↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(香原 勝司君) ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。新開昌彦君。(拍手)
*新開(昌)議員質問
2 ◯七十番(新開 昌彦君)登壇 公明党の新開昌彦でございます。通告に従いまして、会派を代表して質問をいたします。
まず、初めに
海外視察報告でございます。県議会の海外視察は、政治改革の
プロジェクトチームで予算立ての課題や公開の在り方などを議論している真っ最中であります。我が会派は、旅費の予算は事前に実態を積算した上で立てることは当然として、視察の公開につきましては、事前事後の報告を行い、政策で実施する視察につきましては、目標を立てて、事前に国内で調査をした上で行い、事後の公開は参加者自身も報告書にまとめるなど、県民に納得がいくような調査報告書として公開するよう提案をしているところでございます。
我が会派は、改選後行われた十四回の海外視察のうち二度参加をさせていただきました。私自身が五月二十三日から三泊五日で知事に同行をさせていただき、ロンドン、パリに会派を代表して訪問をいたしました。今回は知事部局の事前調査が大変功を奏しまして、調査研究の成果が認められる訪問であったと実感をしております。
今回、会派の代表質問に取り上げることで、訪問団の内容の一端を県民に公開をし、感じたことを知事に幾つか質問し、提案をさせていただきます。
今回の調査訪問は、ロンドン、パリを三日間で十か所訪問をさせていただきました。テーマは、福岡県の観光、食、県産品のPRでありました。訪問先では、福岡県を応援するという励ましの言葉を頂きましたが、厳しい指摘も頂きました。まず、ロンドンでもパリでも福岡県の知名度は大変低い。日本で知られているのは東京、京都、富士山だと。福岡県がどこにあるかも知らないという厳しい指摘。しかし、福岡県のことを少し調べれば、人口は五百十万人、アイルランドと同規模、将来五百五十万人になれば、ノルウェー、フィンランド、
スコットランド等独立国と同じだと分かる。福岡県は独立国と同等の自覚を持っていただきたいという指摘がありました。別の方からは、福岡県は九州のリーダーとして仕事をしていただきたいという要望もございました。
次に、共通して指摘があったのは、日本人は謙虚が美徳と言いますけれども、この国では通用しません。いいものであっても売れるとは限らない。しかし、自信を持って付加価値を説明できれば、ブランディング次第で文化も観光も県産品も高く売ることができるという指摘でございました。幾つか具体例を挙げて質問をさせていただきます。
まず、イギリスで緑茶について伺いました。その方は、日本の緑茶は世界一だと絶賛しておられました。さらに、緑茶は入れ方次第で幸福感が得られるし、医療の面からメンタルヘルスの効用もあると期待をされていると教えてくれました。
私から緑茶を有機栽培で作ると毎年味が変わることについてどうかとお聞きをいたしますと、この国では農薬をとても嫌います、しかし、コーヒーもワインも毎年味が変わることを楽しんでいます。緑茶も同じです。このことはお客にも伝えておりますし、どこで誰がどのようにして作っているのかというストーリーも伝えております。福岡県でも有機栽培の茶園を広げてほしいとの要望がございました。
また日本老舗の和菓子屋がパリに出展をして三十年以上になるが、緑茶の文化がパリに広がるまでは売れなかった。緑茶の文化が広まると同時に和菓子に
アレルギー成分が少ないという健康志向も重なり、今は黒字経営ができている。健康志向の飲物として緑茶が好まれるとの指摘がございました。
そこで質問です。イギリスやフランスでの御指摘を参考にすれば、今よりももうかる八女茶の輸出が実現できるのではないかと私は確信します。現在、八女茶の有機栽培は少ないとお聞きしています。八女茶の有機栽培における生産面の課題と今後の対応について、知事のお考えをお聞きします。
次に、観光についてでございます。イギリスで福岡県
観光セミナーに来られた八十社の旅行会社やメディアの方、
フランス旅行会社の方々と意見交換の中でも共通していたものは、福岡県の知名度の低さでありました。しかし、意見交換を通じて福岡に興味を持っていただきました。イギリスもフランスも富裕層の旅行の人気は、二週間から一か月間の一貫した
ストーリー性を持たせた旅行企画が喜ばれている。宿泊先もホテルや旅館ではなく民泊が好まれている。特に人との触れ合いが感じられる旅が人気だということでありました。また交通手段は鉄道やバスの利用が好まれているようであります。
福岡を知っているという旅行会社からは、茶会、相撲観戦、スナック、屋台、インスタ映えでは南蔵院、フランス人は砂浜が好きというので糸島の深江の鳴き砂を紹介をしましたら、早速スマホで検索をされてありました。カキ小屋、酒蔵巡り、陶芸体験を紹介しました。歌舞伎は時間が長いと敬遠されましたが、大濠公園の能、狂言を伝えますと、狂言はパリでも人気、外国人でも理解できるように工夫してほしいと要望を受けました。
そこで質問です。イギリスやフランスの旅行会社は
ストーリー性のある旅を企画をしています。今後、旅行商品をつくる際には、
ストーリー性のある旅行企画や民泊、陶芸体験など、人と人をつなぐ旅をつくるよう働きかけてはどうでしょうか、知事のお考えをお聞きいたします。
次に、大濠公園の能楽堂についてでありますが、能や狂言など外国人が楽しく理解できるような仕組みを取り入れてはいかがでしょうか。そして、
ホームページを英語以外の外国語での紹介も掲載できるように工夫してはいかがでしょうか。知事の答弁を求めます。
この項の最後に、農林水産物を含む県産品の輸出拡大について伺います。最後の訪問地パリにある飯塚出身の茶懐石あきよしの
秋吉雄一朗シェフからの提案であります。秋吉シェフは出店から一年目でありますが、今年ミシュランの一つ星を獲得をされました。徳島県が県産品の農林水産物や調味料を使って秋吉シェフが調理をし、フランスのバイヤーやマスコミに食べてもらい食材や器など県産品の輸出につなげている。このことがパリでも評判になっているとのこと。
知事に提案であります。福岡県も徳島県の取組事例を参考にしながら、福岡県の農林水産物を含む県産品の輸出拡大を図ってはいかがでしょうか、知事の答弁を求めます。
そのほか、ロンドンでは、柳川観光大使で緑の魔術師と言われる
石原和幸代表の庭でまちをつくるという発想の転換、福岡県の緑視率を上げてほしいとの要望、パリの県人会の方からは、フランスの出生率と子育て支援などを御教示いただきました。このことを御報告しておきたいと思います。
次に、福岡県が取り組む半導体と水素について知事に伺います。半導体産業につきましては、熊本県に誘致をされた
半導体工場TSMCの九州経済への波及効果は十年間で二十兆円に上ると想定をされています。このため
公明党福岡県議団は、半導体産業の振興策を探るため、
公益財団法人福岡県産業・
科学技術振興財団が運営する三次元
半導体研究センターを視察をいたしました。
同センターは二〇一一年の設立以降、県や大学と連携し、半導体に関する企業の技術開発や製品の試作、研究など一貫して支援をする国内唯一の公的機関として専門スタッフが常駐し、半導体のチップを立体的に積み重ねて高性能化を図る三次元積層の技術を研究する企業などをサポートしております。製造を前工程と言うならば同センターは後工程と呼ばれています。半導体の後工程の技術革新こそが、半導体の将来を決めるとも言えます。
しかし、この三次元
半導体研究センターでありますが、設立から十年以上がたち、装置が古くなり、新しい業界ニーズに対応できなくなっているのではないかと考えます。また視察時にお聞きしましたが、センターの研究員はほかの企業からも驚かれるほどの少ない人数で研究支援を行っているとお聞きをしました。新しい業界ニーズに応えるためには体制の強化や新たな取組も必要と考えますが、知事の決意をお聞かせください。
半導体技術は、今の電子処理を光に置き換える光電融合という技術を半導体内部に組み込めば、電力消費量は百分の一に抑えることができるとお聞きをしております。本県の取組が後れを取らないよう強く要望しておきます。
次に、私たちは県が昨年八月に開設をした、
福岡半導体リスキリングセンターのお話をお伺いいたしました。センターでは半導体分野の人材養成に向け、社会人を対象とした基礎から応用までの幅広い講座を提供しています。同センターには
黒田忠広東京大学大学院工学系研究科の教授が就任をされ、このことで超一流企業の講師陣が公開講座に名を連ねていただいております。県内の
中小企業従業員が、一定要件を満たせば受講料が実質無料になるのも特徴であります。
黒田センター長は、福岡から半径千五百キロには、ソウル、上海、台湾、北京があり、半導体のポテンシャルは高いと評価をされ、九州は東アジア・
ハイテク産業の中心になり得るとおっしゃっております。そのためには、世界の頭脳を引きつける都市づくりが必要とも言われておられます。知事は、本県を世界の頭脳を引きつける半導体拠点とするためにどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。
次に、
リスキリングの拡大であります。同センターの担当者は、県内外から多くの受講申込みがあり、五年間で二万五千人の育成を目指すと述べられました。同センターの受講者はウェブの受講も可能なことから、北海道や東京、名古屋など、福岡以外にも広がっていると説明がありました。
黒田センター長は、二〇二五年までに世界で八千五百万人の仕事がなくなると同時に九千七百万人の新たな仕事がつくられる。第四次産業革命の真っただ中を生き抜くキーワードが
リスキリングだと言われ、さらに、これまでの学歴社会から学習歴社会が問われる時代を迎えようとしていると示唆をされております。
知事に提案であります。同センターの公開講座でありますが、ウェブで繰り返し聞くことができるようにして、高校生や文系大学生などにも門戸を広げてはいかがでしょうか。
リスキリングの動機づけにもなり半導体の学習歴社会の入り口をつくることができると思いますが、知事の見解をお聞かせください。
次に、
水素エネルギー製品研究試験センター(ハイトレック)を訪問し、渡邊正五理事長からセンターの概要と施設を御案内いただきました。この施設は、福岡県の水素戦略に掲げる
水素エネルギー新産業の育成・集積を推進するために設立した
公益財団法人であります。あらゆる水素関連の製品の耐久性試験や民間企業との
共同研究開発などを通じて
水素エネルギー新産業への参入を支援すると掲げられております。確かに渡邊理事長の采配で実施件数も順調に増加し、最近では自動車関連だけではなく、
インフラエネルギーとしての水素部品に広がっていると説明がありました。
知事に質問であります。水素はカーボンニュートラルの
キーテクノロジーとして位置づけられています。その取組の一つとして国の水素大規模拠点構築に対する支援への公募に向けて調査を開始をされましたが、どのように取り組むのか知事の意気込みをお示しください。
次に、人材育成についてでありますが、九州大学で水素の最先端を学んだ学生が東京、中京の企業などに人材が流れているとお聞きします。このような人材の受皿となる本県の
水素エネルギー新産業の育成・集積について、どのような取組をしてきたのか、また今後の取組をお聞かせください。
次に、孤独・孤立対策について伺います。元
厚労事務次官、現在は内閣官房孤独・
孤立対策担当室政策参与である村木厚子氏によれば、
生活困窮者自立支援法制定の際、
困窮者支援関係者は困窮者に共通する課題として、複数の困難を抱えていること、社会的なつながりが切れていることだと指摘をされ、課題克服のために、二〇一三年
生活困窮者自立支援法が制定をされました。
孤独・孤立をめぐる問題は、雇用環境の激変、
インターネット普及等に伴う生活環境やライフスタイルの変化、単身世帯の増加、地縁血縁によるつながりの希薄化が背景にあり、近年のコロナ禍の影響により、顕在化、深刻化してきました。
政府も動き出し、二〇二一年、二二年、二三年、三度の
全国実態調査を実施、直近の調査結果では、孤独をどの程度感じるのかとの問いに対しまして、しばしばある・常にある、時々ある、たまにあるの合計した割合は三九・三%、年齢別では二十代から五十代が高く、特に三十代では四六・一%が孤独を感じているという結果になっております。
政府は、二〇二一年二月孤独・
孤立担当大臣を新設、同担当室を立ち上げました。同年三月には孤独・孤立対策に関する
連絡調整会議の定期的開催、六月には骨太の方針に同対策の基本的な方向性が盛り込まれ、
関連フォーラムも十回にわたり開催をされております。同年九月の第六回は北九州市で開催をされました。八月には
各種支援制度や相談先を一元化し発信する
ホームページを作成、十二月には重点計画を策定、翌二二年二月に孤独・
孤立対策官民連携プラットフォームが設立をされました。今年四月には孤独・
孤立対策推進法が施行され、国もスピード感を持って取組を進めておられます。
地方の取組として、北九州市では前述した
フォーラム開催を皮切りに、二一年十二月に
庁内プロジェクトチームを設置、翌二二年二月には北九州市孤立・
孤独対策等連携協議会を設置をしました。二二年、二三年と連続して地方版孤独・
孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業に採択をされるなど取組を進めておられます。
今まで北九州市では協議会を七回、研修会を三回開催、二二年四月には自治体初の取組として、悩み事に合わせた支援を案内するお
悩みハンドブックをネット上で公開、同時に各自治体に合わせてカスタマイズできる仕組みも提供しております。二三年七月には北九州市独自で、人々のつながりに関する実態調査を実施し、固有の課題把握に努めております。国が定めた孤独・
孤立対策強化月間である五月には、啓発動画の公開、
支援機関向けの研修会を開催するなど積極的に推進しております。都道府県単位でも北海道など八道県が具体的に取組を開始をしています。
以上の点を踏まえ、知事に質問いたします。二二年度より地方版孤独・
孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業の公募が開始をされ、地方自治体でも取組が始まりました。また国から都道府県等各自治体に向け、協議会の設置・運営に関するガイドラインの設定に向けて、通知が出されたところであります。孤独・
孤立対策推進法も本年四月施行されました。国も指摘をしているように、孤独・孤立問題の支援には、福祉部門にとどまらず、就労、住宅、教育など多岐にわたる行政部門、民生委員、保護司、
社会福祉協議会、商工会、商工会議所や一般企業、商店街、NPOなどの
民間支援機関など多種多様な関係者が連携をしなければなりません。そのためには、関係者相互の連携を機能させる仕組みが必要であります。この仕組みが機能すれば、例えば自殺対策、困窮者支援、ひきこもり支援など、ともすればばらばらに取り組んできたことが、孤独・孤立に起因する多様な課題に対する支援体制が構築できるのではないかと考えます。声を上げやすく、かけやすい社会実現に大きな一歩となります。県として、孤独・孤立対策に関する現在の国や地方の動きの中、多種多様な関係者が連携した仕組みづくりなど、孤独・孤立対策にこれまでどう取り組み、今後どう取り組んでいかれるのか、知事に伺います。
次に、生きづらさを抱える若者への支援について伺います。私たちの下には、家族を離れ、行き場のない未成年を含む生きづらさを抱える若者の声が届いております。例えば警固公園に集まる青少年は警固界隈と呼ばれ、東京のトー横界隈、大阪のグリ下と並び称され、中には麻薬や売春の犯罪に巻き込まれている若者がいます。
国は、一昨年五月、困難な問題を抱える女性を支えるための、
女性支援新法が成立をし、それを受け福岡県もこの三月には、福岡県困難な問題を抱える女性への支援に関する基本計画を策定をしました。
この基本計画に示されている四つの課題は、生きづらさを抱える若者たちの課題と共通をしています。私たちが、県が策定をした基本計画の中で示されている四つの課題に着目をし、先進事例を視察をしてまいりました。以下、福岡県の若者の課題解決のために質問をいたします。
基本計画の第一の課題は、相談機能の強化であります。私たちは、
トー横キッズの
相談機能強化に取り組む東京都庁に伺い、その取組を聞いてまいりました。都は、今年の一月トー横近くに相談所を設置を設け、携帯の充電とWi─Fi、軽食を提供したところ、十日間で延べ二百九十五人の若者が来所し、徐々に打ち解け、様々な相談につながったとお聞きしました。その結果を受け、新宿区と連携をして五月三十一日から相談窓口を継続すると決定をされました。
本県にも警固公園に集まる警固キッズがいます。警固公園には交番があり、その隣に福岡市の小さな集会所があります。相談機能の強化について福岡市と共に取り組んではいかがでしょうか、知事のお考えをお聞きします。
基本計画の第二の課題は、潜在化している支援対象の早期把握と支援の提供であります。要支援者をどう把握するのか、大変難しい課題であります。私たちは、横浜を拠点として活動するNPO法人第三の家族のウェブを使った
支援ツールnigerunoについて
奥村春香代表にお話をお聞きしました。
第三の家族は、法人化して一年でありますが、既に三万人の若者が登録をされ、福岡県からも千人の登録者がいます。第三の家族は、虐待ではないが家族が居場所ではない少年少女は四人に一人に上ると分析をしています。しんどくなる前にどう気づかせるか、言葉にならないもやもやを可視化するために
nigerunoという手札をサイトに用意をして提供しています。例えば子供食堂や病院など日常的に困ることへの支援を八十種類の具体的な情報として提供しておられます。
さらに、奥村代表は東大の学生と連携をし、効果の分析も行っています。県が課題とする潜在化している支援対象の早期把握と情報の提供について、第三の家族らと連携し協働してはいかがでしょうか。知事の答弁を求めます。
第三の課題は、民間団体等、関連機関の協働・連携による支援。第四には、状況に応じ一時
保護等民間シェルターや
社会福祉施設の活用であります。私たちは東京で活動している
NPO法人BONDプロジェクトの
橘ジュン代表にお話を伺いました。
橘代表は、目の前で困っているその子を救いたいと、全国を活動範囲として活動しておられます。北九州市にある女性の救援に行きましたけれども、失敗に終わりましたという体験談もお聞きをいたしました。橘代表は、中長期的な支援なら行政の支援が望ましく、私たちはその橋渡し役も務めてまいりましたと言います。しかし、以前は一時保護をすることが誘拐と誤解されることもあったといいます。最後に、我々のような取組をする団体を福岡県にも広げてほしいと要望もいただきました。本県では、支援団体等の連携をどのようにしていくのか、知事の答弁を求めます。
次に、薬剤耐性菌と
下水サーベイランスについて伺います。現在、世界では、抗生物質などの抗生薬が効かなくなる薬物耐性を持つ細菌の発生により、医療機関で患者に対して適切な治療や手術の際の感染予防などが困難になるサイレントパンデミックが多く発生しております。
世界では、現在、関連死も含めて年間約五百万人が命を落としているとも言われており、厚労省の報告書によりますと、国内での主要な耐性菌による死者数は、近年では八千人前後と発表されております。なお、国連はこのまま何も対策を取らなければ、二〇五〇年までには世界では年間一千万人が死亡するとの予測をしております。
国においては、平成二十八年に
薬剤耐性対策アクションプランが策定をされ、令和五年には新たな
アクションプランが取りまとめられたところであります。厚生労働省は、ヒト・動物・食品及び環境の各分野における薬剤耐性菌などの現状及び動向を、
ワンヘルス動向調査年次報告書で公表しております。本県においても、
薬剤耐性菌対策は、福岡県
ワンヘルス推進基本条例や同
推進行動計画において基本計画の一つとして定め、取組が進められているところであります。
そこで、本県として
薬剤耐性菌対策については、どのような取組をされているのか伺います。
次に、
下水サーベイランスについてであります。さきのコロナ禍では、日本の感染症に対する危機管理の脆弱さが露呈したものだと言えます。そして、このことから次なる新たな感染症の危機に、迅速にして的確な対応ができるように必要な体制を整えていくことは、SDGsの目標である、すべての人に健康と福祉をという観点からも重要だと思われます。
そこで、感染症の疫学調査の一つとして
下水サーベイランスというのがあります。
下水サーベイランスとは、下水の検査から、新型コロナや
インフルエンザなどの感染状況を把握する調査手法の一つで、先ほどの薬剤耐性菌といった細菌も検出することができます。これは、感染者や回復した人が排出した唾液やふん便が含まれる下水を検査して、ウイルスを分析し、様々な感染症の発生動向を把握するものであります。
我が党としましても、数年前から、
下水処理施設の視察や、関係者との意見交換を行い、国会審議の中で政府に対して、
下水疫学調査・
下水サーベイランスの活用・普及を訴えてまいりました。
新型コロナウイルス感染症の全ての患者情報を集める全数把握が、二類相当から五類に移行したことによって、大がかりな詳細調査が昨年の五月になくなりました。正確な感染状況が見えづらくなっている現在、公衆衛生の強化に向けた新たな調査方法が求められていたところだと私は思います。
利点としては、唾液などを人から直接採取する必要がなく、個人情報を得ることなどの作業を行う必要もなく、地域の感染状況をつかめるメリットがあるわけでありますから、既に二〇二二年度には、内閣官房が試験的に実証実験を行っておりまして、高齢者施設などの下水を採取した実証事業では、その施設に感染者がいるかどうかをかなりの高い確率で検知することに成功したと言われております。
関係する協会の担当者からは、全国の二百か所で調査拠点を設置することができたら、国内人口の約五〇%の感染状況が把握できるとの指摘がありました。
先進的な自治体として、札幌市は二〇二一年から北海道大学と連携をして、この調査を開始をして、二〇二二年十月からは、
コロナウイルスだけではなく、
インフルエンザウイルスの調査も始めています。同市は市民間の情報共有のために、毎週、市の
ホームページ上で調査結果を公開しており、そのアクセス数は毎月六万から七万件に上っていることで、市民にとっても情報収集や予防対策の事前の意識づけとして大きな効果が出ているようでございます。
なお、この
下水サーベイランスは、
コロナウイルスだけではなく、
インフルエンザ、ポリオ、
ノロウイルスなどの
病原性微生物も検知できることも特徴的であります。
そこで、この
下水サーベイランスは有効な調査方法だと思いますが、本県としても進めてはどうかと考えます。知事の所感を伺います。
次に、デコ活について伺います。
東京大学大学院の茅根教授が研究代表を務める、地球温暖化に挑む
海洋教育プログラムの実践結果を伝える研修会が昨年行われました。その中で、近年の異常気象の要因とされる地球温暖化を防止するには、地球温暖化について、正しく知る、深く考えるとともに、地球温暖化に対しよりよく行動するため、身近な衣食住の生活を通して温暖化の緩和策に努める重要性が指摘をされ、そのための教育の必要性が訴えられました。地球温暖化の防止には、一人一人の日常生活、行動様式を足元から見直す啓発や学びを社会全体に広げていくことが大切であると考えます。環境省では、二〇五〇年カーボンニュートラル及び二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現に向けて、国民・消費者の行動変容、ライフスタイル変革を強力に推し進めるため、新しい国民運動デコ活を一昨年から展開中でありますが、デコ活という言葉の認知度は、全国調査の結果、二五%と十分に浸透していないように感じます。
デコ活とは、脱炭素を意味する英単語デカーボナイゼーションと、エコを含むデコと活動・生活の活を組み合わせた造語であります。LED照明や住宅の断熱化など環境に優しい製品・サービスの利用や、ごみ削減といった具体的な取り組み方を示し、新しいライフスタイルへの転換を促すものであります。
本県でも
水素エネルギーの活用、ブルーカーボンやグリーンボンド等の脱炭素に向けた県独自の事業を展開しておりますが、国と連携してデコ活を浸透させていくためには、ライフスタイルの転換を促すための取組をしっかり進めていく必要があります。昨年、県は日々の活動の中で、デコ活の取組を後押しするデコ活宣言を行ったと聞きます。そこで、福岡県におけるデコ活について、何点か知事にお尋ねをいたします。
まず、福岡県におけるデコ活を進める意義とデコ活という言葉の認知度について、知事の御所見をお尋ねいたします。
次に、デコ活の取組を後押しし、ライフスタイルの転換を促すためには、県民に対し、無理や我慢を強いるのではなく、自発的に取り組みたいと思えるよう工夫する必要がありますが、県はそのために重要な教育や啓発をどのように行っているのか、また行っていくのか伺います。
最後に、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、啓発にとどまらず、デコ活の実践、すなわち県民の新しいライフスタイルへの転換をさらに進めていくために、今後どのように取り組んでいくのか知事の御見解をお尋ねし、この項の質問を終わります。
次に、中小企業支援について伺います。近年、共働き世帯の増加と核家族化が進む中、育児と仕事や介護と仕事の両立は喫緊の課題であります。さらに、晩婚化の影響から、育児と介護を同時に行うダブルケアも深刻な問題であります。
国は、仕事と育児・介護を両立しやすい職場環境整備に取り組む事業者に対し、両立支援等助成金を支給しています。これまでの五つのコースに加え、令和六年度から新たに柔軟な働き方選択制度等支援コースが新設をされました。この助成金を活用すれば働く方にとっては離職することなく、また事業者にとっては人材を確保することができ、双方にとってメリットの大きい制度であります。
事前に本県における直近三年間の両立支援助成金を活用した事業者数を尋ねたところ、令和三年度と令和四年度末は約一千四百件、令和五年度は約一千件となっており、本県の中小企業数が約十三万五千社であることを踏まえると、まだまだ活用の余地があるものと考えます。
実際に中小企業の方々にこの助成金のことを紹介をしますと、多くの企業が御存じないことが多く、助成金に対して手続が面倒そう、難しそうという理由で申請をしていない企業も少なくありません。中小企業で働く皆さんが、仕事と子育てや介護等を両立していけるよう、事業者が本補助金をしっかり活用していくことが大事であります。
このような中、本県では働き方改革推進事業ポータルサイト、働き方かえるばいを開設し、両立支援等助成金をはじめとする各種助成金、働き方改革の基礎的な事項や各種セミナーの情報、さらには魅力ある職場づくりを推進し、若者、女性、高齢者など様々な人の多様な働き方を実現する企業である、よかばい・かえるばい企業の紹介など、大変充実した内容となっております。
またサイト上では、よかばい・かえるばい企業の業種、地域、取り組んでいる項目や介護応援宣言企業、くるみん認定企業などの検索ができるなど、地域の方にとっても企業の取組が見える化されているため、企業を選択する際の安心感にもつながっております。
しかしながら、よかばい・かえるばい企業の登録数は令和六年四月末時点で千三百五十五件にとどまっており、さらなる周知が必要と考えます。そこで、働き方改革推進事業ポータルサイトのさらなる周知及び県内中小企業にとって有益である両立支援等助成金のさらなる活用の促進について、今後具体的にどのように取り組んでいくのか、知事に伺います。
次に、本県発注の建設工事の入札における総合評価の新たな評価項目についてお聞きをいたします。近年、労働生産人口の減少により企業の人材確保が大変難しい時代になり、建設業も若手の人材不足が深刻であります。現場の方々にお話を伺うと、いわゆる三Kのイメージがなかなか拭えず、ほかの業界に比べてDX化も進んでいないために長時間労働が常態化しているとのこと。それにより、さらに若手の採用が進まない負の連鎖に陥り、職人の高齢化も進展しているようであります。
私は、若手人材の確保に尽力する企業を制度面で後押しする意味でも、総合評価の評価項目に新たな多角的評価が必要な時代であると考えます。
国においてはDX化の取組の一つとして、三次元設計データ等によりICT建設機械を自動制御し、生産性向上を図る、ICT活用工事の普及に努めていると聞いております。これにより、経験の少ない人でも熟練者と同じような作業が可能となるほか、DX化による労働環境の改善など、業界のイメージアップにつながると思われます。
総合評価の評価項目に目を向けますと、他県の事例では、北海道が若手社員の奨学金返済の支援という項目を設け、若手採用に努力する企業を評価する体制を整えております。
そこで、知事に伺います。例えば先ほど説明したICT活用工事の取組や奨学金返済の支援以外にも、一定の女性技術者の確保、女性技術者がストレスなく働ける環境整備など、新たな項目で評価することを検討してはいかがでしょうか。新たな面から企業を評価し、そういった企業を増やすべく政策的に推進していくことが、業界イメージの転換につながり、若手人材の確保の一助になると考えます。知事の御見解をお聞かせください。
次に、高校での特別支援教育について伺います。小中学校などで通級、特別支援学級の対象者別数はこの十年間で約二・六倍の二万四千四百四十四人となっており、年々増加をしています。
令和五年三月に公立中学校を卒業した生徒について、通級指導を受けていた生徒二百八十五名の主な進路先は、全日制公立高校が七十五名、全日制私立高校が百三十八名、特別支援学校高等部が一名となっています。
また特別支援学級の生徒一千五百六十二名の主な進路先は、全日制公立高校が二百三名、全日制私立高校が三百九十八名、特別支援学校高等部が四百八名となっております。
このように、高校でも支援が必要な生徒が増加をしており、その対策は急務であります。以前は中学卒業後の障がいのある生徒の学びの場は、主として高校の通常学級または特別支援学校高等部に限られておりましたが、平成三十年度に高校における通級指導が制度化をされたところであります。
そこで、教育長にお尋ねいたします。現在、通級による指導がどのように行われているのか。支援を必要とする生徒に十分対応できているのか伺います。
次に、高校では特別支援学級は制度化されていないが、中学校で特別支援学級に在籍していた生徒が県立高校に進学した場合、どのような支援を行っているのか。支援を必要とする生徒に十分対応できているのか伺います。
次に、私立高校での支援について知事に伺います。通級による指導を受けた令和五年三月中学卒業者で全日制の私立高校へ進んだ生徒は約四八%を占め、特別支援学級卒業者では約二五%で、本県では私立への進学も多くなっています。ちなみに特別支援学級で学んだ生徒で通信制高校を選択された生徒は三百七十五名で約二四%となっています。
そこでまず、全日制の私立高校において、特別支援教育を必要とする生徒を受け入れている学級数と、その学校がどのような取組を行っているのかお答えください。また本県は全日制の私立高校において特別支援教育が進むようどのような支援を行っているのか、知事にお伺いします。
今後も、障がいがあり支援が必要な子供が高校で学ぶことが予想されます。障がいのある子供とない子供が共に学び、共に育つインクルーシブ教育の推進のためには、支援が必要な子供に対して、小中高と切れ目のない支援をすることが必要と考えますが、教育長の御所見を伺います。
次に、警察本部長に伺います。SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺急増について、警察庁は一一三月のSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺の被害額が二百八十億円に上り、前年同月比の四・五倍に急増したと発表いたしました。SNS型投資詐欺の被害件数は一千七百件で約六倍、被害額は前年同月比の二十九億円から七・五倍の二百十九億円、ロマンス詐欺の件数、被害額ともに前年同月比の二倍に増加と報じております。投資詐欺では、フェイスブックなど著名人などの画像を無断使用する広告から誘導し、なりすましや信用させる手口など巧妙化し極めて深刻な状況であります。あらゆる媒体を使い悪質な手口を県民に周知させ、注意喚起を促すなど対策を強化すべきであります。
全国では広域で犯罪を続ける詐欺グループを警察の総合力で摘発強化する特殊詐欺連合捜査班を、警察本部では組織犯罪捜査課を立ち上げましたが、一向に減る気配がありません。本県の詐欺被害の現状とその対策、撲滅へ向けての県警察本部長の決意をお聞かせください。
以上で、質問を終わります。(拍手)
3 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。
まず、八女茶の有機栽培についてお尋ねがございました。八女茶の有機栽培の面積は約三十ヘクタールとなっておりまして、全面積の二%弱にとどまっております。その原因として収量や品質の面で病害虫の影響を受けやすいことや、有機質肥料の施用だけでは効果が安定しにくく、八女茶の特徴でございますうまみを十分に出すことが難しいこと、加えて周囲からの農薬の飛散防止が困難であることなど、生産面の課題が挙げられます。このため県では普及指導センターにおきまして、有機栽培に取り組む農業者に対し、使用可能な生物農薬の選定や有機質肥料の効果的な施用時期、有機栽培に適した圃場の選定などの指導を行っているところでございます。
また農林業総合試験場におきましては、国や他県の研究機関、大学と連携し、収量や品質を向上でき、省力化が図られる有機栽培の実証試験を行っておりまして、その成果につきまして、早急に普及をさせてまいります。
県といたしましてはこのような取組により、有機栽培における生産面の課題を解決し、収量の向上と品質の安定化を図り、有機栽培に対する需要の大きい欧米にプレミアム価格の八女茶の輸出拡大を目指してまいります。
ストーリー性があり地域の方と交流できる旅行の企画についてでございます。今回のロンドン、パリ訪問では、林肇在英国特命全権大使から、どういう土地でどういう人がどうやって物を作り、どんな歴史・文化があるのか。観光でヨーロッパから人を呼び込むためには、ストーリーが大事だという助言を頂きました。県ではこれまでも欧州のヨーロッパの旅行客の関心が高い歴史・文化をテーマとしまして、古民家に宿泊し、土づくりから絵付けまで窯元の指導を受ける小石原焼の陶芸体験、あるいは柳川藩主立花家当主から歴史、文化を学ぶ柳川巡りといった
ストーリー性があり地域の方と交流できる旅行商品の造成に取り組んでまいりました。今年度もデザインの図案から藍染めまで体験できる久留米絣弟子入り体験などの造成に取り組んでおります。
今回のロンドン、パリ訪問では、健康や環境への関心の高さを実感いたしましたことから、今後八女茶の産地を訪れ、生産者と交流し、お茶の効能や生育環境、さらに茶道文化を学ぶツアーの造成なども検討してまいります。
今後もこうした旅行商品の造成やツアー催行の働きかけを行い、ヨーロッパからの誘客にしっかりと取り組んでまいります。
大濠公園能楽堂における外国人対応についてでございます。外国人の方に、日本を代表する古典芸能であり海外でも注目されている能や狂言の能楽の魅力に触れていただくことは重要であると認識をいたしております。
大濠公園能楽堂では、外国人の方が施設見学にお越しの場合は、能楽協会が作成した英語の字幕つき動画を用い、能楽の歴史や魅力、能舞台の基本構造などを説明いたしております。また今年度からは新たに、ふだん能楽を鑑賞する機会の少ない県民や外国人の方にも広く能楽に触れていただく機会を創出いたしますため、十月から十二月にかけ能楽入門講座を開催いたします。今後、外国人の方に能狂言を楽しく理解いただくための効果的な方法につき、能楽協会九州支部と協議をすることといたしております。
大濠公園能楽堂の
ホームページにつきましては、能狂言について、より理解を深めていただける内容となりますよう今年度リニューアルを行う予定であり、今後新
ホームページの内容や多言語化対応等について、指定管理者と協議を行ってまいります。
県産品の輸出拡大についてお尋ねがございました。県ではこれまで海外のバイヤーの産地招聘や海外の量販店やレストランでの福岡フェア開催などを通じ、福岡県の農林水産物の輸出促進に取り組んでまいりました。昨年度は香港やタイなど五か国・地域のバイヤーを九回にわたり産地に招聘いたしますとともに、これを契機として、タイの高級レストランにおいて博多和牛やあまおうなどを使用したフェアを開催いたしました。
今回のパリ訪問では、福岡ゆかりのミシュラン一つ星の茶懐石レストランにおいて、旅行会社あるいはメディアの方との意見交換会を開催いたしました。秋吉シェフが福岡有明のりなどの県産食材を活用して仕立てた和食と、八女茶や県産酒のペアリングを高取焼などの器で提供し、参加された皆様には大変好評でありました。
こういったことを踏まえ、優れた県産食材を一流のシェフがすばらしい料理、作品に仕立て、本県の伝統工芸品に盛ってレストランオーナーやシェフなどの実需者に提供し、直接PRするという手法が、食材の取引を拡大するためには効果的であると感じたところでございます。今後はこうした手法を活用しながら、県産品の輸出拡大に取り組んでまいります。
次に、三次元
半導体研究センターについてでございます。年々高度化する三次元積層技術等の新たな業界ニーズに対応いたしますため、今年度から新たに企業版ふるさと納税を活用して最先端の機器を導入する取組を始めます。人材も必要でございます。併せて最先端技術に精通した研究員も配置をしまして、よりきめ細かに企業の研究開発を支援してまいります。
さらに、センターと企業、大学から成る最先端実装研究会を新たに立ち上げ、企業間の共同研究を促し技術力の向上を図ってまいります。こうした取組を通じ、企業の新たな研究開発ニーズに的確に対応を行ってまいります。
世界の頭脳を引きつける半導体拠点とするための取組についてお尋ねがございました。本県には半導体を作る側と、そして使う側、いずれもの優れた企業が集積をいたしております。また九州大学をはじめとする理工系の大学あるいは高専など、高度人材を育成する教育機関も集積をいたしております。さらに、半導体人材を育成する
福岡半導体リスキリングセンターや、先ほど申し上げました三次元
半導体研究センターという、他県に例を見ない公的支援機関を有しております。そして、二つの国際空港や港湾、高速道路などの充実した交通網、グリーンで安価な電力など、企業活動を支えるインフラが整っております。
さらに、本県は今月四日、国の金融・資産運用特区に選定されました。県ではこうした強みを生かしまして、引き続き、半導体関連企業の集積、人材の育成確保などに取り組みますとともに、今後この金融特区を活用し半導体産業のエコシステムの形成を図り、国内のみならず世界から多くの人、企業、そして英知が集まる世界から選ばれる福岡県を実現してまいります。
福岡半導体リスキリングセンターのウェブ講座の実施についてでございます。半導体に関わる人材を増やしていくためには、文系の学生など半導体について学習する機会がない方に対しても広く半導体を学んでもらうきっかけをつくることが重要でございます。
このため、
福岡半導体リスキリングセンターでは、受講者のレベルに応じて開催をいたしております公開講座のeラーニング化に取り組みますとともに、
黒田センター長のこれからの半導体人材の育成をテーマとした基調講演などをウェブで公開いたしております。さらに、今年夏頃には、高校生や文系大学生にも分かりやすく半導体の役割や仕組みが学べる半導体超入門講座をeラーニングで公開する予定でございます。
今後もこのようなウェブを活用した受講プログラムを順次充実させることとしておりまして、半導体産業を支える人材を一人でも多く創出できるようしっかりと取り組んでまいります。
次に、水素大規模拠点構築に向けた取組についてでございます。先月、水素の拠点化を目指す事業者への支援を盛り込みました水素社会推進法が成立をいたしました。夏頃には、水素供給インフラに係る詳細設計に対する国の支援事業の公募開始が見込まれますなど、拠点指定に向けた動きが具体化をいたしております。
この公募に向け、私が会長を務めております福岡県水素拠点化推進協議会に参加をいただいております伊藤忠商事や九州電力、日本製鉄、西部ガスなどの企業が水素などのサプライチェーン構築に向けた事業可能性調査を開始いたしました。
現在、この調査において、国内外での水素製造体制や受入れ貯蔵設備などの輸送インフラの整備について具体的な検討を行っており、今後より詳細な仕様の検討やコストの試算を進めてまいります。
国の指定を得るためには、安定的かつ大量の水素供給が可能な海外からの輸入水素を確保することが重要でございまして、県では水素の輸入を視野に入れた海外との連携を推進しております。このため今年度は、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の政府関係者や企業による水素受入れ予定地の現地確認や県内企業との商談を行う予定でございます。
脱炭素化への対応を経済成長の好機と捉え、経済と環境の好循環をつくっていくため、何としても国の指定を獲得し、本県に水素大規模拠点を構築することを目指し、引き続き取組を進めてまいります。
水素エネルギー新産業の育成・集積についてでございます。先ほど申しましたように、この脱炭素化への対応というものを経済成長の好機と捉えまして、経済と環境の好循環をつくる、このことのために、福岡県水素グリーン成長戦略を立てまして、水素関連産業の集積に取り組んでいるところでございます。具体的に申しますと、福岡県水素グリーンイノベーションサポート窓口というものを設置し、企業の新規参入に関する相談にワンストップで対応しておりますほか、技術アドバイザーの派遣、製品開発に対する助成、展示会への出展支援を実施をいたしております。これらの支援により、世界初の液化水素運搬船や国産宇宙ロケット等に使用される重要部品など、四十件の県内企業による製品化が実現したところでございます。
現在県では、国による水素大規模拠点の指定や商用FCモビリティーの導入及び水素ステーションの整備を集中的に支援する重点地域の指定を目指しております。これが実現いたしますと、水素の製造や受入れ貯蔵設備、輸送インフラ、FCモビリティーなどに関連する産業の集積が期待されます。こうした取組により人材の受皿となる水素関連産業の育成、集積を推進し、グリーン水素で成長する地域を目指してまいります。
次に、孤独・孤立対策に係る取組についてでございます。孤独・孤立に至る要因は、健康、仕事、収入、結婚、住まい、人間関係などであったり、またこういった課題が複合的に関連したりしております。県では、このような住民の複合的な課題についての情報共有と、各支援機関の協力による問題解決のための多様なアプローチについて協議を行いますため、女性、DV被害者、ひきこもり、生活困窮者、就労などの支援を行います担当部署と、県
社会福祉協議会を構成員といたします住民包括的支援体制整備連絡会議を令和三年度に設置いたしました。この会議におきましては、市町村の相談窓口で活用していただきますため、各分野の支援機関、団体などの支援内容をまとめました福岡県社会資源名簿というものを作成したところでございます。
また多種多様な主体が連携いたしました相談対応、支援内容の検討、伴走支援など、具体的な手法につきまして解説をした手引を作成しまして、市町村の各分野の担当者を一堂に集めた研修会において配付、説明を行っております。
今般、孤独・
孤立対策推進法に基づき、国の講ずべき施策を定めた重点計画が策定をされました。この計画には、地域における包括的支援体制等の推進が盛り込まれております。これを踏まえながら、引き続き市町村における多種多様な関係者が連携した支援ネットワークの構築を図ってまいります。
いわゆる警固界隈に係る相談機能の強化についてでございます。県では昨年度、県警察と協力して警固公園を見回りまして、若者に声かけを行いました。警固公園に集まる若者は、学校のことや家族のことなど幅広い悩みを抱えていることから、福岡県若者自立相談窓口のチラシを渡しまして、この窓口の周知に努めたところでございます。今年度も引き続き実施をする予定です。この若者自立相談窓口では、生活あるいは就労のサポートを行う自立援助ホームなどの関係機関の情報を提供いたしますとともに、希望される方には同行支援も行いまして、福岡市の福祉事務所や、あるいは児童相談所につないでいるところでございます。
また、警固公園を所管しております福岡市とは継続的に意見交換を行っておりまして、今年度からは家庭や学校に居場所がない若者たちに福岡市のフリースペースを紹介しております。さらに、交番の横にございます自主防犯、非行防止等の活動拠点でございます福岡市市民局が所管いたしております警固公園安全安心センター、このセンターを相談場所として活用してまいります。
次に、潜在化している支援対象の早期把握と情報提供についてお尋ねがございました。県では、性暴力、性犯罪被害、予期せぬ妊娠などの問題を抱えやすい若年女性の方の支援の一環として、民間団体と連携をし、悩みを抱える方の早期把握のため、SNSを活用したアウトリーチを行っております。具体的には、SNS上で死にたいなどの言葉を検索をいたしまして、その言葉を投稿している方に対し個別にメッセージを送りまして、SNS相談などにつないでいるところでございます。男女問わず困難を抱える若者を支援につなげるために、民間団体の様々な取組を参考にしてまいりたいと考えております。
支援団体等との連携についてでございます。この若者自立相談窓口では、地域の民間支援団体と連携をいたしまして、官民問わず関係する相談員や支援員を対象とした事例検討などの研修会を年四回開催いたしております。
また、
女性支援新法の施行に伴いまして、県内の各団体の活動内容や得意とする分野を把握し、ケースに応じてそれぞれの団体の強みを組み合わせて支援することができる仕組みとして福岡県女性支援団体ネットワークを今年度新たに立ち上げ、意見交換会や研修会を実施してまいります。今後は、若者自立相談窓口が今申しましたこのネットワークとも連携をし、情報交換を行ってまいります。
次に、
薬剤耐性菌対策の取組についてお尋ねがございました。
薬剤耐性菌対策はワンヘルスを推進する上で重要な施策の一つでございます。県では院内感染の予防や抗微生物剤の適正利用を図りますため、医療機関を対象とした研修会を開催しております。このほか、医療機関に国が行います薬剤耐性菌に関する発生動向調査への参加も促しているところでございます。
また、家畜の感染予防を図ることで抗微生物剤の使用削減につながりますことから、畜産農場を巡回しワクチン接種を推進いたしますとともに、飼養衛生管理基準の遵守を指導しております。
このほか、家畜や犬、猫を対象とした薬剤耐性菌の保有状況調査等を行っております。さらに、自然環境への影響を把握するために、河川水における薬剤耐性菌及び抗微生物剤の実態調査を実施いたしております。加えて、薬剤耐性が懸念されておりますサルモネラ属菌等による食中毒を未然に防ぎますため、屠畜場、食鳥処理場の事業者に対し、HACCPに沿った衛生管理が適切に運用されているかを確認し、助言指導や衛生講習会を実施しております。
このほか、ワンヘルスフェスタやくすりと健康フェアなどのイベントやワンヘルス推進ポータルサイトを活用しまして、県民に対し医薬品の適正使用について普及啓発を行っております。引き続きこうした取組を通じて、
薬剤耐性菌対策を進めてまいります。
下水サーベイランスの活用についてでございます。県では、国内で根絶をいたしましたポリオウイルスについて、海外からの流入を監視いたしますため、平成二十五年度からその検出に有効な
下水サーベイランスを活用し、保健環境研究所で月一回検査を実施しております。現在、国におきましては、次の新興感染症等への備えといたしまして
下水サーベイランスの活用が検討されておりますが、下水処理人口、水量など様々な要因の影響を受け、ウイルスの検出精度にばらつきがある、また下水中のウイルス濃度と感染者数の定量的な関係が明らかになっていないなどの課題があるとされているところでございます。こうしたことから、国は引き続き
下水サーベイランスの活用について検討を進めていくこととしておりますので、県といたしましてもその状況を注視してまいりたいと考えております。
県がデコ活を進める意義と県内の認知度についてでございます。脱炭素社会を実現いたしますためには、県民一人一人が省エネ、省資源などの取組を継続して実践することによって脱炭素型ライフスタイルに転換していく必要がございます。国が展開しておりますデコ活は、国、自治体、企業、団体等が一体となって国民の皆様のライフスタイル転換を後押しするものであり、大変意義あるものと認識しております。国民運動の愛称として公募を行い、昨年七月に選定されましたデコ活の本県における認知度は、県が実施いたしましたアンケート調査によりますと、全国と同様でございますが二五%にとどまっております。県といたしましては、県民、事業者の皆様の省エネ、省資源などの取組促進を図りますとともに、デコ活の認知度も向上させてまいりたいと考えております。
県民の皆様の自発的な取組の推進についてでございます。県では脱炭素型ライフスタイルへの転換を促しますため、次世代を担う子供たちが地球温暖化問題を中心とした環境問題について自ら考え、行動を見詰め直すということができますよう、環境教育副読本や地球温暖化対策ワークブックを作成し、総合的な学習の時間などに活用されております。
また、省エネ、省資源に取り組む家庭をエコファミリーとして、スマートフォン上で登録できるアプリを運用しております。このアプリでは電気・ガス使用量の記録・グラフ化を簡単に行うことができまして、またエコ活動や環境イベントへの参加などでたまったポイントによって県産品が抽せんで当たるという特典もございまして、家庭における自発的な取組を促すものとなっております。今後もこれらの教育や啓発の充実によりまして、県民の意識醸成を図り、自発的な取組を推進してまいります。
ライフスタイルの転換をさらに推進するための今後の取組についてお尋ねがございました。県では昨年八月のデコ活宣言前から、先ほど述べましたような環境教育や地球温暖化防止活動推進による地域での出前講座などによる啓発を行いますことで、県民の皆様に脱炭素型ライフスタイルへの転換を図っていただくための取組を後押ししてまいりました。今年度からは新たにスケールメリットを生かして、太陽光発電設備等の購入費用を低減する共同購入の仕組みを活用し、太陽光発電設備等の導入を促進してまいります。五月から購入希望者の募集を開始したところでございます。このような取組を通して県民のデコ活の実践を後押しし、一人でも多くの県民の皆様が脱炭素型ライフスタイルに転換することによって、サステーナブルな社会の実現につなげてまいります。
次に、働き方改革推進事業ポータルサイトの周知と両立支援等助成金の活用促進についてお尋ねがございました。県では平成三十年九月から働き方改革推進事業ポータルサイトを開設をいたしまして、セミナーあるいは助成金の情報を掲載いたしますほか、働き方改革に積極的なよかばい・かえるばい企業、この取組を紹介することによりまして、県内中小企業における魅力ある職場環境づくりをサポートしているところでございます。このサイトをさらに活用していただきますよう、県や中小企業支援団体等の
ホームページやメルマガを通じ情報を発信いたしますとともに、中小企業雇用環境改善支援センターなどの相談窓口での案内、あるいはサイトへのアクセスを容易にするための二次元コードをチラシへ掲載する、このようなことによりまして県内中小企業に情報がしっかり届くよう発信力を強化してまいります。
両立支援等の助成金につきましては、これまで福岡労働局と共催で企業の人事労務担当者に助成金の内容を説明する研修会を実施してまいりましたほか、子育て応援宣言企業の
ホームページやメルマガを活用した情報発信、中小企業支援団体等を通じた中小企業への周知に努めてまいりました。今年度は新たに柔軟な働き方をテーマとするセミナーを開催をいたしまして、両立支援と助成金のメニューとして新設されました柔軟な働き方選択制度等支援コース、これを紹介いたしますとともに、制度を導入しようとする中小企業への社会保険労務士の無料派遣を実施いたします。こういった取組によりまして、この助成金のさらなる活用を促進してまいります。
総合評価の新たな評価項目についてでございます。総合評価方式の入札は、企業の実績や技術提案の内容など価格以外の要素を入札価格と併せて総合的に評価し、落札者を決定するものでございます。現在、評価項目の一つといたしまして、若年技術者を採用した企業を評価する項目を設定をいたしました。若手人材の確保に努力している企業を後押ししております。
このほかにも、昨年度からは業界団体と連携し、建設業の魅力発信と女性活躍をテーマとしたセミナーの開催やPR動画の配信などを行っております。また、土の掘削に自動制御の建設機械を用いるなどのICTを活用した工事や週休二日を原則とした工事の発注、積算に用いる労務単価の引上げなど、建設業の労働環境の改善にも取り組んでおります。御提案がございましたICT活用工事の取組や奨学金返済の支援、女性技術者の採用などを総合評価の新たな評価項目として追加いたしますことは、企業の規模の大小や都市部、地方部といった所在地によって企業の対応のしやすさというものが異なりますことから、実態を踏まえた十分な検討が必要であると考えております。今後とも様々な取組を通じ、建設業における若手人材の確保が進むよう努めてまいります。
全日制私立高校における特別支援教育の状況についてでございます。特別支援教育を必要とする生徒の受入れは、中等教育学校を含めた県内六十校のうち二十六校で行われております。これらの高校では対象生徒の受入れ体制といたしまして、全校的な支援方策を検討・共有する校内委員会の設置、校内の教職員や校外の専門家との連絡調整を行う特別支援コーディネーターの配置を行っております。五十名以上の生徒を受け入れている五校によりますと、長年毎年多数の対象生徒を受け入れる中でそれぞれの教員が身につけた経験による障がいの状態に応じた指導、あるいは生徒の状況を共有し、きめ細かな指導を行うための複数担任制の実施、関係教員による個別生徒ごとの支援会議の開催、あるいは障がいの状態による習熟度別や少人数の学級編制など、それぞれの学校の状況に応じてそれぞれ特色ある特別支援教育が行われているところでございます。
全日制の私立高校に対する特別支援教育の支援についてでございます。県では各学校の運営費補助におきまして、校内委員会の設置や特別支援コーディネーターや専任教員、生徒の介助を行う支援員の配置、さらには障がいのある生徒に適応した教育環境の整備、こういったことを対象として加算を行っております。また、障がいのある生徒に対応する教員への指導・助言を行いますため、希望する学校に臨床心理士などの専門家を派遣いたしますとともに、私学団体が実施する発達障がいや障がいによる不登校などに関する研修に対し、助成を実施しているところでございます。
5 ◯議長(香原 勝司君) 寺崎教育長。
*教育長答弁
6 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 県立高校における通級による指導についてでございます。県立高校においては平成三十年度から、ひびき高校、博多青松高校、明善高校、嘉穂東高校を拠点校として実施をしました。さらには、昨年度から、西田川高校、大牟田北高校においても、拠点校から教員を派遣するサテライト方式で実施をしております。通級指導は原則として週に二時間程度、生徒一名につき教員一名で個別指導を実施をしております。なお、昨年度通級指導を受けた生徒は九十九名であり、専任教員十四名、非常勤講師五名で指導に当たっております。また、担当教員に対しましては研修会を実施し専門性の向上を図っており、通級指導が必要な生徒のニーズに対応できていると考えております。
県立高校における特別な支援を必要とする生徒への対応についてでございます。県立高校では生徒個々に支援計画を作成し、生徒のニーズに応じた支援に取り組んでおり、医療的ケアを行う看護職員、介助・学習支援を行う支援員の配置、通級による指導などを実施をしております。
また、校内体制としては、全校で特別支援教育コーディネーターを指名をし、校内委員会を設置しております。さらに県教育委員会では、高校における特別支援教育に関して、巡回相談など医療、福祉、教育の専門家が指導・助言を行う仕組みも導入をしております。今後もこのような取組の充実によりまして、特別な支援が必要な生徒に対応してまいります。
小中高等学校における切れ目ない支援についてでございます。障がいのある子供の自立と社会参加を促進するためには、一人一人の教育的ニーズに応じた継続性のある指導と、そのための切れ目ない支援が重要でございます。県教育委員会では知事部局と連携をし、ふくおか就学サポートノートなどの活用による各学校間の引継ぎを確実に行い各学校における指導・支援の充実に取り組んできたところであり、今後ともインクルーシブ教育の観点から切れ目ない支援を実施をしてまいります。
7 ◯議長(香原 勝司君) 岩下警察本部長。
*警察本部長答弁
8 ◯警察本部長(岩下 剛君)登壇 初めに、SNS型投資、ロマンス詐欺の現状についてお答えをいたします。これらの詐欺は、SNS等を通じて被害者と対面することなく、投資や結婚に興味を抱かせながら関係を深めて信用させ、インターネットを利用した振込などの方法により金銭をだまし取るものであり、昨年下半期から全国的に急増しております。本県においても本年四月末時点で認知件数が二百十件、被害額は二十三億四千万円を超えるなど、全国と同様に極めて憂慮すべき状況にあります。
次に、対策についてお答えをいたします。対策の柱は予防と検挙であります。予防については何よりも被害に遭わないことが第一であることから、絶対もうかるや元本保証の表示がある投資話は詐欺である、著名人の名前や写真が使われたネット上の広告や、恋愛・結婚をにおわせてお金を要求するSNS上のやり取りは詐欺を疑うといった注意点を啓発することと併せて、不審なメッセージを遮断する携帯電話の設定変更の促進、家族や周囲の人からの注意喚起など県民の皆様に向けた情報発信のほか金融機関への働きかけなど、被害に遭わないための諸対策を鋭意推進しているところであります。
検挙については、今春に新設された組織犯罪捜査課を中心にサイバー犯罪対策課、国際捜査課などと部門横断的な対策を推進しております。また、捜査対象が県内にとどまらないため、各都道府県警察に設置された特殊詐欺連合捜査班を活用して、全国警察が一体となった捜査を展開しているところであります。
最後に、これらの詐欺の撲滅に向けた決意についてお答えをいたします。県警察といたしましては、広く県民の皆様へ情報発信を行うほか、県や金融機関をはじめとする関係機関とも連携して、被害に遭わないための対策を強化するとともに、部門間や都道府県間の連携による効果を最大限に発揮して、これら詐欺に係る被害実態や犯行手口などを解明し、犯罪グループの検挙・壊滅とその犯罪収益の剥奪に向け、予防と検挙の両面から各種対策を強力に推進してまいります。
9 ◯議長(香原 勝司君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時四十分といたします。
午 後 零 時 二十五分 休 憩
午 後 一 時 四十一分 再 開
10 ◯副議長(佐々木 允君) 再開いたします。
休憩前に引き続き、代表質問を行います。発言を許可いたします。椛島徳博君。(拍手)
*椛島議員質問
11 ◯三十六番(椛島 徳博君)登壇 皆さん、こんにちは。新政会福岡県議団の椛島徳博です。通告に従いまして、会派を代表し質問を行います。
世の中を一変したコロナ禍の三年間でした。今回のパンデミックは自然災害だとの表現もあります。また、近年の豪雨災害や異常高温など、これらの問題の原因をつくったのは紛れもなく自然と関わってきた人です。今を生きる私たちは地球規模で進行する環境問題にブレーキをかける、その責任があります。本県が先進的に取り組むワンヘルスの活動は、環境問題や今後来るであろう感染症、そして自然災害への向き合い方の確かな指針になるものだと確信しています。今日はもうすぐ二歳になる私の孫が応援に来てくれました。この子供たちの時代がどうか穏やかであってほしいと願っています。そのためにもワンヘルスの理念がこれから大きく広がることを心から祈り、代表質問に入ります。
初めに知事の政治姿勢についてお尋ねします。まず、防災・減災対策について伺います。昔は、災害は忘れた頃にやってくると言われていましたが、近年大地震が頻繁に起こっています。また、地球温暖化に伴う気候変動で豪雨災害も頻発化・激甚化し、加えて台風も強大化の傾向にあります。毎年のことですが、自然災害に対する万全の備えが強く求められています。
そこで、梅雨期を目前に豪雨災害の復旧状況と備えについてお尋ねします。昨年の豪雨災害で被害を受けた県管理の道路や河川、砂防の公共土木施設の復旧状況をお答えください。また、出水期前の対策についても併せてお答えください。その上で、特に被害の大きかった地域について以下お尋ねします。
まず、久留米市で発生した土砂災害現場の復旧とその後の対応について伺います。県では、これまでも構造物の健全度評価を定期的に実施することにより砂防ダムや治山ダムを適切に管理するなど、対策に鋭意取り組んでこられたと思いますが、昨年度の災害を受け、既存の砂防ダムや治山ダムにおいて背面の堆積土砂についてどのような対策を行っているのか伺います。あわせて、昨年、土砂災害警戒区域外で土砂災害が発生した千之尾川の土砂災害警戒区域の見直しの状況についてお答えください。
次に、土砂災害警戒区域の指定について伺います。県においては、新たな土砂災害警戒区域の指定に向けて約一万三千か所を抽出し、今年度から現地調査を行うこととしています。また、これらの箇所は土砂災害のおそれがあることから、早期に住民に認識していただくため、今年の五月二十四日に県の
ホームページで公表されました。
そこで伺います。今後の土砂災害警戒区域の指定までの流れをお示しください。
次に、昨年の豪雨によって巨瀬川が流れる田主丸地域では、土砂災害も相まって農地・農業施設や家屋が浸水被害に見舞われました。観測史上最大雨量を記録したことで甚大な被害につながったと言いながらも、抜本的な対策を速やかに進める必要があると考えます。巨瀬川における浸水被害の対策をどのように進めているのかお答えください。
次に、複数年にわたり内水氾濫に見舞われた地域の対策について伺います。久留米方面の筑後川左岸の支流である山ノ井川、金丸川、池町川、また筑後川右岸の支流である大刀洗川、陣屋川においては、令和五年七月豪雨においても内水氾濫が発生し、住宅や農作物などに大きな被害が発生しました。平成三十年以降、この地域は度重なる内水氾濫に見舞われていることから、県では、国、市、町と共に内水氾濫被害を軽減するための総合内水対策計画を策定し、これに基づき、調節池、また排水機場のポンプの増設などのハード対策事業が進んでいることと思います。
そこで伺います。これら筑後川支流の五河川におけるハード対策の進捗状況をお答えください。
関連して、農作物などの豪雨被害を低減するための取組として、農業分野での流域治水について伺います。コマツナ、ミズナなどの産地である大刀洗町では、被害が複数年にわたり甚大で、その都度、地域農業は深刻な被害に見舞われています。
このような状況を踏まえ、本県においては、河川管理者が主体となって行う治水対策に加え流域治水の取組が行われています。この流域治水は、氾濫域も含めて一つの流域として捉え、その河川流域全体の関係者が協働をし、水害を軽減させるものです。その中で、特に筑後川下流地域において実践されているクリークの先行排水は、被害低減に大きく貢献していると聞いております。
また、本県には多くの市町村で米が作付られています。この水田を活用した田んぼダムは流域治水に有効だと考えます。例えば、十アール当たり一ミリメートルの雨をためれば約一トンだと言われています。百ミリ(十センチ)ならば約百トンになります。水田の貯水機能を一時的であってもフルに活用できれば、その貯水量は大きなダムにも匹敵すると考えられます。
そこで、知事に伺います。田んぼダムの効果についてお示しください。また、本県における取組状況と今後の対応についても併せてお答えください。
この項の最後に、災害ボランティアの備えについて伺います。被災地の復旧に欠かせないのがボランティアの力です。昨年の災害の際には、県内外から多くのボランティアが被災地に入り、熱心に活動していただきました。本県でもボランティアが参加しやすいように被災地までの交通手段を提供し、県、県
社会福祉協議会、災害ボランティア団体で構成されるFネットの三者が連携し、各地域の被害状況、また被災者のニーズ、支援団体の活動状況などの情報共有やニーズに応じた支援団体の紹介などを実施していただきました。
一方で、災害後には新たな課題も浮かび上がりました。昨年の災害では複数の自治体が同時に被災し、各地域の情報整理に時間がかかったこと、三者の役割が明確に定められていないことなどです。
そこで伺います。昨年の災害を受けて明らかになった課題に対してどのような対策を講じたのか、お答えください。
次に、新型コロナ対策の総括について伺います。昨年の五月八日に新型コロナの感染症法上の取扱いが変わりましたが、あれから一年がたちました。県はそれに先立つ本年三月、百三十五ページから成る冊子を発行し、一定の総括がなされたわけです。そこでまず、今回、総括と記録を公表された意図についてお聞かせください。
次に、医療及び経済的な側面から振り返ってみたいと思います。まず、医療の面です。総括の冊子でも多くの事柄について触れられていましたが、病床確保に苦労を要したことは皆さんも記憶に新しいと思います。今後来る次の感染症に対しても、新型コロナの対応を踏まえ、患者が適切な治療を受けられるよう医療提供体制の確保が重要だと考えます。そこで、医療提供体制の確保に向けた本県の取組についてお答えください。
次に、全国的に報道されている問題が幾つかあります。
まず、ワクチンの廃棄についてです。本県の令和五年秋冬接種に係るワクチンの廃棄の状況をお答えください。また、秋冬接種を含めてこれまで全国で相当数廃棄されたことについて、知事はどのようにお考えなのか、お答えください。
次に、医療機関などへの補助金の不正受給について、本県の状況と対応をお答えください。
さらに、後遺症に苦しんでいる方がいまだにいらっしゃいます。県ではこうした方へのケアについて、どのように取り組まれているのかお答えください。
次に、経済面について伺います。
新型コロナウイルス感染症対策の主なものとして、事業の継続を下支えするために中堅・中小法人、個人事業者へ給付した福岡県持続化緊急支援金、県の要請に応じ休業や営業時間の短縮を行った飲食店などを対象に給付した福岡県感染拡大防止協力金が挙げられます。これらによって多くの事業者が救われたと思いますが、二つの給付金の実績についてお聞かせください。
また、これらの給付金については、困っている事業者に速やかに支援の手を差し伸べるため、スピード感を持って給付手続をされたと認識しています。ただ、中には不正申請などの返還金もある程度生じているのではないかと思います。二つの給付金の返還金の有無、返還の内容及び未返還金の回収に向けた取組についても併せてお答えください。
次に、我々が感じたことについて、二つの視点でお尋ねします。
まず、空気による規制です。日本では、諸外国と異なり、法による強制ではなくお願いや自粛要請という緩やかな方法により感染拡大対策を取ることができました。これは日本の国民性によるところも多く、海外からは驚きと称賛をもって受け止められました。
他方で、強制ではないのに、周囲の同調圧力によって自由な意思決定を事実上奪われることもままありました。マスクポリスという言葉も生まれ、周りの目を気にしながら生活することに息苦しさを覚えたのも事実です。公権力側もこの同調圧力を利用して政策を行っていた感があり、悪く言えば法の根拠なく国民を縛ったとの批判もあります。公権力側が感染対策のために国民の行動を縛るのであれば、そのことにより何ができなくなって何が許されるのか、あらかじめ法令で明示しておくべきであります。
一方で、法による強制ではなく要請にとどまるならば、従わなかった方が周囲から責められることのないよう、行政としてしっかり発信していただくべきだと考えます。今後の感染症に対峙していくためにも、これらについて服部知事はどのような政治姿勢をお持ちなのか、御所見をお聞かせください。
次に、デジタル化の遅れです。ここまで日本が遅れていたのかと正直ショックを受けることがしばしばありました。一律十万円給付の際の手書きの申請書、政府が導入したアプリの不具合、使いにくさ、唖然とすること度々でした。政府もさすがにまずいとマイナンバーカード普及促進をはじめデジタル化を進めています。しかしながら、いまだにウェブ入力した申請書を印刷して持ってきてください、など一部でやゆされる運用も残っているとも聞きます。
そこで伺います。新型コロナで顕在化したデジタル化の遅れの反省を踏まえ、今後来るであろう感染症に対応するためにも、行政におけるデジタル化の方向性をしっかりと決めるべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
その他の点について伺います。
地方自治法改正案について感染症対策の点から伺います。今国会に提案されている改正案には、新型コロナの経験を踏まえ、非常事態において国の地方自治体に対する指示権が盛り込まれています。個別法の規定なくとも発動できるのが特徴です。この改正案に対しては、国と地方の関係を対等とする地方自治法の趣旨をないがしろにする、国の統制を強めると懸念が広がっています。本県としてはどのように受け止めているのか、知事の御所見をお聞かせください。
知事の政治姿勢の最後に、海外戦略について伺います。先月、服部知事、香原議長をはじめ県の公式訪問団がロンドン及びパリを訪れました。タイトなスケジュールではありましたが、県政課題の様々な面で参考になる調査であったと思います。訪問から間がないので、詳細な質問はまた改めて機会があればと思いますが、時期的な点もあり、次の点について伺います。
数多くの場所を訪れましたが、総じて感じたことは、福岡の知名度は残念ながらまだまだ低いということです。我々としてはやはり本県の知名度を上げる取組が必要であり、そのための機会を活用すべきだと感じました。
その中で着目したのが、ロンドンにあるジャパン・ハウスの取組です。ジャパン・ハウスは外務省により全世界に三か所、ロンドン、ロサンゼルス、サンパウロに開設されています。ここでは、日本の食や文化などを幅広くPRし、日本の魅力を高めています。ジャパン・ハウスの取組の一つに、スポットライト・オン・ローカル・ジャパンというものがあります。これは日本の地域に光を当てるという趣旨の取組であり、まだまだ海外に知られていない場所やその魅力をPRするのに格好の舞台だと思います。応募締切りは例年十一月頃と聞いていますので、時期的には一刻も早く準備を進めるべきだと思います。
そこで伺います。まず、今回の視察を通じて、知事は福岡の知名度についてどのような感想を持ちましたか。課題とともにお答えください。また、知名度アップのため海外の発信拠点を活用する取組についての御意見とともに、スポットライト・オン・ローカル・ジャパンに本県として応募すべきと思いますが、御所見をお聞かせください。
現在、県議会では海外視察の在り方に関する議論が行われています。
プロジェクトチームの中でも、海外視察の成果や透明化に関する様々な意見が出されていますが、我が会派は、成果について次のような意見を持っています。すなわち、政策課題、殊に相手国のある地域外交、私はここではあえて地域外交という言葉を用いますが、それくらい強い主体性を持って自治体が海外と向き合うことが二十一世紀のスタンダードだと思っています。この地域外交については芽が出るのに時間を要するもの、また先方の政治体制が変わるなど状況の変化により振出しに戻るようなことさえあります。逆に、思わぬ果実が得られることもあり、地域外交というのは本当に奥が深い、長期的なスパンで物事を考える必要がある、そのように思います。
この八月に、知事はじめ公式訪問団でオーストラリアのニューサウスウェールズ州を訪れる運びと聞いています。これも我が県議会が口火を切って交流を開始し、二〇二三年十一月には両県州との間で水素分野における協力促進に関する覚書を締結するという成果につながりました。また、そのほかにもカウラ市との交流や、将来的なシドニーとの直行便復活に向けて先方に継続的な働きかけを行っており、ここにも地域外交の成果が芽吹こうとしています。
県議会の海外活動には、政策提言を充実させる手法の一つとして県議会単独で実施するもののほかに、先ほどお話ししたニューサウスウェールズ州訪問のように、知事の要請に応じて県執行部の海外活動に同行し協力するものもあります。
そこで伺います。知事は就任以来県議会と共に精力的に海外訪問を行ってこられましたが、議会が同行する効果についてどのようにお考えなのか、知事の率直な御所見をお聞かせください。
次に、交通政策に関しライドシェアについて伺います。昨今のタクシードライバー不足に加え、コロナ明けからのインバウンド増加によりタクシードライバーの不足が顕在化しました。都市部、地方部を問わず深刻化しており、これに対処するため、国での議論を経て今年四月より日本版ライドシェアが解禁されました。
まず、その内容ですが、世界的に浸透しているライドシェア、つまり一般のドライバーが自己の所有する自動車で乗客を運ぶという方式とは異なり、日本では道路運送法第七十八条三号の有償運送の例外規定を根拠に、国土交通大臣の許可を受け、地域または期間を限定して運用されることになりました。運営主体もタクシー事業者に限られており、分かりやすく言うと、二種免許は不要、自家用車を用いることができるという点は目新しいものの、そのほかは従来のタクシーと大きく異なりません。
この日本版ライドシェア、導入地域としては、第一段階では東京、神奈川、名古屋、京都の一部地域となり、第二段階となった本県は五月からの導入となりました。四十一事業者に参加の意向があったとのことで、五月末時点で二十六事業者に運行許可が出されております。
そこでまず伺います。日本版ライドシェアについて、制度の概要をどのように把握しているのかお答えください。また、本県での導入についてはどのような形になるのか、地域的な点にも触れた上でお答えください。
次に、導入のメリット、課題について伺います。導入のメリットについては、タクシー不足解消が期待されます。都市部ではインバウンド増加も影響し、特に混雑時間帯にタクシーがつかまらないことが問題に。地方部ではタクシードライバーの高齢化の影響もあり、そもそもタクシーがいないとも言われております。ライドシェア導入でこれらの問題は一定程度解消するのか、都市部と地方部それぞれの見通しをお聞かせください。
次に、課題についてです。一般ドライバーが運転することに、安全面に懸念する声が上がっております。運行主体をタクシー事業者に限ることで一定の担保はされているものの、二種免許を有しないことによる運転技術の問題、ひいては事故につながる点の不安の声、さらに犯罪に巻き込まれるおそれがあるのではないかという深刻な懸念があります。また、個人的には、都市部には一定程度機能するかと思いますが、この仕組みで地方部でタクシー不足解消に寄与するのか疑問があります。こうした課題に対し、県としてどのように取り組まれるのか、お聞かせください。
次に、労働問題についてお尋ねします。まず、賃上げに向けた取組について伺います。バブル崩壊後、低賃金にあえいでいた日本社会が、近年は国の積極的な賃上げ政策もあり、今年の春闘では賃上げ率平均五%を超え、三十三年ぶりの高水準となりました。今後も継続的にこの傾向が続くよう願っております。もっとも、不安定な世界情勢の影響もあり、物価高、極端な円安が同時並行で進行し、実質賃金は本年三月までで二十四か月連続マイナスと、生活実感としては賃上げの恩恵を感じにくい状況が続いております。この点は今後も懸念材料であります。
そこでまず伺います。今年の春闘の結果も受け、県内の賃上げの状況について、本県ではどのように受け止めているのか、お聞かせください。
次に、県内中小企業の状況について伺います。先ほどの春闘の好結果については大企業を中心とする企業の伸びが大きな要因と考えますが、重要なのはそれが中小企業まで及んでいくことです。県内企業の九割以上は中小企業であり、本県経済を支えるのは中小企業の皆さんであります。ここに賃上げの効果が及んでいなければ、本県全体を巻き込む経済の好循環は生まれてきません。
ここで課題となるのが中小企業の価格転嫁です。大企業の賃金が上がっても、取引先の中小企業が製品やサービスに価格転嫁できなければ、コスト上昇分を中小企業が抱え込むだけになり、中小企業の経営はかえって逼迫してしまいます。この問題は日本経済の構造的課題でもあり、弱い立場にある中小企業の声をどう代弁していくのか、行政としても積極的に取り組むべきです。
そこで伺います。まず、本県の価格転嫁の状況についてどう捉えているのか、知事の御所見をお聞かせください。
次に、中小企業の賃上げを実現するための具体的な対策について伺います。賃上げを実現するためには、経営効率化はもちろんですが、やはり先ほど申し上げましたように適正な価格転嫁を実現し、中小企業の実入りを増やしていかなくてはなりません。先日、公正取引委員会が、大手企業に対し下請企業との取引で不当な減額を行っていたとして、再発防止を求める勧告を出しました。公正取引委員会はそのほかにも、今年三月、コスト上昇分の価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえ、多くの取引先と協議せずに価格を据え置いたとし、名立たる十社の企業名を公表しました。御存じのとおり、公正取引委員会とは、いわゆる独占禁止法や下請法を運用するために設置された独立行政委員会であります。公取に対しては、違反があれば誰でも事実を報告し、適当な措置を取るように求めることができます。公取自身も、被疑事件に対し自ら審査し、時には強制捜査を行うこともできるという強力な権限を持つ機関であります。しかし、鳴かない番犬とやゆされた時期もありました。
しかし、近年は政府の強力な賃上げ方針に歩調を合わせるかのように、積極的に活動しているように感じています。実際、公正取引委員会のウェブサイトには、トップに公正で自由な競争が持続的な成長と生活水準を向上させると掲げられており、また昨年十一月には、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を策定するなど、まさに公取自ら賃上げに積極果敢に取り組むと宣言しているかのようです。また、十二の指針の中にも、全国の商工会議所・商工会には、独禁法相談ネットワークが設置されており、中小事業者が相談することができます。この窓口の積極活用を公取自体も促しています。
我々としては、この公取の積極姿勢を十分に活用し、価格転嫁、中小企業の賃上げを実現し、県内経済の持続的な成長を図っていくべきと考えています。
そこで伺います。本県の目指す持続的な賃上げ実現のためには、県内の中小企業が円滑に価格交渉ができる環境を整える必要があります。特に、弱い立場の中小企業にとって、強力な権限を持つ公正取引委員会の存在は大きいです。公取自身も指針の活用を促しています。こうした公取の動きを県としても後押しすべきと考えますが、知事の御見解をお尋ねして、この項の質問を終わります。
次に、若年層の大麻事犯対策及び少年の非行防止対策について伺います。福岡県では、大麻事犯の検挙者数は平成二十七年以降増加傾向が見られ、令和五年、四百七十五人と過去最多となりました。また、少年の検挙補導者数は百九人と百人を初めて超え、こちらも過去最多となっています。
国会では昨年十二月、大麻草を原料とした医薬品の使用を認める一方、若者などの乱用を防ぐため、使用の禁止を盛り込んだ大麻取締法等の改正法が成立しました。その際、官房長官が、今回の改正が若年者による大麻の乱用の歯止めになることへの期待と、薬物全体について一次予防の取組が大変重要となることから、若者に対する啓発強化を述べられていました。