↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(香原 勝司君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。西尾耕治君。(拍手)
*
西尾議員質問
2 ◯三十七番(西尾 耕治君)登壇 おはようございます。公明党の西尾でございます。それでは、会派を代表して質問をさせていただきます。
平和ほど、尊きものはない。平和ほど、幸福なものはない。平和こそ、人類の進むべき、根本の第一歩であらねばならない。私ども平和の党公明党は、先月十一月十七日で結党五十九年目を迎えました。その結党の意義を改めて認識し、哲学を持って県民の皆様の命を守る、生活を守るとの強い意志を持ち活動してまいりたいと決意しております。
世界では、大変な不安定な状況の中で各地域で終わりの見えない戦争や紛争が続いており、たくさんの悲しく悲惨な事件が起こっています。終戦から七十八年がたつ本年、我が国では本日より二日間にわたり、被爆地長崎において政府主催の第三回目の
国際賢人会議が開催されております。
この会議の目的は核廃絶への具体的な道筋の議論であり、現在では
核兵器禁止条約による核廃絶が難しい状況である以上は、まずは現実に即した軍縮を進めるべきであると考えています。核廃絶の実現には、核の非人道性を言及していくことと同時に、核に依存しない安全保障も考えていく必要があります。しかしながら、核兵器の脅威が、現在、冷戦後で最も危険なレベルになっている状態の中で、核兵器保有国は核兵器の先制不使用の方針を各国が明確な形で示し合うことが本来重要であると認識いたします。
さて、日本は国連に加盟して六十七年を迎えます。国連憲章の冒頭の一条一項には、国際の平和と安全の維持を目的としています。また、それに続き条文の中には、人々が自らの政治体制・社会制度を決定できる自決権を認めるとともに、経済的、社会的な国際協力を求めております。加えて、人権の尊重と基本的自由の重視をも訴えております。近年になって人間の安全保障が重要視されるようになり、これほど国際間の交流が今こそ重要になった時代はこれまでにはないと思われます。
そこで初めに、県民の命、安全・安心な生活を守る知事として、現在のこの不安定な世界情勢を鑑み、平和希求についての思いを改めてお伺いいたします。また本県としての国際交流の方針、世界に通用する国際人の育成強化について知事のお考えをお聞かせください。
次に、人権政策についてです。先月十一月十六日は、世界の全ての人がお互いを認め合う
国際寛容デーでした。また、一九四八年の十二月十日の第三回の国連総会において、
世界人権宣言が採択されたことを受けて、十二月四日から十日までの一週間は人権週間と設定されています。しかしながら、依然として社会生活の様々な場面で、同和問題をはじめ、女性、子供、障がい者や特定の民族や文化に差別的な言動や暴力を繰り返すような事例も散見されております。特定の民族や人種への差別をあおる
ヘイトスピーチ(憎悪表現)の解消推進法が成立して七年がたちました。今こそ、人種や立場を超えて互いに差異を認め合う社会の建設を進めていく時代だと確信しております。
公明党福岡県本部代表の濱地雅一衆議院議員が座長を務めている
ヘイトスピーチ・ヘイトクライム問題対策プロジェクトチームは、本年の二月に、二〇二一年に在日韓国人・朝鮮人が多く住む京都府宇治市ウトロ地区で、一方的な偏見や嫌悪感による動機から起こった放火事件に関して、地区住民からの意見聴取を行っています。偏った憎悪感情による行為と思われ、ネット上の一部の情報によって差別や偏見、憎悪に基づく
ヘイトクライムが起きていることが確認できました。
本年の七月には、このことを踏まえ、
党プロジェクトチームとして政府に対し、
ヘイトスピーチ、
ヘイトクライムの根絶に向けて取組の強化を求める提言書を手渡しております。提言では、政府内に対策の専門部署の設置、省庁横断で対応する体制の整備、国民への継続的な啓発強化や差別に関する早急な実態調査などを求めております。近年ではインターネットによる人権侵害も見られ、匿名性や情報発信が容易なことから様々な問題が発生しており、子供たちの中ではいじめなどにもつながっております。
そこで、現在の県内の
ヘイトスピーチ、
ヘイトクライムをはじめとする人種や民族を理由とした差別事象の状況についてお伺いいたします。また、このような差別事象をなくすためにどのような推進体制で、どのように啓発活動を行っているのかお尋ねいたします。
さらに、教育現場での人権教育も重要だと考えますが学校教育の中ではどのように進められているのか、また
県教育委員会としてどのように取り組まれているのか、教育長にお伺いします。
自治体による条例の制定も各地で進んでおり、神奈川県川崎市では二〇二〇年七月に
ヘイトスピーチに罰則規定を設けた条例を制定しております。アジアのゲートウエーと呼ばれる福岡は、
インバウンドや国外からの留学生、技能実習生も多く、差別事象も増加することも考えられることから、川崎市のような条例の制定も検討するべきだと思いますがいかがでしょうか、お尋ねいたします。
次に、本県の
中小企業対策についてお聞きします。福岡県では九九・八%を中小企業が占め、そのうち八三・四%は小規模企業であります。今後の福岡県の経済の浮揚は中小企業の浮揚にかかっていると言っても過言ではないと思います。
先日公明党は、
山口代表出席の下、
福岡商工会議所との懇談会を実施しました。席上、谷川会頭から県内の中小企業の現状をお聞きいたしました。谷川会頭は、大企業を含めた景況は上向きであるとの報道があるが、県内の中小企業の現状は倒産件数が増加し、原因は
コスト高倒産であると分析され、今後の状況はより厳しくなるのではないかと指摘がありました。谷川会頭は、中小企業の適正価格での取引、価格転嫁を徹底できるかどうかが中小企業を救う道だと訴えられ、さらに国におかれては魂を込めた取組を願いたいとの強い要請がありました。さらに超低金利と円安の影響で投資が控えられ、消費が控えられている。二千百十五兆円あるとする個人金融資産の目減りが二十七兆円に達し、これは消費税一三%に相当する。消費喚起の対策も急務であると指摘がありました。
そこで知事に質問します。まず知事は、本県の経済状況の認識、さらに中小企業が置かれている現状をお示しください。
次に、適正価格での取引と価格転嫁の円滑化について伺います。まず、本県の
パートナーシップ構築宣言の宣言企業数の推移をお示しください。また宣言企業数を拡大するため、例えば補助金の加点措置、公共工事の資格審査、優良な発注者への顕彰制度などの優遇措置を与えてはどうかと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
取引適正化の推進のためには、発注者が行う
パートナーシップ構築宣言の実効性の確保とともに、下請Gメンによる実態調査や下請かけこみ寺による相談対応など受注者側の支援も重要と考えますが、その利用のため、県はどのように取り組まれているのかお答えください。
次に、価格交渉を効果的に進めるためには、我が会派が活用を提案しました埼玉県の
価格交渉支援ツールが有効であると考えております。このほかに国の
価格交渉ハンドブックなどの支援ツールもありますが、これらを取りまとめて
中小企業施策活用ガイドブックなどで幅広く周知してはどうかと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
次に、十一月二十九日に
公正取引委員会が、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を公表しました。この指針は、発注者及び受注者が取るべき行動、求められる行動の十二の行動指針として取りまとめたもので、この中で受注者が取るべき行動として、価格交渉や価格転嫁の相談については商工会議所、商工会などの相談窓口などを活用して積極的に情報を収集して交渉に臨むことが求められているとされています。
そこで、事業者からの価格交渉や価格転嫁の相談に対応する商工会議所、商工会に対して県はどのような支援を行っているのかお伺いします。
次に、
中小企業組合が組合員と取引関係にある事業者と製品やサービスの最低価格を取り決める団体協約は、
価格転嫁対策に有効と考えられることから、この協約の活用促進について知事の見解をお聞きします。
この項の最後に、景気の活性化について知事の希望に満ちた答弁をお聞きいたしたいと思います。地域の未来の成長を実現するためには新たな成長産業の振興が重要であります。知事は様々な新産業の振興に熱心に取り組まれておられますが、今知事が特に力を入れている本県ならではの先進的な取組について、知事の希望に満ちた答弁をお聞きしたいと思います。
次に、認知症施策についてです。高齢化が急速に進んでいる我が国において認知症施策の充実は喫緊の課題であります。
認知症高齢者は、二〇二三年の現在から二年後の二〇二五年には約七百万人、二〇四〇年には約九百五十三万人に達すると言われております。つまり、誰しもが無関係ではいられない状況になってきております。今後はさらに高齢化が進むと思われることから、特にお一人暮らしの
認知症高齢者が増加していくと見込まれております。当事者の家族だけではなく、その地域ぐるみでの見守りが必要であり、みんなで支え合う仕組みづくりが欠かせないことだと思います。
我が県においても、二〇一九年に策定された
認知症施策推進大綱に定める
認知症バリアフリーの推進、予防、普及啓発、
本人発信支援などの柱に沿って認知症施策が取り組まれていると認識しておりますが、その取組について質問させていただきます。
まず地域の見守り体制についてお伺いします。初めに県内における
認知症高齢者の方の人数と今後の見込みをお示しください。
次に、
認知症高齢者の中には外出中に行方不明になることもあることから、県内の認知症による行方不明者の警察への届出数と、
認知症高齢者を見守り、早期に発見し保護するための取組について併せてお伺いします。
予防についてお聞きします。以前行った認知症対策の質問の中で、介護予防の取組の一つとして
コグニサイズの推進について取り上げさせていただきました。
国立長寿医療研究センターが開発した
コグニサイズは、認識(コグニション)と運動(エクササイズ)を組み合わせた造語で、認知課題と運動課題を同時に行い、体と脳機能の向上を目指すものです。センターの研究では、この
コグニサイズを実践することで認知機能の低下が抑制されたとの数値が出ております。
そこで、認知症の予防のためには
コグニサイズが重要と私は考えますが、県はどのように取り組まれているのかお伺いします。
国会においては、認知症の人も含め誰もが希望を持って暮らせる共生社会を目指すという観点から、本年の六月に共生社会の実現を推進するための
認知症基本法が成立しました。岸田総理も九月下旬には、有識者や認知症の当事者らによる、認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議の初会合を開き、今後の認知症施策の在り方を議論して年末までに意見を取りまとめるとしております。
基本法の主な内容としては、国に
認知症施策推進基本計画の策定を義務づけることや、都道府県と市町村は、国の基本計画を基本として
認知症施策推進計画の策定に努めなければならないといったことが規定されました。また、国民に対しては、認知症や認知症の人に関する正しい理解を深めるように努めなければならないとしています。
この基本法が掲げている共生社会は、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができる社会です。認知症になっても住み慣れた地域で安心して生活ができるようにするためには、地域の方々が認知症についての理解を深め、地域全体で認知症の方とその家族を支えていく体制づくりが重要と考えております。そのためには、行政だけではなく県全体で、子供から大人まで、全ての県民の皆さんの認知症に対する正しい理解が欠かせません。
そこで、この項の最後に二点質問します。
一点目に、都道府県に対しては
認知症施策推進計画の策定を努力義務にしていますが、本県としてはどう対応するのかお伺いします。
二点目に、県民の認知症に対する正しい理解を深めるためにどのような普及啓発に取り組んでいるのかお答えください。
次に、
手話言語条例についてであります。障害者の権利に関する条約において、言語には手話その他の形態の非音声言語が含まれることが明記され、また
障害者基本法においても言語には手話が含まれることが明記されております。そのような状況下で本県でも、手話を言語として明確に位置づけ、聾者が手話を使い安心して生活できる社会を実現するため、本年三月、福岡県
手話言語条例が制定、四月より施行されました。本条例は目的、定義、基本理念、県、市町村の責務などの総則と、手話を使いやすい環境の整備の二章十八条から成っております。この条例が目指す社会を実現すべく、以下何点か知事、教育長にお伺いします。
一点目です。「県は、基本理念に対する県民の理解を深めるため、必要な啓発を行うものとする。」とありますが、本年度実施された、また実施予定の施策について知事に伺います。
二点目、乳幼児期から手話を学び、手話を使用しやすい環境を整備することを目的として、聞こえない・聞こえにくい乳幼児とその家族などが親子で手話を学ぶ
親子手話教室が県内四地域で開催されています。参加者数など開催状況をお示しください。
三点目です。今後体系的に施策を実行する上で、次期障がい福祉計画に施策を落とし込み計画的に推進していくことが必要と考えますが、見解を伺います。同時に、関係機関や障がい者団体を含めた協議会を立ち上げ、条例の実効性を担保すべきと考えますが、いかがでしょうか。
四点目、学校における手話の普及に関して教育長に伺います。条例制定に伴い、教育委員会としてどのような施策を講じておられるのか、また児童生徒向けのハンドブックのようなものは作成されているのか伺います。
五点目、報道によれば、条例制定から十年となる手話先進県である鳥取県では、公立小中高校、
特別支援学校の九八%で手話が学習されたとのことです。手話を使用しやすい環境整備は一朝一夕にはできません。まずは教育現場での取組を開始することが必要であります。本県はどのように取り組んでいかれるのか、計画をつくり目標を掲げ実施する体制となっているのか伺います。
次に、介護離職について質問します。昨年、介護や看護を理由に離職した人は全国で十万六千人、五年前から七千人増加しました。福岡県では四千三百人、五年前から四百人増加したと推計されております。介護保険で使えるサービスを利用しているが生活に必要な部分は家族で見ざるを得ない、職場で言い出せず追い詰められ、会社を辞めて親を見ざるを得なくなったなどと離職されているのが現状であります。
一方、働きながら介護をする人には、国は対象家族一人につき最大九十三日間取得できる介護休業や、通院の付添いなど年五日取得できる介護休暇などがありますが、総務省が二〇二二年に行った調査では、介護のため支援制度を利用した人は全国で僅か一一・五%にとどまっております。
介護が必要となる可能性が高まるのは七十代後半以降とされ、その子供の世代は四十代後半や五十代と企業の中核を担う年代で、仕事と親の介護の両立の問題に直面しやすくなります。団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者となる二〇二五年以降は介護による離職が一層加速すると見込まれ、経済産業省は、働きながら親などを介護する人たちが二〇三〇年には三百十八万人に達すると試算、介護離職に伴う経済損失額は九兆円に上ると公表しています。どのように介護離職を防止するのかが喫緊の課題であります。
そこで、知事に質問いたします。
一つ目です。国の介護休業などを利用した方は介護をされている方の一一・五%となっておりますが、本県ではどのくらいの方が介護休業や介護休暇などを利用されているのでしょうか。また、本県の介護離職の現状についてどのように認識されているのか、知事の見解を求めます。
二点目です。厚生労働省が二〇二一年に行った調査では、介護休業などの両立に係る支援制度をどのぐらいの介護離職者が知っていたのかが調査されており、
介護休業制度は四五・六%、
介護保険制度は三七・一%など、必要な情報が十分に届いていない現状が見受けられます。また同調査では、介護離職者が相談した人・機関についても調査しており、家族・親族の割合が四四・四%と最も高く、
ケアマネジャーへの相談は二九・五%など、地域の相談窓口に相談がつながっていないのが現状であります。
そこで質問いたします。仕事と介護の両立に係る相談窓口と情報の周知について県はどのように取り組まれるのか知事にお聞きします。
三点目です。さきの厚労省の同調査では仕事を辞めた理由について、職場に
両立支援制度がないことや介護休業を取得しづらい雰囲気があったとの回答がありました。親の介護などについて社員が相談しやすく、気軽に介護休業や介護休暇が取得できる職場環境が必要であります。仕事と介護の両立のために企業が職員に制度の利用方法などを周知し、介護休業や介護休暇を取得しやすい職場環境となるよう、県は企業にどのように働きかけていくのか知事の見解を求めます。
環境問題についてお尋ねいたします。令和四年四月、
プラスチックごみ削減と
リサイクル促進を目的とする
プラスチック資源循環促進法が施行され、今後は
プラスチックの資源循環を促し、循環型社会のさらなる実現に向けての取組が求められております。中でも私たちに身近な
ペットボトルは、行政が行うごみ収集のほかに、
自販機事業者や
飲料メーカーなどが設置する
リサイクルボックスにより回収が行われております。しかし、屋外設置の
リサイクルボックスには
ペットボトル以外のごみが混入し、
全国清涼飲料連合会の調査によると異物混入率は三一%との報告がなされております。このような現状は事業者によるリサイクルの妨げとなっております。また、異物で
リサイクルボックスがいっぱいになったり、投入口が塞がれたりすることで自販機周辺に空き缶や
ペットボトルなどが散乱することも発生しております。
そこでまず、この問題について県はどのように認識されているのかお伺いします。
リサイクルのためにボックスから異物を取り除く作業は事業者の大きな負担となっております。近年、事業者団体の取組として新
機能型リサイクルボックスの設置が進んでおります。新
機能型リサイクルボックスは、投入口の角度や大きさを工夫し、
プラスチックカップや紙くずなどが投入しにくいものとなっております。昨年度行われた環境省の実証事業では、この新
機能型リサイクルボックスを設置した箇所の七六%で異物混入率が低減したという結果も出ております。
そこで、
自販機リサイクルボックスの適正使用や自販機周辺のごみ散乱の防止について、本県の
ホームページに新
機能型リサイクルボックスの設置効果を紹介するなど、県民に向けたモラル向上への周知啓発を図ってはどうかと思いますが、知事の見解をお伺いいたします。
次に、立花宗茂・ギン(もんがまえに言)千代を大河ドラマへについてであります。復活の大名と戦う女城主、戦国時代にすい星のごとく現れたヒーローとヒロイン、立花宗茂とギン千代、大河ドラマへいざ出陣。戦国時代の末期、きら星の西国の大名が割拠する九州に生まれた立花宗茂とギン千代、彼らの波乱に満ちた生涯は、すがすがしく力強いヒーローとヒロインの姿として現代を生きる私たちにエールを送るドラマを見せてくれるでしょう。関ケ原で西軍につき、大名から浪人へと転落するも、二十年後に奇跡の旧領復帰を果たした復活の大名の
大河ドラマ実現に向けて。これは、「立花宗茂とギン千代」
NHK大河ドラマ招致委員会のコメントであります。
また、先月行われたまつり新宮には、勇壮な甲冑姿で登場した道雪会の皆さんが、郷土の唯一無二のヒーローをたくさんの皆さんに知っていただきたい、
大河ドラマ放映を実現してほしいとの強い思いで活動されておられることは、知事は十分に認識されていることと思います。
七月二十二日、テレビでゴールデンタイムに放映された「
胸アツ戦国武将ベスト二十」では、何と第一位に輝きました。この番組は、平均年齢十二歳が選ぶ順位で決まっていくもので、これからのニューワードや事象が予測できるものだと話題になっております。
また、
歴史シミュレーションゲーム「信長の野望」の公式サイトのアンケートでは、歴史ドラマの主人公として扱ってほしいと思う戦国武将として、第一位は立花宗茂。さらに、
ソフトバンク系列のネットメディアサイトねとらぼ調査隊では、上司にしたい戦国大名として第一位はもちろん立花宗茂。どうでしょうか、いよいよ、そのときを迎えつつあると私は感じております。
特に、たくさんの方に立花宗茂とギン千代を知っていただくためには、戦略的な広報活動は重要だと思います。県の
ホームページはもちろん、県庁内での展示や広報活動、テレビやラジオなどの広報媒体の活用、さらには東京の
アンテナスポットでのコーナー開設も考えられます。文武両道で温厚、義に厚く、
天下人豊臣秀吉に西国無双、剛勇鎮西一と言わしめた立花宗茂、その人柄や波乱万丈の生きざまは現代の私どもの十分な参考になるものと思われます。
一方、ギン千代のギンの字の、慎み深く、よく人の話を聞くとの意味とは全く違い、雷神と周りから畏れられた鬼道雪の娘として、七歳から立花山の城主となり、立花城を守り抜いたギン千代。また宗茂の実父高橋紹運、養父の立花道雪、取り巻く人物も大変に魅力的です。
そこで、この立花宗茂・ギン千代を大河ドラマへについての現在の本県の取組、これからの
大河ドラマ実現に向けてどのように取り組んでいかれるのか、そして知事の熱い決意をお聞かせください。
次に、本県の観光政策についてです。政府観光局によると、十一月に発表された推計では本年十月の外国人の旅行者は約二百五十一万人に上り、コロナ禍前の二〇一九年同月比で〇・八%増になり、初めてプラスに転じております。今年の一月から十月の累計では一千九百八十九万人を超えており、コロナ禍からの脱却が鮮明になってきています。もちろん
インバウンドだけではなく国内の旅行者にとっても、観光県としての福岡は魅力のある地域であると言えます。今後も県内の経済活性化につながるように、たくさんの観光客が本県を訪れていただくため、他の地域とは違う特徴や魅力が必要になってくると思われます。
また先月には県庁内で、長年にわたり地域の観光振興に貢献してきた個人、団体に対して
県観光功労者表彰式もあったと聞いております。席上、大曲副知事からは、県内の地域の宝をたくさんの人に見てもらいたいとのお話があったとも伺いました。例えば、気候風土が生んだ食材・習慣・伝統などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れたり、歴史・
文化スポットや遺跡などを巡ったりすることは、まさに地域を生かした観光であると思います。県内にはまだ広く知られていない、その
地域ならではの宝がたくさんあり、こうした宝をその地域の特色として広く発信し、観光振興に結びつけていくことが重要だと思います。
そこで、知事にお尋ねいたします。本県における地域の特色を生かした観光振興の取組についてお聞かせください。
二点目です。先ほど述べたとおり、コロナ禍で激減した
訪日外国人旅行者は本県でも着実に増加しており、町なかでもアジアの方をはじめ欧米からも多くの観光客を見かけるようになりました。県内には、平尾台を含む北九州国定公園や、筑後川や耳納連山を含む筑後川県立自然公園など、数多くの自然豊かな場所にも
インバウンドの方に訪問していただきたいと思います。
そこで本県では、このような県内の自然豊かな場所への
インバウンドの誘客にどのように取り組んでいるのかお聞きします。
三点目です。現代社会においては多様性を享受することが求められております。本県には既に多くの外国人が生活されておりますし、外国人旅行客を誘客のターゲットの一つだと考えると、外国語の看板や標識の工夫やユニボイスの活用なども
インバウンドにも効果はあるものと考えます。また、高齢化社会を迎え、車椅子での移動が必要になる方々もさらに増加していくものとも考えられます。障がい者や高齢者、外国人など誰もが快適に旅行を楽しめるように配慮するユニバーサルツーリズムの取組が必要になると考えますが、知事の考えを伺います。
四点目です。多くの旅行者が観光地などに集中することで地元住民の暮らしに負の影響が生じるオーバーツーリズム(観光公害)というものがあります。観光客の急増による課題は、交通の混雑やごみのポイ捨て、私有地への立入りといったマナー違反などがあります。既に海外の人気観光地では、観光公害は社会問題として認識されています。オーバーツーリズムは住民生活への悪影響だけではなく、観光客の満足度低下につながるおそれもあります。このため、観光客の受入れと住民生活の両立のため、政府は十月に、その未然防止と抑制に向けて対策パッケージを決定しております。このパッケージの中では、混雑やマナー違反の対応などでは統一のピクトグラム(絵文字)の策定や旅行中の行動例を示す指針づくりなどを行うこととしています。
一方で、
インバウンドの三割近くの方が日本での困り事の一つにごみ箱が少ないことが挙げられるなど、公共施設で必要なところにはごみ箱や
リサイクルボックスの適切な設置が求められております。また世界に目を向けますとユニークな取組として、
インバウンドに好評なアニメなどのキャラクターごみ箱を設置しポイ捨てを抑制するといった工夫もなされていると耳にします。
この項の最後にお尋ねします。オーバーツーリズム対策を考える上では、文化や生活習慣が異なる訪日外国人の方々に日本におけるマナーを御理解いただく必要があると考えますが、本県の取組をお聞かせください。
次に、鳥獣被害対策についてであります。農林水産省によると本県の令和四年度の野生鳥獣による農作物被害額は、北海道に次いで全国二位の約五億九千万円と依然として深刻な状況であります。野生鳥獣による農作物被害は、単に農家の収入を減らすだけではなく、営農意欲も失わせます。農家が今後も農業を続けるためには、被害防止の取組、具体的には侵入防止、捕獲、捕獲獣の利活用の三つの対策について、市町村や猟友会などの関係者と協力して取組を進める必要があります。
この中でも私は、捕獲と捕獲獣の活用の取組が特に重要と考えております。捕獲獣の有効活用については、昨年六月議会の我が会派の代表質問においてジビエの活用についてただし、知事からは、民間企業を活用した新たな獣肉供給体制づくりや不可食部位のペットフードへの活用に向けた取組などについて、前向きな答弁をいただきました。捕獲獣の活用については課題も多いとは思いますが、可能な限り有効利用ができるよう、食肉に適さない個体の利用なども含め、引き続き取組を進めてもらいたいと思います。
一方、捕獲については、狩猟者の高齢化が進む中、新たな狩猟者の確保、育成が大きな課題となっております。狩猟には獲物となる野生鳥獣の生態を熟知した高い技術が求められるため、狩猟者は一朝一夕に増やせるものではありません。私の地元の猟友会の皆様方からも、高齢化が進み後継者が育っていないとの声が聞こえており、このままでは捕獲に従事する人材がいずれはいなくなるのではないかと危惧しております。
そこで、知事にお尋ねします。狩猟者の確保、育成に向け、特に経験の浅い狩猟者にしっかりと捕獲に取り組んでもらえるよう、県としてどのような支援を行っているのかお答えください。
次に、情報リテラシーと活字文化の推進であります。現在AIによる虚偽の画像や動画がフェイクニュースとして流され広まる事象が多く起こっております。情報の汚染がますます悪化しているとも言えます。東京大学の鳥海不二夫教授は、このような情報を得ることを食事に例え、栄養バランスを欠いた食生活が健康を害するように、情報の偏食ということで警鐘を鳴らしています。情報の偏食の背景としては、自分の感覚や思い込みなどに沿った情報を優先的に取り入れようとする確証バイアスと呼ばれる心理状態があります。
しかしながら、自分にとって心地よい情報ばかりに触れていると自身の考えが凝り固まり、異なる立場の情報や意見を受け入れられなくなってしまいます。特にネット上では、使っている人の好みをアルゴリズムが分析して、それに基づく情報ばかりが届く、いわゆるフィルターバブルが起きてしまいます。さらに同じような傾向を持つ人が集中してきて、主張する意見が一層先鋭化していくエコーチェンバーという現象が起こってきます。つまり、利用者には心地がよいのですが、おびただしい情報量により情報過剰となり、冷静に正確な分析ができず、触れている情報がどれほど偏っているのか分からない環境に陥る可能性が大きくなります。
そこで、正しく情報を見極めるため情報を読み解く能力、情報リテラシーを身につけることが大変に重要となります。つまり情報を適切に判断、分析して決定を下す力をつけていくことが大切であります。
初めに情報リテラシー教育について伺います。情報の偏食、情報過剰の危険性への認識を持つことができるよう、県民一人一人が情報リテラシーをしっかりと身につける必要があると思いますが、本県の学校教育においてどのように取り組んでいるのか、教育長にお伺いします。
この対策として今必要なものは私は、見たいものしか見えないようにする見ることによる感覚的な認識が主体のネット情報ではなく、しっかりと活字と向き合う読むことが基本の読書ではないかなと考えます。読書は、知識や情報を得るためだけのものではなく、人間をつくり人生を豊かにするものだとも言えます。読書の喜びが人間をつくるとも思います。また子供をあやすために携帯をあてがう保護者もよく目にいたしますが、成長期の児童にとって長い時間帯、携帯やパソコンの画面を見続けていると、球体の丸い眼球がラグビーボールのように変形していき焦点が合わなくなり、改善の治療や手術をしても全体の罹患者の二割ほどしか回復しないという事例もあります。このようなことから、幼少期から保護者が子供と対話しながら絵本などの読み聞かせなどを行っていくことなどが重要だとの意見もあります。つまり子供のときの、物心ついたときから青年期までの読書の習慣が大切だと思います。
全国学校図書館協議会の二〇二二年の学校読書調査によれば、一か月の間の小中高校生の平均読書冊数は、小学生四年生から六年生までで十三・二冊、中学生は四・七冊、高校生は一・六冊。一方、月に一冊も読まない割合、いわゆる不読率は、小学生で六・四%、中学生で一八・六%、高校生で五一・一%となっております。小中学生は近年の授業での図書館活用の促進や朝の読書運動などのおかげで読書量の増加につながっているようです。ちなみに不読率で高校生における国の目標は二六%以下となっております。本県における小中高校生の不読率はどのような状況なのか、気になるところであります。
次に、学校図書の充実について伺います。社会の中の多様な意見や日々起きている様々な出来事に触れることができるのが新聞であります。ネットニュースでは文字の大きさや並べ方が画一化しており、並列された内容がそのまま横並びに頭に入ってくるイメージでありますが、一方、新聞のように見出しなどのサイズ感で重要度が理解でき、新聞社各社によって独自の主張や強調したい記事などが視覚的に理解できます。
文部科学省は第六次学校図書館図書整備等五か年計画で公立学校図書館の新聞配備につきましては、従来の小学校一紙、中学校二紙、高校四紙から、小学校二紙、中学校三紙、高校五紙に増やすように求めております。その必要経費は国が地方財政措置で講じており、文科省では学校図書館の現状把握と適切な予算措置を求めておりますが、地方財政措置はその使途を特定されないため、実際のところ各市町村に配分された予算を自由裁量で使用しているケースが多いと聞きます。
その中で、地方財政措置を踏まえた予算執行の好事例として、自治体が新聞を一括契約する事例があると聞きます。東京都の葛飾区では今年度、全公立小中学校に自由に新聞を選んでもらい一括契約をしているそうです。現場の学校としても新聞代の払込みや予算処理などの煩雑な事務が軽減され、大変に好評との評価がありました。
ほかにも、前述した五か年計画では学校図書館の蔵書の更新を進めるように求めており、古い本の廃棄基準を策定するように促しております。幾ら本をそろえても利用者の子供たちに魅力のある空間でなければ学校図書館の利用は伸びません。本の探偵の異名を持つ赤木かん子さんが改装を手がけた学校図書館では、データが間違っていたり、黄ばんでページがめくれないような古い本は思い切って処分し、子供たちのニーズに合う時代にマッチした本を並べるようにした結果、利用が飛躍的に伸びたそうです。
そこで、教育長にお尋ねします。県内の公立学校における新聞の配備状況と学校図書館の古い本などの廃棄基準の策定状況について、それぞれお聞かせください。
また学校図書館へ子供たちを引き寄せるため、一部漫画をそろえたり、生徒が審査した文学賞を設けたり、利用を伸ばす工夫を凝らす自治体があります。
最後に教育長にお尋ねいたします。公立学校図書館の利用促進のために県はどのような取組を行っているのかお聞かせください。
真摯な御回答をよろしくお願いいたします。以上でございます。(拍手)
3 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
平和希求の思いについてでございます。ロシアのウクライナ軍事侵略、イスラエル・パレスチナ情勢をはじめ、世界各地で戦争、紛争が多発しております。日本周辺におきましても、一方的な現状変更の試みや北朝鮮の核・ミサイル開発が続けられ、我が国の安全保障環境は戦後最も厳しいものとなっております。私は、県民の生命・財産・生活を守ることを第一と考えております。これらを武力によって破壊する戦争はいかなる理由があっても認められず、決して許すことはできないと考えております。
次に、県の国際交流の方針及び世界に通用する国際人の育成強化についてお尋ねがございました。国際社会が不確実性を増し、大きく変化しております今、世界の平和、社会経済の安定、そして地域の安全・安心を持続可能なものとするためには本県として、友好提携地域をはじめ世界各地との間で人と人との交流、地域間交流を積み重ね相互理解を深めていくことが重要でございます。
また、こうした交流を推進するためには、若い頃から異なる文化や多様な価値感を尊重しながら他者と協働できる力を育む必要がございます。このため県では世界各地から招聘したこども大使との交流を通じて、本県の小学生のグローバルな視点を育むアジア太平洋こども会議への支援を続けており、また昨年度からは高校生を対象として、世界トップレベルのスタンフォード大学による異文化理解教育プログラム、スタンフォードe福岡を実施しておりました。今後とも、世界に通用する、世界を舞台に活躍できる国際人を育成するための取組を進めてまいります。
人種等を理由とした差別事象の状況についてでございます。昨年度、市町村等から県に報告があった差別事象は、特定の人種や民族への偏見、差別を助長するおそれがある落書きや貼り紙が九件ございました。
ヘイトスピーチにつきましては、平成三十一年三月に九州朝鮮中高級学校の近くで行われました街頭演説のみでございます。
ヘイトクライムにつきましては現在まで報告はございません。
この推進体制及び啓発活動についてお尋ねがございました。県では福岡県人権教育・啓発基本指針に基づき毎年度実施計画を策定し、人権施策を総合的に推進しております。人種等を理由とした差別事象をなくすため、外国にルーツを持つ人々の人権をテーマとした県民講座、講演会、ラジオ番組などにより啓発に取り組んでおります。
特に
ヘイトスピーチにつきましては、
ヘイトスピーチ解消法が施行された平成二十八年、両政令市や法務局などに呼びかけ、
ヘイトスピーチ対策連絡会議を設置し関係機関が連携した取組を進めております。具体的には、
ヘイトスピーチは許されないということを啓発するために、両政令市と連携して制作した動画をサッカー場の大型ビジョンや映画館で放映するとともに県の
ホームページ等に掲載をする、大型商業施設でございますイオンでチラシを配架する、SNSで配信するといったことに取り組んでいるところでございます。
ヘイトスピーチに対する条例の制定についてでございます。
ヘイトスピーチは人としての尊厳を傷つけるだけではなく、それを見たり聞いたりした人々に不安感あるいは嫌悪感を与え、差別意識を助長することにもつながりかねず、決して許されないものでございます。県といたしましては、先ほど申し上げましたように、今後も
ヘイトスピーチ対策連絡会議において関係機関としっかり連携を図りながら、
ヘイトスピーチを許さない社会の実現に向け、法に基づいて啓発に取り組むことといたしておりまして、
ヘイトスピーチに対する条例の制定は考えておりません。また国に対し、
ヘイトスピーチの解消に向け、法に基づいた実効性のある対策を講じるよう引き続き求めてまいります。
次に、県の経済状況と中小企業の現状についてお尋ねがございました。県経済は、生産面では生産用機械や化学工業など一部で足踏みが見られますものの、半導体の供給不足の解消が進み、主力の自動車生産が回復するなど、全体では一月を底として持ち直しの動きが続いております。家計消費や雇用情勢は改善を続けております。これらのことから県経済の現状は緩やかに回復していると判断をしているところでございます。
一方、中小企業基盤整備機構の中小企業景況調査によりますと、県内中小企業の業況判断DIは、コロナ禍の影響が顕在化した時期に大きく悪化した後、徐々に回復し、直近ではマイナス七・一ポイントまで持ち直しております。しかしながら中小企業からは、物価高騰が止まらず先が見えない状況が続いている、あるいは原材料の極端な値上げに対しての価格転嫁が困難であるといった声が寄せられております。
県内企業の倒産件数は、ゼロゼロ融資などの支援によりまして令和三年には過去最低まで減少しましたが、今年四月からは毎月前年を上回り続けておりまして、現在はコロナ前と同水準となっております。倒産のこの原因を分析いたしますと、原材料やエネルギー価格の高騰や賃上げに伴う人件費の上昇といったコスト上昇を価格転嫁できなかったことなどに加え、ゼロゼロ融資の返済が始まり企業の収益を圧迫したためと分析しております。こうしたことから、県内中小企業の景況はコロナ禍が落ち着いた後も依然として厳しい状況にあると認識しているところでございます。
パートナーシップ構築宣言企業数の推移と優遇措置についてでございます。本県の宣言企業数は、今年二月の官民労十三団体による価格転嫁の円滑化に関する協定締結時の六百六十二社から、十二月五日現在では千二百三十八社へと大幅に増加をいたしております。
宣言企業を拡大するための優遇措置につきましては、今年四月から地域中小企業チャレンジ応援補助金や中小企業生産性向上デジタル支援補助金など四つの県の補助金につきまして、補助金の審査における加点制度を導入いたしました。この県補助金の応募企業及び採択企業のいずれも
パートナーシップ構築宣言企業が四割以上を占めておりまして、宣言企業の拡大に貢献しているものと考えております。
今後もこうした優遇措置の周知を図り、
パートナーシップ構築宣言企業のさらなる登録促進に向け、しっかりと取り組んでまいります。
下請Gメンと下請かけこみ寺の利用促進についてでございます。理不尽な取引が行われていないか聞き取り調査を行う下請Gメンと、下請企業の取引上の悩み相談を受け付けております下請かけこみ寺は、下請いじめに悩む中小企業にとって心強い存在でございます。
これまで県では取引の適正化の実現に向け、官民労十三団体による価格転嫁の円滑化に関する協定の締結、価格転嫁円滑化に向けた啓発と中小企業支援策を周知するための新聞広告の掲載、官民労二十三団体による取引適正化推進フォーラム福岡大会の開催などに取り組んできたところでございまして、こうした取組の中で、下請Gメンや下請かけこみ寺につきましても広く周知を行ってまいりました。今後もあらゆる機会を捉え、中小企業の皆様が利用しやすいよう周知を図ってまいります。
価格交渉を効果的に進めるための
価格交渉支援ツール等の周知についてでございます。
価格交渉支援ツールや
価格交渉ハンドブックは、取引先との価格交渉に臨む中小企業にとって役立つ情報が豊富に掲載されておりますことから、県の
ホームページで紹介いたしますとともに、商工会議所、商工会の経営指導員を通じ、中小企業の皆様へ広く周知を行っております。
また県では、
価格交渉支援ツールの活用のポイントや
価格交渉ハンドブックの入手方法など、価格交渉に役立つ情報をまとめました啓発チラシを作成したところでございまして、協定締結団体はもちろん、税理士や会計士の団体等に対しても配付をし、中小企業への支援に活用しているところでございます。
価格交渉支援ツールなどの情報は
中小企業施策活用ガイドブックにも掲載し、中小企業の皆様の価格交渉が効果的に進むよう取り組んでまいります。
価格交渉や価格転嫁の相談に対応する商工会議所、商工会に対する支援についてでございます。県では商工会議所、商工会に対し、巡回指導や相談対応を行います経営指導員の人件費を支援しております。また経営指導員が対応できない専門的な事案等がある場合には、中小企業診断士や会計士など専門家の派遣に必要な経費を支援いたしております。
次に、団体協約の活用促進についてでございます。この団体協約は、
中小企業組合が組合員の企業に代わって取引先との価格交渉を行うことによりまして、組合員にとって有利な取引条件を引き出せますことから、中小企業の価格交渉の有効な手段の一つと考えております。
このため県では、団体協約交渉の好事例などを取りまとめ県の
ホームページに掲載いたしますとともに、この好事例などを取りまとめた冊子を協定締結十三団体を通じ事業者に配付し幅広く周知を図りました。今後は
中小企業組合の運営支援を行っております福岡県中小企業団体中央会と連携し、団体の機関紙やメールマガジン等による周知、あるいは中小企業団体中央会の指導員による相談対応などを通じ、団体協約の活用を促進してまいります。
成長産業の振興についてでございます。県では、県内GDP二十兆円の実現を目指し、水素、バイオ、宇宙など新たな成長分野の産業振興に取り組んでいるところでございます。
脱炭素社会実現の鍵とされる水素産業は、経済と環境の好循環によるグリーン成長が期待される新産業分野でございます。県では水素需給のポテンシャルの高い北九州市響灘臨海部において、グリーン水素を製造または輸入し、県内各地でその利活用を進める水素大規模拠点の形成を目指しておりまして、併せ、関連産業の育成、集積を図ってまいります。
バイオ産業は国において次世代成長産業の柱として位置づけられております。本県は国の地域バイオコミュニティの認定を受けておりまして、次世代創薬、再生医療、スマートセル、機能性表示食品、この四つを重点分野として革新的バイオ産業を創出する拠点を目指しております。今年十月には産学官一体となった訪問団を組織し、世界最大のバイオクラスターでございます米国マサチューセッツ州ボストンを訪問し、製薬企業やベンチャーキャピタル等とのネットワーク構築を図ったところでございます。
宇宙ビジネスは、宇宙機器の開発やデータの利活用、さらに衣食住など裾野が広い産業でございます。今月六日に上場を果たしました株式会社QPS研究所を筆頭として県内企業が次々とこの分野に挑戦しております。今後も県内企業の挑戦を積極的に支援し、宇宙ビジネス創出拠点の構築を目指してまいります。
本県には優れたハード・ソフト技術を持つ企業が集積をし、産学官による支援体制も充実しております。こうした強みを生かし、リーディング企業を育成し、その効果を県全体へと波及させていくことで、福岡県のさらなる発展、飛躍を目指してまいります。
次に、認知症の高齢者数についてでございます。国の推計を基に本県の
認知症高齢者の数を推計いたしますと、平成三十年は約二十万人、令和七年には約三十万人と今後増加していくことが見込まれます。また、認知症による行方不明者の警察への届出数は昨年は五百四十九件となっておりまして、直近五年間を見ますと毎年五百件前後で推移している状況でございます。
県では、日常的な高齢者の見守り活動を促進するため、小学校区などで住民主体の見守り活動の中心となる人材の養成に取り組んでおります。また地域の御家庭を訪問する機会が多い電気、ガスなどの事業者が県と包括協定を締結しまして、見守り活動に参加をしていただきます見守りネットふくおか、この取組を強化しております。こうした見守り活動にもかかわらず行方不明となった場合に、市町村が地域住民や警察、消防、医療、介護、交通などの事業者と協力して行方不明者の捜索活動を行います行方不明
認知症高齢者等SOSネットワーク、この構築にも取り組んでいるところでございます。
コグニサイズを普及させるための取組についてお尋ねがございました。県では平成三十年に
コグニサイズの取組方法に関する動画を作成しまして、県内の介護施設に配付いたしましたほか、引き続き県の
ホームページで配信を行っておりまして、県民の皆様に活用を促しております。
また市町村が行います介護予防教室に対し、県内四か所に設置しております介護予防支援センターから理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリの専門職を派遣し、手指を使った脳トレ、しりとりや計算などを組み合わせた体操、こういったものの指導など
コグニサイズの取組を支援をいたしております。
認知症基本法に基づく県の推進計画の策定についてでございます。
認知症基本法は今年六月に公布をされ、来年一月に施行されるとお聞きしておりますが、県の計画の基本となる国の
認知症施策推進基本計画は現時点では未策定となっております。県では、この基本法の成立も踏まえ、現在策定作業を進めております第十次福岡県高齢者保健福祉計画におきまして、認知症施策についての内容を充実し計画的に推進していくことといたしております。県のこの推進計画の策定につきましては、今後策定されます国の基本計画の内容を確認した上で判断をしてまいりたいと考えております。
認知症に対する正しい理解を深めるための取組についてでございます。県では、認知症について正しく理解し認知症の方や家族を温かく見守り支援する認知症サポーターを、これまでに約五十二万人養成いたしております。
認知症の方とその御家族、地域住民、介護職の専門家などが気軽に集い、情報交換や相談を行うことができる認知症カフェは、昨年度末時点で五十四の市町村において二百六十か所設置されておりまして、県ではその設置や運営に対し支援を行っております。
また県では昨年からは、世界アルツハイマー月間でございます九月に合わせて、福岡タワーなどを認知症のシンボルカラーであるオレンジ色にライトアップしております。県庁においてはロビーをオレンジ色の花で飾りつけ、認知症に関するパネル展示、臨時の相談コーナーを開設いたしております。また認知症になっても地域を支える一員として活躍できることを発信いたしますため、認知症の方とその御家族を支援しているNPO法人と連携して講演会を開催いたしております。
この基本法が掲げます共生社会を実現するためには、地域全体で認知症の方とその御家族を支えていく必要がございますことから、引き続き認知症に対する正しい理解を深めるための普及啓発に取り組んでまいります。
次に、
手話言語条例の啓発についてお尋ねがございました。県では今年四月の
手話言語条例の施行に合わせ、条例を聾者の方々に分かりやすく周知するため、手話で解説した動画を県の
ホームページに掲載いたしますとともに、各戸配布広報紙「福岡県だより」やSNSを活用しまして、条例の趣旨を広く県民の皆様に周知してまいりました。
また、教育関係者や聾者を対象とした聴覚障がい教育を考える学習会、一般県民を対象とした条例の理解を深める手話言語フォーラム、テレビドラマに聾者役で出演された聴覚障がいのある方による手話の大切さを伝える講演会、県内二つの大学で、聾者や手話への理解、手話通訳への関心を促すための学生向け講座、こういったものを開催をいたしますとともに、九月の手話言語の国際デーに合わせまして旧福岡県公会堂貴賓館を手話のシンボルカラーでございますブルーにライトアップし、手話は言語であるとの認識を高める機運醸成を図ってまいったところでございます。さらに来年一月には
手話言語条例制定を記念して、デフリンピック自転車競技やNHK「みんなの手話」の講師として御活躍されております早瀬憲太郎様を講師に招き、講演会の開催を予定しているところでございます。
親子手話教室の開催状況についてでございます。当事者団体や医師、保健師等で組織した聴覚障がい児・家族支援事業実行委員会を今年度県内四地域で立ち上げまして、
親子手話教室を各地域の聴覚
特別支援学校で月一回程度開催を行っております。
親子手話教室におきましては、手話を使った絵本の読み聞かせや歌遊びをしたり、保護者の方向けに日常生活での困り事などの相談にも応じております。十一月末までに二十四回開催をされておりまして、延べ三百名を超える親子が参加をされました。参加された方からは、親子でコミュニケーションの取り方が分かった、参加者と一緒に手話を楽しく覚えることができたといった感想をいただいているところでございます。
条例の計画的な推進についてでございます。現在来年度から三年間の障がい福祉計画について策定を進めているところでございまして、次期計画においては、国の基本指針や本県の
手話言語条例を踏まえ新たに聴覚障がいのある方の手話を含む言語・コミュニケーション手段の円滑な獲得、聴覚障がいに対する県民への理解促進、聴覚障がいのある方とその御家族等の支援に係る取組などについて盛り込むことを検討しております。これらの施策を効果的かつ円滑に実施いたしますため、医療、福祉及び教育の関係者や当事者団体から成る協議会を設置いたしますことについても検討しているところでございます。
次に、介護休業等の利用状況についてお尋ねがございました。総務省の令和四年度就業構造基本調査によりますと、本県で介護休業等の支援制度を利用している方は一万四千四百人で、介護をされている方のうち一一・四%となっておりまして、国とほぼ同程度でございます。これは平成二十九年度の前回調査時よりは三ポイント増加をいたしておりますが、一割程度の低い利用率にとどまっている状況でございます。
次に、介護離職の現状に対する認識についてでございます。本県で介護離職した方の約七割が四十代後半から六十代の前半でございまして、経験・知識を持つ従業員が離職する、このことは企業にとっても大きな損失でございます。介護を必要とする高齢者の方が増加していく一方で、介護休業等の支援制度の利用は、先ほど申しましたように一割程度の低い利用率にとどまっておりますことから、仕事と介護の両立に悩む方に対し、介護休業などの制度や介護・福祉サービスに係る情報を周知をいたしまして、これらを利用しやすくすることが重要であると認識をいたしております。
仕事と介護の両立に係る相談窓口等の周知についてでございます。この仕事と介護の両立に係る相談につきましては、地域の方が介護についての不安・悩みについて相談することができる機関といたしまして、市町村が設置をいたしております地域包括支援センターにおいて対応しております。対応に当たりましては、介護休業などの制度、あるいは介護・福祉サービスに係る情報の提供も併せて行っているところでございます。
県では、仕事と介護の両立に悩む方が相談窓口であるこの地域包括支援センターに相談することができますよう、県
ホームページにセンターの役割でありますとか、その連絡先を掲載をいたしております。また地域の老人クラブが実施します見守り活動において、介護を必要とする高齢者の御家族に対し定期的に訪問を行い、介護・福祉サービスなどの情報の提供や相談窓口の紹介を行えるよう支援を行っております。
県といたしましては、県民の皆様が必要に応じ、介護休業などの制度やサービス、相談窓口を利用し仕事と介護を両立できるよう、今後も地域包括支援センター、老人クラブ、県と見守り活動に係る協定を締結いただいております企業などと連携をし、その周知に努めてまいります。
介護休業等を取得しやすい職場環境づくりについてでございます。県では企業のトップの方が従業員の仕事と介護の両立を支援する取組を自主的に宣言していただく介護応援宣言企業登録制度を、平成二十九年の九月から実施をしております。今年十一月末現在で二千四百二十三社が登録し、その取組は着実に広がってきております。具体的には、仕事と介護の両立を支援する社の方針を従業員に積極的に伝え、相談しやすい環境を整えます。あるいは社内報への掲載、管理職員研修の実施により、
介護休業制度等の周知、取得の促進に努めます。また仕事と介護の両立を支援するため業務の効率化を図り、長時間労働を抑制します。こういった取組を宣言し、従業員の皆様への周知に努めていただいております。
また企業の代表者や人事労務担当者を対象として、育児・介護休業法や助成金などについての研修会を福岡労働局と共催で開催しております。今後はこのような研修会に加えまして、経済団体の機関紙やメールマガジンなどを通じ、介護応援宣言企業への登録が企業のイメージアップや人材の確保、定着、こういったことにつながるということを発信をし、宣言企業の拡大を図ってまいります。あわせて、介護休業や介護休暇制度について、企業から従業員に対して積極的に周知を図るよう働きかけを行ってまいります。
リサイクルボックスへの異物混入等に対する認識でございます。
リサイクルボックスに紙コップなどの異物が混入することで異物と再生資源とを分別する作業が必要となります。また自動販売機の周辺に
ペットボトルなどが散乱いたしますと、その一部が河川、水路から海に流出し、細かく砕かれたマイクロ
プラスチックになってしまうといった問題が生じます。このため、
リサイクルボックスに異物を投入しないことやごみを散乱させないということについて、県民の皆様の意識を醸成していくことがリサイクルの推進及び海の環境保全のために重要であると考えております。
この
リサイクルボックスの適正使用、また自販機周辺のごみ散乱防止の周知啓発についてお尋ねがございました。県では、今年九月に開設をいたしました、ふくおかプラごみ削減応援サイトや、ユーチューブで配信をしております啓発動画におきまして、県民の皆様が
リサイクルボックスの役割について理解を深めていただけますよう発信を行い、効果的なリサイクル推進への協力を求めております。また昨年度、町なかに散乱するごみが海に流出して海洋環境に影響を与えているということを訴えるテレビCMを放映しますなど、ごみの散乱防止に関する啓発を行っております。
今後とも、こうした取組をはじめ、御指摘のあった環境省の実証事業につきまして、ふくおかプラごみ削減応援サイトで紹介いたしますとともに、ふくおか
プラスチック資源循環ネットワークの構成員でございます事業者の皆さんに情報提供いたしますなど、
リサイクルボックスの適正使用、そしてごみの散乱防止について意識の醸成を図ってまいります。
NHK大河ドラマ招致の取組についてお尋ねがございました。県では県内外のゆかりの市町の長の皆様、県議会議員の皆様、経済団体、関係団体の皆様で構成いたします「立花宗茂とギン(もんがまえに言)千代」
NHK大河ドラマ招致委員会、ここで合意をいたしました事業計画を基に招致活動に取り組んでおります。
今年度は五月に博多どんたく港まつりのパレードに参加し、九月には県庁ロビー展でのPRを行いましたほか、福岡・大分デスティネーションキャンペーンに向けた立花宗茂とギン千代のゆかりの地を巡るモニターツアーに対する支援を行ったところでございます。また十月には、私は招致委員会の皆様と共にNHK福岡放送局長へ、先月十一月はNHK本社に出向きまして要望活動を行いました。このNHK本社におきましては、大きな困難に立ち向かい、そして絶対に諦めない立花宗茂の物語は、近年、激甚化・頻発化する災害により被災された県民はもとより全国民を勇気づける大河ドラマになるという制作の意義、そして皆様の思いを強く伝えてまいりました。
今後も招致委員会の皆様と粘り強くNHKへの働きかけを行いますとともに、来年春の福岡・大分デスティネーションキャンペーンの機会を捉え、全国から訪れる観光客の皆様に立花宗茂とギン千代について大いにアピールしていきたいと考えます。このような取組によりまして立花宗茂とギン千代の認知度を向上させ、ファンを増やし、招致の機運が広がるよう活動をさらに盛り上げてまいります。
地域の特色を生かした観光振興の取組についてお尋ねがございました。県では、県内六つのエリアでそれぞれのエリアの特色を生かしたテーマを設定をいたしました。食べる、遊ぶ、泊まるを一体的に楽しめる新たな観光エリアの創出に取り組んでおります。
例えば、筑前玄海エリアではイカ王国をテーマに、イカグルメを地域の飲食店で一斉販売するフェアの開催、あるいは旅館に宿泊して海岸に設置したテントを拠点にバーベキューを楽しむリョカンピングを、八女・筑後・広川エリアでは、クラフトのまちをテーマに久留米絣の藍染め体験や八女提灯の絵付け体験を、日田彦山線BRTひこぼしライン沿線エリアでは、ものづくりと修験の文化をテーマにBRTを活用して英彦山の修験道ゆかりの地を巡る体験や、棚田米を小石原焼の御飯釜で炊いて提供する日本一の朝御飯など、この土地ならではの食や体験プログラム開発を進めているところでございます。
これら六つのエリアの魅力を広く知っていただき訪れていただくため、県の観光情報サイトやSNSでの情報発信、また国内最大規模の旅行博でのPRに取り組みますとともに、来年春の福岡・大分デスティネーションキャンペーンに向けまして全国の旅行社に旅行商品の造成を働きかけております。
今後とも地域の特色を生かした魅力的な観光地づくり、誘客に取り組み、観光振興を図ってまいります。
県内の自然豊かな場所への
インバウンド誘客の取組についてでございます。コロナ禍を経まして、人混みを避け自然の中を少人数で楽しむという観光スタイルの定着が進んでおります。また日本政府観光局によりますと、訪日旅行に興味のある外国人の多くが豊かな自然に高い関心を持っております。県では自然豊かな道を、その土地の歴史や食などを楽しみながら歩く、韓国発祥でございますオルレコースの造成に取り組んでおります。現在、宗像・大島コースをはじめ、韓国の認定機関から認められた六つのコースがございまして、昨年は本場であります韓国から四百人以上の方が来訪されております。
また宗像から芦屋にかけた海岸沿いには、さつき松原から沖ノ島を望む海の景色を楽しめるサイクリングロードを整備しておりまして、中でも砂浜沿いの景色を楽しめる海辺のサイクリングが人気で、国内外から多くの観光客の皆様が訪れております。
加えまして、九州自然歩道を活用し、英彦山の修験道の歴史・文化に触れる英彦山巡礼路を歩く旅や嘉穂アルプスの森の中でたき火を囲みながらゆったり時間を過ごす、デンマーク発祥のヒュッゲ体験等の開発にも取り組んでいるところでございます。
今後も本県の豊かな自然の魅力を生かした観光資源を磨き上げますとともに広く発信を行い、本県への
インバウンドの誘客を図ってまいります。
ユニバーサルツーリズムの取組についてでございます。このユニバーサルツーリズムは年齢や障がいの有無、言語の違いなどにかかわらず、誰もが気兼ねなく参加でき楽しめる旅行でございまして、人に優しく選ばれる観光地づくりを推進する上で大変重要であると認識をいたしております。このため県では令和二年度から、県内の宿泊施設が実施いたしますバリアフリー化などの施設改修を支援いたしますとともに、今年度からは宿泊施設や観光施設など観光関連事業者を対象に、ユニバーサルツーリズム推進の意義や取組のポイント等に関する啓発セミナーを開催しております。
また、ユニバーサルツーリズムの視点に立った現場の改善などに取り組む事業者に対しまして、専門的な知識を持つアドバイザーを派遣し助言を行いますとともに、受入れ環境整備に対する助成を行っております。
さらに、より快適な旅の提供を目指しまして、車椅子とベビーカーを福岡空港や博多駅で貸し出しまして、県内の二十二か所で返却できる、どこでも車いす・ベビーカー実証事業を十一月から実施しているところでございます。
今後もこうした取組によりユニバーサルツーリズムを推進し、誰もが安心して県内を周遊し楽しんでいただける環境づくりに取り組んでまいります。
訪日外国人に対するマナー啓発についてでございます。文化や習慣が異なる訪日外国人の方に、地域住民の方との摩擦を回避し、気持ちよく本県の観光を楽しんでいただくためには、日本におけるルールやマナーを正しく理解をして実践をしていただくことが必要不可欠でございます。このため県では訪日外国人の方を対象に、交通ルール、あるいはトイレの利用方法、またごみの取扱いといった基本的なマナーにつきまして多言語で啓発するリーフレットを作成し、福岡空港国際線をはじめとする観光案内所等に配架をいたしておりますほか、県の海外向けウェブサイトを通じた情報発信によりまして周知を図っております。
また訪日外国人の方と接する機会が多い宿泊施設をはじめとした観光関連事業者の皆さんや観光ボランティアガイドの皆さん、観光案内所のスタッフの皆さんなどを対象に、外国の習慣や文化についての理解促進、日本と外国のルールの違いの効果的な伝え方、これを学んでいただく研修を実施する予定でございます。
こうした取組を通じまして、訪日外国人の方に日本のルールやマナーについての理解を深めていただき、日本旅行を楽しんでいただくとともに、地域住民の皆様にも快く訪日外国人を受け入れてもらえるよう努めてまいります。
次に、鳥獣被害対策につきまして、狩猟者の確保、育成についてお尋ねがございました。県では、新たな狩猟者を確保いたしますため、平成二十六年度から狩猟免許試験の回数を年二回から四回に倍増いたしますとともに、今年度からは試験前に開催をしております講習会の受講料、この一部を支援いたしております。このような取組の結果、本県の免許取得者は年々増加しておりまして、現在約五千八百人となっております。
一方、免許を取得しても猟銃の取扱いや捕獲後の処理などに不安を感じるという方も多うございます。このため、実際に捕獲に従事している方は三千人程度にとどまっている状況でございます。このため県では、狩猟経験のない免許取得者に経験を積んでいただきますため、わなの設置、あるいは猟銃の取扱い、捕獲した鳥獣の処理方法につきまして現地研修会を開催しております。加えまして昨年度からは、ベテランの狩猟者がマンツーマンで効率的な捕獲技術の指導を行う研修も実施しております。
また捕獲活動を促進いたしますため、国に対し狩猟者に支払われる捕獲補助金の単価の増額と十分な財源の確保について要望しております。さらに市町村が捕獲補助金に上乗せして助成する場合には特別交付税が措置されますことから、この制度の活用を市町村に対し働きかけております。
県といたしましては引き続き、こうした取組を進め、狩猟者の確保、育成に努めてまいります。
5 ◯議長(香原 勝司君) 吉田教育長。
*教育長答弁
6 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇
ヘイトスピーチ、
ヘイトクライムをなくすための人権教育の取組についてでございます。本県の学校教育におきましては、児童生徒の発達段階を踏まえ、異なる文化や習慣についての理解を深める学習や、国籍や人種・民族の違いなどを理由とする偏見や差別の実態についての学習などが行われております。
県教育委員会ではこれらの取組を支援し、外国人の人権も含めた様々な人権課題に関する教職員の指導力向上を図るため、現在指導者用手引書の作成を進めております。今後この手引書と併せて、これまでに作成、配付した学習資料の効果的な活用を促進するなど、引き続き多様な文化を尊重し共生の心を醸成する教育の推進に取り組んでまいります。
次に、学校における手話の普及に関する取組についてでございます。これまで人権教育学習教材集の中で、聴覚障がいや手話に関する題材を取り上げ、理解、啓発を行ってまいりましたが、今年四月の
手話言語条例の施行を契機として、手話による基本的なコミュニケーションについて児童生徒がより主体的に学習できるよう、一人一台端末を活用した学習コンテンツの開発に現在取り組んでおります。あわせて教員が当該コンテンツをより効果的に授業で活用できるよう、授業モデルの作成も進めております。
県教育委員会としましては、全ての小中学校等において学習コンテンツの活用を中心に手話についての学習がなされるよう市町村教育委員会に働きかけ、学校における手話の普及に取り組んでまいります。
次に、情報リテラシー教育についてでございます。児童生徒がICTを適切に活用してデジタル社会を生き抜く力を養うため、必要な情報を収集、整理、比較し、様々な情報の真偽を主体的に判断する力や受け手の状況等を踏まえて発信する力など、情報活用能力を育成することが必要です。このため学校では、一人一台端末を使用する場面も含め、各教科の授業や特別活動などにおいて、インターネット上の情報について、その情報源を確認したり各種統計資料や新聞などと比較したりして信頼性や信憑性を見極めることの重要性を指導しております。今後とも、児童生徒が将来のデジタル社会の構成員として自らの意思で積極的にデジタル社会と関わっていくことができるよう、教育活動全体を通して情報リテラシーを含む情報活用能力の育成に取り組んでまいります。
県内公立学校における新聞の配備と図書廃棄基準の策定状況についてでございます。文部科学省が実施しました令和二年度学校図書館の現状に関する調査の結果では、県内公立学校のうち新聞を配備している学校の割合は、小中学校は約五三%で全国平均を四ポイント下回り、高等学校は約九八%で全国平均を三ポイント上回っております。なお、その平均新聞紙数は、小中学校は一・三紙、高等学校は二・一紙でございます。
また図書廃棄基準の策定状況につきましては、小中学校は約七六%で全国平均を二四ポイント上回り、高等学校は約八二%で全国平均を二二ポイント上回っております。
学校図書館の利用促進の取組についてでございます。学校図書館の利用を促進するためには、児童生徒が訪れるきっかけづくりや進んで訪れたくなるような環境づくりが大切です。具体的には、本の紹介を競い合うビブリオバトル大会の開催や全校一斉読書活動の実施、また子供の読書ニーズを反映させた図書の選定や授業内容に合わせた特設コーナーの設置などが効果的であると考えておりまして、現在県教育センターにおきまして、このような実践事例をテーマとした研修を実施をいたしております。今後とも学校図書館の利用促進を図り、児童生徒の自主的、意欲的な読書活動を促進してまいります。
7 ◯議長(香原 勝司君) 西尾耕治君。
8 ◯三十七番(西尾 耕治君)登壇 数点要望させていただきます。
ヘイトスピーチに関する条例策定につきましては、現在の県の複合的な施策で比較的に差別事象が少ない結果となっていることはよいことではありますが、しかしながら何よりもゼロを目指すことが重要であります。また日本は、またこの福岡県は、法治国家であり、法治が大事な県であり、したがって法律に基づいて計画ができ、計画に基づいて予算がついていくという基本がございます。私としてはぜひ制定に向かっていただきたいと望んでおります。
立花宗茂・ギン千代については知事から心強い決意もいただきましたのでうれしく思いました。時は今だ、よろしくお願い申し上げます。
活字文化の活性化については、障がいの有無にかかわらず、県民の皆さん誰もが読書活動を楽しむために、本県としてユニバーサルな読書環境の整備の観点から本年六月には読書バリアフリー推進計画が策定されたと伺いました。この計画に沿って実効性のある読書環境整備が進むことを心から望んでおります。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
9 ◯議長(香原 勝司君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時四十分といたします。
午 後 零 時 三十一分 休 憩
午 後 一 時 四十一分 再 開
10 ◯副議長(佐々木 允君) 再開いたします。
休憩前に引き続き、代表質問を行います。発言を許可いたします。鶴林大我君。(拍手)
*鶴林議員質問
11 ◯六番(鶴林 大我君)登壇 皆さん、こんにちは。新政会福岡県議団の鶴林大我でございます。このたび代表質問の機会を与えていただきました会派の皆さんに感謝申し上げます。若さと元気には自信がありますが、何分若輩ですので、まずは謙虚に世のため人のため、そして未来を担う子供たちのため精いっぱい努力してまいります。諸先輩方の御指導、何とぞよろしくお願い申し上げます。
さて、コロナ禍の影響が続き、ウクライナやガザ地区での戦争は終わりが見えません。また、地球温暖化は加速度的に進んでいます。私たちは今、先の見通せない困難な時代を生きています。一方、今日の子供たちを取り巻く教育環境も厳しい現実の中にあります。学校は社会の縮図であり、何とか手を差し伸べたいと真剣に思っています。これは、国家百年の計は教育にありということを学生時代から学んできた私の思いです。議員活動は始まったばかりです。知事が挑戦される人材の育成、世界から選ばれる福岡県の実現、ワンヘルスの推進など、政策をしっかり勉強しながら地域にも貢献できる政治家を目指していきたいと決意を申し上げ、質問に入ります。
まず最初に、ワンヘルスの推進についてお尋ねします。本県では、人・動物の健康、環境の健全性を一体のものとして守っていくため、議員提案により全国初となる福岡県ワンヘルス推進基本条例が令和二年に制定されました。そして、この条例を受け翌年度には福岡県ワンヘルス推進行動計画を策定し、具体的な取組をスタートしております。冒頭でも申し上げましたが、今や地球環境も待ったなしの状況です。今こそ知恵と力を結集し、本県が我が国、さらには世界におけるワンヘルスの発信地として、人と動物の健康と環境の健全性が調和した社会を目指さなければならないときだと考えます。
ワンヘルスについては、現在県を挙げ重点的に取り組む中で、二十三の市町村においてもワンヘルスの推進に関する宣言がなされ、独自に小中学校でのワンヘルス教育をスタートしているところもあるようです。また
県教育委員会においても、条例の制定に伴いワンヘルスの考え方などをまとめた小中校生向けのリーフレットを作成したり、教育の在り方を検討する推進委員会を立ち上げたりするなど、子供たちに対するワンヘルス教育をいち早く進められていると聞いて心強く感じております。今後さらにワンヘルスの考え方が多くの県民に定着していくためには、未来を担う子供たちに対するアプローチが重要ではないでしょうか。とりわけ学校教育の最終段階と言える高校生には、ワンヘルスの理念を十分に理解しながら一人一人が自分たちにできる行動を取っていこうとする姿勢を身につけていただきたいと期待しています。
そこで、知事と教育長にお伺いします。県立高校及び私立高校ではワンヘルス教育にどのように取り組んでいるのかお答えください。
次に、国の経済対策への対応について伺います。昨年来、物価の上昇が続いています。私たちが最初に物価の上昇を実感したのは、生活に欠かせない食料品、ガソリンなどの燃料費、光熱水費の値上げでしたが、その後、外食、理美容、運賃などのサービス料金の値上げ、建設資材の高騰など幅広い分野に値上げの波が移っています。
今年の春闘における賃上げ率の平均は三十年ぶりの高水準となったとの報道もありますが、賃金が上昇していると言われても、物価がそれ以上に上昇しているため、賃金の伸びを実感できていないのが多くの県民の感覚だと思います。
こうした中、先月、政府はデフレから完全に脱却するための総合経済対策を打ち出しました。これは、賃上げが物価上昇に追いついていない現状を打破するため、賃金の上昇、家計の購買力向上、適度な物価の上昇といった、言わば経済の好循環を狙ったものと説明されています。知事が目指す誰もが安心してたくさんの笑顔で暮らせる福岡県にするためにも、早急に国の経済対策を十分に生かし、物価上昇分の支援やデフレ脱却に向けた対策を打ち出すべきではないかと考えますが、知事の考えをお聞かせください。
次に、起業支援について伺います。本年十月、県の公式訪問団が米国ボストンを訪れ、バイオ企業などを視察しました。訪問団には知事、議長のほか、九経連、九州大学、本県で起業した会社と、産官学がそろって参加し、本県が推進する医療などのベンチャー支援にとって大変有意義でした。今回の視察で訪れたのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のマーティン・トラスト・センター、州政府、コロナワクチンで有名になったモデルナ、マスバイオと色とりどりで、今後の本県施策に必ずや活用されるものと確信しております。特に知事は訪問先で度々、アントレプレナーシップ、つまり起業家精神について口にされ、その重要性を自らかみしめるようにお話しされていました。
そこでまず伺います。知事は起業家精神を従来どのようなものとして捉えており、また今回の視察でその点に関しどのような新しい発見があったのか、率直な感想をお聞かせください。
次に、起業支援の具体策について伺います。起業にとって最も大切なのは起業家精神であると言えますが、それを前提に、具体的に重要なのが資金調達です。とりわけ起業途中や起業間もない会社にとって資金調達は大変大きなハードルであり、この点に頭を悩ませる経営者は多いはずです。マサチューセッツ州では、そのための基金を設けているとのことでした。
そこで伺います。県では起業支援のために資金調達についてどのような支援をしているのか、近年の実績とともにお答えください。
次に、今回の視察で訪問先の方々がしきりに言われていたことを紹介しつつ質問します。MITでも州政府でも、起業するに際しては失敗を恐れるな、失敗は悪ではないという趣旨のメッセージを何度も受け取りました。真の成功は失敗から生まれる、失敗にこそ次の成功の種がある。まさにそのとおりであり、我々は起業支援をする以上は失敗を許容しなければならないと痛感しております。
米国では国民性からか、失敗を許容するおおらかな土台があるように思います。また現実的にも、百の起業のうち二、三しか成功しなくても、その二、三で元が取れればいいという合理的な考えもかいま見えます。日本では、失敗は悪、まず失敗の可能性を限りなくゼロにしてから物事を始めるという考えが根深く、誰もがチャレンジしていない分野に飛び込むという起業の世界とは相性がよくないように見え、この点を克服しなければならないと思います。
このように精神的な面に加え、制度的な問題として横たわるのが個人保証であります。従来日本では、会社債務を経営者が連帯保証するという商慣行が当然のように行われております。これは世界的には特殊な例であり、そもそも株式会社という概念が生まれた根底には、会社の所有と経営を分離する、会社の所有者は株式を通じて会社に関して間接有限責任のみ負うという点にあります。かみ砕いていうと、会社の所有者、つまり株主は株式取得に要した費用以外はリスクを負わなくてよく、それ以上債権者から責任追及を受けることはありません。経営者、つまり代表取締役も経営のプロとしてその責任のみを負うことになります。
ところが日本では、株主兼経営者の形態が多いためか、会社という法人の債務を、株主兼代表取締役が個人で保証することで実質的には間接有限責任という株式会社の趣旨を没却してしまっており、これにより会社が失敗すれば個人も破産、再起不能のダメージを負ってしまい、再チャレンジなどとんでもないということになってしまうのです。私はこの制度的な問題、経営者保証の廃止こそが起業家精神を制度的に支える不可欠な要素であり起業支援の肝であると考えますが、この点に関しての見解と県の取組について伺い、この項の質問を終わります。
次に、地震災害についてお尋ねします。今年は関東大震災から百年目の節目に当たります。地震大国とも称される日本には、その名のとおり全国に約二千の活断層があると言われ、令和三年には震度一以上の地震が二千四百二十四回、令和四年には千九百六十四回生じており、毎日どこかでその大小を問わず地震が起こっていると言っても過言ではありません。
国の地震調査研究推進本部によると、県内には三十年以内の地震発生確率が三%以上のSランクの活断層である警固断層と福智山断層の二つが存在しています。このようなことを踏まえると、福岡県においても、いつ大規模な地震が起こってもおかしくないと考えます。
そこでまず伺います。地震に対して本県はどのような対策に取り組んでいるのかお尋ねします。
次に、地震発生時の大規模火災に関連して、木造建築物密集地域の防火対策についてお尋ねします。関東大震災による死者・行方不明者は約十万五千人に上り、その約九割が火災による死者でした。これは当時、木造家屋の密集地域が数多く存在し、大規模に延焼したこと、そして火災が起きた地域から火災旋風が発生したことによるものです。
時代が過ぎ建築様式も随分変わりましたが、記憶に新しい平成七年一月の阪神・淡路大震災でも古い木造家屋の密集地域で大規模な火災が起きました。このほか地震を起因とするもの以外でも、平成二十八年十二月には新潟県糸魚川市で、昨年四月と八月には、木造店舗が密集した旦過市場で同様に大規模な火災が起きたところです。今年八月、ハワイのマウイ島西部で起きた山火事では、強い風にあおられ急速に燃え広がり、市街地が壊滅的な被害を受けました。専門家によれば、マウイ島の火災も関東大震災と類似した火災旋風の影響があったと指摘する声も出ています。このように木造の建築物が多い地域で大規模な火災が起きると多くの人命と財産が失われ、地域住民の日常生活を一瞬で奪ってしまうことになります。
そこで、知事にお尋ねします。県において、木造建築物が密集する商店街など大規模火災の危険性が高い地域での火災を未然に防ぐため、どのような取組を実施しているのかお聞きします。
次に、人権問題について伺います。今月四日から十日までは法務省が定めた人権週間であり、今年も様々な啓発活動が行われています。
そこでまず、本年の本県における取組と人権啓発の大切さに関する県の認識をお聞かせください。
次に、人権問題の中でも最近耳にすることがある人権デューデリジェンスについて伺います。デューデリジェンス、直訳すると適切な注意。耳なじみない方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば企業買収、M&Aの場面で企業の財務、法的リスクなどを事前に調べる用語として用いたりします。最近では芸能プロダクションの性加害事案が社会問題になった際に、取引先企業の人権デューデリジェンスの問題として着目されました。つまり、企業からすれば、人権侵害を行っているような相手と取引を行うことで生じるレピュテーションリスク、風評被害を避けるために、あらかじめ相手方の人権保護状況を調査し、問題のある相手とは付き合わないというものであります。この点については国もガイドラインを作成しており、また、これを踏まえ政府も公共調達における人権配慮の確保に努めると表明しています。
そもそも人権デューデリジェンスという概念そのものは大変広いものであり、例えば労働法制を守り自社の従業員に過重労働させないというようなことも広い意味での人権デューデリジェンスに含まれますが、今回は取引の相手方という部分に絞って伺いたいと思います。
まず県では人権デューデリジェンスをどのようなものとして捉え、これを実践するためにどのような取組を行っているのか、現状をお答えください。
次に、今後の取組についても伺います。このたびの性加害事案が社会問題化したことを受け、世間でも一気に人権デューデリジェンスに対する認識が広まってきています。民間企業においては企業評価、業績に直結する課題であり、今後スピード感を持って取り組まれることと思いますが、県などの公共機関にとっても人権尊重は憲法の価値に基づくものであり、公が率先して実現すべきものであります。そこで今後、本県が行う取引において、どのように人権デューデリジェンスを実現するのかお答えください。
次に、県職員のメンタルヘルス対策について伺います。この五月に新型コロナの感染症法上の扱いが二類から五類に移行し、様々な面で日常を取り戻してきております。しかし、世界的には急速な日常復帰に伴い新たな問題が発生しています。それは働く人のメンタルヘルス不調であります。ニュースサイトでも、テレワークに慣れた今、コロナ前の状態に戻るのが新たなストレスにという記事も見られます。様々な記事に目を通してみると、テレワークに慣れた人が電車通勤、また出社で急に多くの人に会い、それがストレスなど、出社回帰に伴う課題が明らかになっています。
公益財団法人日本生産性本部が本年十一月に公表した調査では、心の病が最も多い年齢層が十代から二十代であり、二年前の前回調査時の二九%を大きく上回る四三・九%とのことでした。これには、コロナ禍で入社した若手層がテレワーク等で対人関係や仕事のスキルを十分に積み上げることができない中で、五類移行に伴う出社回帰の変化が大きなストレスになったとも考えられるとの分析があります。正確な原因は分かりませんが、若手層に限らず、出社回帰がストレス要因となってメンタルヘルス不調に陥ることは推測できます。
そこでまず伺います。今述べたように、コロナ禍を受けメンタルヘルス不調を訴える人が増加している状況がありますが、本県の状況はどうなのか御教示ください。
次に、メンタルヘルス不調を防ぐ取組にもなるストレスチェックについて伺います。ストレスチェックは平成二十七年十二月に一定規模以上の事業所において義務化され、この十二月で実施九年となります。
そこでまず、本県における実施状況について、ストレスチェックがメンタルヘルス不調防止にどのような意義があるのか触れた上でお答えください。加えて、ストレスチェックを行った結果、ストレス度が高いと判定された方がどのくらいおられ、そのうち医師による面接指導を実施した方はどのくらいかについてもお聞かせください。
医師面談をお聞きしたのは、これから述べる理由もあります。ダイネータという会社が世界十一か国の一万一千人を対象にした調査では、日本人は世界と比較してコロナ前よりメンタルヘルスが悪化したとの回答が多く、同時に、自分のメンタルヘルスについて他人に気軽に相談できるという人が少ないという結果でした。これはつまり、仮にメンタルヘルス不調を自覚しても、同僚や上司にも相談しづらいということであり、本人からの申出が必要な医師面談に結びついていない可能性があります。医師面談が少ないからといって深刻な問題を抱えている人が少ないと評価するのではなく、客観的に面談を必要とする人を抽出する仕組みが必要です。
そこで最後に、今後ストレスチェックをどのように活用し、職員のメンタルヘルス向上に取り組むのか、御決意をお聞かせください。
次に、本県の
中小企業対策についてお伺いします。東経ビジネスのデータによると、二〇二三年度四月から九月、福岡県の企業倒産状況が前年比一二一%増の百八十一件、負債総額が二七・五ポイント増の三百四十四・三億円となっています。分析では、コロナ禍で疲弊したまま立ち直れない小規模な企業の倒産が今もなお続いている状況とされており、企業倒産の先行指標の一つとされる代位弁済が急増、信用保証協会の保証付融資の返済を肩代わりする弁済数は二〇二三年度の四月から六月において全国で九千七百二十件となり、今後も中小企業の倒産が増えることが懸念されているとありました。
そこで知事に、県内企業の倒産の状況を含めた県内中小企業の経営環境についての県の認識をお伺いします。
次に、企業倒産の増加が見込まれる中、企業再生支援についてお尋ねします。昨年六月、福岡県中小企業融資制度に係る中小企業者等の事業の再生のための措置に関する条例が制定されました。本条例は、中小企業者等の迅速かつ円滑な事業の再生に資することを目的として、県は保証機関である信用保証協会からの申請に基づき回収納付金を受け取る権利を放棄できるよう定めています。本条例によって、再生処理のスピードを上げて企業の価値低下を最小限に抑え、雇用の減少や取引先企業の破綻など二次的な損失を防ぐことが可能となります。迅速な対応で将来性のある企業を残すという目的で制定された条例ではありますが、企業が債務を返済できなくなると、県から信用保証協会へ損失補償することになります。このことは県財政の悪化にもつながるため、資金繰りが悪化し返済不能となる前の段階で、中小企業の経営改善に向けた取組をしっかりと支援していくことが重要になるかと思われます。
そこで伺います。中小企業の経営改善に向けて県としてどのように取り組んでいくのか御説明ください。
次に、農林水産問題について、本県の農林水産業の発展を考える上で気になっている点を幾つかお尋ねします。
初めに、気候変動と地球温暖化について伺います。ワンヘルスの質問でも取り上げたように、近年、地球温暖化の影響は加速度的に進んでいます。特に今年は梅雨明け以降、北日本・東日本を中心に記録的な高温で推移し、少雨も重なり、米どころの新潟県ではコシヒカリの一等米比率が三・六%まで低下するなど農作物に大きな影響が出ているようです。気象庁も今年のような猛暑などの異常気象が今後も常態化するおそれが高いと警告しており、近年連続して発生している梅雨末期の豪雨もその影響の一つではないかと思うところです。
本県ではこの時期が大豆の播種時期に当たり、大雨により播種が遅れることが収量の不安定化の原因の一つとなっていることから、新品種のふくよかまるへの全面切替えを進めておられます。今年も大豆の播種時期に降雨が続いた上、その後の猛暑と少雨により収穫を心配しておりましたが、私の地元中間市をはじめ、新品種のふくよかまるに切り替えた産地では収量は好調だったとのことです。
そこでお尋ねします。こうした取組は福岡県農林水産振興基本計画で掲げる気候変動などに対応した県独自品種や新技術の開発・普及という施策の一環と考えますが、県では気候変動に対応するための新品種や新技術の開発と普及にどのように取り組んでいるのかお答えください。
次に、気候変動と地球温暖化に関連して、本県の水資源の状況についてお尋ねします。言うまでもなく水は、農業や漁業をはじめ、飲料水や工業用水、発電など私たちの暮らしに大きな恵みをもたらしてくれる大切な資源です。この大いなる恵みを受け、筑後川の下流の有明海では本県特産のノリの養殖が行われておりますが、新聞報道などによると今年は大変良いノリが取れているとのことで、関係者の期待も高まっているようです。
こうした中、少雨傾向が長きにわたり続いたことにより、近畿の水がめと言われる琵琶湖の水位が大幅に低下するなど西日本を中心に全国的に渇水が懸念されていますが、地球温暖化に伴い降水量の変動幅が大きくなることが渇水のリスクを高める一因とも言われております。
本県においても今年は七月に豪雨に見舞われ、県南地域では広範囲で甚大な被害が発生しましたが、その後は台風の襲来もなく、雨が少ない天候が続いております。特に九月から十一月までの降雨量は過去二十年間で最も少なく、本県の水資源状況についても心配しているところです。先月二十日に筑後川水系渇水調整連絡会幹事会が開催され、国、県、水資源機構が連絡調整を密にし水利用の把握を行うとともに、市民への啓発活動を行っていくことが合意されたと聞いております。
そこで、筑後川において今後も少雨が続いた場合に県民生活に影響が生じないようどのように対応するのかお伺いします。
農林水産問題の最後に、化学肥料の価格高騰を踏まえた堆肥などの有機質資材の利用についてお尋ねします。原油価格の高騰や円安、ロシアのウクライナ侵略や緊迫する中東情勢などにより、肥料をはじめとする生産資材や飼料価格が高騰し、農畜産業を取り巻く情勢は極めて厳しい状況となっています。このうち肥料については、その原料の窒素、リン、カリのほぼ全量を輸入に依存しており、国際情勢などの影響を受けやすい状況にあります。高品質な農産物を安定生産するためには肥料は欠くことができないものであり、化学肥料の価格が上がったからといって使用量を減らすというわけにはいきません。
このような中、国は二〇五〇年までに輸入原料及び化石燃料を原料とした化学肥料の使用量の三〇%低減を目指すとしており、二〇四〇年までに主要品目について生産者の多くが取り組むことができるよう次世代有機農業に関する技術確立を促進するとしています。本県としても、農業者の経営安定のために化学肥料の使用量を節減し、化学肥料の代替となる堆肥などの有機質資材の活用を可能な限り進めるべきだと考えます。中でも畜産由来の堆肥は昔から農家にとって大変身近なものであり、この製造と利用の両面から支援をしていくことが重要だと考えます。
そこでお尋ねします。県では農業者の経営安定のため堆肥の利用拡大にどのように取り組んでいるのかお答えください。
次に、教育問題についてお尋ねします。
まず不登校の問題について伺います。今年十月に文部科学省は児童生徒の不登校等の状況を公表しました。それによりますと、令和四年度の小中学校の不登校児童生徒数は約二十九万九千人で、このうち学校内外の機関等で相談・指導等を受けていない児童生徒数は約十一万四千人で、いずれも過去最多になっています。
また福岡
県教育委員会が同時期に公表した資料によりますと、令和四年度の福岡県の公立小中学校の不登校児童生徒数は一万四千九百四十三人であり、前年度と比較して約二四%増加しているとのことです。また千人当たりに換算した不登校児童生徒数は三十六・五人であり、全国平均の三十一・七人を大きく上回っていることが明らかになりました。
このような状況の中、文部科学省は今年の三月に誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策としてCOCOLOプランを取りまとめており、不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにすることを目指しております。福岡
県教育委員会においても、不登校児童生徒全ての学びの場の確保、心の小さなSOSの早期発見、安心して学べる学校づくり等の取組をしっかり進めるべきだと考えます。
そこで、教育長にお尋ねします。不登校の小中学生が増えている状況において、本県では現在どのように不登校対策に取り組んでいるのかお答えください。
また、先ほど説明しましたCOCOLOプランにおいては、NPOやフリースクール等の民間施設との連携を強化することも不登校支援には効果的であることが示されております。不登校の子供たちの状況は様々であります。例えば学習意欲はあるものの集団に適応できずに不登校になり少人数指導の学習環境が必要になる子供もいれば、ひきこもり傾向にあり家庭以外での居場所づくりやカウンセリング、教育相談などの支援が中心となる子供もいます。また家庭環境や地域の教育支援機関などの不登校の子供たちを取り巻く環境も多様であります。
そこで、教育長にお尋ねします。多様な支援を行うためには、フリースクール等の民間の力も活用し、一人一人の状況に合った支援が有効だと考えますが、教育長のお考えをお示しください。
関連して、いじめ重大事態に関する県の対応についてお尋ねします。県では今年十一月、いじめ専用の相談窓口として福岡県いじめレスキューセンターを開設しました。このセンターでは学校外の立場から弁護士、社会福祉士、精神保健福祉士などの専門家が、いじめの相談対応のみならず、いじめの解消に向けた学校側との調整やその後のフォローアップまで実施することとなっております。これまでの学校や教育委員会における取組と併せて、
重大化するいじめの解消につながる取組として心強く思っております。
あわせて、いじめ重大事態に関して本県の担当部局間の連携と今後の対応について、初動時のルールが示されました。ここでは、担当課と福岡県いじめによる重大事態再調査委員会の事務局である私学振興・青少年育成局政策課が情報共有をしながら学校への支援などを行うこととなっています。しかしながら、さきに取り上げたとおり、令和四年度の本県の公立小中学校の不登校児童生徒数は約二四%増加しており、その中には、いじめや重大事態につながる事案が少なからず潜在化しているだろうと推察します。
そこで、知事にお尋ねします。今後、重大事態が減少することを願っておりますが、学校等から担当課への相談が増加することが予想されることから、その対応には体制の強化が必要ではないのかとの懸念があります。今後の私学振興・青少年育成局の体制強化についてどうお考えなのかお答えください。
次に、教員不足と人材確保の問題についてお尋ねします。昨今の教育現場は言うまでもなく逼迫してきており、特に小学校では今年も教員が足りない状態で年度をスタートした学校が九十六校あるほど、教員の人材確保には大きな問題があります。
今回、代表質問に臨むに当たり、かねてから質問しようと思っていた教員の人材確保に対する施策があります。それは東京都が既に実施しており、埼玉県等、他の自治体も導入準備段階にある、大学三年生に対して教員採用試験の一次試験の一部の受験を可能にするというものです。先月に福岡県も同様の施策を行っていくとの発表がなされ、福岡県の教育行政が教員の人材確保に対して危機感を抱いていることに安心し、報道を見ていました。
今年度東京都で行われた大学三年生前倒し選考の内容としては、次年度の教員採用試験において同一校種、同一教科で受験する場合に限り、一次選考の教職教養と専門教養を免除するというものでございました。
そこで、教育長にお尋ねします。次年度より福岡県で行われる本施策の概要の説明を、これまでの教員採用試験との違いとともにお示しください。
次に、その効果について伺います。今年度東京都で行われた大学三年生前倒し選考では、小学校の受験者数九百二十一人に対し、選考通過者が七百七十八人の通過率八四・五%という数字が先日発表されました。この発表に対し、七百人を超える来年度の受験者を確保するためのよい施策であったという声や、八〇%を超える通過率は試験としての意味をなしていないなど、賛否両論様々な声が上がっております。
そこで伺います。この東京都の選考結果を踏まえ、次年度より福岡県で行われる本施策の期待される効果について、教育長の考えをお示しください。
最後に、交通事故抑止に向けた取組について警察本部長に伺います。自動車は我々が手にした文明の利器であり、人間社会を劇的に便利にした一方で、悲惨な交通事故を時に引き起こす凶器となり得るものでもあります。交通事故の抑止は、我々利便性を享受する者にとって果たすべき義務でもあります。
そこで今回このテーマについて伺います。まず前提として、県内における本年の交通事故の動向についてお聞かせください。
次に、交通事故抑止に向けた具体的な取組について伺います。神奈川県警は昨年、全国で初めて交通事故を予測するAIを導入し、全国ワーストだった交通事故死者数が統計史上最少を記録したとのことです。そのAIを活用したシステムとは、報道した産経新聞の引用によると、人流データや交通量、過去の交通事故の発生状況のほか、人の活動に影響を与える天候、金融機関のATMの位置など八十三種類の公開情報を学習する。データを読み込んだAIは県内全体を百メートル四方で区切って交通事故の危険性が高い地域を赤色で表示。毎日データを学習し精度は向上していくとのことであります。このデータを現場の警察官らがパトロールコースの設定などに活用しているそうです。神奈川県警では、さらに今年八月から損害保険会社の有する走行データもこのAIシステムに取り入れ、交通事故のさらなる抑止を目指しているそうです。効果の検証は今後必要になるとはいえ、意義のある取組だと考えます。
そこで、本県警においても、システムなどを活用した交通事故抑止の取組を行っているのかお伺いします。
最後に、本県における交通事故の抑止に向け、今述べたAIなどの活用も含め、どのように取り組んでいくのか、警察本部長の決意を伺います。
以上で代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
12 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
*知事答弁
13 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
まず、私立高校におけるワンヘルス教育についてでございます。ワンヘルスは、その理念を理解した上で実践することが必要でございまして、このためには教育が重要な役割を果たします。また、人と動物の健康、環境の健全性を一体的に考える必要がございますことから、生徒が教科を横断的に考え、探究する力を身につけることができます。このため本県では私立高校全体にこの教育を普及させていくことを目標としております。
これまで二つの学校が研究協力校となり、セラピー犬を活用した看護の手法やセンダンの木を教材とした環境保護をテーマとして先行的に取り組んでまいりました。また先月福岡市で開催されましたワンヘルスフェスタでは、アジア獣医師会連合の藏内勇夫会長と、動物愛護に取り組む福岡舞鶴高校の二人の生徒さんによりまして、人と動物の共生社会づくりをテーマとしたトークショーが行われました。
私立学校は建学の精神に基づき独自の教育方針で運営されておりますことから、さらなる普及を図りますためにはワンヘルス教育のメリットについて御理解いただく必要がございます。このため県の担当者が福岡県私学協会の役員会や各地区の支部会に出席して説明を行い、併せて各学校に担当教員の配置を要請しているところでございます。来年初めには福岡県獣医師会と連携し、担当教員を一堂に集めた指導者セミナーを開催いたしますとともに、必要に応じ県と獣医師会が学校に出向きまして、その学校の特色に合った授業内容についてアドバイスを行うことといたしております。
次に、国の経済対策への対応についてでございます。国は、エネルギー価格の負担軽減や中小企業等における持続的な賃上げの実現に向けた支援などを盛り込みました、事業規模約三十七兆円のデフレ完全脱却のための総合経済対策を閣議決定し、十一月二十九日、この対策の裏づけとなる補正予算が成立をいたしました。
本県におきましては、この補正予算を最大限活用し、県民の皆様の安全を守る防災・減災、老朽化対策、電力・ガス・食料品等の価格高騰対策に加えまして、デジタルの活用をはじめ、効率性、生産性を高めることによる持続可能な社会経済の構築に重点を置く補正予算を今、鋭意編成中でございます。
具体的には、電気料金等の上昇分に対する支援として、医療機関、介護サービス事業所、私立保育所、私立学校、子供食堂、LPガス消費者、地域公共交通事業者などに対する助成を、賃上げを実現するために、生産性向上、経営革新に取り組む中小企業や医療機関に勤務する看護補助者、介護・障がい福祉サービス事業所の職員への助成を、デジタルを活用した効率性・生産性向上のため福祉施設における介護ロボットの導入支援や、農林業総合試験場に我が国で初めてとなりますAIを活用した研究開発設備を整備し米の新品種開発を加速する、こういったことに取り組むことといたしておりまして、これらの施策を盛り込んだ補正予算を来週中に提案させていただきたいと考えております。
起業家精神への認識についてお尋ねがございました。起業家精神とは、新たなビジネスチャンスを見つけ、革新的なアイデアと行動力で失敗、リスクを恐れずに成果を追求する姿勢や能力のことであると認識をいたしております。
今回のボストン訪問では、マサチューセッツ工科大学(MIT)のマーティン・トラスト・センターを訪問いたしまして、ここでは年間九百社ものスタートアップ企業を輩出しておりますが、この同センターの人気講師でいらっしゃいますビル・オーレット教授から起業家精神を育てていくための取組についてお話を伺いました。この同センターでは起業を成功させるポイントとして、目標や心構えを共有するマインドセット、成功事例から技術や知識を学ぶスキルセット、そして目標を達成するための運営や手順を組織に浸透させるオペレーション、この三つを重視しており、特に印象に残りましたのは、この三点に共通する、起業はチーム力が重要であるという考え方でございました。ビル・オーレット教授は、スタートアップ企業ではカリスマ経営者など特定の個人に注目が集まる傾向があるが、多様な能力や個性を持つチーム力こそが何よりも重要だと繰り返し強調されておりました。この考え方はスタートアップ企業にとどまらず、我々行政においても共通するものであり、チーム力を引き出す取組の重要性というものを再認識したところでございます。
創業前後の資金調達に関する支援についてでございます。県ではベンチャー企業の資金調達などを支援するため、平成十一年からビジネスパートナーとのマッチングの場として、フクオカベンチャーマーケットを毎月開催しております。昨年度までに登壇した企業は二千七百六十社に上っておりまして、この中には、国内初となる商用電気自動車専用の量産組立工場を今、北九州市に建設中でありますEVモーターズ・ジャパン、あるいは、独自のゲノム編集技術により、大手製薬会社と二百億円を超えるライセンス契約を締結したバイオベンチャー、エディットフォースなど、登壇企業全体の約二〇%の企業が資金調達や販路拡大に成功いたしております。また一昨日、十二月六日でございますが、東京グロース市場に上場いたしました宇宙ベンチャーQPS研究所をはじめ、登壇企業の三十三社が株式上場を果たしております。
一昨年度からは、有望なスタートアップ企業を経験豊富なコーディネーターや専門家が伴走支援するアクセラレーションプログラムISSINを開始し、これまでに支援いたしました十社のうち九社が資金調達に成功いたしております。こうした取組の結果、県内ベンチャー企業の資金調達額は年々増加し、昨年は四百七億円と過去最高額となっております。
次に、経営者保証の廃止についてでございます。経営者保証は、経営の規律づけや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がございます。しかし一方で、スタートアップの創業や経営者による思い切った事業展開をちゅうちょさせるといった課題があると認識しております。こうした課題に対応いたしますため、国は今年三月、創業時の新しい信用保証制度として保証料上乗せにより経営者保証を不要とする制度を創設したところでございまして、本県の制度融資におきましても同様の制度をスタートさせました。
また国は、昨年十二月に取りまとめました経営者保証改革プログラムにおきまして、創業時以外にも経営者保証を不要とする制度を来年四月に創設するという方針を打ち出しました。その後、今年十一月に発表されました総合経済対策におきましては、この予定を今年度中に前倒しして創設するとされているところでございます。県といたしましては、今後もこうした国の動きを注視してまいりたいと考えております。
次に、地震災害についてでございます。県では、平成七年に発生した阪神・淡路大震災を踏まえまして、県地域防災計画震災対策編を策定いたしました。その後、平成二十三年に発生した東日本大震災を踏まえ、この震災対策編を地震・津波対策編と改定したところでございます。
この計画では、地震や津波に対する災害予防や災害応急・復旧対策を定めておりまして、これを的確に実施できますよう、平素から陸海空の自衛隊、消防等の防災関係機関や市町村と共に災害対応力の向上を図り、また連携強化にも努めております。具体的に申しますと、毎年防災関係機関トップと知事との意見交換会、あるいは市町村長を対象とした災害対応力の向上を図る危機管理研修、災害時の連携強化や防災技術の向上等を図る県総合防災訓練などに取り組んでおります。
あわせまして県民の皆様には日頃からの備えと地震発生時に適切な行動が取れますよう、本県の防災アプリまもるくんや防災
ホームページ、防災ハンドブックでは屋内や屋外での対応につきまして、小学生用の防災教育副読本では自分の命を守るための行動について、高齢者用の防災の手引きでは緊急時の避難行動についてなど、分かりやすいイラストを活用して周知を図っているところでございます。
今後もこうした取組を続けますとともに、効果的な手法を取り入れながら県民の皆様の安全・安心を確保してまいります。
木造建築物密集地域の防火対策についてお尋ねがございました。県では昨年の二度にわたる小倉旦過市場での大規模火災を受け、昨年八月、消防庁の通知に基づき全ての消防本部に対し、木造飲食店等が密集する地域で商店街組合や地域の住民等と連携して、火を使用する器具等の適切な取扱いや消防用設備等の適正な設置、維持管理の周知徹底、また地域ぐるみの訓練の実施などを行うことを要請いたしました。
また、木造建築物密集地域の防火指導の充実強化が図られますよう、今年二月、商店街や自主防災組織等と連携した啓発活動や消火訓練などの全国の優良な取組を情報提供したところでございます。その後、十一月十五日時点での防火指導の実施状況を調査いたしましたところ、各消防本部が把握しております木造飲食店等が密集する地域二百二十六か所ございますが、このうち六十三か所が未実施でありましたため、改めて防火指導の計画的な実施を要請いたしました。
また、県民一人一人の防火意識の向上のため、九月一日からの住宅防火・防災キャンペーンの際には、関東大震災から百年目の節目として、国が作成をいたしました地震火災を防ぐポイントを示したリーフレットデータを各消防本部に提供し、住民への周知を働きかけました。
こうした消防本部に対する働きかけと並行いたしまして、春、秋の火災予防運動や県総合防災訓練等の際には、県の
ホームページ、SNS等を通じ繰り返し啓発に取り組んでおるところでございます。引き続き各消防本部と連携を図りながら防火対策に努めてまいります。
次に、人権週間の取組と人権啓発への認識についてお尋ねがございました。今年の人権週間では、街頭啓発をはじめ、
世界人権宣言などを説明したパネルを展示する県庁ロビー展、クローバープラザにおいて、小説家の平野啓一郎氏による、私たちの「人権感覚」と題する講演会や、SDGsと人権をテーマとした特別展を開催いたしましたほか、各戸配布広報紙「福岡県だより」や県広報ラジオ番組などによりまして県民の皆様への啓発に取り組んでいるところでございます。
誰もが人権を尊重され、社会のあらゆる分野で自分に合った生き方を選択し、個人としての持つ能力を発揮することができる社会を実現していかなければなりません。そのためには、人権尊重社会の確立に向け、あらゆる機会を通じて人権教育、人権啓発に取り組むことが極めて重要であると認識をしております。
県における人権デューデリジェンスの取組についてでございます。昨年九月、国が策定をいたしました責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインにおきまして、人権デューデリジェンスとは、企業が自社やグループ会社、サプライヤー等における人権侵害を特定する、人権侵害の防止・軽減の取組を実施する、あるいは取組の実効性を評価する、どのように対処したかについてを説明、情報開示する、こういった一連の行為であると定義をされております。
本年四月には関係府省庁による施策推進・連絡会議におきまして、公共調達に参加する企業に対し、国のガイドラインに基づき人権配慮にも努めるということを求める国の方針が決定されました。
県といたしましても、企業が社会的責任を自覚し、人権意識の高い職場づくりを進めることが重要であると認識をしておりまして、現在、県庁ロビーにおいて人権デューデリジェンスに関するパネル展示を行っております。また国が策定した行動計画について紹介をいたしました冊子を、企業を対象とした研修会で配付して周知を図っているところでございます。さらに県と取引を行う企業につきましては、県の競争入札参加資格の審査において、人権問題に係る県の講師団講師を活用した研修や、企業経営者向けの人権啓発セミナーを受講した企業に対しては加点評価をするという取組を行っております。
今後の取組についてでございます。国においては、経済主体の一つでございます国自身が率先して人権尊重の取組を進めていくという観点から、公共調達における人権配慮の方針を決定し、入札参加者や契約相手方に対し国のガイドラインを踏まえた人権尊重の取組に努めるよう入札関係書類に記載を追加をいたしております。県といたしましても、入札参加者や契約相手方が人権デューデリジェンスに取り組み、人権に配慮した企業活動を進めていくことは重要であると認識をいたしております。このため、国の方針や取組を踏まえまして、県の調達において取引を行う企業の人権デューデリジェンスの取組が進みますよう、入札関係書類に人権尊重の取組に努める旨の文言の追加を検討したいと考えております。
次に、本県職員のメンタルヘルス不調の状況についてでございます。本県のメンタルヘルス不調による長期病休者の全職員に占める割合は、昨年度は一昨年度と比べますと〇・二一ポイント増の三・一一%となっております。これは、在宅勤務等による出勤者五割削減の目標を設定いたしました一昨年度と比べますと、大きな伸びにはなっていないところでございます。
メンタルヘルス不調による長期病休者及びその上司から産業医が聞き取ったところによりますと、不調の主な要因は、仕事上の人間関係、コロナ禍での業務負担の増加、人事異動による職場環境の変化などが挙げられております。
ストレスチェックの実施状況についてでございます。ストレスチェックは、仕事上のストレス要因を職員自らが測定してポイント化し心身の状態を客観的に把握できるという点から、心の健康対策に有効であると考えております。県では毎年六月と十一月をストレスチェック実施強化月間とし全職員を対象に検査を行い、ストレス度の高い職員に対する産業医と保健師による面談、ストレス度の高い所属には職場改善のための助言、指導を行っております。
ストレスチェックの実施により、仕事の量やコントロールの度合い、上司や同僚の支援などのストレス要因に職員が自ら気づき、セルフケアにつながっております。また、ストレスチェックの結果は職場単位で健康いきいき判定として集計、分析され、各職場ではこれを活用して、職場の強みや弱みなどの話合いを通じて職場環境の改善にも役立てているところでございます。
今年六月のストレスチェックでは、受検者のうち九・五%、六百七十六人が高ストレス者に位置づけられております。ストレスチェックを通じて把握した高ストレス者に対しては産業医面談を勧奨いたしまして、希望する十五名に対し面談を行っているところでございます。
今後のメンタルヘルス向上の取組についてでございます。県では福岡県職員心の健康づくり計画に基づき、メンタルヘルス不調の未然防止、早期発見・早期対応、病休者の職場復帰支援に取り組んでおります。具体的には、メンタルヘルス不調への対応に関する階層別研修やストレスチェック、新規採用職員や若手職員への保健指導、このほかメンタルヘルス不調者や病休者に対する産業医と保健師による面談や、さらには病休者の職場復帰支援計画の作成などを実施しているところでございます。
中でもストレスチェックは、高ストレス者や高ストレス所属の把握、これらに対するきめ細かなアプローチを行うために大変有効な手段でございます。この高ストレス者に対しては早期の面談勧奨とともに、オンラインの活用など面談を受けやすい環境を整えるための方策を検討いたしまして、産業医など専門家による面談を増やせるよう取組を進めてまいります。
県内中小企業の景況に対する認識についてお尋ねがございました。中小企業基盤整備機構の中小企業景況調査によりますと、県内中小企業の業況判断DIは、コロナ禍の影響が顕在化した時期に大きく悪化しました後、徐々に回復し、直近ではマイナス七・一ポイントまで持ち直しをしてきております。しかしながら中小企業からは、物価高騰が止まらず先が見えない状況が続いている、あるいは原材料の極端な値上げに対しての価格転嫁が困難であるといった声が寄せられております。
県内企業の倒産件数は、ゼロゼロ融資などの支援により令和三年には過去最低まで減少いたしましたが、今年四月からは毎月前年を上回り続けておりまして、現在はコロナ前と同水準となっております。倒産原因を分析いたしますと、原材料やエネルギー価格の高騰、賃上げに伴う人件費の上昇といったコスト上昇を価格転嫁できなかったことなどに加えまして、ゼロゼロ融資の返済が始まり企業の収益を圧迫したためと分析をしております。こうしたことから県内中小企業の景況は、コロナ禍が落ち着いた後も依然として厳しい状況にあると認識をしております。
中小企業の経営改善に向けた取組についてでございます。日頃の経営改善につきましては、商工会、商工会議所の経営指導員を通じまして事業者の実情をきめ細かく把握し、一社一社に寄り添った支援を実施しております。また、経営改善に向けた新事業展開支援につきましては、県内の四地域に設置をいたしております地域中小企業支援協議会におきまして経営革新計画の策定支援に取り組んでおりますほか、生産性向上により経営改善を図りますため、県中小企業生産性向上支援センターにおいて専門アドバイザーによる伴走支援や設備導入等に対する助成を行っているところでございます。
さらに、資金繰りが悪化した事業者につきましては、金融機関と信用保証協会で構成をいたしております中小企業経営改善・金融サポート会議を通じまして経営と金融の両面からの支援を行っております。具体的には、中小企業診断士や税理士などの専門家を派遣し、経営改善計画の策定とその着実な実行を支援しております。
今後もこうした取組を通じ、本県経済の発展と活力の原動力であります中小企業に寄り添い、それぞれの経営状況に応じた支援をしっかり行ってまいります。
次に、農林水産問題につきまして、気候変動に対応する新品種・新技術の開発と普及についてでございます。県では、夏季の高温や大雨の頻発など気象条件の変化に対応いたしますため、これまで、元気つくしや実りつくしといった高温に強い米を開発してまいりました。また大豆につきましても、播種の期間が長く、降雨の合間に播種でき、従来品種に比べ収量が一割程度多く、豆腐などへの加工適性も高いふくよかまるを新たに開発し普及を図っているところでございます。県内最大の大豆の生産地でございますJA柳川では、今年ふくよかまるに切り替えまして、収量が平年に比べ三割程度多く、ここ五年間では最高となることが見込まれております。
また技術面では、野菜や花などのハウスの温度上昇を抑制するため、循環扇や環境制御装置などの導入を支援しております。さらに今年度は、県内のミカンと柿の産地を中心に設置をいたしました十か所の気象観測スポットから得られましたデータを解析し、産地ごとの気象予測に基づいた栽培を支援するアプリの開発に取り組んでおります。
県といたしましては、今後も気候変動に対応できるよう、新たな品種や技術の開発、導入を進め、県産農産物の生産の安定を図ってまいります。
次に、筑後川における今後の少雨への対応についてでございます。今年は八月から少雨傾向が続きまして、特に九月、十月の筑後川流域の平均雨量は平年の三割程度となりました。このため筑後川水系のダムの貯水量は徐々に減少をしております。このような状況を踏まえ、先月二十日、国、県、水資源機構による筑後川水系渇水調整連絡会の幹事会が開催をされました。この幹事会におきましては、一昨年から小石原川ダムの貯水量が新たに確保されたこと等によりまして、現段階では直ちに県民生活に影響が出るような状況にはないとの認識を共有したところでございます。
あわせまして、筑後川の水を利用している福岡・筑後地域の皆様に対し、水を大切にするよう呼びかけを強化することとし、県では
ホームページやSNSで発信しております。
県といたしましては、今後少雨傾向が長期化した場合に備え、国や水資源機構、利水者と筑後川水系のダムの貯水状況を注視するとともに、その効率的な活用について協議を行っているところでございます。引き続き、給水制限や断水など県民生活に影響が出ないよう関係機関と連携して取り組んでまいります。
堆肥の利用拡大による農業経営の安定についてでございます。県では農業者の経営安定を図りますとともに、ワンヘルスの理念に沿って環境への負荷を軽減するため、価格高騰の影響を受けず、化学肥料の低減につながる堆肥の利用拡大を推進しております。具体的には、今年度の九月補正予算を活用し、堆肥を製造するJAや農業法人に対し、老朽化した堆肥製造施設の機能向上を支援し、製造能力の強化に取り組んでおります。
また農業者に対しましては、散布に必要な機械の導入を支援し、堆肥散布の省力化を進めているところでございます。さらに、施設園芸をはじめ、より多くの品目で利用できるよう、運搬や散布作業が容易となる堆肥のペレット化も進めているところでございまして、この利用に当たりましては、普及指導センターが技術指導を実施してまいります。
県といたしましては、こうした取組によりまして堆肥の利用拡大を進め、農業経営の安定を図ってまいります。
次に、いじめ重大事態に関する県の対応についてお尋ねがございました。いじめ重大事態が発生した際には、学校において事実関係を明確にするための調査が迅速かつ適切に実施されることが重要でございます。このため県では、初動時から関係各課が情報を共有し、学校に指導、助言を行う体制を整備いたしました。
県立学校、私立学校からの重大事態の発生報告は増加傾向にございまして、保護者、学校等から県へのいじめに関する相談等も増えております。さらに、先月立ち上げました福岡県いじめレスキューセンターへの相談を関係課で共有し、学校に適切な対応を求めたケースもございます。
こうした状況に迅速かつ的確に対応できる私学振興・青少年育成局の体制をしっかり検討してまいる考えでございます。
14 ◯副議長(佐々木 允君) 吉田教育長。
*教育長答弁
15 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 県立高校におけるワンヘルス教育の取組についてでございます。
県教育委員会では、ワンヘルス教育教材を作成するとともに、令和三年度から県立高校八校を研究協力校に指定し、食品ロス削減研究、河川水の水質調査や飼育実習など高校段階のワンヘルス教育の実践研究を進めてまいりました。
また、昨年度のFAVA大会におきましては、八女農業高校におけるレンゲ農法とアイガモ農法を組み合わせる環境に配慮した米づくりについて、また鞍手高校におけるワンヘルスをテーマにした文化祭での活動について生徒が英語で発表し、ワンヘルス教育の実践を世界に発信をいたしました。
本年度からは全県立高校においてワンヘルス教育推進教員を指定し、ワンヘルス教育を実施してまいります。具体的には、環境問題や健康を扱う地理、生物、保健体育や家庭科、食や動物を扱う農業等の教科でワンヘルスの観点を踏まえた授業を行ったり、県獣医師会から講師を招いた講演会を実施したりしています。また県のワンヘルスフェスタやふくおか教育月間など各種イベントにおきまして、生徒の発表やブースの出店、パネル展示を行い、県民の方々への啓発にも取り組んでおります。さらに各校のワンヘルス教育をより効果的に実施していくため、教員研修会を毎年実施し、獣医師や大学教授による講義や各校の実践事例の発表等を行っております。
今後とも、こうした取組の充実や優れた実践事例の普及などを通して、全県立高校におけるワンヘルス教育の充実に取り組んでまいります。
次に、本県における不登校対策についてでございます。不登校児童生徒は一人一人不登校に至った要因が異なっており、民間施設も含めた多様な学習機会の中から自分の状況に応じた支援が選択できるようにすることが大切であると考えます。そのため
県教育委員会では、福岡県不登校児童生徒支援グランドデザインを策定し、不登校児童生徒の支援に当たる関係機関が連携して支援の充実を図っているところでございます。
また全ての小中学校にスクールカウンセラーを配置するほか、市町村のスクールソーシャルワーカー配置に対する助成、心理や教育を学ぶ大学生ボランティアによるオンラインでの教育相談や学習支援、市町村の教育支援センターにおける支援のモデル開発などを行っております。
民間施設と連携した多様な支援についてでございます。不登校児童生徒への支援については、ICTを活用したオンライン学習や学校内外に設けられた教育支援センターなどで学習機会の充実に努めておりますが、子供たちの社会的自立のためには多様な支援活動を行っている民間施設との連携も重要であると考えます。そのため
県教育委員会としましては、各支援機関による協議会を設置をし、市町村の教育支援センターや民間施設の取組について共通理解を図りますとともに効果的な支援について協議をしているところであり、今後ともこうした連携を強化してまいります。
次に、大学三年生を対象とした教員採用試験の概要についてでございます。これまで大学生の受験はその卒業年次に限られておりましたが、来年度から導入をいたします大学三年生チャレンジ特別選考は、小中学校及び
特別支援学校の採用試験において、本県が第一志望であり、大学から推薦された大学三年生を対象として第一次試験を受験可能とするもので、合格者は翌年度の第一次試験が免除され、第二次試験から受験することとなります。なお、大学三年次に合格できなかった場合も翌年度の第一次試験から受験可能でございまして、教員を志望する大学生に対して、在学中の受験機会を拡大し、より受験しやすくするための改善が図られたものと考えております。
この大学三年生を対象とした教員採用試験の効果についてでございます。本県の特別選考では、適正な規模で効果的な選考ができるよう対象者を、本県が第一志望であり、大学から推薦された者に限定することといたしております。なお、東京都のその取組の効果につきましては、導入初年度であり、またこうした要件を課しておりませんことから、来年度の受験者の動向を見る必要があるというふうに考えております。
県教育委員会としましては、この特別選考の導入及び第一次試験の実施時期の前倒しにより、これまで教員を志望していながら民間企業等に就職していた大学生の受験を促すことで、優秀な人材の早期確保に努めてまいります。
16 ◯副議長(佐々木 允君) 岩下警察本部長。
*警察本部長答弁
17 ◯警察本部長(岩下 剛君)登壇 まず本年の交通事故の動向についてお答えをいたします。本年の交通事故につきましては年当初から増加傾向で推移し、発生件数にあっては十月末現在で一万六千七百六十七件の前年同期比プラス六百三十二件となっております。また交通事故死者数にあっては十一月末現在で八十七人の前年同期比プラス二十二人と、近年にない大幅な増加となっております。
次に、本県におけるシステムを活用した取組についてお答えをいたします。県警察では平成二十六年から交通事故分析システムを活用した交通指導取締りや広報啓発活動等を推進しているところでございます。この交通事故分析システムにおきましては、事故の発生状況のほか、道路の状態、交通規制、当事者の年齢、使用車両、通行目的など五十以上のデータを蓄積し、これらを基に警察本部及び警察署の担当者が多面的視点で分析を行い交通事故抑止対策に活用してございます。
また、データを地図上に表示することが可能でありますことから、発生実態の視覚的な分析を行い、取締り路線の選定や広報啓発資料の作成などにも活用しているところでございます。
最後に、交通事故の抑止に向けた今後の取組についてお答えをいたします。県警察といたしましては、悲惨な交通事故を一件でも減らしていくため、引き続き交通事故分析の高度化を図りつつ、交通指導取締り、交通安全教育、道路環境整備といった総合的な対策を推進してまいります。
なお、議員御提案のAIなどの活用につきましても、既に導入をしている他県警察における運用状況等を注視してまいりたいと考えております。
18 ◯副議長(佐々木 允君) 以上で代表質問を終わります。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 三 時 一 分 散 会
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