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  1. 福岡県議会 2023-06-11
    令和5年6月定例会(第11日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(香原 勝司君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。横尾政則君。(拍手) *横尾議員質問 2 ◯十九番(横尾 政則君)登壇 皆さん、おはようございます。四月の統一地方選挙において、小郡市・三井郡大刀洗町選挙区から初当選させていただきました自民党県議団横尾政則でございます。このたび自民党県議団に入会をさせていただきました。藏内勇夫自民党県議団相談役松尾統章自民党県議団会長松本國寛自民党県議団前会長、原口剣生自民党県連会長はじめ諸先輩方に感謝を申し上げ、福岡県、地元の皆様の負託をしっかりと胸に刻み、県政発展のために一生懸命頑張ってまいります。どうぞ御指導のほど、御鞭撻のほどよろしくお願いを申し上げます。  それでは、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。私からは、ICTを活用した魅力的な学校現場づくりについてでございます。  文部科学省GIGAスクールの構想によって、全国の小中学校に一斉に一人一台のタブレット型端末と高速大容量通信ネットワークが導入されることになりました。また本県では県立学校においても去年度に同様の環境が整ったところでございます。このような教育の情報化による学習環境は、児童生徒の資質・能力を育成するために授業を改善するという目的のために整備されるものでございます。ICTは、その目的をより効率的・効果的に達成するための手段として用いられるものですが、ややもすればICT機器を使用することそのものが目的化され、授業そのものは改善されないということはありはしないでしょうか。また学年間や学級間で活用に差が生じてしまうことも心配されるところでございます。  これまでも学校では情報教育の全体計画、年間指導計画が作成されており、全国の先進的な事例が研究されてきたところです。私は、ICTを活用した授業が子供たち全員にひとしく実施されるようになるためにはどの学年のどの単元でどのような学習活動を行うのが望ましいのかといった授業改善や、児童生徒の資質・能力の向上を目指したICTの効果的な活用ができるよう、スキルや使用方法を含めた教師の指導力をもっと高めていくことが重要なことだと考えております。  従来の学校教育は黒板の前で教師が発問や指示を行い、挙手をした子供が答えながら授業を進めるという一斉指導の授業スタイルでした。それだけでは主体的、対話的で深い学びを実現することはできません。子供たちの立場で考えてみると、学習への意欲や自分の考えを持たないまま授業が進み、一部の子供たちだけで学習が展開されてしまうこともあり、できた、分かったと納得した上での深い学びにはつながらないからです。そこで教師は自らの授業を見直し、子供一人一人が主体的、対話的で深い学びができるような授業スタイルの実現に努めなければなりません。それは一つの方法だけではなく、学習の目的や子供たちの実態、学習環境によって多様なものになるはずです。  このように、ICTを活用することで魅力的な授業、魅力的な学校がつくられていこうとしている反面、学校現場では今なお、いじめ、不登校など子供を取り巻く様々な問題があります。この様々な課題に対しても、私はICTが活用できないかと考えております。学校には教員以外のカウンセラーやソーシャルワーカーなど専門家も配置され、チーム学校で対応をしております。しかしながら、生徒や保護者からの相談も増えており、なかなか人員配置は十分でないと聞きます。不登校になれば、まさか自分が、どうして自分の子がと動揺したり、悩んだりするのは当然です。学校に登校できない状態が続き、自分の居場所を見つけることができずに不安な気持ちがどんどんと膨らみ、出口の見えないトンネルの中をさまよっているようで焦ってばかりいる人、そして諦めに襲われる人がたくさんいます。しかし、光の差す方向はきっと見つかります。もっとスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家の配置を増やすなど、体制をもっと強化する必要があると思います。  これまでも増加傾向にあった小中学校の不登校ですが、前年度から二割以上も急増したのはコロナ禍が主な要因の一つと考えられます。学校の臨時休業や学校の生活での様々な制約によって、生活リズムが乱れやすく、交友関係を築くことが難しくなり、児童生徒登校意欲が湧きにくい状況だったと文科省では推察をいたしております。また、不登校の要因の一つであるいじめの認知件数は、小中高など合わせて六十一万件を超えました。うちパソコンやスマホで中傷・嫌がらせをするネットいじめは二万一千九百件で、いずれも過去最多となりました。児童生徒コロナ禍の巣籠もりで情報端末を使う時間がこれまで以上に増えたこともありますが、ネットリテラシーが十分身についていないことが要因の一つでしょう。  居場所がない、家にいてもつらいと感じる不登校やひきこもりの子供を救済し支援する、居場所づくりも必要であります。福岡県でもこれまでいろいろと子供の居場所づくりや不登校対策をしてきたと思いますが、私は、やはり大事なのは子供が通いたくなる学校にすることだと思うのです。学校生活の大部分は授業、その授業が楽しく、より分かりやすくなるようにしなければいけません。重要なことは、このICTを使って授業を分かりやすく、子供にとって楽しくなるよう、授業のやり方を変えていくことではないでしょうか。私は、不登校を減らすためには魅力的な授業づくりの視点は欠かすことができないものだと考えております。  そこで教育長にお聞きいたします。学校の授業を、子供が自分から生き生きと学ぶ場にするため、ICTを学習手段としてどのように使っていくのかお尋ねいたします。  また、不登校対策に関しましてもICTの利活用を促進すべきだと考えます。現在、教育現場で取り組まれていることもあるかと存じます。そこで二つ目に、増加傾向にある不登校に対してもICTを使って何か対応ができないのかお尋ねをいたしまして、私の一般質問といたします。  ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(香原 勝司君) 吉田教育長。 *教育長答弁 4 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 おはようございます。授業におけるICTの活用についてお答えを申し上げます。  児童生徒が生き生きと学ぶ授業づくりのためには、一人一人にとって分かりやすく、自らが主体となって活動する場面を充実させることが重要であり、そのためにはICTの活用が非常に有効であると考えております。ICT活用により、例えば授業で扱っているテーマについて、自分が疑問に思ったことをインターネットで調べ、グループで情報を整理し、意見交換を行ったりクラスでプレゼンしたりするなど、個々の興味、関心や能力に応じた児童生徒主体の授業が展開できます。また身近になったオンライン交流により、教室にいながら、他校や海外の児童生徒意見交換をしたり、大学や企業で活躍する人に質問したりすることで、多様な他者と関わり、楽しみながら学ぶ活動を重視させております。県教育委員会としましては、児童生徒が自己の特性や学習進度に応じた個別最適な学びと、探究活動体験活動等を通じた協働的な学びを一体的に進めるためのツールとしてICTの活用を推進し、主体的で対話的で深い学びの実現に取り組んでまいります。  次に、不登校対策としてのICTの活用についてでございます。  各学校においては一人一台端末を活用し、学校と不登校児童生徒の家庭をつないで自宅からオンラインで授業を受けることができたり、課題の配信や学習アプリでの問題演習ができるようにするなど、ICTを活用した学習支援を行っているところです。さらに県教育委員会では、心理、社会福祉、教育等を学んでいる学生ボランティア小中学校の不登校児童生徒オンラインでつなぎ、個別支援を行うラーニングサポーター事業を昨年度から実施しており、本年度からはより多くの不登校児童生徒が利用できるよう、その手続の簡便化を図ったところでございます。今後とも、不登校児童生徒一人一人の社会的自立を目指して、ICTを効果的に活用しながら不登校対策に取り組んでまいります。
    5 ◯議長(香原 勝司君) 渡辺美穂君。(拍手) *渡辺(美)議員質問 6 ◯四十一番(渡辺 美穂君)登壇 改めまして、おはようございます。民主県政クラブ県議団渡辺美穂です。通告に従いまして、投票率の向上についてお伺いをいたします。  この春行われた統一地方選挙都道府県議会議員選挙は、全国的に投票率の低下が指摘されました。本県においては過去最低を更新した全国平均四一・八五%をさらに六ポイントも下回る三五・五%で、全国ワースト三位でした。まず、この投票率について、県の選挙に関する責任者として選挙管理委員長はどのように受け止められたのかお聞かせください。  では、これから投票率を上げる方法について御提案申し上げ、委員長のお考えをお伺いいたします。  まず期日前投票についてです。今回の県議会議員選挙の期日前投票の実績は三五%となっており、投票に行った方の三人に一人が期日前投票を利用されている実態を見ると、極めて重要な制度と理解できます。委員長は二月定例会で我が会派の後藤香織議員の質問に答え、期日前投票は投票率向上の観点から有効な取組であるという認識を示されています。近年、大型商業施設での期日前投票所の設置などを行っている自治体があります。それらの費用については国や県で賄われるため、自治体の負担はほとんどないにもかかわらず、期日前投票所の設置が進みません。  そこで二点目に、このような利便性の高い期日前投票所の増設が進まない原因について、委員長の見解をお示しください。  また、高校や大学に投票所を設置することも若年時からの投票行動の習慣化という意味でよりよい取組ではないかと考えます。自治体によっては既に実施しているところもありますし、選挙の立会人に高校生を任命することで十八歳の投票率が飛躍的に伸びた自治体もあります。  そこで三点目に、若年層の投票率向上のためのこういった取組について、委員長はどのように評価しておられるのかお聞かせください。  次に、これまで六十代以上の方々の投票率は県の平均投票率を超えており、これをできる限り維持していくことも必要だと考えます。しかしながら、今回の県議会議員選挙では、コロナ禍が収束していなかったことも理由として挙げられるとは思いますが、七十代男性の投票率の減少が顕著で一二ポイント、男女合わせた六十代が一〇ポイント、七十代が一一ポイントそれぞれ減少しており、他の世代の減少率をはるかに上回っています。一方、八十代の減少率は横ばいであるため、コロナだけが原因ではないと思われます。事実、私が支持者宅を訪問しているとき、七十代の方でも投票に行くことが困難だという訴えを何件もお伺いをいたしました。  現在、郵便投票ができる人は重度の障がいを有する身体障害者手帳保持者または要介護五などの条件があります。私の母は要介護三ですが車椅子で生活しており、自力で外出することは困難です。以前、介護タクシーを利用しましたが、五千円ほど費用がかかり、ここまでのお金を払って投票に行く人はほとんどいないと思います。  そこでお伺いします。体がうまく動かないために投票に行くことが困難な方でも投票ができる環境づくりについて、委員長はどのような認識を持っておられるのか。そして、その課題解決のためにどう取り組んでいかれるのかお聞かせください。次回選挙では、投票率を絶対に上げるための前向きな答弁をお願いいたします。(拍手) 7 ◯議長(香原 勝司君) 藤井選挙管理委員会委員長。 *選挙管理委員会委員長答弁 8 ◯選挙管理委員会委員長(藤井 克已君)登壇 県議会議員選挙の投票率についてであります。  今回の県議会議員選挙の投票率は三五・五%となっており、四年前から約七%下落しております。これは過去最低の記録となっております。年代別の投票率を見ると、二十代が最も低く一八・一一%となっており、また前回からの減少幅については、六十代と七十代が一〇%を超え、最も大きな減少となっております。選挙は民主主義の根幹をなすものであり、国民が政治に参加する重要な機会であります。投票率が低いことについては、県選挙管理委員会として強く危惧しているところであります。  投票率の向上に向けた期日前投票所の増設についてであります。期日前投票所は市町村の公共施設を中心に設置されておりますが、県選管では有権者にとって利便性の高い大型商業施設への設置について、市町村選管に働きかけてまいりました。この結果、商業施設への設置は、昨年の参議院選挙時の八か所から今回十三か所に増加しましたが、投票機会を広く確保するためにもさらなる拡大が必要と考えております。期日前投票所の設置は事前の準備から当日の運営まで市町村選管にとって大きな負担となるため、選挙事務がふくそうする中、人員等の執行体制をいかに確保するかが課題となります。市町村によっては、大型施設における期日前投票所の設置や運営を外部委託や人材派遣を活用して実施している例もございます。県選管としましては、期日前投票所の増設を検討する市町村選管の参考となるよう、今後これらの事例における委託の範囲や民間事業者への研修内容等外部人材の活用に関わるノウハウについても情報提供を行ってまいります。  若年層の投票率向上についてであります。  高校や大学への期日前投票所の設置については、新たに有権者となった高校生、大学生に投票を促す効果が期待されております。今回の選挙では、高校一か所、大学一か所の計二か所に設置されております。また立会人をはじめとする投票事務には、県内三十二市町で百五人の高校生や大学生が従事をしていただきました。これまで従事した方々からは、選挙は自分たちの未来を決める大切なこと、同級生にも投票を呼びかけていきたい。あるいは選挙には多くの費用がかかっていることを知り、投票に行くことの重要性を強く感じたといった感想も寄せられており、このような体験が選挙の関心を深めることにつながるものと考えております。県選管としては、このような若年層が選挙を身近に感じられる効果的な取組について、引き続き市町村選管に検討を促してまいります。  次に、投票に行くことが困難な方が投票できる環境づくりについてであります。  高齢者や障がい者など投票所への移動が困難な方にとって投票しやすい環境を整備することは、参政権の保障という観点から大変重要であると考えております。投票所までの無料バスの運行や無料乗車券の配付など、移動支援の取組につきましては今回の県議会議員選挙において四市町で実施されたところであります。このような取組がさらに広がりますよう、先行事例を市町村選管に情報提供し、実施に向けた検討を働きかけてまいります。  また、郵便投票につきましては、現行制度では対象外である要介護三及び四であっても、現実的に投票所に行くことが困難な方がいらっしゃいます。このため県選管では昨年十二月、都道府県選挙管理委員会連合会を通じて、国会及び政府に対し、郵便等投票ができる者の範囲を拡大するよう法改正を要望したところであり、引き続き機会を捉え要望を行ってまいります。 9 ◯議長(香原 勝司君) 渡辺美穂君。 10 ◯四十一番(渡辺 美穂君)登壇 選挙管理委員長に一点要望いたします。  公務員の方の中には、選挙ごとに総務省から通達される公務員の政治的行為の制限を曲解して、公務員は選挙に行ってはいけないと誤解されている方が一定数おられるということが、我が会派内の聞き取りでも明らかになっています。つまり、行動制限ばかりが強調され、国民の権利として憲法に保障されている投票権について理解が進んでいないのではないでしょうか。  県の本庁舎や合同庁舎では、選挙管理委員会作成の録音による投票案内が行われていますが、警察署や教育事務所さらには学校において、職員向けの周知は十分なのか甚だ疑問です。そこで、教育委員会や警察本部と連携し、投票は憲法に保障された国民の権利であるということを周知していただくようお願いいたしまして、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 11 ◯議長(香原 勝司君) 井上寛君。(拍手) *井上(寛)議員質問 12 ◯十二番(井上 寛君)登壇 公明党の井上寛でございます。さきの統一地方選におきまして、久留米市・うきは市選挙区より初当選をさせていただきました。県民の皆様の負託にお応えすべく、日々の研さんを怠ることなく、公明党の「大衆とともに」の立党精神を胸に精進してまいる決意でございます。先輩議員の皆様はじめ職員の皆様には、新人議員ゆえ足りない点が多々あろうかと思いますので、何とぞ御指導、御鞭撻を賜りますよう心よりお願いを申し上げます。  それでは、通告に従い、障がい者の六十五歳問題について質問をさせていただきます。  六十五歳問題は、障害者総合支援法第七条の規定に基づき、障がい者が介護保険受給の対象年齢となる六十五歳を迎えた場合、同法に基づく障がい福祉サービスと同様の介護保険サービスがある場合には介護保険を優先することが求められており、これにより障がい者にとって不都合が生じるという問題でございます。  具体的には、一つに費用負担の問題があります。障害者総合支援法では、サービス受給者の所得に応じて費用負担が生じるため、低所得世帯は無償で受給できていたものが、介護保険制度ではサービスの内容に応じて費用負担がかかる仕組みのため一割の利用者負担が発生をし、高齢の障がい者は経済的負担が重くのしかかることになります。国はこの課題に対し、平成三十年に新高額障がい福祉サービス等給付費を創設をし、住民税非課税または生活保護世帯で一定の条件を満たせば、市町村はこの利用負担分を支給することとしております。  二つ目に、介護保険サービスに切り替わることによりサービスの内容が低下をし、障がい者にとって不都合になるという問題があります。障がい者の居宅介護(ホームヘルプサービス)に相当するものとして、介護保険では訪問介護サービスがあります。食事や入浴、掃除、洗濯といった日常の生活援助を行う点は共通をしておりますが、障がい福祉サービスと比較してその内容は細かな制限を受けます。例えば、障がい福祉では移動支援としてヘルパーと一緒に買物や映画に行くことができるのに対し、介護保険では、食事、入浴、掃除など身の回りの援助に限定をされているため、社会活動のための支援は認められておりません。障がい者にとってこれまで受けられていたサービスが制限をされ、あるいは細切れになることで、障がい者が自由で文化的な社会活動が心ならずも制限をされてしまうおそれがあります。  この問題の根っこには、自立支援に対する介護福祉と障がい福祉との基本的な考え方の相違が指摘されております。介護保険における自立とは、介護予防介護状態の維持・改善を通し、できるだけ自身の力で生活ができることを目指すのに対し、障がい者福祉における自立は、自らの生活を自己決定し、サービスを利用して住み慣れた地域等で自分らしい生活を送ることを目指しております。  そこで伺います。この問題の対象となる高齢の障がい者の状況について、本県における六十五歳以上の障がい者の人数とその推移をお教えください。そして、この問題は高齢の障がい者に対する行政の支援の在り方が問われていると思っております。本県として六十五歳問題をどのように捉えておられるのか、知事の御所見をお伺いしたいと思います。  次に、低所得者の負担軽減のために創設をされた新高額障がい福祉サービス等給付費について、厚生労働省は、積極的に周知をしていない自治体や支給実績のない自治体も一定程度存在するとの課題認識を示しております。そこで、県内において支給実績のない自治体がどの程度あるのか明らかにしていただきたいと思います。またこの制度の県民への周知について、本県としてどのような取組をなされているのかお答えいただきたいと思います。  障がい者の六十五歳問題は全国的にも問題となっており、他県においては、自治体に対し以前の障がい福祉サービスに戻すよう申請したところ却下されたために、県に対し不服審査請求がなされている事例もあります。また二〇一八年の広島高裁控訴審では、一律に介護保険を優先とした行政の処分は違法と結論し、自治体の主張を退けました。  一方で、東京都国立市では、介護保険は強制をせず、障がい者が六十五歳となっても介護保険の申請がない限り障がい福祉サービスを継続できるとする方針を示しておりますが、こういった障がい者の意思を優先とする自治体ばかりではなく、介護保険優先の原則を一律に適用し障がい福祉サービスを打ち切ってしまう自治体がいまだあるのが現状でございます。その背景には、障がい福祉サービスは全額税金で賄われており、自治体の財政負担が大きいため、介護保険を優先とする方針が徹底されていることも要因として考えられます。しかしながら、障がい者に対しては、その人権を守り安定した生活を保障するために特段の配慮が必要でありますし、そもそも障害者総合支援法は年齢に上限なく全ての障がい者が障がい福祉サービスを受ける権利を認めており、本人の希望なく六十五歳になったら一律に介護福祉サービスに移行させるといったことは認められません。厚生労働省においては、このような問題に対し、七条の規定は原則優先としつつ、一律に介護保険サービスを優先させることなく、個々の状況に応じて支給決定がなされるようお願いするという通知を市町村に出しており、運用での解決を図っております。  そこで、本県は介護保険優先の原則を一律に適用している市町村の実態について把握をされているのか、また障がい者本人や御家族あるいは支援団体などからこのような自治体の対応に対しての相談をお受けしたことがあるのかお伺いをいたします。  先日、実際には障がい者個々の状況に応じた運用がなされていない自治体がいまだあるとの御指摘を障がい者施設の方からいただきました。他県の事例ではございますが、六十五歳を迎えたある知的障がい者の方が、お住まいの自治体の担当者から介護福祉サービスに移行することになるとの話があり、介護認定を受けて今まで慣れ親しんできた障がい者施設から介護施設へ移ることになりました。しかし、他の施設利用者の障がい者に対する無理解や職員の対応不足などでストレスを抱え、心身に多大な影響が及び急激に状態が悪化し、明るく元気だった方が僅か一年足らずで亡くなってしまったと、行政の対応に強い憤りを訴えておられました。  人とのコミュニケーションを取ることを困難に感じる障がい者の方が、顔なじみの職員や通い慣れた施設と離れることで孤独になり、心身に悪影響を及ぼすことは十分に予測できたのではなかったか。六十五歳となったことをもって一律に介護保険サービスに切り替えるのではなく、障がいの特質を見極め、本人の意思を確認し、家族や入所する施設の担当者などの意見を聞くなど、障がい者本人にとって不利益となることがないよう合理的に判断すべきであると思います。  本県といたしましても六十五歳問題の解消に向け、各市町村に対し、国の方針に従い障がい者の生活実態に応じた適正な運用と柔軟な対応をしていただくよう、改めて助言、指導を徹底すべきと考えますが、最後にこの点についての知事の御見解をお伺いをし、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 13 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 14 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。  障がい者の六十五歳問題についての県としての認識についてお尋ねがございました。  障害者総合支援法では、障がい福祉サービス介護保険サービスの適用につきましては、障がい福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合には、基本的に介護保険サービスが優先されることとなっております。一方で、国は通知を発出いたしまして、サービスの支給決定に当たっては介護保険サービスを一律に優先させるのではなく、利用者の意向を把握した上で、必要とされる支援内容を市町村が適切に判断し決定することといたしております。市町村がこうしたサービスの仕組みや負担軽減を目的とする新高額障害福祉サービス等給付費制度などの情報を利用者に丁寧にお届けし、利用者の意向を把握した上で、適切なサービスの提供につなげることが重要であると考えております。  この新高額障害福祉サービス等給付費についてでございます。  県では障がい福祉サービスの支給決定等に関する市町村指導におきまして、新高額障害福祉サービス等給付費支給実績を確認しておりますが、直近では県内の半数の市町村では支給実績がございませんでした。当該給付費はサービス利用者の負担軽減を目的とした制度でございますので、制度の概要を対象者や御家族に丁寧に説明を行うよう、市町村の障がい福祉担当課に加え介護保険担当課に対しても依頼を行っているところでございます。引き続き市町村に対し、担当課長会議等を通じて働きかけを行ってまいります。  介護保険サービス優先の原則の一律適用についてでございます。  現在、県では一律適用の取扱いをしている市町村の有無について把握いたしておりません。このため、今後、市町村指導の際に確認をしてまいります。また、これまで支援者団体等からは、障がい福祉サービス介護保険サービスを選択制にしてほしいといった御要望はございますものの、市町村の一律適用に関する御相談は受けていないところでございます。  市町村に対する助言・指導についてでございます。  自立支援給付と介護保険制度の適用関係等について定めました国の通知を踏まえまして、先ほども申し上げましたとおり、サービスの支給決定に当たっては介護保険サービスを一律に優先させるのではなく、利用者の意向を把握した上で、必要とされる支援内容を適切に判断するよう、引き続き市町村指導や担当課長会議などを通じまして助言・指導を行ってまいります。  なお、残余につきましては福祉労働部長から答弁させます。 15 ◯議長(香原 勝司君) 徳永福祉労働部長。 *福祉労働部長答弁 16 ◯福祉労働部長(徳永 吉之君)登壇 本県の六十五歳以上の障がいのある方の人数と推移についてでございます。  本県では、障害者手帳所持者の年齢別統計がありませんので、県人口の年齢構成比率から推計しますと、直近十年間における県内の六十五歳以上の障害者手帳所持者数は、平成二十三年度は約六万五千人、平成二十八年度は約八万人、令和三年度は約八万九千人と推計されます。 17 ◯議長(香原 勝司君) 塩生好紀君。(拍手) *塩生議員質問 18 ◯四番(塩生 好紀君)登壇 皆様、おはようございます。日本維新の会福岡県議団の塩生好紀と申します。このたびの選挙にて福岡市西区より初当選させていただきました。皆様と共に福岡県政の発展のため全身全霊で取り組んでまいります。どうぞ御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。  私はこれまで理学療法士として、障がいの有無を問わず日常生活で社会的なハンディキャップのある様々な世代の方と関わることが多くありました。次世代を担う若者世代や教育の現場からも、多様性豊かな社会を目指す取組の必要性が高まってきていると感じていたことも、議員を目指した理由の一つでもあります。  このたびは、通告に従い、インクルーシブ社会の構築と普及に向けた取組を御質問させていただきます。  インクルーシブ社会とは、障がいの有無や国籍、年齢、性別などに関係なく、違いを認め合い、共生していくことを目指す社会のことを指しているのは皆様も御承知のことかと思います。福岡県総合計画でも、本県は誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県を目指しており、世界規模で取組が進んでいるSDGsの中でも、インクルーシブ社会を目指す理念は五つの目標にも盛り込まれております。また文部科学省の方針としても、学校教育や一般社会において障がいのある人とない人が触れ合い交流していくという機会を増やしていくことが、共生社会の形成に向けて望ましいとされています。  障がい者人口に関して、内閣府の調査では各世代で年々増加傾向にあり、小中学生に行った調査でも三十五人学級に約三人程度、発達障がいの可能性があることが分かっています。障がいと一言で言っても特徴や程度も様々ですが、通常学級に通える程度の障がいや特徴があり、周囲の理解や配慮がなく一人で苦しんでいる子供や生徒も増えています。  さらに、企業や事業者側に対しても、来年の四月よりサービスの提供に関して、合理的配慮が努力義務から義務化されます。合理的配慮とは、障がいのある方々が障がいのない方々と同じように保障されるとともに、教育や就業その他社会生活において平等に参加できるよう、困り事に合わせて行われる配慮のことです。この合理的配慮は、インクルーシブ社会の基礎となる要素であるとともに、社会に出て突然求められて始めることではなく、子供の頃から継続的に身につけ習慣化すべきことだと考えています。  事業者への展開に加え、障がいのない方や今後社会に出て働く高校生や大学生に関しても、合理的配慮を机上で学ぶ機会を増やすことに加え、障がいのある方と共生、活動することで、体験的に学び理解を促進していくことも大切だと思います。また、教育現場においても合理的配慮に関する教育は特別支援教育の担当教員に一任することではなく、生徒や教員、学校全体でインクルーシブ文化の共有によって成立するものだと考えられます。県内の一部の高校では、三年間で継続的に地域の人材を外部講師として招き、特別講義を行ったり、障がい福祉関連の事業者やその利用者との交流を図り、実践的な教育をされています。  以上のことを踏まえ、吉田教育長並びに服部知事に御質問をさせていただきます。  まず、教育長に御質問です。平成三十年に本格始動した県立高校における通級指導をはじめ高等学校におけるインクルーシブ教育の取組の現状をお教えください。  現在、各学校ごとで取組の量と質に差が生じてきていることや、対象となる生徒、一部の教員へ展開がとどまっていることが課題であると考えております。インクルーシブ教育の推進に向け障がいのない生徒や全ての教員に展開していく必要性があると考えますが、今後の高校教育としての展開はどのようにお考えかお尋ねいたします。  次に、知事に御質問いたします。さきに述べたとおり、事業者における合理的配慮の提供は、障害者差別解消法の改正により、令和六年四月より義務化されることになりました。合理的配慮の提供は場面や状況に応じて異なるため、障がいの特性や合理的配慮の具体例などをあらかじめ確認した上で柔軟な対応を取ることが求められています。また障がいには外見上見えないことや本人も気づきにくい障がいもあり、そのような子供たちへの配慮も重要です。このことを事業者のみならず、これから社会に出て就業する高校生や大学生など教育現場や地域活動を行うシニア世代の団体などにもアプローチするため、縦割りになっている行政の各関係部署で連携を強化することも大きな価値があると考えますがいかがでしょうか。分野も世代も包括的に範囲を広げ、県民に周知・啓発の頻度を増やしていく必要があると考えますので、知事のお考えをお聞かせください。  以上で質問を終わります。御答弁をお願いいたします。(拍手) 19 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 20 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  インクルーシブ社会の構築・普及に向けて、合理的配慮の提供に係る周知・啓発についてお尋ねがございました。  県では、事業者の合理的配慮の提供が義務化されることを踏まえまして、これから社会に出ていく若い皆さんに合理的配慮を知っていただくことができますよう、公私立を問わず、小中学校、高校、大学等に、県が作成いたしました総合編及び六つの場面編の動画のDVDやリーフレットを配付し、授業等での活用をお願いをしているところでございます。また、県民の皆さんの理解が進みますよう、この啓発動画を県のホームページに掲載、また駅や列車内のサイネージで放映いたしますとともに、行政機関をはじめとする三十八の団体で構成されております障害者差別解消支援地域協議会を通じまして、周知・啓発の取組を進めてまいったところでございます。今後はさらに各市町村の広報紙を活用した住民の皆様への周知をお願いするとともに、県におきましてもSNSなど多様な広報媒体を活用し、周知・啓発に努めてまいる考えでございます。 21 ◯議長(香原 勝司君) 吉田教育長。 *教育長答弁 22 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 県立高校におけるインクルーシブ教育の取組の現状と今後の展開についてでございます。  県立高校では、障がいのある生徒に対して通級による指導の実施、医療的ケアを行う看護職員や介助を行う支援員の配置、医師や臨床心理士など専門家による巡回相談など、生徒のニーズに応じた支援に取り組んでおります。一方、障がいのない生徒に対しましては、障がいのある生徒とその支援に対する正しい理解と認識を深めるため、相互の交流及び共同学習を実施しております。また教員に対しましては、特別支援教育コーディネーターを全校に配置し校内体制を整備するとともに、通級担当教員や若年教員、管理職を対象に障がいへの理解を深めるための研修を実施をいたしております。県教育委員会としましては、今後もこうした取組を継続し、インクルーシブ教育を着実に実施いたしてまいります。 23 ◯議長(香原 勝司君) 塩生好紀君。 24 ◯四番(塩生 好紀君)登壇 服部知事、吉田教育長、御答弁ありがとうございました。最後に要望をお伝えさせていただきます。  教育の現場ではインクルーシブ教育を将来的に学校内だけでなく、保護者や地域にも展開、共有していただき、全国的にも先進的な取組に発展していただきたいこと、そして福岡県でも既存のコンテンツをフル活用していただき、多世代の方に合理的配慮を周知・啓発できるよう、政令指定都市を含め各市町村とも連携を強化しつつ、様々な広報媒体の利活用の工夫を強く要望いたします。  インクルーシブ社会を目指す取組が様々な分野、世代で、当たり前に行われる福岡県を目指していただくことをお願い申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。  御清聴いただきありがとうございました。(拍手) 25 ◯議長(香原 勝司君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時十分といたします。           午 前 十一時 五十五分  休 憩           午 後 一 時  十一分  再 開 26 ◯副議長(佐々木 允君) 再開いたします。 *諸般の報告  諸般の報告を行います。  提出議案中第八四号議案「災害派遣手当の支給に関する条例の一部を改正する条例の制定について」外一件について人事委員会の意見を求めましたところ、お手元配付のとおり意見の提出がありました。      ────────────────────────────────────────── 27 ◯副議長(佐々木 允君) 以上、報告をいたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。福地幸子君。(拍手) *福地議員質問 28 ◯二番(福地 幸子君)登壇 皆さん、こんにちは。宗像市選出新人議員、桜和会の福地幸子でございます。本日は地元宗像市の皆さんも傍聴に来られています。政治の場に女性の声、当事者の小さな声を届けたいという初心を忘れず、しっかりと市民、県民のために精進してまいります。議員の皆様、職員の皆様、何かと不慣れではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
     では通告に従い、第二次再犯防止推進計画と再犯防止に関連する諸課題について質問をいたします。まずは私の保護司としての活動の中で、現在特に問題、課題となる状況をお伝えし、重ねて質問をいたします。  昨今の日本の治安について内閣府が実施した調査によると、この十年で治安が悪くなったと思う人の割合は五割を超えています。治安対策等についてはこれまでも議会で取り上げられていますが、新たな受刑者のおよそ半数が再犯による再入受刑者であるという現実を見ますと、できるだけ再犯を減らしていくということが社会をよくするために重要であることが分かります。  では、この再入受刑者を減らすにはどうしたらよいか。それは、何より就業支援策等により、対象者が仕事を得て社会復帰をしていくことだと言えます。けれども、私は特に未成年の就労への道筋がとても遠いと感じています。青少年といっても二十歳くらいであれば、若いとはいえ自分の考えについてある程度認識できており、公的機関からの紹介やあるいは知人に紹介された仕事に就くか就かないかも自分の考えで決めることができます。そして、うまく就業し自立できると、劇的に更生することもあり、保護観察も解除になるなど、早期に立ち直り、社会復帰が可能となります。  しかしながら、ほんの数年の差ですが、十七歳前後となると、まだまだ社会経験も少なく、仕事を得るための技術の習得もできていません。もちろん車の免許もありません。このような状況での仕事探しは、公的なサポート事業があるとはいえ、制度のはざまに落ちたように、なかなか本人に適した就労ができません。その結果、長らく無職でいることとなり、職探しは家族や知り合いのつて頼りになります。あるとき知り合いが営む建設現場で働き始めた対象者に、夏は暑くて大変よねと聞くと、暑いけれども水があれば大丈夫ですという前向きな話を聞き安心していたら、友達から聞いたいい仕事の話があったからと、すぐに現場の仕事を辞めてしまったということもありました。また、事情が分かっていない職場において、十七歳の少年に遠方への長期派遣を打診するなど、何か犯罪に巻き込まれそうな危うさを感じることもあります。  さらに、一人親が家計を支えるケースでは、家庭での監護がどうしても脆弱になります。自宅でぶらぶらしているうちに生活も乱れ、面接にも来なくなります。  更生への気持ちが強いときに仕事に向かう一歩を踏み出せればよいのですが、社会の経済状態の悪化や偏見等により、若年に限らず受刑経験者の雇用確保は現実的には困難な状況です。それゆえに社会からの働きかけと連携が重要です。  そこで一つ目の質問です。先ほども申し上げたとおり社会経験も少ない少年の仕事探しは困難です。支援が必要と考えますが、非行少年等の就労について県はどのように取り組んでいるかお尋ねします。  また、事情を理解した上で非行少年等を積極的に雇用し、立ち直りを助ける協力雇用主の方々がいらっしゃいます。協力雇用主の方々が安心して雇用できるよう、県ではどのような支援を行っているかお尋ねします。  次に、国において令和五年三月に閣議決定された第二次再犯防止推進計画では、七つの重点課題のうち地方公共団体との連携の強化が地域による包摂の推進に変更され、その中に二つの項目である、地方公共団体との連携強化、もう一つは、地域における支援連携の強化と相談できる場所の充実という二項目が置かれました。この計画において都道府県の具体的な役割は、市区町村に対する支援やネットワーク構築に努めるとともに、市区町村が単独で実施することが困難と考えられる支援について、地域の実情に応じた実施に努めることとあります。  そこで国の第二次計画を受けて、福岡県としてどのように取り組んでいくのかお尋ねします。  さらに、若年者を支援する人たちをめぐる環境を見ますと、身元引受人が両親のどちらかであるケースが多く、対象者と同居しています。出所前には数年かけて保護司が環境調整をしていきますが、そのような中で、身元引受人の声として、自分と同じような経験をしている当事者同士で話せる場が欲しいとの声があります。家族は親族の更生のために様々な場面で悩みながら対応しており、当事者ならではの声、同様な経験をした人の話が聞きたいと言われます。特に性犯罪をした家族に関連する悩みを聞きます。保護観察所によると、家族のためのという位置づけではないが、薬物依存をサポートするダルクの中で、家族という立場での相談ができるのではという回答でした。  そこで、少年及びその保護者に対して支援活動を行っている少年サポートセンターについてお尋ねします。まず、少年サポートセンターがどのような活動を行っているのかお聞かせください。  次に、少年サポートセンターでは、少年の非行防止や立ち直りに向けて、保護者や少年に対して様々な講演を開催しているとお聞きしていますが、令和四年度中の各種講演の実施回数をお示しください。  最後に、少年の再犯防止や立ち直りに向けた今後の取組について、県警本部長の見解を伺います。  以上で私の一般質問を終了いたします。御答弁よろしくお願いいたします。(拍手) 29 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 30 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  非行少年等への就労支援及び協力雇用主への支援についてお尋ねがございました。  県では、専門的なノウハウを持っておられますNPO法人に委託をしまして、進路の相談から若者サポートステーションの就活講座やハローワークでの求職相談への同行、協力雇用主の下での就労体験、さらに、就労後の面談や雇用主からの勤務状況の聞き取りといった定着支援まで、一貫した寄り添い型の就労支援を実施いたしております。この事業によりまして、昨年度は十二名の少年を就労につなげたところでございます。  協力雇用主の方に対しましては、雇用された少年が業務上の損害を与えた場合に見舞金が支払われます全国就労支援事業者機構の身元保証制度の負担金を県が負担をいたしております。  国の第二次再犯防止推進計画に係る取組についてでございます。  県では、平成二十九年十二月に策定をされました第一次再犯防止推進計画を受けまして、これは国が策定をしたものでございます、犯罪や非行した人が社会において孤立することなく、再び社会を構成する一員となることを支援することによりまして、再犯を防止し円滑に社会に復帰できるようにすることを目指しまして、平成三十一年三月に福岡県再犯防止推進計画を策定いたしました。これに基づきまして県では、国、市町村、更生保護に取り組みます民間団体等の連携を強化いたしますため、福岡県再犯防止推進会議を設置いたしました。  また、起訴猶予や執行猶予になった人、矯正施設出所者のうち高齢や障がいのため支援が必要な人に対し、住居の確保、保健・医療・福祉サービス利用の支援、就労支援などを地域生活定着支援センターにおいて取り組んでおります。  さらに、市町村における再犯防止推進に係る意識醸成を図るとともに、取組に係ります課題を共有するため、再犯防止推進市町村連絡会議を開催しているところでございます。  国のこの第二次計画では、国・都道府県・市町村の役割が明確化されまして、都道府県は市町村に対する支援、域内のネットワークの構築及び市町村が単独で実施することが困難な専門的な支援に努めることとされております。県といたしましては、再犯防止の取組をさらに推進していくため、推進会議の中に設けております有識者会議の皆様の御意見を伺いながら、今年度、県の再犯防止推進計画を見直すこととしておるところでございます。 31 ◯副議長(佐々木 允君) 岡部警察本部長。 *警察本部長答弁 32 ◯警察本部長(岡部 正勝君)登壇 まず、少年サポートセンターの活動内容についてお答えを申し上げます。  少年サポートセンターは警察本部少年課の附置機関として県内五か所に設置され、心理学等の専門知識を有する少年補導職員が配置されております。同センターでは、児童相談所などの関係機関やボランティア団体と連携し、少年自身や保護者などからの相談対応、立ち直り支援、非行防止教室をはじめとする広報、啓発などの活動を行っております。  次に、令和四年中の少年サポートセンターによる各種講演の実施回数についてお答えをいたします。  令和四年中は、保護者を対象に子供との接し方や対話の重要性を伝える思春期サポート講演、乳幼児期でのしつけや親子のつながりが大切であることを伝えるチャイルドケア講演を合計九十二回、少年を対象に非行防止教室、薬物乱用防止教室を合計二百六十七回実施しております。  最後に、少年の再犯防止や立ち直りに向けた今後の取組についてお答えを申し上げます。  非行少年には社会で生活していく上で家庭や学校などに関する様々な問題を抱えているケースが少なくないことから、少年の再犯防止や立ち直りには継続的な支援が極めて重要であります。県警察といたしましては、少年サポートセンターを中心に、非行少年及び保護者への継続的な連絡や面接により、積極的な助言等を行うほか、気軽に相談できる窓口の周知を図るなど、再び非行に走る少年を一人でも減らしていくよう取り組んでまいります。 33 ◯副議長(佐々木 允君) 小緑貴吏君。(拍手) *小緑議員質問 34 ◯十八番(小緑 貴吏君)登壇 私は、北九州市戸畑区から初当選いたしました自民党福岡県議団の小緑貴吏と申します。藏内勇夫相談役、松尾統章会長をはじめとする自民党県議団の諸先輩方の深い御配慮により、未熟にもかかわらず、早速登壇の機会をいただきました。県民の負託と信頼に積極的に応えるよう一生懸命頑張ってまいりたいと思いますので、皆様方の御交誼をよろしくお願い申し上げます。  通告に従いまして質問を行います。  現在、乳幼児健康診査は、母子保健法の規定により市町村が乳幼児に対して行っています。しかし、三歳児健診と就学前の健診の間の三年間は法的に義務づけられていないため、健診がありません。しかし、生活習慣の確立、言語、集団行動などの活動を経験する中で、この四歳から六歳の三年間が軽度の発達障がいに関わる早期発見、早期療育に重要な時期となっております。  発達障がいの方の早期発見と支援を目的として、平成十六年、発達障害者支援法が制定されました。平成十八年度、厚労省により千名を超える五歳児を小児科医が診察を行った結果、軽度の発達障がい児の発生頻度が八・二から九・三%であると推定するデータもあります。そこで、支援策として発達障害者支援法を策定、施行し、この中で軽度発達障がいや幼児期からの生活習慣病予防として、三歳児健診で問題なしと診断された幼児も発見できる五歳児健診が注目されるようになり、平成十九年度から鳥取県の全ての市町村において実施されることとなり、また、他県でも一部の市町村において実施されつつあるなど全国的に広がりを見せております。  服部知事は、次代を担う人財の育成、子供真ん中社会を掲げられておられます。現在、高校無償化や就学支援金支給、大学の無償化など、子供に対する様々な学習支援や経済的支援が行われていますが、これからも県教育行政、市町村の関係機関が連携し教育活動の活性化を図ることが次代を担う人財育成につながり、その人材が地域に貢献し、地域活性化に直結すると私は考えています。  そこで知事にお伺いいたします。福岡県の目指す姿であります子供を安心して産み育てることができる地域社会づくりを実現するためには、保育に関わる方々が専門家に相談できる体制づくりや、早い段階で療育につなぐための他県や福岡県内一部地域で行われている五歳児健診などの施策を実施していくことが重要だと考えますが、幼児期における障がいの早期発見のために県はどのように取り組むのかお示しください。  次に、発達障がいは、自閉症、アスペルガー症候群、学習障がい、注意欠陥多動性障がい、その他脳機能の障がいなどで、実際の症状は言葉の発達に遅れがあったり、集中力や注意力が続かなかったり、読み書き計算が極端に苦手だったりと多種多様であります。支援法施行から十五年以上を経て発達障がいという言葉が浸透してきておりますが、中身の理解はまだまだで、発達障がいの原因が親の育て方やしつけなどの家庭環境や幼少期の教育環境にあると誤解している人が多いのが現状であります。  二〇二二年、文科省の調査では、公立小中学校の通常学級に通う児童生徒の八・八%、十一人に一人が発達障がいの可能性があると言われており、十年前と比較しますと二・三%増加しています。この割合で福岡県の児童四十二万千二百八十四人で試算いたしますと、約三万七千人もの子供が何らかの困難を抱えていると推察されます。  障がい児通所支援事業数も過去五年で二倍と増えてきております。発達障がいと気づかず合理的配慮がないままでの学習指導、集団行動からの逸脱、交友関係からのいじめ、将来の進路選択や保護者がいなくなったときの自立生活への不安など、様々な状況が不安症や鬱病などへの二次的問題につながっているのかと思います。このような悩みを抱えている方たちに対して、県内四地域に発達障がい者支援センターを設置し、本人と家族が安心して暮らすことができるように相談対応が行われていると承知しております。そして、今年度から福岡県障がい者リハビリテーションセンターにおいて、専門医の指示の下、相談員を当事者の自宅に派遣し、サポートを行う事業を開始すると聞いております。前段でも述べましたが、早期発見、療育につなげること、必要な支援につなぐことが非常に大切なことだと思います。そのためには、いかにこの事業が当事者、家族、関係者、また県民全ての人にしっかりと知ってもらうことが大きなポイントになると思います。  そこで知事にお尋ねします。まず、福岡県障がい者リハビリテーションセンターで行う事業についてお答えいただくとともに、今後どのように周知していくのか、知事の考えをお尋ねし、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございます。(拍手) 35 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 36 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  幼児期における障がいの早期発見についてお尋ねがございました。  発達障がいを早期に発見するためには、保護者や保育士など保育に関わる方が発達障がいに関する情報を正確に理解していることが重要でございます。このため県では、保護者に対しましては、年齢に応じた子供の発育や発達の様子を説明いたしました「子育て応援団」という育児小冊子を配付いたしますとともに、保育士や幼稚園教諭の方々に対しましては、発達障がいに関する専門的な知識や支援方法についての研修会を開催しているところでございます。  また、昨年度は保育所等で障がい児を受け入れますため、要支援児の受入れフローや市町村による補助制度、協力機関による技術的援助などを取りまとめました標準モデルを作成いたしました。その中で、発達障がい児を早期に発見するため、保健師等の専門家による巡回相談の活用や障がい担当課との連携などを市町村に対し促しているところでございます。これらの取組のほか、五歳児健診の実施など幼児期における障がいの早期発見に取り組んでおります全国の事例を把握いたしまして、市町村に情報提供を行ってまいります。  発達障がい児に対する取組についてでございます。  県では今年度から新たに福岡県リハビリテーションセンターにおきまして、周りと会話がかみ合わないとか集団行動が苦手といったことから来る不安症や鬱病等の二次的な問題を抱える思春期の発達障がい児への支援を強化することといたしております。この事業は、具体的には県内四か所の発達障がい者支援センターで抱える思春期の専門的な支援を要するケースにつきまして、専門医の指示の下、子供の状態に応じたきめ細かな支援計画を策定いたします。この計画に基づき、相談員が御家庭を訪問し、困り事の解消や生活環境の改善に向けた支援を行うことといたしております。社会復帰への見通しが立った場合は福祉サービスによる支援へ、状態が改善したものの継続して相談支援が必要な場合は発達障がい者支援センターへ、治療が必要な場合は適切な医療機関へつなげてまいります。あわせまして、市町村をはじめ県内の中学校、高校、放課後等デイサービス事業所などと連携をいたしまして、思春期の発達障がい児に対する切れ目ない支援をしっかりと進めてまいります。この取組につきましては、これらの機関に幅広く周知いたしますとともに、SNSなど県の広報媒体も活用し、必要な方に情報が届くよう努めてまいります。 37 ◯副議長(佐々木 允君) 後藤香織君。(拍手) *後藤議員質問 38 ◯二十九番(後藤 香織君)登壇 皆さん、こんにちは。民主県政クラブ県議団、早良区選出の後藤香織です。  初めに、地震対策の強化について、知事及び教育長にお聞きをいたします。  先月、二〇二三年五月は地震が多く発生、震度五弱以上の地震が六回発生し、熊本地震が起きた二〇一六年四月以来の多さとなりました。地震大国日本でいつ起きるか分からない地震に備えることで被害を最小限にする観点から、今回は活断層に着目して以下質問をいたします。  まずは、学校施設の活断層への対応について教育長にお聞きします。  現在、本県の県立学校の学校施設や体育館においても、その耐震化率は一〇〇%となっています。日本では、建築物の地震対策といえば揺れへの対策、つまり耐震が主であり、活断層の上や周辺に立地する建築物については、原子炉等の重要構造物を除き、国は直接的な規制をしておらず、その対応は十分でないのが現状です。  その活断層については、二〇二三年三月改定の福岡県地域防災計画によると、現在本県には七つの活断層の存在が確認をされています。二〇〇五年の福岡県西方沖地震、二〇一六年の熊本地震も活断層が原因の直下型地震であり、特に熊本地震では断層が大きくずれた映像がその破壊力のすさまじさを感じさせられました。耐震改修をして五年足らずの東海大学阿蘇キャンパスの校舎も断層のずれが建物を横切り、一部の建物の再建が不可能になるなどの被害が出ました。断層自体が大きくずれることから、その真上や近接する建築物においては、揺れの基準では対応は不十分ではないかと懸念をしているところです。  私の地元早良区には、日向峠─小笠木峠断層帯が南部に存在し、早良中学校の敷地の一部が日向峠─小笠木峠断層上にある可能性が高いことが指摘され、私も地元の方から不安の声を聞きました。国内の学校の約二百校に一校がこの断層の真上もしくは近接に立地しているとも言われており、例えば警固断層帯では、断層に沿った幅五百メートルの範囲に学校五十校が存在するとの調査結果もあります。多くの児童生徒が集まり、また避難所にもなる可能性もあることから、私はこういった活断層の上に立地する学校は特に危険性が非常に高いと考えます。  そこで一点目に、今後、県立学校の建て替えや改修を進めていくに当たり、活断層の危険性も踏まえた整備が必要であると考えますが、どういった基準で建て替えや改修を進めていくのか、現状とその計画方針についてお聞かせください。  次に、防災アセスメントについて知事にお聞きします。  国は県内七つの活断層のうち警固断層帯、福智山断層帯の二つを地震発生確率が高いSランクに位置づけています。警固断層帯は、二〇〇五年の福岡県西方沖地震により上半分と下半分がねじれの状態となって危険度が増した上、福岡市という都市の直下で大きな被害が出る可能性があると一部の専門家が指摘をしています。  一方で、ランク不明の断層帯はすぐに地震が起きることが否定できないものであり、リスクが顕在化しないためにリスクそのものが過小評価され、対策が後手に回ってしまうことも懸念されています。県では、地域防災計画の地震による被害想定をつくるための根拠として、これまでに三度、地震に関する防災アセスメント調査を実施しています。日向峠─小笠木峠断層については、二〇一七年二月に国が主要活断層として追加指定したことから、県が行った最新の二〇一一年の地震に関する防災アセスメント調査では、現在指定されている七つの活断層のうち、この日向峠─小笠木峠断層のみがアセスメント調査が行われませんでした。昨今では全国各地で地震が頻発しています。また一九九七年以降もこの日向峠─小笠木峠断層上で地震は起きており、より有効な地震対策には防災アセスメントが欠かせないと考えます。  そこで二点目に、こうした状況や最新の二〇一一年の調査から十二年経過することを踏まえると、日向峠─小笠木峠断層帯を含む県の地震に関する防災アセスメント調査を改めて実施すべきと考えますが、知事の見解をお聞きします。  次に、子育て世代の政治参画への障壁の解消について、知事及び選挙管理委員会委員長にお聞きします。  私は改選前の二月定例会で、投票率向上の取組について選挙管理委員会委員長にお聞きをいたしました。結果として、今回の福岡県議会議員選挙の投票率は、午前中、我が会派の渡辺美穂議員も述べたように三五・五%と過去最低、全国ワースト三位となり、大変残念に思っています。投票率は、これまでも申し上げてきたように、一般的に一部の組織、団体、既得権を持つ後援会のある方に有利と言われています。しっかりと民意を酌み取り、多様な県民の意見を県政に反映させることが重要であると考えます。そのためにも多くの県民の方に関心を持ってもらうことが必要であり、候補者の多様化、そして立候補の際の障壁の解消は重要な課題だと私は認識をしています。  本年三月二十三日には参議院予算委員会で、育児中の人が選挙に立候補するなどした場合、子供を保育所に預けられないケースがあることに関して、岸田首相は選挙活動や政治活動は一般的に入所要件である求職活動・就労等に該当すると考えられると見解を述べ、判断の主体である全国の市区町村に対し国の見解を自治体に周知する意向を表明しました。  私はこのことを当事者の立場から課題意識を持っており、県議会議員として初めて登壇した二〇一九年六月の定例会で、政治分野における男女共同参画の推進について質問し、県内の子育て世代の方が立候補を理由に辞職した際には、保育所や放課後児童クラブ、いわゆる学童保育に継続して入所できるよう要望いたしました。二〇一九年当時、放課後児童クラブについては立候補を理由に退職した場合、十二市町村が入所要件に値せず継続利用は困難であるとのことでした。さきに述べた国の見解の選挙活動や政治活動が一般的に求職活動・就労等に該当するのであれば、今後、自治体に周知される際には保育所への入所はもちろんのこと、放課後児童クラブにおいても入所要件になるものと期待をしているところです。  そこで一点目に、この国の見解が出たことについて、知事はどのように認識しているかお聞かせください。また四年前、立候補を理由に継続利用できないとした県内十二市町村の放課後児童クラブにおける受入れは可能となったのか、現状をお聞きいたします。  次に、保育所入所の際に必要な就労証明書の取扱いについてお聞きします。  議会によっては議員に対し就労証明書を出さず、保育所等に入所できなかった事例もあると聞き及んでいます。福岡県議会では議長名で就労証明書を発行していただき、私自身は大変助かりました。子育て中の議員の円滑な議員活動のため、県内市町村議会でも対象の方にはぜひ発行をしていただきたいと思っています。  そこで二点目に、本県内の市町村議会において、議員に対する就労証明書の取扱いについて現状をお聞きします。  この項の最後に、子連れ選挙についてお聞きします。  統一地方選前の三月一日に総務省は、候補者が自身の子供を伴って行う活動、いわゆる子連れ選挙について見解を示し、全都道府県選挙管理委員会事務局へ通知を出しました。ここで言う子供とは、候補者自身の子供だけでなく、年齢満十八年未満の者を指し、十八歳未満の選挙運動の禁止の例を示しています。例えば選挙期間中に可能なものとして、選挙運動用の自動車の中で子供に授乳することや子供が選挙ポスターを貼ること、公職選挙法に抵触するおそれがあるものとして、選挙ポスターに子供を掲載することや子供が候補者やそのスタッフと一緒に歩くことなど、全十五の項目につき一定の考え方が例示をされました。私個人としては、この見解は子供を持つ候補者並びに応援する立場、両面での政治参画を阻害しかねない厳しいものだと感じています。今後の国の動きに期待をしています。  しかしながら、子供を持つ候補者にこの情報は届いていなかったのではないでしょうか。また、十八歳未満の者の選挙運動の禁止は、候補者自身の子供の有無にかかわらず必要な情報です。候補者がしっかりと法を遵守し、知らずに処罰されることがないよう、また守った者が損をすることがないようにしっかりと周知をしていただきたいと思います。  そこで三点目に、今回の子連れ選挙の見解について、県選管はどのように候補者、県内市町村選管に周知をしたのか。情報が公平に行き渡るようにすべきと考えますが、選挙管理委員会委員長のお考えをお聞きいたします。  以上、真摯な御答弁、よろしくお願いいたします。(拍手) 39 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 40 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、地震に関する防災アセスメント調査についてでございます。  県では、地震による被害想定を把握いたしますため、これまで三回、地震に関する防災アセスメント調査を実施しております。直近の平成二十四年の調査では、県内四地域において最も大きな被害をもたらすと考えられます四つの活断層について被害想定を行っております。併せて、これら以外の活断層にも地震が発生する可能性がございますことから、各市町村において震度六弱程度の地震が発生したと仮定した被害想定も行いまして、県や市町村の地域防災計画に反映させているところでございます。現在、国は今年度末を目途として、南海トラフ巨大地震の被害想定の見直しを公表することといたしております。こうした地震による被害想定が見直された場合は、県として地震に関する防災アセスメント調査を実施する必要があると考えております。  次に、選挙活動や政治活動中の保育所入所要件に関する認識についてお尋ねがございました。  保育所の入所につきましては、国の通知に基づきまして、各市町村がそれぞれの利用調整基準を定め、保育の必要性の認定を行います。今回の岸田首相の発言を受けて、国においては市町村に対する通知の発出が検討されているところでございます。市町村においては、選挙活動中や議員として政治活動を行う場合の保育所の利用につきまして、保育の必要性に係る事由となる就労・求職活動に該当するか曖昧であったものと考えられます。国の通知によりまして、保育の必要性に係る事由として明確に示されれば、選挙活動中などの保育所利用の手続が円滑に進むものと考えております。  なお、残余につきましては福祉労働部長から答弁させます。 41 ◯副議長(佐々木 允君) 徳永福祉労働部長。 *福祉労働部長答弁 42 ◯福祉労働部長(徳永 吉之君)登壇 放課後児童クラブの継続利用についてでございます。  放課後児童クラブの利用は、児童福祉法の規定により保護者が労働等により昼間家庭にいない児童が対象とされ、運営等に関する基準は実施主体である市町村が条例で定めております。立候補した場合の継続利用について、四年前、受入れは難しいとしていた十二市町村のうち、現在十一市町村は可能としております。なお、一団体については、就労や病気などの利用要件に該当しないため受入れは難しいとしているものの、今回の首相の発言を踏まえ見直しを検討するとしています。  次に、市町村議会議員に対する就労証明書の取扱いについてでございます。  現在、県内十九市町村が議員に対する就労証明書を発行するとしております。また、発行しないとしている四十一市町村のうち、十九市町村が事例がなく検討していない、十四市町が議員活動は雇用に該当しない、八市町が勤務日数・時間等の把握が困難といったことを理由としております。 43 ◯副議長(佐々木 允君) 吉田教育長。 *教育長答弁 44 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 活断層上に立地する危険性も踏まえた県立学校の建て替えや改修についてでございます。  県立学校施設の建て替えや改修につきましては、平成三十年三月に策定をしました福岡県立学校施設長寿命化計画に基づき進めているところでございます。そして、その計画を進めるに当たり、建て替えの場合は震度六程度の大地震においても校舎に大きな損傷が生じないよう、通常の耐震基準の一・二五倍の構造耐力を持たせた設計を行っておるところでございます。また、活断層上に立地すると推定される県立学校を建築する場合は、校舎を分離して配置するなど、地割れによるリスクを分散させる設計上の配慮を行っております。引き続き、このような観点により学校施設の安全性の確保に努めてまいります。
    45 ◯副議長(佐々木 允君) 藤井選挙管理委員会委員長。 *選挙管理委員会委員長答弁 46 ◯選挙管理委員会委員長(藤井 克已君)登壇 子連れ選挙に関する総務省通知の周知についてでございます。  今年の三月、総務省から都道府県選挙管理事務局に対し、十八歳未満の者の選挙運動の禁止に関する実例等を取りまとめました通知が発出されました。市町村選管に対しても総務省から直接送付されていたため、県選管からは改めての周知は行わなかったところでございます。また、この通知は各選管事務局に対し選挙事務の参考として発出されたものであり、一般への周知を目的としたものではないため、候補者等に対し一律に周知するのではなく、個別の問合せの際、活用させていただいております。  一方で、子供連れで選挙運動を行う候補者が通知の内容を事前に理解しておくことは、認識不足により違反行為を行ってしまうことの防止につながるものと期待されております。事務局に対する事務の参考としての通知ではありますが、選挙の適正な管理執行を確保する観点から県選管では今後、通知の内容を県ホームページに掲載するとともに、立候補予定者説明会などにおいて立候補者に対し周知を図ってまいりたいと考えております。  以上、答弁いたします。 47 ◯副議長(佐々木 允君) 後藤香織君。 48 ◯二十九番(後藤 香織君)登壇 御答弁をいただきました。地震対策の強化について、知事と教育長に要望をさせていただきます。  教育長からは、県立学校建築時に活断層の考慮をする旨の御答弁がありました。しかしながら、既存の活断層上にある学校に対しては、その場所からの移設がすぐに可能ではない現状と考えます。したがって、教育長におかれましては、活断層の上や隣接する地域にある学校での震災避難訓練については、活断層の位置を踏まえた震災避難訓練の実施の徹底を要望させていただきたいと思います。  また、知事からは、地震に関する防災アセスメント調査の実施可能性について答弁がありました。例えば徳島県では活断層を踏まえた一定の区域内での特定の施設の新設等を行う者は、あらかじめ県へ届出、協議をしてから、自分自身で活断層の調査を行い、活断層の真上を避けて新築等をすることを定めております。こういった県での条例の制定や、活断層をより配慮した建築物に対する地震対策のほうを国に要望していただきたくお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 49 ◯副議長(佐々木 允君) 新開嵩将君。(拍手) *新開(嵩)議員質問 50 ◯三番(新開 嵩将君)登壇 日本維新の会、新開嵩将でございます。  御質問をさせていただく前に一言申し上げます。私は、若者の声を県議会に届けるために、増税の前に住民税の減税を、この二本の旗を掲げて福岡県議会の議席をお預かりさせていただきました。二十五歳の私にとって福岡県議会の議席は大変な重責でございますが、お約束した旗をしっかりと掲げ、若者の暮らしをよりよくするために、全ての福岡県民の皆様の暮らしをよりよくするために、そして、福岡県の発展のために全力を尽くす所存でございます。  それでは、通告に従いまして、福岡県における住民税減税について御質問をさせていただきます。  まず、私たち若者の税金と社会保険料の受け止め方といたしましては、日本における少子高齢化社会を十分に承知いたしておりましても、給料から引かれる税金と社会保険料には驚きを隠せません。それもそのはず、日本の国民所得に占める税金と社会保障負担の割合を示す国民負担率は、二〇二三年度で四六・八%の見込みとなっております。これは、一九七〇年度の二四・三%と比較して約二倍の負担であり、二〇二〇年度に四五%を超えてから高止まりが続いております。これは、いわゆる可処分所得、自分の給料から自由に使えるお金が約半分しかない状況が続いているということです。  標準報酬月額の約三〇%に及ぶ社会保険料率は、たとえ会社側から半額を負担していただけるとしても、高校や大学を卒業して新社会人になった私たち若者世代にとって大きな負担となっております。国民負担率の指標となる税率は主に国が定めているところでございますが、二〇二三年度当初予算において七千三百億円を超える税収を見込む福岡県は、国が定めた負担率により過大な税負担に苦しむ福岡県民に対して、県政として税負担軽減に取り組む姿勢が求められているのではないでしょうか。  私は、福岡県民の税負担軽減の施策として、個人住民税の減税に着手すべきであると考えております。住民税の減税は、既に愛知県名古屋市で市民税所得割、市民税均等割の減税が実施されておりますが、私は比較的、低所得者である若者を含め、福岡県民のうち約二百五十万人が対象となる、地方税法で標準税率として規定されている個人県民税の均等割千円部分の減税を知事に御提案申し上げます。  この減税により、単純計算で二十五億円の減収となりますが、県税収入が増収となっていることを考えれば、物価上昇に賃金上昇が追いつかず、実質賃金がマイナスで推移している生活の中で、財政調整基金等三基金残高に関して、財政改革プランの令和八年度末の目標額四百億円から五百億円と、令和五年度当初予算編成時の見込額六百三十八億円の差、百三十八億円のうち二十五億円は福岡県民に還元するべきだと考えております。個人県民税において、個人県民税均等割として現在徴収されております東日本大震災からの復興に関し防災施策に必要とする臨時特例による上乗せ五百円については二〇二三年度で終了いたしますが、新たに二〇二四年度から国による五百円の森林環境税が創設され、県民の税負担が減ることはありません。また昨今の新聞やネットニュースを見ましても、防衛費増額に伴う増税の議論や異次元の少子化対策として社会保険料に上乗せ徴収を検討する記事など、県民にとって税負担が増え、可処分所得が減っていくニュースが多々見受けられます。  このような県民にとって税負担が増え、可処分所得が減少していくような政治に終止符を打たなければなりません。福岡県は、国目線ではなく県民の目線で若者の税負担、県民の税負担に真摯に向き合い、一刻も早く税負担を軽減する政治を実現していかなければなりません。私の御質問が若者にとって明るいニュースとなりますよう、また、県民の皆様の税負担が減っていく前向きな御答弁を期待いたしまして、知事に二点お伺いさせていただきます。  まず一点目に、市町村では名古屋市などで均等割の減税を実施しておりますが、都道府県においても個人県民税の均等割の減税は可能でしょうか。  二点目に、独自に減税を行った場合でも国からの地方交付税交付金は減額されないと聞いておりますので、県民の可処分所得向上につながる個人県民税均等割千円部分の減税実現に向けて、知事の御見解をお伺いいたします。  次に、政令市に対する子供医療費助成の補助率の格差について御質問をさせていただきます。近年、日本では少子化は格段に進み、今月、厚生労働省が発表した人口動態統計では、二〇二二年の出生率は過去最低と並ぶ一・二六、出生数はついに八十万人を割れ、七十七万人台の見込みとなりました。福岡県でも出生数は六年連続で減少し、二〇二一年は一九七〇年と比較して約半数に近い三万七千五百四十人まで減少しております。この危機的状況を何とか乗り越えるために国は異次元の少子化対策で児童手当の所得制限を撤廃するなど、子育てを所得の再分配から切り離し、社会全体で未来の子供たちを支えていく社会へと大きく方向を転換いたしております。  これらの方向性を踏まえまして、子供医療費の自己負担分を公費で負担することにより、子供の健康保持と福祉の推進を図るとともに、少子化対策として保護者の経済的負担を軽減することを目的とした子供医療費助成におきまして、福岡県から助成される小学生以下の補助率が他の市町村の二分の一に対して、政令市は四分の一に据え置かれていることについて早急に検証していただく必要があると考えております。  これまで県は、福岡・北九州両政令市の格差是正の要望に対し、政令市の財政力を主な根拠として他の市町村との格差を据え置いてきました。しかし、政令市より財政力指数が高い他の市町村に二分の一の補助が行われている現状を見ますと、財政力を理由として補助率を四分の一に継続する合理性はございません。また、財源を含めまして将来にわたり持続できるよう慎重に検討していただくことは重要でありますが、子育て世代と私たち若者のために、今できるのであれば今思い切って実現していただきたいとの思いであります。  また、県は子供医療費の助成対象を中学生まで拡大した際、平成三十年度に実施した子育て等に対する県民意識の調査において、少子化対策に必要な施策として経済的な支援の充実が第一に上がっていることを踏まえ、子育て世帯の経済的負担の軽減は急務であり、福岡県の人口の半分を占める福岡市・北九州市の両政令市が対象を拡大することが重要との認識を示されております。子供医療費助成が少子化対策に資するのであれば、福岡県内の市町村から大学や就職を機に多くの若者が移り住む福岡市こそ、子育ての環境を今よりもパワーアップしていく必要があると考えております。  福岡市では、昨年の七月から所得制限はありますが、小学五年から中学三年まで塾やスポーツ教室などの習い事費用の助成を始めました。今年の四月からは第二子以降の全ての子供の保育料を無償化し、八月からはゼロ歳から二歳の子供たちにおむつを届けるおむつと安心定期便も始まります。さらに、二〇二四年一月からは子供医療費助成の対象が高校生世代まで拡大されます。  私は、福岡市が少子化に歯止めをかけるために子育て支援を加速化している今こそ、若者の子育てに対する意識が変わりつつある今こそ、福岡県はこれまでの慣習にとらわれることなく、子供医療費助成の政令市に対する格差是正を実行するときが来たと考えております。この格差是正を実現して、福岡市が約十億円の新たな財源を活用し、現在、通院にかかる小学生以下の自己負担五百円を無料にすることができれば、福岡市の若者の子育てに対する意識が大きく好転すると考えております。  二〇二〇年の福岡市の出生率は九州で最も低い一・二〇です。私が議席をお預かりさせていただきました福岡市中央区の二〇一三年から二〇一七年にかけての出生率は、その福岡市で最も低い〇・九一です。分譲マンションは高く、賃貸住宅の家賃も高い都会の中心に位置する中央区でも、出産や子育てをしたいと考えておられる若者もたくさんおられます。知事の子供を安心して産み育てることができる地域社会づくりの強い思いが込められた出産・子育て安心基金百二十一億円の活用は、まさにその理念に資するのではないかと考えております。  そこで、知事に御質問いたします。出産・子育て安心基金を活用し、福岡・北九州両政令市の小学生以下の子供医療費助成補助率を四分の一から、他の市町村と同じ二分の一への実現に向けて知事の御見解をお伺いいたします。  最後になりますが、私は本日初めて、都会で子育てをしておられます若者とこれから結婚や出産の希望を持つ若者の声を知事に届けに参りました。私たち若者の思いが福岡県のリーダーにどのように受け止めていただけるのか、二十代、三十代の方をはじめ、多くの世代の方たちが行く末を見守っておられます。私が政治家として初めて質問いたしました住民税の減税について、子供医療費助成補助率の格差是正について、今後これらがどのような結果になろうとも、私は諦めることなく政治家として最善の道を模索し、前へ前へと歩み続けなければなりません。私の思いが実を結び新しい政治への扉が開けると信じております。  これで一般質問を終わります。(拍手) 51 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 52 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、個人県民税均等割の減税についてでございます。個人県民税は、行政サービスを受ける対価として県民の皆様に広く御負担いただくものでございまして、このうち均等割は、言わば地域社会の会費として年齢などを問わず、非課税者を除き、県民お一人お一人に年一律千円を御負担いただくものでございます。この個人県民税均等割の減税は、条例によって異なる税率を設定することにより可能でございますが、東京都や大阪府など本県よりも税収が多い団体を含め、都道府県において実施されている例はございません。これは、本県と同様に森林環境税などを上乗せしている団体が個人の均等割においては三十七府県、法人の均等割においては三十五府県ございまして、標準税率を超える税率を適用している状態で個人住民税の均等割を減税することは、法の解釈を示した逐条解説におきまして制度上問題があるとされているからであると考えられます。また均等割を減税し、所得の額に応じて課税額が変わる所得割のみ課税するといたしますと、本来税を負担すべき行政サービス受益者が課税されないという点で、税の公平性の観点からも課題があるものと認識をいたしております。  そして、財政面から考察いたしますと、議員の御質問の中に交付税のお話ございましたが、地方自治体が独自に減税を行った場合、その減収分については地方交付税は補填されません。つまり歳入としてはそのまま純減となりますことから、地方自治体の財政に多大な影響を及ぼすことになります。仮に本県におきまして個人県民税均等割千円を減税いたしました場合、一年で約二十五億円の減収となりまして、その金額は、例えば今年度当初予算で見ますと、子供医療費助成の中学生分と放課後児童クラブ整備費の合計額を大きく上回る規模となるわけでございます。また、根幹的な税の仕組みを短期間で変更することは県民の皆様に混乱を及ぼしますため、減税を一定の期間継続するという前提で考えますと、さきに述べましたような福祉の向上に資する継続的な事業や制度に影響を及ぼす可能性がございますことから、軽々には考えられないところでございます。  なお、議員からは財政調整基金等三基金残高を還元すべきというお話がございました。しかしながら、財政調整基金等三基金は災害発生時の緊急的な支出の備えだけではなく、今後の海外景気の下振れや物価上昇などの経済急変に伴う県税の主力をなしております法人二税等の減収や、あるいは社会保障費及び公債費の増加、さらには国の地方財政対策の変更などにも備えるものでございまして、できる限り確保しておく必要があると考えております。  また、昨今の地方自治体の基金残高の増加は、国から交付されている臨時交付金の存在が影響しているという指摘もございますが、今後この臨時交付金の廃止や減額に伴いまして基金残高にマイナスの影響が出る可能性があるということは言うまでもございません。このため単年度の当該基金の増加のみをもって減税を考えることは適当ではないと思われます。  県といたしましては、県民の皆様から頂いている貴重な税金を基に地域経済を活性化し、景気の好循環を生み出し、県民の可処分所得も増やしていく、効果の大きい各種施策を積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、政令市に対する子供医療費の県費補助率の引上げについてお尋ねがございました。この制度は、子育て世帯の経済的負担を軽減し子供の健康を保持することを目的に、中学生までの子供に医療費の給付を行います市町村に対し補助を行うものでございます。市町村への補助率や対象とする子供の年齢、受診に当たっての自己負担額につきましては、事業効果に加え、県の財政負担を勘案して設定をしておりまして、今年度当初予算における事業費は約五十五億円となっております。政令市につきましては、児童福祉行政の分野において県と同等の責務と権限を有していること、財政規模が大きく財政力も比較的豊かであることなどを総合的に判断いたしまして、他の市町村と補助率に差を設けておりまして、小学生以下については四分の一としておるところでございます。仮にこれを他の市町村と同じ二分の一に引き上げました場合には、さらに約十六億円の財政負担が必要となります。  議員の御質問にもございましたように、福岡市では来年一月から子供医療費の支給対象年齢を高校生まで、自己負担をひと月五百円にすることとされております。これは、都市開発の推進に伴う固定資産税の増加等による税収増加といった市の財政状況を踏まえられまして政策判断をされ、子育て施策の一層の充実に取り組んでいただいているものと認識をいたしております。  一方で県内の市町村はその財政規模や財政力、財政状況は様々でございまして、この子供医療費助成制度における県の役割は、県内全ての市町村において中学生以下の子供が一定水準の医療を受けられるようにすることでございます。限られた財源の中で県全体の制度の水準を維持し、かつ持続可能な制度とすることが重要でございますことから現行の補助率としているところでありまして、これを維持してまいる考えでございます。その上で、より県民ニーズに即し効果的と判断されますきめ細かな県独自の子育て支援施策を推進し、福岡県の未来を担う若者の皆様の結婚・出産・子育てなどの希望をかなえることができるような地域社会づくりを進めてまいりたいと考えております。 53 ◯副議長(佐々木 允君) 波多江祐介君。(拍手) *波多江議員質問 54 ◯十七番(波多江 祐介君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団、波多江祐介です。このたびは自民党県議団、藏内勇夫相談役、松尾統章会長をはじめ、先輩方に早速、一般質問の機会をいただきまして感謝を申し上げます。私は筑紫野市から初当選をさせていただきました。諸先輩方の御指導をいただく中で、伝統ある自民党県議団の一員として県民の負託と信頼に応えるべく精進してまいる所存でございます。どうぞ皆様の御交誼のほどよろしくお願い申し上げます。           〔佐々木副議長退席 香原議長着席〕  それでは、通告に従いまして、今回はスマート農業普及拡大について質問をさせていただきます。  今回の選挙において、農家の皆様から農業に関する基本的な考えを求められましたので、私は農業の衰えは国の衰えであると選挙の公約の冒頭に力強く記載をいたしました。これは私が農業畑出身だからではありません。島国である日本において、自給率や国土強靱化、防災・減災、脱炭素社会など横断的に幅広い分野に大きく関連があるからであります。  さて、私の地元であります筑紫野市には福岡県農林業総合試験場があります。私の父も勤務させていただいておりましたが、この試験場ではこれまで米の夢つくしや元気つくし、本年二月にお披露目されました大豆のふくよかまるに加え、県トップブランドで他県産に比べて高値で取引されているイチゴのあまおうなど、多くのブランド品目を開発しております。また米麦などの作業の効率化や省力化、また野菜や果樹といった園芸作物の収量の増加、品質の向上を図るため基礎的な試験研究をはじめ、イチゴの収穫や出荷調製ロボットなどの新たな技術も研究されており、職員の皆さんは農家の所得向上を目指し、効率的、高品質でより多く収穫できるよう日々生産技術の開発に取り組まれていると聞いております。  さらに生産現場では、こうした本県が誇るブランド品目が安定的に生産できるよう圃場整備や暗渠排水に加えて、農業生産を支える農業水利施設の改修といった生産基盤の整備も進められているほか、多面的機能支払交付金等による農地、水路等の維持・保全にも取り組まれており、担い手となる農家が効率的な生産ができる環境整備が行われております。このような整備が行われた地域では大規模な個別農家や集落営農法人が将来の地域の農業の担い手として定着してきております。一方、気象や社会情勢の変化をじかに影響を受け不安定であることも事実であります。現在の資材値上げや原油高騰は死活問題であり、本県においては全国に先駆け対策を講じていただいた福岡県、後押しをいただいた自民党県議団には、農業従事者の一人として感謝の念が尽きません。  私も認定農業者として米・麦の生産を行い、地域の農家と共に生産を担っておりますが、確実に高齢化は進んでおり労働力不足が懸念されている状況で地域の農業の将来を考えたとき、何かしらの対策が必要と考えます。この対策として有効な手法がスマート農業の導入であります。発展著しいデジタル技術を積極的に活用して、経営の高度化や生産から流通・加工、販売の革命を進め、生産性の向上を図り、これにより地域の農業を持続的に成長できる産業にすることができるのではないかと考えます。  しかしながら、農林業センサスによりますと、全国のスマート農業機械の導入によるデータを活用した農業を行っている農業経営体は二割程度にすぎず、本県においても同程度となっており、導入は十分に進んでいるとは言い難いと思います。近隣の農家にスマート農業機械について聞いても、自分の営農にどのようなデータを活用していいか分からない、農業機械は高額で手が届かない、また機械を操作する人がいないといった言葉が返ってきます。まさにこのことが、スマート農業の活用がまだまだ進まない背景となっているのではないでしょうか。  現在、導入が進んでいるスマート農業機械は、大規模経営者が活用する大型の機種が中心となっており、導入対象を想定している認定農業者や法人が担う面積は福岡県の農地全体の半分であります。一方、残り半分を占める面積を担っている個人経営体や中山間地域では地域の特徴を生かした作物が栽培されており、今後はこうした地域で営農している小中規模の農家でも導入の効果のあるスマート農業機械の普及も図っていく必要があると考えます。  前段に述べましたが、スマート農業機械はあくまでも手法にすぎません。目的は農業の維持や生産性向上、どのように成果として現れていくかが大切なことであります。県においても、総合計画において数値目標としてデジタルデータを活用した経営体数、当初値、令和二年度二百八十五経営体、目標値、令和八年度一千四十七経営体と定めています。またAIやIoT等、スマート技術やロボット技術を導入し、高品質、高収量、省力化を実現されるとされております。その取組に対し大きな期待をしているところです。少し前ですが、テレビで放映されました「下町ロケット」で自動運転のコンバインが登場し、未来の農業が知られる機会となりました。  私は十年間、農業高校で生徒たちと新しい農業について向き合ってきました。未来を担う若者が、新たな技術を導入する中で夢や希望を持って農業分野で活躍でき、選ばれる仕事となることを願っております。将来にわたって本県農業を持続的に発展させていくためには、スマート農業の導入を進め、作業の省力化、収量・品質の向上を図っていくことが重要であります。  そこで知事にお尋ねをいたします。県ではこれまでスマート農業機械の導入を進めてきた結果、どのような成果があったのか。また今後スマート農業の普及拡大をどのように取り組んでいくのかお伺いをさせていただきまして、私の一般質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 55 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 56 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  スマート農業の導入成果と普及拡大についてでございます。  県では、農業者の減少や高齢化が進みます中、AIやIoTといった先端技術を活用したスマート農業機械の導入を支援し、作業の省力化や収量・品質の向上を図りますとともに、スマート農業に対応できる人材の育成を行っております。具体的には、水田農業ではGPSを搭載したロボットトラクターや病害虫防除用ドローンの導入によりまして、従来の半分の時間で作業が可能となっております。園芸農業では、ハウス内の温度や湿度等を最適に保ちます自動環境制御システムや自動かん水施設、自動防除機などの導入を進めておりまして、イチゴやナスでは十アール当たりの収量が二割増加したという取組も見られます。また、お茶では農林業総合試験場がIoTセンサーにより収集いたしました環境データを基に、八女伝統本玉露の被覆管理技術を開発いたしまして生産現場での活用が進んでいるところでございます。  こうした成果を踏まえまして、普及指導センターがそれぞれの地域や作物に適したスマート農業機械などの活用について指導し、農業者の経営改善を支援しているところでございます。加えまして県の農業大学校におきましても、ロボットトラクターや環境制御装置を備えたハウス施設などを新たに整備しまして、機械の操作やデータの活用ができる人材を育てるためにリカレント教育を行っているところでございます。さらに今年度からは果樹産地に気象観測スポットを設置し、産地ごとの気象予測に基づいた栽培を支援するアプリの開発を進めているところでございます。県といたしましては、こうした取組をさらに進め、幅広くスマート農業の普及拡大を図り、農業者の皆さんの所得の向上につなげてまいります。 57 ◯議長(香原 勝司君) 宮川宗一郎君。(拍手) *宮川議員質問 58 ◯十六番(宮川 宗一郎君)登壇 皆様、こんにちは。若輩者で諸先輩方の前で大変恐縮ですが、トリを務めさせていただきます。このたび福岡市城南区より初当選させていただきました自民党県議団の宮川宗一郎でございます。私は去年四月まで陸上自衛官として任務に従事しており、議員経験、行政経験のないまま、この世界に飛び込んでまいりました。このような私が伝統ある福岡県議会の議場に登壇の機会をいただきましたことは、ひとえに自民党県議団藏内勇夫相談役、松尾統章会長をはじめとする諸先輩方の御高配によるものと心から感謝申し上げ、一日でも早く福岡県の皆様の負託に応えられるように全身全霊で取り組んでまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。  それでは、通告に従いまして、防災分野のデジタル化に関する質問をいたします。  近年、全国的に災害が頻発し激甚化しているところではございます。過去を振り返ると、平成二十八年の熊本地震、平成二十九年の九州北部豪雨、令和二年七月豪雨などにより、九州においても多くの貴い命が失われ、家屋や事業所、道路、河川、農地、林地、農業施設、農作物などに甚大な被害を与えました。私は前職ではヘリコプターの操縦士として、九州各地においてもあらゆる災害派遣に従事しました。当時、御尽力をいただいた諸先輩方、県庁職員の皆様には大変助けられたことをこの場をお借りして御礼申し上げます。  中でも、平成二十九年の九州北部豪雨では、橋は崩落、濁流により家が流され、想像を絶する被災現場を、私自身も自らヘリコプターを操縦し、朝倉市や東峰村に向かい、老若男女様々な方々を救助させていただきました。一分一秒でも早く救出するため発災直後は様々な情報網を駆使して情報収集をし、自治体、警察や消防の方々と情報共有をした上で被災地を飛び回っておりました。しかしながら、そのような情報収集などにおいて一人で最大限できることも限られており、私も被災現場や駐屯地、役所などへ走り回ることになりました。その経験の中で、防災分野でもデジタル化をすることにより、効率的な情報収集や人手の確保につながると考えております。  一方、国では防災分野のデジタル化を進めるため、平成二十三年度から運用中の総合防災情報システムの強化に取り組まれています。具体的な強化内容については、情報集約機能や地図情報への加工機能、操作性などの向上に加え、国のみならず自治体も利用できるなど、国と自治体が一体となった災害応急対策が一層推進され、安心・安全な地域づくりへの貢献が期待できる次期総合防災情報システムを構築中であり、来年度からの運用開始が予定されています。  このように国の防災分野ではデジタル化の推進に取り組まれていますが、住民に身近な存在である県や市町村は、税、住宅、保険料、災害見舞金、生活再建支援金、住宅の消毒や衛生管理など多くの行政部門が被災者と関わるため、刻々と変化する被災者の状況を把握するとともに、様々な支援制度の利用状況や生活再建に向けた相談の記録などを一元的に管理することが重要な一歩になると思っております。  そして、災害時、被災自治体では短期間に膨大な災害対応業務が発生します。被害状況の確認から避難所の運営、さらには被災者の速やかな生活再建に向けた罹災証明の発行業務など、その業務は多岐にわたります。しかし、市町村でしていただけることにも限りがあるため、例えば罹災証明書の発行業務に十分な人員を割くことができず、証明書の申請、受け取りのために市町村役場に被災者の長蛇の列ができたといったニュースも見聞きしたことがあります。  現在そのような課題に対応するため、被災者支援システムというデジタル技術を活用して円滑に被災者支援業務を行えるシステムが、行政、民間事業者を問わずに開発されております。しかし、総務省の調査によりますと、全国千七百四十一市町村の導入状況は、導入済みの市町村が千三十九団体で導入率は五九・七%となっており、まだ四割の市町村で整備されていないと聞いております。また導入が進んでいない理由として、導入経費がかさむこと、住民情報の初期データ登録が負担になることなどがあるとされており、こういう状況を踏まえ今般、内閣府が新たにクラウド型被災者支援システムを開発し、令和四年度から運用を開始したと聞いております。  そこで知事にお尋ねいたします。まず県内市町村における被災者支援業務のシステム化に向けた県のこれまでの取組と直近のシステム化の状況についてお伺いします。そのうち県内市町村において新しい国のシステムが現在どのぐらい導入されているのでしょうか。この新たなシステムの特徴と併せてお聞きします。  また、新たな国のシステムの運用開始を契機として、システム化されていない市町村に対し、システム化するように県として強く働きかけていくべきだと考えますが、知事のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。  いつどこで起きるか分からない災害に対応するためには、常日頃の対策が待ったなしの状況であります。普及できるところはとことんやる。その動きが防災・減災につながる一歩だと考えております。ぜひ知事をはじめ関係部局の皆様と一致団結して取り組んでまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げて、私の一般質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 59 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 60 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  被災者支援業務のシステム化についてお尋ねがございました。  発災の直後は市町村において被災者の生活再建に係る業務が膨大に発生いたしますため、被災者の被害状況等の情報を一元管理し、迅速かつ効率的に処理する必要がございます。このため県では、市町村防災担当課長会議や個別のヒアリング等を通じまして、この業務のシステム化を働きかけてまいりました。現在県内では二十九の市町村がシステム化に対応済みでございまして、対応の予定がございます市町村を含めますと四十五の市町村となっております。これらの市町村のシステムは各自治体において独自に構築をしたものなどでございまして、国が今年一月から運用を開始いたしましたクラウド型被災者支援システムは導入されておりません。  この国のシステムには、クラウドの利用により庁舎被災時でも業務を継続できること、また住民基本台帳との連携によりまして住民情報の登録作業が軽減されること、マイナンバーを活用した罹災証明書等のオンライン申請やコンビニ交付が可能になること、こういった特徴がございます。業務の迅速化、効率化に寄与するものであると考えております。  災害は、時、所、人を選ばず、平時から備えることが重要でございます。県といたしましては、システム化に対応していない十五の市町に対しまして、個別ヒアリングの場を通じ、国のこの新たなシステムの特徴や対応済みの市町村の事例などを紹介しながら、できるだけ早くシステム化するよう働きかけを行ってまいります。 61 ◯議長(香原 勝司君) 以上で一般質問を終わります。 *議案審査付託  次に、提出議案審査のため、さきに上程いたしました第八三号議案から第一一五号議案までの三十三件を、お手元に配付いたしております議案付託表のとおり所管の常任委員会に付託いたします。      ────────────────────────────────────────── *議案の委員会付託省略 62 ◯議長(香原 勝司君) 次に、議案の委員会付託の省略についてお諮りいたします。  さきに上程いたしました第一一六号議案から第一一九号議案までの四件については、委員会への付託を省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。           〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 63 ◯議長(香原 勝司君) 御異議ありませんので、そのように決定いたします。 *請願上程審査付託  次に、請願一件がお手元配付の請願文書表のとおり提出されましたので、これを報告上程いたします。      ────────────────────────────────────────── 64 ◯議長(香原 勝司君) ただいま上程いたしました請願一件は所管の常任委員会に付託いたします。  本日はこれをもって散会いたします。
              午 後 二 時 四十五分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...