↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(佐々木 允君) ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。永川俊彦君。(拍手)
*
永川議員質問
2 ◯二十四番(永川 俊彦君)登壇 皆様、おはようございます。
自民党県議団、永川俊彦でございます。通告に従いまして、三池港、大牟田港の利用促進について一般質問を行います。
私の
地元大牟田市には、
重要港湾三池港、
地方港湾大牟田港があり、県南地域の物流の拠点として、背後圏の地域経済の活性化に寄与しております。
三池港については、昨年六月議会で私は、
重要港湾三池港の利用促進について一般質問をし、服部知事より、船舶の安全な運航の確保や、利便性の向上につながる必要な整備を進めてまいると答弁をいただきました。今回は、その航路の水深確保についてお伺いいたします。
三池港には、
国際コンテナ定期航路がありますが、現在就航している船舶は、小型でかつ老朽化しており、令和十年には廃船になると伺っております。その後に就航する
次期コンテナ船は、現在の船より大型で、必要な水深も深くなると伺っております。
既存の船舶の積載量は四千九百トンで、必要水深は六メートル。
次期コンテナ船の積載量は九千トンで必要水深は九メートルになります。ちなみに、水深を十メートルまで
しゅんせつすることで積載量一万二千トンまでの船舶が入港可能になります。現在の三池港の航路は、
次期コンテナ船の必要水深を確保できていないというふうに伺っております。
私は、
コンテナ船の交代時期までに必要水深を確保できなければ、
次期コンテナ船が入港できず、唯一の
コンテナ航路が廃止になり船社が撤退するのではと懸念をしているところであります。
一方、熊本県では近年、
半導体受託生産の
世界最大大手でありますTSMCの進出に伴い、
有明海沿岸の港は大変活気づいております。
TSMC進出に関連して、福岡県の県南地域においても、関連企業の進出が進むのではないかと期待をしているところであります。
そういう社会情勢の中、進出した企業が港を利用することもあるでしょうし、また港を利用できるからこそ企業が進出してくるということも大いに考えられます。こういったことから、今後、県南地域の発展のためにも、港の航路において、大型船が入出港できる水深確保は大きな課題であると考えております。
そこで質問です。三池港の航路について、早期に水深を確保することが必要と考えますが、知事の認識についてお伺いいたします。
次に、もう一つの港であります大牟田港について伺います。大牟田港は、有明海に注ぐ大牟田川の河口に位置し、三池炭をはじめ
鉱工業資材・生活物資の積出港として古くから栄えてまいりました。昭和二十七年に福岡県が
港湾管理者となり、現在は、
鉱工業資材・生活物資の運搬拠点として利用されております。
港の一部は、大牟田港
緑地運動公園として日常の
スポーツ活動の拠点や市民が集う場所として親しまれており、この公園の所管は
建築都市部公園街路課ではなく、
県土整備部港湾課が所管しております県内でも珍しい公園であります。野球・
ソフトボール・サッカー・テニス・
グラウンドゴルフなどの競技が実施可能で、県大会や地区大会などの開催など、広域的な
スポーツ振興や
健康づくりに大きく寄与しており、日常の
スポーツ活動の拠点として年間約四万人に利用されております。
この運動公園は昭和六十三年開園ということで、完成から約三十六年が経過しており、利用者や関係者からは、
テニスコートの人工芝損傷により利用者が負傷するのではないかと心配する声や、生活様式の変化に対応したトイレの洋式化を要望する声が上がっております。対応が必要な施設も年々増加傾向にあり、地元から各施設の早急な改修や整備が求められております。
この運動公園は、大牟田市のみならず県南地区にとっても、日常の
スポーツ拠点として不可欠な施設であり、利便性や安全性の観点から、適切な維持管理が重要であると考えます。
そこで質問いたします。まず、大牟田港
緑地運動公園の整備目的と利用状況についてお答えください。また、この公園が利用者にとって、安全快適であり続けるために、今後、県としてどう維持管理に取り組んでいかれるのかを伺います。
以上で一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
3 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
*知事答弁
4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。
まず、三池港の航路の水深の確保についてでございます。この航路は、県において
しゅんせつをいたしておりましたが、有明海の特性上、航路に土砂が堆積しやすく、このため平成二十九年の時点では、石炭などを運搬する大型の貨物船は満潮時にしか入出港できないという状況となっておりました。このため国と協議を行いまして、平成三十年度からは、国において
しゅんせつを行っております。
こうした中、昨年、
国際コンテナ定期航路を運航しております船会社から、現在就航している船を令和十年に廃船をし、
次期コンテナ船は大型化するとの話がございました。この大型化に対応した水深を確保いたしますためには、現在実施しております
しゅんせつを加速する必要がございます。このため今年四月以降、国と問題意識を共有し、対応策を検討しているところでございまして、引き続き協議を進めてまいります。
次に、大牟田港
緑地運動公園の維持管理についてでございます。この公園は、港湾で働く方や地域の皆様が利用する憩いの場、スポーツを楽しむ施設として、昭和六十三年に県が整備したものでございます。
この公園内には、野球場や
ソフトボール場・
テニスコートなどの運動施設、あるいは広場がございます。近年は、全
九州学生テニス大会をはじめとする各種の
スポーツ大会や部活動の練習などにも使用されておりまして、年間約四万人の方に利用されております。
この公園では、清掃あるいは小規模な補修などの日常的な維持管理につきましては、大牟田市に委託を行っております。また大規模な修繕につきましては、県において実施しております。
開園から三十六年が経過をいたしまして、一部の施設では老朽化が進んでおります。県では、これまでも野球場のスコアボードや
ソフトボール場のフェンスなどの修繕を行いますとともに、公園内の照明灯のLED化を順次実施してまいりました。
今後、管理委託しております大牟田市の御意見も伺いながら、利用者の皆様が安全に快適に利用できますよう施設の老朽化に適切に対応を行ってまいります。
5 ◯副議長(佐々木 允君) 室屋美香君。(拍手)
*
室屋議員質問
6 ◯十五番(室屋 美香君)登壇 皆様、おはようございます。
民主県政クラブ県議団の室屋美香と申します。通告に従いまして、
自動体外式除細動器(AED)の設置・使用・救命率の向上について質問いたします。
昨日までふだんどおり元気だった人が、突然命を落とすことがあります。消防庁の令和五年版の発表によりますと、心臓が原因の
心停止傷病者数は約九万千人となっており、一日に約二百人、七分間に一人が心臓突然死で亡くなっているとされています。
医療従事者ではない一般市民が心臓に
電気ショックを与え、心臓の状態を正常化する
自動体外式除細動器(AED)を使用できるようになったのは、二〇〇四年七月のことで、今年でちょうど二十年になります。以来、設置の普及も進み、今や全国でおよそ六十七万台が設置されています。しかし、AEDの普及は進んでいるとはいえ、倒れるところを目撃された心停止した人に対して、AEDで
電気ショックが施される割合は、全国では僅か約四%にすぎないという報道がなされています。
ここでまず、直近の福岡県内のAEDの設置数と、県の施設や県の機関での設置状況、並びに県の施設でAEDが常時使用可能な場所は何か所あるのかをお示しください。また福岡県で令和四年中に一般市民に目撃された心臓が原因の心停止者の数と、そのうちAEDが使用された件数をお示しください。
心臓突然死は高齢者に限らず、若い世代や心臓病ではない人でも突然起こります。特に運動中などに倒れて死亡する若い世代も少なくありません。私が学生の頃、三十年以上前のことにはなりますが、運動部に所属し、大変健康だった先輩が、運動会の百メートル走でゴールした瞬間、私たちの目の前で倒れ、心不全が原因で、まだ十七歳という若さで帰らぬ人となりました。あのときに、今のような救命処置ができていたらと大変悔やまれます。
時を経て、AEDを一般の人も使えるようになった今、ぜひ、もっと多くのケースでAEDが使用され、一人でも多くの命が救われる社会を目指してほしいと思います。
心停止時の救命率は、
電気ショックが一分遅れるごとに約一〇%ずつ低下すると言われています。一一九番通報から救急車が現場に到着するまでの所要時間の全国平均は、消防庁の発表によると約十・三分です。心停止から救急車の到着まで何も処置ができないと、救命の可能性は刻々と低下していくということになります。
福岡県の施設の中には、近隣にAEDがあるという理由から、いまだAEDを設置していない施設が存在すると聞いています。未設置の県の施設にも優先順位を考えて見直しを行い、AEDの設置を検討していくべきだと思います。
ここで二つ目の質問です。県はAEDの設置をどのように進めているのでしょうか。あわせて未設置の県の施設への設置についての考え方をお聞きします。また県民の方にAEDを使用してもらえるようにするために、どのような取組を行っているのかをお示しください。
埼玉県
さいたま市内全域で、学校が休みの日でも、児童生徒や地域の住民が使えるよう二十四時間三百六十五日、学校の正門前にAEDを設置して、緊急時は誰でも使える取組が始まっています。これは、二〇一一年に
さいたま市立小学校の児童が課外活動中に倒れ、校内にあったAEDが活用されずに死亡したということが背景にあります。
ここで御提案ですが、県の施設でも
盗難防止策を施した上で、AEDを常時利用できるよう施設の外の入り口に設置するなど、誰もが分かりやすく覚えやすい
AED設置箇所を増やす整備推進を、ぜひお願いしたいと思います。
最後に、AEDを効果的に活用するためには、設置場所の周知についてさらに推進する必要があると考えます。県では、このことについてどのような取組を行っているのか。また今後この周知をどのように広げていこうとしているのかをお示しください。
以上で私の質問を終わります。(拍手)
7 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
*知事答弁
8 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
AEDの設置と使用のための取組についてお尋ねがございました。
日本救急医療財団が作成いたしましたAEDの適正配置に関する
ガイドラインでは、人が多く救助が得られやすい、また心停止のリスクが高いといった観点から、駅や空港、学校、
スポーツ施設などに設置することを推奨されております。
県では、この
ガイドラインを平成二十五年度及び令和元年度に市町村や関係団体に周知を行っておりまして、それぞれの施設において周辺の設置状況も踏まえながら、設置の判断を行っているところでございます。県が管理いたしております施設におきましても、同様の考えの下でAEDの設置を判断いたしておりますが、令和元年度に周知をいたして以降、もう年数もたっております。周辺の状況が変化していることも考えられますことから、改めてこの
ガイドラインを周知し、確認を行わせたいと考えております。
AEDはいざというときに使えることが大切でございます。このため県内の消防本部では、AEDの使用方法を含め、各種の救命講習を実施いたしておりまして、令和三年には約五万五千人の方が参加をされております。また県の
保健福祉環境事務所におきましても、県民や職員を対象に
救命講習会を開催しているところでございます。さらに、救急の日のつどいにおきまして、AEDに関する講演や実演講習を行いますほか、県内各地でAEDの使用方法を記載した
ハンドブック約一万三千部を配布するなど、必要な場合に県民の皆様がAEDを使用していただきますよう啓発を行っております。
AEDの設置場所の周知についてでございます。いざというときに、いち早くAEDを使用するためには、自宅や勤務先などの近くで、どこにAEDが設置されているのか、このことをあらかじめ知っておくことが必要であると考えます。
日本救急医療財団では、地図上にAEDの設置施設や施設内の配置場所、外部への貸出しの可否などを
全国AEDマップとして公開しておりまして、本県の
ホームページでも紹介をいたしております。
県といたしましては、今後
当該マップやAEDの設置場所を示します
AEDマークの紹介などの情報を、県の
ホームページや、あるいは県民の皆様向けの
ハンドブック、救急の日のつどいなど、様々な媒体や機会を活用しながら、さらなる周知に取り組んでまいります。
なお残余につきましては、
保健医療介護部長から答弁させます。
9 ◯副議長(佐々木 允君)
田中保健医療介護部長。
*
保健医療介護部長答弁
10
◯保健医療介護部長(田中 克尚君)登壇 県内のAEDの設置状況及び使用件数について、御答弁申し上げます。
日本救急医療財団の調べでは、今年五月現在において、県内の学校・保育施設、会社・事業所、医療機関などに一万二千七百台余りが設置されています。
県の施設では、三百七十台のAEDを本庁・
保健福祉環境事務所などの出先機関、
県立高等学校・県立公園・
体育文化施設など、二百二十八施設に設置いたしております。このうち、本庁や総合庁舎など四十六施設に設置しているAEDは、閉庁時間も含めて常時使用が可能です。
また令和四年中に、一般の方が人が倒れている瞬間を目撃した事例のうち、心筋梗塞・狭心症・不整脈などが原因で心停止となっていた方の件数は六百六十九件です。このうち、一般の方がAEDを使用した件数は二十八件となっております。
11 ◯副議長(佐々木 允君) 室屋美香君。
12 ◯十五番(室屋 美香君)登壇 御答弁ありがとうございました。
日本AED財団などによると、AEDの一般解禁からこの二十年の間に、全国で約八千人もの命が救われています。
最後に三つ要望があります。まず一つ目は、AED未設置の県の施設については、
ガイドラインを周知し確認をさせたいとの御答弁でした。確認された結果、必要と判断される場合も大いにあると思います。その場合は、AEDの設置に必要な予算を取っていただけますよう御要望いたします。
次に、心停止し倒れた女性に対しては、AEDを使用する際に胸部をあらわにする必要があるため、助ける側がAEDを使うことをちゅうちょしてしまうという傾向があるといいます。一刻も早い救命処置が大前提として、市民向けの救命講習の際に、服を全て脱がさなくてもAEDは使用できること、パッドを貼った後に、上から上着やタオルをかけても
電気ショックができることなど、消防本部の救命講習の際に、女性にAEDを使うのをためらわないでという啓発にも力を入れていただきたいと思います。
最後は、県内のAEDの周知率と救命率を高めるためには、より多くの県民の方がAEDの設置場所を簡単に確認できる環境の整備をお願いしたいというものです。県の
ホームページでの周知に加えて、福岡県の
防災アプリ、
ふくおか防災ナビ・まもるくんなど、様々な情報媒体にAEDがある場所を示したマップをリンクするなど、
AED一般解禁から二十年を契機に、今後さらに多くの命が救えるように、AEDの適正配置を見直し、あらゆる機会を通じて設置場所の周知徹底を行うことを要望いたします。
以上です。ありがとうございました。(拍手)
13 ◯副議長(佐々木 允君) 川上多恵君。(拍手)
*
川上議員質問
14 ◯十一番(川上 多恵君)登壇 公明党の川上多恵でございます。通告に従いまして、子供たちへの
プレコンセプションケア推進について質問をいたします。
県は、男女を問わず若い世代が早い段階から妊娠・出産、性に関する適切な知識を持ち、自分の身体への健康意識を高めるため、本年四月に全国の自治体で初となる福岡県
プレコンセプションケアセンターを開設いたしました。
公明党が令和五年三月に政府に申入れを行った
子育て応援トータルプランの中で、
プレコンセプションケアの推進を提言しており、我が会派としても令和五年二月の代表質問で
プレコンセプションケアの重要性を訴え、以降その取組について要望してまいりました。
このような背景の中、当局におかれましては迅速に
プレコンセプションケアセンターを設置をしていただき、大変ありがたく、また大きな期待を寄せているところでございます。
今回は、若い世代、とりわけ思春期の子供たちが早いうちから性に関する正しい知識や、自分自身の心と体の健康について知ることが大事であると考え、子供たちへの
プレコンセプションケアについて質問をしてまいります。
改めまして、
プレコンセプションケアとは、妊娠の希望の有無にかかわらず、若い時期から妊娠や出産に関する知識を伝え、健康意識を高めてもらう取組であります。
そこで教育長にお伺いします。まず、
プレコンセプションケアの考え方が、学校での性に関する指導において、どのように活用できるかお答えください。
若いときは自分自身の健康についてあまり関心を持たない傾向にありますが、早いうちから健康増進に必要な知識や生活習慣を身につけ、自分の
ライフプランについて主体的に考えるようになることが重要です。その上で、
教育委員会はこれまで児童生徒への性に関する指導について、どのように取り組んでこられたのか。また、それによってどのような成果が見られたか。今後の取組と併せてお伺いをいたします。
次に、県の
プレコンセプションケアセンター事業の中で、
小中高等学校の
養護教諭等を対象とした研修会を行うこととされています。この研修会では助産師が講師となり、
プレコンセプションケアの意味や児童生徒の性と健康課題に関し、個別指導や支援に役立つ情報の提供などが行われるとお聞きをしております。
そこで、養護教諭がこの研修を受ける意義について、教育長にお伺いします。
次に、令和五年三月に改定された、
成育医療等の提供に関する施策の基本的な方針に示された、教育及び普及啓発の項目に、男女を問わず、妊娠・出産等に関する医学的・科学的に正しい知識の普及・啓発を
学校教育段階から推進すると記載をされており、今後
プレコンセプションケアセンターのことが児童生徒にしっかりと周知され、性や身体に関して悩んだときの相談窓口の一つとなっていくことが重要であると考えます。
そこで今後、
県教育委員会は各
市町村教育委員会に対して、当センターの
案内リーフ等の配布や、現在子供たちに配られている主な
相談窓口一覧にも当センターを明記するなどして、子供たちへの周知を図っていただくこと、また個別にケアが必要な場合には当センターの相談窓口につなぐなど、相談機関の一つとしての活用をしっかり推進していただくよう要望いたします。
国は、令和五年三月各自治体や
教育委員会等に対して、
文部科学省と厚生労働省の連名で、学校等におけるこどもの性と健康に関する
普及啓発等の取組の充実についてという事務文書を発信いたしました。その中で、男女ともに性や妊娠に関する正しい知識を身に付け、健康管理を行うよう促す
プレコンセプションケアの推進を含め、需要に適確に対応した切れ目のない支援体制を構築するとの方針に基づき、各自治体においては、
教育委員会と保健部局とが連携し、こどもの性と健康に関する普及啓発・相談支援に係る取組の充実を図るとあります。
そこでお尋ねいたします。今後、
教育委員会は性に関する指導を充実していくために、
プレコンセプションケアセンターの活用も含めて、関係部局とどう連携を図っていくのか、教育長にお伺いいたします。
早い段階から
プレコンセプションケアをしっかりと推進していくことは、若い女性の健康課題である
子宮頸がんや性感染症、さらには不妊症や望まない妊娠などの対策にもつながりますし、大きく言えば少子化対策でもあると言えるのではないでしょうか。また思春期の子供たちが性と健康に関する正しい知識を得ることは、将来、妊娠・出産を含めた
ライフプランを考える上で大変重要であり、命の貴さや自尊心を高めるといった深い学びにもつながります。
当センターの設置は全国初ということで、大変注目を浴びていると伺っております。庁内の各関係部局が連携した本県の取組が
プレコンセプションケアの
福岡モデルとなっていくよう、着実な推進をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
15 ◯副議長(佐々木 允君) 寺崎教育長。
*教育長答弁
16 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 お答えいたします。
プレコンセプションケアの考え方の活用についてでございます。現在、高校においては、子供を産み育てることの意義とともに、出産等に伴います様々な健康課題を学習しておりまして、こうした学習内容には
プレコンセプションケアの考え方が含まれているものと認識をしております。
生涯にわたり健康でより豊かな人生を送るためには、早い段階から男女ともに性や妊娠に関する正しい知識を身につけ、健康管理に関する学習を行うことが重要であることから、
プレコンセプションケアの考え方を踏まえつつ、学習指導要領に基づき、生徒の発達段階に応じた性に関する指導を行ってまいります。
学校における性に関する指導についての取組と成果についてでございます。
県教育委員会では、保健体育科や家庭科等での学習に加えまして、県立高校・公立中学校及び特別支援学校に、産婦人科医や助産師等を派遣し、講演や個別相談を毎年実施をしております。その結果、各学校からは専門の医療機関につなぐことができた、個別の指導が充実した、教科の指導と関連づけることができた、などの評価の声が上がっております。
今後も、より多くの学校で本事業が積極的に活用されるよう、指導主事研修会や養護教諭研修会において、さらなる周知に努めてまいります。
養護教諭が
プレコンセプションケアセンターの研修を受ける意義についてでございます。養護教諭は、児童生徒から性や健康に関します個別の相談を受けたり、関係機関との調整を行ったりするなどの役割を担うことが多いことから、専門的な知識や情報を有することが求められております。そのため、思春期以降を対象とした性に関する情報発信と相談対応を行っております同センターの研修会において、
プレコンセプションケアの概念や最新の知見を学ぶ機会は、養護教諭の資質・能力を高める一助となると考えております。
性に関する指導を充実していくための関係部局との連携についてでございます。近年スマートフォンの普及に伴い、性情報の氾濫や児童生徒の性被害、性感染症など、子供たちを取り巻く性に関する問題が、深刻化・多様化している現状がございます。こうした課題に対応するため、福祉労働部や保健所、県医師会などの関係機関で構成する性に関する指導推進委員会を設置するとともに、福祉労働部が作成した妊娠・出産に関する正しい知識を普及するためのリーフレットを高校において活用をしております。
今後、
プレコンセプションケアセンターの研修会を
市町村教育委員会に周知するなど、関係部局とさらなる連携を図ってまいります。
17 ◯副議長(佐々木 允君) 中村香月君。(拍手)
*中村(香)議員質問
18 ◯三十三番(中村 香月君)登壇 新政会の中村香月です。通告に従い、農業における労働力の確保と医療的ケア児・ケア者の災害対策について伺います。
初めに、農業における労働力の確保についてです。我が国の農業における就業者数のうち、雇用者数は平成十二年の三十万人から令和五年は五十五万人まで増加しています。一方で、国内の生産年齢人口が今後大幅に減少していくことが予想される中で、各産業での人材確保競争が激化されることが見込まれています。しかし、農業は一年を通して安定した作業量があるわけではなく、限られた時期にのみ多くの労働力を必要とする場合もあることから、労働力の確保が非常に難しい傾向にあります。
近年では、農業者と働き手をつなぐ農業マッチングアプリを活用し、繁忙期など人手が必要な日や期間に限定して求人を実施するなど、農家の方々も労働力確保に向けて様々な努力をされておられます。しかしながら、必ずしも働き手を募集しても応募があるわけではなく、安定的な労働力の確保という面において不安があります。
このような状況において、安定した労働力として一翼を担っているのが、技能実習生や特定技能外国人といった外国人材です。我が国の令和五年度の農業分野における外国人の労働者数は五万千四百二十三人で、ここ五年で一・六五倍に増加しています。今や我が国農業を支える非常に重要な人材であり、本県でも品目によっては長期雇用し、既に外国人材の受入れをしている農家もおられます。
また、本県では今年度、北海道と連携した外国人材派遣支援費が予算として計上されており、十一月から四月までが農閑期となる北海道から、特定技能外国人を本県の農家等に派遣するという取組を実施されると伺っております。これまで限られた時期のみ労働力が必要なため、長期で外国人材を受け入れることが難しかった農家の方々にとって、大変よい取組だと思います。
しかし、残念なのが五月から十月に労働力が必要な品目があることです。私の住む久留米市やうきは市では、四月から五月にかけ苗木の接ぎ木作業、八月中旬から十一月中旬にイチジク、七月から九月にブドウ、九月下旬から十二月中旬に柿の収穫作業があり、今年度の事業での北海道からの特定技能外国人を派遣する期間の十一月から四月以外が繁忙期となる農家の方が多くおられます。
そこで、知事にお伺いいたします。まず、本県における外国人材の受入れ状況と、繁忙期に短期雇用を必要とする農業者に対して、県はどのような支援を行っているのか、お答えください。
あわせて農業経営の維持、拡大を図るためには、年間を通した短期派遣支援が必要ではないかと思います。私の住む地域だけでも先ほどの品目のほか、イチゴの収穫や苗木の出荷を組み合わせると、年間を通した作業量があります。北海道と連携した外国人材派遣のノウハウを生かし、今後、福岡県内での年間を通した短期派遣による労働力の確保に取り組んではどうかと思いますが、知事の考えをお聞かせください。
次に、医療的ケア児・医療的ケア者の災害対策について伺います。本県は、全国最多六度の大雨特別警報が発出されている県です。これまでも、議会の中で防災について知事にただしてまいりましたが、今回は医療的ケア児・ケア者に絞って質問をいたします。
医療的ケア児・者は、日常生活の中で、人工呼吸器の使用やたんの吸引、経管栄養などの医療的ケアを受けることが必要な方々です。災害時において、医療的ケア児・者とその御家族が避難する際には、これらの医療的機材を持って移動することになります。また避難先についても医療的ケアが行えるような設備が求められることから、避難には困難が伴います。そのため、医療的ケア児・者の方がどこにどのように避難するのか、何が必要なのかなどを事前に確認しておくことが大切であり、特に人工呼吸器を使用している方については、そのような備えが重要だと考えます。
そこで、伺います。本県の医療的ケア児・者のうち、人工呼吸器を使用されている方が避難先、移動手段等を確認している状況とともに、その方たちの円滑な避難が進むよう、県はどのように取り組んでいるのか、お尋ねいたします。
さらに、本県では令和四年から医療的なケアを必要とするお子さんと御家族に対し、ワンストップで相談対応など専門的な支援を行う医療的ケア児支援センターを、こども療育センター新光園内に設置しています。新光園では、災害時における受入れを実施していくと伺っておりますが、近年大きな災害の発生が続く中で、医療的ケア児・者及びその家族が防災意識を高めることができるよう支援することが必要だと考えます。そのためには、本県において災害時の備えなどの情報を、医療的ケア児・者とその御家族に対して提供することが重要と思いますが、知事の御所見を伺います。
最後に関連して、医療的ケア児・者の中でも、人工呼吸器等の医療機器向け電源を必要とする方の避難についてお伺いいたします。昨年の梅雨前線豪雨の際、私の住む久留米市では一部の地域が停電となりました。人工呼吸器等の医療向け電源を必要とする方々にとって電源は命綱であり、発災時の電源確保は大きな課題です。例えば長野県県社協では、医療的ケア児がいる家庭と、EV・ハイブリッド車の所有者のマッチングを実施し、災害時にEV所有者が医療機器向け電源を必要とする近隣の人を支えることを想定しています。
繰り返しになりますが、本県は全国最多の大雨特別警報が発令されている県です。本県こそ全国に先立って、人工呼吸器を使用する方々の災害時の電源確保を行っていく必要があると思いますが、知事の考えをお聞かせください。
以上で質問を終わります。御答弁よろしくお願いいたします。(拍手)
19 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
*知事答弁
20 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
農業における労働力の確保についてお尋ねがございました。福岡県におきましては、年間を通してコマツナや青ネギ・菊などを生産している農業経営体が、昨年十月末時点では、千八百九十四人の外国人材を長期雇用の形態で受け入れております。一方、収穫時期により多くの労働力が必要なイチゴ、ミカン、柿などを生産している農業経営体は、短期間の労働力確保が課題となっているところでございます。
このため、今年度からは新たに本県と繁忙期が異なります北海道から、外国人材を短期間受け入れる体制づくりに取り組んでいるところでございます。
具体的に申しますと、北海道のJAと調整をいたしまして、イチゴやミカンなどの収穫時期に当たります十一月から四月にかけて派遣可能な特定技能外国人を確保し、住居を含む生活環境の整備や派遣先の選定に係る経費を支援することといたしております。また、年間を通した短期派遣による労働力の確保につきましては、今回の、今申し上げましたような取組による知識や経験を踏まえまして、県内の産地の受入れニーズや、県内外の派遣可能な外国人材の有無について情報収集を行ってまいります。
次に、人工呼吸器を使用している方の円滑な避難のための取組についてでございます。人工呼吸器を使用していらっしゃいます方は、日頃から訪問看護を受けておられますことから、県では二年に一回、訪問看護ステーションを通じまして、これらの方の災害に対する備えを調査をいたしております。一昨年度の調査におきまして、回答がございました二百七十一人のうち、避難場所・経路の確認ができている方が約七割、移動するときの支援者が確保できている方が約八割でございました。
県では、人工呼吸器を使用している方が円滑に避難していただくことができますよう、情報提供に同意した方の情報を市町村に提供し、避難行動要支援者名簿へ登録した上で、災害時の安否確認や避難先での受入れなどの支援を実施するよう働きかけております。引き続き、人工呼吸器を使用している方が円滑に避難できるよう取組を進めてまいります。
次に、医療的ケア児・者やその御家族への情報提供についてでございます。県では毎年、訪問看護ステーションを通じまして、人工呼吸器を使用していらっしゃる方に対しまして、災害時の移動手段や支援者の確認、日頃からの医療機器の点検や必要物品の準備など、災害への備えについて働きかけを行っております。その際、災害時の避難先やかかりつけ医などの緊急連絡先、病名や呼吸状態などの身体の状況、非常時の持ち出し用品などを記入することができます災害時の手引を活用し、それぞれ御確認をいただいているところでございます。
この災害時の手引につきましては、昨年二月に立ち上げました医療的ケア児等支援情報サイトにも掲載をいたしまして、医療的ケア児・者やその御家族に活用を呼びかけております。また医療的ケア児支援センターが主催いたします啓発フォーラムにおきまして、災害時の避難先や避難経路の確保など災害への備えについてもお伝えすることといたしております。引き続き、医療的ケア児・者や、その御家族に必要な情報が届きますよう、関係者の御意見をお聞きしながら情報提供に努めてまいります。
次に、人工呼吸器を使用していらっしゃる方への災害時の電源確保についてお尋ねがございました。県では災害による停電に備えまして、人工呼吸器等の予備バッテリーの常備や、外部バッテリーまたは自家発電装置の確保、バッテリーの更新などを促してまいりました。この結果、一昨年度の調査では約八割の方が外部バッテリーまたは自家発電装置を所持していらっしゃいます。これらを所持していらっしゃらない方に対しましては、訪問看護ステーションを通じ、外部バッテリーなどを所持するよう継続的な働きかけを行っております。
また福岡県医療機器協会を通じ、医療機器販売業者に対しまして、豪雨などで停電が想定される場合には、人工呼吸器を使用している方にバッテリーの充電状況を確認することや、予備バッテリーを貸出しすることなどの協力をお願いしております。今後も、人工呼吸器を使用している方の災害時の電源が確保されるよう取り組んでまいります。
37 ◯警察本部長(岩下 剛君)登壇 初めに、本県における平成三十年と昨年の外国人に係る交通事故の件数などについてお答えをいたします。県内で発生した交通事故のうち、外国人が運転する車両に係る事故の割合は、平成三十年が全体の約二%の五百七十四件であり、昨年中は全体の約三%の五百八十二件と微増しております。また、そのうち自転車運転中の事故も、平成三十年の九十件に対して、昨年は百五件と微増しております。事故の内容につきましては、いずれの年も追突が約三五%と最も多く、自転車に限りますと、出会い頭が約五〇%を占めております。
次に、外国人の交通事故抑止対策についてお答えをいたします。交通事故を抑止するためには、外国人の方々に、我が国の交通ルールを理解していただくことが重要であります。県警察では、外国人を雇用する企業や、外国人が通う専門学校などを対象とした参加・体験・実践型の交通安全講習を実施しているほか、英語や中国語など複数の言語に対応した基本的な交通ルールに関するパンフレットを作成し、
ホームページに掲載するなどの取組を行っております。
県警察といたしましては、今後も訪日外国人の推移や外国人が関連する交通事故の発生状況などを踏まえ、関係事業者等と連携し、外国人に対する交通事故抑止対策を推進してまいります。
最後に、一時停止標識のうち、STOPの英字が併記された標識の整備状況と事故との関係性等についてお答えをいたします。本県におきましては、平成二十九年度以降、順次、一時停止標識を英字併記のものに切り替えており、令和五年度末時点で、一時停止標識約六万本のうち英字併記は約七千七百本で、その割合は約一三%となっております。また英字併記の有無と外国人に係る死亡事故との間に、顕著な因果関係を示すものはありませんが、今日の訪日外国人の増加を踏まえますと、引き続き英字併記標識の整備は必要と考えております。
県警察といたしましては、今後とも道路管理者と連携し、外国人にも分かりやすい道路交通環境の整備に努めてまいります。
38 ◯議長(香原 勝司君) 豊福るみ子君。
39 ◯二十七番(豊福 るみ子君)登壇 御答弁いただきました。英字併記の一時停止標識並びに自転車通行空間の整備を推進してまいるとの回答をいただきましたが、特に自転車の安全確保については、現状は都市圏の整備は進んでいるものの、市町村における県道等については、ほぼ整備に至っていない現状があり、地域の声として質問をさせていただきました。
安全で快適なサイクリング環境の整備を進めるための自転車ネットワーク計画策定状況は、六十市町村中十二市町村とお聞きしていますので、残り四十八市町村への計画の策定を促していただくとともに、本県が推進している観光施策と交通安全対策を同様のスピード感で取り組んでいただきますことを要望いたしまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
40 ◯議長(香原 勝司君) 塩出麻里子君。(拍手)
*塩出議員質問
41 ◯九番(塩出 麻里子君)登壇 公明党の塩出麻里子です。通告に従いまして、ラーケーションについてお尋ねいたします。
まず、ラーケーションとは、ラーニング(学び)とバケーション(休暇)を組み合わせた言葉で、昨年度から全国の幾つかの自治体で取組が始まった新しい制度です。
コロナ禍を機に、社会全体のデジタル化が進展し、世の中の働き方の多様化が進みました。テレワーク等で自宅にて勤務をすることができ、家族との時間が増えたというケースも多くあります。
令和五年四月に内閣府が公表した、新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査においても、コロナ禍において増加した家族との時間を保ちたいと思うかという問いに対し、九三・三%の方が保ちたい・どちらかというと保ちたいと回答しており、コロナが五類になり、生活がコロナ禍前に戻りつつある現在、家族との時間をどのように確保していくのかが課題になっていると考えられます。
特に就学児を抱え、サービス業・観光業に携わっている方にとって、子供たちとの時間を確保することは大きな課題になっているようです。
先日、中学生と小学生の子供を持つサービス業に従事されている方と話す機会がありました。週末や長期休暇の時期が繁忙期のため、仕事を休むことはなかなか難しいけれども、ほかの子供たちと同じように家族旅行などで様々な体験はさせてあげたいと思っている。小学生の間は家族時間をつくるために仕方なく学校を休ませることもあったが、中学生になると内申点なども気になり休ませることはやめた。サービス業をしている限り、平日学校に通う子供たちとの時間を確保することは永遠の課題だとおっしゃっていました。
観光庁においては、週末や祝日に集中しがちな旅行需要を平日に分散させるため、全国の観光関連事業者と連携し、平日限定のお得な旅行商品を用意することで、観光産業の活性化及び地域活性化を図るための平日にもう一泊キャンペーンが実施されており、本県においても、ワーク・ライフ・バランスを保つための働き方改革推進事業を進めてくださっていると認識しております。
このような中、全国の幾つかの自治体で始まったのが、大人の働き方改革と併せ、子供たちの学び方にも工夫をしていくラーケーションという取組です。
子供の学びと保護者の休暇を組み合わせ、平日だからこそできる学校外での体験や探求、学びを企画・実行できる日として設定することができます。また学校外での自主学習活動として、登校しなくても欠席にはならず、出席停止や忌引等と同じ扱いになります。
教室で学ぶ知識だけではなく、地域に出かけたり、多くの人と出会ったりする体験的・探求的な活動を通して、自ら課題を発見し解決していく力を身につけること、また家族とゆっくり話をする時間をつくることで、自身の思いや悩み、不安について家族と一緒に考え、今後を見詰める機会をつくることができると考えられています。
自治体によって設定される日数は異なりますが、令和五年九月からこのラーケーションの取組を始めた愛知県では、年に三日まで取ることができるようになっており、その活動内容としては、地域の史跡を巡り歴史を学んだり、野菜の収穫体験、水族館や動物園での生物観察、自然と触れ合うなど、幅広く認めることで取得しやすいよう工夫をされています。
愛知県の取組に対するアンケート調査によると、土日に休みにくい家庭でも子供との
触れ合いが増える、学校には欠席せずに通うべきという考え方の見直しになる、保護者が働き方・休み方を見直すきっかけとなるなどのいい点。また、ラーケーションという学校を気にせず楽しむ時間があるだけで家族との会話が広がり、学校も頑張ろうという自信にもつながったという高校生の意見や、ワーク・ライフ・バランスが見直される中、義務教育についても同様の動きがあるのは自然なことという保護者の意見もありました。
茨城県では、今年四月から全ての県立高校と希望する公立小中学校などで、年に五日まで取得を認めることになっており、山口県での導入も決まっています。
取組はまだ始まったばかりで、公平性や教育現場の体制整備、保護者の勤務先の理解など、課題もあるようですが、第三次産業、特にサービス・観光業に従事する方も多い本県においても、家庭内での会話や家族で過ごす時間を増やすことができるラーケーションを導入する意義は大きいのではないかと考えます。
そこで、教育長に三点お尋ねいたします。まず、ラーケーションについて、教育長はどのようなお考えであるのか教えてください。
次に、ラーケーションを導入した場合、受けられない授業の内容は家庭で自習をすることになります。そのフォローに関しては、県教委が進めてくださっている一人一台端末等を活用することで可能になると考えますが、現在の学校現場において、様々な理由で数日休んだ生徒に対し、受けられなかった授業のフォローをどのようにされているのか教えてください。
最後に、本県においても、ラーケーションについての研究を進め、モデル地域を設定するなどし、導入を検討してみてはいかがかと思いますが、教育長の御所見をお尋ねし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
42 ◯議長(香原 勝司君) 寺崎教育長。
*教育長答弁
43 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 お答えいたします。
ラーケーションについての考えについてでございます。ラーケーションについては、愛知県や茨城県、山口県などで導入がされていると把握をしております。例えば愛知県においては、子供の学びと保護者の休暇を組み合わせて、平日だからこそできる学校外での体験や探求的な学び、活動を子供が自ら考え企画し、実行することを目的として、ラーケーションの日が設定されたと承知をしております。学校外での体験活動の機会が充実することは、子供たちの想像力や他者への思いやり、自己肯定感などを育むことに資すると考えております。
学校を休んだ生徒が受けられなかった授業のフォローについてでございます。児童生徒の休んだ期間、教科により欠席した者への具体的な配慮は各学校で様々でございますが、例えば従来から学習プリントを配付したり、一人一台端末を活用できるようになったことで、授業の概要やほかの生徒がまとめた内容等をオンラインで共有したりしております。
ラーケーションの導入の検討についてでございます。御指摘のラーケーションの日を含め、学校の休業日や子供たちの休みの日の設定については、地域や子供たちの実態をよく踏まえながら、学校の設置者において判断するものでございます。
県教育委員会においては、まずは愛知県など他県の実践の効果、課題について情報の収集を図っていきたいと考えております。
44 ◯議長(香原 勝司君) 宮原伸一君。(拍手)
*宮原議員質問
45 ◯二十一番(宮原 伸一君)登壇
自民党県議団、宮原伸一でございます。通告に従い質問いたします。
人口減少時代の市町村における質の高い住民サービスの確保に向けた市町村行政の運営体制の確保について、知事にお尋ねいたします。行政需要が多様化する中、多くの市町村における少子高齢化・人口減少が進み、行政資源がますます制約され、保健、福祉、教育、消防等の様々な分野において住民サービスの低下が懸念されています。中には、住民と行政との接点であるフロントヤードの改革に取り組み、住民の利便性向上、業務の効率化を図っている市町村もあると聞いております。
例えば来庁者が行う各種申請書への記入について、デジタル技術を用いた簡便化する、いわゆる書かない窓口を導入している県内市町村は、令和五年四月現在十一に上っております。こうした市町村においては、改革で生じた余剰人員を政策の企画立案や相談対応にシフトさせ、さらなる住民サービスの充実を図っています。一方で、このような改革が遅れている市町村は、マンパワーの不足により質の高い行政サービスを維持することができなくなるおそれもあります。
このように市町村の間で住民サービスの格差が拡大していけば、より行政サービスが充実した利便性の高い市町村へ住民が流出し、そうではない市町村はさらなる人口減少による行政サービスの低下を招くという環境に、悪循環となりかねません。
知事は、市町村ごとの考え方、特色を尊重しつつも、必要な住民サービスに格差がないように県がサポートする必要があると考える。知事がよく言われる、誰しもが住み慣れた場所で安心して暮らせることのできる福岡県の実現に取り組んでいただきたく、三点質問いたします。
一点目、質の高い住民サービスの維持が単独では困難な市町村においては、事務の広域連携を進めることも有効な対応策の一つではないでしょうか。令和二年二月議会の我が会派の代表質問において、広域連携に対する県の基本方針についてただしたところ、広域連携が進むよう主導的な役割を果たしていく旨の答弁がなされましたが、その後の県の広域連携の推進に向けた取組状況についてお伺いいたします。
二点目、市町村における人材不足は深刻であり、とりわけデジタル人材をはじめとした専門人材の確保、育成を市町村単独で行うことは限界がある。専門人材の確保は、市町村間の広域連携によっても対応が厳しいことが想定されるが、このような場合、県自らが市町村の求めに応じて補完、支援を行うことが有効であると考えますが、知事の考えをお伺いします。
三点目、市町村間の広域連携や専門人材の確保に向けた県の支援が効果的に実現されるためには、市町村におけるニーズ、課題を的確に把握し、各種の取組につなげていく必要があると考えます。また市町村間における行政サービスの格差解消に向けて、先進事例の横展開を図っていくことが求められると思います。県は、これについてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
以上で私の質問を終わります。(拍手)
46 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
47 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
市町村における広域連携の推進についてでございます。市町村が質の高い住民サービスを持続的に提供していくためには、各市町村の強みを生かしました情報や人材を共有、融通し合う広域連携の取組が有効であると考えております。しかし、この連携を進めるに当たりましては、地域の利害調整が難航し、合意形成が難しいといった場合もございます。このため県では、地域の実情に応じた連携が進みますよう、連携の相手方やその方法についての助言、調整を行ってまいりました。
具体的には、業務システムの共同調達等を行いますふくおか電子自治体共同運営協議会におきまして、事務局でございます本県の働きかけや調整によりまして、参加市町村や提供サービスの増加が図られております。また水道につきましては、県が昨年三月に策定いたしました水道広域化推進プランに基づきます協議が進められました結果、先月、北九州市、行橋市、苅田町において、一部施設の共同利用についての合意がなされたところでございます。
さらに、複数の交通手段を最適に組み合わせ、鉄道、バス、タクシー等、こういったものを最適に組み合わせまして、検索、予約、決済まで一括で行いますMaaSにつきましては、県が関係市町村との調整を行いまして、昨年度、日田彦山線BRTの沿線や有明圏域において実証実験を開始いたしました。今年度は、筑紫圏域など県北部の都市圏にも拡大をすることといたしております。
このように、今後も県が主導的な役割を担い、市町村間の各分野における連携が一層進みますよう取り組んでまいります。
専門人材の確保に向けた県の補完・支援についてでございます。市町村単独で、あるいは広域連携によって専門人材の確保が困難な場合には、広域自治体でございます県が市町村を補完する機能を担い、支援していくことが必要でございます。このため、デジタル化に取り組みます市町村へのデジタルトランスフォーメーションの専門家派遣、また医師不足が深刻な僻地等の公的医療機関への医師派遣などの支援を行っております。また本来、市町村が徴収すべき個人住民税につきまして、県職員が滞納整理を行い、直接徴収する事務代行の取組なども行っております。これらの取組内容につきましては、毎年最新情報を取りまとめまして、県内の市町村の皆様に提供し、積極的な活用を働きかけております。今後とも市町村が質の高い行政サービスを安定して提供できますよう、専門的知識や高度な技術を要する分野を中心として人材派遣等に積極的に取り組み、市町村を補完・支援してまいります。
市町村の課題把握や先進事例の横展開についてでございます。県では、市町村振興局を設置いたしました。局長、課長、地域政策監が地域に頻繁に足を運びまして、市町村長の皆さんの声を直接聞かせていただくなど、市町村が抱える課題の把握に努めております。また昨年度から副市町村長出席の下で開催をしております地方創生市町村圏域会議におきまして、あらかじめ市町村から提案された議題に関わる県の担当課も参加し、それぞれの圏域が抱える課題の把握も丁寧に行っております。
こうした中、例えば地域公共交通における広域連携の在り方や、移住・定住施策を推進するための情報発信などの課題が市町村から示されました。県と市町村が一緒になって今後取り組むべき施策の協議を行ってまいりました。また圏域会議や、庁内関係部局が主催いたします各種会議の場などを通じて、AIオンデマンド交通の導入や、廃校を拠点としたまちづくり協議会の活動など、市町村における行政サービスの先進事例について積極的な情報提供を行い、地域の実情に応じた施策の横展開を促しておるところでございます。
少子高齢化、人口減少の進行やインフラの老朽化などが深刻化いたします中、市町村が持続可能な形で行政サービスを提供し、住民の皆様の暮らしを支えていくためには、市町村間の広域連携や県による補完・支援など、多様な手法の中から最も適したものを市町村自らが選択していただくことが必要となります。
県といたしましては、市町村の自主性、自立性を尊重した上で、適切な助言や調整、支援の役割を一層きめ細かく果たしてまいります。
48 ◯議長(香原 勝司君) 後藤香織君。(拍手)
*後藤議員質問
49 ◯二十九番(後藤 香織君)登壇 皆様、こんにちは。
民主県政クラブ県議団、早良区選出の後藤香織です。
六月十日はこどもの目の日でした。はぐくもう!六歳で視力一・〇という願いが込められています。そこで今回はまず、幼児の目の疾患を早期発見・早期治療につなぐ取組について、知事にお尋ねをいたします。
人は目から八〇%から九〇%の情報を得ていると言われています。生まれたばかりの赤ちゃんは、はっきり物が見えませんが、三歳までに急速に視覚が発達し、六歳から八歳頃までにほぼ完成します。その間の視覚の発達は脳の発達とも密接に関係しています。弱視は視覚が発達する過程で、何らかの原因で発達が妨げられた視力の未発達の状態で、約五十人に一人程度と言われています。視力が発達する時期に眼鏡を常用するなどの治療で、多くの場合は、就学時までに視力が回復する、つまり治療が可能であり、三歳児健診で発見し、小学校入学までに治療を行うことが非常に重要です。
〔香原議長退席 佐々木副議長着席〕
しかし、三歳児の場合、文字を読むことが少ない上、出生時からぼやけていると視力が〇・三程度あれば本人にとっても支障はなく、保護者や周囲の大人も気づきにくい状態にあります。そういった状態にもかかわらず、これまでの本県の三歳児健診での視覚検査は、自宅で保護者が絵指標を用いた一次検査をし、そこで再検査を判断した場合、健診会場にて絵指標を用いた二次検査をするというのが基本です。私自身も三度行いましたが、保護者の判断や絵指標では検査の精密さに欠けると実感しており、多くの保護者からも同様の声を聞きました。また弱視に気づかなかったと責任を感じる保護者もおり、三歳児健診の眼科検査の仕組みの変更が必要だと考えます。
二〇二三年三月に成育基本法に基づき閣議決定された、
成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針では、三歳児健診の視覚検査に屈折検査機器を導入する市町村を国が支援する方針を出しました。この屈折検査機器を全国のトップを切って二〇一七年に全県導入した群馬県では、導入前の二〇一六年は二次検査までで要精密検査とされたのが僅か一・三%だったのに対し、導入後の二〇一八年度は一二・九%と、十倍増の検出率に向上したとのことで、疾患発見見逃しの防止、早期発見に非常に有効だと考えます。
そこで、近年の本県の三歳児健診の視力検査における要精密の割合、本県内自治体の三歳児健診視力検査での屈折検査機器導入の状況と要精密検査との相関性についてお示しください。その上で、早期発見に有効な屈折検査機器の導入を全県下に広げるべきと考えますが、知事の見解と、そのための取組についてお聞かせください。
早期発見できた目の疾患は、確実に治療につなげる必要がありますが、そのための取組は十分ではないと思います。例えば千人に一人と言われている先天性聴覚障がいを抱える乳幼児に関しては、本県では円滑に療育につなげるための乳幼児聴覚支援センターを設置するなど、新生児の聴覚に係る検査と支援の体制の充実を図っています。また今年度までの第二期ふくおか子ども・子育て応援総合プランの中では、聴覚は触れられているものの、乳幼児の視覚については全く触れられていません。
また、弱視といった目の疾患の早期発見の重要性も、母子手帳や県の発行する子育て応援団に記載するなど、県民に広く知らせる必要もあると思います。
そこで二点目に、本県の要精密検査となった後の眼科受診率についてお示しください。受診率を上げるため、幼児の目の疾患を早期治療につなぐ取組の強化が必要と考えますが、今後の取組強化の方針について、知事の見解をお聞きをいたします。
次に、養育費の確保支援についてお聞きしてまいります。今年五月、離婚後も父と母双方が子供の親権を持つ共同親権を可能とする改正民法が可決、成立しました。新しい民法では、面会交流など離婚後の子供の生活に関わるルールの変更や養育費についても盛り込まれました。しかし、DVや虐待継続の可能性、子供の意見尊重など、様々な課題が残ったままであると私は思っています。
今回は関連して、特に不払いが問題となっている養育費について知事にお尋ねをいたします。こども家庭庁、令和三年度全国ひとり親世帯等調査によると、全国の一人親世帯の状況は、母子世帯百十九・五万世帯、父子世帯十四・九万世帯で、ともに八五%以上が働いているにもかかわらず、その平均年間収入は、母子二百七十二万円、父子五百十八万円であり、母子世帯の収入が少ないのが現状です。
養育費を受け取る世帯については、母子九三%、父子七%と、多くの世帯で父親から母親に養育費が支払われており、その平均額は約五万円となっています。また令和四年国民生活基礎調査では、二〇二一年の日本の子供の相対的貧困率は一一・五%なのに対し、一人親世帯の子供の相対的貧困率は四四・五%であり、一人親世帯の子供の貧困が深刻な状況にあります。
要因の一つには、男女の賃金格差に加え、養育費の不払いが挙げられます。子供の貧困を防止するためにも、養育費をより多くの子供たちが受け取れることが重要だという観点から、以下質問をしてまいります。
まず初めに、本県の母子世帯の現状について、離婚により一人親となった世帯数と、そのうち養育費の取決めをしている割合、また養育費の受給状況についてお示しください。その上で、養育費の重要性について知事の認識をお示しください。
次に、現在の県の取組と成果についてお聞きをいたします。本県では、一人親の方々の様々な相談に対応し、個々の状況に応じた支援につなげる、福岡県ひとり親サポートセンターを設置して、養育費の相談にも対応しているほか、まずは養育費をどうしたらよいかとなった際に相談するための養育費・ひとり親一一〇番や弁護士クーポンの配付を行っています。また二〇二二年度からは、養育費の取決めを支援する福岡県養育費に関する公正証書等作成支援事業を実施しています。しかし、当事者の私の友人たちもそのことを知らず、養育費を必要としている方々に、その支援の情報が十分に届いていないのではないかと考えます。
そこで二点目に、福岡県ひとり親サポートセンター、養育費・ひとり親一一〇番、弁護士クーポンに係る、昨年度の養育費に関する相談実績についてお聞かせください。また福岡県養育費に関する公正証書等作成支援事業について、どのような支援を行っているのか、実績と併せてお聞かせください。これらを必要とする方々にしっかり届くよう、さらなる周知が必要と考えますが、今後の取組についても併せてお聞かせください。
養育費不払いへの確保支援について世界の状況を見ると、例えばアメリカでは国や州による給与差押えなど、スウェーデンでは国からの養育費補助、フランスやフィンランドでは公的機関が立替え・回収を行う制度となっています。日本では、こういった公が養育費を保証する制度ではなく、あくまでも自助的な制度となっており、これが養育費の不払いの多さにもつながっていると考えます。
このような中、このたび改正された新しい民法では、二年後から養育費に関して支払いが滞った際に、ほかの債権に優先して強制執行ができる先取特権や、父母が養育費に関する取決めをせずに離婚した場合でも養育費を請求できる法定養育費制度などが新設される予定です。自助的な制度の中でも前進の兆しが見えましたが、結局は受け取れない方が行動しなければいけない制度になっていることには違いがありません。
私は、今回の質問に当たり、シングル当事者の方々から御意見をお伺いしました。そこでは、養育費の受け取りについて、当事者の方々からは、罰則がないため離婚した相手が約束どおりに支払わない、理由をつけて減額してくる、子育ての実費には到底及ばないなどの声があり、約半数の方が養育費の不払いや減額に悩んでおられました。
養育費が不払いの場合に、確保するための強制執行に関する手続は時間も労力もかかります。日常から仕事や子育てに加え、様々な問題を一人で背負うことの多い一人親が、養育費確保のための強制執行の手続などを自力で行うのは、身体的・精神的にも大変な負担であり、例えば県など公的機関による立替払い・回収などといった支援が欲しいという切実な声を多くお聞きしました。
そこで、この項の最後に、今後、養育費の不払いへの対策として、どんなことを考えているのか、また県が立替払い・回収を行うことなどを検討してはどうかと考えますが、知事のお考えをお示しください。
以上、知事の子供たちに向けた心温まる御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)
50 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
*知事答弁
51 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
まず、屈折検査機器の導入についてでございます。福岡県全体の三歳児健診の視覚検査における、令和四年度の要精密の割合は六・〇%でございます。このうち、屈折検査機器を導入して検査を実施いたしました二十二の市町村では、要精密が八・二%となっておりまして、導入していなかった市町村の五・四%と比べますと高い数値となっております。幼児の弱視等は、早期発見することで治療による回復が可能となります。この屈折検査は、弱視等の検出に有用でありますことから、国においては、令和四年度から市町村に対する補助事業を創設いたしまして、三歳児健診への屈折検査機器の導入を進めております。このことから、県といたしましては、市町村の母子保健担当職員を対象とした研修会などにおきまして、この国の補助事業を活用し、屈折検査機器を導入するよう働きかけを行ってまいりました。この結果、現在は五十四の市町村において、この屈折検査機器が導入されており、また、まだ導入していない残り六市町につきましても、今後導入する意向が示されているところでございます。
視覚検査で要精密検査となった幼児の受診率の向上についてでございます。一昨年度の三歳児健診視覚検査では、要精密となった幼児千九百二十四名のうち、精密検査を受診した幼児は千三百四十五名で、その受診率は六九・九%となっております。精密検査を受けなかった理由として、保護者からは早期に治療すれば視力が回復するということを知らなかった、あるいは、どこで精密検査を受ければよいか分からなかった、また忙しくて、つい精密検査を先延ばしにしていたなどの声が上げられております。
このため、県では、先ほども申しましたが、市町村母子保健担当者研修会等におきまして、要精密児の保護者に対し、チラシなどを用いて視覚の発達や早期治療の重要性を説明する、また精密検査受診が可能な医療機関のリストを提示する、未受診の保護者に対して手紙や電話による勧奨を行っているといった、受診率が高い市町村の事例を紹介し、実施を促すこととしております。
また今年度から、新たに県が発行する母子健康手帳別冊や福岡県にこにこ家庭づくりポータルサイト、通称にこポでございますが、こういったものを活用して、早期に治療すれば視力が回復するということなどを周知することとし、これらを通じまして受診率の向上に取り組んでまいります。
本県の母子世帯の現状と養育費の重要性についてでございます。令和三年度に、県及び両政令市が一万百世帯の母子世帯に対して実施いたしましたひとり親世帯等実態調査から推計いたしますと、県内の母子世帯は六万八千二十五世帯となっておりまして、このうち離婚により母子世帯となった世帯は五万二千六百六十世帯と推計されます。このうち、養育費について取決めを行っている割合は五三・二%、養育費を受け取っている割合は三二%にとどまっております。養育費は、子供が経済的・社会的に自立するまでに要する衣食住、教育、医療などに必要な経費でございまして、子供の健やかな成長にとって極めて重要なものであると認識をいたしております。その支払いは、親として子に対する最低限の義務であり、離れて暮らす親と子を結ぶ絆、親子であるあかしとなるものでございます。
養育費確保の取組についてでございます。養育費相談の実績につきましては、県内三か所に設置しておりますひとり親サポートセンターに、養育費について取決めをせずに離婚したけれどもどうしたらいいだろうかなどといった御相談が、昨年度は二百十四件寄せられております。また弁護士による二か月に一回行っております集中電話相談、養育費・ひとり親一一〇番には、四十三件の御相談があり、相談者の都合のよい時間と場所で無料の弁護士相談が受けられる弁護士クーポンは、六十八枚配付をいたしました。
また一昨年度からは、養育費の確保を図りますため、養育費の支払いと支払いが滞った場合に強制執行を受けることに同意する旨を定めた公正証書の作成費用について助成を行っておりまして、昨年度の実績は三十三件となっております。
離婚を考えていらっしゃる方や一人親の方が適切な支援につながりますよう、ひとり親サポートセンターについて、県の
ホームページやSNSで発信いたしますほか、市町村のSNS、広報紙への掲載、また保育所や市町村の子育て支援センター、病児保育施設等でのチラシの掲示などにより周知を図っております。また養育費・ひとり親一一〇番や養育費確保のための公正証書作成費用の助成などの具体的事業につきましては、ひとり親サポートセンターのAIチャットボットやLINEでの発信、福岡県弁護士会が主催いたします離婚問題を扱う弁護士向けの研修での紹介と周知の依頼などを通じまして、情報発信を行っております。
今後は、離婚届が提出されます際に、保護者に対し養育費についての相談窓口などが掲載された、ひとり親家庭向け
ハンドブックを市町村を通じて配布することといたしております。こうした周知を行うことにより、養育費が確保されるよう取組を行ってまいります。
養育費の不払い対策等についてでございます。ひとり親サポートセンターでは、専門の相談員が養育費の不払いや強制執行に係る手続についての相談に応じておりますが、今年度から相談者が安心してスムーズに手続を行うことができますよう、裁判所への同行支援を行うことといたしております。養育費の額や財産分与などの法律問題については、弁護士が相談に対応しております。また、児童扶養手当を受給している方を対象に、公正証書等で取り決めた養育費の支払いが滞った際、保証会社が立替払いと相手方への督促を行います養育費保証契約の締結に係る初回契約料を助成しております。こうした取組により、一人親の方の養育費確保に係る負担軽減を図っております。
養育費を県が立て替えて支払いますことは、確実な償還が見込まれない中、本来、当事者が負担すべき養育費を県民の皆様全体で負担することが合理的であるかどうか、また別居している親の養育放棄といったモラルハザードにつながらないか、児童扶養手当等の公的給付との関係をどのように考えるかなどの観点から慎重に考える必要があると思っております。
52 ◯副議長(佐々木 允君) 後藤香織君。
53 ◯二十九番(後藤 香織君)登壇 養育費の不払い対策等について要望をさせていただきます。本県では約七割が養育費を受け取れていない状況で、知事からは、養育費確保のため、今後は離婚届が出される際に、ひとり親家庭向け
ハンドブックを配布することと、ひとり親サポートセンターで裁判所への同行支援に取り組むとの、二つの新たな取組について答弁がありました。また保証会社が立替払いと相手方への督促を行う養育費保証制度についても答弁がありました。この養育費保証制度には、答弁にあったように、児童扶養手当受給者が対象となっておりますが、離婚後に実家に戻ったり、年収の関係で児童扶養手当がもらえない一人親もいます。また保証会社が行うということで、保証金の支払いも養育費を受け取る側の負担になります。制度にそういった課題があるのではないかと思います。今後は、受け取れない場合でも大変にならない、そして、より多くの方が利用できるように使いやすい幅広い制度設計へと見直しをしていただきたく要望をいたします。
子供たちに確実に養育費を届けるためには、公的な助けが必要です。昨年七月に全国知事会が提言を出されているように、知事には改めて養育費の支払いの滞らない仕組みづくりを、ぜひ国にも要望していただくようお願いを申し上げ、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
54 ◯副議長(佐々木 允君) 林泰輔君。(拍手)
*林議員質問