福岡県議会 2023-12-07
令和5年12月定例会(第7日) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(香原 勝司君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。永川俊彦君。(拍手)
*
永川議員質問
2 ◯二十四番(永川 俊彦君)登壇 皆様、おはようございます。
自民党県議団、大牟田市選出の永川俊彦でございます。このたび大変光栄なことに会派を代表しての質問の機会をいただきました。まずもって日頃より御指導を賜っております
藏内勇夫相談役、
松尾統章会長をはじめ、会派の皆様方の深い御配慮に心より感謝を申し上げます。
また、本日は大牟田市より傍聴席に応援に来ていただいております、大牟田市関市長、
大牟田商工会議所板床会頭、
並び後援会の皆様方、そして
自民党大牟田支部役員の皆様方、
自民党大牟田市議団の皆様方、力強い応援の下、県民の幸福と福岡県の発展のため、しっかりとただしてまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
初めに、本県の財政運営や来年度の方針について問いただしてまいります。昨年来続いている円安は、依然、日米の
金利格差等の影響もあり、一ドル百五十円前後を推移、その傾向は一向に収まる気配はありません。また、この円安や原油、原材料等の価格高騰に伴う物価の高騰についても鳴りを潜める様相を呈しておりません。
一方で、この物価高は
企業間取引の価格転嫁を進め、賃上げのきっかけとなるなど、価格や
賃金設定行動に変化をもたらしたこともまた事実であります。これは見方を変えれば、この三十年間物価が上がらない環境の下、低成長を続けてきた
デフレ型経済に慣れてしまった我が国において大きな転換点を迎えていると捉えることもできます。この機会を逃すことなく物価や賃金が上昇し、経済が好循環するような施策を展開すべきではないでしょうか。
あわせて、我々
自民党県議団にも、足元の物価高により生活が圧迫されている事業者から事業を継続する上で支援策を求める悲痛な声が届いており、早急な対策が求められます。折しも政府は先月、かかる認識の下、デフレから完全脱却するための経済対策を閣議決定しており、その財源の裏づけとなる総額十三兆一千億円余に上る令和五年度
補正予算案は先月二十九日に成立したところであります。
そこで伺います。知事はこの国の経済対策を受け、本県の補正予算についてどのように対応するおつもりでしょうか、その考えをお聞かせください。
次に、来年度の重点分野についてただしてまいります。令和三年四月に服部知事が福岡県政を担い始めて二年半が経過いたしました。来年度の当初予算は、言わば服部県政の真価が問われると言っても過言ではありません。
最近の円安や物価高騰といった経済の事情を見ますと、世界各地で発生している紛争や資源獲得の動きが背景にあり、我々が施策を考える場合、世界規模でグローバルな視点で考える必要があることをいや応なしに認識させられます。また、そのような世界規模の状況の変化にも耐え得るような強靱な福岡県をつくる必要があることもまたしかりであります。来年度も福岡県をさらに前へ発展させ、将来に向けて明るい展望が描ける施策を実施していくことが重要です。
そこで、知事に伺います。現在、知事は来年度の重点施策について関係部局と鋭意検討を重ねていると仄聞しておりますが、知事は来年度、どのような分野の施策を重点的に取り組んでいかれるのでしょうか。知事のお考えをお聞かせ願います。
次に、県税収入について伺います。我が
自民党県議団は、さきの九月定例会の代表質問において、令和四年度の県税収入決算について問いただしました。その際、知事からは、昨年度の県税収入の決算額は前年度決算比で四百四十億円余の増となった旨の答弁がありました。もちろん税収が増加することは本県財政にとって好ましいことではありますが、子細に確認すると、増加額の多くは原油価格が高騰したことにより輸入額が増えたもの、言わば世界情勢の変化に伴う副次的効果の影響が大きかったのも事実であります。
さて最近、企業の中間決算が相次いで発表されておりますが、これによると上場企業の九月中間決算の純利益の合計額は過去最高水準の見通しであり、来年三月期の通期も過去最高益が見込めるものと報道されております。もちろんこれは全国ベースのものではありますが、九州の主要企業においても九月中間決算は増収が八割を占め、過去最高益を出した企業も複数に上るとの報道がなされております。企業業績が堅調であればそれに伴う法人関係の税収も堅調と考えるのが一般的な感覚ではないでしょうか。県の財政運営は税収の動向に大きく左右されます。それゆえ税収の行方は大いに気になるところであります。
そこで、知事に伺います。企業の中間決算の発表も出そろってきた現時点において、知事は今年度の県税収入をどのように見込まれているのでしょうか。法人二税をはじめとした主要税目の動向などを踏まえ詳細に御説明願います。また、来年度の県税収入についてはどのように見込まれるのか、お聞かせ願います。
次に、地方自治について問いただします。近く
地方制度調査会から、
ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に対する答申が岸田総理に提出されると聞いております。答申案では、頻発する風水害などの自然災害や
新型コロナの蔓延に対し、既存制度やその運用では国、地方、地方相互間の一体的な共同・協力関係が十分確保できず混乱を来し、多くの課題を残したことを反省するとともに平成十二年四月の
地方分権一括法施行によって確立された地方に対する国の関与の在り方を見直し、その拡充強化を図ることが提案されております。
現行の
地方自治法では、関与の法定主義や必要最小限とすることなどの基本原則を定めるとともに、地方自治体の自治事務については、国民の生命、身体又は財産の保護のため緊急に自治事務の的確な処理を確保する必要がある場合等特に必要と認められる場合を除き、国の指示に従わなければならないとするようなことをしてはいけない旨を規定しております。
答申案では、こうした地方の自主性、自立性を尊重する抑制的な関与では大規模な災害、感染症の蔓延などの国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に十分に対応できないとして、国が指示できる要件を大幅に緩和するよう提言しております。
すなわち、事態の規模、態様や地域の状況等を勘案し、国民の生命、身体、財産の保護のため必要な措置を的確、迅速に実施することが特に必要であると認められるときには、個別法による根拠規定に欠ける場合でも
地方自治法の規定を直接の根拠にして指示できるようにすべきだとしています。しかも、手続的には閣議決定を経て行使することが適当だとするだけです。
確かに個別法が想定しない事態が生じたとき、個別法に基づく指示ができず、また、自治体の事務処理に
法令違反等がなければ
地方自治法も機能しない、そんな状況を避ける必要があることは当然です。そうだとしても現行の抑制的な国の関与制度は
地方分権一括法によって国、地方の関係が上下、主従の関係から対等、協力の関係へと画期的に転換された成果であることを忘れてはならないと考えます。このままでは運用次第で自治体の事務、特に自治事務に対する国の安易な、時と場合によっては不当な介入を招き、現行制度の基本的な思想とフレームが骨抜きにされかねないと考えます。
答申に沿って
地方自治法の改正案が次期国会に提出された際には、例えば指示できる場合を
緊急性要件の復活を含めもっと限定的に絞り込む、あるいは
地方自治体側に国の指示の変更を求める権能などを盛り込むといった修正案を地方六団体から提起するなどの対応が必要だと考えます。
平成十九年、いわゆる地教行法を改正し、
教育委員会の自治事務に国が指示できる根拠規定を置こうとした政府に対し、地方六団体が一丸となって異議申立てが行われました。国の方針が常に正しいとは限らず、コロナ禍の最中だけでも幾度も国の独断や勇み足が目立ったことを我々は忘れてはならないところです。自治体の自主性、自立性を堅持し、統治と分権の平衡を保つことができなければ、国、地方の関係は対等・協力から主導・追従へ変容が加速することになります。それが国民の本当の幸福につながるのか、私どもは甚だ疑問を感じざるを得ません。
そこで、答申案について知事の基本的な認識をお尋ねします。
また、
地方自治法改正など政府が進める動きに対し我が会派の提案にも配慮いただき、県としてどのように向き合うのか、知事の明確なる政治姿勢を示していただき、そのお考えをお答えください。
次に、
ネーミングライツの導入について伺います。先般、九州大学が学内の図書館の一部スペースを対象に
ネーミングライツを三年間、
ソフトウエア開発会社に売却したとの報道がありました。九州大学は導入の理由として、企業とウィン・ウィンの関係になれる取組であり、企業からの寄附や産学連携などにもつなげ、教育や研究に係る費用を補いたいとしており、現在も体育館など二十一か所で
命名権購入企業を募集しているとのことであります。
ネーミングライツは、
スポーツ施設や文化施設などの施設の名称に
スポンサー企業の社名や
商品ブランドを付与する権利であり、命名権と呼ばれるものです。一九七〇年代にアメリカの
プロスポーツ界で生まれた新しい広告手法であり、
アメリカンフットボールチームである
バッファロー・ビルズの新
スタジアム建設に当たり命名権が募集され、当時ニューヨーク州の
バッファローに本社があった食品会社のリッチ社が購入し、一九七三年にリッチ・
スタジアムとしてオープンしたことが始まりと言われており、一九八〇年代以降、アメリカにおいて
メジャーリーグやNBAなど
プロスポーツ施設を中心に施設の建設、
運営資金調達のための
財源確保策の一つとして活用されております。
国内の公共施設に初めて
ネーミングライツが導入されたのは、東京都の第三セクターが運営する
東京スタジアムであります。サッカーのFC東京と
東京ヴェルディの本拠地であり、二〇〇三年に
味の素株式会社が
ネーミングライツを獲得しております。
都道府県レベルにおいても、
Jリーグアルビレックス新潟の
ホームスタジアムである
新潟県立鳥屋野潟公園新潟スタジアムにおいて年間四千七百万円余の
ネーミングライツ料の設定がなされるなど、多くの都道府県で
ネーミングライツが導入をされております。
九州でも、
Jリーグ大分トリニータの
ホームスタジアムである
大分スポーツ公園総合競技場において、年間五千五百万円の
ネーミングライツ料が設定され、それを財源として施設の改修や備品の更新、
イベント開催といった
利用者サービスにつなげる取組が行われているところです。
ネーミングライツは
施設管理者にとっては、施設の維持、運営費を補うための新たな財源が確保でき、
スポンサー企業にとっては施設に自社名や商品名をつけることで、企業、商品の認知度や
ブランドイメージの向上、住民の好感度アップといったメリットがあります。
本県においても大規模な
スポーツイベントなどが開催可能な施設を有しており、このような施設への
ネーミングライツの導入は歳入確保が期待できるだけでなく、その対価を施設のさらなる充実のために活用することでよりよい
県民サービスの提供につなげるものと考えます。
コロナウイルス感染症拡大防止策としての施設の利用制限も全面的に解除されたことから、今後はこうした施設の利用が増えていくものと思われます。
そこで、知事に伺います。施設の利用者へのサービスの充実につながるような取組として
ネーミングライツを県有施設へも導入すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、
指定管理者制度について伺います。本県では文化施設や
スポーツ施設、県営公園など四十三の公の施設において
指定管理者制度を導入しており、これらの施設は文化やスポーツを通じて広く県民に利用され、県民福祉の向上に寄与しているところであります。
指定管理者の指定に当たっては議会の議決が必要であり、今議会におきましても
大濠公園能楽堂や
総合射撃場など七つの施設において来年度から指定管理を行う団体の指定について提案されております。
指定管理者制度は平成十五年の
地方自治法の改正により導入された制度で、公の施設の
管理受託者はそれまで自治体の出資法人や公共団体、
公共的団体のみに限定していたものを
民間事業者にまで拡大されております。
指定管理者制度が始まって約二十年が経過しましたが、
社会経済情勢も大きく変化している中、制度の適正な運用がなされているのか気になるところではあります。中でも特に気になるのが人件費や物価の高騰への対応であります。近年の人件費や物価の高騰は一部の施設の運営を厳しくしているのではないかと危惧しているところです。
実際、今年度、
大濠公園能楽堂の
指定管理業務の公募が行われましたが、応募団体がなかったため、再公募を行っております。これは本県に限ったことではなく、他県におきましても公募に対して応募がないケースがあったり、中には、施設の廃止に至った例もあるとのことであります。
大濠公園能楽堂の再公募には複数の応募団体があり、今議会に指定議案が提案されていますが、公の施設は県民福祉の向上のためなくてはならない施設であり、
指定管理者の応募がなかった、あるいは
指定管理者が運営を継続できなかったとの理由で施設を一時的であっても閉鎖することがあってはなりません。このため、本年十月の
決算特別委員会において、我が会派の
大田満議員より、県民への適正なサービスを提供するためには公の施設の指定管理を行うに当たり、改善すべき課題があるのではないかとただしたところであります。
これに対して知事は、個々の施設の規模や運営内容を踏まえ、人件費や物価の高騰等に機動的に対応できるような仕組みを検討すると答弁されましたが、今後どのような対応を行っていくのか、知事の見解を伺います。
次に、
外国人労働力を受け入れようとする中小企業への支援について伺います。県内の様々な業種の企業において人手不足は深刻な問題となっております。今後さらに顕著になっていくことは言うまでもありません。また、既に
技能実習生などの外国人材は企業にとって貴重な担い手となっており、今後ますます働き手として外国人材を受け入れていかざるを得ないことは自明の理であります。
このため、国では平成三十年十二月に
入管難民法を改正し、平成三十一年四月には建設や介護、外食など人材不足が深刻な分野に
限り外国人材を受け入れる新たな在留資格である特定技能を創設しました。本県においても、令和元年六月、外国人材の適切な受入れに向け、行政や業界団体などの関係機関で構成する
外国人材受入対策協議会を発足させ、外国人のための
相談窓口設置や
日本語教育、
労働環境整備などについて、関係団体間で情報共有を行ってまいりました。
また、さきの
決算特別委員会において、我が会派は外国人材の受入れ強化についてただしたところ、県からは、今後、
技能実習生の
受入れサポートを行う監理団体の管理、支援能力の向上を図るため設置された福岡県
技能実習生受入組合連絡協議会による取組をさらに強化すべく、県から
中小企業団体中央会へ働きかけを行うとの方針が示されたところであります。
折しも国の
技能実習制度及び
特定技能制度の在り方に関する
有識者会議などは最終報告の中で、国際貢献として始まった現行の
技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設することを提言しております。まさに外国人材の受入れは大きな節目を迎えるとも言えます。
こうした国の動きを捉え、人手不足に悩む中小企業において
外国人材確保が進むよう、
外国人材受入対策協議会を
中小企業支援の観点から強化していくことが必要ではないでしょうか。知事の見解をお聞かせください。
次に、
国際航空路線の誘致について伺います。先ほどただしましたが、中小企業の深刻な人手不足を解消する上では、今後ますます海外から優秀な外国人材を本県に呼び込むことが重要になり、そのためにも海外と本県を結ぶ直行便の就航が欠かせないものと考えております。現在はコロナ禍も終わり、国際路線も戻ってきておりますが、コロナ禍前と比較して十分とは言えないのではないでしょうか。
そうした中、かつて福岡と
インドネシアを結んでいた
国際航空路線としては、
ガルーダ・インドネシア航空による直行便が就航した実績がありましたが、現在はいまだ復活に至っておりません。
今申し上げました
インドネシアは世界第四位となる二億七千万人の人口を有し、豊富な人材や天然資源も相まって、近年目覚ましい経済成長を遂げています。日本と
インドネシアの両国は
戦略的パートナーとして、経済、政治、文化といったあらゆる分野で友好関係を強化しており、今年は国交樹立六十五周年の節目となっております。また、特徴として約七十一万人の
日本語学習者がいるのも事実であります。
さらに、本県には在
福岡インドネシア共和国名誉領事がいらっしゃるとともに、九州・
インドネシア友好協会が設立されているほか、北九州市とスラバヤ市が
環境姉妹都市提携を行っているなどの交流があります。また、二〇二二年末時点で二千六百十二人の
インドネシアの方が暮らしており、その内訳は
技能実習生の方が千四百二十一人、留学生の方が二百十五人などとなっております。特に
技能実習生をはじめとする働き手としての方々が大きく増えるなど、本県が外国人材に選ばれる地域づくりを進めていく上で
インドネシアは大事なパートナーとして有望国であると考えます。
今後、日本において少子高齢化が進んでいく中、国内で優秀な外国人材の獲得競争が激しくなってくることは容易に想像できます。そうした中、本県がその競争を勝ち抜く上で海外と本県を結ぶ直行便の役割はますます重要となるのではないでしょうか。
そこで、知事にお尋ねいたします。今後、福岡と
インドネシアを結ぶ
国際航空路線の誘致に向けて県としてどのように取り組んでいくのかお聞かせください。
次に、子供食堂への支援について伺います。子供の貧困、ヤングケアラーの問題、児童虐待の増加など子供を取り巻く課題が多様化する中、我が会派では知事に対し、昨年九月定例会の代表質問において、厳しい家庭環境にある子供を必要な支援につなげていくために重要な役割を果たしている子供食堂を県として支援すべきではないかとただしました。
また、続く十二月定例会の代表質問においては、
子供食堂支援なども含め子供施策を推進するため、
ふるさと納税制度による寄附金を子供施策の財源に充当することができないか、知事の見解を求めました。
これらに対し、知事からは、子供食堂のネットワークを広げ、
子供食堂同士の連携が促進されるよう支援を行っていくこと、また、子供食堂は人々の善意によって運営しているところも多く、寄附された方々のお気持ちを直接お届けできることなどから、目的を特化した
クラウドファンディング型ふるさと納税による支援が適当との答弁がなされました。
このように、我が会派は子供たちが置かれた環境に左右されることなく健やかに成長できる社会の実現と未来を担う人材の育成を望む熱い思いを持って、一貫して子供食堂への支援を訴えてまいりました。このような我が会派の思いを服部知事は真摯に受け止められ、今年度、子供食堂を支援するため
クラウドファンディング型ふるさと納税を活用した福岡県
こども食堂応援プロジェクトを開始されたところであります。
子供食堂はその設立、運営に携わっておられる代表者の方はもちろん、食事の調理など子供食堂の開催を支えるスタッフ、会場の確保や食材の提供、搬送に関わる関係者の皆様、そして寄附により子供食堂を御支援いただいている企業や個人の皆様など多くの方々の善意で成り立っております。
改めて日頃から本県の未来を担う子供たちに御尽力いただいている子供食堂の関係者、そして今回
プロジェクトの趣旨に賛同し、寄附による御支援をいただいた皆様に対し敬意を表し、感謝を申し上げます。今後も子供食堂が地域で安定した活動ができるためには、今回の
プロジェクトを契機にこのような支援の輪がさらに大きく広がり、その善意が着実に子供たちの健やかな成長につながっていくことが重要であります。
そこで、知事にお伺いします。今年度、この福岡県
こども食堂応援プロジェクトにおいて、どれだけの寄附があり、これらの寄附を具体的にどう活用していくのでしょうか。また、子供食堂が地域で安定的に活動できるよう、県として子供食堂への支援を今後どう行っていくのか、明確に知事の見解をお示し願います。
次に、福岡県の
スポーツ推進について伺います。福岡県は
スポーツ立県福岡を標榜し、大
規模国際大会や国際交流、地域の活性化など、国内外を問わず様々な活動に熱心に取り組んでいます。
今年を振り返ると、
世界水泳選手権二〇二三福岡大会、福岡、熊本、大分の三県による九州初の開催となったツール・ド・九州二〇二三といった大
規模国際スポーツ大会が開催されました。
また、国際交流の分野においてもハワイ州とのバスケットボールを通した交流、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州とのラグビーや
女子硬式野球を通した交流が行われ、九月議会における我が会派の代表質問に対する知事の答弁のとおり、早くも具体的な成果が得られていることを大変うれしく思います。
県議会においては、我が会派の
井上順吾議員が会長を務めます福岡県
スポーツ議員連盟において、昨年四月に熊本県武道・
スポーツ推進議員連盟と同十月には大分県
スポーツ議員連盟との意見交換を実施し、また本定例会後には、宮崎県
スポーツ議員連盟との意見交換が予定されております。こうしたことは、近い将来、九州という大きな枠組みによるスポーツを通した取組につながる契機となるものと大いに期待をしているところでございます。
折しも今、九州という言葉を使いましたが、我が会派の
藏内勇夫相談役が会長を務める九州の自立を考える会では、平成二十六年十月に九州の成長戦略に関わる政策提言を当時の
松本國寛座長が取りまとめられ、スポーツの振興、
スポーツ関連産業の育成等について提言をされておられます。この提言は、今、目を通しても現状の課題の核心に迫るものであり、今後、県議会としてもこの提言に基づき、九州各県と連携・協力しながらスポーツにまつわる観光や食といった関連産業のさらなる充実を図り、
スポーツアイランド九州と言えるような取組を行いたいと考えているところです。
県議会では
スポーツ立県調査特別委員会にて福岡県の
スポーツ推進役であります
原口剣生議員を中心に
スポーツ立県福岡を目指す取組について議論を深めております。これまで
スポーツ庁をはじめ、多くの
スポーツ所管団体との協議を行うとともに、東京二〇二〇オリンピック・
パラリンピック会場や他県の
スポーツ施設も数多く視察してまいりました。今年は私も管外視察で行かせていただきましたが、長崎県において民間主導で開発建設中の
複合スポーツ施設を視察いたしました。また、佐賀県にも同様に
プロリーグやコンサートなどが開催できる巨大な多
目的アリーナが建設され、多くの観客を集めていると聞いております。
一方、福岡県内の施設を見ますと、
世界水泳選手権二〇二三福岡大会で使用した
マリンメッセ福岡や二〇二一
世界新体操選手権北九州大会で使用した
西日本総合展示場など
コンベンションセンターにおいて大
規模スポーツ大会やイベントが開催されているものの、世界規模の大会では仮設による施設の一時的な設置が必要であり、多大なコストを要しております。
本県が所有する施設では久留米総合スポーツセンターや県立スポーツ科学情報センター、県立総合プール、県営公園に整備している各
スポーツ施設がありますが、大
規模スポーツ大会の開催に求められる施設規模としては十分とは言い難い状況です。
九州のリーダー県たる本県が九州に、日本に、そして世界にも誇れる
スポーツ施設を建設することはできないものでしょうか。もちろん先月起工式が行われた福岡武道館や大濠公園に新たに建設する県立美術館をはじめ、多くの施設の建設が計画的に進行中であり、すぐに建設できるものではないということは十分承知をしております。しかし、
スポーツ立県福岡を標榜する本県として、世界から注目され、求められるためにも世界に誇れる
スポーツ施設の建設を私たち県議会と共に建設していこうではありませんか。
本県では、令和二年、福岡県
スポーツ推進条例の制定と公益財団法人福岡県
スポーツ推進基金の設立によりスポーツの推進体制を整えてまいりました。同年二月議会では、我が会派の代表質問において、
松尾統章会長がこの財団が管理する基金についてただしており、知事からは、新たな事業に対応していくため、新財団においては資金の運用による果実や寄附、自主事業による収益などにより、財源確保に努めていくとの答弁がなされております。
現在、県はこの五十億円規模の基金を活用し、大
規模国際大会の誘致、開催等の事業を実施されていますが、収益を見込んだ自主事業についてはどのような検討がなされているのか、知事にお伺いいたします。
さて、福岡県が
スポーツ立県福岡を掲げて五年、
新型コロナの拡大といった予期せぬ事態もありましたが、先ほどから申し上げておりますとおり、県議会ではスポーツの持つ可能性に大いに期待をしておりますし、施策を幅広く展開していく必要があることは論をまたないところです。
そこで、知事にお伺いいたします。今後さらに
スポーツ立県福岡を推進するに当たっては服部知事が強いリーダーシップを発揮していただくのはもちろんのこと、県としての推進体制や県内のスポーツを支えるスポーツ関係団体の組織体制など不断の見直しが必要ではないかと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
次に、浸水対策について伺います。今年七月の豪雨では筑後川流域において平成二十九年以降、全国で最多となる六回目の大雨特別警報が発表され、久留米市などにおいて観測史上最大の降雨量を記録し、甚大な浸水被害が発生いたしました。
このため、流域の住民の方々より、さらなる浸水対策の要望の声が多く寄せられております。特に被害が甚大であった巨瀬川の浸水対策については、さきの九月議会、我が会派の代表質問にてただしたところ、今年度内に巨瀬川に特化した治水対策の全体像を示した流域治水
プロジェクトを取りまとめるとの答弁がありました。その後、十一月十五日に第四回巨瀬川流域治水推進会議が開催され、巨瀬川緊急治水対策
プロジェクトが公表されました。
そこで、巨瀬川緊急治水対策
プロジェクトにどう取り組むのか、知事にお伺いいたします。
ところで、七月豪雨災害において重点的に浸水対策事業を実施している河川においても浸水被害が発生をしております。このように近年、全国的にも気候変動の影響による水災害が激甚化、頻発化していることから、国は特定都市河川浸水被害対策法を令和三年十一月に改正いたしました。
この法律は、従来、大都市を中心に市街化の進展により河川の拡幅等による対策が困難な河川を指定対象としていましたが、改正により、地方も含めた全国の河川に対象が拡大されました。この指定は排水機場や雨水貯留浸透施設の整備が促進されるなど、流域治水を強力に推進していくことが可能になると伺っております。このため、本県の管理河川でも、この法律による特定都市河川の指定を検討するべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。
さて、豪雨災害対策の一つに、パラペットによる堤防かさ上げの整備がこれまでも久留米市を中心に進められてまいりました。今回の災害地であった久留米市内の下弓削川、池町川、山ノ井川では県が整備したパラペット効果により被害の程度は以前よりかなり軽減したと沿川住民の声を多数伺っております。また、九月議会の代表質問において、知事からも、一定の効果があったとの答弁がございました。
一方で、ある国会議員が、自民党本部の災害対策特別委員会において、パラペット工事を実施したことにより住宅よりパラペットが高くなり、内水を吐くことができず、床上浸水したところがあったと、パラペットを否定する発言がありました。この発言はパラペットの効果を疑問視するものであり、河川行政の施策に対する理解不足であり、いたずらに住民の不安をあおるもので非常に遺憾に思っております。
そこで、パラペットによる堤防整備について、今回の効果も踏まえ、さらに今後どのように取り組んでいくのか、知事の見解をお伺いいたします。
次に、農林水産分野におけるワンヘルスの取組についてお伺いいたします。
ワンヘルスは皆さん御存じのとおり、我が会派の
藏内勇夫相談役が先頭に立って推進してこられた、人と動物の健康、環境の健全性を一つと捉え、一体的に守っていこうという取組であり、本県の施策の大きな柱の一つとなっております。
我々県議会においても令和二年の十二月議会において、議員提案により全国初となる福岡県ワンヘルス推進基本条例を成立させ、さらに長期的、計画的にワンヘルス実践の取組を促進するため、昨年の九月議会において同じく議員提案により、環境と人と動物のより良い関係づくり等福岡県におけるワンヘルスの実践促進に関する条例を成立させるなど法的な枠組み整備を進め、ワンヘルスの推進体制の強化に取り組んできたところであります。
こうした中、昨年十一月にはアジア・オセアニア地域二十三の国・地域の獣医師会の連合組織であるアジア獣医師会連合(FAVA)の第二十一回大会が
藏内勇夫相談役の特段の指導の下、アジアからのワンヘルスアプローチをテーマに開催されました。
大会には、獣医師のみならず、国内外から医学、環境分野の関係者など二千人を超える方々が参加され、ワンヘルスの課題解決と推進に取り組むアジアワンヘルス福岡宣言二〇二二を世界に向けて発信し、成功裏に幕を閉じました。
さらに、今年度はワンヘルスの世界的先進県としてワンヘルスをさらに推し進めるため、八月一日に福岡市天神のアクロス福岡にFAVAワンヘルス福岡オフィスが開所されました。これにより世界各国からワンヘルスに関する情報や人などが数多く集まり、ここを拠点として本県のワンヘルス推進の動きは、アジア、そして世界に向けて大きく前進していくものと考えております。
こうした動きを背景に、国においても国会の場でワンヘルスが取り上げられるとともに、自由民主党ワンヘルス推進議員連盟が今年三月に設立されております。さらに、五月にはG7広島サミットに先立ち開催されたG7長崎保健大臣会合においてワンヘルスアプローチの重要性について議論がなされるとともに、六月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針においてもワンヘルスの推進が盛り込まれる結果となりました。これはまさに日本国内はもとより世界にワンヘルス推進の機運が確実に広がりを見せている証拠であり、我々がここ福岡の地からワンヘルスの重要性を様々な取組を通じ、発信し続けてきた成果であると考えております。
こうした本県におけるワンヘルス推進の取組については、推進基本条例に基づき策定された福岡県ワンヘルス推進行動計画を基に実践されております。
具体的に例を挙げてみますと、ワンヘルス推進の様々な課題に対応する実践拠点となるワンヘルスセンターの整備といったワンヘルスに関する教育、研究を進める中核的な取組に加え、ワンヘルスの森四王寺や筑後市や福岡市などで開催されたワンヘルスフェスタ二〇二三といったイベントなど、県民の皆さんに日常生活の中で気軽にワンヘルスへの理解を深めていただこうという取組が進められております。私は今後さらにワンヘルスを推進していく上では、このようなワンヘルスの理念を普及啓発していく取組も重要であると考えております。
こういった取組の一つとして、県は昨年、ワンヘルスの理念に沿って生産された農林水産物や加工品を認証する制度を創設されました。この制度については先ほど申し上げたFAVA大会のガラディナーにおいて紹介されるとともに、博多和牛やはかた地どり、あまおうなど認証された県産食材を使った料理が提供され、国内外からの参加者に福岡の食の魅力をPRしたことは記憶に新しいところです。
この制度は、県内の農林水産業の方々が食の安全・安心や環境保全型農業といったワンヘルスの理念に基づき、丁寧に生産された農林水産物を県が認証するものであり、消費者の方々が日常生活の中で自然にワンヘルスに触れることでその理念を広く浸透させ、次世代につなぐ食と農を実現しようとするすばらしい制度であると考えております。しかし、まだ制度が始まって日が浅いこともあり、農林漁業者や消費者の方々の制度に対する認知はまだまだ低いのではないかと感じております。
そこで、知事にお伺いいたします。県としてこの認証制度の普及拡大に向け、現在どのような取組が行われ、今後どう取り組んでいかれるのか、お答え願います。
最後に、教育問題についてただしていきます。
初めに、たくましい次代の人材を育てる県立高校の改革についてお尋ねいたします。私の地元大牟田市においても歴史と伝統のある我が母校大牟田北高校、三池高校などこれまでも長年にわたり多くの有為な人材を輩出してまいりました。これは、県立高校において大切に継承されてきた人格と学力の育成の両立を図る全人教育によるところが大きいと考えます。
また、本県では伝統ある教育をさらに充実させるためには、家庭や地域の教育力の活用はもとより、中学校教育と密に連携し、生徒の能力や個性を熟成させることが必要であり、その一つの方策が中高一貫教育ではないかと考えます。
本県においては、平成十六年度より北九州地区に育徳館と門司学園、筑後地区に輝翔館の三校の中高一貫教育校が開校しております。その後、平成二十七年度には、福岡地区の宗像高校と筑豊地区の嘉穂高校がそれぞれ中高一貫校となり、今年度からは筑後地区の大川樟風高校が地域の公立中学校と連携した中高一貫教育校となりました。現状としましては、中高一貫校が県内の各地区に配置されてはいますが、その数は県立高校九十五校のうち六校にすぎず、本県全域の子供たちが学びの場として選択しやすい状況には至っていないのではないでしょうか。
さて、学校教育の成果を数値で評価することは難しく、大学合格者数だけで評価できないことは重々承知しております。しかし、あえてその観点から他県の状況を見ますと、東京都や宮城県、千葉県などにおいては公立の中高一貫教育校でいわゆる難関大学への合格実績を向上させている学校があると聞き及んでおります。また、本県で最初に開校した中高一貫教育校の三校は今年で創立二十周年を迎え、その後に開校した二校は既に第三期生が卒業しております。先ほど申し上げました他県の事例を参考にしながら、本県の中高一貫教育のさらなる充実に向けて改めて考える時期に差しかかっているのではないでしょうか。
そこで、教育長にお伺いいたします。現在の県立中高一貫教育校における教育の成果についてお示しください。さらに、地域や我が国、ひいては世界でよりよい社会の実現に貢献できる人材を育てるための県立高校改革について今後どのように取り組むのか、教育長の見解をお聞かせください。
次に、新設特別支援学校二校の開校時期の延期に伴う対応についてであります。福岡県
教育委員会が発行している「令和五年度福岡県の教育」によりますと、県内の特別支援学校に在籍する児童生徒の数は二〇〇一年五月一日現在、三千六百五十一人だったものが、昨年度には六千六百四十一人と、この二十年余りで約一・八倍も増加しております。小中学校の児童生徒数は右肩下がりの減少が続いておりますことからしますと、驚異的な増加傾向であります。
さて、県
教育委員会では二〇一九年二月に児童生徒数の増加が著しい福岡地区に新たな県立特別支援学校三校を設置する計画を決定されています。現在、糸島地区、宗像地区、早良地区への設置が進められているところでありますが、このうち、糸島地区の新設校、糸島特別支援学校については来年四月の開校に向けて順調に整備が進んでいると聞き及んでおります。
その一方で、宗像地区と早良地区の二校については、本年七月に行われた建築工事の入札がいずれも不調となってしまい、令和七年四月に予定しておりました開校時期を延期せざるを得ない状況に追い込まれました。この入札不調の要因としては原油高による資材価格の高騰や慢性的な人手不足が影響したものと見られておりますが、公共工事をめぐっては大阪・関西万博の主要なパビリオン建設工事をはじめ、全国で入札が不成立になったケースが相次いでおります。
我が会派といたしましても今回の入札不調による開校の延期については大変憂慮すべき事態であると考えており、特に開校を心待ちにされている児童生徒や保護者、地域の方々の落胆と不安はいかばかりかと心中察して余りあるものがあります。また、今後の先行きが不透明なままでは児童生徒や保護者、地域の方々の不安は増すばかりであろうと考えるところであります。
そこで、教育長にお伺いします。今回の新設特別支援学校二校の再入札に向けて新築工事に伴う事業費を大幅に増額される予定ではありますが、この事業費の増額に伴い、宗像地区と早良地区の新設特別支援学校の開校時期など今後の具体的なスケジュールを明らかにされた上で、既存の特別支援学校や児童生徒への影響とその対応についてどのように考えておられるのかお答えください。
以上をもちまして、
自民党県議団の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
3 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。それでは、御答弁を申し上げます。
まず、国の経済対策を受けた補正予算についてでございます。国は、エネルギー価格の負担軽減や中小企業等における持続的な賃上げの実現に向けた支援などを盛り込んだ、事業規模約三十七兆円のデフレ完全脱却のための総合経済対策を閣議決定をいたしました。十一月二十九日、この対策の裏づけとなる補正予算が成立いたしました。
本県におきましては、この補正予算を最大限活用し、県民の皆様の安全を守る防災・減災、老朽化対策や、電力・ガス・食料品等の価格高騰対策に加え、デジタルの活用をはじめ、効率性、生産性を高めることによる持続可能な社会経済の構築に重点を置く補正予算を現在鋭意編成中でございます。
具体的には、電気料金等の上昇分に対する支援といたしまして、医療機関、介護サービス事業所、私立保育所、私立学校、子供食堂、LPガス消費者、地域公共交通事業者などに対する助成を、賃上げを実現いたしますため、生産性向上、経営革新に取り組む中小企業や医療機関に勤務する看護補助者、介護・障がい福祉サービス事業所の職員への助成、また、デジタルを活用した効率性・生産性向上のため福祉施設における介護ロボットの導入支援や、農林業総合試験場に全国初となるAIを活用した研究開発施設を整備し、米の新品種開発を加速するといったことに取り組むことといたしておりまして、これらの施策を盛り込んだ補正予算を来週中に提案させていただきたいと考えております。
次に、来年度重点的に取り組む施策についてお尋ねがございました。今年五月に
新型コロナが二類から五類となりまして、私たちの生活、また社会経済は日常に戻りつつあると感じております。しかし一方では、物価の高騰や度重なる自然災害の発生など依然として困難な事案に直面をいたしております。こうした状況を鑑みましたとき、来年度におきましても県民の皆様の命と健康、生活を守ることを最優先に取り組む、この考えは変わるところはございません。このように県民の皆様の安心を守り、つないでいく、その上で未来を見据え、福岡県の成長、発展を加速前進させていきたいとの思いも変わらないところでございます。
今年度当初予算の三つの柱でございます一千億円の人づくり、県内GDP二十兆円への挑戦、安全・安心で活力ある社会づくり、これはそうした思いから掲げたものでございまして、これに基づく施策をさらに進め、成果を実を上げていかなければなりません。このため、来年度もこの三つの柱を基本として施策を展開してまいります。
一千億円の人づくりでは、市町村や企業、NPOなどと連携し、未来を担い世界に羽ばたく青少年を育成しますとともに、九州、全国で活躍できる半導体人材や中小企業におけるDX推進人材、スマート農業の担い手など産業を支える人材の育成に取り組んでまいります。さらに、女性の活躍を推進するため、これまで女性の皆さんの進出が少なかった分野における就業を促進いたしますとともに、女性の人材育成、キャリア形成に向けた支援を強化いたします。
県内GDP二十兆円への挑戦では、中小企業の持続的賃上げの実現に向け、価格転嫁の円滑化や生産性向上などを支援し、賃金と物価の好循環を実現してまいります。北九州市響灘臨海部を中心とした水素の大規模拠点やグリーンデバイスの開発・生産拠点の形成に加え、今年訪問した米国マサチューセッツ州ボストンとの関係強化による県内バイオ産業のエコシステムの形成、福岡進出を検討しておりますケンブリッジ・イノベーション・センター(CIC)との連携によるグローバルなスタートアップ支援拠点の形成を図りますとともに、国際金融機能の強化のため資産運用特区の指定を目指してまいります。
また、新たに策定いたします第三次福岡県観光振興指針に基づく観光産業の振興、生産力やブランド力の強化、輸出の拡大による農林水産業の振興、将来の発展のための基盤でございます福岡・北九州両空港や北九州下関道路の整備、戦略的な産業団地の造成、基幹的道路の整備を進め、国内外からの企業誘致を推進いたします。
安全・安心で活力ある社会づくりでは、ワンヘルスセンターの整備やワンヘルス教育の充実により、福岡県をワンヘルスの世界的な先進地に押し上げてまいります。また、被災地の復旧、復興、流域治水の推進などによる防災・減災、県土強靱化に取り組んでまいります。
さらに、出産・子育て安心基金を活用した少子化対策、障がいのある方の自立と社会参加、困難を抱える女性の皆様への支援、児童虐待やいじめの防止対策、孤独や孤立に悩む若者の居場所づくりを進めてまいります。そして、スポーツや文化芸術の振興、県民の健康づくり、MaaSによる地域公共交通の活性化、移住、定住の促進に取り組んでまいります。
こうした重点分野の施策を通じ、誰もが安心して、たくさんの笑顔で日々を送っていける福岡県、この実現に向けまして引き続き全身全霊で取り組んでまいる考えでございます。
次に、今年度と来年度の税収見込みについてでございます。今年度につきましては、当初予算において県内における経済指標、地方財政計画等を勘案し、昨年度の決算と比べますと九九・六%、三十億円減の総額七千三百十九億円を計上いたしております。
十月末現在の県税収入の実績額を見てみますと、法人二税におきましては、経済活動の回復に伴い、小売業やサービス業などの非製造業が堅調に推移しているものの、鉄鋼業や化学工業などの製造業が原材料価格高騰の影響を受け伸び悩んでおります。
一方で、自動車販売台数の増加によりまして自動車税が、また輸入額の増加によりまして地方消費税が堅調に推移いたしておりますことから、県税全体では前年度同月比一〇〇・四%となり、現時点においては当初予算を上回る水準で推移をいたしております。
しかしながら、今申しましたように、現在本県の地方消費税は伸びております。これに対し、全国的には地方消費税が伸び悩んでおります。地方消費税には清算制度がございますので、このような場合には都道府県間の清算により、清算後の本県の地方消費税は大きく減少することが懸念されます。
また、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れリスクもございますことから、今後とも経済情勢を注視しながら十一月における法人二税の中間申告の状況などを注意深く見極めてまいりたいと考えております。
来年度の県税収入の見込みにつきましては、今月中旬に実施をいたします県内の主要企業に対する申告見込額調査を踏まえますとともに、今後の景気動向、来年度の税制改正の状況や地方財政計画を勘案して算定してまいります。
地方制度調査会の答申案に係る基本的な認識についてお尋ねがございました。大規模な災害や感染症の蔓延等国民の安全に重大な影響を及ぼす事象が発生し、個別法に規定がない場合、国が地方公共団体に必要な指示を行うことができる仕組みを導入するとの案が示されておりますが、これは地方の自主性や自立性を十分に尊重することが前提であると考えます。地域の特性や刻々と変化する現状を知り得る立場にあるのは地方公共団体でございます。このことから地方の意見を聞くべきであると考えます。
したがいまして、国から地方に対し一方的に指示するのではなく、当該指示権の行使の範囲については真に必要と思われる場合に限定し、また行使すべきかどうかの判断に当たっては、閣議決定の前に国と地方公共団体との協議を行う仕組みとするなど厳格な手続の下で行われるべきであると考えます。このことにつきましては全国知事会の意見としまして
地方制度調査会にも申し述べているところでございます。
こういった政府の動きに対する考えでございますが、
地方制度調査会に対しましては、地方の自主性や自立性を十分に尊重することを前提に制度の検討を行うよう全国知事会を通じて要請をいたしております。今後見込まれます
地方自治法の改正に向けた検討過程においても全国知事会と連携しながら、国に対し私自身も必要な意見を述べてまいります。
次に、
ネーミングライツの導入についてでございます。県有施設の名称に企業の社名や商品名を付与する
ネーミングライツを導入することは、これにより得られる新たな県の歳入を、
ネーミングライツを導入する施設において県民の皆様の利便性を向上させるための整備を進めたり、設備の更新に活用できることになります。また、企業にとりましても社名、商品の認知度アップや
ブランドイメージの向上といったメリットがございます。このため
ネーミングライツ導入に向けて他の自治体における類似施設の導入事例や利用状況、施設の名称を変更することの可否といった観点から、導入に適した施設の検討、洗い出しを進めているところでございます。
今後、大規模なスポーツ大会や各種イベントの開催により、多くの県民の皆様に利用され、広告効果も高いと考えられる三か所程度の施設を選定をいたしまして、
ネーミングライツのスポンサーとしてふさわしい企業を選定するための公募条件や選定基準を検討した上で、今年度中に公募を実施したいと考えております。
次に、
指定管理者制度につきまして、人件費や物価の高騰等に対応できる制度についてというお尋ねがございました。県では指定管理期間を原則五年間といたしておりまして、各年度の指定管理料はあらかじめ示した上限額の範囲内で事業者が提案した額としてまいりました。また、
指定管理者との間で締結しております協定書において人件費、物件費などのコスト増は
指定管理者の責任において負担し、管理期間中は原則として管理料の変更を行わないということといたしております。
しかし、近年、急速に人件費や物価が高騰するという状況が生じておりますことから、一部の施設では事業者が提案した指定管理料では施設の管理に要する経費を賄い切れていないという実態が見受けられました。このため県では昨年度、原油価格の高騰に伴う経費の増加分を補助金として負担をいたしましたが、近年の人件費や物価の高騰は安定した施設運営に影響が生じるということが懸念されます。
このようなことを踏まえまして、今後の指定管理料は事業者が提案した額を基本としつつ、管理期間の初年度から、人件費については人事委員会勧告に基づく変動分を反映させるとともに、物件費につきましては日本銀行が企業間で売買される物品やサービスの価格変動を示す指標として公表いたしております企業物価指数、あるいは企業向けサービス価格指数、これを用いて算定することといたしまして、これらのコスト増を県が負担することといたします。また、二年目以降も指定管理料を改定する際に同様の算定を行ってまいります。
このように、人件費や物価の高騰等に機動的に対応できる仕組みとすることにより、
指定管理者の皆様に安定した施設運営をしていただき、県民の皆様に充実したサービスを提供できるよう努めてまいります。
次に、外国人労働者問題につきまして、
外国人材受入対策協議会における
中小企業支援の強化についてでございます。県では、外国人材の円滑・適切な受入れに向けて生活環境等の整備を促進いたしますため、副知事をトップとして、県、国、市町村、地域国際化協会、介護・福祉、建設業などの事業団体、行政書士会、社会保険労務士会など六十の団体で構成いたします福岡県
外国人材受入対策協議会を設置いたしております。
この協議会には、外国人相談窓口部会、外国人材
日本語教育部会、労働環境部会の三つの専門部会を設置いたしておりますが、これまでは本県で生活する外国人への支援を中心に活動しておりまして、人材不足に悩む中小企業の皆様への支援策を検討する場ではございませんでした。
このため、
外国人材受入対策協議会の中に
技能実習生の受入れ団体や福岡県
中小企業団体中央会等の経済団体、国の関係機関及び県で構成いたします新しい部会を今年度中に新設し、本県の中小企業が外国人材から選んでいただけるよう、企業の魅力発信や監理団体及び受入れ企業を対象としたセミナーの開催などに取り組み、中小企業における
外国人材確保を支援してまいりたいと考えております。この部会を中心に新制度下でも中小企業が円滑に外国人材を活用できるよう、しっかりと支援を行ってまいります。
次に、
国際航空路線の誘致についてでございます。航空会社においては、
国際航空路線の就航につきましては商用あるいは観光などの航空需要を踏まえて新規路線の開設等を検討をしております。このため県は福岡国際空港株式会社(FIAC)と共に、世界各国の航空会社が一堂に会する大規模な商談会への出展などの機会を捉えまして
国際航空路線の就航に向けた情報交換等に取り組んでまいりました。
インドネシアと福岡県との
国際航空路線の就航に向けましては、今年十月にトルコ・イスタンブールで開催されました商談会ルーツワールドへ出展をし、
ガルーダ・インドネシア航空との情報交換を実施いたしました。来年二月には、マレーシア・ランカウイ島で開催されます商談会ルーツアジアにおいても情報交換を行うことといたしております。今後とも様々な機会を捉え、就航に向けた働きかけを継続し、
インドネシアとの
国際航空路線の誘致に向けてしっかりと取り組んでまいります。
次に子供食堂について、この寄附金の実績と活用についてお尋ねがございました。今年五月十七日に開始をいたしました福岡県
こども食堂応援プロジェクトの寄附額は、八月十四日に募集を終了いたしました個人版のクラウドファンディングでは八百四十七万七千六百円、今月二十八日までを募集期間といたしております企業版では十一月三十日時点で三百五十九万七千円、これを合計いたしますと一千二百七万四千六百円となっております。これは我々が目標といたしておりました八百万円、これを大きく上回る額でございまして、改めて子供たちを笑顔にしたいという多くの皆様のお気持ち、御支援に深く感謝を申し上げます。
皆様から頂きましたこの寄附金を活用して、本日から県内の子供食堂に福岡県が誇る金のめし丸元気つくしやはかた地どりをお配りしますとともに、県内の新鮮な野菜や果物を購入できる商品券を配付いたします。もうすぐクリスマスでございます。クリスマス会などで子供たちにおいしい県産の食材を味わってもらいたいと考えております。
今後の子供食堂への支援についてでございます。県では食材の調達、また、この子供食堂の実施場所、あるいはこの担い手の確保など子供食堂が抱える課題の解決を図りますため、県内十五の生活圏域ごとに
子供食堂同士のネットワークをつくり、域内の市町村や社会福祉協議会、企業などとの協力関係を構築する事業を進めているところでございます。現在、七つの圏域においてネットワークが形成されまして、市町や社協による運営支援、企業による寄附や開催場所の提供といった協力をいただいております。残り八圏域ございますが、このうち六圏域につきましては年内にネットワークができる予定でございますなど着実に取組を進めているところでございます。
今後は、今回の福岡県
こども食堂応援プロジェクトで生まれた支援の輪をさらに広げますため、来年度もこの
プロジェクトに取り組み、子供食堂の取組や利用する子供たちの声などを県のホームページやSNS、県内の企業が参加する会議の場などで御紹介をし、県民の皆様、企業の皆様に御支援いただけますよう呼びかけを行ってまいります。
さらに国の補助制度を活用した子供食堂運営支援に取り組む市町村の拡大、またネットワークと連携した協力企業の開拓、食材の調達、保管場所の確保など子供たちの大切な居場所でございます子供食堂が継続的に活動できますよう地域の支援体制を整備してまいります。
次に、福岡県
スポーツ推進基金における収益を見込んだ自主事業についてお尋ねがございました。福岡県
スポーツ推進基金は本県ゆかりのトップアスリートの育成や大
規模スポーツ大会の誘致、開催の役割を担っております。このような役割を持続的にこれからも果たしていくためにはスポーツを通じて収益を生み、それをスポーツに再配分するという好循環を生み出すことが求められております。このため、これまでの競技団体が主催する大会を誘致、開催することにとどまらず、チケット料、協賛金、放映権料など新たな収益が得られる
スポーツイベントを基金自らが創出するといった取組が必要であると考えております。
こうした考えの下、来年一月には県立総合プールのスケートリンクにおきましてアイススケートショーを開催いたします。このショーでは食事や体験イベントなどによる非日常の演出、海外アーティストによる音楽との融合といったこれまでにはなかった、海外ではよくあるらしいんですが、日本ではほとんどないということでございます。こういった新たな企画を取り入れることでショーの付加価値を高め、国内はもとより海外からも集客が期待できるイベントとしているところでございます。
また、企業や団体の皆さんと連携してスケートボード、BMXといったアーバンスポーツの大会やイベントの会場設営、スタッフの手配、こういった業務をパッケージ化いたしまして主催者からその業務を受託することで収益を得る取組を実施することといたしております。県といたしましてはこの基金を活用して今後もこうした仕組みをつくり出し、財源の確保に努めてまいります。
県としての推進体制、あるいは県内スポーツ関係団体の組織体制についてでございます。県では
スポーツ立県福岡の実現に向け、令和二年四月にスポーツ局を設置をいたしまして大
規模スポーツ大会の誘致、開催やスポーツを通じた海外との交流などに積極的に取り組んでまいりました。
特に大
規模スポーツ大会の開催は大きな経済波及効果が期待できるだけでなく、観光振興など地域を活性化する効果が期待できますことから、知事部局のみならず、教育庁、あるいは警察本部と連携して様々な事業を行ってまいりました。
今年度は十月に開催をいたしました九州初の国際サイクルレース、ツール・ド・九州二〇二三、これにおきましては商工部と連携し、レース観戦と県内でのサイクリングを組み込んだモデルコースを国内外の旅行会社へ紹介し、旅行商品を造成してまいりました。また、農林水産部とも連携し、小倉城クリテリウムの会場周辺におきましてワンヘルス認証県産農林水産物などのPRを行ったところでございます。
今後はこうした経験を生かしまして、大
規模スポーツ大会の開催や海外とのスポーツ交流などの事業の効果がさらに高められますよう、関係する部局に
スポーツイベントの担当者を明確に位置づけ、それぞれが主体的に取り組む、このことによって各部局にそのノウハウが蓄積、継承され、より機動的に活動できる、こういった体制づくりを行ってまいります。
県内のスポーツ関係団体の組織体制についてでございますが、
スポーツ立県福岡の理念、これは福岡県のスポーツをより元気に、スポーツの力で福岡県をより元気にするということでございます。これを達成いたしますためにはスポーツに関わる人を増やす、競技力を向上させる、大
規模スポーツ大会を誘致、開催する、障がい者スポーツを振興するといった役割を担う県スポーツ協会、スポーツ振興センター、
スポーツ推進基金、県障がい者スポーツ協会と県が一丸となって取組を進めていくことが必要であると考えております。
このため、各団体がそれぞれの役割を果たすことができますよう、今年度、県スポーツ協会や県障がい者スポーツ協会については県職員の派遣を増員し、団体の体制強化を図ったところでございます。今後とも
スポーツ立県福岡を実現していくためにはどのような連携であるべきか、この在り方について研究を行ってまいります。
次に、巨瀬川緊急治水対策
プロジェクトについてでございます。巨瀬川の治水対策につきましては河川整備計画に基づき、国と共に河川の拡幅、橋梁架け替えなどを順次、実施してまいりました。今回の浸水被害を受け、その整備内容を前倒しいたしますとともに新たな対策を加え、おおむね五年で実施する巨瀬川緊急治水対策
プロジェクトを国、久留米市、うきは市と共に策定いたしました。
このうち県では巨瀬川本川の拡幅や橋梁架け替えなどの河川整備を加速化いたしますとともに、その支川でございます山曽谷川の調節池の整備や土砂災害が発生した千之尾川を含む六つの渓流で新たな砂防ダムの整備を実施いたします。また、ソフト対策として、住民の適切な避難行動につなげるための河川監視カメラや水位計の増設、土砂災害警戒区域の見直しなどを進めることといたしております。今後、この
プロジェクトに基づきまして、国、県、市で連携し、ハード、ソフト一体となった対策を加速化、強化することで巨瀬川流域における防災・減災、県土強靱化にしっかり取り組んでまいります。
特定都市河川の指定についてでございます。特定都市河川の制度は対象となる河川及びその流域を指定することで河川改修や雨水貯留浸透施設の整備等の加速化を図るとともに、土地利用や開発行為等に対する規制を行うものでございます。この制度を活用することで流域一体となった取組を行うことができまして、浸水対策の強力な推進に有効であると考えております。
令和三年に特定都市河川浸水被害対策法が改正をされました。本川の水位上昇により浸水被害が拡大する支川も新たに対象に追加されましたことから、地方部を含めた全国の河川が指定可能となったところでございます。また、この特定都市河川の指定は関係自治体の合意を得た上で国土交通大臣、または都道府県知事が行います。以上のことから、県といたしましては七月の豪雨災害を踏まえ、まずは筑後川本川の水位上昇の影響を受け幾度となく浸水被害が発生をしております久留米市内の県管理河川について指定に向けた調整を進めてまいります。また、今後浸水被害が頻発いたしておりますその他の県管理河川につきましても特定都市河川の指定を検討してまいります。
次に、パラペットによる堤防整備の今後の取組についてお尋ねがございました。このパラペットはコンクリートの擁壁によりまして堤防のかさ上げを行うものでございまして、主に都市部、あるいは住宅密集地において用地買収が難しい、困難な場合に採用しており、県内の多くの河川において整備してきたところでございます。もしパラペットが未整備でありますと、その高さ分の水量が住宅地側に流れ、あふれる、流れ込むということになりまして被害がさらに拡大するものと想定されます。
今回の七月豪雨におきましても、これまでパラペットを整備してまいりました下弓削川や池町川では浸水面積や家屋の床上浸水被害の減少が確認できました。このことからパラペットの整備は被害の軽減に一定の効果を発揮したものと認識をいたしております。このため、現在パラペットを整備中の山ノ井川をはじめとした県内各地の河川では着実にこれからも整備を進めてまいります。今後も地域の特性や経済性などを踏まえ、パラペットも活用した河川の整備を進めてまいります。
次に、福岡県ワンヘルス認証制度の推進についてでございます。この制度は生態系の保全や温暖化の防止、環境負荷の低減などワンヘルスの理念に沿って生産された農林水産物やその加工品を認証するものでございます。具体的には、農薬を低減する天敵や防虫ネットの活用、化学肥料を低減する堆肥の活用、CO2 の放出を削減する省エネ施設の導入などから二つ以上の取組を実践して生産された農林水産物を県が認証いたしております。
制度の推進に当たりましては、生産と販売の両面から取組を強化する必要がございます。生産面では、農協や漁協といった生産者団体に対する説明会を開催し、制度の周知に努めますとともに堆肥の製造や散布に必要な施設、機械の整備などを支援しているところでございます。こうした取組の結果、先月末時点で認証品目は二百九品目となっております。
また、認証を取得した農林漁業者は八千経営体を超えておりまして、農業者の八割が農薬や化学肥料を低減する取組など、漁業者の約七割が藻場の保全や漁船の燃費を向上する取組などを実践しております。
販売面につきましては、消費者の認知度向上を図りますため、テレビCMの放映や大手量販店での販売促進フェアなどを実施してまいりました。その結果、イオンやゆめタウンでの取扱い品目も増えてきているところでございます。
県といたしましては、今後、商談会やバイヤーへの働きかけにより取扱い店舗の拡大を図りますとともに、消費者の皆様が購入しやすくなるよう、常設コーナーを量販店に設置し、さらなる認知度向上に努めてまいります。加えて、ワンヘルスの理念に沿った食の安全・安心や地球環境の保全といった生産面での技術指導を強化し、制度の普及、拡大を図ってまいります。
5 ◯議長(香原 勝司君) 吉田教育長。
*教育長答弁
6 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 現在の県立中高一貫教育校における教育の成果についてでございます。各校において中高六年間を見通した教育を展開しており、個性や能力の伸長が図られております。
具体的には、学習内容の先取りやより発展的な内容の授業の実施、大学との連携により高度な学びに触れる学習活動、中高を通じた課題研究活動などを行っております。さらに中高合同の学校行事等を通じて幅広い年齢の生徒の触れ合いの中で社会性や協調性が育まれております。こうした教育活動が生徒の知的好奇心や学習意欲の向上、リーダーシップの醸成につながっており、いわゆる難関大学への進学をはじめ、生徒の希望する進路が実現するなどの成果が得られております。
今後の県立高校改革についてでございます。次代を担う人材の育成のために進学に向けた指導の充実も含め、県立高校改革を進めていく必要があると考えております。中高一貫教育は小学校卒業段階で目的意識を明確に持った子供に対して六年間の一貫した教育を展開し、進学実績等で一定の成果が見られます。
一方、本県では既存の高等学校において各地域の多様な個性や進路希望を持つ中学生を受け入れ、三年間の教育活動を通じて地域からの信頼を得ながら各県立高校の歴史と伝統に基づく全人教育を行うことで有為な人材を輩出してきた実績があります。
県
教育委員会としましては、今後ともそれぞれの学校制度の特性を考慮し、これまでの教育実践の成果や課題、他県の取組を踏まえて教育内容や学校の在り方を研究し、これからの時代に求められる県立高校改革に取り組んでまいります。
次に、新設特別支援学校二校の開校スケジュール、既存の特別支援学校等への影響と対応についてでございます。当初、令和七年四月の開校を予定しておりましたが、入札不調に伴い、今議会におきまして事業費の増額をお願いし、令和七年十二月の竣工、令和八年四月の開校を目指します。開校までの間、太宰府及び古賀特別支援学校において引き続き児童生徒の受入れを行うこととなるため、普通教室の確保を行うことで適切な教育環境の整備に努めてまいります。
なお、新設特別支援学校に就学予定の児童生徒の保護者や地域の方々に対しましては、今後のスケジュールや受入れに関する説明会を行いますとともに市町村
教育委員会や幼稚園などへの情報提供も行ってまいります。
7 ◯議長(香原 勝司君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。
午 後 零 時 二十二分 休 憩
午 後 一 時 三十一分 再 開
8 ◯副議長(佐々木 允君) 再開いたします。
休憩前に引き続き、代表質問を行います。発言を許可いたします。中嶋玲子君。(拍手)
*中嶋議員質問
9 ◯三十二番(中嶋 玲子君)登壇 皆様、こんにちは。民主県政県議団、朝倉市郡選出の中嶋玲子でございます。本日は会派を代表して質問をさせていただきます。
まず初めに、代表質問の機会を与えていただきました岩元会長をはじめ、会派の皆様に感謝申し上げます。また、地元からは後援会の多くの皆様が傍聴に来ていただいております。ありがとうございます。福岡県議会は会派を超えて、県勢発展のため一丸となって頑張っております。私も古希を迎えましたものの、二期目、微力ながらその一翼を担えるよう精進してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、質問に入ります。まず、来年度予算の編成方針についてお聞きします。ここ数年、
新型コロナウイルス感染症対策が政策の中心でしたが、一般対策移行時期の措置もいよいよ終わり、海外からの訪問客も回復しています。
現在の喫緊の課題は物価高騰対策です。エネルギー、原材料の価格上昇が続く中、価格転嫁がままならない中小企業や第一次産業は経営を圧迫されています。食品価格の高騰は賃金の上昇を上回っており、家計にも大きな影響が続いています。
そこで質問です。現在、来年度予算に向け、各部局と検討されているところだと思いますが、来年度の予算編成の基本方針とともに、どのような分野、方向性に力を入れられるのか、知事にお聞きします。
次に、県総合計画におけるジェンダー平等への取組についてお聞きします。服部知事が県政のかじ取りを担うことになって二年半が経過しました。知事は就任当初から次代を担う人財の育成、世界の舞台で挑戦できる福岡県、ワンヘルスの推進を県政推進の中心となる三つの挑戦として掲げ、昨年度から実施中の県総合計画にその三つの挑戦と併せて我が会派が代表質問で毎回のように取り組んできたジェンダー平等の社会づくりを盛り込まれたことは会派として大いに評価をしております。
しかし、世界経済フォーラムが六月に公表した各国の男女格差を数値化し、不平等さの度合いを示すジェンダーギャップ指数で日本は百四十六か国中百二十五位となり、前の年より九ランクもダウンして過去最低でした。これはアジア諸国の中で韓国や中国より低く、男女格差が縮まっていないことが改めて示されました。
そこで、知事に伺います。ジェンダー平等に向けた知事の思いを改めてお示しください。そして、過去最低となった日本のジェンダーギャップ指数について知事はどのような認識をお持ちかお聞かせください。
県総合計画には、「女性が活躍しやすい職場づくりを進めるため、県内の経済団体や行政機関等と連携し、社会全体の気運の向上や企業等への働きかけを行います。」と明記され、ジェンダー平等における数値目標が三つ掲げられています。
一つ目は、市町村審議会等委員に占める女性の割合を二〇二〇年度の三二・九%から二六年度には四〇%に、二つ目は、自治会長における女性の割合を二〇二〇年度の九・六%から二六年度には一三・七%に、そして三つ目に、知事部局等における本庁課長相当職に占める女性の割合を二〇二一年度の一七・三%から二五年度に二〇%に引き上げることとしています。
そこでお伺いします。本県におけるジェンダー平等に関して、これまでに得られた成果について、三つの数値目標の改善状況も含め、具体的にお教えください。また、本県におけるジェンダー平等推進において障壁となるものなど、見えてきた課題についてお示しいただいた上で課題克服に向けた知事の意気込みをお示しください。
次に、公契約の在り方についてお聞きします。これまで我が会派は県発注の公共工事に従事する建設労働者の適正な賃金の確保につながる公契約条例の制定を代表質問等を通して度々県に求めてきました。これらを受けて二〇一三年より競争入札参加資格審査において地域での貢献活動を評価する地域貢献活動評価項目の導入が実現し、県が推進する施策への積極的な協力の促進につながったことは一定評価するところです。しかし、地域貢献活動評価項目に賃金の適正な確保についての項目を新たに設けることも求めましたが、実現には至っていません。また、直近では、本県において予定価格五千万円を超える入札の不調が続いています。
我が会派の調査では、本県が発注した事業において、二次請け、三次請け等の下請業に従事する労働者の賃金が県が示す公共工事設計労務単価及び設計労務委託等技術者単価に見合った額となっておらず、民間事業に建設労働者が流れていることが入札不調の理由の一つと考えられます。こうした状況の改善に向け、事業を受託する業者で働く全ての労働者の賃金が県の示す労務単価に沿うよう、適正化すべきと考えます。
そこで、知事に質問です。県は事業主に対し、公共事業に従事する下請を含めた労働者の賃金の適正化に努めるよう働きかけるなどの指導、助言が必要だと考えますが、知事の見解をお聞かせください。
次に、公契約条例に関連してお伺いします。公契約条例は、公共工事と公共サービスの質の向上、地域経済と地域社会の活性化につながるものと認識しています。全国では九県が条例化し、今年四月には熊本県でも条例が制定されました。
労働基準法の改正に伴い、来年春には建設労働者の不足がさらに深刻化すると予測される中、労働者にしわ寄せが来るような不当な価格競争を防ぐため、本県においても公契約条例を早期に制定すべきと考えます。
そこで質問です。県は公契約条例の制定を念頭に労働団体や経済団体に呼びかけ、調査研究の取組を共に進めていくべきと考えますが、知事の見解をお聞かせください。
次に、市町村振興局の取組について伺います。本県は昨年四月に市町村振興局を立ち上げて来年三月で二年になりますが、局の立ち上げ後も福岡市とその周辺への人口集中が続き、福岡市都市圏とそれ以外の地域の格差は広がるばかりだと感じられます。本県知事部局には局が十局あり、例えばスポーツ局は世界水泳やツール・ド・九州などその分野、活動が分かりやすいものの、市町村振興局に関しては局が置かれる前と何が変わったのか分かりにくいようです。昨年十二月定例会の我が会派の代表質問で、今後の市町村振興の取組をただしたところ、知事は、市町村が将来にわたって主体的に課題解決に向けて取り組めるよう支援するなどと答弁されました。
そこでまず、市町村振興局設置の目的を改めてお聞きします。また、この目的を踏まえ、この二年間、どのような活動をし、何が実現できたのか、その成果について知事の認識をお聞かせください。
現在、本県と市町村間では七市町と職員八名の人事交流が行われています。また、市町村振興局では市町村から十名の実務研修生を受け入れています。市町村職員は県で働き、自らの市町村を県全体の立場から見ることでその特徴を深く理解できます。また、県から派遣された職員は、市町村の現場をまさに肌で感じ、将来の県行政における勤務の一助となります。この交流こそ県と市町村職員の政策立案能力を育み、市町村振興局設置の柱と位置づけられるものではないでしょうか。しかし、人事交流、実務研修生の数は市町村振興局設置後も変わらないとのことです。
そこでお尋ねします。人事交流、実務研修生の受入れはどのような基準によって決定されているのでしょうか。県としては、できる限り市町村が希望する職員を希望する部署に受け入れ、また、県からの職員派遣も積極的に進めて県及び市町村職員のスキルアップに寄与するべきではないでしょうか。知事の見解を求めます。
続いて、不活動宗教法人について伺います。宗教法人の在り方については、オウム真理教が社会問題となった約三十年前の一九九五年に、国をはじめ福岡県議会でも様々な議論がなされてきましたが、旧統一教会を発端とし、再度注目を集めています。
その課題の一つに、活動実態のない不活動宗教法人があります。二〇二一年度末時点で全国約十八万の宗教法人のうち、三千三百四十八が確認されています。宗教法人は宗教活動上の収入に課税されず、宗教施設に固定資産税もかからないという税制上の特権があることや一旦認証された宗教法人では代表役員の変更は届出のみであることから、不活動宗教法人を放置すると、第三者が法人格を不正に得て脱税や営利目的などに悪用するおそれがあります。
このことから文化庁は宗教法人法に基づく事務の適正な遂行に向け、今年三月末、宗務行政の適正な遂行についてとする通知を全都道府県担当者に発出しました。この通知は、不活動宗教法人の活動再開を促したり、合併、任意解散の手続を進めることを求めています。このような不活動状態に陥らないような予防や休眠化の調査も重要です。
しかし、今年二月には、全国約十八万の宗教法人を所管する国と都道府県で宗教法人担当の専従職員が三十五人しかいない実態が明らかになっており、本県も人員が不足しているのではないかと懸念します。
国ではこうした不活動宗教法人の整理促進のため、不活動宗教法人対策推進事業として、前年度比七十倍超えの四億三千七百四十七万円を予算計上しました。
そこで伺います。本県では、二〇二二年十二月末時点で六千六百四十の宗教法人が認証されており、宗教法人法で毎年度役員名簿や財産目録、収支計算書などの書類を所轄庁に提出する義務がありますが、これを提出していない法人はどの程度あるのか、不活動の疑いのある法人は幾つあるのか。また、過料事件として裁判所に通知している件数は何件かお答えください。さらには、不活動宗教法人について、どのような方法で整理を行い、県としてどのような人員体制で行っているのか、それら整理を進める上での課題や今後対策及び体制を強化する点があれば併せてお答えください。
本県では不活動宗教法人を悪用した脱税事件や暴力団が絡む事件なども発生しています。宗教法人法では法人役員の欠格事由に暴力団排除規定、いわゆる暴排規定がないため、手続が適正であれば認証せざるを得ない仕組みになっています。他の法人、例えば公益財団法人では、役員の欠格事由に暴排規定があるため、不認定とすることができます。そこでこの際、法人役員の欠格事由や解散命令要件に暴排規定を追加するよう、宗教法人法を改正すべきと考えます。
そこで二点目に、県では暴力団が絡む宗教法人、または宗教団体の目的を逸脱した行為に対し、国への要望など今後どのように対応するのか、お聞かせください。
次に、未利用の公共施設の利活用についてお聞きします。公共施設の配置の見直しや行政組織の再編等に伴って、現在、未利用、あるいは今後用途廃止が見込まれる県有の土地、建物が存在しています。これらを利活用せずにいると維持管理費の負担増大や収入、税収を得られないなどの悪影響のほか、長時間利活用しないことによる地域イメージの低下や犯罪のリスクもあります。その実態把握とともに、今後の企業誘致をはじめとした利活用策、不要資産としての処分等の検討が必要です。
そこでまず、県有財産について知事にお伺いします。県内にある未利用の県有地、その数と面積をお答えください。そして、全県有地のそれぞれ何%が未利用となっているのかお示しください。また、未利用県有地が発生した場合、どのように活用するのか、その流れをお答えいただいた上で、未利用県有地の利活用についての知事の認識をお聞かせください。
空き公共施設については六割以上を学校施設が占め、廃校の利活用もポイントとなります。文部科学省の二〇二一年度の廃校施設等活用状況実態調査によると、毎年四百五十校程度の廃校施設が発生し、二〇〇二年度から二〇二〇年までに発生した廃校の延べ数は八千五百八十校で今後も増加する見通しです。
今年二月改定の福岡県公共施設等総合管理計画では、県有の学校について、防犯、防災、事故防止等の観点から、利用見込みのない閉校施設を必要に応じて除去するとしています。
そこで、教育長にお伺いします。本県の公立小中学校等の廃校数並びに活用されている学校数についてお答えください。また、廃校となった県立学校のうち、活用の用途が決まっていない廃校について、現在の状況をお聞かせください。
次に、市町村との連携についてお聞きします。千葉県では、二〇一六年度から国の補助金などを利用して、市町村の情報を集約し、情報発信することなどにより、空き公共施設の利活用に向けた取組を進めています。その結果、二〇二二年度までのキャンプ場や農業体験なども含めた利活用の件数は十九市町村で五十六件となっています。
そこで質問です。本県においても千葉県のように積極的に
民間事業者が未利用の公有財産を積極的に利活用できるよう、県や各市町村が有する未利用公有財産の情報を一元化し、
民間事業者に広く周知するとともに、市町村に対しても未利用地の利活用に係る支援が必要であると考えますが、本県はどのような取組を行っていくのか、お聞きします。
ここまでで一旦答弁を求めます。(拍手)
10 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
*知事答弁
11 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
まず、新年度の予算編成方針等についてお尋ねがございました。今年五月に
新型コロナが二類から五類となりまして、私たちの生活、社会経済は日常に戻りつつあると感じております。しかし一方で、物価の高騰や度重なる自然災害の発生など依然として困難な事案に直面をいたしております。こうした状況を鑑みたとき、来年度においても県民の皆様の命と健康、生活を守るということを最優先に取り組む、この考えは変わるものではございません。県民の皆様の安心を守り、つなぐ、その上で未来を見据え、福岡県の成長、発展を加速前進させていくとの思いも変わらないところでございます。
今年度当初予算の三つの柱、一千億円の人づくり、県内GDP二十兆円への挑戦、安全・安心で活力ある社会づくりはそうした思いから掲げたものでございますが、これに基づく施策をさらに進め、成果を実を上げていかなければなりません。このため、来年度もこの三つの柱を基本に施策を展開してまいります。
この一千億円の人づくりでは、市町村、企業、NPOなど多様な主体と連携をし、未来を担う青少年を育成いたしますとともに、九州、全国で活躍することができる半導体人材や中小企業におけるDX推進人材、スマート農業の担い手など産業を支える人材の育成に取り組みます。さらに、女性の活躍を推進しますため、女性の進出が少なかった分野における就業促進とともに女性の人材育成、キャリア形成に対する支援を強化いたします。
県内GDP二十兆円への挑戦では、中小企業の持続的賃上げの実現に向けまして、価格転嫁の円滑化や生産性向上などを支援し、賃金と物価の好循環を実現いたします。北九州市響灘臨海部を中心とした水素の大規模拠点、あるいはグリーンデバイスの開発・生産拠点の形成に加えまして、今年訪問いたしました米国マサチューセッツ州ボストンとの関係強化による県内バイオ産業のエコシステムの形成、福岡進出を検討しておりますケンブリッジ・イノベーション・センター(CIC)との連携によるグローバルなスタートアップ支援拠点の形成を図りますとともに、国際金融機能の強化のため資産運用特区の指定を目指してまいります。
また、新たに策定いたします第三次福岡県観光振興指針に基づく観光産業の振興、生産力やブランド力の強化、輸出の拡大によります農林水産業の振興、将来の発展基盤でございます福岡・北九州両空港や北九州下関道路の整備、戦略的な産業団地の造成、基幹的道路の整備による国内外からの企業誘致を推進してまいります。
安全・安心で活力ある社会づくりでは、ワンヘルスセンターの整備やワンヘルス教育の充実により、福岡県をワンヘルスの世界的な先進地に押し上げてまいります。また、被災地の復旧、復興や流域治水の推進による防災・減災、県土強靱化に取り組みます。
さらに、出産・子育て安心基金を活用した少子化対策、障がいのある方の自立と社会参加、困難を抱える女性への支援、児童虐待やいじめの防止対策、孤独や孤立に悩む若者の居場所づくりを進めてまいります。そして、スポーツや文化芸術の振興、県民の皆様の健康づくり、MaaSによる地域公共交通の活性化、移住、定住の促進に取り組みます。あわせまして、
ネーミングライツの導入や
指定管理者制度における人件費、物価の高騰対策を講じることによりまして、公共施設における
県民サービスの向上を図ってまいります。
こうした施策を通じ、誰もが安心して、たくさんの笑顔で日々を送っていける福岡県、この実現に向け、引き続き全身全霊で取り組んでまいります。
次に、ジェンダー平等に向けた思いと日本のジェンダーギャップ指数に対する認識についてお尋ねがございました。誰もが人権を尊重され、社会のあらゆる分野で自分に合った生き方を選択し、個人として持つ能力を発揮することができる社会の実現にはジェンダー平等の推進が重要でございます。
ジェンダーギャップ指数は、経済、教育、健康、政治の四分野における男女格差を示す指標でございます。日本はその中でも経済分野が百二十三位、政治分野は百三十八位と低く、全体の順位を押し下げる要因となっております。このため、県といたしましても管理職に占める女性割合や賃金の格差といった経済分野におけるジェンダーギャップの解消が必要であると認識しており、これまで女性の進出が少ないIT分野で活躍できる女性人材の育成や働く場における女性活躍を推進するための福岡キャリア・カフェの開設などに取り組んでおります。今後もあらゆる分野における女性の活躍やアンコンシャスバイアスの理解促進などのジェンダーギャップ解消に向けた取組をしっかりと進めてまいります。
県総合計画の数値目標の状況を含めたこれまでの成果と課題についてでございます。総合計画に掲げております三つの数値目標のうち、市町村審議会等委員に占める女性の割合は昨年四月時点で三四・三%と順調に推移いたしております。また、知事部局等における本庁課長相当職に占める女性の割合は、今年四月の人事異動の時点で二〇・一%と、目標を前倒しで達成をいたしました。一方で、自治会長における女性の割合は、昨年四月時点で九・九%と全国平均は上回っているものの、前年度からはほぼ横ばいにとどまっております。
ジェンダー平等を推進するため、これまで計画的、総合的に施策を実施してまいりました結果、一定の改善が見られますものの、働く場や家庭、地域等、様々な場面で男女間の格差が依然として存在をいたしております。その背景には、社会全体における性別役割分担意識やアンコンシャスバイアス、男性中心の慣行や制度の存在、仕事と家庭の両立が困難な状況などがあると考えます。このため、引き続き、県民の意識改革に取り組みますとともに、産業、地域、教育など様々な分野において男女の置かれている状況を客観的に把握、分析した上で政策を企画立案し、ジェンダー平等の視点を盛り込んだ施策に取り組んでまいります。
次に、公共事業に従事する労働者の賃金の適正化についてでございます。建設業では人手不足が深刻な問題となっておりまして、担い手の確保のためには労働者の処遇改善、特に適切な賃金水準を確保することが重要であると認識いたしております。
このため、県では元請業者に対し、工事請負契約を締結する際に下請業者との取引の適正化や労働者への適切な水準での賃金支払いを要請する文書を交付し、賃金適正化の周知、指導を行っております。また、昨年十月からは労働関係法令の遵守と最低賃金額以上の賃金の支払いを徹底し、下請業者にも指導することを工事請負契約書の特記事項として定めております。さらに、この特記事項の遵守をより確実なものとするため誓約書の提出を契約の条件とし、下請契約の場合は元請業者が各下請業者から誓約書を徴取することといたしております。今後とも元請業者に対しまして適正な労働条件を確保するとともに、賃金を適切な水準で支払うよう指導を続けてまいります。
公契約条例に関する調査研究についてでございます。公契約条例の制定に当たりましては、賃金等の労働条件は労働者と使用者が自主的に決定するとの原則や労働条件の最低基準を定めた最低賃金法や労働基準法との関係をどのように整理するかといった課題がございます。
また、公契約条例の制定等に関して意見を聴取するため、連合福岡、経営者協会、商工会議所連合会、
中小企業団体中央会に呼びかけて会議を開催いたしましたところ、各団体からは、県が法に基づく最低賃金を上回る基準を設けるとそれが殊さら強調されることにより経営者が無理な経営を強いられ、結果として労働条件の低下を招く、とりわけ建設業では下請、孫請にまでしわ寄せが生じることが懸念される、そもそも公共事業において事業量の時期的な偏りを是正し、十分な工期を確保してほしい、賃金向上につながる建設キャリアアップシステムを普及してほしいといった様々な意見をいただいております。このような状況から、県といたしましては、現時点では公契約条例の制定を念頭に置いた調査研究を新たに行う予定はございません。
一方で、県が発注する公共工事に携わる労働者の適正な労働条件を確保していくことは公共工事の円滑な執行を図る上でも重要でございます。このため、週休二日制の促進につながる工期の平準化、技能者の処遇改善を目指す建設キャリアアップシステムの普及、労務単価を含む市場における実勢価格を適切に反映した予定価格の設定などに積極的に取り組んでいるところでございます。
次に、市町村振興局設置後の活動と成果についてお尋ねがございました。市町村振興局は市町村の皆様の声をしっかりと受け止め、県の政策の方向性を迅速、明確に示し、その上で市町村がそれぞれの規模や実情に応じた政策を構築していただくことができるよう支援するために設置したものでございます。
昨年度の局設置以降、局長、課長、地域政策監が地域に頻繁に足を運びまして、市町村長の皆様の声を直接聞かせていただきますなど、地域の実情やその課題の把握に注力してまいりました。この結果、市町村長から地域振興の要となる地区開発や産業構想の策定、施設整備などにつきまして直接御相談を受けることも多くなりました。局を挙げて迅速かつ丁寧に対応してまいったところでございます。
また、今年度からは、地方創生市町村圏域会議を各副市町村長出席の下で開催し、それぞれの地域が抱える課題を県と市町村で共に考えていく道筋をつけることができました。この会議には地域公共交通やデジタルトランスフォーメーション、子育て支援などあらかじめ市町村から提案された議題に直接関わります県庁内の部局が参加をし、情報の共有や今後取り組むべき施策の協議を行ったところでございます。その結果、ワンヘルスの推進について県及び市町村それぞれの取組状況が共有され、さらなる取組への意識が高まったり、将来の地域公共交通の在り方について継続的に会合を持つような圏域も出てきておりまして、今後もこのような取組を続けてまいります。
これまで述べましたような活動によりまして県と市町村の信頼関係がより強固になり、県の関係部局との連携も深まるなど局設置の効果は上がっているものと考えております。引き続き、市町村振興局が市町村の総合相談窓口となり、市町村の立場に立った一層の支援を行ってまいります。
次に、人事交流、実務研修生の受入れによる職員の人材育成についてでございます。県では市町村及び県職員の人材育成の一環といたしまして、相互の人事交流や実務研修生としての市町村職員の受入れを実施しております。交流、受入れを行う市町村につきましては過去の実績や地域バランスを勘案し、できるだけ偏りが生じないよう選定をいたしております。市町村職員の配置先につきましては人事交流の場合、市町村から希望業務を提出していただきまして、その希望に基づいて決定をいたしております。実務研修生につきましては、現在、市町村振興局を中心に受入れを行っておりますが、局以外への配置希望につきましては、局が窓口となって庁内の関係部署と協議、調整を行うことといたしております。また、人事交流につきましては、現在、市町村と県の交流人数が各八名となっておりますが、市町村からの希望が多いということも踏まえまして、来年度からは拡大する方向で調整を進めております。一方、実務研修生につきましては、市町村側の人材の不足から希望は多くない状況にございますが、県としても、積極的に派遣を呼びかけているところでございます。今後も人事交流、実務研修生の受入れを通じ、市町村及び県の相互理解を深め、幅広い視野を持った職員の育成に取り組んでまいります。
次に、不活動宗教法人対策についてでございます。宗教法人は毎会計年度終了後四か月以内に備付け書類を所轄庁に提出する必要がございますが、令和三年分の決算を反映した書類を期限内に提出しなかった法人は六千六百四十法人中、六百四十五法人ございました。その後、県から督促を行いました結果、先月末現在では二百五十四法人が未提出となっております。
過料事件通知につきましては令和二年分の未提出法人となりますが、過料を科す相手先の所在が確認できないという法人を除きまして五十九法人について裁判所へ通知をいたしております。
備付け書類が未提出となっております法人のうち、一年以上代表役員が不存在、または礼拝施設が滅失しているといった不活動法人は現時点で百七十六法人ございます。こうした不活動法人につきましては、当該法人を包括する宗教団体の協力を得て、活動再開や吸収合併、任意解散、解散命令申立てといった整理方針を決定し、各法人ごとに対策を行っております。
これらの対策を進めるに当たりましては、県が保有している法人情報が古く、代表役員の本籍地が分からず、その生存が確認できない、あるいは法人の所在地に残る礼拝施設の処分に係る住民との調整が必要、また、宗教法人法に規定する解散手続に必要な公告費用の負担といった課題がございます。
県では行政経営企画課に二名の専従職員を配置し、宗教法人の認証や備付け書類の審査、不活動宗教法人対策といった宗務行政に当たっております。不活動宗教法人対策といたしましては、令和三年度から国の不活動宗教法人対策推進事業費を活用しまして外部有識者で構成する不活動宗教法人対策会議を設置し、専門的な助言、指導を受けた上で課題が解決できたものから順次解散命令の申立てを行ってきたところでございます。今後は大幅に拡大した国の補助金を活用し、外部委託により代表役員の所在調査、あるいは地元関係者との調整などを加速することにより対策をさらに推進したいと考えております。
暴力団等の関与を排除する規定についてでございます。国の制度の様々な課題を解決するため地方から提案する制度として、内閣府が実施しております地方分権改革に関する提案募集におきまして、平成三十年度から宗教法人法に暴力団員等の関与を排除する規定の追加について提案を続けております。また、国の施策・制度・予算に対する提言要望におきましても県議会と共に同様の要望を行っているところでございます。
県では、平成二十一年に宗教法人と暴力団員が結託して他の宗教法人の乗っ取りを画策し逮捕者が出た事案などを示しまして国に対し提案を行っておりますが、内閣府からは、憲法上の信教の自由に照らし、制度改正を求めるだけの合理性があるとまでは言い切れないとして、提案団体から改めて支障事例等が具体的に示された場合に調整の対象とするとされております。現在、認証手続中の案件に暴力団等が関与していると思われる事案は確認されてはおりませんが、県では暴力団対策を最重要課題としておりますことから、今後も継続して要望をしてまいりたいと考えております。
次に、未利用県有地の利活用についてでございます。庁舎移転や県営住宅の建て替えなどで未利用地が生じた場合は、まずは県での利活用を優先いたします。このため、関係課で構成する県有財産の処分・利活用促進チームを通じ、庁内各課に利活用の照会を行っております。
県でのこの利活用の予定がない場合は、境界の確定、あるいは権利関係の整理などを行いました上で、地元市町村での利活用について確認を行います。地元市町村での利活用の意向がない場合は、原則として一般競争入札により土地の売却を行うことといたしております。昨年度は三十三か所、五万三千平方メートル、二十三億円余を売却し、財政収入の確保に努めております。
昨年度末現在では、道路や河川などのインフラ資産を除きます県有地は九百二十四か所、千九百六十七万平方メートルございますが、このうち未利用地の箇所数は百六十六か所で全体の一八%、面積は五十七万平方メートルで全体の二・九%となっております。未利用地のうち三十六万平方メートルにつきましては県や市町村での利活用について検討を進めているところでございます。また、売却までの間の維持管理コストの縮減、資産の有効活用といった観点からマンションのモデルルームでありますとか、駐車場、資材置場などの用途で
民間事業者の皆様に対して有償での貸付けを行っているところでもございます。
市町村との連携についてでございます。県では県と市町村が所有する鉄道駅やバス停留所などから近い未利用公有財産の情報を福岡県街なか遊休公共不動産情報として集約をいたしまして、県のホームページで公表することにより、
民間事業者による未利用公有財産の利活用につなげる取組を行っております。また、市町村が所有する企業誘致に活用可能な未利用公有財産、この情報を集約をしまして県のホームページや産業用地の紹介パンフレットにより情報発信を行っております。
さらに、国が開設をいたしております公的不動産ポータルサイトでは、全国の地方公共団体における未利用公有財産の売却や貸付け、学校跡地の活用案募集など、こういった情報を一元的に提供することで地方公共団体と
民間事業者とのマッチングを促進をいたしております。今後はこれらの取組に参加していない市町村にも積極的に参加を促し、広く
民間事業者に未利用公有財産の情報を周知してまいります。
加えまして、未利用公有財産の有効活用を図りたいという意欲がありながら、その知識、ノウハウが不足する市町村に対し、全国の優良事例を紹介するとともに、技術的、専門的な支援を受けることができる国のアドバイザー派遣事業の活用を促してまいります。このような取組によりまして、県及び市町村の未利用公有財産の利活用を推進してまいりたいと考えております。
12 ◯副議長(佐々木 允君) 吉田教育長。
*教育長答弁
13 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 本県公立小中学校等の廃校数と利用状況及び廃校となった県立学校の現在の状況についてでございます。国が実施をしている廃校施設等活用状況実態調査によりますと、平成十四年度から令和二年度に発生した本県市町村立学校の廃校数は百四十一校で、そのうち活用の用途が決まっている学校数は九十四校でございます。また、再編統合された県立学校三十三校のうち、現段階で活用の用途が決まっていない学校は二校でございますが、これらの学校はそれぞれの地元自治体へ管理を委託しておりまして、地域住民のスポーツや文化活動の場として使用されている状況にございます。
14 ◯副議長(佐々木 允君) 中嶋玲子君。
15 ◯三十二番(中嶋 玲子君)登壇 答弁をいただきました。
公契約について知事に要望をいたします。現時点では公契約条例の制定に向けた調査研究を新たに行うことは考えていないとの答弁がなされましたが、従事者の人材を確保し、賃金の適正化を図ることは県などが推進する価格転嫁につながり、経済の好循環を実現できると我が会派は考えます。県が発注する入札の不調が続いている今、公契約の在り方や本県が目指すべき姿を示すための調査研究を積極的に行い、実情に応じて業種、職種ごとの選定を行いながら公契約の条例制定を進めていくことが将来の公共事業の推進、発展につながるのではないでしょうか。
二〇一八年に実施した公契約条例の制定等に関する意見交換の場から既に五年が経過しており、物価高騰等により社会情勢は大きく変化している状況です。まずは改めて協議の場を設定していただくよう要望いたします。
それでは、引き続き質問をしてまいります。
まず、物流の二〇二四年問題についてお聞きします。二〇一九年に施行された働き方改革関連法の五年間の猶予期間終了に伴い、来春、二〇二四年四月一日以降、自動車運転業務についての時間外労働時間は上限九百六十時間、月平均八十時間に制限されます。また、改善基準告示の改正により自動車運転者の拘束時間は、原則として年間三千三百時間、一日十三時間と現在より短くなります。国の試算によると、現状のままでは営業用トラックの輸送能力が二〇二四年には一四・二%で約四億トン、二〇三〇年には三四・一%で約九・四億トンも不足する可能性があります。
この危機を乗り越えるために、荷物を発送する発荷主、そして荷物を運ぶ運送事業者、そして荷物を受け取る着荷主が連携、協働して、物流の効率化、ドライバー確保、賃金水準の向上、荷主、消費者の意識改革などに早急な対策を講じる必要があると我が会派は考えます。
また、自動車運転に係る有効求人倍率は、今年十月時点で二・四八倍と全業種平均の一・〇八倍を大きく上回っており、慢性的な人手不足です。さらに、来春以降はこれに拍車がかかるおそれがあります。ドライバー確保のため、国では外国人が特定技能で就労できるよう規制緩和を始めようとしていますが、女性や若者といった人材の活用も求められます。特に女性は大型運転免許保有者の数に対して、約五・三%しかドライバーとして働いていません。
さて、福岡県内の各JAは、あまおうについて関東地方での収穫後三日目販売を目標に、関東への輸送にかかる所要時間を二十四時間以内と運送業者に要望してきました。しかし、福岡-東京間は千キロメートル以上あります。
国の調査などによると、ドライバーは現在、荷待ちや荷役など運転以外に三時間半から四時間程度要しており、来年四月以降、拘束時間の上限が一日十三時間になるため、残りの九時間半では最大七百六十キロ程度しか運転できず、三日目販売が難しくなります。こういった状況を回避するためにも、中継地点で交替するためのドライバーの確保や荷待ち時間短縮のためのトラック予約システムの導入、荷物を効率的に積み込むためのパレット化などをしておくことなどの対応が必要となります。
本県と同様、関東から遠い青森県ではさきの九月補正予算でパレット化など物流の二〇二四年問題に対応し、業務効率化を図る取組に対し上限二百万円、補助率三分の二の補助金を創設、さらに県特別保証融資制度の融資額の拡大などを行っており、本県でも早急な物流の効率化への支援が必要と考えます。また、発荷主、着荷主側、双方での荷待ち時間短縮が必要となることの周知徹底も欠かせません。
そこで知事にお聞きします。
初めに、自動車運転に係るいわゆる物流の二〇二四年問題に対する知事の認識をお聞かせください。その上で、猶予期間であったこの五年間、県では運送業界に対し、どのような対策に取り組んできたのか、お聞かせください。また、自動車運送の効率化に対する補助金の創設やドライバー確保のため、時限的措置としてでも大型免許取得費用の助成などを検討してはいかがでしょうか、お聞かせください。
今回の時間外労働や拘束時間の上限引下げは運転者の労働条件改善が目的ですが、このままではトラックドライバーの収入減少をもたらし、離職者が増え、よりドライバー不足につながるおそれがあります。我が会派は、運送の二〇二四年問題の危機は現在の運送事業者の賃金水準が低いことが一番の課題と考えます。運送事業者の低賃金の背景には、送料無料は送料に経費がかかっていないという間違った認識や運送事業者の立場が荷主側に比べて弱いため、必要なコストに見合った対価を受け取りにくいといった事情があります。こうした状況に対し、国土交通省は緊急にトラックドライバーの労働条件を改善することを目的とした標準的な運賃の告示制度を導入し、二〇二〇年四月にトラック運送業に係る標準的な運賃を告示いたしました。事業者が適正な運賃を確実に収受し、荷主との適正な取引を行っていくためにはこのような届出を全ての事業者が行う必要があります。
そこで二点目に、このような適正な運賃の設定を徹底するため、県はどのように取り組んでいくのか、あわせて適正な運賃に基づく取引の促進に向けてどのように取り組んでいくのかお聞かせください。
なお、現在、国において業界団体からのヒアリングも行いながら消費者や荷主の行動変容を促し、運賃、送料が消費者向けの送料に転嫁、反映されるよう、送料無料の表示の見直しに向けた検討が進められています。物流に関しては運賃を含めた費用が必ず発生しているという認識を県民に広めていただくよう強く要望いたします。
次に、価格転嫁について質問します。本県が連合福岡や経済団体など十三団体と今年二月に締結した価格転嫁の円滑化に関する協定に関連し、本県では、七月から八月にかけて価格転嫁及び賃上げに関するアンケート調査を協定締結団体会員企業を対象に実施し、三百七十六社から回答がありました。アンケートでは、全体で半数以上の五三・二%の企業が十分な価格転嫁ができておらず、全く価格転嫁できていない企業も一二・五%ありました。価格転嫁が困難な理由について、同業他社が値上げに慎重なため、自社だけの交渉が不安と回答した企業が四〇・五%と最も多くなっています。
また、価格転嫁の円滑化に関する協定で推進しているパートナーシップ構築宣言に登録した企業の八五・三%が宣言後も特に影響はないと答えています。また、価格交渉に役立つとして県が使用を推奨している価格交渉支援ツールについても、知らないという回答が七七・九%を占めています。これらの結果からは価格転嫁への機運が十分高まっている様子はうかがえません。
日本の最低賃金は二十年前には韓国の二倍以上でしたが、その韓国にも現在は追い抜かれています。物価や原価の上昇に伴ってしっかり価格転嫁が行われ、賃金も上昇していくという好循環につなげるための社会全体のイメージづくり、機運醸成を行うことが非常に重要です。
そこで伺います。七月のアンケート結果を踏まえ、県はどう取り組んできたのか、また、各業界団体等や県民に向けて価格転嫁を進めるための機運醸成、周知活動を今まで以上に力強く進めていくべきと考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、知事の考えをお聞かせください。
次に、学校
司書について教育長にお伺いします。学校図書館は単に図書の貸出しや読書の場に限らず、生徒児童の自発的、主体的な学習活動を支援するとともに、情報の収集、選択、活用能力を育成する拠点として、また、教室に通いづらい生徒を受け入れ、悩みを聞くなど、今や第二の保健室としても機能しています。
学校図書館法では、学校
司書を全ての学校に置くよう規定し、学級数が十二学級以上の学校には学校図書館の専門的職務を行う教員、
司書教諭を置くことを定めています。
文部科学省が二〇二二年一月に策定した第六次学校図書館図書整備等五か年計画では、全ての公立小中学校等において学校
司書の各学校図書館への配置を推進することが盛り込まれており、その専門性等が一層発揮できるよう、
司書教諭の授業負担の軽減と併せて、予算措置を含めた学校図書館の人的整備の拡充を図ることを求めています。
そこでまず、本県の学校図書館と学校
司書、それぞれの役割について県教委の基本的な考えをお示しください。
さて、本県
教育委員会は県立学校長に対し、今年二月十四日に事務室の業務執行のより一層の円滑化を図るため、学校
司書に学校図書館以外の事務、いわゆる学校事務に従事させることができるとの通知を発出しました。この兼務に対して現場からは、選書業務や配架処理といった本来業務がおろそかになっていることや生徒への対応ができず、図書館が機能不全となっているとの訴えもあります。
このように、国では文科省が積極的に学校図書館の充実を進める中、一方で本県の県教委では学校
司書を軽視しているかのような状況です。せめて児童生徒が学校にいる時間は図書館がきちんとその機能を果たせるよう配慮すべきではないでしょうか。
そこで、教育長に伺います。県立高校には何人の学校
司書が配置されていて、通知によりそのうち何人が兼務することになったのか、お尋ねします。また、兼務によって本来担うべき役割や業務を果たすことができるのか、見解をお示しください。
これまで本県では行政改革の取組により大幅な職員数の削減を繰り返し行ってきており、
教育委員会でも同様のことが言えます。適正配置のために職員数を削減したはずが学校事務が立ち行かず、学校
司書に事務を兼務させるということは矛盾しており、子供たちのための教育職員を充実させる根本的な解決にはなっていません。また、現場の
司書の一部からは、学校行事で休日出勤した場合に学校
司書の代替職員がいないため、代休を取得できないとの悲痛な声が上がっています。民間ならば労働基準法に違反する事案であり、直ちに是正すべきです。
そこで伺います。本県の小中高等学校における学校
司書の任用や処遇について見直しが必要ではないかと考えますが、市町村
教育委員会に対する対応も含め、教育長の見解をお示しください。
続いて、交通安全への取組について伺います。本県における今年の交通事故の死者数は前年同時期を大きく上回るペースで推移しています。こうした状況を受け、本県は県民に対し、四月に交通死亡事故警戒宣言を発令、九月には交通死亡事故抑止緊急対策を表明し、警察及び自治体や関係機関などが協力して交通死亡事故の抑止を図るための取組を実施しました。
そこで伺います。まず警察本部長から、今年急増している死亡事故の現状と九月に実施の交通死亡事故抑止緊急対策の実施内容と成果についてお示しいただいた上で、本県の交通事故抑止に向けた知事並びに本部長の決意をお示しください。
交通事故の中でも増加傾向にあるのが自転車関連の事故です。昨年発生した自転車に乗った人が死傷した全国の交通事故は、前年比二百九十一件増の六万九千九百八十五件に上り、増加は二年連続です。今年四月からは自転車ヘルメットの着用が努力義務化されましたが、七月の本県での自転車ヘルメットの着用率は県警調べで一〇%、また高校生の着用率は僅か三・五%にとどまっています。
そこで伺います。本県の自転車ヘルメットの着用率が低いこと及びとりわけ高校生の着用率が非常に低い状況であることに対しての警察本部長の認識をお答えください。そして今後、高校生も含めた着用率向上にどう取り組んでいかれるのか、知事、本部長、教育長の考えをお示しください。
さて、福岡市で九月に行われた自転車の交通取締りでは、いわゆる赤切符が交付されたケースが三件ありました。赤切符とは、刑事罰の対象となる悪質な違反に対して交付されるもので、さらにこの取締りで運転中のイヤホンの使用による警告は三十九件でした。危険な自転車運転に対しては赤切符の交付も含め、厳しく対処されることを広く周知し、事故を減らしていくべきと考えます。また、警察庁では比較的軽い交通違反に対して反則金の支払いを求める交通反則切符、いわゆる青切符の交付を自転車に対しても行い、取締り強化の検討をしていると報じられています。
これらを踏まえて、警察本部長に伺います。今年これまでに自転車運転に対して赤切符の交付や警告など取締りが何件行われたのか、過去との比較も含めてお教えください。そして、自転車運転の安全向上に向けた啓発活動をどのように行っているのかお示しいただいた上で、自転車に係る事故をどう減らしていくのか、今後の取組についてお答えください。
最後に、朝倉地域の活性化支援について質問してまいります。
まずは、不登校対策について教育長に質問します。私の地元の筑前町では若い世代の住民の増加が続いており、町立保育所の新設も予定されています。また、小中学生対象のアフタースクールの実施など様々な子供の教育環境を維持、推進してきたものの、近年不登校児童生徒が増えており、町では対応に苦慮しています。基礎自治体にとって、子供の不登校対策は人づくりの観点からも重要な課題で、町では行政として主体的に取り組む必要を感じ、自ら主導して進めたい意向です。
今年十月の文部科学省の調査によると、二〇二二年度の小中学校における不登校児童生徒数は過去最多の約二十九万九千人となりました。この十年間で約三倍となり、近年、不登校支援の必要性が叫ばれています。
本県は二〇一六年の教育機会確保法公布を受け、福岡県不登校児童生徒支援グランドデザインを策定し、不登校児童生徒に対し、社会的自立を目標として学校と市町村、
教育委員会、県
教育委員会、民間施設と連携した支援などを掲げています。
そこでまず、本県の公立小中学校の不登校児童生徒数と不登校の要因などその現状について近年の傾向をお示しください。また、県と市町村、民間施設との連携の現状と今後具体的にどのような支援を行っていくのか、それぞれお答えください。
次に、フリースクールについてです。子供の第三の居場所であるフリースクールは民間団体が運営しているものが多い中、県内の自治体でも空き教室を活用して整備したいわゆる校内フリースクールも増えています。学校に行きたいと思っても行けない不登校の児童生徒も多く、直接教室に入れない子供に中間的存在の教室を整備するだけでなく、そこには必ず教員や支援員などの配置が不可欠です。民間団体の運営と校内フリースクール、どちらにしろ子供にとって安心できる居場所が必要です。
そこで二点目に、教育機会の確保の観点から、校内フリースクールを含め、多くの受皿があることが望ましいと考えますが、教育長の見解をお聞きします。あわせて、不登校対策に取り組む立場にある市町村
教育委員会に対し、県
教育委員会からの支援が必要と考えます。どんな支援を行っていくのか、お答えください。
続いて、朝倉市の活性化に関する課題についてお聞きします。朝倉市は平成二十九年九州北部豪雨で多くの犠牲者を出す甚大な被害を受けましたが、六年の歳月にわたる国、県、市による復旧工事をしていただいたおかげで、ほぼ完了しました。しかし、今年七月の豪雨で再び大きな被害を受け、引き続き災害復旧が必要となりました。まだ農地等の再生を残してはいるものの、ようやく住民の皆さんも前向きに復興への歩みを進める機運が高まり、今年は秋月黒田藩成立四百年事業の催物も盛大に行われたところです。
朝倉市ではこれまでの災害の朝倉のイメージから、安全な朝倉を打ち出し、安心できる町へのイメージチェンジを図ろうとしています。しかし、課題は山積しています。人口減少、少子高齢化はもちろん、若者の転出、雇用の不安等です。福岡都市圏から離れた小都市の維持発展には雇用の場の確保、とりわけ企業誘致が重要だと考えます。
朝倉市内には高速道路のインターチェンジが三か所もあります。運送面で利点があることから、昨年市内に外資系のESR株式会社が大型物流倉庫を操業し、百名を雇用しました。このほか、北九州の海運業者が朝倉地域に土地を購入されたと聞いており、朝倉市は物流拠点になり得る可能性が大いにあると考えます。しかし、企業誘致を進めるためにはその受皿が必要ですが、土地利用については規制が厳しいのが現状です。
そこで質問です。朝倉市は県内の物流拠点の一つとなる可能性があると考えますが、知事の見解をお聞きします。あわせて、復興を目指している朝倉市を県はどのように支援していくのか、お聞きします。
以上、真摯な答弁をよろしくお願いいたします。
16 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。
17 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
まず、トラック運送における物流の二〇二四年問題についてでございます。来年四月からトラックドライバーの時間外労働や拘束時間の上限規制が強化されます。これに伴い輸送能力が不足し、産業経済活動や県民の暮らしに影響を及ぼすことが懸念されますことから、運送業務の効率化やトラックドライバー不足への対応が求められております。また、トラック運送における物流の二〇二四年問題への対応はトラック事業者側の取組だけではなく、荷主側の理解、協力も必要であると考えております。
運送業務の効率化への対応につきましては、県中小企業生産性向上支援センターにおきまして業務プロセスの改善や自動化に取り組む中小企業に対し、生産性アドバイザーや専門家が企業診断を行った上で課題を明確化し、具体的な改善策を提案いたしております。加えて業務プロセスの改善等に必要な設備やシステムの導入に対する補助金も設けておりまして、トラック運送事業者におかれましては運送受注・配送管理システムなどに御活用いただいているところでございます。
また、ドライバー不足への対応につきまして、県は公益社団法人福岡県トラック協会に対する交付金を通じ、トラック運送事業者の従業員の大型免許等の取得費用に対する助成や女性ドライバー確保のための広報活動などに取り組んでおります。
さらに、荷主側の理解、協力への対応につきましては、県トラック協会を含む関係団体と連携をしまして取引先との共存共栄に向けた取組を行う企業のパートナーシップ構築宣言を促進をいたしております。
今後もこれらの課題解決に向け、引き続き県トラック協会等との連携や県中小企業生産性向上支援センターの活動を通じましてトラック事業者側への支援と荷主側への理解促進に取り組んでまいります。
次に、適正な運賃設定と適正取引の促進についてでございます。国の法改正を受け、県トラック協会と連携をいたしましてトラック事業者を対象としたセミナーを開催し、適正な原価と利潤に基づく運賃の設定について周知を行ってきたところでございます。また、適正取引の促進につきましては、今年二月、県トラック協会や連合福岡を含む官民労十三団体で価格転嫁の円滑化に関する協定を締結いたしますとともに、五月には取引適正化推進フォーラム、十月には取引適正化を訴える街頭啓発を行いました。さらに今年八月、全国知事会を通じトラックドライバーの賃金水準向上に向けた適正取引のための実効性のある取組の強化について国に対し緊急要望を行ったところでございます。
今後は県トラック協会に未加入の事業者や個人経営の貨物軽自動車運送業者においても荷主との適正な取引が促進されますよう、国の法令改正等の最新情報や事業者が遵守するべき事項等について県のホームページに掲載いたしますとともに福岡県
中小企業団体中央会のメールマガジンなどで配信をしてまいります。引き続き官民労を挙げて、適正な運賃設定の徹底と適正取引の促進に向けて取り組んでまいります。
七月のアンケート調査を踏まえた価格転嫁の機運醸成、啓発活動についてお尋ねがございました。価格転嫁の円滑化に関する協定を締結した十三団体による価格転嫁及び賃上げに関するアンケート調査の結果、県内企業においては価格転嫁が十分に進んでいない、パートナーシップ構築宣言に対する理解が進んでいないといった状況が明らかになりました。このアンケート結果を受け、価格転嫁の必要性を県民の皆様に広く理解していただくため、十月には博多駅前において連合福岡や福岡労働局などと取引適正化や賃上げの実現を訴える街頭啓発活動を行いました。
また、パートナーシップ構築宣言や価格交渉ツールのさらなる周知を図るため、十一月にはその意義などを分かりやすく解説した啓発チラシを作成いたしたところでございまして、この協定締結十三団体をはじめとする中小企業関係団体を通じまして、県内の事業者に向けて幅広く周知を図ったところでございます。さらに、来年三月、価格交渉促進月間には協定締結十三団体が連携し、事業者や県民の皆様に向けて価格転嫁への理解を強く訴えるための広報啓発活動を行う予定でございます。本県が呼びかけて実現をいたしましたこの協定の実効性を上げ、中小企業における価格交渉、価格転嫁が一層進みますよう、協定締結団体と連携してしっかりと取り組んでまいります。
交通事故抑止に向けた取組についてでございます。交通死亡事故につきましては例年約六割を高齢者が占め、また歩行中に亡くなられた方の約七割が高齢者となっております。さらに年末にかけては夕暮れどきに道路を横断中の歩行者の死亡事故が増加し、そのうち高齢者が高い割合を占める傾向がございます。今年四月の警戒宣言発令に伴う各種の対策後、交通死亡事故の発生は落ち着きを見せたものの、八月下旬から九月上旬までの間に前年同期の三倍近い十四件の死亡事故が発生し、極めて憂慮すべき状況となりました。このため九月十一日から九月末まで県警察や関係機関、団体と共に死亡事故抑止のための緊急対策を実施したところでございます。
このような状況から十月には高齢者をはじめとする歩行者やドライバーに向けた交通事故抑止の啓発チラシを作成し、市町村はもとより老人クラブ連合会や指定自動車学校、公民館連合会など高齢者が関係する機関、団体約四千九百か所に送付をいたしますとともに、より多くの方が目にする場所での掲示や配架について働きかけを行っております。また、来週十一日からの年末の交通安全県民運動期間には「福岡県だより」や県広報ラジオ番組、街頭啓発などによりまして交通事故抑止のための注意喚起を行います。
悲惨な交通事故を防ぐためには県民一人一人により一層の交通安全意識を持ち続けていただくことが必要でございます。引き続き、県警察、市町村、関係機関、団体等と協力をしまして交通事故のない安全で安心な福岡県の実現に向け取り組んでまいります。
自転車乗車用ヘルメットの着用率の向上についてでございます。高校生につきましては小中学生を含む児童生徒の中では自転車事故件数が最も多く、またヘルメットの着用率は最も低くなっております。県では今年六月にヘルメット着用の促進に向けた効果的な取組の参考といたしますため、高校の生徒会役員を対象にアンケートを実施をいたしまして千四百六十一名から回答を得ました。
その結果、約四四%の生徒がかっこいいヘルメットの普及が最も効果的であると回答いたしました。このため、製造メーカーに対して利用者の多様なニーズを反映したヘルメットの開発について働きかけを行いますとともに、自転車販売店にキャップ型やハット型など様々なデザインや色のヘルメットの取扱いを要請したところでございます。
また、ヘルメット着用の効果や必要性を周知啓発することが効果的であるとの回答も多かったため、世界が注目したサイクルロードレース、ツール・ド・九州二〇二三の会場におきまして来場者の皆様に実際にヘルメットを着用していただきますとともに破損したヘルメットを展示し、事故の際の頭部への危険性や着用効果について啓発を行いました。さらに、秋の交通安全県民運動の初日のイベントにおいて高校生がヘルメットを着用し、ヘルメットのイメージ向上と着用の重要性についてPRを行ったところでございます。引き続き、県警察、教育庁等と連携し、高校生はもとより県民の皆様にヘルメットを着用すれば事故後の致死率が約四分の一に下がることを知っていただき、自らの命を守るためにはヘルメット着用が必要であるとの意識を持ってもらえるよう、あらゆる機会を捉え、啓発に取り組んでまいります。
朝倉市のポテンシャルを生かした企業誘致についてお尋ねがございました。朝倉市は福岡県のほぼ中央に位置しておりまして、大分自動車道の甘木、朝倉、杷木、この三つのインターチェンジを有しております非常に交通利便性に優れた地域でございます。このたびの大型物流施設の立地もこの点が高く評価されたものと認識をしており、物流拠点の一つとなるポテンシャルがあると考えます。また、当該地域はこれまでプレナスフーズなどの食料品関連企業や村上開明堂九州などの自動車関連企業の誘致にも成功いたしておりまして、物流に限らず幅広い企業集積のポテンシャルも有しております。
県といたしましては、このような朝倉市のポテンシャルを生かした企業誘致を推進してまいります。また、企業誘致の受皿となる産業団地の確保に向け、土地利用に係る法規制への助言を行いますとともに用地選定のための調査費に対する県の助成制度の活用を促すなど、朝倉市の企業誘致をしっかりと応援してまいります。
18 ◯副議長(佐々木 允君) 吉田教育長。
19 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 学校図書館と学校
司書の役割についてでございます。学校図書館は子供たちが本に親しむ最も身近な場所であり、児童生徒の読書活動や読書指導の場としての機能がございます。加えて児童生徒や教職員が必要な情報を収集したり、休み時間等に児童生徒が教室から離れ、自発的、主体的に学んだりする場になっております。また、学校
司書は
司書教諭等と共に児童生徒が進んで学校図書館を訪れたくなるような環境づくりや児童生徒や教員の学習情報ニーズへの対応、授業に役立つ資料の整備などの役割を担っているものと認識をしております。
県立高校における学校
司書の配置及び兼務についてでございます。現在、学校
司書は全ての高校に配置をしており、その人数は九十五校に対し、九十九人でございます。このうち三十八人が事務室業務を兼務いたしております。
なお、兼務は学校
司書の本来の業務に支障のない範囲で行うこととしており、業務を命ずる際は当該職員に対し、兼務の必要性や業務内容を丁寧に説明するよう、校長会や事務長会において周知しております。今後とも学校
司書が本来担うべき業務や役割を果たすことができるよう、適切な指導や周知を行ってまいります。
学校
司書の任用やその処遇についてでございます。県立高校の学校
司書については全てを常勤としておりますが、休暇や出張等で不在になる際の利用ニーズへの対応や代休取得など働きやすい環境を整えるためには
司書教諭などとの連携も大切であると考えております。県
教育委員会としましてはこうした観点を踏まえ、県立高校の学校図書館の環境整備に努めてまいります。
また、市町村の職員である小中学校の学校
司書につきましては国の整備計画に基づく地方財政措置の情報を提供し、その適切な配置を促すとともに学校図書館の管理運営の好事例を研修会等で紹介するなど学校図書館の本来の役割が発揮されるよう、市町村に対し支援をしてまいります。
〔佐々木副議長退席 香原議長着席〕
次に、県立高校生の自転車ヘルメット着用率の向上についてでございます。自転車ヘルメットの着用を促進するためには、生徒自身が自転車事故の危険性とヘルメット着用の必要性を認識し、自発的に着用するよう生徒主体の取組が重要であると考えております。このため県
教育委員会では、本年六月にヘルメット着用促進など交通事故の被害を防ぐ方策について生徒会を中心に生徒自身が考え、主体的に行動するモデル校となる交通安全教育推進協力校として県立高校九校を指定をし、各校の取組を支援しております。
また、八月には指定校の生徒会が参加するオンラインミーティングを開催し、ヘルメットの着用促進に向けた各校の取組についてその現状や課題を議論をいたしました。これを受けて、各校では生徒の発案により様々なデザインのヘルメットの展示や生徒会役員による校門での着用呼びかけ活動などを実施をしているところでございます。今後、県警察や関係部局とも連携しながら各校の取組の充実を図り、優れた取組を全県立高校に普及させるとともに保護者に対する啓発を通して生徒のヘルメット着用を促進してまいります。
次に、不登校の現状についてでございます。令和四年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果では、本県の公立小中学校における不登校児童生徒数は直近三年間で約一・七倍増加し、一万四千九百四十三人となっており、このうち無気力や生活リズムの乱れなどを要因とするものはこの間約三割から六割に増加をいたしております。
こうした変化の背景には、不登校は問題行動ではないという認識が児童生徒や保護者に浸透してきたことやコロナ禍によりまして生活リズムが乱れやすい状況が続いたこと、また学校生活において交友関係を築くことが難しかったことなどが要因としてあると考えられます。県
教育委員会としましては新たな不登校を生まないよう、子供たちが安心して楽しく通える魅力ある学校づくりを推進してまいります。
この不登校問題に係ります県と市町村、民間施設との連携についてでございます。令和三年度に有識者や教育行政職員に加え、市町村の教育支援センター職員や民間のフリースクール代表者などを構成員とします福岡県不登校児童生徒支援会議を立ち上げております。この会議において市町村の教育支援センターの取組や民間施設の取組について共通理解を図るとともに、各機関の役割に応じた効果的な支援について協議をしているところでございます。今後、教育支援センターの活動現場を視察し、意見交換を行うなどより実践的な協議が行えるよう、会議の開催方法を工夫してまいりたいと考えております。
このほか、県
教育委員会として教育支援センターやフリースクールを訪問し意見交換をしたり、教育事務所ごとに管内の市町村
教育委員会教育長と不登校対策について協議の場を設けたりしたところでございまして、今後とも継続的にこうした取組を進めてまいります。
不登校児童生徒の多様な学習機会の必要性と市町村
教育委員会への支援についてでございます。不登校児童生徒は一人一人不登校に至った要因が異なっておりまして、学校の教室以外でもICTを活用したオンライン学習や学校内外に設けられた教育支援センターでの学習など多様な学習機会の中から自分の状況に応じた支援が選択できるようにすることが大切であると考えております。
このため、県
教育委員会としましては全ての小中学校にスクールカウンセラーを配置をするほか、市町村の教育支援センターにおける支援のモデル開発などを行っておるところでございます。今後とも市町村における学習機会の充実が図られるよう、国からの財政措置や県内外の好事例に関する情報提供に加え、市町村が行う不登校対策事業への助言などを積極的に行ってまいります。
20 ◯議長(香原 勝司君) 岩下警察本部長。
21 ◯警察本部長(岩下 剛君)登壇 初めに、本年の交通死亡事故の現状についてお答えをいたします。交通事故死者数は年当初から増加傾向で推移し、十一月末現在で八十七人、前年同期比プラス二十二人となっております。
その主な特徴といたしまして、いわゆる幹線道路での事故で亡くなった方が全体の約九割を占めており、本年の交通死亡事故が急増した大きな要因となっております。また、年齢別では高齢の方が約六割を占め、時間帯別では午後六時から午後十時にかけての事故で亡くなった方が約三割となっております。
次に、九月に行いました緊急対策の実施内容と成果についてお答えをいたします。交通死亡事故の急増に伴い、九月七日から九月三十日までの間、幹線道路における日没後の速度違反や歩行者の多い道路における横断歩行者妨害の取締りを強化したところであります。あわせまして、商業施設の店内放送を活用した注意喚起や交通安全協会をはじめとする関係機関、団体と連携した広報啓発などを実施したものであります。その結果、本年七月から九月にかけて、一月当たりの死者数が約十人であったところ、対策実施直後の十月では五人と、一定の成果が見られたところであります。
次に、交通事故の抑止に向けた決意についてお答えいたします。例年年末にかけ増加傾向にある交通死亡事故のさらなる抑止を図るため、十一月から十二月にかけ、交通死亡事故抑止六十日作戦と称し、交通指導取締りに重点を置いた各種取組を実施しているところであります。県警察といたしましては悲惨な交通事故を一件でも減らしていくため、今後も死亡事故に直結する悪質、危険な交通違反の取締りを強化するとともに運転者と歩行者の双方に対し、交通安全意識の醸成に向けた効果的な広報啓発活動を強力に推進してまいります。
次に、自転車乗車用ヘルメット着用率に関する認識についてお答えを申し上げます。過去五年間に県内で発生した交通事故では自転車乗車用ヘルメットを着用していなかった場合の致死率が着用していた場合の約四倍に上るなど、命を守るためにはヘルメットの着用が極めて重要であります。
本年七月に実施されました全国のヘルメット着用実態調査では福岡市内四か所の着用率が八・〇%で全国平均の一三・五%を大きく下回り、全国では三十位と極めて低調でありました。また、県警察独自で調査した県内三十七か所での着用率は一〇・〇%でありまして、これを年代別で見ますと高校生の着用率が三・五%と最も低くなっております。したがいまして、高校生を中心としたヘルメットの着用促進は喫緊の課題であると認識しているところであります。
次に、自転車乗車用ヘルメットの着用率向上に向けた取組についてお答えをいたします。本年四月から高等学校を対象に生徒の自転車乗車用ヘルメットの着用促進に向けた積極的な取組を働きかけ、十一月末現在、その賛同を得た二十九校を自転車ヘルメット着用推進モデル校に指定し、学校における交通安全教室、生徒と協働した交通安全キャンペーン等を実施しております。さらにモデル校を含めた県内の高校生を対象にヘルメット着用促進をテーマとした動画やポスターのコンクールを実施しております。また、本年九月からは県内各事業所にも働きかけを行い、十一月末現在、八十事業所を自転車ヘルメット着用推進宣言事業所に指定しております。今後もモデル校や宣言事業所の拡充のほか、各種広報媒体を通じた啓発活動を進めるなど、県や県
教育委員会とも連携しながら自転車乗車用ヘルメットの着用促進に努めてまいりたいと考えております。
次に、自転車の違反に対する取締りの状況についてお答えいたします。過去五年間における自転車に対する取締り件数は、平成三十年には四百四十一件でありましたが、昨年の令和四年には二百三十二件と減少し、警告件数については平成三十年には約三万件であり、令和四年には約四万二千件に増加しております。なお、本年十月末現在における取締り件数は二百七十件、前年同期比プラス七十六件、警告件数は約二万九千件、前年同期比マイナス約七千件となっております。
最後に、自転車運転に関する啓発活動と事故の抑止に向けた今後の取組についてお答えをいたします。現在、自転車事故が多発している地区や路線を自転車指導啓発重点地区・路線に指定し、交通指導取締りと連動した啓発活動を重点的に実施しております。具体的には、学校や駅周辺における街頭活動のほか、ボランティアや自治体等と協働して啓発物を配布するなどの取組を行っております。また、学校や企業等に対する参加体験実践型の交通安全教室を通じた自転車の安全利用も促進しているところであります。
県警察といたしましては全ての自転車利用者に対し、交通ルール、マナーの周知を図るとともに悪質、危険な違反者に対する取締りを徹底してまいりたいと考えております。
22 ◯議長(香原 勝司君) 中嶋玲子君。
23 ◯三十二番(中嶋 玲子君)登壇 答弁をいただきました。知事と教育長にそれぞれ要望をいたします。
まず、知事に要望いたします。物流の二〇二四年問題について、認識と今後の対応についてお聞きしましたが、どれも現在行っていることばかりで、例えば業務の効率化に対する新たな補助金の創設など、四月から本格的に危機となる物流の二〇二四年問題に対する真剣な取組が見えてきません。この物流の二〇二四年問題に対し、政府も危機感を抱き、本年六月に政策パッケージ、十月には緊急パッケージを出しました。また、十月一日には国交省が機構改正を行い、物流・自動車局を新設しています。
物流の二〇二四年問題は商工政策課が窓口として対応をしているものの、庁内横断的な対応が求められます。物流現場の意見を受け止めるための新たな担当部局の創設も含め、物流危機への本気のさらなる取組を強く要望いたします。
次に、学校
司書について教育長に要望いたします。文科省の示す学校図書館充実の方向性や現場の実態と全くかけ離れた御答弁に非常に驚いております。県立学校の学校
司書九十九人のうち三十八人が学校事務を兼務する状況が初めて明らかとなり、県教委は、兼務は学校
司書の本来の業務に支障がない範囲で行うこととしているとのことでした。しかし、兼務を通知する文書には、学校
司書の事務室業務従事については当該職員の承諾を要件とするものではないが、その必要性や主な業務内容などを当該職員に対して丁寧に説明することとあります。つまり本人の了承がなくとも、学校長、事務長の判断で兼務を命じることができるわけです。兼務辞令が出された方の中には、既に精神的に追い込まれ、退職した人もいると聞いています。ぜひ現場の声を聞いていただきたいと思います。
県が文科省の方向性に反して兼務を認めるのであれば、実際に支障が生じていないか調査をしていただき、今後の在り方について再検討いただきますよう強く要望をいたしたいと思います。
以上、民主県政クラブ県議団の代表質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
24 ◯議長(香原 勝司君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることといたします。
*議員表彰
次に、この際日程に追加し、規定の在職年数に達した県政功労議員に対し、本県議会議員表彰規程に基づき、これより表彰を行います。
表彰の実施に当たっては、この際、議長に御一任願います。
このたびの被表彰者は、議員在職二十四年に達した長裕海君であります。(拍手)
長裕海君、登壇願います。
〔長裕海君登壇 香原議長表彰状朗読〕
表 彰 状
福岡県議会議員 長 裕 海 殿
あなたは平成十一年十一月以来二十四か年福岡県議会議員として在職し終始県政の発展と県民の福祉増進のため
尽力されその功績は誠に顕著であります よってここに福岡県議会議員表彰規程に基づきこれを表彰いたします
令和五年十二月七日
福 岡 県 議 会
〔拍 手〕
25 ◯議長(香原 勝司君) 引き続き、ただいまの被表彰者に対し、知事から感謝状が贈られます。
〔長裕海君登壇 服部知事感謝状朗読〕
感 謝 状
福岡県議会議員 長 裕 海 殿
あなたは県議会議員として二十四年の長きにわたり県政の発展に尽くされ、地方自治の振興に貢献されました
その功績は誠に顕著であります よってここに感謝の意を表します
令和五年十二月七日
福岡県知事 服 部 誠太郎
〔拍 手〕
26 ◯議長(香原 勝司君) 以上で表彰を終わります。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 三 時 十三分 散 会
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