↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(栗原 渉君) ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。野原隆士君。(拍手)
*
野原議員質問
2 ◯四十六番(野原 隆士君)登壇 皆さん、おはようございます。
自民党県議団の野原隆士であります。
まず初めに、小川知事、三選おめでとうございます。今回、小川知事が当選をされ、私は、第一回目の知事の六月定例会の議案説明のときの言葉、
キーワードをちょっと書いてきたんですけれども、県民の皆様の思いやニーズを受けとめ、全身全霊で県政に取り組む決意であると。そして、平成二十七年六月、これは第二回目の当選のときですね。現場主義、生活者の視点、温かみのある行政、この三つを心がけてまいりましたと。そして、今回当選されたときの言葉の中には、弱い立場にある方々に寄り添う温かみのある行政を心がけ、福岡県をさらに元気にすべく、さまざまな施策を推進してきました。そういった発言の中で、知事は、現場主義あるいは温かみのある行政、そして今回はさらに、弱い立場にある方々に寄り添うという言葉を
キーワードとして使われています。しかしながら、今回、代表質問、緑友会派である井上代表の
代表質問回答、あるいは
民主県政県議団の中嶋議員の朝倉水害での
被災者支援、もちろん我が会派から輩出しております議長である栗原議長の地元でもあります。そしてまた、公明党の新開議員が言われた弱者の立場でのお話。どうも私は、議場で聞いていても、温かみのある、あるいは弱い立場にある方々を、そういった、知事が再三発言をされている割には、温かみがないんじゃないかなというふうに思います。どうか知事、私、選挙期間中に聞かれたことがあるんです。小川さんは何をされてきたの。私は言葉に詰まりました。ぜひ知事には、そういった温かいという言葉があるなら、人情派の知事になっていただいていいじゃないですか。そういう思いを込めて、私は、通告に従いまして一般質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず初めに、動物虐待について触れさせていただきます。今国会において、
動物愛護管理法は、犬や猫の
マイクロチップの装着の義務化、子犬、子猫の生後五十六日以内の販売禁止、そして動物虐待に対する罰則の強化など、大きく改正されました。特に
マイクロチップについては、我が会派の
藏内勇夫議員が三十年前から取り組まれ、
公益社団法人日本獣医師会会長として
マイクロチップの導入を国に対して提言してまいりました。我が会派の代表質問で取り上げ、
マイクロチップ装着の義務化について知事の見解と、今後、県としてどのように取り組むかただしたところです。
もう一つの改正である、動物虐待に対する罰則の強化は、背景として、鳥をボウガンで撃ったり、猫の耳や尾を刃物で切断したり、
インターネット上では、犬や猫、ハムスターなどの小動物を虐待した動画を投稿するなど、悪質な事案が増加しています。動物虐待は凶悪な犯罪の前兆とも言われ、動物虐待がエスカレートし、凶悪な犯行につながったケースがあることは皆さん、御承知のとおりであります。動物虐待を防止することは、大きな犯罪につながるおそれのある芽を未然に摘む絶好の機会になると考えられます。このような意味でも、今回の
動物愛護管理法が改正され、動物虐待に対する罰則の強化は大きな意義があると思います。
私は、平成二十六年九月、一般質問で動物虐待について質問をし、知事からは
普及啓発活動を通じて動物の虐待を許さない機運を高めていくとの答弁がありました。知事は今回の
動物愛護管理法の改正を受け、今後、さらに動物虐待の防止に向けてより一層の普及啓発をどのように進めていくのか、お伺いいたします。
続きまして、
地球温暖化対策について。
地球温暖化という言葉が一九七〇年代から使われ、一九八五年に開かれた
地球温暖化に関する初めての世界会議、
フィラハ会議をきっかけに
地球温暖化の問題が大きく取り上げられるようになりました。近年、日本並びに世界において、
地球温暖化が影響していると考えられる異常気象が多発しています。日本においても昨年七月の西日本を中心に広域的な被害をもたらした豪雨とその後の記録的猛暑が発生し、
気象庁気象研究所などの
研究チームはことし五月、人為起源による
温室効果ガスの排出に伴う
地球温暖化を考慮しなければ、起こり得なかったとの研究結果を発表しております。
地球温暖化防止に向けた取り組みが日本政府において進められる中、本県においても、一昨年三月に、福岡県
地球温暖化対策実行計画を策定し、二〇三〇年度における県内の
温室効果ガス排出量を二〇一三年度比で二六%削減する目標を掲げ、事業者や家庭における
温暖化対策の推進に取り組んでいるところであります。しかしながら、このことが事業者や一般家庭に広く知れ渡っているのでしょうか。県の報告によると、家庭からの排出量は、
原子力発電所の稼働や
再生可能エネルギーの普及に伴う
二酸化炭素排出係数の改善により、計画の基準年である二〇一三年度以降、減少している一方で、家庭における
エネルギー使用量は、猛暑の影響で前年度より増加している年も見られるなど、
計画目標達成のためには、一層の取り組みが必要な状況にあります。
このような状況の中、県では事業者や家庭における
地球温暖化対策を支援するため、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
特に一般家庭に対しては、既に県では
エコファミリーという制度を早くから導入し、現在、
エコファミリーの登録者数は約二万七千世帯と聞いております。これは県内全世帯の約一%強でしかありません。
エコファミリー制度が導入され十年以上が経過していますが、一%強とは余りにも浸透していないのではないでしょうか。エコ活動を行うことの社会的な意義と、
エコファミリーに参加することで得られる具体的なメリットが伝わるよう展開していく必要があるかと思いますが、知事の見解を伺います。
次に、国は昨年十二月に気候変動の影響による被害の防止、軽減を推進するため、
気候変動適応法が施行されました。この法律で、各都道府県は、地域特性を踏まえた
気候変動情報などを収集、提供していくための
気候変動適応センターの設置に努めることとされています。知事は、本議会冒頭の議案説明で、この新たな法律を踏まえ、福岡県
気候変動適応センターを設置する方針を表明しました。気候変動による影響は、自然災害の頻発や農作物の不作など、既に県内でもさまざまな分野であらわれ、県民や事業者の方々の関心や不安も高まりつつあり、喫緊の課題でもあります。この
気候変動影響への対応は、
市町村単位では解決が困難な広域的な課題でもあり、センターの設置を機に、県がしっかりと役割を果たしていく必要があると思われます。
そこで、県はこのセンターを活用して、市町村や県民、事業者にどのような情報をどのような方法で提供し、気候変動の影響による被害の防止や軽減に取り組んでいくのでしょうか。知事の見解を伺います。
以上で私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
3 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。
*知事答弁
4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、
動物虐待防止に向けた普及啓発でございます。これまで県におきましては、市町村、
獣医師会等関係団体と連携をいたしまして、
街頭キャンペーンの実施、
動物愛護教室の開催、「福岡県だより」の発行などを通じまして、動物虐待の防止について呼びかけを行ってまいりました。また、県におきましては、動物虐待を疑われるような事案を探知した場合には、警察と連携をいたしまして、その虐待の早期解決に努めてまいりました。近年、動物の虐待動画を
インターネットに配信をするなど悪質な動物虐待の事例が後を絶たない状況にございます。こうした状況を踏まえまして、このたび、動物の不適切な取り扱いへの対応強化を図るため、動物の殺傷に対する法定刑の引き上げなど虐待に対する罰則を強化をする法改正が行われたところであります。県といたしましては、今回の法改正を受けまして、県民の皆様に対し、動物の虐待防止にかかわる普及啓発をこれまで以上に図ってまいります。このため県におきましては、これまでの取り組みに加えまして、動物虐待は犯罪であり許さない、その旨のチラシを作成をいたしまして、県が行います
各種イベントの機会に広くこれを配布いたしますとともに、県の広報媒体をより積極的に活用していくなど県民に対する普及啓発の強化を図っていきまして、動物の虐待の防止に努めてまいります。
次に、事業者や家庭における
地球温暖化対策の取り組みについてお尋ねがございました。まず、事業者に対しましては、
省エネ相談、
省エネ講座のほか、昨年度からは、企業のトップに省エネの必要性を直接呼びかける
経営者セミナーというものを開催をいたしております。また、省エネ、省資源に取り組む事業所を
エコ事業所として登録をいたしまして、県の
競争入札参加資格審査における加点、また模範となる事業所としての表彰などを行っております。これらの取り組みによりまして、事業所における
地球温暖化対策というものを推進してきているところでございます。
次に、家庭に対しましては、省エネ、節電など
地球温暖化防止に役立つ活動に取り組んでおられる世帯を支援するため、
エコファミリー応援事業というものを実施いたしております。この
エコファミリーへの参加世帯でございますが、年々増加してはおりますけれども、一方で、書面による登録や報告の手続が煩雑な面もございまして、現在の登録者数は、議員も御指摘になりましたが、約二万七千世帯と、県内全世帯の一%強にとどまっているところでございます。参加者の拡大に向け、一層の取り組みが必要であると、このように認識をいたしております。このため、本年度は新たに、
エコファミリーの登録や
省エネ活動の報告、県産品等が抽せんでもらえる
エコポイントの取得、これらが
スマートフォンから簡単に行うことができるアプリを開発をいたしまして、登録者の増加につなげていきたいと考えております。また、このアプリの利用を促進していくために、来年の三月には、車体を丸ごと広告でラッピングした列車を走らせたいと思っております。またあわせて、コンビニなどの協賛店舗に、この
アプリ登録用の
QRコードというものを記載したステッカー、これを配布してその周知を図っていきたいと考えております。こうしたアプリも活用しながら、若者を初め幅広い世代に
エコファミリーの参加を呼びかけまして、
地球温暖化防止に向けた家庭における取り組みというものを促進してまいります。
次に、
気候変動適応センターについてお尋ねがございました。県におきましては、昨年の十二月、
気候変動適応法の施行を踏まえまして、
気候変動適応センターを
保健環境研究所に設置し、気候変動や適応策に関する情報を収集、分析をいたしまして、それを市町村、事業者、県民の皆様に提供することといたしております。具体的には、
福岡管区気象台から収集しました県内の気温、降水といった予測データをもとに、国の
気候変動適応センターであります
国立環境研究所が持っておりますシステムを活用して、都市部や中山間部などそれぞれの地域特性に応じた気候変動による影響というものを分析をするとともに、国内での適応策の先進事例、これらの情報について収集をしてまいります。こうした情報につきましては、県が実施をしております適応策を含めまして、自然災害、健康、
農林水産業といったさまざまな分野別に一元的に情報を取りまとめ、ホームページや広報紙を活用して、市町村、事業者、県民の皆様にわかりやすくそれを提供してまいります。また、センターにおきましては、気象台、
国立環境研究所や県の研究機関などの専門家で構成されます協議会、これを開催することといたしておりまして、県の関係部局は、この協議会の技術的な助言を得ながら、今後必要となります県の適応策の検討を進めてまいります。
5 ◯議長(栗原 渉君) 野原隆士君。
6 ◯四十六番(野原 隆士君)登壇 それでは、知事に対する要望をさせていただきたいと思います。この
気候変動適応センターというのは、初めてのことで、この問題については、やはり県政の重要課題の一つであろうかと思います。しかし、この運用方法、既に民間の気象情報の関係の会社では、やはりそういう気象情報という提供をしております。県がどういうふうにやっていくか。設置方針を示している
気候変動適応センターのこの設置、当然、自然との関係がある
農林水産業や、こういった災害、昨年、一昨年の
北部豪雨災害もそうですが、気候変動への適応策を所管する県の関係部局がしっかりと連携をしていかなければ生かせないのではないかというふうに思います。県内の市町村、事業者、県民の方々が
気候変動影響に関する理解を深めていただき、その影響を防止、軽減するための実際の行動につながっていくことが重要ではないでしょうか。今回の
気候変動適応センターの設置はあくまでもこの出発点であり、知事のリーダーシップのもと、これまで以上に気候変動への対応に積極的に取り組まれることを強く求め、私の要望とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
7 ◯議長(栗原 渉君)
新井富美子君。(拍手)
*
新井議員質問
8 ◯九番(新井 富美子君)登壇 皆様、おはようございます。
民主県政県議団、久留米市選出の
新井富美子でございます。よろしくお願い申し上げます。今回初めて一般質問の機会をいただきましたことに、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。新人議員ですので、ふなれなことばかりですけれども、先輩議員の方々、そして執行部の皆様方の御指導のもと、福岡県の皆様のお役に立てるように、しっかりと精進してまいる所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
では、福岡県の性犯罪、性暴力について質問をいたします。二〇一七年六月、性犯罪に関する改正刑法が国会で可決、成立いたしました。被害者の告訴がなくても起訴することが可能となる強姦罪の法定刑の下限を懲役三年から五年に引き上げるなど、明治四十年の制定以来百十年ぶりの大幅改定となりました。しかしながら、今回の改正は不十分であるとの声が上がっています。その一つに、時効の問題がございます。殺人罪には時効がないのにもかかわらず、
強制性交等罪における時効十年については撤廃がされませんでした。
強制性交等罪が魂の殺人であるにもかかわらず、でございます。また、性犯罪の成立条件から抗拒不能を撤廃すべき、あるいは同意に関する過失罪を加えるべきなどなどの議論が高まっていることは基本的人権の観点から当然のことと思われます。このような現行法の問題のあらわれとも言うべき事案が相次いでおります。私の地元久留米市におきましても、この三月、女性にアルコールを飲ませ混迷状態にして強制性交に及んだとして罪に問われた男性被告に対し、無罪判決が下りました。
強制性交等罪の成立条件であります、当事者間に同意がないこと、これは証明できましたが、女性が抵抗できない抗拒不能であることは証明できなかったゆえの判決でございます。二〇一九年だけでも同様の理由により無罪判決がほか四件ほど下っており、女性のみずからの性にかかわる精神、心、そして女性自身の尊厳が極度に軽視されていると言わざるを得ません。
そこでまず、本県における性犯罪、性暴力の現状について、知事にお伺いいたします。福岡県の平成三十年の
性犯罪認知数は三百八十一件、人口に対する認知率では九年
連続全国ワースト二位、
うち強制性交等罪は九十三件で、過去六年で最多の認知数となっております。また、そのほとんどの被害者でありますのが女性でございます。性犯罪の性質から、それぞれの潜在数はかなりの数に上るとも言われております。なお、実際の認知数つきましては、警察当局の御尽力によるものであるという数の多さという面がございますけれども、ここで小川知事にお伺いいたします。
知事はさきの代表質問への答弁の中で、福岡県の企業のうち女性の社長が七人に一人であり、女性が最も活躍している県の一つとも言えるとおっしゃいました。しかしながら一方で、性犯罪、性暴力の被害に遭い、そのため心身ともに困難な状況に陥り、本来の力が発揮されないまま、大変つらい生活を余儀なくされている女性たちが大勢いることも現実でございます。女性活躍を推進する県として、
性犯罪対策についてこれまでどのように取り組みを行ってこられたのか、また、この現状をどう認識しておられるのか、お聞かせください。
次に、福岡県
性暴力根絶条例についてです。本県では、主要四会派の議員提案により、本年二月二十一日に、福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例、いわゆる
性暴力根絶条例が成立し、三月に公布、一部施行されております。法令及び条例において、性暴力の何たるかを初めて明確に定義した全国でも初めての先進的なものであり、その定義内容は、性犯罪、
配偶者等性暴力、
ストーカー行為、セクシュアルハラスメントその他特定の者の身体または精神に対する性的行為で、当該特定の者にとって、その同意がない、対等ではない、または強要されたものを行うことにより、その者の性的な問題をみずから決定する権利、すなわち
自己決定権、またはその者の性的な問題に関する身体、自由、精神、名誉等の人格的な利益、すなわち
性的人格権を侵害する行為としています。
性暴力根絶への取り組みとして、防犯活動の強化ももちろん重要ですが、さらに重要なのは、条例にうたわれているとおり、性暴力の加害者を生まない社会をつくる、この機運を醸成する教育と啓発に重点的に取り組むこと、また、性暴力及び被害者に関する誤った
自己責任論や偏見を払拭し、その実情の正しい理解を深め、かつ広めること、つまり、私たち一人一人が人権意識を高め、また、あらゆる暴力を否定する意識を強めるためのその取り組みを行うことであります。
そこで、今後この条例のもと、
性暴力根絶に向けてさらなる取り組みが展開されることを期待しますが、条例に対し、小川知事はどのような認識をお持ちでしょうか。お聞かせください。
また、この条例は、現在十条までが施行されており、十一条から二十二条までの規定は、規則で定める日から施行するとございます。十一条から二十二条には、
性暴力根絶等に関する教育活動、根絶活動にかかわる人々への研修、社会への
広報啓発活動、
性暴力被害者への支援の
具体的取り組みとして警察、医療、そして弁護士等との連携、また加害者への取り組みなど、細かく現場にかかわる実践的な内容であり、
性暴力根絶のためには一日も早く整備されなければならないものばかりですけれども、全面施行されるのはいつごろなのか、また、全面施行に向け、今後どのような決意で取り組まれるのか、小川知事のお考えをお伺いします。
あわせまして、
性暴力被害者支援センター・ふくおかは、
性暴力被害により心身の人権を侵害された方々を
ワンストップで支援するための大変重要なセンターでございます。現場主義をモットーとする小川知事は、この施設を御自身で訪問され、現場の事情をみずから確認されたと担当部署からお聞きしましたが、どのような意見交換をなされたのか、詳しくお聞かせください。
以上、よろしくお願いいたします。(拍手)
9 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。
*知事答弁
10 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、本県における
性犯罪対策の取り組みでございます。県におきましては、これまで性犯罪の
未然防止策と
被害者支援に取り組んでまいりました。
未然防止対策につきましては、防犯ベルの設置など設備の整った賃貸住宅の認定制度の普及、市町村等が行います
性犯罪防止のためのカメラの設置に対します助成、女性と子どもの安全みまもり企業の登録とその活動の支援、
スマートフォン用防犯アプリによります広報啓発など、市町村や企業との協力のもと、性犯罪が起きにくい
環境づくり、また被害防止に向けた広報啓発に取り組んできたところであります。その結果、本県における性犯罪の認知件数でございますけれども、昨年は三百八十一件となってございまして、この五年間で約百八十件、三割減少したところであります。
被害者支援につきましては、平成二十五年に
性暴力被害者支援センター・ふくおか、これを開設をいたしまして、電話相談、カウンセリング、病院や警察への付き添い、医療費の公費負担など支援を行ってまいりました。また、二十七年十二月からは、これを二十四時間三百六十五日対応に拡充をいたしまして、体制の充実、センターの周知に努めてまいりました。その結果、昨年度、年間二千三百件を超える相談がセンターに寄せられたところでございます。本県の性犯罪の認知件数は減少してきたとはいえ、全国的には、御指摘のありましたように、依然として高い水準にございます。センターへの相談件数も増加しておりますことから、性犯罪の
未然防止対策、そして被害者に寄り添った支援というものをさらに充実させていく必要がある、このように考えております。
性暴力根絶条例についてでございます。この条例では、性犯罪を初めとする
性暴力根絶のために、法令及び条例では全国初めてとなります性暴力、これについて定義を行うとともに、被害者に二次的被害を生じさせるような行為の根絶、
性暴力根絶及び
被害者支援に関する総合的な教育の実施、再犯防止に向けた加害者の社会復帰の支援、これらを規定をしておりまして、意義深い条例であると認識をいたしております。県といたしましては、この条例の内容を広く県民、事業者の皆様に周知を図っていくとともに、条例に定める施策を着実に進めていく考えでございます。
条例の施行に向けた今後の取り組みについてお尋ねがございました。県といたしましては、この条例に定められました
性暴力根絶のための教育、啓発に当たる人材の育成、加害者の再犯防止対策に必要な届け出義務、治療勧奨、社会復帰のための指導、相談窓口の設置、また被害者に対する支援など具体的な方策を検討していく必要がございます。このため、大学教授、臨床心理士、精神科医等の有識者、また検察庁、保護観察所、弁護士会、医師会、そういった関係機関によります性暴力対策検討会議というものを設置いたしまして、専門的な知見を踏まえた取り組みの方針、また関係機関との連携の方策というものを取りまとめることといたしております。この会議の検討状況を踏まえまして、今年度中にはこの全面施行の時期について結論を得たいと、このように考えております。
次に、
性暴力被害者支援センター・ふくおかへの訪問についてお尋ねがございました。センターとの意見交換におきましては、センター長、事務局長ほかスタッフの方々から、二十四時間三百六十五日体制で専門性の高いスタッフがチームを組んで昼夜を分かたず被害者に寄り添った支援をされているその実情について直接お伺いすることができました。スタッフの皆様の日々のその業務の御苦労と、そしてその熱い思いとその御尽力に改めて感謝をするとともに、性暴力の根絶と
被害者支援の充実にこれからもしっかり取り組んでいかなければならない、そう実感させていただいたところであります。
11 ◯議長(栗原 渉君)
新井富美子君。
12 ◯九番(新井 富美子君)登壇 御答弁、ありがとうございました。ここで少し要望を述べさせていただきたいと思います。
性暴力根絶への取り組みは、単なる一分野の課題への取り組みではなく、県民の基本的人権を尊重するという根本姿勢にかかわる問題でありますことから、継続してしっかりと取り組んでいただきますようお願い申し上げます。
同時に、性暴力は、人権じゅうりんと暴力行使が強く凝縮されたものであるゆえ、その被害者は心身ともに重大なダメージを負うものでございます。
被害者支援は、命と魂の問題でございます。センターにはぜひ何度でも足を運んでいただき、支援体制のさらなる充実と、性暴力を生み出さない社会の構築に御尽力をいただけますよう、また、温かみのある福岡県の実現に向け、さらなるリーダーシップを発揮していただくことを心より御要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
13 ◯議長(栗原 渉君) 壹岐和郎君。(拍手)
*壹岐議員質問
14 ◯六十六番(壹岐 和郎君)登壇 公明党の壹岐和郎でございます。通告に従って、助産師の活用について質問させていただきます。
保健師助産師看護師法第三条には、「「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。」、また、第七条二項には、「助産師になろうとする者は、助産師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。」。ちなみに、同法第二条に、「「保健師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう。」、また五条に、「「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。」とあります。このように助産師は、母子ともに出産から子育てまでを見守る役割を担う最適な職種でございます。
福岡県には、厚生労働省の資料によれば、助産師の人数は平成二十八年度現在で千三百六十四人、そのうち助産所開設者三十二人となっており、多くは病院や診療所などに勤務されています。御存じのとおり、近年、助産所での出産は一%未満で、ほとんどが病院もしくは診療所で生まれています。今回お話を伺ったのは、福岡県内で助産院を開設されている助産師の方です。長崎大学を卒業後、産業医科大学に十六年間勤務し、二〇〇三年に助産院を開院。心豊かなお産と子育てを掲げ、母子ともに産前産後にわたる手厚いサポート態勢をしいて、現在、六床の入院施設を持ち、妊婦健診、産後健診、入院、自然分娩、デイケア、アウトリーチ、母乳育児支援などさまざまな定期的なイベントを開催しながら、五人のスタッフとともに地域に密着した妊娠、出産、子育て拠点として奮闘をされておられます。お話をお聞きする中で強調されたことは、妊娠期から出産後の子育てに至るまで、充実した支援を実施するために、直接お産にかかわるだけではなくて、もっと助産師がかかわることが必要なのではないか。特に妊婦の精神的な安定やいわゆる産後鬱への対応など、最悪の場合、妊婦の自殺や子供への虐待につながる事案をなくすためにも、母子の心身にわたる健康に深く寄り添える助産師の役割を再認識し、行政の諸施策に生かす必要があるとの考えであります。
母子保健法の改正により、平成二十九年四月より、妊娠から出産、育児まで切れ目のない相談支援拠点である子育て世代包括支援センターを二〇二〇年度までに全国展開することとなっており、本県でも四月一日現在で、三十五市町まで設置が進んでいます。同時に、産後ケア事業の実施が重要であります。本事業は、退院直後の母子に対し、助産師、保健師、看護師等が心身のケアや育児のサポート等を行い、産後も安心して子育てができる支援体制を確保するものです。この事業については、母子ともに出産から子育てまで見守る助産師、特に地域で活躍されている開業助産師を活用すべきと考えます。本県での産後ケア事業の現状と開業助産師の活用について、知事の見解をお伺いします。
次に、子育て世代包括支援センター業務ガイドラインには、子育て世代包括支援センターの周知に関し、「都道府県においては、市区町村における広報の状況について、定期的に確認し、有効な広報の方法等について、広く市区町村に情報提供することが期待される。」とあります。まずは、市町村が広報紙などで周知していくことは当然ですが、県も主体的に取り組むべきと考えます。知事の考えをお尋ねします。
厚生労働省第二回の周産期医療体制のあり方に関する検討会における資料である助産師の果たすべき役割と連携体制についてによれば、開業助産師の活用、行政事業への組み入れに関し、子供の虐待防止の面から、地域で活動している開業助産師の活動を政策の中に反映させ、きめ細やかな妊産褥婦への支援を構築していく必要があり、そのことがもう一人産みたくなるような支援につながるとしています。今回お話を伺った助産師の方も全く同様な意見でした。本県での妊娠から出産、育児にわたる切れ目のない支援策を立案する上で、各種関連協議会の参加などを含め、助産師からの視点をより反映させるべきと考えますが、知事のお考えをお尋ねします。
また、同資料には、家族構成の変化や人間関係の希薄化が指摘される中、命の大切さを伝える思春期教育である命の授業は、児童の自己肯定感を高める効果があるとしています。
教育長にお尋ねします。例えば、助産師を講師に妊娠、出産、子育てに至るまでそばで寄り添ってきた体験を通して、自分が大切な存在であること、命の大切さ、家族のきずな、他者への思いやりなどを子供たちに伝えることは大変意義あることだと考えます。中学校三年生であれば、十年後には父親、母親になってもおかしくない年齢です。決して遠い未来の話をしているわけではございません。今日の教育が十年後、二十年後の福岡県をつくります。このような取り組みに対する教育長の見解並びに本県での取り組みについてお示しください。
本県では、妊娠、出産、子育て、思春期における不安や悩みを抱える女性からのSOSに対し、相談を電話もしくはメールで保健師、助産師が対応しています。本県での相談支援実績並びに他機関との連携状況について、知事にお尋ねします。
最後に、県民の皆さんが安心して妊娠、出産できるよう、周産期医療体制を充実していくためには、助産所などの地域の身近な分娩施設と、異常分娩時等において受け入れを行う高度な医療機関との相互理解を今まで以上に深めていく必要があります。関係者間の連携強化について、知事の見解をお尋ねします。
安心して出産、子育てし、子供に愛情を注ぎ込めるという基本的な環境整備を急ぐことが、少子化を食いとめ、児童虐待を根絶させ、心身とも健全な青少年育成の基盤づくりになると確信します。
以上で質問を終わります。よろしくお願いします。(拍手)
15 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。
*知事答弁
16 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、産後ケア事業の現状と助産師さんの活用でございます。この事業は、市町村が産後も安心して子育てができる支援体制、これを確保することを目的に、退院直後の母子に対しまして、医療機関や助産所などにおきまして、宿泊あるいは通所サービスによって助産師等による保健指導、授乳指導、育児のサポートといったサービスを提供するものでございます。県内におきましては、平成二十八年度に六市町が本事業を開始をし、昨年度の実施市町村は十四市町に拡大をしております。二町は直営で、十二市町は委託によりその事業を実施しておりまして、そのうち八市町は助産所に委託をしているところであります。県におきましては、これまで市町村の担当職員が出席をいたします会議、研修会等におきまして、この事業の内容、補助制度等について説明をするほか、先進的な市町村の取り組み、これを紹介をし、助産師等を活用するこの事業、その実施について促してきているところであります。
次に、子育て世代包括支援センターの周知でございます。センターがその機能を発揮していくためには、その存在、役割について、妊産婦や保護者はもとより、地域の住民の皆様などにもその十分な周知を行い、地域の理解と信頼を得ることが重要であります。県におきましては、平成二十七年度以降、市町村に対し、このセンターの設置を促してまいりました。ことし四月一日現在、御指摘ありました三十五の市町で設置をされ、令和二年度末までには県内全ての市町村でこれが設置される予定となっております。今後、センターの存在や役割が地域の住民の皆様などに十分周知されるよう、県内各市町村がそれぞれ工夫をされております広報の手段や方法について詳細に県として把握をいたしまして、効果的で他の参考になるような事例につきまして、市町村担当職員が出席する会議、研修会等の場でこれを活用して紹介をしていきたいと考えております。
次に、助産師の視点の行政への反映でございます。助産師は、分娩介助だけではなく、妊産婦の健康管理、乳房ケア、育児指導などを行っておられまして、妊娠から出産、育児に至るまで幅広い専門知識と技術を有されております。県におきましては、保健福祉環境事務所に十一名の助産師を配置をいたしまして、未熟児に関する市町村への専門的技術支援を行うとともに、妊産婦向けの冊子や相談マニュアルの作成などにも携わっていただいております。特に、三つの保健福祉環境事務所におきましては、不妊専門相談センターを設置をし、助産師が不妊や出産に悩んでおられる方々の相談に応じているところでございます。また、今年度から新たに、周産期医療の体制整備について協議を行っております福岡県周産期医療協議会、その委員として、福岡県助産師会にも御参加いただくことといたしております。
にんしんSOSふくおかについてお尋ねがございました。にんしんSOSふくおかは、県民の妊娠期から子育て期、思春期におけるさまざまな悩みに対応するため、福岡県看護協会が実施をしておられる相談事業であります。県は、その運営にかかわる経費について助成をさせていただいております。この事業の昨年度の相談実績でございますが、電話とメールを合わせて約一万八千件となっておりまして、そのうち妊娠に関する相談は五千六百件ございました。相談窓口におきましては、専門的な知識を有する助産師や保健師の方が相談者の悩みに対して助言を行うとともに、妊娠の可能性があるなど医療機関や市町村につなぐ必要がある場合には、地域の産科医療機関やお住まいの市町村の母子保健担当窓口、それらの紹介を行わさせていただいております。
次に、周産期医療の充実に向けた関係者の連携でございます。本県におきましては、新生児集中治療室などを備え、母体や新生児に対する高度な医療を提供する周産期母子医療センターを県内に十二カ所整備をしております。それを通じて周産期医療体制の確保を図っているところであります。県民の皆様が安心して出産できるようにしていくためには、地域の分娩施設では対応が困難な異常分娩等につきましても、関係者間の連携を図って高度な医療機関へこれを適切につないでいくことが重要であります。このため、周産期母子医療センターや産婦人科医会等の関係者で構成をしております周産期医療協議会におきまして、母体の受け入れ、搬送体制など医療機関間の連携について協議を進めているところでございますけれども、今年度からは、先ほども申し上げましたように、福岡県助産師会にも御参加をいただくことといたしておりまして、この協議、この場を通じまして関係者間の一層の連携というものを図ってまいります。
17 ◯議長(栗原 渉君) 城戸教育長。
*教育長答弁
18 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 命の大切さ等を学ぶ体験学習についてでございます。医師や助産師などの専門家を招聘し、命の大切さや他者への思いやり等を学ぶ学習は、実感を伴った理解を深める上で有効な取り組みであると認識しております。本県におきましても、公立中学校に助産師などを派遣し、生命の誕生や思春期の体と心等について学ぶ学習を支援しております。また、乳幼児と触れ合う学習や高齢者施設におけるボランティア活動を行う学校もございます。今後とも、外部人材の活用によりまして、子供の感性に響く体験的な学習の充実を図り、自尊感情や生命を尊重する心、他者を思いやる心などを育ててまいります。
19 ◯議長(栗原 渉君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時十分といたします。
午 前 十一時 五十四分 休 憩
午 後 一 時 十一分 再 開
20 ◯副議長(原中 誠志君) 再開いたします。
休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。安部弘彦君。(拍手)
*安部議員質問
21 ◯四番(安部 弘彦君)登壇 皆さん、こんにちは。食と緑を守る緑友会福岡県議団の安部弘彦でございます。このたび遠賀郡選挙区より選出をいただきました。諸先輩方の築き上げられてこられましたよき伝統、そして議会の規律をしっかり遵守をし、県民の皆さんのために一生懸命働いてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。また今回、一般質問の機会をいただきました緑友会県議団を初め諸先輩方に心より感謝を申し上げます。ありがとうございます。
まず、昨年七月の集中豪雨により、今まで経験したことのない大量のごみが海岸に漂着しました。撤去等、地元選出の
自民党県議団、松本國寛会長を初め関係者の方々の御尽力により、迅速かつ適切な対応をしていただきました県に対しまして、遠賀郡の住民として厚く御礼を申し上げます。おかげさまで、海開きは少しおくれたものの、海水浴やサーフィンを楽しみにしていた観光客の方、観光に携わる関係者の方々には大変喜んでいただけたものと思っております。
それでは、通告書に従いまして一般質問させていただきます。
本日の質問テーマは、県民の健康増進とスポーツツーリズムの推進についてであります。昨年十二月に発行された福岡県スポーツ推進計画で、本県は、県民のスポーツ活動を活性化することにより地域に活力をもたらし、スポーツの力により活性化した地域が、さらにスポーツを支援できる力を発揮するスポーツ立県福岡の実現を目指すとされ、二〇二三年までの五年間を計画期間として、本年も予算が計上されております。
そこで、サイクリングやウオーキングによる有酸素運動の普及、県民の健康増進等について、知事の御所見をお尋ねしたいと思います。
二〇一八年から始まったふくおか健康づくり県民会議設立総会の資料によりますと、本県の平均寿命、男性は八十・七二年、健康寿命は七十一・四九年で全国四十位、すなわち九・二三年の間は健康でない期間であります。女性の平均寿命は八十七・三二年、健康寿命七十四・六六年で全国三十位、すなわち十二・六六年の間健康でない期間であるということになります。これは平成二十八年のデータですが、福岡県民の健康年齢が全国平均を大きく下回っている、特に男性高齢者の運動習慣は目標値を一七%も下回っていることなど、県民の健康を維持向上し、単に生存年齢を高めるのではなく、健康年齢を高めるためにも有酸素運動を手軽に楽しくできる環境、そして周知が必要だと思います。なぜならば、健康で暮らすことが本人も家族も幸せですし、高齢者の医療費削減にも結びつくからであります。
総合体力研究所の資料によると、普通のウオーキングよりノルディックウオーキングは、ポールを使うことで全身の筋肉をたくさん刺激するので、エネルギー消費量が二〇%増加すると言われています。また上半身もしっかり使うので、肩や首の凝りの解消、肩甲骨の可動域の改善にも有効で、さらに歩行訓練やリハビリとして活用することもでき、歩きの質を高めることができるそうであります。この運動効果については、滋賀県立大学院の寄本明教授(滋賀県東近江市)が発表した「六ヶ月間のストックウォーキングおよびノーマルウォーキングが血液性状・形態・機能に及ぼす影響」という研究発表もあります。つまり体力づくり、スタミナアップ、減量やメタボ対策、健康づくりにとても効果的なウオーキングというわけです。そのためには公認の資格を持った指導者やインストラクターによる講習、イベントの実施、指導者の育成が喫緊の課題と思います。もちろん関連団体や市町村などの連携も必要です。
そこで知事にお尋ねいたします。有酸素運動の普及、県民の健康増進のための指導者育成や市町村のスポーツ推進委員との連携、また研修会の開催など、どのようにお考えなのかお尋ねをいたします。
九州のサイクリングロードの情報サイトによりますと、福岡県には本年度中に完成予定の直方─芦屋ルートを含め、十四本のサイクリングロードがあります。また佐賀県に三本、長崎県に二本、熊本県に三本、大分県に三本、そして鹿児島県に四本と、他県を合わせると二十六本になります。とりわけ直方─芦屋ルートの間には、世界遺産遠賀川水源地ポンプ室、隣接して中間堰、将来結節点になるであろう芦屋港も、二〇二八年までの間に活性化が進められる計画になっています。また芦屋─宗像までの遠賀宗像自転車道では、途中にはアサギマダラの飛来地や波津漁港、そして宗像・沖ノ島と関連遺産群の世界遺産、新原古墳群などがあり、点と点を結ぶ見どころいっぱいの観光コースです。しかしながら、途中海岸侵食が自転車道まで脅かしそうな危険な箇所や防風、防砂柵が腐食をして景観が悪い箇所、また貸し自転車のメンテナンス拠点など、整備が必要な部分もあります。この自転車道は、ウオーキングと併用して活用できるコースにはなっていますが、掲示物などの整備が不十分だと思います。有酸素運動の普及、県民の健康増進のため目的別、観光、健康、体験コースとして再整備をしてはどうでしょう。遺跡、社寺仏閣、果樹園などの観光拠点を連携し、ルート周辺の整備をしてグレードアップしてはと考えます。
以上の観点に鑑み、既存の自転車道を生かした観光振興の取り組みについて、知事の御所見を伺います。
多くのインバウンドも視野に、目的別に世界遺産、遺跡、社寺仏閣、果樹園などの観光拠点間を結ぶルートとして、今後どのくらいの期間で新しい広域ネットワークを構築し、さらには観光資源の開発をされていくお考えなのか、あわせて本県だけでなく、オール九州で取り組むお考えについてもお伺いをしたいと思います。
長くなりましたが、県民の健康増進とスポーツツーリズムの推進のための観光との連携や世界遺産群の維持といった観点からも、サイクリングロードの整備、ノルディックウオーキングなどの有酸素運動の普及といった事業のより一層の充実、あわせて地場産業の育成、発展、経済的な効果も含め、県内に展開するサイクリング、遊歩道の整備など、オゾン、緑いっぱいの福岡県を健康づくりのメッカに育て上げ、魅力ある地域づくりで県民の健康寿命延伸に結びつけることに御尽力をいただきますように強く小川知事に御要望申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
22 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。
*知事答弁
23 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、県民の健康増進のための有酸素運動の普及でございます。県におきましては、健康寿命の延伸を目指しまして、県民お一人お一人が健診の受診、食生活の改善など具体的な健康づくりに取り組んでいただくふくおか健康づくり県民運動というものを推進してきております。運動習慣の定着は、その中での、その取り組みの柱の一つでございます。
御指摘の有酸素運動につきましては、全身を使った運動によりまして、基本的な体力や持久力を身につけることができ、比較的安全で誰もが無理なく取り組めることから、健康づくりの有効な手段と言われているところであります。県におきましては、今年度からでございますけれども、市町村が福岡大学スポーツ科学部において、残念ながらお亡くなりになりましたけれども、田中宏暁教授が提唱されました、隣の方と会話ができるくらいの運動の強さで行いますスロージョギング、福岡発で県内の複数の自治体において取り組みが広がっております、ケアトランポリン、全国的に広く取り組まれておりますウオーキングなど、運動習慣の定着に資する運動を取り入れた健康教室を新たに、また拡充して、これを実施する場合に、市町村のそのかかる経費について助成を行うことといたしております。また市町村のスポーツ推進委員等を対象といたしました研修会の開催、指導員の養成、県、市町村が開催するイベントにおける講演会、体験会の実施などを通じまして、県民の皆様の運動習慣の定着を図ってまいります。
次に、自転車道を生かした観光振興についてでございます。昨年の五月でございますが、県を挙げてサイクルツーリズムを推進をするため、福岡県サイクルツーリズム推進協議会を設立いたしました。この協議会のもとで、既存の自転車道も活用した五つの広域モデルルートというものを決定をし、専用のホームページにおきまして、そのルートや周辺の観光スポットなどについての情報を発信をしているところであります。今後、ことし三月に策定をいたしました福岡県自転車活用推進計画に基づきまして、二〇二一年度までに新たに五つの広域モデルルート、その設定を目指すとともに、ルート周辺のストーリー性を持った観光資源の開発につきましても、沿線の市町村に対し働きかけを行ってまいります。
またオール九州での取り組みにつきましては、今月開催をされました九州地方知事会におきまして、私のほうから九州・山口サイクルツーリズムの推進方針というものを御提案をし、了承をいただいたところであります。現在その推進方針に基づきまして、九州・山口各県の観光部局間におきまして、県域をまたいだ広域推奨ルートの設定などについて協議を進めているところでございます。
24 ◯副議長(原中 誠志君) 井上博行君。(拍手)
*井上(博行)議員質問
25 ◯二十一番(井上 博行君)登壇
自民党県議団の井上博行です。どうぞよろしくお願いいたします。
北部九州自動車百万台構想、二百社を超えるシステムLSI関連企業の集積、九州国立博物館の建設、青少年アンビシャス運動、あまおう、元気つくし、ラー麦など新品種、新技術の開発、普及、九州新幹線鹿児島ルートの開通など、創造的で独自性ある施策を次々と打ち出し、リーダーシップを発揮し、実行してきた麻生渡前知事の県政の時代では、福岡市の市民所得がマイナス二・六七%であったにもかかわらず、福岡県全体の県民所得はプラス成長でありました。国家戦略特区の獲得、航空法の高さ制限の規制緩和、天神ビッグバン、スタートアップ支援、企業誘致、世界的な会議、大会の誘致などの施策を進めている福岡市が、市民経済計算の数値で市民所得プラス一三・七七%となる中、県民経済計算の数値で、福岡県はプラス三・一〇%の成長でありました。出どころの違う数値で単純には比較できないかもしれませんが、この数字を使い計算すると、福岡市を除く五十九市町村ではマイナス成長となります。いわば福岡県の成長は全て福岡市の経済成長に担保されているということにもなります。
先般の統一地方選挙で、知事は二期八年の実績を強調されていましたが、福岡市を除けばマイナスというこの現実をどう受けとめられているのか。さらに、この福岡市の高い成長率を県内他市町村にも波及させ、文字どおり内容の濃い福岡県全体の発展へとつなぐためには、どのような方策をとるべきと考えておられるのか。実情、現状をしっかりと受けとめていただきたい。このことをまず申し上げ、質問に入ります。
それでは、通告に従い、福岡空港周辺地域対策について質問します。福岡空港の運営が民間委託されましたが、開始後の現状や地域支援のこれからなどについて、幾つかお尋ねいたします。二〇一九年四月一日から、福岡空港の運営の民間委託が開始されました。この運営を行っているのが福岡国際空港株式会社であります。現在、年間旅客数約二千四百万人の福岡空港でありますが、同社は、空港の将来像として比類なき東・東南アジアの航空ネットワークを有する東アジアにおけるトップクラスの国際空港を目指すとしており、国際線ネットワークを拡大し、三十年後の福岡空港は年間旅客数三千五百万人、路線数は国内外合わせて、現在のおよそ二倍の百路線就航することを目標に掲げているところと承知しております。
福岡県は、同社に三十五億円の出資を行っております。まずは、この出資について基本的なところを確認させていただきたいと思います。福岡県は、その所有していた福岡空港ビルディングの所有株式売却益六十四億円をスライドさせる形で、福岡国際空港株式会社に三十五億円の出資をし、同社の株式の一〇%を所有する株主となっておりますが、この出資によって、福岡県は福岡空港に関してどのようなことができる立場になったのでしょうか。実際に出資をしてみて、その効果についてお聞かせください。
次に、民間委託開始後の空港のオペレーションの現状等について伺います。運営者が変わったのでありますから、オペレーションにふなれな点もあるだろうと思いますし、空ビルも工事をしていたりという状況ですから、運営的になかなか難しい部分もあるだろうと思います。しかしながら、私自身が福岡空港を利用した際に感じたことや、利用者の声を聞くと、やはりこれから改善が必要ではないかと考える点が幾つかあることは事実です。
例えば、改装後の空港ビル内の移動動線が不便であったり、また、それなりに長い距離を歩く必要があるところでも、いわゆる動く歩道が整備されていなかったりと、これからさらに多くの旅客数を受け入れ、東アジアトップクラスの空港を目指している中で、まだまだグローバルスタンダードレベルに及んでいない点が見受けられます。
そこで民間委託開始後に寄せられている改善要望の声にはどのようなものがあるのかお聞かせください。そして今後の改善計画について教えてください。
次に、空港周辺地域対策についてお尋ねいたします。福岡空港は、世界でも例のないくらい都心に位置する空港であります。現在の福岡の発展は、福岡空港の立地のよさが一つの大きな要因であると言って過言ではないと思います。そして、今後福岡が東名阪に並ぶ都市圏にステップアップしていく上で、福岡空港の利便性のよさは不可欠であると考えます。しかしながら、都心にあるがゆえに、その周辺に居住する住民も多く、騒音を初めとして多くの課題があることも間違いのない事実であります。
福岡空港の所在する博多区選出の自民党の県議会議員は、昭和二十七年から今現在まで、代々空港周辺地域居住の皆さんとともに空港周辺地域対策に取り組んでまいりました。例えば、空港周辺地域に地域住民の交流の場としての共同利用会館を十七カ所もつくってきました。しかし、この会館も老朽化が進み、地域住民の交流の場としての機能をこれからも果たしていけるかどうか疑問符がつくような状況になってきていると感じております。
そこで民間委託開始後も引き続き、今まで以上に周辺地域対策を講じていただけるとお聞きしているところでありますが、福岡国際空港株式会社では、具体的にどのような対策を検討されているのか、現状をお聞かせください。
運営会社は初めて空港のオペレーションをしているので、なれないうちはうまくいかないこともあるかと思います。こういう状況の中では、国や県が連携して可能な限りサポートをすべきと考えますが、そのようなサポート体制は整っていますか、お尋ねいたします。
最後に、今後の福岡空港の発展及び福岡空港周辺地域対策について、知事のお考えをお聞きしまして、私の一般質問とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
26 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。
*知事答弁
27 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
福岡空港の運営会社に対する出資の効果でございます。県は二月二十二日、福岡空港の運営会社でございます福岡国際空港株式会社に対し出資を行い、また同日開催された株主総会におきまして、私どもの江口副知事が取締役として選任をされたことによりまして、経営の最終的な意思決定の場でございます株主総会で議決権を行使するとともに、経営計画等業務執行上重要事項を決定します取締役会、これに参画をし、必要な意見を述べることが可能となったわけであります。これまで、ことしの四月に公表されました今後三十年間の会社運営の指針となるマスタープラン、五カ年の中期事業計画などを決定をいたします取締役会に参画をいたしまして、路線誘致や北九州空港との連携などに関する県としての考え方を、これらに反映をさせてきたところであります。