↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(桐明 和久君) ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。吉村悠君。(拍手)
*
吉村議員質問
2 ◯四十二番(吉村 悠君)登壇 おはようございます。今任期最後の議会となるこの二月議会冒頭に、自民党を代表して質問の機会をいただきました吉村悠です。この貴重な機会をいただきましたことに、
自民党県議団相談役の
藏内勇夫先生、
松本國寛会長をはじめとする先生方に感謝を申し上げます。また、本日は、地元小倉南区より
自民党小倉南支部の方々にも御見学をいただいております。
私は、これまで様々な仕事を、地元で、県議会でしっかりと行ってまいりました。全ては小倉南区、北九州市、福岡県の発展のためであります。(拍手)ありがとうございます。今から行う
自民党県議団の代表質問は、自民党の御意見を取りまとめたものでございますが、福岡県のますますの発展に資するものとなることを心よりお誓いを申し上げて質問に入らせていただきます。よろしくお願いします。
予算案の質問に先立ち、まずは我が国を取り巻く国際情勢について知事の認識を確認させていただきます。岸田首相は、今国会冒頭の
施政方針演説で、ロシアによる
ウクライナ侵攻と
国際平和秩序の弱体化、気候変動問題、
感染症対策などの地球規模の課題、さらに世界中で生じている格差問題などを例に挙げて、世界は今、歴史の転換点、歴史の分岐点にあることを強調いたしました。民族、宗教、
イデオロギー等の対立、経済格差による分断が激化し、地球温暖化による環境の悪化も進んでおります。
こうした内外の危機は、国家という抽象的な空間ではなく、地域という具体的な空間に現出いたします。
ウクライナ戦争の動向次第では、そう遠くない将来、台湾有事につながりかねないことを多くの専門家等が憂慮しております。もしもそのような事態に陥れば、本県を含め九州・沖縄地方は直ちに悲惨な戦場になってしまうでしょう。戦後ほぼ八十年にわたり、我が国がアメリカに庇護され、成長と平和の安逸を享受し得た、奇跡とも言える幸福な時代に定着、拡充されてきた地方自治も、根本的にその在り方が問い直されなければならぬ時期を迎えていると思われます。
そして今、喫緊に求められている課題は、想定される混乱と危機の時代に適合し得る集権と分権の平衡感覚に富んだ再構築だと考えます。そのため、現在少々形骸化している国と地方の協議の場を活性化し、かつての
地方税財政の
三位一体改革の時代のように、緊迫感のある協議を早急に開始すべきです。
知事は、昨今の国際情勢をどのように認識されているのか。不幸にも台湾有事や、さらに世界大戦が勃発したとき、我々の地方自治はどのような影響を受けるのか。本県をはじめ、地方ではそのような事態への備えは全くできていないと想像するところです。今後、具体的にどのように準備を急ぐのか、県民の命と財産を預かる知事の見識ある答弁を求めます。
また、新たな地方自治の在り方について国と地方の協議を開始するため、全国知事会など地方六団体、さらに政府に働きかける考えがあるのか、知事の前向きの見解を求めます。
それでは、これより当面する県政諸問題や予算について、知事の基本姿勢をただしてまいります。ロシアによる
ウクライナ侵攻から一年がたちました。そして、この一年の間に、私たち県民の生活に関わる問題は、
コロナ一辺倒から質的に変わってしまいました。それは、一つにはウクライナでの戦争が契機となったとされる原油価格及び物価の高騰、二つ目は不安定な海外の政治、経済情勢を背景とした急激な円安であります。これらは、コロナの感染拡大とはまた異なる次元で、世界や
我が国経済のみならず、県民や事業者の皆さんの生活を直撃しました。この状況は、世界経済の不透明さと相まっていまだ継続中であります。
こうした県民生活に対する厳しい情勢を踏まえ、我々
自民党県議団は、藏内相談役、松本会長、
原口県連会長が合同で、服部知事に対し、令和五年度予算に関する要望を行いました。県民が希望を持てる福岡県にしていくため、世界、未来を見据えた成長発展、県民の命と暮らしを守る、農林水産業と地域経済の発展、スポーツや文化芸術の施策の充実など申入れを行ったところであります。とりわけ福岡県が持続的に発展するよう、誰もが住み慣れたところで働く、長く元気に暮らす、子供を安心して産み育てることができる
地域社会づくりを進めることを力強く要望いたしました。
これを受けた知事は、いち早く百二十億円の出産・
子育て安心基金の創設を打ち出し、県として中長期的な財源を確保し、子供を安心して産み育てることができる施策をこれからも積極的に進めていく意思を表明されました。さらに、この基金の使い道として、来年度当初予算案に、先進医療に含まれる不妊治療費の助成と
病児保育利用料の無償化という二つの県単独の助成事業を盛り込まれました。医療保険が適用されない先進医療による不妊治療は、今年度から
全額自己負担となり、その負担を補うべく迅速に県単独の助成が開始されることは、妊娠を望む夫婦にとってまさに福音であると言えるでしょう。また、急病の幼い子供を抱え、不安な気持ちの中で、通常保育料と
病児保育料の二重の負担に悩んでいた子育て世帯に対し、
病児保育料の無償化は心強く響くものと思われます。国が次元の異なる
子育て支援をうたいながら具体的施策を打ち出せてない中、出産、子育ての転機にある方々に寄り添って後押しし、政令市在住の方も含め、分け隔てなく支援を実施することにした知事の決断を大いに評価をしたいところです。この他県に先駆けた決断は、福岡県に住み、県内で出産し、子育てしようと考える方々にとって大きな励みや動機づけになると思っております。
さて、この基金が目的とする子供を安心して産み育てることができる
地域社会づくりは、県が総合計画の中で繰り返し強調してきた柱の一つであり、今もその下で多くの施策が繰り広げられています。そこで気になるのは、今後の基金の使い道と残高です。よもや今回表明された二つの助成のためだけの貯金とは考えておられないと思いますが、しかし目先の施策のみに充てていては、百二十億円がなくなるのはあっという間です。この基金の残高は、今後県民が将来の生活に抱く希望のバロメーターになる可能性があると考えます。
そこで知事に質問です。新たに基金を設置すると決断した知事の思いについてお聞かせください。併せて、基金を今後どのような事業に使い、どのようなことを成し遂げたいと考えているのかお示し願います。
さて、令和五年度当初予算は、服部知事が編成する二回目の当初予算であります。これまでは
コロナ対策が前面に出た予算であり、当時の状況としてはそれは当然のことでありました。しかし、知事も年頭の記者会見で、最優先の課題は、県民の皆さんの命、健康、生活をしっかりと守ること。
新型コロナや自然災害、さらには様々な犯罪などから県民の皆さんの安全、安心を全力で守ってまいると述べた上で、下を向かず、前を向き、世界を見て、そして未来を思い描いて、福岡県の成長発展の歩みを力強く一歩前進させる年にしたいと考えている。こうした思いを込めて、今年のテーマを漢字一文字で展望や発展の展という字にした。世界を、未来を展望し、そして県民の皆さんのための施策を幅広く展開し、様々な取組を進展させる。このことによって福岡県を発展に導いていきたいと力強く語られております。知事の決意のとおり、我々も今こそが守りから攻めに転ずるべきときであると考えます。知事が令和五年度当初予算を編成するに当たり、並々ならぬ強い思いをお持ちであることは、私どもから見ても拝察されるところであります。コロナ禍を越え、その次の世界で知事は何を目指すのか。その設計図がこの令和五年度予算に詰め込まれているはずです。
まず、今回十六か月予算の打ち出しはこれまでになく斬新であります。これは、服部カラーを示すものだと理解しているところです。
そこでお伺いします。三本柱である一千億円の人づくり、県内GDP二十兆円への挑戦、安全・安心で活力ある
社会づくりについて、知事の考えを県民に分かりやすく具体的に説明願います。
それでは次に、本県の
税財政運営に対する知事の基本的な姿勢についてただしてまいります。予算の概要の資料を拝読すると、令和五年度当初予算と国の経済対策を最大限活用した令和四年度十二月補正予算、二月補正予算を合わせた十六か月予算として、総額二兆二千七百七十二億円、当初予算は二兆一千九百七十五億円で、前年度比二・一%増の四百四十六億円増と過去最大となっております。また、
コロナ対策関連分を除くと、対前年度比四・三%の増となっています。これは、公債費や
税関連市町村交付金等が大きく伸びていることが影響していると考えられます。一方で、
地方財政計画において、公債費や
市町村交付金を除いた
地方一般歳出の伸びは〇・八%増となっております。
そこでお尋ねをいたします。本県の
地方一般歳出の伸びは一体どうなっているのでしょうか。また、
地方財政計画の伸びと違いがあれば、その内容も具体的に御説明願います。
さて、資料を子細に見ますと、県税等は九千八百三十三億円で、前年度比七百四十一億円増と大幅に増加しております。県税収入を見込むに当たり、前提となる今年の県経済の状況をどのように展望されているのかをお聞かせ願います。
先ほど申し上げましたとおり、世界経済の先行きは不透明さを増しております。特に米国では、
インフレ対策として数次の利上げが行われ、今後の経済の減速が懸念をされております。
グローバル化の進んだ昨今では、本県経済もその影響は無視できません。いまだいつやむとも分からない物価高騰の影響も心配であります。
そこでお尋ねします。この当初予算で県税収をどのように見込まれているのか。また、その税収を確保できるのか。特に主力の法人二税について、主な業種の動向等を含め詳細に説明願います。
当初予算の税収を堅調であると見込まれておられますが、一方で今年度の税収の見込みはどのようになっているのでしょうか。九月定例会の我が会派の代表質問において、今年度の税収見込みについて知事にただしたところ、知事は、七月末現在の県税収入の実績を見ると、県税全体で前年度同月比一〇二・八%、法人二税も企業業績が堅調に推移し、前年度同月比で一〇四%、当初予算を上回る水準で推移しており、現時点では県税収入は確保できると答弁されています。果たしてその結果はどうであったのか、主な税目の増減を含め具体的に説明してください。
次に、
財政調整基金等三基金についてです。令和五年度当初予算の
財政調整基金等三基金からの取崩しは三百二十三億円で、前年度から百三十五億円の大幅な増加となっております。内容を見ていくと、令和三年度に基準を超過して受け入れた
地方交付税が令和五年度に減収となる財源として二百二十三億円、これは令和四年度から計画的に取り崩すことが決まっていたものであります。驚くべきは、既に多くの方が御存じのとおり、新基金、出産・
子育て安心基金設置のために三基金から百億円を取り崩したことと、それでもなお当初予算ではよく見られた収支均衡を図るための三基金の取崩しがないということです。我が会派としても、百億円もの額を三基金から取り崩し、それを財源として、喫緊の課題である子供を産み育てる施策を充実させるという服部知事の英断には高い評価をしているところです。
そこで知事に伺います。このような思い切った三基金からの取崩しと新基金への積立てができた要因は何だったのか御説明を願います。
次に、今議会に提案されています
手話言語条例についてであります。言語は、人々がその社会で生きていくために必要な情報を獲得するとともに、お互いの意思や感情を伝え合う大切な
コミュニケーション手段であり、音声と記述(書き言葉)の両面があります。手話は、音声を聞き取れない聾者にとっては、聞こえる人たちにとっての音声言語と同様に、手や指、体の動き、顔の表情などを使った豊かな語彙や文法体系を持ち、生きていくためになくてはならない言語であります。
我が国においては、聾学校で手話の使用が大きく制約されるなど、社会において手話が言語として認められない歴史がありました。しかし、平成十八年十二月に採択された国連の
障害者権利条約に手話は言語であることが明記され、我が国も平成二十六年一月に批准に至った経緯があります。我が県議会においても、当時の
松尾統章議長が取りまとめ、同年十二月議会において、我が会派の主導により、手話言語法の制定を求める意見書を採択しました。国会と政府に対し、手話が音声言語と対等な言語であることを広く国民に周知し、耳の不自由な子供が手話を身につけ、学び、自由に使える環境を整備することを求めたところであります。
全国の聾者に関わるこの問題は、我が県議会でも意見書を提出したとおり、本来、国レベルでの取組が効果的であると言われており、また私たちもそのように判断するところです。にもかかわらず、今回、知事が県単独で条例制定に踏み切られたのはどのような方針に基づくものか、忌憚のない意見をお聞かせ願いたいと思います。
また、この条例の制定に伴い、聾者とその家族などに対し、今後どのような施策を展開されていこうと考えておられるのか、その考えを明らかにしていただくよう求めるところであります。
続いて、中小企業の価格転嫁の円滑化について伺います。県内雇用の八割を担い、地域経済を支えている中小企業、
小規模事業者は、長引くコロナ禍や急速な円安進行、
エネルギー価格や
原材料価格の高騰、さらには最低賃金の大幅な引上げ、人手不足による労務費の上昇など、引き続き大変厳しい経営状況に置かれています。取引において弱い立場にある中小企業では、
コスト上昇分を取引価格に転嫁できなければ収益を確保することができず、事業継続が困難になりかねません。中小企業がその事業を継続し、確実に収益を得て、雇用の維持、賃上げといった分配の原資を確保するためにも、価格転嫁につながる取引の適正化はとても重要であります。
国においては、中小企業の事業継続と
取引適正化を後押しするため、
サプライチェーン全体の共存共栄と規模、系列などを超えた新たな連携や、親事業者と
下請事業者との望ましい取引慣行の遵守を宣言する
パートナーシップ構築宣言の取組を進めております。
このような中、埼玉県や大分県では、県が中心となって、県内の経済団体や国の関係機関などと価格転嫁の円滑化に関する連携協定を締結したと聞きました。価格転嫁は、同業者や消費者の目を気にしてなかなか進めることができない場合も多いですから、発注者と受注者が互いに協力し、付加価値に基づく適正な取引を尊重する機運の醸成が何より重要であります。このような連携協定を締結することは、価格転嫁できる
環境づくりを進める上で大変効果的な取組であると考えられます。福岡県でも同様の協定を締結し、中小企業の価格転嫁の円滑化を促すべきだと考えますが、知事の見解をお聞かせください。
また、国に対しても、価格転嫁できる
環境づくりについて、さらなる施策の充実を働きかけていくべきだと考えますが、この点も含めてお答えください。
次に、地域の日常生活を支える大切な移動手段である
地域公共交通についてであります。まず、鉄道についてです。鉄道は、安全で定時性に優れた
大量輸送機関であり、多くの県民の移動手段であると同時に、県内外の交流を促し、地域の振興に資するという重要な役割も担っております。しかしながら、近年では、少子、高齢化の進行や人口減少に加え、
新型コロナウイルス感染症の影響やテレワークの普及に伴う生活様式の変容等により、鉄道を取り巻く環境は非常に厳しくなっております。JR九州でも経営効率化のため、近年、減便等を伴う
ダイヤ改正やみどりの窓口の廃止、駅の無人化といった駅体制の見直しを次々と進めております。
昨年九月に行われた鹿児島本線の
ダイヤ改正では、北九州・福岡エリアにおいて、朝夕の通勤、通学時間帯において減便や
編成車両数の削減が行われ、鳥栖以南の区間においては、日中の快速列車が廃止されました。その結果、車内の混雑による列車の遅延や乗客の積み残しが発生し、JR九州には
ダイヤ改正後の一か月弱で約九百件の苦情、意見が寄せられたとの新聞報道がなされました。また、一部の自治体では、乗継ぎの悪化など利便性の大幅な低下が生じており、JR九州に対し、改正前に戻すような声も上がっております。
JR九州は、昨年十二月に
編成車両数の増加を行い、今年三月の
ダイヤ改正では、利用状況に合わせて運転区間の変更などの対応を行うとしていますが、改正後の状況にも注視が必要です。これだけの大きな影響を与えているJR九州の
ダイヤ改正について、県としてどのように認識をしているのかお答えください。
さて、本県の高齢化率は年々上昇しており、
国立社会保障・
人口問題研究所によると、令和二十七年(二〇四五年)には約三五%に達すると予測されています。七十五歳以上の運転者については、従来から実施されている
運転免許証更新時の
認知機能検査に加え、一定の違反行為を行った運転者を対象とした
臨時認知機能検査が導入され、高齢者の
運転免許返納が増加するのではないかと思われます。高齢者の移動手段として、乗合バス、タクシー等、
地域公共交通の必要性がさらに高まっていくのではないかと考えます。一方、
人口減少等を背景として
地域公共交通の利用者数は減少しており、特に地方部の乗合バスの収支は、三大都市圏と比べて厳しい状況にあると聞き及んでおります。加えて、バスやタクシーの運転手の平均年齢は全産業平均よりも高く、運転手不足も年々深刻化しているようです。
このように高齢化、人口減少、運転手不足といった課題を抱える中、コロナ禍による利用者の減少、
原油価格高騰の影響等もあり、
地域公共交通を支えている
交通事業者は大変厳しい状況にあるものと思われます。県民が住み慣れた地域で暮らしていく上で必要な
地域公共交通を維持確保していくことは大変重要であります。そのため、議会としても
交通事業者からの要望などを踏まえ取り組んでまいりました。特にコロナが始まった令和二年度以降、
感染防止対策及び事業継続を支援するための補正予算を可決、成立させるなどして
交通事業者を支援してきました。今年度も九月補正予算によって、
原油価格高騰の影響を受けている地域鉄道、乗合バス、
タクシー事業者に対して燃料代の支援をしてきたところです。
こうした状況下、国では移動の利便性向上や地域の交通などの課題解決にもつながるものとして、M、a、a、S、MaaSの導入及び普及を図っていると聞きます。また、昨年六月の
九州地域戦略会議において、九州全体でMaaSを推進する
九州MaaSの構築が提案され、その検討がなされているとも聞いております。このMaaSは、モビリティー・アズ・ア・サービスのそれぞれの単語の頭文字をとってMaaSと言うそうですが、県では来年度、
MaaS福岡モデルによって交通DXを推進する新たな取組を始めるとのことであります。MaaSという言葉自体、まだまだ聞き慣れないものだと思います。そもそもMaaSとはどのようなものであるのか、知事の認識をお聞かせください。
また、県が取り組む予定である近
未来MaaS福岡モデル創出事業では、具体的にどのような取組を実施し、その取組を
地域公共交通のためどのように役立てるのか、知事の考えを伺います。
さて、岸田総理は、二〇二二年を
スタートアップ創出元年と名づけて宣言し、いわゆる
スタートアップ企業支援を新しい
資本主義実現に向けた目玉政策として位置づけております。これを受け、国においては、現在年間八千億円規模の
スタートアップ企業への投資額を二〇二七年度には十兆円規模に拡大し、将来的には
スタートアップ企業を十万社創出し、時価総額が十億ドルを超える
ユニコーン企業を百社創出する目標を打ち出しています。
こうした中、米国の
スタートアップ企業支援施設を運営するCIC(
ケンブリッジ・
イノベーション・センター)が、二〇二五年春に開業を予定している新福岡ビルに進出することを検討しているとの報道がありました。マサチューセッツ州
ケンブリッジ市に本社を置くCICは、
スタートアップ企業の成長を加速する
起業家コミュニティー、充実した環境の
オフィススペース、グローバルな
ビジネスネットワークを提供する、
世界トップクラスの
イノベーションキャンパス運営で注目を集めています。現在、世界四か国八都市に拠点を構え、世界中で八千四百社超の
スタートアップ企業が入居しており、それらの企業が
ベンチャーキャピタルなどから調達した資金は約百四十億ドルに上ると聞きます。CICの福岡進出が実現すれば、東京に次ぎアジア二か所目となる拠点施設が福岡にオープンすることとなり、世界から選ばれる福岡県の実現にぐっと近づくものと期待されます。
福岡県は、これまでフクオカベンチャーマーケットにおける
ビジネスマッチング支援などに力を入れ、
ベンチャー企業支援に一定の成果を上げてきたところですが、国の
スタートアップ企業支援や
CIC福岡進出などの動きに呼応し、さらにアクセルを踏み込む時期に来ているのではないでしょうか。
スタートアップ企業支援への機運の高まりを受け、県として今後どのように取り組むお考えなのかお示しください。
スタートアップ企業の創出が期待される一方で、懸念されるのが技術系の人材不足です。報道によれば、世界最大の
半導体製造企業TSMCの熊本進出では千七百名、同じく熊本の
ソニー半導体新工場では千名、佐賀の
シリコンウェハー大手SUMCOでは六百名の採用など、九州では今後、大型雇用が次々と予定をされております。こうした動きを受け、半導体のみならず、
物づくり分野を中心に技術人材の獲得競争がますます激化していくものと心配されます。特に深刻なのは
中小物づくり企業です。本県では、これまでの産業施策の成果もあり、革新的な技術を持つ
中小物づくり企業が数多く育っているものの、どうしても大企業に比べ認知度が低く、人材の確保に苦労をしているところが少なくありません。
県では、こうした状況をどのように認識しているのか。そして、
県内中小物づくり企業の
技術人材確保に向けてどのように取り組んでいくおつもりなのかお聞かせください。
次に、盛土規制についてお伺いします。御承知のように、令和三年七月に発生した静岡県熱海市における
土石流災害では、死者、行方不明者合わせて二十八人、被害家屋百三十六棟の甚大な被害が出ております。これを受け、全国的に盛土の点検を行うこととなり、福岡県では、国からの依頼を受け、国の点検要領に基づき、おおむね二〇〇〇年以降に形成された千五十か所について盛土総点検を行いました。その結果、昨年四月の
県議会関係調査特別委員会で、県内では六十か所の是正措置が必要な盛土があることが報告、確認されております。これらについては、速やかに所管部署が市町村と連携し、法令に従い、行為者、土地所有者に対し是正指導を行っており、是正指導に従わない悪質な案件については、警察とも対応を協議しているところであると聞いております。
また、同委員会では、熱海市の
土石流災害を踏まえ、危険な盛土を全国一律の基準で規制するための新たな法制度である盛土規制法の概要について説明がありました。概要によると、隙間のない規制として、
都道府県知事等が盛土等により人家などに被害を及ぼし得る区域を規制区域として指定し、この区域内で盛土等を行う場合は、
都道府県知事等の許可が必要となります。盛土等の安全性の確保については、盛土等を行うエリアの地形、地質等に応じて、災害防止のために必要な許可基準が設定され、許可基準に沿って安全対策が行われているかどうかを確認するため、施工状況の定期報告、施工中の中間検査、施工完了時の完了検査を実施するとのことです。責任の所在の明確化については、盛土等の土地所有者等が常時安全な状態に維持する責務を有することが明確化され、災害防止のために必要なときは、土地所有者等だけでなく、原因行為者に対しても是正措置等の命令が可能となりました。加えて罰則が抑止力として十分機能するよう、無許可の行為や命令違反等に対する罰則が強化されるとのことです。盛土規制法は、昨年五月に成立、公布されたところであり、今年五月から施行される予定と聞いております。
そこで、盛土規制法について改めて伺います。まず、熱海市の
土石流災害は、河川の最上流部に不適切な盛土が形成されたことが原因とされており、今後は盛土規制法により、一定規模の盛土の工事や土石の堆積が規制の対象となると聞いております。また、盛土規制法では、
都道府県知事等が盛土等により人家に被害を及ぼし得る区域を規制区域として指定し、その指定が行われて初めて効力を発揮すると聞いております。単刀直入にお聞きしますが、県は、この法律においてどのような役割を果たすのですか。また、この規制区域の指定に向けてどのように取り組んでいくのでしょうか。
次に、盛土等に伴う災害の防止に当たっては、従来、土地利用に関する各法律によりそれぞれ規制していたことから、結果として盛土等の規制が必ずしも十分でないエリアが存在しておりました。さらに、地方自治体で定める盛土等の条例も規制内容に地域差があったため、規制の弱い地域に盛土等が行われていたと考えられているようです。このような状況を踏まえ、危険な盛土を全国一律の基準で包括的に規制するための盛土規制法は、国土交通省と農林水産省による共管法であり、両省が緊密に連携して対応するとされております。
我が県においても、一昨年八月のワンヘルス・地方分権調査特別委員会で我が会派の委員が、県民の生命を守るために盛土調査、対策を、関係各部が連携して迅速かつ円滑に進めなければならないと指摘し、これに対し県は、盛土による災害防止のための庁内連絡会を設置し、庁内で情報共有を図った上で盛土総点検を進め、是正指導をしてきたと答弁されております。言うまでもないことですが、この法律の運用に当たっても、関係する様々な部署が情報を共有し、連携することが肝要と考えますが、知事の考えをお伺いいたします。
さて、昨年の九月議会において、我が会派は、昨年八月の県議会友好訪問団によるハワイ大学における先進的なワンヘルス教育の実地調査を踏まえ、県立三大学におけるワンヘルス教育の推進やハワイ大学との交流について知事にただしました。これに対し知事から、三大学がワンヘルス教育に取り組むことは、本県のワンヘルス推進を担う人材育成の観点から有意義であり、先行するハワイ大学との交流も含め、三大学においてワンヘルス教育を実施するための方策について、三大学と共に調査や検討を進めるとの答弁があったところです。
県と三大学において調査や検討が鋭意進められていることと思いますが、県議会としても、県、三大学とハワイ大学との連携を後押しするため、今年一月、ハワイ大学のワンヘルス教育の責任者であるサンドラ・チャン教授と強固な信頼関係を築いている藏内勇夫アジア獣医師会連合会長を代表とし、医学、獣医学に関する教育の有識者や関係業務に携わる県職員から成る訪問団を組織し、同大学へ派遣しました。この訪問では、相互理解が進み、ハワイ大学側から交流に関する提案があったとのことですが、ミーティングにおいてどのような意見交換がなされたのか、その概要について説明を求めます。
ワンヘルスの先進地である福岡県においては、今年八月に開設予定のFAVAワンヘルス福岡オフィス、二〇二七年のワンヘルスセンターの設置など、今後、ワンヘルスに関する教育、研究に関連する拠点が集積することとなります。これら拠点を最大限生かすためには、数多くの多様な人材が必要であり、三大学だけでなく、幅広く様々な機関での人材育成が重要だと考えます。今回の訪問における協議も踏まえ、ワンヘルスを推進する人材育成を加速するため、ハワイ大学とどのような交流を進めていくのか、知事の考えを伺います。
では、ワンヘルスに関連してもう一つ質問いたします。人と動物の共生社会に向けた、飼い主のいない猫の不妊去勢手術の実施促進についてです。知事は、TNRという言葉を御存じでしょうか。私は最近知ったのですが、それぞれ猫の捕獲(トラップ)、不妊去勢手術(ニューター)、住んでいた地域に戻す(リターン)という英単語の頭文字を取った言葉で、ボランティア団体がいわゆる地域猫活動の一環として行っている活動です。猫は繁殖力が強く、交尾するとほぼ一〇〇%妊娠し、多い場合には年三回程度出産し、一度に四頭から七頭の子猫を産みます。その子猫も半年もすれば妊娠可能になるため、一匹の雌猫から三年後には二千頭以上になるとの試算もあり、不妊去勢手術の実施は喫緊の課題です。
しかし、TNRは大きな目で見れば有効なのかもしれませんが、あくまで費用や人手が不足している中での次善策であり、他の地域からの猫の流入は防ぎ切れるものではありませんし、ふん尿による悪臭など生活環境に与える悪影響も計り知れません。現在、多くの個人や団体がTNRを行っていますが、それらの全てが術後の猫の健康状態に十分留意した活動を行っているかは疑問の残るところでもあります。
そこで質問です。現在、県では、市町村が行う地域猫活動を支援していることは承知しておりますが、地域の合意形成が難しく、活動を始められないこともあると聞いております。ワンヘルス先進県としては、これまでの取組も踏まえ、さらに一歩踏み込んで、全国に先駆けた先例をつくるくらいの意気込みを期待したいところです。知事の考えをお聞かせください。
さて、次に本県が当面する最大のプロジェクトとして県民の期待を集めております新県立美術館整備事業の今後の進め方についてお聞きしておきます。新県立美術館については、本年度、基本設計プロポーザルが行われ、東京の根津美術館や明治神宮ミュージアムなどを手がけた、世界的にも著名な建築家の隈研吾氏が率いる隈研吾建築都市設計事務所が最優秀者として選定されました。プロポーザルには全国から三十九もの提案が寄せられたと聞いておりますが、これは福岡県が持つ都市の魅力、そして世界にも類を見ないすばらしい大濠公園の魅力、こうしたものが多くの建築家の意欲をかき立てたのだろうと県民の皆様も推察しているところです。隈氏の提案書を見た多くの人が、大濠公園や日本庭園と調和したデザインであるだけでなく、内部空間においても未来志向の革新的な提案が盛り込まれ、大変期待が膨らむという感想を持たれたようです。
そこで、まず今回の基本設計プロポーザルで最優秀者となった隈研吾建築都市設計事務所の提案について、知事の率直な感想をお聞かせください。
一方、新県立美術館の建設予定地には現在福岡武道館が建っており、新県立美術館の建設を進めるためには、福岡武道館の移転が大前提ということになります。先般、知事は、福岡武道館の移転先について発表されましたが、新県立美術館の建設と福岡武道館の移転は一連のものとして考える必要があると思われます。
そこで、新県立美術館と新福岡武道館両館の整備スケジュールをどのように考えているのかお聞かせください。
次に、農林水産問題についてお尋ねします。まず初めに、高病原性鳥インフルエンザへの対応についてです。今年度は、本県の糸島市や古賀市で発生した三事例を含め、全国では既に二十五道県の七十六農場において、高病原性鳥インフルエンザにより約一千五百万羽以上が殺処分されるなど、過去最大の被害が我が国養鶏場で発生しております。その影響により、物価の優等生であった鶏卵価格も大幅に上昇するなど、私たちの家計にも影響を及ぼしております。この鳥インフルエンザの発生に際し、本県では、家畜保健衛生所などの県職員をはじめ、市町村など関係機関の職員が昼夜を問わず懸命に防疫作業に取り組んでいただいており、まずは心より感謝申し上げる次第です。しかし、全国の状況を見ると、これで終わりということではなく、いつまた発生するか、予断を許さない状況が続いていることには違いがありません。鳥インフルエンザは、一度発生すれば、発生した養鶏農場だけでなく、周辺の養鶏農場にも影響が生じることとなります。
そこで知事にお尋ねします。本県で発生した高病原性鳥インフルエンザへの現在までの対応状況、拡大防止策及び被害を受けた養鶏農家に対する支援策などについて具体的に説明願います。
次に、今期、不作が報じられております有明海のノリ養殖についてです。我が国のノリ養殖は、江戸時代に徳川家康公に献上するために東京湾沿岸部で始まり、幕府の保護を受けたことにより、享保年間に生産が本格化しております。その後、安永年間に、和紙製造が盛んであった浅草において紙すきの技術を転用し、現在と同じ四角い板ノリが定着したとされております。そして、戦後、養殖技術の向上に伴い、各地へ伝播し、有明海でも昭和二十年代に養殖が行われるようになったということです。
その本県有明海は、筑後川、矢部川をはじめとした河川からもたらされる豊富な栄養と、六メートルにも及ぶ日本最大の干満の差、そして広大な干潟に生息するアサリ等、独自の自然環境を持っており、その中で育まれるノリは、口溶けがよく、風味豊かで国内最高級のノリとして評価されております。言わば有明海がもたらしてくれる海の恵みを生かして生産されるのが福岡有明のりということです。
このように自然の恵みを受けたノリは、平成二十五年に、和食、日本人の伝統的な食文化がユネスコ無形文化遺産に登録されたことにより、世界中から注目されるようになっており、海外宇宙飛行士の宇宙食にノリが採用されたことが報じられる等、その人気は広がりを見せております。
昨年八月に、我が会派の藏内相談役、秋田前議長が出席した、米国ハワイ州で開催された八女茶とハワイ産アイランダー酒のペアリングイベントにおいても、公邸料理人である牧野雄太氏による福岡有明のりを使用したデコ巻きずしのワークショップが開催され、青木総領事官や地元参加者の皆様にも大変な好評を得たそうです。このほかにも、有明海漁連が色や艶、味を吟味し、厳選を重ねた福岡有明のりから作られた神の手仕事は、さながらノリの芸術作品であり、まさに本県が全国に誇るノリの逸品として非常に高い評価を得ているところです。
こうした福岡有明のりの産地である柳川市をはじめ、大川市、みやま市、大牟田市には、全国シェアの五割以上を占める板ノリ加工機械メーカーや資材会社、焼きノリや味つけノリの加工場といったノリに関連する工場が国内で最も集積しており、ノリの生産と併せ、裾野の広い産業を形成しております。
このように地域の重要産業となっているノリ養殖ではありますが、今期は、西日本の産地を中心に生産が不調となっております。特に有明海においては、ノリの種つけを行った十月下旬以降晴天が続いたことにより、例年になく植物プランクトンが増えた状態が長期に及び、さらに少雨のため川から補給されるべき栄養も少なく、ノリの生育に必要な栄養が不足したことにより大変厳しい状態となり、生産が伸び悩んでいると伺っております。冒頭でも触れましたが、質の高い福岡有明のりは、有明海がもたらしてくれる海の恵みそのものとも言えますが、逆に言えば、時により海の状況に大きく影響を受けることとなります。海の状況をコントロールすることは現実には難しいと思いますが、その恵みを上手に受けられるように対策を講じていくことが必要ではないでしょうか。県が良質なノリを生産するため様々な取組を行っていることは承知しておりますが、今年のような厳しい状況の中でも一生懸命頑張って作業しておられる漁業者の皆さんをしっかりと支えるためにも、さらなる対策が必要ではないでしょうか。
そこで知事に伺います。県は、ノリの生産安定のため、どのような対策を講じていくのかお答えください。
次に、本県独自の青少年健全育成の取組である青少年アンビシャス運動についてお聞きします。昨年九月県議会における我が会派の代表質問の中で触れた青少年アンビシャス運動の在り方について、知事は、運動で取り組まれてきた体験活動や読書活動などの成果を引き継ぎ、さらに発展させ取り組んでいけるよう、市町村と連携しながら、全県下で様々な体験活動を子供たちに提供するよう運動を見直していくと答弁され、この運動の見直しを約束されております。
新型コロナウイルス感染症対策も徐々に見直され、これまでの日常生活を取り戻しつつありますが、ここ数年で子供たちを取り巻く環境は激変し、子供たちの学校の行事や家庭、地域でのリアルな体験活動の機会は奪われてきたのが実情のようであります。この状況を一刻も早く打開するため、我々は、これまで青少年アンビシャス運動などで得られた知見を生かし、早急に様々な体験活動の機会の充実を図っていただきたいと考えています。
そこでお聞きしますが、青少年アンビシャス運動については、具体的にどのように見直しを進められてきたのか説明願います。
それでは次に、県立高校におけるDXの推進についてただします。これまではビジネスの世界で使われることの多かったDX(デジタルトランスフォーメーション)でありますが、教育分野でもDXを見据えた動きが始まっているようです。この教育におけるDXとは、最新のデジタルテクノロジーを活用して、生徒の学びや教育手法などを変革するものであります。今の子供たちは、幼い頃からスマートフォンやインターネットのある生活環境に身を置き、スマホ決済やネット通販のようなデジタルテクノロジーによって急速に便利になったサービスを当たり前のように利用しながら成長してきた、いわゆるデジタルネーティブ世代と呼ばれていますので、子供たちの学習スタイルや教師の指導方法がデジタルを取り入れたものに変わっていくことは必然的な流れであるのかもしれません。
さて、近年の社会におけるデジタル化の進捗は目覚ましく、私たちの生活の折々の場面で、今まで当たり前であったことがデジタル化によって大きく変化していることを実感します。身近な話として電子書籍を例に挙げますと、従来の紙で印刷、製本された書籍は書店で販売をされておりましたが、今や電子書籍であれば、自宅にいながら、いつでも購入することができるようになりました。インターネットで書籍の売買が成立してしまうように、出版業界のビジネスモデルが転換し、我々消費者の行動も急激なスピードで変化しました。
このようにビジネスモデルに変革をもたらすDXですが、教育分野においても、生徒が勉強したいときにいつでも授業や解説動画を視聴できたり、自分のレベルに合わせた問題演習ができるような学習支援ツールを導入している学校が増えているようです。また、学校向けのクラウドサービスを導入して、生徒の学習記録を一元管理したり、教師と生徒、また欠席の連絡などの学校と保護者のコミュニケーションツールとして活用するなど、学校でもデジタル化が進んでいると聞き及んでいます。
そこで教育長にお伺いいたします。昨今、国のGIGAスクール構想により、まず初めに小中学校から一人一台端末や通信環境が整備されましたが、昨年十二月には、本県の県立高校においても生徒一人に一台のタブレット端末の配備が完了しております。学校におけるDXを進めていくための土台とも言えるICT環境が驚くべきスピードで実現した今、次の目標の一つは、学校におけるDXの推進ということになろうかと考えます。今後、教育現場でDXが進めば、生徒一人一人の理解度に応じた学習など、学び方が大きく変わっていくだけではなく、学校で働かれている先生方の業務の効率化につながり、働き方改革の一助となることが期待されます。こうした学校におけるDXを進めるため、今後、県立高校においてどのように取り組まれるのかお聞かせください。
本県の高校生がデジタルテクノロジーにより変化していく我が国のこれからの社会を担い、発展させていく人材となるよう、ぜひとも他県に遅れることなく学校のDXを進めていただきたいと考えておりますが、DXを進めるに当たり、課題もあろうかと思います。学校の先生方は、教育のプロではありますが、デジタルテクノロジー、DXの専門家ではありません。今後、学校で使用するソフトやクラウドサービスも、日々進歩するデジタルテクノロジーによってバージョンアップされていきますが、そのたびに教師が新しい操作方法や効果的な使用方法などを習得していく必要が生じます。また、学校でDXを進めるに当たっては、タブレット端末やクラウドサービスなどを、教師や生徒が授業をはじめ学校生活の様々な場面で活用することが増えていきます。その結果、タブレット端末の不具合やネットワークの障害などのトラブルが増加していくことが懸念されます。そのような中で、一人の教師が目の前の生徒に対して授業を進めながら、タブレット端末の故障や通信トラブルに対応することは至難の業と言わざるを得ません。
そこで教育長にお伺いいたします。学校のDXを推進するためには、教師に対して、ICT機器やソフトの操作、ネットワークのトラブル対応など、ICTに関する専門的な面でのサポートが必要不可欠であると考えますが、どのように対応していかれるのか、教育長の考えをお聞かせください。
さて、ようやく今春の新学期から、児童生徒にマスクの着用を求めないことを基本とした上での学校教育活動が再開される運びとなりました。その一方で、基礎疾患があるなどの事情によりマスクの着用を希望する子供たちや、健康上の理由によりマスクを着用できない子供たちに、教職員がマスクの着脱を強制することがあってはなりません。その上で来年度は、学校や地域における子供たちへの同調圧力がなくなり、マスクを外したくても周囲の目が気になって外すことができない状況が変わることを期待しております。
さて、昨年十二月議会における我が会派の代表質問において、子供たちがマスクを着用しているためにお互いの表情が分かりにくいなど、情操教育の面からもその弊害が指摘されている中、どのように子供たちを指導していくのか、その見解を吉田教育長にただしたところであります。これに対して教育長からは、マスクを外すことができる場面を客観的な基準により明示し、学校や市町村教育委員会などの全ての教育関係者が共通認識を持って指導に当たることができるよう周知徹底を図っていくとの答弁がなされました。
そこで教育長にお伺いします。その後、県教育委員会として、学校における児童生徒のマスクの着用についてどのような指導をされたのか。また、新学期からのノーマスクでの学校教育活動実施に向けてどのように取り組んでいかれるのかお答えください。
最後になりますが、政府は、
新型コロナについて、五月八日から感染症法上の位置づけを二類相当から五類に変更することを決定しました。このことは、コロナとの共生、そしてコロナ禍からの脱出に向けた大きな一歩であります。三年にわたって我々の社会を暗く覆い尽くしてきた暗雲を払い、閉塞感を打破し、いよいよ経済や生活の歯車が回り始めます。五類になれば、これまで講じてきた各種の対策が見直されることとなりますが、これからも感染拡大を繰り返すことが見込まれております。国の決定を受けた今後の対応について、県は国に要望書を提出したと聞いておりますが、知事はどういった点が課題であると認識し、どういった要望を行ったのでしょうか。また、県の職員についても、窓口業務やケースワーカー訪問などにおいて、マスクの着脱がどうあるべきかを明確に示すべきであると思われますが、知事の見解をお聞かせください。
今回質問いたしましたことは、改めて言うまでもなく県にとって重要な課題であります。知事の熱意ある答弁を期待いたしまして、
自民党県議団を代表しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
3 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。
*知事答弁
4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。
まず、昨今の国際情勢に対する認識についてでございます。昨年二月、ロシアがウクライナへの軍事侵略を開始いたしました。国際社会は、これまでの平和と繁栄を支えてきた自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的な価値や、国際秩序の根幹を揺るがす脅威に直面しております。また、日本を取り巻く安全保障環境も、北朝鮮による度重なるミサイルの発射や、周辺国との海洋をめぐる緊張の高まりなどにより厳しさを増しております。さらに、米国が主導力を発揮して国際社会の安定と繁栄を支える時代から、中国をはじめとする新興国、開発途上国の存在感が増し、米中競争、国家間競争の時代に本格的に突入しております。グローバル
サプライチェーンの拡大に伴い、経済安全保障は大きな課題となっております。こうした状況に、デジタル技術の発達がもたらす大変革、気候変動や
感染症対策といった地球規模の課題などが複雑に絡み合っております。国際社会が不確実性を増し、大きく変化いたします今、世界の平和、社会経済の安定、そして地域の安全、安心を持続可能なものとするためには、未来を見据えたビジョンの下で、デジタルトランスフォーメーション、グリーントランスフォーメーション、ワンヘルスなどの取組を前進させ、新しい時代にふさわしい社会、経済、国際秩序をつくっていく必要があると考えております。
県に影響を及ぼします有事等への備えについてお尋ねがございました。万が一外国から武力攻撃等を受けた場合、国は、国民保護法に基づき、国民の安全を確保するため、県や市町村に対し、避難や救援、攻撃への対処を指示することとなっております。国際社会の不確実性が増す中で、県がこうした事態に迅速かつ的確に対応できるよう、平常時から備えておくことがますます重要になっております。このため、毎年実施いたしております陸海空の自衛隊や消防等の防災関係機関トップとの会談等に加えまして、今年度、新たに弾道ミサイルを想定した市町村初動対処研修会を実施いたしました。さらに、今年七月開催予定の世界水泳選手権福岡大会でのテロ事案を想定した、国、政令市との国民保護共同訓練を実施し、国民保護に関わる事態への対応力のさらなる向上に取り組んだところでございます。今後も、県民の皆様の安全、安心を確保するため、国、市町村、防災関係機関との連携を一層強化し、万が一の事態に備えてまいります。また、県といたしましても、武力攻撃等により県庁行政棟三階の災害対策本部室が使用不能になった場合に備え、代替できる堅牢な場所を災害対策本部室として使用できるよう、現在、情報通信ネットワークの整備を進めておりまして、今年度中に完了する予定でございます。
次に、地方自治の在り方についてでございます。先ほど申し上げましたとおり、国際社会が不確実性を増す中で生じる予測困難な事象によって、県民の生活、社会経済の足元が脅かされております。そのような中、
新型コロナウイルス感染症対策におきましては、国と地方自治体の果たすべき役割や権限などにつきまして、様々な課題が生じる都度、国と綿密に協議して対応してまいりました。今後、新たに危機的な事象が発生した場合に備えて、国民の生命と財産を守るため、早急に国と地方自治体が果たすべき役割と権限を明らかにしていくことが重要であると考えます。このため、全国知事会では、緊急時をはじめあらゆる分野において、国、地方のそれぞれが担うべき役割や、その役割に見合った権限など早急に見直しに着手すること、その上で必要な財源を確保することについて要望を行っております。このことは、都道府県のみならず市町村にも大いに関わる問題でありますため、今後、地方六団体と国が行う国と地方の協議の場で取り上げられますよう、全国知事会を通じて働きかけてまいります。また、本県としても、様々な機会を捉えて国に提言、要望してまいります。
出産・
子育て安心基金を設置すると判断した思いについてお尋ねがございました。急速に進む少子化によりまして、本県の出生数は、平成二十八年以降、六年連続で減少しております。地域や企業、社会全体で、県民の皆様の出産、子育てを積極的に応援する世の中にしていきたいと考えております。今月六日、自由民主党福岡県議団、自由民主党福岡県支部連合会の連名で、誰もが住み慣れたところで働く、長く元気に暮らす、子供を安心して産み育てることができる
地域社会づくりを進めることとの要望をいただきました。このようなことを踏まえまして、令和五年度当初予算におきまして、
病児保育利用料の無償化、不妊治療費の助成を新たに始めることといたしました。こうした少子化対策は、その効果が現れるまでに一定の時間を要します。子供を安心して産み育てることができる地域社会をつくっていくためには、中長期的な視点を持って継続的に施策を実施することが必要でありまして、そのための財源を確保していくことが重要であると考えました。こうしたことから、異例とも言える百億円の基金の積み増しにより、新たに百二十一億円の出産・
子育て安心基金を設置することとしたところでございます。今回設置いたしました基金につきましては、国が打ち出す少子化政策を踏まえまして、より本県の県民ニーズに即し、効果的と判断されるきめ細かな県独自の出産・子育て施策を機動的に実施する財源として活用してまいります。
次に、十六か月予算の三つの柱についてでございます。来年度も県民の皆様の命と健康、生活を守ることを最優先に取り組む、このことは何ら変わるものではございません。その上で、閉塞感を打破し、国内外から投資、企業、人材を呼び込み、地域の活力基盤をさらに強固なものとするとともに、県といたしましても人や経済、社会にしっかりとした投資を行い、未来を見据え、福岡県を成長発展に向けて加速前進させていきたい、こうした思いから三つの柱を掲げ、予算を編成いたしました。
まず、一千億円の人づくりでございます。本県の発展を担うのは人でございます。子供たちの学びや体験の機会の充実を図るとともに、失敗を恐れず、留学、スポーツ、芸術、起業など夢に向かって挑戦する若者を応援する未来を担う人づくり、半導体分野などで活躍するテクノロジー人材や稼げる農業を目指す経営感覚に優れた農業人材などの経済成長を支える人づくりに取り組みます。女性活躍の推進、高齢者や障がいのある方の就業機会の確保など、県民一人一人が生き生きと輝く人づくり、医療、介護、保育人材の育成確保など、社会を支える人づくりにも力を入れてまいります。私は知事就任以来、一貫して人材の育成を重視してまいりました。こうした人材の育成に一千億円を超える予算を計上するなど、人への投資を重視するという本県の姿勢を県民の皆様に分かりやすくお示しし、本県の社会経済、そして未来を担う人材を育ててまいりたいと考えております。
次に、県内GDP二十兆円への挑戦でございます。本県の実質GDPは、平成三十年度に十九・九兆円まで成長いたしました。しかし、その後、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減などにより減少をいたしました。令和二年度は、確報値はまだ出ておりませんが、
新型コロナの影響により大きく落ち込むことが見込まれます。二十兆円を達成するということは容易ではございませんが、私はこの二十兆円への挑戦という旗を掲げることにより、県内市町村、そして企業の皆様と力を合わせ、本県の経済を牽引する産業を育て、成長発展の歩みを前進させてまいります。官民で全力で取り組むことによって、その効果を年々高めていき、二十兆円を達成し、未来につながる経済成長を実現してまいります。
第三に、安全・安心で活力ある
社会づくりでございます。新型
コロナ対策、物価・エネルギー高騰対策、災害からの復旧、復興、県土強靱化を推進し、県民の皆様の命と健康、生活を守ります。
新型コロナのような人獣共通感染症に対処していくためにも、引き続きワンヘルスの推進に取り組み、世界的先進地を目指してまいります。また、喫緊の課題でございます、子供を安心して産み育てることができる
地域社会づくりを積極的に推進します。そして、ジェンダー平等の推進、障がいのある方の自立と社会参加を支援する取組を進め、年齢、性別、障がいの有無にかかわらず、誰もがその能力を発揮できる社会を目指します。さらに、スポーツ、文化芸術の振興、健康づくりを推進するほか、福岡イズ・オープンを合い言葉に、世界に向けた発信と交流などを推進してまいります。
このようにして県民の皆様と手を携えて、未来への扉を一つまた一つと開いていき、本県を九州のリーダー県としてふさわしい県にさらに飛躍発展させ、県民の皆様が安心してたくさんの笑顔で暮らせる福岡県にしてまいります。
次に、一般歳出についてでございます。
地方財政計画の前年度比〇・八%の増に対しまして、本県の令和五年度一般会計当初予算案の一般歳出は、前年度比〇・四%の減となっております。
地方財政計画は、標準的な地方行政に必要な歳入歳出見込みを示しているものでございまして、新型
コロナ対策に係る経費が計上されておりません。このため、本県の令和四年度と令和五年度の一般会計当初予算から新型
コロナ対策に係る経費を除いて比較いたしますと、本県の一般歳出は前年度比二・二%の増となりまして、
地方財政計画の〇・八%増を一・四ポイント上回っております。その主な要因でございますが、本県独自の施策として、出産・
子育て安心基金を設置するため、新たに百億円を積み立てたこと。令和六年度に糸島、令和七年度に宗像、早良に新設予定の特別支援学校の建設費が、前年度に比べまして三十九億円の増となったことなどによるものでございます。
次に、今年の県経済の状況についてお尋ねがございました。生産分野では、半導体等の部品供給不足により自動車が鈍化するなど、このところ足踏みが見られますものの、令和四年五月を底に持ち直しの動きが続いております。十二月の百貨店、スーパーの販売額は、十五か月連続で前年同月比プラスとなるなど、家計消費は持ち直しております。有効求人倍率を見ても、十二月は一・二五倍と、令和二年九月の一・〇〇倍を底に上昇するなど、雇用情勢も改善しております。これらのことから、県経済の現状は緩やかに持ち直していると判断しているところでございます。今後の動向につきましては、ウイズコロナの下で社会経済活動の正常化が進む中、インバウンド需要の増加や雇用環境の改善などにより、今後も景気が持ち直していくことが期待されますが、一方で、海外景気の下振れの影響、物価上昇による家計や企業への影響、供給面での制約などにも十分注意する必要があると考えております。
来年度の県税収入についてでございます。当初予算における県税収入につきましては、今年度の県税収入の状況を基に、県内における経済指標、
地方財政計画等を勘案して見込みました結果、地方消費税清算金を含む全体では、今年度当初予算と比べ八・二%、七百四十一億円の増と、過去最大となる九千八百三十三億円余を見込んでおります。法人事業税及び法人県民税の法人二税につきましては、県内主要企業に対する聞き取り調査等により算定しておりまして、今年度当初予算比で七・二%、百二十六億円の増を見込んでおります。これは、行動制限の緩和等による百貨店やコンビニでの消費増に伴い小売業において、また大型工事の増加により建設業において、企業業績の堅調な推移が見込まれることによるものでございます。各税目の算定に当たりましては、県の実情に即して適切に見込んでおりまして、当初予算に係る税収は確保できるものと考えております。なお、企業への聞き取り調査等を通じ、一部織り込み済みではありますが、海外景気の下振れなどの影響に十分注意する必要があると考えております。
今年度の県税収入の見込みについてでございます。今年度の県税収入につきましては、当初予算額六千八百二十六億円から四百七十億円上回る見込みでございます。主な税目では、株式等譲渡所得割につきまして、株式取引の減少に伴い二十六億円の減収が見込まれますものの、地方消費税につきまして、原油価格の高騰等に伴う輸入額の増加により、当初予算額から三百二十七億円上回る見込みでございます。また、法人二税につきましては、鋼材価格の引上げの影響により鉄鋼業において、また行動制限の緩和等による消費の増により小売業において、企業業績の堅調な推移が見込まれますことから、当初予算額から百三十億円上回る見込みでございます。
次に、新基金への積立てができた要因についてお尋ねがございました。基金積み増しの財源につきましては、
財政調整基金等三基金から百億円を取り崩し、これに充てることといたしております。今年度、地方消費税や法人事業税など県税収入は、予算に比べ大幅に増加する見込みでありまして、これにこれまでの財政改革プランの改革措置の効果も相まって、三基金につきましては、今述べました百億円の取崩しを行い、収支均衡を図るための取崩し二十六億円を解消した上で、なお百五億円の積立てを行うこととしているところでございます。
次に、
手話言語条例の制定についてでございます。手話は、音声による言語と同様、豊かな語彙や文法体系を持ち、意思疎通を図るだけでなく、他の人を理解し、また物事を考えるために不可欠の言語であります。特に、聾児が手話での意思疎通により家族や仲間と関わり、愛情や自信を感じられるということは、健全な成長のために大変重要でございます。県議会では、当時の
松尾統章議長の御尽力により御意見が取りまとめられ、平成二十六年十二月に国に意見書を提出いただきました。この意見書にございますように、聾者が安心して生活できる社会の実現に全国的に取り組むためには、本来、手話言語法が制定されることが望ましいと考えております。そのため、令和元年六月に国会に提出されました手話言語法案の審議状況を注視してまいりましたが、審議未了のまま廃案となりました。手話は言語であると県民の皆様に御理解いただくこと、聾児が乳幼児期から手話を獲得すること、聾者の意思疎通支援のために手話通訳者を増やすこと、これらは待ったなしの課題でございます。これらの課題にいち早く取り組み、県民の皆様に手話の言語としての大切さを普及啓発することは、法の制定を待たずにできることでございまして、誰もが安心して暮らせる福岡県づくりに必要であると考えたことから、今般、
手話言語条例を提案したところでございます。
手話言語条例の制定に伴う聾者と家族に対する施策についてお尋ねがございました。聾者と家族の方々からは、県が条例を制定して手話を言語として認め、また広く県民の方々に知っていただくことが、暮らしに安心と勇気をもたらしてくれるというお声をいただいております。このため、県が条例を制定して手話を普及していくことを、手話も活用しながら、県のホームページやSNSなど様々な広報媒体を用いて発信してまいります。また、多くの県民の方々に手話を身近に感じていただきますため、地域で手話の普及に取り組まれている手話サークルの活動なども発信してまいります。また、先ほども述べましたように、聾児は、できるだけ早い時期に手話を獲得する機会を持つことが重要でございます。家族や周囲の方々から孤立することなく、強い結びつきを感じながら、自信を持って日常生活を送ることが健全な成長につながります。現状では、聾児が手話を獲得する機会は、特別支援学校幼稚部に入学する三歳からとなっておりますため、乳幼児期から、その御家族と共に、読み聞かせや遊びにより手話に触れる親子教室を県内四か所で開催してまいります。このように、手話を獲得するため、乳幼児を対象とした親子教室から特別支援学校幼稚部につなぐ切れ目のない支援体制を構築することは先進的な取組でございます。
手話通訳者を増やしていく取組も必要でございます。手話通訳者を目指す方が身近な地域で手話通訳者養成研修を受講できますよう、研修の開催地を現在の一か所から二か所に増やすとともに、併せてその研修講師の養成を図ってまいります。さらに、手話通訳者が少ない要因の一つに報酬が低いということがございますため、高い報酬を得られる手話通訳士や、手話通訳士の中でも高度な技術が必要とされる同時手話通訳者の養成研修を実施してまいります。
次に、中小企業の価格転嫁の円滑化についてお尋ねがございました。県では、価格転嫁の円滑化に向け、企業が取引先との共存共栄などを宣言いたします、国の
パートナーシップ構築宣言の周知を行っております。しかしながら、福岡商工会議所の調査によりますと、コスト増加分を価格転嫁できていない企業は約七五%に上っており、また中小企業団体中央会の情報連絡員からも、多くの業種で価格転嫁が進んでいないとの報告が上がっております。こうした中、価格転嫁しやすい
環境づくりを進めるため、本県が呼びかけまして、国の関係機関や経済団体、労働団体など十三団体で、
パートナーシップ構築宣言の促進を含む価格転嫁の円滑化に関する連携協定を早急に締結いたします。今後は、国に対し、この協定の参加団体の状況も伝えながら、一層の施策の充実を働きかけてまいりますとともに、県独自のチャレンジ応援補助金や生産性向上補助金などにつきまして、宣言企業への加点措置を行うことといたしております。こうしたことによりまして、価格転嫁が円滑に進むようしっかりと取り組んでまいります。
JR九州の
ダイヤ改正についてでございます。県では、地域の交通体系の整備促進を目的として、市町村や商工団体等と共に、私が会長となりまして福岡県地域交通体系整備促進協議会を組織しておりまして、この協議会からJR九州に対し、鉄道輸送の安全・防災対策の充実や、バリアフリー化をはじめとする鉄道施設の整備促進など様々な要望を行っているところでございます。この協議会におきまして、昨年九月の
ダイヤ改正の影響について構成員からの意見の取りまとめを行いましたところ、通勤、通学時間帯の減便により、一便当たりの乗車人数が増加した、最終電車の繰上げ、快速電車の運行区間の短縮等により利便性が悪化した、地域産業の振興や地域住民の日常生活へ影響を及ぼしかねない、住民の公共交通離れが懸念されるといった意見が寄せられました。
協議会では、今年度の要望に当たりまして、今月六日、特にこの
ダイヤ改正については最重点項目といたしまして、コロナ終息後には便数の回復を行うこと、利用者の声を踏まえた混雑・遅延対策を実施することをJR九州に対し強く要望したところでございます。これに対しJR九州からは、利用状況を注視しながら対応するとの回答がございました。今後、協議会といたしまして、JR九州に実際の利用状況に関する資料の提出を求めますとともに、沿線自治体や地元県議会議員の皆様の御意見を伺いながら、JR九州に対し必要な働きかけを行ってまいりたいと考えております。
次に、M、a、a、S、MaaSについてでございます。MaaSとは、デジタル技術を活用して、より効率的で便利な交通サービスを実現する交通DXの取組でございまして、バス、鉄道、タクシー、シェアサイクルなどの複数の交通手段を最適に組み合わせ、検索、予約、決済を一つのサービスとして提供する仕組みのことでございます。このMaaS導入の効果でございますが、スマートフォン一つで行きたい場所まで安心して快適な移動が可能となること、
交通事業者同士や官民の連携によって、ダイヤ調整や鉄道駅へのバスの乗り入れ、バス停の移設などの取組が進み利便性が高まること、様々な交通手段が利用可能な乗車券と、飲食店や観光施設の割引など様々なサービスを組み合わせた便利でお得な企画乗車券の造成等によりまして、地域の住民や観光客の移動意欲を喚起することなどが期待できるところでございます。
近
未来MaaS福岡モデル創出事業についてお尋ねがございました。現在、北九州市や福岡市周辺の都市部におきましては、民間主導によりましてこのMaaSの取組が進められているところでございます。県といたしましては、これを全県に広げていくために、来年度、西鉄、JR九州をはじめとする鉄道やバスなどの
交通事業者、県、市町村、観光事業者、学識経験者などで構成いたします産学官連携の実行組織を立ち上げます。そして、まずは各地への交通結節点でございます久留米地域、大牟田などの有明地域、そして開業を控えた日田彦山線BRT沿線地域、この三つの地域において、MaaS導入に向けた実証実験を行うこととしたところでございます。
具体的には、MaaSアプリを活用いたしまして、各地域の実情に応じた様々な交通手段を組み合わせた乗り継ぎの検証や、地域ならではの企画乗車券の造成などに取り組んでまいります。高齢者をはじめとする地域住民の皆さんに対しましては、このアプリの機能でありますとか、使い方を紹介する説明会を開催してまいります。また、MaaSによって得られる出発地から目的地まで、さらに目的地での活動といった人の移動に関するデータ、これが得られます。このデータを集約、分析をいたしまして、これらを県や市町村、
交通事業者などが共有し、利用する仕組みの構築を目指してまいります。これらによりまして、人口減少や高齢化に伴い、厳しい状況となっている
地域公共交通の維持、活性化を図り、地域課題の解決に役立てますとともに、デジタル社会の実現に向けた取組を加速させてまいります。
スタートアップ企業の支援についてお尋ねがございました。国においては、昨年、スタートアップ育成五か年計画を策定し、
スタートアップ企業への投資十兆円、
ユニコーン企業百社、
スタートアップ企業十万社の創出を目指しております。こうした中、岸田総理も視察に訪れました世界的なスタートアップ集積拠点、
ケンブリッジ・
イノベーション・センター、CIC東京を、昨年、私も訪問いたしまして、二百社を超える国内外の入居企業の活気を目の当たりにしたところでございます。このCICは、東京に次いでアジアで二番目となる拠点を本県に開設することを検討しておりまして、これが実現されれば、本県の
スタートアップ企業の成長発展に大きく寄与するものと考えております。このため、県では、まずは情報収集や起業家等とのネットワーク形成を図りますため、CIC東京内に県の活動拠点を開設いたします。また、福岡県において起業家や投資家が活発に交流し、新たな事業が創出されるコミュニティーを形成するため、CICと連携し、ベンチャーカフェ・フクオカを開催いたします。これとともに、日本進出を目指すアジアの
スタートアップ企業が集うグローバル・ビッグマーケットを開催いたします。九州大学と連携し、財務や法務など高度経営人材とのマッチングを行っておりますCXOバンクにつきまして、海外では役員登用の義務化が進んでおります女性人材の登録を拡大するなど機能を強化してまいります。さらに、海外から
スタートアップ企業や投資家を呼び込むため、在日米国大使館等の御協力をいただきながら、CICの本拠地であるボストンへ訪問団を派遣いたします。こうしたことにより、CICはもとより、地元の企業や大学など産学官一体となって
スタートアップ企業のグローバル創出拠点の形成に取り組んでまいります。
中小物づくり企業の人材確保についてでございます。県が昨年、県内の主要製造業等を対象に実施いたしました調査では、中小企業の約九割が、技術系人材が不足している、または今後不足する可能性があると回答しており、人材確保に対する支援の強化が急務であると認識いたしております。
人材不足の主な要因としては三点ございます。一点目は、自社の知名度が低いことです。これに対しましては、県内外の理工系学生が現場を訪問いたしますプロモーションツアーに加え、今後は企業の魅力をより知ってもらうため、開催回数を増やし、
物づくり分野全般を対象とするオープンカンパニーツアーや、企業のPR動画制作に対する助成を行うとともに、これらを発信するポータルサイトの構築に取り組んでまいります。二点目は、マッチングの機会が少ないということでございます。これに対しては、遠方の転職希望者とも面談できるオンライン面接会を行っておりますが、今後は、県内外の学生のインターンシップにつきましても、リアルな対面形式で実施いたしますとともに、県外から参加する学生の費用負担を軽減するなど、マッチングの取組を強化する考えでございます。三点目は、必要な技術を持った人材がいないということでございます。半導体分野につきましては、ふくおかアイストが技術者向けの基礎講座等を実施しておりますが、今後は、福岡県半導体人材リスキリングセンター、仮称でございますが、このセンターを創設し、基礎から専門分野まで幅広く人材を育成してまいります。県内中小企業につきましては受講料を免除したいと考えております。また、高等技術専門校におけるオーダーメード訓練も実施したいと考えております。さらに、技術系企業を志望する人材を一人でも多く生み出すため、本県のパワー半導体など
世界トップクラスの技術について学ぶテクノロジー人材創生塾の開催や、物づくりの魅力を伝えるPR動画のユーチューブ配信などにも取り組む考えでございます。こうした取組をはじめとして、様々な機会を捉え、本県の
中小物づくり企業の人材育成確保を支援してまいります。
次に、盛土規制法における県の役割と、規制区域の指定に向けての取組についてお尋ねがございました。宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる盛土規制法は、今年五月二十六日に施行されますが、この法律において県は、両政令市、久留米市以外の県内全域を所管することとなります。県におきましては、まずは盛土等が行われた場合、それが崩落することにより人的被害が生じる可能性のある区域を規制区域として指定いたします。その後、区域内で行われる一定規模の盛土等の工事について、技術基準に基づき許可を行い、工事状況の報告を求め、現地での検査を行うとともに、区域内の不法または危険な盛土等の監視も行ってまいります。規制区域の指定に当たりましては、両政令市、久留米市のほか、隣接県との行政境におきまして、整合が取れるよう調整を図ってまいります。県は、区域指定に向けまして来月から基礎調査を行うことといたしておりまして、具体的には、既存の土地利用や地形に関する情報を収集いたしますとともに、地域の実情に精通しております市町村にも情報を求め、必要に応じ、連携して現地調査を行ってまいります。この調査の結果を基に、市町村長の意見を聞いた上で、令和七年度末までに規制区域を指定することを目指してまいります。
盛土規制法の運用における関係部署の連携についてでございます。盛土等による災害を防ぐためには、不法な盛土等や年月の経過により危険な状態となった盛土等につきまして、発見または通報された情報を、宅地、農地、森林などの土地利用規制の担当部署が速やかに共有することが重要でございます。そのためには、都市計画法所管の建築都市部、農地法や森林法所管の農林水産部、砂防法所管の県土整備部の各部署の日頃からの連携が重要であると考えます。また、不法な盛土等を防止するためには、関連業界への周知も必要でございまして、土地利用規制担当部署のほか、廃棄物処理業や建設業を所管する部署なども連携して、関連業界に対し、法の内容や注意点について啓発を行うことが重要でございます。このため、盛土による災害を防止するために昨年度設置をいたしました庁内連絡会を活用し、基礎調査の状況や区域指定の見通しなどについて情報共有をするとともに、盛土等の許可や監視を行うこととなる担当部署の体制や、関連業界に対する効果的な啓発方法について今後検討を行ってまいります。
次は、ワンヘルスの推進につきまして、ハワイ大学における協議内容についてお尋ねがございました。県議会の皆様には、昨年八月のハワイ州訪問において、ワンヘルス教育に取り組むハワイ大学と本県との交流の先鞭をつけてくださいました。今回の訪問におきましては、県医師会、県獣医師会の皆様にも御協力を賜り、ハワイ大学との具体的な交流に向け、協議をリードしていただきました。この場をお借りして感謝を申し上げます。
先月十三日のハワイ大学での協議におきましては、まず県からワンヘルスの取組や県立三大学の概要を説明いたしました。ハワイ大学側からは、先行して取り組んでいるワンヘルス教育認定プログラムの説明をいただくとともに、新任のグリーン州知事も、一月をワンヘルス月間とし、ワンヘルスに取り組み始めたところであり、福岡県の取組は幅広く先進的で参考になると評価をいただいたところでございます。その後のワンヘルスを推進する人材の育成に関する協議におきましては、本県の人材育成の取組が緒に就いたばかりでありますことから、まずは相互の連携、協力関係をつくることが重要との認識が双方で共有されました。また、ハワイ大学側からは、人材育成のため育成目標に沿ったプログラムの構築や、教員の養成に関する助言が可能であること、人材育成において、大学間の単位互換を含めた学生交流の取組に協力が可能である旨の御提案があったところでございます。
次に、ハワイ大学との交流の進め方についてでございます。今回の協議の成果を受け、ワンヘルスを推進する人材育成の取組を一段と加速するため、ハワイ大学との連携を進める必要があると考えております。人材育成に当たりましては、医学、獣医学、環境学といった様々な分野の専門家が経験や知識を持ち寄り、分野をまたぐ課題の解決にチームで取り組むワンヘルスアプローチが実践できる人材を、教育や研究を通じて数多く育成することが重要でございます。県内には、九州歯科大学や福岡県立大学をはじめ、医学、歯学、薬学、看護学などの保健関連の学科を有する大学が二十校あるほか、福岡女子大学をはじめ、環境や食物、栄養に関連する大学も多くありまして、現在、県立三大学などでワンヘルスアプローチができる人材を育成していくための具体的な方策の検討が進められております。また、県では、令和九年度に開設予定のワンヘルスセンターにおきまして、FAVAワンヘルス福岡オフィスなどの関係機関と連携して、ワンヘルスアプローチによる調査研究や、これを担う高度専門人材の育成などを推進していくことといたしております。このような状況を踏まえ、県内の大学、研究機関などが、ハワイ大学とワンヘルスに関する共同研究や人材育成のための交流、連携を円滑に行えますよう、県では初となりますが、海外大学との覚書の締結をぜひ実現させたいと考えておりまして、ハワイ大学との協議を重ねてまいります。
次に、飼い主のいない猫に対する取組についてでございます。飼い主のいない猫は、無責任な餌やりによって集まり、繁殖いたしますため、鳴き声や排せつ物等による生活環境被害を起こしますほか、猫の致死処分数の増加につながることが懸念されます。このような問題を解決するためには、地域の協力と合意の下、不妊去勢手術の実施とともに、餌や排せつ物等の適正管理を行い、一代限りの生、命を全うさせる地域猫活動が有効でございます。このため、県では、平成二十六年度から地域猫活動に取り組む市町村に対する支援を行っておりますが、地域猫活動の趣旨等を地域住民全体で共有することが難しく、合意形成に至らないケースもございます。このような課題に対応するため、平成三十年度から地域猫活動のノウハウを持つサポーターを活動現場に派遣いたしますとともに、今年度、活動内容を分かりやすく解説した動画を作成したところでございます。県といたしましては、ワンヘルス実践の基本方針でございます、人と動物の共生
社会づくりを実現するため、ワンヘルス先進県として、新たに県獣医師会や動物愛護団体、市町村と連携し、飼い主のいない猫を保護、管理する取組や、一定期間サポートを行い、地域住民主導の管理につなげる取組等の実現について検討をしてまいります。
次に、新県立美術館基本設計プロポーザルの最優秀者の提案に対する感想についてお尋ねがございました。審査を行っていただきました選定委員会の宮城委員長からは、選定委員会が特に高く評価した点として、敷地南の国体道路側から美術館の一階を通して大濠公園がかいま見える工夫がされており、美術館を介した公園と都市のつながりが表現されている点。美術品を鑑賞するだけではなく、新たな芸術表現にも対応でき、県民のアート活動を誘発する大きな吹き抜け空間が建物の中央に設けられている点。軒の深い建物と庭園が一体となった、日本の伝統的な空間構成を現代的に表現した点などが挙げられるとの報告を受けました。私としましては、新しい美術館が既に創作された作品を展示する機能だけではなく、大きな空間を生かして、人々が集い、新たなアート活動が生み出される場となることに大変魅力を感じたところでございます。広大な大濠公園、そして隣接する日本庭園の双方に調和した美術館が誕生することによりまして、新しい風景が生まれ、福岡県の魅力がさらに高まり、国内外の多くの方々が、展覧会はもとより、建物そのものや日本庭園をぜひ見てみたい、行ってみたいと訪れていただける美術館になるものと期待しております。
この新県立美術館と新福岡武道館の整備スケジュールについてでございます。まず、新福岡武道館についてでございますが、かねてより博多区千代の福岡市民体育館に隣接いたします国有地の活用を国に要望しておりましたが、このたび県への貸付けが認められました。今後、賃貸借契約手続を行い、契約締結後、今年十月に建設工事を開始し、令和七年十一月の完成を予定いたしております。現在の福岡武道館は、県警察の武道訓練のほかにも多くの県民の方が利用されておりますので、新福岡武道館の完成後に現在の建物の解体工事を行ってまいります。一方、新県立美術館は、福岡武道館の解体工事完了後、速やかに着工できるよう作業を進めてまいります。来年度からおよそ二年半かけて設計に取り組みまして、令和八年度に建設工事を開始する予定でございます。美術館の建設では、建物のコンクリート工事終了後、収蔵品の保存環境を安定させるため、二夏の経過期間が必要となります。こうしたことも考慮しながら、令和十一年度の開館に向けて取組を進めてまいります。
次に、本県で発生いたしました高病原性鳥インフルエンザへの対応についてお尋ねがございました。今シーズンは、十月下旬という例年よりも早い時期に北海道や岡山県で感染が確認をされました。これを受けまして、県では直ちに防疫対策会議を開催し、全ての家禽飼養農場に対し、防鳥ネットの点検や車両の消毒といった飼養衛生管理基準を遵守するよう指導を徹底してまいりました。その後も国内での感染が拡大する中、本県におきましても、糸島市や古賀市の三か所で発生いたしました。このため、関係機関と連携し、二十四時間体制で延べ二千名の人員をもって家禽などの処分を行いました。また、周辺農場の家禽や卵の移動、搬出を制限した上で、車両消毒ポイントを設置し、蔓延防止を図りました。加えて、全ての農場に対し緊急消毒を命令いたしますとともに、消石灰や消毒薬を配付し、拡大防止を図ったところでございます。これらによりまして、本県の発生事例につきましては、今月九日までに清浄性が確認され、防疫措置が完了しております。なお、家禽の処分に従事した職員の心と体の健康を守るため、県産業医や保健師による相談窓口を設置するなど、職員のメンタルケアについて丁寧に対応してまいります。
次に、発生農家や移動制限などの影響を受けた農家に対する支援についてでございますが、家畜伝染病予防法に基づき、国や県から、処分した家禽や飼料などの損失に応じた手当金を交付することといたしております。県といたしましては、早期の経営再開が図られるよう、国と連携し、速やかに手続を進めているところでございます。国内におきましては、これまで過去最多となる七十六の事例が発生し、約千五百万羽の処分が行われております。県では、引き続き関係機関と連携し、家禽飼養農場への指導を徹底するなど、発生予防に取り組んでまいります。
次に、有明海のノリ養殖の生産安定対策についてでございます。本県では、これまで約二千百ヘクタールの海域での覆砂を実施し、底質改善を図りますとともに、稚貝の移殖などを実施してまいりました。この結果、ノリの生育に必要な栄養を消費してしまいます植物プランクトンを捕食いたしますアサリなどの二枚貝が一万二千トンまで増えておりまして、近年のノリ養殖の生産安定につながっているところでございます。しかし、今年の漁期は、例年になく高水温や晴天が続きましたことで、プランクトンが高い密度で長期間にわたり発生いたしましたことから、平年に比べ生産量は約五割、生産額は約七割となっております。こうした状況を踏まえ、先月三十日には、私から直接水産庁長官に対し、今回のプランクトン発生原因の究明や二枚貝を増やす対策に対する支援を求めたところでございます。県といたしましては、引き続き覆砂や稚貝の移殖を行ってまいります。また、二枚貝をさらに増やしますため、新たに砂利などを入れた袋を干潟に多数設置をいたしまして、稚貝を効率的に集め、育成する取組を支援していきたいと考えております。この取組は、二枚貝の産卵期でございます五月までに行う必要がございますことから、今議会におきまして補正予算を提案させていただいているところでございます。さらに、より高品質なノリを生産するため、養殖業では日本で初めてとなりますが、ICTを活用して、三日先までの潮の高さや水温等の海況を予測する技術を開発いたします。この予測情報を、現在はリアルタイムで提供しております海況情報と併せまして、漁業者の方がスマートフォンで一括して把握できるシステムを導入し、よりきめ細かな養殖管理につなげてまいります。県といたしましては、こうした総合的な取組を進め、有明海のノリ養殖の生産安定を図ってまいります。
次に、青少年アンビシャス運動の見直しについてお尋ねがございました。青少年アンビシャス運動では、子供同士が切磋琢磨する体験活動を通じて、子供たちの自尊感情を向上させ、将来の可能性を引き出していくという考え方の下、取組を進めてまいりました。これまで地域ボランティアにより、異年齢の子供たちが集い、様々な体験活動を行う場でございますアンビシャス広場が県内各地につくられた、また読書ボランティアを育成したことで、地域の子育てサロンにおける絵本の読み聞かせや、学校における校内一斉読書活動などが多く行われるようになったという成果がございました。しかし、一方でアンビシャス運動は、県が直接県民の皆様に呼びかけて事業を実施しておりまして、青少年育成の中心的な役割を果たしていただいております市町村の参画を求めなかったことなどから、その勢いが減速しているのが現状でございます。また、情報化社会の進展、さらにはコロナ禍の影響も重なりまして、子供たちが心身ともに健やかに成長できる体験活動の機会が減少いたしております。
このような状況に鑑み、アンビシャス運動につきましては終了することといたしまして、今後は、県下全域において市町村や地域団体、企業など様々な多様な主体が連携して、子供たちに様々な体験活動の場を提供する未来子どもチャレンジ応援プロジェクトを新たに開始することとし、今議会に市町村等の取組を支援するための予算をお願いしているところでございます。このプロジェクトの実施に当たりましては、青少年の育成に知見を有する学識経験者などによりまして、これまでの運動で取り組んできた活動内容を検証した上で次の取組に生かしてまいります。また、現在もなお県内各地において地域ボランティアの皆様が熱心に取り組んでいただいておりますアンビシャス広場につきましては、引き続き支援を行ってまいります。
このプロジェクトを効果的に推進するために、子ども会やボーイスカウトなど、県下の青少年育成に取り組む団体とネットワークを持っております公益社団法人福岡県青少年育成県民会議を実施主体とし、市町村と連携した様々な取組を進めてまいる考えでございます。このため、現在、県民会議と共に体制の強化に向けた検討を行っており、県職員の派遣などスタッフの増員を含め必要な措置を講じてまいります。今後、県と県民会議が一体となってプロジェクトを推進し、次代を担う青少年の育成に取り組んでまいります。
次に、
新型コロナの五類感染症への変更に伴う課題と国への要望についてでございます。感染症法上の位置づけが五類に変更されますと、例えば入院・外来医療につきましては、インフルエンザなど他の疾病と同様、幅広い医療機関で対応することになるなど、これまで講じてきた政策や措置が見直されることとなります。しかし、現状では
新型コロナの患者を受け入れる医療機関は限定されておりますなど、県民の命と健康をしっかり守るためには、医療機関における診療・検査体制の構築が必要でございます。もちろん、変更に伴い県民や医療現場の皆様に混乱を引き起こすことがあってはなりません。このため県では、一月二十七日の国の方針決定後、直ちに県医師会などの医療関係団体や大学病院、感染症指定医療機関、専門家、市町村の意見をお聞きし、五類変更に伴う課題を整理して取りまとめました要望書を一月三十日に国に提出いたしました。
具体的には、まず入院や外来に係る医療費の自己負担につきましては、高額な治療薬などの医療費の負担能力によって人の命が左右されないよう十分に配慮すること。子供が療養する際の留意点、期間などについて正しく理解、行動することができるよう、その周知徹底を図るとともに、学校における出席停止期間の基準を定めること。受診・療養方法や後遺症等の問合せ、相談に対応できるよう、当面の間は相談窓口の設置に対する財政支援を継続すること。幅広い医療機関において外来診療、検査に対応できるよう、また介護が必要な高齢者や妊婦等の特別な配慮を要する方も含め、適切な医療機関に入院できる体制を構築できるよう、感染対策や患者の受入れに伴う負担に見合った医療機関への財政支援を行うこと。感染拡大時においても重症者等の受入れが滞ることのないよう、当面の間、入院調整を行うために必要な財政支援を行うこと。高齢者など重症化リスクの高い方が自宅や施設で安心して療養できるよう、在宅医療事業者、高齢者施設等が行う感染対策への支援や、患者等への対応に伴う負担に見合った財政支援を行うこと。特に、高齢者施設等の職員に対する集中的検査は継続し、必要な財政支援を行うこと。感染拡大時に、救急医療の負荷増大や救急搬送困難事例が生じないよう、患者待機ステーション等を必要に応じて開設できるようにするとともに、必要な財政支援を行うこと。ワクチンの接種控えが起きないよう、当面の間、全額国費負担による特例臨時接種を継続し、その後は、高齢者等に対して公費負担のある定期接種に位置づけるなど、重症化リスクが高い方への接種が促進される制度を検討すること。五類変更後も感染拡大防止や医療提供体制の確保等が行えるよう、都道府県等が独自に実施する取組に対し十分な財政支援を行うことなど、二十五の項目について要望を行ったところでございます。
国は、来月上旬をめどに、患者等への対応や医療提供体制について具体的な方針を示すこととしておりまして、県といたしましては、この方針を踏まえ、五類感染症への変更に対し適切に対応してまいります。
最後に、職員の業務におけるマスク着脱についてお尋ねがございました。このマスクの着用につきまして、政府は来月十三日以降、屋内外を問わず個人の判断に委ねる方針を打ち出しております。一方、高齢者等重症化リスクの高い方への感染を防ぐためにはマスク着用が効果的なことから、医療機関や高齢者施設等の従事者は勤務中のマスク着用を推奨するとされております。また、事業者が感染対策上または事業上の理由等により、従業員にマスクの着用を求めることは許容されております。県職員が業務で接する県民の方の中には、高齢者の方や基礎疾患を有する方など重症化リスクの高い方もおられまして、引き続きマスクの着用を希望されている方もいらっしゃると思います。こうした状況を踏まえ、県職員のマスクの着脱につきましては、執務室内など県民の方と接しない場合は個人の判断とすることを基本としつつ、職員が窓口業務に従事する際や、ケースワーカー業務、用地交渉等で個人宅を訪問する際など県民の皆様に直接接する場合においては、相手の了解がある場合を除き、県民に不安や不快感を与えないよう、当分の間、マスク着用を求めることとしたいと考えております。
5 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。
*教育長答弁
6 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 県立高校における、DXを進める取組についてでございます。県立高校では、一人一台端末などの効果的な活用により、日々の授業改善はもとより、指導力が卓越した他校の教員、大学教授等による専門的な指導や海外の学校とのオンライン交流など、学校の枠を超えた教育資源の共有を通じて教育活動の充実を図ってまいります。さらに、農業高校では、実習農場に環境測定センサーを導入し、一人一台端末を活用しながら、湿度やCO2濃度などデータに基づく栽培を行うなど、地域のスマート農業を担うDX人材を育成してまいります。
また、来年度から全県立高校においてデジタル採点システムを導入することにより、採点結果やその詳細な分析が一人一台端末を通じて迅速に生徒に還元され、これに基づき、生徒が自らの特性や傾向を把握しながら、より主体的に学ぶ姿勢を培いたいと考えております。併せて、教員についても、生徒の学習データ分析に基づき、授業改善や個々の生徒に応じた個別最適な指導の充実を図るとともに、採点業務の大幅な効率化を図りたいと考えております。このように、ICT環境の利点を最大限に活用し、県立高校における生徒の学びの姿と教員の働き方を変えていく高校教育DXを進めてまいります。
ICTに関する専門的な面での支援についてでございます。本県では、県立高校のICT活用を推進するため、今年度から教育庁内に新たな部署を設置し、各学校への指導、助言や、教員のICT活用指導力を向上させるための研修を行っております。併せて、ICT活用に係る技術的なサポートを行うヘルプデスクを設置し、電話やメール、オンライン会議システムにより相談に対応するとともに、技術的な知識、技能を持つICT支援員を全県立高校に派遣し、それぞれの教員の相談や活用場面に応じて個別に支援を行っております。今後、ICTを活用した教育活動のさらなる充実のため、教員の支援ニーズやICT活用指導力を把握し、これを踏まえて支援内容等を随時改善しながら、効果的な技術的支援を着実に行ってまいります。
次に、学校におけるマスクの取扱いについてでございます。今年一月に、児童生徒の活動においてマスクを外すことができる場面を具体的に分かりやすく示したリーフレットを作成し、小中学校、高等学校、特別支援学校に配付いたしました。併せて、市町村教育長会や県立学校校長会、教頭研修会などで周知するなど、あらゆる機会を捉えて説明をしてまいりました。また、県立高校の卒業式については、その教育的意義を踏まえ、生徒及び教職員にマスクの着用を求めないこととし、その取扱いについて保護者等に丁寧な説明や情報発信を行うよう周知したところでございます。このマスク着用の見直しについては、一般には三月十三日から適用されますが、学校は四月一日から適用される予定となっております。県教育委員会といたしましては、子供たちの健やかな発育、発達の観点から、新学期からはマスクなしで生き生きと学校生活を送れるようになることが望ましいと考えております。その際、マスク着用が習慣化している児童生徒や教職員も主体的に外すことができるような
環境づくりが必要であります。このため、今後、文部科学省から示される留意事項等を整理し、県教育委員会として速やかにガイドラインを設定し、リーフレットやポスターにより、マスクを外してよいことを児童生徒や保護者にしっかり呼びかけてまいります。そして、その内容については、全ての教育関係者が共通理解の下で指導に当たることができるよう、市町村教育委員会を含む関係機関と連携し、周知徹底を図ってまいります。
7 ◯議長(桐明 和久君) 吉村悠君。
8 ◯四十二番(吉村 悠君)登壇 先ほども申し上げましたように、来年度予算には、MaaSのようなより効果的で便利な交通サービス実現のための事業に予算がついております。それにもかかわらず、公共交通機関の軸となっているJR九州が減便され、利便性が悪化している現状を見過ごすわけにはいきません。先ほどのJR鹿児島本線の
ダイヤ改正等に関する知事の答弁では、知事が会長を務められている協議会から要望を行っているとのことですが、JR九州に利用者の声が届いているとは思えません。
自民党県議団としては、この問題については、県民の生活に欠かせない公共交通機関に対する思いを実現するため、議会を挙げて取り組んでいきたいと考えております。知事におかれましては、問題解決に向けて御協力をお願いいたしまして、以上で代表質問を終わります。(拍手)
9 ◯議長(桐明 和久君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後二時十分といたします。
午 後 一 時 三 分 休 憩
午 後 二 時 十一分 再 開
10 ◯副議長(井上 博隆君) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。岩元一儀君。(拍手)
*岩元議員質問
11 ◯六十四番(岩元 一儀君)登壇 民主県政クラブ県議団の岩元一儀でございます。会派を代表して代表質問を行います。
質問に入る前に一言申し上げます。
一点目に、ロシア軍のウクライナ侵略についてです。一年前の二月二十四日に軍事侵攻が始まり、現在もロシア軍がウクライナ東部や南部において、激しい地上戦とウクライナ各地へのミサイル攻撃を継続しています。この侵略に強く抗議するとともに、外交努力による一日も早い戦争終結を心から願っております。
二点目に、日本各地で発生した鳥インフルエンザについてであります。今シーズン、国内二十五道県で延べ七十六件の感染が確認され、全国で約千五百万羽の鶏が殺処分されました。本県では三件の感染が確認され、延べ九万羽が殺処分されました。県内の鳥インフルエンザの感染に対し、昼夜を徹してその処分をしていただいた関係者や県職員の方々に、この場を借りて心から御礼を申し上げますとともに、引き続き感染拡大防止に万全の体制で当たっていただくよう要望いたします。
三点目に、トルコ・シリア地震についてであります。まだ余震が続き、被害の全貌も定かではありませんが、お亡くなりになられた方々に衷心よりお悔やみを申し上げ、避難生活を余儀なくされている方々にお見舞いを申し上げます。今後、できるだけ早く国際社会の協力による復旧、復興が開始されますことを願ってやみません。
それでは代表質問に入ります。
まず、新年度予算案についてお聞きいたします。新年度予算案は、過去最大規模となった二〇二二年度当初予算と比べ四百四十六億円、率にして二・一%増と過去最大を更新する二兆一千九百七十五億円となり、二月補正予算案、そして十二月補正予算も含めた十六か月予算として位置づけられております。
我が会派は、これまで働く人たちの生活を支える施策の充実を訴えてまいりました。知事は昨年十二月の定例会での予算編成方針の質問に対し、四項目を挙げられました。そのうち、人財育成、世界から選ばれる福岡県、成長産業の育成は、まさに活躍する労働者、また就業の場の拡大につながり、将来に向かって持続的に本県が発展を目指していくものと理解できます。本定例会に提案された新年度予算では、具体的にその内容に取り組んでいく強い知事の姿勢を明らかにされたものとして評価するものでございます。また、人材育成を重視する知事らしく、一千億円の人づくりを初めて標榜し、出産・
子育て安心基金百二十一億円を創設するとともに、子供・子育て分野では多くの新規予算が見られます。
そこで一点目に、一千億円の人づくりの狙いを中心に、本年度予算案に対する知事の思いを披瀝してください。
評価する新年度予算でありますが、我が会派がこれまでただしてきた内容について質問していきたいと思います。
まず、財政改革プランとの関係についてお聞きをいたします。新年度予算案における財政改革プランの達成状況を見ると、県債残高、
財政調整基金等三基金残高ともに二〇二三年度末の見込みを大幅に超えており、特に三基金残高は、来年度末で財政改革プランの目標を百一億円も超える六百三十八億円にまで膨らんでいます。この三基金残高について、二〇二六年度末で五百十六億円を確保するとなっており、目標年度を待たずして目標を達成した上に、これまで声高に訴えた三基金を取り崩さない財政運営はもちろん、プラン以上に積み増すこともできたことになります。
そもそも基金は、地方自治法において特定の目的のために設けられたもので、確実かつ効率的に運用することが義務づけられており、ただやみくもにためればよいというものではありません。また、財革プランにおける基金目標も経済の急変による税収減や災害発生時の緊急的な支出などに対応するためと、複雑化した要因を加味した結果の数字となっています。また、もし出産・
子育て安心基金への積立て分百億円がなければ、実質は二百一億円が積み増せたことになります。その上、財革プランにおける県税等の収入見込みは九千二百二十七億円となっていたものが、九千八百三十三億円と六百六億円もの収入増となっているほか、様々な予算でも大幅な差異が生じており、二〇二二年度以降、財源不足が増加し、厳しい財政状況となることが見込まれるという予想も覆されています。
そこで二点目に、目標額を大幅に超える三基金を積み増した理由についてお聞きします。
三点目に、昨今の経済情勢も鑑み、財政改革プランの大幅な見直しを早急に行うべきと思いますが、知事はどのように取り組むのかお聞きをいたします。
次に、県行政の事務事業の見直しと県職員の増員についてお聞きいたします。二〇二二年三月に行われた予算特別委員会において、我が会派の佐々木允議員が、県職員の時間外勤務についてただしています。その中で、コロナ対応や災害対応等、例外業務に該当しない業務に従事した知事部局の職員のうち、実に一割超が、規則違反となる月四十五時間の上限を超えた労働を強いられたことが明らかになりました。知事もできるだけ速やかに解消する必要があると述べられています。県職員は、長引くコロナ禍によって多くの業務に追われ、心身ともに疲弊しています。また、行政需要は今後も複雑化、多様化するのは確実であります。長く行ってきた職員削減を前提にした財革プランの弊害がここに顕在化をしてきています。
そこで四点目に、今年度、例外業務に該当しない通常業務での時間外勤務の縮減にどのように取り組んできたのか、またどのような結果となったのかをそれぞれお示しください。その上で、それらについての知事の認識をお聞きをいたします。
予算執行における職員配置の在り方についてです。人事配置は当初予算の事務事業を基本とされています。事業の翌年度への繰越しが確実に見込まれる場合は、これらの人事配置の算定に加えられると聞いていますが、国等の補正予算に対応するため事務事業が増える部署では、その内容がもともと人事配置に算入されていないため、一人当たりの事務量が増えているという問題があることを指摘しておきます。
財革プランでは、事務事業の廃止、縮小、効率化について不断の見直しを行うとしていますが、果たして不断の見直しが行えているのでしょうか。服部知事が初めて編成した二〇二二年度予算では、新規事業が八十五に対し、廃止されたものは二十七、新年度計画では新規が七十一、廃止が四十四と、二年で事務事業が八十五も増えています。この傾向は服部知事就任以前からも続いており、二〇一九年度は三十六増、二〇二〇年度は二十一増、二一年度は三十一増を加えると、この五年で百七十三事業も増えています。事務事業が終了したもの、完了したものまでを加味すると、全体では減少傾向となるものの、職員にとって全く経験のない新規事業を行うのは新たに大きな負担を強いることになります。これに対し、直近まで知事部局の職員数は、二〇一九年度七千五百六十四人、二〇二〇年度は七千五百四十二人、二〇二一年度は七千四百七十九人と減少しています。
そこで五点目に、県職員については今後の定数について言及されていませんが、現在の財政状況や、多様化し複雑化する行政需要に的確に対応するため、増員を基本とした計画を新たに策定すべきではないでしょうか。この点について知事の認識と今後の取組をお聞きいたします。
次に、公共事業予算のうち県単独公共事業費についてお聞きします。我が会派は、毎年のように発生する自然災害の予防措置として、県単独公共事業費については、毎年一律二%削減の撤廃を訴えてまいりました。そういった中、来年度予算案を見ると、単独公共事業費は昨年度に比べて微増した状況になっています。大きな基金増を果たした今、この一律的な抑制はもはや必要はなくなったのではないでしょうか。
そこで六点目に、この単独公共事業の一律的な二%抑制は、財政状況の好転や災害対応へ的確に対応するため、中止もしくは一時中断をすべきではないでしょうか、お答えください。
次に、地方公務員の定年引上げに伴う教員採用等の人材確保の強化について教育長にお聞きします。地方公務員の定年を現行の六十歳から六十五歳に引き上げる改正法が本年四月に施行されます。これに関係する条例改正が本県議会二二年十二月定例会にて可決されました。これにより、六十歳定年を来年から二年ごとに一歳ずつ引き上げ、二〇三一年度に六十五歳定年となるまでは、年度によって教員の退職数が大幅に変動することが予想されています。
そこで一点目に、現時点での、二〇二三年度から二〇三一年度の本県教員の退職者の推移の見通しをお示しください。
次に、教員の採用状況ですが、小中学校では二〇二〇年度から新規採用者数が採用予定者数を下回っており、特に小学校教員については大幅に下回っていると聞いています。
そこで二点目に、採用者数が採用予定者数より少なかった二〇二〇年度からの推移をお示しください。
三点目に、今後の採用について、採用予定者数を下回った人数を次年度の採用予定者数にプラスした上で、定年引上げによって採用者数が減少する年度においても採用予定者数を減少させず、維持もしくは増加させるべきと思いますが、このことを踏まえ二〇三一年度までの今後の採用計画の方針について教育長の認識をお聞きをいたします。
この項の最後に、今後の定年引上げにおける対策についてお聞きをいたします。来年度は定年引上げによって定年退職者が発生しないことになります。また、現行の再任用時には、給与は退職前の給与の六割にとどまっていましたが、定年引上げになることで七割に引き上がります。これまで長年、教育現場に携わられた教員は貴重な人材であり、教員不足の中、一人でも多くの先生が長く職場で活躍していただくことが大事であります。
そこで、定年引上げが実施される二〇二三年度に向け、定年引上げ後も教員が引き続き学校での勤務を希望するよう、県教委の責任として目標をしっかり定めて、これまで以上にきめ細かい対策を講ずるべきと考えますが、教育長はどのような取組を行うのかお聞きをいたします。
次に、ジェンダー平等の福岡県づくりについて知事にお聞きをいたします。
まず冒頭に、二月三日、荒井勝喜前首相秘書官が性的少数者や同性婚をめぐり、見るのも嫌だ、隣に住んでいるのもちょっと嫌だと、同性愛嫌悪に基づく差別発言を行いました。その後岸田首相は、今の内閣の考え方には全くそぐわない言語道断の発言として、翌日、荒井氏を更迭しました。我が会派も、当事者の人権を踏みにじる差別発言であり、更迭は当然のことであると同時に、地方からジェンダー平等、LGBTQへの差別解消に向けた取組の必要性を再認識したところであります。
そこで一点目に、今回の荒井前秘書官の発言について、ジェンダー平等を掲げる服部知事は率直にどのように思われたのかお聞きをいたします。
さて、ジェンダー平等については、我が会派も度々知事の姿勢をただしてきました。昨年二月定例会においても、パートナーシップ宣誓制度で利用可能な民間サービスの拡充を訴えたところ、来年度予算において、サービス拡充のための新たな事業が計上されるなど、さらなる推進が図られることは評価したいと思います。ただし、セミナーの開催だけでは、民間サービスが飛躍的に広がるかという不安もあります。
そこで二点目に、この事業を通じて、具体的にどのような形で民間サービスの拡大を図ろうと考えているのか、またその具体的目標について知事の認識をお聞きをいたします。
三点目に、昨年の二月定例会では、県内市町村との連携について言及しております。その後の取組の成果をお示しください。
また、来年度までには全ての市町村において、パートナーシップ宣誓制度を活用したサービスが展開できるよう、さらにパートナーシップ宣誓制度を導入した他県との連携ができるよう取組を加速すべきと思います。知事の今後の取組をお聞かせください。
次に、困難女性支援法についてお聞きします。この法律は、これまであった売春防止法から婦人保護事業を抜き出して刷新し、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の事情により困難な問題を抱える女性の福祉の増進を図ることを目的につくられたもので、施行は二〇二四年四月一日となっております。
まず、我が会派としては、この法律を契機に、貧困や家庭内暴力で苦しむ女性の公的支援の強化が図られることを強く要望したいと思います。同法では、都道府県の義務として、計画の策定や現在の婦人相談所を女性相談支援センターに改称するとともに、民間団体との協働や補助などにも言及しています。
そこで四点目に、困難女性支援法に対して、ジェンダー平等を掲げる知事はどのように認識しているのかお聞きします。
五点目に、県の基本計画の策定プロセスにおいて、できる限り当事者や当事者を支援する皆様の声が反映されるものとなっていかなければならないと思います。来年度、同法に基づき、県はどのようにして取り組むのかお聞きをいたします。
次に、留学生の県内企業への就職促進についてお伺いします。知事は、本県の高いポテンシャルを生かし、世界と勝負し、世界から選ばれる福岡県を目指すことを様々な場面で表明しています。我が会派も、海外の皆さんが本県と様々な関わり合いを持っていただくことが本県の飛躍、発展につながるものと確信をいたします。
そういった中で注目されるのが、本県で学ぶ留学生です。本県の留学生は数年単位で居住することから、本県との親和性は高く、就職後に即戦力として活躍できる人材として大いに期待されます。二〇二一年度の本県への留学生を見てみると、ベトナムからの留学生が最も多く、次いで中国、ネパール、韓国、ミャンマーなど東南アジア諸国で占められています。これらの地域はいずれも経済成長が著しく、また直行便が就航し、かつ本県と友好都市を結んでいる都市を持つ国もあり、つながりの深い国ばかりです。留学生の状況を見ると、二〇二一年度における全国留学生総数二十四万二千四百四十四人中、本県は、東京、大阪に次いで全国三位の一万六千五百三十七人であり、全国有数の留学生居住県と言えます。一方、同年度の留学生の就職状況を見ると、全国で二万八千九百七十四人に対して、本県は千百十八人、全国七位にとどまっています。残念ながら、留学生の就職という点では、本県は世界から選ばれるとは言い難い状況なのです。
そこで一点目に、知事は留学生と留学生の就職におけるこれらのギャップについて、どのような分析をされているのかお聞きをいたします。
二点目に、留学生の就職支援に向けた取組の強化についてであります。我が会派は昨年、大阪市にある日本最大級の外国人向け求人メディアを運営するヨロジャパンを視察しました。留学生や在日外国人の就職サイトの運営や、様々な生活支援などを幅広く行っており、民間企業の特性を生かしたきめ細かいサポートが印象的でした。本県では、留学生の生活、就職相談に関して福岡県留学生サポートセンターが行っていますが、先ほど述べた留学生の就職状況を打破するために、現状をしっかり分析し、原因や課題をつかんだ上で、県内留学生の県内就職について、これまで以上に取組を実施することが必要であると思います。知事はその点、どのように認識し、今後どう取り組むのかお聞きをいたします。
次に、
新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きをいたします。二〇二〇年から約三年にわたり、私たちの生活に強く影響を及ぼしてきた
新型コロナウイルス感染症も、昨年末には第八波が到来しましたが、二月十三日をもって福岡オミクロン警報も解除されるなど、第八波は収束に向かっています。また、政府は五月八日には感染症法上の二類相当への位置づけから五類へ見直すこととされており、これまで県民に要請してきた様々な社会的制限のその多くはなくなることが予想されています。しかし、五類への見直しについて、様々な対策も緩和され、特効薬もない中、今の医療提供体制で大丈夫なのかと医療関係者などから不安の声を聞きます。
そこで、感染症法上の類型変更に伴う本県での対応等について質問をしていきます。第八波では、第七波に引き続き、亡くなる方が六十歳以上の方に大きく偏っていました。つまり、五月八日に五類に見直されようとも、医療施設、高齢者施設には引き続き何らかの対応が必要と考えられます。新年度予算では、本年度に引き続き、県独自に新型
コロナ対策として、高齢者及び障がい者施設の職員への検査費用、円滑なワクチン接種の推進、入院病床・宿泊療養施設の確保、入院医療機関が行う医療設備の整備などに対して、上半期分のみの予算案が提案されています。
そこで一点目に、医療施設等において、五類に見直された後も必要な治療が受けられるように、入院及び外来における患者の受入れ体制や費用負担について、すぐになくならないように、当面の間、現行制度を維持する必要があると思いますが、知事の考え方をお聞かせください。
新型コロナウイルス感染症の後遺症に関して、我が会派は一昨年十二月の定例会で後遺症相談窓口の設置をただし、昨年二月に開設されたところであります。その後、本年一月末まで八千百件を超える相談がなされ、本年一月だけで八百四十五件の相談がありました。後遺症は人によってかなり違いが見られるようですし、ほかの人には理解できないような後遺症が持続している例もあるようです。そして、
新型コロナウイルスが完全に終息しない限り、新たに後遺症に悩む人が出てきます。
そこで二点目に、五月八日以降もこの相談窓口は継続して設け続けていくべきと思いますが、知事の考えをお伺いいたします。
また、高齢者施設の入居者の多くは基礎疾患がある方であります。これまで多くの施設でクラスターに苦しめられてきました。
そこで三点目に、五月八日以降の高齢者施設における施設及び従業員向けの感染対策はどうあるべきと思われますか、知事の考えをお聞きします。(拍手)
12 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。
*知事答弁
13 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
来年度予算に対する私の思いについてでございます。来年度も、県民の皆様の命と健康、生活を守ることを最優先に取り組む、このことは変わるところはございません。その上で、閉塞感を打破し、国内外から投資、企業、人材を呼び込み、地域の活力基盤をさらに強固なものにするとともに、県といたしましても人や経済、社会にしっかりとした投資を行い、未来を見据え、福岡県を成長発展に向けて加速前進させていきたい、こうした思いから三つの柱を掲げ、予算を編成いたしました。
まず、一千億円の人づくりでございます。本県の発展を担うのは人であります。子供たちの学びや体験の機会の充実を図るとともに、失敗を恐れず、留学、スポーツ、芸術、起業など夢に向かって挑戦する若者を応援いたします未来を担う人づくり、半導体分野などで活躍するテクノロジー人材や稼げる農業を目指す経営感覚に優れた農業人材などの経済成長を支える人づくりに取り組みます。女性活躍の推進、高齢者や障がいのある方の就業機会の確保など、県民一人一人が生き生きと輝く人づくりや、医療、介護、保育人材の育成確保など、社会を支える人づくりにも力を入れてまいります。私は知事就任以来、一貫して人材の育成を重視してまいりました。こうした人材の育成に一千億円を超える予算を計上するなど、人への投資を重視するという本県の姿勢を県民の皆様に分かりやすくお示しし、本県の社会経済、そして未来を担う人材を育ててまいりたいと考えております。
次に、県内GDP二十兆円への挑戦でございます。県内実質GDPは、平成三十年度に十九・九兆円まで成長いたしましたが、その後、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減などにより減少いたしました。令和二年度は、確報値はまだ出ておりませんが、
新型コロナの影響により大きく落ち込むことが見込まれます。この二十兆円を達成することは容易ではございませんが、私はこの二十兆円への挑戦という旗を掲げることにより、県内市町村、そして企業の皆様と力を合わせ、本県の経済を牽引する産業を育て、成長発展の歩みを前進させてまいります。官民で全力で取り組むことで、その効果を年々高めていき、二十兆円を達成し、未来につながる経済成長を実現してまいります。
第三に、安全・安心で活力ある
社会づくりでございます。新型
コロナ対策、物価・エネルギー高騰対策、災害からの復旧、復興、県土強靱化を推進し、県民の皆様の命と健康、生活を守ります。
新型コロナのような人獣共通感染症に対処していくためにも、引き続きワンヘルスの推進に取り組み、世界的先進地を目指してまいります。また、喫緊の課題でございます、子供を安心して産み育てることができる
地域社会づくりを積極的に推進します。そして、ジェンダー平等の推進、障がいのある方の自立と社会参加を支援する取組を進め、年齢、性別、障がいの有無にかかわらず、誰もがその能力を発揮できる社会を目指します。さらに、スポーツ、文化芸術の振興、健康づくりを推進いたしますほか、福岡イズ・オープンを合い言葉に、世界に向けた発信と交流などを推進してまいります。
このようにして県民の皆様と手を携えて、未来への扉を一つまた一つと開いていき、本県を九州のリーダー県としてふさわしい県にさらに飛躍発展させ、県民の皆様が安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県にしてまいります。
財政改革プランの目標額を大幅に超えて、
財政調整基金等三基金を積み増した理由についてお尋ねがございました。今年度、地方消費税や法人事業税など県税収入は、予算に比べ大幅に増加する見込みでありまして、これに、これまでの財政改革プランの改革措置の効果も相まって、三基金につきましては、出産・
子育て安心基金設置のための百億円の取崩しを行い、収支均衡を図るための取崩し二十六億円を解消した上で、なお百五億円の積立てを行うことといたしております。その結果、
財政調整基金等三基金の残高は、令和五年度末で、プランの見込額を百一億円超える六百三十八億円となる見込みでございます。
これまでの県財政の運営を振り返ってみますと、経済情勢の変化による県税の大幅減収や、国の地方財政対策の取扱いなどによって収支が逼迫し、基金が枯渇して財政再建団体に転落するおそれが生じたことから、三度にわたる時限的な職員の給与カットや、県民サービスの圧縮などの措置を行わざるを得ない状況となったこともございました。このため、今後こうした緊急的な措置を講じることなく財政運営を行うために、少なくとも必要と考えられる三基金の残高を財政改革プランで目標としてお示ししているところでございます。今後の海外景気の下振れや物価上昇などの経済急変に伴う税収減や、災害発生時の緊急的な支出、社会保障費及び公債費の増加などに備えて、三基金残高につきましては、できる限り確保しておく必要があり、このため三基金の積立てを行うこととしたところでございます。
財政改革プラン二〇二二の見直しについてお尋ねがございました。高齢化の進行に伴います社会保障費や県債償還のための公債費が増大する中で、社会経済情勢の変化に的確に対応し、県民の皆様が必要とする行政サービスを提供し続けるには、事務事業の不断の見直しを行いますとともに、産業を育成し税源の涵養を図るなど、歳入歳出両面の努力によって財源の確保に計画的に取り組む必要がございます。このため、昨年度策定いたしました財政改革プラン二〇二二におきましては、財源不足額を解消しつつ、経済急変や災害発生などへの財政対応力を持つことを目指し、プランの最終年である令和八年度末におきまして、県債の通常債残高を五百億円程度圧縮すること、
財政調整基金等三基金の残高を四百億から五百億円確保することを目標といたしております。まだプランが始まっての初年度でございます。また現段階で、先ほど申し上げましたような今後の様々な事態の変化を予測するということは困難でございます。このことから、引き続き、令和八年度の目標を達成することができるよう様々な改革努力を行っていくことが重要であると考えております。
通常業務での時間外勤務縮減の取組についてでございます。通常業務における時間外勤務の上限規制を遵守するため、これまでの取組に加えまして今年度からは、各所属に責任者を指定し、責任者は時間外勤務の状況を把握し、限度時間である月四十五時間を意識したマネジメントを行う、係員の時間外勤務が月三十時間を超えた段階で係長は責任者に報告するとともに、係員との面談を行いまして業務分担の見直し等の必要な措置を講ずる、人事課は限度時間を超えた所属の責任者に対するヒアリングを実施し、助言を行う等の新たな取組を行っております。
取組開始後の三か月間では、限度時間を超える時間外勤務を行った職員数は、前の年と比べますと二割減少いたしました。しかし、コロナの第七波が到来いたしました七月以降、自身や家族の感染により、長期間休務せざるを得ない職員が急増する中で、原油高騰対策などのための補正予算編成や、鳥インフルエンザの発生なども重なりまして、十二月までの九か月間では、限度時間を超えた人数は前年度とほぼ変わらない状況となりました。こうした特殊な要因に加え、コロナ本部への職員派遣も続いておりまして、限度時間を超過した時間外勤務の縮減が進んでいない結果となっておりますが、できる限り速やかに解消する必要があると認識いたしております。このため、時間外勤務のマネジメントをさらに着実に実施いたしますとともに、時間外勤務縮減に全庁を挙げて取り組んでまいります。
増員を基本とした計画の策定についてお尋ねがございました。県では五年ごとに策定いたします行政改革大綱を職員数に関する計画として位置づけておりますが、昨年三月に策定いたしました新たな大綱では、職員数についての数値目標は設けず、複雑多様化する行政課題に適切に対応するための人員を確保していくことといたしました。職員配置に当たりましては、不断の行財政改革の取組を通じ、常に効率的な人員体制の整備に努めていかなければなりません。このため、当初予算編成における事務事業の見直し、デジタル技術を活用した業務の効率化、仕事の進め方の見直しなど働き方改革の推進、二年間で五千件を超える提案がありました三十代以下の若手職員による業務量の削減につながる見直しの積極的な採用などの取組によりまして、業務を減らし、職員の負担を軽減するよう努めてまいります。同時に、増加する児童虐待に対応しなければならない児童相談所や新興
感染症対策に取り組む保健所をはじめ、強化すべき分野に対しては重点的な職員配置を進めてまいります。県といたしましては、こうしたスクラップ・アンド・ビルドの取組により適正な職員配置に努め、複雑多様化する行政課題に対応してまいる考えでございます。
次に、単独公共事業費についてお尋ねがございました。財政改革プラン二〇二二では、県債残高の圧縮を図りますため、景気雇用情勢及び公共事業全体の規模等を勘案した上で、県単独公共事業費を毎年度二%程度抑制するといたしております。本県は、昨年度まで五年連続で災害に見舞われまして、この復旧、復興の財源として多額の県債を発行しております。今後、その償還による公債費の累増が見込まれるなど、県財政を取り巻く環境は依然厳しく、プランに掲げた対策を着実に実施することが必要であると考えております。引き続き、財源面でより有利な補助、交付金事業をできるだけ活用することにより、必要な事業規模を確保してまいります。令和五年度予算におきましては、補助、交付金事業の確保と県単独公共事業の重点化を行い、防災、減災、県土強靱化をはじめとした緊要な公共事業をしっかりと実施をしてまいります。
ジェンダー平等の福岡県づくりにつきまして、荒井前首相秘書官の発言についてお尋ねがございました。この報道に接しましたとき、政府の中枢にあって首相を補佐する責任ある立場の方が、あのような発言をしたことに大変驚きました。今回の発言は、性的少数者の方々の尊厳を深く傷つけるものであり、また差別や偏見を助長することにもつながりかねず、決して許されないものであると考えております。
パートナーシップ宣誓制度で利用可能な民間サービスの拡大についてでございます。県ではこれまで、直接、県内の医療機関や不動産業者、金融機関を訪問するとともに、日本青年会議所の福岡ブロック会議など民間事業者の皆様が集まる場におきまして、制度の周知とサービス提供の働きかけを行いました。私自らも、昨年五月の福岡県商工会議所連合会総会におきまして、働きかけを行ったところでございます。
具体的には、この制度は、性的指向や性自認にかかわらず、人生を共にしたい人と安心して生活できる福岡県の実現を目指して開始したものであること、宣誓されるカップルには、県庁において職員の面前で宣誓を行っていただき、県は本人確認など必要な確認を行って、宣誓書受領証カードを交付していることを丁寧に説明いたしました上で、協力をお願いしているところでございます。これらの働きかけに加えまして、来年度は、県内四地域におきまして、保育所や幼稚園なども対象とし、幅広い分野の事業者に向けたセミナーを開催いたします。セミナーでは、性的少数者に関する県内事業者の先進事例を御紹介しながら、当事者の目線から事業者で行ってほしい取組や、こうした取組が企業イメージの向上にもつながるといったメリットも知っていただき、性の多様性に関する事業者の理解促進、サービスの拡大を図ってまいります。民間サービスの拡大につきましては、令和六年度までに、当事者からの要望が強い医療や賃貸住宅、住宅ローン関係のサービスが、福岡県広域地域振興圏域の十五圏域全てで提供されることを目標としているところでございます。
この県内市町村及び他県との連携の成果と今後の取組についてお尋ねがございました。県では昨年八月、市町村説明会を実施をいたしまして、パートナーシップ宣誓制度で利用可能な行政サービスを提供いただけるよう働きかけを行いました。また、市町村が提供可能な行政サービスの情報を取りまとめ、全ての市町村にこれを提供し、検討を働きかけることで、さらなるサービスの掘り起こしを行っているところでございます。私自らも、昨年四月の市長会総会、今月開催されました町村長セミナーにおきまして、市町村長の皆様に対し働きかけを行ってまいりました。現在三十四の市町村から、公立病院での病状説明、公営住宅の入居申込み、保育所の送迎などの行政サービスを提供していただいております。今後は、まだ行政サービスを提供していただいていない市町村に個別に働きかけを行いまして、来年度中には全ての市町村において提供していただけるよう取組を進めてまいります。
他県との連携につきましては、制度を利用される方の負担軽減、利便性の向上を図るため、今年一月から隣県の佐賀県との連携を開始をいたしました。現在、本県と人の往来の多い東京都と大阪府に働きかけを行っております。また、九州内の複数の県でも検討が行われていると聞いておりますので、今後、制度が導入された県に対し働きかけを行い、連携の拡大に取り組んでまいります。
パートナーシップ宣誓制度につきましては、これまで四十五組のカップルの方が宣誓をされておりまして、宣誓者の方からたくさんの喜びの声をいただいております。今後も、性的少数者の方々の意見や要望をお聞きしながら制度の充実を図り、誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らしていける福岡県を目指してまいります。
次に、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に対する認識についてでございます。この法律は、近年の女性をめぐる課題が複雑化、多様化、複合化している状況を踏まえまして、支援の根拠を、売春をなすおそれのある女子の保護更生を目的とする売春防止法から脱却させ、先駆的な女性支援を実践する民間団体との協働の視点も取り入れた新たな支援の枠組みの構築を図るものでございます。また、国、地方公共団体が必要な施策を講じる責務が明記され、都道府県における基本計画の策定義務、市町村の基本計画策定の努力義務など、県や市町村の役割が新たに盛り込まれております。この法律に基づき、地域の実情に合った支援を県、市町村、民間団体等が連携してしっかり進めていくことが重要であると認識をいたしております。
いわゆる、この困難女性支援法に基づく県の取組についてでございます。県では来年度、困難女性支援の基本的考え方や支援内容、関係機関との連携体制などを盛り込みました基本計画を策定いたしますとともに、支援体制を構築することといたしておりまして、今議会にそれらの関連予算をお願いしているところでございます。基本計画の策定に当たりましては、困難女性をめぐる現状や課題を踏まえた支援の在り方を検討いたしますため、官民の支援機関で構成いたします検討会の開催や、民間団体へのヒアリング調査を実施することといたしておりまして、これらを通じ、第一線で困難女性支援を行っている方々に、当事者の声も含めて御意見を伺ってまいります。また県内には、困難女性に対する街頭での声かけやSNS相談といったアウトリーチ支援、DV被害者等を保護するシェルターの運営などを行っている民間団体がございまして、こうした団体が相互に連携し、様々な支援が円滑に進みますよう団体間の意見交換の場も設置してまいります。
次に、留学生の就職に関する分析についてお尋ねがございました。県内で学ぶ留学生数は東京都、大阪府に次いで全国第三位でございます。これは、九州大学をはじめとする県内の大学や専門学校が留学生を積極的に受け入れてきたこと、多くの日本語学校が立地していること、それから本県が全国に先駆け設立した産学官の連携組織でございます留学生サポートセンターにおきまして、積極的に留学生の誘致を行ってきたことによるものでございまして、本県は日本における主な留学先として評価されているものと考えます。
一方、留学生の就職者数につきましては、全国の状況を見てみますと、各都道府県の事業所数や従業員数に応じた比率になっております。例えば、本県は留学生の就職者数の全国シェア、これは三・九%でございますが、事業所数や従業員数は約四・〇%でございます。また、留学生数が全国第四位の京都府を見てみますと、就職者数は第十一位で、そのシェアは二%でございますが、事業所数、従業員数とほぼこのシェアも同水準となっております。さらに、全国第五位の兵庫県につきましても、ほぼ同じとなっておりまして、いずれも企業の受入れ規模に応じた就職者数となっているというふうに見ております。県内留学生の就職状況につきまして、留学生の多い主要十七大学等へ聞き取りを行いましたところ、国内に就職した九百五十二人のうち、県内での就職は四百六十二人、本県で学ぶ留学生の約半数は福岡で働くことを選択されております。
次に、当県におけるストーカー事案の現状に係る認識についてお答えを申し上げます。当県のストーカー事案の取扱い件数は、全国と比較して高水準で推移しておりますが、その理由といたしましては、直ちにストーカー事案と認定できないものについても、認知段階から適切に対処する必要があると判断し、取扱い件数として計上しているためであると認識しております。
次に、禁止命令発出後もストーカー行為をやめない事例に係る見解についてであります。令和四年中、禁止命令に従わず検挙に至った事例は十五件でありまして、禁止命令を受けた者の約一割は、禁止命令が発出された後も被害者宅に押しかけたり、付きまとうなどの違反行為に及んでおります。県警察といたしましては、これらのことを踏まえ改めて、ストーカー事案は繰り返す、エスカレートする、事態が急展開するという特性があることを認識した上で、関係機関、団体との連携を図りながら、被害者やその親族等の安全確保を最優先とした組織的な対策をより強力に推進してまいります。
24 ◯副議長(井上 博隆君) 岩元一儀君。
25 ◯六十四番(岩元 一儀君)登壇 知事、教育長、警察本部長、お答えありがとうございました。
一点最後に、県内労働者の賃上げについて要望をいたします。知事からは、中小企業の賃上げについて言及がなされ、労働団体や経済団体との価格転嫁の円滑化に関する連携協定の締結を行うとの答弁がありました。大変すばらしい取組で、高く評価をさせていただきます。一方で、この取組の中で、価格転嫁のみが先行し、賃上げが遅れることになれば、労働者の負担のみが増える結果になってしまいます。適正な価格転嫁は、賃上げとセットで行うべきです。知事には、この点を十分踏まえ、物価高と低賃金で苦しむ県内労働者の立場に立った取組を強く要望いたします。
これをもちまして、我が会派を代表しての代表質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
26 ◯副議長(井上 博隆君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 四 時 十七分 散 会
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