↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(香原 勝司君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。吉田浩一君。(拍手)
*吉田(浩)議員質問
2 ◯四十七番(吉田 浩一君)登壇 皆様、おはようございます。
自民党県議団の吉田浩一でございます。通告に従い、
野生動物の
捕獲管理について質問いたします。
今年の暑さは異常な暑さでした。この異常な暑さによる生息地の餌不足のせいかもしれませんが、北海道や東北、さらには中国地方において野生の熊が住宅地に出没し、人を襲うなどの人的被害が多発しております。
皆様も御存じのとおり、本県においてはイノシシや鹿による
農作物被害も多く発生している状況で、イノシシ、鹿は福岡県第二種
特定鳥獣管理計画により捕獲の推進等が進められ、適正な
生息状況を目指す努力が行われています。
このような中、本県では令和三年に福岡県
ワンヘルス推進基本条例を制定しました。この条例では、人と動物及びこれを取り巻く環境は、生態系の中で相互に関連し、影響し合う一体のものであることから、何人も、これらを
ワンヘルスとして守り、次世代につなげることを基本理念としています。
ワンヘルス推進基本条例の理念を見事に体現しているものとして、人と
野生動物とのすみ分けを図り、農作物の被害を軽減するための里山における緩衝帯、いわゆる
バッファゾーン設置の取組が挙げられています。
この人と
野生動物のすみ分けについては、
鳥獣保護管理法、
外来生物法など、複数の法令が存在します。今回は、これらの法令に焦点を当てて質問していきたいと思います。
外来生物法が適用される外来生物問題については、既に我が会派において、昨年六月の定例会の代表質問において
桐明和久議員が質問したところです。県が実施する
特定外来生物の防除の具体的な取組について尋ねたところ、知事からは人の健康や生態系への影響、
農林水産業への
被害状況を勘案し、緊急度の高い種から優先的に防除する、専門家の意見を踏まえ、
防除対象種の選定を行う旨の答弁がありました。
その後、
防除対象種を
アライグマとしたこと、専門家や市町村、関係団体の意見を踏まえ、福岡県
アライグマ防除実施計画が年度内に策定することなどが
ワンヘルス・
地方分権調査特別委員会において、執行部から報告がありました。
そこで、まず、この
アライグマ防除実施計画の策定の趣旨、県や市町村の役割分担、参加する市町村の現時点での見込みについてお尋ねいたします。この
アライグマの防除については、今回の計画に参加する市町村では、
狩猟免許をお持ちでない方でも捕獲に参加できると聞いています。県内の様々な方が
生態系等に悪影響をもたらす
特定外来生物アライグマの根絶に向けて協力していくという考え方は、大いに共感できることです。
一方で、
狩猟免許をお持ちでない方が参加することについて、一抹の不安もあります。
アライグマと似た中型の哺乳動物として、タヌキやアナグマなどのほか、
ハクビシンなどが挙げられます。お互い似たような動物で、素人の方にとって判別は難しいのではないかと聞いております。
ところが、今回の
アライグマ防除実施計画によって捕獲できるのは、
アライグマだけです。タヌキ、アナグマ、
ハクビシン、どれも
鳥獣保護管理法上は許可がなければ捕獲できないことになっています。
アライグマ以外を
錯誤捕獲した場合は、違法になるわけです。
そこで、次にお尋ねします。
狩猟免許をお持ちでない方が間違って
アライグマ以外の動物を捕まえないようにする、この違法状態を回避するために、県としてどのような対策を取っていくのか。また、
錯誤捕獲を回避できず間違えて捕まえてしまった場合の対応について、お答えください。
最後に、
特定外来生物と
有害鳥獣それぞれの
被害防止対策の連携についてお尋ねします。
野生動物の被害については、
生態系等に対する
被害防止を目的とした
外来生物法以外にも、主に
農林水産業への
被害防止を目的とした
鳥獣被害特別措置法が大きな役割を果たしています。二つの法律は目的が異なるため、国レベル、県レベル、
市町村レベルでもそれぞれの所管が異なることが多いのが実情です。
本県も例外ではなく、
外来生物法は環境部、
鳥獣被害特別措置法は
農林水産部が所管しています。我が会派の渡辺勝将議員も昨日質問されましたが、
関連部局の連携が必要とされるところです。
そこで、お尋ねします。来年度から実施する
アライグマの対策について、
関連部局においてどのように連携を図るのかお伺いします。
以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
3 ◯議長(香原 勝司君)
服部知事。
*
知事答弁
4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。
アライグマ防除実施計画についてお尋ねがございました。本計画は、
アライグマに関する
生息状況、
被害状況を踏まえ、県が市町村、
防除従事者、地域住民と連携して効果的な防除を推進するために策定するものでございます。
この計画において、市町村は地域の
防除従事者と連携した捕獲、地域住民との連絡調整、
被害予防対策を担うことといたしております。県は捕獲した
アライグマの処分、防除の担い手を育成するための講習会の開催、
アライグマ完全排除に向けた
生息状況の把握分析などを担うことといたしております。
現時点では、三十八の市町村が県と連携して防除に取り組む意向を示しておられまして、これを踏まえ、県が今月中にこの計画を策定し、計画に記載の事項のうち防除の目標、期間など、
外来生物法が定める事項を公示する予定でございます。
錯誤捕獲対策についてでございます。
アライグマの防除に当たっては、
錯誤捕獲を防止する観点から、計画に参加する市町村に無償貸与いたします
アライグマ専用捕獲器を購入するための経費を今議会に提案させていただいております。この
専用捕獲器は、
アライグマや他の動物の習性、能力、体型などを勘案して設計されておりまして、既に導入しております地域においては
錯誤捕獲が発生しなかったということが確認されております。
さらに、
防除講習会において、足跡、尻尾、体毛の特徴など、
アライグマと他の動物との判別のポイントを解説し、実際の捕獲現場において
防除従事者が適切に対応できるように努めております。
錯誤捕獲がもし発生した場合には、原則として捕獲した鳥獣はその場で逃がす必要がございます。例外といたしまして、アナグマなどの
有害鳥獣につきましては、
鳥獣保護管理法に基づく
被害防止計画を定める市町村においては、農地など、自らが管理する土地で捕獲する場合にあらかじめ
当該市町村から
捕獲許可を受けることで捕獲が可能となります。このため、今後、
防除講習会などにおいて
防除従事者に対し、必要に応じ許可を取るよう促してまいります。
アライグマ対策における
関連部局の連携についてでございます。この計画の策定に当たりましては、環境部と
農林水産部が緊密に連携を行い、
生息状況を分析するための
捕獲データを収集いたしますとともに、農業団体や猟友会、市町村などからの御意見をお伺いし、
農業被害等の実態把握を行ってきたところでございます。
アライグマの
完全排除に向け、両部がそれぞれ取得した
野生動物の捕獲日、地点などの情報を登録、集積し、重点的に捕獲を行う地域を分析するシステムを導入することによりまして、
アライグマの効率的な捕獲を進めていくことを考えており、必要な予算につきまして今議会に提案させていただいておるところでございます。
今後とも環境部と
農林水産部が緊密に連携し、
アライグマの
推定生息数や
農業被害額の推移を検証しながら、
完全排除に向けたさらなる取組を進めてまいります。
5 ◯議長(香原 勝司君) 坪田晋君。(拍手)
*
坪田議員質問
6 ◯十三番(坪田 晋君)登壇 皆様、改めましておはようございます。
民主県政クラブ県議団、坪田晋です。通告に従いまして、
食品衛生法改正に当たっての
営業許可制度についてお尋ねします。我が国の食を取り巻く環境の変化や国際化、食のニーズの変化に対応し、また二〇一二年に札幌市の食品会社が製造した白菜の浅漬けによるO157の
集団食中毒によって百六十九人が発症し、八人が亡くなった事件が起こり、食の安全を確保するため二〇一八年六月に
食品衛生法が改正され、二〇二一年六月に施行されました。
食品衛生法の改正により、新たに
めんたいこやウナギの素焼き、アジの開きといった
水産製品製造業、鶏卵から卵殻を取り除いたものの製造を行う
液卵製造業、高菜漬けや山汐漬けといった
漬物製造業などが追加され、
営業許可が必要なのが三十二業種となりました。
新たに追加された業種について、営業継続を希望する事業者は
改正法施行日から三年後に当たる本年五月三十一日までに
営業許可を取得する必要があります。
営業許可には、基準を満たした施設、
食品衛生責任者の設置、HACCPに沿った
衛生管理の実施などが必要となり、事業者によっては大規模な施設の改修などが求められることとなります。
とりわけ
漬物製造業においては、高齢の方が自宅で製造しているものを販売しているケースも多く、許可を取るために設備改修にかかる多額の費用負担が困難で、
漬物づくりを断念するしかないという声を多く聞きます。
野菜の生産から漬物の
製造販売まで行う業者や、野菜を仕入れて漬物の
製造販売をする事業者とあり、私の地元博多区にある
吉塚商店街では野菜を仕入れて
漬物製造販売を行っているお店が三軒あり、うち二軒は新たな
施設基準への変更に対応できず、廃業を検討しています。
漬物はこれまで、届出をすることで
製造販売が可能でした。本年二月末時点では、福岡県域での届出は三千六百五十二件、一方で
許可取得は三百十九件。福岡市の
届出件数は令和三年六月時点のものですが百五十三件、
許可取得は五十五件。北九州市は、法令改正以前の届出は任意によるものになります。届出三十一件、
許可取得は三十二件。久留米市は届出三百十三件、
許可取得は三十六件となっております。
届出件数については二〇一三年からの延べ件数ということでしたので、中には廃業の届出をされていない方もいるかもしれませんが、それでも
届出件数と
許可件数に大きな開きがあることは明らかです。期限まで三か月を切った今、
営業許可を取った事業者は県域において一割にも達しておらず、手だてを打たなければ、この件を引き金に多くの事業者が廃業してしまうおそれがあります。
融資を受けて整備を行ったとしても、高齢を理由に返済の見通しが立たないと相談も断念されている方や、改正の内容について詳しく知らないという声すら聞こえてきます。このままだと、道の駅や商店街から多くの漬物が姿を消し、県民の皆さんがなれ親しんだ味や日本の食文化が失われ、高齢の方のなりわいや生きがいさえ奪いかねません。
そこで、知事にお尋ねします。法改正に伴い、新たに
営業許可対象となった
漬物事業者に対して、どのような周知の取組を行ってきたのか、お伺いします。
二点目に、許可申請に当たって具体的にどのように施設を整備する必要があるのか、お教えください。
福岡県では、
農林水産部の来年度予算案に漬物を製造する農家らがグループをつくって共同で使用する加工室や
給排水設備などの改修費に対して、上限を百五十万円として二分の一を補助するための関連費、約四千五百万円を盛り込んでいます。この予算案には、個人の方や農林業者以外の
製造販売者は含まれていないと聞いています。
新たな
施設基準の設定に当たり、家族経営などの
小規模零細事業者の
事業継続に支障を来すことが想定されるとして、国は都道府県に対して事業者の
事業継続への配慮を求め、地域の実態に合わせた基準の弾力的な運用を可能としています。また、
許可取得の意向があるものの期限内に施設の改善が難しい場合には、将来的な計画を含めて許可を行うことを可能としています。隣の山口県では、事業者から寄せられた声から実態調査を行った上で、
施設基準の一部緩和措置を行い、
小規模零細事業者の
事業継続へ配慮したとも聞いています。
最後に、今後、
許可取得に向けた事業者からの相談に対しどのような対応が考えられるか、お聞きします。
以上、御答弁よろしくお願いいたします。(拍手)
7 ◯議長(香原 勝司君)
服部知事。
*
知事答弁
8 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
食品衛生法改正に当たって、
営業許可制度が設けられました。これについての事業者への周知についてお尋ねがございました。平成三十年六月に
食品衛生法が改正されまして、
営業許可業種の見直しが行われました。その後、令和元年十月に同法施行令が改正をされ、これまで届出制でございました
漬物製造業が新たな
許可業種として追加されたところでございます。この許可を取得するに当たっては施設の整備が必要でございますことから、既存の事業者に対しては猶予期間が今年の六月まで設けられたところでございます。
県では、令和二年三月に条例で
施設基準を規定をいたしました。その後、
食品関係団体、あるいは直売所など約三千六百の既存の
事業者等に対し許可が必要なこと、あるいは許可を取得するに当たっては施設の整備が必要なことなどの改正内容をまとめたチラシを配付したほか、直売所等が主催します講習会での説明、あるいは
県ホームページへの掲載などにより、広く事業者の皆様に周知してまいりました。引き続き、新たな
許可制度について事業者の皆様への周知を行ってまいります。
営業許可取得に必要な施設整備についてでございますが、県では福岡県
食品衛生法施行条例において、この
施設基準を定めております。具体的には、主な
施設基準として製造室は住居や他の食品を取り扱う場所と区分けをし、四方が壁で囲われ、床と天井を備えた構造であることといたしております。
また、製造室の床は土間や畳ではなく、清掃、洗浄ができる素材とすることや、製造室には
手洗い設備としてレバー式または
センサー式などの蛇口を設置することといたしております。
許可取得に向けた御相談への対応についてでございます。今回の法改正、これは議員からも御紹介がございましたが、過去に死者を出す大規模な
食中毒事件の発生や、食中毒の
発生リスク等を踏まえまして、
漬物製造業が
食品衛生上の配慮を特に要するものとして新たに
許可業種に追加され、これを受け、県条例で
施設基準を定めたものでございます。この
施設基準は、県民の皆様の命と健康を守り、安全で衛生的な漬物をつくるための基準でございまして、事業者はこれに基づき施設を整備する必要がございます。県といたしましては、事業者からの施設の改修や必要な設備についての御相談には事業者の皆さんの意向をお聞きしながら、できる限り費用をかけずに
施設基準を満たすことができるよう、助言、指導を行っているところでございます。今後とも事業者に寄り添ったきめ細かな助言、指導を行ってまいります。
9 ◯議長(香原 勝司君) 坪田晋君。
10 ◯十三番(坪田 晋君)登壇 知事より御答弁をいただきました。県域においては、平成に入った一九八九年以降、漬物に起因した食中毒は確認されていないと聞いています。
そこで、知事に三点要望させていただきます。
一点目に、
施設基準を地域の実情に合わせ、緩和をはじめとした弾力的な運用を行うこと。
二点目に、来年度予算で
農林水産部が
漬物製造を行う
農林事業者らがつくるグループへの支援を検討されていますが、対象など、柔軟な対応で広く制度活用できるようにすること。
また、三点目に、六月一日以降も状況や事業者の声を基に本県の実情に応じた対応を柔軟に行うことで、漬物の
製造販売をなりわいにしている事業者の生活も取り残されないよう要望しまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
11 ◯議長(香原 勝司君) 永島弘通君。(拍手)
*
永島議員質問
12 ◯十番(永島 弘通君)登壇 公明党の永島弘通です。通告に従いまして、
若者支援策、
奨学金返還支援制度について質問をいたします。
本制度につきましては、我が会派の壹岐、松下両議員も質問を通じこれまで執行部に求めてきたところでございますが、時代の大きな変化に伴い、いま一度質問いたします。
日本学生支援機構が行った令和二年度
奨学金実態調査では、大学生の約半数が何らかの奨学金を受けながら学んでいる状況です。また、大学生の収入額は前回の調査に比べ減っており、全体として親の仕送りの減少が見受けられました。その背景には、
物価高騰による国民生活の圧迫の影響が容易に推察でき、不足分を穴埋めするためにアルバイトや奨学金で補填をしている現状があります。
民間企業が大学四年生及び新卒三年目までの社会人に対して行った二〇二二年度
アンケートでは、奨学金の返済を不安に思うと答えた方は五一%と半数を超え、社会人においては返済の負担感があると答えた人は七二%でした。奨学金は、通常、数百万円単位に上り、
支払い期間は最長二十年です。
日本学生支援機構によれば、平成二十七年度からの五年間の奨学金の
年間延滞発生件数の平均は七・二%で、返済できない事情を
アンケートで聞くと、「本人の低所得」が六二%に上りました。
また、仮に奨学金の返済が三か月以上滞っていわゆるブラックリストに載った場合は、クレジットカードやローンの契約が難しくなります。リストから名前が消えるのは掲載から五年から十年後ということから、毎月の返済の負担に加え、完済後の人生設計に多大な影響を及ぼします。
先日、身近な先輩から息子さんの話をお伺いしました。奨学金の返済を十年続け、三十二歳にして三百二十万円残っており、将来が描きづらいから結婚はしないと言っていた息子さんが彼女を連れてきた。先輩は結婚祝いの前払いだと息子さんに告げ、肩代わりしてあげたらしいのですが、親の支援がなければ希望ある将来を閉ざさざるを得ない若者も少なくないとの一例を実感を持って語られました。
そもそも、教育を受ける学生間の格差をなくすための
奨学金制度が、コロナや
物価高騰など、時代の大きな変化もあるとはいえ、卒業後の人生設計の足かせとなっては本末転倒です。
ここで知事にお伺いをいたします。
国では
給付型奨学金を増やしつつある中、県も歩調を合わせ、若者の
経済的負担感を減らすための
奨学金返還支援制度を行うべきと考えますが、それが先々の
少子化対策につながるとの観点も含め、知事の御所見をお伺いいたします。
国は、若者の地方定着を後押しすべく、
奨学金返還支援制度を導入した自治体へ財政支援を行っています。また、
勤務先企業が従業員に代わって奨学金を返済できる制度を
日本学生支援機構が二〇二一年四月からスタートしたこともあり、現在、多くの自治体や企業が導入を進めています。企業が従業員の代わりに
日本学生支援機構などに直接支払いが可能になったことで、企業と
従業員双方に新たなメリットが生まれました。
まず、従業員側では、返済額の全額または一部を会社が支払ってくれることで、
実質手取り額がアップします。以前は、会社の支援策として従業員の給料に上乗せするしか方法がありませんでしたが、これでは本当に返済に充てているのか担保されない上、上乗せ分には所得税がかかり、負担増となっていました。しかし、この制度で所得税が非課税となり、支払う税金がなくなります。
企業側では、支払った従業員の
奨学金分を損金算入することで法人税を減額でき、
賃上げ促進税制の対象にもなるなど、税務上のメリットが発生します。また、制度を導入した企業は
日本学生支援機構の
ホームページに名前が掲載され、大学側へも紹介がなされることで、人材への投資に手厚い企業として会社のPR効果が期待をできます。
現在この制度を導入する都道府県は三十六都府県で、人口が集中する東京都も含まれています。令和四年に策定をした県の
人口ビジョンでは、他県との転入出の動向が年齢層別に示されておりますが、入学時期の十五歳から十九歳は転入超過であるのに対し、二十歳から二十四歳の就職時期は
転出超過です。
また、最新のデータである令和五年
住民基本台帳人口移動報告でもトレンドは同じで、県全体は転入超過、二十代のみ
転出超過、地域別に見ても、二十代は東京圏に六千三百九十四人の
転出超過となっております。
つまり、現状でも就職などによる東京圏への若者流出に歯止めがかかっておりません。私は、その対策として本制度の導入が県外流出に一定の効果を上げると思いますが、知事の御見解をお伺いいたします。
一方、本県では、医師、看護師、
介護福祉士、保育士等を目指す学生を対象とした
修学資金貸付金制度を実施していると伺っております。この制度は、学校卒業後に県内の病院や施設に
一定期間勤務をすると貸付金の返済を免除するというもので、これは大変すばらしい施策と評価をいたします。しかし、本県のほかの業界には同様の制度はないと伺っております。
そこで、知事にお伺いいたします。
人材不足は現在どの業界でも同じかと理解をしておりますが、今後このすばらしい制度の対象の業種を広げるお考えがないものか、お聞かせください。
今、日本経済は空前の
物価高騰、株価も史上最高値を更新、大企業を先頭に過去最高のベア要求に、いよいよ今後は中小企業がそれに続いていけるかという大きな転換点にあります。
一方、企業が業績を上げるには人手が必要なことは言うまでもなく、中小企業はその人材獲得競争の原資確保に必死です。
奨学金返還支援制度そのものは、若者の県内定着、若者支援の立てつけではありますが、競争に何とか打ち勝とうとする中小企業対策の側面もあると考えます。知事の御見解をお聞かせください。
また、仮に制度を導入した場合、例えば県内の人口流出が大きな課題となっている地域の企業には、都市部に比べ支援額を手厚くするなど工夫をすることで県境の問題や過疎地域の人口流出を止める一手にもなり得ます。その意味では、地域対策としての一定の効果もあるのではないかと考えます。
最後に知事にお伺いをいたします。
奨学金返還支援制度は、若者の県内定着、中小企業の人材確保支援、地域支援と一石三鳥のすばらしい制度と思います。特に、若年層におきましては即、手取りアップの即効薬となります。
あわせて、行政がこのような支援に取り組むこと自体が、民間もそれに続こうという機運の醸成につながると思います。
奨学金返還支援制度の創設をいま一度検討すべきであると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。(拍手)
13 ◯議長(香原 勝司君)
服部知事。
*
知事答弁
14 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
若者の経済的負担を軽減するということを目的とした奨学金の返還支援についてでございます。我が国では、主として独立行政法人
日本学生支援機構が奨学金の貸与や給付を実施しているところでございまして、現在多くの学生の皆さんが奨学金を利用して大学や専門学校などに進学をされております。
一方、これらの学校への進学には決して少なくない学費が必要となります。このため、各御家庭ではその費用を奨学金を利用すること以外にも学資保険や預貯金で準備をされたり、あるいは教育ローンをお借入れになったり、あるいは学生本人がアルバイトで捻出をされたりと、様々に対応されておると承知をいたしております。
また、奨学金の利用を見てみますと、御家庭の収入の多いか少ないかということにかかわらず、幅広く普及をしているところでございます。経済的な理由から結婚や出産をちゅうちょする若者に対する支援、これは
少子化対策の観点からも必要でございます。このため、県では若者就職支援センターにおける就職の支援や病児保育の無償化など、子育ての支援を実施しているところでございます。
しかしながら、議員御質問の若者の経済的負担の軽減を目的とした
奨学金返還支援制度を導入することにつきましては、大学に進学した方の中でも奨学金以外の方法で学費を捻出された御家庭やあるいはアルバイトで学費を工面された方などとの公平性というものを十分に考慮する必要がありまして、その導入には課題があると考えております。
若者の県外流出対策としての
奨学金返還支援制度についてお尋ねがございました。昨年、国が実施をいたしました意識調査によりますと、地方圏から東京圏へ移動した理由といたしまして、二十代前半では就職や進学等の回答が多く、二十代の後半では転勤や転職などが多くなっております。
また、大学卒業者等が就職する割合の高い専門的、技術的な職業が東京圏に多いということが東京圏への移動の要因の一つと考えられるとの分析がなされているところでございます。
加えまして、大学生の地元就職に関する民間の意識調査によりますと、大学生は就職先を考えるに当たって奨学金返還支援の有無よりも仕事の内容、あるいは労働条件といった企業の魅力というものを重要視する傾向がございます。
このため、県といたしましては地域の経済と雇用を支えていただいております中小企業への支援や国内外からの企業誘致などによりまして、県内各地に魅力ある雇用の場、就業の場を創出していくことが重要であると考えております。
修学資金
貸付制度の対象拡大についてでございます。県では、大学や専門学校で専門分野について詳しく学び、国家資格の取得が必要な職種のうち、県民の皆様の生命、健康、子育てに必要不可欠な医療や福祉サービスを担う看護師あるいは保育士等の確保が喫緊の課題であると認識をいたしております。
このため、こうした職種を目指す方を対象に修学資金の貸付けを行っておりまして、卒業後一定期間、福岡県内でこの業務に従事する等の条件を満たすと返還を免除するという制度を設けております。
本県では、こうした職種のほかにも人手不足が深刻な業界を支援する取組を進めておりまして、年代別、対象別就職支援センターでは、人手不足分野の企業の魅力の発信や仕事への理解を深めるためのセミナーを実施いたしております。
また、紹介予定派遣の仕組みを活用いたしましたマッチングの支援や合同就職面談会を実施をいたしまして、人手不足分野への就職支援を強化をいたしております。こういった支援によりまして、一月末現在で約千二百人の方が人手不足分野に就職したところでございます。
さらに、高等技術専門校では建築士や
介護福祉士等の資格取得に向けた職業訓練を行いまして、今年度は約五百十人の人材を育成しているところでございます。
次に、中小企業対策としての
奨学金返還支援制度の効果と制度の創設についてお尋ねがございました。民間企業が実施をいたしました大学生の就職活動に関する調査によりますと、学生の最終的な企業選択の理由の上位三つは、仕事内容、職場の雰囲気、勤務地となっておりまして、その後に給与や福利厚生などの待遇面が続いております。
一方で、昨年度県が行いました技術系人材の不足が喫緊の課題となっております半導体、電子機器、自動車といった製造業の県内企業百十八社へのヒアリング調査において行政に期待する役割として上位三つを占めましたのは、合同会社説明会の開催、UIJターン人材の確保、企業情報の発信となっておりまして、奨学金の返還支援とお答えになった企業は二社にとどまっております。
また、中小企業の支援機関でございます商工会議所連合会や中小企業団体中央会等の商工団体からも、奨学金返還支援を補助する制度の創設を求める具体的な御要望はいただいていないところでございます。
奨学金返還支援を実施する中小企業への補助は、厳しい経営状況の中、人材確保、定着に苦悩する事業者にとって一助となり得ると考えます。しかしながら、中小企業は収益を上げ、事業を継続し、雇用を確保するためには持続的な賃上げを実現することが重要でございまして、県としては価格転嫁の円滑化や生産性向上に向けた取組を進めているところでございます。
また、中小企業にとって売手市場でございます労働市場で人材獲得競争に勝ち抜くためには、人材の採用、育成、評価といった人事制度の確立、休暇制度の充実といった取組が必要でございます。このため、県では中小企業における人材確保を支援するということを目的といたしまして、正規雇用促進企業支援センターにおいて、中小企業の採用力の向上支援と正社員への転換を通じた定着支援を実施をいたしております。
来年度の当初予算案におきましては、このセンターを改組いたしまして、中小企業における人材の確保から定着、育成までを支援するためのセミナーでありますとか相談対応等に要する経費をお願いしているところでございます。
15 ◯議長(香原 勝司君) 永島弘通君。
16 ◯十番(永島 弘通君)登壇 知事に再質問いたします。
先ほど知事からいただいた四番目の御答弁で、昨年度、県が行った企業ヒアリング調査では、行政に期待する役割として奨学金の返還支援と答えた企業は少数にとどまっているとございました。
私は、制度自体が二〇二一年度に始まり、県のヒアリングが二〇二二年でしょうから、制度自体やそのメリットがまだ世間的に広く周知をされていないのではないかと考えます。
そこで、知事に二点お伺いいたします。
まず、本県がどのような状況かお示しをください。
二点目に、既に導入をした企業や他県に導入の効果をヒアリングをされ、今後よく研究をされてはどうでしょうか。
知事の前向きな御答弁に期待をし、私の質問を終わります。本日はありがとうございました。(拍手)
17 ◯議長(香原 勝司君)
服部知事。
18 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 企業が行います奨学金代理返還制度の普及状況についてお尋ねということでございます。この制度は、企業、
従業員双方に税制上の優遇措置などがございますほか、企業のイメージ向上、あるいは採用市場における他社との差別化、社員の離職防止といった効果が期待できるものであると認識をいたしております。一月末現在で、県内における代理返還制度の導入企業数は七十社と、徐々に増加しているところでございまして、県では制度を利用する企業が増えますよう、商工団体を通じて制度の周知を行っておりますほか、県の
ホームページや合同会社説明会の場で制度を利用している企業のPRを行っております。
議員から御提案ございました企業、あるいは導入しております他県の導入状況、あるいはその効果の調査分析、こういったことでございますが、日頃から商工団体と意見交換を行う場も数々ございます。また、他県との会議で意見交換を行うこともやっておりますので、このような場も活用しながら、引き続き情報収集に努めてまいります。
19 ◯議長(香原 勝司君) 新開嵩将君。(拍手)
*新開(嵩)議員質問
20 ◯三番(新開 嵩将君)登壇 日本維新の会、新開嵩将です。通告に従いまして、高校授業料の支援についてお尋ねをいたします。
近年、日本では少子化が格段に進み、令和六年二月二十七日に厚生労働省が公表した人口動態統計速報値では、二〇二三年の合計特殊出生率は過去最低となった前年の一・二六を下回る可能性があり、出生数は前年比四万一千九十七人減り、七十五万八千六百三十一人となりました。また、福岡県の出生数は速報値で前年より千七百八十八人減少し、三万五千二百十一人となりました。
私は、このように歯止めが利かない少子化を深刻に受け止めており、福岡県の未来を担う子供たちと、これから子供を育てていく保護者の方々のために、大きな影響を与える施策を進めていかなければならないと考えております。
第二期ふくおか子ども・子育て応援総合プランにおける子育て等に関する県民意識調査の中で
少子化対策に必要な施策について尋ねたところ、子育てをしている家庭への経済的な支援を充実したほうがよいが、三二・七%で最も多くなっております。この
アンケートを踏まえると、子供の教育費、特に高校の授業料に対する支援の拡充が必要であると考えています。
高校授業料の支援について、国は令和二年四月より年収五百九十万円未満世帯に対する支援を上限額三十九万六千円まで引き上げましたが、年収五百九十万円以上九百十万円未満世帯に対しては、上限額十一万八千八百円です。また、二〇二二年の実質賃金は前年比二・五%減少し、九年ぶりの大幅な減少となりました。このように、円安や
物価高騰に賃金が追いつかない環境にあっては、高校の授業料、施設整備費等の子育て世帯の家計負担は重たくなっています。
高等学校等就学支援について、年収五百九十万円以上九百十万円未満世帯に対して国の就学支援金に県単独で補助金を上乗せしている都道府県は、全国で二十八都府県あります。九州では、大分県と長崎県が国の就学支援金に県単独で補助金を上乗せする支援を行っています。
大分県では、年収五百九十万円以上九百十万円未満世帯に対して、国の就学支援金に県単独で十二万円の補助金を上乗せする支援を行っています。
長崎県では、年収五百九十万円以上七百二十万円未満世帯に対して、国の就学支援金に県単独で七万九千二百円の補助金を上乗せする支援を行っています。
このように、国の就学支援金が大きく減少する年収五百九十万円以上世帯の高等学校の教育に係る経済的負担の軽減策は全国でも広がっており、その支援は子供たちにとって家庭の所得が影響することなく、できるだけ自分の進みたい道に進めるよう、また、学びたいところで学べるようになるための大きな一歩になると捉えています。
令和五年九月定例会で、知事は、「教育の機会均等は国が責任を持って行うべきものと考えており、毎年、県議会と共に国に対して、保護者の負担軽減を要望してまいった」と御答弁をいただきました。
ここでお尋ねをいたします。県は、国に対して私立高校の授業料について過去にどのような保護者の負担軽減を要望したのか、あわせて、今後はどのような保護者の負担軽減を要望していくのか、知事のお考えをお示しください。
令和二年度から令和六年度までの五か年計画、第二期ふくおか子ども・子育て応援総合プランでは、高校授業料の県独自の支援について言及されていません。しかしながら、私はこのように考えています。保守と革新の融合が新しい政治、新しい政策のエネルギーになると考えており、例えば保守の考えに徹し続けるがゆえに、新しい政策の門戸を閉ざすこともあります。
私は、新しい政策の扉を開けるためにこの場に存在し、教育に係る家計負担をさらに軽減していくために、令和七年度以降の計画におきまして子供の健やかな成長のための教育環境の整備の施策の中の一つに、私立高校の授業料に係る支援拡充を盛り込むことを検討していただきたく、私からの要望としまして一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
21 ◯議長(香原 勝司君)
服部知事。
*
知事答弁
22 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
私立高校授業料の支援制度に関する国への要望についてお尋ねがございました。福岡県といたしましては、教育の機会均等は国が責任を持って行うべきであるとの考えの下、毎年、県議会と共に就学支援金制度の拡充を国に対し要望を行ってまいりました。
具体的な要望内容といたしまして、経済的理由から教育の機会が失われるようなことがないよう、また保護者の負担が公平なものとなるよう、当該年度に家計が急変して年収五百九十万円未満になった世帯も支給の対象とすること、年収五百九十万円を境に支給額に約三十万円の差があることにより生じます逆転現象を是正することを求めてまいりました。
国は、この要望を受けまして今年度から家計急変世帯を支給の対象としたところでございますが、逆転現象に関しましては是正されておりません。このため、全国知事会、九州地方知事会と共に今後とも要望を続けてまいる考えでございます。
23 ◯議長(香原 勝司君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時十分といたします。
午 前 十一時 五十四分 休 憩
午 後 一 時 十一分 再 開
24 ◯副議長(佐々木 允君) 再開いたします。
*諸般の報告
諸般の報告を行います。
提出議案中、第二二号議案「地方自治法の一部を改正する法律の制定に伴う関係条例の整理に関する条例の制定について」外二件について人事委員会及び監査委員の意見を求めましたところ、それぞれお手元配付のとおり意見の提出がありました。
──────────────────────────────────────────
25 ◯副議長(佐々木 允君) 以上、報告をいたします。
休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。栗原悠次君。(拍手)
*栗原議員質問
26 ◯三十四番(栗原 悠次君)登壇 「復興の槌音能登の風光る」
「復興の槌音能登の風光る」
皆様、こんにちは。緑友会の栗原悠次でございます。通告に従いまして、一般質問を行います。
昨今、人里への熊の出没報道を耳にすることが大変多く感じます。内容も、人里に出没したというだけでなく、死傷者等、人への被害が多いことから関心も高く、大きな社会問題となっております。
環境省によると、二〇二三年の熊による死亡やけが等の人的被害は東北地方で多く確認され、秋田県の七十人、岩手県の四十七人、福島県の十四人など、四月から十一月までの半年間で二百十二人と、統計を開始した二〇〇六年以降最大となっているということであります。
本来、熊は山間部を中心に生活する動物で、通常人と接することはほとんどありません。冬場の十一月下旬頃から三月頃までの冬眠に備え脂肪を蓄えるため、秋に木の実などを大量に食べますが、近年の環境の変化などにより山の木の実が不作になっていることから、餌を求める熊が中山間地域の過疎化により荒廃した果樹園等に誘われ、人里まで行動範囲を広げていることが出没頻度が増加している一因であると考えられております。
さて、九州においては、一九八七年に大分県豊後大野市の山中で捕獲された雄のツキノワグマを最後に野生の熊は確認されておらず、絶滅したと考えられております。
しかし、お隣の山口県では昨年だけで目撃情報が三百件以上報告されており、このうち八件が下関市によるものであります。下関の目撃情報は山間部ですが、下関市から関門海峡を隔てて隣り合う北九州市へ海を渡って上陸する可能性もあるのではないかと心配する声も聞かれております。
現時点では、本県においては熊による被害は確認されておりません。一方、イノシシや鹿などの野生鳥獣が中山間地域のみならず、市街地で目撃される事例が増えております。野生鳥獣による農林水産物被害や生活被害は農林漁業者にとって非常に深刻な問題となっており、私の地元八女市においても毎年のようにイノシシに田畑を荒らされたり、ミカン畑では、果実だけでなくミカンを枝ごと折られるといった被害が発生し、農業者は非常につらい思いをされております。
このままでは、頑張っておられる農業者の営農意欲がそがれるのではないか、農業を諦める人が増え、被害がさらに拡大するのではないかと心配は尽きません。
このような
被害状況に対し、県ではこれまで様々な対策を取られてきたと思いますが、さきに述べたような里山の荒廃といった環境の変化に伴いイノシシや鹿などの出没や目撃頻度が増している現状を踏まえると、対策の充実を図っていく必要があるのではないかと感じております。
そこで、知事にお尋ねいたします。農林水産物の被害軽減のためには、様々な対策を総合的に講じていくことが重要と考えますが、県においてはどのような対策が行われているのか、現在の
被害状況と併せてお答えください。
また、イノシシや鹿などの野生鳥獣への対策の一層の強化が必要であると考えますが、県では今後どのようなことに取り組まれるのか、お答えをいただきたいと思います。
以上、よろしくお願いいたします。(拍手)
27 ◯副議長(佐々木 允君)
服部知事。
*
知事答弁
28 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
これまでの鳥獣被害対策についてお尋ねがございました。県では鳥獣による農林水産物被害を軽減いたしますため、柵の整備などによります侵入防止対策、また、わなの設置といった捕獲活動に対する支援、それから獣肉を有効活用するためのジビエの消費拡大、この三つの対策を一体的に取り組んでおります。
また、イノシシや鹿などの野生鳥獣は行動範囲が広いことから、効果的に捕獲を進めますため、昨年度からは県が主体となりまして市町村をまたいだ広域捕獲に取り組んでいるところでございます。
加えまして、狩猟経験のない免許取得者に経験を積んでいただきますため、わなの設置や猟銃の取扱い、捕獲した鳥獣の処理方法などの現地における研修会やベテラン狩猟者による捕獲技術のマンツーマン指導を実施いたしております。
こうした取組を行いました結果、昨年度の農林水産物被害額は七億一千七百万円と、ピークでございました平成二十二年度の十五億七千五百万円と比べますとおよそ半減している状況でございます。
今後の鳥獣被害対策についてでございます。県では、昨年度、岡垣町で実施をいたしましたイノシシの出没の抑制に高い効果が確認できました雑草木の伐採による緩衝地帯の整備に、わなや侵入防止柵の設置を組み合わせました
被害防止対策に取り組んでいるところでございます。
また、来年度、野生鳥獣による農林水産物等への被害を軽減いたしますため、捕獲や目撃等に関する情報を集積し、デジタルマップ上に表示することでその行動域や出没頻度などを見える化するシステムを開発いたしまして、効率的な捕獲を目指しているところでございます。
加えまして、センサーにより成獣のみを捕獲する機能や、捕獲した際に狩猟者に通知が届くといった機能を持ちますICT機能つきのわなの導入を支援し、さらなる捕獲の効率化と狩猟者の負担軽減を図ってまいります。
県といたしましては、今後も捕獲や侵入防止といった取組を総合的に進め、鳥獣による農林水産物被害のさらなる軽減に努めてまいります。
29 ◯副議長(佐々木 允君) 栗原悠次君。
30 ◯三十四番(栗原 悠次君)登壇 御答弁ありがとうございました。要望を申し上げます。イノシシや鹿などの野生鳥獣への被害対策については、今後もしっかりと取り組んでいかれると御答弁をいただきました。一方で、熊につきましては現在のところ県内での生息は確認されておらず、被害こそ出ておりませんが、実際に生息が確認されたときには現在の対応で十分なのかという不安が残ります。
山口県下関市と北九州市を隔てる関門海峡は、最短で六百五十メートルの距離にあります。船が行き交い、潮の流れも速いとはいえ、九州へ上陸する可能性はゼロではありません。農家からは大変不安に思う声も聞こえてまいります。
熊はイノシシや鹿とは異なり、人命に直結いたします。人身被害を未然に防止することは県の役割であり、危機管理の観点からも、今後、熊が市街地に現れた場合の対応策を検討いただきますよう要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
31 ◯副議長(佐々木 允君) 福地幸子君。(拍手)
*福地議員質問
32 ◯二番(福地 幸子君)登壇 皆さん、こんにちは。桜和会の福地幸子です。通告に従いまして、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、いわゆるSNS関連詐欺被害の未然防止について質問をさせていただきます。
近年のデジタル化の進展に伴い、多様な機能と使いやすさからSNSの利用率が増加し、コミュニケーションのツールとして一般化しています。そして、その利用者層も若年層からシニア層まで幅広い年代層に広がっています。
まず、日本での五大SNSは、フェイスブック、インスタグラム、ティックトック、エックス、LINEなどです。中でも、二〇一一年より開始し急速に普及したLINEは、電話番号登録だけで利用開始できる単純さと、トークという一対一のクローズドな空間でのコミュニケーションなどが、ほかのオープンなSNSになじめないユーザーを捉えたと分析されています。
また、この一対一でのやり取りが可能な点から事業者による販売促進ツールとしても多用され、その結果、トラブルも増え、SNS関連の相談件数も年々増加しています。
消費者白書によると、二〇二二年には合計で約六万件を超える相談が寄せられていました。また、年齢層では以前は二十歳代が多かったものの、昨今は五十歳代の相談が増えているとのことです。
ただし、若年層に関しては成年年齢の引下げに伴い、詐欺のターゲットとされる可能性が強まり、その未然防止に取り組む必要性が高まっています。
消費生活センターにおいては、消費者から寄せられた相談情報はデータ化され、統計処理を行った上で消費者への注意喚起や法改正の基礎資料に使われるなど、消費者被害の未然防止に役立てているとのことですが、同様に警察署にも多くの相談が持ち込まれていると思います。
そこで、まず近年増加しているSNS詐欺を含む特殊詐欺全般の現状と最近の傾向について、どのような特徴があるか、お示しください。
さて、二〇二四年のeコマースは二十七兆円が予測される時代、サイバー空間自体が公共の場のようなものになり、直接の対面なしで行われる社会活動が定着しつつあります。さらに、消費者を取り巻く変化に伴い、事業者との間には情報量や対応力の格差が広がり、トラブルの内容も複雑化しています。
特定商取引法では、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売などを含む七つの取引類型があります。このうち、インターネット販売に関わる通信販売規制は昭和五十一年制定当時の紙媒体のカタログ通信販売を前提としているため、民事上の規定の中ではほかの特定商取引法の類型とは異なり、通信販売のみ、クーリングオフや不実の告知による取消権が設けられていません。
法整備においては、平成二十八年改正における五年後見直し規定がありますが、まだ見直しはされておらず、問題の多様化、複雑化に法律が後追い状態だと言えます。
最近の通信販売の実態は、消費者自らが積極的にウェブサイトを閲覧して申込みをするのではなく、消費者が利用しているSNSを通じてメッセージが頻繁に送られてきたり、SNS上に勝手に広告が現れます。こうしたインターネットを通じた勧誘は消費者のスマートフォンやパソコン等を使用して行われ、一対一でのクローズド領域でのやり取りが中心となるため、自分がターゲットになっていることに気づかず、情報量の多いターゲティング広告によって通信販売に誘導されてしまいます。
ターゲティング広告は、従来のチラシやダイレクトメール広告とは異なり、検索履歴、閲覧履歴、GPS情報等を用いて、その人の趣味、嗜好や生活圏等からターゲットを絞り込んだ上で、繰り返し広告を見せます。そして、消費者が別の目的でスマートフォン等の画面を見ている際にも突然割り込んで表示されるため、消費者は購買意欲をそそる表現を繰り返し閲覧することになります。
さらに、今だけのチャンスやお試し無料等の言葉により、消費者にとって正しい判断に必要な情報を取り間違えるという問題があります。
企業においてのSNSは、社内でのコミュニケーションの活性化、情報の地域間格差などの解消に役立たせるというプラス面がありますが、マイナス面として、他人がどんなことをしているかを事細かにチェックし、自分と比較してしまうことで憂鬱な気分を引き起こすことがあると指摘する研究者もいます。
例えば、SNSでは知人の楽しそうな写真が次々と上がってきます。自分にももう少し経済的な余裕があったらという気持ちになるでしょう。そこに、誰でも簡単にできそうな投資情報が目についたらどうでしょうか。まさに、インスタグラムなどを入り口としてLINEでの直接やり取りに持ち込み、心の隙にうまく入り込む手口により、誰でもだまされる可能性があります。
皆さんも新聞やニュースで頻繁に目にされていると思いますが、私の身近で起きたものも含めて幾つか事例を挙げますと、フォロワー二万人の人気インスタグラマーを信じ、消費者金融に登録、勝手に二百万円借り入れられたケース、統合失調症の成人男性、安易な契約で六百万円投資詐欺の被害、インスタグラムを入り口に投資詐欺に遭い、多額の借金の上、自殺した二十二歳女性もおられます。
さらに、マッチングアプリの信頼度が高まり、活用が増えている中、心の隙をついてくるロマンス詐欺など、実例は切りがありません。
これらのSNSを活用した詐欺、中でも特殊詐欺の被害者の中には、自分はだまされないと信じて詐欺に遭った人もいれば、不安を感じながらもはっきり断れずに契約させられた人もいます。また、詐欺の性質上、一旦巻き込まれてしまうと、被害者の救済が非常に困難です。
そこで、次の質問です。あらゆる層が詐欺のターゲットになり得る現状において、未然防止の取組が何より必要かと思いますが、県警としては特殊詐欺に関してどのような取組を行っていかれるかをお聞かせください。
以上、御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)
33 ◯副議長(佐々木 允君) 岩下警察本部長。
*警察本部長答弁
34 ◯警察本部長(岩下 剛君)登壇 初めに、特殊詐欺の現状と最近の傾向についてお答えをいたします。昨年の偽電話詐欺の被害につきましては、認知件数が五百七十六件、被害額が約十三億三千万円を超えるなど、極めて深刻な状況にあります。被害の傾向につきましては、被害者に占める高齢者の割合が依然として全体の六割を超えておりますところ、最近増加しておりますSNSやインターネットを利用した架空料金請求詐欺や金融商品詐欺では、幅広い年齢層に被害が及んでおります。
次に、特殊詐欺の
被害防止に関する取組についてお答えをいたします。県警察におきましては、従前から取り組んでおります通信事業者と連携した電話機対策や金融機関等と連携した被害を阻止する対策などに加え、大学における防犯講話や街頭キャンペーンを通じた被害に遭わないための注意喚起、県警公式ユーチューブチャンネルなどを活用した広報啓発動画の配信を行っているところであります。引き続き、幅広い年齢層に対する被害の防止に向けた各種取組を推進してまいります。
35 ◯副議長(佐々木 允君) 福地幸子君。
36 ◯二番(福地 幸子君)登壇 御答弁ありがとうございます。一点、要望申し上げます。SNS詐欺被害は常にクローズドな状況で、だまされたと気づかず犯罪に巻き込まれています。これは詐欺だろうかと不審に思ったときに、消費者がまず頼りにするのが最寄りの警察署、そして消費生活センターだと思います。高齢化社会の進展と手口の巧妙化から消費者を守るためにも、関係機関、団体等と十分に連携した取組を要望し、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
37 ◯副議長(佐々木 允君) 冨安正直君。(拍手)
*冨安議員質問
38 ◯一番(冨安 正直君)登壇 至誠会、京都郡選出の冨安正直です。通告に従い、半導体デジタル産業の急速な発展に対応する県の取組について、知事に質問いたします。
世界経済は、生成AIなどの情報技術の急速な発達による半導体需要急増の影響によって、活況を呈しております。先月二月二十二日のNHKなどの報道によりますと、アメリカ・カリフォルニア州に拠点を置く大手半導体メーカー、エヌビディアは、去年十一月から先月までの三か月間の決算を発表し、売上げは前の年の同じ時期の三・七倍に増えて二百二十一億三百万ドル、日本円でおよそ三兆三千百億円、最終的な利益は前の年の同じ時期の八・七倍に増えて百二十二億八千五百万ドル、日本円でおよそ一兆八千四百億円と大幅な増収増益になり、いずれも市場の予想を上回った。
生成AIの利用が世界で急速に拡大し、この会社が生産する画像を処理する半導体で大量の計算を同時に実行できるGPUの需要がデータセンター向けなどで急増したことが主な要因だとしております。日本株も、半導体関連を中心に日経平均は連日、史上最高値を更新、まさに空前の状況となっております。
そのような状況の下、半導体関連の世界的な需給の逼迫、台湾有事などのリスクに備えた経済安全保障体制の構築に向け、日本政府においては昨年六月に経済産業省が半導体・デジタル産業戦略を改定し、特に半導体などの先端分野において巨額の投資を行っており、世界情勢を踏まえた国家戦略の中でその流れがますます加速していることは、皆様も御承知のとおりです。
経済産業省の半導体・デジタル産業戦略の中で特に注目したい点は、九州に対する期待であります。そこには、新生シリコンアイランド九州が世界の産業サプライチェーンの中核を担うことを目指すと明記されており、日本における九州のあふれる可能性を感じさせるものとなっております。
最近の経済アナリストの予測でも、九州域内総生産は今後の十年間で約五〇%の伸びを見せる可能性があるとされております。特に、台湾のTSMCの熊本進出は、九州経済のみならず日本経済にとっても大きなインパクトとなっており、先日発表された第二工場の建設が決定したことにより、第一工場を合わせ、政府補助を含め三兆円以上の投資がなされることとなりました。
そして、第三、第四の追加投資が熊本に限らず、他地域へ波及する可能性が見込まれるとの報道もなされております。まさに知事も、今議会の議案説明において、TSMCの熊本進出は四百社を超える半導体関連企業が集積する本県にとっても大きなチャンスであると述べられました。
前回の私の一般質問でも御答弁いただいたとおり、北九州空港の滑走路が二千五百メートルから三千メートルへ延長されることにより、九州全域及び西中国地方の貨物拠点空港として整備が進むほか、重要港湾苅田港の長期的な構想の策定、東九州自動車道の四車線化など、物流インフラは着々と準備が進んでおり、九州が世界の産業サプライチェーンの中心地として羽ばたく基礎が築かれつつあると考えます。
また、代表質問でも提起されたとおり、県境地域をはじめとする少子高齢化や雇用問題などを抱える福岡県内の各地域でもこの半導体関連を中心とする急速な経済発展の流れをしっかりとつかみ、地域浮揚への足がかりとすることを私も強く期待するところであります。
そこで、知事に質問いたします。まず最初に、昨年六月に改定された経済産業省、半導体・デジタル産業戦略の想定をも超えるこれらの状況の中、知事も今議会の議案説明で述べられたとおり、本県が新生シリコンアイランド九州を牽引していく存在となることが期待されます。
その中では、本県の四百社を超える県内企業にも多くのメリットが及ぶ取組が重要と考えますが、県内企業の取引拡大に向け、どのような取組を行っているのか、伺います。
二点目として、半導体産業を地域に根づかせるためには、それを支える人材の育成が重要です。そこで、将来を見据え、次の世代を担う若者にも半導体分野に目を向けてもらうための取組が必要だと考えますが、どのような取組を行っているのか、伺います。
以上です。よろしくお願いいたします。(拍手)
39 ◯副議長(佐々木 允君)
服部知事。
*
知事答弁
40 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
県内の半導体関連企業の取引拡大についてでございます。県には、IoT社会を支える先端半導体の設計をはじめ、電動自動車には不可欠でございますパワー半導体の製造、さらには半導体の製造装置や検査装置、材料など、幅広い分野にわたる半導体関連企業が数多く集積をいたしております。
県では、これらの企業の取引の拡大と競争力の向上を図りますため、今年度から大手半導体メーカーのOBなど、半導体業界に精通した専門家によります半導体取引拡大アドバイザーを設置いたしております。この半導体取引拡大アドバイザーが県内企業を訪問をいたしまして、取引拡大のための助言はもとより、技術指導、県外企業等とのマッチングを行っておりまして、二月末現在で延べ八十社を超える支援を行っております。
具体的には、半導体検査装置のメーカーに対し高精度な検査装置開発のための技術指導、独自のメッキ技術を有する企業と県外の半導体製造の大手企業との最先端実装の共同研究に向けたマッチング、特殊フィルムを開発する企業に対しまして、県外の半導体材料メーカーとの具体的な商談機会の設定などの伴走支援を行っているところでございます。
また、今年度からは世界的な半導体関連企業が集積をいたしております台湾で開催をされます世界最大級の展示会、セミコン台湾への県内企業の出展を支援をいたしまして、製品や技術力のPRを行いますことで、現地企業等との新たな取引の獲得につなげております。今後もこうした取組を通じ、県内半導体関連企業のさらなる取引拡大に向け、しっかりと支援を行ってまいります。
次代を担う若者に半導体分野へ関心を持ってもらうための取組についてでございます。このためには、進路を選択する時期にございます中学、高校生に半導体分野の魅力や将来性というものを知ってもらうことが重要でございます。
このことから、ユーチューブやティックトックなど、SNSを用いて半導体関連産業の魅力を伝える動画を配信をいたしますとともに、半導体をテーマとしたテクノロジー人材創生塾を開催いたしております。
まず、半導体関連産業の魅力を伝える動画の配信でございますが、これはナビゲーターといたしまして福岡県出身の人気タレント小峠英二さんを起用し、あまり知られていない半導体の生産工程や若手技術者が仕事のやりがいや魅力などを語る様子を紹介し、二月末現在、再生回数は二十五万回を超えております。
また、テクノロジー人材創生塾では、キッザニア福岡や九州大学、大手半導体企業と連携をし、最先端の研究を行う大学教授から、身の回りで使われている半導体について学ぶ講座、あるいは世界トップレベルの技術を持つパワー半導体工場の職場体験などのプログラムを提供いたしました。
受講者からは、今まで知らなかった半導体について興味が湧いてきた、あるいは将来は半導体分野に関わって活躍をしたいなど、前向きなコメントを多くいただいているところでございます。今後も次代を担う若者に半導体分野への関心を促し、進路の選択肢の一つに加えてもらえますよう、取組を進めてまいります。
41 ◯副議長(佐々木 允君) 林泰輔君。(拍手)
*林議員質問
42 ◯二十番(林 泰輔君)登壇 皆さん、こんにちは。
自民党県議団の林泰輔でございます。通告に従い、建設廃棄物の再資源化の取組について質問いたします。
戦後の高度経済成長から半世紀以上がたち、当時建設されたビルや橋梁をはじめ多くの建築物が耐用年数を迎えようとする中、その建て替えや取壊しの必要に迫られています。
今現在、福岡市では天神ビッグバンの名の下での大規模な再開発が進んでおり、県の事業においても武道館や県立美術館の移転、建て替えなど大型事業が進み、それに伴って極めて大量の建設廃棄物の処理が求められます。県ではこれまでも様々な廃棄物の資源化の取組がなされてきたかと思いますが、建設廃棄物をごみに終わらせずに、究極には一〇〇%の再資源化に挑んでいただきたいとの思いで質問に入らせていただきます。
まずは、サステーナブル社会の観点から質問してまいります。
先ほど来、私が使う再資源化という言葉ですが、国交省の建設リサイクル法上の解釈においてはコンクリートやアスファルト、木材など主要な品目において、ほぼ一〇〇%に近い再資源化が達成されているとの調査結果が発表されています。
しかしながら、コンクリートを元の姿に再生するような、いわゆる水平リサイクルがなされているかというと、そういうわけではないようです。例えば、ビルを解体して出たコンクリートの廃材はガラと呼びますが、このガラの主な処分方法は粉砕してクラッシャーランとなり、路盤材として道路工事に使われたり、砂利としてコンクリートなどの骨材として使用されます。
資源として活用する観点から意義のある取組であることは間違いないのですが、製品原料としては上位から下位に向け形を変えた再利用であり、ビルの建設には常に新たなコンクリート原料を必要とします。
先般、東南アジア諸国の視察訪問をさせていただきましたが、多くの高層ビルが建設され、目覚ましい発展を遂げる世界の新興国がかつての日本のように多くの資源を必要とする中で、私はこの先も海外の資源に頼ることが果たして可能なのかという疑問を持ちます。
本来の原料に戻す水平リサイクルこそが本当の意味での再資源化であると考え、資源は循環され、サステーナブル社会が実現するのだろうと思います。
そこで、知事に伺います。建設廃棄物の水平リサイクル、つまり、元の製品にされる割合と、その現状に対する認識をお伺いいたします。
次に、イノベーションの創発の観点から二点質問いたします。
イノベーションとは、二十世紀前半を代表する経済学者であるシュンペーターによって提唱された概念であり、その本質はクリエーティブディストラクション、すなわち創造的破壊であるとのことです。つまりは、例えば自動車産業の登場によって馬車がなくなるといったような社会の大きな変革を表します。
それを踏まえて、現在の建設廃棄物の再資源化をさきに述べたように発展させるためには、技術の確立とその製品の利用促進が重要となります。
そこでまず、利用促進の取組について知事に伺います。現状、建設廃棄物を水平リサイクルされた資材はまだ少ないと思いますが、これらの資材を含めたリサイクル資材の利用促進に関して、県の取組をお聞かせください。
さて、リサイクルという言葉が使われ出してから随分長い時間がたつ中で、私はこの分野がイノベーティブに変革したとは思えません。いまだにこの世界は、産業廃棄物や生活廃棄物の最終処理について抜本的な解決方法を確立できていません。その理由を考えた場合に、やはりコストの問題が大きいと思います。この場合のコストとは、技術開発に係る費用や、製品として導入する費用を指します。単純に、新しい材料を使うほうがコスト的に有利なのです。
かつての日本では、古い屋敷を解体し、太いはりや柱などを再利用して新しい家を建てました。戦後、高度経済成長を経た今、先進国に住む我々にとっては人件費の安い外国の山を切り開いて新たな資源を輸入するほうがはるかに安く家が建てられるのです。
ただし、円安が進み、海外の人件費が上がり、環境基準が厳しくなるとなれば、その理屈はいとも簡単に崩れる。つまり、安い材料を輸入することはできなくなります。これは現在進行形の我が国の置かれた現状ではないでしょうか。さらには水平リサイクルされた材料の価格が高いのは、技術開発や分別、加工に関わる手間に由来しますが、これは地球環境にとって新たな価値の創造であり、そのコストとは新たな産業を誕生させる、まさにイノベーションと捉えられないでしょうか。
残念ながら、これまでの社会は市場原理に基づき、このような取組の価値を評価しませんでしたが、今や世界の投資性向は環境負荷軽減に向かっており、我が県でもグリーンボンドを発行し、環境への取組を後押しする仕組みができました。
そこで、知事に伺います。現在、各研究機関において建設廃棄物の循環可能なリサイクル方法の研究が進められており、中でも私が注目しているのは、東京大学生産技術研究所の酒井雄也准教授のコンクリートの完全なリサイクルの研究です。セメントを使わず、CO2の削減にも貢献し、再生されたコンクリートは通常の二倍の強度を持つとのことです。県でも福岡県リサイクル総合研究事業化センターが中核となり、産学官の連携の下、様々なリサイクル技術の実用化に向けた取組が進んでいると思います。
新しいリサイクル技術の研究に対して、県はどのように評価しているのか。また、水平リサイクルを進めるためにはこのような有望な技術を早期に確立し、製品として供給できるようにすることが必要だと考えますが、県としてどのように関わっていくのか、お答えください。
結びに、この質問ではあえて分かりやすく建設廃棄物という言葉を使いましたが、再資源化の観点から、建設副産物という言葉があります。副産物とは、ごみを意味しない資源です。我が県や地域に存在する資源を余すことなく循環させる社会の実現に向けては、廃棄物の最終処分に携わる事業者の皆様の理解と協力も必要であり、今現在そこにかかるコストや労力を新たに生まれる産業に振り向ける努力も必要になると思います。まさに創造的破壊、イノベーションであり、その先には循環型のサステーナブル社会が実現することを期待して、質問を閉じます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
43 ◯副議長(佐々木 允君)
服部知事。
*
知事答弁
44 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
建設廃棄物の水平リサイクルの割合及び現状に対する認識についてお尋ねがございました。国土交通省は平成三十年に全国の建設副産物の実態調査を実施されまして、これに基づき環境省が算出した品目ごとの水平リサイクル率はアスファルトは七六%であります一方、コンクリートは僅か〇・三%にとどまっております。
解体したコンクリートをビルなど、建築物の主要部分に使用できるよう強度の高いコンクリートに再生いたしますためには、加熱処理等を行い、付着したセメントなどの不純物を取り除く必要がございます。このため、製造コストが高くなるなどの理由から、コンクリートの水平リサイクルが進んでないものと認識をいたしております。
次に、リサイクル資材の利用促進に関する県の取組についてでございます。本県では、平成十七年に福岡県リサイクル製品認定制度を創設、開始いたしまして、使用されます再生原料の含有率やあるいは品質、安全性などが一定の基準を満たす製品を認定いたしまして、その利用促進を図っております。
現在、三百八十八の製品を認定しており、この中には再生原料の含有率は高くはございませんが、再生加熱アスファルト混合物百九十八製品、再生骨材コンクリート二製品など、水平リサイクルされた製品も含まれているところでございます。これらの認定製品につきましては、制度を所管いたします環境部と、公共工事を所管いたします部で構成いたします利用指針運用会議において県の公共工事で優先的に利用する仕組みをつくりまして、その積極的な利用を図っております。特にアスファルトや路盤材につきましては、橋などの高い性能を求められる場合を除き、認定製品を利用しているところでございます。
また、福岡県建設技術情報センター主催の研修会等におきまして、市町村の公共工事担当者に対し認定製品の積極的な利用を依頼いたしますとともに、九州建設技術フォーラムにおいて、建設関連事業者に対し認定製品のPRを行いまして、リサイクル製品の利用促進を図っております。
新しいリサイクル技術の研究に対する評価と製品化への県の関わりについてでございます。新しいリサイクル技術の研究は、その実用化により、現在進んでいない建設廃棄物の水平リサイクルの拡大につながります。持続的な資源循環の観点から、そのような技術の実用化を図るということは重要であると考えます。
今後は、リサイクル総合研究事業化センターにおきまして、研究機関への訪問等による新たな技術シーズの発掘や、産官学民の交流ネットワークでございますふくおか3Rメンバーズを通じた共同研究のマッチングを積極的に行い、事業化に向けた技術開発を支援してまいります。その際には、コストや品質について施工
事業者等からの御意見も十分にお聞きしながら進めてまいります。
また、こうして開発された製品を製造いたします事業者が先導的でリサイクル効果の高い施設の整備を行う際には、福岡県リサイクル施設整備費補助制度の活用を促してまいります。
さらに、技術開発によって完成いたしましたリサイクル製品につきましては、先ほど申し上げました認定制度を活用いたしますとともに、自治体や建設関係団体に対し、より環境負荷低減効果が高いものであるということをPRして、その利用を促してまいります。
このように、建設廃棄物の水平リサイクルに関する研究から製品化、利用に至るまで一連の取組を支援することによりまして資源循環を促進し、サステーナブルな社会の実現を目指してまいります。
45 ◯副議長(佐々木 允君) 原中誠志君。(拍手)
*原中議員質問
46 ◯六十五番(原中 誠志君)登壇 民主県政県議団、原中誠志でございます。発言通告に従い、一般質問を行います。
一項目めは、本県の産業廃棄物行政に対する
服部知事の認識についてであります。本県においては、高度経済成長期以降も県人口の増加、両政令市を中心とした地域経済の発展、県民消費の向上などにより、本県経済は飛躍を続けております。こうした経済発展という光の部分の反面、大量消費、大量廃棄時代の到来とともに一般ごみの増加、そして経済活動に伴う産業廃棄物の増加といった課題も惹起しております。
本県においては、過去には当時の若宮町、そして直方市において産業廃棄物の不正処理に当たって県が行政代執行を行っています。さらに、飯塚市内住の産業廃棄物最終処分場においては、二〇一四年三月から二〇一八年三月まで、県は約十七億円をかけて行政代執行を行っています。
このようなことから、本県の産業廃棄物行政については麻生県政までの経済優先から、人と自然環境の調和と融和、持続可能な社会への一大転換を図るべきであるとして、小川前知事の時代、我が会派は代表質問や一般質問、常任委員会や特別委員会において、度々、本県の産業廃棄物行政についてただしてきたところであります。まさに、我が会派は今で言うSDGsの先駆けをしてきたわけであります。
その結果、小川前知事は県民幸福度日本一の福岡県を実現するため、県政課題の負の部分は改善、解消すると明言し、産業廃棄物対策は、県民の安全・安心を確保し、生活環境を守る上で極めて大事である。不適正処理により問題が長期化した廃棄物事案や飯塚市最終処分場の問題があった、住民との意思疎通が不十分であったと述べ、監視指導を的確に実施してまいると表明されたところであります。
我が会派は、本県の産業廃棄物行政の一大転換、産業廃棄物行政の適正化に努める姿勢を大いに評価したところであります。
そこで、
服部知事にお聞きいたします。改めて服部県政の本県の産業廃棄物行政に対する基本認識、基本姿勢についてお示しください。
二〇一七年九月の県議会において、当時、知事職務代理者であった服部副知事は、我が会派の代表質問の答弁に立ち、産業廃棄物対策については、不適正処理が生じた場合、県では重点的に立入検査を行うとともに、事業者に対して指導や厳重注意書の発出を行い、早急な改善を求める措置を取っている。加えて、指導に従わない事業者に対しては、生活環境の保全上の支障を生じる事態を招くことを未然に防止し、廃棄物の適正処理を確保するため、法にのっとって厳正に行政処分を実施すると答弁されています。
福岡県は、二〇一九年度から本年度までの過去五年間に廃棄物の処理及び清掃に関する法律、いわゆる廃掃法に基づき、欠格事由該当によるものを除く処理基準違反等による行政処分を三十件行っています。
このうち、改善命令三件、停止命令七件、許可取消しは三件であり、さらに、生活環境保全上の支障の除去を内容とする措置命令十七件の行政処分を行い、公表しているところであります。
この中には、昨年、二〇二三年十二月十九日から二十七日にかけて、嘉麻市の産業廃棄物中間処理業者に産廃の処理を委託した排出事業者八社に対し、施設に残る産廃計約二万二千トンを撤去するよう命じた措置命令も含まれています。
この嘉麻市の産業廃棄物処理施設をめぐっては、かねて違法な量の産業廃棄物が保管され、二〇一七年五月二十八日に火災が発生をいたしました。当時、私は厚生労働環境委員会の委員長を務めておりましたときで、火災発生と同時に現地に駆けつけ、その足で同委員会の委員でありました地元の吉原太郎先生の事務所にお伺いをし、そして、委員長としてしっかりと対応、対策に当たってほしいという、そういう言葉をいただいたことをしっかりと覚えております。
さて、この嘉麻市の産業廃棄物中間処理場においては、県は排出事業者三十九社に撤去を要請し、このうち二十九社が撤去を完了し、二社が作業中であるものの、八社は県の要請に応じていません。この要請に応じなかった八社に対して措置命令が出されたわけですが、排出事業者への措置命令は県内で初のこととなります。しかしながら、この施設内には今まだ三万トンを超える廃棄物が残っています。
さらに、施設を経営する事業者に対しても二〇一七年七月、そして二〇二三年七月の二度にわたり、産廃の撤去を命ずる措置命令を出したにもかかわらず、いまだ履行されていません。これまで県が行政代執行を行った不法投棄業者しかり、飯塚市内住の産廃業者しかり、業者が不法投棄、違法操業した産業廃棄物の処理を、措置命令を受けながら、無資力であることを口実に処理を実行しないということがあったわけであります。
我が会派はこの間、産廃業者の捨て得を許してはならないと訴え続けてきました。違法行為を行った業者には法に基づきその責めを負わせるべきことは、事理明白であります。
そこで、知事にお聞きいたします。県の措置命令に従わない業者に対し、今後、県としてどのような姿勢で臨み、対応されるのか、お聞きいたします。
次の項目は、本県の更生事業並びに再犯防止の取組強化についてであります。本県は、犯罪や非行をした人が社会において孤立することなく、再び社会を構成する一員となることを支援することにより再犯を防止し、円滑に社会に復帰できるようにするとともに、このような取組を通じて誰もが安全で安心して暮らせる社会の実現を基本理念とする福岡県再犯防止推進計画を二〇一九年に策定しています。
〔佐々木副議長退席 香原議長着席〕
この計画の今年度終了を踏まえ、県は新たに第二次再犯防止計画を策定し、二〇二四年度から新たに五か年の計画の策定と、施策の推進を行うとしています。詳細については所管の常任委員会での審議に委ねるとして、これまでの再犯防止推進計画の実行面での課題を踏まえ、以下、本県の更生事業の取組強化について知事に質問いたします。
そこでまず一点目に、第二次再犯防止推進計画を策定するに当たり、
服部知事に改定のポイントをお示しいただきたいと思います。
さて、二〇二一年十月、甲府市で全焼した住宅から刺殺された夫婦の遺体が見つかった甲府市殺人放火事件で、本年一月十八日の一審甲府地裁の裁判員裁判判決において、殺人罪などに問われた甲府市の男性被告に死刑の判決が言い渡されました。
事件をめぐっては、改正少年法に基づき、甲府地検が事件当時十九歳の特定少年だった被告の氏名を起訴時に発表しましたが、特定少年が起訴時に氏名を公表されたのは今回が初となります。
なお、十八歳と十九歳を特定少年と位置づけた改正少年法が二〇二二年四月一日に施行されて以降、特定少年に死刑判決が言い渡されたのも今回が初めてとなります。
また、二〇二〇年八月二十八日、福岡市内の商業施設で買物客の女性が当時十五歳の少年に刺殺されるという福岡商業施設女性刺殺事件が起こりました。その後、二〇二二年七月六日、この少年の裁判員裁判が福岡地裁でありましたが、事件当時十五歳の少年が成人と同様の裁判員裁判で審理されるのは極めて異例なことであります。
我が国において、死刑判決に当たっては一九八三年に最高裁が示した死刑選択の判断要素である永山基準が適用されています。今回、甲府市殺人放火事件の判決においても適用されたこの永山基準ですが、既に四十年の歳月が経過しています。当時は虐待の後遺障がいとそこからの更生可能性についての知見は乏しく、個人に問うべき罪と更生に関わる脳科学を含めた今日的見解からすれば、弁護士や心理判定士など専門家からは既に時代錯誤的な死刑選択の判断基準と指摘されています。
さらに今日の少年犯罪において注目すべきは、少年院や鑑別所、さらに公判で事件や罪を犯した被告の生育歴、家庭環境、学校環境といった背景が明らかになるにつれ、そこには筆舌に尽くし難い虐待、そしていじめの過去をうかがい知ることができます。
そこで、知事に伺います。幼少期からの虐待体験、いじめ体験と犯罪との関係について、知事の認識、所見をお聞かせください。
二〇二一年五月二十一日、少年法等の一部を改正する法律が成立をし、二〇二二年四月一日から施行されています。民法では自立した大人として扱われる年齢なのに、少年法の手続では手厚く保護されているのは理屈に合わないという意見もあり、少年の対象年齢は変えないけれども、十八歳と十九歳は二十歳以上の大人とも違う、十七歳以下の少年とも違う、そういう位置づけとして特定少年という形で位置づけられたわけであります。
なお、この特定少年という概念は民法にはなく、少年法でしか出てきません。
再犯の防止等の推進に関する法律では、国や自治体は非行少年の特性や心身の状況に応じた支援をし、入所施設などと適正な情報共有をすると規定しています。そして、障がいなどがある少年については少年院や保護観察所など、関係機関が集まる処遇ケース検討会を実施し、きめ細かい支援を行うと定めています。
我が国では、少年院出院者や刑務所出所者の再入者の割合が六〇%近くまで達しており、再犯防止には少年院や刑務所での過ごし方以上に出院、出所後のサポートが極めて重要になります。中でも、再犯防止において特に重要となるのは、出院や出所後の就職と住むところであります。
本県においては、福岡県就労支援事業者機構に代表されるように、官民で様々な支援の取組が行われています。また、経済界などの支援もあり、協力事業主が増え、協力雇用主会の活動も活発に行われています。しかし、こうした就労支援の取組で大きな障壁となっているのが、出院、出所者が金融機関で口座を開設できないということであります。
今の時代、給与を現金で支給をしたり、家賃を現金で大家に払うということはまずまずありません。一部の飯場などでいまだそうした実態はあるようでありますけれども、大半の事業所では給与は銀行振込、そして家賃は口座引き落としというのが常となっています。口座を開設できないと、就職も住む場所も決められないというのが、今の世の中、現状であります。
そこで、知事に質問です。事件を起こしたり、犯罪をした人が出院、出所後に就職や住居の確保のため、金融機関の口座を開設できるよう、県としてどのような支援をしていくのか、お聞かせください。
さらに、再犯防止を進める上で重要なのは、出院、出所者の心のケアです。児童虐待を受けた子供たち、学校でいじめを受けた児童生徒たちは、心に深い傷を持ち、トラウマ、PTSDを抱え、生きづらさを抱えて生活しています。
また、精神障害者保健福祉手帳や療育手帳を受けてない方々で、今日、課題化されているのが、いわゆる発達障がいグレーゾーンであります。発達障がいの特性がありながら、明確な診断が下されず手帳の保持もない方々は、幼少期より発達障がいの特性を抱え、学校や会社において周りと同じ行動ができづらいとか、意思の疎通が図りづらいとか、物事の習得が図りづらいといった経験が重なり、生きづらさを抱えて暮らされています。
なお、発達障がいグレーゾーンとは、症状が軽いからグレーゾーンということではなく、複数ある判断基準を満たしていない場合を指し、定型発達ではなく、基準によって特性が強く出る部分とそうでない部分が混在している状況を言います。
誤解がないように伝えますけれども、虐待やいじめを受けた人、知的障がい者や発達障がい者が事件や犯罪を起こすという、起こしやすいということを述べているのではありません。生きづらさを抱えた人たちがいかに社会の中で排除されず、理解され、支援を受け、受け入れられる社会をつくらなければならないか、そういうことであります。
そこで、知事に質問であります。本県の再犯防止の取組に当たり、出院、出所後の心のケア、心理的不安の軽減のためには、相談する機関、カウンセリングなど、相談する相手が必要と考えますが、県としてどのような施策を講じるべきか、知事の考えをお示しいただきたいと思います。
以上、知事の真摯な答弁を期待いたしまして、一般質問を終わります。(拍手)
47 ◯議長(香原 勝司君)
服部知事。
*
知事答弁
48 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
本県の産業廃棄物行政に対する基本認識、基本姿勢についてお尋ねがございました。県民の皆様の将来を守るサステーナブル社会を実現していく。このために生活環境を守り、安全・安心を確保する産業廃棄物対策は、極めて大事であると考えております。
特に、産業廃棄物の不適正処理による環境への影響を生じさせないためには、早期に発見し、早期に是正させることが重要でございます。