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令和元年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2019-07-02

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  1. 福岡県議会 2019-07-02
    令和元年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2019-07-02


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1    令和元年年七月二日(火曜日)    午 前 十 一 時 零 分 開 議 ◯樋口 明委員長 おはようございます。定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。  本日は令和元年度福岡県一般会計予算の歳出第五款生活労働費及び第六款農林水産業費の審査を予定いたしております。よろしくお願いいたします。  それでは、第五款生活労働費について順次説明を求めます。山田人づくり県民生活部長。 2 ◯山田人づくり県民生活部長 五款生活労働費のうち、人づくり・県民生活部所管分について御説明をいたします。お手元の令和元年度予算に関する説明書、この説明書でございます、説明書の二百三ページをお願いいたします。  一項県民生活費でございます。その主なものは、一目県民生活総務費の右側の説明欄一番上の職員費でございます。  一枚おめくりいただきまして、二百五ページをお願いいたします。二項県民生活対策費でございます。その主なものは、右側の説明欄上から七番目のスポーツ推進費でございます。これは、ラグビーワールドカップ福岡開催等に要する経費でございます。  一枚おめくりいただきまして、二百六ページをお願いいたします。一項県民生活費の総額でございます。一番下の計欄に記載をしておりますとおり、五十八億六百万円余でございます。  説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 3 ◯樋口 明委員長 神代福祉労働部長。 4 ◯神代福祉労働部長 おはようございます。引き続き、五款生活労働費のうち、福祉労働部所管分について御説明申し上げます。令和元年度予算に関する説明書の引き続き二百六ページをお願いいたします。  二項福祉企画費でございます。主なものは、一目福祉総務費の右側、説明欄上から三段目、福岡県総合福祉施設運営費でございます。これは、クローバープラザの管理運営や施設整備に要する経費でございます。二項の総額につきましては、二百九ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、五十億四千八百万円余でございます。  下の三項児童家庭費でございます。主なものは、二百十一ページに飛びます、二目児童措置費、説明欄の上から二段目、保育給付費負担金でございます。これは、保育所や認定こども園等の運営に対する県負担金です。総額につきましては、二百十四ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、五百六十四億七百万円余でございます。  下の四項障がい者福祉費でございます。主なものは、二百十七ページに飛びます、三目障がい措置費、説明欄の一番上、障がい者援護措置費でございます。これは、障がい福祉サービスに係る自立支援給付費の県負担金等でございます。総額につきましては、二百十九ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、四百三十六億六千七百万円余でございます。  下の五項生活保護費でございます。主なものは、二百二十一ページに飛びます、二目扶助費、説明欄の上段、生活保護費でございます。これは、町村の区域における生活保護に要する経費でございます。総額につきましては、計欄にありますとおり、三百三十四億七千五百万円余でございます。  二百二十二ページをお願いいたします。六項社会福祉費でございます。主なものは、二目子ども等医療対策費の説明欄にあります、子ども、重度障がい児者、ひとり親家庭等の三つの医療対策費でありまして、これは、それぞれの医療費について一定部分を県費で助成するものでございます。総額につきましては、二百二十五ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、百三億八百万円余でございます。  下の七項労働企画費でございます。主なものは、一目労働総務費、説明欄の下から二段目、中小企業労働力確保対策費でございます。これは、求職者が中小企業へ就職する場合の支援等に要する経費でございます。総額につきましては、二百二十八ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、十五億一千万円余でございます。  下の八項職業訓練費でございます。主なものは、二百三十ページをお願いいたします。二目職業訓練費、説明欄の上から三段目、職業訓練費でございます。これは、高等技術専門校における職業訓練経費等でございます。総額につきましては、下の二百三十一ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、四十億二千六百万円余でございます。  二百三十二ページをお願いいたします。九項失業対策費一目雇用促進費は、三億二千七百万円余でございます。主なものは、説明欄の一番下、中高年齢者等雇用促進費でありまして、これは七十歳現役応援センターの運営等に要する経費でございます。
     説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 5 ◯樋口 明委員長 武田労働委員会事務局長。 6 ◯武田労働委員会事務局長 おはようございます。それでは、労働委員会事務局所管分について御説明申し上げます。引き続き、予算に関する説明書の二百三十三ページをお願いいたします。  一枚おめくりいただきまして、十項の労働委員会費は、二百三十五ページの計の欄に記載しておりますとおり、二億三千三百万円余でお願いしております。これは、委員報酬、事務局職員の人件費など委員会運営に要する経費でございます。  説明は以上でございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。 7 ◯樋口 明委員長 説明は終わりました。  これより質疑を行います。質疑はありませんか。十中大雅委員。 8 ◯十中大雅委員 おはようございます。自民党県議団の十中でございます。  それでは、早速、質問に入らせていただきます。  東京二〇二〇オリンピックパラリンピックは、いよいよ来年の二〇二〇年七月二十四日に開会式を迎える運びとなってまいりました。国内では官民を挙げて大会を盛り上げるような取り組みが始まっており、県内の市町でも事前キャンプ受け入れ準備が進んでいるところでございます。この事前キャンプにつきましては、福岡県としても積極的に誘致や受け入れに関与してきた経過もあり、各市町の基本協定書に関しても連名で署名していることから、このキャンプを成功裏に終わらせる、あるいは将来にレガシーとして地域振興につなげるために、県としての役割は大きいと考えております。こうした観点から質問をさせていただきたいと思います。  まず、県内のキャンプの決定状況と誘致に当たっての福岡県としての役割はどのようになっているのかお願いをいたします。 9 ◯樋口 明委員長 中平スポーツ振興課長。 10 ◯中平スポーツ振興課長 二〇二〇年東京オリンピックパラリンピック競技大会事前キャンプの誘致状況につきましては、これまでに県内十二の市町が二十七の国、地域との事前キャンプ実施について基本合意書を締結しているところでございます。県は、その誘致活動に際し、対象となる国や競技の絞り込み、視察の受け入れなどを市町村と一体となって進めるとともに、必要に応じて相手国に出向き、協議、交渉などを行ってきたところでございます。また、活動に要する市町村の財政的負担を軽減するために、視察受け入れやプロモーションツール制作に要する経費を補助してきております。 11 ◯十中大雅委員 報道やテレビのニュース等で、県内の市や町では事前キャンプの受け入れの決定のニュースが昨年あたりから随分放映をされております。いよいよ来年が本番であるわけでありますので、ことしは一年前のキャンプとして来福していただける国があるのか。そして、このことはまだ交渉の過程で、いろいろ説明しづらい点もあるということも十分承知をしております。お答えできる範囲で結構ですので、お知らせをいただければと思います。 12 ◯中平スポーツ振興課長 協定を締結したほぼ全ての国や地域が、来年の本大会の開催時期と合わせる形で、本年七月から九月に県内で事前キャンプを実施することを希望されております。具体的には、既に現在、オセアニア諸国レスリング競技の代表選手が築上町でキャンプを実施しておりますが、これ以降、続々と各国が入ってくる予定となっておりまして、現在、各市町とともに選手の受け入れ人数やスケジュール、練習施設の確保などについて調整を行っているところでございます。 13 ◯十中大雅委員 これまで福岡県がこの事前キャンプの受け入れには主体的にかかわっていただいたと思っております。そういう中で、各市町と各国との基本協定書が次々と締結されたわけでありますけれども、そういう状況の中で、この手続に関して福岡県がどのように関与されてきたのか、そして、明文上はどういう責務を県は負ってあるのかお知らせしてください。 14 ◯中平スポーツ振興課長 基本合意書の締結に初めて携わられる市町村の職員の方々も多いことから、県では、各国との基本合意書の締結に向けまして、相手国のオリンピック委員会や大使館などとの交渉を行いますとともに、協定を結ぶ市町村の意向を詳細にお聞きしながら、基本合意書の内容について確認、調整などを行ってまいりました。その基本合意書に示された主な県の責務といたしましては、県が提供する練習場を相手国が優先的に使用できるように関係者と調整することや、競技によっては練習相手が必要となることから、その練習相手の確保のために競技団体と連携することなどを明記しております。 15 ◯十中大雅委員 協定書上は、福岡県としての立場、それから市町の側面支援となるかもしれませんが、福岡県としてもこのキャンプには積極的に誘致にかかわってきたわけですから、基本協定書の締結まで知事があらゆる場面で積極的に出てこられました。そういう報道がよく見られたわけでございますけれども、その後のフォローがどうなっておるのかということが一番心配であります。  この事前キャンプの取り組みにおいて、全県的な状況を把握しているのは福岡県しかありません。市町村ではよくわからないところがあります。ですから、日ごろから準備状況を県が把握して、課題や問題はないのか、また困っているような市町はないのか、常に点検をしていくことが大変重要であると私は考えます。まさか、知事があれだけテレビに出て、誇りに思うような御挨拶もされておりますので、あとは知らぬ存ぜぬというわけにはいかないと思いますけども、市町村としてはこれから心配な点も多々あると思います。そういうことを勘案して、どのように考えてあるのかお聞かせをいただきたいと思います。 16 ◯中平スポーツ振興課長 県では、相手国と協定を締結して以降、キャンプ実施時のアンチドーピング対応に向けた医療機関との連携を図るために、県の医師会や歯科医師会、また薬剤師会との交渉を行ったり、相手国によっては選手のコンディショニング調整に関するトレーナーの派遣というものを求めているところもありますことから、サポートの提供が可能である企業などとの交渉を行ってまいりました。また、各市町が事前キャンプを受け入れる際の課題や解決策を共有するために、キャンプ地誘致市町村連絡会議、こうしたものを実施いたしますとともに、会議の開催だけでなく、受け入れ市町の担当者の方々と個別に連絡を取り合うなど、迅速に情報を提供できる、共有できる体制をとっております。 17 ◯十中大雅委員 次に、キャンプの受け入れ準備の中で、競技によっては県内に設備や備品が整っていない、そういう競技も想定されると思います。しかしながら、スポーツ立県を目指す福岡県としては、二〇二〇年以降、県内のスポーツ振興という観点からも整備を整えておくことも大事だと考えております。その点について現状と今後の考え方をお聞かせください。 18 ◯中平スポーツ振興課長 事前キャンプの受け入れに際しまして各市町において備品等の準備が困難な場合には、県の備品の貸し出しを行っておりますほか、県が包括協定を締結しております企業に御協力いただきまして、障がい者アスリートの移動に必要な車両を貸し出すなどのサポートを行っております。また、県有施設につきましては、事前キャンプに活用することも想定いたしまして、計画的に改修に取り組んでおるところでございます。各国が事前キャンプで使用した質の高い施設や設備などは、大会後も県民の皆さんに御利用いただける財産になるものと考えております。 19 ◯十中大雅委員 まさに今、お答えいただいたように、これは県民の大きな財産になる、そしてスポーツ振興にも大きく役立っていくと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、全国的な情報収集についても、市や町ではなかなか収集が不可能だと思います。その点では福岡県が把握しやすいと思っていますので、そのような県が収集をされた情報をもとに、他県に負けないような、キャンプ誘致をしたわけですから、そういう取り組みがきちんとできるようにやっていくことが私は重要だと思っております。そういうノウハウを提供する福岡県の役割をどのようにお考えになっておるか、お願いいたします。 20 ◯中平スポーツ振興課長 事前キャンプの円滑な受け入れや各市町と相手国の交流を推進するため、現在、内閣官房や日本オリンピック委員会を初めとした関係機関との連携の強化に努め、ここで得られた情報を各市町に提供しております。また、他県で実施をされているキャンプの情報も随時収集いたしまして、その中から参考となる取り組みなどにつきましても、各市町と共有しているところでございます。 21 ◯十中大雅委員 先ほど施設整備面の状況はお聞きをしまして、認識いたしました。しかし、ある意味では、片一方では、今度はソフト面を含めたもっと大きな視点で見ていくことが大切かと思います。つまり、今回のオリンピックパラリンピック事前キャンプの誘致を今後の、福岡県の先ほどから言いますように一つのレガシーとして、それぞれの地域のまちづくりや地域の振興にどうつなげていくかということが私は大切なことだろうと考えております。そのことについてどうお考えかお願いいたします。 22 ◯中平スポーツ振興課長 受け入れが決定をしました市や町では、相手国の選手に茶道などの日本の文化などを体験していただくとともに、地域の子供たちや住民に対しては相手国の郷土料理に学校給食などを通じて触れていただくなど、既に相手国と地域との交流が始まっているところもございます。その交流の中では、相手国の言葉や文化に触れ、その国のことを学習することで、異文化に興味を抱く子供たちがふえてきているといった声や、ボランティアとして市町の取り組みに協力をされる地域の方々がふえてきたとの声も聞かれております。海外チームのキャンプの受け入れは、こうした国際交流の進展やボランティア意識の醸成、さらには、自分の住む地域の魅力を再発見する機会ともなることから、このような機運が大会後も続いていくよう、今後も市町村にしっかりと働きかけてまいりたいと考えております。 23 ◯十中大雅委員 本当にもう時間がないわけでございまして、いよいよ来年に迫ってきた東京二〇二〇年オリンピックパラリンピック、福岡県内で実施されるキャンプが成功裏に終わり、そのことをしっかり担保するためにも、市町村に支援が欠かせない重要な課題だと考えております。今、そのことを課長から明確にお答えいただきました。ある意味では安心をすることもできましたけれども、しかし、終わるまでがまだまだ勝負だと思っています。  そこで、部長に最後に、今の課長の答弁を含めて、部長として、どう市や町に支援をし、安心して来県をされる各国のオリンピック選手の皆さん、パラリンピック選手の皆さんが成果を上げて、その結果が大会で出る、そのような支援をどういうお気持ちでされていくのかという決意をお聞かせいただければと思います。 24 ◯樋口 明委員長 山田人づくり県民生活部長。 25 ◯山田人づくり県民生活部長 先ほど課長からも御答弁申し上げましたとおり、各国の事前キャンプの受け入れ、これは県民の皆さんのスポーツへの関心を高めるということはもとよりでございますが、その地域の活性化に資するものであると認識をしているところでございます。これまで本県におきましては、誘致を希望される市町と一体となりまして誘致活動に取り組んでまいりました。いよいよ本番を来年に控えまして、一年前となるキャンプが本格的に始まっております。引き続き市町とも連携を密にいたしまして、事前キャンプの実施に必要な施設でございますとか、練習相手の確保、また、医療機関を初めとしました関係機関との連携体制の構築など、受け入れ準備をしっかりと進めてまいる考えでございます。また、市町村の垣根を越えて、できるだけ多くの県民の皆様が交流事業に参加できますよう、キャンプを受け入れる市町と近隣市町村との連携も促進するなど、市町村の支援にも力を入れてまいる考えでございます。 26 ◯十中大雅委員 部長、私は、これだけ誘致に成功した県は全国を見てもまれだと思います。これは、やはり県挙げて誘致に取り組んでこられた成果だと思います。だからこそ、この成果が実りあるものにならなければもったいないし、それと同時に、キャンプを誘致した市町だけじゃなくて、誘致ができなかったけども、そのことで連携をとりながら、市町村の振興につながるような、そして福岡県のレガシーとしてそれが残るようなキャンプにしていきたいと思いますので、しっかり取り組んでいただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。(拍手) 27 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。渡辺美穂委員。 28 ◯渡辺美穂委員 おはようございます。民主県政クラブ県議団の渡辺美穂です。  通告に従って質問いたします。  ことしは民生委員・児童委員の改選の年になっております。まず、民生委員・児童委員の定数・現員数・充足率の推移についてと、県内市町村における民生委員・児童委員に対する活動費助成の状況についての資料要求を行っておりますので、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いいたします。 29 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。  ただいま渡辺美穂委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 30 ◯樋口 明委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま渡辺美穂委員から要求がありました資料については提出できますか。佃福祉総務課長。 31 ◯佃福祉総務課長 直ちに提出いたします。 32 ◯樋口 明委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 33 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 34 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、渡辺委員、質疑を行ってください。 35 ◯渡辺美穂委員 それでは、課長、まず簡単に資料の説明をお願いいたします。 36 ◯佃福祉総務課長 資料について御説明いたします。  一の民生委員・児童委員の定数・現員数・充足率の推移につきましては、平成二十二年度以降、三年ごとの改選年度の定数(改選前の定数との比較)、現員数、充足率について記載しております。  なお、平成二十二年度、二十五年度、二十八年度は、十二月一日時点の数値を記載しております。また、令和元年度につきましては改選前のため、直近の六月一日時点の数値を記載しております。  二の県内市町村における民生委員・児童委員に対する活動費助成状況につきましては、平成二十八年度に本県が調査した県内市町村における活動費助成の状況を取りまとめたものでございます。  説明は以上でございます。 37 ◯渡辺美穂委員 前回の改選時、二〇一六年十二月一日現在で、全国の民生・児童委員の定数二十三万八千三百五十二人に対して二十二万九千五百四十一人で、八千八百十一人の欠員が出ています。資料のとおり、本県においても定数四千五百三十二人に対して四千三百四十一人ということで、欠員が百九十一人出ているという結果が出ています。  また、別の調査で調べましたところ、本県の民生・児童委員の平均年齢が六十六・五歳ということで、なり手不足と高齢化は近年、非常に大きな課題と言われておりますけれども、県としてはその原因に対してどのような認識を持ってあるのかお聞かせください。 38 ◯佃福祉総務課長 市町村から聞き取りを行いました結果、なり手不足の原因につきましては、まず福祉制度の頻繁な改変やニーズの多様化に伴いまして活動が多忙になっていること、それから、地域のつながりの希薄化などによりまして活動に難しさを感じていることなどが挙げられております。また、高齢化の原因としては、まず定年延長により働く高齢者がふえてきたこと、これによりまして民生委員・児童委員になる年齢が上がっていること、それから社会全体の高齢化が進んでいることが考えられます。 39 ◯渡辺美穂委員 つまり県としても、原因の中にニーズの多様化などがあるということ、つまりそこに細分化されたさまざまなニーズが新たに生み出されているということは認識されているのだということを確かめておきたいと思います。  このように、今、資料をいただきましたけれども、市町村が民生委員の定数を要望してくるわけなんですけれども、ごらんのように、定数に関しましても市町村が増員を要望してきているという実態がありますが、この理由は一体何なのか、県として取りまとめをしておられますので、その理由をお聞かせください。 40 ◯佃福祉総務課長 民生委員・児童委員の定数につきましては、厚生労働大臣の定める基準を参酌の上、市町村の意見も踏まえながら定めているところでございます。定数増の主な理由は、世帯数の増加に伴うものや、あるいは移動に時間を要する山間部など広範な担当地域の細分化など、民生委員・児童委員の負担を軽減するための増員などによるものでございます。 41 ◯渡辺美穂委員 今、全国的には人口自体は減少しているわけですけれども世帯数が増加しているということは、つまり核家族がふえている、あるいは高齢者のひとり暮らしがふえていて訪問する場所がふえているという現状が、それぞれの現場にはあるという内容だと思います。  そういったことを踏まえた上で、二〇一八年二月から十一月まで、県は、民生・児童委員の欠員の少ない一市一町、欠員の多い一市一町のそれぞれの自治体担当者、そして現職の民生委員四名、そして県側三名から構成される民生委員確保のための検討会を開催されまして、結果を取りまとめて、昨年の十二月以降、具体的な取り組みを行っておられます。二月議会のときに所管委員会に報告をされていますけれども、六カ月たった現在までの具体的な取り組み内容についてお聞かせをいただきたいと思います。 42 ◯佃福祉総務課長 検討会では、原則七十五歳未満という民生委員・児童委員の年齢要件の見直しや制度の周知などにつきまして、県が行うべき取り組みを取りまとめました。まず、年齢要件につきましては、原則七十五歳未満という基準を努力義務に改め、七十五歳以上の者を推薦する場合に必要としておりました市町村からの意見書について、再任の場合はこれを廃止することで、より推薦しやすくなるよう見直しました。そのほか、民生委員・児童委員候補者へのPR用のリーフレット、それから実際の活動に関するわかりやすいQA集を作成し、各市町村に配布したところでございます。 43 ◯渡辺美穂委員 今、お答えいただきました検討会の内容では、高齢化が問題となっているということが指摘されておりますけれども、さらに七十五歳以上の方にもやっていただかなければいけない現状があるということ、そして検討会の中では先ほど答えられましたニーズの多様化に対するためにどうやったらいいのかというような検討が、余りなされていないということが言えるかと思います。  今、こういったことを申し上げましたけれども、実はそれの解決策を幾つか具体的な提案をしたいと思うんですけれども、まず自治会などの地域に密着した団体の役職の改選は年度末に行われることが多いと思いますけども、民生・児童委員は先ほどおっしゃったように十二月が改選になっています。改選の年は十月までに各市町村が候補者の推薦を県に提出することとなっていると聞いていますけれども、市町村自治会の役員とかは既に三月に決まっているわけなんですね。つまり地域でお世話をしてくださる人材を決めた後に新たに人材を探さなければならないということで、人材獲得競争に不利になっているのではないかという指摘があるんですけれども、県のお考えとこれまでの取り組みについてお聞かせください。 44 ◯佃福祉総務課長 前回の平成二十八年十二月の一斉改選時は、市町村に対しまして民生委員・児童委員候補者の推薦準備依頼を平成二十八年四月に行ったところ、御指摘のように自治会の役員の決定後でございまして、なかなか候補者が確保しにくいとの御意見を市町村からいただきました。このことを踏まえまして、今回の一斉改選では、候補者推薦準備の取り組みを前回よりも四カ月前倒しいたしまして、令和元年十二月に行われる一斉改選の一年前に当たります昨年の十二月から開始をしているところでございます。今回の一斉改選でも十月までに県に候補者を推薦することとなっておりますので、まずは今回の前倒しの取り組みが、民生委員・児童委員のなり手確保にどのような効果があったかを検証してまいりたいと思っております。 45 ◯渡辺美穂委員 それはぜひ検証していただいて、結果が出たら、ぜひ教えていただきたいと思います。  先ほど申し上げたように、ニーズの多様化といったことに対応するという意味で、私はやはり、今、民生委員にも専門性がある程度求められてきているのではないかと思うんですが、それに対する対価ということで考えていきたいと思います。  例えば、太宰府市を例に民生委員さんの活動日数を見てみると、年間大体百六十五日ということが出ています。私たちのように現職、現役で仕事をしている人々が働く日数が年間二百六十四日、二〇一六年、民生・児童委員の活動費用の弁償費ですね、これの地方交付税交付金は年間五万九千円となっています。福岡県は、この額に五百円を上乗せして市町村に交付しています。この取り組みは東京都と本県だけということで非常に評価をしたいと思いますが、それでもたった五百円ということになっています。  お手元の資料、下のほうにございますように、活動費の助成というのは市町村によってばらばらになっています。平成二十五年三月に株式会社日本総合研究所が取りまとめたデータによりますと、一人当たりの活動費は月当たり大体六千五百円程度となっているんですけれども、本県市町村における活動費月額の最高額と最低額をお聞かせください。 46 ◯佃福祉総務課長 県所管の五十七市町村を平成二十八年度に調査いたしました結果では、県が支給する活動費に各市町村の独自加算を含め算出したところ、最高額は月額二万円、最低額は月額五千円となっております。 47 ◯渡辺美穂委員 民生・児童委員さんの役割は市町村によって異なるわけではないにもかかわらず、その活動費が四倍近い差があるというのは、私はやはりいかがなものかと思います。  さらに、伺ったところによりますと、例えば月額五千円いただいているところもあるわけですけど、このわずかな活動費の中からいろんな関係団体への協力金などの支払いがあると聞いておりますので、まずその実態がどうなっているのかというのを調査すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 48 ◯佃福祉総務課長 一部の地域からは、民生委員・児童委員が活動費の中から関連団体の年会費などを負担しているとの声も聞いております。まずは民生委員・児童委員の経済的負担の実態を把握するため、市町村を通じまして実態調査を行ってまいりたいと考えております。 49 ◯渡辺美穂委員 ぜひそちらのほうも調査をしていただいて、たったと言ったら失礼かもしれませんけど、五千円しかない活動費の中から月千円とか二千円協力金が出てしまえば、実質、自身の活動費は三千円程度、そこから移動費のガソリン代ですとか交通費とか、そういったものが全部支払われるわけですから。  そもそもこの民生・児童委員の精神にはボランティアということが流れているわけではあるんですけれども、民生委員法というのが制定されたのは昭和二十年代初頭になっておりまして、そのころと比較して、地域コミュニケーション力というのが徹底的に希薄化しています。それは先ほどの課長の答弁にもあったように、やはり地域力が落ちているということ、それから訪問件数がふえているということ、また相談内容が多岐に及んでいるということで、それまでには考えられなかった、例えばひきこもりの方に対する対応ですとか、そういったものは非常に専門性がやはり今、求められているものもたくさん出てきていると思います。こういったことが民生・児童委員さんの業務内容の多様化、多忙化に拍車をさらにかけているのではないかと思います。  一方で、特に福岡県は、七十歳現役応援社会ということで、七十歳以上も働いてもらおうということを応援されています。ということは、片方で収入を得ながら働く同年代の高齢者がふえている中で、御自身は無報酬でボランティアで働かなければならない状況になってきている。こういった状況だけでは、本当に実費補償だけでは、なり手不足あるいは高齢化の解消は非常に厳しいと私は思っております。さらに先ほど申し上げたように、自治体によって活動費に四倍以上差があるという、この活動費助成のばらつきというのも私は非常に問題があると思います。  これまで二つ調査をやっていただくということをおっしゃっていただきましたけども、この調査結果を受けて、今、これは本当に全国的な、福岡県だけの問題ではない課題であることから、知事会あるいは関係団体等を通して、私自身は法改正も含めて、それを視野に厚生労働省に働きかけることが必要だと考えますが、県の考え方を聞きたいと思います。 50 ◯佃福祉総務課長 国に対しましては、民生委員・児童委員活動費に係る地方交付税算定基礎額の引き上げにつきまして、これまでも要請をしているところでございます。民生委員・児童委員の経済的な負担状況も把握した上でその活動が支障なく行えるよう、全国主要都道府県民生主管部(局)長連絡協議会などを通じまして、引き続き国に対して要望してまいりたいと思います。 51 ◯渡辺美穂委員 今の課長の答弁は、やはり今の現行の法制度の中でというようなお答えだったと思うんですけども、先ほど申し上げたように、昭和二十三年にボランティアという精神で決定された法律そのものが今は有効ではなくなってきつつあるということも、全国各所で指摘をされております。したがって、今回二つ具体的な調査をしていただきますけれども、そういったことを踏まえた上で、ぜひまずは課内でもそういった法改正を視野に入れた議論をやっていただきますこと、その上で国に対して強く要望していただきますことを私から要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 52 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。壹岐和郎委員。 53 ◯壹岐和郎委員 公明党の壹岐和郎でございます。  通告に従い、子供の貧困対策について、特に子ども支援オフィスの取り組みについてを中心に質問をいたします。  まず初めに、資料要求で、子ども支援オフィスの相談実績並びに学習支援について資料要求をしておりますので、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いします。      〔正副委員長交代〕 54 ◯畑中茂広副委員長 お諮りいたします。  ただいま壹岐委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 55 ◯畑中茂広副委員長 異議ありませんので、本委員会の要求資料とします。  執行部に申し上げます。ただいま壹岐委員から要求がありました資料について提出できますか。余語保護・援護課長。 56 ◯余語保護・援護課長 直ちに提出できます。 57 ◯畑中茂広副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 58 ◯畑中茂広副委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 59 ◯畑中茂広副委員長 資料が配付されましたので、壹岐委員、質疑を行ってください。 60 ◯壹岐和郎委員 まず、資料について簡潔に説明をお願いします。 61 ◯余語保護・援護課長 資料の御説明をさせていただきます。  本資料は、子供の貧困に関する事業実績について、子ども支援オフィスと子供の学習支援に関連するものを平成二十八年度から平成三十年度までまとめたものでございます。  まず、一の子ども支援オフィス関連ですが、(一)は全体の相談件数を記載したもので、平成二十八年度からの三年間で合計千五百四十九件となってございます。  (二)は、相談件数のうちどこから子ども支援オフィスを紹介されたか把握できたものについて分類したもので、最も多かったのは役場や社会福祉協議会となっております。
     次に、二の子供の学習支援関連でございますけれども、(一)として学習支援事業の実施状況を記載しております。上二段は、県が実施しているものにかかわらず、誰もが参加できる小・中学生向けの学習支援会場がある町村数の目標と実績となっております。下二段は、この実績のうち県が実施をしている学習支援事業の町村数と会場数を記載しております。  (二)でございますけれども、県が広域的に学習支援ボランティアの募集登録などを行っております学習支援人材バンクの登録者数の推移で、本事業については平成二十九年度から実施をしているところでございます。  説明は以上でございます。 62 ◯壹岐和郎委員 本県のホームページには、子ども支援オフィスでは、対象家庭へ積極的に出向いて相談を受け、相談者が抱える問題に応じた最適な支援を盛り込んだ個別支援計画を作成し、各種施策を実施する関係機関と連絡調整することで相談者が必要とする支援が受けられるように取り組みます、一人で抱え込まずにぜひお電話ください、とございます。  資料を見ると、相談件数は年々増加して、設定した目標以上になっております。ここで、きょうお尋ねしたいんですが、現場では多分、相談を受けてから終結に至るまで、一件一件丁寧にフォローされているのではないかと思いますけど、当局のチェックの体制はどうなっているのか。また、目標設定についても、相談件数ということでずっと来ているんですけど、現在のように四年目の事業なので、今言ったような一件一件フォローして、具体的な内容、困り事とか解決の状況とかいうのがわかった段階で中身が見えてくるので、もっと具体的な目標設定をしたほうがいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。 63 ◯余語保護・援護課長 まず、子ども支援オフィスの支援状況についてでございますけれども、保護・援護課の職員、それから保健福祉環境事務所の職員、それから子ども支援オフィスの職員で構成をいたします支援調整会議というものを各事務所単位で月一回開催しておりまして、その中で定期的に把握、確認をしているところでございます。  それから、目標設定についてでございますが、子ども支援オフィスについては、平成二十八年度に事業開始をいたしまして、まずは子ども支援オフィスを知っていただいて必要な方に使っていただくことが重要と考えたところでございますので、相談件数を事業目標としたところでございます。平成二十九年度に田川オフィスを設置いたしまして、五カ所体制となって本年度で三年目となりますので、これまでの相談内容ですとか対応状況などを分析した上で、今後どういう目標を設定できるのか、改めて検討を行っていきたいと考えております。 64 ◯壹岐和郎委員 次に、紹介元のデータ、二番目なんですが、見ると、ホームページなどインターネットを通じているものが合計で三年間で三十九件、全体の四・五%。私もホームページを見せていただきましたけど、二年ぐらいずっと更新されておりません。なかなか相談をする人が、こういうことを相談したいんだけどということに結びつくかどうか、内容についてもちょっと一工夫が必要ではないかと思います。最近は、全て相談機関はSNSを活用してどうにかアクセスをふやそうと努力をされている中で、ここもホームページの充実というか、工夫というか、SNSの活用がどうしても必要ではないかなと思いますけど、これまでの県の取り組みと今後の方針についてお尋ねをいたします。 65 ◯余語保護・援護課長 平成二十八年六月の子ども支援オフィスの開設に合わせましてホームページを開設するとともに、SNSとしてフェイスブックを開始いたしましたけれども、子ども支援オフィスでの支援を丁寧に行うためには面談することを基本と考えておりまして、ホームページやフェイスブックの内容の充実やその更新について、必ずしも十分な対応ではないところがあったものと考えているところでございます。しかしながら、若い世代にとって、やはり情報を得る手段としてホームページやSNSが大きなウエートを占めておりまして、ホームページなどで新たな支援策の紹介や子ども支援オフィスの取り組みといった情報を発信することが、支援が必要な方に情報を届けることにつながるということでございますので、ホームページなどの内容の充実について委託事業者ともよく相談をさせていただいて、検討してまいりたいと思います。 66 ◯壹岐和郎委員 ぜひ充実させていただいて、誰もがアクセスしやすいような環境をぜひ整えていただきたいと思います。  次に、学習支援を実施している市町村数ということが二の一番目にあるんですが、本県では全部で三十一町村、今は二十七と。目標が二十八で、ほぼ目標どおりということでありますけど、下のボランティア登録数を見ていると、かなり目標と乖離して低迷しています。場所をふやそうと思ったら人をふやさないとなかなか難しいのではないかなと思いますけど、これで運営が十分できているのか。それと、学習支援人材バンクの登録者数が低迷している理由と今後の取り組みについてお尋ねをします。 67 ◯余語保護・援護課長 学習支援人材バンクでございますけれども、学習支援ボランティアを確保するに当たりまして、事業実施以前から学習支援ボランティアをされていた九百人の方にまず御登録をしていただいた上で、さらに新たに五百人を上乗せして、千四百人という形で目標を設定させていただいております。しかしながら、既に従事をしていた九百人のボランティアの方々について申し上げますと、現在従事している学習支援以外での活動を希望される方がほとんどいらっしゃらなかったということもあり、平成三十年度末時点で新規登録者数が四百三十二名にとどまっているところでございます。しかしながら、既存のボランティアの方々がそのまま活動されていらっしゃることから、登録数が少ないということによって、既存の学習会の運営に与える影響自体は少ないのではないかと考えているところでございます。  登録者の確保に当たりましては、これまでも県内の大学等や各市町村への事業周知でありますとか、リーフレットの配布依頼ですとか、それから大学等での学生に対する説明会の開催、教員OB並びに退職予定の教職員への周知といった取り組みに加えまして、適宜、県のホームページですとか、あと、各戸に配布いたします広報紙、各市町村の広報紙への掲載などを行ってきたところでございます。  今後はこれまでの取り組みに加えまして、例えばボランティアを行っている方たちはそもそも社会貢献意識が高いと考えられますので、そういった学習支援以外のボランティアの方々などへの働きかけについても検討してまいりたいと思います。 68 ◯壹岐和郎委員 ちょっとわかりづらいというか、なかなか説明、足りないのに足りているみたいな、そういう雰囲気ですけど、どちらにしても、これをふやさないと支援の場所はふえないので、その辺だけはきちっとやって、既存の分が動いているから大丈夫だというような感覚ではなくて、新しくどんどんふやしていくと。それがやっぱり足りないから、今、ある意味では充足しているという認識でしっかり捉えていただきたいなと思います。  次に、資料とは離れるんですけど、現在実施をしている高校生の就学継続のための訪問支援相談事業というのがあるんですが、今年度から新規事業で、紛らわしいんですが、生活困窮世帯の子どもの進学支援事業というのが新しく始まるということですけど、この前の事業との関連性と違いというのは何なのか教えてください。 69 ◯余語保護・援護課長 まず、高校生の就学継続のための訪問相談支援事業につきましては、子供の貧困対策の一つとして、高校中退防止を図ることを目的に、専任の支援員を配置して相談支援を通じて子供の就学継続を後押しするものということで、平成二十八年度から実施をしてまいりました。事業開始から三年が経過をいたしまして事業の検証を行いましたところ、三年間の事業期間中に支援のノウハウが蓄積をされたこと、それから相談支援の利用を希望する者が想定を下回ったことなどから、子ども支援オフィスによる支援の中で今後は一体的に実施をするように見直しを行うこととしたところでございます。  一方で、生活困窮世帯の子供の貧困の連鎖を断つためには、やはり学歴による収入の差が明らかでありますので、生活困窮世帯の子供たちの大学進学を支援することが有効と考えたところでございます。そのために、生活困窮者自立支援制度において県が実施主体となっております郡部の生活困窮世帯の子供に対しまして相談支援員が家庭を訪問することなどにより、本人の進学への意欲向上ですとか、経済的な不安の払拭などを図り、大学進学に向けた後押しを行う生活困窮世帯の子どもの進学支援事業を開始しようとするものでございます。 70 ◯壹岐和郎委員 より対象者が明確になったということなんですが、では、その対象者をどうやってきちっと把握できるのか。 71 ◯余語保護・援護課長 まず、支援を必要とする対象者を把握することが必要だと考えております。そのために、生活保護を所管する県の福祉事務所でありますとか子ども支援オフィスに事業を周知することはもとより、各高校ですとか、それから管内町村の教育委員会など学校関係者とも情報共有に努め、その中から対象者をしっかり把握してまいりたいと考えております。 72 ◯壹岐和郎委員 先ほどと同じような問いかけなんですけど、それほどやっぱりきちっと事業目標が何であるかというのが明確な事業なんですね。でも、政策の事前評価書の成果指標を見たら、相談件数、これを何件するんだというのが成果指標になっている。これだけきちっと具体的にこういうことをやるんだというのがわかっておれば、事業目的は、進学率とか、どれだけ支援した人が進学していったのかということをきちっと目標を立ててやって事業をしたほうが効果的ではないかと思うんですが、どうでしょうか。 73 ◯余語保護・援護課長 委員が御指摘のとおり、確かにこの事業につきましては大学進学を後押しする事業ということでございますので、支援件数ではなくて、例えば支援を行った高校生の大学進学率を目標とするなど、目標の見直しについても検討してまいりたいと思います。 74 ◯壹岐和郎委員 よろしくお願いします。  最後の質問ですけれど、平成二十九年六月の定例会で私が一般質問して、知事は、子どもの貧困対策推進事業の検証方法と進捗管理の公表について、事業効果の検証については、私をトップとする当推進本部において、それぞれの事業実績と指標の動向をもとに検証、評価をし、その結果を公表したいと答弁されています。答弁から二年、検証結果はどうなっているのか、また、ホームページのほうできちっと県民にわかりやすく公表されているのかお尋ねをいたします。 75 ◯余語保護・援護課長 子どもの貧困対策推進計画につきましては、計画に掲載する事業の実績と計画に定める四つの数値目標を含む二十五の指標をもとに、子どもの貧困対策推進本部の中で検証評価を行っているところでございます。直近の平成二十九年度の検証結果といたしましては、四つの数値目標については、県数値の動向に改善の傾向が見られ、全国数値との差も縮小してございます。また、その他の指標もおおむね改善の傾向が見られます。しかしながら、まだやはり全国数値との差があるものもありますので、引き続き、目標年度である令和二年度に向け、計画を推進していくことが必要だということにしております。  こうした検証結果につきましては、こども・子育て支援調査特別委員会において公表を行っているところでございますけれども、今後、県民の方にわかりやすく取りまとめた上で、ホームページに掲載していくことも検討してまいりたいと思います。 76 ◯壹岐和郎委員 子ども支援オフィスの取り組みというのは非常にユニークで、貧困対策においてセンター的な役割を果たすのではないかと見ているんですけど、この事業に限らず、事業の進捗管理とか定期的なチェックというのは必要なので。特に委託事業については、どうしても事業者任せになりがちと思うんですね。定期的な事業者との意見交換等を通じて、変化に対応して、どんどん世の中は変化しているので、効果的な事業になるように努める必要があると思うんですね。  部長にお聞きしますけど、以上の点を踏まえて、子供の貧困対策に対する今後の取り組みについて、福岡県子どもの貧困対策推進計画の最終年度である令和二年度の数値目標達成に向けての決意と、御存じのとおり、教育の無償化もどんどん進んで、進学に伴う経済的なハードルがどんどん低くなっております。困窮世帯を取り巻く環境も変化しております。ある意味では、この事業の真価、行政の手腕が本当に問われる時代になってきたと思います。どうか貧困の連鎖を断ち切るという意味からも、今後は生活保護世帯の子供の大学進学率も、量的な目標を立てて取り組むべきと考えますが、部長の見解を求めます。 77 ◯畑中茂広副委員長 神代福祉労働部長。 78 ◯神代福祉労働部長 先ほど課長が答弁いたしましたように、子どもの貧困対策推進計画では四つの数値目標を定めておりますけども、改善しているものもあれば、まだ目標としております全国との差があるような目標もございますので、そういったものを含めまして、令和二年度に向けまして引き続き、まずは計画をしっかり進めていくということが重要であると思っております。そして、今、具体的に御提案がありました。生活保護世帯に対する大学進学率を数値目標に設けたらどうだというような御提案がございましたけども、国におきましても、今、子供の貧困対策に関する大綱の見直しが行われているところでありまして、これを踏まえまして、県としましても次期の計画を策定する必要があると考えております。委員御指摘のそういった具体的な数値目標につきましても、その計画策定の過程の中で具体的に検討をしてまいりたいと考えております。 79 ◯壹岐和郎委員 よろしくお願いします。  これから、繰り返しになりますが、教育の無償化等どんどん進んで、環境も変わってよくなっていきます。でも、やはりいろんな意味でまだまだそんな単純な問題ではないだろうと思いますので、じかにこういった子ども支援オフィスとか自立支援の活動とかいうことの中で、しっかり進学率が上がり、また貧困の連鎖がなくなるようによろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手) 80 ◯畑中茂広副委員長 ほかに質疑はありませんか。小河誠嗣委員。 81 ◯小河誠嗣委員 食と緑を守る緑友会福岡県議団の小河誠嗣でございます。  通告に従いまして、障がい者雇用の推進についてお伺いをしたいと思います。  障がい者雇用の推進は、障がいのある方だけの問題ではなく、誰もが生き生きと生活できる社会環境づくりの点から、県政運営上、重要な課題でございます。福岡県では、障がいのある方の収入向上を目指すため、工賃向上計画を作成しておられますが、この工賃向上計画について、まず御説明をお願いしたいと思います。 82 ◯畑中茂広副委員長 中島障がい福祉課長。 83 ◯中島障がい福祉課長 福岡県工賃向上計画でございますが、県と障がいのある方の就労を支援する施設、それから関係団体の皆さんが一体となりまして、障がいのある方の収入の向上を目指すために策定したものでございます。計画の期間は、平成三十年度から令和二年度までの三年間としております。この計画では、障がいのある方の就労を支援する施設で働いておられる障がいのある方の平均収入月額、具体的に申しますと就労継続支援B型事業所の平均工賃月額につきまして、計画期間終了後の令和三年度までに全国平均を上回ることを目標としております。その実現に向けまして五つの取り組みを掲げておりまして、一つはまごころ製品の認知度向上・販売機会の提供、二つ目が販路拡大、三つ目が農福連携、四つ目が情報発信、五つ目が県や市町村による調達の促進でございます。 84 ◯小河誠嗣委員 県は、まごころ製品の販売機会に力を入れてこられたと思います。特に福岡三越の大規模販売会や、県庁ロビー、県議会棟での販売会は目にするところでございますが、それぞれの実績はどれくらいなのか、また、県の優先調達実績はどれくらいなのか、お答えいただきたいと思います。 85 ◯中島障がい福祉課長 大規模販売会は平成二十五年度から実施しておりまして、毎年度一千万円を超える売り上げの実績を上げております。昨年度は約一千三百万円でございます。また、県庁ロビー、県議会棟などさまざまな場所で販売しておりまして、その販売実績は、昨年度が七百五十六万円余となっております。優先調達でございますが、これは知事部局と教育庁、警察本部、それぞれこれらが一体的に部局横断で取り組んでおりまして、初年度が二十五年度なんですけれども、この年が三千五百万円余、昨年度は一億四千百万円余で、約四倍となっております。 86 ◯小河誠嗣委員 計画では全国平均を上回るとしておりましたが、直近の実績はどうなっているのでしょうか。そして、小川県政二期八年で工賃はどれくらい改善されたのか。委員長、工賃推移について資料要求をいたしておりますので、お取り計らいをお願いしたいと思います。 87 ◯畑中茂広副委員長 お諮りいたします。  ただいま小河委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 88 ◯畑中茂広副委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま小河委員から要求がありました資料について提出できますか。 89 ◯中島障がい福祉課長 直ちに提出させていただきます。 90 ◯畑中茂広副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 91 ◯畑中茂広副委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 92 ◯畑中茂広副委員長 資料が配付されましたので、小河委員、質疑を行ってください。 93 ◯小河誠嗣委員 では、今の資料を簡潔に説明していただきたいと思います。 94 ◯中島障がい福祉課長 この資料でございますが、平成二十二年度から二十九年度までの全国と本県の就労継続支援B型事業所の平均工賃月額の推移をグラフにしたものでございます。赤い線が全国で、青い線が本県のものとなっております。本県の平成二十九年度の平均工賃は一万三千八百四十一円となっており、全国平均の一万五千六百三円と比較いたしますと低くなっておりますが、二十二年度の一万一千七百九十一円と比較いたしますと金額では二千五十円の増加となっており、着実に増加しております。 95 ◯小河誠嗣委員 今、説明をお聞きしましたのですが、残念ながら、八年やっても全国平均に追いつかないという実態がはっきりしたわけでございます。そもそも全国平均よりも福岡県の工賃がなぜ低いのでしょうか、お答えをお願いしたいと思います。 96 ◯中島障がい福祉課長 身体障がい、あるいは知的障がい、精神障がいの区分が明確でありました平成二十二年度の調査データによりますと、全国の知的障がい及び精神障がいのある方の就労を支援する施設の工賃、これが全体の施設の平均と比べますと約三割低くなっておりました。そして、本県の中を見ますと、知的、それから精神障がいのある方の施設の割合が一一%ございまして、全国平均が五%でしたので、約二倍という結果でございます。これが本県の工賃が低い要因の一つと考えられます。  また、平成二十九年度の本県の平均工賃を見ますと、事業開始から六年以上経過しているような施設、事業所、これが平均しますと一万四千九百九円、これに対しまして五年以下の施設、事業所の平均が一万三百五十円となっておりまして、この間に四千五百五十九円の差がございます。こうした事業開始から間もなく、工賃を上げることがなかなか難しい事業所、施設が本県全体の約四割を占めてございまして、これも本県の工賃が低いもう一つの要因ではないかと考えております。 97 ◯小河誠嗣委員 販売会や県の優先調達には限界があるのではないかなと思っております。ほかに何か取り組んでおられます施策があったらお知らせいただきたいと思いますが。 98 ◯中島障がい福祉課長 本県での工賃向上に向けました取り組みのお尋ねでございます。平成二十六年度から県が主導しまして、県庁の地下に共同受注窓口、それから常設の店舗というものを設置いたしております。運営は、工賃向上のために県内の施設が加盟して設立をされましたセルプセンター福岡が担っておりまして、県はその運営を支援させていただいております。共同受注窓口では、このセンターの専任の職員が施設に対する研修、あるいは企業や自治体への営業活動を行っておりまして、まごころ製品を紹介するウエブサイトも開設をしております。  また、県といたしましては、施設への集団指導を行っておりまして、こうしたことを通じまして、中小企業診断士などの専門家による経営相談窓口の紹介を行って、その活用を促しているところでございます。このほか農福連携についても着手しておりまして、障がいのある方の農業体験、マーケティングの専門家による講習会、マルシェの開催、JAと連携いたしました農業者とのマッチングなどを行っております。  その結果、就労継続支援B型事業所で支払われております工賃の支払い総額を見ますと、平成二十二年度の約五億三千万円に対しまして、二十九年度は十三億九千万円と約二・六倍にふえております。 99 ◯小河誠嗣委員 今、御説明いただいて、取り組みとしては理解するところもありますが、ただ、販売会に頼っている印象がございます。障がいのある方の工賃を向上させるためには、一過性の取り組みでなく、障がい者施設が今よりも多くの仕事を確保することへの手助けなど地道な努力が必要であると思います。今後、仕事の確保を本県が後押しすべきと思いますが、どうでしょうか、お願いします。 100 ◯中島障がい福祉課長 障がいのある方の就労を支援する施設の売り上げを伸ばし、工賃向上を目指すためには、まごころ製品のさらなる認知度の向上、それから継続的な販売に結びつきます取引先の拡大、こうしたことが重要と考えております。今後とも、これまで続けてまいりました情報発信や販売機会の提供を継続いたしますとともに、共同受注窓口を、企業や自治体、そして障がいのある方の就労を支援する施設に積極的に御活用いただきたいと思っております。それから、農業団体あるいは中小企業団体などとの連携を図りながら、障がいのある方の就労を支援する施設の安定的な売り上げ拡大につながるような支援を進めてまいりたいと考えております。  その際、先ほど申し上げましたように、新規参入の施設が比較的多いことや、こうしたところが工賃がなかなか高くならないといった本県の実情、あるいはそれぞれの施設が持っております得意分野、各地域の状況、障がいのある方の特性といったことを踏まえながら、支援のあり方を検討してまいります。 101 ◯小河誠嗣委員 次に、テレワークの推進について、テレワークの可能性について説明をお願いしたいと思います。 102 ◯畑中茂広副委員長 田島新雇用開発課長。 103 ◯田島新雇用開発課長 障がいのある方の中には、通勤時の負担が大きい、職場環境になじめない等の理由により、働く意欲や能力があっても就職できない人がおられます。一方、企業にとりましては、障がいのある方が職場になじめるかどうか不安があること、施設、設備にコストがかかることなどから、障がい者の雇用が十分に進んでいない状況がございます。このような中、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方であるテレワークにより、障がいのある方が適性や能力に応じて働くことができる場を提供し、就業の機会を大きく広げることができると考えております。 104 ◯小河誠嗣委員 では、テレワークの推進について課題がありましたら説明をお願いしたいと思いますが。 105 ◯田島新雇用開発課長 まず、企業や障がいのある方の就労支援を行っている機関等において、テレワークによる障がい者雇用の認知度が低いことや、テレワークによる障がい者雇用を導入している県内企業がほとんどないため、導入のイメージが湧かないことが挙げられます。また、テレワークを実施する上では、在宅勤務のための情報通信システムの整備や、在宅でできる業務の切り出し、それからテレワークに対応した就業規則の見直しといった就労環境面、制度面での整備や障がい特性に合わせた体調管理などが課題となっております。 106 ◯小河誠嗣委員 今、課題のお話があったわけでございますが、では、課題解決のためにどのような取り組みを県としては行っていきたいと考えているのか、説明をお願いします。 107 ◯田島新雇用開発課長 県では昨年度、有識者から成る検討会議を設置しまして、企業がテレワークによる障がい者雇用を導入するに当たって必要となる検討段階から採用、定着までの一連の対応につきまして、具体的な留意点や事例などをまとめた報告書を作成いたしました。今年度につきましては、この報告書を活用しまして、テレワークによる障がい者雇用の機運を醸成するための啓発セミナーの開催や県内企業での導入事例をつくるためのモデル事業の実施により、県内企業でのテレワークの導入促進を図りたいと考えております。 108 ◯小河誠嗣委員 最後に、障がいのある方の工賃向上と雇用に向けて、障がいのある方々に寄り添った取り組みをしっかり行っていただきたいと思っておりますので、部長の決意をお願いしたいと思います。 109 ◯畑中茂広副委員長 神代福祉労働部長。 110 ◯神代福祉労働部長 障がいのある方の工賃は、先ほど課長が御説明いたしましたけども、いまだにちょっと厳しい状況にあります。具体的には本県の平均工賃は一万三千円台、そして全国でも一万五千円台、こういったレベルでございます。この金額では、障がい者の年金をもらわれている方の年金を合わせても、なかなか自立というのは厳しいような状況にございます。  そういった意味では、何とか工賃をふやしていきたいという思いは私も強くありまして、課長時代からいろいろ取り組みを始めたところもあるんですけども、一方で、障がいのある方にとって就労するということは、賃金の多寡だけではなくて、働いてみずから稼ぐという喜びですね、それから働くことによる自信、そして社会に参加しているという充実感といった面も非常に大事な問題と考えております。このことから、障がいのある方の就労を支援する施設に対しましては、販売拡大による工賃向上はもとよりでございますけども、障がいのある方一人一人の実情、そして特性、何よりも障がいのある方の思いに寄り添った支援がなされるよう、県といたしましても指導等を通じまして努力していきたいと考えております。  また、障がいはあるんですけども、適切な環境などを整えれば正規雇用が十分可能な方もたくさんいらっしゃいます。こういった方たちに対しましては、テレワークという働き方が非常に大きな可能性を持つものと考えております。したがいまして、ぜひ県内で成功事例をつくっていって、障がいのある方にとってのテレワークという働き方が広がっていくよう努力してまいります。      〔正副委員長交代〕 111 ◯小河誠嗣委員 よろしくお願いします。終わります。(拍手) 112 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。津田公治委員。 113 ◯津田公治委員 自民党県議団、津田でございます。  通告に従い、児童虐待防止の取り組みと児童相談所の役割について質問させていただきます。  昨年三月の東京都目黒区の児童虐待事案を初め、重篤な事件が後を絶ちません。大きな社会問題となっております。今回は平成二十八年三月の予算特別委員会に続き質問させていただきます。  児童虐待は、県、市町村、警察など関係者が一体となって関与すべき問題であります。そして、最前線で虐待防止に取り組んでいるのは児童相談所であります。  そこで、最初の質問であります。県内には政令市も含め八カ所の児童相談所がありますが、この児童相談所が通報などを受け、虐待を疑い、実際に対応した件数はどのようになっているのでしょうか。  ここで、児童虐待対応件数の推移について執行部にあらかじめ資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。 114 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。  ただいま津田委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 115 ◯樋口 明委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま津田委員から要求がありました資料については提出できますか。福田児童家庭課長。 116 ◯福田児童家庭課長 直ちに提出いたします。 117 ◯樋口 明委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 118 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 119 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、津田委員、質疑を行ってください。 120 ◯津田公治委員 それでは、資料の説明をお願いいたします。 121 ◯福田児童家庭課長 この資料でございますが、平成二十六年度から三十年度におきます、県内の児童相談所が対応した児童虐待件数の推移でございます。政令市を含めた全体の件数は、グラフのとおり年々増加しておりまして、平成二十六年度の千九百五十二件から三十年度は六千九百八件と、約三・五倍となっております。虐待種別ごとの件数の内訳を見ますと、二十八年度以降では心理的虐待が全体の約五割と最も多く、次に身体的虐待、ネグレクト、性的虐待の順となってございます。 122 ◯津田公治委員 今、御説明をいただきましたが、児童相談所が対応する虐待件数は大きく増加しております。この増加の要因をどのように分析しているのでしょうか。 123 ◯福田児童家庭課長 まず増加の原因でございますが、家庭の養育力の低下に伴いまして虐待行為そのものが増加したこと、それから二つ目といたしまして、子供の目の前で親が配偶者に暴力を振るいます、いわゆる面前DVが心理的虐待に当たるとされまして、警察からの通告が平成二十八年度以降、大幅に増加したこと、それから三つ目に、児童相談所全国共通ダイヤルでございます「いちはやく」の広報、それから県民や学校関係者の意識の高まりによりまして通報がふえたことが主な要因と考えております。
    124 ◯津田公治委員 ただいま件数の増加の要因の一つに、児童相談所全国共通ダイヤル一八九「いちはやく」の広報があると説明がありました。虐待の早期発見・防止のためには、全国どこからでも、二十四時間、一八九番、語呂合わせの「いちはやく」をダイヤルすることで、最寄りの児童相談所へ通報や相談ができるこの取り組みは、第三者の目として非常に重要だと考えます。前回、二十八年三月の予算特別委員会でもただしましたが、一八九番「いちはやく」は音声ガイダンスが長く有料であることから、通報しようとした方が電話の途中で切ってしまうという問題がありました。これはどのように改善されたのでしょうか。 125 ◯福田児童家庭課長 全国共通ダイヤルでございます。これの音声ガイダンスにつきましては、平成二十八年四月に改善が行われまして、児童相談所に電話がつながるまでの時間が平均七十秒から三十秒に短縮されているところでございます。また、これまで携帯電話からの発信につきまして、地域の児童相談所につなぐため郵便番号の入力等が必要となっておりましたが、平成三十年二月からはコールセンター方式を導入いたしまして、音声ガイダンスにかわりオペレーターが対応することで、発信者の利便性の向上が図られたところでございます。それから、現在、このダイヤルは有料でございますが、国におきまして、今年度中に無償化の実施に向け準備が進められているところでございます。  こういったことによりまして、より一層、通告や相談しやすい環境が整うと考えております。 126 ◯津田公治委員 国では今年度中に無料化に向けて準備が進められているということであります。ますます使いやすくなりますように、早期発見につながりますことを期待しております。  また、この六月には札幌市の二歳の女の子が虐待により衰弱死するという事件が発生しました。札幌市の児童相談所が母親宅への同行を求める北海道警の要請を二度にわたり断るなど、児童相談所の対応の悪さが指摘されております。  そこでお伺いします。本県では県警との連携はどのようになっているのでしょうか。 127 ◯福田児童家庭課長 本県では、平成二十七年四月から二名の警察官を児童相談所に配置いたしまして、専門的見地からの助言、それから管轄警察署との連絡調整などを実施しているところでございます。また、虐待通告を受けました児童相談所が児童の安全確認を行うに当たって、保護者が面会を拒否した場合、それから保護者による威圧的な要求等が予想される場合は、管轄の警察官または児童相談所に配置されました警察官も同行いたしまして、立入調査等を行っているところでございます。  さらに、県、両政令市、県警の四者におきましては、児童虐待事案に関する情報共有につきまして、昨年十一月に新たな協定を締結いたしました。これまでの、警察から児童相談所への情報提供に加えまして、児童相談所から警察への情報提供を行うことによりまして、緊密な情報の共有を図り、児童虐待の未然防止と早期発見に取り組んでいるところでございます。 128 ◯津田公治委員 県警との連携はわかりました。このことは重要と考えられますので、今後ともどうぞしっかり取り組んでいただきたいと思います。  札幌市の話に戻りますと、市の児童相談所が北海道警との同行を断った理由の一つは、職員が少なく、夜間で体制が整っていなかったためと言われております。それでは、本県の児童相談所における夜間の対応はどのようになっているのでしょうか。 129 ◯福田児童家庭課長 夜間、休日の緊急案件への対応に当たりましては、県の児童相談所に電話相談員を配置しているところでございます。警察からの通報があった場合は、相談員から直ちに児童相談所の担当課長や係長などの役付職員に連絡いたしまして、速やかに担当職員が対応することとしております。また、警察以外からの通報や相談につきましては、その内容に応じて相談員から児童相談所の役付職員に連絡いたしまして、緊急に児童の安全を確認する必要がある場合には、警察からの通報と同様に対応しているところでございます。 130 ◯津田公治委員 夜間の警察との連携はわかりました。  札幌市の事例では、虐待対応件数が大きく増加する中、対応する児童相談所の児童福祉司の数が不足していたのではないかとの指摘があります。札幌市の児童相談所は、職員一人当たり百数十件の案件を抱えていたとも報道されています。  それでは、本県の児童相談所には現在何名の児童福祉司が配置されているのでしょうか、また一人当たりの虐待対応件数は何件になるのでしょうか。 131 ◯福田児童家庭課長 県では、児童虐待防止法が施行されました平成十二年度からこれまで、大幅な児童福祉司の増員に取り組んでおりまして、現在、県の六つの児童相談所には七十八名の児童福祉司が配置されているところでございます。また、一人当たりの虐待対応件数につきましては、三十年度の件数、三千五百十三件をもとに現在の児童福祉司数で計算いたしますと、一人当たり四十五件となっているところでございます。 132 ◯津田公治委員 本県は七十八名の児童福祉司で、一人当たりの虐待件数は四十五件。国が示していた目安が四十件ですので、これと比べると多い状況となっています。やはり児童福祉司のさらなる増員は急務と考えます。  国ではこの四月、児童福祉法施行令を改正し、児童福祉司の増員を図るとしています。この改正では、児童相談所の管内人口四万人当たり一人であった児童福祉司が三万人当たり一人に改められ、虐待件数加算などの配置もなされるとのことです。本県でもこの施行令に基づき、一刻も早く増員をしてもらいたいと思います。  また、児童相談所において、休日、夜間を問わず児童を保護し、保護者等からの相談を受け、そして指導を行う児童福祉司は、大変な負担を伴い、その職責は非常に重いと考えます。そのようなわけで業務の実務を踏まえた処遇の改善が必要だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。  また、児童相談所には虐待を受けた子供たちに心理的なケアを行う児童心理司も配置されています。この児童心理司の増員も必要と考えますが、県ではどのように対応していくのでしょうか。 133 ◯福田児童家庭課長 国におきましては、ことし三月に開催されました児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議におきまして、児童福祉司について手当などによる処遇改善を図ることを決定しているところでございます。また、今回の法改正におきまして速やかに処遇の改善に資するための国の支援について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされております。こういったことから、県といたしましてはまずは国の動きを注視してまいりたいと考えております。  それから、児童心理司の配置につきましては、今回の児童福祉法の改正によりまして、今後、国が政令におきましてその配置基準を示すことになっております。県といたしましては、その内容を踏まえまして計画的に児童心理司の増員を進めていくこととしております。 134 ◯津田公治委員 児童福祉司の処遇の改善、そしてまた児童心理司の増員等にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  社会の宝である子供たちの無限の可能性を引き出し、地域の未来を担う子供たちを社会全体で育て、守っていかなければなりません。そのためにも、子供たちの心と体に深い傷を残しかねない児童虐待を決して許してはなりません。物言えぬ児童や幼児を守るのは、私たち大人の責任であります。どんなささいな出来事でも関係機関で情報の共有を図り、連携を強化し、適切に対応すべきと考えます。  最後に、児童虐待防止に向け、部長の御決意をお聞かせください。 135 ◯樋口 明委員長 神代福祉労働部長。 136 ◯神代福祉労働部長 全国的に児童虐待件数が急増いたしておりまして、児童のとうとい命が失われるといった深刻な事案が後を絶っておりません。こういった現状におきまして、児童相談所が果たすべき役割はこれまでにも増して大きくなっているところでございます。国においても、昨今の深刻な事態を受け、児童福祉司等のさらなる増員など、児童相談所の体制強化を初めとする児童虐待防止対策の抜本的強化を進めていくこととしており、県といたしましても、増加する虐待案件に対し迅速かつ適切に対応できるよう、児童相談所の体制の整備を着実に進めてまいりたいと考えております。あわせて、今後とも警察を初めといたしまして市町村、学校等の関係機関が綿密に連携し、児童虐待の防止に向けた取り組みを一層進めるとともに、全ての子供たちが健全に育成されるよう、子供の安全確保や必要な支援の実施に取り組んでまいります。 137 ◯津田公治委員 部長より御決意をいただきました。児童相談所の体制の整備、そして児童福祉司、児童心理司の増員をどうぞよろしくお願い申し上げます。  さて、小川知事は常日ごろ、県民の安定、安全、安心の向上に全力を尽くすと言っておられ、さらに弱い立場にある方に寄り添う温かみのある行政を心がけるとも言っておられます。そのような中、近年大きな話題となっている児童虐待問題と児童相談所の重要性をどのように認識しておられるのか、知事のお考えをお聞きいたしたく、委員長、知事保留質疑のお取り計らいをお願いいたします。 138 ◯樋口 明委員長 ただいま津田委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。  なお、知事保留質疑は七月九日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 139 ◯津田公治委員 終わります。(拍手) 140 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。新井富美子委員。 141 ◯新井富美子委員 民主県政クラブ県議団の新井富美子でございます。きょうもよろしくお願い申し上げます。  まず、性暴力被害者支援センター・ふくおかの支援事業の概要と開設した平成二十五年度から昨年度までの地区別の相談件数について資料を要求いたしておりますので、お取り計らいをよろしくお願いいたします。 142 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。  ただいま新井委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 143 ◯樋口 明委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま新井委員から要求がありました資料については提出できますか。本田生活安全課長。 144 ◯本田生活安全課長 直ちに提出いたします。 145 ◯樋口 明委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 146 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 147 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、新井委員、質疑を行ってください。 148 ◯新井富美子委員 まず、資料の説明をお願いいたします。 149 ◯本田生活安全課長 それでは、配付資料につきまして御説明をさせていただきます。  まず、性暴力被害者支援センター・ふくおかの支援業務の概要でございます。  当センターでは、性暴力の被害に遭われた方を支援対象としまして、電話相談、面接、カウンセリング、警察や病院への付き添い、弁護士による無料相談、医療費の公費支出を行っております。また、一昨年からは、被害者が希望する場合、証拠資料採取を実施しております。相談時間は、平成二十七年十二月から二十四時間三百六十五日対応で、年中無休で開設をしております。また、医療的支援に際しましては、県内の二十四の医療機関の協力を得まして実施をしているところでございます。  次に二の地区別相談件数でございます。平成二十五年七月のセンター開設以来、相談件数、これは電話相談件数でございますけども、増加しておりまして、平成三十年度は年間二千三百件を超える電話相談が寄せられております。地区別の相談件数を見ますと、電話相談は福岡地区からの相談件数が最も多くなっておりまして、続いて北九州地区、筑後地区、筑豊地区の順になっております。  説明は以上でございます。 150 ◯新井富美子委員 ありがとうございました。  まず、この地区別相談件数を見ますと、福岡地区からの相談件数が突出して多くなっております。四地区の人口割合などから見ても、福岡地区以外の被害者からの相談が少ないように思われますけれども、これはどのような理由が考えられるのかお尋ねいたします。 151 ◯本田生活安全課長 県ではこれまで県内の全域におきまして、警察署、学校、市町村の公共施設等でのポスターの掲示やチラシの配布によりまして、また、全ての市町村担当者を対象といたしました研修を通じまして、センターの周知を行ってきたところでございます。  御指摘のとおり、人口、また性犯罪の認知件数、その構成比いずれを見ましても、全体に占める福岡地区の割合というのは大体五割でございます。これに対しましてセンターの相談件数の構成比は、今、御指摘いただきましたように、県外及び不明の件数を除いた全体では福岡地区の割合が七割ということでございます。このように福岡地区の割合が高いことにつきまして我々もいろいろと調べてみましたけども、さまざまな要因が考えられますけども、確たるものがちょっとございません。  ただ、申し上げたい内容といたしましては、やはり他の地区へのセンターの周知にさらに力を入れる必要があると考えております。このため現在、県内四ブロックで県内の市町村担当者の研修をやっておりますけども、実際に性暴力被害者支援センターで直接現場を見て、そこでセンターがどのような業務をやっているかという実情等も理解していただきながら、それを踏まえまして県内の各市町村においてそれぞれの住民の方にきめ細かくこのセンターの存在というものを周知していただく、このような取り組みを考えているところでございます。こうした取り組みによりまして、引き続き県内全域への周知というものを図ってまいりたいと考えております。 152 ◯新井富美子委員 ありがとうございました。  それでは、次は広域的対応なんですけれども、福岡県も随分広うございます。センターが所在する福岡地区以外からの被害者より相談があった場合には、直接支援の必要性がある場合、どのような形で対応されているのかお尋ねいたします。 153 ◯本田生活安全課長 当センターでは、二十四時間三百六十五日対応で県内の被害者から電話相談を受けておりまして、本人あるいは家族などからの求めによりまして、必要な場合は相談支援員が県内各地に直接出向いて、面接あるいはカウンセリング、病院への付き添い等の支援を行っております。また、病院での受診に関しましては、県医師会の協力を得まして、被害者の心情に配慮した対応や公費支出など、県の被害者支援に御協力をいただける協力支援医療機関が二十四ございますけども、こういった機関から協力を得まして、どの地域でも被害者が必要な医療的支援が受けられるよう体制を整えているところでございます。 154 ◯新井富美子委員 ありがとうございました。  電話相談、それから直接支援、いずれも件数が増加しております。これまでどのような相談体制の強化を図られてきたのでしょうか。また、今回の予算では、当センターの体制強化として、非常勤の弁護士、それから精神科医、常勤の社会福祉士の配置に関する経費を計上されておりますけれども、こうした専門職を配置することによる効果についてもあわせて説明をお願いいたします。 155 ◯本田生活安全課長 当センターでは、常時二名体制で二十四時間三百六十五日、電話相談を受けております。また、警察や病院への付き添いなど直接支援を行う相談員を一名配置しているところでございます。本年度は、相談内容が複雑多様化する中で、被害者の方からの相談に応じるセンター相談員への適切なアドバイスを行うということでございまして、本年度予算で精神科医、弁護士、社会福祉士といった三名の専門家の配置をお願いしているところでございます。  まず、精神科医につきましては、月二回、非常勤で配置をいたしまして、精神的ダメージが大きい被害者に対する支援方針を相談員に助言するとともに、相談員自身が支援の過程で心身に変調を来すということもございますので、そういった面でのメンタルケアの支援を行います。  また、弁護士につきましては、月二回、非常勤で配置いたしまして、刑事、民事を問わず、被害者の求めに応じた法的解決による支援方針を相談員に助言するということを行います。  最後に、近年、このセンターでは相談を寄せられる年齢というものが低年齢化しておりまして、学校、児童相談所等関係機関との連携の必要性が高まっております。こうしたことから、支援内容をコーディネートするスーパーバイザーとしての役割を果たしてもらうため、常勤で社会福祉士を配置することを今回お願いしているところでございます。 156 ◯新井富美子委員 ありがとうございました。  それでは最近、刑法改正の影響、またセンターの認知度の向上などによりまして、当センターでは男性被害者、性的マイノリティーの方々、それから低年齢者の被害者からの相談もあっていると伺っております。こうした被害者への適切な対応を図り、相談員の専門性を高めるため、その取り組み、どのような研修を行っておられるかお尋ねをいたします。 157 ◯本田生活安全課長 一昨年の平成二十九年の刑法改正によりまして、被害者を女性に限っていた強姦罪が廃止されまして、男性も対象とする強制性交等罪というものが新設されております。こうしたことも踏まえまして、男性の被害者あるいは性的マイノリティー者に対する適切な相談対応もふえるということでございますので、そういったことも踏まえました適切な対応が行えるよう、専門的な研修を行っております。また今年度は、最近増加しております子供の被害者の面談対応につきまして専門研修を行うなど、相談員の知識やスキルの向上に努めているところでございます。 158 ◯新井富美子委員 ただいまの質問、説明の中で、中学生など低年齢者の被害者からの相談が増加しているということでございますけれども、こうした若い世代が気負うことなく、気軽に相談できる対応として、何か御検討はされていますでしょうか、お伺いいたします。 159 ◯本田生活安全課長 低年齢者に対しましては、センターの相談窓口を周知するため、学校を初めコンビニ、駅など若者が集まる場所でポスターの掲示やチラシの配布などを行うほか、インターネットでの広報を行っております。電話での相談の場合につきましては、相談員が気持ちを丁寧に聞き、そのまま受けとめるなどの対応を心がけているところでございます。また、面接やカウンセリングなどセンターでの直接支援に際しましては、相談室にぬいぐるみを配置するなど、できるだけ落ちついた雰囲気の中で相談ができる環境づくりに努めているところでございます。現在、電話での相談を行っておりますけども、若い世代が気軽に相談できる対応を行うということで、今後、インターネットを活用した相談対応の導入について、今、センターのほうで検討を行っているところでございます。 160 ◯新井富美子委員 ありがとうございました。  冒頭に御説明いただきました資料の中で、医療費の公的支出の御説明がございました。基本的に初診料のみ公費負担ということですけれども、性被害による感染症検査の結果で陽性反応が出た場合、その後の治療費を現在では自己負担しなければならないということになっております。これは被害者に寄り添った支援を行う上では、今後、公費負担を行うことも検討すべきと考えますけれども、どのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。 161 ◯本田生活安全課長 医療的支援につきましては、被害直後の急性期、いわゆる被害に遭ってから一、二週間程度でございますが、ここでの対応というものが非常にその後の回復に大きく寄与するということで、非常に重要でございます。こうしたことから、初診料あるいは性感染症検査による医療費の公費負担を現在行っているところでございます。御指摘のような場合の対応につきましては、公費で治療費を負担する明確な理由が必要かと考えております。まずは他の医療費の公費負担の考え方、他都道府県の取り組み状況、あるいは県内の協力医療機関での取り扱い状況、こういったものを調べてまいりたいと考えております。 162 ◯新井富美子委員 ありがとうございました。  当センターは、医療機関、それから警察はもとより、市町村その他の関係団体または関係機関と綿密に連携して取り組んでいくことが不可欠でございます。特に性暴力の被害者のほとんどが女性という現実を鑑みましても、女性の活躍を担当する部長にリーダーシップをぜひ発揮していただきたいと考えております。  そこで、部長にお尋ねをいたします。今回の性暴力根絶条例の制定によりまして、性暴力被害者に寄り添った支援をさらに充実していただきたいと思いますけれども、部長の決意をお願い申し上げます。 163 ◯樋口 明委員長 山田人づくり県民生活部長。 164 ◯山田人づくり県民生活部長 私、四月に部長に就任をいたしましたが、その直後にセンターのほうを訪問させていただきました。相談件数の増加、あるいは相談内容が複雑多様化する中で、センターのスタッフの皆さんが本当に御苦労の多い業務に従事をされているという実情もお聞きしたところでございます。  こうした中、先ほど課長からも御説明申し上げましたとおり、今年度、相談員が被害者の方々の状況に応じた適切な対応ができますよう、精神科医、それから弁護士、社会福祉士といった専門家を配置する予算をお願いしているところであります。また、本年二月に議員提案により成立いたしました性暴力根絶条例に基づく施策を検討するために、性暴力対策検討会議を設置する予算を今年度お願いしているところでございます。この会議の中で、専門家の皆様や関係機関の皆様に被害者支援のあり方について協議をしていただくこととなっております。こうした議論を踏まえながら、引き続き被害者の方の支援にしっかりと取り組んでまいる考えでございます。 165 ◯新井富美子委員 ありがとうございました。それでは、今後の取り組みをさらに期待させていただきます。では、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 166 ◯樋口 明委員長 この際、しばらく休憩いたします。  再開は午後二時をめどに放送をもってお知らせします。    午 後 零 時 五 十 五 分 休 憩    午 後 二 時 零 分 再 開 167 ◯樋口 明委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き、議事を進めます。  第五款生活労働費について、ほかに質疑はありませんか。板橋聡委員。 168 ◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。  通告に従いまして、少子化対策に関する県の姿勢について質問いたします。  平成二十六年五月に日本創成会議が人口減少予測をもとに消滅可能性自治体を発表して五年がたちます。私も同じ平成二十六年六月議会の一般質問で、未婚化、晩婚化対策について質問して以降、予算特別委員会、決算特別委員会や子ども・子育て支援調査特別委員会など何度も執行部をただしてまいりました。ことし令和元年度には、少子化対策の方向性と具体的施策、事業を決める次期ふくおか子ども・子育て応援総合プランが策定される年度と伺っております。もとより結婚や出産は極めて個人的な問題であり、デリケートで扱いづらい一面がありますが、一定規模の人口を維持し地域が活力を持ち続けることは個人の幸せにつながると信じて、質問をいたします。  まず、通告に基づき、人口動態などの推移、出会い・結婚応援事業に関する予算などの推移に関する資料の提出を要求いたし、委員長のお取り計らいをお願いいたします。 169 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。  ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 170 ◯樋口 明委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。坪根子育て支援課長。 171 ◯坪根子育て支援課長 直ちに提出できます。 172 ◯樋口 明委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 173 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。
         〔資料配付〕 174 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。 175 ◯板橋 聡委員 簡潔に資料の説明をお願いします。 176 ◯坪根子育て支援課長 配付資料について御説明させていただきます。三枚ございます。  まず、一枚目の人口動態総覧の年次推移でございます。こちらの上のグラフになりますけれども、昭和二十二年から平成三十年までの全国の出生数、婚姻件数の推移をお示ししております。  二枚目の本県における出生数等及び出会い・結婚応援事業の状況についてをお願いいたします。  一の表につきましては、平成二十六年から五年間の本県の出生数等の推移でございます。出生数は、平成二十七年までは四万五千人程度で推移しておりましたが、平成二十八年以降、減少しておりまして、平成三十年は四万二千八人と、前年より千四百三十人の減少となっております。三番目の婚姻件数についても減少傾向となっており、平成三十年は前年より六百二十五組減の二万五千二百六十二組となっております。  二の未婚率の推移でございます。五十歳時の未婚割合につきましては、平成二十七年では、二十二年と比較いたしまして、男性で三・二七%、女性では三・四八%増加しております。  三は、昨年度実施いたしました福岡県子育て等に関する県民意識調査における出会い・結婚応援事業の認知状況と参加意向の調査結果でございます。  続きまして、三枚目の出会い・結婚応援事業に関する予算額の推移でございます。上の表は、平成二十五年度から本年度までの本事業に係る事業内容と予算の推移でございます。下の表は、出会い・結婚応援事業の平成二十五年度から三十年度までの事業実績でございます。  説明は以上でございます。 177 ◯板橋 聡委員 過去、私は、少子化対策の一丁目一番地は、結婚をし、家庭を持つことを希望する若者がふえ、その希望を実現できる社会にすることと訴えてまいり、小川知事にも賛同をいただきました。人口動態総覧の一枚目の資料の年次推移のグラフの婚姻件数と出生数を見ていただくと、この二つの数字は数十年前から明確な相関関係が見てとれます。婚姻数がふえれば出生数も増加し、婚姻数が減少すれば出生数も同様の動きをすると。日本社会において、統計的にも婚姻数が出生数の動きに直結するという認識を御共有いただけますか。 178 ◯坪根子育て支援課長 日本社会における婚姻数と出生数につきましては、明確な相関関係にあると考えております。 179 ◯板橋 聡委員 婚姻数がふえれば出生数の増加が期待できるというマクロ的視点から、出会い・結婚応援事業を実施していただいていると理解しております。そこで、県はどのように出会い・結婚応援事業に取り組んでいるのでしょうか。 180 ◯坪根子育て支援課長 出会い・結婚応援事業につきましては、まずは若者たちへの出会いの場の提供、カップリングによる結婚のきっかけづくりとともに、社会全体で若者の出会い、結婚という希望をかなえるための環境整備が重要であると考えておりますことから、出会い応援団体の登録拡大に取り組んでまいりました。登録拡大のために、昨年度、人口減少が企業に与える影響や実際に登録を行っていただいている企業経営者の声などをまとめたリーフレットを作成し、経済団体や事業者団体の例会等の各種会合において本リーフレットを活用した働きかけを行うとともに、更新時期を迎える全ての子育て応援宣言企業に対しまして登録の働きかけを行っております。また、出会い応援団体登録へのインセンティブとして、昨年度、出会い応援団体の登録証の交付を受けた企業、団体に対しまして、県の入札参加資格審査において、地域貢献活動評価として評価点を加算することといたしました。これらの取り組みの結果、出会い応援団体の登録数は平成三十一年三月末現在で千五百三十一団体となり、平成三十年三月末時点から八百七十二団体増加しております。 181 ◯板橋 聡委員 頑張っていらっしゃるみたいですけれども、しかしながら、二枚目の資料には余り芳しくない数字が並んでいます。先ほど坪根課長がおっしゃられたとおり、県の婚姻件数は平成二十六年、二万七千三百五十九件あったものが、平成三十年の概算値では二万五千二百六十二組に減っていますし、実は平成三十一年では、既に一月、四月の速報値が出ていまして七千八百二十件、これを大体三倍すると、何と二万三千四百六十組、ことしの婚姻数はなるのではないかと。これは平成二十六年と比べて八五%、一五%の減。同様に出生数も、平成三十一年の一月、四月の速報値を単純に計算しますと、三万九千九百二十四人の出生数が今年度見込まれるということで、これも一二%以上の減ということになっております。  私は決して、子育て支援課の皆さんが頑張っていないと言うつもりはございません。三枚目の資料の上段にあるとおり、ここ数年、ほぼ同額の限られた予算の中で、出会い応援団体数、あかい糸めーる会員数、出会いイベント開催数、参加人数、これは下段に書いてあるんですけれども、ちゃんとふやしていらっしゃいます。しかしながら残念なことに、このイベントを通じて成婚に至ったと報告する方は、これは一番下に書いてございますが、平成二十五年からほとんどふえていない。若干減っているぐらいです。そして同様に、県全体の婚姻数との相関関係もまだ出ていないと。  職員の皆さんの地道な努力や着実な実績を事業の最終目標である婚姻数の増加へつなげていくには、これまでの事業だけではなかなかうまくいっていない。つまり何か事業にプラスして、もっと予算や人をふやして新しい取り組みを行う必要があるのではないでしょうか。 182 ◯坪根子育て支援課長 本県では平成二十八年度から、社会全体で若者の出会い、結婚という希望をかなえるための環境整備といたしまして、全国に先駆けて企業に対し結婚応援宣言の取り組みを開始したところであり、現在は全ての出会い応援団体のトップに結婚応援宣言を行っていただいております。結婚応援宣言に取り組んでいただくことによりまして、経済団体や事業者団体の理解が深まりまして、会員企業の独身者を対象にした出会いイベントの新規開催など、各団体の自発的な取り組みが企画されるまでになっております。  また、福岡地域以外での出会いイベントの開催拡大を図るため、農業団体や幼稚園関係団体、医療機関などの団体と連携いたしまして、異なる事業者団体間での出会いイベントの企画支援にも力を入れて取り組んでいるところでございます。さらに、昨年度は九州・山口各県及び経済界が一体となり、結婚・子育て応援企業フォーラムを開催いたしました。本年度は企業における結婚支援の重要性やその効果的な取り組み事例などをまとめました啓発冊子の作成を行うことによりまして、企業、団体における結婚応援の機運をさらに高めてまいりたいと考えております。 183 ◯板橋 聡委員 私の質問は、新たな事業、人、予算、こういったものが必要なのではないかということでございます。課長レベルではここで新たな予算を約束するのが難しいのは理解いたしますけれども、今の答弁は今までの事業範囲の中でいろいろ工夫をしていきますということだと理解しております。  小川知事は、さきの知事選で発表した政策集において、現在、福岡県は前年から人口が増加した七都県の一つですと述べていますが、本県の人口がふえているといっても、ふえているのは福岡都市圏だけです。それも地方から若者が進学、就職で集まるような社会増が中心であり、自然増は少ないです。福岡市の出生数、婚姻件数はここ数年どのように推移していますでしょうか。 184 ◯坪根子育て支援課長 福岡市の婚姻件数でございます。平成二十七年では九千九百三組でございますが、平成三十年は九千五百三十二組と、婚姻件数につきましては減少しております。また、出生数につきましては、平成二十七年では一万四千七百九十七人でございますが、平成三十年には一万三千九百二十七人と、前年に比較しまして四百五十五人減少しております。 185 ◯板橋 聡委員 つけ加えますと、平成三十一年の速報値で見れば、婚姻数は恐らく令和元年で九千百二件で、五年前と比べると約九一%と一〇%近く減る。出生数におきましても、ことしの速報値で予想しますと一万二千八百七名、平成二十七年と比較して一三・五%ぐらい減るのではないかと予想されます。さらには、福岡市の合計特殊出生率は、ちょっと前のデータになりますが、一・二四ということで、福岡県内でも下位に属します。  知事は政策集において、ライフステージを切れ目なく支援して、結婚や子育ての希望をかなえますとして、若者の就業支援や企業の子育て支援、保育体制の充実等を政策として上げています。しかしながら、福岡市は、求人倍率あるいは給与水準は地方に比較してもはるかに高く、子育て支援の施策の質や量、こういったものも充実しているはずでございます。しかしながら、婚姻数や出生数がふえているわけではない。これは、知事がおっしゃる少子化対策のロジックをよく立ちどまって見直すタイミングではないのでしょうか。  実は、出会い・結婚応援事業の唯一の数値目標は、出会い応援イベント参加者数年間八千人で、これは昨年度達成を数字的にはしております。しかしながら、これがふえても、イベントを通じた婚姻報告の数、あるいは県下の婚姻件数、出生数はふえなかったわけで、やはり事業効果を検証し、本当に効果的な施策を打つためにも、もっと具体的な数値目標を立てて対策を行っていく必要があると考えますけれども、どのように思われるでしょうか。これは部長にお答えいただけますでしょうか。 186 ◯樋口 明委員長 神代福祉労働部長。 187 ◯神代福祉労働部長 今、具体的な目標をということでございましたけれども、先ほどもちょっと出ましたけども、今、私どものほうではプランに沿って目標も定めながらやっているところでございますけども、今後、新たなプランの作成を、次期ふくおか子ども・子育て総合応援プランというものの策定を予定しております。その中で、これまでも私ども、また知事も申しております、若者が結婚、子育てに夢や希望を持って、その希望をかなえ、子供を安心して産み育てることができる、子供が健やかに育つ社会づくり、子育てを地域全体で応援する社会づくりを進めていくといった総合的な中で、若者たちが希望を持って、また出会い、結婚し、子供を産んでいくということを目指しておりますので、そういった中で、今後策定を考えておりますプランの策定の中で、有識者の皆様ともいろんな御意見もいただきながら検討することになりますので、その中で今後、具体的な目標等をどう定めるべきかということもあわせて検討していきたいと考えております。 188 ◯板橋 聡委員 具体的な数値目標を定めていただけるということで、よろしくお願いいたします。  岡山県奈義町という町があるんですけれども、合計特殊出生率二・六という目標を自治体として掲げていらっしゃいます。小さな自治体ではありますけれども、平成十七年に一・四一だった出生率が平成二十六年には二・八一となって、その後も本州トップクラスの二・〇前後を維持しているそうです。  知事は人口減少を喫緊の課題と言われますが、どうにでも言いわけができるような間接的な数値目標を立てて、ここ数年そのプラン云々という話をされていたと。具体的な数値目標を迫ると、個人的な問題なので慎重であるべきとかわしてこられました。これでは現場の職員が魂を込めて少子化対策に取り組めるとは思えません。時代は令和となりました。新時代にふさわしい人口減少対策への意気込みを、ぜひ直接、知事にただしたく、知事保留のお取り計らいをお願いします。 189 ◯樋口 明委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。  なお、知事保留質疑は七月九日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 190 ◯板橋 聡委員 終わります。(拍手) 191 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。川端耕一委員。 192 ◯川端耕一委員 こんにちは。自民党県議団の川端耕一でございます。  聖火ランナーコースについて質問いたします。  私は、平成二十八年六月定例会の一般質問、また平成三十年度の予算特別委員会においても、この聖火リレーの実現について要望してまいりました。そのような中、来年の東京二〇二〇オリンピックの開催までいよいよ一年余りとなり、六月一日にはオリンピックに先立ち、聖火リレーの日程及びルートが東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会から発表され、本県においては、来年の五月十二日、十三日の両日に実施されることとなりました。また、昨日からは聖火ランナーの一般公募が全都道府県で開始されることとなり、オリンピックに向けた機運の高まりを見せているところであります。  前回の東京オリンピックは一九六四年(昭和三十九年)に開催され、私が生まれる前の開催ではありますが、記録によれば、聖火リレーの実施によりオリンピック開催の機運醸成だけではなく、日本列島の各地が活気づいたようです。今回の東京二〇二〇オリンピック聖火リレーにおいても、この機を捉え県全体を盛り上げるとともに、地域の特色を生かし地域の思いが込められた聖火リレーにしなければならないとの熱い思いを持って質問に入ります。  まずは六月一日に発表されたオリンピック聖火リレーのルート概要について説明をお願いします。 193 ◯樋口 明委員長 中平スポーツ振興課長。 194 ◯中平スポーツ振興課長 聖火リレーは、全国四十七都道府県をめぐりまして、本県では二〇二〇年五月十二日の火曜日、そして十三日の水曜日、二日間実施をされることとなっております。本県には佐賀県の佐賀市から聖火が届けられ、一日目は大牟田市から福岡市へ、二日目は築上町から北九州市へ、計二十の市町村をつなぎリレーが実施をされます。その後、山口県岩国市へ聖火が運ばれる予定となっております。 195 ◯川端耕一委員 前回のリレーでは、地元である門司港の和布刈公園に聖火台を設置し、船で関門海峡を渡り、山口県へ聖火を引き継いだという歴史があります。今回の聖火リレーでも特色ある聖火リレー、例えば世界でも類を見ない、門司には海峡地下の人道トンネルがあります。その関門トンネルや北九州市門司区と山口県下関市の間の関門海峡一キロメートルをまたぐ関門大橋でのリレーを実施するという声が地元にはたくさんあります、したいという声がありますが、その実施については考えをお持ちでしょうか。 196 ◯中平スポーツ振興課長 聖火リレーの運営につきましては、聖火が都道府県の間を移動する行程を含めまして、組織委員会が管理をすることとなっております。本県からは山口県に聖火が運ばれることとなっておりますが、現段階では車両による移動が予定をされているところでございます。委員御指摘の特徴的なルートで聖火を運ぶことにつきましては、地元の意向もお聞きしながら県実行委員会において協議をした上で、組織委員会に対し相談をしてまいりたいと考えております。  なお、聖火リレー実施市町村のルート詳細につきましては、現在、各市町村において、地域の魅力や特色を生かしたものとなるよう検討されているところでございます。 197 ◯川端耕一委員 聖火リレーは単に聖火を持って走るだけのものではないと思いますが、聖火リレーの一日の流れはどのようになるのでしょうか、教えてください。 198 ◯中平スポーツ振興課長 聖火リレーは、その日の最初の聖火ランナー出発時に聖火をトーチへ点火するセレモニーを実施した後、複数のランナーが聖火をつなぐリレーへと続きます。市町村でのリレーを終えた後、聖火はランタンに移されまして、車両で次の市町村へ運ばれることになっております。  なお、その日の最終聖火ランナー到着時には、その場所でセレブレーションを行うこととなっております。 199 ◯川端耕一委員 ただいまセレブレーションとありましたが、セレブレーションとは何を目的としたものか、また、どういった場所で開催されるのかお答えください。 200 ◯中平スポーツ振興課長 セレブレーションとは、最終聖火ランナーが到着した際に、組織委員会により聖火の到着や聖火皿への点火などを行うセレモニーでございます。聖火ランナーが到着する前には、都道府県実行委員会やパートナーと呼ばれるスポンサーによる工夫を凝らしたプログラムが実施をされることとなります。セレブレーション会場でございますが、一日目の最終区間である福岡市は博多駅前広場を、二日目の最終区間である北九州市では門司港関門海峡ミュージアムイベント広場を予定されております。 201 ◯川端耕一委員 セレブレーションでは、地元市民が独自に準備した聖火台に聖火をともすなど、地域の特色が紹介されるようなセレブレーションにすべきだと考えますが、その内容はどのように検討されるのかお尋ねします。 202 ◯中平スポーツ振興課長 聖火は組織委員会の管理下にございまして、聖火を点火する聖火皿などは組織委員会が設置をすることとなっておりますが、現段階ではその詳細は明らかにされておりません。委員がおっしゃいましたように、セレブレーションにおいて地域の独自性が取り入れられるようになれば、地域の皆さんの盛り上がりも大きなものになることが考えられることから、セレブレーションの独自性につきまして組織委員会に確認をいたしますとともに、リレー実施市町村とも連携をしながら地域の魅力を発信できる内容を検討してまいりたいと考えております。 203 ◯川端耕一委員 門司区の関門地域には、セレブレーション会場となっている関門海峡ミュージアムや、保存修理工事を終えグランドオープンした門司港駅など、魅力的な観光資源が豊富にあります。聖火リレーを契機として、その記念碑となる聖火台をつくるなど地域の魅力発信につなげるべきだと考えますが、県としてどのように認識しているのかお尋ねします。 204 ◯中平スポーツ振興課長 聖火リレー実施後も何らかの形でそのレガシーが長くその地に残ることは重要であると考えております。地域の皆様がそのレガシーとして何かを残したいとお考えの際には、その思いをよくお伺いしながら、どういう形で残すことが可能なのか、まずは組織委員会に確認の上、その方策について地元市町村と協議をしてまいりたいと考えております。 205 ◯川端耕一委員 最後に、地元門司のことばかりではなく、聖火リレーは二日間という限定された日程の中で実施しなければならないため、六十ある全ての市町村で実施することはできませんが、大事なことは、県内全体が盛り上がり、県民の皆さんが感動できる聖火リレーにしなければなりません。  そこで最後に、福岡県での聖火リレーの成功に向けた部長の決意をお聞きします。 206 ◯樋口 明委員長 山田人づくり県民生活部長。 207 ◯山田人づくり県民生活部長 委員から冒頭お話がございましたように、日本での夏季オリンピックの開催は、昭和三十九年以来、実に五十六年ぶりでございます。前回の聖火リレーにおきましても、日本全国はもとよりでございますが、本県においても大きな盛り上がりがあったと伺っております。聖火リレーでございますが、聖火リレーはスポーツの振興のみならず、地域の魅力発信や地域活性化にも大いに寄与するものであると考えております。聖火リレーが実施される市町村はもとよりでございますが、全ての市町村において県民の皆さんがオリンピックを身近なものとして感じていただくことができますよう、今後とも関係者の皆さんと知恵を出し合い、その成功に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 208 ◯川端耕一委員 ありがとうございました。(拍手) 209 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。浦伊三夫委員。 210 ◯浦 伊三夫委員 自民党県議団の浦でございます。  少し前に、四十歳から六十四歳のひきこもりの方が全国で六十一万三千人いると推計されておるということが新聞に出ておりました。これは大変大きな問題であると思っておりまして、本日はひきこもりの方の就労支援ということで質問をさせていただきたいと思います。  まず、ひきこもり問題の現状について、現在どのような年齢層の方がどの程度いるのか、また、どういう状態にあるのか御説明ください。 211 ◯樋口 明委員長 田上労働政策課長。 212 ◯田上労働政策課長 ひきこもりの現状につきましてでございます。都道府県ごとのデータはございませんが、内閣府が国全体の状況について調査をしたものがございます。これによりますと、十五歳から三十九歳層では、平成二十七年の調査時点で全国五十四万人、人口に占める割合が一・五七%、四十歳から六十四歳層では、昨年十二月の調査で全国六十一万人、人口に占める割合が一・四五%となっております。これを本県の人口に当てはめますと、十五歳から三十九歳層で約二・二万人、四十歳から六十四歳層で約二万人と、合計約四万人の方がいると想定をされます。  四十歳以上のひきこもりの方について見ますと、ひきこもりになった年齢が全年齢層に大きな偏りなく分布しておりまして、どのような年齢層からでも多様なきっかけでなり得るものとわかります。また、ひきこもりになってからの期間でございますが、七年以上の方が五割を占めておりまして、長期化している状況にございます。 213 ◯浦 伊三夫委員 県内に約四万人いらっしゃるということですが、いわゆる八〇五〇問題ということで、長期間ひきこもりが続いている方、中高年となった方が就労するために何が問題になっているのか、県としての問題認識をお伺いします。 214 ◯田上労働政策課長 ひきこもり対策は重要な社会問題と認識をしております。その中で、ひきこもりの方が社会的、経済的自立ができないまま中高年になり、一緒に暮らす御両親も高齢化をし、さらに社会的に孤立し、経済的にも困窮する、八〇五〇問題が表面化をしてきてございます。これは、御本人や御家族の生活にとって深刻な問題でありますとともに、就労による経済的自立に向けた支援を初め、行政としても解決しなければならない重要課題であると認識をしております。  長期間ひきこもりが続いた方は、人間関係や社会的なつながりが薄くなっていたり、長期にわたり社会経験が積めない状況が続いていたり、心身両面での健康に影響が出ているケースなど、一般的な求職者の方に比べまして困難を抱えている方が多い傾向にございます。このため、通常の就労支援であれば早期就職のために企業とマッチングするということとなりますが、ひきこもりの方の場合、個人の状態や環境に応じまして、社会生活上の支援から就労に向けた準備、就職活動の支援へと段階的できめ細かな支援を包括的に行う必要があると考えております。したがいまして、関係部局一体となって取り組んでいく課題と認識をしております。 215 ◯浦 伊三夫委員 このひきこもりの方に向けた就労支援について、県はこれまでどのように取り組みを行ってきたのか、取り組みの内容とその結果について説明ください。 216 ◯田上労働政策課長 県におきましてはこれまで、地域若者サポートステーション等の就労支援機関におきまして、ひきこもり地域支援センターですとか、ひきこもりの支援を行うNPO法人等の民間団体、こういった方々が支援しておられるひきこもりの方、この中で就労への関心の高さや本人の状態から、就労に向けて進めると考えられる方をこうした団体からつないでいただきまして、そうした方に就労支援を行うという形で進めてまいりました。地域若者サポートステーションでは、フリーターやニートの方、ひきこもりの方など就職に困難を抱える方に対しまして、臨床心理士による相談支援ですとか、短期の就労体験、家族向けのセミナーといった就労に向けたステップアップを実施しております。  結果でございますが、平成二十六年から三十年度までの直近五カ年で三千二十六名の方に御登録をいただきまして、二千百四十九名の方が就職決定をしております。この中でひきこもり地域支援センターからつないでいただいた方は十六名いらっしゃいます。そのうち七名の方が就職決定をしております。 217 ◯浦 伊三夫委員 平成二十六年から三十年までのデータで、地域若者サポートステーションからつないでもらったのが約三千名で、二千百名を就職決定していると。間違いなくひきこもり支援センターから、だから、ひきこもりの方とわかっている方の中で間違いなのが、つないでもらったのが十六名、そしてそのうち就職ができたのが七名、これが二十六、二十七、二十八、二十九、三十の五年間ということでよろしいですか。 218 ◯田上労働政策課長 全体数三千名の登録者の中には元ひきこもりであった方も含まれるかもしれませんが、現状はっきりわかっている方は十六名のうち七名就職ということでございます。 219 ◯浦 伊三夫委員 今後ますます高齢化が進む中で、ひきこもりは大変重要な問題であると思っております。このひきこもりの問題は、やっぱり県庁だけでなく、民間のひきこもりの支援をされている方とか、また一般の企業の方だとか、そういう方々に協力していただかなければいけないのではなかろうかと思っております。ひきこもりの方の就労支援のため県としてどのような対策を打つのか、そしてどのような目標というものを持ってやっていかれるのかお答えください。 220 ◯田上労働政策課長 ひきこもりの方の就労支援を行うに当たりましては、鬱病ですとかそういった精神疾患を抱える方をケアする医療関係機関、社会的孤立状態にある方などをケアする福祉関係機関、ひきこもり支援を行うNPOなどの民間団体、こうした方々から就職活動を始める段階に至った方を我々就労支援機関に支援に必要な情報とともに適切につないでいただくことが必要と考えております。当課ではこれまでも関係機関や団体を集めた連絡会議を行いまして、連携体制の構築や支援のための知見の共有を行ってまいりました。今後は中高年のひきこもりの方にも対応できるよう、協力関係を深めていきたいと考えております。  また、就労支援機関につないでいただいた方は、職についていなかった期間が長いことや就労に心理的なハードルを抱えておられる方が多いことを踏まえまして、適職審査や心理相談などを十分に行うなど丁寧な就労支援に努めてまいります。  なお、目標でございますが、ひきこもりの方全体のうちどの程度の方が就職活動ができる段階に至るか、これがなかなか予測できないという状況もございまして、具体的な目標数を定めることが困難な状況にございます。 221 ◯浦 伊三夫委員 今の御答弁もそうですが、先ほどは十六人の方をつないで七名就職ができたということ。はっきりした数字はよくわからないということなんでしょうし、今も具体的な目標数というものを定めることは困難というようなことを言われております。これは、やはりこれまで県がひきこもりのことに関して真剣に取り組んでこなかったからわからないのではなかろうかと思います。特に、平成二十七年に福岡県内に約二万人のひきこもりの方がいるということがわかっているわけです。そのときからひきこもりの方に対するいろいろな就労支援のデータだとか、また一元的にそういう人を専門で対応する部局などをつくってこなかった、そういうことをやってこなかったことが大きな問題だったのではないかと私は思います。  目標を定めないということは、対策をどうしようかなんていうことも真剣に考えないのではないですか。また、その結果はどうであれ、目標がないということは、その反省もしないということではないかなと思います。私は、一元的に入り口から出口まで対応する部署をつくってみてはどうかと思っていますが、部長、お答えください。 222 ◯樋口 明委員長 神代福祉労働部長。 223 ◯神代福祉労働部長 ひきこもりの状態にあることは、御本人、それから御家族の生活にとっても大変深刻な問題であるということはもちろんでございますけども、社会にとりましても、こうした方を就労による経済的自立に向かえるよう支援していくことは重要な課題であると認識しております。  これまで課長からも答弁しましたように、ひきこもりの方に対するいわゆる就労の支援は、その方の生活状態や社会とのつながりが就職活動ができる段階まで改善しているということが、就職の支援をするに当たっては前提となろうかと思っております。したがいまして、就労支援の前の段階で支援をしていただいているいろんな機関・民間団体等から、就職活動を始める段階に至った方を支援に必要な情報とともに我々のやっております就労支援機関につないでいただくということが、重要になろうかと思います。その上で、個別の方の状況に合わせまして丁寧に就労支援を行っていくということになります。  そういうことでございますので、就労支援を含めましたひきこもりの方への支援を、いわゆる全体としてどのように行っていくかということにつきましては、関係部局とも相談していきたいと考えております。 224 ◯浦 伊三夫委員 相談はいいんですけど、やっぱり入り口から出口までの一元的というか、そういったことをしっかり考えることというのが大事なのではないかなと思います。これまでのやり方というのは、やっぱり十六打数七安打と、野球で言えば結構いい成績なのかもしれないけど、十六人つないで、その中で七名しか就職に至っていない。あとの九名……。これは五年間の話ですからね。  では、一個聞かせてもらいたいです。この五年間の中で職員さんが対応された数というのはどのくらいかわかりますか。何人の方で十六人つないで、その七人が就職されたんですか。課長、教えてください。 225 ◯田上労働政策課長 一人の方に何人の職員がついてということでございますが、今、手元にデータはございません。また、その人の状況ですとか、その日によって対応できる職員数は変わってまいりますので、申しわけございません、一概にお答えができません。 226 ◯浦 伊三夫委員 わからないですよね。多分わからないだろうと思いました。だから、あんまりそういうことに対して真摯に取り組んでいないような気がするんです。だから、何人で対応するのか。五年間で十六打数の七安打ですよ。これはあんまりだと思わないですか。このままでいいと思いますか。部長、ちょっとお答えください。 227 ◯神代福祉労働部長 この十六人は、ひきこもりセンターから直接つないでいただいた数はこの人数しかわかっておりませんので十六人ということになりますけども、先ほど課長が答弁いたしましたように、お見えになった方の背景というのを、あなたはひきこもりでしたかというような形では確認できない部分が多うございますので、あくまでも直接センターからつないでいただいた方が十六名としかつかんでおりませんけども、先ほど答弁いたしましたように、関係機関とも今後どういう対応があり得るかということは相談、検討してまいりますので、ひきこもりの方をどういう形で捕捉した上で支援をしていけるかということについて、相談しながら検討したいと思っております。 228 ◯浦 伊三夫委員 課長はこの議会が終わると厚生労働省に戻られると聞いております。ぜひ県民に対してよい爪跡を残していただきたいなと思います。先ほどの答弁の中で課長からも、関係部局一体となって取り組むべき課題ということを言われておりましたが、何でそれは関係部局一体となって取り組んだほうがいいと考えてあるんですか。 229 ◯田上労働政策課長 先ほど部長から申し上げましたように、就労支援を行う、ひきこもりの方に最終的に仕事についていただく、このためには就職活動をしていただく必要があるわけですが、ひきこもりの状態からいきなり就職活動をすることは現実的に難しゅうございます。したがいまして、その前の段階の支援からつかさつかさ、一つ一つ段階を追って、まず家から出る、社会関係をつなぐ、場合によっては訓練をする、そして最後、就職活動をすると流れていくわけでございますが、一つ一つはそれぞれの専門機関がございます。ただ、そこを最初から最後のところまでうまく切れ目なくつないでいく、こういった支援というものも形として考えられるわけでございまして、そういった意味で、そこを一体的につなぐということで一体的なものが必要と申し上げました。 230 ◯浦 伊三夫委員 恐らくそのとおりなんですよ。やっぱり一体的につないで、入り口から出口まで同じ思いを持って、同じことを考えながら、情報も連絡しながらやっていくというのが、やはり一番いいと思います。だから、一元化というか、一体となってやるためには、同じ部署で、同じ部局でやったほうがいいんだと思っております。このことについて、一元化にした組織に変えたほうがいいと思いますが、部長、再度お答えください。 231 ◯神代福祉労働部長 繰り返しの部分もございますけども、一元化するかどうかというよりは、それぞれの関係機関が連携して一連の支援をしていくという考え方もありますので、まずは関係しています機関と相談しながら、どういった支援のあり方がいいかということを検討したいと思っております。 232 ◯浦 伊三夫委員 わかりました。課長は一体的にやったほうがいいと、部長は関係機関と協議をするということで、これ以上言っても話が進まないようなので、ぜひ知事にそのことを聞きたいなと思っておりますので、知事保留質疑のお取り計らいをよろしくお願いします。 233 ◯樋口 明委員長 ただいま浦委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。  なお、知事保留質疑は七月九日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 234 ◯浦 伊三夫委員 ありがとうございました。(拍手) 235 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。渡辺勝将委員。 236 ◯渡辺勝将委員 自民党県議団の渡辺勝将でございます。  通告に従い、質問いたします。
     昨年十二月、今後五年間の福岡県のスポーツ振興の方向性を示す福岡県スポーツ推進計画の中間見直しが行われました。本計画では、スポーツ立県福岡の実現が基本理念として掲げられ、七つの施策の柱が示されています。本計画を議会に提案された際、我が会派の代表質問において基金の必要性をただし、また、計画の審査を付託された県民生活商工委員会において、計画的、集中的、そして継続的に施策を推進していくためには、何よりも必要な財源を安定的に確保しておく必要があるが、本計画にはそのことが盛り込まれていないとの議論が行われました。その後、計画の中に、スポーツ振興の取り組みを加速させ、充実強化させていくために、新たな基金の創設について課題を整理し、関係者と具体的な検討を進めますとの内容が記載され、委員会で採択し、十二月議会で議決されました。  基金の創設について検討すると示されたわけでありますが、この基金については、九州の自立を考える会からの提言の五番目の柱、スポーツの振興、スポーツ関連産業の育成等の中でも、九州スポーツ振興財団の設立として示されております。さらに、平成二十八年度の予算特別委員会においても、私の質問に対し、今後、関係者と十分に意見交換、協議を行ってまいるとの答弁をされています。  ことしはラグビーワールドカップがアジアで初めて我が国で開催され、本県でも三試合が行われます。また、来年にはいよいよ夏季大会としては実に五十六年ぶりの日本開催となる東京オリンピックパラリンピック競技大会が開催されます。この二年間はスポーツに大きな関心が集まる時期であり、今こそスピード感を持ってスポーツ振興の取り組みを進めていかなくてはならないと感じております。だからこそ、数年前から、その財源確保の方策として基金の創設を提言してきたわけであります。  知事は、今議会の議案説明において、スポーツ立県福岡の実現に向けた取り組みを進めると力強く発言をされました。知事のスポーツ立県との発言が絵に描いた餅ではなく、福岡県のスポーツそのもの、そしてスポーツの力で福岡県内各地域を活性化させていくためには、その振興に欠かせない財源、すなわち基金の創設は急務であると感じております。  そこで、本日はスポーツに関する新たな基金の創設についてお尋ねいたします。計画の中には、新たな基金の創設について検討を進めると記述しておられますが、具体的にはどのような検討をされてきたのかお尋ねいたします。 237 ◯樋口 明委員長 中平スポーツ振興課長。 238 ◯中平スポーツ振興課長 現在、スポーツを所管しております私ども人づくり・県民生活部と教育委員会とで検討を重ねているところでございまして、新たな基金を設置する目的やその規模、どのように財源を確保するのかなどといったことについて検討を続けているところでございます。 239 ◯渡辺勝将委員 このたび中間見直しを行った福岡県スポーツ推進計画では、主にどのような施策に取り組むこととしているのかお答えください。 240 ◯中平スポーツ振興課長 本計画は、福岡県のスポーツそのものをより元気にしていくための三つの柱と、スポーツの力で福岡県をより元気にするための四つの柱、合わせて七つの柱を掲げております。その中では、スポーツにかかわる人をふやすことや子供のスポーツ機会の充実、本県アスリートの競技力の向上、また、大規模スポーツ大会の誘致・開催、スポーツを通じた健康づくりや生きがいづくり、そして国際交流の推進などを主な取り組みとして示しております。 241 ◯渡辺勝将委員 基金は、その中でどういう考え方のもとで、何を目指して活用されていくお考えなのかお尋ねいたします。 242 ◯中平スポーツ振興課長 スポーツの振興に向けまして、現在もさまざまな取り組みを進めておるところでございますが、これらの中でも特に安定的かつ継続的な取り組みが求められるトップアスリートの育成に、また、大規模スポーツ大会の誘致・開催等には多くの財源が必要となることから、これに活用することを目的とする方向で検討しているところでございます。 243 ◯渡辺勝将委員 冒頭に申し上げましたとおり、今はスポーツ振興に向けた大きなチャンスの時期であると考えます。逆を言えば、この時期を逃せば、本県のスポーツ振興は他県におくれをとるのではないかと危惧しているところでもあります。計画にも具体的な検討を進めると示された基金創設に向けた予算が今年度当初予算の中に入っておりません。それはなぜでしょうか、お答えください。 244 ◯中平スポーツ振興課長 基金の創設につきましては、基金の目的、また、その目的のためにどれくらいの規模が必要であるのか、その管理をどのように行うのかなどとあわせまして、関係団体との協議も必要でございます。これらのさまざまな課題について現在、慎重に検討を重ねているという段階でございます。 245 ◯渡辺勝将委員 今、御答弁をいただきましたけども、具体的な検討から、慎重に検討を重ねているという答弁に変わったところでもあります。余りにもスピード感が感じられないと思っているところであります。本当に基金は必要と考えて検討されているのか、スポーツを所管する課長として基金は必要だとお考えですか、お尋ねいたします。 246 ◯中平スポーツ振興課長 本県から継続的に世界で活躍できるトップアスリートを輩出していくためには、計画的かつ継続的にその育成強化に向けた取り組みを進めていくことが重要であると考えております。そのためには毎年度安定的に措置できる財源が必要であると思います。また、私自身、これまで大会の誘致やキャンプ地の誘致活動に取り組んでまいりましたが、その交渉の過程では、大会の主催者であります競技団体の皆さん、キャンプ地を選定する各国のオリンピック委員会や監督、コーチの方々と協議する場面が数多くございました。その際、大会の開催や受け入れに係る財源について問われる場面もございまして、こうした交渉を効果的に進めていくためには、大会の開催などを担保できる裏打ちとなり、かつ機動的に活用できる財源が必要でございます。このため御指摘の基金は必要であると考えております。 247 ◯渡辺勝将委員 課長からは基金は必要だという御答弁をいただきました。  それでは、同じ質問を部長に対してもお尋ねいたします。部長はスポーツ振興に関する新たな基金が必要であるとお考えでしょうか、お尋ねいたします。 248 ◯樋口 明委員長 山田人づくり県民生活部長。 249 ◯山田人づくり県民生活部長 冒頭、委員のほうからも御指摘がありましたが、昨年度見直しを行いました福岡県スポーツ推進計画におきましては、その施策の推進に当たって新たな基金の創設について課題を整理し、関係者と具体的な検討を進めていく等を明記させていただいたところでございます。先ほど課長からも答弁申し上げましたが、トップアスリートの計画的、継続的な育成強化には、毎年度安定的に措置できます財源が必要であると考えております。また、大規模スポーツ大会の誘致・開催などの際には、大会の開催を担保できる裏打ちとなり、かつ機動的に活用できる一定規模の財源も必要となります。こうしたことから、私としましても基金は必要であると考えております。 250 ◯渡辺勝将委員 今、部長、そして課長からも必要だという御答弁をいただきました。今まで答弁の中には、協議をする、そして具体的検討をするというような御答弁の中で、さまざまな会議を開かれたのだと思っております。私は一般で普通の民間の仕事をしておりましたので、普通は会議をする、そして何か目標を見つけたときには、どのくらいまでの時期にこれをやっていくのかどうかというようなプランを立てながら会議が進んでいくんだと思っております。  この日程についてお聞きしても、部長、課長からは御答弁をいただけないと思われますので、ぜひこれはスポーツ立県を掲げられております、そして部長も課長もこの財源は必要だという答弁をいただいておりますので、委員長、ぜひ知事保留質疑のお取り計らいをよろしくお願いいたします。 251 ◯樋口 明委員長 ただいま渡辺勝将委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。  なお、知事保留質疑は七月九日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 252 ◯渡辺勝将委員 終わります。(拍手) 253 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 254 ◯樋口 明委員長 ないようですので、以上で、津田委員、板橋委員、浦委員、渡辺勝将委員の知事保留質疑を残し、第五款生活労働費に関する質疑を終わります。  次に、第六款農林水産業費について説明を求めます。鐘江農林水産部長。 255 ◯鐘江農林水産部長 六款農林水産業費につきまして御説明をいたします。お手元の令和元年度予算に関する説明書の二百三十九ページをお開き願います。  まず、一項農林水産業企画費でございます。その主なものは、ページが飛びまして二百四十一ページになりますが、二目農山漁村振興費の右側説明欄、上から五番目の多面的機能支払事業費でございます。これは、農地や水路等の保全を図るものでございます。合計は、ページが飛びまして二百四十六ページでございますが、一番上の計の欄、九十六億七千万円余をお願いしております。  次に、二項農業費でございます。その主なものは、次の二百四十七ページになりますが、二目園芸振興費の右側説明欄、一番下の園芸作物振興対策費でございます。これは、収益性の高い園芸農業の振興を図るものでございます。合計は、ページが飛びまして二百五十一ページの上の計の欄、百四億八千八百万円余をお願いしております。  次に、三項畜産業費でございます。その主なものは、一枚めくっていただきまして二百五十二ページに参りまして、下の二目畜産振興費で、右側説明欄では二百五十三ページになりますが、上から二番目の畜産振興総合対策費でございます。これは、畜舎整備等の生産対策を行うものでございます。合計は、一枚めくっていただきまして二百五十四ページでございます。一番上の計の欄、十八億九千五百万円余をお願いいたしております。  次に、四項農地費でございます。その主なものは、次の二百五十五ページに参りまして、二目農村整備費で、右側説明欄では、一枚まためくっていただきまして二百五十六ページになりますが、上から二番目、県営ため池等整備事業費でございます。これは、農業用ため池の改修等を行うものでございます。合計は、次の二百五十七ページでございますが、計の欄、百八十一億六千四百万円余をお願いいたしております。  次に、五項林業費でございます。その主なものは、ページが飛びまして二百六十二ページになりますが、四目治山費の右側説明欄、上から五番目の治山事業費でございます。これは、山地災害の復旧、防止を行うものでございます。合計は、またページが飛びまして二百六十六ページでございます。計の欄、百四十三億一千九百万円余をお願いいたしております。  次に、六項水産業費でございます。その主なものは、ページが飛びまして二百六十八ページになります。二目水産業振興費の右側説明欄、上から七番目、沿岸漁場整備開発事業費でございます。これは、漁場の整備や改善を行うものでございます。合計は、またページが飛びまして二百七十五ページでございますが、一番下の計の欄、七十六億三千六百万円余をお願いしております。  以上で農林水産部所管の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 256 ◯樋口 明委員長 説明は終わりました。  これより質疑を行います。質疑はありませんか。十中大雅委員。 257 ◯十中大雅委員 自民党県議団の十中でございます。  荒廃農地対策並びに農業における労働力の確保について質問させていただきます。  私の地元であります久留米市は、米、麦、大豆、そして野菜を初め果物など豊かな農産物を生み出す、県内でも有数の農業地帯であります。しかしながら、農家の高齢化が進行し、特に栽培条件が不利な地域においては、耕作を放棄した農地が多く見られるようになってまいりました。荒廃農地の発生は、農地の有効利用を図れないだけではなく、病害虫の発生や雑草の繁茂、用排水施設の管理などへの支障が考えられ、周辺の営農環境にも悪影響を及ぼす要因になると考えております。また、景観の悪化やごみの不法投棄や火災の発生の原因となることなどが懸念をされており、農村地域の生活環境にも影響を及ぼしかねない重要な課題であり、再生利用や営農の定着、発生防止などのさまざまな視点から荒廃農地の対策に取り組む必要があると思い、質問をさせていただきます。  まず、本県の状況についてお尋ねいたします。本県の荒廃農地の状況はどのようになっていますでしょうか、状況についての説明並びに全国と比べてどうなっているのかをお尋ねいたします。 258 ◯樋口 明委員長 成末農山漁村振興課長。 259 ◯成末農山漁村振興課長 本県における平成二十九年度の荒廃農地面積は四千七百八十ヘクタールとなっており、本県の耕地面積八万二千六百ヘクタールに占める割合は五・八%の状況であります。全国における荒廃農地面積は二十八万二千九百二十二ヘクタールで、耕地面積に占める割合は六・四%となっており、本県は全国に比べ低い状況にあります。 260 ◯十中大雅委員 説明はわかりました。耕地面積に占める割合の中では全国に比べて福岡県は若干低いということでありますけども、しかしながら、その中でも六%は荒廃農地になっているということでありますので、それは厳密に受けとめなければならないと思っております。  それでは、これまで本県として、そのことに対してどのように取り組んでこられたのか、説明を願います。 261 ◯成末農山漁村振興課長 県では、市町村や農業委員会と連携を図りながら、毎年、荒廃農地の発生状況や再生利用の可否などの実態を把握しております。また、国の荒廃農地等利活用促進交付金を活用し、耕作者となる担い手が行う雑草や雑木の除去、整地などの作業を支援するとともに、土地の条件に適した農地の選定や栽培指導を行ってまいりました。 262 ◯十中大雅委員 荒廃農地対策として毎年、荒廃農地の実態調査を行い、把握していただいておる。そして、国の荒廃農地等利用促進交付金を利用して、荒廃地の再生の活用に支援を行ってきたということであります。  しかしながら、今、言われました荒廃農地等利用促進交付金が三十年度で終了したということを聞いております。この交付金は、農業者による小規模な荒廃地対策への支援などを行ってきたもので、私の地元であります久留米市においても、平成二十九年度、三十年度の二カ年間で、この交付金を活用し一・五ヘクタールの荒廃農地を解消するとともに、そこでソバの栽培を行っているという状況もございます。  この交付金が終了し、福岡県として今後、それではどのように対応していただけますか、お聞きいたします。 263 ◯成末農山漁村振興課長 この交付金については、他の国庫補助事業で代替が可能との理由から、国では廃止をしたところです。代替が可能な事業の例としましては、地域の共同活動による荒廃農地の発生防止、再生を支援する多面的機能支払制度や、簡易な農地整備による荒廃農地の再生を支援する農地耕作条件改善事業などがございます。今後はこうした事業の活用を進めてまいります。 264 ◯十中大雅委員 別のメニューの国庫補助により活用して、荒廃農地の対策を進めていくという考え方はわかりました。しかし、今後も農業者の、先ほどから言います高齢化は進展していくばかりでありますし、荒廃農地がふえていくということも予想されることであります。  その中で、個々の農家が行う小規模な荒廃農地対策への支援、この積み重ねが私は大切なことであろうと常々考えております。例えば、先ほどお話をしましたけど、私の地元の久留米市で、交付金を活用した一・五ヘクタールの荒廃農地の解消についてですが、これはJAの青年部が取り組んだ事業でありまして、JA青年部では、荒廃農地を再生して、そこでソバを栽培し、そして栽培面積を徐々にふやしていくことによって、地域のいろんなお祭りや催しなどで、そば打ち体験を実施したり、六次化商品の開発などにも力を入れております。私は、こういう取り組みが大事だろうと思っております。今後も彼らは栽培面積をふやしながら頑張っていくという意気込みを見せておりますし、そのことを全国の青年の発表会でも実施例として発表してくれました。  この取り組みについてですが、荒廃農地を解消するだけではなく、やはり再生していって、農地を継続的に守りながら営農を行っていただく、そういう仕組みづくりを考えていかないと、この問題はなかなか解決しないと私は思っております。それはいわゆる地域の活性化にも大きくつながっていくことだろうと考えております。  そこで、お聞きをいたしたいと思います。県では、昨年度から荒廃農地対策で新たな取り組みを始められたそうですが、それはどのような取り組みか教えてください。 265 ◯成末農山漁村振興課長 県では、昨年度から県の単独事業として、農業者と企業等から成る協働組織が荒廃農地を再生して行う農作物の生産や加工品の開発などの取り組みを支援しております。昨年度は三地域で活動が開始され、再生した農地において、苅田町等覚寺地区ではソバ、糸島市福吉地区ではアマナツ、うきは市小塩地区ではタカナを栽培し、それぞれ加工品の開発が行われております。今後もこの取り組みを進め、この成果を県域に広げてまいります。 266 ◯十中大雅委員 新たな取り組みは、まさに再生した農地を、先ほどから言いますように、営農が継続的に進められる、そのような可能な仕組みを支援していくということでありますし、そのことには私も共感を覚えているところであります。しかし、課長が答弁されました県単独事業での取り組みの成果というものを県域に広げていくためにも、もっともっと農業者が小規模な荒廃農地対策への支援を継続的にやっていくということが、私は一番肝要なことだろうと思っておりますので、そのことも含めてしっかり取り組んでいただきたいと思います。  次に、農業における労働力確保についてであります。  もちろん、日本全体の人口減少、高齢化が進展していく中で、農業分野においても農業従事者の減少や高齢化が進んでいる、これは間違いのないことでありますし、もとより今後は担い手不足が懸念されているのが、今の農業の現状であろうと考えております。農業センサスによりますと、福岡県の農業就業人口は、平成十七年、九万五千二十三人だったのが、平成二十七年には五万六千九百五十人と約四〇%も減少をしているのが現状でありまして、平均年齢は六十一・九歳から六十五歳に、約三歳も高くなっているのが現実だろうと思っています。  農業の担い手不足の対策として福岡県では、新規就農支援を力強く取り入れて頑張っていただいております。その結果、平成二十九年度は三百八十人の新規就農者を確保しているのも現実であります。また、農業機械や施設の導入支援や農地中間管理機構による農地の集積支援などによって、農業経営の規模拡大や雇用型経営を進められてこられました。福岡県農林水産振興基本計画においても、農業経営の複合化、法人化、雇用導入による規模拡大を通じて経営の安定化を促進していくということをうたわれているのが現状であります。  しかしながら、農業者から、雇用労働力の確保が大変難しいという声が最近とみに聞かれてまいりました。農業の担い手である農業経営者の確保ももちろん大切だし、この方たちを育成していくというのは重要な課題であります。雇用型経営が進展している状況の中で、労働力確保は喫緊の課題だろうと私は考えております。もとより私の地元であります久留米市では、年間を通して出荷ができるコマツナやミズナ等の葉物野菜の大規模な生産者が多く、その多くは外国人技能実習生を受け入れて頑張っておられます。  そこで、お尋ねをいたします。農業分野において県内でどれほどの外国人技能実習生がいるのかお答えください。 267 ◯樋口 明委員長 重松経営技術支援課長。 268 ◯重松経営技術支援課長 福岡労働局の外国人雇用状況の届け出状況によりますと、本県における外国人労働者数は、平成三十年十月時点で約四万六千人となっております。そのうち農業分野は千三百七十八人でありまして、委員御指摘のとおり、葉物野菜や花などの施設園芸で多く受け入れられている状況でありまして、その数は年々増加をしております。また、そのほとんどが技能実習生となっております。 269 ◯十中大雅委員 今のお答えでは、外国人技能実習生がふえているということでありますし、その技能実習生の受け入れについてはどのような課題があるのでしょうか、教えてください。 270 ◯重松経営技術支援課長 現在、技能実習生を受け入れている農業者の多くが、引き続き受け入れたいという意向を示してあります。その一方、意思の疎通や生活習慣の相互理解に難しさを感じるとか、受け入れの際の手続が煩雑、それから農繁期と農閑期がありまして年間を通した作業の確保が難しいといった声や、以前と比べ実習生を確保しづらくなっているという声も聞かれております。 271 ◯十中大雅委員 技能実習生の確保がしづらくなっているというのはよくわかります。しかしながら、本年四月に改正法が施行された出入国管理及び難民認定法、いわゆる出入国管理法では、新たな在留資格、特定技能が創設され、もちろん農業を含む十四の業種で外国人材の就業が可能となってまいりました。この新たな在留資格についても今後、研究していくことが必要だとも考えます。福岡県の対応状況、今後の取り組みについてお尋ねいたします。 272 ◯重松経営技術支援課長 県では、この新たな制度を広く周知するために、本年三月に市町村や受け入れを考えている事業者、関係団体を対象とした制度の説明会を開催しております。この説明会には多くの農業関係者が参加されておりました。また、情報共有や施策推進の調整を図るため県庁内に連絡会議を設置するとともに、六月には県、国、市町村、業界団体、士業団体等から成ります外国人材受入対策協議会を設置しております。農業分野におきましては、この協議会を活用するなどして、課題の整理やどういった対応が必要であるかなど検討してまいりたいと考えております。 273 ◯十中大雅委員 先ほどから申し上げておりますように、だんだん外国人実習生が確保しにくくなってきたという声を本当に頻繁に聞くようになってまいりました。その理由の一つとしては、やっぱり日本と中国の賃金の格差が非常に縮まってきた、小さくなってきた。これまで日本に実習生として来日していただいた東南アジアの方々が、中国を初め他の地域にも労働力となって行くということが指摘されておるようでございます。改正出入国管理法において今後、多くの人材が見つかればいいんですけど、外国との賃金格差だけではないんですよ。これは国内でもそういう格差が始まりつつあります。関東や関西、都市部の賃金面などにこの地域がおくれをとる、負けてしまうようなことになっていくということも否定はできないと思います。  そういうことも含め、今後、福岡県の農業が被雇用者に選ばれるような、逆にここで就業してみたい、実習をしてみたい、そういうことを思っていただけるような取り組みをどう考えておられるのかお答えください。 274 ◯重松経営技術支援課長 新たな在留資格となります特定技能につきましては一定の技能や語学力のある外国人を確保でき、在留期間も五年まで延長されることから、雇用労働力が不足した場合には活用できる制度ではないかと考えております。  一方で、委員御指摘のとおり、特定技能では優良な人材が、賃金が高く、より好待遇、待遇がよい職場に移ってしまい、同じ職場に定着しないということが懸念されております。人材を安定して確保するためには、労働条件の整備やそのための受け入れ側の意識改革といった課題があることを認識しております。県としましては、全国の情報を広く収集しながら、制度の活用に当たってはさまざまな課題への対応について、先ほど申しました協議会の場を活用するなどして検討するとともに、農業者との情報共有を図ってまいりたいと考えております。 275 ◯十中大雅委員 荒廃農地対策及び農業分野における安定的な人材確保に向けた外国人材に対する福岡県の考え方、四月から部長に就任されて、地域のこともよく熟知してあります鐘江部長に、これまでの経験を生かした熱い思いでこの問題にどう取り組んでいただけるのか、力強い御所見をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。 276 ◯樋口 明委員長 鐘江農林水産部長。 277 ◯鐘江農林水産部長 まず、荒廃農地でございます。農地の有効利用、それから洪水防止などの多面的な機能を図る観点からも、その発生防止、そして再生に努めていく必要がございます。このため、先ほど課長も申しましたような国の事業の活用、それに加えまして県単独事業を実施して荒廃農地の再生に取り組んでいきます。また、小規模な荒廃農地につきます支援につきましては、国に対しまして引き続き継続するように要望をしてまいります。  また、外国人材につきましてでありますが、私どもといたしましても必要な人材とは思っておりますが、まずは賃金を初めとしましたさまざまな課題に対応していくことが先決かと考えております。さらに、この外国人材も含めまして、農業分野での雇用労働力の確保、安定確保というものをやっていくためには、受け入れる農業者の経営力の強化と申しますか、賃金をきちんと払える経営でありますとか雇用管理、それから財務管理、こういったものもきっちりできる経営、こういったものをまずは育成するということが大事でございますので、私どもとしましては、そういった経営者の育成にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 278 ◯十中大雅委員 福岡県にとって農業というのは大きな基幹産業でありますし、農業が今、置かれている状況というのは大変厳しい状況にあります。その中で担い手や新規就農の方をふやしていきながら、安定的な収入を得られるような農業を確立していく、そのことが私は大切であろうと思います。  私ども自民党県議団は、皆様方をしっかりバックアップしながら農業の発展に頑張ってまいりたいと思いますので、農政部の皆さん方もそのことを受けて、しっかり福岡県の農政を守っていく、その努力を怠らないように頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げ、質問を終わります。(拍手)      〔正副委員長交代〕 279 ◯畑中茂広副委員長 ほかに質疑はありませんか。原竹岩海委員。 280 ◯原竹岩海委員 民主県政クラブ県議団の原竹といいます。  通告に従いまして、主要農作物種子法廃止について質問させていただきたいと存じます。  我が国の主要農作物種子法、いわゆる種子法が廃止されましたのは、米国を含む十二カ国でTPP協定の署名式が行われました平成二十八年二月、日米間で取り交わされた交換文書に端を発していると言われております。この文書につきましてはネット上でも公開されておりますので御存じの方も多いと存じますが、その後の日本にとって大変重要な影響を与えるものと言われております。  特に次の文章が専門家やマスコミでも大きく報道されております。その主な文章を紹介します。日本政府は米国の投資家の要望を聴取し、各省庁に検討させ、必要なものを規制改革推進会議に付託し、規制改革推進会議の提言に従って必要な措置をとるというものであります。  この日米合意からわずか八カ月後、交換文書のとおり、平成二十八年十月の規制改革推進会議の農業ワーキンググループの会合で、種子法の廃止が突然主な議題となり、その後、四カ月後の平成二十九年二月には閣議決定、国会に提出をされました。衆議院の農林水産委員会ではわずか五時間足らずの審議時間で可決されるという、全く異例のスピード解決であります。これで我が国の食料安保に関する法的根拠の一つがなくなったとさえ言われておるところであります。これはどう考えても余りにも唐突であり、このたびの種子法廃止の動きは、この交換文書に基づき米国の強力な圧力によって廃止されたとの多くの関係者や専門家の声が報道されておるところであります。  米国には、世界の種子を牛耳ろうとする、かつてベトナム戦争で使用された枯れ葉剤のメーカーであり、現在は農薬のラウンドアップや遺伝子組み換え作物で有名なモンサントという巨大な世界規模の企業があります。現在はドイツのバイエルに形式上買収されましたが、種子法廃止の背景に、こういった各国の種子を事実上、支配していると言われている種子メジャー企業の影が見え隠れするとともに、多くの国民はこういったことに対して不安を抱いておるわけであります。  我々日本人の主食である米を初め麦、大豆といった作物の種子は、我が国の安全保障からしましても、外国企業に頼ることなく、国内で種子の開発から生産、普及まで完結できる仕組みを責任を持って国がやるべきであり、そういった思いからさまざまな動きが現在、国民の声から出てきておるわけであります。  そこで、主要農作物種子法廃止に関して何点かお伺いします。初めに、そもそもこの種子法とはどのような法律であったのか、その創設された経緯と県の役割についてお答えください。 281 ◯畑中茂広副委員長 梶原水田農業振興課長。 282 ◯梶原水田農業振興課長 主要農作物種子法は、昭和二十七年、戦後の食料増産という国家的要請を背景に、国や都道府県が主導して水稲、麦、大豆の優良な種子の生産、普及を進めるために制定されました。同法では、都道府県の役割としまして、県内に普及すべき優良な種子の決定、その品種の原原種、原種の生産、種子増産のための圃場の指定と生産された種子の審査など、優良種子の確保に向けた県の事務が定められております。 283 ◯原竹岩海委員 簡単に説明されましたけど、背景というのは結局、戦後、終戦後でございますけども、餓死者が我が国は多く出たということで、これを国が何とかしなければならないといった気持ちで、国が責任を持って法律でしっかり定めたわけでございまして、こういったものを、簡単にこういったことをやってしまったということでございます。  それでは、なぜそのような重要な法律が廃止になったのか、その経緯と理由をお願いします。 284 ◯梶原水田農業振興課長 平成二十八年九月の規制改革推進会議におきまして、国や都道府県と民間企業では競争条件が平等になっていないとの種子生産の制度的課題が提起されました。国は、種子の生産技術が向上した一方、食生活の変化に伴う消費量の減少や消費者ニーズの多様化などが生じ、画一的に都道府県のみに種子供給を義務づけることが実態に合わなくなっているとの判断から廃止することになったと説明しております。二十八年十一月、政府が策定しました農業競争力強化プログラムにおきまして、地方公共団体中心のシステムで民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法を廃止するとの方針が盛り込まれ、廃止に至っております。 285 ◯原竹岩海委員 説明の中で二十八年とありましたが、昭和ですか、平成ですか。 286 ◯梶原水田農業振興課長 失礼しました。平成であります。 287 ◯原竹岩海委員 今の説明では、種子法の存在は民間企業の品種開発意欲を阻害しているという表現がございました。それでは、これまでに民間企業が開発し普及している米の品種はないということになりますが、できないということになりますが、もしあるのであれば、その代表的なものをちょっとお示しいただきたいと存じます。 288 ◯梶原水田農業振興課長 米の品種は国や都道府県が開発しました品種がほとんどですが、民間企業が開発しました代表的なものとしまして、三井化学アグロが開発しました「みつひかり」や住友化学が開発しました「つくばSD一号」があり、これらの品種は収量が多いといった特徴があります。 289 ◯原竹岩海委員 私の調査では、今、御報告の品種以外にも、初めに紹介をしました、現在はバイエルに買収されておりますモンサント、この企業は各国の主要な種子を事実上、支配をしていると言われておりますが、この日本法人日本モンサントが開発した「とねのめぐみ」という品種も既に普及をいたしていると報道されておるところでございます。  民間企業が開発した米が普及し始めているのに、あえて今さら種子法を廃止する必要があったのでしょうか。まるでモンサントのような外資系企業を含めた民間企業を支援するために種子法を廃止したとしか私には考えられない。少なくとも国民の食の安全と安心、食料安保や生産者の将来のことを考えますと、この種子法を廃止したことは到底理解できないところであります。その証拠に、法の廃止に対抗すべく、多くの都道府県の条例制定や福岡県下各市町村議会から、党派を超えて同様の意見書が県に提出をされているのであります。  次に、種子法廃止と同時に成立をしました農業競争力強化支援法では、国、都道府県が有する種苗の生産、種とか苗でございますけども、種苗の生産に関する知見の提供や民間業者が行う技術開発、新品種の育成、その他の種苗の生産及び供給を促進するとなっております。民間企業、特に世界の種子メジャー企業の国内活動と育成のためにここまでするのかという思いもございます。
     それでは、これまで国や都道府県の農林水産総合試験場を初め、試験研究機関が蓄積をした知見が本当に海外等に流出をすることがないのかお答えください。 290 ◯梶原水田農業振興課長 平成二十九年五月に制定されました農業競争力強化支援法では、国や都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進することとなっております。ただし、その際、地域農業の振興など我が国農業の競争力強化に貢献するかどうか十分にチェックし、国益に反するような連携は行わないこととなっております。また、国や県が民間に種子に関する知見を提供する場合につきましては、譲渡先の限定や違反した場合には違反金を課すといった契約を締結するなど、流出防止をしっかり行うこととされております。本県ではこれまでも契約を締結するなど、知見が流出することがないよう取り組んでおります。 291 ◯原竹岩海委員 十分にチェックし、流出防止もやっているとの回答でございました。重要な知見がぜひ流出をしないよう、しっかりと対応していただきますよう強く要請と要望をしたいと存じます。  次に、種子法には遺伝子組み換えに関する規定はございませんが、農業競争力強化支援法により、モンサントのような巨大種子メーカーの企業の参入が、年々深く我が国の農業に進出をすることで、いつの間にか遺伝子組み換え作物が作付をされていたということも、我が国にも世界にも例がございますが、例外なく現実的に想定をされるところであります。将来にわたる県民の食の安全と安心が本当に心配であります。この件について県としてどのように認識をされているのかお伺いします。 292 ◯梶原水田農業振興課長 遺伝子組み換え農作物に関しましては、食品としての安全性は食品衛生法及び食品安全基本法で規制されており、飼料としての安全性につきましては、飼料安全法及び食品安全基本法で規制されております。生物多様性への影響につきましては、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律、いわゆるカルタヘナ法に基づき科学的に評価し、全てについて問題のないもののみが輸入、流通、栽培等される仕組みとなっております。これらの法律によりまして、今後も引き続き食の安全は守られることから、委員御懸念のような事態は生じないと考えております。 293 ◯原竹岩海委員 私に心配する必要はないと今、話されたところでございますけども、自分の事例、きのうもそうなんですね。法律でばっちりやっておるから心配ないと。産業廃棄物の問題です。産業廃棄物の問題で、きちっと県が、全ての権限があります、全く問題がないということでずっとやっておりました。死亡事故で、日本で初めて三人、産廃処分場の硫化水素ガスで残念ながら亡くなってしまったんです。大激論しました、きのう。そういう上から目線で言ったらだめですよ、あなた。しっかり頑張っていかな。これは行政と議会の信頼関係で、しっかりこういった安全は守らないといけない。信頼関係でスクラム組んで、水が出ないように頑張っていく、そういった気持ちで質問を続けたいと存じます。  我が国がこれまで積み上げてきた知見の流出に一定の歯どめがしっかりかかっているとし、遺伝子の組み換え作物の規制について一定の説明がございました。しかしながら、技術の流出については近年、一般企業でも細心の注意を払いながらも流出がとまらないという状況からして、本当に海外に流出をしないのか、先ほどの説明でますます心配になってきました。米、麦、大豆といった我々の食生活に欠かせない作物の種子は、国や県が責任を持って生産すべきものと改めて強く訴えるものであります。  そういったことから、都道府県に法律上、種子の生産の義務がなくなった現在、種子生産からひょっとすると県が手を引かないという姿勢を示すためにも、我が会派としましては、県として何らかの法の縛りのない、要綱ではなくて種子に特化した条例を制定すべきと昨年、一昨年の議会において、県の対応を厳しくただしてきたところであります。  そこで、委員長、執行部に、種子条例を制定した都道府県と県内の市町村議会から条例制定に向けた意見書に関する資料の提出を求めたいと存じますので、お取り計らいのほどよろしくお願い申し上げます。 294 ◯畑中茂広副委員長 お諮りいたします。  ただいま原竹委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 295 ◯畑中茂広副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま原竹委員から要求がありました資料については提出できますか。 296 ◯梶原水田農業振興課長 直ちに提出いたします。 297 ◯畑中茂広副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 298 ◯畑中茂広副委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 299 ◯畑中茂広副委員長 資料が配付されましたので、原竹委員、質疑を行ってください。 300 ◯原竹岩海委員 済みません、資料の説明をお願いします。 301 ◯梶原水田農業振興課長 一の都道府県の種子条例の制定状況につきましては、主要農作物種子法が廃止されて以降、北海道や山形県など九道県が種子条例を制定しております。二の市町村議会から県への意見書の提出状況につきましては、大牟田市や宇美町、赤村など十七の市町村の議会が本県に対しまして、主要農作物種子法にかわる県独自の条例制定を求める意見書を提出されております。 302 ◯原竹岩海委員 これには載っておりませんけど、福岡市議会は、県ではなく、国に意見書を提出されております。この内容は法の改正のようでありまして、福岡県には出していないということだけは報告申し上げたいと存じます。  そして、この資料でございますけども、二番、市町村議会から県への意見書の内容でございますけども、ほぼタイトルは一緒でございまして、県に対して独自の条例の制定を求める意見書でございます。これは絶対軽視はできないと思います。  そして、ただいまの説明では、九道県が条例を制定しているということでございましたが、自分に入っておる最近の情報では、まだまだこれは県で条例化されるのがふえるのではないかという情報でございます。そして、県内の四分の一を超える市町村議会から意見書が提出をされておる。これは優良種子の安定供給に対する不安のあらわれだと自分は認識をいたしておるところであります。  小川知事は、県民の皆様に寄り添う温かみのある行政に力を入れると言われていますが、知事はこういった市町村議会から多くの意見書、また、農業団体からの不安の声を真摯に受けとめるべきと訴えるものであります。  最後に、種子法廃止に関するこれまでのやりとりを踏まえまして部長に伺いたいと存じますが、県は米、麦に特化した種子条例を制定した上で、今後とも県が責任を持って種子の安定供給を図っていくべきだと考えますが、部長の考えをお示しください。 303 ◯畑中茂広副委員長 鐘江農林水産部長。 304 ◯鐘江農林水産部長 本県におきましては、平成二十六年度に福岡県農林水産業・農山漁村振興条例を制定しておりますけれども、この条例の中の主要施策の一つに、新品種の開発並びにその普及に必要な施策というものを掲げておりまして、この実施に努めるものとしております。具体的には元気つくし、それからラー麦などの県独自品種を開発いたしまして、その生産拡大のため、優良種子の確保、それから栽培技術の指導などに努めているところでございます。  また、先ほどから御指摘のあっております平成三十年四月の主要農作物種子法の廃止を受けまして、水稲、麦、大豆の種子の生産計画、それから種子の審査、県で奨励する品種の選定など、県の事務につきましては要綱で規定をしておるところでございます。したがいまして、種子法は廃止をされましたが、本県ではこのように条例と要綱に基づきまして優良種子の生産と普及に取り組んでいるところでございまして、今後とも農家の方々に不安を与えることがないように、この条例と要綱に基づきまして引き続き実施をしてまいりたいと考えております。 305 ◯原竹岩海委員 私は、本件に関して、種子法の廃止について、知っていましたかとか、内容はとかいうことで、アンケートをずっととりました。そしたら、生産者の方、そして消費者の方からいっぱい返事が来ました。ほとんどの方が知らないということでございまして、知ってある方は新聞なんかをよく読んである方が知っておられたということです。こういった大事なことをどうして国はきちっと消費者とか自分たちの生産者に教えてくれないのかということでございまして、こういった声があったということはちょっと御認識をお願い申し上げたいと存じます。  そして、要綱の説明がございましたけども、何回も申し上げますけども、打ち合わせをやっていますけども、条例と要綱は違うんですね。要綱というのは、会社で言いましたら内規でございまして、条例は一定の法の縛りがございます。議会にちゃんと出まして、議会で自分たちの採決がありますから一定の法の規範がございますけども、これは要綱はないということで、一人の権利者が考えを変えたら要綱を変えることができるということになりますから、その辺のところをしっかり今後とも注意をしてお願い申し上げたいと思います。この件に関しましては、まだ自分たちもしっかり勉強して、行動を起こしてまいりたいと考えております。以上です。(拍手) 306 ◯畑中茂広副委員長 この際、しばらく休憩します。  再開は午後四時といたします。    午 後 三 時 五 十 一 分 休 憩    午 後 四 時 零 分 再 開 307 ◯畑中茂広副委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き、議事を進めます。  第六款農林水産業費について、ほかに質疑はありませんか。吉田宣弘委員。 308 ◯吉田宣弘委員 公明党の吉田宣弘でございます。  先ほど地元の大先輩であられる十中大雅委員の御質問とも私の質問は関連をいたしますけれども、通告に従い、新規就農者の育成確保について質問をさせていただきます。  私が居住をする久留米市は、九州一の大河筑後川の豊かな水と緑豊かな耳納連山に育まれた筑後平野の肥沃な大地のもと、昔から農業が盛んに行われてきました。米麦、大豆を初め野菜、果実、果物、植木や苗木、花卉、畜産、酪農などさまざまな品目が生産され、県内はもとより関東、関西の大消費地へも出荷されるなど、農産物の供給基地となっており、全国でも有数かつ県内最大の農業産出額を誇る農業都市となっています。  農業は、米や野菜、果物などをつくるだけではなく、生物の保全や気候の緩和、良好な景観づくりなど、豊かな農村を形成する重要な役割も果たしています。久留米市に限らず、本県の各地域においても、それぞれの地域特性を生かした農業が展開されており、それぞれの地域において重要な役割を果たしていると思っております。  ところで、昭和四十年度に七三%であった日本のカロリーベースの食料自給率は年々低下を続け、平成十年度四〇%に達した後、横ばいで推移しておりましたが、平成十八年度についに四〇%を割り込んで三九%となりました。その後も横ばい傾向が続き、平成二十九年度は三八%となっており、食料の六割を輸入に依存する状況が続いております。  世界的には人口の増加や途上国の経済発展に伴う穀物需要の増加、バイオエタノールなど食用以外の農産物需要の増加など農産物の需要が増加していますが、一方で農地の増加は見込めません。また、海外での異常気象による作物の収穫減などで輸入が不安定になる事態も想定されることから、食料の安定供給のために食料自給率の向上を図ることが必要と考えます。  農林水産省のホームページを見ると、平成二十七年の食料・農業・農村振興基本計画において、国内農業生産と食料消費に関する指針である食料自給率の目標は、平成三十七年、すなわち令和七年度を目標年度として四五%と定めています。この目標達成のためには、国家施策として、人、物、投資としての資金、地域的実情に応じた役割配分など総合な対策が必要であると思っております。そして、その対策はそのまま農業の振興につながっていかねばならないところ、農業振興のためには、田畑、また、かんがい施設、機械などの生産設備、肥料や農薬などの生産資材、ITやAIを用いた生産性の効率化、また、物流、マーケティング等々、さまざまな角度から検討ができるものと承知をしておりますけれども、最も重要な課題は人材確保と人材育成であると思います。まずは人から、これは全国的な課題であり、福岡県においても共通な課題であると言えると思います。  そこで、まず前提として、福岡県の農家数の推移について確認をしておきたいと思います。 309 ◯畑中茂広副委員長 齋藤後継人材育成室長。 310 ◯齋藤後継人材育成室長 二〇一五年の農林業センサスによりますと、経営耕地面積が三十アール以上、または過去一年間におけます農作物販売金額が五十万円以上の農家、いわゆる販売農家でございますけれども、本県では三万四千六百五十九戸で、二〇一〇年に比べまして一七%減少しておるところでございます。 311 ◯吉田宣弘委員 五年間で一七%も減少しているということでございます。  今後も高齢化が加速すると言われており、県内の農家数は減少傾向にあることが数字の上でも今示されているわけでございます。この傾向を無作為に放置すれば、少子高齢化が進行する本県においても農業に未来はないと思います。  農業の担い手確保は重要な行政的課題であると思います。私はこの点について、平成二十八年十月二十八日、衆議院の環太平洋パートナーシップ協定に関する特別委員会で質問をしたことがございます。このとき農林水産大臣から、平成二十四年度から就農準備段階や経営開始直後の青年就農者を対象とした青年就農給付金事業を行っております、平成二十七年度時点では全国で一万四千人が事業を活用されておられますと答弁がございました。現時点では事業名も変わっているし、全国的な数字も変化していると思われますけれども、この事業を含めて福岡県の農業の担い手確保の現状について、これから確認をしていきたいと思います。  まず、福岡県の新規就農について、最近五年間の数値を含め、状況をお示しいただきたいと思います。 312 ◯齋藤後継人材育成室長 本県におきます新規就農者数でございますけれども、平成二十五年度の二百八十一人から、二十六年度は三百八人、二十七年度は三百四十一人、二十八年度は三百五十八人、二十九年度には三百八十人と年々増加をしてきておるところでございます。また、就農者の内訳を見ますと、農家子弟以外の方、新たに農業経営を開始される新規参入者が増加をしてきております。また、就農の形態が自営ではなく、農業法人等に雇用されて就農される方も増加をしてきておるところでございます。 313 ◯吉田宣弘委員 新規就農者の数値については増加傾向にあり、これまで五年間で合わせると千六百六十八人が新規就農を果たしているということでございます。これまでの県の努力に対しては私は高く評価したいと思っております。この努力をぜひ継続願いたいと存じます。  新規就農の内容については農家の子弟ではない新規参入者が増加をしているということであり、加えて国の新規就農事業、今の呼称は農業次世代人材投資事業と変わっているようでございますけれども、これは農業の初心者も対象にしていることからすれば、就農前に十分な準備を整えることが必要であると思います。そこで、就農前の県の支援策についてどのようなものがあるかお示しいただければと思います。 314 ◯齋藤後継人材育成室長 農業に関心のあります県内外の人を対象に就農セミナーや相談会を開催いたしまして、就農された方々の体験談や就農に必要な具体的な支援策についての情報を提供しております。また、福岡県農業大学校におきましては、就農に必要な知識や技術を習得できるよう講義や実習を行っております。さらに、新規参入希望者の多くは住宅の確保や当面の生活費など農村部での生活に不安がありますことから、県では営農から生活関連まで一体的に受け付ける市町村の相談窓口の設置を進めるとともに、国の農業次世代人材投資事業を活用いたしまして、就農前後の所得の確保を支援しております。 315 ◯吉田宣弘委員 では、今ありました国の農業次世代人材投資事業での支援について、本県の取り組み状況をお伺いしたいと思います。 316 ◯齋藤後継人材育成室長 平成二十九年度の交付対象者でございますけども、就農準備段階において就農に向けた研修を受けている方に対する資金、いわゆる準備型でございますけども、それが七十六名、実際に農業経営を開始した者に対する資金、いわゆる経営開始型でございますけども、それが六百四十人、合わせて七百十六人となっております。 317 ◯吉田宣弘委員 充実した活用になっているかと思います。ただ、十分な準備のもと就農が無事開始をされても、農業というものは自然を相手にする非常に困難きわまる作業でございます。また、農業が経営であるという自覚、これは新規就農者にはしっかり持っていただかなければならないと存じます。でなければ、せっかく就農したのに継続がなかなか難しいということになるのではないかと思います。  そこで、この農業次世代人材投資事業は、経営が安定しない就農直後の所得確保に役立っていると私は思いますけれども、就農後の支援策について、これ以外にないのかについてお答えいただければと思います。 318 ◯齋藤後継人材育成室長 就農後におきましても、普及指導センターにおきまして、土づくりや病害虫対策、農業簿記などの基礎を学ぶ営農講座を実施しておりまして、技術面、経営面からの指導を行っております。また、一昨年度からは、日々の相談相手となります就農里親が栽培技術をマンツーマンで教える取り組みを行うとともに、新規就農者ネットワーク大会を開催しまして、県内の新規就農者相互の意見交換や就農里親などの体験談を通じまして、経営者意識の醸成を図っております。 319 ◯吉田宣弘委員 議員活動もそうかもしれませんけれども、やはり先輩の方の指導というのは非常にありがたいことかと思います。そういった先輩方の指導をしっかり農業の場面でも発揮していただければと思います。新規に就農した方々が一日も早く自立した農業経営ができるよう、就農後もしっかりと支援を行っていただきたい。  さて、先ほど答弁で、農業法人等への雇用による就業者も増加しているということがございました。農家が減少していく中で雇用による農業従事者をふやしていくことも大変重要なことではないかと考えます。そこで、雇用による新規就農者を確保するため、どのような支援を行っているのかについてお尋ねいたします。 320 ◯齋藤後継人材育成室長 雇用による就業につきましては、平成二十八年四月に福岡県就農マッチングセンターを設置しまして、二十九年一月に、ふくおかで農活!農業就職応援サイトを開設して、支援をしているところでございます。マッチングセンターでは、サイトに登録をされました求職者の方々に対しまして職員が直接面談を行いまして、農業への心構えや仕事の内容についてきめ細かく相談に応じております。また、希望される求職者の方に対しましては、就業体験も実施しながら、マッチングを進めておるところでございます。 321 ◯吉田宣弘委員 ありがとうございます。  これまで、新規就農者の状況、就農者の育成確保に向けた県の取り組みについて答弁をいただきました。就農前から就農後にかけてさまざまな取り組み、支援を行っているということが私はわかったと思っております。このような取り組みにより新規就農者の数値も増加してきているものと思いますが、農業大学校の役割も私は非常に重要ではないかと考えています。農業大学校のパンフレットを見ましたが、これまで卒業生の数は研修生を加えると二千名にも上り、それぞれが地域農業の担い手として、また農業指導者として県内各地で活躍をされているとのことでございます。  そこで、現在、農業大学校ではどのような取り組みをされておられるのかお答えください。 322 ◯齋藤後継人材育成室長 農業大学校では、就農を志す人や農業指導者を育成します養成科と、農外からの就農希望者に対しまして短期的に技術を習得する研修科を設置しております。農業大学校では開校以来、消費動向の変化や国際化の進展など時代の変化に対応しましてカリキュラムの見直しを行っておりまして、現在では外部講師によりますマーケティングやGAPの講義、また六次産業化に取り組む先進農家や量販店での実践的研修などを行っておるところでございます。 323 ◯吉田宣弘委員 先ほどの答弁でも、新規参入者や雇用による就業者が増加しているとのことでございましたけれども、農家子弟だけでなく、雇用による就農を目指して農業大学校に入学している学生もふえてきているのではないでしょうか。こうした時代の変化を踏まえれば、将来の本県農業を担うしっかりとした担い手の育成に大きな役割を果たしている農業大学校でも、こうした変化に対応していくことが私は必要であると考えております。今後、農業大学校をどのようにしていこうとお考えになられておられるのかお伺いをしたいと思います。 324 ◯齋藤後継人材育成室長 今、委員からお話ありましたように、農業大学校におきましても農家子弟以外の学生がふえておりまして、また、卒業生の雇用による就業も増加をしてきておるところでございます。また、就農後の若手農業者からも、経営を強化するため、六次産業化やスマート農業など新たな技術を学びたいというような声も聞いておるところでございます。このため、今年度から新たに農業大学校におきまして、スマート農業教育を実施することといたしております。また、雇用就業など教育ニーズの変化を踏まえまして、農業大学校の機能強化に向けた具体策を検討していくこととしております。 325 ◯吉田宣弘委員 十分な検討をしていただけることを期待したいと思います。  昨今スタートした日EU・EPAやTPP11、また、現在進行している日米貿易協定交渉を含め、農業を取り巻く国際情勢、また社会情勢というのは大きく変化をしていっている最中だろうと思っております。したがって、農業を取り巻く状況は日々変化している、そういったものをしっかり捉えていかなければいけないと私は存じます。新規就農者の育成確保に向けた取り組みも、これらの変化に的確に対応していってもらいたいなと思います。  今後とも将来の農業を担う一人でも多くの新規就農者が確保されて、本県の農業振興がしっかりと図られることを期待して私の質問を閉じたいと思います。ありがとうございました。(拍手) 326 ◯畑中茂広副委員長 ほかに質疑はありませんか。椛島徳博委員。 327 ◯椛島徳博委員 大変お疲れさまでございます。緑友会の椛島でございます。  通告に従いまして、多面的機能支払制度について質問をいたします。  農業は、言うまでもなく本県の基幹産業であります。福岡県では、米、麦、大豆などを組み合わせた効率的な水田農業や収益性の高い園芸農業が盛んです。平成二十九年の本県農業の産出額は二千百九十四億円と、全国十六位を誇っております。しかしながら、先ほどからもお話がありましたように、農業を取り巻く環境は大変厳しく、課題は山積しています。就業者の高齢化や後継者不足の問題、生産性や収益をどう高めていくのか、品質向上の課題や競争力の強化、さらには消費の拡大など、その確かな対応、対策が今まさに求められております。ここは踏ん張りどころであります。たとえどんなに国際貿易交渉の嵐が吹けども、日本の農業は国民の食と命の産業であり、何があっても守っていかなければなりません。  その一方、農業の極めて大きな役割は、水を涵養し、国土を守っていることです。農業は自然と環境を育む産業でもあります。我が国の農業は、悠久の歴史の中で風土や文化を醸成してきました。穏やかな田園風景や水や環境は、どんなにお金を積んでも輸入することはできません。この農業農村が持つ多面的な機能を将来にわたって維持することがとても重要なことだと私は思います。  そこで、今回は地域政策の一つであるところの多面的機能支払制度について質問をいたします。まず、この制度はいつごろから始まったのか、また、この制度を活用してどのような取り組みが行われているのか、説明をお願いします。 328 ◯畑中茂広副委員長 成末農山漁村振興課長。 329 ◯成末農山漁村振興課長 農地や農業用水路などの資源や農村の環境を地域が共同で守っていく活動に対する支援を目的に、平成十九年度に農地・水・環境保全向上対策として開始されました。その後、平成二十七年四月に法制化された日本型直接支払制度のうち多面的機能支払制度として法律に基づく制度となったことで、集落の皆様がこれからも安心して取り組むことができるようになったところです。  この制度では、地域の皆さんで立ち上げた活動組織において、共同で行う水路の泥上げ、農地の草刈りなどの取り組みや、水路、農道の補修、花の植栽などの取り組みについて支援を行っております。 330 ◯椛島徳博委員 この制度を活用して、地域の皆さんが共同で農地や農業用水路の保全管理を行っておられるということがわかりました。  ここで、本県における多面的機能支払制度の実施状況についてお尋ねします。 331 ◯成末農山漁村振興課長 平成二十九年度は四十七市町村の九百七十二組織、約三万九千ヘクタールで取り組みが行われており、水路の泥上げ、農地の草刈りなどの基礎的な保全活動が全ての九百七十二組織で行われております。そのうち七百八十一組織で水路や農道の軽微な補修や花の植栽など、農村環境の向上のための活動も行っております。さらに百六十八の組織では、素掘り水路からコンクリート水路への更新など、施設の長寿命化のための活動も行っております。 332 ◯椛島徳博委員 全県下で三万九千ヘクタールということでございました。大変恐縮なんですけども、そのうち私の地元柳川市の取り組みの状況と具体的な活動の内容について説明をお願いします。 333 ◯成末農山漁村振興課長 柳川市では、平成二十九年度は二十三組織、三千二百三十六ヘクタールで取り組みが行われております。これは県内市町村で二番目に多く、県内取り組み面積の八%を占めております。具体的には水路の泥上げや草刈りなどの活動に加え、水路の破損部分の補修や素掘り水路からコンクリート水路への更新、シバザクラの植栽などの活動が行われております。 334 ◯椛島徳博委員 柳川市では、県内の取り組み面積の八%に当たる農地で取り組まれているということでした。大変ありがたいことです。田園風景というのは当たり前にありますが、その裏側にこの制度と農家の皆さんの努力があることを再認識しました。  ところで、この取り組み状況について、五年前と比べてどうなっているのか、県全体と柳川市の状況をお聞かせください。 335 ◯成末農山漁村振興課長 平成二十九年度の取り組みは五年前に比べ、県全体で二百七十一組織、約六千二百ヘクタールの増となっております。柳川市では一組織、三十一ヘクタールの増となっております。 336 ◯椛島徳博委員 着実にこの制度を活用する組織の数、また面積がふえていることがわかりました。今後も取り組みを継続することがとても大切なことだと思います。ところが、現場の声を聞いてみますと、活動組織の構成員の高齢化によって、今後、本当に活動が継続できるのか、難しいのではないかという声も聞こえてきております。そこで質問です。県ではこのような課題があると認識しているのか、そのことについてお尋ねします。 337 ◯成末農山漁村振興課長 県内においては、活動組織の構成員の高齢化に伴いまして、活動継続を取りやめた組織もございます。そういった組織からは、申請書類等の事務処理の負担が大きいことやリーダーのなり手がないといった声が上げられておりまして、こういったことが課題になっておると考えております。 338 ◯椛島徳博委員 確かに高齢化はいたし方がないということでありますが、さはさりながら、こういう課題を踏まえ、県はどのように対応しているのか、そのことについてお尋ねします。 339 ◯成末農山漁村振興課長 国は、現場の要望を踏まえ、申請書類の見直しなど事務処理の簡素化を行っております。県においても、国の簡素化を反映しました書類作成マニュアルを作成し、毎年度、県内三カ所で研修会を開催しております。加えて、活動の継続が困難であるとの声が上がっている地域を対象に、市町村と連携して事務処理能力や組織の運営能力のある土地改良区を主体とした広域化を進めているところです。 340 ◯椛島徳博委員 ぜひ今後とも国、県による積極的な支援をお願いしておきます。  農業、農村が持つ多面的な機能は、将来にわたって維持していかなければなりませんし、県下に広がる田園風景が未来永劫にわたって引き継がれていくことを願ってやみません。そこで、最後に鐘江部長に決意をお尋ねしたいと思います。 341 ◯畑中茂広副委員長 鐘江農林水産部長。 342 ◯鐘江農林水産部長 農業、農村は、食料の供給のみならず、良好な景観の形成を初め、県土の保全、それから水源の涵養、文化の伝承等、多面的な機能を有しております。本県の農林水産業・農山漁村振興条例にも記されておりますけれども、こうした機能を将来にわたって維持増進することが極めて重要だと考えております。したがいまして、先ほどから課長も申し上げておりますが、多面的機能支払制度の活用というものが停滞をしないように、研修会、それから先ほど申しました活動組織の広域化、こういった取り組みをしっかり進めてまいる所存でございます。 343 ◯椛島徳博委員 ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思っております。この多面的機能支払制度、大変地味な活動ではありますが、地域の共同と連帯を深めることでもあり、地域政策として大変重要なものだと実は我が会派も考えております。今後ともしっかりと取り組んでいただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    344 ◯畑中茂広副委員長 ほかに質疑はありませんか。高橋義彦委員。 345 ◯高橋義彦委員 政義会の高橋義彦です。私からは、本県における畜産和牛の振興についてお伺いいたします。  私の地元でございます飯塚地域は畜産業が盛んな地域であり、肉質のよい肉用牛、いわゆる和牛の生産が行われている地域です。高齢化や後継者不足などさまざまな理由で農家の件数は減少傾向である一方で、飯塚地域の肥育農家はその肥育技術の高さを生かし、博多和牛の生産者として活躍しております。  肉用牛をめぐる情勢は、平成二十八年度以降の肉ブームの高まりを背景に国内消費量がふえ、国内の牛肉の生産量は二十九年度以降増加に転じています。一方で、外食需要の増加とともに価格の安い輸入牛肉の需要が高まっており、昨年十二月三十日に発効しましたTPP11が本年四月からは二年目に突入し関税が一段と下がったこともあり、カナダなどから牛肉の輸入量がふえています。このため牛肉価格の低下が懸念されているところであります。  一方で、国内の肉用牛農家は需要の高まりのもと和牛の販売価格は高値で安定していますが、長引く配合飼料の価格の高どまりなど生産コストがかさみ、本当に厳しい経営状況が続いています。  地元の肥育農家からは、和牛子牛が高くなり市場に購入に行っても思ったような頭数を買うことができない、そして、いい牛を出荷しても子牛代も餌代も高くて赤字になることもあるなど経営が苦しいとの声を聞きます。  そこで、和牛子牛価格の動向についてお尋ねいたします。  和牛の子牛価格が高騰する前と比較して、どのぐらい値上がりしているのでしょうか。 346 ◯畑中茂広副委員長 永末畜産課長。 347 ◯永末畜産課長 全国の黒毛和牛子牛の平均価格は、平成二十五年度までは一頭五十万円代で購入できていましたが、二十六年度以降高騰し、二十八年度には八十六万四千円まで値上がりしました。三十年度も高どまりしたままで、高騰前の約一・五倍の八十一万一千円となっております。 348 ◯高橋義彦委員 子牛価格は高騰前の五年前と比べて約一・五倍の高値ということですが、県内の肥育農家は県外の家畜市場で仕入れていることを聞いています。このため宮崎県、鹿児島県など地元で購入できる他県の農家に比べてコストが増しているのではないでしょうか。  そこで、子牛の購入に対して、県として何か支援をしているのかお伺いさせてください。      〔正副委員長交代〕 349 ◯永末畜産課長 県では平成二十九年度から、子牛を購入する際の輸送に係る経費を一頭当たり五万二千円定額で補助しております。 350 ◯高橋義彦委員 輸送経費を補助し購入する経費は削減できたとしても、子牛の購入価格は高く、飼料費も高い状況では、肥育農家の経営は厳しいままです。  農家の声にあるように、出荷しても赤字になるのでは子牛の購入経費すらも確保できない状況でございまして、肥育農家の生産意欲が減退していくのではないでしょうか。  肥育農家が畜産の経営を続けるために、必要な経費を確保できるような施策はあるのでしょうか。 351 ◯永末畜産課長 肥育農家のセーフティーネット対策として、国の肉用牛肥育経営安定交付金があります。これは肥育牛の販売価格が、子牛代や飼料代など生産費を下回った場合に、国の交付金や生産者が拠出する基金から赤字を補填する制度です。  県では、生産者が基金に拠出する負担金の一部を助成しているところであります。 352 ◯高橋義彦委員 肥育農家に対し、子牛の購入費の助成やセーフティーネットで一定の経営支援があることはわかりました。私の地元には、厳しい状況の中でもコストの削減や作業の効率化により経営規模を拡大し、将来にわたって肥育経営を続けていく意欲ある農家もいます。県はこうした意欲ある農家に対してさらに積極的に支援をすべきではないでしょうか。このような農家をどう支援していくのかお聞かせください。 353 ◯永末畜産課長 県では飼養規模の拡大を目指す意欲ある農家が大規模な牛舎の整備を行う場合には、その費用の二分の一を補助する国のクラスター事業を活用し、支援しています。  また、県の単独事業において、牛舎の機能向上や省力機械の導入など、生産拡大に必要な施設、機械の整備経費を支援しています。  さらに今年度から新たに県内で優良な子牛を育成するための牛舎の整備に対し、助成を行ってまいります。 354 ◯高橋義彦委員 意欲ある肥育農家に対し、施設設備の支援があることもわかりました。  しかしながら、肥育農家の経営安定には肥育牛を高く販売することも必要です。そのためには、品質向上も重要ではないでしょうか。品質向上については、どうお考えでしょうか。 355 ◯永末畜産課長 肥育牛、特に博多和牛の品質向上については、超音波診断や血液検査などを実施し、飼料給与方法の改善などの指導に取り組んでおります。  さらに、繁殖農家と肥育農家との間で子牛の血統や出荷などの情報を相互に提供し合うことによって、高品質な子牛の県内確保もあわせて取り組んでおります。 356 ◯高橋義彦委員 今説明があったとおり、肉用牛は肥育農家だけではなく子牛を生産する繁殖農家もいます。  私の地元の飯塚地域の繁殖農家は全国組織から認定され、高い技術レベルで和牛の母牛を改良する和牛改良組合を組織して活動していると聞いています。肥育農家だけでなく繁殖農家の経営が成り立つことで、さらなる県の和牛振興が図れると考えておりますが、繁殖農家の支援についてはどうお考えでしょうか。 357 ◯永末畜産課長 先ほどの牛舎の整備等の支援に加えて、県では繁殖農家を支援するため、県外から優良な繁殖雌牛を導入するための輸送経費や人工授精の経費に対して助成をしております。  また、今年度からは、新たに繁殖雌牛の能力を子牛の段階で判断できるゲノミック評価の導入を支援し、改良の加速化を進めてまいります。 358 ◯高橋義彦委員 本県肉用牛の生産場面での取り組みについてはわかりましたが、生産者からは少しでも高く売るために、もっと博多和牛をPRしてもらいたいとの声も聞きます。そこで博多和牛をPRし認知度を向上するには、さまざまな方法があるかと思いますが、どのような取り組みを行っているのかお答えください。 359 ◯永末畜産課長 認知度向上につきましては、博多和牛フェアを県内飲食店で開催するとともに、フェア期間中には生産者みずからが、博多和牛のよさを伝えるイベントやラジオ番組でのPRを行っております。  また、首都圏、関西圏等の外食事業者と連携し、博多和牛を使った料理を提供する福岡フェアも開催しております。  さらに東京のアンテナレストラン福扇華において博多和牛を使ったメニューを提供しており、今年度は通信販売も活用し、県内外の消費者へのPRを強化することとしております。 360 ◯高橋義彦委員 これまで肉用牛、とりわけ和牛の振興のため肥育農家や繁殖農家を支援していただいていますけれども、肉用牛を取り巻く情勢はまだまだ厳しい状況が続くと思われます。今後とも肉用牛の振興に力強い支援をいただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 361 ◯樋口 明委員長 この際、委員各位に申し上げます。本日の審査は午後五時までを予定しておりましたが、議事の都合によりこのまま続行させていただきます。よろしくお願いします。  ほかに質疑はありませんか。塩川秀敏委員。 362 ◯塩川秀敏委員 自民党県議団の塩川秀敏であります。  通告に従いまして、環境保全型農業の推進ということで、特に堆肥の利用についてただしてまいりたいと思います。  私は、ことしの一月二十五日にJA直鞍が開催した土づくり大会に参加しました。その目的は、アグリ土づくりセンターの堆肥を活用した農業の生産安定を目指すことが中心でありまして、改めて土づくりの重要性を感じたわけでございます。JA直鞍管内のブロッコリー部会では、既にこのセンターの堆肥を利用しておりますし、今後、イチゴ、アスパラガスなどの他の部会にも、利用を推進していくということがございました。  そこでまず最初の質問ですが、本県でこのような堆肥センターがどれぐらいあるのか、また、直鞍農協のアグリ土づくりセンターの規模について、比較して御説明ください。 363 ◯樋口 明委員長 永末畜産課長。 364 ◯永末畜産課長 県内には、農協が運営する堆肥センターが五カ所あります。直鞍農協の土づくりセンター、筑前あさくら農協の堆肥センター、久留米市農協の土づくりセンター、みい農協の堆肥センター、八女農協の堆肥センターが設置されています。  直鞍農協の土づくりセンターの堆肥の生産規模は五千トンで、県内五カ所の中でも生産量が最も多い施設となります。 365 ◯塩川秀敏委員 直鞍の生産量が五千トンで最も多いということでございますが、本県では、いわゆる畜産経営環境保全上、生産した堆肥を有効利用するということが新たな課題になっていると聞きますけれども、その本県の畜産経営環境保全の現状と対策について御説明ください。 366 ◯永末畜産課長 畜産経営においては、飼養規模の拡大や地域における混住化の進行等を背景として、堆肥化など家畜排せつ物の適切な処理が求められています。  このような状況の中で、本県では家畜排せつ物の適切な処理による堆肥化とその利用に必要な施設や機械の整備を支援するなど、地域と調和した畜産経営の確立及び堆肥の流通促進と有効利用を推進してまいります。 367 ◯塩川秀敏委員 結局、牛とか馬とか豚とか鶏は、必ず出すものは出します。尿のほうは浄化槽があって浄化されますけれども、堆肥はどうなるかということで、その対策が非常に重要でありますが、これを使って農産物を生産すると。それで、堆肥を使うとどういう効果があるのか、環境保全との関係も含めて説明してください。 368 ◯樋口 明委員長 浦食の安全・地産地消課長。 369 ◯浦食の安全・地産地消課長 堆肥は肥料的効果に加え、地力を向上させる効果があります。堆肥を施用すると有用な微生物が増加し、これにより土がやわらかくなり作物の根の張りがよくなります。また、有害な病原菌の増殖を抑えるなど生産が安定いたします。  さらに肥料の効きが長く緩やかになる効果もあることから化学肥料の量を低減することができ、環境保全につながります。 370 ◯塩川秀敏委員 土壌がやわらかくなって化学肥料とかいうものを使わなくていいようになってくるという効果はよくわかりましたけれども、国は環境保全型農業と言っていますし、県は減農薬、減化学肥料栽培と言っていますが、それについて説明してください。 371 ◯浦食の安全・地産地消課長 環境保全型農業とは、農林水産省によりますと、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業と位置づけられています。  減農薬、減化学肥料栽培は、この環境保全型農業の一つであり、県では化学肥料と農薬を基準の五割以下に減らすものを、減農薬、減化学肥料栽培としております。  現場では、水稲ではアイガモを使った除草や害虫駆除、また、種もみの温湯消毒、野菜では害虫のハダニやアブラムシに天敵を使った防除などを行っている事例もございます。 372 ◯塩川秀敏委員 課長、確認しますけれども、結局、国が言う環境保全型農業、県では、一応、減農薬、減化学肥料栽培と言っていますが、今、アイガモとか天敵とかいろいろ言われましたけれども、やはりそれを進めていくためには堆肥の使用が主流と私は思いますが、その理解でいいですか。いいかどうかだけ答えてください。 373 ◯浦食の安全・地産地消課長 はい。作物の永続的な生産のためには、堆肥の利用は不可欠だと考えております。 374 ◯塩川秀敏委員 今、答えていただきましたように、環境保全型農業の推進をしていくためには堆肥の使用が非常に重要だと。そこで、この環境保全型農業を進めるために、どのような制度があるのか御説明してください。 375 ◯浦食の安全・地産地消課長 環境保全型農業を進める制度は、国では環境保全型農業直接支払交付金制度、県ではふくおかエコ農産物認証制度がございます。 376 ◯塩川秀敏委員 今、二つの制度を言ってもらいました。そこで、直接支払交付金制度とはどんな政策なのか。または、これがいつごろから始まって、県予算はどれぐらいか御説明ください。 377 ◯浦食の安全・地産地消課長 環境保全型農業直接支払交付金制度とは、化学肥料と農薬の使用量を基準の五割以下に減らすとともに、堆肥を施用するなどの取り組みを行う営農集団に交付金を交付する仕組みです。  例えば、堆肥の施用の場合、十アール当たり四千四百円を交付します。この制度の開始は平成二十三年度で、今年度の県予算額は五千七百七十五万円となっております。 378 ◯塩川秀敏委員 もう一つのふくおかエコ農産物認証制度についても同じように、いつごろから始まって予算はどれぐらいか説明してください。 379 ◯浦食の安全・地産地消課長 ふくおかエコ農産物認証制度とは、化学肥料と農薬の使用量を県が定める基準の五割以下で栽培された作物を、県が認証する制度です。  この制度で認証された農産物は、県の認証マークを表示して販売することができます。こうした農産物に関する生産者や販売店舗の情報は、ホームページで公開しています。  この制度の開始は平成十四年度、今年度の県予算額は二百三十三万円でございます。 380 ◯塩川秀敏委員 この制度は、いわゆる県が定めた基準、五割以下のもので生産されたものについて県が認証して、それを広くPRするという制度でございますが、この二つの制度についてはよくわかりましたけれども、問題はどれくらい面積が広がっているのか、そして、その面積の現状を県がどのように評価しているのか、ここをまず聞きたいと思いますし、また農家の方がこれに取り組もうという気持ちになられるのは、どういうことがきっかけでなられるのかお答えください。 381 ◯浦食の安全・地産地消課長 環境保全型農業直接支払交付金制度の平成三十年度の実施面積は千三十四ヘクタール、ふくおかエコ農産物認証制度は二千二百五十五ヘクタールとなっております。  エコ農産物認証制度で最も多くを占める水稲で二千二十一ヘクタール、県内水稲面積の六%にとどまっておりまして、さらに推進が必要であると考えております。  農家が取り組み始めたきっかけにつきましては、より安全な農産物をつくりたい、農薬の使用を減らしたい、作物の生育をよくしたいといった理由でございます。 382 ◯塩川秀敏委員 農家の方がとり始めたきっかけは、より安全な農作物とか、農薬の散布を減らしたいとか、作物の生育をよくしたいという理由はわかります。やはりここに何か、経営の安定とかいう言葉が入ってくるようになると、もっとこれが浸透するのではないかと思いますが、どちらにしましても、こういう農家や消費者のニーズというものを積極的に捉えて推進する必要があると思います。  そこで、この環境保全型農業を進めるためには、まず面積をふやさないといけない。同時に県の認証マークを得たエコ農産物を店頭で多く見かけるようにならないといけない。この二つについて、県としてどのような取り組みをされるつもりなのかお答えください。 383 ◯浦食の安全・地産地消課長 環境保全型農業直接支払交付金制度については、県として市町村やJAで説明会を実施しておりまして、こうした説明会を通じて農業者に対し丁寧に周知を図ってまいります。  ふくおかエコ農産物認証制度については、普及指導センターやJAが一体となり栽培暦等を作成するなど、引き続き生産部会等へ積極的に普及を図ってまいります。  また、委員御指摘のとおり、ふくおかエコ農産物について消費者に十分知られていないため、直売所や量販店などで行っているエコ農産物の試食販売やフェアなどを拡大し、販売促進活動を強化してまいります。さらに、県で実施している農林漁業体験ツアーにおいて、エコ農産物生産農家と交流を進めることにより、消費者への認知度向上を図ってまいります。 384 ◯塩川秀敏委員 私の手元に資料があるのですが、もともと国が家畜の排せつ物についての取り組みを始めたのは、これによりますと、平成十一年の法律、いわゆる家畜排せつ物法という法律によってスタートしたと。これができてから県も一生懸命に取り組んでいくわけでございますけれども、その中で国が一定の基本方針というものを出したと。したがって、それに対して県が平成二十九年に家畜排せつ物利用の促進を図るための計画というのを立てて二〇二五年に向かって進んでいるというのが現状でございますが、その資料を見ると、この家畜の排せつ物の発生量は約七十二万トン出ていると書いてあるんですね。そのうちの堆肥化されて生産されるのは約九割が堆肥化されていると。そしてあと六万トンが浄化ですから、これはさっき言ったとおりだと思いますけれども、生産される堆肥は四十三万トンと書いてありますから、堆肥はたくさんできているというふうに認識しますし、後にずっと書いてあります、いわゆる耕畜連携とか、園芸農家等のニーズとか、堆肥を使った環境負荷を低減する農業とか、いろいろ決めているわけですね。決めているわりには余り力が入っているようには思えない、私はそう思うわけでございまして、これを積極的に進めていく必要が確実にあるわけです。これは環境保全型農業の振興、あるいは畜産家を守るためにも必要だし、安全な農産物をつくるためにも必要だということになるわけであります。そういう中で、JA直鞍の土づくりアグリセンターの役割は非常に重要なものになってくると思うんですけれども、ここで最後に、福岡県の環境保全農業の推進について、部長の力強い決意をお願いいたします。 385 ◯樋口 明委員長 鐘江農林水産部長。 386 ◯鐘江農林水産部長 環境保全型農業は、土づくりを通じまして生産を安定化する、あるいは環境への負荷を軽減するといった重要な取り組みであります。冒頭、委員からも御紹介いただきました直鞍農協のアグリ土づくりセンターのように、堆肥の生産流通を進める事例というのは、県としても非常に参考になるものでございます。  この環境保全型農業につきまして、県では福岡県農林水産振興基本計画に位置づけまして、その推進を図っているところではあります。ただ、ただいま委員から力が入っとらんという御指摘もいただいたところであります。繰り返しにはなりますけれども、まずは、直接支払交付金制度、それとエコ農産物認証制度の取り組みの拡大に力を入れてまいりたいと考えております。  また、これらのことをより多くの消費者の方々に知っていただくことが大事でございますので、PR活動、それから交流活動を徹底させて、そして環境保全型農業の推進にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 387 ◯塩川秀敏委員 以上、終わります。ありがとうございました。(拍手) 388 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。山本耕一委員。 389 ◯山本耕一委員 民主県政クラブ県議団の山本耕一です。  では、発言通告に従って、本県農業をけん引するすぐれた農業経営者の育成事業について質問いたします。私は、本県農業の継承発展という視点から質問をさせていただきます。  北九州市若松区は、地域の先輩であります本委員会の中尾委員、そして私が選出をされておりますところであります。玄界灘に面し、滋養豊富な土壌に育まれた、味のある農産物が収穫できる農業地域であります。中でも海水散布など独特のノウハウによってつくられるキャベツは若松潮風キャベツとしてブランド化され、二〇一七年六月にはグローバルGAPを取得、県下キャベツ産地の見本ともなっております。  キャベツの生産者は平均年齢が五十歳程度、家族経営もありますが、経営規模が十ヘクタールを超え、雇用導入をしている生産者もおられます。基本的に、私は、個人営農、雇用型農業、法人化いずれかに突っ走ることなく、それぞれのよさを尊重して多様性を持つべきと考えますけれども、農業経営者の減少が大きな課題となる中、農業経営を安定させて事業や技術を継承するための一つの方策として、雇用導入や法人化を検討することもあろうかと思います。  そこでまず伺います。農業を法人化することの有効性について県としてはどのように捉えてらっしゃるでしょうか。 390 ◯樋口 明委員長 重松経営技術支援課長。 391 ◯重松経営技術支援課長 経営を法人化することは、外部信用力の向上、それから安定的な雇用の確保、加えて経営継承の円滑化などのメリットがありますので、農業者のさらなる経営発展を図るためには重要なことだと考えているところでございます。 392 ◯山本耕一委員 続いて、本県農業において法人経営されている方はどのくらいおられて、その増減はどのように推移していらっしゃるでしょうか。 393 ◯重松経営技術支援課長 県内の法人数は年々増加しております。平成二十九年度の農業法人数は八百九十三法人となっております。五年間で二百九十五法人増加しておりまして、平成二十四年度の一・五倍となっております。 394 ◯山本耕一委員 農業従事者は減少する一方で、本県農業における法人経営は増加していると。これは全国的にも法人経営がふえていくトレンドははっきりしているということですね。  さて、今年度予算を見てみますと、さまざまな事業が展開されているんですが、意欲ある担い手の育成確保対策として、福岡農業経営アカデミーが開始されることになっております。この事業の目的は、農業の雇用導入とか法人化を視野に入れたものなのでしょうか。このアカデミー事業の目的を教えてください。 395 ◯重松経営技術支援課長 本県農業の発展のためには、規模が大きく効率的で、収益性の高い農業経営を実践する農業経営者の育成が必要であります。このため、このような本県農業を牽引する農業経営者を育成することを目的といたしまして、この事業を実施したいと考えているところでございます。 396 ◯山本耕一委員 県としては、農業後継者不足というこの厳しい局面をスケールメリットのある農業経営を発展させることで乗り越える、そのための人材を育成するという狙いを持ってこの事業を行うということですね。では、その福岡農業経営アカデミー事業の概要を簡潔に説明してください。 397 ◯重松経営技術支援課長 福岡農業経営アカデミーでは、二つのコースを設定しております。一つは経営確立コースで、現状の販売金額が一千万円程度の方を対象に、まずは経営分析を行うことで、経営や技術面の課題改善策を盛り込んだ経営計画を策定してもらうことにしております。  もう一つは、経営発展コースでありまして、現状の販売金額が五千万円程度の方を対象に、従業員の採用、教育方法などを学んでいただくとともに、さらなる経営発展のための経営戦略を策定してもらうことにしております。両コースとも三十人の受講生を募集することにしております。 398 ◯山本耕一委員 この福岡農業経営アカデミーの目標設定はどのようにされているでしょうか。 399 ◯重松経営技術支援課長 目標設定ですけれども、経営確立コースの受講生は販売金額を五千万以上、それから経営発展コースの受講生は販売額を一億円以上の経営の実現を目指していただくことにしております。
    400 ◯山本耕一委員 福岡農業経営アカデミーの内容と目的はわかりました。では、そのほか農業の法人化に関連して本県が行っている施策があったら御紹介ください。 401 ◯重松経営技術支援課長 県では法人化に必要な労務管理や経営処理などの研修会を、圏域及び県下十カ所の普及指導センターごとに開催しております。  また、個々の経営課題を解決するため、税理士や中小企業診断士といった専門家の派遣も実施しているところでございます。 402 ◯山本耕一委員 そしてもう一つ、農業技術の継承について伺います。  北九州市若松区では、潮風キャベツと並びまして、かりっとした歯ごたえで果物のように甘い水切りトマトも有名です。私のよく知っている人にこの水切りトマトの生産者がおられます。若松区の農産物直売所では、その方のつくるトマトを求めて五十人もの行列ができるという大変有名な農業者さんです。  たくみのわざとも言える個人営農へのよさを体現されているよい一例だと思うのですが、その生産者さんは六十八歳で、個人で営農されていて、後継ぎもおられません。将来このまま廃業されれば、残念ながらそのおいしいトマトづくりのノウハウは伝承されずに消滅してしまうおそれがあります。この例は特殊かもしれませんけれども、栽培技術の継承ということについては、どのような取り組みが行われているでしょうか。 403 ◯重松経営技術支援課長 栽培技術の継承につきましては、県では普及指導センターが実施する栽培講習会に加えまして、新規就農者の日々の相談相手となる就農里親が栽培技術をマンツーマンで教える取り組みを行っております。  また、農家のすぐれた技術を継承するために、ICT測定機器を活用いたしまして、温度や湿度、土壌水分といったデータを収集、分析することで、栽培管理技術を見える化した、「匠の技」実践マニュアルというものを本年三月に取りまとめまして、現在、この活用を始めたところでございます。 404 ◯山本耕一委員 個人の持つすぐれた技術を、ぜひ本県農業の財産として活用できるようにしていただければと思います。  では、農林水産部長に、本県農業を牽引するすぐれた農業者を育成することへの決意、それから、農業の法人化に対する県の考えを改めてお話しいただきたく、よろしくお願いいたします。 405 ◯樋口 明委員長 鐘江農林水産部長。 406 ◯鐘江農林水産部長 農業者が減少している中で本県農業の規模を維持、発展させるためには、個別経営の規模を大きくする、また、そのための経営者の能力を高めるといったことが非常に重要になっております。  このため県では、課長が先ほど申しましたけれども、今年度から二コースから成ります農業経営アカデミーを実施することとしたところであります。また、経営の法人化をすることは、外部信用力の向上、それから安定的な雇用の確保といったメリットがございますことから、法人化の取り組みを進めてきているところであります。  今後とも、これらによりまして本県農業を支えるしっかりとした農業者あるいは経営体の育成を図っていく所存でございます。 407 ◯山本耕一委員 先ほど、本県では五年間で一七%の農業者が減少しているという答弁がありましたけれども、本日の日本農業新聞の一面には、全国の農業就業人口が直近の六年間で三〇%以上減少しているという衝撃的な記事が載っておりました。  私としては、ぜひ農業における多様性を尊重しながら、個人営農、雇用型農業、法人化、それぞれいいところを生かしつつ、本県農業を牽引するすぐれた農業経営者の育成が行われることを期待いたします。  県にはその旗振り役として農業振興策を積極的に展開していただくことを強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 408 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 409 ◯樋口 明委員長 ないようですので、以上で農林水産業費に関する質疑を終わります。  以上で本日の議事を終了いたします。  なお、明日三日の委員会は午前十一時に開き、歳出第七款商工費及び第八款県土整備費の審査を行う予定でありますので、よろしくお願いします。  本日はこれをもって散会します。    午 後 五 時 六 分 散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...