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令和2年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2020-03-18

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  1. 福岡県議会 2020-03-18
    令和2年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2020-03-18


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1    令和二年三月十八日(水曜日)    午 前 十 一 時 零 分 開 議 ◯井上順吾委員長 おはようございます。定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。  本日は、お手元配付の審査日程のとおり、第四款環境費、第五款生活労働費及び第六款農林水産業費の審査を予定いたしております。よろしくお願いいたします。  それでは、第四款環境費について説明を求めます。吉留環境部長。 2 ◯吉留環境部長 それでは、四款環境費につきまして御説明申し上げます。  お手元の令和二年度予算に関する説明書の百九十五ページをお開きください。  一項環境費でございます。その主なものについて御説明させていただきます。まず、右の説明欄の上から六番目、リサイクル推進費三億四千九百万円余でございます。これはリサイクル総合研究事業化センターの推進等に要する経費でございます。  次に、一枚めくっていただきまして、下の百九十七ページの説明欄の上から三番目、大気汚染防止費一億九百万円余でございます。これは大気環境の監視等に要する経費でございます。  続いて、一枚めくっていただきまして、百九十八ページの説明欄の上から二番目、環境衛生改善費五億三千二百万円余でございます。これは浄化槽の設置に対する助成費等でございます。  同じくその下、産業廃棄物対策費三億七百万円余でございます。これは産業廃棄物の不適正処理対策等に要する経費でございます。  続いて、百九十九ページの説明欄の上から三番目、自然公園費一億七千万円余でございます。これは自然公園の施設整備等に要する経費でございます。  最後に、一枚めくっていただきまして、一項環境費の総額でございますが、二百ページの一番下の計の欄に記載のとおり、三十二億七千七百万円余をお願いしております。  説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 3 ◯井上順吾委員長 説明は終わりました。  これより質疑を行います。質疑はありませんか。井上正文委員。 4 ◯井上正文委員 おはようございます。自民党県議団の井上正文でございます。  通告に従いまして、プラスチックの資源循環の促進について質問をいたします。  海洋プラスチックごみによる環境汚染が問題になっております。これを防ぐためには、使用済みプラスチックがポイ捨てなどにより海に入り込むことを防止することはもちろんですが、使い捨てプラスチックの利用自体を減らしていくことも重要と考えます。  そこでまず、海洋に流れ出たプラスチックごみが引き起こす問題についての見解を御説明ください。
    5 ◯井上順吾委員長 鐘ケ江循環型社会推進課長。 6 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 水路や川から海洋に流出したプラスチックごみは、波の力や紫外線などで細かく砕かれマイクロプラスチックとなり、海洋汚染とともに、吸着・含有した化学物質が食物連鎖等に取り込まれ、生態系に影響を及ぼすことが懸念されています。  こうしたことから、県としても、プラスチックごみが海に流れ出る前に対策を講じることが重要であり、ポイ捨て防止はもちろんのこと、海洋プラスチックごみのもととなる使い捨てプラスチックの利用自体を減らしていくことが重要と考えております。 7 ◯井上正文委員 使い捨てプラスチックを減らしていくことが重要とのことですが、県は使い捨てプラスチック削減に向け、どう取り組んでこられたのでしょうか。 8 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 本県では、平成八年度から、スーパーなどの事業者と協力いたしまして、毎年十月にマイバッグキャンペーンを行い、レジ袋の削減に取り組んでおります。昨年は二千八百五店舗に御参加いただき、過去最高の約三千七百七十五万枚のレジ袋が削減されたところでございます。  また、使い捨てプラスチック削減の機運を醸成するため、県職員の率先した取り組みといたしまして、昨年十一月から、県庁内の店舗に御協力をいただきまして、職員へのレジ袋配布の原則廃止などに取り組みまして、十一月の一カ月間でレジ袋約四万枚相当の使い捨てプラスチックが削減されております。 9 ◯井上正文委員 令和二年度の当初予算案において、プラスチック資源循環促進事業費が六千七百万円余計上されております。この中で、福岡プラスチック資源循環ネットワークを構築し、県民や事業者の使い捨てプラスチックの使用削減の取り組みを推進するとのことでありますが、新たに構築されるネットワークの目的、構成団体、そして具体的な取り組みはどのようなものでしょうか。 10 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 福岡プラスチック資源循環ネットワークは、使い捨てプラスチックの削減のため、プラスチック製品の製造、販売、消費などにかかわる幅広い関係者によって構成される推進組織であります。構成メンバーにつきましては、スーパーやコンビニ等の小売業、飲食業、プラスチック製品製造、卸業などの業界団体、県民団体、学識経験者、行政機関などを考えております。  また、このネットワークの活動指針を福岡プラスチック資源循環憲章として取りまとめ、構成団体に積極的な取り組みを促すとともに、県民、事業者が一体となって使い捨てプラスチックの使用削減に取り組むキャンペーンを実施したいと考えております。 11 ◯井上正文委員 新たに使い捨てプラスチックを削減するキャンペーンを行うとのことでございますが、これまでされていたマイバッグキャンペーンと、どこがどう違うのでしょうか。 12 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 マイバッグキャンペーンにつきましては、レジ袋削減の取り組みを小売店にお願いしていたものですが、新たなキャンペーンは、レジ袋だけでなく、広く使い捨てプラスチックの削減を図るとともに、県民の意識改革を目的とするものです。このため、飲食店などにも御参加いただき、使い捨てプラスチック全般の削減に係る取り組みをお願いすることとしております。参加店舗では、それぞれの実情に応じて、レジ袋、ストロー、弁当箱などの使い捨てプラスチックの削減や、従業員に対するマイボトルの持参推奨などを進めていただくことを想定しております。 13 ◯井上正文委員 新たなキャンペーンにおいては、レジ袋に限らず、使い捨てプラスチック全般の使用削減等に取り組むとのことでございますが、レジ袋以外の使い捨てプラスチックは非常に多種多様でございます。削減できる見込みはあるのでしょうか。 14 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 キャンペーンには、先ほど御説明いたしました福岡プラスチック資源循環ネットワークの構成団体を通じて、傘下の事業者の皆さんに呼びかけるなどにより、できるだけ多くの事業者の皆さんに御参加いただきたいと考えております。  あわせて、参加店舗には、業種や事業所の規模など、それぞれの実情に応じて実施可能な取り組みを進めていただくこととしており、レジ袋以外の使い捨てプラスチックについても一定の削減が見込めるものと考えております。  さらに、ネットワークの会議におきまして先進的な取り組み事例の紹介や表彰を行うことにより、取り組みの促進を図ってまいります。 15 ◯井上正文委員 使い捨てプラスチックの削減は、私たち県民の日常生活においても求められてきます。家庭から出てくる使い捨てプラスチック削減のためには、市町村の協力が必要だと考えますが、いかがでしょうか。 16 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 家庭における使い捨てプラスチックの削減のためには、家庭ごみを処理しており、日ごろからごみの減量化に取り組んでいる市町村の理解と協力を得て取り組むことが不可欠であると認識しております。このため、ネットワークには市町村にも御参加いただくことを考えており、使い捨てプラスチックの削減に向け、市町村とも十分に連携してまいりたいと考えております。 17 ◯井上正文委員 ただいま課長が答弁されましたように、使い捨てプラスチックの削減に向けては、多様な主体が取り組むことが必要だと思います。そうした連携の強化に向けた部長の決意を最後にお伺いいたします。 18 ◯井上順吾委員長 吉留環境部長。 19 ◯吉留環境部長 県では、これまで二十年以上にわたりマイバッグキャンペーンを実施しておりまして、県民の皆様の間にはかなり浸透してまいりました。けれども、今後はレジ袋だけではなくて、使い捨てプラスチック全般の削減を進めていく必要があると考えております。  プラスチックは軽くて丈夫、そして価格も安いということで、社会で非常に重要な役割を担っておりますが、プラスチックごみの問題を解決するためには、これらの使用を減らして、代替素材でつくられた製品への転換に向けまして、使い捨てプラスチック製品にかかわる事業者、市町村、消費者である県民の皆様の御理解と御協力を得ることが不可欠でございます。  このため、県としましては、関係者から成る福岡プラスチック資源循環ネットワークを設置いたしまして、取り組みの基本的な方針を定め、関係部局、市町村と十分に連携をいたしながらキャンペーンを実施しまして、県民や事業者の皆様の使い捨てプラスチックの使用削減の意識を高めて、その行動を促してまいりたいと考えております。 20 ◯井上正文委員 終わります。(拍手) 21 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑はありませんか。原田博史委員。 22 ◯原田博史委員 皆さん、おはようございます。民主県政クラブ県議団の原田でございます。  プラスチックごみが社会の大きな関心を集めるようになった背景には、これまで指摘されていたような石油資源の浪費や焼却処理によるCO2の排出といった問題に加えまして、大量のプラスチックごみが海洋環境に深刻な影響を及ぼすと同時に、生物濃縮を通じて人体への影響が懸念される事態となっていることが挙げられます。  さらに、世界中のプラスチックごみの処理をほぼ一手に引き受けていた中国が、二〇一七年十二月、輸入停止に踏み切ったことで、日本を初めとした多くの先進国で大量のプラスチックごみが行き場を失ったことが、問題の関心を一気に高めました。  今までプラスチックごみの海外輸出でしのいできた日本のリサイクルは、従来の発想を改める重要な局面を迎えて約二年半が経過しております。これまでもプラスチックごみの問題についてはさまざまな場面で質疑が交わされてまいりましたが、これまでの取り組みやその成果を再認識し、さらには今後の方針、方策についてたださせていただきたいと思います。  プラスチックごみへの重要なアプローチは分別、リサイクル、発生抑制にあると考えますが、今回は特にリサイクル、発生抑制に焦点を当ててお尋ねしていきたいと思います。先ほど井上委員からも質問がございました。問題意識は同じだと思いますので、なるべく質問がかぶらないような形で進めさせていただきます。  それでは、通告に従いまして、プラスチックごみ問題について質問をさせていただきます。  まず初めに、廃プラスチックの総排出量、有効利用量の推移、そしてリサイクル認定製品の販売実績の推移について、資料要求をさせていただきたいと思います。事前にお話をさせていただいておりますので、委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。 23 ◯井上順吾委員長 お諮りいたします。  ただいま原田委員から要求がありました資料を、委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 24 ◯井上順吾委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま原田委員から要求がありました資料については提出できますか。鐘ケ江循環型社会推進課長。 25 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 直ちに提出させていただきます。 26 ◯井上順吾委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 27 ◯井上順吾委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 28 ◯井上順吾委員長 資料が配付されましたので、原田委員、質疑を行ってください。 29 ◯原田博史委員 それでは、今、配付されました資料の一番目、廃プラスチックごみの総排出量と有効利用量の推移の説明をよろしくお願いいたします。 30 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 この資料は、国内における廃プラスチック、いわゆるプラスチックごみの総排出量及び有効利用量の最近五カ年の経年変化を掲載したものです。  プラスチックごみの総排出量は、最近五年間は九百万トン前後で推移しており、平成三十年は八百九十一万トンとなっております。また、有効利用量、いわゆるリサイクル量につきましては、七百六十万トン前後で推移しており、平成三十年は七百五十万トンで、リサイクル率は約八四%となっております。 31 ◯原田博史委員 プラスチックごみのリサイクル率は、全世界平均で一四%。二〇一四年、最初のレジ袋消費削減指令を出すなどの厳しい規制がかけられた欧州連合──EUでも、平均でまだ三〇%に至っておりません。リサイクル率を高めることが、問題解決に大きく寄与することは間違いないと思います。  プラスチックのリサイクルでは先進国であると信じられてきた日本でありますけれども、現実はそうでもありません。先ほど八四%という御説明がありました。この八四%は、世界でもトップクラスと言われてまいりました。しかしながら、燃やして火力発電やセメント製造の熱源として利用するサーマルリサイクルが五六%を占めております。ちなみに、このサーマルリサイクルという言葉は和製英語で、日本でしか通用いたしません。また、CO2の増加要因となることから、パリ協定ではリサイクルとは位置づけられておりません。日本はこのサーマルリサイクルからマテリアルリサイクルに転換しなければなりません。  さて、中国のプラスチックごみの輸入停止により、今までプラスチックごみの処理やリサイクルを海外輸出でしのいできた日本は、プラスチックごみが行き場を失い、処理に支障を生じているとお聞きしております。  また、サーマルリサイクルの主な行き先であるセメント産業は、古くから廃棄物を燃料などの補助材として利用してきた実績がありますけれども、セメントそのものの内需は一九九〇年、そして生産量は一九九六年をピークに大きく減少し、廃棄物の受け入れは頭打ちとのことであります。結果として、産業廃棄物処理業者の処理能力を超えた受け入れや過剰保管、また行き場を失ったプラスチックごみが不法投棄される可能性も否定はできません。  まずは、本県における現状についてどのように認識されているのか、また、適正処理に向けた取り組みについてお答えいただきたいと思います。 32 ◯井上順吾委員長 迎田監視指導課長。 33 ◯迎田監視指導課長 本県では、日ごろから、産業廃棄物処理業者の処理施設への立入検査や県内各地のパトロールを定期的に実施しておりまして、不適正処理の防止に努めております。その結果、これまで、中国やその近隣諸国による廃プラスチックの輸入規制の影響による処理料金の増嵩はあるものの、処理施設における廃プラスチックの保管量の大幅な増加や不法投棄などの不適正処理の事実は認められておりません。  しかしながら、委員御指摘のとおり、今後、県内での廃プラスチックの処理が逼迫することも想定されます。このことから、処理能力を超えた廃棄物の受け入れや過剰保管が行われることのないよう、廃プラスチックの破砕、選別、圧縮、こん包などを行う中間処理業者に対する立入検査を強化するとともに、監視の頻度を高め、不適正処理の早期発見、早期是正に努めてまいります。  県といたしましては、こうした立入検査や監視指導を着実に実施することにより、廃プラスチックの不適正処理、不法投棄の防止にしっかりと取り組んでまいります。 34 ◯原田博史委員 国内でのプラスチックごみの処理推進がさらに求められる中で、対策として、環境省は二〇一九年に緊急措置として、各市町村の処理設備における廃プラスチック類の受け入れを各市町村に促す旨を公表いたしました。しかし、報道によれば、処理する能力がそもそもない、または、住民への説明や合意が必要などを理由に受け入れに難色、慎重姿勢を示すケースも多く見られると聞いております。  そこで、現在、県下の各市町村において受け入れた実績や、事業者からの受け入れ打診があるのかどうか、そのことについてお答えください。 35 ◯井上順吾委員長 山口廃棄物対策課長。 36 ◯山口廃棄物対策課長 本県では、環境省の要請に基づきまして、昨年五月に、焼却施設を有する県内全ての自治体と一部事務組合に、産業廃棄物の廃プラスチックの受け入れについて検討するよう求めたところでございます。  先般、改めてこれらの団体に聞き取り調査を行ったところ、受け入れ実績につきましては、糸島市から、農業用廃ビニールを受け入れたという回答がありましたが、事業者からの受け入れの打診については、いずれの団体も受けていないということでございました。 37 ◯原田博史委員 それでは、県下の市町村、現在、可燃ごみ処理施設が三十六施設稼働しております。しかし、その中で二十年を超える老朽化施設も多く存在しております。将来、緊急措置として受け入れる必要が生じた場合の備えとして、施設の改修や改築を考える必要もあると思いますが、財政措置を含めた本県の対応について、どのようにお考えになっているのかお答えください。 38 ◯山口廃棄物対策課長 自治体や一部事務組合によるごみ処理施設整備に対する財政支援といたしましては、国の補助制度でございます循環型社会形成推進交付金がございます。この交付金を受けるためには、市町村や一部事務組合は、リサイクルの目標値、施設整備のスケジュール等を定めた循環型社会形成推進地域計画を策定する必要がございます。このため、本県では、自治体や一部事務組合がこの計画を策定する際に、技術的助言を行っているところでございます。  あわせて、計画に沿った施設整備が行えるよう、この交付金の必要額の確保について国へ要望も行っているところでございます。今後も、この必要額の確保についてはしっかり要望していきたいと考えております。 39 ◯原田博史委員 これまでお答えいただいた答弁では、中国など外国の輸入禁止措置により、本県で廃プラスチックの処理が滞っていないということでございましたが、廃プラスチックの処理につきましては、今後、県内での処理が逼迫することも想定されるというお答えもございました。本県でもいつどういう状況になるかわかりませんので、そのときに慌てずに対応できるよう、市町村などの施設整備のための支援をしっかり取り組んでいただきたいと思います。  次に、廃プラスチック問題の解決のための重要な取り組みの一つであります、ごみのリサイクルへの取り組みについてお尋ねいたします。  プラスチックごみのリサイクルの促進のためには、回収の促進や技術開発だけではなく、リサイクルしたものの販路拡大が必要です。本県には、建設土木資材等を対象にしたリサイクル製品認定制度と、日用品を対象とした県産リサイクル製品認定制度の二つの制度があるとお伺いしております。  先ほど資料請求をさせていただきました、二枚目ですけれども、それぞれの販売実績の推移について御説明をお願いいたします。 40 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 まず、建設土木資材を対象といたしましたリサイクル製品認定制度ですが、公共工事において利用される路盤材や建設汚泥改良土などがありまして、平成十九年度以降、販売総額は順調に増加し、この数年は二百十億円を超える額で推移しております。  次に、日用品等を対象とした県産リサイクル製品認定制度ですが、平成二十七年度に制度を創設して以降、販売総額は順調に増加し、平成三十年度には十億円を超えたところです。 41 ◯原田博史委員 どちらも販売実績は伸びているとのことですが、まだまだ販売拡大の余地は残されているのではないかと思います。リサイクル製品の利用促進に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、お答えいただけますでしょうか。 42 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 建設資材などのリサイクル製品につきましては、一定の基準を満たした製品について、関係部局と連携し、県発注の公共工事において新材製品に優先して利用するなど、利用促進を図ってきており、今後とも引き続き関係部局としっかり連携し、一層の利用促進を図ってまいりたいと考えております。  また、市町村の公共工事発注部局へも利用促進の働きかけを行っているところでありまして、引き続き利用拡大に努めてまいりたいと考えております。  また、日用品などの県産リサイクル製品の利用促進のためには、認定製品の種類や品目数をさらにふやすことや、県などによる率先利用の推進のほか、主なユーザーとなる事業者や県民の皆さんへのさらなる周知が不可欠です。このため、平成二十九年度から、県内の事業者を県産リサイクル応援事業所として登録し、県産リサイクル製品の積極的な販売、利用に取り組んでいただいております。  また、昨年度、県産リサイクル製品の愛称に決定した「ふくくる」も活用し、今後ともさまざまな機会を捉えて、県民への周知を図ってまいりたいと考えております。 43 ◯原田博史委員 ありがとうございました。本県においては、福岡県リサイクル総合研究事業化センターにおいて、プラスチックごみについてもリサイクル技術の研究開発を行い、その事業化を進めているとお聞きしております。  前述もいたしました、きのう、ガイアの夜明けでも放送されておりましたが、プラスチックごみのリサイクルは全世界で一四%、これを五〇%まで上げると、約七兆円の経済効果があると放送の中でも言われておりました。つまり、新しい技術や製品の開発は今後大きな市場、産業に発展する可能性も秘めているということになります。販売促進も当然大事でありますが、研究開発のほうもぜひ力を入れていただきたいと思います。  プラスチックごみの問題解決はリサイクルだけでは困難であり、冒頭で指摘させていただきましたとおり、発生抑制も重要なアプローチであります。発生抑制のためには、プラスチックが広く県民の皆さんに使われていることを考えますと、まず、県民の皆さんへの啓発が重要と考えます。これにつきましては、先ほど、井上委員からの質問に対しての答弁がありましたので、私からは視点を変えて質問させていただきます。  発生抑制に向けた重要なアプローチは、県民の皆様への啓発に加え、石油由来のプラスチックから、石油以外の原料で製造された製品が普及することが考えられますが、県では、代替製品への転換について今後どのようにお取り組みされるつもりなのかお答えください。 44 ◯鐘ケ江循環型社会推進課長 代替製品への転換につきましては、関係団体、県民、行政で新たに設置する福岡プラスチック資源循環ネットワークにおきまして、再生材、バイオマスプラスチック等のプラスチック代替品の利用促進を基本的な取り組み方針の一つとして位置づけるとともに、先進事例の紹介や優良事業者の表彰を行うなどして、事業者の自主的な取り組みを促進したいと考えております。  また、使い捨てプラスチック全般の使用削減を目的に、新たに実施する福岡プラごみ削減キャンペーンにおきましても、代替品への切りかえを取り組みメニューの一つとし、例えば、飲食店での紙製ストローへの切りかえなどに取り組んでいただき、事業者や県民の意識の醸成を図ってまいりたいと考えております。  さらに、福岡県環境保全施設等整備資金融資制度の対象に、バイオマスプラスチックを原料とする製品の製造施設の整備を新たに追加し、バイオマスプラスチック製品を製造する事業者を支援することとしております。  これらの取り組みにより、プラスチック代替品への転換を図ってまいりたいと考えております。 45 ◯原田博史委員 少し長くなりました。申しわけございません。最後の質問になります。  回収リサイクルに関するシステムづくりは、産業界、流通業界、消費者の協力なくしては成立いたしません。環境保護と持続可能な経済成長を両立させるため、アメリカに続いて第二位のプラスチックごみの排出国である日本は、今後、国際社会で模範的な役割を求められていくのだろうと思います。福岡県は、その問題の先頭に立って頑張っていただきたいと思いますので、最後になりますが、プラスチックごみの問題解決に向けた部長の決意をお伺いして終わりたいと思います。 46 ◯井上順吾委員長 吉留環境部長。 47 ◯吉留環境部長 プラスチックごみの問題を解決するためには、使用済みプラスチックの不法投棄などの不適正処理の防止、リサイクルの推進、発生抑制の取り組み、この三つが必要でございます。本県では、日ごろから、産業廃棄物の中間処理業者に対する立入検査、あるいは県内一円の監視パトロールを実施しておりまして、今後ともこれらを実施することによりまして、不適正処理の防止、不法投棄の防止に努めてまいりたいと考えております。  また、プラスチックごみの発生を抑制するためには、委員御指摘のとおり、マテリアルリサイクルの推進によるプラスチックの資源循環体制の構築が不可欠でございます。このためには、県民や事業者の方々にリサイクル製品を知っていただきまして、それを使用していただくことが重要であります。そのため、建設土木資材と日用品、この二つのリサイクル製品認定制度を活用いたしまして、その利用促進を図ってまいります。  さらに、プラスチックごみの発生抑制を推進するために、来年度、福岡プラスチック資源循環ネットワークを新たに設置いたしまして、事業者、県民、行政を挙げてプラスチックごみの削減キャンペーンを実施することにより、代替品への転換など、使い捨てプラスチック削減の取り組みを進めてまいります。  こうした取り組みを着実に実施していくことによりまして、プラスチックごみ対策にしっかり取り組んでまいります。 48 ◯原田博史委員 ありがとうございました。(拍手) 49 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑はありませんか。古川忠委員。 50 ◯古川 忠委員 たびたび出ますが、真政会の古川です。  委員長におかれましては、昨日であるべきところをきょうまで延ばしていただき、質問の時間を十分にとっていただいて大変ありがたいと思っております。感謝申し上げます。  一週間前、西日本新聞に、「菱熱が省エネビル化事業」と。いわゆるネット・ゼロ・エネルギー・ビル、ZEB事業といいますが、その記事が載っておりました。今ごろ何をやっているのかというのが、これを見ての私の感想です。こんなものは今ニュースになってはおかしいぐらいで、もっと早くやっておかなくてはいけなかった事業だと、私は感じました。  というのも、たまたまですけれども、私は十二年前にドイツのフライブルクに同僚議員三人で環境問題の視察に参りました。そこでは既にパッシブ技術を利用した、これもZEB事業といいましょうか、いわゆる家庭の消費エネルギーを削減して、なおかつエネルギーをほかのものが補って、完全なゼロエミッションにするような取り組みが進んでいたんです。それから十数年たってこの記事を見て、まさに日本はCOPにおいて化石賞をいただく国だなと、大変残念な思いがしておりまして、きょうはそのことについて質問させていただきたいと思います。  環境部におかれましては、家庭の省エネについては随分力強く、長くやってこられました。いろいろな施策を打っておられまして大変評価します。そういう意味では、まず、県の地球温暖化対策の実行計画について、家庭部門の省エネとその目標、達成状況についてお尋ねしたいと思います。 51 ◯井上順吾委員長 野中環境保全課長。 52 ◯野中環境保全課長 本県が平成二十九年三月に策定しました地球温暖化対策実行計画では、二〇三〇年度の温室効果ガス排出量を二〇一三年度比で二六%削減するという目標を掲げております。この目標を達成するため、家庭における目標として、一世帯当たりの二酸化炭素排出量を四一%削減する目標を設定しております。また、この削減目標を達成するため、エネルギー消費量については、一世帯当たり二〇%削減を目安として示しております。  県内家庭一世帯当たりの排出量は、直近データの二〇一六年度に二〇一三年度比で二五・四%削減、エネルギー消費量では八・七%削減と、いずれも削減が進んでおりますが、近年の猛暑の影響等によりこの削減ペースが低下する懸念もございますので、目標達成に向けてさらなる取り組みの促進が必要と考えております。 53 ◯古川 忠委員 各家庭でやっていただくことですから、なかなか難しい面もあると思いますが、地道な御努力をなさっていると思います。  しかしながら、本当に地球温暖化は、極限といいましょうか、大変な災害も出ておりますし、差し迫った問題になっております。そういう中で、家庭で多少省エネしても、なかなかそう簡単にいくものではありません。そういう意味では、社会の構造はもちろんでございますけれども、各ビル、各家庭のいわゆる住宅、そういうところで、ここにありますZEBみたいなことを考える必要があるのではないかという認識を私は持っております。
     そしてまた、環境部が出された福岡県地球温暖化対策実行計画の政策の中にも、高効率設備の導入や再生可能エネルギーの活用により、エネルギー使用量を実質ゼロにするZEB、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの普及啓発を行いますと、こう載っているわけです。  そこで、質問でございます。いわゆる省エネ、特にZEB、パッシブハウス、これについて、環境部としてはどのような認識を持っているのか、改めてお尋ねしたいと思います。 54 ◯野中環境保全課長 家庭における地球温暖化対策として、環境部では、省エネや省資源など地球環境に優しい活動を支援するエコファミリー応援事業を行っております。家庭での省エネを進めるためには、このような事業を通じまして、電気の無駄遣いをしないことや省エネ機器への切りかえを啓発していくこととあわせまして、委員御指摘のとおり、高い省エネ機能を有する住宅の普及を促進していくことが重要であると認識しております。  特に、住宅の断熱化や高効率設備の導入、再生可能エネルギーの活用等によりまして、エネルギー使用量を実質ゼロにする住宅の普及は、家庭の温暖化対策を進める上で大きな効果が見込まれます。  また、委員御提案のパッシブハウスなど、海外で始まった先進事例につきましても、情報収集を行っていく必要があると考えております。 55 ◯古川 忠委員 ビルの場合、二千平米以上には経産省、二千平米以下のいわゆる一般住宅には環境省の助成制度もありますよね。そういう中で、もっと進めるべきだと思っております。全国的には二百数十カ所あるようには聞いていますけれども、恐らく県では、これが新聞に載るぐらいですから、余りなかったのではないかなと思いますし、県の取り組みが多少おくれているのではないかという危惧すら持っております。  そういう意味で、今お話がありましたけれども、ZEBですとかZEHというものをこれから促進するために、環境部では具体的にどのような事業を考えているのか、もしくはこれから行おうとしているのか、そのことをお尋ねしたいと思います。 56 ◯野中環境保全課長 環境部では、専門家を事業所に派遣する省エネ診断や、今、委員からお話がありました、省エネ機器導入のための国の補助金活用を促す業種別講座のほか、昨年度からは、企業のトップに省エネの重要性やメリットを認識していただくために、経営者向け省エネ講座を実施しております。これらの事業の中でZEBやZEHといった建築物の省エネ対策についても説明を行っておりますが、その内容は、工場などの製造業や運輸部門、事務所などの業務用建築物を対象とした省エネの取り組みが中心となっておりまして、住宅に特化した研修会は現在行っておりません。 57 ◯古川 忠委員 確かにいろいろな費用がかかると思います。特に、一般家庭となりますと、それだけの費用の重みがあるだろうと思います。しかしながら、長い目で見ればある意味ではプラスになるかもしれませんし、また、環境に熱心な方で、取り組もうという方が出てくるかもしれません。そういうモデルが近くにできれば、多分進むだろうと私は思います。  そういう意味で、国の責任も大きいと思いますけれども、私は、こういうものに対しての何らかのインセンティブが必要だと思います。例えば、ドイツの場合は、三〇%削減する住宅については補助金をちゃんと出す。そして、転売する場合は、それがプラスになる。そういう制度をちゃんと設けています。これは各都市でやっているんですね。日本の場合は、国全体としてそういうものがないと、なかなか県単独では難しいかもしれませんけれども。  そういうものを今からやっていかなくてはいけないのではないかと。家庭の一人一人の省エネも大事ですけれども、地域全体として、そういう取り組みをこれから進めるべきだと。幸い、国もそこに目を向けているのですから、県もそういうことをぜひ考えていただきたいと思っております。  そのためには、環境部だけではなかなか難しい面があります。商工部もあるでしょうし、特に建築都市部の関係もあるでしょう。いろいろな部署がやっぱりタッグを組んで、本当の意味で、差し迫ったこの気候変動に対処していただきたいと思います。  そういう意味で、もう一言、どうこれから考えるか答弁を願いたいと思います。 58 ◯野中環境保全課長 家庭におきます省エネ対策は、地域における地球温暖化対策の重要な柱でございまして、省エネ意識の向上を促す普及啓発事業とあわせまして、委員御指摘のとおり、省エネ型の住宅の普及促進に一層取り組む必要がございます。  このため、県としましては、高い省エネ機能を有する住宅などの導入が、国の補助金制度も活用しながら、進みますように、先ほど答弁しました業種別の省エネ講座に、住宅を初め建築物をテーマとした講座を設け、ZEBやZEHなどの導入促進に努めてまいりたいと考えております。  また、開催に当たりましては、建築都市部を初め、関係課とも連携しまして、住宅の設計会社や建築会社にも参加を呼びかけ、これらの事業者を通じて、住宅建築を予定しておられる県民の方々に省エネ住宅のメリットや補助制度などの具体的な情報が届きますように、講座の内容について工夫してまいります。  また、県と福岡県地球温暖化防止活動推進センターで共同運営しております、ふくおかエコライフ応援サイトなどのホームページを通じた情報発信もあわせて行ってまいります。  このような取り組みを通じまして、高い省エネ機能を有する住宅の普及を促進することにより、県の実行計画で定めた温室効果ガス排出量の削減目標実現に向け、家庭における地球温暖化対策を推進してまいります。 59 ◯古川 忠委員 せっかく温暖化対策実行計画に載っているわけですから。その割には余りやっていなかったのではないかというのが、実を言うと私の感想です。本来でしたら、きょうの委員諸君にも、この私の行政視察レポートを見ていただきたかったんですが、お配りする時間がありませんでした。もし御興味があったらぜひ読んでいただきたいと思います。いかに日本の環境政策がおくれているかがわかると思います。 60 ◯井上順吾委員長 古川委員、申しわけありません。新聞の切り抜き、冊子等、事前に理事会で諮っておりますので、よろしくお願いします。 61 ◯古川 忠委員 わかりました。では、質問を終わります。どうぞよろしくお願いします。(拍手) 62 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 63 ◯井上順吾委員長 ないようですので、以上で第四款環境費に関する質疑を終わります。  この際しばらく休憩します。再開は午前十一時五十五分といたします。    午 前 十 一 時 四 十 五 分 休 憩    午 前 十 一 時 五 十 四 分 再 開 64 ◯井上順吾委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き、議事を進めます。  次に、第五款生活労働費について、順次、説明を求めます。山田人づくり・県民生活部長。 65 ◯山田人づくり・県民生活部長 人づくり・県民生活部でございます。どうかよろしくお願いいたします。  五款生活労働費のうち、人づくり・県民生活部所管分について御説明いたします。令和二年度予算に関する説明書の二百三ページをお願いいたします。  一項県民生活費でございます。その主なものは、一目県民生活総務費の右側の説明欄一番上の職員費でございます。  一枚おめくりいただきまして、二百五ページをお願いします。二項県民生活対策費でございます。その主なものは、右側の説明欄上から八番目、スポーツ推進費でございます。これは、福岡県スポーツ推進基金の創設等に要する経費でございます。  一枚おめくりいただきまして、二百六ページをお願いいたします。一項県民生活費の総額は、一番下の計欄に記載しておりますとおり、九十一億六千九百万円余でございます。  説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 66 ◯井上順吾委員長 神代福祉労働部長。 67 ◯神代福祉労働部長 おはようございます。引き続き、五款生活労働費のうち、福祉労働部所管分について御説明申し上げます。令和二年度予算に関する説明書の二百七ページをお願いいたします。  二項福祉企画費でございます。主なものは、一目福祉総務費の右側、説明欄上から三段目、福岡県総合福祉施設運営費でございます。これは、クローバープラザの管理運営や施設整備に要する経費でございます。二項の総額につきましては、二百九ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、三十四億八千六百万円余でございます。  下の三項児童家庭費でございます。主なものは、二百十二ページをお願いいたします。二目児童措置費、説明欄の上から二段目、保育給付費負担金でございます。これは、保育所や認定こども園等の運営に対する県負担金等でございます。総額につきましては、二百十五ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、五百九十七億六千七百万円余でございます。  下の四項障がい者福祉費でございます。主なものは、二百十八ページをお願いいたします。三目障がい措置費、説明欄の一番上、障がい者援護措置費でございます。これは、障がい福祉サービスに係る自立支援給付費の県負担金等でございます。総額につきましては、二百二十ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、四百六十六億四千六百万余でございます。  下の五項生活保護費でございます。主なものは、二百二十二ページに飛びます。二目扶助費、説明欄の上段、生活保護費でございます。これは、町村の区域における生活保護に要する経費でございます。総額につきましては、計欄にありますとおり、三百三十二億二千三百万円余でございます。  下の六項社会福祉費でございます。主なものは、下の二百二十三ページ、二目子ども等医療対策費の説明欄にあります、子ども、重度障がい児者、ひとり親家庭等の三つの医療対策費でありまして、これは、それぞれの医療費について一定部分を県費で助成するものでございます。総額につきましては、二百二十六ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、百五億三千五百万円余でございます。  下の七項労働企画費でございます。主なものは、一目労働総務費、説明欄の下から二段目、中小企業労働力確保対策費でございます。これは、求職者が中小企業へ就職する場合の支援等に要する経費でございます。総額につきましては、二百二十九ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、十七億七千二百万円余でございます。  二百三十ページをお願いいたします。八項職業訓練費でございます。主なものは、下の二百三十一ページ、二目職業訓練費、説明欄の上から三段目、職業訓練費でございます。これは、高等技術専門校における職業訓練費等でございます。総額につきましては、二百三十二ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、三十九億三千五百万円余でございます。  下の二百三十三ページ、九項失業対策費一目雇用促進費は、三億二千九百万円余でございます。主なものは、説明欄の一番下、中高年齢者等雇用促進費でありまして、これは、七十歳現役応援センターの運営等に要する経費でございます。  説明は以上でございます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 68 ◯井上順吾委員長 武田労働委員会事務局長。 69 ◯武田労働委員会事務局長 おはようございます。それでは、労働委員会事務局所管分について御説明申し上げます。引き続き、予算に関する説明書の二百三十四ページをお願いいたします。  十項の労働委員会費は、一枚おめくりいただきまして、二百三十六ページの計の欄に記載しておりますとおり、二億三千七百万円余をお願いいたしております。これは、委員報酬や事務局職員の人件費など委員会運営に要する経費でございます。  説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 70 ◯井上順吾委員長 説明は終わりました。  これより質疑を行います。質疑はありませんか。松尾嘉三委員。 71 ◯松尾嘉三委員 自民党県議団、松尾嘉三でございます。  東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向けた地域の活性化について質問をさせていただきます。  現在、WHOからパンデミック宣言がなされ、新型コロナウイルスが世界中に蔓延しつつある状況でございますが、そのことも踏まえ、お尋ねいたします。  昨年のラグビーワールドカップにおきまして、委員の皆様や福岡県の御協力により、私の地元春日市では、カナダ、フランス、アイルランドのキャンプを受け入れさせていただきました。キャンプを行っていただいた国々が試合を行うたびに春日市民挙げての盛り上がりに、スポーツの力というものを改めて実感させられております。  当時、市は一般のサポートボランティアの方々を九十三名も集めまして、キャンプに訪れた外国人選手たちやメディアに、まちのPR、交流イベントを通して、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに先立ち、日本人のすばらしきおもてなしの精神を世界中にPRすることができました。そのことは現在の春日市民の皆様の心の中にもレガシーとして強く印象づけられておる次第でございます。  福岡県におかれましては、二〇一九年のラグビーワールドカップに引き続き、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックにおきましても、キャンプ地誘致を行って頑張ってある市町に対して、何かしらのレガシーとして残していただけるような御支援をお願いしたいものでございます。  そこで、質問させていただきます。まずは、現在の、新型コロナウイルスが世界中に蔓延しつつある現状を踏まえ、政府内におきましても、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会の開催の有無、そして大会延期、大会規模の縮小等がささやかれているようでございますが、このことに関しまして本県ではどのようにお考えなのかお尋ねいたします。 72 ◯井上順吾委員長 中平スポーツ振興課長。 73 ◯中平スポーツ振興課長 三月十六日のG7首脳テレビ会議後に、安倍首相は、人類が新型コロナウイルスに打ち勝つあかしとして、東京オリンピック・パラリンピックを完全な形で実現することについてG7の支持を得たと発言されています。また、国際オリンピック委員会におきましても、昨夜開かれた臨時理事会で、予定どおり大会を開催する方針が再確認されたところでございます。  県といたしましては、今後も政府や国際オリンピック委員会などの動きを注視してまいりたいと考えております。 74 ◯松尾嘉三委員 それでは、いよいよ本県にも、五月から本格的にオセアニアの国々等から事前キャンプにお越しになられます。事前キャンプ地の決定状況と実施予定はどのようになっているのでしょうか、お尋ねいたします。 75 ◯中平スポーツ振興課長 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の事前キャンプにつきましては、これまで県内十二の市町が、二十八の国・地域と基本合意書を締結しているところでございます。この締結に基づきまして、本年五月から、順次、県内各地において、期間は各国さまざまでございますが、事前キャンプが実施される予定となっております。 76 ◯松尾嘉三委員 キャンプの誘致が進んでいることは実感させていただきました。さきにも述べましたコロナウイルスが拡大している中、事前キャンプの中止をする国々等の情報は現在入ってきているのでしょうか、お尋ねいたします。 77 ◯中平スポーツ振興課長 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、二月から三月に実施される予定であった北九州市でのコロンビア共和国の卓球と体操、英国の車椅子バスケットボール、また、古賀市、福津市でのルーマニアの柔道のキャンプが中止となっております。  その他の事前キャンプにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、本年五月から、順次県内各地において実施されることになっておりまして、これらにつきましては、現段階では中止とする連絡が入ってきておりません。 78 ◯松尾嘉三委員 次に、今御答弁ありました事前キャンプ、それは一体どのようなキャンプ内容になっているのかお尋ねいたします。 79 ◯中平スポーツ振興課長 事前キャンプにおきましては、まず、相手国の選手に、日本の時差や気候に順応していただくとともに、大会に向けた練習やコンディショニング調整などを行っていただくこととしております。  また、文化的側面についても交流を進めるために、茶道などの日本の文化等を体験していただき、地域の子供たちや地域住民に対しましては、相手国の郷土料理に学校給食や地域の交流活動などを通じて触れていただくなど、相手国と地域の相互の交流を行う予定としております。 80 ◯松尾嘉三委員 それでは、これまでも事前キャンプが県内の各市町におきまして実施されていると今伺いました。その事前キャンプを受け入れるに当たりまして、県は受け入れされたこの市町に対してどのようなサポートを実施してあるのか、お尋ねいたします。 81 ◯中平スポーツ振興課長 県ではこれまで、事前キャンプの対象となる国や協議の絞り込み、視察の受け入れ等を市町村と一体となって進めますとともに、必要な場合には相手国に出向きまして、協議・交渉を行ってまいりました。  事前キャンプの実施に際しては、県の医師会や薬剤師会等との連携による選手への禁止薬物情報の提供を通じたアンチドーピング対応、それから、専門学校や鍼灸マッサージ師会との連携によります選手のコンディショニング調整、競技団体との連携によります練習相手の確保など、受け入れ市町に対する支援を行ってまいりました。  また、市町において備品等の準備が困難な場合には、県の有しますスポーツ用具や機材の貸し出しを行っております。あわせて県が包括協定を締結しております企業にも御協力をいただき、障がい者アスリートの移動に必要な車両を貸し出すなどのサポートを行っております。  さらに、市町が連携した新たな交流に向け、国の事業の活用を促すとともに、相手国との交流に関する各市町の取り組みを共有するためのキャンプ地誘致市町村連絡会議などを開催してまいっております。 82 ◯松尾嘉三委員 次に、大会に向けた機運を高めるために、最近、テレビでも放映されていますけれども、この福岡県にも聖火リレーが来ると思います、これが迫ってきておりますが、我が春日市におきましても、この聖火リレーの到着を固唾をのんで待ちわびている状況でございます。  ただ、残念ながら、県内全ての市町村をリレーできないことが本当に心残りでございます。県はこの聖火リレーというものを使って、どのように大会に向けた県民の機運を盛り上げようとしてあるのかお尋ねいたします。 83 ◯中平スポーツ振興課長 本県には五月十二日、十三日の二日間、聖火が来ることとなっております。このオリンピック聖火リレーでは、計二十の市町村をつなぎリレーが実施されます。今後、聖火リレーの本番に向けまして、聖火リレー実施市町村において、ルートの沿道などを統一的なデザインのフラッグやバナー等で効果的に装飾し、東京二〇二〇オリンピックに向けた祝祭ムードを盛り上げてまいります。  また、パラリンピック聖火リレーでは、計三十三の市町村において、住民参加型のまいぎり式火おこしや、凹面鏡を活用した火おこしなど、独自の方法で火をともすセレモニーを行った後、県において火を一つに集め、開催都市東京へ送り出す聖火フェスティバルを実施する予定としております。  オリンピック、パラリンピック両方の聖火リレーにできるだけ多くの県民の皆さんが参加していただけるよう準備を進め、県全体で盛り上げてまいりたいと考えております。 84 ◯松尾嘉三委員 今、聖火リレーに対してお聞きしました。この大会を通じて県内各地が盛り上がって活性化していくためには、県として全体的にどのように取り組まれていくおつもりなのかいま一度お尋ねいたします。 85 ◯中平スポーツ振興課長 県といたしましては、これまでも大会の二年前、五百日前、一年前といった節目に、スケートボードやBMX、スポーツクライミングなど新たなオリンピック種目のデモンストレーションや、パラリンピック競技種目の体験会などを実施し、スポーツの楽しさやオリンピック・パラリンピックの魅力をお伝えすることによりまして、県民の皆様の大会に対する機運の醸成を図ってきたところでございます。  今後は、競技種目や事前キャンプの実施国、県内ゆかりの選手などの紹介を通じまして、引き続き、県内の機運を大きく醸成しますとともに、国際交流を進める市町村を支援してまいります。  また、大会終了後には、大会を通じて感じたことや体験談などを本県ゆかりの出場選手にお話をいただく県民報告会などを通しまして、大会を通じて感じたスポーツがもたらす感動を一過性のものとすることなく、県民の皆様の心に末永く残っていくよう努めてまいりたいと考えております。 86 ◯松尾嘉三委員 我が国では本当に、五十六年ぶりとなるこの東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックでございます。我が国での開催が大成功していただきたい、そういった機運を盛り上げたいと私は思っておる次第でございます。  特に本県は、皆様御承知のとおり、スポーツ立県を掲げてあって、スポーツの力で地域を活性化したい目標を掲げてあります。スポーツを担当する部長として、この大会に向けて地域の活性化にどのように取り組まれるおつもりなのか、最後に部長の思い、そして決意をお伺いしたいと思います。 87 ◯井上順吾委員長 山田人づくり・県民生活部長。 88 ◯山田人づくり・県民生活部長 私自身も調印式などの場におきまして、福岡県をキャンプ地に選んでいただいた選手や関係者の皆さん、そして、受け入れに直接携わっておられる市町の皆さんとお会いするたびに、選手の皆さんに最高のコンディションで大会に臨んでいただきたい、そして、市町の皆さんが各国の選手をしっかりサポートできるようにしたい、そういう思いを強くしてまいったところでございます。  先ほど課長が答弁いたしましたように、これまでもドーピング対策や、体調管理、練習相手の確保といった、選手の皆さんが万全のコンディションで大会に臨んでいただけるように支援をしてまいりました。  また、キャンプを受け入れる市町に対しましても、スポーツ用具や機材の貸し出し、相手国との交渉、そして、選手と住民の皆さんとの交流事業のための助成といった支援を、それぞれの市町の実情に応じて実施してきたところでございます。  いよいよ大会まで四カ月余りとなりました。事前キャンプの受け入れもこれから本格化してまいります。県といたしましてはこれまで以上に市町との連携を密にしながら、選手や住民の皆さんにとって心に残るキャンプ、そして、オリンピック・パラリンピック大会となりますよう、また、今回の交流によって培われました経験や関係が大会後も生かしていけますように、努力をしてまいる考えでございます。 89 ◯松尾嘉三委員 本当に世界中コロナウイルス、コロナウイルスということで、暗い影が落ちている状況でございますが、このコロナウイルスに負けないようなスポーツ振興、そして地域活性化を目指して、執行部におかれましては頑張っていただきたいと思っておる次第でございます。以上でございます。終わります。(拍手) 90 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑はありませんか。後藤香織委員。 91 ◯後藤香織委員 民主県政クラブ県議団の後藤香織です。きょうもこの後がたくさんありますので、要点を絞って短く質問をさせていただきます。  それでは、保育所等における新型コロナウイルス感染症対策について質問をいたします。  皆様御存じのとおり、世界各地で新型コロナウイルスが猛威を振るっています。昨日、三月十七日、福岡市で三例目、福岡県では四例目となる患者が確認されました。こうした中、福岡県では、国からの要請を受け、三月二日より学校が一斉休校になっているところもあります。しかし、放課後児童クラブいわゆる学童保育や保育所等は、開所しているところが多いのではないかと思います。  そこでまず初めに、県内市町村の保育所等の開所状況についてお伺いいたします。 92 ◯井上順吾委員長 坪根子育て支援課長。 93 ◯坪根子育て支援課長 市町村に確認いたしましたところ、三月十六日現在、認可保育所等において臨時休園をしているところはございません。
    94 ◯後藤香織委員 県内全ての保育所が開所しているということでした。しかし、全国でも保育園児や保育士の感染が明らかになっています。  そこで、本県では、保育所等で保育士、園児、その保護者が感染した場合、どのような措置がとられるのかお伺いします。 95 ◯坪根子育て支援課長 保育所等におきまして、保育士や園児に新型コロナウイルスの感染が確認された場合につきましては、市町村は国からの指導を踏まえ、県と十分に相談の上、臨時休園の規模及び期間について速やかに判断することとなっております。  また、保護者が感染し園児が濃厚接触者となった場合には、市町村は濃厚接触をした日から起算して二週間、当該園児の登園を避けるよう要請することとなっております。 96 ◯後藤香織委員 どのような措置がとられるかについてわかりました。本県では今のところそういった感染の事例はないものの、保育士の皆さんは感染のリスクと闘いながら、子供たち、保護者のために頑張ってくれています。しかし、マスクや消毒液の不足、人手不足も含め、園の運営は大変な状態であるとお聞きいたしました。  そこで、保育所等に対して、どういった感染防止対策が行われたのか、また今後行われる予定なのかお聞きいたします。 97 ◯坪根子育て支援課長 保育所等における感染防止対策につきましては、まず、国の感染症対策ガイドラインを踏まえ、マスク着用や手洗いなどの基本的な予防対策を徹底するよう、市町村を通じて周知をしております。また、国からの指導により、職員に三十七・五度以上の発熱や、呼吸器症状がある場合には、当該職員は出勤を行わないこと、園児に同様の症状が認められる場合には、当該園児の利用を断ることとされております。  今後、国の緊急対応策を踏まえまして、創設された感染防止対策に係る支援制度を活用いたしまして、認可保育所については市町村が、届け出保育施設については県がマスクや消毒液の調達等による感染防止の取り組みを行うこととしております。 98 ◯後藤香織委員 マスクや消毒液は調達に努力をしているとのことで、ぜひよろしくお願いいたします。  では最後に、保育所入所決定者の育休延長時の対応についてお伺いをいたします。  私は、四月から保育所の入所が決まっているという方から、保育所に行き始めたら子供が新型コロナウイルス感染症にかからないか心配、落ちつくまで育休を延長したいと考えているが、育休を延長すると入園取り消しとなってしまうという不安の声を聞きました。  制度上では、子供が認可保育園に入る月に育休から復帰して働き始めなければいけません。つまり、四月に入所の場合は、四月中に復帰が原則です。復帰が翌月以降になると入園取り消しになるという仕組みになっています。  今後、万が一、保育所等で感染が起きた場合、登園の自粛要請が出た場合も保護者は育休を延長することになり、入園取り消しとなることも考えられます。  そこでお尋ねをします。国は三月六日付で、四月に育休からの復帰を予定していた方々が育休を一時的に延長したとしても、機械的に利用調整をするのではなく、柔軟な取り扱いとするよう各自治体に事務連絡があったとのことですが、本県におけるこの取り扱いはどのようになっているのでしょうか、お尋ねをいたします。 99 ◯坪根子育て支援課長 市町村は小学校の休校に伴い保育士が不足しやむを得ない場合に、その判断によって、保護者に対し保育所等への登園自粛を要請することができるとされております。この場合、一時的な育休の延長は保護者の都合によるものでございませんので、国の事務連絡を踏まえ、市町村が機械的に利用調整を行うことなく、柔軟な取り扱いをすることとされております。  なお、三月十六日現在、このような登園自粛要請を行っている市町村はございません。  一方、市町村から保護者に対する登園自粛要請が行われておらず、保護者が自己の判断で一時的に育児休業を延長した場合の取り扱いにつきましては、市町村の判断によることとされております。 100 ◯後藤香織委員 市町村が登園自粛要請をした場合は、この事務連絡の趣旨のとおり柔軟な対応を行い、個人が自己判断で延長する場合は市町村の判断に委ねるとのことでした。この事務連絡に該当する市町村が登園自粛要請を出して、育休を延長し、登園しなかった分の利用者負担額は減免となり、その分は国が二分の一、県と市町村が四分の一ずつ負担することとなりますので、自治体の要請なしでは難しいということは理解できます。  しかし、例えば会社で出勤自粛が出ているため育休を延長せざるを得ないなどのやむを得ない理由も今後出てくるのではないかと思います。こうしたことも踏まえて、関東では、自治体が登園自粛要請を出していなくても柔軟に対応している例があります。例えば横浜市では、今般の新型コロナウイルス感染症に起因して、お勤め先との調整の結果、就労開始日や育児休業からの復職を延期される場合、当面の間は当初の認定内容の変更や保育所等の退園を求めないこととしましたとしています。また武蔵野市では、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、四月入所者については、通常七月三十日までに就労を開始することが条件ですが、これは福岡市の場合は四月二十四日までなんですけれども、これを五月三十一日までに延長するとしています。  緊急事態ですので、こういった事例も踏まえつつ、事務的・機械的に入園取り消しを決めたりせずに、変更等があった場合は個人の背景等をしっかりと確認していただき、柔軟に対応していただくよう、ぜひ県から市町村へ周知をしていただきたいと思います。終わります。(拍手) 101 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑はありませんか。大塚勝利委員。 102 ◯大塚勝利委員 公明党の大塚勝利でございます。  通告に従いまして、就職氷河期世代の支援について質問いたします。  昨年六月、政府の骨太の方針において、就職氷河期世代支援プログラムが取りまとめられました。政府として集中的な支援に取り組んでいくという方針が示され、今後三年間で就職氷河期世代の正規雇用労働者を三十万人ふやすという目標が掲げられています。こうした世代の方々が、厳しい現実に直面しながら奮闘されてきたことを重く受けとめ、これまでの経験や能力を生かして活躍できるよう、就労支援を進めるべきです。  まず、政府が打ち出した就職氷河期世代への支援について、具体的にどのような方々を支援対象とされており、本県では何名いると推計されているのかお答えください。 103 ◯井上順吾委員長 上村労働政策課長。 104 ◯上村労働政策課長 経済財政運営と改革の基本方針二〇一九におきまして、国が示している就職氷河期世代の主な支援対象者としては、正規雇用を希望していながら不本意に非正規雇用で働く者、就業を希望しながら、さまざまな事情により求職活動をしていない長期無業者、社会とのつながりをつくり、社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者が挙げられております。  支援対象者数の推計につきましては、厚生労働省において、就業構造基本調査で把握できる数値をもとに、三十五歳から四十四歳の範囲で都道府県別の支援対象者数が推計されております。それによりますと、福岡県におきましては、三十五歳から四十四歳の人口が六十九万七千九百人である中で、不本意に非正規雇用で働く者が二万六千六百人、長期無業者が二万一千五百二十五人とされております。なお、社会参加に向けた支援を必要とする方につきましては、就業構造基本調査では把握できず、都道府県別の推計値は示されておりません。 105 ◯大塚勝利委員 政府の方針を踏まえ、福岡県においても就職氷河期世代への支援等を検討する場が設置されていると聞いておりますが、その概要についてお答えください。 106 ◯上村労働政策課長 就職氷河期世代の活躍の促進に向けて、都道府県ごとに就職氷河期世代の活躍支援策の取りまとめ及び進捗管理などを統括するプラットフォームを設置するという方向性が厚生労働省から示されまして、昨年十一月に、福岡県が先行的に取り組むモデル県として、全国で四番目に選定されました。  それを受けまして、福岡労働局と県が連携し、行政機関、経済団体、労働団体、支援団体などから成る就職氷河期世代活躍支援「ふくおかプラットフォーム」を立ち上げ、十二月に第一回、二月に第二回の議論を行い、先般、プラットフォームとしての今後三年間の事業実施計画が取りまとめられたところです。その計画においては、先ほど答弁させていただきました主な支援対象者ごとに、プラットフォームの構成員が取り組む支援策、目標などを整理しまして、今後三年間継続的に取り組みを推進していくこととしております。 107 ◯大塚勝利委員 では、今後の就労支援について具体的に質問してまいります。  まず、長期にわたって無業の状態にある方の就労支援については、若者サポートステーションでの取り組みが中心になると思います。若者サポートステーションでは、国と県で連携して支援を提供していると承知しておりますが、それぞれどのような支援を提供しているのか、また、来年度どのように支援が強化されるのかお答えください。 108 ◯上村労働政策課長 若者サポートステーションでは、国と県の連携によりまして、一定期間無業の状態にある方の職業的自立を支援しております。  これまで国の予算によりまして、キャリアコンサルタントによる相談支援、長期の就労体験、就職後の定着支援、また県の予算によりまして、心理専門職による心理相談、各種セミナー、短期の就労体験などの就労支援を行ってまいりました。  来年度からは、若者サポートステーションの支援対象年齢をこれまでの三十九歳までから四十九歳までに引き上げまして、就労支援体制を強化していきたいと考えております。 109 ◯大塚勝利委員 私も、現場で長年、非正規で転職を繰り返している方や無業の方から相談を受けることもありますが、すぐに正規で働くことは難しい方や、また、ある程度の期間が必要であると考えております。  これまでも若者サポートステーションでは、キャリアコンサルタントや心理専門職によるカウンセリングやグループワークなどを実施されています。そこで、今回、支援対象年齢を四十九歳まで広げることで心理相談のニーズがふえることが想定されます。心理相談の実施日数を今以上にふやしていくべきであると考えますが、今後の対応についてお答えください。今年度と来年度で実施日数が変わるのであれば、県内四地域ごとにどう変わるのかについてもお答えください。 110 ◯上村労働政策課長 支援対象年齢の引き上げに伴いまして、若者サポートステーションにおける心理専門職による心理相談の実施日数も増加させたいと考えております。具体的には、福岡地域でこれまで月二十日だったものを二十三日、北九州地域でこれまで月十日だったものを十一日に、筑豊地域でこれまで月二日だったものを三日に、筑後地域でこれまで月三日だったものを五日に、それぞれ実施日数をふやして対応したいと考えております。 111 ◯大塚勝利委員 今後始まったら、現場の声も聞きながら柔軟に対応いただければと思っております。  若者サポートステーションでは、企業における就労体験も支援の一環として実施されています。長年、無業の方の就労体験の受け入れに協力している知り合いの社長から直接お話を伺いました。長期無業の方はすぐに正規雇用で働くのは難しいけれども、段階を踏みながら正規雇用につなげ、現在は社内で貴重な戦力として働いているとのことでありました。  そこで、質問です。長期で無業の方と企業のマッチングを図る上で、就労体験は不可欠であり、有効なツールであると考えます。今後、就職氷河期世代に対応するために就労体験を受け入れる企業の拡大を図る必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのかお答えください。 112 ◯上村労働政策課長 若者サポートステーションの就労体験の受け入れ先協力企業は、二月末現在で四百九十七社ございますけれども、来年度以降、この受け入れ先の拡大を図っていきたいと考えております。  就職氷河期世代活躍支援「ふくおかプラットフォーム」の構成メンバーであります経済団体や福岡労働局などとも連携して、これまで受け入れ実績の多かった卸売・小売業や医療・福祉などの分野に加え、農業や製造業などの分野でも受け入れが拡大されるよう、企業や農業団体、各種の業界に対して協力を呼びかけてまいります。  その際には、企業が就労体験受け入れのメリットを感じられるよう、これまでのマッチングや職場定着に至った好事例を整理し、情報提供したいと考えております。 113 ◯大塚勝利委員 わかりました。それで、若者サポートステーションはこれまで三十九歳までを支援対象としてきており、四十代は対象外でありました。就職氷河期世代の方で支援を必要としている人を実際に支援につないでいけるかが重要であります。  若者サポートステーションが座して相談に来られるのを待つのではなくて、生活困窮者支援、ひきこもり支援、また市町村など関係する支援機関としっかり連携して、必要な支援を届けることが必要であると考えます。若者サポートステーションとこうした支援機関の連携、アウトリーチ型の取り組みについて、今後どのように取り組むのかお答えください。 114 ◯上村労働政策課長 来年度からの国のほうの予算分の取り組みとしまして、四十代の無業者の利用登録を促進する観点から、新たに若者サポートステーションから福祉機関等へのアウトリーチを積極的に実施することが予定されております。  四十代の無業者の方が利用している、あるいはその情報を持っていると思われるひきこもり地域支援センター、自立相談支援窓口、福祉事務所といった福祉機関等へ若者サポートステーションの相談員が出向き、福祉機関等との連携関係の構築と、若者サポートステーションの利用勧奨等を行っていくこととされております。  このほか、ひきこもり支援の観点で保健医療介護部の取り組みとして、今後、地域単位でのネットワーク会議を県内全域で設置していくこととされております。こうした場にも若者サポートステーションが参画し、関係する地域の支援機関との連携を強化していきたいと考えております。 115 ◯大塚勝利委員 次に、不本意非正規雇用労働者の方の正社員就職促進について質問します。  国においては、氷河期世代の雇い入れや企業内でのキャリアアップのための助成金の活用促進、また、氷河期世代限定の求人を出せるようにするなど、企業向けの支援を進めていると聞いております。また、県の来年度予算案においては、若者しごとサポートセンターと三十代チャレンジ応援センターを統合して若者就職支援センターとした上で、不本意非正規雇用労働者等の正社員就職実現に向けた機能強化を図るため、新たに職場実習の取り組みを実施することとしております。  いずれも企業側の理解と協力なくして具体的なマッチングには結びつかないのではないでしょうか。そこで質問ですが、国の支援メニューや県が実施する職場実習先の確保などを含めて、県内の企業に就職氷河期世代の方の正社員での採用や企業内での正社員転換をどのように働きかけていくのかお答えください。 116 ◯上村労働政策課長 先ほどのふくおかプラットフォームを通じまして、経済団体などへの呼びかけを行っていきます。また、人材確保にお悩みの県内企業の支援を行うために、県で設置をしております正規雇用促進企業支援センターを通じて、国の助成金の周知、就職氷河期世代限定求人や職場実習の活用の呼びかけなどを行い、就職氷河期世代の正社員就職実現、企業内での正社員転換の促進に努めてまいります。 117 ◯大塚勝利委員 私たちも現場で、人材不足の業界、企業等からもさまざま御相談をいただいております。ぜひ働きかけをお願いしたいと思っております。  次に、無業の方、不本意非正規雇用労働者の方など支援が必要な方は、ひきこもり等で情報の届きにくい方、また現在も非正規の仕事で時間がとれない方等、さまざまな状況があると思います。支援が必要な方に必要な情報を届けられるようにするために積極的な広報が不可欠であり、また相談窓口の休日開設など、相談者に配慮した支援も必要であると考えますが、どのように取り組むのかお答えください。 118 ◯上村労働政策課長 先ほどのふくおかプラットフォームの取り組みとしまして、来年度前半に重点的に周知・啓発を実施することとしております。  県や国などで、不本意非正規雇用労働者の方、長期無業者の方、また社会参加に向けた支援を必要とする方といった対象者ごとの取り組みを行っていくこととしておりますが、そうした取り組みが支援対象者の方に届くよう、ハローワーク、市町村、福祉機関等の関係機関と連携した周知に努めていきたいと思っております。  また、これまでも県の若者センターや若者サポートステーションの土曜日開所、また転職準備セミナーの休日開催などを行ってきておりまして、引き続き、相談者に配慮した支援を行っていきたいと考えております。 119 ◯大塚勝利委員 最後に、部長にお伺いいたします。今後三年間で多様な人材が活躍できる状況をつくれるか否か、まさに正念場であると思っております。県においては、本日やりとりさせていただいた具体的な取り組みを着実に進めていただきたいと思っておりますし、同時に、県のリーダーシップで国や関係機関をしっかり巻き込んで、一体となって連携して取り組んでいくことも意識しながら進めていただきたいと思っております。  そうした点を含めて、今後三年間の就職氷河期世代の支援の効果を高めていくために今後どのように取り組まれるのか、部長の決意をお聞かせください。 120 ◯井上順吾委員長 神代福祉労働部長。 121 ◯神代福祉労働部長 就職氷河期世代の方たちの中には、先ほどちょっと出てきましたけれども、引きこもりの方も当然いらっしゃいます。なかなか引きこもりの方は、今、引きこもっていらっしゃるんで、すぐに就労支援というところに結びつく方は、その中の皆さんではないという状況がございますけれども、いずれにしましても、就職氷河期の方が今後、まずは社会参加に向けた支援、それから、その後の職業的自立に向けた支援、さらには正社員になっていただく支援、そのような切れ目のない支援、それぞれの方に合った支援を実施していくというのが大事だと思いますので、先ほど課長が答弁させていただきました、就職氷河期世代の活躍支援「ふくおかプラットフォーム」、ここにはいろいろな関係の構成の方がいらっしゃいますので、そういった構成の方々と、まず県の関係部局を含めて連携を密にし、きちんとした県としての役割をまず果たしていきたいと。  その中で、先ほど、知ってもらう、周知が大事だと。やはり就職氷河期の方、特に引きこもりの方はそうですけど、いろいろな支援策を徐々に整えてまいりましたけれども、まずは皆さんに、そういった取り組みを知っていただくことが重要であると考えておりますので、先ほど課長が答弁しましたとおり、まずはそういった制度を含めまして、周知を一生懸命頑張っていきたいと思っています。その上で、取り組みを着実に実施し、結びつけていく。そして、三年間と一つの区切りを持っていますので、毎年度その実施状況を検証いたしまして、必要な改善を図っていきたいと思っております。 122 ◯大塚勝利委員 今、部長が冒頭おっしゃいましたけど、何人を採用したかといった数字上の成果だけを追い求めるのではなくて、長期間苦しんできた一人一人の状況に合わせて、より丁寧な支援をお願いしたいと思います。  また、今後、新型コロナウイルスで経済状況を注視しなければなりませんが、約二十年もの間、厳しい現実に直面してきた就職氷河期世代の方が、十年、二十年先を見据えて、みずからが希望する将来の選択肢が広がるような福岡県となるようお願いをしまして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 123 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑はありませんか。古川忠委員。 124 ◯古川 忠委員 それでは、五款のうちの地域子ども・子育て支援事業、また保育対策促進事業について質問させていただきたいと思います。  ちょっと前の話になりますけれども、「保育園に入れない。日本死ね」と。気持ちはわからないでもないけれども、品の悪い言葉が随分取り沙汰されました。そういう中で、国は子ども・子育て支援の新制度、いわゆる地域型の保育事業というのを展開するようになりました。需要に満たない保育所の定数をふやそうと。ある意味で、ばたばたとつくった感が否めないでもありませんけれども、そういう政策を打ち出しました。その中で出てきたのが事業所内の保育事業、もう一つが企業主導型の保育所であると思います。  皆さん御存じと思いますけれども、この四月から県庁の中に保育所が開設されます。大変ありがたいことですよね。東京都庁の中に都庁保育所というのがあります。上京した折に私も見てまいりました。大変立派な保育所でした。今回、福岡県につくるに当たっても、余計なことですけれども、床暖房でありますとか、多少私も口出しをして、立派な施設になったと思います。また、立派な保育事業者に入所していただけると思います。本当に県の職員の皆さん、特にゼロ歳児から二歳児を持つ皆さんにとっては大変ありがたい施設だなと思います。  しかし、これは厚生局の管轄ですよね。そしてこれは認可保育所ですよね。そういう意味ではまさに市町村の認可ですから直接ではないかもしれませんけれども、県全体の保育事業を預かる身として、今回の保育所について、せっかく皆さんおられますから、ちょっとお話ししていただけませんか。 125 ◯井上順吾委員長 坪根子育て支援課長。 126 ◯坪根子育て支援課長 県庁内に開設される保育所でございます。令和二年四月一日開所予定の福岡市の認可を受けた地域型保育事業、事業所内保育事業で開設されることとなっております。対象年齢はゼロ歳から二歳、利用定員は十九名、事業所内保育所でございますので職員枠が最大十四名、地域枠が五名ということになっております。 127 ◯古川 忠委員 恐らく九州各県から視察に訪れるのではないかなと思います。本当に立派な保育所を我々も見てまいりたいなと思っております。  そこで、私が問題にしたいのはもう一方の企業主導型保育所でございます。これはいわゆる無認可といいましょうか、認可外の保育所でございます。それと今回の支援制度の地域型の保育事業、この二つの違いをちょっと説明していただけませんか。 128 ◯坪根子育て支援課長 企業主導型保育事業と地域型保育事業の事業所内保育所の違いでございますが、ともに事業主等がみずから設置する施設で、事業所の従業員の子供や地域の子供を受け入れる施設であるという点では共通しておりますが、地域型保育事業が市町村の認可事業であるのに対しまして、企業主導型保育事業は地方自治体が設置に関与しない届け出保育施設である、この点が大きく異なっております。企業主導型保育事業につきましては、国が実施を委託しております実施機関において助成の決定がなされることにより開設されるものでございます。 129 ◯古川 忠委員 いろいろな条件があると思うんですね。その中で、保育士の数でありますとか、いろいろな意味で、実を言うと余り変わらないんですよね。これはあくまでも認可外保育ですけれども。そういう中で、たくさんのいわゆる保育の経験のない事業者までがこの保育所の事業に取り組んできたということがありますよね。  その中で実際に、福岡で企業主導型の保育所事業をやろうとした業者が、助成金をだまし取ったとして昨年七月に社長と社員が逮捕されています。これは保育整備費の四分の三の目安で助成が出るものですから、大変おいしいと思ったんでしょうね。事前にそれが発覚しまして、開設に至りませんでした。これは幸いだったと思います。また、ほかにも中央区のキッズランド天神でやはり一億二千万余の詐欺事件が起こっております。  そういう意味で、児童育成協会のチェックの甘さももちろんですけれども、その後をどうフォローしていくかが非常に大事になってくると思います。この企業主導型保育所は、現在、県内に幾つあって、定員はどのぐらいで、充足率がどのぐらいなのかお聞きしたいと思います。 130 ◯坪根子育て支援課長 企業主導型保育施設の県内での開設状況でございますが、この情報につきましては、まず、国の実施機関である児童育成協会のホームページに掲載しております助成決定一覧と、同じ時点での福岡県での届け出保育施設の情報を突合しなければ、県では把握できないことになっております。  まず、この確認をいたしますと、平成三十一年三月末現在、指定都市、中核市を含む県内全体で運営費の助成決定をされた施設は二百三十五施設ございます。このうち指定都市、中核市を除いて県所管分に届け出されております施設は九十六施設となっております。この九十六施設の入所定員は二千三百七十六名、そして利用児童数は千四百三十八名となっておりまして、大体六割程度の利用となっているところでございます。 131 ◯古川 忠委員 この認可外保育、企業主導型の保育所ですが、比較的縛りが緩いんですよね。余り変わらない。ですから大変参入しやすい、そういうことがあります。そこで、一体その保育の質が保たれるのだろうかということが大変問題になると思うんですね。例えば、保育士は有資格者が一〇〇%でなくても研修を受ければ問題ないと。これは明らかな認可保育所との違いですよね。そういう中で、大変危惧する声が上がっております。そういうトラブルなり問題は県に上がっていませんか。 132 ◯坪根子育て支援課長 企業主導型保育施設ということで限定して質が保たれていないよというような苦情等は上がっておりません。 133 ◯古川 忠委員 調査したことはありませんか。 134 ◯坪根子育て支援課長 調査はしておりませんが、企業主導型保育施設につきましては県の届け出保育施設でございますので、県は、その保育の質を確保するために、認可外保育施設の指導監督基準に基づいて、原則、年一回の立入調査を実施しているところでございます。 135 ◯古川 忠委員 年に一回やった結果はどうでしたか。 136 ◯坪根子育て支援課長 立入調査の結果でございますけれども、届け出保育施設の指導監督基準に基づいて県が実施しておりますが、まずその届け出保育施設の基準に適合している施設ということで確認をいたしますと、令和二年三月一日現在、四十三の施設が届け出保育施設の基準に適合しているということで確認をしております。 137 ◯古川 忠委員 そのあとの施設はわかりません。先ほど質問の中でお答えがなかったのがその充足率なんですけれども、そもそも本当に保育園の定員は足りないんだろうか、私は以前からそういう疑問を持っておりましてね。例えば、福岡市の場合は百六十二園あります。そのうち百十園で定員割れです。これが現実です。福岡市以外ではどんな状況か、わかったら教えてください。 138 ◯坪根子育て支援課長 平成三十一年三月末現在におきまして、県の所管分の企業主導型保育施設九十六施設におきまして、入所定員二千三百七十六名に対して利用児童数が千四百三十八名ということで、約六割の利用ということになっております。 139 ◯古川 忠委員 いや、それはさっき聞いた話で、今聞いたのは、認可保育所も含めて、福岡市内の場合、さっき言ったように百十園で定員割れしている。福岡県内の保育園ではどうかと聞いているわけです。今言った企業主導型のやつも既に定員の五割、半分近い。そういう中でさらにこの企業主導型の園をふやす必要があるだろうかと。  保育対策等促進の中に「多様な事業者の参入促進」、こんな項目があるんですが、これはどういう意味ですか。 140 ◯坪根子育て支援課長 「多様な事業者の参入促進」につきましては、新規に参入をされた事業者が運営する施設等に対しまして、円滑な運営を支援するために巡回相談等を実施する事業でございます。 141 ◯古川 忠委員 そもそもこの企業主導型の保育園に対して本当に必要だったのかなと私は疑問を持っている中で質問しているんですが、文面かもしれませんが、この保育対策等促進の中にはあえて「多様な事業者の参入促進」と書いてあるんですよ。保育の素人にできるんでしょうかね。  そういう意味ではいろいろな業種が参入しています。私の知っているところでもいわゆる介護福祉の事業をやっているのが保育に参入したり、いろいろなケースがあります。その中で実際には定員割れしていますよね。その原因は何だと思われますか、お答え願います。 142 ◯坪根子育て支援課長 特に企業主導型保育施設におきましては、自治体と連携して設置されていないため、十分な周知が行き届いていないということが原因にあると考えております。 143 ◯古川 忠委員 それともう一つ大事なのは、やっぱり保育士不足なんですよね。認可保育園でも非常に困っているんです。ですから、注力すべきはやっぱり保育士の確保、教育だと、私は思っています。ですから、そういうところにぜひとも力を入れていただきたい。  それから、とにかく箱ばっかりふやしているわけですね、今言ったように。福岡市内でも半分以上が定員割れですね。企業主導型も定員の半分。箱ばっかりつくっている。真面目にやっている保育園の園長さんなりと話をすると、そんなことなら自分たちの職員の環境改善、処遇改善に回してくださいよと。これが本音なんですよ。  ですから、できたものは十分監視してもらいたいんです。実際にこれから先、定員に足りずになくなる保育園も多分出てくるだろうと私は思っていますけれども、そういう意味でも、県全体の保育を預かる子育て支援課、また労働部としては、やっぱり頻繁にというか、限度はありますけれども、監察をしっかりして、そして保育所の事業に力を入れる、また保育士の処遇改善、それから保育園の環境改善にぜひとも力を入れていただきたいと思っています。  この国がやっている事業ですが、もともと問題がある中で、多分、苦労してあると思います。これからはこれに十分気をつけて保育事業をやっていただきたい。そのことをお願いして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 144 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑はありませんか。渡辺勝将委員。
    145 ◯渡辺勝将委員 自民党県議団の渡辺勝将でございます。  通告に従い、ラグビーワールドカップ日本大会を契機とした今後の海外との交流について質問をいたします。  アジアで初の開催となったラグビーワールドカップ二〇一九日本大会が終了し、はや五カ月がたとうとしております。日本代表は初のベストエイト進出をなし遂げ、日本中にラグビーブームが起こるなど、大成功の大会であったと思います。私も、試合会場やパブリックビューイング会場に行き、試合を観戦いたしました。選手たちのすばらしいプレーに、周りにいた見ず知らずの人たちが一緒になって肩を抱き合い喜び合う、また、ビールを片手に語り合うシーンを数多く見かけ、いとも簡単に国境や人種を超え、人と人とを結びつけるというスポーツの魅力を改めて感じたところでもあります。  そこで、こうしたスポーツによる交流が今回のワールドカップで終わりではなく、今後も継続して行われてほしいという思いから質問をさせていただきます。  先日、大会組織委員会の最後の理事会が開催されたとの報道がございました。その場では大会の総括について報告があったとのことでありましたが、その内容について説明をお願いします。 146 ◯井上順吾委員長 篠原人づくり・県民生活部副理事。 147 ◯篠原人づくり・県民生活部副理事 今月十日に開催されました理事会では、大会の総括といたしまして、チケットの売り上げが当初の予想を大きく上回りまして、台風の影響で三試合の中止がありましたけれども、観客動員数は延べ百七十万人、チケットの販売率は九九・三%であったこと、そして、そのうち海外からは延べ五十万人を超える観戦客が訪れたという報告がございました。また、収支の状況といたしましては、六十八億円の黒字となり、これにつきましては、ラグビーを通じた地域活性化、ラグビーの普及、大会のレガシー事業を実施していただくよう日本ラグビーフットボール協会に引き継ぐことが決定されたところであります。 148 ◯渡辺勝将委員 私は大会期間中、先ほども申しました試合会場や、そしてパブリックビューイング会場だけでなく、スポーツバーなどいろいろなところで外国の方をお見かけいたしました。冒頭の答弁でもあったとおり、海外から多くの人が来られたと聞き、大変うれしく思います。  それだけの外国の方が来たのであれば、スポーツを通した国際交流を推進する絶好の機会ではあったのかと思われますが、どのような取り組みを行ったのかお聞かせください。 149 ◯篠原人づくり・県民生活部副理事 まず、福岡開催に当たりまして、子供たちにラグビーの魅力を知ってもらうとともに、国際理解を図るために、県内の小・中学校のうち希望した学校の児童生徒約三千人を観戦に招待いたしました。これらの学校におきましては、事前に試合をする国の歴史や文化の学習を行うとともに、国歌の練習を行い、試合開始前には会場で選手と一緒に合唱したところでございます。これらの子供、またその保護者からは、「自国に限らず、その国を応援するようになった」「世界の国のことについて興味を持つようになった」といった声が聞かれております。  また、キャンプ地でありました福岡市──これは県と合同で受け入れたものでございますけれども、北九州市、春日市において選手が地元の小・中学校を訪れ、子供たちや地域住民と交流が行われております。特に北九州市におきましては、ウエールズと、両国の新聞に感謝の気持ちを掲載し合うなどの友好のきずなが培われております。 150 ◯渡辺勝将委員 そして、ワールドカップ終了後、ことし一月に開幕したラグビートップリーグは大変盛況だと聞いておりますが、ここ福岡での状況はどうだったのか、また、そのほかにも大会後何か変化があったのかお答えください。 151 ◯篠原人づくり・県民生活部副理事 ここ福岡で開催されておりますトップリーグの試合におきましても、昨年の観客数と比較いたしますとおよそ二・五倍の観客が来場しております。また、二月一日に博多の森球技場で開催されましたサンウルブズの開幕戦につきましても一万人を超える多くの観客が来場しております。私も全ての試合を会場で拝見いたしましたけれども、過去に比べ大変盛り上がっておったと感じております。  また、大会後、県内のラグビースクールの体験会やラグビーイベントには多くの子供たちが詰めかけており、場所によっては受け入れ許容範囲を超え、やむを得ずお断りをするといったところもあると伺っております。ことし一月に県内の小学校を対象といたしましたラグビー体験授業を実施いたしましたところ、これにつきましても多くの学校から希望の声が上がってまいりました。 152 ◯渡辺勝将委員 やはりこうした国際大会の開催は子供たちに大変好影響を及ぼすものだということがはっきりとしたと思います。昨年、大会期間中に宗像市グローバルアリーナでアジアラグビー交流フェスタが開催されました。私も議長の代理として参加をさせていただきましたが、この大会が本県で開催されることになった経緯についてお尋ねいたします。 153 ◯篠原人づくり・県民生活部副理事 アジア初でありました日本大会の目的の一つは、大会を契機としたアジアにおけるラグビーの普及でございます。大会開催地に選定された後、この趣旨を踏まえ、アジアの玄関口である本県におきまして何らかの取り組みができないかと県ラクビー協会とも協議を重ねてまいったところです。そして、日本ラグビー協会やアジアラグビー連盟等とも協議を重ねまして、大会一年前の平成三十年九月に第一回アジアラグビー交流フェスタを開催する運びとなりました。  第二回となりました昨年は、大会期間中に海外、国内それぞれ八チームが参加いたしまして、ラグビー交流試合を初め、トップリーグの選手によるラグビー講習会、ラグビーワールドカップの観戦、また世界遺産であります宗像大社をめぐり、さらには地元の中学校を訪問し、生徒との交流を行ったところでございます。  このような取り組みは他の開催都市では行われておらず、日本ラグビー協会を初めアジアラグビー連盟、大会組織委員会からも高い評価をいただいております。 154 ◯渡辺勝将委員 中学校の時期にこのような海外選手と試合をするということは大変意義があると思います。また、試合の合間には選手同士が交流している姿を見て、まさにスポーツを通じた国際交流が行われていると実感をいたしました。ただ、ラグビーの事務局はことしで終わることになると思われますが、来年度以降はこの大会はどうなるのでしょうか。 155 ◯篠原人づくり・県民生活部副理事 このアジアラグビー交流フェスタにつきましては、来年度は新たに新設されますスポーツ局において実施をしたいと考えております。また、実施に当たっては、アジアラグビー連盟や日本協会、県協会とも一層の連携を深めまして、アジアや九州・山口から参加チームの拡大を図りたいと考えております。また、参加した国からの留学生や地域の方々にも参加をいただき、国際交流の輪がさらに広がるようなものに充実、発展させてまいりたいと考えております。 156 ◯渡辺勝将委員 また、昨年、オーストラリアのニューサウスウェールズ州にあるシドニーから高校生や中学生のチームが福岡を訪れ、地元福岡のチームと親善交流が行われておりますが、それに至った経緯について説明をお願いします。 157 ◯篠原人づくり・県民生活部副理事 平成三十年度でございますけれども、オーストラリアからの誘客のためにオーストラリアのラグビー協会、また現地の旅行業者等に対してプロモーションを行ったところでございます。その際、現地の旅行業者から、今、オーストラリアはスポーツの合宿先としてヨーロッパやアメリカではなく日本に大変注目している、今回のラグビーワールドカップに関しましても多くの学校が日本を訪れ、その際には地元のチームとの交流を行いたいという話がありまして、その際に私のほうからは、ぜひ福岡に訪れてほしいというお願いをしたところでございます。その後、具体的な交流の要請があり、県協会等と調整を行った結果、いずれもニューサウスウェールズ州の学校ではありますが、四月にはノックスグラマースクールと東福岡高校、九月にはキングススクールと中学生県選抜チームとの交流が実現したものでございます。 158 ◯渡辺勝将委員 私はこれまでオーストラリアとの交流について議会においてたびたび問いただしてきました。きのうも国際交流局に対しオーストラリアとの交流について質問を行いましたが、その中でも触れたように、今後、オーストラリア、特にニューサウスウェールズ州との交流を加速していく必要があると思います。  今、話を聞くと、オーストラリアはスポーツ合宿について日本に大変興味を持っているというお話でありました。また、偶然にも昨年にはニューサウスウェールズ州から中学校、高校それぞれ一校が本県を訪れ交流を行っている。ラグビーワールドカップ開催を機につながった縁でもありますし、こうした交流の積み重ねが県とニューサウスウェールズ州政府との友好提携につながるものと考えております。  少し本県の例を挙げさせていただきますけれども、以前、ハワイ州とのスポーツ交流において高校生の相互派遣事業を実施していたと聞いております。こうしたラグビー相互派遣事業をオーストラリアと実現できないのかなと私は以前より考えておりました。来年度はスポーツ局も創設されるわけであり、ぜひこの縁を切らすことなくさらに交流を深めていただくよう強く要望させていただきたいと思います。  篠原副理事におかれましては、ラグビーワールドカップの福岡での開催決定時点から携わってこられ、いろいろと御苦労もあったと思います。大会を終えた感想を最後にお尋ねいたします。 159 ◯篠原人づくり・県民生活部副理事 福岡開催が決定いたしましたのは二〇一五年の三月でありました。福岡はラクビーどころで大変有名でありますし、また多くの県民の皆様も福岡開催を期待しておられました。ただ一方で、試合会場は十会場から十二会場という話があり、福岡は当落線上であるといった情報もありました。そのような中で、開催地に福岡が呼ばれた際の喜びはひとしおのものであったと記憶しております。  その年の秋に行われましたイングランド大会には、知事を初め県議会の皆様とともに視察に参りました。本場イングランドの国民の皆様の熱狂ぶりを見て、大会までの四年の間にここ日本、また福岡におきましてそこまで県民の機運を盛り上げることができるかという不安を抱いたこともございました。大会成功に向けて県議会の皆様にも御協力いただきながら準備を進めてまいりました。しかし、二年前にチケットの販売が始まりましたけれども、なかなか福岡会場のチケットの販売が伸びないといった状況もございました。最終的には三試合ともほぼ完売となったわけでございます。  ただ、いよいよ福岡開催というときに台風が襲来いたしました。一時は組織委員会におきまして福岡開催の試合の中止ということも検討されていたわけでございますけれども、幸いに福岡の試合は何とか開催することができました。ただ、博多駅前のファンゾーンにおきましては、当初は十二日間の予定でございましたけれども、やむを得ず四日間は中止し、八日間に短縮することになりました。このファンゾーンは海外からの観戦客を含めまして多くの県民の皆様にもお越しいただき連日大盛況であっただけに、この短縮せざるを得なかったことに関しましては大変残念でありました。  大会を振り返りますとさまざまなことがありましたけれども、最終的には福岡の会場をほぼ満員の観客で埋めることができたこと、また福岡の街中が県民の皆様を初め本当にラグビーで盛り上がったこと、そして多くの外国人の観戦客の方に訪れていただいたことなど、大会を成功裏に終えることができたことを私自身、大変うれしく思っております。また、このようなすばらしい大会に事務局長として携わることができたことを心から喜んでいる次第でございます。  今回の大会におきましては、試合の開催だけではなく、これまで余りつながれてはいなかった機関、団体や民間企業とのネットワーク、それから諸外国に対するプロモーション、インバウンド対策など多くのノウハウが培われたと考えております。これらのことが今後の県政の発展に生かされていくことを強く望む次第でございます。  繰り返しになりますが、この場をおかりいたしまして、県議会を初め多くの関係の皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。 160 ◯渡辺勝将委員 終わります。(拍手) 161 ◯井上順吾委員長 この際、しばらく休憩します。  再開は午後二時二十分をめどに放送をもってお知らせします。    午 後 一 時 十 三 分 休 憩    午 後 二 時 二 十 分 再 開 162 ◯井上順吾委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。  第五款生活労働費について、ほかに質疑はありませんか。中嶋玲子委員。 163 ◯中嶋玲子委員 トップバッターですのでちょっと緊張しまして、眼鏡を忘れました。済みません。  日本は一九九九年六月に男女共同参画社会基本法を制定しまして、ことしは二十一年目になります。これまで、女性の自立、または女性の能力の発揮、そして家庭、職場、地域で世代を超えた女性の活躍を目指して県では取り組んでこられたことを承知しております。特に近年は、社会構造の変化とともに、働く場における女性の活躍を推進していくことが大変重要になってきました。  そこで、質問をいたします。昨年の六月議会の我が会派の代表質問で、知事は「福岡県は女性が大変活躍している県だと考えている。若い世代の女性の人口は男性の数を上回り、また県内企業の約七社に一社が女性社長という全国的に見ても女性社長が多い県である。女性の活躍が本県発展の鍵を握っている。あらゆる分野で女性が個性と能力を生かし、生き生きと活躍する女性活躍先進県を目指したい」と答弁されました。その後、九月、十二月の議会においても女性活躍先進県について会派としてただしてきたところであります。  そのような中で、昨年十二月に、毎年出される数字でありますが、世界経済フォーラムが経済、政治、教育、健康の四分野における男女平等の度合いをランキングしたジェンダーギャップ指数というものを発表しました。二〇一九年の日本の順位は百五十三カ国中百二十一位となり、前年の百四十九カ国中百十位からまたしても順位を落とし、過去最低となりました。このような順位となった要因は政治と経済の分野であります。政治の分野については、女性議員である私たちの努力も問われることになると思います。今回は、もう一つおくれている経済分野での女性の活躍についてお尋ねをしたいと思います。  ジェンダーギャップ指数の経済分野の中でも女性の就業率は平均より高く、七十九位ではあったんですけれども、管理職の女性比率については国、自治体、経済界がさまざまな取り組みを進めてこられたはずにもかかわらず、世界のレベルに比べると百三十一位と大変低い結果でありました。  そこで、女性活躍先進県を目指すための本県の経済分野、働く場における女性の活躍についてお尋ねをいたします。平成二十八年に大企業で女性管理職登用の目標値を定め、その目標値をクリアできなかった場合、会社名を公表するという罰則規定つきの女性活躍推進法が全面施行されました。その年の平成二十八年に本県でも女性活躍推進室が設置され、経済分野での女性活躍推進を強化していくということになったと認識しておりますが、これまでこの女性活躍推進室でどのようなことに取り組んでこられたのかお聞きします。 164 ◯井上順吾委員長 柳瀬女性活躍推進室長。 165 ◯柳瀬女性活躍推進室長 平成二十八年四月に女性活躍推進室が設置され、その六月には経済団体と関係機関のトップで構成します「福岡県女性の活躍応援協議会」を設置したところでございます。この協議会では女性の活躍のための課題を整理、共有し、各団体が活動目標を定めまして、女性の能力が発揮できる環境整備などに具体的に取り組んでまいりました。  また、県では、企業の女性従業員を対象としたリーダー育成、経営者を対象とした女性活躍についてのセミナー、企業の女性活躍を後押しする専門家派遣、優良事例や国、県の支援制度などの情報発信、こういった取り組みを行ってまいりました。 166 ◯中嶋玲子委員 いろいろな取り組みをしたということですけれども、そういう取り組みによって県内の女性の管理職の登用は進んだのでしょうか。 167 ◯柳瀬女性活躍推進室長 国の就業構造基本調査によりますと、本県の女性の管理職の比率は平成二十四年の一四・一%から五年間で三・二ポイント上昇しまして一七・三%となりました。全国の順位では十八位から五位に上昇しましたが、管理職の比率はまだまだ低く、取り組みをさらに進めていく必要があると考えております。 168 ◯中嶋玲子委員 福岡県でもポジティブアクションということで、一生懸命、この女性の管理職の登用に頑張ってこられていることは存じ上げております。確かに今おっしゃるように、管理職はふえているとはいえまだまだ少ないと言えます。もっと働く場で意思決定ができる女性がどんどんふえてほしいものです。  先ほどの答弁で女性のリーダー育成に取り組んできたということでございますが、今後、どのような取り組みをしますでしょうか。また今までどんな取り組みをしてこられたのでしょうか。 169 ◯柳瀬女性活躍推進室長 県内の女性従業員を対象に、キャリアや職責に応じまして結婚や出産後も仕事を継続する重要性を学ぶ研修会、経営的視点を持ったリーダーを育成する研修会、またキャリアアップを応援する研修会などを実施してきたところでございまして、今後も引き続きこれらの取り組みを実施し、女性リーダーを育成していくこととしております。 170 ◯中嶋玲子委員 日本の場合、特にM字型曲線というものがありまして、家庭と仕事の両立ができない、仕事を続けるなら子供を産まない、結婚をしない、そういう中でキャリアを中断することが多く、そんなことで管理職へなかなか進んでいかなかったわけでございます。管理職へ登用するには、やはりその登用する人材が必要だと思います。やめないで仕事を続けて、そしてキャリアを積んでいく、就業者全体に占める女性の比率を高めていく必要があると思いますが、どうでしょうか。 171 ◯柳瀬女性活躍推進室長 本県の就業者に占める女性の割合でございます。  国の経済センサスによりますと、平成二十四年は四五・八%、二十八年は四六・三%と増加傾向で、約半数となっております。しかしながら、女性の就業者に占めるパート、アルバイト、派遣職員などの非正規雇用者の割合は高く、男性との間では大きな開きがございます。また、産業別の従業員に占める女性の割合を見ますと、医療・福祉では七三・五%、宿泊業・飲食サービス業では五九・三%と高い一方で、建設業では一八・七%、運輸・郵便業では一七・四%と低く、分野によって偏りがある状況でございます。 172 ◯中嶋玲子委員 ありがとうございます。本当に日本は、昔からの慣習とか、固定的性別役割分担意識のこともあって、女性の仕事、男性の仕事という思い込みが女性のいろいろな幅広いところでの活躍を阻害してきたんだろうと思います。  そしてもう一つ、答弁の中にありました、女性の就業者に占めるパート、アルバイトなどの非正規雇用者の割合が男性よりも高いということでございますけれども、例えば、雇用者に占める非正規雇用者の割合は女性は五割以上、五四・二%で、男性は二割、二〇・五%ということで、五割と二割で男女間に大変格差があります。また、雇用者に占める非正規の割合を女性だけに限って言いましても、二十四年では五三・一%、平成二十九年では五四・二%とだんだんと微増をしてきている。こういうことを考えますと、やはり今からこのことも取り組んでいく課題だと思っています。女性管理職への機会も少なくなるこういう非正規の割合が問題でもあると思っておりますので、これはまた別の機会に議論をさせていただきたいと思います。  次に、質問です。確かに業種によっては女性の就業が少ない分野があります。十二月議会の我が会派の代表質問で建設業における女性の活躍について尋ねたところですが、今年度新たに取り組んだ建設業における取り組みの実績、そしてまた今後どのように進めるかということを再度、質問したいと思います。 173 ◯柳瀬女性活躍推進室長 建設業の女性の就業を促すため、イメージアップや職場環境の改善について企業の枠を超えて話し合うワークショップがこの二月に開催されまして、支援を行ったところでございます。約二十社から約三十名の女性従業員の皆さんが参加され、建設業団体や経営トップの皆さんへ提案、意見交換が行われました。女性参加者からは、女性の作業着がない、産休、育休、介護休暇がとりづらい、評価に男女差を感じるなどの意見が出されまして、経営者の皆様からは、直接話さないと気づかないことも多く参考になった、できることから取り組みたい、また、経営者の意識を変えることが大切などの意見もありました。互いにこのような取り組みの必要性が共有されたところでございます。  県としましては、今年度の成果を踏まえまして、建設業が女性にとって魅力ある職場となるための具体的な取り組みに対しまして、来年度も引き続き支援を行うこととしております。 174 ◯中嶋玲子委員 私も建設業の方たちからよく聞くことがあるんですけど、女性を登用しようと思っても、昔からきつい、危険、厳しい、そういうことでなかなか、新しく建設業者に入ってきてくれる女性が少ないという話を聞きました。でも、その中には、今答弁にありましたように、女性用の作業着がないとか、産休がとりづらいとか、それから着がえるところが確保されていないとか、トイレが透け透けであるとか、そういういろいろな問題がありますので、そういうものを解決していくということを経営者と従業員がこのワークショップで話し合ったということはとってもよかったことだと思います。改善につながっていくのだろうと思いました。  次に、女性の就業が少ない分野は建設業だけではないと思います。来年度の予算では運輸業についても取り組むとのことでございますが、その内容をちょっと教えていただきたいと思います。 175 ◯柳瀬女性活躍推進室長 本県の運輸業の中でも、特に道路貨物運送事業者の皆様から深刻化するドライバー不足、また働き方改革などの対応を進める上で女性の採用や登用を進めたいとの声を伺っております。そのため、来年度は本県の運送業における女性の就業実態を把握するとともに、女性の就業や登用が進んでいない理由、またその課題について、経営者や従業員にアンケート形式で調査したいと考えております。この結果をもとに、運輸業の皆さんがみずから具体的な対応策を検討、協議する取り組みについて支援を行っていきたいと考えております。 176 ◯中嶋玲子委員 実態をしっかりと調査していただいて、活躍の場が広がり、企業にとっても誰もが働きやすい職場になり、事業所の経営力向上につながるように取り組んでほしいと思います。女性の活躍の場を広げ、推進していくためにはやはりトップの意識が大事です。福岡県は女性の社長も多い県であると知事も答弁されましたが、トップリーダーとして活躍されている女性の経営者にも、先頭に立って、遠慮することなく女性活躍を牽引していただきたいと考えております。  そこで、新年度の新規事業で、女性経営者などの業界横断的な連携、協力を促進するとして女性活躍交流会議を開催されると聞いておりますが、まず、なぜ女性経営者だけなんでしょうか。 177 ◯柳瀬女性活躍推進室長 女性の経営者は、みずからの職場での働いた経験から、女性従業員が結婚、出産後も働き続けられるよう、生活と仕事の両立支援や、トイレ、休憩室、制服の改良などといったさまざまな取り組みを実践されています。また、男女にかかわらず従業員が働きやすい職場づくり、例えば、病気療養や親の介護と仕事の両立支援などにも取り組まれております。こうした女性経営者の取り組みや経験を他の企業に広げるとともに、最先端の経営手法や技術を学ぶことで企業の発展にもつなげていただきたいと考え、女性経営者による交流会議を開催することといたしております。 178 ◯中嶋玲子委員 その女性活躍交流会議については大変期待をしています。実は、せんだって福岡県と男女共同参画センターあすばるが一緒になり開催された交流会がありました。その女性は地域の女性団体の方であったんですけれども、自分たちだけで活動しているときには見えないことが、いろいろな人と意見交換をする中で、頑張っているところ、そしてまた、自分も頑張ろうという意欲を大変持ったということでした。「あすばる大交流会」という名前でございましたが、こういった交流会議を持っていただくことは女性のスキルアップにはやっぱり欠かせないことだと思います。  でも、具体的にはどういうことを行うのかが気になりますが、女性経営者の活躍によりどのような社会を目指しているんでしょうか。 179 ◯柳瀬女性活躍推進室長 企業の経営者や役員、農林水産業で活躍する女性リーダーなど、業種や地域、世代を超えて互いに高め合い、刺激し合い、新たなビジネスの契機となる交流会、ビジネスの可能性や先端技術などの新たな知識を得るセミナー、そして女性活躍の前提となります働き方改革、両立支援に向けた勉強会などを開催することとしております。こうした取り組みによりまして、業種や仕事の内容にかかわらず女性がそれぞれの個性と能力を発揮し、活躍する社会を目指したいと考えております。 180 ◯中嶋玲子委員 御答弁ありがとうございました。  最後になりますけれども、私も、あすばるで七年ぐらいお世話になりました。本当に、二十年前から十年、そして五年と、だんだんといろいろな分野について女性が活躍できる条件整備をしていただいていると思います。今後は働く女性がどんどんふえてきます。男性は団塊の世代で退職される、今まで家庭にいた女性たちが外に出て働くという、労働力はどんどん女性がふえてくる時代になりました。そんな、女性が生き生きと活躍している職場や地域は男性も活躍しているということになります。女性の活躍の取り組みを推進することは、働き方改革、また仕事や家庭との両立の制度の充実が図られるなど、社会全体の環境整備につながります。女性も男性も、誰もがその個性と能力を発揮できる社会づくりにつながる重要なものと考えます。日本は世界におくれをとっていると思いますけれども、そんな日本の中だからこそ先進県を目指すことは大事なことであると思います。  しかし、ジェンダーギャップ指数で示されましたように、世界における日本の位置も本当に低いものである、二倍、三倍の馬力をかけてもっともっと頑張っていただかなければならないと思います。やはり働く場はまさに労働と雇用、そしてまた男女共同参画と密接にかかわるものでございます。なお一層の労働、それから雇用の分野との連携をとって取り組んでいただくことを期待しまして、応援をさせていただきます。頑張っていただきたいと思います。質問を終わります。(拍手) 181 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑ありませんか。二宮眞盛委員。 182 ◯二宮眞盛委員 こんにちは。公明党の二宮眞盛です。  消費者教育について、質問をしたいと思います。  初めに、資料要求をさせていただきます。福岡県における新型コロナウイルスに関連した消費生活相談の受け付け状況についてであります。委員長、お取り計らいのほど、よろしくお願いします。 183 ◯井上順吾委員長 お諮りいたします。  ただいま二宮委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 184 ◯井上順吾委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま二宮委員から要求がありました資料については提出できますか。本田生活安全課長。 185 ◯本田生活安全課長 直ちに提出いたします。 186 ◯井上順吾委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 187 ◯井上順吾委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 188 ◯井上順吾委員長 資料が配付されましたので、二宮委員、質疑を行ってください。 189 ◯二宮眞盛委員 それでは、資料の説明をお願いしたいと思います。 190 ◯本田生活安全課長 お配りしております資料でございますが、本県と県内市町村の消費生活センターに寄せられました新型コロナウイルスに関連した消費生活相談についての、相談が始まりました一月二十四日から今月十日までのものを記載しております。  相談件数は、県内全体で二百十件でございます。その内訳でございますが、マスクの不足に関するものが十三件、そのマスクの転売に関するものが十件となっております。また、マスク以外のトイレットペーパー等生活物資の不足については四十一件、それの転売に関するものが三件となっております。その他といたしまして、宿泊や交通機関の予約のキャンセルに関するものが六十九件、イベントや結婚式等のキャンセルに関するものが四十一件となっております。 191 ◯二宮眞盛委員 ただいまの相談件数の報告を伺いますと、新型コロナウイルス感染症の影響で結婚式などのイベントあるいは旅行をキャンセルした場合、キャンセル料を払わなければならないのかなどの問い合わせが多いようでもありますけれども、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う契約トラブルの注意喚起について、県としてどのように対応されているのかお聞きします。 192 ◯本田生活安全課長 県の消費生活センターでは、こうしたキャンセルをした場合に、一般的に契約条項により、キャンセルの時期によって払い戻しの内容に違いがございますことから、返金の有無、返金の手続、返金の期限などについて事業者に必ず確認するようアドバイスをしているところでございます。  また、マスクの入手が困難な状況に便乗いたしまして、マスクを無料で送付するなどと消費者の関心を引き、メッセージ内のURLをクリックすると個人情報が盗まれるといった手口による相談も全国で寄せられているところでございまして、県の消費生活センターのホームページをおきまして新型コロナウイルスに便乗した悪質商法に関する注意喚起も行っているところでございます。 193 ◯二宮眞盛委員 マスクに関連する相談が全体で二十六件あっているようなんですけれども、私もどこのコンビニ等に行こうとも一枚たりともありません。これは皆さんがお感じになっていることだろうと思います。この理由について、どのように考えられているのか、そして県ではどのような対応をとってきたのかをお聞きしたいと思います。 194 ◯本田生活安全課長 新型コロナウイルス感染拡大に伴いましてマスクの需要が急速に増加したため、品薄となることに対する不安からマスクを多量に買い占める状況が発生したものと考えております。また、今回のマスクについてはインターネットにおいて高額で取引されているという事例が報告され、こうした転売を目的とした購入が店頭におけるマスクの品薄状況に拍車をかけているとの指摘もございます。  このため、県では、県及び消費生活センターのホームページにおきまして、県民の皆様に転売目的での購入をしないことや冷静に対応していただくことを呼びかけているところでございます。また、国では、一月二十八日でございますが、日本衛生材料工業連合会等の関係機関に対しまして、マスクの安定供給の要請を行っておりまして、こうした国の取り組みにつきましても県のホームページにおいて周知を行っているところでございます。 195 ◯二宮眞盛委員 マスクにつきましては、御存じのとおり、三月十五日から国民生活安定緊急措置法に基づきマスクの転売が禁止をされているわけでありますけれども、その内容はどういうものなのか、そして県ではどういう対応をとっているのかをあわせてお聞かせいただきたいと思います。 196 ◯本田生活安全課長 国民生活安定緊急措置法でございます。これは昭和四十八年、オイルショックのときのトイレットペーパー不足に関しまして制定された法律でございますが、この法律に基づきまして、マスクの転売禁止につきましては事業者のみならず個人も対象であること、購入価格を超える価格でマスクの転売を行った場合は処罰の対象となること、この違反に対しましては一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金が課されることを定めております。
     県ではこのマスク転売禁止に係る政令の内容につきましてホームページで情報提供を図るとともに、違反行為を見つけた場合には警察等に通報するよう要請しているところでございます。 197 ◯二宮眞盛委員 今回、新型コロナウイルスに関連しまして、全く関係のないトイレットペーパーなどが不足するという間違った情報が拡散され、これも世界的な大きな問題だと思うんですけれども、実際に買い占めなどによりトイレットペーパーが品薄になるという状況が既に発生をいたしております。こうした状況を発生させないためにも、SNSの活用などによる冷静な消費者行動を促す啓発、摘発、情報提供が適切であると思いますけれども、この点どのように考えられていますでしょうか。 198 ◯本田生活安全課長 新型コロナウイルスの感染拡大に関連いたしまして、トイレットペーパー等の在庫が十分確保されているにもかかわらず、SNS等において不足するのではないかという情報が広がり、実際に店舗での品切れが発生しております。こうした間違った情報に基づき消費行動を起こさないようにするためには、正確な情報を速やかに収集し、発信することが大切でございまして、県民の不安を解消し、冷静な行動を促すことにつながるものと考えております。  このため、マスク、消毒液、トイレットペーパー等の生産、輸入、発送状況につきまして、現在、経済産業省のほうで情報を把握し、その情報が随時更新されておりますので、県におきましても、この情報を県のホームページにも掲載いたしまして、またSNS等でも発信をし、情報を県民の方にお知らせしているところでございます。 199 ◯二宮眞盛委員 マスクを買い占めて転売する行為、あるいはトイレットペーパーが不足をしているとの間違った情報に基づく消費行動を起こさないためには、消費者自身が社会的役割を自覚して行動することが大事、必要であると考えますけれども、そのためにも消費者教育が大変重要であると考えます。消費者教育の意義についてお聞かせをいただきたいと思います。 200 ◯本田生活安全課長 消費者教育の意義については、二点ございます。一点は、消費生活に関する知識を習得し、消費者トラブルを回避するための適切な行動に結びつけることでございます。もう一つは、消費者自身が社会的役割を自覚し、行動することでございます。この後者を目指す社会につきましては、消費者教育推進法の中では「消費者市民社会」と定義づけておりまして、この実現のための行動といたしまして、不公正な事業者とは取引をしないこと、環境、人、地域に優しい商品を選択すること、余計なサービスを断ること、そして買い過ぎないなどの行動を求めております。 201 ◯二宮眞盛委員 それでは、現在、本県として取り組んでおられます消費者教育の現状について伺いたいと思います。 202 ◯本田生活安全課長 県では、昨年の第二次福岡県消費者教育推進計画に基づきまして、消費者トラブルを回避するための適切な行動や、実際にトラブルに遭った場合の対処方法の教育に取り組んでいるところでございます。具体的には、令和四年度、二年後でございますが、成年年齢が十八歳に引き下げられることに伴いまして、県内の県立高校等を中心といたしました課外授業の実施、あるいは高齢者に注意を喚起いたします消費生活サポーター、これはボランティアでございますけれども、そういった育成に力を入れておりまして、このサポーター養成につきましては五年前から取り組んでおりまして、現在、千二百名を養成しているところでございます。  こうした課外授業やサポーター育成事業の中で、トラブルがあった場合に消費生活センターに相談することにより、トラブル情報が社会的に共有化され、事業者の指導あるいは行政処分、また立法化につながるということで、消費者の社会的役割もあるということをお伝えしているところでございます。 203 ◯二宮眞盛委員 県民のお一人お一人が、みずからの消費行動が社会に影響を与えることを認識して、人や社会、地域等に配慮した消費行動を行うことが求められています。テレビを見ていまして私もびっくりしましたが、日本国内でも同じようなことがあったんですかね、アメリカなんかでトイレットペーパーを取り合ってスーパーでけんかになるというちょっと目を覆いたくなるような光景が何回もテレビ画面を通してあったわけであります。私はやはり、適切な消費者マインドを育成するための消費者教育にもっと力を入れていくべきだと、こういった事態でありますからなおさら感じている一人であります。見解をお伺いしたいと思います。 204 ◯本田生活安全課長 平成二十三年に東日本大震災が起こりましたけれども、このときの経験を教訓にいたしまして、その翌年に制定されました消費者教育推進法の規定の基本理念の一つでございますが、「消費者教育は、災害その他非常の事態においても消費者が合理的に行動することができるよう、非常の事態における消費生活に関する知識と理解を深めることを旨として行われなければならない」という条項が組み込まれております。本条項は、緊急時の冷静な消費行動を促すとともに、常日ごろから緊急時への備えをすることの重要性を認識させる考え方でございまして、今後、私ども県の消費者教育の中にもこの考え方を取り入れていくべきだと考えております。  このため、先ほど申しましたような課外授業、あるいはサポーター養成事業の中でもこうした趣旨の事例の教材等も取り入れまして、みずからの消費者行動が社会に影響を与えるという消費者マインドを育成してまいりたいと考えております。 205 ◯二宮眞盛委員 わかりました。ぜひ頑張っていただきたいと思います。  最後に、本県におきます今後の消費者教育の推進について、ぜひ部長の決意をお伺いさせていただきたいと思います。 206 ◯井上順吾委員長 山田人づくり・県民生活部長。 207 ◯山田人づくり・県民生活部長 消費者教育についてでございます。  県の消費生活センターあるいは市町村の消費生活相談窓口における消費者からの相談でございますが、これまでは被害に遭ってしまったらどう対応したらよいか、あるいは被害に遭わないようにするためにはどのように行動したらよいか、こういった相談がほとんどを占めているという状況でございました。このため、被害に遭いやすい高齢者や若者を対象に、被害に遭った場合の対処方法、あるいは被害の未然予防に関する消費者教育に力を入れてまいったところでございます。  一方で、今回のマスクやトイレットペーパーの問題のように、誤った情報によりまして極端な消費行動が起きますと必要とする人に物資が届かない、あるいは商品を求めて店頭に行列ができるといった社会の混乱を招いてしまうことになります。このため、非常事態や緊急のときにこそ消費者の皆さんに社会の一員として冷静かつ適切な行動をとっていただくことができますよう、ホームページやSNSを初め県のさまざまな広報媒体を通じましてしっかりと呼びかけてまいる考えでございます。  また、先ほど課長からも答弁しましたように、高校生に対する課外授業、あるいは消費サポーターの養成研修に加えまして、市町村の相談員研修、自治会などに出向いて行う出前講座などの教育啓発を行っております。この際には非常事態や緊急の際の冷静かつ適正な行動の必要性について理解を深めていただけますよう、カリキュラムの充実を図ってまいりたいと考えております。 208 ◯二宮眞盛委員 ありがとうございました。終わります。(拍手) 209 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑ありませんか。香原勝司委員。 210 ◯香原勝司委員 自民党県議団の香原勝司であります。  通告に従いまして、スポーツ立県福岡について質問していきたいと思います。  これまで「九州の自立を考える会」では成長戦略の一つとしてスポーツ振興を掲げ、県に提言をしてきております。九州の牽引者として、本県のスポーツ振興体制の強化のためのスポーツ局の設置や基金の創設についても提案をしてまいりました。また、我が会派は代表質問においてもスポーツ推進に関する基金についてただしてまいったわけです。改めてスポーツ局の設置、そして基金の創設、この二点について質問させていただきたいと思います。  では、確認ですが、そもそもなぜ今、スポーツ局を設置されたのか伺いたいと思います。 211 ◯井上順吾委員長 中平スポーツ振興課長。 212 ◯中平スポーツ振興課長 今議会に提案しておりますスポーツ推進条例を着実に推進し、スポーツ立県福岡を実現していくためには、アスリートの競技力の向上、大規模スポーツ大会の誘致・開催、障がい者スポーツの推進、スポーツを活用した地域振興などに全庁を挙げて取り組んでいく必要があると考えております。このため、かねてよりスポーツ関連施策の組織体制について検討してきておりましたが、スポーツ推進条例の制定やスポーツ推進基金の創設を議会に提案させていただいているこの機に人づくり・県民生活部にスポーツ局を設置したいと考えたものでございます。 213 ◯香原勝司委員 では、スポーツ局の体制について、引き続きお答えいただきたいと思います。 214 ◯中平スポーツ振興課長 スポーツ局の体制については、スポーツ企画課とスポーツ振興課の二課体制でスポーツ関連施策を推進していきたいと考えております。そのうちスポーツ企画課はスポーツ推進基金やスポーツ推進審議会、大規模国際大会の誘致・開催、スポーツコミッション、オリンピック・パラリンピックに向けた機運醸成や聖火リレーの準備・実施などを所管することと予定しております。また、スポーツ振興課は、県民体育大会やねんりんスポーツ文化祭の開催、総合型地域スポーツクラブの育成や障がい者スポーツの振興などを所管することとしております。なお、スポーツ局は局長を含めまして三十一名体制を予定してございます。 215 ◯香原勝司委員 今答弁がありましたように、局長を含め三十一名の体制ということでありますから、スポーツ局はスポーツ立県福岡の中核をなす組織であると考えております。スポーツ立県福岡の基本理念は「福岡県のスポーツをより元気に、スポーツの力で福岡県をより元気に」だと伺っている次第であります。福岡県のスポーツを元気にするためには、県内各市町村のスポーツが元気にならないといけません。そのためには県と市町村の連携は不可欠であると考えております。そのことについてどのように考えてあるのか、お聞きをしたいと思います。 216 ◯中平スポーツ振興課長 スポーツ立県福岡を実現するためには、委員御指摘のとおり、まずは何より、県と市町村とがスポーツを通して地域を活性化していくという思いを共有し、一体となってスポーツ振興に取り組んでいくことが必要であると考えております。  このため、県では、一昨年から、市町村のスポーツ行政関係者を対象として地域スポーツ政策の立案等に関する研究会「地域スポーツイノベーションカレッジ」を開催しておりまして、県と市町村の意識の共有化を図ってまいりました。これに参加いただいた六十市町村の担当者の方々は、それぞれの地域で新たな事業を企画されておりまして、今年度についてはそのうち三十一事業が県内の市町村で新たに生み出されているという状況でございます。今後もこうした研究会を通しまして、県と市町村との連携をさらに密にとり、県内全域でスポーツを活用した新たな地域活性化方策が生み出されるよう取り組んでまいりたいと考えております。 217 ◯香原勝司委員 本当に市町村との連携なくしては、なかなかスポーツ立県福岡はなせないと思いますので、しっかりやっていただきたいと思います。  そして、今回の質問で一番言いたかったところをまた話したいと思います。私は直方市体育協会の会長を務めております。体育協会では競技団体や総合型地域スポーツクラブ、スポーツ推進委員といった方々とともに地域スポーツの振興に取り組んでいます。スポーツ立県福岡を実現していくためには、県内のスポーツ関係者が総力を挙げて取り組む必要があります。県には、さきに述べた競技団体等の統括組織もあると思いますが、今後、これらのスポーツ団体等とどのように連携をしていくつもりか、その考えをお聞かせください。 218 ◯中平スポーツ振興課長 各市町村の体育・スポーツ協会、総合型地域スポーツクラブ、スポーツ推進委員の皆さんには、本県の競技力向上や健康の維持・増進、誰もが身近な地域でスポーツに親しむ場の提供など、地域の最先端でそれぞれにスポーツの振興を担っていただいております。スポーツ立県福岡を実現していくためには、こうした団体の皆さんが思いを一つにし、相互に連携して総力を挙げて取り組むことが重要であると考えております。  そこで、まずは来年度、地域スポーツを統括する県の体育協会、県のスポーツ推進連絡協議会、総合型地域スポーツクラブの連絡協議会などの代表の皆様にお集まりいただき、各団体の現状と課題、地域スポーツ振興の方向性などについて共有を図ってまいりたいと考えております。その結果を踏まえまして、地域スポーツを活性化させるためにスポーツ関係者が一体となって何に取り組んでいくべきなのかを見出し、それを実践してまいりたいと考えております。 219 ◯香原勝司委員 ぜひスポーツ立県福岡の実現に向けて、県内のスポーツ関係団体、そしてスポーツ関係機関と思いを共有して、連携をとって進めていただきたいと思います。大野城市体育協会の井上順吾委員長も目の前におられますので、市町村の体育協会を忘れることなく実施をしていただきたいとお願いする次第であります。  では次に、スポーツ推進基金についてお尋ねをいたします。  先ほどの答弁ではスポーツ局がスポーツ推進基金を所管するとのことでありましたが、改めてお尋ねしますが、県がその事務局を担うのでしょうか。 220 ◯中平スポーツ振興課長 今回創設をする基金につきましては、県が直接その事務局を担うのではなくて、新たに基金管理財団を設立し、この財団において基金の管理運営を行ってまいりたいと考えております。ただし、県としても当面の間は事務局機能をしっかりと支援してまいる考えでございます。 221 ◯香原勝司委員 さきの我が会派の代表質問で、知事は、総額五十億円規模の基金にしたいと答弁をされたと思います。しかしながら、本議会に提案をされている基金創設に関する予算は二十六億四千万円余となっています。目標額の半分程度しか予算措置がなされていないと思いますが、どのようにして五十億円規模を確保しようと考えているのか、これは部長にお聞きをしたいと思います。 222 ◯井上順吾委員長 山田人づくり・県民生活部長。 223 ◯山田人づくり・県民生活部長 今回創設を予定しております基金でございますが、その使途としましては、トップアスリートの育成と大規模スポーツ大会の誘致・開催等を想定しているところでございます。  このうち大規模スポーツ大会の開催・誘致につきましては、どのような大会が開催されており、どの大会等を誘致するのかを考える必要がございますので、国内外で開催をされております大会の関係者に開催に要する経費でありますとか観戦者数等について聞き取りを行ってまいりました。その中で、基金の規模といたしましてはおおむね五十億円程度を有しておくことが望ましい、そのように考え、その額を設定したものでございます。  このため、まずは県から二十六億円を出資させていただきたいと考え、今議会に予算をお願いしているものでございます。現在、関係の方々と最終の相談、調整を行っているところでございまして、今後、こうした関係の皆様の御理解をいただいた上で、総額五十億円規模の基金としたいと考えております。  また、効果的な資金運用による果実の確保に加えまして、県民の皆様や企業などからの御寄附を募りますとともに、国や関係機関、企業、大学等と連携をいたしましてスポーツビジネスで収益を上げる仕組みをつくり上げてまいりたいと考えているところでございます。 224 ◯香原勝司委員 今の答弁を聞く限りでは、五十億ということに対してまだ明確には、残りの確保分についての答弁はできないというところもあるみたいではありますので、執行部にこれ以上求めてあれなので、その辺のところは知事のほうに聞きたいと思っています。  そして、今、部長から五十億規模の基金という答弁をいただいて、その管理、そして執行は財団がされると考えていいんだと思いますので、この財団の運営状況などがしっかりと議会でも確認ができるようにしていただきたいと思います。  さて、ちょっと違う視点で質問します。現在、新型コロナが大変拡大して、この影響で世界経済とか株価、企業、さまざまなニュースが今メディアで取り上げられています。このたび創設する予定であります基金の上乗せ分は企業とか、そういうところからの寄附金を募ってという考えが示されたと思いますが、このような状況下においてスポーツの基金に寄附をしてくれる企業が今、本当にあるのでしょうか。  また、基金の使途の一つとして示されたアスリートの育成には何よりタイミングが重要であります。伸びる時期を逃さず適切に支援をしなくてはならないと思います。そのためには安定的な財源である基金を活用する方針は理解ができますが、そもそも基金自体が安定した財源というふうに今はなり得ていないと思います。そして、収益事業にも取り組むという方針を打ち出されていますが、一体、何年間でどれくらいの収益を見込んでおられるのか、また、どのようなスポーツビジネスを展開していこうと考えてあるのか、計画があるのであればお示しをいただきたいと思います。 225 ◯中平スポーツ振興課長 委員御指摘のとおり、新型コロナウイルスはスポーツの業界を含めさまざまな分野に影響を及ぼしておりまして、このような状況が続くと基金への寄附が厳しくなるという御指摘もそのとおり想定されるわけでございます。県としましては、基金創設の趣旨をスポーツ関係者や企業の皆様に広く周知をいたしますとともに、企業に直接お伺いし、説明をさせていただきながら、寄附についての御理解、御協力を得てまいりたいと考えております。  具体的なスポーツビジネスの展開でございますが、例えば、海外でスポーツアカデミー事業を実施する企業などと連携をしまして、本県や我が国はもとより、アジアやオセアニア地域のジュニア世代をターゲットとしたハイレベルな育成システムのビジネス展開、また大学や研究機関と連携した健康関連ビジネスのあり方などについて現在、検討を進めているところであります。こうしたスポーツビジネスにつきましては今後の広がりが期待をされる分野でもございます。いつまでにどのくらいの収益をというお尋ねに対しましては現段階で明確にお答えすることができませんが、今後もこれまでの国や関係機関とのネットワークを生かして、つながりのある専門の方々に御相談しながら事業化を図り、早期に収益を上げられる事業となるよう、急ぎ検討を進めてまいりたいと考えております。 226 ◯香原勝司委員 今、答弁がありましたように、スポーツビジネスはこれから間違いなく伸びていくと思いますし、やはりアジアの玄関口であるこの福岡でこのようなビジネスが広がっていくということは夢があると思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。そしてまた、やはり寄附金についてはかなり心配するところもありますので、皆さんしっかりやっていただきたいと思いますし、このことについては注視をしていきたいと思います。  最後になりますけど、部長に、改めてこの基金の創設で何を目指すのか、そして、目指す目的を達成するためには部長は何をやらなければいけないのか、お伺いをしたいと思います。 227 ◯山田人づくり・県民生活部長 スポーツを通じて体力の向上、健康の保持・増進、生きがいや仲間づくりが促進されるなど、スポーツには年齢や性別、障がいの有無にかかわらず人を元気にする力があると考えております。また、大規模スポーツ大会が開催されますと、本県のスポーツが元気になることはもちろんでございますが、スポーツを通じた地域の観光振興、国際交流の推進などにもつながります。地域経済の活性化にも寄与すると考えているところでございます。  福岡県のスポーツを元気にし、そしてスポーツの力で福岡県をより元気にする、そういうスポーツ立県福岡の実現を目指しまして、今議会に提案をいたしております福岡県スポーツ推進条例、そして新たなスポーツ推進基金を活用し、本県のスポーツの推進に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 228 ◯香原勝司委員 スポーツの振興に対する基金の創設については私自身も必要と考えておりますし、大いに期待しております。また、その設置目的を達成するために相当額の基金の確保が大事であろうとも思います。  知事は、我が会派の代表質問に対して、今回の基金を五十億規模とするという考えを示されたことは先ほどお話をしました。私はこの五十億の根拠について、関係者の聞き取りを行った結果という答弁がありましたけど、本当に五十億円で足りるのかとも思いますし、今回つくろうとしているこの五十億円の根拠についても先ほどの答弁では明確ではありませんでした。この案件自体は九州の自立を考える会から知事に提言した内容でもあります。改めて小川知事にその基金の規模の考え方などをお聞きしたいと思いますので、委員長、知事保留質疑のお取り計らいをお願いいたします。 229 ◯井上順吾委員長 ただいま香原委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。  なお、知事保留質疑は三月二十五日水曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 230 ◯香原勝司委員 どうもありがとうございました。(拍手) 231 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑ありませんか。吉田宣弘委員。 232 ◯吉田宣弘委員 公明党の吉田宣弘です。  通告に従い、障がい者と難病患者のテレワーク推進について質問をいたします。  公明党は、平成二十八年の決算特別委員会の高橋雅成議員の質問において、通勤が困難な障がい者や難病患者などが就労しやすいテレワークを推進するよう要望させていただきました。当時、福祉労働部長は「会社等に通勤して就労することが困難な方々にとって、通勤の負担が軽減される在宅での就労への取り組みは非常に重要。雇用する会社側も、障がい者用の駐車場やトイレなどのハード整備の軽減が図られるメリットがある」とし、「難病患者の方や障がい者の雇用における在宅就労の普及に努めてまいる」と答弁をしておられます。  そこでまず、テレワークを活用した雇用のメリットは何なのか、就労する側、雇用する側、双方について伺いたいと思います。 233 ◯井上順吾委員長 田島新雇用開発課長。 234 ◯田島新雇用開発課長 障がいのある方や難病患者の方の中には、通勤時の心身への負担が大きいことや、他者とコミュニケーションをとって仕事をするのは難しいこと等の理由により、働く意欲や能力があっても就職できない人がおられます。一方、企業にとりましては、障がいに応じた職場環境の整備にコストがかかることや、障がいのある方が職場になじめるかどうか不安があること等の理由により、障がい者雇用が十分に進んでいない状況がございます。  このような中、テレワークは、障がいのある方や難病患者の方にとっても適性や能力に応じて働くことができ、就業の機会を大きく広げると考えております。また、企業にとっても、在宅勤務という形で雇用することができ、人材確保やコストの軽減という点で大きなメリットがあると考えております。 235 ◯吉田宣弘委員 双方にメリットがあることがよくわかるところでございますけれども、以後の質問を進める前提として、福岡県の障がい者の雇用数や雇用率は年々増加しているとお聞きをしております。その状況について御説明願います。 236 ◯田島新雇用開発課長 令和元年六月一日現在、本県の民間企業における雇用障がい者数は一万七千八百四十二人と過去最高を更新しております。また、障がい者雇用率は二・一二%と年々上昇しており、法定雇用率二・二%には達していないものの、全国平均の二・一一%は上回っております。 237 ◯吉田宣弘委員 全国平均は何とか上回っているというところでございますけれども、それだけ努力の積み重ねがあろうかと思います。  通勤が困難だったり苦痛を伴ったりする障がい者や難病患者の就労のために、そういった苦痛を取り除く意味でも、テレワークを推進することは必要不可欠であると私は思っております。今後、障がい者の雇用数をふやすためにも、このテレワークの普及が何が何でも必要であろうと思いますけれども、見解をお聞きしたいと思います。 238 ◯田島新雇用開発課長 県ではこれまで、県内十三カ所の障害者就業生活支援センターにおける就業及び生活面での一体的できめ細かな支援のほか、特別支援学校の生徒が日ごろ学習している知識や技能を企業の人事担当者に披露する技能見学会等を実施し、障がい者雇用の推進に努めてまいりました。先ほどお答えしましたとおり、障がい者雇用率は二・一二%と過去最高を更新しておりますが、法定雇用率は達成していない状況でございます。このため、これまでの取り組みに加えまして、企業、障がいのある方の双方にメリットがあるテレワークを促進することは、障がい者雇用の拡大に大いに有効であると考えております。 239 ◯吉田宣弘委員 有効であるということでございますので、このテレワークを推進するためのこれまでの取り組みについてもお聞かせください。 240 ◯田島新雇用開発課長 県では昨年度、有識者から成る検討会議を設置しまして、企業が障がいのある方によるテレワークを導入するに当たって必要となる検討段階から採用、定着までの一連の対応について、具体的な留意点や事例などをまとめた報告書を作成いたしました。  さらに今年度は、この報告書を活用しまして、県内企業での導入事例をつくるためのモデル事業を四社で実施しますとともに、啓発セミナーを三会場で開催したところでございます。このモデル事業では現在、新たに七名がテレワークで働くとともに、啓発セミナーでは合計で二百七十七名の参加があるなど、企業の関心が高まっているところでございます。 241 ◯吉田宣弘委員 今さまざまやりとりをした過程の中で非常にメリットが多いこのテレワークなんですけれども、企業の取り組みが進んでいるとは私は思っておりません。課題があろうかと思いますが、課題についての認識をお聞かせください。 242 ◯田島新雇用開発課長 テレワークによる障がい者雇用を進める上で、企業にとりましては情報通信システムの整備やテレワークに適した業務の切り出し、それからテレワークに対応した就業規則の見直しといった就業環境の整備や、障がいのある方の特性に合わせた体調管理などが課題でございます。 243 ◯吉田宣弘委員 課題についてしっかり認識をしておられるということでございます。とすれば、この課題を解決するための今後の取り組みが必要かと思いますが、この点についてお聞かせください。 244 ◯田島新雇用開発課長 先ほどお答えしました課題の解決のため、県ではテレワークに新たに取り組む企業十社程度が低額で利用できる障がい者向けの共同利用型オフィスを開設したいと考えております。施設を利用する企業に対してコーディネーターがテレワークに適した業務の切り出しについて助言を行うほか、業務のマニュアル化や資源の電子化等を提案してまいります。さらに、施設に支援員を常駐させまして、障がいのある方に対して、その障がいの特性に応じたきめ細かな支援を行ってまいります。この共同利用型オフィスの利用後は在宅テレワーク等による雇用につなげたいと考えております。  加えまして、啓発セミナーを引き続き開催するとともに、今年度実施しております在宅型のテレワークモデル事業における雇用の実例を報告書にまとめまして、企業向けに周知、啓発を行ってまいりたいと考えております。 245 ◯吉田宣弘委員 しっかりテレワークにつなげる実のある取り組みをお願いしたいと思います。  障がい者雇用率という形で今お聞きしましたこの障がい者への就労の取り組みは非常に評価していいのではないかと思いますけれども、冒頭申し上げた障がい者と難病患者、この難病患者についても同様の取り組みが必要だと思います。県から説明がありましたコワーキングスペースを活用するこの障がい者雇用導入支援事業でございますけれども、この対象に難病の患者も含めるか否かお聞かせください。 246 ◯田島新雇用開発課長 障がい者向けの共同利用型オフィス、いわゆるコワーキングスペースを活用した新たな事業の対象としまして、難病患者の方についても受け入れたいと考えております。 247 ◯吉田宣弘委員 難病患者も含めてくださるということで、非常に期待をしたいと思います。  最後になります。今、質問させていただいた障がい者と難病患者のテレワークの推進について、部長から決意をいただきたいと思います。 248 ◯井上順吾委員長 神代福祉労働部長。 249 ◯神代福祉労働部長 テレワークという働き方は、障がい者、それからもちろん難病患者を含め、時間とか場所に捉われずに働けるということから言うと、非常に大きな可能性を持っている働き方だと考えております。しかしながら、委員も御発言がありましたけれども、では今、その働き方が企業に広がっているかというと、まだまだそこまでは至っておりませんし、県内でも、やっとモデル事業という形を通じて七名の方に在宅でのテレワークを始めていただいた、来年はコワーキングというまた別な形で広げていきたいという、実を言いますと、まだ緒についたばかりというのが実際の状況だと思います。  ただ、今申しましたように、可能性は非常にあると思っていますので、ぜひ今、県で始めましたモデル事業、それから来年度にやりたいと思っているコワーキングスペースをきちんとやって、その成果を県内企業、場合によっては県外にも広げるような、モデルとなるような形でしっかり進めていく中で、障がい者、それから難病の方の雇用の場を広げていきたいと思っております。 250 ◯吉田宣弘委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。(拍手) 251 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑ありませんか。浦伊三夫委員。 252 ◯浦 伊三夫委員 自民党県議団の浦伊三夫でございます。  きょうは社会的養護を必要とする子供の養育についてということでお伺いいたします。  虐待や保護者の病気など、さまざまな理由によって、みずからの家庭で生活を送ることができない子供は、児童養護施設や里親家庭などで養育が行われることになります。このような社会的養護を必要とする子供の養育については、児童福祉法にも家庭養育優先の原則が規定されていますが、できる限り家庭と同様の養育環境で行われる必要があります。そのような制度として里親やファミリーホームの制度があります。  まず、本県ではこれまで里親やファミリーホームへの委託の推進に向けどのように取り組んでこられたのか、お伺いいたします。 253 ◯井上順吾委員長 福田児童家庭課長。 254 ◯福田児童家庭課長 県におきましては、里親登録者を拡大するため、平成二十四年度から児童相談所に里親委託を推進する専任の職員を配置いたしまして、児童養護施設等の里親支援のための専門相談員と連携しながら、里親制度を周知する説明会、里親になりたい方への研修会、それから里親の不安や悩みを解消するための里親サロンの開催、里親への訪問支援に取り組んでいるところでございます。 255 ◯浦 伊三夫委員 令和二年度の当初予算においては新規事業として里親養育包括支援体制整備事業というものと里親委託児童高校進学等支援事業というものが入っておりますが、この事業の内容をお聞かせください。 256 ◯福田児童家庭課長 里親養育包括支援体制整備事業につきましては、専門性と経験を有した人材を持ち、里親に対し継続した中長期的な支援を行っているNPO法人、それから社会福祉法人がございます。そういったことから、そういった民間団体に里親の開拓から研修、委託後のサポートまで一貫した支援を委託いたしまして、より質の高い里親養育につなげていこうというものでございます。まずは県内の六カ所の児童相談所のうち管内人口の多い福岡と久留米において実施いたしまして、その後、実施方法等の検証を行った上で他の児童相談所へ拡大していきたいと考えております。
     もう一つの里親委託児童高校進学等支援事業でございますが、これは里親やファミリーホームに委託、または施設に入所している児童が高校進学をする際などは受験料、それから入学金等の費用がかかりますが、国の措置費では不足しているという現状があります。そういったことから、里親などの負担軽減を図るため、一部費用について助成を行うものでございます。助成額につきましては、県が行った実態調査、それから県内政令市や他県における助成額等を勘案いたしまして、公立高校で二万円、私立高校で十万円、就職時で四万円を上限に助成することとしております。 257 ◯浦 伊三夫委員 この二つの新規事業というものは里親などへの委託を促進するものだと思いますが、この目標というものは設定しておられるんでしょうか。 258 ◯福田児童家庭課長 児童養護施設や里親で生活している子供のうち里親、ファミリーホームで生活している子供の割合を示します里親等委託率という比率がございます。この里親等委託率につきまして、本県では、例えば三歳未満で言いますと、平成三十年度末で約一〇%となっておりますが、これを五年後の令和六年度末には五二・四%まで高めていきたいと考えております。 259 ◯浦 伊三夫委員 今、設定している目標を言っていただきましたけれども、国は、三歳未満の児童で言うと、令和六年度までに里親委託率を七五%にするという目標を立てています。今伺った県の目標値は、それに全く届いていないわけであります。県ではどのような考え方でこの目標を設定されたのかお聞かせください。 260 ◯福田児童家庭課長 国におきましては、学識経験者等を集めて開催いたしました「新たな社会的養育の在り方に関する検討会」での議論を踏まえまして、三歳未満で言えば令和六年度までに七五%以上にするという目標を設定しております。その上で、都道府県において策定する計画におきましては、この国の目標を念頭に置き、地域における里親等での養育を必要とする子供の見込み等を踏まえまして数値目標と達成期限を設定するとされております。  このため、本県におきましては、目標値の設定に当たって、昨年度、乳児院や児童養護施設への措置となった子供につきまして、里親委託を選択できなかった理由などについて実態調査を行いました。その中で、精神疾患を抱えるなど専門的な配慮が必要なため里親への委託が難しい子供が一定割合、施設に入所しているという実態があることがわかりました。県といたしましては、こういった子供を除きまして里親やファミリーホームへの委託を積極的に推進していくという考え方で今後の社会的養育が必要となる子供の数を推計いたしまして、里親等委託率を算定したものでございます。 261 ◯浦 伊三夫委員 今御答弁いただきましたけれども、現実的に精神疾患などで里親委託が無理な子供たちがたくさんいるということがわかりましたが、そうであるならば、やはり里親委託をできる子供たちは全員委託できるように努力していただいて、その目標の達成に向けてしっかりと取り組んでいただきたいなと思います。  一方で、里親やファミリーホームで生活する子供の割合が上がっていくと、施設で生活する子供たちが減少すると思います。施設に求められる役割が変わってくると思いますが、県としての考え方をお聞かせください。 262 ◯福田児童家庭課長 児童養護施設等には、里親委託が困難なよりケアニーズの高い子供を受け入れていただくことになると思います。このため、県といたしましては、専門的なケアを行います心理職、それから医師、看護師の配置を進めまして施設の高機能化を図ってまいります。また、そうした子供に対しできる限り良好な家庭的環境を提供するため、施設の小規模化、地域分散化も進めてまいります。また、施設が持つ子供の養育に関する専門性を生かしまして、先ほど御説明いたしました里親養育包括支援体制整備事業の担い手に、また一時的に家庭における養育が困難となっております場合にショートステイ事業の受け皿となっていただく、こういったことを通じまして施設の多機能化を支援していきたいと考えております。 263 ◯浦 伊三夫委員 今後は施設の高機能化・多機能化というもの、そして、児童養護施設等が里親への委託が難しい子供たちの受け皿となってより高度で専門的な養育というものを提供していくことになるだろうと思います。  それでは、里親やファミリーホームへの委託推進に向けた今後の施策の方向性について、県はどのように考えているのかお伺いします。 264 ◯福田児童家庭課長 里親等への委託を進めるためには、里親やファミリーホームの確保、数をふやしていくといったことはもちろんでございますが、保護者の理解、それから里親等での生活を地域で支えていくといった環境づくりが必要になってまいります。このため、里親制度につきまして保護者に対して丁寧に説明し、理解を求めていくといったことのほかに、地域の方にも理解していただけるよう小規模な説明会を開催するなど、普及、啓発に取り組んでまいります。  また、里親自体の養育力を上げていくことも重要になってまいります。このため、研修や施設等での実習を充実するとともに、委託を受けた里親が抱える課題に対応するため、きめ細かい相談・支援に取り組んでまいります。  さらに、先ほどの里親養育包括支援体制整備事業によりまして、民間機関と協働しながら、里親の募集から研修、委託後のフォローまで、一貫した里親養育の支援体制の構築に取り組んでまいりたいと考えております。 265 ◯浦 伊三夫委員 昨年十二月の一般質問でも私は述べましたが、虐待や保護者の病気など、さまざまな理由によって親とともに生活を送ることが困難となった子供たちが、実の親でなくても大人からの愛情を受けて、安心して育てられるような環境をつくることが大事だと思っております。そして、里親やファミリーホームといった家庭的な養護環境を提供できる場所こそ社会的な養護を必要とする子供たちにとって最も適した生活の場所だと考えております。  最後に、里親やファミリーホームの委託のさらなる推進に向けた部長の強い決意をお願いいたします。 266 ◯井上順吾委員長 神代福祉労働部長。 267 ◯神代福祉労働部長 平成二十八年度に児童福祉法が改正されまして、家庭的養育優先の原則ということが明記されたところです。社会的養護が必要な子供の養育は、これまで中心であった施設での養育から、家庭と同様の養育環境を提供できる、今ずっと議論がございます里親、それからファミリーホームでの養育へシフトしていこうということになりました。家庭における養育が困難となった子供たちに温かな愛情と正しい理解を持った家庭の中で養育を提供する里親やファミリーホームは、子供の健全な育成を図る上で、とても大事な取り組みであると考えております。  里親等への委託に当たりましては、より多くの里親登録者をまずは確保していくことが大切でありまして、その上で子供一人一人のニーズに合った養育を提供できる里親の養育力の向上、それから里親を継続して支援していく取り組みが重要となってまいります。こうした取り組みにつきましては、本年度中に策定を予定している福岡県社会的養育推進計画にも反映したいと考えておりますので、今後はこの計画に基づき、さらなる里親委託をしっかりと推進していきたいと考えております。 268 ◯浦 伊三夫委員 終わります。(拍手) 269 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑ありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 270 ◯井上順吾委員長 ないようですので、以上で、香原委員の知事保留質疑を残し、第五款生活労働費に関する質疑を終わります。  この際しばらく休憩します。  再開は午後三時四十五分といたします。    午 後 三 時 三 十 七 分 休 憩    午 後 三 時 四 十 五 分 再 開 271 ◯井上順吾委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。  次に、第六款農林水産業費について、説明を求めます。鐘江農林水産部長。 272 ◯鐘江農林水産部長 六款農林水産業費について御説明をいたします。  お手元の令和二年度予算に関する説明書の二百三十九ページをお願いいたします。  一項農林水産業企画費でございます。その主なものは、ページが飛びまして二百四十一ページ、二目農山漁村振興費の右側説明欄、上から五番目の多面的機能支払事業費でございます。これは農地や水路等の保全を図るものでございます。この項の合計は、ページが飛びまして二百四十六ページでございます。この計の欄、八十一億九千三百万円余をお願いしております。  次に、二項農業費でございます。その主なものは、次の二百四十七ページになりますが、二目園芸振興費で、右側説明欄では、次の二百四十八ページの二番目、園芸作物振興対策費でございます。これは収益性の高い園芸農業の振興を図るものでございます。合計は、ページが飛びまして二百五十一ページでございます。計の欄、百十五億一千二百万円余をお願いしております。  次に、三項畜産業費でございます。その主なものは、二百五十三ページになりますが、二目畜産振興費の右側説明欄、上から六番目、畜産振興総合対策費でございます。これは畜舎整備等の生産対策を行うものでございます。合計は、一枚めくっていただきまして二百五十四ページ、計の欄、十七億九千八百万円余をお願いしております。  四項農地費でございますが、その主なものは、次の二百五十五ページに参りまして、二目農村整備費で、右側説明欄では、一枚めくっていただきまして二百五十六ページ中ほどの県営ため池等整備事業費でございます。これは農業用ため池の改修等を行うものでございます。合計は、次の二百五十七ページ、計の欄、百七十七億七千三百万円余をお願いしております。  次に、五項の林業費でございます。その主なものは、ページが飛びまして二百六十二ページでございます。四目治山費の右側説明欄、上から五番目、治山事業費でございます。これは山地災害の復旧、防止を行うものでございます。この項の合計は、ページが飛びまして二百六十七ページになります。計の欄、百四十五億一千三百万円余をお願いしております。  六項水産業費でございますが、その主なものは、二百六十九ページ、二目の水産業振興費、説明欄では上から七番目の沿岸漁場整備開発事業費でございます。これは漁場の整備や改善を行うものでございます。合計は、ページが飛びまして二百七十六ページの計の欄、七十七億八千九百万円余をお願いしております。  以上で、農林水産部所管の説明を終わります。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。 273 ◯井上順吾委員長 説明は終わりました。  これより質疑を行います。質疑はありませんか。井上正文委員。 274 ◯井上正文委員 自民党県議団の井上正文です。  漁業法改正に伴う新たな資源管理システムについてお伺いします。  国は、漁業が魅力的な産業となるよう、適切な資源管理と水産業の成長産業化を両立させることを目的に、平成三十年十二月に漁業法を改正し、本年十二月までには施行されることになっております。この改正漁業法の大きなポイントの一つとして新たな資源管理システムの導入が挙げられております。これは昨年九月議会で我が会派の代表質問でもただしておりますが、これに引き続きお伺いいたします。  まず、国が導入しようとしている新たな資源管理システムとは、これまでの資源管理とどこが違うのかお答えください。 275 ◯井上順吾委員長 濱田水産振興課長。 276 ◯濱田水産振興課長 資源管理は、水産資源を持続的に利用するために漁獲する量や大きさ、時期などを制限する重要な取り組みであります。新たに導入される資源管理システムでは、これまでの資源管理と大きく二つの点が異なります。一つは、資源管理を行う際に将来目標とする資源量についての考え方です。二つ目は、資源管理の対象となる魚種が拡大されるということでございます。 277 ◯井上正文委員 一つ目の将来目標とする資源量について、もう少し詳しく御説明をお願いいたします。 278 ◯濱田水産振興課長 これまでの資源管理では、資源がなくなってしまわない程度のいわば最低限の資源量を維持しようという考え方でありました。一方、新たな資源管理では、まず資源量を一度、高い水準まで回復させ、そこから毎年ふえた分だけを漁獲するということで、高い資源を維持しながら漁獲をするという世界的にも主流の考え方に変わります。 279 ◯井上正文委員 これまでの資源管理は結果的にとり過ぎて資源が減少したこともあったが、これからは少々とり過ぎても影響がないくらいまで資源量を高め、その後は長い間、安心して漁業ができるという理解でよろしいですか。 280 ◯濱田水産振興課長 はい、委員のおっしゃられるとおりでございます。 281 ◯井上正文委員 それでは、具体的にはどのような方法で行うのかお答えください。 282 ◯濱田水産振興課長 まずは対象となる魚についてですが、海にどれくらいの大きさのものが、どれくらいの数生息しているのかなどを推定する必要がございます。海や魚の状況は地域によって異なるため、都道府県がそれぞれの地域の漁獲の状況等を調査し、国の研究機関がこれらのデータを用いて資源の評価を行います。この評価結果をもとに、目標とする資源量や漁獲してもよい量を国が決定し、それを受けて、県では漁獲してもよい量を超えないように漁獲の管理を行っていくことになります。 283 ◯井上正文委員 理屈ではわかりますが、いざ取り組むとなりますと、何しろ自然が相手であり、漁業者の生活もかかった取り組みですので、なかなか難しいと思います。しかし、未来の漁業者のためにも必要不可欠なことだと私も考えますので、ぜひ現場の意見を聞きながら粘り強く取り組んでいただくよう強く要望しておきます。  では、二つ目の資源管理の対象となる魚種が拡大されることについても説明をお願いいたします。 284 ◯濱田水産振興課長 これまでは、アジ、サバ、スルメイカなどの全国的にも重要な漁業対象種である八魚種につきまして、これ以上の量をとってはいけないという規制を伴う資源管理を行ってまいりました。これからはこの八魚種に加え、まず漁獲の実態など資源の状況を評価するために必要な調査を行う魚の種類をふやします。そして、その中から漁獲の多い魚種や資源が悪化している魚種などを選び出し、優先順位の高いものから、順次、資源管理の対象に追加することとなります。 285 ◯井上正文委員 資源の状況を評価するために調査を行う、魚の種類をふやすということでしたが、現在が何種類で、いつまでにどれだけふやす予定なのでしょうか。 286 ◯濱田水産振興課長 現在調査の対象となっている魚種は全国で五十種であり、そのうち本県に関係する魚種はマダイ、マアジ、トラフグなど十七種となっております。これを令和五年には全国で二百種までふやす計画であり、現在の割合で試算しますと、本県に関係する魚種は新たにコウイカ、ガザミ、シロサバフグなどを含む約七十種に拡大する見込みであります。 287 ◯井上正文委員 これだけ多くの魚を調査することとなれば県も膨大な作業を行わなければなりませんが、先ほども要望しましたとおり、将来の漁業者のためですので、ぜひ対応をよろしくお願いいたします。  資源管理が大切であるということは漁業者の皆さんも理解されているわけですが、経営規模が小さい本県の沿岸漁業者に他県で行われているような大規模な沖合漁業者と同じような規制がかけられるのではないか、資源が回復されるまでの一時期であれ、規制により収入が減少するが、その間、経営していけるのかなどの声が聞こえてきます。本県沿岸漁業者が感じている新たな資源管理システムの導入による経営の不安に対し、どのように対応しているのかお伺いします。 288 ◯濱田水産振興課長 県はこれまで何度も現場での説明会を開催し、その場におきまして漁業者の皆さんから多くの不安の声を聞きました。この声をもとに、対象となる魚種や漁業の種類、管理の方法などが本県の実情に合ったものになるように国に求めてきました。その結果、魚種によっては、漁獲量の少ない県に対しましては目安となる数量は示すものの、漁獲の停止といった厳しい措置までは求めないなど、制度の柔軟な運用が国において検討されているところであります。  また、水揚げが減少したときに収入を補填するセーフティーネットについて、新制度のもとでも漁業者が安心して資源管理に取り組めるよう、国に対しさらなる強化を働きかけているところであります。 289 ◯井上正文委員 新しい資源管理システムの内容についてはおおむね理解しました。  私もこの制度は将来の漁業者のためにも必要であると考えますが、先ほども申しましたとおり、資源が回復するまでの漁業者の不安の声があるのも事実であります。ですので、ここは水産局長から漁業者の不安を払拭させるような力強い決意をお伺いしたいと思います。 290 ◯井上順吾委員長 石田水産局長。 291 ◯石田水産局長 本県は四季折々に非常に魅力的な水産物が水揚げをされます。全国でも魚がおいしいことで有名な県でございます。このすばらしい恵みを将来にわたって享受していくためには、やはり資源をしっかりと維持、場合によっては回復させ、そしてそれをまたさらに将来にわたって適切に管理をしていく、これが非常に重要なことでございます。その取り組みの過程におきまして、本日御質問をいただきましたような、漁獲が一定程度制限をされて、その結果、経営に影響が及ぶといったことも想定がされるわけであります。資源は回復した、でも、とる人がいないでは、やはり本末転倒でございます。そうならないために、県としましては、一つには、先ほど課長が答弁しましたとおり、国にセーフティーネットの充実、強化を初めとします経営安定対策について強く働きかけを行っております。  その一方で、あわせまして、県としましては、やはり直売所、カキ小屋といったものを活用して少しでも魚の値段を上げていく、それと、本県は天然魚が主たるものですから、その安定供給のために高品質な一次加工品の加工能力を向上させていく、それとまたスマート漁業などの取り組みによりまして漁業のコストを削減していく、こういった足元の経営対策にもしっかりと取り組むことによりまして本県水産業の成長産業化を実現してまいりたいと考えております。 292 ◯井上正文委員 終わります。(拍手) 293 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑はありませんか。冨永芳行委員。 294 ◯冨永芳行委員 民主県政クラブ県議団の冨永芳行でございます。  早速ですが、農業用ため池の防災対策について質問いたします。  昨年七月に農林水産省は農業用ため池の管理及び保全に関する法律を施行し、適正な管理や保全に必要な措置を講ずることにより、ため池の決壊による水害から国民の生命・財産を守るとしております。  まず最初に、いわゆるこのため池管理保全法についてお聞きします。この法律では、農業者はため池を届け出する必要があるとしていますが、全てのため池について届け出をする必要があるのでしょうか、御説明をお願いいたします。 295 ◯井上順吾委員長 柳田農村森林整備課長。 296 ◯柳田農村森林整備課長 農業用ため池は市町村が所有しているものと農業者や水利組合など民間で所有しているものがあり、そのうち民間所有のものについて届け出いただく必要がございます。 297 ◯冨永芳行委員 全てのため池ではないということでございます。  それでは、届け出られた情報というのはどのように活用されるのでしょうか。 298 ◯柳田農村森林整備課長 ため池の所有者や管理者から届け出いただいた所在地、貯水量といった情報をもとにデータベースを整備しまして、堤体や洪水吐といったため池の管理状況の把握に役立ててまいります。 299 ◯冨永芳行委員 わかりました。  ため池管理保全法にはもう一つ、県が防災上重要なため池と指定する制度があると聞いております。これはどのような制度か御説明をお願いいたします。 300 ◯柳田農村森林整備課長 まず、防災上重要なため池とは、決壊した場合の浸水区域に家屋や公共施設などが存在し、人的被害を与えるおそれのあるため池、いわゆる防災重点ため池のことでございます。この防災重点ため池のうち民間が所有するものを特定農業用ため池として県が指定する制度でございます。 301 ◯冨永芳行委員 ありがとうございます。二つの制度を使ってため池を管理していくということでございます。  この法律では、決壊による災害を防止することを目的に、適正な管理や保全に必要な措置をするとされています。どのような措置をとられるのか、御説明をお願いいたします。 302 ◯柳田農村森林整備課長 民間所有のため池について適正な管理がなされていない場合に、所有者や管理者に対し適正な管理に向けた指導を行います。また、特定農業用ため池の工事を行う際には事前に県へ工事計画を届け出ていただき、その計画が災害を防止する上で問題があるときは計画の変更を命じるなどの措置を行います。 303 ◯冨永芳行委員 適正な管理が行われていない場合は勧告を行うということですが、多くのため池の管理状況を把握するのは非常に難しいことだと思います。実際に私の地元宇美町のため池を見に行ったわけですが、道中とても険しい道でございました。  そこで、どのように把握していくおつもりなのか説明をお願いいたします。 304 ◯柳田農村森林整備課長 県では届け出された情報をもとに、市町村と連携し、現地を調査することとしております。また、現地調査を効率的に進めるため、来年度新たに設置するため池管理保全支援センターも活用し、管理状況の把握に努めてまいります。 305 ◯冨永芳行委員 わかりました。しっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、適正な管理を行うにはやはり一定の知識や技術といったものが必要だと考えます。そのような知識や技術の習得に向けてどのように取り組んでいかれるのか説明をお願いいたします。 306 ◯柳田農村森林整備課長 先ほど申し上げましたため池管理保全支援センターにおいてため池管理者からの相談に対応するとともに、ため池の管理や補修などについての研修会を開催することとしております。これらを通じ、ため池が適正に管理、保全されるように取り組んでまいります。 307 ◯冨永芳行委員 しかしながら、老朽化したため池というのは農業者などの管理だけではどうにもならないように思います。やはりため池の整備をもっとしっかりと進めていかなければ難しいのかなと感じております。県内に三千五百以上もある防災重点ため池の全てに整備が必要というわけではないということはわかっておりますが、相当数の整備が必要なのは想像がつきます。  そこで、ため池の整備が進むようにどのように取り組んでいかれるのか説明をお願いいたします。 308 ◯柳田農村森林整備課長 県ではこれまで、市町村や地元と協議した上で、緊急性の高いものから計画的な整備を行ってきたところです。来年度からは、ため池の整備を加速するため、市町村が事業主体となって行うため池工事について国の補助金に県として上乗せをして支援を行うこととしております。県としましては、こうした支援によりため池の整備を加速させ、農業用ため池の防災対策を進めてまいります。 309 ◯冨永芳行委員 来年度新たに設置されるため池保全管理支援センターの役割は非常に重要になってくると思いますし、期待をしております。ため池そのもののデータベース化も大事だと思いますけれども、個々のため池に関するソフト面の情報も地域の方々、そして市町村と共有していただければと思っています。  都心部のため池と郊外そして山間地のため池では課題などは違うと思っております。例えば私の地元では、ため池とイノシシなどの獣害とを一緒に相談を受けるケースが多いように思います。県民の生命と財産を守れるよう、ため池のきめ細やかな管理、そして支援をお願い申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 310 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑はありませんか。森下博司委員。 311 ◯森下博司委員 公明党の森下でございます。  通告に従いまして、農福連携マルシェについて、今回は農業者の課題について質問したいと思います。  農福連携は、農業を通じた障がいのある方の働く場の確保や、そこで働く方の賃金、工賃の向上に加え、体力や社会性の向上、そして地域との交流の促進など、障がい者の生活の質の向上が期待される重要な取り組みと思います。  さて、国は昨年六月に農福連携等推進ビジョンを策定しました。そのビジョンには、農福連携に取り組む農家や福祉施設を今後五年で新たに三千つくるとの目標があります。  そこで質問ですが、現在、本県では新たな農福連携の創出に向けてどのような取り組みをしているのか、まずお尋ねします。
    312 ◯井上順吾委員長 重松経営技術支援課長。 313 ◯重松経営技術支援課長 県では、農業者が障がいのある方に適した作業内容や接し方などを学ぶ研修会や、障がいのある方の農業大学校での農作業体験を行っています。また、農業者、JAと障がい者施設とのマッチング、障がいのある方の受け入れにかかわるトイレ、休憩所などの施設整備の支援を行っております。加えて、障がい者施設の農業生産販売力向上に向けた食品加工などの専門家の派遣、農福連携マルシェなどによる販売促進の支援を行っているところでございます。 314 ◯森下博司委員 県の取り組みは今理解できますけれども、質問の中にあった全国三千に対する本県の目標はどうなっているか聞かせてください。 315 ◯重松経営技術支援課長 目標についてですけれども、当課が把握している農福連携の取り組みは作業委託、直接雇用など、その形態はさまざまですが、平成三十年度は四十一件であったものが令和元年度は六十四件にふえています。これは国の設定している目標を上回る状況で拡大しているものと考えております。なお、具体的な目標値につきましては、今後、全国の動きや国の動向を注視しながら検討してまいります。 316 ◯森下博司委員 しっかり目標を定めて、有効と思われる農福連携の推進をよろしくお願いします。  次の質問ですけれども、障がいのある方を受け入れるに当たっては、障がいの特性が理解されずに職場でのパワハラにつながっているケースもあると聞いております。作業環境をもっとよくして、年間安定して農作物が生産・出荷できる水耕栽培のような最先端技術を導入した農業との障がい者は融合が必要だと私は思いますが、県の考え方を聞かせてください。 317 ◯重松経営技術支援課長 温度や日差しが管理できて一年中、安定的に農作物の生産ができる栽培施設は、障がいのある方にとっても体への負担が少なく、作業がしやすい環境になっていると思います。このような施設は整備に係る投資が大きく、加えてランニングコストもかさむことから、導入に当たっては栽培技術の習得による安定生産と販売先の確保による価格の安定を図り、農業経営を成り立たせることが不可欠であります。  したがって、このような施設を導入される場合は、生産技術の指導はもとより、経営資産、施設整備に係る既存の国、県の補助事業の活用などについて支援してまいります。 318 ◯森下博司委員 では、次の質問に移りたいと思いますが、障がい者の皆さんがつくられた本県のまごころ製品は、現在、県庁地下や公共施設、またイベント会場でかなり販売されていますけれども、その中で農福マルシェの商品についての現状と拡大策について答えてください。 319 ◯重松経営技術支援課長 農福マルシェで販売されました商品はイチゴ、ホウレンソウなどの農産物が約五割、パン、菓子などの加工品が約四割、しめ縄、リースなどの工芸品が約一割となっております。昨年十一月には福祉労働部と連携いたしまして初めて県の農林水産まつりにおいて農福マルシェを開催し、まごころ製品や農産物の販売を行いました。今後は、これまで農福マルシェに出店していない農福連携に取り組むJAや農業者に対しても農福マルシェの活用を促していくとともに、JAの直売所など新たな販売場所の開拓も行ってまいりたいと考えております。 320 ◯森下博司委員 今、説明を受けましたけれども、今後、農福連携マルシェへの商品の安定供給と売れる商品の開発には、農業版ジョブコーチの育成が必要だと思います。県としての考え方を聞かせてください。 321 ◯重松経営技術支援課長 今後、農福連携を進めていく上で、農業版ジョブコーチの育成は大きな力になるものと考えております。障がいのある方の作業委託を実施しているJAからも農業版ジョブコーチが必要だという意見を聞いているところであります。このため、県としては、意向のあるJAや農協法人に対して国のジョブコーチの育成事業を周知するとともに、その事業の活用に向けた助言を行ってまいります。 322 ◯森下博司委員 では、次の質問に移りたいと思います。先ほど、県が実施している取り組みの中に、JAと福祉施設をマッチングしている話がありましたけれども、今後は農福連携を進める上でJAの組織内に農福連携を所管する農福連携サポートセンターのような部署があると取り組みがもっとスムーズに進むのではないかと思いますが、私の提案に県の考え方を述べていただければと思います。どうぞ。 323 ◯重松経営技術支援課長 県では来年度、障がい者施設における農作業の共同受注を推進するための協議会をつくり、この協議会に県内四地域ごとのワーキンググループを設置してまいります。この協議会及びワーキンググループにはJAもメンバーとして参画していただくように考えております。このように、共同受注を進める協議会にJAが直接参画していただくことで、さらなるマッチングを進めてまいりたいと考えております。 324 ◯森下博司委員 先ほど共同受注の話がありましたけれども、ある程度大きな福祉施設とか作業所におきましてはこの農福連携のマルシェは提供できると思いますが、小さな障がい者施設、またそこにある小さな作業所なんかはほとんどここに参画できておりません。そういう面では、今、課長が言われた、課が、いわゆるJA等が窓口となって共同受注のウイングを広げることによって小さな作業所でできたマルシェもそこで販売が可能になると思いますし、その方たちの工賃も上がると私は思いますので、ぜひこれはしっかり取り入れていただいて、JAも参画していただくことを強く要望しておきます。  では、最後に部長に質問でございます。農福連携に取り組みたい方が現在たくさんおると聞いています。できればワンストップで相談できる窓口が県庁などにできれば、農業関係者、そして畑の違う福祉関係者、双方にとってメリットがあるんではないかと私は思いますけれども、部長の考えを聞かせてください。加えて、農福連携の取り組みについての決意も含んでお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。 325 ◯井上順吾委員長 鐘江農林水産部長。 326 ◯鐘江農林水産部長 まず、農福連携に係る相談につきましては、現在、農業者サイドからは農林水産部、そして障がい者サイドからは福祉労働部でそれぞれお受けしておる場合が多いと思います。また、そうした相談につきましては、両部でしっかり情報を共有し、連携してその対応に当たっているところでございます。ワンストップ相談窓口の設置につきましては、今後、農業者、福祉施設等の現場の声を聞いた上で、関係部署と検討してまいりたいと考えております。  決意ということでございますが、この農福連携につきましては、農業の担い手不足への対応はもとより、委員が冒頭指摘されましたけれども、農業を通じた働く場の確保、そしてそこで働く方の賃金の向上を初め、障がいのある方の生活の向上につながる重要な取り組みでございます。農林水産部としましても、今後ともしっかり取り組みを進めてまいりたいと思っております。 327 ◯井上順吾委員長 森下委員、いいですか。 328 ◯森下博司委員 答弁ありがとうございました。検討すると言ったことは前向きにやると、このように私は捉えておりますので、ワンストップ相談窓口をぜひ県庁に据えていただくことを切に要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。大変ありがとうございました。(拍手) 329 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑はありませんか。神崎聡委員。 330 ◯神崎 聡委員 緑友会の神崎聡です。  新型コロナウイルスは私たちに大きな課題を突きつけています。行政として何をなすべきか、特に住民生活に直結する都道府県の責任は大変重たいものとなってきました。  そこで私は、新型コロナウイルス対策としては短期的、長期的、中期的、この三つの視点の対策が必要ではないかと考え、質問をしております。  一つ目は短期的視点で、行政関係者が集団感染して行政が機能不全に陥らないための対策、また医療機関が医療崩壊を起こさない取り組みが重要だということで、これは一般質問をいたしました。二つ目は、これは昨日質問しましたが、長期的視点から、県民一人一人の健康増進を図り、免疫力を高める施策を講じること。  そして三つ目が、中期的な視点から、新型コロナウイルスの感染拡大により飲食業などの外食産業やスポーツジム、イベント開催の中止などで大きな影響を受けている産業や分野にしっかり手当てをして、経済活動の停滞を最小限に抑えること。これは農業分野も例外ではありません。本日は、新型コロナウイルス対策の中期的視点から質問をしたいと思います。  農家の間では、この終わりの見えない感染拡大が経営に及ぼす影響に不安が募っているのではないかと思います。特に今回の小学校、中学校の全校一斉休校によって、酪農関係者や乳業メーカーでは学校給食用の牛乳を加工用製品に振りかえ、影響を最小限にする対応に追われています。  そこで、お尋ねいたします。県内の酪農家が生産する生乳のうち学校給食用牛乳に利用される割合はどれほどでしょうか。また給食用として納入できなくなった生乳はどうなっているのでしょうか。 331 ◯井上順吾委員長 永末畜産課長。 332 ◯永末畜産課長 九州各県の生乳は九州生乳販売農業協同組合連合会が一元的に購入し、各乳業メーカーに対し市販用や学校給食用、加工用などの用途別に販売しております。九州全体で生産された生乳のうち学校給食用に使用された割合は平成三十年度の実績で約七%となっており、本県についても同様の割合となっております。今回の臨時休校により学校給食用として使用されなかった生乳は、ほとんどがバターや脱脂粉乳などの加工向けに販売されております。 333 ◯神崎 聡委員 それでは、生産した生乳が学校給食用牛乳から加工向けに変更されることで酪農家にどのような影響が考えられるのか教えてください。 334 ◯永末畜産課長 現在、酪農家が生産した生乳は廃棄されることなく、今までどおりの全量が出荷できております。しかし、生乳の価格は飲用や加工などの用途ごとに異なり、学校給食用に用いられる飲用向けに比べバターや脱脂粉乳などの加工向けは低く設定されているため、加工向けに変更されますと酪農家に支払われる乳代がその分減少いたします。 335 ◯神崎 聡委員 学校給食用の牛乳が停止したことで酪農家の収入が減少して経営に大きな影響があるということでよろしいですか。  今回の酪農家への影響については国がこの対策を公表していますが、どのような内容になっているのかお聞かせください。 336 ◯永末畜産課長 先週、国は、学校給食用向けから生乳価格の低いバターや脱脂粉乳などの加工向けへの用途変更によって生じる価格差を補填する事業を公表したところであります。それによると、学校給食用牛乳に生乳を販売した場合と同等の収入が確保されるものと考えております。 337 ◯神崎 聡委員 今のお答えは酪農家の収入は何とか確保しているということです。一方で、今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響で小・中学校の生徒が牛乳を飲む機会が減ったこと、それと、影響が長期化した場合には牛乳の消費量の減少も心配されてきます。そこで、県や県民が酪農家を応援するためにはもっと牛乳を飲んでいくことが大切なのではないでしょうか。我が会派では休憩時あるいは閉会後にみんなで牛乳を飲んでおります。  そこで、県としてこれに向けてどのように取り組んでいこうと考えられているのか、お聞かせください。 338 ◯永末畜産課長 新型コロナウイルスの影響により牛乳の消費減少が起きていることから、一層の牛乳の消費拡大が重要と考えております。そうした中、来年度には九州で全日本ホルスタイン共進会の開催が予定されていることも踏まえまして、牛乳の消費拡大の取り組みを強化するための予算をお願いしているところであります。具体的には、酪農団体が実施する消費拡大のイベントの開催や、子供たちを招いた酪農体験活動を支援していきたいと考えております。 339 ◯神崎 聡委員 ありがとうございます。今、牛乳の消費拡大の取り組みを強化するための予算をお願いされましたが、ぜひこの予算を活用して、最大限の効果が出るようにしっかり取り組んでください。  また、農林水産業分野における新型コロナウイルスの影響についてもしっかり把握していただき、影響が最小限に抑えられるように、これは部長に要望いたします。  実は執行部には外国人の技能実習生の影響についてお尋ねするようにしていましたけれども、時間の関係で割愛させていただきます。ただ、外国人の雇用は農業分野のみならず、今、日本では貴重な労働力となっております。新型コロナウイルスはまだまだ終息する気配はなく、今後の影響が心配されますが、これは別の機会でまた議論させていただきたいと思います。  最後に、農林漁業者が安心して事業継続できるよう県としてどう対応していく所存か、部長の決意をお聞かせください。 340 ◯井上順吾委員長 鐘江農林水産部長。 341 ◯鐘江農林水産部長 本県の農林水産業におきましても、新型コロナウイルスの感染拡大によりましてさまざまな影響が出ております。委員御指摘のように、農林水産業者の不安も増している状況でございます。このため県では、先週、十一日水曜日に農業、林業、水産業それぞれの経営相談に応じますとともに、対応できる支援制度を紹介いたします相談窓口を県下の農林事務所、それから普及指導センター、あるいは水産海洋技術センター等に開設したところであります。  これも委員に御指摘いただきましたけれども、この対応にはやはり長期的な視点も大事であります。今後とも農林漁業者に寄り添い、そして少しでも不安が解消できるように、資金繰りを初めといたしましたさまざまな課題につきまして、国の支援制度も活用しながらきめ細やかに対応してまいります。 342 ◯神崎 聡委員 ありがとうございました。(拍手) 343 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑はありませんか。高瀬菜穂子委員。 344 ◯高瀬菜穂子委員 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。  メガソーラー林地開発について質問いたします。  これまで、私、何度もこの問題を取り上げてまいりました。飯塚市の白旗山では複数の事業者によるメガソーラー設置のための三十四ヘクタールの林地開発が進められております。前回の決算特別委員会では、ノーバル・ソーラーの違法行為について取り上げました。今回はノーバルの隣で開発を進めるアサヒ飯塚メガソーラーについてお尋ねします。  アサヒ飯塚メガソーラーは、一条工務店が二〇一六年三月三十一日に林地開発許可を受けた事業を二〇一八年六月二十七日に福岡県に林地開発行為者地位継承届を提出して事業を受け継いだものです。森林法の第三条によれば、この場合、許可条件等の許可に付随する義務についても、そのまま引き継ぐことになります。間違いないでしょうか。 345 ◯井上順吾委員長 成末農山漁村振興課長。 346 ◯成末農山漁村振興課長 今、委員がおっしゃったとおり、間違いなく継承されます。 347 ◯高瀬菜穂子委員 アサヒ飯塚メガソーラーという業者はですね、何度住民が説明会を開いてほしいと要請しても一度も開かないんです。そして、昨年十一月十八日に突然、重機三、四台を造成地に入れて大規模に森林伐採を始めました。林地開発許可条件に義務づけられている防災施設、調整池はまだ完成していません。この事態に、地元自治会と住民は抗議行動を展開する事態となりました。この行為は許可条件違反、すなわち法令違反ではないですか。  また、今現在、アサヒソーラーの開発行為はどの段階なのか明らかにしてください。 348 ◯成末農山漁村振興課長 お尋ねの昨年十一月十八日の伐採は、林地開発許可条件に義務づけられた防災施設である調整池の設置に付随したボーリング調査のために行われたものです。この伐採は、防災施設を本工事に先行して施工することといった許可条件に違反するものではなく、法令違反でもありません。  なお、事業者は事前に県や飯塚市にボーリング調査や伐採を行うことを説明し、実施をしております。  現在お尋ねの業者は二カ所ある調整池の工事を進めており、これに付随した伐採や仮設道路の整備もあわせて行っているところであります。 349 ◯高瀬菜穂子委員 ボーリング調査に重機が何台も必要になるのでしょうか。住民の皆さんによりますと、調整池とは関係のない、予定地よりもずっと上のほうを大規模に伐採していたということなんです。ボーリング調査に名をかりた伐採ではないかと、住民の皆さん怒っておられるんですね。ボーリング調査について、どこをどのように調査をしたのか、伐採規模は適正か、確認されましたか。 350 ◯成末農山漁村振興課長 ボーリング調査の位置、また伐採の規模の妥当性については、事前に確認をしております。 351 ◯高瀬菜穂子委員 このボーリング調査は適正だということですか。 352 ◯成末農山漁村振興課長 適正なものであります。 353 ◯高瀬菜穂子委員 そうですか。このアサヒソーラーは、ボーリング調査といって山の上のほう、調整池とは違うところを掘っているということですけど、これはまた後から確認します。  このアサヒソーラーは、工程表を含む資料を昨年十二月五日、午前二時に突然、飯塚市にメールで送付をしております。そして、十二月六日から七日にかけて、わざわざ近隣の住民宅にポスティングしています。ここに写しもありますけれども、これによると、工事期間は十一月十一日からで、伐採工、土工が防災工と同時並行で行われることになっております。防災工事の終了は二〇二一年一月、そしてその前に、伐採はもう終了しているという工程なんですね。これは県が許可したのですか。 354 ◯成末農山漁村振興課長 工程表について、県は許可をしておりません。 355 ◯高瀬菜穂子委員 許可されていない工程表を飯塚市にメールで知らせ、住民にポスティングをするというのは、市と市民をだますことになると思いますけれども、県はこのような行為を御存じでしたか。 356 ◯成末農山漁村振興課長 工程表については、令和元年十二月十日に飯塚市からの情報提供により確認をいたしました。 357 ◯高瀬菜穂子委員 県が承知していなかった工程表をわざわざ配ったんですね。この捏造された工程表によれば、十一月十八日の突然の伐採工事は工程表どおりということになります。調整池の完成は二〇二一年の一月ですけれども、防災工事も伐採工事も十一月から始めることになっているわけで、堂々と許可条件違反を宣言しているようなものですよ。初めから許可条件を守るつもりがない、住民にうそをつく、これは法令違反ではありませんか。この行為は監督処分の対象になると思いますが、どのようにお考えでしょうか。 358 ◯成末農山漁村振興課長 先ほども申しましたとおり、十一月十八日の伐採は防災工事に付随するボーリング調査のために行われたものであります。  県としましては、十一月十八日の伐採を含め、現地の状況について許可条件どおり防災施設を先行して施工していることを職員などにより確認をしております。ですから、許可条件も守っており、法令に違反するものではないと考えております。 359 ◯高瀬菜穂子委員 県が許可していない工程表を配られて、何の指導もしないんですか。 360 ◯成末農山漁村振興課長 昨年の十二月十日に飯塚市からの情報提供を受け、その工程表を確認しました。その工程表において、今、委員が御指摘されましたように、防災工事の完了を待たずに伐採が先行するような工程表になっていたことから、業者に対して、住民からの誤解を招かないような工程表をつくり、住民に示すように指導しております。その結果、業者のほうは新たにわかりやすくつくった工程表を現場のほうに掲示をしております。 361 ◯高瀬菜穂子委員 どこに掲示しているんですか。 362 ◯成末農山漁村振興課長 現場にあります現場詰所の壁に掲示をしております。 363 ◯高瀬菜穂子委員 現場詰所の壁にあっても、住民にはわからないのではないですか。こんなのね、うその工程表をつくってまくっていうのはね、県の指導に全然従わないっていうことではないんですか。大体、昨年の決算特別委員会で同じ白旗山のノーバル・ソーラーと金比羅山の日本エネルギー総合システムについて、同じような違法行為がありました。指導されても、なお違法な開発行為を続ける両者に対して厳正に対処すべきだと、監督処分にすべきだと指摘しました。  しかし、県としてはですね、工事の中止、許可取り消しなどの新たな処分の必要はないと、そういう御所見でね、違法行為でもないというふうにずっと言い続けていたんですよ。このことはね、アサヒにとって教訓になったのではないですか。今回の件はノーバルと全く同じです。県に届け出た工程表とは違う、裏の工程表に基づいて本工事をやれるだけやってしまえということにしたのではないんですか。わかっても、県は監督処分にはしない。県の甘い処分がこういう事態を招いたと思います。  先ほど、詰所に張っていると言いましたけど、住民は全然わかりませんよ。こういう県の甘い指導がこういう事態になるのではないか。そのことを私、さきの決算特別委員会で指摘をしたとおりです。  繰り返しますけれども、この白旗山の林地開発計画は八千七百人の住民が住むすぐそばで行われ、その周辺は土砂災害警戒区域と特別警戒区域に指定されています。ですから、住民が不安を覚えるのは当然です。  飯塚市はですね、昨年九月十七日、片峯飯塚市長名で県知事宛てに、事業者に対する指導、監督の徹底を求める申出文書を提出していますね。その内容を簡潔に御説明ください。あわせて、県として、飯塚市にどのように回答したのかも御説明ください。 364 ◯成末農山漁村振興課長 飯塚市からは、合同会社アサヒ飯塚メガソーラーの林地開発について、地域住民の理解が得られるよう丁寧な説明会を開催すること、B調整池予定箇所の地下調査を実施すること、説明会が開催されるまで工事着工しないこと、これらについて誠意を持って対応するよう、県が事業者を指導することを要望されておりました。  これに対して県はですね、部長名で、飯塚市の依頼を真摯に受けとめ、きめ細かく現地調査を行い、許可条件を遵守して開発行為を行うとともに、地域住民に対し丁寧な説明を行うよう事業者に対してしっかりと指導していくと回答しております。 365 ◯高瀬菜穂子委員 きめ細かく現地調査を行い、許可条件を遵守して開発行為を行うとともに、地域住民に対して丁寧な説明を行うよう事業者に対してしっかり指導していくと部長名で回答されたわけですね。その指導の結果がこういうことでしょうか。いまだにまだ説明会は開かれておりませんよ。どのような指導をしてきたんですか。 366 ◯成末農山漁村振興課長 県が事業者に対して行った指導ですが、工事の責任者に対して、県庁での打ち合わせを行う際、県の担当者が工事現場を訪れたとき、また、工事責任者と電話で打ち合わせをする際、そういうあらゆる機会を通じて地域住民に丁寧に説明するよう指導しております。今年度で申しますと、五月以降、計十一回の指導を行っております。 367 ◯高瀬菜穂子委員 驚きましたね。電話でしてくださいとか、立ち話のように言っている。今までずっと開いてないところですよ。きちんと文書で開きなさいと。飯塚市長は説明会をやるまでは工事を続けさせないと、着工させないことと、住民が納得する説明会が行われないままでは着工させないことと、こういうふうに要請しているんですよ。市長名で要請するっていうことは、この業者がどれだけ住民の気持ちを踏みにじっているかということの裏返しではないですか。そんな何か立ち話とか電話とかで済む話なんですか。それでもまだ開かれてないですよ。県の指導に従わないっていうことですよね。住民が何度求めているにもかかわらず、一度も住民説明会を開いていないということは、FIT法が求めるコミュニケーション努力義務違反です。説明会をやるまでは工事を続けさせないと、知事名による文書で厳しく指導すべきではないでしょうか。 368 ◯成末農山漁村振興課長 昨年十二月二十四日に国のほうから、太陽光発電施設の設置を目的とした開発行為の許可基準の運用細則に関するQアンドAというものが出されております。このQアンドAにおきましても、地域住民説明会等の実施を行うことが望ましいが、住民説明会を許可要件としない。また、説明会を実施していないことをもって不許可とすることはできないとされております。繰り返しになりますが、このため、森林法におきましては、住民説明会を行うことは義務ではないため、説明会の開催を強制するような指導は行うことができないというふうに考えております。このため、文書での指導というものは考えておりません。  県としましては、今後も引き続き、住民の理解を得られるような丁寧な説明を行うよう指導してまいります。 369 ◯高瀬菜穂子委員 しかしね、FIT法ではコミュニケーション努力義務を課しているんですよ。努力義務ですけどね。でも、それは義務ではないからしなくていいんだ、それだったらね住民の声を聞かなくていいんだってことになるでしょう。業者の住民無視を容認するような答弁だったではないですか。そんなことで監督責任を果たしていると言えるんですか。  次に、ボーリング調査について伺います。  ボーリング調査はですね、一条工務店が申請したメガソーラー造成計画について、二〇一六年三月二十四日の森林審議会、この際の審議会委員に対する事前説明資料として出されている、当該地内は一部が昔の採掘跡地であり、現地調査の結果、一カ所の坑道入り口が確認されている。なお、調整池、計画地にはボーリング調査の結果、坑道は確認されていないと、わざわざ記述をされております。これは一条工務店が行った調査でしょうか。 370 ◯成末農山漁村振興課長 ボーリング調査については、平成二十七年十月時点の申請者であります一条工務店が行ったものです。 371 ◯高瀬菜穂子委員 一条工務店の調査では、坑道はないとの説明でした。しかし、現地のみどりが丘自治会が調整池予定地周辺の航空図を九州経済産業局鉱業課から情報開示を受け、これを白旗山の三角点に基づいて検討しますと、坑口が調整池予定地内に三カ所、周辺に六カ所確認できたということです。アサヒメガソーラーは、森林伐採を始めた後の十一月二十六日に、航空図の情報開示請求を九州経済産業局と協議していると発言しています。そうなりますと、三年前の調査に疑義が生じます。県はこの調査報告を精査したのかということをお聞きしたい。間違った情報をもとに許可申請をしていたとすれば、森林法十条の三における監督処分の対象、虚偽、その他の不正な手段で許可を得たものに該当するのではないでしょうか。課長は、手続に瑕疵があれば許可を取り消すと住民の皆さんに約束したというふうに聞いています。どうでしょうか。 372 ◯成末農山漁村振興課長 まず、県の森林の開発許可に当たりましては、森林法に基づき、森林が有する四つの機能、災害防止、水害防止、水の確保、環境保全が阻害されていないか。また、必要な代替措置がとられているかについて審査を行っております。そもそも森林には落盤等を防止する機能はありませんから、この審査において坑道の有無などの開発区域の地下状況について航空図等での確認の必要はなく、森林法では審査の対象外とされております。このように許可申請書に不備はなかったことから、審査を適正に行い、許可をしたものであります。 373 ◯高瀬菜穂子委員 坑道の有無は審査の対象外と言われるんだったら、何で事前審査の資料として情報提供したんですか。今回のボーリング調査も許可したんですか。昔の炭鉱跡で、下手をすると崩落のおそれがあるからではないんですか。間違った情報で大丈夫だと審議会委員の判断材料になったのではないですか。林地開発の許可基準の一つに災害の防止という項目があります。当該開発行為により当該森林の周辺の地域において、土砂の流出または崩壊、その他の災害を発生させるおそれがあることとあります。災害の発生のおそれがあるのではないでしょうか。坑道の有無、慎重に判断すべき要件になるのではないんですか。短くお願いします。 374 ◯成末農山漁村振興課長 一回目の審議会の中で、林地開発の許可を行うに当たっての四つの審査基準ですね、これは満たしているが、飯塚市から住民が坑道の存在を不安に思っているという意見があったために、二回目の審議会を開催するに当たって、審議員に対して、その坑道についての説明を行ったものであります。 375 ◯高瀬菜穂子委員 ちょっと長くなります。申しわけない。しかし、そういう不安があって、きちんと出されたわけでしょう。もう時間がないですからね、まとめますけれども、昨年の決算特別委員会でノーバル・ソーラーについてただしました。調整池をつくらずに開発を行った。それに対して行政指導したとお答えになりました。しかし、許可条件違反とは言われないんですよね。指導に従っているから許可条件違反ではないと、飯塚市にも私どもにも繰り返しました。でも、許可条件に違反したから行政指導をしたのではないんですか。公式に許可条件違反と認めたのは、この議会の場でした。金比羅山の開発についても、違法行為を示すパネルを示しても、課長はとうとう認めずに、結局、知事保留で知事が認めたんですよね。どうしてこんな業者の悪質な行為をかばうんですか。どうしても許可条件違反と認めたくない、監督処分にしたくない、開発許可の取り消しをしたくないと、こういう事情があるのではないのかと、業者との後ろ暗い関係を疑う声も一部にはあります。許可権者である県の毅然とした対応、指導を県民は期待しているんですよね。指導しても従わないと、うそを言っても通ると、こんな監督行政でいいんでしょうか。飯塚市から要請を受けて、しっかり指導すると回答した部長、きょうの課長の答弁、また説明会がいまだに開かれていないというその実態も含めて、見解を伺いたいと思います。 376 ◯井上順吾委員長 鐘江農林水産部長。 377 ◯鐘江農林水産部長 県の対応が甘いということであります。先ほど申されましたように、ノーバル・ソーラーにつきましては、防災施設の完成を待たずに森林伐採、それから造成工事、これをやられていたということで、これは条件に違反する行為でありました。  ただ、このこともありまして、このアサヒ飯塚メガソーラーの今回の御指摘の林地開発につきましては、職員の現地調査、これもきめ細かに行いまして、許可条件どおりに防災施設を先行して施工をしているということを確認しております。したがいまして、許可条件に違反する行為はあってないということで、私ども県としましては引き続き開発行為が完了するまで、引き続き現地調査、これを行いまして、法が遵守され、許可どおりに工事が実施されるように指導は引き続きやってまいりたいと考えております。 378 ◯高瀬菜穂子委員 納得できる答弁ではありませんので、知事保留をお願いしたいと思います。
    379 ◯井上順吾委員長 ただいま高瀬委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十五日水曜日に行う予定でありますので御了承願います。 380 ◯高瀬菜穂子委員 長くなって済みません。 381 ◯井上順吾委員長 この際、委員各位に申し上げます。本日の審査は午後五時までを予定しておりましたが、議事の都合により、このまま続行させていただきます。よろしくお願いいたします。  ほかに質疑はありませんか。古川忠委員。 382 ◯古川 忠委員 昨日に引き続き、五時過ぎまで審議、大変申しわけありませんが、本日最後でございますので、しばらくおつき合い願いたいと思います。  私は第六款の農林水産業費、中でも今回初めてGAPの予算が出ております。HACCPであったり、JASであったり、またGAPであったり、どうも横並びというか横文字のいろいろな政策が出てきますけれども、農家の方は大変困っているのではないでしょうか。何が何やらわからんのではないかと私は思ってるんですね。  そこで、とりあえずJASとGAPどこがどう違うのかまず御説明いただけませんか。簡潔に。 383 ◯井上順吾委員長 浦食の安全・地産地消課長。 384 ◯浦食の安全・地産地消課長 まず、GAPでございますけれども、GAPにつきましては、栽培から出荷までの各工程を生産者がみずから点検・評価する取り組みで、そうした取り組みを行う生産者を民間団体や県が認証するものでございます。  続きまして、JAS、特に有機JASでございますけれども、有機JASについては、農業の自然循環機能の維持・増進を図るために、具体的には植えつけ前、二年前から無農薬・無化学肥料で栽培した圃場を認証するものでございます。 385 ◯古川 忠委員 GAPは本当に無農薬ですか。農薬を使っていませんか。 386 ◯浦食の安全・地産地消課長 済いません、GAPについては、栽培管理、工程を点検するものでありまして、無農薬とは限っておりません。 387 ◯古川 忠委員 JASはどうですか。無農薬ですか。 388 ◯浦食の安全・地産地消課長 JAS、有機JASにつきましては、化学農薬は使わないようになっております。 389 ◯古川 忠委員 そんなことはないのではないかな。四十から五十種類ぐらいの農薬が認められてますよ、JASの中では。有機農薬ではありませんよ。 390 ◯浦食の安全・地産地消課長 許可されている農薬につきましては、自然由来の農薬でございまして、化学農薬ではございません。 391 ◯古川 忠委員 農薬は大体大手が占めてますよ、四十から五十種類の農薬を。それを使っているんですよ。  じゃあ、もう一つ聞きますよ。一九九九年。二十何年前かな、県の認証制度をつくりましたよね。部長は覚えてるのではないかな。当時から有機、減農薬、無農薬、散乱しているわけですよ。何が何やらわからんと。せっかく頑張って有機農薬をやっても、これでは何もならないではないかと。一番厳しい県の認証制度をつくったらどうかと、つくったはずです。どうですか、部長。 392 ◯井上順吾委員長 鐘江農林水産部長。 393 ◯鐘江農林水産部長 今、委員申されましたように、平成十一年度、これは福岡県有機農法農家認証制度──無農薬、無化学肥料で栽培するものを認証するという制度をつくっております。これは他県に先駆けてつくったものであります。 394 ◯古川 忠委員 その後すぐJASが出ましたよね。いつの間にやら県の認証制度がのみ込まれました。第一号は八女の黒木の入江さんとこのお茶園ですよ。当時十社ぐらいあったと思います。九大とかいろいろなところで、かなり厳しい基準を設けて、そして、その認証制度をつくったんです。今はJAS、それで今度はGAP。  そこで、お聞きしたいんですが、このJAS、GAPは今、福岡県が進めておる海外の輸出、特に欧州の輸出に通用しますか。 395 ◯井上順吾委員長 松尾輸出促進課長。 396 ◯松尾輸出促進課長 欧州への輸出においては、GAPの認証取得は義務づけられておらず、欧州の残留農薬基準を満たせば、輸出は可能でございます。  また、有機JASにつきましては、国内の基準でありますため、輸出する際に取得する必要はございません。しかし、日本と欧州では設定されております残留農薬基準が異なっておりまして、欧州の基準を満たす栽培方法による生産が大きな障壁となっております。  なお、グローバルGAPの認証取得については義務づけられてはおりませんが、取得することによりまして、商品の安全性に対する信頼性が高まり、取引先の確保につながるというメリットがございます。 397 ◯古川 忠委員 少しお茶に絞って質問したいと思います。平成三十年から、欧州における八女茶常設コーナーの設置及び入れ方教室の開催、特にお茶の欧州への進出をもくろんでいますよね。向こうで有名シェフにお茶を飲ませたり料理を食べさせたりしていますが、実際にそれが販売につながっていますか。 398 ◯松尾輸出促進課長 先ほど委員御指摘のとおり、欧州に向けまして県といたしましても、輸出促進につながる取り組みを鋭意実施しておるところでございます。  欧州に対する実績についてですけれども、本県の輸出実績につきましては、輸出事業者に対し実施するアンケート調査結果を積み上げまして、県産農林水産物の輸出全体額、これのみを公表するとなっております。そして、調査を実施する際には、品目や国別の輸出量、輸出額などの内訳については、公開しないことを前提に回答いただいておるものでございます。したがいまして、品目ごと、国別の詳細については、なかなかお答えはできません。しかしながら、アンケートの調査結果等から見ますとですね、欧州における八女茶の輸出量につきましては、残念ながらほぼ横ばいといいますか、少しずつ伸びてはおりますけれども、それほど急激に伸びてはいないような状況にございます。 399 ◯古川 忠委員 そこそこの予算を使って八女茶の販売促進のイベントをやっている。イベントをやる前にやることがあるのではないかな。残留農薬に対してよく指導をして。このままだと八女の普通の農家は輸出できませんよ。大手はやれるでしょうよ。何でその理由を調べないの。あなたたちは力を入れてやっているんでしょう。それなら、その成果ぐらい出してくださいよ。何が公表できないんですか。もう一回お答えください。答えられないなら部長が答えていいよ。 400 ◯鐘江農林水産部長 欧州につきましては、先ほど課長が申しましたように残留農薬の基準が違う、日本でいいものが向こうで使えない、まあ逆もありますけれども、そういうことで、欧州向けの専用園地をつくるという取り組みは継続してやっております。ですから、そこは力を入れてやっておるところで、それによりまして欧州への八女茶の輸出はできておるということであります。ただ、その数字につきましては申し上げられないということでございます。 401 ◯古川 忠委員 申し上げられないというのは、僕は許しがたいな。政策を予算使ってやっているんですよ。わざわざフランスまで行って。販売につながらないと何も意味がないではないですか。販売につなげなければ。遊びでやっているんではないよ。イベントばっかりやって政策をやったつもりになっても、そんなの何も役に立たない。  JASにしてもそうですよ。全農家のうちJASはどのぐらい取得していますか。農家の人は誰もJASなんか信用していませんよ。今、いろいろな、道の駅とかに行ってくださいよ。JASで買いますか、生産者の名前で買っていますよ。そんなことについて皆さん方はちゃんと現場を把握して反省していますか。どうしたらいいか考えていますか、お答えしてください。 402 ◯鐘江農林水産部長 有機JASにつきましては、現在県内で二十七戸の方に取り組んでいただいております。細かに、どういったものをつくっていただいているとか、どういった課題があるとか、それはつかんでおりませんけれども、やはりこれがふえないという理由につきましては、なかなか販路が開けないとか、消費者のニーズが、実需者を通じて、そこまで高くない、そういった課題もあるということでございます。 403 ◯古川 忠委員 全農家の何%ぐらいがJASを取っていますか、答えてください。JASを取るには金がかかるんですよ。一回十万かかるんですよ。そう簡単に取れないんですよ、効果がないと。あなた方は簡単に、JAS取れ、GAP取れと言うけれども、現場の農家の声をもっと聞いてくださいよ。答えてください。 404 ◯鐘江農林水産部長 この有機JAS制度といいますのは、先ほど申しましたけれども、県内二十七戸とごくわずかであります。これは、やはり価格になかなか反映されないということもありますけれども、その反対側といいますか、やはり非常に無農薬・無化学肥料で栽培するといいますのは手間暇かかる。そして、特にこの福岡県といいますか、最近は高温多湿条件化が非常に厳しい中で、なかなかやっぱり無農薬でつくるものが難しいといったようなこともありまして、この無農薬でつくる有機JASに適合した農産物の生産はなかなか難しいということのあらわれだろうと思います。  したがいまして、県としましては、今、エコ農産物、これは農薬も化学肥料も二分の一の制度でありますけれども、減農薬、減化学肥料栽培を県として進めておるところであります。 405 ◯古川 忠委員 JASでさえそんなですよ。今度はGAP、幾らかの補助金があるでしょう。今度はもっと工程まできちっとしないといかん。大変なことですよ。簡単に予算出してやっているけど、どんなふうにしますか、どんなふうにやりますか、どれだけの農家を目的にしますか、どれだけの農家にGAPをとってもらいますか、目標はありますか。 406 ◯浦食の安全・地産地消課長 現在、福岡県でつくりました独自の県GAP制度がございます。こちらのほうは現在二十二件、百九十二経営体が取り組んでおられまして、この制度について県としては拡大していこうと考えております。 407 ◯古川 忠委員 県のGAPは今、じゃあ、全体のどのくらい取っているんですか。農業生産者の何%ぐらいですか。JASでさえわからないんでしょう。どうですか。 408 ◯浦食の安全・地産地消課長 農家数で言うと約一%程度でございます。 409 ◯古川 忠委員 たった一%ですよ。もう少し現場に沿って考えてくださいよ。国がやったから、ただ持ってくる。はい、GAP予算つけました、JASやりました。そんなね、遊びではないんですよ、現場は。大変なことですよ。八女茶もそうです。今度GIありますね。ブランドのロゴマークをつくりました。必ずしも評判はよくないですよ。現地の作業者、心ある生産者は、何でこんなのをつくったのかと。こんな金があるぐらいなら、もう少し自分たちに金がおりてこないかと思っていますよ。そういう声を聞きましたか、どうですか。 410 ◯鐘江農林水産部長 今、GIのお話が出ましたけれども、これにつきましては、県が先頭切って県単独でやったものでは当然ございませんで、八女のお茶の生産者団体と連携して取ったわけでありますので、その成果はまだなかなか見えてない部分もございますけれども、お茶の農家の理解は得られておると考えております。 411 ◯古川 忠委員 話がGIに及びますが、平成二十七年十二月、地理的表示保護制度、GIを取りましたよね。要するに、八女本玉露、大事な玉露ですよ。私は大事に思っていますが、じゃあ、それをつくっている農家はそれ以来ふえていますか。八女市の農家はやめていっているんですよ。その現状は知っていますか、答えてください。 412 ◯鐘江農林水産部長 このGIを取得いたしました八女伝統本玉露は非常に手間のかかるといいますか、手を入れて、放任仕立てでやる、こもをちゃんとかける、そういった非常に手の込んだものであります。したがいまして、やはり高齢化とともに、減少になかなか歯どめがかからない状況がございます。  ただし、そういったこともありますので、世界的にも通用する高級茶、世界一の茶ということを内部だけで知るだけではなくて、外にもアピールしていきたいという思いでGIを取得したということであります。 413 ◯古川 忠委員 悪いことではないでしょう、GIを取るのは。しかし、それを取ったからといってふえていない、減ってる。そこに手を差し伸べなければ何もならないのではないですか。本玉露は需要に対して供給は賄えるんですか。恐らく、注文が来たら足りないと思いますよ。本当にちぐはぐなことばかりやっていると、私は見ているんですよ。また、現地に行ったら皆さん、そうおっしゃっているんですよ。  先ほどから海外輸出のことも言っています。イチゴのあまおうなんかもやっているけど、最近香港だって厳しくなっていますよ。あまおう、そんな話を聞いていますけど、どうですか。香港でさえなかなか輸出は難しくなっているのではないですか。 414 ◯松尾輸出促進課長 香港へのあまおう等イチゴの輸出につきましては、ここ数年であまおうのブランドがほぼ確立されているような状況にございまして、非常に有利な状況で販売のほうが続けられていると認識しております。 415 ◯古川 忠委員 私はいろいろ調べましたよ。それですらね、香港だって、厳しくなっていますよ。まして、八女茶はもう通用しないんですよ、ヨーロッパに。水際でアウトなんですよ。私が聞いたところでは、五百キロか、水際でストップ、そのまま腐るか廃棄するしかない。それが現状なんですよ。把握していますか。どうですか。 416 ◯松尾輸出促進課長 ただいま私たちのほうでつかんでいる情報では、まだそういった情報は特段入ってはおりません。 417 ◯古川 忠委員 欧州に八女茶がどのぐらい行っているかも把握していないんだから、それはわかんないでしょうね、残念ながら。もう少しね、お茶に限りませんが、海外輸出をやろうと。輸出するには、国によって違いますけど、大変厳しい。アメリカなんかはちょっと緩やかですけど、国によって違いますが、農薬の基準がある。私が知っている先ほどの八女の入江君はユーロフィンをわざわざ取って、そして送っているんです。JASなんか信用してないんですよ。今さらJAS、GAP──まあ悪いことではないけれども。  そういう現状をしっかり踏まえた上で、あなた方は政策をつくってくださいよ。貴重な貴重な予算を使っているわけだから。長くなったら申しわけないのでこの辺でやめますが。要は、真面目にやっている生産者にちゃんとした農政の手が行き届くように、もしくは幾らかの資金が行き届くように、そういう農政をぜひ心がけて、これから頑張っていただきたいと思います。終わります。 418 ◯井上順吾委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 419 ◯井上順吾委員長 ないようですので、以上で高瀬委員の知事保留質疑を残し、第六款農林水産業費に関する質疑を終わります。  以上で本日の議事を終了いたします。  なお、明日十九日の委員会は午前十一時に開き、歳出第七款商工費及び第八款県土整備費の審査を行う予定でありますので、よろしくお願いいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午 後 五 時 十 五 分 散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...