福岡県議会 2024-02-08
令和6年2月定例会(第8日) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(香原 勝司君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。浦伊三夫君。(拍手)
*浦議員質問
2 ◯五十番(浦 伊三夫君)登壇 皆さん、おはようございます。
自民党県議団、浦伊三夫でございます。
このたびの令和六年
能登半島地震によりお亡くなりになられました方々に対し、謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
本日、会派を代表して質問をさせていただくに当たり、御指名をいただきました
自民党県議団、
藏内勇夫相談役、
松尾統章会長、
中尾正幸幹事長はじめ、会派の皆様方に心から感謝、御礼を申し上げます。ありがとうございます。
また、今日も傍聴に来ていただいておりますが、これまでお支えいただいております地元糸島の皆様にも、また後援会の皆様、事務所の皆様、そして家族にも心から感謝を申し上げ、ただいまより代表質問を始めさせていただきます。県政発展のため、しっかりと質問してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、令和六年度当初予算と知事の県政に対する基本姿勢についてただしていきます。服部知事は就任後の所信表明におきまして、何としてもコロナ危機を乗り越え、次代を担う人財の育成、世界の舞台で勝負できる福岡県の実現、ワンヘルスの推進という三つのことに挑戦していきたいとの決意を示されました。また、市町村との関係についても、全ての市町村との連携を強化し、チームとしての力を発揮して、福岡県を元気に飛躍させてまいると表明されています。
服部県政誕生以来、丸三年が経過しようとしており、最後の仕上げの年が令和六年度であります。選挙前の公約の実行も大詰めを迎えているのではないでしょうか。知事はこの三年間の県政をどのように総括しておられるのか、今後の取組と併せてお聞かせ願います。
次に、令和六年度当初予算についてただしてまいります。ようやくコロナ禍を乗り越え、長く続くデフレから脱却できるチャンスが訪れています。しかしながら、我々の肌感覚としては物価の上昇に賃金が追いついておらず、個人消費も力強さに欠けているのではと感じざるを得ません。やはりこのチャンスを逃さないためにも経済の好循環を実現すべきです。そのような意味においても、まさに我々
自民党県議団がこれまで一貫して主張してきた未来への投資を積極的に行うべきであります。AI、半導体、宇宙産業など先端産業の育成をはじめ、DXを積極的に活用し、県内の中小企業や農林水産業を活性化させなければなりません。
一方で、足元を見ると人口減少問題が深刻さを増し、県内の人口偏在も顕著になりつつある中、人手不足の問題も深刻化しております。特に物流の二〇二四年問題は直面する重要な課題であります。あわせて、地域に欠かせない公共交通をどう維持していくのかなど、待ったなしの課題も山積しております。
また、災害に強い社会をつくるための社会資本の整備、県土強靱化への取組も欠かせません。その他、若者が子育てしやすい環境づくり、女性や高齢者の活躍、障がい者の社会参加の促進といった視点や、スポーツ立県福岡の実現や文化芸術の振興も必要であります。
そして、何よりも我々は、
新型コロナウイルスといった新興感染症の脅威を目の当たりにした今、人と動物の健康と環境の健全性を一つに捉え、一体的に守るワンヘルスの取組を積極的に進め、この福岡をワンヘルスの先進地としてさらに押し上げていく必要があります。
これまで本県の課題等をるる述べてまいりましたが、五百万県民は、本県経済が発展し、希望を持てる福岡県になる、また誰もが住み慣れたところで働く、長く元気に暮らす、子供を安心して産み育てることができる地域社会の実現を待ち望んでおります。折しも服部県政にとって本予算案は、知事が手がける当初予算としては今任期中最後のものであり、この予算に並々ならぬ思いが込められていると拝察いたします。提案された来年度の当初予算編成の考え方を見てみると、知事は昨年度の当初予算で示された一千億円の人づくり、県内GDP二十兆円への挑戦、安全・安心で活力ある社会づくりの三つの柱に基づく施策を力強く実行し、この下で、将来を守る
サステナブル社会への改新、未来を拓くイノベーションの創発の視点を持って施策を展開すると記載されております。昨年度掲げた柱の中から、この二つの新たな視点を取り入れられ、その視点による施策を展開することとした知事の考えについて、県民に分かりやすく具体的に御説明願います。
次に、
財政改革プランの進捗についてお尋ねします。当初予算の説明資料を拝見すると、
服部知事就任後の令和四年に策定された
財政改革プラン二〇二二の
目標達成状況が記されていますが、県債残高の圧縮については、目標年度である令和八年度末時点での圧縮額五百億円を令和六年度末時点の段階でクリアしており、また
財政調整基金等三基金の残高についても六百六十一億円と、プランの目標である四百億円から五百億円の水準を上回る見込みとなっております。このような指標を見る限り、令和八年度末の目標達成に向けては順調とうかがい知れるところであります。
しかしながら、違った見方をすると、ここ数年過去最高を更新している県税の好調さゆえの状況ではないかと感じているのは私だけでしょうか。とりわけ財政経験の長い服部知事であれば、県政を運営していく上で安定的な財政運営が欠かせないことはもちろんのこと、
財政改革プランの目標を達成することは並々ならぬ取組が必要だといったことはよく御存じかと思います。やはりプランで示された事務事業の見直しなどの改革措置を着実に実施することが必要であります。
そこでお伺いします。現プランも計画期間の折り返し地点に差しかかっておりますが、プランに掲げられた改革措置について、これまでの取組の成果を詳細に御説明願います。
さて、今後政策を考える上では、日本経済の動向はもちろん、刻々と変化する世界の状況を見渡す必要があります。
そこで知事に伺います。日本や世界の経済情勢を踏まえた上で、本県の景気、経済情勢をどのように展望しているのか、知事の見解をお示しください。
次に、県税について伺います。
地方財政計画では、定額減税の影響を除いた実質的な都道府県税は昨年度より増加しています。公表されている数字を見ると、定額減税の影響を含んだ都道府県税の
地方財政計画における伸び率は〇・五%の減と見込まれております。一方で本県の当初予算を見ると、県税の伸びは一・四%増と見込んでおり、幾分強気な見込みをされているように感じます。実際の税収見込みは、個別企業からの聞き取りなど本県独自の要素を加味して算定されていると思われますが、果たしてその
見込みどおりの税収が確保できているのか、いささか疑問を持たざるを得ません。
そこで知事に伺います。まず、来年度の県税収入について主な税目の動向を詳細に御説明願うとともに、
地方財政計画と本県予算の税目ごとの差異についても、我々の疑問を払拭できるような明快な答弁をお願いいたします。
次に、今年度の県税収入についてもお伺いします。来年度当初予算の税収を堅調であると見込まれておりますが、一方で今年度の税収の見込みはどのような状況でしょうか。
知事は昨年十二月議会において、今年度の県税収入について、法人二税は、非製造業は堅調に推移しているが、製造業は
原材料価格高騰の影響により伸び悩んでいる。一方、自動車税や地方消費税が堅調に推移し、当初予算を上回る水準で推移していると答弁されております。果たしてその結果はどうであったか、主な税目の増減を含め、具体的に説明願います。
続きまして、地震に対する防災対策の強化についてただしてまいります。令和六年
能登半島地震は、一月一日十六時十分に、石川県能登半島の深さ約十五キロを震源とし、マグニチュード七・六を記録する石川県を中心とした大規模な地震となりました。特に、輪島市、羽咋郡志賀町は、石川県では過去最大となる震度七を観測しました。また、津波の高さは、新潟県上越市で最大の五・八メートル、石川県能登町で四・七メートルを観測するなど、記録的な津波の高さとなりました。
このように大規模な地震であったことから、その被害は大変甚大なものとなっており、石川県を中心に一府八県において被害が発生し、二月二十八日現在、死者が二百四十一名、重傷者・軽傷者が千二百九十九名、住家被害が七万七千七百三件、そして今もなお約一万二千人余りの方々が避難生活を余儀なくされています。
報道によると、半島や地形等の影響により孤立集落が多数あり、高齢者や障がい者の方の救助や支援の問題が浮き彫りとなっています。これだけの災害であれば行政の力だけではもはや対処できません。その中で注目すべきは、火災現場での消火活動や災害時の救助を担っている消防団であります。今回の
能登半島地震では、大津波警報を受け避難誘導したり、倒壊した家屋等からの救助活動、
防犯パトロールなどに力を発揮したとのことです。防災の強化を図る観点からも、消防団の確保は極めて重要であります。しかしながら、本県の消防団の加入者は減少傾向が続き、かつ高齢化が進んでいると聞いております。
そこで知事にお伺いします。知事は新たに、将来を守る
サステナブル社会への改新の視点で施策を展開するとの方針を示されておりますが、消防団員の確保や消防団の強化をどのように行おうとされているのか具体的に御説明願います。
この際、併せて
個別避難計画についても指摘しておきます。今回の
能登半島地震でも明らかになったように、災害の際、自ら避難ができない高齢者、障がい者の方などへの支援の必要性は論をまたないところであります。そうした中、本県の支援の状況を見てみますと、市町村の
個別避難計画の作成率は非常に低く、総合計画で定める
個別避難計画の策定率七〇%超えの市町村数は令和四年度時点で三十三市町村と、全六十市町村という目標には程遠い状況であります。県として全ての要支援者に対する
個別避難計画の作成を早急に完了すべきではないでしょうか。このことについて知事の明快な御答弁を求めます。
また、今回の
能登半島地震は
海底にある断層が引き起こしたものであり、これほど大規模な地震になるとは想定されていなかったようであります。今議会に提案されている当初予算案を見ると、陸域部分の活断層に係る
被害想定調査は盛り込まれておりますが、国が令和四年に示した
日本海南西部の海域活断層についての調査は含まれておりません。報道によると、長崎県は海域活断層について令和六年度から最大震度や津波の高さなどの調査を実施し、防災計画の前提となる被害想定を見直すとのことであります。果たして本県はどう対応するつもりでしょうか。
能登半島地震を踏まえ、海域活断層についての
被害想定調査を実施すべきと考えますが、知事の見解をお示しください。
また、今回の
能登半島地震では各地で道路が寸断されたことや、
海底の隆起による影響で小型艇さえも近づけないことが起きた結果、救援物資や人的支援が遅れてしまう深刻な状況を招いてしまいました。本県においても若松半島や糸島半島などがあり、半島リスクについても対策を講じる必要があると考えます。こうした本県特有の地理的要因を鑑み、
能登半島地震を踏まえ、県の防災対策の根幹をなす
地域防災計画を直ちに点検し、必要があれば速やかに見直し、充実すべきと考えますが、知事の考えをお聞かせください。
次に、住宅の耐震化についてお尋ねいたします。今回の
能登半島地震では古い木造住宅の倒壊が相次ぎ、犠牲者の多くが倒壊した家屋の下敷きになったと言われています。石川県が公表している被害状況を見ますと、県内の死者は二百四十人を超え、県が氏名などを公表した方の九割近くの死因が家屋の倒壊でありました。石川県全体で実に七万棟を超える住宅が全壊、半壊、損壊等の被害を受けており、これは石川県の住宅総数の一割を占めております。特に被害の大きかった輪島市では、約六千棟の住宅被害のうち三割に当たる二千棟が全壊、珠洲市では、約八千棟の住宅被害のうち四割に当たる三千六百棟が全壊しております。
このように今回の被害が拡大した要因の一つとして、住宅の耐震化の遅れが指摘されております。石川県全体の住宅の耐震化率は平成三十年時点で八二%と、全国平均八七%を若干下回っており、さらに市町村別に見てみますと、被害の大きかった輪島市では四五・二%、珠洲市では五一%と、県平均を大きく下回っております。今後、国や専門家による本格的な調査が行われるものと考えますが、我々は、いつどこで起きるか分からない地震に備え、県民の生命、安全、財産を守るための対策を講じていくことが重要であると考えております。
そこでまず、本県全体と市町村の住宅の耐震化率の状況をお示しいただくとともに、その状況に対する知事の御所見をお聞かせください。また、その状況を踏まえ、今後、住宅の耐震化をどのように進めていこうと考えておられるのか、知事の考えをお聞きいたします。
次に、避難所運営における女性の視点についてお尋ねいたします。
能登半島地震では、避難所における女性に対する配慮の欠如から様々な問題が発生しております。更衣室や
授乳スペースがない、洗濯物が干せない、仮設トイレが男女兼用で明かりもほとんどない、男性からの生理用品の受け取りに抵抗感があったなど、プライバシーがなく、我慢や危険な環境を強いられる生活を余儀なくされているといった問題が生じております。
女性が安心して過ごせる避難所を実現するためには、避難所開設当初から安全対策を行い、女性の視点から生活環境の改善に取り組んでおく必要があります。国が令和二年五月に策定した
男女共同参画の視点からの防災・
復興ガイドラインにおいても、避難所での女性スタッフの配置などにより避難している女性の声を酌み上げる体制をつくることや、更衣室、授乳室など女性に配慮したスペースを確保することなどが示され、避難生活における女性の安全・安心の確保が求められているところであります。
そこで知事にお尋ねいたします。県として、避難生活における女性の安全・安心の確保のためにどのような取組を行っているのかお答えください。
次に、
人口減少問題対策についてお尋ねいたします。昨年十二月、
国立社会保障・
人口問題研究所が公表した地域別将来推計人口によると本県の二〇五〇年の総人口は約四百四十八万人で、二〇二〇年と比較して約六十六万人、一二・八%の減となり、特に十五歳未満の年少人口は二四・一%の減となっています。一方、六十五歳以上の人口の割合は、二〇二〇年の二七・九%から二〇五〇年には三五・一%まで上昇するとされています。
県内六十市町村の状況を見ると、人口の増加が見込まれているのは福岡市とその周辺の計七市町のみで、半数近い市町村で三割以上の人口が減少する見通しとなっております。今回の推計結果は、平成三十年に行われた前回推計と比較すると、全国、福岡県ともに人口減少の速度は緩んでいますが、県全体としては人口減少、少子高齢化の傾向に変わりはありません。今回の人口推計の結果を踏まえ、県内の人口減少の状況についてどのように考えておられるのか、知事の認識をお聞かせください。
さて、昨年九月議会の
決算特別委員会において我が会派の西元健議員が、県境にある豊築地域と有明地域が置かれている状況について質問をいたしました。その際、両地域の令和二年の総人口は、四十年前の昭和五十五年と比較すると七割程度に、十五歳未満の年少人口は四割程度にまで減少しているとの説明がありました。今回の人口推計においても、豊築地域、有明地域の厳しい状況は顕著であります。
このような県境地域においては、隣接する県との間で一体的な生活圏を形成しており、地元自治体も県の枠を越えて密接に連携して地域振興に取り組んでいます。現に豊築地域は隣接する大分県の中津市、宇佐市、豊後高田市との間で
九州周防灘地域定住自立圏を形成し、様々な施策に取り組んでいると聞いています。昨年の
決算特別委員会において知事は、県としても県境という視点を持って取り組まなければならない、その際には隣接する県や市町村としっかり連携、協議していく必要があると答弁されました。
そこで知事に伺います。提案されています令和六年度予算案に、県境地域に係る施策がどう盛り込まれているのか明らかにし、具体的な対応策について御説明を願います。
次に、公共交通及び物流などにおける二〇二四年問題への対応についてただしてまいります。二〇一八年に成立した働き方改革関連法で定められた時間外労働の上限規制等が、二〇一九年四月から順次施行されています。労働者の長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現に向け、国を挙げて取り組んでいるところであります。
この中で、建設、自動車運転、医業等の時間外労働の上限規制については、二〇二四年四月一日の施行とされています。中でも
自動車運転業務については、ドライバーの待遇改善が進む一方で、バス・タクシーの公共交通や
トラック運送など物流分野における輸送力の低下が懸念されます。このことは県民生活への悪影響を招き、物流企業や荷主企業にとっても極めて深刻な問題であります。また
自動車運転業務の
有効求人倍率は、コロナ禍以前である二〇一九年十二月時点の二・九〇倍には及ばないものの、直近データの昨年十二月は二・五二倍となっており、依然として
ドライバー不足の状況が続いております。
さらに、公共交通については全国的に運転手不足が深刻化しております。県内でも昨年十月には西鉄バスが、慢性的な運転手不足や二〇二四年問題への対応を理由として、三十一路線で減便と一路線の廃止を行っており、タクシーについては、配車をお願いしても電話自体がつながらなかったり、つながっても断られたりと、地域差があるもののエリアや時間帯によってはタクシーの供給が需要に追いつかない状況が発生しております。
そこで知事にお尋ねします。バス・タクシーの運転手不足が社会問題として顕在化している中、県としてどのような対策を行うお考えなのかお聞かせください。
また、物流分野では、国において昨年六月に物流革新に向けた
政策パッケージ、十月には
物流革新緊急パッケージが取りまとめられ、
トラックGメンによる荷主・元請の監視強化や、
トラック運送の標準的な運賃引上げなどに取りかかっております。また県においても、業務改善に取り組む
トラック運送事業者に対して、
生産性向上支援センターによる支援や従業員の
大型免許取得費用への助成など様々な取組が行われてきたことは承知しているところであります。しかしながら、
民間調査会社帝国データバンクが先月発表した二〇二四年問題に対する企業の意識調査によると、物流の二〇二四年問題に対してマイナス影響があると回答した企業は実に六八・六%に上っており、いまだ物流の二〇二四年問題に対する懸念を払拭できていないと感じてなりません。
特に国内の物流の主力となっています
トラック運送については、配送力が落ちれば身近な生活や県内経済への影響も避けては通れません。では、現行の取組で十分かといえば十分とも言えないのではないでしょうか。配送のさらなる効率化など、物流二〇二四年問題についてどう取り組むお考えなのか、知事のお考えをお聞かせください。
この問題で忘れてはならないのは北九州空港の活用であります。滑走路延長の工事が着実に進む中、
貨物拠点空港を目指す上で、この問題はチャンスと捉えることもできます。現在九州の航空貨物を輸出する際の利用空港としては、九州内の空港でなく、
成田国際空港と関西国際空港の両空港が約六割利用されております。TSMCの進出に伴い俄然注目されております半導体関連の貨物に着目すると、成田、関西の両空港で全国の貨物の約九割が輸出されていると聞いております。翻ってみると、まだまだ取組が不十分と言えるのではないでしょうか。
そこでお伺いします。北九州空港の貨物取扱量を増やしていき、
貨物拠点空港に向けて取組を強化することが物流の二〇二四年問題への対処になると考えますが、知事の考えをお聞かせください。
あわせて、医師の二〇二四年問題について伺います。働き方改革関連法により、今年の四月から医師の年間の時間外労働時間は九百六十時間に制限されていますが、
地域医療確保などで、やむを得ず長時間労働を行う医師がいる医療機関は、年間千八百六十時間までの時間外労働が認められている
特定労務管理対象機関となる必要があるなど、そのための取組が求められているところであります。
我が国は国民皆保険制度の下、誰もが平等な
医療サービスを受けられる恵まれた環境ですが、医師の長時間労働に支えられてきた側面があります。長時間労働は、医師本人の健康を害すだけでなく、医療の質や安全の確保にも影響を与えるため、医師の働き方改革は進めていかなければなりません。
そこでお尋ねします。医師の働き方改革に向けて、これまで県はどのような取組を行い、これからはどのような取組を行われるのかお聞かせ願います。
次に、地域商品券についてただします。
プレミアムつき地域商品券は、我が会派の働きかけにより、平成二十一年度から発行支援の取組を開始しているものであります。令和二年度からは
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた地域経済を下支えするため、国の経済対策に伴う臨時交付金を活用し、景気対策として特例的にプレミアムに係る県の助成率を引き上げ、発行規模を拡大して支援しており、今年度は県内で約三百三十八億円の地域商品券が発行されております。
また、この間、
キャッシュレス商品券の発行に対する支援を開始したことにより、ウイズコロナにおける
感染防止対策としても有効な決済手段となりました。今年度から全ての発行団体が一部でも
キャッシュレス商品券を発行することを支援の要件とすることで、地域の中小企業・
小規模事業者のデジタル化の推進にも大きく寄与しております。今年度発行団体の中には、発行する地域商品券を全て
キャッシュレス化している団体も幾つかあると聞いております。
キャッシュレス化により、紙の地域商品券と比べて、発行団体の印刷や販売、換金等の事務軽減につながるほか、若者をはじめ幅広い世代の消費を喚起する効果が期待できます。県には、地域のデジタル化のために地域商品券の
キャッシュレス化をさらに推進していただきたいと考えておるところであります。
さて、こうした約三年間にわたるコロナ禍も、昨年五月、新型コロナの五類移行により落ち着きを取り戻し、経済活動は平時に戻りつつあります。一方で、物価や人件費の高騰、ゼロゼロ融資の返済の本格化など、地域の中小企業・
小規模事業者を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況が続いております。
そこでお尋ねします。知事はプレミアムに対する支援について、どのような考えから来年度も今年度同様の助成率にされたのかお答え願います。あわせて、今後
プレミアムつき地域商品券の発行支援にどのように取り組んでいくのか、知事の見解をお示し願います。
次に、
中小企業対策についてお尋ねいたします。昨年二月議会の我が会派の代表質問において、中小企業の価格転嫁の促進のためには、発注者と受注者が互いに協力し、適正な取引を尊重する機運の醸成が重要であり、国や経済団体等との価格転嫁の円滑化に関する連携協定の締結を知事に提案したところ、この提案を受け、知事は、官民労十三団体による連携協定の締結が迅速に実現されました。
しかしながら、昨年七月、協定締結十三団体が県内企業を対象に実施した価格転嫁及び賃上げに関するアンケート調査によると、コスト上昇分の七割以上を価格転嫁できた企業は二三・九%にとどまり、一二・五%の企業は全く転嫁できていないと、価格転嫁は十分に進んでいないと言わざるを得ない状況であります。
また、昨年来、大企業を中心に賃上げの動きはあるものの、原材料・エネルギー・物流コストが高騰し、物価上昇が続く中、実質賃金は二年連続でマイナスとなるなど、私たちの家計にとっても厳しい状況が続いています。さらに日本商工会議所が二月十四日に公表した中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査の結果によると、令和六年度に賃金を引き上げる予定の企業の割合は六一・三%で、前年に比べて三・一ポイント増加しているものの、そのうち六割は業績の改善が見られない賃上げを実施するとしており、人手不足を補うための防衛的な賃上げが多くを占める状況となっています。
そこでお尋ねいたします。昨年二月の連携協定締結以降、十三団体においてはどのような取組を行ってきたのか、あわせて、連携協定の有効期間が来月末に迫る中、今後どのように取り組んでいくのか、知事の考えをお聞きいたします。
次に、国際金融機能の誘致について伺います。令和二年九月、九州経済連合会や福岡県、福岡市、九州大学、地元経済界が一体となり、国際金融機能誘致、チーム福岡として、全国に先駆けて候補地の名のりを上げたことは皆様御存じのことであります。チーム福岡は、会長に九経連会長、副会長は服部県知事と福岡市長という体制の下、香原県議会議長も顧問として参画し、県議会としてもこの取組を後押ししています。
さて、チーム福岡設立から三年が経過し、これまでの取組により、香港の資産運用会社やシンガポールのフィンテック企業など、国内外から二十社を超える企業が進出し、成果が生まれております。今後さらに福岡への進出が進むことを期待するところですが、一方で懸念されるのが、進出した金融機関等の人材の確保であります。本県では生産活動を中心になって支える生産年齢人口が平成十二年をピークに減少しており、各産業分野において人材の獲得競争が激化している状況です。金融機関においても、金融DXに対応するデジタル分野やESG分野などの専門人材が全国的に不足し、採用が困難であるという話もお聞きしております。
こうした状況を踏まえると、県として、進出した金融機関等の人材確保に力を注ぐべきだと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
次に、先日知事は福岡市長との金融・資産運用特区に係る共同記者会見において、国際金融機能の誘致を進め、世界から選ばれる福岡を実現したいとの意気込みを語っておられました。しかしながら、昨年九月発表の世界の国際金融センターランキングでは、同じく政府の国際金融都市構想に名のりを上げている東京は二十位、大阪は四十三位にランクインしたのに対し、福岡はいまだ圏外となっております。残念ながら福岡は日本の国際金融拠点として世界から認知されていない、評価されていないと言わざるを得ません。競合する東京や大阪は既に金融機能が集積している大都市です。果たしてこのままで東京や大阪と勝負していけるのか、大変憂慮しております。
そこで知事にお尋ねします。こうした現実を踏まえ、福岡へのさらなる国際金融機能誘致に向けて、知事はどのような方針で取り組んでいくのか、また、その結果により県内市町村に対してどのような効果をもたらすのか、具体的にお示しください。
次に、子育て支援に関する施策の中で、とりわけ出産・子育て安心基金を財源とした新規事業の取組について伺います。県では令和五年度の当初予算を審議する昨年の二月議会において、異例とも言える百億円の基金の積み増しを行い、新たに百二十一億円の出産・子育て安心基金を設立したところです。これは、昨年二月六日に服部知事に対して自民党福岡県議団と自民党福岡支部連合会が連名で行った、誰もが住み慣れたところで働く、長く元気に暮らすことといった令和五年度予算に関する要望を真摯に受け止められ、迅速に決断されたものであり、大いに評価をさせていただきます。
知事はこの基金の活用先として、国が打ち出す少子化政策を踏まえ、より本県の県民ニーズに即し、効果的と判断される、きめ細やかな県独自の出産・子育て施策を機動的に実施する財源として活用するとの方針を示し、その充当事業として、今年度の当初予算において、病児保育利用料の無償化と先進医療による不妊治療費の助成の二つの事業を打ち出されました。
また、昨年六月議会の我が会派の代表質問において、病児保育について利用したいと思っても施設が満員で申込みができず利用できないといった不満の声も聞かれる、今後どう対応していくのかとただしたところ、今後、利用実態を把握し、その状況に応じて医療機関や実施主体である市町村と利用定員の増や広域利用などについて協議するとの答弁でした。これを受け、県内の病児保育の利用状況や地域の状況などについて速やかに調査され、昨年の十二月補正予算において病児保育施設の定員増を図るための対策を講じており、今回提案されている令和六年度当初予算では、新たに産後ケア利用者の負担軽減の事業を打ち出しています。このような迅速な対応ができるのも、出産・子育て安心基金という財源があってのことと推察します。我が会派としても、子供を安心して産み育てることができる地域社会づくりを進めるため、基金を活用し、しっかりと取り組んでいただきたいと考えております。
そこで知事に伺います。この基金を活用し、出産・子育てについて県民の安心を確保するため、いつまでにどのようなことを達成されようとするお考えなのか、成果目標をつまびらかに御説明願います。
続きまして、ワンヘルスについて問いただしていきます。
初めに、ワンヘルスに関する国際会議について質問いたします。我が会派が服部知事に対し、積極的に誘致を進めるべきであると提言していたFAVAワンヘルス福岡オフィスが昨年八月に設立されました。その設立を機に、我が会派の、アジア獣医師会連合会長でもある
藏内勇夫相談役を中心に、本県とアジア及び世界におけるワンヘルスの実践活動をリードするFAVAワンヘルス福岡オフィスが連携することで、ワンヘルスの取組が世界各国に広がっていくことを大いに期待するところであります。また二月十七日に開催された福岡県ワンヘルス国際フォーラムでは、世界獣医師会会長であるラファエル・ラガンス氏が来日され、基調講演が行われ、成功裏に終わりました。
そこで知事にお尋ねします。世界のワンヘルスに貢献することを目指している服部知事においては、ワンヘルスの専門的な国際会議であるワールドワンヘルスコングレスを誘致しようとされていますが、具体的にどのような誘致活動に取り組んでいこうと考えているのか、所見をお示しください。あわせて、国際会議の誘致により、世界にどう貢献しようと考えているのか、お答え願います。
次に、ワンヘルスセンターの整備について質問いたします。福岡県ではワンヘルスに関する課題に対応するため、人の健康と環境の保全に関する調査・研究機能を持つ保健環境研究所と動物の保健衛生を一元的に扱う動物保健衛生所を中核としたワンヘルスセンターの令和九年度中の供用開始に向け、今後ソフト面での検討も始まっていくことと思います。全国初のワンヘルスの理念を実現する拠点となるワンヘルスセンターにあっては、先進的な調査・研究において成果を出すとともに、その成果を広く情報発信し、県民はもとより国内外の方々への教育、普及啓発の拠点となることを期待しております。
そこで知事にお尋ねします。ワンヘルスセンターの整備について今後どのように取り組むお考えなのかお示しください。
次に、ハワイ州とのワンヘルスの取組について質問いたします。昨年四月に福岡県・ハワイ州友好促進訪問団がハワイ州を訪問した際、知事はハワイ大学のデビッド・ラスナー総長とワンヘルスに関する学術研究、人材育成を連携して推進していくという覚書に署名し、新たな取組が開始されました。今年の一月には県議会のハワイ州議会友好訪問団がグリーン州知事とワンヘルスの取組について意見交換を行い、香原議長から、県とハワイ州の協定の中でワンヘルスの明文化を要望したところ、州知事から、ぜひワンヘルスに一緒に取り組むということを書面化しておくべきだと思う。私は医師で、医療従事者がこの席に座れているということは珍しいことだと思うので、今行っておかなければ実現しないのではないかと思いますと賛同をいただきました。
そこで知事にお尋ねいたします。ハワイ大学との取組やグリーン州知事の意向を踏まえて、県はハワイ州とワンヘルスを盛り込んだ新たな覚書などを締結すべきではないかと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、大学におけるワンヘルス教育についてお尋ねいたします。先ほど述べました福岡県ワンヘルス国際フォーラムにて、大学関係者も数多く参加するなど、県内大学でもワンヘルスへの理解が進みつつあります。しかしながら、様々な取組を展開中の小中高等学校の児童生徒、教員と比較すると、県内大学の学生、教員のワンヘルスに関する認知度はまだまだ高いとは言えません。
人獣共通感染症を抑えるには、動物の生息環境の破壊を防ぐため、背景となる社会経済状況、気候変動といった環境問題など、保健衛生のほか関係する様々な分野の専門家が連携して取り組まなければなりません。この多様な専門家が分野の壁を越え課題解決に取り組む手法がワンヘルスアプローチです。多様な分野の専門的な知識、能力を持つ人材が結集する県内大学において、多くの学生、教員がワンヘルスを理解して教育研究を展開することにより、より一層ワンヘルスは推進されます。またワンヘルスアプローチを用いることができる人材を多く輩出することにより、様々な社会課題の解決にもつながります。このような観点から、県内大学におけるワンヘルス教育を促進する必要があると考えますが、知事の所見をお伺いします。
この項の最後に、ワンヘルス認証農林水産物についてお伺いします。先日、我が会派の
藏内勇夫相談役がアメリカ獣医師会を訪問されました。その際、ワンヘルス認証を取得した八女茶とあまおうを持参したところ、アメリカ獣医師会の幹部が出席された夕食会で、あまおうの大きさや甘さなど、八女茶の香りの高さやうまみなど、品質の高さを大絶賛されたとのことであります。また藏内相談役がワンヘルス認証の趣旨やその取組などを併せて紹介されたところ、参加者の皆様はワンヘルスの理念に強く共感し、その取組を高く評価されたということであります。こうしたワンヘルスに対する評価は、県産農林水産物を輸出する国々でも同様であり、共通の理念として推進されるべきものと考えております。
そこで知事にお伺いします。本県が世界に誇る八女茶やあまおうなど、ワンヘルス認証農林水産物を今後どのように輸出促進していくのかお答えください。
次に、土砂災害対策について伺います。昨年七月の梅雨前線豪雨では、令和三年以来、二年ぶりに大雨特別警報が発表され、耳納連山や英彦山では二十四時間降雨量が四百ミリを超え、観測史上最も多くなるなど記録的な大雨となりました。この豪雨の影響により、筑後地域を中心に各地で土石流や地滑り、崖崩れといった土砂災害が発生しました。特に久留米市の千之尾川を含む耳納連山における急峻な渓流では複数の箇所で土砂災害が発生しており、これらの箇所の土砂災害防止に向けた取組について、我が会派は九月議会の代表質問にてただしたところであります。質問に対して知事は、千之尾川を含む六渓流において新たに砂防ダムを設置し、その他の急峻な渓流についても砂防・治山施設の整備を検討すると答弁されました。
そこで、耳納連山の急峻な渓流における土砂災害対策の取組について、知事にお伺いいたします。
次に、千之尾川では土砂災害警戒区域外で家屋などが被災しており、知事は千之尾川のほか県内で発生した崖崩れ四か所について、地形の改変や被害状況を踏まえ、速やかに区域の見直しを行うと答弁されました。
そこで、これら五か所における区域の見直し状況について知事にお伺いいたします。
一方、近年全国的にも土砂災害警戒区域に指定されていない箇所で土砂災害が発生している状況を踏まえ、国は土砂災害防止対策基本指針を令和二年に改正しました。この改正により県は、従来よりも高精度な地形図を用いて、新たな土砂災害のおそれのある箇所の抽出に努めることとされました。このため県は3Dレーザー測量により、高精度な地形図を作成し、新たな土砂災害のおそれのある一万三千六百六十二か所を抽出しました。来年度からはこの現地調査に着手し、その結果により順次区域指定を行い、あわせて、全ての区域指定が完了するまでには年数を要することから、土砂災害リスクへの意識向上を図るため調査箇所をあらかじめ県のホームページで公表すると聞いております。
しかしながら、県のホームページの公表だけでは住民の方に調査箇所や調査の目的、内容が十分に伝わらないことが懸念されます。このため、公表された調査箇所等の周知について、より丁寧な対応が必要であるとともに、いざというときの避難行動が迅速に行われることが極めて重要であると考えます。県としてどのように取り組むか、知事の見解を伺います。
次に、農林水産問題についてただします。我が国は麦や大豆といった基礎食料の多くを海外の国からの輸入に依存しており、非常に脆弱な状況にあると言えます。そのことを我々日本人は、さきの
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や、ロシアによるウクライナ侵攻などにより気づかされ、改めて食料安全保障の重要性を認識するところであります。
このことを踏まえると、国内の農業生産をできるだけ拡大していくことが重要であり、農地の約八割を水田が占める本県においては、この水田をフル活用し、米のみならず小麦や大豆といった米以外の作物を振興していく必要があります。私の地元糸島市でも、株式会社百笑屋の松崎氏が、GPS搭載のトラクターなどスマート農業機械の導入による省力化や麦の品質向上に向けた追肥や適期防除を積極的に取り組み、米・麦・大豆の加工品の販売、堆肥のペレット化等の耕畜連携などと併せ、水田のフル活用による経営規模拡大を進めています。こうした取組が高く評価され、令和五年度の全国麦作共励会において農林水産大臣賞を受賞されるなど、成果が現れております。
こうした中、西日本を中心に栽培されている大豆の現行品種フクユタカは、品質や生産量の年次変動が大きく、実需者からは安定した品質と供給量が求められています。このため福岡県では令和四年産から、収穫の多い県育成の新品種ふくよかまるへの切替えを開始しており、導入した産地では例年よりも多くの収穫を確保できたということであります。県産大豆の品質・収量の向上と安定生産に向け、一年でも早く、このふくよかまるへの全面転換を図り、出口である需要拡大も合わせて、農家の所得向上を図るべきだと考えます。
そこで知事にお伺いします。全国有数の大豆産地である本県において、大豆新品種ふくよかまるの本県導入から二年目となった令和五年度の大豆の生産状況と、大豆生産者の所得向上に向け、ふくよかまるを今後どのように振興していくのかお答えください。
次に、有明海のノリ養殖について伺います。ノリ養殖は昨シーズン、西日本を中心に記録的な生産不調となり、本県の福岡有明のりについても、例年になく植物プランクトンが増えたため大変残念な結果に終わったことは記憶に新しいところであります。今期も昨年春頃から世界的な異常気象をもたらすとされているエルニーニョ現象が長期に、かつ大規模に発生し続けているとの報告もあります。有明海の状況を見ても、昨年夏の記録的な猛暑に始まり、秋口以降も一時的に寒波の到来はあったものの、全体的に暖冬、少雨の傾向が続いており、昨年と同様、今期のノリ養殖生産に影響が出るのではないかと心配しているところであります。
一方で、ノリ養殖の将来を考えた場合、一年一年の養殖管理はもちろんのこと、福岡有明のりのブランド力を守り強化していくためにも、まずは生産規模を維持していくことが不可欠と言えます。ノリ養殖は秋に種つけが行われ、その後、冬場を中心に収穫は春先まで続きます。その間、漁業者の皆さんは品質の高いノリを生産するため、真夜中から海に出て収穫作業を行い、収穫後はすぐに港に戻り、乾燥作業に移ります。そしてその後も、ノリ網の管理のため再び海に向かうといった大変な作業を行っています。ノリの漁業者も高齢化や減少が進んでおり、農業同様にノリ生産の規模拡大を進めていく必要があると考えております。
また、福岡有明のりは最高の品質を誇る神の手仕事を筆頭に、高品質ノリとしての確かなブランド力を持っています。しかし、販売・消費の面から考えると、私たちが小売店などでノリを購入する際、福岡有明のりの名称を目にする機会は多いとは言えないのが現状であります。消費者が福岡有明のりを食べていると意識しなければ、今以上の評価を受け、漁業者の所得向上につなげていくことは難しいのではないかと考えております。本県を代表する農林水産物である福岡有明のりのブランド力をさらに高めていくためには、生産の維持はもとより、消費者が買い求める商品の段階でも誰もが認識し、購入できる環境を整えていく必要があると考えます。
そこで知事に伺います。福岡有明のりの今後の生産と販売促進にどのように取り組んでいくのか、今期のノリ生産状況と併せてお答えください。
最後に、教育問題についてただしていきます。
初めに、公立学校における一人一台タブレット端末の更新についてであります。全ての子供たちに一人一台タブレット端末と高速通信ネットワークを整備し、個別最適な学びと協働的な学びの実現を目指す国のGIGAスクール構想がスタートして、全国の小中学校にタブレット端末が整備され、その後、本県の県立学校でも配備が進み、今年度から本格的な活用がスタートしています。学校では、タブレット端末の活用が目覚ましく進んでいるようでありますが、その一方で懸念される問題もあります。今回のタブレット端末の整備は、学年進行ではなく全学年で一斉に行われたため、更新の際の費用がかさむことになります。タブレット端末に内蔵されているバッテリーの寿命は一般的に四、五年程度とされており、数年後には大量のタブレット端末の更新時期を迎えます。特に公立小中学校では令和二年度から三年度にかけて配備が完了しており、更新時期が目前に迫ってきています。
そこで教育長にお伺いします。公立小中学校のタブレット端末の更新については、第一義的には小中学校の設置者である市町村が対処すべき課題でありますが、市町村の更新に要する財政負担をできるだけ軽減するなど、県教育委員会としてどのように取り組んでいかれるのかお答えください。
次に、博多青松高校における通信制教育の充実についてであります。文部科学省の調査によりますと、全国の不登校児童生徒は、十年前の平成二十五年度には約十二万人でありましたが、その後も増加を続け、特に令和に入ってから著しく増加し、平成三十年度の約十六万四千人から令和四年度には約三十万人と、この数年で倍増しております。
また、この不登校児童生徒の増加傾向と連動するように、近年、通信制高校に進学する生徒が増えており、十年前の平成二十五年度に中学校を卒業して通信制高校に進学した生徒は約二万三千人でしたが、令和四年度には約五万六千人になっており、この十年間で倍増しております。こうした通信制高校への進学者の増加は、学校やクラスになじめずに中学校で不登校になった生徒が、周囲の友達と合わせることを気にせずに自分のペースで学べる通信制高校を選択していることの現れであると推察するところであります。
そこで教育長にお尋ねします。本県には県立の通信制高校として博多青松高校がありますが、その在籍者数は増加を続けており、県立ならではの安価で良質な通信制高校への進学ニーズは近年さらに高まっているものと考えます。一方で、博多青松高校は福岡地区に立地しており、遠方に住む生徒にとっては通いづらいという課題もあります。中学校までに不登校を経験した生徒の増加に伴い、博多青松高校への進学希望者が増加している現状に対し、県教育委員会としてどのように取り組んでいかれるのかお答えください。
最後に、不登校生徒の全日制高校などへの進学の拡大についてであります。中学校で不登校を経験した生徒の中には、高校進学を機にまた学校に通って学びたい、大学に進学するために高校で勉強したいなどの意欲を持ち、他の生徒と同じように全日制高校などに進学したいと思いながらも、進学に強い不安を抱いている生徒も多いと聞き及んでおります。不登校を経験した生徒も、環境や人間関係が変わる高校進学を機に学校に通い、仲間と共に学校生活を送りながら、自らの希望する進路の実現に向けて力を伸ばしたいと思っている生徒は決して少なくないと思います。そのような思いを持ち、全日制高校などへの進学を望んでいる生徒が、入試や進学後の不安から志願自体を諦めずに済むようにしなければならないと。
そこで教育長にお尋ねいたします。来年度予算案には、県立高校としては全国初となる学びの多様化学校を令和七年度に設置するための必要経費が計上されております。我が会派といたしましても、まさに時宜を得た施策であると評価するところでありますし、意欲ある生徒が安心して学び、社会で自立できる力を伸ばす教育環境を整えることが大変重要であると考えております。学びの多様化学校について、どのように検討・準備を進め、不登校などを経験した生徒の県立高校への受入れに取り組んでいくのかお答えください。
以上で
自民党県議団の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
3 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。
まず、三年間の県政の総括と今後の取組についてでございます。私は知事就任以来、新型コロナ対策、度重なる豪雨災害への対応など緊急事案に対処しながらも、そういう厳しいときだからこそ、将来の発展の種をまき芽を育てていかなければならないと考えました。将来を見据え、三つのチャレンジとして公約に掲げました次代を担う人財の育成、世界から選ばれる福岡県の実現、ワンヘルスの推進を着実に進めてまいりました。
次代を担う人財の育成では、昨年度、県立高校全生徒へのタブレットの配備を実現いたしました。また、アンビシャス運動を発展的に継承し、市町村や地域団体、企業などと連携した未来子どもチャレンジ応援プロジェクトを始動いたしました。
出生数の減少が続く中、少子化に歯止めをかけるため、今年度、出産・子育て安心基金を創設いたしました。これを活用した施策に加え、来年度はこども計画を新たに策定し、子供施策を総合的に推進してまいります。
子供の居場所となっている子供食堂が安定した活動ができるよう、地域のネットワーク化を図るとともに、クラウドファンディング型ふるさと納税による寄附を募集し、県産の食材を提供いたしました。
昨年八月に開設した福岡半導体リスキリングセンターは、これまでに三千人を超える技術者が受講されており、大変御好評をいただいております。
女性活躍につきましては、女性の進出が少ないIT、建設業など様々な分野で活躍する人材を育成しております。企業の管理職などロールモデルとなる女性との交流の場、福岡キャリア・カフェを今後県内各地に拡大してまいります。
日本財団と連携して開設いたしました国会図書館の蔵書のデジタル化を行う就労支援の場は、複数の障がい者施設を利用している方や働きづらさを抱えた方が共に働ける全国唯一の福岡方式として、高い工賃を実現しております。
世界から選ばれる福岡県の実現では、久留米・うきは工業団地に進出した筑水キャニコムや九州初となる資生堂の新工場が操業を始めました。現在造成中の直方・鞍手工業用地のほか、今後、苅田港新松山地区第三期工業用地の造成、うきは西部工業用地造成に向けた調査などを進めてまいります。
一昨年、グリーンをキーワードに、半導体、自動車、水素の産学官連携組織を発展的に改組、新設いたしました。これらを生かし、グリーンデバイス開発・生産拠点の構築や、脱炭素化に向けた電動化などに対応する自動車のグリーン先進拠点の形成、水素大規模拠点など、グリーン水素による経済と環境の好循環の実現に向けた取組を進めてまいります。
バイオでは、令和三年、西日本で唯一、国の地域バイオコミュニティに認定され、大手製薬企業とのライセンス契約や株式上場、資金調達に成功するバイオベンチャーが次々に生まれております。令和七年、福岡に拠点施設を開設いたしますCICとの連携をさらに深め、こうした企業の資金調達、海外展開等を支援し、さらなる成長を後押しするエコシステムの形成を推進いたします。
国際金融機能の誘致では、チーム福岡として、アジアを中心として二十三社の誘致に成功いたしました。来年度は、福岡市と共同提案した金融・資産運用特区の認定を目指します。また、資産運用会社等が集積する北米での誘致活動を強化します。
農林水産分野では、あまおうの販売単価十九年連続日本一、八女茶については、八女市が玉露で二十三年連続産地賞を受賞、大豆のふくよかまるが販売単価日本一を達成など、ブランド力向上の取組は着実に成果を上げております。
昨年末、北九州空港の滑走路延長工事が着工いたしましたほか、福岡空港滑走路増設は来年度中の完成見込みであります。福岡高速三号線の延伸、八木山バイパス及び東九州自動車道の四車線化、有明海沿岸道路の本県区間全線開通など、基幹的道路の整備は着実に進んでおり、今後も北九州下関道路の早期整備等、国へ働きかけてまいります。また、西鉄天神大牟田線連続立体交差事業による高架切替え、BRTひこぼしラインの開業などが実現し、沿線地域の振興に寄与をいたしております。
一昨年度の世界体操・新体操選手権北九州大会、昨年十月のツール・ド・九州など大規模スポーツ大会の誘致が実現し、大いに盛り上がりました。新型コロナで大きな打撃を受けた観光産業は、需要喚起のための宿泊助成の実施等により、宿泊者数がほぼコロナ前の水準まで回復いたしております。今後、課題である欧米豪からのインバウンド誘客、本県では二十五年ぶりとなる福岡・大分デスティネーションキャンペーン等により、国内外から集客を図ってまいります。
ワンヘルスの推進は大きく前進をしております。一昨年、本県で開催されましたアジア獣医師会連合大会では、アジアワンヘルス福岡宣言二〇二二が世界に向けて発信されました。昨年はFAVAワンヘルス福岡オフィスが開所、アジア及び世界のワンヘルス実践活動をリードする同オフィスと連携し、世界的先進地を目指した取組を進めてまいります。全国初となるワンヘルスセンターは、みやま市の御協力の下、建設地を決定、令和九年度中の開設に向けた準備を着実に進めております。ワンヘルス教育につきましては、今年度、全ての県立高校での実施が実現いたしました。今後、義務教育段階からの系統性ある教育の推進を図ってまいります。また、昨年四月にはハワイ大学とワンヘルス推進に関する覚書を締結しました。共同研究や人材育成を進め、県内の大学におけるワンヘルス教育を推進してまいります。
このように、三つのチャレンジは着実に進展しているものと考えております。また、新たに設置した市町村振興局が市町村の皆様の総合相談窓口となり、市町村の立場に立った支援を行うことで、県と市町村のより強固な関係の構築につながっているものと考えております。市町村振興局以外では、業務を進めるに当たり、女性活躍、ワンヘルスの推進、国際スポーツ大会の開催、いじめへの対応について、現在の組織体制のままでは課題があり、見直す必要があると考えております。こうした施策をはじめ、県政における幅広い施策を力強く実行することで、実を上げ、福岡県の未来を見据え、成長発展を加速前進させてまいります。
二つの新たな視点についてでございます。県では今年度から、一千億円の人づくり、県内GDP二十兆円への挑戦、安全・安心で活力ある社会づくり、この三つの柱の下、施策を展開してまいりました。令和六年度はこの三つの柱に基づく施策を力強く実行し、福岡県の将来を見据え、成長発展を加速前進させたいと考えております。この方針の下、特に将来を守る持続可能な、いわゆる
サステナブル社会への改新として、少子化の進行やこれに起因した人口減少を背景とする人手不足への対応、物価と賃金の好循環の実現など、先送りできない社会課題に立ち向かいますとともに、度重なる災害、新興感染症、地球温暖化による気候変動など、私たちの暮らしを脅かす様々なリスクから県民の皆様の将来を守る。また、未来を拓く、物事を革新する、いわゆるイノベーションの創発として、人口減少、中でも生産年齢人口が減少していく中において、デジタルや先端技術、そして何より人が生み出すイノベーションの力によって労働生産性の向上や新たな価値の創出を図り、福岡県を力強く成長発展させていく。このような考えから、この二つを新たな視点として施策を展開していくこととしたものであります。
次に、
財政改革プラン二〇二二に掲げた改革措置についてお尋ねがございました。令和四年度から六年度の三年間で、事業の必要性や効果・成果を検証し廃止・縮小等を行う事務事業の見直しで三百七十六億円、ジェネリック医薬品の使用促進や要介護認定の適正化等に取り組む社会保障費の増加の抑制で四十五億円、財源面でより有利な補助・交付金事業をできるだけ活用することにより必要な事業規模を確保しつつ、県単独公共事業費を毎年度二%程度抑制する建設事業の重点化で六億円、デジタル技術の活用等による業務の効率化、アウトソーシングなどに取り組む効果的・効率的な組織体制の整備で十六億円、未利用地の処分や定期借地方式による土地貸付け、滞納整理の強化など財政収入の確保で百五十四億円、これら五つの改革項目の合計で、目標額の五百七十六億円を二十一億円上回る五百九十七億円の改革効果を上げております。
これまでの県財政の運営を振り返りますと、経済情勢の変化による県税の大幅減収や国の地方財政対策の取扱いなどによりまして収支が逼迫し、
財政調整基金等三基金が枯渇して財政再建団体に転落するおそれが生じましたことから、三度にわたり時限的な職員の給与カットや県民サービスの圧縮などの措置を行わざるを得ない状況となったこともございました。今後、こうした緊急的な措置を講じることなく、県民の皆様が必要とする行政サービスを提供し続けるとともに、本県が未来に向けて飛躍、発展していくための重点施策を実施するため、その財源確保に計画的に取り組んでいく必要がございます。引き続き事務事業の不断の見直しなど、プランに基づく改革措置を着実に実行するとともに、産業を育成し税源の涵養を図るなど、歳入歳出両面からの改革努力に全力を挙げてまいります。
日本や世界の経済情勢を踏まえた本県の景気・経済情勢の展望についてでございます。内閣府は、二月二十一日に公表した月例経済報告におきまして、世界の景気は、一部の地域において弱さが見られるものの持ち直しているとしております。地域別に見ると、ユーロ圏では消費や生産が弱含んでおり、中国でも消費は持ち直しに足踏みが見られます。一方、アメリカでは消費の増加などにより景気は拡大しております。
我が国の景気は、このところ足踏みも見られるが緩やかに回復しているところでございます。一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により生産活動が低下し、輸出や設備投資などで足踏みも見られますが、雇用情勢では完全失業率が低下するなど改善の動きが見られます。金融情勢では、先週二十二日、日経平均株価は三十四年ぶりに史上最高値を更新いたしましたが、足元では、賃金上昇が物価上昇に追いついておらず、経済の改善を実感しにくい面があるということも認識しているところでございます。
このような社会経済情勢の下で、本県の生産分野では、十二月の鉱工業生産指数を見ますと、自動車などの低下により持ち直しの動きに足踏みが見られます。一方、百貨店・スーパーの販売額は前年同月比プラスで推移し、さらに日本銀行の企業短期経済観測調査によります九州・沖縄の企業景況は、製造業、非製造業ともに七四半期連続でプラスとなるなど改善しております。これらのことから本県景気の現状は緩やかに回復していると判断しております。
今後の動向については、雇用・所得環境が改善する下で、補正予算による経済対策をはじめとした各種政策の効果もあって緩やかな回復が続くことが期待されますが、海外景気の下振れリスクや物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があると考えております。
来年度の県税収入についてでございます。来年度の県税収入は今年度当初予算比で一・四%、百五億円増と、過去最大となる七千四百二十三億円余を見込んでおります。
主な税目では、個人県民税につきましては、定額減税の影響により五十二億円の減収が見込まれますが、法人二税については、ITセキュリティー事業やビルの保守管理業などのサービス業や百貨店やコンビニなどの小売業において、経済活動の回復による客足の増加などにより六十八億円の増を見込んでおります。また地方消費税については、半導体などの自動車部品の輸入額の増加により五十三億円の増を見込んでおります。このほか自動車税については、自動車販売台数の増加により二十二億円の増を見込んでおります。
地方財政計画と県予算の税目ごとの差異についてでございますが、個人県民税においては、
地方財政計画九六・八%に対し、県は九六・四%、法人二税においても、
地方財政計画一〇四・〇%に対し、県は一〇三・六%と若干低い伸び率となっておりますものの、地方消費税においては、
地方財政計画九七・一%に対し、県は一〇二・一%と高い伸び率となっております。これは、輸入が好調な半導体電子部品などが全国と比較し強い伸びを示しておりますことから、貨物割において増収を見込んでいるところでございます。
各税目の算定に当たりましては県の実情に即して適切に見込んでおりまして、当初予算に係る税収を確保できるものと考えておりますが、国内外の景気の下振れなどの影響に十分注意する必要があると考えております。
今年度の県税収入の見込みについてでございます。今年度の県税収入につきましては、当初予算額七千三百十九億円から百四十一億円上回る見込みでございます。
主な税目では、地方消費税について、輸入額の増加により当初予算額から八十一億円上回る見込みです。株式等譲渡所得割につきましては、株式取引の増加により三十億円上回る見込みです。自動車税については、自動車販売台数の増加により二十一億円上回る見込みです。また法人二税につきましては、製造業において、化学工業などで
原材料価格高騰の影響により一部減収が見られるものの、非製造業において、経済活動の回復によりサービス業や運輸業の企業業績の堅調な推移が見込まれますことから、七億円上回る見込みとなっております。
次に、消防団員の確保や消防団の強化についてお尋ねがございました。地域防災力の向上を図る上で消防団の強化と団員の確保は重要でございます。消防団の団員数は近年、若年層の入団者数の減少により、全国並びに県内において減少傾向にございます。県では若年層の団員確保に向け、将来の担い手となる大学生等による消防防災サークルの立ち上げ等を支援しておりまして、これまでに十一サークルが設立されております。今年度は大牟田市の大学サークルと地元消防団による交流事業を実施し、団活動の魅力ややりがいを伝える意見交換や放水の体験を行いました。来年度は他大学への事業展開を図ってまいります。
また、消防団活動に対して雇用者の理解と協力が得られますよう、従業員の相当数が消防団員である事業所に対する入札参加資格審査の優遇措置や、消防団への協力が特に顕著な事業所への知事表彰を行っております。
さらに、消防団員の確保について市町村のより積極的な取組を促しますため、今年度、広報勧誘活動を強化する市町村への補助金制度を新たに創設し、若年層向けの動画の作成やイベントでの勧誘活動など、九つの市町の十三事業の取組を支援したところでございます。
加えまして、消防団の強化に向けては、ドローン等のデジタル技術の導入や車両等の装備の充実も重要でございますことから、市町村に対し国のモデル事業や補助金等の活用を促しております。
災害発生時にはいち早く現場に駆けつけ、昼夜を問わず地域住民の皆様の命や暮らしを守る消防団はまさに地域防災の要であり、消防団員の確保は、県、市町村、地域住民にとって喫緊の課題でございます。今後も市町村としっかり連携を図るとともに、今年度創設した県補助金の活用による団員確保を一層働きかけるなど、消防団員の確保と消防団の強化に取り組んでまいります。
個別避難計画の作成についてでございます。県では、高齢者や障がい者などの避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難を確保するため、氏名、住所、心身の状況等の情報提供に同意した方を対象として、そのお一人お一人に対し避難支援者や避難先などをあらかじめ決めておく
個別避難計画の作成を支援しております。
計画作成を進めていくためには、避難支援者の確保のほか、地域の関係者による自発的な参画が不可欠でございますことから、これまで市町村と連携し、自主防災組織や消防団等の避難支援関係者による推進体制の構築、自発的な計画づくりの参画意識を醸成するための研修や訓練の実施などに取り組んでまいりました。具体的には、みやま市や田川市など五つの市町に対し専門家や県職員を派遣し、協議会の設置や計画作成に向けた具体的な手順等に関する助言を行いました。その結果、みやま市、築上町では、福祉専門員なども参画する協議会が設置され、現在計画作成に向けて取組が進められております。田川市でも協議会設置の準備が進められております。また、大牟田市や八女市など十の市町と連携し、住民を対象とした研修や避難訓練を実施し、避難支援者となることに対する理解の向上を図ったところでございます。
さらに今年度は、市町村の職員の皆さんに計画作成のノウハウを習得していただきますため、模範的な取組を行っている他県の市町村職員を講師に招き研修会を開催し、先進事例の紹介や課題解決のための意見交換を行いました。
これまでの支援に加え、今回の
能登半島地震を踏まえ、早期に全ての市町村が
個別避難計画の作成率七〇%を超えるよう、市町村への働きかけを強めてまいります。
次に、海域活断層の
被害想定調査についてです。地震に関する防災アセスメント調査は、プレート地震と主要活断層地震が引き起こす被害想定を調べることといたしております。このため、今議会に予算を提案させていただいております調査につきましては、これまで被害想定しておりませんでした南海トラフ地震と、直近における平成二十三年度の警固断層を含む四断層の調査以降、新たに県内の主要活断層に追加されました福智山断層、宇美断層、日向峠─小笠木峠断層を対象といたしております。これらの調査に当たりましては、地震を専門とする大学教授等の有識者を構成員とする専門委員会を設置し、調査方法や調査項目等を決定していただくことといたしております。
海域活断層につきましては、県内の主要活断層ではないため今回の調査対象とはしておりませんが、
能登半島地震が海域活断層によるものであることを考えますと、御指摘のとおり重要な論点でございます。このため海域活断層の調査の必要性についてこの専門委員会に諮り、調査が必要であるとの見解が示されました場合には
被害想定調査の実施を検討してまいります。
半島のリスク対策についてです。今回の
能登半島地震では、限られた主要道路の崩壊による寸断や港湾施設の損壊等により、多くの集落が孤立するという半島のリスクが明らかとなりました。県
地域防災計画では孤立集落への対応について、物資の供給が相当困難な場合を想定した食料や燃料等の物資の調達・輸送体制の整備及び備蓄並びに備蓄すべき量、衛星や無線の通信機器等、災害時でも利用可能な非常用通信手段の確保などを定めております。
しかしながら、今回の
能登半島地震では長期にわたり支援物資が届かず、多数の集落が孤立した状態となりました。県内で同様の事態が起こった場合に、現在の県
地域防災計画で定める内容で十分であるのかどうか、県内で孤立するおそれのある集落の現状及び国による
能登半島地震への対応の検証結果を踏まえまして、県
地域防災計画を点検する必要があると考えております。この点検結果を踏まえ、必要に応じて県
地域防災計画を改定したいと考えております。
本県全体と市町村の住宅の耐震化の状況についてお尋ねがございました。まず、本県全体の住宅の耐震化ですが、総務省による住宅・土地統計調査を基にした県の推計では、平成三十年時点において耐震化率は八九・六%と全国平均の八七%を上回っておりますが、耐震性が不足する住宅は依然として約二十三万戸残っております。また、県内市町村の住宅の耐震化の状況を見ますと、耐震改修促進法に基づき市町村が公表している耐震化率は、八〇%以上が十四、五〇%以上八〇%未満が四十一、五〇%未満が五となっております。傾向といたしましては、比較的新しい住宅の多い都市部の耐震化率は高く、古い住宅の多い町村部においては耐震化率が低いという状況にございます。このように県内において耐震性が不足する住宅がまだ多数残っておること、また地域によって耐震化が進んでいないことが問題であると認識いたしております。
この住宅の耐震化に対する今後の取組についてでございますが、県では耐震性が不足する住宅が多数残っておりますことから、この耐震化を進めるため、耐震改修に関する相談窓口を福岡県建築住宅センターに設置する、各地域での県民向けの耐震改修セミナーを開催する、建築士の資格を有する耐震診断アドバイザーを派遣する、市町村を通じて行う既存住宅の耐震改修費補助などを実施をいたしております。
能登半島地震を受けまして、住宅の耐震化に関する相談窓口に寄せられる相談や耐震診断アドバイザーの申込み件数は通常の二倍以上となっております。このように県民の皆様の耐震化に対する意識が非常に高まっておりますことから、県といたしましては、各戸配布広報紙「福岡県だより」におきまして、改めて耐震診断アドバイザー派遣制度や耐震改修費補助制度を周知いたしますとともに、市町村に対しても同制度の周知依頼を行いました。
今後の取組としては、耐震改修セミナーにおきまして耐震改修に関する講演に加え、出張相談コーナーを設置いたしまして、県民の皆様の相談に直接対応することといたしております。また、新たに全ての市町村、関係団体で構成いたします福岡県住宅・建築物耐震化連絡協議会を立ち上げ、市町村と連携して情報共有や意見交換を行ってまいります。なお、地域によって耐震化が進んでおりませんことから、協議会の中にこれらの市町村で構成する部会を設置し、地域ごとの課題に応じた取組を議論してまいります。
こういった取組を通じて、県民の皆様の耐震化に対する意識の向上を図り、住宅の耐震化を促進してまいります。
避難生活における女性の安全・安心の確保についてお尋ねがございました。県では、避難所運営を行う組織の構成員を三割以上女性とすること、更衣室など女性に配慮したスペースを確保すること、生理用品や女性用の下着類の配付は女性が行うことなどの避難所運営に女性への配慮の視点を記載した福岡県避難所運営マニュアル作成指針を市町村に提供いたしまして、各マニュアルへの反映を要請してまいりました。また、今回の
能登半島地震を契機として、県内市町村の避難所運営に関する調査を実施をいたしました。マニュアルへの反映が不十分な市町村に対しましては、改めて個別に早期の見直しを行うよう要請を行ったところでございます。
さらに、これまで市町村長や自主防災組織リーダー等を対象に、避難所における女性への配慮について講演を行いますとともに、女性専用のスペースの配置の仕方などの避難所運営訓練を実施しております。
一方で、避難所運営の在り方を検討する市町村の防災会議における女性委員の割合は、令和四年十二月時点で五十六市町村が国が目標とする三〇%を下回っておりまして、九つの市町村ではゼロ人となっております。避難所運営の在り方の検討の場に女性の視点は不可欠であるとの認識の下、こうした女性の割合が低い市町村に対しましては女性の人数を増やすよう働きかけておりまして、特にゼロ人の市町村に対しましては早期に解消されるよう市町村長に対し強く要請を行ってまいります。
なお、避難所運営の責任を有する市町村の防災部局におきましても女性の視点は必要でございますが、その割合につきましては、全国の平均九・九%を下回る市町村数は三十六ございまして、このうちゼロ人の市町村は三十三となっております。防災部局の担当者が三人以下の市町村を見ますと、九割以上がゼロ人となっております。このゼロ人の市町村には専任の女性職員の配置を求めますとともに、女性の視点を生かすため、できるだけ多くの女性職員が防災業務に関わるような工夫をしていただくよう働きかけてまいります。
こうした取組を継続して行い、避難生活における女性の安全・安心がしっかり確保されるよう努めてまいります。
人口推計の結果を踏まえた県内の人口減少の状況に対する認識についてお尋ねがございました。昨年十二月に公表されました日本の地域別将来推計人口によりますと、本県の人口は五年前の前回推計と比べ、比較可能な二〇四五年におきましては六万八千人上回っておりまして、人口減少の速度は緩やかになっております。これは主に外国人の生産年齢人口の増加傾向が反映されているものであると考えております。
しかしながら、これを十五の広域地域振興圏別に見ますと、二〇五〇年の人口は、大学や企業が集積いたします福岡市とその周辺の圏域を合わせました福岡都市圏では一割未満の減少にとどまりますものの、それ以外の圏域では約二割から約四割の減少が見込まれております。さらに福岡都市圏以外の圏域を詳細に見ますと、福岡都市圏へのアクセスがいい久留米市、筑後市や、製造業が集積しております苅田町など、減少率が約一割程度にとどまる市町がございます一方で、福岡都市圏から遠い豊築や有明などの県境地域では県内でも特に大きな減少が見込まれており、県内における地域間格差は大きな課題であると認識をいたしております。
各地域の人口減少を食い止めるためには、誰もが住み慣れたところで働き、長く元気に暮らし、子供を安心して産み育てることができるという地域社会づくりを進めることが必要でございます。出会い・結婚、出産、育児など、それぞれのライフステージに合わせた少子化対策に取り組みますと同時に、就職などによる若者の流出といった社会的な減少に対処していかなければなりません。
具体的には、各地域の経済と雇用を支える中小企業への支援や、地域の基幹産業でございます農林水産業の振興、観光産業の振興、国内外からの企業誘致、産業基盤となる基幹的道路の整備などにより、県内各地で魅力ある雇用の場の創出に取り組むことが必要でございます。さらに医療・福祉サービスや教育の充実、地域公共交通の維持・確保など、生活環境を向上させ、住みたいと思ってもらえるようなまちづくりを進める必要があると考えております。
県境の地域振興についてでございます。県境地域であります豊築地域及び有明地域の総人口は、両地域とも過去四十年間で約三割程度減少し、また将来推計人口においても今後三十年間でさらに四割程度減少すると見込まれておりまして、非常に厳しい状況にあると認識しております。これらの地域は、隣接する大分県や熊本県との間で通勤や通学、買物、病院など生活圏としてのつながりが強く、県境を越えた定住自立圏を形成しているところでもありまして、両県におかれましても、本県と同様の課題意識を持っておられるものと考えられます。
県境地域の振興を図るためには、隣接県も含めた県境地域全体を見据えて、企業誘致や産業基盤の整備による雇用の場の創出や医療・福祉・教育の充実など、あらゆる分野における検討が不可欠でございます。令和六年度当初予算案におきましては、豊前市と大分県中津市を結ぶ県営林道豊前耶馬渓線の開設、有明海沿岸道路大牟田北インターチェンジと熊本県南関インターチェンジを結ぶ県道南関大牟田北線のバイパス整備などの予算を計上させていただいておりますが、厳しい状況にある両地域の浮揚発展のためには、ただいま申し上げましたように総合的な対策が必要であると考えております。このため、今後速やかに市町村振興局長をトップとする部局横断的なプロジェクトチームを庁内に設置いたしまして、地域の課題を整理、分析し、地元の市町と一緒になって様々な角度から振興策を検討してまいります。その上で、大分県、熊本県とも丁寧に意見交換を行い、県境地域全体が浮揚するような大きな視点を持って地域振興に取り組んでまいります。
バス・タクシー運転手不足への対策についてでございます。県では、バス・タクシー運転手不足の現状や課題、必要な対策について幅広く意見を伺いますため、学識者、交通事業者、九州運輸局、北九州市、福岡市、嘉麻市などに呼びかけまして、昨年十一月から福岡県地域公共交通運転手不足問題検討会議において議論を重ねてまいりました。この会議でいただいた意見などを踏まえまして、運転手の確保に向けた新たな取組を始めることといたしまして、今議会に関連予算をお願いしております。
まず緊急対策として、女性、外国人など多様な人材を運転手として受け入れるために必要なトイレや更衣室の改修、配車アプリの導入など、職場環境の整備を助成することとしております。また第二種自動車運転免許の学科試験を、英語、中国語、ベトナム語、ネパール語の四か国語で実施いたします。さらに中長期的な視点での対策を協議、推進するため、検討会議を実行委員会として改組をしまして、その下で運転手の魅力や活躍の姿を伝える動画を制作し、広く県民の皆様に周知・広報するほか、運転体験会、合同会社説明会といった就職につながる取組などを実施してまいります。
このような取組を通じ、深刻な運転手不足の状況の改善を図り、地域公共交通の維持・確保につなげてまいります。
物流の二〇二四年問題に係る今後の県の取組についてでございます。今年四月から働き方改革関連法が適用され、トラックドライバーの労働時間の上限が規制されることによる輸送能力の減少が懸念されております。この問題に対応していくためには、物流の効率化、商慣行の見直し、荷主・消費者の行動変容といった取組が必要です。
まず物流の効率化を図るため、中小
トラック運送業者を対象とした新たな補助制度を創設することといたしまして、今議会においてそのための補正予算をお願いしております。具体的には、荷積み・荷下ろし作業によるドライバーの労働負担を軽減するための荷台昇降機等の導入、荷待ちによるドライバーの拘束時間を削減するための配送効率化システムの導入などを対象として、最大三十万円の助成を行うこととしております。
また、商慣行の見直しや荷主、消費者の行動変容を図るため、福岡県中小企業団体中央会のメールマガジンなど企業向けの媒体を活用し、荷主に対して納期限の見直しや荷待ち時間の短縮などを促しますとともに、県のホームページを活用し、消費者の皆様に対して再配達を減らすなどの配慮をお願いしてまいります。
こういった取組によりまして、
トラック運送業者をしっかり支援し、物流の二〇二四年問題に対処してまいります。
北九州空港の貨物拠点化に向けた取組についてでございます。県ではこれまでもこの北九州空港が
貨物拠点空港としてさらに発展していくことを目指しまして、北九州市、苅田町等と連携し、国際貨物の集荷促進や就航便の運航に係る経費の助成などを通じまして、路線の誘致や集荷促進の取組を進めてまいりました。
二〇二四年問題による全国的な輸送能力の減少が懸念されております中、さらなる集荷促進を図るため、国際貨物については、これまで行ってまいりました集荷促進に係る経費の助成に加え、今後の県内の半導体関連貨物などの輸送需要活発化を見据えまして、新たに当該貨物を北九州空港から輸出する際の輸送費用の一部を助成するための予算を今議会でお願いをいたしております。これにより、成田、関西両国際空港を利用して輸出する場合と同等の輸送コストに抑制をし、県内の国際貨物などの輸送時間の短縮を図ります。
また、国内貨物につきましては今年四月から、ヤマトホールディングスと日本航空により、北九州空港から羽田空港等への貨物専用便が運航される予定でございます。これを踏まえ、当該貨物専用便への集荷の促進を支援するための予算を同様に今議会でお願いしております。これにより、県内の生鮮品をはじめとした貨物について、首都圏等への速達性の高い安定的な航空貨物輸送ルートの確保が期待されます。
こういった施策により、令和九年度の滑走路三千メートルへの延長事業の完成を見据え、北九州空港の貨物拠点化をさらに進めることで、物流の二〇二四年問題により懸念される輸送能力の減少に対し積極的に貢献できるよう取り組んでまいります。
次に、医師の働き方改革に向けた県の取組についてでございます。医師の長時間労働の実態について県による聞き取り調査では、昨年一月時点で年間の時間外・休日労働時間が九百六十時間を超える医師が勤務している病院は、四百五十四病院のうち四十二ございました。
現在、地域医療の確保等を理由に、千八百六十時間までの時間外・休日労働が認められる
特定労務管理対象機関となるために、特例の指定申請をした病院は二十六病院で、これは救急医療を行う病院や大学病院です。このうち十一病院は既に指定しておりまして、残りの十五病院は今年度中の指定に向けて手続を行っております。
県といたしましては、医師の働き方改革に取り組む医療機関を支援するため、これまで県医師会や福岡労働局との共催で、医師の働き方改革に係る手続や労務管理に関する説明会の開催、県が設置いたします医療勤務環境改善支援センターにおきまして、宿日直の許可の取得や勤務間インターバルの導入など、個別の相談対応などに取り組んでまいりました。
今後は、全ての医療機関において働き方改革を踏まえた三六協定の締結や、医師に対する面接指導など追加的健康確保措置への対応も求められますことから、引き続き医療勤務環境改善支援センターによる相談対応に取り組みますとともに、県医師会などと連携いたしまして医師の働き方改革を支援してまいります。
一方で、国の検討会の報告や県医師会との協議を踏まえますと、休日や夜間も対応が必要な救急医療の提供体制への影響が懸念されております。このため県では、県医師会と連携し、救急医療を行う医療機関に令和六年四月以降の対応について調査を行いました。この調査の結果、医師の確保が困難となる休日・夜間急患センターもございまして、地域の医師会や市町村など関係者が協議し、開業医の出務回数を増やす予定といたしております。このような取組によりまして、現時点で地域の救急医療提供体制はおおむね維持されるものと見込んでおります。
県といたしましては引き続き、医師の働き方改革による影響を把握いたしますとともに、関係者と丁寧な協議を行い、地域の実情に応じた医療提供体制の構築を推進してまいります。
プレミアムつき地域商品券の発行支援についてでございます。地域商品券は必ずその地域で使われ、消費を喚起し地域経済に直接の効果をもたらしますため、多くの事業者の皆様に効果を実感していただける取組でございますことから、平成二十一年度から継続してその発行を支援してまいりました。令和二年度以降は、コロナ禍という未曽有の危機に対応するため、プレミアムに対する助成率を平時の百分の三から百分の十へと特例的に引き上げて支援してまいりました。
昨年五月、
新型コロナウイルス感染症が五類に移行し、人・物の動きが活発になってまいりました。しかし一方で、実質賃金がマイナスとなり個人消費が伸び悩んでいることや、原材料・エネルギー価格の高騰、ゼロゼロ融資返済の本格化など、地域の事業者の皆様にとっては依然として厳しい状況が続いていると認識いたしております。
こうした中で、県内の商工会議所、商工会の皆様からも、地域の中小企業・
小規模事業者は厳しい経営環境にあり、来年度に限り、今年度と同様の支援を継続してほしい旨の強い要望がなされたところでございます。こうした状況を踏まえまして総合的に検討いたしました結果、来年度については、プレミアムに対する助成率を本年度と同様の百分の十に据え置くことといたしました。
なお、今後の発行支援の在り方につきましては、先ほど申し上げました実質賃金や個人消費の動向などを十分見極めた上で検討をしてまいります。
価格転嫁の円滑化に関する連携協定に基づく取組でございます。価格転嫁の状況を把握し発信するため、昨年、県内企業を対象に価格転嫁・賃上げの実施状況等調査を実施し、その結果を公表いたしましたほか、価格転嫁等の好事例集も作成し、チラシやホームページ等で広く発信いたしました。また、価格転嫁の円滑化に向けた啓発広報のため、取引適正化推進フォーラム福岡大会を開催いたしましたほか、取引適正化や賃上げの実現を訴える街頭啓発活動、毎年三月と九月に設定されております価格交渉促進月間には、新聞やラジオ等による広報啓発を集中的に行っております。さらに、パートナーシップ構築宣言企業の登録促進のため、昨年四月から県の中小企業向け補助金への加点措置も導入いたしました。こうした取組により、パートナーシップ構築宣言企業数は、昨年二月の協定締結時の六百六十二社から、二月二十六日現在では千三百五十三社へと倍増いたしております。
価格転嫁の機運をそぐことがないよう、三月末で期限を迎えます価格転嫁の円滑化に関する協定の更新を現在各団体に働きかけているところでございまして、今後も引き続き官民労十三団体で連携し、パートナーシップ構築宣言企業の登録促進などにしっかりと取り組んでまいります。
なお、来年度からは新たに事業者の価格交渉スキル向上のためのセミナー、また事業者を伴走支援する中小企業賃上げ応援専門家の派遣にも取り組む考えでございます。
こうした取組を通じ、中小企業における取引適正化を促進し、賃金と物価の好循環の実現を目指してまいります。
国際金融機能の誘致について、金融機関等の人材確保についてお尋ねがございました。国際金融の分野では、気候変動など社会課題を解決するための投資の拡大、金融サービスや業務プロセスなどのデジタル化により、これに対応する専門人材に対するニーズが高まっておりまして、国内外での人材獲得競争は厳しさを増しております。実際、本県に進出または進出を検討中であるという金融機関からは、即戦力の人材を確保するためには人材紹介会社一社一社に依頼する必要があって時間と労力がかかっているとの声を伺っております。このため県では、金融人材の紹介に強みを持っております一般社団法人日本人材紹介事業協会の九州地区協議会に加盟いたしております二十三社に一括して求人依頼をし、紹介可能な事業者が求職者を紹介するという金融・フィンテック人材ワンストップ紹介システムを全国で初めて構築いたしました。今月九日には、香原議長にお立ち会いいただきまして、窓口となる人材紹介会社との間で連携協定を締結いたしました。
また、金融人材育成のため、高校生につきましては、来年度から全県立高校において金融リテラシー教育を実施いたします。大学生につきましては、県の国際金融アドバイザーやフィンテック協会と協力し、九州工業大学において、民間のフィンテック技術者から学生が直接学べる、そして単位取得も可能な講座、金融業務概論を新たに開設していただきました。また、九州大学においては、福岡で可能なグローバルな働き方など、金融業界への興味関心を喚起する金融業界セミナーを共同開催いたしました。今後もこれを継続するとともに、連携する大学を増やしてまいります。
県といたしましては、本県の強みに新たに加わりましたこの紹介システムを金融機関等に積極的に活用していただきますとともに、地元での金融人材創出を促進することによりまして、進出した金融機関等の人材確保を支援し、さらなる国際金融機能の誘致につなげてまいります。
福岡へのさらなる国際金融機能誘致に向けた取組方針についてでございます。この取組をさらに強化いたしますため、今月十六日、国が公募する金融・資産運用特区に対し、福岡市と共同提案を行いました。金融分野の規制緩和や税制優遇措置などを国に求めますとともに、高度金融人材を呼び込むための受入環境の整備に引き続き取り組んでいくことなどを提案いたしました。これを実現させ、国際金融機能の集積にさらに弾みをつけたいと考えております。
さらに来年度からは、アジアでの活動に加えまして世界の資産運用会社の約半数が集積する北米地域において、金融関連展示商談会への出展を行い、知名度のさらなる向上を図りますとともに、これまでの誘致活動により福岡進出に強い関心を持つ企業を直接訪問するための予算を今議会に提案しております。
県内には、福岡地域のIT、久留米市を中心としたバイオ、北九州及び筑豊地域の自動車をはじめ、宇宙ビジネス、グリーンデバイス、水素、ブロックチェーンなどの成長分野において、先端技術を有する大学や産業が集積しており、そこに投資を呼び込み、エコシステムをしっかりとつくってまいります。国際金融機能誘致の取組により、成長資金や企業を支える高度人材、さらには彼らが持つ市場ニーズなどの情報が加わります。県としては、集まった成長資金がスタートアップや成長産業はもとより、県内各地域に存在する優れた技術やサービスを持つ地元の企業にも供給されるよう取り組んでまいります。このことにより、これらの企業が内外のマーケットで付加価値を生み、還流した資金が新たな企業を呼び込む、こういう好循環をつくり、県内各地域に新たな雇用を創出し、県民所得の増加や地元自治体の税収の増加につなげてまいります。
国際金融拠点を目指す取組は決して容易なものではございませんが、私のチャレンジの一つでございます世界の舞台で勝負し、世界から選ばれる福岡県を実現するためにも、引き続きスピード感を持って全力で取り組んでまいります。
出産・子育て安心基金の活用による成果目標についてでございます。一昨日発表されました人口動態統計速報値によりますと、令和五年の本県の出生数は三万五千二百十一人となっております。急速に進む少子化により、本県の出生数は平成二十八年以降八年連続で減少をしていることになります。少子化に歯止めをかけるためには、国や県、市町村はもとより、地域や企業、社会全体で子供を安心して産み育てることができる地域社会づくりを積極的に進める必要がございます。
このような中、県では、県民ニーズに即した効果的と判断される県独自の出産・子育て施策を中長期的な視点で継続的に実施するため、その財源として百二十一億円の出産・子育て安心基金を設置したところでございます。これを活用し、今年度は病児保育利用料の無償化と提供体制の整備、不妊治療費の助成を実施しており、来年度は新たに産後ケア利用者の負担軽減のための県独自助成に取り組むことといたしております。
現在、県では令和六年度までの少子化対策をまとめました、ふくおか子ども・子育て応援総合プランにおきまして、理想の子供の数と実際に持つつもりの子供の数の増加とその差の縮小、平均初婚年齢の上昇の抑制、合計特殊出生率の上昇、これを政策目標に掲げまして、四十項目の数値目標を設定し、出会い、結婚、出産、育児などライフステージに合わせた施策に取り組んでおります。来年度このプランを引き継ぐ十一年度までの県こども計画を策定することといたしておりますので、この中で政策目標及び数値目標を新たに設定し、その達成に向け、この基金も活用しながら、出産・子育て施策の充実に取り組んでまいります。
ワンヘルスに関する国際会議の誘致活動についてでございます。ワールドワンヘルスコングレスは、ワンヘルスに関する重要な課題や研究成果、政策動向等について議論する国際会議でございまして、一昨年のシンガポール大会では、WHOのテドロス事務局長など六十か国、百二十人以上の専門家が基調講演などを行い、七十四か国、二千三百八十三名が御参加でございました。
この会議は二年に一度開催され、開催地を限定しておりませんことから、県では次に立候補可能な二〇二八年の大会の福岡県開催を目指すことといたしております。この大会は再来年に開催地が決定されますことから、それまでに誘致活動に取り組む必要がございます。このため今年九月に南アフリカ・ケープタウンで開催される大会におきましてPRブースを出展し、大会関係者へのプロモーションを行います。また、開催地決定に関わる大会役員等を招聘し、開催地として福岡県がふさわしいということをアピールしてまいります。こういった取組に必要な予算につきましては今議会に提案させていただいているところでございます。
国際会議の誘致による世界への貢献についてでございます。ワールドワンヘルスコングレスを福岡県で開催することによりまして、福岡県がワンヘルスの先進地であるということを世界にアピールできますとともに、海外の専門家とワンヘルスセンターや県内大学等の研究者間の協力関係を構築することができる、また、専門性の高い国際会議開催のノウハウを習得することができるというふうに期待しております。これにより、毎年度開催しております福岡県ワンヘルス国際フォーラムの専門性をさらに高め、世界から注目度が高く発信力のある国際会議へと発展させてまいります。
このような取組を通じ、人獣共通感染症や薬剤耐性菌等の課題や研究成果、政策動向等について議論し、世界に向けて発信することで、世界のワンヘルスの推進に貢献してまいります。
ワンヘルスセンターの整備についてでございます。このワンヘルスセンターの中核となる保健環境研究所におきまして今年度から、職員の博士号取得を支援するとともに、文献検索ができる研究環境を整備しております。また、動物保健衛生所の設置に向け、獣医師職員に対し獣医系大学や国立感染症研究所等での高度な研修を行い、動物全般の保健衛生業務に対応できる人材の育成に取り組んでおります。
来年度からは、保健環境研究所が収集する病原体情報、レセプトデータや、今後動物保健衛生所が収集する病原体情報などを一元管理いたしますワンヘルス統合データベースの構築や、保健環境研究所職員のスキル習得を促進するリスキリングに必要な予算を今議会に提案させていただいております。
こういった取組によりまして、研究力の強化、専門人材の育成を行い、このセンターをワンヘルスの先進的な調査研究を行う施設としてまいります。さらに、ワンヘルスに関して学び体験できる体験学習ゾーンを整備することで、県民はもとより、国内外から多くの人に集まっていただけるような教育、普及啓発の施設にもしてまいります。
ハワイ州とのワンヘルスの取組についてでございます。先月、県議会友好訪問団がハワイ州を訪問された際、香原議長が本県とハワイ州の協定の中にワンヘルスを盛り込むことをグリーン州知事に提案されたところ、医師でもいらっしゃいます州知事から、本県との姉妹提携関係の中で、ワンヘルスについても共に取り組みたいとの意向が示されたとお聞きしました。ワンヘルス推進を県政のチャレンジの一つとする私としても大変心強く感じたところでございます。
県では昨年、ハワイ大学との間でワンヘルス推進に関する覚書を結び、県内の大学のワンヘルス教育の促進に向けて新たな取組を始めたところでございます。これに加え、ハワイ州との間でもワンヘルス分野の交流を進めていくことは両県州の関係をさらに深めますとともに、ワンヘルスの教育、普及啓発に資することとなりますことから、新たな覚書などの締結に向け、ハワイ州と協議を進めてまいります。
県内大学におけるワンヘルス教育についてでございます。このハワイ大学とのワンヘルスに関する覚書締結を契機といたしまして本県では、ハワイ大学そして県内大学の御支援、御協力をいただきながら、大学におけるワンヘルス教育の在り方を検討してまいりました。この中で、大学におけるワンヘルスの認知度が低いという現状を踏まえ、専門分野にかかわらず広く県内の学生や教員に興味や関心を持ってもらえるような授業の開発を本県から提案をいたしまして賛同をいただいたところでございます。
また、ワンヘルス教育における人材育成目標を議論する中では、特定の専門家だけでは解決が困難な社会課題の解決に向け、多様な知識、能力を持つ専門家が、分野の壁を越えて取り組む手法であるワンヘルスアプローチの重要性も共有されました。
現在、人獣共通感染症の研究事例などから、ワンヘルスを分かりやすく学ぶとともに、ワンヘルスアプローチに必要な知識や能力は何かを的確に捉えられる授業の設計に向けた準備をしております。来年度は複数大学と連携し、専門分野が異なる複数の教員、研究者がワンヘルスに関する授業科目を共同で組み立てることを目指しておりまして、必要な予算を今議会にお願いしております。効果的な授業を構成いたしますため、先行いたしておりますハワイ大学の御意見を参考にするほか、同大学の教員の授業への参加なども検討いたします。県内大学はそれぞれ教育課程が異なりますことから、多くの学生が履修できますよう、授業はオンデマンド方式によるものとし、各大学の理解をいただきながら、学びの基礎となる科目の一つとして再来年度の導入に向け取り組んでまいります。
福岡県ワンヘルス認証農林水産物の輸出促進についてでございます。まず日本獣医師会藏内会長をはじめ、香原議長、県議会の皆様におかれましては、日頃からあらゆる機会を通じ、海外での県産農林水産物のPRに御尽力をいただきお礼を申し上げます。
本県が進めております福岡県ワンヘルス認証制度は、生態系の保全や温暖化の防止、環境負荷の低減など、ワンヘルスの理念に沿って生産された農林水産物や加工品を認証するものでございまして、現在認証品目は四百品目、認証を取得した農林漁業者は一万経営体を超えておりまして、順調に拡大をいたしております。
認証を取得しておりますあまおう、八女茶、ミカンなどは海外でも人気が高く、特に欧米では有機栽培など環境に配慮して生産された農林水産物が支持される傾向にございますため、認証農林水産物が受け入れられやすい環境にあると考えております。
こうした状況を踏まえまして、米国を中心に認証農林水産物の生産に係るワンヘルスの取組を広く紹介することで、このブランド力を高め、さらなる輸出拡大に努めてまいります。具体的には、ニューヨークなどの高級レストランで、あまおうや八女茶、福岡有明のりといったワンヘルス認証農林水産物を使用していただくため、シェフやバイヤーを産地に招聘し、その魅力を伝える、あるいはロサンゼルスの量販店で開催する販売促進フェアにおいて、認証されたミカンの販売に合わせてワンヘルスの取組を紹介してまいります。このような取組を通じまして、認証農林水産物の輸出を促進するとともに、ワンヘルスの理念についても広く発信を行ってまいります。
耳納連山の急峻な渓流における土砂災害対策についてお尋ねがございました。千之尾川を含む六渓流につきましては、土砂の流出により家屋被害が発生をしておりまして、渓流内に残っている不安定な土砂を捕捉するため緊急的に砂防ダムを設置することとしております。現在、測量、設計を進めております。さらに渓流全体の安全度を高めるための砂防施設を追加して整備することとし、必要な経費について来年度予算として提案をしております。
また、その他の渓流につきましても、流域における土砂の流出状況の調査を実施し、先月完了いたしました。その結果、久留米市の発心川など六渓流については土砂の流出が進んでいることが確認されましたため、砂防施設の整備に向け、今後国と協議を進めてまいります。
これらの十二渓流以外につきましても、調査結果を踏まえまして、既存の砂防・治山ダムにおける土砂の堆積状況に応じ、土砂の撤去を実施するなど施設の適切な維持管理を行ってまいります。
今後、これらの対策を着実に実施していくことにより、耳納連山の土砂災害防止にしっかり取り組んでまいります。
土砂災害警戒区域外で被災した箇所の区域見直しについてでございます。昨年七月の梅雨前線豪雨の影響により、久留米市の千之尾川など県内五か所において土砂災害警戒区域外で土砂災害が発生しました。これらの五か所につきましては区域を見直すための現地調査を実施し、土砂災害に伴う地形の改変や土砂の到達範囲を確認いたしました。その結果に基づき見直す予定の区域を住民の皆様に認識していただきますために、今年度中に県のホームページで公表する予定でございます。あわせて関係自治体に通知して意見を求めますとともに、地域住民の皆様に対する説明会を行い、区域の見直しの考え方などについて丁寧に周知してまいります。その後、関係自治体の意見も踏まえ、出水期前の五月末までに区域の見直しを行ってまいります。
新たな土砂災害警戒区域の指定に向けた取組についてでございます。県では高精度な地形図を用いて、新たに土砂災害のおそれのある一万三千六百六十二か所を抽出いたしました。全ての抽出した箇所を調査し、区域指定が完了するまでには年数を要しますことから、これらの箇所を土砂災害のおそれがある箇所として早期に住民の皆様に認識していただくために、県のホームページで五月末までに公表する予定でございます。新たに抽出した箇所をあらゆる世代の方々に周知するため、広報紙やSNSなど様々な媒体を用いた広報を関係自治体とも連携し行ってまいります。あわせて、住民の皆様の疑問に応えるために個別の問合せ窓口を設置し、丁寧に御説明してまいります。
さらに、関係自治体に対し、新たに抽出した箇所をハザードマップに反映するとともに、自主防災組織等による避難訓練を実施することを働きかけ、住民の皆様の迅速な避難行動につながるよう努めてまいります。
大豆の新品種ふくよかまるの振興についてお尋ねがございました。県では令和四年産からふくよかまるの作付を開始をいたしまして、その生産性と品質の向上を図りますため、作付の団地化やスマート農業機械の導入、排水対策の徹底や土壌診断に基づく施肥技術の導入を支援しております。
この結果、令和五年産の作付面積は県全体の五割を超え、県産大豆全体の生産量は平年に比べ三割以上増加する見込みとなっております。また、豆腐や納豆メーカー等の大手実需者から品質面で高い評価をいただき、先月時点の平均入札価格では、ふくよかまるが日本一となっております。このような成果を踏まえ、計画を一年前倒しし、令和七年産までにふくよかまるに全面転換するため、高品質な種子の安定供給に必要なAIを活用した高性能選別機の導入支援に必要な予算を今議会に提案させていただいております。さらに大手実需者からは、九州全体でふくよかまるのロットを確保するよう求められております。このことから、ふくよかまるの全国シェアの拡大を通じ、より高単価での取引につながりますよう、大分県を皮切りに九州各県での作付拡大を推進してまいります。
また、販売面では、大手量販店に特設コーナーを設置いたしますとともに、全国規模の豆腐品評会や商談会への出品を支援し、ふくよかまるのさらなる認知度向上に取り組んでまいります。
県といたしましては、こうした取組により、ふくよかまるの生産を拡大し、農業者の所得向上を図ってまいります。
最後に、福岡有明のりの生産状況についてお尋ねがございました。県ではノリの生産を安定させるため、これまでに約二千二百ヘクタールの海域で覆砂を実施し、
海底の環境改善を図ってまいりました。またノリの生育に必要な栄養を消費している植物プランクトンを捕食する二枚貝を増やすため、砂利などを入れた袋を干潟に多数設置し、稚貝を効率的に集め育成する取組などを実施しております。この結果、二枚貝は昨年度より三千トン多い一万五千トンまで増えております。
こうした取組により、今期の秋芽網は平年並みの三億五千万枚が生産され、また品質が良く、高い単価で取引されましたことから、昨年末までの生産額は過去最高の約八十八億円となっております。
一方で、十二月中旬から高水温や晴天が続き、プランクトンが高い密度で発生し、ノリに必要な栄養が少ない状態で推移しております。このため、これまで提供してきたリアルタイムの海況情報と併せ、養殖管理をさらに強化できるよう、三日先までの潮の高さや水温等の予測情報の提供を、当初予定しておりました三月からこの一月に前倒しして開始いたしました。この結果、先週までの生産額は約百九億円と、不作であった昨年度の年間生産額を既に上回っております。
次に、今後の生産・販売対策についてでございます。漁業者が減少する中、ノリ生産を維持していくためには、一戸当たりの養殖規模を拡大していくことが必要でございます。このため、収穫作業などの省力化が図れる高性能漁船が活用できるよう、九州大学と連携し、漁場に張り込むノリ網の配列や方向を見直す研究を進めてまいります。
また販売面では、消費者が福岡有明のりと認識をしていただき購入できるよう、ロゴマークをより高級感のあるものに一新いたしますとともに、大手のノリ商社と連携し、福岡有明のりの名称を表示した商品を増やしてまいります。加えまして、こうした商品の取扱いを首都圏の百貨店との商談会などを通じ拡大し、さらなる販売促進を図ってまいります。
県といたしましては、こうした総合的な取組を進め、福岡有明のりの生産安定と販売の促進を図ってまいります。
5 ◯議長(香原 勝司君) 吉田教育長。
*教育長答弁
6 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 公立小中学校のタブレット端末の更新に要する市町村の財政負担の軽減についてでございます。これまで県教育委員会では、GIGAスクール構想の第二期を見据えまして、タブレット端末更新費用の継続的かつ十分な財政措置について、あらゆる機会を捉えて国に要望してまいりました。こうした地方の要望を踏まえ、昨年十一月、国において、都道府県が基金を設置し、国からの財源を基に市町村へ補助金を交付する仕組みが示され、令和五年度補正予算におきまして必要な経費が計上されました。これに基づき、今議会において基金を設置するための条例制定、来年度端末の更新を予定しております十二市町村分の予算五十一億円余をお願いをいたしております。
あわせて、端末の調達につきましては、国の方針に基づき、県内全市町村で構成する共同調達会議を設置し、県を中心とした共同調達を行うことにより、市町村における財政負担の軽減とともに、入札・契約事務の効率化を図ってまいります。
県教育委員会としましては、こうした取組を通じて、来年度から始まる端末更新が円滑に進むよう市町村を支援してまいります。
次に、博多青松高校への進学希望者の増加への対応についてでございます。近年、通信制高校を希望する生徒が増加していることを踏まえ、県立高校においても生徒の受入れを拡充するため、県立博多青松高校の通信制課程の来年度入学定員を百人増やしたところでございます。
さらに、遠方に住む生徒も博多青松高校の通信制課程にアクセスしやすくなるよう、単位修得に必須となる面接指導、いわゆるスクーリングについて、必要な教員を配置し指導体制を強化した上で、ひびき高校、大牟田北高校、西田川高校を協力校に位置づけ、来年度から実施したいと考えております。これにより、スクーリングの利便性向上に加え、きめ細かな進路相談や学習支援などの強化を図ってまいります。
学びの多様化学校の検討、準備等についてでございます。現在、中学三年生のうち不登校生徒数は約三千人であり、このうち四割が通信制高校に進学をしておりますが、この中には全日制高校を志向しながら、手厚い支援がなければその修学が難しい生徒が一定数いると考えられます。こうした生徒を想定しまして、授業時数を減らしたり柔軟に科目を設定したりできる、国の学びの多様化学校制度を活用した特例クラスを令和七年度から既存の県立高校に設置するための予算をお願いをいたしているところでございます。
その設置校につきましては、交通の利便性や少人数指導のための教室数の確保などを考慮しながら令和六年夏頃までに決定し、当該年度中に国の指定を受けられるよう準備を進めてまいります。
また、当該校におきましては、不登校を経験した生徒の実態に応じて、例えば中学校までの内容の学び直しを含めた基礎基本の学力の定着や、コミュニケーション力の向上を含め社会的な自立に向けて必要な力を伸ばすための学校設定科目を充実させるなど、特例的なカリキュラムを編成してまいります。あわせて、手厚い教員配置や外部関係機関との連携などによる指導・支援体制を整備し、多様な生徒のニーズに寄り添い、誰一人取り残さない教育の実現を図ってまいります。
7 ◯議長(香原 勝司君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後二時三十分といたします。
午 後 一 時 十六分 休 憩
午 後 二 時 三十一分 再 開
8 ◯副議長(佐々木 允君) 再開いたします。
休憩前に引き続き、代表質問を行います。発言を許可いたします。大橋克己君。(拍手)
*大橋議員質問
9 ◯六十四番(大橋 克己君)登壇 民主県政クラブ県議団の大橋克己です。会派を代表して、発言通告に従いまして、質問を行います。
まず、質問に入る前に、元日に発生しました
能登半島地震においてお亡くなりになられました皆様方に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。被災地の一日も早い復旧、復興を心からお祈り申し上げたいと思います。
また、先月三日には、小倉北区の鳥町食道街で大規模な火災が発生をしました。被災者の方々にお見舞いを申し上げますとともに、鳥町食道街の早期の復興をお祈り申し上げます。
さて、本日は、親子傍聴席も含めまして、地元大牟田市からお支えいただいている皆様方、また、日頃からお付き合いをいただいている関係団体の皆様方、傍聴に駆けつけていただいております。皆様の思いをしっかり受け止めながら務めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
まず、来年度予算案についてお聞きをいたします。来年度の当初予算、二月補正予算案は、コロナ対策関連予算を除外して比較すると、過去最大の予算となっています。その予算案の中でも、
サステナブル社会、つまり、持続可能な社会を第一に掲げられ、過去の予算とは違う印象を我々は受けました。
具体的には、不登校特例校の設置、通信課程の環境整備など、子供たちへの多様な学びの提供、物流における二〇二四年問題を見据えた働き方改革への取組、加えて、中小企業の持続的賃上げによる賃金と物価の好循環の実現を目指すなど、我が会派が強く主張してきた政策が多数組み込まれた予算案となっています。このように、福岡県を支えている県民を中心に据えた政策の展開を目指していくことは、これまで人を中心とした政策を訴えてきた我が会派として、大変心強く、また、評価をしております。
そこで、まず初めに、このような来年度予算案を編成するに当たり、どういう思いを持って編成されたのかお聞きをいたします。特に今回の予算案は、服部知事にとって一期目最後となる予算編成となります。掲げた公約について、この間達成できたもの、それから、実施したがまだ課題が残っているもの、それから、未達成ですけれども、この一年間で必ず実現させたいもの、これらについて、それぞれ知事の思いをお聞かせいただきたいと思います。
また、令和六年度の国の予算の一般会計歳出総額は、少子高齢化に伴う社会保障費や
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などが増大をし、過去最大となった令和五年度の当初予算案は下回ったものの、二年連続で百十兆円を超えました。財源の三割以上を国債に頼る厳しい財政状況が続き、自治体での精査、効率的活用が求められています。国の令和六年度予算編成の基本方針では、歳出の中身をより結果につながる効果的なものにするため、EBPM(エビデンスに基づく政策立案)の取組を推進する旨の方針を出しました。エビデンスとは、証拠、形跡、根拠、裏づけという意味で、客観的事実として説得力のある提案や主張には欠かせません。どこに重点を置いて予算配分をするかなどの県政運営において、県民の求めるものなど、根拠のある情報やデータに基づき、地域課題解決のための施策の企画、立案に取り組むことが、災害復旧等により県の歳出が増えていく中で大変重要になっておりまして、政策の実効性と効果、さらには、改善点を常に念頭に置いて取り組んでいく必要があると我々は考えます。
そこで二点目に、EBPMの必要性について、知事の認識をお聞きします。その上で、本県ではエビデンスに基づく政策立案の手法は取っているのか。どのように統計データ等を県施策、予算案に反映をしているのか、その手法についてお示しをいただき、EBPMの手法を今後どのように広めていくおつもりなのかをお聞きいたします。
続きまして、
能登半島地震に係る諸課題についてお伺いをしたいと思います。元日に発生しました
能登半島地震では、東日本大震災などの過去の震災と比べまして、半島という地域的な特性により、道路の寸断で多くの孤立地域が発生したり、ライフラインの途絶、復旧や救援に非常に時間を要するなどの影響が出ております。また、高齢者や障がいのある方のための福祉避難所が被災をし、受入れができなくなった問題のほか、原発三十キロ圏内の避難計画が機能しないおそれについても指摘をされています。今回の地震の状況や復旧活動等についてできるだけ速やかに分析をし、反映すべき点があれば、それを基に本県の地震対策を強化することが必要であります。
また、本県内には、現在、国が指定した七つの活断層が確認をされています。県は地震による被害想定を把握をするため、二〇一一年までに三回、地震に関する防災アセスメント調査を実施しており、今年度予算に同調査の予算が計上をされています。
そこで一点目に知事にお伺いします。地震に関する防災アセスメント調査について、前回から十年以上経過した今、実施することになった経緯と調査の内容について、具体的にお示しください。また、調査結果を踏まえ、県の
地域防災計画を改定すべきと考えますが、知事の見解をお聞きいたします。
現在の耐震基準が適用される前、一九八〇年以前に建てられた住宅については、二〇一八年住宅・土地統計調査にデータがある全国の千八十六市区町村の中で、石川県珠洲市が六五%と全国で最も高く、次いで、能登町は六一%と二番目に高く、住宅の老朽化が進んでいます。一九八〇年以前に建てられた耐震性が不足する家でも、耐震改修工事を行えば強度を確保できますが、耐震化率は珠洲市で五一%、輪島市で四五%と、全国平均の八七%を大きく下回っていました。耐震化が進んでいなかったことも
能登半島地震で大きな被害につながったとされています。また、改修工事を行わない理由に、高齢化との因果関係も指摘をされています。
そこで二点目に、本県の一九八〇年以前に建てられた住宅の戸数、それから割合と、耐震化率、耐震性が不足する戸数、また、県内市町村の耐震化の状況をそれぞれお示しください。
今回の予算案に、改修工事への補助がありますが、補助戸数は七十戸と想定されており、耐震化率を上げるためには補助の増額や部分的な改修を補助対象にするなども考えられます。先ほどの状況を踏まえた上で、耐震化率を上げるために今後どのように取り組むのかお聞かせをいただきたいと思います。
今回の
能登半島地震では、被害が少なかった市町の庁舎では、職員が昼夜を通じて業務に追われ、その傍らで被災された住民が避難をされています。また、隣の熊本県においては、平成二十八年熊本地震で、五つの市町の庁舎が半壊など、使用不能になったことは御存じのとおりであります。
私の地元大牟田市においては、庁舎整備を二〇二八年度事業着手に向け、ようやく事業化に一歩踏み出そうとしています。一九九七年の三池炭鉱閉山後、財政危機に陥った大牟田市は、厳しい財政をやりくりをしながら、様々な事業を実施しているというのが実情であります。そうした中、防災拠点ともなる市町村庁舎の早急な耐震化や整備は、改めて喫緊の課題です。
そこで三点目に、県内市町村の庁舎の耐震化に関する知事の認識と県の支援についてお伺いをしたいと思います。
一方、今回の予算案には、耐震化が不足する民間の大規模建築物への耐震改修工事への補助事業がありますが、補助件数は僅か一件となっており、支援不足が懸念されます。
四点目に、耐震性の不足が確認された民間の要緊急安全確認大規模建築物は、現時点で県内に幾つあるのか、それに対し、補助件数は十分なのか、知事の認識をお聞かせください。
能登半島地震では、石川県内では輪島市や七尾市など七つの市町村で断水が続いていて、水道管の耐震化に注目が集まっています。水道行政はこれまで厚生労働省が担ってきましたが、約六十年ぶりの機構改革により、来年度、二〇二四年度から国土交通省、環境省へ移管し、水質や衛生に関する行政を環境省が、そのほかを国交省が担うこととなります。これにより、水道事業が災害負担法に追加され、災害復旧費に対する国の補助が従来の二分の一から三分の二へ増えるなど、災害対応力の強化が期待をされます。
そこで五点目に、本県の基幹管路の耐震適合率と県内市町村の特徴をお示しください。また、水道行政の移管に伴い、本県では担当する部署等に変更があるのか、また、どのような効果が期待されるのかをお聞きしたいと思います。
次に、防災、災害対応への女性参加についてお聞きします。
能登半島地震後も、避難所でトイレが危険といった声が報道されました。二〇一一年の東日本大震災後、避難所に女性の視点がなく、着替え場所がない、布団に男性が入ってきたなどの様々な悩みが顕在化したことをきっかけに、国は
男女共同参画の視点からの防災・
復興ガイドラインにて、防災、災害対応に女性の参加を促しています。あわせて、都道府県防災会議の委員に占める女性の割合を二〇二五年までに三〇%とし、本県では、福岡県避難所運営マニュアル作成指針において、避難所運営委員会の構成員のうち三割を女性とすることとしています。内閣府の調査によりますと、防災担当の女性職員が一〇%以上いる市区町村では、女性ゼロの市区町村よりも、生理用品や乳児用ミルク、宗教に配慮した食べ物など、備蓄が進んでいる傾向があったとのことで、防災、災害対応に女性の視点が必要とされています。
そこで六点目に、防災、災害対応への女性参加について、防災会議の委員、防災危機管理局の職員の二つについて、県及び県内市町村の女性の割合の現状と今後どのように増やしていくのか、それぞれお聞きします。また、女性ゼロの市町村に対し、県としてどのように女性参画を促していくのかお答えください。
次に、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律についてお伺いをします。一九五六年、家庭の事情などから、売春を行うおそれのある女子の保護、更生を目的に売春防止法が制定され、婦人保護事業が始まりました。この七十年近くの間に、女性を取り巻く環境は、DV、ストーカー、性暴力、JKビジネス、一人親家庭の貧困、居場所のない若年女性など、多様化してきたにもかかわらず、被害者であるはずのそういった女性への支援は、売春防止法に基づく保護、更生という枠組みに押し込められてしまい、支援の面で限界があると指摘をされてきました。
二〇二二年、議員立法で、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が新たに制定され、この四月から施行されます。長年多くの支援団体が熱望していたこの法律の大きな特徴は、保護、更生ではなく、必要な場合は自立までの支援という伴走型の施策の実施と女性の人権尊重を実現するものであると我が会派では認識をしています。
そこで、改めて知事にお伺いします。旧売春防止法ではどのような課題があり、新法である困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行に当たり、この課題がどのように解決されるとお思いなのか、知事の認識をお示しいただきたいと思います。
次に、この法律が対象としている、困難な問題を抱える女性とはどんな女性を指すのか。その中には、子供や高齢者、外国人、そしてLGBTQなどの性的マイノリティー、障がい者なども含まれているとお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。
この法律では、法の趣旨を実現するために都道府県が基本計画を策定することが義務づけられており、その都道府県の計画に基づき、市町村が計画を策定することが努力義務と掲げられています。つまり、県の基本計画は、新法の趣旨が県全体に伝わるかどうかの鍵となっていると言えます。
そこで、我が会派がパブリックコメントに出された基本計画素案について勉強会を行いました。勉強会では、県が把握している困難を抱える女性たちの現状や相談体制の課題等が素案に反映されていないのではないかという意見や、計画の進捗を図る成果指標が、関わる民間団体の数と、それから計画策定の市町村数の僅か二つしかないとの指摘がありました。また、神奈川県の基本計画は、計画内容が五十ページを超しているのに対し、本県の素案は実質十ページ程度で、もちろんページ数の多い少ないで評価されるべきものではありませんけれども、内容の充実度を含め、会派議員からはパブコメ段階の素案に対し、これまでの
男女共同参画に関する計画のただ単なる焼き直しではないか、ジェンダー平等を掲げてきた県の本気度が見えないといった大変厳しい意見が出されました。
そこで、知事にお伺いします。本県の基本計画は、知事のどのような思いを具現化させるものであるのか。また、何に一番重点を置いて作成されるのかお聞かせをいただきたいと思います。
次に、医療の二〇二四年問題への対応についてお聞きいたします。本日、傍聴席には医学部生も一人来ております。大変興味を持って聞いていると思います。日本の医師をめぐる現状について、人口千人当たりの医師数は、OECD平均三・五人に対し、日本は二・四人、人口千人当たりの病床数は、OECD平均約四・七床に対し、日本は十三・一床と、病床数が他国に比べ多い一方で、医師数が少ないといういびつな構造になっています。
昨年二月の全国医学部病院長会議の調査によると、大学病院の医師の約三割が年間の時間外・休日労働時間が過労死ラインの九百六十時間を超える見込みと報告されました。私自身、以前、医薬品メーカーに十年間勤務をしておりましたけれども、大学病院、国立病院、県立病院、市立病院などで、医師が昼夜を問わず勤労し、人材不足を長時間労働で補うという苛酷な現場の実態を十年間目の当たりにしてきました。医療は直接命に関わる特殊な仕事ですが、まずこの業務に関わる人の健康が守れなければ、適切な医療を提供し、患者の命を守ることはできません。慢性的な長時間労働を改善するため、今年四月から、医師の働き方改革として、年九百六十時間の上限規制が始まりますが、一方で、その反作用として、医師不足が深刻化をし、地域医療が崩壊するのではないかという懸念が広がっています。地域医療が担えなくなるなどやむを得ない場合に限り、医療機関が都道府県に申請をすれば、年間千八百六十時間が上限となる特例はあるものの、休息時間を確保する勤務間インターバルといった対策が義務づけられることとなり、いよいよ四月からは医師の業務量を減らしながら、長時間労働を防ぎ、そして、患者の命を守る、医療の質を保つことを両立させるという難題でもあります、医療の二〇二四年問題が待ち構えています。
そこでまず、本県の医療提供体制、病床数や医師数について、その現状と県内十三圏域における地域偏在について、その状況をお聞かせください。あわせて、福岡県保健医療計画に基づく目標と比較しての状況と、それに対する知事の認識をお聞きします。
二点目に、県内勤務医の長時間労働の実態と特例を申請した医療機関は現在幾つあるのかお示しください。その上で、医師の働き方改革について、三六協定の締結促進も含め、県内でどのように支援するつもりなのか、知事の考えをお聞きします。
医師の労働時間を減らすための取組として、看護師らに一部医療行為を振り分ける取組が注目をされています。必要な研修を修了した看護師は、計二十一区分、三十八の高度かつ専門的な医療行為を特定行為として行うことができます。しかし、二〇二二年度の全国の研修受入れ可能人数四千八百十一人に対し、同年度の研修修了者は二千四十三人にとどまり、研修受講生の増加が求められます。しかし、二〇二一年の厚生労働省の調査によりますと、研修受講者の五九・五%が業務との両立が困難だったとしており、受講しやすい環境を整備することが重要であります。
そこで三点目に、本県内で看護師の特定行為研修を受けられる研修機関数と区分数、それから、研修受講者数はどのようになっているのか、お示しをいただきたいと思います。その上で、受講しやすい条件整備の充実など、研修期間と研修受講生を増やしていくために、県は今後、それぞれどのように取り組んでいくのかお聞きをいたします。
医師の人材を確保する一つの方策として、医師の免許を持っていながら離職をしてその職に就いていない者の再就職、とりわけ出産、育児、介護等のため離職した女性医師の再就職支援が求められています。
そこで四点目に、医師の人材確保のため、再就職、とりわけ現場復帰に不安を抱える女性医師の復職に対し、県はどのように支援するのかお聞かせください。
二〇二二年の日本医師会の調査によると、医師派遣をしている産婦人科を持つ六十三大学病院のうち、約五割が医師の働き方改革の実施後に派遣を制限する可能性があると回答いたしました。先ほど、私は大学附属病院に医療品メーカーとして通ってましたということを、五年間、実は大学病院に通っていました。朝から晩まで大学病院に入り浸りでありました。そこで大学病院の医局との関係が深まりまして、大学医局と、それから派遣先との関係の深さを改めて認識をしたところでございます。つまり、今回の撤退の可能性が五割あるという結果に非常に驚いている感じであります。そして、その四月以降、医師派遣の制限や中止により、そもそも医師不足が顕著な産科や外科、救急科などの診療科が立ち行かなくなることや、派遣医師に頼っている地域医療全体が崩壊するおそれがあり、例えば、地域医療圏ごとに病院間の連携をもっともっと強化するなど、医療体制の工夫が必要ではないかと考えます。
そこで、この項の最後に、県内の地域医療等について、どう影響が出ると分析をしているのか、お聞かせいただきたいと思います。その影響を小さくするために、県としてどのように取り組むのか、見解をお聞きいたします。
次に、薬物問題について質問いたします。違法薬物については、関連犯罪が後を絶たず、また、その低年齢化も大きな問題となっています。昨年九月議会で本県における薬物犯罪について警察本部長にただしたところ、昨年の上半期、大麻が覚醒剤の検挙数を初めて上回り、大麻の検挙者は初犯や二十代以下の若年層に多かったとの答弁がありました。また、市販薬を大量摂取しますオーバードーズが若者たちの間で急増するなど、新たな問題も生じています。
県では、来年度から新たな五か年計画が始まる県薬物乱用防止第六次五か年戦略を見直し、啓発や取締り、再乱用防止を強化するとお聞きしています。その中には、啓発の課題として、医薬品の適正使用の推進が課題として挙げられていますが、例えば、オーバードーズによく使われる市販薬、これに乱用防止を促すシールを貼り付けるなど、県として思い切った取組も必要ではないでしょうか。
そこでまず、警察本部長に、昨年一年間の薬物事犯の検挙人員及びその特徴を過去との比較を含めてお示しいただきたいと思います。
また、知事にお伺いします。オーバードーズによる搬送者数についてお教えください。その上で、知事と警察本部長に、近年の薬物問題に対する認識と、さきに述べた薬物乱用防止戦略を含め、薬物の乱用防止にどのように取り組んでいくのか、具体的にお教えいただきたいと思います。
我が会派は、昨年十二月、ワンヘルスの理念の一つでもありますウエルビーイングの視点で、生きがいを持った生き直しを応援する団体、ワンネス財団の三宅隆之氏を招いて勉強会を開きました。この財団は、薬物依存をはじめ、ギャンブル、アルコール等の依存症に悩む人に対し、医療機関や精神保健医療センター、自助グループなどと連携をしながら、社会復帰のためのプログラムを実施する機関であります。三宅氏によりますと、依存症からの立ち直り支援が必要と考えられます人のうち、僅か一割程度しかこのようなプログラムを利用していないとのことでした。さきに挙げた県の薬物乱用防止戦略には、薬物依存者に対する回復プログラム支援も盛り込まれていますが、一層施策を充実する必要があると考えます。
そこで、この項の最後に、本県において実施している薬物の再乱用防止の取組についてお伺いします。福岡地方検察庁から情報提供を受けた社会復帰のために支援が必要と思われる薬物事犯者、そのうち、実際に支援を受けている人、それぞれの数と割合をお示しください。あわせて、県の精神保健福祉センターや保健所における支援状況についてもお示しいただきたいと思います。また、先ほど述べましたように、回復プログラムに参加している人が少ないと推察される中、県としてどうやって取組を強化していくのか、知事にお聞きをしたいと思います。
まずは、前段の質問をここまでといたしまして、答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)
10 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
*知事答弁
11 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
まず、来年度予算案への思いについてお尋ねがございました。県では今年度から、一千億円の人づくり、県内GDP二十兆円へのチャレンジ・挑戦、安全・安心で活力ある社会づくりの三つの柱の下、施策を展開してまいりました。令和六年度は、この三つの柱に基づく施策を力強く実行し、福岡県の将来を見据え、成長発展を加速前進させたいと考えております。
この方針の下、特に将来を守る持続可能な、いわゆる
サステナブル社会への改新。未来を拓く、物事を革新する、いわゆるイノベーションの創発。この二つの視点で施策を展開してまいります。
まず、将来を守る
サステナブル社会への改新では、少子化の進行やこれに起因した人口減少を背景とする人手不足への対応、物価と賃金の好循環の実現など、先送りできない社会課題に立ち向かいますとともに、度重なる災害、新興感染症、地球温暖化による気候変動など、私たちの暮らしを脅かす様々なリスクから県民の皆様の将来を守る、こうした視点に立ちまして、産後ケアの利用による母子の健やかな生活を支援するため、出産・子育て安心基金を活用した県独自の助成制度を創設します。近年増加している不登校の子供たちに多様な学びの場を提供いたしますため、全国初となる学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の設置準備や博多青松高校の通信制課程を県内全域で履修できる環境を整備します。生活上の問題を抱え、支援が必要な女性からの相談を受ける福岡県女性サポートホットラインを新設いたします。二〇二四年問題を踏まえ、物流・地域公共交通事業者が実施する職場環境整備を緊急に支援いたします。中小企業の持続的賃上げによる賃金と物価の好循環を実現いたします。また、地震により想定される被害調査結果を踏まえた地震対策やワンヘルスセンターの研究力の強化などに取り組んでまいります。
次に、未来を拓くイノベーションの創発では、人口減少、中でも生産年齢人口が減少していく中において、デジタルや先端技術、そして何より人が生み出すイノベーションの力で労働生産性を向上させ、新たな価値を創出し、福岡県を力強く成長発展させてまいります。
こうした視点に立ち、半導体の最先端実装開発拠点化、EV・電池生産拠点形成とバッテリーリサイクルの福岡モデルの構築、グリーン水素大規模拠点構築に向けた取組の強化、福岡バイオエコシステムの形成、スタートアップをはじめ、中小企業の資金調達、海外展開等への新たな支援拠点の開設準備、園芸農業における先端技術研究開発拠点の整備、起業する女性やテクノロジー分野への女性の進出への支援の強化、デジタル技術を活用した障がいのある方の就労分野の拡大、海外人材の生活、就労等の相談体制の強化などに取り組んでまいります。来年度予算案は、こういう考えから、この二つを新たな視点として編成したものでございます。
公約の達成状況についてでございます。私は知事就任以来、新型コロナ対策、度重なる豪雨災害への対応など、緊急事案に対処しながらも、このような厳しいときだからこそ、将来の発展のための種をまき、芽を育てていくことが大切であると考え、将来を見据え、三つのチャレンジとして公約に掲げました、次代を担う人財の育成、世界から選ばれる福岡県の実現、ワンヘルスの推進を着実に進めてまいりました。
次代を担う人財の育成では、昨年度、県立高校全生徒へのタブレットの配備を実現いたしました。また、アンビシャス運動を発展的に継承し、市町村や地域団体、企業などと連携した未来子どもチャレンジ応援プロジェクトを始動しました。
出生数の減少が続く中、少子化に歯止めをかけるため、今年度、出産・子育て安心基金を創設しました。これを活用した施策に加え、来年度はこども計画を新たに策定し、子供施策を総合的に推進してまいります。
子供の居場所となっている子供食堂が安定した活動ができるよう、地域のネットワーク化を図りますとともに、クラウドファンディング型ふるさと納税による寄附を募集し、県産の食材を提供いたしました。
昨年八月開設をいたしました福岡半導体リスキリングセンターは、これまでに三千人を超える技術者が受講されており、大変御好評をいただいております。
女性活躍につきましては、女性の進出が少ないIT、建設業など様々な分野で活躍する人材を育成しております。企業の管理職などロールモデルとなる女性との交流の場、福岡キャリア・カフェを今後県内各地に拡大してまいります。
日本財団と連携して開設した国会図書館の蔵書のデジタル化を行う就労支援の場は、複数の障がい者施設を利用しておられる方や働きづらさを抱えた方が共に働ける全国唯一の福岡方式として、高い工賃を実現しております。
世界から選ばれる福岡県の実現では、久留米・うきは工業団地に進出した筑水キャニコムや九州初となる資生堂の新工場が操業を始めました。現在造成中の直方・鞍手工業用地のほか、今後、苅田港新松山地区第三期工業用地の造成、うきは西部工業用地造成に向けた調査などを進めてまいります。
一昨年、グリーンをキーワードに、半導体、自動車、水素の産学官連携組織を発展的に改組、新設いたしました。これらを生かし、グリーンデバイス開発・生産拠点の構築や、脱炭素化に向けた電動化などに対応する自動車のグリーン先進拠点の形成、水素大規模拠点など、グリーン水素による経済と環境の好循環の実現に向けた取組を進めてまいります。
バイオでは、令和三年に西日本で唯一、国の地域バイオコミュニティに認定され、大手製薬企業とのライセンス契約や株式上場、資金調達に成功するバイオベンチャーが次々に生まれております。令和七年、福岡に拠点施設を開設いたしますCICとの連携をさらに深め、こうした企業の資金調達、海外展開等を支援し、さらなる成長を後押しするエコシステムの形成を推進します。
国際金融機能の誘致では、チーム福岡として、アジアを中心に二十三社の誘致に成功いたしました。来年度は、福岡市と共同提案いたしました金融・資産運用特区の認定を目指します。また、資産運用会社が集積する北米での誘致活動を強化いたします。
農林水産分野では、あまおうの販売単価十九年連続日本一、八女茶については、八女市が玉露で二十三年連続産地賞受賞、大豆のふくよかまるの販売単価日本一達成など、ブランド力向上の取組は着実に成果を上げております。
昨年末、北九州空港の滑走路延長工事が着工いたしましたほか、福岡空港滑走路増設は来年度中の完成を見込んでおります。福岡高速三号線の延伸、八木山バイパス及び東九州自動車道の四車線化、有明海沿岸道路の本県区間全線開通など、基幹的道路の整備は着実に進んでおり、今後も北九州下関道路の早期整備等、国へ働きかけてまいります。また、西鉄天神大牟田線連続立体交差事業による高架切替え、BRTひこぼしラインの開業などが実現し、沿線地域の振興に寄与しております。
一昨年度の世界体操・新体操選手権北九州大会、昨年十月のツール・ド・九州など大規模スポーツ大会誘致が実現し、大いに盛り上がったところでございます。新型コロナで大きな打撃を受けた観光産業は、需要喚起のための宿泊助成等を実施し、宿泊者数がほぼコロナ前の水準まで回復いたしております。今後、課題であります欧米豪からのインバウンド誘客、本県では二十五年ぶりとなる福岡・大分デスティネーションキャンペーン等により、国内外から集客を図ってまいります。
ワンヘルスの推進は大きく前進をいたしております。一昨年、本県で開催されましたアジア獣医師会連合大会では、アジアワンヘルス福岡宣言二〇二二が世界に向けて発信されました。昨年はFAVAワンヘルス福岡オフィスが開所、アジア及び世界のワンヘルス実践活動をリードする同オフィスと連携し、世界的先進地を目指した取組を進めてまいります。全国初となりますワンヘルスセンターは、みやま市の御協力の下、建設地を決定、令和九年度中の開設に向けた準備を着実に進めております。ワンヘルス教育につきましては、今年度、全ての県立高校での実施が実現いたしました。今後、義務教育段階からの系統性ある教育の推進を図ってまいります。また、昨年四月には本県とハワイ大学の間でワンヘルス推進に関する覚書を締結いたしました。共同研究や人材育成を進め、県内大学でワンヘルス教育を推進してまいります。
このように、三つのチャレンジは着実に進展しているものと考えております。また、新たに設置した市町村振興局が市町村の皆様の総合相談窓口となり、市町村の立場に立った支援を行いますことで、県と市町村のより強固な関係構築につながっていると考えております。市町村振興局以外では、業務を進めるに当たり、女性活躍、ワンヘルスの推進、国際スポーツ大会の開催、いじめへの対応につきまして、現在の組織体制のままでは課題があり、見直す必要があると考えております。こうした施策をはじめ、県政における幅広い施策を力強く実行することで、実を上げ、福岡県の未来を見据え、成長発展を加速前進させてまいります。
EBPMの必要性についてでございます。現状や政策課題を的確に把握し、有効な施策を検討するためには、これまでの経験や主観に頼るのではなく、政策目的を明確にした上で統計や各種調査等の客観的なデータに基づいて政策を立案するEBPMの実践が重要であると認識をいたしております。このため、予算編成に向けた重点施策の検討に当たっては、データを用いて詳細な現状分析を行い、課題を明確にし、政策立案を行うよう指示をいたしております。これを受け、各部局においては、公開されている統計データや県民を対象としたニーズ調査結果のほか、独自に把握しているマーケットの情報、他県や国、市町村の動向に関する情報なども活用しながら、政策目的に沿った効果的な事業の構築に努めております。
また、EBPMを広めていくため、県及び市町村職員を対象とし、データ分析やアンケート作成などの基礎研修、具体的な課題に対し、統計学的な分析など、EBPMにつながる助言を行う相談支援を実施をいたしまして、職員の能力向上を図っております。これに加え、今年度は、初めてEBPMに取り組む行政職員や行政職を目指す大学生の皆さんを対象としたシンポジウムの開催、九州大学と共同で県内市町村の合計特殊出生率の要因分析を行っております。今後ともこうした取組により、EBPMを広めてまいります。
地震に関する防災アセスメント調査についてでございます。今回調査を実施することになった経緯は、これまで被害想定しておりませんでした南海トラフ地震につきまして、国が新たな基本計画を今年度末をめどに作成中でありますことから、これを踏まえ、被害想定を行うためでございます。
あわせて、直近であります平成二十三年度の調査以降、新たに県内の主要活断層として追加されました福智山断層、宇美断層、日向峠─小笠木峠断層につきましても調査対象としたものでございます。調査に当たっては、地震を専門とする大学教授等の有識者を構成員とする専門委員会を設置します。専門委員会では、建物やライフライン等の調査項目、震度や液状化の予測などの調査方法を決定し、その決定に基づき、地震調査を専門とする業者に委託いたします。調査結果については来年度中に取りまとめ、必要に応じ、県
地域防災計画を改定したいと考えております。
本県の住宅の耐震化の状況と今後の取組についてお尋ねがございました。まず、本県の一九八〇年(昭和五十五年)以前に建てられた住宅は、総務省の平成三十年の住宅・土地統計調査によりますと約四十九万戸でございまして、住宅総数に占める割合は約二二%となっており、全国平均とほぼ同じでございます。
次に、本県全体の住宅の耐震化の状況でございますが、総務省による住宅・土地統計調査を基にした県の推計では、平成三十年時点において耐震化率は八九・六%と全国平均の八七%を上回っております。しかし、耐震性が不足する住宅は依然として約二十三万戸残っているわけでございます。また、県内市町村の住宅の耐震化の状況を見ますと、耐震改修促進法に基づき市町村が公表している耐震化率は、八〇%以上は十四、五〇%以上八〇%未満が四十一、五〇%未満が五となっております。傾向といたしましては、比較的新しい住宅の多い都市部の耐震化率が高く、古い住宅の多い町村部は低い状況にございます。このように、県内に耐震性が不足する住宅がまだ多数残っていること、また、地域によって耐震化が進んでいないことが問題であると認識しております。
このため県といたしましては、住宅の耐震化を進めますため、耐震改修に関する相談窓口を福岡県建築住宅センターに設置する、各地域での県民向けの耐震改修セミナーを開催する、建築士の資格を有する耐震診断アドバイザーを派遣する、市町村を通じて既存住宅の耐震改修費を補助するなど実施をいたしておりまして、今後もこれらの取組を引き続き実施してまいります。
また、新たに、全ての市町村、関係団体で構成いたします福岡県住宅・建築物耐震化連絡協議会を立ち上げ、市町村と連携して、情報共有や意見交換を行ってまいります。
なお、地域によって耐震化が進んでいないということから、協議会の中には、これらの市町村で構成する部会を設置いたしまして、地域ごとの課題に応じた取組を議論してまいります。
このような取組を通じ、住宅の耐震化を促進してまいります。
市町村の庁舎の耐震化についてでございます。市町村の庁舎につきましては、所有者である市町村が災害時における防災拠点としての重要性をしっかりと認識し、自らの責任で耐震化に取り組むことが必要でございます。一方、財源の確保や施設を利用しながら耐震改修をどう進めていくかといった課題もございます。
このため、県では市町村の意向を踏まえ、国の補助金の割増しが受けられますよう、建て替えや耐震改修が必要な庁舎等を防災拠点構築物として県の耐震改修促進計画に位置づけますとともに、耐震改修の工法や工事中の執務空間の確保などにつきまして技術的な助言を行いますなど、市町村の庁舎の耐震化の取組を支援いたしております。
民間の大規模建築物への耐震改修補助についてお尋ねがございました。耐震診断が義務づけられました大規模建築物、いわゆる要緊急安全確認大規模建築物のうち、耐震性が不足する民間の建築物は、平成二十八年度末時点では県内に五十七ございましたが、その後、耐震改修や建て替えが進み、現時点では二十施設となっております。
県では市町村を通じまして、これらの建築物の耐震改修工事に要する費用の一部を補助しております。この補助に要する予算につきましては、建物所有者等に対し、市町村とともに耐震改修を促し、補助を活用したいという御意向がある場合は工事の実施時期や工事費等についてヒアリングを行い、具体的に工事実施が確定したものについて予算を計上しておりまして、十分であると考えておるところでございます。
水道における基幹管路の耐震適合率及び水道行政の移管による効果についてでございます。主要な水道管のうち、耐震性のある管路の割合である基幹管路の耐震適合率につきまして、本県は令和三年度末時点で四一・五%であり、全国平均の四一・二%と同程度となっております。これを市町村等の水道事業者別に見た場合、耐震化を終えた事業者がある一方で、約三割の事業者の耐震適合率は二〇%未満となっております。耐震化を促進させることは重要であると認識いたしております。
また、国は水道行政を厚生労働省から国土交通省等へ移管いたしますが、県では、平成二十年度から社会資本整備を担います県土整備部において水道行政を所管いたしておりまして、移管に伴う変更はございません。移管後は、道路などの公共土木施設と同様に、災害復旧事業の対象に水道施設が追加されることによりまして、補助率が引き上げられますとともに、補助対象箇所も拡大され、被災自治体の財政負担が軽減されます。また、インフラの耐震化や災害対応に関する知見・能力を有する国土交通省九州地方整備局が水道行政を所管いたしますことにより、水道施設の耐震化の促進、あるいは迅速な災害復旧が期待されるところでございます。
県といたしましても九州地方整備局と連携し、水道事業者に対する技術的、財政的な支援を実施し、水道施設の耐震化など、災害対応力の強化に取り組んでまいります。
防災、災害対応への女性参加についてでございます。県の防災会議委員の女性の割合は、令和三年四月時点で九・八%でございましたが、国が目標としている令和七年末三〇%に向けまして、二六・二%まで増やしてきたところでございます。今後も任期満了を迎えられます委員が所属しておられる機関を個別に訪問しまして、新たな委員として、生活インフラや行政等について専門的な知見を有する女性をできる限り推薦していただくようお願いをしてまいります。
県の防災危機管理局の女性の割合は、令和四年十二月時点で一二・五%となっておりまして、全国平均の一一・一%を上回っております。災害対応には女性の視点が重要でありますことから、今後とも女性職員を積極的に配置してまいります。
次に、市町村につきましては、防災会議の委員は女性の割合が令和四年十二月時点で、五十六の市町村が国の目標の三〇%を下回っており、九つの市町村においてはゼロ人となっております。防災会議の女性の割合が低い市町村に対しては女性の人数を増やすよう働きかけを行っておりまして、特にゼロ人の市町村に対しましては、早期に解消されますよう、市町村長に対し強く要請してまいります。
また、防災危機管理部局の女性の割合につきましては、全国の平均九・九%を下回る市町村数が三十六あり、そのうちゼロ人の市町村は三十三となっております。防災部局の担当者が三人以下の市町村を見ますと、九割以上がゼロ人となっております。ゼロ人の市町村には専任の女性職員の配置を求めますとともに、女性の視点を生かすため、できるだけ多くの女性職員が防災業務に関わるような工夫をしていただくよう働きかけを行ってまいります。
女性支援新法に対する認識についてでございます。旧売春防止法は、売春を行うおそれのある女性の保護更生を目的といたしておりまして、女性の人権の擁護、福祉の増進や自立支援等の視点は不十分でございました。新法は、女性が直面している問題が多様化し、また、複合的な問題を抱える女性が増加していることを背景に制定され、行政と民間団体等の協働による支援や市町村が支援の主体の一つであるということが明記されたところでございます。新法の施行により、支援を必要とする女性に対し、本人の意思を尊重しながら、一人一人が置かれている状況に応じた柔軟できめ細かな支援を関係機関や民間団体等と連携して行いますことで、女性が自立して暮らすことができるようになると考えております。
新法の対象者は、生活困窮、性暴力・性犯罪被害、予期せぬ妊娠、DVや虐待、孤立・孤独など、日常生活や社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性及びそのおそれのある女性でございます。このような状況にある女性であれば、年齢、障がいの有無、国籍などを問わず、性的少数者も含め、同法の支援の対象となります。
県の基本計画についてでございます。御指摘がございました神奈川県の計画を見てみますと、DV防止法に基づくDV防止計画と一体のものとして策定しておられまして、これに対し本県の計画は、新法に基づきます単独の計画として策定する予定でございます。計画期間につきましては、上位計画でございます第五次福岡県
男女共同参画計画及び第四次DV防止計画の期間に合わせまして、令和七年度までの計画として策定する予定でございまして、成果指標も他の計画との重複を避けるとともに、二年間の進捗を図ることができる二項目としたところでございます。次期の
男女共同参画計画及びDV防止計画の策定に合わせ、改めて現状を把握し、本計画の成果指標についても一体的に整理する予定でございます。
計画の策定に先立ちまして、第一線で女性の支援を行っている二十の民間団体の皆さんを対象に、支援対象者の現状や支援を行う上での課題について、ヒアリングなど調査を行いました。その中で、支援を必要とする女性は、虐待など家庭環境や生育歴による問題を抱えている方が多く、自分自身でSOSを出せる人が少ないという現状や団体間でお互いの活動内容の情報が不足しており、連携先が限られているということが明らかになりました。また、行政機関、民間支援団体や学識経験者で構成する検討会におきまして、困難な問題を抱える女性への支援の在り方について議論を重ね、潜在化している対象者を早期に把握し、生活の安定に向けた支援に結びつけること、複合的な困難を抱える支援対象者には様々な民間団体、関係機関が連携して支援に当たること、本人の御意向にも配慮し、一時保護のほか、民間シェルターや社会福祉施設の活用も検討することなど、重点的に取り組む施策の方向性を整理したところでございます。
これらを踏まえまして、基本計画におきましては、アウトリーチや居場所の提供等による支援対象者の早期把握と安心して相談できる体制の充実、女性の状況に応じた一時保護先の拡充などの一時保護体制の充実、住宅確保や就業の支援、様々な福祉制度の活用などによる生活の安定に向けた支援の充実、民間団体や市町村など多様な主体と連携した支援の推進、女性の人権を尊重する県民意識の醸成などの教育・啓発の推進、これらを施策の柱として取り組むことといたしております。
この計画に基づき、様々な困難を抱える女性に寄り添いながら、切れ目のない支援を関係機関等と連携して行いますことで、誰もが安心して暮らせる福岡県の実現を目指してまいります。
次に、医療の二〇二四年問題につきまして、県の病床数、医師数の現状及び地域偏在の状況についてお尋ねがございました。まず、病床数についてでございますが、県の一般病床及び療養病床の既存病床数は、昨年十一月時点で、最も少ない朝倉保健医療圏では九百四十八床、最も多い福岡・糸島保健医療圏では一万八千八百二床でありまして、県全体では六万三千九百三十五床となっております。県の保健医療計画では、一定水準の入院医療体制を確保するために必要となる病床数を基準病床数として定めておりますが、全ての保健医療圏において既存病床数がこの基準病床数を超えておりまして、一般病床及び療養病床は充足しているものと認識しております。
次に、医師数についてでございますが、県内の医療施設で働いていらっしゃる医師の数は、令和二年十二月時点で一万五千九百十五人となっております。人口構成や医師の性別、年齢分布等の要素を考慮した医師数を比較する全国ベースの指標でございます医師偏在指標では全国三位で、上位三分の一に属する医師多数県となっているところでございます。保健医療圏別では、京築保健医療圏が全国の下位三分の一に属する医師少数区域となっております。京築保健医療圏は、計画で定めました今年度末の目標医師数二百七十三人を、これは既に確保いたしておりますが、医師偏在指標で比較しますと、依然として医師少数区域となっておりまして、引き続き、偏在是正に取り組む必要があると認識をいたしております。
医師の長時間労働の実態と特例の申請などについてお尋ねがございました。県による聞き取り調査では、昨年一月時点で、年間の時間外・休日労働時間が九百六十時間を超える医師が勤務している病院は、四百五十四病院のうち四十二ございました。現在、地域医療の確保等を理由に、千八百六十時間までの時間外・休日労働が認められます
特定労務管理対象機関となるために特例の指定申請をした病院は二十六病院でございまして、これは救急医療を行う病院や大学病院でございます。この二十六のうち、十一の病院は既に指定をいたしておりまして、残りの十五につきましては、今年度中の指定に向けて手続を進めております。
県といたしましては、医師の働き方改革に取り組む医療機関を支援しますため、これまで県医師会や福岡労働局との共催による医師の働き方改革に係る手続や労務管理に関する説明会の開催、県が設置いたします医療勤務環境改善支援センターにおいて、宿日直許可の取得や勤務間インターバルの導入など、個別の相談対応、こういったことに取り組んでまいりました。今後は全ての医療機関において、働き方改革を踏まえた三六協定の締結や医師に対する面接指導など、追加的健康確保措置への対応も求められますことから、引き続き、医療勤務環境改善支援センターによる相談対応に取り組みますとともに、県医師会などと連携して医師の働き方改革を支援してまいります。
次に、看護師の特定行為研修についてでございます。昨年九月時点で、県内において二十一の指定研修機関が十九の区分の特定行為研修を実施しておりまして、今年度は二百四十四名の方が受講しておられます。県では、身近な地域で研修を受講できるという体制を整備いたしますため、指定研修機関に対する施設整備費の助成を行っておりまして、その制度について、毎年度、病院に周知いたしております。
また、特定行為についての理解が進んでいませんことや受講費用も負担となっていることから、研修受講を促進いたしますため、病院や有床診療所に特定行為の概要や受講のメリットを記載したチラシを配付し、研修制度を周知いたしますとともに、研修に職員を派遣した施設に対しまして受講料の助成を行っております。さらに、研修修了者が習得した知識及び技能を発揮することができるよう、職場での課題や改善策等について話し合う、研修修了者等による意見交換会を実施しております。
今後も県では、特定行為が実施できる看護師の養成、確保に取り組む施設を支援し、研修体制の整備や研修受講の促進に努めてまいります。
次に、女性医師の復職支援についてお尋ねがございました。令和二年十二月時点で県内の医療施設で働いておられる医師のうち、女性の医師は三千三百八十一名で、全体の約二割となっております。令和四年版の厚生労働白書によりますと、女性医師の就業率は男性医師に比べ、子育て世代において低下いたしておりまして、休職や離職の理由は出産や子育てが多くなっております。
このため、県では、子育てによりフルタイムの勤務ができず、就労することに不安を抱いている女性医師が復職しやすくなるよう、院内保育所の運営費や短時間勤務制度、当直免除制度などの導入に要する経費を助成をしているところでございます。今後も県では、就労環境改善に取り組む医療機関を支援し、女性医師が不安なく復職できるよう努めてまいります。
医師の働き方改革による地域医療への影響についてお尋ねがございました。県といたしましては、国の検討会の報告や県医師会との協議を踏まえますと、休日や夜間も対応が必要な救急医療の提供体制への影響が懸念されるところでございます。
このため、県では、県医師会と連携し、救急医療を行う医療機関に令和六年四月以降の対応について調査を行いました。この調査の結果、医師の確保が困難となる休日・夜間急患センターもございまして、地域の医師会や市町村など関係者が協議し、開業医の方の出務回数を増やす予定といたしております。こういった取組によりまして、現時点で地域の救急医療提供体制はおおむね維持される見込みとなっております。
県といたしましては、引き続き、医師の働き方改革による影響を把握いたしますとともに、医師会や市町村などの関係者と丁寧な協議を行い、地域の実情に応じた医療提供体制の構築を推進してまいります。
次に、薬物乱用の現状と取組についてでございます。昨年度の医薬品のオーバードーズが疑われる救急搬送者は千百六十七人で、二十代以下が約四割を占めておりまして、オーバードーズによる乱用、依存が若年層を中心に広がっている状況でございます。一方、違法薬物の覚醒剤につきましては、検挙者数は減少いたしておりますが、再犯者率は全国よりも高い水準で推移いたしております。大麻につきましては、検挙者数が急増いたしておりまして、二十代以下がこのうちの約八割を占めております。このように、県の薬物乱用の現状は依然として厳しい状況にあると認識をいたしております。
このため、私を本部長とする福岡県薬物乱用対策推進本部におきまして、先月策定いたしました福岡県薬物乱用防止第六次五か年戦略で、新たに、市販薬の乱用の未然防止を追記をいたしまして、目標の一つとして、若年層を中心とした社会全体への啓発活動の強化、推進により、覚醒剤、大麻等違法薬物及び市販薬の乱用の未然防止を目指すと定めたところでございます。
この目標の下、若年層の目に触れやすいSNSやインターネット広告などのデジタルツールを活用いたしまして、薬物乱用防止の啓発を継続して行ってまいります。また、薬局、薬店に対し、乱用のおそれのある医薬品を販売する際、若年者には氏名、年齢、購入理由を確認するなどの適正販売について周知徹底いたしますとともに、小中高等学校における薬物乱用防止教室において、医薬品の正しい使い方を引き続き啓発してまいります。
薬物の再乱用防止の取組についてでございます。県では、福岡地方検察庁から情報提供されました初犯者に対し、回復プログラムや治療につなぐ支援を行っております。平成三十年度の事業開始から先月末までに二百八十二人の情報提供を受けまして、全員に面談及び支援計画の作成を行い、このうち三割に当たる九十六人を支援につなげたところでございます。
県の精神保健福祉センター及び保健所におきましては、薬物に関する相談支援を行いまして、個々の状況に応じ、専門医療機関の受診や回復プログラムの受講を促しているところでございます。昨年度は、延べ四百五十六件の相談に対応をいたしました。また、この回復プログラムに参加しやすいよう、NPO法人に委託しまして、平日の夜間や休日に回復プログラムを実施いたしますほか、受講を検討していらっしゃる方にプログラムをイメージしていただくため、お試しプログラムを実施をいたしております。さらに、薬物を含む心の悩みに関する相談窓口に加え、多重債務、労働上の問題などの個別の問題に応じた相談窓口の連絡先を掲載したリーフレットを作成しまして、その周知を図っているところでございます。引き続き、薬物の再乱用防止対策にしっかりと取り組んでまいります。
12 ◯副議長(佐々木 允君) 岩下警察本部長。
*警察本部長答弁
13 ◯警察本部長(岩下 剛君)登壇 薬物事犯の検挙人員などについてお答えをいたします。昨年の県内における薬物事犯の検挙人員につきましては、前年比プラス百二十五人の九百二十二人でありまして、主な内訳は、覚醒剤が三百七十一人、大麻が四百七十五人となっております。ここ数年の特徴といたしましては、覚醒剤の検挙人員は減少傾向である一方、大麻の検挙人員は増加傾向にあり、特に昨年は大麻が覚醒剤を上回り、過去最多を記録しております。また、若年層を中心に大麻が急激に増加しており、検挙された者の年齢を見ますと、令和五年中は、二十歳代以下が初めて全体の八割を超えております。
次に、近年の薬物問題に対する認識と薬物の乱用防止への取組についてお答えをいたします。ただいま申し上げましたとおり、薬物事犯の検挙人員は、覚醒剤が減少傾向にあるものの、若年層を中心に大麻が急激に増加しており、薬物情勢は依然として厳しい状況にあると認識しております。県警察といたしましては、こうした状況を踏まえ、末端乱用者の検挙はもとより、密売や栽培等に係る情報収集、入手先に関する末端乱用者からの捜査などにより、薬物犯罪組織への取締りを徹底してまいります。あわせて、関係機関と連携をいたしまして、若年層に対する大麻の有害性等に関する広報啓発を行うなど、取締りと抑止の両面から各種対策を強力に推進してまいります。
14 ◯副議長(佐々木 允君) 大橋克己君。
15 ◯六十四番(大橋 克己君)登壇 御答弁をいただきました。知事に二点、要望いたしたいと思います。
まず、地震に関する防災アセスメントの結果について、必要に応じて県防災地域計画を改定したいとのお答えでございました。先ほど壇上でも述べましたとおり、
能登半島地震では原発三十キロ圏内の避難計画が機能しないおそれが指摘をされています。本県の防災アセスメントの結果によっては、
地域防災計画にある原子力災害対策を見直さなければならない可能性があるとも考えます。その際は適切な対応に取り組んでいただきますよう、まず一点要望いたします。
また、女性医師の復職支援について、就労環境改善に取り組む医療機関への支援について御答弁がありましたが、離職して時間がたっていらっしゃる場合、最新医療への技術的対応に不安を感じる方がいらっしゃるのではないかとも考えます。そうした技術的な支援についても充実させていただきますよう要望いたしたいと思います。
それでは、質問を続けてまいりたいと思います。
続いて、継続的に治療が必要な疾病を抱えた方に仕事を続けていただくことへの支援についてお伺いをします。福岡県では、一九七七年から、がんが死因の第一位を占め、二〇二一年には約四人に一人ががんで亡くなっています。県は二〇一八年三月に第三期福岡県がん対策推進計画を策定、四つの目標の一つに、働く世代のがん患者支援の充実を掲げています。二〇二二年十月の公益財団法人日本対がん協会、がんサバイバー・クラブの調査によりますと、がんと診断されたとき正社員であった方は、約八割がそのまま正社員として継続就労できており、がん罹患者を取り巻く社会環境は大きく改善されてきたと言えます。
しかし、一方で、がんと診断されたとき、派遣、それから契約社員であった方のうち、同等以上の安定した就労形態を維持しているのは約六割であり、退職や、より不安定な就労形態となった方は、派遣・契約社員だった方では二五%、アルバイトでは二六%と、正社員と比べ低くなっています。また、両立に苦労した人は、制度が使えなかったり、上司や職場全体の理解が得られなかったなどと回答をされています。退職勧告も勧奨も一割と根強く残っています。さらに、東京都の調査では、がんに罹患した従業者への対応について、八割以上の企業が対応に苦慮したと回答されています。こういった結果からも、がん疾患を抱える労働者の治療と仕事の両立支援は、まだ十分な状況ではないと考えます。
そこで知事にお伺いします。がん治療を続けながら働くことができることを実現するためには、例えば、入院、治療等に対応した長期の休職・休暇を取得しやすいなど、企業への柔軟な働き方の支援が必要と考えますが、本県ではどのような支援に取り組んでいるのかお聞かせいただきたいと思います。
厚生労働省が示します事業場における治療と仕事の両立支援ガイドラインでは、がん以外にも、脳卒中、肝疾患、難病、心疾患、糖尿病について、治療と仕事の両立支援の対象としています。こうした継続的に治療が必要な疾病を抱える人への支援を推進していくことは、労働者が安心して働き続けることができる環境整備として非常に有益であると考えます。
そこで知事にお伺いいたします。本県においても、これら継続的に治療が必要な疾病について、治療と仕事の両立支援の取組をもっと強化していくべきと考えますが、知事の見解をお聞かせください。
さて、本県では人口当たりの糖尿病、虚血性の心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病の患者が全国平均に比べて多くなっています。こうした生活習慣病は、早期の発見、対処が非常に重要で、検診の受診率向上が急務となっています。
大牟田市においては、がん及び生活習慣病の早期発見、早期治療を推進するため、県境を越えた熊本県荒尾市や市境を超えたみやま市、柳川市でも市民が検診を受診できる広域連携の仕組みが検討をされており、実現すれば、全国初の取組となります。子宮頸がん、乳がん検診及び特定健診、二十代、三十代健診について、各種検診を受診しやすい医療環境が県境及び市境を越えて整うことになります。このような広域連携の仕組みは、大牟田市のみならず、県全体の検診受診率の向上、ひいては県民の健康増進に大きく寄与するものと考えます。
そこで、この県または市町村を越えたがん検診及び特定健診の広域連携についての知事の見解をお聞きするとともに、このような仕組みを県内各地域で検討すべきと思いますが、知事の考えをお聞かせください。
次は、部落差別解消に向けた県の認識と取組についてであります。我が国において江戸時代以降、人為的につくられた階級社会は熾烈な差別を生み出しました。この時代背景の下、一九二二年三月三日に全国水平社が設立され、その創立大会において、我が国における最初の人権宣言とも言われる水平社宣言が採択されました。以後、百二年にわたり、水平社の活動を受け継ぐ運動団体が部落差別の完全解消、人権確立に取り組まれてこられました。こうした活動が実を結び、一九六五年八月十一日に同和対策審議会答申、一九六九年には同和対策事業特別措置法が制定され、以後、事業法の実施により、被差別部落における実態的差別は著しい改善を見たところでございます。
そこで知事にお伺いします。この答申と法律に対する認識と各種事業の成果について評価をお示しください。
多くの人々の意識が変わる一方で、一部の心ない人々により、インターネット上などで悪質な差別事案が依然発生をしています。そこで、二〇一六年十二月、国は特措法を改定した部落差別の解消の推進に関する法律を施行し、その中で、地方公共団体はその地域の実情に応じた施策を講じるよう努めるものと規定をされました。これを受けて本県では、福岡県部落差別の解消の推進に関する条例、通称部落差別解消推進条例を制定し、二〇一九年三月より施行をしています。
そこで知事に質問します。過去五年間における県内における部落差別事案について、県が把握した件数、そして、特徴的な内容及びその認知経路についてお答えください。
この間、差別を受けた方が法務省人権擁護局などの公的機関に相談するのはかなり敷居が高いという声があります。実際に、差別事件や事案が起こったとき、差別を受けた地域や対象の方々がどこに相談するかといえば、まずは家族、そして次に、運動団体や法に基づく公的施設であります隣保館だということをお聞きします。相談を受けた団体は、被害者の救済と、そして、加害者への意識啓発などを行ってこられたと伺っております。つまり、本来県が行う業務の一端を運動団体が補完をしてきたということでございます。
そこで、最後にお伺いをいたします。水平社の時代からこれまで、反差別、人権確立、福祉向上運動に取り組んできた運動団体の活動に対する知事の認識と県の取組についてお聞かせをいただきたいと思います。
続きまして、PFASの汚染についてお聞きします。我が会派では、これまで、産業廃棄物問題、福岡空港の土壌汚染問題など、様々な環境汚染への行政の対応をただしてきましたが、今回は、有機フッ素化合物(PFAS)について知事に質問します。
PFASとは、人工的につくられた有機フッ素化合物の総称でして、分解されにくく、安定した物質のため、人体に残留、蓄積しやすく、また、一部のPFASは、コレステロール値の上昇や発がん性など、健康に影響する可能性が指摘をされています。特に、PFOS、PFOAなど三種類については、現在、国際条約に基づきまして、製造や使用、そして輸入が原則として禁止されています。その最終処分には、フィルターに吸着をさせた後、高温で焼却するなど、慎重な手順が求められています。
これら三種の有害と思われるPFASは、これまで、界面活性剤や泡消火剤、殺虫剤など幅広く使用され、環境への排出が懸念されています。二〇二〇年度の調査では、製造禁止となっているPFOSを含有する泡消火薬剤等が全国の消防本部、石油コンビナートや自衛隊の基地や艦船、空港などで、合わせて約三百四十万リットル保管されていることが明らかとなりました。このことから、消防庁は、PFOSを含む泡消火薬剤を保有する消防機関に対して、都道府県を通して、二〇二二年度末までに全て廃棄する更新計画の策定及びPFOSを含まない泡消火薬剤等への更新を依頼しました。また、消防庁は、二〇二一年度にPFOAを含有する泡消火薬剤についても、非含有泡消火薬剤への切替えを早期に進めることに十分留意するよう要請するとともに、その保有量の状況について調査し、二〇二三年度に、再度、保有量の状況を調査されたとお聞きをしています。
そこでまず、二〇二〇年度の調査では、本県にPFOSを含む泡消火薬剤はどのくらいあったのか、また、処理は進んでいるのかお聞きをしたいと思います。
二点目に、PFOAを含む泡消火薬剤について、現在どれくらいあり、その廃棄を今後どのように進めていくのかお聞きをいたします。
有害と疑われるPFASは水に溶けやすく、近年は飲料水の水源からも検出されています。東京・多摩地域では水道水に利用していた井戸水から、国で定められた暫定指針値一リットル当たり五十ナノグラムの二十七倍もの高濃度のPFASが検出され、東京都は三十四か所の水源井戸での取水を停止するなどいたしました。市民団体の行った住民の血液検査の結果では、血中のPFAS濃度が米国で定める指標値を超えた住民が約八五%に上りました。
また、環境省による有害と疑われるPFASの二〇二一年度の調査では、西日本から東日本に及ぶ各地の河川や地下水から、国の暫定指針値を超える場所が次々と見つかりまして、その地点は八十一に上ります。本県では北九州市の地下水で、日本の指針の二倍を超える値が検出されており、二〇一九年度の調査では、福岡県築上町の河川では、全国で六番目に高い値百四十五・九ナノグラム・パー・リットルが検出されています。暫定指針値を超えて検出される場所には一定の偏りがあり、九州では、福岡県、大分県、沖縄県となっています。
そこで三点目に、有害と疑われるPFASのうち、PFOS及びPFOAについて、県が実施した本県内における二〇一九年度以降の検出状況とその要因をどう分析しているのかお聞きをいたします。
四点目に、環境省も来年度より、PFASの有害性の研究を開始するとしていますが、ダム、河川、地下水などのモニタリング調査の箇所を増やすなど、本県でも実態把握を進め、環境中のPFASを低減させるための取組を行っていくべきではないかと考えますけれども、知事の見解をお聞きします。
次に、少花粉杉・ヒノキ植林と針広混交林化についてお聞きします。この針広混交林化ですか、耳慣れない言葉で舌をかみそうな言葉でありますが、針葉樹と広葉樹の混じり合った森林整備を進めていくということでございます。
昨年の二月定例会の代表質問において、少花粉杉への植え替えや少花粉ヒノキの植木の生産状況等についてお聞きしたところ、知事からは、少花粉杉・ヒノキへの転換とその普及について前向きな答弁がありました。国においても、林野庁が昨年度末の総合経済対策の中に花粉症解決に向けた緊急総合対策に係る予算が盛り込まれており、県はこの予算を活用して、少花粉苗の植林拡大を図っていくことが可能となります。
また、我が会派の岩元会長は、二〇一七年九月定例会の一般質問で、少花粉苗木の植林の推進に加え、針葉樹と広葉樹の混じり合った森林整備を進めて、花粉の発生源対策を図っていくことについてただしました。
そこで改めて、少花粉ヒノキ苗木の生産、植林についての取組状況と林野庁の動向も踏まえ、県として少花粉杉・ヒノキの植林に今後どのように取り組むのかお教えください。あわせて、県の森林環境税を活用した針葉樹と広葉樹の混交林化の進捗状況と事業効果についてお聞きします。
関連し、国の森林環境譲与税、県の森林環境税に関して伺います。本県では、荒廃森林再生のため、県の森林環境税を二〇〇八年に導入し、県ではこれを生かして、現在、間伐を中心とした整備等を行っていると伺っております。
一方、国においては、二〇一九年に森林環境譲与税が施行され、森林面積や人口などに応じて地方自治体に交付をされています。その配分について、来年度から森林面積の割合が五〇%から五五%へ、人口割合は三〇%から二五%に基準が変更されることになりました。
そこで二点目に、国からの森林環境譲与税の配分基準変更に伴い、県内で森林の多い市町村への譲与額がどのように変化するのか。また、本県において、県の森林環境税と国の譲与税はそれぞれどのように使用されているのか、制度の違いを踏まえてお教えいただきたいと思います。
次に、多様化する学びの対応について教育長にお聞きします。
質問の前に、吉田教育長は四月二十七日に教育長を退任されるということであります。大きく変遷を重ねてきた教育行政に長い期間、最前線で真摯に取り組まれてきました。教育長のこれまでの取組に対し、この場を借りて謝意を表したいと思います。
さて、通信制高校は、学習時間や時期、方法等を自ら選択して自分のペースで学ぶことができることから、選択する生徒が増えています。その数は、二〇〇三年の構造改革特区で株式会社による学校開設が認められて以降急増し、文部科学省が二〇二三年十二月に公表した学校基本調査の結果によると、全国で公立七十八校、私立二百十一校の合計二百八十九校となっています。生徒数は二十六万人を超え、過去最高となり、高校生全体の約一割弱を占めています。
本県では、通信制課程を持つ高校が、公立で博多青松高校一校、私立は五校あり、それぞれ千六百五十二人、二千九百九十三人の生徒が学んでいます。その生徒数からも県立の通信制課程のニーズが高いことがうかがえます。県内の私立高校においては、柳川高校、久留米信愛高校の二校で、令和六年度入試から全日制課程に加え、新たに通信制課程の募集を開始しています。
中途退学者に対して、通信制課程における教育の機会を確保するだけではなく、生徒の多様なニーズに応え、在籍校において、退学せずに全日制から通信制へと学びを継続できる環境を整えることが重要だと考えます。
来年度予算において、博多青松高校の通信制課程を大牟田北高校など三つの県立高校を協力校とし、県内全域で履修できるよう環境を整備する予算が計上されており、通信制課程への受入れ体制がさらに広がることは我が会派として評価をするところであります。
そこで一点目に、私立ではなく、県立高校において通信制課程が存在することの意義について、教育長の見解をお聞かせください。より多くの教育の機会の確保を鑑み、現在の通信制課程を持つ高校の通学可能区域やニーズを調査し、空白区域やニーズが高い地域に通信制課程設置を今後さらに検討してはどうかと考えますが、御所見をお示しいただきたいと思います。
二点目に、通信制課程といった学びの多様化の充実に教育の質の確保は欠かせませんが、スクーリングを実施する三校において新たに人的配置はされるのかお答えください。
次に、学びの多様化学校の設置についてお聞きします。予算案では、通信制課程の充実と併せて、全国で初めて、県立高校に学びの多様化学校、不登校特例校を設置するための予算が示されました。さきの十二月定例会をはじめ、これまで何度も不登校支援の充実を訴えてきた我が会派にとっても非常にうれしく思います。
そこで、今後、学びの多様化学校の設置を検討するに当たり、どのように特色を持つ学校に設置するのが適切と考えているのか、また、入試の時期や方法、いつまでに設置対象の県立高校を決定するかなど、具体的な方針について、教育長の見解をお聞かせください。
次に、広告宣伝車の規制についてお聞きします。本県内において、大型車両に派手な電飾やスピーカーなどを取り付けて低速走行する、ホストクラブ、ホステスの求人などの広告宣伝車が目立つようになりました。景観を損ねている、交通渋滞を悪化させているとの声を聞きます。
東京都では、こうした広告宣伝車が都内を走るには、屋外広告物条例に基づき、公益社団法人東京屋外広告協会のデザイン審査を受けた上で、都の許可が必要となりました。審査に当たっては、公衆に不安・不快の念を与えない、他の運転手の注意力を散漫にさせない、原色など派手な色を広範囲に使用しないなどの規定を設けています。しかし、都の条例の規制を受けない都外のナンバーの広告宣伝車が増加したこともあり、首都圏の一都三県と五つの政令指定都市が共同で規制の在り方を検討し、本年五月には規制の対象を都外ナンバーにも広げ、強化を図る方針です。本県でも、福岡市内で他県ナンバーの広告宣伝車を多く見受けられます。
そこで知事にお伺いします。本県の屋外広告物条例における広告宣伝車への規制の現状はどうなっているのかお聞きします。その上で、本県でも東京や首都圏の事例に倣い、景観を損ねている一部の広告宣伝車をなくすため、県が主導して県内関係自治体等へ呼びかけ、現在多く見受けられる福岡市への広告宣伝車の流入対策等の取組強化を検討してはどうかと考えますが、知事の見解をお聞かせください。
さて、近年、ホストクラブにおいて、若い女性に法外な飲食代を請求したり、そうした女性らに性風俗や売春などの仕事を紹介して返済させるなどの行為が社会問題化しています。二〇二〇年四月の民法改正で成年年齢が引き下げられ、十八歳からは未成年者取消権の適用外となったことで、十代女性の被害者も増えていることが報道されています。こうした状況を受け、全国でホストクラブの遵法化への対策が進み、警察庁は昨年十一月に全国の警察に取締りを強化するよう通達をし、本県でも、昨年十月十九日にホストクラブに立入りに入っています。
そこで警察本部長にお聞きします。ホストクラブに関して、県警察への相談件数とどのような内容であったのか、相談実績についてお示しください。また、これまでの立入りにより、ホストクラブの営業実態はどうだったのかお聞きします。その上で、今後、ホストクラブの遵法化に向け、どのような取組を行っていくのかお聞きをいたします。
最後に、大牟田市の夜間中学の開校に向けた支援についてお聞きをいたします。大牟田市では、二〇一九年十一月に策定された大牟田市立学校適正規模・適正配置計画第二期実施計画に基づき、夜間中学校の設置について、地域説明会や市民説明会、ニーズ調査、先進地調査など、丁寧に検討を重ね、いよいよ本年四月、私の母校でもあります松原中学校の敷地内にほしぞら分校が開校されます。現在は入学説明会や面接、また、職員室や教室など教育環境の整備が行われていると聞いています。県教育委員会はこれまでも設置に向けた指導、助言をはじめ、大牟田市立学校適正規模・適正配置検討委員会の委員の就任など、様々な場面において、大牟田市に対して支援していただいていることは承知をしており、改めて感謝を申し上げたいと思います。
夜間中学校には、学校に通えなかった人や不登校だった人、日本で義務教育を修了していない外国人など、様々な年代の生徒が入学されます。また、このほしぞら分校については、今月の二十一日に学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の指定を文部科学省から受けました。このことにより、同校は、学齢期の生徒の受入れも可能となります。これまでの学習の状況も違っており、多様な背景を持った方々が学ぶことが予想されます。教職員はもちろんのこと、専門的な知識や経験を有したスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなども必要となってくると考えられます。夜間中学校を開校するに当たっては、やはり人的配置が非常に重要となります。
そこでまず、大牟田市の夜間中学校の開校に当たり、県費負担教職員をはじめ、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどの人的支援の予定について、教育長にお聞きしたいと思います。
大牟田市は、JR九州の新幹線、在来線、西鉄電車をはじめ、高速道路、有明海沿岸道路も通っておりまして、交通利便性の高い地域です。熊本県との県境にあることから、福岡県内の市町村のみならず、県を越えて夜間中学校に入学したいという希望者があると予想されます。そこで、夜間中学校の広域的な受入れのための調整について、県教育委員会としての支援について、教育長にお尋ねをいたします。
以上、御答弁をよろしくお願い申し上げます。
16 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
17 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
がんの治療と仕事の両立支援についてでございます。がんの治療は手術、化学療法、放射線療法等の様々な治療を長期にわたり行いますことから、事業者においてがんに罹患した従業員が柔軟に働き続けられる環境を整備することが重要です。
このため県では、社会保険労務士を事業所に派遣し、がんの治療と仕事の両立を推進するための職場環境の改善や就業規則の見直し等を支援しております。また、産業医の配置や衛生委員会の設置義務がなく、労働者の健康保持増進の体制が比較的弱いとされる五十人未満の事業所に対し、治療のために休職する従業員の代替職員の確保や在宅勤務等に係る経費について助成を行っております。さらに、県がん診療連携拠点病院である九州がんセンターに社会保険労務士を配置し、就労相談に対応いたしますとともに、他の二十三か所の拠点病院等にも出張相談を行いますことで、全ての拠点病院等において、がんの治療や療養の相談と併せて、ワンストップで対応しているところであります。
がん以外の疾病に係る両立支援についてですが、事業者は従業員が抱える疾病の特性を理解し、その健康状態を踏まえながら、作業の軽減や通院等に配慮することが必要です。
このため県では、脳卒中、心疾患、肝疾患、難病の各支援センターを設置し、疾病を抱える従業員や事業者からの治療と仕事の両立に関する相談支援を行っております。また、国の独立行政法人が設置する福岡産業保健総合支援センター、いわゆるさんぽセンターでは、疾病の種類にかかわらず相談支援を行いますとともに、両立支援に関するセミナーや研修会の開催、両立支援の制度導入のための事業所への訪問指導、患者の就労継続に向けた事業者との調整支援などを行っておりますが、事業者にその情報が十分に浸透していないという課題があります。
今後は県の支援センターとさんぽセンターとの連携を図りますとともに、地元商工会などの事業者団体が参加しております保健所の地域・職域連携会議において、さんぽセンターが行っている支援を周知啓発する効果的な方策について協議を行ってまいります。
がん検診及び特定健診の広域連携についてです。県または市町村を越えて検診を受診できる環境が整いますことは、通勤や通院、買物など、日常の行動範囲が複数の市町村にわたる方にとって利便性が高まり、受診率の向上につながるものと考えます。
県内では、がん検診では二十八市町村、特定検診で三十六市町村において広域連携が行われております。県といたしましては、これらの検診の実施主体である市町村の担当者研修会などの機会に、大牟田市と荒尾市の事例も含め、広域連携の取組について情報提供を行ってまいります。
同和対策審議会答申と同和対策事業特別措置法に対する認識と各種事業の成果に係る評価についてお尋ねがございました。同和対策審議会答申は、同和問題は日本国憲法によって保障された基本的人権に関わる課題である、その早急な解決は国の責務であり、同時に国民的課題であるとの認識に立った対策が必要であると指摘し、以後の国及び地方公共団体における同和問題の解決を図る上で重要な役割を果たしてきたものであると認識しております。同和対策審議会答申を受け制定されました同和対策事業特別措置法は、同和問題を一日も早く解決するために、補助率のかさ上げや交付税措置といった財政上の特別措置を講ずることを定めたものであり、対象地域における生活環境の改善を集中的に図り、対象地域外との格差の解消に寄与したものであると認識しております。
次に、各種事業の成果につきましては、昭和四十四年から三度にわたり特別措置法が制定され、県独自の経過措置を加え、平成十九年三月までの三十八年間にわたり、国庫補助事業や県単独事業等による所要の施策を推進してまいりました。その結果、道路、住宅、下水排水路、集会所、墓地などの生活環境、農地、農道、用水路など農林水産業の生産基盤などにつきまして着実な成果が見られました。特別措置法による対策により、生活環境の改善をはじめとする物的な基盤整備がおおむね完了するなど、着実な成果を上げ、様々な面で存在していた格差は大きく改善されたものであると認識しております。
過去五年間の県内における部落差別事案についてでございます。差別発言、落書き、投書などにつきまして、県の機関や市町村から報告があった件数は、平成三十年度から昨年度までの五年間で百五件でございます。また、近年のインターネットの普及に伴い、これを悪用した部落差別書き込みが拡大しております状況を踏まえ、県では、令和二年七月からインターネット上のモニタリングを開始しました。このモニタリングでは、昨年度までに四千七百八十二件の部落差別書き込み等を確認しております。
特徴的な内容といたしましては、誰もが匿名で情報発信者になることができるインターネットの特性を悪用し、同和地区の場所を特定できる情報を発信したり、誰が同和地区の出身者であるかという情報を拡散させた事案、約五年間にわたり複数回、特定の地域を同和地区であると書いた紙片を通学路に執拗に置き、通学中の生徒が拾うように仕向けた事案が挙げられます。
運動団体の活動に対する認識と今後の県の取組についてでございます。一九二二年、部落差別に苦しんでいた人々によって日本初の人権宣言と言われる水平社宣言を採択し、全国水平社が創立されました。その流れをくむ運動団体は、市町村や地域ごとに協議会、その下に各支部を組織するなど、地域に根差した活動の中で、結婚差別や就職差別などを受けた方の相談に応じ、行政への橋渡しを行っておられます。また、広く県民を対象にした研究集会の開催、県や市町村が主催する人権・同和問題研修会で講師を務めていただくなど、本県の部落差別の解消に重要な役割を担っているものと認識しております。
県といたしましても、平成三十一年三月、全国に先駆けて福岡県部落差別解消推進条例を施行し、運動団体と連携しながら、教育・啓発の推進、相談体制の充実などに取り組んでまいりました。引き続き、運動団体と連携しながら、部落差別のない社会の実現を目指してまいります。
次に、PFOS及びPFOAを含有する泡消火薬剤についてでございます。PFOSを含有する泡消火薬剤につきましては、令和二年度の調査で三つの消防本部において合計三百六十リットルが保有されておりましたが、令和二年度中に全て廃棄されたことを確認しております。PFOAを含有する泡消火薬剤につきましては、現在三つの消防本部で合計九百三十リットルが保有されており、今後、廃棄物処理法や環境省が示した技術的留意事項にのっとり、専門業者を通じて焼却処理の上、適正に廃棄し、非含有泡消火薬剤への切替えを早期に行うこととしております。
県が実施した調査におけるPFOS及びPFOAの検出状況とその要因についてです。環境省は令和元年度と二年度に、全国的な存在状況を把握するため、排出源となり得る諸施設の周辺を対象とした調査を行いました。県ではこの調査依頼を受けまして、元年度に河川二地点及び地下水二地点で調査を実施し、その結果、築上町宮の川の一地点で暫定指針値を超過いたしました。このため、県でその要因を分析いたしましたところ、主に調査地点周辺で過去に使用された泡消火薬剤が考えられましたため、使用事業者に対策を要請いたしました。これを受け、事業者が排出水の活性炭処理等の対策を行っておりまして、令和三年度以降は県による継続モニタリングにおいて暫定指針値への適合を確認しております。
また、県内の河川、ダム等の公共用水域の状況を把握するため、令和二年度から計画的に水質モニタリングを開始し、九十二か所の全ての環境基準点において暫定指針値への適合を確認しております。
環境中のPFASを低減させるための取組についてでございます。県では今後とも水質モニタリングを継続し、暫定指針値超過が確認された場合には、国の手引に基づき、超過地点周辺における対策を徹底し、環境中のPFASの低減を図ってまいります。これに加え、PFOS及びPFOA以外の有機フッ素化合物について、国が実施する調査にも積極的に協力し、さらなる実態把握に努めてまいります。
少花粉ヒノキ等の植林についてお尋ねがございました。県では九州各県に先駆け、少花粉ヒノキの苗木の育成に取り組んでおります。現在、苗木のもととなる挿し木が順調に育っており、来年の春には山林への植栽を開始できるものと見込んでおります。一方、国が総合経済対策において花粉発生源対策といたしまして、人工林の約半分を占める杉の伐採、植え替えを加速化する予算を措置したことから、県では十二月補正予算におきまして花粉発生源対策として、杉の人工林の多い区域で重点的に伐採と少花粉杉苗木への植え替えを推進するとともに、苗木の増産に必要な園地を整備するための予算を措置いたしました。
次に、針広混交林化についてでございます。県では、福岡県森林環境税を活用し、荒廃のおそれのある森林を対象に、通常よりも伐採本数を多くした強度間伐を実施しております。平成三十年度からの十年間で一万ヘクタールの強度間伐を実施する計画であり、昨年度までに約六千七百ヘクタールの強度間伐を終え、順調に進んでおります。この取組により森林内に日光が差し込み、植生が回復し、シイやカシ類といった広葉樹の自生が進んでおります。今後もこうした取組を通じ、花粉の少ない森林への転換を進めてまいります。
国の森林環境譲与税の配分基準の変更についてでございます。国の森林環境譲与税につきましては、森林整備をより一層推進できるよう、令和六年度税制改正大綱におきまして、各自治体への譲与額の算定に当たり、森林面積の配分割合が高くなるよう基準が見直されました。これによりまして、森林が多い八女市、朝倉市、添田町などへの譲与額が五%程度増える見込みでございます。
次に、県の森林環境税と国の譲与税の使途についてでございます。県の森林環境税では、荒廃した森林の再生を図るため、現地調査を行い、事業対象地を特定した上で、強度間伐などを実施するとともに、県民参加の森づくりを進めております。一方、森林環境譲与税は、県の森林環境税で対象とならない森林において、各市町村が独自に行う間伐や放置竹林の伐採といった森林整備、公共建築物の木造・木質化などに活用されております。県といたしましては、それぞれの税の趣旨を踏まえ、引き続き市町村と連携し、健全な森づくりに取り組んでまいります。
最後に、広告宣伝車の規制についてでございます。福岡県屋外広告物条例は、福岡市、北九州市など独自に条例を制定しております十一の市以外の区域を対象といたしております。県は、お尋ねの広告宣伝車につきましては、車検証の登録が県内にあるものを対象に許可を要するということとしておりまして、広告物が高さ五メートル以下かつ一面の面積五十平方メートル以内のものは許可をいたしております。
福岡市におきましても、車検証の登録が福岡市内にあるものを対象に許可を要することとしておりますが、県のような大きさの規制はなく、発光などにより運転者を幻惑させるおそれのあるものは許可しておりません。
このように、県と福岡市はそれぞれの所管区域をそれぞれの条例で規制しております。県に対しましては広告宣伝車に関する苦情はほとんどございませんことから、福岡市内への広告宣伝車の流入対策等につきましては、まずは福岡市の状況と今後の対応についてお聞きしてまいります。
18 ◯副議長(佐々木 允君) 吉田教育長。
19 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 県立高校の通信制課程の意義等についてでございます。本県の県立高校通信制課程は、勤労青少年等の高校教育の機会を確保するため、昭和二十三年に設置して以来、多様な生徒に学習機会を提供し、生徒一人一人の目標達成に向けて支援を行ってまいりました。近年、他県に拠点を置く広域通信制の高校への進学者も増加している中、県立高校通信制課程におきましては、県教育委員会の指導の下、経済的負担を抑えて、多様な生徒に質のよい教育を行っているところでございます。
通信制課程の生徒は、自宅等でレポートを作成するほか、月に一、二回程度のスクーリングを受講します。生徒の利便性を考慮すれば、スクーリングについては県内各地域で実施し、添削指導は拠点校で集約して実施することが効果的であると考えております。来年度から協力校三校においてスクーリングを実施することとしており、今後の状況を踏まえながら、県立高校通信制課程の教育の充実を図ってまいります。
スクーリング実施のための人的配置についてでございます。スクーリングの実施に当たっては、博多青松高校の通信制課程の教員が協力校において対面授業を行うことを予定をしております。この業務量の増加に対応した人員増につきましては、必要な予算を本議会でお願いをしているところでございます。
県立高校における学びの多様化学校の設置に向けた検討についてでございます。学びの多様化学校制度を活用した特例クラスの設置校については、交通の利便性や少人数指導のための教室数の確保などを考慮しながら、令和六年夏頃までに決定をしたいと考えております。
この学びの多様化学校では、不登校の経験がある生徒の実態に応じて、例えば、中学校までの内容の学び直しやコミュニケーション力の向上を図る学校設定科目を充実させるなど、特例的な教育課程を編成することとなります。入試の時期や方法につきましては、こうした教育内容を踏まえ、志願者の学習意欲等を適切に把握する検査の在り方について検討を進めてまいります。
次に、大牟田市が設置をします夜間中学、ほしぞら分校への人的支援についてでございます。ほしぞら分校の開校に当たりましては、多様な生徒の実態に応じた学習指導や教育相談に対応できるよう、国の加配定数を活用して必要な教員の配置を行いますとともに、専任の教頭及び養護教諭等も配置してまいりたいと考えております。また、県教育委員会においてスクールカウンセラーを直接配置しますほか、大牟田市が雇用するスクールソーシャルワーカーに対し助成するなど、大牟田市の意向を踏まえて支援をしてまいります。
大牟田市の夜間中学における広域的な生徒の受入れの調整についてでございます。他市町村からの生徒受入れについては、設置者である大牟田市の教育委員会において判断されるものでございます。しかしながら、広域的に生徒を受け入れることにより、就学の機会をより確保できると考えることから、今後、県教育委員会としましても、大牟田市の意向や近隣市町村からの入学ニーズ等を踏まえ、受入れの調整について協議をいたしてまいります。
20 ◯副議長(佐々木 允君) 岩下警察本部長。
21 ◯警察本部長(岩下 剛君)登壇 男性従業者が女性客を接待する、いわゆるホストクラブに関する相談の受理状況についてお答えをいたします。県警察では、令和五年中、ホストクラブに関する相談を約八十件受理しております。相談の内容につきましては、料金や無許可営業などに関するものが多く見られるところであります。
次に、ホストクラブに対する立入りの結果及び今後の取組についてお答えをいたします。県警察では、警察庁による通達を受けまして、令和五年十一月から本年一月までの間、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる風営適正化法に基づき、ホストクラブへの立入りを延べ五十八件実施しております。その結果、従業者の生年月日を確認していないなどの法令違反につきましては、指導及び行政処分を行っているところであります。また、本年一月には、福岡市博多区において、無許可でホストクラブを営業した者や店舗で未成年者に酒類等を提供した者を風営適正化法違反で検挙しております。
県警察といたしましては、引き続き、ホストクラブやその従業者による違法行為を厳正に取り締まるとともに、風営適正化法に基づいた、ホストクラブに対する立入りや指導を推進してまいります。
22 ◯副議長(佐々木 允君) 大橋克己君。
23 ◯六十四番(大橋 克己君)登壇 御答弁をいただきました。一点、知事に要望させていただきたいと思います。
がんの治療と仕事の両立支援については、県の行き届いた支援が知事から述べられました。非常にすばらしい取組だと思います。ただ、がん以外の疾病に係る治療と仕事の両立支援については、国の独立行政法人が設置する、いわゆるさんぽセンターとの連携や地域・職域連携会議での協議などの取組を御説明いただきましたが、先ほどのがん対策と比較しますと、やはり見劣りをするんじゃないかなというふうに思います。こうしたがん以外の疾病につきましても、本県のがん対策同様に、民間事業所の職場環境の改善や就業規則改定など、疾病を抱える従業者への直接関わる支援も充実をしていただきたいというふうに心から要望いたしまして、民主県政県議団の代表質問を終わりたいと思います。
御清聴いただきまして、誠にありがとうございました。(拍手)
24 ◯副議長(佐々木 允君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 四 時 三十五分 散 会
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