福岡県議会 2024-03-14
令和6年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2024-03-14
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 令和六年三月十四日(木曜日)
午 前 十 一 時 零 分 開 議
◯桐明和久委員長 おはようございます。定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。
本日は、令和六年度福岡県
一般会計予算の歳出、七
款商工費及び八
款県土整備費の審査を予定しております。よろしくお願いいたします。
それでは、七
款商工費について説明を求めます。見
雪商工部長。
2 ◯見
雪商工部長 おはようございます。第一号議案「令和六年度福岡県
一般会計予算」のうち、
商工部所管分について御説明申し上げます。
お手元の令和六年度予算に関する説明書の二百八十五ページをお願いいたします。二百八十五ページでございます。七
款商工費について御説明いたします。一項商業費でございます。その主なものは、
一目商業総務費のうち、右の説明欄の中ほどの
中小企業振興資金融資費で、これは制度融資の預託金などでございます。二百八十九ページをお願いいたします。一項商業費の総額は、合計欄に記載しておりますように、二千七百七億七千六百万円余をお願いしております。
次に、二項工鉱業費でございます。二百九十五ページをお願いいたします。その主なものは、七目
企業立地対策費で、これは
企業立地交付金などでございます。続きまして、二百九十六ページをお願いいたします。二項工鉱業費の総額は、七十億六千九百万円余をお願いしております。
次に、三項観光費でございます。その主なものは、
一目観光費のうち、右の説明欄の上から三番目の
観光宣伝費で、これは福岡・
大分デスティネーションキャンペーンの実施に要する経費などでございます。三項観光費の総額は三十八億六千二百万円余をお願いしております。
説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
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◯桐明和久委員長 説明は終わりました。
これより質疑を行います。質疑はありませんか。
花田尚彦委員。
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◯花田尚彦委員 おはようございます。
自民党県議団の
花田尚彦でございます。我が会派の代表質問でも取り上げました
価格転嫁を適切に実現していくための道筋について、ここでは視点を変えてただしてまいりたいと思います。
経済は、
取引適正化及び
価格転嫁により
賃上げ原資を確保し、賃金が上昇することで消費が増え、消費が増えることで適度に物価が上昇し、物価が上がることで企業の収益が増え、それがまた賃上げにつながるといったことが連続することで成長していきます。その上で、国や県、市町村の税収が増え、今審査していますこうした行政の予算にもつながってくるわけであります。
こうした賃金と物価の好循環を実現するためには、生産者、販売者がそれぞれの立場で
価格転嫁に取り組む必要があり、また消費者には、これはBtoBの場合とBtoCの場合で事情や対策も異なりますけれども、その
価格転嫁を理解してもらう必要があります。県は、こうしたそれぞれの立場における適切な
価格転嫁の実現に向けてどのような取組を行っているのか。社会全体に対する取組や、今回は生産者、販売者、消費者、それぞれの視点からお聞きしていきたいと思います。
ここで、あらかじめ
価格転嫁に関する広告を資料として要求しておりますので、委員長、お取り計らいのほどお願いいたします。
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◯桐明和久委員長 お諮りいたします。
ただいま
花田委員から要求がありました資料を
委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
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◯桐明和久委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま
花田委員から要求がありました資料については提出できますか。
元田中小企業振興課長。
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◯元田中小企業振興課長 直ちに提出できます。
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◯桐明和久委員長 資料を
正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
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◯桐明和久委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
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◯桐明和久委員長 資料が配付されましたので、
花田委員、質疑を行ってください。
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◯花田尚彦委員 説明はまた後ほどで構いません。まず、
価格転嫁が普通に行われる社会の実現のためには、社会全体の機運を高めることが必要でありますが、そうした機運を盛り上げるためには、県はこれまでどのような取組を行ってきたのか、まずお聞かせください。
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◯元田中小企業振興課長 県では昨年二月に、労務費、原材料費、
エネルギーコストなどの増加分を適切に価格に反映させる機運を醸成し、
サプライチェーン全体の共存共栄を図るため、官民労十三団体で
価格転嫁の円滑化に関する協定を締結いたしました。その後、この十三団体が中心となり、
価格転嫁の円滑化に向けた機運醸成のため、
取引適正化推進フォーラム福岡大会を開催したほか、
取引適正化や賃上げの実現を訴える
街頭啓発活動や、三月と九月の
価格交渉促進月間には新聞やラジオなどによる
広報啓発活動を集中的に行ってまいりました。
さらに、取引先との共存共栄を図る
パートナーシップ構築宣言企業の
登録促進のため、昨年七月から県の
中小企業向け補助金に加点措置を導入しております。こうした取組によりまして、本県の
パートナーシップ構築宣言企業数は、昨年二月の
協定締結時の六百六十二社から、三月十三日現在で一千三百九十八社へと倍増しており、
協定締結前と比べて
増加ペースが加速しています。
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◯花田尚彦委員 社会全体に対する県の取組は分かりました。
それでは、ここからまず初めに、生産者の立場で
価格転嫁に取り組むにはどのような課題があると考えておられるでしょうか。
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◯元田中小企業振興課長 生産者の立場とのことですけれども、例えば製造業の場合、原材料が高騰しコストが上昇している中で、特に
中小企業にとっては製品への
価格転嫁が難しいという声を聞いております。こうした企業が適切に
価格転嫁を行うためには、取引先に対し価格設定の根拠やコストの上昇状況を的確に示すスキルがない、労務費の製品価格への転嫁について取引先の理解が得られない、値上げによる取引停止が懸念されるといった課題があると考えております。
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◯花田尚彦委員 それでは、そうした生産者の課題を踏まえて、県はどのような取組を行っているのでしょうか。
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◯元田中小企業振興課長 原価やコストの上昇状況を的確に示すスキルがないといった課題に対しましては、
価格交渉のノウハウが掲載された
価格交渉ハンドブックや
原材料価格の推移のグラフを簡単に作成できる
価格交渉支援ツールなどが有効であることから、これらの情報をまとめたチラシを作成し県のホームページに掲載するとともに、
協定締結団体を通じ、事業者に向けて幅広く周知を図ってまいりました。また、新たに事業者を伴走支援する
中小企業賃上げ応援専門家の派遣に取り組むとともに、来年度から事業者の
価格交渉スキル向上のためのセミナーを開催したいと考えております。
労務費の
価格転嫁について取引先の理解が得られない、値上げによる取引停止が懸念されるといった課題に対しましては、昨年十一月に国が公表いたしました労務費の適切な転嫁のための
価格交渉に関する指針について、締結団体などを通じ事業者に広く周知を図っております。
また、
パートナーシップ構築宣言企業の
登録促進のため、
協定締結団体の
会員企業等に対する周知や県の
中小企業向け補助金に加点措置を導入しております。
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◯花田尚彦委員 それでは次に、販売者の立場で
価格転嫁に取り組むためにはどのような課題があると考えておられますでしょうか。
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◯元田中小企業振興課長 販売者の立場とのことですけれども、例えば小売業の場合、値上げにより他店に顧客を取られる、消費者の買い控えが懸念されるといった課題があると考えております。
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◯花田尚彦委員 では、こうした販売者の課題を踏まえて、県はどのような取組を行っているのか、お答えください。
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◯元田中小企業振興課長 顧客離れにつきましては、魅力的な新商品や新サービスの開発による既存顧客の確保、それから、新規顧客の獲得などの取組が有効と考えられます。商品の付加価値を高めるため、新商品や新サービスの開発に取り組む事業者に対して
経営革新計画の策定を促し、
中小企業診断士や
商工会議所、商工会の
経営指導員による策定支援を行っております。
買い控えにつきましては、消費者への啓発が必要であると考えております。
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◯花田尚彦委員 今、買い控えについては消費者への啓発が必要であると考えておられるということでした。
それでは最後に、消費者の立場でどのような課題があると考えておられるでしょうか。
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◯元田中小企業振興課長 事業者がコストの上昇分を適切に製品やサービスの価格に反映させることで物価が上昇し、
企業活動が活発化し、賃上げにつながります。消費者には、こうした賃金と物価の好循環が地域や産業、経済の成長、発展につながっていくことを理解していただくことが必要と考えております。
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◯花田尚彦委員 今、賃金と物価の好循環が地域や産業、経済の成長、発展につながっていくことを理解してもらう必要があるということで、ここが一番肝腎なわけであります。先ほど要求しました資料、表の二にありますように、これまでの賃金と物価の状態は諸外国と比べても日本だけ低く、横ばいの状態で、まさしくデフレの悪循環になっていたわけです。二〇一二年に自民党が政権復帰した安倍政権以降、このデフレからの脱却を一番に掲げて、年率二%程度の緩やかな物価上昇とそれに伴う賃上げを目指し、様々な施策を打ってまいりました。しかし、
新型コロナ流行や、またウクライナ、中東情勢を背景とした
エネルギーや原材料等の高騰を受けて、近年は想定以上の急激な物価上昇や賃上げが起こっているんだと思います。ちょうど今は春闘の山場で、昨日は
集中回答日であったようですが、大企業で満額回答が相次いでいる一方で、
中小企業、また地方はどうなっていくのか気になるところであります。
それでは、この消費者の課題に対して県はどのような取組を行っているのか、また生産者や販売者の立場からは、消費者に消費を維持してもらうことが重要と考えますけれども、県としてはどのように取り組んでいくのでしょうか。
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◯元田中小企業振興課長 消費者の皆様に
価格転嫁の必要性を理解していただくため、昨年十月及び二月に博多駅前で
協定締結団体が合同で
取引適正化や賃上げの実現を訴える
街頭啓発活動を行うとともに、
価格交渉促進月間には新聞広告やラジオ、エックス、LINEなどによる
広報啓発活動を行っているところです。
また、先ほど提出させていただきました今月の
価格交渉促進月間における新聞広告では、新聞紙面の中央見開き二ページに、十三団体の取組や賃金と物価の好循環の仕組みなどを分かりやすく解説した記事を掲載し、適切な
価格転嫁の必要性を広く訴えたところです。引き続き
協定締結団体で連携し、こうした
広報啓発活動に取り組むことで消費者による消費の維持につなげてまいりたいと考えております。
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◯花田尚彦委員 今回は生産者、販売者、そして消費者という視点から見てまいりましたけれども、この消費の部分が一番難しいと思います。
配付資料の表の上段の図には、国のGDPを考える上での三面等価、生産、分配、支出が同じとなるという原則でありますけれども、これと照らし合わせてみても、この適度な物価の上昇の部分が生産、
賃金アップが分配、
購買力上昇が支出、消費に当てはまり、感じたのは、ここで同時に同規模に働いていかないとこの構図と経済成長は成り立たないわけであります。
それでは最後に、その点を踏まえ、適切な
価格転嫁の実現に向けて商工部長の決意をお伺いします。
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◯桐明和久委員長 見
雪商工部長。
27 ◯見
雪商工部長 取引の適正化、
価格転嫁の円滑化の実現のためには、委員御指摘のように、生産者、そして販売者、消費者など、それぞれを対象にした取組が重要であると考えます。県では、社会全体の機運醸成を図るため、昨年二月、官民労十三団体で
価格転嫁の円滑化に関する協定を締結いたしました。この協定は三月末で期限を迎えますので、まずは各団体に呼びかけ、更新を図ります。その上で、各団体としっかり連携し、生産者や販売者、消費者など、それぞれを対象とした効果的な取組を展開してまいる考えです。
また、社会全体の意識、そして委員から御発言がありました消費者の意識を変えていく、そのためには啓発が重要であると考えます。今後も官民労十三団体で連携し、
価格交渉促進月間に合わせた新聞、ラジオなどによる
広報啓発活動や、
パートナーシップ構築宣言企業のさらなる
登録促進、こうしたことにしっかりと取り組みます。
また、今後、事業者を伴走支援する
中小企業賃上げ応援専門家の派遣事業をスタートさせるとともに、来年度からは新たに事業者の
価格交渉スキル向上のためのセミナーも開催したいと考えております。こうした取組を通じまして
中小企業における
価格転嫁の円滑化を促進し、賃金と物価の好循環の実現を目指してまいります。
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◯花田尚彦委員 ありがとうございます。生産者においては、よりよいものをより効率的に生産向上するように努力され、販売者においては、より多く売れるよう新たな販路を拡大するなど、
県内事業者は本当に今懸命な努力をされております。その上で、生産者、販売者のどちらも社員の所得向上や人材確保のために、少々苦しいながらも
賃金アップや、また働き方改革に取り組まれております。消費者も日々の生計を維持していくのに必死であります。
こうした中で、消費を維持、そして拡大させていくには、本来
都道府県レベルではなくて、国による思い切った改革、よくあるのは例えば減税とか言われますけれども、
消費者マインドをそれぐらい喚起しないといけないぐらいの難しい課題であることは私も重々分かっておりますが、福岡県においても、
先ほど啓発が大事であるということをおっしゃっていましたけれども、知事を筆頭に全庁挙げて、できる限りの需要、
消費喚起策を考えていただきたい。商工部だけでも、今回
プレミアム商品券はもちろんのこと、
デスティネーションキャンペーンをはじめとする
観光支援施策、そして伝統工芸の支援など、いろいろなものが出ています。実行をぜひしていただき、需要喚起を図っていただきたいと思います。最後にこのことを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
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◯桐明和久委員長 ほかに質疑はありませんか。
冨永芳行委員。
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◯冨永芳行委員 おはようございます。
民主県政クラブ県議団の冨永芳行でございます。通告に従いまして、
価格転嫁の円滑化に向けた取組についてお尋ねをいたします。
今月四日には
東京株式市場の
日経平均株価が四万円台を突破し、三十四年ぶりに過去最高値を更新いたしました。しかしながら、市民生活においてこの恩恵といいますか、株価の上昇を実感されている方は少ないのではないかと思います。実質賃金は上がっておらず、GDPも世界四位に転落している今、好調と言われている
企業収益は、とりわけ
中小企業で働いておられる皆さんの賃上げなどに波及しなければなりません。
今年の春闘は、昨日が大手企業の
集中回答日ということで先ほどもお話ありましたが、今朝の新聞などには、
賃上げ満額、労組の要求超えなどの文字が躍っておりますが、新たな格差を生じさせないためにも、これから労使交渉が本格化する
中小企業や
小規模事業者、正規、非正規を問わず、あらゆる形態で働かれる方にこの流れが波及することが重要です。
そこで、まず最初に、
県内中小企業の現在の経営環境をどのように分析されているのか、景気動向の方向性を示すDI指数や倒産状況を基にお聞かせください。
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◯桐明和久委員長 後藤商工政策課長。
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◯後藤商工政策課長 委員御質問の
業況判断DIですが、企業の景況感を示す指数でございまして、景況がよいと感じる企業が多い場合にはプラス、悪いと感じる企業が多い場合にはマイナスを示すものでございます。
中小企業基盤整備機構が
四半期ごとに実施します
中小企業景況調査における
県内中小企業の
業況判断DIは、コロナ禍の影響により大きく悪化した後、昨年七月─九月期にはマイナス七・一ポイントまで回復しましたが、直近の昨年十月から十二月期はマイナス一七・八ポイントとなっております。企業からは、原材料や燃料単価の高止まりで先行きが不透明、材料費などの
仕入れ単価が上昇しているが
価格転嫁ができていないなどの声が上がっております。
また、
県内企業の倒産件数ですが、ゼロゼロ融資などの支援により令和三年には過去最低まで減少しましたが、昨年四月から直近の今年二月まで前年同月を上回っており、コロナ前と同水準の状況となっております。原材料や
エネルギー価格の高騰、人件費の上昇、
コスト上昇を
価格転嫁できなかったことなどに加え、ゼロゼロ融資の返済が本格化し企業の収益を圧迫したものと分析しております。こうしたことから、
県内中小企業は依然として厳しい経営環境にあると認識しております。
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◯冨永芳行委員 価格転嫁の問題、そしてゼロゼロ融資返済の本格化など、
県内中小企業は依然として厳しいとの分析でした。
本県企業の実に九九・七%、全従業者数の約八割を
中小企業が占めると言われています。私も議員になる前、百貨店に勤務をしておりましたので、当時のお取引先の方々から現在の厳しい窮状をお聞きしているところでございます。
今月二日、我が会派所属の多くの議員と共に、本日傍聴にお越しいただいておりますが連合福岡の皆様とで、春闘の勝利、そして政策実現に向けた総決起集会に参加をさせていただきました。組合員の皆様など関係者約二千人を前に、連合福岡の藤田会長は、三十年近く日本の賃金水準は先進国の中で最低レベルのまま上がらなかった、経済が活性化し、成長しながら将来にわたって賃金が継続的に上がり続ける好循環にステージを変えていこうとの訴えをされました。連合福岡は、今年の春闘で定期昇給分を合わせて五%以上を目安とした賃上げを求めており、約三十年ぶりの高い水準となった昨年以上の賃上げ、物価上昇に負けない賃上げを求めています。
原油価格の高騰や円安の進展などによる
エネルギーコスト、
原材料価格の上昇が続いている中、知事も言われます成長と分配の好循環を生み出す
中小企業、
小規模事業者の賃上げを実現するためにも、稼げる力、
コスト上昇分を適切に
価格転嫁することが重要です。
本県は、昨年二月二十七日に、連合福岡をはじめ国の地方支分部局、県内経済団体など全十三団体による
価格転嫁の円滑化に関する連携協定を締結しています。この協定に基づき、参加団体が相互に連携、協力し、労務費、原材料費などの上昇分を適切に
価格転嫁することについて機運を醸成することで、
サプライチェーン全体での共存共栄、付加価値の向上を図ってきたものと承知しております。
そこで、昨年二月の官民労十三団体による
価格転嫁の円滑化に関する
協定締結後、どのような取組を行ってきたのか、お聞きいたします。
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◯桐明和久委員長 元田中小企業振興課長。
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◯元田中小企業振興課長 県では、昨年二月の
価格転嫁の円滑化に関する
協定締結後、官民労が連携、協力し、コスト増加分を適切に価格に反映させる機運の醸成に取り組んでまいりました。具体的には、
サプライチェーン全体の共存共栄を図る本協定の狙いやパートナーシップ構築宣言の意義について、事業者の皆様の理解を深めるための取組を進めてきたところです。五月には、
価格転嫁の円滑化に向けた機運醸成のため、
取引適正化推進フォーラム福岡大会を開催したほか、十月と本年二月には、
取引適正化や賃上げの実現を訴える
街頭啓発活動を実施いたしました。また、今月の
価格交渉促進月間に合わせて、新聞やラジオなどによる
広報啓発活動を集中的に行っているところです。さらに、取引先との共存共栄を図る
パートナーシップ構築宣言企業の
登録促進のため、昨年四月から県の
中小企業向け補助金に加点措置を導入しております。
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◯冨永芳行委員 様々な取組をお聞きいたしました。先月二十二日、議会定例会の開会日でしたが、博多駅博多口での
取引適正化と賃上げの実現を訴える街頭活動、お疲れさまでした。
それでは、協定に基づく取組によってどのような成果が得られたのか、お聞かせください。
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◯元田中小企業振興課長 本県の
パートナーシップ構築宣言企業数は、昨年二月の
協定締結時の六百六十二社から、三月十三日現在一千三百九十八社へと倍増しており、
協定締結以前と比べて
増加ペースが加速しております。
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◯冨永芳行委員 本県の締結数は全国七位とお伺いしております。先ほども述べましたけれども、
中小企業の割合が非常に多い本県ですので、まずは大企業を中心に宣言企業となっていただくことは大変重要なことだと考えます。
ところで、同協定の有効期限というのは今月末となっております。継続すべきだと考えますが、課長の考えをお聞かせください。
39
◯元田中小企業振興課長 昨年二月の
協定締結後、官民労十三団体で連携協力して取り組んできた
価格転嫁の機運をそぐことがないよう、本協定の更新を各団体に働きかけているところであります。今後も十三団体で連携し、
パートナーシップ構築宣言企業の
登録促進などに継続して取り組んでまいりたいと考えております。
40
◯冨永芳行委員 更新、継続される意向だということは分かりました。
それでは、来年度はどのような取組を行っていかれるのか、新たな取組もあればお聞かせください。
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◯元田中小企業振興課長 来年度につきましては、引き続き官民労十三団体で連携して、
パートナーシップ構築宣言企業の
登録促進や、三月及び九月の
価格交渉促進月間に合わせた
広報啓発活動など、これまでの取組を行っていきたいと考えております。
また新たに、事業者にとって課題となっている
価格交渉の進め方や原価計算の方法など、
価格交渉に必要なスキルの向上を目指したセミナーのほか、社会保険労務士や
中小企業診断士などの専門家が賃上げや
価格転嫁につながる取組を専門的知見から伴走支援する
中小企業賃上げ応援専門家の派遣にも取り組みたいと考えております。
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◯冨永芳行委員 新たな伴走型の支援メニューにつきましても、しっかりと
中小企業の皆さんへと周知をしていただくようにお願いいたします。
九月、三月の
価格交渉促進月間に合わせた
広報啓発活動を行うとのことでしたけれども、今月の
価格交渉促進月間では具体的にどのような取組を行っているのか、お聞かせください。
43
◯元田中小企業振興課長 今月の
価格交渉促進月間では、官民労十三団体で連携し、各団体の広報紙やメルマガ、ラジオ、エックス、LINEに加え、新聞広告では紙面の中央見開き二ページに、十三団体の取組や賃金と物価の好循環の仕組みなどを分かりやすく解説した記事を掲載するなど、適切な
価格転嫁の必要性を訴えたところでございます。
44
◯冨永芳行委員 様々な媒体やSNSなどを活用し、適切な
価格転嫁の必要性を訴えておられるということですが、ここ数日で、自動車メーカーに続き、外資系の小売店による新たな下請いじめの問題も明らかになっています。私自身、小売流通業界に長年おりましたので、この問題は痛いほどよく分かります。
商慣習とは恐ろしいもので、発注側、強い立場のトップが幾ら共存共栄、パートナーシップ構築を宣言しても、残念ながら現場担当者レベルでは違法性の認識がない場合も多い。受注者側が泣き寝入りしているケースも多々あります。私自身がそうでしたが、お客様のためにいいものをより安くというデフレマインドを拭い去り、よりよい製品やよいサービスにはしっかりと相応の
価格転嫁をしていかなければなりません。今の時代に合わないあしき商慣習を打破するための機運醸成をしっかり行っていきたい、そして行っていただきたいと思います。自戒の念も込めまして、弱い者いじめは絶対に許さないと社会が目を光らせることこそが重要だと考えています。
それでは最後に、
価格転嫁の円滑化に向けた
中小企業の支援に向けて、商工部長の決意をお聞かせください。
45
◯桐明和久委員長 見
雪商工部長。
46 ◯見
雪商工部長 中小企業が収益を上げ、事業を継続し、雇用の維持や賃上げを実現するためには、
価格転嫁の円滑化、そして取引の適正化が極めて重要でございます。
委員からも御紹介ございましたが、県は、社会全体の機運醸成を図るために、昨年二月、官民労十三団体で
価格転嫁の円滑化に関する協定を締結いたしました。この結果、本県の
パートナーシップ構築宣言企業数は、
協定締結時の六百六十二社から千三百九十八社へと倍増するなど、一定の成果は上がっているものの、まだまだ道半ばの状況であると認識しております。この協定は三月末で期限を迎えますので、まずは各団体に呼びかけ、更新を図ります。また、その上で、各団体と連携した広報や
街頭啓発活動、そして
パートナーシップ構築宣言企業のさらなる
登録促進など、
価格転嫁の円滑化に向けた取組を加速させてまいります。
また、今後、事業者を伴走支援するために
中小企業賃上げ応援専門家の派遣事業をスタートさせるとともに、来年度からは新たに事業者の
価格交渉スキル向上のためのセミナーも開催したいと考えております。こうした取組を通じまして
中小企業における
価格転嫁の円滑化を促進し、賃金と物価の好循環の実現を目指してまいります。
47
◯冨永芳行委員 部長の決意をお聞きいたしました。
働く全ての皆さんの賃上げが実現されますよう、労使交渉の妥結状況を基に知事のお考えをお聞きさせていただきたいと思います。委員長、知事保留質疑のお取り計らいをお願いいたします。
48
◯桐明和久委員長 ただいま冨永委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
なお、知事保留質疑は三月十九日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
49
◯冨永芳行委員 終わります。(拍手)
50
◯桐明和久委員長 ほかに質疑はありませんか。塩出麻里子委員。
51 ◯塩出麻里子委員 公明党の塩出麻里子でございます。通告に従いまして、LGBTQツーリズムについて質問させていただきます。
県福祉労働部人権・同和対策局は、平成二十九年におもてなしレインボーガイドブックを作成しました。その後、それを発展させた形で、令和二年、レインボーガイドブックが作成されています。このガイドブックは、LGBTQ、性的マイノリティーへの配慮事項をまとめたガイドブックで、「はじめに」に書かれているとおり、多様性を認め合い、人権を尊重し合える社会を目指しています。その中には、飲食店、ホテルの接客サービスの注意点などが掲載されており、旅行業や宿泊、飲食業などの接客業者にLGBTQ観光客への配慮を求めています。
ガイドブックが最初に作成された平成二十九年当時は、東京オリ・パラやラグビーワールドカップの日本開催などを控えており、LGBTQへの配慮は特に重視される事柄の一つでした。このため、ガイドブックを基にシンポジウムなども数多く開催された記憶があります。しかし、東京オリ・パラ後は、こうした機運が一気にしぼんだように感じます。
コロナ禍があったことは承知の上でお尋ねをいたします。県観光局は、東京オリ・パラ後のこの二年半、県内旅行業者、宿泊業者に対し、レインボーガイドブックに記載されるLGBTQへの配慮を広め、深めるために何をしてきたのか、お答えください。
52
◯桐明和久委員長 吉田観光政策課長。
53 ◯吉田観光政策課長 県では、福祉労働部人権・同和対策局におきまして、
県内事業者を対象とした性の多様性に係るセミナーを開催しているところでございます。観光局におきましては、県の観光連盟を通じまして観光関連事業者に対し、このセミナーへの参加を促し、宿泊事業者や旅行業者の方が参加をされているところでございます。
また、今年度からは、観光局におきましても、性の多様性も含めたユニバーサルツーリズム事業を実施しているところでございます。観光関連事業者を対象としたセミナーの中で、LGBTQについての啓発も行っているところでございます。
54 ◯塩出麻里子委員 今年度から観光関連事業者を対象としたセミナーを開催されたとのことですが、何社が参加し、何度開催したのか、そのうちLGBTQについての啓発は何度行ったのか、詳細にお教えください。
55 ◯吉田観光政策課長 会場参加とオンライン参加のハイブリッド形式でセミナーを一回開催し、宿泊施設、旅行会社、交通事業者など四十九団体から八十五名の方に御参加をいただいたところでございます。
56 ◯塩出麻里子委員 次に、本県へのインバウンドの状況は、この十年間、壊滅状態であったコロナ禍を除き、右肩上がりで増加をしています。これまで海外からのインバウンドを誘致する施策をどのように行ってきたのか、お答えください。
57
◯桐明和久委員長 柳原観光振興課長。
58 ◯柳原観光振興課長 県ではこれまで、海外からの観光客の皆様に本県の魅力を知っていただき、本県を訪れていただくため、観光資源の開発と魅力向上や海外向けプロモーションなどに取り組んできました。観光資源の開発と魅力向上につきましては、例えば福岡ならではの歴史、文化、食などの強みを生かした高付加価値で高単価な旅行商品を造成し、販売する事業に取り組んでいます。
また、海外向けプロモーションについては、海外向け観光情報サイト、VISIT FUKUOKAや海外での利用の多いSNSを活用し、ターゲット市場の嗜好に合わせた観光情報を発信するとともに、海外の旅行博や商談会への出展などリアルなプロモーションも実施し、積極的なPRを行っております。
59 ◯塩出麻里子委員 新年度当初予算には、欧米豪及びアジアからの特色に応じた誘客促進事業が計上され、本県への積極的な誘客を一層図られています。その狙いについてお尋ねいたします。
60 ◯柳原観光振興課長 本県のインバウンドの状況でございますが、本県の外国人延べ宿泊者数を見ますとアジアが全体の八割を占め、アジアの方のリピーター率は四割に上ります。一方、欧米豪につきましては、本県の外国人延べ宿泊者数に占める割合は約六%と全国よりも低く、また、福岡の認知度についても低い状況です。
また、本県の外国人来訪者の約八割、宿泊者の約九割が福岡市、北九州市の両政令市に集中している現状がございます。こうした状況を踏まえ、県では、リピーター率が高いアジアの方に県内周遊していただくため、インフルエンサーを活用した情報発信に取り組むとともに、長期滞在し一人当たりの旅行支出額が高い欧米豪においては、認知度の向上と誘客拡大を図るため、現地旅行会社と連携した情報発信や旅行商品の造成に取り組むこととし、今議会で関連予算をお願いしております。
こうした取組により、より多くの外国人観光客の方に本県を訪問いただき、県内各地を周遊していただきたいと考えております。
61 ◯塩出麻里子委員 観光で本県を訪れる外国人の中には、LGBTQの方々も一定数おられると思います。世界旅行ツーリズム協議会によると、LGBTQは世界中の旅行客の一〇%以上、総旅行支出の約一六%を占めていると言われています。また、フランスのコンサルティング会社アウトナウが試算した世界市場は、二〇一四年の約二千二十億ドルから、二〇一八年には二千百八十七億ドルに拡大したと発表しました。
LGBTQ旅行者をマーケティング対象にした観光施策にLGBTQツーリズムがあります。それは、当事者にとってフレンドリーで魅力的な旅行先であるという認知を広げ、多くの当事者が訪れるようにするという施策です。そこで、多様性を認め、施策を推進する本県において、経済的効果の観点からも、LGBTQツーリズムを進めていこうというお考えがあるのか、お尋ねいたします。
62 ◯吉田観光政策課長 LGBTQの方々を含む国内外からの来訪者の満足度向上を図り、本県のファンになっていただき、リピーターにつなげていくことは、さらなる観光振興に資するものであると考えております。そのため、現行の福岡県第二次観光指針及び現在策定中の第三次観光振興指針におきましても、年齢、障がいの有無、言語の違いのほか、性別や宗教等にかかわらず誰もが気兼ねなく旅行を楽しめるよう、ユニバーサルツーリズムの取組を推進することとしております。
63 ◯塩出麻里子委員 LGBTQインバウンドを誘致するためには、その環境整備が大事になってきます。先進的な取組を行っている公益財団法人大阪観光局では、LGBTQ旅行客に大阪を楽しんでもらうため、受入れ環境の整備や情報発信、さらには観光局員に対しての研修などを積極的に進めておられます。
本県においてもLGBTQインバウンドに対する受入れ環境の整備を加速的に進めていくべきと考えますが、今後の取組についてお伺いします。
64 ◯吉田観光政策課長 現在、来年度予算の御審議をいただいているところでございますが、令和六年度事業といたしまして観光関連事業者向けセミナーを行うとともに、新たに宿泊事業者向けのおもてなし向上研修を実施する予定にしております。これらのセミナーにおきまして、インバウンドを含むLGBTQの方々の受入れに際し、例えば女性限定、もしくは男性限定といった性別を限定したサービスがある場合、LGBTQの方が利用することを想定したサービスを検討いただくなど、引き続き啓発に努めてまいります。
65 ◯塩出麻里子委員 また、公益財団法人大阪観光局では、LGBTQ旅行客のための総合情報英語サイト、VISIT GAY OSAKAを製作し、同性同士のカップルが安心して大阪のまちを散策できる様子を二分ほどの動画で紹介しているほか、LGBTバー、フレンドリーレストラン、フレンドリーカフェ、LGBTイベント情報などを掲載しています。当事者へのきめ細かいサービスを提供し、旅行先として大阪を選んでもらうべく、当事者にとっての大阪の魅力を発信しています。
そこで、本県においてもLGBTQインバウンドの方々に安心して楽しんでいただくため、当事者に配慮したホテルやお店、動画などを県の観光ホームページに掲載してはどうかと思いますが、お考えをお聞かせください。
66 ◯柳原観光振興課長 県では、県の海外向け観光情報サイトVISIT FUKUOKAにおきまして、観光地の魅力を記事や動画で紹介するとともに、インバウンドの受入れに積極的な飲食店や宿泊施設等の情報を発信してきたところでございます。
LGBTQの方をはじめ、年齢や障がいの有無、言語の違い、性別等にかかわらず、誰もが気兼ねなく旅行を楽しんでいただけるよう、本県の魅力をどのように発信していくか引き続き研究しながら情報発信に努めてまいりたいと考えております。
67 ◯塩出麻里子委員 大阪観光局では、二〇一八年からLGBTQフレンドリー受入れ観光都市を目指して活動をしてこられ、同年には、国際ゲイ&レズビアン旅行協会、通称IGLTAに加盟しています。IGLTAとは、LGBTQツーリズム普及のために設立された旅行業界団体で、世界八十か国、二千以上の企業・団体が加盟しています。誰もが安心して楽しむことができる持続可能な観光都市を目指し、取組を推進してきた大阪の活動が評価され、本年秋に開催されますIGLTA世界総会二〇二四の大阪開催が決定をしております。アジアでの開催は初となる大阪でのこの総会は、世界中から約七百名の参加が予想され、大変注目を集めています。
本県も、大阪の先進事例を参考にLGBTQツーリズムに視点を置いた観光施策を推進し、世界から選ばれる福岡県を目指していくべきと考えます。その意味からも、福岡県観光連盟と連携し、国際ゲイ&レズビアン旅行協会に加盟することを要望しますが、御所見をお伺いします。
68 ◯吉田観光政策課長 ただいま御指摘いただきました国際ゲイ&レズビアン旅行協会への加盟につきましては、加盟による意義や効果を見極める必要があると考えております。まずは、既に加盟している団体に対しまして情報収集を行ってまいりたいと考えております。
69 ◯塩出麻里子委員 ただいま情報収集するとの答弁でしたが、IGLTAや公益財団法人大阪観光局を実際に訪れ、その実績や効果について調査されることを要望させていただきます。
最後に、本県におけるLGBTQツーリズムをどのように推進していくのか、部長の決意をお聞かせください。
70
◯桐明和久委員長 見
雪商工部長。
71 ◯見
雪商工部長 観光施策を進めるに当たりましては、LGBTQはもとより、性別、年齢、障がいの有無、言語の違い、宗教など、それぞれの立場に立ち、おもてなしの心で対応していくことが不可欠であると考えております。そうした考えの下、県ではユニバーサルツーリズムを推進しているところであり、その一環として観光事業者を対象に、LGBTQの方の受入れの効果、あるいは対応事例の紹介を行う取組を行っているところであります。
今議会において、観光業の人材育成を図るため、宿泊事業者向けおもてなし向上研修をお願いしているところですが、この事業の中でもLGBTQの方への対応について啓発を行う予定でございます。こうした取組を通じまして、LGBTQの方をはじめ、あらゆる観光客の皆様に本県に御訪問いただき、心から旅行を楽しんでいただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。
72 ◯塩出麻里子委員 ありがとうございました。LGBTQツーリズムに関する本県の観光施策について、知事のお考えを伺いたいと思いますので、委員長、知事保留質疑のお取り計らいをよろしくお願いいたします。
73
◯桐明和久委員長 ただいま塩田委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
なお、知事保留質疑は三月十九日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
74 ◯塩出麻里子委員 終わります。(拍手)
75
◯桐明和久委員長 ほかに質疑はありませんか。秋田章二委員。
76 ◯秋田章二委員
自民党県議団、秋田章二でございます。通告に従いまして、企業誘致の強化について御質問させていただきます。
近年高まる半導体需要や経済安全保障の観点から、国内における半導体企業の大型投資が相次いでおります。皆様御案内のように、先月二十四日には、熊本県菊陽町にて開所式が行われました世界最大の半導体製造企業でありますTSMCをはじめ、ソニーや京セラ、ロームといった名立たる企業が設備投資を公表しております。
また、本県の基幹産業であります自動車産業においては、CASEと呼ばれる百年に一度の大変革期を迎えており、自動運転や電動化といった技術革新や、カーボンニュートラル実現に向けた世界的な流れの中で、EVやFCVの開発、生産などに伴う設備投資が今後も期待されるところであります。
私の地元大川市でも、海外に生産拠点を移していた家具製造業が、出来上がりました製品を日本に輸送する際の物流コスト、それから人件費の高騰を理由に、次世代の若い経営者の中には、国内に生産を戻すのも一つの選択肢であるという話も伺っております。今がまさに、企業の設備投資を呼び込み、地域経済を発展させるための好機であると考えております。
その点において、令和三年九月議会における我が会派の代表質問に対しまして服部知事は、百ヘクタールの産業用地の整備に着手すると答弁されました。これは、服部県政として積極的な企業誘致のための受皿づくりにかじを切られたと、大変大きな決断であり、私は高く評価しているところでございます。
ただし、企業を誘致するに当たりましては、受皿の整備だけでは不十分だと思います。企業誘致は全国の自治体との競争でありまして、競争に打ち勝ち、本県が企業に選ばれるための取組も必要かと思っております。そこで、企業誘致にとって絶好の機会が訪れています現在、本県としてどのように企業誘致を進めているのかについて、まずは本県における最近の企業誘致の動向と実績についてお伺いいたします。
77
◯桐明和久委員長 後潟企業立地課長。
78 ◯後潟企業立地課長 先ほど委員からお話のありました半導体や自動車関連企業のほか、生成AIの普及によるデータ量の増加に対応するためのデータセンター、企業のデジタル化対応などにより需要が増加しているソフトウエア業、人材確保のために地方での拠点開設を進めるコールセンターなど、幅広い分野から本県での設備投資、拠点開設に関する問合せがございます。
過去五年間、平成三十年度から令和四年度の企業誘致件数は二百五十四件で、自動車関連の製造業や食品製造業、運輸業、ソフトウエア業、コールセンターなどの立地が多くなっております。また、企業の事業計画によれば、これらの企業誘致により新たに約一万一千人の雇用を創出しております。
なお、経済産業省が実施している統計調査によれば、本県の工場立地件数は九州第一位となっております。
79 ◯秋田章二委員 企業誘致の件数や雇用効果などは好調なようでございますけれども、次に、企業誘致を行うための取組についてお伺いいたします。企業の設備投資を本県に呼び込むための手法、それに、企業へのインセンティブについてお答えください。
80 ◯後潟企業立地課長 首都圏で開催します企業立地セミナー等において、本県の充実した交通インフラ、豊富な人材、アジアとの近接性といった立地環境を積極的にPRするとともに、企業が集積している東京、大阪に企業誘致の専任の職員を配置し、情報収集に努めています。
また、得られた情報を基に個別企業を訪問し、インフラや人材といった本県のポテンシャルに加え、企業の初期投資を軽減するためのインセンティブである企業立地促進交付金等の優遇制度を説明するなどして誘致活動を行っております。
81 ◯秋田章二委員 企業へのインセンティブとして、今、課長から企業立地促進交付金の話が出ましたけれども、この交付金の概要について教えてください。
82 ◯後潟企業立地課長 企業立地促進交付金とは、本県に立地する企業に対して一定額以上の設備投資や県民の新規雇用を条件に設備投資の一部を助成することで、初期投資の軽減を図り、本県への立地を促す制度です。製造業、道路貨物運送業、ソフトウエア業など幅広い業種を対象としており、交付要件や交付限度額は業種によって異なります。例えば製造業であれば、五億円以上の設備投資、十人以上の県民の新規雇用を要件に、設備投資額の二%を交付金として支給をしております。また、半導体関連、蓄電池関連、航空宇宙関連などについては、特に重点誘致対象業種として、最大で投資額の一〇%、上限十億円を助成することとしております。
83 ◯秋田章二委員 企業誘致が自治体間の競争であります以上、企業が設備投資先を選定するに当たり、自治体間のインセンティブは当然比較するものだと思います。特に企業が大型の投資を行うに当たり、設備投資に対してどのくらいの額が支給されるのか、つまり交付限度額は大変重要なポイントになってくると思っております。
そこで質問いたしますけれども、九州各県や企業誘致において本県の競合相手となると思われる自治体の交付限度額はどうなっておりますでしょうか。
84 ◯後潟企業立地課長 九州各県では、熊本県、佐賀県、宮崎県が五十億円、長崎県、大分県が三十億円、鹿児島県が十億円となっております。経済規模などから本県の競合相手となるであろう全国の自治体では、兵庫県、愛知県が百億円、宮城県が四十億円、広島県が三十億円となっております。
85 ◯秋田章二委員 大型の企業が立地した場合、その関連企業であります中小規模の企業集積というものも期待されるのではないかと思います。
しかしながら、中小規模の企業にとって人材確保というのは大変大きな課題であり、AIや産業用ロボットを導入するなど、工場建設に当たっては、省人化、効率化というものが求められております。こういう状況の中で、先ほどの自治体における中小規模の企業が行う設備投資に対する立地交付金の雇用要件はどのようになっておりますでしょうか。
86 ◯後潟企業立地課長 製造業の県民雇用要件は、本県が十人以上であるのに対し、九州各県では、熊本県が五人、宮崎県が六人、佐賀県、大分県、長崎県が十人、鹿児島県が十一人以上となっております。
本県の競合相手である全国の自治体については、兵庫県が要件なし、宮城県が三人、愛知県、広島県が五人となっております。
87 ◯秋田章二委員 TSMCの誘致に成功した熊本県の交付限度額は五十億円、同じく台湾の大手半導体企業が進出を決定しました宮城県は四十億円とのことですが、これらと比較いたしまして本県の交付限度額十億円は妥当な金額なのかと、私はちょっと不安を抱いております。また、同じく中小の製造業では、五億円以上の投資で僅か二%の交付金で、五億円で一千万ですよ。しかも雇用要件が十人以上と、この人手不足の中で極めてハードルが高い。
課長は、企業誘致を進めるに当たって、現行の制度のままで大丈夫とお考えなのでしょうか、お答えください。
88 ◯後潟企業立地課長 企業は、設備投資を行うに当たりまして、水、電力、交通の利便性、人材の確保、取引先企業の状況など様々な要因を総合的に判断して進出先を決定いたします。企業立地促進交付金などのインセンティブの活用も案内するとともに、充実した交通インフラ、豊富な理工系人材、アジアとの近接性など本県の持つポテンシャルを粘り強く丁寧に説明し、企業誘致に取り組んでまいります。
89 ◯秋田章二委員 課長、私は現行の制度で企業誘致は大丈夫だと思っていますかとお聞きいたしたんです。多分見劣りしているから答弁しにくかったんでしょうね。
先ほども申し上げましたとおり、本県の企業立地促進交付金の交付限度額は、九州各県や競合相手となる全国の自治体と比較して大きく見劣りしております。また、雇用要件も厳しいものとなっております。もし私が経営者だったら、多分よそを選ぶんじゃないかと思いますし、財政課長もそう思うのかもしれません。
今後、本県の企業誘致を進めていく上で、この企業立地促進交付金の見直しがぜひとも必要だと思いますけれども、部長のお考えをお聞かせください。
90
◯桐明和久委員長 見
雪商工部長。
91 ◯見
雪商工部長 TSMC熊本進出を契機に、シリコンアイランド九州、これが非常に今注目を集めて、半導体産業はまさに沸騰といった状況でございます。また、本県の基幹産業である自動車産業でも、世界的な脱炭素の流れを受けて、EV、電池分野への設備投資熱がかつてないほど高まっております。今、本県には、企業誘致の大きなチャンスが到来しております。
半導体やEV、電池分野といった明日の福岡の産業の米ともいうべき分野の企業誘致は、福岡県のさらなる発展に極めて大きな影響を与えます。こうした企業の誘致に当たりましては、先ほども課長が申し上げましたが、インフラや人材の充実など本県の高いポテンシャルをしっかりと訴えてまいりますが、企業立地促進交付金は企業が自治体を選定する上で重要な判断材料となると考えます。
今、委員御指摘のとおり、本県の企業立地促進交付金の交付限度額や雇用要件は、九州各県、そして、全国の競合県と比較して見劣りすることは否めません。加えて、企業が工場を建設するに当たっては、現在、資材費、そして人件費が高騰している状況でもございます。委員の御指摘を踏まえ、企業誘致の地域間競争を勝ち抜いていくためにも、この企業立地促進交付金については、企業誘致のより効果的なインセンティブとなるよう、他県の状況もよく研究し、内容の見直しをしっかり進めてまいります。
92 ◯秋田章二委員 部長、本当に見直しを進めるんですね。ありがとうございます。
この企業立地促進交付金を、大型投資はもちろんのこと、私の地元はほとんど
中小企業でございます。
中小企業の投資も呼び込めますように、他県に負けない制度に見直していただくものと、部長にうなずいていただいたことで確信を持ちましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
93
◯桐明和久委員長 ほかに質疑はありませんか。井上正文委員。
94 ◯井上正文委員
自民党県議団の井上正文です。地域で活躍する
中小企業への支援について質問をいたします。
知事は今議会の議案説明におきまして、半導体、EV、電池、水素など、明日の福岡の産業の米ともいうべき分野や、バイオや宇宙など先端技術分野、革新的なサービス、製品を提供するスタートアップなどの振興に重点的に取り組む旨、打ち出されました。
私自身、昨年十月に服部知事や香原議長と共に米国ボストン訪問団に参加をし、現地の行政や支援機関が手厚いスタートアップ支援を行い、成果を上げている様子を目の当たりにしました。生産年齢人口が今後減少していく中、新たな価値の創出を図らなければ経済は縮小し、諸外国との競争に遅れを取ることになるという知事の危機感については大いに共感するところです。
本県には、これまでの産業政策により、久留米市を中心にバイオ、飯塚市を中心にブロックチェーン、福岡都市圏を中心にITスタートアップ、北九州市を中心にものづくりスタートアップが集積しています。こうした強みを生かす新成長産業の振興策には夢があり、私も大いに期待をしています。
しかし、成長産業や先端技術分野だけが地域の未来を担うわけではございません。本県企業の九九%は
中小企業であります。産業政策の一丁目一番地は地域で活躍をする
中小企業支援であり、県は、県内各地域で活躍する
中小企業の挑戦をしっかりと支援してほしいと思います。そのような思いで県の来年度の取組をただしてまいりたいと思います。
まずは、地域の商業機能や地域コミュニティーの担い手として重要な役割を果たしている商店街支援について伺います。
私の地元宗像市には、赤間宿という、古くは唐津街道の宿場町として栄えた商店街がございます。この赤間宿では、大和さんという女性リーダーの下、若い商店主たちが新たに商店組合を立ち上げまして、地域を盛り上げようと活発な活動が行われております。このような若者が活躍する元気な商店街が多くなれば、地域の活性化にも大いにつながるものと考えております。
私は、昨年二月議会の一般質問におきまして、商店街の次世代リーダーを育成することが必要だと考え、県としてどのように取り組んでいくのかただしました。今年度から次世代リーダーを育成する事業を開始するとのことでしたが、その後の取組状況についてお聞かせ願います。
95
◯桐明和久委員長 元田中小企業振興課長。
96
◯元田中小企業振興課長 県では今年度、福岡県
中小企業団体中央会と連携いたしまして、商店街活性化に取り組む
中小企業診断士などを講師に迎えたワークショップ形式のセミナーや、先進的な取組を行う商店街の視察、リーダー候補同士のネットワークづくりのための交流会を一連のプログラムとして、県内外で五回開催いたしました。県内十一商店街、十三名の次世代リーダー候補者が参加し、参加者にはプログラムの成果として作成した商店街活性化に向けた事業計画書をプログラムの最後に発表していただくことで、他の参加者にとっても新たな気づきにつながるなど、今後の取組の一助になったものと考えております。
97 ◯井上正文委員 とても充実した内容だったと私も感じましたが、興味あって参加したかったけれども、どうしても受講がかなわなかった方もおられたようでありました。今年度の取組を踏まえまして来年度はどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
98
◯元田中小企業振興課長 来年度につきましては、新たに次世代リーダー候補者を募り、今年度と同様に実践的なセミナーや先進商店街の視察などを通じてリーダーを育成していくとともに、今年度の参加者から、実際に事業に取り組む中で分かった課題や改善点、うまくいった取組などを交流会の場で共有していただくこととしております。
また、多くのリーダー候補者に参加してもらえるように、研修の一部をオンライン化することとしております。
99 ◯井上正文委員 県が商店街の次世代リーダーの育成、そして商店街の振興に今後もしっかりと取り組んでいくことは理解をいたしました。
さて、次世代という意味では、家業の後継者の育成も重要であると考えます。令和六年度予算案のうち、アトツギ・サッシンベンチャーの創出育成事業が計上されております。アトツギベンチャーという言葉は、最近注目を集めているところでございますが、定義はまちまちのようです。県ではアトツギベンチャーをどのような企業として捉えているのか、お聞かせください。
100
◯桐明和久委員長 平野新事業支援課長。
101 ◯平野新事業支援課長 アトツギベンチャーとは、若手後継者が家業の経営資源を活用して新たなビジネスに挑戦する
中小企業のことと捉えております。その代表例として、金属加工で有名な新潟県燕三条の金物問屋からスタートし、日本を代表するアウトドアブランドに成長した株式会社スノーピークや、近江真綿の産地である滋賀県多和田地区において布団の縫製加工の下請として操業し、ダウンジャケットなどの羽毛製品分野で世界に進出をした株式会社ナンガが挙げられます。
102 ◯井上正文委員 次に、県では、これまでアトツギベンチャーを支援するためどのような取組を行ってきたのか、お伺いいたします。
103 ◯平野新事業支援課長 県では、一昨年度から、アトツギベンチャーに対しまして、家業の強みや経営資源を生かした新商品開発を一気通貫で伴走支援をしてまいりました。具体的には、ワークショップへの参加や商品開発の専門家による個別の助言を通じて、アトツギ自らのアイデアの磨き上げから実際に商品化を行い、その商品をクラウドファンディングへ出展するまでを支援するものでございます。
104 ◯井上正文委員 それでは、アトツギベンチャー支援の具体的な成果についてお伺いします。
105 ◯平野新事業支援課長 事業を開始しました一昨年度以降、二十七社のクラウドファンディング出展を支援いたしまして、現在出展中の企業も含めて二十一社が目標額を達成しております。鋳物の原型となる木型を製作する宗像市の企業、株式会社村田木型製作所の二代目が、鋳物の風合いを生かしたお香立てや花器などを新たなブランドとして開発した例や、建具製作を行ってきた同じく宗像市の企業、時安建具店の四代目が、装飾品としても優れたマグネットつきの組子のコースターを開発した例がございます。
この取組を通じまして、新商品開発に関するノウハウを獲得した企業、クラウドファンディングへの出展を通じて認知度向上を果たした企業、中にはメディアに取り上げられ、既存事業の新たな販路開拓につながった企業が生まれるなど、着実な成果を上げているところでございます。
106 ◯井上正文委員 私の地元宗像市においても、アトツギベンチャーの実例があるということは分かりましたが、新しいことにチャレンジする意欲はあるものの二の足を踏んでいるアトツギの方も多数おられると推測されます。こうしたアトツギベンチャーの予備軍的な方に一歩踏み出してもらうための取組が必要であると考えますが、どのように取り組むつもりなのか、お聞かせ願います。
また、こうした取組の周知には、地元企業をよく知る
商工会議所、商工会の
経営指導員との連携やSNSの活用が有効だと考えますがいかがでしょうか。
107 ◯平野新事業支援課長 具体的なアイデアは固まっていないけれども新事業展開を検討しているアトツギの方に対しましては、先輩アトツギによるセミナーや専門家による家業の棚卸し、新規事業開発講座のほか、アトツギと先輩アトツギ、行政や支援機関による交流会を開催してまいりたいと考えております。こうした取組によりまして、アトツギの皆さんが新事業に挑戦する際のアドバイスやヒントを得る場をつくり、意欲の向上につなげていくほか、県内アトツギベンチャーの裾野を広げ、具体的な事業化など次のステップへ進む後押しをしてまいります。
こうした取組の周知につきましては、今、委員から御指摘のありましたとおり、
商工会議所、商工会との連携や、広く情報発信を行うことが可能なSNSの活用は大変重要であると考えております。そこで来年度は、商工会、
商工会議所と連携したセミナーを開催し、アトツギの皆さんに県の取組への参加を呼びかけていくほか、県公式SNSを利用した開催情報などの広報を行ってまいりたいと考えております。
108 ◯井上正文委員 これまでのアトツギベンチャー支援はものづくり企業のみを対象としてきたようでありますが、一方で、サービス業など、ものづくりをしていないアトツギへの支援はどのようになっているのか、お伺いいたします。
109 ◯平野新事業支援課長 サービス業など、ものづくりをしないアトツギベンチャーに対しましても、それぞれの家業の強みや経営資源を生かした新事業計画の策定に関する伴走支援を行ってまいりたいと考えております。具体的には、ワークショップへの参加や専門家による個別の助言を通じまして、実現可能な事業となるようアイデアを磨き上げ、
中小企業庁主催のアトツギ甲子園への出場を支援するものでございます。
アトツギ甲子園は、全国のアトツギベンチャーがビジネスプランを競うコンテストでありまして、出場することでメディアへの露出が増え、売上げ増加や販路拡大につながることから、出場に向けて資料の作成やプレゼンテーション講習会の開催などの支援を行ってまいりたいと考えております。
110 ◯井上正文委員 次に、サッシンベンチャーという、またあまり聞き慣れないベンチャーへの支援策が打ち出されておりますが、このサッシンベンチャーとアトツギベンチャーとの違いは何か。また、サッシンベンチャーに対する支援内容や、新規事業であることからこの取組を広く周知するための手段としてどのようなことを考えているのか、お伺いいたします。
111 ◯平野新事業支援課長 今回、既存事業とは異なる新分野に進出する、いわゆる第二創業に挑戦をし、経営の刷新を目指す
中小企業についてサッシンベンチャーと銘打ちました。アトツギベンチャーとの違いは、サッシンベンチャーは家業の後継者ではないという点でございます。これまで後継ぎでないから県のプログラムに参加できず残念だといった声をいただいていたため、家業の後継者でなくても参加できるよう、サッシンベンチャーの取組を行うこととしたものでございます。
サッシンベンチャーの取組では、アトツギベンチャーで培った手法を生かしまして、先輩サッシンベンチャーによる講演会や専門家による自社分析、新規事業の開発講座のほか、先輩サッシンベンチャー、行政や支援機関による交流会を開催してまいりたいと考えております。
また、こうした取組の周知につきましてもアトツギの取組と同様に、
商工会議所、商工会と連携したセミナーの開催や、県公式SNSを利用することで、サッシンベンチャーの皆さんに県の取組への参加を呼びかけてまいります。
112 ◯井上正文委員 では、サッシンベンチャーは、アトツギベンチャーのように新商品の開発支援の経費が計上されていないのはなぜでしょうか。
113 ◯平野新事業支援課長 アトツギベンチャーへの支援は、事業開始から三年が経過をしまして、これまでのプログラムの参加者や支援機関の皆様からの御意見を踏まえながら支援の拡充を図ってきたところでございます。一方で、サッシンベンチャーへの支援は来年度新たに開始することから、まずはアトツギと同様、サッシンの皆さんが新事業に挑戦する際のアドバイスやヒントを得る場をつくり、意欲の向上につながるよう、サッシンベンチャーのコミュニティーづくりに重きを置いた支援を行ってまいりたいと考えております。
114 ◯井上正文委員 分かりました。福岡県の経済をさらに発展させていくためには、成長産業やスタートアップだけでなく、地域で活躍する
中小企業への支援を忘れてはなりません。イノベーションを担うのは成長産業やスタートアップだけではない。地域で活躍する
中小企業も大きな可能性を秘めております。そうした意味で、地域で頑張る
中小企業の挑戦を後押しするアトツギベンチャー、サッシンベンチャー支援に大いに期待をしています。
そこで最後に、アトツギベンチャー、サッシンベンチャーなど、地域で活躍する
中小企業に対する支援について、商工部長の決意をお聞かせ願います。
115
◯桐明和久委員長 見
雪商工部長。
116 ◯見
雪商工部長 中小企業は、本県企業の九九%、雇用の八割を担っております。冒頭で委員から御発言がありましたが、私も日頃から
中小企業振興は県の産業政策の一丁目一番地であると考えております。幸い県内の各地域には優れた技術を持つ
中小企業が数多く集積しており、本県にとっての大きな強みとなっております。
県では、こうした
中小企業の挑戦を後押しするため、一昨年度から
中小企業の若手後継者、いわゆるアトツギに注目し、アトツギベンチャー支援をスタートさせました。課長が御説明申し上げたように、新製品開発を伴走型で支援しており、着実な成果が上がっております。我々としても確かな手応えを感じているところであります。
来年度からは、これまでに蓄積したノウハウを生かし、アトツギベンチャー支援を大幅に拡充するほか、新分野に挑戦する
中小企業をターゲットとするサッシンベンチャー支援を開始したいと考えております。アトツギ・サッシンベンチャー支援を産業政策の新たな柱として打ち出し、地域の
中小企業の皆様の挑戦をしっかりと後押しすることで、本県経済のさらなる発展に結びつけてまいります。
117 ◯井上正文委員 終わります。(拍手)
118
◯桐明和久委員長 ほかに質疑はありませんか。高橋義彦委員。
119 ◯高橋義彦委員
自民党県議団の高橋でございます。さきの代表質問にて我が会派からも質問させていただきましたが、非常に重要なテーマでございますので、本日改めまして物流における二〇二四年問題の県の対応についてお尋ねいたします。
平成三十年に成立した働き方改革関連法で定められた時間外労働の上限規制等が平成三十一年四月から順次施行されております。この中で、自動車運転業務については今年四月から適用されます。このことにより、バス、タクシー、トラックなど自動車運転者の長時間労働の是正が進められている一方、物流の分野においては、ドライバー一人当たりの労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、物が運べなくなる可能性が懸念されています。これが物流の二〇二四年問題の概要でございます。
この問題の解決には、国内貨物輸送の約九割を占めるトラック運送事業者の取組が重要であると考えております。そこで、これらトラック運送事業者の取組に対して、県としてどのような支援を行っていくのか、お尋ねいたします。
まずは、県内のトラック運送事業者がどれくらいあるのかお尋ねします。また、昨今の燃料価格の高止まりなどにより、これらトラック運送事業者は経営に当たって多くの課題を抱えると考えておりますが、事業者からはどのような声が聞こえてきているのか、お教えください。
120
◯桐明和久委員長 後藤商工政策課長。
121
◯後藤商工政策課長 九州運輸局が作成しています九州運輸要覧によりますと、令和四年三月末現在の県内のトラック運送事業者の数は三千百三十七社で、そのほとんどが
中小企業となっております。
事業者が現在直面しています課題としましては、まず、従前からの課題としまして人手不足及び燃料価格の高騰によるコストの増加の二つが挙げられます。さらに、今年四月から働き方改革関連法が適用されることによります輸送能力の減少への対応が変わり、合わせて三つの課題があると把握しております。
122 ◯高橋義彦委員 いずれの課題も中小のトラック運送事業者の自助努力だけでは限界があり、解決が困難であると思われます。地域の経済活動を支える中小トラック運送事業者に対しては、県としてもしっかりと支援をしていく必要があると考えますが、まずは、これまでトラック運送事業者に対してどのような支援を行ってきたのでしょうか。それら支援策の実績も併せてお尋ねいたします。
123
◯後藤商工政策課長 公益社団法人福岡県トラック協会が実施しますトラック運送事業者向けの各種事業に対し、福岡県運輸事業振興助成交付金を毎年度交付しております。この交付金におきまして、トラック運送事業者の従業員に対する大型免許などの取得費用の一部助成により、ドライバー不足対策に取り組んでおります。こちらにつきましては、令和二年度から令和四年度までの三か年で延べ千二百九十五人に対する助成を行ってまいりました。
このほか、燃料価格高騰対策につきましては、令和四年度九月補正予算事業として、トラック運送事業者へエコタイヤ購入費を助成するため、福岡県貨物自動車燃費向上支援補助金の交付事業を実施いたしました。こちらにつきましては、令和四年十一月一日から翌年一月三十一日までの申請の受付を行い、最終的な申請事業者数は五百七十二社で、令和四年度の九月補正予算額三億六百万余に対し、実績額は一億四千五百万余で、その差額が一億六千百万余となっております。
124 ◯高橋義彦委員 貨物自動車燃費向上支援補助金の実績が、県内三千以上ある事業者のうち六百社程度というのは非常に少ないと思います。せっかくの支援策も事業者に使ってもらえなければ意味がございません。
物流の二〇二四年問題については、マスコミの報道などでも多く取り上げられているとおり、社会全体でこの問題にしっかりと取り組んでいく必要があると思います。この点について、今後、県としてどのような事業者支援を行っていくのか、また支援の概要と併せて具体的な取組について説明をお願いいたします。
125
◯後藤商工政策課長 まず、トラック運送事業者への支援の方向性を検討するため、昨年十二月に公益社団法人福岡県トラック協会を通じて事業者へアンケート調査を行いました。このアンケートの回答からは、トラックドライバーの労働負担の軽減、トラックドライバーの拘束時間の削減、トラックドライバー確保に向けた職場環境の整備といった課題が浮き彫りになりました。また、これらの課題に対する取組を全く行っていないという事業者が一定数いるということも明らかになりました。
こうした課題を踏まえまして、先日議決いただきました二月補正予算に計上しております福岡県貨物自動車運送事業経営強化緊急支援事業により、県内の中小トラック運送事業者が行うトラックドライバーの労働負担軽減や拘束時間削減、ドライバー確保などの取組に要した経費の二分の一を、補助金額三十万円を上限として助成してまいります。
それぞれの課題に対します具体的な支援の例としましては、例えば荷物の積卸し作業による労働負担を軽減するための荷台昇降機や、荷待ちによる拘束時間を削減するための配送効率化システム、また人材確保のための快適な職場環境の整備に係る設備の導入、改修などを想定しております。
126 ◯高橋義彦委員 今、御説明にありましたように、幾つかの具体的な支援の例を挙げておられましたけれども、個々のトラック運送事業者によって抱える課題は様々だと思っております。エコタイヤの購入費助成についてもそうですが、せっかく予算を確保しても利用されないのであれば支援策の意味がありません。多くの事業者に支援がしっかり行き渡るよう、幅広いニーズに対応できる制度とすることを強く望んでおります。
一方で、荷主都合による拘束時間の発生など、トラック運送事業者自らの取組だけでは解決できない課題というのも多く存在しています。それらの課題については、今後どのように取り組むのでしょうか。
127
◯後藤商工政策課長 委員御指摘のとおり、物流の二〇二四年問題への対応は、トラック運送事業者だけが行うのではなく、荷主や消費者への取組も促していく必要があります。荷主や消費者に対しては、各種団体による企業向け媒体や県のホームページを活用した啓発を通じまして、働き方改革の必要性やトラック運送事業者の負担軽減について、理解、協力を求めてまいりたいと考えております。
128 ◯高橋義彦委員 物流は、
県内企業の産業活動や県民の生活に不可欠なものでございます。先ほど来お話にありましたような企業誘致の話であったり、
価格転嫁の話、様々なことに関係してきます。それを支えているのが県内トラック運送事業者であり、県としてきめ細かい支援を行っていくことを期待しております。
最後に、こうした厳しい状況にあるトラック運送事業者への支援について、部長の決意をお聞かせください。
129
◯桐明和久委員長 見
雪商工部長。
130 ◯見
雪商工部長 先ほども課長が答弁いたしましたが、トラック運送事業者の皆様から県に対して、ドライバー不足や燃料価格高騰などにより経営環境が厳しい状況にある、そういった声が寄せられております。こうした声を受けまして、県では、これまで県トラック協会への補助を通じて、大型免許などの取得費用助成やエコタイヤ購入助成などの取組を行ってまいりました。さらに、トラック運送における物流の二〇二四年問題にも対応するため、ドライバーの負担軽減や拘束時間削減などに役立つ機器あるいはシステム導入への補助事業を今議会で御提案し、先日議決いただいたところであります。
先ほどの委員の御指摘を踏まえまして、この事業の実施に当たりましては、一件でも多くの事業者の皆様に御利用いただけるよう、補助制度の周知、広報に力を入れるとともに、相談窓口も設置し、お問合せに丁寧に対応するなど、事業者の皆様に寄り添った支援を行ってまいります。あわせて、荷主や消費者を対象に、荷待ち時間削減や再配達を減らす配慮などを呼びかける広報啓発にも力を入れてまいります。
今後もトラック運送事業者をしっかり支援し、トラック運送における物流の二〇二四年問題に対応してまいります。
131 ◯高橋義彦委員 終わります。(拍手)
132
◯桐明和久委員長 ほかに質疑はありませんか。波多江祐介委員。
133 ◯波多江祐介委員
自民党県議団の波多江祐介でございます。通告に従い、本日は移動スーパー参入促進事業について質問いたします。
まず、執行部に資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。
134
◯桐明和久委員長 お諮りいたします。
ただいま波多江委員から要求がありました資料を
委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
135
◯桐明和久委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま波多江委員から要求がありました資料については提出できますか。
元田中小企業振興課長。
136
◯元田中小企業振興課長 直ちに提出できます。
137
◯桐明和久委員長 資料を
正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
138
◯桐明和久委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
139
◯桐明和久委員長 資料が配付されましたので、波多江委員、質疑を行ってください。
140 ◯波多江祐介委員 ただいまの資料は、質問の内容の参考に御覧いただければと思っております。
私の地元筑紫野市では、商工会の事業として、約十年前から買物に不便を期している地域に出向いて店を開き、野菜やお弁当、お菓子やお茶、生活雑貨などを販売しております。毎月十五日に開催し、既に百回を超え、会員事業者や地域の高齢者にも大変喜ばれ、定着をしております。
買物弱者の対策として、高齢者向けの配食サービスや、公共交通機関が乏しい地域でのコミュニティーバス運行など様々な取組が行われていますが、その一つに移動スーパーがあります。車に食料品や日用品を積んで日常の買物が不便な地域に出向いて販売する移動スーパーは、多くの荷物を抱え遠距離を移動することが難しい高齢者などにとって有効な買物支援だと考えております。また、買物弱者にとって、実際に多くの商品を見て手に取り選択できることは、購買意欲を高め、消費を喚起するとともに、事業者にとっては新しいビジネスチャンスが生まれ、地域経済の活性化にもつながります。
本県では、買物弱者対策の一環として、移動スーパーに新たに取り組む事業を支援する移動スーパー参入促進事業を行っています。私は、この事業は買物弱者対策及び地域経済の活性化という点で非常に有効な事業だと考えております。
そこで、お伺いいたします。まず、県では、移動スーパーに取り組む事業者に対してどのような支援を行っているのか、お聞かせください。
141
◯元田中小企業振興課長 移動スーパー参入促進事業では、新たに移動スーパー事業に取り組む
中小企業者に対し、車両購入費や改造費、備品費、広報費など、事業の開始に必要な経費を対象に、補助率三分の一、補助金額百五十万円を上限として支援をしております。
なお、支援に当たっては、市町村が県と同額以上を補助することを要件としております。
142 ◯波多江祐介委員 県の支援内容は分かりました。
それでは、これまでの支援実績についてお聞かせください。
143
◯元田中小企業振興課長 県ではこれまで、久留米市、豊前市、福津市、うきは市、大刀洗町の五つの市町の事業者に対し、車両購入費や車両に冷蔵庫などを搭載するための改造費、集客のためのポスターやチラシの作成費などを支援しております。
144 ◯波多江祐介委員 実際に県の支援で移動スーパーの取組を開始された事業者の皆さんは、どのような事業を行っているのか、具体的にお聞かせください。
145
◯元田中小企業振興課長 例えば豊前市の事業者の場合、地域の実情を把握している地元の社会福祉協議会や民生委員などからの要望を踏まえ、地域のニーズに沿ったルートを巡回し販売を行っています。また、販売員が医療や介護などの資格を有しており、いつも買物に来ている高齢者などが来ていない場合は、様子を見に自宅を訪問するなど、地域における見守りにも貢献をしております。
うきは市の事業者の場合は、地元スーパーと連携し、生鮮食品や菓子、日用品など幅広い品ぞろえで利用者のニーズに対応するとともに、利用者から購入したい商品の要望があれば取り寄せるなど、移動するセレクトショップとしてきめ細かな対応を行っております。
146 ◯波多江祐介委員 事業者の皆様は、それぞれの地域の実情に応じて様々な取組をされているようですが、取組の結果、どのような事業効果があったのか、お聞かせください。また、取組開始後既に四年が経過をしており、個々の事業者においても事業内容が変わってきたり、課題も見えてきたのではないかと思いますが、その点もお聞かせください。
147
◯元田中小企業振興課長 本事業の効果といたしましては、利用者から、足が悪いので家の近くまで来てくれて助かる、欲しい商品を注文すると持ってきてくれて便利、日々の食料品が全て賄えて助かるといった声が聞かれるなど、買物弱者対策として有効なものとなっていると考えております。
また、事業者は、販売予定地域の民家を訪問し、販売を希望する商品の聞き取りや公民館でのチラシの配架、地域のイベントに出展して広報するなど、積極的に需要の掘り起こしを行うことで売上げの増加につなげています。
事業内容の変化といたしましては、個々の事業者によって、地域の利用者の要望に応え商品の品ぞろえの見直しや社会福祉協議会などからの要望に応え販売場所を追加するなど、日々、地域のニーズに対応しながら事業を継続しておられます。事業を実施していく上で、事業者の皆様からは、販売ルートの選定の際には他の競合する事業者との販売ルートの調整、宅配サービスの増加に伴い利用者が減少傾向、商品の値上げによる利用者の減少、商品の積卸し作業に体力が必要などの課題を聞いております。
148 ◯波多江祐介委員 県内にはまだまだ買物が困難な地域がありますので、移動スーパー事業への参入を促すことも重要だと考えます。そのためには、事業実施主体となる事業者に加え、地域の実情を把握している市町村や社会福祉協議会、さらには事業者の取組を支援する
商工会議所や商工会に対し本事業を広く周知することが必要だと考えます。県はこれまでどのように周知をしてきたのか、お聞かせください。
149
◯元田中小企業振興課長 県ではこれまで毎年度の事業開始に合わせて、買物弱者に関する地域の情報に精通している市町村の担当部署や社会福祉協議会に対し、事業者への本事業の周知や参入要望の取りまとめを依頼してまいりました。あわせて、毎年三月に開催している
商工会議所、商工会や市町村の商工担当部署向けの事業説明会において本事業を周知しているところです。また、昨年十一月には、事業者の新たな参入を促すため、本事業の取組事例を紹介するチラシを作成し、市町村や社会福祉協議会に配布するなど周知に努めてきたところでございます。
150 ◯波多江祐介委員 地域の実情を把握している市町村や社会福祉協議会を中心に、事業の周知に努めていったことはよく分かりました。
令和二年度に五つの事業者から申請があり、事業を開始していると聞きました。その後の申請や問合せについてどのようなものか、お聞かせください。
151
◯元田中小企業振興課長 令和三年度以降、事業者の申請には至っていないものの、本事業に関して事業者や市町村から、令和三年度は二十二件、令和四年度は七件、今年度は十二件の問合せがあっております。問合せの内容といたしましては、補助対象者や補助金の額、補助対象経費、申請を検討している業態が補助対象となるかなどでございます。
152 ◯波多江祐介委員 状況はよく分かりました。本事業の目的は、日常の買物が不便な地域において買物の場を提供することで、高齢者等の購入意欲を高め、消費を喚起することにより地域経済の活性化を図ることにあると聞いております。そうであれば、私は、
中小企業、
小規模事業者の最も身近な支援機関である
商工会議所、商工会ともっとしっかり連携をしていくことで、移動スーパーの取組に意欲のある事業者の掘り起こしにつなげることができ、また、先ほどお聞きいたしました個々の事業者の事業内容の変化や課題にも、新たな移動スーパーに取り組む事業者に伝えることでスムーズな事業開始につながると思いますが、県の考えをお聞かせください。
153
◯元田中小企業振興課長 県ではこれまで市町村や社会福祉協議会を中心に事業の周知に努めてきたところですが、今後は
商工会議所、商工会に対しても、
経営指導員による巡回指導などにおける事業者への本事業の紹介や、移動スーパーに興味がある事業者からの問合せについての県への情報提供など、参入に向けた支援への協力を求めるとともに、事業者から県へ相談があった場合には
商工会議所、商工会へもつなぐなど、より一層連携し、事業者の掘り起こしにつなげてまいります。
加えて、先ほど申し上げました移動スーパーの事業効果や事業内容の変化、課題について引き続き把握に努め、その情報を市町村や社会福祉協議会、
商工会議所、商工会と共有し、新たに参入を希望する事業者への支援に活用してまいります。
154 ◯波多江祐介委員 今後、高齢者が増え、また、人口減少による公共交通手段の減少も進む中、本事業の重要性はますます高くなってくると考えます。私は、本事業の意義は大変大きく、重要な事業であると確信しております。課題に対応しながらも、地域コミュニティーの観点からも重要な施策と考えます。
こうした状況に対応するため、今後、県は移動スーパー事業にどのように取り組んでいくのか、最後に部長のお考えをお聞かせください。
155
◯桐明和久委員長 見
雪商工部長。
156 ◯見
雪商工部長 近年、地元スーパーの減少や大型商業施設の郊外化などに伴い、過疎地域のみならず都市部においても高齢者を中心に買物に不便や苦労を感じる方が多くなっております。こうした中、買物が困難な地域に出向き、食料品や日用品などを販売するこの移動スーパーは、買物弱者対策の選択肢の一つとして大きな役割を果たしております。
また、先ほど課長が御紹介しましたように、本事業を活用する事業者の皆様の中には、地域の要望に沿った商品を提供するだけでなく、高齢者の見守りなどにも御貢献いただいている事業者もいらっしゃいます。この事業をより多くの事業者の皆様に知っていただき、そして活用していただけるよう、市町村や社会福祉協議会、
商工会議所、商工会と密に連携し、その周知にしっかりと努めてまいります。
157 ◯波多江祐介委員 終わります。(拍手)
158
◯桐明和久委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
159
◯桐明和久委員長 ないようですので、以上で、冨永委員、塩出委員の知事保留質疑を残し、七款の商工費に関する質疑を終わります。
この際しばらく休憩をします。再開は午後一時五十分をめどに放送をもってお知らせいたします。
午 後 零 時 四 十 九 分 休 憩
午 後 一 時 五 十 分 再 開
160 ◯渡辺美穂副委員長 ただいまから委員会を再開します。
休憩前に引き続き議事を進めます。
八
款県土整備費について、順次、説明を求めます。馬渡県土整備部長。
161 ◯馬渡県土整備部長 それでは、八
款県土整備費のうち、県土整備部所管分につきまして御説明をいたします。令和六年度予算に関する説明書の三百一ページをお願いいたします。
三百一ページ、一項県土整備企画費でございます。県土整備部所管分の主なものは、一目県土整備総務費の右側説明欄の一番下、建設技術情報センター運営費でございます。これは建設技術情報センターの管理運営に関する経費でございます。この一目県土整備総務費二十六億一千三百万円余と、三百三ページ目の二目土木出張所費四千三百万円余、これらを合わせまして二十六億五千六百万円余をお願いしております。
ページが飛びまして三百七ページ目をお願いいたします。二項道路橋りょう費でございます。その主なものは、三百十一ページの三目道路新設改良費の右側説明欄の上から五番目、道路改良費でございます。これは道路の改良等を行うものでございます。合計につきましては、三百十四ページになりますけれども、五百九十九億二千六百万円余をお願いしております。
続きまして、同じく三百十四ページ目でございます。三項河川海岸費でございます。その主なものは、三百十六ページの二目河川改良費の右側説明欄の下から五番目、浸水対策
重点地域緊急事業費でございます。これは近年の浸水被害が甚大であった河川の整備等を行うものでございます。合計は、三百十九ページになりますけれども、三百九十八億八千三百万円余をお願いしております。
続きまして、同じく三百十九ページ目、四項港湾費でございます。その主なものは、三百二十一ページの二目港湾建設費の右側説明欄の上から一番目、港湾改修事業費でございます。これは港湾の係留施設等の整備を行うものでございます。合計は四十五億四千万円余をお願いしております。
ページが飛びまして、三百三十ページをお願いいたします。七項県営埠頭施設整備運営事業費でございます。これは県営埠頭施設の整備運営などに要する経費につきまして特別会計へ繰り出すものでございます。十一億九千九百万円余をお願いしております。
続きまして、八項水資源対策費でございます。その主なものは、三百三十二ページ目の二目水道整備費の右側説明欄の一番下、水道施設耐震化等促進費でございます。これは水道施設の耐震化等を行う水道事業者等に対しまして事業費の一部を補助するものでございます。合計は五十五億六千七百万円余をお願いしております。
県土整備部所管分の説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
162 ◯渡辺美穂副委員長 永山建築都市部長。
163 ◯永山建築都市部長 続きまして、八
款県土整備費のうち、建築都市部所管分について御説明をいたします。令和六年度予算に関する説明書の三百三ページをお願いいたします。お戻りいただいて三百三ページでございます。
一項県土整備企画費のうち、建築都市部所管分は、三目建築総務費から、飛びまして三百六ページの五目建築指導費までの合計で十四億八千四百万円余をお願いしております。その主なものは職員費などの管理費でございます。
少し飛びまして、三百二十一ページをお願いいたします。三百二十一ページでございます。五項都市計画費でございます。その主なものは、三百二十三ページの三目街路事業費の右側説明欄の一番上にございます街路事業費、それから、少し飛びまして三百二十五ページの四目公園費の右側説明欄の一番上にございます都市公園施設費でございます。総額は、三百二十六ページの計の欄に記載しておりますとおり、百七十六億三千七百万円余をお願いしております。
次に、三百二十七ページの六項住宅費でございます。その主なものは、三百二十八ページに行っていただきまして、二目住宅建設費の右側説明欄の上から二つ目にございます公営住宅建設費でございます。総額は、三百三十ページの計の欄に記載をしておりますとおり、六十一億九千三百万円余をお願いしております。
建築都市部所管分の説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
164 ◯渡辺美穂副委員長 説明は終わりました。
これより質疑を行います。質疑はありませんか。野原隆士委員。
165 ◯野原隆士委員 午後一番の質問ということで、優しくやらせていただきたいと思っております。
まず、通告に従いまして、福岡高速道路の状況についてということでありますが、私、この議会中には、議会棟に行くときにはいつもこの都市高速を利用させていただいているんですけれども、ふだん私ども福岡市民、あるいは一般的な方は、都市高速あるいは福岡都市高速と呼んでいます。実際、インターに乗るときにも入り口には都市高速と書いてあります。しかしながら、県の公表発表資料では、福岡高速道路という書き方、名称を使われていますけれども、いろんな呼び方があるんですが、都市高速とこの福岡高速道路の名称の違いについて、まずはお伺いをしたいと思います。
166 ◯渡辺美穂副委員長 大石道路建設課長。
167 ◯大石道路建設課長 福岡高速道路は、道路整備特別措置法に基づき、福岡北九州高速道路公社が国の許可を受けて整備する指定都市高速道路の名称でございます。
一方、都市高速道路は、指定都市高速道路に由来した名称で、九州縦貫自動車道などのいわゆる高速道路と区分し、利用者に分かりやすく案内するために公社が標識などに用いているものでございます。
168 ◯野原隆士委員 そういうことであれば、人間で言うと本名であり、それが通称として使われているという認識でよろしいわけですよね。そういう意味では、今の説明は分かりましたが、じゃあ、これからは福岡高速道路ということで質問させていただきます。
昭和五十五年に香椎ランプから東浜ランプが開通して以来、平成十一年三月に九州自動車道太宰府インターと接続し、平成十三年十月には西九州自動車道と接続、さらに平成十四年三月には九州自動車道福岡インターと接続したことで、非常に利便性の高い広域的な高速道路のネットワークを形成しております。そして、平成二十四年七月には環状化ができ、さらに令和三年六月には六号線、アイランドシティ線が開通したことで、福岡都市圏の内外における人、物、地域の連携を支える非常に重要な道路となっております。
そこで、改めてこの福岡高速道路の状況について質問をしますが、まずは資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いいたします。
169 ◯渡辺美穂副委員長 お諮りいたします。
ただいま野原委員から要求がありました資料を
委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
170 ◯渡辺美穂副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま野原委員から要求がありました資料については提出できますか。
171 ◯大石道路建設課長 直ちに提出できます。
172 ◯渡辺美穂副委員長 資料を
正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
173 ◯渡辺美穂副委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
174 ◯渡辺美穂副委員長 資料が配付されましたので、野原委員、質疑を行ってください。
175 ◯野原隆士委員 それでは、この資料に基づいて説明をまずはお願いをしたいと思います。
176 ◯大石道路建設課長 本資料は、福岡高速道路における交通量と料金収入額の平成二十四年度から令和四年度までの推移を取りまとめたものでございます。
折れ線グラフは各年度における一日当たりの平均交通量を、棒グラフは各年度の料金収入の総額を表しております。交通量と料金収入額につきましては、令和二年度に新型コロナウイルス感染症拡大防止の緊急事態宣言などの影響により減少しましたが、令和四年度には、コロナ禍前の水準まで回復しております。
説明は以上でございます。
177 ◯野原隆士委員 この交通量、そして料金収入額ともにコロナ禍前の水準まで回復していることは分かりました。料金収入額の回復は、福岡北九州高速道路公社の経営にとっては非常に良い傾向だとは思います。公社においては、この調子で引き続き利用促進に取り組んでいただきたいと思います。
しかしながら、この交通量の回復に伴い、朝夕の混雑時間帯にはあちらこちらで渋滞も復活しているようです。毎日のように福岡高速道路の渋滞情報、私、議会棟に来る前には愛宕浜ランプから呉服町ランプ間を利用しておりますけれども、渋滞がなければこの区間は大体二十分前後で通過ができるんです。しかしながら、渋滞がありますと倍近く、四、五十分かかってしまうときもあります。特にここ最近、百道から千鳥橋ジャンクションまでの区間が頻繁に渋滞していると思うんですけれども、この区間における渋滞の状況について、まずはお示しいただきたいと思います。
178 ◯大石道路建設課長 福岡北九州高速道路公社では、走行速度が時速二十キロメートル以下で車列の長さが五百メートル以上の状態が三十分以上継続した場合を渋滞と定義しております。百道ランプから千鳥橋ジャンクションの区間におきましては、令和四年度にこの定義での渋滞が四十四件発生しております。それ以外にも、日常的な混雑が平日の朝七時から八時台及び土日祝日の夕方十六時から十八時台の間に多く発生している状況でございます。
179 ◯野原隆士委員 百道から千鳥橋ジャンクションまでの区間における渋滞の状況については理解をしましたが、この区間での渋滞が多く発生する原因を教えてください。
180 ◯大石道路建設課長 百道から千鳥橋ジャンクションまでの区間は、博多漁港をまたぐ荒津大橋付近に長く急な上り坂があること、また千鳥橋ジャンクション付近に、呉服町、東浜、築港の三か所の出入口がありまして、分流、合流による車線変更で車両がふくそうすることなどによりまして速度が低下し、渋滞が発生するものと考えております。
181 ◯野原隆士委員 私は、一番の原因はこの千鳥橋ジャンクションだと思うんですね。合流地点、あそこは非常に今混んでいます。そして特に南側から、例えば太宰府方面から来られる方があそこで合流をする。非常にあそこの部分が混んでいて、場合によっては私どものほうのところだけではなく、南側から北に向けての区間も非常に渋滞して動けないということがよく起きております。
今、千鳥橋ジャンクションの付近で行われている工事ですけれども、また、百道方面、香椎方面、太宰府インター方面の分岐の箇所において走行レーンを色分けする工事が行われておりますが、この工事の目的について御説明をください。
182 ◯大石道路建設課長 千鳥橋ジャンクションは、以前から車線変更に伴う車両のふくそうで接触事故が多く発生しております。今回の工事は、路面を着色し、ジャンクション手前で早めの車線変更を誘導することによりまして、事故防止による安全性の向上を図るものでありまして、併せて渋滞の減少にも寄与するものと考えております。
183 ◯野原隆士委員 色分けをされてはいるんですが、これがたしか一月十七日からだったと思います。およそ二か月たっていますけれども、いまだ慣れていない方がいるんですね。それも渋滞の一つではあろうかと思うので、やはりもっとここの色分けを含めてもう少し標識を出していただくのもいいんじゃないかなと思います。
このことについては、福岡高速道路の管理者である公社、千鳥橋ジャンクションから東浜ランプへの区間における渋滞対策について、公社ではどのように考えているのでしょうか。
184 ◯大石道路建設課長 委員御指摘のとおり、千鳥橋ジャンクションから東浜ランプの区間におきましては、公社の定義によります渋滞が、コロナ禍前の令和元年では一件だったものが、令和四年度には六十五件と急増している状況でございます。公社からは、交通の状況を注視しながら、この区間の渋滞の増加の原因を分析し、対策の検討を行っていくと聞いております。
185 ◯野原隆士委員 そういうふうに答えられるでしょうね、対策をしているということで。
しかしながら、問題意識、やはりこれは今事業を進めている空港線の延伸事業が完成すれば、さらに福岡都市高速道路の利便性は高まります。全体的に交通量が増加することで、ますます渋滞する箇所が増えてくるのではないかと思われます。
設立団体の県をはじめ、福岡北九州高速道路公社が将来的な展望を持って福岡高速道路の渋滞対策に取り組んでいかなければならないと考えますが、いかに今後県として関わっていくのか、最後に部長の決意をお聞かせいただきたいと思います。
186 ◯渡辺美穂副委員長 馬渡県土整備部長。
187 ◯馬渡県土整備部長 福岡高速道路につきましては、委員御指摘のような空港線の延伸に加えまして、今後、福岡都市圏の人口の増加、それから貨物輸送の増加などが想定されておりまして、さらなる交通量の増加が見込まれますため、渋滞の発生が懸念されます。
県といたしましては、公社や高速道路の出入口に接続する道路の管理者であります福岡市、国、また警察などの関係機関と課題を共有いたしまして福岡高速道路の渋滞対策を進めますとともに、福岡都市圏の広域的な道路ネットワークの整備による交通の円滑化に連携をして取り組んでまいります。
188 ◯野原隆士委員 部長の決意はよく分かりました。しかしながら、人間の体もそうです。血管が詰まってくると様々なトラブルが起きます。そのためステントを入れたり、あるいはバイパス手術を行って流れをよくしていくと。同じようにこの都市高速道路も、早め早めの、将来十年先を見据えてやっていかないと手後れになっていくと思います。特にここだけの問題ではなく、外環のほうの野芥インターもそうです。夕方になれば非常に混んでいて、なかなか降りるのに時間がかかってくる。これは我が会派の樋口明県議もこの質問をしたであろうと思いますけれども、今後この都市高速道路、これを将来的には渋滞を予測した中で早め早めの対応をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
189 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。守谷正人委員。
190 ◯守谷正人委員 皆さん、こんにちは。民主県政県議団の守谷正人でございます。通告に従いまして、本県の土砂災害対策の推進について質問したいと思います。
近年、線状降水帯による集中豪雨や台風による記録的な大雨により土砂災害が頻繁に発生して、その被害も激甚化しています。本県でも、平成二十九年の九州北部豪雨以降、令和五年の梅雨前線による大雨まで、大雨特別警報が六回も発表されるなど豪雨が頻発し災害が発生しています。知事をはじめ県土整備部の皆様におかれましては、被災地の一日も早い生活の再建、復旧、復興に向け、全力で取り組んでいるところだと思っております。これまでの御尽力に心から感謝を申し上げます。
このように豪雨災害が頻発していることから、今年も自然災害に対して不安な気持ちを感じている方も多いと思います。そこで、今日は本県の土砂災害対策の推進についてお尋ねをいたします。
土砂災害は、山地の多い日本では避けられない災害でもあります。市町村が作成したハザードマップは、土砂災害の災害危険箇所を記載したものですが、マップの上に記載されている土砂災害警戒区域や特別警戒区域、いわゆるイエローゾーン、レッドゾーン外で土砂災害が発生していることも見受けられます。このように、まさかここでという土砂災害のリスクが懸念されている中、本年一月十日には、県は土砂災害警戒区域について、既に指定されている一万八千二百八十一か所に加え、新たに指定の可能性がある一万三千六百六十二か所の抽出を行ったと発表しました。
そこで、新たに指定の可能性がある箇所の抽出を行うことになった経緯や抽出方法についてお尋ねをいたします。
191 ◯渡辺美穂副委員長 野中砂防課長。
192 ◯野中砂防課長 近年、全国的に土砂災害警戒区域が指定されていない箇所におきましても土砂災害が発生している状況が確認されております。その状況を踏まえ、令和二年度に国は、従来の地形図では抽出できなかった土砂災害の発生のおそれのある箇所を見つけて区域指定を行うために、区域指定の指針となる土砂災害防止対策基本指針を見直しました。この見直しでは、土砂災害警戒区域の指定基準を満たす箇所の抽出精度を向上するため、従来より高精度な地形図を用いることが追加されました。
これを受けて県では、従来の二万五千分の一の縮尺の地形図より精度の高い五千分の一の縮尺の地形図を3Dレーザー測量を用いて作成し、新たに指定の可能性がある箇所を抽出したところでございます。
193 ◯守谷正人委員 全国的に土砂災害警戒区域外で土砂災害が発生しているとのことですが、新たに土砂災害警戒区域に指定の可能性がある箇所が多数抽出された県内においても、区域外で土砂災害が起こることが懸念されます。
福岡県では、昨年七月七日から十日にかけて本州付近にて停滞した梅雨前線の活動により、十日の午前中には線状降水帯が発生し、猛烈な雨が降ったため、県内の各地で土砂災害が発生しました。この豪雨による県内の土砂災害の発生状況と件数についてお尋ねいたします。また、このうち土砂災害警戒区域外での発生状況をお尋ねいたします。
194 ◯野中砂防課長 昨年七月の梅雨前線豪雨におきましては、久留米市、朝倉市を中心に、県内全域で多数の土砂災害が発生しており、人家などに影響があった土砂災害として三十七か所を確認しております。この内訳は、崖崩れ二十八か所、土石流八か所、地滑り一か所となっております。この三十七か所のうち五か所では、土砂災害警戒区域外で土砂災害が発生しており、久留米市の千之尾川では指定していた区域の外まで土石流が到達したほか、朝倉市、太宰府市、那珂川市及び糸島市では、区域外で小規模な崖崩れが発生しております。
195 ◯守谷正人委員 土砂災害警戒区域外で五か所の土砂災害が発生したとのことですが、これら五か所について、災害を踏まえた早急な区域の見直しが必要だと考えます。
そこで、この見直しについての取組状況をお尋ねいたします。また、区域の見直し以外に施設整備など対策が行われるのか、お尋ねをいたします。
196 ◯野中砂防課長 区域外で土砂災害が発生しました五か所につきましては、被災状況を踏まえて区域を見直すための現地調査を実施したところです。この調査結果に基づき見直す予定の区域は、住民の皆様に認識していただくために今年度中に県のホームページで公表する予定でございます。あわせて、関係自治体に通知して意見を求めるとともに、地域住民の皆様に対する説明会を行い、区域の見直しの考え方などについて丁寧に周知してまいります。その後、関係自治体の意見も踏まえ、出水期前の五月末までに区域の見直しを完了する予定でございます。
次に、千之尾川では、緊急的に砂防ダムを設置するために現在測量設計を進めているところです。さらに渓流全体の安全度を高めるための砂防施設を追加して整備することとしております。
また、千之尾川以外の四か所で発生した崖崩れは小規模のため、県が実施する事業の採択基準を満たしておりませんけれども、関係市が対策を行う場合、県は財政的、技術的な支援を行ってまいります。
197 ◯守谷正人委員 昨年七月の梅雨前線豪雨の影響により区域外で土砂災害が発生した箇所では、早急に区域の見直しが行われることは分かりました。このように区域外で土砂災害が発生している状況を踏まえると、冒頭に述べましたように、本年一月に県が発表した新たな土砂災害警戒区域に指定の可能性のある箇所でも、人的災害が発生するといった最悪な事態が起こることも予想されます。このような事態を避けるためにも、少しでも早く現地調査を行い、区域指定を進めなければなりません。
しかし、新たな指定の可能性がある箇所が一万三千六百六十二か所もあるため、指定までには予算の確保をはじめ、長期的な対応が必要であると考えます。そこで、新たに指定の可能性がある箇所の現地調査を今後どのように進めていくのか、お尋ねをいたします。また、来年度計上している調査に係る予算についてお尋ねをいたします。
198 ◯野中砂防課長 新たに指定の可能性がある一万三千六百六十二か所の現地調査につきましては、まず、人家などの建築物がある箇所を優先し、令和六年度から十年間をめどに調査を進め、区域指定を行ってまいります。また、全ての箇所の区域指定までに年数を要しますことから、これらの箇所を土砂災害のおそれがある箇所として住民の皆様へ早期に認識していただくために、県のホームページで五月末に公表する予定でございます。
来年度の調査に係る予算につきましては、既に区域指定している箇所の見直しも含め、約三億六千万円をお願いしております。
199 ◯守谷正人委員 県は、新たに指定の可能性があるこの調査箇所をホームページで五月末に公表するとのことですが、そのことが住民の避難行動につながらなければなりません。そのためには関係自治体とも連携して、調査区域地域の住民に調査箇所を早く知ってもらい、調査の目的や内容をしっかり理解してもらうことが重要と考えます。
そのためには早い段階での公表が必要と考えますが、公表が五月末になる理由をお尋ねいたします。また、調査箇所の公表や地域住民への周知についてどのように取り組まれていくのか、お尋ねいたします。
200 ◯野中砂防課長 新たに指定の可能性がある調査箇所につきましては、現在範囲を精査している段階であり、また既に指定している土砂災害警戒区域を表示している地図に追加して表示するためのシステム改修を行っているところでございます。このため調査箇所を直ちに公表することは困難ですが、次期出水期前の五月末に公表ができるよう取り組んでいるところでございます。
また、住民の方々が適切に避難するためには、調査箇所をあらゆる世代の方々に広く周知することが重要です。このため、県広報紙である福岡県だよりや県公式LINE、エックスといったSNSなど様々な媒体を用いた広報を関係自治体とも連携し実施してまいります。あわせて、住民の皆様の疑問に応えるために個別の問合せ窓口を砂防課内に設置し、丁寧に説明してまいります。さらに、関係自治体に対しまして調査箇所をハザードマップに反映することを働きかけるなど、住民の皆様の適切な避難行動につながるよう努めてまいります。
201 ◯守谷正人委員 地域の皆様からしたら、新しく指定のある可能性の箇所を一刻も早くその数とか場所を教えていただきたいという要望もたくさん上がっておりますので、対応していただきたいと思っております。
これまでの答弁で、住民の適切な避難行動につなげるために新たな土砂災害警戒区域の指定を進めていくことは理解ができました。ただ、一たび土砂災害が起きると、昨年七月の梅雨前線豪雨により貴い人命が奪われた久留米市の千之尾川のように、その被害は甚大であり、住民の生命、身体を守るには、砂防施設の整備などハード対策を進めることにより土砂災害を未然に防ぐことが重要であると考えます。
本県においては、土砂災害の予防保全に係る事業が実施されていますが、近年の豪雨を踏まえて、土砂災害警戒区域に重点を置いた砂防事業及び急傾斜地崩壊対策事業のさらなる推進が必要と考えます。県としてのお考えをお尋ねいたします。
202 ◯野中砂防課長 砂防事業及び急傾斜地崩壊対策事業で行うハード対策につきましては、保全対象の人家戸数の状況や公共施設の有無、過去の災害履歴などを総合的に勘案し、順次砂防施設の整備を実施しております。しかしながら、ハード対策を進めるには、工事に関する理解や土地の提供などの地元の御協力が必要であり、多大な時間を要するとともに、要対策箇所が多く存在することから多額の費用を要します。このため、今後とも国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策などの予算も活用するとともに、関係自治体と連携して円滑な地元調整を図り、着実に事業を推進してまいります。
203 ◯守谷正人委員 最後に、部長に質問したいと思います。
冒頭に申し上げましたが、本県では平成二十九年の九州北部豪雨以降、令和五年の梅雨前線による大雨まで、大雨特別警報が六回も発表されるなど度重なる豪雨に見舞われ、土砂災害が頻発しています。今年もまた梅雨、台風などの災害が多い時期を迎えようとしています。土石流や崖崩れなどの土砂災害による甚大な被害を思い出す県民もたくさんおられると思います。土砂災害を予知することはとても難しいと思いますが、県民の生命や財産、生活や公共財産を守るという立場での土砂災害の対策の推進に向けた部長の決意をお尋ねいたします。
204 ◯渡辺美穂副委員長 馬渡県土整備部長。
205 ◯馬渡県土整備部長 本県は、平成二十九年の九州北部豪雨以降、令和五年の梅雨前線による大雨まで度重なる豪雨に見舞われ、県内各地で土砂災害が頻発をしております。土砂災害が一たび発生いたしますと、貴い人命が失われるなどその被害は甚大でありますことから、砂防施設の整備を着実に進めることが重要であると考えてございます。このため、先ほど砂防課長が答弁しましたとおり、引き続き国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策などの予算も活用するとともに、関係自治体と連携して円滑な地元調整を図り、着実に事業を推進してまいります。
一方、ハード対策にはどうしても時間がかかりますことから、早期に効果のあるソフト対策を実施することが必要と考えてございます。このため県としては、住民の皆様の適切な避難行動につながりますよう、土砂災害警戒区域の指定を着実に行いますとともに、市町村に対しましてハザードマップへの反映や住民の皆様への周知を働きかけるなど、ソフト対策も併せて進めてまいります。
今後とも県民の皆様の生命や財産を守るために、ハード、ソフト一体となった土砂災害対策にしっかりと取り組んでまいります。
206 ◯守谷正人委員 終わります。(拍手)
207 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。稲又進一委員。
208 ◯稲又進一委員 公明党の稲又進一でございます。今回は、県営住宅における自治会の支援について質問をさせていただきます。
県営住宅における団地自治会などのコミュニティー活動が、入居者の高齢化の進展により大変困難な状況になっているとの声が多く寄せられております。共益費の徴収も大変な苦労を強いられているとお伺いをいたしました。県営住宅における共益費は、共同で団地生活を営んでいく上で必要不可欠な費用でありますし、団地の管理に要する費用を抑え低廉な家賃で住宅を提供できるよう入居者が負担をしており、その共益費の徴収は団地自治会等が行っているのが実態であります。
しかしながら、団地入居者の高齢化などに伴いまして、一部の団地では、自治会による共益費の徴収と未払者の対応に苦慮されており、県のほうで徴収ができないかどうか、そういった相談を多くいただいております。このことについては、ちょうど一年前の昨年の予算特別委員会におきまして我が会派の高橋雅成元県議が、県営住宅の共益費の徴収事務を管理代行者や指定管理者が行っている他の自治体の例を示しながら、本県の共益費の徴収方法について改善を求めたところ、執行部の方から、共益費の滞納への対応などの課題があることから、既に先行して実施をしている自治体がどのように対処しているのかさらに踏み込んで調査をするとし、団地自治会へのヒアリングにより共益費の徴収額や徴収方法などについて実態把握を行うとの御回答をいただきました。
そこで、まずは他の自治体の取組に関する現在の調査状況について、御説明をお願いいたします。
209 ◯渡辺美穂副委員長 荒木県営住宅課長。
210 ◯荒木県営住宅課長 今年度、共益費徴収に関する都道府県アンケートを実施したところ、共益費を自治体が直接徴収する制度を導入しているのは、東京都、大阪府、愛知県、奈良県、和歌山県、高知県の六都府県でした。アンケート調査の結果を受け、本県と管理状況が類似しており、令和二年度から自治体による共益費の徴収制度を導入している愛知県に出向き、ヒアリング調査を行いました。
211 ◯稲又進一委員 愛知県に出向いていただきましてヒアリングを行ったとのことでございますが、その調査結果はいかがだったでしょうか。
212 ◯荒木県営住宅課長 愛知県では、共益費を徴収する対象団地を全団地とするのか、または希望する団地とするのか、ほかにも徴収する共益費の項目の選定や徴収額の算定、さらに徴収方法やそれに伴うシステム改修、滞納者への対応など、県で徴収することを想定して様々な角度から長年にわたり検討を行い、制度導入に至ったということでした。また、導入後においても団地自治会への周知や新たな制度の理解を深める取組を進めながら、県による共益費の徴収を実施されていました。
213 ◯稲又進一委員 調査結果については分かりました。
その上で、今回の調査に基づいた今後の本県の対応についてお尋ねをいたします。
214 ◯荒木県営住宅課長 今回の調査で、県が共益費を徴収する場合には多くの課題があることが改めて明らかとなりました。
まず、県においては、共益費の徴収事務、電気事業者などへの支払い事務、滞納者への対応が必要となることから、人員の確保やシステムの改修等の経費負担が発生することとなります。さらに、入居者においては、県の徴収に係る一定の手数料を負担すること、町内会費や自治会費は県では徴収ができないため、引き続き徴収の負担が残ることなどがあり、これらのことについては入居者の理解を得る必要があります。
以上のように、検討する課題は多岐にわたっております。このため、今後も管理代行者である福岡県住宅供給公社と協議を重ね、共益費徴収に係る課題を洗い出し、課題解決を図るための方策などを研究してまいります。
〔
正副委員長交代〕
215 ◯稲又進一委員 先ほどの課長の御説明によりますと、県の実施した今回の調査で、共益費を自治体が直接徴収する制度を導入するのは六都府県あったことが示されました。昨年に質問させていただいたときと比べますと二件増加をしております。
こうした制度を導入する自治体は今後も増加をすることが見込まれますことから、本県として引き続き他の自治体の先進事例等の情報収集に努めるべきと考えますが、御意見いかがでしょうか。
216 ◯荒木県営住宅課長 今後も、新たに自治体による共益費の徴収制度を導入している事例について、情報収集に努めてまいります。
217 ◯稲又進一委員 次に、県営住宅敷地内の除草作業に関することを質問いたします。
県営住宅における除草作業も、深刻な団地が多くあると伺っております。以前は団地住民で協力して除草作業をしておりましたが、入居者が減り、高齢化し、作業を行える人員の確保ができないとの声をよく耳にいたします。
そこで、除草作業を団地の住民だけでできないために、その代行を県営住宅の管理を委託している福岡県住宅供給公社に要望する団地はどのぐらいありますでしょうか。また、実際に外部に委託している団地はどのぐらいありますか。現状をお伺いいたします。
218 ◯荒木県営住宅課長 除草作業の代行を福岡県住宅供給公社に要望している団地は、県営住宅全団地二百六団地のうち十七団地ございます。また、除草作業を外部に委託している団地は、把握している範囲内で十二団地でございます。
219 ◯稲又進一委員 本県における除草作業に関する具体的な支援の実態及び今後の支援策の方針についてお伺いいたします。
220 ◯荒木県営住宅課長 県営住宅の除草作業や植栽の管理について、斜面地の除草作業や高木の剪定作業など危険を伴うおそれのある作業は県が対応しております。また、除草作業を外部に委託したいとの相談を受けた際には、シルバー人材センターなどに委託している自治会の事例を紹介しております。
今後も団地自治会からの相談に応じるとともに、引き続きこれまでの支援の取組を行ってまいります。
221 ◯稲又進一委員 さて、県営住宅の入居者の高齢化に対応するため、これまで本県では新婚世帯や子育て世帯の入居促進を図るなどの施策を進めてまいりました。
一方、全国的に公営住宅への若者の入居促進策として、近隣大学の学生の入居も進めております。このことは以前我が会派でも取り上げたことがございますが、学生には住居費を抑えることができ、団地コミュニティーは若者の自治会参加で活性化が見込まれるという利点が考えられるために、本県においても積極的に取り組むべきではないかと考えております。
本県の県営住宅における近隣大学生の入居促進の現在の取組状況と今後の方針について御所見を求めます。
222 ◯荒木県営住宅課長 県では、平成三十一年四月から、本来の入居者である低額所得者の入居を阻害しない範囲で空き住戸を目的外使用して、建て替え事業で入居募集停止中の福岡市西区にある壱岐団地において、九州大学と連携して留学生に対し住宅の提供を行っております。その際、入居する学生に対し、団地の自治会活動や地域住民との交流事業などに積極的に参加することを入居の条件としております。引き続き、建て替え事業中などにより空き住家が多い県営住宅を対象に、団地入居者の理解を得た上で学生の受入れに取り組んでまいります。
223 ◯稲又進一委員 最後に、部長に県営住宅における自治会の支援について御決意をお伺いいたします。
224
◯桐明和久委員長 永山建築都市部長。
225 ◯永山建築都市部長 県営住宅において、少子高齢化の進展に伴って入居者の高齢化が進み、団地の自治会活動の低下を招いていると認識をしております。このため県におきましては、世代バランスの取れた地域コミュニティーの維持再生を図りますため、若年世帯の入居の促進に取り組んできております。具体的には、新婚子育て優先枠の設定ですとか、あるいは子育て世帯向けリフォーム住宅の提供を行っておるところでございます。また、県営住宅条例の改正によりまして、今年度から六十歳未満の単身世帯での入居を可能としたところでございます。団地自治会の支援につながることにもなりますこのような取組を今後も引き続き行ってまいる所存でございます。
また、御質問いただきました県による共益費の徴収については、他の自治体への調査の結果、実施に向けては様々な課題があることも分かりましたので、引き続き課題解決を図るための方策などにつきまして研究をしてまいります。
今後も団地自治会からの御相談に対しまして、個々の自治会の実情に応じて必要な支援や助言を行ってまいります。
226 ◯稲又進一委員 ありがとうございます。共益費の徴収の件につきましては、冒頭の愛知県のヒアリングでもございましたとおり、長年にわたり検討した結果ということでございました。一番最初にこの共益費の質問をした高橋雅成元県議は、平成十九年でございましたので約十六年前になります。十六年という年月を経て、これは長年に当たるかどうか分かりませんけれども、調査と実態把握からぜひ一歩前進をしていただきたいと期待をしております。
今月七日に行われました参議院の予算委員会におきまして、公明党の秋野公造参議院議員が一般質疑で、若者にとって魅力のある公営住宅制度へ法改正するべきだと求めましたところ、斉藤鉄夫国土交通大臣から制度の在り方について幅広く検討していきたいとの答弁がありました。国においても公営住宅の高齢化に伴う諸課題の解決に向け、動き出そうとしております。こうした国の動きも注視いただきながら、本県においても団地自治会の抱える諸課題の解決に向け、引き続き積極的な支援策を講じていただくよう要望申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
227
◯桐明和久委員長 ほかに質疑はありませんか。新開嵩将委員。
228 ◯新開嵩将委員 日本維新の会、新開嵩将です。一般国道三号広川八女バイパスについてお尋ねをいたします。
初めに、福岡県内において数多くの道路整備が必要である箇所があると認識をしていますが、県の一般国道三号広川八女バイパスの必要性の認識をお示しください。
229
◯桐明和久委員長 大石道路建設課長。
230 ◯大石道路建設課長 国道三号は、北九州市と鹿児島市を結ぶ大動脈として九州の人流や物流に欠かせない非常に重要な道路でございます。広川八女バイパスは、現道の渋滞緩和や交通事故の減少、災害時に高速道路や現道が不通になった場合の代替路線の確保を目的とする重要な道路でありまして、整備が必要であると認識しております。
231 ◯新開嵩将委員 あらかじめ執行部へ広川八女バイパスの費用便益分析結果の資料請求をお願いしていますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。
232
◯桐明和久委員長 お諮りいたします。
ただいま新開委員から要求がありました資料を
委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
233
◯桐明和久委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま新開委員から要求がありました資料については提出できますか。
234 ◯大石道路建設課長 直ちに提出できます。
235
◯桐明和久委員長 資料を
正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
236
◯桐明和久委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
237
◯桐明和久委員長 資料が配付されましたので、新開委員、質疑を行ってください。
238 ◯新開嵩将委員 この資料について御説明をお願いいたします。
239 ◯大石道路建設課長 この資料は、国が一般国道三号広川八女バイパスを新規事業として採択する際に公表した資料でございます。まず、上段左側の便益とは、開通後、将来にわたってもたらされる事業の効果のことでございます。このうち貨幣換算が可能な走行時間短縮便益などの三つの便益が算出されておりまして、現在の価値に換算いたしますと約三百四十二億円となります。
次に、下段の事業費につきましては、改良費など建設に要する事業費の約三百四十億円に、将来にわたって必要となる維持管理費の約百二十九億円を合わせた約四百六十九億円となっております。これを現在の価値に換算しますと約二百七十二億円となります。
最後に、右枠のBバイCは、事業費に対してどれだけ便益が得られたかを示すものでございまして、その値は一・三となってございます。
以上が資料の説明となります。
240 ◯新開嵩将委員 この資料によりますと、事業費が約三百四十億円となっておりますが、このうち県の負担額をお示しください。また、用地補償費が約五十八億円となっておりますが、一般国道三号広川八女バイパスが通過する上広川小学校の補償費はこの中に含まれているのか、お尋ねをいたします。
241 ◯大石道路建設課長 県の負担は事業費の三分の一となっており、単純計算では約百十億円程度と想定されます。
また、小学校の補償費につきましては、この用地補償費の中に含まれていると国から聞いております。
242 ◯新開嵩将委員 県の負担は約百十億円であるということであり、用地補償費約五十八億円の中に、一般国道三号広川八女バイパスが通過する上広川小学校の補償費が含まれているということでありました。
これを踏まえて、令和三年二月十日の第二百三十七回福岡県都市計画審議会において、小学校のど真ん中を突き切っていくようなルートになっている、数年前に、小学校にこのバイパスを当てて建て替えますよということをしっかり言われている方もいらっしゃいますと審議会委員の御指摘が議事録に記されていますが、県は小学校にこのバイパスを当てて建て替えますよと言及された方について承知をしているのか、お尋ねをいたします。
243
◯桐明和久委員長 高橋都市計画課長。
244 ◯高橋都市計画課長 審議会委員の御指摘は確かにございましたが、委員お尋ねの小学校建て替えに言及された方がどなたかということについては承知してございません。
245 ◯新開嵩将委員 県は、国に対して令和四年七月に国の施策・制度・予算に対する提言・要望書を提出していますが、なぜ一般国道三号広川八女バイパスを国に提出したのか、なぜ一般国道三号広川八女バイパスについては最重点項目、重点項目に入れずに単独の要望書を国に提出していたのか、お尋ねをいたします。
246 ◯大石道路建設課長 広川八女バイパスにつきましては、地元自治体や議会、沿線の行政区長会、商工会などで構成される一般国道三号(広川~八女)バイパス整備促進協議会から県と県議会に対し、早期事業着手の要望をいただいておりました。このため県としましては、新規事業化の必要性を認識し、令和四年七月に県議会と共に国への要望を行ったところでございます。
なお、国の施策・制度・予算に対する提言・要望書の中でも、最重点項目でありますストック効果の高い社会資本整備の推進に資する事業の一つとして、令和四年七月以降、広川から八女間の国道三号の整備を記載してございます。
247 ◯新開嵩将委員 最重点項目の要望、重点項目の要望、広川八女バイパス単独の要望について、それぞれ県のホームページで掲載されているのか、お尋ねをいたします。
248 ◯大石道路建設課長 国の施策・制度・予算に対する提言・要望書の最重点項目、重点項目につきましてはホームページで掲載しておりますが、個々の事業の単独の要望書につきましては、一般的にホームページに掲載してございません。
249 ◯新開嵩将委員 小学校移転等の疑義により第二百三十七回福岡県都市計画審議会が保留となっている状況の中で、なぜ県は国に対し早期事業着手の要望書を提出されたのか、併せて、福岡県都市計画審議会の審議が終わることなく県が国に要望書を提出することは、県都市計画審議会及び審議会委員を選出している県議会軽視とも捉えられかねませんが、県の御見解をお尋ねいたします。
250 ◯大石道路建設課長 令和三年二月の第二百三十七回福岡県都市計画審議会において審議会から地元の機運醸成などについて指摘され、審議が保留となったと認識してございます。この指摘を受けまして、八女市と広川町が、先ほど申しました協議会を令和四年一月に設立し、この協議会が令和四年六月には県議会へ、七月には県に対し早期事業着手の要望を行い、地元の機運醸成が図られたところでございます。
また、県におきましても新規事業化の必要性を認識し、県議会と共に国への要望を行ったところでございます。このため、県都市計画審議会及び県議会を軽視したとは考えておりません。
251 ◯新開嵩将委員 第二百三十九回福岡県都市計画審議会の中で採決が行われ、賛成多数であったので、一般国道三号広川八女バイパスの建設に関して執行部の見解としては、上広川小学校を通るルートも含め一切の疑問が存在していないと認識をされているのか、お尋ねをいたします。
252 ◯高橋都市計画課長 第二百三十七回都市計画審議会での御指摘を踏まえ、都市計画の観点から、ルート決定の考え方について第二百三十九回都市計画審議会において説明を行い、委員の皆様の御承認をいただいております。
253 ◯新開嵩将委員 御答弁をいただき、ありがとうございます。執行部の考えを承知いたしました。
であるならば、一般国道三号広川八女バイパスの決定ルートに対して、令和四年九月に行われた第二百三十九回福岡県都市計画審議会において、委員は満場一致で賛成の審判を下しており、この審判によって今後疑義を追求することが極めて困難となり、執行部は審議会委員の御指摘については確かにあったと認めていますが、県は、小学校にこのバイパスを当てて建て替えますよということを言及された方について承知をしていない状況に陥っています。
政治家は、疑義の可能性を知った時点でその疑義が明らかになるまで追求することを継続しなければならなかったのではないかと考えています。これを踏まえ……(発言する者がある)これを踏まえ、一般国道三号広川八女バイパスの……
254
◯桐明和久委員長 理事の方、委員長席にお集まりください。委員各位はそのままお待ち願います。
〔理事集合〕
〔理事協議〕
255
◯桐明和久委員長 今、新開委員の質問途中でありますが、理事のほうより意見が出ました。
この際、しばらく休憩し、再開は放送をもってお知らせいたします。
午 後 二 時 五 十 二 分 休 憩
休憩後は委員会を開くに至らなかった。
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