↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(香原 勝司君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。
波多江祐介君。(拍手)
*
波多江議員質問
2 ◯十七番(波多江 祐介君)登壇 皆様、おはようございます。
自民党県議団の
波多江祐介です。
先月から福岡市、那珂川市において猿が出没しており、登校中にかまれて児童がけがをしたとの報道がありました。直ちに福岡県防災メールが届き、注意喚起を促されました。事案直後には、関係機関や
庁内関係部局が連携を図り、直ちに対応いただき、協議会がさらに強固な体制であることを実感しております。迅速に対応いただいていることに感謝申し上げます。また、県民の安全・安心のために引き続き御尽力をお願いいたします。
それでは、ジビエの利用拡大について質問と提案をさせていただきます。農林水産省によると、令和四年度、福岡県の野生鳥獣による
農産物被害額は約五億九千七百万円と、北海道に次いで全国二位となっており、依然として深刻な状況が続いております。私の地元、筑紫野市では、以前からイノシシが多く生息しており、水田や畑が荒らされてきました。最近では、子供から大人まで利用される公園、登山遊歩道や水路付近も破壊され、人的被害や出水期の今、排水機能の低下も懸念をするところであります。さらに近年では、これまで見ることの少なかった鹿やアライグマといった野生動物の出没も増えて、電気柵なども飛び越え、金網は下をくぐるなど、その生息域がさらに拡大し、これまで被害のなかった農作物にも影響が出ており、市役所に状況を確認すると年々被害は拡大傾向とのことでありました。私自身、稲作を中心とした農業にも携わっておりますが、特に山間地の方々から、収穫間際の農産物を荒らされ、水路や農道、ため池の土手までも土をえぐられるなど、このままでは農業を続けられないと、さらに対策を強化してほしいといった切実な声をいただいております。
私は常々、農業の衰えは国の衰え、農業は国を支える根幹であると考えております。この日本は、今、
国土強靱化を柱とし、野生鳥獣から農業を守ることは国土、国民を守り、国の衰退を防ぐことにもつながると、非常に重要な取組であると考えております。一方で、農業にとっての害獣であるイノシシや鹿は、日本にもともと生息していた固有種でもあり、外来生物であるアライグマは例外とし、
ワンヘルスの理念の下に共存を図っていくべき存在でもあります。
県では、これまで、野生鳥獣からの農産物の被害を防ぐため、市町村と連携をし、侵入防止柵の設置に加え、増え過ぎて人里に出没するようになったイノシシなどの個体を捕獲して、一定の成果も上げてこられました。農業被害の軽減と野生動物との共生の両立を図っていく上で、増え過ぎた個体を適切な数で管理するため一定数を捕獲することはやむを得ないと考えておりますが、せっかく捕獲した個体をジビエとして有効活用することも
ワンヘルスの実践を図る上で重要であると考えております。しかしながら、県内では捕獲されたイノシシや鹿の多くは利用されず廃棄されており、その利用率は一割と低位であることから、これらの利用をさらに進めていくことが必要ではないでしょうか。
また、私は、その利用拡大に向けた方策の一つとして、学校給食において子供たちにジビエ料理を提供することも有効ではないかと考えております。五月十四日の日本農業新聞の記事によると、地域で捕獲した鹿やイノシシを活用したジビエを給食に出す小中学校が、直近五年で二・五倍増え約千校、過去最多となっております。二十五年ぶりの改正となった食料・農業・農村基本法にも活用を促しており、
ジビエ給食は地産地消の側面からも先行地域の取組に関心が高まっております。他方、原油価格の高騰や円安の進展、原材料価格の上昇が長期化し、さらには世界的な食料生産の不安定化により、九割を輸入で占めている小麦の断絶など、改めて食料自給率の向上や
食料安全保障の確保は、私が言うまでもなく重要なことであります。本県は、将来消費を見据えて、県産米や福岡県有明のりなどを給食で提供しており、豊前市ではジビエのソーセージを小中学校の給食で提供しています。
そこで、知事にお尋ねいたします。有害鳥獣として捕獲したイノシシや鹿の
ジビエ利用を進めるため、県ではどのように取り組まれてきたのか、また今後どのように利用拡大に取り組むのかお答えください。
さて、私は以前農業高校に勤務しておりましたが、そのとき、捕獲したイノシシを猟友会の方々と解体をし、食肉にしておりました。また、授業でも、生徒たちと育てた鶏を自分たちでさばいて食べる命の授業に取り組んでおりました。その経験から、命をいただくことの大切さを学ぶ食育の重要性を実感し、もっと普及していくべきだと考えております。農業被害を与えていたイノシシなどを
ジビエ給食でいただくことは、単にジビエの需要拡大ということだけではなく、子供たちに食育を通して命の大切さを学んでもらうよい機会になるのではないでしょうか。
そこで、教育長にお尋ねをします。県内の小中学校で食育や給食にジビエを取り入れることについての考えを伺うとともに、今後どのようなことに取り組まれていくのかお答えください。
以上で一般質問を終わります。(拍手)
3 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。
ジビエの利用拡大について御質問がございました。県では、農林水産物の
被害軽減対策として捕獲されましたイノシシあるいは鹿を地域の魅力的な資源として有効活用してまいりますため、ジビエの利用拡大に取り組んでおります。具体的には、捕獲者の負担軽減やジビエの鮮度保持を図りますため、
民間事業者が保冷車を使って捕獲現場から
獣肉加工処理施設までの運搬を担う体制づくりを支援しておりまして、四つの市町で取組が進んでおります。また、現在県が五十四店を認定しております
ふくおかジビエの店と連携をいたしました
ジビエフェアや飲食店を対象としたジビエの調理講習会の開催などを通じまして、需要拡大に取り組んでいるところでございます。このような取組の結果、一昨年度、県内でジビエに利用された頭数は、イノシシは約三千頭、鹿は約一千六百頭となっておりまして、その合計は五年間で見ますと約四倍に増えているところでございます。
しかしながら、ジビエの利用頭数は捕獲頭数全体の一割程度にとどまっておりまして、まだまだ利用拡大の余地はございます。このため、
ジビエフェアの
外国人向けホームページの開設や
一般家庭向けレシピ集の作成によりまして、幅広い消費者へのPRを強化いたしますとともに、学校給食での利用に向け、ジビエの仕入先や調理方法を紹介してまいります。さらに、
獣肉処理加工施設で発生いたします残渣の有効活用に向けまして、市町村や民間企業と連携し、
ペットフード原料に加工する取組を進めており、早期の実用化を目指してまいります。
5 ◯議長(香原 勝司君)
寺崎教育長。
*
教育長答弁
6 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 お答えいたします。
食育や学校給食にジビエを取り入れることについてでございます。小中学校における食育は、適切な栄養の摂取による児童生徒の心身の健全な発達や健康の保持増進だけでなく、地域の自然や食文化、生産者の努力に対する児童生徒の理解を深め、食に対する感謝の念を育むことなどを目的としております。地域で捕獲され処理加工されたジビエを給食に取り入れることは、動物の命を大切にいただく気持ちやジビエに関わる方々の努力に感謝する気持ちを育むとともに、地域の食文化への理解を深めることにつながるため、学校における食育の推進に資するものと考えております。
県教育委員会としましては、今後、豊前市をはじめとする県内外の取組を栄養教諭の研修会等を通じまして市町村や学校に紹介し、農林水産部と連携しながら、ジビエを取り入れた給食の理解促進を図ってまいります。
7 ◯議長(香原 勝司君) 嘉村薫君。(拍手)
*
嘉村議員質問
8 ◯二十六番(嘉村 薫君)登壇 おはようございます。
民主県政クラブ県議団、糸島市選出の嘉村薫でございます。通告に従い、耐震化の
促進等水道行政の課題について質問します。
今年元日に石川県能登半島で最大震度七を観測した地震が発生しました。水道管が広範囲で壊れ、最大約十三万七千戸で断水が発生しました。主要施設の浄水場が被害を受けたことや、都市部と異なり水を運ぶルートが単線だったことも影響し、地震から五か月が経過し、ようやく五月三十一日時点で早期復旧が困難な地区を除いて断水が解消しました。国の調査では、
能登半島地震で水道管の被害箇所が最も大きかった石川県能登町の一キロメートル当たりで二・六六か所は、過去において
東日本大震災で最も被害が大きかった宮城県涌谷町の〇・三六か所と比べて、約七倍に上ることが分かりました。また、断水率を発災から十五日後で比較すると、
能登半島地震で四八・三%となっており、これは
東日本大震災の一九・二%、熊本地震の二・九%と比べても高く、被害箇所や断水率を見ても
水道耐震化の重要性が強く認識されています。
ところで、本県には、県東部に
小倉東断層と
福智山断層帯、西部には日向峠─
小笠木峠断層、沖合には
糸島半島沖断層群、玄界灘から福岡平野にかけて警固断層帯が延び、福岡市の東には宇美断層、県の中央部を玄界灘から筑紫山地まで西山断層帯、南部には東西に延びる水縄断層帯など実に多くの断層があります。二〇〇五年三月には福岡県西方沖を震源とする地震が発生し、福岡市中央区や東区、糸島市などで震度六弱の揺れを観測し、大きな被害を受けました。時と場所を選ばない自然の脅威に対して、県民の命と健康、財産を守るため、防災・減災の対策が急務と考えます。
そこで、以下質問します。本年二月定例会の我が会派の代表質問において、知事は、主要な水道管のうち耐震性のある管路の割合である基幹管路の
耐震適合率について、本県は、令和三年度末時点で四一・五%であり、全国平均の四一・二%と同程度となっています。これを市町村等の
水道事業者別に見た場合、耐震化を終えた事業者がいる一方で、約三割の事業者の
耐震適合率は二〇%未満となっており、耐震化を促進させることは重要であると認識していますと答弁されました。
そこで、お尋ねします。
耐震適合率は市町村によってかなりばらつきがあるようですが、水道施設の耐震化を促進するため、県は
水道事業者に対しどのような支援を行っているのか、お答えください。
本県の水道施設の耐震化の現状について見てみると、
主要水道管のうち耐震性のある管路の割合である基幹管路の
耐震適合率は、令和四年度末時点で四二・二%となっており、前年度からの伸び率は僅か〇・七ポイントにとどまっています。全国的に見ても、水道管路は
高度経済成長期に多くの延長が布設されており、これらの多くは耐震性が低く、震災時の安定給水に課題があるとの指摘がされています。また、事業体間、地域間でも大きな差があることから、国土交通省は、全体としての底上げが必要な状況であると課題認識しています。しかしながら、国の補助制度があっても
水道事業者が
耐震化事業に取り組みにくいのは、財政状況が厳しく、予算に余裕がないことも要因となっていると考えます。今後、人口が減少し、
水道料金収入が減少すれば、一層水道事業の経営は厳しくなるのではないでしょうか。
そこで、二点目にお尋ねします。県内の水道事業の経営環境の将来見通しについてお答えください。
水道事業の経営環境がより厳しくなる中、住民生活に必要不可欠なライフラインである水道を将来にわたって維持していくため、水道事業の基盤を強化していくことが重要です。そのための有効な手段の一つが、水道の広域化だと言われています。二〇一九年十月に施行された水道法の一部を改正する法律では、都道府県は市町村の区域を越えた広域的な連携を推進するよう努めることが規定されています。したがって、県は広域連携の推進役として、広域化を進める
水道事業者間の調整を行い、多様な広域化に向けた検討について、
水道事業者と連携しながら取り組むことが求められています。本県は、二〇一九年三月に福岡県
水道ビジョンを策定し、将来にわたって安定的な水道事業を行うための目指すべき方向性や取るべき施策を示しています。このビジョンの中には、五十年から百年先を視野に入れた水道の理想像を掲げ、広域化や耐震化などの方向性が示されています。また、二〇二三年三月には、広域化に特化した
水道広域化推進プランを策定し、取組を進めています。
そこで、三点目にお尋ねします。本県では、水道の広域化をどのように進めようとしているのか、お答えください。
水道事業は、市町村が担っていくものではありますが、重要な
社会インフラであることに鑑み、県としても、耐震化や広域化など各
水道事業者の取組支援を強化していかなければならないと考えます。知事の真摯な御答弁をよろしくお願いします。(拍手)
9 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
10 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
水道施設の
耐震化促進に向けた支援についてでございます。令和六年
能登半島地震では水道施設に甚大な被害が発生しておりまして、これも踏まえ、一層耐震化を促進する必要があると考えております。このため、県では、
国土交通省九州地方整備局と連携をいたしまして、
水道事業者に対し、耐震化の促進に向けた技術的、財政的な支援に取り組んでいるところでございます。先月には、
九州地方整備局から講師を招きまして、
能登半島地震の被害状況の説明や
耐震化事業に係る
国庫補助制度の紹介など
災害予防対策の研修会を実施いたしましたほか、
耐震適合率の低い
水道事業者に対しましては、個別に働きかけを行っております。また、
水道事業者が行う基幹管路や浄水場等の耐震化に要する経費の一部を助成しているところでございます。
次に、水道事業の経営環境の将来見通しについてでございます。県では、昨年三月に策定いたしました福岡県
水道広域化推進プランで水道事業の将来見通しの推計を行っております。この推計によりますと、人口減少に伴い、
水道使用量が減少する一方で、水道施設の更新にかかる費用は今後も同程度が必要となる見込みでございます。このようなことから、現在の水道料金を前提といたしますと、
県内水道事業全体の収支は令和四十一年度には経常損失が発生する見込みでございまして、
水道事業者の経営基盤の強化を図る必要がございます。
次に、水道の広域化の促進についてでございます。広域化は経営基盤を強化する上で
スケールメリットを生かした有効な方策でございます。その際、地域の実情を踏まえ
水道事業者間の合意形成が図られることが重要でございます。このため県では、八つの地域において
広域化検討会を設置いたしますとともに、その実現可能性や費用対効果の調査に要する費用の一部を助成し、
水道事業者間の協議が進むよう支援を行っております。先月には北九州市、行橋市、苅田町における協議が整いまして、北九州市が両市町に水道用水を供給する事業の基本協定が締結されました。検討会が設置されていない地域の
水道事業者に対しましては、昨年度から福岡、北九州、筑後、筑豊それぞれの圏域におきまして先行事例の勉強会を開催いたしまして、広域化の理解が進むよう努めているところでございます。今後もこうした取組によりまして、広域化を推進してまいります。
11 ◯議長(香原 勝司君) 嘉村薫君。
12 ◯二十六番(嘉村 薫君)登壇 知事の御答弁を踏まえ、要望をいたします。本県では、
福岡西方沖地震から来年で二十年の節目に当たり、本年度予算にみんなで備える
地震対策費六千五十八万四千円、デジタルでまもる防災推進費五千七百十三万五千円を措置し、災害対応力を強化することとしています。また、国では、本年三月二十九日に総務省と厚生労働省の連名で各都道府県と市町村の
財政担当課及び
水道事業担当課に対し、水道施設の適切な更新・耐震化等についての
事務連絡通知を発出し、
水道管路耐震化事業に係る
地方財政措置を令和十年度まで延長するとした内容を通知しています。水道施設の着実な更新・耐震化の実施が求められている現状に着目した通知であり、
生活基盤施設耐震化等交付金の
水道管路緊急改善事業等と併せて活用することにより、水道施設の更新・耐震化を適切に進めることを求めています。
そこで最後に、市町村や事業者の取組が着実に進むよう、国に対しさらなる補助率の向上を県として働きかけていただくこと、また市町村や事業者のそれぞれの実情を把握した上でその意向を尊重しながら広域化や耐震化が進むよう、県独自の財政支援も含めた支援の在り方を検討するなど、本県の積極的な水道行政の推進を要望し、質問を終わります。(拍手)
13 ◯議長(香原 勝司君) 永島弘通君。(拍手)
*
永島議員質問
14 ◯十番(永島 弘通君)登壇 公明党の永島弘通でございます。通告に従いまして、
介護支援専門員いわゆる
ケアマネジャーの実務研修に対する国の
教育訓練給付制度に関し、本県の利用状況について質問をいたします。
冒頭、知事にお伺いをいたします。まず、国の
教育訓練給付制度はどのような制度か、併せて
ケアマネジャーの実務研修はどのような研修で、この研修に国の
教育訓練給付制度を活用した場合、受講者にどのようなメリットがあるのか、知事の御認識をお聞かせください。
昨年八月以来、私の下には、国が
ケアマネジャー実務研修の受講者に対し経済的に補助する事業を行っているのに、なぜ福岡県ではそれが使えないのかと多くの疑問の声をいただいております。その実現を目指し、私自身が様々動いてまいりました。これから、あえて時系列に申し述べます。
昨年八月二十九日に、私から
保健医療介護部介護人材確保対策室に本県の現状を確認すると、国の
教育訓練給付制度を使うには県が指定をして研修を担う
研修実施機関が国に申請手続を行う必要がある、制度を使うかは機関の判断、県では何もできないとの回答でした。その後、十二月十二日、
筑紫野公明市議より、
ケアマネ研修を受ける支援者がネットで国の制度の情報を見つけ直接県庁に問い合わせたが、福岡県では制度が使えないと言われたようだ、一体どうなっているのかと私へ問合せがありました。十二月十四日、私から
研修実施機関などに
ヒアリングを行いました。回答は、本制度は受講者にとって経済的に大きな助けになるが、申請要件を満たすためのハードルが高そうとのこと。具体的には、研修を受講した方の就職・在職率が八〇%以上との要件があり、本県の今期の
研修受講者でいえば四百六十八人の一人一人に連絡をして研修前後の就職状況の確認をする必要があり、当方の人数では負担が大き過ぎると、
研修実施機関の二団体とも同じ考えでした。一月二十三日、私から、国の担当である
厚労省人材開発統括官付若年者・
キャリア形成支援担当参事官室の係長を
国会議員事務所に紹介をいただき、どうやったらこの制度が使えるのか相談をしました。係長いわく、予算も制度もある、都道府県に対しては積極的に御活用いただくよう国から通達を二度出している、福岡県でもぜひ御活用をいただきたい、現場の状況に応じできる限り相談に乗ると前向きな回答をいただきました。また、既に制度を活用している大分県の情報も頂戴しました。四月二十九日、
大分県庁高齢者福祉課の課長に大分県の
研修実施機関である大分県
社会福祉介護研修センターを御紹介いただき、五月十五日、大分県に出向いて
ヒアリングをしてまいりました。現地では国への申請を実際に担当した方より導入のアドバイスや申請上のポイントなど御助言をいただき、貴重な情報を持ち帰りました。ちなみに厚労省の係長にその内容を入念に確認をすると、永島議員の認識で問題ないとの回答もいただきました。その後、
研修実施機関にも情報を共有し、これなら可能性が見えてきたとの認識も示されました。
今回の
ケアマネ実務研修の受講費用は一人五万八千円です。もし給付制度を使えたら、受講者によっては四割の補助が受けられたところです。また、
ケアマネ実務研修は約半月間のコースで、皆さん個人の休日を研修日に充てて受講されております。皆さん総じておっしゃるのは、ケアマネは決して高収入とは言えず、心身ともに疲弊をしながら必死に受講しているとのこと。県が、研修機関が申請しないから県では何もできないと回答するのは簡単でしょう。しかし、先ほど私があえて時系列で、るる申し上げたような、例えば国に対してどうすれば制度が利用できるのか照会・相談をしたり、既に制度を活用する他県に対し
研修実施機関がどうやって国への申請をパスしたのかなど
ヒアリングをした上で本県の
研修実施機関に情報提供を行うなど、当局としていろいろとやれることはあったのではないでしょうか。
そこで、知事にお伺いをいたします。本県の
ケアマネ実務研修の実施機関が国から
教育訓練給付制度の指定を受けるためにどのような課題があると認識されているのか、また本県の
研修実施機関が国から
教育訓練給付制度の指定を受けられるよう、今後、県としてどう対応されるのかお答えください。
次に、防災アプリ、まもるくんの機能強化について質問いたします。いよいよ出水期に入りました。近年、線状降水帯や台風などに起因した大きな水害に見舞われている本県としましては、でき得る対策を講じ、災害に備える必要があります。自然災害が起きた際、まず困るのが電気です。災害時、避難情報をはじめ停電状況やその復旧がいつ頃なのかといった情報の提供は、行政の大きな役割の一つと考えます。
先日、九州電力送配電株式会社が九州七県の停電情報を知らせる九州停電情報提供アプリをスタートいたしました。会社に
ヒアリングをすると、アプリをダウンロードすれば、○○市○○町何丁目といった身近な範囲で、見たいエリアの停電状況や復旧見通しが画面上に地図で表示され、事前に希望のエリアを登録をしておけば、停電の際、自動で通知をされる仕組みとのこと。これまでのシステムでは停電発生から通知が届くまで最大十五分ほどかかっていたのが、このアプリで一分以内に届くようになったようです。
そこで、知事にお伺いいたします。本県には防災アプリ、まもるくんがありますが、現状では停電やその復旧見通しなどについての情報提供機能がございません。例えば、まもるくんの中に停電アプリが見れるようにリンクを張るなど、上記アプリとの連携を検討してはいかがでしょうか。知事の御所見をお聞かせください。
最後に、現場警察官の勤務環境について伺います。県警が掲げる県民の安全・安心の確保の実現には、現場の警察官が動きやすい環境を整えることも重要です。昼夜を問わず現場で動く警察官の意見を勤務環境に反映させることが、県民のさらなる安全・安心の確保につながるものと考えます。
そこで、県警本部長にお伺いをいたします。県警には現場の警察官の意見を吸い上げる仕組みがあるのか、お答えをください。
昨今、千葉・長崎県警などで警察官にサングラスの着用を認めるとの報道がありました。記事では現場警察官にも好評とのこと。つい先日も、隣の佐賀県警が同様の取組を始め、ニュースによれば、街頭インタビューなどでも強い抵抗感を示す人はほとんどいなかったようです。日差しが強い日や朝夕にサングラスを着用することで無用のミスや事故防止が図られ、また近年の強い紫外線から警察官の目を保護する意味でも有効と考えます。現在の福岡県警の規定では、職務上や健康上の必要がある場合を除きサングラスを着用してはならないと決められていると伺いましたが、必要と思われる勤務環境で動く警察官でも、県民に与える印象等を気にして希望を言い出しにくい方もいるのではないかと推察をされます。例えば、緊急性がない平時や県民と接する際はサングラスを外す、華美でないものなど一定の基準を設けた上で、事故防止や健康管理の観点からこれを認めてもよいのではないでしょうか。民間でもバスや電車、トラックなどの運輸・運送業界で着用が広まっております。時代や環境の変化に合わせ、県警としても着用を認め、県民に無用な誤解を生まないようにしっかりと広報することで現場の警察官も着用しやすくなると考えます。
そこで、本部長にお伺いをいたします。実際に現場の警察官からサングラスの着用を認めてほしいとの意見はあるのでしょうか。また今後、既に着用を認めている他県の警察のように、サングラスの着用を組織として認めることについての県警本部長の御所見をお聞かせください。
以上で私の質問を──終わります。(拍手)
15 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
16 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
介護支援専門員実務研修と
教育訓練給付制度についてお尋ねがございました。まず、国の
教育訓練給付制度とは、労働者の主体的なスキルアップを支援するため、厚生労働大臣の指定を受けた講座を受講し修了した方に対しまして、その費用の一部が支給される制度でございます。次に、
介護支援専門員実務研修は、
介護支援専門員の資格を取得するために必要となる研修でございまして、先ほど述べました給付制度の対象講座に含まれております。実務研修の実施機関が給付制度の指定をあらかじめ受けておれば、雇用保険の被保険者など給付制度の支給要件を満たす受講者が実務研修を修了した場合、最大で受講費用の四〇%、上限二十万円の給付金を受け取ることができますことから、受講者の方の負担軽減につながるものと認識をいたしております。
次に、
教育訓練給付制度の指定を受けるための課題についてでございます。現在、本県で研修を実施しております団体は社会福祉法人福岡県社会福祉協議会と公益社団法人福岡県
介護支援専門員協会、この二つの団体でございますが、いずれも給付制度の指定を受けておりません。給付制度の主な指定要件は、国が定める教育訓練の指定基準によりますと、まず再就職や資格取得等の目標達成に向けた具体的な支援策を講ずることができる体制を整備すること。そして、教育訓練を実施する上で必要となる設備、施設が常に使用できる状態に置いていること。そして、教育訓練を修了した者について、訓練修了後の就職、在職率が一定の水準であることなどとなっております。昨年度、この二つの
研修実施機関に対しまして、
ヒアリングを行いましたところ、指定要件を満たすためには、受講者の就職支援を行うための新たな部署や担当窓口の設置が困難である、あるいは研修会場となる教室を常に使用できる状態に置いておくことは困難である、新規申請に当たり過去三年間の受講者の就職状況等を調査する必要があり、事務負担が大きいなどの課題があると聞いているところでございます。
次に、
教育訓練給付制度の指定に向けた県の対応についてお尋ねがございました。県では、令和元年の九月に
教育訓練給付制度が拡充され、実務研修や他の介護職員向けの研修が対象となったことに伴う国の通知を受けまして、二つの団体に制度の周知を行いました。また、昨年二月、制度を活用する都道府県が増えているということを踏まえまして、この制度の活用を促しますため、改めて給付制度に係る説明を行いますとともに、他県の申請状況について情報提供を行いました。そして、昨年八月、国からの制度活用を促す通知がございましたので、その後、申請の意向を確認いたしましたところ、二つの団体とも難しいと回答がございましたため、その理由について明らかにするよう働きかけを行ってまいりました。前後して、議員からも給付制度の活用についてお問合せをいただいたところでございます。この結果、今年二月になって、二つの団体から先ほど述べましたような指定要件を満たすための課題が示されましたため、課題解決に向けて他県の事例について情報収集をするよう助言を行いました。その後、二団体とも検討を続けまして、今回の御質問に係る議員との協議を踏まえまして、改めて指定の意向を確認いたしましたところ、両団体とも十月に申請する意向を示しました。このため、先ほど述べたような国や他県から聞き取った課題への対応、またその解決方法につきまして情報提供を行ったところでございます。現在、二つの団体は指定申請を準備しているところでございまして、県といたしましては、引き続き各
研修実施機関からの相談に対応し円滑に申請が行われるよう協力してまいります。
次に、防災アプリ、まもるくんと停電情報提供アプリとの連携についてお尋ねがございました。災害等により停電が発生した場合、照明や家電製品などが使用できなくなり、県民の皆様の日常生活に大きな支障が生じますことから、停電の発生状況や復旧見通しの情報を提供いたしますことは、防災上有益であると考えております。災害時には、停電の情報のほか、水道やガスの供給停止、通信障害による電話の不通などの情報につきまして、県民の皆様が一覧性を持って確認できることが必要となりますことから、これらを県の防災ホームページに掲載し、県民の皆様がいざというときに適切な行動を取れるよう配信を行っております。今年度は、防災アプリ、まもるくんでこの県防災ホームページのライフライン情報を閲覧できるようにすることといたしておりまして、今後は、いつでもどこでも容易にこれらの情報を県民の皆様が入手できるようにしてまいります。
17 ◯議長(香原 勝司君) 岩下警察本部長。
*警察本部長答弁
18 ◯警察本部長(岩下 剛君)登壇 初めに、現場の警察官の意見を吸い上げるための仕組みについてお答えをいたします。県警察におきましては、福岡県警察職員提案制度を設けており、職員から提案された意見などにつきましては、その改善方策を組織的に検討して警察業務に反映させております。
次に、サングラスの着用に関する意見の有無等についてお答えをいたします。職員からは、暑熱対策に関する意見のみならず勤務環境の改善意見が多数寄せられており、サングラス着用に関するものも含まれております。県警察といたしましては、現場で活動する警察職員の健康管理や事故防止の観点から総合的な暑熱対策を進めており、その中でサングラスの有効性についても認識し、現在、着用基準の整理を行っているところであります。
19 ◯議長(香原 勝司君) 永島弘通君。
20 ◯十番(永島 弘通君)登壇 まもるくんへの停電アプリの搭載、また現場警察官のサングラス着用への前向きな御答弁に感謝を申し上げます。それぞれ一日でも早く実装できるよう要望をいたします。
そして、ケアマネについて要望いたします。今の状況が続くことでせっかくある制度のメリットを享受できないのは、現場で受講される介護従事者の方々です。この現状を改善するためにも、次の実務研修では
研修実施機関二団体がともに国の制度を活用できるよう、県としてできることは全力で支援をしていただきたく要望をいたします。
最後に、知事の思いをお伺いさせていただきます。実は昨日、この原稿内容を大幅に加筆をいたしました。本件についてこれまで私が取り組んできた内容をこの質問の冒頭から時系列に触れた部分です。本件の質問を行うに当たって、私は各方面に動いてまいりました。公明党は、調査なくして発言なしの伝統があります。その結果、研修機関が国の指定を受けようとの動きに少しずつ向きつつあり、その一助にはなれたかと思います。しかし、今回の質問作成をするに当たりまして、執行部とのやり取りの中で信頼関係を損なうような連携もございました。私は、知事が常々おっしゃる、議会と執行部は車の両輪との言葉に非常に共感を覚えている一人でございます。執行部とは誤解も解けましたが、改めてここで議会と執行部との信頼関係について、知事のお考えをお聞かせください。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔発言する者がある〕
21 ◯議長(香原 勝司君) 理事の皆さん、お集まりください。──
しばらくそのままお待ちください。
──永島弘通君に申し上げます。今の質問は通告の範囲外でありますので、質問を終わらせていただきます。
栗原悠次君。(拍手)
*栗原議員質問
22 ◯三十四番(栗原 悠次君)登壇 「若人の集う学び舎夏近し」
「若人の集う学び舎夏近し」
皆様、こんにちは。緑友会の栗原悠次でございます。通告に従い一般質問を行います。
私は高校時代、農業高校で学んだ一人であります。福岡県議会にも農業高校を卒業された議員や農業高校の教壇に立たれた経験のある議員も増え、心強く感じているところであります。言うまでもなく、農業高校とは主に農業及び農業に関連する専門技術や知識を習得するための高等学校であります。福岡県には、現在、福岡農業高校、糸島農業高校、八女農業高校をはじめとする九つの農業系高校があります。全国的に見ますと、高等学校の農業に関する学科の数は、昭和三十年度には約千二百ありましたが、令和五年度には約三百までに減少しております。生徒数についても、昭和三十年度には約二十万人、ピーク時の昭和四十年頃には二十六万人以上いましたが、令和五年度は約六万八千人とピーク時に比べて約七割も減少しております。
同時に、我が国の農業就業人口を見ますと、昭和三十五年には一千四百五十四万人いましたが、令和五年には百十六万人という状況であります。実に九割の農業人口がいなくなったことになります。全国的な問題として農業の担い手不足が深刻であることが分かります。新たな担い手が増えない原因は何かと考えたとき、やはりもうかる農業の姿が見えないからということも大きな要因であると考えます。さらに、高齢化や肥料、資材、燃油等の高騰が拍車をかけ、農業に従事する人の数はハイペースで減少の一途をたどっています。私の母校であります八女農業高校も、現在通っている生徒の七割が非農家であるという状況であります。私の高校時代はクラスの同級生の多くが農業後継者であり、当時と逆転をしております。一方、本年度の公立高校一般入試の志願状況を見ますと、公立の農業科高校はおおむね定員割れを回避している状況であります。学校現場や教育委員会の御努力のたまものと考えております。
このような状況の中、農業高校に期待される役割について、教育長はどのように思っていらっしゃるのか、御見解をお伺いいたします。
さて、服部知事は、県政の重要な柱に、人と動物の健康、環境の健全性は一体であるという
ワンヘルスの推進を掲げてあります。これを実践する環境が農業高校にはあります。私も農業高校での思い出深い学びがあります。畜産等の学習において、牛、豚、鶏を愛情を込めて育て、命の大切さを実感を持って学ぶことができました。また、全校生徒での田植や学校が所有する演習林での下草刈りを行う林業の授業などは、農業高校ならではの貴重な学びだと思います。前述した八女農業高等学校は、令和三年度から
ワンヘルス教育推進研究協力校として様々な教科、科目において
ワンヘルスの理念を取り入れた授業を展開しております。特に動物ペット科においては動物との触れ合いを通じて、みやま市や八女市など近隣の小学校や中学校との交流を進め、命を育むことや動物のことを正しく理解する活動に尽力しております。二〇二二年十一月に福岡市で開催された第二十一回アジア獣医師会連合大会(FAVA大会)におきましては、八女農業高校の生徒が、レンゲ農法とアイガモ農法を組み合わせる環境に配慮した米作りについて英語によるスピーチを行っております。
そこで、教育長にお伺いをいたします。このような農業高校における取組を踏まえ、
ワンヘルス教育を今後どのように推進されるのか、御所見をお伺いいたします。
最後に農業高校の実習についてお伺いいたします。農業高校の学習において重要であるのが実習であります。カリキュラムにおいても実習がかなりの割合を占めております。しかしながら、農業高校の先生方のお声を拝聴しますと、実習の現場が最新の農業の現場に追いついていないという声も聞かれます。一方で、福岡県は農業政策において、スマート農業や
農業DXなど最新の技術を導入した農業を推進しています。これからの福岡県の農業を背負って立つ人材に、より時代に合った学びを提供するため、農業高校においてもスマート農業など最新の技術を学習する機会が必要であると考えます。教育長の御所見をお伺いいたします。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
23 ◯議長(香原 勝司君)
寺崎教育長。
*
教育長答弁
24 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 お答えいたします。
農業高校に期待される役割についてでございます。現在、農業高校では、地域農業の担い手の育成だけでなく、農業生産法人や食品製造業などの農業関連産業への就職、高度な専門知識を習得するための大学等への進学など、生徒の幅広い進路希望に応じた教育を行っております。また、地域の特産物を活用したブランド品の開発、販売など、農業の六次産業化やグローバル化に対応した実践的な学習活動も充実をさせております。今後とも、農業を取り巻く社会的環境の変化を踏まえまして、農業や農業関連産業を通して地域の持続的な発展に貢献できる人材を育成してまいりたいと考えております。
農業高校の取組を踏まえた
ワンヘルス教育の推進についてでございます。本県では、八女農業高校など研究協力校における取組の成果を踏まえまして、昨年度から全県立高校において
ワンヘルス教育を実施をしております。また、今年度から、先進的な実践校として農業高校九校を
ワンヘルス教育モデル校に指定をしております。このモデル校におきましては、栽培や飼育など農業教育の特色を生かした取組を重点的に実施するとともに、県の
ワンヘルスフェスタなど関連イベントでの実践発表やパネル展示等により、地域に向けて情報発信をしてまいります。また、今年度から義務教育段階における
ワンヘルス教育を推進するため、小中学生がモデル校を訪問しまして、高校生と一緒に動物飼育体験などを行う予定としております。
県教育委員会としましては、こうした取組を通しまして、各学校段階における
ワンヘルス教育の充実に取り組んでまいります。
スマート農業などの学習についてでございます。農業高校におきましても、技術革新や高度化に対応するため、基礎的な知識、技術に加えまして、スマート農業など先端的な農業技術の習得が必要であると考えております。このため、昨年度、八女農業高校など三校をモデル校として、環境測定センサー等のスマート農業機器を導入するとともに、今年度から農業高校全校におきまして、地域の先進農家での現場実習などを実施をしております。こうした取組により、農業高校において最新の農業技術の学習を推進してまいります。
25 ◯議長(香原 勝司君) 福地幸子君。(拍手)
*福地議員質問
26 ◯二番(福地 幸子君)登壇 皆さん、こんにちは。宗像市選出、桜和会の福地幸子です。通告に従い質問いたします。
南海トラフ地震が今後三十年以内に発生する確率は七〇から八〇%と言われています。前回は一九四六年に昭和南海地震が起き、西日本の内陸では、その後五十年くらい大きな地震は起きていませんでした。ところが、ここ三十年近くあちこちで起きており、過去の歴史から見ても地震の活動期に入ってきていると言われています。近年では、一九九五年の兵庫県南部地震や地震空白域で起きた二〇〇〇年の鳥取県西部地震、二〇〇五年の
福岡西方沖地震では、当時の麻生渡知事は、福岡は大地震がないと言われてきただけに大きな衝撃だと語られました。そして、二〇一一年の東北地方太平洋沖地震により、国際原子力事象評価尺度で最も深刻なレベル七の福島第一原子力発電所事故が発生しました。本年一月一日に最大震度七を記録した
能登半島地震では、今もなお災害禍は続いており、一日も早く平穏な生活が戻るように願うばかりです。そのような中で、福岡県職員の方々は身をもって現地での支援に当たられていることに感謝いたしております。
さて、この
能登半島地震で最も揺れがひどかったのは、石川県羽咋郡志賀町でした。志賀原発は福島原発の事故以降運転を停止していますが、もし再稼働していたら深刻な状況になっていたと思います。なぜなら、今回、志賀原発関連施設が被害を受けていたからです。北陸電力によると、一号機、二号機の変圧器が破損し、外部電源の一部が使用不可、別の回線に切り替えて使用済み核燃料を冷却しています。また、周辺にある放射線監視装置は一部がこの災害で使えなくなりました。全電源を喪失した福島原発事故を教訓に電源の多様化が求められていましたが、変圧器の破損は想定していなかったこと、また志賀原発で観測した揺れの加速度は想定した数字を一部上回っていたこと、周辺で三年前から群発地震が発生していたもののこれほど大きい揺れには備えていなかったことなど幾つもの想定外の出来事が起きました。原子炉格納容器の設計と耐性評価に携わっていた原子力プラント設計者の後藤政志氏は、原発のような複雑な制御系システムにおいて、地震による全電源喪失事故が起きた場合では、一つの要因が同時に複数の故障を起こす共通要因故障が起きる。そのため多重安全は成立しないと述べています。まさに、一年余り後、福島原発において事故が発生しました。安全神話を信じ切っていた双葉町民は、二次災害による緊急避難を促されても、最初は本気にしなかったそうです。
まず、国が事前の避難準備を求めるのは半径三十キロのUPZ内です。しかし、民間研究所の試算では、UPZ外も高放射線量となり、福岡市も要避難レベルとなる可能性があります。全てはつながっていますので、UPZ内で線引きせず、UPZ外の受入れ側も同様に原発災害避難について情報を共有し、知識を持っていく、また訓練に参加することが必要だと思います。昨今、自然災害への備えとしては、備蓄をはじめ避難方法など情報はかなりの人に浸透していると言えます。なぜなら、繰り返しその情報を得ているからです。けれども、放射能被曝を引き起こす原発災害についてはほとんど情報がありません。逆に、県が作成している防災ハンドブックにはめったに起きないものと感じるような表現がされている部分もありました。例えば、万が一ではなく、万々が一という表現が数か所ありますが、このような過小な表現では事故の可能性が低いという印象を受け、その結果、原発事故災害への意識も低くなっていきます。また、視覚に障がいがある方のためのアプリ、ユニボイスで読み上げると各ページを告げる音声がありません。聞きやすい内容になっているかチェックし改善することも必要だと思います。
次に、安定ヨウ素剤の服用についてですが、放射性ヨウ素による甲状腺の内部被曝は、安定ヨウ素剤を適切なタイミングで服用することにより、予防、低減をすることができます。適切なタイミングとは、放射性ヨウ素に暴露される二十四時間前から暴露後二時間までの間の服用により、甲状腺への集積の九〇%以上を抑制、また暴露後八時間であれば、約四〇%の抑制効果が期待できるというものです。暴露後十六時間以降であればその効果はほとんどないと報告されています。年齢が低いほど放射性ヨウ素による甲状腺の内部被曝の健康への影響として甲状腺がん等の発症のリスクが高くなるため、服用を優先すべき対象者は、妊婦、授乳婦及び乳児を含む未成年者となります。しかし、授乳婦、新生児及び乳幼児については、母乳を介して乳児が放射性ヨウ素に暴露されるリスクや、母乳栄養を一時的に中断する上でのリスクについても十分に考える必要があります。また、安定ヨウ素剤の服用後は被曝地から退避することが前提です。避難しなかった場合、むしろ甲状腺機能が不安定になり、一定期間後に放射性ヨウ素の吸収を高めてしまうことさえ起こりかねません。
このように安定ヨウ素剤の服用は慎重に行うべきものですが、この内容を災害時に判断するのは困難です。まずは、自助、共助が大切だからこそ、原発事故と他の災害が複合的に起きる想定外の災害の場合も考え、日頃から繰り返し訓練をしておく必要があります。過去には、長崎から佐賀へ高潮による大きな被害があった超大型台風の古い記録もあります。異常気象により想定外の台風が来る可能性は増しています。近年のゲリラ豪雨や大雪で交通が麻痺することも考えられます。まさに気象によっては放射性プルームという放射性物質の雲が広く流れていきます。複合的に災害が起きたときに正しい情報が受け取れない場合、住民はさらに混乱に陥ります。
そこで、知事にお伺いします。原発立地に適さない日本において、一日も早い脱原発を望みますが、原発が稼働している以上、想定外の事故は起こり得ると考えた対策が必要です。原発災害や事故に関する情報が当事者にとって役立つ情報になるためには、下記の点が必要な条件だと考えます。一、事故についての正確な情報が早く届くこと。二、事故後の見通しが分かる、信頼できる情報を得られること。三、全ての情報が簡単で分かりやすいこと。四、緊急事態や避難対策について啓発活動が十分に行われ、実地訓練が繰り返し行われていること。上記四点を踏まえた上で、UPZ外を考慮した原発事故時の避難対策の周知について、また安定ヨウ素剤の服用方法の周知について、知事の御見解をお聞かせください。
以上、私の一般質問を終わります。(拍手)
27 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
28 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
UPZ外を考慮した原発事故時の避難対策の周知についてお尋ねがございました。県では、国の原子力災害対策指針を踏まえまして、地域防災計画(原子力災害対策編)で、玄海原子力発電所からおおむね半径三十キロメートル内にございます糸島市の二丈地区の一部及び志摩地区の一部を緊急時防護措置を準備する区域、いわゆるUPZとして定め、あらかじめ避難計画を策定するなど、原子力防災対策を実施いたしております。また、万が一、放射性物質の拡散状況によりUPZ外でも原子力防災対策が必要となりました場合は、放射線量の実測値を踏まえ柔軟に対応することといたしておりまして、そのためUPZ外であっても原子力発電所から近い住民の皆様にも避難対策について御理解いただくことが大切であると考えております。このため、糸島市を中心として、UPZの内外を問わず県内全ての市町村に、原子力防災に関する基礎知識を分かりやすく取りまとめました原子力防災のしおりや災害時の対応を掲載した福岡県防災ハンドブックを配布いたしますとともに、これらには音声コードを掲載いたしまして、視覚に障がいのある皆さんにも御理解いただけるようにいたしております。また、県の防災ホームページにも掲載をし、広く県民の皆様に周知を図っております。さらに、県では、毎年、糸島市やUPZ外である福岡市並びに福岡都市圏内の一市町、その他関係機関等と連携をいたしまして、原子力防災訓練を実施いたしております。訓練では、UPZ内の住民の方々を対象とした自家用車やバスによる避難、被曝傷病者等の病院への受入れなどを行いますとともに、糸島市内でUPZ外にいらっしゃる住民につきましては屋内退避訓練を行っていただいております。加えて、県、糸島市及び福岡市は、九州電力と安全確保協定を締結いたしておりまして、玄海原発の事故などの異常時にはその詳細な状況について連絡を受け、県のホームページや福岡防災ナビ、まもるくんなどで広く県民の皆様に情報提供することといたしております。今後も引き続き、県民の皆様への避難対策の周知等に努めてまいります。
次に、安定ヨウ素剤の服用方法の周知についてでございます。放射性ヨウ素による甲状腺の内部被曝は、安定ヨウ素剤を適切に服用することによりまして予防または低減をすることができるとされており、その服用方法を守ることがとても重要でございます。このため、県では、先ほど御説明をいたしました原子力防災訓練の中で、UPZ内の住民の方々に御参加いただきまして、安定ヨウ素剤の服用方法を説明し配布する実地訓練を行っているところでございます。また、住民の皆様には服用量や服用のタイミングなどを詳細に記載した説明資料を毎年送付をいたしまして、周知を図っております。このほか、この服用方法を記載した説明資料をホームページに記載し、UPZ外の住民の皆様も含め、広く周知を図っております。今後も災害に備え、引き続き安定ヨウ素剤の服用方法についてしっかり周知を行ってまいります。
29 ◯議長(香原 勝司君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。
午 後 零 時 十六分 休 憩
午 後 一 時 三十一分 再 開
30 ◯副議長(佐々木 允君) 再開いたします。
*諸般の報告
諸般の報告を行います。
提出議案第一〇〇号議案「福岡県警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例の制定について」人事委員会の意見を求めましたところ、お手元配付のとおり意見の提出がありました。
──────────────────────────────────────────
31 ◯副議長(佐々木 允君) 以上、報告いたします。
*発言取消し
このたび原竹岩海君から、六月十四日の会議における発言の一部について取り消したい旨の申出がありました。
お諮りいたします。この取消しを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
32 ◯副議長(佐々木 允君) 御異議がありませんので、そのように決定をいたします。
本件については、申出のとおり関係部分を議長において措置することにいたします。御了承願います。
休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。宮川宗一郎君。(拍手)
*宮川議員質問
33 ◯十六番(宮川 宗一郎君)登壇 皆さん、こんにちは。
自民党県議団の宮川宗一郎でございます。通告に従いまして、河川のボランティア活動の取組について質問をいたします。
福岡県にも大小様々な河川が東西南北に延びておりますが、私の地元である福岡市においても、二十六水系の百三十一もの河川があります。そして、そのような河川において、河川愛護の観点から、毎年六月に市民、企業、行政が協力して、町なか、河川、海岸のごみ問題に取り組むラブアース・クリーンアップを実施しております。今年も六月九日に実施を予定しておりましたが、残念なことに雨天中止となってしまいました。しかしながら、昨年は天候にも恵まれ、私も地元の城南区を流れる二級河川である樋井川の清掃に参加させていただきました。そして、参加する中においてよく見聞きするのは、河川の雑草が生い茂る場所には特にごみが多く、割れた瓶などもあり、はだしで遊ぶにはまだまだ危険な場所がたくさんあるということです。また、そのような河川は大変美観を損ねており、残念ながら河川に親しめる状況にはなっておりません。そのような中で、県では、河川の清掃などのボランティア活動を行う河川愛護団体や愛護企業に対して支援を行うクリーンリバー推進対策事業を実施していると聞いております。
そこでまず、クリーンリバー推進対策事業の目的について伺います。また、どのような団体や企業にどのような支援を行っているのか伺います。
このクリーンリバー推進対策事業では、河川愛護団体の登録数は、十年前の平成二十六年度末では四百六団体でしたが、五年前の令和元年度末には五百二団体と増加し、令和五年度末現在では五百二十六団体と着実に増加しているとお聞きしております。さらに、登録区間の短縮や会員数の引下げといった登録要件の緩和を行うなど、内容の見直しを行いながら事業を継続しているとともに、福岡県河川協会の通常総会において、河川事業の推進及び河川愛護思想の向上を目的として、功績が顕著な団体などに対し定期的に表彰していることもお聞きしております。こうした取組により登録団体数が着実に伸びていることは大変いいことですが、さらに登録団体数を増やして、ボランティアの力を借りながら、河川をきれいにしていく必要があると思います。そのためには、この事業をより多くの方に知っていただく必要があると考えます。また、河川愛護団体と愛護企業が清掃や草刈りを実施する区間でありますが、私も実際に河川愛護団体を設立し、河川の草刈りなどを行っております。その活動の中において、気がつき、気になったことがございます。それは、他の河川愛護団体や愛護企業も河川で清掃や草刈りを行っているということは分かりますが、具体的にどの区間で活動を行っているかどうかというのは、その河川を管理している県土整備事務所に問い合わせなければ分からないということです。私は、河川愛護活動に参加してみよう、または河川愛護団体を新たに設立しようと考えている方々が、具体的にどの区間の草刈りや清掃を実施できるかということを容易に知ることができれば、活動の計画なども立てやすくなり、河川愛護活動の第一歩を踏み出すための大きな後押しになると考えます。そのためにも、河川愛護団体や愛護企業の具体的な活動区間など、さらなる情報の発信が必要であると考えます。
そこで質問ですが、まず、県はこの事業を周知するためにどのような取組を行っているのか伺います。また、近年は情報共有のためのツールとして世代を問わずSNSが普及していることから、河川愛護団体や愛護企業の具体的な活動区間などの情報を可視化し、サイトやSNSを活用して事業を周知することが効果的であると考えますが、知事の見解を伺います。
河川は、人々の生活や心に安らぎを与える憩いの場、貴重な自然体験ができる学びの場として、人々に親しまれる貴重な共有財産であると考えます。この貴重な共有財産である河川を未来へ引き継いでいくためには、地域住民の皆様一人一人が河川を愛する心を持ち、自ら河川を守っていくことが必要だと考えます。しかしながら、河川の清掃ボランティアの活動にもかかわらず、多くのごみが散乱しているという今の河川の状況を見ると、さらに多くの方が川と親しみ、川をきれいにしようとする河川愛護の意識を持つことが重要だと考えます。
そこで、県として、より多くの方に河川愛護の意識を持っていただくことが必要だと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
最後に、このような河川愛護の意識を醸成していくためにも、県には、地域住民の皆様のボランティア活動を支援するこのクリーンリバー推進対策事業の普及啓発について、引き続きしっかりと取り組んでいただくことをお願いしまして、私の質問を終わります。(拍手)
34 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
*知事答弁
35 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
クリーンリバー推進対策事業の目的についてでございます。クリーンリバー推進対策事業は、住民、企業などと行政との協働を促進し、地域が一体となった河川愛護の意識を醸成いたしますとともに、河川環境の保全を図りますことで潤いのある水辺環境を創出することを目的としているものでございます。この事業では、会員数が二十五名以上、河川延長が二百五十メートル以上の区間におきまして、年二回以上自主的に活動を行っている団体や企業を河川愛護団体、河川愛護企業として登録をいたしております。登録団体や企業に対しましては、清掃活動に必要な費用の助成、傷害保険料の負担、草刈り機の貸出し、活動区間に団体名や活動内容を記載した看板、いわゆるアダプトサインの設置といった支援を行っているところでございます。
クリーンリバー推進対策事業を周知するための取組についてでございます。県では、多くの団体企業に登録していただきますため、支援の内容や登録手続などを示したパンフレットを国、県、市町村などの公共施設の窓口に設置いたしますとともに、ホームページにおいて河川愛護団体企業の名称及び活動をされている河川を一覧で紹介をいたしております。また、福岡県河川協会の広報紙にも事業内容を掲載していただいているところでございます。こうしたことに加えまして、団体企業の活動区間や活動内容を知っていただくことは清掃活動への新たな参加を促す効果が期待できると考えます。このため、今後、団体企業の皆様からのPRや活動している様子などを県のホームページやSNSを活用して情報発信することにつき、検討を進めてまいります。
河川愛護の意識の醸成についてでございます。県民の皆様が貴重な共有財産である河川に愛護意識を持っていただくためには、河川愛護団体・企業の皆様が定期的な清掃活動を熱心に行っていただいておりますように、県民の皆様にも、日頃から河川に集い、また親しんでいただくことが重要でございます。このため、県では、河川からごみがなくなるよう街頭キャンペーンなどで呼びかけますとともに、河川を身近に感じていただくことができますよう水辺公園や遊歩道など親しみやすい川づくりに取り組んでおるところでございます。今後とも、このような活動を通じ、県民の皆様一人一人が川を愛し、川を守るという河川愛護意識を持っていただけるよう努めてまいります。
36 ◯副議長(佐々木 允君) 田中雅臣君。(拍手)
*田中議員質問
37 ◯十四番(田中 雅臣君)登壇 皆さん、こんにちは。
民主県政クラブ県議団の田中雅臣です。通告に従い、一般質問を行います。
我が会派は、去る四月二十四日から二十六日にかけ、香川県、徳島県、兵庫県淡路島を視察しました。この視察を受け、今回、福岡県の有人離島振興について質問します。
我が国には、本州、北海道、四国、九州、沖縄本島を除いて一万四千百二十島の離島があります。このうち、離島振興法による離島振興対策実施地域に含まれる有人離島は二百五十六島、そのうち、本県には八つの有人離島があり、全国十一位の数です。離島全体の面積は日本の国土の二%にすぎないものの、島全体の海岸線は日本全国の五分の一強を占めます。離島の役割としては、その立地条件等から、我が国の領土、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、海の治安維持、自然環境・生物生態系の保全、環境浄化・維持、魚介類や農作物など食料確保の拠点など数多く、離島は私たちにとって重要な役割を担っています。本県の有人離島八島は、それぞれに島の歴史があり、特色があります。宗像市の大島には、二〇一七年に世界遺産として登録された「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群、新宮町の相島には国指定史跡である積石塚群、北九州市の藍島の無形民俗文化財、藍島の盆踊りなど、固有の祭り、文化財などが今なお継承され、本県の文化に深みをもたらしています。しかしながら、全国的に有人離島の人口は年々減少しており、このまま人口減少が続けば、本県の有人離島もいずれは無人化が進むのではないかと危惧しています。
そこで一点目に、本県の有人離島の人口減少に対する知事の認識と離島振興にこれまでどのように取り組んでこられたのかお聞かせください。
人口減少の影響が生じているものの一つとして、離島航路があります。住民の島外流出による過疎化などを背景に利用者数の減少が進み、自治体が運航する離島航路の経営環境は厳しくなっています。こうした中、就航船舶の定期点検時や突発的な船舶の故障などが発生した際に代わって運航する船舶の確保が課題の一つとなっています。県内では、北九州市、福岡市、宗像市、糸島市、新宮町の四市一町が離島航路を運航していますが、これらの自治体では、予備船を共有できないかという議論が昨年からスタートしているようです。
そこで知事にお尋ねします。離島航路における共通予備船について、現在の議論の状況と知事の受け止めをお聞かせください。
離島は我が国水産業にとっての前進基地であるとともに漁場保全の観点からも大きな役割を有しています。一方、漁獲物の販売、漁業資材の取得など、販売・生産面では不利な条件下に置かれており、漁業就業者の減少、高齢化も一層進行しています。このような厳しい状況にある離島漁業の再生のためには、地域資源である漁場の生産力の向上を図りつつ、地域の創意工夫により各島の特性を最大限に活用していく必要があります。それらのために離島漁業再生支援交付金があり、この重要な交付金の計画期間である五年間が今年度で終了します。先日、私は北九州市の藍島を訪問しました。そこでも漁業者の方から、漁業者が減少する中、島での漁業を振興していくためには、離島漁業再生支援交付金を継続して、稚魚の放流など漁業資源を増やしていくことが大事であるという話を伺いました。離島にとって欠かすことができないこの交付金の有無は、離島漁業にとって死活問題となります。また、離島で獲れた水産物は、本土にある魚市場まで運ぶ必要があり、時間がかかるため鮮度が落ちやすいという不利な面を持ち合わせております。
そこで知事に質問です。有人離島における人口減少に伴う漁業者の減少が進み、大変厳しい状況にある離島での漁業振興を図るため、県として、漁業資源づくりと出荷対策にどのような対応、対策を講じているのか、離島漁業再生支援交付金の予算確保に向けた対応と併せてお聞かせください。
次に、離島の学校教育についてお伺いします。県内の八つの有人離島のうち、学校がある島は新宮町の相島、宗像市の大島と地島、糸島市の姫島、福岡市の玄界島と小呂島、北九州市の藍島と七つあります。全ての学校が僻地校であり、小規模校です。各島では学校間や地域団体等による交流事業や小学校でのオンラインを活用した交流も行われていると聞きます。各地域の自立的発展を促進するためにも、ひとしく就学できる環境整備を推進する必要があります。
そこで、教育長にお聞きします。こうした離島の学校において、島に住む子供たちへの学習・交流の場の提供の現状はどのようになっているのか、また離島僻地、少人数という地域性を生かした特色ある教育活動について、
県教育委員会としてどのように推進し支援しているのかお答えください。
離島地域において、将来にわたって持続可能な地域社会を実現するためには、防災、教育、医療など様々な分野でデジタル技術を活用し、厳しい自然的社会的条件を克服していくことが重要です。しかしながら、光ファイバー等のインフラが未整備の離島もあり、依然、島民と本土住民との間で格差が生じています。また、人口減少を食い止めるためには、離島の特性を生かし、地域に継続的に関わりを持つ関係人口を創出し、移住・定住につなげていくことが必要です。
そこで最後の質問です。本県離島の未来を見据え、光ファイバー等のインフラの整備も含め、今後どのように離島振興に取り組んでいくのか、知事にお伺いします。
以上で質問を終わります。御答弁よろしくお願いいたします。(拍手)
38 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
*知事答弁
39 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
有人離島の人口の減少についてでございます。令和二年の国勢調査によりますと、県内の八つの離島の人口は千七百三十八人となっておりまして、平成二十二年の二千四百二十五人から三割近く減少しております。高齢化率も四五・七%となっており、県平均を約二割上回っております。離島の人口減少、高齢化は進行いたしておりまして、大変厳しい状況にあると認識をいたしております。
このような中、県ではこれまで本土との定期航路の維持確保、簡易水道や汚水処理施設等の生活環境の整備、医療や介護サービスの確保などを支援してまいりました。また、離島の産業を振興し雇用機会を拡充いたしますため、漁港や加工施設の整備などの水産業の振興、地域の自然や文化を活用した観光の振興、地域づくりリーダーの養成にも取り組んでまいりました。さらに、移住・定住を促進いたしますため、それぞれの離島の魅力を紹介する動画を作成いたしました。三万六千回を超える視聴がありました。加えて、島外の方との出会いの場を提供いたしますふくおか島コンを平成三十年度から開催をし、これまでに百六十六人の方が参加され、この中には結婚に至った方もおられるなど一定の効果を上げてきたところでございます。
離島航路における共通予備船についてでございます。離島航路は島民の皆様の日常生活や地域経済を支えます必要不可欠な公共交通機関でございまして、船舶の定期点検などの際でも、島民の皆様の移動手段を安定的かつ確実に確保する必要がございます。このため昨年七月、県、九州運輸局や県内で離島航路を持つ四市一町で構成いたします離島航路共通予備船の導入効果等に関する調査委員会が設置されまして、共通予備船の保有の在り方や運用方法などについての調査、検討が行われました。今年三月にこの委員会の報告書が取りまとめられましたが、共通予備船を所有することとなる市町が船だけを貸すのか、船に慣れた船員も併せて貸すのか、また貸す場合に係留している場所から各市町の航路への操船を誰が行うのかといった運用方法や、各自治体の費用負担の在り方など、多くの課題があるとされました。県といたしましては、まずはこうした課題について、関係市町間で十分に議論することが必要であると考えておりまして、その動向を注視してまいります。
次に、離島における漁業資源づくりと出荷対策についてお尋ねがございました。県では、この漁業資源づくりのため、魚のすみかとなります魚礁を設置いたしますとともに、小さな魚は海に戻すといった資源管理の取組を指導し、併せて国の離島漁業再生支援交付金を活用しまして、アワビやアカウニなどの種苗放流に対し支援を行っております。この交付金につきましては、必要な予算が措置されますよう、国に対ししっかりと要望を行っているところでございます。
出荷対策につきましては、漁獲した水産物の鮮度が保たれますよう、魚の締め方や冷やし方の技術指導を行いますとともに、製氷施設や鮮魚運搬船などの整備を支援しております。こうして出荷された鮮度の高い姫島の特鮮本鰆や新宮町の相島の釣りアジなどが市場関係者から高値で取引をされている状況にございます。さらに、製品開発から販売PRに至るまで、島の水産物を利用した魅力ある加工品づくりを支援しております。その結果、北九州市の藍島の一本釣りサワラのたたきや、小呂島のブリを使ったしまごはん、大島のアカモクなどが量販店やウェブなどで販売され、御好評をいただいているところでございます。県といたしましては、今後ともこうした取組によりまして、離島における漁業の振興を進めてまいります。
今後の離島振興の取組についてでございます。県では、デジタル技術の進展、離島に継続的な関わりを持つ、いわゆる関係人口の出現などの動きが生じておりますことを踏まえまして、昨年四月、新たな離島振興計画を策定いたしました。この計画には、高度情報通信ネットワークの充実をはじめとしたデジタル化の推進や関係人口の創出、拡大を新たに盛り込んでおります。デジタル化の推進につきましては、離島を含む条件不利地域において光ファイバー等の情報通信基盤の整備が促進されますよう、県単独であるいは全国知事会等を通じ、国に強く要望を行っております。関係人口の創出、拡大につきましては、首都圏の企業などの従業員が県内でワーケーションを実施する際には、その費用に対する支援を行っておりまして、実際に大島にお越しをいただきました。また、関係市町へ地域おこし協力隊の活用も助言しており、離島で不足する看護師を隊員として招こうとする動きもございます。さらに、各地で活用の場が広がっておりますボランティアの地域伝統行事お助け隊につきましても、離島での活用を関係市町や行事の実施団体に働きかけているところでございます。今後とも、関係する皆様と率直な意見交換を行いながら、職員が現地を訪問いたしますなど、島民の皆様に寄り添った離島の振興に取り組んでまいります。
40 ◯副議長(佐々木 允君)
寺崎教育長。
*
教育長答弁
41 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 離島における教育活動についてでございます。県内の離島の小中学校では、それぞれの島の特色を生かして、例えば海産物の収穫や真珠の養殖、魚をさばく体験など、島のよさに触れ、島への愛着と誇りなどを高める学習をふるさと学習として実施をしております。また、ICT技術を活用した遠隔合同授業や島外の人々とのオンライン上の多様な交流教育活動等が実施をされております。さらに、漁村留学制度を活用しまして、島外の児童生徒と共に自然環境や地域の人たちと触れ合う交流事業を実施している学校もございます。
県教育委員会としましては、県離島振興計画に基づきまして、離島の特性を踏まえた教職員配置などへの配慮を行うとともに、島の子供たちが充実した教育を受けることができますよう、島の特性を生かした学習活動に必要な情報の提供に努めてまいります。
42 ◯副議長(佐々木 允君) 井上寛君。(拍手)
*井上(寛)議員質問
43 ◯十二番(井上 寛君)登壇 公明党の井上寛でございます。通告に従い、順次質問をさせていただきます。
初めに、軟骨伝導イヤホンの活用についてお伺いします。私たちの耳は空気の振動波が鼓膜を揺らし、耳の中にある音を捉える感覚細胞の働きによって音が聞こえる仕組みになっております。ところが、加齢により音を捉える感覚細胞が少しずつ減少し聴覚機能が衰えていきます。これが加齢性難聴であります。実に前期高齢者で三人に一人、後期高齢者ではおよそ半数の方がこの聴覚機能の衰えに悩んでいると言われております。軟骨伝導イヤホンは、奈良県立医科大学の細井裕司学長が、耳の穴を取り巻く軟骨を振動させて音を伝える軟骨伝導の仕組みを二〇〇四年に発見し、その後、聞こえに困難を抱えてお困りの方々のために、日本が世界に先駆けて開発されたものです。小型の集音器につながった球体型のイヤホンを耳のくぼみにかけるだけで使用でき、音量を調節できるようになっております。耳の穴を塞がないため痛みもなく、音が出る穴がないため汚れを拭き取りやすく衛生的であり、耳の軟骨が振動した人にだけしか聞こえませんので音漏れの心配がありません。話し声が大きく鮮明に聞こえるため、音量の調節だけで耳の聞こえが改善できる加齢性難聴の方には大変効果があります。さらに、集音器付の軟骨伝導イヤホンは一台三万円程度と比較的安価であります。
聴覚機能の低下により、会話をするたびに何度も聞き返すのがおっくうになり、人と話すのを避けたり、聞こえづらいことを相手に伝えることが嫌で、相手の言ったことを推測で判断したり聞こえたふりをするなど、人とのコミュニケーションに支障を来すおそれがあり、これにより認知症を発症するリスクが高まることが指摘されております。二〇一七年にロンドンで開催された国際アルツハイマー病会議において、認知症の専門家から成るランセット国際委員会が発表した内容によりますと、聴覚機能の低下は、高血圧、肥満、糖尿病、喫煙、教育、鬱病、社会的孤立、運動不足とともに認知症を引き起こす九つの危険因子の一つに挙げられました。さらに二〇二〇年には、この九つのほかに、過度の飲酒、頭部外傷、大気汚染の三つを加えた十二の要因の中で、聴覚機能の低下は認知症の最も大きな危険因子であるという指摘がなされ、聴覚の衰えと認知症の関連が重要視されています。本年二月議会において、私から
ヒアリングフレイルについて質問をさせていただきましたが、その際、知事からは、聴覚機能の低下については早期に対応することが重要であるとの御見解を示していただきました。早い段階でフレイルを予防するためには、聞こえに困難を抱える人が円滑にコミュニケーションが取れるようにすることが必要であり、その意味においても加齢性難聴の方に軟骨伝導イヤホンを活用することは大変有効であると考えております。
現在、耳が聞こえにくい方への合理的配慮として、金融機関や病院、地方自治体の窓口等に軟骨伝導イヤホンを導入する取組が急速に広がっています。実際には筆談で対応しているところもありますが、場合によっては、筆談では手間がかかることでスムーズな意思疎通が難しく、そもそも筆談自体に抵抗を感じる方もいらっしゃいます。集音拡声器では、個人情報などのデリケートな内容が周囲に漏れ聞こえることが課題になっておりました。このイヤホンを使用すれば、例えば県庁の窓口等で大声で話す必要がなくなるため、個人情報を周囲に聞かれるリスクも減らすことができ、プライバシーの保護にもつながり、さらには面談の時間短縮が期待されます。国も義務化となった合理的配慮の提供の具体的な活用事例として、軟骨伝導イヤホンの活用を周知する方向で進めるとの見解を示しております。こうしたことから、老眼の方のために窓口に老眼鏡を置いているように、耳が聞こえにくい高齢者の方が安心して窓口を訪れていただけるための行政サービスの一環として、県庁や出先機関において、特に高齢者の利用が多い窓口等でこの軟骨伝導イヤホンを活用することは有効であると考えます。
そこで知事に伺います。現在、県庁や出先機関において、耳の聞こえにくい高齢者に対する対応はどのようになっていますでしょうか。また、福岡県内の基礎自治体でも既に導入または検討を進めているところもあり、県内の基礎自治体での導入を後押しする意味でも、県庁や出先機関の窓口への集音器付軟骨伝導イヤホンの設置を検討していただきたいと思いますが、知事の御見解を伺います。
次に、発達性読み書き障がいの理解促進について、教育長に伺います。知的能力や理解能力、聴覚・視覚などの感覚機能、あるいはコミュニケーション能力には全く問題がないにもかかわらず、文字についての習得に限って困難がある障がいを読み書き障がいといいますが、この中で先天性のものを発達性読み書き障がいといい、学習障がいの一つであります。個人によって症状や傾向が異なり、読むことが難しい文字があったり、読めても読むスピードが遅い、文字を思い出すのに時間がかかってしまう、何回練習しても文字が覚えられないなどといったことが典型的な症状です。この障がいは、文字を読む際に、認識した文字を言葉に変換する過程で使われる音韻処理能力の働きが弱いことに起因する脳機能の障がいだと言われており、読むことに困難があるため、書くことにも困難を生じると考えられております。視覚などの感覚器自体の疾患や勉強不足などの環境要因によるものでは決してありません。学校の授業では、基本的に教科書を読む、板書をノートに書き写す、問題集を解くなどといった読み書きができることを前提に進められているため、読み書きに障がいがある場合は、本人に学習意欲があっても思うように理解が進みません。また、学力テストを行う場合も同様に、読み書きができることを前提に行われていますので、本人の学力を正しく評価することができません。この障がいは程度の差もありますが、日本人のおよそ五%から八%が該当するとも言われています。このことから、読み書きに困難を感じているお子さんは、平均して一つのクラスに二、三人の割合でいるものと考えられます。障がいの出現頻度としては非常に高いにもかかわらず、世間的にはほとんど認識されていません。
そこで伺いますが、県において発達性読み書き障がいのある児童生徒の実態について把握をされていますでしょうか、お答えください。
先天的な障がいではありますが、得意なところを生かしながら、個々に合ったサービスを受けることで困難さを軽減することができます。発達性読み書き障がいの児童生徒に対しましては、合理的な配慮が必要であり、個々に応じた適切な対応を求めるところであります。
そこで、発達性読み書き障がいがある児童生徒に対して、学校ではどのように対応されているのか伺います。
読み書き以外は問題がないため、周囲の人にとっては気づきにくい障がいであります。この障がいを見逃してしまうと、学校での学びに遅れが生じ学習意欲が低下したり、本人は一生懸命努力しているのにもかかわらず、保護者や教員、友人など周囲から努力不足だと誤解されることで幼いうちから自尊心を失ったり、いじめを受けたりといった深刻な問題につながり、心身症の発症や不登校などの二次的な学校不適応を引き起こすことも見受けられます。発達性読み書き障がいは、集団で学習する機会が増える就学後に顕在化することが多いため、学校においてできるだけ早い段階で発見できるよう取り組むことが必要であると考えます。
そこで、最近では、読み書き障がいを疑似体験してその状態を知ることができたり、医療機関での受診を促す目的で簡易的なチェックができるスマートフォンアプリが開発されています。こういったものも活用しながら早期発見に努める取組を進めることが必要と考えますが、御見解を伺います。
発達性読み書き障がいのある児童生徒に対しましては、授業における合理的配慮をお願いするとともに、他の児童生徒や保護者については、障がいのある子に合理的配慮を行うことについてしっかりと理解をしていただくということも大切であります。
そこで、児童生徒や保護者に対して、発達性読み書き障がいへの理解を広げるために、広報物の配布や学習会などで周知啓発を行うなど、理解促進に向けた取組を推し進めていただきたいと思いますが、御見解を伺います。
発達性読み書き障がいのある著名人は多くいらっしゃいます。映画監督のスティーブン・スピルバーグさん、国際的俳優のトム・クルーズさん、キアヌ・リーブスさんなどは、御自身が発達性読み書き障がいであることを公表されております。こういった才能あふれる方々が共通して言われていることは、家族や周囲の方々による障がいへの理解とサポートによって支えられてきたということであります。たとえ障がいがあっても、子供たちの個性や才能が光り輝ける環境づくりをさらに進めていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
44 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
*知事答弁
45 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
県庁や出先機関での耳の聞こえにくい高齢者に対する対応についてお尋ねがございました。県では、耳の聞こえにくい方が本庁や出先機関を訪れた際にお困りになることがないよう、全ての所属において、耳マークを掲示をいたしまして、お申出があれば、筆談で対応することといたしております。また、本庁一階の総合案内では、この筆談ボードのほか、耳元の受話器を通じて音声を拡大するなどによりまして話し手側の声を聞こえやすくいたします補聴支援システムを設置いたしております。加えて、本庁の県民相談室や保健福祉環境事務所等の出先機関では、声を聞き取りやすい音質に変換をいたします卓上型会話支援機器を設置いたしますとともに、プライバシーの保護が必要な場合などは別室において対応しているところでございます。
集音器付軟骨伝導イヤホンの設置についてでございます。このイヤホンは耳に軽く添えるだけで耳の軟骨を振動させて音を伝えますため、長時間装着しても痛みが少なく、話し手側の声を聞き取りやすくできるものであると承知をいたしております。しかしながら、先ほど答弁申し上げましたとおり、県では既に補聴支援システムや卓上型会話支援機器を導入しておりますことから、まずは、県の窓口における利用の実態について、確認を行ってまいりたいと考えております。
46 ◯副議長(佐々木 允君)
寺崎教育長。
*
教育長答弁
47 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 お答えいたします。
発達性読み書き障がいの児童生徒の実態についてでございます。この障がいは学習障がいの一つでございまして、その児童生徒数については把握をしておりませんが、昨年度、学習障がいの支援として通級による指導を受けた児童生徒数は公立小学校で五百六十二人、中学校では二百十一人でございます。
発達性読み書き障がいの児童生徒に対する学校での対応についてでございます。この障がいのある児童生徒は、主に通常の学級に在籍をしているため、個々での支援のほか、必要に応じて通級指導による専門的な指導を行っております。具体的には、一人一台端末を利用して、音声の読み上げに合わせて文章がハイライト表示され、どこを読んでいるか確認できるマルチメディアデイジー教科書の使用や音声による筆記などを行っております。さらに、デジタル対応以外では、読むことが苦手な児童生徒には教材を拡大コピーしたプリントの配付や一行だけ見えるよう工夫された定規の使用、また書くことが苦手な児童生徒には、漢字をパーツに分けて意味づけして覚えさせる指導など、個々の特性に応じた支援を行っております。
早期発見の取組についてでございます。
県教育委員会では、小中学校の教員に対しまして、この障がいを含む発達障がいに関する研修を実施し、基本的な理解促進を図っております。学校においては、特別支援教育コーディネーターを中心として、担任等による行動観察を踏まえ、
県教育委員会作成のチェックリストによります実態の把握や校内委員会でのケース会議、診断テストの実施など、組織的な対応に努めております。また、
県教育委員会では、読む、書く、話すなどの項目ごとに気になる点をチェックすることにより必要な支援や合理的配慮が提示されるサポートヒントシートを開発をしておりまして、この活用を進めるとともに先進的な取組の情報を収集し、より効果的な早期発見、早期対応を図ってまいります。
障がいへの理解促進に向けた取組についてでございます。児童生徒に対しては、障がいのある子供自身や保護者の意向を十分に踏まえまして、道徳や特別活動、総合的な学習の時間を中心に、学校教育活動全体を通じて障がいに対する理解を深めるための指導を行っております。また、
県教育委員会では、学習障がいに関する手引やリーフレットを作成するとともに、ホームページに掲載をしておりまして、学校においてはこれらを活用し、学級懇談会、PTA研修会、学級通信などで周囲の保護者に対する正しい理解の促進に努めております。今後も様々な機会を捉えまして、児童生徒、保護者等の理解促進に向けた取組を進めてまいります。
48 ◯副議長(佐々木 允君) 井上寛君。
49 ◯十二番(井上 寛君)登壇 軟骨伝導イヤホンの活用について一点要望をさせていただきます。耳の聞こえにくい高齢者に対する窓口での支援について、現在の取組を御答弁いただきました。筆談ボードについては、やり取りの際の手間や時間の問題、卓上型会話支援機器については、高価であるためコストの問題や声漏れによる個人情報保護の問題など、課題もあります。これらの課題を僅か十八グラムの軟骨伝導イヤホンが解決してくれます。現在導入されている支援機器も八年ほど経過していると聞いております。これらの支援機器の更新時期の際には、軟骨伝導イヤホンの導入を御検討いただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。本日はありがとうございました。(拍手)
50 ◯副議長(佐々木 允君) 吉村悠君。(拍手)
*吉村議員質問
51 ◯五十五番(吉村 悠君)登壇 今議会の自民党の一般質問の最後、つまり、しんがりを務めさせていただきます
自民党県議団の吉村悠です。私は、これまで十三年間の活動の中で、先輩や同僚の議員の方々と協力をさせていただきながら、まず地元の安心・安全の確保、そして地域振興について、一貫して努力を続けさせていただきました。今回もそれらのことの実現を目指し、一般質問を行わせていただきます。
まず、安心・安全の推進に関する質問です。北九州市小倉北区では、令和四年四月十九日に旦過市場で千九百二十四平米、二十八棟を焼失する大規模な火災が発生いたしました。同年八月十日にも旦過市場において三千三百三十四平米、三十九棟、さらに本年一月三日には、鳥町食道街において二千七百三十平米、三十六店舗が焼失する大規模な火災が発生しております。本年の四月十九日には旦過市場の一度目の火災から二年となり、市消防局と商店街が合同で火災予防の重要性を訴える啓発活動が行われましたが、その翌日、二十日に魚町三丁目において三百五十平米、二十八店舗を焼失する火災が発生しました。デスティネーションキャンペーンやネーションズリーグ開催により、旦過や魚町は外国からの観光客が多く、盛り上がりを見せております。後ほどの質問でも触れますが、これからも国際的なイベントが多く企画をされておりますので、にぎわいに勢いのついた北九州市に来訪される多くの観光客の方々が、魅力のあるお店、商店街を利用していただけるチャンスが生まれることと思います。しかし、その際に度重なる火災によってそれらの方々が不安を感じて足が遠のいてしまうようなことがあってはなりません。私の地元である北九州市に限らず、福岡県下の商店街には老朽化した木造建築が多いのではないかと考えております。実際、旦過市場は大規模火災につながるおそれのある危険性が高い地域として、重点防火指導対象地域に指定されております。重点防火指導対象地域は、北九州市内に五十一か所、県内に二百二十六か所あります。
以上のことを踏まえ、最初の質問です。重点防火指導対象地域をはじめとして、県内には建物の老朽化が進んでいる木造建築物密集地域がほかにもあり、防火対策に取り組んでいく必要があると考えます。県はこのような地域の防火対策をどのように考えているのかお答えください。
二点目の質問です。特にその中でも商店街は地域の振興に欠かせない存在であり、多くの方に商店街へと足を運んでいただくためには安心・安全なまちづくりが必要であると考えます。しかし、先ほども述べたように商店街自体がその成り立ちから、旦過市場や黄金市場、門司の栄町銀天街のように、大規模火災の可能性の地域に指定されることも間々あります。県では、商店街の振興策として、商店街の取り組む老朽化したアーケード改修や防犯カメラの設置、集客のためのイベントの開催などに支援していると承知をしていますが、現行の取組の中には防火対策に対する視点が入っておりません。現状を鑑み、県として老朽化した木造家屋の多い商店街に対し、新たに防火対策の視点を踏まえた支援策の検討が必要だと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
次に、地域振興等についてです。先週まで私の地元である北九州市において、バレーボールネーションズリーグが開催され、日本男子代表の絶大なる人気で多くの観客が来場し、大いに大会を盛り上げていただきました。その勢いそのままに女子代表も奮闘し、二〇二四年パリオリンピックへの出場を見事に決めました。今大会の開催に先立ち、今年一月三十一日に国際バレーボール連盟のファビオ事務総長が福岡県を訪問し、服部知事と開催決定の記者会見を行いました。その場の、世界獣医師会次期会長で我が会派の藏内勇夫相談役、香原議長など、県議会からも同席した記者会見で、ファビオ事務総長から、福岡県で大会を開催する重要な決め手が
ワンヘルスの先進的な取組であるというお話があったと聞いております。
〔佐々木副議長退席 香原議長着席〕
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で東京オリンピックが延期されるなど、多くのスポーツ大会が延期または中止の影響を受けました。こうした事態にならないように、次なるパンデミックの備えとしても、スポーツ大会やイベントを活用して
ワンヘルスの取組を進めることは大変重要であると思います。また、このような大規模スポーツ大会の開催は、県民のスポーツへの関心を高めるだけでなく、福岡の食や観光、文化といった魅力を国内外にPRできる機会になると考えております。
そこで質問です。バレーボールネーションズリーグの開催に当たって、
ワンヘルスの理念や福岡県の魅力発信など、福岡県はどのように取り組んだのか、取組と成果についてお尋ねします。もちろん経済効果は大きなものがあったと思いますが、それ以上に世界大会を成功させたことには信頼という意味でも大きな成果があると考えます。その点も含めてお答えください。
福岡県が先進的に取り組んでいる
ワンヘルスが評価して開催されたネーションズリーグや、二〇二一年の世界体操新体操の有観客での盛会が評価され今年十一月中旬に北九州での開催が予定されているパルクール世界選手権、そして我が会派の井上順吾福岡県卓球協会会長も出席をされた今年二月の世界卓球選手権大会誘致に係る釜山への会場視察と関係者への福岡県の魅力発信が功を奏し北九州で行われるWTTファイナルズ福岡二〇二四など、これまでの積み重ねが功を奏し、これからも北九州で大きな大会が開催されます。先人の取組や政治活動に改めて敬意を表します。そして、これから行われる大きな大会のうちの一つが、今年十月十一日に開催されるツール・ド・九州二〇二四です。昨年に続き、今年も小倉城クリテリウムが開催されることが決定いたしました。初開催だった昨年は、平日の開催にもかかわらず一万六千人もの観客が集まり、大いに盛り上がりました。多くの観客にとって初めて間近で見る国際ロードレースだったと思いますし、そのときの盛り上がりや成功が今回の二年連続のクリテリウムにつながったと考えております。
そこで質問です。小倉城クリテリウムを含むツール・ド・九州二〇二四の開催に向け、大会を盛り上げるためにどのような機運上昇を図っていくのか、また地域の活性化につなげるため今後どのように取り組んでいくのかをお答えください。昨年のクリテリウムも大変盛り上がりましたが、二回目、二年目ということで改善点もあるかと思いますし、逆に地域との連携など、変えるべきでないところもあるかと考えます。知事のふるさとでもあります北九州振興のための真摯な答弁を期待し、私の質問を終わります。(拍手)
52 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
53 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
まず、木造建築物密集地域の防火対策についてでございます。建築年数の古い木造建築物が密集する地域で火災が発生いたしますと、隣接する建物に延焼し大規模火災となる危険性が高いことから、各建物のハード面での防火対策のほか、平素から地域の住民、自治会、商店街などの皆様が自ら出火防止対策や消火訓練を行うことが大変重要であると考えております。このため、県では、各消防本部が指定いたしました二百二十六か所の重点防火指導対象地域をはじめ、古い木造建築物が密集する地域におきまして、火を使用する器具等の適切な取扱いや消防用設備等の適正な配置・維持管理の周知徹底、地域ぐるみの訓練の実施などを全ての消防本部に対し要請いたしますとともに、防火指導の充実強化が図られますよう、商店街や自主防災組織等と連携した啓発活動や消火訓練などの全国の優良な取組を情報提供しております。また、今年四月の魚町三丁目の火災を受けまして、各消防本部に対し、改めて出火防止対策の徹底と地域における防火対策に万全を期すよう要請いたしました。なお、防火対策の基本は絶対に火事を起こさないという県民一人一人の意識の醸成にありますので、各消防本部への働きかけと並行し、春と秋に火災予防運動を実施し、県政テレビや県ホームページのほか、LINE、エックス等を通じて繰り返し県民の皆様に向けた啓発を行っているところでございます。今後は、これらの取組に加え、各消防本部に出火対策の取組状況を
ヒアリングし、その結果を踏まえ、消防庁の指導方針や全国の先進事例も参考といたしまして、必要な助言を行ってまいります。
商店街の防火対策に対する支援についてお尋ねがございました。県内には、火災が発生した場合に大規模な火災につながる危険性が高い地域といたしまして、各消防本部が指定いたしました重点防火指導対象地域、これが二百二十六か所ございますが、このうち商店街が含まれる地域は三十九か所ございます。ここ数年、商店街での火災が多く発生しておりましたこともありまして、地元自治体との日頃の意見交換の中で商店街の防火意識の現状について確認を行ってまいりました。その中で、防火意識が高く消火訓練を行っている商店街とそうではない商店街がある、また木造密集地域の危険性を認識をしている方が少ない、参加者が少なく自主的な消火訓練が思うようにできていないといった御意見を伺っておりまして、商店街における防火意識がまだまだ高くないという状況にあると考えております。商店街において大規模な火災を発生させないためには、火を使用する際はその場を離れないこと、排気ダクトの清掃や維持管理を適切に行うことなどを徹底するための啓発活動や、初期消火の際に適切に消火器を使えるなどの訓練を積極的に実施し、防火意識や初期消火の対応力を向上させることが必要でございます。また、火災が発生した際には、商店街を利用される方の安全を確保するため速やかに避難誘導することが大切であると考えております。県では、これまで防火対策の観点からの商店街支援は行っておりませんでしたが、火災が相次いでいる現状を踏まえまして、新たな支援策の検討に向け、商店街や地元の皆様の御意見を伺ってまいります。
次に、バレーボールネーションズリーグにおける県の取組状況とその成果についてお尋ねがございました。この大会は開催地福岡県と国際バレーボール連盟が連携して実施する大会といたしまして、社会課題の解決につながる
ワンヘルスの理念の発信や本県の食・観光の魅力のPRなど、これまでの大会にない新しい取組にチャレンジいたしました。十二日間の大会には国内外から約八万三千人もの御来場をいただき、大変な盛り上がりを見せました。この中で、
ワンヘルスの理念を発信するため、テレビCMや会場内の大型ビジョンでの放映、来場者への啓発冊子の配布、大会関係者に対する
ワンヘルス認証農林水産物のPRを実施いたしました。今後、スポーツを切り口とした
ワンヘルスの重要性を盛り込んだ動画を世界に向けて発信を行ってまいります。また、バレーボールをはじめとしたスポーツへの関心を高め、中学校入学後のスポーツ活動を促しますため、県内の二十五校、千五百人を超える小学六年生を大会へ招待いたしました。さらに、競技力向上を図りますため、四十六の中学校、高校に、元日本代表選手や県内を本拠地とするチームの選手を派遣し、技術指導を実施いたしました。児童生徒からは、もっとほかのスポーツの試合も見たいとか、あるいは教わったことを日頃の練習や試合で実践していきたいといった感想をいただいておりまして、子供たちの成長にとって大変有益な機会であったと考えております。大会期間中は選手やメディアなど関係者へのおいしい県産農林水産物の提供、県産の花卉を使った美しい会場装飾、会場に隣接する公園での博多和牛やはかた地どり、八女茶など、県産農林水産物の試食販売や観光ブースの設置などによりまして、福岡県の食や観光の魅力のPRに努めました。また、運営スタッフの皆様には、弁当ではなく、会場近隣の飲食店で使用できるミールチケットを配付をいたしまして、フードロスを防止するとともに地域商業の活性化にも寄与したところでございます。本大会の成果も踏まえ、今年、北九州市で開催されます卓球やパルクールの国際大会も成功させることにより、世界からの信頼を獲得し、国際スポーツ大会の福岡県への誘致につなげてまいります。
ツール・ド・九州二〇二四開催に向けた今後の取組についてでございます。ツール・ド・九州二〇二四の機運を盛り上げますための取組といたしましては、今年五月の博多どんたく港まつりにおきまして、パレード参加をいたしました。また、今月二十二日には、みずほペイペイドーム福岡におきまして、ホークス戦の来場者に対しノベルティーを配布いたしますとともに、PRブースでレースの魅力を伝える映像の放映などを実施いたします。大会百日前となります来月三日には、県庁ロビーにおきましてカウントダウンセレモニーを実施し、大会に出場する県内唯一のプロサイクルチーム、VC福岡の選手によるデモンストレーションを行う予定でございます。また、八月、九月にはJR博多駅前のイベントスペースやJR小倉駅JAM広場におきまして、岡垣町をスタートし宗像市をフィニッシュとする福岡ステージのコースを体感できるバーチャルサイクリング体験、VC福岡による大会の紹介やトークショーなどを開催し、十月の本大会に向けて盛り上げてまいります。