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令和2年6月定例会(第12日) 名簿
令和2年6月定例会(第12日) 本文

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  1. 福岡県議会 2020-06-12
    令和2年6月定例会(第12日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(原中 誠志君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。片岡誠二君。(拍手) *片岡議員質問 2 ◯二十番(片岡 誠二君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の片岡誠二でございます。今回は、オンライン授業についての質問をさせていただきます。先週の各会派の代表質問、また昨日の一般質問におきましても、このオンライン授業について質問されましたが、重なる部分もあるとは思いますけれども、改めて教育長に質問をさせていただきたいと思っております。  新型コロナウイルス感染症発生に伴い、福岡県内の小中高等学校でも、約二か月半という長期間にわたり臨時休業が続くことになりました。現在では、地域によって内容の差はあるものの、分散登校や短縮授業など徐々に学校再開が進み、多くの学校で通常授業に移行されております。しかし、今後、第二波、第三波の波が押し寄せることは、専門家筋では当たり前のように語られています。そこで、再度、児童生徒たちの安全性の確保、学習保障の両面を熟慮しながら臨時休業せざるを得ない状態となる可能性は十分に考えられます。したがいまして、教育現場はより高度な対応が求められるわけであります。国連教育科学文化機関、いわゆるユネスコは、一時的な休校が今回ほどの規模や速さで進むことは前例がなく、さらに長期化すれば、教育を受ける権利を脅かしかねないと警鐘を鳴らしております。今回の事態を受け、もし事前にオンライン学習、また授業を実施できる環境が整っていたのならば、行政や各教育委員会もより迅速に休校措置の判断ができたのではないかと考えます。我々は、今回のいわば第一波コロナ騒動を十分に検証し、新たな事態に万全なる体制を整えなければならないところであります。  ところで、昨年末、コロナ発生前でございますけれども、文部科学省は、我が国の学校のICT環境が他国と比べ非常に遅れており、活用自体も少なく、整備状況の地域差も大きいとのことから、GIGAスクール構想なるものを打ち出しました。この構想は五か年計画で、全国の小中学生に対し、一人一台のパソコンを貸与し、ICT環境を進めていこうというものであります。その五か年計画遂行のさなか、今回の新型コロナウイルス感染症による長期間の休校措置となったため、国は、急遽、今年度一年間で全ての児童生徒一人一人にパソコンを整備しようと、現在、急ピッチで推進しているところであります。このように、今まさに学校自体がオンライン学習の環境をつくろうとしている最中であります。言い換えれば、現時点でオンライン学習をすることができないということでもあり、環境整備が整っていない家庭もあることから、双方の環境が整わない限り、オンライン学習は成り立たないというのが現状であります。  そこで、教育長に何点か質問をしてまいります。まず初めに、さきにも述べましたが、今年度中に福岡県内でも、各市町村の小中学生に対し一人一台のパソコンが貸与され、オンライン環境が整うものと思われますが、県立高校は、オンライン学習を実現するためにどのような内容で、いつ頃までに整備されるのかお答えを願います。  また、同時双方向オンライン指導を実施するためには、ネット環境が整備されていない家庭に対してはどのような支援が行われるのか。併せて、市町村立の小中学校における取組状況と、それに対する県としての支援についてをお答え願います。  次に、報道等によれば、四月二十日より県立高校の一部でオンライン学習が試行的にスタートしたと聞いております。そこで、今回のコロナ禍による休校期間中、小中学校及び県立高校オンライン学習実施状況はどのようになっていたのか。そして、オンライン授業を実施した学校ではどのような教育効果があり、問題、課題があったのかお答えを願います。  次に、小学生、特に低学年の児童に関する課題についてお聞きします。オンライン学習を導入するとして、果たして低学年の児童の場合、一人でパソコンを操作できるのか、長時間集中力が続くのか、また保護者がそばにつき、サポートすることができるのかなど懸念するところであります。特に保護者が仕事をしている場合は大変難しい問題でもあります。  そこでお尋ねいたします。小学生、特に低学年の児童に対してどのような形でオンライン学習を進めていかれるのか、教育長の見解をお聞かせ願います。  次に、肝心の教員の方々に、ICT機器を操作するスキルやオンライン学習を行う能力が十分に育成されているのかどうかが大きな課題の一つになっております。パソコンICT整備などハード面の整備を進めればオンライン学習がスムーズに展開できるというものではないと考えます。オンライン学習を導入するに当たっては、教員の方々に、ICT機器を操作するスキルが必要になることはもとより、黒板とチョークによる授業とは異なる力が求められます。黒板とチョークによる授業の様子を撮影して動画配信するという方法もありますが、どうしても教員から児童生徒たちへの一方的な授業にならざるを得ません。オンライン授業と言う以上は、通常の授業と同じように、教員と子供たちとの対話や、児童生徒たち同士の意見交換を交えつつ、双方向の授業として実施する必要があると思います。このため、教員の方々のオンライン学習を実施するための教育力、指導力が今にも増して問われることになります。このような能力は、これまであまり意識していないのではないかと思いますし、教員のICTスキルの差によって、学校間、またクラス間で教育内容やその進捗に差が生じる懸念もございます。  以上のことからも、オンライン学習の実施に当たっては、この際、市町村の教育委員会に一任するのではなく、県教育委員会の下、研修機会を提供したり、指導、助言したりしていくことが必要であると考えますが、その点、県教育長としての見解をお尋ねします。  さて、最後に一言申し述べておきます。学校におけるICT教育は、時代の流れでもあり、推進していくべきであると私は考えております。しかしながら、オンライン授業は、あくまでも補完的なものであり、非常事態時の学習方法と捉え、本来の形である、学校に登校して直接授業を受けることが基本であることは論をまたないと思っております。学校には、社会関係や一対一での対人関係、またコミュニケーション能力を学ぶ場所であり、昼食で栄養のある食事を取れる場所、そしていじめ、虐待などに気づく場所など、勉強する場所という以外にも重要な役割があります。福岡県の教育においては、どのような状況下においても、児童生徒が十二分なる教育を受けられる環境と整備を構築していただきますことを要望いたしまして、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯副議長(原中 誠志君) 城戸教育長。 *教育長答弁 4 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 県立高校におけるオンライン学習環境の整備と市町村への支援についてでございます。県立高校では、高速大容量の校内通信ネットワーク通信用カメラ、マイク、遠隔教育用ソフトウエアに加えまして、再度臨時休業となった場合を想定し、家庭にオンライン学習環境の整っていない生徒に貸与することができるよう、モバイルルーターやLTE通信に対応したタブレット型パソコンを整備することとしております。これにより、全ての県立高校オンライン学習が実施できる環境の構築を鋭意進めているところでございます。しかしながら、現在、必要な機器が市場で不足しているため、暫定的な対応として、オンライン学習にも活用できるレンタルスマートフォンを一部配備したところでございまして、今後、速やかに残りの必要分を配備し、八月以降、全校でオンライン学習をスタートできる体制を整えてまいります。小中学校につきましては、各市町村において国の補助金を活用し、学校のICT環境整備が進められており、これと並行して、家庭のオンライン学習環境の実態把握と家庭に貸与可能な機器の配備などについて検討が進められているところであります。今後とも、必要な情報を速やかに提供し、市町村の取組を支援してまいります。  オンライン学習実施状況についてでございます。公立小中学校を所管する市町村教育委員会に対しまして臨時休業中に実施した調査では、動画やデジタル教材の活用は九市町、双方向型のオンライン指導を行ったのは一市であり、この調査後にも新たに幾つかの市町村が取組を開始したことを承知しております。県立高校では、Zoomなどのテレビ会議システムを活用した同時双方向での学習活動ホームルーム活動を五十七校で実施し、ユーチューブなどの動画配信システムを活用したオンデマンドによる授業動画や自主教材などの配信を七十一校で行ったところであります。  オンライン学習教育効果と課題についてでございます。公立小中学校においては、ICT機器が先進的に整備されている一部の学校での取組であり、実施上の成果や課題を十分に把握するまでには至っておりません。しかしながら、取組を実施した学校では、教員と児童生徒が顔を見て会話することができたことから、教員としては児童生徒の状況把握に、児童生徒としては安心につながったなどの声があったと聞いております。県立高校においては、質問がその場ですぐにできたことや、英語の発音練習が伸び伸びできたことなどのメリットについて報告を受けております。一方で、生徒の集中力を持続させるための工夫が求められることや、家庭の様子が映像に映ったり音声に入ったりすることなどの課題があり、今後、指導上の工夫と学習環境に関する留意点の整理が必要であります。
     小学校低学年の児童のオンライン学習の充実についてでございます。小学生、特に低学年の児童がオンライン学習に慣れるには一定の期間指導する必要がございますけれども、県内においてICTを活用した授業づくりの研究に取り組んだ学校からは、数週間の指導で参加可能であるとの報告がなされております。県教育委員会といたしましては、できるところから始める、不十分ならばそれを補う支援をするという考え方の下、学習環境を整備しつつ、教員の指導力を向上させながら、児童生徒の学びの保障に取り組むことが重要であると考えております。  研修機会の提供及び指導、助言についてでございます。再度の臨時休業に対応するために、オンライン学習の実施に向けた準備は喫緊の課題でありますが、これからのICT機器を活用した教育は、デジタル教科書や教材の活用など、学習指導の在り方の変革を目指しており、環境整備とともにそれらを使いこなす教員の能力を高めていくことが重要であります。県教育委員会といたしましては、各学校におけるICTを活用した授業づくりの実現のため、中核となる教員を育成する研修を充実したり、ICT関連の企業や先進的な取組を行っている県に一年間教員を派遣したりして、教員のスキルアップを図っているところでございます。 5 ◯副議長(原中 誠志君) 佐々木允君。(拍手) *佐々木(允)議員質問 6 ◯二十二番(佐々木 允君)登壇 改めまして、皆様、おはようございます。民主県政クラブ県議団の佐々木允です。ただいまより、麻疹、風疹の排除について、そして母子の健康促進に向けたさらなる取組、とりわけ電子母子手帳について質問をいたします。  まず、麻疹、風疹の排除についてです。新型コロナウイルス感染症は、御存じのとおりウイルスによって引き起こされる病気です。日本におけるウイルスとの闘いは極めて古く、例えば奈良の東大寺の盧舎那仏像(大仏)は、当時大流行したウイルスによる疫病、天然痘を鎮めることなどを目的として建立されたものであります。また、私の地元田川市で毎年行われている風治八幡宮川渡り神幸祭、知事も毎回来ていただいておりますけれども、これも永禄年間の一五五八年、当時の流行した疫病の終息を神社で祈願をし、その成就のお礼として奉納されたことが始まりだとされています。明治期に入り、近代国家や地方行政の制度設計が行われる中、感染症対策は、一八九七年の伝染病予防法制定以降、公衆衛生体制の整備も相まって現在の体制となっており、都道府県は、保健所を中心に公衆衛生に極めて重要な役割を担っています。新型コロナウイルス感染症対策はもちろん、これまで長年にわたって感染症対策に鋭意取り組まれた本県職員、とりわけ保健医療介護部の皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。  では、今回取り上げる麻疹、風疹について若干の状況を申し上げると、例えば麻疹については、その昔、麻疹にかかったら、生きるか死ぬか分からない命定めの病気とされ、一九六〇年代には毎年二千人を超える死亡数がありました。その後、予防接種によって減少したものの、本県も二〇〇八年、流行をしております。ただし、その後、徹底した予防によって、二〇一五年には、WHO(世界保健機関)は日本を麻疹排除国に認定されています。一方、風疹については、二〇一三年に風疹が大流行し、一万四千人が罹患、二〇一八年にも大都市圏で風疹の患者数が増大し社会問題となり、現在も排除国として認定をされていません。  麻疹、風疹は、感染力の高いインフルエンザの数倍の感染力があり、特に妊婦が風疹に罹患した場合、胎児は先天性風疹症候群を発症し、様々なリスクを胎児に生じさせてしまいます。新型コロナウイルス感染症と麻疹、風疹は同じウイルスによって発症する病気でありますが、麻疹、風疹はワクチン接種によって終生免疫が獲得をされ、そしてほぼ罹患しないという点で、この新型コロナウイルス感染症と大きく違います。本件については、二〇一八年二月定例会でも私は質問をし、その後、県で様々な対策が講じられたことだと思います。さらなる対策強化を求める立場から、以下、質問をいたします。  まず一点目に、麻疹、風疹に対する近年の本県の発生状況はどのようになっているのか。また、それに対する知事の認識をお聞きします。  続いて、風疹対策について以前質問して以降、本県としてどのような取組を行い、どのような成果があったのか、麻疹対策と併せ、以下、お聞きをしたいと思います。  まず、麻疹、風疹を排除するに際して最も有効な混合ワクチンMRワクチンの接種についてであります。現在、この予防接種は、第一期を満一歳児代で、第二期を五歳以上七歳未満で、次年度に小学校に入学する年長児になりますが、その子供に接種することとなっています。さて、その接種率について、国はいずれも接種率九五%を目標としており、市町村ごとにその接種率の状況を公表しているところです。この接種率については、前回質問した際も、九五%を下回る市町村があることも課題となっていることを述べさせていただきました。  そこで、県全体の接種率と併せて、市町村別の接種率の現状について、現在のところをお示しください。また、実態について知事はどのように認識しているのでしょうか、併せてお願いをいたします。  さて、風疹については、二〇一八年七月以降、大都市圏を中心に患者数が増大したことなどを受け、風疹の追加的対策として、風疹に係る予防接種を公的に受ける機会がなかった一九六二年四月二日から一九七九年四月一日までの間に生まれた男性を新たに風疹の定期接種対象者として、原則無料で定期接種できる仕組みが昨年より開始をされたところであります。そして、二〇二〇年七月、来月までに対象世代の男性の抗体保有率を八五%に、二〇二一年度までに同じく九〇%に引き上げるとしており、対象者にはクーポン券の郵送も順次実施をされているところであります。また、風疹の抗体を、県の実施率の向上のためには、国は大企業、中小企業、自営業者等、そして公務員と四区分に分けて、それぞれの実施率向上に向けた取組方針を定めています。特に公務員については、責任者を選出、幹部会議での周知、そして接種状況の調査など詳細に定めているところです。  そこで、国が求めた地方公務員向けの進捗状況に基づき、本県職員は何名抗体検査を受診しているのかお答えをください。その上で、本県職員については本施策を牽引する立場から、対象者全員抗体検査の実施の有無を把握するとともに、未実施者に対しては検査を促し、全員接種を目指すべきだと思いますが、いかがでしょうか。知事の答弁を求めます。  また、市町村が実施する集団健診において、抗体検査の実施を可能としている市町村の現状もお示しいただき、集団健診においての抗体検査の促進についても併せて知事の認識をお聞きします。  さらに、来月となりました二〇二〇年七月までに、対象者の抗体保有率が国の目標の八五%を本県は果たして達成できるのか。この現状に対する知事の認識、また、さらなる取組についてもお聞かせください。  さて、MRワクチン接種率の過去のデータを振り返ってみたいと思います。遡ること十年前においては、本県のMRワクチン第一期接種率は、県全体でも八九・七%、九五%以上を達成している自治体は、当時六十市町村中僅か十三市町でありまして、中には四五・五%しか接種率が達成できていない自治体もあったほどです。また、現状においても、残念ながら私の地元田川地域を中心に接種率が低い状況が長年続いています。ということは、ワクチン接種を行わないまま成人となった方が相当数いるということになります。  そこで知事にお聞きします。まず、そもそも未接種者への対策は、これまでどのようにしてこられたのでしょうか。また、未接種者の多い地域はどのような問題が発生すると思われるのか、それぞれお答えください。  その上で、未接種者の対策を、とりわけ低率だった地域を中心に取組を強化すべきだと思いますが、その取組についてお聞かせください。  この項の最後に、麻疹、風疹の撲滅に向けたさらなる目標設定、また知事の決意についてお聞きします。二年前、二〇一八年七月以降に風疹患者が増大した都県は、いずれも県全体では接種率は九五%を超えておりました。にもかかわらず患者数が増大したということは、よりきめ細かい単位、市町村単位での接種率向上に向けた明確な指標を指し示すことが本県に求められているのではないでしょうか。  そこで、本県として、麻疹、風疹の撲滅に向けて、市町村単位で、国、県と同様に第一期、第二期それぞれにおいて接種率九五%以上の達成といった明確な目標を設定すべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、目標達成に向けた市町村への支援等の取組についてお聞きします。その上で、麻疹、風疹撲滅に向けた知事の力強い決意をお聞かせください。  次に、母子の健康促進に向けたさらなる取組、とりわけ電子母子手帳について質問をいたします。先ほど述べた麻疹、風疹のワクチン接種は、母子の健康促進にも大きな役割があり、いずれも母子健康手帳の活用がされる小学校入学以前に実施をされ、この母子健康手帳に記録をされます。このほかにも母子健康手帳は、妊娠期から乳幼児期までの健康に関する重要な役割を担うものとして、母子、そして父親も含め非常に大切な役割があります。  そこで一点目に、母子健康手帳のこれまでの歴史や役割、そして意義について知事の認識をお聞きします。  次に、近年注目されている母子健康手帳の電子版についてお聞きします。子育て世代のほとんどはスマートフォンを活用し、日々の生活を送っているところであります。ICTを活用した子育て支援サービスの充実も様々な形で図られてきました。そういった中、近年、母子健康手帳の電子版が注目をされています。これは、これまで手書きで行ってきた記入、記録等の作業の効率化や、子育て世代に有益な情報をポップアップ形式で入手できるなどの機能が付与されています。  そこで二点目に、県内市町村における電子母子健康手帳取組状況、その効果や有用性について、知事の認識をお聞きします。  三点目に、電子母子健康手帳を導入する市町村を増やすために、県としてどのように取り組むのか、知事のお答えをお聞かせください。  以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 7 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、麻疹、風疹の発生状況でございます。本県の麻疹は、平成三十年に二十人と多くの患者さんが発生をしておりましたが、昨年は十四人、今年は六月十四日現在でございますが一人、そこまで減少してきているところでございます。また、風疹につきましても、同様に平成三十年、百六十七人と多くの患者が発生しておりましたけれども、昨年は八十五人、今年は六月十四日現在で三人と減少してきているところであります。麻疹、風疹の発生の予防、そしてそれぞれの感染の拡大の防止を図っていくためには、引き続きその発生状況、これをしっかり注視をしていきたいと思っております。  次に、麻疹、風疹のワクチンの接種率についてお尋ねがございました。平成三十年度における本県の麻疹ワクチンの接種率でございますが、第一期は一〇一%、第二期は九五・三%、また風疹ワクチンの接種率は、第一期は一〇一%、第二期は九五・二%で、いずれも目標の九五%を上回っているところであります。また、第一期につきましては、麻疹、風疹とも我が県は全国一位でございます。第二期につきましては、麻疹が十四位、風疹が十六位と全国的にも高い接種率となってございます。  次に、市町村別にこれを見ていきますと、目標値であります九五%を下回っている市町村数は、前年と比べますと、麻疹、風疹ともに第一期は二十八から十八まで、また第二期は四十から二十六まで、いずれも改善を期しておりますけれども、依然として目標値を下回っている市町村があるわけであります。県として、その接種率を引き上げていくよう、今後支援をしていく必要があると考えております。  次に、風疹抗体検査追加対策事業についてでございます。まず、本県職員に対しましては、国からの依頼を受けまして、昨年度から職場での定期健診時に、市町村が対象者に発行しておりますクーポン券を利用して検査が受けられるようにしているところであります。定期健診は、六月から八月にかけて実施をしているところでございますが、昨年の場合、クーポン券の発送が九月になった市町村もありましたことから、昨年度のクーポン券対象職員八百八人おりましたが、そのうち定期健診で受診できた者は七十名にとどまっております。今後、約二千五百人、対象職員がおりますけれども、この全員について令和三年度までに検査を完了させていこうと考えておりまして、今年度は、対象者に直接チラシの配付を行い、その受検を働きかけているところであります。  また、県内五十三の市町村で、市町村が実施をしております集団検診の場で、対象となる住民の皆さんが風疹抗体検査を受けることができるようになっております。昨年十一月末時点におきまして、本県における抗体検査受診率を見ますと、二六・三%となっております。全国平均三一・六%と比べ低い状況にございますが、今年の三月末時点で見ますと、その速報値なんですが、三四・三%と着実に上がってきているところであります。  抗体保有率八五%を達成していくためには、対象となる世代がきちっと抗体検査を受ける、そしてその結果が陰性の場合はワクチン接種をしっかり受けてもらう、これが必要であります。県におきましては、これまで対象者への受診勧奨を行うとともに、事業者に対しましては、対象となる従業員が抗体検査あるいは予防接種のために医療機関等を受診しやすく配慮していただくよう呼びかけを続けてまいりました。また、昨年度受診率が低かった理由として、先ほども申し上げましたように、一部の市町村がクーポンの発行が遅くなったということがありました。そういうことから今年度は、市町村に対し、早期に発行するよう働きかけをしているところであります。今後さらに、実施主体であります市町村としっかり連携して、引き続き様々な機会を捉えて受診率の向上を図ってまいります。  次に、麻疹、風疹ワクチン未接種者に対する対応でございます。麻疹は、議員も御説明ありましたけれども、感染力が非常に強い上、罹患をいたしますと、まれに急性脳炎を発症し、重篤な後遺症が残ることがございます。また、風疹は、妊婦が感染をいたしますと、白内障、先天性心疾患、難聴といった特徴を有する先天性風疹症候群のお子さんが生まれる可能性があるわけであります。このため県におきましては、麻疹の定期予防接種を受けていない乳幼児と接する機会の多い児童福祉施設職員を対象としたワクチン接種の費用の補助を行っているところであります。また、妊娠を希望される女性や妊婦の配偶者等を対象とした風疹抗体検査費用の助成も行うとともに、その結果、抗体価が低かった方に対し、ワクチン接種費用の補助も行っているところであります。  接種率の低い地域におきましては、患者が発生した場合、その感染が拡大する危険がございます。例えば議員も御指摘がありましたけれども、田川地域があるわけですが、平成三十年度から県保健所職員が市町村に対しまして、一歳六か月健診時に接種状況を確認させてもらいまして、未接種者に再勧奨する取組を促しているところであります。また、乳幼児のいる生活保護世帯をケースワーカーの方が訪問する際には、リーフレットを用いて丁寧に必要性を説明をし、接種を促しているところであります。  接種率の目標達成に向けた市町村に対する支援でございます。麻疹、風疹は、先ほども申し上げましたように、感染力が強く、感染をいたしますと様々な合併症を発症する可能性がある一方で、これも御指摘がありましたが、予防接種を受けますと終生免疫を獲得することができる、このようにされているわけであります。接種率の目標でございますけれども、現行予防接種法に基づいて国が指針を出しております九五%以上と、これが設定されておりますことから、実施主体であります市町村のそれぞれがこの九五%以上を目標に取り組んでいく必要があると、このように考えております。このため県におきましては、それぞれの市町村で接種率が九五%以上になるよう支援をしていくことといたしておりまして、市町村を対象とした研修会において、接種率の高い地域の事例の紹介を行っていきたいと思います。また、かかりつけの小児科医等からの保護者への接種の勧奨、これは非常に効果的であります。したがいまして、地域の医師会に対して働きかけを行っているところでございます。このように県、市町村、医師会等関係機関と連携をいたしまして、麻疹、風疹の排除に取り組んでまいります。  次に、母子健康手帳についてお尋ねがございました。母子健康手帳の原型は、死産の防止等を目的として昭和十七年から始まった妊産婦手帳、これにあると言われております。昭和二十三年には対象が小児まで拡大をされ、現在では母子保健法に基づいた母子健康手帳として市町村から交付がされているところであります。母子健康手帳は、妊娠の経過、出産の状況、そして出生後のお子さんの発育や発達など母子の健康状態を記録をし、管理をすることによりまして、必要な保健医療の支援につないでいく大切かつ有益なものである、このように認識をいたしております。  その母子健康手帳に、最近、併用するアプリが導入されているわけでございます。これまでの紙の母子健康手帳に加えまして、健診の結果、予防接種、そして成長の記録といったものを利用者が入力をするアプリを導入する市町村が増えております。本県内におきましては田川市、行橋市など十一の市町が導入をしているところであります。これらのアプリは、スマートフォン上で子育ての記録をいつでも確認することができ、また健診や予防接種のスケジュールを管理できるなど、特にデジタルに慣れ親しんだ子育て世代にとりましては大変便利なサービスであるというふうに考えております。また、市町村は、必要な情報を配信することによって、確実な受診や接種につないでいくことができるようになります。県といたしましては、この市町村の母子保健担当者を対象としてやっております研修会において、このようなアプリの有用性について紹介をさせていただきます。 9 ◯副議長(原中 誠志君) 西尾耕治君。(拍手) *西尾議員質問 10 ◯二十五番(西尾 耕治君)登壇 公明党の西尾でございます。それでは、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。  初めに、全国の中でも花の産出額が全国第三位の生産県として、我が福岡県の花の需要の創出についてであります。先々月に、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、県内の花卉関連の事業者、物流業者の方から相談を受けました。卒業、入学式、歓送迎会や様々な会合や式典で花や花束、コサージュなどが最も使われるという年度替わりの前後で、さらには母の日も五月に迎える中、このような新型コロナウイルス感染症のため、極端に売上げが下がる状況で、最悪の状態、どうにかならないだろうかとの内容でした。同行した国会議員からは、国会の中でも施設の中や議員が生花を身につける運動を進めていくとの話もありました。その後早速、国会では安倍総理や山口代表が花を胸にしていたようです。  また、先日、福岡県花卉農協の代表にもお会いしましたが、本県では平成十五年度から、県を中心に生産者や花卉関連団体が一体となり、花あふれるふくおか推進協議会を設立し、福岡の花のPRを強化することにより、花卉産業のより一層の振興を目指していると聞いております。その結果として、全国でも有数の花卉産地に成長したものと考えております。しかしながら、緊急事態宣言は解除されたものの、有効な治療薬やワクチンがない状況下においては、以前の生活スタイルに戻るまでにはまだまだ時間がかかることも予想されます。このため、今後も新型コロナウイルス感染症によるイベントの自粛や葬儀の縮小などが続けば、本県の花卉産業の振興にも大きな影響が出てくるのではないでしょうか。  そこで、初めに新型コロナウイルスの感染症拡大による花の販売不振など、花卉生産農家への影饗について、知事の認識をお伺いいたします。  私どもといたしましては、花の普及促進のために県民の皆さんに周知を図るため、県の広報紙やホームページなどに、今月の花などのタイトルをつけシリーズにして掲載をしてはどうかとも考えております。また、県産花卉のPRにつきましては、昨年度、福岡市内で開催された、ふくおかフラワーフェアは大変に好評であったと伺いましたが、現在の状況の中では、このようなイベントを開催することができないことも考えられます。本県では、新型コロナウイルス感染症に対する花卉農家への支援ということで、県産の花の需要を創出した、花あふれる福岡を推進するため、企業や公共施設に花を飾る取組などの支援策を打ち出し、予算が確保されておりますが、既に今月から取組が始まっている事業もあると思います。  そこで知事に伺います。この花卉生産者への支援策について、現在の取組状況はどうなっているのか。また、これからどのように進めていかれるのかお答えください。  次に、コロナウイルス感染症に対応した廃棄物処理についてです。周知のことではありますが、新型コロナウイルスが日本のみならず世界中の人たちの健康と生活に不安を与え続けております。現状では、五月十四日に本県で緊急事態宣言が解除され、二十五日には全ての都道府県で解除されたところであり、徐々に学校や経済活動も再開する動きが見られます。しかし、第二波の懸念は大きく、油断することなく様々な備えをしていくことも重要であります。このうち一般廃棄物の処理は、県民の皆様の日常生活を維持していくため、毎日行われなければならない事業であり、新型コロナウイルス感染症が拡大している状況でも継続していく必要があります。コロナ禍の中でも継続しなければならない事業に従事されている方たちはエッセンシャルワーカーと呼ばれており、一般廃棄物の処理に従事されている方たちは、自らの感染リスクにもかかわらず、この事業に従事していただいており、非常にありがたいことと感謝しております。そのような感謝の気持ちを持って、新型コロナウイルス感染症に対応した廃棄物の処理について質問をさせていただきます。  新聞報道では、外出自粛の影響で家庭から排出されるごみの量が増大し、一般廃棄物の受入れ制限を行っている自治体もあるとされております。  まず初めに、外出自粛期間中は、県内の市町村においてごみの受入れを制限したり、ごみ処理に支障が生じたりする状況にあったかお伺いいたします。  先日、従事されている方たちから、収集したごみ袋をパッカー車に投入したときに、ごみ袋が破裂して飛沫が飛散することがあり、自分たちも感染するのではないかとの恐怖を感じるとお聞きしました。また、現在は手に入りやすくなってきていますが、マスクなどの感染防止に不可欠な物資の入手が困難だった時期には感染の不安が強かったとも伺いました。環境省からは、新型インフルエンザ対策ガイドラインに基づき一般廃棄物の処理を行うようにとの通知や、従事者の感染予防のための通知など複数の通知が出されたと聞いております。県民の皆さんに正確な情報に基づいて行動いただくためには、広報啓発は非常に重要であり、このような通知の内容も速やかに県民の皆さんにお知らせする必要があると考えます。  そこで、環境省からの通知を受け、県では、県民の皆さん、市町村、関係事業者にどのように周知をしてきたのかお伺いします。  また、本県では、一般廃棄物の処理に関する物資の不足に対し、どのように対応してきたのかお答えください。併せて、マスクなどの物資については、手に入りやすいときに市町村が購入し、備蓄しておくように県で指導すべきとも考えますが、本県の取組についてお聞きいたします。  現在、新型コロナウイルス感染の状況は小康状態にありますが、第二波の襲来に備えておく必要があると考えます。特に一般廃棄物の処理については、次の二つのことが重要と考えております。  まず一つ目は、県民の皆様に正確な情報を確実に伝えることであります。環境省の通知のうち、感染症の拡大を防止するためのごみの出し方の通知などは、県民の皆様によく理解していただく必要があります。一般廃棄物の処理は市町村の事務であり、市町村によっては一般廃棄物の分別方法、回収方法が異なることから、市町村には、今後とも正確で分かりやすく、誰もが手にできる方法での情報提供に配慮いただきたいと考えております。  二つ目は、一般廃棄物の処理が継続できる体制づくりです。神戸市では、一般廃棄物の処理に従事している職員に多数の感染者が確認されたため、二週間にわたって一部の一般廃棄物処理施設を閉鎖したと聞いております。神戸市は複数の処理施設を有しているため、閉鎖中は他の処理施設で一般廃棄物を受け入れ、支障は生じなかったようであります。本県でも市町村や一部事務組合に対して、感染防止策の徹底、事業継続計画(BCP)の策定を指導しているとは聞いていますが、仮に、第二波により廃棄物処理に従事される方の集団感染が起きたり、ごみの量が大幅に増加したりした結果、県内の市町村においてごみ処理が困難となる事態も想定されるところであります。  そこで、本県では、そのような事態を想定してこれまでどのように対応し、今後どのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお聞きいたします。  なお、もしこれらの廃棄物収集、運搬業者などの中でも、家庭ごみなどを扱う一般廃棄物の処理に携わる事業者において体調を崩した従事者が発生した場合には、職務の代理が難しいことから、優先的に検査を受けられるような配慮も考えますが、一方、どのような職業の方でも罹患の可能性があれば少しでも早く検査を受けるべきだとも思います。したがって、いずれにせよ現在の検査を受ける機会をさらに増やし、適切に、そしてスムーズに実施する体制の確立が重要だと考えます。本県として、検査体制についてどのようなお考えをお持ちなのか。また、今後どのように進めていかれるのかお尋ねいたします。  一般廃棄物の処理は市町村の事務ではありますが、県民生活に直結する重要な事業であり、支障が生じないよう、また従事されている方の感染防止が徹底されるよう、本県でもしっかりと取り組んでいただく必要があると考えております。  世界保健機構(WHO)の役員は、新型コロナウイルス感染症について、新たな風土病となり、ウイルスが消え去ることはないかもしれないとのコメントを出し、長年にわたり対応しなければならない疾病となる可能性について言及しておりました。本県でもしっかりと取り組んでいただきますことをお願いし、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 11 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 12 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、新型コロナウイルス感染症による花卉生産者への影響でございます。本県では、菊、バラ、トルコギキョウなどの生産が盛んでございまして、その産出額は、議員御指摘のとおり、全国三位を誇っているわけであります。本年二月以降、新型コロナウイルスの感染拡大を受けまして、イベントの自粛、学校の臨時休業によります式典の中止、また葬儀の規模縮小、こういったことが相次ぎまして、花の需要期であります三月に市場価格が平年に比べ一割程度下落したところであります。また、四月七日に全国で緊急事態宣言が発令をされまして、四月の市場価格は、平年に比べさらに二割程度下落いたしております。五月には母の日の需要や緊急事態宣言の解除、これがありましたものの、いまだ市場価格は回復している状況ではございません。このように花卉生産者の経営は厳しい状況にあると、このように認識をいたしております。  そのための花卉生産者への支援策でございます。県におきましては、この花卉の需要を創出していくため、後刻御覧になっていただきたいと思いますけれども、今、県庁のロビーにおきまして、アジサイやガーベラなどの花を飾らせていただいております。また、福岡県ウェブ物産展におきましても、こうした花の販売を行っておりまして、今後、新たな品目を随時追加をさせていただく予定でございます。花を飾っていただく県内企業、また市町村に対しましても、その経費を助成しておりまして、企業におきましては七十八社から申請があり、その八割の企業で花が飾られているところであります。市町村の施設におきましては、四十の市町村におきまして、今月下旬から順次地元産の花をPRすることといたしております。また、生産の継続を図るため、種苗あるいは資材の購入経費を助成することといたしておりまして、JAを通じてそのことを生産者に周知をしているところであります。なお、国の二次補正におきましても、次の作付に必要な支援措置が講じられる予定でございまして、その詳細が明らかになり次第、この国による支援策も活用していきたいと考えております。県といたしましては、このような取組を通じまして、福岡県の花卉生産者がその営農を継続できるよう、しっかり支援をしてまいります。  次に、県内市町村における一般廃棄物処理の状況についてでございます。県におきましては、市町村の一般廃棄物処理施設が処理困難な状況に陥っていないか、これについて把握をするため、四月中旬以降三回にわたりまして、市町村に対して電話によるヒアリング、あるいは文書による照会を行ってきたわけでございます。その結果、今年四月に県民の皆様が施設に御自身で自ら搬入をされた粗大ごみは、前年同月比で約二四%、資源ごみは約六%、それぞれ増加をしておりました。そのため直方市など三市一町におきましては、施設における感染防止、あるいはごみを搬入する車両による施設周辺の渋滞を避けるために、直接搬入施設が一時閉鎖をされていたところもございますが、現在は全て解消されているところであります。また、市町村が回収いたしましたごみのうち、不燃ごみが約一六%増加をしたため、一部自治体では臨時の収集日を設ける、あるいは一時的に職員を増員する、そういった対応を取ってきておるわけであります。このように一部の自治体では特別な対策を講じているところはございますけれども、今年の四月の県内の全てのごみの量、合計をいたしますと、前年同月比で約六%減少しております。市町村における廃棄物処理が困難になったと、そういった支障は生じてないところであります。  環境省からの通知や物資の不足などへの対応でございます。環境省からは、一月下旬以降、まず一般廃棄物処理施設における職員の感染防止対策の徹底、また事業継続の確保に関する通知のほか、家庭におけるごみの捨て方に関するチラシの配布などが行われました。県におきましては、これらの環境省からの通知を受けまして、県のホームページに新型コロナウイルス感染症に対応した廃棄物処理などについて、ポイントを絞って図表で表示するなど分かりやすくこれを掲載するとともに、市町村や関係団体にその旨を通知をしてきております。併せて、市町村や関係団体に対しまして、住民の皆様や関係事業者の皆様に周知をするよう依頼をしてきたところであります。  また、市町村からは、マスク、防護服などが不足しているという声が寄せられましたことから、県におきましては四月二十四日、環境省に対しまして、これらの資器材の確保、そしてその速やかな供給というものを要望いたしました。その結果、一般財団法人日本環境衛生センターを通じまして、一般廃棄物の処理に必要なマスク、防護服を市町村が購入できるような措置が取られたところであります。  マスク、防護服などの資器材は、廃棄物の処理に従事される職員の感染防止のために必要不可欠なものでございます。県としましては、これらの資器材の備蓄を平常時から進めていくよう、市町村に働きかけをしてまいります。  次に、市町村の廃棄物処理が困難となる事態に備えた県の対応でございます。県におきましては、これまで一般廃棄物の処理が継続できるよう、市町村に対しまして職員の感染防止の徹底、事業継続計画の策定を呼びかけてまいりました。また、市町村単独での廃棄物処理が困難となった場合に、県内の他の市町村に協力を要請することができる体制というものを整備しております。今回、お触れになりましたけれども、神戸市におきまして、一般廃棄物の処理に従事される職員の方が集団感染する事態が発生をしました。これを受けまして県といたしましても、不測の事態に対応できるよう、四月二十二日、福岡県産業資源循環協会など関係団体に対しまして、この収集運搬業務の協力について要請をしたところであります。さらに、四月二十四日には、災害廃棄物処理の広域連携を目的とした相互支援協定を締結をしております九州・山口の各県に対しまして、この災害廃棄物処理と同様の処理をする協力について要請をしたところであります。市町村における廃棄物の処理は、県民生活を維持していく上で必要不可欠な事業であります。県としましては、今後とも市町村、関係団体と連携をして、この一般廃棄物の処理が継続できるよう取組を進めてまいります。  次に、検査体制についてお尋ねがございました。検査が必要な方が迅速にその検査を受けられる体制を構築していくことが重要であると考えております。そこで、本県では、帰国者・接触者外来を五十九か所設置をしておりますほか、ドライブスルー方式などによります専用外来、これを十七か所設置をいたしております。現在、県及び両政令市の保健環境研究所、並びに民間の検査機関、これを合わせますと一日八百五十件程度のPCR検査、これが実施可能となっておりまして、必要なPCR検査を迅速に行う体制、これを確保しているところであります。これに加えまして、県におきましては、検査時間を短縮する新たな検査試薬を県の保健環境研究所に導入をいたしまして、その検査を迅速化し、さらなる検査能力の増強を図ってまいります。また、短時間でその結果が分かります新型コロナウイルス抗原迅速診断キットにつきまして、今月から県内の特定機能病院、救命救急センター、感染症指定医療機関などでその使用が始まっているところでございまして、引き続き、この検査体制の一層の充実に努めてまいります。 13 ◯副議長(原中 誠志君) 永川俊彦君。(拍手) *永川議員質問 14 ◯四番(永川 俊彦君)登壇 食と緑を守る緑友会福岡県議団の永川俊彦でございます。通告に従い、本県における情報リテラシーに対する取組について質問をさせていただきます。  IT化が進み、多くの人が日常的にインターネットを通じてやり取りをするようになった現在、デジタルデータ化された情報を扱う能力は、教育や医療、ビジネスや趣味の場をはじめ、様々な分野において必須のものと言えます。そんな中に情報リテラシーの重要性が以前にも増して求められていると感じます。情報リテラシーという言葉を辞書で引いてみると、情報を十分に使いこなせる能力、大量の情報の中から必要なものを収集し、分析、活用するための知識や技能のこと、メディアリテラシーやコンピューターリテラシーとほぼ同義に用いられることもあるとありました。  かつては情報を得ることが難しく、ありとあらゆる手段を駆使し、とにかくたくさんの情報を集めることが大切でした。ところが、インターネットが普及し、情報が次から次へと飛び込んでくる現代では、情報を集めることよりも、むしろシャットアウトし、自分に必要な情報や有益な情報を取捨選択する能力が求められています。そう考えると、フェイクニュースを見極める能力や集めた情報をうまく活用していく能力といった、情報活用能力及び情報リテラシーの重要性は今後さらに増していく一方であると考えられます。  ここで大切になってくるのが、情報を受ける前提として、情報にはつくり手がいて、組織や立場により主義主張があるということです。また、情報発信に関わる組織の成り立ちや環境、それぞれの立場から、完全に平等で偏りのない情報が発信されることは意図的でなくても難しいということを認識することです。年々インターネット利用者数は増加しており、ITメディアに触れる機会は格段に増加している状況にあります。また、インターネット活用の低年齢化も進んでおり、低学年時からメディアリテラシー教育を学ぶ必要性が高まっております。  そこでまず、教育長にお伺いいたします。本県におけるメディアリテラシー教育の実施状況をお聞かせください。その上で、メディアリテラシー教育に対する教育長の見解をお聞かせください。  次の質問です。現代の子供たちにとってインターネットは、物心がついた頃から身近にある存在です。先ほど子供たちに対するメディアリテラシー教育について伺いましたが、むしろ学校教育で学ばなかった我々大人たちの世代こそ情報モラルや情報リテラシーへの理解が広く求められているのではないでしょうか。  新型コロナウイルス感染症が深刻な事態となって以降、新型コロナウイルスに関する情報はテレビ、ラジオ、そして各種SNSを駆け巡っております。災害が起きると人々は不安になり、近年では、情報やつながりを求めてSNSに集うようになってきました。大切な人を助けたいという思いから、大手メディアには報道されていない情報、友達の友達から伝わってきた貴重な情報として発信され、その中には信憑性のないデマもあります。直近では、皆様御承知のとおり、トイレットペーパーやティッシュペーパーの供給が途絶えるといったデマが流れ、消費者が買占めに走るパニックが起こり、長らく品薄状態が続きました。悪質なケースでは、熊本地震の際に、熊本の動物園からライオンが逃げたというデマをツイッターに投稿し、逮捕者を出した事例もあります。また、今回のコロナ禍において、ネット上では自粛警察という言葉が注目されました。県外ナンバーの車を傷つけたり、営業を続ける店に嫌がらせ行為をしたりと、攻撃的な態度で自粛を強いる人たちのことです。ここで懸念されるのは、悪意やいたずらによるものに対しては、当然ながら決して許されることではありませんが、誰かを助けたいという善意に基づいた情報発信ですらデマ情報の場合があり、拡散され混乱を招くことがあるということです。  そこで知事にお伺いいたします。今後、新型コロナウイルスといった感染症や災害の発生時などにおいて、誤った情報で県民の皆様が不利益な状況に陥らないため、本県としてどのような情報発信を行っていくのかお聞かせください。  最後の質問に移ります。新型コロナウイルスの感染者がいまだ増え続ける中、感染者の方や、通常の業務以上に困難を強いられている医療関係、福祉や介護関係の従事者の方々に対する誹謗中傷や差別が深刻化しております。さらには、インターネット上での匿名の誹謗中傷は無差別に個人を追い込み、人気テレビ番組に出演していたプロレス選手の女性が急死した件など、死亡者を出してしまうほどの社会問題となっております。私も、インターネットを通じて、個人に対してのSNSでの誹謗中傷を直接目にしました。あまりにも卑劣で読むに堪えない内容でございました。  これらの問題を受け、自民党ではプロジェクトチームが立ち上がり、早急に対応策を提言するとの発表がありました。悪質な事案に対しての罰則や情報開示などの法整備が重要となってきますが、本県としても知事の掲げる県民幸福度日本一の実現に向け、先進的な取組が求められていると考えます。  そこで知事にお伺いいたします。インターネット上での誹謗中傷から県民の皆様を守るため、本県としてはどのような取組を行っていくのか、知事の御所見をお伺いし、質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 15 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 16 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  災害発生時などにおける情報の発信でございます。大規模な感染症、あるいは災害の発生時などには、誤った情報が拡散をし、社会的な混乱を招く事態に発展することがございます。今回のコロナウイルス感染症が拡大していく中にありましても、インターネット上でトイレットペーパーやティッシュペーパーが品薄になる、そういったデマ情報が拡散をいたしまして買占めがそれぞれ起こったと、一時期これらの売り切れというものが続出したところであります。このため県におきましては、ホームページやツイッターで県民の皆様に対しまして冷静な購買行動を呼びかける、これが第一点。第二点は、商品の供給状況、いわゆる供給は途絶えてないと、しっかり供給は続くと、そういった情報を提供してきたところであります。今後もこのような事案が発生した場合には、県の広報媒体、報道機関への情報提供というものを通じまして正しい情報を発信をするとともに、県民の皆様に対して、情報元が信頼できるかよく確かめること、SNSなどに根拠のない情報を安易に御自身で投稿しない、また安易にこれを拡散しない、そういったことを改めて呼びかけていきたいと考えております。  次に、インターネット上の誹謗中傷に対する取組でございます。インターネットやSNSの普及によりまして、今や誰もが情報発信者になれる、そういう社会になっております。インターネットというのは、御承知のとおり、匿名で情報を発信することができます。また、そういうことから安易に他人の人格、あるいは行動、これを攻撃するような事象というものも見られるわけであります。このため県におきましては、インターネットと人権問題、これをテーマに講演会や県民講座などを開催をいたしまして、インターネットの適正利用について啓発を行っているところであります。また、国に対しまして、インターネットを悪用した人権侵害事案に対応していくための実効ある制度が確立されるよう、全国知事会を通じて、今、要望をしているところでございます。これと併せて、県におきましても、人権侵害の救済制度の確立について要望しているところであります。県といたしましては、引き続きインターネットの利用に当たり、個人の名誉やプライバシーに関する正しい理解を深めるための啓発に取り組んでいくとともに、国に対し、実効ある制度が確立されるよう要望を続けてまいります。 17 ◯副議長(原中 誠志君) 城戸教育長。 *教育長答弁 18 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 メディアリテラシー教育の状況と見解についてでございます。メディアリテラシー教育は、様々なメディアの特性を理解し、情報内容を正しく解釈、理解するとともに、必要な情報を主体的、能動的に選択できる能力を育成するものであり、情報モラルを含む情報活用能力は、新学習指導要領において、学習の基盤となる資質、能力と位置づけられております。これを踏まえまして、現在、小学校においては総合的な学習の時間等でコンピューターの基本的操作を身につけさせるとともに、道徳科や特別活動等の時間で情報モラルの指導を行っております。また、中学校においては技術・家庭科の時間で、高校においては情報の時間を中心に、情報モラルや情報技術の活用に関わる能力や態度の育成を行っております。今日の社会において児童生徒の情報活用能力の育成は不可欠であることから、学校が教育活動全体を通じて、系統的、効果的に育成できるよう、ICTを活用した授業づくりに係る研究指定校の成果を普及啓発したり、学校のICT教育の中核となる教員を育成する研修を充実したりしながら支援してまいります。 19 ◯副議長(原中 誠志君) 立川由美君。 *立川議員質問 20 ◯三番(立川 由美君)登壇 日本共産党の立川由美です。新型コロナウイルス感染症対策について、医療、検査体制を中心に質問いたします。  コロナ危機の中、最前線で奮闘されている医療機関が全国的に経営難に陥っていることが報道でも伝えられています。
     そこで、まず医療体制を中心にお伺いいたします。日本病院会など三団体の調査の結果で、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病院は、四月の利益率がマイナス一一・八%で平均約一億円の赤字だった、緊急的な助成がなければ、地域での医療崩壊が強く危惧されるなど大変厳しい状況が報告されました。私が聞き取りをした新型コロナ感染症患者を受け入れた福岡市内のA医療機関では、四月度六千万円、五月度は一億三千万円の減収となっています。病院経営は、これまで診療報酬が引き下げられたことも影響し、手持ちの資金も少なく、もともと余裕がないと言われていました。このままいけば資金ショートになるのか、借金漬けになるのかのいずれかだとの声も聞きました。現状のままでは経営破綻してしまう病院が相次ぎ、国民の命と健康を守る役割を担えず、医療崩壊を招くことになります。  また、こうした新型コロナ感染症患者を受け入れられた病院に限らず、その他の医療機関にもコロナ危機の影響が現れています。福岡県保険医協会は、八日、県内の開業医を対象にしたアンケート結果を公表しました。感染リスクを恐れた受診控えが広がり、回答した医療機関の約九割で外来患者数が減少した事態が浮き彫りになりました。地域医療を支える医療機関の経営悪化は深刻であり、同協会などは、国に財政支援を求めています。県は、医療機関の経営状況を把握するため調査をすべきではありませんか。  また、調査に基づいて、新型コロナ感染症患者の検査や診療に当たった病院だけでなく、全ての医療機関において減収分を国に強く求めるべきです。答弁を求めます。  国の二次補正で追加提案の予算がつけられていますが、感染患者を受け入れている医療機関以外の院所には手当てがありません。併せて県が独自の助成を行うべきです。知事に見解をお伺いいたします。  次に、検査体制についてお伺いします。北九州市では、緊急事態宣言解除後、僅か二十日余りで百四十人超が感染し、病院や学校がクラスター感染の現場となりました。多くの市民や学校などからの強い要望を受けて、濃厚接触者以外の関係者の全員と対象の範囲を広げ、PCR検査を行いました。このことを見ても、重要な課題は、PCR検査をはじめとする検査体制の抜本的強化です。日本は、世界各国に比べ、PCR検査があまりにも少ないことが繰り返し指摘されてきました。政府の専門家会議も検査体制の強化を提言し、経団連の会長も検査の拡大が必要だと述べています。安全に社会経済活動を再開していくための最大の鍵は、PCR検査数の抜本的な拡充です。県は、国に先駆け、濃厚接触者が無症状の場合でもPCR検査を行ってきましたが、国もそのように方針を変えました。さらに、県医師会の協力で市町村が進めているPCR検査センターは、県内に十七か所に配置されるなど一定の努力はされてきました。しかし、院内、施設内感染を防止するためには、医療、介護、障がい福祉などの現場の検査を抜本的に強化することは特別に重要だと思います。知事の御所見を伺います。  地域の感染症対策に責任を持っているのは保健所です。福岡市では、新型コロナ感染症の対応に最前線で当たった保健所職員の約三割が、四月の残業時間が月単位の過労死ラインを超える百時間超となっていたと報道されました。この間、医療費削減、社会保障費抑制が続けられ、我が国の保健、公衆衛生の体制は大きく弱体化してしまいました。約二十五年前には二十一か所もあった県域の保健所は、今は九か所までに縮小され、職員数も八百人から約五百人に削減されました。保健所は、通常の業務に加え、相談センター、PCR検査要請の窓口、PCR検査の検体を取りに行って研究所に運ぶ、陽性の方が出た場合の入院の措置、濃厚接触者の聞き取り、連絡、行動確認など多岐にわたる仕事を担っており、保健所の機能が麻痺してしまいました。緊急対応としてOBなどの臨時的な配置や他の職場からの職員の派遣などもし、昼夜を分かたぬ奮闘がありました。こういう実態を見ても、保健所の体制の強化が必要なのは明らかですが、知事はどのようにお考えですか。  緊急事態宣言解除後の北九州市で、三つの大規模病院でクラスター感染が発生し、外来の新規患者受入れを停止するなど診療を制限。北橋市長は、近隣自治体に救急受入れの要請を行う事態となりました。北九州市で救急患者を受け入れているB医療機関は、救急医療を止めてはならないとの使命感で懸命に努力をしているが、感染、クラスター発生のリスクは常にある。県の要請に応え、一般病床二十六床分をコロナ対応十床とした。発熱患者のための外来もつくった。しかし、一つの病院があれこれやっていたのではリスクは高まる。患者が一定数を超えた場合、救急病院、コロナ患者受入れ病院、発熱外来など病院ごとに機能分化をすべきではないかと訴えられていました。医療崩壊を起こさせないための病院の役割分担について検討すべきだと考えますが、知事の見解をお聞きし、質問を終わります。(拍手) 21 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 22 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、医療機関の経営状況でございます。日本病院会などが実施をしました調査によりますと、病院における四月の医業収入は、対前年同月比で全体で一割程度減少となっております。また、日本医師会の調査によりますと、診療所の三月の診療報酬収入は、対前年同月比約一割の減少となっております。また、福岡メディカルセンターの調査によりますと、四月診療分の診療所レセプト点数、これは耳鼻咽喉科と小児科では約四割減少しているところであります。このように様々な調査結果というものが公表されているわけでございますけれども、そういうところでいきますと、厳しい状況が浮き彫りになっております。各機関が調査をしておられますので、改めて県として調査をする考えはありません。  このような医療機関の厳しい状況を踏まえまして、国におきましては、令和二年度第二次補正予算におきまして、福祉医療機構の優遇融資の拡充、また診療報酬の概算前払い、そういった支援策が盛り込まれているところであります。また、県におきましては、感染拡大により特に大きな影響を受けておられます事業者に対し、事業の継続を支え、また再起の糧としていただくために、国の持続化給付金のほかに県独自の持続化緊急支援金というものを設けさせていただいております。さらに、今般新たに設けられました国の家賃支援給付金に、県独自でこれに上乗せをする形で支援をすることといたしております。厳しい経営状況にあります医療機関におきましては、こうした支援策を活用していただけるよう、それらの周知を図っていきたいと思っております。  また、次に検査の拡充についてお尋ねがございました。医療機関、高齢者福祉施設等の職員、入院患者、入所者、こういった方々が感染した場合にクラスターの発生が懸念をされます。また、対応が遅れますと、医療、介護の提供が滞り、人の命も関わる深刻な事態が生じかねません。このためこれらの施設において感染者が発生した場合には、徹底した疫学調査を行いまして、それにより濃厚接触者及び感染の可能性のある人だと判断をされる者を特定をいたしまして、これら全ての者に対し検査を行うことによって、さらなる感染の拡大の防止を図ってまいります。  次に、保健所の体制強化についてお尋ねがございました。今般の新型コロナウイルス感染症への対応におきまして、相談対応業務、疫学調査など保健所の業務が大幅に増加をしましたことから、保健所内の感染症の担当係に他の係から経験者を配置換えをしたり、保健師の資格を有する行政経験者などを新たに県の会計年度任用職員として採用いたしまして、その保健所の執行体制を確保してきたところであります。今後も感染症の発生状況に応じまして、保健所の中の職員の配置換え、あるいは会計年度任用職員の採用など、今回と同じような柔軟な対応を進めていくことによって、保健所の執行体制というものを確保していきたい、このように考えております。  次に、医療機関の役割分担についてでございます。県におきましては、新型コロナウイルス感染症患者、その増加に対応していくため、六十六の感染症病床で患者の受入れが困難となった場合に、感染症指定医療機関の一般病床、そして入院協力医療機関の病床、その順番で受入れを拡大していく、そういう方針を立てまして、この方針の下、私自身、各医療機関に対し病床の確保を要請するとともに、県の方針に基づき、県の新型コロナウイルス感染症調整本部、ここを介しまして、患者さんの症状に応じた医療機関の受入れ、これがなされてきたところであります。また、入院治療が必要な患者さんを確実に受け入れることができるよう、軽症、無症状の方に入所をしてもらう民間の宿泊療養施設の確保にも努めてきたわけであります。PCR検査につきましても、保健所からの紹介で行う帰国者・接触者外来、またかかりつけ医からの紹介で行う専用外来など、役割を分担しながらその検査を実施してきたところであります。この結果、本県におきましては、医療崩壊を招くことなく適切に医療が提供されてきたと、このように考えております。今後、感染の再拡大、その際におきましても、その規模や患者さんの重症度などに応じまして、役割分担を図りながら、適切に患者さんに対し医療を提供してまいります。 23 ◯副議長(原中 誠志君) 立川由美君。 24 ◯三番(立川 由美君)登壇 知事に要望いたします。  国の二次補正には、非コロナ医療機関に対する財政支援は全くありません。コロナ対応の医療機関と非コロナ医療機関は、役割分担を行って日本の医療を支えています。その全体の経営を守り抜くための財政支援を国に強く求めていただくよう要望します。  新型インフルエンザを総括した二〇一〇年の政府報告書では、国立感染症研究所や検疫所、地方自治体の保健所や地方衛生研究所を含めた感染症対策に関わる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化が提言されました。しかし、実際には公務員削減を優先し、正反対のことが行われてきました。ドイツがイタリアやアメリカと違いコロナ感染者の死亡率が低いのは、医療体制をそれなりに守ってきたからにほかなりません。地域医療構想は見直し…… 25 ◯副議長(原中 誠志君) 立川由美君に申し上げます。発言時間を超過しております。発言は簡潔にお願いします。 26 ◯三番(立川 由美君)(続) 保健所の体制をはじめ、医療、検査体制を抜本的に強化することを国に求めるとともに、県として努力していただきますよう要望して、質問を終わります。(拍手) 27 ◯副議長(原中 誠志君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時四十分といたします。           午 後 零 時  三十分  休 憩           午 後 一 時 四十一分  再 開 28 ◯議長(栗原 渉君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。中牟田伸二君。(拍手) *中牟田議員質問 29 ◯四十五番(中牟田 伸二君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の中牟田伸二です。通告に従い一般質問を行います。  現在我が国は、新型コロナウイルス感染症の蔓延や、その影響による経済活動の停滞といった深刻な課題に直面しており、国も、県も、市町村もこれを乗り越えるべく闘っているところです。現在の日本が直面するこの喫緊の課題を、でき得る限り早急に解決していく必要があることは言うまでもありません。同時に、私は、同時進行で確実に進んでいる、我が国の将来にとって極めて重大な課題である人口減少社会の到来の問題について、都市計画の観点から取り上げたいと思います。  二〇〇八年、我が国の人口はピークを迎え、既に人口減少の局面に入っており、今後さらに加速していくと予想されています。この問題は当然、福岡県にとっても同様です。これまで一貫して増加傾向にあった福岡県の人口も、その伸びは鈍化しており、第二期福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略によれば、近い将来、人口はピークアウトし、減少局面に入っていくことが見込まれております。先日も、総務省による推計人口において福岡県の人口が近年初めて減少したという新聞報道があっており、その傾向は現れ始めているとも言えます。  私の地元春日市でも、これまでは市南部の開発などにより順調に人口が増えていましたが、二〇二〇年三月に策定された市の人口ビジョンによりますと、二〇二〇年以降の総人口は、少子、高齢化の進展に加え、市の未利用地の状況から大規模な宅地開発はできず、人口の流入が鈍化し、人口減少に転じると見込まれています。県内の各地域において様々な地方創生の取組が進められておりますが、人口減少の流れは、そう簡単に転換できるものではないと思われます。  人口減少社会の到来は、県内の各市町村に対し、様々な負の影響を及ぼすものと考えます。例えば、町のにぎわいが低下してしまうことはもちろん、生産年齢人口の減少により地域コミュニティーの担い手がいなくなり、コミュニティーが維持できなくなる、人口密度の低下により公共交通や医療機関、福祉施設などの利用者が減少し、それらの都市機能が喪失してしまうということも考えられます。人口減少社会が到来する中、都市機能の都市の拠点への立地など、しっかりと対応していくことは重要と考えますが、県の人口減少社会の到来に対応した都市計画の取組についてお伺いいたします。  次に、都市計画において、都市機能の都市の拠点への立地等を促進することは重要でありますが、併せて町なかの魅力をしっかりと高めていくということにも、しっかり取り組んでいくべきと考えます。近年、全国の地方都市において、空き地、空き家や、コインパーキングや空き店舗など十分に利用されていない土地や建物が時間的、空間的にランダムに発生する、いわゆる都市のスポンジ化という現象の進行が問題になっています。私の地元の春日市においても、駅に近いエリアで、いつの間にか駐車場に転用されてしまった場所がよく目につくようになりました。都市のスポンジ化が進行して町なかに空き地等が増えると、町なかの魅力がなくなり、魅力がなくなると土地利用は行われなくなり、ますます空き地等が増えるといった悪循環に陥ってしまいます。都市のスポンジ化の進行は、防犯上の問題や生活衛生環境の悪化なども引き起こすことが懸念されます。このため、空き地等が発生することを防止するとともに、これらをうまく活用することが町なかの魅力向上を図る上で重要となります。  空き地などは、何も民間が所有しているものだけに限りません。その中には廃校になった学校や施設など、行政が所有しているものが多くあります。公園に関しては、平成二十九年、都市公園法の改正により、公募によって選定された民間事業者が、公園内にカフェ等の収益施設を設置するPark─PFIという制度が創設されました。県内においても、既に福岡市の天神中央公園や北九州市の勝山公園においてこの制度が活用され、カフェ等が公園内に設置されてにぎわいが生まれています。  このような公共不動産を民間事業者に積極的に活用してもらう動きは、公園以外にもどんどん広げていくべきであると考えます。民間所有の空き地等を活用しようとする場合は、地権者の意向等に左右され、簡単には進められないことが多いと思いますが、行政が保有する公共不動産であれば、行政がその気になれば活用することができるはずです。重要なことは、公共不動産だからといって、行政が使用することだけにこだわらず、民間に使ってもらうことも含めて柔軟にその活用方法を考えることです。うまく活用することができれば、公共不動産の有効活用と町なかの魅力向上という一石二鳥の取組を実現できることになります。福岡県では、公共不動産を活用したまちづくりを行う市町村を支援する街なか公共不動産活用促進事業に取り組んでいると聞いております。  そこで、公共不動産を活用したまちづくりに関する市町村支援の取組状況についてお伺いします。  また、この公共不動産を活用したまちづくりの取組は、人口減少し、利用されなくなる公共不動産が増加していくと考えられる中、今後ますます重要になると考えます。  最後に、福岡県として公共不動産を活用したまちづくりについて、今後どのように取組を進めていくのか知事にお尋ねし、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 30 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 31 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、人口減少社会到来に対応した都市計画の取組でございます。県におきましては、人口減少社会においても豊かで暮らしやすい都市の実現、これを目指していくため、平成二十七年度に福岡県都市計画基本方針を改定をいたしまして、居住機能、そして医療、福祉、商業といった都市機能について、それぞれ適正な立地を推進をしているところであります。具体的には、土地利用規制あるいは開発許可などの都市計画制度を適切に運用することに加えまして、都市構造に大きな影響を及ぼす大規模集客施設の立地につきましては、都市の拠点や公共交通の沿線への誘導が図られるよう、市町村がその都市計画を変更する際に広域的な観点から助言を行っているところであります。また、市町村における居住機能や都市機能の適正な立地を図る立地適正化計画の作成を進めるために、その必要性、また関連する国の支援制度等に関する情報を提供するとともに、市町村の計画策定委員会に参画をいたしまして、計画内容について助言をいたしているところであります。今後とも、このような取組を通じまして、人口減少社会の到来に対応した都市計画、これをしっかり進めさせていただきます。  次に、公共不動産を活用してまちづくりを行う市町村に対する支援でございます。県におきましては、昨年度から、市町村が所有し、利用されていない土地や庁舎、学校などの町なかの公共不動産について、民間事業者による活用を促進する取組を進めてきております。具体的には、昨年度、市町村に対しまして公共不動産の魅力を効果的に伝えるポイント、また国内外の先進事例を紹介する説明会を開催をするとともに、民間事業者が作成をしました事業提案内容の動画を提供することによって、公共不動産を有効活用したい市町村と、そしてその民間事業者とのマッチングを進めているところであります。また、本年四月から、民間活用が期待をされる県内の公共不動産についての情報を県のホームページで提供いたしておりまして、現在十三の市町、そして私ども県が保有する全部で五十五の公共不動産というものをホームページに掲載をしているところでございます。  公共不動産を活用したまちづくりの今後の取組でございます。県におきましては、今年度の取組といたしまして、市町村と民間事業者が公共不動産を活用した事業計画を検討する際に、必要となる調査費などの一部を補助することといたしております。また、現在三つの市におきまして、それぞれ民間事業者との協議が行われているところでございますが、県としてもその協議に参加をし、空き地等の活用促進に資する国の制度、これを紹介するなど、事業化に向けた検討を積極的に支援をしていきたいと、このように考えております。さらに、今後事業化に至った公共不動産の活用事例につきまして、その内容また事業化のプロセスというものを研修会等で周知を図ることによりまして、他の市町村においても、こうした取組が進んでいくようしていきたいと思っております。これらの取組を通じまして、町なかへの民間投資を呼び込み、人口減少社会においても、にぎわいのある魅力的なまちづくりができるように進めてまいります。 32 ◯議長(栗原 渉君) 後藤香織君。(拍手) *後藤議員質問 33 ◯八番(後藤 香織君)登壇 皆様、こんにちは。民主県政クラブ県議団、早良区選出の後藤香織です。本日は非正規雇用労働者、フリーランスに対する支援、未成年の予期しない、望まない妊娠の防止について、この大きく二つの項目についてお伺いをいたします。  まずは、非正規雇用労働者、フリーランスに対する支援についてお聞きします。新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの方々の生活に影響が出ています。様々な働き方があり、その選択肢は自由ではありますが、このコロナ禍の中で、非正規雇用労働者やフリーランスなどの就労に対する不安定さが一層露呈しました。現に私の周囲でも、友人のヨガ講師は休業状態となり、派遣社員の方はコロナを理由に解雇されたことからも、相当数の方が職を失ったり、生活に苦しんでおられることは容易に予想されます。  五月末に発表された二〇二〇年四月分の労働力調査によると、就業者数は全体で六千六百二十八万人と前年同月に比べ八十万人の減少。実に八十八か月ぶりに減少となりました。男女別に見た場合、男性は二十七万人の減に対し、女性はおよそ二倍の五十三万人の減となっています。この内訳を見ると、正規雇用の職員、従業員は六十三万人増加しているのに対し、フリーランスを含む自営業主、家族従事者は三十二万人の減、非正規雇用労働者に至っては九十七万人も減少し、正規雇用とそうでない者との格差が浮き彫りとなりました。五月の結果はさらにひどいのではないかと危機感が募る一方です。  そこで、まず一点目に、職を失った非正規雇用労働者やフリーランスといった個人事業主が再び仕事を得ることができるように、県としてはどのような就職支援を行っているのか、またその支援の周知方法と直近までの支援実績についてお尋ねをいたします。  二点目に、新型コロナウイルス感染症の下で影響を受けているフリーランスを含む個人事業主の方々が事業を継続できるよう、県としてどのような支援を行っているのか、その周知の方法と利用実績についてお尋ねをいたします。  次に、フリーランスの中で、特に今回はフリーランスの美容師を取り巻く環境について二点お伺いします。  フリーランス美容師にはミラーレンタルと言われる、いわゆる面貸しを利用する美容師が増え、最近では美容室全体が面貸しとなるシェアサロンという形式を取る美容室も増加しています。  そこで一点目に、この面貸しは、美容師法上どのような取扱いとなるのか、またそれについて知事はどう認識しているのかお伺いいたします。併せて、県は面貸しをしている美容所を把握しているのかもお伺いいたします。  美容師法第十一条一項では、美容所は勤務する美容師の氏名や登録免許番号などを都道府県知事に届ける義務があります。また、美容師法第十条二項には、都道府県知事は「美容師が伝染性の疾病にかかり、その就業が公衆衛生上不適当と認めるときは、期間を定めてその業務を停止することができる。」とあります。美容室は、人々の生活に欠かせない重要なものです。今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止においても、全日本美容業生活衛生同業組合連合会がガイドラインを作成し、各美容室において最大限の努力をしていることは承知しております。しかしながら、面貸しを行っている美容室の場合、その美容室の経営者がフリーランス美容師の日常の行動や健康状態について十分な把握ができない可能性もあり、今回の新型コロナウイルス感染症に関してリスクともなりかねません。また、フリーランスの美容師は正規雇用ではないため、従事者として届出がなされていないことも懸念されています。  そこで二点目に、県としては、届出が適正に行われるよう、どのような指導を行っているのかお尋ねをいたします。  今回取り上げたフリーランスの美容師のみならず、フリーランスという法のはざまにある方々を取り巻く環境の改善は急務です。  ここで、フリーランスの方々の意識について触れておきます。ランサーズのフリーランス実態調査二〇一八年版によると、広義のフリーランスは一千百十九万人、経済規模は二十兆円を超えています。しかしながら、平均年収は百八十六万円と決して十分とは言えません。フリーランス協会のフリーランス白書二〇一九では、フリーランス当事者は、出産、育児、介護などの際の休暇や所得補填といったセーフティーネット、健康保険組合、厚生年金などが十分ではなく、病気にかかったり、高齢になるなどして働けなくなった際の生活について不安を抱いていることが分かっています。今後は、フリーランスと業務委託契約を結ぶ企業の果たすべき役割を強化するなど、関係業界団体と一体となり、フリーランスの方々へのセーフティーネットを整えていくべきだと考えます。県には、フリーランスの方々の地位向上を国へ訴えていただきますよう要望をし、次の項に移らせていただきます。  次に、未成年の予期せぬ、望まない妊娠の防止についてお伺いします。二〇一九年に日本産婦人科医会が発表した性教育の現状と問題点によると、中絶選択率は全年齢で一五%であるのに対し、五歳階級別で見た場合、二十歳未満の未成年が最も高く五九%と約六割が人工妊娠中絶を選択しています。未成年の人工妊娠中絶においては、心身ともに及ぼす影響が大変大きいことは明らかです。中絶を選択せざるを得なかった要因として、デートDVや性暴力、性に関する誤った知識や知識の不足などが考えられます。このような予期せぬ、望まない妊娠を防ぐには、それらの要因ごとに対応をし、社会全体で防止の取組をしていかなければなりません。  そこで、今回は未成年の妊娠の実態とそれらの要因ごとの防止のための取組について伺います。  まずは、未成年の妊娠の実態について二点お伺いします。一般的に、未成年の妊娠についての相談は、長期休暇の後などに多いとされています。今回は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、約二か月半にもわたり学校が休校となりました。休校が解除された今後、未成年の予期せぬ、望まない妊娠が一気に顕在化をし、急増するのではないかと危惧をしているところです。  そこで知事にお尋ねします。思いがけない妊娠や子育てなどの相談窓口である、にんしんSOSふくおかでは、全国での休校が始まった三月以降、十代の相談件数はこれまでと比較してどのようになっているのか、相談内容はどのようなものだったのか併せてお伺いをいたします。  本県の保健統計年表を見ると、十五歳から十九歳に占める十代の中絶件数は高い割合となっています。特に、本県においては、二〇一五年度では、十代の人工妊娠中絶率は全国四十七都道府県中、最も高い割合でした。  そこで二点目に、本県における十代の人工妊娠中絶率は、二〇一六年度以降直近ではどのような状況かお示しください。また、その実態について知事はどう認識をしているのかお聞きをいたします。  次に、要因ごとの対応策についてお伺いします。先ほども申し上げたように、予期しない、望まない妊娠には様々な要因があります。性暴力については、私が二月の一般質問でお尋ねをいたしました。そこで今回は、デートDVについてお尋ねをします。  交際相手からの性行為の強要や避妊に協力しないといったことは、予期しない、望まない妊娠にもつながります。これは交際相手から殴られたり、束縛されるなどと同じデートDVの一つです。このデートDVについての認知度は、県が昨年実施した男女共同参画社会に向けての意識調査によると、六一・四%と決して高い数値とは言えません。デートDVによる若者の予期しない、望まない妊娠を防ぐためには、交際相手からの性的暴力の防止が必要です。  そこで知事にお伺いします。デートDVについて、若者に対して、これまでどのような取組を行ってきたのか、また今後どのように取り組むのかをお尋ねいたします。  次に、コロナ休校の影響でさらなる遅れが懸念されている性教育について二点お伺いをいたします。二〇一七年六月の定例会で、我が会派の大田京子議員が、学校現場における性に関する学習指導の在り方について質問をいたしました。  そこで一点目に、県教育委員会ではその後、どのような取組を行い、またそれによりどのような成果があったと認識をしているのか、教育長にお尋ねをいたします。  次に、包括的な性教育の必要性についてお聞きします。国の学習指導要領を見ると、小学五年生の理科では、受精に至る過程は取り扱わない、中学一年生の保健体育科では、妊娠の経過は取り扱わないと書かれており、性行動については取り扱わないとの解釈が一般的です。しかし、これは性行動が活発になる前に正しい知識を教えることが子供の心身を守り、性感染症も防ぐという国際的な考え方とは大きくずれています。この考え方は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が示した包括的性教育の国際ガイダンス国際セクシュアリティ教育ガイダンスによるものです。ユネスコは、最新の科学的エビデンスに基づき、性教育を人権とジェンダーの平等という枠組みの中に位置づけており、二〇〇九年以降、世界各地で得られた様々な教訓を踏まえ、二〇一八年にこの内容を改定しました。この国際ガイダンスは欧米諸国だけでなく、中国、韓国、台湾などアジア諸国でも受け入れられているのが現状です。その中では五歳から十八歳まで、およそ三歳ごとの各発達段階に即した学習目標をつくっており、具体的には九歳から十二歳では、どのように妊娠をするのか、基本的な避妊方法について確認したり、十二歳から十五歳では、避妊の様々な方法の有効率、効果、副作用など、コンドームや緊急避妊ピルなどについて教えることとなっており、日本の性に関する指導の内容とは大きく異なっています。  一方、二〇一八年日本財団の調査では、十七歳から十九歳の性に関する情報源は、ウェブサイトが五五・八%で最も多く、SNSが三一・四%で、サイトとSNSを合わせると実に八七・二%がインターネットから情報を得ていることになります。性に関する誤った情報を得てしまっている可能性も十分に考えられます。正しい情報を知らないまま、インターネットからのフェイク情報、性差別的、暴力的な性描写などに翻弄され、JKビジネスやアダルトビデオなどの性売買も横行する中、消費される商品としても巻き込まれかねません。現代の未成年は様々な性的被害に遭いやすい状況に置かれているにもかかわらず、性について学ぶ権利が保障されていないと言えるのではないでしょうか。未成年の予期せぬ、望まない妊娠を避けるためにも、また性暴力の加害者になってしまわないためにも、性行動が活発になる前に正しい知識を得ることが重要であり、人間の尊厳を中心に置いた、学校での包括的な性教育が重要だと考えます。  そこで二点目に、こういった包括的な性に関する知識の習得の必要性についてどのように考えるのか、併せてそのための取組について教育長にお聞きいたします。  以上、コロナ禍の中で浮かび上がった二つの課題について質問させていただきました。御答弁、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) 34 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 35 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  非正規雇用労働者や個人事業主で職を失われた方々に対する就職の支援でございます。非正規雇用労働者の方をはじめとしまして、働く場を失われた方に対しまして、県独自の緊急短期雇用創出事業を市町村と連携して実施をしております。六月三日時点で約一千人の方の就職が決定されております。また、県の若者就職支援センター及び中高年就職支援センターの相談員を増員するとともに、求人開拓専門員を新たに配置をいたしまして、採用意欲のある県内企業の求人を確保することによって、離職者等の早期再就職につなげていきたいと考えております。また、この両センターにおきましては、本年四月、五月と、合計八百八十人の方から御相談をいただいております。このうち、コロナウイルスの影響を受けて求職活動に入っている、そのことが確認できた方は三十五人いらっしゃいます。そのお一人お一人の状況に応じた丁寧な就職支援を今、行っているところであります。これらの県の取組につきましては、ホームページあるいはSNSによる周知のほか、支援対象となる方が身近な場所でこうした情報が得られるよう、市町村、自立相談支援機関、そしてハローワーク等の窓口においても、その周知を行っているところであります。  次に、フリーランスを含む個人事業者への支援でございます。県におきましては、新型コロナウイルスの影響を受けている個人事業者の事業の継続を国の持続化給付金と相まって支援をするため、国の支援の対象とならない事業者を対象とした福岡県持続化緊急支援金を創設をいたしまして、その速やかな給付に取り組んでいるところであります。フリーランスの方につきましても、確定申告において事業所得として申告をされ、事業を継続して営んでおられる方々は、その給付の対象として支援をしているところであります。資金繰りにつきましても、こうした方々を対象といたしまして、県制度融資に三年間、実質無利子、無担保の新型コロナウイルス感染症対応資金を創設するとともに、緊急経済対策資金における保証料を県が肩代わりをしてゼロにするなど、その資金繰りの支援を強化してまいりました。今回、これら二つの資金の融資枠を大幅に拡大をするとともに、新型コロナウイルス感染症対応資金の融資限度額を三千万円から四千万円に引き上げるための予算もお願いしているところであります。これらの支援策につきましては、フリーランスを含む事業者に広く周知を図るため、フリーランス協会福岡事務局を通じた広報を行うほか、ツイッター、LINE、新聞広告、ラジオといった県の広報媒体を活用するとともに、県と包括連携協定を結んでいます県内のコンビニエンスストアにおけるチラシの配架などを実施してきているところであります。六月十五日現在、福岡県持続化緊急支援金の給付件数は約八千七百件、給付金額は二十八億七千万円となってございます。そのうちフリーランスを含む個人事業者の件数は、全体の七割に当たる五千八百件、金額として十四億五千万円となっているところであります。さきに述べました二つのコロナウイルス関連の融資に関わる六月十二日現在の、その保証承諾、実績値でございますが、全体で約一万五千件、二千七百四十七億円に上っておりまして、多くの個人事業者にも御活用いただいているところであります。  次に、美容室における面貸しについてお尋ねがございました。面貸しというのは、自分で店舗を持たないフリーランスの美容師の方が、他の美容所の空いている席を借りて美容行為を行う形態のことをいいます。美容師法上、正規雇用か否かにかかわりませず、美容所の開設者は従事をする全ての美容師を保健所に届け出る必要がございます。届出に当たり美容師免許及び結核や感染性皮膚疾患の有無に関する診断書を確認をいたしておりまして、適正な美容業務が行われているものと認識をしております。このため美容所が面貸しをしているかどうか、これについて改めて把握する必要はないと、このように考えております。  美容師の届出に対する指導でございます。県におきましては、保健所において定期的に美容所に対する監視、指導というものを行っております。その際、従事をしておられる美容師の届出が適正になされているかどうかについても確認をしておりまして、届出がなされていない従事者が判明した場合には、開設者に対し改善を指導してきておるところであります。今後とも、フリーランスを含めた美容師の届出が適正になされるよう、監視、指導の徹底を図ってまいります。  次に、にんしんSOSふくおかの相談実績についてお尋ねがございました。にんしんSOSふくおか、これは電話やメールによりまして、思いがけない妊娠、子育てに関する相談に対応するものであります。本年三月から五月に妊娠に関する相談を受けました三百八名のうち、十代の方は百九名となっております。昨年同期と比べますと一・四倍に増えております。その多くは、生理の遅れ、妊娠検査薬の判定結果についての疑問など、妊娠したのではないか、そういう不安と関連した内容となっております。  十代の人工妊娠中絶についてでございます。本県における十代の人工妊娠中絶実施率は、平成二十八年度、〇・七八%、二十九年度、〇・八二%、三十年度、〇・八%とそれぞれなっておりまして、いずれも全国で最も高い数字となっております。十代の人工妊娠中絶でございますが、その多くは予期しない、また望まない妊娠の結果であると考えられまして、体だけではなく心にも大きな影響を与えるものであると、深刻な課題であるというふうに認識をいたしております。  次に、デートDVの防止についてお尋ねがございました。県におきましては、平成二十六年度から全ての高校一年生を対象といたしまして、デートDVについて分かりやすく解説をした冊子を配付をし、人権教育の授業あるいはホームルームなどで活用しているところであります。また三十年度からは、デートDVの低年齢化に対応していくため、中学一年生も対象にしたところであります。さらに、希望される学校に対しましては、専門知識を有する講師を派遣をいたしまして、その講義やグループワークを通じて、デートDVの被害者にも、また加害者にもならないように、中学生や高校生の理解の増進に努めているところであります。これらに加えまして、今年度からは、性暴力根絶条例に基づき実施をしますアドバイザー派遣事業におきましても小中高等学校などで児童生徒の発達段階に応じてデートDVを含む性暴力について教育を行うことといたしております。 36 ◯議長(栗原 渉君) 城戸教育長。 *教育長答弁 37 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 性に関する指導の取組とその成果についてでございます。県教育委員会では、平成三十年度から大学教授や医師等で構成される性に関する指導推進委員会を設置し、発達段階や個に応じた効果的な指導法等について協議を行っております。また、県立高校に産婦人科医等を派遣する性と心の健康相談事業に加えまして、同じく平成三十年度からは、新たに公立中学校等にも派遣する性に関する指導推進事業を開始し、プライバシーに配慮した個別相談の充実を図っております。その結果、公立中学校では、指導内容等を検討する校内検討委員会を設置する学校の割合が、平成二十九年度の六六・三%から、昨年度は七一・四%と徐々に増加しております。また、県立高校では、産婦人科医による個別相談から医療機関の受診につながる件数が、平成二十九年度の十七件から昨年度は四十七件に増加するなど、関係機関と連携した対応が図られてきていると認識しております。  包括的な性に関する知識の習得の必要性及びそのための取組についてでございます。学校における性に関する指導においては、学習指導要領に基づき科学的知識を身につけさせるとともに、性に関する情報等を正しく選択し、適切に行動できる能力や、自己を大切にし、他者を尊重する態度などを育むことが重要であります。また、性に関する生徒、保護者の情報量や意識等には大きな個人差があるため、授業等での一律の指導と併せて、個別の指導を充実していく必要があると考えております。このため、産婦人科医等を活用した指導を引き続き推進していくとともに、発達段階や個に応じた効果的な指導法をまとめた指導資料を改定し、各学校へ普及してまいります。 38 ◯議長(栗原 渉君) 後藤香織君。 39 ◯八番(後藤 香織君)登壇 答弁を受けまして、要望をさせていただきます。  フリーランスの美容師については、その選択肢は自由であり、勤務時間や業務量に対する裁量が大きいなど様々なよい点があるのは承知しています。しかしながら、面貸しをしている美容室においては、フリーランス美容師との業務委託契約を結んでいることが多く、その業務委託費用を外注費として会計処理をする場合は、消費税の課税逃れや社会保険逃れとなっているケースもあると疑われています。こういった課題があることを指摘し、面貸しサロンの実態把握と適正化を要望させていただきます。  また、未成年の予期せぬ、望まない妊娠の防止については、十代の人工妊娠中絶率は、本県議会で初めて取り上げられた二〇一五年度のデータ以降、少なくとも四年連続でワースト一位であることが、今この場で明らかとなりました。このことを踏まえても、本県における包括的性教育を本格的に進める時期に来ていると思います。  先ほど教育長から、発達段階や個に応じた効果的な指導法をまとめた指導資料を改定し、各学校へ普及するとの答弁がありました。この指導資料改定の際には、性に関する相談窓口を掲載して、指導教員より児童生徒へ周知をすることや、国際セクシュアリティ教育ガイダンスに基づき、県教委だけでなく、性暴力被害者支援センター・ふくおかや本県男女共同参画推進課、生活安全課などが、これまでに取り組まれた知見を基に部局横断的に改定に取り組んでいただくよう要望いたします。  さらに未成年の予期しない、望まない妊娠を防ぐために、学習指導要領そのものを国際セクシュアリティ教育ガイダンスの内容を踏まえたものに改定するよう国へ働きかけていただきますよう、県としての本気の取組を強く要望して、私の一般質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 40 ◯議長(栗原 渉君) 吉田宣弘君。(拍手) *吉田(宣)議員質問 41 ◯六番(吉田 宣弘君)登壇 公明党の吉田宣弘です。通告に従い、新型コロナウイルス感染症対応に係る医療機関等への支援策について質問させていただきます。  新型コロナウイルス感染症との闘いの最前線は医療機関です。医療機関と医療従事者の皆様を守らずして、県民を守ることはできません。この点、本県は四月補正予算において、患者受入れ医療機関支援金制度、医療従事者へ新たな支援策、応援基金の創設、感謝状の贈呈を決めるなど全力で応援する姿勢を示しています。これには本県議会の厚生労働環境委員会における大変な御努力があったとお聞きをしており、その御努力に対し衷心より深く感謝申し上げるところでございます。しかし、五月十八日に公表された新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査によると、その経営状況の悪化が鮮明になったとのことでございました。  そこで、まず知事にお伺いいたします。知事は、本県にある医療機関の経営状況をきちんと把握されておられるでしょうか、お示しください。併せて、経営悪化の要因をどのように認識しておられるのでしょうか、お示しください。
     次に、これまでの支援策について数点確認させていただきます。新型コロナ感染症患者を受け入れる医療機関は、多くの一般病床を犠牲にして、新型コロナ感染症患者のための病床を確保しています。その分、医療機関の収入は減少し、追加費用も増加することになります。  そこで、新型コロナウイルス感染症対策に係る病床の確保の支援が行われることとなっております。では、どのような病床が、この政策の中で空床として扱われるのでしょうか。その基準とともにお教えください。  そして、この支援策はいつ医療機関に届けられるのかについてもお教えください。  次に、新型コロナウイルス感染症患者の治療、看護に対応をしてくださった医療従事者へ一人十万円を給付する新たな支援策についてお聞きをいたします。この点、国の第二次補正予算でも同様の支援策が創設されたと承知をしております。福岡県が独自策として、国に先行し実施を決定していたことは高く評価されるところであると思います。  さて、この政策は医療従事者の皆様への感謝の思いが形となって示されたものと承知をしておりますが、医療従事者間で不公平感を持たれるようなことがあっては、その趣旨が没却されかねません。また、同じ医療機関内で医療従事者の心に分断が生じてしまっては、今後、新型コロナウイルスに付け入る隙を与えてしまうのではないでしょうか。  そこで、この支援策はどのような基準により、どのような手続で行われるのかについてもお聞きしておきたいと思います。  ところで、本県でも、医療従事者の皆様の懸命な御努力にもかかわらず、院内感染や施設内感染が発生しました。先述のとおり、新型コロナ感染症患者を受け入れる医療機関は新型コロナ感染症との闘いの最前線であり、同時に、最後のとりででもあると思います。したがって、ここにおける感染症対策は最重要課題と言ってもいいと思います。現実的な危険は医療機関における全ての行為に存在すると思いますが、無症状患者の存在も無視できない状況の下、特に警戒が必要な場面は救急外来の受入れ時ではないでしょうか。この場面において、今後、マスクや医療用ガウンなどの医療用防具の不足は絶対に許されないと思います。  そこで、福岡県として、医療機関に対して医療用防具をどのように配付されておられるのか確認をさせていただきたいと思います。  この点に関しましては、今、感染状況が落ち着いているこのときに、次の波を想定し、その波に対応する医療用防具の需給状況を予測し、いざ次の波が来たときに現場において絶対不足が生じないような備えをしておいていただきたく強く要望をしておきます。  ところで、診療報酬が支払われる六月以降の医療機関の経営に心配がございます。病院機能をこれまでどおり維持するためには、これまで以上に強力な支援策が必要だと考えます。また、人材支援の観点から、支援策を備えておくことも必要であると思います。  そこでまず、新型コロナウイルス感染症患者に対応をするドクターとナースが疲弊をした結果、医療現場の維持が困難となることを恐れます。病院間の連携や病院と大学病院との連携は、それぞれの病院で懸命に取り組んでおられると思いますが、このような取組を補完するマンパワーに対する対応策は準備されておられるのでしょうか、お答えください。  次に、新型コロナウイルス感染症患者受入れ医療機関のみならず、小児科、耳鼻科、呼吸器科、心臓血管外科、脳外科、歯科など新型コロナウイルス感染症の感染リスクが高い手技に当たる医療機関の換気やパーティション等の設備などの感染防止対策に十分な支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか、御所見をお示しください。  さらに、今申し上げたこと以外に、国の二次補正で示された重点医療機関に対する新たな支援策についてもお教えいただければ幸いでございます。  さて、これで最後の質問になりますが、医療関係者から、医療従事者やその家族に対する風評被害が生じているとお聞きをいたしました。新型コロナウイルス感染症対応の最前線で、命がけで闘っておられる医療従事者の皆様やその御家族は最大限に称賛されるべきです。にもかかわらず、その真逆の態度で医療機関関係者とその御家族を苦しめることは、決して許されることではないと思います。  そこで、新型コロナウイルス差別をなくし、医療関係者をもっと応援してほしいとの強い啓発を行うべきではないかと考えますが、県の取組をお伺いしたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 42 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 43 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、医療機関の経営状況でございます。医療機関の経営につきましては、先ほど来申し上げましたように、日本病院会などが実施をした調査によりますと、病院における四月の医業収入は対前年同月比、全体で一割程度の減少となっております。また、診療所につきましては、診療報酬が三割から四割程度減少している診療科も中にはあると、このように報告を受けております。このように、医療機関における経営状況は非常に厳しい状況にあると、このように認識をしているところであります。  その経営悪化の要因でございます。新型コロナウイルス感染症患者を受け入れているか否かを問わず、感染を恐れた患者さんが医療機関の受診を控えたということによるものと考えております。また、受け入れておられます医療機関におきましては、救急患者の受入れの制限、新たな感染症患者を受け入れるために空き病床を確保する、そのことによる収入の減少、また感染症患者の治療に伴い医師等のスタッフを手厚く配置をせざるを得ない、そういったことによりますコストの増加、これが影響しているものだと考えております。  次に、病床確保に伴う医療機関への支援でございます。新型コロナウイルス感染症患者の病床を確保するに当たりましては、患者を受け入れるために空床とせざるを得なかった全ての病床を対象といたしまして、県から医療機関に対し、病床確保料を支払うことといたしております。例えば、四床の病室を閉鎖をして、そこに患者さんを受け入れる病床一床確保した場合には、四床が病床確保料の対象となり、実際に患者を受け入れた場合には、残りの三床に対して病床確保料を支払うことになります。現在、四月から六月までの病床確保料について、医療機関からの申請を受け付けているところでございまして、七月末までに支払いを行いたいと、このように考えております。  新型コロナウイルス感染症患者に対応した医療従事者に対します支援金でございます。県におきましては、新型コロナウイルス感染症患者の治療、看護に携わられた医療従事者に対しまして、応援と感謝の気持ちを表すため、医療機関を通じてお一人一回十万円の支援金を支給することといたしております。この支援金は、患者が入院する医療機関または宿泊療養施設におきまして三日以上、患者の身体に直接接するなど、治療や看護に携わられた医療従事者を対象として支給することとし、今後、医療機関に通知をし、支給手続を開始したいと考えているところであります。  医療用防護具の配付の状況でございます。三月以降、国からの供給、また県独自の購入分、そして皆さんから寄贈いただきましたマスク、全部合わせて七百五十五万枚、医療用ガウン七十一万着、フェースシールド二十三万枚を配付をしているところであります。救急指定病院を含む四百五十七の病院に対しまして、コロナウイルス感染症の入院患者さんの数、それから在庫、使用状況に応じて配付をさせていただいております。また、急患診療所を含む四千十五の医科、診療所に対しましては、それぞれの従事者数に応じて、その配付を行っているところであります。これからも、これまで同様、国の供給分、また県の購入分というものを施設の状況、実態に合わせて配付をさせていただきたいと考えております。  次に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に備えた地域の医療従事者の確保についてお尋ねがございました。県におきましては、感染症専門医等によります調整本部を設置をいたしております。関係医療機関の病床の状況、患者の特性等について情報収集を行い、医療従事者の業務負担が過剰なものとならないよう、搬送患者の受入れ医療機関について、その調整を行っているところであります。しかしながら、地域で感染症患者が急増した場合には、院内の感染症診療部門への患者の集中、医療従事者自身の感染等によりまして、一時的に医療従事者が不足し、医療提供の継続が困難となる事態も想定されるところであります。このような場合に、当該医療機関におきましては、人員配置、その変更等によりまして、診療体制の確保が行われ、それでも医療従事者が不足する場合に備えて、県では医師、看護師等の医療チームを派遣する仕組みを設けているところであります。また、県が設置をし、看護職員の無料職業紹介を行っております福岡県ナースセンターでは、新型コロナウイルス感染の拡大を受けまして、三月に求職登録者の方々に対し、職員が不足する医療機関における就職の希望というものをメールで募ったところであります。六月十二日現在、百二十七人の方から応募がありまして、そのうち二十一名の方が既に就職をされております。  次に、医療機関の感染防止対策に対する支援でございます。医療機関が地域で求められる医療を継続して提供することができるよう、感染防止対策を徹底するため、感染の疑いのある患者さんと、その他の患者さんの混在を避けるためのレイアウトの変更、職員の健康管理の徹底、院内設備の整備などに要する経費につきまして、国の第二次補正予算を活用して助成を行うことといたしております。  重点医療機関に対する支援についてでございます。県におきましては、新型コロナウイルス感染症患者専用の病棟を有し、主に重症、中等症の患者を受け入れる医療機関を重点医療機関に指定をいたしております。当該医療機関におきまして、酸素投与や呼吸モニタリングが可能となる専用の病床を合計で二百床確保することといたしております。この重点医療機関に対しましては、国の第二次補正予算を活用いたしまして、超音波画像診断装置、血液浄化装置など、当該医療機関が行います高度医療向けの設備の整備について助成を行うとともに、これまでよりも手厚い病床確保料というものをお支払いすることといたしております。  医療関係者に対する差別の防止の啓発、それから応援の呼びかけについてでございます。新型コロナウイルス感染者の治療や看護等に当たっていただいております医療従事者、その御家族に対する誹謗中傷、また差別的な対応というものは絶対に許されるものではありません。これまで県におきましては、県内の感染者が確認された当初から、感染症に関する人権への配慮というものを呼びかけてまいりました。医療従事者の皆さんへの偏見、差別、その防止につきましては、JRや地下鉄の駅での啓発ポスターの掲示、JR博多駅、西鉄天神駅のデジタルサイネージにおける映像の放映、在福の民法五局と共同で作成したテレビコマーシャルフィルムの放映、「福岡県だより」等県の広報媒体による周知、そういったことを通じまして啓発を行ってまいりました。また、医療従事者や社会機能の維持に当たっておられる皆様に対する感謝とエールの気持ちを表すため、福岡県ゆかりのスポーツ選手、文化人等の著名人による応援メッセージ動画というものも配信しているところであります。寄せられたこういうスポーツ選手、文化人の方々の写真を県庁のロビーに貼り出しているところでございます。私自身、ラジオ、記者会見などを通じまして、医療従事者また社会を支えていただいている多くの皆様への感謝の気持ちを申し上げ、そうした方々また家族への心ない言動、差別が絶対にあってはならないこと、その呼びかけを続けてきているところであります。 44 ◯議長(栗原 渉君) 井上博行君。(拍手) *井上(博行)議員質問 45 ◯二十一番(井上 博行君)登壇 自民党県議団、井上博行です。通告に従いマイナンバー制度について幾つか質問させていただきます。  初めに、マイナンバーカードの普及について質問いたします。現在、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う対策として様々なものが実施されているところであります。企業を守り、雇用を維持するために、実質無利子、無担保融資や雇用調整助成金の拡充などを行っているところであります。           〔栗原議長退席 原中副議長着席〕  また、前年同月比五〇%減の中小企業向けに最大二百万円、個人事業主には最大百万円の持続化給付金の給付、そして五〇%減に満たない部分について福岡県が独自に最大五十万円の福岡県持続化緊急支援金の給付を行っており、幅広く御活用いただくことができているものと承知しております。  そのような中で、国民一律に十万円の特別定額給付金を給付するという施策もございました。福岡県内でも既に申請受付が全ての市町村で開始されております。この特別定額給付金について、給付まで時間がかかり過ぎるという御批判があったものと承知しておりますところ、マイナンバーを活用することによって今後の手続を迅速化できるのではないかと考えます。  マイナンバー制度が二〇一六年に導入されて四年が経過しましたが、現状はまだ有効活用できているとは言えない状況かと思います。マイナンバーは法律により全国民に割り当てられていますが、マイナンバーカードを保有しているのは一五%程度にとどまっているところと承知しています。今回の特別定額給付金において多少の混乱はあったものの、マイナンバーカードを保有していた方はいち早くオンライン申請ができ、迅速に給付金が手元に届いております。  そこでまず、福岡県内におけるマイナンバーカードの普及率はどの程度なのかお聞かせください。その上で、今後の積極的な普及促進のため、県や国、市町村ではどのような取組を行おうとしているのか、知事のお考えをお聞かせください。  次に、マイナンバーと銀行口座のひもづけについて質問いたします。現在、政府・与党で検討が進められていると承知しておりますが、マイナンバーに銀行口座情報をひもづけることができれば、さらに給付が迅速化できると考えます。例えば、アメリカやイギリスでは、日本の国税庁に当たる組織が国民番号を基に管理する納税情報を使って給付対象を割り出し、申請を待たずに支援を実行することが可能です。この方法では、給付を受ける国民の側から申請する手間が省けるため、今回、アメリカ政府は決定の二週間後から給付を始めることができています。また、納税情報を基に高額所得者は対象から除くといったことも可能となるはずで、国民の理解を得られる柔軟な制度設計をすることができると思います。  これに対して日本では、証券口座はマイナンバーの登録が既に求められていますが、銀行口座についてはいまだ登録は任意となっています。このため、アメリカのように個人の銀行口座に直接給付金を振り込むことができませんので、手続にどうしても時間を要し、給付が遅いとの批判につながっているのが現状です。  マイナンバーと銀行口座とのひもづけについては、国に金融資産情報を全て把握されてしまうのではないかという不安感から反対の声があります。また、今回の制度設計では世帯主が世帯全員分をまとめて申請し、世帯主に一括で給付金が振り込まれることになっておりますが、DV被害者がいまだ住民基本台帳上では同一世帯とされているため、直接申請、給付の受け取りができないという問題が起こっており、このような場合はDV被害者側からの別途の申請が必要な制度となっております。このようなことなどから、行政側が世帯を把握する事務手続上の手間はさらに増加し、時間がかかる一つの要因となっているのではないかと考えます。今後、またいつ今回と同じような危機が訪れてもおかしくない中で、迅速で柔軟な救済を行うために、マイナンバーと銀行口座のひもづけは極めて有効であると考えます。その際に、国に資産状況を把握されてしまうといった不安感の解消については、例えば新たに新規口座を開設し、その口座をひもづけるなど様々な方法について検討の余地があろうかとも思います。  このようなことから、これを進めていくことを求める声が強まっておりますが、マイナンバーと銀行口座のひもづけについて、知事は福岡県として積極的に協力の意思表示をするなど、これを推進していくお考えはありますでしょうか、お聞かせください。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 46 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 47 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、本県における県民へのマイナンバーカードの普及状況でございます。本県におけるカードの交付枚数は、今年の四月末現在で約七十七万枚でございます。人口に対する交付率は一五%となっているところであります。国は、消費活性化の策の一環といたしまして、今年の九月からマイナンバーカードを保有する希望者に対しまして、買物などで使用できるマイナポイントを買物額の二五%、最大五千円相当付与することといたしております。また、来年の三月からマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにするなどカードの利便性を高める取組が進んでおります。県内の市町村におきましては、夜間、休日における時間外開庁によりましてカードの申請受付や交付を行う、大規模商業施設あるいは公民館などへ職員が出向いてカードの申請の受付をする、また役所に来庁される方に対してカードの取得を推奨するなど様々な取組というものが市町村で行われているところであります。県のほうでは、このカードの普及促進のために、平成二十八年からですが、市町村の担当者との意見交換を毎年開催をしておりまして、昨年度からは市町村への個別訪問も行っております。そして、そういう会や訪問の際に、市町村が抱えておられる課題、これを把握して、国に対して改善要望を行うなど、市町村の取組の支援を行ってきたところであります。今後とも、国、県、市町村と連携し、役割分担を行いながら積極的にカードの普及に取り組んでいきたいと、このように思います。  マイナンバーと銀行口座のひもづけについてでございます。今回の新型コロナウイルス対策あるいは大規模災害時における被災者の支援、また景気対策、福祉目的など国民に様々な給付を行う際に、あらかじめマイナンバーと個人の銀行口座をひもづけておけば、住民に対する迅速な支援が実施できる、また一方、行政にとっても事務の効率化、これが図られるという意味では、有効な措置であるというふうに考えております。一方で、全ての国民の銀行口座をマイナンバーにひもづけるためには、国民の口座番号をどのようにして収集をするか、またそれをいかに管理をするか、そういった検討すべき課題もあるわけであります。今後、制度化に向けた国の検討状況、これをしっかり注視をしながら、マイナンバーの事務を行われます市町村と意見交換をしながら、この制度がよりよい制度となるよう、県としても積極的に国に対し要望や提言を行っていきたいと、このように考えております。 48 ◯副議長(原中 誠志君) 松尾嘉三君。(拍手) *松尾(嘉)議員質問 49 ◯四十一番(松尾 嘉三君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の松尾嘉三でございます。最後でございますので、しばしお付き合いいただきたいと思っております。  質問に入ります前に、コロナウイルスにより犠牲となられました皆様方に心からの御冥福と、今もなお感染され、苦しんであります患者の皆様の御回復を心より御祈念いたしております。  また、日々奮闘してあります保健、医療、介護関係者、また教育、保育関係者の皆様方には、心からの敬意と感謝を申し上げる次第でございます。  さて、今回の私の質問でございますが、福岡県の震災対策につきまして、知事並びに担当所管にお尋ねいたします。  日本中が新型コロナウイルスにより、その対策を余儀なくされているさなか、令和二年を迎えてから連日のように全国で頻発しております群発地震。その数、今年に入り体感できていない地震までも含みますと、六月十三日までで、地震観測回数八百四十四回、そのうち震度三以上の地震観測回数は九十五回もございました。中でも五月の一月だけで、地震観測回数二百十三回、そのうち震度三以上の観測回数が三十二回と、近年ではあり得ない地震発生回数で、日本の地中で頻繁に起きている地殻変動に、大地震への予兆なのか、不気味さまで感じてきております。  大正時代の関東大震災後、今年で九十七年目に入りました。新たに想定されております関東大震災、首都直下型地震は、発表当時、今後三十年で七〇%の確率で発生すると言われております。そのときに打ち出されました被害状況想定は、死者数約二万三千人、建物全壊、焼失約六十一万棟、要救助者数約七万二千人、負傷者数十二万三千人、帰宅困難者数約八百万人、経済への打撃、損害被害額は約九十五兆三千億円にまで上ると想定しておりまして、日本社会、日本経済の崩壊につながるのではないかと、私は危惧をいたしております。  また、同じように高発生率での大地震予想を近年公表されました南海トラフ大地震につきましても、今後三十年以内での発生確率が約八〇%と言われております。もしも地震規模マグニチュード八クラスが仮に起こった場合には、死者数が約三十二万人以上に達し、また特に東日本大震災時のような大津波被害が懸念され、地震発生後三十分以内で三十センチ以上の津波到達予測地域は、一都十三県百三十九市町村にも及び、国の津波避難対策特別強化地域に指定されております。その百三十九市町村のうち四十三市町村では、既に住人や公共施設の高台移転を実施、計画されております。この南海トラフによります我が福岡県の被害想定でございますが、人的被害は僅かでございました。ただ津波発生によります津波到達時の高さが約四メーターと推測されておりまして、浸水面積約二・五平方キロメートルが被災し、直接被害額は約二千億円と莫大な損害を被ることが想定されております。  そこで質問に入らせていただきます。いかに南海トラフ大地震の予想震源地からの海面距離が遠距離で、震源地からの位置が対岸ではないにしても、豊前海や周防灘に面している県東部、南東部、北東部には、福岡県において主要産業でもございます自動車製造工場や自動車部品製造工場、セメント産業等の一大工業地域となっております。また、空の玄関口でございます北九州空港や防衛の要でございます航空自衛隊築城基地、新門司港や苅田港等の重要港湾や良質なる漁場など、我が県の経済、防衛を支えている重要拠点でございます。津波への安全対策や強靱化を図っていくことは福岡県の責務であると私は思っております。この発生率が高いと言われております南海トラフ地震の発生により生じる津波が、この地域の重要なインフラに与える影響につきまして、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、南海トラフ大震災が発災したときに危惧されますのが、それと連動した断層地震でございます。県議会の皆様方も御承知のとおり、福岡県内には七か所の活断層が存在しておりまして、とりわけ県内各地に被害をもたらす影響が大きいと考えられる断層が、北九州の小倉東断層、そして宗像市、福津市から飯塚市につながっております西山断層、そして平成十七年に福岡西方沖地震を引き起こしました、福岡市から筑紫野市までつながっております警固断層、そして久留米市からうきは市までつながっております水縄断層の四断層であります。  小倉東断層の地震規模の想定がマグニチュード六・九、最大震度六強、それによる被害が、建物被害、全半壊合わせまして約一万三千三百六十戸、死者数約四百八十六人、負傷者数約六千六百三十四人、避難者数約二万二千八百九十九人、経済被害額は約八千百七十二億二千八百万円にも及びます。  西山断層の地震規模の想定が、マグニチュード七・三、最大震度六強、建物被害、全半壊合わせまして約二万七千二百五戸、死者数約八百四十四人、負傷者数約二万一千六百七十八人、避難者数約二万三千二十五人、経済被害額約一兆二千三百二十一億八千八百万円。  そして警固断層の地震規模の想定でございますが、マグニチュード七・〇、最大震度七、建物被害、全半壊合わせまして約三万二千九百八十八戸、死者数約一千百八十三人、負傷者数約二万二千五百八人、避難者数約四万一千四百二十五人、経済被害額約一兆四千七百九億六千百万円にも上ります。  そして水縄断層の地震規模の想定が、マグニチュード七・二、最大震度七、建物被害、全半壊合わせまして約三万七千百二十七戸、死者数約一千四百八十二人、負傷者数約二万三千二百五十四人、避難者数約三万九千七百十三人、経済被害総額が約一兆五千二百三億四千百万円という、莫大な被害が想定されております。  このような状況下、県民の皆様の安全、安心な日々の生活を守るためにも、県民の生命、財産を守っていくためにも、何かしら今対策を図っていくべきだと私は思っております。例えば、各断層近郊での地震発生時の崖崩れが想定できる斜面の補強、土砂災害対策等、地震発生時にも耐え得るように整備しなければならないのではと私は思っておる次第でございます。また、活断層によります地震により壊れた砂防施設の復旧や崩れた斜面の対策を行うことも、二次災害を防止するためには必要不可欠でございます。  そこで、地震による崖崩れ等の土砂災害対策の取組につきまして、どのようにお考えなのか知事にお尋ねいたします。  また、被災時、県内六十市町村を孤立させないためにも、地震にも耐え得るような緊急輸送道路ネットワークの機能確保も併せて行っていくべきだと思われますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、現在、避難所となっております学校の校舎や体育館、他の公共施設等のほとんどが耐震化されております。しかし、熊本大地震の際には、震度七クラスの巨大地震の連続発生、その後の合計約四千回を超える余震の発生によりまして、耐震化されていた各地域の避難所の天井材の落下や窓ガラスの破損によりまして、多くの指定避難所が使用できない状態が続いておりました。本県におきましても、大規模地震が発生した場合には同様の事態が想定され、現在指定されております多くの避難所が使用できなくなる可能性もあるかと思われます。そのような事態に備えまして、今のうちから現在の被災想定箇所よりも、できるだけ多くの避難所を指定し、備えるべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、平成二十五年六月議会におきまして私は、福岡県の県土強靱化についての質問をさせていただきました。万一関東圏の大地震とこの南海トラフ大地震が連動して起きたとしたならば、福岡県がその三大都市圏のバックアップ拠点都市としてどうあるべきかと、知事の御所見をお伺いしたところでございます。その際、知事からは、都市機能のハード、ソフトの両面から総合的、計画的に災害に強い県土づくりに努め、県民生活の安定、安全、安心の向上を着実に実現していきたいとの答弁がございました。万一さきに説明をさせていただきました関東圏内において大地震が発災したのならば、国会や霞が関などの中央省庁の機能が停止してしまい、この国の行く末がどのようになっていくのかと、一国民として不安を抱かざるを得ません。  私は、このような事態に備え、首都機能のバックアップの拠点化が今こそ、この福岡県に必要なときだと思っておる次第でございます。日本海に面し、太平洋岸の大都市と同時に被災する可能性の低いこの福岡県が、政府の重要なるデータをバックアップし、大災害発災時に、そのデータを利用して政府機能を確保していくことができれば、三大都市圏への支援、早急なる復興、復旧対策も可能だと私は思っておる次第でございます。また、今回の新型コロナウイルス感染症拡大は、一つの災害とも言えます。人の動きが止まり、都市が静まり返り、社会経済活動に与えた影響は甚大であります。  私は、このような首都機能の低下に対応するためにも、このバックアップ拠点化を推進すべきだと思いますが、知事はどのようにお感じになられましたでしょうか、お尋ねいたします。(拍手) 50 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 51 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、南海トラフ地震による津波が福岡県の東部地域の重要なインフラに与える影響でございます。県におきましては、津波防災地域づくりに関する法律に基づきまして、平成二十八年二月でございますけれども、津波浸水想定区域図、これを公表いたしております。これによりますと、福岡県東部には、最大海抜四メートルの津波が到達することになりますけれども、重要なインフラのうち苅田港、宇島港におきましては、一部の岸壁が三十センチ程度浸水する可能性はありますものの、企業が集積しております箇所への浸水はないと、このように判断をいたしております。また、北九州空港、北九州港新門司地区、また航空自衛隊の築城基地につきましても浸水がないと、このように判断をいたしているところでございます。  次に、地震による崖崩れなど土砂災害についてお尋ねがございました。断層付近での地震によりまして発生する崖崩れなどの土砂災害は、事前にその場所あるいはその規模を特定することは、なかなか困難でございます。したがいまして、地震による土砂災害が発生をした箇所につきまして、直ちに緊急調査を行い、また震度五強以上を観測した場合には、その地域の砂防関係の施設の緊急点検というものを行うことといたしております。その調査や点検の結果、被災した施設あるいは土砂災害の危険性が高まっている箇所につきましては、災害復旧事業でありますとか、災害関連の緊急事業を活用いたしまして対策工事を行います。また、揺れが大きかった地域につきましては、地盤が緩んで、通常よりも少ない雨で土砂災害が発生する可能性がございます。このため、震度五強以上を観測した場合には、当該市町村における土砂災害警戒情報の発表の基準というものを通常よりも引き下げる運用というものを行っておるところであります。  次に、地震発生時の緊急輸送道路の機能の確保についてでございます。緊急輸送道路というのは、災害発生時における応急活動に必要な人員あるいは物資等の輸送を円滑かつ確実に行うため必要な道路であります。地震による災害発生に備えまして、こうした道路の機能が十分発揮できるよう、道路のり面の防災対策あるいは橋梁の震災対策など計画的にこれを実施しているところであります。また緊急輸送道路が被災をいたしましても代替性が確保されるよう、複数の道路を緊急輸送道路ネットワークとして指定をしているところであります。今後も、県民の安全、安心、その確保に向けて必要な対策工事を実施するとともに、適切なネットワークの維持管理に努めてまいります。  次に、大規模地震に備えた避難所の確保でございます。県におきましては、熊本地震を踏まえまして、市町村に対し指定避難所等の耐震化に取り組むよう副市町村長会議等を通じまして助言をしてきたところであります。平成三十年三月末現在、庁舎や文教施設といった防災の拠点となります公共施設全体の耐震化率を見ますと、九四%になってございます。引き続き、この耐震化が進むよう強く促していきたいと考えております。また、この災害の状況によりましては、指定避難所の損壊、あるいは避難者の増加によりまして、指定した避難所以外、つまり指定されていない施設が避難所となる可能性も想定されるわけでございます。このため県におきましては、市町村に対し、県有施設、旅館、ホテルあるいは近隣市町村における避難所などを活用できるよう、事前に相手先と協定を締結するよう助言をしているところであります。これからも、指定避難所以外に活用が見込まれる施設につきまして、その耐震化の状況も踏まえ、施設の管理者と事前に協議を行うよう、市町村に対し促してまいります。  次に、首都機能のバックアップ拠点についてお尋ねがございました。今回、新型コロナウイルス感染症が我が国の経済社会に与えている大きな影響、これをつぶさに御覧になって、多くの国民の皆さんが、大都市部への過度な人口あるいは機能の集中というのがもたらすリスクの大きさというものを改めて実感されたことではないかと思います。今月四日に行われました全国知事会におきましても、このようなリスクを回避するため、首都機能の分散やバックアップ拠点の整備に関する議論が行われました。バックアップ体制の強化が取りまとめられた提言の中に盛り込まれたところであります。県では毎年、国の施策・制度・予算に対する提言・要望をさせていただいておりますけれども、首都中枢機能維持のためのバックアップ拠点の整備について検討を進めるよう、国に対し要望してきているところであります。今回のコロナウイルスの経験も踏まえて、首都直下型地震や、また今回のコロナウイルスのような事態が生じた場合でも、首都中枢機能がしっかり維持できるよう、バックアップ拠点の整備、これについての検討を国に対し改めて求めていきたいと、このように思います。 52 ◯副議長(原中 誠志君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時  十 分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...