↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(香原 勝司君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い
一般質問を行います。順次発言を許可いたします。
渡辺勝将君。(拍手)
*渡辺(勝)
議員質問
2 ◯四十九番(渡辺 勝将君)登壇 皆さん、おはようございます。
自民党県議団の
渡辺勝将でございます。通告に従い、
病児保育に関わる県の取組について質問をいたします。
病児保育は、子供が病気の際に自宅での保育が困難な場合、病院や
保育所等において病気の子供を一時的に保育するものであり、安心して子育てができる
環境整備を図るためにも大変重要な施設であります。私自身、
病児保育に関する利便性の向上を図るため、令和四年三月の
予算特別委員会において、これまで基本的に電話のみであった施設の予約について、利用可能な施設の
空き状況をウェブ上で確認でき、二十四時間いつでも利用申込みやキャンセルが可能となる
システムの
導入推進について、また、通勤途中や通勤先の市町村でも
病児保育施設の利用が可能となるよう、市町村の枠を超えた
広域利用促進の取組についてただしたところであります。
県内市町村間の
広域利用によって、今年度から全ての市町村において
病児保育の利用が可能となるなど、利便性の向上が図られております。しかしながら、
病児保育施設の
予約システム、
病児保育なびについて、私も実際確認してみましたが、検索はできるが予約までできない施設も多く、県の担当課に確認したところ、ネット上で予約可能な施設は三割程度にとどまっているとのことであります。
そこで、知事にお尋ねします。
病児保育な
びの導入施設を増やしていくことは、利用者の利便性の向上と事業者の事務の効率化につながるものであり、県として取組を進めていく必要があると考えますが、知事の見解とその施策についてお尋ねします。
次に、今年度から出産・
子育て安心基金を活用し、利用者がこれまで二千円程度必要であった利用料について無償化を行うことで、
子育て世帯の
経済的負担を軽減し、
子育て支援の充実を積極的に図ってきたところであります。私の周りの子育て中の保護者からも、
経済的負担がなくなり大変助かっている、手続の必要もなくてとても便利だといった喜びの声も聞こえてくる一方で、
マスコミ等にも取り上げられていましたが、
病児保育の無償化に伴い、予約が取りにくくなったとの声も聞こえてきます。特に最近ではインフルエンザをはじめとした感染症などが流行しており、現在も
病児保育施設の予約ができず、困っている家庭が多くあるのではないかと危惧しているところであります。
そこで、知事にお尋ねします。このような課題を踏まえ、県では今十二月議会において
病児保育の充実を図るための予算を計上したものと考えますが、今回の
補正予算に計上している事業の目的、また、本事業において県全体でどのくらいの定員増加を図ることを目指しているのかお尋ねします。
また、
病児保育事業には市町村にも負担があり、整備費には十分の三、運営費には三分の一が必要になってきます。今回の
補正予算を踏まえて、各市町村において来年度予算に
病児保育施設の充実や定員の増加が考えられます。その際、
病児保育施設の新設や増改築に関わる
整備費用の予算について、県の想定を超える多くの市町村から県に対し申請が行われた場合、どのように対応されるのかお尋ねし、私の
一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
3 ◯議長(香原 勝司君)
服部知事。
*
知事答弁
4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。
まず、
病児保育の
予約システムについてお尋ねがございました。
病児保育を利用したいと考えておられる方の利便性を向上させる、また、
病児保育施設の
事務負担を軽減するという点を考えましたとき、
病児保育施設の
ICT化は大変有効でございまして、県としても積極的に進めていきたいと考えまして、今年度から施設の予約が可能な
システムでございます
病児保育なびの運用を開始いたしました。
病児保育な
びから予約ができます施設は、県内の
病児保育施設七十九施設のうち二十五施設、三割程度となっております。この導入が進んでいない原因は、施設が電話での予約で不都合を感じておらず、これまでどおりの運用を続けたいと考えていらっしゃることや、
インターネットの環境が整備されていないことなどとなっております。このため、今後未導入の施設に対し、導入することによって受付事務の負担が軽減できるといった施設側のメリットだけではなく、二十四時間いつでもウェブ上で申込みや
空き状況の確認が行えるといった利用者にとってのメリットにつきましても説明を行ってまいります。このほか、施設を訪問して
システム操作の体験や
インターネット環境の整備のための
国庫補助金の紹介をすることを通じまして、
病児保育な
びの導入を促進してまいります。
次に、
病児保育関連の
補正予算についてでございます。今議会において、
子育て家庭が利用しやすい
病児保育の提供体制を整備いたしますための予算案を提案させていただいております。提案しております各事業の目的は、求人活動を支援することによって
病児保育施設で働く保育士を確保すること、施設の新設、増改築及び新設以外で定員を増やす際の備品購入に対しまして、県独自の補助を行うことによって
事業者負担を軽減することでございまして、これらを実施することによりまして
利用定員の拡大に取り組んでまいります。今回の
補正予算の計上に当たりましては、
病児保育の実施主体でございます市町村に
施設整備の意向などについて確認を行った上で計画的に整備を行うこととしておりまして、県全体では三十四名の定員の増加を図ってまいります。
想定を超える
施設整備の申請が行われた場合にどうするかという御質問でございます。市町村からそのような申請がなされました場合は、各地域や市町村における施設の定員や
利用者数の状況を勘案し、予算の計上について検討を行ってまいります。
5 ◯議長(香原 勝司君)
山本耕一君。(拍手)
*
山本議員質問
6 ◯三十一番(山本 耕一君)登壇 皆様、おはようございます。
民主県政県議団の
山本耕一です。会派の
トップバッターとして、
一般質問に登壇させていただきます。では、通告に従い、
特定外来生物などの外来種、とりわけ植物に係る本県の対応について、知事に質問いたします。
アライグマや
ブラックバスといった外来の生物による生態系への影響については、今や社会問題となり、県議会でも多くの議員がただしてこられました。ただ、そうした
侵略的生物は動物だけではありません。近年は外来の植物が生態系に大きな影響を与える事案が数多く発生しています。
環境省は
外来生物法に基づき、生態系、人の生命・身体、
農林水産業への被害等を引き起こすおそれのある動植物を
特定外来生物として指定し、その中で本県で確認されたことのある植物は九種類となっています。そのうち
ナガエツルノゲイトウという水路や河川周辺を中心に生息する南米原産の
多年生植物については、去年六月佐賀市内のクリークで大繁殖していると大きく報じられました。草丈一メートル程度、白い小さな花をつける
ナガエツルノゲイトウは、一見何でもない水辺の野草に見えますが、繁殖力旺盛で陸上でも生息できる上、一たび蔓延すると根絶が非常に困難です。草刈り時にかけらが水路に落ちたり、刈取機材に付着したりした断片からでも再生し、瞬く間に広がってしまうため、地球上最悪の
侵略的植物と呼ばれることもあります。西日本を中心に繁殖が確認され、農林水産省では
駆除マニュアルを作成して、早期発見、早期駆除や拡散防止を促しています。
この
ナガエツルノゲイトウのように
特定外来生物に指定されていなくても、観賞用などで輸入されたものが繁殖して、生態系に悪影響を与えている例もあります。今年三月、こちらも佐賀の話ですが、コウガイセキショウモという、これはアクアリウムなどに使われるものだそうですが、この水草がクリークで大繁殖し、佐賀市の
NPO法人と市が駆除に当たったと報道されました。報道によると、佐賀市では二〇一三年以降の十年間で
外来種等の水草の駆除に約四億五千万円の公費が投入されているとのことです。
そこでまず、知事に伺います。生態系に係る被害を及ぼすおそれのある
特定外来生物の植物、とりわけ
水生植物について、本県では現在どのような状況かお聞かせください。
これら外来の植物は、従来の生態系に天敵がいないなどの理由で、一旦持ち込まれると大繁殖し、手に負えない状況となります。一方、秋の七草で葛根湯の原料ともなるクズは、日本の野山ではありふれた植物ですが、十九世紀末に持ち込まれたアメリカ合衆国で大繁殖し、侵略的な厄介者とみなされているとのことです。従来の生態系にない動植物が人為的に持ち込まれ、それが放置されることで自然界のバランスが損なわれ、人や動植物の健全な共存、つまり
ワンヘルスが脅かされる結果となるのです。
先日私は、
国立環境研究所の
五箇公一生態リスク評価・
対策研究室長の講演を聞く機会がありました。サングラスに黒い革ジャンという研究者らしからぬいで立ちで、最近ではテレビでもおなじみの五箇氏は、急速な
グローバル化によって外来の生物の移動量や移動速度などが
生物進化の範疇を超えてしまい、自然の力では制御できずに生態系や人間社会に被害をもたらしているとし、この問題はまさに人間が生んだもので、それを肥大化させている原因も
人間活動であると警鐘を鳴らしていました。
特定外来生物など、外来種の植物が大繁殖する状況になると、重量や体積も大きくなり、その駆除には広い範囲をカバーするネットや重機、駆除した植物を乾燥させるスペースを用意しなくてはならないなど、大がかりな取組とそれに伴う費用が必要となることは、先ほど紹介した佐賀市の例を見れば明らかで、そうならないためには、いち早く発見し、それに対して素早く対処することが極めて重要です。
整理すると、まず、持ち込まないこと、危険性の認識を広く住民が持つこと、常に監視し早期に発見すること、発見したら適切に早期駆除して拡散を防ぐことが必要となります。そのために外来種、その中でもとりわけ対処が急がれる
特定外来生物に関する知識を県民が広く持ち、
教育機関等とも連携しながら、見聞きしたものを理解し、素早く対処する能力、いわゆるリテラシーを向上させることが大事です。それが駆除に係る
公費負担等を減らしていくことに直結すると考えます。
そこで、知事に伺います。
特定外来生物に関する知識や対策についての
周知啓発活動の現状はどうなっているでしょうか、お教えください。そして、今後は
教育機関等とも連携して、県民の
外来生物に対する知識をさらに向上させるなど、
啓発活動に注力すべきと考えますが、知事の考えをお聞かせください。
以上、私からの
一般質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
7 ◯議長(香原 勝司君)
服部知事。
*
知事答弁
8 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
特定外来生物である植物、とりわけ
水生植物の本県における状況についてでございます。今年度、県内の市町村に照会をいたしましたところ、流域に沿って繁殖しやすい
ブラジルチドメグサや
ナガエツルノゲイトウなど、四種類の
水生植物が十二の市町で確認をされております。このような
水生植物は、魚や昆虫などの
生息環境を悪化させ、生態系に影響を及ぼしますほか、農業被害などが懸念されており、主として河川やため池の管理者によって防除が行われております。
特定外来生物に関する知識や対策についての
周知啓発活動について、お尋ねになりました。
特定外来生物を防除するためには、これらを早期に発見し、初期防除を開始することが重要でございまして、県民一人一人が見慣れない動植物に気づくことができますよう啓発を行うことが不可欠でございます。このため、主な
外来生物ごとにその特徴や類似の生き物との違いを取りまとめました
侵略的外来種防除マニュアルを策定し、県のホームページにおいて公表しております。また、環境問題に関心のある団体などに対しまして、県職員が外来種問題をテーマとした出前講座を行っております。
子供たちに対しましては、日頃から地域の自然を見る目を養うとの観点から、
環境教育副読本「みんなの環境」を作成し、総合的な学習の時間などにおいて活用しておりますほか、
県庁ロビーで行っております
夏休みこども企画展を通じ、外来種問題の
周知啓発に努めております。さらに今年度からは、小学生を対象として専門の講師を派遣し、外来種問題に関する講演あるいは
グループワークなどを行いまして、その理解を深める取組を開始いたしました。
今後とも、
教育委員会、市町村、NPOなどと連携し、様々な機会を捉え、
特定外来生物について子供から大人まで幅広く
周知啓発に取り組んでまいります。
9 ◯議長(香原 勝司君) 稲又進一君。(拍手)
*稲又
議員質問
10 ◯八番(稲又 進一君)登壇 公明党の稲又進一でございます。質問の機会をいただきましたことに深く感謝を申し上げ、通告に従い、法改正を受けての本県の
空き家対策についてお伺いをいたします。
国土交通省の資料によりますと、全国で居住目的のない空き家は一九九八年に百八十二万戸でありましたが、二〇一八年には三百四十九万戸と、この二十年間で一・九倍に増加をしております。今後も
増加見込みであり、二〇三〇年には四百七十万戸と推定されるなど、対策は急務であります。
空き家調査は五年ごとに行われており、まさに現在、令和五年度分が調査中でございますが、平成三十年時点で本県では総世帯数約二百二十六万戸に対しまして総住宅数約二百五十八万戸と大きく上回り、その差は拡大傾向にございます。賃貸用や売却用の住宅なども含めた
空き家率は一二・七%と、実質十軒に一軒以上が空き家という計算になります。そしてその中でも、特に転勤や入院等で居住世帯が長期不在となった項目の割合が増えているのが現状でございます。
私の
地元北九州市門司区でも、多くの相談が寄せられております。適切な管理がなされていない空き家、屋根やガラス、外壁は今にも崩壊寸前、中には蜂の巣がはびこり、害虫や動物の根城になっている。長年放置された木や枝も伸長し、隣地にも傾き、いつ倒れてもおかしくない状況にあります。近隣住民にとっては大変迷惑であり、困惑をしている、そういった実情を伺いました。
対応策を市町村に要望しておりますが、行政としても現地確認や話を伺うことはできるものの、私有地のため、結果、処置ができず、所有者へ勧告するしか打つ手がないのが現状であります。指導、勧告をして、協力的な所有者であれば進展するものの、所在不明、連絡がつかずなど、なしのつぶてで状況の悪化の一途をたどる、そのような惨状も拝見をしてまいりました。実際、
活用意向がない、もしくは意向はあっても、所有者の高齢化をはじめとする個別事情で活用に向けた具体的な動きはなく、管理不十分でそのままにされている
老朽空き家が相当数あります。
今後さらなる増加が見込まれる本県の
老朽空き家の対策について、これまでどのような取組をされてきたのか、知事にお尋ねをいたします。
私の問題意識といたしまして、
管理不全の空き家は周辺への悪影響をもたらすことから、個人だけの問題にはとどまりません。防災上の問題や衛生の問題のみならず、不審者が居座るなど、防犯上の問題もあり、地域にとっては深刻な問題であります。
こうした中で、本年、大きな前進がございました。政府は本年六月十四日に
空家等対策の推進に関する
特別措置法の一部を改正する法律を公布し、国と地方自治体が一緒になって
空き家対策に本腰を入れて取り組んでいく方向性を決定いたしました。この法律の目玉は、所有者の責務を強化したことに加え、除却等のさらなる促進に加え、周囲に悪影響を及ぼす前の
有効活用や適切な管理を総合的に強化する必要性を基本に示した点であります。その方向性は、既存の空き家を活用拡大していくこと、管理の確保、
特定空き家の除却、この三本柱であります。
市区町村長に選任請求を認め、相続放棄された
空き家等に対応できる
財産管理人による空き家の処分、勧告を受けた
管理不全空き家に対しての
固定資産税の
住宅用地特例の解除、代執行の円滑化など、これまでの取組に加え、パワーアップをしております。その中で、
活用拡大分野において、
市町村長が
NPO法人や
社団法人等を
空家等管理活用支援法人に指定する
支援法人制度が創設をされており、これから特に期待をされております。
支援法人の役割は、所有者、
活用希望者への
普及啓発、情報提供でありますが、所有者に寄り添った相談対応や委託に基づく
空き家管理や
所有者探索などを率先して行っていただくと期待をしております。
既に空き家の発生は行政の力だけで抑えることは難しく、関係する法人や団体の力も非常に重要であると考えます。例えば全国古
民家再生協会は、下部組織として地域に寄り添った
空き家アドバイザー協議会を設置し、自治体とも連携協定を結んで、古
民家鑑定士の育成、
住教育活動、
地域住民を巻き込んだDIYによる古
民家再生など、地道な活動をされております。既に
うきは市等では
全国空き家アドバイザー協議会うきは支部を設立し、空き家の発生抑制や
活用推進等に
官民地域一体となって開始をされております。こうした地方での取組は、今回新設される
空家等管理活用支援法人としてふさわしい活動であると考えております。
国土交通省が支援する
全国版空き家バンクの本県の
市町村参画率は、令和五年十月現在で四〇%と低迷をしております。
参画率自体を増やしていくことも必要であると存じますが、地方都市では
空き家バンクに登録してもそもそも買手がつかず、そのまま放置され老朽化が進行している事例や、根本的に相談窓口が分からず、行き詰まっている市町村もあるというふうに伺っております。
本県としても今回の法改正を受け、すばらしい取組をされる
支援法人が各市町村で適切かつ速やかに指定されることへの後押しをお願いしたいと考えます。
いよいよ同法も、あさって施行を迎えます。一つでも多くの空き家が利活用され、地域の安心につなげるべく、本県としてこの法改正を踏まえ、今後どのように市町村を支援していかれるのか、知事へお尋ねいたし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
11 ◯議長(香原 勝司君)
服部知事。
*
知事答弁
12 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
老朽空き家に対する県のこれまでの取組についてお尋ねがございました。議員から御紹介もございました
空家等対策の推進に関する
特別措置法では、市町村は
空き家等に関する必要な措置を適切に講じ、県は市町村に対する情報の提供や
市町村相互間の
連絡調整など、必要な援助を行うよう努めることとされております。このため県では、
空き家対策に関する様々な課題を把握して対策を検討いたしますため、県庁の関係課、全ての市町村、
宅地建物取引業団体あるいは
司法書士会など、関係十団体で構成をいたします福岡県
空家対策連絡協議会を設置をいたしております。この協議会では、市町村にとって大きな課題となっております
老朽空き家のうち、周辺に悪影響を与える、いわゆる
特定空き家等につきまして、その判断基準や所有者に対する勧告、命令、さらには代執行などの措置を行う際の手順などを示しました手引を作成いたしております。あわせまして、
市町村職員向け説明会を開催するなど、市町村の取組を支援しているところでございます。
次に、この
改正空家特措法に基づき、市町村が行います
空き家対策に対する県の支援についてお尋ねがございました。県ではこの福岡県
空家対策連絡協議会におきまして、この
特別措置法の
改正内容について市町村に周知いたしますとともに、市町村の
空き家対策担当者との意見交換を行いまして、今後の課題についてヒアリングを行ってまいりました。その結果、市町村からは、今回新たに創設をされました
管理不全空き家等に認定をし勧告をいたしますと、
固定資産税の
住宅用地特例が解除され、所有者に不利益が生じますので、公平性を確保する観点から認定基準の設定について戸惑っているといった御意見がございました。また、
空家等管理活用支援法人は市町村から
空き家等に関する個人情報の提供を受けることができるなどの権限が付与されますため、指定先の選定に際しては慎重を期す必要があるなどの御意見がございました。一方、国からは、市町村が改正法を円滑に運用できますよう、
管理不全空き家等の認定や
空家等管理活用支援法人の指定についての
ガイドラインなどが今後、順次示される予定となっております。
県といたしましては、市町村の御意見を踏まえ、協議会が作成する
マニュアルの提供や国の
ガイドラインを参考とし、改正法に基づく
空き家対策に先行して取り組む市町村の情報を提供するなどの支援に努めてまいります。
13 ◯議長(香原 勝司君) 中村香月君。(拍手)
*中村(香)
議員質問
14 ◯三十三番(中村 香月君)登壇 新政会福岡県議団の中村香月です。それでは通告に従い、本県の
病児保育及びスクールロイヤーについて、知事及び教育長に質問をさせていただきます。
まず、
病児保育について質問をいたします。令和五年度から新たな出産・子育て施策の財源を中長期的に確保することを目的とし、約百二十億円の出産・
子育て安心基金を設置されたことによって、
病児保育の無償化がかなえられました。昨年、令和四年の十二月定例会で
病児保育の利用促進と
病児保育施設の増設に関して質問させていただいたところでしたが、当時知事は、病児・病後児保育は共働き世帯や一人親世帯の方々が安心して子育てを行っていただくための重要なセーフティーネットであり、県内のどの市町村に住んでいても、必要なときに病児・病後児保育を利用できるよう広域化を図ることは重要な取組であると認識しておりますとの御答弁をいただき、勢いそのまま、翌年の予算で
病児保育の利用無償化が県独自の施策としてなされました。このことは、子育てをしながら仕事を両立する多くの保護者にとって大変利用しやすいものになって、心より感謝されていると思います。
しかし同時に、新たな問題も発生してまいりました。無償化により利用者が激増し、今年の四月から九月までの
病児保育利用者はコロナ禍前の令和元年度の同時期と比べ、約九千人増加しました。需要と供給のバランスが取れていないという指摘も出ています。
このような中、今回の十二月
補正予算において、
子育て家庭が利用しやすい
病児保育の提供体制の整備として、
病児保育拡大に向けた
利用定員拡大のための整備予算、新設・増設に要する
事業者負担の助成、そして保育士確保に向けた求人活動の予算が組まれることになりました。
そこでまず、お尋ねします。今回の
補正予算によってどれぐらいの定員増を見込んでいるのか、具体的な数値をお答えください。また、どのようにこの施策に取り組まれていくのか、知事の考えをお聞かせください。
次に、中でも
病児保育なびに関してお伺いいたします。本県は今年度から、居住地域で利用できる
病児保育施設を
インターネット上で二十四時間検索、利用申込みができるウェブサービスを開始しています。このことによって、
病児保育の開園を見計らって予約の電話をし、満員であればほかの
病児保育へ連絡し直すなどの手間がなくなり、いつでも
空き状況が確認できる大変便利なサービスと、とても好評です。そして今、
病児保育の予約の中でも問題になっている保護者のキャンセル忘れの減少や、朝の繁忙時間の電話対応などの保育施設の事務作業の軽減にも期待できます。利用者の利便性や事業者の業務負担の軽減という観点から見ても、私は
病児保育なびの活用も重点的に促進していくべきではないかと考えています。
一方で、現在
病児保育な
びから予約できる施設は、令和五年十二月時点で県内七十九施設中僅か二十五施設と、全体の三割程度にとどまっています。そのせいもあってか、今年四月から九月までの
病児保育の利用者三万九千二百四十三名に対し、
病児保育なびで予約した数は七千九百七十六人の二割程度と低い数値を示しています。
私はまずは
病児保育なびに予約できる施設数を高めていくべきではないかと考えますが、知事はどのようにお考えでしょうか、お答えください。その上で、予約できる施設数を高めるためのやり方について、お考えがあればお聞かせください。
次に、スクールロイヤーについて質問いたします。昨今、テレビや新聞の記事などで学校に関する様々な問題が取り上げられることが多くなったような気がします。いじめや不登校の問題、いわゆるモンスターペアレントなどの保護者の問題、教員のブラックな労働環境の問題など、教育現場に係る問題は多種多様で、学校だけで対応することが困難な事案が生じています。このような問題を解決したり事案の深刻化を未然に防止したりする方策として、スクールロイヤーの活用が考えられます。
令和三年六月定例会での教育長の答弁では、法的な視点での学校への支援について、福岡県弁護士会の協力を得て、学校長が弁護士から直接助言を受けることができる体制を構築するとともに、法的トラブル対応のためのガイドブックを作成している、このような取組を通じて各学校の対応力を高め、適切な教育環境が維持されるよう支援していくとの発言でした。あれから二年半が経過しました。
他方、東京都港区
教育委員会では、二〇〇七年度にスクールロイヤー制度を取り入れ、公立幼稚園、小中学校ごとにスクールロイヤーとなる弁護士を登録し、校長や教員からの相談が年間四十件弱程度寄せられています。学校内の問題解決や教員の心理的負担の軽減につながっているといいます。大阪府では二〇一三年にスクールロイヤー制度を導入し、年間百件前後の相談が寄せられています。教員や学校側が法的な根拠に基づく対応ができるようになったことから、自信を持って問題の対処に当たれるようになったとのことです。最後は大分県の事例ですが、二〇一八年にスクールロイヤーを設置し、初年度は年間三十八件の相談を受けたようです。大分県では法律相談や出張授業、教員向けの研修だけでなく、子供や保護者を対象とした電話相談も受け付けています。
以上のように、スクールロイヤーとは何かという明確な定義があるわけではありません。明確な定義がないからこそ、各
都道府県教育委員会はしっかりとしたポリシーを持って臨まなければ、成果は見えてこないのではないかと思います。
そこで、教育長にお伺いいたします。福岡県弁護士会の協力を得て、学校が弁護士から直接助言を受ける体制を構築したことで、何がどう変わり、どのような成果が発現されてきたのか、具体的に御説明ください。また、法的トラブル対応のためのガイドブックはどのようなときに使われ、どのような成果を見せてきたのか、併せて御説明ください。
私が思うスクールロイヤーとは、学校で発生する多様な問題について、子供の最善の利益を念頭に置きつつ、教育や福祉等の視点を取り入れながら法的な観点から学校に助言を行う弁護士であると考えます。子供にとって何が最善なのかという視点をもってスクールロイヤーが法的観点から助言することで、教員の負担やストレス軽減に大いに役に立ち、教員は教育面に集中することができます。
昨年度、本県の公立学校が県
教育委員会を通して弁護士へ相談した件数は、小中学校で八件、県立高校は六件でした。相談事案が少ないことに安心する一方で、各市町村で顧問弁護士を持っている小中学校を除き、県立高校の相談件数は九州の他県に比べ低く、弁護士への相談に対するハードルが高く感じられているのではという懸念もあります。例えば先ほど事例として挙げた大分県は、昨年二十五件の県立高校から相談がありました。昨年、教職員研修を四十三校で実施するなど、日頃から弁護士と教員との交流が弁護士へ相談するという心理的ハードルを低くし、相談しやすい体制を構築しているのではと考えます。
そこで、教育長にお尋ねいたします。子供の学習を充実すべき学校の教育活動を支援するため、学校が弁護士への相談にハードルを感じることなく活用できる制度として、スクールロイヤー制度の活用を促進していくべきだと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
以上、知事と教育長の真摯な御答弁を期待し、質問を終わります。(拍手)
15 ◯議長(香原 勝司君)
服部知事。
*
知事答弁
16 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
病児保育関連の
補正予算についてお尋ねがございました。今回の
補正予算の計上に当たりましては、
病児保育の実施主体でございます市町村に対し、
施設整備の意向などについて確認を行いました上で、計画的に整備を行うことといたしておりまして、県全体では三十四名の定員増を図ってまいります。
この事業の実施に当たりましては、保育士の確保のため、就職支援専門事業者等に委託を行いまして、雇用条件を
病児保育施設と調整をいたしました上で、求人活動を支援してまいります。また、施設の新設、増改築及び新設以外で定員を増やす際の備品購入に対します県独自の補助事業につきましては、実施主体でございます市町村の意見を踏まえ、各地域や市町村における施設の定員や
利用者数の状況を勘案し、計画的に整備を進めてまいります。
次に、
病児保育なびについてでございます。
病児保育の利用をされる方の利便性を向上させる、また、
病児保育施設の
事務負担を軽減するという観点から、
病児保育施設の
ICT化は大変有効でございます。県といたしましても、これを積極的に進めていきたいと考えまして、今年度から施設の予約が可能な
システムでございます
病児保育なびの運用を開始いたしました。この
病児保育な
びから予約ができます施設は、県内の
病児保育施設七十九施設のうち二十五施設、三割程度となっております。導入が進んでいない原因は、施設が電話での予約で不都合を感じておらず、これまでどおりの運用を続けたいと考えていることや、
インターネットの環境が整備されていないことなどとなっております。
このため、今後未導入の施設に対し、導入によります受付事務の負担軽減といった施設側のメリットだけではなく、二十四時間いつでもウェブ上で申込みや
空き状況の確認が行えるといった利用者側のメリットにつきましても説明を行ってまいります。このほか、施設を訪問して
システム操作の体験や
インターネット環境の整備のための
国庫補助金の紹介を行いまして、
病児保育な
びの導入を促進してまいります。
17 ◯議長(香原 勝司君) 吉田教育長。
*教育長答弁
18 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 学校における法的支援の成果についてでございます。県
教育委員会が相談体制を構築したことによりまして、市町村の顧問弁護士に加え、教育問題の経験豊富な弁護士から助言を受けることができ、学校の対応力を高めることにつながったと考えております。実際に相談した学校からは、学校特有の問題について法的な根拠を示しながら相手側に説明することができたなどの報告がされております。
また、法的トラブル対応のガイドブックは、日常的に直面する様々なトラブルへの対処等について実例を基に分かりやすく掲載しており、校内研修や職員会議等の場で活用されております。学校からは、ガイドブックの対応事例を事前に学ぶことで問題の早期解決につなげることができたなどの声が届いております。
スクールロイヤー制度についてでございます。県
教育委員会では、県立学校において学校運営上の問題で弁護士から直接助言が受けられる制度を整備しております。本制度の運用に当たりましては、利用手続の簡素化を図っており、学校は県
教育委員会に電話で依頼することで担当弁護士の紹介を受け、面談日時を調整できることとしており、また、学校の費用負担も発生しないなど、学校が抵抗感なく制度を活用できるよう配慮をしておるところでございます。このほか、生徒間トラブルに係る学校の支援のため、弁護士や学識経験者等を学校へ派遣する仕組みも併せて整備をしております。
県
教育委員会としましては、弁護士を活用したことがない学校がその相談をためらうことも考えられるため、県立高校から生徒指導や保護者対応、外部の方からの苦情対応など、日常的に相談を受ける中で、こうした制度の活用による弁護士への相談を積極的に勧めるとともに、各種研修会などを通して各学校に制度の周知を図り、さらなる活用を促してまいります。
19 ◯議長(香原 勝司君) 中牟田伸二君。(拍手)
*中牟田
議員質問
20 ◯六十番(中牟田 伸二君)登壇 皆さん、おはようございます。
自民党県議団の中牟田伸二でございます。通告に従いまして、福岡都市圏南部におけるまちづくりに関連したインフラ整備について質問をいたします。
私の住んでおります春日市は、昨年、近隣の筑紫野市、大野城市とともに市制五十周年を迎えました。福岡都市圏南部に位置する筑紫地区にあり、筑紫野市、大野城市、太宰府市、那珂川市とともに市街化が進み、人口が急激に増加してまいりました。宅地開発が進み、道路、上下水道整備が行われ、福岡市のベッドタウンとしての今があります。
そこで一つ目の質問でございますが、福岡都市圏南部と福岡都心部へのアクセス機能を担う都市計画道路で、未整備区間の路線である長浜太宰府線、福岡筑紫野線の早期の整備が必要だと考えます。朝夕の渋滞緩和、経済効率を上昇させる上でも、安全・安心まちづくりのためにも、早期の完成が必要です。県としては、現在、那珂川宇美線、長浜太宰府線須玖北工区、西鉄天神大牟田線連続立体交差事業が実施されております。街路事業は事業完了まで短くとも十年程度かかり、事業費もかかることから、現在実施している事業をまずは確実に進めることが重要であると思います。那珂川宇美線の事業は用地取得にめどが立ってきたと聞いております。都市計画道路事業を進めるに当たり、特に用地取得に関しては地元自治体の協力が不可欠ですが、那珂川宇美線の用地取得が進捗している現状は地元の協力体制が進んできたと言えるのではないでしょうか。
東西軸となる那珂川宇美線の事業完了が見えてきた状況を踏まえ、続いて南北線を強化するための都市計画道路の整備についてどのように考えておられるのか、知事のお考えをお聞きします。
二つ目の質問です。県営春日公園は、昭和天皇在位五十周年恩賜公園として、昭和五十六年五月の開園以来多くの県民に利用いただいております。ちなみに、この昭和五十六年の十一月に現県庁が開設されたところでもあります。私の叔父が現職の県議会議員をしていた頃でもあり、旧県庁の石材なども多く再利用され、歴史をも感じさせる公園であります。一方、開園から約四十年が経過し、施設の老朽化が進んでおります。
そうした施設の老朽化対策について、どのように取り組んでいるか伺います。
また、今年度は
ワンヘルスの理念に基づき新たにドッグランの整備に着手しており、さらにさきの九月議会では、アーバンスポーツの振興を図るため、今年度スケートボード場の再整備に着手するとの答弁もいただきました。
このように公園に求められる役割も多様化してきている中で、県営春日公園について今後どのような整備を行っていくのか伺います。
筑紫地区は住宅街として人口が増加してまいりましたが、立地条件が福岡都市圏と県南を結ぶ通過点の要衝でもあり、未整備区間を早期完成することは、経済効果の面でも絶大であることは疑う余地がありません。また、県立春日公園は福岡市、筑紫地区を中心に広範囲に利用いただいてきた公園でもあり、今年度の
ワンヘルスの理念を具体化する一環であるドッグランの整備や、時代の要望でもあるスケートボード場の再整備などに常に進化を続ける公園であるべきだと考えます。
服部知事におかれましては、要望を御理解の上、前向きな御回答をお願いし、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
21 ◯議長(香原 勝司君)
服部知事。
*
知事答弁
22 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
まず、福岡都心部へのアクセス機能を担う春日市内の都市計画道路整備についてお尋ねがございました。整備を行います道路につきましては、その整備に係る概算事業費や費用便益、また、交通混雑度の算定など、事業効果を総合的に検証し、春日市の御意見も伺いながら決定をいたしております。このような検証に基づき比較いたしました結果、現在三車線で供用いたしております福岡筑紫野線を四車線化いたしますより、新たに長浜太宰府線を四車線で整備するほうが事業効果が高いと判断されましたことから、長浜太宰府線を先行して整備することといたしております。現在の状況は、長浜太宰府線は福岡市側の約四百二十メートルの区間を整備中でございまして、残りの未整備区間につきましては、春日市と協議を行いながら、概算事業費や費用便益の算定など事業化に向けた検討を進めてまいります。
次に、県営春日公園における施設の老朽化対策についてでございます。県営公園につきましては、福岡県公共施設等総合管理計画を指針とし、一昨年二月に策定をいたしました都市公園施設個別施設計画に基づき、老朽化した施設の改修・更新に取り組んでおります。春日公園につきましても、これまで球技場の照明設備のLED化や、スタンド、トイレ、更衣室などの改修を行っておりまして、現在は園路舗装の更新を行っております。引き続き、公園を利用される方の安全・安心を確保するため、適切な施設の老朽化対策に取り組んでまいります。
この県営春日公園における今後の整備についてでございます。
施設整備につきましては、今年八月にドッグランの整備に着手しておりまして、今年度中にスケートボード場の再整備にも着手をいたします。また、障がいの有無にかかわらず、全ての子供たちが一緒に遊べるインクルーシブ遊具を三か年で六公園に整備することといたしておりまして、今後春日公園においても整備を行うことといたしております。公園内における様々な施設をどのように整備していくかにつきましては、公園の指定管理者の意見を聞きながら、施設の利用状況や新たなニーズの把握を行い、その結果を踏まえて検討を行ってまいります。
23 ◯議長(香原 勝司君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時十分といたします。
午 前 十一時 五十七分 休 憩
午 後 一 時 十一分 再 開
24 ◯副議長(佐々木 允君) 再開いたします。
休憩前に引き続き、
一般質問を行います。順次発言を許可いたします。後藤香織君。(拍手)
*後藤
議員質問
25 ◯二十九番(後藤 香織君)登壇 皆さん、こんにちは。民主県政クラブ県議団、早良区選出の後藤香織です。今日は教員の働き方改革について、教育長に質問してまいります。
近年、教員の多忙化、教員不足がクローズアップされ、教員の働き方改革の必要性が叫ばれています。子供たち一人一人に向き合い、教員の業務の質の向上に資するために、教員不足の解消とその要因でもある多忙化の解消が急務です。現在、福岡市内でも土曜授業を年四回から二回へ減らしたり、昼休みを十分短縮し下校時間を早めるなどといった対策も行われていますが、抜本的な多忙化の解消には至っていません。
そこで、まず初めに、予備時数の在り方についてお聞きをしていきます。文部科学省が告示する学習指導要領で定められた公立の小学校、中学校が年間に行う授業時間数、つまり標準授業時数は、完全週休二日制が始まった二〇〇二年当時、小学校で一年生七百八十二単位時間、二年生八百四十、三年生九百十、四年生から六年生は九百四十五単位時間でしたが、二度の改正を経て増加し、現在では一年生八百五十単位時間、二年生九百十、三年生九百八十、四年生から六年生千十五単位時間に増加しました。中学校も同様で、九百八十から千十五単位時間へと増えています。小学校においては、二〇〇二年と比較して全学年で七十単位時間、つまり年間で五十二・五時間総授業数が増加していることになります。
今年四月、文部科学省は、令和四年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況の調査の結果を公表しました。それによると、小学校五年生、中学二年生の一年間の総授業時数が全国平均でそれぞれ千五十九・九単位時間、千五十八・五単位時間と、国が設定している標準授業時数千十五単位時間よりも四十単位時間以上多く、さらに、計画の段階では平均して約六十単位時間も多く設定されている現状が明らかになりました。
文部科学省からは、災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態に備えることのみを過剰に意識して、標準授業時数を大幅に上回って教育課程を編成する必要はないことや、学校における働き方改革にも配慮した対応を検討することが重要であり、県
教育委員会は結果を踏まえつつ、教育施策の立案や所管の学校への指導、助言等の活用について、市町村
教育委員会に周知をするとしています。また、中教審の質の高い教師の確保特別部会は、八月に緊急提言、教師を取り巻く
環境整備について緊急的に取り組むべき施策をまとめ、学校教育法施行規則が定める標準授業時数を大きく上回る教育課程を編成している小中学校が三校に一校以上の割合で存在していることを重視し、全ての学校に計画の点検と年度途中を含めた見直しを求めました。
教育課程編成の際には、各学校が台風やインフルエンザなど不測の事態が起こって、数日授業ができなくなっても授業時数が確保できるよう、年度当初に標準授業時数を上回っての予備の時数を設けます。この予備時数を多く確保すれば不測の事態には備えられるものの、教員一人当たりの授業時間が長くなり、授業準備などの授業の質に資する本来業務に影響が出ているという側面もあります。コロナ禍で学校が長期休業となった年も一年間で教育課程が終わりましたし、GIGAスクール構想の一人一台端末の配備もあり、休校になってもオンライン授業ができるようにもなりました。
こういったことから熊本市
教育委員会では、二〇一九年度より予備時数を二十単位時間程度まで削減する取組を行っており、二〇二二年度はさらにゼロを基本とした編成を進めています。本県も教員の働き方改革の観点を踏まえ、県
教育委員会が主導して予備時数削減のための取組を進めるべきと考えます。
そこで一点目に、県内の小中学校における年間総授業時数の状況についてお聞かせください。その上で、本県での予備時数の在り方に対する教育長の見解をお聞かせください。
二点目に、
教育委員会から各市町村教委への通知の発出や
ガイドラインの策定、校長が教育課程を市町村
教育委員会に提出をする段階で、
教育委員会がこれは多過ぎると言えるような後押しする政策が必要だと考えますが、予備時数削減のための今後の取組について、教育長の見解をお伺いをいたします。
次に、県指定の研究や発表会、初任者研修などについては、授業やそれ以外の業務でいっぱいの中、そのための準備や報告などが教員の時間外労働を増やす過剰な業務負担になっているとの声もあります。二〇一九年六月には、文科省は教員研修計画の策定に際して、単に教員等が受講する研修の絶対量のみが増加し、教員等の多忙化に拍車をかけるようなことにならないよう配慮するとともに、都道府県と市町村の
教育委員会等で重複した内容の研修の整理など、夏季等の長期休業期間中の業務としての研修の精選を行うという通知を出しました。また、今年六月の我が会派の代表質問で吉田教育長は、近年三十歳以下の若年教員の退職者が増加をしており、平成三十年度の八十一人から令和四年度は全体の約半数の百五十八人になっていると、早期退職者の現状について答弁をしています。特に近年退職が目立つ若年教員への負担の軽減が必要ではないでしょうか。今年八月に出された緊急提言も、できることを直ちに行うという考えの下、取りまとめられています。
そこで三点目に、この通知の発出後、教員研修、特に初任者研修について、どのような見直しを行ったのかお示しください。また、県指定の研究や発表会、年に二十五回実施される初任研の授業研など、県教委の裁量にて軽減が可能なものについて軽減していくことが望ましいと考えますが、教育長の見解をお聞きをいたします。
最後に、教員以外の支援スタッフの配置についてお聞きします。国際調査においても日本の教員は幅広い業務を担い労働時間も長いという結果が出ており、教員しかできない授業などの本来業務に専念してもらうためには、支援スタッフの存在は欠かせないと考えます。文科省の調査では、教員業務支援員の配置により、教員の在校時間や事務その他に費やす時間が減少しているという結果が出ています。
また、我が会派の代表質問でも触れたとおり、不登校の児童生徒が増えています。学校でも起きる問題が多様化、複雑化していく中で、様々な困難に対応する専門の支援スタッフの重要性が増しています。教員と支援スタッフの役割分担を明確化した上で、その体制強化が必要と考えます。文科省においてもそれらの配置の拡充や、新規に副校長、教頭をサポートするマネジメント支援員を配置する来年度概算要求が組まれています。
そこで、教育長にお聞きをいたします。県内の教員業務支援員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、それぞれの配置状況についてお示しください。また、来年度それぞれどのように配置を充実していくつもりか、副校長・教頭マネジメント支援員の活用も踏まえてお聞かせください。
以上、教育長の真摯な御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)
26 ◯副議長(佐々木 允君) 吉田教育長。
*教育長答弁
27 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 教員の働き方改革に関しまして、まず、小中学校における年間総授業時数と教育課程編成の在り方についてお答えをいたします。本県の令和四年度における年間総授業時数の平均は、小学校五年生が約千五十七単位時間、中学校二年生が約千五十四単位時間となっています。また、学校教育法施行規則が定める標準授業時数に比べ、どちらも四十単位時間程度多くなっており、これは全国の状況と同様でございます。そのうち文部科学省が改善を求めている七十単位時間以上多い学校の割合は、小学校五年生では六十九校で全体の約一六%、中学校二年生では二十一校で全体の約一一%でございます。
災害等の不測の事態に備えて設定する予備の時数については、過剰に見込むと児童生徒や教師の負担増加につながるものであるため、必要な範囲で適切に設定すべきものであると考えます。
この授業時数の見直しに係る取組についてでございます。文部科学省は、今年九月に働き方改革に配慮した教育課程の編成についての通知を発出しています。同通知を踏まえ、県
教育委員会としましても働き方改革として取り組むべき主な事項をまとめ、市町村
教育委員会に対し積極的・主体的な実施を依頼したところでございます。また、年間総授業時数千八十六単位時間以上の学校に関しては、今年度の年間授業時数の見直しと次年度の教育課程編成について具体的な工夫例を示しながら、標準授業時数を大幅に上回らないよう所管の市町村
教育委員会に対し個別に指導をしております。具体的な工夫例としては、通知表の作成など、業務量が増加する学期末等には授業時数を減らすことや、例えば二十九単位時間に設定した週当たりの授業時数を繰り返すことにとらわれず、適切に配当することなどでございます。このほか、小中学校の管理職に対しても研修会等の機会を捉え、適正な教育課程を編成するよう指導をしているところです。今後も適正な教育課程の編成がなされるよう、これらの指導を継続してまいります。
次に、初任者研修の見直しと業務の負担軽減についてでございます。本県では文部科学省の通知に先立ち平成三十一年度から初任者研修について、これまで採用年度に実施していた研修の内容を精選した上で、三年間に分散したり関係書類の様式を簡略化したりすることにより教員の負担軽減を図ったところでございます。今後も県指定の研究や発表会も含めた教員研修について、その内容や開催方法を工夫するとともに、研修に伴う事務作業の簡素化を進め、教員の負担軽減に努めてまいります。
次に、支援スタッフの配置についてでございます。本県では今年度全ての小中学校にスクールカウンセラーを配置をしておりますほか、支援の必要性が高い九市町にスクールソーシャルワーカーを配置をしております。また、市町村が雇用するスクールソーシャルワーカーや教員業務支援員に対する助成を行っており、スクールソーシャルワーカーは五十二、教員業務支援員は二十三の市町村がこの助成を活用をいたしております。来年度に向けた文部科学省の概算要求におきましては、多様な支援スタッフの学校教育活動への参画を推進する内容となっており、県
教育委員会としましては学校のニーズを踏まえ、働き方改革に資する支援スタッフの配置に努めてまいります。
28 ◯副議長(佐々木 允君) 後藤香織君。
29 ◯二十九番(後藤 香織君)登壇 御答弁をいただきまして、教育長に要望をさせていただきます。
今回、予備時数削減に向けた一定の取組について御答弁をいただきました。予備時数削減を時間数で明確に打ち出した熊本市では、実際に予備時数が削減をされ、成果が出ています。また、市の学力調査の結果では、小学校は全ての学年、教科に伸びが見られ、予備時数削減による負の影響は見られないと分析をしています。
小学校の採用試験の倍率が一・三と低い本県が教員志望の若者に選ばれるためには、教員の多忙化解消に向けた県教委の本気度が足りないのではないかと感じています。予備時数削減や業務軽減など、現場の教員が改善の効果を実感できるより一層の取組をお願いいたしまして、私の
一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
30 ◯副議長(佐々木 允君) 川上多恵君。(拍手)
*川上
議員質問
31 ◯十一番(川上 多恵君)登壇 公明党の川上多恵でございます。通告に従い、性的指向や性自認を本人の同意なく第三者に漏らすアウティングの禁止について質問をいたします。
性的少数者であることをアウティングする行為は、平成二十七年、同性愛者であることを暴露された大学生が、その後、転落死する事案が発生したことで社会的に問題視されました。背景には性的少数者への差別や偏見があり、当事者にとっては命にも関わる重大な問題です。国は改正労働施策総合推進法の指針でパワーハラスメントに当たると規定しましたが、規制の対象は職場に限られており、アウティング禁止条例を制定する自治体が少しずつではありますが出てきました。
そうした状況を踏まえ、質問をいたします。まず、当事者にとって命にも関わる可能性もあるアウティングについて、知事の御認識をお伺いいたします。
次に、性別記載欄についてお伺いします。本県においても、福岡県人権教育啓発基本指針に基づき、性別記載欄の見直しを行っておられます。また、令和三年三月に県が作成した、性の多様性を理解し行動するための職員ガイドブックにおいても、性的マイノリティーの人たちに対する県職員の対応などについて案内しており、その中では、各種様式について性別記載欄の必要性を見直すべきだと記述しています。その理由は、戸籍上の性別や名前が見かけと違うことで、書類を提出すれば性別や氏名の再確認をされるなど、その対応に苦痛を感じる方もいるため、業務上必要でなければ廃止、業務上必要な場合でも記載方法の工夫を検討するよう求めているものです。
このような性別記載欄の見直しは多くの自治体でも行われています。大分県では、見直しの書類の対象部局や対象様式、対象となる様式の総数のうち性別記載欄がある様式の数、そのうち性別記載欄が削除された件数が公表されています。本県でも性の多様性の理解促進に関して様々な取組をされていますが、性別記載欄の存在は当事者の方々にとって社会生活上のいろんな場面で直面する問題であると思います。例えば法令上性別記載をせざるを得ない書類について、どのような書類がその対象となっているのかをホームページなどで具体的に掲載することでLGBTQ当事者が事前に知ることができれば、書類提出の際の混乱を軽減することにつながります。こうしたきめ細かい配慮が必要であると考えます。
そこで、県では既に福岡県パートナーシップ宣誓制度をはじめとする性の多様性に関する取組について公表されておりますが、行政サービス上で県民に求める各種の提出書類における性別記載欄の考え方についても、当事者の方々に、県のホームページなどで見える化し、当事者の方々に安心していただくことは重要であると考えますが、知事のお考えをお伺いします。
次に、令和四年四月から開始されましたパートナーシップ宣誓制度についてお伺いします。宣誓においては、性的少数者が来庁して手続を行うことになりますが、宣誓者の中にはカミングアウトされていない方もいらっしゃると思います。そのため、安心して宣誓できるようにどのような配慮がなされているのか、提出した書類の管理も含めてお伺いします。
民間調査によると、LGBTQなど性的少数者の二五%がアウティングをされた経験があると答えています。これは本人が認識している数なので、実際はもっと多いと見られています。こうした中、全国にアウティング禁止条例を制定する自治体が増えてきました。今年の十月一日現在で、二十六自治体が条例化しています。この条例の下で、職員研修はもちろん、市民や企業への啓発も実施されています。
人権侵害を受けた際、苦情や救済を申し出ることができる仕組みを持っている条例もあります。例えば令和二年、東京都豊島区の企業に勤務していた二十代の社員が上司による性的指向に関するアウティングにより精神的苦痛を与えられたとして、アウティングを禁止する豊島区の条例に基づいて申立てを行いました。豊島区では平成三十一年、同性パートナーシップ証明制度の導入に合わせて、区の男女共同参画推進条例を改正し、性的指向や性自認による差別やアウティングを禁止するよう規定され、これに反する人権侵害があったとの申出があれば、区長附属の苦情処理委員が関係者の調査や指導、是正要請を行うことになっていました。社員の申立てを受けて豊島区は、この企業に性的マイノリティーに関する研修を実施するよう指導し、同企業は謝罪した上で解決金を支払うことで社員と和解いたしました。またその後、同社員は労災申請を行い、今年七月労災認定をされています。私人同士の間で起きた人権侵害への苦情処理を規定したアウティング禁止条例があるのは、東京都では豊島区や港区などです。こうした条例がなければ、多くの場合、アウティングによる人権侵害を受けても泣き寝入りするほかないのが現状です。
さきに挙げた事例のように、アウティング禁止を条例化することにより当事者を法的かつ具体的に守ることができるほか、当事者の心理的安全性を高めることにつながるなど、アウティング禁止条例を制定する意義は大変に大きいと言えます。
このような先行自治体を参考に、本県においてもアウティング禁止条例の制定を強く要望するとともに、一人の人権を尊重し、当事者の方々が生きづらさを感じることのない施策の推進を求めて、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
32 ◯副議長(佐々木 允君)
服部知事。
*
知事答弁
33 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
アウティングに対する認識についてお尋ねがございました。アウティングによって性的少数者であることが暴露されてしまいますと、当事者と周りの人との信頼関係が壊れ、それまで安全と感じていた今の居場所を失うおそれがございます。また、暴露情報がどの範囲まで広まっているのか確認できませんため、常に周りから好奇の目で見られているのではないか、あるいはいじめられるのではないか、職場を追われるのではないか、こういった不安と緊張を強いられることになります。アウティングは命にも関わる重大な人権侵害でございまして、決して許されない行為であると認識しております。
性別記載欄の考え方を見える化することについてでございます。県では、パスポート申請など法的に義務づけられたものや業務上必要とするものを除きまして、性別欄は削除いたしております。附属機関の委員就任承諾書に男女共同参画の観点から性別欄を設けますなど、業務上必要となる場合は、記入方法を工夫することやその必要性を説明することといたしております。令和二年度には、こうした性別記載欄の基本的な考え方を記載した県職員向けガイドブックを作成し、プレスリリースいたしましたほか、県のホームページにも掲載をいたしております。しかし、このガイドブックは、今申しましたように県職員向けでございますことから、性的少数者の方々の安心につなげるため、ホームページなどを活用いたしまして、性別記載欄の基本的な考え方をより分かりやすくお伝えできるよう工夫をしてまいります。
次に、パートナーシップ宣誓時における性的少数者への配慮についてでございます。性的少数者の方に安心して宣誓していただくため、宣誓は必要最小限の職員に限定して、場所も個室で対応いたしております。また、宣誓当日のうちに手続が終わることができますよう、提出書類の事前確認あるいは宣誓書受領カードの当日交付を行いますことで、当事者の方の不安あるいは緊張、そういった精神的な負担の軽減を図っておるところでございます。この際提出いただきました書類につきましては、宣誓者の性的指向及び性自認等の秘匿性の高い個人情報でございますので、専用の鍵つきキャビネットにおいて厳重に管理・保管を行っているところでございます。
34 ◯副議長(佐々木 允君) 西元健君。(拍手)
*西元
議員質問
35 ◯五十四番(西元 健君)登壇 皆さん、こんにちは。
自民党県議団、西元でございます。本日は議員在職十年目になりました記念として、
一般質問させていただきたいと思っております。それでは通告に従いまして、オンラインインターンシップのさらなる活用についてを質問いたします。
まず冒頭、国内における労働力、労働人口は、外国人材に大きく依存していると言っても過言ではないと思っております。例を挙げますと、私が住む豊前市におきましては、市内生産年齢人口の中で外国人材が約二%、三百三十人程度が市内各業種に従事されております。特に豊前市におきましては、その多くが市内での人材不足が顕著な製造業、介護、そして農業に従事しております。
そのような中、昨今ニュース等でも取り上げられておりますが、現在続いております円安により日本で働くよりも日本以外で働くという選択をしたほうが稼ぐことができるという理由から、外国人材が日本という国を選ばない日がやってくるのではないかと危惧しております。とはいいましても、外国人材が必要であるという現状に対する取組も並行して行いながら、UIJターンを推進し、国内の学生や生産年齢人口に当たる方々に対し福岡県内企業の魅力や職場環境を伝え、そういった人たちに選んでもらえる機会の拡充を行うべきであると考えております。そして、地場企業を守っていく必要があると考えます。
しかしながら、そのような対象者にアプローチしていくことは、他県も同様に様々取り組みながらなかなかその解を見つけることができてない中、福岡県においてはまだまだ定着してないウェブインターンシップを推進していると聞き、この難題に取り組んでいる職員の姿勢に対し大きな感動を覚えました。しかし悲しいかな、労働力を必要とし、労働力不足という問題を常に抱える地方部において、この政策が届いているとは言い難いと言えます。ちなみに、豊前市の知人業者に聞いてみますと、何かそらと言われました。当然近年より始めた政策でありますから当たり前といえば当たり前なんですが、せっかく県としてこの推進に向け年四回事業者向けセミナーを開催しておりますが、現状、参加者の多くは福岡都市圏からの参加であり、ほかからの申込みはほぼないということであります。本来それを求めている地方部企業に届いてないことは、非常にもったいないことと思った次第であります。
そこで質問いたしますが、ウェブインターンシップ導入セミナーの周知は現在どうやって行っているのか、また、商工会や会議所の経営指導員や職員を通じた口コミによる案内が有効だと思いますが、今後周知をどう強化していく考えなのか、お答えください。
次に、このインターンシップを受ける学生に対する広報について質問いたします。この新しい形のインターンシップですが、受入先企業、そして受け手である福岡県を離れた学生を増やしていくことが、双方に対してその政策の充実につながっていくと思います。であるならば、現在、学生への周知をどのように行っているのか、また、今後どのような周知強化を行うつもりなのか、お答えください。
最後の質問になりますが、深刻な人手不足に悩む業種の企業こそ様々な取組で支援する必要があり、特に労働力が不足する都市部以外の地域である郡部、そこにおいても人材獲得に資するウェブインターンシップという、言わば現代の施策の一層の活用が必要であると思いますが、今後どのように取り組んでいくのかお答えください。
るる申し上げましたが、コロナが五類となり、以前のような日常が戻ってこようとする中、当然オンラインだけでなく、直接会って事業内容やその企業を知ること、外国人材を活用すること、スマート化やDXをさらに進めることなど、様々な方法によって人材不足という課題を行政、民間が一体となり、解決を目指すべきであろうかと思っております。私はこういった新しいツールを利用し取り組まれていることに対し、今まで郡部ゆえに学生に対しその有効なアプローチを行うことができなかった地域の住民の一人として感謝と期待を申し上げ、質問を終わります。以上です。(拍手)
36 ◯副議長(佐々木 允君)
服部知事。
*
知事答弁
37 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
ウェブインターンシップ導入セミナーの企業への周知についてでございます。県ではウェブインターンシップに関心がある企業を対象としまして、学生受入れのポイントや成功事例を紹介いたします導入セミナーをオンラインでも実施をしておりまして、特設のホームページあるいはSNSでの事業告知のほか、商工会、商工会議所のメールマガジン等を通じまして、県内企業への周知を図っているところでございます。また、中小企業の人材確保などの相談に日々対応していただいております商工会等の経営指導員にウェブインターンシップの利点や実施方法を十分に御理解をいただいた上で、それぞれの地域の中小企業に周知を行っていただきますことは、大変意義があると考えます。このため今後は商工会等における研修会などの機会を捉えまして、経営指導員に対してもオンラインで開催する導入セミナーへの参加を積極的に促してまいります。
次に、ウェブインターンシップの学生への周知についてでございます。県では大学生のUIJターン就職を促進いたしますため、合同会社説明会や保護者向けセミナーなどの就職関連イベントを周知するといった連携協力について盛り込みました協定を県外の七十三の大学と締結しております。これらの大学を通じて東京圏、中京圏、近畿圏の学生にウェブインターンシップの周知を図っておりますほか、県内の学生も同様に大学を通じて参加者を募集しております。また、若者就職支援センターのホームページやSNS、全国の学生の就職活動を支援するサービスも活用しているところでございます。今後は未締結校への文書での案内や個別訪問によりまして、県外の協定締結校の拡大を図りながら、引き続き、大学を通じた広報に注力し、参加学生の増加を図ってまいります。
ウェブインターンシップの活用等による企業の人手不足対策についてお尋ねがございました。県の有効求人倍率は、直近の十月で一・二三倍でございまして、職業別に見ますと、求人数の多い職種では、警備員、建築・土木の技術者、介護サービス従事者等で三倍を超えております。また、自動車運転手や飲食サービス従業員も二倍を超えておりまして、これらの職業は依然として人手不足の状況にございます。このため県の年代別・対象別就職支援センターでは、人手不足分野の企業の魅力発信や仕事への理解を深めますため、このセミナーや合同就職面接会を実施をいたしまして、人手不足分野への就職支援を強化いたしております。また、高等技術専門校では、建築士、介護福祉士等の資格取得に向けた職業訓練を行っております。さらに、正規雇用促進企業支援センターでは、中小企業の採用力を向上させる支援と正社員への転換を通じた定着支援等を実施しております。
本県のウェブインターンシップは参加企業の地域や業種にかかわらず、必ず学生を受け入れることができる仕組みを採用しておりますので、労働力が不足する地域の企業や深刻な人手不足に悩む業種の企業にとって大変メリットのある取組でございます。県といたしましては、この取組について企業の皆様にしっかりとお伝えをし、活用を促してまいります。
38 ◯副議長(佐々木 允君) 冨永芳行君。(拍手)
*冨永
議員質問
39 ◯二十八番(冨永 芳行君)登壇 皆様、改めまして、こんにちは。民主県政クラブ県議団の冨永芳行でございます。通告に従いまして、本県における気候テックに関する取組について、知事にお尋ねいたします。
深刻化する気候変動に対して世界中で脱炭素に向けた取組が加速し、エネルギー、産業、農業、環境をはじめ、全ての分野において大転換を迫られています。二〇一九年時点の国際エネルギー機関(IEA)の試算では、温暖化対策の国際ルール、パリ協定の目標達成には、二〇四〇年までに全世界で最大約七十一万三千二百九十億ドル、当時の為替レートで約七千八百六十兆円の投資が必要とされています。
我が国では、本年五月にGX推進法が成立、同法に基づくGX推進戦略では、脱炭素化に向けて今後十年間で官民百五十兆円を超える投資を目指すことや、国が二十兆円規模の先行投資支援を実行することなどが示されています。
こうした中、温室効果ガスの排出削減のための技術に加えて、温暖化の影響への適応策の推進、気候変動への理解を深めるための技術やサービスを含めた気候テック(クライメートテック)が近年注目をされています。今から二十年ほど前に注目されたクリーンテックでは、企業における製品開発やサービスによって再生不可能な資源の使用を限りなく減らし、ユーザーニーズに応える製品やプロセスが重要視され、ソーラーパネル、バッテリーといった主にエネルギー関連産業を対象としたスタートアップに投資が行われました。これに対して気候テックは、代替燃料、電気自動車や高速充電ステーションの開発、代替肉などの代替食品や精密農業に至るまで、エネルギーだけでなく、モビリティー、製造業、農業、土地利用など、地球の持続性につながるあらゆる産業界のイノベーションを投資の対象としています。
現在中東のドバイで開催されている国連気候変動枠組み条約第二十八回締約国会議(COP28)の会場でも、多くの日本企業が脱炭素につながる次世代型の技術をアピールしていることが話題となっていますが、二〇五〇年カーボンニュートラルの達成には既存の技術だけでは達成困難であり、革新的なテクノロジーの開発、実用化、さらに普及が不可欠です。IEAも、温室効果ガスは既存の技術でも排出の半減はできるが、残り半分はまだ実証段階にある技術に頼る必要があるとしており、気候テックのスタートアップが目指す技術開発分野に多くの投資資金を呼び込むことが重要となっています。
国は昨年末、スタートアップ育成五か年計画の中で過去最大の一兆円規模の企業支援を表明し、本年六月の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針では、ここに気候テックを含むことを明示しています。
このように気候テックは、深刻化する気候変動に対して脱炭素化と同時に新たなビジネスチャンスを生み出すものと大きな期待を寄せるところです。気候変動による度重なる自然災害に見舞われている本県だからこそ、気候テックは未来に向けて積極的に取り組むべき分野であると考えます。
ここで他県の気候テックの取組を見てみますと、兵庫県では二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、市民や事業者と行政が一体となった取組を進める一環として、本年九月からクライメートテック・チャレンジプログラムを実施されています。この取組は気候変動に先進的に取り組む海外のスタートアップ企業の技術の導入を目指して、県内企業と海外スタートアップ企業とのビジネスマッチング事業を展開するもので、カーボンニュートラルの実現に向けた行政側の本気度を強く感じる先進的な取組であり、
服部知事の言われる世界に選ばれるための施策に通ずるものがあると考えます。
これらを踏まえ、知事に以下二点、質問をいたします。
まず、これまで述べてきた気候テックに関する知事の基本的認識をお聞かせください。
また、気候テックと言われる脱炭素化をターゲットとしたビジネスは、これからの成長産業であると考えます。知事は県内GDP二十兆円への挑戦を掲げ、新成長産業の育成に力を入れておられます。その中には気候テックの分野としても位置づけられる取組があるのではないでしょうか。そうした取組のうち特徴的なものをお示しいただくとともに、今後どのように取り組むのか、知事の考えをお聞きいたします。
以上、答弁をお願いいたします。(拍手)
40 ◯副議長(佐々木 允君)
服部知事。
*
知事答弁
41 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
気候テックに対する基本的認識についてでございます。気候テックとは、CO2 排出量の削減や地球温暖化の影響への対処に焦点を当てた技術、テクノロジーでございまして、その分野は多岐にわたっております。革新的な気候テックの開発は、脱炭素化の進展はもとより新たなビジネスチャンスを生み出すことにつながるものでございます。このことは、まさに本県が目指しておりますグリーン成長産業の振興と軌を一にするものであると考えております。現在県では、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に資する水素エネルギー、EV、風力発電などのグリーン成長産業の振興に取り組んでおりまして、これらのプロジェクトの進展により経済と環境の好循環を生み出し、本県の経済成長につなげてまいりたいと考えております。
気候テック分野における特徴的な取組についてお尋ねがございました。脱炭素社会実現の鍵とされます水素エネルギーにつきましては、昨年、産学官連携組織福岡県水素グリーン成長戦略会議を立ち上げ、県内企業の育成あるいは水素関連産業の集積に取り組んでおります。県が支援をいたしました企業の中には、自社の製品が世界初の液化水素運搬船でございます「すいそふろんてぃあ」や国産の宇宙ロケットあるいは燃料電池車、こういったものの重要部品に採用された企業も出てきております。
EVにつきましては、脱炭素化の流れなどに対応いたしますため、令和四年に、昨年ですね、北部九州自動車産業グリーン先進拠点推進会議を設立をいたしまして、電動車開発、生産の拠点形成などに取り組んでおります。県では中小企業振興センターの中に設置をいたしました自動車関連企業電動化参入支援センターを中心といたしまして、運転支援機能などに使われます車載半導体あるいは超低床コミュニティーEVバス、こういったものの開発支援など、県内企業の電動化分野への参入を促進しているところでございます。
部品点数が多く、建設・保守など幅広く経済波及効果が見込めます風力発電につきましては、一昨年、産学官で構成いたします福岡県風力発電産業振興会議を立ち上げまして、参入促進セミナーの開催や商談機会の提供を目的といたしました大規模展示会への出展支援等を行っております。
今後もこうした新成長産業分野に挑戦する企業に対し、産学官連携による新製品の開発やビジネスマッチング、人材育成などの支援を行いまして、リーディング企業を育成し、さらに、その効果を県全体へと波及させていきますことで福岡県の一層の発展、飛躍を目指してまいります。
42 ◯副議長(佐々木 允君) 吉田浩一君。(拍手)
*吉田(浩)
議員質問
43 ◯四十七番(吉田 浩一君)登壇
自民党県議団、吉田浩一でございます。通告に従いまして、廃棄物の処理法の適用を受けない有価物である金属スクラップ、使用済みプラスチック、金属スクラップや使用済みプラスチック等の混合物を取り扱う事業者、いわゆる雑品スクラップ業者に対する指導等についてお伺いいたします。
去る十月四日午後四時過ぎ、福津市上西郷の雑品スクラップ業者から大規模な火災が発生しました。この火災では重機や金属機械のほか、敷地に大量に保管されている電線スクラップなどが焼け、大量の黒煙が舞い上がり、その黒煙は遠く福岡市からも見えたそうです。宗像地区消防本部と福津市消防団、そして応援に駆けつけた粕屋北部消防本部と古賀市消防団による懸命な消火活動により、火災発生から約十一時間後の翌日午前三時過ぎに鎮火に至ったとのことです。火災現場の周辺では、今回火災を発生させた業者のような金属スクラップなどを大量に保管している雑品スクラップ業者が散在しており、過去から何度も火災を発生させており、
地域住民や周辺事業者からは不安や心配、怒りの声を繰り返しお聞きしているところでございます。
こうした金属スクラップなどを大量に保管している雑品スクラップ業者は、近年県内の各地域においても見受けられ、事業者の周辺では、火災ばかりでなく騒音や振動、悪臭、事業所から出る排水が農業用水路に入り、下流域の農業用ため池に入り込むなど、度々問題を起こしていると聞いております。
こうした事業者は、廃棄物を取り扱う事業者と有価物を取り扱う古物商などの事業者の二つに大きく分かれます。廃棄物は、さらに一般廃棄物と産業廃棄物、使用済み自動車などの再生利用を推進するものに分類され、産業廃棄物については廃棄物の処理及び清掃に関する法律で規制され、福岡県が処理基準に係る指導や許可を行っています。また、使用済み自動車については自動車リサイクル法で規制され、これも福岡県が登録や許可を行っています。一方、有価物については、一部の事業者が古物営業法に基づく福岡県公安委員会の許可を受けているものの、いわゆる雑品スクラップ業者の事業運営を直接規制する法令等はないと聞いています。
法律の目的等が異なることや、取り扱う物が廃棄物と有価物であるということは、説明をよく聞けば分かりますが、県民の目線から廃棄物か有価物か何か分からないものが事業者の施設内に大量に運び込まれ、山積みにされ、周囲を囲われた施設の中で何が行われているか分からない状況です。県民の皆さんが不安に思う気持ちは、私も理解できるところでございます。
事業者側は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律や自動車リサイクル法については施設に関わる許可基準があるため設備投資も必要になり、簡単には取得できません。その一方で、雑品スクラップ業については規制する法令等がないため、比較的簡単に事業を開始できます。また、施設内の保管物に油染みや高積みなどがあったとしても、廃棄物の処理及び清掃に関する法律のように適正な保管方法等に関する指導はできません。
千葉県では、雑品スクラップ業者等に対する指導について、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などの既存法令等では運用上の限界があるとして、必要な規制を行うために雑品スクラップ業者の屋外保管施設の数を把握しており、そしてその結果を踏まえ、環境部局が中心となって千葉県特定再生資源屋外保管業の規制に関する条例を制定し、来年四月一日から施行すると聞いております。全国の都道府県では、鳥取県においても条例が制定されているとのことです。
今回は、地元においての有価物を取り扱う古物商の許可を受けた雑品スクラップ業者から火災が発生しました。廃棄物の処理及び清掃に関する法律、自動車リサイクル法では、県が許可した事業者に対して各保健福祉環境事務所が定期的に現地確認し、巡回指導を行われているとお伺いしており、県が指導や規制をされているので安心しておりますが、今回火災を起こした雑品スクラップ業者のような廃棄物の処理及び清掃に関する法律や自動車リサイクル法の適用を受けない有価物を取り扱う事業者に対しても、今後県として環境悪化を防止するための何らかの対策が不可欠であると考えます。
そこで、知事にお伺いします。今回火災を起こした業者を含む雑品スクラップ業者に対し、県の宗像・遠賀保健福祉環境事務所は福津市と連携してパトロールを実施していると聞いていますが、その点検内容、点検結果についてお伺いします。
また、火災等による環境悪化を防止するためには、雑品スクラップ業者の保管施設の数等の現状を把握した上で指導等を行っていく必要があると考えます。現状把握の状況と今後の対応について、知事の見解をお伺いいたします。
以上で質問を終わります。(拍手)
44 ◯副議長(佐々木 允君)
服部知事。
*
知事答弁
45 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
福津市と連携して実施をいたしました雑品スクラップ業者に対するパトロールの点検内容と、その結果についてお尋ねがございました。このパトロールは、廃棄物処理法を所管いたします県宗像・遠賀保健福祉環境事務所及び福津市、古物営業法を所管いたします宗像警察署、消防法を所管いたします宗像地区消防本部が合同で、毎年定期的に福津市内の雑品スクラップ業者の事業場を対象に実施しておりまして、違反行為の有無あるいは周辺環境に問題がないかなどを確認いたしております。昨年度は、今回火災が発生いたしました事業者を含む六つの事業者の事業場に立入りを実施いたしましたが、廃棄物処理法その他の法令に係る違反行為、汚水の流出などの周辺環境への問題は認められないところでございました。
〔佐々木副議長退席 香原議長着席〕
次に、雑品スクラップ業者の現状把握の状況と今後の対応についてでございます。今回のように雑品スクラップ業者の保管施設から火災が発生をいたしますと、周辺環境に悪影響が及ぶおそれがございます。県ではこれまで産業廃棄物に係るパトロールや市町村からの情報提供、県民の皆様から寄せられた苦情などで把握をいたしました雑品スクラップ業者に対し、その都度立入検査を実施してまいりましたが、県全体の雑品スクラップ業者の数までは把握してない状況にございます。このため、まずは雑品スクラップ業者の保管施設の件数や保管状況などの調査を実施をいたしまして、その結果を踏まえ、市町村、警察署、消防署と連携し、違反行為の指導に加え、火災発生の防止や油の流出対策等の注意喚起を行いまして、県民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいります。
46 ◯議長(香原 勝司君) 坪田晋君。(拍手)
*坪田
議員質問