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平成22年9月定例会(第5日) 本文
平成22年9月定例会(第5日) 名簿

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  1. 佐賀県議会 2010-09-05
    平成22年9月定例会(第5日) 本文


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
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    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1         ○ 開     議 ◎議長(留守茂幸君) これより本日の会議を開きます。         ○ 決算特別委員会設置 2 ◎議長(留守茂幸君) お諮りいたします。  決算特別委員会設置の件を本日の日程に追加して議題といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 3 ◎議長(留守茂幸君) 御異議なしと認めます。よって、決算特別委員会設置の件を本日の日程に追加して議題といたします。  お諮りいたします。  既に議題となっております乙第五十四号議案から乙第五十六号議案まで、以上三件の議案につきましては、十四人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、審査することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 4 ◎議長(留守茂幸君) 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。         ○ 決算特別委員会委員選任 5 ◎議長(留守茂幸君) お諮りいたします。  ただいま設置されました決算特別委員会の委員選任につきましては、委員会条例第五条の規定により、お手元に配付いたしております名簿のとおり指名いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 6 ◎議長(留守茂幸君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、決算特別委員会委員に選任することに決定いたしました。  後刻、正副委員長を互選の上、議長まで通知をお願いいたします。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━       決算特別委員会委員名簿 ┌───────┬────────┬───────┬───────┐
    │ 自由民主党 │県民ネットワーク│公  明  党│志  の  会│ ├───────┼────────┼───────┼───────┤ │楢 崎   近│太 田 記代子 │伊 藤   豊│向 門 慶 人│ │稲 富 康 平│末 安 善 徳 │       │       │ │石 丸   博│牛 嶋 博 明 │       │       │ │古 賀 善 行│        │       │       │ │石 井 秀 夫│        │       │       │ │大 場 芳 博│        │       │       │ │石 倉 秀 郷│        │       │       │ │桃 崎 峰 人│        │       │       │ │伊 東 猛 彦│        │       │       │ └───────┴────────┴───────┴───────┘      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 7 ◎議長(留守茂幸君) 昨日に引き続き、一般質問を行います。  通告に従い、順次発言を許可いたします。 8 ◎古賀善行君(拍手)登壇=おはようございます。自由民主党の古賀善行でございます。一般質問二日目のトップバッターとして質問させていただきます。  きょうの天気はさわやかな秋晴れでございますので、質問もすかっと、さらっといきたいと思っておりますので、答弁のほうもすかっと、さらっと、簡明かつ明確なる御答弁をお願いいたします。(発言する者あり)(笑声)ありがとうございます。  ところで、質問の趣旨とは違いますが、きょう九月十四日、自由民主党ではない政権政党の代表を決める選挙が行われております。順調にいきますと、午後の三時半ぐらいには新たな代表が選ばれると思いますが、その選ばれた代表がこの日本丸の船長となるわけでございますので、日本丸を座礁、沈没させることなく、冷静沈着に、時には積極的かつ果敢に暴風雨の大海原を乗り切ってもらいたいと思っておるわけでございます。無理でしょうかね。(笑声)(発言する者あり)  それでは、通告順に従いまして、順次質問をいたします。  まず、地方分権改革についてであります。  この件につきましては、知事も提案事項説明要旨の中で──ちょっと読んでみますが、  さきの通常国会に提出されました「地域主権改革推進一括法案」、「国と地方の協議の場に関する法案」及び「地方自治法  改正案」から成る、いわゆる「地域主権改革三法案」は、現在、衆議院において継続審議中となっております。  これらの法案は、「国と地方の協議の場の法制化」や「自治事務に対する法令による『義務付け・枠付け』の見直し」など、  真の分権型社会を実現していく上で必要不可欠なものであり、分権改革を「議論」から「実行」に移す第一歩として、一刻  も早く成立を図るよう、政府・各党に対し、引き続き強く求めてまいります。  また、政府は、去る六月二十二日、改革の目指す姿や当面の取り組み方針を示す「地域主権戦略大綱」を閣議決定しました  が、改革の全体像において、「補完性の原則」や「民主主義そのものの改革」であることが明示されたことなど、基本的に  評価できるものであり、今後、実のある形で確実に具体化していくことが重要となります。  地方分権改革は、政党間で一致点の多い政策であることから、政府においては、各党の意見に真摯に耳を傾けるなど積極的  に協議を行い、大綱の具体化に向けて政治主導で取り組むことを強く求めてまいります。  と、二ページにわたり力強く述べられており、私は今回は、若干視点を変えまして、財政の面、いわゆる自主財源の拡大、課税権の移譲に力点を置いて質問をいたしたいと思います。  この地方分権改革、いわゆる政権交代後は地域主権とも呼ばれておりますが、国政の重要課題として、そして我が国の政治あるいは行政のあり方を根本的に変える改革として、長年議論がなされ推進されたところであります。  これまでの分権改革の経緯を振り返ってみますと、平成五年、宮澤内閣のときに国会において「地方分権の推進に関する決議」がなされ、平成七年、村山内閣で地方分権推進法が成立し、諸井虔氏を委員長とする地方分権推進委員会が総理府に設置されました。その後、村山、橋本内閣のもとに五次にわたる勧告を総理に提出し、それを継承した小渕内閣のもと、平成十二年に地方分権一括法が施行され、この地方分権一括法により機関委任事務の廃止、国の関与等の抜本的見直しが実施され、法的には国と地方は上下関係から対等な関係になりました。  その後、平成十五年、小泉内閣により骨太の方針が閣議決定され、三位一体の改革、三兆円の税源移譲等が実施されたわけでございますが、この三兆円の税源移譲については、地方交付税交付金の大幅な減額という副作用も伴いましたけれども、そして平成十八年、安倍内閣による地方分権改革推進法が成立し、翌平成十九年、丹羽宇一郎氏を委員長とする地方分権改革推進委員会が内閣府に設置されたのであります。  その後、安倍、福田、麻生内閣のもと、四次にわたる勧告を総理に提出し、その内容の一部は現在衆議院で継続審議中となっております地域主権改革関連三法案となっております。  そこで、次の二点について知事の所見を伺います。  まず一点目、これまでの地方分権改革に対する評価についてであります。  地方分権一括法あるいは三位一体改革など、これまでも地方分権改革は一定の成果を上げているものもありますが、そうでないものもあり、私は総じて、いまだ道半ばと思っております。  知事は、これまでの分権改革で成果が上がったもの、まだ上がっていないものについてどのような認識を持っておられるか御所見を伺います。  次に二点目、自立した地方税財政制度の確立について、いわゆる課税権の拡大についてであります。  地方分権において、地方の権限移譲が進んでも、それを裏づける財源が確保されなければ真に地方分権が進んだとは言いがたいと思っておるわけでございます。また、その財源を交付税あるいは交付金、補助金といった国からの移転財源に頼っていては、国の方針一つで地方は財政運営が不安定になることから、できるだけ地方税を中心とした地方税財政制度にしていく必要があると考えるわけでございます。  例えばでございますが、今話題になっている消費税ですが、五%を一〇%にするという議論がございます。この五%分を地方消費税として位置づければ、一%で二兆五千億円と言われておりますので、五%で十二兆五千億円となります。現在一%分が地方消費税ですので、国に返還したとしても十兆円の財源が生まれるわけでございます。  都市と地方の格差が生じるという議論もございますので、この格差を是正する財源調整機能も地方が担います。これでもまだひずみが生じるなら、それこそ交付税で調整するということも可能だと思われます。  交付税は、傾斜配分を強化して、すべて財源調整機能として位置づける、こういうことによって今年度十七兆五千億円と言われる交付税の大幅な削減が可能になるとも考えます。クリアすべき課題は多いと思いますが、自主財源確保に向けて大いに地方から発信すべきだと考えております。そして、国からの交付税や補助金に頼るのではなく、真に自立した地方になることを目指すべきであります。  地方税財政制度確立に向けた知事の御所見を伺います。  次に、「佐賀県・市町行政調整会議(仮称)」についてであります。  私はかねがね、県と市町のトップが胸襟を開き、地方分権やあるいは県、市町の重要な施策、行政課題等を協議する場が必要と考えております。そういう意味で、今回の「県・市町行政調整会議(仮称)」の設置については大いに評価するものであります。今でも知事と市長、町長、あるいは市町の議長との間でおのおのの会議が開かれておると思いますが、私も何回か町長の代理で出席した経験がございます。  私の記憶では、まず知事があいさつを兼ねて、県政について報告あるいは説明をし、首長会の代表があいさつをすると。あとは協議というより首長さんたちのいわゆる要望、陳情の場であったような気がいたしております。かなり以前のことですので定かではありませんが、私の感覚では、やらないよりやったほうがましかなといったような感じでした。  それが今回、提案事項説明要旨でも──これもちょっと読んでみますと、「本県におきましても、地方分権の推進を図るため、『県と市町の協議の場』の設置に向けて検討を進めておりましたが、今議会後にも、『佐賀県・市町行政調整会議(仮称)』として設置することとしたいと考えております。」と力強く述べられております。  特に最近の県、市町を取り巻く環境は、財政問題を初め大変厳しいものがございます。少子・高齢化、地球環境の変動、厳しい経済情勢など、社会経済情勢が大きく変化する中、佐賀県は福祉、環境、教育、雇用経済、社会資本整備などにわたり課題が山積いたしております。  このような中、県民の暮らしを守り、さらに佐賀県全体を将来に向けて成長、発展させていくには、ともに地域の行政を担う県と市町が、その時々の課題を共有し、緊密に連携を図り、スクラムを組んで対処していくことが重要であると考えております。  特に、住民に最も身近な自治体である市町については、先ごろ閣議決定されました地域主権戦略大綱で、基礎自治体への権限移譲が盛り込まれているなど、その役割は今後ますます拡大するものと思われます。  このような状況下、県と市町の代表者が対等な立場で率直な意見交換を行い、ともに地域の課題の解決を図っていく場を常設的に設置することは非常に有意義なことだと考えております。  そこで、次の四点について知事の御所見を伺います。  まず一点目、行政調整会議の設置の意義についてであります。  行政調整会議の設置の意義について、知事はどのように考えておられるのかお伺いいたします。  二点目、行政調整会議の設置経緯についてであります。  行政調整会議は、どのような経緯から今回設置することにしたのか。また、会議の設置に当たっては、市町側と十分な調整が行われたのかお伺いします。  三点目、行政調整会議の目的についてであります。  行政調整会議の設置目的はどのようなものかお伺いいたします。  次に四点目、行政調整会議協議対象事項についてであります。  行政調整会議は、どのようなものを協議対象としていくのか。また、具体的に想定しているのはどのような事項なのかお伺いいたします。  次に三項目め、国民健康保険の広域化についてであります。  この件につきましては、昨日我が党の坂口議員が質問されましたので、重複する部分があるかもしれませんが、今回の質問は角度を変えまして、医療費ではなく保険制度、いわゆるなかんずく財政面から質問をいたします。  この国民健康保険制度は、昭和三十六年、国民皆保険としてスタートしたと記憶いたしております。しかし、約五十年を経過した今日、少子・高齢化等社会経済情勢が大きく変化する中で、多くの制度疲労を起こしていると言っても過言ではないと思っておるわけでございます。  御承知のとおり、現在の国民健康保険はそれぞれの市町村で運営されており、先般の新聞報道によりますと、県内二十市町のうち半数以上の十二市町が単年度赤字、累計赤字は八市町にも上るとあり、この五年間でほとんどの自治体が保険料を引き上げている。最も上げ幅の大きい自治体は、一・六八倍にも上っており、住民は重税感にあえいでいると報道されております。  私の経験則からいいますと、特に小さな自治体ほど運営が大変であります。インフルエンザの流行やがん、心臓病、人工透析患者が出ますと、途端に運営が厳しくなり、市町によっては一般会計から多額の繰り入れでしのいでいる状況にあると思われるわけでございます。このような状況を勘案すれば、市町単独での国民健康保険の運営はもう既に限界に来ていると考えたほうが自然であろうと思います。  幸い、市長会や町村会から知事に対し、国民健康保険の広域化に向けて要望がなされたと報道されました。知事も広域化については大いに意欲的であると聞き及んでおります。市町が共通認識を持ち、全市町による広域連合で取り組んだほうが事務の効率化等、スケールメリットも発揮され、国民健康保険の財政基盤が安定するものと思われます。  これは私の私見ですが、将来的には国民健康保険後期高齢者医療制度、できれば介護保険制度まで統合すればかなりのコスト削減ができ、その分を保険給付に回すことも可能と思われます。法律等の問題もあり、また、後期高齢者医療制度は平成二十五年三月をもって廃止されますが、新たな制度も県単位で運営したほうが効率的と考えます。  この問題は、今後の課題といたしましても、次の三点について健康福祉本部長に伺います。  まず一点目、国民健康保険に対する現状認識についてであります。  県は、市町における国民健康保険の財政状況をどのように認識しておられるのか伺います。  二点目、国民健康保険の広域化についてであります。  国民健康保険の広域化に当たっては、大所高所からの議論が必要と思いますが、国民健康保険の運営基盤の安定のためにも、国民健康保険の広域化を目指すべきと思いますが、どのように考えておられるのかお伺いします。  三点目、国民健康保険の広域化の取り組みについてであります。  国民健康保険の広域化については、いろいろ課題があると思いますが、市長会や町村会からの要望に対し、今後県はどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。  四項目め、民生委員・児童委員の選任についてであります。  近年における少子・高齢化や核家族化の進展に伴い、住民の福祉ニーズはますます複雑多様化しており、介護や育児、子育て、児童虐待などが社会問題化する中で、住民を地域で支援する地域福祉の一層の推進が求められているところであります。  こうした中、地域福祉の担い手であり、無報酬の特別職として社会福祉の精神で常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努めていただいている民生委員、児童委員の方々に改めて敬意を表するところであります。  民生委員、児童委員の活動は、低所得者の自立援護を初め、社会福祉行政に対する協力など、幅広い活動が求められており、また、特に最近では、消えた高齢者と言われる所在不明高齢者が全国で相次いでいる問題においても、地域において見守り活動を行っている民生委員の重要性が改めて認識させられたところであります。  こうした状況の中で、本年十二月には三年に一度の民生委員、児童委員の一斉改選期であり、その選任に当たっては、地域の事情に明るいことや複雑で多岐にわたる福祉ニーズなどに対応でき、その地域住民の信頼性を得ることができる適格者を選任することが重要であると考えておるわけでございます。  しかしながら、近年、全国的に欠員が増加する傾向にあり、県内においても地域によってはその候補者の推薦に当たり、年金の支給年齢との関係や勤労意欲の継続などから、定年退職後も会社勤めをしている方がふえ、該当者が見つからないなど、適格者の選任に苦慮している市町もあると聞いております。  また、選任方法もまちまちで、行政が直接選任している町や、自治会長会、あるいは区長会、老人クラブ連合会、婦人会等に依頼して選任している市町もあると聞いております。  そこで、次の二点について健康福祉本部長にお伺いします。  まず一点目、民生委員、児童委員の配置及び活動状況についてであります。  県内における民生委員、児童委員の配置及び活動状況はどうなっておるかお伺いします。  二点目、選任要件の見直しについてであります。  本県において、新たに民生委員、児童委員を選任する場合は、原則として六十五歳未満の方を選任するよう努めるということになっておるようですが、高齢者社会を踏まえ、年齢要件など改選要領を見直す考えはないのかお伺いいたします。  次に五項目め、「さがびより」の販売戦略についてであります。  今年の米の需給見通しは大変厳しい状況にあると考えておるわけでございます。一人当たりの米の年間消費量は五十九キロと、ピーク時の約半分となり、減少傾向に歯どめがかからないでおります。  また、農水省は今年の米の需要見通しを八百五万トンに下方修正し、当初見込みから約八万トンも減らし、これまで最も少ない水準になると発表いたしました。  一方で、今年六月末在庫は、政府備蓄米と民間流通米を合わせ、昨年に比べ十八万トン多い三百十六万トンになる見通しを示しております。  また、八月末に公表された八月十五日現在の水稲の作柄状況によれば、早場地帯、いわゆる関東以北、それと北陸、山陰ですが、その作柄はおおむね「平年並み」、遅場地帯、これはおおむね関東以南と思われますけれども、生育状況は「平年並み」ないし「やや不良」と公表されました。しかし、八月以降好天に恵まれ、順調に生育しているものと見込まれており、「平年並み」か「やや良」に変更されることは十分考えなければならないと思っております。  全国的に供給が過剰ぎみで推移する中、経済不況も重なり、ますます米の販売価格が低迷するものと大変憂慮いたしております。このような状況下、ポストヒノヒカリとして昨年デビューしました「さがびより」については、昨年より三倍程度となる約四千四百ヘクタールが作付されており、来月には収穫時期を迎えることとなりますが、全国でも北海道の「ゆめぴりか」、秋田県の「ゆめおばこ」、山形県の「つや姫」、福井県の「あきさかり」等、続々と新銘柄米が投入され、九州でも福岡県の「元気つくし」、熊本県の「くまさんの力」、鹿児島県の「あきほなみ」が本格デビューするなど、全国的に新しい高品質米が次々と開発され、本県の「さがびより」を取り巻く販売環境はますます厳しさを増している、そういう状況にあると考えるわけでございます。  非常に厳しい状況ではありますが、ここにおもしろいデータがございます。これでございますが、(資料を示す)日本農業新聞の八月十七日の記事ですが、厚生労働省の「二〇〇八年国民健康・栄養調査結果の概要」にある朝食欠食率と総務省の人口推計、これは二〇〇八年の十月一日現在をもとに農水省が試算したデータですが、全国で朝食を食べていない人が約千七百万人、率にして一三・二%いるそうでございます。二十代では二八・一%、三十代では二四・七%、四十代では二〇・三%が朝食を食べていないということで、一年間の朝食欠食数が何と六十二億食、これに一食当たり支出を三百円と仮定して試算した結果、朝食欠食分の市場規模は年間一兆八千億円になるということでございます。そういう記事が出ておりました。  私が言いたいのは、仮に半分の八百五十万人が米の朝食を食べてもらえば、かなりの米の消費拡大につながるものと思われます。そういう状況もありますから、総花的で通り一辺倒の販売手法ではなく、ターゲットを絞り、明確なビジョンのもと販売戦略を打ち出すべきだと言いたいのであります。  そこで、次の二点について伺います。  まず一点目、「さがびより」の評価についてであります。  昨年デビューした「さがびより」について、販売店や関係者、あるいは消費者からどのような評価を受けているのか、農林水産商工本部長にお伺いいたします。
     二点目、「さがびより」の今後の販売戦略についてであります。  「さがびより」が本県を代表する米として育っていくためには、厳しい販売環境の中で、しっかりとした販売戦略を立てながらマーケットを確立していくことが重要であると考えるわけでございます。今後どのように取り組んでいかれるのか、農林水産商工本部長にお伺いいたします。  最後になりましたが、六項目め、洪水対策の対応についてであります。  近年の雨の降り方を見ておりますと、気候変動といいますか、地球温暖化といいますか、その両方相まってなのかわかりませんが、従来の雨の降り方と明らかに違い、様相が一変しておると思われるわけでございます。  限られた地域で、しかも短時間に大量に降りますし、時間最大雨量百ミリを超えるという降り方もそう珍しくもありません。被害にしても、決壊するはずのない河川堤防がいとも簡単に決壊しますし、土砂崩れ、土石流等、従来では考えられないような被害が続出しております。  七月十三日から十五日にかけての大雨による被害、また、先般は台風九号による関東、東海地方の大雨被害等、まさにそうであります。  そういう状況の中、本県の河川は一般的に流路延長が短く、特に佐賀・白石平野などの低平地では、有明海の潮の影響を受け、洪水時に満潮と重なると自然排水が困難なことや、地盤沈下、軟弱地盤等の地質の悪条件と相まって、洪水等の浸水被害を受けやすい地形的特性を有していると思われます。  これまで、河川改修、内水対策として排水機場等、治水対策が鋭意実施され、洪水に対する安全度は高まっていると考えておりますが、近年、地球温暖化に伴う気候変化による局地的な豪雨や台風の大型化などにより、河川整備の目標を超えるような洪水により浸水被害が発生いたしております。  国の資料によりますと、最近十年と三十年前を比較すると、時間五十ミリの豪雨は約一・五倍、時間百ミリの豪雨は約二・五倍に増加しておると発表されております。今年七月十四日には佐賀市古湯において、時間雨量百七ミリを観測し、道路冠水や土砂災害等、甚大な被害が発生いたしました。  このような状況を踏まえ、従来の河川整備では住民の安全・安心の確保は不十分であり、抜本的な対策が必要と考えております。  そこで、次の点について伺います。  まず一点目、河川の整備状況についてであります。  現在までの整備状況及び整備目標はどうなっておるのか、県土づくり本部長にお伺いいたします。  二点目、超過洪水への対応についてであります。  計画を超える洪水に対しては、計画規模を見直し、整備する必要があるのではないのか、また、これまでどのような取り組みを行い、今後の対応についてはどのように考えておられるのか、県土づくり本部長にお伺いいたします。  以上です。(拍手) 9 ◎古川知事 登壇=古賀善行議員の御質問にお答えします。  まず最初に、地方分権改革についてでございます。  一点目は、これまでの地方分権改革に対する評価についてのお尋ねでございます。  議員からも御指摘がありましたように、これまでの地方分権改革については、目指すべき到達点、ゴールから見れば、依然道半ばであると私も認識をしております。ただ、少しずつではありますが、この十年の間に確実に進んでいることもまた事実であると考えております。  具体的には、地方分権一括法において機関委任事務という、いわば自治体が国の出先機関のような仕事をしていた制度が廃止をされました。そして、国が地方に関与をするときには、どのようなルールで行わなければならないのかということが決められました。  また、問題はありましたが、三位一体改革において、国から地方へ三兆円の税源移譲が実現したということも大変大きなことでございました。その際、交付税の減額があったのは議員御指摘のように、思わぬ副産物といいましょうか、非常な副作用でございましたが、これについても本来あるべき交付税を取り戻すということを地方一丸となって現在取り組んでいるところでございまして、特にことしの予算では原口総務大臣の御尽力もあって、一兆円を超える交付税の復元を実現することができているところでございます。  また、当時は実現することが難しいと思われていた国と地方の協議の場についても、この必要性についての関心、理解が特に昨年の衆議院選挙を機に非常に飛躍的に高まりまして、既に国会に法案が提出されるような状況になってまいりました。国と地方が対等の場で協議をする必要があるということについて、これだけの進展があったことも大きな成果ではないかと思います。  また、実務的なことから申し上げますと、本年度から国が直轄で行う事業について、これまで県が維持管理費についても負担金を払うことを義務づけられておりましたが、この数十年にわたる地方六団体の願いが届けられ、ことしから維持管理費の負担金が廃止をされました。また、補助金にかかわる事務費がそれに伴って廃止をされたことによりまして、国と地方のいわば全体的なもたれ合いというものが、少しずつではありますけれども、整理されていることを実感しております。  しかし、今なおまだまだ義務付け・枠付けが数多くあることや、何かあればすぐ国が役割分担と関係なく何か出てくるということがあり、どうも国と地方の役割分担がまだ明確ではないということ、そのほか国の出先機関と都道府県とが二重行政をやっているということなど、課題もまだまだ多いと考えておりまして、こうしたことについて引き続き改革を進めていく必要があると認識をしております。  次に、自立した地方税財政制度の確立について、議員からは例えばの例として消費税を一〇%にして、その半分の五%を地方消費税にしてはどうかというお尋ねでございます。  地方税財政制度の改革に当たりまして、地方自治体が自立した地域経営をできるようになるためには、何より自立した税財源を確保することが大事でございます。  これまでも主張をしてまいりましたが、基本的には国から地方に税源移譲を進める、仕事が国から地方に移っていくということであれば、それに見合った形で地方税を充実するということが求められるのが基本でございます。その際には、地域間の税収の偏在性、つまり都会と地方とで余り差の少ない税、そして景気の動向に税収が左右されにくい税、その意味で地方消費税の充実をまず考えるということが必要であると考えておりますし、それだけでは十分ではありませんので、やはり財政調整制度というものを安定的な制度にすることが必要であると考えております。  また、現在は地方において独自の課税を行う余地は極めて限定的でございますが、自立した地方税財政制度の構築に当たりましては、地方の課税自主権を強化する方向で検討することも不可欠と考えております。  今後、地方の税財政制度改革は、地域主権改革だけでなく国と地方を通じた抜本的な税制改革の中でも考えていかなければなりません。  私としては、今申し上げたことを主張することによりまして、自立した地方税財政制度の確立に向けて取り組んでまいりたいと存じます。  次に、「佐賀県・市町行政調整会議」についてのお尋ねでございます。  行政調整会議の設置の意義について、どのように考えているのかというお尋ねでございます。  今回設置をすることとしております佐賀県と市町の行政調整会議は、国と地方が対等の場で協議を行おうとしていることと、いわば考え方を合わせまして、県と市町も同じような形でやっていこうということでつくろうとしているものでございます。  この会議を立ち上げることによりまして、県と市町の役割分担を大きく変えるような重要な課題について、包括的、そして継続的に協議をする場をつくるということは、お互いに本当に対等な立場で話し合いをして、新たな自治体同士の関係を構築する上で意義深いものと認識をしております。これは、これまでの会議がややもすれば県として決まったことをお伝えする伝達の会議であったということから、企画立案の段階からお話をし、一緒につくり上げていくということが、この会議の大きな意味であろうと考えているところでございます。  それぞれ市町、そしてまた佐賀県という、それぞれの地域の経営、そして将来に責任を持つ立場で真剣な議論をお酌み交わしたいと考えているところでもございますし、また、こうしたことを行うことによって、現在、残念なことに国会で継続審議となっております国と地方の協議の場の議論の後押しにもなればと考えているところでございます。  次に、行政調整会議の設置経緯についてでございます。  県のほうから佐賀県版の協議の場の設置について、市長会、町村会に持ちかけをいたしました。そうしたところ、両会から具体的な提案をいただいたものでございます。ただ、その際には私どものほうで案を示して、これでどうだということはいたしませんでした。これは私の強い意志でございまして、県が何かモデルをつくって、これでどうだというふうにするのではなく、市長会や町村会として見た会議に望むもの、そのあり方について具体的に提案をしていただきたい。そうしたものを受けて調整していきましょうということを何度も申し上げ、その結果、市長会からも町村会からも具体的に御提案をいただき、それを調整して今回の行政調整会議の設置に至ったものでございます。  こうしたやり方そのものが、これまでのような県が提案をしということではない形、新しい形を示しているものであると考えているところでございます。  行政調整会議の設置目的はどのようなものかというお尋ねでございますが、これはこうした協議を通じて、施策をつくっていく段階から県と市町が緊密に意見交換をすることによって、お互いの信頼関係を高めていくことを目的にしたいと考えておりますし、こうしたことをやることによって、県、市町を通じた効果的な行政を実現することができると考えております。また、さらに進んでいけば、県と市町の役割分担の明確化ができると考えております。そうすれば、より住民に近い市町へ県からの権限移譲を推進することもできると考えておりますし、そうなれば地域における住民主体の行政を確立することもできると考えております。  私から最後でございますが、行政調整会議はどのようなことを協議対象としていくのかというお尋ねでございます。  まだ具体的にはこれというものをしているわけではございませんが、こういう場で議論をするにふさわしい重要な施策、または広範な影響の及ぶものということであろうと思っておりますが、県が必ず提案すべきものとして私どもが考えていますのは、市町に新たな事務が発生する重要な施策に関する事項、それと、市町の財政に影響が及ぶ重要な施策に関する事項を考えております。また、県側と市町側のいずれからも提案できるものとして、県と市町が共同で取り組むべき重要な事項と考えておりまして、幅広い範囲を協議の対象としたいと考えております。  ただ、余り協議の対象事項をふやしてしまいますと、項目だけを挙げるような形式的な会議になりかねないというおそれもございますし、それぞれお忙しい中で限られた時間での議論となっておりますので、ここはある程度優先順位をつけていくことが求められるのではないかとも考えているところでございますが、いずれにしても形式的なものになるのではなく、実質的な会議を施行したいと考えております。  このほか、例えば県営事業負担金のあり方でありますとか、国民健康保険の広域化でありますとか、こうしたことも当然のことながら対象にしていきたいと考えているところでございまして、同じことを同時に議論をしていくことによって、みんなが同じ気持ちになるということが何より大切なことではないかと思っておりまして、よりよい佐賀県をつくり上げることができるように、市町と協力して全力で取り組んでまいりたいと存じます。  以上でございます。 10 ◎平子健康福祉本部長 登壇=私のほうからは、国民健康保険の広域化と民生委員、児童委員の選任についてお答え申し上げます。  まず、市町国民健康保険に対する現状認識についてですが、これはもう議員御指摘のとおり、市町国民健康保険の財政状況は厳しいと認識しております。決算ベースで累積赤字を抱える市町については、平成十八年度四市町、これが計十三億八千百万円、平成十九年度四市町、計二十一億一千二百万円、平成二十年度八市町、二十六億七千五百万円と、増加の傾向にございます。  また、単年度収支で見ますと、赤字の市町は平成十八年度十二市町、これが十億円、平成十九年度十六市町、十六億二千万円、平成二十年度十二市町、十二億五千七百万円と多くが赤字になっており、財政状況は恒常的に厳しくなっております。  もともと国民健康保険は、他の医療保険に比べると、高齢者や低所得者の加入割合が高いという特徴があり、今後も少子・高齢化の進展、医療費の増加に加え、近年は雇用情勢の悪化により、無職者が増加し、保険税の収納率が低下するなど、財政運営の厳しさを増していくものと考えております。  次に、国民健康保険の広域化についてです。  市町の国民健康保険においては、特に小規模な自治体では、国民健康保険財政の規模も小さく、運営が不安定となりやすいなど、構造的な問題を抱えており、これまでどおりの市町単位の運営では、その解決が困難となってきております。  国民健康保険の一つ一つの運営規模が大きくなれば、議員からも御指摘がありましたとおり、医療費の一時的な増加にも余裕を持って対応できるなど、財政的な安定が得られるものと期待されます。  また、平成二十五年四月から予定されている新しい高齢者医療制度については、新たに県単位の運営主体が設けられる方向で検討がなされており、それとの整合性を勘案すると、国民健康保険の将来的な広域化については議論が進展すると考えております。  国民健康保険の広域化の取り組みについてです。  議員御指摘のとおり、市町の国民健康保険の広域化を進めていくに当たっては、例えば、市町の間で保険税の算定方式、被保険者である住民の年齢構成や所得分布、医療給付費、健康づくり事業や医療費適正化策、収納率などが課題であると考えております。  先般、佐賀県市長会からは、国民健康保険財政安定のための広域化等支援方針の策定及び広域化の協議の場の設置について、また、佐賀県町村会からも県の強いリーダーシップを要請されたところであり、すべての市町がおのおのの抱える個別の課題を乗り越えて、広域化を目指す強い決意が示されたところと承知しております。  県といたしましては、市町の意見を聞きつつ、広域化等支援方針の策定の検討を行うため、市町の意見調整を図る会議の設立準備を進めており、こういったことを通じて広域化に向けての環境整備を支援してまいりたいと考えております。  続きまして、民生委員・児童委員の選任についてです。  まず、配置及び活動状況ですが、本県の平成二十二年八月末現在の民生委員、児童委員の定数は二千百十九名、現員数二千百十六名で、欠員三名、充足率九九・八%となっております。  現在、地域を担当する民生委員、児童委員の定数は、人口十万人以上の市では百七十から三百六十世帯に一人、十万人未満の市では百二十から二百八十世帯に一人、町では七十から二百世帯に一人という配置基準をもとに、市町の御意見を伺いながら決定しております。  平成二十年度に本県民生委員、児童委員が処理した一人当たりの相談件数は四十三件、これは全国では三十二件、調査、実態把握などの活動件数は百二十六件、全国では百十件、訪問回数は百六十三回、全国では百四十五回、活動日数は百四十日、全国では百二十六日となっており、全国平均を上回る活発な活動を行っていただいているところであります。  次に、選任要件の見直しです。  民生委員、児童委員が地域社会の信頼を得て、住民の期待にこたえるためには、活発な行動力と柔軟な指導力が求められていることから、新任者は原則として六十五歳未満の方を選任することとしております。  しかしながら、地域の実情により、六十五歳未満の方の選任が困難な場合もあることから、選任予定者の健康状態、地域住民の信望なども勘案の上、認めているところであります。  本年の一斉改選については、現在の充足率が九九・八%と高いことなどから、引き続き新任者は原則として六十五歳未満とすることとしておりますが、超高齢社会が進む中で、今後については市町の御意見や地域の実情を勘案しながら、年齢要件の緩和などについても検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 11 ◎飛石農林水産商工本部長 登壇=私からは、「さがびより」の販売戦略について二点お答えさせていただきます。  まず、「さがびより」の評価についてでございますが、評価につきましては、昨年十一月一日販売開始以降、毎月一回程度、県内の販売店に出向きまして、店頭価格の調査や販売状況の聞き取りを行ってきたところでございます。  店頭価格につきましては、発売当初より、ヒノヒカリと同等程度の価格で推移しておりまして、直近七月の調査では、五キログラム平均で「さがびより」千八百五十六円、ヒノヒカリ千八百四十七円となっております。  また、販売店、あるいは消費者の方々の反応でございますが、一部で発売当初のようにPRを積極的に実施していないという事情もございまして、販売に勢いがない、あるいは「夢しずく」のほうがおいしく感じるとの御意見がある一方で、売れ筋銘柄で特売しなくてもよく売れる、販売量としては「夢しずく」に次いで「さがびより」が定番でよく売れている、リピーターがついてきているなどの評価をいただいております。  また、県外の埼玉や大阪の販売店からでございますが、炊き上がりの光沢がよく、見た目がよい、粒が大きい、時間がたってもおいしいという特徴どおり、しっかりとした粒感のあるお米として家庭用、業務用、どちらにでも向いているなど、全体としては好評で一定の評価をいただいているところでございます。  それから、販売戦略でございますが、来月に収穫される今年産につきましては、作付面積が昨年の三倍と大幅に拡大し、JA系統で一万七千トン程度の集荷が見込まれますことから、販売に当たりましては、エリアといたしましては県内でのさらなる定着に努める、そしてあわせまして、やはり人口が多い福岡都市圏、こういったものを中心として認知度の向上、販売拡大に積極的に取り組むと、このように考えております。  それから、「さがびより」は粒が大きくて、しっかりとしており、時間がたってもおいしいなどの特徴があるわけでございます。さらに、本県は集落営農の組織化や共同乾燥調製施設の整備が進んでおりますことから、一定の品質の米が安定して供給できるというメリットを生かしまして、長期安定的な販路確保を目的といたしまして、業務用途への販売も推進していくこととしております。例えば、無菌パックの米飯パックとかそういうのがございますし、コンビニエンスストアのおにぎり等への提案、こういったことにもしっかりやっていきたい。  それから、先ほどの家庭用の販路拡大、認知度向上の具体的なものでございますが、やはり販売店からは、マスコミなどにしっかりと露出して宣伝してもらうことがやっぱり手にとってもらえる、そして売れ行きが伸びると、こういうこともございましたので、例えば、福岡民放でのテレビコマーシャルの放映だとか、新聞や雑誌を活用した広報や試食宣伝に取り組むこととしております。  さらに今年度からは、国の緊急雇用創出基金事業を活用いたしまして、卸売会社に営業員を配置しまして、店舗において試食宣伝等を実施するなど、新規市場の開拓に取り組んでいるところでございます。  また、新たな業務用途への販売を確実なものとするため、現在JAにおかれましては、「さがびより」の特徴をPRしながら、収穫前契約の成立を目指して努力をされているということで聞いております。  先ほど議員のほうから朝食欠食を取り込めば、かなりの消費拡大にもつながるのではないかという御提案、私もそのとおりと認識しておりまして、御飯食の普及による米の消費拡大を図るため、佐賀県米消費拡大推進協議会、こういったものも設置しておりますので、これらの機関とも連携しまして、消費拡大等を推し進めながら、販売促進活動にもしっかりと取り組んでまいりたいと、このように思っております。  以上でございます。 12 ◎牟田県土づくり本部長 登壇=洪水対策の対応について二点お答えを申し上げます。  まず、河川の整備状況についてでございます。  県が管理しております河川の総延長は一千三百七十七キロメートルでございますが、このうちの七六%、延長で申しますと一千四十五キロメートル程度につきましては、何らかの改修が必要と判断しているところでございます。  こうした河川の整備に当たりましては、河川の規模や想定されるはんらん区域の人口、資産等を踏まえまして、比較的規模が大きい河川につきましては、年超過降雨確率三十分の一から五十分の一、時間雨量で申しますと、おおむね七十ミリから九十ミリに対応できる計画規模で整備を進めております。また、比較的規模が小さい河川につきましては、年超過降雨確率十分の一、時間雨量といたしましてはおおむね六十ミリ程度に対応できる計画規模で整備を進めておりまして、平成二十一年度末現在の整備率は全体で四七・七%となっている状況にございます。  次に、超過洪水への対応についてでございます。  議員御指摘のように、近年各地でゲリラ豪雨が多発をいたしておりまして、局所的には計画を上回る降雨が記録されることも珍しくない状況にございます。今後はこれらの超過洪水に対する備えも重要になってくるものというふうに考えております。  ただ、現時点で河川の整備計画を見直すかどうかということにつきましては、先ほど申し上げました基準での整備率がまだ五〇%にも達していないという状況の中で、県全体の治水を行う上での公平性や上下流のバランスといったような観点から、当面は難しい面が多いというふうに考えているところでありまして、まずは現在の河川整備を引き続き進め、治水安全度の向上を着実に図っていくことが重要であるというふうに考えております。  こうしたことから、現状の整備水準を超える洪水への対応といたしましては、洪水の状況を的確に把握し、危険な場合は早期に避難してもらうというソフト対策に鋭意取り組んでいるところでございまして、県ホームページ上での河川水位、雨量情報等の公表や県内十八市町への洪水ハザードマップの作成支援を行っているところでございます。  さらに、今年七月二十日からは、国やNHKとの連携により、県内の河川水位や雨量情報がNHKの地上デジタル放送により、ほぼリアルタイムに提供をされ始めたところでございます。  県といたしましては、今後とも国や市町と連携を図りながら、河川整備等のハード対策にあわせてこうしたソフト対策を推進してまいりまして、県民の安心・安全の確保に努め、努力をしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。 13 ◎伊東猛彦君(拍手)登壇=通告に従いまして、三項目質問をいたします。  まずは、知事の基本的な政治姿勢について問いただします。  古川知事は、平成十五年に佐賀県知事に就任され、今日まで二期八年の最終年の任期であり、残すところ約六カ月であります。平成十五年知事就任時は、第一次小泉純一郎内閣でありました。その後、安倍首相、福田首相、麻生首相、鳩山首相、そして菅首相、そしてまた、民主党の代表選の結果がどうなるかというのが現状であります。  古川知事二期八年で総理大臣は六人かわりました。小泉総理以来、予算編成をすれば、次年度は違う総理、このような事態は日本の政治にとって決していいことではない、ただそれが今、現実であるというのが日本の政治の実態であります。  本年七月十一日に投開票された参議院選挙は、昨年八月の衆議院選挙で政権交代をした民主党の政権運営を問う選挙であり、民主党に対して有権者は厳しい判断を下しました。国民は我が自由民主党に対しては、政権復帰までは望まず、民主党の独走を阻むために今までと違う野党として建設的な役割を求めていった結果であると、私自身はこの参議院選挙をそのように総括をしております。  私は国と地方の協議の場など、地域主権改革三法など、国と地方のかかわる基本的な施策については、大局的な視点に立った与野党の政策協議の場が必ず必要であると思っております。  古川知事は参議院選挙後の全国知事会において、ねじれ国会では全く法案が通らないと懸念を表明されております。古川知事、今のねじれ状態で部分連合なのか、連立を求めていくのか、はたまた違う形があるのか、これからの政局次第でございますが、今後の民主党政権にどう向き合っていくのか、そのことも問いただしたいと思います。  古川知事一人で総理六名の現状、古川知事は二回の選挙でマニフェストを掲げ、当選後、みずから予算を組み、それを議会に提案し、そして成立した予算をみずから執行され続けてこられました。知事の権限の源はこの予算の編成であり、知事の力は予算づくりを通じて県内すべてに行き渡ります。権限と権力が知事には集中をしております。「権力は必ず腐敗をする」という言葉があります。権力がよどみ、県庁内の組織体の中でも声が届かず、また、県民の声が届かない県政運営になることを私は最も懸念をしております。  私はここで平成十五年六月議会において、歩むべき知事像についてお尋ねしたことを振り返り、その際、私はマックス・ウェーバーの「職業としての政治」を例に挙げながら、歩むべき知事像を問いただしました。  政治家にとって情熱、責任感、判断力の三つの要素が最も必要であると述べられております。また、政治とは、かたい岩場をのみで砕く作業であるとも言われます。それがどんなに困難であろうと、どんなに大変であろうと、それにもかかわらずという思いがあり、また、進めることができる人だけが政治に携わる資格があると、マックス・ウェーバーは述べております。  私は、三選出馬を表明された今議会、改めてこの問いを思い起こしていただきたい。常に未来を見据え、県民の声に謙虚に耳を傾け、事に当たってほしいと、強く思う次第であります。
     古川知事は、去る九月六日に記者会見を開かれ、来春の佐賀県知事選挙に三期目の出馬をされる意思を固められました。その中でこれまでの八年間を振り返り、「佐賀県を二十一世紀にふさわしい日本をリードする地域にしていきたい。そのためには、佐賀県そのものをいわばスペックを新しい時代の仕様に変えていきたい、そういうつもりで県政の土台から県政のさまざまな分野にわたる改革を進めてきた。」、さらに、「次の四年間、もし機会が与えられるならば、これまで手がけてきたものの、いわば花を開かせたい。」と発言をされました。  古川知事がこのように三選出馬の決意を表明された中で、次の点についてお伺いします。  第一に、県政のトップとしての責任の重さ等についてであります。  三選出馬を表明されましたが、これまで二期七年半の中で、商工共済問題、牛肉等の未検疫問題など、みずから給与カットされるなどして責任の所在を明らかにされてこられました。  例えば、平成十九年六月の本会議場において、商工共済破綻問題についてでありますが、「今回、給料の全額減額を御提案させていただいておりますのは、判決において県の法的な責任が認められたということでございます。その結果、公金をもって被害者の方々の損害を賠償することになったということから、県政のトップとしてその責任を明らかにするために御提案させていただいているものでございます。」と。それに続けられて、「最高責任者である知事については、例えば、停職だとか、戒告とか、そういったものが法律上というか、自分が自分自身に対して処分をするということになりまして、それが考えられないということで、具体的な責任のとり方としては給料を減額するということしかないと考えておりますが、(中略)こうしたことをせずに済むように適正な県政の経営運営をしなければならないという点」と、そういうことでありましたり、二十一年九月の佐賀牛動物未検疫にかかわる問題については、「たびたび給与返上をする事態に至っていることについて、これらはいずれも県政に対する信頼を損ねるものであり、重く受けとめておりますし、大変申しわけなくも思っているところでございます。」。また、それに続けて、「私自身が変わっていかなければならないということを強く心に刻んでいるところでございます。足元をしっかり固めて、目線を常に県民に置いて県政に取り組んでいく」と、そういうことを表明されておる次第であります。  現職で責任のとり方が給与カットということで表現することしかない、そして再発防止等の対応をとっていくと、県民に対する信頼を回復していくと、そういうことで今日までこられたと思いますが、改めてこれらのことを振り返って、為政者としてどのように責任の重みを感じ、また、先ほど述べたことなど等から、どのようなことを教訓としているのか。また、冒頭申し上げました民主党政権とどう向き合い、総務省顧問としてどのような助言を行ってきたのか、そのことをまずお尋ねをいたします。  この項の二番目、先ほども議論されておりましたが、国と地方の協議の場についてであります。  国と地方の協議の場については、地方六団体が長年設置を求めてきたものであり、ぜひとも法案の早期成立が必要であります。私は、国と地方の関係を考える際には権限移譲だけではなく、税源配分も大胆に見直さなければならないと思います。このことが非常に簡単にいかない現実もございます。  地方六団体として、国と地方の税源配分を五対五とすることを求めておりますが、真の地方の自立のためには、国から地方への税源移譲を進める必要があり、そのためにも国と地方の協議の場の活用が不可欠であります。ついては、「国と地方の協議の場の設置法案」の早期成立と協議の場の活用に関する知事の考えをお尋ねします。  この項の三番目であります。県の財政運営についてであります。  古川知事の一期目、平成十六年に小泉内閣の折でしたが、地方交付税が大幅に削減される交付税ショックがありました。この影響を受けて、県政が大幅な財源不足の状況に陥り、県では佐賀県行財政改革緊急プログラム、いわゆる緊プロを策定され、歳入歳出両面から自立した財政構造の確立に向けた取り組みをされてまいりました。  地方交付税の削減は、その後も見込みを大幅に上回って続きました。さらなる財政の健全化のため、古川知事の二期目、平成十九年に緊プロバージョン2.0を策定され、当面の財源対策に取り組まれました。  緊プロを策定した十六年以降、県では毎年厳しい圧縮率をかけて予算の重点化を行い、県職員の削減、給与カット、内部経費の削減にも取り組まれ、非常に厳しい財政状況の中で県財政を運営されてきた次第であります。  この厳しい状況は佐賀県のみならず、どの地方団体でも同様でありますが、今年度は特に景気の悪化、円高、株安、地方税の大幅減収が見込まれ、地方財政は一層厳しくなってまいりました。  平成二十二年度の地方財政対策において、地方交付税の一・一兆円の増額は、これは政権がかわった地方主権を唱える民主党政権のある意味ではあかしでありましょう。  緊プロの計画期間が今年度までとなっており、今議会において平成二十三年度以降の県財政収支について、国の財政運営戦略において、地方の一般財源総額が確保されたケースとそうでないケースの二通りの試算が出された次第です。  私は一般財源等(県税、地方交付税等)が前年度並みに確保されて続くというケースAというのはもうあり得ないと思っております。県財政当局が試算した結果でありますが、今後の財政運営を考える上で、議会、県民への現段階での財政検討材料の提供だというふうに受けとめております。  本来であれば、財政収支の試算を受けて、どのような対策を行っていくのかということを議論しなければなりませんが、平成二十三年四月には知事選挙を予定されており、平成二十三年度当初予算は義務的経費を中心とした骨格予算とならざるを得ないと、マニフェストなどを反映した予算というのは知事選挙後の補正予算、肉づけ予算ということになろうかと思います。  県の総合計画は四年ごとの策定ということになっております。それを支える財政計画も骨格予算の段階では示せ得ないと思いますが、国の平成二十二年度予算については、民主党にかわって本格的な予算編成だと思いますが、一般会計総額は約九十二兆円という過去最大となっております。  昨年、税収が三十七兆円に対して新規国債発行額約四十四兆円と、戦後六十数年、昭和二十一年以来の、税収より赤字国債発行高が上回るという、そういう予算を組まれたゆゆしき事態があったわけであります。国の社会保障費が高齢化の進行により毎年約一・三兆円規模で自然増が見込まれており、これらを踏まえますと、今回示した県の収支試算についても、もっともっと厳しく見ざるを得ないというふうに考えます。緊プロ後の新しい対策は、現在の対策以上にならざるを得ないと私は危惧をしております。  ついては知事が、現在の県の財政状況についてどのように認識し、緊プロ後の新しい対策をどのように考えておられるのかをお尋ねします。  次は、古賀議員が詳しく触れられましたが、県と市町の協議の場についてであります。  知事は、これまで二期七年四カ月少々県政を運営するに当たり、住民に最も身近な行政は市町であると、協力しながらやってこられたと思いますが、これまでも市長会、町村会、市議会議長会、町村議長会等、要望、話し合う場は相当あったと思います。それぞれのやりとりもされたことでありましょう。  このような中、今議会に提案されている新たな県と市町の協議の場、先ほども答弁あっておりましたが、県と市町の協議の場を改めてつくると、協議の場がなかったわけじゃないし、あったであろうと、それを一歩進めてということだと思いますので、改めて考えをお尋ねします。  この問いの五番目、口蹄疫を通じた危機管理についてであります。  宮崎県で発生した口蹄疫については、最終的に約二十九万頭もの家畜が殺処分され、畜産業はもとより地元の商業、観光業など、地域経済社会のあらゆる分野に甚大な被害、影響を与えたところであり、宮崎県の試算によりますと、今後五年間の経済損失は約二千三百五十億円に上るという大惨事となりました。  この口蹄疫はまさに有史以来、ここまでの事態はあっておりません。国家存亡の危機的な状況であったと私は認識をしております。  私は口蹄疫については、まず県内に入れさせない、侵入させない、万が一でも徹底して封じ込めて、より被害を広げないことが極めて重要であったと考えております。  このような中で、県は、宮崎県での口蹄疫の発生、拡大に伴い、消毒液の配布、県境での消毒ポイントの設置、ウイルスの侵入防止を図るためのさまざまな取り組みを関係団体のいろんな声を受け、それは、畜産農家を初めとして叫び声であったと。それを受けて実施されてきたと思っております。  しかしながら、報道によりますと、宮崎県においては発生確認のおくれや感染家畜の殺処分のおくれ、初動対応のおくれが指摘をされております。また、口蹄疫が発生した現地のJA、消防、警察、建設業が昼夜を分かたない懸命な防疫措置を取り組まれている中で、国と県との間での危機管理体制の連携が十分でなかったと思っております。農水大臣の対応も非常におくれたと。政治主導を唱える現場の声を吸い上げることにやはり時間がかかったという、この政権のシステム的なことも非常に対応できない事態になったと私は認識をしております。対応が非常に後手に回りました。そのことがさらなる発生を拡大させました。  本県の行動指針策定に当たっても、初動対応開始に重要な口蹄疫発生の判定については、国に権限があります。県としては、その判断を待つしかないという課題、またもどかしさもあったと認識をしております。  今回の宮崎県の口蹄疫の発生は、危機管理発生時に行政のトップとして何を決断するかが問われた案件でありました。  そこで、知事が、今回の口蹄疫を通じた危機管理のあり方についてどう対処し、どう考えたのかをお尋ねします。  次の項目に移ります。  二項目めは、国際交流の推進についてであります。  県においては、これまでもアジアを中心に、特に韓国、中国との国際交流に取り組んでこられました。しかしながら、グローバル化が急速に進展している中で、日本を取り巻く国際環境は大きく変化をしてまいりました。特に昨今、東アジアの経済成長は目覚ましいものであり、豊かさを示す購買力平価、一人当たりの国民総生産で見ると、日本は台湾、韓国の猛追を受け、ほぼ肩を並べることになっております。また、本年度中には中国が日本のGDPを追い抜き、世界第二位の経済大国になると言われております。このことは、残念ながら日本の存在感がアジアの中において急速に失われつつあると思います。  私もこの七月に、香港、マカオに行った折、香港の総領事の方とお話しした折も、香港から日本の企業が出ていって、シンセン等に集中をして、香港としての日本びいき的なものはそんなに変わらないが、中国本土の力が圧倒的に増していっている。そういう危機感をお話になって、やはり香港でも日本の存在感がじわじわじわじわ薄れつつあるなと、そのようなことを感じた次第であります。  この状況は、本県が本格的に国際交流を始めたころと大きく変わりました。これまで交流を進めてきた中国、韓国との交流は、今後の両国の経済発展や地理的な近さを考慮しますと、ますます重要になると。今後は日本が力を受けて、その力で先に進んでいくということも大きく考えなければならないと思っております。  韓国全羅南道とは、この秋に友好交流協定を締結するとの話も聞いておりますが、全羅南道とは平成九年二月に議会からも議長が団長として交歓をされております。私も同年八月に、全羅南道の道議の皆さんが佐賀に訪問された折に交流をさせていただき、歴史的な認識で大激論いたしましたり、最終的にはおおむね友好的なムードでそれぞれの議員の方々と会話をしたことを記憶している次第であります。議会としても交流があった次第であります。  今回の友好交流協定を締結する契機として、執行部のみならず議会レベルでも交流が再開をされるべきであると思っております。中国についても、マスコミ等で報道されたとおり、急速な経済成長を続けており、県として重要な国として、過去も言い続けてきたし、今後もそうであるべきであると。交流実績のある遼寧省や貴州省などの中国との交流も力を入れていくべきであると考えます。  以下、お尋ねをいたします。  韓国全羅南道についての友好交流協定の締結についてであります。  県において、これまでもアジアを中心に、特に韓国、中国との国際交流に取り組んでこられましたが、昨今の経済社会情勢を見たとき、東アジア地域の急速な経済成長により、日本の置かれている国際環境も変化をしております。  そこで、全羅南道と友好交流協定を締結すると聞いておりますが、なぜこの時期に友好交流協定を締結しようとしているのか。また、韓国全羅南道との友好交流協定の締結はどのようなメリットがあるのかをまずお尋ねします。  次に、中国との交流ですが、県内の市町及び民間団体の韓国との交流は進んでおりますが、県内の市町及び民間団体の中国との交流も盛んであります。  中国の経済力も非常に大きく、世界に影響を与える立場であります。佐賀県にとっても重要性がこれまで以上に高くなっております。中国の遼寧省及び貴州省と佐賀県は現在交流をしておりますが、今後中国との交流をさらに一層推進していく必要がありますが、中国との交流はどのように推進していくのかをお尋ねします。  三項目めの質問に移ります。世界遺産についてであります。  八月四日、桃崎委員長を初め、私ども文教厚生常任委員会は、萩市を視察してまいりました。今まさに大河ドラマで龍馬伝、幕末期のことを描いておりますが、萩市は「まちじゅう博物館構想」なるもので、萩を訪れる方々というのは過去もずっと多かったわけですが、江戸時代の地図をそのまま使えるまちだと。そのようなことで、松下村塾を初め、いろんな明治の元勲等の成果等さまざまあって、特に萩博物館へ行った折は、世界遺産を目指すと、そういう高らかな横断幕があって、やはり萩全体の歴史的な遺産もさることながら、その取り組みのアピール度に非常に感銘を受けて帰ってきた次第であります。  世界遺産とは人類共通のかけがえのない財産として、将来の世代に引き続くべき宝物であり、建造物や遺跡などの文化遺産、自然地域などの自然遺産、文化遺産と自然遺産の両方の要素を兼ね備えた複合遺産の三種類があり、ことしの八月現在で全世界で九百十一件登録されていると聞いております。そのうち、我が国の世界遺産の登録件数は十四件であり、広島の厳島神社、栃木の日光の社寺等の文化遺産十一件、北海道の知床等、自然遺産三件が登録をされております。  本県が九州、山口の関係自治体と共同で取り組んでいる「九州・山口の近代化産業遺産群」についても、「幕末から明治期における飛躍的な日本の近代化」において、九州、山口の各地域の複数の産業遺産がその原動力となったことが評価をされ、昨年の一月五日に世界遺産暫定一覧表に登録されたところであります。  現在、この遺産群の構成資産候補には、佐賀市の三重津海軍所跡が位置づけられており、反射炉等の佐賀藩関連資産についても遺跡の調査が進められていると聞いておる次第であります。  世界遺産は多くの人々に夢とロマンを与えるものであり、本県資産の世界遺産登録が実現すれば、県民にとっても郷土に対する自信、誇りを呼び起こす絶好の機会であると私は認識をしております。  その中で、県の役割は非常に大きいものがあると認識をしております。  多くの議論を経て、本丸歴史館ができ、議会でもよりよき議論をした上で、今、ほぼ毎日のように大型バスや中型バス、多くの観光客が訪れてあります。  古川知事が県の施設を全額無料にされた折にも、こういう資産であれば有料にすべきであると、私はそのすべき論をとった一員でありましたが、入り口の寄贈に一千万円以上毎年浄財が集まっていると。それは本当にありがたいことだと思いますし、私はこの三重津海軍所が暫定リスト入りしたことで、この本丸歴史館、県立博物館、佐野常民記念館を有機的につなげて、本丸歴史館に三重津海軍所の世界遺産暫定リスト入りの看板一つないと。歴史的遺産ですから、看板で派手にやるわけにはいきませんが、佐野常民記念館はこういう方向でいきますよという、そういう表示ぐらいはありますけれども、そこがもっと連携をとらなければ有機的にならないと。  佐賀藩が全部やって、それが明治の黎明期、幕末期には幕府の鍛練所でもあったと、この海軍所跡がですね。それを佐賀のどこに行っても意識できるようにしていかなければならないし、特に萩に行って非常に感動いたしましたのが、「萩ものしり博士」というのがあるんですね。博士課程、修士課程、また「子どもものしり博士」というのもありますけれども、そういうことを身近に広げていって、みんなが歴史を知り、語り、それをボランティアとしても伝えていくと。そういうすそ野の広さで、この三つの施設を県下あまねく小学生に──小学生のみならず、いろんな団体の人に県民自身が意識してこの世界遺産を広げていくという取り組みが私はぜひ必要であると。もっと知事としても世界遺産ということをとらえて、高らかに宣言してほしいと、そう思って次の問いに移ります。  まず、遺跡の評価についてであります。  佐賀市教育委員会では、三重津海軍所跡などの調査が実施されておりますが、これまでの調査結果はどう評価をされているのか。  二番目に、世界遺産登録に向けた準備の状況等でありますが、今後、世界遺産登録までにどのような作業が必要になるのか。また、世界遺産登録に向けた準備状況はどうなっているのかをお尋ねします。  この暫定リスト入りしている、私から見たらライバルと思います滋賀県の彦根城でありますとか、岩手県の平泉の文化遺産でありますとか、長崎の教会群とキリスト教関連遺産でありますとか、富岡製糸場でありますとか、それぞれが相当な資産を持っております。この九州・山口の産業群は二十八もあり、それぞれ一つ一つがしっかりとアピールをされて評価を受けなければならないと、そういうことに対するアピールをもっとしていただくべきであると、そういうふうに感じております。  この項の最後でありますが、夢とロマンの歴史物語づくりについてであります。  夢とロマンを感じさせる世界遺産の取り組みを県民に理解してもらう必要がもっとありますが、今私なりの考えを述べましたが、今後どのように県民理解を促進していくのかをお尋ねし、質問を終わります。(拍手) 14 ◎古川知事 登壇=伊東猛彦議員の御質問にお答えします。  まず最初に、県政のトップとしての責任の重さについてのお尋ねでございます。  これまで二期七年半の間、私が問題の責任をとって自分自身の給料を減らした事案が合計七回ございます。そのうち、商工共済が二度ございまして、そのうちの一度、破綻したという事実は、私が就任した直後でございました。また、食糧費等問題のときにも減額をいたしましたが、これは食糧費の不正な支出そのものは、過去におけるものでございました。この二回は別にしても、あとの五回はまさに私が知事になってから起きたことに対して、私自身が責任をとったものであります。  こうしたことに至らざるを得なかったということについては、今日、今思い起こしてもやっぱり反省をしなければならないということは、改めて今御発言を聞きながらも感じていたところでございます。  この県議会の場でも大変厳しい御指摘をいただいておりました。そういう厳しい御指摘を踏まえて、次にいい方向に向かっていくことが県政の責任者として求められていることだと今でも考えておりますし、過去にこうしたことがあったということの重みは決して忘れてはならないと考えているところでございます。  どのような教訓を持っているのかということについてでございますが、私は常々、私自身も思っておりますし、職員にも申し上げていますが、失敗は失敗としてしようがないながらも、それを簡単に片づけてしまわずに、なぜ起きたのかということ、そして二度と同じ失敗をしないためにはどうしなければいけないのかということについて、何の教訓を得るかということこそが、その問題に対して真剣に取り組んでいるということのあかしだと考えております。  今でも、その日常的な業務の処理に当たっては、いろんな小さな問題や課題というものが起きておりますけれども、そのたびごとに私は、このことが二度と発生しないために、このことから何を学んでいるのかということを常々私自身が職員に対して問いかけをしております。  また、もちろん私自身もいろいろ反省すべき点があるということで、例えば、職員とブリーフィングをするやり方を変えていったり、例えば、今では、とにかくまずは職員が私に対して、十分なら十分という形で言うべきことを話し伝えなければ、必ず伝えなければならないようなことを先に伝えるというふうな仕組みをしていきましたり、また、庁内にこちらから出向いていったり、また、私自身非常にいい経験だなと思っておりますのが、私は現地機関については全機関、もう既に回っておりましたけれども、特に今は、現地機関の若手の人を中心にした職員の声を聞く機会をつくらせていただいております。全く自由にというわけにはいかないのかもしれませんが、それにしても職員の人たちからはいろいろ率直な御意見をいただいております。こうした機会は大変よかったなと思っているところでございまして、こういった声もしっかり踏まえて県政に取り組んでいかなくてはいけないと考えております。  それと、民主党政権に対する姿勢のお尋ね、どう向き合いというお尋ねでございました。  新しい民主党政権は、国民の期待を大きく担って成立した政権でございます。その民主党のマニフェストの中には、全国知事会として、また地方六団体として、成立、または実現を願っていた事項もたくさんございましたし、鳩山政権になって地域主権について実現するというふうに示していただいたプラン、通称原口プランというものがございますが、こうしたものについても、私どもから見たら、いわば頼もしいものでございました。こうしたものの実現をしっかりしていただきたいという気持ちで、一つは民主党政権に向き合っていたところでございます。  また一方で、今の政権の行っておられることの中で、例えば、暫定税率について、財源の保障なく廃止をされるということについては、私どもはそれは問題だということを申し上げてきておりましたし、先般、中期財政フレームがまとめられようとしたときに、一方的に地方の歳出をほかと同じ歳出のレベルで切り込もうとされたと、こうしたことについては、それはおかしいということで意見を申し述べさせていただいております。  私は、今総務省顧問も務めております。東京にわざわざ出かけていく必要はありませんので、電話やメールなどで大臣には何度となくといいますか、折々に触れて必要なときに意見を申し上げ、また、こうしたほうがよいのではないかという御意見をさせていただいているところでございます。  私自身は、地域主権の顧問、関係の顧問を拝見しておりますと、地方行政の実務に長年携わった経験のある方というのはいらっしゃいませんので、こういったことをやったら実際上どうなっていくのかというふうな実務面からのいろんな意味での御意見も述べさせていただいているところでございます。そうすることによって、佐賀県と、そして日本全体にとってプラスになるようなことを目指していきたいと思っておりまして、引き続き、とにかく県民に対し、そしてまた国民に対して、いいことを実現していただきたいということで意見を述べさせていただきたいと思っております。  次に、国と地方の協議の場についてのお尋ねでございますが、まず、早期成立と活用に関する所見をというお尋ねでございますが、真の分権改革を進めていくためには、地方自治に関係のある重要な事項については、企画立案の段階から国と地方とが対等な立場で議論をする場を法律的に位置づけるということはぜひとも必要と考えております。  この協議の場の法制化につきましては、昨年の総選挙において民主党も自民党も賛成をしております。かつ参議院の審議においては、共産党を除く主要政党すべてが賛成をされました。国会そのものはねじれ国会でございますが、この協議の場の法制化については、与野党対立型の法案ではございませんので、ぜひ次の臨時国会において早期の成立を強く望むものでございます。  この協議の場では、国から地方への税源移譲や税源配分の見直しなどについても活用することが可能であると思っております。これがあくまでも形式的なものにならないように、実質的なものになるように、制度設計についても佐賀県からいろんな意見を申し述べ、かなりの部分を採用していただいておりますので、その意とするところが十分に実現されるように、ぜひ私としても取り組みを続けてまいりたいと存じます。  次に、県の財政運営についてのお尋ねでございます。現在の県の財政状況をどのように認識して、緊プロ後の新しい対策についてどのように考えているのかというお尋ねでございます。  現在の県の財政状況については、先ほど議員からもございました平成二十二年度において地方交付税が一・一兆円増額になったということで、とにかく一息ついたというものだと思っております。例えが余りよくないかもしれませんけれども、基本的には水面下に沈んでいて、苦しい状況にあると。ことしだけは水面の上に上って一息をついたと。それでも、またそれをついた後は、もう一遍水面下に潜らされて非常に苦しい状況になってきて、体の中に残された酸素が時を追うごとに減っていくような状況というのが、今の県の財政状況ではないかと思っております。  抜本的な収支不足は全く解消しておりませんし、とにかく貯金を崩して予算編成せざるを得ない状況には全く変わっておりません。(「だれがそやんかふうにしたつか」と呼ぶ者あり)  今回、機械的な収支試算を二つのケースでお示しをいたしましたが、歳入がふえないという中で、我が県では毎年十五億円程度、社会保障関係経費がふえていきます。本来、この経費は基本的にはカットや値切りのきかない経費でございますので、本当は十五億円毎年歳入がふえていかなければいけないという状況なのに、どうしても現在の税制改革の状況を見れば、歳入はふえないという前提に私どもは立たざるを得ない。そうしていくと、毎年この十五億円を新しく捻出していかなければ、財政運営はできないということになるわけでございます。  この収支不足を解消していくためには、やはり何らかの抜本的な対策が必要だというふうに考えているところでございますが、そうはいいましても、来年度の予算編成、再来年度の予算編成は、そういったことを前提とせずに組まざるを得ない状況でございます。足元は足元として、健全な財政に向けた取り組みを地道に行っていく必要があると認識をしているところでございます。  次に、県と市町の協議の場をなぜつくる必要があるのかというお尋ねでございます。  県と市町の協議の場については、これは先ほども申し上げたところではございますが、既に県として決めたことについて伝達をする、お知らせをする会議ではなく、これからの時代は県と市町が新しく政策をつくっていくときに、一緒になって議論をしてつくり上げていくということが求められると考えております。といいますのも、今までのようにすべて国がやります、県がやりますという形になるのは難しいだろうと考えているからでございます。  また、これまで県が行ってきた政策を、市町から見ると市町に不利なように改正をお願いしなければいけない場合も出てくると思いますが、なぜそうなのか、ほかに道はないのか、そうしたことについても、県としての方針を決める前から率直に意見交換をすることによって県の状況も理解していただけると思いますし、一方で、市や町が置かれている状況について我々が認識を深めなければならない場面もこれから非常にたくさん出てこようかと考えまして、こうした場をつくるべきだと考えたものでございます。  この場における協議を通じまして、新しい時代にふさわしい県と市町の関係の構築を目指して、よりよい佐賀県をつくり上げることができるように、全力で取り組んでまいりたいと存じます。  次に、口蹄疫を通じた危機管理のあり方についてのお尋ねでございます。  今回、幸いなことに、現時点までのところ佐賀県では口蹄疫の発生を見ておりませんが、宮崎県の子牛を一番入れている県は佐賀県だということもありまして、いつ本県で発生してもおかしくないという危機意識を持って初動対応ができるように取り組んでまいりました。  私自身も、この危機に対してどのように対応をしていくのかということについて、さまざま学習をし、議論を重ねてきたところでございますが、やはり私が感じておりましたのは、実際に家畜伝染病予防法上、措置をしなければならないのが都道府県知事であるのに対し、その牛が口蹄疫であるのかどうかを判断するのは国であるという、この矛盾でございました。現場に近いところでなるべくスピーディーな判断をすることが口蹄疫の被害拡大を防ぐために最良の措置であり、かつ私は唯一の措置であると考えておりましたが、現在のこの家畜伝染病予防法の運用を見ておりますと、そうしたことが認められておりませんでした。  今回、佐賀県から国の判断を待つことなく佐賀県独自の判断で、この家畜伝染病予防法の対策をスタートさせていただきたいということの協議をお願いして、結果的には国のほうからもわかったということで回答をいただくことができました。こうした国に頼ることなく、県でやるべきことは県で直ちにやるべきなんだということについて、改めて感じたところでございます。  五月九日の協議の際に、当初は、もし県のほうで判断をした疑似患畜が本当は口蹄疫でなかったとしたら、殺処分する必要のなかった牛や豚の殺処分をお願いすることになるがどうかというふうなこともございました。ただ、私がそのときに思いましたのは、そういったことのときにはもちろん県として経済的な補償をする必要があると考えると。しかしながら、これが本当に口蹄疫であるとするならば、県の判断を待っていたこの十数時間というものの間、何もできないということのほうが罪は大きいのではないかというふうなことを申し上げておりました。  やはりこうした危機事象については、その既存の法律や制度というのを無条件に受け入れるのではなくて、やはり責任を持つべき県、そしてまた自治体、市町がどのように行っていくのかという、現場に近いところが判断をするということが何より必要であると感じたところでございますし、また、佐賀県はほかの県の人たちからよく言われることでございますが、今回は、約五十人の職員をピックアップして口蹄疫対策準備室を各本部や現地機関から協力をして集まっていただいて、本格的なマニュアル作成をすることができました。  こうした県を挙げての取り組みができたということは、まさに佐賀県庁の底力が発揮できたのではないかと思っているところでございますし、この口蹄疫対策について、JAを中心として畜産関係者が一丸となって取り組みができたということも佐賀県という地域の底力だということを改めて感じたところでございます。  次に、国際交流の推進についてでございます。  韓国全羅南道との友好交流協定の締結について、どのようなメリットがあるのか、なぜこの時期なのかというお尋ねでございます。  全羅南道とは、平成八年から職員の相互交流を開始しておりまして、十年以上この相互交流が続いております。また、その平成八年には、佐賀県から当時の知事を団長にした友好訪問団も出しまして、当時の県議会議長にも御参加をいただいたところでございます。それ以降、職員交流を中心に十四年間の交流が続いてまいりました。  一方で、唐津市は全羅南道にあります麗よ水す市と長年にわたって友好交流関係を続けております。また、鹿島市も同じく全羅南道にあります高こ興ふん郡との間で友好交流が進んでおりまして、特に唐津市や鹿島市においては、行政だけでなく民間を含む交流が盛んに行われているところでございます。  こうした自治体同士、民間同士の交流が非常に進んでいる地域と、私ども佐賀県ともこうした職員交流という形で、縁のある地域とこれからの交流をもっと発展させたいと常々思っておりましたところ、今年の十一月下旬に全羅南道の知事が佐賀県を訪問されることが予定されておりましたので、この時期に協定を締結したいと考えているところでございます。  先ほど議員からもございましたが、中国、韓国を初めとする海外との交流というものを超えた、もう既にほぼ一つの文化圏、経済圏が形成されつつあると私は考えておりまして、こうしたことを考えたときに、どこか韓国に私どもが交流や物を考えるときに、またビジネスを考えるときに、足がかりとなる場所をつくっておくことは大いに意味があることだと考えておりますし、例えば、子供たちや高齢者たちが新しく交流を考える、視察を考えるときに、この全羅南道との友好交流協定があれば、じゃあここに行ってみようかということで窓口もできるということがあるのではないかと考えているところでございます。
     全羅南道は、かつての歴史で申し上げれば、旧百済(ペクチェ・クダラ)という地域の一部でございました。もともと我が国とは縁の深い地域でもございますし、この全羅南道は農林水産物が非常に多く、また焼き物のある地域でもございます。そうした地勢的なものから見ても、佐賀県とは非常に縁の深いものがあるのではないかと考えております。  佐賀県に来られております外国人旅行客の半分以上は韓国からのお客様でもございます。こうしたことを通じて、韓国との交流のできる人材育成にも役に立つことができるのではないかと期待をしているところでございます。  次に、中国との交流についてのお尋ねでございます。  今後、中国との交流をさらに一層推進していく必要があるのではないかというお尋ねがございます。全く私もそのとおりだと考えております。  現在、遼寧省、そして貴州省とは継続的にさまざまな形で交流をしてきているところでございますが、こうしたこれまで歴史のある、また積み上げのあるところとは、さらに交流関係を深めていきたいと考えているところでございます。  今月末、留守議長とともに私どもは貴州省を訪問することにしておりまして、今後の交流の深化、深めることについても意見交換をしていきたいと考えております。  この中国や韓国との交流というものは、もうこれからは特別なことではなくなるだろうと考えておりますが、その中国や韓国に、先ほども申し上げましたように、手がかりや足がかりがあるということは、例えば、そうした経済的な交流や進出、そういうことを考えたときに、一つの大きなヒントになるものと考えております。  佐賀県の企業にとってみても、こうした形で行政が引っ張っていくということに大きな意味があると考えておりますし、例えば、私どもが韓国の全羅南道と交流をする。中国の貴州省や遼寧省と交流をするということによって、佐賀県内の自治体もその省内のいろんな市や町と交流をするということをぜひ考えていただければ大変ありがたいと思っているところでございます。  次に、世界遺産についてのお尋ねでございます。  評価については後ほど教育長のほうから御答弁があるかと存じます。私からは、世界遺産登録に向けた準備状況と県民理解促進について答弁させていただきます。  世界遺産登録に向けた必要な作業を申し上げます。  まずは、三重津海軍所跡を含む、「九州・山口の近代化産業遺産群」が世界遺産に登録されるためには、まず国からユネスコへ──これは日本国からという意味ですが、日本国政府からユネスコに対し、世界遺産登録の推薦書の提出が必要であります。  次に、推薦された物件についてユネスコの諮問機関でありますイコモス──国際記念物遺跡会議と申しますが、ここが調査を行いまして、その結果をユネスコに勧告することになっております。  そして、ユネスコはその勧告を受けて、世界遺産委員会において世界遺産登録の可否が決定されるという作業が必要になってまいります。  そのための準備状況についてでございますが、現在の準備状況としては、各自治体においては、この世界遺産を構成する資産、構成資産と申しますが、それのさらなる調査研究による資産価値の証明や、それに基づきます国の史跡指定の準備などを進めますとともに、九州、山口の関係自治体で構成しています世界遺産登録推進協議会において、国内外の専門家による現地調査や類似する資産との比較研究などによりまして、国がユネスコへ提出する推薦書の原案の作成に着手をしたところでございます。  次に、県民理解をどのように促進していくのかというお尋ねでございますが、具体的なこうした作業が始まったということで、こうしたことがいろんなメディアを通じて報じられているということもありまして、この三重津の海軍所や築地の反射炉の跡、こうしたものについての関心は高まってきつつあると認識しておりますが、先ほど萩の事例で議員が御指摘になりましたような全市民的な盛り上がりや全県民的な盛り上がりという面では、まだまだだと思っております。  こうしたことは、かなり大規模に仕掛けをしていかないとなかなか伝わっていくものではないかもしれませんが、せっかくの機会でございます。世界遺産登録に向けて機運を醸成していくことによって、改めて自分たちの地域の持つ価値に多くの県民、市民に気づいていただけるということもあると思います。この世界遺産を通じて、自分たちの住んでいる市や町の大きな財産に気づきをしてもらうということの象徴になるという意味で、これから積極的に、もっともっと力を入れていきたいと考えているところでございます。  具体的なイベントなども予定されておりますけれども、こうしたイベントに参加される方に対してだけでなく、関心のない人も、「ああ、何か聞いたことがあるよ」、「知っているよ」と、「こういうことらしいね」というふうな話になっていくような大いなる広報に努めていき、県民理解を一層深めてまいりたいと存じます。  私からは以上でございます。 15 ◎川崎教育長 登壇=世界遺産についてのうち、遺跡の評価についてお答えいたします。  佐賀市教育委員会では、これまで世界遺産登録に向け構成資産として考えられます三重津海軍所跡、築地反射炉跡、多布施反射炉跡、それに精煉方跡の発掘調査を実施しております。  このうち、多布施反射炉跡からは、反射炉の基礎構造と考えられます遺構が、また、三重津海軍所跡からは、いわゆるドックと思われます遺構や金属加工炉などの造船などに関連すると思われる遺構が発見されております。  佐賀市教育委員会は、これらは佐賀藩が近代化に果たした史跡を証明する世界遺産化に向けた重要な資料と評価しているとの報告を私ども受けました。また、私どももその報告内容について検討したところ、県としても同様に評価をいたしております。  今後、三重津海軍所跡や築地反射炉跡などを重点的に、さらに発掘調査をすると聞いております。県教育委員会としては、これらの調査が円滑に実施されるよう、また知事部局とも連携をとりながら、ぜひとも世界遺産として登録されるよう引き続き支援してまいります。 16 ◎議長(留守茂幸君) 暫時休憩します。     午前十一時五十九分 休憩 平成二十二年九月十四日(火) 午後一時一分 開議  出席議員    三十九名     一番  向 門 慶 人     一五番  指 山 清 範     三〇番  宮 崎 泰 茂     二番  藤 崎 輝 樹     一六番  峰   達 郎     三一番  武 藤 明 美     三番  徳 光 清 孝     一七番  土 井 敏 行     三二番  牛 嶋 博 明     四番  坂 口 祐 樹     一八番  桃 崎 峰 人     三三番  石 井 秀 夫     五番  宮 原 真 一     一九番  石 倉 秀 郷     三五番  篠 塚 周 城     六番  原 田 寿 雄     二〇番  伊 藤   豊     三六番  原 口 義 己     七番  岡 口 重 文     二二番  楢 崎   近     三七番  吉 田 欣 也     八番  田 崎 信 幸     二三番  岩 田 和 親     三八番  堀 田 一 治     九番  石 井 久 起     二四番  藤 木 卓一郎     三九番  石 丸   博    一〇番  内 川 修 治     二五番  福 島 光 洋     四〇番  木 原 奉 文    一一番  末 安 善 徳     二六番  中 倉 政 義     四一番  伊 東 猛 彦    一二番  太 田 記代子     二七番  竹 内 和 教    一三番  大 場 芳 博     二八番  稲 富 正 敏    一四番  古 賀 善 行     二九番  稲 富 康 平 欠席議員    一名    三四番  留 守 茂 幸 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   古  川     康          副   知   事    坂  井  浩  毅          統 括 本 部 長    城  野  正  則          くらし環境本部長     古  谷     宏          健康福祉本部長      平  子  哲  夫          農林水産商工本部長    飛  石     昇          県土づくり本部長     牟  田     香          経営支援本部長      小  池  信  之          生産振興部長       鵜  池  常  範          交通政策部長       小  野  龍  太          会 計 管 理 者    山  口  和  之          公 安 委 員 長    山  口  久美子          警 察 本 部 長    鈴  木  三  男          教 育 委 員 長    安  永     宏          教   育   長    川  崎  俊  広          人 事 委 員 長    馬  場  昌  平          人事委員会事務局長    宮  地  茂  喜 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       荒  木  義  信          総  務  課  長   岩  瀬  茂  生          議事調査課長       蓮  把  邦  彦          政務調査室長       野  中  博  人          総務課副課長       向  井  久美男          議事調査課副課長     毛  利  明  彦          政務調査室副室長          記録担当係長事務取扱   野  田     仁          議事調査課議事担当係長  芦  村  耕  介          同    議事担当主査  石  井  健  一         ○ 開     議 17 ◎副議長(稲富正敏君) これより会議を開きます。  午前中に引き続き、一般質問を行います。 18 ◎石倉秀郷君(拍手)登壇=自由民主党の石倉でございます。通告に従いまして、古川知事初め執行部の皆さん方に随時質問いたしますので、意のある答弁をよろしくお願いいたします。  まず初めに、国営筑後川下流白石平野土地改良事業についてお伺いいたします。  白石平野は本県の主要な農業地域でありますが、ため池やクリークにたまる水では不足するため、古くから不足する水源を地下水に依存してきました。国及び県では、農業用水を地下水から地表水に転換するための嘉瀬川ダムの建設や、筑後川下流白石平野土地改良事業による導水路の建設が進められておるところであります。また、地元農家では一日も早くこれらの工事が完成し、嘉瀬川ダムの水が白石平野に供給される日を心待ちにしているところであります。  しかし、平成二十二年度の農業農村整備事業予算が大幅に削減されたことにより、白石平野地区においても、平成二十二年度までに本体工事は完了できない状況となり、平成二十三年度の国の予算状況次第では、さらに工事完成がおくれる可能性があります。  聞くところによると、国の平成二十三年度の概算要求額は本年度を大幅に下回っているということでありますが、県は国に要求額の増額を強く要望し、全体の工事を完了できる予算を確保する努力をするべきであります。  白石平野地区の導水路工事は、少なくとも平成二十三年度には完成をさせ、平成二十四年度の嘉瀬川ダムの本格運用開始と同時に、農業用水の通水を開始できるようにすることが肝要であります。また、地元の市町や土地改良区は工事完成と同時に、その機能の確認や操作方法の実地での訓練を受けないまま、国から施設の管理を委託されるのではないかと不安を持っておられるところでございます。  そこで、次の点についてお伺いをいたします。  まず、予算の状況についてです。  白石平野地区の総事業費と平成二十一年度までの進捗はどのような状況なのか。また、平成二十二年度の白石平野地区の予算の要求額と割当額はどうなっておるのか。そして、工事を完成させるためには、平成二十三年度にどのくらいの予算が必要となるのかお尋ねをいたします。  二点目は、平成二十三年度の予算確保についてです。  平成二十三年度の予算確保に向けて、今後さらに県は国に積極的に働きかけを行うべきと思いますが、どのような対応を考えておるのかお伺いいたします。  三点目は、施設の機能確認と操作運用についてです。  国営事業でつくられた施設は、国において施設の機能を十分に確認した上で、その操作運用がうまくいくかどうか、一定期間試行した上で地元に管理が委託されるべきではないかと思いますが、これについて県はどのように考えておられるのか、県土づくり本部長にお伺いをいたします。  次に、佐賀県農業の振興についてお伺いいたします。  一点目は、戸別所得補償制度についてであります。  本県の水田農業は、かつて戦後の食糧増産に呼応して展開された新佐賀段階米づくり運動において、昭和四十年、四十一年、二年連続単収日本一を達成するなど、輝かしい成果をおさめられたところであります。その後も昭和四十六年からの米余りによる減反政策においては、国の農政を忠実に守り、大豆を中心とした転作作物の振興を図りながら、麦、大豆は都府県一の収穫量を誇るなど、全国屈指の食糧供給基地を形成したところであります。  こうした中、平成十九年からは戦後農政の大転換と言われ、認定農業者や集落営農組織、いわゆる担い手に施策を重点化した農政が展開され、六百六十二の認定農業者と四百八十の集落営農組織が育成されたところであります。
     しかしながら、昨年八月の政権交代によって、今年度からは米について国が直接所得を補てんする米の所得補償モデル事業が導入され、来年度からは麦、大豆などの畑作物も本格的に実施されることとなっております。  農家の皆さんからは、「今回の制度はこれまでよりよくなったのか、また、継続されていくのか」という不安を抱く声が多く聞かれます。  こうした中、先日公表された農林水産省の平成二十三年度予算の概算要求を見ると、食料自給率の向上を図るため、麦、大豆などの増産を促すこととし、米に加え、麦、大豆などについても所得補償制度を導入することとされておりますが、この制度についてどのように考えておられるのか、生産振興部長にお伺いをいたします。  二点目は、農業振興に対する基本的な考え方についてであります。  所得補償制度が本格導入される中、国の財政状況は極めて厳しい状況であることから、戸別所得補償制度などの財源がなくなり、いつ廃止されるかもわからないという不安の声を農家から聞くところであります。  また、今日の農業を取り巻く情勢は、高齢化による担い手不足や輸入農産物の増加、耕作放棄地の拡大、農産物価格の低迷、石油や配合飼料、肥料などの価格の上昇など、大変厳しい状況であります。  このような状況の中、農家は懸命な営農努力により生産コストの削減や高品質な農産物の生産に懸命に取り組まれているところであります。先の見えない農業情勢に大きな不安を持っておられます。  私はこうした不安を取り除くためにも、今後とも、農業振興にしっかりと取り組み、農業者が安心して農業に取り組めるようにしていく必要があると考えます。  そこで、佐賀県農業の振興に対する知事の基本的な考え方をお伺いいたします。  次に、九州新幹線西九州ルートについてお伺いいたします。  九州新幹線西九州ルートは、平成三十年ごろの開業を目指し、現在、武雄温泉―諫早間において俵坂トンネル工事などが行われているところであります。ただ、西九州ルートの開業までには、まだ解決すべき課題があり、先日もフリーゲージトレインの開発に関する国の技術評価委員会において在来線区間での課題が指摘され、引き続き開発を行っていくと報告がなされております。  特に私が心配しているのは、肥前山口―武雄温泉間の単線区間の複線化についてであります。  この区間の複線化については、例えば、さきの六月議会においても知事が、複線化を開業に間に合わせるためには、早急に事業化しなければならないと考えている旨の答弁がなされております。  国においては、平成二十一年度に複線化に関する調査を行っておりますが、複線化区間の沿線市町においては、複線化に対する不安は払拭をされておりません。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  一点目は、複線化事業の国の調査結果の内容についてです。  本年四月に国は、複線化に関する調査結果を明らかにしておりますが、どういった内容なのか。  二点目は、フリーゲージトレインの走行に伴う工事の追加についてです。  九月七日のフリーゲージトレインの開発に関する国の技術評価委員会で、開発課題をクリアするためには車両の改良だけでなく、走行区間での軌道の改良も必要となると報告されております。平成二十一年度の国の調査結果から、さらに工事内容がふえ、事業費も増額になるのではないかと思いますが、このことについて、交通政策部長にお聞きをいたします。  次に、早期の事業着手についてです。  複線化事業については、国において調査は実施されているものの、その後の検討は進んでいないように思われます。国の平成二十三年度予算の概算要求にも複線化のための経費は盛り込まれていないが、国の検討状況はどうなっておるのか。  また、県は早期の事業着手に向け、国に対してどのように働きかけていくのかお聞きをいたします。  次に、西九州ルート整備の軌道修正についてです。  西九州ルートの既に着工している武雄温泉―諫早間については、国の概算要求でも「予定どおりの完成・開業を目指して着実に整備を進める。」とされ、平成三十年ごろと想定される開業までには整備されるのではないかと言われております。  しかし、西九州ルートが新幹線としてふさわしい機能を確保するためには、武雄温泉―諫早間が完成するだけでなく、肥前山口―武雄温泉間の複線化が整備される必要があると考えます。複線化については、開業まで八年を切った現時点でも概算要求に盛り込まれておらず、開業に間に合わせるにはスケジュール的に余裕がないと思われます。  ついては、県から国に開業時期をおくらせるなど、軌道修正をお願いしたほうがよいと思いますが、県の考えをお伺いいたします。  次に、子育て支援についてお尋ねをいたします。  県においては、五年連続での待機児童ゼロや全国有数の認定こども園の設置率、必要とするすべての保育所での延長保育などの面で高い成果を上げられているものと評価はしております。  知事は先日、三選出馬を表明されましたが、子育て支援については、次の世代の日本、佐賀県をつくっていくためにも、引き続き県政の重要課題としてしっかりと取り組んでもらいたいと考えております。  保育サービスの充実は財政的な負担も多く、また、ゼロ歳児からの保育や、朝から夜までの長時間保育は親子のつながりを希薄にし、子供にも心身面で負担をかけているとの意見もあります。しかしながら、少子化対策や女性の就労促進の観点に加え、特に長引く厳しい経済情勢を背景に、生活のために夫婦とも働かなければならないという世帯がふえている現状の中では、社会で子育てを支えることが急務となっており、県民の期待も大きいものがあります。  こうした中、小学校低学年で放課後の家庭での保育ができない子供たちを対象にした放課後児童クラブの利用者が、小学校低学年全体の約三割に達していると聞いております。利用者の急増に施設整備や指導員の配置が追いつかず、学年の違う子供たちが、多いところでは七十人以上が一つの部屋で保育されていることや施設の老朽化などが指摘されております。  保育所等に対する整備や運営への支援に比べ、放課後児童クラブについては、まだまだ不十分な面があり、今後も利用者がふえていくことが確実に見込まれることから、その環境の充実が必要だと考えます。  また、病気のため、保育所に預けられない子供を一時的に預かる病児・病後児保育についても、現在、県内に六施設しかなく、利用者が限られている状況にあります。どうしても仕事のために休めない保護者にとっては、病児・病後児保育は、いわばセーフティーネットとしての保育サービスであり、いつでも安心して利用できるような体制づくりが必要だと考えます。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  一点目は、放課後児童クラブについてです。  文部科学省の放課後子ども教室と厚生労働省の放課後児童クラブの一体化を進めるべきではないか、くらし環境本部長にお尋ねをいたします。  二点目、放課後児童クラブのガイドラインの策定についてです。  現在、指導員の配置や一教室当たりの児童数、面積などに基準がないが、保育環境の向上を図るため、ガイドラインを策定すべきだと思いますが、くらし環境本部長にお伺いをいたします。  三点目は、県の支援の充実についてです。  指導員の資質向上や増員、施設整備に対して県の支援を拡充すべきでないかと思いますが、県執行部のお答えをお願いいたします。  四点目は、病児・病後児施設の利用促進についてです。  今年度、江北町に病後児保育施設が新設されますが、今後、ほかの市町でも新たに設置された場合、県はその周辺市町に対し広域的な利用を働きかけていくべきではないかと思いますが、くらし環境本部長にお尋ねをいたします。  五点目は、病児・病後児保育への取り組みについてです。  県は病児・病後児保育の充実に向け、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  最後に、不妊治療についてお伺いいたします。  昨年の九月議会の一般質問で、少子化傾向の対策の一助として、不妊治療の今後の取り組みについて質問をし、相談事業の充実や国に経済対策の継続を要望するとの回答でありました。  平成二十一年度に国の経済対策で一回の不妊治療費に対する助成金が十万円から十五万円に引き上げられ、平成二十二年度も継続をされておることは、不妊治療を希望する夫婦にとって大きな励ましとなり、多くの夫婦の受診につながっているものと考えます。  しかし、厳しい経済情勢の中、高額な不妊治療を実施されている御夫婦にとって、経済的負担はまだまだ大きいものと考えます。もちろん出産はあくまでも個人の自由な意思によるものであり、そこに行政の介入や強制があってはならないことでありますが、妊娠を強く望みながら不妊症に悩む夫婦には、経済的、精神的な面で支援を行うことが必要であります。  不妊治療に対する支援は、少子化対策の重要な対策の一つでもあり、今後、さらに支援策を充実していく必要があると考えます。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  不妊治療費助成事業の効果についてです。  平成二十一年度、国の経済対策で一回の不妊治療費に対する助成金が十万円から十五万円に引き上げられましたが、結果はどうだったのかお尋ねをいたします。  二点目は、今後の事業の充実についてです。  厳しい経済状況の中、不妊治療を行っている御夫婦の経済的負担はまだまだ大きいと考えますが、今後、不妊治療支援事業の充実にどのように取り組んでいくのか、健康福祉本部長にお尋ねをし、一回目の質問を終わります。(拍手) 19 ◎古川知事 登壇=石倉秀郷議員の御質問にお答えします。  私からは、佐賀県農業の振興に対する基本的な考え方について御答弁申し上げます。  議員からは常々農業の重要性について、さまざまな場面で御指摘をいただいておりますが、農業は食糧の安定供給や国土を守っていくという大変に大事な役割を果たしております。地域経済社会そのものを支える大切な産業であると考えておりまして、これのかわりになるものはない、その意味で、まさにこの農業を大切に守り育てていくことこそが国を安んずることにつながると考えております。  こうした農業の果たす重要な役割は、これまでも、そしてこれからも変わるものではなく、将来にわたってその役割を確実に果たしていくためには、佐賀県農業の振興にしっかり取り組み、農家の方々が安心して経営に取り組まれるようにしていかなければならないと考えております。  このため、私は今後とも、消費者の方々が求めるいいものをつくって、そして、それに付加価値をつけ、しっかり売っていくことを基本にしなければならないと考えております。  我が国は人口が減少しております。また、高齢化も進行しております。そういう中で、去年と同じだけの量のものを食べていただく、消費していただくというのは簡単にはいかない状況になっております。ほかの産地のもの、ほかの国のものと比べて選んでいただかなければならない状況になっております。  そのために、安全・安心でおいしく競争力のある農産物の生産販売や、石油や化学肥料などの使用を抑えた省資源型や環境保全型の農業の推進、そして意欲のある農業者や集落営農組織の経営強化、さらには新規就農者の育成、こうしたことに取り組んでいく必要があると考えております。  そうした上で、そもそも農業や農村というものに対する県民理解、国民理解を深めていくことが必要であると考えております。これは少しずつではありますが、私は進んできているものと考えておりますが、さらに深めていかなければなりません。  また、自分たちの地域でつくったものを、地域の人々が直接自分たちで消費をするという地産地消の推進、県産の農産物に付加価値をつける多彩な農産加工や新しい商品の開発、地域の特性を生かした中山間地域の活性化などの取り組みを農家の方々を初め、市や町、関係団体、さらには県民の方々とも連携をしていきながら、積極的に推進していきたいと考えております。  いずれにしても、農業は本県にとって、そして我が国にとって極めて重要な産業であると考えております。農家の方々が意欲を持って経営に取り組める魅力ある佐賀県農業となるよう、今後とも、その振興に全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。  私からは以上でございます。 20 ◎古谷くらし環境本部長 登壇=石倉議員からのお尋ねのうち、私からは放課後児童クラブについてお答えを申し上げます。  まず、放課後子ども教室と放課後児童クラブの一体化のお尋ねでございます。  文部科学省が所管いたします放課後子ども教室は、希望するすべての小学生を対象に、地域の住民との交流を図る体験活動などを行うものでございまして、週一回から二回程度開催をされております。  一方、厚生労働省が所管いたします放課後児童クラブは、共働き家庭など留守家庭の児童を対象といたしまして、平日や夏休みなどの休み期間中に、いわゆる学童保育として行われているものでございます。  この二つの事業につきましては、平成十九年度から放課後子どもプランとして一体的、あるいは連携して実施する総合的な放課後対策を推進することとされたところでございます。  具体的には、実施主体でございます市町に放課後子どもプラン運営委員会が設置され、この委員会におきまして両事業の連携が図られているところでございます。  例えば、本年五月の市町に対して行った調査結果によりますと、百九十七の放課後児童クラブのうち、五六・三%、百十一のクラブがスポーツや料理教室などを、実際に連携して実施されております。  また、県におきましては、放課後子ども教室と放課後児童クラブの指導員を対象といたしまして、放課後子どもプラン研修会を合同で実施し、両者の連携を図っているところでございます。  今後も、両事業の連携した取り組みを行い、総合的な放課後対策を推進していきたいと考えております。  次に、放課後児童クラブのガイドラインの策定についてでございます。  放課後児童クラブを運営するに当たりましての基本的な事項や望ましい方向を示すものとして、国が策定いたしました放課後児童クラブガイドラインがございます。しかしながら、このガイドラインは放課後児童クラブが備えるべき最低基準を定めたものではございませんで、実施主体である市や町が地域のそれぞれの実情に応じて柔軟に取り組めるように、ある意味望ましい基準として示されたものでございます。  この結果、一部のクラブでは四十人以上の子供たちが保育されているという事態も生じておりますことから、議員御指摘のとおり、県では、子供たちの安全の確保と放課後児童クラブの質の向上を図るため、佐賀県独自のガイドラインを策定する必要があると考えております。  このため、今年度、NPO法人でございます佐賀県放課後児童クラブ連絡会にガイドライン策定のための調査研究を委託しております。この調査研究の結果をもとに、来年度には市や町の意見を伺った上でガイドライン案を作成したいと考えておりまして、放課後児童クラブの実施主体であります市町の協力を得ながら、ガイドラインに沿った質の高い放課後児童クラブの運営を確保してまいります。  次に、県の支援の充実についてのお尋ねでございます。  現在、十人以上の放課後児童クラブの運営費や施設整備費に対しましては、国の補助制度がございまして、これを活用して支援を行っているところでございます。  この補助制度では、放課後児童クラブの運営費や施設整備費につきましては、国と県がそれぞれ三分の一ずつ、合わせて三分の二を市町に対して補助をしております。  このほか、指導員の資質の向上を図るための研修の実施であるとか、あるいは平成二十一年度からは安心こども基金を活用して、放課後子ども教室と連携を図るためのスポーツ用品や教材、備品の購入についても積極的に支援するなど、県によります支援を拡充してきたところでございます。  また、国庫補助制度の対象とならない九人以下の小規模な十六のクラブに対しましては、県単独で運営費の二分の一について補助を行っているところでございます。  県といたしましては、今後とも、放課後児童クラブの良好な環境の整備に努力してまいります。  続きまして、病児・病後児施設の利用促進についてでございます。  保育所に預けることができない病気の子供や病後の回復期にある子供を預かります病児・病後児保育施設につきましては、現在運営中の施設としては佐賀市で二つの施設、それから、鳥栖市、唐津市、伊万里市、嬉野市にそれぞれ一つの施設がございまして、合計六施設が現在運営中でございます。これに先ほど議員からお話のございました整備中の江北町の一施設を加えますと、今年度には七つの施設というふうになります。  このように、現在運営されている六つの施設については、五つの二次医療圏すべてにそれぞれ配置されているという状況になっております。  議員御指摘ありましたように、この施設を有しない市町においても、この二次医療圏内を基本といたしまして、市町間でそれぞれ協定を締結することによりまして他市町の病児・病後児保育施設が利用できることとなっております。  今後、他の市町でも新たに設置された場合には、お話ございましたように、施設のさらなる利用促進を図るために、施設のある市町の周辺市町でも利用することができるように、協定の締結を県として積極的に働きかけていきたいと考えております。  また、あわせまして市町と協力しながら住民への周知を行い、その利用の促進を図ってまいります。  次に、病児・病後児保育の今後の取り組みについてでございます。  本年三月に策定いたしました佐賀県次世代育成地域行動計画の後期計画では、平成二十六年度までに県内すべての市町で病児・病後児保育施設を利用できることを目標といたしております。  現在、市町の管内に病児・病後児保育施設がなく、また協定を締結していないということで利用ができない市町が二十市町のうち四つございます。このため、これらの町に対しては、協定の締結や施設の新設に向けまして、県として積極的に働きかけを行ってまいりたいと存じております。  以上でございます。 21 ◎平子健康福祉本部長 登壇=私のほうからは不妊治療について、二点お答え申し上げます。  不妊治療費助成事業の効果についてですが、本事業の対象者の妊娠、出産などに関する情報については、各医療機関から社団法人日本産科婦人科学会を通じまして厚生労働省に報告され、その後、都道府県に情報提供されることとなっております。  まだその結果が提供されておりませんので、詳細については把握しておりませんが、年間出生数の約二%は本事業の対象治療を受けた方の子と言われております。  不妊治療費の助成を受けられた方は平成十九年度が延べ四百六十五人、平成二十年度は延べ四百七十四人、平成二十一年度は延べ五百二十七人であり、年々増加している状況です。  一回当たりの助成額が十万円から十五万円に引き上げられた平成二十一年度が、平成二十年度に比べ延べ人数で五十三人増加していることからも、助成額の引き上げにより不妊治療を実施された夫婦が増加し、効果が上がったものと考えております。  今後の事業の充実についてですが、不妊治療支援事業につきましては、国の補助制度により県において不妊治療費に対する助成や不妊の悩みに関する相談事業を実施しているものであります。
     今年度の治療費助成額は昨年度の経済対策に引き続き、一回当たり十五万円で実施されております。来年度につきましては、これまで一回当たり十五万円の助成を年二回、通算五年まで助成対象とされていたものを、年三回、通算五年、通算十回まで助成、所得制限も緩和することで、より多くの夫婦にとって使い勝手のよい内容に拡充されるという方向で国において概算要求がされております。  県におきましては、この国の制度拡充に沿って助成事業を実施するとともに、より多くの方にこの制度を活用していただくよう広報に努めていきたいと考えており、例えば、今年度新たに県民対象の不妊治療に関する講演会の開催を行うことを考えております。  また、不妊に悩む方々の経済的な負担や精神的負担の軽減を図り、不妊治療を受けやすくするため、各保健福祉事務所に設置している相談窓口の充実についても努めてまいりたいと考えており、そういった相談事業従事者の研修についても行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 22 ◎牟田県土づくり本部長 登壇=私のほうからは、国営筑後川下流白石平野土地改良事業について三点お答えを申し上げます。  まず、本事業の予算の状況についてでございます。  本事業の総事業費は、白石平野一期地区及び二期地区を合わせて平成二十二年度現在で三百八十二億一千万円というふうになっております。二十一年度末までの事業費ベースでの進捗率は約六九%というふうになってございます。  また、平成二十二年度の概算要求額とそれに対する割当額につきましては、要求額六十五億円に対し、割当額三十八億七千万円ということで、要求額の六割の割り当てにとどまったところでございます。  このため、管路工事約一キロメートル、白石平野揚水機場のポンプ、水管理システム等の工事が平成二十三年度以降に残された形というふうになっておりまして、これらの工事を平成二十三年度にすべて完了させるためには、本年度並みの予算を確保する必要があると聞いているところでございます。  次に、平成二十三年度の予算確保についてでございます。  県といたしましても、議員御指摘のとおり、平成二十三年度の予算確保が重要な課題であるということで、これまで例年実施をいたしております政策提案活動において、県選出の国会議員や関係省庁の政務三役等に対し、平成二十三年度予算の確保を強く要望してきたところでございます。  また、地元の市町等で組織していただいております本事業の推進母体である筑後川土地改良事業推進協議会におかれても、同様の要望活動を積極的に展開してきていただいたところでございます。  しかし、残念なことでございますが、先週の金曜日に公表された国の概算要求の資料によりますと、白石平野地区の平成二十三年度の概算要求額は本年度割当額のさらに約六六%というふうになっておることが判明をいたしまして、このままでは二十三年度の工事完了が難しいのではないかというふうに考えているところでございます。  今後は、年末の国の予算内示までの間に、さまざまな機会をとらえまして、本事業の平成二十三年度予算を少しでも増額していただけるよう、地元とも一体となって国に強く要望をしてまいりたいというふうに考えております。  次に、施設の機能確認と操作運用についてでございます。  国営事業で造成される施設のうち、揚水機場や幹線的な水路などの基幹的な施設は、国から関係市町に管理委託され、その他の支線水路や分水工などの施設につきましては、地元の土地改良区に管理を委託されることになっております。  管理の委託に当たりましては、事前に十分な試験通水を実施し、各施設が十分に機能を発揮することや、管水路からの漏水がないことを確認することはもとよりでございますが、通水がスムーズにいくように、市町や土地改良区の管理者が連携した操作ができるようになることが重要でございます。  このため、今後の維持管理に不安を残さないように、地元に管理委託をする前提といたしまして、試験通水や管理者が施設操作を十分に習得する期間を確保するよう、県としても国に対して要望してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。(「効果は上がってないんじゃないの」と呼ぶ者あり) 23 ◎鵜池生産振興部長 登壇=私のほうからは佐賀県農業の振興の中で、戸別所得補償制度につきましてお答えをさせていただきます。  国では、米、麦、大豆など販売価格が生産費を恒常的に下回っている作物を対象に、その差額を交付することにより、農業経営の安定と国内生産力の確保を図り、そのことによって食料自給率の向上と農業の多面的機能を維持することを目的として戸別所得補償制度を実施することとされております。  こうした中、平成二十三年度予算の概算要求の内容を見てみますと、米については本年から導入されたモデル対策と同様の仕組みとすること、また、麦、大豆等畑作物につきましても、新たに戸別所得補償制度を導入することとされております。  また、この麦や大豆につきましては、数量払いと面積払いを併用した仕組みとして、単収増など生産性の向上が報われるよう、数量払いを基本とすることにより、現行制度である水田経営所得安定対策に比べ、生産量が多ければ多いほど多額の支援を受けられる仕組みとするなどとされておりまして、今後、年末にかけまして行われます予算編成の中で具体的、しかも、最終的な内容が決定されることというふうに思っております。  この麦や大豆につきましては、本県の水田農業にとりまして、米とともに大変重要な作物であります。また、我が国の食料自給率の向上を図る上でも不可欠な作物でありますことから、県におきましても、これまで国に対しまして、その生産拡大が図られるような高い補償水準を確保することにより、米とあわせて十分な所得が補償され、生産者の方々が意欲を持って経営に取り組めるような制度としてもらいたいということにつきまして、しっかりと機会あるごとに要求をしてきたところでございます。  今後とも、国の検討状況をしっかりと注視をしながら、生産者の方々の努力が反映され、安定した水田農業経営が展開できるような制度となりますよう、引き続き国に働きかけてまいりたいと、このように考えております。 24 ◎小野交通政策部長 登壇=私のほうからは、九州新幹線西九州ルートについてお答えいたします。  まず、複線化事業の国の調査結果の内容についてでございます。  国の複線化調査の内容につきましては、既存の線路の横に新しく線路を増設する、いわゆる地平による複線化を前提としておりまして、肥前山口―武雄温泉間のうち、肥前山口―高橋間につきましては、既設線路の横に単線のレールを新設する、また高橋―武雄温泉間につきましては、既設線の横に複線のレールを新設する計画となっております。  また、既設線を含めまして、全線にコンクリート製のPC枕木及びロングレール化をすることによりまして、最高速度を現在の時速九十五キロから時速百三十キロにする計画となっております。  事業費につきましては、地盤改良などの経費が盛り込まれておりませんけれども、概算で約百七十五億円となっております。  次に、フリーゲージトレインの走行に伴う工事の追加についてでございます。  九月七日の国の軌間可変技術評価委員会で示されました軌道側の対策の例といたしましては、ロングレールや軌道整正が示されております。  肥前山口―武雄温泉間に関する国の複線化調査では、ロングレール化を前提とした計画となっておりまして、フリーゲージトレインの走行のために改めて大規模な改良が必要になるとは考えておりませんけれども、国からは具体的にどの程度の軌道対策が必要になるのか示されておりません。また、その経費や費用負担のルールについても確定したものはない状況でございまして、国のフリーゲージトレインの実用化に向けた技術開発の推移を注視していきたいと考えております。  次に、複線化事業の早期事業着手についてでございます。  国からは平成二十三年度概算要求に肥前山口―武雄温泉間の複線化経費は盛り込んでいないと聞いているところでございますけれども、前原国土交通大臣は未着工区間の財源として、今年度留保財源を九十億円確保した対応と同様の考え方で来年度も臨みたいと発言をされております。  また、八月二十七日に公表されました国の整備新幹線問題検討会議の「整備新幹線の未着工区間等の取扱いについて」の中に、西九州ルートの課題として、「肥前山口・武雄温泉間の単線区間の取扱い」が明記されております。このことは、事業主体であります国が西九州ルートの整備を進める上で、在来線走行区間の現在単線となっております肥前山口―武雄温泉間についても対策が必要と判断されたものでございまして、国が課題の解決を図ることを表明されたものと考えているところでございます。  県といたしましても、複線化は西九州ルートの整備の一環と考えておりまして、新幹線スキームにより早期に事業着手されますよう、国に対し強く要請していきたいと考えているところでございます。  次に、西九州ルート整備の軌道修正についてということでございますが、肥前山口―武雄温泉間の複線化につきましては、平成二十一年度に国において概略の調査が実施されておりまして、先ほども申しましたが、今回、肥前山口―武雄温泉間の単線区間が課題と明記されたところでございます。  今後、国において、西九州ルート開業に合わせた複線化整備のスケジュールが検討されるものと考えているところでございますけれども、県といたしましては、複線化を西九州ルートの開業に間に合わせるためには、それほど余裕があるスケジュールとは考えておらず、早期の事業着手が必要であると従来から国に要請してきたところでございまして、今後も引き続き強く求めてまいりたいと考えております。  以上、お答えいたします。(「費用はどれだけ出しとんね」「終わったじゃないですか」と呼ぶ者あり)(発言する者あり) 25 ◎石倉秀郷君 登壇=三点ほど再質問をさせていただきたいと思います。  まずは初めに、筑後川下流土地改良事業にかかわる再質問をいたします。  牟田本部長のほうから答弁の中で、前年度対比でいった場合には六割と。平成二十二年度の予算でいくというと、今約四十億円ですから、これでいった場合には、二十四、五億円ぐらいしかならんということになれば、当然、予算規模は不足するわけでございますので、そうした場合に、白石平野地区の国営事業の概算要求は今年度予算に対して四割減となっておるというふうに聞いておりますし、県は今後、予算内示に向けて働きかけを強化するという答弁であったんですが、知事を先頭に、しっかりと政府ないし農林水産省に背水の陣で要望活動をしていただくことが私は肝要じゃないかと思います。  特に、白石平野に送水する導水路の路線は二ルートございます。一つは、江北町や白石町の東部を受益する白石導水路、この受益者面積が三千八百ヘクタールです。もう一路線は、武雄市、大町町や白石町の西部を受益するとなっておる山脚導水路が約三千四百ヘクタールの受益面積がございます。合わせて七千二百ヘクタールの農地が受益となっておるわけです。  もし平成二十三年度予算が十分に確保できず、二つの路線のうち山脚導水路が完成できないとなると、同じ白石町内で水が届くところと届かないところが出てきて、格差が生じることになります。  このように、もし平成二十三年度に白石平野地区全体の工事が完成しなかった場合、平成二十四年度の通水について、県は今後どのように対応していくのか。時がない、急がんといかぬ、牟田本部長の取り組む意気込みをお聞かせ願いたいと思います。  次に、九州新幹線西九州ルートの軌道修正について再質問をさせていただきたいと思います。  概算要求等を含めた中で、評価委員会から出た数字だと思いますが、西九州ルート完成年度が二〇一八年、これは平成三十年春を目指すというふうに新聞の活字の中に出ておりましたが、元来、振り返ってみますというと、複線化については県の試算では当初百二十億円、これの在来線スキームで二六・七%ですから、これで約三十億円という数字が、当初私たちの議会での説明の中にあったんじゃないかと思います。ああ、そんくらいかなと思いよったところが、ことしの四月に鳥栖から肥前山口まで百三十キロ走行ができると。しかし、肥前山口から武雄までは九十五キロでしか走行ができないと。改めて新線をつくるので、新線は百三十キロで、もちろん地盤改良も必要だろうし、その上に九十五キロのところも百三十キロで走行するために地盤改良ないし構造物の補強をしていかなきゃならないと。そのことによって、百七十五億円の試算が今回出てきたわけです。  私たち沿線自治体とか、そこにとらわれることなく、皆さん方が疑問に思っておられるのは、わざわざ肥前山口から武雄まで地盤改良までして走行速度を百三十キロに上げんばいかんとやろうかと。果たしてBバイC、費用対効果はどがんなるとかいと。時間短縮効果はあるとやろうかと、そういうふうな疑念を抱く県民、町民の皆さん方は数多くおられるんじゃないかと思います。  そういうことも取り上げてみても、時間がないと言いながら、国ないしJR、事業者においては、農業施策と変わりませんけど、猫の目行政のごところころ変えて、それで果たして県の財政、この厳しか財政事情の中に負担金が重荷になりゃせんかというふうな感じが私はします。  だからこそ、ここのところはしっかりと国に、事業者に開業時期の二〇一八年の数字が出ておるわけですから、これで本当に間に合うんですかという確認なりをして、改めて沿線自治体なり関係自治体に説明をすべきじゃないかというふうに私は思いますけれども、できれば知事さんのほうに御答弁をいただければというふうに思います。(発言する者あり)  それと、子育て支援の中で、確認を含めてですけれども、来年度、ガイドライン策定をやっていくというふうにお聞きしたんですが、間違いないでしょうか。  それと、来年度といっても、四月一日から翌年の三月三十一日まであるもんですから、秋ぐらいなのか、年を越すのか、そこら辺のしっかりとした時期的な答弁をお伺いさせていただきたいと思います。  古谷くらし環境本部長の答弁の中でもございましたように、今の放課後児童クラブの現状、放課後子ども教室の現状を見たときに、四十人以上、五十人、六十人、七十人と、ほとんどがそうじゃないかと思います。そういう環境の中で、指導者二人、最低二人ですから二人以上でしょうけれども、二人で見ておられるのが現場の実態じゃないかと思います。  悠長に構えることじゃなくして、早急にガイドラインの作成をして、子供たちが安心して教室で放課後を送っていただくような環境づくり、そして、保護者の皆さん方が安心して預けられるような制度なりを整備していく必要があると思います。  その点について、改めて本部長の答弁を求めます。  二回目の質問を終わります。 26 ◎古川知事 登壇=石倉議員の再質問にお答えします。  まず、国営筑後川下流白石平野土地改良事業については、後ほど担当本部長のほうから詳しく答弁させますが、何としてでも来年度必要な予算額の確保に当たっては、私が先頭になって地元の方々と一緒に背水の陣で臨んでいきたいと存じます。  次に、新幹線についてのお尋ねでございます。  そもそも最高速度九十五キロを百三十キロにする必要はないのではないかというお尋ねでございますが、これは国の複線化の調査結果において九十五キロを百三十キロにするということで調査結果が出ているものでございます。  その背景とする考え方としては、私どもとして思うことは、せっかくこの新幹線として整備するからには、ただ単に単線を複線化するだけではなくて、新幹線として必要な速度を確保することが求められるという、そういう判断で百三十キロにするということが出てきているであろうと理解をしているところでございます。(「簡単にできんよ」と呼ぶ者あり)  こうしたことから考えましても、私どもはやはりこの区間は在来線ではなく、新幹線整備の一区間だというふうに位置づけるべきだと考えております。  これまで私どもが議会に対してお示しをしておりました考え方では、今まだこの区間については新幹線スキームで行うということがないもんですから、安全を見て県の負担が多い在来線のスキームでの県の負担額というものをお示ししておりましたけれども、私どもは本来、この新幹線整備をするがゆえに、どうしても必要となる在来線区間の整備も新幹線整備と同じではないかということをずっと現在では主張をしてきております。特にこうして九十五キロから百三十キロにするということも含めて、新幹線スキームで実現をしていただくようにお願いをしていきたいと考えております。  また、こうした事柄があるので、平成二十九年度末、二〇一八年度での完成をむしろ見送ったほうがよいのではないかという御指摘ではなかったかと思いますが、どういう時期にどういう財源を使ってこの事業を進めていくかということについては、国のほうで真剣に取り組まれております。  私どもとしては、私どもの考え方をお伝えしていきたいと思いますが、財源的に大変厳しい状況でございますので、楽観視はできないと思っておりますけれども、引き続き国の動きを注視してまいりたいと存じます。  以上でございます。 27 ◎古谷くらし環境本部長 登壇=石倉議員からの再質問がございましたので、お答えをいたしたいと思います。  まず、確認ということでございましたが、先ほども御答弁申し上げましたように、今年度NPO法人のほうにその調査研究の委託をしております。そういったことで、これを受けて来年度策定したいというふうに先ほどお答えをさせていただいたところでございます。  その上で、議員からはいつということを示してほしいということでございました。私も、先ほど議員お話がございましたように、やはりできるだけ早いときに子供たちが安心して放課後を過ごせるような環境をつくっていくと、そういう議員の思いをしっかりと受けとめさせていただきたいというふうに思っております。  ただ、市町の意見などを聞いたり、いろいろそういったことがございますけれども、例えば子供さんを長期間預かる夏休みがございます。できればその前までに案をまとめていければというふうに思っておりますので、そういった形でしっかり取り組んでまいります。 28 ◎牟田県土づくり本部長 登壇=白石平野地区の二十三年度予算案につきましては、概算要求が先週の金曜日に公表をされまして、それを受けてすぐに県と推進協議会一体となって反応する必要があるということで、今週から来週にかけて、県はちょっと担当者しか行けないと思いますが、白石の町長も行っていただけるということでございますので、農政局及び農林水産省に要望活動をするという運びになっております。  今後とも、予算の確保に向けて一生懸命努力をしていきたいというふうに考えております。  嘉瀬川ダムにつきましては、御存じのとおりこの秋にも試験湛水が始まるということで、二十四年度の本格運用が予定どおり進められているわけでございますが、この時点において、白石平野に水が全く届かないという事態は、県としては絶対避けるべきだというふうに考えております。仮に、全区間、二十三年度完成しないということにしても、部分的にやっぱり一部水を送るということも次善の策として考えておく必要があるだろうというふうに思っております。  どちらか一方の路線だけを完成すると、地元でいろいろ問題が生じるということも重々承知をいたしておりますけれども、白石平野の地下水の依存量をできるだけ早く、一日でも早く少なくするという観点から、地元の市町や土地改良区の皆さん方とも十分相談をさせていただいて、その理解と協力を得ながら、一日でも早い通水をしたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 29 ◎武藤明美君 登壇=日本共産党の武藤明美でございます。一般質問を行います。  民主党政権が誕生して一年たちましたが、さきの参議院選挙の結果では一年前と比べて国民の期待外れ感や生活がよくならないことへのいら立ち感があらわれました。現に円高問題を初めとした経済面での危機や、小泉構造改革によってもたらされた貧困と格差の中で、苦しんでいる国民生活の打開策が必要なのに、国民そっちのけで党首選びに明け暮れる状況は、一層政治の空白を生み出していると言わねばなりません。  県政において暮らしを守る防波堤としての役割がますます求められていることを痛感いたしております。三期目への出馬を決意された知事は、切実な県民の願いにきちんとこたえていただけるのか、どうでしょうか。そのことを思いながらの一般質問といたします。  初めに、有明海の再生についてです。  有明海では、一九九七年の諫早湾干拓事業による潮受け堤防の締め切り以後、魚介類、ノリなどの生産に影響が出る有明海異変が続いています。赤潮、貧酸素水塊が多発し、二枚貝は激減しています。昨年よかったタイラギも、七月、八月に大量へい死が起きました。二年連続して西南部を中心にノリの色落ちも発生しており、一日も早い有明海の再生が求められています。  赤松前農水大臣はことし三月、諫早湾干拓事業に関する検討委員会を立ち上げ、その報告でも開門調査を行うことになっていましたが、山田農水大臣に交代後、その結論が先送りにされており、開門調査を待ち望んでいる人々からは焦りと不安の声が聞かれます。開門が先送りにされるほど、有明海の再生が手おくれになるのではと心配しておられるのです。  先日、漁業者の方たちの集まりに参加し、現状を聞かせていただきました。御夫婦でカニをとりに行っても五千円にしかならなかったとのこと。西南部のノリ業者は、ことし初め色落ちして早々と引き揚げたため、ネギ農家の手伝いで過ごした方もあったとお聞きしました。西南部だけでなく、東部のノリ業者の方でも、「自分のところは八割方悪かった」とおっしゃいました。別の方は、有明海も末期的状態なのではないかと不安を抱いているとのことでした。こういった不安を取り除くためにも、一刻も早い開門調査が待たれています。  九月十日の漁民の海上パレードには三百五十隻の船、千五百人の四県漁民が参加し、「我々はもう待てないぞ」とシュプレヒコールを上げていました。中長期開門調査は喫緊の課題です。こういった声に知事はどうこたえようとしておられるのか、開門調査に向けたその決意を示していただきたいと思います。  また、漁業と農業、防災を両立させるために、代替農業用水を講じることとあわせ、防災対策のための排水機場の新増設はどうしても必要です。開門調査が決まってからの設置では、有明海再生はおくれるばかりです。早く設置してもらうべきと考えますが、知事はどうお考えでしょうか。  今回、開門調査準備経費として、概算要求に四億円が盛り込まれました。これを調査の結論が出る前からでも代替農業用水、もしくは排水機場設置へ向けて同時並行的に進めるためのものであってほしいと思います。そう求めていただきたいのですが、いかがでしょうか。  八月下旬に私は農水省に開門の要請に行ってまいりました。国に調査要請に行って感じるのは、「開門のための」と前置きがついてはいるけれども、なかなか見えてこない環境アセスメントの問題です。このアセスメントが開門をおくらせる口実になっているのではないかと痛感いたします。今の見通しとしてアセスの手順やそれぞれの時期はどうなっていくのでしょうか。  開門に当たっては、平成十四年の短期開門調査のときの実績もあり、調査結果、蓄積も踏まえて、現実的で実施可能な方法で段階的に開門していけば支障は余り来さないのではないかと思います。そういう立場に立って、一刻も早い開門を進めるべきです。漁民の悲痛な、「我々はもう待てないぞ」という声にこたえる姿勢を示すべきですが、いかがでしょうか。  次に、子育て支援についてです。  一九五一年に制定された児童憲章では、「すべての児童は、心身ともに健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。」など、十二項目がうたわれています。昨年誕生した民主党政権の「子ども・子育てビジョン」では、平日昼間の認可保育所等での保育サービスを、現在二百十五万人から二〇一四年には二百四十一万人へ、平日昼間の三歳未満児保育サービスを七十五万人から二〇一四年には百二万人へと掲げられています。これを目標倒れにしないためにも、佐賀県においての支援策が必要になっています。  乳幼児期の成長や発達を保障するためには、家庭、保育施設、幼稚園がそれぞれ役割を担っていますが、中でも保育園など保育施設は、仕事を持つ保護者にとってかけがえのない子供の発達保障の場になっています。優しい心、根気強い体、みんなで学び合い、喜び合い、みんなの幸せを考えることのできる子供たちへ育っていくように、よりよい保育環境をと願っています。  佐賀県は待機児ゼロを五年連続して達成しているようですが、その背景には認可保育所で入りきれない子供たちを認可外保育所が受け入れているという状況があります。認可外の五十八施設のうち、三十二施設で組織する「佐賀県届出保育所子育て支援会」では、年度途中での入所希望や障害を持つ子供たちも受け入れ、乏しい運営費の中で職員はボーナスもなく、低い給与で子供たちのためにと精いっぱい頑張っておられます。手づくりの給食とおやつで保護者から信頼されているところや、しっかり汗をかいて遊ばせるというポリシーを持っているところ、遊びの中にリズムや縄跳び、跳び箱を組み込んだり、緑の多い公園までの散歩を必ずさせるなど、園の方針として、きめ細やかな対応をしている施設には保護者も安心して通わせることができると喜ばれています。認可であれ、認可外であれ、佐賀県内の子供が育っていく大切な場所であることに違いはありません。  佐賀県はこれまで届け出保育所に対して、施設整備や安全対策のために支援をしてきましたが、今年度で終わる事業もあります。よい保育をと頑張っているこれらの施設をしっかり評価していただき、子育て支援の一環としてさらなる充実をしていただくよう求めます。  まず第一に、知事は認可外保育所、中でも届け出保育所の役割についてどう認識しておられるのか伺います。  第二に、これまでの支援策をより拡充してください。例えば、認可保育園で行っていない障害児保育を認可外で実施しているケースもあります。特に発達障害の子供は、小さいうちから対応していくことが大事だとも言われています。障害児を受け入れているとの情報があれば、また別の方の申し込みもふえるとのことでした。そうなったら、職員もふやさなければなりません。障害児保育に対する支援や保育運営費の助成など、ぜひ行っていただきたいのですが、いかがでしょうか。  第三に、認可を希望する施設へは支援制度を設け、認可化を進めていただきたいのですが、いかがでしょうか。  次に、生活福祉資金についてです。  国においては、昨年十月に新たなセーフティーネットとして、生活福祉資金の改善を初め、幾つかの対策が設けられました。派遣村の取り組みの中で、生活保護の一歩手前でのセーフティーネットがどうしても必要という声に押されたものだと歓迎します。県内に住む方たちが必要なときに活用し、生活再建をしていただくことを望んでいます。  私は、前にもこの生活福祉資金が幾つかのメニューを持ちながら、緊急小口資金が県の社会福祉協議会に設けられていないため、必要なときに必要とする人が借りられないと指摘し、県社会福祉協議会と話をしていただくよう求めておりました。市町の社協の借り入れは、三万円が上限となっているため、まとまったお金を必要とする方には役に立たないからです。多重債務問題となる高利貸し付けに手を出さないためにも、緊急小口資金を取り入れるべきです。  二月議会で知事は協議をしていくと答弁しておられましたが、その後の取り組み状況を御答弁いただきたいと思います。
     また、昨年の改善によって生活福祉資金について連帯保証人なしでも貸付可能となりました。保証人を立てる場合は無利子、保証人がいない場合は据え置き期間経過後で年利一・五%となっています。でも、現実的には保証人を立てるように求められています。  保証人になってもらう相談をしても、実際には年金暮らしなどの低所得者で、なかなかなってもらえないということも多いのです。保証人が見つからないため、年利一・五%払おうと本人が言っているにもかかわらず、保証人を立てないと貸してもらえないという、そういうために結局あきらめたという人もいます。また、債務がある人には貸せないと言われた人もあります。せっかく制度の改善がされたのですから、改正の趣旨を十分生かした、弾力的で迅速な運用をすべきではないでしょうか。  次に、国民健康保険制度についてです。  国民健康保険の加入世帯は、平成二十二年六月一日現在では十二万二千百八十八世帯となっています。失業者や非正規労働者が国保に加入したり、自営業者や農林漁業者の経営難などで国保を取り巻く状況は悪化する一方です。低所得者が多く加入し、保険料に事業主負担もない国保には、もともと国の適切な財政支出があってこそ成り立つ医療保険制度です。  ところが、政府は一九八四年の国保法の改悪で、医療費掛けるの四五%となっていた定率国庫負担を、給付費掛けるの五〇%に改定しました。この給付費掛ける五〇%は、医療費掛けるの三八・五%に当たります。医療費掛ける四五%を三八・五%に削減した分は、保険料負担になったため、国保会計は苦しくなり、国保税が高くなり払えない人、つまり、滞納者がふえていくことにつながっています。  このほか、一九八〇年から九〇年代にかけて、歴代政権は事務費国庫負担の廃止や保険料減額措置に対する国庫補助の廃止、助産費補助金への国庫補助の削減など、国の責任を次々と後退させてきました。その結果、国保の総収入に占める国庫支出金の割合は、八〇年代に五〇%程度でしたが、二〇〇七年度には二五%となっています。しかも、子供医療費など窓口負担を無料にした自治体には国庫負担を削減するペナルティーを行ったり、国保税収納率が低い自治体へも同じように国庫負担を減らすなどしてきました。これらのやり方が国保の貧困化と相まって、住民や自治体に負担を押しつけてきたのです。  国保税が高くなる、払えなくなる、滞納世帯がふえる、国保会計が苦しくなり、また、税を引き上げる、そして、お医者さんにかかれない状況さえ生み出しています。命を守るはずの国民健康保険制度でありながら、国保税を払えないため、資格証だけではお医者さんにもかかれません。その上、滞っている人に差し押さえの通知を出しているのです。  つい最近のことでした。一カ月八万円前後のパート代で家賃四万円を払い、そのほか、ライフラインの料金を払って暮らしている人から、「国保税の滞納分を差し押さえられたら生きてはいけない。死ねということですか」と突然の相談がありました。人生に絶望したとのことでした。命を守るべき制度なのに、こういう思いをさせていいのでしょうか。市役所に詳しく私のほうからお話をして、やっと本人も納税相談に行く気が出て、解決のための足を踏み出すことができましたが、これが現実の国保行政です。  国は国庫負担をもとの医療費の四五%に戻すべきです。知事はどうお考えでしょうか。国に要望していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。  また、高過ぎる国保税引き下げのため、市町に対して県からの法定外補助を行ってほしいんですが、いかがでしょうか。  また、国保法第四十四条は、医療費の窓口負担減免の制度を位置づけています。しかし、県内ではまだ実施しているところはないようです。この制度は、経済的理由から医療を受けられない人への命綱として積極的に活用すべきではないでしょうか。この国保法四十四条に基づく窓口負担減免制度について、私の昨年のこの議会での質問に対し、国がことしモデル事業を各県で行うとの答弁があっていました。佐賀県では、モデル事業をいつどこで行ったのか、その結果についてどうだったのかを明らかにしていただきたいと思います。  そして、きのうからきょうにかけて、先ほども論議されておりましたが、佐賀県は国保の広域化を進めるとのことです。自公政権が打ち出した方向を民主党政権が受け継ぎ、五月十二日の国保法改定の可決、成立によって、広域化等支援方針を策定することになったものです。  五月十九日に出された厚生省の通知には、市町の一般会計からの繰り入れは、保険料の引き上げや収納率向上、医療費適正化を行うことで、早期に解決、解消するよう求めることと明記されています。県内の国保税を均一化するために繰り入れをやめよ、国保税引き上げにつながり、住民は一層困るではありませんか。こういう状況をつくり出しながら、広域化に向かおうというのでしょうか。  国保の財政難が深刻化する中で、自治体の中ではわらにもすがる思いで県単位の広域化に期待される声もあるかもしれません。しかし、それは国民皆保険とは名ばかりで、先ほども指摘したように、国が国保制度を改悪してきた上に、第一次産業や自営業者、アルバイト、年金暮らしなど、厳しい生活をしている人たちの保険料で成り立っているからです。医療給付費がふえるのに応じて、また引き上げられるという悪循環になり、それで何とかしたいとの気持ちから、市町は広域化にすがるんではないでしょうか。  六月議会のときには市町の意向を聞きながら、慎重に対応するという話だったのに、経過報告抜きで、今回の広域化の知事の表明です。この理由を明らかにしてください。また広域化の構想については、佐賀県が主体のものなのか、広域連合的なものなのかお示しください。広域連合的なものだと住民や議会から直接の声が届きづらいものになってしまいます。どうお考えなんでしょうか。  次に、介護保険制度についてです。  介護保険制度が施行されて十年たちました。介護の社会化をうたい文句に発足した制度ですが、重い介護保険料と利用料負担、全国で四十二万人を超える特別養護老人ホームの待機者、私はこの制度ができるときから、「保険あって介護なし」とも言うべき深刻な問題を抱えると指摘してまいりましたが、この間、そういう実態が広がっていることを実感いたします。  介護保険法には、十年を経過した場合において、施行状況について検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講じるとの規定が明記されています。来年二〇一一年には法改正を行い、二〇一二年に制度改正が行われる方向だと聞き及んでいますが、そのためにも、県内の実態を反映した声を国に上げていただきたいと思います。  日本共産党の国会議員団は、四月から五月にかけて介護事業所や都道府県、政令市、中核市、県庁所在都市、東京二十三区にアンケートを行い、介護調査をいたしました。佐賀県内の施設からも切実な声が届けられました。  利用料の一割負担に関して、「重い負担を理由に、サービスの回数や時間などを減らしている人がいる」、そういう答えが書いてあり、利用料負担、食費、居住費負担について、「お金がない人にとって、旧型特養でも支払いが厳しい。ただにとまでは言わないにしても、もっと低料金化を図らないといけないと思う」、そういう切実な思いが書かれていました。これが介護の現場で利用者と接している人々の思いです。  居宅サービスについては、「保険給付だけでは足りず、かといって民間の保険外サービスを利用する経済的余裕もなく我慢を強いられている方がいる」と記されていました。  また、介護施設における利用者の重度化と職員配置基準について、「現在、日々の配置さえ三対一になっていない。五十人の入所者に対し出勤者は十二、三人しかいない。この改善が急務」と書かれていました。  また、「百人を超える入所待機者がいるのに、入所定員もショートステイの定員もふやせない。しかし、自治体は足りているとコメントしている」、こういったことを書かれた事業者もおられました。利用者に心を寄せる施設側の声が切々と書き込まれておりました。これは全国に共通した思いでもあるのではないでしょうか。  低い国民年金や家族の貧困化が進む中で、高い保険料、定率一割の利用料、ホテルコストの導入など、応益負担を原則とした過重な利用者の負担が低所得の高齢者を介護サービスの利用から遠ざけることになっているのです。ひとり暮らし、高齢者夫婦のみ世帯など増加し、老々介護、認々介護と言われることすら起きています。  こういった現実を踏まえるなら、介護費抑制のためではなく、高齢者の尊厳を守ることを最優先にした抜本的な制度の見直しが迫られているのは明らかです。佐賀県は介護保険制度の検討に向けてどういう声を上げていこうと考えるのかお示しください。  また、重い負担を理由にサービスの利用をみずから抑制している人たちのことを思えば、保険料、利用料の減免を国の責任として行われるよう求めていただきたいのですが、いかがでしょうか。  ちなみに、佐賀県の介護保険料の推移はどのようになっているかも明らかにしてください。  さて、佐賀県ゴールドプラン21によると、県内では介護施設への入所希望の理由として、「家族はいるが、十分に介護できない」、「介護する家族がいない」、「二十四時間介護が必要」など、理由はさまざまです。  中でも、特別養護老人ホームへの入所希望は五三・五%あり、一年以上も待機しておられる方は四二・七%になっています。老健希望では二〇・四%、介護療養型医療施設希望は二八・三%、グループホーム一六・七%となっていますが、これから見ても、特養ホームは希望が多く、希望しても待機状態が続いています。つまり、施設数が不足していると言えるんではないでしょうか。  ところが、整備目標はこの間三千四百六十八床で変化なし、来年度には二十床減らすということですが、これは介護保険利用者の願いとは逆行していくのではないでしょうか。待機者解消のためにも、佐賀県は特養ホームをふやすべきだと思いますが、いかがでしょうか。  一月二十三日、国会で長妻厚生労働大臣は介護施設整備について、「これまでの三年間で定員を八万人プラスしてきた。倍増して今後は三年間で十六万床ふやすことにしている」と述べています。  さらに、六月十八日、閣議では、「規制・制度改革に係る対処方針」によって、三七%という参酌標準を撤廃する方向が打ち出されました。国の社会保障審議会介護保険部会でもそれを受けた検討が行われるとお聞きしています。佐賀県ゴールドプランを見直すべきではないでしょうか。どのようにお考えでしょうか。  最後に、農業問題についてです。  農家の判断で需要に応じた売れる米づくりをというのが小泉構造改革の農業版米改革のうたい文句でした。実際は、つくる自由は奪われ、ペナルティーつきの減反が強化されただけでした。流通は完全に市場任せにしたため、激しい価格破壊と買いたたきを招きました。聖域扱いのミニマムアクセス米が加工用米だけでなく主食用も脅かし、政府の備蓄超古米の安値放出も加わって米価は下がり続け、さらに減反強化という地獄のサイクルとなりました。  民主党政権では「戸別所得補償政策で需要は引き締まる」と言いますが、「過剰生産を起こし、さらに米価を下落させることになっていくのではないか」と、心配の声をたくさんお聞きします。  この夏の好天でお米は豊作が予想されます。間もなく迎える収穫の秋なのに、今豊作を素直に喜べない事態になっています。米価は相対取引での平均で一万四千百二十円へ下落し、少し持ち直した程度です。JA全中は、二〇〇九年度産米が三十万トン以上古米として持ち越される見通しと指摘し、ことしの新米も三・八万ヘクタール過剰作付で約三十万トンが余るのではないかと言われており、合わせれば六十万トンから多くて八十万トンもの過剰が生じかねないと分析しています。こうした状況を放置すれば、全国的な米価下落と今後数年にわたり低価格が定着していくのではないかとの不安の声は当然のことではないでしょうか。  過剰米の買い上げと米価の下落対策は緊急の課題です。佐賀県の経済を支えてきたのは第一次産業です。中でも農業は、県民や国民に食糧を安定的に供給するという重要な役割を果たし、それに加え、国土保全など多面的な機能も持っています。  佐賀県では、企業誘致にも力を入れて取り組んでこられましたが、今の不況のもとで、海外シフトや企業撤退などの空洞化、下請会社への単価しわ寄せがある中で、やはりこれまでの蓄積を生かして農業再発見の立場に立つべきではないでしょうか。  知事は三期目挑戦を表明されましたが、そうであるなら、農業に本気で力を入れていただきたいと思います。佐賀農業の位置づけを強化し、農業を振興すべきと思いますが、どうお考えでしょうか。  また、これから本格的に収穫期を迎える本年度産米について、まだ作況指数が公表されてはいませんが、作柄は全国的に平年並みで推移しており、今後の米価の下落も心配されます。国に対し、過剰米の買い上げと米価の下落対策を講じるよう要望すべきですが、どう対応されるんでしょうか。  自給率向上と消費拡大についてですが、農業者の方たちにお話を伺うと、「今、厳しい農業の実態がある中で、このままでは自給率は上がるどころか下がってしまう」との心配の声が出されています。昭和四十年代の七三%、昭和六十年代の五三%から大きく低下し、昨今は四〇%前後で推移しており、主要国の中で最低水準です。食料自給率を上げていくためにも、消費拡大は欠かせませんが、佐賀県は大消費地にばかり目を向けたり、ブランド化で外国に売り込みは熱心ですが、県民にもっとお米を初めとした県産品を食べていただくことも推進していくべきです。これまで県はどんな取り組みを行ってきたんでしょうか。  今、テレビなどでも直売所めぐりなどが取り上げられていますが、安心・安全な県産品が手に入ることは県民にとってもうれしいことです。米粉パンも、もちもちした歯ごたえとお米の自然な甘さが喜ばれています。パンやめんなどの開発をしたり、県産品を使用した料理アイデア募集や講習会、研修会など、楽しみながら参加し、参加した人がさらに地域や家庭でも気軽につくっていけるような方向を目指して、お米や県産品を普及していくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。  次に、新規就農者支援についてですが、農業者の方は、今力を入れてもらいたいことは、先ほど言った価格対策、それから消費拡大と自給率向上、そして後継者対策、この三本柱だとのことでした。後継者とだけ断定しないで見ていくと、ことしの新規就農者はこれまでよりふえたようです。食の安全・安心や環境保全に対する関心の高まり、そして経済状況、雇用状況の悪化などから、農業を選択する人もおられるのでしょうが、すぐに目に見える結果とはなりにくい面もあり、新規就農者の確保のためにも、支援、育成は必要です。  この間、どう取り組んできたのか、さらに力を入れていくべきだと思いますが、どのように進めていくのかお示しいただきたいと思います。  以上、一回目の質問を終わります。 30 ◎副議長(稲富正敏君) 暫時休憩します。     午後二時四十六分 休憩 平成二十二年九月十四日(火) 午後三時二十分 開議  出席議員    三十九名     一番  向 門 慶 人     一五番  指 山 清 範     三〇番  宮 崎 泰 茂     二番  藤 崎 輝 樹     一六番  峰   達 郎     三一番  武 藤 明 美     三番  徳 光 清 孝     一七番  土 井 敏 行     三二番  牛 嶋 博 明     四番  坂 口 祐 樹     一八番  桃 崎 峰 人     三三番  石 井 秀 夫     五番  宮 原 真 一     一九番  石 倉 秀 郷     三四番  留 守 茂 幸     六番  原 田 寿 雄     二〇番  伊 藤   豊     三五番  篠 塚 周 城     七番  岡 口 重 文     二二番  楢 崎   近     三六番  原 口 義 己     八番  田 崎 信 幸     二三番  岩 田 和 親     三七番  吉 田 欣 也     九番  石 井 久 起     二四番  藤 木 卓一郎     三九番  石 丸   博    一〇番  内 川 修 治     二五番  福 島 光 洋     四〇番  木 原 奉 文    一一番  末 安 善 徳     二六番  中 倉 政 義     四一番  伊 東 猛 彦    一二番  太 田 記代子     二七番  竹 内 和 教    一三番  大 場 芳 博     二八番  稲 富 正 敏    一四番  古 賀 善 行     二九番  稲 富 康 平 欠席議員    一名    三八番  堀 田 一 治 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   古  川     康          副   知   事    坂  井  浩  毅          統 括 本 部 長    城  野  正  則          くらし環境本部長     古  谷     宏          健康福祉本部長      平  子  哲  夫          農林水産商工本部長    飛  石     昇          県土づくり本部長     牟  田     香          経営支援本部長      小  池  信  之          生産振興部長       鵜  池  常  範          交通政策部長       小  野  龍  太          会 計 管 理 者    山  口  和  之          公 安 委 員 長    山  口  久美子          警 察 本 部 長    鈴  木  三  男          教 育 委 員 長    安  永     宏          教   育   長    川  崎  俊  広          人 事 委 員 長    馬  場  昌  平          人事委員会事務局長    宮  地  茂  喜 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       荒  木  義  信          総  務  課  長   岩  瀬  茂  生          議事調査課長       蓮  把  邦  彦          政務調査室長       野  中  博  人          総務課副課長       向  井  久美男          議事調査課副課長     毛  利  明  彦          議事調査課議事担当係長  芦  村  耕  介          同    議事担当主査  石  井  健  一         ○ 開     議 31 ◎議長(留守茂幸君) これより会議を開きます。
            ○ 報     告 32 ◎議長(留守茂幸君) まず、報告を行います。  本日の決算特別委員会において、互選の結果、     石 丸   博 君 を委員長に     伊 東 猛 彦 君 が副委員長に  それぞれ当選された旨通知がありました。  以上、報告いたします。  次に、休憩前に引き続き一般質問を行います。  武藤明美君の質問に対する答弁から開始いたします。 33 ◎古川知事 登壇=武藤明美議員の御質問にお答えします。  まず最初に、有明海の再生についてのお尋ねでございます。  開門調査の実現に向けての決意をということでございました。  近年の有明海の状況は、御指摘にあったように、二枚貝も減り、西南部地区を中心としたノリの色落ちが続くなど、極めて不安定なものとなっている中で、開門調査については、政府の実施方針が明らかにされないまま時間が経過し、漁業者の方々は先行きに大変不安を感じておられます。  そのような漁業者を初め、佐賀県民の有明海再生への切実な思いを国や関係者に伝えることが重要であることから、県議会における御提言も踏まえまして、七月二十二日に県民大会を開催し、それを受けて、八月六日には山田農林水産大臣に面会し、有明海再生への県民の思いをしっかりお伝えするとともに、開門調査を初め、今やるべきことを確実に行い、有明海再生につなげていくことなどを要請したところでございます。  そのような中、ことしの七月や八月には赤潮や大規模な貧酸素水塊が発生をして、タイラギやサルボウのへい死が起こるなど、極めて深刻な状態となっております。  去る九月十日に行われた海上抗議活動については、漁業者の方々のやむにやまれぬ心情からなされたものと受けとめておりまして、一日も早い開門調査が必要であるという思いをさらに強くしたところでございます。  私としては、開門調査の早期実現に向け、強い決意を持って取り組んでいきたいと考えております。  先日、山田大臣にお会いした際には、大臣は近いうちに佐賀県を訪問したい旨の発言をされております。そういった機会や県選出国会議員の方など、いろんなチャネルを通じて開門調査を実施するとの政治判断が早急に行われるよう、国に対して全力で訴えてまいります。  次に、開門調査の準備経費についてのお尋ねでございます。  農林水産省の平成二十三年度の概算要求に、これまでの環境アセスメントに関する調査費に加えまして、開門調査に関しての準備経費が盛り込まれました。この準備経費は、開門調査の実施方針が決定された場合に備えて、開門調査の進め方の検討や事前対策工事の調査などを行うものであるというふうに伺っております。  厳しい財政状況の中で、開門調査の進め方などの具体的な検討を行うための準備経費が盛り込まれたことは、県としては、開門調査の実施に向けて一歩前進したものと受けとめているところでございます。  この中で、農業用水対策や背後地防災対策などが含まれているのかどうかについては、現時点では明確ではございませんが、こうした早期開門調査の実現のために必要な対策については、環境アセスメントの結果を待たずとも、早急な対応について国に強く求めてまいりたいと存じます。  次に、開門調査の早期実現についてというお尋ねでございます。  私ども佐賀県としても、できるだけ早く開門調査を実施するべきであると考えております。しかしながら、今回の開門調査については、短期の開門調査のときと違って既に干拓地では営農が始まりました。調整池が農業用水の水源としての機能や背後地の防災機能を果たしていることも事実でございます。  また、開門調査の影響について、干拓地の営農者や背後地の住民だけでなく、漁業者の方々の中にも、漁業への影響などについて心配される声もございます。  このため、県としては、現在、国が行っております環境アセスメントの形にはこだわりませんが、事前に開門による影響をきちんと評価して、十分な対策を講じた上で開門調査が実施されるべきと考えております。環境アセスメントについても、より一層の時間短縮の努力を行っていただき、一日も早い開門調査が実現できるよう、引き続き国に対して働きかけをしてまいります。  次に、子育て支援のうち、認可外保育所に対する御質問でございます。  まず、認可外保育所の存在をどのように認識しているのかというお尋ねでございます。  認可を受けていない認可外保育所は、平成二十一年九月現在、五十五の施設で九百五十二人の子供たちが保育をされています。一方、認可保育所は、二十二年四月現在、二百二十の施設で一万九千七百五十二人が保育をされています。  保育サービスは基本的には「保育に欠ける子」を対象に一定の保育環境を確保した認可保育所において行われるものでありますけれども、認可を受けていない保育所についても、短期保育や夜間の保育、また、認可保育所よりも保育料が安いということなどを保護者がそのニーズに応じて選択をしておられるという現状があると認識をしております。  認可外保育所に対する支援についてのお尋ねでございますが、公的な支援の対象となる保育所については、認可保育所ならずとも保育所の最低基準を満たす施設整備や保育士の配置など、一定の保育環境を確保する必要があると考えております。こうした基準を満たしていないがために公的支援となっていない保育所もあるのは事実でございます。  また、保育所のみで運営される認可外の保育所についても、子供たちの健康、安全面で最低限守るべき基準として、現在、佐賀県独自の認証基準を設けておりますが、その基準を満たす場合に、保育士や児童の健康診断、傷害保険、安全対策などの経費を支援してきたところでございます。  こうした取り組みにより、平成二十二年九月で認可外保育所五十八施設のうち七割に当たる四十施設が佐賀県の認証基準を満たすなど、安心して子供たちを預けることができる保育環境が着実に整備されてきております。健康、安全面に対する支援については、引き続き実施をしてまいりたいと考えております。  次に、この認可を受けていない保育所の認可化についてというお尋ねでございます。  先ほども申し上げましたように、保育サービスは、施設や職員配置など一定の保育環境を確保した公的な支援や管理の対象となる認可保育所において行われることが基本的には望ましいであろうと考えております。  県では、平成十二年度以降、一定規模の園児数を持つ十三の認可外の保育所に対して、認可化に向けた指導を行いまして、認可保育所、あるいは認定こども園にするなど、これまでも積極的に取り組みをしてまいりました。  今後とも、認可化を希望する認可外保育施設に対しては、保育需要の動向や、保育の実施主体は市町でございますので、こうしたところの意見を踏まえながら、適切に指導、助言を行っていきたいと考えております。  次に、生活福祉資金についてのお尋ねでございます。  一点目が、緊急小口資金の実施について、県の社会福祉協議会とどのような協議を行ってきたのかというお尋ねでございます。  本年の二月議会において、議員からお示しのございました県民の声を踏まえて、佐賀県社会福祉協議会に対してその趣旨のお伝えをいたしました。改めて市町社会福祉協議会等の実情や意見を十分把握し、実施についての検討を要請したところでございます。  佐賀県社会福祉協議会としては、市町社会福祉協議会の意見やアンケート結果を踏まえまして、窓口となる市町社会福祉協議会における適正かつ迅速な対応を図るための体制整備、佐賀県社会福祉協議会及び市町社会福祉協議会担当職員の相談や対応のマニュアル作成及び職員研修の実施、市町社会福祉協議会が実施する小口資金との関係の整理など、実施に向けての課題を整理され、現在、これらの課題解決に向け検討がなされているところでございます。  次に、生活困窮者の立場になった資金貸し付けをどのようにしていくのかというお尋ねでございます。  生活福祉資金制度は、借受人の経済的な自立や生活意欲の助長の促進などを図り、安定した生活が送れるようにすることを目的としています。あくまでも世帯の自立の支援が前提であります。  制度要綱でも、償還の見込みがある場合に貸し付けることとされておりまして、あらかじめ立てられた償還計画に基づいて、契約に定める償還方法によって、償還期限までに貸付金を償還していただくということが必要になっております。  生活福祉資金の貸し付けに当たっては、連帯保証人なしで貸し付ける場合には、借受人に償還が見込めるという必要がありますので、佐賀県社会福祉協議会では、借受人のこれまでの生活状況や職歴、就労に対する意欲などを考えて総合的に判断するなど、個別案件の実情を十分考慮した対応に努められております。  また、償還の見込みを判断するために一定の審査期間を必要といたしますが、申請状況に応じた複数回の貸付審査等運営委員会の開催や、佐賀県社会福祉協議会及び市町社会福祉協議会に配置した相談員による丁寧な相談支援などにより、可能な限り迅速な貸し付けができるように努められておられます。  いずれにしても、本当に資金を必要とする世帯に必要な貸し付けがスムーズに行われるように、貸し付けの実施主体である佐賀県社会福祉協議会に対して、今後とも個別の事情に応じた運用や迅速な貸し付けを行っていただくよう要請をしてまいります。  次に、国民健康保険に関するお尋ねでございますが、私からは、広域化について御答弁させていただきます。  広域化をなぜ進めるのかというお尋ねであったかと存じます。  市町の国民健康保険は、特に小規模な自治体では国民健康保険財政の規模が小さく、運営が不安定になりやすいなど、構造的な問題を抱えておりました。これまでどおりの市町単位の運営では、さまざまな社会的な環境や国保の加入者の状況の変化を考えますと、その解決が困難となってきていると認識をしております。  このような状況の中、先般、佐賀県の市長会から、広域化等支援方針を県で策定をしていただきたい、さらには、広域化の協議の場を設置していただきたいという要請が県に対してございました。  県の町村会からも、国民健康保険の広域化などに関する県の強いリーダーシップを要請されました。すべての市町がおのおのそれぞれが抱えている個別の問題、個別の課題を乗り越えて、広域化を目指すことについて、強い決意が示されました。  私の認識としても、最近の厳しい経済情勢等を勘案しますと、国民健康保険について市町に任せているだけでは問題の解決は難しいと感じております。だからといって、県が関与をしさえすればそれで解決できるというものでもないことは、私もそう考えておりますし、市や町の市長さん、町長さん方も十分に理解をし、認識をしておられます。  今回の問題については、市町と県が一緒になって課題を解決することに共同で取り組む、そういったことが必要であると考え、県としても必要な関与を行うことにしたところでございます。  また、運営主体は県なのか広域連合なのかというお尋ねでございますが、これについては、まだ広域化の方針が決まっておりませんので、こうしたことについても市町の意見を聞きながら考えてまいりたいと存じます。  次に、農業問題についてのお尋ねでございます。  農業振興に対してどのように考えているのかというお尋ねでございます。  農業は私たちが生きていく上で欠くことのできない大切な食糧を生産し供給しております。議員からもございましたが、国土の保全や地域経済社会を支える極めて重要な産業でもございます。どんなに時代が変わろうともいつの日も必ず必要とされる産業でありまして、しかも、佐賀県という地域に立脚した産業であると認識をしております。  また、農産物の安全・安心の視点からも、国産のもの、地域のものに対する住民や国民の関心が高まってきております。まさに、私は今や農業が見直され成長が期待されている時代になってきているのではないかと考えております。  このようなことから、私は、農業を二十一世紀に飛躍できる産業として、その農業振興にしっかり取り組んでいきたいと考えております。  ただ、どんなものでもつくれば売れるという時代ではなくなっております。どういったものがお客様から求められるのか、また、お客様からの声として、例えば、環境保全型農業のような環境というものをしっかり考えた農産物ということについても、大きな要請が来ている時代であると認識をしております。  こうした視点を重視していきながら、意欲ある農業者の育成などの取り組みもしっかり進めていって、佐賀県農業の持続的な発展を遂げたいと思いますし、この佐賀県農業の持続的な発展こそが地域の発展にもつながると考えているところでございます。  次に、米価の下落防止についてどのように取り組むのかというお尋ねでございます。  国では、稲作農家の経営安定と国内生産力の確保を図るために、今年度から戸別所得補償モデル事業を米についてスタートさせました。  米については、恒常的に生産費が販売価格を上回り赤字となっておりますので、その差額相当を補てんするということとあわせて、販売価格が過去三年の平均から算定した基準価格を下回った場合には、その差額の補てんを行うこととされております。  しかしながら、この米の販売価格が下がったときに補てんを行うという仕組みについては、米価の下落が続きますと、毎年設定される補てんの基準となる価格も同時に下がっていくことになってしまいます。すなわち、農家の所得が減少することになってしまいます。  県では、国に対し、米価の下落を防止し、その安定を図っていくためには、生産調整を全国的にきっちりと実施をして、需給の均衡を図ることが不可欠であるということを訴えております。そのために、生産調整を実施する制度加入者のメリットが十分確保されるように、できるだけ交付金の水準を高くすることを強くこれまでも提案してきたところでございます。  さらには、この制度では、豊作などによりまして過剰米が発生して米が売れ残った場合の所得補償が何ら盛り込まれておりません。こうしたことから、制度加入者の米が売れ残った場合において、確実に所得を補償するような措置を講じていただくように国に対して提案をしてきたところでございます。  今後とも、こうしたことについて強く働きかけをしてまいりたいと存じます。  私からは以上でございます。 34 ◎平子健康福祉本部長 登壇=私のほうからは、国民健康保険制度について残りの部分と、あと介護保険制度について答弁申し上げます。  まず、国庫負担率の引き上げについてですが、国庫負担率は昭和五十八年度までは医療費の四五%でありましたが、昭和五十九年度以降は給付費の五〇%、医療費換算で約三九%となっておりますけれども、一方で、このときに退職者医療制度の創設など市町国民健康保険会計の負担軽減が図られているところであります。  こういった対応を国のほうでも行われておりますが、医療費が年々増加するなど、市町国民健康保険の財政状況は非常に厳しいと認識しております。  国に対しては、これまでも知事会、部長会などあらゆる機会を通じて要望を行ってきたところでありますが、今後も引き続き国として対応すべき財源の確保については要望してまいりたいと考えております。  続きまして、市町国民健康保険に対する県の支援についてです。  国民健康保険制度の健全な運営を確保するため、県では平成二十一年度において市町が低所得世帯に対する国民健康保険税の軽減を行う場合に、保険基盤安定負担金として二十億一千九百万円、高額医療費の発生による市町国民健康保険財政の急激な影響の緩和のために高額医療費共同事業費負担金として四億円、市町の実情に応じた財政調整のために設置している県財政調整交付金として三十八億一千四百万円、合計で六十二億三千三百万円を交付するなどして、市町国民健康保険会計への支援を行っているところであります。  また、平成二十二年度においても、こうした支援を行うための予算として六十三億八千二百万円を計上させていただいております。  続きまして、モデル事業についてですが、これは国が国民健康保険における一部負担金──被保険者負担金ですけれども──の運用改善に資するために実施したもので、全国三十の自治体で実施されたとお聞きしております。  本県においては、平成二十一年九月からことし三月までの間に、太良町で町立太良病院の利用者について要綱を策定し実施されました。  結果としては、一部負担金の減免に該当する対象者がおらず実績はなかったところであります。  続きまして、一部負担金の減免等についてです。  国民健康保険法第四十四条では、災害など特別な事情があり生活が著しく困難となった場合には、保険者の判断により、被保険者が医療機関で支払わなければならない一部負担金の減免などができることとされております。  県内においては、現在四市町、佐賀市、鳥栖市、基山町、白石町で一部負担金の減免等に関する基準を定めた要綱などが定められておりますが、これまで一部負担金の減免などの事例は聞き及んでおりません。  佐賀県を含む今回のモデル事業の結果を踏まえた減免基準が昨日国から示されたことから、県としては、市町に対して速やかに提示を行ったところであります。  続きまして、介護保険制度についてお答えいたします。  まず、県内の介護保険料の推移についてですが、県全体の平均の月額基準額については、第一期の平成十二年度から十四年度が三千六円、第二期の平成十五年度から十七年度が三千六百六十六円、第三期の平成十八年度から二十年度が四千五百十四円、第四期の平成二十一年度から二十三年度が四千三百三十八円となっております。  県の国に対する要望についてですが、介護保険法は施行後十年を経過して我が国の高齢者を支える制度として定着してきていると認識しております。その一方で、今後はさらに高齢化が一層進展することから、介護サービスのあり方も、介護予防を推進するように制度も見直されるなど転換期を迎えており、制度の持続可能性を確保するとともに、低賃金、長時間重労働と言われる介護職員の処遇を改善し、意欲とやりがいを持った職場環境を整えることが課題であると認識しております。  このような課題認識に基づき、介護制度が将来にわたり安定したものとなるよう県としてはことし六月に行った政府提案においても、介護職員の処遇改善について提案し、「次期介護報酬改定では、介護報酬の人件費引き上げ分について、各サービスの基本報酬の中で評価するとともに、上昇分が確実に介護労働者の賃金に反映できるように」求めるなど、具体的な提案を行ってきたところであります。  また、介護給付費の増加が見込まれる中で、今後の介護保険制度の見直しに当たっては、高齢者が負担する介護保険料の引き上げや自治体の負担増にならないよう、介護保険の国庫負担割合の引き上げなどの財源措置についても、九州各県保健医療福祉主管部長会議を通じて国に対して要望を行っているところであります。  なお、ことしの七月末から国の社会保障審議会介護保険部会において、平成十八年度に改正された現制度について施行後五年の見直しの議論が始まったところであり、県としても引き続きこの議論を注視してまいりたいと思います。  続きまして、保険料、利用料の減免制度の拡充についてです。  介護保険は介護を社会全体で支え合う制度として、高齢者の方が負担する保険料や利用料は所得段階に応じて負担割合が決められております。  そういった中で、低所得者の方への配慮も制度において考慮されており、市町の判断により運用されているところであります。  介護保険料については、介護保険者は、──これは市町村になりますが──保険料設定における低所得者への配慮として、生活保護受給者(第一段階)や世帯住民税非課税で合計所得金額八十万円以下(第二段階)の方については、保険料基準額(第四段階)五〇%に軽減され、逆に住民税本人課税で合計所得金額二百万円以上の方には一五〇%以上に割り増しして設定されております。  また、利用料については、利用者の負担が著しく高額とならないように、世帯での負担限度額を超えた分の払い戻しや介護保険と医療保険の負担額の世帯合算額について負担限度額の超過分を払い戻す制度が導入されております。その中で、市町村民税世帯非課税等の低所得者に対しては負担限度が低く設定されております。さらに、低所得者に対する施設短期入所サービスの居住費、滞在費と食費とともに負担限度額が設定をされております。  以上のような低所得者などへの保険料や利用料の減免制度をさらに拡充させるには、財政負担などについて各保険者において介護保険の運営状況などを考慮し判断されるべきものと考えております。  続きまして、特別養護老人ホームの増床についてです。  施設整備を含め介護サービスのあり方を考えるには、自宅や住みなれた地域での介護を希望する高齢者の願いを大切にする、介護をされている御家族などの負担を軽減する、ショートステイを初め既存の施設、事業所などのサービス資源の状況を踏まえ、その活用を図る、介護を必要としない高齢者も含め、介護保険料が過度の負担とならないように配慮することなどを踏まえ、考えることが必要であります。  そこで、第四期計画における基本的な考え方として、具体的には、今後の認知症高齢者の増加や高齢者向け住まいの需要の増加などを踏まえ、各保険者が指定を行う地域密着型グループホームや有料老人ホームなどの混合型特定施設においては整備の必要性、被保険者への負担、財政面への影響などを考慮した上で、各圏域内で合意が得られた場合には整備を進めることとしております。  参酌標準の撤廃に伴うゴールドプランの見直しについてです。
     参酌標準については、今回国から撤廃の方針が示されておりますけれども、基本的な考え方としては、本来住宅サービスと施設サービスのバランスのとれた整備を進めるために設定されたものであり、撤廃がその方針に変更を加えるものではなく、保険者──市町が地域においてその実情に応じた基盤整備を行えるものと認識しております。  ゴールドプランを策定するに当たっては、県内各保険者がそれぞれの圏域内の高齢者の実態を把握し、要支援、要介護者が利用すると見込まれる介護サービス量に基づき施設整備目標数を設定いたします。  第五期ゴールドプランの策定に当たっても、保険者との意見交換を行い、地域住民のニーズを踏まえながら基盤整備のあり方について検討してまいりたいと考えております。  私のほうからは以上でございます。 35 ◎飛石農林水産商工本部長 登壇=私のほうからは、農業問題についてのうち米消費拡大の取り組みについてでございます。  本県では、県民の方々に栄養バランスのとれた御飯食の普及などによる米の消費拡大を図るため、行政機関、農業団体、流通業者、それから、消費者団体、学校給食関係者などで組織しております佐賀県米消費拡大推進協議会を設置しておりまして、各機関におきまして、御飯を中心とした地産地消を推進するためのセミナーや料理教室の開催、それから、子供たちに朝御飯を食べてもらうための啓発資料の作成、配布などに取り組んでいるところでございます。  また、議員御提案の米粉の利用促進につきましては、米の消費拡大を図る上で一つの有効な手段であると考えておりまして、県におきましても、平成二十年に県産米粉を菓子店へ提供し、新たな商品開発の可能性についての検討を実施するとともに、県内企業の米粉を使用した加工食品の販路の開拓についても支援しているところでございます。  今後とも、米粉の活用につきましては、県内の食品企業の商品開発や販路開拓に対して積極的に支援していくとともに、食育や地産地消の推進とあわせまして、例えば、各地区の栄養士会や消費者グループ協議会の協力のもとに、県民の方々を対象としまして、米粉料理講習会等を開催していくなど、家庭で米粉の利用が普及していくよう、関係機関と連携しながら取り組んでいくこととしております。  いずれにいたしましても、米の消費拡大を推進することは、我が国の食料自給率の向上はもとより、本県水田農業を振興していくためにも重要でありますことから、今後とも米消費拡大推進協議会の関係機関と連携した取り組みを推進してまいりたい、このように考えております。  以上でございます。 36 ◎鵜池生産振興部長 登壇=私のほうからは、農業問題の中で新規就農者の確保並びに育成対策等につきましてお答えをさせていただきます。  県内におきます最近の新規就農者数につきましては、平成十五年をピークに平成十九年までは減少傾向が続いておりましたが、平成十九年の八十八名を底に、平成二十年には百十六名、平成二十一年には百十八名と増加に転じまして、平成二十二年は百六十名と大幅に増加をいたしております。これは農家以外の人が新たに就農するいわゆる新規参入者が前年の二十九名から七十名と大幅に増加したことによります。  次に、新規就農者を確保、育成していくためにいろんな支援策を講じていくべきではないかということでございますが、県におきましては、現在市町や農協が一体となって就農に向けた啓発を行います各種セミナー等への助成、先進農家などで技術習得を行うための研修資金の無利子貸し付けやその償還の減免、農業を始める際に必要となるハウス施設や畜舎等の整備に対する助成や無利子資金の貸し付け、早期に経営安定を図るための技術や経営面からの濃密指導などを実施しているところでございます。  さらに、二十一年度からは就農希望者をマンツーマンで支援をいたします就農相談員を、一名おりましたけれども、これを四名に増員をいたしたこと、さらには、就農希望者を雇用して研修を行う農業法人に対して助成をするなどの取り組みも実施をいたしまして、対策の強化を図っているところでございます。  今後とも、これらの取り組みを関係機関や団体と連携しながら積極的に推進することによりまして、新たに農業を志す皆さんの就農の促進に努めてまいりたいと考えているところでございます。 37 ◎武藤明美君 登壇=それぞれ御答弁をいただきましたけれども、再質問をさせていただきます。  まず、有明海再生に関してですけれども、開門調査にかかわる概算要求の中での四億円ですが、私はこの前八月下旬に農水省に行ったときに、開門するしないにかかわらず排水機の設置だとか、農業用水の確保というのはやっぱり必要だと思うというようなことを農水省のお会いした方が言っておられました。  それで、先ほど知事がアセスの結果を待たずとも強く求めていくというようなことをおっしゃっておられましたので、やはりそこのところできちっとかみ合って、とにかくアセスの結果が出てから、じゃあ開門をしましょうかという準備にかかるというのでは大変遅くなるわけですから、もう早く早くこういったことに対応していただきたいということでのお願いをしていただきたいと思っております。その四億円が、やっぱりこの排水機場の設置だとか農業用水の確保につながっていく。そういうことに多分なっていくだろうと思いますので、正式な予算がつき次第に、日ごろからそういうものを設置してほしいということは言っておきつつも、予算がついてすぐにでもそういったことに着手できるように進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それから、環境アセスの形にはこだわらないけれども、とにかく調査をちゃんとやってほしいんだということをおっしゃっておられますが、やはり漁民の人たちは、もう待てないと、もうこれ以上待てないんだという思いが一層募っています。そういう中で、政治的決断を強く求めていただきたいので、先ほど言ったこととあわせて知事の再度の御答弁を、新しくどうも菅さんがまた総理としてなられるようですので、ぜひそれは言っていただきたいというふうに思っております。  それから、子育て支援についてですが、この間、認証基準に見合っている認可外の保育所には支援なども行っていただいておりましたけれども、引き続き実施していくという御答弁でした。それはそれとしてありがたいんですが、やはり障害児保育など、認可保育所で受け入れられないようなときに、やはり認可外のところに受け入れてくださいというお願いがあっておりますし、先ほど申しましたように、発達障害のあるお子さんは早目に対応していくということが何より大事ですので、いろんなメニューも特別につくっていただいて、それに合ったところには、やはりそれなりの施策を行う、支援を行うということはぜひやっていただきたいなというお願いをしたいと思っておりますので、そのことについてもぜひ検討をいただけるような御答弁をお願いしたいと思います。  それから、生活福祉資金の問題です。  緊急小口資金のことについては、県の社協ともお話し合いをしていただいているようなんですけれども、いろんな問題点を解決に向けて県としてクリアしていくという御答弁だったと思いますが、じゃ、いつごろをめどにそれがちゃんとできていくのか。十二月前に、師走を前にしていろんな方たちが御相談にお見えになると思いますので、そこをひとつ十二月、師走までには間に合うようにしたいというお気持ちで検討を進めておられるのかどうなのか。そこをはっきり御答弁いただきたいと思っております。  それから、保証人の問題ですけれども、本当に必要としている人にスムーズな貸し出しができるようにというお気持ちをお持ちでしたら、──本当に税金を使うものですから、貸したままになってしまうということを警戒されているのはよくわかるんですけれども、やっぱり相手方が誠実に返す、そういうお気持ちを持っておられて、それでも連帯保証人が見つからないという方には、やはり年利一・五%という制度がちゃんと用意されているわけですから、相手方にケース・バイ・ケースということもあるでしょうけれども、相手方の事情をよくよく聞いていただいて、その願いにこたえていただきたいと思います。  国が欠損補てん積立基金というものをちゃんと措置していると思うんですね。それは返済が滞ったときに備えるためのものなんです。そういった欠損補てん積立基金をやっぱり活用していくという前向きな姿勢でいてほしいし、この活用をせずにして貸し渋りの状態になっている、そういうことをやはり解決していただきたいと思っておりますので、その辺、審査会の方たちにもやっぱりこの制度の中身、改善された中身をきちんとお示しいただいて、理解をしていただいた上で審査をしてもらうということにしていかないと、いろんなことが改善されていながら、担当者もそこのところはわかっていながら、審査会ではねられてしまうということにもなってはいけないので、審査会があるのでどうしても保証人を見つけてくれというような言い方で、利用しようと思う人たちにやっぱり絶望感を味わわせるということのないようにしていただきたいと思うんです。そのことはやはりちゃんと対応していただきたいし、この制度の精神、改善された精神に基づいた対応をお願いしたいと思っております。  それから、国民健康保険の問題ですけれども、広域化について、県単でするのか広域連合でするのか、そこのところはまだはっきりしていないけれどもという御答弁でした。  私がとても心配するのは、広域連合の場合に、住民や議会から直接声が届きづらい住民抜きの運営が屋根の上で行われているような、そんなことになってしまうんではないかということを心配します。  それは、後期高齢者医療制度がまさしくそういう状態になっているんではないかということを思いますし、もしそうなったときに、県という公共団体も、法定支出だけを行って、収納率や給付費抑制の指導をするにすぎないという機関になってしまいかねないというふうに思いますので、本当にこの広域化の問題は、市町村にとっては、何か今の苦しんでいる状況を打開していくためには、飛びつきたくなるようなことかもしれないんですけれども、この国民健康保険というそもそもの制度、国民皆保険というところから出発したということから考えたら、本来は国がちゃんと責任を持たなきゃいけないものですし、でも住民に身近なところの市町を実施主体ということでしてもらっているということから考えていけば、やはり国が国保に対するお金をちゃんと出していただくということをしながら、県が調整機関として市町を支援していく、助言していくという立場で行われることがやはり望ましいので、本当に住民抜きで国保税の引き上げだとか滞納整理機構でいろんな差し押さえを行って、国保証を取り上げてというふうな悪循環になって、顔の見えない行政機関、広域化によって顔の見えない行政機関になるということのないように、本当にこの辺は慎重な対応が必要だったと思うんですが、幾ら市町が県に対して強いリーダーシップを発揮してくれと言ったからと言って、知事はもう少し慎重に検討を重ねていかなくちゃいけないんではないだろうかと、この国保の国民皆保険という制度そのもののことから考えていっても、もっと国に対して言うべきことを言う。そして市町を応援していくという県の姿勢をちゃんと示していただくべきだったんではないかと思いますので、その辺は広域化について慎重な態度をとっていただきたいということを伺っておきたいと思います。  それから、介護保険制度です。  待機者もおられる中で、先ほども一回目の質問で言いましたように、ほかの施設に比べても特別養護老人ホームを希望する方は多いわけですので、各保険者がどういうふうにしていくのか意見を交換しながら、ゴールドプランの見直しや特養ホームの増設については意見交換をしていくんだということでおっしゃったんですけど、ただ、各保険者の方は、県がゴールドプランでもう目標値を示しているので、とてもふやしてくれと言いにくいという部分があって、参考のために入所希望の人たちがこれだけいるんだ、待機している人はこれだけいるんだという資料はつけているけれども、県が厳しくシャットアウトしているからとても言いにくいんだという思いをお持ちなので、その辺はもっとオープンに保険者の意見も聞いていただきたいと思うんです。  グループホームや地域密着型では実態として参酌標準の三七%というのはもう崩されて、増床されているわけですので、その辺はちゃんと保険者の気持ち、そして県民の思いを受けとめていただきたいと思います。  施設を新たに整備するとしても、やっぱり保険料にはね返ってくるんではないかという心配もあると思いますけど、やはりこれは長妻大臣も言っておられるように、ふやそうという気持ちも持っておられるわけですので、国へもっと支出をふやすように求めるべきではないんだろうかと指摘いたします。  現に、たびたび問題にされてきた介護職員の待遇改善のために、介護職員の処遇改善交付金というのも出されまして、そのことによって職員の賃金改善へとつながっている部分もあるわけですよね。まだまだ一万五千円の賃金アップというまでにはいかないけれども、平均一万円程度賃金をふやすということに結びついているというふうに思いますので、そのことも考えていくならば、やはり施設を整備していく。そして保険料に極力はね返らないようなやり方で国に地方からやっぱりこれは求めていけばわかっていただけるんではないのか。地方の声をもっともっと大きくしていくべきものではないのかと思いますので、改めてそういう対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。  そして、最後に農業問題ですけれども、米価の問題で言えば、一たん下がった米価がもとに戻るというのはもう容易ではないということはおわかりのことだと思います。やはり、政府備蓄米の中に二〇〇五年産だとか二〇〇六年産という超古米もあるわけですね。やはり、これを食料に回して、主食用に新たに四十万トン買い入れるというようなことを国にぜひ求めていただきたいと思うんです。  今言われている戸別所得補償というのは、余りにも低過ぎるんじゃないかと。本当にお米を生産していく分にはとても見合わないという農家の方たちもお声を出しておられますので、その辺よろしくお願いしておきたいと思います。  最後に消費拡大の問題ですけれども、米粉を使った講習会などもするように取り組んでいきたいというふうな御答弁だったかと思います。  本当に今、手づくり志向というのも各家庭であって、例えば、今米粉対応型のホームベーカリーというのもあるんですよ。佐賀県独自に、佐賀県という米を一生懸命つくっておられる県として、何らかの特典つきのサービスを、米粉用のホームベーカリーを購入されるところには、そういう地域経済の観点からもそういうことを行っていただければ、家庭でもじゃあ米粉パンをつくってみようかというようなこととかも出てくるんではないかと思います。  この間も消費拡大のために御努力されておられるのはわかりましたけれども、やっぱり本当に消費拡大を望んでおられる農家の方、そして安心・安全の佐賀県の農産物を、米をと思っておられる消費者、県内の消費者のほうにも目を向けていただいて、そういう取り組みもできないものだろうかというふうに思いますので、これもちょっと御答弁いただけたらと思います。  以上です。 38 ◎古川知事 登壇=武藤議員の再質問にお答えします。  まず最初に、有明海の再生についてのお尋ねでございます。  排水機場は、アセスに関係なく必要ではないのか。そのことについてできるだけ早く整備すべきという議員の御指摘は私も全く同じように考えております。  一昨年かもしれませんが、調整池の周りの地域で雨が降ったことによって、浸水の被害があるというふうなことがございました。こうしたことから見ても、あの地域は排水機場を必要とする地域であるということは既に実証済みのところだと思っております。その意味でも、この門を開けるか開けないかにかかわらず排水機場の整備が必要だというふうに私どもも思っているところでございます。  ただ、整備するとなると、長崎県内の話でございますのでどこがやっていくのかということはありますけれども、その必要性については私どももいろんなたびごとに訴えていきたいと存じます。  それと、議員から御指摘のあっている、もう待てないという漁業者の悲痛な叫びとでも言うべきものについては、私もよく耳にするところでございます。何としてでも一日も早い政治決断によって、ぜひとも開門調査の実現をしていただきたいと強く思うところでございます。  ただ、短期の開門調査のときには問題がなかったことが、仮にアセスを行わずにやっていくということになると、今回は中長期の開門調査でございますので、ノリの時期がどうしても絡んでまいります。そうすると、前回はノリの時期に影響が出ないような時期を選んでやっていただきましたけれども、そのノリの問題がどうなるのかということもございますので、私どもは常々、営農と防災、そしてもちろん水産が両立して犠牲者が出ないような形での開門調査ということを常々訴えているところでございまして、こうしたことには配慮しなければならないと思いますが、その一日も早い政治決断については、これからも強く求めてまいります。  次に、子育てについてのお尋ねでございまして、認可を受けていない認可外の保育所についても、例えば、障害児の受け入れについては、大きく実績があると、そうしたことについてもしっかりと踏まえた上で、支援の充実強化を図っていただきたいというお話であったかと思います。  私は、障害児の受け入れについては、本来であればもっと認可保育所がしっかり受け入れるべきであるというふうには思っております。認可保育所の場合には、障害のある子供を受け入れた場合には保育士の加算などの措置もございます。しかしながら、現実問題として見たときには、今議員から御指摘のように、認可外の保育所でたくさん預かっていただいているのもまた事実であろうと思っております。  こうした障害児の保育の現状については、私どもとしても、さらにいろんな意味で調査をしていき、現状を把握した上で、障害児にとってどういう環境で保育をしていただければいいのかということについて検討をしてまいりたいと考えております。  また、認可外の保育所について、私どもも本当に大事な子供たちをしっかり預かっていただいているという認識に立っているところでございまして、いろんなことについて、少しずつではございますけれども、充実をさせてきたつもりでございます。  まだまだ十分ではございませんけれども、認可保育所の現状をしっかり踏まえた上で、とにかく子供たちの育ちがしっかりしていくようなことを引き続き取り組んでまいりたいと思っております。  それと、生活福祉資金についてのお尋ねでございます。  果たして十二月に検討が間に合うのかということについては、私自身が現時点では承知しておりませんので、本日こうした議論があり、歳末の資金に間に合うようにということで強い御指摘があったということを、私のほうから県の社会福祉協議会のほうにお伝えをしてまいりたいと存じます。  また、貸し渋りせずにしっかり貸せというお話であったと思います。もともと生活福祉資金というものが何のためにあるのかということを考えて運用をしていくようにという御指摘であったと思います。  私どもも幾度となく、その運用の精神については伝えているつもりでございますし、私どもに対しては個別のさまざまな事情をお伺いしながら対応していくというふうな答えをいただいているところでございますが、さらに一層、その精神をきちんと伝えていくようにしていきたいと存じます。  ただ、欠損補てん積立基金をもっと活用すればよいではないかというお話があって、それはそうなのかもしれませんが、もともとこれは、お貸しするときにある程度きちんと返していただける見込みが立っていたものが、その後の事情の変化でだめになったときのためのものでございまして、最初から返していただく当てのないものについて、これを当てにしてということは社会福祉協議会もそこはなかなか難しいのかもしれませんが、意とするところ、とにかく困っている方に対して手を差し伸べるのがこの資金の意味ではないかということについては、再度こちらのほうからもきちんとお伝えをしたいと存じます。  それと、国保の広域化について、幾つか御懸念、御指摘などがございました。  ことしの十二月末までに広域化の方針を定めてほしいというのが厚生労働省からの通知でありましたが、ほかの県は早々と広域化の支援方針についてやりますということを表明しておりましたが、佐賀県はかなり慎重に対処をしてきました。私自身は、この国保について市町任せではなく、県も一定の役割を果たすべきという気持ちではおりますが、それを直ちに県としての方針にするのではなく、本当に市や町の責任者の方たちもやっていくという気持ちに立っておられるかの確認をしなければ、何か県が絡めば、それで問題が解決するというふうに勘違いをされては困るというふうなところがあったからでございます。  その意味で私どもは、簡単に県が策定しますよということは申し上げず、市長さんたちや町長さんたちがどのようにお考えなのかということについて、市長会の場でも申し上げましたし、また、担当本部のほうからずっと市長さん、町長さんのところを個別に回っていただいたり、町村会の場でも議論をしていただきました。その都度私のところには報告をしていただいております。  私がやっぱり感じておりますのは、自分の市町の単なる損得ではなく、本当に国民皆保険の最後のとりでとしては、自分たちの地域においてはプラスもマイナスもあるけれども、やっぱりやっていかないといけないという町長さんたちの強い気持ちであります。そこは、正直言って私が思っている以上のものがございました。これはやっぱり現場でやっていらっしゃる首長さんから見ると、この国保の問題というのがいかにいろんな課題を抱えているのかということを直接感じられていると私は思っております。  県がしゃしゃり出たからと言って、直ちに問題解決にならないことは十分にわかっておりますけれども、でもみんなで一緒になって、例えば、標準税率を決めていこうではないかとか、支払いの能力があるにもかかわらず払っていただけない方にどうしていくのかとか、そういったことについても一緒に考えていこうということを、気持ちを一つにできているというのは、私は大変大きいと思っておりますし、ある意味時間をかけずに議論をしてきたからこそこうなったのではないかと思っているところでございます。  これからもこの問題については、議員御指摘のように急いで何かをやるということはしないで、とにかくいろんな意味でお話を伺い、いろんな点でプラスやマイナスもあると思いますので、しっかりと議論を進めていかなければいけないと私は思っているところでございます。  いずれにしても、後期高齢者医療制度ができたことによって、この国保は少し助かったという部分が一般的にはあったかと思いますけれども、これも大きく制度が変わっていきます。時間をかけるというのがどこまで許されるのかわかりませんが、この問題については、とにかく市町と一緒になって、よりよい国保制度になるようにしっかり取り組んでいきたいと考えます。実施主体が顔の見える行政機関でなければならないという議員の御指摘については、また、私どもが議論をする際に、それは議員からの御発言ということでお伝えをしていきたいと思います。  それと、私から最後でございますが、一たん下がった米価を戻すのはなかなか難しい、過剰米対策について、例えば、買い戻しをするようなことを提案してはどうかというお尋ねでございます。  確かに、そういう方向もあろうかと思いますが、これは山田農水大臣が国会で答弁されておられることなんですが、ことしの米の戸別所得補償モデル事業で、米の値段が下がったときに補てんを行う予算措置がされておられます。したがって、この過剰米対策にさらに税金を投入することは国民の理解を得られないとして、価格維持のための政府米の買い上げなどはしないということを表明されております。  このことについて、それをもう一遍考え直していただきたいということを申し上げるのも一つの手ではございますが、私どもとしては、そういうことであれば、この需給調整に協力している制度加入者に米価の下落の影響が及ばないように、先ほど答弁したようなことについて、国に強く働きかけをしているところでございます。  この問題については、私どもとしてもかなり重大な関心を持ってこれからもしっかり見守っていきたいと存じます。  以上でございます。 39 ◎平子健康福祉本部長 登壇=私のほうからは、特養をもっと整備すべきではないかという点についてお答え申し上げます。  御案内のとおり、本県の施設整備率につきましては、厚生労働省の調査結果を見ますと、介護保険三施設ですけれども、要介護二から五の認定者数に対する定員に対して整備率は五三%となっており、全国でも最も高い整備状況となっております。そのため、第四期においては、特別養護老人ホームについて増床も含めて増設は計画していなかったところです。  こういった介護サービスの提供に当たりましては、地域の実情に応じた市町による地域密着事業の活用や高齢者の在宅介護を願う気持ちに配慮しながら、ショートステイや小規模多機能などの在宅サービスの充実など、さまざまな方法によりまして介護の充実を進めることが重要と考えており、こういったことも選択肢としてできる限り対応してまいりたいというふうに思っております。  私のほうからは以上でございます。(発言する者あり) 40 ◎飛石農林水産商工本部長 登壇=私からは、米の消費拡大に関しまして、米粉の利用という観点で、家庭用のライスブレッドクッカー、こういった普及とか購入について、何らかの形で取り組みはできないかという御質問だったと思います。  これにつきまして、米粉の使用そのものにつきましては、国のほうでも食料自給率目標を五〇%に引き上げる際に、米粉用米を〇・一万トンから五十万トンにしていくと、そういう目標もございまして、こういったことを受けまして、米粉を活用した企業の参入、こういったものもございます。  一方で、御指摘の家庭用ということで、電機メーターのほうでもこういうライスブレッドクッカーができているわけでございますけれども、先ほど来申し上げましたように、県におきましても、こういう米粉の利用拡大ということでいろんな講習会をしておりますので、まずはこのライスブレッドクッカー、こういったものを使っての実演講習会、こういったものをしながら、その実演をすることで家庭での購入を促したいと、こういった取り組みからでも始めていきたいと、このように思っております。  私からは以上でございます。 41 ◎武藤明美君 登壇=まず、有明海の問題です。  知事にお聞きしますけれども、いずれにしても、もう間もなくノリの時期が来るわけで、今からということにはやっぱりならないんじゃないかと思いますけれども、この冬の時期が明けて、ノリの時期が明けたときに本当に調査に入れるような、そういう準備をこれからの時期しておかなくちゃいけないと思いますし、アセスのことにとらわれておられますけれども、やはり前倒しでどんどん早くアセスを行ってもらうような取り組みや、先ほど知事がおっしゃった国に対する要請行動ですね、排水機、ため池などについてですけど、そういったことも早目にやっていただきたいと。来年のノリの時期が明けたときには本当に準備が進んでいるということが実感できるようなことをしていただけたらと思います。  それから、国保の問題では、私は広域化がとっても気になっております。というか、国保にしてもそうですが、後期高齢者制度でやられている。やがては介護保険も一本化せよといったような御意見も先ほどお聞きしてたらありました。  そういう中で、じゃあ消防の広域化はどうなるのかとか、いろんな形で広域化とかいう言葉が出てまいります。これは県の責任、自治体の責任を薄くしてしまって、やはり地域主権改革のほうへ地ならし的に踏み込んでいっているんではないかということを感じております。  こういったことで、行政の県という単位が、責任が薄くなってしまうというふうなことになっていくんではないかなという心配を持ちますので、本当にじっくり皆さんにお話を聞いていただきたいし、このことが果たしてどういうふうにいいのか、あるいは悪いのか、もっと県民的論議をしていくべきではないかというふうに思います。  健康福祉本部長にお尋ねしますけど、ゴールドプランの第五期は、やはり県民の願い、あるいは保険者の願いにこたえたものにしていくべきだと思うんです。第四期ではショートステイとか小規模多機能の面で充実していったと言われましたけれども、第五期に向けてやはり本当に県民の願いにこたえるような整備を、特養ホームも含めて行っていただきたいというふうに思いますので、その辺をどのように考えているか、もう少し踏み込んだ御答弁をいただきたいと思います。 42 ◎古川知事 登壇=武藤議員の再々質問にお答えします。  まず、有明海の再生に関してでございますが、私どもも法律に基づくアセスメントにこだわっているわけではございません。とにかくできるだけ早い時期に開門調査ができるようにしていく、この一点でございまして、確かにこれからノリの漁期を迎えることを考えれば、今シーズンは難しいかもしれないにせよ、できるだけ早くこれが実施できるように、先ほどの排水機場の話も含めたところで、さまざまなことを国に対して要請をしていきたいと、強く求めていきたいと考えているところでございます。  それと、国保の広域化についてでございますが、議員の懸念は、いろんなものが広域化という名のもとに、何か市町から離れて県のほうに行くのではないかということではないかと思っておりますが、基本的な今の流れから申し上げますと、特に、医療、保健、福祉のメーンの仕事は市町に移っていくという流れになってきております。ただ、その中で、一部のものについては、これはまとめてやったほうがいいのではないかということで、いわば揺り戻しが来ているということであろうと思っておりますが、例えば、国保にしても、介護保険にしてもそうなんでございますが、市や町が絡まない形での再編というのは全くあり得ないだろうと私は思っております。実際にそれぞれの加入者の方や組合員の方を御存じなのは、市や町の職員でございます。そして、日ごろから接しているからこそ、いろんなことができるという部分がございます。  例えば、国民年金にしても、市町が徴収をやっていたころには、そこそこ取れていたものが、制度改革で国が徴収するようになってしまったら徴収率が十ポイント減っていってしまっているんですね。  こうしたことを考えても、市町抜きに、こうしたことの制度設計ができるとは全く私は考えませんし、私どもが今回、広域化でこれから検討していこうとすることも、市や町の役割をなくしてしまうということではなく、市や町が仕事をしやすくする、また、この国保というものを持続可能にするためには、県としてもどのようにお手伝いしていけばいいのかという観点からのものでございます。  議員の御指摘は私も理解できるところでございますので、そうしたことではなく、市町は市町としての機能をしっかり果たした上での、こうした介護保険なり国保の議論であるという認識に立って、私もこの問題に取り組んでまいります。  以上でございます。 43 ◎平子健康福祉本部長 登壇=まず、こういったことを検討していくに当たりまして、各保険者の方々、あるいはさまざまな方から御意見をいただくというのは、これから第五期のゴールドプランを策定するに当たっては、当然行ってまいりたいと思っております。  この第五期の平成二十四年から二十六年の介護保険事業支援計画──ゴールドプランになりますけれども、それの策定に当たりましては、ニーズ調査というのをやはり最初に行ってまいります。そういったものが少しずつですけれども、私どもとしてもデータをそろそろ集め始める時期に来ておりますので、そういったものを踏まえまして、第五期のゴールドプランの策定に当たっても、先ほども申しましたが、保険者、市町との意見交換を行い、また地域住民のニーズを踏まえながら、基盤整備のあり方については計画の策定に当たって反映させてまいりたいと思っております。  以上でございます。 44 ◎岡口重文君(拍手)登壇=もうしばらくおつき合いをお願いしたいと思います。  それでは、通告に従いまして順次質問をしていきたいと思います。  まず一項目といたしまして、未来の見える農業確立について伺います。  本県では、温厚な気候や肥沃な土壌を生かして農業者の高い営農意欲やすぐれた生産技術、そして日々のたゆまない努力によって、米、麦、大豆、イチゴやタマネギ、ハウスミカン、ナシ、お茶、佐賀牛などなど、全国に誇れる質の高い農畜産物を数多く生産されております。  また、佐賀平野や上場台地など、整備された農地、また、米、麦、大豆の共同乾燥調製施設や育成された多くの集落営農組織、さらには果樹や野菜の集出荷施設などを生かし、全国トップクラスの生産性の高い農業が展開されてきたところでございます。  しかし、今日、本県を初め、我が国の農業や農村を取り巻く状況を見ると、消費者の食生活の多様化や低価格な外国産農畜産物の輸入増加などが長年にわたって進んできたことから、さらに最近では景気の後退なども加わって、農畜産物価格は低迷するとともに、さらに原油価格の高騰による農業用重油やハウス用ビニールなどの農業資材や家畜配合飼料の価格の高どまりなどにより、農家の農業所得は大幅に減少し、農業者の営農意欲は減退している状況にあり、大変危惧しているところでございます。  加えて、農家の後継者の他産業への就業などによる農業後継者の減少、また、農業従事者の高齢化などにより、農家は将来に希望が持てずに、農村地域は元気がなくなっているのも実情ではないでしょうか。また、私の地元の集落を見ても、約五十戸のうち高齢化や後継者不足などにより農家が減少し、専業農家は数戸に減ってしまっており、その人たちがいなければ集落の農地も農村も維持できなくなるのではないかと心配するところでございます。  集落では、高齢化などによりナシの栽培をやめてしまい、樹園地も荒れているところもたくさんふえています。荒れた農地をもとに戻そうと地域で話し合いを行っているところもありますが、現在の栽培を維持するのが精いっぱいで、荒れていくばかりの状況は否めません。  さらに、国は来年度から米や畑作物に対する農業者戸別所得補償制度を本格実施しようとされるなど、農政の大きな転換期にあると考えますが、しかしながら、国策としてどのような農業を目指したいのか全く先が見えてきません。農政改革のポイントとして、私なりに思いますには、まずは米の減反見直し、次に農地の有効利用、三点目に担い手の育成確保、それに食の安全性向上、五点目に農業所得の拡大確保があるのではないかと思います。
     農業は国の礎であり、基幹産業であります。農業者が今後とも意欲を持って農業に取り組めるようにしていく必要があると思うし、若者が魅力的な産業として取り組めるような施策を加速しなければなりません。「農栄えて地域発展す」であります。  国策ばかり頼りにするのじゃなく、佐賀県として農業の振興に向けてどのような取り組みが必要と認識され、未来の見える農業の確立のために自信を持って施策を展開されようとしているのか、まず伺います。  次に二項目として、「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」について伺いたいと思います。  ことし三月に国の食料・農業・農村基本計画が発表されていますが、この計画の目指す社会の姿として、将来にわたって消費者と国民が豊かな食と環境の恩恵を受け、また、農業者等が誇りを持って生産活動にいそしむことができる、国民全体で農業・農村を支える社会の創造ということが掲げられています。  こうした社会の実現には、消費者と生産者が農業・農村の果たしている役割や必要性をお互いに共有し、理解することから着実に取り組むことが大変重要と考えます。  県としても、「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」として、消費者や都市部の住民の方々を初め、次世代を担う子供たちに農村や生産活動の意義、大切さを理解してもらう活動に取り組まれております。また、こうした活動があって、県内各地で農業体験や棚田ウオークといったイベント、農産物直売所や農家レストランといった新たな取り組みなど、農業を身近に感じ、理解を深める機会がさらに多くなっているとも思います。  例えば、私の地元では、伊万里ふるさと村を初め、市内にある九カ所の農産物直売所は休日ともなると都市部などから多くの人が訪れ、にぎわいを見せております。また、特産品である梅を使った梅サイダーや梅ジャムなどの加工品づくりの取り組みも見られるところであります。  さらに、国見山の中腹にある炭山地区では、農業の大切さと楽しさを多くの人に伝えるため、都市住民向けの棚田オーナー制などの交流活動のほか、アジサイや彼岸花の植栽など、棚田の景観保全にも積極的に取り組まれておりますし、波多津町でも海を生かした都市間交流も盛んです。  このように、食と農の絆づくり活動は県民の農業・農村への理解を深めるための大変重要な取り組みであり、私なりに評価をしているところであります。  そこで、次の点についてお尋ねをいたします。  まず一点目、これまでの取り組み状況と成果についてでありますが、「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」のこれまでの取り組み状況と成果についてお尋ねをいたします。  二点目に、今後の取り組みについてであります。  この「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」については、本年度までの事業と聞いておりますが、今後の取り組みについてどのように考えているのかお示しください。  三項目としまして、これはちょっと先輩方も聞かれましたけれども、口蹄疫対策について伺います。  本年四月二十日に宮崎県において確認された口蹄疫については、宮崎県東部の川南町や都農町を中心に発生が増加し、えびの市など熊本県や鹿児島県との県境の地域も含め、七月四日までに十一市町において二百九十二例が確認されたところでもあります。  今回の発生では、移動制限や殺処分を中心とした防疫措置に加え、五月二十二日からは川南町やその周辺地域で、国内で初めてとなるワクチン接種と接種家畜の殺処分が行われ、最終的に二十九万頭もの家畜が犠牲となり、地域社会に対しても甚大な被害と不安をもたらす大惨事となったところであります。  この発生も、最初の確認から四カ月余りたって、ようやく終息宣言が出たところでありますが、この間、被害に遭われた畜産農家の皆さんの心情は察するに余りあるものがあり、何と申し上げてよいかわかりません。  現在のところでは新たな発生もなく落ちついた状況にはあるものの、依然として口蹄疫の感染源などの解明がなされていないことから、本県も含めて、またいつどこで発生してもおかしくない状況にあると思っております。畜産農家の方々もまだ不安に感じているところではないかと思います。  こうした中、佐賀県においても、県内で口蹄疫を発生させないよう畜産農家はもとより、市町や関係団体と連携をしながら畜産農家への消毒剤の配布や県境での消毒ポイントの設置など、予備費の活用や補正予算の計上などにより一億円を超える経費をかけて防疫対策を徹底して実施されてきたところでもあります。  しかしながら、口蹄疫の発生を効果的に防ぎ、また万が一発生した場合に蔓延を防止し、畜産農家を初め、県民の安全・安心を確保していくためには、現在、国において進められている疫学調査による感染源や感染ルートの解明や、宮崎県での防疫措置に対する検証結果などを踏まえた対策を講じていくことが大変重要と考えます。  これまでのところ、これらの最終報告がなされていないということは承知しておりますが、できる限りの口蹄疫対策を講じることにより、本県の畜産業が健全に発展していけるよう、しっかり頑張ってもらいたいと思います。  そこで、次の点についてお伺いをいたします。  まず一点目としまして、本県の口蹄疫対策の実施状況についてでございます。  県においては、県内で口蹄疫を発生させないよう、各種の予防策に取り組まれてきたところでありますが、これまでどのような取り組みを行ってこられたのかお尋ねをいたします。  次に、今後の口蹄疫対策についてであります。  口蹄疫対策について万全を期すためには、今後、明らかになっていくこととなる感染ルート等の解明や防疫措置の検証結果等を踏まえながら、対策を推進していくことが必要と思いますが、県はどのように考えておられるのかお示しください。  最後でございますが、四項目めとしまして、若年者の雇用対策について伺いたいと思います。  経済情勢は、世界同時不況による深刻な状況から持ち直しつつあるものの、最近の円高の影響など、環境の厳しさは増していると言われており、雇用情勢も依然として厳しい状態が続いていると思います。  県内の雇用情勢を見ても、平成二十一年七月に〇・四〇倍を記録した有効求人倍率は、その後、改善したものの、本年七月は〇・四九倍と厳しい状況にあります。  このような厳しい状況の中で、今月九月十六日からは来年三月卒業予定の高校生の採用選考が始まるようで、高校生、そして保護者は将来に対する大きな不安を抱えながら就職活動を続けていると思います。また、来春卒業予定の大学生たちの厳しい就職活動に関する報道も、よく目にするところであります。  就職を希望する高校生や大学生など、未来を担う若者たちがきちんとした仕事につき、そして活躍できる社会であってこそ、県民一人一人が安心して暮らせる社会ではないかと考えます。  そのためには、関係者が緊密に連携をし、就職を希望する高校生や大学生など、若者たちの就職を支援していくことが必要であると切に思います。  そこで、次の点についてお伺いをいたします。  まず、県内の雇用情勢についてであります。  有効求人倍率など厳しい数値が出ている中、本県の雇用情勢をどのように認識しているのかお尋ねをいたします。  次に、来年三月卒業予定の高校生の求人状況等について伺います。  来年三月卒業予定の高校生の就職については、七月一日に求人が開始されておりますが、これまでの求人状況はどうなっているのか。また、来春卒業予定の高校生や大学生などの就職対策として、どのように取り組んでおられるのかお尋ねをいたします。  三点目に、今後の雇用対策についてでございます。  厳しい雇用情勢が続く中、若者のみならず、一般の求職者の方々に対しても、さらなる雇用対策が必要と考えております。県は、今後どのように取り組まれていくのかお尋ねをして、質問といたします。(拍手)         ○ 時 間 延 長 45 ◎議長(留守茂幸君) 時間を延長します。 46 ◎飛石農林水産商工本部長 登壇=私のほうからは若年者の雇用対策について三点お答えさせていただきます。  まず、県内の雇用情勢についてということでございますが、先ほど議員のほうからも有効求人倍率の数値を示されて、その数字を申されました。現在は〇・四九倍となっておりまして、そして、完全失業率のほうも平成二十二年第二・四半期の四月から六月は四・三%で、完全失業者数は一万九千人となっております。これは平成二十二年第一・四半期の一月から三月の四・六%と比べますと〇・三ポイント改善し、失業者数で千人減少している状況にございます。こういったことで、数字で見ますともともと低い水準でございますけれども、少しずつ改善の傾向はございます。  ただ、我々県内企業を実際回りまして、いろんな聞き取りをしておりますけれども、そういう中で、例えば、自動車関連の部品の製造メーカーとか家電関連の部品メーカー、それから飲料関係、こういった一部の業種には回復の兆しと申しますか、ある程度好調に推移しているということもございましたけれども、雇用情勢は既存の人員のやりくりでやっているというようなことで、雇用情勢には非常に厳しいものがございました。さらに、最近の円高の進行によりまして先行きが不透明なこともあり、予断を許さない状況にあると認識しているところでございます。  それから、来年三月卒業予定の高校生の求人状況、そして、高校生や大学生等の就職対策ということでございます。  まず、来春三月卒業予定の高校生の求人状況でございますが、佐賀労働局が八月二十七日に公表しております七月末現在の来春卒業の高校生の求人及び就職希望者の状況によりますと、就職希望者数は二千九百六十九人で、前年同期比で百九十一人ふえております。求人数は二千五百九十一人で、前年同期比で三百五十九人減っております。うち、県内求人数でございますが、一千六十人で前年同期比で十八人減っております。また、県外求人数は一千五百三十一人で、前年同期比で三百四十一人減となっており、昨年より厳しい状況となっております。これは七月末現在の数字でございます。  それで、就職対策の取り組みということでございますが、まず、六月に教育委員会、それから、佐賀労働局とともに佐賀県経営者協会を初めとする県内経済四団体に対しまして、来春卒業予定の高校及び大学等の新規学卒者に対する採用枠の拡大と求人票の早期提出について要請をまず行いました。  そして、県の教育委員会のほうでは厳しい求人状況に対応するために、県の雇用基金を活用して県立高校三十六校中二十三校に就職支援員を配置されて、新規求人の開拓等に努められております。  また、佐賀労働局では、各ハローワークに高卒・大卒就職支援ジョブサポーターというものを配置いたしまして、県内の高校、大学等と連携した就職支援が行われておりますが、非常に厳しいということで、例年より一カ月前倒ししまして、八月と九月を「新規高卒者を対象とする求人開拓強化月間」としまして、直接企業を回るなど、求人開拓に取り組まれているところでございます。  それから県では、八月十二日に佐賀労働局、県中小企業団体中央会等との共催で、来春卒業予定の大学生、Uターン希望者等を対象に、SAGA就職面接会を開催いたしました。この面接会には、出展企業六十社に対し四百六十八人の参加があったところでございます。これによるマッチングと申しますか、就職状況は現在取りまとめ中ということでございます。ちょっと今数字が出ておりません。  それからまた、高校生を対象とする就職面接会につきましても、この厳しい求人状況に対応して三年ぶりに開催いたしました昨年に引き続きまして、県教育委員会、佐賀労働局と共催で十一月五日に開催する予定としております。  今後の経済動向や雇用情勢を注視しながら、県教育委員会、佐賀労働局等と連携して県が設置するジョブカフェSAGA等におきまして、引き続き大学等の新規学卒者を含む若年求職者の就職支援に取り組んでまいりたいと、このように考えております。  それから、今後の雇用対策についてということでございます。  県では、さらなる雇用の受け皿を確保するため、今議会におきまして短期の雇用基金を活用した雇用創出事業の追加をお願いしているところでございまして、県、市町の十七事業で九十人の新規雇用を図りたいと考えております。  これを含めまして、平成二十二年度における雇用創出人数は九月補正予算までの累計で、長期雇用基金で六百五十一名、それから短期雇用基金で三千二百三十三名、合計の三千八百八十四名を見込んでいるところでございます。  それから、就職支援ということで、ことし六月のSAGAマッチングセミナー、八月のSAGA就職面接会に加えまして、十月には佐賀労働局との共催で、県内三カ所、唐津市、鳥栖市、武雄市でございますけれども、地域別で就職面接会を開催することとしております。また、今後の雇用情勢によりましては、今年度後半に通算六回目となりますSAGAマッチングセミナーの開催も検討しております。  さらには、就職のためのスキルアップを図る職業訓練につきまして、昨年三十コース、定員六百五十五人で実施した委託訓練を今年度は四十三コース、定員八百五十人に枠を拡大し、取り組んでいるところでございます。  今後とも、本県の雇用情勢を十分注視しながら積極的な雇用対策に取り組み、県民の方々の生活や雇用に対する不安の解消に努めてまいりたいと、このように考えております。  私からは以上でございます。 47 ◎鵜池生産振興部長 登壇=三点質問がございましたので、私からお答えをさせていただきます。  まず、未来の見える農業の確立についてでございます。  厳しさを増します農業情勢の中で、佐賀県農業を持続的に発展していくためには、これからも農業の振興にしっかりと取り組み、農家の方々が将来にわたって安心して経営ができるようにしていかなければならないというふうに私も考えております。  このため、県におきましては、安全・安心で競争力のある農産物の生産販売を基本としながら、意欲のある農家や集落営農組織などを核とした生産性の高い米、麦、大豆づくり、佐賀牛やハウスミカン、タマネギ、イチゴなどの高品質で多彩な農産物の生産とブランド力の向上、有機農業など環境保全型農業の推進、さらには地産地消の推進や国内外での販売促進などの取り組みを進めているところでございます。  さらには、このような取り組みに加えまして、所得の向上を図るため、なお一層の低コスト化や高品質化、さらには高付加価値化などの取り組みを進めていくことといたしております。  具体的には、まず低コスト化のための対策といたしましては、大幅な省力化が可能となります水稲の直まき栽培、あるいは大豆の不耕起播種などの普及、また高品質化のための対策といたしましては、水稲の「さがびより」や、ナシの「あきづき」、王秋などの優良品種への更新、果実の糖度を高めるための根域制限栽培などの普及、さらには「ジャンボにんにく」などの新品目への導入や、集落営農組織でのタマネギなどへの新たな取り組み、県産農産物の高付加価値化のための多彩な農産加工や農産物直売所での活用、農家による直接販売など多様な流通への取り組みなどにも一層力を入れていくことといたしております。  こうした取り組みを農家はもとより、市町や関係団体とも一体となり進めていくことによりまして、担い手の確保や耕作放棄地の発生防止、さらには地域の活性化などにもつながっていくものと考えておるところでございます。  今後とも、農家の方々が将来に希望を持って安心して経営に取り組めるような、そのようなしっかりとした振興に努めてまいりたいと考えております。  次に、「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」についてでございます。  まず、これまでの取り組み状況と成果ということでございます。  「さが“食と農”絆づくりプロジェクト」につきましては、食農教育、地産地消、都市農村交流の三つの取り組みを柱といたしまして進めているところでございます。  このうち、まず食農教育の取り組み状況についてでございますが、地域農業や郷土の食文化に詳しい農業者を「ふるさと先生」として登録いたしまして、幼稚園や小学校などでの出前講座の実施。小学校などで活用いたしますパンフレットの作成、配布や、県民の方々に対して食と農に関する情報を提供するためのホームページの開設などを実施してきたところでございます。  その成果といたしましては、例えば、「ふるさと先生」の派遣により、平成十八年度から平成二十一年度までの四年間に延べ約一万二千名の方々が受講などをしていただいておりますし、子供たちや消費者における農業・農村に対する理解が広がったものというふうに考えております。  次に、地産地消につきましては、県産農産物を積極的に使っている飲食店等を登録いたしまして、「さが地産地消の店」や農産物直売所等についてホームページや冊子、あるいは県民だよりなどによります紹介。学校の栄養職員の方やJA、納入業者等の連携によります学校給食への県産農産物の利用促進などに取り組んできたところであります。  その成果といたしましては、昨年度末現在で「さが地産地消の店」に登録されているのは百四店舗に増加をいたしており、また、学校給食の副食におきます県産食材の使用割合、これは重量ベースでございますが、平成十七年度の三九%から、平成二十一年度におきましては五五%というふうに増加をいたしております。県民が県産農産物を購入したり、味わうことができる機会が着実にふえつつあるというふうに考えております。  さらに、都市農村交流につきましては、田植えや稲刈りなどの農作業体験を初め、農村の自然や景観を活用した地域での交流活動に対する支援、さらに研修会等の開催によります都市農村交流に取り組む人材の育成やネットワークづくり、こういったものに取り組んできたところでございます。  その成果といたしましては、県全域を対象とした都市農村交流の実践者のネットワーク組織が設立をされましたほか、各地域におきましても、ネットワークづくりが現在進められるなど、都市と農村の交流が活発になってきておるというふうに考えているところでございます。  今後の取り組みでございますが、食と農の絆づくりにつきましては、農業・農村が果たしている重要な役割に対する県民の理解を深めるとともに、消費者の県産農産物への信頼感や愛着を高め、さらには都市住民との交流を通じまして、農業・農村の新たな活力を生み出す大変重要な取り組みであると考えております。  このようなことから、今後の取り組みにつきましては、先ほど申し上げましたようなこれまでの成果や取り組みの状況を十分踏まえるとともに、現在進めております「さが“食と農”絆づくりプロジェクト会議」での議論、さらには市町や農業者の方、あるいは消費者などの意見も十分伺いながら、引き続き検討をしてまいりたいと存じておるところでございます。  次は、口蹄疫対策でございます。  まず、本県の口蹄疫対策の実施状況ということでございます。  口蹄疫が一たび発生をいたしますと、発生農場内のすべての家畜を処分することになりまして、農家にとりましては大変な打撃を受けるというふうなことがありますし、一たん蔓延するということにでもなれば、地域の畜産業はもとより、地域経済社会全体に大きな影響を及ぼすというふうなことが考えられます。  このようなことから、本県におきましては宮崎県での発生を受け、県内での発生を防止するために、農家への消毒剤の配布等によります畜舎や畜舎入り口での消毒の徹底や関係者以外の立入禁止の指導、また畜産農家等に対する口蹄疫を疑う症状の早期発見のための観察の徹底や迅速な通報の指導、県内への口蹄疫の侵入を防止するための福岡や長崎との県境などにおきます畜産関係車両の消毒の実施、こういったことに取り組んだところでございます。  加えて、万一県内で口蹄疫が発生した場合には初動対応が極めて重要になりますことから、迅速な初動防疫を実施するための具体的な対応を初め、広く社会対応までを取りまとめた佐賀県口蹄疫対策行動指針を策定いたしまして、口蹄疫を疑う症例の発見から埋却処理までの詳細なタイムスケジュールや具体的な手順の決定、発生農場を中心とした重点防疫区域や移動制限・搬出制限区域におきます消毒ポイントの設置手順等の決定、さらには市町や農業団体等と連携した動員体制などの整備、こういったことの取り組みを進めてきたところでございます。  さらには、畜産農家や県民の方々に対し、県のホームページや「防災ネット あんあん」を活用して、口蹄疫に関するさまざまな情報の迅速な提供などにも取り組んできたところでございます。  今後の口蹄疫対策についてということでございますが、今後、口蹄疫対策につきまして万全を期していくためには、今回の感染ルートや防疫措置の実施状況などを踏まえていくことが大変重要であると考えております。  このようなことから、県におきましては、これまで国に対し、感染経路の早急な解明と、それに基づく蔓延の防止対策に万全を期すよう、強く提案をしてきたところでございます。  これまでのところ、感染経路を調査しております国の防疫調査チームでは、八月二十五日に中間的な整理といたしまして、一つは、ウイルスはO型で、ことし香港や韓国、ロシアで分離されたウイルス株と非常に似通っているということ、それから、農場間の感染拡大には人や物、車両の移動などが関与していることなどをまとめられたところでありますが、今後さらに調査を進めていくということとされております。  一方、発生前後に国や宮崎県がとった防疫対応などについて検証を進めております国の口蹄疫対策検証委員会におきましては、十月中に最終的な報告をまとめられる予定となっております。  このように、現在までのところ、国の調査が終了していないことから、今後、明らかとなります国の検証結果を見きわめながら、必要であれば県の行動指針に追加するなどして、本県におきます口蹄疫対策に万全を期してまいりたいと、このように考えております。  以上、お答えさせていただきます。 48 ◎議長(留守茂幸君) 本日の会議はこれで終了いたします。あす十五日は一般質問、請願上程、議案及び請願の委員会付託を行います。  本日はこれで散会いたします。     午後五時八分 散会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...