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令和2年6月定例会(第11日) 本文
令和2年6月定例会(第11日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2020-06-11
    令和2年6月定例会(第11日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(栗原 渉君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。樋口明君。(拍手) *樋口議員質問 2 ◯五十五番(樋口 明君)登壇 おはようございます。自民党県議団の樋口明でございます。通告に従い、新型コロナウイルス感染症治療薬開発について質問します。  新型コロナウイルスを克服するため世界各国でワクチンや治療薬の研究開発が進められている今、ウイルス研究技術を有する福岡県保健環境研究所核酸医療技術で世界的な競争力を持つバイオベンチャー株式会社ボナックで、新型コロナウイルス感染症治療薬に関する共同研究を実施することについて合意がなされました。株式会社ボナックは、県が久留米市と連携し展開している福岡バイオバレープロジェクトで支援し、国際特許を取得した核酸医薬のコア技術を持つ世界的にも注目を集めるバイオベンチャーです。現在、世界の製薬会社がワクチンや治療薬開発にしのぎを削っており、近い将来、新型コロナウイルスを克服した社会が実現するものと思いますが、その治療薬を本県のベンチャー企業が世界で最初に開発することになれば、こんなすばらしいことはありません。福岡バイオバレープロジェクトにとっても大きな推進力になり、さらなる企業集積も期待できるものと考えます。そこで、その治療薬の開発スケジュールをお聞きしますと、令和四年度に医薬品としての販売を目指しているそうですが、この開発スケジュールを短縮することはできないのでしょうか。エボラ出血熱の治療薬としてアメリカの製薬会社で開発されたレムデシビルは、新型コロナウイルスにも有効な治療効果が認められたことから、厚生労働省は異例の早さで薬事承認しました。今回のレムデシビルの特例が前例になったわけですから、開発期間の短縮は可能なはずです。また、予算をかけることで研究の効率が上がるのであれば、さらなる予算処置も検討すべきと考えます。  ところで、治療薬の研究開発を急がせたい理由についてですが、一日も早い新型コロナウイルスからの克服や福岡バイオバレープロジェクトのさらなる推進はもちろんですが、もう一つ、とても重要な理由があります。それは来年の東京オリンピックパラリンピックの開催です。報道では、複数のIOCの委員が東京オリンピックパラリンピックは再延期はないと発言しており、政府と大会組織委員会は大会中止を回避するため、開催方式の簡素化を選択肢の一つとして検討しているようです。大会中止という最悪のシナリオは避けなければいけませんが、オリンピックが完全な形で成功すれば、日本の経済はV字回復すると考えられており、完全な形でのオリンピック開催にはこだわっていかなければいけないと思っています。その完全な形での開催の鍵を握るのがワクチンや治療薬です。これらの開発については政府が先頭に立って取り組んでいかれるでしょうが、本県もまた、オリンピック開催の鍵を握る研究に携わっている以上、コロナの克服や福岡バイオバレープロジェクトの推進だけにとどまらず、福岡県がオリンピックを成功させるという気概で研究に取り組んでいただきたいのです。  そこで知事に質問です。新型コロナウイルス感染症治療薬の研究を加速させ、開発スケジュールを短縮できないでしょうか。東京オリンピックパラリンピックに間に合わせるぐらいの強い意気込みで取り組んでいただきたいのですが、知事の見解をお伺いします。  次に、政府は第二次補正予算でワクチンや治療薬の研究開発を支援する費用等を盛り込んでいるようです。予算をかけることで研究効率を上げることが可能であれば、国の事業の活用や追加の県単独予算も検討すべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。  最後に、この研究開発を通して、福岡バイオバレープロジェクトのさらなる推進に向けた知事の考えをお聞かせください。(拍手) 3 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  新型コロナウイルス感染症治療薬開発スケジュールでございます。新型コロナウイルスが世界で今、猛威を振るっております。全世界で感染者数は七百万人を超え、また亡くなられた方も四十万人を超えているわけであります。世界は大きな打撃を今、受けております。そのため、一刻も早くその治療薬の開発というものが望まれているわけでございます。そうした中にありまして、五月十八日でございますけれども、日本獣医師会藏内会長、地元選出の原口県議会議員、また大久保久留米市長にも御出席をいただきまして、県は、ボナック社との間で覚書を締結をし、治療薬の開発に向けて共同開発、これを開始しているところであります。ボナック社でございますけれども、難病、ウイルス感染症に大きな効果が期待でき、また副作用の心配も少ないと言われております核酸医薬のコア技術を有している会社であります。一方で、福岡県の保健環境研究所は、危険な病原体を外部に漏らすことなく安全に取り扱うことができる施設を有しておりますとともに、新型コロナウイルスに関しても、最新知見、また研究技術を持つ研究員も有しているところでございます。  治療薬でございますけれども、令和二年四月に開発を始めまして、現在、共同でその効果の検証を行っているところであります。その後、動物実験、それから治験の第一から第二段階、これを経まして、令和四年十月をめどに治験の第三段階、その後の承認申請、これに至りたいと、そういう計画を持っているところであります。議員が御指摘がありました、今後、ボナック社保健環境研究所との間で、それぞれの強みを生かしながら、この共同研究によります効果の検証、これをできるだけ早く進めまして、福岡発の、また世界で初めてとなります核酸医薬分野における新型コロナウイルス治療薬、この早期開発に向けて全力で努力をしていきたいと、このように考えております。  次に、その研究開発への支援でございます。県におきましては、四月の補正予算におきまして、治療薬の研究開発助成金を計上させていただいております。ボナック社に対する支援をこれで行っております。ボナック社が強みを持っております核酸医薬というのは、先ほど申し上げましたように、ウイルス感染症に大きな効果が期待でき、副作用の少ない次世代型の医薬品と言われております。一旦その開発に成功すれば、新たな感染症が発生した場合にも、その核酸の配列を変えるだけで新薬の開発というものができるようになりますため、ほかの医薬品に比べ、短時間で実用化できるという強みがあるわけでございます。現在、ボナック社におきましては、約五十種類の候補薬の製造を既に終わらせておりまして、県の保健環境研究所が持っておりますウイルスを使って、今、同研究所と一緒になってその効果の検証を行い、今年度中に候補薬を絞り込む予定となってございます。その後、動物実験を経て、人への有効性、安全性を確認する治験に入っていく予定でございまして、これには多額の費用が必要となるわけであります。そのため、これから先、産学官による支援体制を構築をし、国予算による大型研究プロジェクトの採択、これを目指していきたいと思っております。また、ベンチャーキャピタルとのマッチングイベントを開催をしまして、民間からの資金調達も支援していきたいと、このように思っております。県としては、こういった形で積極的に支援を申し上げ、一日も早い治療薬の完成、これを目指してまいります。  次に、福岡バイオバレープロジェクトの推進についてお尋ねがございました。県におきましては、平成十三年度からでございますが、久留米地域を中心としたバイオ関連企業や研究機関の集積を目指す福岡バイオバレープロジェクトというものを推進いたしております。創薬と食品を柱とする研究開発の促進でありますとか、ベンチャー企業の育成に取り組んできているところであります。こうした取組の結果、県内のバイオ関連企業プロジェクト開始時の、三十二社あったわけでございますが、現在二百三十社まで増えてきております。例えば、独自のゲノム編集技術で、生物の持っております物質生産能力を最大限に引き出す技術を持っております企業、また優れた嗅覚を持っております線虫を使って、僅か一滴の尿でがんのリスクを判定する技術を持つ企業、それから虫の蚕を使って、医薬品の原料製品に利用する技術を持っておられる企業など、国際競争力を有する有望なベンチャー企業も次々に育ってきている状況にございます。中でも、先ほど来申し上げておりますボナック社は、次世代医薬として期待を集めております核酸医薬のコア技術を有しておりまして、福岡発のこの治療薬の開発に成功すれば、核酸医薬の拠点として、福岡県、関連企業の集積の場として大いに弾みがつくものと考えております。加えて、県では来年春、久留米市に、最新のバイオ用途ロボットゲノム編集機器を利用できるオープンラボ、これを備えた新インキュベーション施設、これを開設する予定でございます。この施設を核といたしまして、最先端のバイオ技術を持つ有望なベンチャー企業の集積にさらに取り組んでいって、一層のバイオ産業の振興を図っていきたいと、このように考えております。 5 ◯議長(栗原 渉君) 守谷正人君。(拍手) *守谷議員質問 6 ◯六十番(守谷 正人君)登壇 皆さん、こんにちは。民主県政クラブ県議団の守谷正人でございます。  質問に入ります前に、今回、新型コロナウイルス感染症によりましてお亡くなりになられた方に心より哀悼の誠をささぐとともに、治療、そして退院された方、その御家族の皆様に対してお見舞いを申し上げます。また、今このときも感染症の拡大の防止に懸命に取り組んでおられる、そして私たちの生命を守っていただいております医療機関の皆様、そして私たちの生活を支えていただいております全ての方々に敬意を表するとともに、感謝を申し上げまして、質問に入らせていただきます。
     新型コロナウイルス感染症における本県の支援策について知事に質問します。四月七日に本県を含め七都府県に発令された緊急事態宣言を受け、それまでの週末の不要不急の外出自粛、夜間における接客を伴う飲食店、繁華街への外出の自粛などに加え、生活維持に必要な場合を除いて外出自粛となりました。四月十四日からは、これまでの外出自粛等の取組に加えて、人と人との接触の機会をさらに徹底的に軽減することが必要として、新型インフルエンザ等特措法第二十四条第九項の規定に基づき、知事は事業者に対して休業等協力を要請する緊急事態措置を講じました。この措置により県内の事業者は、休業を要請された事業者、休業の協力を依頼された事業者、基本的に休業を要請されない事業者に分類され、知事の記者会見直後から、本県もこれまでに経験したことのない状況となり、社会は大きく混乱を始めました。そこで、今回は多くの県民から直接いただいた声を基に作成した本県の新型コロナウイルス感染症における支援策等について四点知事に質問いたします。  最初に、基本的に休止を要請しない施設のうち、接客を伴う施設、例えば、理美容業やタクシー等の県民の生活に必要なサービスを安全に提供し、社会を支えていただいている事業者への支援についてお尋ねいたします。これらの業種は県民と直接的に接する機会が多く、市民への安全対策に配慮しながら、県内で県民生活に必要なサービスを提供している施設です。今回の措置を受けて多かった声は、知事から県民が生活する上で必要な事業であるのでぜひ開業を続けてほしいと依頼された。頑張ろうと思ったが、県内は外出自粛のため県民はほとんど見当たらない。消毒やマスク等適切な感染防止策を講じると経費が経営を圧迫しているとの声でした。福岡市は、このような県民の生活に欠かすことができない事業を行っている方々に対して、対象期間中に営業した中小企業等で売上げ三〇%以上減少した事業者に対し、法人十五万円、個人事業主十万円を一回限り支援をいたしました。県から休業や時短を要請された事業所、飲食店には家賃補助を行う自治体もありましたが、この期間開業している方々は家賃の補助を受けることができない可能性もあります。  そこで、感染のリスクを顧みず私たちの生活を支えていただいた基本的には休止を要請しない施設の現状をどのように捉えているのか、知事の御認識と併せて安全対策等の費用負担に対する支援策についてお尋ねをいたします。  次に、新型コロナウイルスによって、文化芸術活動が大きな影響を受ける中、本県の音楽等文化芸術活動への支援についてお尋ねします。音楽演奏を行う県民の方や団体から本県の支援策が十分でない旨のお声をいただききました。コロナの影響により文化イベントを中止せざるを得ない状況にあり、実演家──楽団員、俳優等やそれを支えるスタッフ等が苦境の状況に陥っています。大きな楽団は三密を避ける意味でステージでの合同練習もできず、個人で活動している方も今後音楽等を続けていくことに不安を口にしました。東京都をはじめ多くの地方自治体は文化芸術を支援する対策が実施されています。長野県では、頑張るアーティスト応援事業、愛知県は、県文化芸術活動応援金の創設等、鳥取県は、アートの灯を守る!とっとりアート支援事業補助金など、芸術に携わる人とその文化を守るために趣向を凝らした取組を行っています。そこで、本県の支援策をホームページで確認すると、新型コロナウイルスの影響を受けた文化芸術関係者を支援するための制度等の中で、特別定額給付金や福岡県持続化緊急支援金等の通常の支援が記載されていますが、芸術家や文化を守る支援策は見当たりません。ある芸術家から来たメールには、一度失われた芸術は復興するには容易なことではありません、コロナによって芸術の技術や伝統が絶えることだけはぜひ避けたいと、切実な胸のうちを表しました。アフターコロナも含め、福岡県の伝統芸能や独自の文化も継続していかなければなりません。本県は、四月に福岡県文化芸術振興条例を制定し、その一、基本理念、基本的施策の中の六項は、地域の人々による主体的な文化芸術活動への配慮、県内各地の特色ある文化芸術の保護、発展としています。  そこで、福岡県の事業継続に向けた文化芸術関係者等の現状をどのように捉えているのか、知事の御所見と今後の対応等をお尋ねをいたします。  三番目に、知事からの休業要請に従わなかった事業者への対応についてお尋ねします。県は新型コロナの感染拡大を受け、四月十四日から遊興施設や遊技施設などを対象に休業を要請しました。感染を一刻も早く食い止め、県民の健康を守り、県民の一人一人の行動が家族をはじめ周りの人の命を守り、私たちの故郷とこの日本の国を守ることになると知事が力説したにもかかわらず、要請に応じない事業者があり、再度の要請に従わない県内のパチンコ店六店舗に対し、二十九日に県のホームページで店名と住所を公表しました。その後も六店舗は営業を継続したため、五日に県職員が各店舗を訪れ営業を確認した上で、特措法四十五条に基づき休業指示を文書で伝えました。また、久留米市では、県の休業要請以降も営業を続けていた市内のナイトクラブクラスターが発生しました。県民の多くが知事からの要請を受け休業や外出の自粛をしている最中であり、誠に遺憾であります。知事は感染拡大を防ぐため事業者に休業を要請、指示する権限を持ち、従わない場合は店名を公表できますが、罰則規定はありません。西村経済再生担当大臣は四日の参議院議院運営委員会で、国民が連帯して対応しているときに、指示を守らない事業者がいることはあってはならないと述べました。  そこで、今も北九州市では接待を伴う飲食店とライブハウスが休業要請中ですが、知事からの休業要請に応じない施設を県内でどの程度認識しておられたのか、要請を守らない施設に対する知事の思いとともにお尋ねをいたします。併せて、これらの施設に対して、パチンコ店で行ったように、本県は現場確認や特措法による休業要請指示を行ったのかお尋ねいたします。  最後に、本県の休業要請解除等の対応についてお尋ねをいたします。五月十四日に新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象から本県が外れたことを受け、十五日午前零時から、民間施設への休業要請は、接待を伴う飲食店等のクラスターが発生した施設を除き原則解除となりました。対象となった事業者にとっては長い暗いトンネルから抜けた瞬間であり、県民一人一人が知事の要請を信じながら真面目に取り組んだ成果だと思っています。  さて、私宛てに市内の飲食店経営者からメールが届き、福岡県はバーへの休業要請は解除されたのか、継続なのか、どちらか分からないというものでした。四月十四日の知事の休業要請で、バーは基本的に休業を要請する施設に分類されました。しかし、休業要請の解除を示した五月十四日の知事の記者会見を見て、多くのバー経営者は休業要請がまだ継続されているとの認識を持ち、関係者の多くが真相の確認のため県に問合せを行ったとのことです。接待を伴わないバーは、県からの休業要請が解除されたのに、知事の言葉がうまく伝わらず、多くが休業していた可能性があり、営業収入の減少に加え、休業要請に支援される自治体の家賃補助の制度も対象外となった可能性もあります。また、過去にクラスターが発生したナイトクラブライブハウスカラオケ店等の営業自粛を継続しましたが、一方、クラスターが発生していないとして風俗店やネットカフェは自粛の対象が解除されました。他県では、国からの基準を精査して、独自に対象業種を判断しているところもあります。このように県の措置に対して不公平感や不安を抱いた県民は非常に多かったと思います。  そこで、今回の休業要請の解除等の対応を振り返って、知事の言葉は県民に正確に届き、そして適正に理解されたと感じておられるのかお尋ねいたします。併せて、今後の休業要請時にどのように対応していくのかをお尋ねいたします。  以上、よろしくお願いを申し上げます。(拍手) 7 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  休止を要請しない接客を伴う施設への支援でございます。県では、四月十四日から施設の休業要請を行いましたが、県民の皆様が必要最低限の生活を送っていただくため不可欠なサービス等につきましては、事業の継続をお願いをいたしたところであります。その中には、理美容等、客の接触の機会が多い業種も含まれております。これらの事業者の皆様には、感染リスクが高い中、事業の継続に御協力をいただき、また県民生活の維持に寄与いただいたものと感謝を申し上げているところであります。また、外出自粛の影響でお客さんが減り、適切な感染防止対策を講ずるための新たな負担も生じるなど、新型コロナウイルスによる経済的な影響というのは、休業対象ではない事業者の皆様にも幅広く及んだものと考えております。このため県におきましては、いつも申し上げておりますが、こうしたコロナの影響を受けた事業者の皆様に対し、国の持続化給付金の対象とならない事業者の方々に対し、県独自の持続化緊急支援金の給付というものを行わさせていただいております。また、経営革新に取り組まれる企業が業種別ガイドラインに基づいて今後実施される感染症防止対策について、これを支援したいと考えておりまして、こういった取組を通じて企業の皆様の事業継続を支援してまいります。  次に、文化芸術関係者に関する現状認識と今後の支援でございます。多くの文化芸術関係者は、これまで入場料収入を中心にその事業を維持されてきておりまして、新型コロナウイルス感染症の拡大による収益機会の減少などによりまして、その経営環境は厳しさを増しているものと考えております。県におきましては、国の持続化給付金と相まって幅広く御支援を申し上げるため、国の対象とならない事業者を対象とした、今申し上げました県の持続化緊急支援金、これをつくりまして、文化芸術活動を行っておられますフリーランスや事業者の方々に対し支援を行っているところであります。また、県制度融資によります資金繰り支援、これをさらに強化をしていくために、三年間実質無利子、無担保の新型コロナウイルス感染症対応資金及び保証料を県が肩代わりしてゼロとしております緊急経済対策資金、県の制度融資でございますが、その融資枠をそれぞれ大幅に拡大をいたしました。さらに、今議会には、支払い家賃の三分の二を支援する国の家賃支援給付金の対象となります事業者に対しまして、県独自にその給付率のかさ上げを実施する予算をお願いしているところであります。加えて、国の第二次補正予算におきましては、動画による公演の収録と配信、感染症防止に対応した公演の実施など文化芸術活動の再開や継続に必要な経費について、これを助成する制度が創設をされたところでございます。県といたしましては、文化芸術の関係者の皆様に対しまして、こうした給付金、融資制度、家賃補助といった支援制度につきまして、分かりやすくこれを周知をさせていただき、それらを有効に活用していただくことによりまして、事業の継続が図られるよう努めてまいります。  次に、休業要請に従わなかった施設への対応でございます。県民の皆さんや市町村から、休業や営業時間の短縮要請に応じず営業を行っているとの情報提供があった施設数は、パチンコ店以外に二百八十四ございました。これらにはナイトクラブ等の接待を伴う飲食店やカラオケボックスなど様々な業種が含まれておりました。これらの店舗につきましては、個別に文書を送付し、休業の協力要請を行いました。また、特に、接待を伴う飲食店につきましては、県内、先ほど久留米という御指摘もございましたが、実際にクラスターが発生をしましたことから、県職員が三十七店舗に対し個別訪問を行うなど、休業協力について粘り強く働きかけを行ったところであります。加えて、県内四市におきまして、夜の繁華街に街頭宣伝車を走らせまして、接待を伴う飲食店やカラオケ等の営業の自粛について、また県民の皆様に対しましては、当該施設への外出の自粛について呼びかけを行ったところであります。なお、特措法に基づく指示と公表は、店舗数が非常に多うございまして、店内での営業内容、その実態の把握が難しいことから、指示、公表までは行わなかったものでございます。多くの事業者の皆様が、私が行いました休業要請、協力の要請に対して御協力をいただいた中で、一部の施設で営業が継続されたことは非常に遺憾なことだというふうに思っております。  次に、休業要請解除の対応についてでございます。五月十四日、緊急事態宣言が解除されたことを受けまして、県では、感染拡大の防止と医療提供体制の維持、確保を図りながら社会経済活動のレベルを徐々に上げていくため、休業要請の緩和を図ったところであります。その際、県内の感染状況、私権の制限は必要最小限のものでなければならないとする特措法の趣旨、これも考え、踏まえて検討を進めました。その結果、接待を行う飲食店やライブハウス等につきましては、それまで国内においてクラスターが発生をしておりましたことから、特に感染リスクが高いものと判断をいたしまして、引き続き休業を要請することといたしました。このため県といたしましては、これまで国内においてクラスターが発生していない性風俗店とネットカフェについては、県の判断として、休業要請を解除したものでございます。  休業要請を継続した施設のうち、バーについてでございますが、ショットバー、ガールズバー、ダーツバーといった様々な営業形態があります。お酒や料理のみを提供している場合には、休業要請の対象外であります居酒屋などと実質的に違いがないわけであります。このため、バーという名称のみをもって一律に休業要請の対象とするのではなく、営業実態で判断することとし、接待を伴わない店舗は、その対象外としたものであります。これらの点につきまして、議員御指摘のとおり、県民の皆様、事業者の皆様から問合せがございました。必ずしも私の申し上げたことが正しく伝わっていないということでございまして、大変申し訳なく思っているところであります。このバーの取扱いにつきましては、県のホームページに明記をいたしまして、その内容について、改めて周知を図ったところでございます。今後、再度の休業要請を行う場合には、こういったことがないように、対象施設が明確になるよう分かりやすい説明を行ってまいります。 9 ◯議長(栗原 渉君) 松下正治君。(拍手) *松下議員質問 10 ◯二十六番(松下 正治君)登壇 皆様、おはようございます。公明党の松下正治です。  通告に従いまして、まずJR日田彦山線復旧と沿線の地域振興策について伺いたいと思いますが、最初に、昨日、平成二十九年七月の九州北部豪雨の復旧工事をめぐる贈収賄の容疑で朝倉市職員らが逮捕されました。このことは、JR日田彦山線沿線を含めた全ての被災地域の復旧に対し、多くの方が尽力をする中にあって許しがたい行為であり、憤りを禁じ得ません。まずは、この件に関する知事の所感をお尋ねしたいと思います。  平成二十九年七月の九州北部豪雨で被災し不通が続くJR日田彦山線の添田─夜明間については、被災から約三年を経て、ようやくBRT導入の復旧案で動き出しました。知事は今議会で沿線地域振興のための基金設置を提案し、各会派から連日その姿勢をただされているところでありますが、一刻も早い復旧と早期の地域振興を考える上で必要となると思われる視点として、二〇一五年に宮城県仙台市で行われた第三回国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組の考え方を紹介させていただきます。  仙台防災枠組では、災害の被災者を二〇三〇年までに大幅に減少させるなどの目標を打ち出しましたが、注目をするのは、基本となる考え方、指導原則の一つとして、復旧・復興段階においてはビルド・バック・ベターを実践するとの項目を挙げている点です。このビルド・バック・ベター、すなわち、よりよい復興の実践とは、災害を地球的な視点から捉え、環境に配慮し、社会のレジリエンス(困難を乗り越える力)を促し、災害を軽減する対策を盛り込み、持続可能なコミュニティーを再生する試みを表します。災害発生以前からあった問題も復興を通し解決することが大切であるという考え方です。また、ステークホルダーという考え方を示していることも仙台防災枠組の特徴です。ステークホルダーとは、社会で活動する上で、利害関係や関わりを持つ幅広い団体や人のことで、防災、減災に関しては、個人、ボランティア、コミュニティーや市民団体、非営利団体、医療団体、研究組織や学術団体、企業や専門組織、国や自治体、国連などの国際機関、メディアなどを指します。そして、企業や専門家団体のステークホルダーの役割として、防災、減災のための投資、災害リスク管理などを求めています。  さらに、国際的な枠組みとして、二〇〇五年に阪神・淡路大震災からの復興の取組を生かし、災害後の復興に関する様々な知見を集約、発信する国際復興支援プラットフォームが立ち上げられています。その活動の一環として毎年、国際復興フォーラムが開かれていますが、昨年の第十五回フォーラムで、防災科学技術研究所理事長が、ビルド・バック・ベターには単なる物理的な都市の再建だけではなく、経済を立て直すことと、生活を立て直すことを併せた三つのゴールがあり、発災直後から時間軸においてはインフラ復旧の段階、経済及び都市の再建の段階、生活再建の段階と三層構造ではあるものの、別々に考えるのではなく、将来を見据えて同時に考えることが重要であると述べています。  ところが、本県の日田彦山線の沿線の地域においては、被災から三年を経過しようとしているにもかかわらず、いまだにインフラ復旧の段階にあると言わざるを得ない状況です。そうした現状で、今後、都市、経済、生活の再建を図る際にはビルド・バック・ベターの考え方が必要であり、JR九州にはステークホルダーとしての責務があると考えます。以上を踏まえ、知事に質問します。  まず、仙台防災枠組のビルド・バック・ベター、すなわち、よりよい復興の考えに基づいたJR日田彦山線の復旧及び沿線地域の地域振興について、知事の見解を求めます。  次に、仙台防災枠組は、災害発生以前からあった問題も復興を通じて解決することが大切であると指摘しています。第二期福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略には、朝倉圏域の施策の方向性について、豊かな自然や豊富な観光資源を生かす、地元雇用を拡大し若年世代の転出抑制、福岡市、久留米市への通勤を視野に移住、定住の促進、田園生活を楽しむ定住圏域として発展などとビジョンを描いていますが、知事は、日田彦山線沿線地域に元来ある課題や問題をどのように認識をしているのでしょうか。今後、復興を考えていく上で、そうした課題や問題をどのように解決し、地域を発展させていくのか、知事の御所見をお尋ねいたします。被災地と被災住民の皆様が明るい希望と展望を持てる知事の答弁を願い、この項の質問を終わります。  次に、戦後七十五周年に係る本県の施策について尋ねます。今年は、終戦から七十五年目の節目の年です。本来であれば戦後の節目となる様々なイベントが開催されるところですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大規模なイベントは自粛する流れとなっています。本県では毎年八月十五日に、福岡武道館で、福岡県戦没者追悼式が開催されています。御遺族の方など多くの方が集われる式典であり、新型コロナウイルスの影響が心配されるところですが、既に、今年の追悼式に参列される方を募集していると聞いております。  そこで、まず知事に質問です。今年の福岡県戦没者追悼式の開催予定はどのようになっているのでしょうか。日時や会場、参加人数等において例年と同様の規模で行われるのでしょうか。また、遺族の皆様が高齢化していることを考慮し、参加者の安全を十分に確保するために、式典会場の新型コロナウイルス対策はどのように取られるのでしょうか、お尋ねいたします。  さて、特別弔慰金は、さきの大戦で公務等のために国に殉じた軍人、軍属及び準軍属の方々に思いを致し、その遺族に対し節目の年に国として改めて弔慰の意を表するため実施され、戦後七十周年の平成二十七年には、御遺族に一層の弔慰の意を表する機会を増やすため、五年償還の国債を五年ごとに二回支給することとなりました。これにより、第十一回目の特別弔慰金の請求が今年の四月一日から始まっております。前回の第十回特別弔慰金の請求におきまして、市町村での請求書の受付から県による審査、裁定、国債の発行及び国債の交付まで事務手続が長時間を要したことにより、本県においても多くの問合せがあったと聞いております。今年は、特に新型コロナウイルス感染防止のため、市町村への受付に出かけることを自粛する御遺族がいることが予想されますし、本県の担当部署である保護・援護課も新型コロナウイルスの影響で増加傾向にあると思われる生活保護受給者の受入れ事務の増大で、担当職員の人員配置に余裕がないのではないかということが心配されます。  そこで、この特別弔慰金の事務について知事にお尋ねします。今回の第十一回特別弔慰金について、本県における請求件数は何件あると予想しているのでしょうか。また、市町村での請求書の受付から県による審査、裁定、国債の発行及び国債の交付までは、どのくらいの期間を見込んでいるのでしょうか。そして、一連の作業が適切に行われるための担当職員の人員確保は十分なのでしょうか、お答えください。  さて、本県では、福岡県戦没者追悼式とともに、平和文化事業として、福岡県戦時資料展を毎年開催しています。しかし、今年は、新型コロナウイルスの影響で中止になったと伺い、戦後七十五周年という節目の年であるだけに大変残念に思います。この平和文化事業については、昨年七月の予算特別委員会において、我が会派の吉田宣弘議員が知事にただしたところ、戦争の悲惨さ、その教訓、そして平和の尊さを御理解いただける、また考えていただくきっかけになるような形でホームページの充実について検討するとの答弁をいただき、昨年、新しく県のホームページに平和文化コーナーが新設されました。この平和文化コーナーでは、福岡県戦時資料展の開催案内や、戦時資料の貸出し情報、県内の市町村が実施する戦争、平和に関するイベント等の紹介、そして県民の赤裸々な戦争体験記の掲載等、戦争から得た教訓や平和の尊さを次世代に継承していくための貴重な内容がそろっており、高く評価したいと思います。また、今回、終戦に関わるイベントの中止が相次ぐ中にあって、このホームページの存在は大変に大きいと感じます。  そこで、この平和文化コーナーについて、改めて知事にお伺いします。県のホームページの平和文化コーナーは、昨年新設されたばかりでありますが、現在、県民の閲覧状況はどのようになっているのでしょうか。  また、新設されて間もないため、広く県民に知ってもらうよう積極的な周知が必要と思いますが、どのように周知していくお考えなのでしょうか。  さらに、今の時代、子供が将来なりたい職業にユーチューバーが上位に来るように、音声や動画による情報伝達手段が欠かせないと感じます。そこで、平和文化コーナーをさらに充実させるために、戦争体験の語り部の方の音声や、現在、ふくおかインターネットテレビに保存されている終戦七十周年における記念行事の模様等の動画情報を掲載するなど工夫をしてみてはいかがでしょうか、お尋ねいたします。  次に、本県の平和教育の状況について、教育長にお伺いします。戦後七十五周年の節目を迎えるこの時期に、子供たちに対して平和教育を実施することは、大いに意義があると思います。本県の平和教育については、やはり昨年七月の予算特別委員会において、我が会派の高橋雅成議員がただしたところでありますが、その際、副教育長から、大空襲等を経験された方々から話を児童生徒がじかに聞く、資料を見る、歴史を学ぶ、そういった経験はさきの大戦の記憶を風化させることなく次の世代にそのことを継承し、一人一人が幸福で平和な社会を築いていく上で大変意義のあることと思います。県教育委員会といたしましては、今後、児童生徒が実感を伴って平和の尊さを学ぶことができるよう、体験的な学習に関するさまざまな取組例、それから情報の提供等に努めてまいりたいと考えておりますとの回答を得ております。副教育長は体験的な学習の重要性を強調されましたが、今回の新型コロナウイルスの影響により、現在そうした学習が実施しづらい状況にあることが懸念されます。実際に、例年多くの小中学生が参加していた各地域における慰霊祭等の行事も開催が中止になっているところが多いと聞いております。そこで、以下、教育長にお尋ねします。  まず初めに、教育長の平和教育に対する認識をお伺いします。  次に、本県における小中学校の平和教育の実施状況は現在どのようになっているのでしょうか。新型コロナウイルスの影響により、例えば、長崎や広島の被爆地での平和学習が中止になるなど体験的な学習の実施が困難な状況にあるのではないでしょうか。新型コロナウイルス影響下にあって全体の学習時間が逼迫する中、平和教育の実施について何か工夫をしていることはあるのでしょうか。  先ほど知事に質問しました本県の平和文化事業については、昨年の予算特別員会で義務教育課長から、本事業は、児童生徒が平和について学ぶよい機会であると捉え、県教育委員会としても校長研修会等での紹介等により広く周知していく旨の答弁がありましたが、今回新設された県のホームページ、平和文化コーナーは平和教育の学習に大いに資するものと考えます。  そこで、本県の平和教育において、県のホームページを積極的に活用することを図るべきと考えますが、教育長の御所見を求めます。  今回の新型コロナウイルス感染症の拡大は、子供たちの教育環境に多大な影響を与えています。今年に入り休校が続いたため十分な教育を受けられないことに対する保護者の不安の声が多く寄せられています。このような中で、このたび戦後七十五周年の節目を迎えることになりますが、七十五年前の戦時下や終戦直後の教育環境は、今以上に想像を絶する厳しい状況下にあり、その中を必死で学び抜き、また働き抜いた先人の方がいらっしゃったおかげで、今の日本社会の礎が築かれたと思います。このように思いをはせたときに、今の子供たちは確かに大変な環境下ではありますが、今こそ、平和教育をしっかりと受けることにより、戦争の悲惨さや平和の尊さを学ぶとともに、どんな困難な試練にも決して負けない強い意志、レジリエンスといったものを先人の貴重な体験を通して育んでいただきたいと切に願ってやみません。  そこで、最後に、本県の平和教育の推進について、教育長の力強い決意を求め、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 11 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 12 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、昨日の報道にあった朝倉市職員の収賄事件についてでございます。昨日の報道で私自身も知ったところでございまして、その詳細を承知をいたしておりませんが、今後、事実関係は明らかになっていくものと思います。仮に、これが事実だとすれば、現在、朝倉市をはじめ被災地の自治体、そして何より住民の皆様挙げてその地域の災害からの復旧、復興に全力を挙げておられるわけであります。その中にあっての事件であります。そういう意味では、そういう状況の中での収賄という、県民の皆様、地域住民の皆様の信頼を損なう不祥事が起こったということは大変遺憾なことであると、許しがたいことであると、このように思っております。なお、この手の不祥事といいますか、刑事事件は、災害の復旧や復興工事だけに限らない、もともと公務員がやってはならない罪であるということは言うまでもないことであります。今後を注視したいと思っております。  それから二番目に、ビルド・バック・ベター、よりよい復興という考え方に基づきますJR日田彦山線の復旧と沿線の地域振興についてお尋ねがございました。復旧に当たりましては、新しい交通ネットワークで観光振興、経済の活性化を図っていき、地域の発展につなげていきたいと、両地域の皆様方の思いに応え、地域の住民の皆様に被災前よりもよくなったと思っていただけるような、よりよい復興というものを目指したいと、このように私自身、考えております。そのため、今あります現状の中で、地域の皆様にとって一番いい形のものは何かということで私なりに考えまして、従前の鉄道に比べ利便性が一層高まるものであること、交通ネットワークが長期に継続されるものであること、観光、経済の振興につながっていくものであること、この三つの観点を中心に総合的に判断をいたしまして、彦山駅から宝珠山駅までを専用道とするBRTでの復旧案というものを私、提案させていただいたわけであります。この復旧案でございますが、定時性、速達性といった面からも被災前と遜色がないものにできるものと考えております。また、東峰村の宝でございます眼鏡橋を九州で初めてのBRTのバスが通るという新しい観光資源を付け加えることができるものと考えております。沿線の地域振興につきましては、今月一日に東峰村、添田町からいただきました御要望、九州の自立を考える会の日田彦山線復旧問題対策協議会におきます御議論を踏まえ、両町村と協議をしながら検討を進め、地域の皆様、県議会の皆様と一緒になって今後取り組んでまいります。  日田彦山線沿線地域の課題と問題についての私の認識でございます。日田彦山線沿線の東峰村と添田町におきましては、人口減少、高齢化が進み、県内の市町村の中で高齢化率が最も高い地域となっており、地域の担い手不足、活力の低下といった課題を抱えておられます。一方、両地域は緑豊かな山々をはじめ名水百選、棚田百選にも選ばれる美しい自然と景観、また霊峰英彦山と山伏、修験道の歴史と文化、そして小石原焼、高取焼など伝統的な工芸品、これら豊富な地域資源に恵まれている地域でもあるわけであります。県といたしましては、両町村と一緒になりまして、BRTという新しい交通ネットワークを生かして、観光をはじめとする産業の振興などを通じて、交流人口の拡大、経済の活性化というものを図っていき、この地域の発展につなげていきたいと、このように考えております。  次に、県の戦没者追悼式についてお尋ねがございました。今年は、御指摘のとおり、戦後七十五年という節目の年であります。今般、国のほうからは、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、全国戦没者追悼式につきましては、規模を縮小してこれを実施するという方針が出されたところであります。こうした状況を踏まえまして、我が県といたしましても、参列者の安全確保、これを最優先として考えまして、参列者間の距離の確保、マスクの着用の徹底など感染防止対策を講じた上で開催をすることとし、御遺族の御意向をお聞きしながら、現在、具体的な開催方法を検討しているところであります。  次に、今回の第十一回特別弔慰金についてでございます。今年の四月からこの請求手続が始まっているところでございまして、今回の請求期間中に、県内で約四万件の請求というものを見込んでおります。請求から受給までの期間でございますが、県の事務処理に約四か月、国によります国債交付の事務処理に約四か月程度かかると見込まれております。今年、初年度でございますが、初年度はやっぱり請求が集中することになるわけでございます。その影響を踏まえましても、国債交付までの期間ができる限り一年を超えないよう処理を進めていきたいと、このように考えております。そのため今年度につきましては、このための専任の職員を三名、会計年度任用職員を五名配置をいたしまして、その体制を整えたところでございます。  次に、平和に関するホームページの閲覧状況と周知についてお尋ねがございました。より多くの皆様に、年間を通して悲惨な戦争の教訓と平和の尊さというものについて考えていただけるよう、昨年の八月、県のホームページに平和文化コーナーというコーナーを開設をいたしました。このコーナーにおきましては、県が保有しております戦時資料、戦争体験記などを掲載させていただいておりまして、開設以来、約千人の方々に御覧いただいているところでございます。今後、より多くの皆様にこのコーナーを御覧いただけるよう、県広報テレビのほか、ツイッターやLINEといったSNSも活用して、その周知を図ってまいります。  次に、平和文化コーナーの充実についてお尋ねがございました。毎年八月に県が開催をしております戦時資料展におきましては、戦争の悲惨さを臨場感を持ってお伝えをするため、御提案のありました戦後七十周年に当たる平成二十七年に私ども県が実施しました記念行事、その動画、これに加えまして、戦争を題材とした映画を上映してきているところであります。この記念行事の動画でございますけれども、今年度亡くなられた元特攻隊員の方による戦争体験談や平和を祈るコンサートなどを収録しておりまして、平和の尊さを次世代に引き継いでいく上で貴重な資料となっている資料でございます。今年度、戦時資料展は、残念ながらコロナウイルス感染症の影響で、やむを得ずその開催を見送ることといたしました。一方で、県民の皆様には、引き続き、今年度も平和の尊さについてしっかり考えていただけるよう、平和文化コーナーを充実させることといたしておりまして、この記念行事の動画を掲載するほか、戦争体験談の動画が掲載されております国の平和祈念展示資料館、そのホームページとリンクを張っていきたいと、このように考えているところでございます。 13 ◯議長(栗原 渉君) 城戸教育長。 *教育長答弁 14 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 平和教育に対する認識についてでございます。平和教育は、命の貴さ、戦争の悲惨さ、平和の尊さについて指導するとともに、国際的視野に立って世界の平和と人類の発展に寄与し、国際社会に貢献できる資質と態度を育成する教育であると認識しております。  小中学生の平和教育の状況と県ホームページの活用についてでございます。各小中学校においては、学習指導要領に基づき、各教科あるいは道徳科、学級活動など学校の教育活動全体を通じて、児童生徒の発達段階に応じた平和に関する学習を行うこととしております。また、体験的な学習として、地域の戦争体験者から戦時中の生活の様子を直接聞く活動や戦時資料展において戦時資料にじかに接する活動などが実施されてきたところでございます。しかし、今般の感染症や長期の臨時休業の影響を受けまして、各学校では、学校行事の精選や学習活動の見直しを行っているところでございます。従来のようには体験的な学習の機会の確保が困難であるため、代わりとなる活動を検討していると思われます。このような中、県のホームページの平和文化コーナーを活用することにより、間接的にではありますが、体験的な学習として補完することができると考えております。  平和教育の推進についてでございます。戦後七十五周年を迎えまして、戦争体験者が少なくなる時代において、子供たちが戦争を架空の出来事として受け止めることのないよう、今後、より実感を伴う体験的な学習を通して、苦難の記憶を風化させることなく次の世代に継承し、一人一人が平和な社会を築く一員となるための教育を推進してまいります。 15 ◯議長(栗原 渉君) 堀大助君。(拍手) *堀議員質問 16 ◯二十八番(堀 大助君)登壇 皆さん、お疲れさまです。緑友会の堀大助です。今回は、新型コロナウイルスで大きな影響を受けている教育現場での課題、授業の課題について伺います。  まず初めに、休校による学業への影響について伺います。県内小中学校で、休校により授業に遅れが生じています。当然、カリキュラムは年間を通じて授業を行う前提で作成されているものと思いますが、どのような影響が生じているのでしょうか。また、年度内にカリキュラムを消化するよう、どのような対策を取られているのでしょうか、教育長にお聞きします。  次に、感染対策で実施されている、少人数授業やオンライン授業について伺います。まず、少人数授業について伺います。ニュースなどでも報道されていますが、学校再開後、密集を避けるため、例えば、クラスを二つに分けて、別々の教室で授業を行っている風景などが見受けられます。感染対策として生徒児童同士の間隔を空ける措置ですが、課題も生じます。単純に考えて、教師の数が二倍必要になる、あるいはほかの教師に手伝ってもらうことになると思います。主に、教える側の負担が増加すると思いますが、この点、どのような対策を取られているのでしょうか。  併せて、児童生徒の登校に伴い、校内消毒の作業が必要になります。報道などでは、教師が消毒作業を行っている姿も見ますが、教師の負担増からすれば、そこは格別の配慮が必要だと思います。この点、今議会に提案中の緊急短期雇用創出事業の活用もあると思いますが、これも含めどのように対応されるのか、教育長に伺います。  次に、遠隔授業、いわゆるオンライン授業について伺います。これも、感染拡大防止の観点から急遽実施され、特に大学などで一足先に広まっているようにお聞きします。  そこでまず、教育現場において、具体的には県内小中高と県所管の県立三大学について、オンライン授業の実施状況がどのようになっているのか、県立大学及び私立小中高校については知事に、公立学校については教育長にお尋ねします。  次に、オンライン授業実施における課題について伺います。オンライン授業の実施には、大人数との交信に耐え得るレベルの通信機器と通信回線の整備が必須であります。  そこでまず、送り手である学校側の整備状況について、現状と展望を伺います。  次に、受け手である児童生徒側について伺います。通信機器や通信回線の状況については各家庭でばらつきがあると思いますが、できる限り教育の機会均等の観点から、特に義務教育現場においては配慮していただきたいと思います。こちらについても現状と今後について伺います。  これらについては私立小中高校は知事に、公立学校については教育長に伺います。  そのほか、オンライン授業では、児童生徒のフォローアップをどう行うかなど様々な課題があると思いますが、県としてどのように課題を分析され対処していくのか、教育長にお伺いします。  最後に、オンライン授業を行うに当たり関係する著作権について伺います。著作権法では、著作物を利用するには原則として著作権者の許諾が必要になりますが、権利制限規定というものにより、例外的に許容されるケースもあります。教育機関においても様々にありますが、特に法三十五条において、一定の場合に無許諾での利用が許されています。この法三十五条は平成三十年に改正され、令和三年までの施行が予定されていましたが、このたびのコロナ問題により施行が急遽前倒しとなり、本年四月二十八日に施行されています。そこで、オンライン授業という新しい授業形態と、新しい著作権法三十五条との関係について、以下お尋ねします。  著作権法三十五条では、改正前から、学校等の教育機関においては、授業に必要な一定の場合には、教材など著作物の無償、無許諾での利用が許されていました。もっとも、対面授業が念頭で、無許諾で可能なのは、基本的には複製に限られており、大ざっぱに言うと著作物を紙ベースでコピーし教室内で配付するような場合でした。データでの送信は、対面授業を同時配信しているような場合に限られており、それ以外の場合は、原則どおり著作権者の許諾が必要でした。許諾がなければ、オンデマンド授業などでの著作物利用は三十五条ではそもそもできなかったわけです。改正法は、オンライン授業に対応できるよう、著作権者の許諾が必要だった部分を、有償、無許諾、つまり補償金の支払いと引換えに許諾不要という形に改めました。これにより、著作物の利用は、無償、無許諾と、有償、無許諾に整理されました。  同時に、今回のコロナ禍を受けて、本年度に限り、有償部分も無償という取扱いになりました。これにより、以下のような場面での著作物の利用が本年度は無償、無許諾で行えるようになったわけです。例えば、対面授業用の教材データを、予習、復習のためにメール送信すること。教師が自宅にいる生徒とオンラインで授業しながら、生徒のタブレットに教材データを送信すること。生徒が好きなときに視聴できるオンデマンド型授業のために、教師が授業を録画しアップロードすること。このようなことも、改正前には著作権者の許諾がなければできませんでした。これらはいわば、オンライン授業にとって不可欠なものであり、法改正のオンライン授業における役割は大きいと言えます。もっとも、無償、無許諾なのは今年度限りで、今のところ、来年度からは有償になるとされていますので、現場に与える影響も大きいと思います。そこで、以下、教育長に伺います。  まず、県立学校のオンライン授業における著作物の利用について、現状を御教示ください。  次に、改正法では、著作権者の許諾なく利用が認められる一方、今後、利用に対する補償金の支払いが必要になり、誰が負担するのかなど金銭的な影響があります。また、有償、無償の判断も時に問題となり、ガイドライン等も必要かと思いますが、県としてどのように対応されているのか、お聞きします。  以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手) 17 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 18 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  私立小中高等学校のオンライン学習についてでございます。臨時休業中に、約五割の私立学校がオンラインでコンテンツを送信をし、家庭での学習を支援する取組を行っております。オンライン学習を実施するためには、カメラ、マイク、校内LAN、家庭に対応できるタブレット型のパソコンやモバイルルーターを整備する必要がございます。今回、国の補正予算で、こうした機器、通信環境の整備を支援する助成制度が拡充をされたところであります。オンライン学習の設備が十分整備されていない私立学校もございますので、県としましては、こうした学校に対し、この国の助成制度の活用を促してまいります。  次に、県立三大学におけるオンライン授業の現状でございます。新型コロナウイルスの感染を防止をし、学生の学修機会を確保するため、今年度四月の補正予算を活用いたしまして、県立三大学におきましては、オンライン授業を行うためのカメラ、機材、学生に貸与するモバイル端末等を整備したところでございます。現在、これを用いて、大学では、実習、実験を除くほとんどの講義をオンライン授業で実施をしているところでございます。 19 ◯議長(栗原 渉君) 城戸教育長。 *教育長答弁 20 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 まず初めに、休校による学業への影響についてでございます。長期の臨時休業により、各学校では、年度当初に策定した年間指導計画を見直す必要が生じており、具体的には、夏季休業の短縮等により授業時数を確保しつつ、各教科等の学習活動の見直しを行いながら、児童生徒の学びの保障の実現に努めているところでございます。県教育委員会といたしましては、学校が年間指導計画を適切に見直すことができるよう、例えば、教科や単元の指導順序を変更したり、理科の動物の誕生と道徳科の生命の貴さを関連づけて指導したりすることにより授業の効率と効果を高めるなど、具体的な例を示しながら指導、助言を行っております。  感染症対策としての少人数授業についてでございます。小中学校においては、学級などを少人数で編制することにつきましては、感染症対策の観点からも有効な取組であると考えております。現在、市町村では、担任外の教員や市町村任用の教員などを活用し少人数授業を実施しておりますが、今年度、県教育委員会といたしましては、国の加配定数などにより、特に、最終学年の少人数編制を支援してまいります。また、遠隔教育や分散授業などコロナ後の学校教育の在り方を検討しつつ、必要な教職員定数の改善について、国に強く要望してまいります。  学校における消毒作業についてでございます。現在、学校においては、日常的な消毒作業を教員が中心に行っており、教員の負担が増加している状況にございます。今後は、県の緊急短期雇用創出事業により雇用された職員を消毒作業に活用する学校も増加していくものと考えております。さらに、小中学校等に感染症対策で増加する学校業務をサポートするスタッフを配置することとしており、こうした人材の活用も可能となるため、消毒作業に伴う教員の負担も軽減されるものと考えております。  オンライン学習の実施状況についてでございます。市町村教育委員会に対しまして臨時休業中に実施した調査では、動画やデジタル教材を配信したのは九市町、双方向型のオンライン指導を行ったのは一市でございましたが、この調査後にも、幾つかの市町村において取組が開始されたことを承知しております。また、県立高校では、これまで五十七校で同時双方向によるオンライン学習が行われ、七十一校でオンデマンドによる自作の動画教材などの配信が行われました。現在は、長期間の休業が終了した直後であるため、通常の対面授業の再開に重点が置かれておりますが、一部の高校では、オンデマンドによる教材配信などを継続して行っております。  オンライン授業の実施環境についてでございます。県立学校では、現在、安定的なオンライン学習環境を構築するため、高速大容量の校内通信ネットワーク、タブレット型パソコン、遠隔教育用ソフトウエア、通信用カメラ、マイクなどの整備を進めており、併せて、機器の貸与が必要な児童生徒数を精査しているところであります。今後、全ての県立学校でオンライン学習が実施できるよう、必要な環境を可能な限り速やかに整備してまいります。また、小中学校については、各市町村において、国の補助金を活用し、学校のICT環境整備が進められており、これと並行して、家庭のオンライン学習の実態把握と貸与可能なタブレット型パソコンやモバイルルーターの配備などの検討が進められているところであります。今後とも、必要な情報を提供し、市町村の取組を支援してまいります。  オンライン学習の課題についてでございます。テレビ会議システムを使った同時双方向の授業については、ICT機器を操作しながらの説明や児童生徒の対話的な活動ができるよう、通常の授業以上に指導方法を工夫することが求められます。一方、動画教材やデジタル教材の配信については、児童生徒任せにすることなく、取組状況や学習効果を教員が適切に評価した上で、個に応じた補充的な学習を行うことが求められます。こうした課題を克服するため、一部の学校では、テレビ会議システムの機能を駆使して、発表や対話的な活動を取り入れた授業を実施したり、クラウドサービスやドリルソフトを活用して学習成果や習熟度を把握し、フォローアップしたりするなどの取組が行われております。県教育委員会といたしましては、オンライン学習の実施やICTを用いた教育の高度化を図るため、先進的な実践事例を紹介するなどの支援をしてまいります。  オンライン授業における著作物利用の現状についてでございます。県立学校で実施されているオンライン学習での著作物の利用状況はつぶさには把握できておりませんけれども、例えば、著作物の一部を利用した授業動画を事前に配信して生徒に視聴させるような事例が見受けられます。  著作権法改正に係る県教育委員会の対応についてでございます。平成三十年改正著作権法により創設され、本年四月に施行されました授業目的公衆送信補償金制度においては、教育委員会が文化庁の指定する権利者団体に一括して補償金を支払うことで、個別の許諾なく授業等で著作物を利用することが可能となっております。本年度は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い特例的に補償金額が無償とされるとともに、国から、緊急的かつ特例的な運用のためのガイドラインが示されたことを受けまして、四月に、市町村教育委員会及び県立学校に通知を行い、周知を図りました。なお、県立学校においては、制度上必要な手続を行い、現在、全校で無償での利用が可能となっております。また、来年度以降、原則どおり有償となった場合、そのための経費を措置する必要が生じますが、その補償金額や本格的な運用に向けたガイドラインについては、現在、国において検討が行われているところでございます。今後とも、著作物の利用が適切かつ円滑に行われるためには、教職員が著作権法に関する理解を深める必要があることから、文化庁が実施する著作権に関する研修会やセミナーへの参加を促してまいります。 21 ◯議長(栗原 渉君) 高瀬菜穂子君。(拍手) *高瀬議員質問 22 ◯六十八番(高瀬 菜穂子君)登壇 日本共産党の高瀬菜穂子です。  まず、日田彦山線問題について伺います。五月二十四日、知事は初めて東峰村住民に直接説明されましたが、地元住民は、鉄道復旧への努力を感じなかった、死刑宣告をして、言い残すことはないかとだけ言いに来たと、大変厳しい評価でした。BRT案承認は、地元住民にとって苦渋の選択です。知事は、住民の思いをどのように受け止めておられますか。お答えください。  私は、情報公開された五回の復旧会議の議事録を読みましたが、改めて、この間の経緯に疑問を持ちます。九州運輸局の局長は、第一回目の会議から、いろいろな方法論があると思うという言い方で、鉄道以外の復旧について言及しています。国は初めから鉄道での復旧に後ろ向きでした。青柳社長は二回目の会議の前に上下分離方式を言い出し、二回目の会議冒頭で謝罪しましたが、その会議の中で、当該区間の赤字額が二億六千万円であることを持ち出しています。一方、日田彦山線全線の赤字額は明らかにせず、二億六千万円の検証は今に至るまでできないままです。第三回目の会議で、知事が真っ先に交通ネットワークという言葉を使い、JR案を促し、そのことがきっかけで、第四回会議のJR三案の提示となるわけです。結局、国とJR九州の思惑どおりに進んだのが五回の復旧会議ではなかったのですか。災害復旧は行う、赤字路線は廃止しないという青柳社長の国会での約束を全く守らない国とJR九州を正面から正すべき知事が、その責任を果たさず、日田彦山線全線の赤字額という基本的な数字さえ明らかにしない不誠実なJR九州にくみしたと指摘せざるを得ません。  澁谷村長がBRT案受入れを表明した直後、JR九州は赤字ローカル線十七路線の収支を発表しました。一企業だけで維持するのは大変な線区を知っていただきたかったと青柳社長はあけすけに述べています。赤字路線の廃止や地元負担を求める意向が透けて見えます。この発表について、知事はどう受け止めておられますか。今後、廃止やバス化につながることは許されないと思いますが、知事の見解を伺います。
     BRT延伸について伺います。宝珠山まで延伸する案をJRは最大限尊重して検討すると答えたそうですが、合意には至っていないということです。高さ約二十メートル、幅三・四メートルの眼鏡橋の上をバスが走ることには危険が伴うのではありませんか。軌道系だからこそ安全に走れるのではありませんか。突風や大雨、積雪の際の運行は難しいのではないかと考えますが、どのような検討をされたのですか。どのように安全性と定時性、また景観を確保するつもりか、お答えください。  次に、持続化緊急支援金について伺います。この制度は、国の持続化給付金を補完するものとして、コロナ禍で苦しむ事業者から喜ばれ、期待が寄せられています。この間、要件についても改善を図っていただきました。その予算は百五十四億円で、現在、二十三億円の給付がなされたとのことですが、予算の多くは残っています。県はこの制度の期限を六月末から一か月延長したと発表しましたが、緊急事態宣言解除後も厳しい経営が続く中、七月で終了するのはあまりに短過ぎるのではないでしょうか。当初の想定では、期限を最長令和三年一月十五日までとしていたことから、国と同様、来年一月十五日まで延長すべきと考えます。知事の見解を伺います。  また、フリーランスが確定申告において、事業所得としてではなく、給与所得、雑所得として申告した場合、県の制度では対象としていません。しかし、国の持続化給付金では対象とされました。国と同様、実態に即して対象にすべきと考えます。知事の見解を伺います。  次に、コロナ禍における教育について伺います。三か月にも及ぶ休校の中で、子供たちが様々なストレスを抱えていることが指摘されています。子供の貧困がさらなる格差を生み、給食がない中、栄養状態さえ危惧される子供、ステイホームで虐待に耐えた子供、学力や進路の不安に加え、失業や収入減となった家庭では特別の不安が子供たちを襲っているはずです。医療や介護などに従事する親御さんからは、職場の緊張で子供にゆとりを持って向き合えないとの苦悩の声が聞こえてきます。乳がんの手術を受けたばかりのお母さんから、子供が四十人クラスで、学校から帰ると、玄関で何もかも着替え、お母さんにコロナがうつらないようにと精いっぱい気を遣っていると聞き、胸が痛みました。こうした子供たちの心のケアは、学習の前提として極めて重要だと考えます。子供の実態から出発し、詰め込みではない柔軟な教育を保障することが何よりも大切であり、例年どおりの授業をしようと土曜授業、七時間授業、夏休みや学校行事の大幅削減などで過剰な詰め込みを行えば、子供たちに新たなストレスを与えてしまうことになりかねません。文部科学省も柔軟な教育課程編成の考え方を示しています。各学校の教育課程編成権を十分に保障し、過剰な詰め込みを行わないようにすべきと考えます。そのためにも、国が中止した学力テストは県でも中止すべきです。教育長の見解を伺います。  一人一人に向き合うためにも、三密を避けフィジカルディスタンスを保つためにも、学力を保障するためにも少人数学級の実施が急務となっています。我が党は先日、緊急教育提言を発表しました。十万人の雇用増で二十人学級を実施することを訴えています。そもそも四十人学級という規模は世界レベルから大きく立ち後れています。国の第二次補正では、教職員は全国でわずかに三千百人増であり、これでは全く足りません。国に対し、大幅教員増を求めるとともに、県として、できるだけ現場教職員を増やす努力をしていただき、最終学年のみならず、四十人クラスは分けるなどの対応をお願いしたいと思います。また、教員確保の障害となっている教員免許更新制については廃止するよう国に求めることについても併せてお答えください。  以上で質問を終わります。 23 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 24 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  東峰村の住民の皆様方の思いでございます。先月の二十六日、東峰村の澁谷村長は、東峰村といたしまして、彦山駅から宝珠山駅までを専用道とするBRTで復旧するという私からの提案を受け入れていただく旨、表明をいただきました。澁谷村長は、断腸の思いとおっしゃったわけでございますし、東峰村の皆様にとりまして厳しい苦渋の選択だったと私自身、思っております。また、添田町の寺西町長も、BRTで復旧するというこの案につきまして了承をされ、先日の八日でございますが、町議会にその旨を報告をされました。それぞれ方針を取りまとめていただきました村長、村議会、そして町長、町議会の皆様、そして何より地域の住民の皆様に改めて感謝し、お礼を申し上げたいと思っております。今後、これまでの経緯、そして東峰村、添田町の御決断、その重みというものをしっかり受け止めまして、一日も早い復旧を成し遂げるべく、JR九州との協議を重ね、早期に復旧会議での合意が得られるよう全力を尽くしてまいります。  次に、赤字ローカル線のJR九州による公表でございます。JR九州の青柳社長は、赤字ローカル線の収支の公表の際の定例記者会見におきまして、赤字ローカル線を自社だけで維持していくのは大変であり、維持していくには改善が必要である、そのための検討を地元と一緒に進めていく前提として、基礎データを共有する必要があることから公表に至ったものである、その旨の発言をされています。JR九州には、我々沿線自治体側と一緒になって利用者の拡大、これを図りながら、引き続き、責任を持って路線それ自身の維持と運行をしてもらいたいと、そのように私は考えております。  次に、BRTの安全性、定時性、景観についてでございます。BRTの専用道につきましては、国が定めました一般道の道路構造基準に従って安全対策が施されることになります。積雪に対する安全対策につきましては、JR九州は、路面が凍結しやすい橋梁に融雪剤を散布するなど、専用道を走るバスの安全対策について、法令にのっとり、会社の安全基準に沿って、しっかり対応していくこととしております。定時性の確保でございます。村内のほぼ全域でこれが専用道となりますので、そのことによって被災前と遜色のないものにできると、このように考えております。また、私自身、実際に東北地方のBRTに乗車をし、また関係者の皆さんからいろいろ詳しくお話を伺ってまいりました。定時性や安全性が確保されているといった点について、自ら確認をしております。また、眼鏡橋の景観とその活用につきましては、今後しっかり検討させていただきます。  次に、持続化緊急支援金の申請期限等についてでございます。持続化緊急支援金でございますけれども、今年の一月から、緊急事態宣言が解除をされました五月までに売上げが減少した事業者を対象といたしまして、申請期限を六月末までとしているところでございます。しかしながら、事業者の皆さんからは、売上げの集計に時間がかかる、申請書類の準備が間に合わないといった声が寄せられておりますことから、この申請期限というものを延長いたしまして、七月末までとしたところでございます。この一か月延長したことによりまして、十分な申請期間が確保できる、このように考えております。  次に、持続化緊急支援金でございますが、これは事業者の方の事業の継続を支援することを目的といたしております。このため県といたしましては、確定申告におきまして事業所得として申告をし、事業を営んでおられることが明確な事業者にこれを給付することといたしております。フリーランスの方も、事業を継続されている方は、通常、事業所得として申告をされているものと考えております。この取扱いは、現在、国が行っている取扱いと同じ考え方でございます。議員の御指摘がありました、国においては他の所得について持続化給付金の対象に加えると発表していると、そのとおりでございますけれども、一方で国は、その後、具体的にどうするのか、どういう資料で、どういう判断をするのか、どういう時期にやるのかとか、そういった具体的な内容を一切表に、まだ出てきておりません。そういう状況でございます。県としましては、引き続き、事業者の事業の継続というものを支援するため、これまでの基準にのっとって迅速な支援金の給付に努めていきたい、このように考えております。 25 ◯議長(栗原 渉君) 城戸教育長。 *教育長答弁 26 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 学校の教育課程編成と学力テストについてでございます。長期の臨時休業により、学習の遅れや進学、進路について不安やストレスを抱える児童生徒もおりますので、一人一人に寄り添い、心身の状況把握とケアを丁寧に行いながら学びの保障を実現することが重要であります。このため各学校では、年度当初に策定した年間指導計画を見直す作業を進めており、その際には、当初予定していた内容をそのまま短期間に詰め込むのではなく、例えば、教科や単元の指導順序の変更や他教科等の類似の指導内容の関連づけなど具体的な例を示しながら、指導、助言を行っているところでございます。福岡県学力調査については、長期の休業後の学力の定着度を把握する観点から実施を希望する市町村もありますので、本年度の実施時期や方法などについて、学校再開後の状況も十分に踏まえまして検討を行っているところでございます。  コロナ禍に対応した教職員定数と教員免許更新制についてでございます。教職員定数につきましては、今年度、国の加配定数などを活用し、感染症対策の観点から、最終学年の少人数編制に取り組む市町村を支援してまいります。併せまして、コロナ後の学校教育の在り方を検討しつつ、必要な教職員定数の改善について、国に強く要望してまいります。また、教員免許更新制につきましては、今般のコロナ禍での業務量の増大等を考慮し、今年度末に更新期限を迎える現職教員について、当面、二年間の延長を認めることとしております。 27 ◯議長(栗原 渉君) 高瀬菜穂子君。 28 ◯六十八番(高瀬 菜穂子君)登壇 日田彦山線について再質問します。  JR九州には、公共交通機関としての役割を求め、三千八百七十七億円の経営安定基金に加え、自治体として、駅舎の建て替えや線路の高架化の際には九割以上も税金投入してきました。国会での約束を守らない身勝手を国も一緒になって認めるというのであれば、その根拠法である鉄道事業法自体を見直せ、届出制から許可制に戻せと、知事として主張すべきです。眼鏡橋の景観を維持し、安全性を確保するには相当な困難があると考えます。宝珠山までの延伸ができない場合は、知事、どうするおつもりですか。コロナ禍の中で、利益第一主義が見直され、持続可能な社会の実現を世界が目指そうとしています。鉄道での復旧こそ、その理念にかなうものだということを強く申し上げ、質問を終わります。(拍手) 29 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 30 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答え申し上げます。  私がやるべきことは、先ほど御答弁をさせていただきましたけれども、一日も早い復旧を、これを成し遂げるべく、BRT案につきましてJR九州と協議を重ね、早期に復旧会議での合意、これが得られるよう全力を尽くすことにあると、このように思っております。 31 ◯議長(栗原 渉君) 桐明和久君。(拍手) *桐明議員質問 32 ◯四十四番(桐明 和久君)登壇 自民党県議団の桐明和久であります。通告に従い、一般質問を行います。  本議会においては、各会派の代表質問や本日からの一般質問においても、多くの議員の皆さんが新型コロナウイルス感染症に関する質問が行われております。日常的な生活を取り戻すためには、安全で効果的な治療薬とワクチンが開発され、大量に使用できるようにならない限り、新型コロナウイルス感染症との闘いは続くと見られており、これまでは、国内の感染拡大を抑止し、医療現場での逼迫を招かないための方策が最優先とされてきました。本県は、四月七日に緊急事態宣言の対象区域となり、四月十六日には、特に重点的に感染拡大防止に向けた取組が必要とされる特定警戒都道府県に指定されましたが、県民の皆様方の御協力により、国の緊急事態宣言の解除を受けて、五月十五日からは、一部を除き休業要請の解除をすることができました。国においても五月二十五日には緊急事態宣言の全面解除が行われました。緊急事態宣言の解除により、コロナウイルスの存在を前提とした日常生活や経済活動を段階的に引き上げていく動きが始まっておりますが、県民の中には、コロナウイルスとの共生の中で、今後どのような生活や経済活動を行っていけばよいのかが課題となっております。  そこでまず、六月四日に開催された全国知事会において、国への提言と併せて日本再生宣言がなされたと聞いておりますが、どのような内容なのか、お尋ねします。また、福岡県知事としての考えを併せてお聞きいたします。  次に、国と地方自治体との関係についてお聞きいたします。今回の新型コロナウイルス対策では、感染予防対策や地域経済の下支えなど、様々な施策が一刻の猶予もなく求められました。休業要請や補償の在り方をめぐり、国と地方の間であつれきが生じるなど、地方自治体の役割の重要性、特に知事のリーダーシップが注目されました。中でも、政府が四月七日に出した緊急事態宣言を受け、東京都は、都の現状を考え、感染リスクを最小限に抑えるために、休業要請対象業種に、理髪店や居酒屋などを含める考えを示したのに対し、国からは待ったがかかり、最終的に休業要請対象から外し、営業時間の短縮に変更しました。このことは、地方自治体は、国の指示に従うものとの印象を国民に強く与えたとされております。一方、休業補償においては、国は、施設の休業補償はできないとしてきましたが、二〇二〇年度の補正予算に、事業継続の下支えを目的とした持続化給付金を盛り込み、また新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金においては、当初は休業補償には使えないと説明していましたが、都道府県知事からの休業要請を受け入れた事業者への支援金に使うことが認められました。ほかにも地方自治体独自の新型コロナ対策として、国の基準と関係なくPCR検査を実施し、二月に発生した集団感染の封じ込めに成功した県や、地域独自で緊急事態宣言や小中学校の一斉休校を打ち出した例もありました。今回の例を見ても、日本の地方分権は国と地方の責任の所在が曖昧な部分があり、今回のような緊急かつ異例なときに、そうした矛盾が顕在化します。これまで幾度となく地方分権の取組が行われてきましたが、日本はまだまだ中央集権が強く、各省庁が都道府県と市町村をいろいろな面で縛っております。地方自治体の原点は、方針、助言は国が示し、現場でのこと、個別の対応は地方自治体に任せるべきであると思いますし、現場は都道府県知事が責任を持ち、指導力のある知事でなければ地方独自の施策を講じることは難しいと言われております。  今回の新型コロナ対策をめぐる国と地方のあつれきの解消は、国の曖昧な地方分権に課題があると考えますが、知事の考えをお聞きいたします。  次に、今後予測されるコロナウイルス感染症第二波の流行対策についてお聞きします。新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が四月七日に出されましたが、その後の国民の協力により、恐れられていた感染爆発を逃れることができ、ほぼ一月半ぶりに解除されました。しかし、専門家の中では、一体何が効いたのか、よく分からないと言われております。外出制限の前提となった八割自粛は、国のコロナウイルス感染症対策専門家会議で、人と人との接触を減らす数値目標であったのが、携帯電話の位置情報や通信アプリ、交通系ICカードなどの機能を活用し集められたデータ等により、国民に分かりやすく数値化され、人の流れの削減、外出の自粛につながったとも言われております。しかし、一方で、密の状況を測る指標として、位置情報データが活用されていますが、実態とずれるケースがあり、国の公表データに自治体が抗議する事態が起きています。新型コロナ対策の関連サイトに掲載された四月二十七日の大分県別府駅周辺の滞在人口が、感染拡大前より二割増えたとのデータに対し、別府市長が、別府駅の四月の乗降客は前月と比べて八割減少していると指摘し、国の内閣官房に強い不快感を表明し、その後、同サイトから削除されたとのことであります。また、福岡市の天神駅周辺でも、データを収集する三社では一一ポイントの差があったとされております。データはあらゆる経済活動の基礎になりますが、データを使うときには、実態とずれを生む集計もあり、地域の特性や人口分布、どんな手段で使うかなどを考慮して使うべきであるとされております。  見えないコロナウイルスの脅威に対し、また海外からの日本に対する安全、安心の信頼のためにも、国においては、予測される第二波に対して、日本の感染者など、海外に比べると比較的少なく済んでいる現状の原因を早急に分析、検証されると思いますが、福岡県としてはどう対策を考えておられるのか、知事にお聞きします。  次に、人と動物の人獣共通感染症対策についてお聞きいたします。人の感染症のうち約六割が人獣共通とされており、今後もまだ多くの人に影響を及ぼすウイルス感染症が発生してくるものと予想されます。その原因の一つとして、動植物が生息する自然環境の保護など環境対策や密輸されるペットなどにより持ち込まれたウイルス感染症の及ぼす影響などについての国民の意識の低さが問題とされております。野生生物取引監視団体の報告によると、二〇〇七年から二〇一八年の十二年間に計七十八件、千百六十一匹が違法な輸入として税関に差し押さえられていると報告されております。日本は愛好家が多く、違法に持ち込んでも刑罰が軽いとして、アジア地域からの密輸目的となっており、一件当たりの動物の推定市場価格は最高で一千二百五十万円に上り、犯罪収益となっていると指摘しております。差し止めされた千百六十一匹の中には、新型コロナウイルスの起源と見られるコウモリや猿といった病原体を媒介し、人に感染するリスクが高い東南アジアなどからの計百九十五匹も含まれていると報告されております。現状では、税関を擦り抜けさえすれば、販売者に合法性を証明する義務はなく、知らない間に病原体が持ち込まれ、取引過程で蔓延する危険性があるとして、国や業界に対して規制強化を呼びかけていますが、アジアの玄関口としての福岡県の現状認識と対応についてお聞きいたします。  次に、経済活動の段階的な再開についてお聞きいたします。外出自粛により、人、物の動きが止まり、経済活動に多大な影響が発生しております。民間の調査によると、政府が五月二十五日に緊急事態宣言を全面的に解除した後も外出に抵抗があると答えた人が七割に上ると報告されております。県内においては、感染防止対策の基本である三密の回避、手洗いなどの消毒、マスクの着用は基本として、県内の六十市町村それぞれの地域の現状に応じた経済活動を段階的に進めていく必要があります。  他県では、感染防止対策に取り組む店舗を認証する制度の導入や県のホームページに掲載したり、コロナ対策宣言店としてポスターやフラッグの配付をするなど、感染防止と経済活動の両立を後押しする動きが進められております。福岡県においても、感染拡大を防止しながらも、しっかりと推し進める支援が必要と考えますが、知事の考えをお聞きします。また併せて、県内市町村との連携はどのようになっているのか、お聞きいたします。  新型コロナウイルスの感染拡大により、人の動きが制限された中で、働き方改革として、テレワーク、ローテーション勤務などが進められ、またオンライン会議により距離の概念も変わりつつあります。なかなか進まなかったテレワークが今回のコロナ感染防止対策として推進されています。福岡県でも、今回の対応として進められておりますが、現状の状況と課題についてお聞きいたします。  今回は、特に、密集した都市の危うさが強く感じられ、また今後発生することが予想されている首都直下型地震、南海トラフ地震対策を考えても、テレワークにより仕事、働き方を都市部から地方へ分散することにより、地方への人の移動による地方での雇用環境の推進が必要と考えます。また、知事も全国知事会の中で、一極集中の是正を求める意見が出る中で、過度な人口、企業の集中のリスクを実感したと述べられております。  そこで、県内企業におけるテレワーク導入のさらなる促進が必要と考えますが、知事の考えをお聞きいたします。  次に、観光関連産業の支援についてお聞きいたします。人の移動の自粛により、多くの観光関連の事業者が多大な影響を受けております。一方で、自粛疲れによるストレスのある生活からの解放などニーズは多くあり、旅行への期待は大きいと考えます。まずは、感染リスクへの不安を持つ顧客のニーズに対して、しっかりと対応し応えていくことでありますが、最優先されるのは、観光が感染拡大につながらないことであります。そこで、本県に観光客を呼び戻すためには、宿泊施設などにおける安全対策の徹底や三密を避けるなど安全、安心な対応のPRや、自家用車などでおいでいただける近場な県内外からの観光客の誘致など、小規模、個室、ゆっくりと滞在できる施設等により、リピーターとなっていただける観光客の誘致が重要と考えます。  コロナに対応した観光関連産業への具体的な県の支援についてお聞きいたします。  最後に、新しい生活様式についてお聞きいたします。新型コロナウイルスに関する政府の専門家会議が五月四日に、感染拡大防止のための新しい生活様式の具体例を示しました。また、安倍首相は、感染防止の取組に終わりはない、ある程度の長期戦を覚悟する必要があるとして、ウイルスの存在を前提としながら、仕事、暮らしなど、感染拡大の懸念の中、経済活動や生活を続けるやり方をつくる必要があるとの認識を示しました。私も県のホームページの実践例を見ましたが、感染防止の三つの基本や移動時の注意など注意すべきことは理解できますが、経済活動を段階的に再開する移行期間が五月二十五日から始まっていますが、私の地元でも、いまだ会合はほとんど中止または紙上議決で行われており、コロナウイルス感染に対する不安が優先し、七月までは全て中止とする団体もあります。  経済活動を県内で段階的に進めていくには、県内市町村と連携しての周知徹底が必要であると考えますが、知事のお考えをお聞きします。  以上で質問を終わります。(拍手) 33 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 34 ◯知事(小川 洋君)登壇 ──申し訳ありませんでした。伺っていた質問の要旨と何か順番が違ったような感じでおりまして、ばたばたして申し訳ありませんでした。  お答えを申し上げます。  全国知事会での国への提言と日本再生宣言についてお尋ねがございました。議員も御指摘になりましたように、今回のコロナウイルスにおきましては、改めて国と地方の関係、これが一つ問題というのが提起されたんだろうと思っております。それを受けまして、今回の全国知事会の提言におきましても、国に対して、引き続き感染症の拡大を阻止しながら緊急経済対策を迅速かつ確実に遂行し、地方創生を再加速するよう求めております。具体的には、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充、それから分権に関わるわけでございますが、一極集中に伴う感染リスクの減少、回避及び地方分散の必要性、これらについて要請をしているところでございます。また、感染予防と社会経済活動の段階的な再開、その両立を目指しまして、各県と情報を共有しながら、現行制度の見直し、運用改善を検討して、地域から日本を創生する新しい時代をつくっていくための日本再生宣言というものを行ったわけでございます。  本県におきましては、議員も御指摘になりましたように、四月七日に最初の七都府県として緊急事態宣言の対象となりましたが、五月十四日、そのグループからいち早く解除されたわけであります。この間の経過と取組というものを改めて思い起こし、またこれからは、その経験というものをしっかり生かして、新型コロナウイルスと向き合いながら社会経済活動のレベルを徐々に上げていく新しい段階に入ったと、このように私自身、考えております。そして、この知事会で私自身、発言をいたしましたけれども、今回、国民は、一極集中のリスクというものを改めて実感をしたのではないか、また価値観も変わってくるのではないかということであります。今こそ、地方がその受け皿にならなければならないと、このように考えておるところでございまして、福岡県の地域経済と、そしてその雇用を立て直して、その大都市からの人と物の流れ、情報の流れ、受け皿となり、日本再生に貢献をしていきたいと、そういう決意を新たにしながら、この提言と宣言の採択の活動について参画をしたところであります。  次に、人獣共通感染症の現状と県の対応でございます。人に感染することが知られております感染症は千四百十五種あるということでございます。このうち八百六十八種が人獣共通感染症であるというふうにされております。例えば、昨年一年間に、蚊が媒介するデング熱が全国で四百六十一件、本県で十六件、またマダニが媒介するSFTSが全国で百一件、本県で六件がそれぞれ確認されているところであります。また、現在大きな問題になっております新型コロナウイルス感染症も人獣共通感染症の一つであるわけであります。県では、この人獣共通感染症が動物から人に感染した場合に迅速な診断につなげることができるよう、平成二十六年度から、動物における病原体の保有状況をモニタリングしております。その結果、トキソプラズマ感染症など人獣共通感染症の病原体が愛玩動物でも確認されたところであります。それらの調査結果につきましては、医療関係者に情報を提供するとともに、講習会の資料や啓発用ポスターの内容にこれを反映させて、人獣共通感染症の啓発に努めてまいりました。  人獣共通感染症の発生を予防していくためには、人の健康、動物の健康、そして環境の保全が相互につながっており、関係する学術分野がそれぞれ連携してその課題解決に当たっていくべきだとするワンヘルスの理念というものを広く県民の皆様に周知することが必要である、重要であると考えております。このため、平成二十六年度から、県民向けのシンポジウムを開催をし、その周知を図ってきたところでございまして、今後、動物愛護フェスティバルを通じてお子さんたちの啓発を行うとともに、今年度新たに開催をいたしますワンヘルス体験型のイベントやワンヘルス国際フォーラムを通じまして、県民の皆様にさらなる周知と啓発を図ってまいります。  次に、市町村と隣接県との連携についてお尋ねがございました。今後は、新たな段階としまして、感染の再拡大を防ぎながら、社会経済活動のレベルを徐々に上げていくことになります。先ほど答弁したとおりでありますが、そのため市町村に対しましては、情報提供サイトを通じまして、県内の感染状況についての情報を共有しながら、役割分担をし、また相互に連携をしまして、新しい時代にふさわしいイベントの開催の目安、業種ごとの感染防止対策ガイドライン、新しい生活様式などについて、その周知を図って、地域の実情に合った新しい生活様式の定着と社会経済活動のレベルアップというものを図ってまいります。社会経済活動のレベルが上がることに伴いまして、県境を越える出張や観光もおのずから増えてまいります。さらに、PCR検査をはじめとした医療提供における九州・山口における相互協力、また九州地方知事会議や九州地域戦略会議の地方創生の取組など、広域での連携作業、これが加わってまいります。そのことでもって社会経済活動はより一層活発になってくると思います。その際、隣接した県同士では、それぞれの感染状況について、お互いに情報共有することが重要であります。感染の再拡大を防ぎながら広域での経済活動のレベルを上げていきまして、ここ九州から日本の再生を果たしていきたいと考えております。  緊急事態宣言が解除された理由についてでございます。いろんな説が、日本が死亡者が少ないとか、いろんな学者によっても、はっきりした理由が明らかになっておりませんけれども、県におきましては、県民の皆様の生命、健康、生活を守ることを第一に考えまして、感染の拡大の防止を図るため、四月七日、緊急事態宣言以降、外出自粛、施設の休業等お願いをしてまいりましたが、多くの県民の皆様、事業者の皆様に御理解と御協力をいただきました。また、最前線で医療に従事される皆様に、自らの感染リスクを顧みず治療や看護等、御奮闘いただいたことをはじめといたしまして、多くの県民の皆様が、様々な現場で社会を支えていただいたわけであります。このようなコロナとの闘いに打ちかっていこうと、そういう県民の皆様の強い思いと、そしてそれに伴う行動というのが、いち早い緊急事態宣言の解除につながったものであるというふうに考えております。  なお、データという御指摘がありましたが、データというのは、他との比較ができるという意味では重宝するものでありますが、それぞれデータには癖がありますので、そういった特性も見ながら適切に利用していくことが大事だろうというふうに私自身は思っております。  次に、感染症対策を契機といたしました在宅勤務についてお尋ねがございました。県におきましては、出勤時における人との接触を低減する観点から、感染症対策あるいは児童相談所の業務など、県民の生命や財産を守るために不可欠な業務に従事している者を除きまして、職員の在宅勤務を五割以上とする目標を掲げ、五月末までこれに取り組んでまいりました。その結果、職員の年次休暇と合わせまして、目標を上回る約六割の出勤者の削減を実現することができました。その後、各所属や職員に調査を行いましたところ、庁内システムにアクセスできるパソコンや通信環境が整っていない、職場や関係機関との連絡調整が難しい、そういった声が多く上がっております。このため、補正予算で整備を進めております一千台のモバイル端末、ウェブ会議システムを活用いたしまして、職場と同じ環境で業務を行うことができる体制を整えていき、引き続き、できる限り在宅勤務に取り組んでいきたいと、このように考えております。  次に、県内企業でのテレワーク導入の促進についてでございます。今回の新型コロナウイルス感染症が社会経済に与えている大きな影響を目の当たりにいたしまして、都市部への過度な人口あるいは機能の集中、それに伴うリスクの大きさ、高さというものを改めて国民の皆さんは実感したところであります。今後、地方への新しい人の流れをつくり、さらなる地方創生を図っていくため、また働き方改革や事業継続の観点からも、テレワークの普及に努めていく必要があると、このように考えております。これまで県におきましては、県内企業を対象に、テレワークセミナーを開催をするとともに、国の助成金、専門家派遣等の支援策、これについて周知に努めてまいりました。これらに加えまして、今年度、新たに、テレワーク相談窓口を設置をいたしまして、労務管理、助成金の活用に関する助言でありますとか、テレワーク導入に必要なシステムの紹介といったことを行ってまいります。  次に、観光産業についてお尋ねがございました。感染症に対する不安を取り除くため、まずは宿泊施設における衛生対策をしっかり行っていくことが必要になります。そのため、宿泊事業者が行います感染症対策に対する助成制度を新たに設けまして、支援を行っているところであります。また、今後の観光は、三密を避ける観点から、自然豊かな地方部を少人数で観光していくスタイルへと変化していくものと思います。そのため、国が予定をしております大型キャンペーンに先行いたしまして、まずは県民を含む九州在住者を対象に県内での宿泊や周遊を促す県独自の観光需要喚起策を実施していく考えでございます。併せて、三密を避け、地方部への周遊を促していく観点から、レンタカーの助成も実施してまいります。さらに、今後、旅行者の移動が全国的に可能となります八月以降は、国のキャンペーン効果を最大限に活用するため、県独自の宿泊やレンタカーについての助成など観光振興事業を実施してまいります。加えて、今後の観光のスタイルでございますが、体験、交流、滞在型の観光資源の開発など、新しい観光スタイルについても効果が期待できるような事業、そしてSNSを活用した情報発信事業についても、しっかり取り組んでまいります。  次に、新しい生活様式についてお尋ねがございました。治療薬やワクチンができるまでの間、このコロナウイルス感染症と長く我々は向き合っていかなければなりません。このため、新しい生活様式でありますマスク、手洗い、人との距離、三密の回避、日常生活のそれぞれの場面に応じた新しいスタイルを実践していくことは、感染拡大を予防していく上で非常に重要なことであると思います。国が示しております実践例におきましては、新しい生活様式の具体的な内容が生活場面ごとに詳細に掲げられております。県におきましては、県民の皆様が、それぞれ御自身の日常生活に応じて実践しやすいよう、ポイントを絞って、県のホームページにおいて、イラストを使って分かりやすく御紹介しております。また、各戸配布の広報紙であります「福岡県だより」への掲載や、県内四か所のデジタルサイネージでの放映、県内主要三十三駅へのポスター掲示等を通じまして、その周知に取り組んでいるところであります。特に、これからの季節は熱中症にも注意する必要がございます。今後の周知に当たりましては、屋外で人と十分な距離が確保できる場合には、マスクを外す、そういった状況に合わせた対応というものも含めまして、県民の皆様に分かりやすくお示ししながら、新しい生活の定着が図られるよう取組を進めてまいります。 35 ◯議長(栗原 渉君) 桐明和久君。 36 ◯四十四番(桐明 和久君)登壇 ありがとうございます。二点要望いたします。  まず一点目は、今度の第二波に対する県の取組のところであります。きちっと対策会議等で検討をされておると思いますけれども、きちっと県民に、どうするのかというのをやはり表していただかないと、本当に先ほど言いましたように、県民はやはりこのコロナに対して不安を持っております。ちょうど今日のニュースでは、東京都が対策会議等で、コロナの第二波に備えて多方面に検討して、七月までには全体像をまとめるという報道があっておるところであります。ぜひ、このことは知事にしっかりと要望していきたいと思います。  もう一つは、今回お聞きしました新しい生活様式についてであります。この新しい生活様式というのは、今、少しずつ、手洗いとか、マスクとか、なっておるところでありますが、段階的に上げていくとなると、お互いが両立というところが非常に難しく、県民に分かりにくいというところだと思います。特に、三密の密集、密閉、密接というところが既に数値化されておるところでありますが、先ほど言いましたように、なかなかそれがやられていない。また怖いので自粛ということになっている。特に私が思うのは、県内の市町村でも、全然発生していないところがある、この地域が特にその問題があるんじゃないかと思います。これは本当に傾いた見方かもしれませんが、第一号にはなりたくないという部分での不安がある。当然、近くに無症状の方がおられますので、本人は気づかないけれども、高齢者とかに、持った方はうつすということで、不安という部分がある。同じことを言いますが、今後、特に県内で、発生していないところに対して、しっかりと対策を取っていかなければ、段階的に経済活動が進んでいくというのはなかなか難しいんじゃないかなと思うところであります。でありますから、要望したように、県から現場の一番地元の市町村としっかりと連携を取っていただき、そのところをしっかりと市町村からそれぞれの市民、市町村の住んである方々に説明をしていただくよう、さらなる県の御尽力をよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 37 ◯議長(栗原 渉君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後二時二十分といたします。           午 後 一 時  十三分  休 憩           午 後 二 時 二十一分  再 開 38 ◯副議長(原中 誠志君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。冨永芳行君。(拍手) *冨永議員質問 39 ◯七番(冨永 芳行君)登壇 民主県政クラブ県議団の冨永芳行です。通告に従いまして、本県における今後の交通ネットワークの維持について質問させていただきます。  知事は、これまで交通ネットワークの維持という表現を多用されてきたものと認識をしています。本日私は、県庁があります吉塚駅まで、JR九州の中でも輸送密度の高いとされるJR篠栗線、福北ゆたか線を利用して参りました。県道六百七号が非常に混雑するため、定時性を確保できる鉄道は本当にありがたいものだと実感しています。生活に欠かすことのできない交通ネットワークを維持することはもとより、地域のニーズに合った交通ネットワークを形成することが、県民生活の質の向上に寄与するものと考えます。  ところが、先月二十七日、JR九州は運行する線区の収支、とりわけ赤字となっている区間の二〇一八年度の営業損益を公表しました。公表した理由についてJR九州の青柳社長は、鉄道利用のお客様が大きく減少し、今後は人口減少や高齢化も進む、厳しい状況を沿線住民の皆様と共有し、ローカル線の維持継続策を考えたいと述べられています。しかしながら、JR九州は二〇一七年に被災した日田彦山線の鉄道復旧の条件として、年間一億六千万円もの運行費用を沿線自治体に対して求めてきた経緯もあり、突然の公表に当該線区の利用者のみならず、県民、とりわけ沿線自治体の関係者や住民は、それぞれに危機感をあらわにされています。ここで強く申し上げたいことは、この営業損益公表の前日、五月二十六日は、日田彦山線の鉄道復旧を一貫して求め続けてこられた東峰村の澁谷村長が、住民説明会において鉄道での復旧を断念し、JR側が提案するBRT案を延伸するという県の意向、これを容認するという苦渋の決断、方針を表明された日であるということです。このタイミングでの公表は、今後赤字路線が自然災害に遭っても、基本的には鉄道での復旧は困難であるとのJR側の強い意思表示にほかならないのではないかと、強い危機感を持たざるを得ません。  そこで、今回のJR九州の赤字路線の公表に関しまして四点お聞きいたします。まず一点目に、鉄道事業の公共性、公益性に対する知事の認識を改めてお聞かせください。その上で、今回の赤字路線の公表理由をJR九州の青柳社長は、鉄道を一企業だけで維持するのは非常に大変とも述べられておりますが、知事はJR九州という一企業に対してどのような認識をお持ちなのかお聞かせください。  二点目に、全国的にJR各社は赤字路線を抱えながらも企業活動を継続しているものと認識しています。JR九州が今回このような公表を行った真意について、知事はどう認識されているのかお聞かせください。また澁谷村長が、知事の鉄道復旧断念の明言は重たいと発言されているように、知事が日田彦山線の鉄道復旧の断念を明言されたことが、今回の赤字路線の公表の引き金になったのではないかと考えますが、知事の考えをお聞かせください。  三点目に、今回公表された線区の利用者、沿線の自治体や住民の方の反応をどのように捉えておられるのか、知事の考えをお聞かせください。  四点目に、今回公表された二十線区のうち七線区の沿線自治体では、既に九州運輸局や県を交えた検討会を立ち上げ、利用促進の検討を始めているとのことですが、本県内に所在する線区ではそのような動きがあるのか、あるのであればどのような検討がなされているのか、県の果たすべき役割とともにお聞かせください。  次に、本県内においてこれまでに廃線となった鉄道路線についてお聞きいたします。我が国の近代化と鉄道は切っても切れないものであり、特に産炭地であった北海道や本県を含む九州地方では無数の石炭列車が走り、鉄道路線の拡大に伴って沿線地域は活性化、発展し、鉄道は住民生活の一部となってきたものだと認識しています。私の地元糟屋郡にも、かつて吉塚駅を起点として粕屋町、志免町を経て宇美町に至る国鉄勝田線が一九八五年の廃線まで走っており、その前身は沿線の大小五十の炭鉱から成る糟屋炭田から産出される石炭の輸送や宇美八幡宮への参拝客を輸送するための鉄道路線でありました。ほかの路線同様に、石炭産業の衰退や道路の整備、自動車の普及等による鉄道利用者の減少を理由に廃線とされたことは、今日の住民生活や沿線自治体のまちづくりに大きな影響を及ぼしているものと感じています。  そこで、本県における鉄道の廃線について三点お聞きします。一点目に、本県において国鉄時代を含め廃線になった鉄道路線は幾つあり、廃線後にどのような代替手段となったのか、具体的にお答えください。  二点目に、廃線決定の前後で鉄道事業者と県や沿線自治体はどのような議論を行い、それぞれがどのような役割を果たしてきたのかお聞かせください。  三点目に、廃線後の代替手段の現在の状況及び沿線自治体への影響を、知事はどのように認識されているのか、廃線直後の状況と比較してお聞かせください。  最後に、バス路線の維持とコミュニティーバス等の運行についてお尋ねします。路線バスの利用者減少も深刻であり、本県の二〇一八年度の路線バス利用者数は二億七千二百六万人、これはピーク時の一九六九年度比でマイナスの四九%、一九八九年度比でもマイナス二七%の減少であり、鉄道同様に減便や路線の撤退が相次いでいます。県は国とともに広域かつ幹線的なバス路線維持のため、福岡県バス運行対策費補助金を交付しており、二〇一九年度は九の事業者、四十二の系統の路線に対して約一億五千万円が交付されています。同様に、各市町村においても、国や県の補助対象とならない路線へ補助金を交付をしたり、コミュニティーバスなどの運行で地域住民の移動手段の確保と利便性の向上を図っているものの、その財政基盤は脆弱であり、利用者の減少が続く中、路線維持の費用負担は増大し続けています。また地域住民のニーズに応えるために、コミュニティーバスの路線の見直し等を検討することは民業圧迫につながるおそれもあるとして、既存事業者との折衝がうまくいかない、最悪のケースでは既存路線の喪失や営業補償の問題にも発展しかねないとの懸念があるなど、自治体担当者の様々な苦悩を聞き及んでいるところです。  そこで一点目に、本県でコミュニティーバス等を運行している基礎自治体数とその路線数をそれぞれお答えください。また複数の市町村をまたいで運行する路線数とその割合もお示しください。  二〇一七年に策定された県交通ビジョンには、コミュニティーバスの広域運行路線の普及に努めると明記されており、各自治体が抱える現状の課題解決をするためには、市町村同士が連携して、例えば相互乗り入れを行ったり、委託業者を統一するなどスケールメリットを最大限に生かすことが必要であると考えます。  そこで二点目に、今後県が市町村の意向を集約して窓口となり、将来を見据えて積極的に民間事業者との路線の調整等に当たるべきだと考えますが、知事の見解をお聞かせください。その上で、県交通ビジョンに明記されているコミュニティーバスの広域運行路線の普及に関して、これまでの具体的な取組と進捗についてお示しください。  人口減少に伴うバスや鉄道の利用者数の減少は今後も続くものと予想されます。加えて、このたびの新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言下においては、観光客だけではなく通勤、通学客も激減し、生活路線の維持さえも困難になってきている鉄道、バス事業者もあるなど、今後は事業の縮小等に伴う路線の減便、撤退などが一層懸念されます。現在、緊急事態宣言は解除されていますが、政府は在宅勤務を推奨したり、本県も県民の皆様に対して慎重に外出を行うように要請するなど、新しい生活様式への移行が進んでいます。知事の言われる交通ネットワークの維持も日々刻々と状況が変わってきており、時代に即した施策と迅速かつ的確な判断が求められています。この際、改めて鉄道事業者等と県や各自治体の果たすべき役割を明確にした上で、知事には未来を見据えた本県の今後の交通ネットワーク維持について、以上三項目について御答弁をお願いいたします。(拍手) 40 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 41 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず、鉄道事業及びJR九州に対する認識でございます。鉄道事業は、住民の皆様の日常生活の維持はもとより地域経済、あるいは社会の発展に大きな影響を及ぼす極めて公共性、また公益性の高い事業であると考えております。特に完全民営化に際しての経営安定基金の取扱い、また平成三十年度まで行われておりました固定資産税など税の優遇措置などを勘案いたしますと、JR九州を一般の民間企業と同列に論じることはできない、より高い社会的使命を有していることを認識した上でその事業運営を行ってもらう必要があると、このように考えております。  次に、JR九州の線区別収支の公表についてでございます。JR九州の青柳社長は、線区別収支の公表の際の定例記者会見におきまして、これは定例の記者会見でやっておられますが、赤字ローカル線を自社だけで維持していくのは大変であり、維持をしていくには改善が必要である、そのための検討を地元と一緒に進めていく前提として、基礎データを共有する必要があることから公表に至ったものである旨発言をされています。なお青柳社長は、既に昨年の七月でございますが、その定例記者会見におきまして、この線区別の収支について公表する方針であることを明らかにされておりまして、日田彦山線の議論とは関連がない、このように思っております。  それから、沿線自治体や住民の皆様のこれについての反応でございます。沿線自治体に確認をいたしましたところ、まず鉄道事業の収支は黒字であり、公表するならば黒字の路線も含め全線区の収支を公表すべきである。二番目に、利用者の拡大については、JR九州がまずもって検討すべきである。三番目に、JR九州は廃線を目指していると言われないような丁寧な対応をしていくべきである。四番目は、JR九州は上下分離を考えているのではないかと懸念している。そういった声を沿線の自治体の皆さんからはお聞きしているところでございます。  次に、こういったことについての検討会についてでございますが、県内の公表対象となりました線区の活用に関する検討会でございますけれども、議員が御指摘になりましたように、他県で設置をされているような関係者による線区の活用に関する検討会というのは、本県においては設置されていないところであります。なおJR九州は、地元自治体に対しまして、線区を活用する取組を行いたいとの意向を示しておりますけれども、我々自治体側は利用促進に限ったものでなければ、これは受け入れられないということになっております。  次に、廃線後の代替輸送手段についてお尋ねがございました。県内で鉄道が廃止になった路線というのは、昭和三十六年の国鉄時代の芦屋線から平成元年のJR九州宮田線まで合計十一路線がございます。その全てにおいて代替輸送手段としてバス事業者による路線バスというものが運行されました。  廃線決定時の県、そして自治体の役割でございます。昭和五十五年十二月に日本国有鉄道経営再建促進特別措置法というものが制定されております。その法律の下では、赤字ローカル線の廃止が、その法律に基づいて実施をされることになったわけであります。この法律によりますと、廃線の申請の前提といたしまして、九州運輸局長、それから知事、沿線首長、国鉄九州総局長等によります協議会におきまして、代替輸送計画等について協議をすることとされております。本県及び沿線の自治体は、代替バスが運行され五年間は赤字補填がなされるけれども、その後減便等でサービスの低下とならないように国が行政指導を行うこと、地元要望等を勘案したダイヤ編成を行うことなど、意見を述べたところでございます。  廃線後の代替手段の状況についてでございます。先ほど申し上げました廃線後の代替バスにつきましては、その後それぞれの地域の実情に合わせまして、それぞれ路線の見直しを行いながら運行の継続を行っていくことで、今日までほとんどの路線におきまして地域生活のための路線が確保、維持されていると考えております。  次に、県内のコミュニティーバスの現状についてでございます。買物や通院など地域の住民の皆様の生活交通の確保のために、本年三月末現在、県内四十二の市町におきまして約二百八十路線のコミュニティーバスが運行をされております。そのうち隣接市町村に所在する病院、駅等への移動を確保する広域運行路線、これは四十路線、約一五%となっているところであります。  このコミュニティーバスの広域運行に関する市町村との連携についてでございます。県におきましては、広域地域振興圏域ごとに設置をいたしております地方創生市町村圏域会議におきまして、市町村が有する課題の解決に向けた意見交換を行うとともに、沿線の市町村や交通事業者と共に広域運行、相互乗り入れ、利用促進のための企画に関する協議などを行っております。コミュニティーバスの路線の調整等につきましては、市町ごとに設置をされ、住民の代表や交通事業者などが参加をしております地域公共交通会議におきまして、地域の実情に応じた議論や見直しが行われておりまして、県はその会議に委員やオブザーバーという資格で参加をし、必要な助言と情報提供を行ってきているところであります。  広域運行路線の普及のため、県におきましては平成三十年度から市町村域を越えて運行するコミュニティーバスに対する補助率の上乗せというものを行っておりまして、広域運行路線は昨年度七路線増えまして、本年三月末現在で四十路線となっているところでございます。 42 ◯副議長(原中 誠志君) 冨永芳行君。
    43 ◯七番(冨永 芳行君)登壇 指摘と要望をさせていただきます。  まず、線区収支の公表について、日田彦山線の議論とは無関係であるとの答弁がありました。その根拠に昨年七月の定例記者会見での青柳社長の方針を挙げられました。しかしながら、公表は先月の二十七日、直前の二十四日には知事自らが東峰村へ初めて出向き、住民の方に対して説明会を開かれています。それを受けて、公表の前日二十六日は、繰り返しになりますが、澁谷村長がBRT案の延伸案、これを受け入れるという旨を表明されていて、これに対し知事は、東峰村の皆様にとって苦渋の選択であったというふうに述べられています。知事も沿線自治体の方と思いを同じにされているのであれば、まず今回の公表の在り方に対して、沿線自治体の反応や思いも含めて、九州知事会を通すなどJR九州へ抗議をするべきだと指摘させていただきます。また今回の公表のタイミングに関しましても配慮に欠けるものとして、知事御自身が抗議すべきことであると指摘させていただきます。  次に、廃線後の代替バスの状況について、地域の実情に応じてそれぞれ路線の見直しを行いながら運行の継続を行うことで、今日までほとんどの路線において地域生活のため路線が確保、維持されているとの答弁がありましたが、我が会派の中嶋玲子議員が二月の予算特別委員会において、廃線となった五路線を取り上げ、バス転換後にそのバス路線は廃線になり、辛うじて不便解消のために各自治体が西鉄などに依頼して一部運行している箇所もある、JRの責任においてではないと指摘しています。改めて、知事の答弁以上に沿線の方々や利用者は不便を強いられており、自治体は経済的な負担を強いられているということ、またバスへの転換は後戻りのできない結果を招くということを、ここで改めて指摘させていただくとともに、そのような状況下にある自治体に対して積極的な支援をしていただくようにお願い申し上げます。  今後のネットワーク維持のためについてです。これまでの知事の答弁によると、日田彦山線の鉄道復旧を断念するに至った経緯に関して、今年二月の国会審議における国土交通大臣と鉄道局長からの、最終的には鉄道会社の判断であるという最終的な国の判断、これについて言及がありました。国鉄時代、民営化の前後、株式上場の前後と今日に至るまで、現在のJR九州と国、県、沿線自治体の果たすべき役割は、その時々の法律とその解釈を背景に変遷してきたように感じます。今後新しい生活様式への移行に伴って様々に社会が変化し、交通政策も方向転換が必要になるかもしれません。そのような中であっても、知事は福岡県のリーダーとして、常に県民に寄り添っていただきたい、国に対して言うべきことをしっかりと意見していただきたい、基礎自治体へのフォローはしっかりとしていただきたいと思います。  また事業者に対しても、新たな関係性を構築し、地域の振興策、交通ネットワークの利用促進策を大きな枠組みで進められる福岡県になるようお願い申し上げ、一般質問を終わらせていただきます。(拍手) 44 ◯副議長(原中 誠志君) 壹岐和郎君。(拍手) *壹岐議員質問 45 ◯六十六番(壹岐 和郎君)登壇 公明党の壹岐和郎でございます。通告に従い、盲聾者支援について質問をいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症が、いまだ終息に至らない状況下で、盲聾者や通訳、介助者に対する支援についてお尋ねします。  まず、盲聾者支援者の方からの声を紹介します。盲聾者というと、なかなか聞き慣れないかもしれませんが、ヘレン・ケラーの名前を出せばぴんとくると思います。視覚と聴覚両方に障がいのある盲聾者が外出したり、コミュニケーションを取ろうとすると、ほとんどの場合何らかの支援が必要となります。例えば全盲聾の人は、通訳者が障がい者の手に触れて行う触手話による意思疎通が一般的です。また移動する場合は手を引く、肩に手をかけるなどして行動を補助することになります。つまり支援する場合、盲聾者と密着せざるを得ません。特に通院する、食料品の買物、行政窓口での手続など、生存や社会生活を維持する上から必要不可欠な行動支援の要請に対し、支援者は断ることができません。この場合、最低でもマスクやフェースシールド、手指の消毒液、手袋などの備品が確保される必要があります。しかしながら現状は、支援する側も受ける側も感染のリスクを低減するための最低限の防御さえままならない状況です。  次に、盲聾者の方からの声を拾っていきます。盲聾者の皆さんが、情報交換や近況を話し合う唯一の場ともいえる例会も二月以降開催できず、やっと六月役員会が開催できました。障がいのゆえに、日頃から日常生活に大きな制限がある上、例会なども開催されないとなると、ほとんど自宅に引き籠もっているため肉体的、精神的なストレスも大きいようです。健常者であれば、このような環境下でもオンライン会議などが可能ですが、盲聾者の皆さんは通訳者が傍らにいなければ意思を伝えることも、受け取ることもできません。また総会、例会の会場である春日市のクローバープラザに入るときも、マスク着用が義務づけられています。健常者の皆さんには理解しづらいでしょうが、視覚と聴覚の重複障がいを持つ側からすれば、嗅覚を使って様々な情報を得ています。マスクをすると嗅覚さえ制限をされる。盲聾者にとってのコミュニケーションの手段は、先ほども述べた触手話や指点字、手書き文字、耳元での大きな声、接近手話など近接した対応となります。今日のコロナ禍のように三密を避けることとなれば、社会生活が全く成り立たなくなる。ぜひこのような実態を知ってほしいという訴えでした。  まず、知事に二点お尋ねします。一点目は、早急に実態を把握して、派遣事業に必要なマスク、フェースシールド、消毒液、手袋などの備品について、支援者や当事者に届けていただくと同時に、今後の状況によっては長期的な支援をお願いしたいと考えますが、いかがでしょうか。  二点目に、次に述べる派遣事業の推進等を含め、取りまとめの団体である公益財団法人福岡県身体障害者福祉協会だけではなく、当事者の団体である福岡盲ろう者友の会と定期的な情報交換をする場を整えていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。  次に、派遣事業について質問します。県の調べでは、平成三十年三月末現在で政令市、中核市を除く県域の視覚と聴覚の重複障がい者は三百二十三名です。また平成二十四年度の全国盲ろう者協会による調査では、本県の登録要件に当たると考えられる視覚と聴覚に重複障がいのある人で、身体障害者一級、二級の手帳を持っている人は百九十一名となっています。平成三十年の福岡県身体障害者福祉協会への登録者は十八人ですから、登録率は一割にも満たない状況です。同様に東京都の平成二十四年度調査で盲聾者数は八百四十人、平成三十年度調査で登録者数は百三十九人で、やはり登録率は一六・五%と低い数字となっています。東京盲ろう者友の会は登録率の低い理由を、盲聾者を対象とした支援サービスがあるという情報が、視覚と聴覚の両方に障がいがあるゆえに、本人の下に届かないことが大きな原因ではないかと考えています。本県の登録要件に当たる重複障がい者数と盲聾者登録者数が大きく乖離している実態について、どのように認識されているのか、知事にお尋ねします。  次に、公益財団法人福岡県身体障害者福祉協会の規定によれば、福岡県盲ろう者通訳・介助員派遣事業を利用するためには登録が必要です。となると、前述したように、ほとんどの盲聾者は通訳、介助員の支援を受けていないことになります。もちろん視覚障がい者が市町村事業である同行援護などの支援を受ける人も多くおられることが考えられますが、例えば全盲聾の人がコミュニケーションを取ろうとすれば、スキルを持った通訳、介助員の手助けがどうしても必要となります。県全体で重複障がい者が適正な支援が受けられているのか、市町村と連携をして実態を把握すべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、本県の登録条件は重複障がいがあり、身体障害者手帳一級、二級所持者となっています。例えば東京都の登録条件は、身体障害者手帳に視覚障がいと聴覚障がい、両方の記載があることとなっています。なるべく多くの障がい者の皆さんが豊かな日常を送り、社会参加を進めるためにも、登録条件の緩和や登録推進について、事業の委託先である福岡県身体障害者福祉協会や福岡盲ろう者友の会と協議を行い、より障がい者のニーズに合った支援を実施していくべきです。県としても登録を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。  最後に、福岡盲ろう者友の会の皆さんからは、通訳、介助員が少なく、十分な支援が受けられていないとの声が上がっています。確かに統計上は派遣できなかった件数はゼロとなっており、表面上は充足しているように見えますが、現状は異なるようです。令和二年度派遣予算の登録者一人当たりの利用可能時間は月約十時間です。これは平成三十年度全国調査の平均十六時間と比べても短い。盲聾者が安心して支援を受けられるために、登録者を増やすと同時に、通訳、介助員の人材養成が必要です。今後人材育成をどう図っていくのかお尋ねします。  以上でございます。(拍手) 46 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 47 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  通訳・介助員派遣事業に必要な物資の支援でございます。派遣事業におきましては、体に触れたり、耳元で会話をしたりすることが多くなります。そのためマスクや消毒液のほか、状況によっては手袋、ガウン、フェースシールドなどの防護具というものも必要になってまいります。県が派遣事業を委託をしております身体障害者福祉協会におきましては、通訳、介助員の方々のマスク、消毒液を確保しておられますけれども、利用者の方の分については確保が十分とは言えず、防護具の準備もできておりませんでした。今後同協会がこれらの物資を確保し、利用者、そして通訳、介助員の方々に配付できるよう、県としてその調達先の確保などについて支援を行ってまいります。  次に、当事者団体との定期的な意見交換でございます。県におきましては、これまで福岡盲ろう者友の会からの申出に基づきまして意見交換の場を設け、派遣事業に関する要望をはじめ幅広く御意見を伺ってまいりました。しかしこの数年、この団体からの申出がなく、意見交換の機会が減っておりました。派遣事業を円滑に実施をしていくためには、当事者の皆さんから幅広く御意見、御要望をお聞きする必要があると、このように考えておりまして、今後意見交換を定期的に実施していくことについて、この福岡盲ろう者友の会と協議を進めてまいります。  次に、重複障がい者数と通訳・介助員派遣事業に登録する重複障がい者数との乖離についてお尋ねがございました。派遣事業を利用するために登録をされております重複障がい者の方は少数にとどまっておりますが、利用の対象となる方の中には、まずこの派遣事業について御存じない方がいらっしゃる。その一方で家族による支援がある、あるいは施設に入居されているため派遣事業の必要性がない方もいらっしゃると、このように考えております。今後、市町村また関係団体と協力をいたしまして、この派遣事業を必要とする方がどのくらいいらっしゃるのか、そのうち利用登録をされてない方がいらっしゃるとすれば、その理由についても調査をしていく必要があると、このように考えております。  また、今申し上げました調査におきましては、障がい福祉に関する支援の決定をしております市町村から個々のケースについて聞き取り調査を行うとともに、当事者団体からも御意見を伺うことによって、その実態把握に努めてまいります。  次に、通訳・介助員派遣事業を利用する盲聾者の登録の推進でございます。派遣事業は、盲聾者の方々の社会参加を促進するため、より支援が必要な重度の盲聾者の方々を、その対象といたしております。このため登録要件といたしまして、身体障害者手帳の一級または二級の所持者の方と定めておりまして、現在のところ、この要件を見直す必要があるというふうには考えておりません。全国的にも三十七の道府県におきまして、私ども福岡県と同様の要件を定めているところであります。県といたしましては、通訳、介助員の派遣を必要とされている盲聾者の方々にその支援が行き届くことが重要であると、このように考えております。そのため、まずこの派遣サービス事業に関する情報がきちんと関係者に届くよう、その周知を図っていき、その上で同協会によるサービスの利用の登録につなげていく必要があるというふうに考えております。  次に、通訳、介助員の人材の育成でございます。県におきましては、身体障害者福祉協会に委託をいたしまして、盲聾者の特性に応じたスキルを習得していただく通訳、介助員の養成研修というものを実施しております。現在通訳、介助員として五十七名の方が修了いたしておりまして、同協会の登録を受けておられます。また盲聾者の支援に当たりましては、その方々一人一人の見え方、聞こえ方、違います。それに応じて様々な方法での支援というものが必要になってまいります。このため同協会に委託をしまして、年に一度、通訳、介助員に登録された方々を対象に事例発表、意見交換、また実習を通じて学んでいただく現任研修というものを行っておりまして、スキルアップを図っているところであります。昨年度は十二名の方が受講されているところでございます。 48 ◯副議長(原中 誠志君) 壹岐和郎君。 49 ◯六十六番(壹岐 和郎君)登壇 知事の御答弁ありがとうございます。マスク、また消毒液、全部ではないんですが、早速現場に届けていただき、非常に喜んでおられました。引き続き、長期的な支援をよろしくお願いします。  実態の把握について、していただけるということで期待しております。  先ほど派遣を断られたケースは上がっていないということで、このことと関連して一点要望させていただきます。先週の土曜日に、福岡盲ろう者友の会の吉田会長と通訳の方とお話をさせていただきました。そのときに出たことですけれど、盲聾者が派遣を依頼したときに、窓口にて予算の関係で時間短縮の要請を受けることもあり、盲聾者の方も遠慮して、だんだん頼みにくくなってくる。そうすると、派遣実績も予算も減少すると、そういう悪循環に陥っている現状がありますとの訴えでした。盲聾者の皆さんも健常者同様旅行にも行きたいし、様々な知識も身につけたい、社会生活を充実させたいとの欲求は同じです。盲聾者の皆さんも健常者同様の社会生活が営める社会とするためにも、派遣予算の妥当性も含めて実態把握をしていただくことを強く要望して、一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 50 ◯副議長(原中 誠志君) 安部弘彦君。(拍手) *安部議員質問 51 ◯五番(安部 弘彦君)登壇 皆さん、こんにちは。食と緑を守る緑友会福岡県議団の安部弘彦でございます。それでは、通告書に従いまして一般質問させていただきます。  まずは感染症対策の機能を備えた省エネ設備についてであります。まずはコロナ禍にあって、医療機関をはじめ市町村、自衛隊、消防、警察など関係機関の皆さんはもちろんのことですが、県庁や保健所の職員の方もまた、休日や昼夜を問わず、県民の皆さんのために見えない敵と闘っているわけであります。知事もお疲れでございましょうが、このような現状をしっかり胸に受け止め、職員を大切にしていただきたいと思います。  さて、こうした極限状態で働く職員の健康を保つため、職場環境の整備は、適正な空調や照度の確保が大事であります。思えば今年は四月になっても寒い日がありました。これは原則三月までの暖房期間を超えて対応したと聞いております。この先は湿度や暑さとの闘いに移ります。冷房の期間や温度設定にも原則はありますが、こういった危機状態にあっては、弾力的な運用をお願いするところでもあります。  県庁には県内外を問わず、様々な方が訪れます。コロナウイルス感染症対策として、マスク着用や手洗いに加え、感染症対策のための設備導入も検討する必要があると考えます。コロナウイルス感染症への対応を継続しながらも、エネルギーの消費者としての省エネ対策は重要であり、この対策は大きく分けて、日常的な節電や節水などの運用面での対応、そして省エネ対策が施された設備への更新の二つであります。したがって、省エネ対策と感染症対策を融合させるとの観点も意義あることだと思います。このような観点から、例えばウイルス滅菌効果のあるLED照明の導入などができれば一石二鳥ではないでしょうか。  そこで知事にお伺いをいたします。昭和五十六年十一月に完成をした現在の県庁は、今年で三十九年となります。これまで省エネ対策としてどのような設備更新を行ってきたのかお答えください。  また感染症対策の機能を備えた省エネ設備の導入について、どのように考えておられるかお答えください。  大雨や地震などの災害が発生した場合の避難所では、今回のような感染症を含め衛生面に細心の注意を払う必要があり、この運営は市町村が担うことになります。やむなく避難をされた方々の心労を思えば、避難所の環境整備は大変重要です。今後県が感染症対策の機能を備えた省エネ設備に更新した場合には、その取組をいち早く市町村はもとより、広く公表することを要望しておきます。  次に、県内企業によるLED等応用製品の開発支援についてお伺いをいたします。今回の感染症で、国民の衛生に関する意識は、これまで以上に高まっていることは疑いのないところであります。省エネだけでなく感染症対策に配慮した設備の需要は高まっていくものと考えます。省エネに加え、感染症対策となる抗菌作用のある新技術として、国内外の研究機関や大学、企業が開発するLEDや光触媒、オゾン、マイナスイオン等は周知の事実であります。例えば理化学研究所や情報通信研究機構とトクヤマ、日機装、旭化成、東芝ライテック、スタンレーなどでは、深紫外線といった空間除菌消臭の新技術を、ウシオ電機のエキシマランプを使った紫外線UV─Cは、神戸大学や島根大学などの知見でも、人や動物の皮膚や目に安全でありながら、紫外線本来の殺菌、ウイルスの不活化能力を保持した新しい殺菌用光源であります。また長崎のイナヅマ電気工事では、光触媒を活用した抗菌分解消滅性を持ったLED照明器具の開発、販売を既に行っています。さらに台湾のサンダーソウルでは、SGS認証の照明用抗菌LEDチップを開発、販売をしています。人体や動物に影響を及ぼすことのない活用可能な技術は、抗菌、滅菌、除菌、消臭だけではなく、O157やカビなど、あらゆる細菌の増殖を抑制できるとされています。今回の感染症対策だけでなく、公衆衛生を必要とされる飲食店、旅館、ホテル、介護施設、食品工場や生鮮品売場、水産、畜産業等々、様々なあらゆる場所で活用できます。このような光源、LEDは、今後活用の幅が大きく広がっていくものと期待できます。私は、県が県内企業によるLED等応用製品の開発を支援し、省エネや感染症対策ができれば県内産業の振興にもつながり、有効だと考えますが、いかがでしょうか。  このような省エネ、感染症対策、企業支援も併せて両立を図っていくこと、そして県が先頭に立って福祉、医療、保育、幼稚園、学校など公共性を持った施設や交通機関から順次整備をしていくことを強く要望し、一般質問を終わります。知事の明快な答弁をお願いいたします。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 52 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 53 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、県庁舎の省エネを目的とした設備の更新であります。これまで省エネ対策といたしまして照明、給排水、そして空調の設備更新を行ってきております。具体的に申し上げますと、照明設備につきましては、平成二十一年度から二十三年度にかけまして、ロビー、執務室、そしてトイレ等におきまして、消費電力量の少ないLED照明等に更新をいたしております。併せてトイレには人感センサーを導入したところであります。給排水設備につきましては、平成二十五年と二十六年度、両年度実施をいたしましたトイレの全面改修の際に、便器を節水型に替える、併せて手洗い器をセンサーつきの器具に替えたところであります。空調設備につきましては、平成二十二年度に二十四時間空調を行う必要のあります行政無線室、電話交換室、そして電気室におきまして、それぞれ消費電力量を抑える高効率空調機に更新をいたしたところであります。  次に、感染症対策の機能を備えた省エネ設備の導入についてでございます。こうした設備の更新に当たりましては、所定の性能を満たすことはもちろんのこと、費用対効果、安全性等のデータも比較をいたしまして、導入をする設備の検討を行っているところであります。お尋ねの滅菌効果があるとされております設備につきましては、人体への安全性がまだ十分に立証されてないと、そういった課題がございまして、現段階での導入というのは難しいのではないかと考えております。今後の開発状況、そしてそこでの安全性、その検証状況というものを注視をしてまいります。  次に、LED等製品の開発についての支援でございます。県におきましては、工業技術センター機械電子研究所にLED製品に用いるレンズや反射板の設計を支援する光学解析システム、また光の広がりや強さを分析する照明特性評価システムというものを整備をしておりまして、県内中小企業によりますLED製品の開発を支援してきております。これまで全体を均等に照らすことのできる看板用照明の開発、また光の広がりを抑えた省エネタイプの薄型天井灯など四件の製品の開発を支援してまいりました。現在滅菌作用のある深紫外線LEDなど新たな光源が注目をされております。照明器具以外の用途への広がりも期待されているところでございます。今後企業の要請に応じまして、こうした製品の開発についても、機械電子研究所、その持っております設備、技術、人材を活用して、その支援を行ってまいります。 54 ◯副議長(原中 誠志君) 塩川秀敏君。(拍手) *塩川議員質問 55 ◯五十一番(塩川 秀敏君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の塩川秀敏でございます。通告に従いまして、新型コロナウイルス禍における防災と人権についてただしてまいりたいと思います。  質問に入ります前に、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々、そして御遺族の方々に御冥福とお悔やみを申し上げるところでございます。また闘病中の方々の一日も早い回復を祈りつつ、そして経済の活性化と収束を願うところでございます。  コロナ禍は収束したわけではありません。梅雨期に入りまして、いよいよコロナ禍プラス自然災害というのが大きな課題であると思います。二十九年、三十年、そして昨年と、福岡県は三年連続豪雨の災害に遭遇しているところでございます。我が会派におきましても、代表質問で新型コロナウイルス禍の中で、自然災害が発生した場合にどのように対策するのかということを質問させていただきました。知事は、新型コロナウイルス感染症に対応した避難所運営マニュアルを作成し、五月に市町村に提示をし、その市町村がそれに対して、全市町村で完成したところであるという御答弁をいただきました。防災管理局が早い対応をしてくれたなと思っておりましたら、何と四月頃に国のほうから指示が来た。それでつくらせていただいたということでございましたので、ありがとうございましたと言おうと思いましたけれども、何でも国から指示があってするのかということで、やっぱりこういうことというのは、国の指示がなくても、当然先を読んで対応が考えられることであるというふうに思うところでございます。私は、その代表質問に少し踏み込んで、新型コロナウイルス禍における防災についてただしてまいりたいと思います。  まず一点目は、自主防災組織についてであります。平成三十一年四月現在、県の防災指導課の働きかけによりまして、県下全戸数の九三・六%、すなわち五千五百十三の自主防災組織ができております。大変心強いことでありますが、私は、現存の自主防災組織というのは、自然災害における防災訓練はなされていると思いますけれども、新型コロナウイルス禍のような感染症を想定した訓練というのはほとんどなされてないのではないかと想像するところであります。  そこで知事に伺います。万が一自然災害が発生した場合、現下の自主防災組織は十分な機能を発揮できるのか、一点。そしてまた、その機能を発揮するための対策が講じられているのか、この二点についてお答えをしていただきたいと思います。  次に、二点目でありますが、避難の在り方について伺いたいと思います。新型コロナウイルス禍における避難は、三密とかソーシャルディスタンスなどの対策を考えただけでも、今までのような体育館での一斉避難というのは到底考えられない状況にあると思います。どのような対策を講じてあるのか。そしてこの中で、特に私が心配しておるのは、新型コロナウイルス禍でございますので、車中泊というのがかなり増えてくるんじゃないかと、これに対してどのような対策を考えておるのかお答えいただきたいと思います。  最後に三点目は、災害時の避難行動要支援者対策であります。今年の四月現在で、市町村が算出した災害時の避難行動要支援者の数は、県下で二十一万八千六百五十九人おられますが、このうち個別避難の計画が策定されているのは、何と二三・五%、四分の一にも満たない五万一千九十五人であると聞いております。  そこで知事に質問でありますが、この個別避難支援計画の策定状況、すなわち二十一万八千余の中で二三・五%しかできてない、この策定状況についてどのように思われるのか聞かせていただきたいと思います。  また避難行動要支援者の皆様は、要介護認定者のお年寄りとか、あるいは障がいを持たれておって、体力的にも非常に虚弱な方で、基礎疾患を持っておられる方も多いのではないかと想像するところでございますけれども、まさに新型コロナウイルスというのは、生命の危機にも関係してきておりますので、この要支援者に対する避難の援助というのは、自然災害と違ってくるんじゃないかというふうに思うところでございます。特段の配慮が必要だと思います。  そこで知事に伺います。避難行動要支援者の避難所への誘導や、あるいは避難所での対応について、どのようにお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。  次に、大きな項目でありますが、新型コロナウイルス禍における人権対策についてただしたいと思います。知事は、六月五日の議案説明要旨で、五月十四日に非常事態宣言を解除できたことに対して次のように述べられております。これまで多くの県民、事業者の皆様に御理解、御協力をいただき、皆様の思いと行動がこの結果につながりました、感謝申し上げますと。また、最前線で奮闘いただいている医師、看護師をはじめとする医療従事者の皆様、様々な現場で社会を支えていただいている皆様に改めて敬意を表し、感謝を申し上げますと述べられておりました。このことにつきましては、率直にありがたく感じましたので、申し添えておきたいと思います。  併せて、私に配付された、皆さんのところにも配付されておると思いますが、十一回にわたる新型コロナウイルス感染症対策本部の会議の資料がございます。この資料を見る限り、知事は心休まる暇もなく、半年間になりますが、過ごしてこられたと察します。僣越ですが、知事をはじめ八十名近い対策本部関係職員の皆様に御慰労と感謝を申し上げる次第であります。ありがとうございます。  さて、本題の人権対策に入ります。私も新型コロナウイルス感染に関し、病院や医療関係者、また福祉施設とその従業員さんに対する、それと私たちの生活に欠かせない、いわゆるエッセンシャルワーカーと言われる方々に対する中傷や差別、偏見を耳にしてきました。コロナ禍の中で感染リスクを抱えながら、私たちのために仕事に従事されている方々に対する誹謗中傷、差別、偏見など言語道断であります。まさに人権問題であり、看過するわけにはいかないわけであります。  直近の第十一回福岡県新型コロナウイルス感染症対策本部の会議では、次のように結んでおります。新型コロナウイルスとの闘いは長丁場となり、この闘いに打ちかつか否かは、県民の皆様一人一人の意識と行動にかかっており、改めて地域の力と結束が問われます。誰もが感染するリスク、感染させるリスク、自分自身、家庭、周囲の人、地域と社会を守るために、気を緩めることなく感染症を防止する新しい生活様式の実践、そして徹底した感染防止の実施にしっかり取り組んでくださいと、こういうふうに県民に呼びかけているところでございます。何といっても、今回の新型コロナウイルス対策は、新しい生活様式の実践など、県民一人一人の意識と行動を基盤にするというものであると、私は思っています。県民一人一人がどんな意識を持って、どんな行動をするのか。この新しい生活様式を実践するかどうかは、これはまさに県民一人一人の行動規範に係る問題であります。  ここで私が申し上げたいのは、福岡県人権教育・啓発指針でも分かるように、人の行動規範は、その人の人権に対する知的理解や人権感覚に大きく左右されるという事実であります。今、県民の一人一人の意識と行動、いわゆる行動規範が問われる中で、行動規範づくりのために、人権に対する知的理解や人権感覚の情報がしっかり提供されているのか。ちょっと十一回を見る限り、あんまり強調されているようには見えないんです。言い過ぎかもしれませんが、対策本部の基盤とも言える人権、あるいは人権感覚が、対策本部で共通認識されているのか、私はいささか疑問を感じるのであります。また人権に対する知的理解、人権感覚の情報の徹底こそが、感染するリスク、感染させるリスクをなくし、新しい生活様式の実践や医療、福祉、そしてエッセンシャルワーカーの方々に対する誹謗中傷、差別、偏見などをなくすことへもつながると確信するのであります。  そこで知事に伺います。知事は、先ほども申しました議案説明の中で、コロナとの闘いに打ちかつかどうかは、県民の皆様お一人お一人の意識と行動にかかっており云々と、これまでの努力が水泡に帰することがないよう県民の皆様に御理解と御協力をお願い申し上げますと言われていますが、今までどんな人権対策を講じてこられたのか、またこれからどんな対策を考えておられるのかお聞かせ願いたいと思います。  同じ趣旨で、教育委員会にも伺いたいと思います。新型コロナウイルス禍の中で、二月二十八日の通達以来、三月二日から五月十七日まで、約二か月半学校は休みになりました。この間、児童生徒や先生方はいろいろな思い、取組の中で長い時間を過ごしてこられたと思います。詳細は抜きにしますが、世間の学校や教師に対する関心、評価は大きく変化し、私はいい方向に変化したんじゃないかと思っていますが、大きく変化し、学校や教師の役割を再認識されたのではないかと思います。この期間中、学校現場では人権に対してどのような取組がなされたのか、またこれからどんな取組をしようとされているのか、教育長の答弁を求めたいと思います。  以上、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 56 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 57 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  御質問にありました新型コロナウイルス禍における自主防災組織の機能でございます。県では市町村に対し、五月一日に新型コロナウイルス感染症に対応した避難所運営マニュアル、これを作成するための指針をお示しし、市町村においてはこのマニュアルを作成し、これに基づき避難所の確保、マスク、消毒液など感染症対策物資の整備を進めているところであります。  感染症に対応した避難所の運営でございますけれども、密接を避けるスペースの確保、室内の定期的な換気と清掃、避難者及びスタッフの定期的な健康状態の確認など、対策に万全を期す必要がございまして、運営を担う自主防災組織の役割はこれまで以上に重要になってくると、このように思っております。各市町村では、感染症が終息をしていない今、自主防災組織が参加する感染症対策を想定した訓練というものは実施することができておりませんが、八つの市町村におきましては、避難所運営を円滑に進めていくための役割分担と手順などにつきまして、この防災組織のリーダーと一緒にその確認を行ってきております。今後他の市町村におきましても、こうした八つの市町村で行われております役割分担、手順などの自主防災組織と一緒になった確認、その取組を実施していくよう強く促してまいります。  次に、避難の在り方についてでございます。先ほど申し上げました県の指針におきましては、避難所での三密状態を避けるため、住民に対しまして、自宅での安全確保ができる場合の在宅の避難、親戚、知人宅への避難、それからテント泊、車中泊など避難所以外の避難を検討するよう、あらかじめ周知を図るよう示しています。特に車中泊を行う場合には、安全な避難所の選定、移動中の安全確認、熱中症及びエコノミークラス症候群対策、これらについて十分な注意が必要となります。県におきましては、これらの注意点を呼びかける啓発チラシを新たに作成をいたしまして、市町村にその電子データを提供するとともに、県のホームページに掲載をし、広く県民の皆様に注意喚起を図っているところでございます。  次に、避難行動要支援者対策でございます。要支援者に対しましては、市町村が個別に避難支援計画を策定する必要があります。県におきましては、これまで市町村に対し計画の策定の手法を学ぶ研修、避難支援者を確保する先進事例の紹介、進捗管理のための定期的な市町村に対するヒアリングなどを行い、要支援者の同意、支援者の確保を増やすことによって、個別避難支援計画の策定が一層進むよう促してきたところであります。その結果でございます。今年四月現在、要支援者全体に対する計画の策定率は、議員御指摘のとおり二三・四%となってございます。前年度から四・九ポイント上昇をいたしております。とりわけ、個人情報の開示に御本人が同意をされた要支援者に対する計画の策定率について見ますと、今五二・八%と、前年度から七・三ポイント上昇してきたところであります。私自身、この策定率をできるだけ早く引き上げていきたいと考え、防災部局一緒になって取り組んできたところでありますが、今申し上げましたように、まだまだ厳しい状況にあるところであります。さらに計画の策定が進むようしっかり取り組んでまいりたいと思います。  次に、要支援者の避難時の対応でございます。支援者が要支援者を避難先へ誘導する際には、支援者、要支援者ともにマスクの着用、検温など感染防止対策を取り、要支援者の感染が疑われる場合には、速やかに医療機関等へ連絡や相談をする必要がございます。その旨市町村に対し注意喚起を促す文書を発出したところでございます。また県の指針によりますと、避難所に避難される場合には、市町村に対し一般の避難スペースとは別の専用スペースを確保すること、それから保健師等を派遣して健康状態を確認することなどについて十分な配慮をするよう求めているところでございます。そのことを申し添えます。  それから人権対策についてお尋ねがございました。国内における感染症の拡大に伴いまして、不安、偏見により感染者、医療関係者、社会的機能の維持に当たっておられる方々、そしてその御家族の皆様に対して誹謗中傷、あるいは差別的な対応といった人権侵害が起こっております。一方で、誰もが感染するリスク、またさせるリスクがあるということを、それぞれが実感することによって、行動の自粛、マスクの着用といった他人を思いやることを通じ、互いの人権を尊重し合う意識というものも高まってきたのではないかと思います。これまで県におきましては、差別を行わないよう県民の皆様に呼びかけるとともに、人権侵害を受けた方の相談窓口をホームページや県の広報紙等でお知らせをしてきております。また啓発ポスターを作成し、県庁、JRの駅などに掲示をさせていただいておりますし、医療関係者、社会機能の維持に当たる皆様に対する感謝とエールの気持ちを表すため、テレビやSNSなどを通じて啓発コマーシャルを流しているところであります。また私自身ラジオを通じまして、こうした方々への感謝の気持ちをお伝えし、そうした方々、そして御家族への心ない言動、また差別というものが絶対にあってはならない、そのことを強く呼びかけてきたところであります。今後は、今回の私どもの経験を生かして、自分の人権だけではなくて、他の人々の人権も大切にし、それを尊重するという考え方がより一層広まっていくよう啓発に取り組んでいきたいと思います。また来年度実施予定であります人権問題に関する県民の意識調査におきましては、新型コロナウイルスに関連して起きました人権侵害の問題についても調査を行いまして、その結果をその後の啓発にしっかり生かしていきたいと、このよう考えております。 58 ◯副議長(原中 誠志君) 城戸教育長。 *教育長答弁 59 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 新型コロナウイルス感染症と人権教育の取組についてでございます。各学校では、長期にわたった休業期間を通じて、家庭との連携を図り、児童生徒一人一人の状況を把握して不安や悩みに寄り添うなど、教職員が一丸となりまして児童生徒との信頼関係を築きながら支援に取り組んでまいりました。また、休業期間中の登校日や再開後の早い時期に人権問題に関する学習を実施し、感染者や医療従事者及びその家族などに対する偏見や差別があってはならないこと、感染症から自分を守ることが他者を守ることにつながることなど、児童生徒が正しい知識や理解を身につけるように取り組んでおります。県教育委員会では、こうした人権教育の推進を図るため、学校の休業期間と再開時に指導の留意点と学習教材や実践事例の情報を提供するなど、学校の取組を支援してまいりました。今後教員の指導力と人権感覚を一層高めるため、指導者用資料の作成や研修の工夫に努めてまいります。また、今回の新型コロナウイルス感染症の具体的な事例を基に、これまでの人権学習を工夫することによって、児童生徒が確かな認識と人権感覚を身につけ、自他の人権を守るための実践行動に結びつくような人権教育を推進してまいります。 60 ◯副議長(原中 誠志君) 塩川秀敏君。 61 ◯五十一番(塩川 秀敏君)登壇 大事なことと思いますので、二点要望を。  まず一点は、さっき申しましたように、これから梅雨の中で豪雨ということに直面する中で、今答えがありましたように、八市町村が今取り組んでおると。これではもう心もとないですので、さらに市町村の取組が進むように積極的に働きかけていただくと同時に、自主防災組織が、まだまだ組織率の低い市町村がございますね、僕が数字を挙げなくても。ここに対する取組も、ぜひ鋭意進めてもらいたい、これが一点。  二点目は、災害時における避難行動要支援者対策でありますけれども、これは、今のところやっぱり四分の一までもいっていない状況ですので、まず早く策定ができる状況をつくっていただきたいというふうに思うところでございます。私、昨年の九月の一般質問で、知事はとにかく早急に一〇〇%になるように取り組んでまいるというふうにお答えになっておりますが、現実の厳しさは分かりますけれども、これは実は二十四年から取り組んでいることでございまして、毎年二百万以上の予算を組んでいますから、もう大方二千万ははるかに超える予算を組んでいる中での結果でございますので、ぜひ市町村と積極的にタッグを組んで進めていただきたい。  結びになりますけれども、知事も聞き慣れているでしょうけれども、痛みとか、寄り添いとか、現場主義とか、生活者の立場でというふうに知事はおっしゃいますので、ぜひこういう方々のために、執行部と一緒になって取り組んでいただきたいということを要望して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 62 ◯副議長(原中 誠志君) 中嶋玲子君。(拍手) *中嶋議員質問 63 ◯十一番(中嶋 玲子君)登壇 こんにちは。民主県政クラブ県議団の中嶋玲子でございます。新型コロナウイルス自粛解除後の本県観光振興について質問をいたします。  世界的な新型コロナウイルス感染流行で、大勢の死亡者や罹患された方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。           〔原中副議長退席 栗原議長着席〕  先日来、北九州市においては第二波の兆候が見られ、全国的にいつクラスターなどの感染拡大が再発するか不安があり、いつまでたっても予断を許さないコロナウイルスであります。福岡県でもコロナ封じ込めに最大限の対策が取られてきたところでございます。この間、国民の日常生活の自粛による外出制限、学校の休校、イベントの中止、テレワークの推進、ほとんどの業種の店舗やサービス業の休業、公共施設の休館、公共交通機関の大幅減便で、旅行も外食もショッピングも、感染の恐怖から、今まで当たり前にやってきた生活は全て麻痺状態でした。かつて経験したことのない国民的な巣籠もりと言われた長い長い日々でございました。影響は日常生活のみならず、給与の減額、解雇、失業などにより生活困窮を招き、企業の中には倒産、廃業を余儀なくされ、ほとんどの分野の経済活動も大打撃を受けています。  国も県も、そしてそれぞれの自治体も、まずは命を守る、生活を守る、雇用を守ることが優先で対策を講じてこられました。本県でもコロナ対策のための三月補正、四月臨時議会での七百六億五千五百万円、また今議会での二百十三億九千二百万円、そして追加提案された一千四百四十五億五千九百万円の予算を確保し、給付や融資や対策などの支援をしていますが、未曽有の経営危機です。しかし、それらの支援により中小企業や個人事業者や農林水産業にとって倒産や廃業を免れたところもあると思われます。一方、家に籠もることに慣れてしまった国民は、なかなか以前のような経済活動に戻れないようで、自粛解除後も出控え、消費行動控えで、まだまだ飲食業やサービス業が経営再建できるには時間がかかりそうです。全ての業種で打撃を受けなかったところはないと思われますが、少しずつ回復の兆しが見えてくることを願います。  さて、先月、太宰府市長が会見され、太宰府市の観光客が対前年同月比で、三月は四十八万人減少で六六%の減、四月は六十四万人減少で九六%減という異常な落ち込みであることをニュースで知りました。映像で映し出された天満宮の参道を占める土産物店は閑散としていました。太宰府市は豊富な文化財や歴史を生かした観光が基幹産業でありますし、国内外からの大勢の観光客が押し寄せていました。観光が市政を大きく左右するわけです。太宰府市以外にも観光客や入り込み客によって左右される自治体は多くあります。  そこでまず一点目の質問です。本県の観光関連事業者や宿泊業者への新型コロナウイルス感染症による影響について、把握できている限りで現状をお尋ねします。  次に、本県の観光振興についてお尋ねします。国は平成十八年に観光立国推進基本法を制定し、法律に基づき新たな観光立国推進基本計画も策定しています。それに伴い、福岡県でも平成二十八年十月に観光王国九州とともに輝く福岡県観光振興条例を制定しました。この観光振興条例の趣旨を踏まえた第一次福岡県観光振興指針を平成二十九年七月に策定し観光振興に取り組んでこられました。そして、さらなる観光行政の総合的な振興を図るため、第二次福岡県観光振興指針を策定し、令和二年度、今年度から令和五年度までに計画的に推進されることになっています。  そこで二点目に、第一次観光振興指針の成果と、第二次観光振興指針の目指すもの及び重点施策についてお尋ねします。  特に今年度からスタートする第二次観光振興指針については、施策の柱として日本人の旅行者の需要よりインバウンドばかりに特化した施策の推進が目立ちます。確かに昨年のワールドカップ開催時には海外からの大勢の入り込み客で福岡もにぎわいを創出できたわけです。また今年予定されていたオリンピックパラリンピックにおいての海外からの観光、宿泊を見込んだ中で、インバウンド対応の環境整備や経済効果を重点的に組み込んだ第二次観光振興になっていることは理解できます。しかしこの指針の検討終盤であった三月初旬には、既に検討委員の中からはコロナの懸念は話題になっていたと思います。その時点で温泉宿泊はキャンセルが相次いで始まっていました。そして四月には緊急事態宣言が出されています。何よりそれ以前から韓国、中国からのインバウンドには陰りが見えていたにもかかわらず、米英欧豪からのインバウンドに期待しているという三月議会においての答弁でした。そもそも観光旅行や宿泊者に占めるインバウンドの割合は二割程度しかない中にあって、日本人の旅行者の需要よりインバウンドばかりに着目した施策の推進が目立つのが、この第二次観光振興指針であります。確かにインバウンドの客の消費額は大きいと思われますし、コロナ禍のこれだけの大流行は、当初予期しなかったことであり、海外からの観光需要は大きな柱であったとは思います。しかし今は事情が違います。五月十四日に非常事態宣言が解除され一か月がたった現在でも、まだ国内の人の動きは元に戻っていません。もちろん国際路線は再開していない中で、海外からの観光客はない状態です。当然今後の観光推進に当たっては、インバウンドどころではないわけです。停止状態の社会活動や経済活動を活発化させるために、早急になされるべきことは、外出への不安で萎縮してしまっている国民の不安を取り除き、安心して出かけられる環境整備をすることです。そのためにも、まずキャンペーン等をしながら、冷え込んでしまった経済下において消費需要の喚起、そして県民の観光行動の促進と国内旅行の推進を行うことが重要だと思います。どこの観光地も閑古鳥が鳴いている状態です。私の地元の観光運輸業の方は、三年前の豪雨災害を受けた上に、インバウンドの減少、またコロナ自粛でどの業者も仕事がないトリプルパンチを受けている、何とかバスだけは手放したくないが、時間の問題かなと言われた言葉に返す言葉もありませんでした。
     そこで三点目の質問です。以上述べたとおり、観光を取り巻く環境は、コロナ発生と感染拡大により大きく変化しました。そこで今やるべきことは、今年度からスタート予定の第二次福岡県観光振興指針の重点に位置づけられている戦略的なインバウンド誘客による観光消費額の拡大は先送りしてでも、国内での観光客誘致に力点を置くべきだと考えますが、知事の見解を求めます。  さて、私の地元朝倉市郡は、果樹や施設園芸農業と並んで観光が基幹産業であります。突然のコロナの発生で未曽有の打撃を受け、観光関連事業者やホテル、旅館業も瀕死の状態です。朝倉市は福岡県では一番の温泉湧出量を誇る原鶴温泉を有しています。二十年前までは二十七軒の旅館が営業しており、年間で三十七万人の宿泊受入れをしてきたものです。全国でも珍しい流し鵜飼いが有名であり、屋形船での鵜飼いショーや国際規格のパークゴルフ場整備で差別化を図り、滞在時間の延長に努力してきました。しかし現在災害でどちらもできない状況です。しかも追い打ちをかけるように、今回のコロナで現在十二軒ある旅館は全て休業でした。旅館業は県内どこも同じように、一晩でも営業すれば相当な固定費用がかかるため、予約のほとんどない状況では休業しかありません。  現在福岡県内には脇田温泉、博多温泉、二日市温泉、筑後川温泉、船小屋温泉、そして原鶴温泉と六つの温泉街に三十三軒の旅館、ホテルがあります。それぞれが五月や六月までの臨時休業を余儀なくされています。福岡都市圏のホテルなどはライブやイベント等が再開されれば、従来から宿泊施設が不足ぎみであることから、業績の回復は望めるものと思われます。しかし地方都市の旅館等の宿泊支援に早急な対応をしなければ、温泉地の消滅にもなりかねないと言えます。  観光需要は、近年団体旅行から少人数の個人へ、都市部から地方へと変化しつつあると言われています。また高額な海外旅行に長期間行く傾向にあったものが、最近はまた安近短に移行しつつあるとも言われています。ましてや長い自粛生活からのストレスもあり、どこかへ出かけたい人は大勢いると思われます。コロナ終息後の観光は、まず近場の地域内から、県内から、そして他県からの順で集客に取り組んでいく必要があります。  そこで四点目の質問です。四月には福岡県生活衛生同業組合連絡協議会からの要望や、五月にも福岡県旅館ホテル生活衛生同業組合からの要望書が、県にも提出されていると聞いています。それらも踏まえ、営業自粛や休業による観光関連事業者の体力回復について、具体的にどんな手だてを考えておられるのか。例えば平成二十七年に取り組まれたよかとこ旅行券などで国内旅行を喚起する必要があります。  そこで国の第一次補正や第二次補正予算を活用し、あらゆる業種も厳しい今回は、旅行のみならず、県内での買物、飲食、観光、宿泊などに幅広く使えるサービス券を発行するなどして、県内の消費需要を増やし、二か月にも及ぶ休業からの集客支援に取り組むなどの施策を早急に取り組むべきだと考えますが、知事の考えをお聞きし、質問を終わります。(拍手) 64 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 65 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、観光関連事業者への新型コロナウイルス感染症による影響でございます。先ほど議員は太宰府市長のお話に触れられましたが、国の宿泊旅行統計によりますと、三月の県内宿泊者数は、対前年同月比で、前の年の同じ三月と比べまして四一・三%の減少となっております。福岡県知事登録の旅行業者におきましては、二月から五月の四か月間で七社が、この新型コロナウイルス感染症の影響による事業の廃止を届け出ておられます。このように観光関連事業者は大変厳しい状況にあると、このように認識をいたしております。  第一次観光振興指針の成果と第二次の指針の重点施策についてお尋ねでございます。第一次の指針におきましては、観光を重要な産業と位置づけまして、まず観光資源の魅力の向上、それから受入れ環境の充実、効果的な情報の発信、観光振興の体制の強化、これら四つを施策の柱といたしまして、県を挙げて観光の振興に取り組んでまいりました。その結果、平成二十八年と昨年を比較いたしますと、本県への外国人の入国者数、これを見ますと一〇%増の二百八十五万人に、観光消費額は一二%増の一兆七百三十二億円になるなど、着実に成果を上げてきたところであります。一方で、外国人入国者について見ますと、韓国人と、そして中国クルーズ船への偏り、これが見られたわけでございます。外国人の旅行消費単価の減少もありました。また宿泊客の政令市への集中といった課題も見えてきたわけであります。こうした課題も踏まえまして、第二次指針におきましては、日本人旅行者も重要な市場と位置づけるとともに、欧米豪などをターゲットとしたインバウンド誘客による旅行消費額の拡大、それから旅行者の県内各地への来訪の促進、これらを基本方針として掲げさせていただいたところであります。現在感染症拡大の影響によりまして、県内観光産業は、先ほど申し上げましたように大変深刻な状況にございます。感染症の終息の状況を注視をしながら、終息後の観光需要をしっかり回復させていくため、第二次指針の下、旅館、ホテルなどが実施をします多言語表示、バリアフリーといった施設の整備への支援、訪日外国人向けの体験プログラム旅行商品造成に対する支援など、その事業効果というものを見極めながら実施をしてまいります。  国内からの観光客の誘致でございます。今後の観光というのは、先ほど議員も御指摘になりましたように、この感染症がありまして、三密を避けるという観点からも、自然豊かな地方部を少人数で観光するスタイルへと、その内容が変化していくものと考えております。そのため本県の豊かな自然や景観、伝統文化など、まだ十分に知られていない私ども地域の魅力や宿泊施設における安全、安心に関する取組というものを、県の内外の皆様にしっかり伝えていく必要があると思っております。今後コロナの終息状況に合わせまして、九州、全国、海外へと広がっていきます人の動きというものを的確に捉え、まずは九州、そして全国からの需要というものをしっかり取り込んでまいります。そしてインバウンドの誘客につきましては、国の入国規制が緩和をされ、本県への国際線直行便が再開をされた国、あるいは地域を中心に、まずは県内の観光情報の発信などSNSによりますデジタルでのプロモーション、これに取り組んでいきたいと、このように考えております。  次に、観光客を呼び戻すための支援策でございます。県内に観光客を呼び戻し、県内への宿泊を促していくことは県内周遊にもつながり、飲食、買物など消費の需要も喚起していくものと考えております。このため県におきましては、国が予定をしております大型キャンペーンに先行いたしまして、まずは県民を含む九州在住者を対象に、県内での宿泊や周遊を促す県独自の観光需要喚起策、これを実施していきたいと思っております。また旅行者の移動が全国的に可能となります八月以降は、国のキャンペーン効果を最大限に活用していくため、県独自の宿泊あるいはレンタカーの助成といった観光振興事業を実施してまいります。さらに体験、交流、滞在型の観光資源の開発など、先ほど申し上げました新たな観光スタイルにも効果が期待できそうな事業、そしてSNSを活用して、それらの情報発信事業にもしっかり取組を進めていきたいと考えております。 66 ◯議長(栗原 渉君) 中嶋玲子君。 67 ◯十一番(中嶋 玲子君)登壇 答弁をいただきました。一つだけ要望をさせていただきたいと思います。  私は、疲弊状態にある本県観光業の振興については、インバウンドに傾注することなく、インバウンド対応を先送りしてでも、早急に国内旅行を喚起し集客を図るべきであるとして、知事の見解と施策を尋ねたところでございます。これについては、先日茂木外務大臣はこう述べられました。外国人渡航を認めるのはビジネス目的を優先し、観光客はかなり先になるとのことを発言されました。また六月六日の西日本新聞で、九州観光推進機構の石原進会長の発言として、「観光再生は域内需要から」と大きく見出しに掲げられていました。石原会長は、まず必要なのは国内旅行の需要喚起だ、大分県、長崎県などは積極的な施策が目立つ、当面は九州内の旅行が鍵を握る、インバウンドの回復はその後になるだろうと述べられていました。当然知事も御覧になったと思います。また基礎自治体のある市においては、宿泊費助成費として市内宿泊施設での宿泊には三割以内、一泊上限三千円の補助を七千泊まで用意するという支援策を出しているところもあります。サービス券発行についての提案には答弁はいただけませんでしたが、福岡県としても四月の補正で宿泊割をクーポン購入できるようなもの、そしてまた今議会にもたくさんの支援策を予定して提案してあります。この補正が今議会で速やかに成立すれば、知事にも一刻も早くそれに応えるような施策を打っていただきたいと思います。まずは知事の素早い国内観光業への支援策を要望して、私の一般質問を終わりにいたします。  以上、ありがとうございました。(拍手) 68 ◯議長(栗原 渉君) 井上正文君。(拍手) *井上(正)議員質問 69 ◯十六番(井上 正文君)登壇 皆様、こんにちは。自民党県議団の井上正文です。通告に従い、医療関係従事者の方々への幅広い謝意の表し方について質問いたします。  新型コロナウイルス感染症は、今年の二月二十日に福岡県内で初めての感染者が確認され、三月末からは感染の拡大が続き、四月十一日には最多の四十三名の新規感染者の発生が確認されました。現在県内における新規感染者の発生数は少なくなっていますが、昨日の六月十四日までに延べ八百二十五名の感染を確認しています。この感染症は飛沫感染、接触感染で感染すると言われており、病院等の閉鎖された場所で、近距離で多くの人と会話するなどの環境では、せきやくしゃみなどの症状がなくても感染のリスクがあると思います。また一般的に肺炎などを起こすウイルス感染症の場合は、症状が最も強く現れる時期に、ほかの人ヘウイルスを感染させる可能性も最も高くなると考えられていますが、一方、新型コロナウイルスでは、症状が明らかになる前から感染が広がるおそれがあるとの専門家の指摘もあります。今回症状が見られない感染者も数多く確認されており、新型コロナウイルス感染症について、感染経路が分からない感染者の方が多数生じているということを踏まえますと、県民の相当数が気づかないうちに感染していると考えられます。  この間、本県の医療機関等においては、医療提供への高い使命感と勇気を持って、感染に気づいていない患者の感染リスクに接しながら診療に当たっておられます。また複数の医療機関等において医療従事者の方が感染した事例も発生している中、医療従事者の皆様は、新型コロナウイルスに感染された方に対し、感染の危険も顧みず、生死の最前線で治療、看護に携わっておられます。各医療機関は診療を続けるため全ての職種の方が一丸となって医療提供に取り組まれています。私たちは、ややもすると医師や看護師のほうに注目をしてしまいますが、医療機関には医師、看護師以外にも歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、放射線技師、臨床検査技師、栄養士、そして事務職員など様々な方が従事し、それぞれの現場で職務に携わっておられます。この四月からの感染拡大が一段落した今こそ、医療機関に勤務する様々な方に対し、取り急ぎ感謝の気持ちを表す時期だと考えます。同様の考え方からか、国においても第二次補正予算において、医療関係者への慰労金を創設すると聞いております。  そこで知事にお尋ねします。知事は、四月の臨時議会で新型コロナウイルス感染症患者の治療、看護に当たった医師や看護師などの医療従事者に十万円の支援金を支給すると表明されましたが、進捗はどうなっているのかお伺いします。  また県民全体で医療従事者の皆様を応援するため、新型コロナウイルス医療従事者応援金の創設も表明されましたが、こちらの現在の状況についてお伺いします。  さらに国の第二次補正予算における慰労金について、対象者や支給時期などはどうなっているのか、また国の慰労金と県の支援金の関係についてお伺いします。  さて、福岡県保険医協会の発表によると、新型コロナウイルスの影響で県内開業医の九割で外来患者が減少しているとのことです。地域の医療機関が経営難に陥り、地域医療に深刻な影響を与えることも危惧されております。この問題に関しても、今後真剣に考えていかねばならないと考えますが、まずは医療に従事する全ての方々に対して、できる限りの謝意を示していただきますことを強く願いまして、私の一般質問を終わります。(拍手) 70 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 71 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  医師、看護師など医療従事者の方々への支援金でございます。県におきましては、新型コロナウイルス感染症患者の治療、看護に携わっていただきました医療従事者に対しまして、応援、そしてまた感謝の気持ちを表すため、医療機関を通じてお一人一回十万円の支援金を支給することといたしております。この支援金でございますが、患者さんが入院をする医療機関または宿泊療養施設におきまして、三日以上患者さんの身体に直接接するなど治療、看護に携わっておられた医療従事者を対象として支給することといたしておりまして、今後医療機関にこの通知をし、支給手続を開始したいと、このように考えております。  新型コロナウイルス医療従事者応援金でございます。今申し上げました県の支援金の対象となりません医療従事者の皆様にも感謝や応援の気持ちを表すため、幅広く現在寄附を募っているところであります。六月十五日現在でございますが、一千百三十九件、一億八百五十二万四千円の寄附をいただいているところであります。またふるさと寄附金には八十六件、七百万二千円が寄附されているところであります。いただきました応援金、またふるさと寄附金につきましては、県民の皆様、また寄附をされた皆様をはじめ私どもの気持ちというものを添えて、患者の治療、看護に携わっておられる医師、看護師等医療従事者の皆様に応援金、あるいは支援金としてお渡しをさせていただくことといたしております。  次に、国の慰労金の対象とその交付時期についてお尋ねがございました。国の第二次補正予算に基づきまして、全国一律に医療機関の医療従事者や職員の方に対し、二十万円から五万円の支給を行います新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金というものが、追加提案をした補正予算に計上されているところであります。国からは医師、あるいは看護師だけではなく、薬剤師など医療従事者や事務職員の皆さんに対しても幅広く支給されると聞いておりまして、様々な職種の方へ感謝の気持ちを表すことができるのではないかと思っております。  その支給の時期や方法でございますけれども、現時点では、国のほうから明らかになっておりません。国がこれらを示した場合には、できるだけ早く支給をしたいと考えております。なお県の支援金につきましては、この国の慰労金とは別に、先ほど申し上げました医療従事者の皆様に、県独自の支給基準に照らして支給をさせていただきたいと、このように思っております。 72 ◯議長(栗原 渉君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 四 時  八 分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...