↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井上 順吾君) ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。阿部弘樹君。(拍手)
*
阿部議員質問
2 ◯四十八番(阿部 弘樹君)登壇 皆さん、おはようございます。
自民党県議団の阿部弘樹です。通告に従いまして、福岡県
消防学校跡地の利用についてを質問させていただきます。
福津市は、政令都市である福岡市と北九州市いずれにもアクセスが容易な人口約六万五千の町で、ここで暮らす人々、ここを訪れる人々に幸福になってほしいという願いと、たくさんの人が集まり交流する津と書きまして港のような町でありたいと、平成十七年一月に旧福間町と旧津屋崎町が合併して誕生しました。市内には
JR鹿児島本線が国道三号と並行して走り、福間駅から快速電車で博多駅まで二十五分、小倉駅まで四十五分と都市圏へのアクセスがよく、また
福間駅東土地区画整理事業の完了や
大型商業施設の立地、公共下水道の整備による住民利便性の向上もあり、近年開発された住宅団地などへの転入が相次いでおり、日本全体が人口減少へ移行する中、福津市では子育て世代を中心に年一千人を超える人口増加が続いています。
一方で、都市圏に近い環境であるにもかかわらず、豊富な自然に恵まれ史跡が残されている地域でもあります。市のシンボルである砂浜や松林から成る長い海岸を初め、干潟、山、河川など多様な自然環境が存在するとともに、そこには
アカウミガメやカブトガニ、ハマボウやハママツナなど希少な動植物が生息、生育し、豊かな自然の宝庫となっております。野外散策を楽しんだり、おいしい野菜やお魚を食べたりと、のんびりとした一日を楽しめるのが魅力です。また、江戸時代から明治にかけて交易により商業都市として発展した面影を今に残す津屋崎千軒や、四世紀から九世紀にかけて神宿る島沖ノ島を崇拝した文化的伝統を現在に伝え、平成二十九年に
世界文化遺産に登録された新原・奴山古墳群など、古くから続く歴史や文化が息づいているのも大きな特色です。最近では、
国民的アイドルグループが出演したCMでも話題になりましたが、神社から真っすぐ海に延びる参道の先に夕日が沈み、光り輝く道となる宮地嶽神社の光の道が、一度は訪れたい景色として日本のみならず世界に知れ渡ることとなり、また、みこを主人公とする映画で市内各所が撮影場所として活用されるなど、観光地としても大いに魅力を持った地域であります。
このように交通の利便性がよく、豊かな自然、歴史、文化を有する福津市において、旧福岡県消防学校は、昭和四十八年十一月に移転以来四十三年の長きにわたり県下の消防職員の訓練施設としてだけではなく、地域のシンボルとして、地元のにぎわい、活性化に大きな役割を果たしてきました。平成二十九年六月議会の一般質問において私は、消防学校にかわる県の施設を持ってきて、地元の活性化のために活用していただきたいとの多くの地元の声を届けるため、
消防学校跡地については、公用または公共用地として利用すべきだということを求めました。これに対して知事は、まず県による利用について検討を行っていく、その上で県の利用が見込まれない場合は地元市町村の利用について協議を進めていきたいと答弁されました。
先ほど福津市における人口増加について述べましたが、
消防学校跡地の北側に隣接する旧
サンピア福岡跡地で、現在、五百区画を超える住宅分譲が行われるなど、宅地開発に対する需要は高い状況です。一方で、急激な人口増加に対する
自動車交通量の増加による渋滞の発生や事故の増加など、マイナスの側面も懸念されるところです。このようなことから、地元住民の間には、
消防学校跡地の利用について高い関心が寄せられており、民間等へ跡地が売却されるのではないかとの不安の声が上がっています。市が昨年三月に策定した第二次福津市
都市計画マスタープランでは、目指す町の姿として、すばらしい自然が暮らしの場のすぐ近くにあるという特徴を生かして、自然志向の落ちついた暮らしと都市的なにぎわいのある暮らしの両方を楽しめる
自然共生都市を目指すということが記されています。住民の不安を解消するとともに、人が集い、地域の魅力を高めていく公共空間を実現するといった観点から、周辺環境に恵まれた貴重な土地である福岡県
消防学校跡地は、宅地として民間に売却するのではなく、県の施設を持ってきて地元の活性化のためにぜひ活用すべきと考えます。
そこで知事にお尋ねします。平成二十九年六月
議会一般質問において知事が答弁された
消防学校跡地の利用について、現在の検討状況をお答えください。(拍手)
3 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。
*知事答弁
4 ◯知事(小川 洋君)登壇 福岡県
消防学校跡地の利用でございます。福津市にありました消防学校は、消防職員、そして消防団員の教育施設といたしまして、昭和四十八年十一月にその地に移転をして以来、四十三年にわたりまして、福津市を初め住民の皆様にも御協力をいただきながら、延べ一万九千人の消防職員を養成し、消防団員の資質の向上や地元の活性化に大きく貢献をしてきたところであります。その跡地についてでございますけれども、JR福間駅から直線距離で一・二キロメートルに位置をいたしておりまして、周辺道路も整備されるなど交通の利便性にすぐれ、平たんかつ面積も三万七千平方メートルを超える、いろんな用途への活用が考えられる大変貴重な県有財産でございます。このため現在、県におきましては、県による公用または公共目的の利用について検討を行っているところでございます。
5 ◯議長(井上 順吾君)
原中誠志君。(拍手)
*
原中議員質問
6 ◯三十六番(原中 誠志君)登壇 国民民主党・
県政クラブ県議団の原中誠志であります。発言通告に従い一般質問を行います。
初めの項は、
漁業法改正に伴う本県漁業の対応についてであります。昨年末、第百九十七国会の会期末が近づく十二月八日、
水産資源管理の強化や養殖業への企業参入の促進を目指す
改正漁業法が参議院本会議において、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しました。運用の仕組みなどを定め、公布から二年以内に施行されるとなっております。改正案は漁業権の制度を見直すことなどが柱となっており、
漁業権制度を含む抜本的な見直しは約七十年ぶりとなります。国会での審議では、政府は、
漁業生産量が長期的に減少し、漁業者の減少、高齢化も進んでいる、こうした状況に終止符を打ち、漁業者が将来展望を持てるようにするため、基本的制度を見直すとされ、漁業の効率化を通じ経営の改善を図ることを目的とすると説明しております。
今回の改正案では、漁業権のルールの変更と漁獲量による資源管理の拡大が二本柱となっています。一つ目の柱である沿岸海域での漁業権については、これまで漁業者の方が長年地元の漁場を守り養殖を行ってこられましたが、今回の改正で、
共同漁業権については変更はないものの、養殖については
地元漁業者のみならず地域内外から新規参入が可能となるルールがつくられました。このことについて、養殖漁業への企業参入が広がり、
地元漁業者が狭い漁場に追い込まれるとの懸念や大手の民間企業が漁業権を取得し、これまで漁業に携わっていた漁業者が締め出されることになるということを心配するような声も耳にしているところであります。
二つ目の柱は、資源管理についてであります。政府が漁獲可能量(TAC)を決める制度について、現在八魚種に限られている対象を大幅にふやし、マグロなどで現在も実施されている漁船ごとに漁獲枠を割り当てる
個別漁獲割り当て制度(IQ)を基本とするよう改めるというもので、乱獲を防ぎ、価格が高い時期に販売できるようにするというものであります。衆議院での審議でも、漁獲枠をめぐって現在実施されているクロマグロでは、沿岸漁師が割を食い、その声が反映されていないと指摘されており、また船に漁獲枠がついていることから、資金力のある企業などに漁獲枠が集約をされ寡占化する可能性も指摘されているところであります。このほか、遠洋、沖合漁業では漁船のトン数制限を緩和し、漁船の大型化を促し生産性を高める、また地域の漁場利用の調整を担う
漁業調整委員会について公選制から知事による任命制に改めることや、密漁の罰則を強化することも盛り込まれています。
本県は、筑前海沿岸では沿岸漁業が盛んに行われており、また博多湾ではカキやノリ、ワカメなどの養殖が行われており、特に、しけが多く沖合での操業が限られる、この冬の時期は、博多湾の漁業者にとって養殖は重要であります。
そこで知事にお尋ねいたします。今回の
漁業法改正により、
区画漁業権、いわゆるカキやノリ等の養殖の
漁業権制度がどのように変わるのかお聞かせください。あわせて、改正された漁業法において、博多湾のカキ及びノリ、ワカメなどの養殖の漁業権の免許はどこが行うのか、お示しください。
さて、本県はマダイやトラフグ、ガザミなど全国有数の漁獲量を上げており、一年を通して魅力ある水産資源に恵まれています。町なかに目を移してみますと、これら魅力ある水産物がおいしく味わえる、ふくおかの魚冬のフェアや、
糸島さわらフェアなどさまざまなイベントが行われており、博多の町は魚がおいしいと全国的に高い評価をいただいているところであります。これら水産資源は、石油などの鉱物資源が使えば使うほど減っていく限りのある資源であることとは大きく異なります。つまり、水産資源は生き物であるため、上手に漁獲をしていけば継続して利用することができる、限りのない資源であります。これからも水産資源を継続して利用していくためには、県と漁業者が一緒になって
資源づくりを進めていくことが、本県の沿岸漁業にとって重要であると考えます。
そこで知事にお尋ねします。県として、沿岸域の
資源づくりをどのように進めているのか、お答えいただきます。
次の項目は、
NHK大河ドラマを活用した本県のスポーツ並びに観光振興についてであります。御存じのとおり、ことしの
NHK大河ドラマは「いだてん」であります。主人公は金栗四三氏で、出身地は熊本県玉名郡春富村、今の和水町の出身であります。来年、二〇二〇東京五輪・
パラリンピックを控え、国内では
オリンピックに向けた機運が日に日に高まっているところであり、今回の
NHK大河ドラマ「いだてん」も、日本人初の
オリンピック出場、日本への
オリンピック招致という話題性もあり、一回目の放映から視聴率も順調に推移しているようであります。そして、日本人初の
オリンピック委員であった
柔道家嘉納治五郎氏らの運動により、日本は一九四〇年の
夏季東京オリンピック、
札幌冬季オリンピックの招致に成功したものの、激化する日中戦争のため開催権を返上せざるを得ませんでした。ちなみに、第二次世界大戦の影響もあり、一九四〇年と一九四四年には
オリンピックの
開催そのものが中止となっています。
本年の
NHK大河ドラマ「いだてん」は、日本の
オリンピックの歴史に深い関係を持った人物の登場、関連したトピックスなどもあり、良好な視聴率とともに、熊本県玉名市のいだてん
大河ドラマ館、そして主人公金栗四三氏の出身地である熊本県和水町の金栗四三
ミュージアムと金栗四三生家記念館の来館者は、放映開始から一カ月で一万四十三人を超え、地元では目標の入館者数を上方修正しようという機運が高まっています。昨年の
NHK大河ドラマ「西郷どん」放映の際には、鹿児島市内の
大河ドラマ館には六十万人が訪れており、
NHK大河ドラマは観光客誘致に多大な貢献を果たしているところであります。今回、熊本県出身の金栗四三氏を主人公にした「いだてん」の放映により、熊本県を訪れる観光客の増加も期待されることから、本県としてもこの機を逃さず、熊本県を訪れた観光客に福岡県にも立ち寄っていただき、お隣の大牟田市では明治日本の
産業革命遺産の構成資産である、宮原坑、
三池炭鉱専用鉄道敷跡、三池港、そして柳川市や太宰府市など本県内の各地の観光地をめぐっていただきたいと思います。
そこで、本県の観光振興に関し、以下知事にお伺いします。熊本県を訪れた方々に、あわせて本県を訪問してもらうような取り組み、仕掛けが必要と思いますが、知事の考えをお聞かせください。
さて、毎年十二月に福岡市で開催され、
世界トップレベルの
アスリートが集う
福岡国際マラソンですが、日本のマラソンの父と言われた金栗四三氏の功績をたたえる
金栗賞朝日マラソンとして、一九四七年十二月に第一回大会が金栗氏の地元熊本市で開催されたのを発祥としているところであります。そして、第二回以降一九五四年までは、毎年、開催地が変えられていましたが、第九回大会から
朝日国際マラソンと名称を変え、第十三回大会以降、開催地が福岡市に定着をし、
福岡国際マラソンとなったものであり、
福岡国際マラソンは金栗四三氏と深い縁にあるわけであります。
そこで知事に質問です。今述べましたように、
福岡国際マラソンは、
大河ドラマ「いだてん」の主人公である金栗四三氏をたたえ、一九四七年十二月の
朝日マラソンを起源としています。
福岡国際マラソンのコース周辺にある舞鶴公園や大濠公園、福岡タワーや百道浜などには、国内外から多くの観光客が訪れているところであります。今後、NHKの番組内等で
福岡国際マラソンとこれらの
観光スポットを一緒に取り上げてもらうことで、全国に福岡の観光をPRすることができ、さらなる観光地誘客につながると考えますが、知事のお考えをお示しください。
次に、
スポーツ立県福岡を目指す本県の
スポーツ振興についてお伺いします。日本人初の
オリンピックメダリストは、一九二〇年アントワープ・
オリンピックに男子テニスで出場した熊谷一弥氏であり、本県大牟田市の出身であります。日本人初の
オリンピックメダリストが福岡県人であったということは、本県の誇りであります。しかし、残念ながらこの事実は広く知られていないようであります。そこで、日本人初の
オリンピックメダリストが福岡県民であったということを、もっと広く県民に、特に次代の子供たちに知ってもらうことが必要であると考えます。そのことが、県民がスポーツに関心を持ち、ひいては
アスリートの育成にもつながるのではないかと考えます。
本県では、熊谷氏のように
オリンピックメダリストを育成する事業を初め、福岡県のスポーツを支え、振興することによってスポーツを元気にし、そしてそのスポーツの力で県と県民生活をより元気にする
スポーツ立県福岡の取り組みを進められているところであります。いよいよ来年には、五十六年ぶりの国内開催となる
東京オリンピック・
パラリンピックが控えており、我が国の
スポーツ振興を図る絶好の機会であるとともに、
スポーツ立県福岡の実現を目指す知事にとっても、この機を逃さずに何ができるかということをしっかりと対応していただきたいということであります。
そこで、この機を捉え、今こそ県民のスポーツへの関心を高めるべきと考えますが、知事の認識をお示しください。
以上、知事の真摯な答弁を期待いたします。(拍手)
7 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。
*知事答弁
8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、カキ養殖などの漁業権についてでございます。養殖を行います漁業権につきましては、これまで漁協に優先してその免許が与えられる仕組みとなっておりましたけれども、先ほど御指摘のありました今回の
漁業法改正によりまして、その優先順位の仕組みというものが廃止されることになっております。しかしながら、免許を受けていた漁協が漁場を適切かつ有効に活用している場合には、これまでどおり、その漁協に免許が与えられることとなってございます。カキ養殖などの漁業権の免許につきましては、これまで同様、県が行うこととなっておりまして、県といたしましては、この新法のもとにおきましても、引き続き漁場が適切かつ有効に活用されるよう漁協を指導してまいります。
次に、沿岸域の
水産資源づくりについてお尋ねがありました。
水産資源づくりを進めていくには、海域の特徴に合わせまして、資源の保護管理、また、つくり育てる漁業というものを進めていくことが重要であります。具体的には、筑前海におきましては、漁獲した小型のトラフグを海に戻すことやアワビの稚貝を集中的に放流する、有明海では、卵を抱えたガザミを海に戻すこと、保護区の設定などによるアサリの稚貝の保護育成、豊前海におきましては、小型底びき網でとれる小型のエビやカニを海に戻すこと、また袋網を使ったアサリ稚貝の保護育成などに、それぞれ海域ごとに取り組んでいるところであります。また、広域に回遊いたしますトラフグ、またガザミにつきましては、近隣県と連携して取り組みを進めているところであります。加えて、漁場の底質を改善するための覆砂や魚介類のすみかとなります魚礁の設置などについても、これを実施しているところであります。県といたしましては、今後とも、こうした取り組みによりまして本県の沿岸域の
水産資源づくりというものを進めてまいります。
次に、
NHK大河ドラマを活用した観光振興についてでございます。
NHK大河ドラマの「いだてん」の主人公でいらっしゃいます金栗四三さんでございますけれども、熊本県北部にあります玉名郡和水町の御出身であります。金栗四三生家記念館、金栗四三
ミュージアムなど関係施設が同地にはございますことから、今後もこの地域には多くの観光客が訪れるということが予想されております。その際、観光客の多くは、私どもの福岡空港や博多駅などから新幹線や高速道路を利用して、本県経由で熊本のほうに入られるということが見込まれるわけであります。このため、
大河ドラマと関連のある地域と本県の観光地をつなぐ
広域観光周遊ルートというものをつくって、県の
観光ホームページであります
クロスロードふくおかで情報発信を行いますとともに、東京、大阪などで開催をされます
観光素材説明会におきまして、旅行商品として造成してもらえるよう旅行会社に対して提案をするなど、本県への誘客、これに取り組んでまいります。
次に、
福岡国際マラソンとその周辺の
観光スポットを活用した誘客でございます。
福岡国際マラソンは、議員が御指摘になりましたとおり、
大河ドラマの主人公であります金栗四三さんの功績をたたえる
金栗賞朝日マラソンがその前身となっております。その
マラソンコースであります博多駅前には、金栗四三さんが揮毫されている体力、気力、努力といった石碑、また
福岡国際マラソン歴代優勝者の足形や名前を刻んだレリーフというものがございます。
大河ドラマで金栗四三さんが注目されるこの機会を捉えまして、NHKの番組等におきまして
福岡国際マラソンや先ほど申し上げました博多駅の石碑などを取り上げてもらうとともに、
福岡国際マラソンの中継やマラソンに関連する記事などにおきましても、石碑を初めとする福岡の
観光スポットを取り上げてもらえるよう関係者に働きかけを行ってまいります。
次に、
東京オリンピック・
パラリンピックを契機としたスポーツの振興でございます。世界最大のスポーツの祭典でございます
オリンピック・
パラリンピックの我が国の開催は、東京だけではなく全国各地域の魅力を世界に発信をし、スポーツの振興を図る上で大きな機会であると、このように考えております。このため本県におきましては、
キャンプ地誘致に積極的に取り組んできたわけでございますが、これまで基本合意を締結した国・地域の数は二十五ございまして、全国有数のものとなっております。また、大会出場を目指す
アスリートの育成、支援にも力を入れてきておりまして、数多くの
アスリートを国際大会に送り出してきております。今後も、紹介のありました熊谷一弥さんに続くトップ
アスリートが本県から継続的に生まれていくよう、中長期的な視点に立ちまして育成強化に取り組むとともに、本県ゆかりの
アスリートの持つ才能、また人を引きつける力、これらを本県の
スポーツ振興に生かしていきたいと考えております。また、県民の皆様のスポーツや健康づくりに対する関心というものをより一層高めるため、働き盛り、子育て世代を対象とした
スポーツプログラムの提供や障がい
者スポーツの振興に取り組んでいくとともに、昨年八月に設置をいたしました
ふくおか健康づくり県民会議におきまして、運動習慣の定着に向けた県民運動を官民挙げて展開をしているところであります。ことし、アジアで初めて日本で開催されるラグビーのワールドカップでは、本県で三試合が行われ、六カ国の公認チームのキャンプも予定されております。これらの
国際スポーツイベントをも見据えまして、昨年十二月に改定をいたしました福岡県
スポーツ推進計画に基づく施策というものを着実に推進をしていき、全庁を挙げて、
スポーツ立県福岡、その実現を目指してまいります。
9 ◯議長(井上 順吾君)
原中誠志君。
10 ◯三十六番(原中 誠志君)登壇 最後に、知事に一点、要望であります。
今回の
漁業法改正により、
漁業調整委員会の任命権について、特に漁業権の改革と絡んで、
沿岸漁業者の意見が反映しにくくなるおそれが指摘されていますが、改正法成立後に具体的な運用を決めるとする部分が多く、現時点では制度設計が明らかにされていないことから、漁業者の中には不安を抱いていると聞いているところであります。
そこで知事に要望です。国は、二年以内に政省令の制定、もしくはガイドラインを示すとしていますが、海区
漁業調整委員会制度がどのようになるのか明らかになった段階で、漁業者に速やかに説明されますよう要望いたします。
以上、私の一般質問を終わります。(拍手)
11 ◯議長(井上 順吾君) 新開昌彦君。(拍手)
*新開議員質問
12 ◯六十八番(新開 昌彦君)登壇 公明党の新開昌彦でございます。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。今回も現場の声を届けさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
今回は、低出生体重児、この対策について質問をさせていただきます。低出生体重児は、早産などによって産まれる二千五百グラム未満の子供をいいます。千五百グラム未満の子供は極低出生体重児、千グラム未満で生まれた子供を超低出生体重児とされています。生まれてくる赤ちゃんの約一割、福岡県では毎年四千人を超える赤ちゃんが低出生体重児であり、そのうちの二割が障がいを持つ可能性が高いと言われています。
私は、平成二十年九月に低出生体重児についてNっ子クラブカンガルーの親子──Nは、NICUに入る子供たちのことをNっ子と言っているそうでございます──の登山万佐子代表を初め、会員のお母様方にお会いし、医療、福祉、保健の連携、情報交換の場、低出生体重児専用の手帳などについて質問をいたしました。特に、低出生体重児専用の手帳について、知事はお母さん方の声を聞いていただき、二年後の平成二十二年四月、A5判の小さな天使親子手帳を作成し、対象の方々に配付をされています。その小さな天使親子手帳の後書きには、「小さな赤ちゃん、ふたごの赤ちゃんを育てているお母さん方のご意見をもとに、子育てに、少しでも役に立ち、安心して子育てが出来るように、という思いで作成しました。お子さんの発育・発達状況を確認し、記録ができます。医療機関を受診される時や、健診の時に確認したい内容等についても記録が出来ます。母子健康手帳と同様に活用いただき、子育てに役立てて下さい。」とお母さんたちに寄り添った言葉がつづられて、とても印象的でありました。私は、出産直後の親が一番つらいときに心強い冊子をもらうことで、不安による虐待や育児放棄を防ぐ効果もあったのではないかと思います。
先日、私は、カンガルーの親子の登山万佐子代表にお会いしてまいりました。四百五十二グラムで産まれた綾美さんは、ことし中学生になります。Nっ子クラブカンガルーの親子は平成二十五年十一月に県知事表彰を受け、平成二十九年四月には姉妹グループが誕生したことによって、名称をNっ子ネットワークカンガルーの親子として活発に活動されています。登山代表は、この冊子、小さな天使親子手帳に書き込んだ内容は、子供が幼稚園、小学校、中学校へ上がるたびに成長記録として学校や役所に情報提供しています、私たちはこの手帳を、私たちがつづった公文書だと思い、大切に使っていますとおっしゃっていました。
妊娠時に配付される一般的な母子健康手帳は、国が定めた様式に基づいて市町村が作成しています。妊娠期から幼児期までの健康、成長を記録する大切なツールでありますが、低出生体重児が誕生した場合、手帳に記載されている平均的な身長、体重などよりも成長がおくれるために、親は子の成長を実感できず、不安で落ち込んでしまうケースが少なくありません。
ここに、先進事例を御紹介をしたいと思います。静岡県は、低出生体重児向けの母子手帳しずおかリトルベビーハンドブックをつくりました。静岡県と低出生体重児の親の会ポコアポコが昨年三月に共同製作したもので、全国で大変反響を呼んでおります。これが現物の手帳でございます。大変小さな手帳でございますけれども、この大きさがとても大事だということであります。お母さん方が集まる中でも、人目を気にせずにいられるという理由で母子手帳と同じA6判になっています。本県のサイズよりも一回り小さいサイズになっています。この大きさは、市販されている母子手帳ケースに入ることで、お薬手帳、予防接種手帳、診察券、保険証、障がい者医療証など一緒にして持ち運ぶことができます。また、内容にも工夫が見られます。発達を記録する「赤ちゃんの成長・発達を「みーつけた!」」は十ページもあります。頭を一瞬持ち上げるなどの反応や動作を四十六項目列挙してあります。そして、その動きを実際に確認した日を記入できるようになっています。最初の項目、「しかめ顔などの表情をする」には「表情が豊かなしるしです。次は必ず笑いますよ」など、各項目に動作の意味や次のステップへの励ましが書いてあります。一方、初めて赤ちゃんに触れた日や声を聞いた日など、たった一度の初めて記念日を記録できるページを設けています。各ページの下部には先輩ママからの応援メッセージもあり、全ページが母親目線で編集をされています。
知事に何点かお聞きいたします。まず、本県の低出生体重児の推移をお示しください。
次に、低出生体重児に対する県の事業についてお示しください。
最後に、福岡県が作成し配付してきた小さな天使親子手帳は、現場目線で県が改定してきた実績があります。お母さんたちの声は、先ほども触れましたが、自分の子供の成長をつづってきた手帳は、単なる記録簿ではない、県が発行してくれている手帳に自分たちがつづってきたことで、公的機関に我が子のことを説明する際に価値ある公文書だとの思いで使っておられることを、知事は忘れないでいただきたいと思うのであります。また、県が配付することで低出生体重児への配付漏れを防ぐことができると思います。ぜひ、小さな天使親子手帳をリニューアルしていただきたいのであります。知事の心温まる答弁をお願いをいたします。以上でございます。(拍手)
13 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。
*知事答弁
14 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
本県の低出生体重児の推移でございます。「しゅっせい」、「しゅっしょう」両方あろうと思いますが、私、「しゅっせい」と言わさせていただきます。人口動態調査によりますと、ここ十年間の本県における総出生数に占める低出生体重児の割合でございますけれども、平成二十年一〇・二%でありましたものが、二十九年九・八%と変動はございますけれども低下傾向にございます。
低出生体重児に対する県の事業についてお尋ねがございました。県におきましては、新生児集中治療室(NICU)などを備え、低出生体重児などの新生児や母体に対する高度な医療を提供する周産期母子医療センターを県内十二カ所整備をいたしまして、医療提供体制の確保を図っております。また、県は市町村が行います低出生体重児など未熟児への入院医療費の助成、家庭訪問事業に対しまして財政的な支援を行っております。さらに、県の助産師、保健師が市町村の家庭訪問事業に同行いたしまして、合併症や障がいがある低出生体重児の保護者に対しまして、その育児不安の軽減、発育、発達に関する助言や指導というものを専門的な立場から行っているところでございます。
低出生体重児向けの母子健康手帳についてでございます。本県におきましては、平成二十二年三月に、低出生体重児を育てておられますお母さん方からの要望をもとに、成長、発達を記録できる低出生体重児向けの母子健康手帳小さな天使親子手帳、これを作成をいたしまして、周産期母子医療センターや市町村を通じて保護者の方々に配付をしているところであります。御指摘のありました静岡県が作成されておりますハンドブックでございますけれども、入院中や退院時の状況を詳しく記録することによりまして、退院後の在宅での医療的ケアにかかわる医療関係者間で、その情報共有がしやすくなっておりまして、また全ページにわたって先輩保護者からの応援メッセージ、これが記載されているなど、その内容に工夫が施されております。本県の小さな天使親子手帳は、前回改定作成したところから七年が経過いたしております。その間、医療環境も大きく変化しておりますことから、そのリニューアルをいたします。その際、医療関係者や保護者などの意見をお聞きし、また御指摘のありました静岡県のような先進事例も参考にしながら、わかりやすく、また温かみが感じられるよう内容を充実させたいと、このように考えております。
15 ◯議長(井上 順吾君) 神崎聡君。(拍手)
*神崎議員質問
16 ◯三十一番(神崎 聡君)登壇 おはようございます。緑友会・立志福岡県議団の神崎聡でございます。県議として二期目の最後の質問に立ちます。いよいよ、この四年間の議会活動、議員活動がどうだったのか、どういう成果が出せたのか、その評価が問われます。選挙で託していただきました一票一票の重みと、それに込められた思いを有権者から問われます。まさに、民主主義の根幹は、ここにあるんだと思います。緑友会の私が言うのもなんですが、民主主義は、少数意見を大事にしながらも、やはり政治は数が力です。私たち議員は継続が力、そして知事並びに行政は信用が力ではないかと思うんです。信用とは、信じて任用することと書きます。したがって、信用を得るためには、受けた恩を忘れてはいけません。うそをついたり欺いたりしてはいけません。難局のときは、決して逃げたりぶれたりしてはなりません。信頼してくださった方には、信頼でお応えするしかないんです。日本人は、人と人との情、つまりは義理と人情を基調としていますし、日本人の価値観の根本は、この恩義、信義にあるのではないでしょうか。力になって、信頼してくださった恩人、友人、知人、あるいは県民の皆さん、その方々を裏切る行為をした瞬間に、政治家や行政の信用は失墜してしまいます。信用なくして、これからの信頼関係は築けません。
本日は、上野焼の振興についての質問でありますが、この上野焼に代表される日本の伝統的工芸品には、信用という私たち政治家や行政機関が教訓にすべきものがあります。それは長い歳月をかけて守り続け、時代の変化に対応し、時代時代を切り開いてきた確かな品質と顧客との信頼関係です。信用を得るためにはどうすればよいのか、信頼されるための多くの学ぶべき教訓が、日本の伝統的工芸品の中にあります。
昨年十一月に、世界に誇る日本の伝統的工芸品が集結した、工芸エキスポ(伝統的工芸品月間国民会議全国大会)が、三十年ぶりに本県で開催されました。県内にある七つの国指定伝統工芸品を初め、全国の多彩な工芸品が多数展示され、関連イベント等でも盛り上がりを見せ、関心の高さがうかがわれました。その伝統工芸品の一つとして、上野焼があります。
上野焼は、今からおよそ四百年前の安土桃山時代に、豊前国小倉藩内で焼かれ始めた陶器です。当時は茶の湯が流行しており、各地の大名は陶工を招き入れ、競ってすぐれた陶器を焼かせました。豊前小倉藩の初代藩主細川忠興は千利休のもとで茶の奥義をきわめたとされる当時を代表する茶人です。忠興が朝鮮半島から渡ってきた陶工の尊楷を招き、福智山麓にて開かれたのが上野焼の始まりと考えられています。誇りと伝統を礎に、日本独自の茶道の精神を表現する茶陶上野焼。約四百年の歴史に裏打ちされた品のよさ、格調高さを感じさせる器が次々と生み出されています。上野焼には、質素で静かなものを意味する茶道の精神わび、さびが色濃く反映されています。目立ち過ぎず、それでいてどこか存在感がある、それが上野焼の一番の魅力です。茶陶をルーツに持つため、一般的に薄づくりで軽いことが特徴に挙げられますが、現代注目されているのが、たくさんの種類の釉薬、上薬を用いることで生まれる多彩さです。それはまさに伝統を大切にしながら、さまざまな器づくりに励んできた先人たちの努力と工夫。現状に妥協せず、時代と向き合い進化を続けてきているのが現在の上野焼の強みです。
上野焼発祥の地は、福智町にある釜ノ口窯と考えられています。この窯は、昭和三十年に社団法人日本陶磁協会の三上次男博士を団長として、日本における初期の窯業生産の実態を明らかにすることを目的に、発掘調査が実施されました。十日間の発掘調査でありましたが、全長四十メートルを超える登り窯の本体が明らかにされ、多数の陶片が出土しました。その成果は雑誌上にて公表されております。この調査から六十年以上が経過し、発掘調査の方法や技術が進んだ今、上野焼の価値を明らかにするために改めて調査することが必要だと考えます。そのためには解決すべきさまざまな課題があることは承知しておりますが、今後必要な条件を整理して調査が実現できるよう、地元自治体に働きかけるべきだと考えます。より詳しく窯の実態を把握することにより、歴史的な価値が明確になり、上野焼への理解促進や観光資源としての魅力向上につながるものと期待しています。
この歴史ある上野焼について、福智町(旧赤池町)では平成十四年に上野焼四百年祭が開催されました。また平成二十九年三月には福智町図書館・歴史資料館ふくちのちがオープンされ、その開館記念として豊前小倉藩窯上野焼展が開催されたほか、福智町の恒例イベントとして定着した、五十店舗を超える県内の有名スイーツ店が集まるスイーツ大茶会において上野焼とスイーツのコラボセットを販売するなど、さまざまな機会を捉えて上野焼の意義、魅力の発信に努めています。また、各窯元では、春の陶器まつり、秋の窯開きに加え、くしくも本日二月十四日はバレンタインデーでありますが、バレンタインとお酒のちょこをコラボさせたバレンタインちょこを企画するなど、現代のトレンドを取り込み続けています。ここなんです。規模の大小にかかわらず、常にこういった新しいアイデア、発想、企画、施策、政策、構想が、本県にも求められているんだと思います。しかし、そういった企画に取り組みながらも、上野焼の従業員数や生産額は減少傾向にあります。したがいまして、さらなる魅力発信が必要とされているところです。
大変前置きが長くなりましたが、そこで知事にお尋ねいたします。先ほど申しました伝統的工芸品月間国民会議全国大会、いわゆる工芸エキスポの開催を一過性のものに終わらせないため、今後、上野焼の振興を図るための上野焼協同組合への支援を県としてどのようにしていくのか、この一点をお尋ねいたしまして、私の一般質問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
17 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。
*知事答弁
18 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
上野焼の振興を図るための上野焼協同組合への県の支援でございますが、先日もアクロス福岡の匠ギャラリーで行っておられました、バレンタインデーと、今御指摘の、おちょこを組み合わせた組合の取り組みでございますが、その会場に私も足を運ばせていただいたところでございます。その上でお答えをしたいと思います。
県では、上野焼を初め県内伝統的工芸品の魅力を広く発信、PRをするとともに、その販路拡大による産業の振興及び発展、これを図るために誘致に努力をいたしまして、昨年の十一月でございますが、三十年ぶりに伝統的工芸品の全国大会を当県で開催をいたしました。この大会の開催に当たりまして、県では、伝統的工芸品を身近に感じてもらう、伝統と創造とを融合させ持続的な発展につなげる、これらをコンセプトといたしまして、有名クリエーターや大学との連携など、さまざまな企画を各産地に提案をし、実施をいたしたところであります。
上野焼協同組合では、モデルの西本早希氏や福岡大学の学生さんとも連携をいたしまして、新しいデザインのハイボールカップなどを製作をされまして、若い世代の関心を集め、大きくその売り上げを伸ばしたところであります。こうした成果を踏まえまして、上野焼協同組合におきましては、伝統的工芸品産業の振興に関する法律、これに基づき、新しい視点を取り入れた商品の開発や需要の開拓などを盛り込んだ振興計画というものを、今策定作業、入っておられます。県といたしましては、国や地元福智町とも連携をいたしまして、それに対する助言や情報提供を行いまして、計画策定作業というものを支援しているところであります。今後、振興計画に基づく事業の実施に当たりましても、国からの補助金に加え、県からも助成を行うなど、上野焼の振興というものを図ってまいります。
19 ◯議長(井上 順吾君) 高瀬菜穂子君。
*高瀬議員質問
20 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、福岡県部落差別の解消の推進に関する条例案について一般質問を行います。
今議会に提出された本条例案は、二〇一六年十二月に成立した部落差別の解消の推進に関する法律の実効性を高めるためのものと説明されています。私は、二〇一七年二月議会において、この法律について県の認識をただしましたが、その際、この法律には部落差別の定義がなく、何が部落差別に当たるかの判断を誰がやり、どうやるのかも不明確なままであることを指摘しました。全会派一致で採択された附帯決議は、過去の民間団体の行き過ぎた言動等を踏まえ、これに対する対策を講ずることもあわせて総合的に実施すること、教育及び啓発を実施するに当たっては新たな差別を生むことがないよう留意、実態に係る調査を実施するに当たって、新たな差別を生むことがないよう留意と、慎重な対応を厳しく求めています。これは、この法律により行われる教育啓発や実態調査が新たな差別を生む危険性をはらみ、一部民間団体の行き過ぎた言動を引き起こす危険を認識しているからにほかなりません。部落差別の解消に逆行するとの議論がある中で成立した法律に基づき、全国に先駆けて県条例案を提出されたことは、まことに遺憾であります。
そこで改めて知事の見解を伺います。二〇〇二年の地域改善対策特別措置法の終了に当たって、総務省大臣官房地域改善対策室は、今後の同和行政についてという通知を出し、特別対策を終了する理由として、一、これまで膨大な事業の実施によって同和地区の状況は大きく変化した、二、特別対策を続けていくことは差別解消に必ずしも有効でない、三、人口移動が激しい状況の中で同和地区、関係者に限定した施策を続けることは実務上困難というものです。これについて、同様の認識をお持ちかどうか、まずお尋ねします。
次に、本条例案第一条には、インターネットなどによる部落差別事象があると指摘していますが、法務省調査による人権侵犯事件のうち、インターネットによるものは何件で、そのうち同和問題に関するものは何件ですか、直近の数字でお答えください。また、それら事件は、ネット上の書き込みですか、実質的被害を伴うものですか。同様の県独自調査があれば、あわせてお答えください。
条例案の第二章は、「結婚及び就職に際しての部落差別事象の発生の防止」となっていますが、差別の実態はあるのでしょうか。最後の越えがたい壁と言われた結婚差別も克服され、一九九三年の最後の政府調査でさえ、若い世代では七割が地区内外の結婚と圧倒的多数になっています。本県において、現在でも結婚や就職の際に、部落差別を受けたという明らかな事例はあるのですか。それは何件ですか。また、この問題での県への相談はありますか、何件ですか、お答えください。
本条例案第八条には、同和地区を「歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域をいう。」と記述されています。驚きました。特別対策終結に当たって、同和地域の生活環境は改善していること、実務上困難なほど混住が進んでいることが指摘され、大阪府や岡山県などは、今日、もはや同和地区は行政的には存在しないと答えています。北九州市も、法的には同和地区は存在しないとしています。そんな中で、二十年以上前の福岡県部落差別事象の発生の防止に関する条例を下敷きに、このときと全く同様の規定をするとはどういうことでしょうか。さきに示した国の見解に照らしても、歴史的、社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている同和地区は今や存在していないのではないでしょうか。知事の見解を伺います。
最後に、県が行おうとしている実態調査について伺います。国会論議の中では旧同和地区の対象者を特定するような調査はしないという確認が行われています。県はどのような調査を行おうとしているのでしょうか。現在県が行っている意識調査も、例えば、あなたのお子さんが同和地区の人と結婚しようとしたとき、あなたはどうしますか、など内心の自由を侵すような設問があり問題があると考えます。そして、その問題の設問に対する回答でさえ、子供の意思を尊重するが四七・二%と半数近く、親としては反対だが子供の意思が強ければ結婚を認めるが二四・二%と合わせて七割を超えます。絶対に認めないはわずか三・五%であり、この問題の差別意識はほぼ克服されたと見るべきではありませんか。それは多くの人の人生をかけた努力によって達成されたものです。プライバシーにかかわる個別の問題について、心の中をえぐるような調査はやめるべきです。実態調査を行うことで、実際には起こってもいない差別を見つけ出し、垣根を顕在化することは許されません。差別が存在することを前提に行う調査は差別の解消に逆行するもので、実態調査はやるべきではないと考えます。
県は条例に基づき、どのような調査を行おうとしているのかお答えください。また、知事の実態調査についての見解を伺います。
本条例案は、歴史的、社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている同和地区があるとの旧態依然とした認識でつくられた時代錯誤の条例案であり、差別の固定化につながるおそれがあり、新たな差別につながらないようにという附帯決議に反するものであることから、撤回すべきものと考えます。知事の見解を伺います。(拍手)
21 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。
*知事答弁
22 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
特別対策終了に当たっての国の考え方に対する県の認識でございます。特別対策につきまして国は、これまでの事業の実施によりまして同和地区の状況は大きく変化をしており、特別対策を続けていくことは差別解消に必ずしも有効ではなく、同和地区、同和関係者に限定した施策を続けることは実務上困難である、そういう認識でございます。県におきましてもこれと同じ、同様の認識を持っておりまして、地域の状況、事業の必要性に応じ、一般対策によって適切に対応してきているところであります。
次に、法務省調査による人権侵犯事件及び県独自の調査についてお尋ねがございました。法務省の調査によりますインターネット上の人権侵犯事件は、過去五年間の合計で八千二百四十八件となっております。しかしながら、その内容、内訳につきましては分類されておらず、同和問題に関する件数や実質的な被害については明らかにされておりません。県及び市町村に相談等がありましたインターネット上の人権侵害事象の件数は、過去五年間の合計で三十七件、そのうち同和問題に関する事象が二十九件ございます。
次に、結婚や就職に際しての部落差別事象でございます。結婚に際しての部落差別について県が直接相談を受けた事例はございませんが、最近、県内自治体等が実施しました調査におきまして、複数の人が結婚差別を経験したことが報告をされております。また、県が実施いたしました人権に関する県民意識調査でも、子供が同和地区の人と結婚しようとするときは、親として反対する、まず反対するという回答がいまだ三割強ありました。就職に際しての差別事象につきましては、国の調査において、本県においても企業が採用の際に就職差別につながるおそれのある質問や書類の提出を求めるなど、不適正なケースというのが報告をされております。これらのことから、結婚及び就職に際して、依然として部落差別意識が解消されていない状況があると、このように考えております。
同和地区でございますけれども、同和地区とは歴史的、社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域でありまして、いわゆる部落差別を受けている地域のことであります。同和地区を特別対策事業の対象として指定いたしておりました特別措置法は失効いたしましたけれども、このことによって部落差別を受けている地域がなくなったということではありません。部落差別解消推進法におきましても、現在もなお部落差別が存在しているというふうにされております。また、同和地区という表現でございますけれども、特別措置法が昭和四十四年に制定される以前から用いられており、現在でも国や多くの地方自治体において用いられておりますことから、引き続き改正案におきましてもこれを使用しているものでございます。
次に、実態調査についてお尋ねがございました。条例案におきましては、県は部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、国が行う調査に協力をするとともに、必要に応じ調査を行うことといたしております。その調査を実施する際には、参議院での附帯決議を踏まえまして、当該調査により新たな差別を生むことがないように留意しつつ、それが真に部落差別の解消に資するものとなるよう、その内容、手続等について慎重に検討してまいります。
次に、この条例案を撤回したらどうかというお尋ねでございました。部落差別に関しましては、従来からの差別発言や差別落書きに加えまして、近年、情報化の進展による状況の変化に伴い、インターネット上の差別書き込みや電子版の部落地名総鑑の問題など新たな事象が発生をしております。また、平成二十八年に、部落差別は許されないものであると規定された部落差別の解消の推進に関する法律も制定されました。こうしたことから、部落差別の解消を推進し、部落差別のない社会を実現するため、基本理念を定め、県の責務を明らかにし、相談体制の充実、教育、啓発の推進などを新たに加える改正案というものを提案させていただいたところでございます。
23 ◯議長(井上 順吾君) 高瀬菜穂子君。
24 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 お答えをいただきましたけれども、御答弁によっても、実質的被害を伴う差別というのはないということだと思います。人権連が二〇一五年に法務省に直接尋ねたとき、この年のインターネット上の人権侵犯事件千八百六十九件のうち、同和問題に関するものは四件と答えたそうです。その前の年が四件、その前はゼロ件です。知事は三割強が結婚差別の意識があるとお答えになりましたが、先ほど私、指摘しましたように、その大半は、反対だが、子供の意思が強ければ結婚を認めるという答えなんです。依然として部落差別意識が解消されていないどころか、基本的に差別意識は解消していると見るべきです。この条例案には、法で言うところの立法事実がないということを指摘しておきます。
知事に一点質問です。知事は、実務上困難なほど混住が進んでいるという特別対策終了時の国の考え方と同じ認識をお持ちだと答えられました。それなのに、本条例案では、歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている同和地区を規定しています。矛盾している、逆行しているとは思われませんか。お答えください。
25 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。
26 ◯知事(小川 洋君)登壇 冒頭申し上げました、一番最初の質問でお答えしましたように、国の認識と私の認識、県の認識は変わっておりません。その上で、先ほど来、るる御説明申し上げておりましたように、最近の状況、それからそういう国の見解が出された後、いわゆる選良の府であります国会で、部落差別解消推進法が制定をされたと、そういうことも踏まえまして、今回の条例案を出させていただいたところであります。
27 ◯議長(井上 順吾君) 高瀬菜穂子君。
28 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 お答えいただきましたが、実質的差別がない中で、法もつくられたわけなんです。この条例案に一番傷ついているのは結婚差別を乗り越えてきた人たちです。ある方がおっしゃいました。私たちが結婚するときは苦労した。でも、それを乗り越えて、今差別など全く感じなくなった。そんなときに、いまだ差別があるという条例が出されることは、これまでの努力、人生を否定された思いだ、当事者のこの言葉、重く受けとめていただきたいと思います。本条例案は、立法事実もなく、差別解消にもつながらないことから、撤回すべきものだということを再度強調し、質問を終わります。(拍手)
29 ◯議長(井上 順吾君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。
午 後 零 時 二十一分 休 憩
午 後 一 時 三十一分 再 開
30 ◯副議長(畑中 茂広君) 再開いたします。
休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。板橋聡君。(拍手)
*板橋議員質問
31 ◯十九番(板橋 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。
自民党県議団の板橋聡です。今任期最後の一般質問となりますが、通告に従い、今任期を通じて取り組んでまいりました児童生徒の学力向上について質問いたします。
本県の小中学校における学力向上については、教育政策の重要課題として議会でもたびたび議論されてきたところです。都市部への人口一極集中をとめるためにも地域の魅力を高めることが必要で、その中で特に教育が果たす役割は、地味で時間がかかるものですが、一番重要だと考えます。私には小学生の三人の子供がおり、みやま市で子育て中ですけれども、県下どの地域に生まれても、義務教育段階で子供たちの将来の可能性を最大限に広げることができれば、地域の魅力は向上し、定住人口の確保を初めとする地方創生につながるし、またその逆もしかりと実感しております。
その点を踏まえて、私は平成二十八年三月の予算特別委員会において、児童生徒の学力の状況とその向上策について、本県では特に中学生の学力が伸び悩んでいること、そして伸び悩み方も各地域によって特徴があることを指摘いたしました。例えば、私の地元南筑後地区では、全国学力・学習状況調査の結果を分析すると、小学校は全国平均を超え、福岡県全体の成績を牽引するような立場なのが、中学校になると全国平均を下回る成績に落ち込む傾向があります。このような地域の特徴をしっかりと捉えて、県の取り組みを市町村や学校に行き届かせることや、中学校に特化した取り組みの見直しなどを指摘したところです。さらに、同じく平成二十八年十月の決算特別委員会においては、中学校の学力向上に向け、定期考査のあり方や、市町村、学校におけるPDCAサイクルの徹底、小学校五年生から中学校三年生まで継続して学力推移を把握することの必要性などを指摘し、より具体的で実効性のある取り組みを求めたところであります。これらの指摘を受け、県教育委員会においては、各地区の教育事務所から、地域の特徴に応じた支援を行うチームを中学校に派遣したり、県立高校の入試問題を活用した中学校用教材を作成することとなりました。また、各学校で学力向上プランを策定してPDCAサイクルを確実に行うよう位置づけられた上で、県の学力調査の対象に中学校一年生を追加して、小学校五年生から中学校三年生まで切れ目なく学力の変化を分析する取り組みを進めていると理解しております。各地域の学力向上は、人づくり、福岡県全域の均衡ある振興発展にかかわる課題であります。子供が、県内のどの地域で育っても、将来の社会の担い手として活躍できる人材となるために、小中学校の段階で十分な学力を身につけられる環境を整えることこそが未来の福岡県をつくる基盤となると信じております。そのために、単に全国学力調査の点数の上下に一喜一憂するのではなく、課題がある地域に対して着実に取り組みを進め、県内の全ての地域の学力を一定水準に上げていくことこそ、本県教育の使命であり義務であります。
そこで、子供の未来のために、県の学力向上の取り組みについて、教育長に以下三点質問いたします。まず一点目、本県児童生徒の学力の現状について、教育長はどのように総括しているのか御所見を御披瀝ください。
そして二点目、学力向上に向けた県のこれまでの政策は効果があったのか、これまで幾度か質問に取り上げてきた南筑後の状況を含めて御説明ください。また、その課題についてどのように捉えているのかお答えください。
最後に三点目、現在の課題を解消し、さらなる学力向上を図るため、今後、県としてどのように取り組むのか、県教育トップである城戸教育長の意気込みも含めてお聞かせください。
以上、県下全域で子育て世帯の皆様が福岡で子育てしたい、福岡県に住み続けたいと思えるような力強い答弁を期待して、質問を終わります。(拍手)
32 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。
*教育長答弁
33 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 児童生徒の学力の現状についてでございます。平成三十年度全国学力調査の県全体の結果では、四教科区分の平均で見ると、小学校は、全国の値を上回っており、四年連続で向上し、調査開始以来最も高い値となっております。中学校は、三年連続で向上傾向にあるものの、依然として全国を下回っており、小学校で伸ばした学力を中学校段階で十分に伸ばすことができていないことが課題と考えております。また、特に中学校では、全ての教科区分で全国の値を超える地区がある一方で、全ての区分で下回っている地区もあり、いまだ地区間格差が解消されておりません。さらに、本県は、生徒の問題解決に向けた主体的な態度や、話し合いによる探究活動などの値が全国よりも低く、今後、小中学校九年間のつながりを意識しながら授業改善などの取り組みを行う学校の組織的マネジメントを徹底させることが必要であると考えております。
午 後 二 時 四十分 散 会
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