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  1. 佐賀県議会 2011-09-21
    平成23年産業常任委員会 本文 開催日:2011年09月21日


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     午前十時一分 開議 ◯桃崎委員長=ただいまから産業常任委員会を開催いたします。  これより質疑に入ります。通告に従い順次発言を許可します。 2 ◯内川委員=おはようございます。県民ネット内川修治でございます。  それでは、早速でございますが、通告に従いまして質問させていただきたいと思います。  きょうは四人の質問ということで、中に二人ほど長く質問なさる方がおられるようでございますので、私は、きょうはなるべく手短に質問いたしたいと思いますので、明快な、前向きな発言をお願いしたいと思います。  まず、スクミリンゴガイ、いわゆるジャンボタニシの被害対策ということでございます。  この問題は、特に佐賀県の場合は米づくりが非常に盛んなところでございまして、「ひのひかり」、そして、特に力を入れておられる「さがびより」、あるいは「ヒヨクモチ」等々、米づくりに対しては生産農家の方たちも、いわゆる百姓の技の見せどころというか、そういうことで皆さん一生懸命取り組んでおられます。  そういった中で、水稲の田植えをした直後からジャンボタニシが急激に発生いたしまして、そして、稲の葉っぱや茎を食い荒らすということで、私のところにも、私は選挙区は神埼市と吉野ヶ里町でございますが、本当にたくさんの農家の方たちから「ジャンボタニシば何とかしてくれ」という意見をここ一、二年聞いております。  私自身も二町六反ほど田んぼをつくっておりますので、ジャンボタニシのわずらわしさといいましょうか、本当に手間がかかる。田を二往復すればバケツ半分ぐらいすぐたまってしまうような、そういう状況にあるわけです。  そういった中で、この問題についてせんだって担当課長さんともお話をさせていただく中で、「県議さん、この問題は三十年ぐらい前からいろいろとありましてね」と。「そして、県としてもいろんな取り組みを、いろんな施策をやってはきているんですが」ということで、結局は何ら効果も見出せないままに終わってしまっている、そして現在に至っているという状況だと私は判断いたしております。  そこで、生産農家皆さんたちのご期待に沿うべく、県としても再度この問題に、理想から言えばジャンボタニシの撲滅ということが最終的な目標になろうかと思いますが、担当課長さんの話を聞いていると、撲滅という点についてはいろんなハードルがある、厳しい問題がある、課題があるというところでございます。しかし、お百姓さんたちに言わせれば、何とかしてほしいという切なる願いがありますので、そういったスタンスで少し質問をさせていただきたいと思います。  ます、ジャンボタニシの発生と被害状況でございますが、本県において、直近、平成二十二年度でもよろしいです、また、二十三年度でもよろしいですけれども、水稲におけるジャンボタニシの発生及び被害状況等についてまずお聞きしたいと思います。 3 ◯御厨園芸課長スクミリンゴガイの発生と被害の状況についてでございますが、スクミリンゴガイは、現在、県内すべての市町に生息いたしております。平成二十三年七月の市町からの報告によりますと、発生が見られます水路の延長は約二千キロメートル、水田面積は約八千二百ヘクタールとなっておりまして、発生の程度でいきますと、佐賀市、小城市から東の方が特に発生が多いと、県の東部を中心に被害が見られるという状況でございます。  被害の状況ですが、スクミリンゴガイによる食害がひどい水田におきましては、水稲の苗の植えかえが必要となっておりまして、実際に二十三年産水稲で植えかえが行われた面積は約三百五十ヘクタールとなっているところでございます。  以上でございます。 4 ◯内川委員=課長の答弁の中にもありましたように、水路延長二千キロ、水田が八千二百ヘクタールですか、植えかえが三百五十ヘクタールということであります。極端に言えば、三百五十ヘクタールを手で植えかえなければいけないわけですね。ジャンボタニシが食ったところを田植え機械でまた植え直すというわけにはいきませんので、担当課長さんも田植えはよくご存じでしょうから、三百五十ヘクタールを手で植えるということは大変な重労働です。  そういった中で、ただ単に佐賀県下だけに限らず、調べてみましたが、もう西日本はほとんど被害が出ております。大阪よりももっと東のほうにまで、いわゆるジャンボタニシが発生しているということで、これはもっともっと大きな問題としてとらえてもおかしくないと思うわけです。  そこで、担当課長さんがお答えできたらお願いしたいと思いますが、私は、ジャンボタニシは佐賀県下における有害鳥獣に指定すべきだと思うんですけれども、この辺はどうお考えでしょうか。 5 ◯御厨園芸課長=まさしく農作物を食い荒らす動物ということで、有害な動物だというふうに位置づけております。これは発生の経緯は、南米が原産ということで、そこから入ってきた経緯がございますので、有害な外来性の生物であるというふうに言えるかと思います。
     ただ、基準なり、そういう指定ということについては、私のほうではわからないところがございますので御勘弁いただきたいと思います。 6 ◯内川委員=この質問は、もうちょっと責任ある立場の方のお答えを聞かなければいけないと思いますが、部長さんあたり、どうでしょうか。  このジャンボタニシは、ホームページでも調べましたが、世界の侵略的外来種の百に入っております。そのくらいジャンボタニシというのは非常に弊害の多い生き物であるということで、しかも、佐賀県全体にジャンボタニシがはびこっているということであれば、しかも、簡単に駆除できないということであるならば、イノシシとかアライグマだけに限らず──佐賀県のいろんな出版物を見てもジャンボタニシ有害鳥獣であるという指定にはなっておりません。その辺ををぜひ前向きにとらえていただきたいんですが、答弁をお願いしたいと思います。 7 ◯小野原生産振興部長=今、委員御質問のジャンボタニシ有害鳥獣への指定についてということでございますが、非常に難しい問題でございます。御承知のように、有害鳥獣というのは、名前が示しますとおり、鳥類あるいは獣類といいますか、そういうものを指定をしていく法律であると認識をしております。  そういった中で貝類といいますか、あるいは外来ということでいけば、水生動物であればブラックバスあたりも同じような環境、あるいは水生生物に影響を与える外来生物でございますけれども、そういうものも有害鳥獣法の中では指定をされていないということで、有害鳥獣という区分での指定というのはかなか難しいのではないのかなという感じで考えているところでございます。  以上でございます。 8 ◯内川委員=そしたら有害生物でもいいですけれども、そういった大事なものであるということは、ぜひ認識してほしいと思います。  続いて、このジャンボタニシの生態についてどのような特徴があるのかお聞きしたいと思います。 9 ◯御厨園芸課長スクミリンゴガイの生態についてでございますが、その前に先ほどの私の答弁が十分でなかったので。これは国の農林水産省で一九八四年に有害動物に指定をされているということで、海外からの輸入を禁止する措置はとられているということでございます。  それでは、スクミリンゴガイの生態についてでございますが、このスクミリンゴガイは、一回の産卵で約三百個の卵を生みます。卵というのは、小さな卵からなる卵塊を雑草や水路のコンクリート壁に産みつけます。また、気温が十四度以下では活動を休止いたしまして休眠状態に入るということでございます。水田の土壌や水路で越冬いたしまして、気温が上昇いたしますと活動が活発になります。  さらに、クリーク等で増殖いたしました貝は、水田へ田植え前の水をくみ上げるときですとか、大雨で冠水したときに水田に侵入いたしております。  また、委員が最初に申されたとおり、被害ということに関連いたしますと、水稲苗の移植直後から約二週間ごろまでの苗を食害するということで、それ以降は苗がかたくなって食害は見られないというような特性がございます。  以上でございます。 10 ◯内川委員=このジャンボタニシは、外国といいますか、特に東南アジア、タイとかベトナム、あるいはフィリピンなどでは、稲作にとっては最たる加害動物であるとまで指摘をしてあるわけです。しかも、我が国でジャンボタニシに対する、俗に言う天敵といいますか、それもなかなかいないということで、本当に野放し状態です。今は、お百姓さんたちが、本来ならば使ってはいけない椿油を散布するとか、自然環境のことを考えれば、本当は椿油等についてもまくべきではないということはわかっていながらも、なかなか特効薬がないということで、行政にしても、農協にしても、見て見ぬ振り。農協においては、多分、ことしぐらいで椿油の販売はおやめになるだろうという話も聞いているんですが、ジャンボタニシにとって水田地帯というのは天国なんですね。天国であるということは、ますます繁殖をしていくということになりますし、繁殖すれば、当然そこで一番困るのはお百姓さんたちでありますし、立派な水田を維持管理しようとしても、そこにはむだな労力が出てくるわけです。  そういった意味で、県としては、この辺についてもう少し真剣にというか、今までもいろんな意味で取り組んでこられたということも聞いております。しかし、なかなか有効な手だてが見つからなかったからということで、知らず知らずのうちに野放し状態といいますか、行政としてもそんなにイノシシをどうこうするとか、それほど力を入れてない。知っていてもなかなか手をつけられない。手をつけていない状態じゃないかなというように思うんですね。それではますますふえるばかりであって、本当に佐賀の水田農業を全国でも名立たるものにしたいと思うならば、こういう有害なものについては、県としてももっともっと真剣に取り組んでいただきたいと思っているところでございます。  そういったところで、今後、佐賀県としてはこのジャンボタニシの被害を撲滅という言葉はあえて使いませんけれども、被害を極力防止するために、今後、どういう施策をお考えになっているのか、その辺をお聞きしたいと思います。 11 ◯御厨園芸課長=県では、スクミリンゴガイによります被害を防止するために、これまで取水口から圃場への侵入を防止するためのネットの設置でありますとか、移植する苗につきましては、育苗期間を若干長くとりました中苗とか成苗を用いるということでありますとか、田植え後の圃場を一センチから二センチ程度の浅水にしてスクミリンゴガイの活動を抑える、いわゆる浅水管理の実施でありますとか、あるいは二十年に登録がとれまして非常に効果があると言われておりますメタアルデヒド剤、商品名はスクミノンと言いますけれども、こういった農薬による防除といったものなどの取り組みを組み合わせた被害防止対策を推進しているところでございます。  こうした取り組みに加えまして、産卵場所でございます用排水路に生息いたしますスクミリンゴガイを減らすための地域活動といたしまして、水路の泥揚げの実施でありますとか、水路の側面に産みつけられた卵の除去、あるいはスッポンの放流などに取り組んで被害の軽減に効果を上げている地域も見られるところであります。  また、本県で取り組んでおります水稲と大豆を組み合わせてブロックローテーションにつきましても、大豆を作付いたしまして乾田化することによりまして、圃場の中のスクミリンゴガイの生息数が減少し、被害の軽減に一定の効果を上げておりますことから、こういった取り組みを着実に推進していくことが重要であると考えております。  県といたしましては、今後とも、関係機関、団体と連携をいたしまして、例えば、防除対策の資料を作成し、農家の皆さんがわかりやすいようなパンフレットにしてお配りするとか、そういったことをするなどいたしまして、本対策の周知徹底を図りますとともに、集落営農組織とか農地・水・環境保全向上対策の活動組織などを中心といたしました地域を挙げた取り組みを促すことによりまして、スクミリンゴガイ防除対策の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。 12 ◯内川委員=今、課長がおっしゃったことは、多分、今までも実践してこられたことじゃないかなと思うんですね。でも、現実問題、何百坪、あるいは何千坪という一枚の水田を浅水で一センチ管理というのはなかなか難しいですよ。一平方メートルぐらいの面積だったら何とか整地して一、二センチの浅水管理ができますけれども、大半の田んぼは地並みがそろってないというんでしょうか、そういう田んぼが大半なんですよ。言葉にすれば、文章にすれば非常に簡単なんですけれども、現実に沿った指導というものをぜひやっていただきたいと思います。  今、取水口のネットとか、今度新しいスクミノンという農薬が出ている、あるいは一部にはスッポンだとかおっしゃったんですけれど、これは佐賀県全域で取り組まなければ一向に減らないと思うんですね。一部で取り組むのではなく、今、課長さんがおっしゃったように、地域全体でジャンボタニシに対する認識を農家の皆さんを中心に深めていく。どうやったらこのジャンボタニシを駆除できるのかという雰囲気づくりというんでしょうか、意識づくりというんでしょうか、それをまず県のほうでしっかりとやっていただきたい、そんな気がするんですね。  この問題は、まだまだ個人個人生産農家、強いて言えば地域ぐらいにお任せしますというようなスタンスしか私には見えてきません。だから、県が本気になって、今、課長さんがおっしゃったようないろんなアイデアというか、施策を地域が一体となって取り組むような環境づくりをぜひ県としてリーダーシップを発揮していただきたいんですね。  私は、本当はスクミノンといった農薬に対する補助金まで出してくれと言いたいところですが、どうせ県は「出さん」と言うでしょうから、お金を出さんなら、せめて知恵ぐらいですね、(「言うてみらんばわからん」と呼ぶ者あり)言うてよかですか。部長さん、どがんですか、少し考慮してもらっていいですか、その辺は。 13 ◯御厨園芸課長=先ほど言われましたように、確かに浅水管理は全体では難しい問題がございます。水口というか、取水口のほうが低くなっているものですから、水を落としてそこに水を少しためておくと、そこに寄ってくるということで、先ほど言いましたスクミノンあたりも全体に振るより、そういったことで寄せてスポット的に施用するといったことが実際行われております。  県内で農薬による防除は約千ヘクタールぐらい実際に行われておりまして、先ほど言いましたとおり、スクミノンが出るまではなかなかその効果が上がらないと言われておりましたが、スクミノンにつきましては、各地域とも効果はあると。ただ、委員言われるように、撲滅というか、ゼロにするということはなかなか難しいところでございます。  確かに、現状、農家によりまして総合的な対策なり、地域を挙げた対策というのがまちまちのところもございますので、そういった点で、どちらかというときっちり対策をとれれば全然手も出せないものではなくなってきているのじゃないかと我々も認識しておりますので、再度、各個人個人でやられる対策と、地域を挙げて共同でやってみようというような対策、総合的な対策もございますので、そういったことについて周知徹底をしっかり図っていきたいと考えております。 14 ◯内川委員=今の課長のお答えで、ある一定の課題は満たすかと思います。  ただ、部長にお聞きしたいんですが、留守先輩から「言うてみんか」と言われましたので言いますが、実際、スクミノンは一反分で大体二千九百円ぐらいしますので、二町、三町つくっていたらかなりの金額になるんですよ。だから、その辺は、もし余裕があるならば、ぜひ少しの補助というか、要するに、意識づけの意味において、県もこういうことをするからという意識づけが一点。  それと、JAさんとか普及所と一体となって、そして地域住民生産農家の方たちに対する意識づけをしっかりとやっていただき、三カ年計画でいいんですよ、「ジャンボタニシ撲滅作戦」とまではいかなくても、そういったタイトルをつけて三カ年計画で、県としてそういった財政的支援も含めて、しかも、パンフレット等も皆さんがその気になるような、どうでもいいようなパンフレットをつくられてもしようがありませんので、本当にそうだなと、何とかこれは退治せにゃいかんなと、そういう目にも訴えるようなパンフレットなんかもつくっていただくとか、そういう努力をぜひやっていただきたいと思うんですけれども、最後にその辺について部長の答弁をお聞きしたいと思います。 15 ◯小野原生産振興部長=委員の御質問にお答えをしたいと思います。  このジャンボタニシについては、委員も御質問の中で述べられましたように、非常に長い間、いろんな取り組みを進めてきたということで、各農家の方々も苦労しながらということで、一時の最盛期よりは若干減っているとはいいながら、まだまだ多くの被害を与えているということで、その対策についてはしっかり取り組んでいく必要があるだろうというふうに認識をしているところでございます。  そういった中で、先ほど園芸課長が答弁申し上げましたように、基本的には個々の農家の取り組みということではなくて、佐賀の場合、ひと雨きますと、その雨水が隣の圃場まで広がっていくということでございますので、地域でまとまった取り組みをしっかり進めていくことが重要だろうと思います。  そういった中で、これまで待ち望んでいたメタアルデヒド剤が二十年に登録されたということで、ここ数年、その利用を進めていますけれども、その効果的な利用方法についても、さらに農家の方に徹底を図っていく。そうした中で効果的にそれを使うことによって、経費についても少しでも節減していくという取り組みをしっかり進めていく必要があるだろうと考えております。  そういった中で、地域、あるいは農業団体、それから普及組織といった技術陣の連携を一層強化しながら、このスクミリンゴガイの被害の軽減にしっかり取り組んでいきたいと思います。  そういった中で、経費ということでございましたけれども、県として、これまで資材費についての助成ということには取り組んでおりません。そういった中でスクミリンゴガイだけということはなかなか難しいかなというふうに考えております。  そういった中で、先ほど申し上げましたように、関係機関、地域の農家の皆様を含めてしっかり取り組みを進めて、その効果を上げていくという中で、この被害軽減にしっかり取り組んでいきたいと考えているところでございます。  以上でございます。 16 ◯内川委員=わかりました。余りだらだらとしてもしようがないでしょうから、三年ぐらいの計画のもとで地域住民を含めた皆さんに対する指導と申しますか、啓蒙活動、県のやる気が、結局は末端の県民の皆さんにまでいい意味での意識づけが及ぶというように思っておりますので、ぜひ真剣に取り組んでいただきたいと思います。  次に、二番目の問いにいきたいと思います。「佐賀県『食』と『農』の振興計画」についてであります。  最近の農業の、あるいは農村の実情を見ますと、取り巻く情勢はさまざまな要因等が重なって、今、農業経営はますます厳しくなっております。それがひいては農村の活力そのものが死してしまう。要するに、活力がなくなってしまっているような気がするわけです。こういうふうに農業がだめになり、あるいは農村がだめになると、これはもう本当に農業、あるいは農村が持つ社会に対する多面的な効能というんでしょうか、いろんな意味で地域に貢献している農業や農地、あるいは農村というものがだんだん、だんだん衰弱してしまって、しかも、地方の文化までもがなくなってしまう傾向にあると申し上げても過言ではないと思うんですね。特に、佐賀県みたいな地方にとっては、地方の文化の崩壊というのは、大げさな言い方をすれば、佐賀県自体の崩壊につながりかねないというふうに私は大変危惧しております。  こういった中で、県としては、それではいかんだろうということで、明るい農村づくり、あるいは元気な農村づくりですか、そういったものをこの四、五年ずっと目指していろんな意味で頑張っておられると思いますけれども、これからの佐賀県の、地方の明るい農村、あるいは元気な農村づくりをするためには、佐賀県はそれ相当の努力をしていただかないと、本当の目標とするような地域づくりはなかなか難しいのではないかと思っています。  そこで、幾つか質問させていただきます。  まず、一点目は佐賀県の農業・農村の振興についてでございますが、厳しい農業情勢の中で農業・農村が持っている重要な役割を果たしていくためには、農業・農村が持続的に発展していく必要があります。県は、今後、このことについてどのように取り組んでいかれるのかをまずお聞きしたいと思います。 17 ◯舩津生産振興部副部長=今後の佐賀県農業・農村の振興についてお答えいたします。  農業・農村を取り巻く情勢が厳しさを増す中で、本県農業・農村が一層発展していくためには、農業・農村に対する県民の理解の醸成を図りながら、農業者の所得が確保され、将来にわたって意欲を持って農業経営に取り組めるような魅力ある農業を確立するとともに、地域の農業者が生き生きと働いたり快適に暮らしていけるような活力のある農村を形成していかなければならないと考えております。  このようなことから、今議会に審議をお願いしています「佐賀県『食』と『農』の振興計画」の変更案では、農業の振興に当たっては、まずは、いいものをしっかりつくっていくということを基本に、消費者から選ばれる農産物づくりと、それを支える人づくりを進めることとし、具体的には、「さがびより」の食味ランキング特Aの継続取得や、「佐賀牛」の生産拡大などによります安全・安心で品質が優れた農産物づくりや、高品質化や収量の安定化、低コスト化などを促進する新品種・新技術の開発・普及、また、経営の規模拡大や複合化、多角化などによる農業経営力の強化や新規就農者の確保・育成、農地の集積や排水対策の推進などによります農業経営を支える生産基盤づくりなどに力を入れていくことといたしております。  さらに、生産されたいいものをしっかり売っていくため、プレミアム商品の創出などによります県産農産物のブランド力の一層の向上と有利販売、さらには、海外も含めた販路の拡大にしっかり取り組んでいくことといたしております。  また、将来にたわって持続可能な農業を展開していくためには、有機栽培や特別栽培、あるいは石油や化学肥料などにできるだけ頼らない環境保全型・省資源型農業を推進していくことといたしております。  次に、農村の振興に当たりましては、活力ある農村を形成していくために、豊かな地域資源を活用した新たな農業ビジネスの展開や、快適で安全・安心な生活環境づくり、地域の特性を生かした多彩な農産物づくりや、イノシシなどの有害鳥獣対策などの中山間地域農業対策の推進などによりまして、元気な農村づくりを進めていくことといたしております。  さらに、こうした農業・農村に対する理解の醸成を図るために、平成十八年度から県民協働で取り組んでおります「食」と「農」の絆づくりにつきまして、食農学習、地産地消、都市農村交流の輪をさらに拡大していくとともに、これらの取り組み相互の連携の輪づくりを推進いたしまして、「食」と「農」の絆の輪を一層拡大していくことといたしております。  今後とも、こうした取り組みを農家の方々を初め、県民の皆様や、市や町、農業団体などと連携しながら積極的に推進いたしまして、魅力と活力あふれる佐賀県農業・農村の実現にしっかり取り組んでいきたいと、そのように考えております。  以上でございます。 18 ◯内川委員=今、副部長の御答弁で、佐賀県が目指す佐賀県農業の全体像というんでしょうか、あるいはまた将来像、そういったことは理解できました。私は、ことし六月の産業常任委員会でも、こういった全体像について、あるいは細かな部分については質問させていただいた経緯もありますし、佐賀県が何を目指そうとされているのかは理解しているつもりでございます。  ただ、私がいつも気になるのは、これを具体的に活動していくとなると、頭脳優秀な舩津副部長さんが一人で頑張っても末端まではなかなか行き届かないということなんですね。だから、具体的にどういう組織形態を使って、あるいはどういう人たちの力をかりて、具体的にどうするかといった部分が、いつも県の職員さんの御答弁からは見えてこないんですね。結果として、「じゃ、あなたたち、三年前にこういうことを計画したんだけれども、この三年間、一体どれだけのことができたのか」というような質問をせざるを得ない、あるいはしたくなるような現状が多々あるんですね。  ですから、その辺については、部長さんあたりは、ある意味、厳しく目を光らせていただき、本当に優秀な職員さんたちが描いている全体像、将来像がどこまで実現できているのか、そういったことについてはしっかりと見届けて、あるいは指導をしていただきたいんですけれども、その辺についてまず御答弁をお聞きしたいと思います。 19 ◯小野原生産振興部長=お答えをいたします。  県の計画については、具体的な推進を図っていく、あるいは目標を実現していくためには、我々県だけでその達成ができるものではないということは十分に認識しているところでございます。  そういった中で、新しい計画におきましても、それぞれ農業者の方々の役割、あるいはその組織でございます農業団体の役割、あるいは市町の役割、あるいは県民の方々の御理解、御支援も必要でございますので、そういった県民の方々の役割と申しましょうか、そういうものも計画の中に盛り込んで、その推進を図っていくということで、当然、この計画をそういった意味で、真に一人一人の方にいかに浸透させていくかということが大事だろうと考えておりますので、そういった取り組みもしっかり進めていきたいというふうに考えているところでございます。  そういった中で、各農家の方々、あるいは地域の方々がそういった認識を十分していただきながらいろんな取り組みを進めていただく。そういった中で魅力ある農業の確立なり、あるいは元気な農村づくり、あるいは農業・農村に対する理解の醸成、こういったものも総合的に進んでいくだろうというふうに考えておりますし、そういったものを総合的に進めることによって佐賀県農業・農村が将来にわたってしっかりと発展をしていく、そういう姿が描けてくるだろうと思いますので、この計画につきましても、今言ったようなことで各組織、あるいはそれぞれの生産者の方々を含めて、思うところといいますか、目指すところの周知を図りながら取り組みを進めていきたいというふうに考えているところでございます。  また、その成果につきましては、今回の計画につきましても、毎年度、それぞれ品目別等で目標を掲げさせていただいておりますけれども、そういうものをしっかりと毎年評価をしながら、議会にもご報告をしながら、次の具体的な取り組みについては、さらに検討を加えていくという形で、この計画の実現に向けてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 20 ◯内川委員=わかりました。  そういった中で次の質問ですが、農業経営の多角化ということで質問させていただきたいと思います。  先ほどから申し上げております明るい農村、あるいは元気な農村、このことを実現するためには、従来どおり、生産農家の皆さんが農業に従事するだけではそういった農村づくり地域づくりはなかなか難しいと思うんですね。その地域に住む人々も巻き込んで一体となって、農村づくり、あるいは地域づくりをしていかなければならないということは、もう言うまでもないと思います。  そういった中で、ここ何年かでいろんな法律もできましたし、施策も出ておりますけれども、農業者の皆さんみずからが生産だけにとどまるんじゃなくて、加工、あるいは流通、あるいは販売、そういったことも取り組めるような、しかも、地域が一体となってそういったことに取り組み、そして、付加価値を生み出す、いわゆる農業経営の多角化、これを我々はこれから六次産業化ということで言いたいと思いますけれども、この六次産業化は、これからの農村の活性化、元気な農村づくり、明るい農村づくりに非常に重要な役割を果たすのではないかと考えております。  そういった中でまずお聞きしたいのは、このいわゆる六次産業化は、今、佐賀県ではどのような取り組みがなされているのか、実例があれば教えていただきたいと思います。 21 ◯猿渡生産者支援課長=県内の取り組み事例についてお答えいたします。  県内では、農業者や農業者の方々が組織するグループなどで、みずからの生産物を利用して加工品を開発し、直売所で販売されたり、また、みずから生産した農産物を加工され、ホームページで直接消費者に販売されているような事例、また、農家レストランなどを営まれて調理として提供されているような事例があります。  昨年、こうした取り組み事例を農業改良普及センターなどに照会しまして主な取り組みを調べたところ、約七十件近い報告があっております。その七十件というのは、ダブるものは一件ということで主なものを調べさせていただきました。だから、数的にはもっと多い取り組みがなされていると思っております。  その例として、農産物直売所で農産物の販売だけでなく、農産物を有効利用といいますか、売れ残った農産物も含めましてジャムやケーキに加工しておられるものとか、先ほど言いましたが、調理してレストランのメニューとしてあわせて出されているというような事例、また、集落営農組織で米、麦、大豆のグループに加えまして野菜グループを発足されて生産した野菜を販売する直売所を設置して売られている事例、あるいは肥育農家が生産した牛肉をみずから販売するために直売所を設置し、あわせて、その場で食べることのできるレストハウスも設置され、あわせて自家製のハンバーグなどの製品を商品開発されてインターネット等で売られている事例、または農家民宿など、さまざまな形態で農業経営の多角化、いわゆる六次産業化が展開されているところであります。  以上です。 22 ◯内川委員=今、佐賀県下でもかなりの数が、あちこちで六次産業化に向けた活動がなされているという課長さんの御答弁でした。今の課長さんのお話をお聞きしている中で、いわゆる地域をも巻き込んだといいますか、佐賀県としても六次産業化に取り組んでそう長くたっていないものですから、簡単に数年ではなかなか思うようにいかないと思いますけれども、地域全体を巻き込んだ、あるいは生産農家の方以外の地域住民をも巻き込んだような加工場とか販売所、そういうものがまだちょっと見えてこないんですね、全体で取り組んでいるという雰囲気が。それについての現状はどうなんでしょうか。 23 ◯猿渡生産者支援課長=委員の先ほどの質問のとおり、そういう事例というのはまだまだ少ない状況です。一つそういう事例で申しますと、武雄のほうでレモングラスを栽培されている農家が法人を設立されて、そして、旅館とか観光業と一緒に、または食品関係の業者の方と一緒に加工品として販売されているというようなものがまれに見えてきているところであります。  以上です。 24 ◯内川委員=これからが本当に六次産業化を本格的に佐賀県内で稼動させていくというか、実施していかなければいけないと思うんですね。  そういったことの中で、県は、現在、それぞれの地域で活動なさっている方たちに対して、将来像といいましょうか、「将来は、皆さん方の地域を、こういう形で地域全体で取り組めるような六次産業化ができたらいいですね」とか、具体的なそういう話し合いというか、啓蒙活動というか、そういうことはなさっているんですか。 25 ◯猿渡生産者支援課長=今後を含めました取り組みということでお答えさせていただきます。  現在行っている取り組み事例として、先ほどの委員の質問のように、まだまだ六次産業化について、多角化についての意識が少ないということで、まず、こういう意識を高めるために研修会の開催を現在やっております。あわせまして、チャレンジしたい農家などに実際の加工とかネット販売とかいろんな知識を習得してもらうための講座も開催しております。加えまして、個別にそういうことに対応して現地でアドバイスをしてもらうために、流通とか商品開発とか、そういう技術を有する専門家の方をアドバイザーとして派遣しております。  さらには、実際に多角化に取り組む農業者に対しまして、どうしても最初は経費とかいろんな面で不安をお持ちですので、そういうことを排除するための加工の開発とか販売の導入に必要な経費の助成ということも現在あわせて行っております。  こういうもので六次産業化、いわゆる多角化が進んでいくように取り組んでいるところでございます。  以上です。 26 ◯内川委員=地域、地域のリーダーをいかに養成していくか。こういった一連の動きというのは、そこで頑張っておられるリーダーにもかなり影響が左右されると思うんですね。だから、そういったリーダーの養成といったものについては、県でも大いに頑張っていただきたいと思います。  課長にお聞きしますけれども、六次産業化というそもそもの意味はどういう意味か、教えてください。 27 ◯猿渡生産者支援課長=六次産業化というのは、一次産業だけでなく、それにあわせまして流通とか加工とか多方にわたって商品の価値を上げて、そして、農業者の方も含めまして所得を上げていくというような取り組みです。  以上です。 28 ◯内川委員=私は、ある書類を見たんですが、六次産業というのは、いわゆる一次産業プラス二次産業プラス三次産業が六になるというふうに、いろんなところで目についたんですけれども、一足す二足す三は六と、一掛け二掛け三は六という違いが私はわからないんですよね。課長さんはその辺はどういうふうにとらえておられますか。 29 ◯猿渡生産者支援課長=済みません。勉強不足でそこまで知り得ていません。 30 ◯小野原生産振興部長=お答えをいたします。  私の認識がそのとおりなのかどうかわかりませんけれども、二説ありまして、一掛け二掛け三という答えも六ですけれども、これでいけば一つが例えばゼロになればゼロになるということで、やはりそれは一と二と三を足して六ということなんだろうと。例えば、一があって二があって三ということも、広く言えば六次産業化の一つの過程としてあるんでしょうけれども、そういうふうに掛け算をしていくとある部分がゼロになれば全部ゼロになってしまうということだというふうに私は認識をしていますが。  以上でございます。 31 ◯内川委員=さすがですね、明快でございます。私も知りませんでした。結局、一次産業、二次産業、あるいは三次産業のそれぞれが上手に連携するというんでしょうか、地域全体でといいましょうか、トータル的な取り組みをやらないと、この六次産業というのは、なかなか六次産業になり得ないというふうに書いてありました。その中でもしお百姓さんが本当にお百姓さんとしての活動ができなければ、この六次産業は当然成り立ちません。また、二次産業においても、三次産業においてもそうなんです。それぞれの分野が連携をしながら、情報を共有しながら、そして、地域おこしをどうするかというスタンスに立ってみんなが取り組んでこそ、初めて六次産業化が活性化して、ひいては元気な農村といったことにつながるというふうに書いてございました。私もそう思います。  そのためには県もそれぞれの地域に対して、もっともっとインパクトのある指導というんでしょうか、これは地道な活動だと思いますよ、一年、二年でできるものじゃないです。日本じゅうで六次産業化と言われて成功している事例は、ほとんど十年、二十年、長いところは三十年かかってやっと六次産業化ということで成功例として紹介されているぐらい、大変な根気と時間が必要だと思います。でも、そこには力強いリーダーの養成とか、あるいは県の指導、そういったものが大変重要だと思います。  大分県の大山町でしたか、「梅栗植えてハワイに行こう!」と、これは皆さんご存じだと思いますけれども、こういう本当に喜びのある言葉、喜びのあるエネルギーといいますか、そういったところがなるほどだなと、梅を植えてハワイに行けるのかと、そういうインパクトのある指導の仕方ですね。そういうことをぜひ県にお願いしたいと思いますが、課長さん、どうでしょうか。 32 ◯猿渡生産者支援課長=県内の取り組みが一つでもうまく育って、そして、将来にわたって、先ほど言われましたけど、もうけられた金で自分たちに返ってくるというような取り組みを一生懸命続けたいと思っております。  以上です。 33 ◯内川委員=それでは、三番目の「さが”食と農”絆づくりプロジェクト」について質問させていただきます。  この「さが”食と農”絆づくりプロジェクト」は、平成十八年度から県としてもいろんな地域、あるいはいろんな分野をいい意味で巻き込んでいろいろと活動を展開されてきております。特に、この中で食農学習、あるいは地産地消、都市農村交流の三本柱を中心に、いわゆる消費者と生産農家との距離を縮め、そして、相互理解を深めるという意味で大変重要な取り組みだということで、私自身も大変楽しみにしているところでございます。  そこで、これまでの「さが”食と農”絆づくりプロジェクト」、特に食農学習、地産地消、都市農村交流等を中心にこれまでどういう取り組みをされてきているのか。それと、そこから発生している課題ですね。県の皆さんから見て、こういうところがなかなか思うように進んでいないという課題もたくさんあるはずです。そういった点を教えていただきたいと思います。 34 ◯猿渡生産者支援課長=これまでの取り組み状況とあわせまして、課題についてお答えします。
     「さが”食と農”絆づくりプロジェクト」として十八年度から五年間、県民協働で行ってきております。これまでの主な取り組みとして、先ほど、十八年から二十二年までは食農教育ということで呼ばせていただいて、二十三年度から食農学習ということで言わせていただいておりますので、食農教育ということで、まず、ホームページでは「きずなのひろば」というホームページをつくっております。ここで食と農に関する情報を総合的に発信しております。月のアクセス数で見てみますと、十八年度は一万五千件、これが二十二年度は二万九千件ということで相当ふえております。また、農業者がふるさと先生として生産現場の生の声とか、それから技とか知識とか、そういうことを教える授業では、十八年度からの五年間で、小学校、中学校、小さいところでは保育園、幼稚園の約三百カ所に派遣しまして一万六千人が受講しております。  地産地消では、農産物直売所の情報発信や県産食材を積極的に使用します「さが地産地消の店」の登録PRを進めております。十八年当時二十件であったのが、二十二年度には百八件ということでふえております。  そういうことで、直売所の利用増にもつながっておりますし、県産食材を使用している飲食店などがふえてきていると感じております。  また、学校給食については、関係者に集まっていただきまして意識醸成を図り、県産食材を供給する体制づくりを推進しまして、副食で県産食材の使用割合が十七年度の三八・六%から二十二年度は五四・六%ということで増加しました。  都市農村交流では、人材育成やネットワークづくりを進めてきておりまして、都市農村交流に取り組む実践者の増加や県域及び三つの各地域で実践者ネットワークが設立されるなど、地域において取り組みが活発になってきております。  また、課題ですが、こうした取り組みを行ってきましたが、このような取り組みは長い年月がかかるものと思っております。引き続き取り組んでいく必要があるということで感じております。  また、給食については、一定の成果が出ておりますが、そのほかのところ、例えば病院とか福祉施設とか、そういうところにも広めていく必要があると感じております。  また、都市農村交流では、観光業との連携とか、都市住民への情報発信、そういうものを進めていくということが一つの課題として見えてきたところであります。  以上であります。 35 ◯内川委員=かなりの活動といいますか、実績を着々とというか、地道な活動ではあるでしょうが、やってこられていると思いますけれども、まだまだ、例えば食農教育ですか、数百人の指導員がおられると。こんなことを言ったら私はしかられるかもしれませんけれども、私が知っている地域の指導員を見ていますと、「なんでこの人がこういう指導員をしよいさっちゃろか、もっとほかによかとのいっぱいおいさっとこれね」という方も結構おられるんですね。だから、その辺がどういう人選をなさっているのか。数さえつくればいいというわけじゃないんでしょうけれどもね。  だから、そういったところも含めてもうちょっと、どうせやるならば指導員としてよりふさわしい人を選任するとかしないと、数がこれだけいますからぐらいでいると、せっかくのそういう努力が効果が半減するということもありますので、そういったところはしっかりと取り組みをしていただきたいと思います。  また、我々も見習うべきかもしれませんけれども、三瀬に「マッちゃん」というのがありますね。あそこは本当にすごいお客さんが集まって、福岡の方が大半だと聞いておりますけれども、私に言わせれば、あれは地産地消とは言わないんですよね。他産他消なんですね。ほかのところの農産物を持ってきて、ほかの県の人が買っていく。そういう意味では私は疑問を感じております。ただ、商法という点では行政マンの皆さんも見習うべき点が多々あると思うんです。  こういう言葉を使っていいかどうかわかりませんが、商売人根性とでもいうんでしょうか、そういう部分を、こういった分野は特に”食と農”絆づくりにおいては、単なるきれいごとだけではなかなか前に進まない、具体的にいかない。そこには商売根性的な積極的な気構えというか、それを県の職員さん自体が持たないと無理ですよ。指導する方々がペーパーでこういうことをやりますと言ってもなかなか、もっともっと現場を知っていただいて、どういう取り組みをするところが成功しているか、あるいは失敗しているか、そういったところまで県の職員さんが踏み込んで取り組まれるべきじゃないかと思いますけれども、その辺、本部長はどういうふうにお考えでしょうか。 36 ◯小野原生産振興部長=お答えをいたします。  今、委員からお話がありましたように、”食と農”絆づくりということにつきましては、広く県民の方々を対象にしていくということでございますので、その柱となる人づくりの部分が非常に重要だろうと考えております。  そういった中で、これまでもこのプロジェクトの推進に当たりましては、事、農業関係者だけじゃなくて、学識経験者の方、あるいは広く消費者の方、あるいは実際取り組んでいらっしゃる組織、グループの方、こういう方々に委員に入っていただいて推進をしています。また、各地域において、農林事務所、普及センターが参画しながら、あるいは市町の方にも参加いただく、あるいは各地域の学校教育関係の方にもお入りいただくとか、そういったことをしながら食農教育、あるいは地産地消、あるいは都市農村交流といったものを進めてきたところでございます。  そういう中でのいろんな成功事例、あるいは課題を抱えているところの県内の情報、あるいは県外のいろんな優良事例といったものもそういった場で紹介しながら、あるいはお互い研究をしながら取り組みを進めてきているところでございます。  そういった意味で、今後とも、この”食と農”絆づくりの強化といいましょうか、そういう取り組みを本年度から進めているわけでございますけれども、そういった中でも、食農学習、地産地消、都市農村交流、それぞれを個別に展開をするんじゃなくて、例えばでございますけれども、直売所に来ていただく。そういった中で佐賀県のいろんな農産物に関する情報、あるいは地域特有の料理なり文化なり、そういうところまで直売所の中で提供をしていく、あるいは都市農村交流といった中で地域の食材を含めた食文化を提供していくとか、そういうそれぞれの連携、地産地消だけやるんじゃなくて、そういった中に食農教育も盛り込んでいくんだ、あるいは都市農村交流も盛り込んでいくんだと、そういった相互の取り組み、連携を強めながら、この取り組みをしっかりと広げていきたいと考えておるところでございます。今後とも、地域の各界各層と連携しながらしっかり取り組んでいきたいと考えているところでございます。  以上です。 37 ◯内川委員=わかりました。できるかどうかわかりませんけれども、私は、佐賀県のどこか一カ所でもいいんですが、佐賀県の農産物、あるいは水産物も含めて一次産業の産物を販売するとか、加工をする、あるいはレストランを展開するとか、そういう複合施設といいますか、そういうものがもし可能であるならば佐賀県でそういった取り組みをしていただきたいなと。そして、県内外の人に佐賀県の農業たるものを理解していただきたい。また、愛していただきたい。  後ろにおられる伊藤豊委員が私にいつもおっしゃるんですが、本当のブランド化というものは、まず地元の人がほれ込まなければ本当のブランド化はならないと思うと。地元の人もよく知らないようなブランド商品というのは長続きしないというようなことを伊藤委員さんからいつも教えてもらいますが、私もそう思います。  ですから、県内外の人にそういったものを知ってもらう、あるいは食べてもらう、理解してもらう、そういうことがひいては消費者と生産農家の距離を縮めていく。また、そういった農産物に携わることによって加工、あるいは販売にかかわることによって地域の皆さんも元気の出る、活性化なる地域づくり農村づくりにつながっていくんじゃないかと思います。  部長どうでしょうか。そういう複合施設的な取り組みが考えられるかどうか、御質問させていただきたいと思います。 38 ◯小野原生産振興部長=お答えをいたします。  一挙に複合的な施設を県内一本でという形はなかなか難しいと思いますが、先ほどもお答えしましたように、相互の連携といった意味では、それぞれいろんな加工グループ、あるいは直売グループとか、今まで答弁を申し上げてきましたように、県内にもいろいろいらっしゃいます。そういった方々の連携を図っていくということで、今、県で進めておりますのが、まずは地域の中でそれぞれ連携をし合いながら、農産物、あるいは加工品あたりをお互いの、例えば直売所に置くとか、あるいはレストラン等で活用していくとか、そういった取り組みから進めていこうということで進めておりまして、そういうことを盛んにしていきながら、いろんな食材、ある地域にはないものが、ほかから融通をしてもらうことによってその店舗に並べられるということで、トータルとして佐賀県といいましょうか、そういったものの農産物、あるいは加工品、あるいは大きく言えば佐賀県の農業なり農村、そういったものを県全体としてアピールしていける、そういった取り組みを今後進めていきたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 39 ◯内川委員=以上で終わります。ありがとうございました。 40 ◯伊藤 豊委員=公明党の伊藤でございます。引き続き、通告に従って質問をさせていただきたいと思いますので、明確な答弁をよろしくお願いいたします。  まず最初に、メガソーラー設置促進事業についてお伺いをしたいと思います。  福島第一原発事故を契機にして、原子力発電そのもののあり方が問われておりますし、また、原子力発電を将来にわたって基幹エネルギーとしてこれまでどおり依存していくのかということについても論議が行われております。今、佐賀県はむしろ、こうした論議よりもやらせメールのほうが主になってしまって本当の論議が進んでいない。これは非常に残念なことだと思っております。  こうした状況の中で、さきの国会で再生可能エネルギー特別措置法案が可決をされ、再生可能エネルギー電気の全量買取制度の導入が決定されました。しかし、買い取りに要した費用を電気料に反映することも国民に納得していただかなければいけない法律になっております。  今、再生可能エネルギー特別措置法については、再生可能エネルギーを導入するという側面だけが強調されて、一方で費用負担の部分については使用者に費用負担を転嫁することができるということについての論議が余りなされていないのではないかというふうに今思っております。  こうした中、再生可能エネルギーの普及を図っていくこと、そして、それを今後のエネルギー源としてどのように位置づけて、どのような形で国民生活の中に根づかせていくのかということも非常に大事なことでありますし、導入は推進していかなければいけないというふうに私も基本的には考えております。  こうした中で、今議会において、吉野ヶ里ニュー・テクノパークの跡地をメガソーラー用地として佐賀県土地開発公社から買い戻しをし、造成工事を行うための予算が提案されております。このことについて幾つかお聞きをしたいと思っております。  まず最初に基本的なことですが、事業用地についてですけれども、今回の事業用地の取得、造成について費用はどのようになっているのか、改めてお伺いをさせていただきます。 41 ◯大野企業立地課長=用地の取得造成についてお答えいたします。  用地については、昭和五十八年に県から佐賀県土地開発公社への神埼工業団地の開発要請に基づきまして、同公社が取得、一部造成した吉野ヶ里ニュー・テクノパーク跡地、面積で二十五・六ヘクタールでございますが、それを買い戻して確保するものであり、経費としては三十三憶六百八万円を予定しております。  この三十三憶六百八万円の内訳としましては、公社が県からの要請に基づき実施しました用地取得や補償、文化財調査、測量、造成工事に要した経費、加えまして金融機関からの借入金支払利息等となっており、現時点における佐賀県土地開発公社の簿価で買い戻しをするものでございます。  用地造成費としましては、九月補正予算に係る全体事業費として三億九千九十五万八千円の所要額を予定しており、その内訳としましては、用地造成のための設計・積算業務委託料が一千四百六十万円、造成工事の監理業務委託料百四十万円、これは二カ年にまたがるということでの継続費設定をお願いしております。そして、用地造成工事が三億七千三百二十八万三千円の所要額を見込んでおります。  また、用地造成工事の内容は、整地工事、管理用道路工事、それに敷地内の雨水処理を行うための排水路を設置するとともに、その雨水を直接大量に下流に流さないようにする水量調節を行う調整池を整備するものでございます。  なお、これらの用地造成工事は、年度分割施工をすることが困難であることから二カ年の継続事業として実施するため、あわせまして継続予算での執行を予定しているところでございます。  以上でございます。 42 ◯伊藤 豊委員=土地開発公社が持っていたものを買い戻す。それから、工場用地の造成をするということで約三十六億九千七百万円、この部分のところが今回、土地の取得と県有地にするということ、造成費用としてかかるわけですが、この土地を造成して事業者に土地の提供をしていくわけですけれども、佐賀県土地開発公社から用地を買い戻し、用地造成を行ってメガソーラー用地として有効活用するということですけれども、どのような形で事業者に土地を提供する予定なのかお伺いをいたします。 43 ◯大野企業立地課長=事業者への土地の提供についてお答えいたします。  事業用地については、今議会での予算承認の後、佐賀県土地開発公社から用地を買い戻しまして、その土地を管理できるよう、また、パネル設置工事に支障がないように用地造成工事を行い、その用地を賃貸リース、土地の貸し付けでございますが、賃貸リースすることとしております。  事業用地を売買によらずに賃貸リースで事業者に提供する理由としましては、一つは、有期限である全量買取制度の事業条件下では、事業者の用地確保は初期投資額が多大であることから賃貸リースが一般的になっていること。また、メガソーラー事業期間終了後はメガソーラーを継続して行うのか、また、ほかの用途とするのかの検討が必要なことから、県有地として所有するほうが効率的であることなどによるものでございます。  事業期間としましては、二十年程度を見込んでおり、全量買取制度の買取期間の設定で変わってきますが、契約方法は、事業用定期借地権での契約を検討しております。  また、土地リース料については、県内工業団地、実例として七ツ島工業団地でございますが、そちらのリース料、年額平方メートル当たり百円でございますが、それを参考にして固定資産税相当額により算出した額程度を考えております。  以上でございます。 44 ◯伊藤 豊委員=リース料については、工業団地に準じるということですが、現実的にはかなり優遇されているリース料の設定だと思います。あわせて、工業団地がさまざまな形で地域に果たす役割等を含めると、今のところ、七ツ島工業団地のリース料を参考にしながらということは、ほぼ同程度でリースをするということなんだろうと思います。そうなると、土地購入ではなくてリース料で事業者は進出をするということになりますが、それでは、先にこちらを聞きます。  事業者への支援についてですが、一般質問の中でも事業者支援については初期投資に対する支援は行わないことを前提に事業者募集を行うというふうに答弁をされております。趣旨としては理解いたしております。  しかし、メガソーラーを設置していく場合に、今の条件だと、メガソーラーそのものの発電器材を導入することとあわせて、今回、送電設備も設置しなければならない。そうすると、初期投資というのがどのぐらいなものになるのか、非常に大きいと思います。  それとあわせて、今、未定ですけれども、電気の買取料金が四十八円とか五十円と言われている。期間が十五年とも二十年とも言われている。そのことによっては初期投資の額が採算に見合うのかどうかということが、メガソーラーの事業者が進出してくるかどうかということについて非常に大きな要因になってくると思っております。  こうした状況を勘案した場合に、公募で事業者が手を挙げなかった場合、いわゆる今の時点では初期投資に対する支援を行わないというスタンスですが、公募で事業者が手を挙げなかった場合の対応をどのようにしようと考えているのか、そういうお考えが今の時点であるのかどうかを含めてお伺いをいたします。 45 ◯大野企業立地課長=事業者への支援につきましては、事業者からの声が多かったパネルの設置費用や、系統連携の送電線設備費用などの初期投資に対する支援を予定しておりましたが、先ほど委員が言われましたように、今議会での意見や議論を踏まえまして見直しを行い、まずは初期投資に対する支援は行わないと、そういう前提で事業者公募を行うこととしたところでございます。仮に事業者からの応募が得られなかった場合には、公募方法、買取価格や期間などの事業条件、他県の支援策などを含めてその原因分析を行い、改めまして事業者支援の是非を含めて検討し、県議会に御相談申し上げたいと考えております。  以上でございます。 46 ◯伊藤 豊委員=これは国のほうで決めることですが、今答弁にありましたように、この事業が成り立つのか、成り立たないのか、最大のポイントは買取料金が幾らになるのかということ。それから、買取期間が十五年なのか二十年なのかということが非常に大きな要因になると思うんですね。これは、今、特措法が通った後、施行令だとかで決めていくことになると思うんですけれども、これはいつごろ決定するというふうに見通しがあるんでしょうか。 47 ◯大野企業立地課長=全量買取制度の買取価格と期間につきましては、施工は来年の七月一日施工ですけれども、その法の中で、第三条でございますが、前年度末、言いかえますと来年の三月末までには買取価格と買取保証期間が決定されるものと認識しております。 48 ◯伊藤 豊委員=ということは、今年度末、来年の三月ぐらいにはということだと思うんですね。そうすると、実質的にはそれ以降、事業者を選定することになるんだろうと思うんですね。それを待って事業者選定ということになると、来年の七月以降着工ということのスケジュールで進むということになると思うんですけれども、スケジュール的にはそれで間違いありませんか。 49 ◯大野企業立地課長=事業者の募集につきましては公募を考えておりまして、その公募につきましては、今、国の法の施行が来年の七月一日、買取価格が年度内に決まるということで、今、全県的にメガソーラー事業を推進していく県においては若干の競争になっております。そういうこともございまして、本議会が終了しましたら公募をまずやりたいと考えております。その中で、まず手を挙げていただくソーラー事業者の受け付けをやる。そして、その公募の募集期間でございますが、買取価格、買取期間が決定します遅くとも来年の三月末までには決まりますので、その期間後、一週間ないし一カ月以内ぐらいの期間をもちまして募集期間の締め切りと、そういうふうなことで公募を考えております。 50 ◯伊藤 豊委員=ということは、買取価格、買取期間が決定しない前に公募はするということですね。そうなった場合、応募してくる事業者のほうも、買取価格も期間も決まらない、応募してきた、実際上、応募して手を挙げたんだけれども、単価と期間を見たらとても採算に合わないので、もうおりさせていただきますという話になってしまう可能性もあるわけですね。  今、なぜこんな話を聞いているかというと、質問の順序が逆になってしまうんですが、メガソーラー事業者の取り組み状況についてお伺いをしたいと思っているんですね。それはソフトバンク社の孫社長さんがメガソーラー事業を打ち上げた時、原発事故以降に大変大きな話題を呼びました。そして、事業者がさまざまな取り組みを水面下でも表向きにも取り組みを始めて非常にムードが上がってきたんですけれども、私は、基本的に特措法が成立して以降というのは、あの時点よりも事業者自身の熱が若干冷めているんじゃないかというふうに今思っております。  ですから、事業者の方々がまだ価格も決まっていない状況の中で、どのように取り組み意欲を持ってやろうとしているのかということについては、若干、現実みを帯びた事業計画ということになったときには、少しトーンとして落ちてきているんじゃないかというふうな思いがしているんですけれども、こうした状況の中で、事前に公募するということであれば、各事業者の取り組み状況について今どのように判断をされているのかお伺いいたします。 51 ◯大野企業立地課長=メガソーラー事業者の取り組み状況につきましてお答えいたします。  民間事業者の動きとしましては、太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギー発電の設置運営の実績がある事業者、一般的にユーラスエナジー・ホールディングスとか国際航業さんあたりに加えまして、新たに事業参入する商社、新聞では三井物産、三菱商事等が出ておりますが、それに加えまして住宅設備関連業者の芝浦グループホールディングス、これは北九州の企業でございますが、そういうものが全国にメガソーラーの事業候補地を物色しているとのマスコミ報道等もあります。  本県への事業者の接触動向でございますが、吉野ヶ里メガソーラーの設置表明をしました本年五月臨時県議会以降、メガソーラー事業者や太陽パネルメーカー、商社などから吉野ヶ里メガソーラーの物件情報や事業条件の照会、さらには現地調査が行われており、事業用地は高い評価を得ているところでございます。  また、他県の動きとしまして岡山県や大阪市など、全量買取制度の導入を前提にしまして、既に事業者の公募を実施中の自治体もあり、また、大阪府岬町ではメガソーラーの事業者の決定、基本協定締結まで進捗している事例も見受けられ、自治体の動きも活発化している状況と認識しております。  以上でございます。 52 ◯伊藤 豊委員=状況としては、乗りおくれてはいけないというのが最大のポイントなんだろうと思います。しかし、現実的にこのメガソーラーについては、私も先ほど言いましたとおり、まだ買取価格も期間も決まっていない状況の中で、まだまだ不安定な要素が多いのではないか。それとあわせて設置の最初の時点で設置したほうが有利になるという、何年か後ずつに見直しながら価格が下がってくるということであれば、初期の段階で設置したほうが事業としては非常に有利であるという、その辺の企業の動きも、これはもう当然のこととしてあるわけです。  こうした動きの中で、本当の意味でメガソーラー事業そのものが将来にわたって安定してその地域の中で持続していくことができるかどうかということについてもさまざまな形で考えていかなければいけませんし、そういう状況の中で、私は、初期費用については負担をしないという条件で今進めておられるスタンスをしっかりと守っていただきたいというふうに今思っております。  その中でもう一つ、波及効果についてですが、メガソーラーの設置を今から具体的に進めようとしているわけです。このメガソーラーを設置したとして、具体的な波及効果ですが、いわゆる県内の事業者であったり、仕事の量であったり、雇用であったり、さまざまな形で波及効果があるんだろうと思うんですけれども、波及効果についてはどんなふうに見込んでおられるのかお伺いをいたします。 53 ◯大野企業立地課長=波及効果につきましてお答えいたします。  具体的な波及効果としましては、メガソーラーの導入促進を図ることで、佐賀県は住宅用太陽光発電普及率が九年連続で日本一になっておりますが、その実績も生かしながら、現在、鳥栖市の産業技術総合研究所九州センターにおいて、県も参画して行っております太陽光発電における長期信頼性に係る評価、認証基準の研究など、事業所用太陽光発電導入に向けた取り組みとも連携して、例えば、発電効率や発電システム全体の長寿命化、パネル加工技術の実証研究にメガソーラー事業者やパネル関連メーカー、さらには県内企業などが共同して取り組むことにより、再生可能エネルギー等に係る技術革新の促進が図られると考えております。  また、太陽光電池パネルメーカーやリチウムイオン電池、蓄電池でございますが、そういうメーカーなどの関連産業・研究機関を、現在整備中の新産業集積エリアへの立地促進につなげていくことができると考えております。  また、メガソーラー事業による直接的な経済波及効果としましては、県が施工します用地造成工事、境界フェンス工事、植栽工事等や、メガソーラー事業者が施工しますパネル設置、送電設備工事などの県内業者への発注、また、県は事業者からの土地リース料、法人事業税などの収入が入ります。また、地元の神埼市は法人市民税、パネル設置に伴う固定資産税などの収入が入るようになっております。  また、発電施設内での除草作業やパネル清掃作業の地元への業務委託なども見込んでおります。  さらには、吉野ヶ里歴史公園の隣接地という立地条件を生かしまして、修学旅行や社会見学施設の場としての活用が可能など、さまざまな分野への波及があり、事業効果があるものと考えております。  なお、メガソーラーの先進事例でございますが、山梨県の北杜市では、見学や視察の受け入れを行っておりまして、小中学校の環境教育としての利用のほか、行政関係者や企業、法人からの見学も多いということで、ことし八月は一カ月程度の予約待ち状態であったと聞いております。  以上でございます。 54 ◯伊藤 豊委員=今、いろんな形で波及効果について御説明いただきましたが、要するに、直接的な波及効果ではなくて、間接的な波及効果を随分並べていただきました。見学者だとか云々だとかというのも、今の時点でめずらしければたくさんいらっしゃるんでしょうけれども、あちこちにたくさんできればそんなに珍しいものでもなくなってしまうという部分もあります。雇用であるとか直接的な部分での波及効果というのは、やはり薄いのではないか。今考えられる間接的な波及効果をいろいろ挙げれば、こういう効果が上げられるという話だったと思うんですね。  ですから、メガソーラーの設置について、これが本当の意味で佐賀県経済に対しての影響がどこまであるのかということについては、まだまだ現実的な問題としてとらえられる部分はないのではないかというふうに思っております。全くないというつもりはありませんが、直接的な雇用、事業そのものにかかわる経済効果というのは、メガソーラーについてはあんまりないのではないかというふうに私は今思っております。  そうした中で、今回、メガソーラーが設置される、その事業者を募集しながら進めていくということになるんですが、一方で、このメガソーラー事業、先ほどたくさんいい話を出していただきましたけれども、必ずしもいろいろな皆さんが賛成をして進めていらっしゃる話ではなくて、慎重に考えなければいけないという声を上げている方々もいらっしゃいます。  そうした問題について幾つかお伺いをしたいんですが、文化財保護団体から吉野ヶ里ニュー・テクノパーク予定地へのメガソーラー設置については、別の場所に変更してほしいという要望が提出されております。  これは、いろんな意味で文化財保護団体の皆さんが考えられてこうした要望が出されているんだろうと思うんですけれども、今、県としては、こういう要望が出された背景、理由はどういうものであるというふうに思っていらっしゃるのか。  また、この要望について県としてどのように対応するおつもりなのかお伺いをさせていただきます。 55 ◯大野企業立地課長=文化財保護団体への対応についてお答えいたします。  去る七月四日に吉野ヶ里遺跡全面保存会から要望書が提出されましたが、その趣旨としては、一つは、景観が害され、世界遺産登録を目指す運動の大きな障害になる可能性があること。また、予定地に確認されている遺跡群が壊される可能性があるというものでございました。吉野ヶ里遺跡については、我が国最大規模の環濠集落跡であり、その価値が重要であることは十分に認識しているところでございます。  その対応としましては、幾つか基本的な考え方を整理しておりまして、一つは、文化財濃密区域、予定地の西北部になりますが、そちらにつきましては事業用地としては使用せず、緑地として保存すると。また、事業用地として使用する土地は、神埼工業団地のときに基本的には記録保存区域として必要な埋蔵文化財の調査は完了しておりますし、また、メガソーラー設置工事につきましては、パネルの架台の基礎として根堀りをする程度でございまして深く穴を掘るということはございませんので、文化財にはそう支障はないと考えております。  また、施設周囲に植栽を行うことにより景観を確保し、吉野ヶ里遺跡など周辺環境に十分配慮することとしております。仮に世界遺産登録への動きが現実になった場合には、周辺の環境が登録手続に影響するかどうかを確認した上で措置を講じる必要があるのかと考えております。  こういった基本認識のもとに対応することとしており、吉野ヶ里メガソーラーは、保存会の方々が主張されている世界遺産登録を目指す運動の大きな障害になるような事業計画まではいかないのではないのかと考えております。  今後の対応につきましては、議会での議論を踏まえ、メガソーラーの設置意義を訴えるとともに、県民の方への事業計画の広報にも努め、施設周辺では植栽を行うなど景観への対応を行いながら丁寧な説明を行っていきたいと考えております。  以上でございます。 56 ◯伊藤 豊委員=今、説明を伺いましたが、今回、文化財保護団体の皆さん方は、世界の歴史遺産に登録をしたい。我々から見ても、今までも吉野ヶ里遺跡が世間的に理解されるまで大変時間がかかったんですけれども、発掘が始まって以降、大変な話題を呼んだ。そして、工業団地造成予定であった部分が現状としては公園として国管理、県管理も含めて保存されて、ああいう状態で今保存されている。これはある意味では、佐賀県にとっても重要な観光資源になっております。  そうした観光資源として生かしていくためにも、そして、将来にわたって保護していくという視点からも、いわゆる世界歴史遺産という形での登録をというのが文化財保護団体の皆さんの意向だと思うんですね。  今、お話を伺いまして気になるのは、吉野ヶ里ニュー・テクノパークのメガソーラー設置についての話が進んでいる。それとあわせて歴史遺産の指定に向けて、その要件がどのようなものであるのかということについては、今後見ていきたいような話だったんですけれども、将来にわたって吉野ヶ里を守っていこうという部分があれば、世界遺産指定にかかわってメガソーラーなどこういう施設が近くにあるということが、世界遺産の指定にかかわって支障があるものなのかどうなのかということについては、これは事前にちゃんと調査すべきなんじゃないですか。そして、きちっとした景観保持であったり、さまざまな手だてを講じれば問題ないということであれば、それは私たちも問題はないと思いますし、皆さん方が言っている、今お話になったようなことがそのまま適用できるのであろうと私は思うんですけれども、まだ確認もなされていないでしょう。具体的な形で、こういう条件、環境がこういうことになるということ自体について、本当に世界遺産の支障にならないのかどうかという確認は取れているのか、取れていないのか、お伺いいたします。 57 ◯大野企業立地課長=世界遺産について確認がとれているのか、いないのかということでございますが、世界遺産につきましては、一般的に構造物や遺跡などの文化遺産、自然地域などの自然遺産、文化遺産と自然遺産の両方の要素を兼ね備えた複合遺産の三種類があると聞いております。  現在、世界遺産の数が世界で九百三十六件ございまして、うち日本で十六件、世界遺産に認定をされております。この十六件には、もちろん佐賀県は入っておりませんが、その前段であります世界遺産暫定一覧表というのがございます。これは世界遺産条約の契約国が、将来、世界遺産一覧表に記載することが適当であるというふうな予備軍団と言ったらおかしいですが、そういうふうなものが一年で推薦できる件数等が決まっておりまして、一つの国で上限二件ということの制限が出ております。  その中で、現在、九州・山口の近代化産業遺産群として佐賀市の三重津の海軍所跡が平成二十一年に文化資産ということで、今、暫定一覧に登録がなされている状態でございます。  それで、世界遺産になるのか、ならないかという件につきましては、今、政策監グループが所管しておりますので、そちらとも今打ち合わせをやっておりまして、基本的に要件等がどうなのかも含めまして整理をしていきたいと考えているところでございます。  以上でございます。
    58 ◯伊藤 豊委員=だから、今言っているのは、その要件を公募する前にちゃんと確認するべきじゃないんですかと言っているんですよ。私も、先ほど言ったとおり、こういう事業そのものについて悪いと言っているわけではなく、これは大きな流れとして佐賀県も先進的に取り組まなければならない。そして、取り組むことで、先ほどお話があったようにさまざまな研究機関であったり、いろんな企業であったりのノウハウも佐賀県に蓄積をして大きな産業立地という意味での起爆剤にもしていってもらいたい、そういう思いがあります。そういうことも非常に大切なことだと思います。しかし、一方で、吉野ヶ里遺跡というのは、本当に日本に誇るべき、世界に誇ってもいいだけの規模、そして、中身を持った遺跡だというふうに私は思っております。そういう意味で、設置した後でそうした遺跡の世界遺産指定そのものの支障になるというようなことであれば、大きな選択ミスだったということになってしまう。  私も、石見銀山だとかいろいろ行きました。指定される前にも行きました。指定される前と指定された後は観光客の皆さんが遺跡そのものを見る目も、そして、周りの全体の人の流れもまるっきり変わっているなと、見違えるような形で違っているというふうに思っています。  ですから、非常に大事なものであることは間違いないわけで、その後に指定に入ったならば、今から十五年から二十年、メガソーラー発電パネルが並んでいるわけであります。そうしたものが指定に対して支障になるか、ならないかということは、大変大きな問題だと思っています。  ですから、見切り発車はしてほしくない。先ほど言った緑地帯をつくるであるとか、いろんな形をやっていけば、ちゃんとした形で本当の意味で世界遺産に認定できるのか、差し障りにはならないのか。そして、埋め戻したにせよ、文化財が眠っている土地にそういう構造物をつくるということが世界遺産を指定するときの障害になるのか、ならないのか。こういうことはきちっと事前に調査をして取りかかるべきじゃないかと思うんですけど、改めてお伺いいたします。 59 ◯大野企業立地課長=この世界遺産登録につきましては、私どもが事前に地元の神埼市、隣の吉野ヶ里町、そういうところにも今回の要望書が上がってきた段階で、そういうお話が地元でもあるのかというようなことをお尋ねしたところ、神埼市、吉野ヶ里町においても初めて聞いたというようなこともございまして、要望書が上がりました後は、委員御指摘のように、事前に調べて要件等も確認すべきじゃないかということでございますが、もちろん要望書が上がった後、関係機関ともいろいろ調整しておりますし、早急に整理をして説明をしていきたいということで考えております。  以上でございます。 60 ◯伊藤 豊委員=私が質問していることに対して答弁がちょっと違うんじゃないか。要するに、私が言っているのは、地元の皆さんが知っていたとか知らなかったとか、地元の皆さんがいいとか悪いとかということではなくて、結果として、今、吉野ヶ里公園はこういうふうになっています。しかし、当初、吉野ヶ里の史跡の保存ということからすると、何人かの人からスタートした保存運動が今のような形で吉野ヶ里を残している。そういうことを考えれば、世界遺産として登録をしたい、そういう人たちの輪が広がっていく。そのことが一番大事なことだし、そういうことについては大切にしていかなけれいけないし、我々も遺跡としてはしっかりと保存していかなければいけない。そのためには世界遺産等に指定されていくことも、整備をしていく上で大きな力だというふうに今思っています。  そういう意味で、今回スタートする前に、こういう施設をつくることが、世界遺産に指定することの条件について妨げになるのか、ならないのか。ならないということであれば問題はないんだけれども、なるのか、ならないのかというのは、事前にちゃんと調べてやるべきではないですかと。今、結論を出してこうこうこうです、それは間違いありませんという結論を出して進めるべきではないですかと言っているんですけれども、そのことについてはどうですか。 61 ◯社頭農林水産商工本部副本部長=今、委員御指摘の、メガソーラー事業計画に入る前に世界遺産登録の場合の諸条件について確認しておくべきだという御意見だというふうに思います。  吉野ヶ里遺跡周辺の世界遺産登録は、今のところ、現実の動きにはなっていないというふうに私どもは理解しているわけでございますけれども、一般的に世界遺産登録については、いわゆるどれだけの対象地域を登録するかということにもよるかと思いますが、いわゆるバッファゾーン、緩衝地帯の設定が条件づけられております。  具体的に緩衝地域、バッファゾーンをどのくらいの広さにすべきかということについては、明確な基準が定められていないというようなことでございます。例えば、今、吉野ヶ里遺跡周辺には現実的に住家が隣接してある、工場もあるといったことも含めまして、世界遺産登録という場合には、メガソーラー事業用地だけでなくて、そういったところもどうするかという議論が必要ではないかと思っております。  現在、メガソーラー事業計画につきましては、これから買取制度を見ながらということでございますが、一応二十年程度という中で事業用の借地ということで設定をして、もしそこが世界遺産登録の動きということが現実化していけば、そこは撤去ということも可能でございますので、メガソーラー施設については、そういった形で撤去も含めて考えていきたい。当然、先ほど申しましたように、全体の遺跡をどういう形で登録をしていくかを含めて、全体の中でそこは考えていくべきではないかなと思っております。 62 ◯伊藤 豊委員=何となくわかったような、わからないような話になっておりますが、私は、これをだめだぞと言っているわけではなくて、先ほど石見銀山のお話をさせていただいたんですが、歴史遺産に指定されたことによって全国的にも本当に見る目が変わっている。その中で観光振興ということについても大変大きなてこになっている。そういう意味からすると、今後、歴史遺産として残していくためにも、観光資源ということも含めて世界遺産という指定は非常に重要なことだと思っています。  ですから、県としても世界遺産登録についても、観光振興という面からも県はしっかり考えて対応していく必要があるんじゃないかというふうに今私は思っております。その辺をしっかり踏まえた上でやってもらいたいということが一つ。  それからもう一つ、最後に、地元の反応についてですが、要するに、今まで吉野ヶ里の工業団地の使用については、全部を公園用地として残すのか、工業団地はつくらないのかという論議の中で、地元の土地を提供された皆さん方が雇用促進、雇用を図っていく、地域振興ということのために自分たちは工業団地として土地を提供したんだ。だから、所期の目的は目的として、やはり沿った形で活用してほしい、こういう要望も非常に強くあったことは事実です。  ですから、その上で吉野ヶ里公園区域内と分けて今の工業団地を持っていたわけですけれども、先ほどお話を伺ったことからわかるように、メガソーラーができたからといって必ずしも直接の雇用がふえるわけではない、製造業関係の工場が来るわけではない。そういうことからすると、メガソーラーは、地元の皆さんの要望を十分に満足したような形の業種ではない。我々として自然再生エネルギーという意味からすれば必要なのかもしれないけれども、工業団地として土地を提供された地元の皆さん方からすると、そうではないということになるんですね。  ですから、このことについて地元の皆さんはどのように反応しておられて、どのような意見をお持ちなのかについて改めてお伺いをしたいと思います。 63 ◯大野企業立地課長=吉野ヶ里メガソーラーに対する地元の反応についてですが、地元への説明につきましては、吉野ヶ里ニュー・テクノパーク跡地をメガソーラー用地として進めたい考えを県のほうから神埼市及び吉野ヶ里町に伝えまして御理解をいただいたところでございます。  その後、地元神埼市におきましては、神埼市の市議会で事業説明をするとともに、用地の提供に御協力いただきました神埼市の地元四地区、竹原、馬郡、東山、志波屋の四地区でございますが、その四地区には神埼市のほうから説明いただいております。  地元地区からは、メガソーラー設置についての反対等の意見はなく、また、地域の環境に配慮した整備をしてほしいと、そのような要望があっております。  いずれにしても、これから計画している用地造成工事やパネル設置工事など事業の推進をしていくためには、引き続き地元の御協力が不可欠であることから、今後とも、地元に対しましては神埼市として連携して丁寧な説明と対応をしていきたいと考えております。  以上でございます。 64 ◯伊藤 豊委員=最後になりますが、メガソーラー設置促進については、自然再生エネルギーが今の時代の流れだから何でもいいだろうということはないと僕は思っております。それは必要だし、進めなければならない。しかし、それを進めていくためにはさまざまな条件があると今思っています。そういう条件を、あそこには吉野ヶ里歴史公園がある、そして、先ほど言いましたとおり、工業団地に用地を提供した方々は、あそこに工場等が来て雇用がふえる、地域の経済が活性化する、そういうことで説得を受けて、望んで、工業団地として土地を提供した地元の皆さん方もいる。そうしたさまざまな思い、そして、あそこにメガソーラーを設置することによる環境に与える影響、いろいろなことを総合的に考えてしっかりとした、一つずつ丁寧にクリアしていかないと、早くやり過ぎた、要するに拙速過ぎたという話があっても非常に厳しい状況だというふうに私は思っております。  最後に、この問題について本部長から、要するに、先ほど言った吉野ヶ里の世界遺産登録の件も含めて、メガソーラーの設置にかかわって今まで申し述べましたことをしっかりと配慮してやっていただきたいと思っているんですが、最後に答弁をお願いします。 65 ◯飛石農林水産商工本部長=メガソーラーに関しまして伊藤委員からるる御指摘をいただきました。我々としましては、冒頭から申し上げておりますとおり、再生可能エネルギーについては、これから普及促進をしていきたいと。そのときに御指摘のとおり、太陽光発電もあるし、風力もあるし、バイオマスもあるし、いろんなエネルギーがある。そのことは十分承知しております。  そういう中で、これまでの県の取り組みといたしましては、特に太陽光発電につきましては、住宅用につきまして九年連続日本一という実績も念頭に置きながら、太陽光発電に関しましては、住宅用、事業者用、そしてこのメガソーラー、この三本を柱としてやっていきたいと。そのときに、いわば直接的な効果というお話も今ございました。それから、環境への配慮、そしてまた、吉野ヶ里であれば地元の方々の神埼工業団地からの長年のいろんな経緯、そういったものを踏まえながら総合的にきちっとやるべきだという御指摘だったかと思います。今御指摘の件につきましては、我々も十分承知をしております。  そういう中で文化財保護団体の方につきましては、世界遺産について、御主張につきましては、七月四日に要望書を持ってきていただきまして、我々も、今、世界遺産という言葉はございますが、その中身について、どこの部分を、どういうふうな格好と、そういう具体的なやりとりと申しますか、そういったことが十分にできておりませんので、そういったことも聞き取りながら、我々といたしましては丁寧な説明もいたしながら、このメガソーラーの推進に当たりましては、繰り返しになりますけれども、地元に対する配慮、環境への配慮、そして直接的な効果、こういったことを十分念頭に置きながらしっかりと取り組んでまいりたいと、このように思っております。  以上でございます。 66 ◯桃崎委員長=暫時休憩します。一時をめどに委員会を再開します。     午前十一時五十九分 休憩     午後一時一分 開議 67 ◯桃崎委員長=委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。 68 ◯伊藤 豊委員=それでは、午前中に引き続き質問をさせていただきます。  二つ目は、「『際立つ佐賀県』となるための五つの産業戦略」の見直しについて質問したいと思います。  二〇〇八年秋の世界的な金融危機を契機とした世界同時不況、いわゆるリーマン・ショックや東日本大震災などにより、我が国の経済は、企業の減産や生産調整、雇用情勢の悪化、個人消費の低迷などの大きな影響を受け、また、円高の進行とともにデフレ傾向が解消されないなど、景気の先行き不透明感が増しております。  このような厳しい社会情勢に的確に対応し、将来にわたって県民の暮らしを支えていくためには県内産業の振興を図っていくことが必要である、こういうふうに私も思っております。  そうした中、県では平成十七年六月に策定をした本県の産業戦略である「『際立つ佐賀県』となるための五つの産業戦略」を見直され、「中国を初めとするアジアの発展を佐賀県の成長につなげる」、「『佐賀ならでは』の産業を育成し、地域の成長につなげる」、「地域の競争力を強化し、佐賀県の成長を支える」ことなどを新たな大きな柱に掲げられて見直しをされております。この産業戦略に基づいて本県産業の振興を推進しようとされていることが明らかですけれども、この中身について幾つかお伺いをしたいと思っております。  最初に、背景ですけれども、今回、戦略の見直しをされておりますが、産業戦略を策定した時点から、どのような社会経済情勢の変化を受けて、今回、この戦略の見直しをすることにしたのか、その背景についてまず最初にお伺いをしたいと思います。 69 ◯古賀農林水産商工本部副本部長=見直しの背景についてお答えをいたします。  「『際立つ佐賀県』となるための五つの産業戦略」につきましては、平成十七年六月に策定をしたところでございますが、策定から六年が経過する中で新たな産業の芽生えの取り組みでございますとか、委員からも御指摘がありましたように、二〇〇八年秋の世界同時不況、いわゆるリーマン・ショックの影響につきましては、県内経済、産業にもいろんな影響を与えておりますが、そういった情勢の変化に対応していく必要があったこと。  また、中国を初めとする東アジアの経済成長を踏まえ、現行の産業戦略における海外展開の位置づけをさらに高める必要があったこと。  また、現行の産業戦略におけるこれまでの取り組みを踏まえますとともに、国におきましては、昨年六月に閣議決定をされました新成長戦略、さらには、九州におきましては九州経済産業局が昨年十二月に策定しております「九州成長戦略アクションプラン」などの視点を踏まえた再整理が必要であったこと、また、それとの整合を図る必要があったこと。こういったことから今回整理をしたことでございます。  さらには、東日本大震災の我が国産業へのさまざまな影響に対応していくこと。  こういったことなどを背景に、今回、この産業戦略の見直しを行ったところでございます。 70 ◯伊藤 豊委員=世界情勢の変化であったり国内経済の変化、社会構造の変化、いろんな部分が五年間で変わってきた、こういう状況を踏まえた上で、今回、成長戦略の見直しをしたということだと思います。結果として、見直しが行われているわけですが、その見直しのポイントですけれども、そういう背景を踏まえて、どのような視点にポイントを置いて今回の見直しが行われたのかお伺いをいたします。 71 ◯古賀農林水産商工本部副本部長=見直しのポイントでございますが、今回、見直しを行うに当たりましては、先ほど御答弁させていただきましたような社会情勢の変化を踏まえ、今後、佐賀県が成長していくためにこれからどのように取り組んでいけばいいのか。こういったことなどにつきまして県内で活躍されている経営者の皆さんや、本県にゆかりがあり日本を代表するような各界の有識者の方々からの御意見、さらには県民の方々の御意見を伺ったところでございます。こうした御意見を踏まえて事務局で検討を進めてきたところでございます。  こうした検討や議論を通じまして具体的な見直しの視点といたしましては、人口減少が始まり、国内市場において飛躍的な内需拡大が見込めない中で、世界の市場として存在感を増すアジア地域の成長をどのように取り込んでいくのか。  また、環境エネルギー関連産業や健康医療関連産業など、今後、成長が見込まれる産業分野にどのように取り組んでいくのか。  本県の強みである農林水産物でございますとか、本県ならではの地域資源を生かした地域経済の活性化にどのように取り組んでいくのか。  さらには、県内企業の競争力強化を図るために県内企業を支える産業人材の育成・確保や、交通・物流インフラの整備、機能強化にどう取り組むのか。  こういったことなどをポイントといたしまして、今回、見直しを行ったところでございます。 72 ◯伊藤 豊委員=そういう状況、各戦略の分野において見直しをしたということですが、結果的に、この見直しも含めてそうですが、この五つの産業戦略そのものの目的は、今回いただいた資料の中にもありますが、将来にわたって県民の暮らしを支える産業の育成、振興を図り、佐賀県経済の持続的発展につなげていくことを目的として、この産業戦略を策定する。いわゆる我が佐賀県の産業構造そのものを持続、発展させていくための戦略としてこの五つの戦略をつくる。目的は、あくまでも佐賀県経済の持続的発展を可能にする。そして、県民生活を豊かにするという大きな目的のためにこの戦略があるんだということだと思うんですね。  具体的に中身についてもいろいろお伺いしたいと思っておりますが、際立つ佐賀県となるための五つの産業戦略変更案は、今回、皆さんがどんなことをイメージしながら今回の戦略をつくったのかということがよくわかる部分があります。これは「十年後の佐賀県産業のイメージ物語」というのが本編の前についております。中身に入る前にこの話をしないと先に進められませんので、若干長くなるかもしれませんが、皆さんがどのような形で十年後の佐賀県の産業のイメージを考えておられるか、非常に端的に出ております。  「きょうより明日へ 二〇二一年八月一日の一日」というのが前についている。その中の一番最初に二〇二一年に活躍している女性を中心に書かれているんですけれども、その中で一ページ目に、「地方分権改革推進法施行から十年後の二〇一七年に九州は一つの行政区画になった」と、いわゆる道州制が成立したという話を前提にして、そして、お客さんを迎えに佐賀国際空港に向かっているという話があって、「佐賀国際空港へのアクセスも整備され、九州道や有明海沿岸道路の主要インターから信号のない道路で行くことができる。佐賀国際空港は、最近、東アジア向けの国際貨物の拠点となりつつある。その理由の一つは、佐賀牛とセットで売り込みを図っていた安全安心、高品質な野菜、果物や有田焼の輸出がここにきて急速にふえたからである。特に、五年前に創業四百年だった有田焼は、海外において高級陶磁器ブランドとして浸透させる取り組みが功を奏し、日本文化ブームにも乗っかり売り上げがV字回復している」。  中略しますが、「佐賀国際空港の周辺は航空機の部品工場、輸出用の改造電気自動車工場、農畜産物の加工場などが立地し、空いたスペースや工場の屋根には太陽光発電パネルが敷き詰められ、玄海灘沖の海上風力発電とともに、佐賀は日本の一大発電地帯になっている。あわせて、佐賀にある植物工場で農薬を全く使わずにつくられた安全・安心な野菜や果物を使ったレストランが人気がある」ということなんですけど、これがつくられている。「また、植物工場では、多くの若者の就労の場になっており、佐賀の雇用の維持・拡大を支えている。そして、佐賀でつくられた食材を使ったおいしいランチを堪能した後、お気に入りの燃料電池自動車で観光ゴールデンルートに入っている有田焼デザインセンターに向かった。途中、大きな建物が姿をあらわした。Saga Rakuichi Rakuzaである。これは世界有数の面積を誇る展示会場で、国際レベルの巨大展示会が頻繁に行われ、世界じゅうから多くの研究者、技術者、バイヤーが集まるところである。これができたことによって佐賀県の交流人口がふえ、佐賀にヒト、モノ、情報が集まるようになった。  有田焼デザインセンターに着いた。ここでは毎年、陶磁器の国際展示会、いわゆるアリ・コレが開催されており、世界じゅうのデザイナーが、このアリ・コレで発表するために新作をつくっている。  鳥栖に行き、九州シンクロトロン光研究センターと九州国際重粒子線がん治療センターの視察。そして、このシンクロトロン光研究センターは、国内外の幅広い分野の企業、大学等から利用されており、その中の一つとして佐賀の企業や徐福フロンティアラボと連携し、ナノテクノロジーを利用した酸化ストレス予防薬品の研究開発をしている。  そして、このSAGAHIMATは、既に数千件に上る治療実績を有し、最先端のがん治療施設として国内外から注目を浴びている。数年前には最新鋭の治療機が導入されるなど、さらに発展を続けており、この治療を求めてアジア諸国などからも患者が訪れている。  そして、大都市圏の企業を定年退職した技術者が佐賀に移住し、佐賀の中小企業に再就職してさまざまな技術を継承しており、佐賀の中小企業は、知的財産を獲得し、技術力が向上し強化している。  そして、この大都市圏から移住してきた人たちが退職金の一部をコミュニティーバンクに融資してくれるおかげでコミュニティービジネスの規模が拡大し、コンパクトシティとなっている佐賀のまちなかが活性化している。  少子・高齢化の話が一段落し、話題は佐賀の人材育成に変わった」。  そういうことで、皆さんがイメージしている十年後の佐賀は、ここに非常に端的にあらわれているわけです。私たちも、こういう佐賀にしたい。でも、これはいろいろ見ていると非常に佐賀県がひとり勝ちしたような話になっているわけですが、こういう十年後のイメージを皆さんがお持ちになって、この五つの産業戦略を立てたんだと思うんですね。  私は、このイメージをもとにして、こういう佐賀県をつくるためには、私たちも、議会も含め、私自身も個人的にもこういう佐賀県をつくるために一生懸命努力もしたいと思いますし、協力は惜しまないというふうに思っております。しかし、今現実に、こういう十年後の姿をイメージしろと言われても、とても現時点でイメージできるものではないというふうに今思っております。  そういう部分からすると、取り組み方針自体は理解できますが、現状を見ると、戦略に上げてあることとギャップがあるというふうに思われるものがあります。この産業戦略で目標を掲げてやっていきたいという気持ちはよくわかりますけれども、実際、これからどのように取り組んでいくのか。そして、これがどこまで実現できるのかということについて改めて幾つかの項目についてお聞きをしたいと思っております。  一つ目に環境エネルギー関連産業の創出についてですが、次世代産業戦略に環境エネルギー関連産業の創出というのがあります。そして、この産業そのものを佐賀県にも立地、そして促進をしていくということで、佐賀県の産業分野の一つとして取り上げて、この分野についての産業創出ということが大きなテーマになっておりますけれども、現状はどうなっているのか。また、今後これを実現させていくためにどのような取り組みをしようというふうに具体的に考えておられるのかお聞きをいたします。 73 ◯東島新エネルギー・産業振興課長=環境・エネルギー関連産業の創出についてということでお答えいたします。  既存企業の成熟化や経済のグローバル化の進展、さらには急成長する東アジア諸国との激しい国際競争に直面する中、県内経済が活性化するためには、今後の成長が期待できる次世代産業の創出を推進していく必要があると考えております。  そのような中、環境・エネルギー関連産業分野は、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故の影響や地球温暖化防止などの観点から将来的に著しい成長が見込まれる市場として期待されており、世界じゅうでさまざまな研究開発が進められております。  このような環境・エネルギー等関連産業を興し、産業の柱にすることができれば、地域経済の活性化や安定的な雇用に多大な貢献ができることから、長期的な視点に立って、この分野での産業振興に力を入れていくことが必要だと考えております。  県内の現状を見てみますと、この分野に応用可能なファインセラミックス、金型などの優れた技術を有する企業があるほか、佐賀大学の海洋エネルギー研究センターなどの特徴的な研究開発拠点や光触媒などエネルギー開発への活用が期待される最先端の技術もございます。  また、鳥栖にあります独立行政法人産業技術総合研究所九州センターでは、太陽光発電システムの長期信頼性に関する認証基準の研究を実施することとしておりまして、世界に通用する認証基準の確立を目指しております。  こうした本県の強みを生かしまして、これまでに企業や大学等の研究開発や実証事業に対する支援に取り組みました結果、徐々にではございますが、この分野への進出の芽も出てきているところでございます。例えば、マイクロ水力発電装置の研究開発に取り組む企業や、既に商用化されておりますが、家庭用燃料電池「エネファーム」への部品を供給する企業などが出てきております。  また、環境分野におきましては、県有特許である酸化チタンを活用して太陽光で汚れを分解する塗装剤、あるいは省エネ効果の高いLED照明器具などの製品で、市場のニーズをとらえた事業を展開し、高い評価を得ている県内企業も出てきております。  今後の取り組みについてでございますが、今後、環境・エネルギー関連産業の振興を図るためには、引き続き、大学、研究開発拠点と連携しまして、県内企業の再生可能エネルギーと関連分野への進出を支援し、同時に中核となる企業の誘致も展開していくなどして、県内の企業が再生可能エネルギーなどの将来性がある分野に参画できる環境づくりをしていくことが重要であると考えております。  具体的には、再生可能エネルギー等に係る技術開発の促進、関連産業の誘致・振興施策として、引き続き、太陽光発電に関する長期信頼性評価基準等の研究の推進、水素・燃料電池などの新エネルギー分野における研究開発への支援などに取り組んでまいりたいと思っております。  また、事業化に向けた実証実験につきましては、これまでも廃食用油のボイラー燃料として利用実証や、木質バイオマスから水素を製造し、燃料電池自動車に供給する社会実証等に取り組んできたところでございます。  このような再生可能エネルギーの実証実験などにつきましては、新たな産業振興を図るために非常に大事なものだと考えておりまして、今後とも、佐賀県の特性やポテンシャルを踏まえ、その実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 74 ◯伊藤 豊委員=新産業、特に環境・エネルギー関連、新エネルギー関係については、今、これは世界的な取り組みになっている。情報を発信していく部分からすると、最先端の研究成果が集積できないと情報を発信できないと思っております。  そういう意味で、今、いろんなお話がありましたけれども、環境・エネルギー関連の分野に対して佐賀県はどういう位置づけをしていこうとしているのかということが非常に大事なことなんだと思うんですね。いわゆる基幹的な研究であったり、基幹的な取り組みについては、大企業であったり、東京、大阪等の中心地の技術的な部分には太刀打ちできるものでもないし、規模的にも太刀打ちできるものではないと思っています。  ですから、こうした大きなことよりも、ある意味で言えば、こうした産業分野の中で佐賀県はどういう位置どりをして、どういうスタンスで、そして、どういう分野に参入していこうとしているのか。いわゆる地元が持っている企業の力を発揮していこうとしているのかという、ある意味で言えば位置どりが非常に大事なことになっているのではないかというふうに今思っています。  総論的な話はよくわかるんですけれども、佐賀が持っている技術力、先ほど言われた酸化チタンも夢の光触媒であると言われて既に何年になるのか。これは産業化できると言いながら、なかなかこれも産業化できないままに終わっている。セラミックも、一時期、期待されているけれども、さまざまな分野で幅広く使われると言われつつも、いまひとつ、セラミックが大きな産業分野として確立していない部分がある。一部分、非常に進んでいる部分はあるんですけれども、汎用という部分ではなかなか厳しい、そういうことがあります。  そういう意味で、佐賀県が今持っている技術力、そして、今後、この分野についてどのような位置どりをしながらこの分野に参入していこうとしているのか、佐賀県の中で育てていこうとしているのか、この具体的な方策について改めてお伺いをいたします。 75 ◯東島新エネルギー・産業振興課長=今後の新エネルギー産業、再生可能エネルギーについて、どういう分野に特化して進めていくかということでございますが、基本的には佐賀県が持っている技術力を生かして取り組んでいくべきだと思っております。  例えば、佐賀県には海洋エネルギー研究センターというものもございます。海洋温度差発電というようなものは、現在ではまだ実証実験の段階ではございますが、こういったものは世界に通用するエネルギーとなり得る可能性もあると思っております。  また、小さなものも育てていく必要があると思っております。例えば、バイオマスの実証実験などこれまでも県内で取り組んできているところでございますが、これは大きな産業の創出ということにはならないかもしれませんけれども、こういった小さなものも地域経済に与える影響というのはあるものと思っておりまして、双方、可能性のあるものにチャレンジしていきたいというふうに思っているところでございます。 76 ◯伊藤 豊委員=先ほど、「特化して」と言われましたが、私は、特化をしろという意味ではなくて、いろんな分野に佐賀県が持っている技術力、佐賀県が持っている特性、そして、工場が持っているさまざまな技術はどの分野に生かしていけるのかということを見きわめながらやっていくことがすごく大事なんだろうと思っています。ですから、どの分野に特化するという意味ではなくて、むしろ、この力はどの分野で発揮することができるという見きわめもやっていきながら、いわゆるその分野に挑戦しながら新しい分野を開拓してほしいという意味で質問させていただきました。  時間がありませんので次の質問を聞きますが、九州シンクロトロン光研究センターについてお伺いいたします。  先ほどの話では、幅広い分野で企業が育成され、事業展開がなされているという十年後の姿がありましたが、シンクロトロン光研究センターができて五年になります。このシンクロトロン光研究センターは、次世代産業戦略のイノベーションを支えるプラットホームであると言われておりましたし、設置されるときも大変大きな期待が寄せられておりました。  九州シンクロトロン光研究センターは、新産業の創出、地域産業の高度化を目的に設置されておりますが、現状ではどのような成果が出ているのか。また、今後、どのように取り組んで次世代産業を実現しようとしているのか、改めてここでお伺いをさせていただきます。 77 ◯森基礎科学・新領域振興室長=まず、九州シンクロトロン光研究センターのこれまでの利用の状況につきましてお答えいたします。  まず、平成十九年度は、目標の利用時間の千四百時間に対しまして実績が千五百二十六時間。それから、平成二十年度が千五百時間に対しまして千七百六十時間。それから、平成二十一年度につきましては、二千四百時間に対しまして二千五百十時間。この三カ年については、それぞれ目標を達成しております。平成二十二年度につきましては、三千六百時間の目標に対しまして三千百七十九時間、昨年度については、残念ながら目標を若干下回るということになっております。これにつきましては実験装置の一部に不具合が生じまして、その復旧のために若干時間を要してしまったということが原因でございまして、これを除きますと、これまではおおむね順調に推移してきたということで考えております。  特に、主目的としております産業利用につきましては、企業の秘密の関係で成果を余り公開できないというようなケースも多くございますが、利用者の方からは非常に使いやすい施設であるという評価をいただいているところでございます。  それから、県内企業の利用におきましては、例えば、めっき加工の企業、これは基山の田口電機工業さんですが、しばらく前の新聞にも出ておりましたが、直径〇・一ミリの非常に小さい歯車の試作に成功しております。  あとは金属製品製造業の企業さんが半導体用シリコンの内部のひずみの欠陥などをスライス加工しないで内部の状況を外から直接観察するような実験もするような活用事例も出てきております。  また、平成十九年度からは、県内の中小企業等に対して指導的立場にあります県の工業技術センターを初め、県の各試験研究機関の利活用も進めておりまして、工業や窯業、さらには農林水産業の分野でもシンクロトロン光を利用した新たな技術開発の研究を進めているところでございます。  そこでは、例えば窯業技術センターでもいろいろやられておりまして、その一例といたしまして、焼物を窯で焼くわけですが、そのときの温度と発色の変化、そのときのうわ薬の中の金属の状態の変化、そういうものを調べて発色のメカニズムを、これまでは経験とか勘に頼っていたわけですけれども、それを科学的に解明することで発色の安定性とか再現性を高める、そういった試みなどを行われております。  また、農業系といたしましては、農業試験研究センターで植物にビームを照射いたしまして突然変異を起こして、いわゆる品種改良の可能性を探るといったような研究成果も徐々にではございますが、出てきているところでございます。
     次に、今後の取り組みということでございますが、まず、利用をより一層促進していくということが第一になりますけれども、今後、県の試験研究機関での成功事例ですとか、県内外の企業、あるいは大学等の利用成果も含めまして、できるだけ多くの成果をセンターに蓄積いたしまして具体的な活用事例として積極的に対外的にPRいたしまして、より多くの県内企業にシンクロトロン光の有用性を認識していただくということを働きかけていきたいと考えております。  また、九州シンクロトロン光研究センターを中心にいたしまして、県の試験研究機関ですとか企業、それから大学などとの研究会、あるいは共同研究を積極的に進めていきたいと考えております。  いずれにいたしましても、時代に即しまして地域産業のニーズを的確に把握し、そのニーズに迅速に対応できるよう、センターのハード、ソフト両面の機能の充実を図りまして、次世代産業戦略の実現に資するということで役割を果たしていきたいと考えております。  以上です。 78 ◯伊藤 豊委員=今、利用時間等については、かなり使われていると。そういう利用実績についてはよくわかりました。当初、シンクロトロン光研究センターが設置されたときに説明を伺い、そして、その利用方法、役割も伺わせていただきました。その中で我々が一番期待したのは、ナノテクノロジーによる新技術、そして、それが新産業分野の開拓となって、そしてまた、新しい意味で企業が設立し、進出していく分野が広がっていく。そういう意味でもう少しダイナミックな形で技術革新が、そのまま地元の産業、経済に与える影響ということは、もっともっと大きいというふうに我々が錯覚していたのかどうかわかりませんが、皆さん方の説明を聞きながら私たちも非常に期待をしていた。  そういう意味からすると、研究分野という中での利用、そして、研究分野という中でのさまざまな取り組みは行われているのかもしれませんが、こうした産業立地であったり、新分野開拓、そういうもう少しダイナミックな形でのこの施設の活用方法というのはもっとないのかなと。そして、そういうことがシンクロトロン光研究センターとしては、地元としては一番期待していた分野だったんじゃないのかなというふうに今思っているんですけれども、そうした取り組み、そして、そうした形でのシンクロトロン光研究センターの位置づけということができないのかと思っているんですが、改めてお聞きをいたします。 79 ◯森基礎科学・新領域振興室長=委員さん御指摘のとおり、当初の目的であります新産業の創出ですとか、企業の立地、そういったものにつきましては、現在のところ、残念ながらですが、目に見える形での成果というのはなかなか出てきていないという現状がございます。  ただ、先ほど言いましたように、センター自体の利用は順調に進んでおりますので、そこで得られた研究成果といいますか、基礎研究なものですから、どういう分析が行われて、それがどう製品に反映しているかというのはなかなかわかりづらいんですけれども、研究を行われた成果については、持ち帰られて各企業さんの製品開発といったものにフィードバックされているということで考えております。  今後、具体的に企業立地なり新産業にどう結びつけていくかという御質問だったと思いますが、午前中なり先ほども、エネルギー関係とかメガソーラー関係の話が出ておりますけれども、シンクロトロンでもそういった分野でのいろんな実験というのが実際に行われております。メガソーラーの話にいたしましても、その先の話として関係の企業立地にもつなげたいというような話もございましたけれども、そのときのいわゆる産業基盤といいますか、そういった要素の一つとして、佐賀にはシンクロトロン光研究センターがあって、そういった研究も身近でできるんだと、そういうようなことを訴えていくことは十分できると思いますので、もう少しターゲットをはっきりさせて、そういうものに集中的に取り組んでいくということが必要ではないかというふうに思っております。  以上です。 80 ◯伊藤 豊委員=だから、具体的には各企業さんがそれぞれ目的を持って研究していることは間違いないと思うんですが、もう少し産業立地に結びつくもの、企業さんだとか、大学の研究機関が自主的にテーマを決めてやっているという部分が必要かもしれませんけれども、こういうことでシンクロトロン光研究センターを使って、こういう技術開発をして、こういう形の企業立地ができないのかということで、県側がテーマを持って取り組む、逆に言えば、公募しながらやっていくということも含めて考えていかなければいけない時期に来ているのではないか。  先ほど言った「十年後の佐賀」ということから考えて、このシンクロトロン光研究センターの位置づけも、やはりそういうことが期待されているんだろうと思いますので、具体的な形でテーマを決め、そして、行政が主導しながらでも一つの産業分野に結びつけていくような動きも積極的にしていくべきではないかと思っております。  この点については、これまでにさせてもらいます。  次に、時間がありませんので聞きますが、有田焼についてです。  先ほど言った十年後のスタイルでは、世界的な美術品になって、世界的なブランドとして認知され、V字型に輸出が回復しているという想定になっております。地場産業の振興の取り組みとして、「アジア地域を見据えた海外市場開拓の推進」とありますが、例えば、有田焼は安い輸入品に押されて低迷しているという面もあります。一方で、有田焼にも幾つか不振の原因はあると思っています。アメリカ向けの輸出等が減ったこと。それから、アジアから安いものが入ってきてそれに押されていること。国内の業務用の食器等の需要が急激に減ったこと。いろんな構造的な部分でのものがあると思います。こうした有田焼自身が安い輸入品に押されて低迷をしているという面もあります。これは現状どうなっているのか、まず一点お伺いしたいと思います。  それから、こうした中で窯元、商社など有田焼産地全体の浮揚のために海外市場の開拓をどんなふうにとらえて、どのように取り組もうとしているのか。また、県はどのような支援をしていこうというふうに考えておられるのかお伺いをいたします。 81 ◯大塚商工課長=有田焼についてお答えをいたします。  伊万里・有田焼の現状を見ますと、従来からの主力商品である業務用食器が景気の低迷により、旅行や外食を手控える傾向が見られますことから、旅館、ホテルや飲食店等の買いかえ需要が低迷しており、引き続き厳しい状況が続いております。  また、個人向けの一般食器につきましても、「究極のラーメン鉢」や「匠の蔵」など一部の企画商品は売り上げを伸ばしておりますが、和食器に対する需要の減少などから総じて低調でございます。このため、平成三年には約二百四十九億円あった伊万里・有田焼の売上高は、平成二十二年には約五十四億円とピーク時の五分の一近くまで落ち込んでおります。  こうしたことから、県では、平成二十年度から意欲的な事業者グループが行う新商品開発や販路開拓の取り組みに対する支援、あるいは産地が一体となって行う全国規模の見本市、展示会等への出展に対する支援を行ってきたところでございます。  産地ではどうとらえているのかということでございますが、先ほど申し上げましたとおり、産地全体の売り上げ低迷に歯どめがかかっていないこともあり、昨年度、県では、伊万里・有田焼産地が抱えるさまざまな課題に対して、その改善に向けて取り組むべき事項を洗い出すため、窯元、商社等の事業者を対象としてアンケート調査を実施いたしました。  この調査では、今後進むべき方向性として、例えば、国内での市場拡大に対する意見とともに、「国内マーケットが減少傾向なのは明らかであり、今後は海外市場をどう獲得するかである」などといった海外の市場開拓に対する意見も数多く聞かれたところでございます。  また、この調査の中で海外への輸出意欲に関する項目において、「意欲がある」と答えた窯元、商社が四割を超えるなど、海外市場開拓に大きな関心が寄せられております。既に輸出している、あるいははこれから輸出を検討している地域としてアジアが中心を占め、特に経済発展が著しい中国のマーケットに大きな期待が寄せられているところでございます。  一方、平成二十二年八月には危機的状況にございます有田経済の立て直しに向け、町と産業界を中心に、県も参画して設置されました「有田町総合経済対策会議」では、有田焼の販売拡大を初めとする有田経済の再生に向けた提言がなされたところでございます。  この提言に沿って、今後、販売拡大の面では有田での観光とあわせた販売拡大、国内消費地での販売拡大、そして、海外での販売拡大、これらを三つの柱として施策を検討の上、速やかに実行に移していくこととされているところでございます。  今後、どう取り組もうとしているかについてでございますが、産地における海外での販売拡大の取り組みといたしましては、産地組合や商工会議所、それに意欲的な事業者から成る組織により、中国を主なターゲットとして、昨年度から国のJAPANブランド育成支援事業を活用したプロジェクトが始まったところでございます。この産地が一体となって取り組むこととされているJAPANブランド育成支援事業につきましては、昨年度、事業調査が行われました結果、有田焼の歴史や高品質であることの説明の必要性、あるいは信頼できる輸出ルートの確保の必要性などが中国市場開拓への課題として把握されているところでございます。  このような課題を踏まえ、今後、中国の高級百貨店において、有田焼四百年の歴史や、欧州や中国とは違った有田焼の魅力について適切な説明を施した展示会を開催し、陶磁器流通企業、中国人富裕層、中国のマスメディアなどへ効果的なPRを行うこと、あるいは持続的な輸出につなげていくために中国の信頼できる輸入販売企業との現地での商談会や、そうした企業の有田への招聘を進め、中国での流通パートナーを獲得することなどに取り組まれる計画となっております。  このように、産地から海外への市場開拓を目指す意欲的な取り組みが始まっていますことが、近年、売り上げが落ち込んでいる産地の活性化につながり、ひいては佐賀県経済の持続的発展にもつながっていくものと期待をしております。  県といたしましても、こうした取り組みをしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 82 ◯伊藤 豊委員=ここにも書いてありますが、二〇二一年には佐賀国際空港になっているんですが、「佐賀国際空港は、最近、東アジア向けの国際貨物の拠点となりつつある。その理由の一つは、佐賀牛とセットで売り込みを図っていた安全・安心、高品質な野菜、果物や有田焼の輸出がここにきて急速にふえたからだ。特に、五年前に創業四百年だった有田焼は、海外において高級陶器ブランドとして浸透させる取り組みが功を奏し、日本文化ブームにも乗っかり売り上げがV字回復をしている」と十年後の姿を書いています。  有田焼は四百年かもしれませんが、中国は三千年の歴史があって、いわゆる東南アジアといっても、それぞれの地域に焼物のそれぞれの特色のあるものを持っている。むしろ、逆に東南アジアのほうから百円ショップなんかに、安いけれども、そんなに遜色ない焼物が入ってきたこと。これが一般消費者、各家庭の消費者の皆さん方の有田焼等の需要を大きく落とした原因の一つにもなっているわけです。  こうした中国市場、東南アジア等の海外市場に向けて輸出をしていくこと。これは今までも、ドイツのマイセン、いわゆるヨーロッパ向けの輸出にしても、高級洋食器だけはある程度売れていたけど、それ以外のところについては、輸出実績というのはほとんどなかったはずです。いわゆる洋食器等の向こうにも通用するようなごく一部分のところについてはヨーロッパでも通用したけれども、それ以外のところは非常に厳しい状況が続いていた。ましてや、向こうの特色のない、むしろ日本文化とほぼ変わらないような食器を使っている中国、東南アジアに有田焼を輸出していくということについては、大変厳しい状況があって、本当にこの状況の中でV字回復をするような対応ができるのかということは、大変厳しいものがあるんだろうと私は思っているんですけれども、どういうところにポイントを置いてやっていけば、これができるというふうにお考えなのかお伺いをいたします。 83 ◯大塚商工課長=お答えいたします。  確かに、中国に持って行けばすべて売れるというような楽観的な考えは持っておりませんで、昨年度は、JAPANブランドの中でも調査をされておりますが、中国には富裕層と呼ばれる方々もたくさんいらっしゃいまして、また、人口が多い、経済的にも裕福な地域というものがございます。そういったところで委員おっしゃいましたように、中国四千年の歴史と言われておりまして、有田焼はたかだか四百年ではございますけれども、過去にヨーロッパ等に高級な焼物が輸出されたというような事例もございます。しっかりしたいいものを持って行けば売れる見込みもあるのではなかろうかと思っております。そうした有田焼四百年の歴史、あるいはいいものをしっかりと富裕層なりに売り込んでいく、そういったチャンネルをきちんとつくっていく。その一方で有田焼の産業にかかわっている皆さんがすべて海外に進出するわけではございませんので、国内でもしっかりと販路を拡大する、あるいは消費者のニーズにこたえる商品をつくっていく、そういったこともあわせて取り組んでいきたいと思っております。  以上でございます。 84 ◯伊藤 豊委員=私は、いろんな意味でトライをしていかなければいけない、いろんな意味でさまざまな分野の開拓も積極的にやっていかなければいけない、そういうふうに思っています。それもこういう苦境、大変厳しい状況を打開していくためには必要だろう、やらなければならないことだ、この重要性は私もそう思います。  しかし、その中で、本当にこれが先ほど言った輸出であったり、そういうことが産業全体の振興につながるような大きな流れになるのか、トレンドになるのか、そういうことについてもある意味ではしっかり冷静に判断をしていかなければいけないのではないか。  そういう状況の中で一番大事なことは、有田焼をつくっている地元の業者の皆さん、そして、製陶に携わっているさまざまな方々が、こういう戦略をやっていけば地場産業を復興させていく大きな分野であり、エネルギーになっていくというふうに認識をしていただいて協力をしていただく、そして頑張っていただくということが前提でなければならないと思っております。いわゆる地元の皆さんがこの戦略についてどのように評価をし、どんな形で今後地元の皆さんとの協議を進めていこうとされているのかお伺いをいたします。 85 ◯大塚商工課長=先ほども答弁の中で触れさせていただきましたが、昨年度、県が調査しました中では、窯元さんや商社さんの四割を超える部分で、「海外市場の開拓をやってみたい」とか「興味を持っている」というご意見をいただいております。  そうした中、JAPANブランド育成支援事業につきましても、産地組合とか、また、意欲的な事業者さんがみずから手を挙げて取り組んでおられます。そうしたことで地元にも海外の市場開拓に意欲を持たれる事業者さんが幾らもいらっしゃいますので、そういった方々としっかり手を組んで、また、県は戦略をつくって進んでいるわけですけれども、地元にそういうニーズがあることで、私どもの戦略と手を携えて取り組んでいけるものと思っております。  以上でございます。 86 ◯伊藤 豊委員=午前中に内川委員からも話がありましたが、今回、いろんな質問をさせていただきました。一番問題なのは、県が戦略を立てる、これは現状を分析しながら、こうあらなければならない、こういう可能性がある、こういうところにしっかり力を入れていって新しい分野を切り開いていこうということで、さまざまな分析の上に立っての戦略を図るということはわかります。  一番大事なことは、こうした戦略を本当に地元の地場産業の再生につなげさせていかなければいけない、そういうところについて自分たちも同じ歩調をとりながらやっていかなければならないというふうに、それぞれの産業の分野の皆さん方がこの戦略を理解していただいて協力をしていただける体制ができるかどうか。そして、その戦略の上で県がしっかりバックアップする、その上で企業が最大限の力を出していく、こういう大きな意味での推進体制ができなければ、先ほど言った二〇二一年の話は夢物語、こうあったらいいなというだけの話になってしまうというふうに今思っております。  そういう意味で、産業戦略が成功するか、しないか。これはむしろそれぞれの産業分野の皆さん方が、この戦略を理解していただいて、この戦略に基づいてどれだけ一緒に協力をし、努力をしていただくか。そして、みんなと一緒になってそれに取り組む熱意を持っていただけるかということが最大の推進体制だというふうに思っているんですけれども、今後、これを取り組む中で、こういう体制づくり、そして、皆さん方の意欲を持った取り組みを進めていくためにどのようなことを考えておられるのかお聞きをいたします。 87 ◯古賀農林水産商工本部副本部長=今後の展開についてお答えをいたします。  この産業戦略は、委員からも御指摘がありましたように、将来を見据えながら、これから四年間に取り組むべき産業振興の施策を取りまとめたものでございまして、本県経済の活性化にきちんとつなげていかなければならないというふうに考えております。  そのため、今御指摘いただきましたように、まずは県内企業や商工関係団体などを訪問するなどいたしまして、多くの産業界の方々に対して、この産業戦略の方向性や取り組み方針、具体的な施策などについて周知、御理解をいただくようにしております。  また、その実践に当たりましては、それぞれの施策を見てまいりますと、目指すものに対する達成レベルにまだまだ差がございまして、既に芽が出ているものから、これから取り組み、育てていくものまでさまざまでございますので、施策分野ごとにそれぞれ関係する企業や関連する団体などと、この施策を具体的に推進するためにどう取り組んでいけばよいか、こういったことなどについて十分話し合いを行ってまいりたいと考えております。  さらには、市町、商工関係団体、佐賀大学、産業技術総合研究所九州センターなどの関係機関と連携をいたしまして、施策や分野ごとの進捗状況に応じたきめ細かな支援をしていきたいと考えているところでございます。  こうした取り組みを推進いたしまして、将来の県民の方々のくらしを支える産業の育成、振興によりまして、一つでも多くの成功事例をつくり、本県経済の発展につながっていくように、この戦略にしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上でございます。 88 ◯伊藤 豊委員=先ほど言った二〇二一年八月一日が本当に夢で終わらないように、私たちも、こうした一つ一つの流れをしっかりつくっていかなければならない。それが佐賀県にとっても大切なことだということは、我々も十分わかっていますし、この計画自体が、「なんだ、こんな計画」と言っているつもりでは全くありません。そうではなくて、こういうものを目指していくという熱意が集積することも大事だし、本当の意味で、つくったところで満足してもらっては困るという意味できょうは質問させてもらいましたので、よろしくお願いをしたいと思います。  続きまして、「佐賀県の『食』と『農』の振興計画」についてお聞きをいたします。同じように、「食」と「農」の振興計画の変更案が今回の議会に提案されております。細かい点は抜きにして早速質問させていただきます。  前の質問と同じく、計画の見直しに当たってのポイントについてですが、今回の見直しに当たって食料・農業・農村を取り巻く情勢変化をどのようにとらえて背景となって今回の見直しとなったのかについてお聞きをいたします。 89 ◯舩津生産振興部副部長=食料・農業・農村を取り巻く情勢の変化についてお答えいたします。  最近の食料・農業・農村を取り巻く情勢を見てみますと、国内外にわたる競争の激化や長引く景気低迷等による農産物価格の低下でありますとか、燃油、配合飼料など生産資材価格の高騰などによりまして農業所得が減少しております。また、担い手の高齢化や減少が急速に進行しているところでございます。  こうした農業を取り巻く情勢が一層厳しさを増す中で、中山間地域を中心に農村地域の活力も低下しているところでございます。  また、社会・経済の情勢につきましても、我が国における少子・高齢化や人口減少社会の進展、あるいは国際化の進展と東アジアなどの新興国の著しい経済発展、また、環境保全に対する関心の一層の高まりや食に対する人々の価値観やライフスタイルの多様化など、大きく変化いたしておりまして、食料・農業・農村を取り巻く情勢は大変厳しい状況にあると認識しているところでございます。  以上でございます。 90 ◯伊藤 豊委員=経済的な状況の変化、これは産業界を取り巻く状況とほとんど変わらない。そういう中で食料にかかわっては安全・安心ということも大きく加味されて変わってきた中身だと思うんですね。  では、今回、そういう状況を背景に見直したんですが、この計画の見直しに当たってのポイントは、どのようなところを重点に見直したのか、どういうところがポイントになっているのか、改めてお伺いをいたします。 91 ◯舩津生産振興部副部長=今回、計画の見直しに当たってのポイントということでお答えいたします。  今回の計画の見直しに当たりましては、現下の情勢が厳しさを増す中で、まずは農家の方々が将来にわたって意欲と希望を持って経営に取り組めるような農業を確立していくことが大変重要なことと考えておりまして、そのために不可欠な農業所得の確保に向けた取り組みを積極的に推進していくことといたしております。  具体的には、安全・安心はもとより、所得の向上につながる一層の高品質化や低コスト化、また、意欲ある農業者等の経営力の強化や、それらの生産を支える基盤づくり、さらには、ブランド力の向上や輸出の促進に向けた取り組みなどを進めていくこととしております。  また、将来にわたって農業経営を継続していくということのためには、持続可能な農業を展開していくということが大変重要なことだと考えておりまして、石油や肥料などをできるだけ使用しない環境保全型・省資源型農業についても、なお一層取り組みを進めていくことといたしております。  次に、農村地域につきましては、農業者はもとより、そこに住む人々が生き生きと暮らしていけるようにしていくことが大変重要なことと考えておりまして、農村の活力を一層アップさせていくことといたしまして、豊かな地域資源の活用等によります活性化や暮らしやすい生活環境づくり、さらには、中山間地域農業対策の推進などに力を入れていくことといたしております。  さらに、こうした農業・農村の振興を図っていくためには、食と農に対する県民の皆様の幅広い理解が大変重要なことと考えておりまして、理解醸成に向けた幅広い取り組みを推進することとしまして、これまで取り組んでまいりました「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」のさらなる進化・拡大や、取り組み相互の連携に取り組んでいくことといたしております。  以上でございます。 92 ◯伊藤 豊委員=今回の見直しの中のポイントで私も大変重要だと思っている部分があります。それは意欲と希望を持って経営に取り組める農業の確立ということの一番のキーポイントに、農業所得の向上ということをポイントとした、ポイントというよりも、これが一つの大きな目的として挙げられている。これが非常に重要なことだと僕は思っています。あわせて、農業所得向上のためにさまざまな施策があり、そして、消費者を含めた環境整備があり、農地整備もあるという大きな意味で、究極の目的というのは、営農に安心して取り組んでいただける最大のポイントは、農業所得の向上にしっかりと視点を置いた計画推進でなければならないと思いますし、これが一番のキーポイントだというふうに思っております。こうした農業所得の向上が後継者の育成にもそのままつながりますし、安定した農家の経営ということから、環境にも、そして、農村の活性化にもつながっていくということを考えれば、まず第一に全体の部分として農家の所得向上というものを図っていく施策の重要性を皆さんに知っていただくことが非常に大事なことだというふうに思っています。  こうした農業所得の向上ということを進めていくために具体的な取り組みが出てきておりますが、幾つか具体的な取り組みについてお伺いをしたいと思います。  一点については、水田農業の振興についてですが、水田農業、米、麦、大豆を中心とした農家からすれば、米、麦等も含めて、今年度産の米は値段的にも随分いい形で、いい形でと喜んでいいのかどうなのかわからない状況ですけれども、単年度的には米の値段が高どまりをしているというような状況を考えれば、ことしはということになると思いますけれども、長期的には米・麦については所得が減少していく傾向にあるだろうというふうに思います。米・麦を中心とした農家についてはですね。  こうした水田農業の振興ですが、長期的に農業所得の増加に結びつかない流れの中にある農業について、今後、どのようにこの問題について取り組んでいくのかお伺いをさせていただきます。 93 ◯溝口農産課長=水田農業の振興についてお答えを申し上げます。  本県の水田農業の基幹的な作物であります米、麦、大豆につきましては、多くの生産者がかかわっておられまして、これまでも集落営農の組織化、大規模農家などへの農地の集積、農作業の受委託などによります生産性の向上に努めてきたところであります。  しかしながら、近年、価格の低迷や燃油などの資材価格の高騰などによりまして経営環境は厳しくなっております。これまで以上に消費者や実需者から選ばれる高品質な米、麦、大豆を、より低コストで生産することを一層進めていく必要があるというふうに考えております。  このようなことから、県では、消費者や実需者から選ばれる米、麦、大豆づくりを進めるため、「さがびより」の食味ランキングの「特A」を継続的に取得するため、栽培技術指針に基づきまして穂肥診断による適期に適量の施肥を行うなどの技術の徹底。  それから、「七夕コシヒカリ」や「上場コシヒカリ」などの地域ブランド米や減農薬・減化学肥料によります特別栽培米など、こだわりや物語のある米の生産。また、加工適正に優れたもち米の新品種の開発や、梅雨前に収穫ができ、安定供給が可能なパン用小麦など、実需者が求める新品種の導入。  さらには、病害虫などにより被害を受けました米、麦、大豆や小石などの異物を除去する色彩選別機の導入などによりまして、高品質で均質な製品の安定供給体制の整備。  さらに、消費者が求めます安全・安心に対応しましたトレーサビリティーや農業生産工程管理、いわゆるGAPの取り組み拡大などを推進していくことといたしております。  次に、低コストな米、麦、大豆づくりを進めるために、高性能農業機械の共同利用によります効率的な生産体制の整備や、担い手への面的にまとまりました農地や農作業の集積、それから、水稲の直播栽培や大豆の不耕起播種栽培技術などの導入拡大などにも積極的に取り組むことといたしております。  こうした取り組みを進めることによりまして、収益性の向上を図り、農家の皆さんが意欲を持って水田農業に取り組めるよう努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 94 ◯伊藤 豊委員=水田農業について一番問題なのは、米価が特に今後急激に上がっていくということは考えられない。長期的には米価は低落傾向にある。これはもう間違いないことだと思います。  そうすると、米麦を中心とした農家が所得向上を図っていくためにはどうすればいいのかということは非常に大きな問題だと思います。そうすると、集落営農による規模の拡大なのか、個別の農家が大規模化をしていくのかということしか、ある意味で言えば農地の集積をすることでしか直接所得の向上ということは望めないわけですね。そういう条件からすると、今行われている戸別所得補償については、規模要件が取り入れられていないわけですが、改めて集積の規模要件についても検討するとなっていますので大いに期待をしたいと思っています。  こうした米、麦を中心とした農家が所得を向上させていくためには規模の拡大が必要ですが、これは先ほど言った経費節減ということで生み出せる金額ではなくて、所得向上という部分から考えれば農地の集積、そして、集落営農をより推進していくこと、法人化すること等も必要だと思うんですけど、米麦農家の所得向上の具体的な部分については、どのような形で取り組まれるおつもりなのかお伺いいたします。 95 ◯溝口農産課長=米麦農家の所得向上につきましては、まず、経費を節減するということで、委員御指摘のとおり、生産性の向上、まさしく農地を集積して生産性を向上してコストを下げることが一つ。  もう一つは、実需者に買っていただけるようないいものをつくっていく、そういうことを基本に、米、麦、大豆生産の振興に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 96 ◯伊藤 豊委員=先ほど言ったとおり、今回の基本的な計画の目的が農家所得の向上であるということをベースに考えれば、こうした米麦農家の所得の向上というのは、具体的にどんなことをやっていけばできるのかということを農家の皆さんにも明確に示しながら、その方向で実現できるようにバックアップをしっかりしていくことがすごく大事なことだというふうに思っております。  次に、園芸農業の振興についてお聞きしたいと思いますが、園芸農業については、どうしても佐賀県の場合は米、麦中心の農業というのが中心になっていて、園芸農業については、積極的に取り組んでいる一部の農家の方々がやっているという、むしろ中心ではないという感じのものがたくさんあります。ある意味では園芸農業をやっている方々が農家所得をしっかり上げていらっしゃるところもあります。しかし、逆に園芸農業をやりながらなかなか所得をふやせないでいるという農家もいらっしゃる、いろんなパターンがあります。農家所得を大きく伸ばすということにおいて、この園芸農業というのは大変重要な役割を果たしていくのではないかというふうに今思っております。  そういう意味で、園芸農業の振興、そして、これが農家所得に果たす役割を考えた上でどのように取り組んでいこうというふうに考えておられるのかお伺いをいたします。 97 ◯御厨園芸課長=委員が言われますとおり、園芸農業は農家の所得をしっかり確保するために非常に重要な部門であると考えております。県全体の産出額では四十五、六%という形で重要な部門となっておりますので、今後とも、その振興をしっかりしなくちゃいけないと思っております。  今後の取り組みについてでございますが、最近の厳しい農業情勢に対処いたしまして、園芸農家の所得確保を図っていくため、まずは消費者から選ばれる安全・安心で高品質な農産物づくりを基本といたしまして、一層の品質や収量の向上、低コスト化、省力化を進める取り組みを強化していくことといたしております。  具体的な取り組みといたしましては、例えば、露地ミカンにつきましては、高品質果実の生産拡大を図るための根域制限栽培ですとか、隔年交互結実栽培などの新技術の普及ですとか、優良品種系統への更新。また、イチゴにつきましては、優良品種の開発を加速化させるための新品種開発プロジェクトの実施ですとか、品質や収量を向上させるための光合成促進装置などの新技術の導入。さらには、経営規模拡大を進めるためのパッケージセンターの整備ですとか利用促進。また、タマネギにつきましては、経営規模拡大をすすめるための効率的な集出荷施設の整備ですとか、機械化一貫体系の導入・普及。さらには、集落営農組織の余剰労力を活用いたしました作付拡大などを推進していくことといたしております。  また、ハウスミカンを初め、キュウリ、ナス、イチゴ、花きなどの施設園芸につきましては、最近、重油価格が高騰しておりますことから、重油の使用量を削減させるための多層被覆装置や、ヒートポンプなどの脱石油・省石油型の機械・装置の導入・普及を加速化していくことといたしております。  いずれにいたしましても、先ほど申しましたとおり、園芸農業は本県農業の既に基幹となっている部門でありますことから、こうした取り組みによりまして担い手の所得が確保され、野菜や果樹、花、お茶などの多彩な園芸農業が力強く展開されるように、その振興に努めてまいりたいと考えております。 98 ◯伊藤 豊委員=産出額では園芸農業が四割を占めているということ。面積から考えれば効率としてははるかにいい農業になっているわけで、ある意味で所得を向上させていく分野では非常に大きい。  しかし、同じ園芸農家であっても、農家ごとに所得のあり方にもかなり差がある。所得を上げている農家と、本当にコストがいっぱいになってぎりぎりなのでもうやめてもいいみたいな部分とかさまざまなものがある。  したがって、園芸農業については、本当の意味で所得向上につながるような、経営感覚もしっかりお持ちでないと、農業としてはなかなか成立しないという部分もあります。
     そういう部分も含めて園芸農業、ある意味でまだまだ所得が出せていない農家に対するフォローというのはどんなふうに考えているのか、一つだけお伺いいたします。 99 ◯御厨園芸課長=委員言われますとおり、園芸農家の中でも経営的に非常に厳しいと言われている農家もいらっしゃいますし、一方では、収量等が非常に多くて経営的にしっかりやられている農家もございます。例えば、イチゴでいきますと、県平均でいきますと十アール当たり三・五トンから、ことしは四トン近くになったんですけれども、それくらいだとなかなか厳しいという状況でございます。  ただ、県内では、五トンとか六トンを上げられている方は、まさしく経営的には今でも所得が確保されているということから、今後、それぞれの状況、状況が違うかと思いますけれども、例えば、収量が平均までいかなくて低い方には、やはり平均的な収量までもっていけるような指導をやるとか、あるいは平均的にはとれているけど、もう少し伸び悩んでいる方には、やはり先進的な、収量だけで申しますと、そういった形に指導していくというようなことで、現在でも農業団体と全体の底上げ、下を上げるという取り組みと、中ほどをもっと上に上げるというような形の中で、それぞれに応じた、よりきめ細かな経営指導といいますか、技術指導も含めて対応していかなくちゃいけないということで検討いたしておりますので、今後、それをさらに具体的な対応策として園芸農業の中で各作物別、各経営の状況に応じた対応というのをまた詰めてまいりたいというふうに考えております。 100 ◯伊藤 豊委員=大きな役割を果たす分野ですので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  改めて、畜産の振興についてですが、畜産については、原発以降の問題も含めて大変厳しい状況が続いておりますが、畜産の振興について前の質問と同じですけれども、その辺のポイントを含めてどのように取り組んでいくのかお伺いをさせていただきます。 101 ◯南川畜産課長=それでは、畜産の振興についてお答えさせていただきます。  今後の畜産の振興につきましては、「佐賀牛」を初めといたします高品質な畜産物づくりを強化いたしますとともに、省力化や低コスト化によります経営の安定化を推進することといたしております。  具体的な取り組みにつきましては、まず、肥育牛など肉用牛につきまして一層の高品質化による有利販売を図るための牛の発育状況や、月齢に応じたきめ細かな飼料給与技術の普及でございますとか、家畜の改良等による肉質の向上。  さらには、肉質などの遺伝的な能力に優れ、発育がよい肥育素牛の生産を拡大するための優良な繁殖雌牛の導入の拡大や、キャトルステーションへの取り組みの促進などを進めていくことといたしております。  また、酪農につきましては、乳用牛の乳量や乳質等を向上させるための高能力牛の導入や飼養管理技術の向上。  それから、養豚や養鶏につきましては、肉質の向上や安定生産を図るための衛生管理等の徹底。  また、畜産経営の低コスト化を図るための飼料作物や稲発酵粗飼料の生産拡大や、おからなどの未利用資源を餌として活用するなど、エコフィードへの取り組みの促進。  さらには、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなど、畜産農家が大きな打撃を受ける悪性家畜伝染病の予防対策の徹底などを推進することといたしております。  こうした取り組みによりまして、畜産農家の収益性の向上による経営の安定・強化、さらには、「佐賀牛」のブランド力の一層の向上等に努めていくことといたしております。  以上でございます。 102 ◯伊藤 豊委員=畜産については、市場価格に非常に左右される不安定な部分がたくさんあります。きのう、唐津のキャトルステーションを見せていただきました。田崎委員と話をしておりました。一頭当たり大体十八万円から二十万円ぐらい利益が出るんですねという話をしていると、「親にもちゃんとえさを食わせんばいかんちゃっけんね」という話があって、「種つけ料もあるっちゃっけんね」という話があって、「じゃ、一頭売れてどのぐらいの利益になるのか」という話になってくると、それはなかなか畜産農家も非常に厳しい。肥育農家は、ましてや、それをさまざまな形の部分もあるので難しいということで、これも非常に厳しい分野だと思います。  そして、もう一つは、畜産はたくさん投資をしております。そうすると、利子負担も含めてかなり大きなお金を動かしていく、利子負担もあるということを考えれば、ある意味で本当に畜産についても所得向上ということを目指していく上においてかなり厳しい部分があると思うんですね。しかし、ここらもしっかりとお願いしたいと思います。  あわせて、県産農産物のブランド力の向上と有利販売についてですけれども、どのような形で取り組んでおられるのか。そして、現状どのように認識されているのか、あわせてお伺いをいたします。 103 ◯大川内流通課長=農産物のブランド化についてお答えいたします。  これまでいろいろ議論があっておりますように、最近の農業を取り巻く情勢は、流通・販売におきましても非常に厳しいものと認識しております。そうしたことから我々といたしましても、農作物が消費者から選ばれて一円でも高く買っていただけることで農家所得が向上していくといったことが非常に重要なことと認識しております。そういった認識のもとに立ちまして、今回の計画におきましては、ブランド力の向上並びに大都市圏での販路拡大等にしっかり取り組んでいくことといたしております。  ブランド力の向上につきましては、「佐賀牛」やハウスミカンなどについてはかなり高い値がつくような状況でございまして、一定のブランド力を持っていると思います。こういったものはしっかり今後ともブランド力を維持・発展させていくということ。それに加えまして、あと幾つかはブランドが必要かなと思っておりまして、ミカンでございますとかイチゴを考えておりますが、新しいプレミアムブランドという言い方をしておりますが、そういうものをつくり上げていきたいと考えております。  それとともに、現在も行っておりますが、大都市圏でのメディアを使ったPR、試食販売、そういったこと等に取り組みながら販路を拡大し、ブランド化を進めていきたいと考えております。  現在の状況もということでございましたけれども、現在の状況は、ブランドについて申しますと、先ほど申しましたように、「佐賀牛」、ハウスミカン、海のものでございますけれども、「佐賀海苔 有明海一番」、こういったものは本県を代表するブランドとして一定成長してきているというふうに認識をしております。  ただ、先ほども申しましたように、あと幾つかあったほうが、佐賀県のものはやっぱりいいねというような固まりになっていかないのかなというふうに思っておりまして、そういったところに意を用いていきたいと考えております。 104 ◯伊藤 豊委員=農産物や海産物については、一つの特色があると思うんですね。これは工業製品のように生産者側が値段を決められない、市場側が値段を決めるということから非常に左右される。このことは農家の所得について非常に不安定になっている一番大きな部分です。しかし、一方でブランド品の強みというのは、生産者側の値段を意図してつけることができる部分から考えれば、ブランド化というのは非常に大きな力だと思っています。  ですから、売るがためのものではなくて、名実ともにブランドとして通用するものをつくっていくことが、値段的にも安定して販売していくことのできる大きな要素だと思います。ですから、ブランド化というのは非常に大事なことだと思っておりますので、そういう意味でしっかりと進めていただきたいと思います。  あわせて、最後になりますが、農家の所得向上というものをどのようにしていくのかということが本計画の一番大きな目的だとすれば、この振興計画そのものが農家の所得向上のためにあるんだということを農家の皆さんが知っていただいて、そして、生産者の皆さんがよく理解をしていただいて、こうした計画に沿って県の方針とあわせて所得向上をしっかり図っていこうという意識を持っていただくことが一番大きなことだと思うんですね。  そういう意味からすると、農業者を初めとして、農業団体、市町、県民の役割それぞれ、きょう午前中に内川委員から社会を取り巻く環境の話もありましたが、そういうことも全部含めて理解した上でこの計画の推進に取り組んでいただくことが非常に大事だと思っております。  今回、この計画の中で画期的だなと僕が思ったのは、各農家の分野別において八百万円から九百万円の所得のモデルケースを計画の中で提示をしていただいております。あわせて八百万円から九百万円、一千万円程度の所得のある農家をつくっていこう、こういう具体的な目標と具体的な中身を提案して計画を出していただいているということ。これは本計画の中でも一番具体的な部分なんだろうと私は思っています。  ですから、こうした八百万円、九百万円、一千万円の収入農家を目指して、それぞれの農家が一生懸命頑張っていただくこと。そのバックアップを県がしていただくことは非常に大事なことだと思っておりますが、全体の計画を推進していくに当たって、この部分をどのように取り組んでいくお考えなのか、最後にお伺いをさせていただきます。 105 ◯舩津生産振興部副部長=計画の推進についてお答えいたします。  今回の計画変更に当たりましては、農業者や消費者の方々を初め、市や町、農業団体など延べ約千名の方々のご意見も参考にしながら計画の策定作業を進めてきたところでございます。  こうした中で、今後、本計画が実効あるものとなっていくためには、農業者や市町、農業団体はもとより、県民の方々がこの計画を十分理解していただいた上で一体となって取り組みを進めていくことが重要と考えております。  こうしたことから、まずは農業者や市町、農業団体はもとより、消費者を含めて県民全体に計画の内容を周知していくことといたしまして、具体的には農業者や市町、農業団体に対する具体的な計画内容の説明、あるいは県ホームページへの掲載、あるいは農産物直売所や農業まつりなど、各地域で開催されるイベント会場でのパネルやチラシを使った県民への周知、こういったことなどに取り組んでいくことといたしております。  また、計画の推進に当たりましては、農業者や市町、農業団体、県民の皆様が、みずからが果たすべき役割や期待されることを十分理解していただいた上で、それぞれが農業・農村の振興に積極的に取り組んでいただくということ、それとあわせまして関係者がお互いに連携しながら一体となって取り組んでいくことが大事だと考えておりまして、そういった推進体制を考えていきたいと思っております。  これまでも、先ほど御質問がございました水田農業、あるいは園芸、畜産等につきましては、魅力ある佐賀の米、麦、大豆づくり運動や、地域園芸パワーアップ運動、パワフルさが畜産実践プロジェクトなどの推進体制を整備いたしまして、県段階、あるいは地域段階、生産者段階でそれぞれに農業の振興にしっかり取り組んでいただくことといたしております。  また、これは一つの事例でございますが、「さがびより」につきましては、高品質で安定した生産に向けまして、県やJAの米の専門家から成ります指導チームによる濃密指導とあわせ、JAでは地区ごとに「さがびより」を専門的に担当いたします営農指導員を配置するとともに、栽培技術に精通した農業者がほかの生産農家へのアドバイスを行う体制を整備するなどいたしまして、農家の方々を初め、関係機関、団体がそれぞれの役割のもと、一体となった取り組みを進めてきたところでございます。  また、販売面におきましても、県とJAなど関係団体が連携しながら、テレビCMの放映ですとか試食宣伝に取り組むなど、福岡都市圏などでの販路拡大を進めてきたところでございます。こういった取り組みが農産物のブランド化につながっていくのではないかと考えております。  こうした取り組みをほかの品目でもそれぞれの状況に応じて拡大していくことといたしておりまして、今後とも、農業者の方々を初め、農業団体、市町、県民の皆様と連携を図りながら、一体となって計画の推進にしっかりと取り組んでまいりたいと、このように考えております。  以上でございます。 106 ◯八谷委員=自由民主党の八谷克幸でございます。本日は、大きく四項目にわたりまして通告をいたしておりますので、順次質問をしてまいります。  まず第一項目めは、吉野ヶ里ニュー・テクノパーク跡地の活用についてでございます。  昭和五十八年に神埼工業団地として基本構想が策定されて以来、地元の地権者の皆さん方は、企業の進出を今か今かと待ち望んでおられましたが、この間、吉野ヶ里遺跡で国内最大級の環濠集落が発見されたことに伴いまして、工業団地の面積が縮小、企業進出はおろか、二十数年間にわたって草の生い茂る、生活環境としては劣悪な状態が今日まで続いておるところでございます。  今回、午前中の話にもありましたように、吉野ヶ里ニュー・テクノパーク跡地に新たな提案がなされております。このことにつきまして、まずは前身の神埼工業団地を含めまして吉野ヶ里ニュー・テクノパークの開発経過がどうであったのかをまずはお尋ねをいたします。 107 ◯大野企業立地課長=吉野ヶ里ニュー・テクノパークの開発の経過についてですが、吉野ヶ里ニュー・テクノパークにつきましては、当初、神埼工業団地として昭和五十八年七月に県が佐賀県土地開発公社に開発要請を行い、同年九月に基本構想を決定し、平成元年一月に土地開発公社が造成工事に着手したところでございます。  しかしながら、平成元年二月に国内最大級の環濠集落跡が発見され、当団地の一部が国営吉野ヶ里歴史公園用地などとして活用されることとなったため、当団地の面積が六十七・六ヘクタールから、最終的には二十七・五ヘクタールに縮小を余儀なくされたところでございます。  このため、当団地の見直しを行い、吉野ヶ里歴史公園と調和した多様な雇用の場を創出し、地域振興を図ることを目的に、平成五年九月に吉野ヶ里ニュー・テクノパーク構想として公表いたしました。  その内容としましては、吉野ヶ里歴史公園に隣接した多目的産業用地として本県の伝統産業を紹介する伝統産業ゾーン、約六ヘクタールです。また、研究開発型企業等を導入し、二十一世紀のリーディング産業を支援する研究開発ゾーンとして約三・五ヘクタール、さらに、優良企業を導入し、雇用の場を創出する生産活動ゾーン、約九・六ヘクタールの三つのゾーンを整備するものでございました。  なお、吉野ヶ里ニュー・テクノパークの造成工事につきましては、企業の具体的な引き合い状況を見て検討することとしていたところでございます。  以上でございます。 108 ◯八谷委員=今お答えいただきましたように、昭和五十八年の基本構想策定以来、地元としては企業進出に大きく期待があったわけでございます。それぞれ工業団地として、あるいはニュー・テクノパーク構想ということであったわけでございますが、そういった開発に当たって、これまで地元から雇用の確保についての要望といったものはどうであったのかお尋ねいたします。 109 ◯大野企業立地課長=地元からの雇用の確保の要望についてということでございます。神埼工業団地の開発に当たっては、地元主要地区、竹原地区と馬郡地区でございますが、そちらのほうから圃場整備との同時施工とか公害対策、そういうものの要望とあわせまして、誘致企業への就職について地区住民を最優先に取り扱うようお願いするという要望が提出されておりました。  その際は、誘致企業に対する雇用の確保は、工業団地の基本的な目的でございますので、地区優先採用をお願いしていく旨、土地開発公社と神埼町で回答がされております。  以上でございます。 110 ◯八谷委員=先ほどお答えいただいたように、地元にとっては大きな期待があったわけでございます。そして、二十数年間の放置があったわけでございますけれども、午前中、内川委員、伊藤委員からメガソーラーについての話がございました。ここでメガソーラーについてちょっとお伺いしたいと思います。  六月の定例県議会において、再生可能エネルギーの普及を促進するため、メガソーラーの設置を計画され、吉野ヶ里ニュー・テクノパーク跡地をメガソーラー設置の候補地として進めていくことを表明され、今議会にその用地取得を含めて予算が提案されたところでございます。  私自身も吉野ヶ里ニュー・テクノパーク跡地へのメガソーラー設置につきましては、今回の福島原発の事故を見るにつけまして、再生可能エネルギーには加速度的に取り組んでいくべきだというふうに思っているところでございます。  ただ、あわせて隣接いたします吉野ヶ里歴史公園に配慮した景観の整備や、あるいは地元の方々のこれまでの思いを考えると、雇用の確保の場も重要な問題だというふうに思っているわけでございます。  そこで、まず、事業実施の経緯についてでありますが、この吉野ヶ里ニュー・テクノパークは、これまでも企業から引き合いもあったというふうに思いますけれども、なぜ、吉野ヶ里ニュー・テクノパークへの企業誘致を断念して今回のメガソーラー設置事業を実施することになったのか、その点についてお伺いをいたします。 111 ◯大野企業立地課長=今回の事業実施の経緯についてお答えいたします。  吉野ヶ里ニュー・テクノパークにつきましては、あらゆる機会をとらえましてPRを行い、企業誘致を行ってまいりました。  その結果、食品、電気機械器具、一般機械器具、プラスチック等の製造業関連や化学工業、商業施設など幅広く引き合いがあったものの、長引く景気の低迷や吉野ヶ里歴史公園の一部開園などの社会的環境の変化、文化財保護団体の反対などもあり、企業立地が具体化するまでには至りませんでした。  その後、歴史公園が一部開園し、引き続き公園整備が促進されたことから、歴史公園との並立が難しい状況となり、平成十四年に庁内の関係各課で構成する利活用策検討会が、他用途に転用するとした場合の具体的活用策を検討された結果、公園としての利活用が望ましいということになりまして、県土づくり本部で設置されました跡地整備計画検討委員会で公園化基本構想を取りまとめられたところでございます。  しかしながら、折から佐賀県行財政改革緊急プログラムの進行中でもあり、財源確保のめどが立たず、事業化が見送られたところでございます。  そういうことで、委員御指摘のように、昭和五十八年に前身の神埼工業団地の基本構想を決定して以来、既に二十八年が経過し、これまでの経過を踏まえると、従来の工業団地としての利用は非常に困難であることから、ことし二月の定例県議会におきまして、吉野ヶ里ニュー・テクノパークの利活用についてゼロからの議論を行うことを表明されたところでございます。  利活用の検討に当たっては、幅広くアイデアを募集するため、県庁全職員に対してアンケート調査を実施し、特に、提案件数が多かった新エネルギー、スポーツ、レジャー、観光関連の四分野に絞り込んで検討を行い、地元神埼市からの意見を踏まえ、時代の要請や県の政策との整合性などから、メガソーラー候補地として進めていくことをさきの六月定例県議会で表明させていただき、今回、吉野ヶ里メガソーラー設置事業の予算をお願いしているところでございます。  以上でございます。 112 ◯八谷委員=今、詳しく事業実施に至る経緯につきましては御説明をいただきました。  この設置を予定されておりますメガソーラー、この敷地については、開発公社が開発をしたわけでございまして、総面積は約二十七ヘクタールというふうに伺っておりますが、この二十七ヘクタールの中でどの程度の規模、あるいは発電能力についてはどういったものが計画されているのか、その計画の説明をお願いします。 113 ◯大野企業立地課長=メガソーラーの計画概要についてですが、吉野ヶ里メガソーラーは、全体敷地面積二十七・五ヘクタールのうち、この中には里道、水路も入っておりまして、土地開発公社が土地を取得したものは二十五・六ヘクタールでございますが、道路、水路、調整池などを除きまして、あと、のり面等がございますので、約十六・二ヘクタール程度にメガソーラー事業者がソーラーパネル等を設置し、運営するものであり、平成二十四年度中の運転開始を目指しております。  発電出力としましては、約八メガワット、八千キロワットでございますが、年間発電量としては約八百万キロワット/アワーを想定しており、この年間発電量は一般家庭での年間使用電力に換算しますと、約二千二百から二千四百世帯分に相当する発電量となります。  以上でございます。 114 ◯八谷委員=そういった話が出て、主要地区が竹原、馬郡ということでございまして、志波屋、東山地区も含めた地元の反応については、先ほどの伊藤委員の答弁の中で出てまいりましたので割愛をさせていただきます。  また、景観への配慮についても通告をいたしておりました。ダブっておりますが、私は、こういった地元の立場から、特に今回これができますと、いわゆる弥生のいにしえと、それからメガソーラーという最先端施設が隣り合わせることになります。もちろん、先ほどの文化財保護団体からの要望等もございますけれども、先ほど、環境という言葉も出てまいりましたが、修学旅行などの歴史教育の場として、あるいは今広く産業観光ということが言われておりますけれども、産業と歴史の観光施設としても期待されるところでございます。  特に、地元としては、九年庵、あるいは南の千代田のほうの下村湖人生家、あるいは竹原地区の地元には、我が国に儒教と漢字を伝えたと言われる王仁博士の王仁神社があるわけでございます。今、地元の皆さんも本当に大切に守っておられますけれども、少し放置されているような状態でございます。歴史のそういった施設とあわせますと、こういった施設が神埼市にとりましては大きな誘客の施設ということになるわけでございます。そういった点につきまして、八千キロワットの装置が一体どういったものができるのか。そのできたものに対して環境といいますか、吉野ヶ里歴史公園にふさわしい環境となるのかどうか、その辺の配慮についてはどのようになっているのかお伺いをいたします。 115 ◯大野企業立地課長=景観への配慮等につきましてお答えいたします。  吉野ヶ里メガソーラーにつきましては、吉野ヶ里歴史公園に隣接していることから、県としましても、景観には十分配慮して設置する必要があると考えております。メガソーラーは、一般的に製造工場のような高い建築物などの建設は伴わず、ソーラーパネルを整然と設置するものであり、吉野ヶ里メガソーラーにおいては、ソーラーパネルの高さも二メートル程度のものを考えておりまして、決して圧迫感のあるものではなく、また、景観を著しく損なうものではないと考えておりますが、周辺には植栽を施すなど、歴史公園や周辺の環境にも十分配慮するように考えております。  あわせまして、メガソーラーを設置することによりまして、先ほどお話がありましたが、四世紀末に招かれて百済から日本に来られて日本に漢字を伝えられたという王仁博士を祭った王仁神社のお祭りが春と秋にございます。また、九年庵の観光、またはJRのウォーキング、そういうふうな開催時には吉野ヶ里ニュー・テクノパークの跡地の一部を利用されていたことも念頭に置きまして、メガソーラー施設そのものを子供たちの社会見学や環境教育の場として、観光をあわせましてルート的にできるようなことを地元神埼市と協議しながら検討してまいりたいと考えております。 116 ◯八谷委員=そういった地元の期待は大きいものがありますので、景観への配慮とともに、周辺施設との連携と申しますか、面的、線的な動きもあわせた施設整備をぜひともお願いしたいと思います。  それから、直接的、あるいは波及効果につきましては、先ほどの質問の中で具体的に答弁がございました。この分は省略をいたしますが、吉野ヶ里ニュー・テクノパークの最後の質問といたしまして、地元としてはいわゆる雇用の場の確保、当初の用地の話のこともございましたし、これまでの変遷の中でも地元としては非常に大きな期待があったわけでございますので、地元採用、今度のメガソーラーについて具体的な採用といったものはどの程度考えられるのかお尋ねいたします。 117 ◯大野企業立地課長=一般的にメガソーラーは自動運転で遠隔監視制御が可能なことから、常時雇用の必要がなく、雇用はなかなか難しいかと考えております。  ただ、敷地の除草作業とかソーラーパネルの清掃作業などの軽作業については必要でございますので、そういったものにつきましては地元へ作業委託をしてもらうように要請したいと考えております。 118 ◯八谷委員=今お答えいただきましたが、地元雇用という意味では、ほとんどないに等しい。いわゆる工業団地として、吉野ヶ里ニュー・テクノパークとして期待をしておった地元にとりましては、ほとんど採用がないというようなことでございますが、これまでの二十数年間の地元の思いを大いに考えをいたしますと、何らかの地元雇用の期待にこたえるべきではないかというふうに思います。特に、神埼市においては、これまで地元の皆さんに用地提供の交渉をしてきたといった経緯の中で、何とか地元の要望にこたえたいということもあると思いますが、神埼地区における代替と申しますか、そういう雇用の場の確保については、どういったことを考えておられるのか、計画があればお示しをお願いしたいと思います。 119 ◯大野企業立地課長=雇用の場の確保につきましてお答えいたします。  神埼工業団地は、当初から地元において切望されております企業誘致による雇用の確保につきましては、一つは神埼工業団地の一部が歴史公園として整備され、縮小となったため、その代替工業団地として旧東脊振村、現在の吉野ヶ里町に造成した三津工業団地、面積が十一・五ヘクタールございますが、そちらにおいて雇用の一部は確保できたものの、それに加えまして、現在、神埼市が神埼市千代田町に計画されております神埼市南部工業団地の拡張計画がございますので、神埼市とともに九州農政局との農村地域工業等導入実施計画の協議を進め、この工業団地拡張計画が早期に実現できるように取り組んでいきたいと考えております。  また、その他の団地以外への企業誘致につきましても、神埼市とも連携しながら工場適地等もございますので、そちらのほうへの積極的な誘致活動を展開し、雇用の場の確保につなげていきたいと考えております。  以上でございます。 120 ◯八谷委員=代替機能としての施設整備が進んでおるということでございます。この点につきましては、地元の皆さん、特に神埼市としても大きく期待をされていると思います。今の吉野ヶ里ニュー・テクノパークの跡地からは、国道三八五号の整備ができましたので、地形的にも、距離的にも非常に近い関係にございます。そういった意味で、ぜひともそういった雇用の期待にこたえられますように、特に景観も含めて今度の整備につきましては、地元との協議をよくしていただいて進めていただくようにお願いいたしまして、次の質問に移ります。  第二項目めは、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への対応のことでございます。  この問題は、私も六月の一般質問で取り上げさせていただきました。今月初めに野田新内閣が発足し、改めてTPPへの論議がなされておりますので、再確認の意味でこの問題を取り上げます。  まず、午前中の内川委員、伊藤委員の質問でも取り上げられましたが、「佐賀県『食』と『農』の振興計画」の目指す姿についてお尋ねをいたします。  るる詳しい説明がございましたけれども、大きくこの目指す姿、特に農業生産額をどのように伸ばそうとしていくのか、その点をお伺いしたいと思います。 121 ◯舩津生産振興部副部長=「佐賀県『食』と『農』の振興計画」の目指す姿についてお答えいたします。  今議会に審議をお願いいたしております「食」と「農」の振興計画変更案では、農業・農村に対する県民の理解の醸成を図りながら、農業者の所得が確保され、将来にわたって意欲を持って農業経営に取り組めるような魅力ある農業を確立するとともに、地域の農業者が生き生きと働いたり快適に暮らしていけるような活力ある農村を形成することによりまして、魅力と活力あふれる佐賀県農業・農村の実現を目指すことといたしております。  また、委員御質問の農業産出額の目標につきましては、計画の参考指標として掲げておりまして、基準年でございます平成二十一年の千二百七十四億円を中間目標年の平成二十七年には千三百四十億円以上。また、目標年の平成三十二年には千三百五十億円以上といたしておりまして、品質の向上や収量の増加などによりまして、十年間で約八十億円程度以上の増加を目指しているところでございます。  以上でございます。 122 ◯八谷委員=まさに、農家が意欲と希望を持てるような農家所得の向上ということでございます。持続可能な農業経営のためにも、ぜひとも今度の変更案については、しっかりと実行をお願いしたいところであります。  まず、農業というものは、今の食料供給だけではない、生産活動を通じて良質な水や空気を生み出し、県土の保全など、多面的な機能の発揮という大切な役割を果たしております。同時に、農村文化を継承し、地域社会を支える重要な産業であることは、論をまたないところであります。  「ミスター円」と言われた経済学者も、農村地域の破壊は農村文化の破壊だ、農村文化の破壊は地域社会の崩壊、地域社会の崩壊は、まさに日本の崩壊だと言われております。それほど、これまで農村文化が支えてきたものは、我が国にとっては大きな大きな財産であるというふうに思います。  そういったときに、昨年十月、菅前総理大臣がTPPへの参加を検討するということを表明されて以来、いわゆる農業界対経済界という対立構図が非常に展開されておりました。農業のせいで国益が損なわれると、あたかも農業が日本経済の足を引っ張っているがごとく議論が展開されているところでございますけれども、最近は農業だけでなく、金融、保険、医療、労働など、各方面にこの問題があるということは指摘をされております。
     今回の六月の政府予算への提案活動の中でも、県としては、内閣府を初め、各省への提案活動の中で拙速な結論を求めることなく、ていねいな過程を踏んで対応していくということで提案活動がなされたところでございます。  そういったことで、この点をもう一回取り上げますが、まず、TPPの交渉参加によって、締結をすることによって、本県農業へ及ぼす額を再確認の意味でお答えいただきたいと思います。いわゆる農林水産省からは国境措置撤廃による生産額への影響試算が昨年出されておりました。生産額は四兆一千億円程度減少するという試算がなされたところでありますけれども、佐賀県での影響試算というのはどういった額になっているのかお尋ねをいたします。 123 ◯舩津生産振興部副部長=TPPが農業へ及ぼす影響額についてということでお答えいたします。  農林水産省が平成二十二年十月に行いました試算につきましては、全世界を対象に直ちに関税を撤廃した場合の試算ということでございまして、県としましては、TPPに参加した場合の影響試算ではないというふうに考えております。  こうした中で、我が国が全世界を対象に、直ちに関税を撤廃し何らの対策も講じないという前提を置いた農林水産省の試算方式を単純に本県に当てはめた計算例では、農業生産額で五百億円程度の減少という数値となっております。  以上でございます。 124 ◯八谷委員=今、五百億円の影響ということをお伺いいたしましたが、これは現在の佐賀県の農業の生産額にしますとどれくらいの割合に相当いたしますか。 125 ◯舩津生産振興部副部長=平成二十年の佐賀県の農業産出額が千三百十二億円となっておりますので、五百億円という数字は、その約四割に相当するということになっております。  以上でございます。 126 ◯八谷委員=今お答えのように、非常に大きな影響があるわけでございます。TPPに参加することになりますと、まさに、耕作面積の平均でいきますと、アメリカは二百ヘクタール、オーストラリアに至りましては三千ヘクタールと言われております。日本が一・九ヘクタール、約二ヘクタールでございますので、そういった大きな大きな規模の農業と互角に競争することになるわけです。この経営規模の大きな違いからいきますと、今議会に提案されております、先ほど議論がございました「佐賀県『食』と『農』の振興計画」も大幅に見直さざるを得ないということになると考えております。  こうした中で、九月二日に野田内閣が発足し、TPP交渉参加につきましては、まだはっきりとした考えを出されているわけではありませんけれども、野田総理の十三日の所信表明演説並びに十六日の代表質問への答弁の中では、「世界経済の成長を取り込み、産業空洞化を防ぐには、国と国の結びつきを経済面で強化する経済連携が欠かせない。交渉参加について議論し、早期に結論を出す」とされているところでございます。  また、九月に入りまして総理を初め、政府首脳のアメリカ訪問対米外交が続いております。そういったことになりますと、このTPPへの思い、動きというものがアメリカ主導で進んでいるように思えてなりません。特に、TPP問題につきまして、農業、農村を守るという立場で対応していく必要があると私は思います。新政権に対しましても、TPP交渉参加についてのアクセルを踏むことがないよう、しっかりと取り組んでいく必要があると思いますけれども、所見をお伺いしたいと思います。 127 ◯古賀農林水産商工本部副本部長=TPPへの対応についてお答えをいたします。  委員から御指摘がありましたように、TPPにつきましては、農産物など物品の貿易に係る関税の撤廃が目的の一つとなっております。これについては農業に大きな影響が出る。今、影響額の答弁もありましたように、大きな影響が出てくると考えております。  一方で、参加しないということになれば、輸出で利益を上げている企業や、そこで働いている従業員の方々にとりましては売り上げが減る、あるいはTPPに参加した国に比べると自分たちの製品が不利であるという状況が出てくるということも考えられるところでございます。  また、八谷委員からも御指摘がございましたように、このような農産物の物品の貿易に係る関税の撤廃という議論だけがされているような状況が報道等ではございますが、さまざまな分野、投資環境の整備とか、知的財産の保護、さらには金融、人的交流の拡大、こういった幅広い経済関係の強化を目的とする協定でございまして、暮らし全般に幅広い影響が出てくるものと考えております。  現在、交渉参加の九カ国において、つい先日、第八回の交渉会合まで終了しておりますけれども、どういった分野でどのような影響が出るかなどについて情報が少なく、詳細がなかなかわからない状況がございます。  県としては、今後、国がTPPの議論を深めていくためには、TPPに参加した場合、もしくは参加しなかった場合に、さまざまな分野でどのような影響があり、どのようなメリット、デメリットがあるかをきちんと分析するなど、国があらゆる情報を国民に示した上で幅広い議論を行い、拙速に結論を出すことなく、丁寧な過程を踏んでいくことが必要であると考えております。  先ほど委員からも御紹介いただきましたように、六月の政府提案におきましても、こういったことを踏まえて要請活動を行っております。今後とも、あらゆる機会をとらえて国にきちんと提案をしていきたいと考えているところでございます。  以上、お答えいたします。 128 ◯八谷委員=今、答弁いただきましたように、他部門への影響額といったものは、出されている情報が非常に少ないわけであります。ただ、先ほど申し上げました農業にとりましても、規模が全く違う中で市場経済の中に放り出された場合、日本は本当にこれでいいのか。本当に日本の将来を大きく左右する問題ではないかと思います。今、商店街も疲弊しております。過疎化も進展しております。こういった問題がこれまでの反省の上に立ってということになると、今回を境にTPPの議論をすることは大きな前進があるのではないかと思っているわけであります。金融、労働を含めまして、農業も含めた、そういった全般を所管する本部長に最後にこの問題についての御答弁をお願いしたいと思います。 129 ◯飛石農林水産商工本部長=ただいま八谷委員からTPPに関しての御指摘を賜りました。一言で言えば先ほどもお答えしましたように、国全体として、いわばメリット、デメリットが示されていないと。農林水産省は農林水産省、経済産業省は経済産業省とそれぞれの条件も違います。そして、先ほど御指摘がございましたように、金融や雇用など多方面にわたって影響がある。そういう中で現時点での国の情報というのが不足しておりまして判断ができないと。国は、所信表明では結論を出したみたいな答弁もあっております。そういう中で非常に拙速であるということを基本的に思っております。  そういう中で、今ずっと御指摘がございましたように、知事も答弁しておりますとおり、佐賀県は一次産業に従事されている方の割合が全国平均と比して高く、農業に関係する方が多い県であると。そのようなことから佐賀県の農業、それから日本の農業がだめになるような貿易の自由化には反対であると、こういったことも申しております。  一方、TPPに参加しないという前提に立った場合、主に輸出で利益を上げている企業や、そこで働いていらっしゃる従業員の方々にとってみれば、先ほども申し上げましたけれども、売り上げが減っていく、あるいはTPPに参加した国に比べると、自分たちの製品が不利になるということも覚悟しておく必要があるのかなと思ったりしています。  ただ、このあたりが非常に難しくなってくるわけでございますが、それで海外に工場が移転するという話もございます。ただ、工場の海外移転については、これまでも海外移転が進んでおります。特に、震災以降は、いわゆるリスク管理だとか、円高だとか、電力需給だとか、それから法人税の問題かれこれで空洞化とかそういう懸念もありますので、このあたりも我々に対して、全体としてどうなるのか、そのあたりの情報をきちっと出していただきたいという思いがございます。  いずれにいたしましても、国に対しては、TPPという枠組みでないといけないのか、しっかりと議論して慎重に対応することが重要であると考えておりまして、TPP参加によりましてどのような影響が出るのか、慎重に議論することなく進めないよう、しっかりと伝えてまいりたいと、このように考えております。  以上でございます。 130 ◯桃崎委員長=暫時休憩します。三時二十分をめどに再開いたします。     午後三時六分 休憩     午後三時二十一分 開議 131 ◯桃崎委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続き質疑を行います。 132 ◯八谷委員=続きまして、第三項目めの質問に入ります。  三点目は、軽油引取税の免税措置についてでございます。  県税であります軽油引取税につきましては、地方税法の改正によりまして、平成二十一年度から、従来は道路建設等を目的とする財源であったものが、使途を特定しない一般財源に改められたところでございます。これによりまして、原則として道路以外で使用するものも含めて、すべての軽油が課税対象となりましたが、従来、免税軽油の対象となっていた農業機械用などの軽油については、特例措置として三年間は引き続き免税措置が講じられてきております。この免税措置の適用期限であります平成二十四年三月三十一日を過ぎれば、農業機械に使用する軽油にも課税されることになりますことから、農家にとりましては費用負担がかなり大きくなってまいります。  ここ数年来、私の地元である神埼地区におきましては、これまで慣例的に行われておりました麦わら、あるいは稲わらの焼却をやめて、田植えや麦まき前にわらを水田にすきこむ取り組み、すなわち環境に配慮した取り組みが進められてきたところであります。  しかしながら、この取り組みによってトラクターで耕起する回数、あるいは時間がふえ、特にこの四、五年は雑草の繁茂が激しく、その分、燃料軽油の使用量がふえているわけでありますが、免税措置の廃止は、こうした取り組みの影響にも大きく影響してくるものと危惧しているところであります。  まず、農業におきましては、免税軽油は主にどのような機械や作業が対象となっているのかお尋ねをいたします。 133 ◯御厨園芸課長=農業用におきます免税軽油の対象農業機械等についてでございますが、免税対象になります機械につきましては、農業を営む者が使用する耕うん整地用機械などでございまして、具体的な機械や作業につきましては、例えば、米ではトラクターで行います耕起ですとか代かきなどの作業、田植え機による田植え作業、乗用管理機による防除作業、コンバインによる収穫作業などとなっております。  また、タマネギでは、トラクターによる耕起、畝たて、肥料・堆肥散布などの作業、収穫機による収穫作業、乗用管理機による防除作業などとなっております。 134 ◯八谷委員=それでは、本県においての平成二十二年度における農業用の免税軽油の使用者数並びに使用数量はどのようになっているのかお尋ねします。 135 ◯御厨園芸課長=本県におきます免税軽油の使用状況についてでございますが、県の税務課の資料によりますと、平成二十二年度に免税軽油を使用した本県の農業者数は一万七千七百三人で、その使用量は六千五十三キロリットルとなっております。 136 ◯八谷委員=それでは、その軽油引取税の農業関係の免税額についてはどうなっているかお尋ねをいたします。 137 ◯御厨園芸課長=本県における免税額についてでございますが、これも県の税務課の資料によりますと、軽油引取税の免税額は、一リットル当たり三十二・一円となっておりまして、これに先ほど答弁いたしました使用数量、約六千キロリットルを乗じた約一億九千四百万円が平成二十二年度における県全体の農業関係の免税額となっております。 138 ◯八谷委員=午前中からの「食」と「農」の振興計画の変更案の質問でもござましたように、農業経営は非常に厳しいという分析をなされた上での変更案でございます。そこにまさにありましたように、生産物の販売不振、加えて生産資材の異常な高騰が続いておりまして、非常に厳しい経営環境に立たされております。  そういう中で先ほどの対策の中にもありましたように、コスト縮減ということは第一番目に取り組む農家の課題でございます。今回のこの免税措置も、今の農業経営にありましては大きな力になっているわけであります。  先ほど質問にありましたジャンボタニシスクミリンゴガイにつきましても、スクミノンの単価は薬としては非常に高い品物でありますので、頻繁に全圃場に散布するようなことはなかなか難しいということで、先ほどの御厨課長の話のように、水口の水が少したまったところあたりに振るようなもので、全面的に散布するようなものではありません。そういうこと一つとりましても、コスト縮減については、さまざまな方面から、少しずつ、少しずつでも取り組んでいかなければならない。  そういう意味においては、この軽油免税というのも大きな額になっているわけでございますが、この免税措置が平成二十四年四月以降も継続できないものなのか。私としては、できれば制度の恒久化も含めて、これを国に要望していく必要があると思いますけれども、これから年末の税制改正の動きが出てまいります。先ほどのTPPの問題もそうです。六月の政府提案の中で出しっぱなしということではなくて、副本部長の答弁のように、あらゆる機会を通じてということでございました。これからいろんな動きが来年度予算に向けてもありますし、制度改正の動きが出てまいります。そういった折につけての活動を、物を申すという意味でぜひとも取り組みをお願いしたいと思いますけれども、これからの年末の税制改正の動きに向けてどのように考えておられるのかお尋ねをいたします。 139 ◯小野原生産振興部長=先ほど委員から御指摘がございましたように、農業情勢が大変厳しさを増している中で、生産資材でございます軽油の免税措置がなくなるということになればコスト上昇につながりますし、農業者の経営が一段と厳しさを増していくということにつながってまいります。  このようなことから、県におきましては、ことしの五月末に国に対しまして政策提案を行ったところでございますが、その中でこの軽油関係につきましては、農業だけではなくて、林業、漁業も使用されますので、農林漁業で使用される軽油引取税の免税措置が本年度末で終期を迎えるに当たりまして、農業者の経営を圧迫しないように、必要な措置を講じることという要請を国に対して強く行ったところでございます。  国におきましては、例年、十二月末までに税制改正大綱を取りまとめられることになりますので、今後とも、農業団体、あるいは関係部署と連携をしながら、国の税制調査会、あるいは関係省庁の動向といったものをしっかり注視しながら、引き続き、いろいろな機会をとらえて国に対して働きかけを続けてまいりたいと考えております。  以上でございます。 140 ◯八谷委員=この問題につきましては、六月の一般質問におきましても定松議員から質問がありました。特に、今、お話しのように、政府予算の提案の中で県執行部としても提案活動がなされ、県議会といたしましても意見書の採択をして、まさに執行部と議会と車の両輪という形で、ぜひともそういう制度存続、存続というよりも、むしろ恒久化に向けてこの対策を講じていただきたい。そういう思いでありますので、引き続き年末に向けて国への働きかけをよろしくお願いしたいと思います。  それでは、最後の四点目でございますが、森林資源の有効活用についてお尋ねをいたします。  今年度は、国連が定めた国際森林年ということになっております。まさに、森林・林業再生の元年であります。政府は、七月二十六日に森林・林業基本計画と全国森林計画を閣議決定しました。その柱は、木造建築物や木質バイオマス発電を促進し、国産材利用率五〇%を目指すこととされております。  二年前の森林・林業再生プランから始まり、昨年の再生に向けた改革の姿と続き、いよいよ実践のときと期待がされているところであります。我が国は、国土の七割が森林であります。その豊かな資源をもとに、千年以上にわたって世界的にも稀な木の文化を形成してきました。森林は建築資材はもとより、タケノコ、シイタケ等のキノコ類、さらには山菜など多種多様な資源をもたらしてくれております。これらを有効に活用することで森林所有者の収益増につながり、その結果、健全な森林の整備につながるのではないかと考えております。  まず、県内の木材や竹材などの生産状況がどのようになっているのかお尋ねをいたします。そして、それはどのように利用されているのか、林産物の生産及び利用状況についてお尋ねをいたします。 141 ◯前田林業課長=林産物の生産及び利用状況についてお答えいたします。  まず、杉、ヒノキなどの木材ですが、これは間伐や立木を全部切ってしまう、いわゆる皆伐という行為によって生産されております。農林水産省の木材統計によりますと、平成二十二年は約十二万三千立方メートルとなっておりまして、これは五年前とほぼ同水準でございます。  この木材の利用状況でございますが、七二%に当たります約八万八千立方メートルが製材用という形で建築材、あるいはくいなどの土木資材として加工され使われているという状況でございます。残りの二八%、三万五千立方メートルは、製紙などの原料となるチップ用として利用されているというような状況でございます。  次に、竹材でございますが、林野庁の特用林産資料によりますと、平成二十一年の生産量は約九百束ということになっております。この竹材につきましては、「束」という単位で呼びます。これは全国統一基準で、モウソウチク、マダケ、メダケ、そういった竹の取引基準というのがございまして、「ソク」というのは「束」と書きますけれども、一束に何本入るかを束といいます。モウソウチクにつきましては、大きいから一本を一束と言いますけれども、マダケとかメダケにつきましては、直径十八センチの束の中に何本入るかということで一束といいます。そういうことで、直径一センチの竹ですと八十本入って一束、逆に十二センチ以上になりますと一本で一束というようなことで表現しますけれども、そういうふうになっております。二十一年は、先ほど申しましたように、その数が九百束ということでございます。  この竹材でございますが、以前はノリの支柱、あるいは土壁の下地というような形で大量に利用されておりまして、十年前の二万九千束というものが五年前には一千束ということで、その利用は急速に減少し、現在では林業用、あるいは農業用の支柱という形で、その使われ方は激減している状況にございます。  なお、タケノコについても資料がございますが、これも林野庁の特用林産資料によりますと、平成二十一年の生産量は百二十一トンということで、ここ数年、百トン前後で推移しておりまして、これは主に県内の直売所で青果用、あるいは湯がいて販売されているといった状況でございます。  以上でございます。 142 ◯八谷委員=今の生産状況を聞いてびっくりしましたが、特に、竹の生産が非常に少ないということでございます。今月の初め、具体的には八月三十一日から九月二日にかけまして隣県の視察に産業常任委員会として行きまして、大分県の豊後高田市にも視察に参りました。そこでは地元産のタケノコを含めて、いわゆる筑前煮とか肉じゃがとか、そういった材料の、根菜類の下ゆでをしております。九月一日の一番暑い中にタケノコの作業があって、しかも、冷凍庫といいますか、そこには十八リットルの缶が山ほど積んであって、そこでタケノコの作業があっているということで本当にびっくりしたわけであります。そういった生産者の方々に聞きますと、とにかく生産が追いつかんと、そういうふうな状況でございます。特に今回、タケノコ以外にびっくりしたのは、根菜類を根からそのまま持って行って選別なく、いわゆる形の悪いものまで、小さいものまで全部使いますよということでしたので、農家にとってはこれは非常にいい取り組みだなということで感心したわけであります。そういった生産が注文に追いつかない盛況な状況でありました。  さらに、タケノコが生産されている竹林も拝見いたしました。これは住家のすぐそばの竹林ではありましたが、整備が非常に行き届いておりまして、イノシシの被害もあるということでありましたけれども、そういったことで手入れされていたことに非常に驚いて視察をしてまいりました。  私の地域の上流にも竹林がたくさんあるわけでありますが、放置されて荒れた状況となっております。この竹材が有効に活用されれば整備がもっともっと進むわけでございます。先ほど答弁がありましたように、二万九千立方メートルから、びっくりするぐらい竹の活用が減っておりまして、竹林が杉林、ヒノキ林に大きく侵入している状況にあるわけでありますので、そういった侵入の問題も竹を利用することによって解消されるのではないかと思います。  そういった竹材が利用されていない状況の中で、これを有効に活用できれば今後の林業の活性化、さらには山村地域の活性化につながると考えるわけでありますが、県の施策の中で竹材を利用するためにどのような取り組みをされているのかお伺いをいたします。 143 ◯前田林業課長=竹の有効活用についての県の取り組みということでお答えさせていただきます。  県内の竹林の面積ですが、約二千五百ヘクタールでございます。先ほども申しましたが、竹製品が例えばプラスチックに変わるとか、あるいは輸入タケノコが依然として多いということから、竹材の需要やタケノコの生産量は非常に少なくなっているところでございます。  こうした中、県では竹材の活用方策を検討するということで、平成二十二年度から三カ年計画で堆肥として利用するための試験に取り組んでいるところでございます。具体的には、林業試験場で竹チップを製造し、畜産試験場におきまして牛ふんと竹チップを混ぜ合わせて堆肥をつくり、それを農業試験研究センターなどの試験研究機関におきまして、水稲とかタマネギ、あるいはミカンなどの柑橘類、それからお茶といったものに施用しまして、収量、品質、それから生育状況等に関する調査を行っているところでございます。この結果につきましては、二十四年度に取りまとめるということで考えているところでございます。  以上でございます。 144 ◯八谷委員=今、竹材の利用についての取り組みの答弁がございました。なるほど、通告は出しておりませんでしたが、畜産農家にとりましても、神埼地区においても、排泄物の処理に非常に困っておられるということでございます。今のお話のように、林家と畜産農家と、そして今お話しになられたチップ化、あるいはパウダー化する竹を利用するということは、神埼市の中でも地場企業として取り組んでおられます。ぜひともそういった地場企業の、そして地元畜産農家の、そして林家の連携を何とか行政の力で、どこも大変だと思いながらも、でき上がったものの単価、いわゆる堆肥の価格の問題でなかなか取り組めない。特に水田農家にとっては非常に高い、園芸農家にとって少しは使えるかなという状況を、よその地区でも計画したことがございますが、そういったコスト縮減について関係方面からの知恵をぜひとも、知恵と予算を使ってでも何とか取り組んでいただきたい、そういうつもりでおりますので、ぜひとも三カ年計画を何とか物にしていただきたいと思っております。  もう一つは、間伐材の利用であります。クリークののり面整備のことにつきましては、私ども神埼南部にとりましては非常に大きな問題であります。今回、知事のマニフェストの中でも三十年かかるものを十年でと。その十年で取り組むには間伐材、杉を利用してののり面整備ということでございました。  こういった資源の一つ、竹林もそうですけれども、山の斜面を見てみますと、いかに切り出すのが大変かということはありますが、こういった森林から生み出される資源、特に間伐材の活用が進めば林業の生産活動の活発化にもつながるということ。そして、それが健全な森林の整備につながるというふうに思います。この間からの異常な雨の降り方といいますか、今も中部から以東では大変な状況になっております。九月の初めの紀州、和歌山を中心とした紀伊半島の水害も、六月の一般質問でも申し上げましたように、亜熱帯化したのではないかというぐらいの気象の大きな変動があるわけでございますけれども、そういった意味でも健全な森林の整備がぜひとも望まれるところであります。  そういった中で、今回、間伐材を利用するということでございますが、現在、間伐材の生産量と、そして、その間伐材はどのように使われているのかお尋ねをいたします。 145 ◯前田林業課長=間伐材の生産とその利用状況ということでお答えいたします。  まず、この五カ年間の民有林における間伐面積の実績でございますが、約二千ヘクタールから二千六百ヘクタールを間伐しておりまして、平成二十二年度では二千四百三ヘクタールというふうになっております。  このうち間伐材という形で搬出された面積でございますが、全体の約二割に相当します三百九十ヘクタールで、その間伐材の量でございますけれども、約二万一千立方メートルを利用しているところでございます。  この二万一千立方メートルの間伐材の利用状況を見てみますと、建築資材などとして一万六千立方メートル、七六%を使っております。また、丸太として四千立方メートル、一九%に相当しますけれども、土木資材などに使っております。さらに、残りの一千立方メートルにつきましては、合板や集成材、あるいはチップ用などに利用されている状況となっております。  以上でございます。 146 ◯八谷委員=間伐材の生産状況は、今、年間に二万一千立方メートルということで聞いたわけでございますが、今後、クリークののり面整備に間伐材が使われるということになりますと、今の生産体制を強化する必要があると思います。特に、切り出しに当たって、いわゆる機動力のない地区といいますか、そういった点も含めて、今後、ふえるかどうかはわかりませんけれども、今の二万一千立方メートルの利用状況からいって、クリークの整備に使うとすれば、さらにふえるのかどうか。そして、ふえるとすれば、その体制、切り出しの体制は大丈夫なのかどうかお尋ねいたします。 147 ◯前田林業課長=間伐材の今後の生産計画とあわせまして、それを出していくための生産体制の強化ということでお答えさせていただきます。  先ほど委員さんもおっしゃいましたように、今後、クリーク整備などで新たな需要が増加するということもございまして、今後、森林組合や事業体と連携しながら間伐材を現在の二万一千立方メートルから平成二十四年度には三万立方メートル、五年後の二十八年度には五万立方メートルに増加させるというような計画を立てているところでございます。  このためには森林組合などの林業事業体が効率的な伐採や搬出などの作業を行えるよう森林の集約化を図る。それとあわせまして高密度な林業作業道の整備、あるいは高性能な林業機械の導入を進めていくということが必要であろうというふうに考えております。  このため、森林組合などにおきまして間伐などを行う森林の集約化、それから植林から伐採までを総合的に計画するいわゆるプランナーなどを育成するというふうにしております。  さらに、伐採した立木を引き寄せるスイングヤーダとか、枝払いを行い規格の長さにそろえるプロセッサ、そういった高性能な林業機械の導入に対して助成をしていく。  また、今年度から新たに造林事業の中で森林作業道の整備がございますが、その森林作業道の整備に対する補助率をこれまでの六八%から県で一七%、市町で八・五%のかさ上げをするということで、あわせて九三・五%にまで引き上げる、そういった支援をすることとしております。  そういったことに取り組みまして、間伐材の生産量を先ほど言いましたように倍増させていきたいと考えているところでございます。  以上でございます。 148 ◯八谷委員=今、将来に向けての生産計画と、それから体制強化について答弁をいただきました。特にこれから庁内においては県土づくり本部とのクリークのそういったしっかりした協議、そして、外にありましては、森林組合へのしっかりとした指導をお願いいたしまして、私の質問を終わります。 149 ◯田崎委員=自民党の田崎でございます。きょう最後の質問者でありますので、ひとつ皆様方のわかりやすい答弁をお願いいたします。  最初に、「佐賀牛」の振興についてでありますが、「佐賀牛」につきましては、そのおいしさから消費者や流通関係者の方に高い評価を受けているところでありまして、佐賀県を代表する農畜産物ブランドの一つとなっております。  また、最近では、香港等の海外でも評価が高まっており、八月からは新たにシンガポールへの輸出も始まったと伺っております。  しかしながら、全国的にブランド牛の競争が激しくなっていることから、今後とも「佐賀牛」に対する評価を維持し、また、さらに向上させていくためには、我々産地としては「佐賀牛」の一層の高品質化とともに、安定的な供給を行っていく必要があります。  このためには、繁殖農家における肥育素牛の生産拡大と、肥育農家における肥育技術の向上の二つが大事でありますが、私としては、まずは県内の肥育農家が求めるような高品質な素牛を県内でできるだけ生産していくことが基本になると考えております。  そこで、本県の繁殖農家の現状について見てみますと、小規模農家や高齢農家が多いことから年々減少し、今後も戸数が大きく減少して県産の肥育素牛の生産頭数が減っていくのではないかと危惧をしておるところであります。  こうした中で、昨日の産業常任委員会で唐津のキャトルステーションの視察を行ったところでありますが、このキャトルステーションは、繁殖農家から子牛を預かり、肥育農家に販売するまでの間、一括して飼養する施設であり、年間約千二百頭の肥育素牛の出荷を計画しているとのことでありました。  この施設に対しては、唐津地区の繁殖農家や肥育農家が大変期待をしているところであり、私としましても、この施設が稼働することにより、県内産の高品質な肥育素牛の生産頭数がふえて「佐賀牛」の生産拡大につながることを願っているところであります。
     こうした点を踏まえて幾つかの点についてお伺いをいたします。  まず、肥育素牛の生産でありますが、繁殖農家戸数がどのようになっているのか、肥育素牛の生産状況はどのようになっているのかお尋ねをいたします。 150 ◯南川畜産課長=繁殖農家戸数、それから肥育素牛の生産状況でございますが、繁殖農家戸数や肥育素牛の生産状況を見てみますと、繁殖農家戸数は、平成十七年に八百二十六戸でありましたのが、平成二十二年には七百七戸と百十九戸減少しております。  一方、一戸当たりの飼養規模は、平成十七年の十一・六頭が平成二十二年には十六・三頭と約五頭増加しておりまして、着実に経営規模の拡大が進んでおります。  こうしたことから、肥育素牛の生産頭数は、平成十七年の五千六百二十九頭から平成二十二年には六千八百二頭と千百七十三頭増加いたしております。  以上でございます。 151 ◯田崎委員=戸数は減っておるが、頭数はふえているというような状況でありまして、まだまだ肥育素牛として求められる数においては、佐賀県の中では、需給率といいますか、そういったものは非常に低いのではないかと思いますが、現在、どのくらいの県内需給率になっているのかお尋ねをいたします。 152 ◯南川畜産課長=現在、肥育素牛の需給率につきましては、肥育素牛の出荷頭数、それから繁殖牛から生まれました子牛の数から推定いたしますと、約四分の一程度、二五・二%となっております。 153 ◯田崎委員=二五・二%ということでありますが、知事のマニフェストによりますと三〇%を超えるということでありますから、これは今後、大きくふやしていかにゃいかん使命があるのではないかと思います。  そこで、キャトルステーションの整備の目的についてお尋ねいたしますが、県では、キャトルステーションの整備にどのようなことを期待しているのかお伺いをいたします。 154 ◯南川畜産課長=キャトルステーションの整備の目的でございますが、繁殖農家がキャトルステーションに子牛を預けられることによりまして、まず、キャトルステーションで統一した飼養管理が行われることによりまして、発育のそろった高品質な肥育素牛の生産が拡大すること。また、繁殖農家での子牛の育成に係る労力が少なくなることや、牛舎のスペースに余裕ができますことから、現在の労力や飼養規模のままで繁殖雌牛の飼養頭数をふやすことができまして飼養規模の拡大が可能となります。  さらには、技術的に難しい子牛の哺育でございますとか、子牛の出荷など労力を要する作業等が不要になりますことから、高齢者や小規模な農家でも経営の継続が可能となります。  こういったことによりまして、県内産の高品質な肥育素牛の供給頭数が増加することを期待しているものでございます。 155 ◯田崎委員=そういうことでキャトルステーションを整備していただいたわけでありますが、特に、このことにつきましては実は私が議員になる前から、青写真をつくるときにこの事業には参加しておりまして、一時期、国の事業として認定ができなくなったということで非常に、その当時は私も議員になっておりましたけれども、県の皆様方の御努力、御尽力によりまして立派な施設ができた。そしてまた、今、課長さんからお話がありましたような大きな目的というか、目標、品質の統一化、あるいは増頭、そういったことを期待しているということでありますので、ぜひこのキャトルステーションが立派に運営できるように今後お願いしたいと思っております。  それで、このキャトルステーションへの技術的な支援についてお尋ねいたしますが、この施設は県内初の施設であり、県内におけるノウハウが少ないことから、稼働後に当初想定していなかったような技術的な面での課題なども出てくるのではないかと危惧しておるところであります。  こうした技術的な問題については、関係機関等によるサポートが重要になってくると考えているところでありますが、県ではどのような支援を考えておられるのかお尋ねをいたします。 156 ◯南川畜産課長=昨日視察していただきました唐津地区のキャトルステーションにつきましては、先ほど委員が御指摘のとおり、県内では初めての取り組みでございます。また、規模につきましても全国有数の規模でございます。  こうしたことから、県といたしましても、施設の安定的な運営に向けて飼養管理技術や衛生対策等の面で継続的に支援を行っていくことといたしております。  具体的には、農業改良普及センターでは、畜産試験場等と連携いたしまして、発育に応じた飼料給与方法でございますとか暑熱対策など、課題に応じた適切な飼養管理の指導を行うことといたしております。  また、家畜保健衛生所では、農業共済組合の獣医師などと連携いたしまして、子牛の搬入時でございますとか、飼料配送車等の消毒の徹底、また、肺炎や下痢等の予防のためのワクチン接種など衛生対策の徹底。さらには、子牛に異常が見られた場合には迅速な原因究明と治療方針の検討でございますとか、蔓延防止対策、そういったことにつきましてきちっと指導を行うことといたしております。  このような取り組みを実施いたしますことによりまして、高品質な肥育素牛の生産拡大と施設の安定運営に向けて支援していきたいと考えております。 157 ◯田崎委員=技術的な問題等については、今のようなことでいいんじゃないかと思うんですが、ただ、これは利用促進をいかにしていくか。そして、今おっしゃった農業改良普及センターであったり、畜産試験場であったり、あるいは家畜保健衛生所であったり、もちろんJAも、農家もですけれども、こういった関係団体といいますか、関係機関の連携をいかにうまくとるかということが、技術的な問題も含めて、運営も含めて、非常に大事になってくるんじゃないかなと思っております。  そこで、今おっしゃったいろんな連携というのはわかるんですが、組織的な連携をとれる協議会というのか、検討委員会というのか、その名前は利用促進協議会なのかどうかは別にして、現在、設置に向けての協議会はあるように聞いております。運営組織検討会でしたか、何かあるように担当部長から聞いておりますが、実際にできてからの、技術的なものも含めて、今後、キャトルステーションが有効に活用できるような利用促進の、あるいは運営検討ができるような組織化といいますか、こういったことについてどうお考えなのか、お尋ねいたします。 158 ◯南川畜産課長=キャトルステーションの利用につきましては、JAからつを中心に利用の検討委員会と申しますか、そういった会を立ち上げていらっしゃると聞いております。  また、このキャトルステーションの設置に向けましたいろんな技術的な面と申しますのは、設置する前にどういったキャトルがいいのかということで、JAさんを中心といたしまして、唐津市、県の普及センター、畜産試験場、共済組合等の関係機関が集まりまして、どういう技術的なサポートが要るのか。また、どういった運営をしたほうがいいのかということにつきましては、何回も回数を重ねてその構想を練ってまいったところでございます。  したがいまして、完成後もそういった組織なり機関が再度集まって皆さんで協議していくような場が必要だと思っておりますので、私どもからも、市を通じたり、農林事務所を通じたりして、そういった設置の働きかけについてはやってまいりたいと思っております。 159 ◯田崎委員=ぜひ今のことについては県としてもできるだけのアドバイスをしながら、そういった運営ができますようにお願いいたします。  あわせて、特に畜産は、課長さん御存じのとおり、防疫体制をいかに確立するかということが大きな課題であります。JA、農家もいろんなノウハウを持っているでしょうけれども、専門的なことも含めて定期的なそういった組織の会合の中で、いち早く情報を伝達しながら防疫体制をとっていくということが大事でありますので、ぜひお願いをしたいと思います。  次に、このキャトルステーションは、整備の目的にもありましたように、効果を発揮するということがこの唐津地区でモデル的になれば、ほかの地域にもこのキャトルステーションの取り組みを促進していく必要があるんじゃないかというふうに思っておりますけれども、今後、県ではどのように取り組まれるのか、お考えをお聞かせ願います。 160 ◯南川畜産課長=新たなキャトルステーションへの取り組みを促進するためには、キャトルステーションの整備が発育のそろった肥育素牛の生産や地域の繁殖農家の経営規模の拡大に対し、どのような効果があるかについて具体的に県内の畜産関係者へ広く知ってもらうことが重要であると考えております。  このようなことから、まずは今月三十日には市町でございますとかJAなどの関係団体等の畜産担当者を対象に、唐津地区のキャトルステーションの現地を実際に見てもらいながら、取り組みのねらいでございますとか、事業内容等についての研修会を開催することとしております。  さらに、施設の稼働後には、JAからつと連携しなから、出荷される子牛の発育状況、それから販売成績、さらには肥育農家での肥育成績等の調査を行いますとともに、預託農家の規模拡大状況でございますとか、労働時間を分析いたしまして、具体的成果を整理し、研修会等を通じまして畜産農家やJAなどの関係者に広く周知していくことといたしております。  今後とも、こうした取り組みの実施でございますとか、県外の優良事例を紹介しながら、各地域におきますキャトルステーションの必要性の理解を深め、取り組み意欲の向上を図ることによりまして、新たなキャトルステーションへの取り組みを推進していきたいと考えております。  以上でございます。 161 ◯田崎委員=ぜひそういうことで唐津がモデルになって、ほかの地域にも、「やっぱりキャトルステーションが必要かばい」と言われるような取り組みになっていくようにひとつ御指導をお願いいたしたいというふうに思っております。  次に、高品質な県産肥育素牛の生産拡大についてでありますが、いわゆる県産肥育素牛の生産をふやしていくためにはキャトルステーションの整備促進はもとより、繁殖農家の経営規模拡大などの支援も重要になってくると考えますが、県では、高品質な県産肥育素牛の生産拡大を図るため、今後どのような取り組みを進めていかれるのかお尋ねをいたします。 162 ◯南川畜産課長=高品質な県産肥育素牛の生産拡大でございますが、高品質な肥育素牛の生産拡大を図るため、県では、先ほどのキャトルステーションの取り組みとあわせまして、繁殖農家の経営規模の拡大を促進するための繁殖雌牛の増頭に対する助成でございますとか、繁殖雌牛の増頭に必要な牛舎の整備等への助成を行うことといたしております。  それから、遺伝的能力の高い牛を生産していくための繁殖農家におきます優良な雌牛の確保でございますとか、県独自の優秀な種雄牛の作出。また、家畜改良のための県独自のソフトを活用いたしました適切な交配の推進。  さらには、乳用牛に黒毛和牛の子牛を生産させるための受精卵移植の実施に対する助成、そういったことなどを進めているところでございます。  加えまして、肥育素牛を育成する技術の一層の向上を図るため、JAと連携を図りながら、各地域で選定いたしましたモデルとなる農家におきまして、県独自の「子牛飼養技術ガイドライン」に示しました飼料の給与量でございますとか給与方法等で子牛を育成いたしまして、その効果を実証することによりまして、このガイドラインを普及していくこととしております。  今後とも、このような取り組みを生産者はもとより、農業団体や市町と一体となって推進いたしまして、高品質な肥育素牛の生産拡大に努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。 163 ◯田崎委員=これは「佐賀牛」に限ったことではないんですけれども、先ほどの議論でもありましたように、プレミアムブランド化というのがあります。これは「佐賀牛」ももちろんですけれども、ミカンであっても、イチゴであっても、あるいは「さがびより」であっても、ブランド化ということで、三流でもない、二流でもない、かといって一流かというと一流でもない、言いますと一・五流といいますか、もうひとひねり手を加える、あるいは知恵を出すと一流になっていくのかなというのが今の佐賀の産物じゃないかなと、総体的にですね。あるいは佐賀海苔みたいに特異なものといいますか、全国に余りないものは、佐賀海苔というのは確かに非常にブランド化されておりますが、全国にあるもので見ていくと、ミカンも生産量は日本一かもしれませんが、質なりブランドという意味でいくと、まだまだ一・五流かなとしか言えないというふうに思います。  ですから、そういった意味では、特に「佐賀牛」では、やっぱりオール佐賀といいますか、種から、もちろん子牛もですが、オール佐賀産の「佐賀牛」をいかに多くつくり出すかということも一つの大きな、課長さんは技術的な問題も含めて答弁いただきましたけれども、一つは、「佐賀牛」で言えばオール佐賀の「佐賀牛」をいかに早くつくっていくか。そしてまた、それを市場に認めてもらうかということが、「佐賀牛」の知名度を上げるためには一番効果的じゃないかなというふうに僕は思っております。もちろん、このこともされておると思いますけれども、もうひとつ、このことについても今後検討していただいて、ぜひ進めていただければと思っております。  次に、今、「佐賀牛」の話をしましたが、気になる話が一つありまして、実は、先般の一般質問で定松議員さんから質問が出されておりました放射性セシウムを含む肉が流通していたというようなことがありまして、それはそれでいいことではありませんけれども、そういった実態があったということで、実は全国の食肉市場や屠畜場で自主検査の動きが広まっております。特に、東京中央卸売市場においては、牛について全頭検査をする。これは自主検査ということで言われておりますけれども、検査をすると。そして、その費用については、そこで言われておったのは一頭当たり八千五百円と言われておりますが、これを生産者負担としてやるというふうに聞いております。自主検査でありますから、しなくてもいいかもしれませんが、したものと、しないものと同じように並べたときに消費者はどちらかを買うかというと、やっぱり佐賀県産であっても検査をしたものしか手に取らないだろうというのが大方想定できます。  そういったことで考えていきますと、これはまさしく風評被害というものでもありますし、これが続きますと「佐賀牛」の振興や農家経営にも非常に影響を及ぼすというふうに考えております。特に、今、肥育農家が生産費さえ賄えない状態でマル金の補助対象になっている実態の中で、さらにまた農家負担が、八千五百円内外のものがふえるということになりますと、非常に悪影響を及ぼすことであります。  定松議員の質問に対して知事は、「消費者の不安解消や、いわゆる風評被害の防止により、肉牛の消費回復を図るとともに、我が国の肉用牛農家等の不安を払拭することが急務であると考えている。できるだけ早く国に対し要請活動を行ってまいりたい」と答弁をされておりますが、その要請活動等は具体的にどのような要請をされておるのかお伺いをいたします。 164 ◯大川内流通課長=委員から今お話がありましたとおり、定松議員の一般質問に対しまして、できるだけ早い時期に国に要請活動を行うということで答弁を知事からいたしております。これを受けまして、早速、先週十五日に知事が農林水産省と厚生労働省を訪ねております。  要望事項としては、国の責任において、全国統一した手法で全頭検査を実施するなどの検査体制を早急に確立すること。その費用については国が全額負担すること。それと、牛肉の安全性を国民に広くPRすること。この二点について要請を行ってまいりました。  農林水産省につきましては、筒井副大臣に直接お会いして要請を行っております。副大臣からは、「検討していきます」というふうなことでございました。  厚生労働省につきましては、藤田政務官にお会いして要請を行っております。政務官からは、「BSEでは全頭検査を実施しているが、今回は稲わらを供給されているところが限られており特定されていることから、全頭検査を実施することは難しいかな」というようなことでしたけれども、「国民は食の安全を大変心配している。その安全を担保していかなければならない、食の安心の確保に全力を挙げていきたい」というようなことでございますとか、「厚生労働省といたしましても風評被害の対応はしっかりしていきたい。現在流通している牛肉は安全であることを国がしっかりアピールしていかなければならないし、このことについては農水省とも連携しながら取り組んでまいりたい」というような話があったところでございます。  なお、今、委員からは検査料について八千五百円というお話がございました。当初、八千五百円ということでございましたが、情報によりますと、九月二日の屠畜分から七千五百円、これは税抜きでございますので一・〇五しなければいけませんけれども、千円ほど安くはなっているようでございます。  しかしながら、この七千円、八千円というものは、枝肉で申しますと価格の一%ぐらいに相当する大きな金額というふうに思っております。枝肉価格が非常に低迷している中で、こういった費用を生産者が負担することは非常に酷であるというふうに思っておりまして、やっぱり原因者であります東京電力でございますとか国においてしっかりと負担をしていくといったことで、生産者の負担にならないように、そういったことで今後引き続き国に対して働きかけをしていきたいと考えております。  以上でございます。 165 ◯田崎委員=値段は千円ほど安くなったというような報告をいただきましたが、いずれにいたしましても、こうした風評被害によって全国的に検査を行わなければならない状況にあることについては、我々、佐賀県も肉牛の出荷県として非常に影響を受けるわけでありますから、今後も機会あるたびに国へ要請をしていただいて農家負担がないように要請を続けていただきたいというふうに思っているところでございます。  それでは、第二問目のメガソーラーにつきまして質問いたしますが、この質問につきましては、もう既にお二人の委員さんから、いろんな角度からるる議論がなされておりまして、私もここで予定をしておりましたので、若干重複する部分はあると思いますけれども、あえて質問をさせていただきます。  このメガソーラーにつきましては、再生可能エネルギーの普及ということでありますから、非常に今の時代に合うというふうに思っております。また、我が佐賀県には、もう少し言うと唐津なり玄海には、いわゆる上場地区には原子力発電もありますし、風力発電もあります。エネルギーということで言えば食料というエネルギーもあります。そういったエネルギーの源である佐賀県に再生可能エネルギーを入れるということは非常にいいことだというふうに私も実は賛成をしておるところであります。  しかしながら、原発事故を踏まえた防災対策の見直しやその対策の確定、あるいはまた避難道路の整備などが必要な部分など、佐賀県においてはしなくてはならない喫緊の課題もまだまだ山積しております。また、公共事業、福祉、教育などの予算も削減されておる中で、いわゆる県の財政が非常に厳しい中で、メガソーラー事業の必要性というのはわかりますが、優先順位としては今の段階では必ずしも高いとは私は思っておりません。  このような中で、吉野ヶ里ニュー・テクノパーク跡地をメガソーラー用地として買い戻し、造成工事を行うための予算が今議会に提出されておりますので、そういうことで幾つかの点について質問をしてまいりたいと思います。  まず、全量買取制度でありますが、この法案が国会で可決されております。冒頭の質問を聞きますと、来年の三月末までには決定するということで答弁がございましたが、三月末までには正式には決定すると思いますが、もう少し前に、どの時期に見込み的に単価や期間というのがわかるのか、わかっておれば答弁をお願いします。 166 ◯大野企業立地課長=法の全量買取制度の買取価格と期間の決定がいつごろかという御質問でございます。  先ほども御答弁させていただきましたが、まず、買取価格と期間の決定につきましては、国の経済産業省の資源エネルギー庁に新たに中立的な第三者機関、「調達価格等算定委員会」が設置されるようになっておるようでございます。その算定委員会のメンバーについては、国会の承認等も必要になっておりまして、そういうふうな委員会の中で議論をなされると。  この委員会の開催時期でございますが、新聞報道等でいきますと、年内にメンバーが決まり、開催時期につきましては、年明け早々じゃなかろうかということの報道もあっているようでございます。  その決定時期につきましては、私どもとしては、事業を進めるに当たってなるべく早い段階で決定をお願いしたいということで考えておりますが、法の中でも経済産業大臣は毎年度、当該年度の開始前に再生可能エネルギー電気の買取価格及び期間を定めなければならないということで、法の中にもきっちりと規定されておりますので、二十四年の三月までには決定されるわけですけど、なるべく早い時期に決定されることを、佐賀県だけでなく、再生エネルギーを、メガソーラーを進められる県については、そういうことを要望していきたいというような話も出ております。  以上でございます。 167 ◯田崎委員=それは算定委員会で決まることですから、今の段階ではどうこう言えないかもしれませんが、この設置事業のスケジュールを見ますと、公募をして事業者を決定するのが三月までにということでありますと、もちろん、事業者もボランティアでできる話じゃないでしょうから、少なくとも赤字にならないぐらいの事業投資をせざるを得ないというのが、これはもう一般常識であります。それで期間なり単価が三月の終わりごろに決まって本当にできるのかなというのが実は非常に疑問でありまして、事業者決定までにその辺の見込みがつくのかどうか、想定でもいいですけれども、どういう状況になるのか答弁をお願いします。 168 ◯大野企業立地課長=買取価格、期間が決まっていないのに、そういう事業の決定ができるのかというようなお話でございます。  買取単価については、国のほうでも毎年度見直しをして、後年度になるほど技術開発等で発電コストが低減されることにより買取単価が低くなっていくんじゃなかろうかというようなことも報道されているところでございます。  そういう中で、委員御指摘のように、個々のソーラー事業者の投資資金にも限界がございまして、事業参入意欲は年を経るに従ってだんだん低減していくんじゃなかろうかということが予想されております。  再生可能エネルギーの法案はもう通っておりますので、現在、事業者の活発な動きも出ておりますし、また、現実に他県、岡山県とか大阪市などの一部の自治体においては、先行して事業者の募集を開始したところでございます。  私どもも、募集につきましては公募を考えておりまして、本議会が終わりましたら公募を一たんかけまして、事業者の応募を事前登録という形で取りたいということで考えております。  応募を取った後、買取価格、買取期間が決定した後に、中身について事業計画書をそれぞれの事業者から出していただきたいと思っております。その事業計画が出た段階で事業実績とか地域連携とか資金の問題、そういう全体的なものを含めまして最終的に事業者を決定したいということで考えております。  以上でございます。 169 ◯田崎委員=そういう時期的な、タイムラグといいますか、非常に厳しいものがあるようでありますが、先ほどの話でいきますと公募ということであります。公募をするとして、全国にこういった、これは公募しなければわからないと思いますが、見込みとして事業者がどのくらい、何社ぐらいあるように見込んであるんですか。公募をされるかどうかは別に、こういう事業に参入されるであろうという事業者はどのくらいあるのかお尋ねいたします。 170 ◯大野企業立地課長=公募したときの事業者の見込みということでございます。  現在、新聞紙上等でも出ておりますが、従来から風力とか太陽光とかやっておられる事業者、固有名詞でいきますとユーラスエナジー・ホールディングスさんとか国際航業さん、そういうところは従来からやっておりますし、また、新たに参入したいということで商社関係、三菱商事とか三井物産、そういうところもお話がございます。また、住宅産業用の設備会社で芝浦グループホールディングスさんとか、新たにそういうところをやっていきたいと。それと、新聞等でいきますとシャープさんもメガソーラーの保守点検、管理、そういうものも含めて、新たにそういうところまでやっていきたいというような話が出ておりまして、いろんな事業者が今出ております。ただ、各県との競争という面もございますので、なるべく優良企業の参入が促せるような公募のやり方ということで考えてやっていきたいと考えております。 171 ◯田崎委員=幾つかの商社なり形態なりお話しいただきましたが、先ほど答弁にありました先進と言うかどうかわかりませんが、他県の動向の中で岡山県とか大阪市の話が出ております。こういった大阪市なり岡山県の状況も踏まえて、ほかに全国でこういった動きをされているところはあるんですか。 172 ◯大野企業立地課長=全国的なメガソーラー設置の動きということでございますが、まず、岡山県につきましては、実際、ことしの四月に公募をやっておられます。二十カ所程度ですけれども、県有地が五カ所、市有地が八カ所、また、民有地が七カ所ということで二十カ所出されておりまして、それについて公に公募をしますけど、手を挙げていただいた事業者とそれぞれの箇所で話をしていただくと。ただ、先ほどからお話が出ておりますように、買取価格と買取期間が決まっておりませんので、具体的な話はまだ進んでいないというお話を聞いております。  大阪市については、廃棄物の埋立処分場を大阪市が無償で貸すということで、プロポーザル方式で公募をされておりますが、そちらについても事業者は決まっておりますけど、これも単価とか期間、そういうものが今後の話となっております。  また、今、私どもが自然エネルギー協議会なるもので地方自治体の三十五道府県でやっておりまして、そういう担当者会議の話の中でも、各県においても早く募集はかけたいということで準備はされておりますけど、買取価格等がないと、なかなか事業者も提案できないだろうなというようなところで、各県さんどこもそうですが、ある程度苦慮されているようでございます。 173 ◯田崎委員=総体的に考えますと、事業者としては六社ないし十社以内ぐらいで動くのかなという話ですよね、今の話からすると。それで、岡山県なり大阪市では、実際の単価なり期間については進んでいないにしても、大方の話は進んでいるというような状況になりますれば、佐賀県が公募ないし応募をするということになっても本当に応募があるのか、ないのか、非常に疑問視する部分もあるんじゃないかなというふうに思っております。  単価が未定でありますから、今ここでどうこうというのはないんですが、その事業がもし進んだとして、メガソーラー事業の波及効果についても議論が二人の方からいろいろありました。この波及効果についても具体的に示されております。  その中で特に出てきておりますのが、いわゆる県なり事業者による県内の投資の事業波及効果があるよということで言われておりまして、用地造成でありますとか、あるいはパネル設置工事であるとか、あるいは送電設備であるとか、こういうものが出されております。この金額を合計すれば大体四十億円ぐらいの事業投資になりますけれども、この中で県内への投資割合がどのくらいあるのか。もしわかれば三つの工事ごとに教えていただければと思います。 174 ◯大野企業立地課長=県内企業への投資がどのくらいあるかというお尋ねでございますが、まず、県が施工します用地造成工事、それと来年度、植栽と境界フェンスを予定しておりますが、その工事費が約五億八千万円程度でございます。  あと、メガソーラー事業者が施工するパネル設置でございますけど、一メガ当たり四億円程度ということで言われておりまして、パネルの部分はどこのメーカーを使うかということもございますけど、全体の大体四割程度がパネル代で、残りの六割が架台ですね、基礎になる部分、コンクリートの現場打ちもあるし、また、組み立て方法によってちょっと違いますけど、そういう現場でする工事については地元の業者さんをお願いしたいということで考えております。  あと、送電設備工事については、九州電力さんがまだ具体的にはじき出せないというところもございますが、大体三億円から四億円程度と言われておりますので、その部分については県内業者の発注が見込めるものと考えております。  以上でございます。 175 ◯田崎委員=そうすれば相当量の県内投資が出てくるということはわかりますが、もう一つ、効果の中で土地のリース料の試算が出ておりました。二十五・六ヘクタールでしたね、その中で十六・二ヘクタールがいわゆるパネル設置の面積ということを見ますと、割合で見ると六三%ぐらいの土地の利用ということになりますが、まず、この六三%の利用というのは、こういった事業者にとってどういう状況なのか教えていただきたいと思います。 176 ◯大野企業立地課長=土地のリースの面積、業者の状態ということの御質問でございます。  まず、約十六・二ヘクタールということで、全体が二十七・五ヘクタールございますが、もともとこの中に里道、水路が入っておりまして、それを除けば二十五・六ヘクタール、これが土地開発公社から買い戻す面積でございます。地形的にいきますと、南北が千二百メーター弱ございます。また、東西が二百五十メーター、広いところで東西が三百六十メーターという非常に不整形な土地になっております。また、のり面等もございます。そういうところで、予算が通りましたら土木事務所等でも造成工事の具体的な設計をしていきたいと考えておりますけど、概算ではじいていただいたのが十六・二ヘクタールになっております。  現実にメガソーラー事業者と賃貸リースの契約をする分については、十六・二ヘクタールというのは平たんなメガソーラーをある程度設置できる部分でございますので、全体の面積の二十五・六ヘクタールから道路とか水路、それに調整池、あと西側に残します文化財の緑地、それと外から見えるようなメガソーラーの見学場をつくりたいと考えておりますので、その駐車場、そういうふうなものを除きまして最終的な賃貸のリース契約を事業者にお願いしたいと考えております。 177 ◯田崎委員=そういうことでありますと、二十七・五ヘクタールから里道、水道等いろいろ含めた一・九ヘクタールを抜いて二十五・六ヘクタールという考え方でいいんですかね。 178 ◯大野企業立地課長=その二十五・六ヘクタールから、先ほど言いましたように調整池、文化財の緑地、メガソーラー見学者の駐車場、そういうものを除きたいということで考えております。実際に設計して図面を引きませんと、もう少し詳しい図面が出ませんけれども、大まかなところでは、十六・二ヘクタールよりもちょっとふえるのかなというような感じもしますけど、そのあたりは精査をしていきたいと考えております。 179 ◯田崎委員=それは今からの設計なり工事のあり方で若干変わるかもしれませんが、積算根拠の土地のリース料は二十五・六ヘクタールで計算されていますね。ということは、今の説明でいくと、道路とか調整池も含めてリース料を計算するということで理解するんですか。 180 ◯大野企業立地課長=大きく調整池の部分をどうするのかということがございます。私どもとしては、土地開発公社から二十五・六ヘクタール、今回買い戻しをさせていただきますので、その全体面積でもって事業者にリースをしたいと考えておりますが、調整池が上流からの水も流れてきて域内を通って調整池に入るような状態もございますので、その辺の維持管理の問題も考えられます。そのあたり、また事業者とも協議をしていきたいと考えております。 181 ◯田崎委員=これは二十年にわたるリース料の算出基礎であります。今のところは概算値だろうということは理解しますが、長年の算定基礎の一つでありますので、十分精査をしていただきたいなというふうに思っております。  それともう一つ、事業効果の中で前の質問者に対する答弁はありませんでしたが、資料によりますと、災害用、非常用電源として活用するということも可能であるというようなことですが、もう少し具体的な内容がわかれば教えていただきたいと思います。 182 ◯大野企業立地課長=非常用の災害の部分の電気にも使えるということでございますが、私どもの佐賀県でそれを設置するとか、そういうことは考えておりません。もしメガソーラーを設置することにより、そういうことで利用したいとか、そういうふうなお話がありましたら、そのあたりメガソーラー事業者とも御相談して、そういうこともできるということで考えております。 183 ◯田崎委員=それでわかりましたが、県でこういったものまで考えてあるのかなというふうに思ったものですから質問しました。  特に、メガソーラーに限らず太陽光発電というのは非常に不安定な発電、電気供給体制であるというふうに言わざるを得ないと思います。といいますのも、皆さんが積算されておる八メガにおいても、逆算しますと一一・四%程度の発電効率というような状況であります。
     しかも、これが計算式どおりにいくかどうかも未定、一般的な今までの経験則で出されておる、九電に聞いても大体一二%内外ということでありますから、そう大きく違うものとは思いませんけれども、非常用電源として蓄電池でということもどの程度できるのか、非常に不安でありましたのでお尋ねをしたところであります。ただ、これは本当に活用できるのかなということは非常に疑問が残るところであります。  それはそれとして、次の質問にいきます。  前後して申しわけないんですが、先般の一般質問で土井議員さんが質問された中で、事業者支援については、初期投資に対する支援は行わないことを前提に事業者募集を行いますよということで答弁されたところでありますが、この初期投資に対する支援というのは、パネル設置費と系統連系のための送電設備費ということで理解してよろしいんでしょうか。 184 ◯大野企業立地課長=はい、それで結構だと思います。 185 ◯田崎委員=そういうことでありますれば、冒頭の話とちょっと重複しますが、そういうことを前提に事業者募集をするということでありますけれども、応募の見込み、先ほど、六社、七社ぐらいは商社なりを含めてあるやの話でありますけれども、皆さんの感触として、今の条件で募集をかけた場合に、どのくらい募集ができると現時点で思っていらっしゃいますか。 186 ◯大野企業立地課長=吉野ヶ里メガソーラーを設置するということの情報を聞かれまして、メガソーラー事業者、もしくはパネル事業者、商社関係、そういうところが現実的に現地視察をされたりいろいろされております。そういう中でどれだけの事業者の応募が想定されるかということでございます。私どもとしては、先ほど公募の御説明をさせていただいたんですが、なるべく早く事前の事業者の受け付けができるような、囲い込みと言ったらおかしいんですけれども、そういうふうな状態で事業者にそういう事業をやるということを早く知らしめて、なるべく手が挙がるような方策をとって、なるべく多くの事業者の参加をしていただきたいということで考えております。具体的にどのくらいが集まるかというのははっきりした数値はわかりませんけど、以上です。 187 ◯田崎委員=今の時点ではそうかもしれませんが、するのであれば早くそういった情報を提供して、少なくとも二社ないし三社以上は応募があるようにやっていただきたいと思います。  万が一という話はしちゃいかんでしょうけど、仮の話はあんまりいかんでしょうが、応募がなかったときにはどうするかということで先ほど質問があっておりまして、他県の状況を踏まえて議会とも協議して対応するという趣旨の答弁をされました。いわゆる他県の状況を踏まえて対応するということは、もう少し具体的に言うとどういうことと理解してよろしいんでしょうか。 188 ◯大野企業立地課長=まず、公募に応募がなかった場合に、具体的にどういうふうに検討してするのかというお尋ねでございます。  他県の支援策ということでお話をさせていただきますと、現在、岡山県がメガソーラーの発電に対しての補助を設置されております。金額的にいきますと、一メガ当たりの発電量に対して公募の場合は二千万円、限度額が一億円ということでされておりますけど、それ以外の県ではまだ、検討をされているところはあるかもしれませんけど、現在、はっきり示されたところは、私どもでは情報をつかんでおりません。  そういう中で、公募で応募が得られなかった場合については、他県の支援策はどういうふうなものなのか。あと、買取価格とか期間が、私ども、買取期間につきましても、国が示す買取保証期間で契約をしたいということで考えておりますけど、他県の状況を見て、それよりも長い期間のところがあるのか、ないのか、そういうところを見ながら、原因分析をやった上で、事業者支援の是非を含めて県議会に御相談させていただきたいと考えております。 189 ◯田崎委員=なかったことをあんまり想定しちゃいかんでしょうが、想定していないことがあることも想定しておかにゃいかんことでしょうから、その辺についてはもう少し情報を集めてどうするかということについても想定していただければというふうに思っております。  もう一つ、総合計画二〇一一の中にメガソーラー設置の計画が出ております。これを見ると、吉野ヶ里の計画でしょうけれども、二十四年度で八メガワット、二十五年度で十八メガワット、二十六年度で三十メガワットを目指しますということで計画をされております。もちろんこれは住宅用とか事業所用もあわせて年次計画がなされております。住宅用とか事業所用は別においても、メガソーラーをこれだけ、二十六年度で三十メガワットというと相当の面積なり事業を、いわゆる敷地を確保していかにゃいかん。これは県だけでするという意味じゃないと理解はしておりますけれども、相当量の面積が必要じゃないかなというふうに思います。二十五年度で十八メガですから、十メガふやすために二十ヘクタール要ると、今の十六・二ヘクタールとは別にですね。二十六年度で三十メガにしますから、十二メガワットふえますので、単年度で二十四ヘクタール必要ということで想定しますと、相当の面積が必要でありますけれども、その辺の考え方についてお尋ねしたいと思います。 190 ◯大野企業立地課長=総合計画に二十六年度までで累計で三十メガということで計画を立てております。それにつきましては、現在、吉野ヶ里のメガソーラーを八メガ、あと県有地でほかにそういうところがないのかということも検討をしております。また、現在、各市町に照会を出させていただいております。実は、六月ごろに一回、照会を出しまして、各市町から遊休地を中心としまして、民有地も含めて、それぞれの市町の土地も含めまして候補地が上がっておりました。現在、その候補地につきましては、特に民有地は土地所有者の御承諾をいただいているわけではございませんので、もう少し詰めたところの候補地を挙げてほしいということで市町にお願いをしております。その候補地が十月の半ばぐらいまでということでお願いをしておりますので、そういう候補地が上がってきたところを選定しまして、県のほうでまとめて公募するのか、どういうふうにしたほうがいいのか、市町とも協議をしながら進めていきたいということで候補地については考えております。 191 ◯田崎委員=それは当然、いろんな手だてで探さないと、これだけ広い面積が、まとまるか、まとまらないかは別にしても、何カ所かでつくるというのは非常に大変なことだろうと思います。  国の一つの動きとして、テレビで報道されておったものでありますが、耕作放棄地、いわゆる農地を、これは農地法改正も含めて活用するやの話も一部報道等があっておりますが、そういったものもにらみながらの計画だということでとらえていらっしゃるんでしょうか。 192 ◯大野企業立地課長=耕作放棄地についてどのように考えているかということでございます。  国で耕作放棄地を活用していこうということを農林水産大臣がたしかお話しになっていたかと思いますが、それについては農作業で使うハウスとか、そういう農業部門にそういう電気も使えるんじゃないかというようなことも想定して言われておりまして、私どもが今回のメガソーラーにつきまして耕作放棄地についても、農地として利用されていないところについてもやっていきたいとは考えておりますが、ただ、農地法、農振法との絡みでいきますと、なかなか農地転用がうまくいくのか、それと期間がどうなのか。先ほどから言いますように、なるべく二十四年度にスタートを切らないといけない状況の中で、そういう手続がうまくやっていけるのか、そういうことも含めると、一足飛びに耕作放棄地を広い面積でやるということはなかなか難しい状況がございますので、候補地がありましたら、一カ所程度、まず試験的に二ヘクタール程度でできるのか、できないのか。それと、事業者が手を挙げてくれるのかどうか。そういうことも含めてパイロット的にやっていきたいということで耕作放棄地については考えております。 193 ◯田崎委員=いずれにいたしましても、このメガソーラーにつきましては、新しい取り組みをするということでは事業者も非常に注目をしているところでありますが、送電設備も含めますとクリアしなければいけない条件というのがまだまだたくさんあるように感じております。しかしながら、「太陽光発電王国佐賀」でしたか、そういったタイトルのもとに太陽光発電を進めるということについては悪いことではありませんから進めていただいていいんですけれども、先ほど言いますように、まだまだ条件整備しなくちゃいけないようなことがたくさんあるようでございますので、その辺は十分吟味をしながら、佐賀県にとってプラスになるようなことで進めていただければというふうに思っております。  以上で質問を終わります。 194 ◯桃崎委員長=これで質疑を終了いたします。  暫時休憩します。     午後四時五十分 休憩     午後四時五十一分 開議 195 ◯桃崎委員長=委員会を再開します。  これより討論に入りますが、ただいまのところ、討論の通告はあっておりません。討論はないものと認めます。よって、討論を終結し、直ちに採決に入ります。     ○ 採     決 196 ◯桃崎委員長=甲第三十八号議案中本委員会関係分、乙第五十七号議案及び乙第五十八号議案、以上三件の議案を一括して採決いたします。  原案に賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 197 ◯桃崎委員長=全員起立と認めます。  よって、以上三件の議案は、原案のとおり可決されました。     ○ 継 続 審 査 198 ◯桃崎委員長=最後に、六月定例会から引き続き審議中の 一、農林水産商工行政について 一、生産振興行政について  以上、二件につきましては、諸般の検討が必要ですので、閉会中の継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 199 ◯桃崎委員長=御異議なしと認めます。  よって、以上の二件についての継続審査を議長に申し出ることにします。  以上で本委員会に付託された案件の全部を議了いたしました。  これをもちまして産業常任委員会を閉会いたします。どうも御苦労さまでございました。     午後四時五十三分 閉会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...