福岡県議会 > 2019-06-12 >
令和元年6月定例会(第12日) 本文
令和元年6月定例会(第12日) 名簿

  • コミュニティ(/)
ツイート シェア
  1. 福岡県議会 2019-06-12
    令和元年6月定例会(第12日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(栗原 渉君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。片岡誠二君。(拍手) *片岡議員質問 2 ◯二十番(片岡 誠二君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の片岡誠二でございます。  令和元年最初一般質問、しかも今回光栄にもトップバッターとして登壇させていただきますことに、心から感謝と御礼を申し上げます。ありがとうございました。  それでは、通告に従いまして、キャッシュレス決済の普及についての質問を行います。現在、世界各国ではクレジットカードの浸透、電子マネーの普及などにより、現金を必要としないキャッシュレス化が拡大しており、人々の生活の利便性の向上、ビジネスの効率化、現金の発行、流通などに係るコストの削減にもつながっております。各国のキャッシュレス決済比率を見ると、キャッシュレス化が進展している国の普及率は、軒並み四〇%から六〇%に到達しておりますが、スウェーデンでは九八%、韓国は九六%というように、ほぼ完全な形でキャッシュレス社会が進んでいる国では、国民が現金を持ち歩かずに日常生活を送っております。そうした中、我が国のキャッシュレス普及率は約二〇%と、世界の潮流からかなりおくれをとっているのも事実であります。  日本でキャッシュレス化が普及しにくい背景として、治安のよさ、現金に対する信頼の高さというよい点もありますが、他方、店舗における端末導入、決済手数料等のコストの問題、また個人情報流出等のセキュリティーに対する不安が挙げられます。しかし、キャッシュレス決済の導入は、小売業や飲食、サービス業といった中小規模事業者の生産性の向上、またインバウンド需要の取り込みを図る上でも、極めて有効な手段であることは間違いありません。政府も、平成三十年閣議決定された未来投資戦略二〇一八において、二〇二七年六月までにキャッシュレス決済比率を四割程度にすることを目指すとしておりますし、総務省は昨年度、第二次補正予算でモバイル端末を用いたキャッシュレス決済実証事業を実施することを決め、その実施地域として、本県福岡県も含め全国で四地域が選定されました。  そこで知事にお尋ねいたします。今年度の一般会計当初予算の中で、地域のキャッシュレス化を支援するため、専門家派遣経費として約六百万円の予算を計上されていますが、今回の総務省によるQRコードバーコードを使った決済、この限定された実証事業をどのように進め、普及していこうと考えておられるのかお尋ねをいたします。  次に、県内では福岡市など都市部の商店街や大手百貨店、スーパーなどで比較的キャッシュレス決済の導入が進んでいる一方、地方では、まだまだこれからというのが実態ではないかと思っております。現にキャッシュレス決済を導入するメリットがよくわからない、導入方法がわからないといった声もよく聞きます。今後キャッシュレス決済を普及させていくためには、地方都市の小規模店舗にもしっかりと目配りし、店舗側の支援も含め、消費者の利便性や安全性をより高めることや、消費者が自分に合った決済手段が簡単に選択できるように周知し、展開していくことが重要であると考えております。また地域ごとのキャッシュレス化進展度合いを示す具体的なデータの収集をとる必要もあるのではないかとも考えております。  今後、今回のQRコードバーコード事業を初めクレジットカード電子マネーなど、さまざまなキャッシュレス決済の手段を県内全域へ普及させていくため、県としてどのように促進、普及し、取り組んでいかれるのか、知事にお尋ねをいたします。  最後に、今回の質問を踏まえて、知事に要望いたします。さきの県知事選挙で、小川知事が三期目の当選を果たされました。現在の福岡県の実情、確かに知事がいつも言われているとおり、福岡県は人口も経済も伸びております。しかし、成長しているほとんどの全ては福岡市だけなんです。では、福岡県全体ではどうなのか。小川県政となって九年目、この間、福岡市以外の地方都市は人口の減少、少子、高齢化、県民所得の低迷、福岡県は小川県政となって現状維持どころか、急激に衰退しております。いみじくも県知事選挙を制した小川知事が、当選の弁でこう語られております。地方再生の政策をスピード感を持って全力で進めていくと、県民に対して約束されております。知事、お約束どおり、必ず県民との約束を実行していただきますように強く要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  総務省事業を活用したキャッシュレス決済の普及でございます。総務省におきましては、モバイル端末を用いたキャッシュレス決済の普及を図っていくために、国内のQR決済事業者八社、その異なるQRコードを一つにまとめた統一QRコードを使った実証事業というものを、ことしの八月から来年の一月までの間、本県を初め全国四つの県で実施をすることになってございます。この事業におきましては、参加する店舗は一つの申請書で複数の決済事業者との契約が可能となります。また半年間の実証期間中は、その決済手数料も優遇されることになっております。またキャッシュレス決済の導入によって、レジ締めの作業や現金管理の負担といったものが軽減されますほか、顧客の購買データ等をマーケティングやそれぞれの経営管理に活用できるようになるなど、多くのメリットが指摘されているところであります。こうしたところから、県といたしましては、一社でも多くの店舗にこの事業に参加をしていただけるよう、商工会議所、商工会と連携をいたしまして、県内全域に計三十回、店舗向けの事業説明会を開催をすることといたしております。早速今月の二十一日には福岡市内で第一回目を開催させていただいたところでございます。さらにホームページや店舗向けチラシによる事業の周知に取り組んでいくことといたしております。こうした取り組みを通じまして、県内におけるキャッシュレス決済の普及に努めてまいります。  次に、さまざまなキャッシュレス決済の普及についてお尋ねがございました。キャッシュレス決済支払い手段は、QRコードのほかクレジットカードデビットカード、そして電子マネー、こういったものがございまして、多くの決済事業者が存在をし、決済手数料、消費者に対するポイント付与率など、それぞれのサービス内容は異なっております。多くの消費者に実際にキャッシュレス決済を行ってもらうためには、選択肢を広げ、さまざまな決済手段に対応できるよう店舗に複数の決済手段の導入を促していくことが重要となります。しかしながら、店舗側、特に中小企業におきましては、多種多様なキャッシュレス決済の中から、それぞれ自分の店舗に合った、適したものを選択することは必ずしも容易ではございません。このため商工会議所、商工会におきましては、経営指導員の方が、それぞれのキャッシュレス決済の特徴というものを各店舗に御説明をし、キャッシュレス決済の導入の支援を行っていくことといたしております。県といたしましても、経営指導員からの相談に対応するキャッシュレス決済に精通した専門家を商工会議所、商工会に派遣をいたしまして、それぞれの経営指導員の活動を支えていく考えでございます。これらを通じまして、県内中小企業に対しましてさまざまなキャッシュレス決済の導入というものを促してまいります。 5 ◯議長(栗原 渉君) 佐々木允君。(拍手) *佐々木(允)議員質問 6 ◯二十二番(佐々木 允君)登壇 改めまして、皆さん、おはようございます。民主県政クラブ県議団、田川市選出の佐々木允でございます。会派の御配慮をいただき、会派としては最初の一般質問を行います。二期目も県政のため、田川地域の振興のため全力で頑張ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
     それでは、まず一点目に、私の地元田川地域の振興についてであります。さきの所信表明において、知事は、福岡県をアジアとともに発展する一大拠点にしていくという強い決意が述べられました。一方で、弱い立場にある方々、困難な問題をお抱えの方々に寄り添っていく温かみのある行政を推進し、県民の皆様が生涯にわたって安心して暮らせる地域社会をつくると、これまで以上に人に焦点を当てて、その思いを語られたところであります。  福岡県全体を見ると、確かに九州の中心的役割を担うとともに、アジアに最も近い地理的優位性がありますが、福岡県を細かくひもとくと、県内の状況はこの数十年一貫して厳しい地域と発展する地域の二極化になっており、この状況は、小川知事が就任して以降、むしろ拡大の一途をたどっています。とりわけ田川地域県内平均との差を、知事就任の二〇一一年から直近の数字で見ていくと、人口は県内平均で〇・六%の増加であるのに対して、田川地域は八・九%もの減少、高齢化率も、県内平均の増加率は四・九%増であるのに対し、田川地域は七・四%の増、二〇一八年十月現在の高齢化率は、県内平均が二七・二%であるのに対して、田川地域は三六・六%と、県内平均を大きく上回る形で、田川地域人口減少と高齢化が進んでいることがわかります。また一人当たりの市町村所得も、県平均が二百七十二万四千円であるのに対して、田川地域は百九十七万一千円と、実に七十五万三千円もの差があり、低所得な方の多いのが特徴です。  我が会派は、二月定例会においても地域間格差問題について代表質問し、知事に県内の均衡ある発展、とりわけ厳しい地域に対する知事の取り組みの強化を強く訴えてまいりました。知事、アジアとともに一大拠点に本県がなろうというとき、その恩恵はある特定の一地域だけに集中するのではなく、厳しい地域にこそつながっていくべきではないでしょうか。また弱い立場、困難な問題を抱えている方々が多い地域にこそ、知事の言う温かみのある行政が率先して推進されるべきではないかと思います。このような思いのもと、三期目に当たって、今まで以上に地域間格差に本気で知事が向き合っていただきたい、そして、その中にあって、知事が田川地域をどのように認識し、どのような取り組みを進めていくのか、その思いを大いに披瀝していただきたいと思います。  まず知事は、さきの県知事選挙において田川地域に訪れ、多くの県民と意見交換をされたことだと思います。そこで田川地域についてどのような声をいただいたのか、また課題を感じたのか、率直にお答えください。また、それらの声を受けて、今年度当初予算にどのように反映されたのかについてもお示しください。  次に、先ほど述べたように、知事就任以降も、人口、高齢化率市町村民所得などにおいても、格差はむしろ拡大している状況にあり、県民意識調査でも、筑豊地域は福岡県で生まれてよかった、また生活してよかったと思う度合いを初め多くの指標で、他の三地域に比べ厳しい数字が続いています。知事は、この田川地域福岡都市圏を中心とした他の地域との格差拡大の現状をどのように認識しているのでしょうか、お答えください。また、そのような中、知事は田川地域の振興をこれまで以上にどのように取り組まれるおつもりなのか、その決意を田川地域の皆さんが未来に期待が持てるような内容で、ぜひお答えをいただきたいと思います。  三点目に、田川地域における自動車関連産業の誘致及び振興についてであります。御存じのとおり、本県の自動車生産台数は全国第二位になっており、全国有数の自動車生産県となりました。自動車関連産業に従事する労働者の賃金は、他の業種に比べて高く、これらの企業が地元田川地域に誘致されることによって、先ほど述べた一人当たりの市町村民所得を大きく高め、人口増加にも大きく寄与します。このような期待から、二〇一六年十月に行われた県議会決算委員会において、田川地域における自動車関連産業の誘致及び振興について、執行部にただしたところであります。そこで執行部は、今後県と市町村が一体となって企業誘致に取り組むことへの強い決意が述べられ、地元県議として安堵したところであります。  さて、それから三年近くが経過しようとしています。これまで田川地域への自動車関連産業についてどのような取り組みを行い、成果を上げてきたのかお答えをください。また今後より一層取り組みを強化していただきたいと思います。知事の前向きな答弁をお願いします。  四点目に、観光振興、とりわけ田川地域でのサイクルツーリズムの振興についてであります。本県は、ことし四月から三カ年の計画期間で自転車活用推進計画を策定しました。その中に自転車を活用した観光振興と地域の活性化を取り上げ、五つのモデルルートを選定するとともに、今年度予算にもサイクルスタンドの設置など、新規予算を計上しているところであります。しかし、そのモデルルートを見てみると、残念ながら田川地域は入っていません。田川地域は自然豊かで、サイクリストも多く足を運ぶ場所となっており、添田町では坂道や峠道を自転車で登坂する競技であるヒルクライムを行う英彦山サイクルタイムトライアル大会が、これまで二十八回開催をされるなど、サイクルツーリズムに適した地域だと言えます。  そこで田川地域サイクルツーリズムの振興を、知事としてどのように図っていくのかお答えをいただきたいと思います。  この項の最後に、田川地域水道広域化についてただしておきます。本年四月から田川市、川崎町、糸田町、福智町の一市三町で水道事業の広域化が実現をいたしました。構成市町村は、いずれも給水人口の減少と水道管の老朽化が進んでおり、今後単独での運営が厳しくなるのは必至だっただけに、広域化によって住民負担の軽減につながることが期待されます。今後、水道施設の統合や料金の統一など、さまざまな取り組みが必要となりますが、市町では十分に対応できない部分もあると、不安の声を地元からいただいているところです。  そこで県として今回実現した一市三町による水道広域化をどのように支援していくのか答弁を求めます。  次に、本県使用料及び手数料等の支払いの手段多様化について質問をいたします。先ほど片岡誠二県議からも御質問あったように、今年度、民間企業へのキャッシュレス化推進に関する新規予算が計上されています。諸外国に比べ、日本はキャッシュレス化が大きくおくれている国と言われていますが、キャッシュレス化の推進により、インバウンド観光や働き方改革などさまざまな効果があると言われていますし、本県でもキャッシュレス化の推進が、今回の予算で大きく進むことを期待しています。  さて、キャッシュレス決済の現場は民間だけではありません。本県も県税を初め使用料や手数料等において、県民などから多くのお金をいただいているところであります。まず隗より始めよの精神で、県自身がキャッシュレス化を初め支払い手段を多様化することこそ大切なのではないかと思います。  そこで一点目に、県税を初め使用料及び手数料等支払い手段を多様化することへの意義について、知事はどのように認識しているのかお聞きします。  二点目に、本県が行っている県税を初め使用料及び手数料等支払い手段多様化について、これまでどのような取り組みを行ってきたのかお示しをください。また、県民からの支払いが多額なもの、利便性が向上するもの、観光振興につながるもののうちキャッシュレス化など支払い手段の多様化が可能となるものはどのようなものが想定されるのかお示しください。  三点目に、今後、本県が行っている県税を初め使用料及び手数料等支払い手段多様化について、知事はどのように取り組まれるのか、また県内市町村においても、県と呼応してキャッシュレス化が推進されることが望ましいと考えますが、市町村への推進について、知事の認識と取り組みをお聞きします。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 7 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、田川地域でいろいろ伺った課題、それに対応する予算措置でございます。田川地域でお聞きをした声の中には、他の地域とも共通するものといたしまして、人口減少、それから雇用の創出に関するものが多くございました。また交流人口をふやすため観光振興を図っていきたい、田川飛翔塾や地域のみんなで取り組んでいる田川まるごと博物館を応援してほしい、そういったお声を耳にいたしました。  今年度の予算は少子、高齢化、人口減少という現下の大きな課題に立ち向かい、地方創生を推進し、誰もが住みなれたところで働く、暮らす、育てることができる、この三つができる地域社会をつくっていくこと、これに主眼を置いて編成をさせていただいているところであります。また先般運行が開始されましたことこと列車、これを契機といたしまして、沿線地域の魅力を発信し、外国人を含む観光客を呼び込むため、平成筑豊鉄道に対しWiFi環境の整備や多言語による情報発信に要する経費というものを支援することといたしております。あわせて田川地域広域連携プロジェクトといたしまして実施をしております筑豊の次代を担う人材を育成する田川飛翔塾、また田川の地域の魅力を発信をする田川まるごと博物館、これらを通じまして、引き続き人材の育成、あるいは交流人口の増加というものを図っていきたいと考えております。このような今回の予算編成でございますけれども、田川地域でお伺いした皆様方の声に応えていこうとするものであると、このように考えております。  次に、田川地域の現状認識と振興に取り組む決意でございます。田川地域は、御指摘のように高齢化、人口減少が、他の地域と比べて進んでおります。また生活保護率は県平均を大幅に上回っており、一人当たり市町村民所得も、先ほど議員が御指摘になりましたが、福岡市圏域と比べ三分の二の水準となっておりますなど厳しい状況にあると、このように認識をいたしております。  一方で、田川地域は伊田の立て坑やぐら、二本煙突など炭鉱関連施設、上野焼といった歴史的な資源、英彦山や香春岳の自然、私自身、毎年伺わせていただいておりますが、風治八幡宮の川渡り神幸祭など豊かな歴史、自然、文化、伝統、これを有する魅力ある地域であると、このように思っております。また盆地特有の寒暖の差を利用したおいしいお米、野菜が生産をされております。県下有数のトルコギキョウの産地でもございます。そして、それらの地元農林水産物の魅力を発信する直売所、道の駅も多数あるわけでございます。地元でも評価の高い田川飛翔塾の卒塾生は、平成二十四年の開塾以来二百九人と、今なっております。卒塾生の中には、田川飛翔塾の運営にみずからサポーターとして加わっていただくなど、次代を担う人材も育ちつつあると思います。こうしたポテンシャルに、昨年三月には九州オルレ筑豊香春コースが、またことしの三月には、先ほど述べました、ことこと列車という国内外から観光客を呼び込むことができる新たな観光資源というのがつけ加わったわけであります。これらも契機といたしまして、地域の皆さんと知恵を出し合って、力を合わせて、田川地域の浮揚と発展に一層力を入れていきたいと、このように思っております。  次に、自動車関連産業の誘致についてお尋ねがございました。田川地域に対する企業誘致につきましては、これまで田川地域の市町村と一緒になって企業訪問を行うなど積極的に取り組んでまいりました。また既に立地した企業に対しましても、自動車産業アドバイザーによる取引の拡大支援、これを行うとともに、県と市町村の職員が一緒になって出向いて、技術向上、人材育成、設備投資に関する支援策の活用について、いろんな御提案を行ってまいりました。こうした取り組みによりまして、平成二十八年度以降、新たに田川市に一社が立地し、現在田川地域には十四社の自動車関連企業が操業いたしているところであります。この自動車産業のさらなる集積に向けまして、現在田川市内で新たな工場の建設に着手した企業、また自社敷地内での工場の増設というものを計画している企業が出てきているということを申し添えたいと思います。  この田川地域でございますけれども、トヨタ九州、日産九州、日産車体九州のちょうど真ん中辺に位置をいたしておりまして、三つのカーメーカーへのアクセスが非常によく、理工系の人材も確保しやすい地域となってございます。また現在、国道二百一号の香春拡幅事業によります四車線化や国道三百二十二号香春大任バイパスの整備というものが進められているところでありまして、一層の利便性の向上というのが見込まれているところであります。今後さらに、田川地域の市町村と密接に連携をしながら、田川地域の立地環境について最大限PRをしていき、自動車関連産業のさらなる誘致に取り組んでまいります。  次に、サイクルツーリズムの振興についてお尋ねがございました。田川地域は自然が豊かであると同時に、香春、添田、糸田、大任の道の駅、源じいの森温泉といった温泉の施設、いいかねパレットを初めとする宿泊施設などサイクリストの立ち寄るスポットも充実しているところであります。また毎年約六百名が参加をされております英彦山サイクルタイムトライアル大会も開催されておりますことから、サイクルツーリズムを進めていく上で魅力ある地域であると、このように考えております。昨年五月でございますが、県を挙げてサイクルツーリズムを推進していくために、福岡県サイクルツーリズム推進協議会というものを設立をいたしました。田川地域からも田川市、香春町、大任町、田川広域観光協会、香春町観光協会がそれぞれ参加していただいているところであります。この協議会のもとで、現在県では田川地域における新たな広域モデルルートの開発に向けまして、関係市町村と協議を進めさせていただいているところであります。  次に、田川地域水道広域化に対する支援でございます。田川地域におきましては、関係者の大変な御熱意、そして御尽力によりまして、ことしの四月から田川広域水道企業団とその構成団体でございます一市三町の水道事業が統合されたところであります。今後田川地域におきましては、経営基盤の強化のために新たな浄水場の建設、施設の統廃合や老朽化対策などに取り組んでいかれることになっております。県といたしましては、このモデルケースであります田川地域取り組みというものが円滑に進んでいきますよう、国の交付金を活用した財政支援や私どもの適切な助言、これを行ってまいりまして、しっかりこの田川の水道の広域化、御支援を申し上げていきたいと、このように考えております。  次に、使用料、手数料などに係るキャッシュレス決済の導入についてお尋ねがございました。キャッシュレス決済は、近年一般的な支払い手段の一つとして急速に広まっております。県税や使用料、手数料に導入することによりまして、支払い手段が多様化され、利用される皆様の利便性が向上するのみならず、インバウンドの誘客というものを期待できるところであります。本県におきましては、クレジットカード決済を平成二十一年五月に自動車税に導入して以降、県営筑後広域公園の宿泊施設の宿泊料、九州国立博物館の観覧料などにもクレジットカード決済を導入したところであります。これらに加えまして、本年度からは新たにスマホを使ったラインペイによります決済というものを、自動車税に導入させていただいたところであります。このほかにも、他の自治体におきましてはスポーツ施設の利用料、各種申請、証明手数料などで、それぞれ導入例がございます。一方で、御承知のとおりキャッシュレス決済というのは、決済手数料など新たなコストが生じるものでございます。このため県といたしましてはコストと利便性、その両面を勘案して、どのような分野で、どのようなキャッシュレス決済手段が有効か、効果的か、これについて検討を進めていきたいと考えております。また市町村に対しましては、こうした県における検討状況、また他の自治体の先行事例について情報を広く提供してまいります。 9 ◯議長(栗原 渉君) 西尾耕治君。(拍手) *西尾議員質問 10 ◯二十六番(西尾 耕治君)登壇 皆様、おはようございます。公明党の西尾でございます。それでは、通告に従い一般質問をさせていただきます。  平成の時代では大規模災害が続きました。そして、その教訓を踏まえ、新しい時代であるこの令和では、政治の柱として防災、減災に全力で取り組まなければならないと思います。まずは、この令和元年より災害による犠牲者を一人も出さないとの強い決意に立ち、社会に防災、減災を根づかせていくことが大変重要だと認識いたします。  政府は、二〇一八年度から二〇二〇年度までの三年間で、集中してインフラ(社会資本)の防災、減災対策を進めていく三カ年緊急対策を作成しております。内容としては、昨年の西日本豪雨などで河川の氾濫や土砂災害が頻繁に発生したことから、堤防強化や河道掘削、土砂や流木の流入を防ぐ砂防ダムの整備などの予算を大幅に増額し、土砂崩れのおそれのあるのり面、盛り土の強化、ため池の改修、治山ダムの設置なども拡充されているとのことです。しかし、行政主導のハード対策、ソフト対策には限界があり、国民全体で共通理解のもと、住民主体の防災対策に転換していく必要があることから、国において避難勧告等に関するガイドラインが平成三十一年三月に改定され、住民は、みずからの命はみずからが守るとの意識を持ち、みずからの判断で避難行動をとり、行政はそれを全力で支援するとの方針が示されました。この方針に沿って、自治体や気象庁などから発表される防災情報を用いて、住民がとるべき行動を直観的に理解しやすくなるように、五段階の警戒レベルを明記して、防災情報が提供されることとなりました。  自治体から、避難勧告(警戒レベルフォー)や、避難準備・高齢者等避難開始(警戒レベルスリー)などが発令された際には、速やかに避難行動をとること、また一方で、多くの場合、防災気象情報は自治体が発令する避難勧告などよりも先に発表されるため、避難が必要とされる警戒レベルフォーや、高齢者などの避難が必要とされる警戒レベルスリーに相当する防災気象情報が発表された際には、自治体からの避難勧告などが発令されていなくても、危険度分布や河川の水位情報などを用いて、みずから避難の判断をすることが示されています。  平成三十年七月豪雨の河川の氾濫により、本県も重大な被害を受けました。平時より住民みずから災害のリスクや避難行動について把握するため、現在、想定最大規模降雨による洪水浸水想定区域図の策定が、既に完了していると聞いております。さらに災害時に重要な役割となる防災については、住民に最も身近な市町村による、きめ細かな対策が重要であると思われます。  初めに、二〇一三年に成立された国土強靱化基本法で定めることができるとされている地域計画は、本県では策定されていますが、県内の市町村ではどのような状況になっているのか、また策定されていない市町村には、今後県としても策定に向けての支援や後押しが必要と思われますが、どのように考えておられるのか伺います。  また大規模災害発生時は、自助、共助及び公助がうまくかみ合わないと、災害対策がうまく働かないことが強く認識され、同じ年の二〇一三年に地域コミュニティーにおける共助による防災活動の観点から、地区防災計画制度が創設されています。市町村が作成する地域防災計画と連動して、市町村の一定の地区の居住者及び事業者みずからが自発的な防災活動に関して、地域の特性に応じて自由な内容で計画を作成することが可能とされています。計画を作成する主体の単位には制限がないため、町会や自治会、マンション管理組合のほか企業やNPO法人、商店街、学校、医療、福祉施設なども主体となることができます。地区防災計画を作成する主体は、このように多岐にわたっていることから、その作成を進めるためには、市町村が地域へ積極的に働きかけるべきであると考えますが、県としては市町村をどのように支援していかれるのか伺います。  災害に際して、最後に物を言うのは人であると言われております。自治体や企業、学校、住民組織にも、防災、減災や危機管理に関する専門の知識と能力、スキルを備えた人材が配備されていなければ、幾ら計画や設備が整っていても無駄になるだけだと思われます。こうした中、注目すべきは防災の専門的知識を有する消防団の存在です。消防団は、地域の防災力の中核として、地域の安全、安心を守るとともに、日ごろから地域コミュニティーの維持及び活性化にも大きな役割を果たしております。特に大規模災害発生時は、消防団が地域の即応態勢上重要な役割を担っていますが、消防団員は年々減少傾向にあり、このような中、通常の団員とは別に、大規模災害時に限定して出動し、通常の団員だけでは対応できない役割を担う大規模災害団員の導入を、国が促していると聞いておりますが、本県では、どのくらい導入をされているのか、また今後市町村に対し導入を進めるべきとも思いますが、どのように考えておられるのか伺います。  また災害時に、保健医療対策に係る指揮調整機能を応援するため、自治体の医師や保健師らで構成する災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)が、各地域で運用を始めているとは聞きますが、本県での状況はどうなっているのか、また今後どのように運用されていくのか伺います。さらに、実践的な研修も必要だと思われますが、どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。  最後に、国指定、県指定文化財の防災について、教育長にお尋ねいたします。  まず地震、水害、火災などの災害に対する文化財の防火対策の現状はどうなっているのか、また、それに対して、県はどのように取り組まれているのかお伺いいたします。  次に、火災発生時の文化財建造物の安全対策についてお伺いいたします。四月十五日に発生したパリ・ノートルダム大聖堂の火災では、屋根が焼け落ちるなど甚大な被害を受け、迅速な消火活動が行われたことは記憶に新しい出来事かと思います。ふだんからの備えと訓練があればこそ、万が一の火災に対して適切に対応することができます。  そこで、県内の文化財建造物について、具体的に実施している防火対策についてお伺いいたします。  政治は現実である。そこには人々の生活がかかっている。足元を見据えぬ理想論は空想にすぎない。現実の地道な改善、向上が図られてこそ、人々の支持もあると言われます。また建設は死闘、破壊は一瞬という言葉もあります。県民生活の安心、安全のため、よりよい政策、システムの構築が常に大変に重要であると考えます。知事、教育長及び執行部におかれましては、現場の声をしっかりと受けとめ、県民の皆様の安心、安全のため、なお一層尽力していかれることを要望し、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございます。(拍手) 11 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 12 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、県内市町村における国土強靱化地域計画の策定でございます。国土強靱化基本法におきましては、都道府県または市町村は、国土強靱化に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、国土強靱化地域計画を定めることができると、このようにされております。その計画の策定のメリットといたしましては、地域強靱化に係る国の交付金や補助金の配分に当たりまして、一定程度配慮、いわゆる優先配分をされることになってございます。強靱化の取り組みを加速していく上でプラスになると、加速するものになるというふうに理解をしているところであります。  現在、県内市町村における計画の策定状況でございますけれども、策定済みの北九州市、そして策定中の福岡市、その二市となっているところであります。これまで県におきましては、副市町村長、防災担当課長を対象とする会議の場におきまして、この計画の意義、国の支援策というものを説明し、その早期の策定というものを促してまいりました。また市町村の担当者向けに、国の職員を講師として派遣をし、研修会も開催をいたしているところであります。今後も計画未策定の市町村に対しまして、県の担当者が出向いて計画策定の必要性や他の市町村の策定の事例、これらについて紹介をしながら計画策定が進むよう支援をしてまいります。  次に、地区防災計画の作成を進めるための県の支援についてでございます。地区防災計画は、地区内の居住者や事業者が共同して行います防災訓練、資機材の備蓄、災害発生時の相互支援など防災活動に関する計画でございまして、市町村の地域防災計画の中に位置づけられるものでございます。国の調査によりますと、昨年四月現在、全国では四十一市町村、二百四十八の地区が、この地区防災計画を策定しているということでございます。県内におきましては、一昨年の九州北部豪雨で甚大な被害を受けられました朝倉市の久喜宮、この地区におきまして、ことしの三月、この計画が策定されているところであります。  地区防災計画を作成することによりまして、人口構成、想定される災害など、それぞれの地域の特性を踏まえた地域防災力の向上というものが期待されます。そのため県といたしましては、既に計画を作成した地区における、その作成手順や成果物、計画の中身について防災担当課長会議や研修会の場を通じまして情報提供を行い、市町村がそれぞれの地域に働きかけて、地区防災計画の作成を進めていけるよう市町村に対する支援を行ってまいります。  次に、消防団における大規模災害団員の導入についてお尋ねがございました。国におきましては、全国的な消防団員のなり手不足の現状を踏まえまして、大規模災害時に限って出動し、避難誘導、安否確認などの活動を行う機能別団員制度でございます大規模災害団員、この導入を促しているところであります。大規模災害団員のなり手といたしましては、消防団員のOBの方、自主防災組織の構成員の方、事業所の従業員の方などが想定をされているところであります。県といたしましては、市町村の防災担当者会議等の場を通じまして、この制度の説明を行い、導入を促してまいりました。現在大牟田市、八女市、朝倉市、筑前町、東峰村の五市町村におきまして四百八十三名の方が、この大規模災害団員となっておられます。ちなみに全国では二千三百九十五名の大規模災害団員の方が団員となって活動をされているところでございます。昨年の豪雨災害におきましては、朝倉市、東峰村、八女市におきまして、それぞれ団員の方が住民への避難の呼びかけ、河川の警戒、土のう積みに従事をされているところであります。今後とも、市町村に対しまして、このような活動事例について情報提供を行いながら、積極的にこの制度の導入を働きかけてまいります。  次に、災害時健康危機管理支援チーム、いわゆるDHEATについてお尋ねがありました。国におきましては、災害に伴う重大な健康危機発生時におきまして、被災地方公共団体の保健医療行政の指揮調整機能を応援をするDHEAT構成員、その養成を行うため、平成二十八年度から研修というものを始めております。本県におきましては、医師や保健師等の職員を毎年度、この養成研修に参加をさせるとともに、県におきましても、この研修を受講した人を講師といたしまして、DHEATの活動内容等について、県の研修というものを実施し、DHEAT構成員の養成を図ってきているところであります。現在、国または県の研修を四十九名の方が受講されておりまして、一班五名程度で構成をされますチーム、九班編成できる体制を整えているところであります。今後国が集約、調整をする被災都道府県からの応援派遣の要請に応じまして、私ども福岡県のDHEATを派遣してまいりたいと、このように考えております。  また災害発生時の健康危機管理に必要な情報収集、分析など対応力の向上を図っていくため、昨年十二月に地震、大雨等の大規模自然災害の発生を想定した実践的な研修も行ったところであります。今後ともこのような研修を積み重ねていくことによりまして、構成員の実践力の向上を図ってまいります。 13 ◯議長(栗原 渉君) 城戸教育長。 *教育長答弁 14 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 文化財の防災対策についてでございます。文化財は国民共有の財産であり、一たび失われるともとに戻らない貴重な遺産であるため、確実に保存して後世に伝えていく必要がございます。文化財の防災対策は、基本的には想定される災害、文化財の種類、置かれた環境等を勘案しながら、所有者が行っております。これに加えまして、県や市町村の専門職員が随時現地で管理状況を確認するとともに、福岡県文化財保護指導委員による定期的な巡視を行い、防災対策の推進に努めているところでございます。  県内文化財建造物の防火対策についてでございます。文化財建造物は木やカヤ、ヒワダなどの伝統的材料を使用しているものが多いため、火災への取り組みが特に重要でございます。そのため火災への備えとして、早期発見を目的とした自動火災報知設備や文化財への延焼を防ぐ放水銃、人の少ない夜間でも操作ができる消火設備の設置、また建造物の特性に応じた防災計画の策定など、実情に応じた対策が進められているところであります。さらに一月二十六日の文化財防火デーを中心に県内各地で防火訓練が実施されております。今回のノートルダム大聖堂の火災を踏まえ、工事やイベント等の際の出火防止対策の徹底、消防用設備等の適切な維持管理、火災時の初動体制の再確認に万全を期すよう文化財所有者への指導を行ってまいります。 15 ◯議長(栗原 渉君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時といたします。           午 前 十一時 五十二分  休 憩           午 後 一 時  一 分  再 開 16 ◯副議長(原中 誠志君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。松尾嘉三君。(拍手) *松尾(嘉)議員質問 17 ◯四十一番(松尾 嘉三君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の松尾嘉三でございます。三期目も県勢発展のため尽力してまいります。  今回の私の質問でございますが、福岡県の交通安全対策について知事並びに関係所管にお尋ねいたします。令和元年を迎え、人々が令和ブームで沸くさなか、五月八日に滋賀県大津市で起きてしまった衝撃的な交通事故。保育園側によれば、車道側から離れた歩道の端を歩き、前方、中間、後方と保育士を配置し、安全に歩行していたにもかかわらず、交差点で信号待ちをしていた歩行者へ車が突っ込んでしまい、園児と保育士を含む十五名の死傷者を出し、将来のある二名の園児は帰らぬ結果となってしまいました。また、四月十九日に起きました東京都池袋の高齢ドライバーの暴走事故では、幼き子供と歩道を通行中の母子の二名が死亡、八名が重軽傷を起こす悲惨な事故となりました。これらの、運転技術が未熟なドライバーや高齢ドライバーによる事故は全国的にふえ続けており、交通弱者である歩行者が犠牲となる事故は、他県ごとではございません。  我が春日市におきましても、五月三日に七十四歳の女性高齢者が運転する乗用車が、逆光で車道側の赤信号が見えなかったと、青信号にて横断歩道を横断中の小学生二名と衝突し、傷害を負わせる事故が起こっております。また、その近郊の県道でも、昨年、小学生が公園から道路へ飛び出し、車にひかれて死亡する交通事故も起こっております。さらに、今月四日に福岡市早良区の交差点で起こった、同じく高齢ドライバーの運転する乗用車の暴走事故では、乗用していた二名が死亡、七名が重軽傷を負っております。現在の福岡県の交通事故状況は、平成三十年度で三万一千二百七十九件、うち高齢者の交通事故が六千四百七十一件。事故類型別では、車両相互による出会い頭事故が千七百九十八件で全体の約三〇%。車両と歩行者との事故が八百二十九件、うち歩行者が横断中であったものが四百五十件で五〇%以上を占めております。人的要因での事故では、今問題となっておりますブレーキとアクセルの踏み間違いによります交通事故が三百三十七件。二十四歳までの若年層が全体の約二〇・五%、高齢者が全体の約二九・一%となっており、何も高齢者だけの問題ではございません。高齢者の交通事故に関して言えば、事故原因で、人や対象物の発見おくれが最も多く五千四百十七件で、全体の約八三・七%にも上っております。次に、県内の死亡事故では、交通事故死亡者数百三十六名中、交差点内での死者数が六十二名で全死者の約四五・六%、歩行者が犠牲となるケースが六十八名と全死者数の五〇%にも及んでおります。また、その犠牲者も六十五歳以上の方が八十名と全死者数の五八・八%を占める結果となっております。  このような状況下、春日市民の皆様からの信号機の新設要望や、先輩議員からの熱い御指導のもと、再三再四、危険な交差点やスクールゾーンへの信号機の新設、横断歩道設置等を粘り強く陳情させていただいておりますが、執行部からは、県の逼迫した財政状況ではこれ以上の新設は難しいとの返答でございます。御要望いただいた方々は、今では諦め顔で、県は死亡事故などの大きな事故が起きなければ信号機をふやしてくれない、歩行者を守るための交通安全対策はしてくれないとの嘆きの声まで聞かれる始末でございます。  今議会での知事の所信表明にもございました、福岡県民の安全、安心なまちづくりとうたってあるのは、何を思われて言われているのか、私には理解できません。理想をただ声に出されるばかりではなく、その実効性をどのような形にて担保されていかれるおつもりなのかお尋ねしたいと思います。  平成三十年三月現在、県内の信号機設置台数は約一万三百基であります。信号機一基当たりの平均単価を調べますと、約四百万円でございました。また、それに付随する電気料金や設備消耗品費などの維持費、旧式信号機から新型LED信号機への改修費もかさんでおり、今期の予算配分では新規要望箇所への新設までは不可能な状況だと認識させていただいております。言いかえますならば、知事はこれ以上の新規の信号機の設置は、お考えではないと推測されるわけであります。それであれば、県内の事故多発交差点に対する交差点改良工事や車両進入防護柵、歩行者防護ポールなどの設置等、ハード面での対処だけでも早急に行うべきだと私は思っております。県内の特に危険な交差点を含めた交通安全対策について、知事の御所見をお伺いいたします。  続きまして、連日の未熟なドライバーの交通事故や高齢ドライバーの交通事故を受け、東京都では、今月十一日にアクセルとブレーキの踏み間違い事故防止装置ですが、この取りつけ費用の九〇%の補助を決定いたしました。また、石川県におきましては今月十五日に、アクセルを踏んだ際の急発進を防ぐ装置の購入費用の補助の検討を既に開始してあります。驚いたことに同県では、昨年、七十歳以上の県民を対象に安全機能を備えた安全運転サポート車の新車購入費の補助制度を全国に先駆けて設けてありましたが、高齢者への普及が進み、今では制度廃止してあり、対処の速さに目を奪われました。  そこでお尋ねいたします。事故防止装置を装着した車の普及拡大のため、助成制度を創設するお考えはないのか。すぐにできないとしても、安全運転サポート車の普及啓発に積極的に取り組むべきだと私は考えておりますが、知事の御所見をお尋ねいたします。  最後に、古くから町並みを形成しております地域におきましては、歩行者道もなく、全体の道幅も狭く、狭隘道路化している旧道が、今なおスクールゾーンとなっている場所も多いと思われます。各市町村の管理者においても、道路拡幅予算が乏しく、危険なスクールゾーンだと認識していても、やむを得ずその端々に、歩行者用グリーンレーンを引いて利用している状況下であります。平成二十四年に起きました、京都府亀岡市の登校中の小学生の列へ車が暴走して突入してしまった交通事故時、県は各市町村へ、通学路の緊急安全点検と銘打たれて、これらの危険なスクールゾーンの調査報告を求められ、その後、おおむねの市町村では安全対策済みとなっているようでございますが、実際にPTAの方々からお話を伺えば、カーブミラーが数基増設されただけ、歩道のカラーポールが何本か増設されただけとの状況説明を受け、ゾーン30のエリア拡大や歩道の拡幅等、ハード面での対策は不十分な状態でありました。  そこで、子供の命を守るためのスクールゾーンとはどういう制度なのか、そしてそのスクールゾーンでの交通安全確保を今後どのように充実させていかれるおつもりなのか、教育長の御所見をお尋ねいたします。 18 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 19 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、交差点を含めた交通安全対策でございます。県におきましては、交通事故が多発しております幹線道路の事故防止、そして通学路の交通安全対策、これについて計画的に進めてきているところであります。幹線道路につきましては、国、県、政令市の道路管理者と県警察が連携をいたしまして、死傷事故が多発しております箇所を事故危険箇所として抽出をいたしまして、平成二十八年度から五カ年計画で、その交差点の改良や注意喚起表示などの対策を進めてきているところであります。また、通学路につきましては、平成二十四年に京都府の亀岡市におきまして児童と保護者の列に車が突入し、児童三人が死亡した痛ましい事故がありました。これを受けまして、教育委員会、県警察などと連携をいたしまして、通学路の安全点検を行い、歩道整備、路肩のカラー舗装といった対策を実施してきたところでありまして、その後も継続的に通学路の安全点検を行い、同様の対策を行ってきているところであります。今後とも、交通事故を減少させるために、交差点における右折専用レーンの設置、通学路におけるガードレールの設置など、それぞれの現場の実態、状況に応じた交通安全対策を進めさせていただきます。  次に、事故防止装置を備えた車の普及についてでございます。現在、さまざまな機能や性能を有する事故防止装置というものが開発、販売をされておりまして、その性能をどう評価するかという難しい課題がございます。このため国におきましては、今月の十八日でございますが、開かれた関係閣僚会議におきまして、交通安全緊急対策の一環として、こうした事故防止装置の性能認定制度、そしてその普及方策というものを検討していくことを決定したところであります。県といたしましては、事故防止装置の助成制度につきましては、まずはこのような国の動き、これを注視して、その上で対応を検討させていただきます。  安全運転サポート車の普及促進でございますけれども、これまでも県警察と連携をいたしまして、その機能を体験していただく試乗会というものを実施してきたところであります。先月、包括連携協定を締結しております自動車メーカーの協力のもとで、多くの人が集まる商業施設におきまして、その試乗会を実施したところであります。県といたしましては、引き続きこうした取り組みを県内各地で実施をしていきたいと考えております。また、安全運転サポート車の機能を紹介したチラシを作成をいたしまして、交通事故をなくす福岡県県民運動本部の構成員でございます市町村、老人クラブ、地域婦人会等を通じまして、そのチラシを配布するとともに、県の広報紙やホームページでも、その紹介をしてまいります。 20 ◯副議長(原中 誠志君) 城戸教育長。 *教育長答弁 21 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 スクールゾーンにおける交通安全確保についてでございます。スクールゾーンとは、通学路の安全対策の一つとして、幼稚園、小学校を中心に、おおむね半径五百メートルの範囲内において、警察や道路管理者の協力を得て、歩道の設置、カラー舗装、さらには一方通行や速度規制等の交通規制を講じることで幼児児童の安全を図るものでございます。これまで各学校においては、地域や保護者と連携をいたしまして、スクールゾーンを含む通学路の安全点検を行い、点検結果を踏まえまして、危険箇所への措置を警察や道路管理者等へ働きかけるなどの取り組みを継続して行っているところでございます。  最近、県内外で子供を巻き込む痛ましい事故が多発しております。県教育委員会といたしましては、今後より一層、各学校が教育委員会等と連携して、警察や道路管理者へのスクールゾーンにおける安全確保の取り組みを積極的に働きかけるよう指導してまいります。 22 ◯副議長(原中 誠志君) 松尾嘉三君。 23 ◯四十一番(松尾 嘉三君)登壇 さきにも述べましたとおり、滋賀県大津市の痛ましい交通事故や福岡市早良区や春日市における歩行者が犠牲となる交通事故を防ぐためにも、交通安全対策は喫緊の課題だと思われます。県内では、苅田町やうきは市で対策を行ってあるということでございますが、残り五十八市町村へ安全運転サポート車の普及啓発を早急にしていかなければならないと、私は思っておるわけでございます。常に知事は現場主義と言われるが、甚だ疑問でございます。県民に寄り添う気持ちが、私は足りないのではないか、そのように思わざるを得ません。今後、しっかりと各市町村からの助成申請、これが県に上がってくるわけでございますが、この申請を積極的に受けとめていただきまして、福岡県の交通安全対策をより一層推進されますことを強く要望し、一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 24 ◯副議長(原中 誠志君) 中嶋玲子君。(拍手) *中嶋議員質問 25 ◯十一番(中嶋 玲子君)登壇 民主県政クラブの中嶋玲子でございます。朝倉市郡選挙区の一回生でございます。議員各位の皆様、そして小川知事を初めとします行政当局の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、通告に従い、九州北部豪雨被災者に対する生活再建支援について質問をいたします。  代表質問で知事に対し、仮設、みなし仮設での期限延長を求める質問がありましたが、知事の答弁は被災者の気持ちに寄り添うものにはほど遠いものでした。大変残念に思います。この災害で私自身も被災をしました。被災したからこそ伝えたい思いがあります。  まずは、だんだん忘れられ始めた二年前の災害の状況を述べたいと思います。平成二十九年七月五日、線状降水帯による豪雨は、一日の降水量が観測史上初の五百十六ミリもの雨を局地的に降らせました。福岡ドーム七杯分とも言われる大量の流木や、一千万立米の土砂流出により、風光明媚なふるさとの山林は、無残にも至るところで山肌をむき出しにしてしまいました。濁流は急勾配の山の斜面をえぐり取り、谷合いの集落は一瞬にして巨石と土砂が堆積した石河原と化してしまいました。その濁流の勢いは加速して、町なかを流れる二級河川、小川、側溝までをもあふれさせ、中心部の住宅街をのみ込みながら、恐ろしい勢いで筑後川に流し込みました。山林、田畑、樹園地、河川、家屋、三十三人の命など何もかもを奪い、そこに住む人たちの暮らしを崩壊させ、一夜にして見るも無残な爪跡を残し去りました。突然の天変地異、構造物や農業被害もさることながら、住民の生活、暮らしの壊滅的被害を目の当たりにして、声も涙も出ないほど、ただただ驚愕するばかりでございました。  朝倉市では、家屋の流失、全壊二百六十戸、大規模半壊百十九戸、半壊六百六十三戸、一部損壊四百二十七戸で、千四百六十九戸にも罹災証明が出されました。中でも旧杷木町が最も被災率が高く、市全体で二百六十戸の住家が全壊、流失したうちの二百戸は旧杷木町でございます。現在、二年目の出水期を目前にして河道の設計は終わったものの、まだ安全な川は形さえ見えません。ほかの地域の河川上流部も同じ状況です。余りにも被害箇所が多かったため、復旧も復興もなかなか進みません。私の住む集落は壊滅状態でした。三年目を迎える今も、二十二戸中二戸しか住んでいませんし、近くの四つの集落は長期避難で、全戸地区外避難が続いています。家中に土砂が床上七十センチまで流れ込んだため、半壊の認定を受けた私の自宅は、幸いにも何とか居住できる程度まで家が残っただけありがたいことでございました。たくさんの地域の人々は全てをなくし、着のみ着のままで避難生活を強いられ、いまだに帰れない状態です。別の市町村に転居したり、生活再建できた人もいますが、まだ仮設、みなし仮設にお住まいの方がほとんどです。安全な暮らしが、いつになったらできるのでしょう。  さて、知事は去る六月二日、被災者の会からの要請で現地を視察されました。視察箇所については朝倉市役所と県担当部署とで打ち合わせをされ、黒川、桂川比良松橋付近、杷木志波道目木、久喜宮、寒水など被災者の会が見てほしい箇所として要望していた現場は全て行程に入っていませんでした。知事は、完成間近の災害公営住宅や、新たな場所で施設園芸に取り組み始めている農業者などの進捗状況を見られました。復旧工事や復興が少しずつ進んでいることは、まことにありがたいことです。  しかし一方では、まだまだ復旧が何年先になるかわからない災害現場はたくさんあります。今の状態で、帰りたくても帰れない、自宅のあった場所の復旧工事が終わり、安全性が確保できたら帰って家を建てたい方、現状では自立できないからと期限の延長を求めている方など、一人一人事情が違います。なぜ被災者が延長をお願いしたいのか、どんな状況にあるから帰れないと主張するのか、あの視察で知事はおわかりになられたのでしょうか。復旧の進んでいる面と進んでいない面の両方を見ていただかなければ判断できないと思います。  また、今回の視察では仮設住民との意見交換が実質二十分という非常に少ない中でしたが、知事、視察でお会いになった松末小河内の八十歳のひとり暮らしの女性が、国民年金で暮らし、仮設にいても毎月二万円近くの赤字で暮らしている人が多いこと、また九十九歳の実母を施設に入れて、その経費も払いながらの苦しい生活の実情を話されたのを聞かれて、どう思われましたか。私の目には、知事が、せめてそんな高齢者の思いを何とかしてさしあげられないかと感じられたと思いました。それがお一人お一人に寄り添うという知事の考え方だと思いますが、いかがでしょう。  そこで一点目の質問です。なぜ視察の行程から被災者の要望箇所を外したのか、また視察での知事の思いと感想をお聞かせください。
     次に、朝倉市は視察の際、五月二十二日現在の生活再建状況が、再建済みが七百五十七世帯、再建予定二百二十八世帯、再建未定八十四世帯で、再建未定率は七・九%と説明しました。しかも、本年二月からの三カ月間で再建未定世帯は七十八件も減ったとしていますが、再建率にこだわる市の数字には疑問が残ります。再建未定世帯とされる八十四世帯のうち、六割がみなし仮設、四割が仮設に住む人たちです。仮設やみなしに入居されている方たちの平均年齢が七十一歳。比較的若い世帯は家を新築した人も多いようです。しかし、毎月わずか五万数千円の国民年金で生活している高齢者の方にとっては、災害公営住宅に行っても家賃は高い、被災前は米や野菜を自給し家賃の要らない持ち家で暮らすことができていたものの、被災したことで生活困難になった高齢女性のひとり暮らしがいかに多いかをきちんと検証した上で判断されるべきだと考えます。  市も県も、発災直後に被災状況を見た時点で、二年で仮設を出て自力で生活再建できるまでに復旧することは難しいと感じられていたはずだと思います。当初から五年、十年はかかるだろうと言われていました。ぎりぎりになって再建の見通しが立たない人を追い詰めるようなことにならないよう、なぜもっと早くから計画的に対応できなかったのでしょう。市や県の責任は重いと思います。  中山間地域であるがゆえに、高齢者やひとり暮らしが多いのが特徴です。それでも安心して暮らし続けられる地域づくりに、みんなで頑張ってきました。それなのに、不本意にも被災をしたのです。できれば住みなれた地域や家で暮らしたいのです。  知事は、先日所信表明で、生活者の視点を重視しながら、弱い立場にある方々に寄り添う温かみのある行政を心がけ、施策を推進してきたと述べられました。三期目のスタートに当たり、ぜひとも被災者に寄り添った判断をしていただきたいと思います。しかし、今議会での代表質問に答えられたことは、仮設住宅の入居期限の延長については、内閣府に問い合わせたり確認をしたところ、災害救助法による延長は困難であると伝えられ、私自身では国に要望したことはないということでありました。大変心外であり、情けなく思います。災害は、いつ、どこで発生するかわかりません。あすは我が身です。  そこで二点目の質問です。代表質問で知事は、今後の対応については総合的に判断してまいるが、今までに再建された方との公平性も考慮しなければならないと答弁されました。被災の程度や被災者の年代、住宅共済保険の有無、所得の差による経済的事情など、被災者の事情は一人一人違います。幸い復興できた人たちも、同じ地域で長年暮らしたほとんどの人が一緒に被災し、ふるさとをなくしたのです。再建できないお年寄りに、頑張ってと応援こそすれ、不公平だなどと思わないという人が多いのですよ。多くの人が、災害が原因で生活困難な状態に置かれたことは、はっきりしているじゃありませんか。県民としての生活を守るのが社会保障の原点であり、県の重要な役割でしょう。バランスや公平性という言葉で切り捨てることは不適切だと思います。知事、国民年金で高齢者のひとり暮らしの多い中山間地域にあって、経済的に厳しい災害弱者とも言える方々の思いを訴えて、ぎりぎりまでの国との直接交渉を求めます。そして知事のお考えを伺います。  以上、るる述べてきましたが、知事は被災者の事情を考慮した上でも、あくまでも国が入居期限を延長しないからと、国の主張にこだわられるのであれば、県独自での延長を判断していただくべきと考えます。  県は、災害救助法施行令第三条二項に、住家が全壊、全焼または流失し、居住する住家がない者であって、みずからの資力では住家を得ることができない者に対しと記されていることに基づき、建設型応急住宅を設置されました。同法にはまた、最長二年三カ月の供与期間終了後の有効利用として、応急建設住宅は内閣総理大臣の定める処分制限期間経過後は、有償譲渡等を含め都道府県の定めるところにより自由に処分できるが、その費用は都道府県が負担することとも記されています。その例として、補強工事を実施の上、県の単独住宅として活用した和歌山県があります。同県は平成二十三年台風十二号で被災した際、特定非常災害に指定されていなかったものの、応急住宅の二年以内の期限に住宅敷地の復旧工事が完了しないため、復旧後の敷地に住宅を再建できるまでの間、応急建設住宅に引き続き二年間入居させました。また、長崎県も補強工事を実施の上、市町村の単独住居として無償譲渡し、市の行政財産として市が管理、活用した例もあります。熊本県阿蘇市も独自対応をしています。国交省見解では、都道府県独自の費用負担になるが、国が交付税措置はするとも聞いています。  そこで三点目の質問です。知事、不幸にも突然災害に遭遇し、厳しい生活の中で自立できない被災者や高齢者のために、県独自の政策として、ぜひとも仮設住宅を建築基準法に合うよう補強工事をした上で、延長を決断していただきたいと考えます。未曽有の災害が福岡県を襲ったのです。将来に禍根を残さないよう、結果を見守り、被災地の復興を支援してくださっている多くの県民の期待にも応えていただきたいと強く思いますが、知事の前向きな答弁を期待して質問を終わります。  どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) 26 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 27 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず、今回の被災地の視察でございます。今回の視察は、私自身、仮設住宅に入居されておられる方々の声を直接お伺いをする、それとあわせて災害公営住宅の建設、河川の改良工事、農業ハウスの再建など、そういった状況について視察をさせていただくため実施したものでございます。この被災箇所でございますけれども、限られた時間の中で行かせていただいたと、そういうことから行程を調整させていただきました結果、被災者の方々が要望されておられる箇所を回ることができませんでした。しかしながら、御要望のあった黒川を初め被災された地域の状況につきましては、これまでも私自身、できる限り現場に参りまして、確認させていただいてきたところでございます。今回の視察におきましては、仮設住宅に入居されている方々から、復興工事が終わらないために住宅再建が進まない、そういった切実なお話を伺ったわけでございます。工事の完了までには期間を要する被災箇所も多くございます。そういうことから、今進めております復旧、復興、その工事を加速させ、一日も早い被災地の皆様にもとの生活に戻っていただきたいと、このように考えております。今回の視察でもって、その気持ち、決意を新たにさせていただいたところであります。  その上でございますけれども、仮設住宅の入居期限の延長についてでございますけれども、仮設住宅の供与期間を超える延長を行うためには、特定非常災害といたしまして、国が政令で指定する必要がございます。このため内閣府に問い合わせをさせていただいているわけでございますけれども、九州北部豪雨につきましては、特定非常災害に指定されておりません。そのことから、災害救助法による仮設住宅の供与期間の延長はできないと、その説明を受けているところであります。また、特定非常災害の指定を受けていない場合であっても、災害救助法施行令に定めのあります内閣総理大臣への協議が私のほうからできるかどうか、これについても確認をさせていただきました。その結果、協議をいたしましても建築基準法による仮設住宅の存続期間の特例措置を定めた特定非常災害特別措置法に基づく特定非常災害の指定を受けなければ仮設住宅が建築基準法違反の建築物となるため、同意をすることができないと、その旨の回答も接しているところであります。こうしたところから、災害救助法による延長というものは難しい、困難であるというふうに認識をしているところであります。  県におきましては、被災者の皆さんが一日も早く、その住宅再建が進みますよう、朝倉市と協力しながら、それぞれの方に寄り添いながら、被災者生活再建支援金に加えまして、再建時の借入金の利子補給、入居に際しての初期費用、また引っ越し費用についての助成、それから義援金の追加配分など支援策を講じて、これを進めさせていただきました。  五月二十二日現在、再建方針は決まっているんだけれども、具体的な転居先を今探していると、そういう方々を含めまして、再建のめどが立っていない方が八十四世帯いらっしゃいます。これらの支援策の活用によりまして、これまで最大一千六十九世帯ございました対象世帯のうち、九百八十五の世帯、約九二%の世帯の方々が住宅再建のほうに進んでおられる、そういう状況にございます。いまだ再建のめどが立っていらっしゃらない方々に対しましては、これまでもそうですけれども、被災者お一人お一人、またそれぞれの状況に応じた住宅の再建ができるよう、朝倉市と一緒になって、今の支援策を最大限活用していただきながら、再建の道筋がつくよう、今一生懸命やっているところでございます。一方で、行政といたしましては、今まで再建をされた方々がいらっしゃいます。そういう方々との公平性というものも行政としては考慮しなきゃいかん、そのことを申し上げておりますが、そういったことも踏まえまして、またそれぞれの御事情、それも踏まえまして、朝倉市と協議しながら今後の対応について総合的に判断をさせていただきたい、このように思っております。 28 ◯副議長(原中 誠志君) 中嶋玲子君。 29 ◯十一番(中嶋 玲子君)登壇 御答弁をいただきましたが、ただいまの知事の答弁には、全く納得できません。本議会で民主県政クラブ、緑友会、二つの会派の代表質問において厳しく追及されたにもかかわらず、延長するとの答弁を出していただけませんでした。今回の答弁も全く同じであります。本当に残念でございます。  ところで、三日前の六月二十一日金曜日の新聞によりますと、朝倉市が被災者の会との協議の場で、これまで九二%の方が再建済み、再建予定としていたが、集計をやり直すことを表明しました。私は半壊以上の千六十九世帯を対象とした市の集計結果に以前から疑問を持っていたため、県の担当課にも、朝倉市と一緒になってとか、朝倉市と協力して最後のお一人まで救っていくと言われるが、朝倉市のデータをうのみにしていいのか、本当に九二%ではないはず、調べ直すように市に指導できないかと再三申し上げてきたにもかかわらず、朝倉市がちゃんとやっていることですからと態度を崩されませんでした。今回の本再建と仮再建が同じく再建済み、再建予定と集計されていた、当初からもまた在宅避難世帯も多数おられ、その方々も再建率の集計にすることで、再建がほとんど進んでいるように周囲にアピールする意図があったのではないかとまで思います。今回の仮再建と未再建と言われる八十四世帯、この大災害で痛手を受けている朝倉市に対して、知事、どうぞ具体的に復興の課題解決に積極的に、具体的に支援をしていただきたいと思います。どういう対応をとっていかれるのでしょう。  私は、知事のこのかたくなな意見を再考していただきたくて、仮設の方々の声を拾ってみました。二年たてば家に帰れるように工事が進むと思っていた、しかしこの先どうやって生活していくか不安ばかり。また、あと半年で家が完成するのに、それまでも待ってもらえないため、足の悪い高齢の夫を介護しながら二度も引っ越さなければならない。急いで半壊の家を改修して自宅へ帰る以外ないけれども、義援金も多くないのに四百万円ほど改修にかかりそう。河川工事が完了すれば自分の土地に家が建てられるが、いつ工事が完了するか、めども立ってない。一年間は家賃を補助してもらえても、二年目から自分で払うためには、いただいた支援金や義援金を切り崩していかなければ蓄えはない。家の再建はできない上に、数年したら生活できなくなる。また行政は、どうしますか、もう仮設には住めませんよと言われるけれども、どうしていいかわからない。私も災害のときに一緒に流れて死んでおいたほうがよかったと、八十代後半のおばあちゃんが言われました。  知事、被災者にこんな言葉を二度と言わせないためにも、将来に禍根を残さないような対応をとっていただきたいと思います。被災した高齢者が人生の終盤でつらい思いや生活の不安を訴えておられます。何で私たちが災害に遭わなければならなかったのか、災害にさえ遭わなければ暮らしていけたのに。それでも知事、打つ手はないのでしょうか。知事の、県民に寄り添う温かみのある態度をとっていただくよう要望して、私の質問を終わりにしたいと思います。(拍手) 30 ◯副議長(原中 誠志君) 吉田宣弘君。(拍手) *吉田(宣)議員質問 31 ◯六番(吉田 宣弘君)登壇 公明党の吉田宣弘です。通告に従い農福連携について質問いたします。  農福連携における政府の方針については、平成二十八年六月二日に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランにおいて、障がい者の身体面、精神面にもプラス効果がある農福連携の推進がうたわれています。また、平成二十九年六月九日に決定された未来投資戦略ソサエティー五・〇の実現に向けた改革において、農福連携による障がい者の就労支援を推進するとされております。さらに、平成二十九年三月二十九日に働き方改革実現会議にて決定された項目五の十二、障がい者等の希望や能力を生かした就労支援の推進では、農業と福祉の連携強化、農業に取り組む障がい者就労施設に対する六次産業化支援や耕作放棄地の積極的活用など、農福連携による障がい者の就労支援について全都道府県での実施を目指すとされ、各都道府県で農福連携による障がい者の就労支援を推進、二〇一八年度まで全都道府県で実施とあり、二〇一七年から本年度まで推進することとなっております。そして、農林水産省が平成三十一年四月に公表した農福連携の効果と課題に関する調査結果では、農福連携において農家の七六%が、受け入れた障がい者について人材として貴重な戦力と評価をしており、福祉事業者側も七四%が過去五年間の賃金、工賃がふえてきている。また、障がい者に与える影響として、七九%が体力がつき長い時間働けるようになった、六二%が表情が明るくなったと回答。受け入れた農家と障がい者の双方に成果が出ていると報告をされております。  このように政府が推進し、農家、障がい者双方に成果が生まれている農福連携については、今後も推し進めていくべき課題であると考える次第でございますが、そこでまず、これまで福岡県では農福連携についてどのように取り組み、進めてきたかについて教えていただきたいと思います。  次に、今申し上げましたとおり、農福連携は受け入れる農家と障がい者の双方に成果が見られること、同時に、同調査によると、福祉事業者の農業形態は、近隣農家からの受託が一九%となっており、また作業委託を始めるきっかけに関する質問では、行政からの紹介と回答した農家が最も多く、農作業の受委託においては行政が農業サイドと福祉サイドのマッチングに寄与しているとされております。農家と福祉事業所のマッチングが行政的課題であることを浮かび上がらせています。この点、農水省は、農福連携を所管する都市農村交流課からのコメントとして、得意分野をお互いに生かせるよう支援したいと展望しています。  そこで、この課題とされるマッチングについて、福岡県として何か取り組みがなされているかについてお聞きしておきたいと思います。  さらに、同調査によると、福祉事業者の農業形態は、みずから取り組むが八一%を占めています。県内のある福祉事業所は、このみずから取り組む事業所です。特徴的なことは、社会福祉法人が農業協同組合の組合員となっていること。この結果、農業に参入する福祉法人にとって最大の課題である安定した販路が確保できています。また、農業用ハウスやフラワーパッケージセンターを所有し、ミディトマトやガーベラを生産、出荷しています。青果として出荷するまでには至らなかったけれども、品質に問題がないトマトを利用して、製造業者と連携のもと、トマトソースやトマトジャムを販売するなど六次化も展開しており、先進的な取り組みを実現しています。利用者は同センターで仕事に対する知識や技術を学び、最終的には一般就労への移行を目指していますが、これまで二人が一般企業に就職をしています。  しかし、多くの農福連携において、現実的にはこのような優良事例ばかりではありません。障がい者を受け入れている農家や福祉事業所の職員からは、夏の暑いときの休憩所がない、トイレの確保が難しい、障がいのある方に寄り添った作業環境の整備が必要などの意見を多く聞きます。障がい者の雇用には、障がい者の特質に応じた安全衛生面での配慮が不可欠であり、施設整備の課題も存在しているところです。  そこで、農福連携を推進する上で必要な施設整備について、どのように対応していくのかについてお聞かせいただければと思います。  最後に、これまでも障がい者の自立支援として就労A型、B型等、制度の活用がなされてきたことと思われます。ただし、就労の中身については地域特性によるところが大きいと推察されます。例えば、都市であれば商工業等農業以外に関連する形態が多くなると思われます。農福連携を実施する機会は地方に比較すると少ないかもしれません。逆に、都会から離れた地方になれば、基幹産業である農業への形態が多くならざるを得ないと思われます。地方における自立支援を推進すれば必然的に農福連携にたどり着くことになると思われます。  そこで、さきの働き方改革実現会議の決定によると、今後も農福連携のさらなる推進が求められており、福岡県においても農福連携のさらなる推進に力を尽くしていただきたいと求めたいと思いますが、小川知事の受けとめをお聞かせいただければと思います。(拍手) 32 ◯副議長(原中 誠志君) 小川知事。 *知事答弁 33 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、これまでの農福連携の取り組みでございます。農福連携を進めていくためには、農業者の障がいのある方に対する理解、これはもちろんのことでございますけれども、障がいのある方についても、農作業への習熟、また障がい者施設につきましては、農業知識の向上というものがそれぞれ求められる、必要になると思っております。そのため県におきましては、平成二十九年度から農業者に対しまして、障がいのある方の受け入れに必要な知識を身につけていただくため、障がいの状況に適した作業の選び方、障がいのある方との接し方などに関する研修会というものを二年間で二十八回開催させていただきました。参加者は四百四十八名に上っております。また。障がいのある方々に対しましては、農作業になれていただくため、県農業大学校において野菜、果実、花の管理、収穫などの体験を実施いたしておりまして、二年間で延べ四十九の障がい者施設から百三十人の方が参加をされています。また、農福連携に意欲のある障がい者施設の農業技術、生産、販売力の向上を図るため、農業や経営にかかわる専門家の派遣というものを二年間で二十四回実施してきているところであります。具体的には、農作業や農業機械の運転技術、JAS法等の関連の法規制、加工食品の開発、マーケティングなどに関する研修会というものを実施してきておりまして、施設職員と障がいのある方両方の参加者数は延べ三百八十一人となってございます。このほか施設で生産された農作物や加工品の販売促進を目的といたしまして、多くの方が集まる博多駅、小倉駅などで農福連携マルシェというものを開催してきております。二年間で延べ八十二施設、団体が出店をされ、売上額は約三百三十六万円に上っております。  農福連携のマッチングについてお尋ねがございました。農福連携の取り組みを進めております中、障がい者施設の方々からは、近くの農家にどのような作業があるか知りたい、年間を通して計画的に働きたい、また農業者の方々のほうからは、作業をお願いしたいがどこに頼んだらいいかよくわからない、そういった御意見を双方からいただいております。このため県におきましては、昨年度から県内十カ所におきまして、JA、農業者、障がい者施設、市町村、普及指導センターから成ります地域検討会というものを組織いたしまして、年間を通して作業ができる品目の選定、障がいのある方々の特性に配慮した作業の内容、作業時間など条件を整えまして、農業者と障がい者施設とのマッチングを行ってきております。その結果、昨年度は農家やJAの集荷場など十八カ所におきまして、延べ約一千人の方がタマネギの定植、コマツナやトマトの袋詰め、またイチゴの出荷箱の組み立てといった作業に従事していただきました。農業者からは、農繁期に作業をしてもらって助かった、今後もお願いをしたい。障がいのある方々のほうからは、楽しく作業ができた、他の作業もやってみたい、そういったお声が寄せられているところでございまして、今後ともこうしたマッチングを進めていきまして、継続的な就労につなげてまいります。  次に、農福連携の推進に必要な施設の整備でございます。障がいのある方に快適かつ安全に作業を行っていただくためには、トイレ、手洗いといったものの設置、手すり、スロープといった安全設備が整った作業場や休憩所の整備というものが必要になります。このため県におきましては、今年度から新たに、建築士や作業療法士を現地に派遣をいたしまして、障がいのある方々が働きやすい施設への改善の方法について助言を行うとともに、そうした施設の設置や改修に必要な経費の助成を行うことといたしております。  農福連携のさらなる推進についてでございます。農福連携は、障がいのある方の新しい職域を開拓をし、地域社会への参加を促進していく上で大変有意義な取り組みであるというふうに考えております。一方、農業従事者の減少や高齢化が進展しております農業、そっちのサイドにとりましても、新たな働き手の確保が期待でき、地域農業の維持発展に有効であると、このように考えております。このため県といたしましては、今後とも受け入れ側の農業者の理解の促進、障がいのある方々の農業技術習得、農業者と障がい者施設とのマッチング、障がいのある方の受け入れにかかわる施設の整備に対する支援、農産物や加工品の販売促進などを通じまして、県内の農福連携というものをさらに進めてまいります。 34 ◯副議長(原中 誠志君) 井上正文君。(拍手) *井上(正)議員質問 35 ◯十六番(井上 正文君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の井上正文でございます。この春の統一地方選挙におきまして、地元宗像市民の皆様の負託を仰ぎ、県議会に送り出していただきました。その重責を果たすことができますよう全力で邁進する所存でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、通告に従いまして質問いたします。           〔原中副議長退席 栗原議長着席〕  平成二十九年十月、私の地元であります宗像市で全国豊かな海づくり大会福岡大会が開催されました。この大会から一年半が経過しましたが、このすばらしい大会の基本理念であります水産資源の保護、管理や、つくり育てる漁業を推進し、豊かな海づくりに欠かせない海や川などの環境保全に取り組むとともに、魚食の普及や食育の推進を図るという理念を、今後どのように次世代の漁業者につなげていくのか、このことが最も大切であると考えております。  近年、水揚げの減少に加え魚価の低迷などにより、職業としての漁業の魅力が失われつつあります。漁業者も高齢化し、海づくり大会の目的をつなげていくべき次世代の漁業後継者が少なくなっているのが実情であります。水産庁の漁業白書を見ると、漁業経営が厳しい中、漁家の子弟が必ずしも漁業に就業するとは限らなくなっており、特に小規模の漁業経営体を中心として、後継者不足が深刻化していると分析されております。漁業者の心情としては、子供が漁業を継ぎたくないというより、むしろ親が継がせたくないというのが現状であるといいます。その原因は、いわゆるサラリーマンに比べて収入が安定していないということが最も多く聞かれました。つまり、それは裏を返せば、漁業経営が安定すれば後継者もふえてくるのではないかと考えます。  そこで知事に伺います。筑前海の漁業経営の安定のために、県はどのように取り組んでいくのか、漁業者が実践できる具体的な事例を織りまぜ、また成果を示す数値もあわせてお答えください。  次に、私の地元であります宗像地区の漁業者は、アカモクやワカメ、マアジ、トラフグ、アナゴなど、地域を代表する水産物を、連日一生懸命漁獲しておられます。これら自慢の水産物を、本日も傍聴にお越しいただいております宗像漁協の中村組合長を初め漁協や地域が一体となって、県の協力を得ながら、宗像漁協漁師まつりや鐘崎天然とらふくフェア、あなごちゃん祭りなどのイベントを通じ、地元で水揚げされた旬の地魚をPRし、魚食の普及に取り組んでいるところであります。また地域おこし協力隊の宗像のあまちゃんのお二人が、毎月第二日曜日に鐘崎あまちゃん食堂を開き、アナゴのかき揚げ丼やサザエカレーなど、地元の旬の魚を使った料理を販売し、さらに今月八日、九日の土日には、福岡市東区マリンワールド海の中道の巨大な水槽で、海底に置かれたサザエをとる素潜り漁を披露するなど、鐘崎の漁村文化の継承と魚食の普及のために頑張っております。  私は、漁村地域を発展させていくためには、地元でとれる水産物、また漁業という営みをきっかけとした、このような取り組みを通して、将来に夢が持てる地域づくりを行うことが重要であると考えております。将来に夢が持てる地域づくりのためには、次世代を担う子供たちへの働きかけが最も重要であり、さきにも述べましたが、後継者となるべき漁家の子弟はもとより、地域に住む地元の子供たちへの漁村地域に対する理解を深める取り組みも必要と考えます。そのためにも水産物の食育というのは非常に重要であると考えます。平成三十年の二月議会で、当時我が会派自民党県議団に所属をしておりました伊豆美沙子元県議、現宗像市長が、一般質問において学校現場での県産水産物の利用拡大についてを知事に問うておりますが、私も伊豆元県議と同じ考えであります。自分たちが当たり前に食べている魚の陰には、漁業者が命がけで海に出てとってきたということ、少しでもおいしく食べてもらうために、とれた魚を直ちに氷水につけ鮮度の保持を行っているということ、このような漁業者の努力を子供たちに知ってもらうことで、自分たちの身近な地域でとれた魚に親近感を覚え、より一層魚を好きになると考えます。また子供たちが自分で魚をさばくことができるようになれば、親子で魚料理ができるようになり、家族のきずなを深めるかけ橋にもなることでしょう。  そこで知事に伺います。平成三十年二月議会では、学校現場での利用拡大について、今後研究していくとの知事の答弁がありましたが、学校現場での県産水産物の利用拡大について、今後県はどのように取り組んでいくのかお答えください。  海は世界中でつながっております。地元の漁業者を守るためには、漁業そのものを守っていかねばなりません。しかしながら、海づくり大会以降、会場となった地元周辺では、知事の姿を見かけることも少ないと聞きます。漁業者が安定して稼げ、継続できるよう、水産業の未来のために、県は全力で取り組んでいただきたいと思います。一次産業が元気になれば、それは日本全体の元気につながります。次世代を担う子供たちの未来が明るいものとなることを願い、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 36 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 37 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、筑前海における漁業経営の安定でございます。県におきましては、農林水産振興基本計画に即しまして、生産の安定やコストの削減、そして販売の強化により漁業経営の安定というものを図ってきております。生産の安定につきましては、県におきましては健全な種苗を安定的に放流できるよう種苗の生産、販売を行っておりますふくおか豊かな海づくり協会に対しまして、種苗の生産経費を助成しているところであります。漁業者はその種苗を用いまして、トラフグ、クロアワビなどの放流、資源管理に取り組んでおります。具体的には、トラフグにつきましては、放流効果の高い七センチの稚魚を毎年四十万尾を超える放流を行っております。その結果、本県で漁獲されますトラフグのうち放流魚の割合は約二割、これを占めておりまして、漁業者の方からもその効果について実感をしていただいていると思っております。  コストの削減につきましては、まき網漁業を対象に、各船団の運搬船一隻を休ませる共同運搬方式、これに取り組むよう指導してまいりました。その結果、五船団がこれに取り組んでいただきまして、年間燃油使用料が約一三%ほど削減されているところであります。また漁船の燃費向上のために、船底の清掃に必要な漁船巻き揚げ施設の整備に対し、これを支援しているところであります。  販売の強化につきましては、サワラの鮮度保持マニュアルというものを作成をいたしまして、現場へこれを普及し、取り組んだ結果、サワラの市場価格は約一・四倍に上昇しているところであります。また直売所やカキ小屋を活用した直接販売も進めているところでございまして、またあわせて、鐘崎天然とらふくフェア、あるいは糸島さわらフェアなど、飲食店と連携した販売促進の取り組みについても支援を申し上げているところであります。県といたしましては、今後ともこうした取り組みを進めていきまして、漁業経営の安定、これを図っていきたいと考えております。  次に、魚食推進の取り組みでございます。魚食に対するお子さんたちの関心を高めていくためには、まず地域でとれるお魚というものを子供たちに味わってもらう、同時に、そのお魚の漁法やとれた場所、そういったものを直接子供たちが知るということが大変大事だと思っております。このため県におきましては、今年度から筑前海、豊前海、有明海、筑後川など内水面ですが、などのお魚に触れてもらうため、その周辺の地域の中学校二十五校をモデル校といたしまして選定をいたします。それぞれの中学校におきましては、家庭科の授業を通じまして、まず漁業者や市場関係者など水産業に携わっていらっしゃる方々を講師といたしまして、魚の生態や漁の方法、旬の時期などを教えるおさかな講座というものを実施いたします。さらに、漁協の女性部などふだんからお魚のさばき方を地域に普及させていただいております方々の御指導のもと、生徒たちが地元で水揚げされた新鮮なアジやブリ、これを初めとする旬の地魚を食材とした調理、これを学んでもらおうと思っております。県といたしましては、このようにして生徒さんたちに地魚のおいしさというものを、まず実感をしてもらう、そして魚や漁業への関心を高めてもらうことによりまして、魚食というものをより一層進めていきたいと、このように考えております。 38 ◯議長(栗原 渉君) 大橋克己君。(拍手) *大橋議員質問 39 ◯三十五番(大橋 克己君)登壇 民主県政クラブ県議団の大橋でございます。発言通告に従いまして、頻発する高齢者の交通事故を受けての本県の対応についてお聞きします。  娘がこの先成長し、大人になり、妻と寿命が尽きるまで一緒にいると信じていた。たった一瞬で私たちの未来は奪われてしまった。東京池袋で乗用車が暴走した事故で、妻と三歳の娘を亡くした遺族の男性の言葉が胸に響きます。東京池袋の事故を例に挙げるまでもなく、高齢者による運転操作ミスの事故が頻発をしています。本県においても、今月四日に早良区で八十一歳の高齢者が運転する多重衝突事故が発生をしています。六十五歳以上の高齢化率が平成三十年十月一日現在二六・八%を占め、今後超高齢化社会を迎える我が県にとっても、このような痛ましい事故を少しでも減少させる方策を真剣に考えていかなければなりません。本県においては、平成三十年度末の七十五歳以上の高齢者の運転免許証保有者数は二十万二千五百四十一人、七十五歳以上の高齢運転者による交通事故、これは第一当事者となりますが、二千九十九件となっています。  そこで以下質問をいたします。一点目は、高齢者の運転に関する広報啓発の徹底についてです。高齢者は加齢に伴い動体視力の低下や複数の情報を同時に処理することが苦手になったり、瞬時に判断する力が低下したりするなど身体機能の変化により、ハンドルやブレーキ操作のおくれが出るなど、このような特性が見られることが一般的に指摘されています。また身体的特性だけではなく、加齢に伴う認知機能の低下も指摘されています。警察庁によれば、平成二十八年度に運転免許の更新の際に、認知機能検査を受けた七十五歳以上の高齢者約百六十六万人のうち、約五万一千人は認知機能が低下し、認知症のおそれがある第一分類に判定をされています。  そこで、まず本県において、認知機能検査を受け、第一分類に判定された人数と、その結果運転免許証の取り消しに至った人数を、警察本部長にお聞きをいたします。  この高齢者の身体的特性や認知機能の低下について、高齢運転者自身、そしてその周辺の方々がしっかりと自覚することが大変重要です。東京池袋での事故の遺族の男性は記者会見の中で、少しでも不安がある人は運転しないという選択肢も考え、周囲も働きかけ、家庭内で考えてほしいと訴えています。  そこで、この高齢者の身体的特性や認知機能の低下を含めた高齢者の運転について、広報紙やシンポジウムなどの機会を通じ、広く県民に啓発し、真剣に考える機運の醸成を図るべきだと考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。  二点目に、免許証の自主返納及び交通手段確保についてです。人口減少や少子、高齢化に伴い、地域での生活交通の維持が困難となっています。過疎地域はもちろんのこと、都市部においても買い物、通院など自家用車に依存せざるを得ないため、高齢者が、先ほど申しました身体的特性や認知機能の低下を考慮し、運転免許証の自主返納を検討したとしても、自主返納を最終的に決断できないと推察できます。  そこで、まず自主返納の相談者に対する警察本部の取り組みを、警察本部長にお伺いをいたします。  連日の高齢者による交通事故を減少させるためにも、県民の交通手段の確保に向けた取り組みが必要です。二〇一七年に改定した福岡県交通ビジョンの施策目標の基本方針の四にも、「地方創生のためのまちづくりと連携した交通網の整備」がしっかりと明記をされています。  そこで公共交通機関の確保やコミュニティーバス、デマンド交通の導入に対する具体的な進捗状況と今後の取り組み方針について、知事にお伺いをいたします。  現在、各自治体や事業者が協力し、免許返納後に警察署の発行する運転経歴書等を提示すれば、運賃の一〇%を割り引くサービスを行うタクシー会社が多数あったり、電車やバスの割引を受けられるなど多くのサービスが提供をされています。しかし、これまで各自治体が取り組んできた支援策だけでは、自治体間のサービスの格差もあり、高齢者の免許返納が十分に促されていない、これが現状です。この現状を前進させるためにも、他県の好事例をもとに本県独自の新たな支援策を打ち出すべき時期に来ていると言えます。  例えば、北海道旭川市郊外の地域では、乗り合いタクシーと宅配業者が連携し、宅配便の荷物と乗客を積む貨客混載の試みがなされ、宅配業者は時間がかかる過疎地域での配送を委託することができ、タクシー会社には配送手数料で収益がふえる仕組みができ上がっています。また滋賀県竜王町では、昨年から職員が高齢者を車に乗せて買い物などに連れ出すお出かけ支援事業を行い、公民館で開かれる健康体操の集まりの後にスーパーに立ち寄ったり、隣接市町までリクエストに応じて運行する対応を行い、燃料費など運行にかかる費用は竜王町からの補助金や利用者の寄附によって賄っています。そのほかにも民間企業が提案する普通型電動車椅子の利用や電動アシストつき自転車など、車でなくても電動で移動ができる手段を確保するなど、さまざまな形態での交通手段の確保が考えられます。  そこで、これら他県の好事例などを参考に、積極的に高齢者の免許返納を後押しする政策の強化とともに、さらなる交通手段の確保対策に取り組むべきだと考えますが、知事の考えをお聞かせください。  三点目は、先進安全自動車購入時や後づけ安全装置設置に対する本県独自の助成制度創設についてです。国土交通省では、先進安全自動車(ASV)推進計画のもとで、先進安全技術を活用して、運転者の安全運転を支援する自動車の開発、普及、実用化を推進しています。自動ブレーキ装備や誤発進抑制装置など各メーカーが自動車の安全技術を向上させる努力を重ねています。安全技術を装備した車の増加に伴い、高齢者による運転操作ミスの事故が減少することを大いに期待したいところです。全車種に安全技術が標準装備される日が待ち遠しいのですが、早急にその実現が図られるとは思えません。  そこで、高齢者による運転操作ミスの事故を減少させる一つの手段として、安全技術を装備した車を購入する際の本県独自の助成制度を検討すべきと考えますが、知事の見解をお聞きします。  また相次ぐ高齢者の交通事故を受け、車用品店などでは急発進防止やアクセルとブレーキの踏み間違い防止など、後づけタイプの安全装置の売り上げが急増しているようです。後づけタイプの安全装置は、比較的安価であることもあり、今後さらにニーズが高まることが予想されます。東京都は、急発進防止装置設置に対する補助方針を今月十一日、明らかにしました。本県でも、うきは市が同様な補助事業を本年より始めています。  そこで、本県でも高齢者の交通事故を減少させる一つの手段として、後づけ安全装置設置時に対する本県独自の助成制度創設を検討すべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。(拍手) 40 ◯議長(栗原 渉君) 小川知事。 *知事答弁 41 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、高齢者の運転に関する、県民に対する啓発でございます。高齢運転者は加齢に伴う身体や認知機能の低下によりまして交通事故を起こすリスクが高まる、そのことを広く県民の皆様に御理解いただき、事故防止に努めていただくことが重要であると考えております。このため県警察で実施をしております免許更新時における高齢者講習、自動車学校での安全講習に加えまして、県といたしましても安全運転サポート車の試乗体験、夜間や雨天時には運転を差し控える、いわゆる補償運転というものを推奨するチラシを配布いたしております。しかしながら、高齢運転者による事故が相次いでおる現状がございます。そのことから、これまでの取り組みに加えまして、来月実施をいたします交通事故をなくす福岡県県民運動本部、その総会におきまして、この高齢者運転の事故防止というものを今年度の重点目標に位置づけをするとともに、この本部の構成員でございます市町村、老人クラブ、地域婦人会、報道機関等を通じまして、高齢運転者による事故の原因や特徴、事故防止に役立つ運転の方法、免許返納の際に受けられるサービス、安全運転サポート車の機能、そういったものについて広く県民に周知を図ってまいります。あわせて県の広報紙、ホームページを使いまして、広く啓発を実施してまいります。  県民の交通手段の確保についてお尋ねがございました。最も身近で日常生活に不可欠な交通手段でございます路線バスでございますけれども、近年、利用者の減少やドライバー不足などから、複数の路線廃止の申し出がなされてきております。県におきましては、国と連携をいたしまして、このバス路線の維持のため運行経費に対する助成というものを行っているところであります。また路線バスが廃止となった地域におきまして、代替移動手段となりますコミュニティーバスやデマンド交通を導入した市町村に対し、その運行経費や車両購入費に対する助成を行っておりまして、現在四十二市町でコミュニティーバスの運行がなされている状況でございます。デマンド交通につきましては、福岡県交通ビジョン二〇一七におきまして、導入市町村数を、平成二十七年度時点十二市町ございましたが、令和三年度末までに十八市町村にふやす目標というものを掲げておりまして、現在十六市町に導入をされているところでございます。これからも引き続き通勤、通学、通院、買い物といった日常生活を維持していくための交通ネットワークの確保に取り組んでまいります。  次に、高齢者の免許返納支援策と交通手段の確保対策でございます。先ほど述べましたように、市町村やバス事業者への助成に加えまして、本県におきましては、これは全国で唯一だろうと思いますけれども、免許返納者にコミュニティーバスの回数券やタクシーチケット等を交付をしております市町村、この市町村に対し助成を行っているところであります。さらに免許返納者やその御家族からの相談対応を行うほか、買い物代行の取り組みに対する支援など生活支援対策、これについても実施を行っているところであります。今後も関係課による連絡会議のもと、知事部局と警察本部が緊密に連携をいたしまして、運転免許証を返納した高齢者について総合的に御支援を申し上げてまいります。  また県内におきましても、路線バスが廃止、減便となった地域におきまして、地元企業や社会福祉施設が地域住民の通院、通学、買い物のために無料送迎バスを運行しております例がございます。このような事例や、議員も紹介されましたが、他地域における優良事例というものを、市町村に対し情報提供いたしまして、地域の実情に応じた効果的な支援、これが行われるよう引き続いて取り組んでまいります。  次に、新車搭載や後づけによる事故防止装置への助成制度についてお尋ねがございました。現在さまざまな機能や性能を有する事故防止装置というものが開発、販売をされております。その一方で、その性能をどう評価するかという難しい課題がございます。このため国におきましては、今月十八日に開かれました関係閣僚会議におきまして、交通安全緊急対策の一つといたしまして、こうした事故防止装置の性能認定制度、またその普及方策というものについて検討をしていくことを決定したところであります。県といたしましては、事故防止装置の助成制度につきましては、今申し上げましたように、まず、こうした国の動きというものを注視し、その上で対応を検討させていただきます。 42 ◯議長(栗原 渉君) 高木警察本部長。 *警察本部長答弁 43 ◯警察本部長(高木 勇人君)登壇 高齢運転者対策についてお答えをいたします。平成三十年中に県内において認知機能検査を受検した方は八万一千七十三人であり、そのうち第一分類、すなわち認知症のおそれがあると判定された方は二千百八十一人となっております。また認知機能検査で第一分類と判定された後、医師に認知症と診断され、平成三十年中に運転免許証の取り消し処分を受けた方は百四十六人となっております。  次に、運転免許証の自主返納に関してお答えをいたします。自主返納を検討している高齢者やその家族からの相談があった場合には、県内四カ所の運転免許試験場や各警察署の窓口において、自主返納制度及び運転経歴証明書について説明するとともに、自主返納をした者に対する関係機関、団体による各種支援や高齢者が移動に利用できる輸送サービスについても、資料を配付するなどして案内することとしております。また当該高齢者の状況やニーズに応じて専門の医療機関、あるいは福祉の窓口などを紹介する場合もあります。高齢者が当面運転を継続する場合には、加齢による身体機能の低下を踏まえた安全運転に必要な助言、指導を行うこととしております。  警察といたしましては、それぞれの高齢運転者の特性に応じたきめ細かな対応により交通事故の防止に努めてまいります。 44 ◯議長(栗原 渉君) 大橋克己君。 45 ◯三十五番(大橋 克己君)登壇 二点要望させていただきたいと思います。  まず、高齢者の運転に関する県民への啓発について、先ほど知事から、来月実施する交通事故をなくす福岡県民運動本部の総会において、高齢運転者の事故防止を今年度の重点目標に位置づけて、広く県民に周知していくと答弁されました。また、あわせて県の広報紙やホームページでも啓発していく旨もありました。私はやはり、先ほど壇上で申しましたように、高齢者の運転者だけではなくて、広く県民がこの問題に真剣に向き合える、考える機運を高めるために、先ほど言ったシンポジウム、それも行きたくなるようなシンポジウムの開催とか、せっかく広報、テレビを持っていらっしゃるわけですから、広報、テレビなどあらゆる手段を講じてこの問題を取り上げていただくということを、まず一つ要望させていただきたいと思います。  そして、先進安全自動車購入時や後づけの安全装置設置への本県独自の助成制度についてですが、金曜日ですかね、公明党県議団さん、それから緑友会さん、そして本日も、先ほど松尾嘉三議員の一般質問で同様な質問がありました。それだけ今、県民のニーズが高いことを物語っていると思います。先ほど知事の答弁の中で、お決まりですけれども、国の動きを注視しというのを言われました。そういった冷たい態度ではなくて、スピード感を持って、本県独自の決断として、知事が判断されることを強く要望し、私の要望とさせていただきます。  御清聴いただきましてありがとうございました。(拍手) 46 ◯議長(栗原 渉君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時 二十六分  散 会
    Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...