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  1. 佐賀県議会 2010-12-13
    平成22年産業常任委員会 本文 開催日:2010年12月13日


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     午前十時三分 開議 ◯土井委員長=おはようございます。ただいまから産業常任委員会を開催いたします。  本日、理事会を開催し、今回の現地視察において説明がありました産業技術学院あり方検討会報告書に関する議会への対応について申し合わせましたことを質疑に入る前に執行部に対して申し上げます。  先日、十二月十日、金曜日、本委員会で多久市にある佐賀県立産業技術学院に視察に参りました。その折に佐賀県立産業技術学院あり方検討委員会の報告書が提出され、内容の説明がありました。報告書の日付は本年三月であります。  この産業技術学院を取り巻く諸問題やそのあり方については、佐賀県議会で以前より取り上げられ、議論されてまいりました。そのあり方の検討結果については、県議会の注目していた課題の一つであります。その報告書が三月にできておりながら、本委員会の今回の現地視察のときまで報告がなされなかったことは甚だ遺憾であり、まさに、議会に対する説明責任の欠如、議会軽視と言っても過言ではないものであります。  執行部におかれましては、今後、このようなことがないよう十分に反省をされ、対応されますことをここに厳重に注意申し上げます。 2 ◯飛石農林水産商工本部長=ただいま御指摘を受けました件でございます。  このたびは産業技術学院あり方検討会の報告書につきまして御説明が非常におくれましたことに対し、まずもっておわびを申し上げます。まことに申しわけございませんでした。  産業技術学院につきましては、今、委員長のほうから御指摘がございましたとおり、訓練生の年齢構成やポリテクセンターとの役割の重複などさまざまな課題を抱えておりまして、県議会においても幾度となく議論をしていただいたところでございます。  このため、県では、昨年六月にさまざまな関係者から成るあり方検討会を立ち上げまして、五回にわたる議論を経て、ことしの三月二十九日に報告書として取りまとめていただいたところでございます。  この報告書につきましては、十二月十日の産業常任委員会による学院の視察の際に初めて説明させていただいたところですが、これまでの県議会の議論を踏まえますと、本来は六月議会でいち早く説明すべきものであったと深く反省しているところでございます。  今後はこのようなことがないように、適時的確に情報の早期提供に努めて説明責任を果たしていきたいと、このように考えております。  今後の産業技術学院見直し方針案につきましては、報告書の意見も参考として人材ニーズ調査等を実施し、現在、さらに検討を重ねているところでございます。今後、この見直し方針案は、職業能力開発審議会で審議していただくことになりますが、県議会に対しましては、審議会の開催前に見直し方針案をお示ししたいと考えております。  以上、どうぞよろしくお願い申し上げますとともに、重ねておわびを申し上げます。 3 ◯土井委員長=それでは、これより質疑に入ります。通告に従い順次発言を許可します。 4 ◯石井秀夫委員=おはようございます。ことしも残すところ、二十日を切りました。月日のたつのは早いものだなと思っております。  今、私、毎日、恐らく三カ所、四カ所、会合に出ておりまして、そこの中で必ず話題として上がるのが三つほどあります。  一つは、この国はどういう方向に向かっていくんだろうかという話が必ず出ます。二つ目に、景気がなかなか回復しない、雇用はどうなるんだろうかという話が出ます。特に来年三月に卒業する新しい高校卒業生の皆さんの就職、それと大学を卒業される皆さん、こういう方たちの就職はどういうふうになっていくんだろうかと大変心配をされている話があります。三つ目に、これは後もって質問が出ますけど、太平洋経済連携協定、いわゆるTPPの話が必ず出ます。  きのう、私は、地元の十数戸の地区に出向きまして、毎年十二月十二日に行われる、その年の農産物の豊作に対する感謝とお祝いを兼ねたお祭り、そして反省会に出席しましたが、そこでもこの三つのことが最初に出ました。  ですから、この三つは非常に大事なテーマだと思っています。そういうことを頭に入れながらきょうは質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
     まず最初に、佐賀県農業の現状についてということで通告をいたしておりました。  今日の農業を取り巻く情勢は厳しいということは、皆さん、御承知のとおりだと思います。例えば、耕作放棄地の拡大、消費の減退、輸入農産物の増加、こういうものもありますし、価格も低迷している。それから、重油とか配合飼料、肥料等の価格上昇というものもあります。そういうことを考えますと農家経営というのは大変厳しい状況にあるということは間違いないと思います。  こういう状況の中で、せんだって、二〇一〇年の農林業センサスの概数値というのが発表されました。改めて佐賀県農業の現状についてお伺いをしたいと思いますけど、二〇〇五年農林業センサスとの比較をお願いしたいと思います。農林業センサス農業経営体数について、前回の二〇〇五年農林業センサスと今回の二〇一〇年の農林業センサスの数値についてどういうふうになっているのかお伺いいたします。 5 ◯小野原生産振興部副部長=お答えをいたします。  この農林業センサスにつきましては、農林業の経営体数でありますとか販売農家の実態などを明らかにするために五年ごとに調査が行われているものでございます。  このセンサスで佐賀県の農業経営体数を見てみますと、五年前の前回は三万二千百三経営体であったものが、二〇一〇年は一万九千七百八十九経営体となっておりまして、この五年間で一万二千三百十四経営体、減少をしているという状況でございます。 6 ◯石井秀夫委員=五年間で一万二千三百十四経営体が減っているということですから、これは大変な数字だと思います。五年間でこれだけ減少した原因は、どういう原因があるんでしょうか。 7 ◯小野原生産振興部副部長=本県の農業経営体数が前回の平成十七年の調査に比べて大幅に減少しましたのは、これは全国共通でございますが、高齢化等の進展などによりまして減少しているということがあります。  本県の場合、最も大きな減少の要因といたしましては、御承知のように、平成十九年から国で水田経営所得安定対策が実施されまして、これを契機といたしまして、県内では多くの農家が参加して集落営農組織が数多く設立されたということがございます。これによりまして、米、麦、大豆につきましては、この集落営農組織単位で経営が行われるようになったことから、センサス上では、こうした集落営農組織を一つの経営体ということでカウントすることになりまして、その構成員の個々の農家は経営体数にはカウントされなくなったということが要因でございます。  例えばでございますが、二十戸の農家が参加して一つの集落営農組織をつくって米、麦、大豆を生産している場合、それまでは個々の農家が個別に生産を行っておりましたので二十経営体ということでカウントされていたわけでございますけれども、今回の調査からは、これは集落営農組織として経営が展開されているところで一経営体ということでカウントされることになりました。  ただ、その場合、集落営農組織の構成員の方が米、麦、大豆以外に、例えば野菜でありますとか果樹、あるいは畜産といったものの経営をされている場合には、その戸数はそれぞれ別の経営体数ということで統計上カウントされていくと、そういう状況になっております。  以上でございます。 8 ◯石井秀夫委員=数字ほどは減っていないという形ですね。集落営農組織を一経営体とすれば、先ほど答弁がありましたように、一万二千三百という数字になりますが、実質は減っていないということでありました。  次に、経営耕地面積別農業経営体数の推移というのがあると思いますが、この推移はどういうふうな形になっているんでしょうか。 9 ◯小野原生産振興部副部長=先ほど御答弁申し上げましたように、集落営農組織を一経営体としてカウントするということになりましたことから、集落営農組織の多くが該当いたします経営規模二十ヘクタール以上の層で増加をしているということで、前回はこの層が十経営体ございましたが、今回の調査では四百三十一経営体に増加しております。  一方、この集落営農組織に参画していく農家がございますので、規模別に見ますと、前回調査では農家経営体数が最も多かったのが一ヘクタール以上から二ヘクタール未満層ということでございました。これが集落営農組織へ参加されたことに伴いまして、前回は一万二百五十八経営体ございましたが、今回の調査では五千三経営体ということで、約半分に減っていると、統計上はそういうふうな構成になっておるということでございます。 10 ◯石井秀夫委員=わかりました。  冒頭にちょっと話が出ました高齢化につきましては大変厳しい状況にあるんじゃないかと思います。私どももいろんなところに出向いて、いろんな話を聞きますと、必ず高齢化という話が出てきておりまして、これは全国的な傾向だと思いますけれども、佐賀県もそういうふうな形になっていると思います。  それから、私どものところはお茶の生産地でありますけれども、ここも新茶のシーズンなんか、激励に回りますと、六十五歳以上の方が六〇%を超しているんじゃないかという感じがするぐらいですから、そういうものが数字にはね返ってきているのかなという感じがいたしております。  その高齢化の一方で新規の就農者というのが非常に重要になってくると思います。この新規就農者が最近ふえてきているのではないかという感じがいたしておりますが、ここ五年間ぐらいの推移を教えてください。 11 ◯御厨農産課長=お答えいたします。  本県におきます最近五カ年の新規就農者数の推移を見てみますと、平成十八年と十九年は同数で八十八名でございましたが、平成二十年には百十六名、二十一年には百十八名と増加いたしまして、さらに、二十二年は百六十名と大幅に増加したところでございます。 12 ◯石井秀夫委員=百六十名ですから倍近くになっているということであります。  そこで、新規就農者の状況ですが、新規就農者就農ルートの内訳はどういうふうになっているんでしょうか。 13 ◯御厨農産課長新規就農者就農ルートについてでございますが、平成二十二年、ことしの百六十名の就農ルートについて見てみますと、もともと農家でない方が新たに就農するいわゆる新規参入が七十名となっております。また、農家の跡継ぎではございますが、一たん他の産業に従事した後に就農いたしますいわゆるUターンが六十八名。さらに、農家の後継ぎが学校卒業後直ちに就農する新規学卒が二十二名となっております。 14 ◯石井秀夫委員=そうすると、新規の七十名が一番多いということですね。増加した要因があると思いますが、それはどういう要因なんでしょうか。 15 ◯御厨農産課長新規参入者が増加した主な要因についてでございますが、平成二十二年につきましては、新規参入者が前年の二十九名から七十名に大幅に増加しております。その中でも農業法人に雇用された人が前年の十七名から五十四名へと大きく伸びております。農業法人で雇用された人が増えた要因といたしましては、厳しい就職環境が続く中、農業法人を一つの有力な就業先としてとらえる人がふえたこと。また、農業法人におきまして研修を積み、その後、独立を目指す人などが増加したこと。さらには、こうした動きを促進するための国や県の施策が昨年から強化され、農業法人の経営者の雇用意欲を刺激したことなどが考えられます。 16 ◯石井秀夫委員=増加していることは非常に、これ自体はいいことですし、新規参入者が多いということもいいことだと思いますが、就農する前と就農した後のギャップというんですか、現実と理想は違うという言葉がありますけど、思うほど簡単にいかないことも当然考えられるんじゃないかと思うんですね。新しく参入したんだけれども、うまくいかなかったとか、そういう例はありますか。 17 ◯御厨農産課長新規就農者につきましては、まずは技術なり経営のノウハウをしっかり習得してもらう必要があります。また、経営を始める場合には初期投資がどうしても必要になるというようなことで、この新規就農者の確保・育成につきましては、関係者が就農認定者ということで、そういう方の情報を共有化してみんなで支えていくという体制をとっているところでございます。  しかしながら、先ほど申しました新規参入者、もともと農家でない方は、今、委員が言われるように、自分が思い描いていたイメージと現実問題のギャップというのが農家の後継ぎよりも全然大きいものがございまして、我々といたしましては、いきなり自分一人で農業を始めるということじゃなくて、先ほど申したように、一回は法人とか、そういうところで経験を積むというようなことで誘導助言をしているところでございます。  そのギャップの大きさの事例で申しますと、一昨年のリーマンショック以来、農業を始めたいという相談件数が激増いたしております。その中で今まで農業の経験をしたことのない方が農業を一つの職業として非常にいいんじゃないかと思ってくださって相談をされるんですけれども、自分の思い通りにいかないということもございまして、例えば、農業法人に一回修行という形で来られた方が、数日後には見えなくなると。それは農業というのが機械的に何時から何時までこういう仕事という定番ではなくて、その状況に応じて臨機応変に対応しなくちゃいけない。きついときもあれば、逆に非常にやりがい、楽しさを感じるときもあるんですけども、そういう自分の思いと現実のギャップというのを感じられて、法人等に就業したものの、わずか数日間でやめられるという事例は県内でも結構いらっしゃる状況でございます。 18 ◯石井秀夫委員=わかりました。これは行政ばっかりじゃなくて、御本人も含めて、そして、周りの人たちが温かい手を差し伸べながら、ぜひ定着するようにしていくことが持続する秘訣かもしれないと思いますので、そういうものをぜひ後押しをしていただきたいと、そのように思います。  次に、農業産出額の推移であります。  佐賀県の農業産出額の推移は、五年ぐらい前に比べてどういうふうになっているんでしょうか。 19 ◯小野原生産振興部副部長=農業産出額の推移を見てみますと、五年前の平成十六年には千三百六億円ということでございましたけれども、直近の平成二十一年を見ますと千二百七十四億円ということで、三十二億円の減少ということになっております。  なお、この農業産出額については、平成十九年度に国の方で算出方法が変更されております。その主な内容としては、それまで市町村間で統計数字をとっておったのですが、それで取引された、例えば作物の種子、あるいは鶏のひなが市町村間で動いていた分もカウントされていたんですけれども、そういった中間生産物の産出額が算入されなくなったことが一つございます。  もう一つは、先ほども申し上げましたように、水田経営所得安定対策を実施されるようになって、これまでの交付金などにつきましては、それぞれの品目の算出に応じて交付されるというような形が多かったわけでございますけれども、この対策の実施によりまして、麦、大豆に対しましては、過去の生産実績によって支払われるということで、いわゆる固定払いの制度が導入されてきましたので、それについては十九年度以降は農業産出額にはカウントしないと、そういう統計上の変更がなされた結果ということでございます。  そういうことで十九年以前と以後の数字というのは、必ずしも単純には比べられないところがあるのかなということでございます。  以上です。 20 ◯石井秀夫委員=統計上の問題もあって、それは必ずしも正確じゃないという話で、それにしても三十二億円、五年間で減っているということですから、これは大変な金額だろうと思います。  ちなみに、一番高かったときは千八百億円か幾らか、そんな感じがしますけれども、教えてください。 21 ◯小野原生産振興部副部長=済みません。具体的な数字を今手元に持ってないで手を挙げたんですが、一番高かったのが、記憶では昭和五十九年の千八百億円を超える、千九百億円近くの粗生産額があったのが本県での最高だというふうに記憶をしております。  以上です。 22 ◯石井秀夫委員=ありがとうございました。  次に、品目別の産出額ですが、これも五年前と比べてどういうふうになっているか答弁をお願いします。 23 ◯小野原生産振興部副部長=産出額が多い上位五品目について、その推移を見てみますと、まず、米でございますが、五年前の平成十六年は二百九十一億円でございましたが、平成二十一年には二百八十四億円ということで七億円の減となっております。  次に、肉用牛でございますが、五年前は百二十四億円でありましたが、平成二十一年には百五十六億円ということで、これは三十二億円、増加をいたしております。  また、ミカンが、五年前は九十九億円でございましたが、平成二十一年は百六億円ということで七億円の増。  また、タマネギは、五年前は七十八億円でございましたが、平成二十一年は百一億円へと二十三億円の増。  最後に、イチゴにつきましては、五年前が百二億円でございましたが、平成二十一年は九十一億円ということで、これは十一億円の減というような状況になっております。 24 ◯石井秀夫委員=わかりました。肉用牛とミカンとタマネギは上がっていますね。イチゴと米が減少しているということで、イチゴについては後からお聞きをいたしますが、米が七億円減ったというのは、何か原因がありますか。 25 ◯小野原生産振興部副部長=米の要因につきましては、一つは面積の関係といいますか、生産調整等を実施している中で、その面積の関係、それから価格的な部分が若干減少している、そういう影響だろうというふうに考えております。 26 ◯石井秀夫委員=そうしますと、佐賀県全体の農業産出額が減少しているということになっておりますが、その辺が、ちょっとダブるかもわかりませんけど、もう一度聞かせていただいていいですか。 27 ◯小野原生産振興部副部長=本県の農業産出額が減少した主な要因といたしましては、まず、肉用牛につきましては、先ほど申し上げましたように、出荷頭数が増加をしているということから算出額が増加をいたしております。  そういった中で減少のほうでございますが、先ほど申し上げましたように、麦、大豆に対する固定払いの分が算出額に算入されなくなったということが、一つ、要因としてございます。加えまして、高齢化なり販売単価の伸び悩みということ、また、作付面積が減少しているということで、イチゴなり花の産出額が減少している、こういったことが全体に影響しているというふうなところでございます。 28 ◯石井秀夫委員=わかりました。  そして、これはいろんな調査とか統計も含めてやっていただいていると思います。生産者、消費者、市場は刻々と毎年変化をします。この分析が大変大事だと私は思います。ですから、分析を各方面の方たちと連携をとりながらやっていただいて、そして、それらのことをしっかり生かしていくということが欠かせないと思いますが、そういうことをやっていただけますか。 29 ◯小野原生産振興部副部長=委員御指摘がございましたように、これからいろいろな施策を展開していく上で、現場の声を我々がしっかり聞いていくということが何よりも重要だろうと思います。そういうこととあわせて、数値で押さえられるものはきちっと数値で押さえながらということで、そういう定量的なものと定性的なものをしっかり踏まえながら、これからの施策の立案等に取り組んでまいりたいと思います。  以上でございます。 30 ◯石井秀夫委員=ぜひお願いいたします。  次に、二項目めに入ります。環境保全型農業の推進についてということであります。  環境の維持・保全、消費者の食の安全・安心に対する関心が高いことは、もう皆さん御承知のとおりだし、間違いのないことだろうと思います。  佐賀県では、有機栽培、あるいは特別栽培など、環境保全型農業に取り組む農家が多くなってきていると思っております。農産物の直売所とかスーパーなどで販売されております有機栽培、あるいは特別栽培などの農産物が、どこがどう違うのかよくわからないという方がたくさんいらっしゃいます。環境保全型農業の推進に当たっては、消費者に対する有機栽培、特別栽培などの認知度の向上を図ると申しますか、そういうことが普及拡大を含めて大変大事なことだと思います。この有機栽培と特別栽培、環境保全型農業でそれぞれの認証や認定がなされておりますが、どのような違いがあるのかお伺いをいたします。 31 ◯古賀園芸課長=お答えいたします。  有機栽培や特別栽培などの違いについてでございますが、この環境保全型農業には、大まかに申し上げますと、有機栽培と特別栽培、さらにはエコ農業の三つの種類がございます。  まず、有機栽培についてでございますが、有機栽培は、原則として化学肥料や化学合成農薬を使用せずに農作物を栽培する方法でございます。この有機栽培のうち、JAS法に基づいて農林水産大臣の登録を受けた認定機関で、農産物を栽培する二年以上前から原則として化学肥料及び化学合成農薬を使用していないことなどの検査に合格し、有機JAS農産物の認定を受けた場合には、有機JASマークをつけるとともに、「有機」、「オーガニック」といった表示をして販売できることとされております。  次に、特別栽培でございますが、この特別栽培は、農産物の栽培期間中に県内で一般的に行われている栽培方法、いわゆる慣行栽培に比べて化学肥料の使用量や化学合成農薬の使用回数を五割以下に減らして栽培する方法となっております。  この特別栽培につきましては、県独自に佐賀県の特別栽培農産物認証制度を設けておりまして、栽培方法などが県の審査に合格すれば認証を行っております。その農産物に対しては、県が定めた認証マークを表示して販売ができることとしているところでございます。  さらに、エコ農業についてでございますが、このエコ農業につきましては、堆肥等によります土づくりとあわせて、現行の栽培方法に比べ、化学肥料の使用量を二割以上、化学合成農薬の使用回数を一ないし三回以上、それぞれ減らして栽培する方法でございます。  このエコ農業を行う農家は、「エコファーマー」という愛称で呼ばれておりまして、持続農業法に基づいて栽培方法などが県の審査に合格すれば認定を行っております。その場合、エコ農産物については、エコファーマーマークを表示して販売できることになっております。  以上、お答えします。 32 ◯石井秀夫委員=今答弁をいただきました。お聞きしている段階では、ぱっと頭に入って、ぱっと区別しやすいという感じがなかなかしないものですから、認証マークの話が出ましたけど、消費者の方に一目でわかるようなマークがあれば非常にいいなと常々感じております。そういう研究をもう一回ぜひしていただければなと思います。  次に、環境保全型農業の取り組みですが、環境保全型農業の取り組みの状況を教えてください。 33 ◯古賀園芸課長=本県における環境保全型農業の取り組み状況についてお答えいたします。  平成二十二年三月末現在で見てみますと、有機栽培が六十四戸、特別栽培が四千五百五十四戸、エコ農業が五千七百八十五戸となっております。  また、エコ農業などの認定は受けていないものの、エコ農業以上の取り組みを行っていく農家の方々もいらっしゃいます。例えば、全農の安全・安心システム等で別の制度でそういった取り組みをなさっている農家の方もいらっしゃいまして、市町を通じて把握をしておりますこういった取り組みの方が八百二十三戸となっております。これらを合わせますと、環境保全型農業の取り組み農家数は一万千二百二十六戸となっておりまして、全農家数に占める割合は三一・四%という状況にございます。 34 ◯石井秀夫委員=十年間でかなりふえてきておりますよね。三一・四%という数字が順調な数字なのか、あるいはもう少し頑張れるという数字なのか、その辺はどうなんでしょうか。 35 ◯古賀園芸課長=私どもといたしましては、一つの目標といたしまして、本年度までに環境保全型農業に取り組んでいただく農家数が三分の一、三三・三%を一つの目標として推進をしてきておりまして、今、二十一年度の数字でお答えをさせていただきましたが、ほぼ順調に目的に向かっていると考えております。 36 ◯石井秀夫委員=順調に進んでいるということであります。  そうなってきますと、佐賀県の状況はわかりましたが、全国的に見て佐賀県の環境保全型農業の状況、位置づけはどういうふうな形になっていますか。 37 ◯古賀園芸課長=本県の環境保全型農業の位置づけでございますが、まず、有機栽培でございますが、これは全国比較ということで、JAS法に基づく認証を受けた方で比較をさせていただきたいと思います。  平成二十二年三月末現在で見ますと、全国では二千九十五事業者が認証を受けていらっしゃいます。このうち佐賀県で認証を受けていらっしゃる方が三十六事業者となっております。この数で見てみますと全国的な順位は二十位という状況でございます。  次に、エコ農業の取り組み状況を平成二十二年三月末現在の認定数で見ますと、全国では十九万六千六百九十二戸となっておりまして、そのうち佐賀県が五千七百八十五戸ということで、全国順位が十五位となっております。  なお、特別栽培につきましては、佐賀県の独自制度ということもございますが、都道府県によって、このような認証制度を設けていない県もございます。また、設けているところでも化学肥料などの低減割合に違いがございまして、認証基準が一律でないということもございますので単純に比較することは難しい状況でございます。 38 ◯石井秀夫委員=それぞれ全国的に見て、二十位、十五位という調査の結果が出ているわけですけれども、単純比較ができない分もあるということは理解できます。しかし、どうなんでしょうね、全国的に見てちょうど中間ぐらいな感じがしますから、物すごく進んでいるという感じもしませんし、物すごくおくれているという感じもしませんので、そこそこのところをいっているのかなという感じがいたします。また最後のほうで聞きたいと思っておりますけれども、これ、もう少し上げられるのかなという感じがしますので、ぜひ力を入れていただきたいなと思います。  次に、これが大事なわけですが、消費者に対する認知度の向上に向けた取り組みですね。先ほど、わかりやすいラベルといいますか、そういう話をいたしましたけども、有機栽培とか特別栽培の違いが消費者には十分浸透していないんじゃないかという感じがしますし、非常に理解しにくい部分があります。この認知度を向上させるために県はどういう取り組みをしていかれようとしているのかお伺いいたします。 39 ◯古賀園芸課長=消費者に対する認知度向上に向けた取り組みでございますが、認知度を上げていくということで、これまで農家と消費者との意見交換を行うフォーラムを開催したり、県のホームページで有機栽培や特別栽培に取り組む農家の方々や、それらの農家が生産されている農産物のセールスポイントなどを紹介するホームページを開設いたしております。  また、対面販売と申しますか、対面で消費者の方に直接PRすることが非常に重要であるということで、これまでは県内のスーパー等の店頭において宣伝活動、環境保全型農業のいろんな制度があるわけでございますが、そういうものを紹介したリーフレットの配布といったものにこれまで取り組んできたところでございます。  また、本年度、新たな取り組みといたしまして、先日行われました二〇一〇佐賀インターナショナルバルーンフェスタの「うまかもん市場」の会場内において、有機農産物などを集めたPR・販売会を初めて開催したところでございます。県内の農家など十七団体が農産物の栽培方法や特徴を消費者へ直接PRするとともに、あわせて販売も行ったところでございます。  こうした取り組みを関係機関・団体が連携をしながら、一層の認知度向上に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 40 ◯石井秀夫委員=要は、何回も申し上げますが、一目見てぱっと区別ができるようなことができれば、難しいかもしれませんけど、そういう工夫もぜひ課の中で話をしていただいて、ぱっと区別ができるようなシールあたりがあれば非常にいいなと思いますので、ぜひその辺も検討していただきたいと思います。  次に、普及拡大に向けた取り組みですが、有機栽培、特別栽培の環境保全型農業を普及拡大させることが大変重要だし、大切なわけですから、県としてどういうふうなことに取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 41 ◯古賀園芸課長=環境保全型農業の普及拡大に向けた取り組みについてでございますが、環境保全型農業を一層拡大していくために、環境保全型農業の取り組みに必要な機械、施設、こういったものの整備に対する支援を行ってきているところでございます。  また、平成二十年四月に県の農業試験研究センター内に有機農業研究担当を設置いたしまして、ここが中心となって県内の農業関係の試験研究機関において、化学肥料や化学合成農薬の使用を低減するための新技術の開発に努めているところでございます。  また、農協の各作物部会などで組織単位で特別栽培農産物の取り組みでございますとかエコ農業、こういったものへの認証の取得を促進をしているところでございまして、例えば、米などでは共乾単位あたりの認証が進んだといった状況も出てきているところでございます。  あわせて、そういった農産物の販売を支援するということで、農家の方々のマーケティング活動を支援する商談会などの開催を流通課と連携して取り組んでおります。  また、平成十九年度から地域でまとまりを持って化学肥料や化学合成農薬を五割以上減らして栽培する取り組みに対して、労力などのかかり増し経費に支援を行う、国の農地・水、環境保全向上対策が営農活動支援ということでなされておりますが、こういった支援も活用して環境保全型農業の面的拡大を図ってきたところでございます。  今後とも、生産から販売にわたるさまざまな取り組みを積極的に推進をいたしますとともに、委員御指摘いただきましたように、消費者に対する認知度向上などにも一層努めまして環境保全型の取り組みの一層の拡大に努めていきたいと考えております。 42 ◯石井秀夫委員=これは、今からの時代に大変大事な分野だと思います。いろいろ議論をしてきましたが、農産物のイメージの向上、あるいは競争力の強化にも当然つながっていきます。そして、食の安全・安心、そういうものを消費者に届けるということにもつながっていきます。ですから、これはもっと強力に推進することが大事だと私は思っておりますので、強力に推進をしていただきたいと思います。  次に、佐賀県産イチゴの現状と新しい品種の開発についてお伺いをしていきたいと思います。
     本県のイチゴは、平成二十年の品目別農業産出額が、先ほど議論をいたしました米、肉用牛、ミカンに次いで多いわけです。全体の約七%を占めておるということでありまして、佐賀県農業の基幹品目の一つになっております。しかし、最近では長引く経済不況などの影響から販売単価が低迷したり、あるいは生産農家の経営は非常に厳しい状況にあると思っています。イチゴは各県において数多くの品種が育成をされており、その振興も図られておりまして、今後とも、産地間、あるいは品種間の競争が、今でも激しいのに、もっと激しくなっていくという感じがいたしております。  佐賀県のイチゴ産地が持続的に発展していくためには、生産対策、販売対策の実施はもちろんですけれども、よその県の産品種に負けないような新しい品種の開発に力を入れていくことが重要だと思っております。せんだって、十二月十日でしたか、川副の方でイチゴ次世代品種緊急開発プロジェクトの説明もいただいたところでありました。  イチゴには品種がたくさんあると思います。佐賀県産イチゴの主力品種は、現在、「さがほのか」ですけれども、ここ二十年ぐらいの品種の変遷というのは、どういう変遷を経てきたんでしょうか。 43 ◯古賀園芸課長=本県におけるイチゴ品種の変遷についてお答えをいたします。  昭和五十年代は「はるのか」という品種が栽培されておりましたが、二十年前の平成元年には国が育成した「とよのか」が栽培面積のほとんどを占めていた状況でございます。その後、農業試験研究センターで育成され、平成九年に登録出願公表された「さがほのか」が出ました。この品種は果形がよく、パック詰め作業が省力化できることでございますとか、収量が非常に多いといったことから、「とよのか」にかわって急速に導入がなされまして、平成十六年には全体の九割を占めるまでが「さがほのか」になっております。直近の平成二十一年産を見てみますと、栽培面積の九七%の二百三十二ヘクタールで「さがほのか」が作付をされている状況でございます。 44 ◯石井秀夫委員=九七%ということでありますから、ほぼ一〇〇%に近いということだと思います。  栽培農家数、栽培面積及び販売額の十年間ぐらいの推移を教えてください。 45 ◯古賀園芸課長=栽培農家数、栽培面積、販売額の推移でございますが、平成十一年産、ちょうど十年前と二十一年産について比較をさせていただきたいと思います。  JAグループ佐賀の実績で見てみますと、栽培農家数が千五百二十二戸から千百八十一戸へ減少しております。また、栽培面積は、三百八ヘクタールが二百四十ヘクタールへ、また、販売額につきましても百三十億円が八十一億円ということで、いずれも減少している状況にあるところでございます。 46 ◯石井秀夫委員=いずれも減少しているということでありますから、なかなか厳しくなりつつあるのかなという感じがいたします。  次に、主要産地ごとの栽培農家数、栽培面積及び販売額について、本県イチゴの主要産地ごとの現在の栽培農家数、栽培面積、販売額はどのようになっておりますか。 47 ◯古賀園芸課長=主要産地の状況でございますが、本県のイチゴは、県内のほぼ全域で栽培をされております。これは産地ということで栽培面積をJAの支部等の状況で見ますと、JAからつが最も多い状況でございます。次いでJAさがの佐城支部、白石地区支部、さらには鹿島市や嬉野市などをエリアとする佐賀みどり支部の順になっております。  具体的に申し上げますと、JAからつが農家数で三百六十戸、栽培面積で八十七ヘクタール、販売額で二十九億五千万円となっております。次に、JAさがの佐城支部におきましては、栽培農家数で二百七戸、栽培面積で四十一ヘクタール、販売額で十二億八千万円となっております。次に、白石地区支部では、栽培農家数が百七十六戸、栽培面積で三十四ヘクタール、販売額で十二億六千万円。佐賀みどり支部では、栽培農家数が百五十九戸、栽培面積で二十七ヘクタール、販売額で十億一千万円となっている状況でございます。 48 ◯石井秀夫委員=わかりました。  減ってきておりますけれども、減少の要因については、どういう要因があるでしょうか。 49 ◯古賀園芸課長=本県のイチゴの栽培面積が減少している要因といたしましては、イチゴ栽培というのは労働時間が非常に長くかかりまして、収穫などに中腰の管理作業が非常に多いということで、高齢化の進行によりまして栽培の継続が困難ということで中止をされる農家が増加をしていること。また、最近の長引く経済不況によりまして販売価格の低下でございますとか、肥料等生産資材価格が高騰をしております。こういったことに伴いまして収益性が低下をしており、栽培を中止する農家が増加していると。大きくはこの二点が考えられるところでございます。 50 ◯石井秀夫委員=労働が大変なんですね。私たちもハウスなんかにお伺いして聞きますと、「腰が大変だ」とかおっしゃいます。恐らくそういうことがあるだろうし、景気も影響しているというようなことですから、実際に従事されている方は大変だなと見ながらいつも思っておりますが、やっぱりそういうことが原因だということのようであります。  次に、「さがほのか」と、ほかの県で生産されている品種の違いですね。例えば、栃木県の「とちおとめ」、福岡県の「あまおう」とか、そういうものとの比較、あるいは外観とか食味にも当然特性があると思いますが、どのような違いがありますか。 51 ◯古賀園芸課長=「さがほのか」と他県の「とちおとめ」、「あまおう」等の主要品種との特性の違いでございます。  まず、栃木県が育成いたしました「とちおとめ」につきましては、果実の色が適度に濃い赤色で、果実もかたく、日もちがよいなどの長所がある一方で、糖度が上がらない年内は酸のほうが強過ぎるといった点が言われております。  また、福岡県が育成いたしました「あまおう」につきましては、果実の色は濃い赤色でつやがある。それから、果実は大きく甘味が強いなどの長所を持っております。その一方で、果実がやわらかく、輸送時に傷みやすい。果実の内部に空洞ができやすい。こういった短所も言われているところでございます。  これらの品種と「さがほのか」を比較いたしますと、果形のそろいがよく、パック詰め作業が省力化できること。果実が適度にかたいため輸送性にすぐれておりますし、六月ごろまでの長期にわたって出荷ができること。また、酸味が少なく、すっきりとした甘さがある。「さがほのか」は、こういった生産販売上の有利な特性を持っておりますが、その一方で、果実の色につきましては、消費者がより赤が濃い色、こういった傾向が最近強くなってきております。そういう中で「あまおう」などと比べますと、赤みが弱い、少ない、こういった点があろうかと思います。また、需要が多い年内の出荷量が「とちおとめ」などと比べますと少ない、こういった点が「さがほのか」では言えるかと思っております。 52 ◯石井秀夫委員=年内の出荷量があんまり多くないというのは、今からクリスマスシーズンを迎えますね。そういうのも影響はしてないんですか。 53 ◯古賀園芸課長=「とよのか」で申し上げると、花芽を分化させるために夜冷ということで一たん株を冷やすということを行っておりましたが、「さがほのか」そのものは、そういう夜冷という措置が要らないということで非常に省力的な品種であります。ただ、年の気候によって年内出荷量、自然に花芽が分化する、一番花が分化するという特性を持っておりますので、非常に省力的品種でありますが、そこのところが年の気象によって若干ぶれが大きい、そういった傾向があるようでございます。  そういったことで、できるだけ年内出荷量を確保するということで健全な苗をつくることとあわせて、定植の時期といったものにもかなりきちんとした指導を行って、できるだけ年内収量を確保しようと、そういった取り組みを進めているところです。 54 ◯石井秀夫委員=ありがとうございました。これ、多分それぞれ個人差があると思いますが、見た目で赤かったらおいしそうな感じがしますね。「さがほのか」はちょっと赤みに欠けるんじゃないかなと。それぞれ好き好きはあるかもしれませんけど、そういう感じがします。後でまた触れますけれども。  そうしますと、「さがほのか」の単価とか栽培面積の全国での位置づけはどういうふうになっていますか。 55 ◯古賀園芸課長=「さがほのか」の位置づけでございますが、全国の品種別栽培面積についてJA全農の資料が出ております。これで平成二十一年産を見ますと、「とちおとめ」が最も大きく、九百九十ヘクタール、これが全国の栽培面積のうち三三%を占めております。二番目が「さがほのか」でございまして、これは佐賀県と佐賀県以外でも栽培されておりまして五百十一ヘクタール、全体の一七%。三番目が「あまおう」でございます。これは福岡県のみで栽培されておりまして、三百六十六ヘクタールで全体の一二%、こういった順位になっております。  また、単価につきまして、東京都中央卸売市場における平成二十一年の実績で見てみますと、「さがほのか」が一キログラム当たり千十一円に対して、「あまおう」が千二百五十八円と高い状況でございます。そのほかの「とちおとめ」でございますとか、静岡県が育成した「紅ほっぺ」という品種、これは面積が若干伸びておりますが、こういった品種につきましては、一キログラム当たり千円前後で取引がなされており、「さがほのか」とほぼ同等価格で取引がなされている状況でございます。 56 ◯石井秀夫委員=これでいきますと、「とちおとめ」が倍近い栽培面積になっていますね。その辺が売上にも反映をしてきているんだろうと思いますが、「さがほのか」も全国で二番目ということで大変力強く思っています。  次に、先ほど、次世代の開発プロジェクトの話をいたしましたが、そうなってきますと、新品種の開発に向けた取り組みが大変大事になってきます。それと、生産者の皆さんは、それこそ品種の開発はどうなっているんだ、導入の時期はいつごろだと、こういう話を必ずされます。そういうものを含めてお伺いをしていきたいと思います。  「いちご次世代品種緊急開発プロジェクト」を実施して、「さがほのか」にかわる新しい新品種の開発を加速化させるということが大事だと思いますけれども、その内容についてお伺いしたいと思います。 57 ◯古賀園芸課長=プロジェクトの取り組み内容についてでございますが、イチゴというのは品種そのもので売られるということで競争が非常に激しい状況がございます。県では、「さがほのか」よりすぐれた品種を持つ本県独自の新品種の開発を加速化するということで、本年度から「いちご次世代品種緊急開発プロジェクト」を実施させていただいているところでございます。  この具体的な内容でございますが、これまでの選抜方法を大きく見直しまして、まず、第一に「さがほのか」や「あまおう」、「とちおとめ」など幅広い優良品種をさまざまに組み合わせて掛け合わせを行っていくという取り組みをスタートさせております。また、掛け合わせによって得られる交配苗数は、これは先日も委員の皆様に見ていただいたんですけれども、この取り組みは、従来、年間千五百株の取り組みでございましたが、これを五千株に大幅にふやして、この取り組みを三年連続で継続してやっていくという計画をしております。  また、農業試験研究センターでの選抜試験と現地での栽培技術の実証試験を並行して実施することとしておりまして、優良品種が開発される可能性をできるだけ高めるとともに、育種期間をできるだけ短縮するということを内容としております。  また、選抜の早い段階から生産者などを含めた検討会でございますとか市場での評価会を随時開催をしていくということで、その選抜に生産者とか流通関係者の意見を反映させるという取り組みを予定しております。  また、今回のプロジェクトを進めるに当たっては、生産者の方はもちろんでございますが、JA等の関係機関、県関係機関などによって効率的な品種開発を行う体制をプロジェクトの名のもとに整備しておりまして、関係者が一丸となって取り組んでいくといった取り組みで進めているところでございます。 58 ◯石井秀夫委員=そうしますと、このプロジェクトはいつごろをめどに新品種の開発がなされる感じでしょうか。 59 ◯古賀園芸課長=新品種の開発時期でございますが、イチゴの育種、これはイチゴに限った話ではございませんが、通常の育種というのは、従来の方法では品種開発まで少なくとも十年以上かかっていたところでございます。先ほど申し上げたとおり、このプロジェクトでは選抜方法を見直すなどいたして選抜の現地試験と試験場の試験を同時並行しながらやっていくという計画をしておりまして、その期間を五年から七年に大幅に短縮をしたいというように考えております。ことしからスタートさせておりまして、ことしから五年から七年程度はその選抜にかかると考えておりますけれども、一年でも早く新品種が開発できるように全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 60 ◯石井秀夫委員=五年から七年と、ちょっと幅がありますが、私は五年ぐらいでぜひやっていただきたいと思います。そういう期待が生産者の方にはあります。イチゴは、ずっと今まで話をしてきましたけど、味とか、見た目ももちろん大事だし、大切ですよね。  そして、ネーミングというのも非常に大事だと思います。長野県の端境期のイチゴが、「サマープリンセス」というイチゴがあります。なかなかいいネーミングじゃないですか。ぜひ佐賀県も負けないように、それ以上のネーミングなんかも考えていただく。あるいはこの間、話が出ておりましたけれども、佐賀県はパック詰めが下手だという話もこの辺から出てましたよ。そういうものも大事だと思います。  それと、店頭に並んだとき、特にデパートなんかに並んだときの照明の当て方によって全然違いますね。魚なんかもそうですけれども、イチゴとか果物は光の当て方によって見る目が全然違うんじゃないか。それが一つの付加価値につながっていくのかなという感じもいたします。  ですから、ぜひそういうことも片方では五年のうちぐらいにやっていただくと同時に、そういうこともしっかりやっていただきたいなと思います。  最後に、鵜池部長に話を聞きたいんですけれども、全国的に農業は非常に厳しいと言われます。高齢化も進んでいます。しかし、佐賀県は何といっても農業県佐賀なんですね。農業が元気じゃないと、この県は元気になれませんよ。そういう意味では皆さんたちの仕事というのは非常に重要だし、ある意味、自信を持ってやっていただきたい。ほかの県に負けてないと私は思っていますから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  古川知事が知事に当選された後、何かの会合のときに一緒でした。知事は、知事になった以上はいろんなところに、公式な場を含めてあいさつをする機会がたくさん出てくると。そのときに、まず最初に農業の話をしてくれませんかという話を私はしておりました。そういうふうにやっていただいているかどうかはわかりませんが、それぐらい、農業に対する思い入れというのはあります。先ほど申し上げましたように、やっぱり佐賀県は農業県ですから、農業が本当に元気になって、そして活力を生み出していくということだろうと思います。  いろんな課題が農業にはありますが、私が最後に申し上げたいのは、時間がとれれば皆さんに現地に出向いていただきたいと思います。現地に出向いて、一声、「頑張っていますか、頑張ってください」と言っていただくことによって、農業に取り組んでいただいている方たちはどれほど勇気をいただくかわからないというふうに思っておりますので、ぜひその辺も部内、課内で検討していただいて、現地機関はありますけれども、現地機関は別として、そういうふうに現地に出向いていって現地の生の声を聞いていただいて、そして、それを行政に生かすということをぜひやっていただきたいと思いますけど、鵜池部長の所信を聞かせてください。 61 ◯鵜池生産振興部長=お答えをさせていただきます。  先ほどから農業の分野につきましては、いろんな角度から委員から御指摘があり、あるいは課長から答弁させていただいたところでございます。確かに、大変厳しい状況にございます。我々も現地機関、それから本庁各課ともども、しっかり取り組んできたわけでございますが、先ほど委員から言われたように、我々も現地に足を運んで現場の状況を把握しながらしっかり対応していきたいと考えております。  特に、農業の今からの振興に当たりましては、いろんな状況の変化が今後も出てこようかと思っておりますが、何よりも農家の方々に元気になっていただかなければいけないということで、米、麦、大豆を中心といたしました水田農業、そして果樹、それからイチゴの話が先ほど出ましたけれども、イチゴ等の園芸関係、さらには有機・特栽といった環境保全型農業、こういったことにもしっかり対応しながら佐賀県の農業が元気になるように我々もしっかりとその取り組みを進めていきたいと思っております。  以上、お答えさせていただきます。 62 ◯石井秀夫委員=ぜひしっかり取り組んでください。  最後に四項目めの質問に入ります。これは佐賀県を代表する地場産品、産業でもあります有田・伊万里焼と諸富家具についてお伺いをしていきたいと思います。  伊万里・有田焼につきましては、景気の動向もありますが、非常に厳しくなってきております。売上高も下げどまっていないというような形だろうかと思っております。伊万里・有田焼という佐賀県を代表する産地、産品が危機的状況にありますので、今回、これを取り上げてぜひ質問をしたいと思っておりましたので、質問していきたいと思います。  伊万里・有田焼の売上高の推移、ここ十数年の売上高、ピーク時から現在までどのような推移をたどっているのか答弁をお願いします。 63 ◯大塚商工課長=伊万里・有田焼は、伊万里市、有田町に加え、武雄市や嬉野市まで含むエリアで製造される事業を指すものでございますが、その伊万里・有田焼の売上高の推移は、平成三年の約二百四十九億円をピークとして、その後、減少を続け、平成二十一年には約五十五億円とピーク時の五分の一近くまで落ち込んでいる状況にございます。いまだ下げどまり感がなかなか見えない状況ではないかと認識しております。 64 ◯石井秀夫委員=すごい金額ですよね。かつては二百五十億円近くの売上高だったのが、今はもう五十億円ちょっと、五分の一ということで、本当に危機的な状況だと私は思っております。  この下げどまりがなっていない原因というのは、どういうところに原因がありますか。 65 ◯大塚商工課長=伊万里・有田焼の売上高の下落につきましては、まず、従来からの主力商品である業務用食器について、景気の低迷により旅行や外食を手控えられる傾向が見られるといったことから、旅館・ホテルや飲食店等の買いかえ需要が低迷していると、そういうことが大きな原因として考えられるところでございます。  また、個人向けの一般食器につきましても、生活様式の変化によって和食器に対する需要が減少したこと。さらには、低価格輸入品の浸透など、そうした産地を取り巻くさまざまな環境の変化がその原因として考えられると思っております。  以上でございます。 66 ◯石井秀夫委員=原因について幾つか挙げていただきました。産地の認識というものを、どういう認識を産地としてお持ちでしょうか。 67 ◯大塚商工課長=産地としては、売上高がピーク時の五分の一近くに落ち込み、なお、下げどまり感がない現在の状況に強い危機感と不安を持たれております。改めて産地組合にも伺ったところでございますが、これ以上、売上高が減少すると、特に製造に携わる事業者に失業、転職せざるを得ない者がさらに増加し、伝統的産業の継承に必要な技術の継承や保持が困難になると、産地として存亡の危機にあるというふうにおっしゃっております。  また、産地は消費者視点のものづくりに変えていくことが必要であり、物余りの時代だからこそ、新たな販路の確保・拡大にも総力を挙げるよう意識を変えていかないといけない。そうしないと、まだまだ売上高は減少するといったお話も伺っております。  また、商工会議所からは、売上高の減少には大変な危機感を持っていると。六年後の有田焼四百年祭を最後のチャンスととらえて、産地が一つになって再生の起爆剤としたいというふうなお話も聞いております。  さらに、有田町からは、窯業の再建なくして町の再生もない、そういう認識のもと、今年度から産業関係者や行政の委員で構成する総合経済対策会議を設置され、有田焼再生の基本方針等を検討する中で有田焼再生の方向性や戦略についても議論していきたいというお話も伺っております。  以上でございます。 68 ◯石井秀夫委員=今、危機的状況の認識をお持ちだという答弁が返ってきましたが、私たちが思っている以上に、感じている以上に、中身はもっと深刻だと私は思います。そういうことがあったものですから、産地の組合が複数ありますよね、今から言っていただくと思いますけれども。その組合を一本化して何とか取り組もうという試みも実はありました。しかし、残念ながら、できませんでした。それが結局、今の有田地区というんでしょうか、そういうものを多分物語っているんじゃないかと私は思います。  今、課長から、危機的状況とか、いろんな原因を言っていただきましたが、本当にそういう感触をお持ちなのかどうか、ちょっと疑問なところが私にはあります。それを一本化できなかったわけですから。一本化できなかった経緯といいますか、その辺はどういうふうになっているんですか。 69 ◯大塚商工課長=伊万里・有田焼産地には、原材料供給や陶磁器の製造、販売など、さまざまな業種の事業者が集積しておられます。それぞれの業種ごとに事業者が組合を組織されておりますが、このような中、商社と窯元を中心に組織されました肥前陶磁器商工協同組合、窯元を中心として組織された佐賀県陶磁器工業協同組合、全国のホテル・旅館などへ直接販売する事業者で組織されました有田焼直売協同組合、さらには、地元の小売店に卸している卸商業者で組織されました佐賀県陶磁器卸商業協同組合、そして、現在は解散した、これら各組合の調整機関としての役割を持つものとして設立されておりました大有田焼振興協同組合、これら五つの組合が産地発展のためには、志を一つにして組合の一本化を図る必要があるとして、平成十七年一月に合併趣意書が取り交わされ、協議が重ねられておりました。  しかしながら、合併に当たり、各組合が解散する際に払い戻すこととなる出資金の取り扱い、あるいは独自事業の継続が確約されないこと、こうしたことなどから合併協議が不調となり、平成二十年四月をもって合併協議は白紙となったものと承知いたしております。  県といたしましても、危機感が共有されることで合併に結びつくことを強く期待していたところでございますが、組合内部の事情等によりまして合併がならず、非常に残念な結果であると認識いたしております。  また、現在のところ、地元では、組合の合併に向けた議論が行われる状況にはないというふうにも聞いております。  一方で、伊万里・有田焼の統一的なイメージ戦略を推進するためには、組合横断的な調整機能の必要性については、産地においても感じられているとも聞いているところでございます。  県といたしましては、有田町の総合経済対策会議や地元の四百年祭に向けた取り組みの進捗状況を注視しながら、今後も産地一体となった取り組みを促していけますよう、さまざまな機会を通じて支援を行っていきたいと考えております。  以上でございます。 70 ◯石井秀夫委員=非常に残念な結果でしたよね。白紙に戻ったということですから。ピーク時みたいに二百五十億円も二百六十億円も売り上げがあるときは、それは四つも五つも組合があったってよかったのかもしれませんね。この人たちも、それぞれは多分、危機感を感じておられると思うんです、先ほど話がありましたように。総論賛成なんだけど、各論に入っていくと反対になるんですね。これはなかなか難しいと思いますけれども、白紙になったということですが、何とか県の仲介という表現がいいのかどうかわかりませんけれども、これだけ落ち込んで売り上げ低下に歯どめがかからない。そうなってくると、やっぱり県の役割というのは非常に重要だし、大事になってきますね。  極端な言い方かもしれませんけど、産地そのものが沈むかもしれない、そういう危機的状況に間違いない。世界に冠たる有田焼と言われてきたじゃないですか。ここはやっぱり県としてもう一回、そういうチャンスというか、糸口をつかむべきだと僕は思います。そうしないと、四百年祭の話が出ましたけど、四百年祭という一種の大きなイベントが終われば、それでさっと過ぎてしまうというか、そういうことがありますから、ここは本部長、何とか地元の総力を結集するといいますか、そういうものができればいいと思います。  これは組合の方たちだけじゃなくて、それに関係する陶土業もある、それからペンキ関係もある、絵の具もある、いろんなところに波及しているんですよ。そういう非常に大事な産地ですから、もう一回、かつてのにぎわいと元気を有田・伊万里、そういう焼き物業界に取り戻すという気概をつくるようなきっかけをぜひつくっていただきたいなという感じがいたしますが、どうですか。 71 ◯飛石農林水産商工本部長=ただいま御指摘をいただきました。確かに委員がおっしゃるとおり、個々の企業の方々は、相当強い危機感をお持ちになっております。ただ、産地全体として、なかなかこれがまとまらないと。これが何かというのは、いろんな事情があるんでしょうけれども、一つの取り組みとしては、例えば、有田焼卸団地協同組合では、例の「匠の蔵」シリーズを出しながら一生懸命やっております。それはそうとしながらも、ただ、全体としてまとまって、かつてのにぎわいを取り戻すと申しますか、これはしっかり取り組むべきだと思っております。  そういったことで今回は、町当局も相当危機感を持ちまして経済対策会議といったものを設置しておるところでございます。この委員は、直接は私どもの副本部長とか、流通課長、商工課長が参画しておるわけでございますけれども、私も直接出向きまして話を聞きながら、何が本当に合併といいますか、全体として五つの組合がある中でまとまらないのか、しっかりお話を聞きながら取り組んでまいりたいと思っております。 72 ◯石井秀夫委員=なかなか難しい面はたくさんあると思いますし、厳しさもあると思いますけど、ぜひそういう積極的な取り組みをお願いしたいと思います。  一方では、そういいながらも、新商品の開発とか販売促進に向けた取り組みが行われておりまして、平成二十年度から産地再生支援事業に取り組んでもらっておりますけれども、新商品の開発とか販売促進に向けた取り組みはどのようになっておりますか。 73 ◯大塚商工課長=産地の厳しい状況を打開し、伊万里・有田焼が将来にわたり佐賀県を代表する伝統的地場産品として発展していくためには、魅力ある売れる商品の開発や新たな販売ルートの開拓と販売方法の確立、それから、伊万里・有田焼の情報発信といったさまざまな課題に対処する必要があります。まずは、何より意欲的な事業者の新たな取り組みが必要不可欠であると考えております。  このため、県では、平成二十年度から、先ほど委員がおっしゃいましたとおり、産地の取り組みを総合的に支援するため、産地再生支援事業に取り組んでいるところでございます。  具体的には、商品開発や販路開拓に対する専門アドバイザーの派遣、あるいは産地再生支援補助金の交付、また、新たな取り組みを模索されている事業者に対して、そのきっかけづくりとなるようなセミナーの開催などの施策を講じているところでございます。  なお、平成二十年度及び二十一年度の実績は、専門アドバイザーの派遣を受けられる事業構想が一件、産地再生支援補助金の交付まで受けられる事業計画が十九件となっております。今年度は十四件の事業計画を認定しているところでございます。  これまでの具体的な取り組み事例といたしましては、例えば、産地組合の一つが窯元や嬉野温泉おかみの会と一体となって取り組まれた「あったか湯けむり鍋」、あるいは窯元がレンズメーカーや諸富家具の事業者と一体となって取り組まれた「伊万里焼ルーペ」などがございます。  また、改めて伊万里・有田焼の認知度向上とブランドの確立を図るため、産地が一体となって取り組む全国規模の見本市・展示会等への出展及びそのPRなどを支援するため、陶磁器産地再生プロモーション事業などにも取り組んでいるところでございます。  以上でございます。 74 ◯石井秀夫委員=そういうふうな新商品開発の取り組みは個々には、今おっしゃっていただいたもののほかにも、NHKが取り上げて話題になって大変な売り上げを伸ばしました「究極のラーメン鉢」とかカレー皿とか、そういうものも個々には頑張っていらっしゃいます。そういうのがたくさん出てきて産地として底上げできればいいと思っているんですけどね。頑張っているところは頑張っていらっしゃる事例もかなり出てきております。  そして、伊万里・有田焼産地市場創出等調査事業の内容です。今年度から緊急雇用創出基金を使ってこの事業が始まるわけですが、この調査事業の内容、そして今後の取り組みについてお答えください。 75 ◯大塚商工課長=今年度、産地全体の底上げを図る中で何が足りないのか、どういうことをすればよいのか、そういうことを明確にするため、産地内の製造・販売の実態把握を行うとともに、一般消費者や大消費地のホテルや百貨店など、幅広く市場調査を実施しているところでございます。  その進捗状況といたしましては、これまでに産地内の実態把握ためのアンケートや面談調査、また、一般消費者や大消費地のホテル、百貨店などのユーザーへのアンケートを終了しております。そして、来月末を目途に大消費地のホテルやユーザーへの訪問調査を終える予定でございます。それらと並行いたしまして、調査の取りまとめを行い、三月下旬には地元においても調査結果の御報告ができればと考えております。  この調査結果を産地の関係者の皆さんと共有することで、産地の皆さんがみずから考え、そして、行動につなげていただきたいと考えております。  また、県におきましても、この調査結果を踏まえた上で、何ができるのか、産地の御意見を十分聞きながら検討を行ってまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、伊万里・有田焼産地が今日の危機的な状況を克服し、本県を代表する地場産業として将来にわたって存続していけますよう、県はもちろん、関係市町を含めて産地の皆さん方と一体となって力を尽くしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 76 ◯石井秀夫委員=三月末に結果が出るということでありました。それからいろんなところと話をされると思いますが、どういう範囲で、どういう人たちと話をされるかわかりませんが、有田に関係ない、有田を外からの視点で見ている人をぜひ複数入れるべきだと僕は思いますね。そうしないと、なかなか発言しにくいところがあるかもしれませんし、新しい人を有田のほかの方たちの見方、考え方、有田に対する思い、そういうものをおっしゃっていただく人を、委員会か協議会かわかりませんけど、発足されるんだったらぜひ入れていただいて議論をしていくという、そういうことをやらないと調査結果が産地再生につながっていかないんじゃないかという気がいたしております。その辺、地元ともしっかり連携をとって考えていただいてそういう取り組みをしていただきたいと思っております。  もう一つ最後に、私が常日ごろ思っていることで、若手の陶芸家が、有田に限らず、武雄にも、嬉野にも、伊万里にもたくさんいらっしゃいます、山内とか、そういうところにもいらっしゃいます。そういう若い人たちの発表の場はあるということでありますが、私、なんかちょっと元気がないような感じが実はしておりまして、そういう若手の陶芸家と言われる人たちの制作発表の場を新しく創設して、若い人たちが全国から有田焼の若い陶芸家の作品を見に来られる作品展といいますか、そういうものをやって元気づけるということも一つの方法かもしれないなと常日ごろ思っております。最近、かつてと違って元気がないような気がいたしますので、そういうものをぜひ県が音頭をとってでもやっていただければなという感じがいたしているものですから、その辺のことについて県はどういうお考えをお持ちなのか教えてください。 77 ◯大塚商工課長=現在、若手に限定した陶芸家の発表の場というものは、産地の中においても開催がまれであると聞いております。県では、伝統工芸品産業の後継者の確保・育成を図る目的で、産地組合が実施する後継者育成事業に対する支援を行っております。
     また、若手に限られてはおりませんけれども、伊万里・有田焼伝統工芸士会は、例年、九州陶磁文化館において作品展を開催されておりますが、昨年度は新たに県立美術館においても作品展を開催されております。このような場を若手陶芸家の発表の場としても生かしていただければと考えているところでございます。  今後、委員御指摘の若手陶芸家の発表の場につきましては、産地の皆さんの御意見を伺いながら、また、有田窯業大学校とも協議をしながら若手陶芸家の意欲を高めるためにどういった支援がふさわしいのかとか、そういうことにつきまして研究を行わせていただきたいと思っております。  以上でございます。 78 ◯石井秀夫委員=有田窯業大学校は四年制のコースもつくりましたし、せんだって、決算特別委員会で視察に行って中を見せていただきましたときに生徒さんたちと話をする機会がありました。優秀な方がたくさんこの地区にはいらっしゃいますから、ぜひ前向きに検討していただいて、そういう若手の人たちの活躍の場を一つでも多くつくっていただくということがある意味の活性化につながっていくと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、もう一つの諸富家具についてお伺いをいたします。  諸富家具のここ十数年の出荷額、ピーク時と現在ではどのような推移になっているのか答弁してください。 79 ◯大塚商工課長=諸富家具の出荷額につきましては、平成五年の約二百四十九億円をピークといたしまして、その後、減少を続け、平成十六年には約五十九億円とピーク時の約四分の一にまで落ち込んでおります。しかし、その後は平成十七年に約六十二億円、平成十八年に約六十一億円とおおむね横ばいの動きが見られ、直近の平成二十年には約六十五億円の出荷額となっております。  以上でございます。 80 ◯石井秀夫委員=平成五年の二百四十九億円から平成十六年の五十九億円ですか、そこまで下がってきておるということでありますが、この下落の原因をどのように考えていますか。 81 ◯大塚商工課長=諸富家具の出荷額の下落につきましては、不況による買い控え、あるいは大型量販店の台頭による低価格商品市場の広がり、また、低価格輸入家具の浸透、それから、クローゼットが設置されたマンションの増加を初めとした住宅構造の変化など、家具産地を取り巻く環境の変化が主な原因であると認識しております。 82 ◯石井秀夫委員=さまざまな環境の変化があったということでありますが、平成十六年の五十九億円から平成二十年は六十五億円ぐらいに横ばいよりちょっと増加していますけど、この下げどまりの原因は何でしょうか。 83 ◯大塚商工課長=諸富家具産地におきましては、近年、多様化する消費者ニーズに対応してインターネットによる販売を導入する事業者や、新商品を使って新たな販路を独自に開拓するなど、創意や工夫のある取り組みが多々見られるところでございます。そうした動きが下げどまりにつながっているのではないかと考えているところでございます。  加えまして、産地で唯一の組合である諸富家具振興協同組合では、若手経営者らを中心に情報発信事業にも積極的に取り組まれております。例えば、昨年度から実施されております佐賀市唐人町の空き店舗にショールームを開設した「mimo wood shop(ミモウッドショップ)」、今年度に入り、県立美術館で先ごろ開催されました「諸富家具コレクション」、それから、佐賀市立諸富文化会館で開催された「mimo wood festival諸富家具市2010」などがございます。こうした取り組みがマスコミにも取り上げられるなどしており、今後、さらによい影響が出てくるものと期待をしているところでございます。  以上でございます。 84 ◯石井秀夫委員=インターネットとか、新商品の開発とか、そういうことが貢献をしているという、ある意味、やる気が出てきているからだろうと思いますね。私も、実は九月十日から十二日にあった諸富家具市に行ってきました。理事長は樺島さんとおっしゃるんですかね、お会いしていろんな話を聞かせていただきました。会場自体もハートフルというところでございまして、そんなに大きくなかったんですが、しかし、いろんな話を聞かせていただいて、やる気が伝わってくるんですね、その理事長のですね。そういうものが家具業界というか、組合にも浸透していって、そして旧諸富の地域が後押ししているのかなという感じをしながら作品を見せていただきました。非常によかったなと思って帰ってきましたら、今、話がありましたように、諸富家具コレクションをやっておられましたし、こういう取り組みが売り上げ減に歯どめをかけて、そして、それを逆に押し返していく、そして元気につなげる、売上高につなげていくということだと思っております。非常に力強く感じて帰ってまいりました。  新商品開発や販売促進に向けた取り組みですが、先ほど、有田のほうでも話をしました産地再生支援事業の新商品の販売、あるいは販売促進に向けた取り組みはどのようになっておりますか。 85 ◯大塚商工課長=諸富家具におきましても、先ほどと同じように産地再生支援事業による支援を行っております。諸富家具における平成二十年度及び二十一年度の実績は、事業構想が三件、事業計画が四件となっております。これまでの具体的な取り組み事例といたしましては、諸富家具の事業者が教育大学やデザイン会社と一体となって取り組まれた重力によって動く木製玩具「どんぐり」、諸富家具事業者が皮革卸小売店と共同で取り組まれたインテリアアクセサリー「モバイルキャッチャー」といった意欲的な取り組みがございます。  また、諸富家具産地は、諸富家具の認知度向上を目的といたしまして、産地が一体となり、ことし二月に産地として初めて福岡県の「イオンモール筑紫野」で展示会を開催しております。産地では、この展示会に強い手応えを感じられ、継続した出展を強く望まれていたことから、今年度も諸富家具産地市場創出等調査事業において同様の支援を行っているところでございます。  いずれにいたしましても、諸富家具産地が今日の厳しい状況を克服し、本県を代表する地場産業として将来にわたって存続していけますよう、県はもちろん、関係市町を含め、産地の関係者の皆さんと一体となって力を尽くしてまいりたいと思っております。  以上でございます。 86 ◯石井秀夫委員=諸富家具はそういうことで下げどまり、逆に上昇しているということでいい感じですね、今のイオンモールの話ではないですが、出てきていますね。ぜひ有田地区もこういう形になっていただければいいなと思います。  最後に、飛石本部長にもう一回お聞きしますが、今、有田と諸富という佐賀県を代表する産地であり、産業の話をいたしました。二つともいろんな複合的な要因があってそういう形になってきたんだろうと思います。行政もそういうところの中に、さっきの生産振興部との議論の中で現場、現地に出向くことがどれだけ勇気づけるかという話をしましたが、ここもそういうものがあると私は思っています。ですから、積極的に地元、現場に足を運んでいただいて、そういう人たちが何を考え、どういうことを行政に支援を期待しているのかとか、いろんなことがあると思います。そういうものに一つ一つ的確に答えて、そして話をして、連携をとっていくことが再生につながっていくという感じが私はいたしております。  ですから、そういうことを踏まえて、いま一度、今までの延長線上じゃなくて、ある意味、一回すぱっと切って、そして再生を考えるということも一つの方法、手段かもわかりませんので、ぜひその辺のことをお願いと同時に、どういうお考えをお持ちなのか、最後にお伺いして私の質問を終わります。 87 ◯飛石農林水産商工本部長=今、有田・伊万里焼、それから諸富家具の産地再生に関しまして御指摘をいただきました。  認識といたしましては、御指摘がありましたように、売上高、それから出荷額が減少傾向ということで非常に厳しいというふうに認識をしております。課長が答弁の中でるる申し上げましたとおり、個別の企業ではそれぞれ頑張っていると申しますか、兆しがあるわけでございますが、全体としては厳しい中で、特に二十年度から、先ほど説明いたしました産地再生支援事業につきましては、これまでいわば産地全体に任せっきりと申しますか、そういう形であったものですから、そういったことも大事でございますけど、まさに意欲的な取り組みを総合的に支援をしていくと。  そういう観点から先ほど委員からも御指摘がございましたように、我々も現地にこれまで以上に出向きまして、直接、それぞれの焼き物に関して言えば、本当に陶土屋さんから、絵の具屋さんから、いろんな段階、段階であるわけでございますので、それぞれの方がどういう問題意識を持っておられるのか、私も直接お聞きしながら、そして、どういう対策が一番いいのか、そしてまとまっていけるのか、そんなこともしっかりお聞きしながら、諸富についてもそうでございます。そういうことをしながら、一つでも、いわば成功事例と申しますか、こういったものをつくることで非常にまた皆様方の励みにもなろうかと思いますし、それだけ我々が出向くことで、今、委員からも言っていただきましたように非常に勇気づけられるといいますか、県も関心を持って見守っているんだなと、そういうこともあると思います。  そんなことで海外という話も伊万里・有田焼ではあっておりますので、こういったことも含めましてしっかりと取り組んでまいりたいと、このように思っております。 88 ◯石井秀夫委員=ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。  ことし最後の委員会ですから、楽しい、うれしい話をして終わりたいと思います。  昨年も実はうれしの茶が全国お茶の品評会、九州のお茶の品評会がありました。農林水産大臣賞を去年もいただいて、ことしも、産地賞も含めていただきました。二年連続というのは、かつてないことなんですね。もちろん、知事にも報告をいたしましたが、特に若手にやる気が出てきております。これが一つ。  もう一つは、せんだって十二月十日でしたが、嬉野のお茶の生産者の若手が嬉野紅茶の振興協議会というものをつくっております。この連中が十一月に台湾に十人近くで視察に行きました。県からも茶業試験場から一人同行してくれまして、その発表会が十日にありました。若手の人たちがそれぞれ発表しておりましたが、非常に力強い発表と同時に、やる気のある発表をしてくれておりました。これは紅茶だけじゃなくて、お茶についても、彼らはプロですけれども、非常に心強い感じがしてよかったなと思っておりました。  それともう一つは、せんだって、土井委員長と一緒に出席しましたが、福岡国税局管内の酒類鑑評会というのがあるでしょう。そこで鹿島・嬉野地区の酒が金賞に六社、入っているんですね。純米酒の部では三つ入っております。そこに鹿島・塩田地区で「山田錦」という酒米、それと「佐賀の華」という酒米をつくった方たちがお見えになっておりました。ああいう祝賀会の会場は入った途端にぱっと明るくていいなという感じがいたしまして、そういうふうな頑張りを生産者の方たちもしておりましたし、地域も盛り上がってバックアップしていこうという話が盛んに出ておりまして、非常に楽しくて、いいお祝いの会でした。  ですから、佐賀県は多種多様な産物もありますし、我々、議会も一緒になっていろんな課題に取り組んでいきたいなということを改めて思いながら、きょう、質問させていただきました。ありがとうございました。 89 ◯土井委員長=暫時休憩します。十三時をめどに委員会を再開します。     午前十一時五十分 休憩     午後一時三分 開議 90 ◯土井委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続き質疑を行います。 91 ◯太田委員=午前中の石井秀夫委員の質問をお聞きしていて、冒頭のお言葉に関しましても全く同じ感じを抱いておりますと申し上げます。日本がどうなるのかという思い、戦争を生き抜いた我々世代は特に考えます。いい質問をたくさんしてくださいました。  戦後の食糧難を知っている世代がだんだん減っていきます。そして、あの時代も、過ぎれば思い出になるなあと思い出しております。国じゅうが本当に貧しくて大変な時代でしたが、助け合って温かいものを感じながら生きた時代でした。当時、「銀飯」という言葉があったと繰り返し言わなきゃいけない世代です。「銀飯」、本当に御飯というのはおいしくて、特に新米の炊きたてというのは銀色に輝くというか、「銀飯」というのは、あこがれの言葉でした。ごちそうでした。ですから、私たちの世代はお米に対しての愛着が非常に強いです。  しかしながら、現在の食料を取り巻く情勢は全く変わってしまって、輸入農作物が増加して、自給率も昭和四十年度が七三%、昭和六十年度が五三%からまた低下して、近年は大体四〇%前後で推移しているようです。主要先進国の中で最低水準となっていると聞けば本当に心配です。  こんな中で安全で安心な食料を提供する我が国の農業を守らなきゃいけないと本当に強く思います。そして、本県の基幹産業である水田農業を振興していくためにも、これは声をからして申し続けなきゃいけないことと思います。まずは県民の方々にもっとお米を食べてもらう、佐賀県からお米革命というんですか、そういうことを起こせたらいいなと思います。  次の点について伺います。  お米の消費量が随分減ったと聞きますが、その推移を教えてください。 92 ◯堀流通課長=米の消費量の推移についてお答えします。  農林水産省の調査によりますと、一人当たりの米の年間消費量は、昭和三十七年度の約百二十キログラムをピークに、その後、減少の一途をたどり、昭和五十年度には八十八キロ、昭和六十年度は七十五キロとなっており、直近の調査、二十一年度では五十八・五キロまで減少し、ピーク時の約半分まで落ち込んでいる状況でございます。 93 ◯太田委員=なぜこうなったのかと思うんですね。世界一、長生きをなし遂げているわけでしょう。それもこれからだんだん危なくなる危険性もあるわけですが、今はとにかく世界一の長生きで、WHOも健康満足度が世界一だと評価してくれています。  そのファクターにお米を食べるということ、たんぱく質が麦なんかより多いですね。もう一つは魚介類をたくさん食べるということですね。それから、海藻類を食べるということ、つまり沃素分をとるというようなこともファクターに入れられていますね。お肉は飽和脂肪酸だけど、お魚は不飽和脂肪酸だから動脈硬化を起こしにくいというようなこともあるし、皆さん、よく聞かれるエイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸という動脈硬化の予防をする物質がお魚にあるということで、お魚とお米、そういういろんな生活習慣のよさが因子となって世界一の長生きをなし遂げていると思うんです。  もう一つは国土の保全ですよね。水稲の栽培は土地を疲弊させない、麦の連作は土地がやせていく、砂漠化していくと学者がおっしゃれば、そうだなと思うんですよね。歴史が証明しているじゃありませんか。シルクロードはずっと砂漠になっちゃって、麦と牧畜ですね。日本の国土はこんなに緑が豊かだというのは水稲のおかげでもあると思うんです。その水稲が縄文の末期から日本に入ってきて、それから何千年でしょうか、菜畑遺跡で見つかっているのが一番古い時代のお米と聞いています。そうすると、そういう命を守るということと、国土を守るという両方の意味からお米の消費量がこんなに下がってきたというのは、私どもの時代の責任でもあるなと、お米がなくて飢えて苦しんだ我々の世代がもっともっと声を大きくして言い続けなきゃいけなかったんじゃないかと思うんです。ですから、今ここで繰り返し、繰り返し、言わざるを得ません。半分以下になっていますよね、昭和三十七年度から考えても、百二十キロが平成二十一年度は五十八キロですから。大ごとですね。しかも、お米を外国から買わされるということは、どういうことでしょうか。  次の質問として、お米に関してありがたみを感じなくなっているということを心配しなければいけません。ところが、何が、いつ起こるかわからないわけでしょう。世界的な飢饉であるとか、きな臭い話もニュースをにぎわしていますしね。お米がないと大変なことになりますので、備蓄ということを大事に考えなきゃいけないと思うんです。  お米の備蓄量についてお尋ねします。 94 ◯堀流通課長=米の備蓄についてお答えします。  国による米の備蓄は、不作による米の生産量の減少により、その供給が不足する事態に備えることを目的として実施されており、六月末時点での在庫量が百万トン程度を適正水準とされているところです。  なお、平成二十二年十月末の政府備蓄米の在庫量は九十五万トンとなっているところです。  以上です。 95 ◯太田委員=それで、日本国じゅうが飢饉に見舞われるということがないことを祈りますが、そういうときに百万トンぐらいで日本人全体がどのくらい食いつなげますか。 96 ◯堀流通課長=この政府の備蓄米、約百万トンは、玄米ベースでありまして、精米すると九十万トンになるわけですが、この九十万トンを一人当たりの年間消費量、先ほど申しましたけど、五十八・五キロと、総人口一億二千七百五十万人から賄える期間を仮に算出しますと約一・四カ月分になるという計算になります。  以上です。 97 ◯太田委員=一カ月半しかもたないということですか、一・四カ月とおっしゃいましたか。 98 ◯堀流通課長=この備蓄米、百万トンについて一・四カ月分ということになります。 99 ◯太田委員=そしたらちょっと心配だなと思うんですけど、今は実りのすぐ後ですよね。今も百万トンの備蓄しかないんですか、どうなっているんですか、備蓄の計算がよくわかりませんけど。 100 ◯堀流通課長=備蓄については、先ほど申しましたとおり、不作により生産量が減少する事態に備えた対応ということで、十年に一度の不作、作況指数が九二や、通常の不作、作況指数が九四、これが二年続いた場合に対応できるよう百万トンという数字になっております。  ですから、例えば日本の米の自給率は一〇〇%近くあるわけで、仮に先ほどおっしゃった戦争等の不測の事態が生じても米の生産は国内でできるという形になっております。だから、一・四カ月分というのは、備蓄米である百万トンを換算したら一・四カ月になるということでございます。 101 ◯太田委員=では、一〇〇%食べて、そのほかにプラス一・四カ月分蓄えてあるということですね。 102 ◯堀流通課長=不測の事態、先ほど申しました作況が悪かったときの事態に備えて百万トンを備蓄してあるということになっております。 103 ◯太田委員=それで完全だとはとても思えないんですが、備蓄するには場所もコストもかかるし、それは悩ましいところでしょう。だけど、ちょっとこれでいいかなというのが飢えを知っている世代の思いですけど、それは学者が、それから霞が関、永田町がこれでいいと思っていらっしゃるんでしょうかね。ちょっと不安を感じざるを得ませんけれど。  それにしても、何でお米がこんなにとれる日本で、お米の自由化をさせられたんだろうと思うんです。これを今さら言ってもとお思いにならないでください。これが明治の佐賀の立派さだったと思うんですね。清国との不利な条約を改正しに副島種臣が天皇名代でいかれたじゃありませんか。そして、清国の大臣たちの前で、余りにも清国の皇帝に会わせてもらえないので、天皇名代で来ているのに、こんなに待たせるのは何事かと、外交官にあるまじきことながらお説教したということをここで何度も申しました。そのときの副島種臣の文章の余りのすばらしさに、また、中国の歴史の詳しさに向こうの大臣がひれ伏したという歴史があるわけですよね。  そうすると、ウルグアイのこと、この間も申しましたが、そういう政治家が出てきてほしい、それも佐賀から出てきてほしいなと思うこと、しきりです。祈りましょう。あなた方が、それを我こそはと思われてもいいし、そういうことが億劫なら、そういう政治家を育てるほうに我々が回ればいいんじゃないかと思うんです。それで、夢のような話と思わずに、みんなで祈れば願いは結実していくと思います。  次の質問に移りますが、お米の消費拡大の取り組みについて伺います。  米食を中心とした水産物、畜産物、野菜類の副食から構成される栄養バランスにすぐれた日本型食生活が崩れていこうとしているから、しつこく聞かざるを得ないのです。炭水化物をお米からとるという日本食ですね。これを世界一の食生活だと言われている日本食を守るためにも、お米をもっと摂取していくべきと考えます。お米の消費拡大についてどのように取り組んでいかれるおつもりでしょうか、お尋ねします。 104 ◯堀流通課長=米の消費拡大の取り組みについてお答えします。  本県では、行政機関、農業団体、流通業者、消費者団体、学校給食関係者などが協力して栄養バランスのとれた御飯食の普及・定着など、米の消費拡大を図ることを目的に、米消費拡大推進協議会を設置しているところであります。  この協議会の機関においては、御飯を中心とした地産地消を推進するためのセミナーや料理教室の開催、子供たちに朝御飯を食べてもらうための啓発資料の作成、配布などを行い、米の消費拡大に取り組んでいるところであります。  また、米粉の利用を促進することは、米の消費拡大を図るため有効な手段であることから、県では、平成二十年に県産米粉を菓子店へ提供し、新たな商品開発の可能性について検討会を実施するとともに、県内企業の米粉を利用した加工食品の販路開拓へ支援を行っているところであります。  さらに、今年度は、佐賀県食生活改善推進協議会が開催する料理講習会への米粉の提供や、最近、話題になっている米からパンができるホームベーカリー「GOPAN」の貸し出しを行うなどして、家庭での米の消費拡大が図られるよう、関係機関と連携しながら取り組んでいくこととしております。  以上です。 105 ◯太田委員=聞いていてすごくよだれが出そうでうれしいです。お米というのは、本当にいい味ですよね。米粉のだんごというのは本当においしい。それがパンに入っていたり、おうどんなんかにも試されているようですが、栄養面からも、お米の消費拡大という面からも歓迎されることです。どんどん進めてください。  それで、お米をもっと食べて命と健康を守ってほしいんですけど、お米の販売をめぐる環境がだんだん厳しさを増しているように感じます。県産米の販売対策にどのように取り組んでいかれますか、米づくり日本一になった佐賀県ですし、しっかり頑張っていただきたいんですので、お尋ねいたします。 106 ◯堀流通課長=今後の米の販売促進に向けた取り組みについてという御質問にお答えします。  県産米には、「夢しずく」や「ひのひかり」、「天使の詩」などの品種があり、それぞれの販売促進に向けた取り組みを実施していくことが必要であると思っております。まずは昨年デビューした「さがびより」について重点的に販売促進活動を展開することとしております。  このため、「さがびより」の県内でのさらなる定着を進めるとともに、特に福岡都市圏を中心とした隣県に対しても、認知度の向上、販売拡大を図るため、新米の出るこの時期や本格的な需要期となる春先以降にテレビコマーシャルでの放映とかプレゼントキャンペーンの実施、また、新聞や雑誌を活用した広報活動などに取り組むこととしております。米の販売をめぐる情勢は、景気の低迷や在庫量の増加等により、価格の低下、さらには先ほど委員が申されたとおり、産地間競争の激化など、非常に厳しい環境にあるわけですけど、「さがびより」が牽引役となり、佐賀米全体の販売促進につながるよう、JAや卸売会社と一体となってしっかり取り組んでいきたいと考えております。  以上です。 107 ◯太田委員=さっきの石井委員の質問にお邪魔するように手をたたかせていただきましたが、有機だとかおっしゃっていただいたのがすごくありがたかったというか、保健所に勤めた者としてうれしかったです。昭和五十九年に佐賀に帰ってきましたときに、農薬を減らす運動をしました。これも何度、ここで叫びましたことか。有機や減農薬が高く売れる時代になりつつあるのに、全国平均の倍近い農薬が使われていた。そして、肝臓がんも倍近かった。これは直結して考えることはできないでしょうけど、B型肝炎、C型肝炎のウイルスも関与しますから。だけど、B型、C型のウイルスを持っていても農薬が体に入らないほうが肝臓がんをつくりにくいわけですから、本当に農薬が減るということは大事だと思います。命と健康を守るという面から。それから、食べ物ですから、食は命そのものですから。もう一つ、農薬はお金がかかるわけですから、お金を出して農業者の健康を害して農作物に残って、母乳の残留農薬のBHC、DDTの残留量が日本一高かったのが佐賀県だと何度も繰り返しておきます。次の世代がそういう過ちを二度と繰り返していただきたくないからです。  それで、有機・減農薬というのがだんだん市民権を得たことはとってもうれしいし、県議会でこういうことが堂々とおっしゃっていただけることがありがたいです。農薬と言っただけでにらまれるような時代がありました。  それで、ここに農業を守るという意味で「ふるさと先生」という言葉も、これはいい言葉だと思うんです。水田はお米をつくるだけでなく、水を蓄えて洪水を防いだり、ヘビやカエル、トンボなどさまざまな生き物をはぐくんで自然を守る力があるわけですね。  しかし、最近ではお米が余ったり、外国から輸入される農作物が多くなったり等、お米を初め、農産物があふれて農業への感謝の気持ちが薄れてきているように感じられます。このままでは水田は荒れてしまいます。農業をされる方もいなくなってしまうのではないかと心配されます。先ほどの質問にもありましたように、高齢化しているわけですね。若者が農業に向いていただきたい。食べ物を生産しているという誇りを持って農業に携わっていただきたいのです。  こういう状況の中で、県では、県民に農業・農村に対する理解を深めてもらって消費者と農業者の信頼関係を築いていくために、「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」を推進されています。これを新聞で読んだとき、やったー、やっと食と農がつながると快哉を叫んだものです。食と農の絆づくりが平成何年だったですか、これもお答えください。昭和五十九年に帰ってきてから農薬の悪口を言うけしからん保健所長だとずっとたたかれ続けた者として、こんなにうれしい新聞記事はありませんでしたことを打ち明けます。よくぞ、食と農をつないで、こういうプロジェクトを立ち上げてくださいました。  そして、このプロジェクトの中で現場などに出向いて農業の大切さを伝える「ふるさと先生」という方がおられると聞きました。いい言葉ですね。そこで、その「ふるさと先生」について伺います。  「ふるさと先生」とは、どのような制度なんですか。 108 ◯大坪生産者支援課長=「ふるさと先生」の制度についてでございます。  「ふるさと先生」の制度につきましては、県民の農業・農村に対する理解を深めるために取り組んでいる、これは平成十八年度からスタートいたしておりますが、「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」というものを取り組んでおります。その施策の取り組みの一つとして、この「ふるさと先生」制度というものを実施しております。  制度の内容につきましては、地域の農業や食文化などに詳しい農業者の方々を「ふるさと先生」ということで登録させていただきまして、幼稚園、保育所、小中学校、また、消費者グループなどの依頼に応じて「ふるさと先生」を派遣いたしまして、農業の大切さ、あるいはおもしろさ、地域の文化、郷土料理のつくり方などを伝えていく事業でございます。  以上でございます。 109 ◯太田委員=平成十八年度というと、私が佐賀に帰ってまいりましたのが昭和五十九年でしたから、それから二十二年たっています。ああ、うれしいと。だけど、二十二年も待つのは待ち長かったなと今思います。  もう一つ答えてください。「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」は何年だったですか。これと直結していますか。 110 ◯大坪生産者支援課長=先ほど御答弁差し上げましたとおり、この「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」の中の一つの事業として、この「ふるさと先生」制度をやっているものでございます。 111 ◯太田委員=本当にこれはよかったと思います。「鶴首」という言葉がありますけどね、ツルクビでした。首を長くして待ってました。本当にツルクビして待ちました。だから、これを伸ばしていただきたいんです。これは伸びていってもらわないと。とってもいい制度ですから。  「ふるさと先生」の登録状況は、どうなっているのかお尋ねいたします。 112 ◯大坪生産者支援課長=「ふるさと先生」の登録状況でございます。
     平成二十一年度現在におきます「ふるさと先生」の担当分野ごとの登録状況を見てみますと、稲作関係が二十六人、麦・大豆関係が七人、野菜関係が五十六人、果樹関係が十四人、畜産関係が八人、食品加工関係が八十七人、郷土料理関係が五十七人、その他の関係が十八人ということになっておりまして、登録者の実数といたしましては百八十一人ということになっております。  以上でございます。 113 ◯太田委員=本当は幼児期から農業に関心を持ってほしいんです。食べ物を大事にとかですね。それだけの数で足りるんだろうかと思うんですが、派遣者数や受講者数はどうなっていますか。 114 ◯大坪生産者支援課長=「ふるさと先生」制度におきます派遣者数及び受講者数についてでございます。  平成二十一年度におきます派遣先別の派遣者数と受講者数について見てみますと、まず、保育所及び幼稚園につきましては、延べ五十五人の方を派遣いたしておりまして、それに対して受講された児童は延べ千六百七十人となっております。また、小学校につきましては、延べ五十一人を派遣いたしまして、受講された小学生は千六百七十六人。それから、中学校につきましては、延べ二十四人を派遣いたしまして、受講者数は延べ五百五十九人となっております。そのほか、消費者グループ、あるいは子育てグループに対しても派遣をいたしておりまして、延べ二十三人を派遣いたしまして、受講者数は三百七十三人となっております。これらを合わせますと、「ふるさと先生」の派遣者数は、延べ百五十三人、それから、その受講者数につきましては、延べ四千二百七十八人となっております。  以上でございます。 115 ◯太田委員=幼児期に、食べ物がありがたい、命をいただいているんだとか、生産者が苦労してつくられたのをいただいているんだとか、三つ子の魂百までと言われますけど、そこをすり込みたいですよね。素直である小学校低学年、高学年、それぞれ成長がすごいですから教育していかんばいかんと思うんです。  そうすると、どのくらいの幼児が、どのくらいの児童がこの恩恵にあやかっていますか。ふるさと先生の話を聞いたりとか、実際に田植えの経験をしたりとか、お料理をしたりとか、そういうことなんだと思うんですけど、何%ぐらいがふるさと先生に接触していますか。 116 ◯大坪生産者支援課長=それぞれの地域で活動されているところでございますけれども、希望される施設、幼稚園とか保育所、あるいは小学校等のカリキュラムの状況等もございまして、実際的には五%から六%程度の状況になっております。私ども、これをできるだけふやしていきたいと考えているところでございます。 117 ◯太田委員=教科書の中にも、農業の大切さとか、食べ物を大切にしなきゃいけないとか、そういうことは入っていると思うんです。ですけど、やっぱり自分が本当に田植えをしてみる、暑いときにビーに吸いつかれてみるとか、そういう経験をして食べ物のありがたさを本当にわかってほしいんですね。それがないと、今どうなっているかというと、食べ物が非常に粗末になっている、たくさん輸入してごみにして、それを燃やしてダイオキシンをつくっているというナンセンスなことになって、油をかけて燃やすわけですから税金の無駄遣いでもあります。  もっと怖いのは、精神的なものでもあると思うんです。学校で給食のとき、「いただきます」と先生が言わせようとしたら、こんな人は多くないかもしれませんが、「給食費ば出しよっとけ、何で『いただきます』て言わんばね」と言った保護者がいたそうで、冗談じゃありませんよね、これ、命をいただきますというのが、お米の命であり、お魚の命であり、お肉も牛、豚の命であり、植物であっても命ですから、そういう絶対的なるものへの「いただきます」がわからない親が育ってしまっているなら、親を教育するのはざっといかないので、やっぱり子供たちにそれを教えていって国を建て直していかんといかぬのじゃないかと思うんです。  ですから、五から六%では、あとの九五%から九四%の子供たちは、その恩恵にあやかっていないとなると、ふるさと先生の大変さもわかりますが、ふるさと先生の数をもう少しふやすとか、ふるさと先生の仕事に差しさわりがないようにして、できるだけ経験をさせていただきたいと思います。それをお願いして、次の質問にいきます。  自然につながっていきますが、今後、どのように取り組んでいただけますか。 118 ◯大坪生産者支援課長=「ふるさと先生」に対する取り組みでございます。  「ふるさと先生」につきましては、先ほど来申し上げております「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」の柱の一つとして位置づけております食農教育の中で積極的に推進しているものでございます。  「ふるさと先生」の取り組みについては、農業体験などを通じまして食の大切さや農業・農村の多面的な機能などに対する子供たちや消費者などの理解を深めますとともに、地域の農業・農産物への愛着や、生産者が農業・農村を守るという誇りを持って育っていくようなことにもつながると思っております。大変重要なことと考えておりまして、取り組みが少ない地域や子育て世代への働きかけを拡充するなど、その拡大に努めてまいっているところでございます。  こうした中、この「ふるさと先生」の制度を含めまして、「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」につきましては、今年度で最終年度を迎えますことから、今後の取り組みにつきましては、その重要性などを踏まえまして、消費者や学識経験者、JAなどで構成いたします「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」会議での議論、さらには、市町や農業者などの意見を伺いながらしっかりと検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 119 ◯太田委員=ことしで終わってしまうといかんですもんね。知事にお願いして、農業県佐賀の知事さんですから、しっかりこれを広げていただきたいと思うんです。私が、すごい、やったー、やっとここまで県が動いてくださって、よかったと思ったんですよね。それを私が一番初めに見たのは、新聞で鳥栖地区でした、「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」でですね。私は、そのとき、その裏をよく知らなかったものですから、鳥栖保健所長が頑張ったんだなと、当時、仲井先生だったんですよ。仲井保健所長は本当に頑張り屋で、そういうアイデアマンでもあるから、やったねと思ったんですけど、保健所長だけではできなかったわけですね。私はそのとき、仲井先生偉い、私は、こういうことをもっと早くお願いしておけば、こんなにつらい思いをして、「あのおなごは農薬の悪口ばっかい言うて」と言われずに済んだのにと思いました。仲井先生は立派だけど、仲井先生だけでできたんじゃなくて、やっぱり県庁が動いてくださったんだという意味で本当にうれしいです。仲井先生にはかなわない仕事をいっぱいなさった、私はしきらんやったとちょっと悲しい思いがしたのも事実です。  そういうことを言い続けた私ですら、そのくらいのことしか知らなかったんですから、県の皆さんが苦労なさったことを知らなかったんですから、一般の人はまだ知らないかもしれませんね。一般の人に「ふるさと先生」という制度があるということを知ってもらうためには、これはやっぱりマスメディアのお力をかりるのが一番効果的だと思うんです。私も新聞で読んだんですからね。  ですから、今までこの「ふるさと先生」が、全幼児、それから児童の五から六%に接触して食の大変さ、大切さを教えてくださったけれども、そのどのくらいが報道されたのか。こちらが予算も出されているんですから、つまり報道をお願いして、記者室にお願いをして、それが報道されることによって、それを読んだ若いお母さん、お父さんたちが「『いただきます』てなし言わんばこ、給食費ば払うとっとけ」が防げる、そういうお父さん、お母さんでは食が守られないし、農業が守られないと思うんですね。それには本当にマスメディアのお力をかりましょう。  私は、マスメディアの力をかりる方法を知らなくて、「太田さん、下手ね」と言われたから、ここで繰り返します。何で「下手ね」と言われたかは、議事堂がここに建つのを反対しました。十一階の県庁本館が建つのも反対しました。こがな高か建物は城外に建てんばいかんやったとじゃなかですか。「城内に県庁を建つんない低う建てんばいかん」と何度叫びましたでしょうか。そして、見事に負けたときに、「太田さんて下手ね、どうして新聞記者さんにお願いしなかったの」と言われたのがずっと私の教訓です。  だから、食と農というのは命そのものですから、ぜひお知らせをしてください、記者室にですね。「ふるさと先生」というのは、それぞれ忙しいのに、子供に教えるのは大変です、大人に話すのと違ってですね。でも、子供はそれを非常に楽しむと思います。そういうことを、自分が忙しいのを耐えて次の世代のために「ふるさと先生」をしてくださっているなら効果あらしめんといかぬと思うからですね。そして、これがきっと日本の食と農を守っていくと思います。佐賀からそれが広がったらすばらしいじゃありませんか、そういうことをお願いをしておきます。そして、続けてください。  さて、次の質問に入らせていただきますが、新エネルギー関連産業について伺います。  将来の子供たちのためにもプルサーマルを一日も早くやめないといけないと言い続けて、口が酸っぱくなるし、聞かれている皆さんは耳にタコができたとおっしゃりたいでしょう。でも、これは言い続けるしかありません。運命の女神の采配のように、小さなアクシデントで警告が発されました。沃素が倍、倍と上がっていったわけですね。これは万のつく倍数だけまだ制限量より低いから安全だと発表されましたが、これは何かあったときの常套句ですよね。「今の段階では心配ない」というのがですね。  それでどういうことが起こったかというと、水俣病が起きました。無機水銀を工場が流したし、有機水銀中毒が水俣病なんだから関係ないと国を初め、言い続けましたね。でも、自然界で無機水銀が有機に変わったじゃありませんか。そして、少量流した水銀であっても、自然界で濃縮されるわけですね。沃素も同じですよ。沃素をキャッチするのが海草であり、お塩の中にも沃素が入っています、ヨードが。そうすると、狭い日本の国土に五十三基、原子力発電所があるわけですから、その沃素が流されたらお塩が危なくなって内部被曝することになるわけでしょ。  それで、ウランだけならまだしもですよ。プルサーマルというのは危険度が比較にならないほど大きい、しかも、九電の社長さんがプルサーマルの燃料であるMOX燃料は、もう三年ほど使うと品切れになるから、そしたらウランに戻してウランだけの燃料に戻す可能性があると数日前の新聞に言っておられましたね。どうせウランだけに戻すなら、MOX燃料を使うと物すごく恐ろしいものが出るから、もう二次的な、二回目のMOX燃料は装荷しないようにというのが教訓なんじゃないでしょうか。  ウランの原子力発電でしばらく様子を見て、将来は、十年先になるか、二十年先になるかわかりませんが、環境に優しく安全な代替エネルギーに少しずつ変えていくことが望ましいと、ここは産業面からも強くお願いをしておきます。  折しも、我が国では地球温暖化対策として二酸化炭素を初めとした温室効果ガスを二〇二〇年までに一九九〇年度比二五%削減、二〇五〇年までに八〇%削減を目標に新エネルギーの導入に向けたさまざまな取り組みがなされています。  二酸化炭素の削減は何のためにするか。二酸化炭素がふえても森林の涵養をすれば二酸化炭素はちゃんと葉緑素が酸素に変えてくれるじゃありませんか。二酸化炭素がそれ以上に出るからということで心配されているわけでしょう。では、二酸化炭素がふえたらどうなるかというと、温暖化ですよね、地上から十キロまでの二酸化炭素。そうすると、温暖化の防止なら海水の温度を七度も上げて、筑後川の水量の二本分を玄海に流さんたっちゃよか。それこそ温暖化じゃないですか、直接、温暖化している。  それで、太陽光発電やバイオマスを初め、新エネルギーにはさまざまなものがあります。総じて地球に優しく安全な利用が可能です。こういうきな臭い地球環境というか、国際状況になったときには、特に危ないものは避けるべきです。この数日の新聞にも玄海原発を守るために大変な努力がなされているということが報道されていました。ぜひとも、ねらわれない安全なエネルギー源に変えていかなきゃいけないと思うんです。そういう安全なエネルギー源の導入に向けた取り組みを推進していく必要があると何度も何度も叫ぶのが、私ども、戦争を知っている世代の責務でありましょう。将来的には産業として大きな成長が見込まれるじゃありませんか。日本の太陽光発電のパネルは非常に優秀で、安全で、ローコストでとなってごらんなさい。どれほど日本の経済を浮揚させるでしょうか。そして、どれほど感謝されるでしょうか。さすが、被爆国の日本だと言われるでしょう。  県でも、新エネルギーの関連産業の振興のために技術開発の支援などに取り組まれていると聞きます。そこで、その点について伺います。  新エネルギーの種類にはいろいろなものがあると聞いていますが、どういうものがありますか。復習のようですけど、もう一度考えたいので伺います。 120 ◯東島新エネルギー産業振興課長=新エネルギーの種類は、新エネルギー利用等の促進に関係する特別措置法で十種類が指定されております。具体的には、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、中小規模の水力発電、地熱発電、温度差熱利用、バイオマス熱利用、太陽熱利用、雪氷熱利用、バイオマス燃料製造が指定されております。  また、本県におきましては、平成十七年に制定されました佐賀県新エネルギー・省エネルギー促進条例におきまして、先ほどの法律の規定に加えまして本県発の技術でございます海洋温度差発電を初め、波力発電、廃棄物燃料製造、廃棄物発電、燃料電池、天然ガスコージェネレーション、クリーンエネルギー自動車が新エネルギーとして指定されております。 121 ◯太田委員=たくさんあるから、そういうものの拠点として佐賀が有名になるとすばらしいですね。  それで、県内での新エネルギーの導入事例について伺います。  具体的な例は、どのようなものがありましょうかお尋ねします。 122 ◯東島新エネルギー産業振興課長=新エネルギーの導入事例についてお答えいたします。  県内では、全国でも高い普及率を誇ります住宅用太陽光発電を初めとしまして、さまざまな新エネルギーの導入事例がございます。県で承知しております具体的な事例を幾つか御紹介させていただきますと、唐津市の旧肥前町を中心とした東松浦地域には三十基の風力発電施設が設置されております。  また、同じく唐津市の旧七山村では、公立温浴施設に木質バイオマスボイラーが本年度中の稼働を目指して整備されております。  さらに、鳥栖市の企業では、生ごみをメタン発酵したり、木質バイオマスをガス化して熱として利用する取り組みが行われているほか、ごみ収集車の燃料としてバイオディーゼル燃料を利用する佐賀市を初め、廃食用油の燃料利用は、県内各地で取り組まれているところでございます。  また、佐賀大学海洋エネルギー研究センターなどで研究開発が進められております海洋温度差発電を応用した技術として、温泉と河川水の温度差を活用した発電について、嬉野市において検討が進められていると聞いております。  このように、県内でも新エネルギーの導入に向けたさまざまな取り組みが行われているところでございます。 123 ◯太田委員=今後の新エネルギー産業の振興について伺います。  ぜひとも、こういう面で新エネルギー産業を進めていただきたい。また、次の世代のために進めるべきだと思います。今後、県では、どういった分野を重点として新エネルギー産業分野の振興に取り組んでいかれるおつもりでしょうか。 124 ◯東島新エネルギー産業振興課長=今後の新エネルギー産業の振興への取り組みについてでございますが、新エネルギーは、委員御指摘のとおり、地球温暖化防止の有効な手段として、また、石油資源の枯渇問題の解決策として注目をされておりまして、将来的に著しい成長が見込まれるものと期待しております。  本県には、セラミックス、金型、精密機械などのすぐれた技術力を有する企業や、海洋温度差発電や光触媒などの最先端の技術がございます。あわせて農林水産業が盛んでバイオマス資源にも恵まれているという地域的な特徴も有しております。そこで、こうした本県の強みや資源が生かせる新エネルギー分野に対して重点的に取り組んでいくことが重要だと考えております。  具体的には、県の強みであるセラミックス技術を生かせる定置用燃料電池分野、金型や精密機械技術が生かせる燃料電池自動車分野、佐賀大学の研究シーズが生かせる海洋エネルギーや熱エネルギー分野、県有特許の酸化チタンの技術を生かした次世代型太陽光発電分野、豊富なバイオマス資源を活用したバイオマスエネルギー分野が特に有望であると考えております。  中でも燃料電池自動車分野に関しましては、二〇一五年からの市場投入を目標に、官民を挙げた取り組みが行われておりまして、自動車関連企業を多く抱える本県にとって非常に将来性のある分野だと考えております。  いずれにしましても、本県の地域特性とともに、各新エネルギー分野の将来性等を勘案しながら、県内企業の研究開発などを積極的に支援することによりまして、長期的な視点で新エネルギーの産業振興に取り組んでいきたいと考えております。 125 ◯太田委員=希望が見えてきますよね。希望なしでは生きられないんじゃないでしょうか。ギリシャ神話でパンドラが、この箱はあけちゃいけないよと。神様からパンドラがもらいますね。でも、見たらいけないと言われるとあけたくなるんじゃないでしょうか、浦島太郎もそうだったように。洋の東西を問わず同じだなと思うんです。パンドラはあけてしまいますね。そしたらいろんな虫たちが世の中に飛び出していって、病気だとか災害だとか不幸が飛び出していきますね。ふたをしめても、もう飛び出してしまっちゃった。ふたを閉じようとしたときに箱の中に一匹だけ虫がいたから、それを見たら希望という虫だったと。幼いときにギリシャ神話の子供用を読んで、少し長じてからギリシャ神話を読んだ記憶が懐かしいです。  そのパンドラの箱で示されるように希望を持たなきゃいけないと思うんです。ここの中で一番年かさですから、日本はどうなるだろうという、皆さんは戦後生まれでいらっしゃるから、何度も同じことを次の世代に向けて語るべきだと思ってここに来ましたので。そうすると、今、日本が貧しくなろうとしていると言われますが、きっとここで立ち直っていくと思うんですね。困難は、いろんな発明の母になっていくのではないでしょうか。それで、日本人らしい忍耐力も再び取り戻せるでしょうし。  そうすると、先ほどのお話ですけど、いろんな希望を持てる新エネルギーがあります。先週の週末の視察では具体的に使われている薄い太陽光パネルを見せていただきました。鳥栖の工場に見に行きまして、実際にこういう使われ方もするんだと思いました。佐賀がそういうことの先進県になる可能性を秘めていますよね。土地が広いから工場誘致もしやすいわけです。地熱であるとか、太陽熱であるとか、それから、前もちょっと言いましたかね、佐賀の方が磁気の発電も研究していらっしゃると聞きました。磁気というのは場所さえ変われば磁気は変わるわけですから、これもすごいものだと思います。地熱発電なんていうのは掘らなきゃいけないわけですね。  そうすると、佐賀は肥前ですから、火の国ですから、阿蘇山がある熊本ほどではなくても、温泉がいっぱいあるというのは地熱発電の可能性もまだあると思います。地下の深いところからのエネルギーになっていくんじゃないでしょうか。じゃ、地下を守らなきゃいけないと思うんです。地下三百メートルに使用済みMOX燃料を埋めるなんて、こんな恐ろしい、後世にツケを残すようなことは何としてでもとめなきゃいけないと思うんです。これが産業のマイナス面だと思うんです。産業のプラス面を歴史の教訓としてどう生かしていき、マイナス面をどう減らすかがこれから問われているんじゃないでしょうか。  そういう意味で、佐賀の農作物は安心で安全、放射能汚染していない、農薬汚染もしていない、そういうような産業の発展の仕方をどうぞよろしくお願いいたします。  私が昭和五十九年に帰ってきて農薬の害を言ったとき、本当に、「あのおなごはアカじゃん、農薬の害ば言うて」と、私は若くないから保守的なところもいっぱいあります。公務員でしたから、はっきり何度も申します、どこの党にも属しておりません。是々非々で生きておりますのに、そう言われました。何でアカですか、私は、きょう、真っ黄色の服でございます。そう叫びたいですよ。  農薬の害を言って、いつ私が変人扱いから解放されたかは、自民党の国会議員さんたちが、こんなに農薬を使いよっちゃいかん、もっと減らさんばと国会議員の連盟ができました、あれは何年だったでしょうか。そのときに私は市民権を得ました。やっとアカと言われなくなりました。だから、自民党もない、民主党もない、党派じゃない。国民のために、県民のために何が大事かだと思うんです。皆さん方は公務員であられるからなおのこと、どこの党派にも属しちゃいけないし、そういう意味でこれからしっかり佐賀の産業を、命と健康のために産業があるんだ、人類の将来のために産業があるんだという思いで頑張ってください。お願いをして、質問を終わります。 126 ◯篠塚委員=それでは、最後の質問者でございますが、通告に従いまして順次質問をしていきたいと思っております。  まず最初に、玄海地区の漁協合併の問題についてお尋ねしたいんです。  私が申すまでもなく、佐賀県は、玄海地区と有明海地区、両方の異なる海があるわけでありまして、それぞれ食文化を発しているところでもあろうと思っております。そこには、漁業に携わっておられる漁家の皆さん方の生活がひとつかかっているわけでございます。  平成十八年に、全国豊かな海づくり大会が開催をされまして、天皇陛下・皇后陛下が佐賀のほうにお越しをいただきました。式典は、佐賀のほうと東与賀海岸のほうのシチメンソウのところでとり行われたわけでございます。唐津のほうには、行幸という形で足を運んでいただいたわけでございまして、栽培センターのほうに御見学をしていただいたんだろうと、こういうふうに思っております。振り返れば四年前でありまして、佐賀から、改めて佐賀県の双方の海のよさと申しますか、こういうことを全国の皆さんに発信をすることができたんだろうと思っておるようなわけでございます。  ところで、玄海地区の漁協は、大変経営基盤が脆弱な漁協がほとんどであろうというふうに思っております。漁業の不振や組合員の皆さんの高齢化など漁業経営は大変厳しくて、高齢化と同時に、こういうデフレの状況下の中でもございますし、大変魚が少なくなってきた。しかし、値段が安いという状況が続いているというふうに理解していいんだろうと思っております。十三漁協の営業利益の決算を実は見させていただいたんですが、事業収益で見ればほとんどが赤字であって、事業外の収益でカバーをされているというのが実態のようでございます。  このようなことから、漁協の経営基盤強化が喫緊の課題となっており、平成二十一年四月に、玄海地区漁協合併推進協議会が設立をされ、玄海地区一漁協合併を目指して協議が重ねられ、本年八月二十六日には、十三漁協の組合長により合併仮契約書が締結をされまして、九月二十九日に合併の賛否を問う臨時総会が開催されたところであります。可決三組合、否決十組合との結果となった。その後は玄海町の二つの組合を除く十一組合で合併協議を継続することが確認されていると伺っているわけでございます。  九月の臨時総会の結果を見ると、過半数の賛成を得ながら僅差で否決となった組合も数組合あり、合併の意義、効果などの説明が組合員に十分行き渡っていないことが主な要因ではなかったんではなかろうかと思われます。  玄海地区漁協の経営基盤強化を図る上で、合併を実現することが必要であり、この機に県も合併推進について積極的に政策的に働きかけを行う必要があるんだろうというふうに考えるわけであります。  そこで、佐賀県合併推進協議会では、平成九年に、一県二漁協一信用事業体実現の基本方針が立てられまして、有明地区、玄海地区それぞれの漁協合併について協議がされてきていると思っております。有明地区につきましては、平成十九年であったと思いますが、既に合併をいたしまして、現在は一漁協でスタートしているわけでございますが、玄海地区のその後の経過と申しますか、そのことについてお伺いをいたします。 127 ◯大坪生産者支援課長=玄海地区漁協合併のこれまでの経過についてでございます。  平成九年十月の佐賀県合併推進協議会で確認されました、一県二漁協一信用事業体といった体制を平成十九年度までに実現させるという基本方針を受けまして、玄海地区の漁協合併につきましては、過去に二度ほど計画された経緯がありますものの、当時は各組合の合併に対する認識に温度差がございまして、歩調が合わず、結果として白紙になったものと承知いたしております。  こうした中で、玄海地区の漁業につきましては、水産資源の減少や魚価の低迷等に伴う販売不振や最近の燃油価格の高騰などによりまして、漁業者を取り巻く環境はこれまで以上に厳しくなっておるところと認識をしております。  また、この漁協の経営状況を見ますと、御指摘のとおり、事業収益は赤字を計上しておりまして、これを事業外収益で補てんしながら当期剰余金としては黒字を確保するといったような脆弱な体制となっております。  このようなことから、玄海漁連を中心といたしまして、玄海地区一漁協合併に向けた協議が再度進められることになったところでございまして、昨年平成二十一年四月に、玄海地区の十三漁協と関係系統団体が参加いたしました玄海地区漁業協同組合合併推進協議会というのが設置されまして、平成二十三年四月一日の合併組合の発足を目標に協議が進められてきたところでございます。  その結果、合併計画に対する各漁協の役員段階での合意が得られたことから、先ほど御質問にありましたように、八月二十六日に合併仮契約が締結されまして、翌月の九月二十九日には、十三漁協で合併の賛否を問う臨時総会が開催されたところでございます。  この臨時総会の結果につきましては、合併可決が三漁協、否決が十漁協となっておりますが、十月十五日に開催されました玄海地区漁協合併推進協議会におきまして、ほとんどの組合員が合併に反対されました仮屋漁協と外津漁協を除きました十一漁協で、今後とも引き続き合併に向けた取り組みを継続していくということで再確認をされたところでございます。  以上でございます。 128 ◯篠塚委員=そうすると、県は、玄海地区の合併ということは必要だということで今日まで取り組んでこられたんですが、どのような指導を今日までしてこられたのか。また、今後どうしていくのか、そこのところをお聞かせください。 129 ◯大坪生産者支援課長=これまでの県の指導でございます。  玄海地区の漁協合併につきましては、漁協等によります自主的な取り組みということでございますけれども、玄海地区におきます漁業振興を考えた場合に、やはり漁業の経営基盤を確立することが重要でございますことから、県といたしましては、これまでもやっておりますが、合併推進協議会の委員という立場、あるいは幹事という立場で参加させていただきまして、この合併に向けた合意形成活動、あるいは合併経営計画づくりが円滑に進みますよう、指導・助言を行ってきたところでございます。  また、平成二十一年度からは玄海漁連のほうに県職員を派遣いたしまして、現地で継続した指導・支援を行うことによりまして合併の推進が着実に行われるよう支援しておりまして、さらに関係市町とともに、玄海地区合併推進協議会運営に対しまして、平成二十一年度、平成二十二年度にそれぞれ助成をしているところでございます。  今後とも、こうした取り組みを引き続き推進することによりまして、玄海地区の合併がより進むように、県としても支援をしてまいりたいと考えているところでございます。 130 ◯篠塚委員=今、平成二十二年度に助成というふうに御答弁がありましたが、どういうことをなされたかわかるのであれば教えていただけますか。 131 ◯大坪生産者支援課長=助成の内容でございます。  まず一つに、合併後の新しい漁協を見据えた事業連携、あるいは新規事業の取り組みに対します助成や各漁協職員の資質向上を図りまして、合併後の核となる人材育成のための経費の助成を行ってきたところでございまして、玄海地区一漁協の実現に向けた取り組みが促進されるよう支援してきたところでございます。  以上でございます。 132 ◯篠塚委員=それでは、今回の臨時総会の議決の結果についてであります。  合併賛成の漁協が三組合にとどまった要因はどのようなものと考えておられるのか、お聞かせください。 133 ◯大坪生産者支援課長=今回の臨時総会の議決結果についてでございます。  これまで十三漁協が参加いたしました玄海地区合併推進協議会におきまして、各漁協の財務状況や運営状況を初め、合併後の新漁協の事業計画等について協議がされてきたところでございます。  合併協議会で必要な調整を行った上で合意された事項につきまして、各組合員の方々にも説明が行われてきたところでございますが、この合併推進協議会での議論や調整といったものが各漁協の組合員までには十分に浸透していなかった面がございまして、個々の組合員が合併計画に関して十分な理解をされないまま、合併の可否を判断された面もあったのではないかと考えるところでございます。  また、このほかにも他の漁協の負債を合併漁協が引き継ぐことへの不安でありますとか、あるいは合併漁協の具体的事業展開のイメージが明確でないまま、その一方で手数料や賦課金が増加するといったことについての反発、あるいは小規模な漁協や離島の漁協におかれましては、将来の支所閉鎖への危惧といったもの、また、これまでの漁協の合併事例におきまして十分な効果が見えないことからくる合併への拒否反応と申しますか、そういった個々の組合の事情もあったのではないかと考えております。  以上でございます。 134 ◯篠塚委員=まさしく、今、課長が御答弁いただきましたように、合併するということはメリット、デメリットが当然あるわけでありますが、どうしてもやっぱりデメリットのほうへと考えるというのが普通の姿だろうと思うんですね。  これは資料をいただきまして、当時の臨時総会の結果を見ておりますと、どこの組合とは申し上げませんが、合併の場合は、組合員数の過半数で出席者数の三分の二の同意が要るわけでしょう。そうすると、これは二つ、三つ見ますと、合併には七票足らなかったとか、四票足らなかったとか、こういう組合もあるわけであります。それから、あとは二十名ぐらい足らないとか、大半がやっぱりそういう不安と申すんですか、そういうことからお話が十分行き渡っていないと、こういうところからの結果じゃないだろうかなと、実は感じているところでございます。  そこで、今後のスケジュールでありますが、今後は十一漁協で合併協議が進められていくことが確認されておりまして、事業計画の見直しも必要になると思うんですけど、合併は今後どのように進められていくのか、お伺いをいたします。 135 ◯大坪生産者支援課長=今後の合併のスケジュールでございます。  十一漁協で議論を進められましたことは、先ほど御答弁申し上げたところでございますけれども、現在、この合併推進協議会の事務局におきまして、十一漁協での事業計画の見直しとか、あるいは今後のスケジュールを詰められているところでございまして、今月中にも開催予定の合併推進協議会におきまして、新漁協の事業計画、あるいは今後のスケジュールが正式に協議されるということになっております。  今後は、協議会での議論を踏まえまして、具体的なスケジュールが決定されることとなりますけれども、その後、各地域におきまして組合員の説明会などが実施されまして、組合員に対する合併の理解を図りながら、改めて合併承認のための臨時総会が開催されまして、各組合員に対して合併の賛否を諮ることとされているところでございます。  以上でございます。 136 ◯篠塚委員=今月中に合併推進協議会が行われまして、合併協議会のメンバーというのは各漁協の組合長も役員に入っておられるんでしょう。そうすると、一月、二月、三月までの間にそれぞれのところで議論がなされて、最終的にはまたもう一度合併推進についての臨時総会を開いて、そこでさっき申し上げましたような三分の二の組合員の同意があって初めて合併という形に進んでいくんですね。  そこで、さっき申し上げましたように、各漁協の決算の状況を見ると、事業外収入があって剰余金が出ているんですけれども、本業の部分というのは厳しい状況が続いているし、魚の量も減ったということもあるし、こういう経済状況と二つが重なって経営的には大変苦しい経営をされていると思うんですね。
     それで、これは県としても合併を進めていきたい、推進協もその意思をもって議論をされているわけですが、やっぱり多額の負債を抱えた漁協が合併した場合、合併後そうした負債を全体で負担しなければならないんじゃないかという危惧が持たれて、合併に消極的な組合員もいらっしゃるだろうと思うし、合併というのはそういう不安を持たれると思うんですね。こうした不安をなくすために、合併協議を進めていく上では、私はやっぱり財政支援を検討すべきじゃないだろうかと思っていまして、そのことについてどういうふうに考えておられるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。 137 ◯大坪生産者支援課長=合併のための財政支援ということでございます。  各漁協の負債整理につきましては、合併推進協議会におきまして、旧漁協単位で負担するということが確認されておりまして、現在、各漁協におきましては、合併までに可能な限り負債を圧縮できるよう取り組まれているというところでございます。  しかしながら、委員御指摘のように、多額の負債を抱えていらっしゃる漁協におきましては、合併前にすべての負債を完全に整理するということは困難でございまして、一定の負債を新漁協に持ち込むこととなるというところでございます。  こうした負債の問題が今後の合併推進に当たっての支障とならないように、また新漁協に持ち込まれた負債の償還負担が過度に重くなって、その後の漁協運営の負担となりませんように、関係機関が連携して何らかの財政支援を検討して、組合員の不安感をなくす努力が重要であると認識いたしております。  このため、県といたしましては、合併推進協議会に参加されている信漁連や農林中金その他系統団体、あるいは市等関係者それぞれに支援をお願いしながら、償還期間の延長措置や金利負担の軽減等の措置をこれまでの事例や他県の支援事例を踏まえながら、合併漁協の円滑な運営が確保できるような制度を検討しているところでございます。  以上でございます。 138 ◯篠塚委員=実は、これは関係機関との調整というと、当然、玄海漁連、有明海漁連、信漁連、関係市町、こういうところに関係してくると思うんです。  そこで、問題になる財政支援のあり方というのは、平成十七年に、鎮西漁協へ県がさまざまな形をいろいろ検討しながら財政支援を議会に提案されましたね。私はあのスタイルにならざるを得ないだろうと自分一人はそう思っているんですよ。多分そういう形になる率が高いんじゃないかと思うんですが、今、金額が幾らかは別にしましても、どういう姿を描いているのか、今の時点で話せるのであれば、ちょっとお聞かせいただきたい。 139 ◯大坪生産者支援課長=先ほど申しましたとおり、関係機関によりまして、財政支援を検討していくべきだろうというふうに感じておりますけれども、その基本的な考え方につきましては、これまでの事例ということで鎮西町漁協に支援した事例というのも参考になりますでしょうし、また、他県の支援事例というのも参考にさせていただきながら、関係機関の御協力を得ながら協議し、あるいは詰めていきたいと考えているところでございます。 140 ◯篠塚委員=関係機関の協力をもらわなくして私はできないと思うんですね。平成十七年の九月議会、私も当時委員の一人でもありました。そのときの鎮西町漁協支援スキームの概要というのを改めていただいているんですが、十一億七千万円融資をしているんですよね。その中で、無利子にするために、当時の基準金利を二・九五%、その金利のそれぞれの持ち方、これは国の制度が当時あったから、こういうことが組まれたと思うんですね。国が〇・六二五%、県が〇・六二五%、大水基金というのが〇・五%、それから県から〇・五%、系統団体が〇・七%を負担して、二・九五%を無利子にして融資しているんですね。  そこでもう一つ問題になるのが、信漁連から借りると、協会へ保証料をお支払いせんといかんのですよね。それが当時〇・九七%という率だと思うんですよ。これを平成十七年の九月議会で議会に提案があり、議決がなされまして、平成十七年度から実行されたんですよね。平成十八年度から十五年間の元金を均等割、十五回返済になっているんです。平成二十一年度までずっと七千八百万円ずつ返済がなされております。平成二十二年度は十二月中なのか、一月にされるのか、それは定かじゃございません。  利子は、そういう関係が負担していますから無利子でありますが、〇・九七%の十五回分の保証料が全体で九千百六十二万七千三百五十三円ということですよね。それで、一回目は信漁連がお支払いになっています。二回目からの平成十八年、平成十九年、平成二十年、平成二十一年は、鎮西町漁業がお支払いになっているんですね。  この保証料の負担は、本来は借りたものが支払うべきものなんですが、当時の鎮西町漁協が体力的に大変だということで、このスキームを組む折に協会保証料負担分は佐賀県が対応するということでスタートしたと私は理解しておりますが、それで間違いないでしょうか。もし私の思い違いだったら、違うなら違うと指摘していただきたいんですけど、どうでしょうか。 141 ◯大坪生産者支援課長=保証料につきましては、委員御指摘のとおり、本来は融資を受けた鎮西町漁協が支払うべき必要があるというふうに認識しておりますけれども、当時の鎮西町漁協の経営状況では保証料を負担することがかなり困難ではないかというような認識から、保証料の取り扱いについては、県としてでき得る方策を検討して信漁連と協議して対応するということになっていたと認識をいたしております。  以上でございます。 142 ◯篠塚委員=そうですよね。私も当時を振り返れば、あのとき申し上げたのは、お金を保証する者が保証料を負担するなんてどだい計算は合わんでしょうと言ったことがあるんですよね。しかし、鎮西町漁協は、あのスタイルを組まなければ漁協組合員が漁業活動ができないということで、ああいう形になったと思うんです。  ところが、今御答弁いただきましたように、一回目は一千百三十四万九千円の保証料が支払いされまして、その後、平成十八年、平成十九年、平成二十年、平成二十一年と、一千万円、九千九百万円、九千百万円、八百三十七万円と、これは鎮西町漁協が払っているんですね。それは当時スキームを組む上で県と信漁連さんとの協議があったと思うんですが、その協議が履行されなかったのか。だから、鎮西町漁協のほうに保証料の支払いをしてくださいという形になったんだろうと思うんですけれども、どうでございますか。 143 ◯大坪生産者支援課長=この問題につきましては、県としましては、漁協系統団体の漁協信用事業の指導的役割を担っていただいております信漁連さんと協議を重ねてきたところでございますけれども、結果として、双方の主張が平行いたしまして共通理解を得ることができないまま、現在に至っているというふうな状況でございます。  以上でございます。 144 ◯篠塚委員=双方の主張がお互い一致していないというのは、どう違っているんですか。当時、何らかの形で信漁連はちゃんと対応をしますからということで県との話があって、スキームが組まれたんでしょう。それを今どっちが履行をしていないのか。県がちゃんと信漁連との約束事が果たされなかったから、信漁連さんが、いやもう私どもは一回だけしかちゃんとお支払いしませんよとなっているんじゃないかなと私は思うんですけど、どうなんですか。 145 ◯鵜池生産振興部長=ただいまの内容でございますけれども、確かに当初の形からいえば、話の最初の出だしのところで課長が申しましたが、当時、鎮西町漁協が仮に負担が重いというふうなこともありまして、これにつきましては漁業団体として信漁連に払っていただくと。確かに、それにつきましては、県としては、信漁連に対する負担といいますか、その後の対応については何らかの方法を考えていきたいというふうなことで当時答弁をさせていただいたと理解しております。 146 ◯篠塚委員=私がなぜこれを聞いているかというのは、この後、スキームをつくらんといかんでしょう。そうすると、今、鎮西町漁協さんにつくったようなスキームを組まない限りは、それぞれの単協が短期で借りている、長期で借り入れている金額が二億円であったり、もっと少ない金額であったり、しかし、現実、鎮西町漁協さんはずっと減らしていっても、ことし支払いがあったとしても七億円からの金があるわけでしょう。そうすると、十億円か十一億円ぐらいのスキームかなんかつくらなきゃなりませんね。ここでそのスキームをつくった場合、今度は国とか大水基金の利子補給の制度はないんでしょう、どうなんですか。そこ、課長でいいですから。 147 ◯大坪生産者支援課長=鎮西町漁協の支援を議会のほうで認めていただいた時点では、国のほうの支援制度はございましたけれども、残念ながらその事業も中止されておりまして、現在のところ、国からの支援は厳しいというふうな状況にございます。 148 ◯篠塚委員=それで、そういう中でのその部分の利子補給をどうするのか。県が考えるのか、系統団体さんにもいろいろしてもらうのか、当該唐津市にも御協力してもらうのかという課題は残っているんですよ。  そうすると、このスキームをずっと見ていましても、さっき申し上げますように、前回の鎮西町漁協のスキームを組んだときは系統団体が〇・七%負担してあるんです。今回もその数字が〇・七%なのかどうか、数字については別としても、この系統団体の協力もなくしてはこれはできないと思うんですよ。これが一つ。  それからもう一つは、さっき部長のほうからも御答弁いただいたんですが、当時の約束事があったからこそ、信漁連も一緒になって、この保証料に対する後押しをされたと思うんです。それで、私のところも有明漁協です。一方、玄海漁協、この話、その後ちょっと聞いたことがあるんです。信漁連というのは両方の組合員でつくられている組織ですよね。そうすると、負担もこっちしなきゃならない、そういう問題もあったんですが、漁業を振興していく上では、海の性質が違ってもやっぱり我々もお互い助けたり、助けられたりすることが必要だからということで、あの当時了解されているんです。  この信漁連と県の約束事、それから、問題はあと平成十八年、平成十九年、平成二十年、平成二十一年、そして平成二十二年、恐らく平成二十二年も鎮西町漁協が保証料を支払われると思うんですね。そうすると、恐らくみんな仮払いしてあると思うんですよ。信漁連だって仮払い、鎮西町漁協だってずっと仮払いだと思うんですね。  この問題も、私は次のスキームを組むときに課題として出てくるだろうと思いますし、この問題をどう整理するのかというのが出てくると思うんですね。これは今後の合併が進んでいく上で皆さんが解決していかなきゃならない課題だと思うんですが、そういう認識はお持ちでしょうか。 149 ◯大坪生産者支援課長=御指摘のとおり、この問題も含めまして、きちっと整理をした上で、次の玄海地区の合併の話にいくべきだろうというふうに認識をいたしております。 150 ◯篠塚委員=そこで、この保証料を負担して自分たちが払ってある鎮西町漁協のほうから、このことについて県に何か要望とか要請とか、そういうのはあっていないですか。あってなければないでいいんですが、どうなんですか。 151 ◯大坪生産者支援課長=直接私どものほうに要請はあっておりません。私は伺っておりませんけれども、経理状況等を見る限りやはり厳しいものがあるんじゃないかというふうな認識はしております。 152 ◯篠塚委員=これは今までずっと鎮西町も七千八百万円払ってきた。それから、信漁連と県との話があの当時ぴしっといっておけば、この保証料については本来支払わなくてもよかったんでしょう。そこのところはどうなんですか、課長でも部長でもいいです。 153 ◯鵜池生産振興部長=それは委員が言われるとおり、信漁連からの支払いがなされておれば、もう支払わなくてよかったんです。 154 ◯篠塚委員=行政の皆さん方は、当時、鎮西町漁協が大変な折に、さまざまな角度から検討をして非常にいいスキームをつくられたんですよね。系統団体にはさまざまな皆さんが入っているわけですから、そこの中で行き違いもあっているでしょう。しかし、おおむね県と系統団体が約束したということについては、やっぱり行政は履行をしていくというものがなければならないと思うんです。そうしないと、次のいろいろなスキームをつくる折にもうまくいかないわけですので、これ以上もう申し上げませんが、残っている課題については今後早急に話し合いをして、どちらにしろ、こういう問題はずっと合併していく上では当然課題となって出てまいりますので、ぜひ解決をしていただくようにお願いしておきたいと思っております。  次に、財政的支援と同時に、水産の振興もやっぱりやっていかなければならないと思うんですね。財政の支援は支援として、本来漁協がみずから事業収益が上がって収益として出てくるようなことをやっていくことも大きな柱の一つだろうと思うんですね。玄海地区の水産振興については県はどのように考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。 155 ◯柴山水産課長=玄海地区の水産振興についてでございます。  玄海地区の水産業の現状につきましては、先ほど生産者支援課長がお答えしましたとおり、非常に厳しい現状にあるということを認識しております。  こういった中で、合併による組織強化と合わせまして継続した水産振興への取り組みというのは今、委員御指摘のとおり、非常に重要なことと考えております。こうしたことから、県としましては、水産振興のためには、まずは水産資源の回復が重要だということを考えておりまして、これまでも関係市町や漁連、漁協と連携しながら藻場の造成、あるいは海底耕うん、マダイ、ヒラメ、カサゴ等の種苗放流など各種対策に取り組んできたところでございます。  今年度からは、特に魚のえさとなる生物をふやすための餌料培養礁の設置など新たな取り組みも開始したところでございます。  また、これらとあわせまして、玄海地区の漁協合併推進協議会の事務局からは、今回、水産振興策としまして、呼子の特産でありますイカを中心としてブリやアジなどをあわせて加工処理しまして、付加価値をつけて販売し、収益力を高めるための水産加工処理施設の整備、また、アジやサバなど青物が一時的に大量に漁獲された際に魚価が下がりますので、その魚価安定のために相場の高い都市部の消費地市場へ出荷を促進する対策など、幾つかの要望が上げられているところでございます。  県としましては、現在、合併協議会の事務局、地元の自治体とこの事業内容について現在協議をしているところであります。  県としましては、玄海地区の水産業の振興、漁業の活性化というのは、委員御指摘のとおり、非常に大きな課題と考えておりまして、現在要望が出ております振興策につきましても、協議会事務局や地元自治体としっかり協議検討をすると同時に、さきに申し上げました水産資源回復対策とあわせまして、引き続き玄海地区の水産業の振興に努めてまいりたいと考えております。 156 ◯篠塚委員=それはソフトの部分であって、漁業組合みずからも考えていかなきゃなりませんけれども、どうしても手が及ばないところがあったりするんですね。そういう場合、県としてのいろんなノウハウで後押しをしていただきたいと思っております。  それから、財政的支援のところなんですけれども、これは今、課長が御答弁いただきましたように、十二月に合併推進協議会が行われます。そうすると、これから、一月、二月、三月に向けて説明会を当然やらなきゃならんわけでしょう。これは三漁協はもう合併の了承をもらっているから、臨時総会を開いて求めていくのは八漁協でいいんですね。  そうすると、そこに御説明するときに初めて、合併推進協議会でも協議しなきゃなりませんし、組合長も組合員の皆さん方に説明をし、理解を求めて、過半数以上の出席者で三分の二の同意をもらって初めて可決ですよね。そうすると、振興策と同時に財政的支援策についても説明していかなきゃならんと思うんですが、それは今から考えていかなきゃならんことだと思うんですね。  それで、さっき少し細々申し上げたんですが、前回の場合と違って基準金利をどこに求めるかというのはあるんですが、そう基準金利は違わないと思うんですね。あの当時、国の制度としてあったんですが、今はできない。この減った部分をどうしていくのかとなりますと、当然、当該市町、県、系統団体、信漁連と一緒になって、その支援策を協議していく場を設けるべきだろうと思うんですね。  そして、それをもって初めて、それぞれの合併推進協議会で理解を求められ、それぞれの単協に説明があって、初めて承認というものが出てくると思うんですね。そういう作業が出てくるわけなんですが、そういう組織体というんですか、そういうものを早い機会につくられないことには話が進んでいかないと思うんですけれども、今十二月十三日ですよね。それは議会が終わってからでも、そういう動きを私はしていくべきだろうと思うんですけど、このことについてどのように考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。 157 ◯鵜池生産振興部長=この合併の実現に向けまして、県としては、とにかく地元の総意といいますか、地元からのいろんな、合併していかんといかぬというふうな強い機運もございまして、県といたしましても、そういう方向でとにかく実現をしていかないと、この機会しかないだろうというふうに私も認識しております。  そういう意味では、先ほどから、るる篠塚委員のほうからも出ましたように、財政支援の問題と振興策の問題、これは二つを同時にクリアしていけるような組合をつくっていかんといかぬということですし、本来であればこれは振興していくためにこそ、今、合併を進めているということでもございますので、合併が実現できるように支援をしていきたいと思っております。具体的には今お話にもございましたように、いろんな課題もありますし、そういったことも含めながら、これから関係の市、あるいは漁協の皆様、それから、その指導的な立場である信漁連、こういったところと県としてもしっかり協議を進めていかないといかぬと思っておりますし、それは早く取りかかっていきたいと考えております。 158 ◯篠塚委員=有明漁協が合併したときにも、さまざまな課題があったんですが、これはいろいろお互いが知恵を出し合って、現実、今、合併をいたしまして動いております。これを機会に、玄海漁協のほうも機運が盛り上がったわけですから、それぞれの立場で県が考えるべきこと、合併推進協議会が考えるべきこと、系統団体が考えるべきこと、唐津市が考えるべきことをしっかりとお互い話し合いをしながら、いい結果に、これは進めていかなければならないことだろうと思いますので、また、難しい問題もあるだろうと思うんです。だからこそ、関係するところとじっくりと腹を割って相談をしながら、この合併が一日も早く実現できるように、部長以下課長の皆さん方頑張っていただきますようにお願いをしておきたいと思います。 159 ◯土井委員長=暫時休憩します。三時二十五分をめどに委員会を再開します。     午後二時五十二分 休憩     午後三時二十五分 開議 160 ◯土井委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続き質疑を行います。 161 ◯篠塚委員=それでは、問二の質問に入りたいと思っております。  「さがびより」の生産販売対策についてでございます。  「さがびより」の販売のことについて、一部、先ほど太田委員の質問にもあったようでございます。最近の米をめぐる情勢は、米余りによる低価格が続く中、例えば、山形県の「つや姫」や、先日、北海道の「ゆめぴりか」というのがテレビで報道されておりました。全国的に新しい品種が次々にデビューをしておりまして、まさに、新品種のラッシュとなっているんだろうと思っております。  こういう状況の中で、佐賀県においては、主力品種でございます「ひのひかり」にかわる品種として「さがびより」が昨年から導入されまして、約千五百ヘクタールで作付が行われたところであります。デビュー初年目は県内を中心に約五千トンが販売されまして、食味や品質もよかったことから一定の評価を得たというふうに聞いておりますし、私も昨年、「さがびより」を買って食べましたし、私の近郊でつくっていらっしゃる方からもいただいたようなわけであります。  先日、「さがびより」を私どもの地元でつくっておられる方が知事にもお届けされたようでありまして、私も一緒のものをいただいたんですが、味も大変よかったようなわけでございます。  二年目の今年は、昨年の約三倍に相当する四千四百ヘクタールに作付が拡大しておりまして、販売面でも県内外に販路を拡大し、この「さがびより」をブランド米として育てていくことが重要であろうと思っているわけであります。  そこで、本年産米は全国的に高温の影響により品質が悪いようでありますが、品種別の一等米比率はどのようになっているのかお伺いをいたします。 162 ◯御厨農産課長=本年産米の品質についてでございます。  主な品種の一等米比率につきましては、十一月二十二日に公表されました国の資料によりますと、これは十月末現在のデータでございますが、本県の「コシヒカリ」が一等米比率が八七・二%、「夢しずく」が六七・四%、「ヒノヒカリ」が一四・六%、「さがびより」が七九・一%、「ヒヨクモチ」が二二・七%となっておりまして、特に、「ヒノヒカリ」や「ヒヨクモチ」の一等米比率が低くなっている状況にございます。 163 ◯篠塚委員=今、課長から御答弁いただいたんですが、「さがびより」が七九・一%、「コシヒカリ」が八七・二%ということで非常に高いですね。ほかの米の一等米率が、特に「ヒノヒカリ」は高温障害を受けたということが言えると思っているんですが、「コシヒカリ」が八七・二%ということで非常に高い、おおむね、いつもこのくらいにいっているんですかね。 164 ◯御厨農産課長=「コシヒカリ」は極早生の品種でございまして、もともと県内では上場とか白石の「七夕コシヒカリ」に代表されますとおり、どちらかというと暑い夏場に収穫期を迎える品種でございまして、「コシヒカリ」、「夢しずく」、「さがびより」は基本的に高温に強い品種と言われております。一方、「ヒノヒカリ」は出穂後の高温に弱い品種と、こういうことがあらわれたのではないかと思っております。 165 ◯篠塚委員=品種の構成についてですが、佐賀県では、県独自の品種として早生の「夢しずく」、おくての「天使の詩」などを育成、導入し、さらに、今回、新品種の「さがびより」を導入されたところでありますが、平成二十二年産の品種の構成はどのようになっているんでしょうか。 166 ◯御厨農産課長=米の品種別の作付構成を見てみますと、最も多いのが「ヒヨクモチ」でございまして、栽培面積が六千七百五十ヘクタールで、これは県内全体の水稲に占める割合が二四・三%となっております。次いで、「夢しずく」が六千四百四十ヘクタールで二三・二%。次に、「ヒノヒカリ」が五千四百七十ヘクタールで一九・七%。次が「さがびより」で四千三百六十ヘクタールで一五・七%と続いているところでございまして、以下、「コシヒカリ」が八・二%、「たんぼの夢」が三・九%、「天使の詩」が二・三%、このような構成になっております。 167 ◯篠塚委員=今、品種構成について、るる御説明をいただきました。「さがびより」をこれから売り込んでいこうということですよね。この作付面積を見ますと「さがびより」は四番目ですか、「ヒヨクモチ」が一番で、二番が「夢しずく」、三番が「ヒノヒカリ」、四番目が「さがびより」、五番目が「コシヒカリ」、あとは「たんぼの夢」と「天使の詩」ですね。そうすると、今後、「さがびより」をどういうふうに作付していこうと考えておられるのか。「ヒノヒカリ」が定着するまでは時間がかかりましたね。しかし、そういえども、一方では「ヒノヒカリ」をつくりたいという方々もおられるでしょうし、そことの兼ね合いもあると思うんですけど、当面は「さがびより」を、後ほど販売についてお尋ねするんですが、これだけ広告費を入れてやっていこうとしている中で、もっともっと面積をふやしていくのか、その辺についてはどのように考えておられるのかお伺いいたします。 168 ◯御厨農産課長=「さがびより」の作付の今後の考え方ということでございますが、今年産の「さがびより」につきましては、記録的な猛暑の影響から、昨年産と比べますと、収量、一等米比率とも低下はしておりますものの、ほかの品種に比べますと、その低下の割合は小さくなっておりまして、「さがびより」が持つ高温に強く、収量・品質にすぐれているという特性が発揮されたのではないかと考えております。  一方、同時期に収穫されます「ヒノヒカリ」につきましては、高温の影響を受けまして腹白とか心白などの未熟米が多く発生し、昨年産に比べますと一等米比率が大きく低下をいたしております。  このようなことから、今後は、登熟期間の高温の影響が出やすい平たん部の「ヒノヒカリ」を中心に「さがびより」に転換していくことを基本として、さらに「さがびより」の作付拡大を進めていきたいと考えております。  もちろん、委員が言われましたとおり、「ヒノヒカリ」につきましても、山手のほうで銘柄が定着しているところとか、高温の影響が平たん部まで余りひどくないというところでは、消費者がしっかりついておられるところもございますので、すべてを転換ということではございませんけれども、そういう基本的な考えを持っております。  一方で、最近の米の販売環境を見てみますと、つくればつくっただけ売れるという状況ではないことから、まずは今年産の「さがびより」の販売状況とか評価を見極めながら、次年産以降の販売の可能性というものを探っていく必要があると考えております。  同時に、「ヒノヒカリ」など、他の品種の販売状況、あるいは共同乾燥調製施設の荷受け体制、さらには、農家の意向なども考慮する必要がございますことから、これらのことを総合的に踏まえながら、今後、JAなどと協議を進めてまいりたいと考えているところでございます。 169 ◯篠塚委員=長い間、研究をしてつくられデビューしました「さがびより」ですね。五百四十キロぐらいを目標につくってもらうように指導といいますか、農協さんにお話をしながらやっているんでしょう。その辺はどうですか。 170 ◯御厨農産課長=この「さがびより」の特性といたしまして、高温に強く品質もいいけれども、多収と言われております。ただ、ある一定の品質のものを提供するためにどのくらいがいいかということをこれまでの試験等の実績からいきますと、委員も言われましたとおり、我々としては五百四十キロ、一反当たり九俵の収量を目指すのが我々の理想とする米がとれるんじゃないかということで、それに合わせた施肥体系なり栽培管理マニュアルで指導して作付をお願いしているところでございます。 171 ◯篠塚委員=今年産の「さがびより」については、JAグループではどのような販売計画を立てておられるのかお伺いいたしたいと思います。 172 ◯堀流通課長=「さがびより」の販売計画についてお答えします。  二年目となります今年産の「さがびより」については、JAグループでは、昨年の約三倍に当たる一万七千トン程度の集荷が見込まれることから、統一米袋による家庭用精米のほかに、「さがびより」の特徴であります粒が大きく時間がたってもおいしいなどの特徴があること、さらには、本県は集落営農の組織化や共同乾燥施設の整備が進んでおり、一定の品質の米が安定して供給できるというメリットを生かし、外食・中食の用途、いわゆる業務用への販売推進もしていくということであります。  この結果、集荷量の約一万七千トンのうち、家庭用精米に約五千トン、外食・中食用として約一万二千トンの販売計画を立てられているところです。  なお、家庭用精米の販売に当たっては、県内でのさらなる定着に努めるとともに、福岡都市圏を中心とした近県での認知度向上、販売拡大に積極的に取り組むこととしております。  以上です。 173 ◯篠塚委員=福岡都市圏へ近県で販売するということについては、先ほど御質問があり、答弁があっておりましたので割愛いたしたいと思います。  そこで、販売をどう行っていくのか、どう認知してもらうのかということが大変大事だと思います。先般、山形県にこの委員会で視察に行った折に、山形県の新品種でございます「つや姫」のサンプルを説明のときにもらったんですよ。これでございます。(実物を示す)非常にわかりやすいんですね。お土産品ということでいろんな方々にお配りされているようです。同じように、「つや姫ブランド化戦略実施本部」というのがつくってあって、こういうふうに書いてあります。中にはこれ、なかなかいいんですね。読んでみようかとなるようなものを入れてあるんですよ。「山形の新しいお米『つや姫』検証」とか、「新しいお米について」ということで山本益博さんが実際に載っていらっしゃいます。それから、平野レミさんというのは料理愛好家ですね、テレビなんかによくお出になる方、石川遼君が載っているんですね。えらく宣伝がうまいなと僕は思いましてね。佐賀に帰ってから、土井委員長も話されたと思うんですが、私も早速、流通課長さんにお話ししたら、「そうですね」ということでいろいろお知恵を出されて、多分、これをつくっていただいたろうと思うんですよね。(実物を示す)これもこれなりに意味があると僕は思うんですよ。「さがびより」としてですね。それから、下の部分がありますね。  十月三十日でしたか、第一号の販売があったじゃないですか。昨年もゆめタウンを初め何カ所かでありましたでしょう。去年は僕はちょっとおくれて行ったんですが、ことしは開始時間の少し前に行ったんですよ。そしたら、もう既に一般の皆さん方がずっと並んでおられました。そして、結構好評でした。去年買った方が、「ことしもおいしいだろうと思って買いにきました」と話されていました。  そこで、こういうふうなことを少し考えながら、口コミでやっていくことも必要でしょうし、これからの販売、レシピを活用した販売をどう考えていくのかということが大事だろうと思うんです。特に、ことしは二年目でございますから、ことしでぐっと「さがびより」を宣伝できれば、ひいては作付にもつながっていくでしょうし、佐賀の米もさまざまなものがあるが、当面、これを売るためにいろいろな新年度の予算にも組み込まれているわけであります。  販売促進について、今後、どういうふうに取り組んでいかれるのか、課長にお伺いいたしたいと思います。 174 ◯堀流通課長=いわゆる販促グッズについては、ただいま委員から御提案いただきましたように、山形県のサンプルもいただいて我々も考えているところです。  今、レシピのお話がありましたが、現在は「さがびより」を活用したレシピについては、福岡の料理研究家の山際先生に開発をお願いしてホームページに掲載するとともに、県民だよりや佐賀新聞の折り込み紙の「fit」、または福岡都市圏で配布されるフリーペーパー等で紹介しているところですけと、今、御指摘があったとおり、まだまだ十分ではないというふうに思っております。  そこで、ただいま委員から御提案のあったレシピを印刷して山形県のようにサンプルに添付することや販売店に配布することについては、消費者の興味を引きつけ、購買意欲を高める有効な手法と考えております。  このようなことから、今後、県とJAで組織する佐賀米マーケティング協議会で作成することを検討していきたいと思います。  いずれにしても、「さがびより」の特徴である、つやがいい、粒が大きい、時間がたってもおいしい等々のセールスポイントについて、その使い方や食べ方まできめの細かい丁寧なPRに工夫を凝らしながらやっていきたいと思っております。  以上です。 175 ◯篠塚委員=流通課長、ことし十二月ですか、嬉野でユニバーサルデザイン全国大会とか、さまざまな全国大会がこれからあると思うんですね。そういうお見えになった方にこういうちょっとしたものをつけて宣伝していくと、わざわざ行くよりも、人さんがよってこられたところでPRするということも今後考えていってほしいと、これは要望しておきたいと思います。  次に、旅館等に対する働きかけでございますが、佐賀に来られた旅行者に対して心のこもったもてなしを行うのは当然のことですが、お見えになった方々に「さがびより」など佐賀県産米のPRをするために、旅館やホテルにおいて使用している佐賀県産米の品種を紹介するような取り組みを推進していったらどうだろうと僕は思うんですね。  というのは、私の農業の知り合いの人が二、三カ月前にあるところに旅行に行ったんですね。そしたら朝、その県の、この米は何ですよ、おかずは何ですよというような表示がしてあったそうです。ああ、そうかといって食べてきたと言うんですね。「ホテルニューオータニ」の二階の和食に行くと、あそこは明示しているんですね。米はどこ産だ、野菜はどうだと。だから、今、県内にこれだけの旅館やホテルがありますので、そういうふうに旅館組合、ホテル関係の皆さん方になお一層理解をしてもらうようにお願いしていくべきというふうに僕は思うんですけど、一部されているのかどうか。されていないとすればこれからどういうふうに取り組んでいかれるのか、お考えをお伺いしたいと思います。 176 ◯堀流通課長=旅館に対する働きかけということですが、デビューの初年度である昨年度は、JAと一緒になって佐賀県旅館組合青年部に対し、「さがびより」の試食会を開催して取り扱いをお願いしたところです。この結果、一部の旅館では採用されたり、従前から県産米を利用している旅館等も多くて、米を発注するとき、「お米をください」と言うのではなく、「佐賀県産米をください」というような注文の仕方もお願いしたところです。
     ただいまの委員からの御提案の件ですが、旅館の方から来県者の皆さんに、食事を目の前にして県産米を紹介していただくということは、県産米のPRに非常に効果的だと考えております。今年度においても、旅館組合等に対して「さがびより」の取り扱いをお願いしていくとともに、ただいま提案のあった個々の旅館等に対しても県産米の品種を紹介していただくということについては、観光サイドとも連携を図りながら、各旅館にお願いしていきたいと、このように考えております。 177 ◯篠塚委員=次に、出荷基準のPRについてであります。  「さがびより」については、生産者の皆さん方は、一等米比率やたんぱく含有量などの項目について出荷基準を設定するなど、産地においては、出荷に対して大変努力をしながらつくっておられます。販売に際しても、品質が高く、安心して購入できる米であることをもっとPRすべきだろうと思うわけであります。このことについては今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。 178 ◯堀流通課長=出荷基準のPRについてお答えします。  「さがびより」については、他県の米に先駆けた取り組みとして品質を保証する出荷基準を設けたところであります。生産者の方々が精魂込めてつくられた高品質な「さがびより」について、出荷基準を訴求しながら販売促進活動を行うことは、非常に効果的だと認識しております。  ただいま委員の御指摘のように、全国的に非常に厳しい市場の中において、このような厳しい出荷基準を設けていることを消費者に直接訴えていかなければならないと考えております。  このため、例えば出荷基準等を記載したリーフレットやシールを作成することなどについて、JA、卸売業者と実施に向けて品質を保証した「さがびより」の販売促進に努めてまいりたいと考えております。  いずれにしても、十年の歳月をかけて開発された、また、「米(まい)スター」制度など、確立された生産体制と出荷基準により生産される「さがびより」を生産者初め、関係者の苦労が報われるよういろいろ工夫を凝らしながら、生産者団体と一体となって販路開拓にしっかりと取り組んでいきたいと思っております。  以上です。 179 ◯篠塚委員=我々もさまざまなところに出かける機会がございますので、「佐賀の米はうまかですよ」ということで品種のことを含めて宣伝に努力をしていきたいと思っております。  それでは、三番目の農林水産業にかかわる試験研究機関のあり方についてであります。  これは十日に、午前中は産業技術学院、午後は川副の農業試験研究センターを視察させていただきました。県には研究センターが八施設ございますかね、農業、林業を入れて。工業にかかわる部分は二つだっただろうと思っております。八つがございますが、十日に農業試験研究センターを視察いたしましたので、そのことについてお尋ねをしていきたいと思っております。  農林水産業関係の試験研究機関が行っております新しい品種の開発や新技術の開発というのは、県の農林水産業の将来の発展に向けた長期的な投資であり、重要な役割を担っているんだろうというふうに思っております。今後とも、試験研究にはしっかりと取り組んでいかなければならないだろうと思うんですね。  きょう、個別にお尋ねしますセンターでございますが、明治時代に設立されて百年以上たっているんだろうと思っております。現在の場所に移転したのは昭和四十年代の初めぐらいですから、それから見てももう四十数年たちまして、その後、さまざまな名称の変化等があって今日につながってきているんだろうと私は思います。  十日の視察でも、圃場に入りまして、イチゴの「さがほのか」の新しい品種とか、ナスの労力が軽減されますよという研究とか、菊の研究とか、中には米とか麦とか育種をし、栽培をしてある。あそこの研究センターはさまざまな努力を皆さん方がされていると思うんです。  それで、試験研究に必要な予算の確保のことについてお尋ねしたいと思っております。ほかの機関もあるんですが、農業試験研究センターについてお尋ねします。  佐賀県では、行財政改革緊急プログラムが取り組まれておりまして、いろいろな分野において聖域なく予算が削減されているところであります。農林水産関係の試験研究機関の予算についても、平成二十一年からの経済対策で、主に施設整備費は増加しているものの、研究費は減少しているだろうと思っております。特に、その部分を外部資金の獲得について国や独立行政法人の意向に沿った課題で採用されても、県単独の研究費は減少しているのではないかと思っております。  今年度まで緊急プログラムの実施中であり、ある程度の減少は仕方ないんですが、平成二十三年度以降の試験研究の予算については、ほかの予算と同じように削減するのではなく、限られた予算があるんですけれども、研究というのは、この前も御説明があっていましたように、研究をして、実際、これがデビューしていくには七年から十年ぐらいかかるものであろうと思っております。  今後、このような研究費の予算については、私はしっかり確保していくべきだろうと思っているんですけれども、どのように考えておられるのかお伺いをいたします。 180 ◯白井農林水産商工本部副本部長=お答えいたします。  本県の農林水産業の振興を図っていくためには、生産の基礎となる試験研究の果たす役割は極めて重要であるというふうに認識しております。  このようなことから、これまでも研究開発に当たりましては、市場競争力のある商品づくりのための試験研究、地域産業の競争力を高めるための試験研究、暮らしの安全・安心の実現に向けた試験研究、環境の保全、資源の回復、持続的利用のための試験研究、この四つのテーマを重点推進方向として定めて試験研究の選択と集中を図って取り組んでいるところでございます。  また、大学や国などの研究機関等との共同研究を進めることによりまして、例えば、研究開発期間を短くしていったり、あるいは広域的課題に対応したりして効率的・効果的な試験研究の推進にも努めているところでございます。  さらには、これら研究開発の取り組みが円滑に進むように、各試験研究機関のノウハウを連携させたり、例えば、有機栽培技術ですとか省エネ化技術など緊急に対応すべき研究等に対しましては、一定額の予算を別枠で用意しまして、臨機に必要な研究に対応できるような戦略的試験研究推進制度を設けたり、あるいは生産現場の課題解決のために国等が支援する外部の研究資金ですとか緊急経済対策なども積極的に活用しながら、必要な研究予算の確保に努めてきたところでございます。  平成二十三年度以降のこの試験研究費の予算の確保についてでございますが、先ほど委員御指摘のとおり、試験研究事業といいますのは、生産者の方々に一番近い非常に重要なものでございまして、また、新品種の開発ということになりますと、その成果が出るためには相当の期間を要するものでございます。そのために試験研究といいますのは、十年後、二十年後の私たちの将来に向けての投資と考えてじっくりと取り組んでいかなければならないというふうに認識しておりまして、今後とも、効率的、効果的な試験研究に努めるとともに、生産現場の方々のニーズを十分に把握した上で試験研究の重点化を図っていきながら、必要な研究予算の確保に努めてまいりたいと考えております。 181 ◯篠塚委員=ぜひそのように取り組んでもらいたいと思っております。  そこで、センターの課題数がどういうふうに推移しているんだろうかと思って資料を求めまして用意していただきました。平成十五年度から二十二年度までですが、県単課題が少しずつ減っております。それはなぜかというのは、全体の予算を縮小せざるを得ない、センターにもそれが来たと思うんです。それはそれでやむを得ないのかなと思うんです。その部分、外部資金の活用課題がふえております。平成十五年に県単課題の中で外部資金活用課題の全体に占める率が三六%です。これが三〇%台でずっと続きまして、十八年度からすると、十九年度、二十年度、二十一年度というのは四〇%台に外部資金の研究課題がふえているんですね。数字ですから一概には言えないんでしょうけれども、それと並行して県単独の課題が減ってきているんです。それは予算との兼ね合いだろうというふうに思うんですね、内容の違いは若干あっても。そうなると、外部課題というのは、応募をしてとっていかなきゃならないという部分があって非常に不安定なわけです。外部課題を使った研究が必要な部分もあるだろうし、逆に県単独の予算を使って研究していかなきゃならない課題もあるだろうと思うんですね。  そういうことをトータルで考えますと、先ほど私が申し上げましたように、今回は農業試験研究センターのことについて質問していますが、ほかにも研究機関がありますので、二十三年度については今までのことを振り返って今後どうあるべきなのか、これは現場におられるセンターの所長とか研究員の皆さん方の声をしっかり聞いていただきまして、予算に、一〇〇%ということはなかなかできないとしても、反映されるように努力をしていただくように僕はお願いをしておきたいと思います。  次に、試験研究機関の農業技術員の職種の変更についてであります。  これは本来は職員課にかかわるものであると思っておりますが、研究センターに直接関係がございますので、一、二点お尋ねしたいと思っております。  試験研究機関の農業技術員については、圃場での農作業や機械保守などの作業を行い、研究員の研究を支える重要な役割を担っております。この農業技術員は、平成二十二年度から本人の希望により職種を行政技術員に変更し、その後には身分が日々雇用職員である農林業研究等補助職員に変わっていると聞いております。この農業技術員については、現業職全体の見直しの中で行政職へ任用がえが行われており、すべての職員が任用がえを行うわけではないんですが、行政職へ変わる職員の業務については、新たに設けられた農林業研究等補助職員が行うものとされております。この農林業研究等補助職員は、身分は日々雇用職員であり、給与は通常の日々雇用職員より高いものの、雇用期間は一年で、更新は可能であるものの、最長で十年とされているところであります。  このような条件で応募してくる方は比較的年齢の高い方か、若い者に限定をされ、就業しても数年でやめてしまい、技術の伝承や圃場管理等がおろそかになるのではないかと考えるところであります。  また、このことが研究員の負担増しにつながり、正確なデータなどが得られずに試験研究に支障を来すのでないかという危惧もしておりますし、一部では、そのような声も聞くところであります。私は、試験研究員に支障を来さないように、研究と補助員の技術の伝承や研究圃場などの現場での指導を行う専門の職員を配置する必要があるのではないだろうかというふうに思うわけでありますが、試験研究員を所管する本部としては、このような専門的な職員の配置についてはどのように考えておられるのかお伺いをいたしたいと思います。 182 ◯白井農林水産商工本部副本部長=お答えします。  試験研究機関におきまして、農業技術員が担っております圃場や家畜の飼養管理、機械施設の保守などの業務は、将来にわたりまして試験研究を進めていく上で重要なものと考えております。  これまで農業技術員が行っていたこれらの業務は、徐々に任用がえになっていくわけですけれども、かわって行ってもらう人材を確保するために、今回新たに農林業研究等補助職員の制度を設けたところでございます。  この農林業研究等補助職員につきましては、それぞれの試験研究の現場で一定の経験を積む必要がございますので、一般の日々雇用職員とは違いまして、十年を目安として継続的な雇用を可能とするとともに、資格や実務経験などによって賃金面などの処遇を徐々に上げていくことができるようにしておりまして、人材の確保に努めているところでございます。  また、各試験研究機関におきましては、農業技術員の中には、先ほども委員御指摘のとおり、例えば、年齢要件でありますとか、身分移行を希望しないという理由から、その場に残留する現業職員も半数ほどおります。短期間に農業技術員がいなくなるわけではございません。けれども、こういった残った農業技術員の方々に、まずはそれぞれの現場のリーダーになっていただきまして、現在の農林業研究等補助職員に対して技術指導を行ってもらっております。このほか、必要な講習の受講等も一般職員と同じように受けてもらうように促すなどしまして、技術や知識を習得できるように努めているところでございます。  この制度は、本年度から運用を始めたばかりでございまして、今後、御指摘いただいたように適切に運用されなければならないと思っておりますし、必要な試験研究が滞りなく行われますように、農林水産商工本部と経営支援本部が連携して、該当するすべての試験研究機関を訪問いたしまして意見交換を行ってニーズ等を拾ったところでございます。  今後とも、この試験研究機関との意見交換をずっと続けながら、この農林業研究等補助職員が将来にわたりまして優秀な人に来ていただきまして、そして定着をして、できるだけ長く勤務していただき、また、専門的な技術や知識を習得してもらえるように、その勤務、労働条件の改善等につきましては、所管である経営支援本部とも協議を行いながら取り組んでまいりたいと考えております。 183 ◯篠塚委員=今、白井副本部長から御答弁がございましたが、五十五歳以上はそのままの状態で残りますよね。それ以下の方は残ってもいいけど、給与体系がうんと落ちるから、それじゃ大変だということで行政職に動かれたと思うんですね。今、答弁があったんですけど、例えば、この前、視察をしたセンターなんかは、五十代後半、六十歳代の方が二、三人いらっしゃるんですね。こういう方々は六十三歳まで勤めることができるじゃないですか。そうすると、だんだん、五十代の半ばの人も四、五年先には定年でやめていかれますね。そうすると、あとの補充を何でするのかとなると、さっき私がお尋ねしました農林業研究等補助職員ということの採用で一年ですよね。給与体系だってそんなに高いものじゃないから、例えば、ある程度の年齢の高い方しか募集の中でないかもしれない。今、こういう経済状況、就職状況だから若い人が来られたとしても定着しないと思うんですよね。だから、その辺のところをどうしていくのかという課題もあります。  実は、「よい作物がとれないとデータがとれない」とある研究センターの所長がおっしゃっていました。特に、こういう圃場を持っているところとか、ほかの研究所もですが、畜産センターもそうだろうと思うんですね。そういう意味では、研究員の皆さん方がそっちの仕事もしなきゃならないというような現状があるわけですね。  でも、これは私が申すまでもなく、米は育種と栽培しながらデータをとっていますし、麦だって育種と適正試験をやりながら、大豆だってしかりですね。そういうふうに研究員の人が研究にしっかりとはまっていけるような体制を、ことしからスタートしましたから、二十二年、二十三年、二十四年ですから、今年一年を振り返ったところで二十三年は研究センターの人がしっかり研究できるような体制づくりをしていただくようにお願いをしておきたいと思います。  次に、農作業の安全対策についてであります。  本県では、農業機械や施設の共同利用や農作業の受託などを行う集落営農組織の設立の進展に伴い、農業機械の大型化や高性能化が進んでいるところであります。一方、農業就業人口に占める高齢者や女性の割合がふえまして、こうした方々が農業機械を利用して農作業を行う機会がふえてきております。そうした場面は私の近郊でも見かけるわけでありまして、ある程度のご年配の方が農業で一生懸命働いているのはいいことでもあろうと思っております。  このような中、高齢者が操作していた乗用型トラクターの転落・転倒によって尊い命を失うなど、こうした農業機械作業の痛ましい事故の発生が後を絶たないような状況もありますし、十日ぐらい前ですか、トラクターが傾いた中で死亡されたというような記事が載っていたわけでございます。  このような状況に対処し、農業機械作業時の死亡事故件数をゼロにしていくためには、関係機関や団体が一体となって、これまで以上に農作業安全対策を講じていく必要があると思うわけであります。  そこで、農作業死亡事故の実態についてであります。  最近十年間において、全国での農作業に伴う死亡事故の発生実態はどのようになっているのか。また、佐賀県での発生実態はどのようになっているのかお伺いをいたします。 184 ◯古賀園芸課長=農作業死亡事故の実態についてお答えをいたします。  まず、全国における平成十一年から平成二十年まで、直近の資料が平成二十年でございますので、その十年間の農作業に伴う死亡事故を農林水産省が公表した資料で見てみますと、毎年四百件前後の数字で推移している状況にございます。  このうち、委員からも御指摘がありました乗用型トラクターや耕運機など農業機械を使った作業中の事故が毎年二百五十件から三百件程度発生をしております。次に、農舎など農業用施設での作業中の事故が毎年二十件前後、また、水路への転落事故など、機械・施設以外での作業中の事故が毎年百件前後、そういった状況になっております。  また、年齢別には六十五歳以上の高齢者による事故が毎年二百五十件から三百件程度発生をしており、全体の七割から八割を占めている状況にございます。  次に、本県における農作業死亡事故の最近十年間の推移を見てまいりますと、年により差がございますが、少ない年で一件、多い年で十二件、発生をしておりまして、最近四年間を見てみますと十件前後で推移をしている状況にございます。これを事故発生時の状況別で見ますと、平成十一年から十五年までは農業機械を使った作業中の事故が多かった傾向がございますが、最近の五年間では、農業機械を使った作業中の事故と、機械・施設以外での、例えば転落事故などの作業中の事故がほぼ半分ずつを占めている状況がございます。  また、年齢別でございますが、六十五歳以上の高齢者による事故の割合は、低い年が二年ございましたけれども、そのほかの年は全国と同じように七割以上を占めているといった状況にございます。 185 ◯篠塚委員=作業中に命を失われるというのは、本当に気の毒なことでもあるし、御本人もですけど、家族にとっても大変つらいことなんですよね。  そこで、農業機械作業時の死亡事故の状況についてお伺いしたいと思います。  県においては、乗用型トラクターなど、農業機械を使って作業をしているときの死亡事故が毎年発生しているということでございました。最近発生した事故は、どのような状況があったものかお聞かせいただきたいと思います。 186 ◯古賀園芸課長=農業機械作業時の死亡事故の状況についてお答えをいたします。  平成二十年に農業機械作業時に発生した五件の事例で見ますと、コンバインで移動や作業中の圃場より下の水田に転落をして亡くなられた事故が二件ございます。それから、フォークリフトで走行中に水路に転落して亡くなられた事故が一件、それから、作業中に耕運機と工作物、棚に挟まれた事故が一件ございます。そのほか、農作物を運搬した軽トラックが一般車と衝突して亡くなられた事故が一件となっております。  また、平成二十一年の状況は現在調査中でございますが、私ども、新聞情報等で情報収集もやっておりますが、新聞情報等によれば、乗用型トラクターによる転落事故が二件発生をしており、本年も同様な事故が発生している状況でございます。 187 ◯篠塚委員=今、状況を御説明いただいたんですが、行政もですが、御本人さんも、機械メーカーさんも取り扱いとか、そういうことをしっかり指導していけば、こういう機械での死亡事故というのはなくなっていくだろうと思うし、また、なくしていかなければならないと私は思うんですね。それは実際に機械を利用される農家の方も、自分のことですから、そういう気持ちを持って取り組んでいかなきゃなりませんけど、操作のあり方とか、そういうものは販売するメーカー、また、JAさんも一緒になってそういう対策に取り組んでいかなければなければならないと思います。  今後の対策ですが、農作業の安全対策の推進は、これまで以上に取り組んでいく必要があると考えるんですけど、県では、今日までどのようなことをしてこられたのか。また、今後、どう取り組んでいかれるのかお伺いをいたしたいと思います。 188 ◯古賀園芸課長=農作業安全対策の推進についてでございますが、農作業安全対策を一層推進するためには、何といっても農業者の方に事故防止に向けた意識を持っていただくことが極めて重要と考えております。  このようなことから、県では、春と秋の農繁期に市町や農協と連携して農作業安全運動を展開しておりまして、県民だよりでありますとか、市町の広報誌、農協の機関紙、さらにはポスターなどを活用して、農家への農作業事故防止の呼びかけを行っているところでございます。  また、農業者や指導者の方を対象に、農業機械の安全操作や整備点検の実演、トラクターの安全な運転方法などを内容とした農作業安全研修会の開催などに取り組んできているところでございます。  また、各地域で農作業安全や機械の効率的な利用を推進してもらうための農業機械士の育成といったことを実施しているところでございます。  本年度はこうした取り組みに加えまして、最近、農作業事故が非常に発生しているという状況も踏まえまして、農業者がより参加しやすいように県内を三ブロックに分けて農作業安全研修会の開催をしていきたいというように考えております。  また、農業機械を使った作業、また、それ以外の農作業も含めまして事故の防止方法や注意点をわかりやすく解説したパンフレットの作成配布なども実施していきたいと考えておりまして、JAや農業機械メーカー、市町等におきましても独自の取り組みを行われております。今後とも、そういった取り組みともしっかり連携をしながら農作業安全対策の推進の取り組んでまいりたいと考えております。 189 ◯篠塚委員=農作業中の機械を使っての死亡事故をゼロに、ゼロじゃなきゃならないと思うんですね。そういう意味で、今御答弁いただきましたように、農機商の組合さんとかJAの皆さん方、それと行政ですね。パンフレットをつくったりというような御答弁がありましたが、問題は、実際に操作をする農家の方がそのような認識を持つということが死亡事故をなくしていくことにつながりますし、農業機械以外でも死亡された方々がございますね。どういうことで亡くなられたのか、そういうこともよく周知徹底をしていただいて、尊い命であります、こういう死亡事故がゼロだという形ができますように努力をしていただくようにお願いをしておきたいと思います。  最後でございますが、TPPについてお尋ねをしたいと思っております。  環太平洋経済連携協定(TPP)については、去る十月一日に菅内閣総理大臣が所信表明演説でTPPへの参加を検討することを表明して以来、さまざまな議論が起こっているところでございます。  私は、このTPPに参加することになれば、農業や商工業だけでなく、金融や雇用、さらには医療、介護、福祉の分野などにも多大な影響を及ぼすことから非常に不安に思っているところであります。我々も臨時議会を十一月十日に開きまして、このTPPについての意見書の決議をしたところでございます。各地方議会でも、この問題が意見書の採択とか、こういうことが実は行われているわけでございます。  そこで、農林業への影響についてであります。これは皆さんのほうからも農業の場合、影響額が幾らだという御説明がございましたが、農業の多面的機能や関連産業の影響についてでございます。  先般、農業の影響については、日本が全世界を対象に直ちに関税を撤廃をし、何らの方策も講じないとすると、農林水産省の試算を使って佐賀県に当てはめた場合の計算例として五百億円程度、生産が減少するという数字が出されたところでございます。  私は、こうした農産物の直接的な減少に加え、多面的機能や関連産業にも影響を及ぼすと思うんですが、本県の場合は、試算するとどのようになるのかお伺いをいたしたいと思います。 190 ◯小野原生産振興部副部長=お答えします。  まず、農業の多面的機能に対する影響ということでございますが、農林水産省では、先ほど、委員からお話がございましたように、我が国が全世界を対象に直ちに関税撤廃を行いまして国内的に何らの対策も講じない場合といった前提のもとでの試算が行われておりまして、その場合、全体で三兆七千億円程度という数字が出されております。その具体的な計算方法については、全く外には示されていないという状況でございますので、農林水産省と同じ方法で本県における計算をして、その額を出すということは困難だろうというふうに考えております。  このようなことから農林水産省が試算した多面的機能の喪失額を使いまして、これに田畑別では、本来、多面的機能というのは洪水調節機能ということですので、田と畑では本来は違うと思うんですけれども、その数値が公表されておりませんので、本県では単純に全国の総耕地面積に占めます本県の耕地面積の割合を出しまして、これを国の喪失額に単純に乗じて計算をするという方法で計算した例で見ますと、五百億円程度の減少ということになっております。  一方で、農業の関連産業に対する影響額ということでございますが、これにつきましては農林水産省の試算におきましては、GDPの減少額ということで計算されておりますが、これについてもその詳細な計算方法については示されていないという状況でございますので、同じような状況で本県の数値を出すということは、なかなか難しいということでございます。  このようなことから、一つの方法といたしまして、我が国が全世界を対象に直ちに関税撤廃を行い、何らの対策も講じないということを前提といたしまして農林水産省の試算方法を本県に当てはめた場合の計算例ということで、先ほど委員から御指摘がありました農業生産額で五百億円程度の減少という計算数値がございますが、これを用いまして、それが与える関連産業への波及効果を産業連関分析によって機械的に計算をしてみました。その結果が二百五十億円程度の減少ということになっております。  いずれにしましても、繰り返しになりますが、こうした数値につきましては、TPPだけの影響ということではなくて、全世界を対象にとか、そういったいろいろな前提条件がついた中で、あるいは本県独自の前提条件を置いた中での数値ということについて御理解をいただきたいと思います。  以上でございます。 191 ◯篠塚委員=そうしますと、農業的な減少が五百億円、多面的機能で五百億円の減少、関連で二百五十億円、単純に数字でいけば千二百五十億円ぐらいの農林業に影響があるんだというふうに判断していいということですね。  それでは、林業についてのことですが、林業につきましては、佐賀県は合板の生産がないために、本県の林産物の生産額の減少はないということで、数値にはあらわれないというふうに皆さん御報告になっているんですね。  合板は確かにそうかもしれませんけど、もっとたどれば関税が撤廃になって外材がどんどん、どんどん入ってきてから国内の林業も衰退したし、林産業も衰退したんだろうと思うんですね。合板はないかもしれないけれども、抽象的ですが、数字ではじき出せるような基礎がないからなかなか幾らだとは出ないと思いますが、間接的な部分の影響が出てくるんじゃないかと思うんですけれども、どのように考えておられるのかお聞かせをいただきたいと思います。 192 ◯前田林業課長=林業への影響についてお答えいたします。  林業の分野では、先ほど委員御指摘のように、輸入丸太については、既に関税がないということ。それから、丸太を加工した柱や板などの輸入製材品については、一定の関税がかけられているというような状況にございます。  このような中で、農林水産省では関税率が一〇%以上で国内生産額は十億円以上の林産物として合板のみが影響品目として試算の対象とされまして、国全体の影響額としては五百億円と公表されたところでございます。  この試算方法を本県に当てはめてみますと、まず、先ほども言われましたように、県内においては合板を製造している工場がないということ。それから、これは二十一年の県内の丸太生産、十万八千立米ございますが、そのうち合板用に出荷された木材がなかったこと。そういうことで直接的な影響として生産額の減少はないとしておりました。  しかしながら、委員御指摘のように、林家の方々の多くが中山間地域の農家であると。そういうことで農家に影響が出ますと、当然、林業の生産活動が低下するといった影響も出てくるというふうに考えられるところでございます。  それから、TPPの影響によりまして県全体の経済状況が変化するということになりますれば、特に木材需要、あるいは林業の生産活動に大きくかかわりますところの木造住宅の着工戸数が増加する、あるいは減少することになると思います。そういったことになりますと、林業生産が増減するといった影響が及んでくるのではないかというふうに考えられるところでございます。  以上でございます。 193 ◯篠塚委員=なかなか数字では出てこないですね。  次に、経済分野などへの影響についてでございます。  先般、商工業のうち基幹産業である自動車、電気電子、機械産業の三業種への影響について、日本がTPPや、EUと中国とのFTAのいずれも締結せず、韓国がアメリカや中国、EUとFTAを締結した場合とする経済産業省の試算を使って佐賀県に当てはめた場合の県内GDPは、五百億円から六百億円程度減少するという数値を示されたところであります。  TPPでは、こういった物品貿易だけでなく、医療や介護、福祉といった人やサービスの分野も自由化されるものであることから、これらの分野において影響があると思うんですけれども、県では、これらの分野に対する本県の影響額を数値化したものがあるのか、ないのか、お伺いをいたします。 194 ◯白井農林水産商工本部副本部長=お答えします。  御指摘のとおり、TPPと申しますのは、農産物や工業製品といった物品貿易のほかにも、いわゆる非関税部門と言われている人の移動ですとか、サービス、貿易なども含む包括的な協定でございますので、これに参加した場合は、幅広い分野に影響が及ぶというものでございます。  このTPPに参加、あるいは不参加の場合の影響につきましては、私どものほうでも、その影響額を数値化したいと思いまして民間のシンクタンクや国際経済を専門としておられる大学教授などから意見を聞くなどして、情報の収集・分析の努力を行ってきているところでございます。
     先週の十二月九日にも、内閣府から依頼を受けて実際にみずからマクロ経済効果分析を行われたシンクタンクのエコノミストの方にお会いをしまして、情報収集を行ったところでございます。この方のお話によりますと、人の移動やサービスの分野に及ぶマクロ計算による影響額の試算については、現在もその方を含めまして世界各国のエコノミストによって検討がなされているところですが、社会が極めて複雑になっているということで、いろんな要素が入り込んでくるので、まだ試算できるまでには至っていないということでございました。  例えば、低賃金の外国人労働者の方が国内に入ってくることを例にとりますと、どこの国から、どのような職種の人が、どのような資格を持った人が、どの程度来られて、その賃金はどの程度になるのかとか、そのために何人ぐらい日本人の失業者が出て県経済にどの程度マイナスになるのか。逆に、低賃金なるがゆえにどの程度、国内の製造品価格や施設の入所費用といったものがマイナスになるのか、それでどの程度、家計収入にプラスになるのか、こういったいろんな前提条件がたくさんございますので、現状では、これらの前提条件を付した試算もできていないんだというようなことでございました。  このように、国もまだ影響額試算ができていない状況でございまして、大変申しわけないことでございますが、本県においても、現時点において県内におけるこれらもろもろの影響額を数値化できていないというのが現状でございます。 195 ◯篠塚委員=「現時点では」というような言葉がついてのお答えでありました。先日の一般質問でこの問題は取り上げられておりまして、「なるべくわかりやすい形で提供するように」というような知事の御答弁もあっているわけであります。  今、副本部長からも答弁がございましたように、TPPというのは、僕が申すまでもなく農業だけじゃなくて、先ほど来から申し上げますように、金融や保険や公共事業の入札から、医師、看護師、あるいは介護士、労働市場の開放まで含まれているわけです。当然、労働者の方々が国内に入ってこられれば、日本の人件費よりもはるかに安い労働者として企業にとっては収益として出てくると思うんですね。そうすると、その部分、今度は国内の雇用の場がなくなってしまうというマイナスの部分になってくる、それをどうするのか。トータルで見ると、やっぱり全体的にマイナスに出る部分が多いだろうと私は思うんですね。確かに企業はそれでいいのかもしれませんけど。では、雇用不安が起こってきて、逆の部分で商品が売れなくなる等、さまざまな問題が出てくると僕は思うんですね。  ここは今後の日程を見てみますと、来年の三月に自由貿易の障害となる非関税障壁を撤廃するための方針決定という予定になっています。六月にはTPPへ参加するか、不参加を判断するというように官房長官も言っておられます。この貿易自由化と両立する持続可能な強い農業を育てる基本方針を策定して取り組んでいくということでしょう。そして、十月には行動計画を策定するような作業に入っていくわけですね。ですから、六月なのか、十月なのか、そして十一月には、APECがアメリカでございますね。そこに向けて作業が進んでいくわけであります。現時点ではなかなか数字ではじき出せない部分があると思うんですけど、年を越していけば政府としても何らかのものを、もっと国民の皆さんに向かって説明もしなきゃならないと思うんですね。そうすると、年を越えていけば、先ほど来から私が申し上げておりますような状況になってくれば、数字的にもう少しつかんで出せるような形になるんじゃないかというふうに思うわけでございますが、どういうふうに受け止めておられるのかお考えをお聞かせいただきたいと思います。 196 ◯白井農林水産商工本部副本部長=お答えします。  先ほど申し上げましたように、現時点ではその影響額の試算というのは難しい、それをはじくのは難しい状況ではございますが、何とかしてこれに近いものを提供したいというふうに考えております。  このTPPにつきましては、先ほども委員から御指摘がありましたように、国におきましては、ことしの十一月九日に閣議決定されました包括的経済連携に関する基本方針に基づきまして、御紹介がありましたように、例えば規制制度改革は来年三月までに具体的方針を決定するとか、人の移動については、来年六月までに国内の人口構造の将来動向や国民の雇用への影響、あるいは我が国の経済発展などを踏まえながら基本的な方針を策定する。農業につきましても、持続可能な力強い農業を育てるための対策を講じるために、来年六月を目途に基本方針を決定して、十月を目途に中長期的な視点を踏まえた行動計画を策定し、早急に実施に移すというふうにされております。  このように段階を経ていろんな前提条件となるものが明らかになってまいりますと、さまざまな計算も少しずつではありますが、できてくるようになると思います。そういった段階になりますと、私どものほうでも一定の前提条件を付すことにはなりますけれども、何らかの形で影響額の試算ができるのではないかと思っておりますので、そのように努力してまいりたいと考えております。 197 ◯篠塚委員=ぜひそうしてほしいと思いますのは、農業にかわっている方々は不安でいっぱいでたまらないと。農業以外の工業の方々については、一部では、なったほうがいいという考えがあって、さまざまな考え方があるんですが、ぴしっとしたものがないわけなんですね。やっぱり政府のほうにも強く申し入れをして、この問題については的確に判断できるような情報の提供というものがなければならないと思います。そのことによってどうなんだという判断になると思うんですね。私は、もしこれが今のような状況であるならば佐賀県の農業は本当に大きな打撃を受けるだろうというふうに感じているようなわけでございます。  これからこの問題は大変重要な時期に入ってまいりますので、所管の本部長並びに副本部長、課長の皆さん方はしっかりと情報把握に努めていただいて的確な情報を私ども議会、また、県民の皆さんに出していただきますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。 198 ◯土井委員長=これで質疑を終了いたします。  暫時休憩します。     午後四時三十五分 休憩     午後四時三十六分 開議 199 ◯土井委員長=委員会を再開します。  これより討論に入りますが、ただいまのところ、討論の通告はあっておりません。討論はないものと認めます。     ○ 採     決 200 ◯土井委員長=よって、討論を終結し、直ちに採決に入ります。  甲第四十三号議案中本委員会関係分、甲第四十四号議案及び甲第四十六号議案中本委員会関係分、以上三件の議案を一括して採決いたします。  原案に賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 201 ◯土井委員長=全員起立と認めます。  よって、以上三件の議案は、原案のとおり可決されました。     ○ 継 続 審 査 202 ◯土井委員長=最後に、九月定例会から引き続き審議中の  一、農林水産商工行政について  一、生産振興行政について  以上、二件につきましては、諸般の検討が必要ですので、閉会中の継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 203 ◯土井委員長=御異議なしと認めます。  よって、以上の二件についての継続審査を議長に申し出ることにします。  以上で本委員会に付託された案件の全部を議了いたしました。  これをもちまして産業常任委員会を閉会いたします。御苦労さまでした。     午後四時三十七分 閉会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...