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平成31年2月定例会(第9日) 本文
平成31年2月定例会(第9日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2019-02-09
    平成31年2月定例会(第9日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井上 順吾君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。阿部弘樹君。(拍手) *阿部議員質問 2 ◯四十八番(阿部 弘樹君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の阿部弘樹です。通告に従いまして、福岡県消防学校跡地の利用についてを質問させていただきます。  福津市は、政令都市である福岡市と北九州市いずれにもアクセスが容易な人口約六万五千の町で、ここで暮らす人々、ここを訪れる人々に幸福になってほしいという願いと、たくさんの人が集まり交流する津と書きまして港のような町でありたいと、平成十七年一月に旧福間町と旧津屋崎町が合併して誕生しました。市内にはJR鹿児島本線が国道三号と並行して走り、福間駅から快速電車で博多駅まで二十五分、小倉駅まで四十五分と都市圏へのアクセスがよく、また福間駅東土地区画整理事業の完了や大型商業施設の立地、公共下水道の整備による住民利便性の向上もあり、近年開発された住宅団地などへの転入が相次いでおり、日本全体が人口減少へ移行する中、福津市では子育て世代を中心に年一千人を超える人口増加が続いています。  一方で、都市圏に近い環境であるにもかかわらず、豊富な自然に恵まれ史跡が残されている地域でもあります。市のシンボルである砂浜や松林から成る長い海岸を初め、干潟、山、河川など多様な自然環境が存在するとともに、そこにはアカウミガメやカブトガニ、ハマボウやハママツナなど希少な動植物が生息、生育し、豊かな自然の宝庫となっております。野外散策を楽しんだり、おいしい野菜やお魚を食べたりと、のんびりとした一日を楽しめるのが魅力です。また、江戸時代から明治にかけて交易により商業都市として発展した面影を今に残す津屋崎千軒や、四世紀から九世紀にかけて神宿る島沖ノ島を崇拝した文化的伝統を現在に伝え、平成二十九年に世界文化遺産に登録された新原・奴山古墳群など、古くから続く歴史や文化が息づいているのも大きな特色です。最近では、国民的アイドルグループが出演したCMでも話題になりましたが、神社から真っすぐ海に延びる参道の先に夕日が沈み、光り輝く道となる宮地嶽神社の光の道が、一度は訪れたい景色として日本のみならず世界に知れ渡ることとなり、また、みこを主人公とする映画で市内各所が撮影場所として活用されるなど、観光地としても大いに魅力を持った地域であります。  このように交通の利便性がよく、豊かな自然、歴史、文化を有する福津市において、旧福岡県消防学校は、昭和四十八年十一月に移転以来四十三年の長きにわたり県下の消防職員の訓練施設としてだけではなく、地域のシンボルとして、地元のにぎわい、活性化に大きな役割を果たしてきました。平成二十九年六月議会の一般質問において私は、消防学校にかわる県の施設を持ってきて、地元の活性化のために活用していただきたいとの多くの地元の声を届けるため、消防学校跡地については、公用または公共用地として利用すべきだということを求めました。これに対して知事は、まず県による利用について検討を行っていく、その上で県の利用が見込まれない場合は地元市町村の利用について協議を進めていきたいと答弁されました。  先ほど福津市における人口増加について述べましたが、消防学校跡地の北側に隣接する旧サンピア福岡跡地で、現在、五百区画を超える住宅分譲が行われるなど、宅地開発に対する需要は高い状況です。一方で、急激な人口増加に対する自動車交通量の増加による渋滞の発生や事故の増加など、マイナスの側面も懸念されるところです。このようなことから、地元住民の間には、消防学校跡地の利用について高い関心が寄せられており、民間等へ跡地が売却されるのではないかとの不安の声が上がっています。市が昨年三月に策定した第二次福津市都市計画マスタープランでは、目指す町の姿として、すばらしい自然が暮らしの場のすぐ近くにあるという特徴を生かして、自然志向の落ちついた暮らしと都市的なにぎわいのある暮らしの両方を楽しめる自然共生都市を目指すということが記されています。住民の不安を解消するとともに、人が集い、地域の魅力を高めていく公共空間を実現するといった観点から、周辺環境に恵まれた貴重な土地である福岡県消防学校跡地は、宅地として民間に売却するのではなく、県の施設を持ってきて地元の活性化のためにぜひ活用すべきと考えます。  そこで知事にお尋ねします。平成二十九年六月議会一般質問において知事が答弁された消防学校跡地の利用について、現在の検討状況をお答えください。(拍手) 3 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 福岡県消防学校跡地の利用でございます。福津市にありました消防学校は、消防職員、そして消防団員の教育施設といたしまして、昭和四十八年十一月にその地に移転をして以来、四十三年にわたりまして、福津市を初め住民の皆様にも御協力をいただきながら、延べ一万九千人の消防職員を養成し、消防団員の資質の向上や地元の活性化に大きく貢献をしてきたところであります。その跡地についてでございますけれども、JR福間駅から直線距離で一・二キロメートルに位置をいたしておりまして、周辺道路も整備されるなど交通の利便性にすぐれ、平たんかつ面積も三万七千平方メートルを超える、いろんな用途への活用が考えられる大変貴重な県有財産でございます。このため現在、県におきましては、県による公用または公共目的の利用について検討を行っているところでございます。 5 ◯議長(井上 順吾君) 原中誠志君。(拍手) *原中議員質問 6 ◯三十六番(原中 誠志君)登壇 国民民主党・県政クラブ県議団の原中誠志であります。発言通告に従い一般質問を行います。  初めの項は、漁業法改正に伴う本県漁業の対応についてであります。昨年末、第百九十七国会の会期末が近づく十二月八日、水産資源管理の強化や養殖業への企業参入の促進を目指す改正漁業法が参議院本会議において、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しました。運用の仕組みなどを定め、公布から二年以内に施行されるとなっております。改正案は漁業権の制度を見直すことなどが柱となっており、漁業権制度を含む抜本的な見直しは約七十年ぶりとなります。国会での審議では、政府は、漁業生産量が長期的に減少し、漁業者の減少、高齢化も進んでいる、こうした状況に終止符を打ち、漁業者が将来展望を持てるようにするため、基本的制度を見直すとされ、漁業の効率化を通じ経営の改善を図ることを目的とすると説明しております。  今回の改正案では、漁業権のルールの変更と漁獲量による資源管理の拡大が二本柱となっています。一つ目の柱である沿岸海域での漁業権については、これまで漁業者の方が長年地元の漁場を守り養殖を行ってこられましたが、今回の改正で、共同漁業権については変更はないものの、養殖については地元漁業者のみならず地域内外から新規参入が可能となるルールがつくられました。このことについて、養殖漁業への企業参入が広がり、地元漁業者が狭い漁場に追い込まれるとの懸念や大手の民間企業が漁業権を取得し、これまで漁業に携わっていた漁業者が締め出されることになるということを心配するような声も耳にしているところであります。  二つ目の柱は、資源管理についてであります。政府が漁獲可能量(TAC)を決める制度について、現在八魚種に限られている対象を大幅にふやし、マグロなどで現在も実施されている漁船ごとに漁獲枠を割り当てる個別漁獲割り当て制度(IQ)を基本とするよう改めるというもので、乱獲を防ぎ、価格が高い時期に販売できるようにするというものであります。衆議院での審議でも、漁獲枠をめぐって現在実施されているクロマグロでは、沿岸漁師が割を食い、その声が反映されていないと指摘されており、また船に漁獲枠がついていることから、資金力のある企業などに漁獲枠が集約をされ寡占化する可能性も指摘されているところであります。このほか、遠洋、沖合漁業では漁船のトン数制限を緩和し、漁船の大型化を促し生産性を高める、また地域の漁場利用の調整を担う漁業調整委員会について公選制から知事による任命制に改めることや、密漁の罰則を強化することも盛り込まれています。  本県は、筑前海沿岸では沿岸漁業が盛んに行われており、また博多湾ではカキやノリ、ワカメなどの養殖が行われており、特に、しけが多く沖合での操業が限られる、この冬の時期は、博多湾の漁業者にとって養殖は重要であります。  そこで知事にお尋ねいたします。今回の漁業法改正により、区画漁業権、いわゆるカキやノリ等の養殖の漁業権制度がどのように変わるのかお聞かせください。あわせて、改正された漁業法において、博多湾のカキ及びノリ、ワカメなどの養殖の漁業権の免許はどこが行うのか、お示しください。
     さて、本県はマダイやトラフグ、ガザミなど全国有数の漁獲量を上げており、一年を通して魅力ある水産資源に恵まれています。町なかに目を移してみますと、これら魅力ある水産物がおいしく味わえる、ふくおかの魚冬のフェアや、糸島さわらフェアなどさまざまなイベントが行われており、博多の町は魚がおいしいと全国的に高い評価をいただいているところであります。これら水産資源は、石油などの鉱物資源が使えば使うほど減っていく限りのある資源であることとは大きく異なります。つまり、水産資源は生き物であるため、上手に漁獲をしていけば継続して利用することができる、限りのない資源であります。これからも水産資源を継続して利用していくためには、県と漁業者が一緒になって資源づくりを進めていくことが、本県の沿岸漁業にとって重要であると考えます。  そこで知事にお尋ねします。県として、沿岸域の資源づくりをどのように進めているのか、お答えいただきます。  次の項目は、NHK大河ドラマを活用した本県のスポーツ並びに観光振興についてであります。御存じのとおり、ことしのNHK大河ドラマは「いだてん」であります。主人公は金栗四三氏で、出身地は熊本県玉名郡春富村、今の和水町の出身であります。来年、二〇二〇東京五輪・パラリンピックを控え、国内ではオリンピックに向けた機運が日に日に高まっているところであり、今回のNHK大河ドラマ「いだてん」も、日本人初のオリンピック出場、日本へのオリンピック招致という話題性もあり、一回目の放映から視聴率も順調に推移しているようであります。そして、日本人初のオリンピック委員であった柔道家嘉納治五郎氏らの運動により、日本は一九四〇年の夏季東京オリンピック札幌冬季オリンピックの招致に成功したものの、激化する日中戦争のため開催権を返上せざるを得ませんでした。ちなみに、第二次世界大戦の影響もあり、一九四〇年と一九四四年にはオリンピック開催そのものが中止となっています。  本年のNHK大河ドラマ「いだてん」は、日本のオリンピックの歴史に深い関係を持った人物の登場、関連したトピックスなどもあり、良好な視聴率とともに、熊本県玉名市のいだてん大河ドラマ館、そして主人公金栗四三氏の出身地である熊本県和水町の金栗四三ミュージアムと金栗四三生家記念館の来館者は、放映開始から一カ月で一万四十三人を超え、地元では目標の入館者数を上方修正しようという機運が高まっています。昨年のNHK大河ドラマ「西郷どん」放映の際には、鹿児島市内の大河ドラマ館には六十万人が訪れており、NHK大河ドラマは観光客誘致に多大な貢献を果たしているところであります。今回、熊本県出身の金栗四三氏を主人公にした「いだてん」の放映により、熊本県を訪れる観光客の増加も期待されることから、本県としてもこの機を逃さず、熊本県を訪れた観光客に福岡県にも立ち寄っていただき、お隣の大牟田市では明治日本の産業革命遺産の構成資産である、宮原坑、三池炭鉱専用鉄道敷跡、三池港、そして柳川市や太宰府市など本県内の各地の観光地をめぐっていただきたいと思います。  そこで、本県の観光振興に関し、以下知事にお伺いします。熊本県を訪れた方々に、あわせて本県を訪問してもらうような取り組み、仕掛けが必要と思いますが、知事の考えをお聞かせください。  さて、毎年十二月に福岡市で開催され、世界トップレベルアスリートが集う福岡国際マラソンですが、日本のマラソンの父と言われた金栗四三氏の功績をたたえる金栗賞朝日マラソンとして、一九四七年十二月に第一回大会が金栗氏の地元熊本市で開催されたのを発祥としているところであります。そして、第二回以降一九五四年までは、毎年、開催地が変えられていましたが、第九回大会から朝日国際マラソンと名称を変え、第十三回大会以降、開催地が福岡市に定着をし、福岡国際マラソンとなったものであり、福岡国際マラソンは金栗四三氏と深い縁にあるわけであります。  そこで知事に質問です。今述べましたように、福岡国際マラソンは、大河ドラマ「いだてん」の主人公である金栗四三氏をたたえ、一九四七年十二月の朝日マラソンを起源としています。福岡国際マラソンのコース周辺にある舞鶴公園や大濠公園、福岡タワーや百道浜などには、国内外から多くの観光客が訪れているところであります。今後、NHKの番組内等で福岡国際マラソンとこれらの観光スポットを一緒に取り上げてもらうことで、全国に福岡の観光をPRすることができ、さらなる観光地誘客につながると考えますが、知事のお考えをお示しください。  次に、スポーツ立県福岡を目指す本県のスポーツ振興についてお伺いします。日本人初のオリンピックメダリストは、一九二〇年アントワープ・オリンピックに男子テニスで出場した熊谷一弥氏であり、本県大牟田市の出身であります。日本人初のオリンピックメダリストが福岡県人であったということは、本県の誇りであります。しかし、残念ながらこの事実は広く知られていないようであります。そこで、日本人初のオリンピックメダリストが福岡県民であったということを、もっと広く県民に、特に次代の子供たちに知ってもらうことが必要であると考えます。そのことが、県民がスポーツに関心を持ち、ひいてはアスリートの育成にもつながるのではないかと考えます。  本県では、熊谷氏のようにオリンピックメダリストを育成する事業を初め、福岡県のスポーツを支え、振興することによってスポーツを元気にし、そしてそのスポーツの力で県と県民生活をより元気にするスポーツ立県福岡の取り組みを進められているところであります。いよいよ来年には、五十六年ぶりの国内開催となる東京オリンピックパラリンピックが控えており、我が国のスポーツ振興を図る絶好の機会であるとともに、スポーツ立県福岡の実現を目指す知事にとっても、この機を逃さずに何ができるかということをしっかりと対応していただきたいということであります。  そこで、この機を捉え、今こそ県民のスポーツへの関心を高めるべきと考えますが、知事の認識をお示しください。  以上、知事の真摯な答弁を期待いたします。(拍手) 7 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、カキ養殖などの漁業権についてでございます。養殖を行います漁業権につきましては、これまで漁協に優先してその免許が与えられる仕組みとなっておりましたけれども、先ほど御指摘のありました今回の漁業法改正によりまして、その優先順位の仕組みというものが廃止されることになっております。しかしながら、免許を受けていた漁協が漁場を適切かつ有効に活用している場合には、これまでどおり、その漁協に免許が与えられることとなってございます。カキ養殖などの漁業権の免許につきましては、これまで同様、県が行うこととなっておりまして、県といたしましては、この新法のもとにおきましても、引き続き漁場が適切かつ有効に活用されるよう漁協を指導してまいります。  次に、沿岸域の水産資源づくりについてお尋ねがありました。水産資源づくりを進めていくには、海域の特徴に合わせまして、資源の保護管理、また、つくり育てる漁業というものを進めていくことが重要であります。具体的には、筑前海におきましては、漁獲した小型のトラフグを海に戻すことやアワビの稚貝を集中的に放流する、有明海では、卵を抱えたガザミを海に戻すこと、保護区の設定などによるアサリの稚貝の保護育成、豊前海におきましては、小型底びき網でとれる小型のエビやカニを海に戻すこと、また袋網を使ったアサリ稚貝の保護育成などに、それぞれ海域ごとに取り組んでいるところであります。また、広域に回遊いたしますトラフグ、またガザミにつきましては、近隣県と連携して取り組みを進めているところであります。加えて、漁場の底質を改善するための覆砂や魚介類のすみかとなります魚礁の設置などについても、これを実施しているところであります。県といたしましては、今後とも、こうした取り組みによりまして本県の沿岸域の水産資源づくりというものを進めてまいります。  次に、NHK大河ドラマを活用した観光振興についてでございます。NHK大河ドラマの「いだてん」の主人公でいらっしゃいます金栗四三さんでございますけれども、熊本県北部にあります玉名郡和水町の御出身であります。金栗四三生家記念館、金栗四三ミュージアムなど関係施設が同地にはございますことから、今後もこの地域には多くの観光客が訪れるということが予想されております。その際、観光客の多くは、私どもの福岡空港や博多駅などから新幹線や高速道路を利用して、本県経由で熊本のほうに入られるということが見込まれるわけであります。このため、大河ドラマと関連のある地域と本県の観光地をつなぐ広域観光周遊ルートというものをつくって、県の観光ホームページでありますクロスロードふくおかで情報発信を行いますとともに、東京、大阪などで開催をされます観光素材説明会におきまして、旅行商品として造成してもらえるよう旅行会社に対して提案をするなど、本県への誘客、これに取り組んでまいります。  次に、福岡国際マラソンとその周辺の観光スポットを活用した誘客でございます。福岡国際マラソンは、議員が御指摘になりましたとおり、大河ドラマの主人公であります金栗四三さんの功績をたたえる金栗賞朝日マラソンがその前身となっております。そのマラソンコースであります博多駅前には、金栗四三さんが揮毫されている体力、気力、努力といった石碑、また福岡国際マラソン歴代優勝者の足形や名前を刻んだレリーフというものがございます。大河ドラマで金栗四三さんが注目されるこの機会を捉えまして、NHKの番組等におきまして福岡国際マラソンや先ほど申し上げました博多駅の石碑などを取り上げてもらうとともに、福岡国際マラソンの中継やマラソンに関連する記事などにおきましても、石碑を初めとする福岡の観光スポットを取り上げてもらえるよう関係者に働きかけを行ってまいります。  次に、東京オリンピックパラリンピックを契機としたスポーツの振興でございます。世界最大のスポーツの祭典でございますオリンピックパラリンピックの我が国の開催は、東京だけではなく全国各地域の魅力を世界に発信をし、スポーツの振興を図る上で大きな機会であると、このように考えております。このため本県におきましては、キャンプ地誘致に積極的に取り組んできたわけでございますが、これまで基本合意を締結した国・地域の数は二十五ございまして、全国有数のものとなっております。また、大会出場を目指すアスリートの育成、支援にも力を入れてきておりまして、数多くのアスリートを国際大会に送り出してきております。今後も、紹介のありました熊谷一弥さんに続くトップアスリートが本県から継続的に生まれていくよう、中長期的な視点に立ちまして育成強化に取り組むとともに、本県ゆかりのアスリートの持つ才能、また人を引きつける力、これらを本県のスポーツ振興に生かしていきたいと考えております。また、県民の皆様のスポーツや健康づくりに対する関心というものをより一層高めるため、働き盛り、子育て世代を対象としたスポーツプログラムの提供や障がい者スポーツの振興に取り組んでいくとともに、昨年八月に設置をいたしましたふくおか健康づくり県民会議におきまして、運動習慣の定着に向けた県民運動を官民挙げて展開をしているところであります。ことし、アジアで初めて日本で開催されるラグビーのワールドカップでは、本県で三試合が行われ、六カ国の公認チームのキャンプも予定されております。これらの国際スポーツイベントをも見据えまして、昨年十二月に改定をいたしました福岡県スポーツ推進計画に基づく施策というものを着実に推進をしていき、全庁を挙げて、スポーツ立県福岡、その実現を目指してまいります。 9 ◯議長(井上 順吾君) 原中誠志君。 10 ◯三十六番(原中 誠志君)登壇 最後に、知事に一点、要望であります。  今回の漁業法改正により、漁業調整委員会の任命権について、特に漁業権の改革と絡んで、沿岸漁業者の意見が反映しにくくなるおそれが指摘されていますが、改正法成立後に具体的な運用を決めるとする部分が多く、現時点では制度設計が明らかにされていないことから、漁業者の中には不安を抱いていると聞いているところであります。  そこで知事に要望です。国は、二年以内に政省令の制定、もしくはガイドラインを示すとしていますが、海区漁業調整委員会制度がどのようになるのか明らかになった段階で、漁業者に速やかに説明されますよう要望いたします。  以上、私の一般質問を終わります。(拍手) 11 ◯議長(井上 順吾君) 新開昌彦君。(拍手) *新開議員質問 12 ◯六十八番(新開 昌彦君)登壇 公明党の新開昌彦でございます。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。今回も現場の声を届けさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  今回は、低出生体重児、この対策について質問をさせていただきます。低出生体重児は、早産などによって産まれる二千五百グラム未満の子供をいいます。千五百グラム未満の子供は極低出生体重児、千グラム未満で生まれた子供を超低出生体重児とされています。生まれてくる赤ちゃんの約一割、福岡県では毎年四千人を超える赤ちゃんが低出生体重児であり、そのうちの二割が障がいを持つ可能性が高いと言われています。  私は、平成二十年九月に低出生体重児についてNっ子クラブカンガルーの親子──Nは、NICUに入る子供たちのことをNっ子と言っているそうでございます──の登山万佐子代表を初め、会員のお母様方にお会いし、医療、福祉、保健の連携、情報交換の場、低出生体重児専用の手帳などについて質問をいたしました。特に、低出生体重児専用の手帳について、知事はお母さん方の声を聞いていただき、二年後の平成二十二年四月、A5判の小さな天使親子手帳を作成し、対象の方々に配付をされています。その小さな天使親子手帳の後書きには、「小さな赤ちゃん、ふたごの赤ちゃんを育てているお母さん方のご意見をもとに、子育てに、少しでも役に立ち、安心して子育てが出来るように、という思いで作成しました。お子さんの発育・発達状況を確認し、記録ができます。医療機関を受診される時や、健診の時に確認したい内容等についても記録が出来ます。母子健康手帳と同様に活用いただき、子育てに役立てて下さい。」とお母さんたちに寄り添った言葉がつづられて、とても印象的でありました。私は、出産直後の親が一番つらいときに心強い冊子をもらうことで、不安による虐待や育児放棄を防ぐ効果もあったのではないかと思います。  先日、私は、カンガルーの親子の登山万佐子代表にお会いしてまいりました。四百五十二グラムで産まれた綾美さんは、ことし中学生になります。Nっ子クラブカンガルーの親子は平成二十五年十一月に県知事表彰を受け、平成二十九年四月には姉妹グループが誕生したことによって、名称をNっ子ネットワークカンガルーの親子として活発に活動されています。登山代表は、この冊子、小さな天使親子手帳に書き込んだ内容は、子供が幼稚園、小学校、中学校へ上がるたびに成長記録として学校や役所に情報提供しています、私たちはこの手帳を、私たちがつづった公文書だと思い、大切に使っていますとおっしゃっていました。  妊娠時に配付される一般的な母子健康手帳は、国が定めた様式に基づいて市町村が作成しています。妊娠期から幼児期までの健康、成長を記録する大切なツールでありますが、低出生体重児が誕生した場合、手帳に記載されている平均的な身長、体重などよりも成長がおくれるために、親は子の成長を実感できず、不安で落ち込んでしまうケースが少なくありません。  ここに、先進事例を御紹介をしたいと思います。静岡県は、低出生体重児向けの母子手帳しずおかリトルベビーハンドブックをつくりました。静岡県と低出生体重児の親の会ポコアポコが昨年三月に共同製作したもので、全国で大変反響を呼んでおります。これが現物の手帳でございます。大変小さな手帳でございますけれども、この大きさがとても大事だということであります。お母さん方が集まる中でも、人目を気にせずにいられるという理由で母子手帳と同じA6判になっています。本県のサイズよりも一回り小さいサイズになっています。この大きさは、市販されている母子手帳ケースに入ることで、お薬手帳、予防接種手帳、診察券、保険証、障がい者医療証など一緒にして持ち運ぶことができます。また、内容にも工夫が見られます。発達を記録する「赤ちゃんの成長・発達を「みーつけた!」」は十ページもあります。頭を一瞬持ち上げるなどの反応や動作を四十六項目列挙してあります。そして、その動きを実際に確認した日を記入できるようになっています。最初の項目、「しかめ顔などの表情をする」には「表情が豊かなしるしです。次は必ず笑いますよ」など、各項目に動作の意味や次のステップへの励ましが書いてあります。一方、初めて赤ちゃんに触れた日や声を聞いた日など、たった一度の初めて記念日を記録できるページを設けています。各ページの下部には先輩ママからの応援メッセージもあり、全ページが母親目線で編集をされています。  知事に何点かお聞きいたします。まず、本県の低出生体重児の推移をお示しください。  次に、低出生体重児に対する県の事業についてお示しください。  最後に、福岡県が作成し配付してきた小さな天使親子手帳は、現場目線で県が改定してきた実績があります。お母さんたちの声は、先ほども触れましたが、自分の子供の成長をつづってきた手帳は、単なる記録簿ではない、県が発行してくれている手帳に自分たちがつづってきたことで、公的機関に我が子のことを説明する際に価値ある公文書だとの思いで使っておられることを、知事は忘れないでいただきたいと思うのであります。また、県が配付することで低出生体重児への配付漏れを防ぐことができると思います。ぜひ、小さな天使親子手帳をリニューアルしていただきたいのであります。知事の心温まる答弁をお願いをいたします。以上でございます。(拍手) 13 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 14 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  本県の低出生体重児の推移でございます。「しゅっせい」、「しゅっしょう」両方あろうと思いますが、私、「しゅっせい」と言わさせていただきます。人口動態調査によりますと、ここ十年間の本県における総出生数に占める低出生体重児の割合でございますけれども、平成二十年一〇・二%でありましたものが、二十九年九・八%と変動はございますけれども低下傾向にございます。  低出生体重児に対する県の事業についてお尋ねがございました。県におきましては、新生児集中治療室(NICU)などを備え、低出生体重児などの新生児や母体に対する高度な医療を提供する周産期母子医療センターを県内十二カ所整備をいたしまして、医療提供体制の確保を図っております。また、県は市町村が行います低出生体重児など未熟児への入院医療費の助成、家庭訪問事業に対しまして財政的な支援を行っております。さらに、県の助産師、保健師が市町村の家庭訪問事業に同行いたしまして、合併症や障がいがある低出生体重児の保護者に対しまして、その育児不安の軽減、発育、発達に関する助言や指導というものを専門的な立場から行っているところでございます。  低出生体重児向けの母子健康手帳についてでございます。本県におきましては、平成二十二年三月に、低出生体重児を育てておられますお母さん方からの要望をもとに、成長、発達を記録できる低出生体重児向けの母子健康手帳小さな天使親子手帳、これを作成をいたしまして、周産期母子医療センターや市町村を通じて保護者の方々に配付をしているところであります。御指摘のありました静岡県が作成されておりますハンドブックでございますけれども、入院中や退院時の状況を詳しく記録することによりまして、退院後の在宅での医療的ケアにかかわる医療関係者間で、その情報共有がしやすくなっておりまして、また全ページにわたって先輩保護者からの応援メッセージ、これが記載されているなど、その内容に工夫が施されております。本県の小さな天使親子手帳は、前回改定作成したところから七年が経過いたしております。その間、医療環境も大きく変化しておりますことから、そのリニューアルをいたします。その際、医療関係者や保護者などの意見をお聞きし、また御指摘のありました静岡県のような先進事例も参考にしながら、わかりやすく、また温かみが感じられるよう内容を充実させたいと、このように考えております。 15 ◯議長(井上 順吾君) 神崎聡君。(拍手) *神崎議員質問 16 ◯三十一番(神崎 聡君)登壇 おはようございます。緑友会・立志福岡県議団の神崎聡でございます。県議として二期目の最後の質問に立ちます。いよいよ、この四年間の議会活動、議員活動がどうだったのか、どういう成果が出せたのか、その評価が問われます。選挙で託していただきました一票一票の重みと、それに込められた思いを有権者から問われます。まさに、民主主義の根幹は、ここにあるんだと思います。緑友会の私が言うのもなんですが、民主主義は、少数意見を大事にしながらも、やはり政治は数が力です。私たち議員は継続が力、そして知事並びに行政は信用が力ではないかと思うんです。信用とは、信じて任用することと書きます。したがって、信用を得るためには、受けた恩を忘れてはいけません。うそをついたり欺いたりしてはいけません。難局のときは、決して逃げたりぶれたりしてはなりません。信頼してくださった方には、信頼でお応えするしかないんです。日本人は、人と人との情、つまりは義理と人情を基調としていますし、日本人の価値観の根本は、この恩義、信義にあるのではないでしょうか。力になって、信頼してくださった恩人、友人、知人、あるいは県民の皆さん、その方々を裏切る行為をした瞬間に、政治家や行政の信用は失墜してしまいます。信用なくして、これからの信頼関係は築けません。  本日は、上野焼の振興についての質問でありますが、この上野焼に代表される日本の伝統的工芸品には、信用という私たち政治家や行政機関が教訓にすべきものがあります。それは長い歳月をかけて守り続け、時代の変化に対応し、時代時代を切り開いてきた確かな品質と顧客との信頼関係です。信用を得るためにはどうすればよいのか、信頼されるための多くの学ぶべき教訓が、日本の伝統的工芸品の中にあります。  昨年十一月に、世界に誇る日本の伝統的工芸品が集結した、工芸エキスポ(伝統的工芸品月間国民会議全国大会)が、三十年ぶりに本県で開催されました。県内にある七つの国指定伝統工芸品を初め、全国の多彩な工芸品が多数展示され、関連イベント等でも盛り上がりを見せ、関心の高さがうかがわれました。その伝統工芸品の一つとして、上野焼があります。  上野焼は、今からおよそ四百年前の安土桃山時代に、豊前国小倉藩内で焼かれ始めた陶器です。当時は茶の湯が流行しており、各地の大名は陶工を招き入れ、競ってすぐれた陶器を焼かせました。豊前小倉藩の初代藩主細川忠興は千利休のもとで茶の奥義をきわめたとされる当時を代表する茶人です。忠興が朝鮮半島から渡ってきた陶工の尊楷を招き、福智山麓にて開かれたのが上野焼の始まりと考えられています。誇りと伝統を礎に、日本独自の茶道の精神を表現する茶陶上野焼。約四百年の歴史に裏打ちされた品のよさ、格調高さを感じさせる器が次々と生み出されています。上野焼には、質素で静かなものを意味する茶道の精神わび、さびが色濃く反映されています。目立ち過ぎず、それでいてどこか存在感がある、それが上野焼の一番の魅力です。茶陶をルーツに持つため、一般的に薄づくりで軽いことが特徴に挙げられますが、現代注目されているのが、たくさんの種類の釉薬、上薬を用いることで生まれる多彩さです。それはまさに伝統を大切にしながら、さまざまな器づくりに励んできた先人たちの努力と工夫。現状に妥協せず、時代と向き合い進化を続けてきているのが現在の上野焼の強みです。  上野焼発祥の地は、福智町にある釜ノ口窯と考えられています。この窯は、昭和三十年に社団法人日本陶磁協会の三上次男博士を団長として、日本における初期の窯業生産の実態を明らかにすることを目的に、発掘調査が実施されました。十日間の発掘調査でありましたが、全長四十メートルを超える登り窯の本体が明らかにされ、多数の陶片が出土しました。その成果は雑誌上にて公表されております。この調査から六十年以上が経過し、発掘調査の方法や技術が進んだ今、上野焼の価値を明らかにするために改めて調査することが必要だと考えます。そのためには解決すべきさまざまな課題があることは承知しておりますが、今後必要な条件を整理して調査が実現できるよう、地元自治体に働きかけるべきだと考えます。より詳しく窯の実態を把握することにより、歴史的な価値が明確になり、上野焼への理解促進や観光資源としての魅力向上につながるものと期待しています。  この歴史ある上野焼について、福智町(旧赤池町)では平成十四年に上野焼四百年祭が開催されました。また平成二十九年三月には福智町図書館・歴史資料館ふくちのちがオープンされ、その開館記念として豊前小倉藩窯上野焼展が開催されたほか、福智町の恒例イベントとして定着した、五十店舗を超える県内の有名スイーツ店が集まるスイーツ大茶会において上野焼とスイーツのコラボセットを販売するなど、さまざまな機会を捉えて上野焼の意義、魅力の発信に努めています。また、各窯元では、春の陶器まつり、秋の窯開きに加え、くしくも本日二月十四日はバレンタインデーでありますが、バレンタインとお酒のちょこをコラボさせたバレンタインちょこを企画するなど、現代のトレンドを取り込み続けています。ここなんです。規模の大小にかかわらず、常にこういった新しいアイデア、発想、企画、施策、政策、構想が、本県にも求められているんだと思います。しかし、そういった企画に取り組みながらも、上野焼の従業員数や生産額は減少傾向にあります。したがいまして、さらなる魅力発信が必要とされているところです。  大変前置きが長くなりましたが、そこで知事にお尋ねいたします。先ほど申しました伝統的工芸品月間国民会議全国大会、いわゆる工芸エキスポの開催を一過性のものに終わらせないため、今後、上野焼の振興を図るための上野焼協同組合への支援を県としてどのようにしていくのか、この一点をお尋ねいたしまして、私の一般質問といたします。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 17 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 18 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  上野焼の振興を図るための上野焼協同組合への県の支援でございますが、先日もアクロス福岡の匠ギャラリーで行っておられました、バレンタインデーと、今御指摘の、おちょこを組み合わせた組合の取り組みでございますが、その会場に私も足を運ばせていただいたところでございます。その上でお答えをしたいと思います。  県では、上野焼を初め県内伝統的工芸品の魅力を広く発信、PRをするとともに、その販路拡大による産業の振興及び発展、これを図るために誘致に努力をいたしまして、昨年の十一月でございますが、三十年ぶりに伝統的工芸品の全国大会を当県で開催をいたしました。この大会の開催に当たりまして、県では、伝統的工芸品を身近に感じてもらう、伝統と創造とを融合させ持続的な発展につなげる、これらをコンセプトといたしまして、有名クリエーターや大学との連携など、さまざまな企画を各産地に提案をし、実施をいたしたところであります。  上野焼協同組合では、モデルの西本早希氏や福岡大学の学生さんとも連携をいたしまして、新しいデザインのハイボールカップなどを製作をされまして、若い世代の関心を集め、大きくその売り上げを伸ばしたところであります。こうした成果を踏まえまして、上野焼協同組合におきましては、伝統的工芸品産業の振興に関する法律、これに基づき、新しい視点を取り入れた商品の開発や需要の開拓などを盛り込んだ振興計画というものを、今策定作業、入っておられます。県といたしましては、国や地元福智町とも連携をいたしまして、それに対する助言や情報提供を行いまして、計画策定作業というものを支援しているところであります。今後、振興計画に基づく事業の実施に当たりましても、国からの補助金に加え、県からも助成を行うなど、上野焼の振興というものを図ってまいります。 19 ◯議長(井上 順吾君) 高瀬菜穂子君。 *高瀬議員質問 20 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、福岡県部落差別の解消の推進に関する条例案について一般質問を行います。  今議会に提出された本条例案は、二〇一六年十二月に成立した部落差別の解消の推進に関する法律の実効性を高めるためのものと説明されています。私は、二〇一七年二月議会において、この法律について県の認識をただしましたが、その際、この法律には部落差別の定義がなく、何が部落差別に当たるかの判断を誰がやり、どうやるのかも不明確なままであることを指摘しました。全会派一致で採択された附帯決議は、過去の民間団体の行き過ぎた言動等を踏まえ、これに対する対策を講ずることもあわせて総合的に実施すること、教育及び啓発を実施するに当たっては新たな差別を生むことがないよう留意、実態に係る調査を実施するに当たって、新たな差別を生むことがないよう留意と、慎重な対応を厳しく求めています。これは、この法律により行われる教育啓発や実態調査が新たな差別を生む危険性をはらみ、一部民間団体の行き過ぎた言動を引き起こす危険を認識しているからにほかなりません。部落差別の解消に逆行するとの議論がある中で成立した法律に基づき、全国に先駆けて県条例案を提出されたことは、まことに遺憾であります。  そこで改めて知事の見解を伺います。二〇〇二年の地域改善対策特別措置法の終了に当たって、総務省大臣官房地域改善対策室は、今後の同和行政についてという通知を出し、特別対策を終了する理由として、一、これまで膨大な事業の実施によって同和地区の状況は大きく変化した、二、特別対策を続けていくことは差別解消に必ずしも有効でない、三、人口移動が激しい状況の中で同和地区、関係者に限定した施策を続けることは実務上困難というものです。これについて、同様の認識をお持ちかどうか、まずお尋ねします。  次に、本条例案第一条には、インターネットなどによる部落差別事象があると指摘していますが、法務省調査による人権侵犯事件のうち、インターネットによるものは何件で、そのうち同和問題に関するものは何件ですか、直近の数字でお答えください。また、それら事件は、ネット上の書き込みですか、実質的被害を伴うものですか。同様の県独自調査があれば、あわせてお答えください。  条例案の第二章は、「結婚及び就職に際しての部落差別事象の発生の防止」となっていますが、差別の実態はあるのでしょうか。最後の越えがたい壁と言われた結婚差別も克服され、一九九三年の最後の政府調査でさえ、若い世代では七割が地区内外の結婚と圧倒的多数になっています。本県において、現在でも結婚や就職の際に、部落差別を受けたという明らかな事例はあるのですか。それは何件ですか。また、この問題での県への相談はありますか、何件ですか、お答えください。  本条例案第八条には、同和地区を「歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域をいう。」と記述されています。驚きました。特別対策終結に当たって、同和地域の生活環境は改善していること、実務上困難なほど混住が進んでいることが指摘され、大阪府や岡山県などは、今日、もはや同和地区は行政的には存在しないと答えています。北九州市も、法的には同和地区は存在しないとしています。そんな中で、二十年以上前の福岡県部落差別事象の発生の防止に関する条例を下敷きに、このときと全く同様の規定をするとはどういうことでしょうか。さきに示した国の見解に照らしても、歴史的、社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている同和地区は今や存在していないのではないでしょうか。知事の見解を伺います。  最後に、県が行おうとしている実態調査について伺います。国会論議の中では旧同和地区の対象者を特定するような調査はしないという確認が行われています。県はどのような調査を行おうとしているのでしょうか。現在県が行っている意識調査も、例えば、あなたのお子さんが同和地区の人と結婚しようとしたとき、あなたはどうしますか、など内心の自由を侵すような設問があり問題があると考えます。そして、その問題の設問に対する回答でさえ、子供の意思を尊重するが四七・二%と半数近く、親としては反対だが子供の意思が強ければ結婚を認めるが二四・二%と合わせて七割を超えます。絶対に認めないはわずか三・五%であり、この問題の差別意識はほぼ克服されたと見るべきではありませんか。それは多くの人の人生をかけた努力によって達成されたものです。プライバシーにかかわる個別の問題について、心の中をえぐるような調査はやめるべきです。実態調査を行うことで、実際には起こってもいない差別を見つけ出し、垣根を顕在化することは許されません。差別が存在することを前提に行う調査は差別の解消に逆行するもので、実態調査はやるべきではないと考えます。  県は条例に基づき、どのような調査を行おうとしているのかお答えください。また、知事の実態調査についての見解を伺います。  本条例案は、歴史的、社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている同和地区があるとの旧態依然とした認識でつくられた時代錯誤の条例案であり、差別の固定化につながるおそれがあり、新たな差別につながらないようにという附帯決議に反するものであることから、撤回すべきものと考えます。知事の見解を伺います。(拍手) 21 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 22 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  特別対策終了に当たっての国の考え方に対する県の認識でございます。特別対策につきまして国は、これまでの事業の実施によりまして同和地区の状況は大きく変化をしており、特別対策を続けていくことは差別解消に必ずしも有効ではなく、同和地区、同和関係者に限定した施策を続けることは実務上困難である、そういう認識でございます。県におきましてもこれと同じ、同様の認識を持っておりまして、地域の状況、事業の必要性に応じ、一般対策によって適切に対応してきているところであります。  次に、法務省調査による人権侵犯事件及び県独自の調査についてお尋ねがございました。法務省の調査によりますインターネット上の人権侵犯事件は、過去五年間の合計で八千二百四十八件となっております。しかしながら、その内容、内訳につきましては分類されておらず、同和問題に関する件数や実質的な被害については明らかにされておりません。県及び市町村に相談等がありましたインターネット上の人権侵害事象の件数は、過去五年間の合計で三十七件、そのうち同和問題に関する事象が二十九件ございます。  次に、結婚や就職に際しての部落差別事象でございます。結婚に際しての部落差別について県が直接相談を受けた事例はございませんが、最近、県内自治体等が実施しました調査におきまして、複数の人が結婚差別を経験したことが報告をされております。また、県が実施いたしました人権に関する県民意識調査でも、子供が同和地区の人と結婚しようとするときは、親として反対する、まず反対するという回答がいまだ三割強ありました。就職に際しての差別事象につきましては、国の調査において、本県においても企業が採用の際に就職差別につながるおそれのある質問や書類の提出を求めるなど、不適正なケースというのが報告をされております。これらのことから、結婚及び就職に際して、依然として部落差別意識が解消されていない状況があると、このように考えております。  同和地区でございますけれども、同和地区とは歴史的、社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域でありまして、いわゆる部落差別を受けている地域のことであります。同和地区を特別対策事業の対象として指定いたしておりました特別措置法は失効いたしましたけれども、このことによって部落差別を受けている地域がなくなったということではありません。部落差別解消推進法におきましても、現在もなお部落差別が存在しているというふうにされております。また、同和地区という表現でございますけれども、特別措置法が昭和四十四年に制定される以前から用いられており、現在でも国や多くの地方自治体において用いられておりますことから、引き続き改正案におきましてもこれを使用しているものでございます。  次に、実態調査についてお尋ねがございました。条例案におきましては、県は部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、国が行う調査に協力をするとともに、必要に応じ調査を行うことといたしております。その調査を実施する際には、参議院での附帯決議を踏まえまして、当該調査により新たな差別を生むことがないように留意しつつ、それが真に部落差別の解消に資するものとなるよう、その内容、手続等について慎重に検討してまいります。  次に、この条例案を撤回したらどうかというお尋ねでございました。部落差別に関しましては、従来からの差別発言や差別落書きに加えまして、近年、情報化の進展による状況の変化に伴い、インターネット上の差別書き込みや電子版の部落地名総鑑の問題など新たな事象が発生をしております。また、平成二十八年に、部落差別は許されないものであると規定された部落差別の解消の推進に関する法律も制定されました。こうしたことから、部落差別の解消を推進し、部落差別のない社会を実現するため、基本理念を定め、県の責務を明らかにし、相談体制の充実、教育、啓発の推進などを新たに加える改正案というものを提案させていただいたところでございます。 23 ◯議長(井上 順吾君) 高瀬菜穂子君。 24 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 お答えをいただきましたけれども、御答弁によっても、実質的被害を伴う差別というのはないということだと思います。人権連が二〇一五年に法務省に直接尋ねたとき、この年のインターネット上の人権侵犯事件千八百六十九件のうち、同和問題に関するものは四件と答えたそうです。その前の年が四件、その前はゼロ件です。知事は三割強が結婚差別の意識があるとお答えになりましたが、先ほど私、指摘しましたように、その大半は、反対だが、子供の意思が強ければ結婚を認めるという答えなんです。依然として部落差別意識が解消されていないどころか、基本的に差別意識は解消していると見るべきです。この条例案には、法で言うところの立法事実がないということを指摘しておきます。  知事に一点質問です。知事は、実務上困難なほど混住が進んでいるという特別対策終了時の国の考え方と同じ認識をお持ちだと答えられました。それなのに、本条例案では、歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている同和地区を規定しています。矛盾している、逆行しているとは思われませんか。お答えください。 25 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 26 ◯知事(小川 洋君)登壇 冒頭申し上げました、一番最初の質問でお答えしましたように、国の認識と私の認識、県の認識は変わっておりません。その上で、先ほど来、るる御説明申し上げておりましたように、最近の状況、それからそういう国の見解が出された後、いわゆる選良の府であります国会で、部落差別解消推進法が制定をされたと、そういうことも踏まえまして、今回の条例案を出させていただいたところであります。 27 ◯議長(井上 順吾君) 高瀬菜穂子君。 28 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 お答えいただきましたが、実質的差別がない中で、法もつくられたわけなんです。この条例案に一番傷ついているのは結婚差別を乗り越えてきた人たちです。ある方がおっしゃいました。私たちが結婚するときは苦労した。でも、それを乗り越えて、今差別など全く感じなくなった。そんなときに、いまだ差別があるという条例が出されることは、これまでの努力、人生を否定された思いだ、当事者のこの言葉、重く受けとめていただきたいと思います。本条例案は、立法事実もなく、差別解消にもつながらないことから、撤回すべきものだということを再度強調し、質問を終わります。(拍手) 29 ◯議長(井上 順吾君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。           午 後 零 時 二十一分  休 憩           午 後 一 時 三十一分  再 開 30 ◯副議長(畑中 茂広君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。板橋聡君。(拍手) *板橋議員質問 31 ◯十九番(板橋 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の板橋聡です。今任期最後の一般質問となりますが、通告に従い、今任期を通じて取り組んでまいりました児童生徒の学力向上について質問いたします。  本県の小中学校における学力向上については、教育政策の重要課題として議会でもたびたび議論されてきたところです。都市部への人口一極集中をとめるためにも地域の魅力を高めることが必要で、その中で特に教育が果たす役割は、地味で時間がかかるものですが、一番重要だと考えます。私には小学生の三人の子供がおり、みやま市で子育て中ですけれども、県下どの地域に生まれても、義務教育段階で子供たちの将来の可能性を最大限に広げることができれば、地域の魅力は向上し、定住人口の確保を初めとする地方創生につながるし、またその逆もしかりと実感しております。  その点を踏まえて、私は平成二十八年三月の予算特別委員会において、児童生徒の学力の状況とその向上策について、本県では特に中学生の学力が伸び悩んでいること、そして伸び悩み方も各地域によって特徴があることを指摘いたしました。例えば、私の地元南筑後地区では、全国学力・学習状況調査の結果を分析すると、小学校は全国平均を超え、福岡県全体の成績を牽引するような立場なのが、中学校になると全国平均を下回る成績に落ち込む傾向があります。このような地域の特徴をしっかりと捉えて、県の取り組みを市町村や学校に行き届かせることや、中学校に特化した取り組みの見直しなどを指摘したところです。さらに、同じく平成二十八年十月の決算特別委員会においては、中学校の学力向上に向け、定期考査のあり方や、市町村、学校におけるPDCAサイクルの徹底、小学校五年生から中学校三年生まで継続して学力推移を把握することの必要性などを指摘し、より具体的で実効性のある取り組みを求めたところであります。これらの指摘を受け、県教育委員会においては、各地区の教育事務所から、地域の特徴に応じた支援を行うチームを中学校に派遣したり、県立高校の入試問題を活用した中学校用教材を作成することとなりました。また、各学校で学力向上プランを策定してPDCAサイクルを確実に行うよう位置づけられた上で、県の学力調査の対象に中学校一年生を追加して、小学校五年生から中学校三年生まで切れ目なく学力の変化を分析する取り組みを進めていると理解しております。各地域の学力向上は、人づくり、福岡県全域の均衡ある振興発展にかかわる課題であります。子供が、県内のどの地域で育っても、将来の社会の担い手として活躍できる人材となるために、小中学校の段階で十分な学力を身につけられる環境を整えることこそが未来の福岡県をつくる基盤となると信じております。そのために、単に全国学力調査の点数の上下に一喜一憂するのではなく、課題がある地域に対して着実に取り組みを進め、県内の全ての地域の学力を一定水準に上げていくことこそ、本県教育の使命であり義務であります。  そこで、子供の未来のために、県の学力向上の取り組みについて、教育長に以下三点質問いたします。まず一点目、本県児童生徒の学力の現状について、教育長はどのように総括しているのか御所見を御披瀝ください。  そして二点目、学力向上に向けた県のこれまでの政策は効果があったのか、これまで幾度か質問に取り上げてきた南筑後の状況を含めて御説明ください。また、その課題についてどのように捉えているのかお答えください。  最後に三点目、現在の課題を解消し、さらなる学力向上を図るため、今後、県としてどのように取り組むのか、県教育トップである城戸教育長の意気込みも含めてお聞かせください。  以上、県下全域で子育て世帯の皆様が福岡で子育てしたい、福岡県に住み続けたいと思えるような力強い答弁を期待して、質問を終わります。(拍手) 32 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 *教育長答弁 33 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 児童生徒の学力の現状についてでございます。平成三十年度全国学力調査の県全体の結果では、四教科区分の平均で見ると、小学校は、全国の値を上回っており、四年連続で向上し、調査開始以来最も高い値となっております。中学校は、三年連続で向上傾向にあるものの、依然として全国を下回っており、小学校で伸ばした学力を中学校段階で十分に伸ばすことができていないことが課題と考えております。また、特に中学校では、全ての教科区分で全国の値を超える地区がある一方で、全ての区分で下回っている地区もあり、いまだ地区間格差が解消されておりません。さらに、本県は、生徒の問題解決に向けた主体的な態度や、話し合いによる探究活動などの値が全国よりも低く、今後、小中学校九年間のつながりを意識しながら授業改善などの取り組みを行う学校の組織的マネジメントを徹底させることが必要であると考えております。
     学力向上に向けた施策の効果についてでございます。これまで県教育委員会では、学力向上推進強化市町村の指定による非常勤講師の配置や指導主事の重点的派遣を行い、学力実態の厳しい市町村への支援を継続して行ってまいりました。また、近年は、学校が学力調査結果を活用して全職員で課題を分析し授業改善に生かすための取り組みについて、モデル事例の紹介やすぐれた授業に学ぶ研修の実施、県立高校入試問題を活用した学習資料の提供などを通して意識改革を図ってまいりました。これらの取り組みが学力の検証改善に向けた教員の意識の向上や、筑豊地区小学校の学力向上などの効果を生んでいると考えております。南筑後地区の中学校では、昨年度まで、検証改善サイクルの確立が大きく立ちおくれていましたが、教育事務所による管理職支援訪問や中堅教員を集めた授業改善セミナー等の取り組みを通して、検証改善を行う学校がふえつつあります。しかしながら、思考力を育てる授業づくりに向けた教員の意識や、小学校、中学校間をつなぐ意識は、中学校においていまだ不足しており、その改革を図り、小学校で培われた学力を持続的に高めていくことが南筑後を初めとした本県の課題でございます。  今後の学力向上の取り組みについてでございます。未来社会のつくり手としての学力を育むことの大切さについて、学校が地域、保護者と共通理解し、校区一体となった機運を高めることがまずは重要であり、このため、三月までに全ての小中学校が地域、保護者に対し、学力向上に係る丁寧な説明を行うよう、県として働きかけております。また、平成二十九年度から中学校一年生を県版学力調査の対象に追加し、小学校五年から中学校三年までの切れ目のない状況を把握できるようになりました。これをもとに、中学校段階での学力が伸び悩んでいる地域においては、小中を一貫させた視点から同一集団の経年変化を分析し、そのデータを踏まえた小中合同での研修を行うよう啓発を進めております。あわせまして、他地区のすぐれた取り組みを学ぶ地区間交流研修を充実させ、義務教育九年間をつないだ効果的なマネジメントの具体例を南筑後地区を初め県全体に浸透させ、意識改革を図ってまいります。 34 ◯副議長(畑中 茂広君) 今井保利君。(拍手) *今井議員質問 35 ◯二十番(今井 保利君)登壇 こんにちは、国民民主党・県政クラブの今井保利です。通告に従い、現時点の県の雇用情勢と今後の方向性について知事に質問をいたします。  現在の社会は、デフレ傾向からの脱却ができずに、経済の停滞を引き起こしている状況です。そのような中、さらに少子、高齢化、人口減少が進み、労働力や労働者を取り巻く環境が大きく変化をしていると推測します。有効求人倍率は高い数値で、求職者にとっては売り手市場の雇用情勢は、働く人にとっては有利な環境と言われていますが、企業側にとっては典型的な人材不足であり、新たな外国人労働者の受け入れも決定される中、現状は、中小企業を中心に人の確保が難しく、特に伝統的な産業では後継者不足が叫ばれ、人材確保、育成が経営上の大きな課題となっています。こうした中で、企業が元気に成長していくためには、多種多様な人材を柔軟に、それぞれの持てる力をしっかりと発揮できるよう活用していって、新しい働き方をつくっていかなければならないときであると思います。高齢者には高齢者の、若者には若者の、それぞれの立場で力を発揮できる社会環境、雇用環境を県は整える必要が大きくなっているのが今日の状況です。  そこで、知事にまず高齢者の活用について質問いたします。一点目の質問は、私は平成二十八年二月定例会で、七十歳現役応援センターにおける七十歳まで働ける制度の導入についてお尋ねいたしました。その後の実績はどのようになっているのか、現状をお聞かせください。  二点目の質問は、高齢者が働くに当たっては、それまでの職業人生で培った大きな経験、知識がある一方で、加齢に伴う避けられない体力の低下や、場合によっては病気と仕事との両立といった、若い人とは異なる働く場所や職域をつくっていかなければならないと考えます。特に大切なことは、企業が高齢者に活躍してもらう働く場所や職域を見出していくことです。このことに対して、県はどのような支援を講じているのか、具体的にお答えください。  次に、就職したいと希望する子育て中の女性に対する就職支援についてお尋ねします。子育て中の女性におかれては、離職後のブランクがあり再就職への不安を抱えている方や、家事や育児が忙しいということで、仕事と家庭の両立に不安を感じていられる方など、さまざまな課題を持っている方が多いとお聞きしています。県では、子育て女性就職支援センターを設置しておられますが、センターでは、これらさまざまな事情を抱えておられる子育て中の女性に対し、どのような就職支援を行い、どのような実績を上げているのか、お答えください。  三点目、最後に若者の雇用についてお聞きします。私の地元でも、いわゆるニートの状態が長く続いている若者がおられます。その多くの方は、親御さんの支援を受け生活をしておられます。しかし、親御さん、御両親も高齢化する中で、将来に対する不安を抱えておられると耳にします。こうした方々も、しっかりと持てる力を発揮できるよう支援をしていかなければならないと考えます。さまざまな事情から、コミュニケーションや社会生活に問題を抱えている方も多いので、単に就職といった観点ではなく、総合的な支援が必要と考えます。県としては、こうした方々の就労に向けてどういった支援を行っているのか、お聞かせください。  知事の真摯な答弁をお願いいたします。(拍手) 36 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 37 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  七十歳まで働ける制度導入の実績でございます。県におきましては、県内四カ所に七十歳現役応援センターを設置をいたしまして、おおむね六十歳以上の方を対象に就業、社会参加の支援に取り組んでおります。センターにおきましては、高齢者の活躍の場の拡大を図るため、県内の企業を訪問いたしまして、定年の廃止、定年の延長、そして継続雇用といった七十歳まで働ける制度の導入について働きかけているところであります。平成二十四年のこのセンター開設以来、昨年十二月末までに二千七百十四社の企業を訪問いたしまして、そのうち五百六十五社がこうした制度を導入したところであります。  高齢者の働く場所や職域の拡大についてでございます。県におきましては、平成二十四年に七十歳現役応援センターを設置をし、高齢者雇用に対する企業の理解、高齢者が働きやすい職場環境の整備を図るため、福岡労働局と連携をいたしまして、高齢者雇用促進セミナーなどを開催をしてきているところであります。特に、二十八年度からは、新たにアドバイザーを配置をいたしまして、人手不足が深刻な介護サービス分野、小売業、食料品製造業におきまして、専門的知識や技術がなくても行える業務というものを切り分けした事例など高齢者に適した職場環境や働き方、これについて提案をいたしまして、高齢者の新たな職域の拡大や求人の開拓を行ってきているところであります。これらの取り組みによりまして、昨年十二月末までに、新規求人企業数は三千二十三社、新規求人件数が六千八百二十件となっているところであります。今後とも、企業に対し、こうしたアドバイスを行いながら、高齢者雇用を促進してまいります。  次に、子育て中の女性に対する就職の御支援であります。県におきましては、県内四カ所の労働者支援事務所内に子育て女性就職支援センターを設置いたしております。特に、北九州地区のこのセンターにおきましては、全国初の取り組みといたしまして、国、北九州市の関係機関と一体となって再就職、キャリアアップ、創業など女性の幅広いニーズにワンストップで対応することができるウーマンワークカフェ北九州を運営をいたしております。このセンターでは、再就職への不安や保育サービスの確保などさまざまな悩みを抱えておられる求職者お一人お一人の状況に合わせまして就職相談、就職先のあっせん、面接に際しての具体的なアドバイスと面接への同行、就職後の近況を確認し相談に応じる、その定着の支援など、きめ細かな支援を行ってきているところであります。また、子育て中の女性が身近な地域で就職できるよう県内四地域で合同会社説明会を開催するほか、男女共同参画センターや地域子育て支援センターなど子育て中の女性が多く御来所されるような県内十九カ所の施設、ここに出張いたしまして、就職相談を実施しております。これらの取り組みの結果、平成二十一年の子育て女性就職支援センターの開設以来、昨年十二月末までの間に、五千八百三十九人の子育て女性の方の就職が実現いたしております。今後とも、勤労意欲のある子育て中の女性が一人でも多く就職されますよう支援を続けてまいります。  次に、若年無業者の就労の支援でございます。県におきましては、若者サポートステーションを設置をいたしまして、働くことに自信を持てずに無業状態にある若者を対象といたしまして、職業的自立に向けた支援を行ってきているところであります。若者サポートステーションにおきましては、県内四地域の常設拠点と九カ所のサテライトオフィスにおきまして、本人や家族としっかり向き合い、心理相談やグループワーク、就労体験などを通じて働く意欲を引き出し、就業、定着につながるよう継続的な支援を行っているところであります。若者サポートステーションにおける相談の中には、職業的自立に向けた支援に加えまして、ひきこもりの支援、心や発達についての相談支援、また学習支援などが必要な方もいらっしゃるわけであります。このため、ひきこもり地域支援センター、精神保健福祉センター、各地域の学校など関係機関と連携、協力した御支援も行っているところであります。今後とも、若年無業者の職業的な自立に向けまして、個々人の状況に応じたきめ細かな支援を続けさせていただきます。 38 ◯副議長(畑中 茂広君) 今井保利君。 39 ◯二十番(今井 保利君)登壇 御回答ありがとうございました。  一点のみ要望をいたします。経済社会の活力を与える要素としては、資本と技術革新と同等に、労働力人口が重要だと言われています。先ほど述べましたように日本の人口は減少傾向で、このような傾向が続けば、経済成長にマイナスの影響が及ぶと考えられます。社会で支えられる側から社会を支える側に人々が回る、就労能力のある人が労働力として参入することを通じて、量的に見た労働力人口の目減りを抑えることができれば、生き生きとした社会への展望が開けてきます。特に人的資源の上で脆弱な人々を労働力として活用することが重要で、労働力として活用するには、どうしても公助による支援が必要不可欠です。福岡県としては、このような視点に立ち、労働力の拡大と雇用環境を整える、このことを行うことが必要だと私は考えます。このことを強く要望し、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 40 ◯副議長(畑中 茂広君) 松尾嘉三君。(拍手) *松尾(嘉)議員質問 41 ◯十七番(松尾 嘉三君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の松尾嘉三でございます。今回の私の質問でございますが、先ほどの今井議員とちょっとかぶっているかもしれませんが、退職者の年金受給に至るまでの支援について、知事並びに関係所管にお尋ねいたします。  最近、地域のイベント等に参加させていただきますと、団塊の世代の方々と懇談する機会が多々ございます。その話の中で、退職後の国民年金の受給開始年齢前の四年間、また春日市には多い自衛官の退職者の場合は九年の間、国民年金の受給開始年齢前から年金受給に至るまで、再就職につけなければ、全くと言っていいほど収入がなく、今までの預貯金を切り崩しての生活が続いており、県で就職あっせん等の施策はないのですかとの問いに、五十歳代の方には中高年就職支援センターの利用を促したり、高齢者の方々には市のシルバー人材センターや県の運営している七十歳現役応援センターを紹介したりと、その要望は年々増加傾向にあると肌で感じております。  平成二十五年の福岡県の有効求人倍率は〇・八三でございました。しかし、我が自民党の経済対策や雇用政策の改善等により、翌年には一・〇に回復。また、直近の本年度では一・六〇と、バブル景気のピークだった一九九〇年七月の一・四六を大きく上回り、一九七四年二月の一・五三以来、四十三年二カ月ぶりの高水準を記録するまでになりました。まことに喜ばしい限りでございます。しかし、今後の本県の人口減少が想定される中、我が県の活力を保ち、現在の経済成長を維持していくためには、女性や高齢者、障がいを持つ方など、働く意欲と能力を持つ全ての方々が、持てる能力を発揮できる社会としていくことが重要であると思っております。その中で、高齢者に目を向ければ、それまでの人生の中でさまざまな職につかれ、多様な能力と経験を持っていらっしゃる方々。元気な高齢者が力を発揮し社会に貢献していただくことは、御本人の人生を豊かにすることにつながることはもちろんのこと、社会にとっても、経済や社会保障など、さまざまな面でよき方向に向かうと思われます。本県は、全国に先駆けて七十歳現役応援社会を提言し、高齢者の就職や社会参加を促進してきた経緯があり、一定の成果を上げていると思っております。しかし、その一方で、六十歳で定年になり、六十五歳で国民年金の受給が開始されるまでの間、思うように職につくことができず、日々の生活に困難を抱えている方々がいることも、これ事実であります。さきに述べましたが、私は、現在の好景気の雇用情勢の機を持ったときにこそ、今後の少子、高齢化社会に打ちかっていけるような、生涯雇用体制的な福岡の経済社会の確立が必要不可欠ではないかと強く思う次第でございます。  そこで知事にお尋ねいたします。知事は、小川県政下において、ここ数年で雇用者数がふえていることを経済成長の成果として御主張されているようでございますが、高齢者、特に六十歳から六十四歳までの国民年金の受給開始年齢前の世代の雇用者数はどのように変化していると思われるのでしょうか。その実情はどのようになっているのか、御説明願います。  我が国全体の制度といたしましては、企業に対し、六十歳で定年を迎えた場合でも六十五歳までは雇用を確保するように、高齢者雇用安定法で定めてあります。しかしながら、多くの企業では、単に非正規雇用として雇用延長するのみで、以前との比較により、収入の減少によって職を離れる高齢者の方々も多く、求人側と求職側がうまくマッチングしていない現状ではないでしょうか。  そこで、高齢求職者と企業がうまくマッチングし、雇用の場を広げていくためには、求人側、求職側それぞれどのような対応が必要だとお考えなのでしょうか。これまで十年間運営してきた七十歳現役応援センターの実績の知見を踏まえ、知事の御所見をお伺いいたします。  さきも述べましたとおり、現在、労働市場は未曽有の売り手市場であります。逆に、地域の中小企業は、人材の確保にとても苦しんでおります。求人側が若い労働力の確保に苦慮しているのであれば、せめてさまざまなキャリアのある高齢者に活躍してほしいと考慮している企業も多いと思います。しかし、具体的にどのように対応すれば高齢者の方々に御活躍の場を与えることができるのか。そのノウハウも持ち合わせていない企業が多い感じがいたしております。  そこでお尋ねいたします。このように高齢者の求人をお考えの企業に対して、県が、高齢者を積極的に採用していただくように、うまく活用できるような具体的な支援策が必要と考えております。本県は現在、このような企業に対してどのような支援を行っているのか、知事にお尋ねいたします。 42 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 43 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  六十歳から六十四歳までの雇用者数でございます。福岡労働局が毎年公表いたしております高年齢者の雇用状況、これによりますと、本県の三十一人以上の規模の企業が雇用されています高齢者のその数でございますが、六十歳から六十四歳までの国民年金の受給開始年齢前の年齢層におきまして、三十年、昨年は八万四千二百三十二人でございまして、前年の二十九年に比べ一千八百十六人増加をしているところであります。  高齢求職者の雇用の場を広げるための対応でございます。七十歳現役応援センターの活動の中で、企業側にお伺いをしたところ、高齢者向けの求人を出さない理由としまして、高齢者に適した仕事が社内にない、また高齢者は体力、健康面で無理がきかない、そういった御意見がありました。しかしながら、既存の業務内容を見直し、高齢者が分担できる業務を切り出したり、短時間勤務など柔軟な勤務時間を設定したりすることによりまして、高齢者の方が活躍しているいい事例もあります。そういうことから、これを他の企業にも広げていくことによりまして、高齢者の雇用の場をふやすことができると、このように考えております。一方で、高齢求職者の状況について見ますと、これまでの職務経験から希望職種や処遇にこだわられる方がいらっしゃいます。そういう方の場合は、求職期間が長くなり、マッチングが困難なケースが見受けられます。このため、求職相談に来られる高齢者の方々に対しましては、これまでの職務経験にこだわらず、幅広い職種について求職活動をされるようお勧めをしたり、そのための高齢者の求人の状況についての情報提供をしたり、介護分野や小売業に関する基礎知識の習得や施設見学を盛り込んだセミナーへの参加の働きかけ、それらを通じましてマッチングの可能性を高めているところであります。  次に、高齢者を活用しようとする企業に対する県の取り組みについてでございます。企業が高齢者を活用するためには、まず七十歳まで働ける制度を導入することが求められます。このため、平成二十四年の設置以来、七十歳現役応援センターにおきましては、県内の企業を訪問し、高齢者を積極的に採用している別の企業の取り組みの事例、また我々の助成制度などにつきまして御紹介をしながら、定年の廃止、定年の延長、継続雇用といった七十歳まで働ける制度の導入について働きかけを行ってまいりました。この働きかけによりまして、七十歳まで働ける制度を導入した企業は、昨年十二月末までに五百六十五社になっております。また、高齢者雇用に対する企業の理解、高齢者が働きやすい職場環境の整備を図ることも重要であります。このため、福岡労働局と連携をいたしまして、高齢者雇用促進セミナーなどを開催をしているところであります。平成二十八年度からは、新たにアドバイザーを配置いたしまして、人手不足が深刻な介護サービス分野、小売業、食料品製造業において、専門的な知識や技術がなくても行える業務を切り分けした事例など、高齢者に適した職場環境や働き方について提案をし、高齢者の方々の新たな職域の拡大、また求人の開拓というものを行っているところであります。これらの取り組みによりまして、昨年十二月末までに、新規求人企業数が三千二十三社、新規求人件数は六千八百二十件となっているところであります。一方、高齢求職者に対しましては、御本人の希望や資格、能力、これを十分お伺いをし、その方に適した求人企業とのマッチングに取り組んでいるところでございます。その結果、平成二十九年度は登録者の五二%の一千四百七十七人の就職が決定をいたしております。今後とも、こうした取り組みによりまして、高齢者雇用というものを促進してまいります。 44 ◯副議長(畑中 茂広君) 松尾嘉三君。 45 ◯十七番(松尾 嘉三君)登壇 知事の御答弁をお聞きいたしましたが、高齢者数の伸び率に比べますと、七十歳現役応援センターの進路決定者数、マッチングによる進路決定者数の増加率が追いついていないと正直思われます。少ないと思われます。今議会で、我が自民党代表質問でも出されました県民幸福度日本一の全国三十位というデータ、私は、やはりこの高齢者の生涯雇用対策が追いついていないのが一因と思われます。逆に、この部分にメスを入れることができるならば、必ずや全国順位も向上するものと推測できる次第でございます。ぜひ、生涯雇用が可能な社会の実現を目指して、福岡の経済社会を確立していただきますよう強く要望し、今期最後の私の一般質問を終わります。  皆様、まことにありがとうございました。(拍手) 46 ◯副議長(畑中 茂広君) 渡辺美穂君。(拍手) *渡辺(美)議員質問 47 ◯五番(渡辺 美穂君)登壇 国民民主党・県政クラブ県議団の渡辺美穂です。通告に従って一般質問を行います。  今回は、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊法施行に伴う課題について県の考え方をお伺いします。民間事業者や個人が、都道府県に所定の書類をもって届け出ることで旅行者などに宿泊所を提供することができるようになる住宅宿泊事業法は、平成三十年六月十五日から施行されました。法の施行以来半年以上経過した一月十一日現在、本県に七百九件の届け出があり、一月に百件弱のペースで広がりを見せています。市町村の空き家対策として、あるいは宿泊施設が足りない観光地にとって商業や国際交流などの面でさまざまな利益をもたらすことができる一方、特に戸建てが多い住宅街における民泊施設開設は、誰が宿泊するのかわからない、万一事件や事故、迷惑行為が起こった場合、どのように対応していいのかわからないなど、地域住民との間のトラブルを通じて法の整備が不十分であると指摘されています。そこで、今後この法律の趣旨をさらに生かすために、届け出を受ける県として国に対して現場の声を伝えていただくためにも、以下質問を行います。  まず、民泊に関する苦情についてです。この法律では、民泊を開設する場合、近隣への説明会の実施は義務づけられていません。しかし、特に戸建ての多い住宅地において、何の事前説明もなく、ある日突然民泊施設が開設されることに不安を覚える住民もいらっしゃるのではないでしょうか。  そこでまず、現在までに民泊についてどのような苦情が県に寄せられているのか、把握している範囲でお聞かせください。  次に、法律で定義されている住宅の要件についてです。住民が住んでいる家屋を民泊施設として利用する家主居住型の民泊施設の場合、外に設置することが義務づけられている民泊施設であるということを示す表示板に緊急連絡先は記載されていません。しかし、実際に住んでいないのに住んでいるような届け出が行われ、問題が起きたとき、どこに連絡すればいいのかわからないというトラブルが全国で起きていると聞いています。私が知っている範囲でも、新築で人が住んだことがないと思われる個人の住宅が民泊として届けられ、県においても家主居住型の民泊施設として受理されたケースがあります。  そこでお尋ねします。そもそも人が一度も住んだことがない、使用実績がないと思われる新築の個人住宅であっても、本法律で言う住宅に該当するのでしょうか。わずかな期間でも住居として使用実績があればいいのでしょうか。さらに、新築の場合、住宅用に建てられたのか民泊用に建てられたのかを判断する一つの方法として、入居者を募集したかどうかも大切な実績になると思いますが、どれぐらいの期間、入居募集を行えば本法律上の住宅として認められるのか、その基準もお示しください。  また、家主居住型の民泊施設においては、家主は常時住んでいることが必要となるのではないでしょうか。例えば、通常は使用していない別荘などであっても、家主居住型の民泊施設になるのかお伺いします。  県では届け出を受理した後、本県の独自施策として届け出どおりの運用が行われているのか、現地確認を行っておられますが、その方法と現在までの確認件数をお示しいただくとともに、これまで届け出変更が行われたのであれば、その内容についてお聞かせください。  このような民泊に関するトラブルは、地域住民のみならず地元自治体としても憂慮すべき問題でありますので、県だけではなく市町村としても届け出に関する情報を把握しておくことは有用であると考えます。  そこで、届け出物件に関する情報を地元自治体にも提供、共有する考えはないのか、県としての見解をお示しください。  全国で同様のトラブルが起きることを危惧し、都道府県及び特別区を含む保健所設置市百五十自治体のうち京都府や岐阜県など三割の自治体が民泊を経営する事業者あるいは個人に対して、それぞれの自治体の状況に合わせた条例を制定しています。  今後もふえ続けることが予想される民泊に対して、本県として条例を検討することはないのか、知事のお考えをお聞かせください。(拍手) 48 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 49 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、住宅宿泊事業に関する苦情でございます。住宅宿泊事業法が施行された昨年の六月十五日からことしの二月八日までの間に県に寄せられた苦情は全部で十八件ございます。その内容の主なものでございますけれども、法令で定められた標識が掲示されていないものが九件、届け出内容と異なり客の宿泊時に家主が不在の疑いがあるものが三件、ごみ処理に関するものが二件となってございます。  法で定義されている住宅の要件についてお尋ねがございました。この法律におきまして、住宅とは、現に人の生活の本拠として使用されている家屋、入居者の募集が行われている家屋、随時その所有者、賃借人または転借人の居住の用に供されている家屋となされているところであります。お尋ねの新築の住宅の場合、わずかな期間であっても住居としての使用実績があれば本法の住宅に該当いたしますけれども、使用実績が全くない新築の住宅につきましては、入居者の募集がない限り住宅には該当しないことになります。  次に、入居者の募集につきましては、届け出時点で行われ、それ以降も継続されていることが必要であります。また、住宅宿泊事業者が住宅に常時居住をしていない、例えば別荘などにつきましても、宿泊者がいる間、その事業者が在室をし、管理業務等をみずから行う場合には、家主居住型に該当いたします。なお、事業者が不在である場合でありましても、管理業務を住宅宿泊管理業者に委託をすることによりまして、事業を実施することができます。  次に、届け出住宅の現地確認についてお尋ねがございました。法律では、住宅宿泊事業の適正な運用を確保するため、事業者に対しまして、標識の掲示、近隣住民からの苦情への対応等の責務が課せられております。このため、法律では規定をされておりませんけれども、我が県におきましては、全ての届け出住宅を対象といたしまして、事業者または住宅宿泊管理業者に事前連絡を行い、立ち会いのもと、現地確認を実施いたしております。その際、届け出内容に合致した営業がなされているかなどの確認を行うとともに、事業者に課せられた責務について、その周知徹底を図っております。なお、本年一月末までに、届け出件数の約八割に当たります五百四十九件の住宅について現地確認を行ったところであります。  次に、変更の届け出について御質問がありました。本年二月八日までに、五十二件の届け出がなされております。その内容につきましては、住宅宿泊管理業者の変更が三十一件、事業者が法人である場合の役員の変更が十六件、事業者の連絡先等の変更が三件、新たに管理委託を行うこととなったものが二件とそれぞれなっております。  届け出住宅の情報共有についてでございます。届け出住宅の情報につきましては、国の民泊制度運営システムにより一括管理をされているところであります。県におきましては、現在、このシステムを利用するなどいたしまして、消防、警察、旅館業法を所管する保健所設置市との間でこの情報を共有いたしております。今後、保健所設置市以外でありましても、届け出住宅が存在する市町村につきましては、住民からの問い合わせ等に当該市町村が円滑に対応できるよう、当該システムを活用し、情報共有を図ってまいります。  次に、条例制定に関する県の考えでございます。法におきまして、都道府県は、騒音の発生などによる生活環境の悪化を防止するため、合理的に必要と認められる限度において条例で住宅宿泊事業の実施を制限することができるとされております。この条例につきましては、苦情発生の状況、指導監督の状況、生活環境の変化等その実態を見ながら、必要があれば、その制定について検討してまいります。 50 ◯副議長(畑中 茂広君) 渡辺美穂君。 51 ◯五番(渡辺 美穂君)登壇 御答弁ありがとうございました。幾つか要望させていただきます。  今、知事に制度面についての御答弁をいただきましたけれども、この法律はそもそも机上で考えられた制度であり、現場では、町なかにおいてマンションを一棟貸しで民泊を行う場合などとは違って、戸建て住宅が密集する地域での突然の民泊開設は、最初のボタンをかけ違えると地域の理解を得ることが難しく、トラブルが長期化する可能性があります。まずは届け出を受ける県として、事業者などに地域住民への十分な説明を行うよう周知すること、また答弁で御紹介があった民泊制度運営システムについて市町村へ周知を図ること、その上で、県が現地確認を行う際、市町村と連携して運用実態の把握に努めていただくこと、あわせて法律が改正されないのであれば、本県独自の条例制定についても今後、地域の意見を聞いた上で前向きに御検討いただくように要望しておきます。  宿泊目的で建設された建物は、旅館業法で各種規制がかけられますが、本法律に基づいた届け出が行われれば、実際は民泊目的の建物であっても確認が困難であるため、住宅とすることができます。今後国は手続の簡略化を考えているということですが、今のままで単に簡略化したのでは、混乱する現場がふえる可能性が極めて高くなると考えます。民泊が安全に地域で歓迎される仕組みとするため、特に住民への説明を義務化すること、届け出どおりの運営が行われているかどうか、県が常時確認することは困難ですから、市町村がもっと主体的に取り組める仕組みづくりを行うことができるようにするなど、法の充実を求めて国に対して働きかけていただくことを要望して、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 52 ◯副議長(畑中 茂広君) 片岡誠二君。(拍手) *片岡議員質問 53 ◯十二番(片岡 誠二君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の片岡誠二でございます。今回は、通告に従いまして、県内の小中学校の英語教育の充実について質問を行います。           〔畑中副議長退席 井上議長着席〕  グローバル化が急速に進展する中、英語教育の高度化を進めるため、国では、学習指導要領の改訂を行い、二年後には、小学校英語教育の教科化を行うとともに、来年度より、中学校の英語科授業の評価、改善及び生徒の英語力向上を図るため、全国学力調査に英語を取り入れると聞いております。本県中学生の英語力の向上は喫緊の課題であると考えられますし、小学生については、初めて取り組む教科としての英語であり、より丁寧で質の高い指導が求められることになります。このような中、平成三十年度の県教育委員会の新規事業では、英語関係企業と連携した研修の実施による英語指導力の高い中核教員の育成、各市町村における英語教育推進体制整備に取り組むとされています。英語力、指導力の高い教員が小学校、中学校において充実した指導を行うことができるよう、英語教育推進体制の整備を着実に進めることは、これからの学校教育にとって欠かすことのできない支援であると考えております。  私の地元中間市では、なかまっ子放課後イングリッシュスクールとして、放課後、外国人講師による英語コミュニケーション活動や、児童英検に向けた学習を行うことにより、グローバル化に対応した教育環境の整備を推進しております。さらに、なかまっ子チャレンジ英検受検補助金として、小中学校の希望者全員に英検の受検料を補助し、英検受検率向上を通じて児童生徒の英語力向上を図っております。このように、英語教育に取り組む市町村への支援、連携を県として進めていくことは、県全体の英語教育の充実、ひいては本県の未来を担うグローバル人材を育成する上で極めて重要なことではないかと考え、その成果に強く期待を抱いているところでございます。  そこで、教育長に何点かお伺いいたします。県内の小学校英語教育充実のため、県として、具体的にどのような取り組みを進めておられるのか。また、英語教育推進の前提として、小学校、中学校ともに、英語の指導を行う教員の資質向上が重要であると考えますが、現在、県として、どのように指導力の高い教員の育成を行っているのかお聞かせ願います。  さらに、生徒一人一人の英語力を磨くために、県はどのような取り組みを行っているのか、あわせて小中学校の連携した取り組みも必要であると考えますが、このことについて県教育委員会としての認識をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手) 54 ◯議長(井上 順吾君) 城戸教育長。 *教育長答弁 55 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 小学校英語教育充実のための具体的な取り組みについてでございます。小学校の英語教育充実のためには、まずもって各学校における英語教育推進体制を構築することが重要であります。このため、本年度と次年度の二カ年間で、県内五十八市町村の各一中学校区をモデル地区として指定し、英語力、指導力にすぐれた教員が小学校を巡回し、モデル授業の公開や研修の実施、教育課程編成への助言を行う等の支援を行っております。  小中学校での英語指導力の高い教員の育成についてでございます。本県では、英語教育のあり方や指導方法等について実践的に学ぶ小学校教員の英語力、指導力向上研修を実施しておりまして、これにより小学校英語教育推進の中核となります教員九百名を育成してきております。さらに、本年度からは、当該教員を対象として、英語関係企業のノウハウを取り入れ、語学力の向上に重点を置いたスキルアップ研修を実施しております。また、中学校英語教員には、初任者の段階で全員に英検準一級を受検させるための補助を行うとともに、読む、書く、聞く、話すの四技能をバランスよく育成する授業を英語で行うための研修を実施しております。加えまして、英語力の高い小学校教員を確保するため、来年度の教員採用試験から、中学校または高校の英語の教員免許状所有者や英検準一級以上の英語力を有する者に対し、第一次試験の専門試験の得点に一定の点数を加算する優遇措置を実施する予定でございます。  生徒一人一人の英語力を磨くための県の取り組みについてでございます。県として、本年度から新たに、中学校三年生全員を対象に、英検三級程度を測定できる簡易版のテストを実施しております。また、県中学生英語スピーチコンテストを実施し、互いの考えを英語で発表、交流し、日ごろの学習で身につけたコミュニケーション能力を発揮する場を設けております。これに加えまして、県内の市町村では、中間市のような取り組み以外にも、例えば、休み時間に生徒がALTと自由に会話を楽しめる英語サロンを開設したり、一日中英語を使って学校生活を送ったりする取り組みなどが行われております。  小中学校の連携した取り組みについてでございます。小学校において英語が教科とされたことに伴いまして、九年間の系統的な教育課程の編成や指導の一貫性を確保する必要があり、小中学校の連携は極めて重要であります。このため、県内の二市を研究地域として指定し、小中連携による外国語教育の推進方策を実践研究しておりまして、今後、その研究成果を教員研修等を通して県内全体へ広げてまいります。 56 ◯議長(井上 順吾君) 江頭祥一君。(拍手) *江頭議員質問 57 ◯七番(江頭 祥一君)登壇 こんにちは、自由民主党福岡県議団の江頭祥一です。通告に従いまして、筑豊地域の水田農業の振興について一般質問をさせていただきます。  本県は、耕地面積の約八割を水田が占め、その割合は全国平均の五割程度と比べても非常に高いという特徴を持っております。これは、私たちの先祖が九州で最も多い五千カ所という数のため池や用水路などの農業土木施設を、命をかけて整備してきたからにほかなりません。私の地元嘉麻市にも、漆生用水という記念碑があります。江戸時代、この地域の庄屋たちが、嘉麻川の水を水田に引くため用水路の工事を役所に願い出ました。しかしながら、役所からは資金の援助がない上、失敗すれば成敗するという厳しい条件つきの許可であったそうです。村人はみんなで力を合わせ、この大工事を完成させました。現在でもこの用水路には豊かな水が流れ、この地域の水田を潤しています。こういった先人が残してくれた水田でつくられる米は、私たち日本人の主食であるとともに、その生産を通じ、農村の伝統や文化と深く結びついてきました。また、米をつくる水田は、雨水を貯水し、洪水を防ぎ、さらに多様な生き物を育み、その風景は私たちの心を和ませるといった多面的機能を有しており、その恩恵は、農業者にとどまらず国民全体が享受してきました。この水田農業を守り、育てていくことは、私たちの使命であり、我が会派としましても、この問題について繰り返しただしてきたところであります。  しかしながら、水田農業は国の政策に大きく左右されるものであり、平成に入ってからも、幾度となく制度設計が変更されてきました。さきの十二月議会の代表質問では、平成三十年産から始まった新たな米政策のもとで実施されている米の需給調整についてただしたところですが、高齢化や人口減少により、米の消費は今後も減少が見込まれることからすれば、米価の安定のためには、需要に応じた米の生産が今後ますます重要となってくるものと思います。もっとも、国は需給調整の必要性は認めており、その裏づけとして、経営所得安定対策といった予算については、しっかり確保されていると聞いております。しかしながら、耕地面積に占める水田の割合が九割近くと、県平均の八割を上回り、県が開発したブランド米、夢つくしや元気つくしの作付が多く、おいしい米どころとして知られる私の地元筑豊地域においては、特に大きな問題であると考えております。  そこで知事にお尋ねします。平成三十一年産米の需給調整について、本県はどのように取り組んでいるのかお答えをお願いいたします。  また、昨年末にはTPPイレブン、今月一日の日・EU・EPAの発効に加え、春以降には、米国との日米貿易物品協定の協議が開始されると言われていますが、米国の米生産団体などは、我が国への米の輸出を政府に強く求めているとの報道もあるように、米をめぐる情勢は、今まで以上に厳しくなるものと思います。こういった状況の中、米が主体の筑豊地域においても、近年は、麦や大豆の生産に加え、イチゴ、ブロッコリー、アスパラガスなどの野菜、トルコギキョウなどの花卉、ブドウやリンゴなどの果樹の振興を進めるとともに、福岡や北九州都市圏に隣接しているという立地条件を生かし、消費者を呼び込むために、新鮮で安全、安心な農作物を提供するための農産物直売所や、観光農業などの取り組みも盛んに行われております。朝倉や久留米地域の法人組織では、米、麦、大豆などによる土地利用型の経営に加えて、園芸品目を導入して収益性を高めている生産組織もあると聞いており、私の地元である嘉麻市の農事組合法人小野谷の郷において、シンテッポウユリの導入により、経営の複合化を進めている事例も出てきております。実は昨年、この地区には農林水産委員会でも視察に来ていただきました。この組織では、古くから水稲を中心として農業を営んできましたが、農業機械や育苗の共同化、獣害対策などについて、地域全体の話し合いを進め、圃場の区画整備や営農組織の設立により活動を強化しており、新たな品目の導入についても積極的に行っているところです。このような取り組みが評価され、先ごろ、平成三十年豊かなむらづくり全国表彰事業において、農林水産大臣賞を受賞するまでになっております。このように優良事例を見ると、今後、本県の稲作農家が生き残っていくためには、高品質な米の生産はもとより、生産コストの低減や経営の複合化などの取り組みが重要な課題であるのではないでしょうか。  そこで知事にお尋ねいたします。県は、米が主体の筑豊地域において、どのように水田農業を振興していかれるのか、お答えをお願いいたします。  私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手) 58 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 59 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  平成三十一年産米の需給調整でございます。県におきましては、農業団体等と一体となりまして組織をしております県水田農業推進協議会におきまして、全国の三十一年産米の需給見通し、産地別の価格、在庫量などの情報を踏まえまして、米の生産の目安となる数量を算定の上、昨年十二月、市町村、農協等で構成されます県内六十五の地域協議会へこれを提示いたしました。また、県といたしましては、農家所得が確保できるよう、大豆の生産拡大、排水条件の悪い地域では飼料用米の作付といった水田フル活用の方針を示したところであります。その結果、三十一年産米の現段階の作付見込みでございますけれども、本県の目安であります三万五千五百六十三ヘクタール以下となっております。さらに、国に対して、需要に応じた生産の促進、水田フル活用の推進に必要な予算の確保につきまして要望してきたところでございまして、引き続き、働きかけを行ってまいります。県といたしましては、こうした取り組みを通じて、需要に応じた米の生産を進めてまいります。  次に、筑豊地域の水田農業の振興についてお尋ねがございました。筑豊地域は、水田の割合が九割と高く、米が農業産出額の三割を占める主力品目となっております。県におきましては、農家所得の向上を図るため、消費者からの高い評価を受けております元気つくし、収量が多く、外食、中食事業者からの需要が見込まれます新品種であります実りつくしへの作付転換を進めてきているところであります。麦、大豆につきましても、排水対策や適期播種など、収量や品質向上のための栽培技術について指導を徹底し、生産の拡大を進めております。また、生産コストの低減に必要なコンバインなど高性能の機械の導入を進めるとともに、品質の高い米、麦、大豆を安定的に供給できるよう、乾燥調製施設の機能向上や再編整備につきましても支援をしているところでございます。さらに、米、麦、大豆の生産に加えまして、野菜、花卉などの園芸品目を経営に取り入れ、収益力を向上しております優良事例というのが出てきております。そのことから、こうした経営の複合化についても推進をしてまいります。県といたしましては、こうした取り組みを通じまして農家所得の向上を図り、筑豊地域の水田農業を振興してまいります。 60 ◯議長(井上 順吾君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。
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