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平成31年2月定例会(第7日) 名簿
平成31年2月定例会(第7日) 本文

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  1. 福岡県議会 2019-02-07
    平成31年2月定例会(第7日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井上 順吾君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。岳康宏君。(拍手) *岳議員質問 2 ◯十番(岳 康宏君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の岳康宏です。今任期最後の議会となりましたこの二月定例議会におきまして、自民党県議団を代表して質問する機会をいただきましたことを、まことに光栄に存じます。(発言する者がある)ありがとうございます。  私は、思いのたけを県政にという思いで、この一期、走り抜けてまいりました。ことしは選挙の年です。外向きのメンツにこだわることなく、県民の内なる思い、声なき声を聞く努力をして、ここは謙虚に頑張りたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、ただいまより代表質問に入らせていただきます。  さて、具体的質問に入ります前に、間近に迫った統一地方選挙において行われます次期県知事選挙について触れさせていただきます。この次期県知事選挙に関し、我が党は厚生労働省出身の武内和久氏を推薦候補とすることを党本部が決定し、我が党県連に伝達されました。よって、我々県議団といたしましても、一丸となって奮闘してまいる決意であることを表明したところであります。  さて、二期八年にわたり知事を続けてきた現職の小川知事が、なぜ我が党の自民党推薦を受けることができなかったのでしょうか。これについては、既に一部のマスコミの報道により多くの方が御存じのことでしょうが、大前提としてまず言えることは、原発否定を党是とした立憲民主党と真っ先に政策協定を交わしたことであり、しかも、その立憲民主党との政策協定を今後の県政運営の指針とするとされたことは、我々自民党が到底容認できないところであります。このことだけでも、既に我が党の推薦対象から外れていると言えるところですが、小川知事、あなたは五百万県民を幸せに導く県政指導者としてのリーダーシップが欠けておりました。世間ではよく決断力、企画構想力、実行力、そして最後に人間的な包容力、この四つがリーダーシップの必要条件として挙げられます。遺憾ながら、小川知事はこのいずれも持ち合わせていなかった。とりわけ重要課題解決に向けてみずから動くこともなければ、トップダウンで部下職員への適切な指示も見られなかった。あなたは、行政課題の処理に当たってみずから動こうとせず、部下の幹部職員任せ、そのくせ万が一失敗すれば、その責任を部下に押しつける。職員からしばしば批判めいたぼやきの言葉が流れていたのを、知事は恐らく御存じないでしょう。その一方で、職員からボトムアップで上がってきた政策や具体的事業について、自由で豊かな自己表現もなければ、それを動かす意欲もない。結局、日の目を見ることなく賞味期限切れとなってしまったような話をよく耳にします。  その顕著な例の一つが、宿泊税をめぐる福岡市との調整問題だと感じるところです。以前テレビに映し出された、宿泊税問題の円満解決のため福岡県と福岡市の担当幹部職員の交渉する場面は、今の県政の実相や内部事情を如実にあらわしたものではないかと存じます。もちろん、誰が見ても失礼きわまりない福岡市側の対応は看過できませんし、責められるべきものですが、こうした事態となったのも、もとはといえば、的確な方針や指示がないため、部下が共感できる意義を見出せなかったことと、周囲を巻き込む能力にあなたが欠けていたためです。温かみのある行政と言いながら、職員に対する温かみを感じません。リーダーに誠実さと思いやりの心がなければ、相互の信頼と尊敬は決して生まれません。また、このような例は枚挙にいとまがないようです。  小川知事、あなたが麻生渡前知事の後を受け第十七代福岡県知事に就任された平成二十三年春には、県庁周辺の飲食店やホテルが夜遅くまでにぎわい、周辺では小川特需なる言葉が生まれ関係業者に喜ばれていたことを御存じでしょうか。決断力に欠ける知事のせいで、いつまでたっても予算や人事の決裁が得られない。このため、連日どこの部署も多数の職員が残らなければならない羽目となり、深夜残業を余儀なくされた。このため、近くで夕食や夜食をとることとなり、交通機関がなくなった職員は連日ホテルに泊まり込んで翌日を迎えるといった日々が続いたようです。働き方改革が叫ばれている昨今、実に嘆かわしいことです。したがって、八年たった今でも、そのときのことを職員は苦々しく思い出すのであります。そして、当時、夜間四時間も五時間も待たされたあげく、やっと決裁がもらえると思ったら、起案文書のてにをはを直されただけ、ばからしくてやってられないとぼやく職員が続出したと仄聞しております。  小川知事、あなたを取り巻く幹部職員は皆、優秀です。どうして迅速な指示を下し、職員を信頼して、直ちに仕事に取り組めるような状況をつくってやれなかったのですか。しかも、部下職員が上げた文書への知事決裁がおくれ、事務を遅延させている、このような状況は依然続いていると聞いております。これを小川知事、あなたの単なる優柔不断で慎重な性格がもたらした事態というだけでは済まされないのであります。賢明なる判断を瞬時に下して、政策決定におけるスピード感を持って職員を素早く動かす。これこそ賢明なる指導者に求められる姿ですが、あなたは真逆の姿を見せ、このままだと福岡県政の停滞を招くばかりです。みずから賢明なる判断が求められていることを、この際厳しく糾弾しておきます。  そして、小川知事、あなたのような行政スタイルは今日ではもはや通用しない。慎重に対応しているため時間がかかると言えば聞こえはよさそうですが、迅速かつ的確な課題の処理や実現が、国、地方を問わず全ての行政面で最も求められるところとなっています。情報技術の急速な進歩によって、かつての十年が一年、百年が十年と縮まってきたわけですから、当然、行政もその迅速な処理、的確な課題の処理、実現が求められていることは言うまでもないことです。  こうしたことも含めて考えた場合、一層あなたが本当に福岡県政の指導者にふさわしいかどうか、さらに厳しい自己判断と自己決定が求められることを指摘し、猛省を促したいと存じます。  さて、これまで大局的、理念的に述べてまいりましたが、これよりは小川知事の今日までの二期八年間を振り返り、小川知事が掲げた政策のうち、重立ったものについて触れ、小川県政の実相を検証し、評価してまいりたいと存じます。  小川知事が当選したばかりの平成二十三年六月議会で、あなたは県民一人一人が福岡県に生まれ、生活してよかったと実感できる県民幸福度日本一を目指すと語り、初めて取り組まれた当初予算の編成では、そのような観点から施策を体系的に整理し、重点的に進めることとした、とも宣言されました。そのとき私はまだ当選しておりませんが、当時の自民党県議団所属の議員全員が、極めて少なからぬ違和感と不快感を覚えたと伺っております。といいますのも、当時は民主党政権下、政府でも幸福度の研究などが盛んに進められていた風潮に、内閣広報官を務められた知事がすかさず呼応し、こびを売ったと理解したからであります。もともと幸福も不幸も自分の心のありようです。そんな主観的な概念は政策の対象になり得るはずがないと疑問を呈し、新知事の浅薄さを厳しくただしました。取ってつけたような県民幸福度日本一の幸福度をどんな指標や尺度で測定するのか、他県とどのように比較するのか、我が党会派にとどまらず、多くの議員が皆ひとしく抱く疑問でありました。しかし、当時知事からは明快な説明が得られず、今日に至るまで納得のいく説明を一度として得たことがありません。  次に、知事は平成二十四年三月に策定された県の総合計画に、早速、県民幸福度日本一のレッテルを張りつけました。その後も議会で、幾度も県民幸福度日本一は政策たり得ない、単なるスローガンではないかと我々から批判、指摘を受けながら、一昨年三月の改定計画でもその姿勢を変えていません。  一方、知事は、県民幸福度日本一の基本は、県民生活の安定、安全、安心を向上させることだと、これまで明言してきました。この三つが県政の重大な使命であることに、もちろん異論はありません。と同時に、私たちは雇用が安定し、経済的に裕福であっても、不幸な家庭が日常的に見られることを経験的に知っています。知事の定義は、明らかに生活満足度に近いと言うべきであります。あなたも、そのことを本心ではわかっていたはずです。安定、安全、安心を実現するための諸事業も、実際は生活満足度の向上を目指す施策です。これらについて、県では毎年、事務事業評価が行われています。県民幸福度日本一が政策だというなら、なぜその達成度、成果について評価を行わなかったのですか。県民意識調査の、本県で生まれてよかった、生活してよかった八割以上は、他県と比較できないもので、日本一についての政策評価には何らなり得ません。知事の言うとおり、幸福度が特定の指標で測定できないものだとすれば、日本総研が行っている四十七都道府県幸福度ランキングも、実際は生活満足の比較ということになります。昨年の県議会でも我々が指摘したように、本県は中位以下の三十位。毎年多少の上下変動はあるでしょうが、知事在職二期八年に際立った上昇は全くなく、成果があったとは到底思えません。反省とその責任を含め、県民にきちんと説明されるべきであります。改めて答弁を求めます。  次に、財政構造改革についてであります。この重要改革についても、県財政当局任せで知事のリーダーシップを全く感じさせない小川県政の取り組み姿勢には、幾つもの看過できない問題がありました。知事に就任されて約一年後の平成二十四年三月、新財政構造改革プランが終了しました。それまで四次にわたり財政改革のため取り組んできた、財政の健全性と安定性を確保する羅針盤であるプランが途絶えてしまったのであります。我が会派は、再三、財政構造改革のための次期プランを早急に策定するよう求めました。ところが知事、あなたは当時政府で進められていた社会保障と税の一体改革の行方が不透明であることなどを理由に、重い腰を上げず、およそ財政構造改革への取り組みが感じられなかったのでありました。その後一年を経て、しばらく平成二十六年度から二十八年度を改革期間とする財政改革推進プランを策定。最終年度までに財政調整基金等三基金の取り崩しに頼らない財政運営を実現する、県債のうち臨時財政対策債以外の通常債の残高を毎年度確実に減少させることを改革方針として公約しました。そしてプラン最終年度の二十八年度当初予算では、三基金の取り崩しを回避し、体裁だけを整えて、公約を守ったふりはしました。しかしながら、もともと財源がないのですから、ぼろはすぐ出るものです。早くも二月補正では約束を翻し、取り崩しを余儀なくされました。全く県民を愚弄したものでありました。それだけに、この事実は今日でもその記憶が直ちによみがえってきます。そればかりか、あきれたことにその後二十九、三十年度予算では、当初からさも当然のごとく堂々と三基金に依存し、以前のままの歳入構造に立ち戻るという、全くもって厚顔無恥と言うべき対応であります。  平成二十九年度以降の財政改革プラン二〇一七は、あきれたことに知事の二期目の任期を超える平成三十三年度までの計画となっています。そこでの新たな改革方針は、計画期間中に基礎的財政収支いわゆるプライマリーバランスを黒字化する、通常債の発行額と残高を毎年度確実に減少させる、三基金の残高を確保するなどとされています。あなたは本当に平成三十三年度まで責任を持つつもりだったのですか。どうして持てるのですか。  小川知事、あなたがこれまで策定された二つの財政改革プランを振り返りますと、所期の目標が達成されないまま次のプランがつくられ、しかも十分な説明がないまま新たな目標にすりかえられ、持続可能で安定的な財政基盤を本気で確立しよう、そんなかたい意思が全く感じられなかったのであります。いや、もともとなかったのでしょう。ましてや、確実に再選される制度的な保証もないのに、最終目標が任期後になる五カ年のプランを策定されています。全く無責任きわまりないものです。平成三十三年度までのプライマリーバランス黒字化を強調されても、その実現に知事、あなたは責任持てますか。まさにこの指摘が現実のものとなりつつあります。せめて三カ年の計画であればともかく、そうした知事の安易な姿勢や財政改革に対する知事の不誠実さが我々の疑念を増幅させ、今日、我が党本部があなたを次期知事選挙における推薦候補にしなかった大きな原因の一つとなったわけであります。このことを知事、あなたはどのように理解されていますか。率直に答弁願います。
     また、昨年二月の代表質問で、公共投資を充実する方向にある政府の最近の方針を踏まえれば、投資的経費の抑制を基調とする財政改革プランでは計画と現実の乖離が拡大し、プランの構造そのものにゆがみが生じないか、大いに危惧されることを指摘しました。現に、平成三十一年度の政府予算案地方財政計画を拝見しますと、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策を推進するため、公共投資拡大の傾向は一段と強まっています。二十一世紀半ばに向けて道路、橋梁、河川管理施設、上下水道などのインフラ、学校を初め公共施設の老朽化も急速に進み、財政需要も膨大になることが確実に見込まれることを踏まえた予防的な対応だと推察されます。知事も政府予算要望などで道路施設の老朽化対策の推進を要望されていますが、最重点要望には位置づけられていません。財政改革プラン二〇一七を策定するに当たり、このような諸状況をどの程度反映できているのでしょうか。抑制基調のプランをそのままに、災害復旧、復興は別だ、国から国土強靱化対策の推進を要請されたなどと一々言いわけするような姿勢は、安定的財政運営の確保に向けた知事の優柔不断さに相通ずるものがあります。これまでの二期八年間を謙虚に振り返り、どんな理念に基づき、具体的にどのような改善を目指して財政改革に取り組まれてきたか、知事自身の総括を求めます。  さて、八年間の小川県政への評価として、最後に、政府・与党に対する要望活動の達成率と宿泊税の動向についてただしておきます。  毎年、最重点要望と重点要望に分けて、昨年は最重点で二十件を超える、重点要望で百五十件に近い要望を行っています。この八年、知事の政治力によってどの程度の達成率があったのか。各部にわたる大勢の職員を帯同させて上京されているのですから、これに要する経費もばかにならないでしょう。行政評価を言うなら、要望活動のコストパフォーマンスもあわせて明確にしておく必要があると考えます。答弁を願います。  次に、既にさきにも少し触れましたように、宿泊税についてであります。福岡市との確執、対立についてこれまでも何ら行政手腕を発揮できず、今なお混乱が続いているようです。今日までの交渉経緯なども含め、最近の動向についても御報告願います。  ところで、麻生前知事の二期目にも、法定外税の創設に関連して県と北九州市との間で似たような紛争が生じたことを知事は承知のことと思います。産業廃棄物をめぐって、本県の産業廃棄物税と北九州市の環境未来税の間に生じた二重課税問題でした。今日の宿泊税をめぐる福岡市との関係と全く同じ様相を呈して解決困難だと悲観的な見通しもありました。しかしながら、広域にわたる産業廃棄物の流通の実態に応じて、二重課税を避けつつ課税団体間の課税権を調整する画期的な福岡方式を当時の県税担当者が英知を凝らしてつくり出し、現在では産業廃棄物税を創設する場合の模範的なモデルとして、国はもとより学界においても高く評価されています。知事は、この宿泊税をめぐる福岡市との確執で、かつての産廃税創設の際の県と北九州市でつくり上げた福岡方式を参考にされたことがあったのですか。恐らくその事実さえも認識されていなかったと想像しますが、いかがですか。  そこで、今回の宿泊税問題で新たな福岡方式を生み出し、一体トラブルを解決される成算を持っておられるのか。解決の見通しを持っておられるのであれば、この際、御披露いただきたいと存じます。  さて、それでは次に、当面の県政課題についてただしてまいります。  まず最初に、三年間は据え置くとした約束をわずか二年間でほごにしようとして市町村の怒りと不信を招き、小川県政下ならではの混乱に終始した今回の国民健康保険料問題についてただします。そもそも国民健康保険は、昭和三十六年、国民皆保険制度が発足する中で、自営業者や農林水産業者などを対象に市町村事業として開始され、制度開始から五十年以上が経過したわけであります。この間、文字どおり国民の健康保持に大いに貢献したところでありますが、一方で財政的には火の車の歴史であったと言っても過言ではないでしょう。慢性的な赤字経営から脱却し、国保財政の基盤安定化を図るため、平成十五年当時の小泉内閣において医療保険制度抜本改革の一環として、保険者の統合、再編という方向性を打ち出しました。以来この十数年間、財政負担にあえぐ市町村と、国保に対する責任を都道府県に押しつけようとする国、そして抵抗する都道府県という構図の中で、着地点を求めて知謀浅短が繰り広げられることとなりました。こうした過程を経て、平成三十年四月、国保の財政運営が都道府県に移管されることとなったことは、おのおの御承知のことと存じます。  さて、具体的問題に入ります。県当局は、平成二十九年度、新制度発足に先立ち、国保事業費納付金算定において、制度施行三年間、すなわち平成三十、三十一、三十二年度については、一定割合をゼロ%とする負担緩和措置を維持し、制度変更に伴う市町村の実質的な負担上昇を抑制することを約束されました。この約束をもとに、平成三十一年度の国保事業費納付金の算定方法について協議する第一回福岡県国保共同運営会議が平成三十年十一月十三日に開催されております。この会議は、市町村側の委員として県市長会会長県町村会会長などが出席し、県側も担当副知事や保健医療介護部長などが顔をそろえる、いわば国保運営に関し次年度の基本方針を定めるトップ会議の位置づけであります。この会議において、県執行部は平成三十一年度においても一定割合をゼロ%とする負担緩和措置を維持すると明言され、出席メンバー全員でその方針を確認されたと仄聞しているところであります。  ところがであります。甘い見通しだったのでしょう。その一月後の十二月十七日、まさに唐突に、県執行部は仮算定結果として、一定割合を八・四%なる文書を全市町村に通知され、同二十一日の市町村説明会では八・四%への見直しを提案され、その後二十六日、畳みかけるかのごとく第二回の国保共同運営会議幹事会を開催し、同様の内容を説明されました。受け手である市町村はまさにハトに豆鉄砲状態で、国保共同運営会議は大混乱に陥ったと聞いています。わずか一月前に、市長会、町村会のトップも出席する会議で方針確認されていたにもかかわらず、ちゃぶ台返しとなり、混乱を招く事態となったことで、事国保事業に関する限り、市町村の県に対する信頼はまさに地に落ちたと言うべきものがあります。  そこで質問に移ります。まずは、新制度移行に先立ち、向こう三年間、一定割合をゼロ%とする負担緩和措置を維持し、制度変更による市町村の実質的な負担上昇を抑制することとされた、当時の根拠や背景について知事の答弁を求めます。  次に、そうした方針をもとに、平成三十一年度の取り扱いについて、担当副知事も出席の上、市長会及び町村会のトップを交え据え置き方針を確認されたにもかかわらず、唐突に納付金の引き上げを提案されることとなった背景や理由について、知事の答弁を求めます。  あわせて、この経緯によりメンツ丸潰れとなった副知事に対しどのような釈明をされたのか、保健医療介護部長の答弁を求めます。  まさに舞台が二転三転し、最後は当初の方針どおり据え置きとなったわけでありますが、小川知事、そもそも三年間の据え置きという県民への約束を破るような発言を幹部職員にさせ、市町村に不安を与えたことは言語道断であります。ここにもリーダーシップの欠如が十分にうかがえるところですが、一体知事、あなたは、今回の国民健康保険をめぐる問題で、いずれの市町村もおかしいではないかと不信の声を上げ、市町村みずからの努力では利用料の引き上げをしないで済むような一般会計からの繰り入れなどでこの問題を乗り切ろうとした自治体が少なからずあったことを御存じなのか、事情を説明ください。  その上で、最終的には据え置きとされたその背景や具体的理由、根拠について改めて知事に答弁を求めます。  また、今回の問題について県執行部のトップとして知事には反省すべき点が大いにあり、小川知事がいかに責任を感じているか、率直に心情を述べてください。  あわせて、県の方針として明確に言明された、三年間保険料は据え置くとしたこの県民への約束について、この際、再度改めて明らかにされることを求めます。  次に、平成二十七年度から制度が始まり、国民一人一人に十三桁の個人番号が割り当てられることになりました、いわゆるマイナンバー制度について、この際ただしておきます。マイナンバー制度の導入により、県民にとっては税の申告や社会保障の給付の手続の際に、住民票や所得証明書といった書類を添付する必要がなくなり、利便性が大きく向上することが期待されたはずです。県や市町村にとっても、情報を照合したり、入力や転記に要する時間や労力が削減され、事務の効率化につながることが期待されました。平成二十八年一月には、顔写真とICチップを搭載したマイナンバーカードの交付も始まりました。マイナンバーカードの交付開始直後には、カードの発行事務を担う地方公共団体情報システム機構コンピューター処理システムの障害によりカードの発行が滞ったことはありましたが、マイナンバーカードの交付開始から三年が経過した現在でも、マイナンバーカードの交付が全国的に一割程度というのは、全く普及が進んでいないと考えざるを得ません。  そこでまず最初に、本県の普及状況をお示しください。  次に、全国的にマイナンバーカードの交付が進んでいないのは、どのような課題、問題があるためか。県民がカードの発行に全面的に信頼を寄せていないためか、カード発行にメリットを感じていないのか、具体的に課題を踏まえて今後のマイナンバーカードの普及のため、国や県、市町村ではどのような取り組みを行おうとしているのかお尋ねします。  次に、国や県、市町村がマイナンバーを利用して個人情報を相互にやりとりする、いわゆる情報連携についてお尋ねします。情報連携が進めば、税の申告や社会保障給付のために必要な情報が国や県、市町村間で相互にやりとりされるため、県民が住民票や所得証明などの書類を取得する必要がなくなることはもとより、申請手続そのものを行う必要もなくなります。情報連携が進めば、県民の利便性が大きく向上するものと考えます。本県では、どのような手続を情報連携対象として実施し、それに伴いどのような効果が得られていると考えているのかお尋ねします。  ところで、マイナンバー制度が県民に信頼される制度として普及していくためには、何よりも個人情報が適切に保護されることが不可欠です。個人情報の保護には、情報連携など活用するコンピューターシステムに万全のセキュリティー対策がとられ、適切に運用されることが求められています。また、個人番号を取り扱う職員が十分な知識を持ち、細心の注意を払って事務処理を行うことが重要です。今日、マイナンバーの普及が進まないのも、尽きるところ、個人情報保護で役所が国民の信頼を得ていないことに尽きるのではないでしょうか。個人情報保護が本当に図られているのか、下手するとマイナンバーを管理運営する行政から個人情報が漏れていくのじゃないか、こんな心配の声が実際に随所で聞かれるのであります。  そこで、本県ではマイナンバーに関する個人情報保護のため、どのような対策を講じているのかお答え願います。  次に、農政問題に移ります。  まず最初に、本年一月から始まりました収入保険制度についてただします。この制度は、ほぼ全ての農産物が対象で、自然災害による収穫量の減少だけでなく、価格低下など農家の経営努力では到底補うことができない収入減少を補填するものであります。病気やけがで収穫ができず収入が減った場合や、保管中のものが洪水で水につかり出荷できなくなった場合にも補填されるということですから、TPPイレブンや、域内人口が六億人を超え世界最大の自由貿易圏となった日・EU・EPAによる農産物の価格低下や、二年連続で本県を襲った集中豪雨による被害など幅広いリスクに対応できる制度であり、大変有効なものではないかと考えております。当初、この制度の申し込み期限は昨年十一月末とされていたようですが、生産者の中には制度加入の検討が十分できない方もいるとの判断から、十二月末まで延長されたと聞いているところです。加入申し込み期間も長くなり、多くの方が加入されるものと思っていましたが、年明けに報道されていた全国の加入見込み者数は三万五千経営体で、目標の十万経営体に対しわずか四割にも満たなかったのは、心底遺憾であります。制度について周知が到底足りなかったからでしょうか。  そこで気になるのが、本県の加入状況についてであります。この際、明らかにしていただき、その状況について知事はどのように認識、評価されているのか。国同様に本県においても加入が予想外に少ないのであれば、一体何が原因なのか。就任以来、農業行政に余り関心を示してこられなかった小川知事の熱意のなさが見事に反映していると言うべきでしょうか。詳細に説明いただき、さらに今後どのように対応していかれるのかお答えください。  第三に、中山間地域における農業の振興についてであります。一昨年の九月議会において、我が会派が代表質問でこの中山間地域における農業振興についての認識と振興方策についてただしたところ、中山間地域の主要な産業は農業であることから、その振興は地域の発展にとって重要である。国の交付金を活用した荒廃農地対策や県独自の支援策を総合的に進めることで、中山間地農業の振興を図っていくと答弁されました。中山間地域農業の振興に即効性のある特効薬のようなものがないことは、国や都道府県が長年取り組んできたにもかかわらず多くの地域で目に見える改善が図られていないことからも明白であります。とりわけ中山間地域で一層進む荒廃農地が一番深刻と言えそうです。荒廃農地が中山間地域にどれだけあるのか国は公表しておりませんが、その多くが中山間地域にあるということは明らかであり、全体の数値からその傾向をうかがうことは可能であります。平成二十九年の状況を見ますと、全国で二十八万ヘクタール、この五年間で約七%、約一万八千ヘクタール増加しており、また本県でも四千七百八十ヘクタール、五年間で一%、二十八ヘクタールの増加となっているように、荒廃農地一つとっても目に見える改善は図られていない状況です。  とはいえ対策を講じないわけにはまいりません。大事なことは、地域ごとに異なる課題に対し、現時点で考えられる対応策を十分講じることです。知事の言葉をかりるならば、その地域に住む方が、その地域に生まれ、生活してよかったと実感できるようにすることが重要であります。一方で、国が実施した調査では、近年、農山漁村に定住したいと考える若者が多くなっているようで大変心強いことではあります。ただし、若者たちは医療や交通、そして仕事の少なさを定住の不安要因として挙げています。このことは、特に中山間地域において大きな問題であり、医療や交通といった生活面のインフラ整備に加え、生活をしていくための仕事、いわゆる主要な産業である農業を元気で魅力的なものにしていかなければ、中山間地域農業の発展は望めないところです。  そこで知事にお聞きします。言われて久しい本県中山間地域の農業振興について、もともとどのような基本理念を持たれているのか。その上で、今後どのように中山間地域の農業振興を基軸とした地域発展を描かれるのか、具体的に説明願います。  次に、九州北部豪雨災害で一点だけお聞きしておきます。九州北部豪雨災害で大きな被害を受けた朝倉市、東峰村では、一部の平たん地域の水田に広範囲に流入した土砂の撤去も終わり、主要作物の米、大豆、麦の作付が始まりつつありますが、山間部の柿などの樹園地や大規模に農地が流失した河川沿いの復旧は、これから本格化するとのことで、全ての工事が完了するまでには数年もかかる地区もあると聞いております。既に発災から一年七カ月もたっており、被災された高齢農家の中には、これを機に営農を縮小しようとする声が聞こえるなど、このままではこの地域の農業が衰退していくのではないかと大変危惧しているところです。そうならないためにも、被災農家や地域の担い手となる後継者が将来に希望が持てるよう、今後の農業の姿や振興方針を県が示し、支援していくことが必要であるということは言うまでもないところです。知事は、何かにつけて被災地の復旧、復興を速やかに取り組んできたと言われますが、私にはスピード感を全く感じられません。  そこでお尋ねします。こうした朝倉市及び東峰村で甚大な被害を受けた地域の農業復興に、今後どのように取り組まれるのかお尋ねします。  この農政問題の最後に、豚コレラについてただします。先週六日、愛知県豊田市の養豚場において、豚コレラの感染が確認されました。この農場からは、愛知県内や長野県、岐阜県、滋賀県、大阪府の農場にも子豚が出荷されていたため、感染は一気に一府四県にまで拡大したようです。本県においては、昭和五十六年を最後に豚コレラの感染は確認されていませんが、本県でも発生するのではないかと養豚農家の不安が高まっていると聞いております。  そこでお尋ねします。県では、豚コレラの防疫対策についてどのように取り組まれているのかお答え願います。  この豚コレラは、人には感染しないと言われていますが、中国や東南アジアなど周辺国で蔓延している鳥インフルエンザは、御承知のように人に感染するウイルスがあります。これまで本県では、鳥インフルエンザの発生はないものの、ウイルスを媒介する渡り鳥は毎年飛来しており、いつ発生してもおかしくない状況と聞いております。鳥インフルエンザのような人と動物の共通感染症は、一たび人への感染が広がると社会に与える影響は極めて大きいものがあります。  そこでお尋ねします。県では、人と動物の共通感染症対策についてどのように取り組まれているのかお尋ねします。  さて、知事を初めとした知事部局への質問から離れ、最後に子供のスポーツ環境の充実について県教委にただし、私の代表質問を終わります。  さきにスポーツ庁から、平成三十年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果が公表されました。本県は小学校男女及び中学校男女全ての区分で、実技八種目の記録を点数化し合計した体力合計点の平均値が平成二十年の調査開始以降最高値となり、とりわけ小学校男子の県平均値は四年連続、中学校男子は三年連続、小学校女子及び中学校女子は二年連続で全国平均値を上回っていたようで、心強く感じたところです。もっとも、報道では全国的に体力がピークだったとされる一九八五年ごろに比べると低水準であること、これは本県も同様ではないかと思っています。昔に比べて体力が低水準であることの背景として、運動機会の減少が挙げられています。スポーツ庁の調査報告でも、幼少期に外遊びの頻度が高かった小学生ほど運動習慣が身につき、体力テストの合計点が高い傾向にあるといった、幼少期の運動の重要性が示されています。私たちの先輩からお聞きしたお話では、一九五六年のメルボルン・オリンピックに出場した三段跳び当時の世界記録保持者である小掛照二氏らに憧れ、全国津々浦々の小学校で多くの子供たちがホップ、ステップ、ジャンプと声を上げて遊びながら三段跳びで競い合っていたようです。昨今の子供たちはいかがでしょう。これらのことからすれば、文部科学省の、最近の子供は、スキップができないなど体を上手にコントロールできない、あるいはリズムをとって体を動かすことができないといった、自分の体を操作する能力が低下しているとの指摘に納得しているところです。  子供たちがけがをするからという理由で、かつてどこの学校でも見られたような気がする校庭での学校の相撲場が姿を消し、高鉄棒などの運動施設も撤去されていると聞きました。私は、これらの運動施設が小学校にあることは、大変重要であると考えます。なぜなら、子供たちは、相撲場があればそこで相手を押したり寄ったりして遊ぶことができます。また、鉄棒があれば、ぶら下がったり、回転したりして遊ぶことができます。そのことで、自然と運動能力が高まっていくはずです。一九八五年ごろの高い運動能力を下支えしていたのは、身近にある運動施設での日々の運動の積み重ねではないかと思います。平成二十八年に組み体操の事故が全国で話題になったときに、運動会での組み体操を取りやめる学校が相次ぎました。危険なことは全て子供から遠ざければよいという考え方ではなく、少し考え方を変え、子供たちにとって有意義なスポーツ環境は維持、整備し、安全に運動や遊びをするためには何を気をつければよいのか、保護者や指導者、教員などの大人が何を教えればよいのかを議論していく必要があると私は考えます。  次に、中高校生にとって有意義なスポーツ環境の一つとして、運動部活動が挙げられます。小学生におけるスポーツ環境は身近な外遊びが中心となりますが、中学生、高校生になると外遊びの機会が減少し、スポーツ環境の中心は運動部活動に移行していきます。小学生にとっての相撲場や高鉄棒などのスポーツ環境を整備していくことと同様に、中学生、高校生の運動部活動の環境を整備、充実していくことが、さらなる体力の向上やスポーツの活性化につながると考えます。昨年三月に、スポーツ庁は運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを策定し、これを受け、県においても、国のガイドラインを受け、昨年十二月に福岡県運動部活動の在り方に関する指針を策定したと伺っています。しかしながら、その一方で過度の練習によるスポーツ障がい、外傷、少子化の進展、指導者不足や顧問の負担過重等の課題により、従前と同様の運営体制では維持は難しくなってきており、学校や地域によっては運動部活動の存続の危機にあるとも聞くところです。  運動部活動も相撲場や高鉄棒、組み体操と同様に、世論が騒げばすぐ廃止する、縮小するではなく、子供たちにとって、先生方にとって、どのように改善すれば教育効果の高い運動部活動が持続可能なものになるのかを議論し、子供たちのスポーツ環境を維持、整備していくべきだと考えます。  そこで教育長にお尋ねします。まず、小学生のスポーツ環境の充実の観点から、本県の公立小学校における相撲場及び高鉄棒の設置数とその設置状況の変化についてお答えください。  また、相撲場や高鉄棒が未設置の小学校は、体力を高めるためにどのような取り組みをされているのかお尋ねします。  また、先ほど来触れています、かつてどこの小中学校でも見られたような気がする鉄棒や土俵がなくされたことについて、その原因も含め実相を説明ください。  次に、中高校生のスポーツ環境の充実の観点から、本県が策定した福岡県運動部活動の在り方に関する指針の内容と、今後の本県運動部活動のあり方についてお答えください。  最後に、体力向上に係るスポーツ環境の充実について教育長の見解をお聞かせください。(拍手) 3 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、県民幸福度日本一の取り組みの考え方と成果でございます。私が平成二十三年知事選挙に臨んでおりました当時は、世界同時不況からの経済再生、深刻な財政状況など課題山積でありましたこの日本の国に、未曽有の大震災による甚大な被害が加わりまして、我が国はこれまで経験したことのないような大きな試練を迎えた、そういう時期でありました。一方で、社会の成熟化によりまして人々の価値観が多様化をいたしまして、幸福度の高い社会を構築していこうと、そういう動きが国の内外で活発化しておりました。そういう時期でもありました。そのような状況のもと、福岡県は大きな可能性を秘めた魅力ある県となってきておりまして、私はその基盤の上に立って、時代の変化と新しい課題に対応して、この福岡県をより一層発展させたいと、このように考えておりました。そして私は、きのうよりきょう、きょうよりあしたはよくなる、将来に向かって希望を持てるような地域社会をつくっていきたいと考えまして、この実現に向け、県民の皆様が、この福岡県に生まれてよかった、生活してよかったと実感していただける県民幸福度日本一の福岡県を目指すことといたしたものであります。  幸福の考え方というのは、人によってさまざまであります。就任後、そのため設置をいたしました有識者会議におきましても、一律にまた特定の指標でもってこれを的確にあらわすことは難しいと、そういう結論でございましたが、一方で主観的な幸福実感ははかることができると、このように会議から報告を受けたわけであります。そのため、毎年県民意識調査というものをやらせていただきまして、県民の皆様がどう感じておられるか、主観的な幸福の実感というものを把握してきているところであります。福岡県に生まれてよかった、生活してよかったと言っていただける方は、知事就任時以来上昇基調にございまして、ここ三年は連続して八割を超えるなど着実に成果が上がってきていると考えております。  一方で、御指摘のあった都道府県幸福度ランキングでございます。この中では、福井県が第一位となっておりますけれども、この民間機関が幸福度を捉えるために、仕事、生活、教育といった特定の指標をもとに順位づけを行ったものでございます。本県は、仕事分野における事業所新設率、教育分野における学童保育設置率の指標が全国で上位となっております一方で、生活分野における持ち家比率、生活保護受給率といった指標が全国下位にあり、そうした指標が総合順位を引き下げているものと考えております。今後とも、こうした民間の調査内容も参考にしながら、私ども福岡県の強みとなっている部分をさらに伸ばしていくとともに、全国に比べて改善の必要な分野につきましては、それを改善すべく取り組みを進めていき、施策の充実強化、これに努めてまいります。  次に、財政改革プランの計画期間についてお尋ねがございました。財政改革プランは、将来に向けて持続可能で安定した財政運営の実現、これを目指しまして、歳入歳出全般にわたる改革の方針と取り組みを定めるものでございます。プランの策定とその実施は、本県の行政改革に関する基本計画であります行政改革大綱において、重要な改革事項として位置づけられております。この大綱は、取り組みを継続することで成果を上げていくとともに、一方で経済社会の状況の変化のスピード、これも考慮いたしまして、五年間というものを計画期間といたしております。この大綱の計画期間が五年間の計画期間といたしております。そこで、プランの計画期間もこの大綱と合わせまして、平成二十九年度から三十三年度までの五年間としたものでございます。プランは五年間の計画といたしておりますけれども、目標達成に向けた年度ごとの見込み額を示しております。毎年度、当初予算とあわせましてプランの目標達成状況を公表させていただいておりまして、責任を持って改革に取り組んできたところであります。  なお、財政健全化に向けた計画は平成八年度(一九九六年度)以降数次にわたって策定をしてきておりますけれども、そのほとんどが五年間を計画期間としていることを申し添えさせていただきます。  次に、財政改革の取り組みの総括でございます。社会経済情勢の変化に対応いたしまして、県民の皆様のニーズにかなった行政サービスを提供していくためには、自主財源の確保、県債残高の縮減などを通じた持続可能で安定した財政運営が不可欠でございます。このため、地域経済の活性化と魅力ある雇用の創出などの施策に取り組むことによりまして税源の涵養を図るとともに、歳入歳出全般にわたる不断の財政改革を進めていくという理念のもと、適切な財政運営に努めてまいりました。私が知事に就任いたしました平成二十三年度から本年度まで、財政改革プラン等に沿って人件費の抑制、事務事業の見直しなどの改革項目に取り組んでまいりまして、三千四百億円を超える累積効果を上げているところでございます。加えて、堅調な企業業績による法人二税、所得、雇用増によります個人県民税の増加などによりまして県税収入は二十七年度から三年連続で過去最高を記録しております。また、三基金残高は就任前の二十二年度最終予算時の三百六十八億円に対しまして、本年度末におきましてはプランの目標を超えます四百億円程度を見込んでおります。予期しない税収減、災害対応に必要な残高はしっかり確保させていただいております。通常債の残高でございますけれども、平成二十二年度最終予算時の二兆三千二百十億円に対しまして、本年度末では豪雨災害の復旧、復興対策などの特殊要因、これを除きますと、約一千億円減の二兆二千二百億円程度となる見込みでございます。さらに、実質公債費比率など財政の健全性を示す指標につきましても、法令で定められた健全性の基準を満たしておりまして、本県の財政状況は健全性を維持しているものと考えております。  政府要望の達成状況についてでございます。毎年二回、夏の概算要求と秋の予算編成時、この時期を捉えまして、県議会の皆様とともに、国に対して施策や制度、予算についての提言、要望を行っているところであります。私が知事に就任してからの八年間では、最重点が百五十項目、重点項目が八百四十一項目、合計九百九十一の項目の提言、要望を行ってまいりました。このうち、おおむねその七割が、何らかの形で予算の獲得、制度の実現に実を結んでおります。例えば、平成二十九年度豪雨災害につきましては、二十九年度及び三十年度で合計五百二十二億円の国の予算が本県に配分をされました。また、グリーンアジア国際戦略総合特区が指定されましたことによって、近々行われる分を含めまして二千五百億円を超える設備投資が新たに行われ、地域に約一千五百人を超える雇用が生まれたわけであります。要望事項が多岐にわたり、また関係省庁も多い中、私が知事に就任したときと比べまして、今最少の人数で対応することを心がけ、昨年秋の要望におきましては、各省庁の担当部局に個別に説明に参ります関係部の部長及び担当職員二名、これを含めまして、全体で二十数名が参加をし、その旅費は約百九十万円となってございます。今後とも、経費の節減に留意しながら、効果的、効率的な要望、提言活動を行ってまいります。  次に、宿泊税の福岡市との協議状況でございます。昨年十一月一日、私と高島市長とのトップ会談を行いまして、その結果、十一月二十一日から実務者協議が開始をされ、本年一月二十二日まで四回の協議を行ってまいりました。この協議の中で、福岡市は九州のゲートウエー機能の強化やMICEの充実など独自に取り組んでいる、また地方自治の原則では基礎自治体優先であり、二重課税は二重行政を招き、税の原則である簡素性に反するとともに事業者の負担となることから、二重課税は避けるべきであると、福岡市内においては県は課税すべきではないと、そういう意見を述べられています。これに対しまして県は、九州のゲートウエー機能を担う福岡空港等の整備、九州への誘客に取り組む九州観光推進機構への運営に多額の負担をしております。地方自治法の考え方におきましては、広域にわたる観光行政は県が取り組むべき行政課題であり、県は県全体の観光の底上げを図るための施策に取り組んでいく。二重課税そのものが二重行政を招くのではなくて、互いの施策が最大の効果を発揮するように互いに調整をすると、そういった意見を述べた上で、税額は原則二百円としますけれども、市が課税する場合には、納税者の負担を軽減するため、市内は百円とするという提案をいたしております。今の協議状況は、こうしたお互いの意見について、少しでも互いの理解が深まるよう、県、市それぞれ観光戦略や観光振興施策を具体的に説明し、協議を行っているところであります。宿泊税の問題につきましては、県、市ともに解決に向け継続して協議を行っていく考えでございまして、現在五回目の協議の日程調整を行っているところでございます。  産業廃棄物税における北九州市との調整についてお尋ねがございました。本県の産業廃棄物税につきましては、産業廃棄物の焼却施設または最終処分場への搬入に対して課税するものでございまして、北九州市の環境未来税は、市内に所在する最終処分場での埋め立てに対して課税するものでございます。本県は、北九州市内の最終処分場への搬入について、私どもの産業廃棄物税を課税免除いたしております。このことは、環境未来税との重複による過重な負担を回避するための租税調整を行っているものでございます。宿泊税につきましては、税額を原則二百円と設定いたしまして、市町村が独自に宿泊税を導入する場合は、その市町村内は百円に減額するという制度を検討しているところであります。その内容は、市町村の課税自主権を尊重するとともに、県全体の観光の底上げを図る県の広域的な観光行政施策に要する財源を確保しながら、宿泊者に過重な負担とならないよう租税調整を図るものでございまして、新たな福岡方式として産業廃棄物税の考え方にもつながるものと承知をしていたところであります。  それから、宿泊税の問題の解決でございますけれども、宿泊税の問題は、県民、市民、そしてホテル、旅館等の宿泊事業者の方々の懸念も大きなものがございます。また宿泊税の導入に当たりましては、事業者の方々の決済システムの変更などその準備に一定の期間を要するものであります。多数の外国人観光客の来訪が見込まれます来年のオリンピック・パラリンピック、これを念頭に宿泊税の施行時期というものを考えますと、できるだけ早い時期に宿泊税の制度を固めていく必要があると考えております。現在、先ほど申し上げました宿泊税における新たな福岡方式による制度案を福岡市に提示をし、鋭意実務者協議を進めているところでございますが、この問題の解決のためには、私と高島市長とのトップ会談が必要であると、このように考えております。その際には、十二月議会で御指摘をいただきましたとおり、柔軟性を持って協議に臨み、議会の皆様とも十分相談をしながら結論を出したいと、このように考えております。  次に、三年間の一定割合をゼロ%とする市町村納付金の負担緩和措置を決定した背景でございます。国保制度改革が円滑に施行されるよう、国から被保険者の負担緩和措置を講じることを要請されまして、負担緩和に充てる国費も拡充をされました。このため県におきましては、この緩和措置の内容について福岡県国保共同運営準備協議会を通じまして市町村との間で協議を進め、検討を重ねてまいりました。当時は、国保の被保険者の減少に伴い保険給付費が減少傾向にあるとともに、制度改革に伴って普通調整交付金や特別調整交付金など国費が拡充され、前期高齢者交付金についても、これまで増加傾向にありましたことから、歳入も十分確保できると見込んでおりました。国から示された計算方法や係数に基づいて行った平成三十年度の試算におきましても、被保険者一人当たりの納付金の試算値も制度改革前の水準を下回る状況となりました。これらを踏まえまして、福岡県国保共同運営準備協議会で協議をいたしましたところ、市町村からは、制度施行後三年程度は負担を抑えたいとの御意見があり、協議をいたしました結果、三年間一定割合をゼロ%とする負担緩和の方向で進めることになりました。加えて、有識者で構成をされております福岡県国民健康保険運営協議会からも、制度施行三年間は納付金の算定に当たり一定割合をゼロ%とする答申がなされ、県として三年間一定割合ゼロ%を決定したものでございます。  次に、平成三十一年度の納付金の仮算定でございます。納付金算定に必要な国や各市町村からのデータが昨年の十一月十七日にそろいました。その仮算定の結果が二十五日に判明をいたしました。その内容は、歳入においてこれまで増加傾向にありました前期高齢者交付金が、今回の国からの提示では突然大幅に減少いたしておりまして、拡充された普通調整交付金も減額をされるなど想定外の状況となりました。このため直ちに国に対し抗議をするとともに、財政措置の要請を行いました。他の道県も同じように国に対し抗議や要請を行っていると承知をいたしております。一方で、市町村からは仮算定結果を早期に提供するよう要望がなされておりましたことから、十二月十七日に全市町村にこれを通知するとともに、二十一日の説明会において仮算定の結果を改めてお示しをし、県として国に対し抗議と要請を行っていること、さらにその要請を続けていく旨お伝えをするとともに、今後の対応について市町村と協議をしていきたい旨、説明をさせていただいたところでございます。  納付金を今回据え置いた背景でございます。市町村からは、仮算定結果に対しまして、この時期に一定割合を見直されると大変厳しい、納付金の増加を保険料に反映することは困難であり一般会計からの法定外繰り入れや基金の取り崩しをせざるを得ない。県による財政支援がお願いできないか、そういった多くの意見があったと、このように報告を受けております。そして十二月二十七日には、五十三の市町村長連名で平成三十一年度の激変緩和措置については一定割合をゼロ%に維持してほしいとの要望書が提出をされました。県といたしましては、これまでも国に対し、抗議、要請を行ってまいりましたが、改めて国に対し抗議を行い、財政措置について強く要請をしたところであります。その結果、国の普通調整交付金や負担緩和のための財源というものが増額をされまして、仮算定時の不足額を圧縮することができました。また、仮算定時に活用できないとされておりました県の繰入金や財政安定化基金についても、その活用ができるようになりました。以上を踏まえまして、大幅な歳入の変動への対応策を検討し、平成三十一年度につきましては一定割合をゼロ%とすることが可能となりましたところでありまして、その内容で市町村との間で合意に至ったところであります。  今般の国保問題についての私の思いでございますけれども、国からは、それまで想定できないような仮係数の提示を受けたため、大幅な歳入変動がありました。また、その算定結果については市町村に早期にお示しする必要があった、そういった状況とはいえ、市町村が困惑するような事態になりましたことについては重く受けとめております。今回の算定におきまして、国からの提示により想定を上回るような大幅な変動があったこと、これを踏まえますと、またこれを考えますと、二〇二〇年度の一定割合をゼロ%にすると現時点で申し上げるのは適切ではないと、このように考えております。また、一月七日に開かれました市町村担当課長会議におきまして、二〇二〇年については改めて協議を行うこととされたところであります。  次に、マイナンバーカードの普及状況でございます。本県におけるカードの交付枚数は、平成三十年十二月末現在で約五十五万枚となってございます。人口に対する交付率は一〇・九%でございます。カードの普及が進んでいない要因といたしましては、現時点ではカードを活用したサービスが少なく、住民の皆さんがカードを持つメリットというものを感じておられないことが考えられます。国は来年度から新たに、自宅から介護認定の申請ができるサービスを開始するとともに、健康保険証としての利用やスマートフォンへの搭載など順次に拡大する予定でございます。市町村におきましても、自宅から保育所の利用申し込みや児童扶養手当の認定手続ができるサービス、またコンビニエンスストアでの住民票や所得証明等の交付などカードを活用した新たなサービスを開始する団体がふえてございまして、県といたしましては、こうした市町村の取り組みが進んでいきますよう、システムの共同運用や開発といった技術的な支援を行っているところであります。また、カードの利便性を実感していただくため、国における新聞、テレビを通じた広報、市町村における窓口や広報紙での周知とあわせまして、県におきましても運転免許試験場や警察署での免許返納者に対する周知に加えまして、新たに商業施設で子育て世代を対象に周知を行うなど住民ニーズやサービスの対象者に着目した取り組みを進めることといたしております。今後とも、国、県、市町村と連携をいたしまして、役割分担をしながらマイナンバーカードの普及に取り組んでまいります。  次に、マイナンバーを用いた情報連携でございます。本県におきましては、生活保護や児童手当、障害者手帳、難病特定医療費など福祉や医療分野における三十一の手続につきまして情報連携を行っております。平成二十九年十一月の運用開始から昨年の十二月末までの間に、約五万四千件についてオンラインによる情報照会を実施しております。今後は、高等学校就学支援金の給付や県営住宅の入居、自動車税の減免などの手続についても対象としています。これらによりまして、住民にとりまして、住民票や所得証明等の各種証明書を取得する必要がなくなりまして、手数料が不要となるなどその負担が軽減をされました。また、行政機関におきましては、国、県、市町村間で文書による照会事務というものが必要でなくなり、手続の効率化と迅速化が図られていると考えております。  マイナンバーに関する個人情報保護対策でございます。マイナンバーを利用する行政機関における個人情報の適正な取り扱いを確保するため、国が設置をいたしました個人情報保護委員会におきまして、特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドラインというのが策定されております。本県におきましては、この国のガイドラインに従いまして、外部からの侵入による情報漏えいを防ぐため、マイナンバーを取り扱うシステムにつきましては、他の情報システムと分離した専門のネットワークを整備いたしております。さらに、データの暗号化やUSBメモリーなどにより無断でデータを取り出せない仕組みの導入、システムの利用者を制限するためのパスワードとICカードの併用など、マイナンバーを取り扱うシステム内の個人情報保護に万全の対策をとっているところであります。また、毎年、マイナンバーを取り扱う職員に対しましても、個人情報の保管方法、盗難、漏えい防止対策、廃棄方法といった具体的な事務処理方法を徹底するための研修を実施しているところであります。マイナンバーを取り扱う部署に対しましては、担当職員とその役割の明確化、取得から廃棄までの具体的な手順など事務処理体制やマイナンバーの取り扱い方法について実地監査を行いまして、改善、指導を実施してきているところであります。今後も、こうしたハード、ソフト両面からのセキュリティー対策を徹底いたしまして、個人情報の保護に万全を期してまいります。  次に、収入保険制度についてお尋ねがございました。県といたしましては、できるだけ多くの農家が、御自身の経営に合ったセーフティーネットに加入していただくことが重要であると考えております。今回国は、品目の枠にとらわれず、自然災害に加え価格の低下などによる経営全体の収入減少を補填する収入保険制度というものを新たに創設をいたしました。このため県におきましては、できるだけ多くの農家がそれぞれの御自身の経営に合ったこういった制度が選択できるよう、各制度の周知に努めてまいりました。具体的には、制度の実施主体であります農業共済組合と連携をいたしまして、制度加入の要件であります青色申告を促進するとともに、農協の生産部会や農家の集まりなどにおきまして二年間で約一千回、延べ二万七千人の方々に対し、各制度の詳細について周知を図ったところであります。こうした制度の周知を通じまして、関心を示された農家それぞれの御意向をもとに、農業共済組合が約四千経営体を戸別に訪問をさせていただきました。このうち約八百の経営体につきましては、農家の要望に応じ、収入保険に加入した場合の試算もお示ししたところであります。こうした取り組みによりまして、本県の加入者数は、昨年十二月末現在で六百四十一でありましたが、米、麦の共済や野菜価格安定制度など品目別に複数の制度を御利用いただいておりました複合経営農家や、これまで果樹共済を利用していただいておりました果樹農家などが加入をされているところであります。その一方で、制度の初年ということもございまして、制度には興味があるけれども、もう少し検討したい、そういった御意見で加入を見送られている農家もおられると、このように認識をいたしております。このため県といたしましては、引き続き農業共済組合と連携をいたしまして、それぞれの農家が御自身の経営に合った制度を選択していただけるよう、青色申告の促進やそれぞれの制度の周知を図ってまいります。また、今回加入を見送られた農家に対しましては、加入の判断に役立ちますよう、制度開始後の状況について丁寧に説明をしてまいりたい、このように考えております。  次に、中山間地域の農業振興でございます。本県におきましては、中山間地域の経営耕地面積や農家戸数は県全体の約三割を占めております。食料の安定供給に加え、国土の保全、水源の涵養といった多面的な機能の維持、発揮といった重要な役割を、この中山間地域、担っておられますことから、この地域の農業の振興を図っていくことは、地域はもとより我が福岡県の農業の発展に極めて重要であります。このため県におきましては、中山間地域において、その立地条件を生かしたお茶や果樹、シイタケなどの生産振興に取り組むとともに、国の中山間地域等直接支払制度を活用いたしまして、営農活動が継続できるよう支援をしてきているところであります。また、平成二十七年度から直売所を地域振興の拠点といたしまして、農業体験等を通じた都市住民との交流、地域の特産物を生かした加工品の開発などに関する取り組みについて県から支援をしておりまして、現在十五の直売所で取り組みが行われているところであります。今年度からは、農業者と企業等から成ります協働組織が荒廃農地を再生して行う農産物の生産や加工品の開発などの取り組みを支援しておりまして、現在三地域で活動が開始され、糸島市におきましては再生した農地へのアマナツの植えつけや収穫体験、アマナツを活用した加工品の開発が行われているところであります。また、高品質なシイタケを生産、販売するため、クヌギを原木用のほだ木、また菌床用のおが粉に分けて効率的に利用する取り組みや、ロゴマークを活用した販売の促進活動を支援しているところであります。さらに、中山間応援サポーター制度におきましては、これまで二千百三人の方に御登録をいただいておりまして、地域からの支援要請に応じて二百八十九名の方に農産物の収穫作業や災害復旧での農業ボランティア活動などに参画をしていただいているところであります。県におきましては、こうした取り組みを総合的に進めていき、中山間地域の主要な産業であります農業、その振興を図っていき、地域の発展に努めてまいります。  次に、九州北部豪雨災害からの農業復興についてお尋ねがございました。朝倉市の山間部の地域や東峰村につきましては、被災農地が広範囲に散在する一方で、朝倉市の赤谷川など九河川沿いの地域につきましては、原形を確認できないほどの甚大な被害が出ました。そうした、地域によって被害の状況が大きく異なっているところであります。県におきましては、こうした各地の被害の状況、実情、これを踏まえまして、被災農家の方々が将来への希望が持てるよう、収益性が高く、早期の収入確保につながっていく今後の営農の姿というものを示すことが重要であると考えております。  まず、朝倉市の山間部の地域におきましては、被災農家の多くが果樹の栽培を希望されておりますことから、農地の復旧にあわせて秋王やキウイフルーツなど収益性の高い作物への改植というものを支援してまいります。また、朝倉市の河川沿いの地域では通常の方法では農地の復旧が困難でありましたことから、市が区画整理型の復旧工事を行うことといたしております。この復旧状況を踏まえまして、キウイフルーツやあまおうなど収益性の高い園芸作物や自動草刈り機などの省力機械、また作業の効率化や早期の収穫につながる柿の新たな栽培の技術などを導入する複合経営園地というものを順次整備をしてまいります。さらに、東峰村におきましては、被災農家の多くが米の生産というものを希望されております。そのために棚田の景観に配慮した農地の復旧にあわせまして、米の生産再開というものを支援してまいります。また、早期の営農再開につながりますよう、朝倉市と東峰村に対して農業土木職員を派遣をし、その復旧工事の設計書作成などを行っているところでございまして、引き続きこの復旧工事がさらに進捗していくよう人的支援を行ってまいります。県といたしましては、市、村、JAと一体となりまして、これらの取り組みを進め地域の農業復興に取り組んでまいります。  豚コレラの防疫対策についてお尋ねがございました。豚コレラは、鳥インフルエンザや口蹄疫と同様に感染力の強い家畜伝染病でございます。そのために、発生予防、そして迅速、的確な初動防疫というのが重要な対策となります。昨年九月の岐阜県での発生を受けまして、本県におきましては、発生予防対策として全ての養豚農家に対し、農場の消毒、人、車両の立ち入り制限などを定めた飼養衛生管理基準、その遵守について指導するとともに、飼養している豚に異常がないことの確認を定期的に実施してまいりました。こうした中、今月の五日でございますけれども、愛知県の農場で感染の疑いのある豚が発生したという、その一報を受けまして、直ちに全ての養豚農家に異常がないことを確認をいたしました。また、翌六日には愛知県を含む五府県で発生をいたしました。その情報を受けまして、県内の養豚農家や福岡県畜産協会など関係団体に対しまして注意喚起の文書を発出をいたしました。さらに、翌七日には緊急に庁内の関係各課や養豚関係団体による対策会議というものを開催をいたしまして、農場の消毒などの防疫対策を再度徹底をさせていただいたところであります。  なお、全ての養豚農家に対し、異常がないかについて、その確認をずっと継続して実施してきておりますけれども、現在まで異常が報告をされておりません。そのことを申し添えさせていただきます。  また、迅速かつ的確な初動防疫体制につきましては、家畜の殺処分を迅速に行うため、福岡県獣医師会や福岡県バス協会など関係団体との防疫協定というものを締結をいたしております。さらに、畜産関係団体や市町村と連携して防疫演習というのも昨年十一月に実施をさせていただきました。今後とも、養豚農家に対し、異常がないことを確認し続けていきますとともに、家畜伝染病の発生の予防、そして迅速、的確な初動防疫に努めてまいります。  人と動物の共通感染症対策についてでございます。県におきましては、平成二十六年度から全国に先駆けまして、県獣医師会、県医師会とともに共通感染症対策協議会、これを設置をいたしまして、県民向けのシンポジウムの開催、動物の病原体保有状況調査、狂犬病の発生を想定した訓練など共通感染症対策に取り組んでまいりました。平成二十八年には日本獣医師会及び日本医師会の御尽力によりまして、我が北九州市でワンヘルスに関する国際会議が開催をされました。その中で、人の健康、動物の健康、環境の保全、それらは相互につながっており、関係する学術分野が連携してその課題解決に当たるべきというワンヘルスの理念を、認識する段階から実践する段階に進むと、これをうたった福岡宣言というものが採択をされました。これを踏まえまして、昨年の一月でございますけれども、共通感染症対策を含むワンヘルスに関する施策を進めるため、ワンヘルス推進庁内連絡会議というものを設置させていただきました。さらに、これまでの共通感染症対策協議会につきましては、新たに環境分野の専門家等を加えまして、ワンヘルス推進協議会に発展改組することといたしております。今月の三日にはワンヘルスの理念を実践段階に移していくため、台湾や韓国からの専門家も招聘をいたしまして、ワンヘルス連携シンポジウムというものを開催させていただきました。今後とも、ワンヘルスの理念について県民の皆様への周知を図るとともに、外部有識者の御意見も取り入れながら、ワンヘルスに対する対策というものを進めてまいります。  なお、残余につきましては保健医療介護部長から答弁をさせていただきます。 5 ◯議長(井上 順吾君) 大森保健医療介護部長。 *保健医療介護部長答弁 6 ◯保健医療介護部長(大森 徹君)登壇 納付金の仮算定結果の副知事への報告についてであります。十一月十三日に開催いたしました福岡県国保共同運営会議の時点では、昨年度までの保険給付費や公費等の状況から、一定割合をゼロ%とすることが可能であると見込んでおりました。しかし、その後、仮算定を行ったところ、歳入においてこれまで増加傾向にあった前期高齢者交付金が、今回国からの提示では突然大幅に減少するなど想定以上の変動が生じる見込みとなったこと、また国の要請に基づき緩和措置を行ったにもかかわらず、このような状況になっていることに対し、国に抗議するとともに、追加の財政措置を早急に求めていくことについて報告いたしました。 7 ◯議長(井上 順吾君) 城戸教育長。 *教育長答弁 8 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 公立小学校における相撲場及び高鉄棒の設置状況についてでございます。昨年十一月に政令市を除く市町村教育委員会を対象に実施した調査によりますと、相撲場が設置されている小学校は、開校時百三十九校でございましたが、その後七十二校で撤去され、現在六十七校でございます。また高鉄棒は、開校時二百八十四校でございましたが、その後六十六校で撤去され、現在二百十八校でございます。  相撲場や高鉄棒が未設置の小学校における体力を高めるための取り組みについてでございます。相撲場や高鉄棒を撤去した主な理由は、いずれも老朽化や教育活動で使用しない、危険である等でございました。相撲場や高鉄棒を撤去したり、開校の当初から未設置の小学校では、相撲マットや砂場を使って相撲の動きを取り入れた活動を仕組むことで瞬発力や巧みに体を動かす能力を高めたり、低鉄棒を使って長く体を維持するわざを取り入れることで筋力やバランス感覚を高めたりするなど、今ある運動施設や設備を効果的に活用し、体力を高める取り組みを行っております。  福岡県運動部活動の在り方に関する指針の内容と今後の本県運動部活動のあり方についてでございます。今回の指針は、子供の健康、安全の確保、持続的な指導体制の確立及び教員の負担軽減の観点から、国のガイドライン及び本県の実情を踏まえ作成をいたしました。その主な内容として、休養日については、原則として土日の一日を含む週二日以上、活動時間については平日二時間、休日三時間程度とし、国のガイドラインと同様の基準といたしました。ただし、学校の実態に応じて弾力的に運用することができるようにしております。今後は、本指針を踏まえた運動部活動改革の取り組みを進めるとともに、地域の実情等に応じた新たな運動部活動の形態の構築について調査研究してまいります。  次に、体力向上に係るスポーツ環境の充実についてでございます。体力を高めるためには、単にトレーニング的な運動を行うのではなく、遊びの要素を取り入れた体力づくりを実践したり、部活動指導員を含め地域と連携した運動部活動の環境を整備したりすることで積極的かつ継続して運動に取り組む子供を育てることが重要であります。このような観点を重視して、今後、子供たちが体力を向上させ、生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現できるようスポーツ環境の充実に努めてまいります。 9 ◯議長(井上 順吾君) 岳康宏君。 10 ◯十番(岳 康宏君)登壇 一点のみ再質問させていただきます。  知事の政治姿勢として冒頭まずお聞きしました、我が自由民主党が何ゆえに小川知事を推薦しなかったのか。その最大の理由として挙げられたのが、知事が原発阻止、原発反対を党是とした立憲民主党からの推薦を受け、かつその立憲民主党の政策を今後の県政運営の基本的方針、指針とされたと聞いたことであります。この件につきましては、その後の一部報道によりますと、推薦を撤回され、政策協定も破棄された、またほかの推薦を受けた政党についても同様の措置をとられたと伝えられていますが、事実はどうなっているのか。また、もともと協定書なるものには、どのようなことが示されていたのか。さらに、立憲民主党の政策綱領にはどのようなことが述べられていたのか。これらについて詳細に説明を求めるところであります。 11 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 12 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  私は今回の選挙に当たりまして、広く県民の皆様の御支持を得て県民の皆様のために働かせていただこうということで、立候補を決意をさせていただきました。その際、前二回の選挙もそうでございましたけれども、多くの政党や団体、その御支持等が得られれば、それはありがたいことだということで、今までと同じように各政党や団体に支持、御支援のお願いをしてきたところであります。そういう中で、立憲民主党もその一つに入っていたわけでございます。  そして今回、自民党の御推薦というのが受けられなかったわけでありますけれども、その間に立憲民主党のほうにお願いをしていたことにつきまして政策協定を結び、そして推薦の内定が得られたわけでございます。しかしながら、冒頭申し上げました私の基本的な立場は、広く県民の皆様の御支持を得て仕事をさせていただくということにありますので、状況を見ていきますと、私のその基本的な考え方とは違うような方向での受け取られ方が一部にされておりました。そういうことから、改めて私は、広く県民の皆様の御支持、御支援によって仕事をさせていただきたいと、その原点に立ち返りまして、お願いをしておりました推薦の申し出、これを全て取り下げさせていただいたわけでございます。立憲民主党につきましては、御相談をいたしまして、申請を取り下げをさせていただきました。当然、その中で、それを踏まえてやった政策協定書、これについてもないものとなったわけであります。当初からないということになったわけでございます。  ほかの政党につきましては、申請のお願いをしていた段階でございました。立憲民主党については、内定を受けておりましたけれども、推薦書の交付をまだいただいてない、そういう状況であったということを申し添えさせていただきます。  立憲民主党との関係でございますけれども、この県議会の場でも、私、原子力発電についてのいろんな質疑がございましたが、その際明らかにした、それが私の立場でございまして、その立場はいささかも変わっておりません。そういう意味で、そういう私の立場を踏まえた形の政策協定というものになっておりましたので、署名をさせていただいたということでございますけれども、いずれにいたしましても、私自身の立場というのは、原発に対する立場、この議会で表明しているとおりでございます。変わっておりません。安全性確保というのを大前提にして、今のエネルギー需給の状況を踏まえていきますと、安全で安定して、また低廉なエネルギーの安定供給を図っていくためには、原発の依存度は今後下がっていくであろうけれども、今の間はしっかり向き合っていかなければならない、そういうエネルギー源だと考えておりまして、その考え方をもとに、協定書についても文言等を考えて署名をさせていただいたわけでございますが、いずれにしてもその協定書、それ自身、また申請をお願いしたその行為についても根っこから取り消させていただいたところでございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 13 ◯議長(井上 順吾君) 岳康宏君。 14 ◯十番(岳 康宏君)登壇 質問に答えていらっしゃらない部分をもう一度申し上げます。  もともと協定書なるものには、どのようなことが示されていたのか。さらに、立憲民主党の政策綱領にはどのようなことが述べられていたのか。  先ほど申しましたように、原発阻止、原発反対など県政運営に大変大きな問題であります。破棄されたとはいえ、協定書にサインされたことについての心情をお聞きしたいと思います。 15 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 16 ◯知事(小川 洋君)登壇 立憲民主党の綱領とか、そういう具体的な内容は正確に言わないといけないものですから、ここでちょっと今答えられませんけれども、脱原発というふうに言われているわけだと私は承知しておりますが、そういう考え方は基本にありながら、県政を運営していくという意味で、立憲民主党の皆さんもお考えになっておられたと思います。  私自身は、先ほど申し上げましたように原発に対する考え方、姿勢というのはいささかも変わっていないわけでございまして、それを踏まえて、立憲民主党との間で協定について話し合いをし、まとめたというふうに理解をしております。そういう意味では、私どもの、私の考え方というのが認められているというふうに認識をいたしておりますので、協定にサインをしたわけでございます。
     繰り返しになりますが、いずれにいたしましても、いわゆる推薦のお願いをしたその後に続く一連の行為として政策協定の議論がありましたので、根っこから取り下げさせていただきましたので、そういう協定の話も、今一切なかったものとなっているわけでございます。 17 ◯議長(井上 順吾君) 岳康宏君。 18 ◯十番(岳 康宏君)登壇 もう一度申し上げます。もともと協定書なるものには、どのようなことが示されていたのか、御説明ください。 19 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 20 ◯知事(小川 洋君)登壇 申しわけありませんが、今その協定書なるものを手元に持っておりませんので、文言の詳細は申し上げることはできませんけれども、その内容については、私の考え方というものは変わるものではないというふうに認識をいたしておる内容でございました。 21 ◯議長(井上 順吾君) 岳康宏君。 22 ◯十番(岳 康宏君)登壇 手元にないということですが、破棄されたとはいえ、協定書にサインされたかどうかだけはお答えいただきたいと存じます。 23 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 24 ◯知事(小川 洋君)登壇 サインをしております。 25 ◯議長(井上 順吾君) 岳康宏君。 26 ◯十番(岳 康宏君)登壇 覚えていないということでございますけれども、協定書に書いてある内容というのは、そんな軽いものじゃないと思いますので、今思い出せる部分だけでもお示しいただきたいと存じます。 27 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 28 ◯知事(小川 洋君)登壇 申しわけありませんが、内容的には、私の立場というのは変えるものではないというふうに認識をしておりますけれども、文言の詳細は、今手元にないものですから、申し上げることはできません。 29 ◯議長(井上 順吾君) 議員各位に申し上げます。しばらくそのままでお待ち願います。議運の正副委員長と理事は議長席の前にお集まり願います。──  岳康宏君。 30 ◯十番(岳 康宏君)登壇 協定書について、署名、サインをされたとお答えになりましたけれども、サインされた内容について覚えてないというのはおかしいと思っております。もう一度聞きますけれども、協定書に書いてあった内容についてお答えください。 31 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 32 ◯知事(小川 洋君)登壇 その協定書の中身は、県政の運営に、いろんな分野のことが書かれておりまして、その全体についてどうだこうだというのは、今手元に、廃棄されていて手元にないものですから、事務所に確認をしなければならないわけですが、多岐にわたっておりますので、具体的な内容を今ここで申し上げるというのは、なかなかできないという状況でございます。  それから、協定でございますので、立憲民主党、相手方さんのこともあろうかと思っております。 33 ◯議長(井上 順吾君) 議員各位に申し上げます。しばらくそのままでお待ち願います。議運の正副委員長と理事は議長席の前にお集まり願います。──  知事に申し上げます。質問の趣旨に的確に答弁願います。  ──岳康宏君。 34 ◯十番(岳 康宏君)登壇 知事が的確にお答えになりませんので、これで質問を終わります。 35 ◯議長(井上 順吾君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後二時三十分といたします。           午 後 一 時 二十二分  休 憩           午 後 二 時 三十一分  再 開 36 ◯副議長(畑中 茂広君) 再開いたします。  休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。小池邦弘君。(拍手) *小池議員質問 37 ◯五十八番(小池 邦弘君)登壇 皆様、こんにちは。国民民主党・県政クラブ県議団の小池邦弘でございます。この登壇に際し、吉村会長、堤政審会長、また佐々木允事務局長、政審企画の皆様、また会派の皆様方に感謝を申し上げる次第であります。三期十二年の思いを込めて、会派を代表し代表質問をさせていただきます。  まず、本県の均衡ある発展と筑豊地区の振興についてをお尋ねいたします。我が国が抱える最大の課題として、人口減少問題が挙げられます。社会保障・人口問題研究所の推計によると、本県でも二〇四〇年には四百三十八万人に、二〇六〇年には三百五十九万人にまで人口が減少すると予測をされています。とりわけ福岡都市圏とそれ以外の地域を見れば二極化していると言っても過言ではなく、例えば、国勢調査における人口増減を見ると、福岡県内六十市町村のうち、人口増加をしている十六市町はほとんどが福岡都市圏となっています。今後も福岡都市圏とそれ以外の地域の格差が拡大することになれば、さまざまな弊害が発生するのは確実です。広域行政を担う知事として、地域間格差、とりわけ福岡都市圏とそれ以外の地域との格差の解決に、不退転の決意を持って挑んでいただきたいと思います。  そこで、まず福岡県内における地域間格差について知事はどのように認識をしているのか、またその軽減に向けて知事はこれまでどのように取り組んできたのかをお聞きいたします。  次に、筑豊地区の振興についてをお伺いいたします。先ほど述べた地域間格差の中でも、格差が著しいのが筑豊地域であります。本県が発表している福岡県十五広域地域振興圏別データを見ると、人口一人当たりの市町村民所得、高齢者比率、完全失業率、大学進学率などの生活に密着する主要項目において、田川や嘉飯、直方・鞍手といった筑豊地区がいずれも下位に名を連ねているという状況が続いています。特に、人口一人当たりの市町村民所得については、この四年間一貫して最も高い福岡市と最も低い田川では百万円程度の差があります。こうした状況が生まれた背景には、筑豊地区の歩んできた歴史と密接な関係があります。一九五〇年代後半からエネルギー革命が起こり、一九七六年八月の貝島炭鉱の閉山を最後に、炭鉱で栄えた筑豊地区は一気に繁栄から疲弊の時代を迎えることになります。  炭鉱閉山後、鵜崎多一、亀井光、奥田八二、麻生渡という歴代県知事は、いずれも炭鉱閉山後の疲弊した筑豊の浮揚に取り組んできました。中でも亀井知事は、筑豊の浮揚なくして福岡県の進展はなしとして、国の産炭法、鉱害復旧法、過疎法、同対法、各種失業対策事業を活用するとともに、多額の県費を用いて筑豊の浮揚に努めてきました。さらには、奥田県政時代には、田川市に福岡県立大学を設置したほか、飯塚市には近畿大学工学部、九州工業大学情報工学部を誘致し、次代を担う人づくりに努めてきました。また、地域経済の起爆剤として、旧宮田町にトヨタ自動車九州を誘致し、基幹産業の育成と振興、地場産業の育成、自動車関連産業などの企業誘致に努めてきました。しかし、こうした五十年以上にわたる筑豊の浮揚、活性化策を講じてきたにもかかわらず、現状は、先ほど述べたとおりであります。  そこで知事にお伺いいたします。知事は、筑豊地区の現状をどのように捉えているのかお示しいただくとともに、地域間格差において最も課題のある筑豊地区の浮揚と発展のため、これまで以上にどのような政策を講じる必要があると考えられているのかお尋ねをいたします。  次に、私立学校における働き方改革の推進について知事にお聞きいたします。これまで教職員の働き方改革については、その実態調査から具体的施策まで、基本的には公立学校が対象とされ、本県教育委員会を初め全国の教育委員会が働き方改革に積極的に取り組むようになってきています。しかし、私立学校で働く教職員についても、公立学校と同程度、あるいは学校によってはそれ以上に過労死レベルである月八十時間を超える残業が常態化しているにもかかわらず、残業代が未払いなど、長時間労働や法令違反の実態があると聞き及んでいます。  そこで一点目に、私立学校に対する指導監督権限についてお聞きをいたします。二〇一四年に私立学校法が一部改正をされ、私立学校の自主性を尊重しつつ、私学全体に対する不信感につながるような事態に所轄庁が適切に対応するため、法令違反などがある場合には、私立学校法人に対し所轄庁が措置命令を発令し、措置命令に従わないときは役員の解任を勧告することができるなどの仕組みが整備をされてきました。本県は昨年度、私立学校を運営する六十二法人に対し総額二百二十三億三千万円余、例えば生徒千人規模の学校法人には年間三億円以上もの助成を行っていますが、知事は、私立学校に対する指導監督権限について、法改正の趣旨を踏まえどのように認識をしているのかお示しください。  二点目に、私立学校における勤務実態についてです。厚生労働省と文部科学省の委託により、みずほ情報総研は、一昨年十一月から十二月にかけて、全国の小中高等学校、特別支援学校で働く教職員約五万六千人を対象として調査を実施し、約三万六千人から有効な回答を得ました。この調査により、退勤時刻をタイムカード等で客観的に確認しているのは私立で一九・六%、公立で一六・七%にとどまっていること、勤務についての精神的負担が非常に大きいと回答した教職員が、私立で一四・七%、公立で一二・五%であることから、私立学校においても抜本的な働き方改革が早急に必要であることが明らかになりました。  そこで知事は、この調査結果をどのように認識しておられるのかお聞きします。その上で、知事は県内の私立学校における長時間労働等の勤務実態について、どのように把握しているのかお聞きをいたします。  三点目に、私立学校における労働基準法違反についてです。私立学校については、公立の義務教育諸学校等の教職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法が適用されず、一般企業と同様、労働基準監督署による労働条件の確保や改善指導の対象となっています。公益社団法人私学経営研究会は、私学教職員の勤務実態に関して、国内の全ての私立高校の約八割を超える約千百校を対象に、一昨年六月から七月にかけて調査を実施し、三百三十二校から回答を得て、昨年一月に報告書を公表いたしました。同報告書によれば、回答した三百三十二校の四割を超える百五十一校において、教員に残業をさせる際に必要な三六協定を結んでいなかったことが判明をいたしました。さらに、直近約五年間で七十八校が労働基準監督署の立入調査を受け、二十四校が三六協定の未締結による違法残業があったなどとして、是正勧告、指導を受けたという驚くべき実態が明らかとなりました。  そこで、県内の私立高校においても、同様の労働基準法違反が横行しているのではないかと懸念しますが、就業規則、雇用契約書、三六協定など労働基準法の定めについて、県内の私立高校の現状はどのようになっているのかお聞きをいたします。  その上で、違法行為の疑いがあるとすれば、労働基準法が遵守されているかどうか、県として徹底した実態調査を、まずは行うべきと考えますが、知事の見解をお尋ねいたします。  次に、公務員の労働安全衛生体制の充実についてをお聞きいたします。労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保するため快適な職場環境の形成を促進する目的で、昭和四十七年に施行されました。これまで長時間労働により疲労が蓄積した労働者に対する医師の面談やストレスチェックの義務化といった改正が行われてきました。この法律では、林業、建設業などの事業場は百人以上、製造業や電気、ガスなどは三百人以上、その他の業種は千人以上の労働者がいる場合は、総括安全衛生管理者を選任することとなっています。また、常時五十人以上の労働者がいる事業場には安全管理者、衛生管理者及び産業医を配置し、労働環境の適正化を図ることになっています。また、建設業や林業、各種工場で常時五十名を超える労働者が働いている事業場には、危険防止のための安全委員会を設置し、それ以外の業種でも五十名を超す事業場では、労働者の健康保持のため衛生委員会の設置が義務づけられています。  そこで、まずお伺いいたします。民間事業者の労働安全衛生体制の監督、指導については、行政の役割は何なのか、そしてその中で県はどのような対応を行っていくのか、具体的な内容についてお聞かせください。  二点目に、県及び市町村職員の労働安全衛生体制についてお伺いをいたします。県はもちろんですが、一村を除いた市町村においても、職員の数が五十名を超えていることから、衛生委員会を設置をしています。県では、法令上必要な産業医は一〇〇%配置されていると聞いていますが、実際にその衛生委員会が機能しているかどうか、県及び市町村における衛生委員会等及び産業医の活動実態をそれぞれお示しください。  さらに、それに対する知事の認識をお伺いした上で、各市町村の労働安全衛生体制改善に向け、県としてどのようにかかわっていくことができるのかをお聞かせください。  三点目は、公立小中学校の教職員の労働安全衛生についてです。小中学校では、五十人を超す職員が在籍している職場は少ないことから、市町村教育委員会によって労働安全衛生体制への取り組みが異なっています。県教育委員会が実施したアンケートによると、市町村が行政職員と教職員を合わせた総括的な安全衛生委員会を設置していると答えたのは、学校組合を含めた全六十三市町村中十八市町村で全体の二八・六%、設置していない市町村は七割を超す七一・四%となっています。その設置していない市町村の六〇%が、今後も設置の予定はないと回答をいたしています。さらに、職場に五十人以上の職員がいなくても、全ての学校に衛生委員会を設置していると回答した教育委員会は三〇・二%、五十人以上の職員がいる学校のみに設置しているのが一二・七%、設置していないと回答したのは半数以上の五七・一%となっています。  まずお伺いしたいのは、県内全ての小中学校の中で、この総括的な安全衛生委員会に包含されることもなく、学校に衛生委員会もない学校数及び職員数と、それぞれが全体に占める割合をお聞かせください。  また、法令上産業医を配置しなければならない学校において、いまだに産業医が選任されていない学校があると聞いていますが、現状をお聞かせください。  それらを踏まえた上で、この実態について、教育長の認識をお聞かせください。  我が会派は、労働安全衛生法の目的である労働者の安全や健康、快適な職場環境の確保について、市町村立学校職員への施策のおくれを厳しく指摘せざるを得ません。五十名以上の教職員がいる学校には衛生委員会を設置した上で産業医を配置し、小規模校については、市町村教育委員会で設置を進めるなどの実態に応じて工夫することで、全ての小中学校で働く教職員が衛生委員会などに包含されなければなりません。あわせて産業医は単なる内科医ではなく、医師の免許を持った上で、厚生労働省が定めた労働者の健康管理などを行うのに必要な医学に関する研修を受講する労働コンサルタント試験に合格するなど、五つの要件のうちどれかを満たした人であることを、市町村教育委員会に対して周知徹底する必要があると思われますが、今後の県教育委員会の取り組みについてお聞かせをください。  次に、入管法の改正に伴う本県の対応について知事にお聞きいたします。人手不足に悩む業界の強い要請を受け、これまで原則として受け入れてこなかった外国人労働者を、特定技能という新たな在留資格を創設して受け入れる改定入管法が昨年十二月に成立し、本年四月一日から施行されることになりました。この改定法については、どんな業種にどのくらいの外国人を受け入れるかは制度の根幹であるにもかかわらず、これらは法成立後、省令で定めることとして、国会での議論が行われないまま採決されるなど、余りにも拙速であるとの声が上がっています。政府は、今後五年間に人材が不足する分野において、相当程度の知識、または経験を要する業務に従事する外国人向けの在留資格である特定技能一号の資格で、約三十四万五千人の外国人労働者の受け入れを想定しているとのことです。また、特定技能一号の資格で五年間継続して働いた後、一定の試験に合格することで、一年から三年ごとに何度でも更新することが可能で、家族も帯同ができる特定技能二号という制度も創設をされています。  そこで、本年一月二十一日に開催をされた住・ひと・しごと創生調査特別委員会において、本県は、外国人労働者の受け入れ数を約一万人と推計しているとの説明がありました。この数字はどういう根拠で割り出されたものかをお聞きいたします。  あわせて、この推計は外国人労働者が、賃金が高い地域に流れていく傾向があるということを考慮したのかについてもお聞きをします。  さらに、地域によって偏りが生じる可能性があることについて、どのように考えているかをお聞かせください。  二点目に、外国人との共生社会の実現についてです。本県には、既に約四万人の専門的、技術的分野や技能実習など、いわゆる外国人労働者が生活をしており、今後はさらに特定技能の資格による受け入れが加わることになります。これらの外国人は、単なる労働力ではなく、生活者であり、地域社会の構成員となります。このため昨年十二月、お互いの人権を大切にし、支え合う共生社会の実現のため、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策が閣議決定をされました。この対応策には、行政、生活全般の情報提供、相談を十一の言語で行う多文化共生総合相談ワンストップセンターを全国約百カ所に設置することや、外国人児童生徒への支援体制の整備や納税環境の整備など百二十六もの施策が盛り込まれています。今後は、県や市町村に施策の実施が課せられることになりますが、これら百二十六項目もの総合的対応策には、開始時期や財政措置が曖昧なものも多く、自治体に丸投げするような政府の姿勢に、地方自治体の間では不安や戸惑いが広がっていると聞いています。  そこで、共生社会を形成するために、地域において教育、福祉、労働、多岐にわたる施策を実際に実施していく立場である知事として、この総合対応策及び政府の姿勢について、どのような見解をお持ちなのかお聞きをします。  あわせて、本県において、新たな在留資格の創設を踏まえ、今後どのようにこれらの施策を推進していくのかお聞きします。  次に、航空機の事故及び騒音対策についてお聞きをいたします。昨年十一月二日、築城基地所属のF2戦闘機二機が訓練中に接触をし、機体の一部を損傷するという事故が発生いたしました。十二月六日には、室戸岬の南南東約百キロの上空で、アメリカ海兵隊岩国基地所属のFA18戦闘攻撃機とKC130空中給油機が接触をし、海上に墜落、乗員一名が死亡、五名が行方不明になるという事故も発生をいたしました。また、築城基地は、日米ロードマップに基づく日米共同訓練も行われており、岩国基地の代替飛行場として米軍機の緊急着陸が急増しているとの新聞報道もあっています。このように基地周辺では事故の危険性が近年高まっている状況にあります。しかし、県の地域防災計画では、民間航空機による大規模な航空事故によって多数の死傷者が発生した場合の県や市町村など地方自治体の対応については規定してあるものの、自衛隊機や米軍機の事故への対応については全く規定されていません。  そこで、自衛隊機や米軍機の事故についても、九州防衛局等と協議をし、事故の大きさに応じた事故情報の伝達や事故への対応などについて、県の地域防災計画に盛り込むべきと考えますが、この点について知事の考えをお聞きします。  次に、航空機の騒音対策についてお聞きをいたします。福岡空港及び自衛隊基地周辺では、航空機が離着陸する際の騒音についても、住民の生活に大きく影響を与えています。そのため、県では福岡空港及び自衛隊基地の周辺地域において、航空機騒音の状況を把握するため測定を実施しています。  そこで、まず県の騒音測定状況を飛行場ごとに御説明ください。その上で、測定地点の選定基準について、どのような基準で測定地点、測定数を決めているのかお答えをください。  あわせて、県及び国、市町村での測定結果が基準値を超えている測定地点があるとお聞きしますが、このような事態に対して、県はどのように考えているのかをお聞かせください。  また、測定結果が基準値を超えている場合、どのように関係機関への要請など活動を行っているのかをお聞かせください。(拍手) 38 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 39 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、県内の地域間格差に対する認識と、その軽減に向けた取り組みでございます。県内におきまして、福岡都市圏以外の地域は人口が減少し、少子、高齢化が進むなど厳しい状況にございます。一方で、行橋市のように人口が増加している市もございまして、それぞれの地域の特色、また強みを生かして経済を活性化させ、定住人口の確保を図っていくことが重要であると認識をいたしております。このため県におきましては、これまで基幹的な交通網の整備を初めといたしまして、自動車、食品、物流関連企業の誘致、地域資源を活用した観光の振興、ブランド化や六次化によります農林水産業の振興、地域を支える人材の育成などに取り組んでまいりました。  その結果、幾つかの例を挙げさせていただきますと、自動車関連企業は、知事就任時から百社以上増加をいたしまして、今五百六十社を超えております。北九州、筑豊を初め県内各地域に広く立地をしております。大牟田市に日立ハイテク九州の医療用検査分析装置の製造工場、添田町に山口油屋福太郎のめんべいの生産工場、苅田町にユニ・チャームプロダクツの紙おむつ等衛生用品の生産工場が立地をし、さらに、先般発表されましたが、久留米市の資生堂のスキンケア製品の生産工場の立地が決定をいたしております。大牟田市、北九州市、中間市に構成資産がございます明治日本の産業革命遺産、宗像、福津両市に構成資産がございます「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群が、それぞれユネスコの世界文化遺産に登録をされました。平成二十九年の柳川市への観光入り込み客数は過去最高を記録いたしましたし、北九州空港に釜山線、仁川線、台北線等六路線が新規に就航いたしまして、平成三十年の同空港の利用者は約百七十五万人と過去最高を更新をいたしております。また、あまおうの販売単価は十四年連続日本一、八女茶は全国茶品評会の玉露部門で五年連続の日本一、また、はかた地どりは地鶏の出荷羽数が九州一を実現したところであります。これらの成果が上がっておりまして、県全体の均衡ある発展に向け、各地域の連携、補完による広域的な地域振興も含めまして、さらなる取り組みというものを進めていきたいと、このように考えております。  次に、筑豊地域に対する現状認識及び浮揚、発展のために講ずる施策でございます。現在、筑豊地域におきましては、自動車関連企業などの立地が進んでおりますとともに、有効求人倍率は過去最高水準で推移するなど、雇用状況も大きく改善をされているところであります。一方で、少子、高齢化の影響や都市圏への転出者の増加によります人口減少が進み、他地域と比べて高齢化率、生活保護率が高く、大学進学率や市町村民所得は低いなど、さまざまな課題があると認識をいたしております。今後、筑豊地域の発展のためには、地域の特色や強みを生かした産業の振興を図り、魅力ある雇用の場をつくっていくことが必要であります。また、教育を充実させ、地域の産業を支え、発展を担う人材、これを育成していく必要がございます。  このため、まずは自動車関連企業などの誘致に加えまして、医療福祉機器分野への参入の促進、地域の中小企業に対する総合的な支援というものを進めてまいります。観光につきましては、炭鉱関連遺産や王塚古墳、上野焼などの歴史的な資源、英彦山や福智山などの自然、地元の農林水産物を提供する道の駅や直売所、九州オルレ筑豊・香春コースに加えまして、先日お披露目を行いました平成筑豊鉄道の観光列車ことこと列車を活用した取り組みを進めていきまして、交流人口の拡大というものを図ってまいります。農業につきましては、トルコギキョウを初めとする園芸作物の生産拡大によります収益性の向上、新規就農者の確保などの取り組みを強化してまいります。これらとともに、教育を充実させ、地域の次代を担う人材育成を目的といたしまして、小中学生の学力向上に向けた取り組みを重点的に進めてまいります。また、中学生を対象に、将来のリーダーを養成しております田川飛翔塾の開催、また福岡県立大学と連携して、ひきこもり、不登校など支援を必要とするお子さんたちへのサポートにも取り組んでまいります。これら各分野における取り組みを推進していくことによりまして、筑豊地域の浮揚と発展を図ってまいります。  次に、私立学校に対する県の指導監督権限でございます。県は、私立学校を設置する学校法人に対し、私立学校法の規定に基づき、教育の調査、統計その他に関し必要な報告書の提出を求めたり、私立学校法や寄附行為等に違反する場合には、措置命令、解散命令等の権限を有しております。また、県は私立学校振興助成法に基づき、私立学校の運営費に対する補助を実施しておりまして、補助金が適正に執行されるよう、その指導監督する立場にあると、このように認識をいたしております。  教職員の勤務実態に関する国の調査結果に対する認識と県内の私立学校の実態把握についてお尋ねがございました。国が実施しました全国の調査結果によりますと、退勤時間を客観的に確認できていない私立学校が多く、休憩時間をとれてない教職員や休日勤務が多いことから、私立学校におきましても働き方改革に取り組む必要があると、このように考えております。県といたしましては、私立学校の教職員の勤務実態について調査、これは行っておりませんけれども、昨年二月、私立学校に対し学校における働き方改革に適切に取り組むよう通知を行ったところであります。今後、私立学校に対し公立学校の優良事例、これを御紹介するなど各学校の取り組みというものに対する必要な支援を行ってまいります。  次に、県内私立高校における労働基準法の遵守状況でございます。労働基準法の違法行為につきましては、その監督権限が国にありますことから、実態調査やその指導、是正勧告等は労働基準監督署において行われるべきものであると考えております。県におきまして、私立高校六十校の働き方改革について調査をいたしましたところ、全ての学校で就業規則を作成の上、労働基準監督署へ届け出がなされております。また、労働契約締結の際、書面を交付している学校は五十六校、時間外勤務、休日出勤ともに三六協定を締結している学校は、教員につきましては二十一校、事務職員については三十七校と、それぞれなっております。なお、労働契約締結の際、書面を交付していなかった四校につきましては、いずれも速やかに是正する、このように聞いております。県といたしましては、各学校に対し法令を遵守するよう指導をしてまいります。  次に、労働安全衛生に関する行政の役割と県の対応でございます。民間事業者の労働安全衛生につきましては、労働安全衛生法に基づき、国がその立入検査や指導監督の権限を有しております。そのため各地域の労働基準監督署において、事業所への立入検査、適正な産業医の選任などに関する指導、違反事業所に対する監督などが行われているところであります。県におきましては、事業所に対する指導監督などの権限はありませんけれども、広く県内企業に労働安全衛生の普及啓発を図っていくため、団体が実施します労働災害防止や労務管理改善に関する広報活動への助成、使用者団体や市町村など関係機関に対する労働安全衛生に関する情報の提供などを行っているところでございます。  県職員の労働安全衛生体制についてでございます。県におきましては、衛生委員会を本庁と各出先機関に設置をいたしております。衛生委員会におきましては、労使双方から選出された委員が、定期的に健康、労働安全衛生について意見交換を実施し、職場環境に改善を要する点がないか、それを確認するなど、各職場の実態に応じた活動を行っております。各職場におきましては、衛生委員の意見を踏まえまして、職員の安全と健康の確保に取り組んでおります。その結果、執務室内のバリアフリー化やキャビネットの耐震補強など職場環境の改善が図られるとともに、健康診断の受診勧奨や時間外労働勤務縮減に組織的に取り組むことによりまして、健康診断の受診向上や過重労働による健康障がいの未然防止というものにつながっております。  産業医につきましては、法定の五十人以上の職場だけではなく、五十人未満の職場にも配置をいたしておりまして、産業医学の専門家としての立場から、衛生委員会における助言、指導、また職場環境の巡視を行っております。また、職員の健康管理について、各職場とその主管課と連携をいたしまして、疾病の未然防止や早期発見、早期治療のために健康教育や相談対応を行いますとともに、長期休暇、休職となった職員に対する復職に向けた相談など、その支援を行っているところであります。  市町村職員の労働安全衛生体制についてでございます。昨年度、多くの市町村におきまして厚生労働省令で求められております月一回以上衛生委員会の開催が行われておりませんで、また十二市町村におきまして長時間労働にかかわる産業医の面接指導というのが行われていない実態がございました。ことし四月からは、民間企業の時間外労働の上限規制というものが導入されますことから、総務省は、各地方自治体に対しまして、国や民間に準じた条例等の改正を行うとともに、地域社会における働き方改革の先導的役割を果たすよう要請をしているところであります。このため、法令に基づいた取り組みの徹底によりまして、職員の健康の保持、増進に向けた改善が必要であるというふうに考えております。県といたしましては、働き方改革の趣旨を踏まえまして、市町村に対し副市町村長会議や県内十五圏域ごとの圏域会議等の機会を活用いたしまして、衛生委員会の定期開催、産業医による面接指導の実施など、法令に基づく取り組みというものを適切に行い、労働安全衛生体制の改善を進めていくよう助言をしてまいります。  本県における特定技能外国人の受け入れについてお尋ねがございました。昨年十二月に閣議決定をされました新たな在留資格でございます特定技能に係る分野別運用方針におきまして、今後五年間で三十四万五千百五十人の特定技能外国人を国内に受け入れる見込みであることが示されました。この受け入れ数につきまして、地域ごとの内訳というものが示されておりませんけれども、さきの調査特別委員会におきましては、平成二十九年十月末現在の全国の外国人労働者に占める本県の割合というものをもとにして、今後五年間の受け入れ数を約一万人と見込んで報告をさせていただいたところであります。なお、その見込みにつきましては、地域ごとの賃金水準などの諸要件を考慮したものとはなってございません。  地域による受け入れ数の偏りにつきましては、国のほうでは、特定技能外国人が大都市圏や特定の地域に過度に集中して就労することとならないように必要な措置を講じるよう努めることとしております。県といたしましては、賃金水準のみならず、魅力的な就労先といたしまして外国人に県内の企業が選ばれるよう、企業における働き方改革というものを通じまして、公正な職務能力評価と処遇の実施、キャリアアップの道筋が明確に示された人材育成計画の策定など、外国人にとって魅力ある職場環境づくりというものを支援してまいります。  次に、外国人材の受け入れ、共生のための総合的対応策についてお尋ねがございました。国は、国内の深刻化する人手不足に対応するため、先ほど申し上げました、昨年の十二月、新たな在留資格であります特定技能の創設を決定するとともに、外国人材の受け入れ、共生に向けた取り組みを政府として推進をしていくための総合的対応策を取りまとめを行いました。この総合的対応策には、外国人対象のワンストップ相談窓口の設置や、地域の日本語教育環境の強化など、地方公共団体が実施することを前提とした取り組みも含まれておりまして、現在国において、こうした地方の取り組みに対する支援というものが検討されているところであります。県におきましては、こうした国の動きに対しまして、国の支援が地方の実態に即したものとなるよう地方の取り組みに対しては国が責任を持って財政支援を行うこと、また地方自治体だけでなく地域の国際交流センターでの取り組みについても、その支援の対象とすることなど、関係省庁に対し速やかにその要望を行ったところでございます。法の施行が四月に迫っております中、引き続き支援の具体的内容、そして国としての財政措置を早急に明らかにするよう国に対し強く求めてまいります。  次に、新たな在留資格特定技能の創設を踏まえた我が県の対応でございます。県におきましては、国による新たな在留資格創設への対応を検討するため、知事部局、教育庁、そして警察本部によります部局横断的な連絡会議を昨年の十一月に設置をいたしました。国が外国人材を受け入れる十四業種の業界団体や事業者へのヒアリング調査等を行ってきているところであります。この調査の結果、これら十四業種の全てにおきまして、日本人の雇用に向けた努力をしても、なお人手不足の状況にあり、事業の維持拡大のために外国人材を一定程度受け入れることを希望する、そういった声が聞かれております。また、各業種共通の課題といたしまして、外国人材受け入れ制度というものが複雑であること、外国人材の日本語能力に不安があること、住宅の確保など生活支援への負担感が大きく、中小企業が単独でこれを行うことは難しいことなどが挙げられているところであります。こうした結果を受けまして、県におきましては、制度の内容の周知を図るため、外国人材の受け入れを希望する企業や県内市町村等を対象といたしました説明会を、国と協力して今年度中に実施する予定でございます。また、今回明らかになりました課題を解決していくためには、国、県、市町村、経済団体、農業団体、中小企業支援機関など、外国人材の受け入れに関係する各機関が互いに協力をして対応していくことが必要であると、このように考えておりまして、そのための体制整備等について検討を進めてまいります。  自衛隊機や米軍機の事故対策についてお尋ねがございました。県内に影響を及ぼすおそれのある自衛隊機の事故が発生した場合には、自衛隊から県及び関係市町村に対しその事故情報が連絡をされております。昨年十一月二日に築城基地所属の自衛隊機二機が空中接触をいたしました際には、発生場所は県外の海上ではございましたけれども、築城基地のほうから県及び基地周辺の一市二町へ連絡がございました。また、県内で米軍機の事故が発生した場合には、日米合同委員会において合意されました在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続、これに基づきまして、九州防衛局のほうから県及び関係市町村へ連絡されることになっております。このように自衛隊機や米軍機の事故情報の伝達につきましては、現実には支障は生じておりませんけれども、初動における情報連絡体制などをより明確にする必要があると考えております。このため地域防災計画への位置づけの可否を含めて、九州防衛局、自衛隊と協議を行ってまいります。  航空機騒音の測定状況についてでございます。この測定地点につきましては、国の航空機騒音測定・評価マニュアルに基づきまして、事前調査で候補地点を定めた上で、現地調査により航空機の飛行経路、騒音の状況を把握いたしまして、測定に最も適した地点を選定をしております。福岡空港におきましては県が二地点、築城飛行場では県が一地点、芦屋飛行場では県及び北九州市がそれぞれ一地点において、年間を通じてそれぞれの騒音を測定しているところでございます。あわせて、この常時測定を補う観点から、関係市町と協議しながら、年に一ないし二週間程度の短期の測定を行う地点というものを選定いたしております。福岡空港では県、福岡市及び春日市が計十七地点で、築城飛行場では県が八地点で、芦屋飛行場では県及び北九州市が計十二地点で、それぞれ測定をしているところであります。直近の平成二十九年度の測定結果によりますと、福岡空港では常時測定で一地点、短期測定五地点で、環境基準の超過が確認をされております。また、築城飛行場では短期測定二地点で基準を超過をいたしております。なお、芦屋飛行場では二十七年度は常時測定一地点で基準超過を確認いたしましたが、二十九年度では基準を超過した地点はございませんでした。  この測定結果を踏まえた県の対応でございます。福岡空港及び芦屋、築城両航空自衛隊基地の周辺地域の一部で環境基準の超過が確認をされておりますことから、県民の方々の健康を保護し、生活環境を保全するため、国において基準の達成に向けた取り組みが進められる必要があると考えております。このため県におきましては、福岡空港を管轄する国土交通省大阪航空局及び航空自衛隊基地を管轄する防衛省九州防衛局に対しまして、毎年度、測定結果を通知いたしますとともに、一層の騒音対策というものを求めてきているところであります。今後とも、関係市町と協力をしながら、航空機騒音の測定を実施していき、その結果に基づき国に対し騒音対策を要請をしてまいります。 40 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 *教育長答弁 41 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 小中学校の衛生委員会についてでございます。平成二十九年度の調査によりますと、県内の公立小中学校のうち衛生委員会が設置されていないのは三百七十四校、その職員数は八千六百四十七人であり、全体に占める割合は、それぞれ三五%と三二%となっております。また、衛生委員会の設置や産業医の選任を要する小中学校三十三校のうち、衛生委員会が設置されているのは十九校、産業医が選任されているのは二十二校となっております。教職員が教育活動に専念できる職場環境を確保し、学校教育の質の向上を図るためには、労働安全衛生体制の確保が重要であり、学校の設置者は、法令上の義務の遵守を徹底する必要があると考えております。  小中学校の労働安全衛生体制に係る今後の取り組みについてでございます。学校の労働安全衛生体制については、教職員の働き方改革を進めていく上でも重要なものであると考えております。県教育委員会といたしましては、学校の設置者である市町村に対しまして、教育長会議や学校教育担当課長会議等において、衛生委員会の設置や産業医、衛生推進者の配置など、法令に基づく体制整備を図るよう指導してまいります。 42 ◯副議長(畑中 茂広君) 小池邦弘君。 43 ◯五十八番(小池 邦弘君)登壇 私立学校における労働基準法の遵守について、一点再質問をさせていただきます。  県内私立高校六十校のうち時間外勤務、休日出勤ともに三六協定を締結している学校は、教員については二十一校、事務職員については三十七校にとどまっているとの答弁でした。つまり、教員については三十九校と七割の私立高校が、事務職員については二十三校と約四割の私立高校が三六協定を結んでいないということになります。周知のとおり、三六協定を締結せず従業員に時間外労働をさせた場合は労働基準法違反となり、刑事罰も科せられます。また、締結しない私立高校において、教職員が時間外労働を一切していないということは極めて考えにくいと思います。そもそも本県は、私立高校に対して毎年二百億円を超える多額の助成金を交付しているにもかかわらず、また国全体で教職員の働き方改革を進めている中にもかかわらず、労働基準法の基本となる項目も守られていないということは余りにも無責任であり、極めて遺憾であります。  今回明らかとなった私立学校の実態について、知事はどのように認識をされてあるのか、明確な答弁を求めます。 44 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 45 ◯知事(小川 洋君)登壇 私立高校の労働基準法違反についてでございます。その監督権限というのはございませんけれども、労働基準法が遵守されてない私立学校がありますことは遺憾であると、このように思っております。このため県といたしましては、各私立学校に対し法令を遵守するよう指導をしてまいります。 46 ◯副議長(畑中 茂広君) 小池邦弘君。 47 ◯五十八番(小池 邦弘君)登壇 知事から遺憾という答弁をいただきました。現在、全国的に働き方改革が叫ばれ、とりわけ公立学校、私立学校、いずれにおいても教職員の長時間労働は深刻な問題となっています。今後もこの問題につきましては、引き続き会派として取り組ませていただきます。  次の質問に移ります。  幼児教育、保育の無償化と保育行政の諸問題について質問をいたします。政府は、認可保育所などに入れない、いわゆる待機児童を、二〇二〇年度末までにゼロにするという目標を掲げていますが、昨年四月時点における待機児童は全国で約二万人となっており、このままでは目標達成にはほど遠い状況にあります。このような中、本年十月より幼児教育、保育の無償化が始まることになりました。無償化の対象となるのは、保育所に通うゼロ歳から二歳の住民税非課税世帯の子供と、幼稚園や保育所に通う三歳から五歳の全ての子供たちとなります。この無償化により保育の需要がますます高まるのは明らかですが、供給が追いつかないまま保育の需要が高まることになれば、待機児童がさらにふえるおそれがあります。  そこで、一点目に、保育士の処遇改善についてお尋ねをいたします。都市部の一部を除けば、施設は十分足りており、定員にはまだ余裕があるにもかかわらず、保育士が集まらないため、受け入れる子供の数を抑えざるを得ないという事例が多く出ています。このような深刻な保育士不足の問題を解決することなく無償化に踏み切れば、大きな混乱をもたらすことは火を見るよりも明らかであります。このような保育士不足の最大の要因として、保育士の待遇が重い責任や重労働に見合っていないことが認識されるようになり、政府は、昨年度保育士の処遇改善として月額二%を給料に上乗せし、経験七年以上の中堅保育士を対象に、月給で四万円上乗せするなど賃上げ策を講じてきました。また、来年度からはさらに月額一%賃上げが予定をされています。
     しかしながら、この程度の賃上げでは、他業種との賃金格差は依然として大きく、保育士不足が解消するとはとても思えないという指摘がありますが、この点について知事の認識をお聞かせください。  あわせて、本県は一月十五日、潜在保育士の復帰を促進する目的で、保育士就業マッチングサイトほいく福岡を開設していますが、このほか本県が現在行っている保育士の確保、離職防止のための取り組みについてお聞かせください。  また、福岡市、福津市、宗像市、宮若市の四市は、保育士の家賃負担を軽減する仕組みをつくっています。飯塚市は独自に保育士の修学資金として月額最大五万円、生活資金として月額最大二万円を無利子で貸し付け、五年間保育士として同市内で勤務すると全額免除されるといった制度を持っています。  そこで、急務の課題である保育士確保のため、県としてもこのような保育士への経済的支援制度を県内の他市町村に広げていくための取り組みをすべきと考えますが、知事の考えをお聞かせください。  二点目に、企業主導型保育所の問題についてです。報道によれば、待機児童対策の目玉として内閣府が整備を進めています企業主導型保育所において、定員割れや休園、閉鎖といった問題が相次いでいるとのことです。このような事態を招いた要因として、待機児童がいない地域まで内閣府が設置を許可するなど審査体制の不備が指摘をされています。本年一月二十一日に公表された内閣府の報告によれば、二〇一八年三月末時点で何らかの助成が決定した企業主導型保育所二千五百九十七カ所のうち、既に設置、運営されている千四百二十施設について利用状況の調査をしたところ、定員数は二万九千四百六十一人で、定員に対する充足率が約六割にとどまっていることが明らかになりました。  そこで、昨年三月末時点で、県内に設置されている企業主導型保育所は、北九州市に八カ所、福岡市に四十五カ所、久留米市に二カ所、本県所管の市町村に五十六カ所、計百十一カ所となっていますが、その定員充足率はどのようになっているのかお聞きをいたします。  また、企業主導型保育所に対する指導監督については、原則として年一回以上、児童育成協会が立入調査を実施するとされていますが、平成二十九年度に立入調査をした結果、七六%の施設で保育計画などに不備があり、指導を受けています。このような状況を知事はどのようにお考えなのか、またどのように対応していくのかお聞かせください。  三点目に、本県における待機児童の現状と需要予測についてお聞きします。まず、本県もまた、来年度末までに待機児童をゼロとするという目標を掲げていますが、昨年四月時点での待機児童数は、本県全体で九百九十五人、両政令市を除いても九百五十五人に上ります。また、自宅近くの特定の保育所だけを希望する、いわゆる隠れ待機児童は、福岡県全体で二千八百四十五人、両政令市を除くと八百五十二人となっています。このような現状に加え、幼児教育、保育が無償化されれば、本県の目標達成はますます厳しくなると考えますが、知事は来年度末までにどのようにして待機児童ゼロを達成するつもりなのかお聞かせください。  四点目に、保育所に対する減価償却費加算と賃借料加算についてです。我が会派は、これまで供給サイドの阻害要因の一つとして、保育所等に対する国の交付金の基準において、本県が不当に低いランクづけをされている点を指摘し、この点については大きく改善が図られました。しかしながら、保育所の減価償却費加算においては、本県が今なお最も低いD地域に、保育所の賃借料加算においては、下から二番目のC地域にランクづけされていることの、この二点について、昨年六月議会の我が会派の代表質問において、渡辺美穂議員が是正を求めたところであります。しかし、これに対し知事からは、精査を行った結果、実勢価格と乖離していることがわかった、実態に即した加算となるよう国に要請をしてまいりたいと考えていると、我が会派の主張に沿った答弁をいただきました。  そこで、まず、この間知事は国に対してどのような要請を行ってきたのかお聞きします。その上で、知事の要請の結果、どのような成果が得られたのかをお聞かせください。  次に、部活動のあり方について、知事及び教育長にお尋ねをいたします。昨今、勝利至上主義が行き過ぎた結果、連日休みなく部活動を強いられている状況について、生徒の教育的観点はもちろん、学校における働き方改革の観点からも大きな問題となっており、いわゆるブラック部活動として新聞でも紹介をされるようになりました。このようなことから、スポーツ庁は部活動のあり方を抜本的に見直すため、昨年三月、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを策定し、スポーツ医科学の観点から、週休二日制の導入や平日の活動時間を二時間程度とするなど、これまでの部活動のあり方を大きく転換させる方針を打ち出しました。また、都道府県教育委員会に対して、国のガイドラインに基づき県ガイドラインの策定を求めており、県教育委員会は、昨年十二月、福岡県運動部活動の在り方に関する指針を策定をしています。また、市町村教育委員会、学校法人に対しても、この指針に基づき、それぞれガイドラインを策定することとなっています。  そこで一点目に、知事及び教育長は策定した県指針の実効性確保のためにどのように取り組むのか、また市町村教育委員会及び学校法人に対してガイドライン策定をどのように支援していくのかお答えください。  部活動ガイドラインについては、昨年六月議会、我が会派の佐々木允議員が、国のガイドラインへの認識や今後の対応について知事及び教育長をただしています。教育長は、「生徒が生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現する資質、能力を育む基盤として運動部活動を持続可能なものとするため、国のガイドラインに沿って適切に対応すべき」と述べた上で、学校における働き方改革にもつながるとの認識を示されました。また、「学校は本ガイドラインにのっとり、適切に対応するよう周知して」いるとも述べています。  そこで二点目に、その後、県立学校に対しどのように指導してきたのかお答えをください。  また、同じく昨年六月議会の答弁で知事及び教育長は、県立学校及び私立学校において、運用状況等について調査を行うことを言及していますが、現在の調査状況と調査内容、調査結果にかかわる対応についてもお答えをください。  三点目に、文化部活動についてです。昨年十二月、文化庁は文化部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを策定をしました。これは、運動部活動同様、文化部活動が生涯にわたり芸術文化等の活動に親しむ基盤として今後も持続可能なものとなるよう適切な対応を都道府県等に求め、特に部活動時間は、長くとも平日二時間、休日は三時間程度、週二日以上の休養日を設けると定めました。その上で文化庁は、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校法人に対して文化部活動の在り方に関する方針を速やかに策定することを通達しています。  そこで、文化部活動の在り方に関する方針について、文化庁の要請に基づきどう対応するのか、教育長にお聞きいたします。  また、市町村教育委員会、学校法人の方針策定をどのように支援していくのか、知事及び教育長にお聞きします。  四点目に、部活動顧問のあり方についてお聞きします。教員による部活動顧問のあり方については、以前より連日の練習の対応や土日の試合の引率などで、教員に大きな負担となっていることが問題視をされております。二〇一七年十二月に出された学校における働き方改革に関する緊急対策でも、部活動指導員の積極的な参画や、地域のクラブ等との連携を積極的に進めることなどを全国の都道府県教育委員会に通知しています。また、文部科学省も、今年度から公立中学校等に対して部活動指導員に対する新たな制度を創設し、部活動指導員のみで大会等の引率を可能にするなど、部活動顧問の負担軽減を図るとともに、国による新たな補助金を創設し、公立中学校への補助を行っています。また、県立高校部活動指導員については、国の補助金はないものの、今年度から県単独事業として、国に準じた取り扱いがなされています。  そこで、まず、教員の部活動顧問の現状について教育長はどのように認識をされているのかお聞きをするとともに、部活動指導員について、県立高校及び公立中学校に対して部活動指導員の配置がどのようになっているのか、その実態についてお示しください。  また、部活動指導員については、補助創設以前より、指導員不足などで指導員確保が困難となっている現状が見受けられます。部活動指導員の確保について、部活動顧問の負担軽減への取り組みも含め、教育長の認識をお聞かせください。  最後の項目として、制服選択制の導入の推進についてを質問します。本県では、昨年、福岡市で全ての生徒に配慮し、子供たちが快適に過ごすことができるよう機能性を重視した標準服の検討を行うこととなり、同じく北九州市でも、中学校において性別に関係なく選択できる標準服を二〇二〇年度から導入する方針を決めるなど、制服選択制の導入の動きが加速をしています。このような動きがある中、我が会派は二〇一七年十月の議会から現在に至るまで、再三にわたり防寒、防犯、過ごしやすさなどの観点から、制服選択制の導入を推進すべきであると県教育委員会にただしてきました。そもそも制服の仕様を大幅に見直す場合、県立高校においては、各学校で保護者の代表も参加する物品選定委員会で基本的な方針を策定することになっていますが、我々の質問を受け、県教育委員会は各学校の物品選定委員会で制服選択制を検討するよう指導をしています。さらに、県立高校の校長会の中に、制服のあり方をテーマとしたワーキングチームを設置するよう提案がなされたところです。  そこで一点目に、制服選択制となる県立高校はどの程度あるのかをお答えください。  二点目に、公立小中学校における制服選択制導入についてです。我が会派は昨年六月の代表質問において、公立小中学校においても、県内市町村に対し制服選択制に関する情報提供をするなどし、制服選択制の導入を積極的に検討するよう促していくべきだとただしました。それに対し教育長は、制服着用の弾力化を図ることは重要であるとの認識を示した上で、今後県立学校の取り組みについて市町村に情報提供を行っていきたいとの考えを答弁されています。  そこで、答弁されてからこれまでの間、県内市町村への情報提供が具体的にどのような方法で行われたのか、また現在の各市町村の取り組み状況についてお示しください。 48 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 49 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、保育士の処遇改善でございます。これまでの取り組みによりまして、保育士と他業種との賃金格差というのは縮小してきておりますものの、依然としてその差は大きいものと認識をしております。また、昨年度、県が実施をいたしました保育士再就職意向調査によりますと、再就職に当たって重視する項目といたしまして、賃金など処遇に関するものが最も高い結果となっております。このようなことから、県といたしましては、賃金の改善について引き続き国に対し要望を続けてまいります。  次に、保育士の確保や離職防止の取り組みでございます。保育士を確保するためには、新規保育士の確保、離職の防止、現在保育現場で働いておられない、いわゆる潜在保育士の現場への復帰の促進、これらが重要であります。まず、新規保育士の確保といたしましては、保育士養成校の生徒を対象に、五年間就業すれば全額免除されます保育士修学資金貸し付けを実施しておりまして、就業継続も期待されますことから、当制度の活用について養成校や高校に対し働きかけております。また、保育士の離職防止につきましては、新任保育士を対象とした離職防止セミナーや管理者を対象とした研修会の開催、職場環境改善に関する無料コンサルティングを実施しております。あわせて、保育士の負担軽減を図るために保育補助者の雇い上げに必要な経費についても助成を行っております。さらに、潜在保育士の現場復帰を促進する取り組みといたしまして、福岡県保育士就職支援センターにおきまして職業紹介や研修会を実施するとともに、未就学児を持っておられる保育士に対する保育料や再就職の準備に必要な就職準備金の貸し付けなどを行っております。これらに加えまして、ことしの一月には、保育士の求職、求人登録機能や求人情報の検索、配信機能を有しております、ほいく福岡、これを開設したところでございまして、今後このサイトを活用して保育士の確保に取り組んでまいります。  次に、保育士の経済的支援についてお尋ねがありました。家賃負担軽減の仕組みや保育士の修学資金貸し付け制度につきましては、それぞれ国の制度というのが存在しているところであります。しかしながら、この国の補助制度によりますと、保育事業者がみずから宿舎を借り上げた上で経費の一部を負担する必要がありますこと、また採用後の期間により対象となる保育士が限定されることなど、市町村にとって必ずしも使いやすい制度とはなっておりません。このため県といたしましては、まず市町村に対し国の制度の活用、これについて働きかけを行うとともに、市町村の意見も聞きながら、より使いやすい補助制度となりますよう、国に対しその制度改善を要望してまいります。  次に、県内の企業主導型保育所における定員充足率でございます。昨年度末時点で県内に所在しておりました百十一の施設について確認をいたしました結果、平成三十年四月の利用状況は、定員二千五百二十三人、利用人数一千二百七十四人で、充足率は五〇%となってございます。  企業主導型保育所に対する指導についてでございますけれども、県といたしましては、認可外保育施設であります、この企業主導型保育所での保育につきましても、その質を確保していくことは重要であると、このように考えておりまして、認可外保育施設指導監督基準に基づき年一回の指導監督を実施しているところであります。しかしながら、企業主導型保育所につきましては、内閣府が所管する公益財団法人児童育成協会が、その整備費及び運営費の助成を行っておりまして、設備、運営の基準も認可外保育施設の基準、これを上回っております。そのため、設置後の各施設の基準の適合状況など助成を受ける施設としての指導監督は、協会がこれを実施しているところでございます。このようなことから、国に対しまして企業主導型保育所における保育の質というものが確保されるよう、まず助成決定段階での参入企業に対する指導の強化、これを要請しているところでありまして、今後、設置後の助成要件にかかわる指導監督の強化につきましても国に対し要請をしてまいります。  また、企業主導型保育事業に関しましては、国において事業の円滑な実施に向けた検討委員会というものが設置をされておりまして、現在、その質の確保や事業の継続性の確保、指導監督、相談支援のあり方、自治体との連携などについて検討が進められているところでございます。  次に、本県における待機児童の現状と需要予測についてでございます。待機児童を解消していくためには、市町村において、まずは無償化の影響も踏まえた保育の需要というものをしっかり見込むことが重要であります。このため県といたしましても、昨年末に設置いたしました待機児童等対策協議会、この場を活用いたしまして、需要見込みにおいて参考となる指標、活用すべきデータ、見込む際の留意点などについて情報の共有を行ってまいります。この需要見込みを踏まえまして、各市町村が必要とする施設の整備を支援するとともに、協議会において、待機児童解消のために保育士の確保、保育の広域的な利用の検討など必要な支援策について市町村と協議を進めてまいります。  次に、保育所に対する減価償却費加算と賃借料加算についてでございます。国に対しまして、平成三十年七月と十一月の二回にわたりまして、減価償却費加算の廃止と賃借料加算の実態に即した見直し、これらについて求めてまいりました。この見直しにつきましては、現在、国のほうでも問題意識を持って関係部局で議論をされていると、このように承知をしているところであります。県といたしましては、引き続きこの見直しについて、国に要請を続けてまいります。  次に、福岡県運動部活動の在り方に関する指針への取り組みと学校法人に対する支援でございます。県におきましては、昨年の十二月、私立中高等学校等を設置する学校法人及び学校長に対しまして、国のガイドライン及び私ども県の指針にのっとり、その運動部活動の方針を策定し公表するなど、適切に対応するよう周知を図ったところであります。今後とも、私学団体の会議等さまざまな機会を捉えまして、これらの取り組みが適切に行われるよう働きかけるとともに、先行事例を紹介するなど、その助言を行ってまいります。  私立学校における運動部活動の方針の運用状況についての調査であります。国がガイドラインの適用状況を把握するために、県指針を策定する前でございますが、昨年の十月に行いました調査によりますと、本県における運動部活動の方針を策定済み及び年度内に策定予定の法人は三割程度でございました。先ほどお答え申し上げましたとおり、昨年の十二月、県指針の策定を学校法人等へ通知をいたしまして、運動部活動の方針の策定等について適切に対応するよう、その周知を図ったところでございます。まずは、さまざまな機会を捉え、これらの取り組みが適切に行われるよう働きかけてまいります。その上で、国のガイドラインや県の指針において取り組むように示されております休養日や活動時間の設定の状況、部活動指導員の任用や研修の実施状況等につきまして、来年度早い時期に調査を実施し、取り組みがおくれている学校に対しましては、その対応を促していきたいと、このように考えております。  次に、学校法人による文化部活動の方針策定に対する支援でございます。このガイドラインは、生徒にとって望ましい文化部活動の実施環境を構築する、その観点に立ちまして、文化部活動が生徒の自主的、自発的な参加により行われ、地域、学校、分野、活動目的等の実態に応じて多様な形でこれが実施されることを目的といたしまして、昨年の十二月でございますが策定をされました。県におきましては、本年一月に私立小中高等学校等を設置いたしております学校法人及び学校長に対しまして、本ガイドラインにのっとって適切に対応するよう、その通知を行ったところでございます。今後、私学団体の会議等さまざまな機会を捉えてその周知を図るとともに、県立学校の取り組みを紹介をするなど助言をしてまいります。 50 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 51 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 県の部活動に関する指針の実効性確保のための取り組みと市町村教育委員会への支援についてでございます。県立学校については、県の指針にのっとり、各学校の運動部活動の運営方針を作成し、来年度からの実施に向け準備すること、また来年度末に県の指針の運用状況調査を実施することを校長会において周知しております。この調査結果に基づき、適宜指導及び是正に努めてまいります。市町村の教育委員会は、県の指針を参考に各市町村の運営方針を作成することとなっていることから、県の指針を示しつつ、市町村教育長会及び中学校長会において働きかけをしているところでございます。また、現在、市町村教育委員会の方針策定に係るさまざまな相談に応じており、今後とも円滑な策定に向けて指導、助言を行ってまいります。  県立学校に対する指導についてでございます。昨年六月以降、校長会や運動部活動指導力向上研修会等さまざまな機会において、国のガイドラインに基づいた運動部活動の運営を指導してまいりました。また、その内容について、各学校では職員会議や顧問会議で共有するとともに、地域や保護者に対し休養日の設定等について周知をしております。  次に、現在の調査状況と調査内容、調査結果に係る対応についてでございます。各学校における運用状況については、国のガイドラインにおいて休養日や活動時間は、地域や学校の実態を踏まえ、月間や年間単位での活動頻度及び時間の目安を定めることが考えられると示されていることから、年間を通じた運用状況の調査を実施する必要があると考えております。そのため、今年度末に部活動指導員の活用状況、年間を通じた休養日や活動時間の設定状況、教員の負担軽減に向けた取り組み内容等について調査を実施し、その結果をもとに、来年度以降、研修会等を通じた全般的な指導や課題に応じた個別指導に努めてまいります。  文化部活動の在り方に関する方針の策定についてでございます。現在、文化部活動の頻度や活動時間については、年間を通じて練習が長時間に及ぶものもあれば、特定の時期に集中するもの、休日を中心に活動するものなど極めて多様であります。文化部活動の適切な実施のためには、その特性を踏まえ、生徒や教職員の心身の負担等を考慮した休養日や活動時間の基準等を設定する必要がございます。このため、各学校や芸術文化関係団体等の意見を十分に取り入れながら、方針の策定に当たりたいと考えております。  方針策定に係る市町村教育委員会への支援についてでございます。市町村教育委員会に対しては、県における方針策定に当たっての検討事項や県立学校及び関係団体の意見等を情報提供することで円滑な策定を支援してまいります。  部活動顧問の現状及び部活動指導員の配置についてでございます。平成二十六年度の日本体育協会の調査報告書によりますと、担当している運動部活動で、過去に競技経験がないと回答した顧問の割合は、中学校が五二・一%、高等学校が四四・九%となっております。また、昨年度のスポーツ庁の調査報告書によりますと、校務と部活動の両立に限界を感じると回答した顧問の割合は、公立中学校が四七・九%、公立高等学校が四三・六%となっております。これらの現状から、生徒が専門的な指導を受けることができる環境の整備と、教員の負担軽減に努める必要があると認識しております。このため県教育委員会では、今年度から部活動指導員を県立学校八十七校において任用するとともに、申請のあった市町村立中学校十八校に国の補助事業を活用し、支援を行っております。  部活動指導員の確保についてでございます。部活動において技術的な指導に従事する部活動指導員の任用は、生徒の部活動環境の充実を図るだけでなく、単独での指導や大会引率ができることから、教員の負担軽減につながるものと認識しております。しかしながら、部活動指導員の人材確保が困難であるとの声も聞かれることから、今後、県体育協会や競技団体と連携を図り、部活動指導員の確保と育成に努め、教員の負担軽減を図ってまいります。  県立高校における制服の選択についてでございます。来年度、女子生徒の制服として、スカートに加えスラックスが選択できる学校は二十校となる見込みでございます。さらに、複数の学校が次年度以降の実施に向けてデザイン等を検討しているなど、各学校において機能性や防犯対策等に配慮した制服着用の弾力化が進められております。  市町村における取り組み状況等についてでございます。市町村に対しては、各地区の教育事務所を通じ、県立学校において制服着用の弾力化を図る検討を進めている状況について情報提供を行っております。現在、政令市を含め複数の市町村において制服着用の弾力化に係る検討が行われており、そのうち五市町の学校において、本年四月から弾力化される予定であります。引き続き、県立学校や市町村の取り組み状況について周知を図ってまいります。 52 ◯副議長(畑中 茂広君) 小池邦弘君。 53 ◯五十八番(小池 邦弘君)登壇 一点、要望させていただきます。制服選択制の導入について、来年度、女子生徒の制服について、スカートに加えスラックスが選択できる学校は二十校になる見込みで、さらに複数の学校が次年度以降の実施を検討しているとの答弁をいただきました。このように多くの県立学校が制服選択制の導入に踏み切るということは、全国的に見ても画期的であると聞いています。各県立学校が生徒たちの訴えを真摯に受けとめ、勇気を持って改革を決断されたことを高く評価したいと思います。今後も、制服選択制度の導入について積極的に推進していただきますよう要望をさせていただきます。  さて、私ごとではございますが、私の登壇はこれが最後になります。この三期十二年間、この浅学非才な私に、党派、会派を超えお支えをいただきました県議会の先生方、また小川知事を初め県執行部の皆様方、本当にありがとうございました。この十二年間、さまざまな勉強をさせていただきましたことを心から感謝を申し上げます。私は本当に幸せ者だったなあというふうに思います。ありがとうございます。皆様から賜りました御厚情を心に秘め、残りの人生を歩みたいと思っております。四月に行われます統一地方選挙での皆様方の御健闘を心から御祈念を申し上げる次第であります。  皆様方、本当にお世話になりました。ありがとうございました。(拍手) 54 ◯副議長(畑中 茂広君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時 五十六分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...