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  1. 福岡県議会 2018-12-11
    平成30年12月定例会(第11日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井上 順吾君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。川端耕一君。(拍手) *川端議員質問 2 ◯十六番(川端 耕一君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団川端耕一でございます。早速、質問に入らせていただきます。  最近の保育行政とその対策についてを質問いたします。今なお全国的に待機児童が問題となっており、本県においても待機児童が発生しており、私のもとにも相談等が寄せられます。私も一年と少しの間、保育園の事務職についたことがあり、保育士の方々の一年の行事の対応、準備、子供たちのお世話、保護者対応など本当に大変な現場であります。また、保育士の確保の問題、無償化の問題、待機児童の問題とまだまだ課題が山積みしている現場だと認識しております。  そんな状況の中、国においては、平成二十九年六月に子育て安心プランを策定し、平成三十二年度末までに待機児童の解消と、女性就業率八〇%に対応できる約三十二万人分の保育の受け皿を整備するとしているところであります。本県においても待機児童の解消のために、これまでさまざまな施策に取り組んできていますが、依然として待機児童は解消されていない状況にあります。  そこでまず、待機児童を解消するために、県としてこれまでどのような施策に取り組んできたのか、またその取り組みによる成果はどうなっているのかお聞きします。  次に、待機児童の解消を図るためには、保育を担う保育士の確保が重要でありますが、現在、全国的に保育士が不足しており、本県においてもその状況は同様であります。さらには、保育所によっては保育士が不足していることにより、定員までの児童の受け入れができないとする施設もあると聞いております。県においても、これまで保育士確保に取り組んできているが、その確保は進んでいるとは言いがたい状況であります。  そこで、これまでの取り組みを踏まえ、県として保育士確保を進めるための課題をどのように捉えているのか、また今後保育士確保にどう取り組んでいくのかを質問いたします。  次に、国においては、ことしの経済財政運営と改革の基本方針二〇一八、いわゆる骨太の方針において、消費税率引き上げの平成三十一年十月から、教育、保育の無償化を実施することとし、現在そのための事務作業が進められております。しかし、実施主体である市町村においては、無償化にかかわる制度の内容や具体的な事務手続など、実際に準備を進めるための情報がまだ明確に示されておらず、対応が難しい状況となっております。このような状態のままで無償化が実施されれば、実施主体である市町村はもとより、利用する保護者や児童に混乱を与えてしまう事態になることが心配であります。  そこで、県としては実施主体である市町村が無償化を円滑に導入できる支援を行っていく必要があると考えますが、どのような支援を行っていくのかをお聞きします。  最後に、今回の無償化では、認可外保育施設も対象になることとされております。しかし、これら施設の監査結果では、利用児童の健康診断が実施されていない、消火用具の設備不備など指摘が多い状況と聞いております。そのような中、利用児童の安全等の観点から、保育の質を確保していく必要があると考えますが、県としてどう考えるのかをお聞きして、私の質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  待機児童解消への取り組みでございます。県におきましては、待機児童の解消を図るため、施設整備等による受け皿の拡大を図るとともに、保育を担っていただいております保育士の確保に努めております。まず、保育の受け皿の拡大でございますが、平成二十九年度までの五年間で一万八千百三十七人分の整備を行ってまいりました。また、保育士の確保につきましては、修学資金貸し付け等によります新規保育士の確保、新任保育士を対象とした離職防止セミナー等によります離職の防止、そして保育士就職支援センターにおけるきめ細かなマッチング就職準備金の貸し付けなどによります潜在保育士現場復帰支援、これらに取り組んでいるところであります。これらの取り組みによりまして、平成二十六年度から増加をしておりました待機児童数は、平成三十年四月一日現在で九百九十五人となっておりまして、前年度に比べ三百二人減少いたしております。さらに、本年度は新たにホームページ上で保育士の求職、求人の登録や情報検索が可能となるシステムの構築を進めているところであります。  次に、保育士確保にかかわる課題と対応でございます。課題といたしましては、まず保育士の処遇を改善していく必要があると考えております。保育士の給与は、全産業の平均賃金よりも約十万円程度低うございます。現在、国においてその処遇改善が進められているところでございまして、平成二十九年度におきましては全職員の処遇の二%改善、そして技能、経験に応じた最大四万円の改善が実施されたところであります。県といたしましては、各施設においてこれらの処遇改善が確実に実施されますよう、制度の仕組みの説明や処遇改善の前提となっております研修への参加、これを呼びかけるとともに、国に対してはさらなる処遇改善の拡充について引き続き要望を続けてまいります。  また、保育士の業務負担の軽減を図るなど職場環境の改善も図っていく必要がございます。このため、職場環境改善に関するコンサルティングの実施や、保育補助者等の活用の促進にも努めてまいります。さらに、今年度新たに、市町村を構成メンバーとする福岡県待機児童等対策協議会を設置をいたしまして、保育士の確保についての取り組み状況、また課題を共有するとともに、県の保育協会など関係団体の御意見も聞きながら、効果的な保育士確保策に関する検討を行ってまいります。  次に、無償化の導入に向けた県の対応でございます。幼児教育、保育の無償化に関しましては、国においてまだ無償化の対象となります認可外保育施設の範囲、利用者の認定の仕組みなどが明らかにされておりません。県といたしましては、国に対し、早期に制度設計の詳細と具体的な業務の手順を示すよう求めているところでございます。このような中、県におきましては、十一月二日でございますけれども、県内市町村に対しまして、内閣府の無償化の担当官を講師にして、国における無償化実施後の実務に関する説明会を行ったところであります。この説明会におきましては、無償化に伴うシステム改修費用の負担の問題でありますとか、認可外保育施設利用者に対する無償化の手続などさまざまな質問が出されたところであります。これらの市町村の疑問を解消できるよう、国に対し、引き続き制度の早期決定を求めるとともに、今後明らかとなる情報について迅速に市町村に提供を続けてまいります。
     また、認可外保育施設に関しましては、認可保育所と比べまして監査結果において児童の健康管理や安全への配慮といった指摘事項も多くございます。今後、認可保育所と同様、無償化の対象とされ公費が投入される、そのことも踏まえ、監査の指導強化についても検討していく必要があると、このように考えております。 5 ◯議長(井上 順吾君) 井上博隆君。(拍手) *井上(博隆)議員質問 6 ◯二十三番(井上 博隆君)登壇 皆さん、おはようございます。国民民主党県政クラブ県議団井上博隆です。通告に基づき、高齢者の貧困問題と孤立死対策についてお伺いいたします。  厚生労働省が行っている国民生活基礎調査を見ると、六十五歳以上の高齢者世帯の生活は、年々苦しさを増していることがわかります。この調査において、生活が大変苦しいと、やや苦しいと答えた高齢者の合計は、一九九五年に三七・八%だったのに対して、九九年には四六・一%、二〇〇四年には過半数の五〇%と上昇を続け、十年後の二〇一四年には五八・八%に達し、過去最悪となっています。ほとんどの高齢者は退職後、それまで働きながら蓄えてきた貯蓄と年金で生活をしなくてはなりません。十分な貯蓄としっかりとした年金があれば安心した老後を迎えられる可能性も高くなりますが、バブル崩壊後に進展した雇用の非正規化や長引く経済不況の影響もあり、十分な貯蓄ができなかった高齢者は多く、年金に関しても、一九四〇年代後半生まれ、いわゆる団塊の世代以降は年金未納、免除率が年々悪化しており、一九六〇年代前半生まれでは四〇%台にまで上昇しております。保険料を納めていない割合が多くなるということは、受給できる年金額が少なくなるということを意味しますので、年金受給額最低生活費に満たないのであれば、生活が苦しく感じるのは当然となります。こうしたことから、一九五〇年代、六〇年代生まれが本格的に年金生活に突入すると、貧困高齢者世帯が爆発的に増加するということも予測されています。  将来の話だけでなく、今現在でも高齢者の生活は大変厳しいと言わざるを得ません。生活保護を受ける高齢者世帯の割合はふえ続けており、今や、高齢者世帯生活保護受給世帯全体の五割を超えるまでになっています。中でも、ひとり暮らし高齢者の状況は特に深刻であると言われています。NHKの調べによると、ひとり暮らしの高齢者は全国で約六百万人いらっしゃいますが、そのうち年収百二十万円未満の方がおおよそ半数の三百万人。三百万人のうち七十万人が生活保護を受け、残りの二百万人強は少ない年金と貯蓄を切り崩しながらぎりぎりの生活を余儀なくされているということになります。  私も高齢者と触れ合う機会が多いので肌感覚で感じるのですが、高齢者の多くは、自身の経済的な問題を行政や身内あるいは地域の世話になることをよしとせず、本当は困っているのにその声を押し殺しながら生活していらっしゃる方が相当数いて、サイレントマジョリティー化しているのではないかと感じています。私は、高齢者の貧困問題を講じるとき、このサイレントマジョリティーの数やニーズなどもきちんと把握していかなくては、効果的な対策は打ち出せないものと考えています。  今回の質問では、高齢者の貧困の中でも、家計的には相当苦しいけれども生活保護を受給せず、歯を食いしばって生きていらっしゃる方たちに焦点を当てた取り組みについてお伺いします。  そこで、まず現状認識についてお伺いします。貧困問題に取り組む試みとしては、平成二十七年四月に施行された生活困窮者自立支援法の施行に伴い、本県でも自立相談支援事務所を設置するなどしてさまざまな相談に対応しておりますけれども、どういった相談の傾向があるのかお聞かせください。  また、家計的に苦しいけれど生活保護を受けていないサイレントマジョリティーとなっている高齢者の方についての知事の認識をお伺いいたします。  次に、地域において、生活が苦しいけれども声を上げない高齢者に対する入り口としての支援に対する知事のお考えをお伺いします。  国は、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住みなれた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域の包括的な支援、サービス提供体制、いわゆる地域包括ケアシステムの構築を二〇二五年をめどに推進しています。この地域包括ケアシステムが具体的に実現を目指しているのは、住まい、医療、介護、予防、生活支援を一体的に提供するというものです。しかしながら、地域包括ケアシステムでは、相談があり、必要であれば公営住宅や医療、介護、生活保護などのサービスが受けられる体制となっておりますが、それはあくまでも相談があればの話であり、サイレントマジョリティーに対してアウトリーチ型の積極的な支援を行うということは想定していないようです。サイレントマジョリティーの高齢者は、できるだけ他人に迷惑をかけないで生きていくことを望んでいらっしゃることから、低所得で生きていくために食や医療、介護などのサービスを受けることを諦めるなど、何らかの犠牲を払いながら生活しており、その抱える課題やニーズが複合的に絡み合っているケースが想定されます。そういった方々が本当に何を必要としているのかということは、実際にお会いし、話を聞かなくてはわからないはずです。  そこで知事にお伺いします。サイレントマジョリティーの高齢者の声なき声を拾い上げ、それぞれの実態に即した適切な支援につなげていくために、どのような支援が必要であると考えているのかお聞かせください。  次に、高齢者の生活支援を行う団体に対する支援のあり方についてお伺いします。京都郡苅田町にミモザの会という団体があります。この会は、介護事業所に長年勤務し、介護や相談に携わってきた方が、困っている人を助けたい、遊びに行くように立ち寄れる場所をつくりたいとの思いから立ち上げ、十三名の専門職を含む二十一名のメンバーが、少ない金額ながら有償ボランティアとして、家事や病院の付き添いなどの支援に対応されています。また、高齢者の地域とのつながりの場づくりとして、えんという居場所を開設されています。えんでは、区長や民生委員との連携を強めることで高齢者への周知を図るとともに、介護福祉士ヘルパー資格者認知症サポーターが常駐することで、単なる居場所づくりにとどまらず、認知症の早期発見や介護予防、認知症の家族の方のレスパイトまで行っているといいます。さらには、四百円で地産地消を意識した昼食の提供もされており、月平均三百人の利用があるといいます。まさしく高齢者支援のお手本的な存在であります。今後も、さらなる高齢化の進展や近所づき合いの希薄化など高齢者を取り巻く環境が厳しいものとなっていくことが容易に想像される中、ミモザの会が行っているような取り組みがますます必要になってくるものと考えます。県としても、こういった団体に対する財政的な支援や、団体のモチベーションを上げるための支援策を考えていくべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、孤立死対策についてお伺いします。孤立死とは、耳なれない言葉かもしれませんが、社会から孤立し、何ら人間関係を持たずに社会的なつながりのないまま亡くなり、長期間気づかれないことをいいます。似た言葉に孤独死というものがあります。孤独死とは、誰にも気づかれずに一人きりで死ぬことをいいます。この違いを大まかに説明をすると、孤立死も孤独死も、お一人で亡くなるのに違いはありませんが、一人きりで亡くなった場合でも、身内、友人、コミュニティーなど人との交流があったのであれば孤独死となり、そのような交流も全くないまま、ひっそりと亡くなったのであれば孤立死ということになります。つまり、一人きりで亡くなったかどうかではなく、社会的に孤立した状態で亡くなったかどうかということが、孤立死と孤独死を分ける要因となります。  現在、社会問題化し、対応策の構築が必要とされているのは、この孤立死です。福岡県警のデータによると、本県の過去五年間における六十五歳以上の独居者による孤立死、孤独死を合わせた死者数は、平成二十五年に千二百七十九人だったものが、平成二十九年には千五百三十五人と約二〇%増加しており、今後もその傾向は続いていくものと考えられます。本県では孤立死や孤独死を防ぐため、町内会や小学校区といった小地域単位で、民生委員老人クラブ等地域住民主体の見守り活動チームによる見守り活動を推進するため、市町村職員市区町村社会福祉協議会職員等に対する研修を行うほか、県と新聞販売店など各家庭を訪問する機会の多い事業者との間で、訪問先の異変を察知した場合に市町村へ通報する活動である、見守りネットふくおかに関する包括協定を締結し、民間事業者にも見守りの担い手として参加してもらうことで、地域全体で支援を必要とする人を日常的に見守る多重的見守り体制の構築を目指すとしています。  そこで、この見守り活動チーム並びに見守りネットふくおかの効果についてお伺いします。見守り活動チームにおいては全ての市町村においての組織化を、そして見守りネットふくおかにおいては各市町村における取り組みに参加する事業者の拡大を目指していますが、その進捗状況と、これらの取り組みがどのような成果を上げているのか、具体的な事例があればあわせてお聞かせください。  最後に、高齢者の貧困問題と孤立死対策に取り組む知事の決意をお伺いします。孤立死と高齢者の貧困はまさしく表裏一体のものであると考えます。私は、戦後日本の復興と繁栄の礎を築いてこられた高齢者の皆様の尊厳が守られながら、地域で安心して生活でき、お亡くなりになった後もその尊厳が守られ続けていく、そのような社会の構築が必要であると考えています。そこで、高齢者が経済的に苦しくても孤立せず、皆で支え合い、心豊かに暮らすことのできる社会の構築に向けた知事の力強い決意をお伺いしまして、一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 7 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  自立相談支援事務所相談傾向と、家計的に苦しい高齢者についてでございます。平成二十七年四月から昨年度末までの三年間で、町村部を所管をしております県の自立相談支援事務所におきまして、新たに面談を行いました二千九百八十五名の方のうち、六十五歳以上の方は八百人と、全体の二七%となっております。その相談内容でございますけれども、延べ千三百七十九件のうち、その二八%が生活費などお金に、二一%が病気や障がい、介護に、一七%が家族や地域での人間関係に関するものでございまして、ほかには住まいなど多岐にわたっております。また、県内における生活保護の水準は、高齢者単身世帯の場合、その居住地によりまして異なりますけれども、年間約七十七万円から約九十万円でございまして、昨年七月末の六十五歳以上の生活保護受給者数は約六万一千人となっております。国の調査をもとに推計をいたしますと、高齢者のうち年金を含む平均収入額が年額六十万円未満の方は六万五千人おられまして、それだけ見ても、既に県内の生活保護受給者の数を上回っている状況でございます。生活保護の水準に満たない状況で保護を受給されておられない方を正確に把握することは困難でございますけれども、今申し上げましたように相当程度おられると、このように考えております。  そのサイレントマジョリティーの高齢者に対する入り口支援と、適切な支援につなげるための支援についてお尋ねがございました。県の自立相談支援事務所におきましては、相談の入り口といたしまして、御本人からの相談を待つだけではなく、町村役場あるいは民生委員からの情報を活用して直接出向いていくなど、生活に困窮する方々からのさまざまな相談を受けとめているところであります。そして、それぞれの実態に応じて、福祉事務所を初めとした関係機関と連携して適切な支援につなげているところでございます。また、町村の税や住宅などの部局の窓口において生活に困窮されている方を把握した場合には、私ども自立相談支援事務所に御相談をいただくよう、それを促していただくよう、各町村との個別会議を通じまして、その協力を依頼しているところであります。引き続き、生活に困窮されている方からのより多くの相談が受けとめられるよう努めてまいります。  次に、高齢者の生活支援を行う団体に対する支援でございます。高齢者が集う地域サロン買い物支援配食サービスなど日常生活上の支援を必要とする高齢者に対する生活支援サービスにつきましては、市町村がみずから、あるいは住民団体、NPO、民間企業など多様な主体に委託、補助することによって、これを実施しているところであります。県におきましては、市町村が行いますこうした生活支援サービスの提供に要する経費について財政支援をしているところであります。また、この生活支援サービスを提供する場合、市町村は住民のニーズを把握するとともに、そのニーズとサービス提供者とのマッチングなどの役割を担う生活支援コーディネーターを配置することとされております。県におきましては、平成二十七年度から、そのコーディネーターを養成をしてきておりまして、今年度からは新たに、その資質の向上を図るための研修会というものを実施しております。この研修会におきましては、生活支援サービスを提供する団体の優良な活動事例というものを紹介をし、それぞれの地域の実情に合わせて参考とするよう促しているところでございます。  次に、見守り活動チーム及び見守りネットふくおか進捗状況でございます。県におきましては、平成二十年度から、町内会、小学校区といった地域において、民生委員老人クラブを初め地域の住民の皆さんで編成された見守り活動チームによりまして組織的な見守り活動が実施されるよう、市町村に対し働きかけをしてまいりました。その結果、現在、全ての市町村において、このチームが編成されておりまして、全体の八割を超える約三千の地域でそのチームがそれぞれ活動をされております。こうした地域住民による見守り活動に加えまして、平成二十四年度からは各家庭を訪問する機会の多い事業者が、ひとり暮らし高齢者等の異変を察知した場合に市町村へ通報いたします見守りネットふくおか、この取り組みも始めているところでございます。現在、県は新聞販売店連合会、日本郵便など十四の事業者、団体と協定を締結しておりまして、この見守り活動は全ての市町村で行われております。  その活動の成果でございますけれども、新聞配達員からの通報を受けて、病気で動けない方を発見し、病院に搬送したもの、また電力会社社員からの通報を受けまして、生活に困窮した方を把握し、生活保護の申請につなげたものなど、救命や必要な支援につながった事例の報告も上がってきておりまして、その件数は年々増加をしてきているところであります。  高齢者が孤立しない社会の実現に向けた私の決意でございます。高齢者の方々が住みなれた地域で安心して長くお暮らしいただくためには、それぞれの地域において住民がお互いに助け合う、支え合う、そのことが重要であります。このため県におきましては、先ほど申し上げましたように、市町村に対しまして、住民団体、NPOなど多様な主体による生活支援サービスを提供する体制の整備、その支援を行っているところであります。また、地域住民による見守りチームの活動がさらに広がるよう市町村に働きかけを行うとともに、見守りネットふくおかの協定を締結する事業者を拡大をし、見守りの多重化というものを図ってまいります。  一方で、元気な御高齢の方々は、それぞれの地域におきまして生活支援サービスを提供する側の役割を担ったり、地域の老人クラブに参加をされ、健康づくり、また支え合い運動に取り組んでおられるところであります。今後さらに高齢化は進展をいたします。そのため、今述べましたような活動に一層力を入れていき、高齢者の方々が住みなれた地域で健康で生き生きと、また孤立することなく安心して生活ができる社会の実現、これを目指してまいります。 9 ◯議長(井上 順吾君) 井上博隆君。 10 ◯二十三番(井上 博隆君)登壇 今回質問するに当たって、高齢者の貧困という問題に対して取り組む主体が誰であるのかということが、非常にわかりにくいなというふうに感じました。高齢者に対する取り組みは高齢者地域包括ケア推進課、貧困に関しては保護・援護課ということで、保健医療介護部と福祉労働部、所管も違います。知事が先ほど来答弁されました自立相談支援事務所取り組みは保護・援護課の所管で、実に大変よく頑張っていらっしゃるというのは十分に理解しておりますし、アウトリーチ型の取り組みというものも評価しております。しかし、この自立相談支援事務所が取り組む対象というのは、高齢者だけではなくて全ての年齢層ということになります。一方で、この高齢者施策を包括的、一体的に取り組むとしている地域包括ケアシステムの主体性がどこにあるのかと感じずにはいられませんでした。そういった意味で、ひとり暮らしの高齢者が不幸にも孤立死あるいは孤独死をされた際の高齢者の尊厳を保つという観点から、一点要望をさせていただきます。  孤立死や孤独死が発生した場合、周囲に影響を与える最も大きな要因は、腐敗臭であると言われています。この腐敗臭は、御遺体だけではなく、周りの家具にまで移るため、遺体発見後は特殊清掃という清掃を行わなくてはなりません。この際、特殊清掃作業者による遺品整理と家財道具の処分というのが一連の流れとなります。ここで現在大きな問題となっているのは、家財道具は一般家庭から排出されるごみとなりますので、市町村による一般廃棄物の収集運搬を許可された事業者しか持ち出すことができません。しかしながら、一般廃棄物の許可を持つ事業者は定例の業務が多忙であることから、迅速に家具を持ち出すことができないというケースがほとんどであるそうです。しかし、においの問題やライバル会社との競合の問題などから、待っていられないと判断した特殊清掃の事業者は、許可を持っていないにもかかわらず、自分で家財道具を運搬し、うその申告をしてごみ焼却場に持ち込んだり、悪質なケースでは不法投棄につながっている事例もあると聞いております。これらは紛れもない違法行為であり、許されないことであります。しかしながら、仮に一般廃棄物の許可を持つ事業者の都合のいい日を待つとなると、その間も腐敗臭は放置されることとなり、近隣にお住まいの方へ悪影響が出ると同時に、お亡くなりになった方の尊厳が守られないということにもなります。この事例でいいますと、廃棄物に関しては環境部の所管でありますし、一般廃棄物に関しては市町村が許可権者でもあります。そういった事情も理解した上で、高齢者の尊厳が、お亡くなりになった後も一貫して守られるためには、私はやはり高齢者地域包括ケア推進課の音頭のもとに取り組みを進めていく必要があるというふうに考えております。  今後も、こういった高齢者を取り巻くニーズが多様化すること、そしてこれまで想定していなかった課題が発生することは容易に想像がつきます。まずはその正確な実態の把握を行うこと、そして関係部局を挙げて全県的に問題を提起し、対応策を協議していただきますよう強く知事に要望して、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 11 ◯議長(井上 順吾君) 松下正治君。(拍手) *松下議員質問 12 ◯二十五番(松下 正治君)登壇 皆さん、おはようございます。公明党の松下正治でございます。早速、通告に従いまして、特別支援学校における通学支援についてお伺いします。  さきの決算特別員会において、我が会派の田中正勝議員から、県立特別支援学校の学校間ネットワークについて、各特別支援学校の担当エリアが県内の広範囲に及んでいることが取り上げられました。このことから、各学校において、通学することに対して生徒とその家族に大きな負担が生じていることが推察されます。子供に学ぶ意欲があっても、また家族がぜひ適切な教育を子供に受けさせたいと願っていても、障がいがあるために学校に通えない状況があるとすれば、それは大変に不幸なことであるし、またそうした状況はあってはならないと思います。  そこで、まず教育長にお伺いします。本県の特別支援学校においては、現在どのような通学手段があり、特に学校数の少ない視覚特別支援学校においては、子供たちはどのような手段で通学しているのか現状をお伺いします。  次に、視覚特別支援学校においては、未就学児が通う幼稚部の在籍者数の割合が全体的に低い傾向にあると聞いております。これは、通学の困難な状況がその原因の一つになっているのではないかと思われます。  そこで質問します。本県の視覚特別支援学校における学部別在籍者数と在籍者数の学部別の格差について、教育長の御所見をお伺いします。  また、未就学児については、在籍してはいないが教育相談という形をとって学校に通うケースもあると伺っております。視覚特別支援学校におけるこのような教育相談の意義と、現在何人くらいの方がこの教育相談を利用しているのか、その実態を教育長にお伺いします。  さて、障害者総合支援法に基づく生活支援事業サービスの一つとして、視覚障がい者が日常生活を送るに当たり、各市町村では移動支援事業を行っています。冠婚葬祭や投票、文化的活動など社会生活を送る上で欠かすことのできない外出や、イベントへの参加や観劇など余暇活動等の社会参加のための外出支援をガイドヘルパーが行うものです。この移動支援サービスの提供は、外出先によっては制限が加えられることがあり、営業や通勤など経済活動は対象外となっており、通学、通所、通園といった長期にわたる外出も利用できない場合が多いと聞いております。  そこで、今度は知事にお尋ねします。本県における各市町村の視覚障がい者に対する移動支援事業に関する取り組み状況は現在どのようになっているのでしょうか。また、通学手段として活用されている状況はあるのか、支援内容について市町村間での格差が生じていないのかお尋ねいたします。  次に、同行援護についてお尋ねします。同行援護とは、国が平成二十三年十月から、移動支援事業のうち重度の視覚障がい者に対する個別支援を同行援護として創設したもので、視覚障がいにより移動に著しい困難を有する障がい者等が、外出時において同行してもらい、移動に必要な情報の提供や移動の援護等、必要な援助を受けるものです。この同行援護は国の制度として定められているため、基本的にどこの市町村でもサービス内容、事業所開設の要件等がほぼ同じということになっているようですが、同行援護の担い手の確保について、地域によっては困難なところもあると伺っています。  そこで知事にお伺いします。この同行援護事業の本県における実施状況はどのようになっているのでしょうか。事業所数や利用者数も含めて御教示ください。  また、移動支援事業と同様に、通学手段として活用されている状況があるかどうかもお尋ねいたします。  文部科学省による障害のある学生の修学支援に関する検討会報告では、中長期的課題として、通学支援については重要な検討課題であることが認識をされております。また、全国障害学生支援センターの報告によると、通学支援は文部科学省の所管であるため、厚生労働省としては予算を組めない、予算を組んでも財政困難に陥るとの考えが厚生労働省や財務省にあるからです。このように、通学支援が霞が関の縦割り行政の中で埋没された形となっており、種々の制度のすき間にあって、一貫とした通学支援制度が確立していないのが実情ですとの指摘があります。このような状況にあって、地方自治体にあっては移動支援事業制度に着目した通学支援について、現場に応じた多様で柔軟な仕組みづくりが求められていると思います。  私は先日、本県のある視覚特別支援学校に行って、現在在籍する生徒の通学に関し、現状と課題等を尋ねる機会がありました。その際に、学校の関係者から次のようなことを言われました。それは、視覚障がいを担当する特別支援学校の校区のエリアというのは、知的障がいや肢体障がい等と異なり、広範囲にわたっております。そうした広範囲の校区でスクールバスを運行すると、視覚障がいを持った小さなお子さんをスクールバスに長時間にわたって詰め込んで走らせねばならない事態が発生します。そうなると、障がいのあるお子さんに対して、長時間にわたって不安な時間を過ごさせ、精神的に大きな苦痛を味わわせることになり、学校としては実施することは困難に感じますとの御意見をいただきました。しかし、御家族がずっと登下校に付き添わねばならないのも相当な負担があり、親も子供も視覚障がいがある御家族の場合においては、身動きがままならないのも現実であります。そうしたことを考えると、市町村の行う移動支援等の福祉事業の効果的な活用が望まれます。  そこで、以上の指摘を踏まえ、最後に知事に質問します。障がいのある子が安心して学校に通えるように、本県では今後どのような通学支援の取り組みを行っていくのかお尋ねいたします。  以上、御答弁よろしくお願いいたします。(拍手) 13 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 14 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  市町村の移動支援事業に関する取り組みの状況でございます。国の地域生活支援事業の一つでございます移動支援事業は、屋外での移動が困難な障がい者等につきまして、外出のための支援を行うことによって、地域における自立的な生活、社会参加を促すことを目的としております。県内におきましては、全市町村がこの移動支援事業を実施しているところであります。このうち、通学を対象としておりますのは七市町でございます。また、二十の市町村が原則通学を対象外としておりますけれども、家族の入院、疾病、出産など個別の事情がある場合には例外的に通学をその対象としているところであります。  次に、同行援護事業の本県における実施状況でございますけれども、同行援護は、視覚障がいによりまして移動に著しい困難を有しておられる障がい者等に対しまして、その外出時において、当該障がい者に随行いたしまして、移動に必要な情報の提供、移動の援護、排せつ及び食事等の介護、及びその他外出時における必要な援助を行うサービスでございます。県内におけるその事業所数でございますけれども、ことしの十一月一日現在、三百六十一カ所となってございます。また、その利用者数は、ことしの六月の実績で一千二百七十四名となっておるところであります。  同行援護事業の外出につきましては、社会生活上、必要不可欠な外出、社会参加のための外出とされておりまして、通勤、営業活動等の経済活動にかかわる外出や、通年かつ長期にわたる外出はその対象外となっているところであります。通学につきましては、通年かつ長期にわたる外出これに該当することから、同行援護を活用することは、制度上認められてないわけであります。  次に、今後の通学支援の取り組みでございます。先ほど申し上げましたように、移動支援事業につきましては、地域の特性や個々の利用者の状況、ニーズに応じて、市町村の選択により通学を支援対象とすることができます。既にこの事業を活用して通学支援に取り組んでおられる自治体も県内外にございます。そのため県といたしましては、この移動支援事業による通学支援を行っておられない県内の市町村に対しまして、この通学支援に取り組んでおられる事例について情報を提供をしてまいります。 15 ◯議長(井上 順吾君) 城戸教育長。 *教育長答弁 16 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 県立特別支援学校の通学手段と視覚特別支援学校の通学の現状についてでございます。特別支援学校の通学手段としては、通学バスの利用、保護者等による送迎、交通機関等を利用した自主通学、寄宿舎からの徒歩通学がございます。視覚特別支援学校における通学の現状といたしましては、保護者等による送迎が約二九%、交通機関等を利用した自主通学が約二四%、寄宿舎からの徒歩通学が約四七%となっております。  視覚特別支援学校の学部別在籍者数とその格差についてでございます。本年五月一日現在で、視覚特別支援学校四校に、幼稚部六人、小学部二十七人、中学部二十五人、専攻科を含む高等部に六十人が在籍しております。学部ごとの在籍者数を見ますと、幼稚部の在籍者数が比較的少ない状況にございますが、これは幼稚部が義務教育段階にないことに加え、地域の幼稚園、保育所等への通園、通所、児童発達支援事業所や障がい児等療育施設の利用など、さまざまな選択肢があることが影響しているものと思われます。  視覚特別支援学校における未就学児に関する教育相談の意義と利用人数についてでございます。教育相談においては、未就学児に対して視覚機能の評価や発達に関する検査を実施したり、遊びを通じ物や人とかかわる力を育てるなどの指導を行うとともに、保護者に対して養育上のアドバイスなどを行っており、教育上有益であると考えております。また、本県の視覚特別支援学校四校においては、毎年七十人程度がこのような教育相談を利用しております。 17 ◯議長(井上 順吾君) 松下正治君。 18 ◯二十五番(松下 正治君)登壇 御答弁ありがとうございます。知事に一点要望いたします。  今回の私の質問は、目の不自由なお子さんを抱える、やはり目の不自由な親御さんからの御相談がきっかけです。その親御さんは、目に障がいのある自分の娘に専門的な教育を受けさせたいが、視覚特別支援学校に毎日通うのが困難であるため、それを締めて地元の幼稚園に通いつつ、教育相談という形で特別支援学校に週何度か行かせるつもりであるとのことでありました。しかし、できれば行政の通学支援を受け、娘さんを毎日特別支援学校に通わせたい気持ちがあるとのことでありました。  教育長の答弁で、本県の視覚特別支援学校四校で、幼稚部にはわずか六人しか在籍していない。しかし、教育相談には、平成二十九年度で七十人もの方が視覚特別支援学校に通っていることが示されました。この七十人の中には、今御紹介した御家族のように、通学支援の充実を求める方が多くいるのではないかと思われます。  そこで知事に要望ですが、ぜひ知事におかれましては、市町村の行う移動支援等の福祉サービス事業について情報共有を一層図ることによりまして、通学支援に関して、より効果的な活用がされるよう積極的な後押しを、ぜひともよろしくお願いすることを強く要望いたします。  以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 19 ◯議長(井上 順吾君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時といたします。           午 前 十一時 四十八分  休 憩           午 後 一 時  一 分  再 開 20 ◯副議長(畑中 茂広君) 再開いたします。 *諸般の報告  諸般の報告を行います。  提出議案中、第一六四号議案「福岡県職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について」外三件について人事委員会の意見を求めましたところ、お手元配付のとおり意見の提出がありました。      ────────────────────────────────────────── 21 ◯副議長(畑中 茂広君) 以上、報告いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。江口善明君。(拍手) *江口議員質問 22 ◯二十七番(江口 善明君)登壇 皆様、こんにちは。緑友会・立志福岡県議団の江口善明でございます。通告に従い、順次質問させていただきます。  まず、農業水利施設の整備についてお伺いいたします。ことし七月の西日本豪雨では、本県でも広い範囲で土砂災害や河川の氾濫など大きな被害が発生しました。現在、復旧、復興に向けた取り組みが進められているところでありますが、一方で、忘れてはならないことですが、本県ではこの豪雨の後、ほとんど雨が降らず、米づくりで水が必要な出穂期を迎える八月末には矢部川水系の日向神ダムが枯渇するなど、農業用水の不足が心配されました。九月に入って、天の恵みにより大事には至らなかったところでありますが、改めて農業用水の重要性と、この確保の難しさを思い知らされたところであります。  農業用水は、農産物へのかんがいとして使われるだけではなく、生活用水、環境用水、防火用水などのさまざまな機能を持っています。この農業用水を確保するために先人たちは、水稲が始められた縄文時代から約二千年もの長い間、堰や水路などの農業水利施設をつくり、その後の保全に努力してまいりました。戦国時代から江戸時代にかけては領主による大々的な新田開発が進み、これに付随して膨大な農業水利資産が形成され、これらの資産は戦後、高度経済成長期を経て、土地改良事業による近代的な農業水利施設として整備されてきたところであります。  私の地元であります久留米市南西部は、全国最大級の土地改良事業でありました筑後川下流地区の喉元に当たり、この事業により整備された基幹的な水路と、これに関連して整備された用排水施設により、筑後川の水が水田一枚一枚に農業用水として供給される水利システムが完備されているところであります。しかしながら、この水を使い始めて既に二十年以上が経過をしていることから、水路やポンプなどの農業水利施設は老朽化し、その対策として、一部の施設では補修などの対策が講じられておりますが、老朽化したまま手つかずの施設も多く見られます。農林水産省の資料によりますと、全国の基幹的な農業水利施設は、用排水のポンプ場で七割、水路で四割が耐用年数を超過している状況とのことであります。農業水利施設の老朽化は、農業生産への影響ばかりではなく、施設そのものの損傷による家屋や道路などへの二次被害を引き起こすおそれがあり、その対策は待ったなしの状況であると思います。  そこで伺います。本県においても、これまでの国や県で整備した基幹的な農業水利施設の老朽化対策の現状と、今後の取り組みはどうなっているのかお答えください。  続きまして、小規模な水路の整備についてであります。久留米市では、基幹的な水路は整備されておりますが、農村集落の周りや、圃場整備が行われていない農地内の水路の多くは未整備の状況であります。これら水路は、土づくりのため崩壊している上、アシなどの繁殖により水路が極端に狭くなっている部分もあり、十分な水量が流れず、営農に支障を来しているところです。このため久留米市では、県が事業主体となって、市内全域を三つの区域に分けて末端水路を整備しておりますが、六十路線を超える水路があることから、整備までには相当な時間を待たなくてはならない水路があると聞いております。  そこで伺います。県が久留米市で実施をしている小規模な水路整備に当たって、どのような優先度のもとに整備を行っているのか、この事業による全ての水路の完成のめどを含めお答えをいただきたいと思います。  次に、地域おこし協力隊についてお伺いをいたします。地域おこし協力隊は、九月議会で国民民主党・県政県議団の代表質問で大田京子議員が質問されましたが、私は地域おこし協力隊の入り口である採用と、任期満了後の定住促進に向けたより具体的なあり方について質問させていただきたいと思っております。  先日、三年の任期満了直前の久留米市採用の地域おこし協力隊の方の活動報告会を聞きに行きました。二十代の彼は三年前、城島酒蔵びらきで有名な久留米市城島町の城島総合支所に配属され、フリーライターという経歴を生かし、城島町の特産物のPRなどの情報発信に取り組んできました。地域おこし協力隊に応募したきっかけは、高校の同級生の市の職員から誘われたからだということです。任期満了後は、久留米市で最も小さい校区コミュニティーであります浮島地区で、在職中に開業した空き家を改装してつくった古民家カフェを中心に活動していくということでありました。私は、地域おこし協力隊のあるべき姿を見て、この制度の重要性を再認識させていただきました。  さて、皆様御存じのとおり、地域おこし協力隊は平成二十一年度に発足した制度で、平成二十九年度は全国で四千九百七十六人ということであります。隊員の七割が二十代と三十代、任期満了後約六割が同じ地域に定住しているということで、地域活性化と定住促進という政策目標は一定達成されているものと思います。本県でもうきは市の十一名を筆頭に、三十一市町村に百三十二名の地域おこし協力隊が在籍をしております。  しかし、課題もないわけではありません。そこで、地域おこし協力隊の入り口と出口の課題についてお伺いをいたします。まず、地域おこし協力隊の入り口である募集の困難さであります。担当の職員にお聞きしますと、なかなか人が集まらないという声を異口同音にお聞きをします。市町村でも、市の職員の知り合いなどあらゆるチャンネルで探しているようですが、なかなか難しいようです。しかし、地域おこし協力隊の質を維持するためには、地方移住を考えるやる気のある人材の発掘は大事なことであります。  そこでお伺いをいたします。地域おこし協力隊の募集に対して、より一層本県の支援体制が必要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。  次に、出口、地域おこし協力隊の任期満了後の定住促進についてお伺いします。地域おこし協力隊は、任期三年の間に兼業が認められるなど、任期満了後の定住に向けた取り組みも在職中からできる制度となっております。とは言いつつも、移住先で働く場を探すということはなかなか容易なことではありません。地域おこし協力隊の任期満了後の定住促進について、研修もされているとは思いますが、研修だけではなく、OB、OGとの連携、そしてまた県内の隊員同士の連携など、より本県の支援のあり方について知事の御所見をお伺いします。  以上、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 23 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 24 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず、基幹的な農業水利施設の対策の現状と今後の取り組みでございます。水路や排水機場など農業水利施設は、市町村や土地改良区などの管理者が、日々の点検や消耗部品の交換を行い、適正な維持管理に努めているところであります。また、県におきましては、こうした施設の機能を長期的に維持をしていくため、平成三十二年度までに県が整備をいたしました基幹的な農業水利施設のうち、使用開始から十年以上経過をいたしました四百二十九カ所これについて点検、診断を行い、全ての箇所の機能保全計画の策定を行うことといたしております。昨年度までに三百九十一カ所の点検、診断が終わりまして、機能保全計画を策定をし、市町村や土地改良区などと協議をした上で、水路のひび割れの補修や排水機の部品交換といった必要な対策を実施してきているところであります。国におきましては、国が整備をいたしました基幹的な農業水利施設の点検、診断を行いまして、機能保全計画の策定を終了しており、県、市町、土地改良区と協議をした上で必要な対策を実施しているところであります。県といたしましては、引き続き国と連携をいたしまして、必要な対策を実施してまいります。  次に、久留米市の小規模な水路の整備についてお尋ねがございました。県におきましては、久留米市と協議をした上で、六十二路線の水路を東部、西部、北部の三つの事業地区に分けて策定をいたしました計画に基づき、それぞれ対策工事を進めています。事業地区ごとの水路整備に当たりましては、漏水、のり面の崩壊などそれぞれの状況を把握をし、市あるいは地元と協議をいたしまして、緊急性の高い路線から対策工事を行っております。これまでに三十路線の整備を終えているところでございまして、今後とも、国の支援も受けながら、平成三十四年度の完了を目標に水路の整備を進めてまいります。  次に、地域おこし協力隊についてでございます。まず、入り口でございます隊員の募集でございます。本県におきましては、県の移住・定住ポータルサイトに、地域おこし協力隊のコーナーというものを設けておりまして、隊員募集中の市町村の詳しい紹介とともに、県内の隊員の方が語ります志望動機、やりがい、後輩へのアドバイスなどを掲載をして、本県の魅力というものを発信をし、広く人材を募っているところであります。また、東京及び福岡に開設をしております移住相談窓口であります、ふくおかよかとこ移住相談センターにおきましては、隊員募集中の県内市町村を紹介をするとともに、隊員を志望される方の相談に常時対応し、これまで七名の隊員がセンターの支援によって県内の市町村に赴任をしているところであります。加えて、東京で年二回開催をしております移住説明会におきましては、県内の現役隊員、OB、OGが、御自身の移住体験や日ごろの活動内容、地元住民とのかかわり合いなどにつきまして直接答える個別相談を行っておりまして、福岡県での生活というものをより具体的にイメージしやすいように工夫をしてきているところであります。県といたしましては、県外の多くの方に福岡県に興味を持っていただき、市町村が隊員を確保しやすくなるよう、さまざまな媒体、場所、機会を活用いたしまして、またその内容に工夫を凝らして情報提供、相談支援に努めていきたいと思います。
     次に、出口であります任期満了後の定住促進でございます。定住促進のためには、就業面での支援が重要であります。このため県におきましては、若者しごとサポートセンターなどの就職支援機関への橋渡し、起業や就農を志す隊員への起業セミナー等を実施しております。これらに加えまして、昨年度から新たに起業を志す隊員を対象に、経営と創業の相談所であります福岡県よろず支援拠点と連携をいたしまして、ゼミ形式の実践的な勉強会を行うなど、ほかの県にはない取り組みも行っているところでございます。県におきましては、隊員が福岡県に愛着を持ち、任期満了後も本県に定住することを目的に、現役隊員、OB、OG、市町村担当者を集めた交流会、活動報告会というものを開催をいたしております。その中で、就職、起業、住居に関する情報交換や、隊員が地域で暮らしていく中での思いや悩み、それらの共有を通しまして、隊員同士の縦、そして横のネットワークの構築に取り組んでいるところであります。その結果、ことしからは新たに、隊員そしてOB、OG相互の情報交換を目的とした情報紙、つながりタイ新聞を隊員みずからの手で発行され、県内の隊員、OB、OGにこれをメールで配信する活動が始まるなど、着実に取り組みの成果が上がってきていると考えております。任期満了となります隊員の増加が今後見込まれる中、一人でも多くの隊員の定住につながるよう、こうした取り組みを一層充実させてまいります。 25 ◯副議長(畑中 茂広君) 浦伊三夫君。(拍手) *浦議員質問 26 ◯九番(浦 伊三夫君)登壇 自民党県議団の浦伊三夫でございます。きょうは、風疹対策について質問させていただきたいと思います。  風疹は、ほぼ五年置きに大流行を繰り返していますが、平成二十五年の一万四千人を超える流行の後、患者数は減少傾向にありました。しかし、ことしの七月以降、患者が増加し、東京都で八百三十四人、神奈川県で三百四十二人など関東を中心に感染が広がり、全国の患者数は二千四百人を超える事態となっております。本県においても、昨年は一人だった風疹患者は、ことしは十二月二日現在、既に百十二人となっており、その直近一週間の発生人数は十七名と、ことし最大の伸びを記録しております。風疹報告数は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に次ぐ全国で五番目の多さで、関東地方以外ではトップであります。今後、感染の拡大が大変懸念されるところであります。  風疹は、くしゃみやせきなどで飛沫感染し、潜伏期間は二、三週間、主な症状は発熱、発疹、リンパ節腫脹などで、ワクチン接種で予防可能な感染症であります。しかし、妊娠している女性にはワクチン接種ができず、妊娠二十週ごろまでの女性が感染すると、白内障、難聴、先天性心疾患を特徴とする先天性風疹症候群の子供が生まれる可能性があり、大変恐ろしい病気です。我が国は、来年にラグビーワールドカップ、二年後に東京オリンピック・パラリンピック開催を控えており、外国から多くの観光客の来訪が予想されております。しかし、我が国の感染拡大の状況を憂慮し、アメリカでは日本への妊婦の渡航自粛勧告が出されるなど、国際的な影響も広がりつつあります。  そこで知事に質問します。今回の風疹の流行に対して、知事はどのような認識をお持ちなのかお伺いします。  ことしの四月以降、県内において麻疹、いわゆるはしかの患者が二十名確認されたのは、記憶に新しいところであります。その際、我が会派は、六月定例会の代表質問において、ワクチン接種の必要性を説き、児童福祉施設等の職員に対するワクチン接種を県事業として取り組むべきと指摘いたしました。風疹について、麻疹同様、ワクチン接種が対策に最も効果的であるということは言うまでもありませんが、今回の補正予算において、麻疹の予防接種費用の助成に加え、我が会派の指摘を踏まえ、風疹対策におけるワクチン接種の重要性を認識され、予防接種への助成費が提案されたことは評価すべきことと考えております。しかしながら、今回の風疹流行の対応に関しては、全国で関東地方を中心に七月末から感染拡大し始め、本県においても明らかに十月初旬から感染拡大をし始めております。大流行の兆候が見られているにもかかわらず、有効な対策を打つことができていないように思えます。このように危機的な状況にあると言わざるを得ない中で、知事の定例記者会見において、風疹についてこれまで一度も注意喚起されることはなく、危機感を持っていらっしゃるのか不安になると同時に、大変残念に思っております。  そこで知事にお伺いします。今回の風疹流行の対応策をお伺いします。  また、記者会見も含めあらゆる機会を利用して風疹流行の注意喚起を行うなど広く県民に周知するべきだと考えますが、いかがでしょうか。  風疹を排除すると約束してください、私たちと同じような思いをするお母さんをなくしてほしい。これは妊娠中に風疹に感染し、子供に障がいが出た母親などでつくる風疹をなくそうの会の共同代表の可児佳代さんらが、小泉進次郎自民党厚生労働部会長と面談され、涙ながらに訴えられたときの言葉であります。風疹をなくそうの会は、風疹を排除し、先天性風疹症候群の発生をゼロにすることを目的に設立されました。可児共同代表も十七年前に先天性風疹症候群の娘さんを亡くされた経験があり、風疹撲滅に効果的なワクチン接種を訴える活動を続けておられます。  国は、平成三十二年度までに風疹の排除を達成することを目標としております。しかし、福岡県における定期予防接種の接種率は全国に比べ低い状況にあります。可児共同代表は、今妊娠している人は本当に怖いと思う、ましてや風疹にかかったかもなんて思う人は不安で不安でいっぱいです、どうか力をおかしくださいともおっしゃっておられました。今現在妊娠している人や、子供が欲しいと思っている人が安心して妊娠、出産できる環境をつくっていかなくてはいけないと思います。  そこで知事にお伺いします。県民全体の意識と関心を高めるため、まずは定期接種の接種率を県内全域で高めるための取り組みを進めていく必要があると考えますが、知事の考えをお伺いします。  一昨日、厚生労働省は風疹含有ワクチンの定期接種対象者の変遷に伴い、これまで定期接種を公的に受ける機会がなく、抗体保有率が低い世代である一九六二年四月二日から一九七九年四月一日生まれの男性に、予防接種法に基づく定期接種の対象にすると発表しました。これにより、この世代の方々は無料で抗体検査を受けることができ、抗体価が低い方に対しては無料でワクチン接種を受けることが可能になります。これを契機に風疹を撲滅し、安心して妊娠、出産できる福岡県にするべきだと考えます。  そこで知事にお伺いします。風疹撲滅の対策と知事の風疹撲滅に対する覚悟をお聞かせください。  知事の熱意と誠意のある答弁を期待して、質問を終わります。(拍手) 27 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 28 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  今回の風疹感染拡大についてでございます。平成二十四年から二十五年にかけまして全国的に風疹が流行し、本県においても二十四年には三十九人、二十五年には三百四人の患者が発生をいたしました。その後、患者数は減少いたしまして、毎年十人未満となっておりましたが、ことしは十二月二日までに百十二人の患者が発生をいたしております。引き続き、風疹の発生状況を注視し、感染拡大の防止、特に先天性風疹症候群の発生防止にしっかり取り組んでまいります。  今回の風疹患者の増加に対する対応策でございます。県におきましては、患者発生時には、感染拡大を防止するため、国立感染症研究所の自治体における風疹発生時対応ガイドラインこれに基づきまして、患者本人に対する疫学調査を実施をし、接触された可能性のある人たちに対する健康観察、症状が出た場合の速やかな受診勧奨を行ってまいりました。全国で百三十人を超える患者が発生をしておりました八月中旬には、本県での患者数は七人でございました。しかしながら、早期に対策をとるべきであると考えまして、県医師会や保健所を通じ、全医療機関に対し、風疹を念頭に置いた診療の依頼を行いました。また、この時期から患者の発生状況や、風疹の症状、妊娠初期に罹患をいたしますと先天性風疹症候群の子供が生まれる可能性があること、妊娠を希望する女性や妊婦の配偶者等を対象とした無料抗体検査を県が実施をしていることなど、これらにつきまして繰り返し情報提供を行い、マスコミに報道をしてもらいました。さらに、県ホームページのトピックスへの掲載、毎週行っておりますツイッターによる情報発信、県医師会と連携をいたしましたマスコミへの情報提供、医療機関へのチラシの配布、テレビによる私どもの広報といったさまざまな手段を通じて注意喚起に努めてきたところであります。今後は、保育所、幼稚園を通じたチラシの配布、若い人の利用が多いLINE、フェイスブックによる情報の発信、子育て世代に向けたフリーペーパー、あるいは働く世代をターゲットに絞った「労働ふくおか」への記事の掲載、コンビニへのチラシの配架などによりまして、その周知を図ってまいります。これらに加えまして、先天性風疹症候群の発生を防止するため、抗体価の低い妊娠を希望される女性等への予防接種費用を支援する市町村を助成する補正予算案を今議会に提案をさせていただいているところでございます。  風疹の定期接種の接種率向上についてでございます。風疹の予防、蔓延防止のためには、議員御指摘のとおり、ワクチン接種が有効であります。このことから、市町村において一歳児に対して行う第一期、小学校入学前の一年間に行います第二期、計二回の定期接種というものが実施されております。国におきましては、早期に先天性風疹症候群の発生をなくすとともに、二〇二〇年度までに風疹の排除を達成するため、第一期及び第二期の接種率をそれぞれ九五%以上とすることを目標といたしております。このため県におきましては、副市町村長会議等を通じまして、この接種率向上のための取り組みを促すとともに、市町村の担当者を対象に、他の自治体の接種率向上の取り組みを学ぶ研修会というものを開催をいたしております。また、特に接種率の低い市町村に対しましては、県の保健所職員が市町村に直接出向くなどいたしまして、一歳六カ月児健診時に接種状況を確認をし、未接種者に対する再勧奨を行うことを促しているところでございます。この十一月には、風疹排除に向けた活動を強化するため、医療関係団体、幼稚園、保育所、市町村等の関係団体から成る福岡県麻しん・風しん対策会議を開催をいたしました。この会議の構成団体を通じまして、定期接種の重要性について広く周知を図り、県内全域での接種率向上を図ってまいります。  風疹排除のための対策と覚悟でございます。風疹の排除を達成するためには、ワクチンの接種が今申し上げましたように有効でございます。このため乳幼児の定期接種につきまして、市町村の担当者を対象とした研修会や麻しん・風しん対策会議の開催、接種率の低い市町村への直接的な働きかけ等によりまして、引き続き接種率の向上を図ってまいります。  抗体保有率の低い三十九歳から五十六歳の男性に対しましては、今般、風疹の発生の増加を踏まえまして、国が全国無料での抗体検査、予防接種法に基づく定期接種を実施する方針を示したところでございます。今後、国会等における審議を経て決定がされ、詳細が示されることになりますけれども、この事業の実効性を上げるため、県といたしましては、市町村と連携をした普及啓発、接種しやすい体制の整備に取り組んでまいります。また、先ほど申し上げました予防接種助成費の補正予算案を御承認いただきましたら、市町村と連携をいたしまして、抗体価の低い妊娠を希望される女性等にその接種を促すことによって、先天性風疹症候群の発生防止に努めてまいります。これからもこうした対策によりまして、安心して妊娠、出産ができる福岡県、これを目指して風疹の排除に全力を挙げて取り組んでまいります。 29 ◯副議長(畑中 茂広君) 渡辺美穂君。(拍手) *渡辺(美)議員質問 30 ◯五番(渡辺 美穂君)登壇 国民民主党県政クラブ県議団渡辺美穂です。通告に従いまして質問させていただきます。  二〇一三年、共生社会の実現や可能な限り身近な場所で必要な支援を受けられるという基本理念を掲げた障害者総合支援法が制定され、その内容をさらに充実させた改正法が本年度から施行されました。今回は、介護保険と障害者総合支援法が交錯する領域、いわゆる六十五歳問題に特化して知事にお伺いいたします。  総合支援法では、障がいがある人が六十五歳を迎え、介護保険、障がい福祉サービスの両方を利用できるときは、介護保険を優先的に利用しなければならないとなっています。これによって大きく二つの問題が生じます。一つは利用できるサービスの支給内容に大幅な変更が生じる、二つ目は利用者負担が増加するという問題です。  私に相談された方は、連れ合いが五十代後半で事故に遭いほぼ寝たきりとなり、二年以上在宅で看護されています。六十三歳になった現在、週三回障がい者のデイサービスに通い、入浴、食事、排せつなどの生活介護を受けています。また、医療的ケアも必要なことから毎日訪問看護を受けておられますが、現在かかっている金銭的負担は約一万円程度ということです。それが六十五歳になると、現在の施設は障がい福祉サービス事業所なので介護保険サービス事業所にかわらなければならないこと、しかし医療的ケアが必要な高齢者を受け入れてくれるデイサービス事業所はほとんどないということ、介護保険では利用時間の上限が短く、同等のサービスを受けるためには、介護保険の利用者負担を含め金銭的負担が現在の十倍の毎月約十万円程度になることを訴えられました。これに類似した事例は全国各地で起こっており、今後社会問題になることが予想されます。  総合支援法では六十五歳前後で当事者に認められるサービス量は変化しない、というのがあるべき姿となっており、介護にないサービスは障がい福祉サービスを上乗せして利用することができるようになっています。しかし、市町村が総合支援法の上乗せ利用について要介護四以上の者や障害支援区分五以上の者など内規を設けているということが指摘されています。上乗せ利用によって市町村負担が生じることから、財政的に苦しい市町村では運用基準を厳しくしていることが推察されます。  そこで知事にお伺いします。このような支援法の運用のための内規を独自に設定している市町村はどれくらいあるのか、今後市町村の内規の詳細、運用状況について調査する考えはあるのか、その上で市町村に対して法の趣旨を周知徹底する必要があると思いますが、知事の考えをお聞かせください。  また、障がい福祉の国庫負担基準は毎年改正され、前年度の全国市町村の支給実績をもとに九割の自治体の支給をカバーできる額が設定されています。しかし残り一割の市町村は国庫負担基準を超えた障がい福祉サービスを提供されているため、その超過額は市町村負担となります。このことが市町村において六十五歳以上の障がい者に対する福祉サービス抑制の原因の一つとなっている可能性があるため確認する必要があると思います。いかがでしょうか。  次に、障がい者からの相談を受ける相談支援専門員について、総合支援法で利用者の個別計画を立てることが義務化されたため、業務の多忙化によって従来のような対応が困難になっているということが指摘されています。県ではこの実態をどのように把握されているのか、課題解決に向けて県としてどのように対応していくのかお聞かせください。  最後に、改正総合支援法では障がい福祉制度と介護保険制度において共生型のサービス制度が設けられ、この指定を受けることで障がい者と高齢者のどちらにもサービスを提供することが可能になりました。まだ改正法の施行から七カ月しかたっていないとはいえ、障がい福祉サービス事業所で介護保険の共生型通所介護の指定を新たに受けたのは、サービスの重複はありますが千二百八十五事業所中六カ所にすぎません。この原因の一つは、介護と障がいのサービスには我々が想像できないほどのギャップがあり、簡単に両方を受け入れられないという実態があると事業者の方から伺いました。特に、介護保険サービス事業所において、これまで障がい福祉サービスを受けていた方々へ同質のサービスを提供することは非常に困難だという話を聞きます。利用者の方々からも障がい福祉サービス事業所が介護保険の共生型サービスの指定を受けるほうが現実的であり、利用者にとっても安心だと伺いました。総合支援法では、県が研修事業などを行うこととなっており、双方の事業所で情報共有などが円滑にいくように、例えば定期的なケアマネと相談支援専門員との意見交換会の開催や両施設の人的交流、共生型サービスの成功事例の紹介など、県も主体的に取り組む必要があると考えますが、いかがでしょうか。  また、医療の進歩などにより今後障がいを持った高齢者の数は確実に増加することから、共生型サービス事業所の数をふやしていく必要があると考えますが、今後県としてどのように取り組んでいくのかお聞かせください。  以上、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 31 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 32 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、市町村による障がい福祉サービス給付の運用状況でございます。六十五歳以上の高齢障がい者につきましては、原則として介護保険サービスの利用が優先をされますが、一定の要件を満たす場合には、障がい福祉サービスの利用が可能となっております。障がい福祉サービスの支給決定は、市町村が行うこととなっておりますけれども、国は高齢障がい者の障がい福祉サービスの利用についての明確な基準は示しておりません。そのため、市町村により支給決定内容にばらつきがあることが考えられますことから、今後、市町村の支給決定の考え方、またその運用の実態について把握をしてまいります。その上で、障害者総合支援法の趣旨でございます自立支援給付の適正な実施が図られるよう、毎年度実施をしております障がい福祉サービスの支給決定に関する市町村指導、また担当課長会議等を通じて助言、指導を行ってまいります。  障がい福祉サービス給付における国庫負担基準の影響でございます。先ほど申し上げました市町村の支給決定の考え方、運用実態を把握する調査の中で、この国庫負担基準が六十五歳以上の障がい者に対する支給決定に影響を与えているかどうか、これについても把握をしてまいります。  次に、相談支援専門員の人材確保でございます。相談支援従事者初任者研修修了者は、二千四百三十三人でございまして、計画相談支援を行っている県内の五百八の特定相談支援事業所に八百七十一人の相談支援専門員が従事をされております。そして、作成が義務づけられておりますサービス利用計画というのは、ほぼ一〇〇%の作成率となってございます。一方で、重症心身障がい者や医療的ケア者への対応などサービスの高度化に伴う専門性の高い相談支援専門員が求められております。また、毎年の相談支援従事者研修の受講希望者が非常に多うございますことから、今後もこの研修を通じまして、相談支援専門員の質と量、両面の確保に努めてまいります。  次に、ケアマネジャーと相談支援専門員との円滑な情報共有でございます。六十五歳まで障がい福祉サービスを利用されていた方が介護保険サービスに移行するに当たっては、切れ目なくサービスを受けられる環境を整える必要がございます。その際、介護保険のケアプランを作成するケアマネジャーと障がい福祉サービスの計画を作成する相談支援専門員との連携が重要となります。このため、ケアマネジャーや相談支援専門員に対し、利用者の障がいの状態、障がい福祉サービスのこれまでの利用内容など、移行の際に確実に引き継ぐべき事項、また障がい福祉サービスと介護保険サービスの違い、共生型サービスの内容等について周知を行い、両者の連携が図られるように努めてまいります。  次に、共生型サービス事業所をふやすための取り組みでございます。障がい福祉サービス事業所の指定を受けていれば、設備や人員配置を変更することなく介護保険の共生型サービスの指定を受けることができます。また、共生型サービスは障がいのある方が六十五歳以上になっても身近な地域でなじみのある事業所でサービスを受けることができる、そういうメリットがございます。このサービスを少しでも多くの方が利用できるよう、まずは今年度から共生型サービスを始めた事業所の状況について把握をした上で、障がい福祉サービス事業所及び介護保険サービス事業所に改めてこの制度の意義、内容、サービス提供に当たっての留意点などについて周知を図ってまいりたい、このように考えております。 33 ◯副議長(畑中 茂広君) 渡辺美穂君。 34 ◯五番(渡辺 美穂君)登壇 御答弁ありがとうございました。  県が実態を把握するための調査は、これは現場の声であり、今後法改正が行われる際の貴重な資料となります。今回、具体的な把握方法は提示されませんでしたけれども、どうか丁寧な聞き取り調査を実施していただくように、お願いをいたします。  また、特定相談支援事業所五百八カ所のうち半数近い二百三十カ所は両政令市及び久留米市にあり、やはり十分とは言えません。質の向上を図りつつ、体制を充実していただくように要望いたします。  最後に、午前中、井上議員の質問でも指摘されていましたが、特に共生型サービス事業所についても保健医療介護部とそれから福祉労働部の二部にまたがっており、両担当がそれぞれの状況を把握しにくい状況にあります。この六十五歳問題を主体的に扱うのはどこになるのかを明確にした上で、高齢障がい者の方々が安心して老後を過ごせる仕組みをより充実させていただくことを強く要望して質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 35 ◯副議長(畑中 茂広君) 江頭祥一君。(拍手) *江頭議員質問 36 ◯七番(江頭 祥一君)登壇 自由民主党福岡県議団江頭祥一です。通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。  資質向上を強く求められている幼稚園教諭の教員免許更新制についてお伺いいたします。幼児期は、人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期であり、幼稚園教諭は、親、そして家族同様に、その幼児期教育の直接の担い手であり、中核的な役割を担っております。幼稚園教諭として幼児教育に従事するためには、大学などで専門的な知識、技能を修得し、幼稚園教諭の免許状を取得する必要があり、教員免許を取得している者のみが、幼児教育の専門家として幼稚園での教育をつかさどることが可能となります。  また、幼稚園教諭が大学などで専門的な知識、技能を修得した後も、その資質を保持し、その向上を図ることは、幼児教育の水準を維持するためには不可欠ということができます。  一方、近年、少子化、核家族化、情報化など幼稚園を取り巻く環境は急速に変化しており、これらの変化を背景として、保護者や地域社会の幼稚園に対するニーズも変化しています。さらに、平成二十七年度に子育て支援の質と量の充実を目的として新たな幼保連携型認定こども園制度がスタートし、幼保連携型認定こども園には保育士の資格と幼稚園免許の両資格が必要となる保育教諭制度も導入されるなど、幼稚園を取り巻く環境は大きく変化してきております。  このような時代の変化に対応し、幼稚園教諭が情熱と使命感、そして愛情を持ち、自信と誇りを持って子供たちと向き合うため、その時々で教員として必要な最新の知識、技能を身につけることを目的として、教員免許更新制が導入されております。この教員免許更新制では、更新講習の受講が義務づけられており、更新を行わないと教員として働くことができなくなる制度です。このため、全国各地で大学や短期大学などがさまざまな更新講習を開設していますが、更新時期を迎えた県内の幼稚園の先生方の中には、講習会場である大学などの講習定員がいっぱいであきがなく、更新講習を受けにくい方がいらっしゃいます。私が聞いた話では、スケジュールを園内で調整し四人同時に免許更新の希望を出された先生方全員が、講習を受講することができなかったとのことでした。そのため、幼稚園の先生方は講習のあきがある遠方の大学などを探して更新講習を受講することとなり、先生方にとって時間、移動費など大きな負担となっています。現場で働かれている幼稚園教諭の先生方は、毎日、子供たちと触れ合い、向き合うことで忙しいだけでなく、仕事が終わり自宅に戻られても発表会の衣装づくりや深夜まで振りつけなどを考えたり、講習を受ける時間がなかなかとれない現状があります。既に述べたように、幼稚園教諭は講習を受けて、その資質の維持向上を図る必要もありますが、一方で、忙しい現場の実情を踏まえますと、より利便性が高く、かつ、その効果の高い講習の開設が強く望まれています。  そこで、教員免許更新制について教育長にお尋ねいたします。まず、教員免許更新制の制度の概要と更新講習の内容についてお答えください。  次に、幼稚園教諭対象の更新講習の定員と講習会場についてお答えいただき、受講者に対して十分なのかをお尋ねします。  インターネットによる講習もあることは存じ上げておりますが、現場で働かれている幼稚園教諭の先生方は、インターネットではなく、目の前で専門講師の方の講義を受講することを強く望まれている方がたくさんいらっしゃいます。このことを踏まえますと、これからの日本、そして世界にとって貴重な宝とも言える、未来ある子供たちの成長に大きく寄与する幼稚園教諭対象の更新講習の開設を、今すぐにでも拡大させるべきと考えますが、この点について教育長の見解を伺いまして、一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 37 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 *教育長答弁 38 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 教員免許更新制の概要と更新講習についてでございます。教育職員免許法改正により、平成二十一年四月一日から免許状に十年間の有効期間が付されることとなりました。これにより、免許状所持者が更新を希望する場合は、有効期限前の二年間に大学等が開設する講習を修了する必要がございます。更新講習の内容は、国の教育政策などの必須領域六時間以上、教育相談、進路指導及びキャリア教育などの選択必修領域六時間以上、教科指導及び生徒指導上の課題などの選択領域十八時間以上の合計三十時間以上となっております。  幼稚園教諭対象の更新講習の定員についてでございます。文部科学省の調査によりますと、今年度の福岡県内の幼稚園教諭の更新対象者は約六百人が見込まれております。一方、平成三十年度の幼稚園教諭のみを対象とした県内の講習の定員は約五百人となっており、大学を中心に十二会場で実施されております。このほか、通信教育やインターネットによる講習、幅広い学校種を対象とした講習なども開設されており、それらを合わせますと、一応対象者を満たすものと思われます。  幼稚園教諭対象の更新講習の拡大についてでございます。更新を希望する幼稚園教諭がより円滑に講習を受講するためには、現場教員のニーズに合った講習の拡大が望ましいと考えております。このため、県教育委員会といたしましても、国や県内の大学等に対して講習の拡大を要請しており、その結果、幼稚園教諭を対象とする講習の定員は、平成二十九年度の約四百人から平成三十年度は約五百人に増加したところであります。今後も引き続き県内の大学等に現場教員が受講しやすい講習の拡大を要請してまいります。 39 ◯副議長(畑中 茂広君) 川崎俊丸君。(拍手) *川崎議員質問 40 ◯五十九番(川崎 俊丸君)登壇 国民民主党県政クラブ県議団所属、立憲民主党の川崎俊丸でございます。通告に従い一般質問を行います。今回は、玄海原発に係る九州電力との協定の見直し、福岡県におけるフリースクールの実態と今後の支援について質問をいたします。           〔畑中副議長退席 井上議長着席〕  まず、玄海原発に係る九州電力との協定の見直しについて知事に質問いたします。玄海原発問題については、私は、原発から三十キロ圏に一万五千人が暮らす糸島市選出の県議会議員として、住民の皆さんの不安の声を何度となく知事にお伝えし、小川知事には玄海原発に隣接する福岡県のトップリーダーとして、県民の安心、安全を守るために、毅然たる行動をとるべきと求めてきたところであります。本日は、福岡県が九州電力と締結している協定の見直しに絞って質問をいたします。  一点目に、事前了解権をめぐるこれまでの知事答弁を踏まえて、現時点での知事の認識をお聞きします。二〇一二年四月二日、県は九州電力と原子力防災に係る福岡県民の安全確保に関する協定書を締結しました。協定締結から六年になりますが、この間、協定の見直しについて県内部で検討し、また九州電力と協議した経緯はあるのかお聞きいたします。  さらに、九州電力との協定締結は、福島第一原子力発電所の事故を受けて原子力規制や原子力防災に関する国の方針が見直される前に行われたものでした。その後、原子力災害対策指針における本県の位置づけも明確にされましたが、それら国の原子力規制や原子力防災指針の見直しを踏まえて、県として協定内容の再検討を行わなかったのかお聞きをいたします。  二点目に、東海第二原子力発電所再稼働に向けた日本原電と周辺自治体の取り組みに対する知事の認識をお聞きします。日本原子力発電の東海第二原子力発電所がある茨城県東海村と周辺五市で構成する原子力所在地域首長懇談会は、本年三月二十九日、日本原電と立地自治体である茨城県東海村に加えて、周辺五市にも実質的な事前了解権を与える新しい安全協定を締結することで合意をしました。知事はこれらの経緯を承知しているか、お聞きをいたします。  これまで小川知事は、再稼働に当たっての事前了解権は立地自治体に限られており全国に例がないとして、玄海原発から三十キロ圏に位置する福岡県や糸島市が、九州電力に事前了解権を求めることを否定してきました。東海第二原子力発電所再稼働に向けて、日本原電が周辺六自治体との事前了解権を認めたことは、全国に例がないとしてきた知事答弁の前提が変わったと考えますが、知事はどう受けとめているかお聞きをいたします。  三点目に、今後の知事の姿勢と対応についてお聞きします。玄海原発三、四号機が再稼働している中で、県民の安心、安全をどう確保していく考えか知事の認識をお答えください。さらに、福岡県と九州電力が結んでいる協定の見直しについて検討すべきと考えますが、知事にお聞きをいたします。  次に、福岡県におけるフリースクールの実態と今後の支援について質問します。  二〇一六年十二月七日に、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律いわゆる教育機会確保法が成立し、翌年二〇一七年二月に施行されました。文部科学省は法施行を受けて三月三十一日には基本指針を策定しています。この法律では教育を受ける機会を確保する施策を国や自治体が講じることを責務としています。さらに国に対して、速やかに必要な財政的な措置を講ずることを求めていますが、連携、支援などの具体的な中身はこれからという状況です。超党派の議員立法でこの法律ができた背景には、不登校の子供たちが増加する傾向にあるという現状があります。文部科学省が本年十月に公表した調査結果によると、二〇一七年に病気や経済的理由その他を除いて三十日以上学校を欠席した小中学生は、全国で十四万四千人となっています。小中学校とも子供の数が減少する中で、五年連続して不登校の児童生徒は増加し続けています。中でも九十日以上長期間学校を休んでいる子供が約八万四千人となっており、全体の六割近くを占めています。  不登校の原因はさまざまであり、自宅に引きこもる子供もいますが、自分に合った居場所を探し出して通っている子供も数多くいます。彼らを受け入れているのが、教育支援センターや適応指導教室というような県や市町村教育委員会が設置する公的施設です。そこでも対応できない子供たちを受け入れているのが民間のフリースクールです。教育機会確保法は、これら一九七〇年代後半から見られる不登校現象に対し、不登校児童生徒の権利保障を目的に生まれたフリースクールを初めとする多様な学びの場に、多くの不登校の子供たちが通っているという現実を踏まえ、ここに公共性を担保し、法的な位置づけを行おうとするものです。  教育機会確保法では、従来の不登校対策が子供たちの学校復帰を最終目標とされてきたことも見直し、基本指針では、不登校の児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が求められるとし、支援に際しては、登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒がみずからの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指す必要があるとされました。  また、学校以外の学びの場の重要性をうたい、休養の必要性、休むことですね、明記され、家庭も学びの場の一つとして、家庭にいる不登校児童生徒の支援も明確にされたところです。さらに、教育機会確保法では自治体とフリースクールの連携を求めています。教育機会確保法が施行されて間もなく二年となり、附則にうたう三年後の見直しまで一年となります。そこで、知事及び教育長に四点質問をいたします。  一点目に、県内公立小中学校における不登校の児童生徒の現状と、不登校に対する取り組みについて教育長にお聞きをします。  二点目に、県内の公立小中学校とフリースクールの連携はどのようになっているか教育長にお聞きします。  三点目に、教育機会確保法の成立と施行をどのように受けとめているか、今後どのように取り組むのか教育長にお聞きします。  四点目に、フリースクールに対する支援について、現在どのように取り組まれているか、また教育機会確保法を受けて、今後どのように取り組むのか知事にお聞きをします。  以上、知事、教育長の御答弁をお願いします。(拍手) 41 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 42 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  安全協定の見直しに係る検討、協議でございます。玄海原子力発電所で万が一事故が発生した場合、住民の皆様の迅速かつ円滑な避難が行われますよう九州電力から迅速な情報連絡を受けることが非常に重要であります。こうした観点から、平成二十四年四月、県、糸島市及び福岡市で九州電力と安全協定を締結いたしました。同年の十月には、国の原子力災害対策指針が策定をされまして、原子力発電所からおおむね三十キロ圏内を目安とするUPZに本県糸島市の一部が含まれることになりました。本協定では、締結当初からUPZの範囲外であります福岡市にも九州電力から直接連絡が入る仕組みを全国に先駆けて盛り込んでいるところであります。  なお、再稼働にかかわる自治体の事前同意につきましては、法令上特に定めはありませんし、原子力災害対策指針においても規定はされておりません。これまで、再稼働いたしました全ての例では、原子力発電所の立地自治体である県と市町の同意となってございまして、まずは立地自治体の判断が尊重されるべきであると考えております。県といたしましては、糸島市、福岡市及び九州電力と連携をいたしまして、この協定の着実な運用を図ってきたところでございまして、再稼働に当たっての事前同意を盛り込む協定の見直しについては、現時点では考えていないため、検討や九州電力との協議は行っておりません。  東海第二原発の安全協定についてでございます。この協定締結に至った経緯でありますけれども、平成二十四年二月に、東海第二原発の立地自治体であります東海村長が周辺の五市に呼びかけをし、原子力所在地域首長懇談会、これが設立をされました。この懇談会におきまして六市村が同等の権限を持って再稼働や延長運転に関する協議に参加する協定、この締結について協議を進めてきたとのことでございます。協定の内容ですが、六市村及び日本原子力発電株式会社、日本原電でございますが──で構成する合意形成を図るための協議会を設置いたしまして、日本原電に対し、六市村それぞれが納得するまで協議を継続することを義務づけており、実質的な事前了解を得るための仕組みということであります。なお、現時点においてこの協議会の発足時期、また事前了解の手続等、具体的な運用については調整中であるというふうに伺っております。  地元同意の範囲を拡大した安全協定についてお尋ねがございました。再稼働にかかわる自治体の同意については、先ほども御答弁しましたように、これまで再稼働した全ての例で、原子力発電所の立地自治体である県と市町になってございまして、まずは、この立地自治体の判断が尊重されるべきであるという考えは変わっておりません。東海第二原発の安全協定につきましては、立地自治体であります東海村が周辺自治体に呼びかけたなど、当該地域の実情、またそれまでの経緯の中でそれが締結されたものでありまして、玄海の原発とは状況が異なると、このように受けとめているところであります。  玄海原発が再稼働している中での県民の安全、安心の確保でございます。玄海原発の安全性につきましては、国が責任を持って確認、確保し、電力事業者とともに国民に対し十分な説明を行い、理解を得ていく取り組みを続けていくとともに、原子力防災対策の充実強化を行います私ども自治体をしっかり支援をしていただきたいと、このように考えております。県といたしましては、これからも原子力発電所の安全性の確保、原子力災害対策の充実強化について国に対し求めていくとともに、糸島市と連携、協力をしまして訓練の実施とその検証を重ねていきまして、原子力防災対策の実効性というものを高めてまいります。  九州電力との安全協定の見直しについてでございます。先ほどもお答え申し上げましたけれども、東海第二原発の安全協定は、当該地域の実情やそれまでの経緯の中で締結されたものであると、このように認識をいたしております。原子力の再稼働につきましては、まずは立地自治体の判断が尊重されるべきであるというふうに考えております。県といたしましては、引き続き現行の安全協定を着実に運用をしていくことによりまして、県民の皆様の安全、安心、これを確保してまいります。現時点での協定の見直しは考えていないところであります。  次に、フリースクールに対する支援でございます。不登校の児童生徒の受け皿となっておりますフリースクールは、財政基盤の脆弱性から安定的かつ継続的な運営に課題を抱えておられます。このため、県におきましては、フリースクールについては平成十九年度から全国に先駆けまして、設置者が非営利法人であること、フリースクールの通所期間を在籍校が出席扱いとすることなどを要件といたしまして、一施設当たり年間二百万円を上限として助成を行っているところでございます。また、平成二十九年二月に施行されました教育機会確保法におきましては、国や地方公共団体は、児童生徒の状況に応じた学習活動等が行われるよう支援を行うことが求められておりまして、現在、国において経済的支援のあり方について検討が進められていることから、その動向も見ていきたいと、このように考えております。今後とも、不登校の児童生徒が必要な支援が受けられるよう、効果的な助成に努めてまいります。 43 ◯議長(井上 順吾君) 城戸教育長。 *教育長答弁 44 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 不登校児童生徒の現状と取り組みについてでございます。本県の平成二十九年度の公立小中学校における不登校児童生徒の総数は五千四百七十六人で、前年度より三百九十四人増加しておりますが、千人当たりの不登校児童生徒数は十三・五人と全国の平均値である十四・七人よりも低い状況となっております。
     不登校の原因は、心理面や社会的要因など多岐にわたり、個別の状況に応じたきめ細かな対応が必要であることから、本県では、不登校児童生徒と信頼関係のある教員がかかわりを深めながら丁寧に対応するマンツーマン方式による指導を基本として実施しております。また、家庭の生活環境の急激な変化等から来る不安や無気力が要因として多く見られることから、スクールカウンセラーによる心のケアやスクールソーシャルワーカーによる福祉機関等と連携した生活環境改善の支援を行っております。  公立小中学校とフリースクールとの連携についてでございます。不登校児童生徒は、学校復帰が困難な場合に市町村教育委員会が設置する適応指導教室や民間施設である、いわゆるフリースクールにおいて指導を受けることがございます。その際、在籍校長及び教育委員会がその指導内容等を把握し、適切と判断した場合、在籍校において出席扱いと認めております。平成二十九年度は、そうしたフリースクールが県内に三十施設ありました。  教育機会確保法を踏まえた今後の取り組みについてでございます。同法は、教育機会確保に向けた施策の充実を求めており、個々の児童生徒の能力や状況に応じた学びの環境を整えることで不登校児童生徒を含む全ての児童生徒に教育の機会を保障し、将来的な自立の基礎を培うことを基本理念としております。県教育委員会といたしましては、一人一人の児童生徒にとって、魅力ある学校づくりを行いますとともに、学校への復帰が困難な不登校児童生徒に対しては、適応指導教室やフリースクールも活用して社会的自立につなぐことが重要と考えております。今後とも、各市町村において学校と適応指導教室やフリースクールとの連携、不登校児童生徒や保護者への情報提供など、適切な支援が行われるよう一層促してまいります。 45 ◯議長(井上 順吾君) 川崎俊丸君。 46 ◯五十九番(川崎 俊丸君)登壇 それぞれに再質問と要望をいたします。  まず、玄海原発に関する九電との協定の見直しについて、知事に意見と要望を申し上げます。九州電力と結んでいる協定の見直しについて質問しましたが、知事から全く消極的、後ろ向きの答弁しかありませんでした。平成二十四年四月、福岡県は九州電力と協定を締結しました。半年後の十月に国の原子力災害対策指針が策定をされ、玄海原発から三十キロ圏内をUPZ(緊急時防護措置を準備する区域)とされ、糸島市の一部が含まれることになったわけです。にもかかわらず、知事は、協定は当初からUPZの範囲外の福岡市にも九電から直接連絡が入る仕組みを全国に先駆けて盛り込んでいると胸を張って答弁されました。とんでもない認識違いと言わざるを得ません。原子力災害対策指針で、三十キロ圏の自治体は、福島第一原発事故が起こる前の十キロ圏の自治体と同様の位置づけがされたわけです。福島第一原発の事故の反省と教訓を踏まえた、国の原子力災害対策指針の見直し結果を、全く無視して平然としておられる知事の答弁は受け入れがたいものです。玄海原発問題に対する小川知事の姿勢は、原発に隣接している福岡県のリーダーとしては全く不十分だと言わざるを得ません。玄海原発で、万が一の事故に備え県民の生命、財産と、安全、安心を守り抜くという気迫が伝わってきません。全国で初めて、日本原電東海第二原発の周辺自治体による原発再稼働に関する合意形成手続と、事前了解権の確認がなされたにもかかわらず、わざわざ地域の特殊事情によるものとして退けるという知事の姿勢は理解できません。このような姿勢では、ほかに同じような例が出てきても、地域の事情として退けることにしかなりません。そこまで九州電力に気を使う事情が何かあるのかと疑念を抱かざるを得ません。経産省官僚出身という知事のイメージは、いまだ払拭できていないと思います。四カ月後に県民の皆さんからの審判を仰ぎ三期目の福岡県政を担うという覚悟と決意をお持ちであれば、福岡県知事としてどうあるべきか、しっかり考えて行動されますよう指摘をしておきます。  次に、フリースクール問題について、二点、知事、教育長に再質問と要望をいたします。  一点目に、県内におけるフリースクールの実態把握について、知事、教育長へ再質問と要望をいたします。今回の質問に当たって、県教委の義務教育課、私学振興・青少年育成局の私学振興課と協議する中で、県内のフリースクール等の実態を県教委も私学振興局も把握できていないということがよくわかりました。県教委は出席扱いとされている児童生徒がいる民間団体、施設は当然にも把握されていますが、それはフリースクール等の全体から見ますとほんの一部でしかありません。私学振興局も支援要綱に基づいて支援を行っている八から九施設については把握しているものの、それ以外は把握されていません。教育機会確保法第十二条は、国及び地方公共団体に対して、学校以外の場における学習活動等の継続的な把握を求めています。にもかかわらず、県内フリースクールの実態把握ができていない状況では、フリースクールとの連携や支援の効果的な検討はできないと考えます。知事及び教育長は、県内におけるフリースクールの全体的な実態を早急に把握すべきと考えますが、どう考えられますか、それぞれお答えください。  二点目に、フリースクールに対する連携と支援の強化について、知事、教育長に要望します。まず、教育長には、出席扱いとなっているフリースクールと小中学校の連携だけではなく、義務教育課程にある児童生徒が学んでいる民間施設などと、もっと積極的に交流し連携を進める必要があると考えます。教育長にはより踏み込んだ連携を構築していただきますよう強く要望しておきます。  次に、知事にはフリースクール等への支援について要望します。経済的支援について、国の検討の動向も見てと答弁をされました。福岡県のフリースクールに対する支援は、十年前、前麻生知事時代に始まったと聞いております。不登校問題が社会問題として取り上げられる時期に、全国に先駆けてフリースクールへの支援を打ち出した前知事の政治判断は、その後、全国的に注目され高く評価されているところです。しかし、具体的支援は限定的に行われており、今日フリースクール等が担っている義務教育課程における子供たちの多様な学び場としての期待される役割に積極的に対応していくものとは、残念ながらなっていません。現在、公立の小中学校の児童生徒一人当たりの教育費は、文部科学省の平成二十九年度地方教育費調査報告書によると、全国平均が小学校で九十三万一千四百三十五円、中学校で百八万四千六十三円、福岡県の場合は、小学校で八十六万三千五百四十五円、中学校で百三万一千二百二十五円となっています。フリースクールへの経済的支援については、義務教育期間内である小中学校に在籍する児童生徒に対しては、憲法に基づく無償制との関係で見ると長年放置をされてきたと言わざるを得ません。以上、申し上げた指摘を踏まえて、小川知事にはフリースクールへの支援の拡充に取り組んでいただきますよう強く要望します。  再質問部分については、御答弁をお願いいたします。 47 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 48 ◯知事(小川 洋君)登壇 まず、私のほうから答弁させていただきます。フリースクールの把握でございますけれども、不登校の児童生徒の多様な状況に対応したきめ細かな支援を行っていくためには、教育委員会、学校、そしてフリースクール等と連携というものが重要でございます。このため、このフリースクールの把握につきましては、教育委員会において検討がされるものと考えておりますけれども、その考え方についてお聞きしていきたいと、このように考えております。 49 ◯議長(井上 順吾君) 城戸教育長。 50 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 出席扱いをしているか否かを問わないでフリースクール全体の実態把握をせよというお尋ねでございます。フリースクールの活動内容や形態というのは極めて多種多様でございます。紹介したような適切な学習活動が行われている施設等のほかに、例えば継続的な学習計画が不十分な施設、あるいは費用負担が大きい施設、さらには行政や学校との接触がない施設などもございます。したがいまして、こうした多種多様なフリースクール全体の実態をつかむということは、なかなか困難であるわけでございますけれども、今後、県教育委員会におきましても、地域の実情に詳しい市町村の教育委員会の意見をお聞きしながら、どのような方法があるのか検討してまいりたいというふうに考えております。 51 ◯議長(井上 順吾君) 川崎俊丸君。 52 ◯五十九番(川崎 俊丸君)登壇 知事、教育長から実態把握について御答弁いただきました。特に、教育長からフリースクールの実態、いろんなパターンがあるというのは承知をいたしております。調査の難しさもあるだろうと思いますけれども、できる限り教育機会確保法の成立を受けた実態をどう把握していくか大切な課題でございますので、精力的に取り組んでいただきますよう要望しておきたいと思います。  最後に、意見を申し上げます。先日私は、地元のNPO法人が運営するフリースクールに伺い、理事長や先生方にお話を聞きました。小さな集落の中の民家を改装した施設で、裏は山でそばには川が流れており、目の前には海が広がっている、自然に恵まれた環境の中にあります。このフリースクールには、小学生二十人、中学生二人、大半は糸島市の子供たちで、福岡市から通学している子供もいるということでした。古い民家を改装して活用されていましたが、教室の改修も少しずつ自分たちで行い、子供たちもその過程に積極的に参加し共有しているということでした。小学生は月二万五千円、中学生は月二万六千円、兄弟の場合は月二万円という形で、母子家庭など家庭的に厳しい家庭もあって、これ以上の引き上げは困難ということでした。運営費の不足分は寄附やさまざまな団体からの助成金などで補填しながら、最終的に不足する分は理事長の持ち出しで賄っているということでございます。先生は六人で、必要なときには有償ボランティアを募集するなどして対応しています。給食は子供たちが自分たちで判断してメニューを決め、給食調理の当番制も子供たちがみずから決めて行うとのことでした。子供たちは全員小中学校の籍を持っています。この施設は定期的にそれぞれの在籍校に子供たちの出席、学習状況を報告されているそうです。  知事、教育長には、ぜひ一度フリースクールに足を運んでいただき、何らの公的支援を受けずに頑張っておられる民間施設の実情を見ていただくとともに、そこで多様な学びを実践している子供たちの元気な姿を見ていただきたいと思います。こういったフリースクールなどの民間施設で学んで、学校以外の居場所で行われている、自分らしく、自分に合った方法での学習や体験活動等を認めようとするのが教育機会確保法の目指すところだと考えます。社会の不登校への認識も変えて、当事者はもちろん、保護者の方々の不安や悩みに寄り添い、その解消につなげるとともに、フリースクールなどの存在を社会的に認め、偏見を取り除き、理解を深めることが必要だと思います。  大分県教育委員会はことし五月、フリースクールガイドラインを作成しました。このパンフレットでございます。済みません、遠くて見えないと思いますけれども。このパンフレットには、国や県におけるフリースクールへの取り組み状況、望ましいフリースクールの活動、学校に対してはフリースクールとの連携のあり方などが示されております。今後考えられる連携のあり方としての部分を少しだけ紹介させていただきます。一つは、フリースクールへの教育委員会、学校の定期的な訪問、視察。二つ目は、県のホームページによるフリースクールの紹介。三つ目は、フリースクールとの連携協議会の設置。四つ目は、教育委員会主催の会議にフリースクール関係者を構成員とする。五つ目は、教育委員会とフリースクールの共同事業の実施。そのほか、フリースクールなどへの授業委託、施設の貸与、施設の指定管理者指定、施設使用料の減免、教職員の研修等が列挙されています。福岡県でもぜひこのようなパンフレットを作成し、市町村教育委員会や各学校、フリースクール等へ配付し、情報の共有に取り組んでいただきたいと思います。  教育機会確保法施行から間もなく二年を迎えますが、フリースクール支援の先進県であった福岡県が、法律成立を受けた全国の取り組みにおくれをとることのないよう、前に進めていただきますよう知事、教育長に強く要望しまして、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 53 ◯議長(井上 順吾君) 香原勝司君。(拍手) *香原議員質問 54 ◯十八番(香原 勝司君)登壇 自民党県議団の香原勝司でございます。川崎先生、物すごく待ちました。通告に従いまして、質問を始めていきたいというふうに思います。一般質問最後でありますが、一般質問以上に委員会が大変そうでありますので、引き続き緊張感を持って執行部の皆さんには頑張っていただくことを期待して、まず質問に入りたいと思います。  私の地元直方市の須崎町という商店街には、台湾に本社を置く世界有数のジャイアントというサイクルショップがあります。ここには、自転車を愛する、いわゆるサイクリストと称される方々が集い、次の休みにはどこにツーリングに行こうかと、性別や年齢を問わず目を輝かせて話をしている風景が見られます。直方市在住のサイクリストの方に話を聞けば、台湾では、最近、自転車を使った台湾一周の旅がブームとなっており、そうした人たちのために台湾政府が道路を整備し、派出所やコンビニでのサポートもあり、台湾を一周する自転車の旅専用の旅行会社もできるなど、随分と環境整備が進んでいるそうであります。その方は、台湾の自転車環境のすばらしさに驚き、台湾の魅力にはまってしまい、自分の自転車を持って毎年台湾を訪問されております。  日本に目を転じますと、環境にも優しく、災害時においても機動的で、さらには健康増進、交通渋滞の緩和につながることから、国を挙げて自転車の活用を進めるといった方針が決定され、昨年五月、自転車活用推進法が施行されました。その基本方針には、自転車を活用した観光来訪の促進が盛り込まれています。この推進法の施行を機に全国的にサイクルツーリズム推進の機運が高まっており、自転車による観光、自転車による旅というものが、以前と比べ随分浸透してきたというふうに思っています。  サイクリストの聖地と呼ばれる広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶしまなみ海道は、瀬戸内の美しい海と島を眺めながらサイクリングが楽しめることで知られ、国内外から年間三十万人を超えるサイクリストが来訪されています。また、北海道の中央に位置する美瑛町では、ウインターシーズン以外にも人を呼び込もうと、夏の間サイクルツーリズムに取り組み、今では長期滞在してサイクリングを楽しまれる方がふえたと聞きました。  また、今議会の我が会派の代表質問で、宿泊税によって得られる財源をどのように活用していくのかとただしたのに対し、知事は、宿泊税の財源を活用して広域的な観点からの観光振興策に取り組んでいくというふうに答弁され、例示ではありますが、広域サイクリングルートの整備を挙げられました。私は、サイクルツーリズムこそ市町村の圏域を越えて取り組む必要があり、まさに、宿泊税を活用して広域自治体である県が取り組むべき施策であるというふうに考えます。そこで、本日は、本県のサイクルツーリズムの推進について、何点か質問をしてまいります。  まず、本県が取り組むサイクルツーリズム推進の基本的な考え方について、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、サイクルツーリズムを進めるに当たって、県だけではなく市町村や観光協会、そしてサイクリストも一緒になって取り組んでいくことが必要であると考えます。そこで、県は、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、そして今後どう進めていくのかお伺いいたします。  福岡県には、筑後川サイクリングロードを初めとする自転車道、また、隣県の大分には耶馬渓の鉄道跡を利用した自転車道、佐賀県には大川市の昇開橋から続く鉄道跡を利用した自転車道があります。このほか、九州各県には魅力ある自転車道がたくさんあり、こうした九州各県のすばらしい自転車道をつなぎ、先ほど申し上げた台湾一周のように、九州一周サイクリングルートができれば、さらに誘客の効果は大きくなると考えます。私は、九州各県が連携してサイクルツーリズムの取り組みを推進すべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。  また、私の地元直方市において、現在、遠賀川河川敷のサイクリング道路の整備が進められています。このサイクリング道路が開通した際には多くの方々に利用してもらい、直方市に自転車でたくさんの方に来ていただきたいというふうに考えております。  そこで、最後に知事にお伺いいたしますが、遠賀川河川敷のサイクリング道路の活用について、知事のお考えをお聞きして、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 55 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 56 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答え申し上げます。  サイクルツーリズムの推進の基本的な考え方でございます。自転車は自分のペースで好きなところに行くことができますことから、定番の観光地だけではなく、隠れた観光スポットに立ち寄ることができる効果的な交通手段だと考えております。また、御指摘のとおり、台湾や欧州などにおきましては、自転車を楽しむ人が大勢いらっしゃいまして、自転車を活用した観光というのは国内観光客だけではなく、インバウンド向けの新たな観光資源としても有効だと考えております。こうしたことから、サイクリングルートや受け入れ環境の整備を進め、国内外からの旅行者に対する新たな体験型の観光といたしまして、サイクリングと観光とを組み合わせたサイクルツーリズムを推進していくことは、それぞれの地域の交流人口をふやし、それぞれの地域の活性化につながっていくものと考えております。  サイクルツーリズムのこれまでの取り組みと今後の進め方でございます。昨年度、県、市町村、観光協会などで構成しておりますサイクルツーリズム検討会を開催をいたしまして、遠賀川・響灘沿岸地域、筑後川地域などで四つのサイクリングルートの検討を行ってまいりました。ことし五月には、県、県警察本部、九州地方整備局、市町村、観光協会などで構成しております福岡県サイクルツーリズム推進協議会を設立をいたしまして、これまでの検討の結果を踏まえ、広域モデルルートとして遠賀川から芦屋、宗像、志賀島、朝倉から東峰、筑前、大刀洗、久留米からうきは、そして糸島の四つのルートを決定したところでございます。さらに、こうしたルートを自転車愛好家や沿線の市町村の職員の方に実際に走ってもらうモニターライドというものを実施をいたしまして、走行環境、周辺の観光スポット、休憩場所、飲食店などにおけるサイクルスタンドの有無、また駐輪スペースの状況などについてその受け入れ環境の調査をいたしました。今後は、この結果を踏まえまして、来年一月には専用のホームページを開設をし、サイクリングルートやその周辺の観光スポットなどを盛り込んだサイクルマップ、サイクリングの動画や写真などを掲載をいたしまして、我が福岡県のサイクリングの魅力というものを発信をしたいと考えております。  また、先月、沿線の市町村や観光協会等と一緒になりまして、平成筑豊鉄道を活用し自転車で列車にそのまま乗り込むことができるサイクルトレインの実証実験を実施いたしました。この実験結果を踏まえまして、今後、自転車の列車へのスムーズな搬入、搬出といった課題の解決策及び観光地などを周遊するための利便性向上策につきまして研究を進めていきます。  次に、サイクルツーリズムの九州各県との連携についてお尋ねがございました。九州各県が連携をいたしましてサイクルツーリズムを進めていきますことは、広域的なルートの設定、一体的な情報発信などを可能といたしまして大きな効果を得ることができると、このように考えております。このため、ことしの五月でございますが、九州地方知事会及び九州地域戦略会議におきまして、私のほうから各県知事、経済界に対し九州・山口挙げてサイクルツーリズムに取り組むことを提案をしたところであります。現在、その推進方針をまとめるため、各県担当者で協議が進んでいるところでございます。  次に、遠賀川河川敷のサイクリング道路の活用でございます。現在、県におきまして、遠賀川河川敷のサイクリング道路の整備を進めておりますけれども、その開通によって飯塚市から芦屋町まで三十キロメートルを超えるサイクリング道路がつながります。さらに、遠賀宗像自転車道を経由して宗像地域まで広域的にサイクリングを楽しむことが可能となります。このサイクリング道路をさらに多くの皆様方に利用していただくためには、駅や観光地との安全で快適なネットワークの形成でありますとか、沿線で新たな魅力の創出が重要であります。このため、沿線市町に対しまして観光振興やまちづくりと一体となった自転車ネットワーク計画の策定、さらには観光資源の開発というものを働きかけているところでございます。また、遠賀川河川敷のサイクリング道路を広域サイクリングルートの核の一つといたしまして、国内最大の旅行博でありますツーリズムEXPOや自転車文化が根づいております議員御指摘の台湾、かの国の旅行博におきまして、旅行会社や個人旅行者に向けて、周辺のルートの魅力を含めしっかりPRをしていきたいと、このように考えております。 57 ◯議長(井上 順吾君) 以上で一般質問を終わります。 *議案審査付託  次に、提出議案審査のため、さきに上程いたしました第一六一号議案から第一七九号議案までの十九件を、お手元に配付いたしております議案付託表のとおり所管の常任委員会に付託いたします。      ────────────────────────────────────────── *議案の委員会付託省略 58 ◯議長(井上 順吾君) 次に、議案の委員会付託の省略についてお諮りいたします。  さきに上程いたしました第一八〇号議案については、委員会への付託を省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。           〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 59 ◯議長(井上 順吾君) 御異議ありませんので、そのように決定いたしました。 *請願上程  次に、請願六件がお手元配付の請願文書表のとおり提出されましたので、これを一括報告上程いたします。      ────────────────────────────────────────── *審査付託 60 ◯議長(井上 順吾君) ただいま上程いたしました請願六件は、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時  四十分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...