなきちんとした調査が実施されること、これが何よりも重要なことであり、佐賀県側の皆さんが望んでいらっしゃることだろうと理解をしております。  そういう中で、先ほども江口委員からの御質問にお答えしましたけれども、やはり大臣が交代した場合には、新大臣に対してもそうした佐賀県の思いというものをしっかりと理解していただくことが必要だろうと思っております。  そのために、これまでも佐賀県関係者連絡会の中で関係者でいろいろと取り組んできたわけですけれども、事務レベルでも早急な対応についてどうしていくかというようなことも今協議をさせていただいております。そういったことで、我々として、まずは今の開門の時期についても、佐賀県側が求めるような開始時期が実現できるように関係者と一体となって取り組んでいきたいと思いますし、国に対しては本当に残された時間が少ないという中で、そういったことをしっかりと認識していただいた上で国のほうに一日も早くそうした佐賀県が求める開門の道筋というものを示していただけるように、今後とも最大限の努力をしてまいりたいと存じます。  以上でございます。 41 ◯武藤委員=この間、私何度か大臣への陳情に行ったり、あるいは大臣が見えたときに会場に同席させていただいたりいたしましたけれども、非常に漁業関係者、団体の代表のような方たち、遠慮がちに物をおっしゃっている。やっぱり大臣を前にして緊張しておられるんだろうとは思いますけれども、なかなか現場の切実な声が伝わっていない状況ですね。  県当局の皆さん方も陳情は非常に冷静にしっかりとされますけれども、現状の切実さが伝わらないということをもどかしく感じておりまして、大臣のところに面会に行ったときなどは私も発言をさせていただくわけですけれども、本当に遠慮がちではなくて、事実をリアルに伝えていただきたい。そうしないと、切迫した気持ちは伝わらないと思うんですね。  そこのところは本当に有明海の漁民の生のお気持ち、みずからの命をなくしてまでつらい気持ちでおられる、そういう状況に置かれているんだということも含めて、そういったことを代表する気持ちで言っていただきたいということをあわせてお願いしておきます。でないと、本当に通り一遍の陳情になってしまっては絶対いけないことだと思いますので、このことは強くお願いしておきたいと思います。  次に、海砂採取の問題について質問していきたいと思いますが、母なる海有明海とともに佐賀県が有している玄海地域は、もう一つの宝の海とも言えると思います。勢いのいいイメージもあります。  しかし、近年、海砂採取の影響で魚類の産卵場所となる良質の砂地が減少して、魚だけでなく、アワビなどが定着する岩もそういう状況ではなくなってきています。  私は、海砂の不法採取に関して何度も県当局に問題点を指摘してきました。そして、海砂採取業者は福岡国税局から法人税法の違反で摘発をされる、刑事告発をされたということでした。この件によって、平成二十三年、昨年の三月に砂採取業者は佐賀地裁での有罪が確定しました。  県は、七月三十日に採取業者である唐津湾海区砂採取協同組合に対して、過去に県の許可量以上に海砂を採取していた事実があったと行政処分を行いましたが、処分の内容はどういうものだったのか、それをお聞きしたいと思います。 42 ◯山崎河川砂防課長=処分の内容についてお答えいたします。  委員からお話がありましたとおり、唐津湾海区砂採取協同組合が、平成十七年度から平成十九年度の間におきまして、佐賀県が認可、許可した採取数量を超えまして、相当な量の海砂を無認可、無許可で採取したことが確認されましたことから、本年七月三十日に行政処分を行ったところでございます。  行政処分の内容といたしましては、まず一つ目としまして、二カ月間の砂利採取の停止でございます。二つ目としまして、平成二十四年の認可採取総量からの三十万立方メートルの削減ということでございます。  また、処分とは別になりますけれども、今回の超過採取量分約百六十万立方メートルございましたけれども、これを数年かけて削減することとしまして、平成二十五年から数年間、三十万立方メートル程度控除していくということにしております。  なお、超過採取量分の採取料相当額につきましては、法律相談等行いまして、県の「一般海域土石採取料等徴収条例」に定める徴収料ではなくて、私法上、民法上の債権としまして約二億二千万円と、その法定利息五%の金額を処分と同時に請求したところでございます。  以上でございます。 43 ◯武藤委員=今言われた三つの処分ですね。その処分は、何を根拠にそういう処分内容にされたんでしょうか。これで満足ですか、皆さん方は。 44 ◯山崎河川砂防課長=どういう根拠で処分をされたということですが、先ほどの答弁で申しましたとおり、処分については二点でございます。  まず一つ目の二カ月間の停止処分につきましては、「砂利採取法」及び県の「国有財産法に基づく一般海域の使用又は収益の許可に関する規則」に基づきまして、他県の事例等を参考に総合的に考慮して判断したものでございます。  二点目の平成二十四年の許可採取総量からの三十万立方メートルの削減につきましては、先ほども申しました県の「国有財産法に基づく一般海域の使用又は収益の許可に関する規則」に基づき、削減を行ったところでございます。  なお、削減につきましては、先ほども述べましたように、今回、超過採取量が約百六十万立方メートルございまして、それを数年かけて削減していくということで考えているところでございます。  以上でございます。 45 ◯武藤委員=この業者は、過去にも大量に採取していたというようなことで問題になりました。そして、今回、また裁判の資料をもとに皆さん方は調査をされて、そして違法に採取したんだということがわかってこういう処分をされたと思うんですけれども、超過採取の全容、これは単に約百六十万立方メートルだったということだけではなくて、以前からもいろいろ問題あったと思うんですが、皆さん方はそれについては全容はつかんでおられるんでしょうか。 46 ◯山崎河川砂防課長=超過採取についての全容というふうなお話だと思いますが、超過採取につきましては、以前からいろいろなところからお話があったところでございます。ただ、そのたびに県としましては、現地での調査といいますか、検収簿の確認とか、組合等に出向いていって確認調査をやっているところでございますけれども、その中では検収等の突合とかについては不整合な点はなかったということで、なかなか県としましても捜査権というところまでは持っていないところもございまして、今まではそういうところで、そのたびにそういうことはやってきておりましたけれども、今回、脱税の裁判資料を閲覧することができまして、それを精査した上で、今回、その分についての超過採取量ということで百六十万立方メートルの超過採取というところを確認したところでございます。  以上でございます。 47 ◯武藤委員=今回明らかになっただけではなくて、過去にさかのぼれば大変なことになっていると思うんですが、その聞き取りだけでははっきりできなかったという問題点が残っております。  一方で、その違反の約二億二千万円の違反料金ということで県に払ってもらうと。五%の利子もつけて払ってもらうということなんですけれども、約二億二千万円の支払い方法、どういうふうにしていますか。もう既に払われたんですか、どうですか。 48 ◯山崎河川砂防課長=約二億二千万円の支払い方法でございますが、支払うということにつきましては組合のほうから意思表示をいただいております。現在、その支払い方法について、最終的な調整といいますか、検討、確認をやっているところでございます。  以上でございます。 49 ◯武藤委員=まだ支払われていないということですよね。ということは、支払い方法の計画なりは出されたんですか、きちんと。 50 ◯山崎河川砂防課長=支払い方法につきましては、一定の計画ということで提出をいただいておりますけれども、その内容について、こちらのほうとしても確認及び質問というところを今しっかり取り組んでいるところでございます。  以上でございます。 51 ◯武藤委員=もしこの支払いがストップするなり、ちゃんと履行されないというようなことが起こったらどうするんですか。皆さん方、そういうことも可能性があるというふうにわかった上で二カ月間の処分にされたんですか、どうですか。 52 ◯山崎河川砂防課長=支払いがもちろん滞るということとか支払われないということであれば、当然そこにつきましては厳正に、また検討、対応していきたいというふうに考えております。  以上でございます。 53 ◯武藤委員=完全にこの約二億二千万円の支払いが確実にならない限り、わずか二カ月間の処分というのは、私納得いかないんですよ。これは、認可、許可の取り消しもあるような重い内容だと思うんですね。それなのに皆さん方はもうこれで済ませていると。非常に海砂採取業者に甘いのではないかと指摘せざるを得ません。  これまで何度も指摘してまいりましたけど、海砂の採取によって、玄海の海は採取した後の海ほこりが舞って海の状況が悪化している。そして、魚も卵を産めない。漁業者の方たちも漁獲高も減っているというふうなことを言っておられます。そういう荒れた玄海の海、唐津の海にしていっていいんでしょうか。私は、もう皆さん方が本当に甘いなということを指摘せざるを得ません。  ちょっと二カ月間の営業停止にしていたときの状況を写真に撮ったのがございますので、お見せいたしますが、(写真を示す)これが砂をとったりしているころ、海ほこりが舞って曇っていてこういう状態にあるわけです。ですから、魚も卵が産めない。そして、アワビも定着しにくいという状況なんですね。で、こういうふうに海がグリーンになっています。これはなぜかというと、ほこりなど小さな粒子があると、太陽光線が乱反射してこういうふうにグリーンに映るわけです。ところが、二カ月間、砂をとらなかったときには、もう真っすぐにこんなきれいなブルーの海で、魚もいっぱい来ているわけですね。海ほこりが舞っていないから、魚もこの辺で泳いだりすることができるんですよ。そういう状況にあったということを写真に撮っております。  それで、これは本当に唐津の海がいかに海砂をとられる中で、本当に状況が、環境が悪化しているかということのあらわれでもあります。で、本当に浮遊物が少ないと、こんな美しいブルーの海になるわけで、佐賀県の漁業にとっても、それから観光にとっても本当に大事なことだと思っています。  もう一つ、ちょっとお示ししたいのは、これは二〇〇九年の五月七日、テレビで流れた映像でもありますけれども、アラメがたくさん繁殖しています。そして、二〇〇九年の後、これは二〇一〇年なんですけど、アラメが大分傷んできています。これも海砂採取の影響によってこういう状況になっているわけで、もう二〇一二年はこんなふうにまばらにアラメがなってしまっている。この二つの写真をごらんになれば、海砂採取がいかに藻場を壊し、そして魚の生息も困難にしているか、産卵も困難にしているかということのあらわれですので、やはりこれは皆さん方も有明海の漁業と同様に玄海の漁業も大事にするというお気持ちで、この海砂採取のあり方をもう規制していくということが大事なんじゃないかと思います。  海砂採取、大幅に見直し、もう削減していく、制限していく、規制をしていくということを本気で考えていかないと、玄海はこのまま死の海になっていくのではないかと思いますので、その辺どのように考えておられるのかお聞きしたいと思います。本部長、どうですか。 54 ◯井山県土づくり本部長=玄海の海での砂利採取の規制ということかと思います。  委員からも御指摘いただいたように、いろんな声を我々も伺っておりますし、また御承知のとおり、今、環境影響調査を、平成二十二年度からもう三年越しになりますが、やっているところでございます。これは、水質、底質の調査、あるいは生物の調査等、広範にわたっていまして、学識経験者の方々の御指導、御意見もいただきながら、今、慎重にその辺の見きわめを進めているところでございます。今も写真等お見せいただきましたが、何分、生物等を対象とした調査でございます。非常に客観性といいましょうか、予断なく調査する中で、非常に難しい判断といいましょうか、どこまで物が言えるのかといったところで非常に難しい調査になっているところでございます。まだ結論的なことは申せない段階でございますが、全国的な動向から見ましても、海砂の採取については、やはり大きくは減らしていく方向であることは間違いなかろうかというふうに考えているところでございます。  さりとて、地域での砂利が、骨材の供給といいますか、コンクリート等、建設工事に果たす役割もございます。また、地域でも一定程度の経済的な存在でもあるというような面もございます。その辺、両面もあわせ考えながら、これからこの海砂利の採取規制について慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。 55 ◯武藤委員=具体的に佐賀県は減らす方向に立とうとしているのか、現状維持でやっていこうとしているのか。現状維持だとこういう状況がずっと続くわけですよ。減らす方向に立とうとしているのかどうなのか、そこを確認したいと思います。 56 ◯井山県土づくり本部長=ただいまも申し上げましたとおり、基本的には減らす方向ということで間違いないというふうに考えております。 57 ◯武藤委員=もっと徹底した規制の条例なども考えていただくということもお願いして、今回はこれで終わりますが、次回に回したいと思います。よろしくお願いいたします。 58 ◯土井委員長=暫時休憩します。十三時ちょうどをめどに委員会を再開します。     午前十一時五十六分 休憩     午後一時一分 開議 59 ◯土井委員長=委員会を再開します。
     休憩前に引き続き質疑を行います。 60 ◯竹内委員=まず、第一項目の諫早湾干拓事業潮受堤防排水門開門調査についてであります。  有明玄海・環境対策特別委員会では、六月四日にNPO法人有明海再生機構の荒牧理事長に、有明海を取り巻く最近の状況をテーマとして科学的な観点から有明海の現状につきまして講演をいただいたところであります。  さらに、九月五日には有明海漁業協同組合の皆さんから諫早湾干拓事業後に潮流の方向の変化や流速が遅くなったという実感、子供たちがぜひ親の跡を継ぎたいと思うような有明海に戻してほしいという有明海再生への願い、そして、開門調査に関する開門開始の時期や開門方法についての考えなど、漁業者の立場からの意見を聞かせていただいたところであります。  また、七月二十八日には、郡司農林水産大臣が来県し、漁業者を初めとした県内関係者等との意見交換会を行いましたが、このときも漁業者の方々から開門調査に対する期待や要望などが出されたと聞いております。特に、開門開始時期につきましては漁業者の関心が高く、ノリ漁期を避けた時期を考慮するよう求めていたと聞いているところであります。  これに対しまして郡司農林水産大臣は、開門開始時期につきましては、具体的に言及せず、このとき農林水産省から配られた、環境アセスメント準備書への佐賀県意見に対する見解を見ましても、開門開始の具体的な時期につきまして何ら示されていないところであります。  こうした県内での動きがあった後、先月四日には郡司農林水産大臣が長崎県を訪問し、裁判の履行期限である来年十二月に開門を開始するための工程表を提示するとともに、制限開門であるケース三─二の方法で五年間、開門する考えを表明したところであります。  こうしたことから、県、市町及び有明海漁協で構成する佐賀県関係者連絡会では、農林水産省が考えている開門開始時期や開門方法などに対する疑問点につきまして郡司農林水産大臣に対しまして、先月十五日に質問書を提出したと聞いているところであります。  開門調査につきましては、福岡高裁控訴審判決が確定し、来年十二月までに開門することが決定しておりますが、仮に十二月に開門を開始すればノリ漁期中でもあり、ノリ養殖に非常に悪い影響を与えるおそれもあることから、私としましては、一番望ましい開門開始の時期は、ノリ漁期を避けた五月であり、最低でも夏までには開門する必要があると考えているところであります。  また、開門方法につきましては、有明海の異変を究明するための調査となるよう、最初は制限開門のケース三─二で開門したといたしましても、影響を検証しながら、最終的には根本的な調査実施のために全開門を目指すべきと考えており、農林水産省が示したケース三─二で五年間とする開門の方法や十二月に開門開始を行うことにつきましては、到底受け入れることはできないところであります。  そこで、次の点につきましてお伺いいたします。  まず、大きな第一点目は開門方法についてであります。  農林水産省は、ケース三─二で五年間開門する考えを示しておりますが、県としましては、最初は制限開門でありましても、あくまでも最後は全開門というこれまでの主張に変わりないのか、有明海再生・自然環境課長にお伺いいたします。 61 ◯宮崎有明海再生自然環境課長=今、委員から御紹介がありましたように、佐賀県側といたしましては、これまでも開門方法につきましては、最初は制限開門で始めることはやむを得ないにしても、最終的には海水の導入量が最大となる全開門とするよう主張してきたところでございます。  先ほど委員がおっしゃられましたように、農林水産省が十一月四日に長崎県に示した際にケース三─二で五年間開門する考えを示したその場におきましても、すぐに佐賀県関係者連絡会でこの考えを改めて確認しております。そうした中で、佐賀県側といたしましては、従来どおり、最初は制限開門で始めることはやむなしにしても、最終的には全開門となるよう、今後も要請してまいるとの考えは現在も変わっていないところでございます。  以上でございます。 62 ◯竹内委員=よろしくお願いしたいと思います。  次に、大きな第二点目は開門開始時の漁業への影響についてであります。  まず、その小さな第一点目は、魚介類に配慮した開門についてであります。  新聞報道などではノリ養殖に配慮した開門が必要との記事を多く見かけますが、魚介類につきましては、確かにタイラギの漁獲は厳しいものの、コノシロ、エビ類及びモガイにつきましては、今もある程度の漁獲があります。開門開始に当たりましては、魚介類にも配慮した開門方法で実施する必要があると考えますが、宮崎課長にお伺いいたします。 63 ◯宮崎有明海再生自然環境課長=魚介類に配慮した開門についてお答えいたします。  農林水産省におきましては、濁りによる漁業への影響を低減する汚濁防止膜を排水門の前面等に設置するほか、特に開門開始時におきましては、一カ月程度かけて徐々に調整池内の塩水化を図っていく。そのために濁りの発生を抑制するため、一回ごとの海水導入・排水が時間をかけて徐々に行われるよう、排水門の開度、例えば九十センチ開くのを六十センチに抑えるとか、そういったふうにして排水門の開度を調整して影響が少ないような開け方といったことの実施方法を示されているところでございます。  県といたしましても、魚介類などに影響が生じないように、特に排水門の開始時期には流速を制限し、可能な限り濁りの発生・拡散を抑えていくといったことが必要であると考えているところでございます。  以上でございます。 64 ◯竹内委員=次に、小さな第二点目は漁業被害への対応についてであります。  仮に開門に伴い漁業被害が生じた場合につきましては、農林水産省はどのように対応するつもりなのか、宮崎課長にお伺いいたします。 65 ◯宮崎有明海再生自然環境課長=漁業被害への対応についてお答えいたします。  郡司農林水産大臣は、長崎県を訪問した際、開門に伴い、万が一、開門と直接的に因果関係のある被害が生じた場合には、国が被害に応じた補償を行うとの考えを示しているところでございます。当然のことなから、佐賀県海域においても、同様な状況が生じれば被害に応じた補償が行われるものと考えているところでございます。  実際、被害への補償につきましては、先月八日に開催されました衆議院農林水産委員会におきましても、郡司農林水産大臣は、この点につきまして諫早湾外についても同じ対応をする考えである旨の答弁をなされたところでございます。  以上でございます。 66 ◯竹内委員=今の点で「因果関係」とおっしゃいましたが、生き物の問題で因果関係というのが本当につかめるのかどうか、その辺についてどうですか。 67 ◯宮崎有明海再生自然環境課長=確かに、この点につきましては、長崎県側も懸念を示されているところでございます。これに対しまして農林水産省におきましては、実際に被害が生じたとき、疑問等が生じた場合には、地元関係者としっかり協議といいますか、話し合いを行って、そこについては考えてまいりたいというお答えをされているところでございます。確かに、直接に因果関係がどうだというのはなかなか難しいかもしれませんが、それも話し合いの中で行っていくという回答をされているところでございます。  以上でございます。 68 ◯竹内委員=次に、大きな第三点目は、開門開始の時期と今後の取り組みについてであります。  まず、その小さな第一点目は開門開始の時期についてであります。  農林水産省は、来年十二月に開門の方針を示しておりますが、県は、開門開始の時期につきましてどのように考えているのか、宮崎課長にお伺いいたします。 69 ◯宮崎有明海再生自然環境課長開門開始の時期について県はどう考えているかということでございます。  漁業関係者は、開門開始の時期は、ノリ漁期を避けて前倒しすることを求めておられるところでございまして、その中でも五月、六月が一番適当と考えているところでございます。  佐賀県側の開門開始の時期に対する考えにつきましては、漁業関係者の考えを基本とするということを尊重するということを佐賀県関係者連絡会のメンバーと確認しているところで、漁業者の方々は、ノリ漁期を避けて前倒しすることを求められているところでございます。その中でも五月、六月が一番適当であるということをおっしゃっておりますので、それは佐賀県側の基本的考え方として尊重しながら、その実現に向けて対応してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。 70 ◯竹内委員=次に、小さな第二点目は今後の取り組みについてであります。  開門開始の時期につきましては、ノリ漁期を避け、最低でも夏までに開門開始をすべき考えますが、県は、この実現に向けてどのように取り組むのか、宮崎課長にお伺いいたします。 71 ◯宮崎有明海再生自然環境課長開門開始時期につきまして、今後の取り組みがどうだという質問だったと思います。  先ほど答弁しましたように、漁業関係者は、開門開始の時期はノリ漁期を避けて前倒しすることを求められているところでございます。  こうした中、農林水産省は、農業用水の確保に係る海水淡水化施設の工事には十四カ月が必要との目安を示しているところでございます。しかも、十四カ月かかるという海水淡水化施設の完成をもっていろんな物事を進めていくという前提で工程の目安をつくられているところでございます。この点につきまして、佐賀県側といたしましては、確かに、海水淡水化施設の完成をすべて待って開門するということだけを考えますと前倒しは難しいと思われます。  しかしながら、それに頼ることなく、暫定的な農業用水の確保などを行うことによって本当に開門開始時期を前倒しできないか、こういったことについて質問書を農林水産省に提出しているところでございまして、佐賀県側といたしましては、今後、この質問書に対する農林水産省からの回答内容を十分検討するとともに、引き続き、漁業者の考えを十分踏まえながら、尊重しながら、佐賀県側の考える時期での開門開始が実現できるよう一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。  以上でございます。 72 ◯竹内委員=海水淡水化の水が農業に本当に合うのかどうか、その辺も問題だなと私は思います。かえって地下水のほうが農業用水としてはぴたっとくるというか、合っているんじゃないかと。海水淡水化の水はミネラル等がないわけですね。その辺につきましては海水淡水化施設の完成を待つというのは非常に詭弁みたいな感じがするわけですが、その辺についてはどうですか。 73 ◯宮崎有明海再生自然環境課長海水淡水化施設については、我々は専門ではありませんので、どうだという答えを今持ち合わせているわけではありませんが、ただ、長崎県側が一番反対したのが、地下水に頼ることは、単に水がどうなるという話よりも、人命にもかかわるような地盤沈下を引き起こすと懸念されています。それを払拭するためにいろんな方策を考えた中で、工期等を考えた場合、海水淡水化施設というものが案として示されたと聞いております。これにつきましては国は責任を持って、農業者の方々が納得できるような形で農業用水が安定的に提供できるように努力すべきだと思っているところでございます。  以上でございます。 74 ◯竹内委員=この項の最後の質問になりますが、農林水産大臣に対する質問書についてであります。  佐賀県関係者連絡会郡司農林水産大臣に提出した質問書につきましては、昨日の衆議院選挙の結果により、新政権が発足し、その取り扱いがどのようになるかわかりません。県は、農林水産省からの回答を待つだけではなく、新政権の組閣を待ち、スピード感を持って取り組む必要があると考えております。だれが農林水産大臣になるにしましても、改めて質問書を提出し、佐賀県の考えを伝えるべきと考えますが、くらし環境本部長にお伺いいたします。 75 ◯古谷くらし環境本部長=お答えいたします。  午前中、江口委員の御質問にお答えしましたが、県としては、政権の枠組みが変わっても、福岡高裁の控訴審判決の確定によりまして国は来年十二月までに開門する義務を負っておりまして、その義務を免れるということにはならないと認識をしております。  質問者のお話がございましたが、あくまで農林水産省に出している質問書ですので、それについては佐賀県に対してきちんと誠意を持ってお答えをいただかなければならないと考えているところでございます。  そういう中で、御指摘のように昨日選挙もございました。今後、新たな組閣が行われるかと思います。そういう中で佐賀県としましても、速やかに新大臣にお会いした上で、改めて開門開始の時期とか開門方法に対する佐賀県側の考えというものをしっかり伝えて十分に理解をしていただくことが必要だと思いますし、去る十一月十五日に提出した質問書に対する回答も含めまして国の考え方を示して、早急に佐賀県側との話し合いを行うように求めたいと考えているところでございます。  いずれにしても、開門調査に関する対応につきましては、県だけでなくて、有明海沿岸の市町、それから有明海漁協で構成します佐賀県関係者連絡会で取り組んでまいっております。佐賀県関係者連絡会のメンバーとも協議しながら速やかな対応をとってまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。 76 ◯竹内委員=では、第二の項目に移ります。  玄海、有明海の漁業生産の回復についてであります。  本県は、北に外海性の玄海、南には内湾性の有明海という大きく特徴の異なる二つの海を有し、そこではそれぞれの海域環境に応じて、玄海ではイカ釣りを初めとして、アワビ、ウニ等を漁獲する海女漁業や、イカ、アジ等を対象とする定置網漁業、マダイ、トラフグ等の養殖漁業など多様な漁業が営まれているところであります。  一方、有明海では、主幹漁業となっているノリ養殖業を初め、タイラギやモガイ等を漁獲する栽培漁業や、ガザミ、クルマエビ等を対象とする網漁業などが営まれており、これらの二つの海からは県内外の消費者に新鮮で豊かな海の恵みが提供されてきたところであります。  しかしながら、近年、玄海では藻場の減少や赤潮の発生、さらには、南方の魚等が漁獲されるなどの現象が見られ、また、有明海におきましても赤潮の発生や底質の悪化、さらには貧酸素水塊が発生するなど、両海域とも漁場環境に大きな変化が見られているところであります。  私は、こうした要因が漁獲量の減少や養殖生産量の不安定さをもたらしているのではないかと考えておりますが、このような厳しい環境の中にあっても、漁業者の経営の安定を図っていくためには漁業生産の回復に向けた努力を続けていくことが重要と考えているところであります。  そこで、次の点につきましてお伺いいたします。  まず、大きな第一点目は、玄海の漁業生産の回復についてであります。  まず、その小さな第一点目は、玄海の漁業生産量の推移についてであります。玄海におけるここ二十年間の主な魚介類の漁獲量と養殖生産量の推移はどのようになっているのか水産課長にお伺いいたします。 77 ◯柴山水産課長=玄海地区の漁業生産量の推移についてお答えいたします。  まず、玄海地区の漁船等によります漁獲量のここ二十年間の推移を佐賀県農林水産統計年報で見てみますと、平成三年には約二万七千トンであったものが、十年後の平成十三年には約九千四百トンに減少し、その後は約一万トン前後で推移しているところでございます。  この漁獲量を種類別に見てみますと、まず、アジやサバなどの魚類につきましては、平成三年に約二万三千トンであったものが平成二十二年には約九千トン。それから、エビやイカ等につきましては、平成三年に約三千五百トンあったものが平成二十二年には約八百トン。アワビ等の貝類につきましては、平成三年に七百トンであったものが平成二十二年に約三百トンとなっております。  次に、養殖の生産量を見てみますと、平成三年には約二千六百トンあったものが十年後の平成十三年には約二千三百トン、平成二十二年には約千三百トンと減少しております。これを魚種別に見てみますと、マダイにつきましては、平成三年に約九百トンあったものが平成二十二年には約三百トン。それから、ブリ類につきましては、平成三年に約千二百トンであったものが平成二十二年には約六百五十トンと減少しております。トラフグにつきましては、平成三年に約二トンであったものが平成二十二年には約百十トンと増加しているところでございます。 78 ◯竹内委員=養殖を除いてほとんどが減少しているということですが、玄海の漁獲量の回復に向けた取り組みについてお伺いします。  玄海の漁獲量の回復を図るためには水産資源をふやしていくことが必要であり、そのためには種苗放流などの取り組みを継続して実施していくことが重要と考えております。県では、水産資源をふやしていくためにこれまでどのような取り組みを行い、今後どのように取り組んでいこうと考えているのか水産課長にお伺いいたします。 79 ◯柴山水産課長=玄海地区の漁獲量の回復に向けた取り組みについてでございます。  まず、玄海地区の漁獲量の回復を図っていくために、これまでマダイ、ヒラメ、ウニ、クルマエビなどの種苗放流を市町や漁業団体などと連携して実施してきたところであります。平成二十三年度を見てみますと、十二魚種で約六百七十万尾の種苗を放流してきたところでございます。また、魚介類が生息する漁場環境を改善するためにアラメ、アマモなどのなどの藻場造成。それから、増殖礁の設置などにも取り組んでいるところでございます。  さらに、近年の温暖化に伴いまして海藻を食害します南方系のガンガゼ等が増加して藻場が部分的に消失する、いわゆるいそ焼け現象が一部見られておりますことから、玄海水産振興センターでは、こういったガンガセの進入防止柵の効果的な設置方法の検討、あるいは効率的な藻場の回復方法の研究などに取り組んでいるところでございます。  今後とも、こうした技術開発を一層推進しまして実用化につなげていきますとともに、これまで実施してきました種苗放流、あるいは漁場環境の改善などの取り組みを引き続き積極的に推進していくことによりまして玄海地区の漁獲量の回復に努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。 80 ◯竹内委員=以前は種苗放流をしなくても水産資源があったわけですね。最近は種苗放流しながらも漁獲量は非常に減っていると。というのは、やっぱりどこかに原因があるんだなと思うんですね。種苗放流するときの稚魚の大きさというものが非常に大事なのではないかと思います。小さいとどうしても食べられてしまう、ある程度大きいと逃げ切るとか、そういうふうな食物連鎖がございますので、その辺についての研究が必要じゃないかと私は思いますが、その辺についてどうですか。 81 ◯柴山水産課長=種苗放流に関する御質問だと思います。  委員御指摘のとおり、資源が減ってきている中で種苗放流をいかに効果的にやっていくかということは、今、委員がおっしゃったように、どういうサイズで、どういう場所に、どのぐらいの数量を放流するのかということが非常に重要であると考えております。そういうこともございまして、玄海水産振興センターでは、ほかの関係県とも連携しながら、例えば、どこに、どういう種苗を放流すればいいのかということでずっとやってきております。  先ほど申しました種苗放流の中には、例えばマダイとかヒラメなど、長崎県、福岡県と一緒になって放流をやっております。そういうことで、今のところ、マダイでありますと大体七十ミリぐらいで放流しておりまして、それであると一定の効果が見られております。また、ヒラメについては七十ミリから八十ミリぐらいの種苗を放流しております。玄海水産振興センターでは、魚市場に行きまして、放流した魚がどれぐらいとられているのかということを調査しております。ヒラメにつきましては、二割弱ぐらいは放流ものがまざっているということで効果がかなり出ております。  おっしゃるように、今後ともいろいろな研究を続けながら効率的な種苗放流に努めてまいりたいと思っております。 82 ◯竹内委員=先ほどの答弁で養殖につきましてはトラフグが伸びていると。これは値段の面もあるだろうし、やっぱり生産量の安定をある程度図っていくためには、養殖業はつくり育てるという意味で非常に大事だと思います。そういう意味で玄海の養殖生産量の安定に向けた取り組みについてお伺いいたします。  玄海の養殖生産量の安定を図るためには、赤潮や魚の病気等を回避して適正な養殖管理を行うことが重要と考えております。県では、漁業者による適切な養殖管理を進めるため、現在、どのような取り組みを行い、今後、どのように取り組んでいこうと考えているのか水産課長にお伺いいたします。 83 ◯柴山水産課長=養殖生産量の安定に向けた取り組みということでございます。  御指摘のとおり、養殖業の安定を図るためには、赤潮、白点病、ウイルスなどの病気の発生による被害を軽減していくことが重要であると考えております。  このようなことから、玄海水産振興センターでは、養殖が盛んに行われております名護屋湾、あるいは外津湾などにおきまして定期的に水温やプランクトンなどのモニタリング調査を実施しまして、漁業者が適切な養殖管理を行えるように情報提供を行っているところでございます。また、昨年発生しましたが、赤潮が発生した場合は、その状況に的確に対応することが重要でありますことから、例えば、今年のカレニア赤潮の発生時には、玄海水産振興センターではほぼ毎日モニタリング調査を実施しまして、漁業者の皆さんに迅速に情報提供をしていきますとともに、例えば、発生状況に応じて養殖イカダを移動させるとか、あるいは養殖魚に対して餌どめを指示するとか、あるいは貝類でいいますと付着物の除去作業を停止させるとか、そういったきめ細かな指導を実施してきているところでございます。  また、病気への対応につきましては、定期的に養殖漁場を回りまして魚の健康診断といったものを行っております。特に、白点病とかウイルスなどが発生しやすい時期につきましては、頻度高く監視指導を実施して病気の発生と蔓延防止に努めてきたところでございます。  今後とも、こういったモニタリング調査、あるいは魚類の診断というものを適切にしながら漁業者に対する指導に取り組んでいきますとともに、独立行政法人水産総合研究センターや長崎県と連携しまして、ことし発生しましたカレニア赤潮のように被害をもたらす赤潮の発生要因の解明、あるいは対応方法などについても研究を進めていくこととしております。  以上でございます。 84 ◯竹内委員=養殖の件ですが、病気が一度発生すると一遍に広がってしまいます、小さな範囲でやっていますからね。ですから、それは水産研究所とか総合研究所とか、そういうところの力をかりないとできないと思います。白点病とおっしゃいましたが、ほかにエラムシとかいろいろありますので、一度病気にかかったら蔓延しますから、その辺についての研究を関係の水産研究機関等でやっていただいて、養殖業者にきちんと指導するようなことをどのように考えているのかお伺いいたします。 85 ◯柴山水産課長=病気への対策ということで御質問いただきました。  委員がおっしゃったように、魚類の場合は病気が出ますと一度にやられるということがありますので、まずは予防というのが非常に重要で、有明水産振興センターで定期的に回りながら常に魚を監視してやっていくことが重要であると思っております。  一方で、いざ病気が出ると対応していかなければいけませんので、ワクチンだとか、薬だとか、そういうものにつきましても関係の水産研究機関等と連携をとって、常に新しい情報を持ちながら対応していくように有明水産振興センターでは努力しているところでございます。 86 ◯竹内委員=次に、大きな第二点目は有明海の漁業生産の回復についてであります。  まず、その小さな第一点目は有明海の漁業生産量の推移についてであります。  有明海におけるここ二十年間の主な魚介類の漁獲量と養殖生産量の推移はどのようになっているのか、水産課長にお伺いいたします。 87 ◯柴山水産課長=有明海の漁業生産量の推移ということでございます。  有明海地区の漁船等によります漁獲量のここ二十年間の推移を佐賀県農林水産統計年報で見てみますと、平成三年には約二万トンあったものが十年後の平成十三年には約六千トンと減少しております。平成二十二年は約八千トンと若干回復した数字となっております。
     これを種類別に見てみますと、サルボウなどの貝類につきましては、平成三年に約一万六千トンあったものが平成二十二年には約七千トンに減少しておりまして、コノシロなどの魚類につきましては、平成三年に約二千七百トンあったものが平成二十二年には約九百トンとなっております。  次に、養殖の生産量を見ますと、養殖の生産量につきまして、ほぼノリが占めておりますが、統計上はノリの海藻の重さであらわされておりますのでわかりにくいところがございますが、平成三年には約四万七千トンが、十年後の平成十三年もほぼ同水準で推移しておりましたが、平成二十二年には約七万五千トンに増加しております。  なお、平成十六年度から太良町大浦地区で開始されましたいかだを使ったカキ養殖につきましては、有明海漁協さんからの聞き取りになりますが、平成十七年には約百二十トンあったものが、今年度は約七十トン程度の生産が見込まれているところでございます。  以上でございます。 88 ◯竹内委員=次に、小さな第二点目は有明海の漁獲量の回復に向けた取り組みについてであります。  有明海におきましても、今期のタイラギ漁が休漁になるなど、漁獲量は厳しい状況にあります。有明海の漁獲量の回復を図るためには水産資源をふやしていくことが必要であり、そのためには底質の改善などの取り組みを継続して実施していくことが重要と考えております。  県では、水産資源をふやしていくためにこれまでどのような取り組みを行い、今後、どのように取り組んでいこうと考えているのか、水産課長にお伺いいたします。 89 ◯柴山水産課長=有明海の漁獲量の回復に向けた取り組みでございます。  有明海における漁獲量の回復を図るために、これまでクルマエビ、ガザミなどの種苗放流を市町や漁業団体などと連携して実施してきたところでございまして、平成二十三年度には五魚種で約八百二十万尾を放流したところでございます。  また、魚介類は、先ほど委員の御質問にもありましたように、漁場環境の改善ということが重要でございますので、その改善を図るために、まず、タイラギ等を食害しますナルトビエイの駆除をやっております。また、海底を耕うんすることによって底質を改善する海底耕うんといったものにも取り組んでいるところでございます。  さらに、有明水産振興センターにおきまして、タイラギの資源の回復を図るためにモガイ殻散布耕うんによる底質改善技術、あるいはアゲマキの資源回復を図るための大量放流によります母貝団地創出技術の開発などにも取り組んでいるところでございます。  今後、こういう技術開発を促進しまして一刻も早く実用化に結びつけますとともに、これまで実施してきておりました種苗放流、あるいは海底耕うんなどの漁場環境の改善に向けた取り組みを一層推進していきたいと思っております。  その中でも特に、本日も質問がありましたが、貝類のへい死原因であります貧酸素、特にタイラギは貧酸素が原因でへい死していると言われていますが、こういった貧酸素状態をすべて改善するわけにはいかないんですが、一時的にでも緩和させる方法がないのかといった実証試験の実施について、現在、国と検討しております。  こういったことを通じまして有明海の漁獲量の回復を図れるように取り組んでまいりたいと思っております。  以上でございます。 90 ◯竹内委員=特に、タイラギの資源回復のためにどのような対策を考えているのか。これは坂口委員が一般質問する予定だったと思いますので、答弁の準備をされていた生産振興部長にお伺いいたします。 91 ◯小野原生産振興部長=私のほうからお答えさせていただきたいと思います。  今年度のタイラギ漁については、本当に残念なことながら、休漁ということになってしまいました。漁業者の方は大変力を落とされている状況でございます。  こういった中で、その要因については午前中も課長から御回答申し上げましたが、一昨年夏の貧酸素で、ことし生産をされる成貝になるものが衰弱をして今年六月にへい死をしたということが今年の休漁の大きな要因となっております。  こういった中で基本的に今後の資源回復に向けた取り組みといたしましては、一つは、今、有明水産振興センターで開発をしております底質改善を図っていく、それによってタイラギの定着を促進していこうということで、モガイ殻散布の技術を早急に確立いたしまして、その実用化に何とかつなげていきたいということ。もう一つは、タイラギが自力で増殖を続けられるような対応についても進めていきたい。それから、貧酸素が発生しますけれども、いろんな調査を進める中で、赤潮が発生しにくい海域というものもわかってきておりますので、そうしたところに稚貝を移植をしまして育てていく。そういったとにかく新しい技術といいましょうか、そういうものをしっかり開発しながら実用化につなげていく努力をしっかりしていきたい。  それからもう一つ、これも先ほど課長が申し上げましたが、貧酸素対策については、人為的に抜本的な対応を図ることはなかなか難しいんですけれども、何とか一時的にでもタイラギに酸素を与えることによって生き延びさせていくといいましょうか、そういった取り組みも重要だろうということで、近県とのいろんな情報交換、各県との情報交換を進めております。また、国とも対応策といいましょうか、来年度、そういうことの予算化ができないだろうかということについて今検討を進めておりますので、こういったものの実現につなげていってタイラギの資源回復ということに今後ともしっかり取り組んでいきたいと考えているところでございます。  以上でございます。 92 ◯竹内委員=エアレーションというのは非常に効果があると思います。というのは、太陽光で電気をつくってエアレーションするとか、あるいは洋上風力発電というもので電気をつくってエアレーションするとか、要するに、自然のままが使えるようなやり方があるんじゃないかと私は思います。ですから、貧酸素を解決しなければならない、あるいは底質改善をしなければいけないということはわかっているんですが、そのようなことが常時やれる方法というのは、自然の太陽光を使う、あるいは風力を使う、そういう対策で酸素を供給してやるというような考えを研究したらいいんじゃないかと思いますが、どうですか。 93 ◯小野原生産振興部長=今、竹内委員さんから御提案がございました。そういうことを含めてこれから先、いろんな対応について検討をしっかり進めてまいりたいと思います。 94 ◯竹内委員=次に、小さな第三点目は有明海の養殖生産量の安定に向けた取り組みについてであります。  有明海では、主力であるノリ養殖はもちろんのこと、近年、生産に取り組まれているカキ養殖の生産量の安定を図るため、赤潮や、ノリやカキの病気等を回避して適正な養殖管理を行うことが重要と考えております。  県では、漁業者による適正な養殖管理を進めるため、現在どのような取り組みを行い、今後どのように取り組んでいこうと考えているのか水産課長にお伺いいたします。 95 ◯柴山水産課長=養殖生産量の安定に向けた取り組みについてでございます。  まず、養殖業の主力でありますノリにつきましては、赤潮による色落ちや赤腐れ病などによる被害を軽減していくことが大変重要であると考えております。  このようなことから、有明水産振興センターでは、定期的に漁場の水温や塩分、栄養塩、プランクトンなどのモニタリング調査を実施しまして、毎日、テレビ、新聞、携帯電話などを通じまして漁業者の皆様に情報を提供しているところでございます。  また、ノリの生育状況や病気の発生状況なども調査をしまして、随時、漁業者に情報を提供しますとともに、赤潮や病気が発生しました場合には、網の張り込みの高さの調整、いわゆる高づりと申しますが、そういったものの指示、あるいは摘み取り時期とか、そういうことでできるだけ病気が広がらないようなきめ細かな指導を実施しているところでございます。  また、カキ養殖につきましては、ノリと同様に定期的に養殖イカダ周辺の海況、あるいはカキの成育状況などを調査しまして、その結果を漁業者の皆さんに情報提供しますとともに、成育を促進するために、例えば季節に応じた養殖推進、あるいはフジツボ等の付着物がつきますので、そういうものの除去をきっちりやるようにといったことの指導をしているところでございます。  今後とも、安定した養殖業の展開に不可欠であります海況や病気に関する情報の迅速な提供、さらには、漁協等と連携しましたきめ細かな養殖管理の指導といったものに取り組みますとともに、従来から進めてきました作澪事業などの取り組みも必要に応じて実施するなどして、養殖業の安定化に努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。 96 ◯竹内委員=よろしくお願いいたします。  養殖業、そして漁獲量の回復、そういうことが非常に大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、第三項目の質問に入ります。  光化学オキシダント対策についてであります。  光化学オキシダントは、我が国におきましては、高度経済成長とともに、大規模工業地帯や都市部を中心に、いわゆる光化学スモッグとして認識されてきましたが、公害規制の強化が進められたことによって光化学オキシダントの発生も比較的落ち着いてきたように見受けられるところであります。  しかしながら、近年、九州各県におきまして、光化学オキシダント濃度が上昇する傾向にあり、原因の一つとして大陸からの光化学オキシダントの越境汚染が考えられるとの調査結果があると聞いているところであります。  私自身、八月初旬に中国の大連と天津に行ったときに、晴天にもかかわらず、空気中が白くかすんでおり、現地のガイドに聞いたところ、これは光化学オキシダントの影響であり、黄砂などと一緒に日本に渡っているという説明を聞いたところであります。  そこで、次の点につきましてお伺いいたします。  まず、大きな第一点目は、本県の光化学オキシダントの監視体制、情報提供についてであります。  まず、その小さな第一点目は、光化学オキシダントの発生の要因についてであります。光化学オキシダントの発生要因はどのようなものがあるのか、環境担当副本部長にお伺いいたします。 97 ◯立石くらし環境本部副本部長=光化学オキシダントの発生の要因についてでありますが、光化学オキシダントは、オゾンなどの酸化性物質を総称して呼んでおります。この発生要因ですが、自動車の排気ガスや工場からの排出ガスに含まれております窒素酸化物や揮発性有機化合物などの物質が太陽の光線、主に紫外線ですけれども、これを受けて光化学反応を起こして発生すると言われております。特に、春から秋にかけての晴れた日に高濃度となる傾向がございまして、気温が高く、日差しが強く、風が弱い日は注意が必要となると言われております。  以上でございます。 98 ◯竹内委員=次に、小さな第二点目は光化学オキシダントによる影響についてであります。  県民は、いつ発生するかわからない光化学オキシダントにつきまして不安感を抱いていると思われますが、光化学オキシダントによる影響はどのようなものなのか、立石副本部長にお伺いいたします。 99 ◯立石くらし環境本部副本部長=光化学オキシダントによる影響でございますが、光化学オキシダント濃度が高くなった場合の人体に対する影響は、目や呼吸器系の症状が中心でございまして、通常は一過性のものでございます。目の症状としては、目がチカチカする、目が痛い、涙が出るといった症状。呼吸器の症状といたしましては、喉が痛い、咳が出る、息が苦しいなどの症状でございます。なお、重傷の場合には、吐き気、頭痛、手足のしびれ、まれに失神することもあると言われております。  以上でございます。 100 ◯竹内委員=次に、小さな第三点目は光化学オキシダントの監視体制についてであります。  県民を健康被害から守るためには、まず、光化学オキシダントの発生状況を的確に把握する必要があると考えますが、本県の監視体制はどのようになっているのか、立石副本部長にお伺いいたします。 101 ◯立石くらし環境本部副本部長=監視体制でございます。  現在、県におきましては、県内の十二カ所に測定局を置きまして二十四時間連続で測定を行っております。各測定局のデータは、県の環境センターに設置しております大気常時監視テレメータシステムにより収集いたしまして、職員が監視を行っているところでございます。特に、光化学オキシダント濃度が高濃度になる傾向があります四月から九月にかけましては、休日においても迅速な対応ができるよう、担当職員が登庁して監視を行っています。  以上です。 102 ◯竹内委員=次に、小さな第四点目は光化学オキシダントの情報提供についてであります。  県内における光化学オキシダントの状況につきまして監視しているということでありますが、県民への情報提供はどのようにしているのか立石副本部長にお伺いいたします。 103 ◯立石くらし環境本部副本部長=光化学オキシダント情報の提供でございますが、環境センターで収集しました県内十二カ所の測定局における光化学オキシダント濃度の一時間ごとの平均値を県のホームページで公開をいたしております。県民の皆さんがインターネットを通じてパソコンや携帯電話で確認することができるようにいたしております。  以上です。 104 ◯竹内委員=インターネットだけですか。 105 ◯立石くらし環境本部副本部長=県のホームページで公開いたしておりますので、インターネットを通じてパソコンや携帯電話で確認するということになります。 106 ◯竹内委員=濃度が相当上がったときは、県民に外出してはいけないとか、そういうことについてはどうなんですか。 107 ◯立石くらし環境本部副本部長=常々、県のホームページに注意事項については載せております。一定濃度を超えて注意報を発令するというようなことになりますと、ホームページ以外にいろんな方法で県民の皆さんに周知するシステムをとっております。 108 ◯竹内委員=次に、大きな第二点目は高濃度の光化学オキシダントの発生時についてであります。  まず、その小さな第一点目は、県内の高濃度の光化学オキシダントの発生状況についてであります。  光化学オキシダントは、先ほどおっしゃいましたが、春から秋にかけて天気のよい暑い日に高濃度になると言われておりますが、本県の光化学オキシダントの発生状況はどのようになっているのか、立石副本部長にお伺いいたします。 109 ◯立石くらし環境本部副本部長=県内の光化学オキシダントの発生状況でございます。  光化学オキシダントの環境基準につきましては、昼間、これは午前五時から午後八時までの一時間値でございますが、〇・〇六ppm以下と設定されております。  委員御指摘のとおり、本県においても光化学オキシダント濃度が三月ごろから十月ごろにかけまして環境基準を超過することが多くなる傾向にございます。特に、四月、五月の超過日数が多くなっている状況でございます。  光化学オキシダントが〇・一二ppm以上となり、気象条件から見て大気汚染の状況が継続すると認められるような場合には注意報を発令することとしております。本県におきましては、昭和四十八年から観測を行っていますが、県内で初めての注意報は平成二十年五月に基山地域において発令されております。その後は平成二十一年五月に二日、平成二十二年の五月に一日、それぞれ注意報を発令しているということでございます。  なお、平成二十三年度と平成二十四年度は注意報の発令はしていない、そういう状況でございます。 110 ◯竹内委員=次に、小さな第二点目は高濃度の光化学オキシダント注意報発令時の情報提供についてであります。  高濃度の光化学オキシダントが発生したときは注意報が発令されておりますが、どのようにして県民に周知しているのか立石副本部長にお伺いいたします。 111 ◯立石くらし環境本部副本部長=注意報の発令は、冒頭申しましたが、大気常時監視テレメータシステムというものを用いて行います。この発令と同時に当該システムによりまして発令の内容が自動的に該当する市町、県の関係機関、報道機関に送信をされます。送信を受けました市や町では、教育委員会等を通じまして小中学校、幼稚園、保育園に連絡をいたします。また、市町の防災無線や広報車により住民に周知することにしております。  それから、送信を受けました県の関係機関では、老人ホームとか県有施設等に連絡いたしまして施設管理者を通じて施設の利用者へ情報を伝達いたします。また、報道機関は、テレビ、ラジオ等により県民へお知らせをいたします。また、大気常時監視テレメータシステムにより発令の内容が「防災ネット あんあん」に送信されますので登録者に発信されます。また、テレホンサービス、県のホームページ上の情報が更新されるということでございまして、以上のような方法により県民に周知をいたしております。 112 ◯竹内委員=次に、小さな第三点目は県民への注意喚起についてであります。  高濃度の光化学オキシダントの発生により注意報が発令された場合、県民はどのように対応すればよいのか、立石副本部長にお伺いいたします。 113 ◯立石くらし環境本部副本部長=県民への注意喚起でございますが、注意報が発令されたときの対応といたしまして、県民の皆さんにお願いしたいことは、まず、外出を控えて、特に屋外での激しい運動は避けること、目がチカチカしたり喉が痛むなどの症状が出たときは顔や目を洗って、うがいを行って、室内で休息すること。症状が回復しない場合は念のために医師の診察を受けること。また、症状が出た場合は、最寄りの市役所や町の役場、保健福祉事務所に連絡していただきたいといったことでございます。  これらの対処の方法につきましては、毎年、三月から四月にかけまして県民だよりや広報番組でお知らせをするとともに、各市町を通じて小中学校を中心に啓発用チラシを配付するなど県民に周知をいたしております。  また、県のホームページにおいても常時掲載をいたしておりまして、県民の皆さんに注意喚起をしているところでございます。 114 ◯竹内委員=高濃度の光化学オキシダントが発生しやすい場所が佐賀県にあるのかどうかはわかりますか。 115 ◯立石くらし環境本部副本部長=先ほど、環境基準値があると申しましたが、これを超過したデータがございます。主に四月、五月が高くなっておりまして、県内のどこかが高いときは、いずれも同じように高いというふうな状況でございます。特にどの地域が高いというふうなことまでは言えないということだと思います。 116 ◯竹内委員=高濃度な光化学オキシダントが発生する場合に、近隣の県でいけば福岡県、あるいは長崎県ですが、佐賀県を含めて三県で高濃度の光化学オキシダントが発生した回数とか地点が多いのはどこが一番多いんでしょうか。 117 ◯立石くらし環境本部副本部長=どこが多いという資料は手持ちにございませんが、注意報が発令されたときには近県もやはり注意報が発令されておりますので、同様の傾向にあろうかと思っております。 118 ◯竹内委員=それは最後の第三点目になりますが、大陸からの越境汚染への取り組みについてであります。  近年の九州地方での光化学オキシダントの濃度の状況は、大陸からの越境汚染が原因の一つと言われていると聞いております。海外からもたらされた環境汚染が原因の一つであれば、発生源の対策には国境を超えた取り組みが必要ではないかと考えておりますが、県としましては、どのように取り組みを行っているのか、最後にくらし環境本部長にお伺いいたします。 119 ◯古谷くらし環境本部長=大陸からの越境汚染への取り組みについてということでございます。  環境省が設置しております光化学オキシダント調査検討会というのがございます。平成二十四年三月に取りまとめられた報告書の中では、東アジアの大気汚染物質の排出量の増加が日本の光化学オキシダント濃度の増加傾向に影響しているという研究結果が多数報告をされております。また、越境汚染による高濃度事例が見られたことについて紹介されているところでございます。  そこは、委員御指摘のとおり、大陸からの流入によります越境汚染が一因である場合、発生源対策には国境を超えた取り組みが必要となりますので、これは地方自治体だけで発生源抑制の対策を講じるというのはなかなか難しい面がございます。  このため、都道府県としましては、全国知事会のほうで国際的対応も視野に入れた対策というものを国として早急に講じていただくように要望なども行っております。  国におきましては、平成二十二年五月に開催されました日中韓三カ国環境大臣会合におきまして、「共同行動計画」が採択されておりまして、この計画の中で光化学オキシダントに係る汚染メカニズムの解明、あるいは共通理解の形成に向けた具体的な研究協力に係る議論を開始することが盛り込まれました。  これを受けまして、現在、ワークショップにおいて共同研究がなされているところでございます。  県としましては、光化学オキシダントの越境汚染については、今後とも、国境を超えた取り組みが促進されますように、全国知事会を通じて国に対して働きかけを行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 120 ◯土井委員長=これにて質疑を終了します。     ○ 継 続 審 査 121 ◯土井委員長=お諮りします。  海洋環境の保全、水産資源の確保、環境対策に関する諸問題の調査に関する件につきましては、重要な問題が残されておりますので、閉会中もなお継続審査に付する必要がある旨を議長に申し出ることにいたしたいと思います。  これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    122 ◯土井委員長=御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたします。  これをもちまして有明玄海・環境対策特別委員会を閉会いたします。  どうも御苦労さまでした。     午後一時五十六分 閉会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...