福岡県議会 2023-09-29
令和4年度 決算特別委員会 本文 開催日: 2023-09-29
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 令和五年九月二十九日(金曜日)
午 前 十 一 時 零 分 開 議
◯桐明和久委員長 おはようございます。定足数に達しましたので、ただいまから委員会を開きます。
審査日程に従い、本日の議事を行います。
お手元に、病院事業会計の資料を配付いたしております。御確認願います。
最初に、
保健医療介護部所管分の審査を行います。
まず、第一六〇号議案「令和四年度福岡県一般会計決算」のうち、歳出について説明を求めます。
白石保健医療介護部長。
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◯白石保健医療介護部長 おはようございます。それでは、令和四年度福岡県
一般会計歳出決算のうち、
保健医療介護部所管分について御説明申し上げます。
歳入歳出決算概要説明書の五十八ページをお願いいたします。
歳出の三款保健費でございますが、決算額は三千七百七十二億円余となっております。この主なものについて御説明いたします。
御覧いただいております五十八ページ下の段、一項保健企画費の決算額は七十三億六千七百万円余となっております。その主なものは、五十九ページの説明欄にありますとおり、人件費及び
保健福祉環境事務所等運営費などでございます。翌年度繰越しを行っておりますのは、
保健環境研究所建て替えに向けた基本設計の策定経費で、事業者との協議によるものでございます。不用額は人件費などの執行残でございます。
次に、その下の段、第二項健康対策費の決算額は九十八億六千二百万円余となっております。その主なものは、六十ページの説明欄にありますとおり、難病等対策費及び原爆障がい対策費などでございます。不用額は難病等対策費などの執行残でございます。
次に、六十一ページをお願いいたします。三項生活衛生費の決算額は一千三百十七億五千八百万円余となっております。その主なものは、説明の欄にありますとおり、感染症予防費などでございます。翌年度繰越しを行っておりますのは、
新型コロナウイルス感染症患者の入院医療機関の設備整備のための経費で、工事の進捗が遅れたことによるものなどでございます。不用額は、六十二ページにありますとおり、感染症予防費などの執行残でございます。
次に、その下の段、四項医薬費の決算額は二百一億三千百万円余となっております。その主なものは、六十三ページの説明欄にありますとおり、
地域医療介護総合確保基金積立金及び
救急医療対策費などでございます。翌年度繰越しを行っておりますのは、医療施設における患者の療養環境等の改善のための整備に要する経費でございまして、工事の進捗が遅れたことによるものなどでございます。不用額は医師等確保・養成費などの執行残でございます。
次に、その下の段、五項医療介護費の決算額は一千九百七十六億四千六百万円余となっております。その主なものは、六十四ページの説明欄にありますとおり、
後期高齢者医療対策費及び
介護給付費負担金などでございます。翌年度繰越しを行っておりますのは、
介護サービス事業所における
新型コロナウイルス感染症患者発生時の事業継続のための掛かり増し経費等に対する助成で、補助金申請に係る国の承認及び実施期間が年度をまたぐことによるものなどでございます。不用額は
介護保険対策事業費などの執行残でございます。
次に、その下の段、六項高齢者支援費の決算額は百四億六千二百万円余となっております。その主なものは、六十五ページの説明欄にありますとおり、
高齢在宅福祉事業費及び
老人福祉施設整備費などでございます。翌年度繰越しを行っておりますのは、
特別養護老人ホームなどの施設整備において、工事の進捗が遅れたことによるものなどでございます。不用額は
高齢福祉施設事業費などの執行残でございます。
以上が
保健医療介護部所管分の決算の概要でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
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◯桐明和久委員長 説明は終わりました。これより歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。浦伊三夫委員。
4 ◯浦 伊三夫委員 自民党県議団の浦伊三夫でございます。
今日は本当にすがすがしい朝を迎えさせていただいておりまして、今日の朝方、
ラグビー日本代表がサモワに、ぎりぎりであったんですけれども、勝利するといううれしいニュースが飛び込んでまいりました。(拍手)ありがとうございます。今日はしっかりと負けないように質問をしていきたいなと思っておりますが、冷静に質問をさせていただきたいと思っております。
今回も、ひきこもり対策ということでお伺いいたします。
これまでに、私は何度もこのひきこもり対策について質問をさせていただきました。生きづらさや孤独感などを抱え、日々葛藤しながら生活を送っているひきこもりの方々やその家族のことを思うと、一日でも早く、このような質問をしなくてよい日が来ることを願っております。私が初めてこのひきこもり対策の質問をさせていただいた令和元年度の予算特別委員会では、質問先は労働政策課でありまして、とにかく
地域若者サポートステーションというところにつなげ、就労してもらうということばかりを、私も、恐らく県も、そういう考えであったのではなかろうかと思っております。しかし、ひきこもりというのは、そんな簡単なことでは解決は難しく、それぞれの悩みや苦しみを受け止め、時間をかけて寄り添った支援が必要だということが分かりました。県のひきこもり対策も、県民に寄り添ったものでなくてはならないと思っております。
そこで、お伺いいたします。まず、県においてこれまで取り組んでこられたひきこもり対策について説明をお願いいたします。
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◯桐明和久委員長 山田こころの
健康づくり推進室長。
6 ◯山田こころの
健康づくり推進室長 県では、平成二十二年にひきこもり
地域支援センターを設置し、その後、住民により身近なところでの相談の充実を図るため、令和二年に、筑豊地域と筑後地域の二か所に
サテライトオフィスを設置しました。これら三か所の拠点では、
精神保健福祉士等の
支援コーディネーターが、ひきこもりの方やその御家族からの相談に応じ、それぞれの置かれた状況に応じた助言を行うほか、必要な場合は、就労や福祉などの支援機関につないでまいりました。また、来所できない方に対する家庭訪問や、支援機関に行くことをためらう方への同行訪問といった
アウトリーチ支援にも力を入れています。さらに、御本人の居場所や御家族が集う場の提供、支援機関の連携強化のための
ネットワーク会議や支援者向けの研修会などを行っているところでございます。
7 ◯浦 伊三夫委員 ひきこもり
地域支援センター及びその
サテライトオフィスにおいて様々な支援を行っているとのことでありますが、昨年度の主な実績を伺います。
8 ◯山田こころの
健康づくり推進室長 センター及び
サテライトオフィスの昨年度の相談実績は延べ六千二百九十一件であり、一昨年度の四千六百八十件から三割以上増加しています。
アウトリーチ支援については、昨年度は四百六十九件の支援を行っており、こちらも一昨年度の三百十九件から四割以上増加しています。また、御本人向けの居場所を毎月二回開設し、他の方と思いや悩みを共有する場として活用いただいたほか、家族の集いを毎月一回実施し、参加者同士の交流や、ひきこもりに関する正しい理解の促進を図りました。
9 ◯浦 伊三夫委員
サテライトオフィスを開設し、様々な取組というものをやっていただいていることで、相談件数が増えたということは非常によかったと思うと同時に、対応していただいている職員の方々は、急に仕事が増えて大変だろうなと思っております。
私は前から、このひきこもりの解決のためには、市町村や民間の支援団体との連携強化というのが必要だと言ってまいりました。令和二年の質問の際に、
浦伊三夫事務所調べではございますけれども、市町村においてひきこもりの状況を調査させていただきました。相談窓口や相談員の配置の有無、相談内容や件数などの確認をいたしましたが、相談窓口を設けていたのは、八市四町の十二自治体だけでありました。
そこで、お伺いをいたします。市町村におけるひきこもり対策の強化に向け、県ではどのような働きかけを行っているのか、また、市町村への働きかけを行ってきた結果、ひきこもり対策に取り組む市町村は増えているのかお伺いをいたします。あわせて、まだ取り組んでいない市町村は、どのような理由によるものかお伺いいたします。
10 ◯山田こころの
健康づくり推進室長 市町村における対策を促すため、担当者向けの説明会や研修会、出張相談会の開催のほか、個別の案件に対する助言や事例検討などを行っています。また、市町村との連携の下、個々のひきこもりの状況や必要な支援内容などを把握するための調査を実施し、その結果を市町村と共有することにより、ひきこもりの現状に対する理解促進にも努めてまいりました。これまでの働きかけの結果、ひきこもりの相談窓口を設置している市町村数は、令和五年三月末時点で四十六に増えました。一方、専門相談員の配置や居場所づくりなど、より踏み込んだ対策に取り組んでいる市町村は、現時点で三市町にとどまっています。
また、市町村が対策に取り組めない理由について聞き取りを行ったところ、小規模の市町村をはじめ、財政面やマンパワー不足を懸念する声が多くありました。これらの要因により、市町村における対策がなかなか進まないものと考えております。
11 ◯浦 伊三夫委員 市町村の窓口が増えたということは、これまで皆さんがやってこられたことが着実に実を結んだと思いますが、まだまだやらなくてはならないことがたくさんあると思います。市町村におけるひきこもり対策がさらに進むよう、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。
12 ◯山田こころの
健康づくり推進室長 現在行っている研修会や出張相談会、個別の案件に対する助言や事例検討などにつきましては、引き続きしっかり取り組んでまいります。また、先ほど触れたひきこもりに関する調査結果の共有により、自らの市町村でも対策が必要と考え、新たに対策の検討を始めた市町村も出てきているため、そのような事例について担当者向けの説明会で紹介するほか、国の補助制度の活用を促すことなどにより、市町村におけるひきこもり対策の強化に取り組んでまいります。
13 ◯浦 伊三夫委員 ひきこもり対策を進めていく上では、市町村との連携というものに加えて、ひきこもりの民間支援団体との連携というのも重要であると考えておりますが、現在どのような連携を行っているのか、また、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
14 ◯山田こころの
健康づくり推進室長 県では、就労支援や居場所の提供、カウンセリングなど様々な支援を行っている民間支援団体について、その所在地や活動内容などを取りまとめ、関係者間で共有しています。また、センターや
サテライトオフィスでは、相談者の状況に応じて、これらの民間支援団体を御紹介しています。さらに、支援者向けの研修会の場で支援事例の共有を図っているほか、昨年度からは、民間支援団体との共催により、八〇五〇問題に関する講演会も開催しているところです。
引き続き、民間支援団体の最新の状況について把握に努め、その共有を図るとともに、
ネットワーク会議などを通じて連携強化に取り組んでまいります。また、市町村に対しても、民間支援団体との連携を促し、県、市町村、民間支援団体のそれぞれの特徴を生かしながら、ひきこもり対策に取り組んでまいります。
15 ◯浦 伊三夫委員 県と市町村と、またそういった支援団体との関わりというものを強くしていくことというのが大事なことであると私は常々言っておりました。それを御理解いただいて連携を進めていただいたということは、本当に評価させていただきたいなと思っております。
このひきこもり対策が着実に進んでいくために、最後に、部長に市町村におけるひきこもり対策の強化に向けて決意を伺います。
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◯桐明和久委員長 白石保健医療介護部長。
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◯白石保健医療介護部長 県では、これまで
サテライトオフィスの設置や出張相談会の開催などを通じまして、住民の皆様が相談しやすい環境整備に努めてまいりましたが、今後は、これまで以上に身近なところで相談でき、適切な支援を受けることができるよう、住民のことを最も把握している市町村における対策の強化が不可欠であると考えております。
しかしながら、現状では、ひきこもり対策に積極的に取り組む市町村がある一方で、財政面やマンパワー不足などの理由から、対策に踏み出せない市町村が多くあります。このため、これまで行ってまいりました市町村に対する働きかけに加えまして、複数の市町村が共同で対策を行うことも検討するよう促しまして、必要に応じてセンター等が市町村間の調整をすることなどによりまして、市町村における対策の強化が図られるよう、しっかり取り組んでまいります。
18 ◯浦 伊三夫委員 部長、ありがとうございました。
市町村間で、センターが中に入って、また新しい窓口をつくっていくように努力をしていただけるということでありますので、こういったひきこもりの方が相談をすることができる窓口というのが増えることというのが、やっぱり重要、必要なことなんだろうと思います。しっかりとこれからも取り組んでいただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
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◯桐明和久委員長 ほかに質疑はありませんか。田中雅臣委員。
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◯田中雅臣委員 民主県政クラブ県議団、小倉南区選出、田中雅臣です。
通告に従い、浸水想定区域内の災害拠点病院について伺います。
耳納連山を中心とする一帯で、本年七月十日午前十時までの二十四時間で、四百二・五ミリという観測史上最多の降雨量により、甚大な被害に見舞われ、災害拠点病院の一つである久留米の
田主丸中央病院は、一階が膝の高さほどまで浸水しました。幸いにも患者様の命や健康面での大きな影響はなかったとのことですが、CTやMRIなど高額なものも含めて、検査機器が使えなくなるなどの被害が出ました。
今議会の代表質問において、我が会派の新井富美子議員が、浸水想定区域内に災害拠点病院が幾つあるか知事にただしたところ、対象となる病院は五つあることが分かりました。想定外の豪雨が頻発する中で、改めて災害拠点病院の浸水対策の必要性を強く感じたところです。
そこで初めに、災害拠点病院の役割を確認するために、災害拠点病院について資料をあらかじめ執行部に要求しておりますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。
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◯桐明和久委員長 お諮りいたします。
ただいま田中委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
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◯桐明和久委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま田中委員から要求がありました資料については提出できますか。
三島医療指導課長。
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◯三島医療指導課長 直ちに御用意いたします。
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◯桐明和久委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
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◯桐明和久委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
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◯桐明和久委員長 資料が配付されましたので、田中委員、質疑を行ってください。
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◯田中雅臣委員 それでは、資料について簡単に御説明お願いいたします。
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◯三島医療指導課長 資料に沿って御説明いたします。
まず、概要です。災害拠点病院は、災害時の医療を確保するために、二十四時間対応可能な救急体制を確保している病院で、都道府県知事が指定するものです。
その役割は、二、役割に記載のとおり、災害時の傷病者等の受入れや広域搬送の対応、被災地への
災害派遣医療チーム(DMAT)の派遣などです。
指定の要件は、三、指定の要件に抜粋を記載しております。主なものとしましては、(一)運営体制として、先ほど申し上げました、二十四時間緊急対応可能な体制を有することに加え、
救急救命センターまたは第二次救急医療機関であること。DMATを保有し、その派遣体制があり、業務継続計画(BCP)を整備していることです。(二)施設は耐震構造を有すること。自家発電機や燃料の保有や備蓄など。(三)設備としては、衛星電話の保有や災害時の
医療情報入力体制の確保、食料や医薬品等の備蓄、DMAT派遣に必要な車両の保有などです。
資料下段の四には、
洪水浸水想定区域内に所在する災害拠点病院であります、
北九州市立医療センター、
済生会福岡総合病院、福岡赤十字病院、久留米大学病院、
田主丸中央病院の五か所を記載しております。
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◯田中雅臣委員 資料の御説明ありがとうございます。
ここで押さえておきたいことは、災害拠点病院は知事が指定するということと、災害時には傷病者を受け入れて、ほかの病院を支援するということです。つまり、災害拠点病院である
田主丸中央病院自体が浸水し、一時的に機能不全に陥ることは、想定外の事態であったということです。
こうした中、国では、今年二月に
災害拠点病院指定要件の一部改正について通知を発出し、より浸水対策を求めることとしています。適用は来年四月となっており、早急な対応が求められると考えますが、具体的にどのような要件なのかお示しください。
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◯三島医療指導課長 国は、災害拠点病院の指定要件を通知で定めており、今年二月に改正された通知では、来年四月から、災害拠点病院の指定要件において、病院が
浸水対策区域等に所在する場合には、止水板の設置や自家発電機の高所移設、排水ポンプの設置等による浸水対策を講じることが追加されることとなっております。
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◯田中雅臣委員 ただいま御説明にあった自家発電機等についてお伺いします。
災害拠点病院である
田主丸中央病院の電源は、浸水対策がされている区分に入っていましたが、想定を超える豪雨により、結果として、三病棟のうち二つが電源を喪失しました。こうしたことを踏まえると、来年の出水期までには、少なくとも
洪水浸水想定区域内の五つの災害拠点病院では、さらなる浸水対策が必要であると考えますが、県としてどのように対応していくおつもりでしょうか。
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◯三島医療指導課長 洪水浸水想定区域にある五つの災害拠点病院につきましては、浸水想定に対応した止水板の設置や電源設備の高所設置など、必要な浸水対策を実施していることを把握しております。想定を超えた災害も発生している状況でありますので、改めて浸水対策の確認や必要な対策の実施について病院に対して助言をしてまいります。これに伴い、病院で新たな費用が発生することがあれば、医療提供体制施設整備交付金による補助の活用についても助言してまいります。
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◯田中雅臣委員 ぜひさらなる対応をお願いいたします。
次に、災害拠点病院の指定要件の一つである業務継続計画(BCP)について伺います。
災害拠点病院である三十三の医療機関は既にBCPを作成しているものと思いますが、このBCPとはどういうものか、また、その計画が実効性のあるものとなるよう、県は病院に対しどのような指導を行っているのか教えてください。
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◯三島医療指導課長 BCP(業務継続計画)とは、災害などの緊急時に、できる限り損失を少なくし、早急に復旧するための平時からの準備体制や方策を事前にまとめた計画です。国のBCP作成の手引では、平時においては、病院内の危機管理体制、研修や災害訓練、災害発生直後においては、病院内の対策本部の役割、被害状況の把握手順、急性期被災患者の対応手順、さらに職員の臨時勤務体制や被災御遺族への対応など、中長期の対応について整理、記載することを示しています。また、手引には、繰り返し計画の見直しが行われ、現状に合ったものでなければならないことも示されています。
県では、災害拠点病院の指定の際に、BCPが整備されていることとその内容を確認しており、また、毎年四月に全ての災害拠点病院に、現在のBCPの状況やBCPに基づく研修や訓練の実施状況について報告作成、確認をしております。
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◯田中雅臣委員 災害拠点病院としてのBCPの実施状況については分かりました。
しかしながら、先ほど申し上げましたように、災害拠点病院そのものが被災をするという、言わば想定外の事態が起こりました。
田主丸中央病院は、一日の平均外来患者数約二百五十人、病床数三百四十三であり、一時的とはいえ医療体制が維持できない事態となれば、その影響はかなりのものになります。
そこで、
田主丸中央病院に対して、保健医療介護部が実際に行った病院への支援を通じて、病院、県、双方で見えた課題をお示しください。その上で、それらの課題を県としてどのように対策していくのかお答えください。
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◯三島医療指導課長 今回の災害対応において、
田主丸中央病院では、被災時に一階の入院患者を二階に垂直避難させるなど、日頃からの訓練が生かされてまいりました。また、県におきましても、
田主丸中央病院の被災直後から、
災害派遣医療チーム(DMAT)を現地に派遣し、消防、保健所等と連携して、透析患者の転院搬送や入院患者の健康管理を行い、患者の健康への大きな影響は避けられたものと考えております。一方で、病院内や病院のライフラインの復旧に向けた関係先との連絡調整において、改善する点が双方に見えたと考えております。
県としましては、被災した医療機関に対する効果的な支援ができますよう、今回の災害対応を通じて得られたことを踏まえて、訓練や研修に生かしてまいりたいと考えております。
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◯田中雅臣委員 BCPに基づき、垂直避難をされたり、県が派遣したDMATの皆様の御協力のかいあって、患者様の健康への大きな影響がなかったことは大変よかったと思います。非常時の医療に携わられた皆様には、改めて敬意を表する次第です。
今後も、住民の皆様が地域で安心して生活するためには、頻発する昨今の豪雨災害の状況も踏まえ、日頃からハードとソフトの両面から対策が取られていることが重要であると考えます。県としても、最大限、
田主丸中央病院をはじめとする災害拠点病院に寄り添った対応をしていただきたく思います。
そこで、最後に、二度と同様の被害が起こらないように、災害拠点病院の浸水対策の充実に向けた部長の決意をお聞かせください。
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◯桐明和久委員長 白石保健医療介護部長。
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◯白石保健医療介護部長 災害拠点病院は、災害時の傷病者の受入れができるよう、病院機能を維持することが必要でございます。これまでは耐震化などの地震対策を促してまいりましたが、今後は浸水対策も重要となってまいります。今回、想定を上回る豪雨、それから浸水により、
田主丸中央病院が災害拠点病院として機能できなかったことを踏まえまして、今後同様の事態が生じないよう、国の医療提供体制施設整備交付金の補助を活用いたしまして、浸水想定区域内にある災害拠点病院の浸水対策を促すとともに、国に対して引き続き補助の充実を要望してまいります。また、平時において訓練や研修を行うことで、災害発生時においても災害拠点病院の機能が維持できるよう促してまいりたいと思います。
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◯田中雅臣委員 ただいま部長から力強い決意をお聞きいたしましたが、最後に、一点要望させていただきます。
本県では、豪雨による大規模災害が七年間で六回発生しており、これまで五十年間に一度、百年に一度と言われた豪雨が毎年降ってもおかしくない状況です。そのため、周辺の治水対策も非常に重要となります。ぜひ、部長におかれましては、防災と医療の両方の視点から災害拠点病院の機能維持に努めるべく、より一層関係各課と連携を図られるよう要望して、質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔正副委員長交代〕
41 ◯大田京子副委員長 ほかに質疑はありませんか。川上多恵委員。
42 ◯川上多恵委員 公明党の川上多恵でございます。
通告に従いまして、介護施設における口腔ケアの基本サービス化について質問をしてまいります。
昨年三月、我が会派の代表質問で、来年四月から介護施設での口腔ケアが義務化されることについての取組を質問いたしました。その際、福岡市西区の
特別養護老人ホームマナハウスを例に、口腔ケアを週二回、介護職員が入所者全員に実施することで、肺炎、誤嚥性肺炎の入院日数が七割減り、ほかの病気の入院も五割減ったという成功事例を紹介いたしました。
今回は、口腔ケアの義務化について、本県の進捗状況を伺ってまいります。
口腔ケアの基本サービス化は、一昨年度の口腔衛生管理に係る介護報酬の改定によるものでありますが、この改定の趣旨をお示しください。
43 ◯大田京子副委員長 豊坂介護保険課長。
44 ◯豊坂介護保険課長 介護保険施設における口腔衛生等の管理は、利用者の口腔の健康状態に応じた効率的・効果的な口腔清掃が行われ、摂食・嚥下機能の維持向上、誤嚥性肺炎の予防等にもつながるものであるとの考え方が背景にあります。一昨年度の介護報酬の改定によりまして、全ての施設系サービスにおいて口腔衛生の管理体制を整備し、入所者の状態に応じた丁寧な口腔衛生の管理をさらに充実させる観点から、基本サービスとして行われることとされたものでございます。
45 ◯川上多恵委員 ここで、介護施設の口腔ケアの取組の効果を測定する調査結果についての資料要求を事前にしておりますので、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いいたします。
46 ◯大田京子副委員長 お諮りいたします。
ただいま川上委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
47 ◯大田京子副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま川上委員から要求がありました資料については提出できますか。
48 ◯豊坂介護保険課長 直ちに提出いたします。
49 ◯大田京子副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
50 ◯大田京子副委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
51 ◯大田京子副委員長 資料が配付されましたので、川上委員、質疑を行ってください。
52 ◯川上多恵委員 それでは、資料の御説明を簡潔にお願いいたします。
53 ◯豊坂介護保険課長 この資料は、昨年六月、県所管の介護保険施設三百七十二施設を対象に、口腔衛生管理に係る義務づけ事項の取組状況や、一昨年度に誤嚥性肺炎で入院した入所者の人数の把握を行ったものでございます。
上の表は、回答がありました三百四十八施設について、義務づけ事項に取り組んでいる施設と取り組んでいない施設に区分して、年間総入院件数と誤嚥性肺炎による入院件数を比較したものです。取組中の施設のほうが未取組の施設よりも誤嚥性肺炎による入院件数の割合が低い結果ということになっております。
下の表は、取組中の施設に対しまして、取組による効果があった事項を尋ねたところ、口腔衛生状態の改善に次いで、誤嚥性肺炎の予防が二番目に多い回答であり、施設としても口腔ケアの取組が誤嚥性肺炎の予防に資するという認識であるということが確認できました。
なお、義務づけの取組が実施できていない理由を尋ねたところ、コロナ禍を理由に取り組めなかった、歯科医師等の確保が困難である、人員不足であるというのが主な理由でございました。
54 ◯川上多恵委員 来年四月までに行うために、介護施設は、口腔衛生管理体制の計画の立案、歯科医師等からの技術的助言・指導を年二回以上受けること、口腔内の状況の確認、用具の選定、知識・技術の習得のための体制などを整える必要があり、肝要なことは、介護施設が歯科医師の指導・助言を基に行うこととなっております。
本県ではどのような取組を行っているのかお尋ねいたします。
55 ◯豊坂介護保険課長 令和三年三月に開催した介護報酬改定等説明会や、介護施設及び介護事業所の管理者を対象に毎年実施しております集団指導の場において、改定の内容や留意事項の周知徹底を図っております。また、施設を訪問して行う運営指導におきまして、歯科医師等との連携、口腔衛生管理体制に係る計画の策定など、早期に行うよう指導しているところでございます。また、先ほどの調査等を通じても周知をしているところでございます。
56 ◯川上多恵委員 口腔ケアをしっかり取り組めば、誤嚥性肺炎を予防することができます。そのために、口腔内の状況はとても大事と聞いております。
そこで、入所者の口腔内の状況ですが、OHATを使って確認してはいかがでしょうか。OHATを使えば、後で歯科医師、歯科衛生士の確認もしやすくなると思いますが、いかがでしょうか。
57 ◯豊坂介護保険課長 OHATは、歯科医師等でなく介護職員でも口のアセスメントができるような簡便な用紙で、介護保険施設における口腔ケアの取組に役立つものであると考えております。先ほど御説明した調査でも、歯科医師等の確保が困難である、人員不足であるといった理由から、口腔衛生管理に取り組めていなかったということが分かりました。各施設が口腔ケアの必要性や取組の効果を具体的に理解し、実施できるよう、今年度、県歯科医師会に委託し、啓発動画及び研修用テキストを作成することとしております。OHATについても、この啓発動画に盛り込み、紹介することとしています。
58 ◯川上多恵委員 確認でございますが、この動画とテキストは、両政令市、それから久留米市のほうの高齢者施設にも配布されるのかお伺いします。
59 ◯豊坂介護保険課長 両政令市、久留米市につきましては、市を通じて紹介したいと思っております。
60 ◯川上多恵委員 知識・技術の習得のための体制などは、オンラインでも可能と聞いております。各施設で紹介してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
61 ◯豊坂介護保険課長 厚労省が示します口腔衛生の管理体制に関する事務処理手順例におきまして、介護職員の口腔清掃等に対する知識・技術の習得、安全確保として研修の実施等が挙げられておりますが、その実施方法については明確に示されておりませんでした。この点につきまして厚労省のほうに確認したところ、オンラインでも実施可能という回答がありましたので、今後、施設のほうに周知してまいります。
62 ◯川上多恵委員 ぜひよろしくお願いいたします。
県として、介護施設の口腔ケアの取組の効果を測定する調査につきましては、今後も継続して行っていくべきと考えますが、御見解をお伺いします。
63 ◯豊坂介護保険課長 今回の調査は、高齢者施設、関係団体と、調査項目、それから手法について施設の負担が過大とならないよう協議しながら検討した結果、義務化される令和六年度まで実施するということで調整を行っております。ただ、取組の効果を確認するという観点から、誤嚥性肺炎で入院した入所者の人数の把握につきましては、令和七年度以降も継続することを検討していきます。
64 ◯川上多恵委員 ぜひよろしくお願いいたします。
介護施設における口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防につながる効果的な取組であると思います。最後に、部長の決意をお伺いいたします。
65 ◯大田京子副委員長
白石保健医療介護部長。
66
◯白石保健医療介護部長 介護保険施設における口腔衛生等の管理は、利用者の口腔の健康状態に応じた効率的、それから効果的な口腔清掃が行われるだけでなくて、摂食、それから嚥下機能の維持向上、それから誤嚥性肺炎の予防等につながり、ひいては、入所者の入院日数の削減による施設の安定的経営に資するものと考えております。口腔衛生の管理体制が義務づけをされます来年四月までに、全ての施設が体制を整え、より効果的な口腔ケアが行えるよう、今年度、啓発動画及び研修用テキストを作成するなど、支援に取り組んでまいります。
67 ◯川上多恵委員 終わります。(拍手)
68 ◯大田京子副委員長 ほかに質疑はありませんか。永川俊彦委員。
69 ◯永川俊彦委員 自民党県議団の永川俊彦でございます。
通告に従いまして、ケア・トランポリン運動の普及・定着について質問をさせていただきます。
ケア・トランポリン運動は、北九州市の団体が開発した本県発祥の運動で、令和二年九月には、福岡県スポーツ議員連盟主催で、井上順吾会長が中心となり、ケア・トランポリン運動の体験会を県庁ロビーにて開催し、当時、多くの先生方にも体験をしていただきました。
本年六月には、タイ王国バンコク都保健局の方々が北九州市のケア・トランポリン教室を視察され、視察者から、高齢者が楽しく運動できると実感できたという感想が聞かれたと好評を博しております。
また、県内のケア・トランポリン教室の参加者からも、体が軽くなった、一人ではなかなか運動しないため、大勢でできるのが楽しいといった声が上がっていると伺っております。
私は、このケア・トランポリン運動を行く行くは全国に広めていくべきと、前スポーツ議連事務局長、片岡先生から日々御指導いただく中で、強く思うところでございます。
そこで、今回は、このケア・トランポリン運動の県内における普及、定着について質問させていただきます。
まず、ケア・トランポリン運動の概要とその効果についてお伺いいたします。
70 ◯大田京子副委員長 鈴木高齢者地域包括ケア推進課長。
71 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 このケア・トランポリン運動は、北九州市の団体が開発しました本県発祥の運動でございまして、転倒防止用の手すりがつきました一人用の小型トランポリンを使用し、音楽に合わせ、足踏みや軽い跳躍を行う運動でございます。関節への負担が少なく、足腰の弱い高齢者でも安全に楽しむことができるため、ケア・トランポリン教室に参加された方々からは、バランス機能の向上や膝の痛み、腰の痛みの改善などの身体的な効果だけではなく、定期的に教室に通い、人との関わりができることで、生活リズムが整い、生きがいにつながっているといったような声が聞かれております。
また、県が一昨年度に教室参加者から約五百名を抽出いたしまして、教室開始前と終了後の四項目につきまして体力測定結果を比較しましたところ、片足で立った状態で継続できる時間を測定いたします片足立ち、これら三項目につきまして数値の改善が認められたところでございます。
72 ◯永川俊彦委員 それでは、この運動を推進するために、県ではこれまでどのような取組を行ってきたのかお伺いいたします。
73 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 県では、このケア・トランポリン運動をふくおか健康づくり県民運動の運動習慣の定着メニューの一つとして位置づけまして、介護保険の被保険者が要介護状態になることを予防いたします地域支援事業による自主運営に移行することを目的といたしまして、令和元年度から、市町村が教室を開催する経費に対しまして補助を開始したところであります。
そのため、当初は三年間のモデル事業として計画しておりましたけれども、新型コロナの影響によりまして、計画どおりの教室が開催できなかったために、今年度まで教室の開催について延長して補助をしているところでございます。また、開催経費の削減のため、市町村のスポーツ推進委員の方などに協力いただきまして、継続的に教室が開催できますよう、昨年度から新たに、インストラクター養成研修に係る経費の補助を実施しているところでございます。
74 ◯永川俊彦委員 それでは、ケア・トランポリン運動を広げていくために、県では市町村に対してどのような働きかけを行ってきたのかお伺いします。
75 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 市町村職員を対象とした介護予防事業従事者研修会、スポーツ担当者会議などにおきまして、ケア・トランポリン運動の有用性を説明するほか、市町村の要望に応じまして、デモンストレーションを随時実施するなど、様々な機会を捉え、市町村に対し、ケア・トランポリン教室の実施を働きかけてきたところであります。
特に今年度は、六月にスポーツ局の協力も得ながら、未実施団体の市町等へ個別に働きかけを行いました。その結果、新たに大牟田市等の三市町におきまして、実施に向けた具体的な検討をしていただいているというところでございます。
76 ◯永川俊彦委員 私の地元、大牟田市も前向きに検討いただいているということで安心いたしました。
様々な取組を行ってこられたことは分かりましたが、その結果、ケア・トランポリン運動に取り組む市町村は増えてきているのでしょうか、お伺いいたします。
77 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 ケア・トランポリン教室に取り組む市町村数でございますけれども、令和元年度には十二市町であったものが、昨年度には二十七市町まで増加し、教室数も、令和元年度の六十七教室から、昨年度には百七十九教室と増加してございます。さらに、運動開始五年目を迎えております今年度につきましては、三十市町、百九十八教室で実施が予定されているところでございます。
先ほどお答えいたしましたとおり、新型コロナで計画どおりに開催できないといった影響はございましたけれども、実施市町村は増加してきているところであります。
78 ◯永川俊彦委員 私は、最終的には、市町村が地域支援事業を活用して、ケア・トランポリン運動を自主運営すべきと考えますが、今年度、地域支援事業で実施している市町村はどれぐらいあるでしょうか、お伺いします。
79 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 現在、地域支援事業で実施している市町村でございますけれども、田川市、豊前市など八つの市町が地域支援事業でケア・トランポリン教室を実施していただいているというところでございます。
80 ◯永川俊彦委員 八市町ということでございました。地域支援事業への移行が進んでいないようではありますが、市町村が地域支援事業への移行に踏み切れない理由として、どのようなものが考えられるのかお伺いいたします。
81 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 市町村が移行に踏み切れない理由でございますけれども、まずは、新型コロナの影響により事業の見通しが立てにくかったという意見が挙げられます。そのほかには、既に実施しているほかの教室との調整や、住民の負担額をどうするのかといった検討が必要といったような意見、また、器具リース代、インストラクター代が必要となるため、ケア・トランポリン教室の開催経費が高いなどの意見があったところでございます。
82 ◯永川俊彦委員 ただいまお答えいただきました市町村が挙げているような課題を解決し、ケア・トランポリン運動を市町村の地域支援事業による自主的運動に移行させるためには、市町村としっかり連携して取り組む必要があると考えます。
そこで、県はこれからどう取り組んでいこうとお考えなのかお伺いいたします。
83 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 市町村が自主運営に移行できますよう、現在、インストラクターの養成など、市町村の開催経費を抑える方法につきまして検討をしているところでございます。
84 ◯永川俊彦委員 ケア・トランポリン運動を県下のみならず全国に発信し、元気な高齢者の方々が生き生きと暮らす福岡県にしていくことこそが、健康寿命の延伸となり、ひいては、スポーツ立県福岡の実現につながると私は確信しております。
最後に、高齢者の健康づくりに資する運動の取組について、白石部長の御決意をお伺いいたします。
85 ◯大田京子副委員長
白石保健医療介護部長。
86
◯白石保健医療介護部長 高齢者の方が運動習慣をお持ちいただくということは、先ほど申し上げましたとおり、生きがいづくりや仲間づくりができる集いの場に参加するという意味からも、重要なものであると認識しております。
高齢者の健康づくりに資する運動というものは、そのほかにもウオーキングやスロージョギングなどいろいろございます。その中から、その方の嗜好や体力に見合ったものを選ぶことで、長く続けることができたり、ひいては、健康寿命の延伸という県民運動の目的の達成につながるものと考えております。
ケア・トランポリン運動につきましては、先ほど課長が答弁いたしましたとおり、今後、市町村としっかり連携を図り、地域支援事業による自主的運営へ移行できるように支援することで、今まで以上に県内へ普及を図り、他の運動の普及と併せまして、高齢者の健康づくりに努めてまいります。
87 ◯永川俊彦委員 よろしくお願いします。終わります。(拍手)
88 ◯大田京子副委員長 ほかに質疑はありませんか。後藤香織委員。
89 ◯後藤香織委員
民主県政クラブ県議団、早良区選出の後藤香織です。
看護職員の確保対策と処遇改善についてお伺いをいたします。
二〇一九年、厚生労働省は、看護職員需給分科会の中間取りまとめにおいて、二〇二五年の看護職員の需給推計を発表しました。それによると、ワーク・ライフ・バランスの充実を前提に、労働環境の変化に対応して三通りのシナリオを設けた場合、都道府県の報告した需要よりも多い、二〇二五年に全国で百八十八万から二百二万人の需要となり、現状のままでは、最大二十七万人が不足すると推計しました。本県では、五千七百七十一人から一万二千五百九十七人が不足する見込みとなっています。二〇二五年は、団塊の世代が全員七十五歳以上となり、訪問看護のニーズが高まるなど、医療従事者の需要はさらに高まると思われます。
そこで、看護職員の確保対策と、そのために必要な処遇改善について質問をいたします。
ここで、委員長、あらかじめ福岡県の就業看護職員数等についての資料を執行部に要求しておりますので、委員会配付のお取り計らいをお願いいたします。
90 ◯大田京子副委員長 お諮りいたします。
ただいま後藤委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
91 ◯大田京子副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま後藤委員から要求がありました資料については提出できますか。石田医師・看護職員確保対策室長。
92 ◯石田医師・看護職員確保対策室長 直ちに提出いたします。
93 ◯大田京子副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
94 ◯大田京子副委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
95 ◯大田京子副委員長 資料が配付されましたので、後藤委員、質疑を行ってください。
96 ◯後藤香織委員 では、配付資料の御説明を簡潔にお願いいたします。
97 ◯石田医師・看護職員確保対策室長 本県の就業看護職員数等についてでございます。
まず、一の就業看護職員数についてです。令和二年の職員数の合計は約八万四千人となっており、平成二十四年と比べて、約一万人増加しております。
次に、二の看護師等免許新規申請者数についてです。平成三十年度から令和四年度の各年度で見ますと、合計では三千人台から五千人台と年度間のばらつきがございます。
次に、三の看護師等学校養成所の卒業生就業状況についてです。平成二十九年度から令和三年度の各年度で見ますと、毎年度、約二千六百人が看護職員として県内に就業しております。
最後に、四のナースセンターへの離職届出数についてでございます。平成三十年度から令和四年度の各年度で見ますと、看護師等の免許を持ちながら職に就いていない方は、ナースセンターへ届け出る必要がございまして、毎年度新たに千人前後となっております。また、ナースセンターの無料職業紹介等により、令和二年度以降、千人以上の方が就職されております。
98 ◯後藤香織委員 今、室長から御説明あったように、資料の一を見ますと、この約十年間で、本県で就業する看護職員は増加傾向にあります。二年ごとに約二千人増加しており、一概には言えませんが、同様の傾向で増加したとすると、二〇二五年には八万九千人弱となります。国の試算では、このとき約九万二千人から九万九千人の看護職員が必要になりますので、看護職員が不足することになります。つまり、就業する看護職員は増えてはいるものの、需要、ニーズの高まりに追いついていない状況と言えると思います。
そこで、看護職員の確保は大変重要と考えますが、本県では、看護職員の確保対策について、これまでどのように取り組んできたのかお聞かせください。
99 ◯石田医師・看護職員確保対策室長 県では、令和元年に、看護職員の確保及び質の向上を図るための具体的施策を協議するため、福岡県看護職員確保対策協議会を設置しております。当協議会での御意見を踏まえ、看護職員の養成、離職防止、復職支援の三つを柱として、看護職員の確保に取り組んでいるところでございます。
100 ◯後藤香織委員 大きく、看護職員の養成、離職防止、復職支援、この三つの柱で取組を進めているとのことです。看護職員の養成については、資料の二と三にもありますように、新規免許取得者数は、看護師以外は減少傾向にあり、特に准看護師の減少が大きくなっています。養成施設の入学者数、卒業者数は微減とも言えますけれども、ほぼ横ばいとも言えます。そもそも、これら看護職員の免許は国家資格ですから、免許を持つ方がいなければ、その職に就くことができませんので、看護職員を希望する方が増えるように、看護職の魅力を伝えたり、労働条件などの処遇の改善が必要になってくると思います。そういった待遇面のよしあしというものは離職率で判断されることも多いですが、本県の正規の雇用全体と新卒採用者の看護職員の離職率と、その特徴についてどうなっているのでしょうか、教えてください。
101 ◯石田医師・看護職員確保対策室長 令和三年度の看護職員のうち、正規雇用全体の離職率は一一・三%で、全国は一一・六%となっております。新卒採用者の離職率は一〇・四%で、全国は一〇・三%となっております。新卒採用者の離職率は、全国と同様に、正規雇用全体の離職率より低くなっております。また、近年は増加傾向となっております。
102 ◯後藤香織委員 離職率が一一・三%ということですけれども、これは、厚生労働省の産業別離職率と比較すると、高い部類に当たるのではないかと思います。
そこで、本県の離職の状況を踏まえても、離職防止のための取組は重要であると考えますが、実績も含めた現在の状況と、今後の取組についてお聞かせください。
103 ◯石田医師・看護職員確保対策室長 県では、看護職員の離職防止を図るため、医療機関が行う新人看護職員に対する研修や、病院内の保育所の運営に係る経費への補助などを行っております。昨年度は、新人看護職員研修について百十二か所、院内保育所については五十一か所の医療機関に補助しております。引き続き、より多くの医療機関が補助金を活用できるよう努め、看護職員が働き続けるよう、離職防止に取り組んでまいります。
104 ◯後藤香織委員 引き続き、しっかり取組をよろしくお願いいたします。
復職支援についても聞かせてください。
現在、離職した、または就職していない免許保持者の方は、県ナースセンターに届出をすることとなっています。全国に五十万人以上いるとされる潜在看護職員を復職につなぐための制度ではあるものの、免許保持者の全体把握ができていないことや、努力義務であり、届出を行っていない者が多数いる可能性も指摘されています。本県の離職届出の現状については、配付資料の四にあるとおりで、本県では、近年、単年度で見れば離職届出数を上回る復職数となっていて、復職支援の実績を積み重ねています。そのことから、現行の制度においては、より多くのナースセンターへの離職届出を促し、復職支援につなげるなど、ナースセンターの機能強化が重要だと考えます。
そこで、ナースセンターの届出を促進するためにどのように取り組んでいるのか、また、ナースセンターにおいてどのように復職支援に取り組んでいるのか教えてください。
105 ◯石田医師・看護職員確保対策室長 ナースセンターでは、離職の届出を促進するため、届出制度について、医療機関等への案内チラシの送付や訪問時における説明などにより周知を図るとともに、ナースセンターが実施する復職研修の受講要件に、離職の届出を必須にしております。また、ナースセンター本所及び県内四か所のサテライトにおける無料職業紹介などの復職支援に加えまして、ハローワークと連携して、ハローワークに出向いての出張相談、看護職員に関する求人・求職情報の共有など、復職支援を実施しておるところでございます。
106 ◯後藤香織委員 ありがとうございました。
次に、看護職員の処遇改善についてもお聞きしていきたいと思います。
現在、日本は円安が進行して、日本看護協会の二〇二二年病院看護実態調査報告書によると、日本の看護師の初任給は、約二百三十万円から三百万円程度となっています。極端な例かもしれませんが、カナダでは、今、約七百万円程度ということです。また、仕事の考え方も、日本では、自分を犠牲にし看護をすることが当たり前だけれども、海外では、残業もなく休憩も取れて、看護師の担う業務も明確であり、働きやすいという声を聞きました。若い方が海外へ出稼ぎに行きたいという事例も増えていると聞いています。日本の看護職員の給与を上げていかなければ、二〇二五年に不足する看護職員の確保にはつながらないと考えます。
現在、様々な看護職員のための処遇改善の制度がありますが、その中から、特に診療報酬による処遇改善制度についてお聞きをしていきます。
まず、この制度の概要について御説明願います。
107 ◯石田医師・看護職員確保対策室長 この制度は、現場で働く方々の収入を引き上げるため、昨年十月から、まずは、地域で救命救急センターなど一定の役割を担う医療機関の看護職員を対象に、収入を三%程度、月額で平均一万二千円相当引き上げるための措置として、診療報酬において看護職員処遇改善評価料が新設されたものでございます。
108 ◯後藤香織委員 この看護職員の処遇改善については、診療報酬に加算、つまり利用者が負担をしているとのことです。この制度については、もともとコロナ禍に国の経済対策から始まった国庫補助事業を診療報酬に移行したものであり、その費用は国が負担するべきであるという意見や、対象が一部の医療機関に勤務する者だけとなっており、同じ業務を行っているのに不公平であるという声もお聞きしました。このことについて室長はどうお考えか教えてください。
109 ◯石田医師・看護職員確保対策室長 先ほど申し上げました処遇改善につきましては、看護師の賃金水準が全産業平均を上回っていることや、利用者の窓口負担などの影響も踏まえまして、仕事の内容に応じた措置となるよう、一定の役割を担う医療機関を対象としており、また、安定的な財源確保の観点からも合理的であると考えております。現在、国が設置しております公的価格評価検討委員会において、国民の保険料や税金が効率的に使用され、それが現場で働く方々に広く行き渡るようになっているかなど、費用の見える化を行った上で、仕事の内容に応じた、さらなる処遇改善に取り組むこととしております。
110 ◯後藤香織委員 国のほうでは、診療報酬の見える化を行って、さらなる処遇改善に取り組むということです。この処遇改善の対象については、これから最も需要が増え、不足すると国が推計をしている訪問看護の分野は該当となっていません。この確保が必要な訪問看護の分野においては、特に早急に処遇改善がなされるべきではないかと思います。ぜひ県からも国に働きかけをお願いいたします。
看護職員の処遇改善分は診療報酬として加算されるということで、病院側から看護職員に対し、月額平均一万二千円相当のアップが本当になされているのか、また、対象となっている病院側が診療報酬加算の手続をしていないことも考えられます。
そこで、病院に支払われた看護職員処遇改善評価料分の診療報酬は適切に還元されるべきと考えますが、そのためにどのような検証が行われているのでしょうか。また、対象となる病院で診療報酬加算の手続を行っていただくため、県としてどのような対応を行ったのでしょうか、お聞かせください。
111 ◯石田医師・看護職員確保対策室長 質問に対する御答弁でございますが、看護職員処遇改善評価料を算定した医療機関につきましては、看護職員の処遇改善の状況を記載した賃金改善実績報告書を地方厚生局へ毎年提出することとされております。国において、診療報酬による措置が職員の給与にどのように反映されているのか、賃金改善の取組状況を評価することとなっております。
また、県では、看護職員の処遇改善について、国庫補助事業から診療報酬制度への移行が円滑に進むようにということで、昨年の十月、制度開始前に、対象医療機関等に対しまして、制度の概要やその手続等について周知を行っているところでございます。
112 ◯後藤香織委員 国によって、この処遇改善の分が職員の給与にどう反映されたかを評価するということです。この国の取組は、看護職員の処遇改善につながると思いますので、より多くの看護職員に行き届くことを望んでおります。
これまで申し上げてきたとおり、二〇二五年の看護職員不足に対して、その確保と、そのための処遇改善、大変重要だと思います。最後に、本県における今後の看護職員確保及び処遇改善について、部長の決意をお願いいたします。
113 ◯大田京子副委員長
白石保健医療介護部長。
114
◯白石保健医療介護部長 厚生労働省が令和元年に公表いたしました看護職員の需給推計では、本県において令和七年に必要とされる看護職員数は、少なくとも約九万二千人と見込まれておりまして、令和二年の看護職員数の約八万四千人との差である約八千人を確保する必要がございます。このため、看護師を目指す学生への修学資金の貸与などによる看護職員の養成、新人看護職員研修や院内保育所運営費への助成などによる離職防止、無料職業紹介等による復職支援、こういったことに引き続き取り組みまして、看護職員の確保を図ってまいります。
また、看護職員の処遇改善につきましては、地域で救命救急センターなど一定の役割を担う医療機関の看護職員のみがその対象となっておりますが、仕事の内容に応じた適切な処遇が行われることが必要であると考えております。現在、国において、さらなる処遇改善について議論されております。国民の理解を得るためにも必要な議論だと考えておりますので、その動向を注視してまいりたいと考えております。
115 ◯後藤香織委員 よろしくお願いします。終わります。(拍手)
116 ◯大田京子副委員長 この際、しばらく休憩します。再開は午後一時二十分をめどに放送をもってお知らせします。
午 後 零 時 十 四 分 休 憩
午 後 一 時 二 十 分 再 開
117
◯桐明和久委員長 ただいまから委員会を再開します。
休憩前に引き続き議事を進めます。
保健医療介護部所管分について、ほかに質疑はありませんか。井上寛委員。
118 ◯井上 寛委員 皆さん、こんにちは。公明党の井上寛でございます。
通告に従い、
田主丸中央病院について質疑をいたします。
田主丸中央病院につきましては、先ほど田中雅臣委員から御質疑がございましたが、私からは、角度を変えて、災害復旧の観点からお伺いをいたしたいと思います。
御承知のとおり、田主丸地域におきまして、七月十日未明から集中的に強い雨が降り続き、これにより甚大な浸水被害が発生をいたしました。
田主丸中央病院におきましても、施設全体が機能不全に陥るほどの被害が発生をしております。浸水した一階フロアには、MRIやCT、血管造影検査機器などといった高額な医療機器のほかに、手術室やレントゲン室、病院食を作る厨房施設、また、キュービクルや給排水のためのポンプ室などといった病院運営に欠かせない多くの設備や医療機器が設置されており、そのほとんどが水につかり、使用ができなくなってしまいました。病院による算定によれば、これらの被害の総額は、概算でおよそ三十億円を超えるとのことであります。田主丸町に隣接をしますうきは市でも、今回の大雨による災害が発生をしておりますが、その被害総額が約二十三億円とのことですので、
田主丸中央病院の被害がいかに大きかったかがお分かりいただけるかと思います。
病院としては、この災害から立ち上がるために、多額の費用を使って買換えや修理、改修を行わなければなりません。その費用を捻出する手だてとして、一つに病院が加入する保険による補填、二つ目に補助金の活用、三つ目として借入れがございます。
そこでまず、医療機関が災害復旧の目的で活用できる補助金について、あらかじめ執行部に資料要求をしておりますので、委員長、資料のお取り計らいをよろしくお願いいたします。
119
◯桐明和久委員長 お諮りいたします。
ただいま井上寛委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
120
◯桐明和久委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま井上寛委員から要求がありました資料については提出できますか。
三島医療指導課長。
121
◯三島医療指導課長 直ちに提出いたします。
122
◯桐明和久委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
123
◯桐明和久委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
124
◯桐明和久委員長 資料が配付されましたので、井上寛委員、質疑を行ってください。
125 ◯井上 寛委員 それでは、資料の御説明をお願いいたします。
126
◯三島医療指導課長 本資料は、災害復旧を目的とした国の医療施設等災害復旧費補助金について記載したものです。資料に沿って御説明いたします。
一、医療施設等災害復旧費補助金の概要です。この補助金は、地震や豪雨などの自然災害により被害を受けた医療施設の災害復旧に要する費用の一部を国が補助するもので、災害拠点病院などを対象としています。補助額は、今回、激甚災害の指定を受けていますことから、厚生労働大臣の定める額を基準額として、その二分の一が国から直接補助されます。米印に記載のとおり、激甚災害でない場合には、対象施設ごとに基準額が設定されており、
田主丸中央病院の場合は、基準額は記載の四億四千七百四十四万九千円となります。
二の補助の対象となる費用です。建物及び建物附属設備の復旧費用、CTやMRIなど建物と一体となる医療用設備の復旧費用、また今回、激甚災害に指定されておりますので、心電図記録器などの医療機器の復旧費用も補助の対象となります。
この補助を活用して復旧を行う場合は、三の補助申請に必要となる書類を県を経由して国に提出します。
四の補助までの流れは、県から国へ書類を提出後、国による実地調査が行われ、補助額の査定などを経て、国から医療施設へ補助金が交付されます。
127 ◯井上 寛委員 御説明ありがとうございます。
資料の二、補助の対象となる費用の二番目にあります建物と一体となる医療用設備として、CTやMRIが挙げられておりますが、CTなどの放射線機器を置く部屋につきましては、エックス線を遮蔽する工事が施されておりますし、MRIにつきましても、強力に発生する磁気を遮蔽するために、部屋の壁全体に隙間なく銅板が埋め込まれております。こういったシールド工事をする必要があるため、さらに、CTで二トン以上、MRIで十トン前後と言われる相当な重量に耐えられる場所に設置する必要があるために、建物の一階に配置をすることが好ましいとされております。
しかしながら、このような高額な医療機器を被災前と同じ場所に再設置することは、今後、今回と同様の、あるいは、今回以上の災害が発生したときのことを考えますと、大きなリスクがあるため、新しい機械を設置する場合には、浸水の可能性が低い安全な場所に建屋を建設し、そこに移設をする必要があると考えます。
このように、再度の災害防止の観点から、原状復帰ではなく、よりよい復帰を行うというのが当然であろうかと思うわけでありますが、しかし、この資料の一、医療施設等災害復旧費補助金の概要のところに、(※一)として、原則、被災前の位置に復旧することが、この補助金の要件となっております。
そこで伺いますが、例外的にほかの場所に移設しても補助金の適用が認められる場合は、どのような場合があるかお教えください。また、今回の
田主丸中央病院が、この例外適用に当たる可能性についてお答えください。
128
◯三島医療指導課長 この補助金は国の補助事業でありますので、所管の厚生労働省に、例外的に他の場所に移設しても補助金の適用が認められる場合を確認しましたところ、国の災害復旧費実地調査要領において、地形や地盤の変動などにより原形に復旧することが著しく困難な場合、被災前の位置を変更することは補助の範囲内と示しているとのことでした。この見解は国の一般的な考え方であり、補助を行うかどうかは国の判断でありますことから、県が個別の医療機関に対する補助金の可能性をお答えすることはできません。
129 ◯井上 寛委員 災害が頻発化、甚大化している状況の中、原状復帰を求めることは現実的ではありません。現場のことをよく知る県におかれましては、国に対して、よりよい復旧に対しての支援を認めていただくよう、ぜひ要望をしていただきたいと思います。
次に、借入れについても問題があります。
今回の大雨による災害が激甚災害指定となったことは大変喜ばしいことではありますが、今回の指定に激甚災害法第十二条が適用されておりません。この十二条とは、中小企業信用保険法による災害関係保証の特例に関する条項でありまして、端的に申し上げますと、この条項が適用されないことによりまして、
田主丸中央病院が福祉医療機構から借入れをする場合に、三年間無利息、据置期間三年の特例扱いにならないということになります。借入額が大きいため、この特例扱いがなされないことは、今後の病院経営において大きな負担となります。
そこで、国の災害復旧に対する補助金に上乗せをするなど、県による災害復旧に向けた財政支援を御検討いただきたいと思いますが、御見解をお伺いします。
130
◯三島医療指導課長 先ほど御説明しました国の災害復旧費補助金は、今回、激甚災害の指定を受けていますことから、補助額や補助の対象は拡大されております。また、福祉医療機構の低利融資につきましても、激甚災害指定により貸付限度額が通常の二倍となるなど、補助制度、融資制度ともに、災害からの復旧に向けた財政支援が拡充されております。こういった状況を踏まえ、国の制度に上乗せして県独自の補助を行うことは考えておりません。
131 ◯井上 寛委員 資料の三と四にありますように、この補助金を活用しようとする場合には、国による実地調査を行い、被災箇所や復旧方法、復旧費用などについて確認をする必要があります。そのために必要な資料として、復旧前の被災箇所全ての写真の提出や、費用の根拠となる施工業者三社以上からの見積書の作成、また、地元地方気象台の観測記録といった被災当時の気象情報に至るまで、資料作成のために膨大な時間と労力が必要であり、申請期限に間に合わせなければならないため、通常業務と並行しながらの作業に、職員も休日返上で行っておられるということであります。
そこで、必要書類の作成について、病院の負担軽減のために、作業の簡素化や資料作成の支援など御配慮をお願いできないかと思いますが、いかがでしょうか。
132
◯三島医療指導課長 被災されました医療機関におきましては、地域で医療を必要とされる方へ医療を提供しながら復旧に取り組まれており、大変御苦労されていることは承知しております。
しかしながら、補助を受けるために必要な書類は国が定めており、県で書類の簡素化などを行うことは困難と考えています。県としましては、国が医療機関に提出を求める書類等につきまして、医療機関に分かりやすく説明するなど、これまでも補助を申請する医療機関と補助を行う国との橋渡しを行っており、
田主丸中央病院についても、補助申請に係る手続が円滑に進むよう助言を行うなど、適切、丁寧に対応してまいります。
133 ◯井上 寛委員 どうか引き続き寄り添っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
久留米市におきましては、七年連続で豪雨による浸水被害が発生をしており、今後ますます激甚化、頻発化することが予想されます。災害はいつどこで起こるか分かりません。地域住民の命を守る医療機関を災害から守る取組をさらに推し進めていかなければならないと思います。
そこで、全ての医療機関に対し、災害に対する備えをより一層強化していただくよう求めるなど、地域住民の安全・安心のために、災害に強い医療体制の構築に向けた取組を力強く推進していただきたいと思いますが、最後に、部長の御決意をお聞かせください。
134
◯桐明和久委員長 白石保健医療介護部長。
135
◯白石保健医療介護部長 先ほどから医療指導課長が、被災した
田主丸中央病院への財政的支援について、委員の御質問にお答えをしてまいりました。県としましては、国に対して、被災した医療機関への早急な復旧補助の実施を緊急要望として行っております。国の医療施設等災害復旧費補助金につきましては、県としてできることに限りはございますが、補助申請されている医療機関に対し、必要な助言を引き続き行ってまいります。
県民の皆様がそれぞれの地域において安心して暮らすためには、災害発生時においても必要な医療を受けられることは、非常に重要であると考えております。このため、県内には、災害時の傷病者の受入れや被災した医療機関を支援する災害拠点病院が三十三か所ございます。国の医療提供体制施設整備交付金の補助を活用いたしまして、地震対策や浸水対策を促しています。また、この補助制度につきましては、補助額の増額など、制度の充実を国に対し要望しているところでございます。県といたしましては、引き続き災害拠点病院を対象に訓練や研修を行い、災害発生時においても必要な医療が提供できるよう取り組んでまいります。
136 ◯井上 寛委員 力強い部長の御決意をいただきました。ありがとうございます。ぜひ今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
以上で終わります。(拍手)
137
◯桐明和久委員長 ほかに質疑はありませんか。林泰輔委員。
138 ◯林 泰輔委員 自民党県議団、林泰輔でございます。
本日は、県内における認知症施策について質問させていただきます。
私は、高齢化が急速に進む我が国において、認知症に対する社会づくりは急務であると考えております。私の地元であります朝倉でも、コミュニティーの平均年齢が七十歳を超える地区も出てきており、特にそうした地域では、認知症に関する不安の声が頻繁に聞かれます。
まずもって、認知症とは、何らかの原因で脳の細胞が死んでしまったり働きが悪くなることによって、障がいが起こり、生活に支障が出る状態を指します。医学的には、いまだ明らかになっていない部分も多く、そのため、本人はもちろん、家族や周囲の漠然とした不安が大きくなることで、人のつながりにも影を落としかねません。本人や家族が認知症の症状が出たとしても、いつまでも住み慣れた地域で安心して暮らすことができる福岡県をつくるための県の取組について質問をしてまいります。
まず、認知症は、その六割がアルツハイマー型認知症、約二割が血管性認知症、続いて、レビー小体型認知症、この三つのタイプを称して三大認知症とされますが、県内で認知症とされる高齢者の方はどのくらいいらっしゃるのかお伺いいたします。
139
◯桐明和久委員長 鈴木高齢者地域包括ケア推進課長。
140 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 国の推計を基に、本県の認知症高齢者の数を推計いたしますと、二〇一八年は約二十万人、二〇二五年には約三十万人と、今後、増加することが見込まれてございます。
141 ◯林 泰輔委員 認知症の方の中には、本人も家族や周りの方も認知症との確信が持てず、例えば、ふだんどおりの生活をしていても道に迷い、行方不明になることがあると聞きます。認知症行方不明者の早期発見、保護について、県としてはどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
142 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 認知症の方が行方不明になりました場合、市町村が中心となりまして、警察、消防、地域住民、医療、介護、交通、金融等の事業者の方々と協力いたしまして行方不明者の捜索活動を行います、行方不明認知症高齢者等SOSネットワークの構築が進められております。現在、五十四の市町村におきまして、このネットワークが構築されているところでございます。
143 ◯林 泰輔委員 各市町村ごとのネットワークづくりが進んでいるとのことですが、地方では、買物や仕事など、やむを得ず高齢者が運転することは日常であり、私もかつて顔見知りの高齢者が行方不明になり、地域を捜索しましたが、かなり遠方まで迷った挙げ句、数日後に雪山の中で、車中で発見されたという悔しい経験があります。
そこで、ネットワークの広域化についてはどのように取り組んでいるのかお答えください。
144 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 現在、市町村域を越えました広域的なネットワークを構築している市町村は、四十三市町村となってございます。県では、市町村の担当者を対象としました情報交換会を開催いたしまして、先進地の事例紹介でありますとか意見交換を通じまして、各市町村のネットワークの広域連携が促進されますよう支援しているところでございます。
また、県境を越えて行方不明者を捜索する場合もございます。市町村及び警察署が、県を経由し、他の都道府県に広域的な捜査協力を依頼できるような通報体制をつくっているところでございます。
145 ◯林 泰輔委員 ありがとうございます。
最初の質問でも推計が示されましたが、今後、高齢化の進行に伴い、認知症の方は大きく増加することが見込まれています。また、現役世代で若年性認知症との診断を受ける方もいらっしゃる中で、本人やその家族が困ったときに相談できる場所としてどのようなものがあるかお答えください。
146 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 各市町村が設置いたします地域包括支援センター、県が設置いたします認知症介護相談窓口や若年性認知症サポートセンター、各市町村や介護施設、ボランティア、地域住民等が設置いたします認知症カフェ、これらにおきまして、認知症の方々やその家族を支えるための支援、それから相談に応じているところでございます。
147 ◯林 泰輔委員 それらの場所でどのような支援を受けることができるのか、具体的に御説明ください。
148 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 まず、地域包括支援センターでございますけれども、社会福祉士などの専門職員が相談を受けまして、必要な介護サービスでありますとか保健福祉サービスにつなげる活動を行っております。
また、認知症介護相談窓口におきましては、認知症の介護経験がある相談員の方が相談に応じておりまして、若年性認知症サポートセンターでは、支援に必要な知識でありますとか経験を身につけたコーディネーターの方が、相談に応じるだけではなく、相談者に定期的に連絡を取り、例えば、相談者と企業との間に入りまして、就労継続に係るマッチングを行う、そういったきめ細やかな支援を行っているところであります。
さらに、認知症カフェにおきましては、認知症の方とその家族、地域住民、介護や福祉の専門家、こういった方々が気軽に集いまして、情報交換でありますとか相談対応を行っているところであります。
149 ◯林 泰輔委員 ありがとうございます。
そのような場所をはじめ、これから増えるであろう認知症の方や御家族が気軽に相談できる場所づくりを進めることで、地域にとっても非常に心強いのではないかと思います。
また、認知症は、軽度認知障害(MCI)と言われる段階で診断を受け、治療を受けることが肝要と考えますが、認知症が疑われる本人やその家族が、認知症に関する医療の専門的な相談を行う体制は整備されているのでしょうか、お答えください。
150 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 地域の認知症医療の中核機関といたしまして、県が十一か所、政令市が七か所、計十八か所になりますけれども、認知症医療センターとして医療機関を指定してございます。認知症医療センターにつきましては、本人やその家族からの専門医療相談に応じ、認知症に関する専門的な診断や、その初期対応につきます助言などを行っているところでございます。
なお、この認知症医療センターにおきましては、地域における認知症の対応力向上のための研修でありますとか、地域への認知症医療に関する情報発信も行っております。
151 ◯林 泰輔委員 県がいろいろな取組をしていることは分かりましたが、認知症の方やその家族が住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、地域住民の理解や協力も必要であると考えます。県では、認知症に対する理解を広めるため、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
152 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 県では、認知症について正しく理解し、認知症の方や家族を温かく見守り、支援する応援者でございます認知症サポーターを養成しておりまして、昨年度末時点での養成者数は、累計で約五十二万人ということになっております。
また、この九月は世界アルツハイマー月間、それから、九月二十一日は世界アルツハイマーデーということに定められておりまして、これに合わせまして、九月二十一日から福岡タワーなどを認知症のシンボルカラーでございますオレンジ色にライトアップ、それから、九月十九日から二十五日まで県庁ロビーをマリーゴールドでありますとかガーベラ、こういったオレンジの花で飾りつけまして、認知症の症状や原因、周りの人ができるサポートについて学べるパネルの展示や、臨時の認知症相談コーナーの開設を行い、認知症について理解を深めていただくように努めたところでございます。
153 ◯林 泰輔委員 ありがとうございます。
県は様々な啓発の取組をされているようですが、そうはいっても、認知症になったら何もできなくなるといった根強い誤解もあり、偏見や差別を受けるといった不安などから、中には、家族が認知症になったことを周囲に隠してしまうケースもあると伺います。県として、認知症に対する誤解や偏見をなくし、正しい理解を促進するため、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
154 ◯鈴木高齢者地域包括ケア推進課長 認知症の方やその御家族に対する理解や支援が進みますよう、市町村における認知症施策の検討、認知症カフェの設置、こういったことに対しまして、県が設置します若年性認知症サポートセンターが、助言や研修企画などの伴走支援を行っております。このほか、認知症当事者がピアサポーターとしまして、認知症の方やその家族が集まる交流会や認知症カフェに出向き、同じ悩みを抱える方々の相談に乗ることで精神的な負担の軽減を図るとともに、家族の認知症に対する誤解でありますとか偏見の解消に取り組んでおります。
また、今週月曜日になりますけれども、県庁ロビーにおきまして、映画「オレンジ・ランプ」のモデルとなりました若年性認知症当事者の丹野智文氏、それから、プロデューサーであります山国秀幸氏、このお二人をお招きし、「認知症になっても笑顔で生きる」をテーマに、認知症になっても地域を支える一員として活躍できるというようなことを御講演いただいたところであります。
155 ◯林 泰輔委員 ありがとうございます。
当事者である丹野さんが経験を踏まえて認知症への正しい理解を促すことで、社会が一体となって取り組むべき姿が示された、よい機会ではなかったかと思います。
最後の質問として、部長にお伺いいたします。これからも認知症の方と家族が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる社会をつくるため、県としてどのように取り組んでいくのか、御決意をお伺いいたします。
156
◯桐明和久委員長 白石保健医療介護部長。
157
◯白石保健医療介護部長 認知症の方が尊厳を保持しつつ、希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的、計画的に推進し、認知症の方を含めた国民一人一人が、その個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ、支え合いながら共生する活力ある社会を共生社会と定義いたしまして、この実現を推進することを目的として、いわゆる認知症基本法が本年六月に成立をいたしました。この共生社会は、委員の御質問にもありましたが、認知症の方と家族が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる社会のことでもあります。県といたしましては、これまで課長が答弁しましたとおり、認知症の方と家族を地域で支えるための施策を通じまして、共生社会の実現を目指してまいります。
158 ◯林 泰輔委員 部長の決意をお伺いしました。ありがとうございます。
私は議員になり間もないんですけれども、県議会の議場の議論の中で、様々な社会課題について、人数、また割合といった数字で考えてしまうことがよくあります。これはもう本当に仕方のないところだと思いますけれども、私の中では少し違和感がありまして、やはりこの認知症という問題、これは恐らくここにいらっしゃる多くの皆様が、身近で、例えば御家族、経験されたことがある大きな社会課題だと思っております。そしてまた、希望が必要な問題だと思いますので、最後に、一つだけ要望といいますか、お願いをさせていただいて質問を終わります。
近年、認知症の研究は世界中で進んでおり、最近では、日米の製薬会社が共同で開発したアルツハイマー型認知症の進行を抑えると期待されています、レカネマブという治療薬の製造販売が、今月二十五日に厚労省に承認され、早ければ年内にも患者への使用が認められるといった報道があります。薬の価格は、アメリカで四百万円近いという高額なものですが、仮に保険適用がなくても、初期の認知症に苦しむ患者が、その後の人生を考えた場合には、こうした新薬に希望を託すケースも多いのではないかと考えます。県としても、そうしたことを想定しながら、重大な社会課題である認知症施策の拡充を進められることを期待して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
159
◯桐明和久委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
160
◯桐明和久委員長 ないようですので、以上で第一六〇号議案の質疑を終わります。
次に、第一六四号議案「令和四年度福岡県国民健康保険特別会計決算」について説明を求めます。
白石保健医療介護部長。
161
◯白石保健医療介護部長 それでは、第一六四号議案「令和四年度福岡県国民健康保険特別会計決算の歳入歳出決算について御説明申し上げます。
歳入歳出決算概要説明書の百六十九ページをお願いいたします。この特別会計は、市町村からの納付金や国からの負担金等を財源に、市町村に対する保険給付に必要な費用の交付等を行うものでございます。
まず、歳入でございますが、収入済額は四千八百二十七億一千四百万円余でございます。予算現額に対する収入増の主な理由は、国の療養給付費等負担金が見込みを上回ったことによるものでございます。
続きまして、歳出の御説明をいたします。百七十ページをお願いいたします。
歳出決算額は四千六百七十六億八千六百万円余となっております。その主なものは、二款保険給付費等交付金でございます。また、不用額を生じております主な理由は、市町村へ交付する普通交付金が見込みを下回ったことによるものでございます。
以上で保健医療介護部所管の特別会計の説明を終わらせていただきます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
162
◯桐明和久委員長 説明は終わりました。これより質疑を行います。質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
163
◯桐明和久委員長 質疑がないようですので、第一六四号議案の質疑を終わります。
次に、第一七五号議案「令和四年度福岡県病院事業会計決算」について説明を求めます。
白石保健医療介護部長。
164
◯白石保健医療介護部長 それでは、令和四年度福岡県公営企業会計決算のうち、
保健医療介護部所管分の病院事業会計決算について御説明いたします。
病院事業では、精神医療センター太宰府病院を運営しております。その概要につきましては、お手元に配付しております資料、県立病院事業の概要に、患者数、経営状況等を記載しておりますので、御覧いただければと思います。
次に、議案その五、公営企業会計決算書の一ページをお願いいたします。
第一七五号議案「令和四年度福岡県病院事業会計決算」でございます。収益的収入及び支出でございますが、収入の第一款病院事業収益の決算額は二十六億三千七百万円余となっております。これは入院、外来の診療収入等でございます。
次に、支出の第一款病院事業費の決算額は二十四億七千七百万円余となっております。これは、太宰府病院の指定管理者に対する交付金等でございます。不用額の主な理由は、太宰府病院の管理経費等の執行残でございます。
二ページをお願いいたします。資本的収入及び支出でございますが、収入の第一款資本的収入の決算額は三億四千八百万円余となっております。これは、太宰府病院の建設改良費の財源とするために発行しました企業債及び企業債償還に係る一般会計からの負担金でございます。
次に、支出の第一款資本的支出の決算額は五億五千二百万円余となっております。これは、病院建て替え等で発行しました企業債の元金償還等でございます。不用額の主な理由は、建設改良工事や資産購入の入札に伴う執行残でございます。
三ページと四ページが損益計算書でございます。
四ページをお願いいたします。四ページの下から三行目でございますが、当年度純利益一億六千五百万円余が生じております。この結果、当年度未処理欠損金は、前年度繰越欠損金十二億一千三百万円余から一億六千五百万円余減少し、十億四千七百万円余となっております。
なお、五ページ以降は関係諸表を記載しております。
以上が病院事業会計決算の概要でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
165
◯桐明和久委員長 説明は終わりました。これより質疑を行います。質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
166
◯桐明和久委員長 質疑がないようですので、第一七五号議案の質疑を終了し、
保健医療介護部所管分の審査を終わります。
次に、環境部所管分の審査を行います。第一六〇号議案「令和四年度福岡県一般会計決算」のうち、歳出について説明を求めます。鐘ヶ江環境部長。
167 ◯鐘ヶ江環境部長 環境部所管分の令和四年度の一般会計決算について御説明を申し上げます。
令和四年度福岡県
歳入歳出決算概要説明書の六十九ページをお開き願います。
四款環境費一項環境費の決算額は二十八億一千六百万円余でございます。その主なものは、次の七十ページの(一)に記載のとおり、リサイクル推進費、環境衛生改善費、産業廃棄物対策費などでございます。また、不用額が生じております主な理由は、(二)に記載のとおり、環境保全費や環境衛生改善費などの執行額が見込みを下回ったことによるものでございます。
なお、令和四年度は、前の六十九ページにありますように、翌年度への繰越しを行っております。その内容は、自然公園施設活用促進事業等において、資材の調達困難により、年度内の事業完了が困難となったものなどでございます。
次の七十一ページをお願いいたします。十一款災害復旧費三項庁舎等災害復旧費の環境部所管の決算額は三百八十万円余でございます。その内容は、令和三年八月の大雨により被災した、添田町にある耶馬日田英彦山国定公園内の豊前坊駐車場ののり面補修等に要する経費でございます。
以上が環境部所管分の決算の概要でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
168
◯桐明和久委員長 説明は終わりました。これより歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
169
◯桐明和久委員長 ないようですので、以上で第一六〇号議案の質疑を終了し、環境部所管分の審査を終わります。
次に、人づくり・県民生活部所管分の審査を行います。第一六〇号議案「令和四年度福岡県一般会計決算」のうち、歳出について説明を求めます。小林人づくり・県民生活部長。
170 ◯小林人づくり・県民生活部長 それでは、令和四年度一般会計決算のうち、人づくり・県民生活部所管分について御説明申し上げます。
恐れ入りますが、令和四年度福岡県
歳入歳出決算概要説明書の七十四ページをお願いいたします。
五款生活労働費のうち、人づくり・県民生活部所管の一項県民生活費の決算額は百九億二千九百万円余でございます。この主なものは、下段の説明にありますように、アクロス福岡運営事業費、スポーツ推進費などでございます。翌年度に繰越しを行っておりますのは、大濠公園能楽堂における設備の改修工事などにつきまして、年度内の事業完了が困難となったものでございます。
次に、一枚おめくりいただきまして、七十五ページをお願いいたします。不用額を生じております主な理由は、アクロス福岡運営事業費などの執行残によるものでございます。
以上が人づくり・県民生活部所管の決算の概要でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
171
◯桐明和久委員長 説明は終わりました。これより歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。後藤香織委員。
172 ◯後藤香織委員
民主県政クラブ県議団、早良区選出の後藤香織です。
性暴力根絶条例に基づく県の取組についてお伺いをいたします。
本県では、人口十万人当たりの性犯罪の認知件数が、二〇一〇年から二〇一八年まで九年連続ワースト二位であったことから、県警察も性犯罪の根絶を三大重点目標に掲げ、対策を進めてきました。また、二〇一九年には、全国初の福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例、いわゆる福岡県性暴力根絶条例を議員提案条例で制定をいたしました。こういった取組により、まだまだ低いものの、二〇二二年にはワースト八位まで改善をしました。全国的にも充実した性暴力への対策が行われていることは、大変誇らしく思っております。
そこで、さらなる取組の推進のため、性暴力根絶条例に基づく県の取組について質問をしてまいります。
ここで、委員長、あらかじめ福岡県性暴力根絶条例に基づく具体的施策の実施状況についての資料を執行部に要求しておりますので、委員会配付のお取り計らいをお願いいたします。
173
◯桐明和久委員長 お諮りいたします。
ただいま後藤委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
174
◯桐明和久委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま後藤委員から要求がありました資料については提出できますか。相野生活安全課長。
175 ◯相野生活安全課長 直ちに提出させていただきます。
176
◯桐明和久委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
177
◯桐明和久委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
178
◯桐明和久委員長 資料が配付されましたので、後藤委員、質疑を行ってください。
179 ◯後藤香織委員 では、配付資料の御説明をお願いします。
180 ◯相野生活安全課長 それでは、資料の説明をさせていただきます。
性暴力根絶条例に基づく施策は、性暴力根絶に向けた教育・啓発活動、被害者支援及び加害者対策の三つの柱で構成されており、資料の一から三は、その柱ごとに主たる事業の実施状況を記載したものです。
一、性暴力対策アドバイザー派遣の実績は、事業開始の令和二年度からの派遣実施の推移を校種ごとに記載しております。
二、性暴力被害者支援センター・ふくおかにおける相談・支援件数は、平成二十五年開始の同センターにおける直近五年分の電話相談と、警察・病院への付添いなど直接支援の件数について男女別に記載しております。
三、(一)相談受付件数は、県が設置しております加害者相談窓口における事業開始以降の相談件数を相談種別ごとに記載しております。
(二)住所等届出制度の届出件数につきましては、子供に対する性犯罪で服役し、刑期満了した人に対する住所等届出義務に基づく、制度開始以降の届出件数の推移を記載したものでございます。
181 ◯後藤香織委員 御説明ありがとうございます。
御説明にあったように、性暴力根絶に向けては、三つの柱の構成から事業を実施しているとのことです。
そこで、まず一つ目の柱、性暴力根絶に向けた教育・啓発活動の具体的施策である性暴力対策アドバイザーについてお聞きをしていきます。
性暴力対策アドバイザー派遣については、当初は、二〇二〇年度から先行実施をし、二〇二二年度には県内の公立小中高等学校にて全校実施、特別支援学校で先行的に実施するとの予定であったものの、想定外の新型コロナウイルス感染症の影響により、途中、予定どおりに進まなかったとお聞きをしています。
また、私は、二〇二〇年の二月の定例会にて、スクールカウンセラーが性暴力対策アドバイザーとして活躍していただくことの効果について質問をしました。当時の小川知事は、その実情に即した授業・講義が可能となりますこと、また、講義後のフォローアップを学校側に直接アドバイスできる、そういった効果が期待できると答弁をされております。
そこで、資料一のところではございますが、派遣事業の実績と性暴力対策アドバイザーの登録状況について、また、スクールカウンセラーのアドバイザーとしての活用状況についてもお聞かせください。
182 ◯相野生活安全課長 性暴力対策アドバイザー派遣事業につきましては、公立の小学校高学年、中学校、高等学校及び特別支援学校で、令和二年度、三年度に先行実施検証期間として実施いたしました。両年度においては、新型コロナウィルス感染症の影響により、一部中止や延期があったものの、昨年度からは、公立の小学校高学年、中学校、高等学校において、全校実施を行っております。
性暴力対策アドバイザーにつきましては、福岡県臨床心理士会、または性暴力関係機関等から県に推薦された者に加え、令和三年度から、県内の学校に勤務するスクールカウンセラーにも登録対象を拡大いたしました。これにより、今年三月末現在で、当該スクールカウンセラー二十名を含む百二十六名の方に委嘱を行っております。また、委嘱いたしました性暴力対策アドバイザーに対しましては、スキルアップ研修や意見交換会において、先輩アドバイザーから講義に当たっての基本事項を説明したり、受講者の中に性暴力の被害児童がいるなどの困難事例への対応について情報共有を図ることなどで、その能力の向上に努めております。
183 ◯後藤香織委員 予定どおり全校実施ができているとのことで、また、二〇二一年度からはスクールカウンセラーの方にも活躍していただいておるということ、さらには、スキルアップや情報共有など能力の向上に努めているということで、安心をいたしました。
国は、二〇二〇年六月に、二〇二〇年度から二〇二二年度を性犯罪・性暴力対策の集中強化期間とする性犯罪・性暴力対策の強化の方針を策定しました。さらに、二〇二三年三月には、二〇二三年度から二〇二五年度をさらなる集中期間とする性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針を作成しました。その中では、本県の性暴力対策アドバイザー派遣事業を参考とした、子供の性被害を防止するための命の安全教育が全国で実施をされています。性暴力根絶に向けた教育・啓発活動は、次世代にもつながる最も重要な施策であり、児童生徒と同時に、この話を聞くことになる教員の皆さんにも、よい影響を与えていると聞きました。今後とも、どうぞしっかりとよろしくお願いいたします。
次に、二つ目の柱、性暴力被害者支援の状況をお聞きします。
現在、元男性アイドルに対する上の立場にある方からの性加害問題がクローズアップをされています。
そこで、今回は、特に男性への支援についてお聞きをしてまいります。
資料二にもありますけれども、本県の性暴力被害者支援センター・ふくおかでの男性の相談状況とその特徴について教えてください。
184 ◯相野生活安全課長 性暴力被害者支援センター・ふくおかへの相談者のうち、昨年度においては、電話相談の約一五%、直接支援の約一〇%が男性からのものとなっております。実際に性暴力被害に遭われた男性相談者の中には、被害を受けたことに対するショックや、男性は性被害に遭わない、性被害に遭っても傷ついたりしないとの認識から生じる羞恥心、自責の念等が強く、被害について人に話したくない気持ちや、相談したことが誰かに知られるのではないかという不安を訴える方がおられました。
185 ◯後藤香織委員 実際の声として、被害の声を上げにくいといったことがあったことが分かりました。要求した資料二のところの電話相談から直接支援につながった割合というのも、女性と比べると男性のほうが低いというのが数字からも読み取れるのではないかと思います。また、女性と同様に男性の被害者も、加害者が自分よりも上の立場だったという方が五割以上という内閣府の調査結果も出ておりまして、相談するのに勇気が要るという背景もあるのではないかと思います。
そこで、男性の被害者に対し、どのようにサポートを行っているのか、より相談につなぐための今後の取組についてお聞かせください。
186 ◯相野生活安全課長 性暴力被害者支援センター・ふくおかでは、男性被害者に対しても、女性被害者と同様に、二十四時間対応の電話相談、カウンセリング、病院・警察への付添い、医療費の公費負担などの支援を行うとともに、同性の相談員を希望される場合に対応できるよう、男性の相談員を配置しています。また、同センターにおきましては、男性被害者も支援していることを知っていただくため、ホームページにトップページからすぐに移動できるようリンクを設定した専用ページを設け、相談ダイヤルのほか、支援内容を案内しております。
さらに、本県では、性暴力対策アドバイザーの事業で、同センターの連絡先を記載したカードを、性別に関わりなく、受講した児童生徒に配布し、周知を図っております。
これらに加え、国において、先週二十二日に、男性・男児のための性暴力被害者ホットラインが開設されたことから、同窓口の案内を本県ホームページに掲載しているところでございます。
187 ◯後藤香織委員 課長からも答弁がありましたように、国も新たなホットラインを開設するなど、支援につなぐ取組を強化させています。ぜひ今後もしっかりと支援をよろしくお願いいたします。
次に、三つ目の柱、加害者支援について伺います。
性暴力を根絶し、被害者も加害者も出さない社会、性暴力を許さず、被害者に寄り添う心を共有する社会をつくることを理念とする本県の性暴力根絶条例の特徴として、加害者への社会復帰支援というものがあります。こういった取組は本県と大阪府、茨城県のみであり、性暴力の加害者が性暴力の再発を防止し、または社会復帰を望むときは、相談窓口に相談をして支援を求めることができるとされています。相談窓口の状況は、配付資料の三の(一)にあるとおりですけれども、加害者相談窓口の相談者への再犯防止専門プログラムによる支援状況について教えてください。また、より支援につなぐために、どのような取組を行っていくのかお聞きをいたします。
188 ◯相野生活安全課長 令和二年五月の開設以来、今年三月までに相談を行った人のうち、支援の必要性が認められた百三十六人に対して、加害行為を繰り返さないよう、専門スタッフが個別に、心理療法の一つである認知行動療法を取り入れた再犯防止専門プログラムを実施しております。また、プログラムによる支援を受けている人の中には、日中働いている人も多いことから、昨年四月から、週二日、通常十七時、午後五時までのところを二十一時、午後九時まで時間を拡大し、利便性を図っているところでございます。昨年度実施した延べ七百回以上のプログラムのうち、二百回以上をこの拡大した時間帯で実施したところでございます。
189 ◯後藤香織委員 七百回以上のプログラムを実施して、より受けていただけるよう、夜二十一時まで時間を拡大しているということでした。また、条例では、特に子供に対する性犯罪で服役して出所した加害者に対しては、冒頭、課長の資料説明の中でもあったように、住所などを知事に届けなければならないとされています。
そこで、子供への性犯罪加害者の住所届出の状況と、知事の受診勧奨はどのように実施されているのでしょうか、教えてください。
190 ◯相野生活安全課長 条例第十七条に基づく住所等届出は、今年三月末までに二十三人が提出しており、このうち五人が、先ほど申し上げた再犯防止専門プログラムによる支援を受けております。プログラムを受けていない十八人へは、支援内容の説明などの勧奨を行いました。
なお、勧奨に関しましては、当該勧奨が対象者の更正、社会復帰等にとって妨げとならないよう配慮して、訪問ではなく電話で行うこととしております。
191 ◯後藤香織委員 五人の方が再犯防止専門プログラムにつながっているということでした。再犯防止専門プログラムについては、加害者等本人が希望する場合の制度であることは理解しておりますけれども、本年七月の性犯罪の再犯に関する資料によりますと、五年以内の性犯罪再犯率は一三・九%、特に小児わいせつ型は八四・六%と、とても高くなっています。より多くの方にプログラムを受けていただきたいと要望しております。
最後に、七月には、刑法等の改正により、いわゆるグルーミング罪の新設など性犯罪の厳罰化がなされました。県でも、改正内容の周知など、性暴力根絶に向け、施策の充実が必要だと考えますが、部長の決意をお伺いいたします。
192
◯桐明和久委員長 小林人づくり・県民生活部長。
193 ◯小林人づくり・県民生活部長 性暴力は、被害者の人格や尊厳を著しく侵害し、心身に長年にわたり多大な苦痛を与え続けるものであり、決して許されるものではありません。この性暴力の被害から県民を守るため、議員提案によりまして制定されました性暴力根絶条例に基づき、県では、これまで様々な取組を進めてまいりました。
先ほど課長が答弁いたしました性暴力対策アドバイザー派遣事業におきましては、今年度は小学校の低学年と中学年の子供さんへの先行実施を開始いたしますとともに、来年度は特別支援学校での全校実施を検討しております。また、学校で性暴力が起こった場合の初期対応や情報共有体制の整備などをまとめましたマニュアルを策定することとしております。
今後も、これらの施策を着実に進めますとともに、委員御指摘ございました改正刑法ですとか条例の内容を県民の皆様に周知を図っていくことなどによりまして、県民全ての力で性暴力を根絶し、被害者も加害者も出さない社会、性暴力を許さず、被害者に寄り添う心を共有する社会の実現を目指してまいります。
194 ◯後藤香織委員 よろしくお願いします。終わります。(拍手)
195
◯桐明和久委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
196
◯桐明和久委員長 ないようですので、以上で第一六〇号議案の質疑を終了し、人づくり・県民生活部所管分の審査を終わります。
以上で本日の議事を終了いたします。
なお、来週十月二日月曜日の委員会は、午前十一時に開き、
福祉労働部、労働委員会事務局及び農林水産部所管分の審査を行いますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 二 時 二 十 三 分 散 会
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