福岡県議会 > 2024-06-12 >
令和6年6月定例会(第12日) 本文
令和6年6月定例会(第12日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2024-06-12
    令和6年6月定例会(第12日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(佐々木 允君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。永川俊彦君。(拍手) *永川議員質問 2 ◯二十四番(永川 俊彦君)登壇 皆様、おはようございます。自民党県議団永川俊彦でございます。通告に従いまして、三池港、大牟田港の利用促進について一般質問を行います。  私の地元大牟田市には、重要港湾三池港、地方港湾大牟田港があり、県南地域の物流の拠点として、背後圏の地域経済の活性化に寄与しております。  三池港については、昨年六月議会で私は、重要港湾三池港の利用促進について一般質問をし、服部知事より、船舶の安全な運航の確保や、利便性の向上につながる必要な整備を進めてまいると答弁をいただきました。今回は、その航路の水深確保についてお伺いいたします。  三池港には、国際コンテナ定期航路がありますが、現在就航している船舶は、小型でかつ老朽化しており、令和十年には廃船になると伺っております。その後に就航する次期コンテナ船は、現在の船より大型で、必要な水深も深くなると伺っております。  既存の船舶の積載量は四千九百トンで、必要水深は六メートル。次期コンテナ船の積載量は九千トンで必要水深は九メートルになります。ちなみに、水深を十メートルまでしゅんせつすることで積載量一万二千トンまでの船舶が入港可能になります。現在の三池港の航路は、次期コンテナ船必要水深を確保できていないというふうに伺っております。  私は、コンテナ船の交代時期までに必要水深を確保できなければ、次期コンテナ船が入港できず、唯一のコンテナ航路が廃止になり船社が撤退するのではと懸念をしているところであります。  一方、熊本県では近年、半導体受託生産世界最大大手でありますTSMCの進出に伴い、有明海沿岸の港は大変活気づいております。TSMC進出に関連して、福岡県の県南地域においても、関連企業の進出が進むのではないかと期待をしているところであります。  そういう社会情勢の中、進出した企業が港を利用することもあるでしょうし、また港を利用できるからこそ企業が進出してくるということも大いに考えられます。こういったことから、今後、県南地域の発展のためにも、港の航路において、大型船が入出港できる水深確保は大きな課題であると考えております。  そこで質問です。三池港の航路について、早期に水深を確保することが必要と考えますが、知事の認識についてお伺いいたします。  次に、もう一つの港であります大牟田港について伺います。大牟田港は、有明海に注ぐ大牟田川の河口に位置し、三池炭をはじめ鉱工業資材生活物資の積出港として古くから栄えてまいりました。昭和二十七年に福岡県が港湾管理者となり、現在は、鉱工業資材生活物資の運搬拠点として利用されております。  港の一部は、大牟田港緑地運動公園として日常のスポーツ活動の拠点や市民が集う場所として親しまれており、この公園の所管は建築都市部公園街路課ではなく、県土整備部港湾課が所管しております県内でも珍しい公園であります。野球・ソフトボール・サッカー・テニス・グラウンドゴルフなどの競技が実施可能で、県大会や地区大会などの開催など、広域的なスポーツ振興健康づくりに大きく寄与しており、日常のスポーツ活動の拠点として年間約四万人に利用されております。  この運動公園は昭和六十三年開園ということで、完成から約三十六年が経過しており、利用者や関係者からは、テニスコート人工芝損傷により利用者が負傷するのではないかと心配する声や、生活様式の変化に対応したトイレの洋式化を要望する声が上がっております。対応が必要な施設も年々増加傾向にあり、地元から各施設の早急な改修や整備が求められております。  この運動公園は、大牟田市のみならず県南地区にとっても、日常のスポーツ拠点として不可欠な施設であり、利便性や安全性の観点から、適切な維持管理が重要であると考えます。  そこで質問いたします。まず、大牟田港緑地運動公園整備目的利用状況についてお答えください。また、この公園が利用者にとって、安全快適であり続けるために、今後、県としてどう維持管理に取り組んでいかれるのかを伺います。  以上で一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 3 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁
    4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。  まず、三池港の航路の水深の確保についてでございます。この航路は、県においてしゅんせつをいたしておりましたが、有明海の特性上、航路に土砂が堆積しやすく、このため平成二十九年の時点では、石炭などを運搬する大型の貨物船は満潮時にしか入出港できないという状況となっておりました。このため国と協議を行いまして、平成三十年度からは、国においてしゅんせつを行っております。  こうした中、昨年、国際コンテナ定期航路を運航しております船会社から、現在就航している船を令和十年に廃船をし、次期コンテナ船は大型化するとの話がございました。この大型化に対応した水深を確保いたしますためには、現在実施しておりますしゅんせつを加速する必要がございます。このため今年四月以降、国と問題意識を共有し、対応策を検討しているところでございまして、引き続き協議を進めてまいります。  次に、大牟田港緑地運動公園維持管理についてでございます。この公園は、港湾で働く方や地域の皆様が利用する憩いの場、スポーツを楽しむ施設として、昭和六十三年に県が整備したものでございます。  この公園内には、野球場やソフトボール場テニスコートなどの運動施設、あるいは広場がございます。近年は、全九州学生テニス大会をはじめとする各種のスポーツ大会や部活動の練習などにも使用されておりまして、年間約四万人の方に利用されております。  この公園では、清掃あるいは小規模な補修などの日常的な維持管理につきましては、大牟田市に委託を行っております。また大規模な修繕につきましては、県において実施しております。  開園から三十六年が経過をいたしまして、一部の施設では老朽化が進んでおります。県では、これまでも野球場のスコアボードやソフトボール場のフェンスなどの修繕を行いますとともに、公園内の照明灯のLED化を順次実施してまいりました。  今後、管理委託しております大牟田市の御意見も伺いながら、利用者の皆様が安全に快適に利用できますよう施設の老朽化に適切に対応を行ってまいります。 5 ◯副議長(佐々木 允君) 室屋美香君。(拍手) *室屋議員質問 6 ◯十五番(室屋 美香君)登壇 皆様、おはようございます。民主県政クラブ県議団室屋美香と申します。通告に従いまして、自動体外式除細動器(AED)の設置・使用・救命率の向上について質問いたします。  昨日までふだんどおり元気だった人が、突然命を落とすことがあります。消防庁の令和五年版の発表によりますと、心臓が原因の心停止傷病者数は約九万千人となっており、一日に約二百人、七分間に一人が心臓突然死で亡くなっているとされています。  医療従事者ではない一般市民が心臓に電気ショックを与え、心臓の状態を正常化する自動体外式除細動器(AED)を使用できるようになったのは、二〇〇四年七月のことで、今年でちょうど二十年になります。以来、設置の普及も進み、今や全国でおよそ六十七万台が設置されています。しかし、AEDの普及は進んでいるとはいえ、倒れるところを目撃された心停止した人に対して、AEDで電気ショックが施される割合は、全国では僅か約四%にすぎないという報道がなされています。  ここでまず、直近の福岡県内のAEDの設置数と、県の施設や県の機関での設置状況、並びに県の施設でAEDが常時使用可能な場所は何か所あるのかをお示しください。また福岡県で令和四年中に一般市民に目撃された心臓が原因の心停止者の数と、そのうちAEDが使用された件数をお示しください。  心臓突然死は高齢者に限らず、若い世代や心臓病ではない人でも突然起こります。特に運動中などに倒れて死亡する若い世代も少なくありません。私が学生の頃、三十年以上前のことにはなりますが、運動部に所属し、大変健康だった先輩が、運動会の百メートル走でゴールした瞬間、私たちの目の前で倒れ、心不全が原因で、まだ十七歳という若さで帰らぬ人となりました。あのときに、今のような救命処置ができていたらと大変悔やまれます。  時を経て、AEDを一般の人も使えるようになった今、ぜひ、もっと多くのケースでAEDが使用され、一人でも多くの命が救われる社会を目指してほしいと思います。  心停止時の救命率は、電気ショックが一分遅れるごとに約一〇%ずつ低下すると言われています。一一九番通報から救急車が現場に到着するまでの所要時間の全国平均は、消防庁の発表によると約十・三分です。心停止から救急車の到着まで何も処置ができないと、救命の可能性は刻々と低下していくということになります。  福岡県の施設の中には、近隣にAEDがあるという理由から、いまだAEDを設置していない施設が存在すると聞いています。未設置の県の施設にも優先順位を考えて見直しを行い、AEDの設置を検討していくべきだと思います。  ここで二つ目の質問です。県はAEDの設置をどのように進めているのでしょうか。あわせて未設置の県の施設への設置についての考え方をお聞きします。また県民の方にAEDを使用してもらえるようにするために、どのような取組を行っているのかをお示しください。  埼玉県さいたま市内全域で、学校が休みの日でも、児童生徒や地域の住民が使えるよう二十四時間三百六十五日、学校の正門前にAEDを設置して、緊急時は誰でも使える取組が始まっています。これは、二〇一一年にさいたま市立小学校の児童が課外活動中に倒れ、校内にあったAEDが活用されずに死亡したということが背景にあります。  ここで御提案ですが、県の施設でも盗難防止策を施した上で、AEDを常時利用できるよう施設の外の入り口に設置するなど、誰もが分かりやすく覚えやすいAED設置箇所を増やす整備推進を、ぜひお願いしたいと思います。  最後に、AEDを効果的に活用するためには、設置場所の周知についてさらに推進する必要があると考えます。県では、このことについてどのような取組を行っているのか。また今後この周知をどのように広げていこうとしているのかをお示しください。  以上で私の質問を終わります。(拍手) 7 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 8 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  AEDの設置と使用のための取組についてお尋ねがございました。日本救急医療財団が作成いたしましたAEDの適正配置に関するガイドラインでは、人が多く救助が得られやすい、また心停止のリスクが高いといった観点から、駅や空港、学校、スポーツ施設などに設置することを推奨されております。  県では、このガイドラインを平成二十五年度及び令和元年度に市町村や関係団体に周知を行っておりまして、それぞれの施設において周辺の設置状況も踏まえながら、設置の判断を行っているところでございます。県が管理いたしております施設におきましても、同様の考えの下でAEDの設置を判断いたしておりますが、令和元年度に周知をいたして以降、もう年数もたっております。周辺の状況が変化していることも考えられますことから、改めてこのガイドラインを周知し、確認を行わせたいと考えております。  AEDはいざというときに使えることが大切でございます。このため県内の消防本部では、AEDの使用方法を含め、各種の救命講習を実施いたしておりまして、令和三年には約五万五千人の方が参加をされております。また県の保健福祉環境事務所におきましても、県民や職員を対象に救命講習会を開催しているところでございます。さらに、救急の日のつどいにおきまして、AEDに関する講演や実演講習を行いますほか、県内各地でAEDの使用方法を記載したハンドブック約一万三千部を配布するなど、必要な場合に県民の皆様がAEDを使用していただきますよう啓発を行っております。  AEDの設置場所の周知についてでございます。いざというときに、いち早くAEDを使用するためには、自宅や勤務先などの近くで、どこにAEDが設置されているのか、このことをあらかじめ知っておくことが必要であると考えます。日本救急医療財団では、地図上にAEDの設置施設や施設内の配置場所、外部への貸出しの可否などを全国AEDマップとして公開しておりまして、本県のホームページでも紹介をいたしております。  県といたしましては、今後当該マップやAEDの設置場所を示しますAEDマークの紹介などの情報を、県のホームページや、あるいは県民の皆様向けのハンドブック、救急の日のつどいなど、様々な媒体や機会を活用しながら、さらなる周知に取り組んでまいります。  なお残余につきましては、保健医療介護部長から答弁させます。 9 ◯副議長(佐々木 允君) 田中保健医療介護部長。 *保健医療介護部長答弁 10 ◯保健医療介護部長(田中 克尚君)登壇 県内のAEDの設置状況及び使用件数について、御答弁申し上げます。日本救急医療財団の調べでは、今年五月現在において、県内の学校・保育施設、会社・事業所、医療機関などに一万二千七百台余りが設置されています。  県の施設では、三百七十台のAEDを本庁・保健福祉環境事務所などの出先機関、県立高等学校県立公園体育文化施設など、二百二十八施設に設置いたしております。このうち、本庁や総合庁舎など四十六施設に設置しているAEDは、閉庁時間も含めて常時使用が可能です。  また令和四年中に、一般の方が人が倒れている瞬間を目撃した事例のうち、心筋梗塞・狭心症・不整脈などが原因で心停止となっていた方の件数は六百六十九件です。このうち、一般の方がAEDを使用した件数は二十八件となっております。 11 ◯副議長(佐々木 允君) 室屋美香君。 12 ◯十五番(室屋 美香君)登壇 御答弁ありがとうございました。日本AED財団などによると、AEDの一般解禁からこの二十年の間に、全国で約八千人もの命が救われています。  最後に三つ要望があります。まず一つ目は、AED未設置の県の施設については、ガイドラインを周知し確認をさせたいとの御答弁でした。確認された結果、必要と判断される場合も大いにあると思います。その場合は、AEDの設置に必要な予算を取っていただけますよう御要望いたします。  次に、心停止し倒れた女性に対しては、AEDを使用する際に胸部をあらわにする必要があるため、助ける側がAEDを使うことをちゅうちょしてしまうという傾向があるといいます。一刻も早い救命処置が大前提として、市民向け救命講習の際に、服を全て脱がさなくてもAEDは使用できること、パッドを貼った後に、上から上着やタオルをかけても電気ショックができることなど、消防本部救命講習の際に、女性にAEDを使うのをためらわないでという啓発にも力を入れていただきたいと思います。  最後は、県内のAEDの周知率と救命率を高めるためには、より多くの県民の方がAEDの設置場所を簡単に確認できる環境の整備をお願いしたいというものです。県のホームページでの周知に加えて、福岡県の防災アプリふくおか防災ナビ・まもるくんなど、様々な情報媒体にAEDがある場所を示したマップをリンクするなど、AED一般解禁から二十年を契機に、今後さらに多くの命が救えるように、AEDの適正配置を見直し、あらゆる機会を通じて設置場所の周知徹底を行うことを要望いたします。  以上です。ありがとうございました。(拍手) 13 ◯副議長(佐々木 允君) 川上多恵君。(拍手) *川上議員質問 14 ◯十一番(川上 多恵君)登壇 公明党の川上多恵でございます。通告に従いまして、子供たちへのプレコンセプションケア推進について質問をいたします。  県は、男女を問わず若い世代が早い段階から妊娠・出産、性に関する適切な知識を持ち、自分の身体への健康意識を高めるため、本年四月に全国の自治体で初となる福岡県プレコンセプションケアセンターを開設いたしました。  公明党が令和五年三月に政府に申入れを行った子育て応援トータルプランの中で、プレコンセプションケアの推進を提言しており、我が会派としても令和五年二月の代表質問プレコンセプションケアの重要性を訴え、以降その取組について要望してまいりました。  このような背景の中、当局におかれましては迅速にプレコンセプションケアセンターを設置をしていただき、大変ありがたく、また大きな期待を寄せているところでございます。  今回は、若い世代、とりわけ思春期の子供たちが早いうちから性に関する正しい知識や、自分自身の心と体の健康について知ることが大事であると考え、子供たちへのプレコンセプションケアについて質問をしてまいります。  改めまして、プレコンセプションケアとは、妊娠の希望の有無にかかわらず、若い時期から妊娠や出産に関する知識を伝え、健康意識を高めてもらう取組であります。  そこで教育長にお伺いします。まず、プレコンセプションケアの考え方が、学校での性に関する指導において、どのように活用できるかお答えください。  若いときは自分自身の健康についてあまり関心を持たない傾向にありますが、早いうちから健康増進に必要な知識や生活習慣を身につけ、自分のライフプランについて主体的に考えるようになることが重要です。その上で、教育委員会はこれまで児童生徒への性に関する指導について、どのように取り組んでこられたのか。また、それによってどのような成果が見られたか。今後の取組と併せてお伺いをいたします。  次に、県のプレコンセプションケアセンター事業の中で、小中高等学校養護教諭等を対象とした研修会を行うこととされています。この研修会では助産師が講師となり、プレコンセプションケアの意味や児童生徒の性と健康課題に関し、個別指導や支援に役立つ情報の提供などが行われるとお聞きをしております。  そこで、養護教諭がこの研修を受ける意義について、教育長にお伺いします。  次に、令和五年三月に改定された、成育医療等の提供に関する施策の基本的な方針に示された、教育及び普及啓発の項目に、男女を問わず、妊娠・出産等に関する医学的・科学的に正しい知識の普及・啓発を学校教育段階から推進すると記載をされており、今後プレコンセプションケアセンターのことが児童生徒にしっかりと周知され、性や身体に関して悩んだときの相談窓口の一つとなっていくことが重要であると考えます。  そこで今後、県教育委員会は各市町村教育委員会に対して、当センター案内リーフ等の配布や、現在子供たちに配られている主な相談窓口一覧にも当センターを明記するなどして、子供たちへの周知を図っていただくこと、また個別にケアが必要な場合には当センター相談窓口につなぐなど、相談機関の一つとしての活用をしっかり推進していただくよう要望いたします。  国は、令和五年三月各自治体や教育委員会等に対して、文部科学省厚生労働省の連名で、学校等におけるこどもの性と健康に関する普及啓発等の取組の充実についてという事務文書を発信いたしました。その中で、男女ともに性や妊娠に関する正しい知識を身に付け、健康管理を行うよう促すプレコンセプションケアの推進を含め、需要に適確に対応した切れ目のない支援体制を構築するとの方針に基づき、各自治体においては、教育委員会保健部局とが連携し、こどもの性と健康に関する普及啓発相談支援に係る取組の充実を図るとあります。  そこでお尋ねいたします。今後、教育委員会は性に関する指導を充実していくために、プレコンセプションケアセンターの活用も含めて、関係部局とどう連携を図っていくのか、教育長にお伺いいたします。  早い段階からプレコンセプションケアをしっかりと推進していくことは、若い女性の健康課題である子宮頸がん性感染症、さらには不妊症や望まない妊娠などの対策にもつながりますし、大きく言えば少子化対策でもあると言えるのではないでしょうか。また思春期の子供たちが性と健康に関する正しい知識を得ることは、将来、妊娠・出産を含めたライフプランを考える上で大変重要であり、命の貴さや自尊心を高めるといった深い学びにもつながります。  当センターの設置は全国初ということで、大変注目を浴びていると伺っております。庁内の各関係部局が連携した本県の取組がプレコンセプションケア福岡モデルとなっていくよう、着実な推進をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 15 ◯副議長(佐々木 允君) 寺崎教育長。 *教育長答弁 16 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 お答えいたします。  プレコンセプションケアの考え方の活用についてでございます。現在、高校においては、子供を産み育てることの意義とともに、出産等に伴います様々な健康課題を学習しておりまして、こうした学習内容にはプレコンセプションケアの考え方が含まれているものと認識をしております。  生涯にわたり健康でより豊かな人生を送るためには、早い段階から男女ともに性や妊娠に関する正しい知識を身につけ、健康管理に関する学習を行うことが重要であることから、プレコンセプションケアの考え方を踏まえつつ、学習指導要領に基づき、生徒の発達段階に応じた性に関する指導を行ってまいります。  学校における性に関する指導についての取組と成果についてでございます。県教育委員会では、保健体育科や家庭科等での学習に加えまして、県立高校・公立中学校及び特別支援学校に、産婦人科医や助産師等を派遣し、講演や個別相談を毎年実施をしております。その結果、各学校からは専門の医療機関につなぐことができた、個別の指導が充実した、教科の指導と関連づけることができた、などの評価の声が上がっております。  今後も、より多くの学校で本事業が積極的に活用されるよう、指導主事研修会や養護教諭研修会において、さらなる周知に努めてまいります。  養護教諭プレコンセプションケアセンターの研修を受ける意義についてでございます。養護教諭は、児童生徒から性や健康に関します個別の相談を受けたり、関係機関との調整を行ったりするなどの役割を担うことが多いことから、専門的な知識や情報を有することが求められております。そのため、思春期以降を対象とした性に関する情報発信と相談対応を行っております同センターの研修会において、プレコンセプションケアの概念や最新の知見を学ぶ機会は、養護教諭の資質・能力を高める一助となると考えております。  性に関する指導を充実していくための関係部局との連携についてでございます。近年スマートフォンの普及に伴い、性情報の氾濫や児童生徒の性被害、性感染症など、子供たちを取り巻く性に関する問題が、深刻化・多様化している現状がございます。こうした課題に対応するため、福祉労働部や保健所、県医師会などの関係機関で構成する性に関する指導推進委員会を設置するとともに、福祉労働部が作成した妊娠・出産に関する正しい知識を普及するためのリーフレットを高校において活用をしております。  今後、プレコンセプションケアセンターの研修会を市町村教育委員会に周知するなど、関係部局とさらなる連携を図ってまいります。 17 ◯副議長(佐々木 允君) 中村香月君。(拍手) *中村(香)議員質問 18 ◯三十三番(中村 香月君)登壇 新政会の中村香月です。通告に従い、農業における労働力の確保と医療的ケア児・ケア者の災害対策について伺います。  初めに、農業における労働力の確保についてです。我が国の農業における就業者数のうち、雇用者数は平成十二年の三十万人から令和五年は五十五万人まで増加しています。一方で、国内の生産年齢人口が今後大幅に減少していくことが予想される中で、各産業での人材確保競争が激化されることが見込まれています。しかし、農業は一年を通して安定した作業量があるわけではなく、限られた時期にのみ多くの労働力を必要とする場合もあることから、労働力の確保が非常に難しい傾向にあります。  近年では、農業者と働き手をつなぐ農業マッチングアプリを活用し、繁忙期など人手が必要な日や期間に限定して求人を実施するなど、農家の方々も労働力確保に向けて様々な努力をされておられます。しかしながら、必ずしも働き手を募集しても応募があるわけではなく、安定的な労働力の確保という面において不安があります。  このような状況において、安定した労働力として一翼を担っているのが、技能実習生や特定技能外国人といった外国人材です。我が国の令和五年度の農業分野における外国人の労働者数は五万千四百二十三人で、ここ五年で一・六五倍に増加しています。今や我が国農業を支える非常に重要な人材であり、本県でも品目によっては長期雇用し、既に外国人材の受入れをしている農家もおられます。  また、本県では今年度、北海道と連携した外国人材派遣支援費が予算として計上されており、十一月から四月までが農閑期となる北海道から、特定技能外国人を本県の農家等に派遣するという取組を実施されると伺っております。これまで限られた時期のみ労働力が必要なため、長期で外国人材を受け入れることが難しかった農家の方々にとって、大変よい取組だと思います。  しかし、残念なのが五月から十月に労働力が必要な品目があることです。私の住む久留米市やうきは市では、四月から五月にかけ苗木の接ぎ木作業、八月中旬から十一月中旬にイチジク、七月から九月にブドウ、九月下旬から十二月中旬に柿の収穫作業があり、今年度の事業での北海道からの特定技能外国人を派遣する期間の十一月から四月以外が繁忙期となる農家の方が多くおられます。  そこで、知事にお伺いいたします。まず、本県における外国人材の受入れ状況と、繁忙期に短期雇用を必要とする農業者に対して、県はどのような支援を行っているのか、お答えください。  あわせて農業経営の維持、拡大を図るためには、年間を通した短期派遣支援が必要ではないかと思います。私の住む地域だけでも先ほどの品目のほか、イチゴの収穫や苗木の出荷を組み合わせると、年間を通した作業量があります。北海道と連携した外国人材派遣のノウハウを生かし、今後、福岡県内での年間を通した短期派遣による労働力の確保に取り組んではどうかと思いますが、知事の考えをお聞かせください。  次に、医療的ケア児・医療的ケア者の災害対策について伺います。本県は、全国最多六度の大雨特別警報が発出されている県です。これまでも、議会の中で防災について知事にただしてまいりましたが、今回は医療的ケア児・ケア者に絞って質問をいたします。  医療的ケア児・者は、日常生活の中で、人工呼吸器の使用やたんの吸引、経管栄養などの医療的ケアを受けることが必要な方々です。災害時において、医療的ケア児・者とその御家族が避難する際には、これらの医療的機材を持って移動することになります。また避難先についても医療的ケアが行えるような設備が求められることから、避難には困難が伴います。そのため、医療的ケア児・者の方がどこにどのように避難するのか、何が必要なのかなどを事前に確認しておくことが大切であり、特に人工呼吸器を使用している方については、そのような備えが重要だと考えます。  そこで、伺います。本県の医療的ケア児・者のうち、人工呼吸器を使用されている方が避難先、移動手段等を確認している状況とともに、その方たちの円滑な避難が進むよう、県はどのように取り組んでいるのか、お尋ねいたします。  さらに、本県では令和四年から医療的なケアを必要とするお子さんと御家族に対し、ワンストップで相談対応など専門的な支援を行う医療的ケア児支援センターを、こども療育センター新光園内に設置しています。新光園では、災害時における受入れを実施していくと伺っておりますが、近年大きな災害の発生が続く中で、医療的ケア児・者及びその家族が防災意識を高めることができるよう支援することが必要だと考えます。そのためには、本県において災害時の備えなどの情報を、医療的ケア児・者とその御家族に対して提供することが重要と思いますが、知事の御所見を伺います。  最後に関連して、医療的ケア児・者の中でも、人工呼吸器等の医療機器向け電源を必要とする方の避難についてお伺いいたします。昨年の梅雨前線豪雨の際、私の住む久留米市では一部の地域が停電となりました。人工呼吸器等の医療向け電源を必要とする方々にとって電源は命綱であり、発災時の電源確保は大きな課題です。例えば長野県県社協では、医療的ケア児がいる家庭と、EV・ハイブリッド車の所有者のマッチングを実施し、災害時にEV所有者が医療機器向け電源を必要とする近隣の人を支えることを想定しています。  繰り返しになりますが、本県は全国最多の大雨特別警報が発令されている県です。本県こそ全国に先立って、人工呼吸器を使用する方々の災害時の電源確保を行っていく必要があると思いますが、知事の考えをお聞かせください。  以上で質問を終わります。御答弁よろしくお願いいたします。(拍手) 19 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 20 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  農業における労働力の確保についてお尋ねがございました。福岡県におきましては、年間を通してコマツナや青ネギ・菊などを生産している農業経営体が、昨年十月末時点では、千八百九十四人の外国人材を長期雇用の形態で受け入れております。一方、収穫時期により多くの労働力が必要なイチゴ、ミカン、柿などを生産している農業経営体は、短期間の労働力確保が課題となっているところでございます。  このため、今年度からは新たに本県と繁忙期が異なります北海道から、外国人材を短期間受け入れる体制づくりに取り組んでいるところでございます。  具体的に申しますと、北海道のJAと調整をいたしまして、イチゴやミカンなどの収穫時期に当たります十一月から四月にかけて派遣可能な特定技能外国人を確保し、住居を含む生活環境の整備や派遣先の選定に係る経費を支援することといたしております。また、年間を通した短期派遣による労働力の確保につきましては、今回の、今申し上げましたような取組による知識や経験を踏まえまして、県内の産地の受入れニーズや、県内外の派遣可能な外国人材の有無について情報収集を行ってまいります。  次に、人工呼吸器を使用している方の円滑な避難のための取組についてでございます。人工呼吸器を使用していらっしゃいます方は、日頃から訪問看護を受けておられますことから、県では二年に一回、訪問看護ステーションを通じまして、これらの方の災害に対する備えを調査をいたしております。一昨年度の調査におきまして、回答がございました二百七十一人のうち、避難場所・経路の確認ができている方が約七割、移動するときの支援者が確保できている方が約八割でございました。  県では、人工呼吸器を使用している方が円滑に避難していただくことができますよう、情報提供に同意した方の情報を市町村に提供し、避難行動要支援者名簿へ登録した上で、災害時の安否確認や避難先での受入れなどの支援を実施するよう働きかけております。引き続き、人工呼吸器を使用している方が円滑に避難できるよう取組を進めてまいります。  次に、医療的ケア児・者やその御家族への情報提供についてでございます。県では毎年、訪問看護ステーションを通じまして、人工呼吸器を使用していらっしゃる方に対しまして、災害時の移動手段や支援者の確認、日頃からの医療機器の点検や必要物品の準備など、災害への備えについて働きかけを行っております。その際、災害時の避難先やかかりつけ医などの緊急連絡先、病名や呼吸状態などの身体の状況、非常時の持ち出し用品などを記入することができます災害時の手引を活用し、それぞれ御確認をいただいているところでございます。  この災害時の手引につきましては、昨年二月に立ち上げました医療的ケア児等支援情報サイトにも掲載をいたしまして、医療的ケア児・者やその御家族に活用を呼びかけております。また医療的ケア児支援センターが主催いたします啓発フォーラムにおきまして、災害時の避難先や避難経路の確保など災害への備えについてもお伝えすることといたしております。引き続き、医療的ケア児・者や、その御家族に必要な情報が届きますよう、関係者の御意見をお聞きしながら情報提供に努めてまいります。  次に、人工呼吸器を使用していらっしゃる方への災害時の電源確保についてお尋ねがございました。県では災害による停電に備えまして、人工呼吸器等の予備バッテリーの常備や、外部バッテリーまたは自家発電装置の確保、バッテリーの更新などを促してまいりました。この結果、一昨年度の調査では約八割の方が外部バッテリーまたは自家発電装置を所持していらっしゃいます。これらを所持していらっしゃらない方に対しましては、訪問看護ステーションを通じ、外部バッテリーなどを所持するよう継続的な働きかけを行っております。  また福岡県医療機器協会を通じ、医療機器販売業者に対しまして、豪雨などで停電が想定される場合には、人工呼吸器を使用している方にバッテリーの充電状況を確認することや、予備バッテリーを貸出しすることなどの協力をお願いしております。今後も、人工呼吸器を使用している方の災害時の電源が確保されるよう取り組んでまいります。
    21 ◯副議長(佐々木 允君) 中村香月君。 22 ◯三十三番(中村 香月君)登壇 御答弁ありがとうございます。知事に一点要望をさせていただきます。人工呼吸器を使用している方々で、外部バッテリーまたは自家発電装置を所持しているという方は八割との答弁がございました。つまり二割の方は所持をしていないということです。人工呼吸器等にとって電源は命綱でありますが、外部バッテリーや自家発電装置などは高価であり、購入が難しい面もあるようです。災害が多い本県だからこそ、しっかりと災害に備えていく必要があります。現在所持をしていない二割の方々も電源確保ができるよう、外部バッテリーや自家発電装置の補助等の施策を強く要望し、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 23 ◯副議長(佐々木 允君) 新開嵩将君。(拍手) *新開(嵩)議員質問 24 ◯三番(新開 嵩将君)登壇 日本維新の会、新開嵩将です。通告に従いまして、一般質問を行います。  まず、公費の意味について改めて述べたいと思います。公費とは、公の支出する費用という意味です。今回の一般質問では、議会事務局とは別に、知事部局からも県職員一名が同行されている南アフリカ訪問について、日程表も確認しながら述べたいと思います。  県職員は、四月十四日に福岡空港から関西国際空港に到着し、その後、中東カタールのドーハに到着しています。この時点で、カタールのドーハが乗換え地点として利用されており、十五日にカタールのドーハから南アフリカのケープタウンに到着しています。  翌十六日には、世界獣医師会大会に参加したと聞いています。主な内容は、世界獣医師会総会ワンヘルスワーキンググループ活動報告を拝聴、また世界獣医学大会でポスター発表した、福井県衛生環境研究センターの主任研究員と意見交換をされたそうです。そのほか、世界獣医師会大会ウエルカムレセプションにおいて、前会長及び新しい会長に対し、ワールドワンヘルスコングレス福岡誘致への支援を依頼したと聞いています。  翌十七日には、グローバルワンヘルスサミットを聴講し、同サミットに登壇された博士がプレゼンテーションの最後に、今年九月に南アフリカのケープタウンで開催されるワールドワンヘルスコングレスについてPRをされたそうです。また同サミットに登壇した博士に対し、福岡県がワールドワンヘルスコングレスを誘致しようとしていること、及び今年九月のケープタウン大会にPRブースを出展する旨を伝え、支援を依頼したと聞いています。そのほか在ケープタウン領事事務所等との意見交換をされ、領事に対し、九月にケープタウンに再訪する予定があることを伝え、必要に応じて支援をお願いしたと聞いています。  翌十八日には、南アフリカからドーハに到着し、十九日にドーハから関西国際空港に到着しています。その後は、新幹線で福岡まで移動しています。ここまでが県職員の日程表になっていました。  ここまでを振り返ると、南アフリカ訪問では、県職員は過密日程の中、十分な活動が行われていました。一般質問の前段で述べたとおり、公費を支出することは常に説明責任が求められ、その説明責任を全うしなければならないと思います。その上で、その説明で十分なのか、不十分なのか、最後に結論が導き出されます。  ここで知事にお尋ねをいたします。今回の県職員の南アフリカでの活動を踏まえ、今後どのように県の取組に生かしていくお考えでしょうか、お示しください。  次に、今回行われた福岡県議会の海外視察に関して、知事の御所見をお示しください。  今からは、福岡県の推進しているワンヘルスについて述べたいと思います。まずワンヘルスとは、について御説明をいたします。ワンヘルスとは、近年、新型コロナウイルス感染症をはじめ新興感染症の多くは、人と動物の双方に感染する人獣共通感染症であり、人の感染症の約六割を占め、時に爆発的に伝播し、大流行となって人に甚大な危害を及ぼしてきました。また環境破壊や生物多様性の喪失も感染症のリスクを高める要因となっており、そのため人の健康を維持するためには、人と密接に関係している動物や環境の健康の戦略的枠組みが必要であるとの概念の下、つまり人と動物の健康と環境の健全性は一つと捉え、一体的に守っていくということです。  その上で、私は、ワンヘルスと成果をどのように結びつけるのかで、福岡県のワンヘルスの施策や取組に対しての県民の評価は大きく変わっていくものであると考えています。成果は大きいほど県民に伝わりやすく、小さいほど県民に伝わりにくいと思います。  ここで、一つの疑問があります。成果にばかり目が行くのは当然のことではありますが、そもそもワンヘルスという言葉をどのくらいの県民が聞いたことがあるのかということです。私が何を懸念しているのかというと、ワンヘルスの施策で大きな成果があったとしても、県民の大勢がワンヘルスの言葉を聞いたことがなかった場合は、ワンヘルスの成果のみが一人歩きをしてしまうことになります。このような状況にならないためにも、ワンヘルスの認知度調査は最大の課題であると考えています。これに関して県は、県政モニターアンケート調査を実施していました。ここで、県政モニターアンケート調査の意味について改めて述べたいと思います。  県政モニターアンケート調査とは、県内にお住まいの十八歳以上の方で県政に関心をお持ちの方を対象に、公募により選ばれた方に約一年間、県政モニターとして活動していただくことになっているということです。  その上で、私はこのような調査方法は一つの手段としてよいと思っていますが、ワールドワンヘルスコングレス二〇二八福岡誘致及び福岡県ワンヘルス推進行動計画を県民の皆様と共に達成を目指していくためには、ワンヘルスの認知度を含めた県政モニターアンケート調査に加えて、県政に関心を今はお持ちではない方も対象としたアンケート調査を実施することで、より幅広い調査結果を今後のワンヘルスの施策に生かしていくことが可能であると考えています。  私の考えでは、五百十万人の県民がワンヘルスの言葉を知っている、聞いたことがあるという状態で、福岡県でワールドワンヘルスコングレスを開催できることが最もよいと考えています。  そこで知事にお尋ねをいたします。県政モニターアンケート調査では、ワンヘルスを知っている・聞いたことはあったが内容は知らなかったは、約五〇%となっていますが、今後モニター以外の一般的なアンケート調査も実施するお考えはありますでしょうか、お示しください。  次に、ワンヘルスと海外の都市との友好提携の締結について述べたいと思います。福岡県は、五か国の地域と友好提携などを締結し、海外の都市と友好的な交流を深めています。具体的には、一九八一年にアメリカ・ハワイ州、一九九二年に中国・江蘇省、二〇〇六年にタイ・バンコク、二〇〇七年にインド・デリー準州、二〇〇八年にベトナム・ハノイとなっています。  ここで知事にお尋ねをいたします。この五か国の地域の中で、ワンヘルスに関する覚書の締結に向けて取り組んでいる地域があれば、どのような取組を行っているのか、お示しください。  今申し上げました質問内容のとおり、福岡県はワンヘルスを施策の柱としているために、常に県民からワンヘルスを通じての成果が求められていると思います。その上で、ワンヘルスの施策と成果をどのようにして結びつけることが県としてよいのか、自分の考えを述べたいと思います。  県は、二〇〇八年二月のベトナム・ハノイ市との友好提携の締結を最後に、十六年間、世界の国の地域と友好提携の締結がありませんでした。ワールドワンヘルスコングレスを福岡県に誘致することは、世界に福岡県の名が響くことになり、ワンヘルスを推進している自治体としての役割が大きくなると思います。福岡県は先頭に立って、ワンヘルスの施策や取組を世界中の国や地域に発信しているところですが、私は、ワンヘルスの成果を求めていく場合、一つの考え方として、ワンヘルスをテーマに世界中の国の地域とワンヘルスの施策に関する覚書の締結や、ワンヘルスを通じて友好提携の締結をして、世界の国の地域と福岡県が正式に結ばれることは、ワンヘルスの大きな成果につながると考えています。  ここでお尋ねをいたします。知事はどのような思いで県のワンヘルスの施策や取組を世界に発信しているのでしょうか。併せて友好提携の締結の可能性も含めて、知事のお考えをお示しください。  以上で知事への質問は終わりますが、最後に私から知事に要望をお伝えさせていただきます。福岡県のワンヘルスの施策や取組を通じて、世界中の国の地域と対話をすることができる可能性を持つ福岡県が、さらに前進していくために、また世界中の国の地域と友好提携の締結がかなうために、知事に力強く推進していただきたいことを私からの要望とさせていただきます。  以上で一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 25 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 26 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、知事部局職員の南アフリカにおける活動を踏まえた今後の取組についてお尋ねがございました。県は、ワンヘルスの専門的な国際会議でございますワールドワンヘルスコングレスを福岡県に誘致することを目指しております。このため、今年九月に南アフリカ・ケープタウンで開催されます同大会におきまして、本県のPRブースを出展し、また大会関係者に対するプロモーションや働きかけを行うことといたしておりまして、今回その事前調査を行うために職員を派遣いたしました。  職員は、この事前調査において、世界獣医師会大会に参加していらっしゃいましたワールドワンヘルスコングレス南アフリカ大会の関係者の皆様とお会いをし、関係性を築いてまいりますとともに、大会の一部として開催されましたグローバルワンヘルスサミットに参加し、専門家による発表を聴講させていただきました。  今後は関係者と連絡を取りながら、誘致活動に関する助言をいただき、まずは九月に開催される大会において、効果的な誘致活動を行ってまいります。  次に、県議会において実施されました南アフリカ視察に関する所見についてでございます。今回の県議会の南アフリカ視察は、県議会が独立した機関として、議長の下で視察の必要性や規模等を判断されて実施されたものと考えております。  次に、ワンヘルスに関する県政モニターアンケートについてでございます。ワンヘルスにつきましては、まず県民の皆様にその言葉を知っていただくことが必要でございます。県では、ワンヘルス推進行動計画におきまして、令和八年度のワンヘルス認知率が七〇%となることを目標といたしております。この認知率を調査いたしますため、令和三年度から毎年度、県政モニターの皆様に対してアンケートを行っております。認知率の調査結果を評価していくためには、同じ条件で継続的な調査を行うことが必要でございまして、県政モニターアンケートによる調査につきましては、引き続き行ってまいりたいと考えております。  加えて、ワンヘルスは、その理念を理解していただき実践していただくことが重要でございます。このため、現在実施しておりますワンヘルスフェスタでありますとか、ワンヘルス国際フォーラムなどのイベントにおける参加者のアンケート、あるいは一般県民の皆様からの抽出調査を行っております県民ニーズ調査などによりまして、認知度に加えて理解度も把握を行ってまいりたいと考えております。  次に、ワンヘルスに関する覚書の締結に向けて取り組んでいる地域があるのかというお尋ねでございました。先月、姉妹提携を結んでおりますアメリカ・ハワイ州において、グリーンハワイ州知事と私、そして香原県議会議長、この三者連名で、ハワイ州議会の皆様の立会いをいただきながら、人と動物の健康と環境が調和した社会づくりにグローバルに貢献していくことをうたいました、ワンヘルスの推進に関する共同宣言を発出いたしました。この宣言の中で、ワンヘルス分野の交流に関する覚書を年内に締結するということを記載しておりまして、現在、両県州の実務者レベルで協議を進めております。  最後に、県のワンヘルスの取組の世界への発信についてでございます。新型コロナウイルス感染症をはじめSARSやMERSなど新興感染症の多くは人獣共通感染症でございます。これに対応、対抗していきますためには、人と動物の健康、そして人も動物も共に暮らすこの地球の環境の健全性を一つのものとして捉え守っていく、これを行っていかなければならないというワンヘルスの理念に基づきまして、取組を進めていくことが重要であると考えております。  このため福岡県は、世界のワンヘルスの推進に貢献し、健全な地球を次の世代につないでいこうと、ワンヘルスに先駆的に取り組み、ワンヘルスの理念、その実践の必要性、並びに本県の取組について広く発信を行ってまいりました。  ただいま議員から、グローバルな視点から御提案をいただきました。まさにワンヘルスの推進は県や日本だけで進められるものではございません。世界の人たち、各地域と共に、地球規模で取り組んで大きな効果のあるものとなります。このことから、今後ワールドワンヘルスコングレスやワンヘルス国際フォーラムなどを通して、ワンヘルス実践の機運を高めるとともに、海外の自治体と一緒に取り組む可能性を見いだしてまいりたいと考えております。  さらに、このたび藏内勇夫議員が次期世界獣医師会長に選任されました。世界獣医師会長としての藏内会長の人脈やネットワークも活用させていただくことも、ワンヘルス分野での世界の各地域との提携につながるものであると考えております。 27 ◯副議長(佐々木 允君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時二十分といたします。           午 後 零 時   九分  休 憩           午 後 一 時 二十一分  再 開 28 ◯議長(香原 勝司君) 再開いたします。  休憩前に引き続き、一般質問を行います。順次発言を許可いたします。高橋義彦君。(拍手) *高橋議員質問 29 ◯二十三番(高橋 義彦君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の高橋でございます。通告に従いまして、福岡県の主要施策の一つでございます、世界から選ばれる福岡県の推進について質問を行います。  まず初めに、県内在留外国人、特にイスラム圏出身のムスリムの方々への対応について質問をいたします。県内における在留外国人は、令和五年末現在九万九千六百九十五人であり、五年前の令和元年末の八万三千四百六十八人と比べ一九%増加しています。在留資格の内訳は、技術・人文知識・国際業務や特定技能、技能実習といった地域社会の中で働き手となっている外国人の増加が顕著であり、五年前に比べ、技・人・国が四一%、特定技能と技能実習で五九%増加しており、それに伴い家族滞在の人数も増えています。  一方、政府は、このたび技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする育成就労を新設する出入国管理法などの改正案が国会で可決、成立いたしました。この制度改正により、育成就労から特定技能への移行が促されることに加え、政府は、令和六年四月からの五年間で受け入れる特定技能の見込みの数を引き上げ、現在の二倍超の八十二万人に設定しています。  このような状況を踏まえると、今後、県内在住の外国人労働者やその家族の数はますます増加することが見込まれますが、知事が掲げておられる世界から選ばれる福岡県を実現するためには、外国人が生活しやすい環境、働きやすい環境を整備することが必要だということは言うまでもありません。  特に、豚肉やアルコールなどを避けるハラールに対応した食生活、一日五回の礼拝など、我々日本人とは違った生活習慣を持つムスリムへの対応が必要になってくると考えます。県内には、ムスリムが多いと言われるインドネシアやマレーシアの方々だけでも約四千人が生活しており、そのうち約六百五十人が特定技能、約二千人が技能実習の在留資格となっています。全世界には十九億人以上のムスリムがいると言われており、昨今の外国人労働者をめぐる状況を鑑み、多くの外国人労働者やその家族の受入れについて、ハラールなどムスリムの習慣を踏まえた環境整備が求められます。  先日の我が会派の代表質問において、イスラム圏からの誘客について知事にただしましたが、ムスリムの中でも宗派や国などで生活習慣は異なっており、知事もその状況や情報の把握の重要性について御答弁されました。  そこで知事にお尋ねします。これまで県では、特定技能や技能実習などで在留する方々をはじめとした県内在住のムスリムの方々に対して、どのような対応を行ってこられたのでしょうか。また今後どのように取り組んでいかれるか、お考えをお聞かせください。  次に、ヨーロッパへの八女茶の輸出促進、伝統工芸品の販路開拓についてお伺いいたします。人口減少が進み、国内市場の拡大が見込めない中、県内中小企業や農林水産業が成長し、地域が持続的に発展し続けていくためには、経済のグローバル化の進展とともに、日々拡大する国際市場の獲得競争に打ち勝っていくことが重要です。  先月、服部知事、香原議長をはじめ県の公式訪問団は、ロンドン及びパリを訪問しました。私も訪問団の一員として、八女茶を取り扱うイギリスの茶商の方、今年度パリで行う伝統工芸品海外販路開拓事業を受託された事業者の方々、様々な方々とお会いし、意見交換をいたしました。  ロンドンでは、世界各国の茶葉を輸入販売されてあるコミンズ・ティ社の意見交換に参加いたしました。同社は、二〇一七年に県が行う海外バイヤー向け八女茶産地視察招聘事業に参加されたことをきっかけに、有機栽培の八女茶を輸入販売されています。意見交換の場で八女茶は非常においしいと高く評価されていました。またコミンズ代表から、八女茶のすばらしさを消費者に知ってもらうには、八女茶のおいしさだけではなく、その背景にある歴史や文化などのストーリーを丁寧に伝えていくことが重要であり、併せてイギリスの消費者は高価格帯のお茶はオーガニックであることを期待しているとのお話を伺いました。  また八女茶についてはパリでも、非常においしい、そしてパリでは健康志向が高まっており、有機栽培のお茶は健康という付加価値があるため高くても消費者は買う。コーヒー文化のフランスでもお茶を飲む人は増えているので、八女茶はフランスでも売れる可能性が十分にあると伺いました。  またパリでは、日本の伝統工芸品の販売状況や今後の可能性についてお話を伺いました。コロナ禍を経てフランス人は環境問題に関する意識が非常に高まっており、天然素材が好まれている。円安基調の中で日本製品はヨーロッパで売りやすい環境が整っている。フランスは世界一外国人観光客が訪れる国であり、世界のトップブランドが集まるパリには富裕層が集まってくる。ここフランス・パリで認められること、すなわち世界の販路が開く可能性がある。しかし、商品を買っていただくには、消費者にその商品を買いたいと思っていただけるよう、きちんとニーズを把握することが必要である。日本の商品をそのまま持っていっても売れないなど、長年にわたりパリで販売に携わってきた御経験を基に、大変参考になるお話を聞きました。  今回、八女茶や日本の伝統工芸品をヨーロッパで販売されている事業者との意見交換を通じて、県産品がヨーロッパの消費者に受け入れられるには、販売対象となる国の市場ニーズを的確に把握するマーケティングが必要であることを改めて痛感しました。大手企業であれば、このようなマーケティングは自社で行えますが、八女茶や伝統工芸品の生産販売に携わる農家、農業団体や工房の方は中小零細事業者の方が多く、自前でヨーロッパでのマーケティングを行うことは非常に難しいと考えます。  そこで知事に伺います。今回のロンドン、パリ訪問を踏まえ、ヨーロッパへの八女茶の輸出促進、伝統工芸品の販路開拓に向けて、県は具体的にどのような取組を行っていくのかお聞かせください。  以上で、質問を終わります。(拍手) 30 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 31 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  県内在住のムスリムの方々への対応についてお尋ねがございました。県では、ムスリム圏から日本に来訪される方が増加しているという状況を踏まえまして、ムスリムの方々にとって快適な環境を整備いたしますため、国際局・観光局などの関係課及び福岡県料飲業生活衛生組合連合会や、福岡県旅館ホテル生活衛生同業組合などの関係団体から成ります福岡県ムスリム施策推進協議会を設置いたしております。  この協議会では、飲食店や宿泊施設等を対象としまして、宗派あるいは国などによって異なりますムスリムの基本的な知識に関するセミナーを開催いたしますことや、あるいは具体的な取組事例を掲載したハンドブックを配布するといった取組を行ってまいりました。こうした取組によりまして、食事等に配慮した、現在のムスリムフレンドリー店舗の登録数は百を超えている状況でございます。  またアクロス福岡三階のこくさいひろばでは、福岡県外国人相談センターにおきまして、ムスリムの方々をはじめ在住外国人の皆様からの様々な相談に多言語で対応しておりまして、このフロアにはどなたでも利用していただけます礼拝スペースも設置をいたしております。  さらに、県内企業の労働環境につきましては、外国人材の受入れ企業を対象として講習会を開催し、多様な文化、習慣、宗教に対する相互理解の重要性について説明いたしております。今年度からは、行政書士会に委託して企業からの個別相談を受ける専用窓口におきまして、新たに社会保険労務士等による出張相談を実施することにより、企業がムスリムの方々を受け入れるに当たっての宗教上の文化や慣習に関する個別課題に対応しているところでございます。  今年度中には、このアクロスのこくさいひろばを、福岡県、福岡出入国在留管理局、福岡労働局、ジェトロ福岡など海外人材専門機関が一体となった福岡イズ・オープンセンターへリニューアルし、ムスリムの方々を含めた在住外国人の皆様からの生活・就労・在留資格に関する相談にワンストップで対応できます窓口としてまいることといたしております。また多言語ポータルサイト福岡イズ・オープンにおきまして、県内在住のムスリムの方々のコミュニティーの協力をいただきながら、ムスリムフレンドリーの店舗や、ムスリム関連イベントなど、より生活に密着した情報を発信してまいります。  次に、ヨーロッパへの八女茶の輸出促進、伝統工芸品の販路開拓についてでございます。まず、八女茶につきましては、六か国のバイヤーの皆さんを産地に招聘することや、イギリスやフランスの消費者の皆様に向けた八女茶の入れ方セミナーなどを実施いたしますとともに、産地におきましては、輸出に対応した農薬の使用方法に関する研修を行ってまいりました。その結果、ヨーロッパへの八女茶の輸出量は、取組を始める前の平成二十四年度に比べますと、約二倍となっております。  今回の訪問では、現地の茶商などとの意見交換の中で、ヨーロッパでは、健康志向を受けて有機栽培の日本茶の需要が高まっていると伺いました。これを受け、今後県では、ジェトロや海外の茶商からきめ細かな情報収集を行うとともに、産地に還元してまいります。あわせて需要に応じた生産拡大を図りますため、有機栽培に関心のある茶生産者に対し、生物農薬や有機質肥料を用いても収量や品質を向上できる技術指導を行いますとともに、被覆棚や製茶機械の整備などを支援してまいります。  また、一流シェフが仕立てた料理と八女茶をペアリングし、レストランオーナーやシェフなどの実需者に対し提供いたしまして、直接PRする手法により、さらなる八女茶の輸出促進に取り組んでまいります。  次に、伝統工芸品につきましては、今年度からヨーロッパの中でも展示会が最も多く開催され、各国からバイヤーが集まるパリにおきまして、テストマーケティングを実施いたします。  今回の訪問で、現地のセレクトショップMaison Waの塩川嘉章代表から、ターゲット国を絞って、それぞれの国の文化や生活様式などをしっかりとリサーチをし、商品を提案することが重要といった有益な助言をいただきました。今後、県内の伝統工芸事業者を対象として、フランス市場の勉強会や個別相談会を開催し、市場のニーズに合わせた商品開発を進めます。販売に当たっては、店舗に訪れたお客様の声をよくお聞きいたしますとともに、販売実績を詳しく分析し、事業者にフィードバックすることで、より市場に受け入れられる商品の開発につなげてまいります。  こうした取組を着実に進めまして、フランスさらにはヨーロッパでの販路の開拓を図ってまいります。 32 ◯議長(香原 勝司君) 豊福るみ子君。(拍手) *豊福議員質問 33 ◯二十七番(豊福 るみ子君)登壇 民主県政クラブ県議団、遠賀郡選出の豊福るみ子でございます。私からは、福岡を観光などで訪れている訪日インバウンド客の交通安全の確保に向けた取組について伺います。政府によるインバウンド政策もあり、約二年ぶりに訪日外国人、いわゆるインバウンド客の受入れを再開し、新型コロナ禍からV字回復を遂げています。直近の二〇二四年四月の九州への外国人入国数は、九州運輸局によると三百四万二千九百人となり、二か月連続で三百万人を突破し、外国人の観光客は増え続けています。  その訪日インバウンド客の行動様式に変化が見られ、都市部に密集する旅行のスタイルよりも、密を避けて、自らレンタカーを運転して日本の自然や食を楽しむドライビングツーリズムが盛んとなっています。同時に、本県でもサイクルツーリズムを観光施策として打ち出していることもあり、レンタサイクルなどで周遊する外国人も見かけるようになり、今後ますます需要が増えてくることが期待されています。  このように、レンタカーやレンタサイクルを利用する訪日インバウンド客が増加するに伴い、訪日インバウンド客が関わる交通事故が増加しています。公益財団法人交通事故総合分析センターが二〇一九年に発表した交通事故分析によると、外国人のレンタカー運転中の事故リスクは、日本人に比べ約五・五倍と高くなっているとの結果が示されています。  ここで警察本部長にお伺いいたします。本県における訪日インバウンド客を含む外国人が関わる交通事故について、最新の件数や事故の内容について、コロナ禍前の二〇一八年と比較して具体的にお示しください。また本県における外国人の交通事故について、その対策と現在取り組んでいること、また今後どのように取り組んでいかれるのかをお答えください。  去る六月三日、北海道北見市で、香港からの旅行者が運転するレンタカーが、一時停止の標識があった交差点に進入し乗用車と衝突、五人が病院に搬送された事故が発生しました。ドライブレコーダーの映像から、一時停止の標識を見落としていたことが原因と考えられるとのことです。この一時停止の標識は、日本は逆三角形で「止まれ」と日本語で標記されていますが、日本以外のほとんどの国では八角形が広く採用されており、外国人が判別できない可能性が指摘をされています。特に、一旦停止の規制を無視する一時不停止は、重大な事故につながりかねない危険な行為であることから、外国人にも判断しやすい道路標識の対策が求められています。  実際に東京都では、一時停止標識については、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、STOPという英字を併記した標識を二〇一七年から導入し、この動きは順次国内に広がっています。  そこでお伺いをいたします。本県において、STOPという英字が併記されている標識の数と、一時停止標識全体に対する割合をお示しください。あわせて死亡事故を減少させるためにも、まずは一時停止を厳守させることが効果的であることから、STOP併記の標識の切替えをできるだけ早急に行う必要があると考えますが、警察本部長の見解をお聞かせください。  次に、自転車交通安全確保について伺います。今年十月には、ツール・ド・九州二〇二四が福岡の地で開催されます。最終日には、私の地元遠賀郡岡垣町をスタートし、世界遺産の宗像大社をゴールとするコースが決定しており、県内には多くのサイクリストやインバウンド客が訪れることになります。  このように、本県では、九州の魅力の発信やサイクリングスポーツの普及拡大、サイクルツーリズムの推進など、自転車を活用した新たな地域活性化の取組を推進しており、第二次福岡県自転車活用推進計画においては、安全で快適な自転車通行空間の整備や快適なサイクリング環境の整備を進めるとともに、複数の市町村をつなぐ広域のサイクリングルートを設定するなど、自転車の活用に関する施策を推し進めています。  しかし現状は、欧米諸国の多くは車両が右側通行なのに対し、日本は左側通行となっていることから、自転車が自動車ドライバーに向かって走行してくるなどの危険が生じていたり、歩行者最優先であることなどの日本の交通ルールが周知されていないなどの課題があり、安全意識の醸成やサイクリング環境の整備など訪日インバウンド客の自転車による交通事故を防止するための、より実効的な対応が求められています。  例えば自動車等に直接、自転車通行帯であることを示す矢印の矢羽根型路面標示は、文字ではなく青色の矢印マークであることから、日本語が分からない外国人にも理解しやすく、また直接道路に書かれているため、自転車運転者だけではなく、車のドライバーにも注意を促すことができ、非常に有効だと考えます。  そこで最後に、知事にお伺いをいたします。自転車の安全な通行を促し、自動車ドライバーに車道上の自転車通行位置を知らせる重要な役割を担っている矢羽根型路面標示、並びに自転車ピクトグラムの設置を積極的に整備していく必要があると考えますが、道路管理者である県の見解をお聞かせください。あわせて現在進めている矢羽根型路面標示、並びに自転車ピクトグラムの設置を含めた自転車通行空間の整備状況と整備に向けた今後の取組をお聞かせください。  以上、御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手) 34 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 35 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  自転車通行空間の整備についてお尋ねがございました。県では、御質問の中にもございましたが、第二次福岡県自転車活用推進計画に基づきまして、縁石などで構造的に分離された自転車道、あるいは路肩のカラー舗装、また矢羽根や自転車ピクトグラムによる路面の表示などの整備を進めまして、安全で快適な自転車通行空間の確保に取り組んでおります。  矢羽根等の路面標示につきましては、自転車道の整備がすぐにはできないという区間におきまして、訪日外国人を含む自転車利用者の方々に走行位置を明示いたしますとともに、自動車ドライバーに注意喚起を促す効果があるものと認識しております。  現在県では、国内外のサイクリストの誘客を図りますため、サイクルツーリズムを推進しております。このため、国や市町村、観光協会などと共に設定をいたしました福岡県広域サイクリングルートや、市町が策定いたしました自転車ネットワーク計画を基にいたしまして、自転車通行空間の整備を進めているところでございます。今年の三月末時点で、県が整備しております区間の延長は約百二十七キロメートルとなっております。  今後とも訪日外国人の方々にも分かりやすく、自転車利用者の皆様が安全で快適に走行できますよう、良好な自転車通行空間の整備を推進してまいります。 36 ◯議長(香原 勝司君) 岩下警察本部長。 *警察本部長答弁
    37 ◯警察本部長(岩下 剛君)登壇 初めに、本県における平成三十年と昨年の外国人に係る交通事故の件数などについてお答えをいたします。県内で発生した交通事故のうち、外国人が運転する車両に係る事故の割合は、平成三十年が全体の約二%の五百七十四件であり、昨年中は全体の約三%の五百八十二件と微増しております。また、そのうち自転車運転中の事故も、平成三十年の九十件に対して、昨年は百五件と微増しております。事故の内容につきましては、いずれの年も追突が約三五%と最も多く、自転車に限りますと、出会い頭が約五〇%を占めております。  次に、外国人の交通事故抑止対策についてお答えをいたします。交通事故を抑止するためには、外国人の方々に、我が国の交通ルールを理解していただくことが重要であります。県警察では、外国人を雇用する企業や、外国人が通う専門学校などを対象とした参加・体験・実践型の交通安全講習を実施しているほか、英語や中国語など複数の言語に対応した基本的な交通ルールに関するパンフレットを作成し、ホームページに掲載するなどの取組を行っております。  県警察といたしましては、今後も訪日外国人の推移や外国人が関連する交通事故の発生状況などを踏まえ、関係事業者等と連携し、外国人に対する交通事故抑止対策を推進してまいります。  最後に、一時停止標識のうち、STOPの英字が併記された標識の整備状況と事故との関係性等についてお答えをいたします。本県におきましては、平成二十九年度以降、順次、一時停止標識を英字併記のものに切り替えており、令和五年度末時点で、一時停止標識約六万本のうち英字併記は約七千七百本で、その割合は約一三%となっております。また英字併記の有無と外国人に係る死亡事故との間に、顕著な因果関係を示すものはありませんが、今日の訪日外国人の増加を踏まえますと、引き続き英字併記標識の整備は必要と考えております。  県警察といたしましては、今後とも道路管理者と連携し、外国人にも分かりやすい道路交通環境の整備に努めてまいります。 38 ◯議長(香原 勝司君) 豊福るみ子君。 39 ◯二十七番(豊福 るみ子君)登壇 御答弁いただきました。英字併記の一時停止標識並びに自転車通行空間の整備を推進してまいるとの回答をいただきましたが、特に自転車の安全確保については、現状は都市圏の整備は進んでいるものの、市町村における県道等については、ほぼ整備に至っていない現状があり、地域の声として質問をさせていただきました。  安全で快適なサイクリング環境の整備を進めるための自転車ネットワーク計画策定状況は、六十市町村中十二市町村とお聞きしていますので、残り四十八市町村への計画の策定を促していただくとともに、本県が推進している観光施策と交通安全対策を同様のスピード感で取り組んでいただきますことを要望いたしまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 40 ◯議長(香原 勝司君) 塩出麻里子君。(拍手) *塩出議員質問 41 ◯九番(塩出 麻里子君)登壇 公明党の塩出麻里子です。通告に従いまして、ラーケーションについてお尋ねいたします。  まず、ラーケーションとは、ラーニング(学び)とバケーション(休暇)を組み合わせた言葉で、昨年度から全国の幾つかの自治体で取組が始まった新しい制度です。  コロナ禍を機に、社会全体のデジタル化が進展し、世の中の働き方の多様化が進みました。テレワーク等で自宅にて勤務をすることができ、家族との時間が増えたというケースも多くあります。  令和五年四月に内閣府が公表した、新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査においても、コロナ禍において増加した家族との時間を保ちたいと思うかという問いに対し、九三・三%の方が保ちたい・どちらかというと保ちたいと回答しており、コロナが五類になり、生活がコロナ禍前に戻りつつある現在、家族との時間をどのように確保していくのかが課題になっていると考えられます。  特に就学児を抱え、サービス業・観光業に携わっている方にとって、子供たちとの時間を確保することは大きな課題になっているようです。  先日、中学生と小学生の子供を持つサービス業に従事されている方と話す機会がありました。週末や長期休暇の時期が繁忙期のため、仕事を休むことはなかなか難しいけれども、ほかの子供たちと同じように家族旅行などで様々な体験はさせてあげたいと思っている。小学生の間は家族時間をつくるために仕方なく学校を休ませることもあったが、中学生になると内申点なども気になり休ませることはやめた。サービス業をしている限り、平日学校に通う子供たちとの時間を確保することは永遠の課題だとおっしゃっていました。  観光庁においては、週末や祝日に集中しがちな旅行需要を平日に分散させるため、全国の観光関連事業者と連携し、平日限定のお得な旅行商品を用意することで、観光産業の活性化及び地域活性化を図るための平日にもう一泊キャンペーンが実施されており、本県においても、ワーク・ライフ・バランスを保つための働き方改革推進事業を進めてくださっていると認識しております。  このような中、全国の幾つかの自治体で始まったのが、大人の働き方改革と併せ、子供たちの学び方にも工夫をしていくラーケーションという取組です。  子供の学びと保護者の休暇を組み合わせ、平日だからこそできる学校外での体験や探求、学びを企画・実行できる日として設定することができます。また学校外での自主学習活動として、登校しなくても欠席にはならず、出席停止や忌引等と同じ扱いになります。  教室で学ぶ知識だけではなく、地域に出かけたり、多くの人と出会ったりする体験的・探求的な活動を通して、自ら課題を発見し解決していく力を身につけること、また家族とゆっくり話をする時間をつくることで、自身の思いや悩み、不安について家族と一緒に考え、今後を見詰める機会をつくることができると考えられています。  自治体によって設定される日数は異なりますが、令和五年九月からこのラーケーションの取組を始めた愛知県では、年に三日まで取ることができるようになっており、その活動内容としては、地域の史跡を巡り歴史を学んだり、野菜の収穫体験、水族館や動物園での生物観察、自然と触れ合うなど、幅広く認めることで取得しやすいよう工夫をされています。  愛知県の取組に対するアンケート調査によると、土日に休みにくい家庭でも子供との触れ合いが増える、学校には欠席せずに通うべきという考え方の見直しになる、保護者が働き方・休み方を見直すきっかけとなるなどのいい点。また、ラーケーションという学校を気にせず楽しむ時間があるだけで家族との会話が広がり、学校も頑張ろうという自信にもつながったという高校生の意見や、ワーク・ライフ・バランスが見直される中、義務教育についても同様の動きがあるのは自然なことという保護者の意見もありました。  茨城県では、今年四月から全ての県立高校と希望する公立小中学校などで、年に五日まで取得を認めることになっており、山口県での導入も決まっています。  取組はまだ始まったばかりで、公平性や教育現場の体制整備、保護者の勤務先の理解など、課題もあるようですが、第三次産業、特にサービス・観光業に従事する方も多い本県においても、家庭内での会話や家族で過ごす時間を増やすことができるラーケーションを導入する意義は大きいのではないかと考えます。  そこで、教育長に三点お尋ねいたします。まず、ラーケーションについて、教育長はどのようなお考えであるのか教えてください。  次に、ラーケーションを導入した場合、受けられない授業の内容は家庭で自習をすることになります。そのフォローに関しては、県教委が進めてくださっている一人一台端末等を活用することで可能になると考えますが、現在の学校現場において、様々な理由で数日休んだ生徒に対し、受けられなかった授業のフォローをどのようにされているのか教えてください。  最後に、本県においても、ラーケーションについての研究を進め、モデル地域を設定するなどし、導入を検討してみてはいかがかと思いますが、教育長の御所見をお尋ねし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 42 ◯議長(香原 勝司君) 寺崎教育長。 *教育長答弁 43 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 お答えいたします。  ラーケーションについての考えについてでございます。ラーケーションについては、愛知県や茨城県、山口県などで導入がされていると把握をしております。例えば愛知県においては、子供の学びと保護者の休暇を組み合わせて、平日だからこそできる学校外での体験や探求的な学び、活動を子供が自ら考え企画し、実行することを目的として、ラーケーションの日が設定されたと承知をしております。学校外での体験活動の機会が充実することは、子供たちの想像力や他者への思いやり、自己肯定感などを育むことに資すると考えております。  学校を休んだ生徒が受けられなかった授業のフォローについてでございます。児童生徒の休んだ期間、教科により欠席した者への具体的な配慮は各学校で様々でございますが、例えば従来から学習プリントを配付したり、一人一台端末を活用できるようになったことで、授業の概要やほかの生徒がまとめた内容等をオンラインで共有したりしております。  ラーケーションの導入の検討についてでございます。御指摘のラーケーションの日を含め、学校の休業日や子供たちの休みの日の設定については、地域や子供たちの実態をよく踏まえながら、学校の設置者において判断するものでございます。県教育委員会においては、まずは愛知県など他県の実践の効果、課題について情報の収集を図っていきたいと考えております。 44 ◯議長(香原 勝司君) 宮原伸一君。(拍手) *宮原議員質問 45 ◯二十一番(宮原 伸一君)登壇 自民党県議団、宮原伸一でございます。通告に従い質問いたします。  人口減少時代の市町村における質の高い住民サービスの確保に向けた市町村行政の運営体制の確保について、知事にお尋ねいたします。行政需要が多様化する中、多くの市町村における少子高齢化・人口減少が進み、行政資源がますます制約され、保健、福祉、教育、消防等の様々な分野において住民サービスの低下が懸念されています。中には、住民と行政との接点であるフロントヤードの改革に取り組み、住民の利便性向上、業務の効率化を図っている市町村もあると聞いております。  例えば来庁者が行う各種申請書への記入について、デジタル技術を用いた簡便化する、いわゆる書かない窓口を導入している県内市町村は、令和五年四月現在十一に上っております。こうした市町村においては、改革で生じた余剰人員を政策の企画立案や相談対応にシフトさせ、さらなる住民サービスの充実を図っています。一方で、このような改革が遅れている市町村は、マンパワーの不足により質の高い行政サービスを維持することができなくなるおそれもあります。  このように市町村の間で住民サービスの格差が拡大していけば、より行政サービスが充実した利便性の高い市町村へ住民が流出し、そうではない市町村はさらなる人口減少による行政サービスの低下を招くという環境に、悪循環となりかねません。  知事は、市町村ごとの考え方、特色を尊重しつつも、必要な住民サービスに格差がないように県がサポートする必要があると考える。知事がよく言われる、誰しもが住み慣れた場所で安心して暮らせることのできる福岡県の実現に取り組んでいただきたく、三点質問いたします。  一点目、質の高い住民サービスの維持が単独では困難な市町村においては、事務の広域連携を進めることも有効な対応策の一つではないでしょうか。令和二年二月議会の我が会派の代表質問において、広域連携に対する県の基本方針についてただしたところ、広域連携が進むよう主導的な役割を果たしていく旨の答弁がなされましたが、その後の県の広域連携の推進に向けた取組状況についてお伺いいたします。  二点目、市町村における人材不足は深刻であり、とりわけデジタル人材をはじめとした専門人材の確保、育成を市町村単独で行うことは限界がある。専門人材の確保は、市町村間の広域連携によっても対応が厳しいことが想定されるが、このような場合、県自らが市町村の求めに応じて補完、支援を行うことが有効であると考えますが、知事の考えをお伺いします。  三点目、市町村間の広域連携や専門人材の確保に向けた県の支援が効果的に実現されるためには、市町村におけるニーズ、課題を的確に把握し、各種の取組につなげていく必要があると考えます。また市町村間における行政サービスの格差解消に向けて、先進事例の横展開を図っていくことが求められると思います。県は、これについてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。  以上で私の質問を終わります。(拍手) 46 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 47 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  市町村における広域連携の推進についてでございます。市町村が質の高い住民サービスを持続的に提供していくためには、各市町村の強みを生かしました情報や人材を共有、融通し合う広域連携の取組が有効であると考えております。しかし、この連携を進めるに当たりましては、地域の利害調整が難航し、合意形成が難しいといった場合もございます。このため県では、地域の実情に応じた連携が進みますよう、連携の相手方やその方法についての助言、調整を行ってまいりました。  具体的には、業務システムの共同調達等を行いますふくおか電子自治体共同運営協議会におきまして、事務局でございます本県の働きかけや調整によりまして、参加市町村や提供サービスの増加が図られております。また水道につきましては、県が昨年三月に策定いたしました水道広域化推進プランに基づきます協議が進められました結果、先月、北九州市、行橋市、苅田町において、一部施設の共同利用についての合意がなされたところでございます。  さらに、複数の交通手段を最適に組み合わせ、鉄道、バス、タクシー等、こういったものを最適に組み合わせまして、検索、予約、決済まで一括で行いますMaaSにつきましては、県が関係市町村との調整を行いまして、昨年度、日田彦山線BRTの沿線や有明圏域において実証実験を開始いたしました。今年度は、筑紫圏域など県北部の都市圏にも拡大をすることといたしております。  このように、今後も県が主導的な役割を担い、市町村間の各分野における連携が一層進みますよう取り組んでまいります。  専門人材の確保に向けた県の補完・支援についてでございます。市町村単独で、あるいは広域連携によって専門人材の確保が困難な場合には、広域自治体でございます県が市町村を補完する機能を担い、支援していくことが必要でございます。このため、デジタル化に取り組みます市町村へのデジタルトランスフォーメーションの専門家派遣、また医師不足が深刻な僻地等の公的医療機関への医師派遣などの支援を行っております。また本来、市町村が徴収すべき個人住民税につきまして、県職員が滞納整理を行い、直接徴収する事務代行の取組なども行っております。これらの取組内容につきましては、毎年最新情報を取りまとめまして、県内の市町村の皆様に提供し、積極的な活用を働きかけております。今後とも市町村が質の高い行政サービスを安定して提供できますよう、専門的知識や高度な技術を要する分野を中心として人材派遣等に積極的に取り組み、市町村を補完・支援してまいります。  市町村の課題把握や先進事例の横展開についてでございます。県では、市町村振興局を設置いたしました。局長、課長、地域政策監が地域に頻繁に足を運びまして、市町村長の皆さんの声を直接聞かせていただくなど、市町村が抱える課題の把握に努めております。また昨年度から副市町村長出席の下で開催をしております地方創生市町村圏域会議におきまして、あらかじめ市町村から提案された議題に関わる県の担当課も参加し、それぞれの圏域が抱える課題の把握も丁寧に行っております。  こうした中、例えば地域公共交通における広域連携の在り方や、移住・定住施策を推進するための情報発信などの課題が市町村から示されました。県と市町村が一緒になって今後取り組むべき施策の協議を行ってまいりました。また圏域会議や、庁内関係部局が主催いたします各種会議の場などを通じて、AIオンデマンド交通の導入や、廃校を拠点としたまちづくり協議会の活動など、市町村における行政サービスの先進事例について積極的な情報提供を行い、地域の実情に応じた施策の横展開を促しておるところでございます。  少子高齢化、人口減少の進行やインフラの老朽化などが深刻化いたします中、市町村が持続可能な形で行政サービスを提供し、住民の皆様の暮らしを支えていくためには、市町村間の広域連携や県による補完・支援など、多様な手法の中から最も適したものを市町村自らが選択していただくことが必要となります。  県といたしましては、市町村の自主性、自立性を尊重した上で、適切な助言や調整、支援の役割を一層きめ細かく果たしてまいります。 48 ◯議長(香原 勝司君) 後藤香織君。(拍手) *後藤議員質問 49 ◯二十九番(後藤 香織君)登壇 皆様、こんにちは。民主県政クラブ県議団、早良区選出の後藤香織です。  六月十日はこどもの目の日でした。はぐくもう!六歳で視力一・〇という願いが込められています。そこで今回はまず、幼児の目の疾患を早期発見・早期治療につなぐ取組について、知事にお尋ねをいたします。  人は目から八〇%から九〇%の情報を得ていると言われています。生まれたばかりの赤ちゃんは、はっきり物が見えませんが、三歳までに急速に視覚が発達し、六歳から八歳頃までにほぼ完成します。その間の視覚の発達は脳の発達とも密接に関係しています。弱視は視覚が発達する過程で、何らかの原因で発達が妨げられた視力の未発達の状態で、約五十人に一人程度と言われています。視力が発達する時期に眼鏡を常用するなどの治療で、多くの場合は、就学時までに視力が回復する、つまり治療が可能であり、三歳児健診で発見し、小学校入学までに治療を行うことが非常に重要です。           〔香原議長退席 佐々木副議長着席〕  しかし、三歳児の場合、文字を読むことが少ない上、出生時からぼやけていると視力が〇・三程度あれば本人にとっても支障はなく、保護者や周囲の大人も気づきにくい状態にあります。そういった状態にもかかわらず、これまでの本県の三歳児健診での視覚検査は、自宅で保護者が絵指標を用いた一次検査をし、そこで再検査を判断した場合、健診会場にて絵指標を用いた二次検査をするというのが基本です。私自身も三度行いましたが、保護者の判断や絵指標では検査の精密さに欠けると実感しており、多くの保護者からも同様の声を聞きました。また弱視に気づかなかったと責任を感じる保護者もおり、三歳児健診の眼科検査の仕組みの変更が必要だと考えます。  二〇二三年三月に成育基本法に基づき閣議決定された、成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針では、三歳児健診の視覚検査に屈折検査機器を導入する市町村を国が支援する方針を出しました。この屈折検査機器を全国のトップを切って二〇一七年に全県導入した群馬県では、導入前の二〇一六年は二次検査までで要精密検査とされたのが僅か一・三%だったのに対し、導入後の二〇一八年度は一二・九%と、十倍増の検出率に向上したとのことで、疾患発見見逃しの防止、早期発見に非常に有効だと考えます。  そこで、近年の本県の三歳児健診の視力検査における要精密の割合、本県内自治体の三歳児健診視力検査での屈折検査機器導入の状況と要精密検査との相関性についてお示しください。その上で、早期発見に有効な屈折検査機器の導入を全県下に広げるべきと考えますが、知事の見解と、そのための取組についてお聞かせください。  早期発見できた目の疾患は、確実に治療につなげる必要がありますが、そのための取組は十分ではないと思います。例えば千人に一人と言われている先天性聴覚障がいを抱える乳幼児に関しては、本県では円滑に療育につなげるための乳幼児聴覚支援センターを設置するなど、新生児の聴覚に係る検査と支援の体制の充実を図っています。また今年度までの第二期ふくおか子ども・子育て応援総合プランの中では、聴覚は触れられているものの、乳幼児の視覚については全く触れられていません。  また、弱視といった目の疾患の早期発見の重要性も、母子手帳や県の発行する子育て応援団に記載するなど、県民に広く知らせる必要もあると思います。  そこで二点目に、本県の要精密検査となった後の眼科受診率についてお示しください。受診率を上げるため、幼児の目の疾患を早期治療につなぐ取組の強化が必要と考えますが、今後の取組強化の方針について、知事の見解をお聞きをいたします。  次に、養育費の確保支援についてお聞きしてまいります。今年五月、離婚後も父と母双方が子供の親権を持つ共同親権を可能とする改正民法が可決、成立しました。新しい民法では、面会交流など離婚後の子供の生活に関わるルールの変更や養育費についても盛り込まれました。しかし、DVや虐待継続の可能性、子供の意見尊重など、様々な課題が残ったままであると私は思っています。  今回は関連して、特に不払いが問題となっている養育費について知事にお尋ねをいたします。こども家庭庁、令和三年度全国ひとり親世帯等調査によると、全国の一人親世帯の状況は、母子世帯百十九・五万世帯、父子世帯十四・九万世帯で、ともに八五%以上が働いているにもかかわらず、その平均年間収入は、母子二百七十二万円、父子五百十八万円であり、母子世帯の収入が少ないのが現状です。  養育費を受け取る世帯については、母子九三%、父子七%と、多くの世帯で父親から母親に養育費が支払われており、その平均額は約五万円となっています。また令和四年国民生活基礎調査では、二〇二一年の日本の子供の相対的貧困率は一一・五%なのに対し、一人親世帯の子供の相対的貧困率は四四・五%であり、一人親世帯の子供の貧困が深刻な状況にあります。  要因の一つには、男女の賃金格差に加え、養育費の不払いが挙げられます。子供の貧困を防止するためにも、養育費をより多くの子供たちが受け取れることが重要だという観点から、以下質問をしてまいります。  まず初めに、本県の母子世帯の現状について、離婚により一人親となった世帯数と、そのうち養育費の取決めをしている割合、また養育費の受給状況についてお示しください。その上で、養育費の重要性について知事の認識をお示しください。  次に、現在の県の取組と成果についてお聞きをいたします。本県では、一人親の方々の様々な相談に対応し、個々の状況に応じた支援につなげる、福岡県ひとり親サポートセンターを設置して、養育費の相談にも対応しているほか、まずは養育費をどうしたらよいかとなった際に相談するための養育費・ひとり親一一〇番や弁護士クーポンの配付を行っています。また二〇二二年度からは、養育費の取決めを支援する福岡県養育費に関する公正証書等作成支援事業を実施しています。しかし、当事者の私の友人たちもそのことを知らず、養育費を必要としている方々に、その支援の情報が十分に届いていないのではないかと考えます。  そこで二点目に、福岡県ひとり親サポートセンター、養育費・ひとり親一一〇番、弁護士クーポンに係る、昨年度の養育費に関する相談実績についてお聞かせください。また福岡県養育費に関する公正証書等作成支援事業について、どのような支援を行っているのか、実績と併せてお聞かせください。これらを必要とする方々にしっかり届くよう、さらなる周知が必要と考えますが、今後の取組についても併せてお聞かせください。  養育費不払いへの確保支援について世界の状況を見ると、例えばアメリカでは国や州による給与差押えなど、スウェーデンでは国からの養育費補助、フランスやフィンランドでは公的機関が立替え・回収を行う制度となっています。日本では、こういった公が養育費を保証する制度ではなく、あくまでも自助的な制度となっており、これが養育費の不払いの多さにもつながっていると考えます。  このような中、このたび改正された新しい民法では、二年後から養育費に関して支払いが滞った際に、ほかの債権に優先して強制執行ができる先取特権や、父母が養育費に関する取決めをせずに離婚した場合でも養育費を請求できる法定養育費制度などが新設される予定です。自助的な制度の中でも前進の兆しが見えましたが、結局は受け取れない方が行動しなければいけない制度になっていることには違いがありません。  私は、今回の質問に当たり、シングル当事者の方々から御意見をお伺いしました。そこでは、養育費の受け取りについて、当事者の方々からは、罰則がないため離婚した相手が約束どおりに支払わない、理由をつけて減額してくる、子育ての実費には到底及ばないなどの声があり、約半数の方が養育費の不払いや減額に悩んでおられました。  養育費が不払いの場合に、確保するための強制執行に関する手続は時間も労力もかかります。日常から仕事や子育てに加え、様々な問題を一人で背負うことの多い一人親が、養育費確保のための強制執行の手続などを自力で行うのは、身体的・精神的にも大変な負担であり、例えば県など公的機関による立替払い・回収などといった支援が欲しいという切実な声を多くお聞きしました。  そこで、この項の最後に、今後、養育費の不払いへの対策として、どんなことを考えているのか、また県が立替払い・回収を行うことなどを検討してはどうかと考えますが、知事のお考えをお示しください。  以上、知事の子供たちに向けた心温まる御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手) 50 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 51 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、屈折検査機器の導入についてでございます。福岡県全体の三歳児健診の視覚検査における、令和四年度の要精密の割合は六・〇%でございます。このうち、屈折検査機器を導入して検査を実施いたしました二十二の市町村では、要精密が八・二%となっておりまして、導入していなかった市町村の五・四%と比べますと高い数値となっております。幼児の弱視等は、早期発見することで治療による回復が可能となります。この屈折検査は、弱視等の検出に有用でありますことから、国においては、令和四年度から市町村に対する補助事業を創設いたしまして、三歳児健診への屈折検査機器の導入を進めております。このことから、県といたしましては、市町村の母子保健担当職員を対象とした研修会などにおきまして、この国の補助事業を活用し、屈折検査機器を導入するよう働きかけを行ってまいりました。この結果、現在は五十四の市町村において、この屈折検査機器が導入されており、また、まだ導入していない残り六市町につきましても、今後導入する意向が示されているところでございます。  視覚検査で要精密検査となった幼児の受診率の向上についてでございます。一昨年度の三歳児健診視覚検査では、要精密となった幼児千九百二十四名のうち、精密検査を受診した幼児は千三百四十五名で、その受診率は六九・九%となっております。精密検査を受けなかった理由として、保護者からは早期に治療すれば視力が回復するということを知らなかった、あるいは、どこで精密検査を受ければよいか分からなかった、また忙しくて、つい精密検査を先延ばしにしていたなどの声が上げられております。  このため、県では、先ほども申しましたが、市町村母子保健担当者研修会等におきまして、要精密児の保護者に対し、チラシなどを用いて視覚の発達や早期治療の重要性を説明する、また精密検査受診が可能な医療機関のリストを提示する、未受診の保護者に対して手紙や電話による勧奨を行っているといった、受診率が高い市町村の事例を紹介し、実施を促すこととしております。  また今年度から、新たに県が発行する母子健康手帳別冊や福岡県にこにこ家庭づくりポータルサイト、通称にこポでございますが、こういったものを活用して、早期に治療すれば視力が回復するということなどを周知することとし、これらを通じまして受診率の向上に取り組んでまいります。  本県の母子世帯の現状と養育費の重要性についてでございます。令和三年度に、県及び両政令市が一万百世帯の母子世帯に対して実施いたしましたひとり親世帯等実態調査から推計いたしますと、県内の母子世帯は六万八千二十五世帯となっておりまして、このうち離婚により母子世帯となった世帯は五万二千六百六十世帯と推計されます。このうち、養育費について取決めを行っている割合は五三・二%、養育費を受け取っている割合は三二%にとどまっております。養育費は、子供が経済的・社会的に自立するまでに要する衣食住、教育、医療などに必要な経費でございまして、子供の健やかな成長にとって極めて重要なものであると認識をいたしております。その支払いは、親として子に対する最低限の義務であり、離れて暮らす親と子を結ぶ絆、親子であるあかしとなるものでございます。  養育費確保の取組についてでございます。養育費相談の実績につきましては、県内三か所に設置しておりますひとり親サポートセンターに、養育費について取決めをせずに離婚したけれどもどうしたらいいだろうかなどといった御相談が、昨年度は二百十四件寄せられております。また弁護士による二か月に一回行っております集中電話相談、養育費・ひとり親一一〇番には、四十三件の御相談があり、相談者の都合のよい時間と場所で無料の弁護士相談が受けられる弁護士クーポンは、六十八枚配付をいたしました。  また一昨年度からは、養育費の確保を図りますため、養育費の支払いと支払いが滞った場合に強制執行を受けることに同意する旨を定めた公正証書の作成費用について助成を行っておりまして、昨年度の実績は三十三件となっております。  離婚を考えていらっしゃる方や一人親の方が適切な支援につながりますよう、ひとり親サポートセンターについて、県のホームページやSNSで発信いたしますほか、市町村のSNS、広報紙への掲載、また保育所や市町村の子育て支援センター、病児保育施設等でのチラシの掲示などにより周知を図っております。また養育費・ひとり親一一〇番や養育費確保のための公正証書作成費用の助成などの具体的事業につきましては、ひとり親サポートセンターのAIチャットボットやLINEでの発信、福岡県弁護士会が主催いたします離婚問題を扱う弁護士向けの研修での紹介と周知の依頼などを通じまして、情報発信を行っております。  今後は、離婚届が提出されます際に、保護者に対し養育費についての相談窓口などが掲載された、ひとり親家庭向けハンドブックを市町村を通じて配布することといたしております。こうした周知を行うことにより、養育費が確保されるよう取組を行ってまいります。  養育費の不払い対策等についてでございます。ひとり親サポートセンターでは、専門の相談員が養育費の不払いや強制執行に係る手続についての相談に応じておりますが、今年度から相談者が安心してスムーズに手続を行うことができますよう、裁判所への同行支援を行うことといたしております。養育費の額や財産分与などの法律問題については、弁護士が相談に対応しております。また、児童扶養手当を受給している方を対象に、公正証書等で取り決めた養育費の支払いが滞った際、保証会社が立替払いと相手方への督促を行います養育費保証契約の締結に係る初回契約料を助成しております。こうした取組により、一人親の方の養育費確保に係る負担軽減を図っております。  養育費を県が立て替えて支払いますことは、確実な償還が見込まれない中、本来、当事者が負担すべき養育費を県民の皆様全体で負担することが合理的であるかどうか、また別居している親の養育放棄といったモラルハザードにつながらないか、児童扶養手当等の公的給付との関係をどのように考えるかなどの観点から慎重に考える必要があると思っております。 52 ◯副議長(佐々木 允君) 後藤香織君。 53 ◯二十九番(後藤 香織君)登壇 養育費の不払い対策等について要望をさせていただきます。本県では約七割が養育費を受け取れていない状況で、知事からは、養育費確保のため、今後は離婚届が出される際に、ひとり親家庭向けハンドブックを配布することと、ひとり親サポートセンターで裁判所への同行支援に取り組むとの、二つの新たな取組について答弁がありました。また保証会社が立替払いと相手方への督促を行う養育費保証制度についても答弁がありました。この養育費保証制度には、答弁にあったように、児童扶養手当受給者が対象となっておりますが、離婚後に実家に戻ったり、年収の関係で児童扶養手当がもらえない一人親もいます。また保証会社が行うということで、保証金の支払いも養育費を受け取る側の負担になります。制度にそういった課題があるのではないかと思います。今後は、受け取れない場合でも大変にならない、そして、より多くの方が利用できるように使いやすい幅広い制度設計へと見直しをしていただきたく要望をいたします。  子供たちに確実に養育費を届けるためには、公的な助けが必要です。昨年七月に全国知事会が提言を出されているように、知事には改めて養育費の支払いの滞らない仕組みづくりを、ぜひ国にも要望していただくようお願いを申し上げ、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 54 ◯副議長(佐々木 允君) 林泰輔君。(拍手) *林議員質問
    55 ◯二十番(林 泰輔君)登壇 自民党県議団、林泰輔でございます。通告に従い、災害に強い地域づくりについて質問いたします。  質問に入る前に、昨年七月の梅雨前線豪雨災害の記憶も新しく、今年も出水期に入り、県南を中心に被災地の緊張は高まっております。私の地元朝倉も、大雨を心配する声や危険箇所の改善を要望されることが増える中で、朝倉県土整備事務所を中心にきめ細かく迅速な御対応をいただいておりますことに、この場をお借りし深く感謝申し上げます。  また、平成二十九年九州北部豪雨災害の発災から復旧の中核を担い、本年三月をもってその役割を終える予定であった災害事業センターですが、昨年の災害を受けて地元自治体からは閉所見直しの強い要請がございました。その切実な要請に対して御理解いただき、規模を縮小する形でも存続していただきましたことに、知事や県土整備部長はじめ執行部の御英断に敬意と感謝を申し上げます。  また、要請に当たって御指導賜りました原口先生はじめ自民党県議団の先生方にも重ねて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。  それでは、質問に入らせていただきます。東日本大震災以降、様々な大規模災害が発生する中、あらゆる災害を想定し、発災直後の避難や救援、物資の搬送などを可能にする道路啓開の重要性が増しています。道路啓開とは聞き慣れない言葉ですが、最低限の瓦礫の除去や段差の修正などで救命・救助のルートを確保し、緊急車両の通行を可能にする緊急復旧措置のことを指します。いわゆる命の道です。  今年一月に発災した能登半島地震においては、半島という厳しい環境下で甚大な被害が発生しましたが、関係機関によって懸命の道路啓開が行われました。また平成二十九年七月五日に発災した九州北部豪雨災害では、多くの道路が寸断されたため、一時は二十九の集落が孤立しましたが、道路啓開によって七月十一日までに孤立を解消いたしました。昨年七月の梅雨前線豪雨では、久留米市田主丸町や東峰村の県道が通行止めとなりましたが、速やかな道路啓開が行われました。このような災害初動期における道路啓開については、苛酷な状況の中で迅速に進めることが求められるため、その計画自体の合理性や妥当性といったことが非常に重要であると考えます。災害の種類や規模、社会環境なども実効性に影響を与える可能性があります。  そこで知事にお伺いします。まずは福岡県が策定している道路啓開計画には、どのようなことが定められているのか、その概要について御説明ください。  次に、災害時の人命救助に当たっては、七十二時間の壁と言われ、この七十二時間を超えると著しく生存率が低下するとされる目安がございます。つまり、災害が発生してから三日以内の人命救助につなげられるように道路を啓開することが求められ、また水や食料等の救援物資についても、一刻も早く被災地に届けなければなりません。  そこで知事に伺います。県がどのような考え方に基づいて道路啓開ルートを設定しているのかを御説明ください。また啓開の目標時間も併せてお示しください。  昨年の梅雨前線豪雨のときもそうでしたが、七月十日の早朝、被災現場に向かうと、まだ雨が降る中で地元の建設業に携わる方が重機を動かし、また近所の方々がスコップを持ち、道路に流れ出た土砂や樹木をどかし、取りあえずの通行スペースを確保する姿をあちこちで見ました。様々な被災現場では、いつも最前線で同じように復旧作業に当たる姿があり、自らも被災者であるにもかかわらず、いち早く救援ルートを開いていただく姿勢は、災害初動期に極めて重要となる自助・共助の精神そのものであり、崇敬の念に堪えません。  道路啓開計画の重要性はもちろんですが、それを実行し、迅速な道路啓開につなげるには、やはりそこに住む地元の建設事業者や地域の皆様の協力があることも、我々は忘れてはならないと思います。高齢者や担い手の不足が進む中で、行政としてもそのような地域の事業者やコミュニティーの防災体制を維持していくための努力をお願いしたいとの要望を添えさせていただきます。  次に、現行の県の道路啓開計画については、平成二十九年三月に策定されたものですが、七年が経過する中で社会環境も変化しています。例えば地元朝倉地域においては、嘉麻市と朝倉市を結ぶ国道三百二十二号の八丁峠道路では、従来の峠道が八丁トンネルの開通により災害に強い道路となりました。また近隣では、先日開通した小郡鳥栖南スマートインターチェンジなどは、災害時の道路啓開の拠点として活用すべき施設であると言えます。  近年の災害における広域化や激甚化の状況を踏まえれば、そのような施設を含め、より多くのルートや拠点を追加・検討し、県内全域において、災害に強い地域づくりに不断の努力を重ねることが、県民の安心につながると考えます。  そこで知事に伺います。現行の福岡県道路啓開計画が策定され、七年の間に、知事は九州北部豪雨災害をはじめ多くの災害において、副知事時代も含め、対策の陣頭に立ち御尽力いただいたものと承知しております。その御経験を踏まえ、福岡県道路啓開計画に対する知事の所見をお聞かせください。  以上で私の質問とします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 56 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 57 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  福岡県道路啓開計画の概要についてでございます。平成二十三年三月に発生をいたしました東日本大震災では、震災直後から速やかに展開されました、くしの歯作戦による道路啓開によりまして、緊急輸送体制の早期確立に高い効果があったと言われております。県では、この東日本大震災を契機といたしまして、大規模災害時に最低限度の道路通行機能を確保する目的で、平成二十九年三月に福岡県道路啓開計画を策定いたしました。  この計画では、道路啓開に速やかに着手できますよう救助活動や復旧活動を行う際の防災拠点、この防災拠点と被災地を結ぶための基幹ルート、道路啓開の手法、関係機関との連絡体制などをあらかじめ定めているところでございます。  この道路啓開ルートの設定及び啓開の目標時間についてお尋ねがございました。災害時には人命の救助が最優先されます。このため道路啓開ルートの設定に当たっては、まず救命活動の要となる消防署や災害拠点病院などと被災地を結ぶルートを優先して啓開することといたしておりまして、このルートは二十四時間以内の啓開完了を目標といたしております。  次に、被災地への救援物資の輸送が優先されますことから、駐屯地や道の駅などの救援物資が集積される施設から避難所へ至るルートの啓開を行ってまいります。このルートは、避難所における備蓄物資の量などを勘案しまして、七十二時間以内の啓開完了を目標としております。  次に、福岡県道路啓開計画の見直しの必要性についてでございます。現計画は策定から七年が経過をいたしました。この間に新たな道路や防災拠点として活用できる施設の整備が進んできております。また、令和六年能登半島地震では、大規模な斜面崩落や地滑りなどにより道路啓開が困難な状況も見受けられましたことから、道路啓開ルートのリスク評価も重要であると改めて認識をしたところでございます。県といたしましては、これらを踏まえまして、現計画を検証し見直すことといたしております。  今後とも計画の実効性を高め、関係機関と共に訓練も重ねながら、大規模災害の発生に備えてまいります。 58 ◯副議長(佐々木 允君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時 四十八分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...