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令和3年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2021-03-16

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  1. 福岡県議会 2021-03-16
    令和3年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2021-03-16


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1    令和三年三月十六日(火曜日)    午 前 十 一 時 零 分 開 議 ◯栗原 渉委員長 おはようございます。定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。  本日は、令和三年度福岡県一般会計予算の歳出、第五款生活労働費及び第六款農林水産費の審査を予定いたしております。よろしくお願いいたします。  それでは、第五款生活労働費について順次説明を求めます。山田人づくり県民生活部長。 2 ◯山田人づくり県民生活部長 おはようございます。五款生活労働費のうち、人づくり・県民生活部所管分について御説明いたします。令和三年度予算に関する説明書の二百五ページをお願いいたします。  一項県民生活費でございます。その主なものは、一目県民生活総務費の右側の説明欄一番上の職員費でございます。  一枚おめくりいただきまして、二百七ページをお願いいたします。二目県民生活対策費でございます。その主なものは、右側の説明欄、上から二番目のアクロス福岡運営事業費でございます。これはアクロス福岡特定天井改修工事等に要する経費でございます。  一枚おめくりいただきまして、二百八ページをお願いいたします。一項県民生活費の総額でございます。一番下の計欄に記載しておりますとおり、九十六億二千六百万円余でございます。  説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 3 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 4 ◯塩川福祉労働部長 引き続き、五款生活労働費のうち、福祉労働部所管分について御説明を申し上げます。令和三年度予算に関する説明書の二百九ページをお願いいたします。  二項福祉企画費でございます。主なものは、一目福祉総務費の右側、説明欄上から三段目、福岡県総合福祉施設運営費でございます。これはクローバープラザの管理運営や施設整備に要する経費でございます。二項の総額につきましては、二百十一ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、三十七億五千四百万円余でございます。  下の三項児童家庭費でございます。主なものは二百十三ページに飛びます。二目児童措置費、説明欄の上から二段目、保育給付費負担金でございます。これは保育所や認定こども園等の運営に対する県費負担金等でございます。総額につきましては、二百十七ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、六百一億二千五百万円余でございます。  下の四項障がい者福祉費でございます。主なものは、二百二十ページに飛びます。三目障がい措置費、説明欄の一番上、障がい者援護措置費でございます。これは障がい福祉サービスに係る自立支援給付費の県負担金等でございます。総額につきましては、二百二十二ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、四百七十一億三千六百万円余でございます。  下の五項生活保護費でございます。主なものは、二百二十四ページに飛びます。二目扶助費、説明欄の上段、生活保護費でございます。これは町村の区域における生活保護に要する経費でございます。総額につきましては、計欄にありますとおり、三百五十億二千八百万円余でございます。  下の六項社会福祉費でございます。主なものは、二百二十五ページの二目子ども等医療対策費の説明欄にあります子ども、重度障がい児者、ひとり親家庭等の三つの医療対策費でありまして、これは、それぞれの医療費について一定部分を県費で助成するものでございます。総額につきましては、二百二十七ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、百七億七千六百万円余でございます。  二百二十八ページをお願いいたします。七項労働企画費でございます。主なものは、一目労働総務費、説明欄の下から二段目、中小企業労働力確保対策費でございます。これは求職者が中小企業へ就職する場合の支援等に要する経費でございます。総額につきましては、二百三十一ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、十四億九千三百万円余でございます。  下の八項職業訓練費でございます。主なものは、二百三十二ページをお願いいたします。下のほうになりますが、二目職業訓練費、説明欄の上から三段目、職業訓練費でございます。これは高等技術専門校における職業訓練経費等でございます。総額につきましては、二百三十四ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、三十九億三千五百万円余でございます。  下の九項失業対策費一目雇用促進費は、三億二百万円余でございます。主なものは、説明欄の一番下、中高年齢者等雇用促進費でありまして、これは七十歳現役応援センターの運営等に要する経費でございます。
     説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 5 ◯栗原 渉委員長 武濤労働委員会事務局長。 6 ◯武濤労働委員会事務局長 それでは、労働委員会事務局所管分について御説明申し上げます。引き続き予算に関する説明書の二百三十五ページをお願いいたします。  十項の労働委員会費は、一枚おめくりいただきまして、二百三十七ページの計の欄に記載しておりますとおり、二億三千四百万円余をお願いいたしております。これは委員報酬や事務局職員の人件費など委員会の運営に要する経費でございます。  説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 7 ◯栗原 渉委員長 説明は終わりました。  これより質疑を行います。質疑はありませんか。塩川秀敏委員。 8 ◯塩川秀敏委員 自民党県議団の塩川秀敏でございます。通告に従いまして、児童虐待防止対策についてただしていきたいと思います。  まず最初に、要保護児童対策地域協議会及び子ども家庭総合支援拠点の設置状況についてという資料をあらかじめお願いしておりますので、お取り計らいをお願いいたします。 9 ◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。  ただいま塩川委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 10 ◯栗原 渉委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま塩川委員から要求がありました資料については提出できますか。福田児童家庭課長。 11 ◯福田児童家庭課長 直ちに提出いたします。 12 ◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 13 ◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 14 ◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、塩川委員、質疑を行ってください。 15 ◯塩川秀敏委員 私は、一昨年の十二月、そして昨年の三月にこの虐待について質問をさせていただきました。また今回、質問するようになったのは、非常に残念ですけども、篠栗町の翔士郎ちゃん(五歳)の餓死事件、お母さんと知人が逮捕された事件によってでございます。また、今日の読売新聞ですけども、田川のほうでまた、児相が関わった方で無理心中かということで幼い命がなくなっております。ちょっとなかなか質問する気になりませんけど、しっかりやりたいと思いますので答えていただきたい。  篠栗の翔士郎ちゃんを時系列で見ますと、まず、翔士郎ちゃんが行っていた幼稚園の先生が、一昨年の九月にちょっと様子がおかしいですよということを町に言ったたわけです。町は、今皆様のお手元に配ったような要対協で、その家の見守りをしようということを十一月に決定しているわけです。幼稚園の先生もちょっとおかしいことを知っておった、町も要対協をつくって見守りをして、町の職員さんがずっと行かれているわけです。そういう状態で昨年の三月ぐらいまで来るわけですが、児相が直接行動し出すのは、二月の下旬に地域の方から警察に連絡が入って、警察が一回その翔士郎ちゃんの家を訪問したらいなかったので、三月二日に再度行って、このときは会ってきているわけですね。その状況を児相に文書で三月五日に報告しているわけです。警察からの報告で児相が、その前に一回行ってるんです、初めて翔士郎ちゃんに会いに三月十一日に行っているわけです。  まず一つ、三月十一日に児相が翔士郎ちゃんの家に行ったときの状況はどうだったのか、お答えください。 16 ◯福田児童家庭課長 通告を受けました児童相談所は、三月十一日に家庭訪問を行いまして、この子の状況を確認しております。顔色がよく、傷・あざもなく、元気な様子でございまして、兄二人は自宅近くで遊んでいる姿を確認しております。その際、児童相談所の職員は、母は体調不良で寝込んでいるとして会えておりません。 17 ◯塩川秀敏委員 幼稚園の先生の報告から約六か月たって、児相の職員の方が初めて翔士郎ちゃん本人に会ったと。そしたら、今のような状況であったと。その後、次の日、三月十二日と三月三十一日に今度は二回、私の聞いたところによると、そのお母さんのお母さん、いわゆるばあちゃん、親族が引き取りたいということで児相に申し出ているわけですね。そのときに児相は、民法の八百二十条により親権があるので、親権者の了解がないと引き取ることはできませんと答えているわけです。それで、こういう手続をしてくださいと、そこまで言っているんですが、その手続をする状況にあったかどうかというのは、これまた非常に疑問があるところであります。  そして、二回にわたって、三月十一日に児相職員が行って、三月十二日と三月三十一日にばあちゃんから詳しく聞いているはずです。亡くなったのは四月十八日ですよ。そしたら、児相の職員は、その翔士郎ちゃんがどんな状態にあったかということはもう分かっているわけです。そしたら、あなたに親権者の許可があるとかないとか言う前に、何で一時保護しなかったのか。この一時保護できなかった理由をお願いします。 18 ◯福田児童家庭課長 当時の児童相談所の判断でございます。当時、三月二日に警察が体を確認しておりまして、傷、あざがないことを確認しておったこと、それから、三月十一日に児童相談所が本児を直接確認いたしまして、顔色がよく、傷、あざもなく、元気な様子であり、兄二人が自宅近くで遊んでいたと。それと、学校が見守る中で、兄弟児に心配な様子がなかったと。こういったことから差し迫った危険性がないと判断しておりました。  また、本世帯は、篠栗町の要保護児童対策地域協議会におきまして関係機関による見守りを行う世帯と位置づけられておりましたことから、引き続き、篠栗町、粕屋保健福祉事務所、それから学校など関係機関で連携しながら見守りを行うということにしておりました。 19 ◯塩川秀敏委員 今の話は結果的に、三月十一日に会ったときの状況、これは大して危険な状態でないと感じたと。本来、篠栗町が設置している要対協を中心に見守っていこうということであったので、児相はちょっと一歩引いた形で来たと。だけど、僕が言いたいのは、三月十一日に本人に児相は会ってるけど、その十二日と三十一日に、ばあちゃんたちの意見を聞いとるでしょう。同じ人が聞いたかどうか分かりませんよ、これは。だけど、その状態を聞いて、四月十八日に亡くなるということは、相当衰弱しておったと思うんですよね。そういう中で何か差し迫った緊急性が低いとか、それは三月十一日の状況で交じわらせてるだけですよ。刻々と変化している中で、対応が非常に疑問に思います。  そして、一時保護ができないなら、家族が仮に会わせないとか、できないとか言った場合には、児相の職員の方が一歩踏み出して強引にすることもできないという話も聞いていますけども、虐待などが疑われる場合には保護者の同意がなくても、一時保護ということを家庭に入ってもできると思うんですよ。何でそういう対策を取らなかったんですか。説明してください。 20 ◯福田児童家庭課長 一時保護につきましては、県といたしまして、保護者との関係を気にすることなく迅速に児童を保護し、また、その後、信頼関係に基づいた保護者、児童への支援が可能となるように、児童相談所の組織を見直しまして、今年度から一時保護の介入的対応と保護者支援を行う業務の職員を分けて実施しております。  また、そういったことで一時保護にしっかり取り組めるように、法的対応がちゅうちょなくできるということで、弁護士の配置を進めておりまして、二名にしたところでございます。そういったことを踏まえて、しっかり対応するべきだったと考えております。 21 ◯塩川秀敏委員 ちょっと話が食い違っているようですけれども。私が質問したのは、先ほどは、一時保護をするような状況でなかったという答えをいただきました。一時保護する状況でなかったといっても、そういう緊急性、虐待が疑われるような場合には、立入り権者が一時保護にちゅうちょなく踏み込める体制ができたんじゃないですか。このちゅうちょなく踏み込める体制にどれぐらいかかるんですか、それが決定するまでに何日かかるんですか。 22 ◯福田児童家庭課長 一時保護の判断をする前に、まず市町村から情報収集します。そして、原則的に四十八時間以内に決定をして、家庭訪問をして一時保護するという形になります。 23 ◯塩川秀敏委員 四十八時間以内でしょう、これは二日ですよ。そしたら、一時保護しようかなと、はっきりそういう状況ではなかったとしても、ばあちゃんから聞いて分かっとったら二日以内に、そういうことを聞いてすぐ一時保護しとけばね、亡くならなかったかもしれないんですよ。何しようと、大体。三月十一日に行った状況から刻々と変化している中で、一時保護がそういう理由でできなければ、弁護士と諮って二十四時間以内に話をして一時保護すればよかったじゃないですか。もう対応が私はちょっと納得できない。  たまたまここに県の人権啓発を担当された人権・同和対策局長もおいででございますので、こういう虐待は、子供の人権という観点から、人権尊重という観点で、私は大きな人権問題と思うんですが、どのようにお感じになるか、ちょっとお答えください。 24 ◯栗原 渉委員長 田渕人権・同和対策局長。 25 ◯田渕人権・同和対策局長 塩川委員御指摘のとおり、虐待は、児童の人権尊重という観点から重大な問題であり、許されないことと考えております。今お示しされた事件では、子供が死に至る最悪の事態であり、その子供たちの無念さを思うと、本当に言葉もありません。  人権・同和対策局としては、こうした虐待事案が発生しないよう、社会全体で子供の命と人権を守ることの大切さを県民の皆さんに理解していただくため、引き続き人権啓発を推進してまいります。子供たちの命と人権が守られる社会の実現に向け、しっかり取り組んでまいります。 26 ◯塩川秀敏委員 人権・同和対策局としてもしっかり取り組むということですから。もう一回繰り返しますよ。僕、もうこれ以上のことはないと思うんです。幼稚園の先生も関わっとる、知ってるんですよ。町も要対協も知って、町の職員も訪問しとる。警察さんも行って、状況を児相に相談しとる。児相は、一回しかないけども会っている。ばあちゃんも来て話をしている。あと、どういう方法があるんですか。その場でぼすっと殺されたんじゃないんですよ、餓死ですよ。九月から三月まで半年間の間に、なぜ我々大人は何もできなかったのか。  もう聞いています。僕は前の昨年三月に質問したときに、研修をやっていきますということは課長から聞いていますよ。だけど、この現実を見る限り、その研修の成果が出ているとは思えない。今後どうするか、端的にお答えください。 27 ◯福田児童家庭課長 県では児童福祉司等の研修に努めてきたところでございますが、まずはこれをしっかり徹底していくということに加えまして、今後はこういった研修の徹底に加え、現場での対応力を高めていく必要がございます。こういったことから児童相談所職員と市町村職員の合同によりまして、乳幼児健診未受診、それから未就園者などへの対応方法、こういった虐待の兆候に気づきにくい具体的なケースを想定した演習、ロールプレーを新たに取り組み、専門性の向上を図ってまいります。  また、委員御指摘のとおり、児童相談所や市町村の職員一人一人が全ての行動の規範となる人権の視点、人権感覚を持つことはもちろん、子供の権利や命を守るために何をすべきかを常に考え、威圧的な保護者にもひるまず対応する基本的な態度を身につけることが必要だと考えております。このため、子供の権利を守ることを貫く強い姿勢を持ち、子供の命や最善の利益を何よりも重視し、判断する心構えを醸成する研修にも力を入れてまいります。 28 ◯塩川秀敏委員 しっかりやってください。  最後に、僕は塩川ですから、塩川部長さんに聞くと何となく身内のような感じで申し訳ないんですけども、児相は命を守る最後のとりでと言われます。今いろいろお聞きになって、これからの取組の決意を端的にお願いします。 29 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 30 ◯塩川福祉労働部長 児童虐待によって児童が亡くなるという事件が県内で続発をしております。我々の社会の中で最も守られなければならない子供の人権が、このような形でないがしろにされることに、私自身も大変な衝撃を受けております。子供は親の所有物ではないと、最大限の尊重をもって扱われるべき尊厳を持った一個の人格であるということを我々大人一人一人が肝に銘じる必要があると思います。  児相の体制でございますけれども、県ではこれまで五年間で、六つの児童相談所で児童福祉司について七十三名から百名に増員を図ってきたところです。また、児童虐待等を受けた子供のカウンセリング等を行う児童心理司についても、二十五名から三十二名に増員を図ってまいりました。今後とも計画的に増員に取り組んでいきたいと思っております。また、先ほど申し上げましたが、保護者からの威圧的な要求への対応や管轄の警察署との連絡調整などを行いますために、警察官の増員も行ったところでございます。さらに、今年度から一時保護の介入的対応と保護者支援を行う業務を、職員を分けて実施しております。  このように体制整備に取り組んでまいりましたが、実際に見守りを行う児童相談所職員や市町村職員が、家庭訪問等の現場で虐待リスクを発見し、適切な対応を取ることができるよう、職員の相談援助技術等を高めていく必要があると考えております。このため、先ほども出ましたが、今後はこれまでの研修に加えまして、乳幼児健診未受診者や未就園児童の対処方法など、虐待の兆候に気づきにくい具体的なケースを想定して演習を実施してまいります。あわせて、子供の権利を守ることを貫く強い姿勢を持ち、子供の生命や最善の利益を何よりも重視し、判断する心構えを醸成していく研修について、しっかりと取り組んでまいります。  また、子ども家庭総合支援拠点につきまして、現在十市町村が設置済みで、十五市町が設置予定でありますが、今後様々な機会を捉えて拠点設置を強く市町村に働きかけていきたいと思います。よろしくお願いします。 31 ◯栗原 渉委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔に願います。 32 ◯塩川秀敏委員 終わります。(拍手) 33 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。中嶋玲子委員。 34 ◯中嶋玲子委員 おはようございます。福岡県部落差別の解消の推進に関する条例の実効ある取組について質問いたします。  質問に入ります前に、福岡県部落差別問題に関連する条例について、執行部に資料の請求をいたしておりますが、委員長、資料の提出について、お取り計らいをいただきますようお願いいたします。 35 ◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。  ただいま中嶋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 36 ◯栗原 渉委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま中嶋委員から要求がありました資料については提出できますか。中川調整課長。 37 ◯中川人権・同和対策局調整課長 直ちに提出いたします。 38 ◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 39 ◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 40 ◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、中嶋委員、質疑を行ってください。 41 ◯中嶋玲子委員 それでは、執行部から説明をしていただきたいと思います。 42 ◯中川人権・同和対策局調整課長 それでは、配付資料について御説明させていただきます。  資料1)の平成七年の福岡県部落差別事象の発生の防止に関する条例は、同和地区に居住していること、または居住していたことを理由としてなされる結婚及び就職に際しての差別事象の発生を防止し、県民の基本的人権を擁護することを目的としています。この条例では、県には啓発を行う責務があることや、県民や事業者が結婚及び就職に際して同和地区の居住に係る調査などの行為をしてはならないことを規定しております。  平成二十八年に部落差別解消推進法が制定されたことを踏まえ、県では1)の条例を改正し、平成三十一年三月に、2)の福岡県部落差別解消推進条例を施行しております。この条例では、現在もなお部落差別があること、部落差別は許されないものであること、この認識の下に、これを解消することが重要な課題であるということを改めて明らかにしております。  条例の内容につきましては、資料のとおり三点となっておりまして、県民一人一人の理解を深めるよう努めることを基本理念としていること、さらに、県が実施する施策を定めていること、また、結婚や就職に際しての部落差別事象の発生の防止について、旧条例の内容を引き続き規定しております。 43 ◯中嶋玲子委員 説明ありがとうございました。ただいまの説明のとおりに福岡県では同和問題の解決に努めてきましたけれども、従来からの差別発言や差別落書きに加えて、情報化の進展によりインターネット上での差別書き込みなど、新たな部落差別事象が発生しています。国は部落差別は許されないものであるとする法律を施行し、地方自治体はその地域の実情に合った対策を取るように努めるものと規定しました。こうしたことから、二〇一九年(平成三十一年)に福岡県は、福岡県部落差別の解消の推進に関する条例を制定したという説明でした。  そこで、二点目の質問です。本県内で発生した部落差別事象について、県として把握しているかを伺います。県の部落差別の解消の推進に関する条例制定前の平成二十六年から平成三十年度までの過去五年間で何件部落差別事象が発生しているかをお答えください。また、どのような事案が発生しているかも併せてお示しください。また、そうした事例に対し、どのような対策を講じてきたのかを併せてお聞きします。 44 ◯中川人権・同和対策局調整課長 平成二十六年度から平成三十年度までの五年間で、県や市町村で把握した差別事案は合計百四十件となっております。  差別事案の内容は、同和地区やその地区に住む方々に対する差別発言、公共施設への同和地区を排除、誹謗中傷するような落書き、また、市町村への同和地区の問合せ、インターネット掲示板に同和地区を明示したり、誹謗中傷する書き込みなどとなっております。  こうした差別事象への対策としまして県では、福岡県人権教育・啓発基本指針を策定し、県民一人一人が部落差別の解消について理解を深められるよう啓発活動に取り組んでおります。これまで、毎年七月の同和問題啓発強調月間を中心に、講演会の開催やテレビ・ラジオなど様々な媒体を活用して啓発活動に取り組んでまいりました。また、中嶋委員にも講師を務めていただいておりました講師団講師あっせん事業につきましては、それぞれの職場や地域で人権研修に講師を派遣する事業でございますが、年間五百件ほどの御利用をいただいているところでございます。 45 ◯中嶋玲子委員 五年間で百四十件というのはまさに驚くべき数字です。部落差別のない社会を実現するということで、部落差別の発生防止の条例を制定したわけです。その成果が全く上がっていないということです。  それでは、二〇一九年の福岡県部落差別の解消の推進に関する条例制定以降では、本県内での差別事象の発生について、県として確認した事例が何件あったのかお聞きします。 46 ◯中川人権・同和対策局調整課長 条例施行後に県や市町村で把握した差別事案は、令和元年度で二十三件となっております。このほか、県では昨年七月から、インターネット上の部落差別に関する書き込みを確認しており、二月十五日現在で千十五件の差別書き込みを発見し、サイト管理者等に対して九百三件の削除要請を行っております。残る百十二件につきましても削除要請を行うこととしております。  なお、サイト管理者に対して行いました九百三件の削除要請のうち、五百六十七件は削除されておりますが、八十八件は削除されず、残り二百四十八件はサイト管理者により処理中という状況になっております。 47 ◯中嶋玲子委員 そうした差別事例に対して対応してきたということですけども、この条例を制定した以降でも二十三件、そしてネット上の書き込みも一千十五件も差別事象が福岡県内で発生しているということは、部落差別の解消において、後でできた改正したこの条例も実効性を上げていないということの証左であると思います。対応、対策の不備をここでは強く指摘をしておきます。  さて、次の質問でございます。今、二十三件に、千十五件ということに対して、どういう状況であり、どんな対応をされたのかお答えください。 48 ◯中川人権・同和対策局調整課長 県では条例制定以降、この条例に基づきまして、教育・啓発、相談体制の充実、部落差別の実態に係る調査に取り組んでおります。まずはこの条例を多くの県民の皆様に知っていただけるよう、ポスターやチラシなどのほか、県の広報媒体を活用して周知に努めております。次に、弁護士による無料の電話法律相談ふくおか人権ホットラインというものを昨年度から開始し、相談体制の充実を図っております。  また、部落差別の実態に係る調査につきましては、今年度インターネット上の部落差別に関する書き込みの確認や削除要請を行っているほか、人権問題に関する県民意識調査を定期的に実施しているところです。これらの施策につきましては、今年度設置しました学識経験者等で構成する福岡県部落差別解消推進協議会の御意見を聞き、実施することとしております。 49 ◯中嶋玲子委員 対策を講じてこられたということですけども、昨今、全国的にも新たに差別事象が起きていることは御存じだと思います。情報化の進展に伴い、インターネット上での部落差別が発生していることを大変懸念しています。これまで、インターネット上に全国の同和地区の所在を記載したり、ネット上のフリーマーケットで同和地区の地名を掲載した本を出品するという、「全国部落調査」、いわゆる部落地名総鑑の復刻版が出版、販売されるという事件が発生しています。また、鳥取市内では丸信商事が鳥取ループ講演会を企画、講演するなど、全国的な事象が起きています。ほかにも、全国各地の特定の地区を撮影し、ユーチューブで同和地区と指摘できるような注釈まで加えた動画を配信するといった極めて悪質な事案も発生しています。  そこでお聞きします。福岡県でも同様に、ユーチューブでの県内の同和地区の情報を明らかにするといったような事案が起きていないのか伺います。県が把握している事象があるのなら、具体的差別行為の内容と県の対応、対策についてお答えください。 50 ◯中川人権・同和対策局調整課長 インターネット上の動画サイトユーチューブにおいて、御指摘の動画を確認しております。本県に関する動画も五件確認しております。こうした事案は、差別を助長、拡散するものであると考えております。確認後、直ちにサイト管理者に対し削除要請を行いました。また同時に、法務局からもこれらの事案について削除要請を行うよう依頼をしたところです。また、動画に関連する市町村へ速やかに情報提供しまして、関係市町村からも法務局に対し削除要請依頼を行うなどの連携をして対応しております。 51 ◯中嶋玲子委員 腹立たしいことです。サイト管理者に削除要請を行うことや、啓発、教育することしかできないということですね。  一九九五年制定の福岡県部落差別事象の発生の防止に関する条例及び二〇一九年制定の福岡県部落差別の解消の推進に関する条例の制定以降も県内で差別事象が後を絶たないということに対して、どのように考えてありますか、県としての見解をお聞きします。 52 ◯中川人権・同和対策局調整課長 部落差別解消推進法や県条例制定後も部落差別に関する悪質な差別落書きや個人を誹謗中傷した投書、インターネット上での差別書き込みなどが発生しております。こうした行為は、人としての尊厳を傷つけるだけではなく、差別意識の助長にもつながってまいります。部落差別は決して許されない行為であると考えております。  県といたしましては引き続き、条例に基づき、県民一人一人が部落差別の解消に関し理解を深めていただけるように啓発に努め、部落差別のない社会の実現に向け取り組んでまいりたいと考えております。 53 ◯中嶋玲子委員 こうした事案をなくすために、福岡県部落差別の解消の推進に関する条例の実効性をどのようにして高めていくのかということを課長にお伺いします。もうずっと何十年も同じようなことをやってても、全く解決にはつながらないと思います。 54 ◯中川人権・同和対策局調整課長 県としましては、条例で規定した施策、これを着実に実施することにより条例の実効性を高めてまいりたいと考えております。  まず、条例で定めております相談体制の充実につきましては、相談体制の重要な役割を果たしている隣保館の機能を充実させるため、今年度、隣保館を設置する市町村の協力を得て、隣保館人権課題把握調査に着手したところであります。次に、教育・啓発につきましては、引き続き法律や条例の周知に努めるとともに、講演会や講座の開催、県の広報媒体を活用して、広く県民の皆様に部落差別解消への理解を深めていただけるよう取り組んでまいります。  部落差別の実態に係る調査につきましては、県民意識調査のほかに、隣保館人権課題把握調査の中で部落差別に関する相談状況を把握することとしております。それぞれの調査結果を今後の施策に生かしてまいりたいと考えております。県条例の実効性を高めるため、こうした施策にしっかりと取り組んでまいります。 55 ◯中嶋玲子委員 時間がありませんので急いで質問します。最後の質問になります。  今、日本社会には残念ながらいろいろな差別や偏見が存在します。部落差別はもとより、障がい者差別、女性差別、在日外国人の差別、性的マイノリティーへの差別、さらにはHIVの感染やハンセン病などの感染者への差別があり、今日ではコロナ感染患者、そしてまた医療従事者に対する偏見や差別も発生しています。こうした差別に日常的に苦しめられている方がたくさんいらっしゃるわけです。  私も福岡県人権問題講師団講師の一人として、長年、差別解消のための啓発活動に携わってきました。部落問題をはじめとする差別のない社会の実現を目指して、二十名程度の講師団はそれぞれの分野に分かれ、地域コミュニティーや校区自治協議会、自治体の同和教育推進協議会や企業同推などの研修会で、部落差別をはじめとする差別の防止のために啓発に関わってきました。当局においても長年、差別撤廃に向けた啓発を進めてきたにもかかわらず、県民の皆さんの中に、いわれのない差別を許さないという意識を徹底できていないと考えると、その差別、偏見の根深さに憤りさえ感じます。  そこで最後に、人権・同和対策局の田渕局長にお聞きいたします。福岡県部落差別の解消の推進に関する条例は、部落差別だけではなく、社会のあらゆる差別をなくし平等な社会をつくっていこうというのが本旨であると理解しています。まずは、この福岡県から社会に存在するあらゆる差別を完全になくしていくために、どんな具体的なアクションを起こしていかれるのか。今、先ほどの塩川委員のときの子供の問題と同じように、人権の問題として熱く、そしてしっかりと決意を表明していただきたいと思います。 56 ◯栗原 渉委員長 田渕人権・同和対策局長
    57 ◯田渕人権・同和対策局長 今、中嶋委員から御指摘がございましたように、現在も部落差別をはじめ、女性、子供、障がいのある人、外国人、性的少数者などに対する偏見や差別がございます。こうした様々な人権問題に対し、福岡県人権教育・啓発基本指針を策定し、教育・啓発の基本方向を定めて、それぞれの人権施策に取り組んでいるところでございます。  また、あらゆる差別をなくすためには、広く県民の理解を促進する取組とともに、もう一点、人権侵害を受けた被害者を救済するための制度の確立も重要と考えております。このため、県といたしましては人権侵害を受けた方の救済に向け、実効性のある人権救済制度が確立されるよう、全国知事会要望など様々な機会を捉え、国に対し要望しているところでございます。  今後も一人一人の人権が尊重され、部落差別をはじめ、あらゆる差別のない社会を実現するため、この基本指針に沿って各人権課題を所管する関係部署とも連携し、全庁的な体制の下、一丸となってしっかり取り組んでまいります。 58 ◯中嶋玲子委員 啓発、教育しかできないというもどかしさが県にもあると思います。だからこそ実効性のある人権救済制度が確立される必要があると思います。十数年前に国では人権擁護法案が廃案になったいきさつがあります。ぜひとも一日も早く、この人権救済制度が実現するよう、強く期待と要望をして質問を終わりたいと思います。委員長、これで終わります。(拍手) 59 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。高橋雅成委員。 60 ◯高橋雅成委員 おはようございます。公明党の高橋雅成です。  初めに、コロナ禍の中での少子化対策について質問いたします。  質問の前に、本県における出生数、婚姻件数及び妊娠届出数の状況について、あらかじめ資料を提出していただきますように要求しておりますので、取り扱いのほど、委員長よろしくお願いします。 61 ◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。  ただいま高橋雅成委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 62 ◯栗原 渉委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま高橋雅成委員から要求がありました資料については提出できますか。浦田子育て支援課長。 63 ◯浦田子育て支援課長 直ちに提出できます。 64 ◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 65 ◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 66 ◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、高橋雅成委員、質疑を行ってください。 67 ◯高橋雅成委員 コロナ感染症が続いていまして、その影響だということですけども、昨年、全国的に妊娠届出数が激減して、少子化が十年早まったんじゃないかという報道がございました。大変なショックを受けました。  県の出生数等の昨年の状況について、資料に基づいて説明をまずお願いします。 68 ◯浦田子育て支援課長 それでは、資料に沿って御説明いたします。  まず、一の出生数の推移についてです。先月二十二日に公表されました人口動態統計速報によりますと、本県の令和二年の出生数は四万百七人で、前年比二%の減少となっています。平成二十八年以降の対前年比の推移と比較して、令和二年に限った大きな差は見られておりません。  また、二の婚姻件数の推移ですが、令和二年は二万三千三百六十件で、令和婚により三年ぶりに増加に転じた前年に比べ、一二・五%減少しており、平成二十八年以降の推移と比較して、減少幅が大きくなっております。  三の妊娠届出数の推移は、昨年十二月に公表されました厚生労働省の調査による四月から十月までの妊娠届出数を月別に示しております。昨年十月までの妊娠届出数は二万二千七百十一件で、前年同時期に比べ五・四%の減少となっております。平成三十年から令和元年の増減に比べ、増減幅が大きくなっておりますが、下の段の全国平均の七・一%減と比べると、全国よりは減少幅が小さくなっているという状況です。 69 ◯高橋雅成委員 それでは、県が実施しています出会いイベント、開催状況から参加人数とか成婚の報告数、家族月間の結婚応援キャンペーンの取組、これらについて、今年度の現時点までの状況はどうだったのか。新型コロナ感染症の影響があったのか、お示しをいただきたいと思います。 70 ◯浦田子育て支援課長 今年度の出会い応援団体が実施する出会いイベントについては、県で定める感染防止対策基準を全て満たすイベントのみ実施されており、令和三年一月末までに二百二十七回の開催で、参加者数は二千九百四十五人となっております。昨年度同時期と比較しまして、開催回数で三〇・四%の減、参加人数で五二・二%の減となっており、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいと考えております。一方、成婚されたカップルから御報告いただいた件数は、一月末現在二十六組で、昨年度同時期に比べ、三組、一割の減にとどまっております。  今年度、コロナ禍にあって、多くの若者に家族の絆や大切さを考えてもらい、結婚について前向きになるきっかけをつかんでもらおうと、十一月の家族月間中に結婚応援キャンペーン週間を設け、結婚、家族をテーマにしたオリジナルラジオ番組の放送やSNSを活用した情報発信を行いました。あわせて、同月には企業、団体に協力を呼びかけて、出会いイベントを集中的に開催したところ、今年度の月平均と比較して二・四倍の七百人を超える方に御参加いただきました。 71 ◯高橋雅成委員 コロナ禍の影響がありつつも、一生懸命工夫して頑張っておられるということだと思います。  新婚世帯を経済的に支援するために、国は来年度から結婚新生活支援事業の対象者の年齢や所得など要件を緩和するとしています。あわせて、総合的な結婚支援に取り組む県が主導して協議会を設置して、県と市町村が連携して事業を実施する場合は、二十九歳以下の成婚者に対する助成金額が三十万円から六十万円と倍増されて、国の補助率も二分の一から三分の二に引き上げられると聞いております。この事業を積極的に活用すべきだと思いますけども、来年度の見込みについて教えてください。 72 ◯浦田子育て支援課長 県では、多くの市町村にこの事業を積極的に活用してもらうため、県が主導して協議会を設置することとし、市町村と連携した事業の実施を計画し、県内市町村に働きかけを行ってまいりました。その結果、令和三年度は、今年度より倍増の二十四市町村から実施の意向が示され、このたび本県と二十四市町村の自治体間連携による事業計画が国の採択を受けたところです。  今後、事業を実施する市町村を拡大するための働きかけを行うとともに、新婚世帯に対してさらなる本事業の周知に努め、経済的にも安心して結婚や子育てができる環境と地域づくりに尽力してまいります。 73 ◯高橋雅成委員 市町村が倍増したということで大変うれしいんですけども、この結婚新生活支援事業の周知をしっかりと図ることが大事だと思います。市町村とも連携して図らないといけないと思いますけども、どのように進めるのかお示しいただきたいと思います。 74 ◯浦田子育て支援課長 今後県では市町村と連携して、新たに実施市町村の情報などをまとめましたチラシ等を作成することとしており、不動産業者や引っ越し業者など、結婚を考えている若者の利用が見込まれる企業や、県と包括協定を締結している企業などに協力を呼びかけ、広く周知をすることとしております。また、県や市町村の広報媒体はもとより、直接若者に情報が届くよう、県のメールマガジン「あかい糸メール」を使った情報発信も行う予定です。 75 ◯高橋雅成委員 しっかりお願いします。  少子化について以前、公明党福岡県議団で調査をしたことがありました。結婚・出産をためらう大きな理由として挙げられていたのは経済的なもの、それからもう一つは出会いがないという、この二つが大きなものでした。今回のコロナ禍というのは来年度以降も継続すると思われますし、出会いの場の創出に引き続き努めてほしいと思います。  晩婚化も進んでいるということでございますので、出会いイベントの参加年齢に制限があるものについては、なるべく緩和していただきたいと思うんですけども、いかがでしょうか。 76 ◯浦田子育て支援課長 県が定める出会いイベントの開催基準において参加年齢の要件は設けておらず、主催する出会い応援団体が、県の出会い・結婚応援事業の趣旨を踏まえ、どのような出会いの場を提供するか、年齢要件も含め創意工夫を凝らし企画していただいております。これまで多くのイベントで参加年齢を五十歳未満とするなど、幅広い設定がなされております。企画によりましては、若者向けのイベントや三十代、四十代向けのイベントなど、参加年齢に制限をつけているものもありますが、過度にイベントの参加年齢が制限されないよう、柔軟な設定を行うよう呼びかけを行ってまいります。 77 ◯高橋雅成委員 よろしくお願いします。  今、結婚を手控えている人たちの理由が、コロナ禍の影響による経済的なものだということであった場合、今の流れが変わるには相当の期間を要するものと考えております。今後の新型コロナウイルス感染症の推移も見守りながら、来年度以降の出会い・結婚応援事業の拡充を図るべきだと考えます。いかがでしょうか。 78 ◯浦田子育て支援課長 県としましては、コロナ禍でも適切な感染防止対策が講じられた出会いイベントの開催を後押しするため、出会い応援団体に対してイベントの開催に必要な感染防止対策経費の助成を行うとともに、イベント補助オペレーターの配置や実施方法を紹介する動画の作成などにより、オンラインによる出会いイベントの開催を支援してまいります。  あわせて、昨年七月に設置しました企業・団体間マッチング支援センターにおきまして、県内各地域の企業や団体に働きかけ、新型コロナウイルス感染症に配慮しながら、異業種間の交流イベントについても拡大を図ってまいります。  これらによりまして、ふくおか子ども・子育て応援総合プランの目標数値である出会い応援イベントの参加者数八千五百六十六人に少しでも近づけるように取り組んでまいります。 79 ◯高橋雅成委員 部長に、コロナ禍での少子化の進行に対してどのように取り組んでいくのか、決意をお伺いいたします。 80 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 81 ◯塩川福祉労働部長 少子化の流れを食い止めるためには、若者が希望を持って家庭を持ち、子供をもうけることができるよう、雇用をはじめとして経済的な安定化と、職場を含む子育てしやすい環境を整えることがまず求められていると考えております。このため、若者就職支援センターをはじめとした若者への就労支援と企業の働き方改革にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  これに併せまして、出会い・結婚応援事業など、コロナ禍においても様々な形で出会いの機会を創出していく取組も一層重要となるものと考えております。出会い応援団体をはじめ様々な企業や団体と一緒になって、若者の結婚・出産の希望をかなえられるよう、しっかりと取り組んでまいります。 82 ◯高橋雅成委員 それでは次に、ジェンダー平等と多様な性の尊重についてお伺いします。  平成二十七年の六月議会で、ジェンダー平等と性的少数者について一般質問をしました。県の男女共同参画推進条例について、女性の地位向上を図り、女性の人権を尊重するのだから、性的少数者が同様に尊重されるのは当然であるというふうに私の考えを述べさせていただき、性の多様性を踏まえた条例に改正したほうがいいのではないかと提案をいたしました。小川知事は、男女共同参画社会推進条例は、男女の人権が尊重されると同時に個人の尊厳が重んじられることが根幹にある。第四次男女共同参画計画において、性的少数者も含む多様な人権が尊重されるよう、審議会の議論を踏まえ、施策の方向性を検討していくと答弁をいたしました。  その後、第四次福岡県男女共同参画計画は、平成二十八年から令和二年度、今年度までの計画として策定されておりますけども、この計画におきまして性的少数者の人権を尊重するどのような施策が講じられたのか、お尋ねいたします。 83 ◯栗原 渉委員長 柳瀬男女共同参画推進課長。 84 ◯柳瀬男女共同参画推進課長 県では、男女共同参画社会基本法及び県条例に基づき策定いたしました第四次福岡県男女共同参画計画において、性的指向や性自認などを理由として困難な状況に置かれることのないよう、人権教育・啓発を推進するとの取組の方向性を示しまして、これに基づき、平成二十八年七月からLGBTの方専用のDV相談窓口を設置し、相談に対応しております。また、LGBTの方と接する相談窓口などの県や市町村の職員に対しまして、LGBTに対する理解を深める研修を行っております。  こうした取組に加えまして、福岡県男女共同参画センターあすばるの広報誌で、性の多様性について考える特集を組むとともに、九州レインボープライドに参加するなど、広報、啓発に取り組んでいるところでございます。 85 ◯高橋雅成委員 言葉が多くて、たくさんのことに取り組んでいるみたいな感じがするんですけども、男女共同参画白書令和二年度版というのが最近手元に届きまして、全部読ませていただきました。女性を取り巻く差別というか社会の問題というのは非常に根深くて、まだまだ改善しないといけないのが本当にたくさんあるなということを認識いたしました。  同時に、今おっしゃっていただいた第四次計画のことが述べられている箇所は、四十四ページに二行あるだけでございます。これだけの厚さの白書にですね。これはどういうことでしょうか。 86 ◯柳瀬男女共同参画推進課長 男女共同参画白書につきましては、限られたスペースにおきまして、最小限の情報量になってしまったのが事実でございます。委員の御指摘のとおり、これを読まれる方々に広く伝えるための資料でもございますので、改善できる点は改善していきたいと存じます。 87 ◯高橋雅成委員 つまり、今おっしゃったような性的少数者に対するようなことについては、一般的な女性問題に比べたら、はるかに軽視していいことであると認識されているということでよろしいですか。 88 ◯柳瀬男女共同参画推進課長 決してそのようなことはございません。 89 ◯高橋雅成委員 何がそのようなことになるのかよく分からないんですけど。何でそしたらこれに掲載されていることがそんなに少ないんでしょうか。そして、何でそんなに少ないような取組しかしないんでしょうか。 90 ◯柳瀬男女共同参画推進課長 男女共同参画基本法及び条例に基づきまして、様々な取組、施策というのが数多くございます。その中で少ない量の情報しか掲載できなかったことにつきましては深く反省したいと思っております。今後、資料を作成するに当たりまして気をつけて取り組んでまいりたいと思います。 91 ◯高橋雅成委員 なぜということには全然答えていただけないわけですけども、それでは部長に聞きます。  私は、性別とか性自認、性的指向、こういった三つについて差別されない、誰でも胸を張って自分らしく生きられる、そういう福岡県にしたいと考えております。そのために男女共同参画社会推進条例も改正すべきではないかという主張をさせていただいております。どうしても改正しないということであれば、同性パートナーシップ条例をつくっていただいても結構でございますが、そういったことが何でできないのか。性的少数者の多くの方が自分にうそをついて生きざるを得ない、そういう福岡の社会になっている、あるいは日本の社会になっていることについて、部長の考えをお伺いします。 92 ◯栗原 渉委員長 山田人づくり県民生活部長。 93 ◯山田人づくり県民生活部長 先ほど課長からも答弁いたしましたように、LGBTの方をはじめ、性的指向や性自認を理由として困難な状況に置かれることがないよう、広報、啓発、教育などに取り組んできているところでございます。こうした中、国におきましては現在、男女共同参画社会基本法とは別の新たな法体系の下で、性的指向あるいは性自認に関する法案が検討をされてございます。こうした国の法制化の動向を十分注視するとともに、先ほど答弁しました啓発や相談といった今県として実施できる施策に我々としてはしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 94 ◯高橋雅成委員 これは、全国の状況を見ましても全てトップダウンで決まっていますので、知事職務代理者に質疑を保留したいと思います。質疑保留の手続をよろしくお願いいたします。 95 ◯栗原 渉委員長 ただいま高橋雅成委員から申出がありました知事職務代理者保留質疑を認めることにいたします。なお、知事職務代理者保留質疑は、三月二十二日月曜日に行う予定でありますので御了承願います。 96 ◯高橋雅成委員 終わります。(拍手) 97 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。江口善明委員。 98 ◯江口善明委員 緑友会福岡県議団の江口善明であります。  無園児とステップファミリーへの本県の支援について質問させていただきたいと思っております。  先ほど塩川委員からも質問がございました糟屋郡篠栗町で発生した五歳の男の子の餓死事件は、母親をマインドコントロール下に置いた知人女性の存在など、事件の悪質性や残虐性から、連日、新聞、テレビ等で報道されております。皮肉なことに、福岡県の環境部では今、食品ロス削減の県民運動、食べもの余らせん隊という協力店があります。平成二十九年の農林水産省の推計値では、日本人一人当たり毎日茶わん一杯の御飯を残している、そういった飽食社会の中でこうした餓死の事件が起きているということは非常に残念な結果だと思っております。  私は、令和元年の六月議会で、保健サービス等を受けていない未就園児──幼稚園、保育園に行ってない子供たち、いわゆる無園児の実態について質問させていただきました。当時、小川知事の答弁では、県内の全ての対象の児童の安全確認はできているということでしたけども、そのことを踏まえて、以下質問させていただきたいと思っています。  無園児の安全確認をどのように行っているのか、まずお答えください。 99 ◯栗原 渉委員長 福田児童家庭課長。 100 ◯福田児童家庭課長 国は昨年度から、保育所や幼稚園に通っておらず、予防接種等の保健サービスを受けてない児童を対象といたしました市町村による安全確認の状況について調査をしております。県では、この調査によりまして県内の状況を把握しております。無園児の安全確認につきましては、市町村職員による家庭訪問、それから、市町村に行政手続に訪れた際の職員による目視、医療機関等受診時の看護師等による目視などにより行っているところでございます。 101 ◯江口善明委員 この無園児、特に三歳までは健康診断で子供の状態がカバーできます。小学校に入学すれば学校で子供の様子が分かりますし、学校で給食もありますので餓死ということはなかったと思います。保育園、幼稚園、認定こども園に通っていない、そして何らかの保健福祉サービスを受けていない子供の実態というのは非常に実態把握が大事だと思いますが、今回の篠栗町の事件ではどうだったのか。そしてまた、これから検証が行われるかと思いますが、今、どのような課題があったのか、もし答えられるならお答えください。 102 ◯福田児童家庭課長 まず、亡くなった男児につきましては、令和二年一月に幼稚園を退園しております。それ以降、篠栗町を中心とした関係機関が家庭訪問等で月一回の見守りを行うこととしておりました。しかしながら、関係機関が家庭訪問をしても、なかなか会うことができず、当該男児を目視により確認できたのは、篠栗町が家庭訪問した一月十日と一月十六日、それから福岡児童相談所が家庭訪問した三月十一日の三回でございました。  それから、対策でございますけども、できるだけ小まめに、いろいろな行政手続に来た際の目視など、そういったことを進めて確認していきたいと考えております。 103 ◯江口善明委員 ぜひきちんとした検証をして、そして、マニュアルを作ったり、いろいろな対策をされると思いますが、マニュアルに沿うだけではなくて、実際にきちんと行動ができる、そういった職員の皆様方の自覚をぜひとも促していただきたいと思います。  幼稚園、保育園に通わない、このことは悪いことではありません。しかし、令和元年十月から幼児教育・保育の無償化が実施されています。本当にお困りの方で通っていないという方は比較的少なくなったと思います。だからこそ、この無園児の実態調査、把握は必要だと思いますし、現在、無園児は児童虐待のリスクが高い可能性があることを十分に留意すべきだと思いますが、いかがですか。 104 ◯福田児童家庭課長 委員御指摘のとおり、保育所、幼稚園等に未就園であり、また、予防接種、乳幼児全戸訪問事業、それから一時預かり等の保健サービス等を利用していない児童につきましては、家族以外との接触が少ないということがありますので、児童虐待に対する注意が必要であると認識しております。 105 ◯江口善明委員 それを踏まえて、こうした無園児に対する本県の今後の支援についてお伺いしたいと思います。 106 ◯福田児童家庭課長 保育所や幼稚園に通っていない児童につきましては、国の調査に基づき、市町村においてその状況を確認しておりますが、その際、虐待の兆候を見逃さず見つけまして、児童相談所、学校、医療機関等で構成しております要保護児童対策地域協議会でケース管理を行い、定期的に状況を確認し、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。この取組を市町村に徹底してまいります。 107 ◯江口善明委員 次に、ステップファミリーへの支援についてお伺いをいたします。  最近、家族の形態も多様化してまいりました。お子様を連れての再婚、それがステップファミリーであり、家族の形はあくまでも家族それぞれではあるかと思いますが、行政としても寄り添っていく必要があると思います。  ちょっと読ませていただきますが、大阪市が出している啓発の冊子です。「ステップファミリーってなあに?」という子供向けの短文を読ませていただきます。「新しいお父さんやお母さんができたこどもたちの家族のことだよ。新しいお父さん・お母さんと一緒に、新しいきょうだいができたかもしれないね。そんな新しい家族のことを「ステップファミリー」といいます。ステップファミリーは、一歩、一歩、おとなとこどもが一緒に絆をつくっていく家族のことです」と書いてあります。  目黒区で平成三十年に発生した、五歳の女の子が虐待死をした事案、これはステップファミリーでありました。この家族の形態が悪いことではもちろんありませんし、しかしながら様々な悩みが出てくることが想定されます。  そこで、お尋ねをしたいと思います。ステップファミリーへの支援に乗り出す自治体が出てまいりました。ステップファミリーの現状についてお伺いをしたいと思います。 108 ◯福田児童家庭課長 ステップファミリーにつきましては、子供のいる人の再婚などにより生じる血縁関係のない親子関係、いわゆる子連れ再婚家庭のことでございます。米国におきまして、一九七〇年代以降、離婚とともに再婚が増大いたしまして、ステップファミリーという言葉が一般化したものでございます。  国の人口動態調査によれば、再婚の割合は結婚の四組に一組以上と増加傾向にございますが、子供を連れて再婚したかどうかは調査されておらず、ステップファミリーの現状は把握されていないといった状況でございます。 109 ◯江口善明委員 先ほど申し上げましたが、京都府や大阪市ではステップファミリーへの啓発をするような冊子を作って、そして、私もちょっとネットで読ませていただきましたが、大阪市ではこども編、おとな編という形で分けて書かれてあります。  様々な悩みに行政が寄り添うこと、私は児童虐待の事案を見るにつけ、悲惨なことももちろん検証しなければいけないけども、その前の段階できちんと行政が何らかの予防策ができないだろうか、そう思います。  そこで質問したいと思います。様々な悩みに行政が寄り添うということが大事ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 110 ◯福田児童家庭課長 ステップファミリーは、最初から子供がいる、それから、結婚した家庭の体験が心に残っている、子供がわがままを言うなど試し行動が現れる、生活習慣やルールが変わるので不満が出やすいといった特徴がございます。こういったことから、家族がまとまるのに時間がかかると言われております。支援に当たりましては、家族や子供の相談に係る児童相談所、それから市町村、保育所等が、ステップファミリーについて、その特徴を知りまして理解を深めることが大事だと考えております。 111 ◯江口善明委員 もちろん家族の形態は様々ですので、私はそのステップファミリーという方々を特別視してはいけないと思いますが、やはり行政としてぜひとも、こうして先進的な試みをしている自治体もありますので、本県もこのステップファミリーへの支援について、まずは調査をするなり、そして考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 112 ◯福田児童家庭課長 家族や子供の相談に関わる児童相談所、それから市町村、保育所等の関係機関によるステップファミリーに対するきめ細かな相談支援が大事だと考えております。こういったことから、ステップファミリーの特徴や持っている悩みなどについて、市町村の要保護児童対策地域協議会といった場を通じまして、関係者が理解を深めるよう取り組んでまいります。 113 ◯江口善明委員 最後に部長に質問したいと思います。  無園児の問題、そしてステップファミリーの問題、私は新たな政策の課題だと思います。今、こうした課題にまだまだほかの自治体も取り組んでおりませんが、この児童虐待、様々な家族の形、そして皆さん本当に家族で仲よく生活をしていける、もちろん行政が主導するということであってはいけないと思いますが、様々な情報提供等々が必要でしょうし、本当に悩んでいるお子さん、そして親御さんたちにその支援が少しでも役に立てば、私はこれは大事なことであろうと思いますので、ぜひとも本県としてまずはどう取り組むか研究してほしいと思います。部長の見解をお伺いしたいと思います。 114 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 115 ◯塩川福祉労働部長 保育園や幼稚園に通っておらず、予防接種等の保健サービス等を受けていない児童は、家族以外の方との接触が少ないことから、児童虐待に対する注意が必要でございます。県としましては、市町村に対し、会議や研修の場を通じまして、子供食堂や民生委員など地域のネットワークを最大限活用し、定期的な状況把握に努めるよう働きかけてまいります。
     いわゆるステップファミリー、子連れ再婚家庭の支援に当たりましては、そういった御家庭からの相談に携わる市町村、児童相談所などの職員一人一人がその特徴を知りまして、理解を深め、その上できめ細やかな支援につなげていくことが大事だと考えております。市町村が設置しております要保護児童対策地域協議会には、市町村の子育て、母子保健の担当部局はもちろん、児童相談所、保育所、幼稚園、学校など子供を支援する機関が参画しております。こういった場を通じまして関係機関の理解が深まるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 116 ◯江口善明委員 終わります。(拍手) 117 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。高瀬菜穂子委員。 118 ◯高瀬菜穂子委員 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。  男女共同参画の推進について伺います。  昨年十二月に閣議決定された国の第五次男女共同参画基本計画は、コロナ禍で苦しむ女性への支援、性暴力の根絶、選択的夫婦別姓など、ジェンダー平等を求める運動と世論の高まりの中で、かつてない期待と注目を集めました。計画素案に対して六千件を超える意見が寄せられたこともその表れだと思います。  基本的な方針では、憲法の下の個人の尊重と法の下の平等、女性に対する暴力の根絶などの文言が加わり、緊急避妊薬を処方箋なしで薬局販売することの検討、就職活動中の学生に対するセクシュアルハラスメントの実態調査などが盛り込まれました。しかし、多くの意見が寄せられた選択的夫婦別姓導入については、第四次計画にあった「選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正等に関し検討を進める」の文言をなくしてしまいました。法律で同姓を強制しているのは世界の中でも日本だけとなっており、昨年十一月の民間調査では、賛成が七割です。地方議会からの別姓制度導入の意見書は、百五十議会に上っています。  県としてはこの問題をどのように考えているのか、まず伺います。 119 ◯栗原 渉委員長 柳瀬男女共同参画推進課長。 120 ◯柳瀬男女共同参画推進課長 選択的夫婦別姓につきましては、婚姻前の氏を引き続き使えないことが婚姻後の生活の支障になっているとの声がある一方、家族単位の社会制度崩壊を招く、子の氏の安定性が損なわれる可能性があるといった意見もあります。そのため、国の第五次男女共同参画基本計画においては、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、さらなる検討を進めるとされたところであり、今後の国の動向を注視していく必要があると考えます。 121 ◯高瀬菜穂子委員 第四次計画にあった「女子差別撤廃委員会の総括所見なども考慮」という文言が削られまして、新たに戸籍制度、家族の一体感とか子供への影響など、古い価値観の言葉が並んだことは大きな後退だったと考えます。選択的夫婦別姓は同姓か別姓かを選択できるわけですから、別姓を望む女性だけが不利益となる制度の改善に向けて、県としても取り組んでいただきたいと思います。  もう一つ、日本の男女平等施策がいかに遅れているかを浮き彫りにした事件がありました。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長であった森喜朗氏の女性蔑視発言です。国の内外、とりわけ在日大使館が黙っていてはいけない、ドント・ビー・サイレントと発信し、世界中から批判の声が上がり、辞任に追い込まれました。国連が定めた三月八日国際女性デーを挟み、各地で抗議行動とともに、女性の地位向上、エンパワーメントを求める声が起こりましたが、この森氏の発言及びこれに対して黙っていてはいけないと多くの女性たちが声を上げたことについて、どのような所見をお持ちでしょうか。 122 ◯柳瀬男女共同参画推進課長 橋本聖子前五輪大臣が、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長に就任され、また十二人の女性が理事に登用されることとなりました。東京オリンピック・パラリンピックの開催をきっかけに、スポーツをはじめ様々な分野において男女共同参画が一層進むことを期待しております。 123 ◯高瀬菜穂子委員 発言に対する言及はありませんでしたけれども、会長が替わったことで解決したわけではないので、真のジェンダー平等に向けての取組を一層進めていただきたいと思います。  この発言を機に、日本のジェンダーギャップ指数が世界百五十三か国の中で百二十一位であること、順位が下がり続けていることも注目が集まりました。とりわけ政治分野、経済分野における指数が百四十四位、百十五位と極めて低いことが問題となっています。こうした課題について、本県でも、策定中の第五次男女共同参画計画でぜひとも位置づけて取り組んでいただきたいと思います。  女性の政治参加を進めるためには、どのような取組を行っているでしょうか。地方議会における女性の割合も踏まえ、お答えください。また、経済分野の格差解消についての取組も、本県の現状も踏まえお答えください。 124 ◯柳瀬男女共同参画推進課長 平成三十年に政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が制定され、地方公共団体は、実態の調査、情報収集、啓発活動等に努めることとされました。県では毎年、県及び市町村議会に占める女性議員の状況を調査、公表するとともに、福岡県男女共同参画センターあすばるの情報誌やホームページにおきまして、この法律の趣旨、政治分野への女性の参画状況について情報提供しているところでございます。また、経済分野についてでございますが、県、福岡労働局、市町村、経済団体、労働団体で構成します福岡県女性の活躍応援協議会におきまして、職場における女性の登用や働きやすい職場づくりを促しているところでございます。今後ともこうした取組により、政治分野、経済分野における男女共同参画を進めてまいります。 125 ◯高瀬菜穂子委員 ざっくりとしたお答えだったんですが、本県においても、政治分野、経済分野いずれも大きな課題があると認識しております。令和二年度男女共同参画白書では、二〇一九年における県内市町村議会、県議会ともに女性議員の比率は全国平均を下回っております。また、男女間賃金格差も、二〇一九年における所定内給与額が、男性を百とした場合、女性は七四・七にとどまり、五十代では六三・九とさらに低いと報告されています。  コロナ禍で女性の自殺が増大していますが、その背景には、非正規雇用などで仕事を失い収入が減ったこと、つまり雇用の調整弁にされていることがあるとの指摘があります。白書によると、本県における非正規雇用の割合は、男女ともに年々増えていますが、男性が二〇%であるのに対して、女性は五四%にも達しており、大変深刻であります。こうした働き方についても、御答弁にありましたように、関係機関と協議をしながら改善を図っていただきたいと思います。コロナ禍の女性の働き方と暮らしに与えた影響について調査をしていただくことを要望します。  次に、性暴力の根絶に向けての刑法改正について伺います。  本県では、性暴力の根絶に向けて様々な施策が取り組まれていますが、性犯罪の人口十万人当たりの認知件数が全国比較でも多い状況にあります。久留米地裁等で、同意のない性行為であったと認定されながらも無罪になったことが一つの契機となり、全国でフラワーデモが展開しました。  こうした中、久留米では、女性が深酔いして抵抗できない状況にある中で性的暴行をし、準強姦罪に問われた男性に対し、一審では無罪判決でしたけれども、控訴審では懲役四年の有罪判決が出されています。名古屋では、実父による強制性交に対し、一審では被害者が同意していなかったことの認定は行われたものの無罪となり、これに対して抗議の声が上がる中で、控訴審では懲役十年の有罪判決が出され確定しました。  こうした事態を受け、現在、刑法の見直しが議論されております。強制性交等罪などにおける暴行・脅迫要件の撤廃と同意要件の新設など、刑法の抜本改正を県としても求めるべきだと考えますが、見解を伺います。 126 ◯栗原 渉委員長 二場生活安全課長。 127 ◯二場生活安全課長 性犯罪につきましては、委員も御指摘のように、被害者の同意のない性行為と認定されながらも無罪となる事案が全国で相次いで発生いたしました。こうした状況を受け、昨年三月には、県議会から国会及び関係行政庁に対しまして、性犯罪に関する刑法規定の見直しを求める意見書を提出されたと承知しております。  県におきましても、昨年八月と十一月に、県議会とともに行いました国への提言・要望活動におきまして、不同意の性行為を客観的に類型化して刑法に位置づけること、地位、関係性を利用した性犯罪の処罰規定を導入すること、盗撮行為を刑法に位置づけること、子供や障がい者などの社会的弱者が被害者となった事案における司法面接制度を関係法令に位置づけること、このような性犯罪に関します刑法などの関係法令の見直しにつきまして、法務省に要望したところでございます。 128 ◯高瀬菜穂子委員 ありがとうございます。  本県では、人工妊娠中絶の実施件数、実施率が極めて高い水準で推移しております。毎年厚生労働省が発表する一覧では、直近の二〇一九年で、中絶の実施率が宮崎、鹿児島に次いで三番目、実施件数で言いますと、東京、大阪、神奈川に次いで四番目で、そのうち十代の中絶は、数えましたら七百六十二人、これは全国四番目なんですね。十代人口に照らして率を計算しましたところ、東京都と並んで福岡県は極めて高いんです。この背景に性暴力が潜んでいることが推測されます。  性暴力被害者支援センター・ふくおかなどの先進的な活動があり、県も支援をしていることは十分承知しておりますけれども、さらなる支援の拡充が必要であろうと思います。刑法改正についての国に対する要望とともに、性暴力根絶に向けてさらに取り組んでいただきたいと思います。  次に、生理の貧困への取組について伺います。  今年二月、ニュージーランドで、小・中・高校で生理用品を無料提供することが決定されました。同国では、生徒の八%が、生理用品がなく学校を欠席したことがあると回答していたとのことです。フランスでも、全ての学生を対象とした無料提供を決定、学生団体の調査で、十人に一人が食料か生理用品かの選択を迫られていることが分かり、政府は九月までに全国千五百か所に配布場所を設け、学生に提供するとしています。イギリスでは二〇一九年、学校や病院での無料提供を決定、今年一月には生理用品への課税の廃止を発表しました。韓国では、生理用品の値下げ運動が起こり、コジェ市で十一歳から十八歳の女性への無料提供が行われています。イギリス・スコットランド議会は、二〇一八年に学生への無料提供を実現し、昨年十一月には全ての女性に範囲を広げたということです。国内においても、コロナ禍の食料支援活動で、生理用品が大変喜ばれています。こうした内外の状況を受けて、東京都豊島区などでも生理用品の無料配布に取り組むとのことです。  昨年三月、国連の女性機関は、女性と新型コロナ、各国政府が今すぐできる五つのことの第一に、生理用品の保障を掲げています。本来国で行うべき課題であると思いますが、本県でも緊急に生理用品の無料配布に取り組んでいただきたいと思いますけれども、見解を伺います。 129 ◯柳瀬男女共同参画推進課長 ただいま委員御指摘の豊島区の事例でございますが、金銭的な理由で生理用品を購入できない女性を支援するため、NPO法人の協力の下、入替え時期が到来した防災備蓄用の生理用品を配布している事例でございます。このような事例につきまして、県の関係部局や市町村、福祉関係団体などの取組の参考となるよう、情報提供してまいりたいと考えております。 130 ◯高瀬菜穂子委員 検討していただけるということで受け止めました。よろしくお願いいたします。  次に、審議会等の女性の割合を引き上げる課題についてです。  県の男女共同参画白書によると、県の審議会の女性委員の割合は四〇%を超えるなど前進面もあります。しかし一方で、防災会議における女性の割合が少ないことが問題になっておりまして、この委員会でも質問があっておりました。この点についても男女共同参画の課題として防災危機管理局とともに取り組んでいくべきだと考えます。これまでの取組とともに、見解を伺います。 131 ◯柳瀬男女共同参画推進課長 災害対応に当たりましては、女性の視点を生かし、防災・復興に取り組むことが重要でございます。県では平成二十九年度から令和元年度までの三年間、女性のための災害対応力向上講座を実施してきたところでございます。来年度からは、男女共同参画の視点を持った災害対応人材育成事業を実施し、自治会役員などの男女が共に地域の防災・復興に対応できるよう、人材を育成することとしております。 132 ◯高瀬菜穂子委員 ぜひよろしくお願いします。  また、策定中の第五次男女共同参画基本計画において、審議会の女性の割合について、現在の到達に立って、意欲的な目標を掲げていただくように要望いたします。  最後に、国の基本計画に対する意見でも多かったとお聞きしているんですけれども、男女共同参画という言葉から、ジェンダー平等という国際的な理念が発展していますので、それを反映させた言葉に変えていってはどうかということです。端的に、ジェンダー平等推進課とすることについての見解を伺います。 133 ◯柳瀬男女共同参画推進課長 我が国におきましては、ジェンダーよりも男女共同参画という言葉のほうが広く一般に定着しており分かりやすいと考えられますことから、引き続き男女共同参画という言葉を使っていきたいと考えております。 134 ◯高瀬菜穂子委員 定着しているのは定着しているかもしれませんが、このジェンダーという言葉ですね。ジェンダー平等はSDGsの五番目に位置づけられておりまして、全ての課題にジェンダーの視点をというふうに国連では呼びかけられています。ぜひ検討課題にしていただいて、多様性をきちんと保障するような、もっと包括的な施策として発展させていっていただきたいと思います。  男女共同参画の推進について幾つかの点から質問をしてまいりましたけれども、最後に部長にお伺いします。ジェンダーに関わる問題がかつてなく注目されております。部長はこうした問題をどう捉え、男女共同参画を進めようとされておられるか、考えをお聞きしたいと思います。 135 ◯栗原 渉委員長 山田人づくり県民生活部長。 136 ◯山田人づくり県民生活部長 ただいま委員から様々な観点から御質問をいただきました。県では、これまで第四次男女共同参画計画に基づきまして様々な施策を進めてまいりました。その結果、男は仕事、女は家庭といった性別役割分担に反対する人の割合が増加してまいりました。しかし、いまだ四割の人が賛成しているという課題がございます。  また、女性の就業率や管理職に占める割合、県や市町村の審議会委員など政策決定に関わる女性の割合は着実に増加をしてまいりました。しかし、男性に比べるといまだ低い状況にございます。  女性に対する暴力、いわゆるDV、性暴力につきましては、被害者の支援の体制が充実する一方で、コロナ禍の中、生活不安やストレスからDVや性暴力の増加が懸念をされているところでございます。このため、現在、県議会に提案をさせていただいております第五次男女共同参画計画案に基づきまして、今後も男女がお互いに尊重し、能力を発揮し、そして働きやすく暮らしやすい社会となりますよう、関係部局や市町村とも連携してしっかりと施策を推進してまいる考えでございます。 137 ◯高瀬菜穂子委員 お答えをいただきましたが、この課題についてはトップの考えが特に注目されます。服部知事職務代理者への保留質疑をお願いしたいと思います。 138 ◯栗原 渉委員長 ただいま高瀬委員から申出のありました知事職務代理者保留質疑を認めることにいたします。なお、知事職務代理者保留質疑は三月二十二日月曜日に行う予定でありますので御了承願います。 139 ◯高瀬菜穂子委員 終わります。(拍手) 140 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。高橋義彦委員。 141 ◯高橋義彦委員 政義会の高橋でございます。通告に従い質問いたします。  先月末、私の地元であります飯塚市の県営住宅で暮らしていた家族の子供三人が、飯塚市と鹿児島市で遺体で見つかるという大変衝撃的な事件が起こりました。また、昨晩、田川市で三名の兄弟が死亡したという報道が流れ、我が目を疑いました。この子供たちについては田川児童相談所も関係があると聞いています。貴い子供たちの命を守ることができなかったことへの無念さを抑えられない気持ちでいっぱいであります。こうした状況に際し、児童相談所の体制強化について御質問いたします。  まずは、飯塚市と鹿児島市で子供三人の遺体が見つかった事件について、虐待等の有無を含めて、改めて御説明をお願いします。 142 ◯栗原 渉委員長 福田児童家庭課長。 143 ◯福田児童家庭課長 令和三年二月二十五日でございますけども、長男である九歳男児が飯塚市内の自宅において死亡した状態で発見されております。死因は不詳でございますが、虐待による外傷はなく、外因性はないということでございます。また、翌二十六日、次男の三歳男児と長女の二歳女児は、鹿児島市内のホテルの部屋で死亡が確認されています。同行していた父親は、ホテルの四階の部屋から飛び降りまして重傷であるといった状況でございます。 144 ◯高橋義彦委員 関係機関はこの世帯にいつからどのように関わっていたのか、田川児童相談所は具体的にどのような対応を行っていたのか、御説明をお願いします。 145 ◯福田児童家庭課長 長男につきましては、令和二年七月三十日に福岡市こども総合相談センターからケース移管を受けて以降、養父、母が飲酒しての口論等による子供たちへの心理的虐待が繰り返されるケースといたしまして、飯塚市の要保護児童対策地域協議会で情報共有するとともに、田川児童相談所が月一回の定期的な家庭訪問等を行っておりました。令和二年七月から令和三年二月の間、田川児童相談所は月一回、家庭訪問等によりまして、長男及び兄弟の状態把握を行っておりましたが、虐待による傷・あざは認められておりません。 146 ◯高橋義彦委員 要対協で見守り対象とされていた家庭に対して、月一回の訪問という限られた訪問回数も含めて、対応は本当に十分だったのでしょうか。どのような考え方で月一回の訪問としていたのか教えてください。 147 ◯福田児童家庭課長 当該ケースにつきましては、子供たちがそれぞれ学校等に所属いたしておりまして、日々の見守りが可能であったこと、また、飯塚市の要保護児童対策地域協議会で支援を行っていく家庭と位置づけられておりまして、飯塚市が家庭訪問等により見守りを行うこととされていたこと、こういったことから田川児童相談所は月一回家庭訪問を行い、保護者や子供と面談いたしまして、身体的虐待や心理的虐待がないか、状況を確認することとしておりました。 148 ◯高橋義彦委員 飯塚市が面会を行っていたと今御答弁されましたけれども、児童相談所は月一回程度の訪問で本当に大丈夫なのか疑問でありますし、飯塚市や関係団体との連絡体制など本当にうまく取れていたのか、市民、県民から疑念を抱かれると思います。塩川委員も先ほど言われましたとおり、刻々と状況は変わっていく。一時保護の基準も含めて、いま一度制度を見直していく必要があると考えます。  また、この事件では三名の子供の命が奪われており、事の重大性からも早期に事実関係をできる限り明らかにすべきと考えます。田川児童相談所管内では、二年前にも田川市において、一歳四か月の男児の命が虐待により奪われています。県では、田川児童相談所及び田川市の対応について検証を行うとしていたが、進捗はどうなっているのでしょうか。 149 ◯福田児童家庭課長 田川市における一歳男児死亡事例につきましては、必要な再発防止策を検討するため、福岡県社会福祉審議会児童福祉専門分科会に設置されます、外部有識者で構成する児童虐待事例等検証部会において検証を進めております。これまで令和二年二月から四回検証部会を開催しておりまして、現在、最終的な取りまとめを行っているといった状況でございます。 150 ◯高橋義彦委員 田川市の事件については、この一年間検証を進めていたということですけども、この間に実際に六名もの命が奪われています。今回の飯塚市の事件についてもまた検証を行うとのことですが、どういうスピード感で取り組むのでしょうか。 151 ◯福田児童家庭課長 今回の飯塚市の事例につきましては、父親が重傷を負っておりまして、警察は父親の回復を待って事情を聞く方針と聞いております。今後、捜査が進捗いたしまして事実関係が明らかになり次第、できるだけ早期に児童相談所や飯塚市の対応がどうであったか、この検証部会において検証いたしまして、具体的な再発防止策を検討してまいります。 152 ◯高橋義彦委員 もちろん検証も大切でございます。しかし、昨日報道された事件についても、全容が明らかではないものの、少なくとも田川児童相談所が管理している世帯であるにもかかわらず、また事件が起きています。早急な対応をお願いいたします。  児童虐待に係る相談の県全体の対応件数と児童相談所別の対応件数について質問します。田川児童相談所の対応件数は、ほかの児相と比べてどのような状況なのでしょうか。 153 ◯福田児童家庭課長 県が所管いたします児童相談所における令和元年度の児童虐待相談対応件数でございますが、四千六百五十二件でございまして、そのうち田川児童相談所の件数は千八十八件となっております。これは福岡児童相談所の千三百三十四件に次いで二番目に多くなっております。 154 ◯高橋義彦委員 その絶対数だけではなく、管内の児童千人当たりの虐待対応件数についても、ほかの児相と比較して教えてください。 155 ◯福田児童家庭課長 田川児童相談所の管内の児童千人当たりの虐待対応件数は二十件となっておりまして、県が所管する児童相談所の中で最も多くなっております。 156 ◯高橋義彦委員 今いただいた対応件数を考えると、田川児童相談所の体制強化は喫緊の課題ではないでしょうか。児童相談所については、人員が不足しているとの指摘があります。児童虐待対応件数が増加する中、田川児童相談所の児童福祉司、児童心理司の増員を図るべきではないでしょうか。また、常勤の弁護士の配置も含めて御意見をお願いします。 157 ◯福田児童家庭課長 田川児童相談所につきましては、今年度、児童福祉司を五名増員いたしまして二十名に、それから児童心理司を一名増員して五名にとしております。また、保護者からの威圧的な要求等への対応や管轄の警察署との連絡調整、こういったことを行うため警察官を一名増員いたしまして二名体制とするといった体制の強化を図ってきたところでございます。  あわせまして、児童相談所が対応する相談件数が大きく増加する中、施設への入所措置、それから親権喪失・停止に係る審判の申立て、こういった法的に複雑かつ困難な対応を要する事例も増加しております。このことから常勤の弁護士につきまして、現在福岡児童相談所に配置しています一名に加えまして、来年度、新たに田川児童相談所に一名を配置いたします。 158 ◯高橋義彦委員 今回の事件は飯塚市民にとっても非常にショックが大きい問題です。この事件を受けて対策が必要と考えます。どんな取組を行っていくのでしょうか。管内児童一人当たりの虐待件数では田川児童相談所管内が最も多くなっている。私は、今後さらなる児童福祉司の増員を図るべきと考えます。 159 ◯福田児童家庭課長 現在、児童福祉司につきましては、平成二十八年の児童福祉法施行令の改正によりまして、人口三万人に一人、それから、里親養育支援及び市町村支援を担当する児童福祉司の配置、それと虐待件数に応じた加算を行うといった考え方で配置基準が示されております。県といたしましては、この配置基準を踏まえまして、経過措置の期限であります令和四年度までに計画的に増員を図っているところでございまして、田川児童相談所につきましてもこの考え方で増員を進めてまいります。 160 ◯高橋義彦委員 二十四時間三百六十五日、虐待の深刻な相談に対応し、保護者等の話を聞き、子供の見守りを行っている児童相談所の業務は本当に大変だと思います。オーバーワークで心労が重なっていくのではないかと危惧します。児童相談所で働く職員の方たちのメンタルケア、そういったことに対する対策はどう取り組むのでしょうか。 161 ◯福田児童家庭課長 職員の心の健康保持のため、児童相談所におきましては、虐待事案に対しまして二人一組で対応するほか、児童への面会を拒否するなど特に対応が困難な家庭を訪問する際は管理職が同行するなど、職員が一人で問題を抱え込まないようにしております。また、管理職から職員に対しまして日頃から積極的に声かけを行い、相談しやすい雰囲気づくりに取り組むとともに、状況に応じて業務分担の見直しを行っております。さらに、職員一人一人の対応力の向上を図るため、虐待を受けた児童や保護者に対する接し方につきまして、心理の専門家による研修を行っているところでございます。 162 ◯高橋義彦委員 連続して起きている事件について、多くの方が児童相談所や県の取組について疑念を抱かれていると思います。コロナ禍に入り、貧困家庭が増えたり、生活様式が変わることなどの影響により、従前の社会とは変わってきています。いま一度しっかり体制等を見直し、二度とこうした悲惨な事件が起きぬよう、これまで起きている事件を踏まえ、児童虐待の防止に向け、部長の決意をお聞かせください。 163 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 164 ◯塩川福祉労働部長 飯塚市、篠栗町で児童が死亡した事案につきましては、できるだけ早期に外部有識者で構成いたします児童虐待事例等検証部会を開催しまして、発生原因等を分析し、児童相談所や市、町の対応がどうであったのか、検証を行ってまいります。この検証結果を踏まえまして、今後、具体的な再発防止策を検討し、それを全ての児童相談所に共有する体制をつくってまいります。  また県では、増加する児童虐待に対応するため、今年度、田川児童相談所をはじめ、県の児童相談所の児童福祉司を二十二名、児童心理司を五名、保健師を一名増員するとともに、警察との連携や威圧的な保護者への対応を図るため、現職の警察官を二名から四名に増員するなど、相談所の体制強化を図ってまいりました。  児童福祉司等につきましては、平成二十八年の児童福祉法等の改正によりまして配置基準が示されております。県としましては、増加する虐待事案に迅速かつ適切に対応できますよう、この法改正等の内容を踏まえまして児童福祉司の増員等に取り組み、児童相談所のさらなる体制の強化を着実に進めてまいりたいと考えております。 165 ◯高橋義彦委員 終わります。(拍手) 166 ◯栗原 渉委員長 この際しばらく休憩します。再開は午後二時をめどに放送をもってお知らせいたします。    午 後 零 時 五 十 三 分 休 憩    午 後 二 時 零 分 再 開 167 ◯栗原 渉委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。  第五款生活労働費について、ほかに質疑はありませんか。津田公治委員。 168 ◯津田公治委員 自民党県議団、津田公治であります。  通告に従い、二〇二一世界体操・新体操選手権北九州大会についてお伺いします。  昨年十一月、東京で国際体操連盟主催の国際競技が行われました。この大会は、東京オリンピック・パラリンピック大会の延期決定以降、オリンピック競技種目では初めての国内に海外選手を招いて開催される国際大会として、国内外から注目された大会でありました。  この大会のクロージングセレモニーにおいて、二〇二一世界体操・新体操選手権北九州大会の開催が発表され、挨拶に登壇された小川知事からは、選手の皆さんが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、福岡県、北九州市を挙げて支援させていただくとの力強いメッセージがありました。また、選手を代表してスピーチをした内村航平選手は、御自身が三歳まで過ごした北九州市で世界選手権が開催されることについて、運命しか感じない、出場することになればこの上ない幸せと語ったと聞いております。  この大会は、東京オリンピック・パラリンピックの直後の感動や興奮が残る中で開催される最初の国際大会であるとともに、二つの世界大会の同地域、同時期での開催は史上初めての試みであります。また、体操は日本のお家芸であり、日本がオリンピックで獲得したメダルの中で最も多い。さらに新体操も、前回の世界選手権では団体総合で四十四年ぶりに銀メダル、団体種目別では史上初の金メダルを獲得しており、注目度が非常に高い大会であります。この大会の開催を通じて、先ほどの内村選手をはじめとするアスリートの思いに応え、コロナ禍で医療の最前線で頑張っている方々をはじめ多くの県民の皆さんに勇気や希望を届けるためにも、本県としては大成功に終わらせる使命があると考えます。  そこで、まず最初の質問であります。世界のトップアスリートが一堂に北九州市に集い共演することになる今大会の概要について、説明をお願いいたします。 169 ◯栗原 渉委員長 坂田スポーツ企画課長。 170 ◯坂田スポーツ企画課長 今、委員からございましたとおり、今回の大会は、二つの世界選手権を同じ地域で同時期に開催する史上初の試みとなります。また、体操の世界選手権につきましては、単一種目の世界選手権として最も歴史があるとされる陸上や水泳と並ぶ三大大会の一つであり、今回の大会は、一九〇三年にベルギーで開催された第一回から数えて五十回の節目となる記念すべき大会でございます。  大会の会期、会場でございますが、まず体操が十月十八日から二十四日の七日間、北九州市立総合体育館において開催されます。新体操は、それに続く二十七日から三十一日の五日間、西日本総合展示場において開催されます。  過去の大会を勘案しますと、七十五以上の国から千三百人ほどの選手や役員の来県を予定しております。二つの大会を同時開催することで、体操、新体操それぞれの参加選手がお互いの国に足を運び声援を送るなど、相乗効果も見込めるものと期待しております。 171 ◯津田公治委員 体操が世界で最も歴史のある三大競技の一つであり、今回が節目となる五十回目の大会であること、また、会期中に千名を超える選手、役員の方々が来県されることが分かりました。
     それでは、大会の開催によりどのような効果が見込めるのか、お尋ねをいたします。 172 ◯坂田スポーツ企画課長 大会開催の効果としまして、主に四つ考えられると思います。一つ目は、トップアスリートが真摯に競技と向き合う姿が県民の皆様に元気と感動を、とりわけ後に続く子供たちに夢や目標を与えることでございます。二つ目としまして、大会を契機として、スポーツを通じた国際交流や体操を通じた健康づくりを図れる効果も考えられます。三つ目は、世界各国から大勢の選手やマスコミなどの関係者をお迎えすることで、本県の誇る観光、文化、食などの魅力に触れてもらえる絶好の機会となります。国内外に福岡県そして北九州市をPRするまたとないチャンスとなります。四つ目は、大会運営に当たり県内企業を積極的に活用することで、地域経済の活性化を図りたい、そしてコロナ禍で厳しい状況に置かれている地元企業の支援につなげていきたいと考えております。 173 ◯津田公治委員 大会の効果については分かりましたが、大会開催まであと七か月余りとなりました。こうした大規模国際大会の準備は通常、誘致活動も含め数年を要すると言われています。今回は極めて短期間での誘致となったことから、準備期間も限られており、集中的、効率的な取組が必要ではないかと考えます。また、多くの県民に関心を持ってもらうために、今後どのようにして広報、周知を行っていくのかお伺いします。 174 ◯坂田スポーツ企画課長 現在、日本体操協会や北九州市とともに、早急に大会組織委員会が設立されますよう準備を進めております。大会組織委員会が設立されれば、直ちに公式ホームページを設置し、大会ロゴマークやSNS、テレビCMによる情報発信、大型商業施設を活用した体験イベント、交通機関や店舗、公共施設での大会ポスターの掲示、様々な広告宣伝などを、人が集まるところや多くの方の目に留まるところへ効率的、集中的に実施してまいります。 175 ◯津田公治委員 早急に大会組織委員会が設立され、ホームページや広報等の活動が活発に行われることを願っています。  次に、大会への県の関わりについてお尋ねします。  せっかく北九州で大規模な国際スポーツ大会を開催するので、多くの国民や国内外の体操ファンに北九州を知っていただきたいと考えています。大会まで限られた期間の中、集中的に行う準備、運営において、本県はどのような役割を担い、北九州市とどのように連携していくのかお聞きいたします。 176 ◯坂田スポーツ企画課長 大会の開催に当たりましては、先ほどお答えしました広報、周知のほか、日本体操協会や北九州市と緊密に連携して、選手や関係者の宿泊施設や移動手段の確保に加え、試合会場や練習会場で設営する器具の手配など、様々な業務がございます。また、北九州市と連携して、選手、関係者、観客に対する県、市のプロモーション活動、また、おもてなしに関する業務、加えて、大会後のレガシーとして、大会を一過性とすることなく引き継がれるよう、選手と地域の方々が交流する事業を企画、実施していきたいと考えております。  一方、北九州大会の次は、体操はイギリスのリバプール、新体操はブルガリアのソフィアでの開催が決定しております。例えばリバプールは重工業で栄えた港湾都市でございまして、北九州と似た特徴があることから、世界大会を相互に広報するなど、今後の交流につながる要素もあるので、北九州市と検討してまいりたいと考えております。 177 ◯津田公治委員 日本体操協会や北九州市との連携は分かりました。  ただ、現在、新型コロナウイルス感染症がなかなか収束しない中、先月からワクチンの接種も始まりましたが、大会の開催に当たっては感染対策が非常に重要であると考えます。そこで、大会を安全に運営するための考え方についてお伺いをいたします。 178 ◯坂田スポーツ企画課長 昨年十一月、国際体操連盟は、コロナ禍においても国際大会ができることを実証するため、他のオリンピック競技に先駆けて、東京で体操の国際競技会を開催いたしました。この大会では、試合会場はもとより、選手の宿泊施設、都内の移動においても、二重三重に感染防止対策が講じられました。また、大会関係者や観客も、試合会場において徹底した検温や消毒などの感染対策が取られ、混乱もなく、無事に大会が開催されました。  こうした実績を基に、大会を主催する国際体操連盟、日本体操協会は、様々な制限が見込まれる中でも大会を開催したいという強い意志を持っております。これまでの経験を生かしながら、国際体操連盟、日本体操協会と連携し、より一層安全に配慮した大会運営を目指してまいります。 179 ◯津田公治委員 コロナ禍において、細心の注意を払って対応していただきたいと思います。  次に、大会のレガシーについてお尋ねをします。  二〇一九年のラグビーワールドカップ日本大会の後、大会のレガシーとして、選手が直接指導する体験教室や、ラグビーを通じた子供たちの国際交流などに継続して取り組まれていると聞いています。大会で盛り上がった機運や県民の皆さんの競技に対する興味を持続し、継承することが重要であると考えます。この大会を通じて何を残そうとしているのかお伺いします。 180 ◯坂田スポーツ企画課長 今回審議いただきます令和三年度予算案には、大会後に実施するレガシー事業として、地域における競技人口の拡大や高齢者の健康づくりを推進する取組を計上させていただいております。具体的には、選手を講師として招聘し、合同練習会や交流体験会を開催することでございます。合同練習会では、子供たちが選手から直接教えてもらうことで、運動や競技を始めるきっかけづくりになればと考えております。交流体験会では、運動の基礎となります全身を動かす体操を通じ、高齢者をはじめとする県民の健康づくりにも役立つと考えております。  練習会や体験会の実施に当たりましては、講習、実技をオンラインで配信し、手軽に自宅からも参加できるようにするとともに、その配信動画を福岡県スポーツ推進基金のウェブサイトで公開することにより、場所や時間に関係なく、より多くの方に見ていただけるよう工夫してまいります。加えて、大会を開催した実績とノウハウを国内外にアピールするとともに、今後の国際大会等の誘致につなげてまいりたいと考えております。 181 ◯津田公治委員 大会後のレガシー事業が令和三年度予算に計上されていますが、有効に活用していただきたいと思います。  開催地の北九州市は、県内の同じ政令市の福岡市と比べ、人口、経済、にぎわい、国内外からのイベント開催等の差をかなり感じております。そのような中、ワンヘルスの国際会議が二〇一六年十一月に開催され、立派に成功に導くことができたと自負しております。北九州市としては今回の国際大会も、これまでの経験やマンパワーを生かして、県と協力して、何としてでも成功したいと考えています。  そこで最後に、今大会の成功に向けた局長の決意をお伺いします。 182 ◯栗原 渉委員長 中平スポーツ局長。 183 ◯中平スポーツ局長 委員からも御指摘がございましたけれども、今回の大会は極めて短期間での誘致となりました。これは、昨年九月に、アスリートの育成と大規模スポーツ大会の誘致開催を主な目的として創設をいたしました福岡県スポーツ推進基金の存在が大きかったと感じており、改めて県議会の皆様の基金創設への大きな後押しに対し感謝を申し上げる次第でございます。  この大会の誘致に関し、主催者であります国際体操連盟の渡邊守成会長、彼は日本人ただ一人の国際競技団体の会長でありますけれども、私自身、この渡邊会長と直接交渉させていただきました。IOCの委員でもある渡邊会長は、誘致に関する協議の中で常に、スポーツの力で世界に元気を与えたいという使命感を示されました。また、生まれ故郷であります北九州市で開催する今回の大会には、様々な地域活性化のアイデアを提供していただいております。このアイデアと地元北九州市のお考え、そして経験、さらには我々の思いを紡ぎ合わせながら、県内の関係の皆さんや企業の方々と協力をいたしまして、ウィズコロナ時代の新たな大会の在り方を北九州モデルとして提案し開催することによりまして、福岡県に、そして北九州市に元気と感動をもたらすことができるよう、しっかりと大会に向けた準備を進めてまいる決意でございます。 184 ◯津田公治委員 終わります。(拍手) 185 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。後藤香織委員。 186 ◯後藤香織委員 民主県政クラブ県議団、後藤香織です。  待機児童対策と保育士確保のための処遇改善について伺います。  初めに、委員長、あらかじめ県内の保育士の数や保育士養成施設の卒業者数等の経年推移が分かる資料を執行部に要求しておりますので、委員会配付のお取り計らいをよろしくお願いいたします。 187 ◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。  ただいま後藤委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 188 ◯栗原 渉委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま後藤委員から要求がありました資料については提出できますか。浦田子育て支援課長。 189 ◯浦田子育て支援課長 直ちに提出できます。 190 ◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 191 ◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 192 ◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、後藤委員、質疑を行ってください。 193 ◯後藤香織委員 執行部からの資料説明は割愛させていただきますが、見てお分かりになるとおり、一の保育士等の推移では、下段の保育士の四年間の新規登録者数の累計は一万二百二十五人である一方、保育所等で働く保育士、保育教諭は五か年で二千九百十四人の増であり、約七千人の差が生じています。届出保育所等に従事する方がいることを踏まえても、多くの保育士登録者が保育士として働いていない、いわゆる潜在保育士になっていることが分かるかと思います。また、二の保育士養成施設の卒業者等の五か年推移を見ても分かるとおり、保育士として働いていない学生が増えている現状です。保育士の労働環境等が十分でないことも、就職しない背景にあると思います。  そこで、これまで県は保育士確保についてどんな取組をしてきたのか、あわせてその実績についてもお伺いをいたします。 194 ◯浦田子育て支援課長 県ではこれまで、新規保育士の確保、離職の防止、潜在保育士の復帰促進という三つの柱で保育士確保に取り組んでまいりました。  まず、新規保育士の確保につきましては、保育士養成校の学生を対象に、五年間保育士として就業すれば全額免除される修学資金の貸付けを行っており、令和元年度実績で五百六十五人の方に御利用いただいております。  また、離職防止については、保育士が働き続けられる職場環境づくりを目指して、経営者を対象としたセミナーやコンサルティングを実施するとともに、今年度、県内保育所に対し、保育士の負担軽減につながるICT化導入等の国補助金について活用意向を調査し、その結果を踏まえて、市町村や保育所に対し活用を働きかけており、来年度、二十二市町村、百七施設での導入が予定されております。  潜在保育士の復帰促進につきましては、平成二十五年度から福岡県保育士就職支援センターを設置し、潜在保育士の再就職を支援してまいりました。三十一年一月には、センターの機能を強化するため、マッチングサイト「ほいく福岡」を開設し、今年度は、最新の保育知識や処遇改善の状況を分かりやすく伝えるリーフレットや動画を作成し、復帰支援の強化を図っております。センターの就職支援によりまして、令和元年度は七十七名、二年度は二月末で五十八名が就職されております。 195 ◯後藤香織委員 ありがとうございます。今、御説明いただいたとおり、三つの柱で取組はしているとのことですが、それでも待機児童は、二〇二〇年四月一日時点で千百八十九人で、全国でワースト四位であることから、まだまだ対策が必要であると思います。そこで、次年度予算では待機児童対策としてどんなことに取り組むのかお聞きいたします。 196 ◯浦田子育て支援課長 県では来年度、まず待機児童の実態等を把握する調査を行い、待機児童発生率の高い市町村にアドバイザーを派遣し、待機児童解消のためのプラン策定を支援します。あわせて、これらの市町村において、小規模保育等の多様な保育の受皿整備を行う事業者への補助や、市町村独自の保育士確保策に対する補助を行うこととしております。また、保育人材の確保を図るため、福岡県保育士就職支援センターを再編して、仮称でございますが保育士・保育所支援センターとし、保育士資格保有者届出制度の創設や保育人材の専門相談窓口の設置により、就労中の保育士や離職した潜在保育士を早い段階から支援する仕組みを構築してまいります。加えて、県と市町村で構成する待機児童等対策協議会において、保育士養成校や県保育協会をメンバーとする部会を立ち上げ、新規保育士確保に向けた対策について協議を行う予定です。 197 ◯後藤香織委員 これまでの取組に加え、待機児童ゼロに向けてしっかりとお願いいたします。  次に、保育士の処遇改善についてお聞きいたします。  待機児童対策には、保育士の確保と質の維持が不可欠として、二〇一五年、保育士の処遇改善等加算制度がスタートしました。この制度の概要と意義についてお聞きいたします。 198 ◯浦田子育て支援課長 処遇改善等加算は、保育所等の全職員を対象として人件費の加算を行う処遇改善等加算Iと、技能・経験に応じて副主任等の役職に任命された職員への手当などとして月額で最大四万円を加算する処遇改善等加算IIにより、保育所等への給付費の加算を行う制度です。  県所管の保育所等については、施設が市町村を通じて申請を行い、県が認定を行っております。この制度は、保育士の給与水準の底上げとキャリアアップの仕組みを構築することを目的とした制度であり、保育士の確保を図り、質の高い保育を安定的に供給していくためには重要なものと考えております。 199 ◯後藤香織委員 今、御説明があったように、この加算認定は都道府県が行うこととなっていますが、本県での認定実績はどうなっているのでしょうか。 200 ◯浦田子育て支援課長 令和元年度、処遇改善等加算の適用対象となる県所管の保育所等は五百十三施設あり、そのうち処遇改善等加算Iの認定を行ったのは五百十二施設で、ほぼ一〇〇%、処遇改善等加算IIの認定を行ったのは四百七十八施設で、九三・二%となっております。 201 ◯後藤香織委員 認定を受けていない施設がありますが、そうなると、この園の保育士は処遇加算がなされていないということになると思います。加算認定を受けていない園はどういった理由で受けていないのか、また、それらの園に対して県はどう対応していくのかお聞きいたします。 202 ◯浦田子育て支援課長 令和元年度、加算Iまたは加算IIの認定を受けなかった県所管の保育所等は三十五施設あり、その主な理由としては、役職や賃金体系を定めた就業規則等の整備や具体的な研修計画の策定などの事務処理が煩雑であることや、加算の要件となる予定のキャリアアップ研修について、職員の人員体制上、受講がスムーズに進まないといった理由が上げられています。  県としましては、処遇改善等加算が保育士確保を図る上で重要な制度であるということを踏まえ、これらの施設や市町村に対し、制度の内容について丁寧な説明や周知を図るとともに、来年度から県で実施するオンラインでのキャリアアップ研修の受講を促すことで認定申請を行っていただくように働きかけてまいります。 203 ◯後藤香織委員 制度を活用して処遇改善につながる働きかけをよろしくお願いいたします。  この処遇改善等加算制度については、二〇一九年十二月に会計検査院が、処遇改善のための国からの交付金のうち、全国でおよそ七億円が賃金の上乗せに使われていないという実態を明らかにしました。内閣府の保育所運営に係る給付費の年額人件費相当分を見てみると、例えば福岡市、春日市、福津市を含む百分の十の地域では、処遇改善加算が全くつかなくても約四百七万円となっています。一方で、二〇一九年度の幼稚園、保育所、認定こども園等の経営実態調査によると、当地域での常勤保育士の年間賃金は約三百八十万円となっており、公定価格から算出した年間賃金と実態の年間賃金とでは、およそ二十七万円の差が生じています。  この差額を鑑みても、処遇改善のための交付金が賃金の上乗せに使われていないとしたら大きな問題であると思いますが、本県ではどのような状況なのかお聞きいたします。あわせて、このような事例があった場合の対応についてもお聞きいたします。 204 ◯浦田子育て支援課長 内閣府は、会計検査院からの指摘を踏まえ、処遇改善等加算分について職員の賃金に充てることができず残額が生じた場合は、翌年度までに賃金改善に充てる取扱いについて再度徹底を通知し、あわせて、今年度の加算申請において、前年度加算の残額がある場合、今年度の賃金への配分計画を記載するよう様式を変更しました。  これを受け、令和元年度の処遇改善等加算の適用対象五百十三施設に確認したところ、六十八施設で前年度加算の残額があり、これを今年度賃金に配分する計画としております。県としては、これらの施設に対し、確実に職員の賃金改善に充てるよう指導するとともに、実績報告を審査する市町村に対しても、支払いが完了したことを確実に確認するよう求めてまいります。 205 ◯後藤香織委員 五百十三施設のうち六十八施設は前年度加算の残額があるということです。今年度から様式が変わったということですので、きちんと賃金に充てられたかどうか、引き続き確認をしていきたいと思います。  次に、二〇二〇年十二月二十一日に国は新子育て応援プランの概要を発表しました。それによると、令和三年度から六年度末までの四年間で約十四万人の保育の受皿を整備するとしています。そこには、短時間保育士の活躍推進として、待機児童が存在する市町村において、各クラスで常勤保育士一名必須との規制をなくし、それに代えて二名の短時間保育士で可とするとの規制緩和がされる見込みです。  この短時間保育士とは、主に一日六時間未満または月二十日未満勤務する保育士のことです。私は、この規制緩和は保育士の処遇改善を後退させ、保育士という職業自体の価値を下げるものと考えます。また、私たち保育園に子供を預ける保護者としても、このことによる保育の質の低下を懸念しています。  そこで、県ではこのことをどう捉え対応するのかお聞きいたします。その上で、保育士の確保、処遇改善を推進する県として、制度の改善を国に要望していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 206 ◯浦田子育て支援課長 今回の変更は、国の基準上、常勤保育士が原則という考え方を前提としつつ、厚生労働省の通知により、待機児童発生市町村に限って、常勤の保育士が確保できず、やむを得ないと市町村が判断する場合に、各クラス一名の常勤保育士に代えて、二名の短時間保育士を充てることを認めたものです。  県としましては、今回の取扱いが保育の質の低下につながることがないよう、市町村に対し適切な判断をお願いするとともに、制度改善に係る保育現場からの要望について、県保育協会等にも確認し、国への要望等の対応を検討してまいります。 207 ◯後藤香織委員 それでは最後に、本県における今後の保育士確保、処遇改善への決意を部長にお伺いいたします。 208 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 209 ◯塩川福祉労働部長 保育士の確保は、保育の受皿を確保し待機児童を解消するため、また、質の高い保育を安定的に提供していくための最重要課題の一つであると認識しております。県といたしましては、現行の保育士の処遇改善制度を市町村と連携し着実に実施するとともに、さらなる処遇改善について、引き続き国に要望してまいります。また、新規保育士確保に取り組む市町村と養成校との連携、保育士が長く働き続けられる職場環境の構築、潜在保育士の円滑な職場復帰の支援、こういった取組を強化していくことによりまして、さらなる保育士の確保に努めてまいりたいと考えております。 210 ◯後藤香織委員 終わります。(拍手) 211 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。二宮眞盛委員。 212 ◯二宮眞盛委員 公明党、二宮眞盛です。  それでは、労働者協同組合法についてお伺いしたいと思います。  昨年十二月、国会におきまして、協同労働を行う団体の法人格を認め、多様な就労の機会を創出し、地域の実情に応じた柔軟な事業展開を促す労働者協同組合法が全会一致で成立いたしました。福岡県議会におきましても、労働者協同組合法、このときには仮称でありましたけれども、の早期制定を求める意見書を採択して、昨年の三月二十七日付で国会に提出いたしましたので、実に歓迎をすることだと思っています。  それでは、あらかじめ労働者協同組合法についての概要説明資料を要求させていただいておりますので、委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。 213 ◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。  ただいま二宮委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 214 ◯栗原 渉委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま二宮委員から要求がありました資料については提出できますか。上村労働政策課長。 215 ◯上村労働政策課長 直ちに提出いたします。 216 ◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 217 ◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 218 ◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、二宮委員、質疑を行ってください。 219 ◯二宮眞盛委員 それでは、労働者協同組合法について、簡単に説明をお願いしたいと思います。 220 ◯上村労働政策課長 お配りした資料は、国の労働者協同組合法についての概要説明資料です。  資料の上部の労働者協同組合の枠に記載のとおり、本法律は、組合員が出資し、組合員の意見を反映して組合の事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織である労働者協同組合を、これまでにない新たな法人形態として法制化したものであります。これによりまして、多様な就労機会の創出、地域における多様な需要に応じた事業の実施を促進し、もって持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とするものであるとされております。  資料の点線の枠囲いの一番、法制化の必要性の部分で、今回の法制定の背景が記載されております。持続可能で活力ある地域社会を実現するため、出資・意見反映・労働が一体となった組織であって、地域に貢献し、地域課題を解決するための非営利の法人を簡便に設立できる制度が求められている。現行法上、このような性質を備えた法人形態は存在しないため、新たな法人形態を法制化する必要があるとされております。 221 ◯二宮眞盛委員 それでは次に、この法律が成立したことにつきまして、本県としてどのように受け止めているのか、見解を伺いたいと思います。 222 ◯上村労働政策課長 県としては、今回の法律により、地域での活動の担い手として、出資・意見反映・労働が一体となった非営利の法人である労働者協同組合という選択肢が新たに提供されるものと受け止めておりまして、これによって今後、本県においても、多様な就労機会の創出や地域ニーズを踏まえた事業の実施の促進が期待されるものと考えております。 223 ◯二宮眞盛委員 新たな働き方を促進する労働者協同組合法について、県の認識を伺います。また、労働者協同組合とNPOの違いについてお伺いいたします。 224 ◯上村労働政策課長 自らが出資をし、経営運営にも加わり、働くという、出資・意見反映・労働が一体という点が協同労働の特徴でありまして、これにより、自分らしい主体的な働き方の実現や多様な就労機会の創出などにつながることが期待できるものと考えられます。  また、NPO法人との違いでございますが、NPO法人は出資が認められていないのに対し、労働者協同組合は組合員による出資が前提とされていること、また、NPO法人は認証主義が取られており、設立に際して都道府県知事などの認証を受ける必要があるのに対して、労働者協同組合は準則主義が取られており、簡便に設立できることなどが異なっております。 225 ◯二宮眞盛委員 よく分かりましたけども、労働者協同組合というと既存の労働組合と誤解されるといったケースもあり、この法律の意味するところについては、まず役所内、行政内での理解が必要であります。この法律の有効性を確認し、どのような支援ができるのか、検討が必要だと思います。  そこで、労働者協同組合法により、県民運動や地域活動を活発にするために、部局横断的なチームをつくるなどして、プロジェクトを立ち上げ、まずは制度の積極的な活用に向け、周知、広報を促進し、この新たな制度を、県民の皆さんに理解され根づいていくように促進してはどうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
    226 ◯上村労働政策課長 先ほどの国の説明資料によりますと、労働者協同組合によって行われることが期待される事業の分野の例として、介護・福祉関連、子育て関連、地域づくり関連、若者・困窮者支援といった、県政においても重要な多岐にわたる分野が上げられております。今回の法律により、活動の担い手として労働者協同組合という選択肢が新たに提供されることになりますので、この新たな仕組みの存在を念頭に置きながら、県としても各分野での施策を進めていく必要があると考えております。  公布後二年以内の施行ということで、現在、厚生労働省で関係政省令や指針策定などの準備が進められているところであり、四月に厚生労働省主催で、都道府県を対象にした労働者協同組合法に関する説明会が予定されております。そうした場で得られた情報なども踏まえて、今後、県庁内で関係部局に声がけをして、庁内勉強会を立ち上げ、理解を深める努力をし、法施行に向けて、県民、市町村、関係団体に対する周知啓発なども含めた必要な準備につなげていきたいと考えております。 227 ◯二宮眞盛委員 今後でありますけども、コロナ禍による地方回帰でありますとか、地元志向の機運が高まる中で、労働者協同組合がまさにその機能を発揮すると思います。県として今後どのように進めていくつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。 228 ◯上村労働政策課長 平成三十一年三月の衆議院地方創生に関する特別委員会において、当時の地方創生担当大臣から、労働者協同組合は、地域において働く意欲ある方々が、高齢や子育て、介護といった様々な御事情をお持ちでも、協同組合という形態をうまく活用して主体的に働けることができるようになるものであり、地域ニーズを酌み取って地域課題解決を目指すものとして、持続可能な地域社会の維持、実現につながるということで、地方創生の観点からも非常に有意義な取組と考えているとの答弁があっておりまして、私どもとしましても同様の認識に立っております。  先ほど御答弁させていただきましたとおり、労働者協同組合という新たな仕組みの存在を念頭に置きながら、県としても各分野での施策を進めていく必要があると考えておりまして、今後、庁内勉強会を立ち上げ、法施行に向けた必要な準備につなげていきたいと考えております。 229 ◯二宮眞盛委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。  広島市では、地域課題の解決のために、協同労働という働き方で取り組むことを推進するためのモデル事業が実施されているとも聞いています。この事業の概要と実績について、県として把握されていましたら御紹介いただきたいと思います。 230 ◯上村労働政策課長 広島市では、就労や社会参加を希望する意欲と能力のある六十歳以上の方が中心となって、地域課題の解決のために協同労働という働き方で取り組むことを推進するためのモデル事業が平成二十六年度から実施されていると承知をしております。  広島市に確認しましたところ、これまでに専門のコーディネーターが勉強会の開催や事業計画の作成、個別相談対応などにより、事業の立ち上げからその後のフォローアップを行うとともに、事業の立ち上げに要する経費を、補助率二分の一、上限百万円の範囲内で補助するなどの支援を行っているとのことです。また、その実績については、平成二十六年度から令和元年度の間に実際に協同労働を行う団体が十九団体立ち上がっており、令和二年度は六団体が立ち上げに向けた準備を進めているとのことです。  なお、今、申し上げました団体は、あくまでも協同労働の仕組みを活用して事業を行う団体でありまして、今回の労働者協同組合法で求められている要件を満たし得る団体であるかどうかは定かではありません。 231 ◯二宮眞盛委員 この法律が成立をしてから二年以内に施行という期間がありますので、この期間の中で、今後、組合設立や維持へのサポート体制の構築、あるいは施設費用の補助金などの支援も検討してはいかがかと思いますけれども、お聞かせいただきたいと思います。 232 ◯上村労働政策課長 公布後二年以内の施行ということで、現在、厚生労働省で詳細を詰めている部分もありますので、そうした国の動きをしっかりと注視しながら、まずは庁内勉強会の立ち上げを行い、関係部局を交えて理解を深めていきたいと考えております。また、地域で既に協同労働を実践されておられる団体が福岡県内にもございますので、そうした方々のお話も今後お伺いし、また実施上の課題を見極めながら、今後、県の立場でどういう対応が必要なのか検討してまいりたいと思います。 233 ◯二宮眞盛委員 最後になりますけども、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)の古村理事長さんが、非常に心に残るようなものを発表されているので、ちょっと紹介したいと思います。  今、社会は新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックの中にあり、私たちは出口の見えない不安と混乱のさなかを生きています。その中で、労働者協同組合法が日本に誕生したことの必然性を感じずにはいられません。法律の意図するものは、単に新たな協同組合の仕組みづくりにとどまらず、自治、人権、民主主義といった、あるべき社会の原理を取り戻す挑戦と受け止めています。一人として無駄な生命はこの世に存在しない。その生命が輝く営みが働くということ。働くことに誇りあれ。働くことに未来あれ。  非常に期待をする次第でありますけれども、最後に部長から、この法律を今から施行するに当たりましての決意をお伺いしたいと思います。 234 ◯栗原 渉委員長 塩川福祉労働部長。 235 ◯塩川福祉労働部長 労働者協同組合法の制定によりまして、労働者が自ら組合員となって主体的に関わり、多様な就労の機会を自ら創出することが可能になること、また、そのことを通じまして、地域における多様な需要に即応した事業の実施が促進されることが期待されております。福岡県においても、そうした効果が発揮されるよう、今後の法施行に向けた国の動きを注視しながら、庁内関係部局との連携や現場の生の声の聴取を行い、県の立場で対応すべきことをしっかりと検討してまいります。 236 ◯二宮眞盛委員 ありがとうございました。以上で終わります。(拍手) 237 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。桐明和久委員。 238 ◯桐明和久委員 自民党県議団の桐明でございます。  通告に従い、スポーツ施設整備支援について質問をさせていただきます。  若者に人気のある都市型スポーツであるアーバンスポーツには、BMX、スケートボード、パルクール、インラインスケートといったスポーツがありますが、本日は、自転車競技の一種であるBMX(バイシクルモトクロス)について取り上げてみます。  BMXは自転車競技の一種であります。二〇〇八年の北京オリンピックから正式種目になり、本年開催される東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックでは、BMXフリースタイルパークが正式種目となります。既に世界選手権では日本人選手も活躍しており、東京オリンピックでは大注目すべき新競技となっております。BMXフリースタイルパークは、様々なサイズのジャンプ台を使い、ジャンプ中に縦回転のバックフリップ、横回転の三六〇などに挑戦し、自転車だけを回転させるテールウィップやハンドルを回すバースピンなどを組み合わせ、高難度の技を連続的に繰り出していき、難易度の高いトリックをミスなくどれだけメイクできるかで勝敗が決まる、自転車競技唯一の採点競技であります。  そのような中で、福岡県にも、国内BMX強化指定選手五人のうちの一人である上田崇人選手(十八歳)や、将来有望なBMXライダーがおります。その中の一人が、八女市出身の松本翔海君(十一歳)であります。松本君は、四年前の七歳のときからBMXを家族で始め、二年後の九歳では、ジャパンカップ京都で七歳から九歳クラスで優勝、その後も優勝五回をはじめ、上位の戦績を残し、昨年九月に開催された第四回全日本BMXフリースタイル選手権大会の十歳から十二歳クラスでも優勝を果たしました。  しかし、練習環境を見てみますと、海外と比較すると非常に遅れており、九州、福岡には専用の練習場がない状況で、松本君の場合は、お父さんが自ら二年前に自宅敷地内に簡易な練習場を造り、練習をしておられると聞いております。それでもやはり実践を想定した練習をするには、岡山県をはじめ京都、三重、岐阜まで十時間かけて行き、練習をしているのが現状であります。そのため、今回さらに自宅敷地の横に新たに土地を購入し、BMXフリースタイルパークの公認専用施設を建設しようと準備を進められております。このように、将来や次回のオリンピック選手候補として有望な松本君ではありますが、その練習環境はまだ確立されていない状況であります。  そこでお尋ねしますが、今回開催されます東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックで正式種目となり、ますます競技者が増えてくることが想定されるBMXフリースタイルは練習場が整っていない状況であります。そこで、新たに建設が予定されている専用施設建設について、利用者が安全かつ安心して利用できる、さらには福岡県からの未来のオリンピアンを育てるためにも、何らかの支援を行うことはできないのかお尋ねいたします。 239 ◯栗原 渉委員長 平間スポーツ振興課長。 240 ◯平間スポーツ振興課長 八女市出身のBMXフリースタイルパークの選手であります松本翔海君につきましては、昨年十月、県庁にお越しいただき、優勝報告がございました。その際、弟の弥隼君も、同じBMX全日本大会で七歳から九歳の部で四位に入賞したことも報告をされました。  本県では、県議会の御支援をいただきながら、トップアスリートの育成と大規模国際大会の誘致・開催を主な目的といたします福岡県スポーツ推進基金を昨年九月に設立いたしました。この基金では、自身の活動の幅を広げたいと願うアスリート等が基金を募ることができるクラウドファンディングを運営しております。今回お話のありました施設につきましては、このサイトを紹介することで支援をしてまいりたいと考えております。  このお二人のように、オリンピック種目で将来有望な選手が育っておりますことは大変喜ばしいことであると考えております。今後もこういった世界を目指すアスリートの支援につきましては、競技者の育成強化を所管する教育委員会と連携して取り組んでまいりたいと思います。 241 ◯桐明和久委員 よろしくお願いします。終わります。(拍手) 242 ◯栗原 渉委員長 この際しばらく休憩します。再開は午後三時五分といたします。    午 後 二 時 五 十 三 分 休 憩    午 後 三 時 四 分 再 開 243 ◯仁戸田元氣副委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。  第五款生活労働費について、ほかに質疑はありませんか。佐々木允委員。 244 ◯佐々木 允委員 民主県政県議団の佐々木允です。  ただいまより地域雇用対策について質問をいたします。  まず冒頭でありますが、二月九日、田川市に激震が走るニュースが流れてきました。それはJTの関連企業、日本フィルター工業株式会社田川工場が、筑紫野市のJT九州工場とともに来年三月末をもって工場閉鎖をするというものであります。特に田川地域にとっては数少ない大規模製造工場でありまして、地域雇用の大きな担い手でもあります。  それぞれの工場の労働者数について確認いたしましたところ、昨年十二月現在、日本フィルター工業田川工場では百八十三名、JT九州工場では二百三十一名、合計四百十四名が働いているということであります。そのうち田川工場では、約半数の方が契約社員でありまして、その方々は配置転換もできず、解雇となってしまいます。また残りの職員も、石川県津幡町、東京都羽村市、そのいずれかの工場への配置転換、極めて広域な配置転換になります。  また、日本フィルター工業田川工場においては、十年前の東日本大震災のときに津波で被災し、そのまま工場閉鎖となった宮城県多賀城市の日本フィルター工業多賀城工場の労働者も配置転換で多く来られています。中には、そのまま田川をついの住みかと思って、家を建てたばかりの方もおられます。そういった方々にとっても本当に人生が変わる青天のへきれきの出来事であり、労働者の生活を考えると、私としては憤りを正直感じるところもありますし、また、JT、日本フィルター工業に対しては、この人生が変わるような不利益行為を労働者に対して強いているということを十分自覚して、今後しっかり取り組んでいただきたい。この場で訴えをしたいと思います。  そこで、まず、このJT、日本フィルター工業の工場閉鎖について、発表以降、県としてどのように動いてきたのかお答えください。また、現時点では企業側の今後の動きは不透明な部分もあると思いますし、第一義的には企業がその責任をしっかり果たすべきでありますが、地域の雇用を守るために県としても今後十分に注視すべきだと思います。その点についてもお答えください。 245 ◯仁戸田元氣副委員長 上村労働政策課長。 246 ◯上村労働政策課長 二月九日の報道発表の中で、筑紫野市にあるJT九州工場、田川市にある、グループ会社である日本フィルター工業株式会社田川工場を二〇二二年三月末に廃止するとされております。県としては、商工部と労働局が連携して情報収集に当たり、二月十七日にはJTから直接状況の聴取を行い、今後の動きについて情報提供を依頼するとともに、可能な限りの雇用維持についてもその場で求めたところです。また、雇用に関しては、福岡労働局などとも連携して、情報収集などの対応に努めることを確認しております。  現時点においては、県内の工場で働いている方々に対して、企業としてどのような対応を図るのかが必ずしも具体的になっているわけではありません。県としては、企業が従業員の雇用について責任を持って万全の対応を行うことが大事であると考えております。引き続き商工部や福岡労働局などと連携して十分注視していきたいと考えております。 247 ◯佐々木 允委員 今後、再雇用や地域経済の影響などについて、県行政も関わらないといけない部分が出てくるかもしれません。その時期になれば、県は即応できるよう、市、国、企業など関係機関とも密接に連携していただくよう要望したいと思います。  さて、コロナ禍において労働者の雇用維持に大きな役割を担っている国の雇用調整助成金について、この間、特例や拡充等の措置が図られてきました。県でも、雇用調整助成金の活用を支援するための相談支援を行ってきたと承知しています。これまで県内でどの程度この雇用調整助成金が活用されたのかお答えください。 248 ◯上村労働政策課長 雇用調整助成金の支給実績について、これは雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当を助成する緊急雇用安定助成金分も含めた実績となりますが、福岡労働局に確認したところ、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた助成金の特例が開始されました昨年二月十四日から本年二月末までで、支給決定事業所数が二万四千四百五十三件、支給決定額が約一千億円となっているとのことです。 249 ◯佐々木 允委員 福岡県だけでも一千億円という、とてつもない数字になっています。同じ雇調金でも制度が大きく変更となったので単純な比較はできませんが、前年度においては事業者数が全体で三十四件、支給決定数は約九千五百万円、その差一千倍にも上ります。引き続き雇用維持のためにこの雇調金をしっかり活用できるように、周知をお願いしたいと思います。  また、雇用維持の観点で、最近、在籍型出向制度、雇用シェアの取組が注目をされています。厚生労働省がこの取組を現在推奨しているところでありますが、具体的にどういったものなのか御説明ください。また、在籍型出向の取組について、県としてどのような関わり方をしてきたのか、また今後どのように取り組んでいくのか、あわせてお答えください。 250 ◯上村労働政策課長 在籍型出向は、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に雇用過剰となった企業が、従業員の雇用を守るため、人材が不足している企業を受入先として一定期間従業員を出向させ、雇用の維持を図るというものです。厚生労働省においては、出向のマッチングを従来から手がけております公益財団法人産業雇用安定センターの活用を企業に呼びかけるとともに、出向元及び出向先企業が負担する賃金など、出向中に要する経費の一部を助成する産業雇用安定助成金を新たに創設し、在籍型出向の活用を促進しております。  昨年十二月に福岡労働局、産業雇用安定センター福岡事務所、福岡県の三者で、県内の経済団体を訪問し、参加企業への周知をお願いするとともに、三者共催で、県内事業者に在籍型出向を知っていただくための説明会を開催しております。これらに加え、福岡労働局の呼びかけで、三月中に福岡県在籍型出向等支援協議会を開催し、今、申し上げた三者と経済団体、労働団体、金融機関などの関係機関が連携して、出向のノウハウの共有や受入企業開拓の推進などを図ることとしております。 251 ◯佐々木 允委員 こういった仕組みについて、まだまだ周知が必要な部分もあるかと思います。引き続き丁寧な説明と、ぜひ周知をお願いしたいと思います。  また、コロナ禍の影響を踏まえて、県では若者就職支援センター、中高年就職支援センターの体制やサービスを強化してきたと承知をしています。ただし、こういった県の取組は、福岡市内だけではなく、県内四地域それぞれの地域ニーズが違いますので、それぞれの地域特性を踏まえながら行うべきであると思います。ぜひ県内各地のニーズを拾いながら、特に私の地元、筑豊や田川地域というのは雇用情勢が依然、慢性的に厳しい地域であります。ぜひ丁寧に雇用施策を進めていっていただきたいと思います。  また、冒頭にお尋ねをしましたJT、そして日本フィルター工業田川工場の工場閉鎖の件について、改めて県としても今後、十分に注視していただくよう強く求めていきたいと思います。  以上の点を踏まえ、最後に、部長の決意をお願いします。 252 ◯仁戸田元氣副委員長 塩川福祉労働部長。 253 ◯塩川福祉労働部長 現在の雇用情勢を踏まえまして、令和三年度においても、県としてしっかりと雇用施策を推進できるよう、若者就職支援センター、中高年就職支援センターの求人開拓や相談機能を強化するとともに、人材不足分野への労働移動を促進するため、新たに紹介予定派遣の仕組みを活用したマッチング支援を行うことといたしております。こうした取組を実施するに当たって、県内四地域それぞれのニーズを酌み取りながら、きめ細かな支援を実施することに留意し、県の労働施策としての役割を果たしてまいりたいと考えております。  JTの工場閉鎖の件につきましては、先ほど課長から答弁いたしましたとおり、県としては、企業が従業員の雇用について責任を持って万全の対応を行うことが大事であると考えております。引き続き商工部や福岡労働局と連携して、十分注視をしていきたいと考えております。 254 ◯佐々木 允委員 終わります。ありがとうございました。(拍手) 255 ◯仁戸田元氣副委員長 ほかに質疑はありませんか。板橋聡委員。 256 ◯板橋 聡委員 私は昨年六月定例会において、ウィズコロナ期の観光戦略として、マイクロツーリズムを取り入れた事業方策に関する知事の所見をお聞きしたところであります。県では昨年、福岡県スポーツコミッションを設立したと聞いておりますけれども、このスポーツコミッションにおいても、ポストコロナを見据え、スポーツを契機とした事業を通じて地域活性化の一翼を担っていただけるよう、通告に従い、福岡県スポーツコミッションとスポーツツーリズムについて質問をいたします。  まず、福岡県スポーツコミッションの設立経緯について御説明ください。 257 ◯仁戸田元氣副委員長 坂田スポーツ企画課長。 258 ◯坂田スポーツ企画課長 平成三十年度に、スポーツ立県福岡の実現に向け策定しました福岡県スポーツ推進計画では、スポーツの関連消費を高めるとともに、スポーツによる地域振興を推進するため、地域スポーツコミッションを設置することとしております。令和元年度には、産学官の有識者で構成する設立準備会議を設置し、その基本方針や主要事業、組織体制、関係機関との連携などについて協議を行ってまいりました。これを踏まえ、福岡県の自然や歴史、文化を大切にしながら、スポーツを通じて本県の魅力を県内外に広く発信し、社会に新たな価値を生み出すことで、交流人口を拡大し、地域の発展を目指すことを目的として、昨年十一月にスポーツ企画課が事務局となりまして、福岡県スポーツコミッションを設立したところでございます。 259 ◯板橋 聡委員 では、その基本方針や主な事業内容について簡潔にお聞かせください。 260 ◯坂田スポーツ企画課長 本スポーツコミッションの基本方針として、スポーツ資源に景観、環境、文化などの資源を戦略的に掛け合わせ、魅力的なコンテンツとして磨き上げ、本県の新たな価値を創出するとともに、県内各地への来訪を促進すること、また、スポーツ資源の市町村域を越えた連携、活用による周遊エリアの拡大と宿泊施設の組合せによる消費額の拡大を図ること、そして、これらの取組を通じた地域に対する愛情や誇りなどのシビックプライドの醸成を図ることの三点を定めたところでございます。  これらの基本方針に基づき、主な事業として、本県の強みや経験、ノウハウを生かした誘客施策を推進するため、先ほど質問にございましたが、体操、新体操のような大規模スポーツ大会やスポーツ合宿の誘致、スポーツツーリズムの推進に取り組んでいるところでございます。 261 ◯板橋 聡委員 大規模スポーツ大会やスポーツ合宿の誘致などが主な事業とのことですが、スポーツ合宿の誘致についてはどのような活動を計画されているのでしょうか。 262 ◯坂田スポーツ企画課長 スポーツ合宿につきましては、スポーツ大会に比べ長期間の滞在が見込まれることから、宿泊をはじめとした地域の経済効果や、市町村が取り組むスポーツを通じたまちづくりの考え方を県内外に広くPRする効果などが期待できます。また、トップアスリートの合宿においては、その力強さや技のすごさを直接感じることができ、後に続く子供たちに夢や希望を与える機会ともなると考えております。このようなことから、宿泊による一定の経済効果や市町村のPR効果、さらには子供たちに夢や希望を与えることが期待される、各国代表や実業団を対象とした誘致活動を検討しているところでございます。 263 ◯板橋 聡委員 各国の代表クラスや実業団のようなトップアスリートの合宿をターゲットとするということで、それはどんどんやっていただければと思います。  一方で、学生やスポーツ愛好家の方々により、ごりごりの体育会系から親睦を目的とするカジュアルなものまで幅広いスポーツ合宿が行われており、そのマーケットやポテンシャルはトップアスリートの合宿よりはるかに巨大です。スポーツツーリズムを推進し、県内に新たな合宿市場を創出するためには、こういったレベルを問わず幅広くスポーツ合宿の誘致を進めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。 264 ◯坂田スポーツ企画課長 委員御指摘のとおり、スポーツ合宿を通じて、各地域で整備が進んでいる、県や市町村が所有します競技施設などの活用を進めるとともに、本県の観光や食といった地域資源に触れていただくことが重要であると認識しております。そのため、委員の御提案を踏まえ、市町村などの関係者と意見交換をしながら、多くの方々にスポーツ合宿に来ていただけるよう、誘致活動を行ってまいりたいと考えております。 265 ◯板橋 聡委員 もう一つの主たる事業である大規模スポーツ大会の誘致、これも強力に進めていただければと思います。  その一方で、私の地元には、清水山ロードレース、みやま旗争奪少年剣道大会、レインボー九州少年ソフトボール大会など、地域に根づいたスポーツ大会があり、筑後エリアにとどまらず、九州、全国から参加者が集います。参加者の規模は数百人程度でありますけれども、このような地域スポーツイベントは、スポーツツーリズムの推進に資する大切な地域資源であり、福岡県としても、成功事例などを共有することで、県全体のスポーツイベントの底上げをすることが大変重要ではないかと考えますけれども、所見をお聞かせください。 266 ◯坂田スポーツ企画課長 本県においても、マラソンやサイクリングといった参加型のスポーツイベントが数多く開催されております。参加者を抽せんするような人気のイベントがある一方、集客に苦労しているイベントがあると聞いております。県内外で大変にぎわっているイベントは、コースが魅力的であったり、郷土料理の提供や参加賞に特産品を活用するなどの工夫を行っております。県としましては、委員の御提案を踏まえ、県内外で成功事例となるスポーツイベントの特徴を収集、整理し、県内市町村などと共有してまいりたいと考えております。 267 ◯板橋 聡委員 スポーツツーリズムとは、まさにスポーツをきっかけとして人の移動が発生することです。今回の質問では、スポーツ合宿やイベントの県内市場を拡大し、ブラッシュアップを強くお願いしてまいりましたけれども、同時に、スポーツツーリズムによる来訪者に対して、地域を周遊してもらうオプションを開発、提供して、もう一か所、もう一食、もう一泊を促す取組が特に重要と感じます。  スポーツ企画課は、観光のプロである観光局などと連携して、スポーツツーリズムを観光振興にもつなげて、その効果を県内全域で享受するためにも、例えばパイロットモデルを設定して、その手法や効果などを検証してみてはいかがでしょうか。 268 ◯坂田スポーツ企画課長 委員御指摘のとおり、既存のスポーツイベントや合宿に、本県の観光や食などの様々な地域資源を結びつけた新しいスポーツツーリズムとして魅力を向上させ、県内外から多くの方々に参加していただければ、成功事例となり、他の地域への波及といった相乗効果も期待されます。そのため県といたしましては、パイロットモデルの設定に向けまして、まずは福岡県スポーツコミッション委員の意見を踏まえた上で、スポーツ体験や観光、食といった地域資源の活用について、観光局をはじめとした関係部局との協議のほか、市町村や地域の観光協会などの関係者との意見交換を行ってまいりたいと考えております。 269 ◯板橋 聡委員 新型コロナの状況が一進一退を繰り返す中、インバウンド観光客がコロナ前の状況に戻るにはまだまだ時間がかかりそうです。そんな中、福岡県に根づいていなかったスポーツツーリズムを推進することで、新たな観光市場を創出し、ウィズコロナ期を乗り切ることができれば、その市場はそのままポストコロナ期の観光戦略のロケットダッシュを可能にすると信じています。ぜひ今回の質問を踏まえて、県のスポーツツーリズムへの取組を実効性の高いものにしていただきたいと思っております。  最後に、スポーツ局長として、福岡県スポーツコミッションとスポーツツーリズムを地域振興にどうつなげていくのか、その決意を中平局長にお尋ねします。 270 ◯仁戸田元氣副委員長 中平スポーツ局長。 271 ◯中平スポーツ局長 県内各地でスポーツ合宿が行われることやにぎわいのあるスポーツイベントを行っていくことは、地域の皆さんが育まれた伝統や文化、食といった地域資源を生かした観光振興につながります。また、このような取組を推進することは、県内各地域にあります、県や市町村が所有する競技施設などを最大限に活用することにもなります。このため県といたしましては、専門家の皆さんにアドバイスをいただきながら、庁内の関係の部局はもちろん、市町村や観光協会など関係の皆さんとも十分に意見交換を行いまして、各国代表や実業団などのキャンプのみならず、県内各地でスポーツ合宿やスポーツイベントを活用したスポーツツーリズムを推進していくとともに、これを市町村域を越えた周囲にもつなげるなど、スポーツを通じた地域の活性化に取り組んでまいります。 272 ◯板橋 聡委員 スポーツ立県福岡県の実現のためにもぜひ頑張ってください。終わります。(拍手) 273 ◯仁戸田元氣副委員長 ほかに質疑はありませんか。原中誠志委員。 274 ◯原中誠志委員 民主県政県議団の原中誠志でございます。  発言通告に従い、世界保護司会議を受けての本県の再犯防止の取組について質問いたします。  私は現在、保護司をしております。まだまだ駆け出しではありますけれども、先輩の保護司の御指導を受けながら、犯罪や非行を行った方々の更生、そして再犯防止などに関わっておるところであります。保護司の仕事といいますのは、地域社会の中でボランティアとして、罪を犯した人や非行に走った人たちの立ち直りの援助や、地域住民からの犯罪や非行の予防に関する相談に応じ、必要な助言、指導を行うなど、更生保護行政の重要な役割を担っているところであります。  保護司は、罪を憎んで人を憎まず。被害を受けた方々のことを思えば、犯罪を犯した方々がしっかり償うということが求められるわけでありますけれども、一方、再犯に至らせず、社会に復帰する道として、周囲の様々な関係者が寄り添い、導いていく、こういったことが必要でありまして、県民が安心して地域生活を送る上で大変重要なことであり、保護司活動の中でそのことを強く感じているところであります。  さて、本年三月七日から十二日、第十四回国連犯罪防止刑事司法会議が京都で開催されました。いわゆる京都コングレスであります。このコングレスは、五年に一度開催される犯罪防止刑事司法分野における国連最大の国際会議で、事務局は国連薬物犯罪事務所が務めております。今回、アジアで初めて開催をされたわけであります。今回のコングレスに合わせて初めて開催された世界保護司会議において、保護司活動の重要性とさらなる活性化についての提言がなされたわけであります。  そこでお聞きいたします。会議ではどういう提案がなされたのか、簡潔にお伝えください。 275 ◯仁戸田元氣副委員長 中島福祉総務課長。 276 ◯中島福祉総務課長 日本の保護司制度を世界に普及させることを目的とした世界保護司会議が今月七日、京都市で初めて開催されました。この会議では、我が国で始まった地域ボランティアである保護司の制度が、犯罪者の社会復帰、ひいては安全・安心な社会の構築のために有効な制度であり、誰一人取り残さないというSDGsの目標達成に向けて、保護司は極めて重要な役割を果たしていることが確認されました。その上で、再犯防止における保護司活動の国際的ネットワークを構築することを目指す京都保護司宣言が採択されました。この宣言には、地域ボランティア制度の発展に向けて国連が取るべき具体的なアクションとして、保護司の国際的なネットワークの構築、技術的な支援の加盟国への提供、モデル戦略の策定、国際保護司デーの設立などが盛り込まれ、体系的に実行していくことが求められたと伺っております。 277 ◯原中誠志委員 今後、この提言を受けまして、国内では国内法の整備、それに基づく具体的な事業が進められていくことになると思います。  国では、二〇一六年十二月にいわゆる再犯防止推進法を成立させております。我が国においては、検挙人員に占める再犯者の割合である再犯者率が上昇しており、安全で安心して暮らせる社会を構築する上で、犯罪や非行の繰り返しを防ぐ再犯防止が大きな課題になっております。この法律は、犯罪を犯した者等の円滑な社会復帰を促進すること等による再犯の防止に努め、国民が犯罪による被害を受けることを防止し、安全で安心して暮らせる社会の実現に寄与することを目的としております。法務省や警察庁、厚生労働省など、省庁横断で再犯防止に力を入れていくとしておりまして、地方にも取組が求められているところであります。本県でも、二〇一九年三月に再犯防止推進計画を定め、少年非行や薬物犯罪、性犯罪、飲酒運転など、犯罪や非行が繰り返されないよう、様々な分野で再犯防止に取り組んでいるところであります。  そこで、再犯の数や率はどれくらいになっているのか、その傾向も含めて、刑法犯や再犯の状況について、あらかじめ本県における刑法犯や再犯の状況について資料要求しておりますので、委員長の取り計らいをお願いいたします。      〔正副委員長交代〕 278 ◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。  ただいま原中委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
         〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 279 ◯栗原 渉委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま原中委員から要求がありました資料については提出できますか。 280 ◯中島福祉総務課長 直ちに提出させていただきます。 281 ◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 282 ◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 283 ◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、原中委員、質疑を行ってください。 284 ◯原中誠志委員 それでは、資料に沿って簡潔に説明ください。 285 ◯中島福祉総務課長 お配りいたしました三枚の資料でございます。  まず、一ページでございます。警察庁の令和二年度犯罪白書を基に作成しております。青の棒グラフが刑法犯により検挙された方の数でございまして、平成十六年の三十八万件余をピークに年々減少し、令和元年では約半分の十九万件余となっています。赤の棒グラフは再犯者数でございますが、微減傾向となっております。全体の検挙者数に占める再犯者数の割合は増加を続けておりまして、平成十五年度の三五・六%に対し、令和元年では四八・八%、一三・二ポイントの増となっております。  二ページをお願いいたします。これは、令和元年度におきます刑務所等から出所後どれくらいの期間で再犯をし、再び入所したかということについての統計でございます。表の下のほうに記載しております一年未満で再犯に至った人が三六・八%、二年未満では実に約六割を占めております。  三ページをお願いいたします。これは、刑法犯検挙者数の年齢別の構成比の推移を表したものでございます。二十歳未満、一番下でございますが、この比率は、平成十五年度に比べて現在では約四分の一程度に減少しております。これに対しまして、六十五歳以上の高齢者の割合は、平成十五年の七・八%に対し、令和元年は二二%と、高齢者の比率が増加していることが分かります。 286 ◯原中誠志委員 今の説明を聞いても分かりますように、改めて再犯防止が必要であるということを実感する次第であります。再犯防止を推進する上では、国が主体となるものの、保護司や協力雇用主など民間の支援者の果たす役割が大きいと考えます。そこで、県としてこうした民間の支援者とどのような連携を図っているのかお答えください。 287 ◯中島福祉総務課長 県では、再犯防止推進のための有識者会議というものを設置しております。この構成員でございますが、県内の弁護士会、保護司会連合会、更生保護協会、協力雇用主会、社会福祉士会、宅地建物取引業協会など、最前線で支援に携わっておられる十四団体の代表者でございまして、県の施策に対する様々な専門的な助言、指導をいただいております。また、各団体の会員には、立ち直りのための相談、住居に関する情報の提供、就職や福祉サービス等の利用調整など、様々な面で御協力をいただいているところでございます。 288 ◯原中誠志委員 今お答えいただきまして、再犯防止の取組については、幅広い民間の支援者の方々に御協力いただいているということが今、お答えで分かったわけであります。私も大変重要視しておりますけれども、その中でも特に協力雇用主についてですが、県内の協力雇用主の数についてはどれくらいになっているのかお示しください。 289 ◯中島福祉総務課長 法務省からの情報提供によりますと、県内の協力雇用主の数は、平成二十九年四月で七百九十五、令和二年十月一日では一千七十一となっており、三年半の間に二百七十六増えているということでございます。 290 ◯原中誠志委員 保護司活動の中で、先輩保護司の方や、そして研修の中でも度々出てくるのは、私も大変重要と感じておりますが、刑務所や少年院などを出て、社会に出ていくときに問題となる住まいと仕事の確保についてであります。親、兄弟、親族の理解、そして周辺住民の理解がないと、地元に戻りづらい、戻ったとしてもそこに住み続けられないという悲哀を感じ、家を出ていかざるを得ないという状況ともなり、元の悪友に誘われたり、再び薬物に手を出すという状況になりかねません。さらに就職についても、企業側、雇用主の理解が不可欠となりますけれども、まだまだ協力雇用主の数は十分だとは言えません。  記憶に新しいところですが、昨年八月二十八日、福岡市中央区の商業施設マークイズももちで起きた十五歳の少年による殺人事件は、県民はもとより全国に大きな影響と衝撃を与えました。この少年は、少年院を出て保護観察中、更生保護施設に入所したものの、一日で施設を飛び出し、この事件に及んだということであります。  この事件の問題点は、そもそも十五歳が少年院を出た後に施設に入るというのは極めて異例であります。家族などの引受手がなかったということが背景にあります。少年をどう支援し、再非行を防ぐか、事件は少年犯罪の現状と矯正、更生、受皿の充実など重い課題を投げかけております。  そこでお聞きします。本県としては、刑務所出所者に対する支援を十年ほど続けてきていると思いますが、どのような取組なのか御説明ください。 291 ◯栗原 渉委員長 余語保護・援護課長。 292 ◯余語保護・援護課長 刑務所等の矯正施設を出所され、帰住先がないような人につきましては、更生保護施設をはじめとした様々な機関や民間協力者が連携をして、新たな住居や仕事探し等の支援を行っていると承知しております。その中で、県では平成二十二年度に福岡県地域生活定着支援センターを設置いたしまして、高齢または障がいにより矯正施設から退所した後、自立した生活を営むことが困難な人に対しまして、保護観察所の依頼に基づき、退所後に地域で安定した生活を送れるよう支援を実施しております。  具体的には、矯正施設入所中から、更生保護施設への一時入所や社会福祉施設への入所、居宅となるアパート等への入居の調整など、帰住先の確保に向けた調整を行うとともに、福祉サービスに係る申請支援を行うコーディネート業務、それから福祉施設等へ入所した後も継続的に支援するフォローアップ業務、そして地域に暮らす矯正施設退所者に対して、福祉サービス等の利用等に関する相談支援業務を実施しております。 293 ◯原中誠志委員 今お答えいただきましたけれども、この事業は、すなわち出口支援となりますけれども、どのような成果があったのかお答えください。 294 ◯余語保護・援護課長 平成二十二年度から令和三年一月末までの累計で六百七十四名を支援しております。このうち支援を終了した人を除きまして、令和三年一月末現在で百四十九名の支援を継続しているところでございます。この百四十九名について見ますと、居宅で生活をしている人が二十六名、障がい者グループホームなどの福祉施設に入所している人が二十六名、更生保護施設に入所している人が五十三名などとなっております。  なお、令和三年一月末現在、コーディネート中の人などを除く六百二十七名のうち、再犯に至った人は五十七名でございまして、その割合は九・一%となっており、矯正施設退所後の地域生活への定着を支援することは再犯防止に資するものと考えております。 295 ◯原中誠志委員 再犯防止を考えたときに、出所者の支援も大事でありますけれども、できるだけ早い段階で支援につなげることで、さらに効果を上げられるはずだと考えます。そこで、こうした支援について本県として取り組まれていることがあるのかお聞きいたします。 296 ◯中島福祉総務課長 令和元年九月からでありますが、国の地域再犯防止推進モデル事業を活用いたしまして、福岡県立ち直りサポートセンターを設置し、運営を民間団体に委託しております。同センターでは、起訴猶予あるいは執行猶予となった人のうち福祉的な支援がどうしても必要な方を対象として、住居や就職先の確保など地域生活を円滑に送っていただくための支援を行っております。  支援の分野あるいは領域でございますけれども、高齢者や障がいのある人、アルコールなどの依存症、薬物事犯の初犯者、性犯罪加害者などとしております。支援に当たりましては、検察庁や弁護士会をはじめ、県の薬物再乱用対策のコーディネーター、あるいは性暴力加害者相談支援窓口などとも連携を図っているところでございます。 297 ◯原中誠志委員 令和元年九月からということで、取組を始めてまだあまり月日がたっておらず、現時点で成果と言えるものはなかなかないかもしれませんけれども、経過としてどのような状況にあるのかお答えください。 298 ◯中島福祉総務課長 このセンターの支援実績でございますが、約一年半の間に三十一名の支援を行ってまいりまして、このうち再犯に至った人は現在のところ二名、その割合は六・四%となっております。全国の再犯率や先ほどの地域生活定着支援センターの実績に照らしましても、この事業は再犯防止に効果を上げているものと考えております。  また、年度内にモデル事業で得ました支援事例を基に、対応方法あるいは支援機関等に関する情報をマニュアルとして取りまとめまして、民間の協力企業や団体、市町村などに提供し、地域における支援の取組に役立ててまいりたいと考えております。 299 ◯原中誠志委員 今やり取りをさせていただいたわけでありますけれども、県としてのいわゆる入り口支援と出口支援についての取組について説明をいただいたわけであります。それぞれ一定の成果があったと理解しております。であるならば、こうした取組を一層進め、また保護司などの民間支援者との連携も強化し、再犯防止につなげていくべきだと考えております。今後に向けて、再犯防止推進計画を受け持つ福祉総務課長の考えをお聞きしたいと思います。 300 ◯中島福祉総務課長 犯罪や非行に至るまでには、その人、当事者はもとより、家族も含めて、本当に悩み、苦しみ、様々な事情を抱えてそこに至るというのが実態でございます。このような犯罪に至った人に手を差し伸べて、再チャレンジの機会を与えてあげる、社会の一員として復帰できるようにしてあげる、このことが県にとっては欠かさざるべき大切な役割であると考えております。私自身も親族にそのような経験がございました。保護司の方、いろいろな方々に大変お世話になってまいりました。そのような思いで再犯防止に取り組んでいるところでございます。  では、今後でございます。入り口支援を行います立ち直りサポートセンターにつきましては、令和三年度からスタッフを増員し、年間五十名の支援を目指すとともに、出口支援を担います地域生活定着支援センターと一体的に運営することで、支援体制の強化を図りたいと考えております。また、センターは現在、福岡市内の賃貸マンションの一室で業務を行っているところですが、本年四月からは、福岡市中央区赤坂にあります県の福岡西総合庁舎に移転をし、そのために必要な手続を進めているところでございます。このことによりまして、同じ中央区内にございます検察庁、保護観察所、弁護士会、保護司会連合会、協力雇用主会などとの連携を密に行うことができるようになると考えておりまして、支援も充実すると思います。このように様々な関係機関と協力して支援体制を強化することで、より一層再犯防止を推進してまいります。 301 ◯原中誠志委員 再犯防止について、今後とも県、そして公的機関、民間機関の協力を得て、再犯防止の取組を推進していただくように強く私からも要請申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 302 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 303 ◯栗原 渉委員長 ないようですので、以上で、高橋雅成委員、高瀬委員の知事職務代理者保留質疑を残し、第五款生活労働費に関する質疑を終わります。  この際しばらく休憩します。再開は午後三時五十五分といたします。    午 後 三 時 四 十 七 分 休 憩    午 後 三 時 五 十 五 分 再 開 304 ◯栗原 渉委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。  第六款農林水産業費について説明を求めます。鐘江農林水産部長。 305 ◯鐘江農林水産部長 六款農林水産業費について御説明をいたします。お手元の令和三年度予算に関する説明書の二百四十一ページをお願いいたします。  一項農林水産業企画費でございます。その主なものは、二百四十三ページに参りまして、二目農山漁村振興費の右側説明欄、上から五番目の多面的機能支払事業費でございます。これは、農地や水路等の保全を図るものでございます。この項の合計は、ページが飛びまして二百四十八ページでございます。計の欄、八十六億八千五百万円余をお願いしております。  次に、二項農業費でございます。その主なものは、次の二百四十九ページになりますが、二目園芸振興費で、右側説明欄では次の二百五十ページ、上から二番目の園芸作物振興対策費でございます。これは、収益性の高い園芸農業振興を図るものでございます。合計は、ページが飛びまして二百五十三ページでございます。計の欄、百四億七千百万円余をお願いしております。  次に、三項畜産業費でございます。その主なものは、二百五十五ページに参りまして、二目畜産振興費の右側説明欄、上から六番目の畜産振興総合対策費でございます。これは、畜舎整備等の生産対策を行うものでございます。合計は、一枚めくっていただきまして二百五十六ページの計の欄、十七億二千万円余をお願いしております。  次に、四項農地費でございます。その主なものは、次の二百五十七ページに参りまして、二目農村整備費で、右側説明欄では次の二百五十八ページに参りまして、中ほどの県営ため池等整備事業費でございます。これは、農業用ため池の改修等を行うものでございます。合計は、二百五十九ページ、計の欄、百四十二億九千六百万円余をお願いしております。  次に、五項林業費でございます。その主なものは、ページ飛びまして二百六十四ページになります。四目治山費の右側説明欄、上から五番目の治山事業費でございます。これは、山地災害の復旧、防止を行うものでございます。合計は、ページが飛びまして二百六十九ページでございます。計の欄、百四十四億六千二百万円余をお願いしております。  次に、六項水産業費でございます。その主なものは、二百七十一ページになりますが、二項水産業振興費、右側説明欄では上から七番目の沿岸漁場整備開発事業費でございます。これは漁場の整備や改善を行うものでございます。合計は、ページ飛びまして二百七十八ページでございます。計の欄、六十七億六千百万円余をお願いしております。  以上で農林水産部所管の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。 306 ◯栗原 渉委員長 説明は終わりました。  これより質疑を行います。質疑はありませんか。江頭祥一委員。 307 ◯江頭祥一委員 自民党県議団の江頭祥一です。  十二月議会の一般質問で、私は学校や企業の食堂に地域県産の食材を使用する取組について質問しました。今回は通告に従い、学校給食を通じた食育・地産地消の取組についてお尋ねします。  まず、福岡県だよりの十一月号に県産和牛を使った給食を提供中という記事が掲載されており、生徒がおいしそうに和牛の給食を食べている写真が載っています。これは国の事業を活用したと聞いています。子供たちはこの事業で提供された和牛やマダイ、アナゴなどのおいしい給食をとても喜んだそうです。また、家に帰って、和牛がおいしかった、今度、家でもアナゴを食べたいなど、家族の会話が弾んだそうです。これらの食材の使用が食卓でも増えることが期待されます。  この国の事業がどのようなものなのか、提供された食材の種類について、また、学校給食で提供される際、子供たちにどのようにして食材の紹介をされたのか、説明願います。 308 ◯栗原 渉委員長 浦食の安全・地産地消課長。 309 ◯浦食の安全・地産地消課長 国の事業は、新型コロナの感染拡大により需要が落ち込んでいる農林水産物の消費拡大を図る目的のもので、この事業を活用しまして、県産和牛、はかた地どり、マダイ、ブリ、アナゴを使った給食を提供いたしました。また、給食に合わせて、和牛や地鶏の生産者による授業や、福岡の魚のリーフレットの配布などを行いました。  なお、この事業により、コロナの影響を大きく受けていた畜産農家や漁業者からは、経営がある程度安定したと喜ばれております。 310 ◯江頭祥一委員 今、御説明いただいた事業は国の事業でしたが、県では、食育や学校給食への県産農林水産物の活用のため、どのような取組を行っているかお答えください。 311 ◯浦食の安全・地産地消課長 県では、小・中学校の子供たちを対象に、柿の皮むき体験や、農協職員や野菜ソムリエによる出前講座を実施するとともに、農林水産物の産地マップや出荷カレンダーを掲載した下敷きを作成し、配布しました。また、学校給食に県産米の夢つくしや元気つくし、福岡有明のり、キウイフルーツの甘うぃ、はかた一番どりを利用する際の支援を行っています。  なお、米は県内ほぼ全ての学校で県産米が利用されています。 312 ◯江頭祥一委員 答弁いただいた県産農林水産物に対しては支援いただいているということですが、県には、今年提供された博多和牛やマダイ、アナゴのほか、おいしい農林水産物がまだまだたくさんあります。年間を通しての提供は難しいかもしれませんが、例えば年に一回、特別なメニューとして和牛や地鶏、マダイ、アナゴなどが給食に上ると、それは子供たちにとってもとても印象に残ると思います。 313 ◯栗原 渉委員長 質問をしてください。 314 ◯江頭祥一委員 おいしい県産農林水産物を学校給食に導入するというような取組は、ぜひ対象を拡大して継続していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 315 ◯浦食の安全・地産地消課長 給食で出された料理は子供たちの記憶に残り、大人になってもその味を思い出し、おいしい県産農林水産物を選んで買って食べるようになることが期待されることから、できるだけ多くの農林水産物を給食に利用していただくことが大変重要と考えております。このため、県産米や福岡有明のり、甘うぃ、はかた一番どりへの支援及び給食関係者と農協や直売所等との連携についてアドバイスできる専門家の派遣について、次年度も実施し、県産農林水産物の活用を推進いたします。  また、和牛や地鶏、県産の魚をはじめとした、さらに多くの品目についても、農林漁業団体と協議しながら、国の事業の活用も含め、学校給食に取り入れられるように努めてまいります。 316 ◯江頭祥一委員 次に、新規就農者の確保・育成についてお尋ねします。  本県農業を持続的に発展させていくためには、次代の担い手として新規就農者を確保し育成していくことが極めて重要です。その対策として県は、就農前後の資金面を支援する国の農業次世代人材投資資金を活用し、新規就農者の育成にも取り組んでいることは承知しています。実際に支援を受けた方からは、この資金が非常に役に立ったとの声も聞いています。  そこでまず、農業次世代人材投資資金について、その内容はどうなっているのかを説明願います。 317 ◯栗原 渉委員長 川口後継人材育成室長。 318 ◯川口後継人材育成室長 農業次世代人材投資資金は、就農前に最大二年間交付する準備型と、就農後に最大五年間交付する経営開始型があります。いずれも就農時の年齢が五十歳未満であることや、農業を継続しない場合には資金を返還しなければならないなどの要件があります。 319 ◯江頭祥一委員 就農時が五十歳未満しか対象とならないということは、やる気も体力もある五十代、六十代以上の方がいらっしゃるとしても、その資金は受けることができないということですか。 320 ◯川口後継人材育成室長 そういうことになります。 321 ◯栗原 渉委員長 挙手をしてください。 322 ◯江頭祥一委員 人生百年時代と言われる中で、五十歳以上の方の活用はできないと年齢だけで区分する資金というのは、国の制度とはいえ、いかがなものでしょうか。確かに若い世代が就農して、長い期間担い手として活躍してもらうことが理想です。その意味において、農業をなりわいとして二十年、三十年と頑張ろうとする人に資金を投入するという点は分かります。しかし、地域の農業を守っていくためには、年齢に関係なく、やる気のある方々をしっかり支援することが重要ではないでしょうか。  そこで、私は、定年退職後に就農する、いわゆる定年帰農の動きにも注目しなければと考えています。現在、そのような方に対する支援はどのようにされているのかお聞かせください。 323 ◯川口後継人材育成室長 定年後に農業をしたいという方にとっては、農作業の段取りや収量、品質を安定させるための技術が十分ではないことなど、栽培技術の習得が課題となっております。このため、普及指導センターにおいて、年齢を問わず参加できる営農基礎講座を開催しており、土作りや肥料のやり方、病害虫対策などの基礎を学んでいただくことで、新規就農者の早期の技術習得を支援しております。また、農業大学校では、農外からの就農希望者を対象とした研修科を設けており、五十代、六十代の卒業生もいらっしゃいます。 324 ◯江頭祥一委員 今の答弁は県内各地を一律で見た話であり、全体論にすぎません。農業の担い手不足の状況は、県内の各地域で実に様々です。また、定年帰農の方も、家庭菜園中心で時々直売所に出したいという方から、市場に出荷して本格的に農業経営したいという方まで、多様であると思います。本格的に農業経営をしたいという方にはきちんと対応していくことが大切ではないでしょうか。県内のある首長からは、担い手不足は極めて深刻、定年退職を契機に農村に戻ってくる方を生かして、農業従事者を増やすことが課題であるとの声も上がっています。  お尋ねします。このような声をきちんと把握されていますか。また、定年帰農の方への支援の事例があれば、その内容をお聞かせください。 325 ◯川口後継人材育成室長 農業従事者を増やすために、定年退職された方の力を生かしたいという地域の声があることは承知しております。  なお、京築普及指導センター管内では、定年後に農業経営をしたいという方があり、JAと連携し、露地で栽培できるナスやキウイフルーツ、花のケイトウなどの推進品目を選定の上、栽培講習会へ誘導することで、産地の活性化に結びつける活動を支援しているところであります。 326 ◯江頭祥一委員 露地栽培での取組があることは分かりました。  一方で、しっかりともうける農業を展開するためには、施設園芸などの高収益な農業に取り組む必要もあると思います。しかしながら、定年帰農は、若い世代と比べるとどうしても就農している期間が短いため、大きな投資は難しい。高収益型園芸事業を活用して補助金を受けたとしても、回収はなかなか厳しいと言わざるを得ません。  このような点を踏まえた上で、県としての考えをお尋ねします。 327 ◯川口後継人材育成室長 委員御指摘のとおり、施設園芸に取り組むためには、農地の確保はもとより、ハウス施設や農業機械、トラック、倉庫などが必要となるため、事業を活用したとしても、一定の初期投資は必要であり、経営上のリスクを伴います。  定年帰農で本格的に農業経営を始めるに当たっては、まず、経営ビジョンの明確化と知識や技術の習得が必要となります。また、資金や先ほど述べた生産基盤の確保など、若い世代と比べ就農期間が短いがゆえに、しっかりとした農業経営の道筋を描く必要があると考えております。 328 ◯江頭祥一委員 定年を迎えて農業をやりたいという声があることは大変いいことであります。  そこで最後に、定年帰農を含めた新規就農者の確保・育成について、鐘江部長の力強い決意と、入庁から三十九年の長きにわたり本県農政の最前線で指導してこられた部長の農業・農村振興への熱い思いをお聞かせください。 329 ◯栗原 渉委員長 鐘江農林水産部長。 330 ◯鐘江農林水産部長 まず、新規就農者の確保につきましては、農業従事者の高齢化、そして減少が続く中、新たな人材を確保するということにつきまして、これはやっぱり本県の農政の重要な柱と考えております。地域によりましては、委員御指摘の定年帰農といったニーズもありますため、先ほど室長が申し上げました技術指導等を行っているところであります。加えまして、来年度から、新たな人材を呼び込むということで、地域の商工会等と連携しました半農半Xの取組も進めることとしております。こうした多様な角度から本県農業を担う新たな人材の確保・育成に取り組んでまいります。  次に、農業振興に対する私の思いということであります。私が部長をさせていただいて特に意識してまいりましたことが、農林水産業の存在意義についてでございます。大きく二つございまして、一つは、おいしくて、安心・安全な食料を供給するということであります。そしてもう一つが、県民にとってかけがえのない景観、水源、環境等、こういった多面的機能を育んでいるということであります。私は、こちらのほうが大きいといいますか、県民の支持を得るためには欠かせないものだと考えておるところであります。したがいまして、農業では田畑、林業では森林、そして漁業では漁場、これを健全な形で維持していく、荒らさないで守っていくということが存在価値でありまして、これは私ども農林水産行政の基本であると考えております。  とは申すものの、高齢化、そして人の減少、あるいは度重なる豪雨災害等々、厳しい局面にもございます。そうした中でこれを維持して続けていくというためには、やはり何と申しましてもこれに携わる人が大事でございます。このため私どもは、先ほど申し上げましたように、多様な角度から新たな人材を確保していく、そしてその経営力を強化していく、人を育てていくということが大事であり、そこに力を入れているところであります。  今後とも、私ども農林水産部一丸となりまして、こうした取組を進めてまいりますので、議会の皆様方におかれましても、引き続き私どもに対して御理解、そして御支援をお願いしたいというところであります。どうぞよろしくお願いいたします。 331 ◯江頭祥一委員 部長の熱い思い、しっかり受け止めました。頑張ります。終わります。(拍手)
    332 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。新井富美子委員。 333 ◯新井富美子委員 民主県政クラブ県議団の新井富美子でございます。  本県の農業経営支援と新規就農対策について質問をいたします。  昨年七月の豪雨により、農業においても県南地域を中心に甚大な被害に見舞われました。特に久留米市を中心にハウス施設が広範囲に浸水し、そこで生産されているコマツナ、ミズナ等の野菜が枯死するなど、県全体で農作物の被害が二十二億円、農業全体の被害額が百五億円にも上り、一昨年の二回の浸水被害を含め、被災された農家の方からの落胆の声あるいは対策を求める声を多くお聞きしております。そしてさらには、新型コロナウイルス感染症拡大による農業への影響が長期化しており、先行きが見通せない状況が続いております。  しかし、こうした不測の事態にあっても、農家の方々におかれましては、懸命な御努力をもって農業経営を継続され、我々に農作物、すなわち食料を安定的に供給いただいているところでございます。この安定した食料供給がなければ、本県全体としてコロナ対策、災害復興も行えないわけでございますから、今、いかに農業が重要であるかということを改めて再確認しているところであると思います。  福岡県のこの大切な農業を継続的に発展させていくためには、将来にわたって農家が安心して農業に携わることができるよう、県のバックアップが必要であります。冒頭で申しました豪雨災害の復旧支援や感染症に対する経済対策は、県でしっかり取り組んでいただいており、農家の方々も心強いと思いますけれども、一方で、自然を相手に続けることができる農業経営は、一朝一夕でできるものではなく、大変着実な取組が必要でございます。県では十か所の普及指導センターで農家の技術、経営指導に当たられていると思います。  そこでお尋ねいたします。県では、農家の経営力を強化するためにどのような支援を行っておられるのでしょうか、お答えください。 334 ◯栗原 渉委員長 久保田経営技術支援課長。 335 ◯久保田経営技術支援課長 県下十か所の普及指導センターにおきまして、毎年規模拡大等を目指しておられます農業者、約二百経営体でございますが、こういった方々を対象に具体的な改善策を提案いたしまして、税理士や社会保険労務士などの専門家を派遣することで経営課題の解決を支援しております。また、平成二十九年度から、ふくおか農業経営アカデミーなどの経営力を高めていただきます講座を開設し、今年度は三十六名の方に先進的な農業経営者の経営理念や雇用管理などを学んでいただいております。アカデミーの受講後も引き続き普及指導センターにおいて、受講者一人一人の経営改善を支援しているところでございます。 336 ◯新井富美子委員 一人一人の経営の改善の支援ということで、大変心強い御回答をいただきました。  それでは、次の質問です。農家には大規模経営の方、小規模経営の方、若手、高齢者、様々な方がいらっしゃいますけれども、県は多様な農業者に対するサポートをどのようになさっているのでしょうか、お答えください。 337 ◯久保田経営技術支援課長 県では、先ほど申し上げました普及指導センターにおきまして、JAの生産部会などの営農組織に対して、品目ごと、地域ごとに、土作りから収穫に至るまでの栽培管理等の講習会や経営に関する研修会を計画的に実施しております。あわせまして、農業者の要請に応じまして、個々の経営規模や技術レベルなどに応じた個別指導を実施しているところでございます。 338 ◯栗原 渉委員長 挙手をお願いします。 339 ◯新井富美子委員 ありがとうございます。では、次の質問でございます。先日の新聞記事では、国は、農林水産業、農山漁村の発展に向けて、女性の役割を正しく認識するとともに適正な評価への機運を高め、女性の能力の一層の活躍を推進することを目的として、三月十日を農山漁村女性の日とするという記事を目にしました。女性が地域の農業の担い手として、仕事、家庭、地域において、自信と充実感を持って自主的に農業経営に参画し活躍することで、個々の農業の、そして農家の経営力強化にもつながりますし、ひいては農業のさらなる発展にもつながると確信しております。  そこでお尋ねいたします。県は、女性農業者の活躍を推進するためにどのような支援を行っているのかお答えください。 340 ◯久保田経営技術支援課長 県では一昨年度から、幅広い年齢層の女性農業者を対象にいたしまして、財務管理や雇用管理を体系的に学ぶ経営発展塾を開催しておりまして、今年度は二十三名の女性の方に参加いただいております。このほか、昨年度から普及指導センターにおきまして、就農して間もない方に経営を学んでいただきますキャリアプラン作成講座といったものを開催いたしまして、これまで延べ百十一名の女性農業者に参加いただいております。 341 ◯新井富美子委員 百十一名という大変多くの女性が参加していただいているということで、十分アピールしていきたいと思います。  次の質問です。このような女性農業者による六次化産業への取組など、実際に女性が自ら責任を持ってなりわいを起こす起業に対してはどのような支援になっているのでしょうか、お答えください。 342 ◯久保田経営技術支援課長 県では平成二十七年度から、売れる商品作りを学びます起業家育成塾といったものを開催しておりまして、さらに昨年度からは食品衛生に関する講座も開催しております。このような支援によりまして、昨年度は新規で十一件の女性農業者による起業がなされております。これまで普及指導センターが中心となって行ってきた女性農業者に対する活動支援も合わせまして、累計で三百五件にまで拡大しております。 343 ◯新井富美子委員 ありがとうございます。大変活発な活動がされているということが分かりました。  次の質問です。地域の担い手として活躍する女性が増えることもまた、農業に興味のある新たな人材への強いアピールになると考えます。ぜひ継続して取り組んでいただきたいと思います。  ところで、高齢化により農家数が急激に減少している現状がございます。そこで、新規就農者を確保・育成するために、県はどのように取り組んでいるのでしょうか、お答えください。 344 ◯栗原 渉委員長 川口後継人材育成室長。 345 ◯川口後継人材育成室長 県では、農業に関心のある方を対象に就業セミナーや相談会を開催するとともに、平成二十八年度から、農業で働きたい人と人材を求めている農業法人等とのマッチングを進める就農マッチングセンターを運営しております。ここでは、センターに登録された求職者に対し、現場経験の豊富な職員が直接面談を行い、農業の心構えや仕事内容などについて粘り強く相談させていただいております。また、就農された方に栽培技術をしっかり身につけてもらうため、農業大学校においては、就農に必要な知識や技術を習得できるよう講義や実習を実施しており、普及指導センターでは営農の基礎を学べる講座の開催など、毎年約六百名に参加いただいております。 346 ◯新井富美子委員 ありがとうございます。毎年六百名という非常に多くの方に参加いただいているところで、大変力強く感じました。  最後の質問でございます。新規就農者の確保・育成の取組状況は分かりました。私は、農業の魅力をもっとアピールすることが新規就農者の確保のためには必要であると考えます。今後どのように取り組んでいくのかお聞かせください。 347 ◯川口後継人材育成室長 先ほど述べた就業セミナーや相談会は、毎年約百名の参加をいただいており、農外から新規参入し活躍している先輩農家の体験談を紹介することで、本県農業の魅力も発信しているところです。また、その魅力と併せて、農地の確保や資金の調達、栽培技術の習得など、就農に際しての課題についても伝えることで、就農希望者が夢や理想と現実の厳しさの両面からしっかりと考えていただけるよう、相談会を開催しているところです。来年度からは、この取組をウェブでも年二回行うこととしており、より多くの方に農業の魅力をアピールできるものと考えております。 348 ◯新井富美子委員 ありがとうございます。  では最後に、実際に長きにわたり農業を営まれている方からいただいた言葉を一つ御紹介したいと思います。農業に携わるにおいて、生きとし生ける者は全てお互いに生かし合い生かされ合っている、共存しているということを強く実感できる、あるいは生命の根源すら身近な形で思いをはせる機会が多くあると、このような声をいただきました。  これは実際に、アフターコロナの生き方に多くのヒントを与えてくれる言葉ではないでしょうか。農業には食料供給の面だけでなく、さっき部長も申されましたけれども、多面的機能と、そしてもう一つは、人間の精神に豊かさを供給してくれる、そういった役目も十分にあると言っても過言ではないのではないかと思います。ぜひこれからも福岡県にとって大事な農業を推進していただきたくお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 349 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。永川俊彦委員。 350 ◯永川俊彦委員 緑友会福岡県議団の永川俊彦でございます。  通告に従いまして、令和二年七月豪雨での対応について質問をさせていただきます。  昨年七月、熊本などに猛烈な雨をもたらした梅雨前線は、九州北部にも広がり、広域で河川の氾濫や土砂崩れなどが発生いたしました。大分県日田市では筑後川が氾濫し、甚大な被害を出したほか、本県でも複数の支川、河川があふれるなど、住宅地や水田地域一帯が水につかりました。私の地元大牟田市においては、諏訪川周辺で広域に浸水し、避難所となった小学校の児童や避難した住民たちが孤立するなどの事態が生じました。令和二年七月豪雨による本県の農林水産業への被害は、百三十二億円に上っております。大牟田市では農業被害が白銀川流域に集中しており、上流部においては井堰周辺での越水による農地や農業用ハウスへの土砂の流入、農業機械の浸水といった被害が発生しております。また、下流部においては農作物の冠水が広く発生しております。  このような甚大な被害が発生すると、市の職員は、被災住民の避難誘導、避難所の運営などの業務に人手を取られ、被害状況の調査やその後の対応が手薄となる状況となってしまいます。しかし、被災後の対応を迅速に行わなければ、被災した農家の営農再開につなげることが困難となります。今回被災した農地、農業用施設の被災状況を見ると、事前防災対策として、ハード整備も必要と考えます。  そこでまず、被災した農地、農業用施設は、国の災害復旧事業による復旧ができると聞いておりますが、その事業はどのようなものかお答えください。 351 ◯栗原 渉委員長 柳田農村森林整備課長。 352 ◯柳田農村森林整備課長 国の災害復旧事業は、二十四時間雨量が八十ミリ以上の大雨や地震といった自然災害で被災した農地などを復旧するためのもので、一か所当たりの工事費が四十万円以上のものが対象となります。被災箇所ごとに災害復旧事業計画概要書を作成し、申請する必要がありまして、それを国の査定官等が査定しまして、事業費が決定されることになります。 353 ◯永川俊彦委員 御説明いただきました災害復旧事業を活用するには、その被災状況や申請業務などを行うことになると思いますが、今まで大きな災害に見舞われたことがない大牟田市は、復旧に向けた迅速な対応が相当困難であったと思われます。県として行っていただきました支援はどのようなものでしょうか、お聞かせください。 354 ◯柳田農村森林整備課長 被災の状況から、市のみでの対応が困難と判断しまして、発災直後から農林事務所の農業土木職員が被災状況を確認するため、延べ三十五人が現地調査を行ったところです。また、県では、民間コンサルタントや福岡県土地改良事業団体連合会に対し、市への技術者の派遣要請を行う一方で、国の災害復旧事業に必要な計画概要書の作成の指導、助言を行ってきたところです。 355 ◯永川俊彦委員 県に行っていただきました支援は分かりました。ありがとうございます。  では、大牟田市における災害復旧事業がどのようになっているのか、現状と今後の予定をお聞かせください。 356 ◯柳田農村森林整備課長 災害査定は昨年末までに完了いたしまして、農地や井堰など復旧箇所は七十七か所で、事業費は約三億四千万円となっております。これまでに八か所の工事に着手しており、未着手箇所につきましては、市が設計書作成など工事着手へ向け準備を進めているところです。県といたしましては、復旧へ向け技術的な指導・助言を行うことで早期復旧に努めてまいります。 357 ◯永川俊彦委員 今後も復旧に向けまして、しっかりと市と連携し進めていただきますよう改めてお願い申し上げます。  一方で、大牟田市には大小様々な井堰がありますが、そのほとんどは固定堰であり、農業者からは、今回の災害のような急激な増水には固定堰の板を外す時間もなかったと伺っております。このことから、操作がしやすい転倒堰に改修できないのかと相談を受けている状況でございますが、こうした地元からの要望、御相談は把握されておられますでしょうか、お聞かせください。 358 ◯栗原 渉委員長 因農山漁村振興課長。 359 ◯因農山漁村振興課長 白銀川、それから隈川の井堰について、固定堰を可動堰に改修したいといった相談は市からいただいておるところでございます。 360 ◯永川俊彦委員 そこで、固定堰の場合、施設自体が通水断面を狭くすることに加え、大雨時には流木などが引っかかり、水の流れを遮断するなど、井堰周辺の護岸に対する負荷が大きくなるのではないかと考えます。市から相談を受けているということでございましたが、こうした固定堰の改修に対して、県としてどのように取り組んでいかれるのか、現時点での状況も併せてお答えください。 361 ◯因農山漁村振興課長 大牟田市からの相談を受けまして、活用可能な事業やその要件について市のほうに御紹介をさせていただいたところでございます。こうした情報を基に、市では現在、井堰の周囲への影響など緊急性を確認しながら、活用する事業について検討を行っていただいているところでございます。  一方で、固定堰を転倒堰に改修するに当たっては、河川管理者との協議が必要でありますこと、また、建設費用やその後の管理費用の負担をどうするかといった課題もございます。しかしながら、固定堰の可動化につきましては豪雨災害に対して有効な防災・減災対策であると考えられますことから、引き続き大牟田市と密接に連携をいたしまして、事業化に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。 362 ◯永川俊彦委員 県としても、固定堰の可動化については豪雨災害に対して有効な防災・減災対策であるという認識であるということが分かりました。井堰の改修につきましては今後も引き続き、大牟田市任せではなく、県としてしっかりと取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。  一方、一昨年度に完了した国営の筑後川下流土地改良事業やその関連事業である県営事業により、水路や排水機場といった農業水利施設が整備されてきたところでございます。今後も懸念される豪雨災害の激甚化、頻発化を踏まえ、こうした既に整備された農業水利施設が豪雨時などにおいて正常に機能することが必要であると考えます。  こうした中、国は、重要インフラについて的確に修繕や補修を加えつつ、長寿命化を図るといったストックマネジメントという考え方を打ち出して久しいところでございます。このストックマネジメントについては、農業水利施設においても取組が進められていると聞いておりますが、大牟田市内における県の取組状況についてお答えください。 363 ◯因農山漁村振興課長 県といたしましては、農業水利施設の機能を長期にわたり適切に確保するストックマネジメント、いわゆる施設の長寿命化といった取組につきましては重要と考えておりまして、基幹的な農業水利施設について、こうした考え方に基づく機能保全計画を策定いたしまして、適切な時期に補修等を行うこととしております。  お尋ねがありました大牟田市における基幹的農業水利施設でございますが、大牟田排水機場について、令和元年度に施設の機能診断を実施した上で機能保全計画を策定したところでございます。この計画に沿って今後対策を行うため、国庫補助事業を活用することを考えておりまして、現在、来年度の新規採択地区として申請書を提出させていただいているところでございます。引き続き必要な国費の確保に努めながら、計画的に事業を実施してまいりたいと考えております。 364 ◯永川俊彦委員 今回の令和二年七月豪雨は、本県に四年連続での豪雨被害をもたらしました。大牟田市におきましては、これまで大きな災害が発生していない中で起きた災害で、市の職員も対応が手探りだっただろうと思います。これまで課長の御答弁をいただきましたが、こういった市町村に対する災害復旧や防災・減災対策には県の支援が必要不可欠だと思います。それにつきまして、部長の御見解をお聞かせください。 365 ◯栗原 渉委員長 鐘江農林水産部長。 366 ◯鐘江農林水産部長 近年の豪雨災害は、委員も御指摘いただきましたけれども、激甚化そして頻発化をしております。被災された市町村には、まずは被災状況の確認、そして災害復旧事業に必要な計画書の作成などが求められます。しかし、そもそも専門の技術職員が少ない、あるいは被災経験が少ないといった市町村にとりましては、発災後、それらに迅速に対応するということは厳しい状況にあると考えております。このため県といたしましては、こうした被災市町村の状況を鑑みながら、農地、農業用施設あるいは農業用ハウスなどの復旧に向け、人的支援を引き続き行ってまいる考えであります。  また、こうした災害を踏まえますと、防災・減災対策を進めていくことも重要であります。先ほど課長が申し上げましたとおり、市町村と連携をし、排水機場などの整備、また長寿命化といった取組も引き続き実施してまいる考えでございます。 367 ◯永川俊彦委員 今回、私は、井堰周辺で越水により被災した農家の方にお話を伺いました。この方は二年ほど前に大病を患われ、大手術を行われております。幸いにも手術は成功し、営農再開だけがこれからの人生の励みであったとおっしゃっていました。そういったところ、突然の災害により、農地への土砂の流入で次期の営農再開が絶望的で、涙ながらに生きがいを奪われたようだと奥様共々おっしゃっておられました。  令和二年七月豪雨において災害対策が迅速にできたのは、県の御支援によるところが大きかったと存じ上げております。災害については何よりも未然に防ぐことが大切であり、本日お聞きした県の施策について今後も継続して取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 368 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。吉田浩一委員。 369 ◯吉田浩一委員 福尽会の吉田浩一でございます。  本日は、園芸施設共済の加入推進についてお伺いいたします。  近年、全国的に台風や豪雨、大雪などの気象災害により、農作物やハウス施設などに甚大な被害が発生しております。先ほども永川委員が言われたとおり、県の南部地域を中心として甚大な被害が発生いたしました。このような気象などにより大きな被害が発生したときに備えるために、農業保険制度がございます。農業保険制度は、収入保険と農業共済の二つから成り立っていると思いますが、今回は、あまおうを代表とする施設園芸が盛んに行われている当県でハウス施設が被害を受けたときに備える園芸施設共済についてお伺いします。  本県では、福岡県農林水産業・農山漁村振興条例に基づき、農林水産業及び農山漁村の持続的な発展が図られるよう、福岡の食の販売・消費の促進、輸出拡大、担い手の育成、農林漁業の応援団づくりなど、農業・林業・漁業において一体的な施策に取り組んでおられます。しかしながら、近年、台風や豪雨などによる気象災害が発生しており、このような甚大な被害を受けた農家は営農意欲を失い廃業する方も多数いると聞いております。特に初期投資がかかっている園芸農家には、災害は大きな打撃でございます。このため、収入保険や農作物共済などとともに、ハウス施設の被害発生に備える園芸施設共済の重要性も増していると考えます。  そこで最初にお尋ねします。園芸施設共済の概要についてお答えください。 370 ◯栗原 渉委員長 冨永団体指導課長。 371 ◯冨永団体指導課長 園芸施設共済は、農家が所有するハウス施設が自然災害等により損害を受けた場合に共済金が払われる保険制度であります。加入できる施設は、ハウス施設本体と附帯施設、施設内の農作物で、対象となる被害は、台風や水害などの気象上の原因による災害や火災などになっています。 372 ◯栗原 渉委員長 挙手をお願いします。 373 ◯吉田浩一委員 制度の概要については分かりましたが、ここで資料を要求いたします。ただいま説明がありました園芸施設共済についての本年度の制度改正の概要及び過去五年間の園芸施設共済の支払実績について、あらかじめ資料を要求しておりますので、委員長、取り計らいをよろしくお願いいたします。 374 ◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。  ただいま吉田浩一委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 375 ◯栗原 渉委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま吉田浩一委員から要求がありました資料については提出できますか。 376 ◯冨永団体指導課長 直ちに提出いたします。 377 ◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 378 ◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 379 ◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、吉田浩一委員、質疑を行ってください。 380 ◯吉田浩一委員 それでは、資料の説明をお願いいたします。 381 ◯冨永団体指導課長 資料について説明いたします。  最初に、一の令和二年度園芸施設共済の制度改正です。令和二年度は四点の改正が行われました。うち三点は補償額の上乗せで、一点は掛金の割引です。まず、補償額の上乗せですが、二点が特約1)と特約2)で、両方に加入することで、経過年数にかかわらず新築時の資産価値の最大十割の補償を受けられるようになりました。もう一点は特約3)ですが、損害額が三万円以下だと補償されなかったものが、一万円を超える損害から補償されます。四点目の掛金の割引では、小さな被害を補償範囲から外すと掛金が割引されるようになりました。  次に、二の過去五年間の園芸施設共済の支払い実績ですが、園芸施設共済に加入している農家の被害額に対する共済金支払額を年度ごとに掲載しており、直近の令和元年度は、被害額約三億六千万円、支払共済金は約三億一千万円となっております。 382 ◯吉田浩一委員 今の資料説明で、制度改正がなされていることが分かりました。  また、共済金の支払い実績を見ても、被害額と支払共済金に差があり、その分が、今までは農家の負担になっていましたが、今回の改正を最大限活用されると、被覆材以外の部分は満額補償されるなど、農家にとってより入りやすくなったのではないかと考えます。  そこで、まず福岡県の園芸施設共済の現在の加入状況についてお伺いいたします。 383 ◯冨永団体指導課長 令和元年度の加入状況は、農業共済組合の調べですが、農家戸数割合で約六割となっております。 384 ◯吉田浩一委員 この園芸施設共済が本格実施されたのが昭和五十四年と伺っております。約四十数年たっていますが、先ほど言われたとおり、まだ六割しか加入していないということです。この加入を伸ばすためにも、いい制度改正が行われたことを農家が知らないのでは、せっかくの制度改正が生かされません。これまで県として園芸施設共済をどのように周知してきたか、特に市町村に対してどのように働きかけてきたのか伺います。 385 ◯冨永団体指導課長 県では県ホームページに掲載するとともに、県主催の市町村や農協が集まる各種説明会などにおいて、チラシの配布や説明を行っております。また、県内の園芸施設施工業者に対してもチラシを配布し、園芸施設共済への加入を促すよう依頼してきたところです。特に市町村に対しましては、毎年度初めに園芸施設共済のチラシを送付し、農業者の集まる機会や各種補助金の活用時などに加入を促すよう依頼しているところであります。 386 ◯吉田浩一委員 市町村をはじめとした関係機関への周知については、今後も制度改正を含めしっかりと行っていただきたいと思っております。  一方、加入を推進するためには、周知するだけでなく、例えばハウスを建設する場合、農家は県や国の補助事業を活用することが多いと思います。この補助事業の選択時に、園芸施設共済に加入することを要件にすれば加入促進につながるのではないかと考えますが、県や国の補助事業を選択する際に、園芸施設共済への加入についてはどのような状況となっているのか伺います。 387 ◯栗原 渉委員長 中馬園芸振興課長。 388 ◯中馬園芸振興課長 県の高収益型園芸事業や国の産地パワーアップ事業などの補助事業でハウス施設を整備する場合は、園芸施設共済などの保険に加入することを要件としております。 389 ◯吉田浩一委員 既に県や国のハウス等の建設に関わる補助事業については園芸施設共済などの加入が要件となっていると今おっしゃいましたが、園芸施設共済等はハウス建設後にしか加入できないと思います。補助事業の選択時にはまだ建設をされていないため、実際に加入されていることの確認はできないと思いますが、この補助金の要件である園芸施設共済への加入について、どのように確認を行っておられるのかお伺いします。 390 ◯中馬園芸振興課長 県では事業の申請時に、事業実施主体が園芸施設共済などへの加入が必要であることを理解しているか確認いたします。また、事業完了後の実績確認の際に、保険証券等によりまして事業実施主体が園芸施設共済などに加入していることを確認しております。 391 ◯吉田浩一委員 県の園芸施設共済に対する取組を聞いてきましたが、近年のように災害が頻発する中で、万一の備えとして、より多くの農家の方に園芸施設共済に入ってもらう必要があると考えています。本県の園芸施設共済について、加入目標があるのかお伺いいたします。 392 ◯冨永団体指導課長 加入目標につきましては、国と農業共済組合の間において、令和三年度末までに農家戸数の八割を目指すことになっています。
    393 ◯吉田浩一委員 令和三年度末までに、国も農業共済組合も加入率八割を目指すとのことですが、令和元年度末の加入率から考えるとかなりハードルが高い目標であり、達成するか、いささか不安を感じております。加入率の増加は、農家の方が万が一被災された際、再建の大きな役割を担うものであります。毎年のように災害を受ける今日、本県の農業維持発展に、ぜひともこの目標の達成のため県からの力強い協力も必要であると考えます。  最後に、部長は、今月末をもって退職されると聞いております。お疲れさまです。農家に寄り添った行政と言われたのを何度かお聞きしました。本県農業に対する思いをお聞かせいただくとともに、本日質問いたしました園芸施設共済の加入推進についてどのように取り組んでいくのか、部長の気持ちを率直にお聞かせください。 394 ◯栗原 渉委員長 鐘江農林水産部長。 395 ◯鐘江農林水産部長 委員も御指摘いただきましたけども、近年、台風、それから豪雨災害、こういったものによりまして、ハウス施設に甚大な被害が発生しております。そうした中、農業経営の安定を図るためには、農家自身が園芸施設共済をはじめ、それぞれの経営に合ったセーフティーネットに加入されることが重要であると考えております。このため、先ほど課長が申しましたとおり、様々な機会を通じ、農業者への周知を図っているところであります。今後ともこうしたセーフティーネットの活用によりまして、園芸農家の方々が安心して農業経営に取り組んでいただけますように努めてまいります。 396 ◯吉田浩一委員 部長の農林水産業に対する熱い思いをお聞かせいただきました。今回、この園芸施設共済の制度改正が行われたことによって農家はより入りやすい制度になったのではないかと考えております。現在の災害の発生状況を見ますと、一人でも多くの農家に入っていただくこと、本当は全農家に入っていただくことが必要だと考えております。そのためには、やはり県が農業共済組合や関係団体としっかり連携して加入推進を図ってもらうことを要望いたしまして、本県農業が発展することを祈念しまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 397 ◯栗原 渉委員長 この際、委員各位に申し上げます。本日の審査は午後五時までを予定しておりましたが、議事の都合により、このまま続行させていただきます。よろしくお願いします。  ほかに質疑はありませんか。吉田健一朗委員。 398 ◯吉田健一朗委員 自民党県議団の吉田健一朗です。  通告に従い、筑前海における漁業経営の安定について伺います。  新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、漁業者の経営にも様々な影響が出ております。新聞などの報道によると、水産物の全国的な傾向として、ふだん飲食店で生けづくりなどで提供される高級魚の需要が、飲食店の休業や時短などの影響により減少し、市場単価が低下しているとのことでした。  そこで、コロナの影響により福岡県の水産物にどのような影響が出ているかお答えください。 399 ◯栗原 渉委員長 濱田水産振興課長。 400 ◯濱田水産振興課長 本県でも飲食店などにおける活魚などの需要が減少しており、マダイやブリなどの価格が二、三割低下しております。さらに緊急事態宣言後は、トラフグやケンサキイカなど高級魚の価格が半値以下まで低下いたしました。一方、スーパーなどの量販店における、主に家庭向けの鮮魚や加工品の需要は多い状況が続いております。 401 ◯吉田健一朗委員 福岡県も全国的な傾向と同じ状況ということだと思いますが、では、コロナの影響下にある漁業者に対し、県はこれまでどのような支援策を打っているのかお答えください。 402 ◯濱田水産振興課長 コロナ禍で落ち込んだ需要を喚起するため、マダイ、ブリ、アナゴについて、それぞれ県内の小・中学生など約四十二万人を対象に、学校給食へ提供をしております。また、福岡県ウェブ物産展を開催し、鐘崎天然とらふくなどの販売を支援するとともに、ふくおかの地魚応援の店を活用した、ふくおかの魚フェアの開催や、小冊子を使った応援の店のPRを行っております。さらに、令和三年一月の緊急事態宣言後に市場価格が大きく低下する中、漁船漁業者の操業を後押しするため、操業経費の一部を緊急に支援しております。 403 ◯吉田健一朗委員 緊急事態宣言により大きな影響を受けた漁業者に対する操業経費の支援については、フグはえ縄やイカ釣りを営む漁業者から感謝の声が多く届いております。一方で、今回の支援については、対象となる期間が緊急事態宣言発令から三か月後の四月十三日までとなっております。二月末をもって福岡県の緊急事態宣言は解除され、このままコロナの拡大が収束していくことを切に希望するところではございますが、コロナの影響というものが四月以降どのような状況になるか分かりません。今後、同じように魚価が大幅な下落を示したときには柔軟な対応をよろしくお願いします。  今回は、緊急事態宣言により操業意欲を失うことなく漁業を続けてもらうための対策でありますが、操業意欲を失う最も大きな原因は市場価格の大幅な下落にあります。長い目で見た場合、コロナの影響下においても価格の下落を抑えるような対策を講じておくことが大変重要であり、そのため、我が会派からの代表質問におきまして、漁業経営の安定に向けた取組についてただしたところです。その際、新たな販路の拡大対策としてウェブ販売をPRしていくという答弁がありました。特にコロナ禍で家庭で食事を取る機会が増えている中、ウェブ販売は非常に有効であると思いますが、ウェブ販売の事業について、どのような効果が期待できるのかお答えください。 404 ◯濱田水産振興課長 本県では、天然の水産物やそれを利用した加工商品などの販売に多くの漁業者がウェブ販売を活用しております。しかし、漁業者がそれぞれにサイトを立ち上げ販売しているため、知名度が低く、集客力が弱い状況であります。そこで、県のホームページじざかなび福岡の中にこれら県産水産物の通販サイトの情報を一堂に集め、これを見ると県産水産物を使った通販商品が全て分かるというような特設コーナーを開設します。周知に当たりましては、グーグルやヤフーなどの大手検索サイトにこの特設コーナーへ誘導するインターネット広告を表示させ、集客力の強化を図ります。これにより販売価格の向上が期待されるところであります。 405 ◯吉田健一朗委員 まき網やごち網などの漁業者からは、今後に対する不安の声も上がっております。ぜひ漁業者の方々が操業意欲を失わないよう対応をお願いしたいと思います。  コロナというこれまで経験したことのない事態を経験している我々としては、現状への対応はもちろんですが、一方で、今後どのような事態になっても動じない、経営安定のための足腰の強い漁業を改めて考えていく貴重なチャンスをもらったと、前向きに考えていくことも必要なのではないかと思います。その点から言えば、計画的に生産ができて、売りたいときに販売できる養殖業の推進が漁業経営の安定に効果的ではないかと考えます。  そこでお伺いします。筑前海では現在どのような養殖が行われているのかお答えください。 406 ◯濱田水産振興課長 筑前海は、海岸線が北西向きに開けており、冬の季節風と高い波の影響を受けやすいため、波の静かな養殖に適した場所が少ない海域であります。そのような中、県では漁業者に対し、養殖可能な場所や養殖技術を指導普及してきた結果、糸島ではカキ養殖、福岡湾内ではノリやワカメなどの海藻類の養殖が広まっているところであります。さらに、県では新たな養殖対象種といたしまして、直売所等で需要が高いアカモクに注目しており、来年度から新たに養殖技術の開発にも取り組んでまいります。 407 ◯吉田健一朗委員 今後、筑前海で大規模に養殖を進めていくことが難しいことは分かりましたが、少ない漁場を有効に活用して養殖業を広げていっていただきたいと思います。  筑前海は、漁船漁業による天然魚の漁獲が中心であります。ならば、漁船漁業で取ってきた天然の魚をそのまま市場に出荷して、その日その日の相場に一喜一憂するのではなく、何らかの工夫をして、いかに高く販売していくことができるかが、漁業経営安定のための課題となるのではないかと思います。  そこでお伺いします。養殖以外に魚価を上げる方法としてどのようなものがあるのかお答えください。 408 ◯濱田水産振興課長 漁獲された魚の中でも、サイズがふぞろいであったり、量が少ないなど、市場への出荷に向かないものがございます。これらについては、自ら価格を設定し、販売できる直売所や朝市、夕市等での直接販売の取組が有効であります。また、まとまって取れた魚は数日間生かし、しけが続き、価格が上がったときに出荷するといった取組や、高鮮度出荷など付加価値をつけたブランド化、さらに高品質な一次加工品の商品化などの取組が効果的であります。 409 ◯吉田健一朗委員 一口に水産物の価格を上げる取組といっても、いろいろな方法があることが分かりました。  コロナという大きな災害に対し、今後、漁業者の経営安定のために、コロナ禍におけるウィズコロナ対策、同じくコロナ収束後のアフターコロナ対策にしっかりと取り組み、筑前海の漁船漁業者が今後とも安心して漁を続けていくことができるようにすることが、現在県に求められている最も重要なことではないかと思います。今後、筑前海の漁船漁業者の経営安定のためどのような取組を行っていくのかお答えください。 410 ◯濱田水産振興課長 コロナ禍における漁業経営の安定のため、先ほどお答えいたしましたウェブ販売に対する集客力の強化に取り組んでまいります。また、コロナ収束後の対策といたしまして、応援の店を活用したフェアの開催やその応援の店のPR、機器整備支援による一次加工の取組強化などを行い、漁業者の所得確保を図ってまいります。さらに、これらの取組に加え、資源づくりや漁場づくり、スマート漁業の推進などに取り組むことで、漁業経営の将来に向けた安定を図ってまいりたいと考えております。 411 ◯吉田健一朗委員 筑前海の漁船漁業者は、夏の照りつける日差しの中でも、冬の極寒の荒波の中でも、それこそ命がけで海に向かい、私たちの貴重なたんぱく源である魚介類を供給しております。今回のコロナの影響により、漁業者の方々が操業意欲を失わないよう、また安心して操業できるよう、今後ともしっかりと対応していただきたいと思います。  最後に、水産局長にお尋ねします。漁業経営の安定を図り、漁業者の明るい未来を築くことは、水産業の振興において非常に重要な課題であります。水産局長は、水産振興課長、水産海洋技術センター所長、水産局長と、その課題を受け持つ中心的な職務を歴任してこられたとお聞きしております。半月後には退職を迎えられるとのことですが、漁業者の経営安定について、これまでの御経験を踏まえ、力強い決意を御披露いただきますようお願いします。 412 ◯栗原 渉委員長 石田水産局長。 413 ◯石田水産局長 本日は漁業経営の安定対策についてお尋ねがあったわけですけども、その大きな柱の一つであります水産物の販売について、私の思いを述べさせていただきたいと思います。  いきなり私ごとで恐縮ですけども、私の実家は魚屋でございました。物心ついたときから父親の行商について近隣のお得意さんのところを回っておりました。この行商の優れた点は、売れ残りのロスが極めて少ないということですね。それは、どこのどなたが何を好んでいるかということが父親の頭の中には全部入っていて、イカなら誰々さん、サバなら誰々さんのところにどれぐらいの頻度で持っていけばちゃんと買ってもらえるかということを、仕入れの段階からしっかり算段をして走り回っておったということでございます。私は、この行商というのは商売の原点だと今でも思っております。  今、買物弱者と言われる高齢者の皆さん、また地域、それとコロナが怖くて量販店に行きたくないんだという方向けの移動販売というのが今、大きく見直されております。片やウェブのほうで言いますと、いわゆるビッグデータというのを使って、顧客の皆さんが好む物をこれでもかと提示することで購買意欲を刺激する、これが主流でございます。しかしこれは、技術的なことを除けば、行商がずっとやってきたことかなと思うわけでございます。  今後の水産物の新たな販売をと考えたときに、やはり温故知新で、こういったもともと優れた商売の仕方、御用聞きなんていうのも昔ありましたが、そういったものをもう一度見直して、現在に合うように、フィットするように工夫をすることで、大きなチャンスが生まれるのではと考えております。  いずれにしましても、水産局としましては、水産物の販売拡大、それから収益率の向上によってもうかる漁業の実現、これに向けて一丸となって邁進をしていく所存でございます。県議会の皆様方の御指導、御鞭撻を今後とも引き続きよろしくお願いいたします。 414 ◯吉田健一朗委員 ありがとうございます。終わります。(拍手) 415 ◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 416 ◯栗原 渉委員長 ないようですので、以上で、第六款農林水産業費に関する質疑を終わります。  以上で本日の議事を終了いたします。  なお、明日十七日水曜日の委員会は、午前十一時に開き、歳出第七款商工費及び第八款県土整備費の審査を行う予定でありますので、よろしくお願いいたします。  本日はこれをもって散会します。    午 後 五 時 八 分 散 会 Copyright 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