福岡県議会 > 2024-06-08 >
令和6年6月定例会(第8日) 本文
令和6年6月定例会(第8日) 名簿

  • "教育職員検定"(/)
ツイート シェア
  1. 福岡県議会 2024-06-08
    令和6年6月定例会(第8日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(香原 勝司君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。新開昌彦君。(拍手) *新開(昌)議員質問 2 ◯七十番(新開 昌彦君)登壇 公明党の新開昌彦でございます。通告に従いまして、会派を代表して質問をいたします。  まず、初めに海外視察報告でございます。県議会の海外視察は、政治改革のプロジェクトチームで予算立ての課題や公開の在り方などを議論している真っ最中であります。我が会派は、旅費の予算は事前に実態を積算した上で立てることは当然として、視察の公開につきましては、事前事後の報告を行い、政策で実施する視察につきましては、目標を立てて、事前に国内で調査をした上で行い、事後の公開は参加者自身も報告書にまとめるなど、県民に納得がいくような調査報告書として公開するよう提案をしているところでございます。  我が会派は、改選後行われた十四回の海外視察のうち二度参加をさせていただきました。私自身が五月二十三日から三泊五日で知事に同行をさせていただき、ロンドン、パリに会派を代表して訪問をいたしました。今回は知事部局の事前調査が大変功を奏しまして、調査研究の成果が認められる訪問であったと実感をしております。  今回、会派の代表質問に取り上げることで、訪問団の内容の一端を県民に公開をし、感じたことを知事に幾つか質問し、提案をさせていただきます。  今回の調査訪問は、ロンドン、パリを三日間で十か所訪問をさせていただきました。テーマは、福岡県の観光、食、県産品のPRでありました。訪問先では、福岡県を応援するという励ましの言葉を頂きましたが、厳しい指摘も頂きました。まず、ロンドンでもパリでも福岡県の知名度は大変低い。日本で知られているのは東京、京都、富士山だと。福岡県がどこにあるかも知らないという厳しい指摘。しかし、福岡県のことを少し調べれば、人口は五百十万人、アイルランドと同規模、将来五百五十万人になれば、ノルウェー、フィンランド、スコットランド等独立国と同じだと分かる。福岡県は独立国と同等の自覚を持っていただきたいという指摘がありました。別の方からは、福岡県は九州のリーダーとして仕事をしていただきたいという要望もございました。  次に、共通して指摘があったのは、日本人は謙虚が美徳と言いますけれども、この国では通用しません。いいものであっても売れるとは限らない。しかし、自信を持って付加価値を説明できれば、ブランディング次第で文化も観光も県産品も高く売ることができるという指摘でございました。幾つか具体例を挙げて質問をさせていただきます。  まず、イギリスで緑茶について伺いました。その方は、日本の緑茶は世界一だと絶賛しておられました。さらに、緑茶は入れ方次第で幸福感が得られるし、医療の面からメンタルヘルスの効用もあると期待をされていると教えてくれました。  私から緑茶を有機栽培で作ると毎年味が変わることについてどうかとお聞きをいたしますと、この国では農薬をとても嫌います、しかし、コーヒーもワインも毎年味が変わることを楽しんでいます。緑茶も同じです。このことはお客にも伝えておりますし、どこで誰がどのようにして作っているのかというストーリーも伝えております。福岡県でも有機栽培の茶園を広げてほしいとの要望がございました。  また日本老舗の和菓子屋がパリに出展をして三十年以上になるが、緑茶の文化がパリに広がるまでは売れなかった。緑茶の文化が広まると同時に和菓子にアレルギー成分が少ないという健康志向も重なり、今は黒字経営ができている。健康志向の飲物として緑茶が好まれるとの指摘がございました。  そこで質問です。イギリスやフランスでの御指摘を参考にすれば、今よりももうかる八女茶の輸出が実現できるのではないかと私は確信します。現在、八女茶の有機栽培は少ないとお聞きしています。八女茶の有機栽培における生産面の課題と今後の対応について、知事のお考えをお聞きします。  次に、観光についてでございます。イギリスで福岡県観光セミナーに来られた八十社の旅行会社やメディアの方、フランス旅行会社の方々と意見交換の中でも共通していたものは、福岡県の知名度の低さでありました。しかし、意見交換を通じて福岡に興味を持っていただきました。イギリスもフランスも富裕層の旅行の人気は、二週間から一か月間の一貫したストーリー性を持たせた旅行企画が喜ばれている。宿泊先もホテルや旅館ではなく民泊が好まれている。特に人との触れ合いが感じられる旅が人気だということでありました。また交通手段は鉄道やバスの利用が好まれているようであります。  福岡を知っているという旅行会社からは、茶会、相撲観戦、スナック、屋台、インスタ映えでは南蔵院、フランス人は砂浜が好きというので糸島の深江の鳴き砂を紹介をしましたら、早速スマホで検索をされてありました。カキ小屋、酒蔵巡り、陶芸体験を紹介しました。歌舞伎は時間が長いと敬遠されましたが、大濠公園の能、狂言を伝えますと、狂言はパリでも人気、外国人でも理解できるように工夫してほしいと要望を受けました。  そこで質問です。イギリスやフランスの旅行会社はストーリー性のある旅を企画をしています。今後、旅行商品をつくる際には、ストーリー性のある旅行企画や民泊、陶芸体験など、人と人をつなぐ旅をつくるよう働きかけてはどうでしょうか、知事のお考えをお聞きいたします。  次に、大濠公園の能楽堂についてでありますが、能や狂言など外国人が楽しく理解できるような仕組みを取り入れてはいかがでしょうか。そして、ホームページを英語以外の外国語での紹介も掲載できるように工夫してはいかがでしょうか。知事の答弁を求めます。  この項の最後に、農林水産物を含む県産品の輸出拡大について伺います。最後の訪問地パリにある飯塚出身の茶懐石あきよしの秋吉雄一朗シェフからの提案であります。秋吉シェフは出店から一年目でありますが、今年ミシュランの一つ星を獲得をされました。徳島県が県産品の農林水産物や調味料を使って秋吉シェフが調理をし、フランスのバイヤーやマスコミに食べてもらい食材や器など県産品の輸出につなげている。このことがパリでも評判になっているとのこと。  知事に提案であります。福岡県も徳島県の取組事例を参考にしながら、福岡県の農林水産物を含む県産品の輸出拡大を図ってはいかがでしょうか、知事の答弁を求めます。  そのほか、ロンドンでは、柳川観光大使で緑の魔術師と言われる石原和幸代表の庭でまちをつくるという発想の転換、福岡県の緑視率を上げてほしいとの要望、パリの県人会の方からは、フランスの出生率と子育て支援などを御教示いただきました。このことを御報告しておきたいと思います。
     次に、福岡県が取り組む半導体と水素について知事に伺います。半導体産業につきましては、熊本県に誘致をされた半導体工場TSMCの九州経済への波及効果は十年間で二十兆円に上ると想定をされています。このため公明党福岡県議団は、半導体産業の振興策を探るため、公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団が運営する三次元半導体研究センターを視察をいたしました。  同センターは二〇一一年の設立以降、県や大学と連携し、半導体に関する企業の技術開発や製品の試作、研究など一貫して支援をする国内唯一の公的機関として専門スタッフが常駐し、半導体のチップを立体的に積み重ねて高性能化を図る三次元積層の技術を研究する企業などをサポートしております。製造を前工程と言うならば同センターは後工程と呼ばれています。半導体の後工程の技術革新こそが、半導体の将来を決めるとも言えます。  しかし、この三次元半導体研究センターでありますが、設立から十年以上がたち、装置が古くなり、新しい業界ニーズに対応できなくなっているのではないかと考えます。また視察時にお聞きしましたが、センターの研究員はほかの企業からも驚かれるほどの少ない人数で研究支援を行っているとお聞きをしました。新しい業界ニーズに応えるためには体制の強化や新たな取組も必要と考えますが、知事の決意をお聞かせください。  半導体技術は、今の電子処理を光に置き換える光電融合という技術を半導体内部に組み込めば、電力消費量は百分の一に抑えることができるとお聞きをしております。本県の取組が後れを取らないよう強く要望しておきます。  次に、私たちは県が昨年八月に開設をした、福岡半導体リスキリングセンターのお話をお伺いいたしました。センターでは半導体分野の人材養成に向け、社会人を対象とした基礎から応用までの幅広い講座を提供しています。同センターには黒田忠広東京大学大学院工学系研究科の教授が就任をされ、このことで超一流企業の講師陣が公開講座に名を連ねていただいております。県内の中小企業従業員が、一定要件を満たせば受講料が実質無料になるのも特徴であります。  黒田センター長は、福岡から半径千五百キロには、ソウル、上海、台湾、北京があり、半導体のポテンシャルは高いと評価をされ、九州は東アジア・ハイテク産業の中心になり得るとおっしゃっております。そのためには、世界の頭脳を引きつける都市づくりが必要とも言われておられます。知事は、本県を世界の頭脳を引きつける半導体拠点とするためにどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。  次に、リスキリングの拡大であります。同センターの担当者は、県内外から多くの受講申込みがあり、五年間で二万五千人の育成を目指すと述べられました。同センターの受講者はウェブの受講も可能なことから、北海道や東京、名古屋など、福岡以外にも広がっていると説明がありました。  黒田センター長は、二〇二五年までに世界で八千五百万人の仕事がなくなると同時に九千七百万人の新たな仕事がつくられる。第四次産業革命の真っただ中を生き抜くキーワードがリスキリングだと言われ、さらに、これまでの学歴社会から学習歴社会が問われる時代を迎えようとしていると示唆をされております。  知事に提案であります。同センターの公開講座でありますが、ウェブで繰り返し聞くことができるようにして、高校生や文系大学生などにも門戸を広げてはいかがでしょうか。リスキリングの動機づけにもなり半導体の学習歴社会の入り口をつくることができると思いますが、知事の見解をお聞かせください。  次に、水素エネルギー製品研究試験センター(ハイトレック)を訪問し、渡邊正五理事長からセンターの概要と施設を御案内いただきました。この施設は、福岡県の水素戦略に掲げる水素エネルギー新産業の育成・集積を推進するために設立した公益財団法人であります。あらゆる水素関連の製品の耐久性試験や民間企業との共同研究開発などを通じて水素エネルギー新産業への参入を支援すると掲げられております。確かに渡邊理事長の采配で実施件数も順調に増加し、最近では自動車関連だけではなく、インフラエネルギーとしての水素部品に広がっていると説明がありました。  知事に質問であります。水素はカーボンニュートラルのキーテクノロジーとして位置づけられています。その取組の一つとして国の水素大規模拠点構築に対する支援への公募に向けて調査を開始をされましたが、どのように取り組むのか知事の意気込みをお示しください。  次に、人材育成についてでありますが、九州大学で水素の最先端を学んだ学生が東京、中京の企業などに人材が流れているとお聞きします。このような人材の受皿となる本県の水素エネルギー新産業の育成・集積について、どのような取組をしてきたのか、また今後の取組をお聞かせください。  次に、孤独・孤立対策について伺います。元厚労事務次官、現在は内閣官房孤独・孤立対策担当室政策参与である村木厚子氏によれば、生活困窮者自立支援法制定の際、困窮者支援関係者は困窮者に共通する課題として、複数の困難を抱えていること、社会的なつながりが切れていることだと指摘をされ、課題克服のために、二〇一三年生活困窮者自立支援法が制定をされました。  孤独・孤立をめぐる問題は、雇用環境の激変、インターネット普及等に伴う生活環境やライフスタイルの変化、単身世帯の増加、地縁血縁によるつながりの希薄化が背景にあり、近年のコロナ禍の影響により、顕在化、深刻化してきました。  政府も動き出し、二〇二一年、二二年、二三年、三度の全国実態調査を実施、直近の調査結果では、孤独をどの程度感じるのかとの問いに対しまして、しばしばある・常にある、時々ある、たまにあるの合計した割合は三九・三%、年齢別では二十代から五十代が高く、特に三十代では四六・一%が孤独を感じているという結果になっております。  政府は、二〇二一年二月孤独・孤立担当大臣を新設、同担当室を立ち上げました。同年三月には孤独・孤立対策に関する連絡調整会議の定期的開催、六月には骨太の方針に同対策の基本的な方向性が盛り込まれ、関連フォーラムも十回にわたり開催をされております。同年九月の第六回は北九州市で開催をされました。八月には各種支援制度や相談先を一元化し発信するホームページを作成、十二月には重点計画を策定、翌二二年二月に孤独・孤立対策官民連携プラットフォームが設立をされました。今年四月には孤独・孤立対策推進法が施行され、国もスピード感を持って取組を進めておられます。  地方の取組として、北九州市では前述したフォーラム開催を皮切りに、二一年十二月に庁内プロジェクトチームを設置、翌二二年二月には北九州市孤立・孤独対策等連携協議会を設置をしました。二二年、二三年と連続して地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業に採択をされるなど取組を進めておられます。  今まで北九州市では協議会を七回、研修会を三回開催、二二年四月には自治体初の取組として、悩み事に合わせた支援を案内するお悩みハンドブックをネット上で公開、同時に各自治体に合わせてカスタマイズできる仕組みも提供しております。二三年七月には北九州市独自で、人々のつながりに関する実態調査を実施し、固有の課題把握に努めております。国が定めた孤独・孤立対策強化月間である五月には、啓発動画の公開、支援機関向けの研修会を開催するなど積極的に推進しております。都道府県単位でも北海道など八道県が具体的に取組を開始をしています。  以上の点を踏まえ、知事に質問いたします。二二年度より地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業の公募が開始をされ、地方自治体でも取組が始まりました。また国から都道府県等各自治体に向け、協議会の設置・運営に関するガイドラインの設定に向けて、通知が出されたところであります。孤独・孤立対策推進法も本年四月施行されました。国も指摘をしているように、孤独・孤立問題の支援には、福祉部門にとどまらず、就労、住宅、教育など多岐にわたる行政部門、民生委員、保護司、社会福祉協議会、商工会、商工会議所や一般企業、商店街、NPOなどの民間支援機関など多種多様な関係者が連携をしなければなりません。そのためには、関係者相互の連携を機能させる仕組みが必要であります。この仕組みが機能すれば、例えば自殺対策、困窮者支援、ひきこもり支援など、ともすればばらばらに取り組んできたことが、孤独・孤立に起因する多様な課題に対する支援体制が構築できるのではないかと考えます。声を上げやすく、かけやすい社会実現に大きな一歩となります。県として、孤独・孤立対策に関する現在の国や地方の動きの中、多種多様な関係者が連携した仕組みづくりなど、孤独・孤立対策にこれまでどう取り組み、今後どう取り組んでいかれるのか、知事に伺います。  次に、生きづらさを抱える若者への支援について伺います。私たちの下には、家族を離れ、行き場のない未成年を含む生きづらさを抱える若者の声が届いております。例えば警固公園に集まる青少年は警固界隈と呼ばれ、東京のトー横界隈、大阪のグリ下と並び称され、中には麻薬や売春の犯罪に巻き込まれている若者がいます。  国は、一昨年五月、困難な問題を抱える女性を支えるための、女性支援新法が成立をし、それを受け福岡県もこの三月には、福岡県困難な問題を抱える女性への支援に関する基本計画を策定をしました。  この基本計画に示されている四つの課題は、生きづらさを抱える若者たちの課題と共通をしています。私たちが、県が策定をした基本計画の中で示されている四つの課題に着目をし、先進事例を視察をしてまいりました。以下、福岡県の若者の課題解決のために質問をいたします。  基本計画の第一の課題は、相談機能の強化であります。私たちは、トー横キッズ相談機能強化に取り組む東京都庁に伺い、その取組を聞いてまいりました。都は、今年の一月トー横近くに相談所を設置を設け、携帯の充電とWi─Fi、軽食を提供したところ、十日間で延べ二百九十五人の若者が来所し、徐々に打ち解け、様々な相談につながったとお聞きしました。その結果を受け、新宿区と連携をして五月三十一日から相談窓口を継続すると決定をされました。  本県にも警固公園に集まる警固キッズがいます。警固公園には交番があり、その隣に福岡市の小さな集会所があります。相談機能の強化について福岡市と共に取り組んではいかがでしょうか、知事のお考えをお聞きします。  基本計画の第二の課題は、潜在化している支援対象の早期把握と支援の提供であります。要支援者をどう把握するのか、大変難しい課題であります。私たちは、横浜を拠点として活動するNPO法人第三の家族のウェブを使った支援ツールnigerunoについて奥村春香代表にお話をお聞きしました。  第三の家族は、法人化して一年でありますが、既に三万人の若者が登録をされ、福岡県からも千人の登録者がいます。第三の家族は、虐待ではないが家族が居場所ではない少年少女は四人に一人に上ると分析をしています。しんどくなる前にどう気づかせるか、言葉にならないもやもやを可視化するためにnigerunoという手札をサイトに用意をして提供しています。例えば子供食堂や病院など日常的に困ることへの支援を八十種類の具体的な情報として提供しておられます。  さらに、奥村代表は東大の学生と連携をし、効果の分析も行っています。県が課題とする潜在化している支援対象の早期把握と情報の提供について、第三の家族らと連携し協働してはいかがでしょうか。知事の答弁を求めます。  第三の課題は、民間団体等、関連機関の協働・連携による支援。第四には、状況に応じ一時保護等民間シェルター社会福祉施設の活用であります。私たちは東京で活動しているNPO法人BONDプロジェクト橘ジュン代表にお話を伺いました。  橘代表は、目の前で困っているその子を救いたいと、全国を活動範囲として活動しておられます。北九州市にある女性の救援に行きましたけれども、失敗に終わりましたという体験談もお聞きをいたしました。橘代表は、中長期的な支援なら行政の支援が望ましく、私たちはその橋渡し役も務めてまいりましたと言います。しかし、以前は一時保護をすることが誘拐と誤解されることもあったといいます。最後に、我々のような取組をする団体を福岡県にも広げてほしいと要望もいただきました。本県では、支援団体等の連携をどのようにしていくのか、知事の答弁を求めます。  次に、薬剤耐性菌と下水サーベイランスについて伺います。現在、世界では、抗生物質などの抗生薬が効かなくなる薬物耐性を持つ細菌の発生により、医療機関で患者に対して適切な治療や手術の際の感染予防などが困難になるサイレントパンデミックが多く発生しております。  世界では、現在、関連死も含めて年間約五百万人が命を落としているとも言われており、厚労省の報告書によりますと、国内での主要な耐性菌による死者数は、近年では八千人前後と発表されております。なお、国連はこのまま何も対策を取らなければ、二〇五〇年までには世界では年間一千万人が死亡するとの予測をしております。  国においては、平成二十八年に薬剤耐性対策アクションプランが策定をされ、令和五年には新たなアクションプランが取りまとめられたところであります。厚生労働省は、ヒト・動物・食品及び環境の各分野における薬剤耐性菌などの現状及び動向を、ワンヘルス動向調査年次報告書で公表しております。本県においても、薬剤耐性菌対策は、福岡県ワンヘルス推進基本条例や同推進行動計画において基本計画の一つとして定め、取組が進められているところであります。  そこで、本県として薬剤耐性菌対策については、どのような取組をされているのか伺います。  次に、下水サーベイランスについてであります。さきのコロナ禍では、日本の感染症に対する危機管理の脆弱さが露呈したものだと言えます。そして、このことから次なる新たな感染症の危機に、迅速にして的確な対応ができるように必要な体制を整えていくことは、SDGsの目標である、すべての人に健康と福祉をという観点からも重要だと思われます。  そこで、感染症の疫学調査の一つとして下水サーベイランスというのがあります。下水サーベイランスとは、下水の検査から、新型コロナやインフルエンザなどの感染状況を把握する調査手法の一つで、先ほどの薬剤耐性菌といった細菌も検出することができます。これは、感染者や回復した人が排出した唾液やふん便が含まれる下水を検査して、ウイルスを分析し、様々な感染症の発生動向を把握するものであります。  我が党としましても、数年前から、下水処理施設の視察や、関係者との意見交換を行い、国会審議の中で政府に対して、下水疫学調査下水サーベイランスの活用・普及を訴えてまいりました。  新型コロナウイルス感染症の全ての患者情報を集める全数把握が、二類相当から五類に移行したことによって、大がかりな詳細調査が昨年の五月になくなりました。正確な感染状況が見えづらくなっている現在、公衆衛生の強化に向けた新たな調査方法が求められていたところだと私は思います。  利点としては、唾液などを人から直接採取する必要がなく、個人情報を得ることなどの作業を行う必要もなく、地域の感染状況をつかめるメリットがあるわけでありますから、既に二〇二二年度には、内閣官房が試験的に実証実験を行っておりまして、高齢者施設などの下水を採取した実証事業では、その施設に感染者がいるかどうかをかなりの高い確率で検知することに成功したと言われております。  関係する協会の担当者からは、全国の二百か所で調査拠点を設置することができたら、国内人口の約五〇%の感染状況が把握できるとの指摘がありました。  先進的な自治体として、札幌市は二〇二一年から北海道大学と連携をして、この調査を開始をして、二〇二二年十月からは、コロナウイルスだけではなく、インフルエンザウイルスの調査も始めています。同市は市民間の情報共有のために、毎週、市のホームページ上で調査結果を公開しており、そのアクセス数は毎月六万から七万件に上っていることで、市民にとっても情報収集や予防対策の事前の意識づけとして大きな効果が出ているようでございます。  なお、この下水サーベイランスは、コロナウイルスだけではなく、インフルエンザ、ポリオ、ノロウイルスなどの病原性微生物も検知できることも特徴的であります。  そこで、この下水サーベイランスは有効な調査方法だと思いますが、本県としても進めてはどうかと考えます。知事の所感を伺います。  次に、デコ活について伺います。東京大学大学院の茅根教授が研究代表を務める、地球温暖化に挑む海洋教育プログラムの実践結果を伝える研修会が昨年行われました。その中で、近年の異常気象の要因とされる地球温暖化を防止するには、地球温暖化について、正しく知る、深く考えるとともに、地球温暖化に対しよりよく行動するため、身近な衣食住の生活を通して温暖化の緩和策に努める重要性が指摘をされ、そのための教育の必要性が訴えられました。地球温暖化の防止には、一人一人の日常生活、行動様式を足元から見直す啓発や学びを社会全体に広げていくことが大切であると考えます。環境省では、二〇五〇年カーボンニュートラル及び二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現に向けて、国民・消費者の行動変容、ライフスタイル変革を強力に推し進めるため、新しい国民運動デコ活を一昨年から展開中でありますが、デコ活という言葉の認知度は、全国調査の結果、二五%と十分に浸透していないように感じます。  デコ活とは、脱炭素を意味する英単語デカーボナイゼーションと、エコを含むデコと活動・生活の活を組み合わせた造語であります。LED照明や住宅の断熱化など環境に優しい製品・サービスの利用や、ごみ削減といった具体的な取り組み方を示し、新しいライフスタイルへの転換を促すものであります。  本県でも水素エネルギーの活用、ブルーカーボンやグリーンボンド等の脱炭素に向けた県独自の事業を展開しておりますが、国と連携してデコ活を浸透させていくためには、ライフスタイルの転換を促すための取組をしっかり進めていく必要があります。昨年、県は日々の活動の中で、デコ活の取組を後押しするデコ活宣言を行ったと聞きます。そこで、福岡県におけるデコ活について、何点か知事にお尋ねをいたします。  まず、福岡県におけるデコ活を進める意義とデコ活という言葉の認知度について、知事の御所見をお尋ねいたします。  次に、デコ活の取組を後押しし、ライフスタイルの転換を促すためには、県民に対し、無理や我慢を強いるのではなく、自発的に取り組みたいと思えるよう工夫する必要がありますが、県はそのために重要な教育や啓発をどのように行っているのか、また行っていくのか伺います。  最後に、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、啓発にとどまらず、デコ活の実践、すなわち県民の新しいライフスタイルへの転換をさらに進めていくために、今後どのように取り組んでいくのか知事の御見解をお尋ねし、この項の質問を終わります。  次に、中小企業支援について伺います。近年、共働き世帯の増加と核家族化が進む中、育児と仕事や介護と仕事の両立は喫緊の課題であります。さらに、晩婚化の影響から、育児と介護を同時に行うダブルケアも深刻な問題であります。  国は、仕事と育児・介護を両立しやすい職場環境整備に取り組む事業者に対し、両立支援等助成金を支給しています。これまでの五つのコースに加え、令和六年度から新たに柔軟な働き方選択制度等支援コースが新設をされました。この助成金を活用すれば働く方にとっては離職することなく、また事業者にとっては人材を確保することができ、双方にとってメリットの大きい制度であります。  事前に本県における直近三年間の両立支援助成金を活用した事業者数を尋ねたところ、令和三年度と令和四年度末は約一千四百件、令和五年度は約一千件となっており、本県の中小企業数が約十三万五千社であることを踏まえると、まだまだ活用の余地があるものと考えます。  実際に中小企業の方々にこの助成金のことを紹介をしますと、多くの企業が御存じないことが多く、助成金に対して手続が面倒そう、難しそうという理由で申請をしていない企業も少なくありません。中小企業で働く皆さんが、仕事と子育てや介護等を両立していけるよう、事業者が本補助金をしっかり活用していくことが大事であります。  このような中、本県では働き方改革推進事業ポータルサイト、働き方かえるばいを開設し、両立支援等助成金をはじめとする各種助成金、働き方改革の基礎的な事項や各種セミナーの情報、さらには魅力ある職場づくりを推進し、若者、女性、高齢者など様々な人の多様な働き方を実現する企業である、よかばい・かえるばい企業の紹介など、大変充実した内容となっております。  またサイト上では、よかばい・かえるばい企業の業種、地域、取り組んでいる項目や介護応援宣言企業、くるみん認定企業などの検索ができるなど、地域の方にとっても企業の取組が見える化されているため、企業を選択する際の安心感にもつながっております。  しかしながら、よかばい・かえるばい企業の登録数は令和六年四月末時点で千三百五十五件にとどまっており、さらなる周知が必要と考えます。そこで、働き方改革推進事業ポータルサイトのさらなる周知及び県内中小企業にとって有益である両立支援等助成金のさらなる活用の促進について、今後具体的にどのように取り組んでいくのか、知事に伺います。  次に、本県発注の建設工事の入札における総合評価の新たな評価項目についてお聞きをいたします。近年、労働生産人口の減少により企業の人材確保が大変難しい時代になり、建設業も若手の人材不足が深刻であります。現場の方々にお話を伺うと、いわゆる三Kのイメージがなかなか拭えず、ほかの業界に比べてDX化も進んでいないために長時間労働が常態化しているとのこと。それにより、さらに若手の採用が進まない負の連鎖に陥り、職人の高齢化も進展しているようであります。  私は、若手人材の確保に尽力する企業を制度面で後押しする意味でも、総合評価の評価項目に新たな多角的評価が必要な時代であると考えます。  国においてはDX化の取組の一つとして、三次元設計データ等によりICT建設機械を自動制御し、生産性向上を図る、ICT活用工事の普及に努めていると聞いております。これにより、経験の少ない人でも熟練者と同じような作業が可能となるほか、DX化による労働環境の改善など、業界のイメージアップにつながると思われます。  総合評価の評価項目に目を向けますと、他県の事例では、北海道が若手社員の奨学金返済の支援という項目を設け、若手採用に努力する企業を評価する体制を整えております。  そこで、知事に伺います。例えば先ほど説明したICT活用工事の取組や奨学金返済の支援以外にも、一定の女性技術者の確保、女性技術者がストレスなく働ける環境整備など、新たな項目で評価することを検討してはいかがでしょうか。新たな面から企業を評価し、そういった企業を増やすべく政策的に推進していくことが、業界イメージの転換につながり、若手人材の確保の一助になると考えます。知事の御見解をお聞かせください。  次に、高校での特別支援教育について伺います。小中学校などで通級、特別支援学級の対象者別数はこの十年間で約二・六倍の二万四千四百四十四人となっており、年々増加をしています。  令和五年三月に公立中学校を卒業した生徒について、通級指導を受けていた生徒二百八十五名の主な進路先は、全日制公立高校が七十五名、全日制私立高校が百三十八名、特別支援学校高等部が一名となっています。  また特別支援学級の生徒一千五百六十二名の主な進路先は、全日制公立高校が二百三名、全日制私立高校が三百九十八名、特別支援学校高等部が四百八名となっております。  このように、高校でも支援が必要な生徒が増加をしており、その対策は急務であります。以前は中学卒業後の障がいのある生徒の学びの場は、主として高校の通常学級または特別支援学校高等部に限られておりましたが、平成三十年度に高校における通級指導が制度化をされたところであります。  そこで、教育長にお尋ねいたします。現在、通級による指導がどのように行われているのか。支援を必要とする生徒に十分対応できているのか伺います。  次に、高校では特別支援学級は制度化されていないが、中学校で特別支援学級に在籍していた生徒が県立高校に進学した場合、どのような支援を行っているのか。支援を必要とする生徒に十分対応できているのか伺います。  次に、私立高校での支援について知事に伺います。通級による指導を受けた令和五年三月中学卒業者で全日制の私立高校へ進んだ生徒は約四八%を占め、特別支援学級卒業者では約二五%で、本県では私立への進学も多くなっています。ちなみに特別支援学級で学んだ生徒で通信制高校を選択された生徒は三百七十五名で約二四%となっています。  そこでまず、全日制の私立高校において、特別支援教育を必要とする生徒を受け入れている学級数と、その学校がどのような取組を行っているのかお答えください。また本県は全日制の私立高校において特別支援教育が進むようどのような支援を行っているのか、知事にお伺いします。  今後も、障がいがあり支援が必要な子供が高校で学ぶことが予想されます。障がいのある子供とない子供が共に学び、共に育つインクルーシブ教育の推進のためには、支援が必要な子供に対して、小中高と切れ目のない支援をすることが必要と考えますが、教育長の御所見を伺います。  次に、警察本部長に伺います。SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺急増について、警察庁は一一三月のSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺の被害額が二百八十億円に上り、前年同月比の四・五倍に急増したと発表いたしました。SNS型投資詐欺の被害件数は一千七百件で約六倍、被害額は前年同月比の二十九億円から七・五倍の二百十九億円、ロマンス詐欺の件数、被害額ともに前年同月比の二倍に増加と報じております。投資詐欺では、フェイスブックなど著名人などの画像を無断使用する広告から誘導し、なりすましや信用させる手口など巧妙化し極めて深刻な状況であります。あらゆる媒体を使い悪質な手口を県民に周知させ、注意喚起を促すなど対策を強化すべきであります。  全国では広域で犯罪を続ける詐欺グループを警察の総合力で摘発強化する特殊詐欺連合捜査班を、警察本部では組織犯罪捜査課を立ち上げましたが、一向に減る気配がありません。本県の詐欺被害の現状とその対策、撲滅へ向けての県警察本部長の決意をお聞かせください。  以上で、質問を終わります。(拍手) 3 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。  まず、八女茶の有機栽培についてお尋ねがございました。八女茶の有機栽培の面積は約三十ヘクタールとなっておりまして、全面積の二%弱にとどまっております。その原因として収量や品質の面で病害虫の影響を受けやすいことや、有機質肥料の施用だけでは効果が安定しにくく、八女茶の特徴でございますうまみを十分に出すことが難しいこと、加えて周囲からの農薬の飛散防止が困難であることなど、生産面の課題が挙げられます。このため県では普及指導センターにおきまして、有機栽培に取り組む農業者に対し、使用可能な生物農薬の選定や有機質肥料の効果的な施用時期、有機栽培に適した圃場の選定などの指導を行っているところでございます。  また農林業総合試験場におきましては、国や他県の研究機関、大学と連携し、収量や品質を向上でき、省力化が図られる有機栽培の実証試験を行っておりまして、その成果につきまして、早急に普及をさせてまいります。  県といたしましてはこのような取組により、有機栽培における生産面の課題を解決し、収量の向上と品質の安定化を図り、有機栽培に対する需要の大きい欧米にプレミアム価格の八女茶の輸出拡大を目指してまいります。  ストーリー性があり地域の方と交流できる旅行の企画についてでございます。今回のロンドン、パリ訪問では、林肇在英国特命全権大使から、どういう土地でどういう人がどうやって物を作り、どんな歴史・文化があるのか。観光でヨーロッパから人を呼び込むためには、ストーリーが大事だという助言を頂きました。県ではこれまでも欧州のヨーロッパの旅行客の関心が高い歴史・文化をテーマとしまして、古民家に宿泊し、土づくりから絵付けまで窯元の指導を受ける小石原焼の陶芸体験、あるいは柳川藩主立花家当主から歴史、文化を学ぶ柳川巡りといったストーリー性があり地域の方と交流できる旅行商品の造成に取り組んでまいりました。今年度もデザインの図案から藍染めまで体験できる久留米絣弟子入り体験などの造成に取り組んでおります。  今回のロンドン、パリ訪問では、健康や環境への関心の高さを実感いたしましたことから、今後八女茶の産地を訪れ、生産者と交流し、お茶の効能や生育環境、さらに茶道文化を学ぶツアーの造成なども検討してまいります。  今後もこうした旅行商品の造成やツアー催行の働きかけを行い、ヨーロッパからの誘客にしっかりと取り組んでまいります。  大濠公園能楽堂における外国人対応についてでございます。外国人の方に、日本を代表する古典芸能であり海外でも注目されている能や狂言の能楽の魅力に触れていただくことは重要であると認識をいたしております。  大濠公園能楽堂では、外国人の方が施設見学にお越しの場合は、能楽協会が作成した英語の字幕つき動画を用い、能楽の歴史や魅力、能舞台の基本構造などを説明いたしております。また今年度からは新たに、ふだん能楽を鑑賞する機会の少ない県民や外国人の方にも広く能楽に触れていただく機会を創出いたしますため、十月から十二月にかけ能楽入門講座を開催いたします。今後、外国人の方に能狂言を楽しく理解いただくための効果的な方法につき、能楽協会九州支部と協議をすることといたしております。  大濠公園能楽堂のホームページにつきましては、能狂言について、より理解を深めていただける内容となりますよう今年度リニューアルを行う予定であり、今後新ホームページの内容や多言語化対応等について、指定管理者と協議を行ってまいります。  県産品の輸出拡大についてお尋ねがございました。県ではこれまで海外のバイヤーの産地招聘や海外の量販店やレストランでの福岡フェア開催などを通じ、福岡県の農林水産物の輸出促進に取り組んでまいりました。昨年度は香港やタイなど五か国・地域のバイヤーを九回にわたり産地に招聘いたしますとともに、これを契機として、タイの高級レストランにおいて博多和牛やあまおうなどを使用したフェアを開催いたしました。  今回のパリ訪問では、福岡ゆかりのミシュラン一つ星の茶懐石レストランにおいて、旅行会社あるいはメディアの方との意見交換会を開催いたしました。秋吉シェフが福岡有明のりなどの県産食材を活用して仕立てた和食と、八女茶や県産酒のペアリングを高取焼などの器で提供し、参加された皆様には大変好評でありました。  こういったことを踏まえ、優れた県産食材を一流のシェフがすばらしい料理、作品に仕立て、本県の伝統工芸品に盛ってレストランオーナーやシェフなどの実需者に提供し、直接PRするという手法が、食材の取引を拡大するためには効果的であると感じたところでございます。今後はこうした手法を活用しながら、県産品の輸出拡大に取り組んでまいります。  次に、三次元半導体研究センターについてでございます。年々高度化する三次元積層技術等の新たな業界ニーズに対応いたしますため、今年度から新たに企業版ふるさと納税を活用して最先端の機器を導入する取組を始めます。人材も必要でございます。併せて最先端技術に精通した研究員も配置をしまして、よりきめ細かに企業の研究開発を支援してまいります。  さらに、センターと企業、大学から成る最先端実装研究会を新たに立ち上げ、企業間の共同研究を促し技術力の向上を図ってまいります。こうした取組を通じ、企業の新たな研究開発ニーズに的確に対応を行ってまいります。  世界の頭脳を引きつける半導体拠点とするための取組についてお尋ねがございました。本県には半導体を作る側と、そして使う側、いずれもの優れた企業が集積をいたしております。また九州大学をはじめとする理工系の大学あるいは高専など、高度人材を育成する教育機関も集積をいたしております。さらに、半導体人材を育成する福岡半導体リスキリングセンターや、先ほど申し上げました三次元半導体研究センターという、他県に例を見ない公的支援機関を有しております。そして、二つの国際空港や港湾、高速道路などの充実した交通網、グリーンで安価な電力など、企業活動を支えるインフラが整っております。  さらに、本県は今月四日、国の金融・資産運用特区に選定されました。県ではこうした強みを生かしまして、引き続き、半導体関連企業の集積、人材の育成確保などに取り組みますとともに、今後この金融特区を活用し半導体産業のエコシステムの形成を図り、国内のみならず世界から多くの人、企業、そして英知が集まる世界から選ばれる福岡県を実現してまいります。  福岡半導体リスキリングセンターのウェブ講座の実施についてでございます。半導体に関わる人材を増やしていくためには、文系の学生など半導体について学習する機会がない方に対しても広く半導体を学んでもらうきっかけをつくることが重要でございます。  このため、福岡半導体リスキリングセンターでは、受講者のレベルに応じて開催をいたしております公開講座のeラーニング化に取り組みますとともに、黒田センター長のこれからの半導体人材の育成をテーマとした基調講演などをウェブで公開いたしております。さらに、今年夏頃には、高校生や文系大学生にも分かりやすく半導体の役割や仕組みが学べる半導体超入門講座をeラーニングで公開する予定でございます。  今後もこのようなウェブを活用した受講プログラムを順次充実させることとしておりまして、半導体産業を支える人材を一人でも多く創出できるようしっかりと取り組んでまいります。  次に、水素大規模拠点構築に向けた取組についてでございます。先月、水素の拠点化を目指す事業者への支援を盛り込みました水素社会推進法が成立をいたしました。夏頃には、水素供給インフラに係る詳細設計に対する国の支援事業の公募開始が見込まれますなど、拠点指定に向けた動きが具体化をいたしております。  この公募に向け、私が会長を務めております福岡県水素拠点化推進協議会に参加をいただいております伊藤忠商事や九州電力、日本製鉄、西部ガスなどの企業が水素などのサプライチェーン構築に向けた事業可能性調査を開始いたしました。  現在、この調査において、国内外での水素製造体制や受入れ貯蔵設備などの輸送インフラの整備について具体的な検討を行っており、今後より詳細な仕様の検討やコストの試算を進めてまいります。  国の指定を得るためには、安定的かつ大量の水素供給が可能な海外からの輸入水素を確保することが重要でございまして、県では水素の輸入を視野に入れた海外との連携を推進しております。このため今年度は、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の政府関係者や企業による水素受入れ予定地の現地確認や県内企業との商談を行う予定でございます。  脱炭素化への対応を経済成長の好機と捉え、経済と環境の好循環をつくっていくため、何としても国の指定を獲得し、本県に水素大規模拠点を構築することを目指し、引き続き取組を進めてまいります。  水素エネルギー新産業の育成・集積についてでございます。先ほど申しましたように、この脱炭素化への対応というものを経済成長の好機と捉えまして、経済と環境の好循環をつくる、このことのために、福岡県水素グリーン成長戦略を立てまして、水素関連産業の集積に取り組んでいるところでございます。具体的に申しますと、福岡県水素グリーンイノベーションサポート窓口というものを設置し、企業の新規参入に関する相談にワンストップで対応しておりますほか、技術アドバイザーの派遣、製品開発に対する助成、展示会への出展支援を実施をいたしております。これらの支援により、世界初の液化水素運搬船や国産宇宙ロケット等に使用される重要部品など、四十件の県内企業による製品化が実現したところでございます。
     現在県では、国による水素大規模拠点の指定や商用FCモビリティーの導入及び水素ステーションの整備を集中的に支援する重点地域の指定を目指しております。これが実現いたしますと、水素の製造や受入れ貯蔵設備、輸送インフラ、FCモビリティーなどに関連する産業の集積が期待されます。こうした取組により人材の受皿となる水素関連産業の育成、集積を推進し、グリーン水素で成長する地域を目指してまいります。  次に、孤独・孤立対策に係る取組についてでございます。孤独・孤立に至る要因は、健康、仕事、収入、結婚、住まい、人間関係などであったり、またこういった課題が複合的に関連したりしております。県では、このような住民の複合的な課題についての情報共有と、各支援機関の協力による問題解決のための多様なアプローチについて協議を行いますため、女性、DV被害者、ひきこもり、生活困窮者、就労などの支援を行います担当部署と、県社会福祉協議会を構成員といたします住民包括的支援体制整備連絡会議を令和三年度に設置いたしました。この会議におきましては、市町村の相談窓口で活用していただきますため、各分野の支援機関、団体などの支援内容をまとめました福岡県社会資源名簿というものを作成したところでございます。  また多種多様な主体が連携いたしました相談対応、支援内容の検討、伴走支援など、具体的な手法につきまして解説をした手引を作成しまして、市町村の各分野の担当者を一堂に集めた研修会において配付、説明を行っております。  今般、孤独・孤立対策推進法に基づき、国の講ずべき施策を定めた重点計画が策定をされました。この計画には、地域における包括的支援体制等の推進が盛り込まれております。これを踏まえながら、引き続き市町村における多種多様な関係者が連携した支援ネットワークの構築を図ってまいります。  いわゆる警固界隈に係る相談機能の強化についてでございます。県では昨年度、県警察と協力して警固公園を見回りまして、若者に声かけを行いました。警固公園に集まる若者は、学校のことや家族のことなど幅広い悩みを抱えていることから、福岡県若者自立相談窓口のチラシを渡しまして、この窓口の周知に努めたところでございます。今年度も引き続き実施をする予定です。この若者自立相談窓口では、生活あるいは就労のサポートを行う自立援助ホームなどの関係機関の情報を提供いたしますとともに、希望される方には同行支援も行いまして、福岡市の福祉事務所や、あるいは児童相談所につないでいるところでございます。  また、警固公園を所管しております福岡市とは継続的に意見交換を行っておりまして、今年度からは家庭や学校に居場所がない若者たちに福岡市のフリースペースを紹介しております。さらに、交番の横にございます自主防犯、非行防止等の活動拠点でございます福岡市市民局が所管いたしております警固公園安全安心センター、このセンターを相談場所として活用してまいります。  次に、潜在化している支援対象の早期把握と情報提供についてお尋ねがございました。県では、性暴力、性犯罪被害、予期せぬ妊娠などの問題を抱えやすい若年女性の方の支援の一環として、民間団体と連携をし、悩みを抱える方の早期把握のため、SNSを活用したアウトリーチを行っております。具体的には、SNS上で死にたいなどの言葉を検索をいたしまして、その言葉を投稿している方に対し個別にメッセージを送りまして、SNS相談などにつないでいるところでございます。男女問わず困難を抱える若者を支援につなげるために、民間団体の様々な取組を参考にしてまいりたいと考えております。  支援団体等との連携についてでございます。この若者自立相談窓口では、地域の民間支援団体と連携をいたしまして、官民問わず関係する相談員や支援員を対象とした事例検討などの研修会を年四回開催いたしております。  また、女性支援新法の施行に伴いまして、県内の各団体の活動内容や得意とする分野を把握し、ケースに応じてそれぞれの団体の強みを組み合わせて支援することができる仕組みとして福岡県女性支援団体ネットワークを今年度新たに立ち上げ、意見交換会や研修会を実施してまいります。今後は、若者自立相談窓口が今申しましたこのネットワークとも連携をし、情報交換を行ってまいります。  次に、薬剤耐性菌対策の取組についてお尋ねがございました。薬剤耐性菌対策はワンヘルスを推進する上で重要な施策の一つでございます。県では院内感染の予防や抗微生物剤の適正利用を図りますため、医療機関を対象とした研修会を開催しております。このほか、医療機関に国が行います薬剤耐性菌に関する発生動向調査への参加も促しているところでございます。  また、家畜の感染予防を図ることで抗微生物剤の使用削減につながりますことから、畜産農場を巡回しワクチン接種を推進いたしますとともに、飼養衛生管理基準の遵守を指導しております。  このほか、家畜や犬、猫を対象とした薬剤耐性菌の保有状況調査等を行っております。さらに、自然環境への影響を把握するために、河川水における薬剤耐性菌及び抗微生物剤の実態調査を実施いたしております。加えて、薬剤耐性が懸念されておりますサルモネラ属菌等による食中毒を未然に防ぎますため、屠畜場、食鳥処理場の事業者に対し、HACCPに沿った衛生管理が適切に運用されているかを確認し、助言指導や衛生講習会を実施しております。  このほか、ワンヘルスフェスタやくすりと健康フェアなどのイベントやワンヘルス推進ポータルサイトを活用しまして、県民に対し医薬品の適正使用について普及啓発を行っております。引き続きこうした取組を通じて、薬剤耐性菌対策を進めてまいります。  下水サーベイランスの活用についてでございます。県では、国内で根絶をいたしましたポリオウイルスについて、海外からの流入を監視いたしますため、平成二十五年度からその検出に有効な下水サーベイランスを活用し、保健環境研究所で月一回検査を実施しております。現在、国におきましては、次の新興感染症等への備えといたしまして下水サーベイランスの活用が検討されておりますが、下水処理人口、水量など様々な要因の影響を受け、ウイルスの検出精度にばらつきがある、また下水中のウイルス濃度と感染者数の定量的な関係が明らかになっていないなどの課題があるとされているところでございます。こうしたことから、国は引き続き下水サーベイランスの活用について検討を進めていくこととしておりますので、県といたしましてもその状況を注視してまいりたいと考えております。  県がデコ活を進める意義と県内の認知度についてでございます。脱炭素社会を実現いたしますためには、県民一人一人が省エネ、省資源などの取組を継続して実践することによって脱炭素型ライフスタイルに転換していく必要がございます。国が展開しておりますデコ活は、国、自治体、企業、団体等が一体となって国民の皆様のライフスタイル転換を後押しするものであり、大変意義あるものと認識しております。国民運動の愛称として公募を行い、昨年七月に選定されましたデコ活の本県における認知度は、県が実施いたしましたアンケート調査によりますと、全国と同様でございますが二五%にとどまっております。県といたしましては、県民、事業者の皆様の省エネ、省資源などの取組促進を図りますとともに、デコ活の認知度も向上させてまいりたいと考えております。  県民の皆様の自発的な取組の推進についてでございます。県では脱炭素型ライフスタイルへの転換を促しますため、次世代を担う子供たちが地球温暖化問題を中心とした環境問題について自ら考え、行動を見詰め直すということができますよう、環境教育副読本や地球温暖化対策ワークブックを作成し、総合的な学習の時間などに活用されております。  また、省エネ、省資源に取り組む家庭をエコファミリーとして、スマートフォン上で登録できるアプリを運用しております。このアプリでは電気・ガス使用量の記録・グラフ化を簡単に行うことができまして、またエコ活動や環境イベントへの参加などでたまったポイントによって県産品が抽せんで当たるという特典もございまして、家庭における自発的な取組を促すものとなっております。今後もこれらの教育や啓発の充実によりまして、県民の意識醸成を図り、自発的な取組を推進してまいります。  ライフスタイルの転換をさらに推進するための今後の取組についてお尋ねがございました。県では昨年八月のデコ活宣言前から、先ほど述べましたような環境教育や地球温暖化防止活動推進による地域での出前講座などによる啓発を行いますことで、県民の皆様に脱炭素型ライフスタイルへの転換を図っていただくための取組を後押ししてまいりました。今年度からは新たにスケールメリットを生かして、太陽光発電設備等の購入費用を低減する共同購入の仕組みを活用し、太陽光発電設備等の導入を促進してまいります。五月から購入希望者の募集を開始したところでございます。このような取組を通して県民のデコ活の実践を後押しし、一人でも多くの県民の皆様が脱炭素型ライフスタイルに転換することによって、サステーナブルな社会の実現につなげてまいります。  次に、働き方改革推進事業ポータルサイトの周知と両立支援等助成金の活用促進についてお尋ねがございました。県では平成三十年九月から働き方改革推進事業ポータルサイトを開設をいたしまして、セミナーあるいは助成金の情報を掲載いたしますほか、働き方改革に積極的なよかばい・かえるばい企業、この取組を紹介することによりまして、県内中小企業における魅力ある職場環境づくりをサポートしているところでございます。このサイトをさらに活用していただきますよう、県や中小企業支援団体等のホームページやメルマガを通じ情報を発信いたしますとともに、中小企業雇用環境改善支援センターなどの相談窓口での案内、あるいはサイトへのアクセスを容易にするための二次元コードをチラシへ掲載する、このようなことによりまして県内中小企業に情報がしっかり届くよう発信力を強化してまいります。  両立支援等の助成金につきましては、これまで福岡労働局と共催で企業の人事労務担当者に助成金の内容を説明する研修会を実施してまいりましたほか、子育て応援宣言企業のホームページやメルマガを活用した情報発信、中小企業支援団体等を通じた中小企業への周知に努めてまいりました。今年度は新たに柔軟な働き方をテーマとするセミナーを開催をいたしまして、両立支援と助成金のメニューとして新設されました柔軟な働き方選択制度等支援コース、これを紹介いたしますとともに、制度を導入しようとする中小企業への社会保険労務士の無料派遣を実施いたします。こういった取組によりまして、この助成金のさらなる活用を促進してまいります。  総合評価の新たな評価項目についてでございます。総合評価方式の入札は、企業の実績や技術提案の内容など価格以外の要素を入札価格と併せて総合的に評価し、落札者を決定するものでございます。現在、評価項目の一つといたしまして、若年技術者を採用した企業を評価する項目を設定をいたしました。若手人材の確保に努力している企業を後押ししております。  このほかにも、昨年度からは業界団体と連携し、建設業の魅力発信と女性活躍をテーマとしたセミナーの開催やPR動画の配信などを行っております。また、土の掘削に自動制御の建設機械を用いるなどのICTを活用した工事や週休二日を原則とした工事の発注、積算に用いる労務単価の引上げなど、建設業の労働環境の改善にも取り組んでおります。御提案がございましたICT活用工事の取組や奨学金返済の支援、女性技術者の採用などを総合評価の新たな評価項目として追加いたしますことは、企業の規模の大小や都市部、地方部といった所在地によって企業の対応のしやすさというものが異なりますことから、実態を踏まえた十分な検討が必要であると考えております。今後とも様々な取組を通じ、建設業における若手人材の確保が進むよう努めてまいります。  全日制私立高校における特別支援教育の状況についてでございます。特別支援教育を必要とする生徒の受入れは、中等教育学校を含めた県内六十校のうち二十六校で行われております。これらの高校では対象生徒の受入れ体制といたしまして、全校的な支援方策を検討・共有する校内委員会の設置、校内の教職員や校外の専門家との連絡調整を行う特別支援コーディネーターの配置を行っております。五十名以上の生徒を受け入れている五校によりますと、長年毎年多数の対象生徒を受け入れる中でそれぞれの教員が身につけた経験による障がいの状態に応じた指導、あるいは生徒の状況を共有し、きめ細かな指導を行うための複数担任制の実施、関係教員による個別生徒ごとの支援会議の開催、あるいは障がいの状態による習熟度別や少人数の学級編制など、それぞれの学校の状況に応じてそれぞれ特色ある特別支援教育が行われているところでございます。  全日制の私立高校に対する特別支援教育の支援についてでございます。県では各学校の運営費補助におきまして、校内委員会の設置や特別支援コーディネーターや専任教員、生徒の介助を行う支援員の配置、さらには障がいのある生徒に適応した教育環境の整備、こういったことを対象として加算を行っております。また、障がいのある生徒に対応する教員への指導・助言を行いますため、希望する学校に臨床心理士などの専門家を派遣いたしますとともに、私学団体が実施する発達障がいや障がいによる不登校などに関する研修に対し、助成を実施しているところでございます。 5 ◯議長(香原 勝司君) 寺崎教育長。 *教育長答弁 6 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 県立高校における通級による指導についてでございます。県立高校においては平成三十年度から、ひびき高校、博多青松高校、明善高校、嘉穂東高校を拠点校として実施をしました。さらには、昨年度から、西田川高校、大牟田北高校においても、拠点校から教員を派遣するサテライト方式で実施をしております。通級指導は原則として週に二時間程度、生徒一名につき教員一名で個別指導を実施をしております。なお、昨年度通級指導を受けた生徒は九十九名であり、専任教員十四名、非常勤講師五名で指導に当たっております。また、担当教員に対しましては研修会を実施し専門性の向上を図っており、通級指導が必要な生徒のニーズに対応できていると考えております。  県立高校における特別な支援を必要とする生徒への対応についてでございます。県立高校では生徒個々に支援計画を作成し、生徒のニーズに応じた支援に取り組んでおり、医療的ケアを行う看護職員、介助・学習支援を行う支援員の配置、通級による指導などを実施をしております。  また、校内体制としては、全校で特別支援教育コーディネーターを指名をし、校内委員会を設置しております。さらに県教育委員会では、高校における特別支援教育に関して、巡回相談など医療、福祉、教育の専門家が指導・助言を行う仕組みも導入をしております。今後もこのような取組の充実によりまして、特別な支援が必要な生徒に対応してまいります。  小中高等学校における切れ目ない支援についてでございます。障がいのある子供の自立と社会参加を促進するためには、一人一人の教育的ニーズに応じた継続性のある指導と、そのための切れ目ない支援が重要でございます。県教育委員会では知事部局と連携をし、ふくおか就学サポートノートなどの活用による各学校間の引継ぎを確実に行い各学校における指導・支援の充実に取り組んできたところであり、今後ともインクルーシブ教育の観点から切れ目ない支援を実施をしてまいります。 7 ◯議長(香原 勝司君) 岩下警察本部長。 *警察本部長答弁 8 ◯警察本部長(岩下 剛君)登壇 初めに、SNS型投資、ロマンス詐欺の現状についてお答えをいたします。これらの詐欺は、SNS等を通じて被害者と対面することなく、投資や結婚に興味を抱かせながら関係を深めて信用させ、インターネットを利用した振込などの方法により金銭をだまし取るものであり、昨年下半期から全国的に急増しております。本県においても本年四月末時点で認知件数が二百十件、被害額は二十三億四千万円を超えるなど、全国と同様に極めて憂慮すべき状況にあります。  次に、対策についてお答えをいたします。対策の柱は予防と検挙であります。予防については何よりも被害に遭わないことが第一であることから、絶対もうかるや元本保証の表示がある投資話は詐欺である、著名人の名前や写真が使われたネット上の広告や、恋愛・結婚をにおわせてお金を要求するSNS上のやり取りは詐欺を疑うといった注意点を啓発することと併せて、不審なメッセージを遮断する携帯電話の設定変更の促進、家族や周囲の人からの注意喚起など県民の皆様に向けた情報発信のほか金融機関への働きかけなど、被害に遭わないための諸対策を鋭意推進しているところであります。  検挙については、今春に新設された組織犯罪捜査課を中心にサイバー犯罪対策課、国際捜査課などと部門横断的な対策を推進しております。また、捜査対象が県内にとどまらないため、各都道府県警察に設置された特殊詐欺連合捜査班を活用して、全国警察が一体となった捜査を展開しているところであります。  最後に、これらの詐欺の撲滅に向けた決意についてお答えをいたします。県警察といたしましては、広く県民の皆様へ情報発信を行うほか、県や金融機関をはじめとする関係機関とも連携して、被害に遭わないための対策を強化するとともに、部門間や都道府県間の連携による効果を最大限に発揮して、これら詐欺に係る被害実態や犯行手口などを解明し、犯罪グループの検挙・壊滅とその犯罪収益の剥奪に向け、予防と検挙の両面から各種対策を強力に推進してまいります。 9 ◯議長(香原 勝司君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時四十分といたします。           午 後 零 時 二十五分  休 憩           午 後 一 時 四十一分  再 開 10 ◯副議長(佐々木 允君) 再開いたします。  休憩前に引き続き、代表質問を行います。発言を許可いたします。椛島徳博君。(拍手) *椛島議員質問 11 ◯三十六番(椛島 徳博君)登壇 皆さん、こんにちは。新政会福岡県議団の椛島徳博です。通告に従いまして、会派を代表し質問を行います。  世の中を一変したコロナ禍の三年間でした。今回のパンデミックは自然災害だとの表現もあります。また、近年の豪雨災害や異常高温など、これらの問題の原因をつくったのは紛れもなく自然と関わってきた人です。今を生きる私たちは地球規模で進行する環境問題にブレーキをかける、その責任があります。本県が先進的に取り組むワンヘルスの活動は、環境問題や今後来るであろう感染症、そして自然災害への向き合い方の確かな指針になるものだと確信しています。今日はもうすぐ二歳になる私の孫が応援に来てくれました。この子供たちの時代がどうか穏やかであってほしいと願っています。そのためにもワンヘルスの理念がこれから大きく広がることを心から祈り、代表質問に入ります。  初めに知事の政治姿勢についてお尋ねします。まず、防災・減災対策について伺います。昔は、災害は忘れた頃にやってくると言われていましたが、近年大地震が頻繁に起こっています。また、地球温暖化に伴う気候変動で豪雨災害も頻発化・激甚化し、加えて台風も強大化の傾向にあります。毎年のことですが、自然災害に対する万全の備えが強く求められています。  そこで、梅雨期を目前に豪雨災害の復旧状況と備えについてお尋ねします。昨年の豪雨災害で被害を受けた県管理の道路や河川、砂防の公共土木施設の復旧状況をお答えください。また、出水期前の対策についても併せてお答えください。その上で、特に被害の大きかった地域について以下お尋ねします。  まず、久留米市で発生した土砂災害現場の復旧とその後の対応について伺います。県では、これまでも構造物の健全度評価を定期的に実施することにより砂防ダムや治山ダムを適切に管理するなど、対策に鋭意取り組んでこられたと思いますが、昨年度の災害を受け、既存の砂防ダムや治山ダムにおいて背面の堆積土砂についてどのような対策を行っているのか伺います。あわせて、昨年、土砂災害警戒区域外で土砂災害が発生した千之尾川の土砂災害警戒区域の見直しの状況についてお答えください。  次に、土砂災害警戒区域の指定について伺います。県においては、新たな土砂災害警戒区域の指定に向けて約一万三千か所を抽出し、今年度から現地調査を行うこととしています。また、これらの箇所は土砂災害のおそれがあることから、早期に住民に認識していただくため、今年の五月二十四日に県のホームページで公表されました。  そこで伺います。今後の土砂災害警戒区域の指定までの流れをお示しください。  次に、昨年の豪雨によって巨瀬川が流れる田主丸地域では、土砂災害も相まって農地・農業施設や家屋が浸水被害に見舞われました。観測史上最大雨量を記録したことで甚大な被害につながったと言いながらも、抜本的な対策を速やかに進める必要があると考えます。巨瀬川における浸水被害の対策をどのように進めているのかお答えください。  次に、複数年にわたり内水氾濫に見舞われた地域の対策について伺います。久留米方面の筑後川左岸の支流である山ノ井川、金丸川、池町川、また筑後川右岸の支流である大刀洗川、陣屋川においては、令和五年七月豪雨においても内水氾濫が発生し、住宅や農作物などに大きな被害が発生しました。平成三十年以降、この地域は度重なる内水氾濫に見舞われていることから、県では、国、市、町と共に内水氾濫被害を軽減するための総合内水対策計画を策定し、これに基づき、調節池、また排水機場のポンプの増設などのハード対策事業が進んでいることと思います。  そこで伺います。これら筑後川支流の五河川におけるハード対策の進捗状況をお答えください。  関連して、農作物などの豪雨被害を低減するための取組として、農業分野での流域治水について伺います。コマツナ、ミズナなどの産地である大刀洗町では、被害が複数年にわたり甚大で、その都度、地域農業は深刻な被害に見舞われています。  このような状況を踏まえ、本県においては、河川管理者が主体となって行う治水対策に加え流域治水の取組が行われています。この流域治水は、氾濫域も含めて一つの流域として捉え、その河川流域全体の関係者が協働をし、水害を軽減させるものです。その中で、特に筑後川下流地域において実践されているクリークの先行排水は、被害低減に大きく貢献していると聞いております。  また、本県には多くの市町村で米が作付られています。この水田を活用した田んぼダムは流域治水に有効だと考えます。例えば、十アール当たり一ミリメートルの雨をためれば約一トンだと言われています。百ミリ(十センチ)ならば約百トンになります。水田の貯水機能を一時的であってもフルに活用できれば、その貯水量は大きなダムにも匹敵すると考えられます。  そこで、知事に伺います。田んぼダムの効果についてお示しください。また、本県における取組状況と今後の対応についても併せてお答えください。  この項の最後に、災害ボランティアの備えについて伺います。被災地の復旧に欠かせないのがボランティアの力です。昨年の災害の際には、県内外から多くのボランティアが被災地に入り、熱心に活動していただきました。本県でもボランティアが参加しやすいように被災地までの交通手段を提供し、県、県社会福祉協議会、災害ボランティア団体で構成されるFネットの三者が連携し、各地域の被害状況、また被災者のニーズ、支援団体の活動状況などの情報共有やニーズに応じた支援団体の紹介などを実施していただきました。  一方で、災害後には新たな課題も浮かび上がりました。昨年の災害では複数の自治体が同時に被災し、各地域の情報整理に時間がかかったこと、三者の役割が明確に定められていないことなどです。  そこで伺います。昨年の災害を受けて明らかになった課題に対してどのような対策を講じたのか、お答えください。  次に、新型コロナ対策の総括について伺います。昨年の五月八日に新型コロナの感染症法上の取扱いが変わりましたが、あれから一年がたちました。県はそれに先立つ本年三月、百三十五ページから成る冊子を発行し、一定の総括がなされたわけです。そこでまず、今回、総括と記録を公表された意図についてお聞かせください。  次に、医療及び経済的な側面から振り返ってみたいと思います。まず、医療の面です。総括の冊子でも多くの事柄について触れられていましたが、病床確保に苦労を要したことは皆さんも記憶に新しいと思います。今後来る次の感染症に対しても、新型コロナの対応を踏まえ、患者が適切な治療を受けられるよう医療提供体制の確保が重要だと考えます。そこで、医療提供体制の確保に向けた本県の取組についてお答えください。  次に、全国的に報道されている問題が幾つかあります。  まず、ワクチンの廃棄についてです。本県の令和五年秋冬接種に係るワクチンの廃棄の状況をお答えください。また、秋冬接種を含めてこれまで全国で相当数廃棄されたことについて、知事はどのようにお考えなのか、お答えください。  次に、医療機関などへの補助金の不正受給について、本県の状況と対応をお答えください。  さらに、後遺症に苦しんでいる方がいまだにいらっしゃいます。県ではこうした方へのケアについて、どのように取り組まれているのかお答えください。  次に、経済面について伺います。新型コロナウイルス感染症対策の主なものとして、事業の継続を下支えするために中堅・中小法人、個人事業者へ給付した福岡県持続化緊急支援金、県の要請に応じ休業や営業時間の短縮を行った飲食店などを対象に給付した福岡県感染拡大防止協力金が挙げられます。これらによって多くの事業者が救われたと思いますが、二つの給付金の実績についてお聞かせください。  また、これらの給付金については、困っている事業者に速やかに支援の手を差し伸べるため、スピード感を持って給付手続をされたと認識しています。ただ、中には不正申請などの返還金もある程度生じているのではないかと思います。二つの給付金の返還金の有無、返還の内容及び未返還金の回収に向けた取組についても併せてお答えください。  次に、我々が感じたことについて、二つの視点でお尋ねします。  まず、空気による規制です。日本では、諸外国と異なり、法による強制ではなくお願いや自粛要請という緩やかな方法により感染拡大対策を取ることができました。これは日本の国民性によるところも多く、海外からは驚きと称賛をもって受け止められました。  他方で、強制ではないのに、周囲の同調圧力によって自由な意思決定を事実上奪われることもままありました。マスクポリスという言葉も生まれ、周りの目を気にしながら生活することに息苦しさを覚えたのも事実です。公権力側もこの同調圧力を利用して政策を行っていた感があり、悪く言えば法の根拠なく国民を縛ったとの批判もあります。公権力側が感染対策のために国民の行動を縛るのであれば、そのことにより何ができなくなって何が許されるのか、あらかじめ法令で明示しておくべきであります。  一方で、法による強制ではなく要請にとどまるならば、従わなかった方が周囲から責められることのないよう、行政としてしっかり発信していただくべきだと考えます。今後の感染症に対峙していくためにも、これらについて服部知事はどのような政治姿勢をお持ちなのか、御所見をお聞かせください。  次に、デジタル化の遅れです。ここまで日本が遅れていたのかと正直ショックを受けることがしばしばありました。一律十万円給付の際の手書きの申請書、政府が導入したアプリの不具合、使いにくさ、唖然とすること度々でした。政府もさすがにまずいとマイナンバーカード普及促進をはじめデジタル化を進めています。しかしながら、いまだにウェブ入力した申請書を印刷して持ってきてください、など一部でやゆされる運用も残っているとも聞きます。  そこで伺います。新型コロナで顕在化したデジタル化の遅れの反省を踏まえ、今後来るであろう感染症に対応するためにも、行政におけるデジタル化の方向性をしっかりと決めるべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。  その他の点について伺います。  地方自治法改正案について感染症対策の点から伺います。今国会に提案されている改正案には、新型コロナの経験を踏まえ、非常事態において国の地方自治体に対する指示権が盛り込まれています。個別法の規定なくとも発動できるのが特徴です。この改正案に対しては、国と地方の関係を対等とする地方自治法の趣旨をないがしろにする、国の統制を強めると懸念が広がっています。本県としてはどのように受け止めているのか、知事の御所見をお聞かせください。  知事の政治姿勢の最後に、海外戦略について伺います。先月、服部知事、香原議長をはじめ県の公式訪問団がロンドン及びパリを訪れました。タイトなスケジュールではありましたが、県政課題の様々な面で参考になる調査であったと思います。訪問から間がないので、詳細な質問はまた改めて機会があればと思いますが、時期的な点もあり、次の点について伺います。  数多くの場所を訪れましたが、総じて感じたことは、福岡の知名度は残念ながらまだまだ低いということです。我々としてはやはり本県の知名度を上げる取組が必要であり、そのための機会を活用すべきだと感じました。  その中で着目したのが、ロンドンにあるジャパン・ハウスの取組です。ジャパン・ハウスは外務省により全世界に三か所、ロンドン、ロサンゼルス、サンパウロに開設されています。ここでは、日本の食や文化などを幅広くPRし、日本の魅力を高めています。ジャパン・ハウスの取組の一つに、スポットライト・オン・ローカル・ジャパンというものがあります。これは日本の地域に光を当てるという趣旨の取組であり、まだまだ海外に知られていない場所やその魅力をPRするのに格好の舞台だと思います。応募締切りは例年十一月頃と聞いていますので、時期的には一刻も早く準備を進めるべきだと思います。  そこで伺います。まず、今回の視察を通じて、知事は福岡の知名度についてどのような感想を持ちましたか。課題とともにお答えください。また、知名度アップのため海外の発信拠点を活用する取組についての御意見とともに、スポットライト・オン・ローカル・ジャパンに本県として応募すべきと思いますが、御所見をお聞かせください。  現在、県議会では海外視察の在り方に関する議論が行われています。プロジェクトチームの中でも、海外視察の成果や透明化に関する様々な意見が出されていますが、我が会派は、成果について次のような意見を持っています。すなわち、政策課題、殊に相手国のある地域外交、私はここではあえて地域外交という言葉を用いますが、それくらい強い主体性を持って自治体が海外と向き合うことが二十一世紀のスタンダードだと思っています。この地域外交については芽が出るのに時間を要するもの、また先方の政治体制が変わるなど状況の変化により振出しに戻るようなことさえあります。逆に、思わぬ果実が得られることもあり、地域外交というのは本当に奥が深い、長期的なスパンで物事を考える必要がある、そのように思います。  この八月に、知事はじめ公式訪問団でオーストラリアのニューサウスウェールズ州を訪れる運びと聞いています。これも我が県議会が口火を切って交流を開始し、二〇二三年十一月には両県州との間で水素分野における協力促進に関する覚書を締結するという成果につながりました。また、そのほかにもカウラ市との交流や、将来的なシドニーとの直行便復活に向けて先方に継続的な働きかけを行っており、ここにも地域外交の成果が芽吹こうとしています。  県議会の海外活動には、政策提言を充実させる手法の一つとして県議会単独で実施するもののほかに、先ほどお話ししたニューサウスウェールズ州訪問のように、知事の要請に応じて県執行部の海外活動に同行し協力するものもあります。  そこで伺います。知事は就任以来県議会と共に精力的に海外訪問を行ってこられましたが、議会が同行する効果についてどのようにお考えなのか、知事の率直な御所見をお聞かせください。  次に、交通政策に関しライドシェアについて伺います。昨今のタクシードライバー不足に加え、コロナ明けからのインバウンド増加によりタクシードライバーの不足が顕在化しました。都市部、地方部を問わず深刻化しており、これに対処するため、国での議論を経て今年四月より日本版ライドシェアが解禁されました。  まず、その内容ですが、世界的に浸透しているライドシェア、つまり一般のドライバーが自己の所有する自動車で乗客を運ぶという方式とは異なり、日本では道路運送法第七十八条三号の有償運送の例外規定を根拠に、国土交通大臣の許可を受け、地域または期間を限定して運用されることになりました。運営主体もタクシー事業者に限られており、分かりやすく言うと、二種免許は不要、自家用車を用いることができるという点は目新しいものの、そのほかは従来のタクシーと大きく異なりません。  この日本版ライドシェア、導入地域としては、第一段階では東京、神奈川、名古屋、京都の一部地域となり、第二段階となった本県は五月からの導入となりました。四十一事業者に参加の意向があったとのことで、五月末時点で二十六事業者に運行許可が出されております。  そこでまず伺います。日本版ライドシェアについて、制度の概要をどのように把握しているのかお答えください。また、本県での導入についてはどのような形になるのか、地域的な点にも触れた上でお答えください。  次に、導入のメリット、課題について伺います。導入のメリットについては、タクシー不足解消が期待されます。都市部ではインバウンド増加も影響し、特に混雑時間帯にタクシーがつかまらないことが問題に。地方部ではタクシードライバーの高齢化の影響もあり、そもそもタクシーがいないとも言われております。ライドシェア導入でこれらの問題は一定程度解消するのか、都市部と地方部それぞれの見通しをお聞かせください。  次に、課題についてです。一般ドライバーが運転することに、安全面に懸念する声が上がっております。運行主体をタクシー事業者に限ることで一定の担保はされているものの、二種免許を有しないことによる運転技術の問題、ひいては事故につながる点の不安の声、さらに犯罪に巻き込まれるおそれがあるのではないかという深刻な懸念があります。また、個人的には、都市部には一定程度機能するかと思いますが、この仕組みで地方部でタクシー不足解消に寄与するのか疑問があります。こうした課題に対し、県としてどのように取り組まれるのか、お聞かせください。  次に、労働問題についてお尋ねします。まず、賃上げに向けた取組について伺います。バブル崩壊後、低賃金にあえいでいた日本社会が、近年は国の積極的な賃上げ政策もあり、今年の春闘では賃上げ率平均五%を超え、三十三年ぶりの高水準となりました。今後も継続的にこの傾向が続くよう願っております。もっとも、不安定な世界情勢の影響もあり、物価高、極端な円安が同時並行で進行し、実質賃金は本年三月までで二十四か月連続マイナスと、生活実感としては賃上げの恩恵を感じにくい状況が続いております。この点は今後も懸念材料であります。  そこでまず伺います。今年の春闘の結果も受け、県内の賃上げの状況について、本県ではどのように受け止めているのか、お聞かせください。  次に、県内中小企業の状況について伺います。先ほどの春闘の好結果については大企業を中心とする企業の伸びが大きな要因と考えますが、重要なのはそれが中小企業まで及んでいくことです。県内企業の九割以上は中小企業であり、本県経済を支えるのは中小企業の皆さんであります。ここに賃上げの効果が及んでいなければ、本県全体を巻き込む経済の好循環は生まれてきません。  ここで課題となるのが中小企業の価格転嫁です。大企業の賃金が上がっても、取引先の中小企業が製品やサービスに価格転嫁できなければ、コスト上昇分を中小企業が抱え込むだけになり、中小企業の経営はかえって逼迫してしまいます。この問題は日本経済の構造的課題でもあり、弱い立場にある中小企業の声をどう代弁していくのか、行政としても積極的に取り組むべきです。  そこで伺います。まず、本県の価格転嫁の状況についてどう捉えているのか、知事の御所見をお聞かせください。  次に、中小企業の賃上げを実現するための具体的な対策について伺います。賃上げを実現するためには、経営効率化はもちろんですが、やはり先ほど申し上げましたように適正な価格転嫁を実現し、中小企業の実入りを増やしていかなくてはなりません。先日、公正取引委員会が、大手企業に対し下請企業との取引で不当な減額を行っていたとして、再発防止を求める勧告を出しました。公正取引委員会はそのほかにも、今年三月、コスト上昇分の価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえ、多くの取引先と協議せずに価格を据え置いたとし、名立たる十社の企業名を公表しました。御存じのとおり、公正取引委員会とは、いわゆる独占禁止法や下請法を運用するために設置された独立行政委員会であります。公取に対しては、違反があれば誰でも事実を報告し、適当な措置を取るように求めることができます。公取自身も、被疑事件に対し自ら審査し、時には強制捜査を行うこともできるという強力な権限を持つ機関であります。しかし、鳴かない番犬とやゆされた時期もありました。  しかし、近年は政府の強力な賃上げ方針に歩調を合わせるかのように、積極的に活動しているように感じています。実際、公正取引委員会のウェブサイトには、トップに公正で自由な競争が持続的な成長と生活水準を向上させると掲げられており、また昨年十一月には、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を策定するなど、まさに公取自ら賃上げに積極果敢に取り組むと宣言しているかのようです。また、十二の指針の中にも、全国の商工会議所・商工会には、独禁法相談ネットワークが設置されており、中小事業者が相談することができます。この窓口の積極活用を公取自体も促しています。  我々としては、この公取の積極姿勢を十分に活用し、価格転嫁、中小企業の賃上げを実現し、県内経済の持続的な成長を図っていくべきと考えています。  そこで伺います。本県の目指す持続的な賃上げ実現のためには、県内の中小企業が円滑に価格交渉ができる環境を整える必要があります。特に、弱い立場の中小企業にとって、強力な権限を持つ公正取引委員会の存在は大きいです。公取自身も指針の活用を促しています。こうした公取の動きを県としても後押しすべきと考えますが、知事の御見解をお尋ねして、この項の質問を終わります。  次に、若年層の大麻事犯対策及び少年の非行防止対策について伺います。福岡県では、大麻事犯の検挙者数は平成二十七年以降増加傾向が見られ、令和五年、四百七十五人と過去最多となりました。また、少年の検挙補導者数は百九人と百人を初めて超え、こちらも過去最多となっています。  国会では昨年十二月、大麻草を原料とした医薬品の使用を認める一方、若者などの乱用を防ぐため、使用の禁止を盛り込んだ大麻取締法等の改正法が成立しました。その際、官房長官が、今回の改正が若年者による大麻の乱用の歯止めになることへの期待と、薬物全体について一次予防の取組が大変重要となることから、若者に対する啓発強化を述べられていました。
     そこで、知事にお尋ねします。改正法の成立及び県内の大麻事犯の増加を鑑み、若年層に向けたこれまでの啓発と今後の取組について御見解をお示しください。  また、教育長にお尋ねします。福岡県薬物乱用防止第六次五か年戦略の中に、小中高等学校における薬物乱用防止教室の開催など大麻等薬物乱用防止に関する指導・教育の充実強化とあります。今後の取組についてお答えください。  次に、警察本部長に少年の非行防止対策についてお尋ねします。平成十五年以降、本県における刑法犯少年の検挙、補導者数は減少傾向にあるものの、令和五年中は千四百五十二人と全国第五位で高い水準で推移しております。近年の少年を取り巻く社会環境はさま変わりしており、複雑、多様化する少年非行問題に対応するためには、学校やボランティア団体などの関係機関との連携と社会全体での取組が必要であります。また、少年非行の防止には、少年補導員など少年警察ボランティアのサポートが有効だと考えています。現在、県下には警察から委嘱された約千八百名の少年警察ボランティアがおられると聞いております。現在の活動内容について、まずお答えください。  また、少年警察ボランティアのほかに大学生などによる少年警察学生サポーターがおられます。この少年警察サポーターは年齢も近く、少年の非行防止のために有効だと考えます。この制度は全国でも進められており、各地域で街頭補導活動のほか、ひきこもり少年に対する相談、学習指導、環境浄化活動、万引き防止活動、少年柔・剣道大会への支援など、学生の特性を生かした活動を行っているとありました。現在、本県内の学生サポーターの人数と活動内容についてお答えください。あわせて、少年の非行防止に向けた今後の取組について、県警察本部長の見解をお聞かせください。  次に、農政問題として、食料生産の面から水田農業の振興について伺います。麦秋の候が過ぎ、田植の準備が進んでいます。季節ごとに変わる田園の景色に心が癒やされます。農業は環境と命を守るかけがえのない産業です。本県の農業もしっかり守っていかなければならないと思うこの頃です。  さて、農政に目を向ければ、世界的な食料需要の増加や地球温暖化の進行、国際情勢の不安定化など、食料、農業を取り巻く情勢は刻々と変化しています。このような中、去る五月二十九日、食料・農業・農村基本法の改正法が成立しました。この改正法には、米、麦、大豆といった食料を安定的に供給する力を強化するという方向性が示されています。本県においても、やはり米、麦、大豆を中心とする水田農業が元気でなければならないと改めて感じています。また、水田農業の振興は防災・減災の項でも取り上げたように、水田が持つ多面的機能の一つである田んぼダムの取組につながる効果も大いに期待できます。とりわけ耕地面積に占める水田面積の割合が八割を超える本県にとって、水田農業を維持、発展させていくことは極めて重要であります。また、今後、農地の集積、集約化を推進するとともに、担い手の所得向上に向けた取組にも力を入れていかなければなりません。  そこで、知事に伺います。厳しい状況下の農業ですが、何といっても農は国の基です。持続的な水田農業の発展に向けた取組をどのように進めていくのか、知事の決意も含めお答えください。  最後の質問です。教育問題に関し、深刻な教員不足についてお尋ねします。教員不足は、教育行政において最重要課題の一つであります。これを解決し、教育の質を向上させることは本県にとって急務です。令和四年一月に文科省が初めて発表した全国調査によると、教員不足の主な要因としては、産休・育休取得者数、特別支援学級数、また、病休者数、それぞれの増加によるものでした。  そこで、教育長に伺います。まず初めに、今年度の県内の政令市を除く公立小中学校における定数欠講師の未配置状況について、この調査で教員不足が顕在化した令和三年度と比較して、その状況がどのように変化してきたか、お示しください。  次に、小学校における教科担任制についてお尋ねします。今後、少子化に伴い必要な教員数が減少していくことは考えられますが、それ以上に欠員数の増加や採用試験の受験者減少といった目に見える形での教育現場の疲弊が確認できます。こうした状況に対する解決策として、小学校教育において教科担任制のさらなる推進が必要であると考えています。教科担任制は教員の授業準備の負担が大幅に減ることや時間ごとの授業の質も向上することなど、多くの利点があります。  そこで、教育長に伺います。本県の公立小学校での教科担任制の導入状況はどのようになっているのか。また、導入の効果や今後の方針を県教委はどのようにお考えでしょうか、お示しください。  次に、特別免許状についてお尋ねします。特別免許状とは、昭和六十三年に制定された制度であります。教員免許状を持ってはいないが、優れた知識、経験等を有する社会人などを教員として迎え入れるものです。また、教育職員に任用または雇用しようとする者の推薦に基づき、授与権者である都道府県教育委員会の行う教育職員検定を経て、学校種及び教科ごとに授与する教諭の免許状のことであります。その授与の要件とは、担当する教科の専門的な知識、経験、または技能を有すること。社会的信望、熱意と見識を有すること。この二つです。さきに述べました小学校における教科担任制をさらに推進していくためにも、また、昨今の教員不足の状況下で多様な教員を確保する観点からも、特別免許状を活用することが有効な対策なのではないかと考えます。  そこで、教育長に伺います。まず初めに令和元年度以降、小学校以外の免許状を含め、本県教育委員会が授与した特別免許状の件数とその事例についてお示しください。産経新聞によると、本年四月に文科省は中央教育審議会の部会に、特別免許状制度についてこれまで以上に自治体が活用しやすくするために見直した運用指針案を提示し、了承されたとの報道がありました。また、その記事によれば特別免許状の授与を前提とした選考を実施する、任期つきなどで任用できるようにする、指導力を過度に重視し過ぎないなど、制度活用のハードルを下げる項目が盛り込まれたとのことでした。その後、文科省は五月八日付で従来の指針を特別免許状の授与及び活用等に関する指針として改訂し、各都道府県教育委員会宛てに通知されたと伺っています。  そこで伺います。この指針の改訂を受け、今後、特別免許状をどう活用していくのか、教育長のお考えをお示しください。  以上で代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 12 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 13 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  令和五年梅雨前線豪雨災害の復旧状況及び出水期前の対策についてお尋ねがございました。県が管理いたします道路、河川、砂防施設の原形復旧につきましては、全二百五十四か所のうち六割を超える百六十八か所で工事に着手し、このうち八十八か所は完成いたしております。また、河川の拡幅や堤防のかさ上げといった河川改良復旧につきましては、全八河川で測量設計を実施し、このうち巨瀬川を含む五河川において既に工事に着手いたしております。新たな砂防ダムの設置など砂防施設の改良復旧につきましては、全七か所で測量設計を実施し、このうち千之尾川を含む二か所において既に工事に着手しております。出水期の前におきましては、日常点検などで把握しております要注意箇所について点検を行い、必要に応じ、道路のり面や護岸の補修、土砂の撤去などの対策を講じております。また、昨年の浸水被害がございました全ての河川において、河道掘削、樹木伐採などを行い、大雨に備えているところでございます。  久留米市で発生した土砂災害の対応についてでございます。昨年、久留米市において甚大な土砂災害が発生いたしました。このため、県では久留米市における砂防・治山ダム背面の土砂の堆積状況について緊急点検を行いました。この点検により一部のダムで豪雨の際に下流へ流出するおそれのある異常な堆積土砂が確認されたことから、被害を未然に防止するため、これらの土砂を速やかに撤去いたしました。また、千之尾川では土砂災害警戒区域外で土砂災害が発生いたしましたため、区域を見直すための調査を実施した後、久留米市と連携し、地域住民の皆様に対する説明会を行い、出水期前の先月、新たな土砂災害警戒区域を指定いたしました。引き続き久留米市と連携し、住民の皆様が適切な避難行動を取れますよう、土砂災害警戒区域の見直しについて周知を図ってまいります。  新たな土砂災害警戒区域の指定についてでございます。県では高精度な地形図を用い、新たに土砂災害のおそれのある一万三千六百六十二か所を抽出いたしました。これらの箇所を土砂災害警戒区域として指定いたしますためには、地形や地質、降雨などの状況を詳細に調査する必要がございます。こういった調査には今年度から順次着手することとしており、その調査結果に基づき区域指定が必要な箇所を選定し、土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーン、土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンを設定いたします。その後、関係自治体の意見を踏まえ、住民説明会を行った上で順次区域指定を行ってまいります。県としては、今後とも土砂災害警戒区域の確実な指定を通じ、住民の皆様の防災意識が向上するよう努めてまいります。  巨瀬川の浸水被害の対策でございます。昨年の巨瀬川における浸水被害を受けまして、国、久留米市、うきは市と共に、おおむね五か年で実施する対策を取りまとめました巨瀬川緊急治水対策プロジェクトを昨年十一月に策定いたしました。県ではこのプロジェクトに基づき、国と連携し、河川の拡幅や橋梁架け替えなどを加速化することといたしまして、既に工事に着手いたしております。また、今年四月に新たに二か所の調節池の整備をプロジェクトに追加をいたしまして、対策の充実を図りました。今後ともこのプロジェクトに基づき、国、県、市で連携し、浸水対策に的確に取り組んでまいります。  筑後川支流の五河川におけるハード対策の進捗状況についてお尋ねがございました。山ノ井川におきましては、パラペットや調節池の整備、排水機場のポンプ増設などを計画しており、パラペットの設置とそれに伴う橋梁架け替えが完了いたしました。金丸川、池町川におきましては、パラペットや放水路、地下調節池の整備を進めており、パラペットと地下調節池一か所の整備が完了しました。また、筑後川合流部において、国が施工しておりました排水機場のポンプ増設も完了しております。大刀洗川、陣屋川では河道拡幅や調節池の整備、排水機場のポンプ増設などをそれぞれ計画しておりまして、現在、河道拡幅や調節池の整備を進めております。今後とも国、市、町と連携し、内水氾濫被害を軽減するためのハード対策にしっかり取り組んでまいります。  次に、田んぼダムの取組についてでございます。田んぼダムは流出量を抑制する堰板などを水田の排水ますに取り付け、大雨の際は通常の管理水位を超えて雨水を一時的に貯留し、時間をかけて排水することで、水路、河川の急激な増水を抑える取組でございまして、実施地区の下流域の浸水被害を低減させる効果がございます。県では、多面的機能支払交付金の活用や水位の上昇に耐えられる十分な高さと強度を備えた畦畔の整備の支援などを行っております。この結果、久留米市や筑後市などで取組が拡大し、今年度の面積は昨年度の取組面積の一・八倍となる約七百ヘクタールで、七十万立方メートルの洪水調節容量を確保する見込みとなっております。今後とも市町村と連携し、これまでに浸水被害を受けた地域を中心に、田んぼダムの導入の効果、支援制度、先行事例を紹介し、さらなる導入を働きかけますことによりまして、田んぼダムを活用した流域治水の取組を推進してまいります。  災害ボランティアの備えについてでございます。昨年七月の梅雨前線豪雨災害の際に明らかになった課題は二つございました。  一つ目の課題は、災害ボランティアセンターを運営する市町村社協が支援団体の活動状況を把握し、地域では対応できない被災者ニーズを整理するのに時間を要したことでありました。このため、市町村社協が平時から地域のNPOやボランティア、地元企業等の多様な主体と密に連携できる関係性を築き、災害時には円滑に地域協働型の災害ボランティアセンターを運営することができますよう県社協が実地訓練を行うことといたしております。また、地域におけるさらなる連携を促しますため、今年五月、NPO、企業等と市町村、社協を対象としたセミナーを開催し、講演やワークショップを行いました。セミナーに御参加いただきました皆さんには、県社協が主催いたします実地訓練への参加を呼びかけることといたしております。  二つ目の課題、これはボランティア活動の調整を行う県、県社協、Fネットの広域災害時の三者の役割が明確に定められておらず、迅速な調整ができないということでございました。そこで、昨年十月から四回にわたり三者連携会議を開催し、活動調整における三者の役割を整理するとともに情報共有の仕組みを構築いたしました。具体的には、災害が発生した場合、まず県社協が市町村の災害ボランティアセンターを通じ、各市町村では対応できない被災者ニーズを収集し、情報を整理いたします。その上で三者で情報を共有し、県が主導して対応策を検討し、瓦礫撤去のための重機の使用や床下乾燥等専門的技術が必要な活動につきまして、Fネットのネットワークを活用して、市町村、社協に支援団体を紹介するなどの活動調整を行います。  これまでに三者連携会議におきまして、連絡手段の検討、発災後のそれぞれの動きや連携についてのシミュレーションなどを行い、具体的な流れを確認したところでございます。今年度は広域災害を想定した情報共有や活動調整の訓練も実施予定でございまして、三者による災害ボランティアに対する支援機能をさらに強化し、災害時における円滑な支援活動につなげてまいります。  新型コロナウイルス感染症対応の総括と記録の公表についてお尋ねがございました。県はアジアの玄関口に位置しており、アジア地域由来の新興感染症や人獣共通感染症が流行するリスクが高く、今後も海外から流入してくる可能性がございます。今回の新型コロナへの対応は、今後十年、二十年が経過した後に新たな感染症が発生した場合、新型コロナを経験していない関係者にとって次の局面を予測し、対応策のヒントを得るための重要な道しるべとなります。このことから、総括と記録を作成し、これらの内容を広く共有するため、県のホームページで掲載いたしますとともに関係機関等に周知を行っているところでございます。  新たな感染症に備えた医療提供体制の確保についてでございます。新型コロナへの対応では、入院病床を最大二千八十九床確保いたしました。また、宿泊療養施設には、全ての施設に医師、看護師が二十四時間体制で常駐する。また、血中酸素飽和度を用いたトリアージを行う。病床の利用状況をリアルタイムで共有できる独自のシステムの開発など、福岡方式とも呼ばれる取組により病床の効率的な運用を図ったところでございます。この一方で、流行初期においては病床等の確保に時間を要し、入院調整が円滑に進まなかったことが課題であったと考えております。  こうした新型コロナ対応を踏まえまして、国においては感染症法を改正し、新たな感染症に備えるため、入院や発熱外来、後方支援等の医療提供体制について、平時から都道府県が医療機関等と協定を締結する仕組みが設けられたところでございます。このため、県では重症度に応じた入院の受入れ、外来対応などの役割分担が図られますよう医師会等の関係団体とも連携しながら、医療機関等との協定の締結を進めております。  報道されております医療面の問題についてでございます。まず、本県の令和五年秋冬接種におけるコロナワクチンの廃棄量でございますが、約三十五万二千回分となっております。国においては、世界各国でワクチンの獲得競争が起こる中、接種を希望する全ての方にワクチンをお届けできるよう様々な可能性を視野に入れて確保に取り組んでこられたものと承知いたしております。その結果、相当数の廃棄が発生しておりますが、国民の生命、健康を守るためにはワクチンを確実に確保することは重要でございますことから、国の取組は必要なものであったと考えております。  次に、医療機関等における補助金の不正受給についてでございます。県では病床確保や設備整備等に対する補助金と感染に不安を感じる県民等を対象とした無料検査に対する補助金につきまして、八つの事業者で不正行為があったことを確認しておりました。その総額は約四億八千万円となっております。このうち未交付額を除いた約三億八千万円について返還請求を行い、その約七割に当たる約二億五千万円が返還されておりますが、未返還の事業者に対しては督促を行っているところでございます。  次に、後遺症で苦しむ方へのケアについてでございます。県では後遺症に関する相談窓口を保健所で継続して開設しておりまして、後遺症の診療が可能な医療機関を御紹介するとともに医療機関名をホームページにも掲載しているところでございます。  新型コロナウイルス感染症対策として実施いたしました給付金についてでございます。まず、福岡県持続化緊急支援金は令和二年一月から五月までの期間のうち、ひと月の売上げが前年同月比で三〇%以上、五〇%未満減少した事業者に対し、法人は五十万円、個人事業者は二十五万円を上限として合計二万五千八百十一件、八十九億六千六百万円余を給付いたしました。このうち、売上金額の過少申請等の理由により返還が発生いたしましたものは六十四件で約一千九百万円となっており、これまでに全額が返還されております。  次に、福岡県感染拡大防止協力金、令和三年一月から令和四年三月までの間、県が飲食店、ショッピングモール、百貨店といった大規模施設を対象に休業や営業時間の短縮等を要請し、これに応じた事業者に対し四十二万三千九百十一件、三千三百四十八億五千万円余を給付いたしました。このうち、実際は営業時間短縮の要請に応じていない事業者からの申請のほか、郵送とオンラインの重複申請等の理由により返還が発生いたしましたものは六百九十五件となっており、約四億一千万円となっております。これまでに、このうち四百三十七件、約二億円が返還されております。未返還の二百五十八件、約二億一千万円につきましては、電話での督促のほか、督促に応じない事業者には催告状を送付し、回収に努めているところでございます。  今後は、債権回収のノウハウがある弁護士や弁護士法人も活用しまして、返済資力の調査を行いますとともに、現地訪問による督促を行うなど粘り強く返還を求めてまいります。  感染対策のための行動制限についてでございます。新型コロナ等の感染症の蔓延を防止するための措置を規定いたしました新型インフルエンザ等の特措法では、例えば、緊急事態宣言下では都道府県知事は県民や事業者に対し、外出自粛等の感染防止に必要な協力、施設の使用制限、催物の開催制限等の措置を講ずるよう要請できるとされております。これらの要請の具体的な内容は、感染状況や病原体の特性等に応じ、感染対策の実施内容を明示した国の基本的対処方針を踏まえ、地域の実情に応じて決定しております。感染拡大防止のため、マスク着用の呼びかけに当たりましても、病気や障がいなどの理由で着用できない方もいらっしゃいますので、県では新型コロナに関する偏見や差別が起きないようポスターやチラシの作成、配布、SNSでの動画配信などによりまして、県民の皆様に対する啓発を行ってきたところでございます。  新型コロナの八回に及ぶ感染拡大の波を乗り越えられましたのは、こういった要請に御協力いただきました県民の皆様、事業者の皆様のおかげでございまして、改めてお礼を申し上げます。万一、次の感染症が蔓延する事態となった場合でも、感染対策のお願いについて、県民の皆様、事業者の皆様に御理解していただけますよう丁寧に説明を行ってまいります。  行政のデジタル化についてでございます。新型コロナへの対応の中で、各種給付金の遅れや混乱が生じるなど、行政分野におけるデジタル化の遅れが明らかになりました。こうした中で、県ではデジタル技術を活用して、業務そのものや組織、風土を変革するデジタルトランスフォーメーションを社会全体で強力に進めていくことや、地域づくりを担う自治体においてデジタル技術を活用できる人材を育成することが必要と考えまして、令和四年三月、福岡県DX戦略を策定いたしました。現在、この戦略に基づきまして行政手続のオンライン化やテレワークの推進など、デジタル技術を活用した県民の皆様の利便性や行政の生産性の向上に鋭意取り組んでおります。今後、新たな感染症が発生した場合でも適切に行政サービスが提供できますよう、国、市町村としっかり連携を図りながら行政のデジタル化をさらに進めてまいります。  次に、改正地方自治法についてでございます。私はかねてから大規模な災害や感染症の蔓延等の非常時に国が地方公共団体に必要な指示を行う補充的な指示については、地方の自主性や自立性を十分に尊重することが前提であると考えております。このため、国から地方に対して一方的に指示を行うのではなく、当該指示権の行使の範囲については、真に必要と思われる場合に限定し、行使すべきかどうかの判断に当たっては、事前に国と地方公共団体との協議を行う仕組みとするなど、厳格な手続の下で行われるべきであると考えます。このことについて法案の検討段階から全国知事会と連携し、国に要請してまいりました。しかしながら、改正法では事前の協議や意見聴取が努力義務にとどまり、どういった仕組みにより指示の行使に至るのか示されておらず、極めて不透明でございます。こうした中、五月十日には、国会で法案が審議入りするタイミングを捉えまして、全国知事会では改めて、国に対し運用の明確化を図るよう要請を行いました。また、五月二十一日には、村井全国知事会長が国会に出席し、地方の懸念、意見を述べたところでございます。引き続き全国知事会と連携しながら、地方自治の本旨が損なわれないよう国に求めてまいりますとともに、今月末の政府予算要望においても、県議会の皆様と一緒に要望を行ってまいります。  次に、海外戦略につきまして、まず福岡の知名度についてのお尋ねがございました。今回のロンドン、パリの訪問で、林肇在英国特命全権大使をはじめ、現地の旅行会社の皆様などと意見交換をした多くの方から、福岡はもちろん九州ですらほとんど知られていないと。単発のイベントではなく継続した取組が必要だという指摘をいただきました。福岡の知名度の低さや効果的なプロモーションというものの必要性を痛感いたしました。しかしながら、ロンドンで開催した観光セミナーにおきましては、現地のメディアの皆さんから、東京、京都以外にも魅力的な地域があることを知った、福岡の魅力を記事にして掲載したいとの申出を受けましたので、早速、本県の観光情報の提供を行って取材に協力をしたところでございます。  また、パリでは茶懐石レストランで開催した意見交換会で、旅行会社やメディアの方に高取焼などの器で和食と八女茶や県産酒を味わっていただきましたところ、参加された皆様に大変好評を博しました。中でも、世界のトップレストラン千を選出いたします情報サイト、ラ・リストの代表でいらっしゃいますフィリップ・フォール元駐日フランス大使からは高い評価をいただき、東京のフランス大使公邸で開催される美食イベントの機会を捉え、福岡の食をPRしてはどうかという御助言をいただきましたので、現在、出展に向けて調整を行っております。このような取組を通じ、欧州での知名度向上を図ってまいります。  海外の発信拠点を活用した知名度の向上についてでございます。海外からの誘客や県産品の海外販売の拡大を図るためには、海外において情報発信を行い、本県の知名度を向上させることが重要でございます。このため、県では今年度から新たにロンドンの日系旅行会社を通じ、ヨーロッパ最大級の旅行博への出展や現地旅行会社やメディアに対し、本県の最新の観光情報を掲載したニュースレターの継続的な発信を行っております。また、欧州の中でも展示会が最も多く開催され、世界的なブランドや流行が生まれるパリに各国からバイヤーが集まってまいります。このため、日本の伝統工芸品の展示販売店を拠点としてテストマーケティングを行いますと同時に、本県の伝統工芸品の歴史や産地の情報発信を行い、販売拡大につなげてまいります。まずは、こうした取組を着実に進め、本県の知名度向上を図りたいと考えております。  御指摘のございました外務省が設置いたしました日本への理解を深める情報発信拠点、ジャパン・ハウス・ロンドンにおける日本の地方の魅力を紹介するイベントでございます。スポットライト・オン・ローカル・ジャパンの活用につきましては、その集客数や参加者の評判、現地のマスコミ報道など情報収集を行いまして、プロモーション手法として効果的であるか研究を行ってまいります。  海外訪問に議会が同行する効果についてお尋ねがございました。これは三つあると考えております。  まず一つ目は、県として海外に訪問団を派遣する際、地方自治における二元代表制の両輪である知事と議会が共に現地を訪れ、双方が一体となって取り組む姿勢を相手方に示すことによって、我々の熱意、あるいは取組の実効性といったものを相手に理解いただくことにつながるものと思っております。例を挙げますと、県議会がワンヘルス教育に先進的に取り組んでいるハワイ大学との協力関係を築かれました。このことが昨年の四月、私とハワイ大学の学長との間でのワンヘルス教育研究に関する覚書を締結する契機となったものでございます。さらに、先月、グリーンハワイ州知事と私、そして香原県議会議長の三者連名によるワンヘルスの推進に関する共同宣言の発出につながりました。海外活動に御同行いただきます県内の企業の皆様、経済団体の皆様、大学の皆様などに対しましても、議会が共に活動している姿というものを見せることは同様の効果があるものと考えております。  二つ目は、観光プロモーションなど現地の方をお招きするイベントにおきましては、知事同様、県民の負託を受けた県議会の皆さんに共にホスト役として対応いただくことで、こちら側の意図を強く伝えることとなり、効果的なアピールにつながっております。  三つ目は、県議会の皆さんが訪問先で知事と共に話を聞く、レクチャーを受ける、あるいは実際に現地の状況を見る、こういったことで県の課題あるいは施策の方向性について共通認識を持っていただくとともに、海外戦略の必要性や重要性を御理解いただいて、円滑に施策が実行できるという効果があるものと考えております。例を挙げますと、昨年八月、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州に県議会の皆さんと訪問いたしましたが、この際、州政府からの説明を受け、また、世界最大の石炭積出港、ニューカッスル港において、石炭からグリーン水素への転換を行うという計画、また、その状況について調査を行いました。県議会の皆さんに連携の必要性を御理解いただき、私とニューサウスウェールズ州首相との間での水素分野における協力促進に関する覚書の締結につながったものでございます。引き続き、県議会の皆さんと連携を図りながら、本県の産業振興をはじめ、様々な政策実現のために海外活動に取り組んでまいりたいと考えております。  日本版ライドシェアの概要についてでございます。新たに創設された、いわゆる日本版ライドシェアは、タクシーが不足する地域、時間帯におきまして、タクシー事業者の管理の下で地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供することを可能とするものでございます。利用に当たりましては、配車アプリを使う、そして事前に経路や運賃が確定され、支払いは原則キャッシュレス決済でございます。  国土交通省によれば、本県では福岡市及びその近郊を含む福岡交通圏におきまして、全ての曜日で車両数が不足する時間帯がございまして、最大では五百二十台不足とされました。その後の意向調査では、福岡市内など四十一のタクシー事業者が参入の意向を示され、これに対し国土交通省により不足車両数の五割、最大二百六十台が各社に配分をされ、運行が許可された事業者からライドシェアが開始されております。  タクシー不足解消の見通しでございます。都市部においては一般ドライバーも集まりやすいということから、日本版ライドシェアはビジネスや観光での利便性向上に資するなど、タクシー不足解消の一助となり得ると考えております。一方、地方部にありましては、高齢化の進行などにより一般ドライバーの確保が難しい。このことのため、市町村やNPO法人、郵便局、農協などの運送主体による自家用有償旅客運送の活用を含め、地域ごとの特性、多様性を十分に踏まえて検討していく必要があると考えております。  ライドシェアの課題への対応についてでございます。このライドシェアの課題としては、まず第一に事故が起こらないように安全を確保することが大事でございます。このためには、運転手の労務管理や車両の整備がしっかり行われること、また、運転手と利用者双方が犯罪に巻き込まれないような仕組みをつくることが重要でございます。そして、これまで地域の足を守ってこられましたタクシー事業者の皆様の経営や、そこで働く運転手の方々の雇用と所得を守っていくことが必要でございます。このため、県といたしましてはライドシェアを実施しているタクシー事業者の皆様の意見を聞きながら、制度を管理運用する国に対し、当該事業の実施状況をしっかり検証していただくよう求めてまいります。  次に、タクシー不足の解消につきましては、まずは運転手の確保に取り組むことが重要でございます。このため、県では昨年十一月、学識者、交通事業者、九州運輸局、北九州、福岡、嘉麻市で構成する福岡県地域公共交通運転手不足問題検討会議というものを設置をいたしました。バスやタクシーの運転手不足の現状や課題、必要な対策について幅広く意見を伺ってまいりました。  この検討会議における御意見等を踏まえ、今年度から女性や外国人など多様な人材を運転手として受け入れていくために、このことに必要なトイレや更衣室の改修、あるいは配車アプリの導入など職場環境の整備に対する助成を行っているところでございます。さらに、今年度からは中長期的な視点での対策を協議、推進いたしますため、検討会議を実行委員会として改組いたしました。その下で、運転手の魅力や活躍の姿を伝える動画を制作し、広く県民に周知・広報するほか、運転の体験会、合同会社説明会といった就職につながる取組などを行ってまいります。このほか、今年三月からは、外国人が運転手として活躍できるよう、第二種自動車運転免許の学科試験を英語、中国語、ベトナム語、ネパール語の四か国語で受験できるようにしております。こうした取組により運転手の確保に努めてまいります。  次に、労働問題につきまして、県内の賃上げの状況でございます。昨年の春闘では高水準の賃上げが実現いたしましたが、物価の上昇に追いつかず、実質賃金はマイナスの状態が続きました。今年の春闘では、主要な労働団体である連合福岡の集計によりますと、賃上げ率は全体で五%を超えており、従業員三百人未満の中小労働組合におきましても四%台半ばとなるなど、昨年を大きく上回る賃上げとなっております。労働者の皆様が物価上昇の影響を受けることなく豊かさを実感できるためにも、県内雇用の八割を担う中小企業において持続的に賃上げがなされることが望ましいと考えております。  この県内企業の価格転嫁の状況についてでございます。福岡商工会議所が今年一月に公表いたしました価格転嫁状況に関する調査結果によりますと、増加したコスト全体の価格転嫁が八割以上できたという企業の割合は二三・六%、五割以上できたというものを含めても四七%にとどまっておりまして、価格転嫁が依然十分に進んでいないと考えております。  労務費の価格転嫁の状況につきまして、商工会議所や商工会などから聞き取りを行いましたところ、材料費の転嫁は進んだが、企業の自助努力の範囲内であるとされがちな労務費の転嫁は難しい。あるいは、材料費のコスト上昇が大きく、労務費分の価格転嫁まではできない状況などという声が上がりました。福岡商工会議所の調査におきましても、労務費の価格転嫁が五割以上できた企業の割合は三八・六%と、コスト全体の転嫁状況と比較いたしますと一〇ポイント低くなっておりまして、労務費の価格転嫁が特に進んでいない状況が明らかになっております。  中小企業の価格転嫁は道半ばでございまして、本県が呼びかけ、官民労十三団体で締結した価格転嫁の円滑化に関する協定の下、パートナーシップ構築宣言企業の登録の促進、あるいは街頭啓発活動、また、価格交渉スキルアップセミナーの開催などに取り組みまして、賃金と物価の好循環の実現を目指してまいります。  公正取引委員会が策定した労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の活用についてでございます。昨年五月、官民労二十三団体の共催で取引適正化推進フォーラム福岡大会というものを開催をいたしました。この際、公正取引委員会の委員長自らに御出席をいただきました。適正な価格転嫁の実現について御講演をいただくなど、公正取引委員会としても異例の対応を取られております。こうした対応は、公正取引委員会の強い危機感の表れでございまして、昨年十一月の指針の策定につながったものと考えております。この指針は、発注者は受注者と定期的に協議の場を設けること、受注者は商工会議所などの窓口を活用し情報を収集した上で交渉に臨むことなど、発注者、受注者が取るべき行動を定めており、この指針に沿った対応を取ることで、労務費の価格転嫁の円滑化が図られるものと考えております。このため、県では昨年、商工会議所、商工会などの関係団体に対し、会員企業がこの指針を活用するよう知事名で依頼文書を発出いたしました。また、県が今年度から新たに実施しております中小企業賃上げ応援専門家による伴走支援の中でも、事業者にこの指針の活用を促しております。さらに、今月中旬実施予定の中小企業を対象とした価格交渉スキルアップセミナーにおきましても、この指針に示されている行動の具体的な事例や交渉の仕方などを紹介いたします。今後もこうした取組を通じ、県内中小企業がこの支援を活用できる環境をつくってまいります。  次に、若年層に向けた大麻乱用防止の啓発についてでございます。県では福岡県の薬物乱用防止五か年戦略の目標の一つとして、若年層を中心とした社会全体への啓発活動の強化、推進により、覚醒剤、大麻等、違法薬物及び市販薬の乱用の未然防止を目指すと定め、若年層に向けて大麻を中心とした薬物乱用防止の啓発に取り組んでおります。具体的には、大麻に関する法律の改正により大麻の使用も罰則の対象となったことから、新たに啓発リーフレットにその旨を明記し、県内の全ての大学あるいは短期大学の新入生に配布し、注意喚起を行ったところでございます。また、大麻にも依存性があること、運動機能が低下し交通事故のリスクが上がることなど、大麻による健康影響を分かりやすく伝えるDVDを県内の全ての中学校に配布し、薬物乱用防止教育に活用いただいております。  さらに、大麻を初めて使用したきっかけは誘われたからということが最も多いということから、様々な断り方を伝えるアニメーション啓発動画を作成し、若者がよく利用するユーチューブやティックトックで発信をしております。今後とも啓発資材の充実や若年層の目に触れやすいSNS、インターネット広告等のデジタルツールを活用しまして、若年層に向けた薬物乱用防止の啓発にしっかりと取り組んでまいります。  最後に、水田農業の振興についてでございます。県では水田農業を維持発展させていくためには、米、麦、大豆を組み合わせた水田のフル活用を進めますとともに、生産と販売の両面から取組を強化していくことが重要と考えております。  まず生産面では、生産性向上を図るため、農地中間管理事業を活用した農地の集積、集約化などによる規模拡大に加えまして、大区画化やスマート農業機械の導入を支援しております。加えて、米ではAIを使った研究開発設備を整備いたしまして、気候変動に対応した新品種開発を進めますとともに、麦では県が育成したパン用の小麦、新品種でございますが、この早期普及を進めてまいります。大豆では、ふくよかまるの昨年度の作付面積が県全体の五割を超え、生産量も平年に比べ五割以上増加していることを踏まえまして、これまでの計画を一年前倒しし、令和七年産までに、このふくよかまるに全面転換をしてまいります。このため、高品質な種子の安定供給に必要なAIを活用した高性能選別機の導入を支援いたします。また、販売面では、県産米、麦、大豆の消費拡大に向け、引き続き県産米のテレビCMを実施いたしますとともに、麦ではパン用小麦の新品種の発表会を開催し、製粉会社等の実需者へPRを実施してまいります。さらに大豆では、大手量販店におけるふくよかまるの特設コーナーの設置などによりまして、さらなる認知度向上に取り組んでまいります。県といたしましては、今後もこうした取組によりまして水田農業振興を図ってまいります。 14 ◯副議長(佐々木 允君) 寺崎教育長。 *教育長答弁 15 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 学校における薬物乱用防止に関する県教育委員会の今後の取組についてでございます。  本県公立学校においては、小学校五年生以上の全児童生徒を対象に、警察職員や薬剤師等の外部講師による薬物乱用防止教室を年一回以上開催をしており、薬物の有害性を理解させるとともに薬物を勧められたときの対処などについて学んでおります。また、教員に対しては管理職や保健体育科主任、各学校の担当教員を対象に、ロールプレーイングやケーススタディーなどを取り入れた多様な指導方法についての研修を実施をしております。現在の薬物乱用の低年齢化や入手方法の多様化等の実態を踏まえまして、今後の薬物乱用防止教室や教員研修会においては、大麻乱用等に関する最新の知見や家庭、地域と連携した効果的な取組について情報提供するなど、薬物乱用防止に対する取組の充実強化に努めてまいります。  小中学校における定数欠講師の未配置についてでございます。公立小中学校における本年五月一日現在の定数欠講師の未配置数は、小学校で五十九人、中学校で三十二人でございます。この定数欠講師の未配置数は、令和三年度で小学校では二十八人、中学校では四十六人でございましたが、令和四年度には小学校で六十六人、中学校で五十六人まで増加をし、その後は中学校で減少したものの小学校では横ばいが続いております。  小学校における教科担任制の導入状況についてでございます。本県では国の加配定数も活用しまして、公立小学校で、担任外の教員に特定の教科を担当させる専科指導が高学年を中心に行われております。昨年度は約八割の小学校で実施をされており、実施教科としましては、六年生では理科と外国語科が約五割と最も高く、次いで音楽と家庭科が約二割という状況でございました。  導入の効果としましては、専門性の高い教科担任が指導を行うことにより教育の質の向上が図られますとともに、学級担任の負担軽減につながるものと考えております。現在、モデル校にて小中連携を生かした教科担任制に関する研究を実施しておりまして、今後、この取組の成果の周知を図るとともに、国に対して必要な定数要望を行い、小学校における教科担任制の充実を図ってまいりたいと考えております。  特別免許状の授与件数と事例についてでございます。本県教育委員会が令和元年度以降に授与をした特別免許状は二十九件でございます。主な事例としましては、ALTの勤務経験がある方に小学校、中学校、高等学校の英語の免許状を授与、また、看護師の勤務経験がある方に高等学校の看護の免許状を授与するものなどでございます。  今後の特別免許状の活用についてでございます。今回の国の指針の改訂では、特別免許状を活用した採用選考の実施の促進や授与基準、手続の透明化などについて示されました。県教育委員会としましては、速やかに県の指針を改訂しまして、授与基準、申請手続などの最新の情報を広く周知するとともに、教員採用試験の特別選考や講師任用などにおいて、特別免許状制度を活用した採用の拡大を検討してまいります。 16 ◯副議長(佐々木 允君) 岩下警察本部長。 *警察本部長答弁 17 ◯警察本部長(岩下 剛君)登壇 初めに、少年警察ボランティアの活動内容についてお答えをいたします。少年警察ボランティアの方々には、少年の健全育成のため、居住地域を中心として喫煙や深夜徘回をしている少年への指導、注意、少年を有害環境から守るための風俗営業店への立入り、児童生徒の安全確保に向けた学校周辺や通学路における見守りなどの活動に熱意を持って取り組んでいただいております。  次に、学生サポーターの人数と活動内容についてお答えをいたします。現在、県内の大学生約二百人が学生サポーターとして活動しており、少年と年齢が近く、その心情や行動を理解しやすいなどの特性を生かして、勉強が遅れてしまった少年たちへの学習支援、農業体験や陶芸、料理教室といった居場所づくりなどに取り組んでいただいております。  最後に、少年の非行防止に向けた今後の取組についてお答えをいたします。大麻乱用等薬物事犯の急増、低年齢化やインターネット上の違法有害情報が氾濫する現下の情勢の下で少年の非行を防止するためには、少年の規範意識の向上と社会との絆の強化が重要であります。県警察といたしましては、ボランティアの方々や学校などと連携して、繁華街や公園などにおける街頭補導活動、少年や保護者を対象とした非行防止教室の開催、社会奉仕活動への参加促進などに取り組み、次世代を担う少年一人一人が健やかに成長できる社会の実現に寄与してまいります。 18 ◯副議長(佐々木 允君) 以上で代表質問を終わります。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時 十五分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...