↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 令和元年七月三日(水曜日)
午 前 十 時 五 十 九 分 開 議
◯樋口 明委員長 おはようございます。定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。
本日は、令和元年度福岡県一般会計予算の歳出第七款商工費及び第八款県土整備費の審査を予定いたしております。よろしくお願いします。
それでは、第七款商工費について説明を求めます。岩永商工部長。
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◯岩永商工部長 それでは、第六七号議案令和元年度福岡県一般会計予算のうち、商工部所管分について御説明を申し上げます。恐れ入ります、令和元年度予算に関する説明書の二百七十九ページをお願い申し上げます。
七款商工費一項商業費でございます。その主なものにつきましては、
一目商業総務費のうち、右の説明欄の中ほどにございます
中小企業振興資金融資費でございます。これは制度融資の預託金でございます。
恐れ入ります、二百八十三ページをお願いいたします。一項商業費の総額につきましては、合計欄に記載しておりますとおり千百四十三億七千九百万円余をお願いしているところでございます。
次に、二項工鉱業費でございます。恐れ入ります、二百九十ページをお願いいたします。その主なものにつきましては、七目
企業立地対策費のうち、右の説明欄の一番上にございます
企業立地対策費でございます。これは
企業立地交付金などでございます。二項工鉱業費の総額につきましては、このページ一番下、五十九億四千八百万円余をお願いしているところでございます。
下のページに移りまして、三項観光費でございます。その主なものは、一目観光費のうち右の説明欄の上から三番目、観光宣伝費でございます。これは国内外におけます
観光プロモーションに要する経費などでございます。三項観光費の総額につきましては、六億九千六百万円余をお願いしているところでございます。
説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
3 ◯樋口 明委員長 説明は終わりました。
これより質疑を行います。質疑はありませんか。西元健委員。
4 ◯西元 健委員 皆さん、おはようございます。自民党県議団の西元でございます。
本日は、隣に川端委員もいらっしゃいますけども、宿泊税について、川端委員は入りのほうでしたけども、私は使い道のほうを質問させていただきたいと思っております。
県議会において、九州の自立を考える会の提言、そして福岡県観光振興条例の規定の中で、新たな観光振興に係る財源措置を明示し、県議会としてもその導入を強く望んでおりました。
宿泊税条例案が今議会に提案され、今議会の代表質問において我が会派の香原政審会長が、今議会に条例案が提案されたことは画期的である。基本的には商工部職員の粘り強い折衝術が功を奏し、トップ会談で合意に至ったものと考えるとした上で、合意に至った背景についてただし、知事からは、半年にわたる実務者協議の議論を踏まえ、九州の自立を考える会、県議会の御支援をいただき、高島市長と五月二十四日に会談を行い、双方が歩み寄ることで今回の合意に至ったとの答弁がありました。
また、税収を使って何をするかについて、その具体的な内容は、令和二年度以降の当初予算において明らかになるものと考えるとした上で、現時点においてどのような方針で財源を活用するか、大きな方針をただしました。これに対し知事からは、県では、この宿泊税による財源を活用し、県が広域的な観点から
観光振興施策を実施するとともに、市町村が実施する
観光振興施策への財源的支援に取り組み、県全体の観光の魅力を底上げし、福岡県の観光における競争力を高めていきたいという答弁をされました。
この代表質問での答弁を踏まえ、
宿泊税基金条例案について質問いたします。
まず、今議会に提案されています
宿泊税基金条例によれば、宿泊に対して税を課す市町村は交付金の対象から除くとありますが、宿泊税と交付金の関係について、原則的な考え方についてお示しください。
5 ◯樋口 明委員長
神代観光政策課長。
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◯神代観光政策課長 宿泊税は原則、一人一泊当たり二百円となっております。そして、その二百円の使途につきましては、百円相当分を市町村への交付金事業、そして百円相当分を県主体事業の二段構えになっております。宿泊税を課す市町村につきましては、県の税額は交付金に相当する額を減額、つまり一人一泊当たり百円とした上で交付金を交付しないこととし、当該市町村における税収は県主体事業に充当する考えでございます。
7 ◯西元 健委員 それでは、今議会に提案されている税条例では、課長が言われた、宿泊税を課す市町村について、県の税額は一人一泊当たり百円とした上での部分が、福岡市においては特例的に五十円とされています。そして、税収見込み額は平年ベースで十八億円と想定されているとお聞きしますが、この十八億円をベースにして、交付金への充当見込み額は幾ら程度となるのかお答えください。
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◯神代観光政策課長 福岡市内とそれ以外の市町村での税収によって交付金額は変わってまいりますが、県内宿泊者数千八百万人泊、そのうち福岡市が試算いたしました市内宿泊者数千二百万人泊、これを前提とすれば、県内五十九市町村への
交付金充当見込み額は約六億円になると想定しております。
9 ◯西元 健委員 宿泊税の課税額について双方五十円ずつ譲歩し、福岡県五十円、福岡市百五十円となったことで、県内五十九市町村への交付見込み額が減少するということはないのでしょうか、お答えください。
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◯神代観光政策課長 他の市町村への交付金額が減少する影響は一切ございません。その理由ですが、一点は、福岡市には県からの交付金は交付しないということ、もう一点は、福岡市内における県の税額を五十円としたのは、市内における県市双方の役割分担を調整した結果、県は観光資源の魅力向上、
受け入れ環境整備、こういった県が実施するとしておりました
観光振興事業の一部、五十円相当分、これについて福岡市内では実施しないからでありまして、他市町村への影響は生じません。
11 ◯西元 健委員 交付金の算定については、宿泊税を財源とするために、基本的に宿泊者数で配分することになろうと思います。宿泊者が県内を周遊することを踏まえ、観光入込客数も勘案すべきであろうと考えます。今後、当初予算に向けてしっかりと検討していただきたいと思います。
では次に、交付金の使途についてお尋ねいたします。
我が会派の代表質問で宿泊税の使途をただした際、市町村への財政的支援に関して、自由度の高い交付金を交付したいと知事が答弁されております。確かに市町村が地域の現状と課題を踏まえて事業を実施するためには、自由度が高い交付金というのは有効であろうと考えます。でも一方、観光振興とはほど遠い事業に支出される、あるいは既存事業の振りかえになってはならないと考えますけども、その辺はどう考えられているのでしょうか、お答えください。
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◯神代観光政策課長 宿泊税は、今後さらなる観光振興に取り組むためには、安定的かつ継続的な県独自の新たな財源が必要であることから、観光振興を目的とした目的税として新たに創設されるものでございます。したがって、市町村が交付金を活用して実施する事業は、さらなる観光振興を目的としたものであること、すなわち新たな
観光振興施策あるいは既存事業の拡充に充てるべきでありまして、委員おっしゃるとおり、既存事業の単なる財源の振りかえになってはならないと考えております。交付金を活用した事業が新規または拡充事業に充当されている、これを検証する仕組みにつきまして検討してまいりたいと考えております。
13 ◯西元 健委員 宿泊税は県事業にも充当します。基金を創設されることから、県事業においては目的外の事業への取り崩しはできないこととなりますけども、県事業においても振りかえとならないように、しっかりと事業を検証していただくよう要望させていただきたいと思います。
さて、宿泊税を活用した事業は、新規事業に充当すべきであろうと考えます。現時点では宿泊税を充当した事業として考えられるものについて、今検討されているものをお答えいただければと思います。
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◯神代観光政策課長 宿泊税を活用した施策につきましては、昨年度開催いたしました
観光振興財源検討会議の中で御意見をいただいております。その主なものといたしましては、国内外から本県へのさらなる来訪を促し、滞在日数をふやすため、新たな観光地づくりやサイクリングルートの整備など観光資源の魅力の向上、そして県内、九州内の周遊を促すための観光案内機能の強化という観点から、空港の観光案内所の整備・運営の支援、ホテル・旅館の
バリアフリー化・洋式化など施設改修に係る支援、観光事業者の人材育成や生産性向上に係る支援など、観光産業に携わる事業者の支援などでございます。
こうした取り組みによりまして本県を訪れる旅行者の満足度を向上させ、本県を訪れたい、再度行きたい、そういったファンをふやしていきたいと考えております。宿泊税を活用した施策につきましては、検討会議でいただいた意見も踏まえ、令和二年度予算に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
15 ◯西元 健委員 県の役割は、やはり市町村域を越えた広域的な行政を担うことにあると思います。各自治体というよりも、先ほどお答えいただいたように、広域的な観点で見ていただくことが必要と思います。市町村が広域的に連携して行う観光振興の取り組みとして、県としてしっかりと支援をいただきたいと思いますけども、今言ったようなことを踏まえて課長の答弁を求めます。
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◯神代観光政策課長 観光における県の役割は、広域的な観点からの
観光振興施策の実施と、県内市町村や事業者が行います観光振興の取り組みの支援であると考えております。県におきましては、市町村が連携して取り組む
観光振興施策に対しましても支援をしたいと考えております。また、県内市町村の観光資源を結びつけた広域的な新たな観光ルートを構築していくとともに、県全体の観光の魅力とその情報について国内外に発信することなどによりまして、県内の誘客と広域的な周遊促進を促してまいりたいと考えております。
17 ◯西元 健委員 やはり、よく考えていただきたい。これは令和二年度から始まるので、これからよく考えていただかなければならないと思うんですが、実は私の地元は豊前築上郡というところなんですけども、県境地域にありまして、お隣が大分県になっております。大分県はまだこういった観光税の導入を検討していないということもありまして、実質的には福岡県側の宿泊施設は、豊前にも少しありますけども、宿泊施設は二百円の値上げということになってしまおうかと思っております。大分県は今でもライバルなんですけども、やはり宿泊税を取っていくことによって実質的な値上げでなかなか苦しい状況になっていく。
また、きょうは副委員長もそうですし、堀委員もいますけども、京築だけのことで考えてみましても、堀委員が悪いというわけではないんですけども、行橋は宿泊施設が多い。片や、畑中副委員長と僕のところというのは余り宿泊施設がない。試算とかしたことはないんですけども、交付金の話です。例えば行橋が仮に、たくさん泊まりますから、交付金として一千万円入ったとする。で、僕のところ、畑中副委員長のところ、宿泊施設というのはなくて合宿所みたいなものしかないもので、十万円とかいうこともあり得るのではないかなと。極端に言うとですけども。
ただですね、どう言ったらいいんですか、宿泊税を取ることによって、今、京築の話をしますと、行橋がやはり強いというか、観光地として、宿泊地として、強いところは強くなっていく。であるからこそ、県として広域的な観点からその辺のバランスをとっていくような形でしっかりやっていただくということが県として大きな課題となっていくと思いますし、やはり僕たちの地域からしますと、そういったふうなきちんとしたというか、みんなが納得するような形の使い方をしていただくということが大切なのだろうと思いますので、ぜひその辺も来年に向けて検討していただきたいと思います。
最後に部長にお尋ねしますけども、冒頭申し上げたとおり、福岡市との協議が極めて難航する中、今議会に条例案が提案されたことは画期的であろうと考えます。これは商工部職員の粘り強い折衝に加え、知事答弁にもあったとおり、九州の自立を考える会及び県議会の協力があって実現したものと考えます。まさしく議会と執行部が車の両輪として機能し、なし遂げた成果であろうかと思っております。最後に商工部長にお尋ねしたいと思いますけれども、今後、令和二年度の当初予算に向け、宿泊税を活用した観光振興策を具体的に検討されていくこととなりますが、どのように検討を進めていくのか、条例提案に至った率直な思いも含め、答弁願います。
18 ◯樋口 明委員長 岩永商工部長。
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◯岩永商工部長 条例提案に至った率直な思い、それから今後どのように進めていくのかというお尋ねでございます。
今議会の自民党の代表質問におきまして、また、今も委員から、基本的には商工部職員の粘り強い折衝が功を奏したという御指摘もいただいているところではございますが、私といたしましては、この条例案を取りまとめることができましたのは、何よりも九州の自立を考える会、そして県議会の皆様方の御指導のおかげであると心より感謝をしているところでございます。
今後、令和二年度の当初予算に向けまして、具体的な観光施策を検討してまいることとなります。その検討に際しましては、課長も申し上げましたが、福岡県の観光の魅力の底上げを図る、そして全国的な競争力をつけていく、このような施策に取り組みたいと考えております。
そして、納税義務者となります宿泊者の皆様、それから
特別徴収義務者となります宿泊事業者の皆様、このような皆様方が、宿泊税を導入してよかったと御納得いただけるような観光施策につきまして、県議会の皆様方としっかり御相談をさせていただきながら検討を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
20 ◯西元 健委員 部長の熱意というか、しっかりやっていただきたいと思いますが、やはり、この宿泊税の使い道、政策、そういったものはトップであります小川知事にぜひとも確認をしたいと思いますし、また、僕たちのような田舎の実情もしっかり勘案して、この宿泊税の使い方は、せっかく税を取るのですから県民全てに理解してもらえるような使い方を直接知事に問いたいと思いますので、委員長、知事保留のお取り計らいをよろしくお願いいたします。
21 ◯樋口 明委員長 ただいま西元委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は七月九日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
22 ◯西元 健委員 終わります。(拍手)
23 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。原竹岩海委員。
24 ◯原竹岩海委員 おはようございます。
民主県政クラブ県議団の原竹でございます。
宿泊税について質問させていただきたいと存じます。その前に、西元先生から詳細にわたって質問がございましたので、極力簡潔に質問をしたいと考えております。
我が会派は、この宿泊税につきましては導入すべきとの立場から、平成二十九年、三十年度と、各議会におきまして訴えてまいりました。そして私も、平成二十九年度決算委員会でしっかりとただしたところであります。そして今回のこの件につきまして、さまざまなことがございましたことは周知のところであります。今回、福岡県と福岡市とのトップ会談で決定をしたということであります。このことを踏まえまして、今後の県の観光行政の取り組みについて、少し確認と質問をさせていただきたいと存じます。
今議会で福岡県宿泊税条例案が可決をされますと、今後、毎年約十八億円の税収が見込まれるということになっております。その税収でございますけれども、福岡市との税額調整によりまして福岡市内における税額が五十円となった結果が反映されたものでございます。十八億円になったことについて、今後の県の
観光振興施策の実施には影響は生じないのでありますでしょうか。
25 ◯樋口 明委員長
神代観光政策課長。
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◯神代観光政策課長 福岡市と市内における県市双方の役割分担を調整した結果、県は観光資源の魅力の向上、
受け入れ環境整備、そういった県が実施することとしておりました
観光振興事業の一部、五十円相当分につきまして、福岡市内では実施しないこととするとともに、福岡市には県からの交付金を交付しないということとしております。よって、税収見込みは約十八億円でございますが、当初想定しておりました
観光振興施策への影響は一切生じないものと考えております。
27 ◯原竹岩海委員 福岡市内では実施をしない、交付金を交付しない。しない、しない、しないということでございますけれども、こういったことで信頼関係がしっかり保てるのかなというのは、少し心配であります。これはお金がしっかり絡んでおりますので、長い歴史ずっと行くわけでございますので、しっかりと自分たちも見守ってまいりたいと考えております。
続けてでございますけれども、福岡市との税額調整が、県が当初に制定をいたしておりました
観光振興施策に影響しないことは一定理解しますけれども、では、どのような方針でこの十八億円という財源を活用しようと考えておられるのか、その方向性を伺いたいと存じます。
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◯神代観光政策課長 県が広域的な観点から
観光振興施策を実施するとともに、市町村が実施いたします
観光振興施策への財政的支援に活用してまいりたいと考えております。
29 ◯原竹岩海委員 宿泊税活用の基本的な考え方ということで、方向性は大体わかりました。それでは、具体的にどのような事業を実施されていくのかということで、これは本会議でもちょっとダブっておりましたのですが、ここを聞かざるを得ないということですから、よろしくお願い申し上げます。
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◯神代観光政策課長 具体的な事業につきましては、令和二年度の予算に向け検討してまいりますけれども、
観光振興財源検討会議の意見も踏まえながら、県が取り組む広域的な観点からの
観光振興施策につきましては、例えば市町村にまたがるサイクリングルートの整備でありますとか、宿泊施設・飲食店の多言語化の支援、あるいは欧米等からの誘客のプロモーション、こうした事業に活用したいと考えております。
また、市町村への財政的な支援につきましては、独自に課税する福岡市を除く市町村に対しまして、それぞれの地域の現状と課題を踏まえて、創意工夫を凝らした
観光振興施策が実施できるように、自由度の高い交付金を交付したいと考えております。
31 ◯原竹岩海委員 御報告の中に、広域のサイクリングルートの整備をするということで、これは板橋先生が強く訴えられていたことも入っておりまして、議会の声をしっかり聞いていただいたということで、感謝の気持ちでいっぱいであります。
そして最後のほうに、市町村に対して観光施策が実施できるよう、自由度の高い交付金をということで、これも福岡市を除くということになると思いますけども、市町村では大歓迎だろうと思っております。しっかりと頑張っていただきたいと考えております。
それでは宿泊税を活用した施策を実施するに当たりまして、市町村の意見は具体的にどのようにしっかり聞いていかれますか。
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◯神代観光政策課長 宿泊税を財源といたしました施策の具体的な内容につきましては、市町村を初め、関係者の皆様の御意見を伺いながら、効果的な事業が実施できるように努めてまいりたいと考えております。
33 ◯原竹岩海委員 さらっと回答されましたけども、県が、それこそ知事がリーダーシップをしっかり発揮されまして、県民が、市町村が見える形の観光行政の確立をするべきと私は考えております。例えば、令和をテーマにした場合ですけども、現在、今でも大混乱の太宰府はなおさらということになっております。こういったことも、この宿泊税の有効活用で見える形でしっかりと、地元の住民とか県民、そして周辺、私は住んでおりますのは二日市でございますけども、この辺でも渋滞で大きな影響が出ているということもあるわけでございますので、この辺のところもしっかりと信頼関係を持って多くの市町村からヒアリングをやっていただいて、しっかり協議をやっていただきたいと要望いたしたいと存じます。
一方、北九州市も宿泊税導入に向けまして検討を開始されたと聞いております。仮にですけれども、北九州市が検討の結果、市税として課税することが決定をした場合、県としてはどのようにして対応されていかれるのでしょうか。
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◯神代観光政策課長 北九州市の北橋市長が五月二十九日の記者会見におきまして、宿泊税を課することの検討を開始する旨、表明されました。これを受けまして県におきましては、県の宿泊税の制度、そして福岡市との合意が福岡市内における県市双方の役割分担の調整をした結果、県の税額を五十円減額したものであること、こういったことにつきまして既に説明を行っているところでございます。
北九州市におきましては、市議会におきまして六月二十六日に決議文が、そして六月二十八日に第一回目の有識者による検討会議が開催されております。今後、この会議の中で宿泊税について検討がなされるものと考えております。仮に北九州市が宿泊税を導入される場合には、宿泊者や
特別徴収義務者となります宿泊事業者の方々の負担軽減を図る必要があります。このため、北九州市内における県と市の役割分担を踏まえた税額の調整、また徴収の一本化等につきまして、福岡市と同様に協議を行う必要があると考えております。
35 ◯原竹岩海委員 これは私の考えですけども、北九州市さんは残ったほかの県下の市町村のリーダーとなっていただきたかったという強い思いがございますけども、こういった方向性が示されたということでございまして、しかしながら、しっかりとパイプはございますので、その辺のところで一体となって、今後とも福岡県と北九州市の観光行政のために、引き続きしっかり協議いただきたいということを強く要望しておきたいと存じます。
県と福岡市はこの宿泊税に関しまして、当初はかなり厳しい関係でございました。しかしながら、トップ会談で合意をされたからには、宿泊税を活用し、福岡市ともしっかり連携の上、福岡県のさらなる観光振興の施策の展開が必要であると考えます。市との連携は図れるのか、課長の考えをお伺いしたいと存じます。
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◯神代観光政策課長 これまでも県と市は、サイクルツーリズムにおきます、市内から近隣市町村へ広がる広域的なモデルルートの構築でございますとか、あるいは昨年のイギリスで開催されましたラグビーワールドカップ二〇一九に関連するイベントにおいて、県内の観光情報の発信に取り組んできたところでございます。
県におきましては、引き続き市としっかり連携を図りながら、福岡市内と県内市町村の観光資源を結びつけた広域的な観光ルートを構築するとともに、県全体の観光の魅力とその情報を国内外に発信いたしまして、県内への誘客と周遊促進に取り組んでまいりたいと考えております。
37 ◯原竹岩海委員 今後は宿泊税によります財源をどう使うのか、このことが最も重要になっていくと考えます。宿泊税を活用した観光振興について、商工部長のお考えを伺いたいと存じます。
38 ◯樋口 明委員長 岩永商工部長。
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◯岩永商工部長 宿泊税を活用いたしました観光振興についてでございます。今後、令和二年度の当初予算の編成に向けまして、具体的に何をやるかということを検討してまいりたいと考えているところでございます。検討に際しましては、この宿泊税を活用いたしまして、福岡県の観光の魅力の底上げを図る、そして競争力をつけていく、そのような観光施策を実施したいと考えております。
また、実際の納税義務者となります宿泊者の皆様、それから
特別徴収義務者となります宿泊事業者の皆様、このような皆様方に、宿泊税を導入してよかったと思っていただけるような観光施策につきまして、県議会の皆様としっかり御相談をいたしながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
40 ◯原竹岩海委員 この宿泊税の問題に関しましては、商工部長を先頭に、行政担当の皆さんがしっかり頑張っていただいたということは全員知っております。感謝の気持ちでいっぱいでございます。
この問題は、今回の宿泊税はトップ会談で決まったということでございますので、委員長、知事にトップ会談についてしっかりただしたいと思いますので、知事保留をお願い申し上げたいと存じます。
41 ◯樋口 明委員長 ただいま原竹委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は七月九日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
42 ◯原竹岩海委員 終わります。(拍手)
43 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。堀大助委員。
44 ◯堀 大助委員 おはようございます。緑友会の堀大助です。
先ほど西元委員から、地元の行橋市について大変過分な評価をいただきまして、ありがとうございます。小さな町ながら人口が微増しているという珍しい自治体でありまして、一生懸命頑張っているところでございます。西元委員におかれましても、ぜひ行橋市に足しげく通っていただいて、宿泊していただいて、その際には宿泊税をしっかりと払っていただきたいと思っております。
本日は、そのような宿泊施設も含めまして、県内に数多くある中小企業の支援について伺いたいと思っております。
少子高齢化がますます進行して、消費市場の縮小が見込まれる中、県内中小企業を取り巻く状況は依然として厳しいものがあります。ことしは十月に消費増税も控えて、今後さらに厳しさを増すことも懸念されております。また、人手不足は全国的に顕著で、後継者不足といった深刻な問題もあります。県として、こうした課題を踏まえてしっかりと支援していくことが必要と考えております。
今年度予算案には、中小企業支援のための融資制度が昨年度同様に措置されております。そこで伺います。まず最初に、この制度融資とはどのようなものなのか御説明ください。
45 ◯樋口 明委員長 冨田中小企業振興課長。
46 ◯冨田中小企業振興課長 県の制度融資でございますが、これは大企業と比べまして信用力の小さい中小企業に対する金融機関の低利融資を促進することによりまして、中小企業の資金繰りの円滑化を支援するための制度でございます。
その内容といたしましては、まず中小企業の金利負担を軽減いたしますために、金融機関に対しまして低利融資に必要な原資の一部を預託いたしております。また、信用保証協会への保証料負担を軽減するため、保証料補填を行っております。さらに信用保証協会の積極的な保証を促すために、金融機関に対する代位弁済に至りました場合の損失補償を行っているところでございます。
47 ◯堀 大助委員 県の制度融資について、金融機関に対する無利子預託の実施、そして保証協会の補助を通じて中小企業の資金繰りに尽力されていることはわかりました。
ところで、安倍総理は五月、中小企業の事業承継問題に関して、後継者に企業債務の個人保証を求めない仕組みをつくると表明されました。また、先月二十一日に閣議決定された成長戦略において、信用保証制度において、事業承継時に経営者の個人保証を一定要件のもとで不要とする新たなメニューを創設すること、また、このメニューにおいて専門家の支援、確認を受けた場合、企業の保証料負担を最大でゼロとなるよう軽減と明記されました。
経営者の個人保証不要、保証協会への保証料も無料というのは大変インパクトのある言葉で、私も大きな驚きをもって受けとめました。中小企業の資金繰りや後継者不足にとって大きな意義があると考えますが、この制度創設についてどのように受けとめておられますか。
48 ◯冨田中小企業振興課長 事業承継に必要な資金の制度融資に当たりまして経営者の個人保証を不要とする新メニューの創設、また、保証料負担が最大ゼロといった大胆な措置が講じられますことは、県内の多くの中小企業の資金繰りのさらなる円滑化をもたらすものでございまして、事業承継の一層の促進につながるものと思っております。
また成長戦略では、金融機関におきまして、原則として前経営者、後継者の双方から二重に保証を求めないこととされまして、また商工中金は、一定の要件を満たす企業に対して二〇二〇年から原則無保証とすることとされております。個人保証を求められることが原因で事業承継ができないといったケースが減少するものと考えております。
49 ◯堀 大助委員 次に伺います。大変気になるこの制度なんですけれども、実際どのような要件のもとで実施されるのか、また、どのようなスケジュールで導入されるのか、現段階で把握している情報をもとにお答えください。
同時に気になるのは、その新しい制度によって県に新たな負担が生じることはないかということなんですけれども、その点についてもお答えください。
50 ◯冨田中小企業振興課長 個人保証が不要となる一定の要件等につきましては、現在、国において検討中でございまして、明らかにされておりません。また、導入スケジュールにつきましては、来年の一月に関係機関へ周知いたしまして、四月から運用開始の見込みと聞いております。
なお、今回の保証料負担を最大ゼロとする軽減措置に伴います必要経費につきましては、全て国の負担で対応すると聞いております。現時点の情報では、県に新たな負担は生じないものと考えております。
51 ◯堀 大助委員 来年度から運用開始の見込みということで、円滑な導入が図れるよう、迅速な情報収集と的確な対応に努めていただきたいと思います。
その上で県としては、中小企業にとって非常に有利なこの制度を、できるだけ多くの経営者に知ってもらい、実際に活用してもらうべきだと思いますけれども、その点どのように対応していくおつもりでしょうか。
52 ◯冨田中小企業振興課長 引き続き具体的な中身について情報収集を行った上で、この新たな制度の活用を促すために、信用保証協会とも連携をいたしまして、各金融機関、商工団体等を通じたチラシの配布などによりまして、幅広く周知を行ってまいります。
また、平成三十年五月に約百七十の関係機関で構築いたしました福岡県事業承継支援ネットワークにおきますセミナーあるいは事業承継診断、また商工会、商工会議所の経営指導員による巡回指導、窓口相談などの機会を捉えまして、県内中小企業の皆様に直接この制度の活用を働きかけてまいります。
53 ◯堀 大助委員 ところで、小川知事はみずからの公約として、新規創業年間千件の目標を掲げております。県経済の発展のためには、今ある中小企業支援に加えて、新たな活力を生み出す新規創業を支援することも重要と考えております。この点、今述べた国の新制度は、調べた限りでは新規創業を対象とはしていないとのことです。私としては、新規創業こそ困難な課題が多く、より一層の支援が必要と考えております。新規創業支援について何らかの支援が必要と考えますが、県として何らかの手当てはできないのでしょうか。県の制度融資の利用の可否も含めて、どのような支援メニューがあるのかお示しください。
54 ◯冨田中小企業振興課長 県の制度融資におきましては、新たに創業する個人や創業後一年未満の中小企業を対象といたしました低利な資金メニューを設けております。この資金につきましては、新規創業を積極的に後押しするために、平成二十九年度から県と信用保証協会が折半をいたしまして、企業の保証料負担をゼロとしているところでございます。
制度融資以外の支援といたしましては、県内四地域に設置いたしております地域中小企業支援協議会におきまして、創業支援スキルの向上研修会でありますとか、女性向け創業相談会、また、福岡よかとこビジネスプランコンテストの開催などによりまして、創業の促進を図っております。
55 ◯堀 大助委員 新規創業支援について、国よりも手厚い支援がなされているという印象を受けました。頑張っていただいていることがうかがえます。中小企業支援のためには、新規創業、事業承継、そのまま存続する企業、全てのカテゴリーできめ細かい支援をしていただきたいと思っております。
そこで、最後に部長に伺います。中小企業が直面する問題にはありとあらゆるものがありますけれども、私も多くの経営者と意見交換する中で、資金繰りに頭を悩まされている経営者の方が本当に多いなと実感しております。中小企業の支援を果たすためには、何といっても資金繰りと言っても言い過ぎではないと思いますけれども、今後、県としてどのように取り組んでいかれるのでしょうか。今年度の新たな取り組みを交えて、部長の決意を伺いたいと思います。
56 ◯樋口 明委員長 岩永商工部長。
57
◯岩永商工部長 資金繰りの円滑化についてでございます。
委員御指摘がございましたとおり、今ある中小企業を成長させていく、また新規の創業を促していく、このことは福岡県の経済を発展させていく上では必要不可欠であると考えているところでございます。それに当たりましては、資金の円滑化を図っていくということが中小企業にとっては何より重要であると考えているところでございます。
このような考え方のもとで、県といたしましては、県の制度融資の中に、平成二十九年度に新規創業資金を優遇した措置を設けました。また、昨年度におきましては、事業承継を支援するための資金も設けたところでございます。また、今年度からは新たに制度融資の中に、生産性の向上の支援を図るための資金、それから、本年十月から引き上げられます消費税の対策のための資金、これらのメニューも追加をしてまいりたいと考えているところでございます。
このような取り組みを通しまして、中小企業の皆様が抱えるさまざまな課題に的確に対応できますように、この制度融資を活用した資金の円滑化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
58 ◯堀 大助委員 終わります。(拍手)
59 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。十中大雅委員。
60 ◯十中大雅委員 おはようございます。自民党県議団の十中でございます。
企業誘致に関して、久留米・うきは工業団地についてお尋ねをいたしたいと思います。
私の地元、久留米市では、市の整備されました工業団地は、ありがたいことに全部完売をいたしておりまして、私は、これは日本の中でも本当に珍しい地域だろうと考えております。そういう中で今回、県の施行によって、久留米・うきは工業団地を整備していただきました。大変ありがたいことでありますし、この委員会にうきはの小河委員も出席でございますけれども、うきは市の皆さん方も大変な期待を寄せられている。今、うきは市では人口減少が大きな課題の中で、新しい雇用が創出されることによって新しい人口が流入し、定住人口をふやしていける、そういう画期的な事業に結びつけてほしいという願いもあるのだろうと思います。
そういう中で、平成二十八年から事業に着手をしていただきまして、現在も工事を着々と進めていただいているわけでありますけれども、ことしの一月からいよいよ分譲を開始していただきましたし、その中でびっくりいたしましたのは、世界的な企業に発展しております日本の国内最大大手の化粧品メーカーであります資生堂が、この地に九州で初めての工場を進出するという決定をしていただきました。私どもにとりまして、地域の経済に大きな効果を及ぼす、すばらしいことだと思っておりますし、議会でも大変歓迎をいたしたいと思いますし、喜んでいただいていると思います。そういう中で私も、さきの資生堂と県、久留米市の調印式にも出席をさせていただきまして、本当にいい機会に出会ったことを大変喜んでおります。
そういう中で、資生堂の進出によりまして、今回九・七ヘクタール分が分譲されたわけであります。しかし、まだ多く、これから分譲していただかなければならない。私は、工業団地というのは売り出して早期に分譲していくことがその団地の価値を高める、そのことが周辺の振興にも大きく結びつくし、寄与していくと思っております。そこでお尋ねをいたしたいと思いますが、残りの分譲についてはどのように進められているのか、お聞きをしたいと思います。
61 ◯樋口 明委員長 平瀬企業立地課長。
62 ◯平瀬企業立地課長 久留米・うきは工業団地におきましては、全体の分譲面積二十六・五ヘクタールに対しまして、資生堂が九・七ヘクタール、このほか一社の立地が決定いたしておりまして、残りの分譲可能面積は十五・九ヘクタールとなっております。
63 ◯十中大雅委員 残りが十五・九ヘクタールということはわかりました。しかし、一社は決定をしているようでございますけども、これからどういう企業を、どのような形の中で企業立地を進めていこうと思ってあるのか、その方向性についてお尋ねいたします。
64 ◯平瀬企業立地課長 現在、残りの分譲地におきましても、数社から引き合いがあっているところでございます。商談を進めているところでございます。引き続き早期の立地実現に向けまして、企業誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
65 ◯十中大雅委員 なかなか相手があることですから情報等は出しにくいところもあると思いますけども、久留米市、うきは市にも十分協力をしていただいて、早期に立地を決めていただく、これは地域としてもやはり県と一体となって取り組んでいかなければならないことだと思いますので、その辺もよろしくお願いをしたいと思います。
さて、今年の三月十五日の西日本新聞に、資生堂の久留米工場では、これから段階的にではありますけども、千人規模の雇用を考えているということが報道をなされたわけであります。一社で千人というのは、非常にこの時代には大きな規模の雇用でありまして、大変うれしいと同時に驚いているのが現実であります。県内地域にそのような雇用の場が創設されることは、本当に福岡県としてもありがたいことだろうと思います。資生堂さんにおいでになっていただいたことは大変感謝をいたしております。
しかしながら一方では、国内では労働力不足の問題が深刻となってきております。もとより、この福岡県でも例外ではないと考えております。地域の企業からもこの問題について、多方面から心配の声が上がっているのを私は現実にお聞きをいたしております。
なぜかといいますと、資生堂というネームバリューがあるだけに、今地域で雇用してある皆さん方が、自社の雇用を資生堂に奪われるのではなかろうか、かわっていかれるのではなかろうかという大きな不安をお持ちでありまして、これはその横にあります吉本工業団地を中心とした地域の皆様だけではなくて、広範囲にそういう心配を持ってある企業が多い。その大きな要因の一つは、どうしてもパートを中心とした雇用が多くなってくるのではなかろうか、そういう予測のもとに心配をしてある方々が多くいらっしゃるというのが現状であります。そのことをどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
66 ◯平瀬企業立地課長 資生堂の雇用についてであります。資生堂によりますと、他の生産拠点からの転勤者を含めまして、数百名規模で二〇二一年中に操業を開始するということでございます。その後、数年をかけまして段階的に雇用を行っていくということでございます。また、一定の地域に雇用が集中することがないように、県域を越えた採用活動、また、UIJターンなどによります中途採用者を募るといったことで、広域的な地域から、また段階的に雇用を行っていく方針と聞いております。
県といたしましては、新工場の雇用規模は非常に大きいわけでございまして、地域に与える影響が想定されるところでございます。地元の雇用に混乱を生じさせないように資生堂には方針にしっかり沿っていただきまして、段階的、広域的な雇用を行っていただくことが重要であると考えているところでございます。今後こういった点を踏まえまして、久留米市やハローワーク等の労働機関と十分連携しながら、同社に対して協力を求めてまいりたいと考えております。
67 ◯十中大雅委員 取り組みについて今お答えをいただきましたけども、本当に、先ほどから申し上げますように、地域の企業にとっては人手不足が本当に深刻な問題でありまして、そのことによって受注はできるけども、人がいないから受注できないことによって倒産をしていくというような実例も、今現在起こっているのが現実であります。
ですから我々としては、できるだけ転勤者を多くこの地に配属していただいて、そのことが定住人口につながっていく、そのことがやはり地域の大きな活性化につながっていくと思っておりますので、そういう雇用の形態も、県として資生堂さんのほうによくお話をいただきまして、そのことも理解を得る中で雇用の拡大を図っていただきたいと考えております。
聞くところによりますと、知事はこの工業団地をつくることには余り積極的ではなくて、消極的であるというようなことも聞きましたけれども、いざ資生堂が出てくると、ぱっと表に出てきて、私がつくったんだというような格好でございますが、これも先ほどの宿泊税ではありませんけれども、商工部の皆さん方にしっかりと地域の声を酌み取っていただいて、そして必要性に応じてこの地に工業団地をつくっていただいたということだろうと思います。
こういう課長とのやりとりを踏まえて、部長、やはり県として、先ほどから言います地域の大きな期待をどう担っていただく、そして先ほどから言いますように、雇用の創出と同時に定住人口の促進にもつながっていって、地域の振興に大きく寄与していただく。資生堂さんが言ってあるのは、この工場を観光につなげていきたいと社長からお話をいただきました。なぜかというと、工業観光というものを一つの目玉として地域との連携を強化していきたい。耳納北麓というあの地域には、フルーツ狩りとかいろいろな観光も今現在ある。そのことをうまく組み合わせた中で、資生堂の価値観を示していきたいというようなこともお話しいただきました。これはすばらしい取り組みの一つだと私は考えております。そういうものも含めたところで、部長、商工部として今後この地域でどう工業団地を生かしていくのか、その決意をお聞かせいただきたいと思います。
68 ◯樋口 明委員長 岩永商工部長。
69
◯岩永商工部長 資生堂の関連もございました、人手不足対策についてでございます。委員御指摘のとおり、我が国は全般的に生産年齢人口が減少している、このことから特に中小・零細企業におきましては労働力が不足をしているという状況がございます。そして実際に、人手不足倒産も増加傾向にございます。高い技術力を持った中小企業が人手不足のために倒産をしていくというふうになりますと、本県の経済にとりまして大変深刻な影響があると考えているところでございます。
このため、まず本県といたしましては生産性の向上に取り組みたいと考えているところでございます。具体的に申し上げますと、今年度新たに計画しております事業は、まず専門家の方が企業に出向きまして、企業の診断を行っていただきます。その診断結果に基づきまして、企業にはさまざまな段階がございますので、その段階に応じたアドバイザーを派遣していく。そのアドバイザーが企業に本当に寄り添って、企業のためになる生産性の向上策を見出していく。このような取り組みを実施してまいりたいと思います。このような取り組みを通しまして、何とか生産性の向上をできる限り上げていく、そのことによりまして、この人手不足対策に的確に対応してまいりたいと考えております。
また、委員から御指摘がございました資生堂でございます。これはイメージも非常によい企業が来ていただくということになりまして、我々も大変喜んでいるところでございます。一方で、委員がおっしゃられました人手不足対策につきましては、今申し上げましたことで対応してまいりたいと思います。また、資生堂を活用いたしました──活用と言ったらあれですけど、資生堂による観光振興、これも資生堂御自身が見学もオーケーということを言っていただいておりますので、我々もしっかり観光の中に組み込んで、皆様に喜んでいただけるような観光商品の造成に努めてまいりたいと考えているところでございます。
70 ◯十中大雅委員 本当に部長の決意はよくわかりました。この地域は、御存じのとおりダイハツさんに進出を決めていただいて、そして研究機関もこの地に移していただいた、非常にポテンシャルが高くなってきている地域でありまして、そしてまた地元にあります県立高校は、その地域にJR九州に駅を要望して、設置していただきたいという運動も取り組みをやってあります。
そういう地域として大きな期待がありますので、今おっしゃったようなことを、地域とのバランスもとりながら資生堂さんの進出をうまく地域の活性化に生かしていくことに、商工部としてこれからもしっかり気配り、目配りをしていただきたいと思いますので、そのことをお願い申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
71 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。堤かなめ委員。
72 ◯堤 かなめ委員 皆様、お疲れさまでございます。
民主県政クラブ県議団の堤かなめです。
本日も九州各地で大雨による被害が心配されております。温室効果ガスの増大が引き起こすとされている異常気象や、それによる大規模災害は地球規模の問題であります。その長期的ではありますが根本的な解決につながることを願って、水素関連産業の振興についてお聞きいたします。水素はほぼ地球上に無限に存在し、電気と違って、ためて運ぶこともできます。水素の製造過程で温室効果ガスを排出するのでは余り意味がありませんが、風力、太陽光、水力などの再生可能エネルギーを使ってみずから水素をつくることができれば、まさに理想のクリーンエネルギーとなります。
また、我が会派の代表質問において述べましたように、水素燃料電池の普及は、再生可能エネルギーの供給変動による問題、出力制限の問題も解決できる可能性も高めます。なぜなら、再生可能エネルギーの供給源から発生した電気を水素に変換することにより、エネルギーを大きなタンクに貯蔵し、必要に応じて再び放出することができるからです。
さらに、再生可能エネルギーを利用した水素社会が実現すれば、自国でエネルギーを賄うエネルギーの自給自足、地産地消が可能となります。現在、我が国は石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料をほぼ全量輸入しており、その総額は年間約十六兆円に上ります。最近、何かと話題の年金の税負担分が約十三兆円、文部科学省予算が約五兆円であることと比較すると、この十六兆円がいかに巨額かがわかると思います。水素社会が実現し、化石燃料の輸入を減らすことができれば、国の富の流出を防ぎ、国民、県民の暮らしをもっと豊かにできることになります。すなわち水素エネルギーは、環境やエネルギー、産業といった政策分野の課題解決にも有効であると考えています。
そこでお聞きいたします。県では水素エネルギーにいち早く着目し、全国に先駆けて取り組みを行ってこられたところですが、水素エネルギー分野における本県の強みについて、改めて御説明願います。
〔正副委員長交代〕
73 ◯畑中茂広副委員長 見雪新産業振興課長。
74 ◯見雪新産業振興課長 まず、本県の九州大学には、水素材料先端科学研究センターなど四つの研究機関が集積しており、世界最先端の研究が行われているということが挙げられます。また本県には、金属加工、電子部品製造、あるいはゴム製造など、水素分野に高い潜在力を持つ物づくり企業が集積しております。さらに糸島市の水素エネルギー製品研究試験センター(HyTReC)では、高圧水素ガスを使用した試験や、水素ステーション用大型タンクの耐久性試験が行える設備を備えておりまして、多くの企業に御利用いただいております。
このように基礎研究から製品開発、そして開発した製品の試験に至るまで一貫して担える、こうしたことが本県の強みであると考えております。
75 ◯堤 かなめ委員 水素エネルギー分野の本県の強みについて理解できました。
言うまでもありませんが、自動車関連産業も本県の強みであります。近年では世界各国で急速にガソリン車から電気自動車への転換、いわゆるEVシフトが起こっています。その勢いに押され、FCVの存在感は薄れがちではないかと思っておりました。しかし、FCVの車はEVに比べて充填にかかる時間が短く、一回の充填によって走行できる距離が長いという利点があります。したがって、中国、米国、欧州大陸など都市間の輸送距離が長い国では、FCVが優位になる可能性もあると言われています。実際に欧米の自動車メーカーはFCVの販売を立て続けに発表し、アメリカのカリフォルニア州や中国でもFCVの大幅普及を目指しているとのことです。
このような中、本県が全国に先駆けて水素に着目し、FCVの普及に向けてさまざまな施策を展開してこられたことは高く評価したいと思います。また現在、県内には百十台のFCVが走っており、十カ所に水素ステーションが開設されているとのことです。そこで今後、FCVのさらなる普及に向けてどのような取り組みを行っていくのかお聞かせください。
76 ◯畑中茂広副委員長 道岡自動車産業振興室長。
77 ◯道岡自動車産業振興室長 委員から御指摘がございましたとおり、FCVにつきましては、同じく環境性能にすぐれておりますEVとともに、それぞれが持ちます優位性によりましてすみ分けが進み、将来普及していくものと考えております。
今年度、県内におきまして十一カ所目となる、県南地域初の水素ステーションが久留米市に整備される予定になっております。これによりまして、県内の四つのブロック全てに水素ステーションが整備されることになりまして、今後さらにFCVの普及が進んでいくことが期待されます。
県では引き続き、県内各地でFCVの展示や試乗会を実施します、ふくおかFCVキャラバンや、これを九州各県に広げました九州FCVキャラバンを実施いたしまして、FCVの認知度の向上を図りますとともに、民間事業者の水素ステーション整備の働きかけを行いまして、FCVの普及とそれに不可欠な水素ステーションの整備を一体的に進めてまいります。
78 ◯堤 かなめ委員 次に、水素関連産業の育成についてお聞きします。
今や、水素で走るのは車だけではなくなってきています。再生可能エネルギー由来の水素で走る船や鉄道の研究開発が世界各国で進められており、船舶や鉄道の世界にも水素の波が押し寄せつつあるとのことです。
報道によれば、トヨタが支援する船舶「エナジー・オブザーバー号」は、太陽光、風力、水力発電を利用して、海水から水素を取り出すことが可能となっており、世界で初めて水素を自給自足する燃料電池船として航海できる船ということです。また、フランスのアルストム社が開発した、世界初の水素をエネルギーとする燃料電池列車が昨年ドイツで実用化され、営業運転を開始いたしました。二〇二一年からはドイツ国内でさらに十四車両の水素列車が運行される見込みとのことです。
ドイツでも、地方の運行本数の少ない路線で電気の架電を設置するのは無駄が多いため、そのような路線では現在もディーゼル車が多く利用されていますが、水素で走る列車が導入されれば、架線がない場所でも環境に優しい列車の運行が可能となります。我が国でも先月四日、JR東日本は、水素燃料電池で走る列車を開発し、二〇二〇年代半ばの実用化を目指すと発表いたしました。
本県としても全国に先駆けて水素エネルギーに着目し、水素先進県、フロントランナーとして、水素関連産業の振興に取り組んでこられたことは高く評価したいと思います。そこで、水素関連産業に県内企業が参入し、ビジネス展開を成功させ、成長していることも重要であると考えますが、県はどのような支援策を展開しているのかお聞きいたします。
79 ◯見雪新産業振興課長 県では、産学官で設立した福岡水素エネルギー戦略会議を中核としまして、研究開発あるいは産業育成などに取り組んでおります。
県内企業に対しましては、水素エネルギー分野への参入機運を高めるためのセミナーの開催、あるいは技術アドバイザーや工業技術センターによる技術支援、新製品開発を後押しする製品開発の助成、完成した製品のビジネス展開を支援する大型展示会などへの出展支援、そしてメーカーとのマッチングを図る技術提案会の開催、こういった啓発、それから技術開発、製品開発、販路拡大まで、一貫した支援を行っているところでございます。
80 ◯堤 かなめ委員 県内の水素関連産業の育成に本県が精力的に取り組んでいることがわかりました。
では、県内企業の製品化の状況についてお聞かせください。
81 ◯見雪新産業振興課長 すぐれた技術を持つ本県の物づくり企業の技術を生かし、例えばFCVの水素充填部の部品あるいは水素ステーション用の高圧水素配管用部品や各種センサー、エネファームの主要部品、高い耐久性を持った高圧水素用ゴムパッキンなど、これまでに十九件が製品化されております。
82 ◯堤 かなめ委員 十九件が製品化されているということで、これも評価に値するかと思います。
では、今後の県内企業のさらなる育成のために、どのように取り組んでいくのかお聞きいたします。
83 ◯見雪新産業振興課長 現在、CO2排出量が多く、その対策が課題となっている物流分野に着目した水素関連メーカーでは、物流施設向けの多様な水素関連製品の開発を進めているところであります。このため、今年度から新たに水素関連メーカーと連携し、新製品の開発状況に応じて、参入意欲がある企業を対象とした参入研究会を開催するほか、県内物流施設における水素関連製品の普及を図るため、物流施設の現状や製品導入可能性の調査に取り組む考えです。
84 ◯堤 かなめ委員 物流分野においてはとりわけ可能性が大きいということがわかりました。
さて、既に御案内のように、日本はエネルギー資源の多くを輸入に頼っています。日本のエネルギー自給率はおよそ八%で、OECD三十五カ国中三十四位。このように資源を他国に依存する日本のエネルギー事情は、どうしても国際情勢の影響を受けやすいという課題を抱えています。
そして、さきにも述べましたが、出力変動が大きい再生可能エネルギーを安定的に、また有効に利用するためには、長期間の貯蔵が可能な水素に変えて活用する方法が非常に有効でございます。再生可能エネルギーを利用した水素は、温室効果ガスゼロ、CO2フリーであり、私といたしましては、エネルギーや交通、日常生活において、再生可能エネルギーを利用した環境価値の高い水素が本格的に利用される水素社会が早期に実現することを期待しています。
そこで最後に、来るべき水素社会に向けて、県は水素関連産業の振興にどのように取り組んでいくのか、岩永部長の決意をお聞かせください。
85 ◯畑中茂広副委員長 岩永商工部長。
86
◯岩永商工部長 水素関連産業の振興についてでございます。
委員から御指摘がございましたとおり、水素は地球温暖化対策という点で非常に有効な手段であると考えているところでございます。先般開催されましたG20の関係閣僚会合におきまして、日米欧の担当者で、今後、水素を一層活用するように連携して取り組んでいこうという共同声明も発表されたところでございます。
これまで本県におきましては、水素の振興に全力で取り組んできたところでございます。その結果といたしまして、県内の中小企業も参入が進み、製品化も進んでいるところでございます。具体的には、水素ステーション、あるいはFCVとかエネファームとか、さまざまな分野での参入が今進んでいるところでございます。
今、課長が申し上げましたとおり、今年度新たに物流分野の水素関連製品の開発段階から県内の中小企業が参入できないかと。開発段階からもし参入できますと、その後の受注に大きく結びつく可能性もございます。このような取り組みに全力で取り組んでまいりたいと考えております。
このようなさまざまな取り組みを通しまして、本県の水素産業のさらなる振興、県内企業の参入促進に全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〔正副委員長交代〕
87 ◯堤 かなめ委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
88 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。板橋聡委員。
89 ◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
通告に従い、ふくおかよかとこパスポートについて質問いたします。
福岡県では平成二十八年度より、ふくおかよかとこパスポート事業を行っております。この事業については、私も平成二十八年の予算特別委員会において質問させていただき、その際、県、市町村、観光協会、地域の事業者と一緒になって事業を行い、県内各地への周遊、地域の活性化につなげていきたいという答弁をいただいております。今回は、三年間事業を行ってきてどのような状況なのか、また、今後どのようにしていこうと考えているかについてただしてまいります。
まず、改めて、ふくおかよかとこパスポート事業とはどのようなものなのか、また、狙いは何かについてお尋ねします。
90 ◯樋口 明委員長 中垣観光振興課長。
91 ◯中垣観光振興課長 ふくおかよかとこパスポート事業は、県内の観光施設や体験プログラムなどで、利用が可能で利用者に特典がつく観光パスポートを発行いたしまして、このパスポート片手に県内を周遊してもらう事業でございます。また、パスポート利用者の利用状況をデータとして収集いたしまして、福岡県を訪れる観光客の属性や動向を調査、分析することによりまして、今後の観光施策立案に役立てていく狙いもございます。
92 ◯板橋 聡委員 そこで、ふくおかよかとこパスポート事業の実績についての資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいのほどお願いします。
93 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。
ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
94 ◯樋口 明委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。
95 ◯中垣観光振興課長 はい、直ちに提出できます。
96 ◯樋口 明委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
97 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
98 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。
99 ◯板橋 聡委員 では、簡潔に資料の説明をお願いします。
100 ◯中垣観光振興課長 ふくおかよかとこパスポート事業の実績についてでございます。
最新の平成三十一年三月時点で、参加施設数は四百二十三施設となっております。
また、登録者数といたしましては、紙パスポート登録者が三万三千八十九人、スマートフォン版パスポートは六千六百五十三人、合計で三万九千七百四十二人となっております。
101 ◯板橋 聡委員 この事業の目的の一つとして、観光客の属性や動向の調査ということが挙げられておりました。このパスポート登録者全てのデータが得られるのでしょうか。また、どのようなデータが得られ、そして、これまで得られたデータをどのように活用してこられたのかお答えください。
102 ◯中垣観光振興課長 現時点におきましては、スマートフォン版パスポートでのみデータを得ることができ、基本的なデータといたしましては、性別、居住地、年齢、個人ごとの利用施設など十三項目ございます。これによりまして、どのような方が、いつ、どの施設を訪れたかがデータとして収集できるため、このデータを分析することで利用者の周遊状況を把握することができます。これらのデータにつきましては、本県の旅行者の動向、行動パターンとして、旅行会社との商談会などの場において活用しているところでございます。
103 ◯板橋 聡委員 実績やデータ活用方法についてお聞きしましたけれども、データを有効に活用していくには、参加施設数や登録者数が少ないように感じます。比較対象として、日本で最初に観光パスポート事業を導入した先進県とも言える高知県の状況はどうなっているでしょうか。
104 ◯中垣観光振興課長 高知県におきましては平成二十四年から実施しておりまして、現在までに、参加施設数は七百五十施設、登録者数は約二十八万人となっております。
105 ◯板橋 聡委員 高知県は先進県とはいえ、人口規模から考えても、ふくおかよかとこパスポートの登録者数はいかにも低調かなと。また、観光客の属性・動向調査のためのデータが得られるのは、先ほどおっしゃいましたとおりスマートフォン版のアプリのみということで、アプリユーザーは六千六百五十三人と。自治体のビッグデータの活用というのがよく話題になっておりますけど、これはとてもビッグデータとは言えない、スモールデータ。ユーザー数の増加というのを考えなければならないのかなと思います。ただ、ユーザーの立場からすれば、使えるお店が多くないとメリットがありません。ユーザーがふえれば参加したいと思う施設もふえると。ユーザー数と参加施設数は鶏と卵のような関係かなと思います。
実は、私もこのパスポートを登録いたしました。確認したところ、みやま市は十カ所、多いか少ないかわかりませんが、とにかく十カ所の参加施設が確認をできました。ただ、この十カ所のラインナップを見ますと、これは観光協会にお願いして、私から質問されないよう、とりあえず数はそろえたという印象をちょっと持たせていただきました。
県内一律に通り一遍に働きかけを行っても、施設側が進んで参加するまでのメリットはなかなか感じることはないのではないかなと。例えばテーマを決めて、一定期間、一定の地域でキャンペーンを張るなど、参加したいと施設が思えるよう、特別感あるいはお得感を感じてもらわなければならないと思います。そのような着眼点は持っていらっしゃいますでしょうか。
106 ◯中垣観光振興課長 今委員御指摘のとおり、さらに参加施設をふやすためには新たな着眼点を持って取り組む必要があると考えております。このため今年度は新たに、県内の温泉地にスポットを当てました働きかけを行っていくことを計画しております。
また今後は、官民挙げまして誘致活動に取り組んでおられます柳川市、みやま市など県内各地にゆかりの地があります立花宗茂とギン(もんがまえに言)千代、あるいは秋の紅葉が売りの観光資源といったテーマを決めたキャンペーンを行うことなどによって、参加施設数、そしてまた登録者数を増加させていきたいと考えております。
107 ◯板橋 聡委員 今、テーマを決めて実施ということで答弁ございましたけれども、それに加えて観光の底上げという観点では、各地域地域において、おもてなしのサービスレベル向上のための取り組みが必要だと考えます。とりわけ急増しているインバウンドに対しては、特に地方のほうではなかなか多言語化やキャッシュレス化が進みづらい状況にございます。ハードルが高いのかなと思いますけれども、まずはモデル地域を設定して地方の観光地においてもいろいろなことをやって成功事例をつくり上げていって、それを全県に広げていくという手法もあると思いますけれども、いかがでしょうか。
108 ◯中垣観光振興課長 県全域の観光地の底上げは喫緊の課題と考えております。このため、市町村や観光協会、また関係事業者とも連携しながら、パスポート事業だけではなく、多言語化、キャッシュレス化など、インバウンド
受け入れ環境整備の事業も進めていくことによりまして、各地域の観光地としての魅力向上を図っていきたいと考えております。それには県内一律ではなくて、やる気のある地域から取り組んでいくということも有効な手段ではないかと思っております。
109 ◯板橋 聡委員 今、キャッシュレス化の促進ということをおっしゃいましたけれども、スマホ決済サービスが利用できる施設で──このふくおかよかとこパスポートはスマートフォン版アプリもございます、これを利用できれば、観光客にとって双方のサービスが利用できてメリットを感じやすいのではないか、また、パスポート参加施設にとっても来客促進につながるのではないかと感じております。スマホ決済サービス事業者が、小売店、飲食店に対し、パスポート事業の紹介も一緒に行うようなことはできないのでしょうか。
110 ◯中垣観光振興課長 商工部におきましては、キャッシュレス化促進に取り組んでいるところでございまして、小売店、飲食店を対象といたしましたキャッシュレス説明会などを行うことといたしております。そのような場におきましてパスポート事業参加への働きかけを行うなど、キャッシュレス事業とも連携してまいりたいと思います。
111 ◯板橋 聡委員 実は三年前の質問で参加施設数の目標を尋ねたところ、五百ということを聞いております。三年たった現在の参加施設は、ちょっとこれは見て目を覆いたくなるような……。正直少な過ぎる。私としては、この十倍はお願いしたい気持ちでありますが、一方、数だけふやしても余り意味がないと感じております。やはり事業目的に合った施設でないと効果が得られないと思っております。
そこには、やはり戦略をしっかり現場の職員の皆さんが持って、今後どのように参加施設や登録者数をふやしていこうとしているのか、そういったものがないと本当に効果的な事業にはならないと思っておりますけれど、商工部観光局としては戦略はあるのか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
福岡県自転車活用推進計画における自転車の通行空間の整備について、質問をさせていただきます。
最近、自転車を利用する方がふえてきていると感じる機会が多くなっております。自転車は、買い物、通勤・通学といった日常生活のほか、サイクリングなどレジャー活動にも使われているものでございます。
国の調査によりますと、我が国の自転車の保有台数は平成二十八年時点で七千二百三十八万台ほど、そして、その普及率は近年は七〇%前後とも言われております。そのような中、平成二十九年に施行されました自転車活用推進法に基づきまして、福岡県でも自転車の活用の推進に向けて取り組む福岡県自転車活用推進計画が平成三十一年三月に策定されたところでございます。
そこで質問でございます。まず、県の自転車活用推進計画では、市町村が自転車ネットワーク計画を策定することになっておりますけれども、それはどのような計画かお答えをお願いいたします。
〔正副委員長交代〕
162 ◯畑中茂広副委員長 久保道路維持課長。
163 ◯久保道路維持課長 自転車ネットワーク計画でございます。これは国土交通省による安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインに基づく計画でございまして、自転車は車両であるという原則のもとに交通の状況や道路の状況を踏まえまして、車道において自転車が通行する空間を整備する必要がある区間を選定する計画でございます。
具体的には、郊外の住宅地と駅や学校を結ぶ、通勤や通学の利用が多いルートでございますとか、駅と観光地を結ぶ観光目的の利用が多いルートなどを選定して、これをネットワークとして計画するものでございます。
164 ◯新井富美子委員 ありがとうございました。
それでは、自転車ネットワーク計画を策定している市町村の数、そして、どの市町村が策定しているのかをお答え願います。
165 ◯久保道路維持課長 福岡県自転車活用推進計画策定時におきましては、福岡市、北九州市、久留米市、宇美町、苅田町の五市町でございましたが、その後、直方市、古賀市が策定いたしまして、現在七市町が策定済みということになっております。
166 ◯新井富美子委員 ありがとうございました。
それでは、自転車ネットワーク計画を策定するためには県の支援が必要だと考えます。県は、市町村にどのような支援をなさるおつもりなのかお答えください。また、今後の目標があればお答えください。
167 ◯久保道路維持課長 県といたしましては、本年度より市町村への研修会の開催、そして自転車通行空間の整備による調査費の補助を行い、市町村の自転車ネットワーク計画の策定の支援を行うこととしております。これは本議会の予算に計上しているところでございます。また、その研修内容でございますけど、講演、パネルディスカッション、全国の事例紹介、学識経験者による講義、そしてワークショップなどを考えているところでございます。
今後の目標でございますけど、福岡県自転車活用推進計画におきましては、令和三年度までに十五市町村にすることを目標としているところでございます。
168 ◯新井富美子委員 ありがとうございました。
それでは、自転車通行空間の整備手法について資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。
169 ◯畑中茂広副委員長 お諮りいたします。
ただいま新井委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
170 ◯畑中茂広副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま新井委員から要求がありました資料につきましては提出できますか。
171 ◯久保道路維持課長 直ちに御提出できます。
172 ◯畑中茂広副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
173 ◯畑中茂広副委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
174 ◯畑中茂広副委員長 資料が配付されましたので、新井委員、質疑を行ってください。
175 ◯新井富美子委員 それではこの資料をもとに、市町村が自転車ネットワークを作成した後には、どのような整備が行われるのかをお答えください。
176 ◯久保道路維持課長 お手元の資料をごらんください。
計画を策定した後でございますけど、自転車通行空間の整備をする手法といたしましては、主に三つございます。
1)でございますけど、自転車と自動車を構造的に分離する自転車道を設置する方法でございます。
2)でございますけど、自転車と自動車を視覚的に分離する自転車専用通行帯を設置する方法でございます。
次に、3)でございますけど、自動車と自転車が混在する車道内に注意喚起のための路面標示やピクトグラムを設置する方法でございます。
この中から、交通の状況、道路の状況、また自動車の速度などをもとにいたしまして最適な整備手法を選んで、それぞれの道路管理者が整備をするということになります。
177 ◯新井富美子委員 ありがとうございました。
では、自転車ネットワーク計画に基づき整備を行うことで、どのような効果があるのかをお答えください。
178 ◯久保道路維持課長 整備効果といたしましては、まず歩行者、自転車、自動車を適切に分離できることでございまして、その効果といたしましては、自転車と自動車を分離することにより自転車と歩行者の事故が減少すること、また、自動車から見て自転車の通行空間が明確になることによりまして自転車と自動車の事故が減少するなど、交通の安全性がまず向上いたします。
次でございますけど、地域のニーズに応じたネットワークが形成されることによりまして、自転車の利用のポテンシャルが向上いたしまして、これによりまして、健康増進、環境問題、観光の振興、まちづくりといったさまざまな効果が期待されているところでございます。
179 ◯新井富美子委員 ありがとうございました。私の地元の久留米市でも、いろいろな有権者の方から自転車の通行の際に危ないということで御意見をいただきます。このことによって安全性が確保されることがわかりました。
それからもう一つ、環境問題、それからまちづくりに関しては特に効果があると思われます。自転車は特に環境を肌で感じながら移動できるツールでございますから、環境問題、自然環境への取り組み等への意欲が市民の間で高まり、それから、その計画が環境保全、都市の緑化等を牽引していくということで、非常に期待が持てることがわかりました。
それでは、最後に要望させていただきます。
今回、自転車の通行空間の整備につきまして質問いたしました。福岡県が策定しました自転車活用推進計画では、今後、自転車を活用してサイクルスポーツの推進や健康づくりの推進、サイクルツーリズムによる観光振興などの施策に取り組んでいくこととされておりまして、私も、地域の振興のためにも、このような自転車を活用した施策をぜひ進めていただきたいと考えております。
そのような中、自転車を快適に利用するためには、まず自転車の通行空間の整備を行うことを最優先していただきたいと思っております。自転車ネットワーク計画の策定は、市町村が整備を行うということです。県土整備部におかれましては、まず自転車の通行空間の整備が着実に進むように、しっかりと市町村の支援をしていただくようにお願いいたします。
それからまた、この計画に関しては、道路の安全性の確保など多岐にわたりまして、それから自転車使用上の安全教育、そして自転車の点検の整備、あるいは保険のことですとか各部局と並行して取り組まれると思いますけれども、ほかの部局の皆様との連携もしっかりとしていただいて、市町村の皆様に情報提供等もしていただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
180 ◯畑中茂広副委員長 ほかに質疑はありませんか。吉田宣弘委員。
181 ◯吉田宣弘委員 公明党の吉田宣弘でございます。
私からは通告に従い、本県におけるダム見学について質問をさせていただきます。
土木建設業界では、近年の少子高齢化や団塊世代の引退、さらには若者の土木職離れにより今後の人材不足が懸念をされております。特に中小企業の人材確保は深刻であるとのお声が上がっており、将来の工事関係技術者の確保のため、若者に対し土木建設業界に興味を持ってもらう施策を進めることが重要であると思います。
本県では、河川管理課が管理する十七の治水ダム施設で見学の受け入れを行っており、そこでダムの役割や効果のことをより知ってもらうため、平成二十七年三月よりダムの訪問者に、ダム全景写真に加え、ダムの規模や役割、特徴ある施設などを紹介したダムカードを配布しているとお聞きをしております。若者に土木建設業界に興味を持ってもらう施策として有効であると思います。
本県におけるダム見学の実施とダムカードの配布状況を、あらかじめ資料要求をしておりますので、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いします。
182 ◯畑中茂広副委員長 お諮りいたします。
ただいま吉田委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
183 ◯畑中茂広副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料とします。
執行部に申し上げます。ただいま吉田委員から要求がありました資料については提出できますか。田尻河川管理課長。
184 ◯田尻河川管理課長 直ちに提出できます。
185 ◯畑中茂広副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
186 ◯畑中茂広副委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
187 ◯畑中茂広副委員長 資料が配付されましたので、吉田委員、質疑を行ってください。
188 ◯吉田宣弘委員 それでは資料に基づき、本県のダム見学の実施状況とダムカードの配布状況について説明をお願いします。
189 ◯田尻河川管理課長 それでは、配付いたしました委員会資料をごらんください。
これは平成二十七年度から平成三十年度までのダム見学者数とダムカード配布枚数のダムごとの集計であります。ダム見学者数は、事前に予約をされた見学者数を取りまとめております。
見学者数は、四年間の平均で年間約七千名となっております。ダムカードの配布は、四年間の平均年間配布枚数として約一万三千枚となっております。
190 ◯吉田宣弘委員 それでは、このダム見学、ダムカードの反応についてお聞きしたいと思います。具体的な声がありましたら御紹介をお願いします。
191 ◯田尻河川管理課長 ダム見学に関するアンケート結果では、説明によりダムの仕組みや役割がわかった、ダムの大きさに圧倒され、他のダムも見学してみたい等の意見をいただいております。
ダムカードに対しては、ダム事務所においてカードをお渡しする際に、ダムに来ないともらえず貴重だ、ダムの概略がわかった等の意見をいただいております。
ダム見学やダムカードの配布は、ダムの役割への理解やダムへの興味を持っていただくことに有効な取り組みであると考えております。
192 ◯吉田宣弘委員 では次に、来訪者が多いダムはございますでしょうか。また、その理由についてお聞かせください。
193 ◯田尻河川管理課長 見学者数やダムカードの配布枚数をもとにしますと、五ケ山ダム、伊良原ダム、それから瑞梅寺ダムが多くなっております。五ケ山ダムと伊良原ダムは平成二十九年度まで建設中であったこと、貯水量が県内のダム一、二位の規模のダムであり、雄大な自然の中にある巨大なダムの姿に興味を持たれ、訪れた方が多くおられたのではないかと考えております。また瑞梅寺ダムは、定期的に小学校の社会科見学に利用されているため、見学者数が多くなっております。
194 ◯吉田宣弘委員 今、小学校の社会科見学という答弁がございましたけれども、防災意識を高める観点からも、この小学生らの見学会は私は推進をすべきであると思います。そこで、本県における子供の団体見学の実施状況とその反応についてお教えください。
195 ◯田尻河川管理課長 県管理ダムにおける小学校の見学会は、年間で約五十校程度実施しております。参加した小学生からは、ダム湖の大きさや水の多さ、ダム本体の高さに驚いた、ふだん立ち入ることができない操作室のカメラの映像や、ダム内部の機械を見ることができてよかったなど意見をいただいておりまして、見学者である小学生にはダムへの興味を持っていただき、防災や社会インフラの役割を認識してもらうきっかけになっていると考えております。
196 ◯吉田宣弘委員 ありがとうございます。
ところで、独立行政法人水資源機構が管理する江川ダムでは、流木を無料配布しているとお聞きしております。配布する流木はいろいろな形がありまして、まき用、ガーデニング、自己アレンジによるアート作品、子供の課題の材料など多様な活用がなされているようでございます。本県管理の治水ダムでも来訪者のために何か工夫していることはありますでしょうか、お教えください。
197 ◯田尻河川管理課長 県管理ダムでは、水資源機構が管理する江川ダムのような流木の無料配布といったことは行っておりませんが、見学者に対して、ダムを紹介しているパンフレットやダムカードの配布、それから事前に見学を申し込まれた方たちには、ダムの職員が屋内外においてダムの説明、それからダムの役割や機能を紹介するビデオの上映、それから一部のダムでございますが、ダム内部の点検用に設置されている監査廊と呼ばれるトンネルの見学なども実施しております。これらのことにより、ダムの役割や効果へ理解が得られるような取り組みをやっております。
198 ◯吉田宣弘委員 今後も何か工夫がありましたら、ぜひお願いいたします。
今年度、各県土整備事務所にドローンが配置されるとお聞きをしております。このドローンで上空からダムを撮影してその映像を紹介したりすることは、本県のダムの魅力をPRするのに非常に私は効果的ではないかと思っております。そうしたドローンの活用を県で考えてみられてはどうかと思いますけども、受けとめをお答えください。
199 ◯田尻河川管理課長 他県におきましては、ドローンを使って撮影したダム周辺の美しい風景や放流の様子をホームページ上で閲覧できるようにすることで、ダムの魅力をPRしております。福岡県でも、他県事例を参考にしましてドローンの活用法を検討したいと考えております。
200 ◯吉田宣弘委員 よろしくお願いします。
さて、昨年七月豪雨時に、県が管理する全ダムにおいて洪水調整を行ったことで、下流河川の浸水被害の防止・抑制に効果を発揮しているとお聞きをしております。また、試験湛水中である五ケ山ダムや伊良原ダムにおいても洪水調整を行い、下流河川の浸水被害の防止・抑制に効果を発揮し、また、昨年からの少雨傾向による渇水に対応して、下流の利水者に貯留水を放流することで利水面でも効果を発揮しているとお聞きをしております。
このように、ダムは県民生活に必要不可欠な社会インフラであり、ダムに代表される社会インフラは県民に役立ち、それを整備、維持していく土木建設業界の仕事は大変にやりがいがある仕事であると私は認識をしております。将来の人材不足解消のためにも、そのような視点に立ってダムに関する情報発信を私はしていくべきと考えますが、部長の御決意を最後にお聞きしたいと思います。
201 ◯畑中茂広副委員長 見坂県土整備部長。
202 ◯見坂県土整備部長 委員御指摘のとおりダムにはさまざまな役割がございます。例えば治水面におきましては、洪水調整を行うことで下流河川の氾濫や浸水被害を抑制したり低減する役割、また利水面においては水道用水などの安定的な供給をする役割、それから環境面においては、河川の水量の安定化を行うことで動植物の生態系や潤いのある地域の環境を守る、こういったさまざまな役割がございます。このようにダムは県民生活に大きく寄与していると私どもは認識しております。
ダムは人々の暮らしを災害から守り、潤いのある快適な生活を創造するために役立っておりまして、その役割や効果について情報発信をしていくことは、防災意識の向上だけではなく、その建設や維持を担っております土木建設業界の社会的な意義を理解していただくことに有効であると認識しております。今後もダムの役割やその効果について、しっかりと情報発信をしてまいる所存でございます。
203 ◯吉田宣弘委員 ありがとうございました。終わります。(拍手)
204 ◯畑中茂広副委員長 ほかに質疑はありませんか。高瀬菜穂子委員。
205 ◯高瀬菜穂子委員 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。
五ケ山ダムの治水対策について伺います。
一昨年の九州北部豪雨災害の際に、朝倉市の寺内ダムには想定を超える毎秒八百八十八立米、トンと言ってもいいかと思いますが、八百八十八立米が流入し、流木や土砂もあわせて押し寄せました。ダムは満水状態になりましたが、ぎりぎりのところで佐田川への放流はしなくて済みました。それは渇水でダムの水量が減っており治水容量が通常より大きかったからだとされています。もし通常の満水位の水があれば下流に大きな被害が及んだと考えられますが、この点について、県としてはどのような分析、総括をされているでしょうか。
206 ◯畑中茂広副委員長 田尻河川管理課長。
207 ◯田尻河川管理課長 当時、寺内ダムを管理しております水資源機構は、洪水調節を実施することでダム下流の河川水位を低減しており、ダム下流約八キロの金丸橋地点の水位は、避難判断水位程度の三・五メートルでした。水資源機構の試算では、ダムがなかった場合には、越水により浸水や堤防決壊の可能性があったとされています。このため、委員御指摘の常時満水位であった場合は、避難判断水位を超え、堤防の高さまで水位が及ぶか越水していた可能性があったと想定され、少雨傾向によってできた空き容量が水位低下に寄与したものと考えております。
208 ◯高瀬菜穂子委員 この寺内ダムの事例というのは、ダムの効用ですね、大変役に立つという側面と、その限界とを浮き彫りにしていると考えます。毎年のように災害が起こる中で、この教訓を生かした治水対策を全県で行っていただきたいということをまず申し上げておきます。
さて、県内最大の五ケ山ダムが現在、試験湛水中であります。このダムは多目的ダムですが、計画当初は渇水ダムと言われておりました。実際、渇水容量、利水容量が治水容量を大きく上回っております。福岡市の市街地、天神へと流れる那珂川はそれほど大きな川ではなく、上流に脊振・五ケ山・南畑と三つのダムを擁しているだけに、その治水対策は極めて重要だと考えます。
そこで五ケ山ダムの治水対策について伺うのですが、ここで五ケ山ダムの各種容量についてと、那珂川の計画流量配分図を資料としてあらかじめお願いしておりますので、委員長、お取り計らいください。
209 ◯畑中茂広副委員長 お諮りいたします。
ただいま高瀬委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
210 ◯畑中茂広副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま高瀬委員から要求がありました資料について提出できますか。
211 ◯田尻河川管理課長 直ちに提出できます。
212 ◯畑中茂広副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
213 ◯畑中茂広副委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
214 ◯畑中茂広副委員長 資料が配付されましたので、高瀬委員、質疑を行ってください。
215 ◯高瀬菜穂子委員 それでは資料に従い、五ケ山ダムの各種容量について、簡潔に御説明ください。
216 ◯田尻河川管理課長 配付いたしました委員会資料、五ケ山ダムの各種容量についてお願いいたします。
まず、最低水位から渇水対策水位までの渇水対策容量、これは計画規模を上回る異常渇水時において、必要最低限の県民生活や経済活動を維持する上で不可欠な生活用水を補給するためのものであり、河川の維持流量などの不特定容量が二百七十万立米、上水道が千三百九十万立米の、合わせて千六百六十万立米となっております。
次に、その上から常時満水位までは通常の利水容量であり、不特定容量が千二百五十万立米、上水道が二百六十万立米の、合わせて千五百十万立米となっております。
最後に、洪水時に一時的に貯留できる最高の水位、サーチャージ水位までの洪水調節容量が八百万立米となっております。
217 ◯高瀬菜穂子委員 洪水調節容量、治水容量は八百万立米ですけれども、想定する最大流入量は毎秒何立米で、どのように洪水調節をするのですか、御説明をお願いします。想定最大流入量はどのように決定されたのかもあわせて御説明ください。
218 ◯田尻河川管理課長 想定している最大流入量ですが、百年に一回の確率で起こり得る降雨をもとに、毎秒四百四十立米となっております。流入してくる毎秒四百四十立米のうち、洪水調節容量である八百万立米までは毎秒三百七十立米を貯留し、常時満水位からサーチャージ水位の間にある常用洪水吐きという排水口を通して、下流に毎秒七十立米を流下させることで、洪水の調節を行っております。
219 ◯高瀬菜穂子委員 最大の想定が毎秒四百四十ということですけれども、一昨年の寺内ダムは八百八十八立米なんですね。この想定を超えることは考えられると思いますけども、いかがですか。
220 ◯田尻河川管理課長 常用洪水吐きから最大で八十四立米、サーチャージ水位を超える高さに設置している非常用洪水吐きという排水口から最大で六百二十六立米排水できるため、合わせて最大七百十立米の排水が可能となっております。
221 ◯高瀬菜穂子委員 想定を超えることはあると。百年に一度をですね。そのことについてはいかがですか。
222 ◯田尻河川管理課長 百年に一回の確率で起こり得る降雨を超える容量のために、七百十立米の容量が排水できるような施設を設けております。
223 ◯高瀬菜穂子委員 百年に一回というのは、最近はよく百年に一回という雨が降りますので、それを超えることは考えられるし、今の御説明ですと、最大このダムは毎秒七百十立米までは耐えられるのだということだと思います。でも、寺内ダムは八百八十八立米だったわけですよね。七百十立米を超える豪雨も想定されるのではないかと思いますが、そうした豪雨が一定時間続いた場合、ダムの堤体を超えることもあり得るのではないでしょうか。
224 ◯田尻河川管理課長 ダムの堤体を超えるとすれば、この地域における想定最大規模の降雨が何時間も継続した場合、これは千年以上に一回の確率で発生する降雨になるのですが、起こる可能性は非常に低いと考えております。
225 ◯高瀬菜穂子委員 可能性は非常に低いということですけれども、きょうも大変心配な状況ですけれども、ないとは言えないのではないかと思います。いずれにしましても、このダムは七百十立米までは耐えられるということです。
それでは、那珂川のほうはどうなっているのか、那珂川がどれだけの水量に耐えられるのかお尋ねします。先ほどの資料ですが、五ケ山ダムの役割としてパンフレットに掲載されている那珂川の計画流量配分図について、簡潔に御説明ください。
226 ◯畑中茂広副委員長 富田河川整備課長。
227 ◯富田河川整備課長 配付いたしました委員会資料の、那珂川の計画流量配分図をお願いいたします。
資料は那珂川の区間ごとの流量を示しております。上段の数値が洪水を防ぐ計画の基本となる流量、基本高水流量といいまして、那珂川で百年に一回の確率で起こり得る降雨による流量を示しております。下段の括弧書きの数値は計画高水流量といいまして、基本高水流量を南畑ダムと五ケ山ダムで洪水調節を行った結果、河川を流れる流量を示しております。
228 ◯高瀬菜穂子委員 百年に一回の洪水に対して、五ケ山ダムの完成によって、基準点の南大橋の基本高水流量を毎秒千三百五十立米から九百立米まで低減、カットできるというものだと思います。では、この九百立米までカットすれば、那珂川はどこも氾濫せずに下流まで流れるのでしょうか。
229 ◯富田河川整備課長 現在、那珂川の計画流量配分図にあります計画高水流量を目標に河川改修を進めているところでございます。なお、福岡市博多区から那珂川市にかけての区間につきましては、平成二十一年七月豪雨災害を受けて着手しました床上浸水対策特別緊急事業が完成しており、平成二十一年度に発生した豪雨と同等の降雨があった場合でも、住家等の浸水被害は防止される見込みでございます。
230 ◯高瀬菜穂子委員 今のお答えですと、まだ整備途上ということなんですね。つまり、五ケ山ダムは百年に一度の洪水、毎秒四百四十立米が流入した場合に三百七十立米カットできるけれども、下流の整備はできていないからあふれるということですよね。そうなると、先ほどの最大七百十立米がもし流れたということになった場合には、今のままでは那珂川は大きく氾濫するということです。河川整備は途上ですから、百年に一度の洪水に耐えられるように計画を完了する時期、これは未定ということなんですよね。
那珂川だけではなく、県内の河川の整備は大変おくれております。県内五十二ある水系のうち、河川整備計画があるのは十四水系のみです。予算がつかないから計画がつくれない、計画があっても整備が進まないと理解しております。ダムに頼った治水を進めた結果、河川整備が極めておくれているのが本県の実態だということを改めて指摘をしたいと思います。
ダムは容量がある間は確かに下流の安全を守ります。しかし放流を始め、その量が河川の流下能力を超えればあふれるわけですよね、当然。ダムが満水になって、異常洪水時防災操作、いわゆる緊急放流を始めれば必ず水害を起こすと専門家も言っておられました。昨年、愛媛県の肱川の野村ダム、鹿野川ダムがこの操作を行って大洪水となって大問題となりました。その後、このダムは治水容量をふやし、事前放流をするように操作方法を見直したと聞いております。
そこで提案なのですが、五ケ山ダムについても利水容量が非常に多いです。利水容量を減らして治水容量をふやすという用途変更を行ってはどうかと思うのです。特に五ケ山ダムは穴あきダムと言われる、穴があいている洪水吐きがあるだけのダムで、流量の調節は難しいですよね。できない。豪雨が予想されるとき事前放流で水位を低くしてポケットをつくる、治水容量をふやすという用途変更について考えるべきだと思うんです。県の見解を伺います。
231 ◯田尻河川管理課長 五ケ山ダムは、利水者も負担金を出して建設されておりますことから、利水容量を減らし治水容量を拡大するためには、利水者の同意を得ることが必要不可欠であります。しかしながら一方で、ダムが事前に放流するための降雨の予測というのは、ダム流域という非常に狭い範囲が対象となりますため、依然としてその精度が低いという問題がございます。ことしの渇水状況、それから過去の渇水状況を踏まえますと、水道用水やかんがい用水といった利水容量を回復することが確実に見込めない状況では、利水者の同意を得ることは大変厳しいと考えております。今後も那珂川の治水安全度の向上のために、現在実施中の河川改修を進めてまいります。
232 ◯高瀬菜穂子委員 河川改修は当然進めてもらわないといけないわけですが、早く終わらせてもらわないといけないんですけどね。五ケ山ダムの各種容量には、利水容量、渇水容量のそれぞれに不特定用水が含まれています。既得用水の安定化や河川環境の保全のための不特定容量は、財政的にも国と県の負担です。治水容量も国と県の負担です。ですから、これを置きかえるということは可能ではないかと思うんですけれども、いかがですか。
233 ◯田尻河川管理課長 不特定容量ですが、流水の正常な機能維持のための容量でございます。これはダム下流に既に存在している農業用水や工業用水の既得水利、それから漁業、景観、海水遡上による塩害防止、河道周辺の地下水位の維持、河川水質の維持といったものがあり、河川を維持する必要最低限の容量となっております。このため不特定容量を減らして洪水調節容量をふやした場合、予測と異なる雨に見舞われますと、ダムで十分な貯留ができず、維持流量が損なわれ、河川環境や県民生活などに影響を及ぼしますので、不特定容量と洪水調節容量を置きかえることは非常に厳しいと考えております。
234 ◯高瀬菜穂子委員 厳しいというお答えですけれども、今、最低限必要と言われた不特定容量ですね、これは合わせて千五百二十万立米もあるんですよね。治水容量の二倍近くあります。この一部を用途変更するとか出水期に弾力的運用するというようなことは、私は可能ではないかと思うんです。この流域の自治体とか利水団体の皆さん、もちろん水が必要で、お金も出してダムをつくっているわけですけれども、一方で洪水が起こるということも困るわけですよね。今おっしゃったダムの限界、それから河川の流下能力の限界もきちんとお話をして、本当にこの見直しをしなくてよいのかということについては問題提起をして、話し合いをすべきだと私は思います。このことを強く求めたい。ダムの運用を含む治水対策について率直な話し合いをしてほしいということを問題提起いたします。
先日、朝倉市で開かれました防災フォーラムに参加をしてきました。その際、九州大学名誉教授の小松利光氏が、ダムの効用と限界を理解することが重要だと強調されました。その上で、最近の豪雨災害に対しては、これまでの治水容量では対応できない場合がある。豪雨が予測できる場合に、お金をかけない有効な方法として、ダムの利水容量と治水容量を見直して、ポケットをふやし、ダムの治水調節機能を向上させるということを紹介されました。
例えば、川内川の鶴田ダムは五ケ山ダムと同じく穴あきダムです。その排水口の位置を上のほうから真ん中につくり直したんですね。これはすごくお金がかかるそうですが、つくり直して治水容量をふやしたということが紹介されました。また、既設ダムのかさ上げを行って治水容量をふやしたということ、ダムの上流から放流トンネルをつくって下流に流せるようにした、こういうふうにして治水容量、ポケットをつくっているという例が次々と紹介されたのです。この間の豪雨災害を体験し、きょうもその可能性があって大変危惧していますが、誰もがその対策についてはしっかりやってほしいと思っていると思います。
また、元国交省の近畿地方整備局河川部長でありました宮本博司氏は、想定したことが間違っているということを想定しないといけないと言われています。ダムの調節機能で河道に閉じ込めるという治水は明治以降のことで、川の縁まで家をぎっしり建てたり、災害の発生しそうなところを開発して住宅地にしてきたのは、戦後五、六十年のことだ。治水の歴史をひもとけば、堤防をわざと低くしたり、堤防をわざと不連続にする霞堤をつくっておいて、洪水で水量がふえたとき、水を川の外に安全にあふれさせて、下流に一気に水が流れないようにしていた。川の中だけの対策では限界があって危険性が大きいことから、森林や農地の保全、雨水をためることや氾濫の危険性の周知方法や避難体制の整備、さらには土地利用、まちづくりが必要になってくる。堤防間際に家を建てることの規制、規制された地域での振興策、固定資産税を安くするなどの税制面での整備など総合的な政策で洪水対策をすることが必要となると指摘をしています。私もそのとおりだと考えます。水系ごとに総合的な治水対策を住民参加で進めていただきたいと思います。
五ケ山ダムについては県内一大きなダムで、県営ダムとしても国内有数の大きなダムです。日ごろから大量の水をためることになるわけですから、豪雨の際の対応は厳しい想定で考えておかなければならないと思います。流域の安全のために、治水容量と利水容量の見直しを含めた検討を行うよう、重ねて強く求めまして、質問を終わります。(拍手)
235 ◯畑中茂広副委員長 ほかに質疑はありませんか。西元健委員。
236 ◯西元 健委員 済みません、本日二回目の質問でありますけども、自民党県議団の西元でございます。
県営住宅並びに福岡県住宅供給公社住宅について質問いたします。
県営並びに公社が持つ住宅は、やはり、それを本当に必要としている県民に一人でも多く提供すべきであると思いますし、そうなるよう努力していくべきであろうと思います。そこで、まず県営住宅について質問いたします。
初めに、県内で多くの県営住宅が整備されておりますけども、県営住宅を含め、公営住宅はどのような理念や目的で整備されているのかお答えください。
237 ◯畑中茂広副委員長 永山県営住宅課長。
238 ◯永山県営住宅課長 公営住宅は、公営住宅法に基づいて、住宅に困窮する低額所得者に対しまして低廉な家賃で賃貸することにより、生活の安定と社会福祉の増進を図ることを目的としまして整備し、供給をしております。
〔正副委員長交代〕
239 ◯西元 健委員 今お答えいただいたように、生活に困窮されているとか、それを必要とされている方がいらっしゃるということだと思いますが、委員長、ここで県営住宅について、管理戸数と入居者資格に関する資料を要求しておりますので、お願いいたします。
240 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。
ただいま西元委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
241 ◯樋口 明委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま西元委員から要求がありました資料については提出できますか。
242 ◯永山県営住宅課長 直ちに提出できます。
243 ◯樋口 明委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
244 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
245 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、西元委員、質疑を行ってください。
246 ◯西元 健委員 それでは、簡単に資料の説明をお願いします。
247 ◯永山県営住宅課長 お手元の資料、県営住宅の管理戸数及び入居者資格について御説明いたします。
まず、上の表の県営住宅の管理戸数については、本年四月一日現在において、福岡、北九州、筑後、筑豊の県内四地域合わせて二万九千八十五戸となっております。
次に、その下の県営住宅の入居者資格について御説明をいたします。
まず一つ目の同居親族要件としまして、高齢者、障がい者等の世帯を除き、同居親族があることとしております。
二つ目の収入要件としましては、一般世帯については月額十五万八千円以下の世帯としております。また、高齢者、障がい者等の世帯については、月額二十一万四千円以下としております。
三つ目の要件としましては、現に住宅に困窮していることとしておりまして、これについては、原則として持ち家に住んでいる世帯や、既に公営住宅に住んでいる世帯等の入居を認めないこととしているものでございます。
四つ目の要件としましては、入居者が暴力団員でないこととしております。
248 ◯西元 健委員 県営住宅の入居者資格について説明をしていただきましたけども、その資格というのはどのように確認しているのかお答えください。
249 ◯永山県営住宅課長 入居者から、同居親族要件を確認するために世帯全員の住民票や戸籍謄本を、収入要件を確認するために所得証明書などを提出してもらっております。
250 ◯西元 健委員 それでは、入居後に入居者が又貸しをしているとか、例えば目的外使用しているとか、第三者が不正に入居したり、県営住宅の住宅以外の用途に使用するなど、不適切な今言ったような使用をしていることはないのでしょうか。
251 ◯永山県営住宅課長 公営住宅の入居者は、公営住宅法により毎年収入申告をすることが義務づけられておりまして、その際、世帯全員の住民票を提出することとされております。また、県営住宅では、基本的に団地の各棟において入居者の中から県営住宅管理人を選任し、施設に異常があった場合の報告のほか、入居者・退去者の管理もお願いしております。また、県営住宅を管理している福岡県住宅供給公社の職員も、定期的に各団地を巡回しております。こうしたことによりまして、第三者の不正入居や住宅の不適切な使用があれば、把握できるものと考えております。
現在、そのような不適切な使用に関する情報はございません。
252 ◯西元 健委員 不適切な使用はないということで、課長がそう言っていらっしゃるので僕は信じますよ。
県営住宅の状況についてはわかりましたけども、ところで県には福岡県住宅供給公社の住宅も約九千戸あると聞いております。同様のケース、さっき言ったようなケースがないかどうかお答えください。
253 ◯樋口 明委員長 高山住宅計画課長。
254 ◯高山住宅計画課長 公社住宅におきましても、入居時の賃貸借契約に際して、又貸しや住宅以外の使用をすることを禁止しております。また現在、団地自治会や公社が委嘱した管理人からの通報もなく、そのような事例はないと聞いております。
255 ◯西元 健委員 現在の状況はわかりました。
ただ、今回この質問をするに当たり、僕はどちらかというとちょっと田舎ぎみの議員なんですが、やはり都会と田舎では大きく問題点が違うなと思っておりまして、特に都市部にこういった公社というのは多くて、不正入居や不適切な使用状況が、今はなくても今後発生するということもあるのではないかと。今はないとおっしゃりますけども、今後あるかもしれないと想定できるのではないかと思いますので、県はどのように対応するのかお伺いいたします。
256 ◯高山住宅計画課長 引き続き公社に対しまして、団地自治会や管理人を通じて適正な管理に努めるよう促していくとともに、不正入居や不適切な使用に関する情報を把握した場合は速やかに対応するよう求めてまいります。
257 ◯西元 健委員 本来あってはいけないんですけども、又貸しなどによって本来入居できない者、最初に理念をお聞きしましたけども、本来は入居できない者が不正に入居すれば、本来入居できる方が入居できなくなるということになります。県営住宅は県民共有の大切な財産でありまして、県民が安心して利用できるよう、公社住宅も含め引き続き適切な管理に努めていただきたいと思います。
次に、外国人の入居についてお尋ねしたいと思います。
まずは先ほどお尋ねした公社住宅についてですけども、公社住宅に入居している外国人に関して、ごみ出しやその他のルール、自治会というか公社の中で決められたルールに対してルーズな部分があると聞いておりますけども、そのような場合、公社はどのような対応をとっているのでしょうか。
258 ◯高山住宅計画課長 公社では、入居手続の際にパンフレットを配付の上、外国人の入居希望者に対して、直接または同行している通訳者を通じて、生活ルールの説明を行っております。また入居後は、団地自治会の協力を得ながら生活ルールの遵守を促すとともに、苦情が発生した場合は公社職員が直接訪問して指導を行っていると聞いております。
259 ◯西元 健委員 一方、ちょっとローカルエリアになりますと、本年四月に改正出入国管理及び難民認定法が施行され、一定の専門技術を有する外国人の受け入れの拡大が始まりました。うちの豊前市においても、もう既に三百人ぐらい来ているんですけども、まだまだ特に二次産業の担い手が少ないので、外国人労働者の受け入れというのは今後ふやしていきたい、ふやしていかないとうちらの地元の経済が回っていかないというバックグラウンドがございます。そういう中で、福岡県においても今後ますます外国人が増加すると予想されますけども、県営住宅には外国人は入居できるのかどうかお答えください。
260 ◯永山県営住宅課長 住民票を取得している外国人の方であれば、日本人と同じ要件で入居を可能としております。
261 ◯西元 健委員 それでは、今何人ぐらいいらっしゃるのでしょうか。
262 ◯永山県営住宅課長 本年四月一日現在で、三百八十五世帯が入居されております。
263 ◯西元 健委員 先ほど説明を受けた県営住宅の総戸数二万九千八十五戸に比べるとちょっと少ないかなと感じますけども、現に少ないとは思いますけど、そのぐらいの人数が今でも住んでいらっしゃるということはわかりました。ただ、日本語が十分にできない外国人は、窓口での入居手続が円滑にできないこともあろうかと思いますし、また、入居後も日本語がわからないということで、先ほども言ったんですけど、いろいろなトラブルとかがある可能性もあります。その辺の対応というのはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
264 ◯永山県営住宅課長 県営住宅に入居を希望する外国人は、日本語での基本的な意思の疎通が可能な方が多いこと、また、意思の疎通が困難な方も、日本語のできる方を通訳として同席させることが多いことから、現在のところ、入居時の手続等において特に支障は生じておりません。
ただ、入居後におきまして、日本と生活文化が異なることから、ごみ出しや騒音などで団地入居者から県営住宅を管理している公社が苦情を受ける事例が発生をしております。
265 ◯西元 健委員 そういうことでありますと、やはり日本語がわからない外国人であっても言語や生活文化の違いによる入居者とのトラブルが起きないようにする必要があると。これは努力してそういうふうにならないようにやってあげるということも大切ではないかと思いますけども、県としてどういうふうな対応をしているのでしょうか。
266 ◯永山県営住宅課長 県営住宅を管理している公社では、入居後に必要な手続や生活マナーなどを、英語、中国語で記載した外国人向けのパンフレットを入居の際に配付しております。
また、福岡地域の県営住宅では、窓口や現地において、英語、中国語、韓国語、ロシア語、タイ語の五カ国語で、タブレット端末を介して通訳オペレーターと会話できるサービスを昨年度から導入しております。
267 ◯西元 健委員 昨年からそういったサービスをされているということなんですけども、先ほど言いましたように、入居手続のパンフレットは中国語と英語しかないというのは、やはり十分とは言えないと思いますし、また、さっき同時通訳の話をされましたけども、五カ国語に対応しているとはいえ、これは福岡地域限定ということなので、福岡以外の方にはこのサービスは使えていないのかなと思います。そういった違う地域、福岡市以外でも使えるようなサービスを検討されているのでしょうか。
268 ◯永山県営住宅課長 公社では、外国人向けのパンフレットにつきましては、英語、中国語に韓国語を加えるとともに、各項目を詳細に記述し、イラストなども入れてわかりやすくした言語別のものを今年度中に作成することとしております。
また、同時通訳サービスにつきましても、外国人の入居の状況を見ながら、他の地域を管理する北九州、筑後、筑豊の各管理事務所にも導入を検討したいと考えております。
269 ◯西元 健委員 最後になりますけども、公的な目的を持って建てられた住宅ですね、公社の住宅もそうですけども、繰り返しになるのですけども、本来は入居できない者が又貸ししたり、不正に入居していたりとかいうことがあると、やはり本来使いたいというか、それを求めている人たちに行き渡らないというのが県営住宅の問題かなと思って、今回質問をさせてもらいました。
また他方、都会はこういった外国人の問題だったりとか、不正に又貸しをしたりとかいう問題があるんでしょうけど、どちらかというと僕たちのような、都会ではないところと言ったらいいんですかね、そういったところは県営住宅を使って外国人の受け入れができないかという、都会と地方では全然相反する問題を抱えているのではないかと思います。
特に田舎に関しては、今、景気が少しずつ回復してきているとはいいながらも、デフレ時の単価が下がったまま、それが上がっていないがゆえに経営が苦しいとか、高齢化が進んでいる中で、若い方が少ないがゆえに外国人労働者を今後受け入れて経済を活性化させたいとかいうこともある中、寮をつくったりとか、住むところを外国人のためにつくっていくというのは、なかなか経営的にも難しい場面があるんですよね。そういったことを踏まえて、最後に部長の決意というか、今後、都会、そして田舎の県営住宅に求めているものに対する決意というか、そういった考え方をお聞きしたいと思います。
270 ◯樋口 明委員長 中尾建築都市部長。
319 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
320 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、山本委員、質疑を行ってください。
321 ◯山本耕一委員 では、資料に基づきまして、改正法の概要と、この資料の中には文言としてはないんですけれども、きょうのポイントとなります、いわゆるコンセッション方式がどのように記載をされているのか御説明ください。
322 ◯松木水道整備室長 お手元の資料、まず改正の趣旨でございます。人口の減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化等の課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため、所要の措置を講ずるものでございます。
改正の概要は、水道の基盤の強化のために必要な措置として、関係者の責務の明確化、広域連携の推進などの五項目を掲げております。
このうち、四の官民連携の推進、一行目の後ろのほうから書かれております、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定できる仕組み、これがいわゆるコンセッション方式でございます。
施行期日は、一部を除き、ことしの十月一日となっております。
説明は以上でございます。
323 ◯山本耕一委員 この四のところにある記載がコンセッション方式ということになるわけですが、この改正水道法の成立について、とある報道では、ショックドクトリンではないかという指摘がありました。ショックドクトリンとは、カナダのジャーナリストのナオミ・クラインという方が二〇〇七年に出版した本のタイトルでベストセラーにもなったんですけれども、意味するところは、市場原理主義者が社会の危機的状況に際して、その危機を大義名分として、みずからの利益を誘導するために改革を一方的に推し進めてしまうことであります。相次ぐ風水害、それから熊本地震、大阪北部地震等の自然災害をきっかけに、水事業という命にかかわるインフラの大転換を認めるこの法律がすんなり通ってしまったという印象があります。しかし、この先には多くの懸念がございます。
そこで伺います。今回の法改正で導入されたコンセッション方式について、県としてはどのような目的のものであると認識されているでしょうか。
324 ◯松木水道整備室長 水道事業におけるコンセッション方式は、水道事業者が水道施設の所有権を所有したまま、運営権を民間事業者に設定することを可能とするものでございまして、民間事業者の経営上のノウハウや技術的能力を活用することにより、質の高い公共サービスの提供が可能となるなどの効果が期待されることから導入されたものであります。水道事業へのコンセッション方式の導入は、水道基盤の強化を図るために設けられた制度でございまして、官民連携の選択肢の一つであると考えております。
325 ◯山本耕一委員 昨年の十二月議会で、我が会派の原中誠志議員、現在副議長ですが、一般質問で知事に改正水道法についてお尋ねした際にも、水道事業者にとっては選択肢を広げるものであると考えているとの答弁がございましたが、県としてはそういうお考えということで了解をいたしました。
では次に、本県を含む全国で水道事業へのコンセッション方式の導入を検討しているところがございましたら教えてください。
326 ◯松木水道整備室長 宮城県、大阪市、伊豆の国市、宮城県の村田町において検討されていると聞いております。
327 ◯山本耕一委員 導入を検討しているところがあるということですね。
二〇一六年八月に厚生労働省がつくった資料があるんですが、この資料によりますと、コンセッションではなくPFI導入事例として、上水道や排水処理等において、既に合計十二の自治体や水道局が事業の委託をしているのですが、これは全て二十年契約という形になっています。こういう資料が紹介されています。仮にこのコンセッションが上水道に導入されるとして、二十年以上の契約ということになるのでしょうか、お聞かせください。
328 ◯松木水道整備室長 法令上は特に契約期間についての規定はございません。なお、これまでの分野の事例では、二十年以上の契約期間が設定されることが一般的となっております。
329 ◯山本耕一委員 大変に超長期の契約が予想されるということですね。
この改正水道法のコンセッション方式導入において、県の許認可権限はどうなっているのでしょうか。
330 ◯松木水道整備室長 コンセッション方式の許可は全て厚生労働大臣が行うこととされております。県にはございません。
331 ◯山本耕一委員 県としての権限は何もないと、あくまでオブザーバーとして見守るしかないということですね。
私が率直に疑問に感じるのは次の点です。水道のコンセッション方式というものは、フランスのパリ市、ドイツのベルリン市、それからアメリカのアトランタ、インディアナポリスなど、世界中で失敗をしてきて、これらの水道は全て再公営化されています。そんな中で、なぜ今、日本で法律を改正してまで水道にコンセッション方式の導入の道を開いたのかということが疑問なのです。
そこで伺いますけれども、今回の法律は海外での失敗を教訓にした改善はなされているのでしょうか。
332 ◯松木水道整備室長 国におきましては、水道法の改正に当たり海外の事例を包括的に調査しておりまして、水道料金の高騰、施設の管理運営レベルの低下、モニタリング体制の不備などが課題として整理されております。
まず料金につきましては、PFI法に条例で定められる実施方針の中で料金の上限や範囲を定めることとされており、それ以上の料金設定はできない仕組みとなっております。また、施設の管理運営に関しましては、PFI法に基づきまして、市町村長等が運営権者の業務の状況、経理の状況等を監視する、いわゆるモニタリングを行うこととなっております。さらに改正水道法により、厚生労働大臣の許可に当たって、適切な料金設定となっているか、モニタリングを適切にできる体制となっているかを確認して許可することとするとともに、水質や施設が基準を満たしているか、厚生労働省が直接運営権者に対し立入検査等を行う仕組みとなっております。
333 ◯山本耕一委員 実はこんな情報もあるんですよね。既に福岡市など県内でも五つの自治体、全国では何と百十カ所以上の自治体や水道事業体で、料金徴収などの末端業務から水メジャーと呼ばれる外資系巨大企業の日本法人が請負契約を結んでいるんですね。行く行くは上水道事業全体を請け負うコンセッションへと進んでいく腹づもりといいますか、これが布石になってしまうのではないかという心配もあります。一たびこのコンセッション方式を導入しますと、その事業が失敗や破綻をしてももとに戻せずに、最悪の場合ライフラインが途絶するといったことにはならないのでしょうか。
334 ◯松木水道整備室長 万一、経営難等で運営権者による事業継続が困難となった場合でも、施設の所有権、また水道事業認可は市町村等の水道事業者にございますので、直営または第三者委託により事業を継続することが可能です。事業継続が確実に実施できるように、コンセッション方式の実施計画の中に事業継続のための措置を盛り込むこととされており、厚生労働大臣はその措置の内容を確認した上で許可することとなっております。
335 ◯山本耕一委員 ライフラインが途絶しないようにあらかじめ手順を決めておくということですね。先ほどの料金についても、高騰はちゃんとふたができるようにというふうなことがあるということでしたけれども、県としてはこのコンセッション方式を、水道の基盤の強化のための官民連携の選択肢の一つと認識しているとのお話がありました。最終的な選択は市町村が行って、そして厚生労働大臣が許可を出すという形になるのでしょうが、県としては、私は市町村がよりよい選択をできるように支援すべきと考えます。
そこで伺います。県では水道の基盤の強化、官民の連携にどのように取り組んでいくのか教えてください。
336 ◯松木水道整備室長 将来にわたって水道事業者が持続的、安定的に安全な水を供給していくためには、水道の基盤強化が必要でございます。県では水道の基盤強化を実現するため、ことし三月、福岡県水道ビジョンを策定し、安全な水を安定的に供給し続けることができる水道という本県の水道の理想像を提示し、その実現方策としまして、広域連携の推進や官民連携の検討などを掲げまして、県・市町村等の関係機関が連携して取り組むこととしております。
官民連携につきましては、コンセッション方式以外にも業務委託等の多様な形態がございまして、市町村に対しましては、適切で効率的な民間活力の導入につきまして情報提供や助言を行ってまいります。
337 ◯山本耕一委員 ぜひともよろしくお願いします。
水を飲まずに生きることはできませんし、過去の海外でのコンセッションの失敗事例のように、物すごく水道料金が上がったりとか、途中で請負企業が投げ出して、税金を投入して再公営化ということになれば、県民の生活に重い負担を投げかけることになります。我が会派としては、継続的にあらゆる将来像を想定して監視をしてまいります。県としてもぜひ、県民の不利益にならないように、しっかりとあらゆる想定をしながら監視をしていく姿勢を積極的にとっていただきたく要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
338 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
339 ◯樋口 明委員長 ないようですので、以上で第八款県土整備費に関する質疑を終わります。
以上で本日の議事を終了いたします。
なお、明後日五日の委員会は午前十一時に開き、歳出第九款警察費から第十四款予備費までの審査及び第二条債務負担行為から第五条歳出予算の流用までの審査、並びに第六八号議案から第八六号議案までの特別会計及び企業会計の審査を行う予定でありますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会します。
午 後 三 時 五 十 七 分 散 会
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