• "課題意識"(1/1)
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  1. 福岡県議会 2023-12-13
    令和5年12月定例会(第13日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(香原 勝司君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。波多江祐介君。(拍手) *波多江議員質問 2 ◯十七番(波多江 祐介君)登壇 皆様、おはようございます。自民党県議団の波多江祐介です。それでは通告に従い、今回は福岡県における広報について質問いたします。  自治体情報は迅速かつ正確に広く県民に伝える必要があります。また、常にそのような体制を整えることは必要不可欠であり、本県も様々な手法を用いて情報発信を行っております。中でもソーシャルメディアは刻々と変化する情報を幅広く発信する手段として有効であり、広報紙や新聞、テレビ、ホームページなど既存の広報媒体と組み合わせ活用することで、より効率的、効果的な広報活動が可能になります。  本県では、二〇一二年七月からふくおかインターネットテレビとしてユーチューブ動画配信、二〇一四年五月より公式ツイッター、現在のエックス、二〇一七年四月には公式LINEの運用を開始されました。定例会ごとに自民党政策審議会にて執行部各部局とやり取りをする中で、県民への周知についてSNSを活用するとお聞きすることが多々あります。今回は、県の広報媒体の中でも特に若者に県政情報を伝えるのに効果的と考えられる県公式ユーチューブチャンネルに特化して質問をいたします。  少しユーチューブチャンネルの活用について紹介いたします。私は青年会議所の活動で、佐賀県伊万里市にあるスーパーがユーチューブを活用して、倒産寸前の経営が日本一面白いスーパーとして全国から注目をされ、業績も右肩上がりとなった経営者の講演を聞きました。家業を守る若手経営者からのお話には、動画の再生回数が九百万回、動画の投稿は七百本を超え、ダンスをしながら商品を紹介する、至ってシンプルなものでありました。  また、自治体の活用では、PR動画、首長の情報発信やニュース媒体としても活用されています。いち早く採用したのは東京都ですが、茨城県が運用する「いばキラTV」は日本に限らず世界でも注目を集めています。背景には、毎年恒例となっている都道府県魅力度ランキングで最下位になるなど、茨城県の知名度は決して高いとは言えない順位であります。ユーチューブチャンネルの活用は、かなり画期的なものとなっています。今では一方的な発信ではなく、ツイッターから寄せられる意見や感想にも応えるなど、さらに県民に親しまれるチャンネルとなっております。  本県でも、ユーチューブ動画配信を開始し十年を超えます。これまでに「知っトク!ふくおか」の番組やHKT、御当地出身の有名人の出演などに取り組まれてこられました。また、知事の定例記者会見やコロナ禍では対応策やワクチン接種など、県民の皆様がいつでも見返しのできるものとして、民放ニュースとは違って大きな効果があったものと思います。  一方、再生回数や登録者数に着目いたしますと、再生回数が二百回に及ばないものもあれば、二万回を超える動画もあります。また、五百万都市福岡県の公式チャンネルとしては登録者数が少ないのではないかと考えます。私は決して登録者数を単に増やせばいいと思っているのではなく、前段で述べましたが、必要とされる方に正確に情報が伝わることや反響や影響を与えることが大切であり、各動画の再生回数の検証も必要だと考えます。また、登録しても投稿が定期的なものでなければ、再生する機会が減り、閲覧画面から順位が下がりますので、自然と目から離れていきます。現在は一分程度のショート動画やストーリー、ティックトックとの連動も主流となっております。一例ですが、私は六十市町村の紹介を首長や地元マスコットキャラクター、議員の出演やコメントを入れたショート動画も有効だと考えます。例えばBRTひこぼしラインの車窓から四季の風景を紹介するなど、ストーリー性のあるドキュメンタリー番組にて観光や移住、定住に結びつけることもできると確信をしております。  鳥取県定住機構は、県内市町村と連携をして移住、定住対策に取り組み効果を上げているようです。本県も、地域交通の維持や小中学校の廃校や統合など、特に地方市町村は、人口減少は喫緊の課題を抱えているのは言うまでもありません。また、隊員募集に苦慮している陸海空自衛隊も公式広報チャンネルで投稿しており、隊員の募集につながっているともお聞きをいたしました。動画に力を入れている市町村や企業、団体の共通しているところは、課題をしっかり捉え、強い危機感を持って取り組んでいると言えます。  一昨日、我が会派、樋口明議員が会長を務めます福岡県観光産業振興議員連盟講演会にて、講師であるじゃらんリサーチセンター研究員から、戦略試算シートを用いて講話をいただきました。訪日外客数が増加する中、インバウンドは地域ごとのマーケティング戦略が重要であるとのことでありました。公式ユーチューブ動画配信開始から十年を経過し、登録者数増加やさらに魅力ある動画制作が必要ではないでしょうか。  令和四年六月議会で自民党県議団、吉村悠議員の一般質問で、ユーチューブチャンネルの登録者数増加のための取組についてただされました。これに対して知事は、ユーチューブに精通したアドバイザーに、県公式チャンネルの動画の視聴傾向や内容を分析の上、助言をいただく取組を開始する。また、「福岡県だより」を紹介する動画により、コンテンツの充実を図る。さらに行政改革大綱の目標一万五千人については、これを早期に達成し登録者数をさらに伸ばしたいと答弁をされました。当時の質問通告時点の登録者数は約八千人でありました。  そこで二点お尋ねをいたします。令和四年六月議会の当会派吉村悠議員の質問に対する答弁後、登録者数増加のためにどのような取組をしてきたのでしょうか。また、通告を出した時点で登録者数は約一万二千四百人となっていますが、現状についてどのように認識し、さらなる増加に向けた今後の取組について知事にお尋ねをし、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。  県の公式ユーチューブチャンネルの登録者数を増やす取組についてお尋ねがございました。登録者数を増やすためには、まず、県が配信する動画に興味を持っていただいて、より多くの方に視聴していただくことが必要でございます。このため県では昨年七月から、本県御出身で人気がございますロバートの秋山竜次さんを起用いたしまして、「福岡県だより」に掲載しております県政情報を、若者の皆さんがよく見ていらっしゃいますテンポが速い一分間のショート動画で配信をしております。また、今年五月からは、本県で活躍していらっしゃいます人気アイドルグループHKT48のメンバーが県の取組を紹介する動画の配信を開始をいたしまして、県公式チャンネルのコンテンツの充実を図っておるところでございます。  また昨年七月からはユーチューブに精通したアドバイザーを活用しておりまして、このアドバイザーからは、ユーチューブ全体の動画の視聴傾向や配信した動画内容の分析を踏まえ、トレンドを捉えたタイトルで検索されやすくすること、またユーチューブで人気のある料理や食レポの企画を取り入れること、視聴されやすい曜日や時間帯で配信すること、動画出演者自身がSNSで情報を発信することなどの助言をいただき、改善を図っているところでございます。
     こういった取組によりまして、今年十一月末時点でのチャンネルの登録者数、これは一万二千四百二十二人となっておりまして、昨年六月定例会で吉村悠議員に御答弁したときは七千九百四十人でございましたので、約一・六倍となっております。着実に増加をしてきているものと認識しております。  今後もアドバイザーからの助言や視聴回数の多かった人気動画の分析などを参考としまして、動画の内容やタイトルの工夫などを行い、県公式ユーチューブチャンネルの魅力を高め、行政改革大綱で令和八年度末までの目標といたしております一万五千人を来年度中に達成し、さらに登録者数を伸ばしてまいります。 5 ◯議長(香原 勝司君) 新井富美子君。(拍手) *新井議員質問 6 ◯三十番(新井 富美子君)登壇 皆様、おはようございます。民主県政クラブ県議団、新井富美子でございます。久留米市・うきは市選挙区となります。本日は、ジェンダー平等社会の実現のための男女共同参画の啓発、教育の取組について質問をいたします。  ジェンダー平等社会実現を求める世論は世界中で高まっており、多くの国々でその実現のための取組が精力的に行われております。日本においても、一九九九年に男女共同参画社会基本法制定以来、二十数年間に及び男女間のあらゆる格差是正に向け取り組んできました。にもかかわらず、世界経済フォーラムによるジェンダーギャップ指数で我が国の順位は、この調査発表が始まった二〇〇六年の八十位から、ほぼ毎年順位を下げ、二〇二三年の発表では前年から九位も後退して百二十五位へと転落しております。なお、政治・経済分野への女性の参画が著しく低いためであることは周知のとおりでございます。  この間、日本のスコアは最高で〇・六七、最低で〇・六四三、二〇二三年は〇・六五六と横ばいです。世界の多くの国がその取組を加速し、上位三か国はスコアが〇・九前後で争うという状況の中で、日本は足踏みをし続け、今や完全に立ち後れてしまっているというわけです。  この日本の事態を招いてる原因は一体何か。女性の政治・経済への参画が日本で著しく立ち後れている原因は何でしょうか。男性は仕事、女性は家庭に見られるような、男女の固定的役割分担意識ももちろん払拭すべき要素でしょう。しかし、これらは表層的なものであって、原因の根本は、本質は女性への差別意識であります。  一九三六年まで女性は弁護士や裁判官になることはできませんでした。一九四五年、女性はその参政権を男性に二十年遅れで獲得いたしました。男女平等を保障した憲法ができたのはその一年後、一九七二年になってやっと公立機関で働く女性たちの一部などに育児休業が認められました。男女雇用機会均等法が制定される一九八五年までは、就業において女性は単純業務や補佐的業務に限定されることなど当たり前の状況でございました。  これらはほんの一部ですが、長い歴史の中で女性は本来持つ力を抑制され制限され、またそうであると思い込まされ、長い長い間、本来の力を磨き発揮する機会を失ってきたということです。その根本原因は男性社会による女性差別であります。女性はただ力を奪われた状態であるのに、それがあたかも女性の本質であるかのように扱われてきました。今日でも程度の差はあれ、いまだに残っております。今の日本が目指すべき真のジェンダー平等社会とは、女性が本来の力を取り戻し、生まれながらに持つ人権を完全に取り戻した社会であると私は考えます。  その上で、現政府が銘打つ男女共同参画の取組は、ジェンダー平等社会実現に向けた現実的な手法と理解し、否定するものではありません。経済的、社会的な力を持つ女性が増えることで女性が本来持つ力が示され、女性への差別意識の払拭に貢献すると考えるからです。  しかし、繰り返しますが、全てはさきに述べた女性の歴史を踏まえた上での女性の人権の回復という理念に立脚したものでなければなりません。まず社会にこの理念がなければ、どんなに効果的な施策も理解を得ず、空回りするでしょう。そのよい例として、日本の育児休業の制度は国際的に見てもかなり理想的であるにもかかわらず、育児は女性がするものだ、育児のために男が会社を休むのはいかがなものかといったような意識が強いため、男性の育児休業取得率が上がらないという背景も挙げられます。  また、施策の提案者である日本政府や地方自治体の理念の醸成と意識改革が遅れていると的確な施策の提案はできません。そのよい例として、今、世界各国で実施されている国会議員などの男女クオータ制度は、女性の政治参画への大きな力となるにもかかわらず、男性への逆差別だという非難を恐れ、その導入が議論のテーブルにさえ上がらないということを挙げさせていただきます。  日本のジェンダーギャップ指数が低迷を続ける理由は、まさにジェンダー平等の理念の醸成、女性差別を根とする男女の固定的役割分担意識の改革が立ち後れているからではないでしょうか。理念の醸成、意識の改革と施策の十分な執行との好循環をできるだけ早く構築しなければ、日本のジェンダー平等社会の実現は遠のくばかりと言わざるを得ないのではないでしょうか。  さて、このような日本においてではありますが、都道府県ジェンダーギャップ指数で我が県は、政治分野で二十七位、行政分野で四位、教育分野で十二位、経済分野で十九位と、政治分野を除く分野で平均以上のスコアを得ています。同じ日本の中にありながら、かなり健闘しています。これは、これまでの県民の皆様の御努力と、また、ジェンダー平等の福岡県を目指す服部県政の取組のたまものであります。  しかしながら内訳を見ると、夫婦共働きの女性が育児、家事などの無償労働にかける時間は男性の五・八倍で四十三位、県職員の育児休業取得では男女格差が三番目に大きく四十五位、フルタイムで働く女性の賃金が男性の七五%で三十二位であるなど、深刻な課題が明らかにもなっておりますし、また、二〇一五年内閣府が行ったジェンダー平等に関する意識調査を分析したレポートによると、福岡県は、女性は家庭を守り男性は外で仕事をするという考え方に対し、そう思うと答えた男性の比率が五一・九%と全国一位だったことも明らかになっています。決して楽観視せず、福岡県もさらなる取組が必要ということです。  現在、服部県政ではジェンダー平等社会実現に向けた様々な取組が行われており、服部知事自らが様々な場面でジェンダー平等の必要性や男女の固定的役割分担意識の転換を訴えておられることは県民の皆様の声から承知をいたしております。引き続きの啓発活動をお願いいたします。  さて、ジェンダー平等社会実現のための取組として大変重要なのは教育であります。子供たち自身の幸福のためでありますと同時に、未来の社会の担い手としてジェンダー平等感覚をしっかりと身につけてほしいと願います。学校では文科省指定の学習指導要領に従い、義務教育課程においては各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間において、高校では公民、家庭科の教科の中で、男女共同参画教育が推進されています。  しかし、プラン・インターナショナルという機関が二〇二二年に行った日本の高校生のジェンダー・ステレオタイプ意識調査では、女性のほうが男性よりも家事・育児に向いているに賛同した割合は、男女ともに約五〇%。女性は男性に守られる存在だ、また男性は女性よりもスポーツが得意だに賛同した割合は、男女ともに六〇%以上など、ステレオタイプの意識が強い傾向がいまだにあることが示されていました。二十数年に及ぶ男女共同参画教育の内容そのものを再検討する必要があるのではないかと懸念するほどでございます。  しかし、一部の教育関係者からは、学校教育ではこれ以上やれないくらい取り組んでいる、子供たちの意識を阻害しているのは大人社会、取り組むべきはむしろ社会の意識の改革のほうだという強い意見もいただいているところです。実際日本では、文部科学省の男女共同参画教育の成果を評価する取組は行われていません。したがって、子供たちがどの段階でどういった経緯でこういったステレオタイプの意識を持つようになるのかも分かっていません。  そこで、服部知事と吉田教育長に、まずは小学校中学年くらいから高校まで各学年ごとのジェンダー平等意識男女共同参画の成果をはかるべく、実態把握を早急に行っていただくことをここで強く要望をいたしておきます。  いずれにせよ、このような状況の下で福岡県は意識の改革に向け、早急かつ多角的に取り組む必要があるわけですが、その上で一つのヒントをいただく出来事がありました。先日、私は地元久留米市男女平等推進センターが企画する、くるめフォーラムに参加いたしました。フォーラムには二年前から久留米工業高等専門学校の学生が企画者として参加しており、高校生の参加も相当数ありました。開催中、企画の高校生たちや学生たちと話をしたところ、自分の出番以外の時間で各ブースを回ったり講演を聞いたりしたとのことで、男女共同参画、ジェンダー平等に関して、学校では知り得なかったことやもっと知りたいと思っていたことが分かってよかった、ジェンダー不平等のプレッシャーに立ち向かっているのは自分だけではないと分かって勇気が出た、また、これから自分の思う道を選択できそうだとの感想を伺うことができました。これから、社会で起こっている現実味のある情報、何より人から伝わる熱のある情報や交流を高校生たちが求めているということを、そして若者が求めているということを肌で感じました。高校生は進学や就職を目前に控えており、より現実味を持って男女共同参画、ジェンダー平等について考える場面が多く関心は高いとの声を、現場の教員の方からも聞いているところでございます。  くるめフォーラム、あすばるフォーラムなどでは、さきに述べた女性の人権を取り戻す歴史の中で、まさに闘ってきてこられた女性たちをはじめとした熱心な方々が大勢参加をいたしております。こういった熱のある質の高い活動と高校生を積極的につなげることが、高校生自身がその理念を確実に会得し、自分らしく生きる選択の後押しとなるのではないかと考えます。  また、男女共同参画センターの多くが、その活動の中心となる方々の高齢化が進んでおり、後継者問題へ頭を悩ませていることや、参加者も六十五歳以上の高齢女性が多く、若年層と男性への広がりが進まないことを課題として挙げているようです。本当は大いに参加してほしい二十代から五十代は仕事世代、子育て世代が重なり、参加が時間的に難しいという状況もあるのでしょう。そういった中、高校生が女性フォーラムなどに参加することは、高校生自身へのメリットが大きいだけでなく、かかる啓発活動の若年層への広がりをもたらす意味でも有効です。  また、毎年フォーラムに参加されている方々の感想として、若い方がいることで雰囲気が明るくなった、いつもより活気を感じた、今後も高校生の活躍、参加が増えるとよいとの声が多く、また高校生からは、高齢者とのじっくりとした交流がなかったから新鮮だったとの感想があり、活動そのものに若い力が加わることで活性化すること、また今必要と言われている世代間の交流も図られるという効果も期待できます。  そこで、知事にお尋ねをいたします。あすばるフォーラムに高校生の参加が増えることへの効果についてどのような認識をお持ちか、また現状高校生の参加への取組をどのように行っておられるのか、さらに参加を促すためにどのようなことが可能か、知事の認識をお尋ねします。  二点目に、学校では知り得なかった情報を得たいという高校生の声もあるように、児童生徒にはジェンダー平等や男女共同参画を学び考える上で学校教育で得られないものを補う必要が大いにあると考えます。  そこで、知事に質問です。福岡県のジェンダー平等や男女共同参画の実態と課題を、全国との比較を含め記載し、県独自のジェンダー平等リーフレット、教育本などを作成し、児童生徒・教員一人一人に配付してはいかがでしょうか。より身近に自分たちの課題だと認識できるリーフレット、教育本が直接手に届くことで児童生徒の関心がさらに高まり、男女共同参画ジェンダー平等社会への実現の取組が加速化することが大いに期待できるのではないかと考えます。知事の見解をお尋ねいたします。  どうか真摯な御答弁をいただきますよう、よろしくお願いいたします。(拍手) 7 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 8 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  高校生のあすばる男女共同参画フォーラムへの参加についてでございます。このフォーラムは、県民の皆様にジェンダー平等、男女共同参画について考え、理解を深めていただく機会となりますよう、県が条例で定めております男女共同参画の日、これは十一月の第四土曜日となっておりますが、この日に開催をしているものでございます。  このフォーラムに高校生などの若い世代の皆さんに参加していただきますことで、若者がジェンダー平等、男女共同参画について考え、自らの行動を改めて見詰め直す機会となりますとともに、県が進める男女共同参画の取組の活性化にもつながるものであると考えております。  今年度は、福岡県出身タレントが自身の体験に基づいてジェンダーについて語りかけるスペシャルトーク等を十四の市町の視聴会場でライブ配信をいたしましたが、このような身近な会場で視聴できることを、フォーラムのリーフレットを県立高校等に配付して御案内を行ったところでございます。また、フォーラムでは、大学生や高等専門学校生が企画したパネルディスカッションやワークショップが開催をされ、好評でございました。  今後は、高校生自身が考える企画も取り入れるなど、若い皆さんの課題意識や企画力、行動力を生かして、高校生の皆さんの参加を増やしてまいりたいと考えております。  次に、ジェンダー平等のリーフレットについてでございます。男女共同参画に関する若年層向けの啓発教材につきましては、一昨年、昨年と内閣府が小学生、中学生、高校生の発達段階に応じた内容の副教材を作成しホームページに掲載しておりまして、県教育委員会を通じて県内の各学校にその活用を促しているところでございます。  子供たちがジェンダー平等をより身近な問題として捉えていくためには、進学率や就業率、管理職比率などの福岡県におけるジェンダー平等の実情を示すデータを盛り込んだ資料を、学校現場の意見も聞きながら作成し、児童生徒に届ける方法を検討してまいります。 9 ◯議長(香原 勝司君) 新井富美子君。 10 ◯三十番(新井 富美子君)登壇 ただいま知事からは、福岡県におけるジェンダー平等の実情等を盛り込んだ資料を作成し、児童生徒に届ける方法を検討していくという大変前向きな御答弁をいただきました。ぜひ早急に実現していただきたいと思います。  それで一点要望ですけれども、その実現に関しては、私たちにとっては一、二年というのはいつもと変わらない一、二年かもしれませんが、若い子供たちにとっては一、二年というのは人生の礎を築く大切な一、二年でございます。この取組の成果で子供たちの将来が大きく開けることもありますので、ぜひとも早急な取組を心から御要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 11 ◯議長(香原 勝司君) 永島弘通君。(拍手) *永島議員質問 12 ◯十番(永島 弘通君)登壇 皆さん、こんにちは。公明党の永島弘通です。通告に従いまして、自転車に関する交通の安全・安心について質問をいたします。  これまで我が会派の新開団長が、本県の自転車マナーの向上や自転車保険の導入推進に尽力してきたことや、本年四月からのヘルメット着用の努力義務化の流れもあり、県民の自転車に関する意識は向上しつつあるとはいえ、事故防止の対策は急がれる課題です。県民の自転車マナー向上へ期待をしつつも、さらに踏み込んだ対策が急務と思われます。  さて、県警に自転車関連事故のうち自転車と歩行者との事故件数を伺いました。本県における直近三年間の合計数は計三百二十六件で毎年約百件超、幸い死亡事故は三年間でゼロですが、重傷事故は合計二十一件、今年十月末時点では七件と、昨年の二件と比べて大きく増加している状況です。  さて、本県では二〇一九年に、自転車の活用を推進する取組として、福岡県自転車活用推進計画を策定をしており、現在は第二次計画の二か年目です。その中では、自転車ネットワーク計画を市町村が策定されることになっております。  そこで、知事にお伺いいたします。策定する市町村を増やす取組の進捗状況と今後の取組についてお聞かせください。  また計画で設定された四つの目標の一つとして、自転車・歩行者・自動車が安全に通行する社会づくりの推進があります。その指標として、先ほどの自転車と歩行者との事故を含む自転車関連事故の発生件数を抑える目標を、令和三年の三千二百七十件から令和八年までに二千二百件以下にするとされています。しかしながら、令和四年時点で三千二百二十一件と、一年間で僅か四十九件しか減っておらず、残り四年で約千件削減の必要があります。計画では、目標達成に向け安全利用や安全への備えに係る啓発をはじめ、安全教育、指導、取締りに取り組むとされています。  そこで、知事にお聞きいたします。目標達成に向けた啓発についてどのように取り組まれるのかお聞かせください。  次に、高校生の自転車の安全教育についてお伺いいたします。先日、交通の相談を受け、町内会役員、県警本部、南警察署の担当者に朝から現場に集合して確認をしている最中、近隣の県立高校の生徒さんの通学風景を目にしました。そこでは、車一台ほどの幅の一方通行の道路を自転車に乗った高校生が集団で逆走。交差点に差しかかり車が来ていないことを確認すると、自転車を降りて近くの歩行者信号を渡らずに、我々の前をそのまま通りました。警察の制服を着ていなかった南署の担当者が、自転車から降りて横断歩道を渡るようにと声をかけましたが、生徒さんは警察官と認識できず、誰というような態度でそのまま通過。次々と高校生がやってくるので、再度南署の担当者が警察官を名のり注意をすると、生徒たちの態度が一変し自転車を降りて謝ってすぐに行ってしまいました。地元町内会役員の方々によると、以前から学校にも言っているがこの状況が続いているとお困りでした。  また、私の地元校区では朝の通学時間帯に小学校近くの国道で、横断歩道を渡り終えた小学生に、左から国道を走ってきた自転車の高校生が衝突する事故が何と二週連続で発生。二件とも高校生は大丈夫かと声をかけ、倒れた小学生が大丈夫と答えると、そのまま走り去ってしまったとのこと。この件を県警に確認したところ、道交法上のひき逃げに当たる可能性も否定できないとの回答でした。ほかの校区でも高校生の自転車運転が危ないとの声を多数伺っております。  自転車は気軽で便利な乗り物ですが、道交法上では立派な車両であり、一歩間違えれば他人を傷つける凶器にもなりかねません。その意味でも若年層、なかんずく毎朝の通学に使用する高校生への自転車の安全教育は大変に重要かと考えます。  事前に私立高校と県立高校での令和四年度の自転車の安全教育についてお伺いをいたしました。警察や自動車教習所から講師を招いての交通安全講習は、私立高校では全六十校中四十六件開催、県立では、警察などの講師を招いているかなどの内容は掌握していないとのことですが、全九十五校で実施、また私立の残りの十四校は学校の先生による通学路の危険周知や自転車保険の案内推奨といった内容のようです。  しかしながら、先ほど述べたように危険な運転をしている生徒も多く見受けられ、地域からも不安の声が上がっているのが実情です。また県警の調査によると、年間で発生をする自転車関連事故約三千件のうち、半分が十代、二十代が加害者もしくは被害者になっているようです。仮に生徒さんが歩行者を巻き込んで事故を起こした場合、生徒自身が刑事責任を問われる加害者になり得る可能性や、家族も含め損害賠償を請求される可能性など、自転車運転の危険性に関する啓発は極めて重要と考えます。  県警でも自転車事故防止の取組として県内の十五警察署管内に、自転車事故が多発している地区や路線を指定、違反者を警察官が呼び止めて身元確認をし、警告書であるイエローカード、十四歳未満ならグリーンカードを交付。さらに警告に従わないなど悪質な運転であれば、赤切符による検挙や一定の違反行為による検挙が三年以内に二回以上となったら自転車講習の受講命令を出すなどの対応も実施され、一定の成果も上がっているとのことです。  県におきましても警察と協力をして行う安全教室を全学校で開いていただけるよう、例えば学校長会などの会議で警察に安全教室の重要性をプレゼンをしていただき、まだ実施をされていない学校に理解を深めていただく機会をつくるなど、県が主体となってさらなる働きかけを進めることも重要であると考えます。  二〇二〇年に制定をした福岡県自転車の安全で適正な利用の促進及び活用の推進に関する条例の第十三条に、「学校教育法第一条に規定する学校の……長は、その児童又は生徒に対し、発達の段階に応じた自転車交通安全教育を行うよう努めなければならない。」と明記をされております。県によると安全講習を開くかどうかは各学校の判断とのことですが、生徒に自転車運転の危険性を自覚をしてもらうことも大切な教育であり、県にもその責任があるかと思います。  そこで、知事及び教育長にお伺いをいたします。生徒の自転車マナーについて、地域の方から苦情を受けた場合の対応も含めて、学校において自転車の安全利用に関してどのように取り組んでいるのか。自転車交通安全教育に関する知事、教育長の御所見と併せてお聞かせください。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 13 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 14 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  自転車ネットワーク計画策定の進捗状況についてお尋ねがございました。自転車ネットワーク計画は、安全で快適な自転車通行空間を効果的、効率的に整備することを目的といたしまして、市町村がそれぞれの地域の実情に合わせて策定する計画でございます。昨年三月に策定いたしました第二次福岡県自転車活用推進計画におきましては、自転車ネットワーク計画の策定市町村数を令和八年度末までに二十市町村とすることを目標といたしております。これまでに十一の市町が策定を完了し、三つの市町が策定中でございます。このうち二つの市町におきましては今年度中の策定を予定いたしております。  県といたしましては引き続き、広く市町村に対し策定の意義やその必要性を説明するための研修会を実施いたしますとともに、個別にも積極的に助言を行い、計画の策定を促してまいります。また、計画の策定に当たりましては県も参画いたしまして、安全で快適な自転車通行空間の整備につなげてまいります。  次に、自転車関連事故の発生件数の目標達成に向けた啓発についてお尋ねがございました。御質問の中にもございましたが、自転車関連事故の発生状況を年代別で見てみますと、十歳から十九歳までの若年者が三割を超えております。最も多い状況となっております。また時間帯別では午前八時から十時まで、また午後四時から午後六時まで、つまり通勤、通学の時間帯での事故が約四割を占め、最も多くなっております。  このような状況から、中学、高校、大学等の生徒学生に対し、交通ルールをしっかり守ること、特に時間に余裕のない通学時は慎重に運転をすること、一たび事故を起こせば、自分がけがをするだけではなく、被害者から多額の賠償金を請求され刑事責任を問われかねないことなどを漫画で分かりやすく説明するリーフレットを入学時に配付し啓発を行っております。  あわせて、県ホームページで、自転車は車道の左側通行が原則であること、夜間はライトを点灯することといった自転車の主な交通ルールのほか、地元タレントが自ら自転車に乗ってルールやマナーを解説するドラマ仕立ての啓発動画を掲載し、注意喚起を行っております。  また近年、利用が大変拡大をいたしておりますシェアサイクルの事業者に働きかけ、利用者が閲覧いたしますこのシェアサイクルの事業者のホームページやアプリに自転車の交通ルールなど安全利用に関する情報を掲載していただいております。  こうした取組に加え、今月十一日から始まっておりますが、年末の交通安全県民運動期間には、新聞広告やラジオ番組、街頭啓発などを実施し、自転車の交通ルールの周知徹底を図ってまいります。  今後とも県警察、関係機関、団体等と協力し、自転車事故を一件でも減らすことができますよう、あらゆる機会を捉え、事故の悲惨さを伝えていくなど、広報啓発に取り組んでまいります。  私立高校における自転車交通安全教育についてでございます。自転車事故件数は高校生が学生の中で最も多くなっておりまして、憂慮すべき状況が続いております。このため高校生一人一人が交通ルールを守る意識を高めることが極めて重要でございます。私立高校では、県警や自動車学校から講師を招いた交通安全講習が実施されておりまして、スタントマンや自転車シミュレーターを用いた実技講習、VR体験、交通マナー講習などが実施されております。その上で、生徒の自転車マナーに関する苦情が寄せられた場合は職員朝礼で速やかに教職員が情報共有し、生徒への指導が行われております。  県ではこれまで、県私学協会が実施をいたします教員研修会におきまして、交通安全教育の実施を要請してきたところでございます。今後はこの研修会で、効果的な取組を行っている優良事例を御紹介いたしますとともに、県が実施いたします自転車安全教育指導者講習会への参加を教員に呼びかけてまいります。 15 ◯議長(香原 勝司君) 吉田教育長。 *教育長答弁 16 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 県立高校における自転車の安全利用の取組についてでございます。生徒自身や地域住民の安全を確保するためには、自転車の安全利用を含む交通安全に関する指導を確実に実施していくことが必要であり、現在全ての県立高校におきまして交通安全教室を実施をしております。  各校の交通安全教室におきましては、例えば警察や自動車学校の方を講師に招き、悲惨な交通事故の事例を紹介しながら生徒が交通ルール遵守の重要性を学んだり、スタントマンによる交通事故の再現やシミュレーターの活用により、直接事故の危険性を体感したりする学習を実施をしております。  また、地域の方から生徒の自転車利用について苦情などがあった場合、学校では改めてホームルームなどで、具体的なその事例に即して自転車の安全利用について生徒に指導をいたしております。  県教育委員会としましては、生徒の自転車の安全利用を推進するため、今後とも全県立高校で交通安全教室を実施するとともに、その実効性を高めるため、各校の安全教育担当教員を対象とした研修の内容の充実に努めてまいります。 17 ◯議長(香原 勝司君) 永島弘通君。 18 ◯十番(永島 弘通君)登壇 教育長に二点御要望をいたします。  一点目ですが、県立高校で実施されている安全教室の内容の掌握についてでございます。先ほどの答弁では、県立は全校実施とのことでしたが、その根拠は、教育委員会が各学校へ行うアンケート調査の中の一項目として、交通安全教室を実施しているかどうかの問いに、はいか、いいえに丸をつけるだけと伺いました。現状では資料を配付してただ読むだけの可能性も否定はできません。一方、私立高校を所管する私学振興課では、実施した学校数と併せて実施内容まで掌握をされております。教育委員会は、安全教室の内容を決めるのは、各学校に主体性があり、教育委員会からは言えないとのことですが、県立高校を所管する教育委員会が内容を掌握していないことは問題であろうかと思います。  また、実態調査を行うことに対しても県教育委員会のスタンスは、ただでさえ忙しい学校現場にさらに負担をかけるのは控えたいとのお話でしたが、それを言うと何もできないと思います。私は、生徒が自転車運転の危険性や加害者になり得る可能性を自覚するための実効性がある安全教育としては、交通の現場をよく分かっている警察が入ったほうが効果的かと考えます。ぜひ学校現場の負担にならないやり方を、現場の意見もよく聞きながら御検討をいただき、一度全校の内容を掌握された上で、もし安全教室の内容に乏しい学校があれば、より充実をした教室を開くよう、学校に働きかけてはどうかと切に要望をいたします。  次、二点目は地域からの苦情の対応でございます。先ほどの答弁では、学校のホームルームなどで具体的な事例を通じ生徒に指導をしているとのことでしたが、正直その回答に驚いております。これまでも指導をしてこられた結果、現実が変わっていないので、今回私が質問をしていることを県教育委員会は理解されてますでしょうか。  私学振興課は今後の対応として、苦情があった地域へは学校からその後もフォローをしていくようしっかり働きかけていくと明言をしてくれました。苦情が出た地域が、学校は本当に対応してくれているのかと無用な不信感を抱かないよう、また地域に対し学校の指導の取組が伝わるような対応を取っていただけるように切に要望します。そして、本件は引き続きフォローをしていきますと申し上げ、私の質問を終わります。  本日はありがとうございました。(拍手) 19 ◯議長(香原 勝司君) 新開崇司君。(拍手) *新開(崇)議員質問 20 ◯五番(新開 崇司君)登壇 日本維新の会の新開崇司でございます。御質問をさせていただく前に一言申し上げます。  私は九年前、社会に出た若者が大きな夢を語れる社会をつくるために政治家を目指しました。この間、三度の落選と八年の歳月を費やし、今年の四月に福岡県議会の議席をお預かりさせていただきました。本当に芽も出ない、花も咲かない私を長い間支えてくださった支援者の方々、そして党関係者の方々に心から感謝を申し上げます。  それでは、通告に従いまして、若者・Z世代の支援について御質問させていただきます。  近年の選挙におきまして若年層の投票率は低迷を続けており、特に地方選挙では著しい低下となっております。ここ福岡県におきましても、令和三年四月の福岡県知事選挙の二十代の投票率は一六・〇五%、二十五歳男性の投票率に至っては一二・二八%です。また令和五年四月の福岡県議会議員選挙の二十代の投票率は一八・一一%、二十五歳男性の投票率に至っては一四・一五%です。  このような若年層の低投票率に対しまして、若者の政治離れ、政治への無関心という論調も聞こえてきますが、果たして若者は本当に政治に無関心なのでしょうか。私はこれまで多くの二十代の社会人から政治や選挙に対する御意見をお伺いしてきましたが、若者は決して政治に無関心ではありません。特に税や社会保障制度に関しては、その関心度は極めて高く、政治の力で少しでもその負担を軽減してほしいという声は切実であります。  それでは、なぜ多くの若者は選挙に行かないのでしょうか。なぜ選挙に行っても仕方がないという言葉が返ってくるのでしょうか。その理由について私は、日本財団が二〇二三年十月に行った十八歳意識調査第五十八回社会保障のアンケートの中に答えがあると考えております。  まず、そのアンケートでは、現在の政治、国会における社会保障制度に関する議論や意思決定に若い世代の意見が十分に反映されていると思いますかという質問に対し、分からない、回答しないを除いた回答の約八八%が若い世代の意見が反映されているとは思わないと回答をいたしております。  次に、世代の人口格差を埋めるために、新しい選挙の形として世代ごとに議席数を配分した年齢別選挙区方式への賛否については、分からない、回答しないを除いた回答の約六六%が、賛成もしくはどちらかというと賛成と回答いたしております。  政治における意思決定は選挙での多数決です。少子高齢化社会における自分たち世代の人口を考え、自分たちの声は届きづらい、自分の一票が政治の意思決定に与える影響は大きくないという無力感や閉塞感が、若者が選挙に行っても仕方がないと諦めている最大の原因であると考えております。  そのような中で兵庫県は二〇二四年度の予算編成に向けて、高校生、大学生、若い社会人、いわゆるZ世代を支援する若者・Z世代応援パッケージを打ち出されました。支援の柱は、県立高校支援の充実や高等教育の負担軽減など多々ございますが、柱の一つとして兵庫県型奨学金返済支援制度の拡充に言及されていることは、社会に出てから間もないまだ低所得でありながら社会の一員として税と社会保険料の負担義務を果たし続けるZ世代の社会人にとって、大きな勇気を与えるメッセージであると考えております。  私は、少子高齢化社会だからこそ、有権者となるZ世代の人口が少ないからこそ、その若者の声をしっかりと受け止め、政策に反映し、若者が仕方がないと諦めない社会をつくることが政治の役割であると確信をいたしております。
     そこで、知事にお尋ねをいたします。まず、今回の兵庫県で打ち出された若者・Z世代応援パッケージについて、どのような御認識を持たれているのかお尋ねをいたします。  次に、次代を担う人財の育成を掲げる福岡県といたしましても、若者・Z世代の支援をさらに進める検討やメッセージを発信する必要があると考えておりますが、知事の御所見をお尋ねいたします。  最後になりますが、明治十年、クラーク博士が札幌農学校の学生に贈った有名な言葉があります。それは、ボーイズ・ビー・アンビシャスという名言です。明治維新から間もない欧米列強がアジアに迫りくる時代に、クラーク博士から贈られた、少年よ、大志を抱けという言葉に子供たちはどれほど勇気づけられたことでしょうか。しかしながら私は、平和で、そして豊かであるはずの令和の時代に今の日本社会を考えると、子供たちや若者に心からこの言葉を贈ることはできません。私は、日本の将来を担う子供たちに、社会への門出を迎える若者に、ボーイズ・ビー・アンビシャス、ガールズ・ビー・アンビシャスと私たち大人が胸を張って言える社会をこの福岡県でつくるために執念を燃やし続けることを全ての福岡県の子供たちに宣言をいたしまして、質問を終わらせていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 21 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 22 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、兵庫県の若者・Z世代応援パッケージについてお尋ねがございました。これは、少子化、人口減少対策として、若者や、二十五歳から四十歳ぐらいまでですか、Z世代の皆さんをターゲットにした兵庫県としての施策をパッケージとして束ねて示されたものでありまして、具体的には議員御紹介の奨学金返済支援のほか、県立大学の入学金、授業料の無償化等の高等教育の負担軽減、県立高校の生徒自らが部活動に用いる備品等の整備内容を決めることができる予算枠の新設、不妊治療支援の強化などの施策を実施をいたしまして、今後三年間程度で集中的に支援を強化する予定であると伺っております。  次に、若者・Z世代への支援についてでございます。私は、若い世代の皆さんが夢や希望を持って、住み慣れたところで働き、子供を安心して産み育てることができる、そういった福岡県の実現を目標として県政を進めているところでございます。今年度の当初予算の柱、一千億円の人づくり、そして安全・安心で活力ある社会づくり、これはそうした思いから掲げたものでございまして、これに基づく施策をさらに進め、成果を、実を上げてまいりますため、来年度もこの柱を基本として施策を展開してまいります。  一千億円の人づくりでは、市町村や企業、NPOの皆さんと連携をし、未来を切り開き担っていく、世界に羽ばたいていく、そういう青少年を育成いたしますとともに、九州、全国で活躍できる半導体人材や中小企業においてDXを推進することができる人材、あるいはスマート農業を担っていくことができる人材、こういった産業を支える人材の育成にも取り組んでまいります。  安全・安心で活力ある社会づくりにおきましては、出産・子育て安心基金を創設をいたしました。この基金の活用による病児保育の無償化、また不妊治療費に対する助成を行います。また、孤独や孤立に悩む若者の皆さんの居場所づくり、これについても進めてまいる考えでございます。  引き続き、多様な若者の皆さんの意見をお聞きしながら、福岡の未来を切り開き担っていく全ての若者を応援する施策を展開し、福岡県はあなたたちを応援しているんだ、こういうメッセージがしっかりと若者に伝わるよう情報発信に努めてまいります。 23 ◯議長(香原 勝司君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時二十分といたします。           午 後 零 時  八 分  休 憩           午 後 一 時 二十一分  再 開 24 ◯副議長(佐々木 允君) 再開いたします。 *諸般の報告  諸般の報告を行います。  提出議案中、第一八二号議案「福岡県職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について」外三件について人事委員会の意見を求めましたところ、お手元配付のとおり意見の提出がありました。      ────────────────────────────────────────── 25 ◯副議長(佐々木 允君) 以上、報告いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。福地幸子君。(拍手) *福地議員質問 26 ◯二番(福地 幸子君)登壇 皆さん、こんにちは。宗像市選出、桜和会の福地幸子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  通告に従い、小規模事業者の事業継続計画策定支援について質問いたします。  二〇二三年は、国内最大の災害であり、死者行方不明者が十万人を超えたという関東大震災が起きてから百年目に当たります。そして今や首都直下地震等の発生確率は今後三十年間で七〇%とされています。国内大規模災害の可能性は地震だけではありません。一七〇七年の富士山大噴火と同様の災害が起きた場合、首都圏は灰に埋もれ、六割が避難対象となる可能性があるとのことです。もしも不慣れな火山灰処理に復旧が進まなければ流通経済が麻痺するため全国的に影響を受けることは間違いありません。これがいつ起きてもおかしくないというのが政府の試算です。  福岡県においては、平成二十九年の九州北部豪雨以降、本年の令和五年梅雨前線豪雨に至るまで、七年連続して、大雨、豪雨災害が起こり多くの被害を被っております。平穏に生活している町がいつ被災地になるか分からないというのが昨今の状況です。  また、このような自然災害以外にも、感染症等による感染拡大リスクや不穏な海外情勢、個人情報管理の問題など課題は山積みであり、経営者はこのような事象に翻弄されながら事業経営を行っています。  そして、理不尽なことに災害は人々を平等に襲うわけではありません。特に中小企業基本法第二条第五項の規定でいう従業員二十人以下の商業、五人以下のサービス業、そこに含まれる多くの個人事業主などの小規模事業者が事業継続不能による被害を受けやすいと言えます。  以前、火災体験講習を受講したときに次の問いを受けました。ホテルに宿泊し夜間に火災が発生、逃げようとして廊下に出ると既に煙が充満し非常口が分からない。このようなときにどうしたらよいと思いますかという問いに、私は答えが分かりませんでした。答えは、煙に巻かれると何もできない。だから、どんなときも事前に非常口の場所を確認しておくことというものでした。ささいなことでも知っていることで事前の対策を講じることができるのだと改めて気づかされました。  事業活動においても、災害が発生することを想定し、事業を継続していけるように計画を立てることで事業継続の可能性が高まります。現在の頻発する災害に対処するには地域ごとに起こりやすい災害を考慮した事業継続計画(以下、BCPといいます)の策定と着実な運用が有効であると言えます。県内六十市町村と商工会等が共同で作成した事業継続力強化支援計画によると、小規模事業者においてBCPを作成している事業者は少なく、自然災害に対する防災意識が乏しいという課題が見えました。  まず、BCP作成のメリットは、一、緊急事態の発生時に早期復旧に向けて速やかに対応でき経営面での被害を最小限にとどめる。二、事業の根幹となる最も利益率が高い部分が可視化され経営戦略の見直しの機会となる。三、強み部分をさらに見直すことで有効なリスクヘッジ対策が可能になる。四、緊急時の対策が整っていることが第三者からも見え、取引先からの信頼性向上につながる。主にこういうことが挙げられます。  次にデメリットとしては、小規模事業者は人材が不足しており、計画策定には専門のコンサルティングコストが必要となる。二、データの保守管理などリスク分散などの計画に対応するためのコストが必要となる。このようなことが挙げられます。  さらに小規模事業者の倒産・休廃業等の原因は自然災害のみではありません。東京商工リサーチのデータによると、二〇二三年十一月時点の負債一千万円未満の企業倒産を見ると、累計四百四十件で既に前年を超えています。中でも破産による倒産が目立ち、負債一千万円未満の倒産は小規模・零細企業がほとんどのため、業績回復が遅れて、過剰債務も解消できず、先行きの見通しが立たないまま事業継続を諦めるケースが多いとなっています。  実質無利子無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資の返済がピークを迎えますが、物価の上昇、人材確保のための人件費上昇など資金負担の増加により、小規模事業者の倒産は増える一方です。政府は金融機関に企業の再生支援に取り組むように促していますが、小規模事業者は債務額が一千万円未満のため、金融機関の支援の目が行き届かない可能性もあります。このようなときにこそ外部の支援が必要です。  地域経済を下支えしているのは小規模事業者であり、多くの個人事業主も含まれている中で、その家族の生活を支えており、地域経済の基礎となるものです。地域経済の活性化、持続力強化のためにも、支援組織や自治体のサポートを受け、小規模事業者のBCP策定が可能になっていくことが望まれます。市町村と商工会等が共同で作成した事業継続力強化支援計画によると、管内小規模事業者の自然災害リスクに備える簡易版BCP(事業継続力強化計画)の策定支援を実施していくことが記載されています。しかし、小規模事業者にとって経営上のリスクは、さきにも述べましたように自然災害のみに限りません。突然の物流停止、取引先の倒産、人手不足などの個々の事業者の実情に応じ様々なリスクがあり、事業者自身が気づいていないものも多いと考えます。  そこで、知事に伺います。小規模事業者の倒産や廃業を避けるためには、自然災害をはじめとしたリスクへの備えが重要となることから、小規模事業者による簡易版BCP(事業継続力強化計画)策定に向けたきめ細やかな伴走支援や、災害以外の個々の事業者の実情に応じたリスクへの気づきを促し、現実的な事業継続力の強化につなげることが必要かと考えますが、県はどのような取組を行っているのでしょうか。  以上、知事の御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手) 27 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 28 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  小規模事業者の事業継続力の強化についてお尋ねがございました。県では近年、度重なります豪雨災害に見舞われまして、県内の事業者にも大きな被害が発生をしており、中小企業、小規模事業者の皆様の防災・減災対策は喫緊の課題となっております。一方で、今年度、中小企業、小規模事業者を対象に行いましたアンケート調査では、事業継続力強化計画について、策定済み、または策定中と回答した事業者の割合は約一五%にとどまっております。  県といたしましては、事業者による事業継続力強化計画の策定を支援いたしますため、商工会議所、商工会と連携しまして計画策定を促すための普及啓発や、専門家が支援して事業者ごとにリスクを洗い出し、これに対する対策を検討するワークショップを開催し、また災害対応の専門知識を有する経営指導員による伴走型での策定指導を行いますとともに、計画を策定した事業者に対して県の競争入札参加資格審査において加点するという優遇措置を行っているところでございます。さらにこれに加えまして、経営指導員の日常的な巡回指導において、停電とかあるいは通信障害、取引先の倒産など災害以外のリスクへの対策を取るよう促しております。  今後も商工会議所、商工会と連携し、計画の策定支援はもちろん、個々の事業者の実情に応じたリスクへの対応を含め、小規模事業者の事業継続力の強化に向けてしっかり取り組んでまいります。 29 ◯副議長(佐々木 允君) 福地幸子君。 30 ◯二番(福地 幸子君)登壇 御答弁をいただきありがとうございます。  本来のBCPは全ての活動、全ての従業員を対象にしなければならず、また災害の範囲は広いため様々な分析を要します。複雑に作成しても、いざというときにそのまま役立つとは限りません。けれども、経営者が防災リスクや経営リスクの意識を持つことで臨機応変な行動が可能になります。BCP策定は事業の生き残り戦略であり、将来への希望を持つための経営戦略でもあります。無理をせず毎年着実に実施できるような内容でのBCP策定を積み重ねていくことで、いざ災害に遭遇したときに事業者の事業継続に大きな力となります。小規模事業者の意識を高め、必要性を訴えられる県の事業を要望し、質問を終わります。  御清聴いただきありがとうございました。(拍手) 31 ◯副議長(佐々木 允君) 宮川宗一郎君。(拍手) *宮川議員質問 32 ◯十六番(宮川 宗一郎君)登壇 こんにちは。自民党県議団の宮川宗一郎でございます。通告に従いまして、特定妊婦支援について質問を行います。  特定妊婦とは、予期せぬ妊娠や貧困、DV、知的・精神的な障がい、若年妊娠などの理由で子育てが難しいことが予想され、出産する前から支援が必要とされる妊婦のことであります。そのような生活環境から、最悪のケースであります児童虐待を防ぐために、二〇〇九年には特定妊婦が児童福祉法に明記されました。  日本ではその特定妊婦が二〇二〇年には約八千三百人と急増しており、十年前の約十倍に上ります。また、こども家庭庁のこども家庭審議会児童虐待防止対策部会に設置されている児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会が今年九月に発表したこども虐待による死亡事例等の検証結果等では、二〇〇三年七月一日から二〇二二年の三月三十一日までの間、心中以外の子供の虐待死は九百三十九例、九百八十九人でありました。そのうち二〇二一年四月一日から二〇二二年三月三十一日までの一年間だけ見ても、ゼロ歳児の割合は四八%と約五割で、加害者の割合は実母が四〇%と最も高く、妊娠期、周産期における母体側の問題では、予期しない、計画していない妊娠が三二%、妊婦健康診査未受診が二八%、実母の心理的、精神的問題等については育児不安と養育能力の低さがともに三四・七%ということも分かっております。  データからも分かるとおり、予期しない妊娠により、誰にも知られたくないという気持ちから、子供を遺棄してしまうケースや、養育能力の低さから子供を死なせてしまうケースなど、痛ましい事件が全国的にも問題視されており、各ニュースにおいても取り上げられていますが、そのような孤立する母子をどうにか支援する取組が全国で広がっております。  そのような中、福岡県においても国の取組を受けて令和三年度から、福岡県特定妊婦等母子支援事業を行っております。これは先ほどにもありましたとおり、児童虐待による死亡事例のうちゼロ歳児の割合が約五割と高く、児童の虐待死を招いた保護者の要因としても、妊娠期からの孤立、産前産後の体調や家庭環境の問題等が指摘されております。よって、このような予期しない妊娠に悩む妊婦や妊婦健診を受けずに出産に至った母子などに対し、妊娠期から出産後まで一貫した支援を行い、児童虐待の未然防止を図るものと聞いております。  しかし、特定妊婦については、もともと潜在的に存在しており、国として支援が始まり、このように数字として現れており、実数としてはまだまだ存在し、氷山の一角であると考えております。産前から産後、そして自立まで支援できる施設が存在していても、肝腎の特定妊婦を把握し切れていなければ本末転倒であります。そのような特定妊婦の方々をより把握することは、施設の活用や何より児童虐待などの防止にもつながります。  そこで、知事にお伺いいたします。福岡県においては、特定妊婦の把握についてどのように強化していくのでしょうか。  次に、施設に入所して手厚い支援が必要な母子のために、福岡県内で例を見れば、私も居住しております福岡市においては令和二年に、産前産後母子支援センターである、こももティエを設置し、特定妊婦の支援に取り組んでおり、産前からの相談、居場所の提供、子育てのサポートをし、産後まで切れ目のない支援が行われております。  このように、全国的に見ても急増する特定妊婦について適切な支援を行う施設が必要になってきますが、福岡県としての取組とこれまでの実績をお聞かせください。  最後に、こども家庭庁は二〇二四年度から、孤立や貧困などの問題を抱える特定妊婦の生活支援を行うため、全国で拠点整備に乗り出すことを打ち出しました。一時的な住まいや食事を提供するほか、妊娠中から産後まで一貫したサポートを行い、育児放棄や虐待防止につなげているそうです。こども家庭庁は事業に係る費用を来年度予算の概算要求に盛り込んでいて、今後は制度の実施に向けて具体的な基準の検討などを進めることとしております。  このような特定妊婦に対する丁寧なケアは児童虐待の防止にもつながるということで、国もこの事業の重要性を認識し強化しておりますが、今後、福岡県においてどのように強化していくのか、知事のお考えをお聞かせください。  予期せぬ妊娠や貧困、DV、若年妊娠など特定妊婦の方々の不安や悩みは様々であります。その背景を見極めて、それに沿った支援を継続して行うことで、一方で特定妊婦の方々などを減らしていき、誰一人取り残されない社会を目指すことが重要と考えます。家族、周囲の方々ひっくるめて社会全体として支えていくという支援の輪を福岡県でさらに広げていただくため、特定妊婦の方々が希望を持てる答えを述べていただけることを期待して質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございます。(拍手) 33 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 34 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  特定妊婦の方の情報の把握についてでございます。市町村においては母子健康手帳を交付するときに面談を行いますが、その際、県が作成したチェックリストを活用して、妊娠が分かったときに戸惑いがあったか、あるいは経済的に不安はないか、また身近に支援してくれる人がいるかなどについて確認を行いまして、特定妊婦の方の早期発見に努めているところでございます。また、産科医療機関におきましても妊婦健診受診時など特定妊婦の方の情報を把握した場合には市町村に提供をいたしております。こうして把握いたしました情報につきましては、市町村の要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協で、児童相談所や医療機関などの関係機関が協議し、進捗管理を行いながら、それぞれの妊婦の状況に応じまして家庭訪問による相談支援や家事、育児の援助など必要な支援に取り組んでいるところでございます。  また、健診未受診など市町村や医療機関とつながっていない方につきましては、予期せぬ妊娠に悩む方や経済的困窮等により出産後の養育不安を抱える方などを対象とした相談窓口がございますので、この窓口の情報を知っていただき、支援につなげることが重要でございます。このため、この相談窓口の情報を県のホームページやLINE、インスタグラムといったSNSを活用して広く県民の皆様へお知らせしますほか、ミニカードをコンビニやカラオケ店などの女性用トイレに設置して、きめ細かな周知を行っているところでございます。今後はこのミニカードの設置先を高校や大学、ドラッグストアなどの商業施設にも拡大いたしますとともに、SNS広告にも取り組みまして、相談窓口の周知の強化に努めてまいります。  特定妊婦の方を支援する県の取組と実績についてお尋ねがございました。県では一昨年度から、予期せぬ妊娠に悩む方や経済的困窮等により出産後の養育不安を抱える方などを対象として、相談支援や出産、育児のサポート、一時的な住まいの提供、就労支援など、産前から産後まで継続した支援を行います特定妊婦等母子支援事業に取り組んでおります。  具体的には社会福祉法人が運営する母子生活支援施設や乳児院に委託をしまして、この事業を実施しております。施設に配置したコーディネーターが相談対応や必要な支援の検討、児童相談所や市町村などの関係機関との調整などを行いますとともに、施設の看護師が出産や子育てを援助し、出産後も母子が安定した生活を送れるよう支援を行っております。また、在宅での支援が必要な方につきましては、コーディネーターや看護師が御自宅まで伺うアウトリーチでの支援を行っておりますほか、住まいの提供が必要な場合は、出産前から産後まで施設への入所が可能となっております。今年度からは、実施箇所を二か所から三か所に増やしまして事業の拡充を図っております。  この事業の実績でございますが、事業の開始から今年九月末までに四百三十七名の方の妊婦等からの電話やメールでの御相談に対応いたしまして、在宅での支援は三十二人、入所による支援は十六人となっているところでございます。  特定妊婦の方に対する支援事業の強化についてでございます。児童福祉法の改正によりまして、現在県が実施しております特定妊婦等母子支援事業が、来年四月からは妊産婦等生活援助事業として法定化されます。この法定化に合わせ、国は母子の支援を行う職員の増員やメンタルケア等の心理的支援や法律相談支援が受けられる体制の整備など、特定妊婦の方への支援を強化することといたしておりまして、県といたしましてもこれに合わせて体制を整えてまいります。  また来年度からは子供と家庭の総合的・一体的な支援の窓口といたしまして、市町村にこども家庭センターが設置されます。本事業で把握した特定妊婦の方の情報を県から各こどもセンターへ提供し、先ほど申し上げました市町村の要保護児童対策地域協議会における必要な支援、例えば一時的な住まいや食事の提供でありますとか病院への付添い、あるいは出産の準備や育児指導など、特定妊婦の方の状況に応じた支援を提供してまいります。 35 ◯副議長(佐々木 允君) 嘉村薫君。(拍手) *嘉村議員質問 36 ◯二十六番(嘉村 薫君)登壇 皆さん、こんにちは。民主県政クラブ県議団、嘉村薫でございます。本日はよろしくお願いいたします。通告に従いまして、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づく県の取組について質問をいたします。  婦人保護事業は売春防止法を法的根拠として、要保護女子の保護更生を図る事業として始まり、一度も抜本的な見直しがなされていませんでした。しかしこの間、女性をめぐる課題は、二〇〇〇年にストーカー規制法、二〇〇一年にDV防止法が制定され、そのほか性暴力、性犯罪被害や人身取引被害、家庭関係破綻や生活困窮などの問題を抱えている女性についても婦人保護事業の対象として通知運用されてきました。しかし、売春防止法では制度的限界が指摘されるようになり、昨今では被害を受けやすい若年女性の存在が顕在化し、この支援を必要とする女性に婦人保護事業が十分対応できていないことも明らかとなるなど、法が実態に追いついていない状況となっていました。  二〇二二年三月に公表された令和三年度福岡県ひとり親世帯等実態調査報告書によると、一人親世帯の約八八%が母子世帯、その就業割合は九〇・九%で、そのうちパートやアルバイト、派遣、契約社員、臨時、日雇を合わせた非正規雇用による就業が四割を超えています。平均年間収入額は二百七十六万円で、三八・六%が借家、アパートに住み、一か月の家賃平均額約四万三千円を支払っています。このような世帯の生活困窮は子供の貧困につながり、貧困の連鎖を生んでいます。  また、生活困窮女性の中には性暴力被害や家庭内の虐待などの複合的な被害を抱えた人も少なくはなく、住居等生活支援以外の専門的な女性支援も必要です。外国籍の女性、障がいや疾病を抱えた女性、高齢者なども複合的な困難の中でDVや性被害に遭っており、より一層実情に合った支援を多くの女性たちが長年求めてきていました。  ようやく二〇二二年五月に心より待ち望んでいた女性を支援するための新たな枠組み、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、いわゆる女性支援新法が成立し、女性の人権や権利を保障しました。この法改正に、困難を抱える女性を支援してきた行政機関はもちろん、民間団体や関係機関など多くの方が期待を寄せ、本県の具体的な動向を見守っています。  新法は二〇二四年四月一日から施行されますが、生活困窮者やDV被害者だけでなく、性暴力被害者や若年女性、そのほか複合的な問題を抱える、困難を抱える様々な女性を支援するなど、支援対象が広がることとなります。したがって、当然保護の現場だけでなく、福祉や教育など様々な分野との連携や意識改革も求められています。  現在まで本県では売春防止法に基づき、保健福祉環境事務所の婦人相談員や女性相談所において様々な支援が行われてきました。相談員の皆さんは困難を抱える一人一人に最適な支援を行うために日々献身的に対応いただいていることに敬意を表します。  しかし、法の枠に縛られ、それ以上の支援ができない。一時保護の運用などにおいて公的機関に支援を求めても納得できない対応だったという声や、厳しい環境の中で生きてきた方の中には大人を信用できないなどの声が上がっているのも事実です。  そこで、知事にお伺いします。まず、この女性支援新法による困難な問題を抱える女性に対し、県はどのような考え方で支援を行っていくのかお示しください。また支援の対象が広がることにより、支援の中核となる女性相談支援センターや女性相談支援員のさらなる支援力の向上が必要だと考えますが見解をお示しください。  女性支援新法では、支援を必要としている女性がその意思を尊重され適切な支援を受けるためには様々な連携が必要とされており、とりわけ民間団体との連携の必要性が明記されています。これまでの支援においては、民間団体から行政につないだ相談ケースで、民間団体としてはその後も協働で支援する必要があると考えていても、そのことが行政機関では認められない、あるいは婦人相談所の支援方針を押しつけられたように感じるとの意見が上がっており、行政機関が優先するような連携となっていました。  新法は困難な問題を抱える女性の人権や権利を保障しており、当事者に寄り添い最適な支援を追求する民間団体の柔軟な対応や団体が持つ特性を生かした支援との協働が重要になります。新法で国が示す方針でも、民間団体は都道府県及び市町村と対等な立場で協働し、互いの活動を補完しながら困難な問題を抱える女性への支援を行う存在として捉えるべきものとなっています。  そこで、知事にお尋ねします。これまで県と民間団体との協働による支援の取組をどのように行ってきたのかお答えください。また今後、民間団体との協働による支援をどのように行うのか見解をお示しください。  次に、市町村との協働について伺います。困難な問題を抱える女性への支援には、民間との協働だけでなく市町村の存在も欠かせません。新法第八条では、都道府県の責務として基本計画を策定することとされており、四月からの施行に向けて検討会の開催や民間団体からの聞き取り調査などを踏まえて基本計画の策定が順調に進められていることと期待しております。  一方、市町村は基本計画の策定は努力義務となっていますが、最も身近な相談体制を整えるためには、市町村での女性相談支援員の設置が不可欠という課題があります。しかし現在県内では、政令市を除くと九つの市で十三人しか配置されていない状況で、かつ会計年度任用職員という任期の定めのある職員で対応している自治体が多く、専門性の確保や長期支援には対応が難しい状況となっています。  知事は令和五年二月定例会で、市町村に対し相談支援員の設置を促すと答弁されています。引き続き積極的な働きかけをすべきと考えます。  その上で知事にお尋ねします。新法において市町村に求められる役割をどのように認識されているのかお答えください。また、県は市町村に対してどのような支援を行っていくのかお示しください。  今回の新法の施行は、知事も標榜しておられる本県のジェンダー平等推進を加速する重要な契機との認識を私は持っています。同じ認識に立った真摯な知事の御答弁をお願いし、質問を終わります。(拍手) 37 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 38 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  困難な問題を抱える女性への支援に対する県の考え方と支援力の向上についてお尋ねがございました。女性支援新法におきましては、近年の女性をめぐる課題が複雑化、多様化さらに複合化しているという状況を踏まえまして、先駆的な女性支援を実践する民間団体と県との協働による支援などが義務化されたところでございます。また市町村に対しましては女性相談支援員の設置が努力義務化されるなど、市町村が支援の主体として新たに位置づけられております。  法の基本理念として、女性の福祉増進、人権の尊重や擁護、男女平等の実現が掲げられておりまして、県といたしましてはこれらの理念にのっとりまして、様々な困難な問題を抱える女性の意思を尊重しながら、市町村、民間団体等と連携し、居場所の提供や就業支援など、それぞれの女性が抱えている問題や心身の状況等に応じた支援を行ってまいります。  女性相談支援センターの職員や女性相談支援員の支援力の向上につきましては、これまで婦人相談員研修として、社会福祉制度あるいは法律といった知識、また相談スキルの習得を目的とした研修を実施してきたところでございます。今後は、新法において求められる新たな役割を踏まえまして、民間団体とのより効果的な連携の手法や事例検討など研修内容の充実を図ってまいります。  次に、県と民間団体との協働による支援についてでございます。本県では全国でもいち早く令和元年度からNPO法人等の民間団体と協働して、相談につながりにくい若年女性に対し、繁華街あるいは公園での声かけなどのアウトリーチ支援、SNS相談、居場所の提供などを行ってまいりました。一昨年度からは、コロナ禍における女性の孤独・孤立対策といたしまして、幅広い年代の女性に支援対象を広げ、昨年七月から公認心理師等による出張相談を行っております。こうした取組により、医療機関への受診、生活保護の受給につながるなど一定の成果を上げております。また、令和二年度から民間シェルターを運営する団体と協働いたしまして、DV被害者等が一時保護後、地域で自立した生活を送ることができるよう、継続的な支援を実施しているところでございます。  今年度、県内の女性支援団体に対するヒアリング調査などを実施をいたしましたが、その中で、相談者は複合的な課題を抱えていることが多く、一つの団体だけでは解決が難しいという現状が分かりました。このため県として、それぞれの団体の活動内容や得意分野を把握し、ケースに応じてそれぞれの団体の強みを組み合わせて支援することができる仕組みづくりを進めてまいります。  市町村に求められる役割と市町村への支援についてでございます。新法では、市町村に対し新たに基本計画の策定や女性相談支援員の設置について努力義務が課せられたところでございまして、また市町村は住民にとって最も身近な相談窓口でございます。様々な社会福祉サービスの実施主体でもございます。このことから支援対象者が必要とする支援を包括的に提供すると、こういう役割が市町村に求められているところでございます。
     このため県では市町村担当課長会議等の機会を捉えまして、計画の策定や女性相談支援員の設置を促しますとともに、新法で求められる役割あるいは国の補助制度などを丁寧に御説明しているところでございます。加えまして、今後、市町村基本計画の策定が円滑に進みますよう、現在策定中でございますが、県計画の説明会を開催いたしますとともに、窓口で相談に対応する職員の方を対象に、活用できる制度等の基礎知識でありますとか相談スキルを身につける研修など、こういった支援を行ってまいる考えでございます。 39 ◯副議長(佐々木 允君) 嘉村薫君。 40 ◯二十六番(嘉村 薫君)登壇 御答弁いただきありがとうございました。ここで知事に二点要望いたします。  まず一点目に基本計画についてです。民間団体との対等な協働を実現するための民間団体支援ネットワークの構築、相談支援員の育成やその支援員を孤立させないための組織体制の見直しや拡充、オープンシェルターなど居場所の設置を盛り込むべきと考えます。支援が必要な方に必要な支援が届けられるように、また複合的な問題を抱える当事者に寄り添い、自立までの長期的な支援を可能とし、新法への単なる看板のかけ替えに終わることのない実効性ある基本計画の策定を要望します。  二点目に予算の確保についてです。本定例会の我が会派の代表質問に対し知事は、新年度予算の編成において最優先に考える柱の一つとして、安全・安心で活力ある社会づくりを掲げられ、それを基本に施策を進めると答弁されました。その具体的項目に、困難を抱える女性の支援を挙げておられます。よって、基本計画に基づく施策や事業の推進、専門職の確保など体制整備やその拡充、市町村、民間団体への支援に対する十分な予算の確保を要望します。  困難を抱える女性の支援は、社会の相対的貧困を改善することにもつながる大きな施策です。保護から支援へを具現化していくことを切に願い、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 41 ◯副議長(佐々木 允君) 宮原伸一君。(拍手) *宮原議員質問 42 ◯二十一番(宮原 伸一君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団、宮原伸一でございます。通告に従い、困難を抱える子供たちの支援、取組について質問させていただきます。  我が国においては、少子高齢化や核家族化の進行等に伴い、人々のつながりが弱くなってきているような感じがいたします。日本でも二〇二一年、英国に次いで世界で二番目となる孤独・孤立対策担当大臣が任命され、孤立した人や孤独な人に対する支援を政策として進めるという動きが大きくなりつつあります。  現在ヨーロッパでは社会政策の重要なコンセプトとして、ソーシャルインクルージョンが捉えられております。ソーシャルインクルージョンとは、社会的包摂と訳され、社会的に全ての人を包み込み、誰も排除されることなく、全員が社会に参画する機能を持つという意味をしています。このソーシャルインクルージョンによって、高齢者や障がい者、外国人や失業者など社会的に弱い立場におる人も含めて、全ての人を社会の一員として包み支え合うことが目指されています。この考えはSDGsの誰一人取り残さないという理念と非常に親和感が高いものとなっており、ヨーロッパのみならず世界全体でつながりの重要性が確認されております。  我が国は、社会が経済的に豊かになり、社会福祉の制度も充実してきましたが、切実に支援を必要とする困難を抱える人々に支援の手が届いてない事例が散見されています。特に児童虐待の増加や子供の貧困、ヤングケアラーの問題など、未来を担う子供たちを取り巻く課題はますます多様化しています。そのような困難を抱える子供たちは自分の力ではその困難な状況を報告することはできず、つながりがある社会の中で支援を受けるようにすることが重要であると考えます。  また、ひきこもり問題も同様です。子供のひきこもり、きっかけとして多いのは、いじめや人間関係がうまくいかないこと、成績の低下や受験の失敗など、経験が背景にあるのではないかと考えますが、きっかけがなく分からない場合や、一つの原因でなく複数の原因が複雑に関係しているケースもあると思います。不登校が長期化してひきこもりになることもありますし、最近は背景に発達障がいが関係しているという報告もあるようです。  このような困難を抱える子供たちに必要な支援を届けていくためには、福岡県の持続的な発展を考える上で大変重要で優先すべき課題であると考えます。近年、子供を取り巻く状況として不登校児童生徒数の増加が課題として大きく取り上げられていますが、この不登校児童生徒の中には、先ほど私が申し上げた困難を抱える子供も数多くいるのではないでしょうか。  私の地元である太宰府市には、つばさ学級という市が設置する教育支援センターがあります。つばさ学級という名前は、疲れた心の翼を休め大空に羽ばたくための居場所という意味を込めて名づけられています。この施設では、登校したくてもできない児童生徒に対して、スポーツ、野外活動、調理実習、園芸体験など様々な活動や体験を通じて自立や学校復帰を目指す支援や指導が行われています。また、同じ太宰府市内にある筑紫女学園大学では、太宰府市教育委員会と連携し、キャンパス・スマイルという事業を実施しております。このキャンパス・スマイルとは、学校に行きたいけど行けない、あるいは機会があれば学校以外のところでも学習がしたいという太宰府市内の児童生徒を対象に安心して過ごせる居場所を筑紫女学園大学キャンパス内につくり、子供たちの自信とエネルギーの回復を目指すという事業です。  このつばさ学級とキャンパス・スマイルどちらにも共通しているのは、様々な年齢の人々が不登校の子供に関わっているということです。不登校の子供たちはこれまでつらい経験から孤立がちだと思いますが、つばさ学級やキャンパス・スマイルのように安心して自分の気持ちを話せることができるような居場所や環境があれば、例えばひきこもり傾向のある不登校の子供も、自分の部屋から一歩足を踏み出し自立や学校復帰を目指すことにも自然と前向きになるのではないでしょうか。  不登校支援においても、学校ではなく家庭でもない、言わば第三の居場所の必要性を強く感じております。この第三の居場所については、本年三月に文部科学省が取りまとめた誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策の中にもその重要性が示され、具体的には先ほど紹介しましたつばさ学級のような市町村が設置する教育支援センター等がそれに該当します。教育支援センターは不登校児童生徒本人への支援にとどまらず、その保護者、必要とする相談場所や保護者の会など情報提供や市町村の様々な学びの場や居場所につながることができるようにするために支援等を行うことを期待されているところです。  そこで、教育長にお尋ねいたします。福岡県の市町村における教育支援センターの設置数の推移と、今後の配置促進に向けた具体的な取組をお示しください。  また、先ほど私が説明した困難を抱える子供たちを見つけやすいのは、子供たちが多く時間を過ごす学校ではないでしょうか。学校には、学校外とつながりをつくる専門的なスタッフとしてスクールソーシャルワーカーが配置されています。スクールソーシャルワーカーとは、問題を抱える児童生徒を取り巻く環境へ働きかけたり、関係機関等との連携、調整を行うスタッフになりますが、スクールソーシャルワーカーが学校内で機能することにより、困難を抱える子供たちの早期発見につながるため、その配置は極めて重要だと考えます。  しかしながら、県内の市町村にはまだスクールソーシャルワーカーが配置されてない市町村もあると聞いております。また県内の学校ではスクールソーシャルワーカーが子供の居場所づくりを行い、子供とつながることで、子供の困り感を早期に発見し、市町村の福祉部局につなぐ取組を行ったところ、その学校の不登校児童生徒が減少したという話も聞いております。このような取組が広がれば一人でも多くの困難を抱える子供が救われるのではないかと考えます。  そこで、教育長にお尋ねします。困難を抱える子供たちを早期に発見し適切な支援機関につなぐため、県内の公立小中学校でどのような体制を整えているのかお聞かせください。また、現在県内市町村におけるスクールソーシャルワーカーの配置の状況をお示しいただくとともに、併せて、スクールソーシャルワーカーの未設置の市町村に対して県教育委員会として今後どのように配置を促進するのかお答えください。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 43 ◯副議長(佐々木 允君) 吉田教育長。 *教育長答弁 44 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 困難を抱える子供たちへの支援の取組に関しまして、まず教育支援センターの設置数の推移と設置促進に向けた取組についてお答えを申し上げます。県内の教育支援センターの設置状況は現在四十四か所であり、十年前と比較し十一か所増加をしております。この間、不登校児童生徒の増加を背景に県教育委員会は、教育支援センターの意義やその必要性について市町村教育委員会に対し周知をしてまいりました。  さらに昨年度六市町を指定をし、三年間かけて教育支援センターの設置に向けた取組や既存の教育支援センターの機能強化を図る取組について研究開発を進めております。具体的には教育支援センターの立ち上げに当たってのプランニングや、教育支援センターと自宅をオンラインでつないだ学習支援、保護者の集い、個別相談の実施など、不登校児童生徒や保護者に対する効果的な支援の在り方について研究をしておるところでございます。  今後、この研究開発によって得られた成果について、研修会等で実践発表を行うことに加え、リーフレットを全市町村に配置することによりまして、教育支援センターの機能強化を図るとともに、未設置の市町村に対してはその設置を促してまいります。  次に、学校における困難を抱える子供たちへの支援体制についてでございます。教職員は児童生徒と接する時間が長く、子供の日々の変化を発見しやすく、困難を抱える子供を早期に把握しやすい立場にあります。具体的には、小中学校では定期的に生活アンケートを行い、それを基にした個人面談をしており、併せてスクールソーシャルワーカーを活用するなどして、子供たちの状況を把握するための取組を行っております。  また、校内に不登校対策委員会などを組織しまして、課題のある児童生徒の状況を定期的に情報共有をするとともに、必要に応じて市町村の福祉部局や要保護児童対策地域協議会などに情報提供しまして支援につなげる体制を整えております。  次に、スクールソーシャルワーカーの配置の状況や配置促進についてでございます。現在、いじめの認知件数や暴力行為の発生件数、不登校児童生徒数などを勘案し、支援の必要性が高いと認められる九の市町に対し、県教育委員会が直接スクールソーシャルワーカーを配置をしております。これに加え、市町村が雇用するスクールソーシャルワーカーに対する助成を行っておりまして、今年度は五十六市町村に配置されている状況でございます。  県教育委員会としましては、全ての市町村でスクールソーシャルワーカーが配置されることを目指しておりまして、今後、未設置の市町に対しまして、県の助成事業も活用しながらその配置が進むよう取組を進めてまいります。 45 ◯副議長(佐々木 允君) 渡辺美穂君。(拍手) *渡辺(美)議員質問 46 ◯四十一番(渡辺 美穂君)登壇 民主県政県議団、渡辺美穂です。通告に従いまして質問を行います。  二〇一二年児童福祉法改正以降、大幅に増加している障がい児向けの放課後等デイサービスは、制度設計が十分でない中でのスタートであったため、国会でも度々支援の質が問題視されてきました。本県でも二〇一九年から本年までの六年間で二百八十四件から五百二十件と倍増しており、私も現場で働く皆さんや市町村の職員から支援の質の確保について訴えをお伺いしてまいりました。  国では支援の質を担保するため報酬や基準を改定したり、ガイドラインの策定を行うなどして対応していますが、まだまだ十分とは言えません。その理由の一つは、制度の改正に当たって現場に一番近い立場の自治体から意見聴取が行われておらず、また毎回国の決定通知が届くのが三月で、四月からの開始であるため、現場では大変苦労されていると聞いています。  そこで、知事にお伺いします。自治体への意見聴取や通知時期の前倒しも含め国に要望してはどうかと思いますが、知事の見解をお尋ねいたします。  現在国では来年二〇二四年の報酬改定に向け検討が行われている最中ですが、ネット上などではうわさが流出し、事業所間で現在の支援内容では報酬請求ができなくなるのではないかといった不安が広がっています。こうした不安を払拭するためにも、国において支援内容と報酬についてどのような検討が行われているのかお示しください。  国は放課後等デイサービスガイドラインを定め、その中でサービスの提供に当たっての基本姿勢や基本活動等、事業所運営について示しています。支援の質で一番問題視されているのは、ガイドラインでは一人一人の状況に即した個別支援計画に沿って発達支援を行うと示されている障がい児一人一人に合った支援が行われていないということです。例えば事業所にいる間中ゲームをさせたり英語教育を行うなど、障がい児にとっての療育とはとても言えない内容となっている例があります。  県としては申請時に基準上問題がなければ指定するわけですが、その後は三年に一度の実地指導だけで、実際に申請どおりの支援が行われているのかどうか確認が難しいのではないでしょうか。言葉でうまく説明できない子供も多いため保護者も分かりにくく、私は三年に一度、しかも訪問することを通告した後に実地指導を行うだけでは全く不十分だと思います。こうした点について、支援の質を確保するためにどのような取組があるのかお尋ねいたします。  現場でお伺いした様々な課題の中から、次の二点について対応をお伺いします。まず、放課後デイでは施設における一人当たりの面積は二・四七平方メートルとなっています。保育所では、一歳児が一・六五平方メートル、二歳児以降が一・九八平方メートルですが、放課後デイでは、その面積は年齢に関係なく一律となっており、体の大きな高校生まで支援を受けることができ、かつ多動の子供も多い放課後デイにおいて、約百六十センチ四方のこの面積で安全な質の高い支援が受けられるのか甚だ疑問です。急激な変更は運営に支障が出るかもしれませんが、例えば激変緩和を行いながら年齢に合わせて面積を変える必要があるのではないかと思います。  次に、複数の学校を回って児童生徒を事業所に連れてくる際、国の通知では一台の車にスタッフが二名乗車することが望ましいとなっていますが、実際には運転手一人で、児童生徒を迎えに行っている間、子供だけになっている車を散見するという事例です。昨日、大阪の事業者が送迎時に一人で対応していたことにより生徒を死亡させたとして逮捕される事件も起きました。  この二点については事故にもつながりかねないためここで取り上げましたが、これらの安全確保に関し、県での取組や指導について、年齢に合わせた面積の変更の必要性も併せてお示しください。  この項の最後に、このほかにもいろいろな課題や困り事について御意見を伺っていますが、県ではこれらをどのように把握されているのかお聞かせください。  次に、個人情報の漏えい問題についてお聞きします。本年十月県では、自動車税の納税者の氏名や電話番号など約十三万件の個人情報が漏えいしたことが明らかになりました。自動車税に関するコールセンターを保守する事業者の元従業員が不正に情報を持ち出したことが原因とのことです。この事件に伴い、県は国の個人情報保護委員会に報告するとともに相談窓口を設置されました。  そこで伺います。一点目に、コールセンター事業者の選定はどのようにされたのでしょうか。また当該事業者は数年前から養蜂事業者の顧客情報漏えいの疑いを持たれていましたが、県はいつの時点で情報流出の可能性を確認されたのでしょうか。  二点目に、契約上、個人情報の取扱いについてどう規定されていたのでしょうか。また税務情報の当該事業者への受渡しに当たり個人情報が漏えいしないよう対策を講じていたのでしょうか、お聞かせください。  三点目に、相談窓口には何件の相談がなされたのか、その内容はどのようなものだったのか、実害が生じた例はなかったのか、また相談を受けた後どのような対応を取られたのかお伺いします。  四点目に、以上三点を踏まえ、情報漏えいの事件に対し知事はどのような認識をお持ちで、今後どう対応していかれるのかお伺いいたします。  真摯な答弁を期待いたします。ありがとうございました。(拍手) 47 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 48 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、放課後等デイサービスの制度改正に関する国への要望についてでございます。制度の見直しに向けた検討に当たりましては、全国知事会、全国市長会、事業所の代表や当事者団体等で構成されました国の社会保障審議会障害者部会において検討が行われております。報酬改定等の制度改正は、サービスを利用される方やその保護者、事業所や行政機関などに大きな影響がございます。このため国に対し、政令市が所在する都道府県と連携をいたしまして、事業の実施状況を十分に踏まえ、障がい者当事者や実施主体である地方公共団体と十分に協議することを要望しております。           〔佐々木副議長退席 香原議長着席〕  加えまして、制度の見直しに当たっては早期に改正通知を発出いたしますとともに、改正内容を事業者へ分かりやすく周知するよう、県独自でも要望を行っているところでございます。  制度改正の検討状況についてでございます。今回の制度改正では、放課後等デイサービスにおいて子供一人一人の発達過程や特性、適応行動の状況を理解した上で個別の状況に即した計画に沿って支援を確保する観点から、健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、そして人間関係・社会性、この五領域と個別支援計画とのつながりを明確にした上で支援することを事業所に求めるといった方向性が示されております。また支援の見える化を進めるという観点から、今申しました五領域とのつながりを明確化した事業所全体の支援内容を示すプログラムの策定とその公表を事業所に義務づけ、これを実施していない場合は報酬の減算が検討されております。  支援の質を確保するための取組についてでございます。県では国の指針に基づきまして、おおむね三年に一度、事前通告を行った上で実地指導を実施いたしております。具体的には職員が事業所に出向き、国が定めた事業所運営の基準、報酬加算の要件などが満たされているかなどを確認し、必要な改善を指導いたしますとともに、指導内容については事業所が所在する市町村へ情報提供を行っております。  市町村は利用する子供、利用児に係る給付費を負担しております立場から、市町村単独で、あるいは県と合同で実地指導を行うこともできるところでございます。また県では、通報等により重大な問題が疑われる場合には抜き打ちによる実地指導を行うことといたしております。  さらに、国の基準省令に基づき、放課後等デイサービス事業所は毎年サービスの提供体制や支援内容等に関して自己評価を行うとともに、利用児の保護者からも同様に評価を受け、その結果を公表し、事業運営に反映させることで支援の質の改善に取り組むことが義務づけられております。県では毎年四月、事業所への自己評価結果報告書と公表内容が分かる書類の提出を求め、確実に実施されているかを確認しているところでございます。  施設内や送迎時における安全確保の取組についてでございます。放課後等デイサービスでは小学生のみを受け入れ、高校生は受け入れないといった利用制限につながるような年齢を限定した事業所の指定は認められておりません。このため事業所を指定する時点であらかじめ年齢ごとの定員の設定ができず、利用者の年齢や人数も分かりませんため、施設の面積基準を年齢に合わせたものとすることは制度上難しいと考えております。  県では事業所における事故の発生防止の観点から、重度の障がいや医療的ケア、行動障がいなど、特に手厚い支援が求められる児童を受け入れる場合には、相応のスペースや個室を確保することなど、一人一人の個別支援計画に沿って安全に支援ができるよう事業者を指導しております。  送迎時の安全確保につきましては、送迎バスへの置き去り事案が発生をしたことを受けまして、令和三年十月に事業所に対し送迎マニュアルを作成するよう求めております。また今年四月から義務づけされました乗降時の所在確認や送迎車への安全装置の設置について徹底するよう指導してまいりました。  来年四月からは新たに重大事故防止マニュアル等の策定が義務づけられますことから、確実に策定するよう通知を行うこととしておりますので、その際に、送迎途中に利用児だけを車内に取り残すようなことがないよう、併せて注意喚起を行ってまいります。  事業所における課題等の把握についてでございます。先ほど申し上げました定期的な実地指導のほか、利用児の保護者からの申立て、事業所の職員からの情報提供を通じて把握いたしました事業所が改善すべき課題につきまして、速やかに改善するよう指導を行うことで利用児への適切な支援や事業所の適正な運営が図られるよう取り組んでいるところでございます。  また事業所からは、サービス提供に係る報酬加算の要件や職員の資格要件のほか、虐待を防止するために義務づけられた研修や委員会の設置に不備がないかなど、日常的に電話やメールによる相談に応じているところでございます。  次に、コールセンター事業者の選定等についてでございます。自動車税の納付の呼びかけを行いますコールセンター業務につきましては、個人情報を取り扱っております上、納税者に対しまして丁寧に納付の確認を行う必要がございますことから、セキュリティー対策や電話応対の技術、他の自治体における実績など価格以外の評価を重視する必要がございますため、プロポーザルにより事業者を選定いたしております。  御指摘の養蜂事業者の顧客情報の漏えいにつきましては、コールセンター事業者、養蜂事業者ともに今年十月まで公表しておりませんで、また捜査情報でもございましたことから、県においては知り得る状況にございませんでした。県では今年十月十三日にコールセンター事業者から、県の自動車税に関する納税者情報が漏えいした可能性があるとの報告を受け、初めて把握したところでございます。  個人情報の取扱いについてでございます。県とコールセンター事業者の間で締結をいたしました業務委託契約書において、個人情報の目的外使用や持ち出しの禁止、コールセンターの入退室やシステムへのアクセス制限など、個人情報を取り扱う上で遵守すべき事項を定めていたところでございます。また県とコールセンターの間での個人情報を含む税務情報の受渡しにつきましては、専用の端末と回線を設置し、暗号化したデータに変換することで第三者からアクセスできないような情報漏えい防止対策も図っていたところでございます。しかし、今回の事案は委託先であるコールセンターにおいて、保守業務に従事する事業者の元従業員が個人情報を漏えいさせたものでございます。  相談窓口における相談件数等についてでございます。今回の漏えい事案に関し、十一月末時点では三百十八件の電話やメールでの御相談があっております。その主な内容は、個人情報漏えいが発生したことへのお叱り、自分が漏えい対象者であるのかといったものでありまして、本件に関連する実被害の御報告はございませんでした。  自分の情報が漏えいしたのかという御相談が多いことから、早期にコールセンター事業者の情報と県が所有いたしております情報を照合し、漏えいのあった方に対しまして十一月六日に県と事業者との連名でおわびのはがきをお送りし、注意喚起を行いますとともに相談窓口の案内を行ったところでございます。  情報漏えい事件に係る認識と今後の対応についてお尋ねがございました。個人情報の漏えいは、県民の皆様の権利・利益を損なうとともに県政に対する県民の信頼を著しく失墜させることにもつながります。今回十三万人を超える県民の個人情報を漏えいさせた重大な事態であると認識をいたしておりまして、県民の皆様に対し多大な御不安と御迷惑をおかけしたことについて深くおわびを申し上げます。  このため私は十月十三日に本件の報告を受けましたが、直ちに担当課に対し、委託先に対する事案の詳細を確認の上、漏えいされた方の特定を直ちに行うこと、速やかに記者会見を行って公表するとともに国の個人情報保護委員会に報告を行うこと、生嶋副知事をトップとした県警察や消費生活センターなどの関係部署による横断的な対策チームを直ちに立ち上げ、不審な電話等への注意喚起や相談窓口の設置を行うことなどを指示いたしました。また県民の皆様が特殊詐欺被害に遭わないよう、記者発表当日の十月十七日に県内市町村へ注意喚起を依頼いたしますとともに、二十一日には新聞広報を実施をいたしました。あわせまして、先ほど申しましたとおり、十一月六日に漏えいのあった方に対しおわびのはがきをお送りしたところでございます。  今回の事案は、コールセンターの保守事業者が個人情報を持ち出せる環境にあったことにより個人情報の漏えいが生じたものでございますことから、他の委託業務においても緊急点検を行い、記録媒体の使用制限や情報が持ち出されないよう監視を行うといった対策が講じられていることを確認したところでございます。  今後はこの点検を恒常的に行わせるほか、大量の個人情報を取り扱う委託先に対しては実地検査による確認を徹底するなど、委託事業者に対する監督強化に努めてまいります。 49 ◯議長(香原 勝司君) 吉村悠君。(拍手) *吉村議員質問 50 ◯五十五番(吉村 悠君)登壇 自民党県議団の吉村悠です。一般質問最終日のしんがりを務めさせていただきます。皆さんお疲れのことかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは早速、通告に従いまして、北九州地域をはじめとする県内物流体制の今後の展望について質問いたします。  まず、滑走路延伸の工事が十二月二日に着工されました北九州空港についてお伺いいたします。二〇〇六年に開港した北九州空港の滑走路は、現在二千五百メートルで、長距離を飛行する欧州や北米便の大型貨物機が十分な量の貨物や燃料を乗せて離陸するには長さが足りませんでした。しかし福岡県はこの空港を最大限活用して物流拠点の要にするため、それこそ私が議員になる前から長年国への要望を続けてきたとお聞きをいたしております。総事業費は百三十億円というこの事業により三千メートル化が実現されれば、さきに述べた地域との大型貨物機の直行運航が可能になります。三千メートル化着工式典において、滑走路延長は我々の悲願であると言われた服部知事のお言葉に賛同した方々は多くいらっしゃったかと思います。私も同じ気持ちであり、北九州のみならず北九州空港が福岡県そして九州の貨物輸送の拠点としてさらに活躍していくことを願ってやみません。  そこで質問です。これまでの要望等の活動と北九州空港滑走路三千メートル化による今後の展望についてお聞きをいたします。  次に、北九州市のみならず、北部九州や九州全体にとって、北九州空港の機能強化に加え、九州と本州の安定的な自動車交通の確保が重要なのは言うまでもありません。  そこで、北九州下関道路についてお尋ねします。北九州市はこれまで関門橋を挟んだ山口県下関市と一体になった経済圏を形成し発展してきました。この発展を支えてきたのが両市をつなぐ関門トンネルと関門橋です。しかし、関門トンネルと関門橋は建設からそれぞれ六十五年と五十年が経過いたしました。また二つの道路が同じような位置にあることで、大きな災害が起きた際には通行止めにより周辺に大きな影響を与えます。実際、過去にも風の影響で関門橋が通行止めとなり、その結果トンネルが渋滞による事故でやはり通行止めとなったことがあると記憶しておりますが、その場合は北九州と下関が通行できなくなるというよりは、九州と本州の通行が断絶されたということが正確であると考えます。  現在、我々は福岡県議会の議連活動の一環として整備促進大会への参加や国交大臣等への要望活動を行っているところではありますが、北九州下関道路が過去プロジェクトとして凍結していたにもかかわらず、ゼロベースで必要性が再整理され、道路の予備設計と環境影響評価に必要な作業が行われているのも、ひとえにこれまでの先輩議員や行政の努力のたまものであると理解をしております。  そこで質問です。北九州下関道路の整備を早期に実現するためのこれまでの取組と実現による効果についてお答えください。  次の質問です。北九州空港を最大限活用し、九州北東部のさらなる発展につなげるためには、県道新北九州空港線を介して空港と接続している東九州自動車道の整備も必要不可欠です。  そこで、東九州自動車道についてお伺いいたします。福岡県から大分県、宮崎県を経由し鹿児島県に至る東九州自動車道は、平成二十八年四月に北九州市から宮崎市までの区間が開通し、さらに令和五年三月には北九州市から日南市までがつながりました。  福岡県内においては平成十八年二月に北九州ジャンクションから苅田北九州空港インターチェンジまでが部分開通したことにより、苅田港や北九州空港へのアクセスが強化されました。この部分開通以降、県内沿線に立地する自動車関連企業の数は増加しており、平成十八年の百三十二社に対して、令和四年度には二百三十七社と約一・八倍に増加しています。  また、苅田港での自動車関連貨物量は、平成十八年の約一千二百万トンから令和四年度では約一千四百万トンと一・二倍の増加となっております。最近では、半導体関連企業の進出も見られるようになっており、速やかで安定した物流の確保からも、東九州自動車道を活用した広域ネットワークの重要性は増すばかりです。  しかしながら、東九州自動車道はまだまだ暫定二車線区間が残っており、片側一車線が残る現状のままではその機能を十分に果たすことはできません。九州の人・物・金の流通を拡大し、さらなる地域発展を促すためには早期の全線四車線化が必要不可欠です。  そこで、これまでの東九州自動車道の開通の経緯と四車線化の整備効果についてお尋ねいたします。  最後の質問に入ります。物流は県経済や県民生活を支える重要なインフラです。アマゾン等の電子商取引市場の拡大や二〇二四年問題による人手不足、脱炭素化など様々な課題がクローズアップされますが、一方で、福岡県では先ほどから申し上げているような国の力も借りた大規模プロジェクトが進行中であり、物流機能の飛躍的な向上を期待しているところであります。これらがそれぞれ完成していけば、産業や県民生活を支える物流機能は大きく向上します。この物流機能を最大限活用し県の発展につなぐことが重要であると確信をいたしております。  北九州市では、こうした物流の重要性にいち早く着目し、市の物流インフラをより一層活用して、物流を市の主要な産業としてさらに発展させるため、令和四年三月、前市長のときに北九州市物流拠点構想を策定いたしました。計画の内容こそ地域の発展について述べられておりますが、政令市の範囲内にしか言及されておりませんので、北部九州の発展というような発想もありませんし、例えば本州と九州のダブルネットワーク化のような観点で北下道路のことも述べられておりません。  福岡県はこの構想策定について関与していなかったと聞き及んでおります。しかし、さきに述べた空港へのアクセス道路や九州各地の青果物を集荷し新門司港から関東に送る丸北物流拠点など、県が物流に関係する事業を行うことは当然多くあります。東九州自動車道の四車線化や北九州空港の滑走路延長による大きな波及効果が見込まれる北九州市周辺地域においても、これを大きなチャンスと捉え地域の発展にうまく結びつくような取組を行っていくべきだと考えます。これは一地域の振興にとどまらず、県全体の発展にも大きく資するものです。  ちなみに北九州市は、報道によりますと、最近台湾の半導体工場の誘致に最終選考まで残って失敗したそうですし、TSMCの半導体工場の誘致に成功している熊本県は、二〇一七年に県が主体的に一地域の物流拠点化構想を作成し、九州の中での役割について言及をしております。  本日の報道で、物流目的の農地転用について言及されておりました。物流関連分野が地域未来投資促進法に基づく県の次期基本計画の規制緩和の対象に追加指定されれば、県と市町村が協議し重点促進区域を設定するとのことでした。北九州市の近隣市町村との広域的な取組の重要性は増すと考えております。  そこで質問です。これまで言及した様々な観点から、物流機能を活用した北九州地域の地域振興について、福岡県として主体的、戦略的に動いていくべきだと考えますが知事の考えをお聞かせください。  先輩議員の御努力や長い働きかけが実ろうとしている北九州地域は今、重要な局面にあります。これからの新たな取組に期待をし、質問を終わります。(拍手) 51 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁
    52 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  北九州空港の滑走路延長に係るこれまでの要望等の活動と今後の展望についてお尋ねがございました。滑走路延長の実現に向けまして平成二十一年六月から国への要望を開始し、以後、県議会の皆様と力を合わせて国に対して要望活動を重ねてまいりました。また県と北九州市や苅田町、地元経済界などで構成をいたします北九州空港利用促進協議会といたしましても、同じ時期から国への要望を重ねますとともに、利用促進や機能強化を図り、貨物便の誘致や貨物取扱量の増加などの実績を積み重ねてまいりました。こうした長年の要望活動の積み重ねや利用促進などの取組が実を結び、このたび着工を迎えることになりましたことを大変うれしく思っております。  北九州空港には、数少ない二十四時間利用可能な海上空港であるという強みがございます。これに加え、今回の滑走路延長により、北九州空港とヨーロッパ、北米を結ぶ大型貨物機の直行運航が可能となります。県といたしましては、このような北九州空港の強みを最大限活用し、成田国際空港や関西国際空港から輸出されております九州・西中国地域の貨物を北九州空港に取り込み、貨物拠点空港として一層発展させてまいる所存でございます。これにより、輸送時間の短縮、輸送コストの削減、環境負荷の低減に加え、九州のみならず西中国地域の競争力の強化が図られることで、経済と環境の好循環を生み出すことができるものと期待をいたしております。  次に、北九州下関道路の早期実現に向けた取組についてでございます。本道路につきましては、平成三年度に本県と山口県、北九州市、下関市の二県二市が関門海峡道路整備促進期成同盟会を設立し、国と地元自治体が連携して調査、検討を進めてまいりました。平成二十年度に海峡横断プロジェクトの見直しが行われ、国の調査が一旦凍結をされました。しかし、平成二十五年度に二県二市で本道路の必要性を改めて確認し、連携して調査を再開したところでございます。さらに平成二十六年度からは二県二市と各議会、経済界が一体となって機運の醸成を目的とした整備促進大会の開催や、早期整備の実現を目的とした国や国会議員への要望活動、こういった取組を毎年度実施をしてきたところでございます。  このような長年の取組が実を結びまして、令和二年度にルート帯や橋梁形式で整備することが決定をいたしました。現在、環境影響評価や都市計画決定に向けた手続を行っているところでございまして、事業化に向けて着実に進んでいるものと認識をいたしております。  この道路の整備が実現すれば、災害時の代替路として機能いたしますとともに、循環型ネットワークの形成によりまして、関門地域にとどまらず、九州・山口全域の産業、観光の振興に大きく貢献することが期待されます。引き続き、必要な法手続の完了に向け国と二県二市が連携して進めますとともに、県議会、市議会、経済界と一体となって本道路の早期事業化が実現するようしっかりと取り組んでまいります。  次に、東九州自動車道の開通の経緯と四車線化の整備効果についてでございます。本道路につきましては、昭和四十一年度に本県と大分県、宮崎県、鹿児島県、北九州市で東九州自動車道建設促進協議会を設立し、国に対して早期の整備を要望してまいりました。その結果、平成八年、事業に着手され、平成二十八年四月に県内区間の約四十九キロメートルが全線開通されたところでございます。  このうち北九州ジャンクションから苅田北九州空港インターチェンジまでの区間を含みます約九キロメートルが四車線で供用されております。また、築城インターチェンジから椎田南インターチェンジまでの約七・七キロメートルの区間におきましては、現在、西日本高速道路株式会社が四車線化事業を行っているところでございます。  この四車線化の効果につきましては、暫定二車線区間が抱えております低速走行車、いわゆるスピードを遅く走っている車に起因いたします速度の低下、対面通行に伴う安全性の低下、災害や事故に伴う全面通行止め、こういった問題を解消いたしますことで、安定的な物流・人流の確保が可能となり、さらなる沿線地域への企業進出や観光振興が期待されます。  今後とも県議会や沿線自治体、経済界と一体となって、国及び西日本高速道路株式会社に対し全線四車線化の早期実現に向けた働きかけを行ってまいります。  次に、物流機能を活用した地域振興についてお尋ねがございました。議員御指摘のとおり、道路や空港といった重要な物流インフラの整備が進みます北九州・京築地域におきまして、物流施設の誘致や物流基盤を生かした産業集積などに戦略的に取り組みますことは、地域活性化の観点から大変有効なものであると考えております。  この地域では、北九州市、行橋市、豊前市、京都郡及び築上郡の三市五町、県、地元農林水産業、商工団体等で構成をいたします京築北九州東部振興会議がございまして、広域的な観点から当該地域の振興を図りますため、毎年、空港や港湾、道路などの整備について国や県への提言を行っているところでございます。  このため県では、この会議におきまして地元の市町の意向を十分踏まえながら、市町と一緒になって新たに物流インフラを活用した北九州・京築地域の戦略的な振興に努めてまいる考えでございます。また企業誘致案件に当たりましては、企業立地促進交付金や課税特例措置を活用いたしますとともに、大型の案件に対しましては新たに庁内横断的なチームをつくり、県主導の下で関係市町村とも連携し、機動的に対応を行ってまいります。 53 ◯議長(香原 勝司君) 以上で一般質問を終わります。 *議案審査付託  次に、提出議案審査のため、さきに上程いたしました第一八〇号議案から第二〇六号議案までの二十七件を、お手元に配付いたしております議案付託表のとおり所管の常任委員会に付託いたします。      ────────────────────────────────────────── *請願上程 54 ◯議長(香原 勝司君) 次に、請願五件がお手元配付の請願文書表のとおり提出されましたので、これを一括報告上程いたします。      ────────────────────────────────────────── *審査付託 55 ◯議長(香原 勝司君) ただいま上程いたしました請願五件は、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時  零 分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...