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  1. 福岡県議会 2019-06-15
    令和元年6月定例会(第15日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(栗原 渉君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。江頭祥一君。(拍手) *江頭議員質問 2 ◯十七番(江頭 祥一君)登壇 皆さん、おはようございます。二期目になりました。県議会議員の自覚を持って、初心を忘れずにしっかりと頑張ってまいります。  林業の振興について質問いたします。平成三十一年三月二十七日に、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律が可決、成立し、森林整備の新たな財源が誕生しました。森林環境税の徴収は五年後の二〇二四年度から開始され、市町村及び都道府県への配分については、森林環境譲与税として今年度から前倒しで始まります。森林の価値を、これまでの林業や産業としてだけでなく、環境保全も重視して森林整備を行うという考えのもと、国民一人一人がひとしく負担を分かち合って森林を支える仕組みとして、森林環境税及び森林環境譲与税が創設されたわけであり、本県の森林環境税とあわせて大きな財源になると信じて大いに期待しているところであります。  また、森林環境譲与税の使途については、森林を有する山間部の市町村においては、今年度四月からスタートした新たな森林経営管理制度を機能させるための森林整備などに使うことが可能であり、一方で森林が少ない都市部の市町村では、公共施設の木造、木質化や、木製品の導入などに使うことができます。さらに県においては、森林整備を実施する市町村の支援に使うこととなっています。こうした森林環境譲与税森林経営管理制度の創設をきっかけに、市町村を中心とした森林整備が進むだけでなく、都市部での木材利用が進むことで都市住民の森林、林業に対する理解が深まり、本県の林業振興に大いにつながるものと考えます。  私自身、大自然に囲まれて育ったせいか、時間があるときには登山をしたり、キャンプをしながら、自然に癒やされて過ごすことがあります。自然に魅了されている一人として、森林への関心が深まることを大変うれしく思います。  しかしながら、新たな森林経営管理制度において、その中核を担う市町村の職員は、日々の業務をぎりぎりの体制の中で行っており、加えて林業の専門部署を設置しているのは、県下六十市町村のうち、わずか十市町村にすぎないと聞いております。林業が盛んな私の地元嘉麻市でさえ、森林所有者への意向調査など森林経営管理制度を円滑に実施できるのか体制面で不安があるという声や、つい先日、嘉麻市農林振興課の職員の方とお話をさせていただく中で、制度自体も複雑でわかりづらいといった意見がありました。これが実情であります。  この点については、昨年九月議会の代表質問において我が会派の浦議員が指摘し、私も九月議会の決算特別委員会において指摘したところでありますが、多くの関係自治体も強く関心を持たれていることであり、制度の根幹にかかわる重要な問題でありますので、改めて知事にお聞きしたいと思います。  新たな森林経営管理制度を市町村が主体となって円滑に進めるためには、県による支援が不可欠でありますが、市町村に対し、具体的にどのような支援を講じていく考えなのかお答えください。  次に、里山林の保全についてお尋ねいたします。里山林は、集落近くに広がり、まきや木炭の原料となる木材や落ち葉の採取などを通じて地域に利用され、日々の生活になくてはならないものでありました。しかし、昭和三十年代に石油やガスなどが普及し、化石燃料の利用が広がるとともに生活様式が変化し、次第に里山林は利用されなくなり、放置されるようになってきました。このまま放置されれば、景観はさらに悪化し、地域住民の生活環境や観光の振興にも悪影響を及ぼすことが心配されております。  地元の嘉麻市においても、放置された里山林で竹林が広がり景観を損ねている、道路沿いの倒木が車両の通行に支障を来して困っているといった話を耳にします。現に昨年の豪雨時には、里山林の倒木により通行不能になる道路が出てしまいました。山村の過疎化や森林所有者の高齢化が進む現状において、森林所有者任せの整備だけでは里山林を維持していくことは困難であり、ボランティア団体や地域住民などが主体となって里山林にかかわっていくことが重要ではないかと考えています。  そこで、県では、ボランティア団体や地域住民などが行う里山林の保全に対してどのような支援を行っているのか、筑豊地区への直近の支援実績も含めてお答えください。(拍手) 3 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  森林経営管理制度における市町村に対する支援であります。ことしの四月からスタートいたしました森林経営管理制度におきまして、経営が不十分な森林を、市町村を介して意欲と能力のある林業経営者に集約化するとともに、集約できない森林につきましては、市町村みずからが管理をすることになっております。しかしながら、この制度の円滑な運用に当たりましては、林務行政に通じた市町村職員が少ない、また、境界が不明確な森林があるといった課題がございます。このため県におきましては、県へ譲与されます森林環境譲与税、これを活用いたしまして市町村への支援を行うこととしております。  具体的に申し上げますと、市町村職員に対しまして森林の管理方法などを学んでいただく研修会、これを実施いたしますとともに、林業の専門的知識を持ったアドバイザーを派遣をし、経営管理委託の進め方などについて、市町村に対する助言を行うことといたしております。また、市町村における業務の効率化を図るため、林業経営者の森林の集約状況、市町村みずからが管理をする森林の整備状況などにつきまして、データを地図情報として一括管理できるシステム、これを開発をいたしまして、市町村にその利用を促してまいります。さらに、境界が不明確な森林などの管理を進めていくため、市町村、県、林業経営者などで構成をしております地区協議会におきまして、不明確な境界を含む複数の所有者の森林、また、所有者不明の森林につきまして、それぞれの管理方法などについて学ぶ講習会を開催をすることといたしております。県といたしましては、こうした取り組みを通じまして、市町村がこの制度を円滑に運用できるよう支援を行ってまいります。  次に、里山林の保全についてお尋ねがございました。里山林は、景観の維持、生物多様性の保全など多面的な機能を有しておりまして、過疎化や高齢化が進行している中で、議員が御指摘なさいましたとおり、ボランティア団体、地域住民の皆様など多様な主体により、里山林を保全をしていくことが重要であると考えております。このため県におきましては、福岡県森林環境税を活用いたしまして、ボランティア団体、NPO等が行います植樹、また下草刈りなどについて支援をしているところであります。昨年度は、県全体で十六の団体に対し支援を行いました。延べ四千人を超える県民の皆様が参加をし、里山林の保全活動が実施されたところでございます。このうち筑豊地区におきましては、五団体延べ四百六十三人の方が参加をされております。また、国の交付金事業を活用いたしまして、地域住民などが協力して行います、景観を維持するための雑草木や枯れ木の除去、竹の伐採などの活動について支援をしているところでございます。昨年度は、県全体で百三十七ヘクタール、このうち筑豊地区では五十四ヘクタールで実施をされているところであります。さらに小学校を対象に講師を派遣をいたしまして、近隣の里山林で樹木観察など森林環境教育を行うことによりまして、里山林の保全の重要性について子供たちの理解を深めているところであります。昨年度は、県全体で八校、四百十七人、このうち筑豊地区では一校、二十三人の児童が参加をしております。県といたしましては、今後、これからもこうした取り組みを通じまして、県内の里山林の保全を進めてまいります。 5 ◯議長(栗原 渉君) 江頭祥一君。
    6 ◯十七番(江頭 祥一君)登壇 知事、御答弁ありがとうございました。冒頭質問でもお伝えしましたが、今年度は、森林管理経営制度森林環境譲与税がスタートする新たな年でございます。この二つの制度を最大限活用し、本県林業の持続的発展と森林の多面的機能を発揮していくべきであり、両制度の中核を担う、森林を多く持つ市町村を最大限支援していただきますよう、知事に改めてお願いします。  それからもう一つ、森林は、木材生産を行う私有財産でありますが、一方、私たち県民が生活する上で欠かせない多くの恵みを与えており、県民共有の財産でもあります。  現在、特に水不足が懸念されていますが、森林は緑のダムとも例えられるように、水を育む機能を有しております。昨日、九州北部地域が梅雨入りいたしました。記録的に遅い梅雨入りです。六月の初旬より私の地元の農家の方から、田植えが予定どおりできるのか、農作物に影響がないのかといった心配する声を多くいただいておりました。農家の方からだけでなく、県庁関係部局の方々からも対策を講じなければと心配する声もたくさん聞こえていました。そしてきのう、梅雨入り後にやっと福岡県渇水対策本部が設置されたことを報道で知りましたが、まさに本降りになって駆け出す雨宿りとはこのことです。県民に寄り添った県政をとおっしゃっている知事に、農家の皆様の声が届いていなかったのが非常に残念であります。  知事は福岡市の出身とのことですが、福岡市、北九州市の政令指定都市を含む都市部の住民の皆様も多くの恩恵を森林から受けておりますが、この森林を守り育てているのは、私の地元の嘉麻市を含め、森林を多く抱える中山間地域であります。中山間地域では、林業活動によって森林を守り育てているのですが、非常に厳しい現状があります。小川知事御自身は、木材生産をしている現場などしっかりと御自身の目でごらんになられたことはございますか。ことしは、新たな制度が始まる森林、林業の施策転換期でもあります。また、森林の重要性が改めて認識されている今だからこそ、知事御自身の目で見られて、そして触れていただき、森林、林業の現状と向き合い、本県森林、林業行政のトップとしてしっかりと取り組んでいただくことを願い、私の質問を終わります。(拍手) 7 ◯議長(栗原 渉君) 渡辺美穂君。(拍手) *渡辺(美)議員質問 8 ◯二十四番(渡辺 美穂君)登壇 改めまして、皆様、おはようございます。民主県政クラブ県議団の渡辺美穂です。通告に従い質問いたします。  本年五月一日から元号が令和になりました。皆様御存じのとおり、令和の出典は万葉集巻の五、梅花の宴三十二首の序文から引用されました。梅花の宴は大伴旅人が主催した歌会で、旅人邸の庭で開催されたと言われており、その場所は、マスコミが名前を出したために坂本八幡宮が有名になっていますが、実は、旅人邸の場所は特定できておらず、坂本八幡宮以外に政庁東側の月山地区や菅原道真公が住んでいた榎寺付近にあったとも言われています。  さて、元号発表が行われた四月一日から、坂本八幡宮を中心に太宰府には多くの観光客がお見えになっています。政庁跡東側大宰府展示館では、二〇一八年度は、一年間で小学生の学習活動三千三十三人を含む一万二千八百六十四人の来館者がありましたが、ことし四月一日からわずか二カ月間で、毎日ほぼ全ての都道府県から七万六千九百四十六人もの方がお見えになっています。さらに政庁跡周辺にお越しになった方は、市の推計では通常の百倍に当たる十万人に上るということです。  今回の令和の元号は、平成や昭和と違ってゆかりの土地が明らかであり、県としてもこの機を観光客誘致の一つの起爆剤として捉え、深めていくべきと考えます。例えば、今回改めて注目を集めた万葉集に焦点を当て、政庁跡の歴史とあわせてストーリー性を持たせた上での周遊観光は、万葉集ファンがいる限り続く息の長い観光政策になります。  そこで、まずお伺いします。今年度予算では、県は令和に関するイベントなどを計画されていますが、観光客の入り込みを一時的なものに終わらせないことが必要です。そこで、令和の出典元となった万葉集など、歴史、文化に関する観光資源を活用した広域周遊を促進する取り組みについて、県の考え方をお伺いします。  次に、交付税や補助金のあり方についてお伺いします。大宰府政庁跡は、その周辺も含め国の特別史跡地です。土地の国宝と言われる国の特別史跡は全国に六十二カ所しかなく、県内には五カ所あります。そのうち政庁跡を含む三カ所が太宰府市内にあり、市の面積の約一二・二%を占めています。史跡の草刈りやトイレの管理には毎年約四千五百万円前後の費用がかかっていますが、国からの補助金は国有地分のみで、史跡面積のわずか〇・四%、約六十三万円です。また、県からの補助金も昨年より五十四万円減額され四百二十一万円となっています。さらに史跡地の公有化事業費も含めると、交付税措置などを省いた純粋な太宰府市分の支出が毎年一億八千万円程度となり、市の一般会計に大変大きな影響を与えています。  一九六四年から始まった公有化事業の現在までの進捗率は七四・八%となっており、今後もその面積は広がり、かつ観光客の増加を考えると、快適で安全な環境づくりのため、草刈りやトイレ整備などの費用が増加することは明らかです。この史跡地の公有化事業は、指定面積の拡張に伴い、当時の太宰府町の中にあったさまざまな意見を国が主体となって取りまとめ、県や県議会も含め、約四年の月日をかけて町民を説得し継続した事業です。それを踏まえた上で、以下質問いたします。  太宰府市では、所有者である市が自由に活用することができないという史跡の特殊事情を理由に、県のヒアリングを通して、国に対して特別交付税措置を二十年以上にわたって要望してまいりましたが、実現しているとは言えません。そこで、県ではこの要望をどう認識し、どのように取り扱ってきたのかお伺いをいたします。  また、令和による経済効果は約十億円と発表されましたが、突然の改元発表に対応する間がなかったため、市への歳入はほとんどなく、さらなる歳出超過となっています。この事態に対し、市町村を応援する県としてどう対応するのか、知事の考えをお聞かせください。  最後に、史跡活用のための規制緩和についてお伺いします。四月一日から太宰府にお越しになった十万人を超す観光客の多くは車でお見えになりました。一方で、大宰府政庁として知られる大宰府跡は、申し上げたとおり国の史跡指定地で、市が駐車場として使用することができません。しかし、観光客の皆さんはスペースがあれば勝手に駐車されるため、混乱を避けるため、市は人を雇って対応したところです。また、飲食物やお土産の販売もできないため、観光客の方をおもてなしすることもできません。  そんな中、今月十日、太宰府市の楠田市長が安倍首相と菅官房長官との面会を果たし、その中で史跡活用のための規制緩和についてお伺いしたところ、お二人とも考える必要があると回答され、安倍首相においては、カフェなんかいいよねと前向きな姿勢を示されました。  そこで、県としても市と連携しながら、史跡の保護を図りつつ、その活用において必要な規制緩和を行うため、国への働きかけを行っていただければと考えますが、教育長のお考えをお伺いいたします。(拍手) 9 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 10 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  五月一日、私自身も、市長、それから議員、御一緒いたしまして、大宰府政庁跡で千五百人の皆さんと一緒に、令和の人文字、これをつくらせていただきまして、お代がわりをお祝いさせていただいたところでございます。  この令和の改元を契機とした広域周遊でございますけれども、県におきましては、これまでも宗像・沖ノ島と関連遺産群、糸島市にございます九州最古の万葉集の歌碑など、歴史、文化に関する観光資源を福岡の歴史探訪ガイドブックにまとめまして、旅行博でこれを配布したり、県の観光ホームページクロスロードふくおかに掲載をするなど、広くPRをしてきたところであります。また、昨年度でございますけれども、JR西日本と連携をいたしまして、福岡古代の旅、これをテーマに、関西発の新幹線を利用した旅行商品の造成を図りまして、約八千五百人の新しい誘客につなげたところであります。今年度は、東京、大阪など全国五地区で旅行会社を対象として、九州観光推進機構が開催をする観光素材説明会におきまして、坂本八幡宮、それから大宰府展示館などを、新元号令和ゆかりの地、太宰府、これをPRをするとともに、これらの施設と秋月城下町、門司港駅など県内の観光資源を組み込んだ旅行商品の造成についてこれを促しているところでございます。今後とも、引き続き県内市町村、観光協会と協力をして、令和を初めとする福岡県の歴史、文化に関する観光資源を活用し、県内各地への誘客、また広域周遊の促進に取り組んでまいります。  史跡にかかわる特別交付税の要望についてでございます。県は、史跡等の重要文化財の維持にかかる経費について、市から要望のありました額を、国に対し特別交付税の額に算入するよう要望してきているところであります。特別交付税の算定に当たりましては、史跡、建造物、美術工芸品などそれぞれの文化財の種類ごとに財政需要に算入する一件当たりの積算単価、これが省令で定められているところでございます。文化財の面積や規模にかかわらず、単価に件数を乗じて算定しておりますこの方法によりますと、規模の大きな史跡を有する市町村の維持管理経費、これを賄えないことが考えられます。今般、国において単価の見直しというものが検討されておりますので、この機会を捉えて、国に対し大規模な国の特別史跡の算定基準のあり方について見直しを求めていきたいと考えております。  次に、新元号発表後の太宰府市の歳出超過についてお尋ねがございました。令和の改元以降、太宰府市におきましては、議員も御指摘されましたけれども、大宰府政庁跡近辺で大きく増加した来訪者に対応するため、交通誘導員の配置、また臨時駐車場の確保といったことが必要となり、新たな財政負担を生じていると伺っております。県といたしましては、これらについてこの秋の特別交付税ヒアリングの中で、今年度生じた特殊の財政需要として国と協議をしてまいります。 11 ◯議長(栗原 渉君) 城戸教育長。 *教育長答弁 12 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 史跡活用のための国への働きかけについてでございます。文化財保護法によって指定された史跡地については、遺構の保存及び景観を保護する観点から、指定地を開発することに規制がかけられております。特に大宰府跡については、その多くが国庫補助金による公有化事業で取得されているため、史跡の保存目的以外の使用が基本的に制限されている状況でございます。  新元号の制定に伴い観光客が急増したことを受けまして、太宰府市からは、国に対して駐車場や軽食、売店の設置など、史跡地の活用に向けた規制緩和の要望がなされております。県におきましても、今回の令和に伴う大宰府政庁跡及びその周辺の観光課題について説明し、その対応策について国と協議をしているところでございます。今後も太宰府市と十分に協議、連携しながら、国に対しまして制度の弾力的な運用について引き続き働きかけてまいる考えでございます。 13 ◯議長(栗原 渉君) 渡辺美穂君。 14 ◯二十四番(渡辺 美穂君)登壇 知事、教育長、御答弁ありがとうございました。  さて知事、太宰府市の一般会計予算は約二百四十四億円です。その予算額に占める一億八千万円というのは、県の予算規模でいうと約百四十六億円となります。その金額が史跡の購入、維持管理に充てられているということになるわけです。県の所管である文化財課の今年度予算が約五億円弱という現実と比較しても、その費用が市の財政に与える影響がいかに大きいかということがおわかりいただけると思います。  教育長は、大宰府史跡の今日的課題や社会的要請を踏まえつつ、次世代へ、未来へ向けて進む時期に来ていると、大宰府史跡発掘五十周年記念誌に寄稿されています。これまでの経過を踏まえ、令和を機に改めて文化財の保護やその活用に関して、県としてさらに責任を果たしていただくように要望して私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 15 ◯議長(栗原 渉君) 高橋雅成君。(拍手) *高橋(雅)議員質問 16 ◯六十七番(高橋 雅成君)登壇 皆さん、こんにちは。公明党の高橋雅成です。通告に従いまして一般質問を始めます。  医療的ケアが必要な重度障がい者を支援する施設の課題について質問します。平成十五年の支援費制度の導入から同十七年の障害者自立支援法の公布、同二十五年四月の障害者総合支援法まで、障がい者支援のあり方はさまざまに論議され、法律、制度も変化してきました。その間、障がい者の在宅生活が促進され、それに伴い、重度障がい者や難病患者も施設や病院から在宅へと生活の場の移行が進んでいます。医療的ケアが必要な重度障がい者の生活は、家族の過度の介護負担によって辛うじて成り立っており、当事者の生活の充実や家族の負担軽減をいかに図るかが課題となっています。  そうした中、喀たん吸引や経管栄養、導尿などの医療的ケアを必要とする重度障がい児者を支援する福岡市のある障がい者多機能支援施設で現状を伺いました。この施設は、生活介護について約三十名と契約し、そのうち八割が医療的ケアを必要としています。毎日、通所してくるのは平均十一人ですが、その多くがベッドやマット上に横になって過ごしています。以下、施設運営者の生の声を聞いてください。  毎日、管理者を含め十二名が支援に当たり、そのうち四人から六人が看護師です。排せつ介助やおむつ交換、入浴など二人対応で支援することが多く、看護師も頻回の医療的ケアや細かな状態観察などに追われる状況だということです。  施設運営で頭を抱えているのが毎月の経常赤字です。医療的ケアが必要な重度者を受け入れる施設は少ないため、受け入れ施設にはこうした障がい者が殺到し、人件費がかさんでいます。  そもそも身体障がい者対応の施設は、ハード面において設備投資の費用が重くのしかかります。施設全体のバリアフリー化が必要となるほか、専用の浴槽や介護ベッド、バイタルを集中管理するセントラルモニターなどの医療機器等、必要な物品は高額なものばかりです。送迎用の車両もリフトつきの特別仕様車、さらにストレッチャータイプの大きな車椅子を使用している人が多く、車一台に二人から三人しか乗せられないため、車両台数も多くなります。車内での医療行為が必要なので、運転手のほかに看護師等が同乗する必要があり、送迎にかかるコストとマンパワーが運営を圧迫しています。  介護報酬単価は、利用者の障がい支援区分により差を設けていますが、最重度の区分六でも、医療機器につながれ寝たきりの人もいれば、車椅子で専門学校に通える人もおり、その支援内容には大きなばらつきがあります。医療的ケアが必要な重度障がい者を受け入れ、必要なマンパワーを配置することに不公平感が募ります。看護師を配置した場合の加算はありますが、看護師一人を雇用するにもほど遠いものです。  さらに、医療機関には医療型短期入所に日帰り短期入所が制度上認められており、事実上、通所として活用されています。医療型短期入所は、基本報酬が約三倍と大幅に優遇されているほか、医療型短期入所事業だけに認められた特別重度支援加算もあります。同じ利用者を支援しても報酬に数倍の差が開くことにもどかしさを感じざるを得ません。医療的ケアが必要な重度障がい者の支援に対する抜本的な報酬単価を見直し、多くの法人が安心して運営できる環境をつくらない限り、当事者が安心できるような支援の輪は今後も広がらないと思います。  これに関連し、県は医療型短期入所事業の設置を促進してきましたが、これまでの実績はどうか伺います。  また、なぜ医療型短期入所事業に限って設置を目指してきたのか、その理由を説明してください。  施設運営者の訴えはまだまだ続きます。知事への質問を交えながら声を紹介します。  医療的ケアが必要な重度障がい者を支援するには看護師の確保が大きな課題です。看護師の求人は、医療機関を初め多数の職場がありますが、福祉施設は待遇面で見劣りするため不利な状況です。中でも障がい者施設は、看護師が障がい者と接する機会が少ない上、重度障がい者のケアは一人一人の個別性が高いため、敬遠されがちです。  そのような中、現在、看護師を確保する上で一番利用されているのは人材紹介会社です。人材紹介会社は、求人のある病院などとマッチングを行い、雇用につながれば求人側が成功報酬を支払います。問題なのは、高額な成功報酬とその仕組みです。人材紹介会社から紹介を受けて看護師を雇用した場合、看護師の年収の三割を紹介会社に支払う必要がありますが、福祉施設にはその費用の捻出は厳しい現状です。また、成功報酬から看護師に就職祝い金、準備金と称して事実上のバックマージンが支払われており、看護師は、就職後すぐに離職して新たな就職先を探すケースも多いと言われています。  そこで質問ですが、まず本県における看護師の就業場所別の求人数と求職者数及び求人倍率についてお答えください。  福岡県ナースセンターでは看護職員無料職業紹介を実施していますが、その就職実績について就業場所別にお答えください。  障がい者支援施設への就職実績を上げるため、県として何らかの施策が必要と考えるものですが、知事の所見を伺います。  医療的ケア児を自宅で介助する家族の負担を軽減するため、県が新たに実施しようとしている訪問型レスパイトケア事業についても、こうした現状においては利用者が希望どおりに看護師の訪問を受けることができるのか、地域によっては十分な支援体制が確保されないことはないか、そういった懸念があることから、十分な支援体制を整えて事業に臨むことを要望しておきます。  次に、介護職員の確保について、県内外を問わず福祉系の専門学校や大学など担い手を養成する学校が相次いで閉鎖しています。高齢者や障がい者の地域生活増加に対し、支援員の不足は明らかです。福岡県社会福祉協議会は、年二回、福祉のしごと就職フェアを開催していますが、福祉のしごと就職フェアに参加している求職者の数は毎年減少しています。ここ五年間では二百九十八人、減少率で一七%の減です。福祉職のイメージは悪化しており、三Kとも四Kとも言われる同業界は、特に好景気にあって若者は敬遠し、他の産業へ人材が流れがちです。また、福祉関係の中でも障がい福祉分野は、児童福祉や高齢者福祉より人材確保は深刻です。理由は、介護イコール高齢者のイメージが強く、障がい者福祉について学ぶ機会も少ないためです。また、福祉のしごと就職フェアの来場者の希望職種は、昨年八月の例では、相談員、支援員三七・六%、介護職三三・六%に対し、ホームヘルパーはわずかに二・八%でした。ホームヘルパーは地域生活支援の柱となるサービスであり、このままでは障がい者を支援する人材の確保が難しく、多くの人の在宅生活に支障を来します。こうした現状に対する知事の認識と今後の対策について伺います。  少子、高齢化により、産業間の人材確保競争が激化しています。福祉業界も賃金や労働環境など処遇について他産業と遜色ない運営が求められています。しかしながら、有給休暇はもちろん、週休ですらしっかりとれていない事業も少なからず存在します。ルールを逸脱してサービス提供をしたり、不正な請求をしている事業者もいまだに見受けられ、業界全体が労働基準法を初め、ルールをしっかりと守ることが大事です。県として事業に対し指導とチェックを徹底するとともに、業界を一緒に育てるという意識と行動が必要と考えますが、知事の見解をお示しください。  最後に、教育長に伺います。若い人たちに障がい者福祉の仕事に関心を持ってもらうためには、障がい者がもっと身近な存在になり、障がい者支援の仕事の内容を理解してもらう必要があります。そのためには、子供のころから障がい者と触れ合う機会をふやすことが重要です。障がいのある子供と障がいのない子供の交流の意義について、教育長はどう考えるのか見解をお示しください。  特別支援学校と地域の学校との交流には、大別して居住地校交流と学校間交流があると聞きますが、それぞれの交流の仕方について説明をお願いします。  また、それぞれの交流の実績についてもお示しください。  こうした交流について、さらなる充実が必要と考えるものですが、教育長の見解を伺います。  さらに、学校の授業で福祉施設への訪問や福祉体験を推進していただきたいが、これまでの実績と今後の取り組みについてお聞きします。  以上、よろしくお願い申し上げます。(拍手) 17 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 18 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、医療型短期入所事業の設置であります。県におきましては、平成二十四年度に在宅重症心身障がい児者の実態調査を実施いたしました。この調査におきまして、日々家庭で介護を続けておられる方の約半数が睡眠時間五時間以内という状況にございまして、短期入所サービスの利用を希望される方が七割を超えるということが明らかになりました。また、平成二十四年度当時、十三の障がい保健福祉圏域のうち、医療型短期入所、このサービスを提供する事業のない地域が六圏域ございました。その実態を踏まえまして、介護老人保健施設や医療機関に対しまして医療型短期入所サービスの実施を働きかけてまいりました。その結果、二十五年度末の十八事業でございましたところから、三十年度末現在三十九事業となってございまして、着実に増加をしているところであります。  本県における看護師の求人と求職の状況でございます。県におきましては、看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づきまして、福岡県看護協会を福岡県ナースセンターとして指定をし、看護職員に対する無料職業紹介を行っております。昨年度の状況でございますけれども、求人四千八百八十四人に対し、求職は二千四百十四人で、有効求人倍率は二・〇倍となってございます。就業場所別の求人数でございますけれども、病院が二千十二人、福祉施設が八百六十五人、診療が七百九十五人、訪問看護ステーションが五百十一人、その他が七百一人とそれぞれなっております。一方、就業場所別の求職者につきましては、求職者が複数施設を希望されておりますことから、その集計が行われておりません。また、公共職業安定におけることし四月の看護職員の求人、求職の状況でございますけれども、求人五千二百二十七人に対し、求職は三千九百十八人となっておりまして、求人倍率が一・三倍となっているところでございます。また、就業場所別につきましては公表がされておりません。看護師の求人、求職につきましては、今申し上げました以外にも民間の有料職業紹介や人材派遣会社など数多くの機関がこれに携わっておりますが、それぞれ求人数、求職者数について公表しておりませんので、これを把握することが難しゅうございます。  次に、ナースセンターにおける就職の実績についてお尋ねがございました。昨年度、病院二百八十五人、診療百八十人、障がい者支援施設を含む福祉施設が九十九人、訪問看護ステーション三十四人、その他二百九十一人、合計八百八十九人となっております。ナースセンターでは、就労相談支援員が求職者のこれまでの職歴、希望される業務、勤務条件などを丁寧に聞き取った上で、御本人の適性に合った求人施設を紹介をするとともに、施設訪問に同行するなどきめ細かな支援を行っているところであります。今後も求人側のニーズや求職者の経験、スキル、これらを踏まえまして丁寧なマッチングを行うことによって、障がい者支援施設を初め求人施設への就職につなげていきたいと考えております。  障がい者の在宅生活を支援する人材の確保でございます。障がいのある方の在宅生活を支援するためには、居宅を訪問して支援をするホームヘルパー、通所型の事業で支援をする職員の確保が必要となります。しかしながら、障がい福祉関係分野の有効求人倍率は、平成二十九年度で見ますと三・二と、全産業の一・五に対しまして二倍以上となってございます。職員が不足している状況にございます。その要因といたしましては、障がい福祉の現場で働かれる職員の賃金が全産業の約八三%と低いことがあると、このように考えております。このため県におきましては、その処遇改善を図るため、障がい福祉サービス事業者に対し、国の報酬基準で設けられております福祉・介護職員処遇改善加算の取得というものを促してまいりました。また、ことしの十月から創設をされます新たな処遇改善加算制度につきましては、文書や事業者を集めた説明会においてこれを周知を図るとともに、加算取得に必要な要件、手続にかかわる相談会にも取り組んでいくことといたしております。さらに国に対しましては、これまで処遇改善に向けた措置、また処遇改善加算の手続の簡素化などについて要望をしてきておりまして、その要望をこれからも続けてまいります。  障がい福祉サービス事業等に対する指導についてお尋ねがございました。障がい福祉サービス業界が健全に育っていくためには、法令や制度を十分理解をした上で適正に運営されることが重要であります。県におきましては、全ての障がい福祉サービス事業等を対象にいたしまして、講習会形式で指導いたしております集団指導、これを実施し、報酬請求や事業実施の留意事項について説明をしてきております。平成三十年度には障がい福祉サービス指導室を設置をいたしまして、事業に赴いて行う実地指導の体制を強化をし、書類の確認や聞き取り調査をもとに適正な運営というものを指導してきております。また、障がい者支援施設等に対し監査を実施しております。その中におきまして、利用者の状態に応じたサービスが適切に提供をされているか、必要な職員の確保及び労働法規に基づいた適切な職員の処遇がなされているか、火災、地震、風水害等の非常災害対策が適切になされているか、また社会福祉法人会計基準に基づき適切な会計処理がなされているか、これらについて確認を行い、法令等の違反が認められた場合には改善を行うよう指導をしてきているところであります。今後とも定期的に丁寧な指導を行うほか、あわせて処遇の改善といった事業が抱えておられる課題の解決を図るため、国に対し働きかけを行ってまいります。 19 ◯議長(栗原 渉君) 城戸教育長。 *教育長答弁 20 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 障がいのある子供と障がいのない子供の交流の意義についてでございます。障がいのある子供とない子供の交流は、障がいのある子供にとっては積極的な社会参加につながるとともに、障がいのない子供にとっては障がいのある人を積極的に支援する行動や、障がいのある人とともに支え合う意識の醸成につながると考えます。  特別支援学校と地域の学校との交流の仕方と実績についてでございます。まず、学校間交流は、特別支援学校が近隣の小中学校等と交流を行うもので、平成三十年度は、県立特別支援学校全二十校において合計四百三十六回行われ、交流先の運動会や社会見学、弁論大会、文化祭などに児童生徒が参加しております。次に、居住地校交流は、特別支援学校の児童生徒が自分の住んでいる地域の小中学校の行事等に参加するもので、平成三十年度は、県立特別支援学校十五校において百九十八人が合計四百七回行い、居住地校の合唱コンクール、給食や国語、算数などの教科学習に参加したり、手紙の交換を行ったりしております。  特別支援学校と地域の学校との交流のさらなる充実についてでございます。学校間交流と居住地校交流は、児童生徒と保護者の意向やそれぞれの学校の実情などを踏まえまして、適切な内容と回数で行われることが大切であります。このため、今後とも特別支援学校に対しましては、県教育委員会で作成した手引の活用促進や他校の実践事例の紹介を行い、小中学校を所管する市町村教育委員会に対しましては、研修会などの場で交流についてのより一層の理解と協力を求め、さらなる充実を図ってまいります。  福祉施設における体験についてでございます。本県において小中学校の福祉に関する体験活動を行っている学校は、県域の小学校で約九六%、中学校で六六%でございます。一方、職場体験を含む福祉施設への訪問先の多くは高齢者施設でございまして、障がい者施設は一般的に多くない状況であると考えております。これは、学校に障がい者施設の情報が不足しており、訪問先としての選択肢になっていないことが原因の一つと考えられます。今後、関係部署と協議し、障がい者施設に関する情報提供に努めまして、各学校の体験活動を推進してまいります。 21 ◯議長(栗原 渉君) 高橋雅成君。 22 ◯六十七番(高橋 雅成君)登壇 障がい者支援施設は、基本的に保険料と税金で運営されていると思うんですけれども、こういった施設から、看護師の人材紹介会社が年収の三割もの紹介料を取るということに対して、非常に何か納得がいかないものを私は感じております。  そこで、こういった実態に対して何らかの調査ができないものかというふうに考えるものですけれども、知事のお考えをお聞かせください。  それと教育長のほうにお聞きしますけれども、これは要望ですが、居住地校交流につきまして、個人単位で見ると、最少で一回、最多で六回というふうにお伺いしております。平均で二・一回と、実施が。非常にすごく差がありますので、この回数を、大変慎重に運営しているというのはよく今回知りましたけれども、回数をふやす努力をしていただきたいというふうに思います。  学校間交流に関しましても、部単位で見ますと、最少がやっぱり一回、最多は何と百五回という、すごく開きがありますので、こちらのほうは、少ないところは少しでも多くしていく、そういう努力をお願いしたいと要望して質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 23 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 24 ◯知事(小川 洋君)登壇 人材紹介会社の手数料についてお話がありましたが、今、事務当局のほうでどれだけ情報をいろいろ持っているか、それをまず調べた上で考えさせていただきたいと思います。 25 ◯議長(栗原 渉君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時十分といたします。           午 前 十一時 五十五分  休 憩           午 後 一 時  十一分  再 開 26 ◯副議長(原中 誠志君) 再開いたします。 *諸般の報告  諸般の報告を行います。  提出議案中第八八号議案「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の制定に伴う関係条例の整備に関する条例の制定について」外一件について人事委員会の意見を求めましたところ、お手元配付のとおり意見の提出がありました。      ────────────────────────────────────────── 27 ◯副議長(原中 誠志君) 以上、報告いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。江口善明君。(拍手) *江口議員質問 28 ◯二十九番(江口 善明君)登壇 皆さん、こんにちは。食と緑を守る緑友会福岡県議団の江口善明であります。質問通告に従い、児童相談のあり方について質問をさせていただきます。  昨年、東京都目黒区の五歳の女の子の児童虐待での死亡事件、ことしに入っても千葉県野田市の小学校四年生の女の子の死亡事故が発生いたしました。全国的に見ても、児童虐待対応件数は平成二十六年度が八万八千九百三十一件、直近に集計をいたしました平成二十九年度が十三万三千七百七十八件と残念なことに上昇をしております。本県におきましても、福岡市、北九州市を含めた県全体の児童虐待対応件数は平成二十六年度が千九百五十二件、平成三十年度が六千九百八件と急増をしております。  今月十九日、児童虐待の防止強化に向けた改正児童虐待防止法と児童福祉法が参議院本会議において全会一致で可決、成立いたしました。児童虐待では、しつけと称した虐待が後を絶ちません。改正法では、こうした事件を防ぐため、親権者は児童のしつけに際して、体罰を加えてはならないことが明記をされました。子供を戒めることを認めている民法の懲戒権のあり方については、法施行後二年をめどにあり方を検討するとしております。  社会から児童虐待を減らすためには、子供たちの置かれた実態を把握することが大前提であると思います。内閣府の平成三十年保育園と幼稚園の年齢別利用者数及び割合によりますと、小学校就学前の保育園、幼稚園、認定こども園にも行っていない子供、いわゆる無園児が全国で九万五千人に上るとされております。もちろん、保育園や幼稚園、認定こども園は制度上は行かせても行かせなくても親の自由であります。しかしながら、保育園や幼稚園、認定こども園は、子供にとっては大きなセーフティーネットになり得ると思います。具体的には、給食があることで栄養がカバーできますし、児童虐待やネグレクトの兆候をいち早く察知できます。三歳児までは健康診断でカバーができますし、小学校入学すれば学校で子供の様子がわかります。保育園や幼稚園、認定こども園に通っておらず、何らかの保健福祉サービスを受けていない子供の実態はどうなっているのか、子供の安全確認は必要ではないかと思います。このような子供の安全確認を本県ではどのようにされていますか、知事にお伺いします。  次に、児童相談の機能強化についてお尋ねします。改正児童虐待防止法では、児童虐待が疑われる場合の子供の一時保護などの介入を担当する職員と保護者への相談対応などの支援を担当する職員を分けることも明記されました。国の報告書では、家庭や子供への調査、保護といった業務と、保護者への支援業務を同じ職員が担うことにより、保護者との関係を考慮する余り、必要な保護がちゅうちょされる、また、親の意向に反する一時保護を行った結果、その後の支援が進まないといった課題が指摘をされておりましたが、この介入と支援の分離が明記されたことにより、ためらわずに、適切な保護に踏み切る体制がなされるものと思います。  この介入と支援を分ける児童相談の機能強化に当たり、本県ではどう対応していくのか、知事の御所見をお伺いして、私の一般質問を終わります。
     ありがとうございました。(拍手) 29 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 30 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず、保健サービス等を受けていない未就園児の安全確認でございます。国におきましては、昨年度でございますが、保育園や幼稚園に通っておらず予防接種等の保健サービスなどを受けていない児童に対する市町村の安全確認、これについて調査を行いました。県におきましては、この調査により県内の状況というものを把握させていただきました。この調査におきましては、対象となる児童のうち、昨年九月末時点で安全の確認ができていない児童は五百四人おりました。その後の市町村の家庭訪問等によりまして、ことしの四月までに全ての児童の安全というものが確認できたところであります。国におきましては、毎年度この同様の調査を実施することといたしておりまして、今後も、この調査に基づき、虐待の早期発見とその防止に取り組んでまいります。  次に、児童相談の機能強化でございます。今般、児童虐待防止法が改正をされまして、迅速な児童の保護と信頼関係に基づいた保護者、児童への支援というものが可能となるよう、児童相談の職員につきまして、介入と支援それぞれの担当を分けることとなりました。県といたしましては、来年度からのその実施に向けまして、既に介入と支援の分離を行っております他県の状況、また私どもの現場の実態というものを十分に把握をいたしまして、介入と支援の担当者が緊密に情報を共有した上で、適切な対応ができるよう、その業務分担の見直しを進めてまいります。 31 ◯副議長(原中 誠志君) 高瀬菜穂子君。(拍手) *高瀬議員質問 32 ◯六十八番(高瀬 菜穂子君)登壇 日本共産党の高瀬菜穂子です。  初めに、福岡空港滑走路増設に伴う米軍基地移転について伺います。毎日新聞が、福岡空港の滑走路増設に伴う米軍施設の移転費用の一部を県と福岡市が負担すると報道しています。米軍施設移転費の総額と、これまでに使われた事業費及び県の負担分を明らかにしてください。  知事はこれまで、板付基地返還促進協議会のメンバーとして、福岡空港内の米軍施設の早期全面返還を国に求めてこられたと承知しています。米軍施設の固定化につながる移転費用の負担は、返還要求と矛盾するのではありませんか。この際、返還を強く求めるべきだと考えます。米軍施設移転の費用負担について知事の見解を伺います。  次に、下関北九州道路についてです。さきの統一地方選挙のさなか、塚田一郎前国土交通副大臣が、下関北九州道路の予算化について、安倍首相、麻生副総理の意向を私がそんたくした、道路事業の調査を国直轄に引き上げたと発言しました。予算の私物化、あからさまな利益誘導ではないかとの批判が沸き起こったのは当然です。塚田氏は、発言を、事実と異なると撤回しましたが、丸ごと否定するには余りにもリアルな発言です。二〇〇八年三月に、当時の冬柴国土交通大臣は、今後調査は行わない、格上げするときは国会に諮ると答弁しました。一度は中止となったこのプロジェクトが安倍政権発足後から復活させる動きが始まり、二〇一六年には、安倍総理も名を連ねる関門会から要望書が出されるなど、安倍総理をめぐる動きの中で、昨年の国土交通省の当初予算にはなかった調査費が突然つけられました。まさに、そんたく道路ということになるのではないでしょうか。そんたくによる予算の私物化は許されないと思いますが、この点について、経過も含め、知事の御所見を伺います。  下関北九州道路調査検討会は、この三月、概略ルート、構造形式、整備手法について取りまとめを行いました。これに先立ち、昨年十一月に市民アンケートを実施しています。しかし、下北道路建設の賛否を聞いた設問はなく、事業推進が前提のアンケートです。費用や採算性についての説明は全くありません。橋梁による日明─彦島ルートという結論ありきの誘導アンケートだと言わざるを得ません。それでも、アンケートの自由記入欄には、率直な意見も書き込まれています。不必要、今のままで十分との意見に加え、わからないとの記入が多数ありました。日明─彦島間のフェリーの復活や関門トンネルにETC設置で渋滞緩和を求める声は幾人もからありました。また、別のルートを確保することが前提の質問はおかしい、建設費用はどれほどかかるのか、誰が負担するのか、橋やトンネルも将来の維持管理費が膨大、あれば便利だがなくても困らないなど、道路の必要性、採算性、アンケートのあり方そのものについての当然の疑問の声も上がっています。限られた一方的な情報の中で、ルートや構造形式を選ばせるアンケート結果は市民の声を反映したものとは到底言えません。自由記入欄に示された疑問の声にこそ真摯に向き合うべきだと考えます。知事の御所見を伺います。  下関北九州道路は、これまでも指摘してきましたように必要性も採算性もありません。建設中止を改めて強く求めます。知事の見解を伺います。  次に、九州北部豪雨災害の被災者支援、仮設入居延長問題について伺います。この問題については今議会でも質問が相次ぎました。切実な被災地からの訴えも退ける知事の繰り返しの答弁は、被災者に寄り添うとは言いがたいものです。特定非常災害に認定されれば延長が認められ、そうでなければ延長は認めないという国の方針自体が実態に合いません。日本共産党はこれまでも、災害の規模によって制度に格差をつけることは改めるべきだと機会あるごとに主張してまいりました。家を失い、家族を失った悲しみは同じです。九州北部豪雨災害は、死者、行方不明者四十一名という未曽有の災害であるのに、特定非常災害に認定されず、大規模災害とはみなされなかったため、グループ補助金制度も、被災農業者向けの経営体育成事業も受けられませんでした。半壊家屋の公費解体も、国費による国保法四十四条適用、一部負担金減免もなかったのです。知事、被災者に対する施策の公平性、バランスを言うのならば、あなたが、国に対して被災者への支援を公平にせよと言うべきではありませんか。工事が完了していない現時点で、家を建てられるかどうかの判断ができない、河川の改修が終われば家をリフォームして帰りたいが今は怖くて帰れないと言っている被災者を追い出すようなことはやめてください。真夏に仮設からの転居を強要することは人道的にも問題です。  国に対し、仮設住宅の入居期限を一律に二年とするのでなく、災害救助法を見直し、状況に応じて延長できるよう求めるべきだと考えますが、知事の見解を伺います。  国が延長しないのであれば、県独自の延長措置が必要です。毎日新聞の調査によると、昨年十二月時点で四十都道府県に計二万二千五百四十九戸の仮設住宅があり、うち七割に当たる一万五千六百六十二戸が入居期限二年を超えて使用されているとのことです。西方沖地震の際には、本県も一年延長を独自に行いました。再建のめどが立たないという点では西方沖地震と同様です。今回も柔軟な対応を決断すべきです。仮設退去についての住民説明が十分でなかったことも考慮し、県独自の仮設入居延長を行うべきです。知事の見解を伺います。 33 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 34 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、福岡空港の米軍施設移転費についてでございます。福岡空港の米軍施設につきましては、本県も参加をしております板付基地返還促進協議会、その活動といたしまして、国に対し、その返還に努めるよう要望してきているところでございます。しかしながら、現時点においては、その返還は実現していないと、そういう状況にございます。一方で、福岡空港は、平成二十八年三月から国の混雑空港に指定されるなど、その容量拡大が喫緊の課題でございまして、国による滑走路増設事業が実施をされているところであります。この事業に要する経費は空港法第六条及び第七条の規定に基づき、その三分の一を県と福岡市で負担することになってございます。この滑走路増設事業を進めていく上で米軍施設は支障物件となりますことから、その移転経費については、事業主体であります国土交通省が増設に必要な経費として、その事業費に計上しているところでございます。その一部を県が負担することは、今申し上げました空港法上必要なことであります。平成二十八年度から令和二年度までを予定しております米軍施設移転費の総額は約三十億円と伺っておりまして、昨年度までに執行済み額は四億八千七百万円、それに対応する県の負担額は九千七百万円となっているところでございます。  いわゆる下関北九州道路におけるそんたくでございます。この道路に関する前国土交通副大臣の御発言は、御本人が既に撤回をされておりまして、今さら私から申し上げることはございません。今年度から国による直轄調査が行われることとなりましたのは、福岡県、山口県、北九州市、下関市それぞれの地元自治体、そして党派を超えて応援をいただいております北九州下関道路福岡県議会議員連盟など各議会の議員連盟、そして九州経済連合会など経済界が一体となりまして、その必要性と緊急性について長年にわたって国に精力的に訴えをしてきた結果である、このように認識をしているところであります。  下関北九州道路調査検討会におけるアンケートについてお尋ねがございました。このアンケートは、地域における道路の課題やこの道路の役割などの御意見をいただくために、昨年の十一月、北九州市、下関市の住民を対象といたしまして、無作為抽出による四千世帯、六千八百十二人に対して行われたものでございます。二千百八人から御回答を得たところでございます。このアンケート調査によりますと、地域における道路の課題として、両市を自動車で行き来する方の八割が交通混雑、これを回答され、その道路の役割として、約六割の人が災害時の既存道路の代替機能の確保が必要であると、この旨の回答をしていただいております。自由意見欄におきまして、ごく少数ではございますが、御指摘いただきましたような不必要、今のままで十分といった御意見もありましたけれども、大部分の方からは前向きな御意見をいただいたと、このように認識をいたしております。下関北九州道路調査検討会におきましては、このアンケート調査の結果も踏まえまして、ルートや構造などについて、地域としての取りまとめを行ったところでございます。  次に、いわゆる下関北九州道路の整備の必要性でございます。これまで県議会で御答弁をしてまいりましたように、この道路は、既存道路ネットワークの課題の解消、関門トンネル、関門橋の代替機能の確保、さらには循環型ネットワーク形成による関門地域の一体的発展のために本州と九州とを結ぶ必要不可欠な道路であると考えております。  次に、災害の御質問がございました。国に対する災害救助法見直しについてでございます。応急仮設住宅の供与は、災害救助法で定められた救助の内容であるにもかかわりませず、その延長は同法に定めがなく、特定非常災害特別措置法の指定を受けなければならないことになってございます。被災者の立場に立って現行制度を見直すためには、被災した場合に災害の規模の大小にかかわりなく同じ扱いがなされるよう災害救助法の弾力的な運用を行うことが必要であると、このように考えております。このため県といたしましては、全国知事会におきまして、被災者の迅速かつ効果的な救助を行うため、仮設住宅の供与期間、災害ボランティアの食費などの資金使途の制約の撤廃などにつきまして、自治体の自主的、弾力的な運用が可能となるよう、災害救助法の見直しについて要望を行っているところでございます。  次に、県独自の対応でございます。県では、被災者の方の一日も早い住宅再建が進むよう、朝倉市と協力をしながら、被災者生活再建支援金に加え、再建時の借入金の利子補給、入居に際しての初期費用、引っ越し費用の助成、義援金の追加配分など支援策を講じてまいりました。五月二十二日現在、再建方針は決まっているけれども、具体的な転居先を今、探しておられる、そういった方も含めまして、再建のめどが立っていない方が八十四世帯おられますが、これらの支援策の活用によりまして、これまで最大一千六十九世帯ございました支援対象のうち、九百八十五の世帯、九二%の世帯の方が住宅の再建が進んでいる状況にございます。いまだ再建のめどが立っていらっしゃらない方々に対しましては、被災者お一人お一人の状況に応じた住宅再建ができるよう、朝倉市と一緒になって、今の支援策を最大限活用していただきながら、再建の道筋がつくよう、今、一生懸命やっているところでございます。一方で、行政といたしましては、今までに再建された方々との公平性というものも考慮しなければなりません。今後の対応につきましては、こうしたことも踏まえ、朝倉市とも協議をしながら、総合的に判断をさせていただきます。 35 ◯副議長(原中 誠志君) 高瀬菜穂子君。 36 ◯六十八番(高瀬 菜穂子君)登壇 仮設延長問題で再質問いたします。知事は御答弁で、災害の規模の大小にかかわりなく同じ扱いがなされるよう災害救助法の弾力的運用が必要とお答えになりました。それならば、どうして国に真剣な交渉をされないのですか。一昨年の災害は局地を襲った大規模災害です。それなのに、国の制度はそれに見合ったものではありませんでした。被災者の窮状や制度の矛盾を国に訴え、変えさせるのが知事の役割ではありませんか。さきの代表質問に対する、私自身、国に要望したことはないとの答弁は驚きです。余りに腰が引けているではありませんか。これまで被災者への支援は、被災地の声や努力から拡充されてきました。鳥取地震の際、片山知事の英断で百万円が支給され、その後の支援制度に影響を与えました。知事の本気度が問われています。最も苦労してきた、そして先が見えない被災者を公平性やバランスの名で切り捨てないでいただきたい。下関北九州道路より被災者支援を優先すべきです。国との真剣な交渉と県独自の措置について、再度、知事の答弁を求めます。(拍手) 37 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 38 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げたいと思います。  現行法制では、この期限の延長というのは非常に難しいわけでございますが、先ほど申し上げましたように、災害救助法の弾力的な運用、これが必要であるというふうに考えておりまして、既に知事会を通じて国のほうに働きかけ、要請をしているところでございます。引き続き要請を続けていきたいと、このように思っております。  それから、仮設住宅についての県独自の対策でございますけれども、今申し上げましたとおり、被災者の方お一人お一人の状況に応じた住宅再建というのができるよう、朝倉市と今、一緒になって、現在の支援策を最大限活用していただきながら、そのそれぞれの再建の道筋がつくよう、今、懸命にやらせていただいているところであります。一方で、行政としては、これも繰り返しでございますが、これまで再建された大勢の方との公平性も考えなければならない、そのことを申し上げているわけでございまして、今後の対応につきましては、こうしたことも踏まえて、朝倉市とも協議をしながら、総合的に判断をさせていただきます。 39 ◯副議長(原中 誠志君) 塩川秀敏君。(拍手) *塩川議員質問 40 ◯五十一番(塩川 秀敏君)登壇 自民党県議団の塩川秀敏でございます。通告に従いまして、二項目についてただしたいと思います。  質問に入ります前に、皆さん、御当選おめでとうございます。知事も三期目の当選、おめでとうございます。私のような人間は、質問の機会がないとなかなか勉強しません。質問イコール勉強です。この一般質問から遠ざかって約二年間、ここに立つのは二年ぶりでございまして、まさに歌を忘れたカナリアになりかけております。今回、質問の機会をいただき、カナリアがうまく鳴けるかどうか心配ですが、自民党県議団の松本國寛会長さんを初め皆さんに感謝申し上げ、しっかりと務めさせていただきたいと思います。  今回の質問作成に当たり、二年間のブランクを取り戻すために、麻生知事の所信表明の一部と小川知事の所信表明の全てを読み返してみました。本当に勉強になりました。それでは、前置きはこれくらいにいたしまして、早速質問に入ります。  まず、小川知事の所信表明についてでありますが、知事は二十三年の就任以来、一貫して所信表明で、本県福岡県をアジアとともに発展する一大拠点にする、日本海側の、かつアジアを向いた一大拠点として成長させる、これからの成長分野である環境を軸として、アジアから世界に展開する産業拠点を目指すと、まあ何回も所信表明でこういうことを言われています。今日まで、アジアとともに発展する一大拠点に向けて、知事がされた成果、結果を、まず伺いたいと思います。よろしいですか。  次に、ことしの所信表明で初めて聞きましたけれども、百年グッドライフ福岡県についてであります。この構想は、ふくおか健康づくり県民運動とスポーツ立県福岡との二本柱となっておりますが、見る限り、健康寿命を維持していこうという人の体の健康ということが中心のように見えます。人が充実した人生を送るためには、体の健康とともに心の健康、生きがいが必要であります。そのためには、学び直しや社会貢献、生涯学習の視点も非常に重要だと私は思うところであります。本県においては、残念ながら機構改革がなされるたびに、生涯学習が軽視をされてきた感が非常に強くございます。  そこで提案でございます。提案です。この際、百年グッドライフ福岡県の推進に当たり、ふくおか健康づくり県民運動とスポーツ立県の今の二本柱に、生涯学習というものを私はつけ加えて三本柱として、このグッドライフ福岡県を展開したらどうかと思うわけでございます。知事の所見をお聞かせください。  次に、また所信表明の中で知事は、九州を牽引するという発言も随所に見られるところでございまして、例えば、福岡県、九州を元気にするとか、九州、日本をここ福岡から元気にし、とか、九州を牽引するなどなど多くの発言をされております。知事は今日まで、どんな形で九州を牽引されてきたのかお聞きしたいと思います。  次に、教育長に伺います。教育現場の働き方改革についてであります。国の働き方改革を受けて、県は三十年三月に働き方取り組み指針というのを出しております。そして、ことしの一月からICカードなるものの取り組みが始まりました。目指すところは、私も委員会等で質問いたしまして、先生が生徒と向き合う時間の確保と、もう一つは、先生の心身の健康ということに目標があるということは明白であります。  そこでまず最初の質問ですが、働き方改革に関する県教育委員会及び学校における取り組みについて教育長から説明をお願いしたいと思います。  この三十年の三月、昨年の三月に出ました働き方取り組み指針は、私が見てみますと、県教育委員会と学校現場の取り組みについての指針を示しているものでございますが、学校現場においては、校長がやりなさいと、現場任せの感が非常に強いと思います。これでは、現場の働き方改革がスムーズに進まない、現場に二十年おった経験からすると、これはこんなに進むと思えません。  そこで提案です。教育委員会の、校長が学校現場の改革に取り組みやすいような環境づくりの取り組みというのを積極的にやってもらいたい。そのためには、学校に必要な最小限の業務をまず明確にする。これは皆さん方にはおわかりになる方もいらっしゃるかもしれませんが、特例法がありまして、四%という給料の上積みがありまして、残業は一切この中に入っているというのが教員の世界でございます。その四%から抜けているのが、部活動とか、そういうものが四%の中に入ってないので、どこまで先生がしなきゃいけないかということを明確にするために、この働き方改革を推進するということは非常に意義があると思いますが、そういう意味で、最低限どういうところはもう扱うことはできない、ほかのところは校長の裁量でやりなさいというようなことを明確にしていただくことが、こういう具体的な支援というものが大切かと思います。教育長のお考えを聞かせていただきたいと思います。  以上、まずはこれで終わります。(拍手) 41 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 42 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、アジアとともに発展する一大拠点、それについてでございますが、まず経済面におきましては、環境を軸にアジアから世界に展開をしていく産業拠点、その拠点化を目指すグリーンアジア国際戦略総合特区というものを推進してきております。これまでに七十二社がこの制度を活用しまして三千七十億円を超える設備投資が行われ、地域に千六百五十人の新たな雇用が生まれたところであります。また、環境面におきましては、アジア各国の環境政策に携わっておられるそれぞれの国の職員の方二百名以上を招聘をいたしまして県内で研修を行い、そうした職員の方々は現在、それぞれの国の環境部門で活躍中でございます。また、本県の技術協力によりまして、ベトナムとタイに福岡方式による廃棄物の処分場というのが完成しているところでございます。観光面におきましては、観光プロモーション等によりまして、我が福岡県の魅力をアジア各国へ発信をすることによりまして、本県を訪れられている外国人は、アジア各国を中心に年々増加をしているところでございます。昨年、福岡県に入ってこられた外国人の入国者数は、九州への入国者数の約六四%ぐらいだったと思いますが、約三百三十万人と、過去最高を記録しているところでございます。文化学術面におきましては、アジアの経済発展の見本ともなりました明治日本の産業革命遺産、またアジアとの交流を示しております「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群がそれぞれユネスコの世界文化遺産に登録を実現することができました。本県の留学生の数を見ますと、昨年一万九千二百九十六人となってございまして、東京都、大阪府に次いで全国三番目の多さとなっております。なお、これら留学生に対しまして働きかけを行い、それぞれの帰国後、アジア各国で、元留学生の会というものを組織をしてもらって、彼らとの間で両地域の交流の基盤その役割を果たしてもらっているところであります。人的交流面について言いますと、昨年、アジア七カ国・地域から中学生、指導者を百名以上招聘をいたしまして、本県の中学生と試合を行いますアジアラグビー交流フェスタというものを開催をさせていただきました。県議会の皆様の御尽力もいただきながら、昨年、福岡県内にタイ総領事館が設置をされることができました。これによりまして、外国公館の数は東京、大阪の二つに次ぐものとなってございます。今後とも、さまざまな交流分野の間口を広げ、その奥行きというものを伸ばしていくことによりまして、福岡県を我が国有数のアジアとともに発展する一大拠点に成長させていきたいと、このように考えております。  次に、生涯学習施策の充実強化でございます。県内におきましては、大学、市町村、民間の教育事業者、NPO・ボランティアなどさまざまな、多様な主体がそれぞれ生涯学習の場を提供されているところであります。これらは、自分の余暇を楽しむものから、就業のための知識や技術の習得、専門資格の取得、さらにはボランティアとして活動するための知識、その習得まで多岐にわたっております。本県におきましては、こうした生涯学習情報について広く収集をし、情報サイトふくおか協働・生涯学習ひろばにおきまして、県内の皆様が求める身近な学習情報というものを地域別、分野別に検索して容易にこの情報に接せられるよう工夫して提供しております。また、県民の皆さんが学びを楽しむだけではなく、学んだ成果をまちづくり、ボランティア活動に生かしていける場をつくっていくことも重要でございます。このため県におきましては、観光ガイド、スポーツボランティアといった地域の魅力を学び、活動する人材を育成するため、市町村やNPOが行っておられます実践的な生涯学習講座に対し、助成を行っているところでございます。百年グッドライフ福岡県の構築を目指していく上で、生涯学習は重要な施策でございます。県といたしましては、県民の皆様が心豊かに生きがいを持って充実した人生を送るため、多くの生涯学習に関する情報を広く収集し、また提供していきますとともに、市町村やNPOが実施する実践的な生涯学習事業、これを支援してまいります。  生涯学習と、それから健康づくり県民運動とスポーツ立県福岡、この三つが一緒になった組織を考えたらどうかというお話でございました。生涯学習につきましては、今申し上げましたように、状況が大きく変わってきておりまして、大学、市町村、NPO・ボランティアといったさまざまな、多様な主体が、またさまざまな目的と分野において学習の場を提供されております。そういうことから、平成二十六年度に組織を見直して、これまでのそれぞれ学ばれた成果というものを地域の課題の解決に関する活動につながっていくよう、社会活動推進課の中のNPO・ボランティアセンターに生涯学習班を設置をし、施策を展開しているところでございます。今申し上げました健康づくり県民運動、そしてスポーツ立県福岡、それから生涯学習、これらについては、現在の体制のもとで庁内関係部局、しっかり連携をとらしていただきながら、それらについて成果を上げていきたいと、このように考えているところでございます。  次に、九州を牽引してきたこれまでの取り組みについてお尋ねがございました。九州地域戦略会議におきましては、九州創生アクションプランというものを策定いたしております。九州各県と経済界が一緒になって、プランに沿ったプロジェクトを推進いたしております。私は、九州経済連合会の麻生泰会長とともに、この中で、しごとの場づくりプロジェクトチームのリーダーを務めさせていただいております。リーダーとして九州・山口全体で年間七万人の雇用創出を目標に掲げ、若者の九州・山口にある企業への就業の促進、ベンチャー創業の支援などに取り組んでまいったところであります。九州・山口全体の雇用者数でございますが、各県の御努力もありまして、平成二十八年から二十九年の二年間を見ますと、約十五万人増加をしたところであります。  九州地域戦略会議におきましては、ほかにも私のほうからさまざまな取り組み、呼びかけを行ってまいりました。一つは、九州の自立を考える会からも御提案をいただきました、九州ロゴマーク、この策定とその積極的な活用でございます。また、ラグビーのワールドカップのプロモーション活動を九州各県と経済界一体となって、九州の試合が多いフランスでこれを実施をいたしました。そして、これは各県と具体化に向けた検討を今進めているところでございますけれども、九州全体でサイクルツーリズムを推進する広域推奨ルートの設定、またサイクリストの方々の受け入れ環境の整備、これらがこれまでの取り組みの成果としてあるのではないかと思います。また、本県が中心となりまして設立をいたしました福岡農産物通商株式会社は、九州の自立を考える会の御提言も踏まえまして、九州産の農産物の輸出拡大を目指しまして、平成二十八年にこの社名を福岡農産物通商から九州農産物通商に改めたところでございます。そのもとで、九州からの農林水産物の輸出額は着実に伸びているところでございます。さらに、本県において取り組んでまいりました七十歳現役社会づくりでございますけれども、平成二十七年六月に九州・山口七十歳現役社会推進協議会というものをみんなで提案、呼びかけをしてつくりまして、私どもの県と同様の取り組みが九州・山口の各県で今始まっているところであります。また、本県において出会い、応援事業の一つとして取り組んでまいりましたあかい糸めーる、これにつきましても、九州・山口各県に呼びかけを行い、平成二十八年九月からそれぞれの地域と共同利用を開始しておりまして、県域を越えた出会いのチャンスというものが広がっているところでございます。 43 ◯副議長(原中 誠志君) 城戸教育長。 *教育長答弁 44 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 働き方改革に関する県教育委員会及び学校における取り組みについてでございます。学校は、限られた人的資源と時間の中で、教員の専門性を生かしつつ、児童生徒の心身の成長を最大限に引き上げることを使命としております。この使命をよりよく果たすために、教員が健康で生き生きと仕事ができる環境を整備し、本来の業務に専念してもらう、これが学校の働き方改革の本質的目的であると考えております。現在、本県においては、改革のための指針を策定し、教職員の意識改革、業務改善の推進、部活動の負担軽減、教職員の役割の見直しと専門スタッフの活用、この四つの観点で取り組んでいるところであります。このうち県教育委員会におきましては、ICカードの導入や校務のICT化、働き方改革のための具体的方策をまとめたハンドブックの作成、部活動指導員やスクールカウンセラー等の外部専門スタッフの活用促進等による環境整備に取り組んでおります。また、学校においては定時退校日や学校閉庁時刻、学校閉庁日の設定、部活動休養日の拡大、さらには業務の合理化、効率化等の取り組みを実施しているところでございます。  働き方改革の推進に当たっての県教育委員会の支援のあり方についてでございます。今日、学校や教職員が担う業務の範囲は多岐にわたっておりますが、働き方改革の推進のためには、真に必要な業務を見きわめ、精選、重点化を図ることが重要と考えております。このため、国が示しました学校における業務の役割分担に関する考え方に基づきまして、各学校が教育目標や地域の実情に応じた業務の精選、合理化や重点化に取り組むよう指導、助言をいたしますとともに、学校が必ず実施すべき業務をさらに周知徹底し、業務の改善を促してまいります。 45 ◯副議長(原中 誠志君) 塩川秀敏君。 46 ◯五十一番(塩川 秀敏君)登壇 知事に再質問する前に、私の感想をちょっと述べさせていただきたいと思いますが、知事の所信表明を読ませていただきますと、現場主義、生活者の視点、温かみのある行政、きめ細かくとか、本当にすばらしい言葉が出てきます。これはもう、ぜひこれをやってもらいたいのですが、何回も出ていますように、朝倉の仮設住宅の件については、知事、私やったら、現場主義というのは、行って、話し合ってというところが大事なんですよ。現場に行って、そのことを感じるために、知事は現場主義ということで行かれていると思うのですが、こういう大事なことというのは、国の行政機関まで行って、そして現状を訴えて、視察してきたらこうだと、そういうことを県民は求めていると思います。それからJR日田彦山線についても同じことです。  もう一つは、三年連続、福岡県に生まれてよかった、生活してよかったというのが八割を超えましたと。知事としてみれば八割超えることは、うれしいでしょうけれども、知事が就任されたときのアンケートの結果は七九%です。一%ちょこちょこしかふえてない。しかも、生まれてよかった、生活してよかったと思う人と、ある程度思うを合わせたのが八割になるとかならないかという話ですので、思うというのは五割切っています。だから、数字の遊びじゃなくて、本当に生活者の視点、温かみのある行政というのは、こういうことをきちっと、やっぱりやるべきだと、私は思います。これは私の意見として述べさせていただきます。  次に、今の知事の答弁をお聞きしまして、まずアジアとともに発展する一大拠点に向けた取り組み。知事は、グリーンアジア国際戦略総合特区の話をされました。実は、この大もとは、平成二十二年二月の、麻生知事が福岡アジア新時代創造特区構想というのを国に認めさせようとしてつくられた案なのです。中身は非常に幅広いものでございます、これ。そして、それがだんだん煮詰まってきて、二十二年二月に福岡・アジア新時代創造特区構想としていく中で二十三年の六月に特区法が決まってグリーンアジアになった。だから、私は何を申し上げたいかというと、小川知事の考えられたことではなかったということを言いたいのです。  もう一つは、タイの総領事館の設置もありました。そのとおりです。だけど、これは皆さん御存じのように、民主県政県議団の吉村前会長がタイ議連の会長として、我々も努力しましたけれども、その中で、でき上がったと私は理解しているんですよ。これも小川知事は、ポジションはポジションですけれども、努力されてやられたことからは、ちょっとほど遠いと思います。  そして、本来は今、友好提携がハワイと、江蘇省と、バンコク都と、デリーとハノイと五つ結ばれていますが、この八年間、そういう友好協定、アジアに開かれた一大拠点とするなら、何かこういうことをしていますとか、そういうことを言わないと、何かタイ総領事館が設置されました、それをもって一大拠点の取り組みをしているようなことは、私は的が外れていると思います。  それから次です。九州を牽引してきたこれまでの取り組みとして、九州地域戦略会議というのをおっしゃいましたけれども、これは知事になられたら、みんな入っていろいろやるわけですから、しかもロゴマークも結局、自立の会とかの関係ででき上がっていく、あるいは九州農産物通商なんて、僕は農林水産におりましたけれども、もともとは福岡農産物通商株式会社でありまして、それが九州まで膨れたというわけで、これも知事が発想されたわけではない。七十歳現役社会とおっしゃいました。これも全体の所信表明を見ていたら、二十三年二月に、麻生知事が七十歳現役社会のセンターを立ち上げると。これは知事がされたかどうか知りません、おっしゃった、あかい糸めーる、出会い・結婚応援事業、これも大事ですけれども、アジアに開かれた九州を牽引していくということは、僕は、そういうことではないと思うのです。この中で抜けているのが、九州北部自動車百万台構想、当時です。これは平成十五年に麻生知事が提案されたことでありまして、平成三年にトヨタ九州が参りまして、当時十五年度で百万台、今はどのぐらいですか、百四十五ぐらいですか、百五十九ぐらい生産するまでいった。これも小川知事の提案じゃないのです。  私は、何か知事の色が見えない。小川知事はもう本当にまじめで誠実で、けれども、事務官じゃないので、こういう大きな絵をしっかり描いて、カラーをしっかり出すようにしてもらいたい、このことについて聞きたいと思います。  もう一つは、生涯学習、これは私が以前、平成二十九年二月にしたときに、知事は生涯学習は県民の皆さんが心豊かに生きがいを持って充実した人生を送るために有意義なものでございます。また、地域の活性化にも寄与するものでございます。県民幸福度日本一を目指す本県にとりまして重要な課題であり、しっかり取り組んでいきたいと思いますと、こういう答弁をしてある。そうしたら、県民の健康寿命を願って二つの柱に、何でこれを加えようとなさらないのか。今の話を聞きますと、一生懸命努力をしてまいります、しっかり取り組みますと。生涯学習も新社会推進部ができたときに、県教育委員会の社会教育課からこっちに移されて、その理由は何かと。全庁で取り組むことに意義がありますということで来たんです、知事。それがだんだんだんだん狭くなってきよる。これについて、もう一回知事の答弁をお願いします。それは二つ目です。  それから今度は、三つ目の質問です。そういうことから、私は知事にぜひお願いしたいのは、九州国立博物館、これは岡倉天心が明治三十二年に福岡県に来たときに、延々と自分の思いを語って、今から百年前に語って、それが平成十七年から開設になった。ずっと所信表明を見ますと、麻生知事の中に何があるかというと、百年の夢を大切とすると。何かこういう、ですから今、私が知事に、仮にこれは具体的にするとかせんとかやなくていいですから、今令和になった、太宰府が注目されている、となると、大宰府政庁を復活してみようとか、そうするとあそこに大野城というのもありますし、水城もありますし、そしてこうくると鴻臚館がある。鴻臚館からざっと、そういうものを、まさに百年の夢じゃありませんけれども、何か夢を語る、そういう事務官じゃなくて、事務をこうこうするんじゃなくて、ちょこちょこっと、あかい糸めーるも大事です。だけど、そういう部分についてどうかということをお聞きしたいと思います。  それから、次四つ目です。四つ目は、これを進めていくためには、どうしても、私は北九州市と福岡市との連携が重要と思います。五百万県民としたら、福岡は百五十万、北九州が九十万ちょっととしても、半数近くの人口がそこにいらっしゃるわけでございますので、そことの関係をしっかり連携してやっていただきたいと思うところでございます。  それから、教育長に関しましては、今これは意見でありまして、要望でございますが、今おっしゃいましたように、学校が必ず実施すべき業務を周知徹底してまいる、これをしっかりやっていただきたいと思うところでございます。  以上、知事の答弁を待ちたいと思います。よろしくお願いします。 47 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 48 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、前県政との関係でございますけれども、就任以来、前県政の政策のうち、県勢の発展にこれから必要であると判断を私自身がして、そのものについて、それを広げて、また奥行きを伸ばすことによって福岡県の発展、これに努めてきたつもりであります。  何が言いたいかというと、質と量が変わってきたということであります。例えば、グリーンアジア国際戦略総合特区については、余り経緯をつまびらかにすることはできませんが、引き継いだ構想でいくと、全く国の特区構想には乗らない内容でございました。そこで、関係者また全部集まってもらって、中身の組みかえをして、今のグリーンアジア国際戦略総合特区ということで構想を練り上げ、つくり直して、そして国の理解を得て認定を受けたということであります。そして今、そのグリーンアジア国際戦略総合特区ですけれども、七つあります国の国際戦略総合特区の中で一番進んでいる、成果を上げている、その特区だというふうに評価をされているところでございます。また、自動車産業について言えば、質の面では、研究開発部門、いわゆる本社機能の一部、これを我々の地域に誘致をしたわけであります。これは関係グループの会社の社長さんのところに私行きましたけれども、それでお願いをして、開発室つまり上流部分、それまでは部品を集めて加工、組み立てをして完成車をつくる、そういう拠点だった。それをどういう車にするか、どういう材料を使うか、そういった開発設計の段階から生産まで一貫できるような体制が今回整ったと。トヨタ九州、それからダイハツグループがそうございます。そういう意味での開発設計、上流の部分から、加工、組み立てという生産まで一貫して行われるようなアジアの一大生産拠点、生産量の能力でいいますと、イギリス一国並みぐらいの今容量になってございますが、そうなっております。それから量の面でいいますと、平成三十年度の生産台数は、過去最高の百四十三万六千台になってございます。また、自動車関連企業は県内に、私が知事に就任してから百二十六社ふえております。五百六十社になってございます。  それから、県議会の御理解と御支援もいただきながら工業団地も造成をさせていただきまして、大規模な企業誘致を実現しましたし、それまで売れ残っていた工業団地は、ほぼ今売却が完了しつつある状況になってございます。新しく県議会の御理解と御承認を得て造成した新松山臨海工業団地には、ことしの三月ですが、ユニ・チャームプロダクツが同社最大級の新工場を竣工させました。久留米・うきは工業団地には、ことしの二月、資生堂が九州初の生産工場を建設することになりました。  それから、前の県政と大きく違うと私は思っておりますのは、生活者の視点ということで、先ほどお尋ねがありましたけれども、飯塚の処分場を初めとして長く懸案になっておりました産業廃棄物の処分場問題については、これを解決に向けて前進をさせる、その努力を努めてきたところであります。飯塚の最高裁、前政権で最高裁で負けました内住の廃棄物処分場については、今解決を見たわけでございます。このほか、レスパイトケア、それを促進するなど障がい者福祉サービス、この充実にも、私自身、力を入れてやらせていただいた分野でございます。  農林水産業の振興も、これまでの予算の投入よりも一生懸命やってきているというふうに思っておりますし、アンテナレストラン福扇華が昨年オープンしたところでございます。  ことしの予算におきましても、少子、高齢化、人口減少というのが今課題でございますので、地方創生を推進していくための予算ということでございます。また、県民一人一人の、先ほど来お話しになっていました、ふくおか健康づくり県民運動とスポーツ立県福岡、これを推進して相乗効果によって県民の皆様を元気にしていく、それでもって百年グッドライフ福岡県というものをつくっていきたい。また、現場の実態とニーズに合った最新技術を導入することによりまして、中小企業の生産性の向上、そしてスマート農林水産業というものを実現していって成長産業への転換を図っていくと。こつこつこつこつになるかもしれませんが、地道に雇用の拡大、あるいは中小企業が長く存続していくようにしていくと、そういう試みを一生懸命やっているところでございます。  今申し上げたのが、第四次産業革命に取り組んでいきたいということでございますが、これまでもそうですけれども、やってきたことについて、より県民の皆様にわかりやすく、また御理解いただけるような説明を、私自身これからも心がけていきたい。それから、いろんなことを考えてやっていく上で、県民の皆様にも共感をしていただけるように、夢を語れるように努力をしていきたいと思います。  次に、生涯学習についてでございますけれども、先ほど来繰り返しになりますけれども、いろんな主体がいろんな分野で、いろんな目的の生涯学習の場というものを提供されるようになってきて、役所が音頭をとって広げていくという時代から、いろんな創意工夫でもって競争状態もある。そういった状況になりましたので、組織を変えて、それで成果をうまく生かしていこうということで、社会活動推進課、そこの中に班をつくって施策を展開をしていくことにしたということを御理解いただきたいと思いますし、今やろうとしております健康づくり県民運動、それからスポーツ立県福岡、それからこの生涯学習、いずれもそうでございますが、今一生懸命心がけておりますのは、縦割りの弊害を除去するといいますか、それぞれの部署で完結するような行政課題というのは、ほとんどありません。一緒になって、力を合わせて、連携、協力をして、県全体で成果を上げていくということが求められていると思いますので、その点、頭に入れながら、関係部局、連携、協力、それを強化しながら政策を展開させていただきたいと思います。  その上で、両政令市との関係についてお尋ねがございました。北九州、福岡両政令市というのは、私ども福岡県、そして九州の発展にとりまして欠くことのできない二つの大きなエンジンであると、このように思っております。そのため、いろんな施策を進めていく上で、お互いに情報を共有しながら連携、協力をしていくことが必要であると考えておりまして、これまで県と両政令市におきましては、先ほど来申し上げておりますグリーンアジア国際戦略総合特区の推進でありますとか、北九州空港の路線の誘致、利用客の拡大、それからダムの建設による水資源の確保、河川整備による治水対策、アイランドシティ、福岡空港への都市高速道路の延伸といったさまざまな事業について知恵を出し合い、力を合わせて協力しながら進めてきているところでございます。また、両政令市を含めて県内には六十市町村ございますが、私は、そのいずれの市町村長の皆さんとの間でもオープンでございまして、個別具体的な課題があれば、いつでも協議を行ってきているところであります。北橋市長との間では、平成二十七年から毎年、意見交換を行ってきております。ことしは北九州空港の発展に向けたさらなる取り組みの強化や、豪雨災害対策、あるいは下関北九州道路の早期実現などについて協議を進めてきているところであります。福岡市とにつきましては、宿泊税について昨年十一月から半年間、議論を重ねてまいりました。実務者協議というものを経て、先月の二十三日、高島市長とトップ会談を行いまして、合意に達し、県と市同時に、この宿泊税に関する条例案の提案、それに至り、今議会にお願いをしているところであります。県及び九州の発展に向け、これからも両政令市と連携、協力、これに努めていきたいと、このように考えております。 49 ◯副議長(原中 誠志君) 仁戸田元氣君。(拍手) *仁戸田議員質問 50 ◯三十三番(仁戸田 元氣君)登壇 皆さん、お疲れさまでございます。民主県政クラブ県議団の仁戸田元氣でございます。通告に従い、二項目について一般質問をいたします。よろしくお願いいたします。  まず、自動車関連産業についてお聞きします。福岡県出身で、自動車産業界の最新動向を追い続けるジャーナリストによると、今後の世界の車産業、生産現場では、大きなパラダイムシフトが進むと予見しています。つまり、今後自動車産業は劇的に変化し、これまでは自動車メーカー同士の戦いだったものが、IT企業などからの新規参入も相次ぎ、まさに異次元競争が始まろうとしており、単にコストが安い、燃費がいい、使い勝手がいい、デザインのよい車をつくっていれば競争に勝てる時代は終わったと指摘しています。また、ガソリン車から電気自動車(EV)への転換を図るEVシフトが世界の主流になっていますが、世界の中で日本はこの流れにおくれをとってしまっていると指摘されています。           〔原中副議長退席 栗原議長着席〕  日本の自動車産業は、国内で約九百万台を生産、約五十兆円を出荷し、五百万人以上を雇用する日本経済と雇用を支えてきた屋台骨であり、日本に残されている最後のとりでは自動車業界だと言われていますが、実はこれもスマホや家電業界と同じことが起きるのではないか、大企業シャープで起きたことが自動車産業でも起こるのではないかとの危惧がされているところであります。特に、先進国の消費者の価値観は、車を自分で所有することよりも、必要に応じて利用することにシフトをしています。つまり、IT企業やAI企業の技術が確立され、自動運転社会が現実的になれば、車を必要なときにだけ呼び出して、目的地で乗り捨てることも可能となり、今後、自動車メーカーは、ハードとしての車ではなく、移動手段サービスとしての車も提供しなければ顧客を逃がしてしまう時代に突入してきたと言えます。まさに、これまでのビジネスモデルに大きな変更を迫られています。  こうした時代において本県は、自動車メーカーが三社、北部九州では大分県を入れて四社、県内の関連企業数は五百六十事業あり、経済産業省の工業統計調査によれば、自動車産業は県内製造業の出荷額の約三割を担い、自動車関連産業で働く人は二万八千七百八十一人にも上ります。言うまでもなく、自動車産業は本県の重要な基幹産業の一つであり、この先、電気自動車ヘシフトすれば、ガソリン自動車の衰退へとつながります。エンジンやトランスミッション、クラッチなど部品点数の多いガソリン自動車の衰退は、すなわち県内の部品メーカーの衰退にもつながり、裾野が広い分、日本国内はもちろんのこと、本県においてもかなり大きく深刻なダメージを受けることになります。世界の自動車産業が急速に電気自動車ヘシフトするとともに、これまで全く自動車生産に関係のなかったグーグルやアップルなどIT企業やAI企業、新興メーカーが次々に自動車業界に参入する中、今までどおりに国産自動車メーカーがガソリン自動車をつくり続けるということを前提にして、こうした政策や将来見込みを示しているとすれば、時代に取り残されるおそれがあります。  このように、自動車産業は百年に一度の大変革期を迎えていると言われており、今後、構造変化が一層進んでいくものと思われます。こうした状況を踏まえ、平成三十年の予算特別委員会で我が会派の原竹岩海議員が、急速に進展が見込まれます自動車の電動化に伴い、地元の多くの中小零細企業の影響を県として具体的に調査、分析すべきであると知事に考えをただした際に、小川知事は、自動車電動化部品研究会を開催し、電動化に伴う新たな部品の参入への可能性、そういったことについて、この研究会を通じて把握していきたいと答弁されています。  そこで知事に一点質問です。予算特別委員会の答弁から一年が経過した今、電気自動車へのシフトが本県の自動車産業に与える影響をどのようにお考えなのか、また研究会の中で地元企業からどういった声が寄せられているのかお伺いします。  次に、今回の知事選で掲げられていた数値目標についてであります。今回掲げられた目標は、知事の一期目に当たる二〇一三年に策定された北部九州自動車産業アジア先進拠点構想をもとにされており、この構想では、今後十年間で百八十万台生産、国内シェア二〇%、地元調達率七〇%を実現するとしており、今回の知事選の政策集でも全く同じ数値目標を掲げられています。既にことしで六年目を迎えるこの構想でありますが、二〇一八年時点で生産台数は約百四十三万台、国内シェアは一七・二%、地元調達率は六五%であり、残りの期間で目標を達成するには相当の努力が必要であると考えます。さきに述べさせていただきました時代背景を踏まえますと、目標の達成は本当に大丈夫なのかと思います。  そこで二点目の質問であります。今後、目標達成に向けてどのように取り組みをされるつもりか、お聞かせをください。  次に、高齢者に優しい自動車開発についてお聞きをします。既に十年前になりますが、二〇〇九年に麻生前知事が全国の地方の知事に呼びかけ、高齢者が自立し、生き生きとした地域社会の実現に向けて、高齢者が安全に運転できる新しい自動車の開発を推進する、高齢者にやさしい自動車開発プロジェクトを提唱されました。このプロジェクトには、全国三十六道府県知事が参画をし、知事連合を立ち上げ、高齢ドライバー事故の分析、高齢ドライバーへのアンケート調査、小型モビリティーによる社会実証などの取り組みが行われました。知事連合では、高齢者が颯爽と運転する安全な自動車の支援機能と、近距離の運転しか行わず高速道路も利用しない高齢者のための新しい車両として、小回りがきいて運転しやすい軽自動車より小さな二人乗りの小型EV、高齢者に優しい自動車のコンセプトを策定しまして、国や自動車メーカーに提案をしました。当然、小川知事もこのプロジェクトについては、よく御認識されていると思います。  昨今、高齢ドライバーによる自動車事故が後を絶ちません。免許証の返納など高齢者はできるだけ運転しないほうがよいという風潮もありますが、しかし路線バスなど公共交通機関がない中山間地域などにおいては、買い物、病院への通院など自動車がないと高齢者の日常生活が成り立たなくなるおそれもあります。高齢社会が進展する中、地域の担い手でもある高齢者が小回りのきく二人乗りの小型EVを活用し、日常の買い物に出かけたり、地域活動へ積極的に参加することは、高齢者自身の健康増進や、消費拡大による地域活性にもつながるものと考えます。  そこで知事に一点目の質問です。高齢者に優しい自動車のような小型モビリティーは、高齢者の移動手段として大変有効であり、元気な高齢者が颯爽と活躍できる社会づくりにも貢献できると考えますが、高齢者にやさしい自動車開発プロジェクトについて、取り組みの内容とその成果についてお聞きをします。  さて、昨年十一月二日から十一月四日にかけて、マリンメッセ福岡において、世界に誇る日本の伝統的工芸品が集結した伝統的工芸品月間国民会議全国大会イン福岡、いわゆる工芸エキスポが開催されました。私も会場を訪れる機会があり、著名なデザイナーや県内大学とコラボレーションした国指定の七つの伝統工芸品など多彩な展示がされておりました。会場の一角において、企業合同展示会のカウントダウンショーケース・イン九州が同時開催されており、そこでは東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される二〇二〇年に社会実装されるであろう最先端技術が一堂に集められ、海外からの旅行客の入国から町なか移動、地方観光、競技観戦、九州の魅力を先端技術で体験していく絵姿をかいま見ることができました。  その中で、三輪の小型EV車が展示されておりました。このような小回りがきく小型EVと呼ばれる自動車は、これまで高齢者の方々の買い物や通院などの日常の移動を支えるための有用な手段という認識でしたが、今回の展示を拝見し、さらにインバウンドの近距離の移動手段を初めさまざまな活用により、新たなサービスの展開やビジネスチャンスにつながる可能性を持つことが期待されるのではないかと考えました。  そこで知事にお尋ねします。県では、福岡県交通ビジョン二〇一七を策定されておりますが、この冒頭でも知事が言われておりますように、交通は経済活動や県民生活を支える重要な社会基盤であり、こういったこれからの社会への活用が期待される自動車についても、ビジョンの中でしっかり述べていくべきだと考えますが、知事の所見をお伺いします。  以上であります。御答弁、よろしくお願いいたします。(拍手)
    51 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 52 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  EV化による本県の自動車産業への影響でございます。二〇一五年十二月、パリ協定が採択をされまして、協定に掲げられました目標の達成に向け、世界的に環境規制の導入というものが進んでおります。こうした動きを受けまして、自動車メーカーの各社におきましては、EVを初め電動車の市場投入の計画を相次いで進めているところであります。EVの場合、エンジンやトランスミッション、クラッチなどの部品が不要になりますため、これらを生産する県内企業に影響が及ぶ可能性がございます。一方で、バッテリー、モーター、インバーターといった新しく必要となる部品も出てまいります。これらの部品に参入する企業をふやしていくことが重要であります。このため県におきましては、昨年度から、地元企業を対象とした自動車電動化部品研究会を開催をしているところであります。昨年度の研究会におきましては、国の電動化戦略、また電動車の構造、部品についての講演を行いますほか、現物の部品を使った技術講習も行いまして、延べ百十社、百六十九名の方に御参加をいただいたところであります。  その参加企業に行いましたアンケート、これによりますと、自動車の電動化について、全体の八割から影響があると、そういった回答が寄せられたわけでございます。その内容といたしましては、新しい技術の習得が必要になる、新しい部品への参入が必要になる、そういった回答が見られた一方で、それに対応する具体的な取り組みについて、行っている、または今後行うという前向きな回答をいただいた方が六割に上っているところであります。県といたしましては、引き続き、この研究会を通じまして、地元企業の新しい分野への参入意欲というものを高めていくとともに、積極的な取り組みを進められる企業、これを支援してまいります。  次に、北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想の達成についてでございます。北部九州は、北米や市場が拡大するアジアなどへの輸出の拠点でございまして、最新鋭の生産設備と高度な生産技術を有している地域であります。日産自動車九州、ダイハツ九州は、それぞれグループの国内最大の拠点であります。トヨタ自動車九州は、愛知県に次ぐ同グループ第二の拠点であります。現在、生産能力百五十九万台、昨年度の生産台数は約百四十三万六千台と過去最高を記録しておりまして、国内生産のシェアは一七%を超えているところであります。また、地元調達率につきましては、地元の技術力あるいは生産性の向上というものを背景にいたしまして、自動車メーカーが、いわゆるアセンブリーメーカーが、自社の工場周辺に一次部品の企業の立地を進めてきたこと、また調達部門の権限を拡充し、部品の現地調達化というものを進めてきたことによりまして、構想策定時の六〇%から、現在新型車を中心に、地元調達比率が六五%に上がってきているところでございます。県といたしましては、一次部品企業の誘致などさらなる関連企業の集積を図っていくとともに、地元企業の開発力の強化や人材育成の支援、さらには電子、電装分野への参入というものを促進するなど、地域としての競争力の強化を図ってまいります。これらによりまして、自動車メーカーによる生産増強を促すとともに、今後普及が見込まれます電動車といった次世代自動車の開発、生産拠点化を図ってまいりまして、百八十万台の生産、国内シェア二〇%、地元調達率七〇%の目標達成を目指してまいります。  次に、高齢者にやさしい自動車開発プロジェクトについてお尋ねがございました。本県におきましては、高齢者が安全に運転できる新しい自動車の開発を推進するため、三十六道府県の知事連合によりまして、平成二十一年度にプロジェクトを立ち上げ、アクセルとブレーキの踏み間違い防止機能などの安全運転支援機能を搭載した軽自動車より小さい二人乗り小型車、これのコンセプトを提案をしたところであります。その後、朝倉市での実証実験も踏まえまして、二十四年度は、私自身でございますけれども、国に新しい車両規格の創設、また自動車メーカーに対しましては、こういった車両の開発と安全運転支援機能の実用化というものをやっていただくよう、それぞれ要望したところでございます。その後、今日に至るまで、皆さん御承知のとおり、自動車メーカーにおきましては、安全運転支援機能の実用化が進んでおりまして、要望した当時、自動ブレーキ機能、またアクセルとブレーキの踏み間違い防止機能、これが搭載された車の率でございます搭載率は、ともに五%未満でございました。現在、平成二十九年には、それぞれ自動ブレーキ機能が七七%、アクセルとブレーキの踏み間違い防止機能が六五%まで新車への搭載率が高くなってきているところであります。  二人乗り小型車という新しい車両規格につきましては、地域を限定して公道を走行できる国の認証制度を活用した先行導入というものが、私ども福岡県四カ所を含めて全国四十三カ所で行われたわけでございまして、現在も続けられている地域も一部にあるところであります。国におきましては、こうした状況を踏まえまして、現在、道路運送車両法における安全基準等の改正について検討が進められているところであります。トヨタ自動車におきましては、軽自動車より小さい二人乗りの超小型EVを来年発売する予定と伺っているところであります。  次に、今後活用が期待される自動車の交通ビジョンにおける位置づけでございます。高齢者の日常的な移動手段としての自動車につきましては、AI、IoTといった最新技術の活用による運転操作、安全確認の補助、さらには自動運転車の実用化というものが進められてきておりまして、急速に技術開発が進展している自動運転技術は、将来的には我が国で生じております道路交通に関するさまざまな課題を解決していくことが期待されているところであります。政府が取りまとめを行いました官民ITS構想・ロードマップ二〇一九におきましては、自動運転システムに係る基本的な戦略といたしまして、まず自家用車の高速道路での完全自動運転、自家用車の高度安全運転支援システム、地方、高齢者等向けの限定地域での無人自動運転移動サービスの全国的な普及、これらにつきまして、二〇二五年を目途に市場化、普及をやろうと、これを見据えて実用化に取り組んでいくこととされております。二〇二一年度に予定をしております私どもの次期交通ビジョンにおきましては、今申し上げましたような自動運転システムをめぐる技術の進歩、高齢化など経済社会の変化というものを的確に捉え、高齢者にとって安全な移動手段としての自動車のあり方についても検討を行いたい、このように考えております。 53 ◯議長(栗原 渉君) 立川由美君。(拍手) *立川議員質問 54 ◯二番(立川 由美君)登壇 こんにちは。日本共産党の立川由美です。通告に従い、初の一般質問を行います。よろしくお願いいたします。  まず初めに、外国人労働者の問題について質問します。外国人労働者数は、無届けや非正規滞在者を除き、昨年末時点で百四十六万四百六十三人、毎年二十万人のペースで増加し、過去最高を更新し続けています。アジアの玄関口である本県は、その傾向が一層顕著ではないでしょうか。  そこでお尋ねします。本県の外国人労働者の働き方についてですが、外国人労働者数、国籍別、産業別の割合、外国人労働者に関する労働災害発生件数、労働基準等法令違反の件数、失踪の数についてお答えください。  特に問題なのは、とりわけ多い技能実習生です。法務省によると、二〇一三年からの五年間で延べ二万六千人の実習生が失踪しています。その背景には、最低賃金以下での長時間労働やピンはね、暴行やセクハラなどの人権侵害、強制貯金や旅券、在留カードの取り上げなど苛酷な状況が明らかになっています。失踪といいますが、みずからの命を守るための緊急避難とも言えます。本県は外国人向けの新たな相談センターを構築しようとしています。言葉の壁もあり、深刻な法令違反や人権侵害を改善し、保護するための専門機関の協力も必要だと思いますが、相談センターの概要について御説明ください。  愛知県で長年、外国人労働者の相談にかかわっている労働組合の方から、複数で対話できるSNSのグループ電話機能を使って相談者、通訳、相談員が同時に話せる体制が大変有効だとの話も聞きました。ぜひ、取り入れてみてはいかがでしょうか。  技能実習制度は特定の職種や受け入れ企業での就労が前提で、自発的に退職し職場移転する自由がなく、そのため実習生は、労働関係法令違反や人権侵害の被害に遭っても、在留資格を失い帰国させられることを恐れ、行政や外部への相談をためらう傾向にあります。このことを想定した上で、実習生が安心して相談できるよう周知の工夫も必要だと思いますが、お答えください。  さらに、労災の発生や病気、支援者、労働組合、弁護士等への相談、有給休暇の申請などを行った実習生を形の上では自由意思を装いながら強制的に帰国させる悪質な例も報告されています。このような事態を防ぐためには、企業に守るべき法令を理解させる必要があると思いますが、県としてはどのような対応をされていますか、答弁を求めます。  技能実習制度は、技術移転による国際貢献が目的ですが、実際の就労現場では、技能や知識の習得ではなく、低賃金の非熟練労働者としての受け入れが大部分であり、制度目的と実態に極めて大きな乖離があります。本年施行された改定入管法でも、技能実習生の処遇を改善する規定はなく、新たな在留資格である特定技能制度は、技能実習からの移行が前提であり、技能実習制度の問題点を固定化し、矛盾を拡大しかねません。外国人労働者を安価な労働力、雇用の調整弁とするのではなく、我が国経済の一翼を担う労働者として共生の立場から、国に対して制度の改善を求めるとともに、本県において実効性のある相談体制を構築していただくよう、強く要望いたします。  次に、原発及び再生可能エネルギー政策について質問いたします。福島第一原発事故後に制定された原子力新規制基準では、本体工事認可後の五年以内に特定重大事故等対処施設の設置が義務づけられております。九州電力川内原発一、二号機の設置期限は、九カ月後に迫っています。規制委員会は特重施設の設置が期限内に完成しなければ、原発は停止するよう九電側に通告し、川内原発一、二号機は来年の三月と五月にそれぞれ停止する見通しだと発表されました。特重施設とは、自然災害やテロ攻撃等を受けた際、中央制御室とは別の場所から原子炉を制御して事故を防止するための施設です。本体工事認可日から五年間は特重施設の規定を適用しないという経過措置が設けられたこと自体、重大な問題だと私は考えています。ところが九電は、この猶予期間さえ守れないと表明し、規制委員会に対しても期限の延長を求めました。これに対して、規制委員会も、差し迫った状況で当局に訴えれば何とかなると思っていたら大間違いだと、四月二十四日の記者会見で九電の姿勢を批判しました。このような原発ありき、安全無視の九電の姿勢について、知事はどうお考えですか、お尋ねいたします。  原発稼働を続ける一方で、昨年の十月からことしの五月までの八カ月間、約二・六万カ所の太陽光発電で合計五十六回の出力制御が行われました。一発電当たり十四から十五回の出力抑制になります。安定した電力を供給するという理由で九電は原発を動かし続け、太陽光発電を出力抑制しているわけですが、このようなことを行っているのは九電だけです。九州の太陽光発電は、一カ月約六万キロワットのペースでふえています。自然エネルギーの宝庫と言われる九州の条件を生かし、太陽光発電の抑制をやめるべきだと考えます。再生可能エネルギー推進をうたう本県として、九電に対し、原発より再生可能エネルギーを優先するよう要請するべきではないでしょうか。知事の御所見をお伺いします。  世界の流れは原発ではなく、再生可能エネルギーです。六月七日に発表された九電グループ経営ビジョン二〇三〇によると、安全を大前提として原子力を最大限活用するとのことですが、まさに世界の流れと逆行しています。安全対策費などの高騰で、世界では原発の見直しが進んでおり、政府が目玉政策で打ち出した原発輸出は全て失敗し、産業政策として破綻に陥っています。資源エネルギー庁が三月に提出した資料には、世界では太陽光発電、陸上風力発電ともに、一キロワット時当たり十円未満での事業実施が可能になっていると明記されています。政府の安い見積もりの原発の発電コスト一キロワット時当たり十・一円を下回るまでになりました。原発低コストという主張は、もはや成り立たないのではないでしょうか。安全性やコスト面からも再生可能エネルギーへの政策的転換を、国や九電に対して求めていくべきです。知事の御所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手) 55 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 56 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  私のほうからまず答弁させていただきます。  まず、外国人向けの新たな相談センターでございますけれども、ことしの四月に新たな在留資格制度が施行され、外国人の受け入れが拡大されたことによりまして、今後、在住外国人の方から最も身近な行政機関であります市町村に対し、さまざまな相談が寄せられていくことが想定されるところであります。このため県におきましては、新たに福岡県外国人相談センターを設置をいたしまして、在住外国人の方からの来所あるいは電話、メールでの相談に対応するほか、市町村の窓口におきまして、言葉の心配をすることなく相談ができるよう支援を行うことといたしております。具体的には、窓口において在住外国人の方からの相談を受けた市町村職員がセンターに電話連絡をいたしますと、センターの相談員と、そこにいます通訳者が電話を通じて市町村職員とともに、その来所された在住外国人の方の相談に対応させていただきます。  労働関係法令違反や人権問題等専門的な相談につきましては、このセンターが労働基準監督署や法務局など相談内容に応じた適切な専門機関におつなぎし、その際、多言語対応が必要な場合には、引き続き、今申し上げましたセンターが電話による通訳支援を行うことといたしております。  次に、技能実習生にかかわる労働関係法令違反や人権侵害に対する県の相談対応でございます。県におきましては、技能実習生の受け入れ企業や監理団体に対する指導監督の権限、これを有していないわけでございますけれども、県内四カ所の労働者支援事務所におきまして、技能実習生を含む外国人労働者の方からの賃金や解雇等の一般的な労働問題に関する相談に対応させていただいております。相談は匿名でも受け付けておりまして、秘密厳守で対応しておりますので、安心して御相談がいただけることになっております。  なお、労働関係法令違反や人権侵害といった問題につきましては、国の認可法人であります外国人技能実習機構におきまして、仕事の内容、賃金等の実習の条件、いじめ、暴力等の被害について、電話、メールなどによりまして、技能実習生の母国語における相談、これを実施しているところであります。県といたしましては、この労働者支援事務所における相談支援につきまして、今後設置をいたします福岡県外国人相談センター、また国の関係機関等を通じまして、技能実習生を含む外国人労働者の方々に、その周知を図ってまいります。  技能実習生を受け入れる企業の啓発でございます。技能実習生が、その制度の範囲内で、その能力を十分に発揮し、適正に働いていただくためには、企業が守るべき法制度等をしっかり理解した上で、そういった方々を受け入れていくことが必要であります。このため県におきましては、技能実習生を含め外国人を雇おうとする企業に対し、守るべき法令や雇用管理についての講習会を行うとともに、相談窓口を設置をし、企業からの個別の相談に対応するとともに、法令遵守の啓発を行ってまいります。  次に、原子力発電の安全確保に対する九電の姿勢についてお尋ねがございました。私は、かねてからでございますけれども、原子力発電については、安全性の確保、これが大前提であると申し上げてまいりました。九州電力におかれては、国及び原子力規制委員会の厳正な規制と指導のもと、特定重大事故等対処施設の整備も含めまして、安全第一に対応をされているものと考えております。  次に、出力制御の優先順位についてでございます。再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内生産が可能で、国際情勢に左右されにくいといった利点がありますことから、福岡県におきましては再生可能エネルギーの普及促進に積極的に取り組んできているところであります。その一方で、再生可能エネルギーは御承知のとおり、天候に左右されやすいといった出力の不安定性、変動する出力を調整するための調整電源の確保の問題、さらには送電網の増強といった課題がございます。このため国におきましては、電力の安定供給に向けて出力制御にかかわる優先給電ルールというものを定めておりまして、九州電力はそのルールに基づき出力制御を実施しているものと考えております。  原子力は、発電方式のその性質上、発電量を短時間で調整することが難しく、出力の調整が比較的容易な火力のように、再生可能エネルギーの調整電源として位置づけることは、現時点では難しい状況にあると思います。このため、国が定めた優先給電ルールに基づき、それぞれのエネルギー性格上、原子力に先行して太陽光や風力の出力制御を実施することはやむを得ないことだというふうに考えております。  次に、エネルギー政策転換に向けた国、九州電力への働きかけでございます。かねてから申し上げておりますけれども、私自身としましては、徹底した省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入等を進めつつ、原子力への依存度を可能な限り低減をさせていくべきだと考えておるところでありますが、現在のエネルギー需給の状況のもとでは、安全性の確保を大前提に、当面、原子力と向き合っていかなければならないと、このように考えているところであります。国は、昨年の七月策定をいたしました第五次エネルギー基本計画におきまして、二〇三〇年のエネルギーミックスの実現に向け、再生可能エネルギーの最大限の導入、原発依存度の可能な限りの低減などによりまして、再生可能エネルギーの主力電源化、これに向けた取り組みを積極的に推進することといたしております。また、九州電力におかれても、九電グループ経営ビジョン二〇三〇におきまして、再生可能エネルギー開発量を二〇一八年の二百万キロワットから、二〇三〇年には五百万キロワットに拡大することを目指す、このようにされております。県といたしましては、再生可能エネルギーのさらなる普及に向けたこの二つのそれぞれの計画が着実に進んでいくことが重要であると考えております。その観点からも、県としても、一つ例を挙げますと、再生可能エネルギーからの電気を水素で貯蔵する実証研究なども行っているところでございます。  なお、残余につきましては福祉労働部長のほうから答弁をさせていただきます。 57 ◯議長(栗原 渉君) 神代福祉労働部長。 *福祉労働部長答弁 58 ◯福祉労働部長(神代 曉宏君)登壇 本県における外国人労働者の状況についてです。福岡労働局が発表した平成三十年十月末現在の外国人雇用の届け出状況によると、本県の外国人労働者数は四万六千二百七十三人となっております。国籍別では、主なものとして、ベトナムが一万三千八百九十四人で全体の三〇・〇%、中国が一万一千五百九十八人で二五・一%、ネパールが七千二百八十六人で一五・七%となっております。産業別では、主なものとして、製造業が九千七百七十九人で全体の二一・一%、卸売業、小売業が八千九百四十四人で一九・三%、宿泊業、飲食サービス業が五千二百六十六人で一一・四%となっております。  本県の外国人労働者全体に係る労働災害発生件数及び労働基準関係法令等違反件数は公表されておりませんが、福岡労働局から技能実習生に係る実習実施者に対する平成二十九年の監督指導結果が公表されております。それによると、平成二十九年、福岡県内において技能実習生に係る休業四日以上の労働災害は十五件発生しており、また監督指導を実施した二百二十八事業場のうち六三・二%に当たる百四十四事業場で労働基準関係法令違反が認められております。また、本県の外国人労働者に係る失踪者について公表された数字はありませんが、法務省が設置した技能実習制度の運用に関するプロジェクトチームが平成三十一年三月に公表した報告書によると、三十年中に失踪した技能実習生は全国で九千五十二人で、在留中の技能実習生全体の約二・一%となっております。 59 ◯議長(栗原 渉君) 以上で一般質問を終わります。 *予算特別委員会設置  日程に従い、予算特別委員会の設置についてお諮りいたします。  さきに上程いたしました予算関係議案を審査するため、三十一名の委員をもって構成する予算特別委員会を設置したいと思いますが、御異議ありませんか。           〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 60 ◯議長(栗原 渉君) 御異議がありませんので、そのように決定いたしました。 *同委員選任  それでは、ただいま設置されました予算特別委員会の委員の選任を行います。  お諮りいたします。同委員の選任については、この際、議長の指名に御一任願うこととし、お手元配付の委員一覧表のとおり指名したいと思いますが、御異議ありませんか。           〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 61 ◯議長(栗原 渉君) 御異議がありませんので、ただいま指名いたしましたとおり選任することに決定いたしました。      ────────────────────────────────────────── *議案審査付託 62 ◯議長(栗原 渉君) 次に、提出議案審査のため、さきに上程しました第六七号議案から第一〇六号議案までの四十件を、お手元に配付いたしております議案付託表のとおり予算特別委員会並びに所管の常任委員会に付託いたします。      ────────────────────────────────────────── *議案の委員会付託省略 63 ◯議長(栗原 渉君) 次に、議案の委員会付託の省略についてお諮りいたします。  さきに上程いたしました第一〇七号議案から第一〇九号議案までの三件については、委員会への付託を省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。           〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 64 ◯議長(栗原 渉君) 御異議がありませんので、そのように決定いたしました。 *請願上程  次に、請願二件がお手元配付の請願文書表のとおり提出されましたので、これを一括報告上程します。      ────────────────────────────────────────── *審査付託 65 ◯議長(栗原 渉君) ただいま上程いたしました請願二件は、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時  三 分 散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...