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令和3年度 決算特別委員会 本文 開催日: 2022-10-04

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  1. 福岡県議会 2022-10-04
    令和3年度 決算特別委員会 本文 開催日: 2022-10-04


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1    令和四年十月四日(火曜日)    午 前 十 一 時 零 分 開 議 ◯秋田章二委員長 おはようございます。定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。  審査日程に従い、本日の議事を行います。  最初に、福祉労働部所管分の審査を行います。  まず、第一四一号議案「令和三年度福岡県一般会計決算」のうち歳出について説明を求めます。西原福祉労働部長。 2 ◯西原福祉労働部長 おはようございます。令和三年度一般会計歳出決算のうち福祉労働部所管分について御説明申し上げます。お手元の歳入歳出決算概要説明書の八十二ページをお願いいたします。  歳出、五款生活労働費でございます。福祉労働部分の決算額は、中ほど計欄にありますとおり、二千三十五億七千二百万円余となっております。その内訳でございますが、二項福祉企画費の決算額は、支出済額の計欄、二十九億三千四百万円余でございます。  八十三ページをお願いいたします。決算の内容の主なものは、福岡県総合福祉施設クローバープラザの運営費、民生委員の活動経費等でございます。不用額の主な理由は、災害救助費等の執行残によるものでございます。  三項児童家庭費の決算額は五百九十億七千八百万円余でございます。  八十四ページをお願いいたします。主なものは、保育所や認定こども園、小規模保育等に係る保育給付費の県負担金、児童手当の支給に係る県負担金などでございます。不用額の主な理由は、保育対策等促進事業費等の執行残によるものでございます。  四項障がい者福祉費の決算額は五百四十四億六千三百万円余でございます。  八十五ページをお願いいたします。主なものは、障がいのある方の援護のための経費等でございます。不用額の主な理由は、障がい者援護措置費等の執行残によるものでございます。  五項生活保護費の決算額は七百四億一千九百万円余でございます。  下の八十六ページをお願いいたします。主なものは、生活福祉資金貸付金の原資に対する助成等でございます。不用額の主な理由は、生活保護費等の執行残によるものでございます。  六項社会福祉費の決算額は百九億三千六百万円余でございます。  八十七ページをお願いします。主なものは、子供等に対する医療費の助成経費等でございます。不用額の主な理由は、中国帰国者援護対策費等の執行残によるものでございます。  七項労働企画費の決算額は十八億二千四百万円余でございます。  八十八ページをお願いいたします。主なものは、若者、中高年齢者、子育て女性などの雇用の安定促進経費でございます。不用額の主な理由は、中小企業労働力確保対策費等の執行残によるものでございます。  八項職業訓練費の決算額は三十億八千七百万円余でございます。
     八十九ページをお願いいたします。主なものは、公共職業訓練の実施経費等でございます。不用額の主な理由は、職業訓練費等の執行残によるものでございます。  九項失業対策費の決算額は八億二千八百万円余でございます。  九十ページをお願いいたします。主なものは、緊急短期雇用の創出に要する経費等でございます。不用額の主な理由は、市町村緊急短期雇用対策経費の執行残によるものでございます。  以上が福祉労働部所管一般会計歳出決算の概要でございます。よろしく御審議をお願い申し上げます。 3 ◯秋田章二委員長 説明は終わりました。  これより歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。西元健委員。 4 ◯西元 健委員 皆さん、おはようございます。自民党の西元です。  本日は、児童相談所の強化を、四歳と一歳の子を持つ父として質問させていただきたいと思います。  近年、ネグレクト等虐待が毎日のように新聞やネットニュースを騒がせております。そのような年々増加する児童虐待対応件数に対し、児童相談所の役割は大きく、そして、子供の命を守る上で非常に重要であると、皆さん御承知と思っておりますけれども、そこでまず、県は児童相談所の体制強化をどのように図ってきたのかお答えください。 5 ◯秋田章二委員長 山田児童家庭課長。 6 ◯山田児童家庭課長 児童相談所の体制強化についてでございます。平成二十八年度の改正児童福祉法により、児童相談所の児童福祉司、児童心理司は、管内の人口に加え、虐待相談対応件数に応じて配置することとされました。これに伴い、県内六か所の児童相談所の児童福祉司を、平成二十八年度の七十三名から、今年度までに百三十八名に、児童心理司を二十五名から五十名に増員しております。  また、今年度までに全ての児童相談所に保健師を配置し、児童の健康や発達への支援の充実を図っております。  さらに、県所管の六つの児童相談所を担当する警察官を二名から四名に、同じく弁護士を一名から二名にそれぞれ増員し、保護者等からの威圧的な要求への対応や警察署との連絡調整、法的な対応への体制強化を図ってきたところでございます。 7 ◯西元 健委員 今般、豊前市にも一時保護所を併設した京築児童相談所を設置されることとなっておりまして、令和三年度は地質調査や基本設計の費用が計上されております。これで、県内六か所全ての児童相談所に一時保護所が整備されることとなっておりますけれども、虐待対応件数が増加している中、一時保護所をどう強化してきたのかお答えください。 8 ◯山田児童家庭課長 県ではこれまで、虐待等の影響により集団生活が困難な子供に配慮するとともに、子供の状況に応じた対応が可能となるよう、一時保護所について、居室の個室化や少人数化、男女の生活空間の区分などの施設整備を進め、機能強化を図ってまいりました。  また、保護が必要な子供に迅速に対応するため、全ての児童相談所に一時保護所を設置することとし、委員御指摘のとおり、現在京築児童相談所の新築に着手しております。こちらは、令和六年度中の竣工を目指しているところでございます。  このほかの一時保護所につきましては、令和元年度に宗像児童相談所の新築、久留米児童相談所の増築を行い、今年度に福岡児童相談所を増築しております。 9 ◯西元 健委員 一時保護される子供は、ネグレクト等の虐待によって、心身共に傷ついていると思っております。子供一人一人の状況に応じたケアが何よりも必要なんじゃないかなと思っておりますけれども、そういった子供たちに、どういったケアをしていくのかお答えください。 10 ◯山田児童家庭課長 児童相談所では、一時保護した子供について、情緒が不安定で集団生活が困難な場合には個室に、誰かがそばにいないと寂しがる場合は二人部屋にするなど、子供が安心して生活できるよう、一人一人の状況に応じた対応を行っております。  また、一時保護所に配置する医師や看護師が子供の心身の状態を観察し、虐待等により行動や精神状態が不安定な場合には心理職職員が個別にカウンセリングを実施するなど、子供が受けた心や体の傷へのケアを行っているところでございます。 11 ◯西元 健委員 ここで、過去五年における児相ごとの児童虐待対応件数の推移、職種ごとの児童相談所職員の推移について、資料要求をお願いしていますので、委員長、取り計らいをお願いいたします。 12 ◯秋田章二委員長 お諮りいたします。  ただいま西元委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 13 ◯秋田章二委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま西元委員から要求がありました資料については提出できますか。 14 ◯山田児童家庭課長 直ちに提出いたします。 15 ◯秋田章二委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 16 ◯秋田章二委員長 資料を配付してください。      〔資料配付〕 17 ◯秋田章二委員長 資料が配付されましたので、西元委員、質疑を行ってください。 18 ◯西元 健委員 それでは、資料の説明をお願いいたします。 19 ◯山田児童家庭課長 それでは、資料について御説明いたします。  一は、各児童相談所における児童虐待相談対応件数について、平成二十八年度から令和三年度までの六か年の推移について示したものです。件数は毎年増加しており、令和三年度は、平成二十八年度の二・七倍となっております。  二は、各児童相談所における職種ごとの職員数について、平成二十八年度から令和四年度までの推移を示したものでございます。児童福祉司、児童心理司、保健師、警察官、弁護士は、先ほどお答えしましたとおり、虐待事案の増加に対応するため増員してきております。このほか、一時保護所の保育士、児童指導員、看護師につきましては、令和元年度に宗像児童相談所の一時保護所が新たに稼働したため、八名の増員となっております。 20 ◯西元 健委員 この資料によりますと、これまで虐待対応件数の増加に応じて、児童福祉司や児童心理司は、国の基準を基にしてだと思いますけれども増員してきていると思います。本県は子供の死亡事例が複数発生しており、児童相談所が適切に機能しているのか、どうなのかなとも思います。  また、一時保護所に配置する保育士や看護師は増えてないという状況であります。せっかく一時保護所の子供の部屋を個室化したり機能強化を図ってきているにもかかわらず、子供の状況に応じたケアが行えるよう個室とか施設は整備していっても、それに対応できる体制になってないんじゃないかなと感じました。  児童家庭課は、子供を適切に保護するという児童相談所の目的達成のため職員体制や整備に課題はないか、こういったものを、無記名でもいいと思うんですけれども職員アンケート調査を実施して、現場の状況、実態を把握してみてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。 21 ◯山田児童家庭課長 児童相談所は、児童福祉司の増員に伴い児童福祉司一人一人の相談援助技術の育成が必要であり、これを行う指導担当職員の養成が急務となっております。また、一時保護所では、虐待等により集団生活が困難な子供が増加しており、夜間に行動が不安定になる事例も発生していることから、県では夜間の見守り体制について検討しているところでございます。  当課では、毎年実施する全員参加の各児童相談所職員との意見交換会において、こうした業務を遂行する上での課題を聞き取っているところであります。より自由に職員の意見を聞き、埋もれている課題はないか把握するため、無記名による職員アンケートの実施を検討してまいります。 22 ◯西元 健委員 年々増加しています児童虐待対応件数や度重なる死亡事例の発生などを踏まえると、国の配置基準に沿った児童福祉司、児童心理司の適正数の配置はもちろん、国の配置基準のない職種、さっき言ったようなところですね、職種についても、十分な人員を確保するなど、児童相談所の全体の対応力を強化することが必要になってくるんじゃないかと思っています。  今後、児童相談所が児童虐待を防止し、子供の命を守るという使命を果たして、そして機能していくためには、児童相談所の対応力強化に取り組んでいく部長の強い決意が必要だと思っておりますけれども、最後に部長の決意をお聞きしたいと思います。 23 ◯秋田章二委員長 西原福祉労働部長。 24 ◯西原福祉労働部長 委員御指摘のとおり、県は児童虐待の防止に全力を挙げて取り組む必要がございます。そのためには児童相談所の業務遂行に必要な職員を確保し、しっかり育てること、その上で、児童相談所の中、学校、医療機関、福祉事務所、市町村の福祉保健部局、警察署といった関係機関とスクラムを組んで、おのおの当事者意識を持ち、虐待の兆候を見逃さないこと、中心となる児童相談所におきましては、判断にちゅうちょすることなく、子供の保護や保護者の指導に当たること、こうしたことを積み重ね、体制をつくり上げることが必要だと考えております。  折しも県は、こうした今後必要な対策について、有識者の御意見も伺いながら今年中に児童相談所の機能強化計画として取りまとめる予定でございます。当然、現場の第一線で子供たちの命と健康を守っている職員たちの意見もよく聞きながら、この計画を確実に実施して、大切な子供の命を守ってまいりたいと考えております。 25 ◯西元 健委員 終わります。(拍手) 26 ◯秋田章二委員長 ほかに質疑はありませんか。後藤香織委員。 27 ◯後藤香織委員 皆さん、おはようございます。民主県政クラブ県議団、早良区選出の後藤香織です。  部落差別の完全撤廃に向けた本県の取組について質問してまいります。  これまでの部落差別の完全撤廃に向けた動きについては、本県では一九九五年に、福岡県部落差別事象の発生の防止に関する条例を制定し、結婚や就職の際の部落差別事象の発生の防止をはじめ、同和問題の解決に努めてきました。国では、部落差別は許されないものであるとした部落差別の解消の推進に関する法律、いわゆる部落差別解消推進法が二〇一六年十二月に制定され、地方公共団体は、その地域の実情に応じた施策を講ずることに努めるものと規定されました。これを受け県では、先ほど述べた条例を改正し、二〇一九年三月一日から新たに、福岡県部落差別の解消の推進に関する条例が施行されました。このように、部落差別の撤廃、あわせてあらゆる差別の完全撤廃に向けた取組を、県を挙げて進めています。  同条例の第一条目的には、この条例は、現在もなお差別落書きや差別につながる土地の調査など部落差別が存在すること及びインターネットの普及をはじめとした情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法及び部落差別解消推進法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下にこれを解消することが重要な課題であるとうたってあります。しかしながら、今日、この目的、趣旨のとおり、部落差別が解消に向かっているかというと、必ずしもそうは言えない現実があります。  そこで、本県における部落差別事案の発生状況について、この十年間の推移についてお示しください。その上で、傾向、特徴的な事例についてお示しください。 28 ◯秋田章二委員長 植田人権・同和対策局調整課長。 29 ◯植田人権・同和対策局調整課長 市町村からの報告分も含め、県に報告があった部落差別事案の件数は、平成二十八年度に施行されました部落差別解消推進法の施行前後で比較しますと、施行前の平成二十四年度からの五年間の平均が三十四件、施行後の平成二十九年度からの五年間の平均が二十二・四件となっております。  一方で、インターネットの普及に伴い、近年インターネット上の部落差別書き込みが拡大している状況があります。県が、一昨年七月から開始したモニタリングでの確認件数は、今年八月末現在三千三百五十六件確認しております。 30 ◯後藤香織委員 今お話がありましたように、インターネットでの差別書き込みが拡大しているとのことです。まさに今日のネット社会の闇の部分を反映しているのが、インターネットを使った差別事案であると思います。近年ではインターネットを使って部落差別を拡大、扇動するという悪質な差別事案が発生しています。  中でも、神奈川県に住む男性が二〇一八年頃からネット上で配信している動画は、各地の被差別部落を特定して録画しネット配信するというもので、二〇二二年三月末時点で百六十か所以上の動画を作成し、配信し続けています。その動画の再生回数は万単位、多いもので二百万回を超えています。当人は、世の中いろんな趣味がある、自分の場合はちゃんと収益が出るようにもしていると、差別を利用して利益を上げるという卑劣な行為を臆面もなく続けており、許されるものではありません。そして、問題はそれにとどまらず、二〇一六年には全国約五千か所の被差別部落の所在地や名称などを網羅した地名リスト、いわゆる部落地名総鑑をネット上に公開しております。さらに、誰でも自由に編集できる部落問題のウィキサイトも開設しており、被差別部落の関係者の情報を掲載するページには、名前や住所、電話番号などの個人情報が書き込まれています。二〇二一年九月には、こういったことに対し、プライバシーを違法に侵害するとして一部の削除を命じる東京地裁判決が言い渡されましたが、当人はわびる様子もありません。  そこで、こういったネット上での差別行為がまかり通っている現状を県としてどのように認識しているかお聞かせいただくとともに、ネット差別の規制に向けどのような対策が講じられるべきと考えているのかお示しください。 31 ◯植田人権・同和対策局調整課長 インターネット上の部落差別の氾濫は、部落差別解消に取り組む多くの人々の努力と行政のこれまでの取組を根底から覆すものであり、決して許されないものであると認識しております。  県では、モニタリングで確認した場合、直ちにサイト管理者に対して削除要請を行うとともに、書き込みがされたサイトに、部落差別は許されないものであり、部落差別につながる書き込みは絶対しないように呼びかける内容の啓発文を投稿しております。削除されなかったものについては、法務局からも削除要請を行うよう依頼しております。  しかし、サイト管理者に対する削除要請に強制力はなく、現行法では有効な手段が取れない状況があり、法的措置の検討等、実効性のある対策が必要であると考えております。そのため国に対し早急に対策を講じるよう要望を行っているところでございます。 32 ◯後藤香織委員 インターネット上での人権侵害は顕著であり、さらには、今日LGBTQなどの性的少数者への人権問題などが新たに顕在化しています。先ほど課長からもありましたように、県も国に対し対策の要望をしているとのことですが、個別の人権問題の解決に向けた法整備が求められています。  ところで、我が国特有の差別である部落差別をなくすためには、国民、県民の教育や啓発が必要なことは言うまでもありません。中でも、こうした教育や啓発を推進し担うべき立場にある職業に従事する者の教育や研修は極めて重要です。二〇一一年四月一日に閣議決定された人権教育・啓発に関する基本計画では、人権に関わりの深い特定の職業に従事する者は、すべからく人権研修を受けなければならないとされています。  福岡県においては二〇〇三年六月に福岡県人権教育・啓発基本指針を策定しており、これまで差別をなくすための各種施策を実施してきました。しかし、その後も、学校、地域、家庭、職場など社会生活の様々な場面で、部落問題をはじめ、女性、子供、高齢者、障がいのある人などに対する偏見や差別が見られたため、二〇一八年三月に同指針を改定しています。その改定指針においても同様に、特定職業従事者に対する研修の一層の充実がうたわれており、この特定職業従事者というのは、人権に関わりの深い特定の職業に従事する者とされており、一人一人が常に人権尊重の立場に立った職務の遂行が求められています。  そこで、この特定職業従事者というのはどのような職種のものかお示しください。また、人権教育・啓発において指導的な役割を果たす人たちと理解しますが、こうした人たちへの人権研修はどのように図られているのかお聞きいたします。 33 ◯植田人権・同和対策局調整課長 国の令和四年度人権教育・啓発白書において、検察職員、矯正施設職員、更生保護官署関係職員、出入国在留管理関係職員、教師、社会教育関係職員、医療関係者、福祉関係職員、海上保安官、労働行政関係職員、消防職員、警察職員、自衛官、公務員全般が挙げられております。  県職員は、新規採用時から昇任時に実施します階層別研修において同和問題研修を行っております。また、毎年、同和問題をはじめとする人権問題をテーマに、課長級以上の職員を対象とする幹部職員研修、各所属の副課長や課長補佐等を対象とする人権・同和問題啓発推進委員研修、全ての所属で実施する職場研修を実施しております。  このほか県では、講師団講師あっせん事業の中で、特定職業従事者である国や市町村の職員、医療関係者、福祉関係職員が参加する人権研修にも講師を派遣しております。 34 ◯後藤香織委員 今お話があったように、県指針等に基づき人権研修を実施しているとのことですが、それにもかかわらず、県内の福岡地域の県立高校にて特別講習の時間に、国の機関の職員でもある外部講師、この方は特定職業従事者でもありますが、この外部講師が部落差別発言を行うという事案が発生しています。本来差別をなくす、人権を学ぶという高校教育の現場において、事もあろうか差別を助長し、生徒が間違った歴史感や差別意識を持つことにもつながりかねないものです。  そこで、人権・同和対策局としてこの事案は把握しているか、また把握しているのであればどのような事案であったのか、お答えください。 35 ◯植田人権・同和対策局調整課長 県立高校で、当該外部講師が賤称語を使った部落差別発言を行ったという報告を、県教育委員会から受けております。 36 ◯後藤香織委員 では、その後、県としてどのような対応を行ったのか教えてください。 37 ◯植田人権・同和対策局調整課長 この事案を受けまして、部落差別を行った職員が所属する国の機関に対し、知事名及び教育長名の文書を手交し強く抗議するとともに、二度とこのようなことが生じないよう同和問題に関する人権教育・啓発の充実を求めました。 38 ◯後藤香織委員 所属機関に対し強く抗議をして、人権教育・啓発を充実するよう求めたということです。  今回の差別事案は生徒に対する講習の中で発生したわけですが、そこで講習後、生徒たちはどういった反応であったのか、そして、学校として生徒たちに対しどのような事後対応を行ったのかお聞きします。 39 ◯植田人権・同和対策局調整課長 県教育委員会からは、生徒たちは問題発言であることにすぐに気づき反応したと聞いております。また、発言を聞いた生徒に対するアンケートには、教室の空気が凍りつき、今の発言はよくないだろうと周りの生徒に目線で語った、自分はそんな言葉は決して使わないし、聞いたときには間違っているということを伝えるようにしたいといった感想が寄せられたとのことでございます。  学校は生徒に対して、部落差別は絶対に許されないということを改めて伝えるとともに、差別発言をした外部講師が再び生徒の前に立つ場を設けました。講師は、謝罪とともに、なぜそんな発言に至ってしまったのかを生徒に伝えました。生徒たちは、今回の事案を契機に一層真剣に差別を自分のこととして考えるようになったと聞いております。 40 ◯後藤香織委員 では、今回差別発言を起こした特定職業従事者である外部講師の方は人権研修を受けていなかったのでしょうか、お聞きいたします。 41 ◯植田人権・同和対策局調整課長 当該国の機関では、年二回の定期異動の際に人権研修を行っており、当該職員も受講しておりましたが、同和問題に関する研修は近年行っていなかったと聞いております。 42 ◯後藤香織委員 人権研修は受けていたが部落差別問題に関する研修は近年やっていなかったということですが、それでは、その人権研修が形骸化しているのではないかと思わざるを得ません。  そこで、県として、こうした国の機関の人権研修にどのように関わっているのかお聞きいたします。 43 ◯植田人権・同和対策局調整課長 当該国の機関の要請を受け、差別の実態に学ぶことが重要であるとのアドバイスを行いました。その上で、同和問題をはじめとした人権問題に関する研修テキストや関係資料を提供するとともに、研修講師のあっせんを行いました。  実施された研修では、研修終了後に受講者から、差別落書きの例を目の当たりにし非常にショックを受けた、改めて人権の重要性を感じた、また、講師の元を訪れ、自分の町内会でも講演を行ってほしいとの声が寄せられるなど、非常に中身のある研修であったと聞いております。  人権研修への協力の要請を受けておるところでございまして、継続的な支援を行ってまいります。 44 ◯後藤香織委員 ぜひよろしくお願いします。その上で県として今後、特定職業従事者の人権研修をどのように充実させ、実りあるものにしていくのかお聞きいたします。 45 ◯植田人権・同和対策局調整課長 今回の事案を受け、国の出先機関に対する働きかけが不足していたと感じております。国の人権研修の現状について法務省へ確認したところ、本省レベルで実施している研修は把握しているが、出先機関レベルについては把握していないとのことでした。このため、まずは県内の国の出先機関における人権研修の実態を確認しているところでございます。その上で、今回の事案での対応を参考に、国の出先機関へ働きかけ、各機関が行う人権研修を充実させ、受講者にとって実りある研修となるよう支援してまいります。 46 ◯後藤香織委員 それでは最後に、本県から部落差別をはじめとするあらゆる差別を撤廃するために、人権・同和対策局長の決意をお伺いいたします。 47 ◯秋田章二委員長 田渕人権・同和対策局長。 48 ◯田渕人権・同和対策局長 委員から二点御指摘をいただきました。  まず、インターネット上の部落差別書き込みについてですが、部落差別を助長、拡散するものであり、断じて許してはならないものです。この問題に対する抜本的解決のためには、例えば、サイト管理者が差別情報を削除することを自ら対応するよう義務づけるといった実効性のある法整備が必要であり、引き続き国に強く要望してまいります。  それから、特定職業従事者に対する人権研修についても御指摘がございました。本県の教育現場において賤称語を使い、部落差別発言を行ったことは断じて許されるものではありません。特定職業従事者は特に人権に関わりの深い者として、きめ細かな人権感覚を身につけなければなりません。このため、現在県の人権問題に係る研修講師団を見直し、差別の実態について生の声を語れる方を講師として、より多くの派遣依頼に対応できるよう進めており、特定職業従事者の人権研修が、人権感覚がしっかり身につく実りあるものとなるよう取り組んでまいります。  今後も、部落差別をはじめ、あらゆる差別のない社会の実現に向け、しっかり取り組んでまいります。 49 ◯後藤香織委員 よろしくお願いします。終わります。(拍手) 50 ◯秋田章二委員長 ほかに質疑はありませんか。安部弘彦委員。 51 ◯安部弘彦委員 緑友会の安部弘彦です。  通告書に従いまして、地域福祉を支える人材の育成についてお尋ねをいたします。  今議会、我が会派の代表質問で、困難な環境にある児童生徒の支援についてただしてまいりましたが、困難な状況にある子供たちの環境を改善するためには、その背景にある家庭や地域の環境について考える必要があると思います。また、地域レベルで日常からつながりを持って支援を行うためには、社会福祉を担う人材の育成、養成、確保が重要であります。  核家族化や近所付き合いの希薄化により、地域の支え合い機能が低下していると感じます。さらに、ここ二年余りは新型コロナ感染症拡大の影響で、例えば、自治会の総会が書面決議となったり、夏祭りや敬老会なども中止されたり、地域行事も減少し、地域の中で住民が、顔がお互いに見える関係性をつくる機会が失われております。このような中、地域においては、独り暮らしの高齢者や障がいのある方、子育て世代など、支援を必要とする方の孤立が問題となっています。  今議会には、福岡県民生委員の定数を定める条例の改正について議案が提出されていますが、民生委員は、住民に身近なところで高齢者などを見守ったり、住民の困り事の相談を受けたりする地域福祉を支える重要な役割を担っています。また、核家族化や高齢化により、支援のニーズが多様化する中、相談対応や支援へつなぐ役割を担う民生委員の方々には大変な御苦労をおかけしていると思います。
     そこで質問です。民生委員が地域で活動する上で、現状の地域の生活課題への理解や自治体の支援の内容などの理解を深めていくことが重要だと考えますが、県では、民生委員の活動が円滑に行えるようどのような取組を行っているのか、お尋ねをいたします。 52 ◯秋田章二委員長 坪根福祉総務課長。 53 ◯坪根福祉総務課長 県では、民生委員・児童委員が活動する上での心得、相談支援の在り方、実践上の疑問などに、先輩委員からのアドバイスを交えて答える民生委員・児童委員活動に関するQ&A集を作成しまして、市町村に提供して、民生委員の活動に役立てていただいております。  このほか、県社協に委託して、地区別に民生委員・児童委員研修を開催し、福祉の基礎知識の習得と円滑な活動の推進を図っております。  また、各地域の民生委員・児童委員で構成いたします福岡県民生委員児童委員協議会におきまして、経験年数六年未満の方に対し民生委員・児童委員大学を、六年以上の方に対し中堅研修会を開催しており、県はその開催経費の助成を行っているところでございます。 54 ◯安部弘彦委員 研修は行っているということですけれども、認知症の増加や生活困窮、ヤングケアラーやひきこもりの方の支援など、地域には多様な課題があります。どのような内容の研修を行っているのか具体的にお答えください。 55 ◯坪根福祉総務課長 先ほど申し上げました民生委員・児童委員研修では、その時々で研修のテーマを見直しながら実施をしております。  今年度につきましては、ひきこもりの方への支援や児童虐待の現状、ヤングケアラーへの支援、高齢者・障がい者の消費者被害の最新事例と対処法というテーマで、七月から八月にかけて八会場で研修を行い、千百三十八名に受講いただきました。  また、昨年度は、生活保護制度、生活困窮者自立支援制度、八〇五〇問題などについて研修を実施しております。 56 ◯安部弘彦委員 多くの地域で、民生委員や町内会、老人クラブなど地域住民主体の見守り活動が行われています。しかし、そのような活動を担う人材は、高齢化や自治会等への加入率低下により担い手が不足しています。地域で日常からつながりを持って支援を行うためには、地域福祉を支える人材を育成することが必要です。  そこで伺います。子供の頃から地域の人たちとつながっていると感じるような体験や、地域の課題を身近な課題として捉える意識の醸成を図ることが重要と考えますが、県ではどのような取組を行っているのか具体的にお示しください。 57 ◯坪根福祉総務課長 県では、地域における学習支援対策として、公民館等に子供を集めての学習支援を実施しております。また、子供食堂の立ち上げやネットワーク化のサポートを行っております。こうした活動の中で地域住民や大学生などに様々関わっていただいておりまして、参加した子供たちにとりまして地域の人たちとつながっていると感じる体験になっていると考えております。また、小中学校では、防災学習や昔遊びなどの体験学習の中で、地域住民の協力を得て連携・協働活動が行われております。  地域の課題を身近に捉える意識の醸成としましては、市町村社協により、小中学生を対象に、車椅子ラグビー選手を招いた体験学習や親子手話体験教室など、地域で工夫を凝らした福祉教育が行われております。  さらに、高等学校では今年度から、学習指導要領の改訂に伴い公共の授業の中で社会保障の体系的学習が強化されました。このため県としましても、実際の身近な地域の福祉の窓口や担い手を知ってもらえるよう、リーフレットの提供を行うこととしており、これを通じて地域福祉への高校生の理解を深めたいと考えております。 58 ◯安部弘彦委員 冒頭にも触れましたけれども、困難な状況にある子供たちの環境を改善するためには、その背景にある家庭や地域の環境について考える必要があります。地域レベルで日常からつながりを持って支援を行うためには、社会福祉を担う人材の養成、育成、それから確保が重要となります。  改めて部長に、方針なども含め、お尋ねをしたいと思います。 59 ◯秋田章二委員長 西原福祉労働部長。 60 ◯西原福祉労働部長 高齢者や障がいのある方、子供、生活困窮者、災害の被災者、犯罪被害者など、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていくため、地域住民による福祉活動の活性化やボランティア、NPO、企業、行政など、多様な主体が地域の福祉の担い手となって地域全体を支援していくことが必要です。そのような地域社会づくりのためには、社会福祉協議会はもとより、町内会、老人クラブ、子供会など、地域コミュニティーの中で、地域福祉活動に関心を持ち参画する意識を持つ方を増やすことが必要です。そのため県といたしましては、先ほど申し上げました民生委員の研修の実施や、様々な地域の方との体験を通じて人材の育成や、子供の頃から社会性や思いやりの心を育むことができるよう取組を進めてまいります。  地域福祉の人材に求められる大切なことは、行政や法律の制度、分野ごとの垣根や、支え手・受け手といったような関係を超えて、目の前で起こっていることを人ごとでなく自分のこととして捉え、仮にそれが自分の携わっている分野以外の分野であったとしても、そういったときは、より詳しい担い手にその困り事を、そしてその方の命を確かにつないでいくという感覚だと考えております。世代や分野を超えて地域で丸ごとつながることができる、そうしたことができる人材を育成し、地域福祉の向上にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 61 ◯安部弘彦委員 部長から具体的な方針、取組も伺いました。もちろん我々もできることを一生懸命やってまいりますので、さらなる御支援をお願い申し上げて質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) 62 ◯秋田章二委員長 ほかに質疑はありませんか。浜崎達也委員。 63 ◯浜崎達也委員 おはようございます。公明党の浜崎達也です。  今日は、まごころ製品の販路拡大についてお尋ねをいたします。まごころ製品は皆さん御存じですから、前語りなしで、いきなりいきたいと思います。  まず、まごころ製品の売上額及び平均賃金、平均工賃について、資料を請求しております。委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。 64 ◯秋田章二委員長 お諮りいたします。  ただいま浜崎委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 65 ◯秋田章二委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま浜崎委員から要求がありました資料については提出できますか。宮崎障がい福祉課長。 66 ◯宮崎障がい福祉課長 直ちに提出いたします。 67 ◯秋田章二委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 68 ◯秋田章二委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 69 ◯秋田章二委員長 資料が配付されましたので、浜崎委員、質疑を行ってください。 70 ◯浜崎達也委員 まず、この資料について、執行部から説明をお願いいたします。 71 ◯宮崎障がい福祉課長 資料の一は、県が開催した販売会等によるまごころ製品の売上額を示したものです。平成二十九年度から一昨年度まで、一億円前後で推移しています。昨年度は県各部の優先調達が大きく伸びており、一昨年度の約一・九倍となる一億九千万円余となっております。  二の(一)は、障がい者施設と雇用契約を締結し就労している方の平均賃金を示したものです。昨年度の県平均賃金は七万九千六百三十四円、全国順位は、まだ公表されていませんが、一昨年度は二十九位となっています。  (二)は、障がい者施設と雇用契約を締結せず就労している方の平均工賃を示したものです。昨年度の県平均工賃は一万四千六百九十一円、一昨年度は四十三位となっています。 72 ◯浜崎達也委員 今、御答弁いただきましたけど、この表だけ見ますと、まだまだ全国の中では、誇れるような平均賃金、工賃ではないと。雄県福岡県としては非常に残念なところがございます。  ただ、過去のことをいつまで言ってもしようがありませんので、今回のテーマが、まごころ製品の販路拡大、我々も一緒に拡大しようと、そういう思いで質問させていただきますから、執行部におかれましては、しっかり前向きな答弁をお願いしたいと思います。  まず、ほかの都道府県でどのような販路拡大の取組を行っているのか、お尋ねします。 73 ◯宮崎障がい福祉課長 他都道府県においても、障がいのある方が作る商品の販売拡大の取組として、県有施設や商業施設等での販売会の開催やオンラインでの販売などがあります。また、データ入力、清掃など、役務、サービスの受注拡大として、企業等からの発注に複数の障がい者施設が共同で受注する取組や、企業との商談会の開催などがあります。 74 ◯浜崎達也委員 今、答弁がありました。非常にデータ入力等々、まごころ製品、物だけではなかなか、このコロナ禍の中では一般的にもかなり厳しいのがこの三年ぐらい続いておりますので、こういうソフト面に非常に力を入れてもらいたいなと思っております。  次に、平成二十七年度まで実施していましたまごころ製品の商談会、これを今はやっていないとお聞きしていますが、これを再開したらどうでしょうか。お答えください。 75 ◯宮崎障がい福祉課長 県では、まごころ製品の販路拡大のため、民間企業や官公庁を集めた商談会を、県内四ブロックで平成二十五年度から実施しました。この商談会では、企業への参加を働きかけたものの、計画どおりの参加が得られませんでした。また、施設側では企業のニーズに合った商品を準備することができませんでした。このため、開催に要した経費に対し、契約金額が著しく低い状況となりました。これらのことから、この商談会は二十七年度で開催を中止し、二十八年度からは、外商を行う販売促進員が地域に直接出向いて企業のニーズを伺い、施設へ発注する方式に切り替えました。 76 ◯浜崎達也委員 なかなかこれは採算が取れなかったということでありますので、販売促進に変えた、外商に変えたということであります。アウトリーチで、しっかりこの販売促進員の人たちが取るようにしてもらいたいと思います。  次に、十二月の障がい者週間に合わせていろいろな取組を行うと思いますが、今年は何か新しいことを考えているのかお答えください。 77 ◯宮崎障がい福祉課長 今年度は、障がいのある方々が育てた農作物を販売する農福連携マルシェを、福岡県農林水産まつりと同時に開催することとしております。  会場に隣接するヒルトン福岡シーホークでは、同時期にアジア獣医師会連合大会が開催されます。この大会には海外からも多くの方が来られることから、まごころ製品は障がいのある方が作っていることとか、また、その売上げが障がいのある方の収入となり経済的自立につながることなどを英語で紹介し、PRしてまいりたいと考えております。 78 ◯浜崎達也委員 次に、今年の六月、県は、障がい者施設が大量の受注作業に共同で対応するための就労支援の場を県内二か所に開設していると聞いておりますが、この施設の概要と現状はどうなっているのかお答えください。 79 ◯宮崎障がい福祉課長 県の就労支援の場は、公益財団法人日本財団と締結した働く障がいのある人への支援のための連携協定に基づき、国立国会図書館の蔵書をデジタル化する業務を請け負っています。国会図書館蔵書デジタル化は、全国では県内二か所を含む八か所で実施しています。  就労支援の場には、県において、国会図書館の蔵書を保管する書庫、高性能スキャナー十九台、読み取った画像を検査するパソコン四十一台を日本財団の支援で設置しています。現在十の障がい者施設が参加し、障がいのある方が書籍のスキャニングや画像検査などの作業を行っています。今年度は約一億円の受注額を見込んでおり、この受注額から、障がいのある方の賃金や工賃が支払われます。 80 ◯浜崎達也委員 非常に、金額だけではないんですが、この約一億円の受注というのは大きいですね。これをぜひ進めてもらいたいと思いますが、この施設では来年度どのようなことに取り組んでいくのか、もう決まっていればお示しください。 81 ◯宮崎障がい福祉課長 六月の開設以降、就労支援の場では、障がいのある方が実際の業務に従事する中で、スキャニングや画像検査の習熟度が高まってきています。このため来年度は、より多くの蔵書デジタル化業務を受注するとともに、さらには国会図書館以外からの業務を請け負うことに取り組んでまいります。これらのことにより、障がいのある方の工賃向上に努めてまいりたいと考えております。 82 ◯浜崎達也委員 次に、まごころ製品のPR、私はこれがもっと必要じゃないかなと思っております。例えば、知事自らテレビCMに出て、まごころ製品のロゴマークをPRしたり、そういう取組をしてはどうかと思いますがいかがでしょうか。 83 ◯宮崎障がい福祉課長 現在県ではまごころ製品の販売促進のため、県有施設やオンラインショップでの販売、包括連携協定を締結しているイオン九州での展示販売会の開催などに取り組んでいます。このような様々な販売チャネルにおいて、積極的にロゴマークを活用してまいります。  知事によるPRについては、県の様々な広報媒体の活用を検討してまいりたいと考えております。 84 ◯浜崎達也委員 このまごころ製品ショップが今、県庁の地下一階にありますけれども、これは、やはりなかなか一般的には分かりにくい。これを庁内のどこかに移転してはどうかと私たちは考えておりますが、そのお考えがあるかどうかお答えください。 85 ◯宮崎障がい福祉課長 現在のまごころ製品ショップ&デスクは、共同受注窓口の機能も担っており、商品を販売するショップとの併設により、商品説明が容易になり、受注商談との相乗効果があります。また、商品販売に必要な電源、給排水や防犯設備が整っているとともに、販売作業に従事する障がいのある方のための休憩用スペースも確保できています。運営するNPO法人セルプセンター福岡からも、警察棟からの受注もあり、この場所がやりやすいという意見を伺っております。このため、設置場所の移転については、セルプセンター福岡と協議しながら、今よりさらによい条件を満たす場所が提供できるか確認していく必要があると考えております。 86 ◯浜崎達也委員 もう一つ、障がい者施設によっては、小さなロットでしか作れないような小規模事業者の製品を集めて、その製品を販売拡大してあげる、そういうことを考えてみてはどうかと考えるのですがいかがでしょうか。 87 ◯宮崎障がい福祉課長 まごころ製品ショップでは、これまでも小さいロットで製品を作っている障がい者施設の製品を集約し、県庁ロビー等での販売会やオンラインショップで販売してきました。今後、このような小さいロットを取り扱う障がい者施設に対し、これらの取組をより一層活用いただくよう周知するとともに、まごころ製品ショップに常設コーナーを設け、販売を促進してまいります。  また、販売に当たっては、商品の包装にまごころ製品のロゴマークを貼り、一体感を醸成して、魅力を伝えていきたいと考えております。 88 ◯浜崎達也委員 少し角度を変えて、先ほどちょっと触れたんですけど、そのほかに農福連携を推進していく必要があるんじゃないかなと思っております。農福連携を推進するに当たって、今、その要となる部署がありません。農福連携を統括する組織を検討してみてはいかがかと考えておりますが、いかがでしょうか。 89 ◯宮崎障がい福祉課長 農福連携の円滑な推進のためには、障がいのある方の特性を理解するとともに、障がい者施設や障がい者団体との信頼関係、円滑なコミュニケーションが重要であります。また同様に、農業分野においても、農業に係る専門的な知見や農業者、農業団体との連携も重要です。これらのことから、農林水産部としっかりと意見交換や協議を行いながら農福連携に取り組んでまいります。 90 ◯浜崎達也委員 私が赤村のほうの施設に伺ったとき、ここは農福連携というか、御自分の施設で、近くの道の駅に三か所ぐらいですか卸されて、大変好評で、そこ自体もかなり農産物を作っていらっしゃいました。  そういうことも踏まえて、今ショップに行けば、いろいろなまごころ製品がございますけれども、一番いいとは言えませんが、特筆していいのは、やはり農産物、これを作ることによって、やはり障がい者の情緒安定、様々な効果があると思いますので、ぜひとも農福連携に関しては進めていただきたいと思います。  最後に、十二年目ですかね、このまごころ製品が始まった最初から、その当時は部長が課長だったかなと思いますが、このまごころ製品の販売拡大について、福祉労働部長の強い決意を求めて終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。 91 ◯秋田章二委員長 西原福祉労働部長。 92 ◯西原福祉労働部長 障がいのある方にとって、地域で自立した生活を営み社会参加をしていくためには収入の向上が大変重要でございます。このため国会図書館の蔵書デジタル化事業に今年度から取り組んでいるところでございますが、これとともに、収益性が高い役務やサービスの分野の受注拡大も進めてまいります。また、民間企業等へのまごころ製品の働きかけを強化し、物販はもとより、役務、サービスなど、まごころ製品の販路拡大に、全方向で取り組んでまいります。  あわせて、農福連携については、先ほど課長も申し上げたとおり、農林水産部と福祉労働部がそれぞれ得意分野を持ち寄って、しっかり連携して取り組んでまいります。  県としましては、このような取組を着実に進め、まごころ製品の販売拡大により、県全体の障がいのある方の工賃向上を目指してまいります。 93 ◯浜崎達也委員 以上で終わります。ありがとうございました。(拍手) 94 ◯秋田章二委員長 ほかに質疑はありませんか。古川忠委員。 95 ◯古川 忠委員 早速質問に入りたいと思います。  昨日は老老介護について質問いたしました。しかし、そのほかに、子育てをしながら介護をするとか、いわゆるダブルケア、もしくはトリプルケアの問題もあります。もう一つ、今問題になっているのがヤングケアラーの問題ですね。なかなか難しい問題だということは認識しておりますが、ヤングケアラーの定義というのは、家庭の中に介護を要する人がおるときに、その生活支援といいましょうか、様々な支援をやる十八歳未満となっています。しかしながら、もう今は、十八歳未満どころか、二十歳、大学生とか、そういうところにまで多分広がっているんだろうと思います。  県としては、そのような家庭をどう、いち早く見つけ出すか。というのも、子供たちはそのケアのために勉強ができないとか、スポーツに参加できないとか、レジャーができないとか、様々な負い目といいましょうか、デメリットを被っているわけですから、一日も早くそういうものを見つけてケアする必要があると思いますが、県では、そういうヤングケアラーといいましょうか、そういう状態にある子供たちを見つける方策をどうしてあるか、それをお聞きしたいと思います。 96 ◯秋田章二委員長 山田児童家庭課長。 97 ◯山田児童家庭課長 ヤングケアラーの問題は、当事者である子供とその家族の事情が複雑に絡み合う生活の問題を抱えて、支援を求める声を上げにくく、外部からも困窮している状況が見えにくいことが少なくありません。地域や学校が協力してアンテナを張り、困窮している子供を見つけ出し、支援につなぐことが必要です。  県では今年度、関係者の感度や意識を高めるため、学校の生活指導担当教員やスクールソーシャルワーカー、市町村の福祉担当職員など様々な担当者を対象に、ヤングケアラーの現状やその発見のための着眼点、どのような支援が必要になるかなどについて研修を実施してまいります。 98 ◯古川 忠委員 ヤングケアラーはいろいろなケースがあると思うんですね。例えば、親兄弟ですね、その兄弟のお世話をせないかんケースもあるでしょう。それから、障がいがある家族を持っているケースもあるでしょう。また、家計を助けているケースもあるでしょう。様々なケースがあると思うんですね。そしてまた一方では、子供は、やっぱり親のため、兄弟のために何かやるということで、自分たちが、何といいましょうか、デメリットを被っているというか、そういう状況にあると認識してない子もたくさんいると思うんですね。だから、それを何とか周りが見つけてあげて、そしてケアをしていく必要があると思います。  今おっしゃったように、確かに発見するのが難しいですから、様々な機関を通じて発見をしてもらいたいと思いますけれども、どのような支援が見つかった場合に必要になるのか、そこについてお伺いしたいと思います。 99 ◯山田児童家庭課長 ヤングケアラーの支援に当たっては、県では、各市町村の要保護児童対策地域協議会で情報を共有し、そこで把握した支援が必要な子供や家族に対し、福祉、医療、介護、教育などの適切な支援を協議して支援機関につなぐ体制づくりを進めているところでございます。  今後、来年度から各市町村に整備することとなっているこども家庭センターを核として、高齢者や障がい者などの福祉施策を実施する市町村と、学校や民生委員・児童委員など子供や家庭に接する関係機関が連携し、個々の状況に応じた支援が行われるよう連携体制を確立してまいります。 100 ◯古川 忠委員 今の答弁の中で、こども家庭センターを来年度から各市町村で設けていくというお話がありましたね。これはまさに、国が来年度から設立しようとしているこども家庭庁が関わっておると思います。  そこで、委員長にお願いしたいんですが、こども家庭庁に関する資料を要求したいと思いますので、お取り計らいをお願いします。 101 ◯秋田章二委員長 お諮りいたします。  ただいま古川委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 102 ◯秋田章二委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま古川委員から要求がありました資料については提出できますか。坪根福祉総務課長。 103 ◯坪根福祉総務課長 直ちに提出いたします。 104 ◯秋田章二委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 105 ◯秋田章二委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 106 ◯秋田章二委員長 資料が配付されましたので、古川委員、質疑を行ってください。 107 ◯古川 忠委員 いろいろ議論があった末の、こども家庭庁の創設だと思います。当初はこども庁だったのが、家庭も加わりました。あらゆる省庁を包含して、子供に対して様々な政策を行うというような目的だろうと思います。  まずもって、今、当然それによって県の組織も対応しなきゃいかんわけですけれども、家庭庁の、一応現段階で国が示したものについて、資料で説明いただきたいと思います。 108 ◯坪根福祉総務課長 こども家庭庁の業務につきまして御説明いたします。
     お手元に配付いたしました資料でございます。こちら、国のこども家庭庁創設のイメージということで、国の資料でございます。資料にありますとおり、こども家庭庁の業務は、図の緑色の部分となります。妊娠前から妊娠期、乳幼児期、学齢期、十八歳以降までを対象として、子供の福祉、保健等を目的とする業務を幅広く所掌いたします。  なお、青色の部分は文部科学省、紫色は厚生労働省所管となります。  子供が自立した個人として、ひとしく健やかに成長することができる社会の実現に向けて、各府省をまたぐ施策が一元化され、年齢や制度の壁を越えた切れ目ない包括的支援や、子供と家庭の視点に立った政策が進められることになります。また、子供の居場所づくり、幼稚園や保育所に通っていない子の育ちの保障など、これまで十分でなかった政策の実施についても打ち出しているところでございます。 109 ◯古川 忠委員 まさに、こども家庭庁というのは、子供一人一人を見逃さないといいましょうか、そういう理念の下に発足していると思います。そういう意味では、ヤングケアラーとかに対しても目配りをし、また手を携えるといいましょうか、手を差し伸べると、そういうことだろうと思います。  恐らく来年から発足しますから、県はそれに対して、いろいろな省庁にまたがった、県だと部課をまたがった問題があろうと思いますけれども、県としてはこども家庭庁の創設を受けてどのような準備をしてあるのか、そのことについてお伺いしたいと思います。 110 ◯坪根福祉総務課長 こども家庭庁の政策理念であります、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援、子供や家庭が抱える様々な複合する課題に対し、制度や年齢の壁を克服した切れ目ない包括的支援を担っていく、こちらが今後市町村に設置されますこども家庭センターでございます。県としましては、このセンターが全ての市町村に設置され、子供家庭支援の総合的、一体的拠点として機能するよう、体制の整備と運営に対する助言及び支援を行ってまいります。  また、このような市町村支援、子供の権利を保障する仕組みづくりなどを進めまして、こども家庭庁が目指す子供を真ん中に据えた社会を国と連携して実現するため、県としてどのような体制が望ましいのか検討を重ねているところでございます。 111 ◯古川 忠委員 来年度からのスタートですから、もう待ったなしですよね。そういう意味では、まだまだ分からない部分もあるかもしれませんが、できるだけ県としては対応していただきたい。まさにこれは、国においては各府省をまたがった一つの庁になるわけですし、県も、今までの垣根を取り除いて一人一人の子供に目を向ける、まさにその目的に沿った体制をつくっていただきたいと思っております。  まだ、県内でどれぐらい、そういうヤングケアラーがおられるか、そういう調査はまだできてないと思いますけれども、文科省の調査によると、中学二年生の子供の十七人に一人がそこに該当するというようなデータもあります。恐らくたくさんおられるんじゃないでしょうか。埼玉県では、ケアラーの条例もできてまして、ヤングケアラーの応援宣言といいましょうか、そういうものももう既につくっておるやに聞いております。  ですから、県としても、とにかく子供のことですから一年一年を争う、大事な子供の教育もしくは福祉ですから、そのことを踏まえてしっかりとした政策を具体的に進めていただきたい。そのことを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いしておきます。(拍手) 112 ◯秋田章二委員長 ほかに質疑はありませんか。山本耕一委員。 113 ◯山本耕一委員 民主県政クラブ県議団の山本耕一です。  私は、本県における視覚障がい者向け図書施設の利用について質問してまいります。  本県の総合計画にも対処されているSDGsの理念、誰一人取り残さない社会の実現、そのためには視覚障がい者の皆さんも、文字とか図版で印刷出版される本とか雑誌などの書籍に記された文化を享受することができるよう、社会全体として取り組んでいくべきであると考えます。  本県には多数の視覚障がい者向けの図書施設があって、そのうち春日市のクローバープラザ内にある福岡点字図書館に対しては、県が助成を行っていると伺っております。  では、まず、福岡点字図書館の点字・録音図書の保有数の状況と、点訳・音訳ボランティアの活動人数についての資料を要求したいと思います。委員長、資料要求のお取り計らいをお願いいたします。 114 ◯秋田章二委員長 お諮りいたします。  ただいま山本委員から要求がありました資料を、委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 115 ◯秋田章二委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま山本委員から要求がありました資料については提出できますか。宮崎障がい福祉課長。 116 ◯宮崎障がい福祉課長 直ちに提出いたします。 117 ◯秋田章二委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 118 ◯秋田章二委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 119 ◯秋田章二委員長 資料が配付されましたので、山本委員、質疑を行ってください。 120 ◯山本耕一委員 では、この資料について、執行部から御説明ください。 121 ◯宮崎障がい福祉課長 資料の一、福岡点字図書館の点字図書・録音図書の状況です。昨年度の点字図書の保有数八千六百八、貸出数二千五百九十四タイトルとなっており、利用者は九十一人です。  また、録音図書の保有数九千七十、貸出数一万九千二百三十八タイトルとなっており、利用者は三百十四人です。  二に、点訳・音訳ボランティアの活動人数等について示しております。昨年度は、点訳四十四人、音訳四十七人のボランティアの方々が活動しています。県では、ボランティアとして必要な技術を習得するため養成講習会を実施しています。昨年度は、点訳ボランティア養成に十五人が参加、一昨年度は、音訳ボランティア養成に十人が参加しています。どちらも定員どおりの参加となっています。 122 ◯山本耕一委員 資料についての説明は分かりました。  では次に、福岡点字図書館の設置の経緯と施設の概要についてお教えください。 123 ◯宮崎障がい福祉課長 福岡点字図書館は、社会福祉法人福岡県盲人協会が昭和二十八年に、視覚障がいのある方への点字図書・録音図書による情報提供と福祉文化活動の援助推進のために、福岡市内に設立したものです。平成八年に春日市のクローバープラザに移転しています。音声読書器や拡大読書器が利用できる閲覧スペースのほか、点字図書や録音図書の作成室、書庫などがあります。  県では、施設の運営に係る人件費や書籍、点訳・音訳用パソコンなどの購入費用に係る経費を補助しています。 124 ◯山本耕一委員 では次に、点字図書施設の蔵書のうち、音声で書籍等を読み上げた録音図書についてお聞きします。  この録音図書の共有化の取組として、サピエというものがあると聞き及んでおります。このサピエの概要についてお教えください。また、福岡点字図書館を含め、このサピエにどれくらいの県内の施設が加入されているのか、併せてお答えください。 125 ◯宮崎障がい福祉課長 サピエとは、視覚障がいなどのために活字による読書が困難な方に対して、点字図書や録音図書のデータを提供する全国的なネットワークシステムで、約八十万件のタイトルを保有しています。このシステムは日本点字図書館が管理しており、全国の会員施設を通じて、点字図書や録音図書が借りられます。  県内には、福岡点字図書館のほか、福岡県立図書館、北九州市立点字図書館、福岡市立点字図書館など、十三の施設がサピエの会員施設となっています。 126 ◯山本耕一委員 視覚障がい者の方に直接聞いたんですが、このサピエというネットワークシステムの整備によって飛躍的に録音図書利用の利便性が上がったということで、大変喜ばしいことと思っております。  では、視覚障がい者の図書利用について伺ってまいります。福岡点字図書館においては、点字・録音図書の貸出しについて、対面方式及びインターネット経由、それぞれどのような手順になっているのかお教えください。あわせて、サピエの蔵書の利用方法についてもお教えください。 127 ◯宮崎障がい福祉課長 福岡点字図書館では、対面方式の場合、来館、電話、ファクスでの貸出しの申込みを受け付けております。貸出しは、御来館された際に直接お渡しすることや御家庭への郵送といった方法で対応しています。  インターネット経由では、電子メールで貸出しの申込みを受け、御家庭への郵送のほか、御希望によりデータでの送信も行っております。  福岡点字図書館が保有する図書のほか、サピエを利用して取得または借り受けた図書についても同様に貸し出しています。  このほか、サピエの個人会員登録をした方々は、御自身でサピエが保有する点字図書や録音図書をダウンロードすることができます。この登録費用は無料となっています。 128 ◯山本耕一委員 厚生労働省の調査によりますと、日本における視覚障がい者の割合は人口比でおよそ〇・二五%で、単純に本県の人口に当てはめると一万二千人以上の視覚障がい者がいらっしゃるという計算になります。これらの方の障がいの程度とか状況は千差万別で、必ずしも点字図書館の録音図書を利用するとは限らないとはいえ、頂いた資料を見る限りでは、録音図書利用は福岡点字図書館で三百十四人と、もう少し利用者が増えてもいいのではないかなと思います。  視覚障がい者の方に聞いてみたのですが、県内の点字図書館の蔵書について、ネット経由での借り出しがちょっと使いにくいので使っていないという声もございました。  そこで伺います。視覚障がいのある方が御自身でインターネット経由でページ閲覧をする際には、音声読み上げソフトというものを通して利用する場合が多いと思うのですが、福岡点字図書館のホームページではそうした動作環境を確認した上でホームページを作られているのか、確認されているとしたらどのような手順を追って行っているのか、教えてください。 129 ◯宮崎障がい福祉課長 福岡点字図書館では、国が推奨している日本産業規格の高齢者・障害者等配慮設計指針を踏まえ、ホームページが利用しやすいものとなるよう努めています。具体的には、音声読み上げソフトや文字拡大ソフトがスムーズに動作するよう、ホームページは文字が読みやすく理解できるものになっているか、シンプルなレイアウトになっているか、文字のサイズ変更が容易にできるか、こういったことを定期的にチェックを行い、検証しています。 130 ◯山本耕一委員 さて、先ほどの御答弁で、サピエの膨大な蔵書を直接検索したり、直接メールでその蔵書を借り出したりするには個人登録が必要ということでした。パソコンの操作に慣れていない視覚障がい者にとっては、その個人登録一つとってもかなりハードルが高いのではないかと思います。  サピエに加入している県内十三の視覚障がい者向け図書施設が連携して、視覚障がい者のネット利用を手助けするなど、支援を積極的に行っていくことが必要と思いますが、各図書施設で、ホームページの作成等において、そうした取組は行われているでしょうか。また、今後取り組んでいく予定はございますでしょうか、教えてください。 131 ◯宮崎障がい福祉課長 パソコンの操作に慣れていない方の登録に当たっては、福岡点字図書館が、利用希望者からの御相談に応じまして代理で個人登録を行うなどの支援をしており、そのようなサポート体制について、県内十三のサピエ会員施設に周知してまいります。  また、あわせて、広くサピエの概要や個人登録に関する情報の点字版や音声版のチラシを作成し、同会員施設のホームページ等に掲載するよう、連携を働きかけてまいります。 132 ◯山本耕一委員 ぜひお願いします。  これも視覚障がい者の方に聞いたんですが、サピエの録音図書を聞く際には、高知のソフトウエア会社が制作したマイブックネオというソフトを介して利用することが多く、価格は現在税込みで四万一千八百円ということでした。県や市町村ではこのような視覚障がい者のためのパソコンソフトや支援器具等について助成があるかと思います。  そこで伺います。紹介したソフトウエア等の購入に際して、具体的にはどのような助成制度が設けられているか教えてください。また、こうした助成制度について積極的に周知していくべきと考えます。併せてお答えください。 133 ◯宮崎障がい福祉課長 視覚障がいのある方のための支援ソフトは、日常生活用具給付等事業の情報・通信支援用具として、市町村が購入費用の九割を助成しています。この助成の費用は、国が二分の一と県と市町村がそれぞれ四分の一を負担しています。  日常生活用具給付等事業のメニューとして、このような支援ソフトが助成の対象となることを視覚障がいのある方に対してしっかりと周知していただくよう、十一月に開催予定の障がい福祉担当課長会議において市町村に働きかけてまいります。 134 ◯山本耕一委員 そちらもぜひよろしくお願いいたします。高価なソフトウエアも、そうした助成があると視覚障がい者の皆さんが利用しやすくなると思いますので、そうした助成制度の利用促進もしっかり進めていただきますようにお願いします。  余談なんですが、福岡県にはゲームとかパソコンやスマホのソフトウエアを制作している会社がたくさんあります。ぜひ県として、そういったソフトウエア会社とか視覚障がいの当事者らと連携しまして、全国の視覚障がい者の方が利用しやすいソフトウエアとかスマホアプリなどを作成していただければビジネスにもつながっていくんじゃないかなと思いますので、その点もぜひ今後進めていただければと思います。  さて、視覚障がい者向けの図書施設においては、その蔵書を作成するボランティアの方のお力が頼りです。実は私もかつて音訳ボランティアをしておりましたが、ボランティアの方は高齢化が進んでいたり、慢性的な人員不足に悩んでおります。視覚障がい者に向けて図書文化を伝える担い手としてのボランティアの育成は急務と考えます。  県としての点訳・音訳ボランティア養成の取組についてお聞かせください。 135 ◯宮崎障がい福祉課長 福岡点字図書館では、点訳・音訳ボランティア養成講習会を実施しております。点字ボランティアの養成では、点字の書き方や点訳の仕方などを学ぶ全二十五回の講習会を実施しています。また、音訳ボランティアの養成では、声の出し方や図や写真の表現などを学ぶ全十六回の講習を実施しています。研修後には、スキルアップ講習会も実施しています。  また、定員をしっかりと確保するためには、点訳・音訳のボランティア活動が、若い世代の方も含め広く認知されることが必要と考えております。このため、視覚障がいのある方にとっての点訳・音訳の意義や、ボランティア活動の楽しさ、やりがいを周知するリーフレットを作成し、県NPOボランティアセンターや市町村等を通じて周知を図ってまいります。 136 ◯山本耕一委員 点字・録音図書の利用の周知、支援とともに、ぜひとも視覚障がい者向け図書施設に携わるボランティアの皆さんの育成、そして、その活動意義の周知もしっかり行っていただきますように強く要望いたします。  では最後に、視覚障がい者の方々の文化的生活が妨げられることがないよう、福祉行政を充実していくことについて、福祉労働部長の決意をお示しください。 137 ◯秋田章二委員長 西原福祉労働部長。 138 ◯西原福祉労働部長 視覚障がいのある方々にとって点字や録音図書は、広く社会の情報を収集するのみならず、読書の楽しさ、喜びに触れることとなり、文化的な生活を営むために重要なツールでございます。令和元年六月には、障がいのある方の読書や情報取得の支援を目的に読書バリアフリー法、また今年の五月には障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が施行されたところでございます。県では、点字図書館を中心に、点字図書・録音図書の制作や、視覚に障がいのある方への読書の普及のための研修会、あるいはボランティアの育成により、福祉文化活動の充実、向上に努めてまいります。  障がいのあるなしにかかわらず、全ての方がひとしく文化の恵沢、そして必要な情報の享受ができますよう、施策の充実に努めてまいります。 139 ◯山本耕一委員 よろしくお願いします。終わります。(拍手) 140 ◯秋田章二委員長 ほかに質疑はありませんか。川崎俊丸委員。 141 ◯川崎俊丸委員 民主県政県議団の川崎俊丸でございます。  前置きを省きまして、福岡県における子どもの貧困対策について質問をさせていただきます。  委員長、あらかじめ執行部に、子どもの貧困対策に関する資料をお願いしております。子どもの貧困率の推移、第一期計画の目標と結果、第二期計画の目標、子どもの貧困対策推進計画を策定している市町村の一覧、これらの資料をお願いしておりますので、お取り計らいをお願いいたします。 142 ◯秋田章二委員長 お諮りいたします。  ただいま川崎委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 143 ◯秋田章二委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま川崎委員から要求がありました資料については提出できますか。横溝保護・援護課長。 144 ◯横溝保護・援護課長 直ちに提出いたします。 145 ◯秋田章二委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 146 ◯秋田章二委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 147 ◯秋田章二委員長 資料が配付されましたので、川崎委員、質疑を行ってください。 148 ◯川崎俊丸委員 資料については、これからの質問に対する答弁の中で説明をお願いしたいと思います。  まず、資料一を基に、子どもの貧困率の推移について説明をお願いします。 149 ◯横溝保護・援護課長 資料の一、子どもの貧困率の推移でございます。子どもの貧困率は、子ども全体に占める等価可処分所得が貧困線に満たない子どもの割合でございます。  国民生活基礎調査によりますと、我が国の十七歳以下の子どもの貧困率は、表のとおり、直近の平成三十年には一三・五%となっております。 150 ◯川崎俊丸委員 子どもの貧困率の推移を説明していただきましたが、ただいまの説明は、国民生活基礎調査に基づいて厚生労働省が公表している全国データの推移でした。福岡県における子供の貧困率についてはどのようになっているのか、説明をお願いします。 151 ◯横溝保護・援護課長 国民生活基礎調査はサンプル調査で推計されたものでございまして、直近の調査標本数は全国で二万二千二百八十八世帯でございます。  県別の数値の推計は、標本数が足りないため精度を確保することができないという理由で推計が行われていないところでございます。 152 ◯川崎俊丸委員 ただいまの御説明では、県としては、国の示したデータで類推しているだけで、県内の子供の貧困の実態は把握していないのでしょうか、お答えください。 153 ◯横溝保護・援護課長 県独自の子供の貧困率のデータはございませんが、十七歳以下の生活保護率や小中学校の就学援助率を見ますと、全国平均と比べて高い水準が続いており、本県の子供の貧困の状況は依然として厳しいものがあると考えております。  また、県内五か所に設置しております子ども支援オフィスに寄せられている世帯の収入状況や子供の養育に係る問題などの相談内容を集約、分析することで、子供の貧困の実態の把握に努めております。 154 ◯川崎俊丸委員 子ども支援オフィスに寄せられている内容で実態把握に努めているというお話がありました。県内五か所だけのオフィスの相談実績だけでは、実態把握は不十分であると思います。実態把握が十分に行われないままに対策が進められていることは、私は大きな問題があると思っておりますので、そのことを指摘しておきたいと思います。  次に、県の第一期計画及び第二期計画について質問をさせていただきます。  まず、第一期計画における目標と結果について、資料を基に御説明ください。 155 ◯横溝保護・援護課長 資料の二、福岡県子どもの貧困対策推進計画第一期計画の数値目標と結果でございます。  第一期計画では、資料記載の四つの指標について、全国数値よりも改善するという目標を設定し、達成に向けて取り組んできたところでございます。
     結果といたしましては、上から三番目の生活保護世帯に属する子どもの就職率につきましては全国数値よりも上回ることができましたが、そのほかの三つの指標においては目標達成とはなりませんでした。目標達成とはならなかった三つの指標いずれもが計画掲載時の数値からは改善されており、全国数値との乖離も縮まっていることから、取組の推進が図られているものと考えております。 156 ◯川崎俊丸委員 第一期計画における目標と結果をお答えいただきましたが、目標達成はできなかったが計画当初の数値からは改善されているとの説明がありました。目標は達成できなかったとするマイナス評価と、数値は改善しているというプラス評価、一緒に出されています。私の印象で大変恐縮ですけれども、非常に曖昧な評価になっているのではないかなと思います。第一期計画で掲げられた全国数値を上回るというその目標が、各部担当課、現場までどう共有されて、目標の達成に向けた取組がどのように行われたのか、真摯な検証が必要だということを指摘させていただきます。  その上で、第二期計画の目標について、資料三を基に、一期計画から変更された点も含めて御説明をお願いします。 157 ◯横溝保護・援護課長 資料の三、第二期福岡県子どもの貧困対策推進計画の数値目標を御覧ください。第一期計画の数値目標は、全国数値との乖離がある四つの指標について、全国の数値よりも改善させることを目標としておりました。第二期計画では、本県における対策を総合的に進捗管理していくため、全国との比較ではなく、県の数値が把握可能で、より生計状態を表すと考えられる二十六項目に指標を増やしたところでございます。 158 ◯川崎俊丸委員 第二期計画でも、多岐にわたる指標によって、子供の貧困状況を把握し、対応していこうとされているということは分かりました。しかし、この目標設定の考え方、これは一期も二期も私は同じと思いますけれども、平均値という形で評価をしていくという、それだけでいいのかということを考えております。  子供の貧困という厳しい現実があり、県内各地に困難に直面し困窮する多くの子供たちがいる。その子供たちに寄り添い、それぞれの課題解決に向けて具体的にどのように取り組んでいるかということが見えてきません。平均値はあくまで全体の傾向です。子供の貧困対策は、子供の貧困の現実実態とどれだけ向き合って寄り添う支援ができているかということだと考えますが、課長の認識をお聞きします。 159 ◯横溝保護・援護課長 個々の実態に向き合い、寄り添う支援を実施するため、県内五か所の子ども支援オフィスにおいて、相談者お一人お一人のお話をよくお聞きし、現在の状況を把握した上で、活用できる支援メニューを組み合わせ、その方に最も合った支援を行っております。  子ども支援オフィスに寄せられた個々の相談内容を集約、分析、検討をすることで、子供の貧困の実態を把握し、施策のさらなる充実強化を図っていきたいと考えております。 160 ◯川崎俊丸委員 次に、第二期計画についてお聞きいたします。第二期計画では、数えてみましたら、事業の実施の状況なんですけれども、知事部局で五部十八課、教育庁で六課、百四十四に上る事業が取り組まれています。対象となる子供さん、それを取り巻く家庭や学校、市町村や地域の関係機関、NPO等の方々との、特に地域における連携についてどのようになっているのかお聞きします。 161 ◯横溝保護・援護課長 地域における関係機関との連携については、相談を受けた機関が、支援メニューを所管する機関と、相談ケースに応じた具体的な連絡を取り合って対応をしております。  また、単独での対応が困難なケースにつきましては、子ども支援オフィスなどの自立相談支援機関が運営する支援調整会議や、市町村が運営いたします要保護児童対策地域協議会等の会議体で情報を共有し、連携して対応しているところでございます。 162 ◯川崎俊丸委員 私は、貧困状態にある子供さん、保護者等の方々へ、この支援情報が確実に届くような広報や情報発信をするべきと考えますが、どのように取り組まれているかお聞きします。 163 ◯横溝保護・援護課長 個々の支援に関する施策の情報は、それぞれの機関において、ホームページや紙媒体等において提供しておりますが、非常に多岐にわたっておりまして、その全てを当事者の方が探し出して、御自身に適用されるのか判断することは難しいと思われます。したがいまして、困っている方が最初に相談できる窓口が周知されるよう、子ども支援オフィス、あるいは生活困窮者自立支援法に基づき設置する自立相談支援窓口の案内を、県ホームページや市町村の広報紙への掲載などをして、広報、情報発信しております。  その上で、困り事全般の相談を受け付ける子ども支援オフィス、自立相談支援機関におきまして、相談者お一人お一人の話をよくお聞きし、現在の状況を把握した上で、活用できる支援メニューを組み合わせ、その方に最も合った支援を行っております。 164 ◯川崎俊丸委員 私も、百四十四の事業を見せていただきましたけれども、なかなかやっぱり全部を把握して、こういうケースの場合この支援が受けられるのだなというのを把握するのは、素人ですから困難な局面もありました。だから、おっしゃったように、どうやってそれを困っている状態の子供さんを抱えている御家族とか、相談の窓口にどうつなぐかというのは、極めて大事、連携が大事だということをぜひ踏まえて、取組を強化していただきたいと思います。  最後に、市町村の計画策定の状況についてお聞きします。改正子どもの貧困対策推進法によりますと、市町村は、国の大綱と都道府県計画を勘案して、当該市町村における子供の貧困対策について定めるよう努めるものとすると、市町村計画の策定が努力義務とされております。  そこで、県内市町村の計画策定状況はどうなっているか、資料を基に御説明をお願いします。 165 ◯横溝保護・援護課長 資料の四、県内市町村における子どもの貧困対策推進計画の策定状況を御覧ください。先月末現在、計画策定済みの市町数は二十七、全体の四五%となっております。 166 ◯川崎俊丸委員 五〇%に届いてないっていう現状だということですけれども、この現状についての評価なり、今後の対策についてお聞きいたします。 167 ◯横溝保護・援護課長 来年四月に施行されますこども基本法におきまして、市町村こども計画の策定が努力義務となっております。市町村こども計画の策定に当たっては、子どもの貧困対策推進計画と一体となって作成することができるとなっておりますので、一体となった計画となるよう計画策定の支援を行ってまいります。 168 ◯川崎俊丸委員 先ほど、新しいこども基本法に基づく取組、古川忠委員のほうが質疑をされました。その中でも明らかになってますけれども、やっぱり子供に対する総合的な政策というのが、今、御説明にありましたような新たな計画を含めてつくられる。そのときに既存の子供の貧困対策の計画を持っている市町村はいいんですけれども、それ以外の、まだ策定してないところが、どういうふうにその内容を取り込んで、こども計画をつくっていくかというのは非常にポイントだと思いますので、その面での市町村に対する支援をぜひ強力に進めていただきますようよろしくお願いいたします。  来年四月施行されるこども基本法では、第五条で、地方公共団体の責務が明記されました。子供の状況に応じた施策を策定し、実施する責務を有すると明記をされて、子供の貧困対策に関する大綱もこども大綱に、今言われましたように一元化される。国の政策も非常に大きな転換点を迎えることになります。子供の貧困問題は国際的にも人類が直面している最大の課題の一つと認識されて、SDGsにおける十七の目標の第一目標に、貧困をなくすというテーマで取り上げられております。  私は、子供の貧困対策は、二十年、あるいは三十年、あるいは五十年後の福岡県を見据えて、今この時点から全力を挙げて取り組むべき県政における最重要課題というふうに考えます。これまでの質疑も踏まえて、今後の取組に対する部長の決意を最後にお聞きします。 169 ◯秋田章二委員長 西原福祉労働部長。 170 ◯西原福祉労働部長 先ほど委員も御指摘のありました子供家庭施策の今後の進め方につきましては、昨年の十二月に閣議決定があっております。幾つか理念が示されましたけれども、待ちの支援から、予防的な関わりを強化するとともに、必要な子供、家庭に支援が確実に届くようプッシュ型支援、アウトリーチ支援を強化する、転換していくという理念がございます。今後の進め方となりますと、そこを強く意識して進めてまいりたいと考えております。  子供の貧困問題は、当事者である子供もその保護者も、複雑に絡み合う生活の問題を抱え、支援を求める声が上げにくい、外部からも見えにくいということがございます。地域、学校が協力し、アンテナを張って、困窮している子供や家庭を見つけ出して、支援に積極的につなぐことが必要になってまいります。  今は、子ども支援オフィスの支援員が子供食堂を順次訪問し、子供たちが一日の大半を過ごす学校現場でも、子ども支援オフィスの相談窓口を周知するなどの取組を行っているところですが、今後とも、当事者の支援の申出を待つだけではなく、アウトリーチで支援の必要な子供を見つけ出して、適切な支援を講じる対策を心がけ、推進してまいりたいと考えております。 171 ◯川崎俊丸委員 ぜひそのような決意で取組を前に進めていただきますようお願いをしておきます。  そこで、委員長に申し上げます。子供の貧困対策は県政の重要課題であり、この際、服部知事の認識を直接お聞きしたいと思います。知事保留質疑のお取り計らいをお願いします。 172 ◯秋田章二委員長 ただいま川崎委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。  なお、知事保留質疑は十月十二日水曜日に行う予定でありますので御了承願います。 173 ◯川崎俊丸委員 終わります。(拍手) 174 ◯秋田章二委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 175 ◯秋田章二委員長 ないようですので、以上で、川崎委員の知事保留質疑を残しまして、第一四一号議案の質疑を終わります。  次に、第一四六号議案「令和三年度福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計決算」及び第一四七号議案「令和三年度福岡県災害救助基金特別会計決算」の二件について一括議題とし、まとめて説明を求めます。西原福祉労働部長。 176 ◯西原福祉労働部長 歳入歳出決算概要説明書の百七十七ページをお願いいたします。  第一四六号議案、令和三年度福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計の歳入歳出決算の御説明を申し上げます。  この会計は、母子家庭、父子家庭及び寡婦の経済的自立と生活意欲の助長を図りますとともに、扶養しております児童の福祉の増進を図る、その双方を目的といたしまして、各種の資金の貸付けを行うものでございます。  歳入でございます。収入済額は、計欄の五億二千六百万円余、予算現額に対しまして五千三百万円余の収入増となっております。その主な理由でございますが、令和二年度からの繰越金が見込みを上回ったことによるものでございます。また、収入未済額は二億三千六百万円余となっております。納入義務者の経済的困窮などにより生じております。  次の百七十八ページをお願いいたします。歳出でございます。決算額は一億四百万円余となっております。内容は、母子家庭に対する各種資金の貸付費でございます。  一番下の不用額の理由は、貸付額が見込みを下回ったことによるものでございます。  以上が、福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計の決算の概要でございます。  引き続き、百七十九ページをお願いいたします。第一四七号議案、令和三年度福岡県災害救助基金特別会計の歳入歳出決算について御説明を申し上げます。  この会計は、災害救助法に基づきまして、災害救助を実施する際の財源とするために、あらかじめ基金を積み立てておくものでございます。  歳入でございます。収入済額は一千万円余となっております。内容は、基金に必要とされる法定積立金の不足額を埋めるための一般会計からの繰入金でございます。  歳出でございます。決算額も同額の一千万円余でございます。内容は、基金に必要とされる法定積立金の不足額を埋めるために積み増しを行ったものでございます。  以上が、福祉労働部所管の特別会計決算の概要でございます。御審議をよろしくお願い申し上げます。 177 ◯秋田章二委員長 説明は終わりました。  これより質疑を行います。質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 178 ◯秋田章二委員長 質疑がないようですので、第一四六号議案外一件の質疑を終了し、福祉労働部所管分の審査を終わります。  次に、労働委員会事務局所管分の審査を行います。  第一四一号議案「令和三年度福岡県一般会計決算」のうち、歳出について説明を求めます。白鳥労働委員会事務局長。 179 ◯白鳥労働委員会事務局長 それでは、労働委員会事務局所管分の決算につきまして御説明申し上げます。歳入歳出決算概要説明書の九十三ページをお願いいたします。  五款生活労働費のうち労働委員会事務局所管の決算額は、十項労働委員会費で二億二千六百万円余でございます。これは労働委員会の運営等に要した経費でございます。  下の九十四ページに移りまして、不用額を生じております主な理由でございますが、一目の報酬の執行残でございます。  説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。 180 ◯秋田章二委員長 説明は終わりました。  これより歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 181 ◯秋田章二委員長 質疑がないようですので、第一四一号議案の質疑を終了し、労働委員会事務局所管分の審査を終わります。  この際、しばらく休憩します。再開は午後一時五十分をめどに放送をもってお知らせいたします。    午 後 零 時 五 十 六 分 休 憩    午 後 一 時 五 十 分 再 開 182 ◯大橋克己副委員長 ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き議事を進めます。  農林水産部所管分の審査を行います。  まず、第一四一号議案「令和三年度福岡県一般会計決算」のうち歳出について説明を求めます。重吉農林水産部長。 183 ◯重吉農林水産部長 それでは、農林水産部所管の決算につきまして御説明いたします。歳入歳出決算概要説明書の九十九ページをお開き願います。  第六款農林水産業費の決算額は六百二億七千六百万円余となっております。  内容について御説明いたします。一項農林水産業企画費は、決算額七十八億二千百万円余でございます。この主なものは、新規就農者対策や中山間地域農業の振興に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、県産農林水産物輸出促進事業で、これは施設整備に日時を要したことによるものでございます。不用額につきましては、百ページに参りまして、その主な理由は、県産農林水産物輸出促進費の執行残でございます。  百一ページをお開き願います。二項農業費は、決算額百十七億八千七百万円余でございます。この主なものは、施設・機械の条件整備や農地中間管理機構事業に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、産地生産基盤パワーアップ事業で、これは国の補正予算に伴うものでございます。不用額を生じております主な理由は、産地生産基盤パワーアップ事業費の執行残でございます。  百二ページをお願いいたします。三項畜産業費は、決算額十三億九千八百万円余でございます。この主なものは、家畜伝染病の予防対策や畜産施設の整備に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、県産飼料生産機械導入支援事業で、これは国の補正予算に伴うものでございます。不用額を生じております主な理由は、強い畜産業づくり対策事業費の執行残でございます。  百三ページをお開き願います。四項農地費は、決算額百七十二億七千万円余でございます。この主なものは、ため池整備等の農業・農村整備に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております農業・農村整備事業において、地元調整に日時を要したこと等によるものでございます。不用額を生じております主な理由は、災害に強いため池等整備事業費の執行残でございます。  百四ページをお願いいたします。五項林業費は、決算額百五十三億二百万円余でございます。この主なものは、森林整備、治山事業に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、治山事業、林道事業において地元調整に日時を要したこと等によるものでございます。不用額につきましては、百五ページに参りまして、その主な理由は森林整備推進対策事業費の執行残でございます。  その下、六項水産業費は、決算額六十六億九千六百万円余でございます。この主なものは、沿岸漁業整備、漁港整備に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、漁港修築事業費で、これは国の補正予算に伴うものでございます。不用額につきましては、百六ページに参りまして、その主な理由は漁港修築事業費の執行残でございます。  続きまして、第十一款災害復旧費でございます。農林水産部所管の決算額は四十九億四千三百万円余となっております。  内容について御説明いたします。百七ページをお開き願います。一項農林水産施設災害復旧費は、決算額四十八億九千五百万円余でございます。これは、農地農業用施設、林道等の災害復旧に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、団体営耕地災害復旧事業において地元調整に日時を要したことによるものでございます。不用額を生じております主な理由は、団体営耕地災害復旧事業費の執行残でございます。  百八ページをお願いいたします。三項庁舎等災害復旧費は、決算額四千七百万円余でございます。この主なものは、令和三年八月大雨により被害を受けました農林業総合試験場の復旧に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております。復旧工事において、地元調整に日時を要したことによるものでございます。不用額を生じております理由は、事業費の確定に伴う執行残でございます。  以上で、農林水産部所管分の一般会計の決算につきまして説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。 184 ◯大橋克己副委員長 説明は終わりました。  これより歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はございませんか。板橋聡委員。 185 ◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。  通告に従い、まず、有明海におけるノリ養殖の担い手対策について質問いたします。  有明海では、豊かな環境の下、漁業者の大変な御苦労とたくみの技により、日本一おいしい福岡有明のりが生産されておりますが、ノリ漁業者も、他の農林水産業同様に後継者問題に頭を悩ませております。  そこで質問です。福岡有明のりが全国シェアを確保するには、生産量を維持する必要があり、しっかりとした経営体を育てていくことが最重要課題です。有明海のノリ養殖の場合、家族経営が中心であり、後継者、すなわち跡取りがいるところは、この昔ながらの経営モデルを踏襲しながら規模拡大を目指していきます。一方、ノリ養殖においても、跡取りがおらず廃業するケースが増えており、今後農業のような法人化による企業的な経営モデルへの転換が参考になると思いますけれども、ノリ養殖で法人化している事例はございますか。 186 ◯大橋克己副委員長 深川水産振興課長。 187 ◯深川水産振興課長 昨年度までに四経営体が法人化しております。 188 ◯板橋 聡委員 法人化した経営者の皆さんは、以前の家族経営と比較して、どんな感想とか御意見をお持ちでしょうか。 189 ◯深川水産振興課長 法人化されている経営者の方からは、社会保険などの充実によりまして人が確保しやすくなるといった点や、周年雇用によりまして就業者が養殖技術をしっかりと習得できる、生産率が非常に向上するという有利な面があるということで、法人化してよかったという意見を伺っております。 190 ◯板橋 聡委員 企業的経営を目指すことで外部の新しい人材が確保可能となるとするならば、今後のノリ養殖を持続可能なものにするためにも法人化をもっと進める必要があると考えますけれども、県では法人化のメリットをどのように考えて取り組んでいらっしゃるか、ぜひお聞かせください。 191 ◯深川水産振興課長 法人化することによりまして安定した経営継続が可能となることや、新卒者、また技術を持たない若い方の受皿となるなどのメリットがあると考えております。そのため県では今年度から、有明海漁連がノリ養殖業者を対象に行います法人セミナーや個別相談会の開催、専門家派遣に対して支援を行っているところでございます。 192 ◯板橋 聡委員 伝統産業であるノリ養殖業を営んでいる方々に、いきなり法人化のセミナーに参加しませんかと言っても、なかなか受け入れづらいのかなと感じますけれども、この取組に対する漁業者の反応はいかがでしょうか。 193 ◯深川水産振興課長 これまで六回のセミナーを開催しておりまして、全経営体の約四分の一に当たります約百経営体に御参加いただいております。さらに、その中から専門家派遣を希望された経営体が九件ございました。この九件のうち、既に一経営体は法人化されまして、三経営体は法人化へ向けて具体的な検討を始めているところでございます。 194 ◯板橋 聡委員 全経営体のうち四分の一の方が参加されたということで、想像していたよりも多くの方が参加され、既に法人化に踏み出した方もいるということで、ノリ養殖業の方にとって大変関心が高いということは分かりました。  もちろん伝統的な家族経営のモデルは引き続き存続していくと思いますけれども、その一方で、企業的経営により新しい人材をノリ養殖業に迎えることが可能となる法人化の取組もさらに加速すべきと考えますけれども、水産局長の考えをお聞かせください。 195 ◯大橋克己副委員長 太刀山水産局長。 196 ◯太刀山水産局長 有明海のノリの養殖経営は、先ほど委員御発言ございましたように、大規模な家族経営が中心で、生産も維持されているところでございます。一方、今後法人はノリ養殖の担い手として大変重要になってくると考えております。このため、既に法人化された経営体からの意見もお聞きしながら、研修制度の充実などによりまして、法人化の取組をさらに進めてまいりたいと考えております。 197 ◯板橋 聡委員 生産者の方には漠然とした不安をお持ちの方も多いので、ぜひこの取組を加速化していただければと思います。
     この流れで引き続き、県産農林水産物の最高級ブランド戦略について質問したいと思います。  まず、福岡有明のりのブランド戦略についてです。有明漁連では令和二年度に、福岡有明のりの中でも超がつく最高級品ノリとして、神の手仕事と名づけられた新商品を発表しました。超最高級品と言われてもぴんとこない方も多いでしょうから数字を挙げて説明しますと、昨年の福岡有明のりの一枚当たりの平均単価は大体十二円から十三円程度です。贈答用に使われる、いわゆる高級品というレベルで一枚百円程度なんですけれども、この神の手仕事は一枚何と五百円、一般のノリの四十倍というお値段も超最高級価格が設定されています。  そこでお伺いします。神の手仕事という商品の開発目的は何でしょうか。 198 ◯深川水産振興課長 最高級品であります神の手仕事、これをブランドリーダーと位置づけまして、福岡有明のりの知名度向上や販売促進を図りますとともに、生産者の養殖技術の向上につなげることを目的といたしております。 199 ◯板橋 聡委員 私も、有明海漁連の西田晴征会長にお願いして、サンプルを頂いて試食しました。味、口溶け、色、艶、全ての面において、これまで食べたことがないほどの、まさに神の手仕事と呼ばれるにふさわしい、すばらしいノリでした。夜に一枚だけいただいて、あまりにおいしかったので、翌日の朝御飯で食べようと思ったら、起きたときには子供がぺろりと食べ上げてしまい、このノリは、おまえ、一枚五百円するとぞと、ちゃぶ台をひっくり返しそうに激怒したのもいい思い出となりました。それほど老若男女問わず、あまりのおいしさに感動する神の手仕事に使われるノリは、どのようにして選ばれるんでしょうか。 200 ◯深川水産振興課長 神の手仕事とは、一番摘みのノリの中からひときわ柔らかな高品質のノリを、各漁協がまず選抜して持ちよります。さらに、有明海漁連に設置されました選定委員会におきまして、風味や艶、そりなどが審査され、最高の評価を受けた、ごく限られた一品となります。 201 ◯板橋 聡委員 話によると、ノリの総生産数の中の〇・〇〇何%と、それぐらいの貴重なノリだということで、神の手仕事がどれだけすばらしいものかがよく分かりましたけれども、せっかくの日本一の品質や価格を誇る神の手仕事ですが、その販売ルートはどのようなものがあるのでしょうか。 202 ◯深川水産振興課長 神の手仕事につきましては、有明海漁連のホームページでのウェブ販売に加えまして、昨年立ち上げました県産の加工品を取り扱う県のホームページ、じざかなびプラスにおいても紹介しているところでございます。 203 ◯板橋 聡委員 確かにそういった漁連や県のウェブでの販売という取組は大切だと思いますけれども、せっかくの超最高級ブランド、神の手仕事のポテンシャルを考えると、いかにも販売ルートが脆弱に感じます。  福岡有明のりのブランディングの頂点をなす神の手仕事は、福岡県を代表する産品として、福岡有明のり全体の販売単価を牽引するくらいの意気込みで販売戦略を立ててほしいと考えますし、そういった戦略を立てるために、福岡の食販売促進課が存在すると理解しておりますが、福岡の食販売促進課は、神の手仕事をどのように売り込むのか、御所見を披露ください。 204 ◯大橋克己副委員長 竹下福岡の食販売促進課長。 205 ◯竹下福岡の食販売促進課長 東京、大阪事務所にあります福岡よかもん・よかとこプロモーションセンターと連携いたしまして、首都圏や関西圏の有名ホテル、飲食店、こだわりの強いシェフ、あるいは高い品質を求めていらっしゃる百貨店のバイヤーに対しまして、積極的に売り込みを図ってまいります。有名ホテルや影響力の高いトップシェフのお店で県産農林水産物が使われることで、認知度向上や販売促進にもつながると考えております。 206 ◯板橋 聡委員 首都圏や関西圏で積極的に売り込みを図っていただけるということですので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  さて、本県には、八女茶、あまおう、とよみつひめ、北原早生、甘うぃ、秋王などなど、既に全国で高い知名度を持つ品種を開発し、ブランド展開して、全国に発信してまいりました。一方で、これら県産農産物のブランド化は品種別のブランド育成であり、今回はこれをもう一歩進めるような福岡県独自のブランド戦略をお願いしたく、質問するものであります。  例えば、千疋屋のロゴを見れば、その袋に入っている果物、デザート、これは創業百八十八年の老舗の目利きがえりすぐった最高においしい旬の果物だろう、デザートだろうと、食べる前から想像します。例えば、JR九州のななつ星で採用されていますと言われれば、その食材、お酒、アメニティー、内装などなど、特別な価値が認められている最高級品であろうと、乗ってもいないのに想像します。これがブランドの力です。  千疋屋、ななつ星のように、福岡県の農林水産物についても、今まで行ってきた個々の品種のブランド化を超えて、それらの品種の中でも特に厳選された、例えば、八女茶なら八女伝統本玉露、福岡有明のりならば神の手仕事のような、技術の粋を集めた頂点の商品を、福岡のよりすぐり、最高級農林水産物として一体的にブランド化し、発信してはいかがでしょうか。  品目横断的なブランドを立ち上げることによって、果物、畜産品、海産物、お酒など、品目の違いを超えて、相互補完しながら商品価値を向上させ、その上、本県農林水産物全体のブランドイメージの向上を目指すことができるのではないかと思いますけれども、県産農産物の新たなブランド戦略としてぜひ検討していただければと思いますが、部長の考えをお聞かせください。 207 ◯大橋克己副委員長 重吉農林水産部長。 208 ◯重吉農林水産部長 御案内のとおり、八女伝統本玉露は稲わらを使いまして被覆し、新芽のごく一部を手摘みで収穫したお茶でございまして、全国の品評会でも非常に高い評価を得ているところでございます。このように、こだわりのある生産により実現した高い品質が、福岡の八女茶のブランドを確立させた要因であると考えているところでございます。こうしたことからも、福岡県にしかない厳選した農林水産物を作っていくことは、ブランド戦略上も大変重要であると考えております。  その上で、委員から御指摘いただきました、それぞれの品目の中で特に厳選された農林水産物を、横断的、一体的に紹介して販売していくといった新たな取組につきましては、その発信方法とか販売戦略などについて、幅広い視点で今後研究してまいりたいと考えております。 209 ◯板橋 聡委員 ぜひ前向きに進めていただければと思います。終わります。(拍手) 210 ◯大橋克己副委員長 ほかに質疑はありませんか。中村香月委員。 211 ◯中村香月委員 民主県政クラブ県議団の中村香月です。  本県は野生鳥獣による農作物被害が全国で二番目に多い県です。私の地元久留米市では近年、豪雨災害と鳥獣被害のダブルパンチで、農作物への被害は甚大なものになっています。  本県では今年四月から、イノシシの第七期第二種特定鳥獣管理計画、そしてニホンジカの第六期第二種特定鳥獣管理計画の期間が開始されたところです。  そこで今回は、本県の鳥獣被害への対策について質問いたします。  質問に先立ち、委員長、あらかじめ鳥獣による農林水産物被害の状況等について、資料の提供を要求しておりますので、お取り計らいをお願いいたします。 212 ◯大橋克己副委員長 お諮りいたします。  ただいま中村委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議はございませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 213 ◯大橋克己副委員長 御異議がございませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま中村委員から要求がありました資料については提出できますか。山口農山漁村振興課長。 214 ◯山口農山漁村振興課長 直ちに提出いたします。 215 ◯大橋克己副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 216 ◯大橋克己副委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 217 ◯大橋克己副委員長 資料が配付されましたので、中村委員、質疑を行ってください。 218 ◯中村香月委員 それでは、配付資料に沿ってお聞きいたします。  まずは、資料のうち、上段のグラフと中段の表について御説明をお願いいたします。 219 ◯山口農山漁村振興課長 資料の上段の棒グラフは、鳥獣全体の被害額で、昨年度は七億四千二百万円の被害となっております。その内訳として、水色がイノシシ等の獣類の被害額、オレンジ色が鳥類の被害額となっております。  中段の表は、獣種ごとの内訳で、昨年度はイノシシで三億一千九百万円、鹿で八千四百万円の被害となっております。 220 ◯中村香月委員 全体の被害金額を見て、一番大きいのが獣類ですが、その中でも、とりわけイノシシの被害金額が一番高いです。被害金額の推移を見ると、二〇一〇年度をピークに年々減少していましたが、二〇一八年度からは横ばい傾向を示しています。  今回策定されたイノシシの第七期第二種特定鳥獣管理計画では、第六期までの総合的な対策を継続し、二〇二六年度までに農林水産物被害金額を毎年四・五%減らした二億五千万円未満に抑えるという目標を掲げていますが、近年の停滞している被害金額を見ると、現在の対策の継続だけでは困難な気がいたします。  そこで、第七期から導入した新たな施策や特徴的に変更された部分があればお答えください。 221 ◯山口農山漁村振興課長 イノシシによる被害をさらに軽減するため、市町村の被害防止対策だけでは十分な効果が出ない場合には、今年度から新たに、県が狩猟者に対し市町村域を超えた有害鳥獣捕獲を許可した上で、広域的な捕獲を実施することとしております。  また、第六期で延長していた狩猟期間を、第七期ではさらに延長しております。具体的には、通常十一月十五日から二月十五日までの狩猟期間を、十月十五日から四月十五日までとしており、捕獲数の増加が期待されます。 222 ◯中村香月委員 新たに捕獲の推進に対する施策を実施すると御答弁いただきました。私は、絶対数を減らすために広域的な捕獲の推進は極めて重要な施策だと思いますが、一方で被害防除対策も重要な施策の一つだと考えます。  初めに提出いただいた資料の下段のグラフを御覧ください。これには、これまでの農産物被害の防止を目的として、国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用したワイヤーメッシュ柵や金網柵、電気柵等の導入実績が記載されていますが、整備状況は二〇一四年度をピークにだんだんと下がってきています。この防除対策の実績が下がっている理由をお聞かせください。 223 ◯山口農山漁村振興課長 侵入防止柵の整備実績は近年減少傾向で、昨年度のワイヤーメッシュ柵、金網柵、電気柵の合計の整備実績は四百三十二キロメートルで、ピークであった平成二十六年度実績と比較すると三割程度となっております。この要因は、侵入防止柵の整備が進んだことから、近年市町村からの要望が減少しているためと考えております。 224 ◯中村香月委員 私の地元でも、果樹農家や野菜農家の方たちがイノシシ対策として、この鳥獣被害防止総合対策交付金を活用し、ワイヤーメッシュ柵か電気柵の一方を設置しました。地元果樹農家の方々に伺ったところ、最近はアナグマやアライグマが増えて、イノシシとの複合対策が必要になってきたとおっしゃっています。イノシシをワイヤーメッシュで仮にブロックできたとしても、体当たりで綻んだ少しの隙間から腕力の強いアナグマ等がこじ開けて侵入してくる。そこがブロックしたはずのイノシシの新たな侵入口ともなっている。そのためワイヤーメッシュに電気柵を加えた二重防御をせざるを得ないのだが、市からは二重防御については補助の対象とならないと言われたことから、負担が増え、鳥獣対策の足かせになっているというものです。  先ほどの課長の答弁では、鳥獣被害防止総合対策交付金について近年市町村から要望が減少しているとのことでしたが、これからは電気柵などの二重防御の追加対策が必要ではないでしょうか。追加対策を進めることについて、県の考えをお聞かせください。 225 ◯山口農山漁村振興課長 国の鳥獣被害防止総合対策交付金では、例えば、既にイノシシ用の侵入防止柵が設置されている状況であっても、アライグマなど新たな鳥獣被害が生じた場合には、それに対応した侵入防止柵の設置も可能となっております。このことについては市町村担当者会議等を通じて説明しているところであり、引き続き市町村に周知を図ってまいります。 226 ◯中村香月委員 追加対策も鳥獣被害防止総合対策交付金の対象であり、市町村へ周知を図っている旨、御答弁いただきました。しかし、今回のように市町村で断られているケースもあるようです。市町村へ追加対策に関して周知をさらに進めていただくようお願いいたします。  次に、中型獣類について伺っていきます。先ほど申し上げたとおり、近年はアライグマやアナグマなどの被害が頻発しています。冒頭に提出いただいた資料を見ると、アライグマの被害金額は年々上昇しており、昨年度の被害金額は二千五百万円、二〇一六年度と比較すると三・五倍以上になっています。  一方で、資料にはアナグマの被害金額の記載がありませんが、県では被害実態を把握していないのでしょうか、お答えください。 227 ◯山口農山漁村振興課長 鳥獣による農林水産物被害調査は、鳥獣被害防止特別措置法に基づいて市町村がJAや農家などに聞き取りを行った結果を県で取りまとめ、全国統一の様式で国へ報告することとなっております。この全国統一の様式にはアナグマの被害額を記載する欄が設けられておらず、その他の獣類として報告を受けております。 228 ◯中村香月委員 その他の獣類として報告を受けているとのことでしたが、本県で作成されている鳥獣被害対策実践マニュアルを見てみるとアナグマは、イノシシ、ニホンジカとともに特筆して対策が掲載されています。これは県としてもアナグマの被害が大きいと判断している証左だと思います。さらに、全国統一様式のため変更ができないとしても、被害金額を調査する目的は実態を把握するためであり、福岡県の実態を把握できなければ意味をなさないのではないでしょうか。  近年、アナグマの被害が出ているという声が上がっているのであれば、まずは県独自でも実態を把握すべきと考えますが、課長の考えをお聞かせください。あわせて、アナグマの被害を把握された場合、具体的にどのように対応されているのかお答えください。 229 ◯山口農山漁村振興課長 被害調査では、市町村からの報告の際に、その他の獣類の被害が前年度から大きく増加した場合には、特記事項として獣種を報告するよう求めております。  県では、この報告を踏まえ、その獣種に対する被害防止対策を指導しております。具体的には、市町村や地域住民、農家を対象として被害防止研修会を開催しており、この中で、アナグマの餌となる生ごみや廃棄する作物を畑に放置しないといった基本的な留意事項に加え、効果的な侵入防止柵の設置やわなによる捕獲の方法といった被害防止策について指導を行っております。  また、侵入防止柵の整備や捕獲機材の導入、捕獲活動に係る経費の助成を行っております。 230 ◯中村香月委員 その他の獣類であっても、被害が大きく増加した場合は獣種の報告を求め、対策を指導しているとの答弁をいただきました。  お示しいただいた資料の中段にある獣類による農林水産物被害の推移の表の獣類の項目は、先ほど回答いただいた全国統一様式と同じものが記載されています。御覧のとおり、被害金額が低い獣類や本県には生息しない熊等は被害金額を調査する欄があり、実際に被害報告を受けているアナグマの調査欄がないのは疑問に思えてなりません。鳥獣被害は、まず何より実態を把握しなければ対策を実施できません。全国統一様式を使用するだけでなく、本県の実態に即した調査を実施していただくよう強く要望いたします。  最後に、これまで様々な対策が打たれてきて、努力の結果、被害額は年々減少してきたものの、近年は停滞している状況です。本県の鳥獣被害対策の前進を見届けるためには、全国一律の制度だけに頼らず、福岡県独自の施策も並行して展開すべきと思えて仕方ありません。  そのことも踏まえて、鳥獣被害の軽減に向けた部長の決意をお聞かせください。 231 ◯大橋克己副委員長 重吉農林水産部長。 232 ◯重吉農林水産部長 本県では鳥獣による農林水産物の被害を軽減するため、侵入防止、捕獲、鳥獣の有効活用までの対策を一体的に実施しているところでございます。この結果、鳥獣による農林水産物全体の被害額は、ピーク時の平成二十二年度の十五億七千五百万円から、昨年度は七億四千二百万円まで減少しているものの、委員から御指摘がありましたように、近年の被害額は横ばいで推移している状況でございます。  このため、これまでの対策に加えまして今年度からは新たに、県による市町村域を超えた一斉捕獲や、マンツーマン指導により狩猟者を育成する取組を開始しております。こうした取組を市町村や猟友会、農業団体といった関係機関と連携しまして実施し、さらなる被害の軽減を図ってまいります。 233 ◯中村香月委員 終わります。(拍手) 234 ◯大橋克己副委員長 ほかに質疑はありませんか。小河誠嗣委員。 235 ◯小河誠嗣委員 緑友会福岡県議団の小河誠嗣です。  質問通告に従いまして、新規就農者の確保・定着について質問させていただきたいと思います。  農業における人材の確保については、我が会派から何度となくただしてきたところでございます。一口に新規就農者といっても、Uターン就農や新規学卒での親元就農、農外から新たに農業を始める新規参入、そして農業法人等に就職する雇用就農と、形態は様々であります。  国では、新規就農者の支援として、農業次世代人材投資資金を設けており、本県でも活用が進んでいると聞いておりますので、数点質問をさせていただきたいと思います。  執行部に、新規就農者の状況に関する資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいをお願いいたしたいと思います。 236 ◯大橋克己副委員長 お諮りいたします。  ただいま小河委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議はございませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 237 ◯大橋克己副委員長 御異議がございませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま小河委員から要求がありました資料については提出できますか。川口後継人材育成室長。 238 ◯川口後継人材育成室長 直ちに提出いたします。 239 ◯大橋克己副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 240 ◯大橋克己副委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 241 ◯大橋克己副委員長 資料が配付されましたので、小河委員、質疑を行ってください。 242 ◯小河誠嗣委員 それでは、今、配付されました資料の説明をお願いしたいと思います。 243 ◯川口後継人材育成室長 直近五か年の新規就農者の推移を見ますと、平成二十九年以降三百八十名を超えており、令和三年度は過去最多の三百八十九名となっております。内訳としましては、法人等に雇用される形で就農した方が百六十三名で、全体の四二%を占めており、次に、農外からの新規参入が百四十九名で三八%、親元で就農するUターンと新規学卒が、合わせて七十七名で二〇%となっております。  下の表は、直近五か年の国の農業次世代人材投資資金の実績でございます。準備型は、就農前の研修中の所得の確保を支援するもので、五年間で合計百九十四名となっております。経営開始型は、就農後の経営が軌道に乗るまで最長五年間の所得の確保を支援するもので、合計四百二十五名となっております。 244 ◯小河誠嗣委員 就農後の定着率はどのようになっているのでしょうか。また、離農した方の主な理由はどんなものでしょうか、お答えいただきたいと思います。 245 ◯川口後継人材育成室長 新規就農者の就農五年後の定着率は九三%となっております。県ではアンケートにより離農の理由を調査しており、家庭の事情や御本人や御家族の御病気が主な理由となっております。一方で、離農された方の約半数からは明確な回答を得られておりません。 246 ◯小河誠嗣委員 農業次世代人材投資資金の概要を説明いただきましたが、その定着率はどのようになっているのでしょうか。 247 ◯川口後継人材育成室長 経営開始型を受給された四百二十五名のうち、営農を継続されている方は四百五名で、定着率は九五%となっております。 248 ◯小河誠嗣委員 農業次世代人材投資資金の経営開始型を受給された方の定着率は九五%と、最初に説明をいただいた新規就農者全体の定着率九三%に比べ、二ポイントほど高くなっております。資金を活用することで定着に一定の効果があることがよく分かったところでございます。しかし、逆に言えば、五%はやはり離農しているということでございます。先ほど、半数ほどから離農の理由を回答いただけなかったということですが、経営開始型の資金を受給したものの離農された方の理由は、補助金を交付している以上、しっかりと把握されていると思います。  そこで伺いますが、どのような理由で離農されているのかお答えいただきたいと思います。 249 ◯川口後継人材育成室長 営農継続を断念された理由としましては、実際に農業を始めてみたものの思うような収益が確保できなかったことが最も多く、次いで、家庭の事情や御本人の御病気などとなっております。 250 ◯小河誠嗣委員 やはり新規就農者が定着するためには、資金面の支援だけでなく、収益を上げていくための支援がなければ営農継続ができないということだと思います。  そこで、県は、就農間もない新規就農者がより確実に定着をするために、具体的にどのような支援をしているのかお伺いしたいと思います。 251 ◯川口後継人材育成室長 県では就農間もない新規就農者が収益を確保できるよう、普及指導センターにおいて、土づくりや病害虫対策、農業簿記などを学ぶ営農基礎講座を開催するとともに、個別に巡回指導するなど、技術面、経営面からの支援を行っております。また、県内の新規就農者相互の意見交換やプロジェクト発表などの技術研さんの機会を通じまして、経営者意識の醸成を図っております。
    252 ◯小河誠嗣委員 私も先日、私の地元で柿生産者の集まりに同席する機会がございました。ここでは、普及指導センターから柿の生産販売の状況や技術的な課題、次年度に向けた対応策など、具体的で非常に役立つ情報を提供していただいております。参加された生産者からも大変好評でありました。私は、こういった現場に寄り添った支援が最も定着率に大事なことであると考えております。  次に、親元就農についてお伺いしたいと思います。農家の子弟が家業を継ぐ場合は、技術の習得や機械、施設の調達の面で、スムーズな就農ができると思います。そうであればこそ、しっかりと支援すべきでないかと考えているところでございます。  国は親元就農に支援を広げたということでございますが、その具体的な内容をお伺いしたいと思います。 253 ◯川口後継人材育成室長 国では農業次世代人材投資資金の後継事業として、令和四年度から内容を拡充し、新規就農者育成総合対策を創設しております。この対策では新たに、国と県とが連携して、親元就農も含めて、新規就農者の営農開始時に必要となるトラクターや乗用管理機、育苗施設などの導入を支援しております。 254 ◯小河誠嗣委員 機械や施設の導入を支援し、初期投資の軽減を図っていることは分かりました。しかし、農外から就農するには、農地の確保に加え、地域になじんで生活していく必要があるといった様々な課題もあると思います。  そこで、新規就農に当たって県では、市町村やJAと連携し、どのような支援を行っているのかお伺いしたいと思います。 255 ◯川口後継人材育成室長 新規就農に当たっては、営農から生活関連まで様々な準備を整える必要がございます。このため、就農希望者が円滑に農業を開始できるよう、普及指導センターや市町村、JAで組織する地域の協議会におきまして、農地や中古ハウスなどに関する情報の提供に加え、生活関連の相談対応などの支援を行っております。 256 ◯小河誠嗣委員 それから、最近の国際情勢を見るにつけまして、食料の安全保障や自給率の向上など、我が国の農業を守り抜くことは重要だと強く感じております。このために将来の本県農業を担う人材の確保が重要であり、その人材をしっかりと育成し、定着させていくことが不可欠と思っております。  そこで最後に、農林水産部長にお尋ねをします。今後どのように新規就農者を確保、定着させていくのか、お答えをお願いしたいと思います。 257 ◯大橋克己副委員長 重吉農林水産部長。 258 ◯重吉農林水産部長 県では、国の交付金制度を活用しまして就農前後の所得の確保を支援しますとともに、機械施設の導入を支援し、営農開始に当たりまして課題となっております初期投資の負担軽減を図っております。  また、就農後は、普及指導センターにおきまして、農業の基礎を学ぶ営農講座を開催するとともに、個別に現地を巡回し、きめ細かな技術や経営指導を実施しているところでございます。  県としましては今後ともこうした取組を通じまして、新規就農者を一人でも多く確保し、定着が進むよう努めてまいります。 259 ◯小河誠嗣委員 今、部長から新規就農者に対する強い思いを聞かせていただきました。次代の農業を担う人材の育成は本県農政の重要な課題であります。一人でも多くの新規就農者を確保し、確実に育てていくことが必要と考えております。そのためには、県が市町村やJAなどの関係機関と連携し、農業に夢を抱いてチャレンジする新規の就農者に寄り添い、自立した農業経営者へと導いていただきますよう要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。(拍手) 260 ◯大橋克己副委員長 ほかに質疑はございませんか。西尾耕治委員。 261 ◯西尾耕治委員 公明党の西尾でございます。  本県の林業再生について質問をさせていただきます。  我が国は、国土面積の約三分の二を森林が占める世界有数の森林大国であります。森林から生産される木材は、昭和三十九年に輸入が完全自由化されたことに伴って、安価な外国産材が流入し、我が国の木材の価格が急激に下落したため、国内の林業経営は非常に困難なものとなりました。当時から約六十年がたち、林業を取り巻く情勢は、戦後に植えられた森林資源が利用する時期を迎えるとともに、脱炭素社会への貢献などによって、復活への歩みが進んでいるように思います。  近年の世界情勢を見ますと、新型コロナウイルス感染拡大、ロシアによるウクライナ侵攻、急激な円安など、目まぐるしい流れで世界が動いていると実感するところであります。こうした中で、食料においては輸入に頼らず、国内の食料供給の重要性が叫ばれるようになっています。いわゆる食料の安全保障というものであります。このことは食料に限らず、木材でも同じことが言えるのではないかと思います。  そこでまず、木材の自給率についてお伺いします。国内で消費する木材のうち国産材の占める割合を指す木材自給率の推移について、まずお答えください。 262 ◯大橋克己副委員長 真井林業振興課長。 263 ◯真井林業振興課長 国内の木材自給率でございますが、昭和三十年代以降、輸入木材の増加により自給率は減少を続けまして、平成十四年には一八・八%まで減少いたしました。その後、増加傾向となり、最新のデータとなる令和二年の木材自給率は四一・八%で、十年連続で増加しております。 264 ◯西尾耕治委員 国内の木材の自給率が四割台にまで回復しているということは、この林業界にとっては林業再生への期待が高まる数字であるように思います。  そこで、次にお伺いしますが、木材自給率が上昇した主な要因は何だと思われるのか、分かる範囲で結構でございますので、お答えください。 265 ◯真井林業振興課長 国の森林林業白書によりますと、木材自給率の上昇は、戦後植林されました人工林資源の充実をはじめ、合板原料としての国産材の利用増加や木質バイオマス発電向け燃料材の需要増加が要因とされております。 266 ◯西尾耕治委員 それでは、森林資源の充実などを背景に全国的に木材の生産量が増加しているようではありますけれども、一方、我が県内における木材生産量はどのような状況なのかお聞かせください。 267 ◯真井林業振興課長 県内の木材生産量でございますが、昨年は三十二万一千立方メートルで、約三十年ぶりに三十万立方メートルを超えまして、十年前と比較して二・三倍に増加しております。 268 ◯西尾耕治委員 大変にすばらしい方向性であるなとは思います。県内でも木材生産量が、今のお話では増加しているということでありますが、ここで、県では生産量を増加させるためにどのような対策を行っているのかお答えください。 269 ◯真井林業振興課長 県では県産木材の生産拡大に向けまして、主伐を行う事業者に対して搬出経費を助成しているほか、生産基盤となります路網の整備や高性能林業機械の導入に対し支援を行っているところでございます。 270 ◯西尾耕治委員 課長の答弁から、県内の木材生産量は順調に伸びているようでありますので、引き続き県産木材の安定供給に向けた支援をよろしくお願いいたします。  次に、近年、スマート林業というワードをよく耳にします。林業のスマート化を進め、これまでの入力による作業からICTなど先端技術の活用により木材生産コストを下げることで、森林所有者の収入増加にもつながるわけであります。私の地元の篠栗町ではICT技術を活用した取組として、航空レーザー測量による森林資源のデータ化に取り組んでいると聞いております。  そこで、こうした航空レーザー測量の取組は県内でどれぐらい進んでいるのか、また、この測量データをどのように活用していくのか、お答えお願いいたします。 271 ◯真井林業振興課長 県では令和二年度から航空レーザー測量によります森林資源のデータ化を支援しておりまして、昨年度までに、篠栗町を含みます九市町村で二万五千ヘクタール分の測量が完了しております。これにより、伐採します木の大きさや本数、作業道の開設に必要な地形データを高い精度で収集できるため、今後、森林組合がこのデータを活用することで、作業員が現場に出向くことなく、伐採量の算出や作業道の設計などの作業計画を作成することが可能となります。 272 ◯西尾耕治委員 ぜひ、この林業のスマート化の取組を今後もしっかりと進めていただきたいと思っております。  さて、昨年からの世界的な木材の供給不足と価格高騰、いわゆるウッドショックを契機に、木材の安全保障を確保する観点から、国産材に現在注目が集まっております。輸入材の供給リスクが顕在化したことで、より一層の国産材の安定供給、安定需要に取り組むことを通じて、これまでの輸入材を中心とした需給構造から脱却して、国産材へと転換を図っていくことが重要であると考えます。木材という再生可能な優れた資源を、いかに持続可能なものとして利用していくかが非常に大事であります。また、それによって林業者の所得が安定し、林業の本格的な再生へとつながっていくものと考えております。  そこでお伺いいたしますが、本県における木材の用途別の活用状況はどのようになっているのかお答えください。 273 ◯真井林業振興課長 木材の用途別の活用状況でございますが、昨年は、建築用材が二十六万八千立方メートルと、全体の約八割を占め、このほか燃料用の木材チップや合板の原料として活用されております。 274 ◯西尾耕治委員 建築用材の活用が八割を占めているということであります。恐らく、この大半が住宅用として活用されていると思いますけれども、この人口減少の時代を迎える中、私は、将来を見据えた木材利用に今こそ取り組んでいくべきではないかと考えております。  今後は、住宅だけではなくて、もちろん商業施設や事務所などの木材利用を進めていくことが必要ではないかと考えますが、この課題に対して県ではどのような取組を行っているのかお伺いいたします。 275 ◯真井林業振興課長 県では、商業施設など民間施設での木材利用を進めるため、木のよさを生かしたモデル的な木造建築物の表彰を行いますとともに、木造・木質化を検討する事業者に対しまして建築士をアドバイザーとして派遣しまして、設計や工法についての技術的な支援を行っているところでございます。  加えて、これまであまり木材が使われてこなかった店舗やオフィスなどにおきまして、木質化といった新たな需要を創出するため、県産木材を利用し、新型コロナの感染防止対策を行う事業者に対しまして、改装経費の助成を行っているところでございます。 276 ◯西尾耕治委員 さて、国は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質ゼロにするカーボンニュートラルの達成を目指すこととしており、SDGsやパリ協定などでも見られるように、国際的にも環境保全の取組が加速しております。森林は、地球温暖化の防止や山地災害を防止するなどの様々な機能を持っており、森林そのものが様々なSDGsに貢献しております。また、木材を利用する行為自体がSDGsに貢献し、それを森林の保全に還元されることで大きな循環につながるわけであります。  私は今回、林業の再生をテーマに質問をさせていただいたわけですけれども、林業の再生のためには、五十年という長い年月をかけて育てられた木材をしっかりと利用していくことが重要でありますし、それによって、林業者への継続した支援にもつながるわけであります。私は今、林業の再生に向けて、それを後押しする大きな流れができつつあるように思います。このチャンスを逃さず、木材の利用拡大を積極的に進め、林業再生に向けた歩みをしっかりと前へ進めていただきたいと思っております。  最後に、木材の利用拡大に向けた重吉部長の決意をお聞かせいただきたいと思います。 277 ◯大橋克己副委員長 重吉農林水産部長。 278 ◯重吉農林水産部長 委員から御指摘ありましたとおり、長期的には住宅分野での木材需要の減少が見込まれる中、将来を見据えた民間施設などでの県産木材の利用を拡大していくことが必要であると考えております。県としましては、持続可能な林業経営の確立に向けまして、利用期を迎えた森林資源の循環利用を進めてまいります。また、木造ビルなどの新たな木材需要を獲得しまして、県産木材のさらなる利用拡大に取り組んでまいります。 279 ◯西尾耕治委員 部長から強い決意をお聞きいたしました。木材の利用拡大がもたらす意義は大変大きく、さらなる林業者への支援を含め、本県の林業再生に向けてしっかりと取り組んでいただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手) 280 ◯大橋克己副委員長 ほかに質疑はございませんか。高瀬菜穂子委員。 281 ◯高瀬菜穂子委員 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。通告に従いまして質問を行います。  ロシアによるウクライナ侵略は、世界の食料問題にも深刻な影響を広げています。我が党は綱領で農業を基幹的産業と位置づけ、食料自給率の向上を政策の柱に据え、農業の再生のための提案を行ってきました。しかし、農業人口は減り続け、今般の物価高騰の中で続けられない、地域農業が崩壊すると、これまでにない悲痛な声をお聞きしております。本県の農業を振興する立場から、以下、質問を行います。  まず、総農家数、基幹的農業従事者数、経営耕地面積等の推移について資料要求をしておりますので、委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。 282 ◯大橋克己副委員長 お諮りいたします。  ただいま高瀬委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議はございませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 283 ◯大橋克己副委員長 御異議がございませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま高瀬委員から要求がありました資料については提出できますか。梶原農林水産政策課長。 284 ◯梶原農林水産政策課長 直ちに提出いたします。 285 ◯大橋克己副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 286 ◯大橋克己副委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 287 ◯大橋克己副委員長 資料が配付されましたので、高瀬委員、質疑を行ってください。 288 ◯高瀬菜穂子委員 資料をお配りいただきました。簡潔に御説明をお願いいたします。 289 ◯梶原農林水産政策課長 令和二年度の本県の総農家数は約四万一千戸、販売農家数は約二万七千戸、基幹的農業従事者数は約三万八千人と、二十年前と比べまして四割から五割程度減少しております。  基幹的農業従事者数のうち、六十五歳以上の割合は六六%、七十五歳以上の割合は三〇%と、二十年前に比べまして高齢化が進んでおります。  次に、経営耕地面積は約六万一千ヘクタール、農業産出額は千九百七十七億円と、二十年前に比べまして二割弱の減少となっております。  なお、新規就農者数は、近年三百八十人程度で推移しております。 290 ◯高瀬菜穂子委員 私は、二〇一六年の決算特別委員会でも農業問題を取り上げました。その際、毎年農家数で二千戸、農業就業者で三千人前後の離農が進んでいることを指摘した、確認したところですけれども、その後もさらに大きく離農が進んでいるという実態が分かります。この二十年で、総農家数が半減、販売農家が四割、農業産出額が四百十一億円も減っています。  特に、この農業産出額がこの五年間で大きく落ち込んでいることについてはどのように分析されているのかお尋ねします。 291 ◯梶原農林水産政策課長 品目別に比較しますと、野菜や花、米などの産出額の減少が大きくなっておりますが、これは天候不良による不作や豪雨災害の発生、コロナ禍による外食需要の減少などが影響したものと考えております。 292 ◯高瀬菜穂子委員 前回の質問の際にTPPの影響についてお尋ねしたんですけれども、この五年の落ち込みというのはその影響ではなくて、毎年の豪雨災害や天候不良、さらにコロナ禍の影響ということですね。天候不良や災害は今後も予測されます上に、TPPの影響は今後ということになると、引き続き厳しい状況が危惧されます。  昨年十二月に、財務省財政制度等審議会の建議が出されていますが、これには我が国の基幹的農業従事者数は、十年後には約四割減少、二十年後には七割減少することが見込まれているなどと書かれておりまして、農業者が今後も大幅に減っていくことが前提になっていることに大変驚きました。  その上で、農地の集約を進め、高収益型と輸出を進めるなどとしていますけれども、これは本末転倒ではないかと思います。内需を高め、自給率を高め、多面的機能を持つ農業の従事者を増やす方向こそ大事だと考えますが、この財政制度等審議会の建議の認識について、県はどう思われているでしょうか。 293 ◯梶原農林水産政策課長 この財政制度等審議会の資料における基幹的農業従事者数の将来推計は、近年の趨勢を機械的に延伸したものと聞いております。県としましては、高齢化や人口減少が進む中、農業従事者の減少により、本県農業の持続性が損なわれることがないように取り組んでいく必要があると考えております。このため、新規農業者の育成、確保や担い手への農地の集積などに取り組んでいるところでございます。 294 ◯高瀬菜穂子委員 二十年後に七割減少などとならないように、施策の充実が必要だと思います。  先日、JAの組合長さんにお話を伺ったんですけれども、もうかる農業が強調されているけれども、環境や多面的機能を保っている、守っているのは、大多数のもうからない農業だともおっしゃられ、そのことを大変印象的に聞きました。様々な形で農業従事者を増やすことが求められていると思います。財政制度等審議会の方向では、今ある直接支払制度などもなくす方向ですから、もうからない農業を続けることも難しくなると、私は怒りを覚えています。県としても、この方向では農業は守れないことを国に対して言っていただきたいと思います。  さて、この現状を改善するためには新規農業者を定着させていくことが重要だと考えます。先ほど小河委員から詳しい質疑がありましたけれども、ちょっと改めまして、重なるところがありますが、毎年三百八十人前後の新規就農者を迎えており、その定着率も高いというふうにお聞きしました。  新規就農者の定着のための取組と、実際に就農した農業者からはどのような要望を聞かれているのかをお答えください。 295 ◯大橋克己副委員長 川口後継人材育成室長。 296 ◯川口後継人材育成室長 県では、国の交付金制度を活用しまして就農前後の所得確保や機械施設の導入を支援し、初期投資の負担軽減を図っております。また、就農後は普及指導センターにおきまして、農業の基礎を学ぶ講座を開催するとともに、個別に技術や経営の指導を実施しております。さらに、新規就農者相互の意見交換、プロジェクト発表などの技術研さんの機会を通じまして、経営者意識の醸成を図っております。  なお、新規就農者からは、機械施設への助成や農業技術や経営の指導、農業者相互の交流機会の提供などが求められております。 297 ◯高瀬菜穂子委員 新規就農者の要望に沿った財政面、技術面の支援に加え、交流の場をつくることにも取り組まれているということですね。その中でも、安心して農業分野への挑戦ができるのは、やはり所得補償制度がつくられたからだと思います。  我が党は、価格保障と所得補償で農業の担い手をつくることを政策に掲げてきました。天候不順や災害が起こる中でも農業従事者を増やすためには、新規農業者に適用されている所得補償を広げることが求められているのではないかと思います。ぜひ、さらに頑張っていただきたいと思います。  さて、農業振興のためには、市場を開放し、輸入を増やし、減反を迫るという農政からの転換が求められると思います。ウクライナ危機は食の海外依存の危うさを改めて示しました。日本の食料自給率はカロリーベースで三七%と極めて低く、カロリー供給の中心となる穀物の自給率は二八%で、世界百七十二の国・地域中百二十八番目、OECD加盟三十八か国中三十二番目という低さです。かつて米国のブッシュ大統領は、食料を自給できない国は国際的な危険と圧力にさらされている国だと言ったということですが、まさに日本はそんな危うさの中にあります。  自給率については、県としても目標を持ち、高める必要があるのではないでしょうか。本県の自給率をカロリーベースと生産額ベース、それぞれお答えください。また、全国ランキングも併せてお答えください。県として目標を持つことについてはどのようにお考えでしょうか。 298 ◯梶原農林水産政策課長 本県の令和二年度の食料自給率は、カロリーベースが一七%、生産額ベースが三六%であり、全国順位はともに第三十八位となっております。  食料自給率というのは、ある地域で消費された食料をその地域でどの程度賄えるかを示すものですが、国内では、県境を越えて自由に農林水産物が流通することから、県が独自で目標を設定する意義は低いものと考えております。 299 ◯高瀬菜穂子委員 目標設定の意義は低いとのことでしたけれども、全国の自給率を上げるためにも、県としても何らかの目標を持つことは重要ではないかと私は考えます。  県として自給率向上の施策は進めておられます。どのような取組を行っているのかお答えいただきたいと思います。 300 ◯梶原農林水産政策課長 県では、輸入に依存している麦や大豆、畜産物の生産拡大に向け、これまで高性能機械施設や優良家畜の導入、またラーメン用小麦、ラー麦やはかた地どりといった県独自品種の開発などに取り組んできたところです。  また、担い手の確保、育成や県産農林水産物の販売促進、地産地消などにも取り組んでおります。 301 ◯高瀬菜穂子委員 県独自の品種は、県産米をはじめ、御紹介のあったラー麦、はかた地どりなど、多くの県民から支持され、愛されているというふうに思います。こうした品種開発にさらに取り組んでいただきたいと思います。  自給率向上のためには、開発とともに販路の確保が重要であり、地産地消の取組が特に大事だと考えます。本県議会においても、地産地消の学校給食は度々議論されています。農林水産部としても、県産米への助成を行い、県産小麦や米粉のパン、県産小麦の麺やナン、野菜などの供給で努力をされていると思いますが、さらに大きく学校給食などへの活用が広がるように取り組んでいただきたいと思います。  そこで、学校給食を含め地産地消を推進するため、どのように取り組んでおられるのか、お答えください。 302 ◯大橋克己副委員長 前田食の安全・地産地消課長。 303 ◯前田食の安全・地産地消課長 県では、学校給食における地産地消を進めるため、食育・地産地消ふくおか県民会議やJAと協力して、県産米の利用を支援しており、その全ての学校で県産米が利用されております。  また、農林水産業の応援ファミリーを対象としまして、家族で食を学べるよう、野菜の収穫やみそ作りなどの体験や、八女茶、伊都物語などの生産者と交流する現地ツアーを実施しております。 304 ◯高瀬菜穂子委員 学校給食の地産地消は私も二十年来お願いをしておりまして、特に県産小麦のパンの導入は、繰り返し農林水産部と教育委員会に要望してきました。一〇〇%輸入小麦でありました給食パンは今、県産小麦五〇%のものや米粉パンなどのシェアが増えております。また、県産小麦のナンはとてもおいしいと評判です。輸入小麦の価格が上がっている今、安全でおいしい県産小麦一〇〇%のパンに切り替えていただきたいと思っておりまして、教育委員会や学校給食会とも協力して進めていただくよう改めてお願いいたします。  次に、家族経営の農家にとって重要な役割を果たしている直売所について伺います。  直売所は、地域農業を守り、自給率向上にも寄与していると考えます。県としては、直売所への支援をどのように行っているかお答えください。
    305 ◯前田食の安全・地産地消課長 県では、昨年度から県内の直売所や観光農園を巡るモバイルスタンプラリーを実施しまして、直売所などを訪問するきっかけをつくって、県産農林水産物の購入を促進しているところでございます。  また、平成二十六年度から、地域の農産物の魅力を体感していただくために、毎月十九日の食育の日に県庁のロビーにおきまして、県内各地の直売所による出張販売を実施しておるところでございます。 306 ◯高瀬菜穂子委員 特に販売促進の支援を行っているということです。さらに、直売所の継続発展のため、それぞれの要望を聞いて、直接支援も強めていただきたいと思います。  次に、自給率にも多大な影響を与えかねない水田活用の直接支払交付金の見直しについて伺います。この交付金見直しは農家をさらに苦しめるものになると、国会では党派を超えて、この方針に対する見直しの要求が出されました。本県においても、この交付金の見直しによる影響があると思いますが、県としてはどのように考えているのかお答えください。 307 ◯大橋克己副委員長 徳田水田農業振興課長。 308 ◯徳田水田農業振興課長 国は、今年度以降の五年間で一度も水稲の作付が行われない農地を交付対象から除くとしておりますが、具体的な要件については現在検討中と承知しております。水田活用の直接支払交付金は、麦・大豆等を組み合わせた水田フル活用の推進とともに、地域の特色ある産地づくりに取り組むための重要な交付金と考えております。今回の見直しに当たっては生産現場から、水稲以外の大豆等の作物を六年以上作付してローテーションを行っている地域もあるので対応が困難などの意見が出されておりますので、県としましては、現場の実態を十分に踏まえ検討するよう国へ要望してまいります。 309 ◯高瀬菜穂子委員 現場の実態をしっかりと国に伝えていただきたいと要望いたします。  最後に、物価高騰対策について伺います。燃油高に円安誘導も加わり、農業資材価格が軒並み高騰、既に今年一月の時点で、肥料価格は前年比一〇%、飼料は一六%、光熱動力費は三四%アップと言われています。燃料や肥料原料の多くを海外に依存してきた日本農業の構造的なもろさが浮き彫りになっていると言えます。  既に六月議会、本九月議会で補正予算が組まれましたが、農家からは、この物価高騰の中、どれだけの農家が生き残れるのだろうとの悲痛な声を聞いています。持続可能な経営となるように引き続きの支援をお願いしたいと思います。  そんな中で先日、宮若市のブドウ農家、また宗像市の畜産農家からお話を伺いました。肥料を自力で作るなど化学肥料を減らす取組、また畜産農家が米などを作る農家と連携して飼料をつくる努力が既に進められておりました。  こうした取組を進めるため、県はどのような支援を行っているのかお答えください。 310 ◯大橋克己副委員長 野田畜産課長。 311 ◯野田畜産課長 肥料の高騰対策につきましては、国の新たな対策の要件であります二つの化学肥料低減の取組を上回る、三つの取組を実施する農業者に対し、ワンヘルスの推進にもつなげるため、県独自の上乗せ助成を実施してまいります。  また、家畜の飼料高騰対策については県独自の支援策として、配合飼料や乾牧草の購入に対する助成を新たに実施するとともに、配合飼料原料の自給率向上に向け、収穫機や飼料用粉砕機など、生産、加工に必要な機械の導入を支援してまいります。 312 ◯高瀬菜穂子委員 今議会で予算化された施策が適用されるということだと思います。  国では、みどりの食料システム戦略も提唱され、化学農薬、化学肥料の低減、有機農業の推進も目標を持って進められています。今回予算化された県独自の支援策の活用を含め、こうした取組を強化していただきたいと思います。  あわせて、自給率向上を柱に、家族農業を含め、全ての農業者を支援し、本県農業を振興していただくよう要望しまして質問を終わります。ありがとうございました。 313 ◯大橋克己副委員長 この際、しばらく休憩します。再開は午後三時十五分といたします。    午 後 三 時 十 分 休 憩    午 後 三 時 十 五 分 再 開 314 ◯秋田章二委員長 ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き議事を進めます。  農林水産部所管分について、ほかに質疑はありませんか。西元健委員。 315 ◯西元 健委員 お疲れさまです。自民党西元です。それでは、通告に従い質問をさせていただきます。  現在、日本における農業は、そのほとんどが化学肥料を使うことを前提として営農されており、作物の育成を安定化し、高収量、高品質を確保するためにも化学肥料は欠くことのできない重要な資源となっております。  振り返ってみますと農業は、古くから家畜排せつ物などを利用し、堆肥など有機物を肥料として、また土づくりに利用して営農してきました。しかし、戦後、化学肥料が手に入りやすくなったこともあり、時代の食糧増産の要請と相まって、使いやすく、価格も手頃な化学肥料を使うことが当たり前となったため、堆肥などの利用がだんだんと減ってきたのではないでしょうか。  また、堆肥などの利用が減ってきたもう一つの理由として、重くかさばる堆肥を田畑に散布するのは非常に労働力にも大変であり、堆肥を作る場所と田畑の場所が離れている場合も多いこともあって、輸送にもコストや労力がかかるという理由から堆肥の利用が減ってきたのではないかと思います。しかしながら、土づくりの資源として、また肥料としても、堆肥が農業にとって重要な資材であることは変わりないと考えます。  一方で、世界的な穀物需要の増加により、中国、インド、アメリカなどが、小麦やトウモロコシなどを食料として、またバイオ燃料の原料として、増産に向け大量に肥料を消費しており、世界における肥料の消費量は年々増加傾向にあります。また、ロシアによるウクライナ侵攻の影響により、化学肥料原料の国際価格が大幅に上昇し、肥料価格が高騰していることから、海外原料に依存している化学肥料の低減を図るとともに、堆肥などの国内資源の活用が必要ではないかと考えます。  そこで、化学肥料の中でも最も重要な窒素、リン酸、カリについて、輸入の状況はどうなっているのか、主な輸入国とその割合についてお答えください。 316 ◯秋田章二委員長 古屋経営技術支援課長。 317 ◯古屋経営技術支援課長 令和二年七月から令和三年六月までの貿易統計では、窒素の原料となる尿素は九六%が輸入で、主な輸入先は、マレーシアが四七%、中国が三七%となっています。リン安はほぼ一〇〇%が輸入で、主な輸入先は、中国が九〇%、アメリカ合衆国が一〇%となっています。塩化カリもほぼ一〇〇%が輸入で、主な輸入先は、カナダが五九%、ロシアが一六%となっています。 318 ◯西元 健委員 国内の農業生産に不可欠な化学肥料のほぼ全量を海外から輸入に頼っているのは、今後の世界情勢や物流システムを見てもリスクが大きいのではないかと言わざるを得ません。直ちに化学肥料を使わないというのも現実的ではないと思います。化学肥料を減らしつつ、減らした肥料分を別の資材で補うことが重要であるのではないかと考えます。化学肥料に代わるものとして誰でも思いつくのが、牛や豚、鶏といった家畜の排せつ物から作られる堆肥であろうかと思います。  そこで質問しますが、県においても様々な作物で堆肥の利用を進められているようですが、そもそも県内の家畜農家が作る堆肥の量はどの程度あるのか、分かりやすくお答えください。 319 ◯古屋経営技術支援課長 昨年度の畜産農家の堆肥製造総量は推定で四十七万七千トンであります。この半数が、家畜の餌となる飼料作物を生産するために畜産農家が自ら使用し、残りの半分は耕種農家に販売しております。この販売される約二十三万トンの堆肥は、仮に稲作で使った場合、県の基準では稲作に必要な堆肥の量とほぼ同量になります。 320 ◯西元 健委員 堆肥の総量だけ見ると、現状でも稲作だけであれば足りるということは分かりました。しかしながら、私の地元でも水稲収穫後に堆肥を散布しているところをよく見ますけども、農家が堆肥を必要とする時期は集中していると思います。堆肥の安定的な生産と利用のためには、日頃から農家と畜産農家が連携して取り組む必要があると思いますが、そのような取組は県内にありますでしょうか、お答えください。 321 ◯古屋経営技術支援課長 糸島市の土地利用型法人は、畜産農家、JAと一体となって堆肥の生産と利用に取り組んでおられます。具体的には、法人が国庫事業を活用し、堆肥舎を整備した上で、近隣の養豚農家、酪農家から提供される家畜ふん尿と、JAのカントリーエレベーターから出るもみ殻などの収穫残渣を混合して堆肥の生産を行っております。この堆肥は、自身の経営する水田で利用するほか、近隣の園芸農家などへの販売も行い、地域における土づくりの拠点となっております。 322 ◯西元 健委員 県内における堆肥の生産や使用状況については分かりました。化学肥料を減らすためにも堆肥は重要であり、耕種農家が使いやすいようにする必要があります。堆肥の生産と利用をどうするのがいいのか。県内に耕畜連携の優良な事例もあるということですので、今後もしっかりそういった取組を行っていただきたいと思いますし、強化していただきたいと思っております。  次に、化学肥料を減らすためには営農技術について向上することも必要かと思います。現在の営農は化学肥料を全く使わないといったことは現実的ではないと言いましたけども、無駄な化学肥料は使わないといった取組も必要ではないかと考えます。どのような取組があるのか、代表的なものをお答えください。 323 ◯古屋経営技術支援課長 化学肥料低減の取組として、まずは作付前に土壌診断を行い、肥料がどのくらい残っているのかを把握し、最適な肥料成分を投入することが基本となります。生育期間中においても、生育状況を診断し、肥料が不足している場合のみ必要な量を施肥します。また、作物の根のあるところに局所的に施肥することでさらに化学肥料を低減する技術が、水稲や麦、大豆、露地野菜などで導入されています。近年では、土壌に残っている肥料成分の量をセンサーで把握し、肥料の量を随時調整する可変施肥機能つき田植機といったスマート農業機械も実用化されております。 324 ◯西元 健委員 先ほどスマート農業機械の説明がありましたが、化学肥料の低減にはスマート農業機械を活用して省力化を図っていくことが必要と思われます。こうした機械は高額なものであり、農業者の負担が大きいと思われますけども、その導入については県はどのような支援を行っているのかお答えください。 325 ◯古屋経営技術支援課長 県では、化学肥料の低減に向け、田植と同時に、根元に適切な量を施用することができる田植機などの導入支援に加え、生育の状況を解析し、施肥の必要性を判断することができるセンシング機能つきドローンなど、スマート農業機械の導入を支援しているところです。 326 ◯西元 健委員 これまでの栽培方法を変更するとなると、農家の方はこれまでどおり品質や収量が確保できるか大変不安になってくるんじゃないかと思いますけども、こうした化学肥料を減らす技術を普及させるために普及センターはどのような指導を行っているのかお答えください。 327 ◯古屋経営技術支援課長 普及センターでは、作物ごとに化学肥料を前提とした施肥基準を設定していますが、化学肥料を堆肥などの有機質肥料に変更する場合、成分量は同じでも作物の生育にどのような変化や影響が出るのかを確認する必要があります。このため、有機質肥料と施肥方法などを組み合わせた技術について実証圃を設置し、実際に農業者に効果を確認していただいた上で、講習会を通じて普及を図っております。このような取組により、化学肥料を減らすための技術を産地全体に広げてまいります。 328 ◯西元 健委員 今回、ロシアのウクライナ侵攻に端を発し、化学肥料の低減がクローズアップされてきました。こうした環境負荷の軽減の取組は、本県では、人と動物の健康、環境の健全性を一つのものとして捉え守っていくワンヘルスの目標として、また、国においては、みどりの食料システム戦略の目標とされるなど持続可能な農業を実現するために重要な課題の一つであると思っております。  この取組を進めていくためには、先ほども申しましたけども、農業者が安定して化学肥料を低減するための技術を投入していただく必要があり、また、県としての取組として、窒素、リン酸、カリをどうするのかというのも考えていかなければならないということで、県の支援というのが非常に重要になってくるのではないかなと思っています。  最後になりますけども、部長にお聞きします。化学肥料を低減していくに当たり、今後県としてどのように取り組んでいくのかお答えください。 329 ◯秋田章二委員長 重吉農林水産部長。 330 ◯重吉農林水産部長 原料のほとんどを輸入に依存する化学肥料の低減を進めることは、農業者の経営安定はもとより、食料の安全保障の観点からも重要でございます。このため県では、国の肥料購入助成の要件であります、化学肥料を低減する二つの取組を上回る三つの取組を実施していただく農業者に対しまして、県独自に上乗せ助成を行う事業について今議会で議決をいただいたところであり、この取組を迅速に進めてまいります。また、肥料低減を図る上で重要な堆肥の生産や利用については、引き続き耕種農家と畜産農家の連携を強化してまいります。  化学肥料低減の取組を着実に進め、環境負荷の軽減を図ることは、まさにワンヘルスの理念を実践するものであります。県としましては、こうした取組を市町村やJAと連携しながら実施することで、ワンヘルスの推進にしっかりとつなげてまいります。 331 ◯西元 健委員 よろしくお願いします。(拍手) 332 ◯秋田章二委員長 ほかに質疑はありませんか。吉田健一朗委員。 333 ◯吉田健一朗委員 自民党県議団の吉田健一朗です。通告に従い、高齢農林漁業者への支援について質問します。  まず初めに、農業、林業、漁業、それぞれの高齢化の状況について御説明願います。 334 ◯秋田章二委員長 山口農山漁村振興課長。 335 ◯山口農山漁村振興課長 直近の農林業センサスなどでは、農業では六十五歳以上の基幹的農業従事者の割合が六六%、林業では六十五歳以上の林業就業者の割合が二三%、漁業では六十五歳以上の漁業就業者の割合が三七%となっています。 336 ◯吉田健一朗委員 最も高齢化が進んでいないのは林業のようですが、それでも高齢者が二三%含まれているとのことです。人里離れた山の中で作業する林業は急斜面で丸太などの重量物を取り扱うことから、危険で体力的にも大変きつい作業であると聞いております。そういった点からも、高齢者も含め全ての林業者が安全に働けるよう労働環境の改善を進めていくべきと考えます。県では、安全で働きやすい環境づくりについてどのような取組を行っているのか、お答えください。 337 ◯秋田章二委員長 真井林業振興課長。 338 ◯真井林業振興課長 県では、森林作業における安全性の向上や労働負荷の軽減を図るため、現場作業員や資材の輸送にも使える路網の整備や、林内作業車をはじめとする林業機械の導入に対し支援を行っているところです。また、労働環境の改善に向けまして、チェーンソーによるけがを防ぐための保護服や熱中症を予防する空調服の購入のほか、危険手当や酷暑手当、退職金共済の掛金に対する助成などを行っているところです。さらに、植林した木を適切に育てるために必要な下草刈りや下枝の除去といった軽作業に対して経費を支援しておりまして、多くの高齢者の方に作業に携わっていただいており、収入の確保につながっております。 339 ◯吉田健一朗委員 次に、漁業については、農業よりも高齢化は進んでいないようですが、林業と同じように、沖合での漁業は危険でかつ重労働と聞いており、沖合での漁業ができなくなった高齢の漁業者は漁業を辞めるしかないのでしょうか。何か県として高齢漁業者が漁業を続けていくための取組を行っているのであれば御説明願います。 340 ◯秋田章二委員長 深川水産振興課長。 341 ◯深川水産振興課長 沖合での漁業が困難となった高齢の漁業者の方につきましては、引き続き漁業を営んでいくために、近場で安全に漁業ができる場をつくることが重要であると考えております。そのため県では、港から近い場所に、メバルやカサゴといった魚類を対象としました魚礁を設置しますとともに、干潟におけるハマグリなどの資源づくりに取り組んでおります。  こうした取組によりまして、糸島漁協では近場の釣り漁業やハマグリ漁が営まれておりまして、また、観光客を対象とした地引き網も行われるなど、高齢の方の収入確保につながっております。県としましては、このような高齢の方が漁業を続けていくための取組を継続してまいります。 342 ◯吉田健一朗委員 林業、漁業の対策は分かりました。やはり最も高齢者対策が必要な業種は農業であることは間違いないと思います。対策をしっかりと講じていかなければ、農業、農村を維持していくことは困難であり、特に、これまでも高齢化が進んでいると言われている中山間地域は言うまでもありません。中山間地域における農業者の高齢化率はどの程度でしょうか、お答え願います。 343 ◯山口農山漁村振興課長 本県の中山間地域は、六十五歳以上の基幹的農業従事者の割合が七一%となっており、先ほど申しました県全体の六六%と比べ五ポイント高くなっております。 344 ◯吉田健一朗委員 かなり高齢化が進んでいるようですが、中山間地域は傾斜があり圃場の区画が比較的小さいといった条件があり、田んぼの草刈りや水路の泥上げなどの作業は高齢者にとってはかなりの重労働であると思います。地域によっては、これができなくなることで農業を辞めざるを得ないと聞いております。  こうした地域において県は、営農継続のためどのように対応しているのかお伺いいたします。 345 ◯山口農山漁村振興課長 高齢化が進む中山間地域において営農活動の継続ができるよう国の中山間地域等直接支払制度を活用し支援を行っているところです。本制度は、中山間地域等における農地の保全や多面的機能の確保を図ることを目的として、平地に比べ不利な農業生産条件を補正する施策であり、水路の泥上げや農道の草刈りといった地域の共同活動を支援しております。  昨年度は、県内三十の市町村で五百二十八地域、四千八百八十三ヘクタールの農地で取組が行われております。 346 ◯吉田健一朗委員 有効な取組であると思いますが、高齢化が特に進んだ地域ではこうした共同活動もできなくなるのではないでしょうか。そうした地域も既に出てきていると聞いておりますが、この点について県はどのように対応しているのかお伺いいたします。 347 ◯山口農山漁村振興課長 高齢化に伴い活動継続が困難になっている集落も出てきていることから、活動が継続できるよう、余力がある周辺集落との統合による連携を進めているところです。  こうした中、飯塚市では、二つの集落が統合し約二・五ヘクタールの農地で、嘉麻市では、六集落が統合し約百二十ヘクタールの農地において、営農継続に向けた体制の強化が図られています。 348 ◯吉田健一朗委員 これまで、特に高齢化が進んだ中山間地域についてお尋ねしましたが、私の地元の古賀市でも農業に従事されている方の高齢化が進んでおり、中には、せっかく生産した農産物を道の駅などに持っていけないとの声をお聞きします。  県ではこの問題にどのように取り組まれているのか、また、県の取組だけではなく、県以外の取組事例もあればお答えください。 349 ◯山口農山漁村振興課長 県では、直売所が高齢農家の庭先や漁港などを巡回して農作物や魚介類の集荷を行えるよう、平成二十八年度に軽トラックに積載可能な保冷庫の導入を支援いたしました。その結果、糸島市の直売所では集荷件数が、導入当初の百五十件から、昨年度は二千七百件まで増加するなど利用が進んでおります。  また、県内の一部JAでは、集出荷場までの距離が遠い生産者に対して、最寄りの支店などで農産物を集め、集出荷場にまとめて移送する取組を行っているところです。 350 ◯吉田健一朗委員 お答えがあった集荷対策については、県の支援により集荷件数が大きく増加するなど成果が得られているため、他の地域にもこの成果を広げていただきたいと思っています。  さて、農林漁業者の高齢化が進む中、お尋ねした集荷、運搬の問題など、きめ細やかな支援が今後も必要になってくると思われます。先ほど、周辺集落との連携による営農活動の継続という説明がありました。私は、先ほどの集出荷も含め、周辺集落や直売所、農林漁業者団体との連携、つまり地域で支え合う体制づくりが今後さらに重要になってくると考えております。また、こういった連携を広めていくためには、核となるしっかりとした組織が必要ではないかと思います。  そこで、今後どのように対応していくのかお伺いいたします。 351 ◯山口農山漁村振興課長 委員御指摘のとおり、農林漁業者の高齢化により、農林水産業の継続だけでなく、日用品の買物なども困難となる集落が出てきており、こうした集落では、周辺の集落と連携し、お互いの支え合う体制づくりが必要となっております。  このような中、国は、複数の農村集落でお互いを支え合う組織として、農村RMOを設立する事業を今年度創設いたしました。この農村RMOは、農林漁業者だけでなく、複数の集落の自治会やPTAなどが参画し、高齢者だけでは困難となった草刈りなどの農用地の保全活動に加え、農林水産物の集荷と合わせた日用品の買物支援や見守り活動などを行う組織です。  国の事業により、体制づくりや活動の試験実施に対し最長三年間の支援が行われ、その後は、農村RMOが自立し、自らの力により活動を継続していくことになります。県といたしましても、地域で支え合う体制づくりとして農村RMOの設立を推進してまいります。 352 ◯吉田健一朗委員 生産した農林水産物を出荷できなければ農林漁業を辞めないといけないとの声も聞かれ、福岡県の高齢農林漁業者支援は待ったなしの状況であります。  この際、高齢農林漁業者の支援に取り組む部長の思いをお聞かせ願います。 353 ◯秋田章二委員長 重吉農林水産部長。 354 ◯重吉農林水産部長 本県の基幹的農業従事者の六割以上が高齢者であるなど、農林漁業者の高齢化が進む中、農林水産物の生産を維持していくためには、高齢の農林漁業者への支援は大変重要であります。  このような中、県では、本年三月に策定しました農林水産振興基本計画におきまして、中山間地域をはじめとした農山漁村の活力を向上させるため、農山漁村を支える多様な人材を確保することとしております。先ほど課長が申しました農村RMOの設立に向け、県としましては、中山間地域があります三十八の市町村に対し働きかけを行うとともに、地域の話合いや将来ビジョンの策定などを支援しまして、地域で支え合う体制づくりにしっかり取り組んでまいります。 355 ◯吉田健一朗委員 終わります。(拍手) 356 ◯秋田章二委員長 ほかに質疑はありませんか。花田尚彦委員。 357 ◯花田尚彦委員 自民党県議団の花田尚彦でございます。通告に従いまして、直鞍地域の農業振興について質問いたします。  私の地元である直鞍地域は、水田農業をはじめとして、ブドウを中心とした果樹や花卉、畜産といった多彩な農業が展開されています。特にこの地域は古くからおいしい米どころとして知られており、福岡、北九州に近い立地条件を生かし、農家や農協等の直売所での販売が盛んに行われるなど、地域の特色を生かした取組が行われています。しかしながら、米については、従来からの消費減少に加えて、コロナ禍により外食需要も減少し、米どころの直鞍地域でも主食用米から他品目への転換を余儀なくされています。  こうした中、大豆などと同様に、主食用米からの転換作物として位置づけられている米粉用米の作付が拡大しております。御承知のとおり、米粉を使用したパンや麺はもちもちとした食感で、揚げ物に使用した場合も小麦粉に比べて油を吸いにくくヘルシーであることが知られています。また、米粉は、小麦アレルギーのある方々にグルテンフリー食材として好まれており、とりわけ昨今、輸入小麦の価格が高騰しているため、その代替としても大いに期待されています。  我が会派の代表質問でもただしたように、国のカロリーベースの食料自給率が低迷し、多くの農作物を輸入に依存する中、福岡県においても、農作物の供給能力を高めるためにできる限りの努力は行うべきであり、米粉用米の生産は農業の持続的発展や食料安全保障の観点からも大変重要であると考えます。  そこでまず、米粉用米について我が県の生産状況はどうなっているのかお伺いします。また、生産が盛んである直鞍地域の状況についてもあわせてお聞かせください。 358 ◯秋田章二委員長 徳田水田農業振興課長。 359 ◯徳田水田農業振興課長 本県における米粉用米の作付面積は年々増加しておりまして、令和三年産は三百二十七ヘクタールで、九州一となっております。県内では特に県北部地域で生産が多く、直鞍地域が全体の約一割を占め、直方市や小竹町で四十ヘクタールが作付されております。 360 ◯花田尚彦委員 九州一ということで、我が県は米粉用米の生産も盛んであることは分かりましたが、この米粉用米の生産には、製粉業者や食品事業者といった、いわゆる実需者との契約が必須となってきます。要するに米粉用米は全量が契約栽培ということになります。  直方市では、遠賀町の飲食店と連携する形で、通常の品種と違った米粉用の品種であるふくのこを生産しています。ふくのこはアミロース含量が多いことから麺に適した品種とされていて、消化吸収が緩やかで食後の血糖値が上がりにくいという特徴もあるので、今後も飲食店からの需要に対応する形で生産の拡大が見込まれているということであります。この遠賀町のお店は鞍手町からすぐそばですので、私も実際に伺い、米粉からできた麺をいただきましたけれども、食感もあり、喉越しがよく、何よりおいしくヘルシーであるため、新たな可能性を感じた次第であります。  このような米粉用米の生産を全県下で推進していくためには、米粉商品をしっかりとPRするなど、出口となる需要の拡大を図る必要があると考えます。このため、六月補正予算において、県産米粉を使用した新商品の開発、販売拡大を支援するとしたところであります。  そこで、県では需要拡大のためにどのように取り組んでいるのかお伺いします。また、補正予算に係る事業の進捗も含めてお答えください。 361 ◯徳田水田農業振興課長 県では、農業者等が取り組む六次化商品の開発を支援するとともに、優秀な六次化商品を表彰しております。この中には、米粉を使用した麺やドーナツといった商品も含まれており、商品のPRや商談会の開催など販路拡大も支援しているところでございます。
     六月補正予算によります県産米粉の新商品開発支援につきましては、県内の食品事業者等を対象に、新商品の企画を先月十六日まで公募したところ、麺やパン、菓子といった食品が三十六事業者、食器やペットフードといった食品以外が二事業者、合計三十八事業者から御応募をいただきました。現在、有識者による審査会で試作品開発を支援する二十事業者を選定しているところでありまして、今後、最終的に選定した三事業者に対しまして、テスト販売や商談会への参加など販売拡大の取組を支援してまいります。  この取組によりまして、県産米粉の需要量が百五十トン程度増加すると見込んでおりまして、これは現在の作付面積の約一割に相当する量となります。 362 ◯花田尚彦委員 多くの事業者から応募があったとのことですけれども、引き続き、県産米粉を使用した商品開発の支援をしっかりと行っていただきたいと思います。  それでは、こうした需要拡大の取組と併せて生産拡大の取組も必要であると考えますが、県ではどのように取り組んでいくのかお答えください。 363 ◯徳田水田農業振興課長 高齢化や人口減少に伴いまして、主食用米の消費量が年々減少しており、需給調整が行われています中、水田の維持活用につながる米粉用米は大豆と同様に重要な品目であり、国の水田活用の直接支払交付金を活用いたしまして、米粉用米の作付拡大を進め、あわせて、麦、大豆等を組み合わせた水田フル活用に取り組んでまいります。  また、この交付金の支払額は収量が多いほど増加するため、主食用米の品種より収量の多い米粉専用品種の導入を進め、その品種に合った施肥技術などの栽培技術の指導を行ってまいります。  あわせまして、生産性を向上させ規模拡大を図るため、今後とも、田植機やトラクターといった農業機械に加えまして、ロボットトラクターやドローンなどのスマート農業機械についても、その導入を支援してまいります。  県といたしましては、こうした取組によりまして、米粉用米の生産拡大と農業者の経営安定を図ってまいります。 364 ◯花田尚彦委員 今回、米粉用米の先進的な取組として、直方市の生産者と、そして遠賀町の飲食店が連携した事例を紹介しました。こうした動きをさらに広め、米粉用米の振興を図るために、県では今後も、生産と需要の両面からその拡大にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  それでは次に、直鞍地域の園芸農業の中心であるブドウの振興についてお伺いいたします。  直鞍地域では、古くからブドウの栽培が盛んで、現在、約七十軒のブドウ農家が生産をしています。  まず、福岡県のブドウの生産の概況について、全国との対比も交えて説明をお願いするとともに、県として福岡県のブドウをどのように認識されているのかお聞かせください。加えて、直鞍地域のブドウの生産概況とどのような特徴があるかもお聞かせください。 365 ◯秋田章二委員長 久保田園芸振興課長。 366 ◯久保田園芸振興課長 本県のブドウは、令和三年産で全国六位の七百十五ヘクタール栽培されております。本県果樹の中では、柿、ミカンに次いで三番目の栽培面積で、市場での取引価格が大幅に伸びている品目でありまして、本県果樹の主要品目の一つとして認識しております。  直鞍地域は、鞍手町、宮若市、直方市を合わせて七十八ヘクタールの栽培面積となっており、久留米・うきは地域、筑後・八女地域に次ぐ産地規模を有する本県の重要なブドウ産地であります。直鞍地域の特徴といたしましては、生産面では、主力品種の巨峰が全体面積の九割を占めていることが挙げられます。また販売面では、農協を通じた市場出荷の割合が少なく、個々の農家が販売施設を設置し、消費者に直接販売するいわゆる直売が多い産地であると認識をしております。 367 ◯花田尚彦委員 県としてはブドウを重要な果樹の品目として認識されているということですね。とりわけ直鞍地域は、福岡都市圏や北九州都市圏という大消費地に囲まれているという立地条件もあって、それぞれの生産者さんが自身の名前で直接販売するという形態が主流であり、それが魅力となっているわけでもあります。  私は大のブドウ好きでありますので、今年も地元のブドウ農家さん約三十軒に伺い、話をしたところ、どちらの農家の方々においても、様々な地域からおいしいブドウを買い求めて多くのお客様が来園されておりました。当初は雨不足による心配もありましたけれども、味も見た目も立派なブドウができており、決して安くないにもかかわらず、多くのお客様がたくさん購入していかれておりました。まさにこれは、農家の方々の自らの長年の努力によって、新鮮で、期待したブドウを購入するために訪れる固定客がたくさんいらっしゃるからだと考えております。  こうした直売所型は、特に訪れる消費者のニーズに的確に応じていくことが必要となると思いますけれども、そのために直鞍地域のブドウ生産にどのような提案や支援を行っているのかお伺いします。 368 ◯久保田園芸振興課長 県では、普及指導センターやJAなどが参加し、生産販売状況を踏まえ、今後、県内で導入を推進する品種の検討会議を定期的に開催しております。この会議の結果を受けまして、直鞍地域を管内といたします飯塚普及指導センターでは、多様な消費者ニーズに対応するため、全国的に人気を博しているシャインマスカットの導入を推進しています。また、近年の温暖化を踏まえ、より色づきが良い品種や系統への転換を進めています。これらの取組に当たっては、国の果樹経営支援対策を活用して、改植等に係る経費について支援をしているところであります。 369 ◯花田尚彦委員 今述べられたように、近年はシャインマスカットが全国的に人気であることは私も認識をしておりますけれども、直鞍地域で生産されているブドウは巨峰が大半であります。もちろん巨峰は特性的にすばらしい品種で、私も大好きでありますので、生産を否定する気は毛頭ありませんが、種がなく、そして皮も食べられるという消費者ニーズの高いシャインマスカットをはじめとした品種を県としてもっと振興してよいのではないでしょうか。  ちなみに、ブドウの主産県である長野県の生産状況を見てみますと、平成二十一年度時点で、巨峰はブドウ全体の面積の七割を占めていました。しかし、一部の関係者がシャインマスカットのよさにいち早く気づき、県や産地が総力を挙げて巨峰からシャインマスカットへの大転換を推進したと聞いております。その結果、令和元年時点では、ブドウ全体の栽培面積の三割まで達しているということであります。  それに対して、我が県のシャインマスカットの栽培面積はブドウ全体の一割で、巨峰は依然七割を占めております。今や国内で栽培されている主なブドウの品種は五十から六十種類と言われておりますので、消費者ニーズを詳細に捉えた産地改革を行っていくには、行政のより戦略的な支援体制が必要だと考えます。  こうした状況に鑑みて、県はブドウの品種構成についてどのような考えを持って、また生産振興を行ってきたのかお伺いします。 370 ◯久保田園芸振興課長 委員御指摘のとおりシャインマスカットは、その特性から現在最も消費者ニーズが高い品種であると認識しており、市場単価の高さがそのことを裏づけております。  こうした中、本県は、山梨県や長野県などの主産地に先駆けて出荷できる巨峰の産地として評価されておりまして、市場関係者からは、品質の高い巨峰を今後も安定供給するよう望まれております。このため県ではブドウ農家に対して、巨峰を中心にシャインマスカットを組み合わせた経営を推進しております。こうしたことにより、巨峰を需要の高い盆前に出荷し、その後シャインマスカットを出荷して、収穫作業の分散と長期販売を行うことで農家の経営を図っておるところでございます。 371 ◯花田尚彦委員 ブドウ振興に当たっての考え方は分かりました。地元の現状を見ますと、ブドウへの期待は上がってはいるものの、生産規模の縮小や、また農家の減少は続いております。県が考えるブドウ産地の維持、発展に向けた展望や取組は、やはり少し甘かったのではないかと感じております。消費者ニーズを適時に捉えて、理想的な品種構成に誘導することは難しいとは思いますけれども、ブドウ農家の所得向上や経営安定のために、市場の販売状況や品種の開発状況、あるいは他県の生産動向等を幅広く収集して、将来に向けた品種の導入努力を引き続き検討していただきたいと思います。  また、ブドウ産地の維持については特に重要な課題でありますので、別の切り口から質問させていただきます。  近年、ブドウを生産する上で、生産者や臨時雇用の方々の高齢化が進んできていることから、作業の省力化とともに、やはり労働力の確保自体が重要とされています。栽培にはかなりの労力が必要でありますが、売れ筋のブドウは特に収益性も高いため、失うには本当に惜しい品目であります。  そこで、生産者の高齢化が進む中で、直鞍地域のブドウ産地の供給力を維持していくために、作業の省力化や労働力の確保の課題に対してどのように対応していかれるのかお伺いします。 372 ◯久保田園芸振興課長 県では、農作業の省力化につながる無人草刈り機やアシストスーツといったスマート農業機械について、実演会の開催などにより導入を推進いたしますとともに、こうした機械や作業労力の分散に有効なハウス、トンネル施設の導入に対する経費を支援しております。また、農作業の労働力不足に対応するため、過剰農作業に対応できる臨時作業員を派遣する人材派遣会社等の情報について提供しておりまして、その活用も促進しておるところです。加えまして、産地維持の観点から、新規就農者の確保、定着を図るため、就農希望者への各種支援策の情報提供や、就農間もない生産者に対する個別の巡回指導などを行っているところでございます。 373 ◯花田尚彦委員 担い手の高齢化や臨時労働力の不足に対して様々な取組を行っておられるのは分かりました。しかし、この程度の取組では、ブドウ産地の規模縮小の進度は、仮に鈍化はしていったとしても止めることはできないと思います。  直鞍地域では、将来の産地を支える若手のブドウ農家が、産地を盛り上げるために積極的に今頑張っておられます。そういった方たちの新たなチャレンジを支援して、産地全体を活性化させ発展させていくような支援が重要ではないかと考えますので、今後も産地に寄り添った県のサポートを期待いたします。  ここまで、直鞍地域の米とブドウを中心にお尋ねしてまいりましたが、最後に、直鞍地域全体の農業振興についてお尋ねします。  直鞍地域は、大消費地に近いという地の利を生かして、農業者の皆様が農産物の生産から販売まで一貫した活動に取り組んでおられる方が多い地域であります。これに対して、県行政には、地域の農業が発展するため、必要な施設、機械の導入支援に加えて、栽培指導や農業者にとって有益な情報提供が求められていると私は考えます。  そこで、最後にお伺いします。直鞍地域の農業全体が今後も発展するための県の果たすべき役割について、部長の決意をお聞かせください。 374 ◯秋田章二委員長 重吉農林水産部長。 375 ◯重吉農林水産部長 県では、農林水産振興基本計画に基づきまして、稼げる農林水産業の実現に向け、マーケットインの視点で生産力の強化に取り組んでおるところでございます。直鞍地域は、水田農業の大規模経営をはじめまして、近年では米粉用の水稲の生産が拡大するとともに、大消費地に近い立地条件を生かしましたブドウの直売など、消費者ニーズに的確に対応して発展してきた産地でございます。今後とも、米粉の専用品種であるふくのこやシャインマスカットなどの優良品種の導入と併せまして、普及指導センターによります技術指導を行うとともに、先進的な施設、機械の導入を引き続き支援してまいります。  特に米粉用米は、輸入小麦の代替として期待でき、水田の維持、活用にもつながることから、食料安全保障の観点から重要な取組であると考えております。このため、米粉用米の利用拡大に向け、県産米粉を使用した新商品の開発、販売拡大といった明日につながる取組についてもしっかり進めてまいります。こうした取組を通じまして、直鞍地域の農業者の皆様の経営発展を後押しし、稼げる農業の実現を推進してまいります。 376 ◯花田尚彦委員 部長、決意ありがとうございました。  今回の質問を総括しますと、消費者のニーズをしっかりと吸い上げて、そして詳細な数字や動向を行政ができるだけ把握して、生産者に対して情報化あるいは予算化して支援すると同時に、販路も拡大させていくことで、最終的に農業者の所得を向上させ、そして労働力や後継者を維持していくというこのスキームを確立していかなければならないということであります。  しかし、独自開発であったり、あるいは直売などの場合、それぞれが生産情報や顧客情報を抱えて、競争優位性も働き、互いに詳細な販売情報や戦略が共有されにくいということから、せっかくのこうした強みが広域化していきにくいという課題もあるということであります。裏を返せば、直鞍地域は、こうした課題にしっかりと取り組んでいけば必ず成果が出る地域であるということを私も確信しておりますので、今後のさらなる支援を期待しまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 377 ◯秋田章二委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 378 ◯秋田章二委員長 ないようですので、以上で第一四一号議案の質疑を終わります。  次に、第一四八号議案「令和三年度福岡県就農支援資金貸付事業特別会計決算」、第一四九号議案「令和三年度福岡県県営林造成事業特別会計決算」、第一五〇号議案「令和三年度福岡県林業改善資金助成事業特別会計決算」及び第一五一号議案「令和三年度福岡県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計決算」の四件については一括議題とし、まとめて説明を求めます。重吉農林水産部長。 379 ◯重吉農林水産部長 それでは、農林水産部所管の四つの特別会計の歳入歳出決算について御説明いたします。歳入歳出決算概要説明書の百八十一ページをお開き願います。  第一四八号議案、令和三年度福岡県就農支援資金貸付事業特別会計決算について御説明いたします。この特別会計は、農業経営を開始するために貸付けた資金の管理回収を行うものでございます。歳入につきましては、収入済額五千七百万円余でございます。収入未済額が生じておりますのは、納入義務者の経済的理由により貸付金償還金が年度内に納入できなかったことによるものでございます。百八十二ページに参りまして、歳出につきましては、決算額四千二百万円余でございます。これは就農支援資金の償還に要した経費でございます。  百八十三ページをお開き願います。第一四九号議案、令和三年度福岡県県営林造成事業特別会計決算について御説明いたします。この特別会計は、県有林、県行造林の経営を行うものでございます。歳入につきましては、収入済額三億二千三百万円余でございます。百八十四ページに参りまして、歳出につきましては、決算額三億二千三百万円余でございます。これは県営林の管理に要した経費でございます。不用額を生じております主な理由は、経営事業費の執行残でございます。  百八十五ページをお開き願います。第一五〇号議案、令和三年度福岡県林業改善資金助成事業特別会計決算について御説明いたします。この特別会計は、林業従事者に対する資金の貸付けを行うものでございます。歳入につきましては、収入済額一億一千六百万円余でございます。収入未済額が生じておりますのは、納入義務者の経済的理由により貸付金償還金が年度内に納入できなかったことによるものでございます。百八十六ページに参りまして、歳出につきましては、決算額百万円余でございます。これは、林業改善資金の貸付けに要した経費でございます。不用額を生じております主な理由は、資金需要が見込みを下回ったことによるものでございます。  百八十七ページをお開き願います。第一五一号議案、令和三年度福岡県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計決算について御説明いたします。この特別会計は、沿岸漁業従事者に対する資金の貸付けを行うものでございます。歳入につきましては、収入済額一億四千百万円余でございます。その下、歳出につきましては、決算額一千五百万円余でございます。これは、沿岸漁業改善資金の貸付けに要した経費でございます。不用額につきましては、百八十八ページに参りまして、その主な理由は、資金需要が見込みを下回ったことによるものでございます。  以上で、農林水産部所管分の特別会計について説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。 380 ◯秋田章二委員長 説明は終わりました。これより質疑を行います。質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 381 ◯秋田章二委員長 質疑がないようですので、第一四八号議案外三件の質疑を終了し、農林水産部所管分の審査を終わります。  以上で本日の議事を終了いたします。  なお、明日の委員会は午前十一時に開き、商工部、企業局、県土整備部及び建築都市部所管分の審査を行いますので、よろしくお願いいたします。  本日はこれをもって散会といたします。    午 後 四 時 三 分 散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...