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平成30年12月定例会(第9日) 本文
平成30年12月定例会(第9日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2018-12-09
    平成30年12月定例会(第9日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井上 順吾君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。阿部弘樹君。(拍手) *阿部議員質問 2 ◯四十八番(阿部 弘樹君)登壇 自民党県議団の阿部弘樹です。通告に従い、津屋崎千軒かきの養殖について質問いたします。  津屋崎のカキ養殖は、福岡県の水産海洋技術センターの指導のもと、宗像漁協津屋崎支所が地元の水産高校と連携しながら、約六年の歳月をかけて懸命に試験研究に取り組み、その成果が実を結び、一昨年から本格的な養殖が開始されたところであります。水産高校との連携については、以前、私が提案した取り組みですが、地元の水産高校の生徒が、生産者の収穫したカキを磨く作業を手伝うなど生産現場にかかわり、さらに水揚げしたカキの販売促進イベントに参加するなど、まさに産業体験の場になっており、大変うれしく思います。  さて、昨年七月にポーランドで開催された世界遺産委員会において、福津市北部に位置する新原・奴山古墳群を含む「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群世界文化遺産に登録されることが決定したところであり、今後、国内はもちろん海外からの注目も大いに期待される中、その年に、この津屋崎のカキ養殖が始まったことも何かの縁であります。世界遺産の知名度とともに、さまざまな意味で、このカキも大きく育ってほしいと願っております。  さて、本県の水産物には、各地でさまざまな名称がつけられ、その特産品化が図られているところであります。同じ宗像漁協の鐘崎天然とらふく、有明海の福岡有明のり、豊前海の豊前本ガニなどが挙げられます。カキでは豊前海一粒かき、糸島かきが非常によく知られていると考えられますが、津屋崎のカキもこれらの地域に負けないよう、まず名称を津屋崎千軒かきと命名されたところです。この名称は、かつての塩の積み出し港として大変栄えておりました津屋崎のにぎわいぶりが、家が千軒もひしめくようで津屋崎千軒と呼ばれたことに由来し、そのにぎわいを、このカキ養殖を契機に取り戻そうという漁業者の皆様方の願いのもとにつけられたものです。  私は、平成二十五年二月議会の一般質問において、筑前海にカキ養殖を普及させるための県の取り組みについて、さらに津屋崎千軒かきの名称も決定されていない、販売もまだ開始されていない二十八年十二月議会の一般質問において、津屋崎のカキの生育状況や販売に対する県の指導について知事にお考えを聞かせていただいたところです。知事からは、二十五年に試験を実施し、新たな海域でのカキ養殖が可能かどうか検討する、一昨年には、津屋崎のカキは成長、身入りとも良好で、生産拡大や販売に関する指導をしているところであるという答弁がありました。  そこでお尋ねします。まず、筑前海のカキ養殖に対する知事の認識をお答えください。また、津屋崎千軒かきの生産の拡大に対して、県ではどのような取り組みを行っているかお答えください。  次に、カキの販売促進についてお伺いします。幾ら生産が拡大したところで、それが商品として売れないことには養殖を行う意味もありませんし、漁業所得の向上にもつながらないことは言うまでもありません。冬が深まるこの季節に、豊前海一粒かきや糸島かき目当てカキ小屋や直売所に多くのお客さんが集まり、週末にはカキ小屋に長蛇の列ができて漁村ににぎわいをつくり出し、地域の活性化に大きく貢献しており、もちろん漁業所得の向上につながっております。地元のカキをPRするため、豊前海一粒かきの生産者は、毎年、北九州市で開催されるかき焼き祭りや行橋で開催される産業祭などのイベントに参加しています。また、糸島かきを提供するカキ小屋では団体客の受け入れのほか、定期的なツアーバスの受け入れなども行っており、昨年度の来客数は五十万人を超え、大変にぎわっていると聞いております。私の地元である宗像漁協津屋崎支所は、冒頭に申しましたが、背後には昨年登録された世界文化遺産を抱え、さらに大都市である福岡市から車で一時間程度と近い利便性を有しております。このような有利な条件を生かし、お客さんに津屋崎千軒かきを現地に来て、見て、買ってもらうためには、積極的に宣伝活動を行っていくことが必要であると思います。  そこで知事にお尋ねします。津屋崎千軒かきの販売を促進するため、県では漁協に対してどのような取り組みを行っているかお聞かせください。  最後になりますが、筑前海のカキの養殖の普及から始まり、津屋崎千軒かきの生産が始まって、わずか二年でありますが、今後、他産地のカキに負けないような特産品になりますよう、県としてしっかりと指導を続けていただくことを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手) 3 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  筑前海のカキ養殖に対する認識と、御指摘のありました津屋崎千軒かきの生産拡大でございます。カキ養殖は、漁場が近い、そのことから使用する燃料が少なく、大きな設備投資も必要としないために生産コストが低く、魚類の養殖に比べまして収益性の高い養殖業であると、このように考えております。筑前海は波が荒いために、県ではその養殖を希望される漁業者に対しましては、波の穏やかな適地を選定し、カキの養殖の導入を進めてまいりました。津屋崎におきましては、県の指導のもと漁港内に適地を選定をいたしまして、平成二十八年度からいかだ一台でカキ養殖が開始をされたところであります。県におきましては、この生産の安定を図っていくため、カキの餌となりますプランクトンの量、またカキの生育状況などについて調査をいたしまして、漁業者へ迅速にその情報を提供してまいりました。また、作業を省力化するため、漁協に対しまして、つるしたカキを巻き上げる機械の導入でありますとか、収穫したカキに付着したフジツボなどを落とすための作業場の整備について御支援をしてきているところであります。これらの取り組みによりまして、いかだの台数は昨年度の三台から、本年度は五台まで拡大をされておりまして、十トンを超える品質のよいカキの生産が見込まれているところでございます。  津屋崎千軒かきの販売促進でございます。カキの販売を進めていくためには、生産、出荷段階での衛生管理の徹底が重要であります。このため県におきましては、漁協に対し、カキに付着する細菌数の定期的な検査や紫外線で殺菌した海水を用いてカキを浄化する処理方法などについて指導するとともに、これに必要な装置の整備を支援をしてまいりました。また、その認知度を向上させていくため、一昨年度から、漁協が県立水産高校と連携して行っておりますカキの試食、販売イベントを支援しております。昨年度からは、福津市や観光協会によりまして、地元飲食店でカキを用いた料理を提供する津屋崎千軒かき巡り、これも開催されておりまして、県はこれらのイベントをメールマガジンや情報紙などで広く広報に努めているところであります。さらに販路につきましても、漁協の直売所に加えまして、カキ小屋をつくって販売をしようということで、そのためその設置から運営方法まで指導を行いまして、その結果、昨年度からカキ小屋の営業が開始されているところでございます。 5 ◯議長(井上 順吾君) 原中誠志君。(拍手) *原中議員質問 6 ◯三十六番(原中 誠志君)登壇 国民民主党県政クラブ県議団の原中誠志であります。発言通告に従いまして一般質問を行います。今回の質問項目は、人口減少社会における本県の都市のスポンジ化対策についてと、水道法の一部改正に伴う本県の対応についてであります。
     最初の項は、人口減少社会における本県の都市のスポンジ化対策についてであります。私は、昨年二〇一七年二月定例会において、人口減少社会における本県の住宅政策のあり方について質問し、人口や世帯数が減少していく中において、建てかえではなく新たな土地に住宅が建設される一方、都市部にあっては駅前や中心市街地、そして高度経済成長期につくられた住宅地などでスポンジ状態が進み、空き家も埋まらない、町の低密度化、都市のスポンジ化が進んでいる現状について知事の認識を問うたところであります。さらに、その空き家の増加を抑制するためにどのような取り組みを行うのか、今後の人口減少社会、超高齢化社会における本県の都市づくりの課題についてどのように認識されているのかについても、あわせて知事の認識を伺ったところであります。この問いに対し知事は、市街地の拡散や低密度化など都市を取り巻く諸問題を踏まえ、本県では二〇一六年度、福岡県都市計画基本方針を改定をし、拠点と公共交通軸沿線に居住機能と都市機能の誘導を図っていく持続可能な都市づくりに取り組んでいるとして、土地利用規制や開発許可などの都市計画制度を適切に運用するとともに、市町村職員を対象とした制度運用に関する研修会や、市町村間で課題を共有し連携を図るための勉強会を開催していると答弁されたところであります。また、計画的に居住機能や都市機能の誘導を図るための立地適正化計画の策定を市町村に促し、技術的助言計画策定に向けた取り組みへの補助を行っていると答弁されたところであります。  そこで、この質疑応答を踏まえ、まず以下二点質問をいたします。市町村職員を対象とした制度運用に関する研修会や、市町村間で課題を共有し連携を図るための勉強会は、具体的にどのように開催されたのかお聞かせください。  次に、市町村に対し、立地適正化計画の策定について技術的助言計画策定に向けた取り組みへの補助を行っているとのことでしたが、県内市町村において立地適正化計画の策定状況はどうなっているのかお答えください。  さきにも述べましたが、私は昨年の二月定例会において、町の低密度化、都市のスポンジ化について指摘し、対策を講じるべきだと提言をしてきたところであります。国土交通省が指摘する人口減少社会を迎えた日本においては、地方都市を初めとした多くの都市において空き地などの低未利用地がランダムに発生する都市のスポンジ化が進行しており、生活利便性の低下や居住環境の悪化により、コンパクトまちづくりを進める上での重大な障害となっているということであります。この指摘については、私が質問した趣旨のとおりであります。  そこで知事に三点目の質問をいたします。改めて、本県内の地方都市における都市のスポンジ化について、どのような認識をお持ちなのかお答えください。  国は本年四月に都市再生特別措置法を改正をし、低未利用土地権利設定等促進計画制度を創設して、低未利用地の地権者と利用希望者とを行政が能動的にコーディネートし、所有権にこだわらず複数の土地や建物に一括して利用権を設定をする計画を市町村が策定できるようにしました。また、土地区画整理事業における誘導施設整備区制度を創設し、例外的に従前の宅地の位置と離れた場所に換地することで低未利用地の柔軟な集約ができるようにするとともに、補助交付の面積要件を二ヘクタールから〇・五ヘクタールに引き下げました。このように、都市のスポンジ化に対応して土地の再編や集約を通じて、低未利用地を有効に活用するためのさまざまな施策が講じられているところであります。  また、国土交通省は本年十一月二十日に、誘導施設整備区制度を活用した土地区画整理事業として創設された空間再編賑わい創出事業などを含む、小規模で柔軟な区画整理活用ガイドラインを策定し公表したところであります。このガイドラインは、地方都市を初めとした都市の既成市街地で進行する都市のスポンジ化について、その対策に取り組む地方公共団体民間事業者等を支援するためのものであります。国土交通省は、都市の拠点となるべきエリアにおける都市のスポンジ化対策として、空間再編賑わい創出事業等のさまざまな区画整理の手法を組み合わせながら、小規模でも素早く空き地等を集約し、医療、福祉施設や子育て施設などの導入を図ることが有効であるとしています。  今回新たに導入された誘導施設整備区と、既成市街地拠点エリアにおける代表的な手法である市街地再開発事業区と高度利用推進区との違いは、空き地等の集約化による誘導施設整備の促進を明確に示している点にあります。これまでの区画整理は、長年の土地区画整理事業の実績の積み重ねの中で、事業地内のそれぞれの土地の位置や環境等が事業の前後で同じ状況を保つことを原則とする、いわゆる照応の原則など画一的な運用がなされてきたのが実情です。今後の既成市街地の再生に当たっては、事業目的や地域の状況に応じた柔軟な区域設定と集約換地等、既成概念にとらわれない小規模、短期間、民間主導等のやわらかい区画整理の活用が求められています。しかしながら、その手法として、敷地整序型土地区画整理事業、大街区化、小規模連鎖型土地区画整理事業など幾つもの手法が示されており、実際にどの手法を適用すれば効率よく積極的に土地の集約、再編が行われるのか、市町村がわからないといったことにもなりかねません。  そこで知事に質問いたします。この小規模で柔軟な区画整理活用ガイドラインについて、県内の市町村に対し周知を図り、活用を進めていくとともに、土地区画整理事業を実施するに当たり、さまざまな手法のうちどれが当該地域にとって一番有効かつ効果が上がるのか、県として助言する必要があると考えますが、知事のお考えをお示しください。  都市のスポンジ化の進行は、必要な生活サービス施設が失われるなど生活利便性の低下、日常的な管理が行われない土地や建物がふえることによる治安、景観の悪化などを引き起こし、地域の魅力、価値を低下させるものであり、これによってさらにスポンジ化を進行させるという悪循環を生み出す可能性があります。このことは、持続可能な都市構造への転換に向けたコンパクト・プラス・ネットワークの取り組みを進める上で重大な支障となっているところであります。このような負の連鎖を断ち切り、コンパクトでにぎわいのあるまちづくりの一層の推進を図るためには、従来の規制的な土地利用コントロールに加え、低未利用地の利用促進や発生の抑制に向けた適切な対策を講じることが必要と考えます。  そこで知事に質問いたします。県として都市のスポンジ化対策にどのように取り組んでいくのかお答えください。  次の項は、水道法の一部改正に伴う本県の対応についてであります。政府は、人口減少社会の到来、上水道の管路等の老朽化の進行、更新のおくれ、自然災害による水道被害の多発、水道事業に携わる職員数の減少という国内情勢を受け、二〇一七年一月に開会された第百九十三回通常国会に水道法改正案を提出いたしましたが、この国会では審議入りできず、審議未了、廃案となりました。その後、同年秋の第百九十四臨時国会で再び法案が上程されましたが、その日の午後に衆議院が解散をされたため、同法案は審議入りすらせずに、完全に廃案になりました。そして、本年一月召集の第百九十六通常国会に同じ内容の法案が提出されましたが、衆議院では、衆議院厚生労働委員会で審議入りをし、本年七月四日に委員会での審査を終えて、七月五日に与党の賛成多数で可決し、参議院に送られていたところであります。しかし、第百九十六通常国会でも審議未了、継続調査とされ、本年秋に開会された第百九十七臨時国会に、閣法として参議院に水道法の一部を改正する法律案が提出されていましたが、十二月五日可決し、十二月六日衆議院本会議において採決が行われ、可決、成立したところであります。  今回の水道法改正では、自治体が公共施設の所有権を持ったまま運営権を民間企業に売却できるコンセッション方式というのがクローズアップされているところであります。このコンセッション方式については、二〇一一年六月に民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法が改正をされ、公共施設等運営権という権利が新たに創設されたことにより、自治体が公共施設の所有権を持ったまま運営権を民間企業に売却できる、すなわちコンセッション方式が導入されたわけであります。  そこで知事にお聞きいたします。このコンセッション方式では、具体的にどのような公共施設が対象となるのかお答えください。  この間、日本の公共サービス分野では、欧米のように運営権を民間事業者に設定をして事業を実施させる事業実施形態、法制度はこれまで存在していませんでした。今回の水道法改正では、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため、五つの柱が示されているところであります。そのうち具体的に、都道府県の責務、講ずべき措置については、一つには水道事業者間の広域連携の推進、そしてもう一つがコンセッション方式の仕組みを活用をし、水道事業について公共施設等運営事業を実施する権利として水道施設運営権を設定をし、民間事業者による水道の管理、運営を可能にするというものであります。すなわち、全国的に水道施設の老朽化が言われて久しいところであり、長寿命化等水道事業関連資産の適正な管理を行うとともに、官民連携を通じて民間の資本も活用しつつ施設の更新、運営等を行うことができるようにするというものであります。  このような経過を踏まえ、知事に二点目の質問であります。県として、県内市町村及び水道事業者の経営状況をどのように把握しておられるのかお聞かせください。  その上で、水道事業の経営が自治体財政を圧迫させるような実例があるのかないのか。あるとすれば、県はどのような指導並びに相談、協議を行っているのかお聞かせください。  今回の改正案では、経営悪化が懸念をされる水道事業の基盤強化が強調され、水道を運営する自治体などに適切に資産管理を求め、事業を効率化するために広域連携を進めるとともに、官民連携の推進を図る施設運営権利制度が導入されたところから、水道事業の民営化が大きくクローズアップされ、国民、県民の間に、水道が民間に売り渡されるという不安の醸成につながっていっているわけであります。水道事業のポイントは、今後も安価で、安心、安定して水を供給し続けることのできる水道事業をいかに永続していくかということにあります。今回の水道法改正こそ、こうした趣旨での議論であるはずだったと思います。今後の水道事業に当たり、営利を求める民間事業者が受託することのできる公共施設運営権の導入は、自治体が導入を判断し、厚生労働省または県の許可を受けるとされています。  そこで知事にお聞きいたします。今回の法改正の柱の一つである広域連携の推進について、本県としてどのような措置を講じるのかお示しください。  これまでコンセッション方式については、下水道では本年四月に浜松市が初めて取り入れ、ヴェオリア社日本法人などが参加する運営会社が、二十年間の運営権を二十五億円で手に入れています。水道ではまだゼロということですが、今回の法改正により、水道施設に関する公共施設等運営権民間事業者が受託できる仕組みが選択肢として導入されています。そのことが、水道民営化というステレオタイプ的な報道とも相まって、公共施設等運営権を受託した民間事業者は、自治体が技術や知識を失ってしまう中で、詳細な経理状況を開示せず、収支不足を理由に施設の維持修繕、改築更新を行わずに利用料金の値上げを迫るのではないか、過疎地の水道は切られてしまうのではないかといった住民不安につながっていると考えます。したがって、自治体並びに水道事業者は安易にコンセッション方式を選択するのではなく、まずは多様な広域連携による事業継続を模索することが住民の不安の解消や安心、安全、安定的な水道事業運営につながると考えます。  そこで知事にお尋ねします。今回の法改正の肝と言える部分は、まさにこのコンセッション方式にあると思いますが、このコンセッション方式の導入について知事の認識をお聞かせください。  以上、知事の真摯な答弁をお願いいたします。(拍手) 7 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  持続可能な都市づくりに向けた研修会等の開催でございます。県におきましては、毎年、市町村職員を対象に、国の動向や県の取り組みを説明をいたします実務基礎研修を年度当初に開催をいたしております。これとあわせて、最新の都市計画に関する情報提供や具体的なまちづくり事例紹介等を行います専門研修というものを年五回程度開催をさせていただいております。また、市町村の区域を越えた生活圏単位の連携を進め、町のにぎわいづくり地域公共交通の維持、充実を図るために、県、市町村、交通事業者による地域ごとの勉強会というものを開催をしております。今年度は行橋市、みやこ町、地元交通事業者とともに公共交通沿線まちづくりに関する勉強会を開催したところであります。今後とも、これらの研修会や勉強会を開催をいたしまして、都市計画制度に関する市町村職員スキルアップを図るとともに、市町村間の連携による課題の解決に向けた取り組みを進めてまいります。  次に、県内市町村立地適正化計画の策定状況でございます。県では、平成二十六年の都市再生特別措置法の改正により位置づけられました立地適正化計画について、他に先駆けて策定をする市町村を支援するため、平成二十七年度から二十九年度にかけまして計画策定のための基礎調査費用の補助を行いました。現在、この補助を受けた市町を含め七つの市町が計画を策定し、公表を行っておりまして、このほか六つの市が策定に取り組んでいるところであります。  次に、県内の地方都市における都市スポンジ化についての認識でございます。県内の多くの地域におきましては、既に人口減少が始まっておりまして、既成市街地においても空き家、空き地これが増加をし、いわゆる都市のスポンジ化の現象が見受けられるところであります。こうした状況は、医療、福祉、商業等のサービスの縮小、撤退によります利便性の低下、行政サービス生活インフラの維持管理の非効率化を招き、さらには町なかに管理が放棄された空き家や空き地がふえることによります治安の悪化、災害時の危険性の増大などにつながるおそれがございまして、持続可能な都市づくりに支障になるものと認識をいたしております。  小規模で柔軟な区画整理活用ガイドラインについてお尋ねがございました。国では、都市のスポンジ化対策といたしまして、新たに作成をしたガイドラインをことしの十一月二十日にホームページで公表いたしております。今後は、全国で自治体担当者を対象に、その説明会を実施する予定でございます。このため県におきましては、市町村に対し、この国が開催する説明会への参加を呼びかけるとともに、毎年実施をしております市町村職員を対象とした研修会を通じて、このガイドラインが活用されるようその周知をしてまいります。また、今後実施する土地区画整理事業につきましては、市町村や事業予定者に対しまして、計画の段階からガイドラインを踏まえ、その地域の課題やそれぞれの個別の特性に合わせた技術的助言を行ってまいります。  県における都市スポンジ化対策でございます。国は、都市スポンジ化が持続可能な都市づくりを進める上で重大な支障になる、その認識から、ことし四月、都市再生特別措置法を初め関係法令を一括して改正をいたしまして、空き家、空き地等の集約などにより土地の利用の促進を図るためのさまざまな制度を創設したところであります。市町村がこれらの制度を活用するためには、まず立地適正化計画を策定をし、居住誘導区域や都市機能誘導区域を定めることが必要になります。このため県といたしましては、市町村に対し、この新たな制度の説明を行いますとともに、引き続き立地適正化計画の策定、これを促してまいります。また、県では今年度から、住民や事業主等が居住誘導区域内の空き家や空き店舗等を活用して行うまちづくり活動、これにつきまして、市町村とともに支援する独自の事業を実施しているところであります。今後とも、都市のスポンジ化に対応するため、研修会、勉強会におきまして国の制度の説明や全国における優良な取り組み事例の紹介を行うとともに、地域の個別の課題に応じた具体的な技術的助言を行うなど市町村を支援してまいります。  次に、コンセッション方式の対象となる公共施設についてでございます。コンセッション方式は、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法と申しますが、この法律に基づきまして施設の所有権を公共主体が有したまま運営権を民間事業者に設定する方式でございます。利用料金の徴収を行う公共施設等がその対象になります。具体的には、PFI法第二条に規定をいたしております空港、水道、下水道等の公共施設、賃貸住宅、教育文化施設等の公益的施設、これらが対象となります。  次に、市町村及び水道事業者の経営状況でございますが、県におきましては、毎年度、総務省の地方財政状況調査及び地方公営企業決算状況調査によりまして、それぞれの市町村の財政状況また水道事業の経営状況の報告を求め、把握を行っているところであります。平成二十九年度のこれらの報告によりますと、全ての水道事業において資金不足は生じておらず、良好な経営状況にございます。一方で、人口減少が進む中、利用者が思うようにふえないことなどを理由といたしまして、給水にかかる費用を料金収入で賄い切れず、市町村の一般会計から水道事業の損益勘定に繰り入れをしている例がございます。平成二十九年度は二市二町その例がございますけれども、いずれも当該市町村の財政は健全化判断比率の基準を満たしておりまして、健全な財政というものを維持しているところであります。県におきましては、これらの市町の水道事業者に対しまして、適切な料金設定、料金収納率の向上等によります収入の確保、施設管理の委託、漏水対策によります費用の削減など、その経営の健全化に向けた助言を行っているところでございます。  次に、広域連携の推進についてお尋ねがございました。人口減少に伴う料金収入の減少、施設の老朽化に伴う対策費用の増大など水道事業の経営の悪化が懸念されております中、将来にわたって水道事業が持続的、安定的に水道を供給していくためには、水道の経営基盤の強化が必要であります。水道の広域連携の推進というのは、そのための有効な方策の一つであると、このように認識をいたしております。広域連携につきましては、これまでブロックごとの検討会の開催、個別の協議を通じまして広域連携に向けた具体的な検討を行うよう各水道事業者に対し促してきたところであります。その結果、田川地域におきましては、田川地区水道企業団とその構成団体であります一市三町が平成三十一年度に統合する予定となっております。今回の水道法の改正によりまして、都道府県に広域連携推進の努力義務が明確化されたところでございまして、今後とも田川地域の広域化をモデルケースといたしまして、広域連携の動きが他の地域にも広がっていくよう、水道事業者に対し助言や支援を行ってまいります。  次に、コンセッション方式の導入についてでございます。水道事業者水道施設の所有権を所有したまま運営権を民間事業者に設定をするコンセッション方式につきましては、民間事業者の経営上のノウハウや技術的能力を活用することによりまして、質の高い公共サービスの提供が可能となるなどの効果が期待されることから導入されたものであると考えております。水道事業へのコンセッション方式の導入は、経営の悪化が懸念される水道の基盤強化を図るために設けられた制度でございまして、水道事業者にとりましては選択肢を広げるものであると、このように考えております。 9 ◯議長(井上 順吾君) 原中誠志君。 10 ◯三十六番(原中 誠志君)登壇 知事に今、答弁をいただいたところであります。最後に一件、知事に要望させていただきたいと思います。  今回の水道法改正は、人口減少社会が背景にあるということを示したところであります。人口減少に伴い日本の有収水量は二〇〇〇年をピークに減少に転じ、二〇四〇年には有収水量がピーク時より約四割減少、約百年後にはピーク時より約七割減少と。さらに水道事業は独立採算制を旨としており、原則水道料金で運営されているところでありますけれども、人口減少に伴い給水量が減少し、水道事業の収益が減少することによって水道事業の経営状況は厳しくなっていく。そして経営状況の悪化により、施設の更新など必要な投資が行えず、老朽化が進行する。また、過度なコスト削減に伴う水道職員の削減による体制の弱体化により水道施設の維持管理が困難となり、漏水等の事故が増加するなど水道サービスの低下が懸念されているところであります。  私は前段の質問で、人口減少が進む地方都市においては都市の中心地であっても、町の低密度化、都市のスポンジ化が進んでいることを指摘いたしました。そうした中で、郊外の住宅地、中山間地、限界集落と言われる地域においても、そこに一軒でも、一人でも居住者がいる限り、自治体として上水道を通さなければならない、そういう使命があります。そうした行き届いた公共サービスがあってこそ、私たちは、日本に生まれ住んでよかった、日本はすばらしい国だということを実感するわけであります。  安価で、安心、安全、安定的な水の供給という地域公共サービスを守るためにも、今回の水道法の改正が地方や過疎地域の切り捨て、水道事業の安易な民営化につながらないよう、県として、県内の水道事業をしっかり守っていくという強い決意で今後も取り組んでいただくことを強く要望し、私の質問を終わります。(拍手) 11 ◯議長(井上 順吾君) 西尾耕治君。(拍手) *西尾議員質問 12 ◯二番(西尾 耕治君)登壇 公明党の西尾耕治です。それでは、通告に従い一般質問をさせていただきます。  近年、大規模な自然災害が激甚化、そして多発化しております。ことしに入って、大阪府北部地震、西日本豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震などにより、各地に甚大な被害を与えております。私ども公明党は、以前より、防災・減災ニューディールを提言し、国土強靭化基本法の成立を初め、災害に強い国・地域づくりに、全力で取り組んでまいりました。党としては、九月三十日に行われた全国大会において、山口代表より、今こそ、命を守る防災、減災が、政治、社会の主流でなければならない、生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義を掲げる公明党は、防災の党として、その先頭に立ち、国、自治体、各地域での取り組みを前進させていくと述べられています。ことしの春には、百万人アンケート訪問・調査運動を行い、防災、減災の項目では、たくさんの皆さんが、地域の不備な点や危険な箇所の指摘や、改善希望事項をかなり触れられていました。また、近年では、防災、減災だけではなく、災害に備えるという意味の備災と言う定義が出てきております。このことについては、民間の企業がこの定義のもと、具体的に自治体と連携をとりながら進めているところも県内にあり、今後の大事な視点の一つだとも言えます。そこで、本県の防災、減災、備災対策について、何点かに絞って質問いたします。  初めに、総合治水対策についてです。ことしの平成三十年七月豪雨や台風二十一号などが各地に甚大な被害をもたらしました。総合治水対策とは、従来の河川対策に加え、さまざまな施策を組み合わせて被害を軽減する手法で、雨水を素早く安全に流す河川、下水道対策に加え、一時的にためる流域対策、あらかじめ備える減災対策を組み合わせた水害防止の考え方です。兵庫県では、この件についてかなり積極的に推進しております。県内の各市町村だけではなく、事業者、県民の協力を得ながら推進するために、条例を制定していると聞きます。本県においては、この条例に基づく取り組みには至っていないと思いますが、河川事業や下水道事業による、いわゆる流す対策と、洪水浸水想定図や洪水ハザードマップなどを避難判断情報として活用する、いわゆる備える対策が実施されております。また、ためる対策につきましても、学校グラウンドの一時貯留を行っているところがあったり、開発者に対して、開発行為により増加する雨水の流出を抑制するために、雨水を一時的に貯留する調整池の設置を求めたり、また一部自治体では、雨水貯留タンク設置への助成金により貯留対策を促していると聞いております。このように、総合的な治水対策を進めていくならば、民地や公共施設の面的な活用が必要となってくるため、法整備も必要だと考えられます。特に、近年の異常とも言える集中した降雨の状況から、あふれる可能性のある河川は多いとも思われることから、条例制定の方向性が望まれるところであります。  そこで、河川の計画において、総合的な治水対策の考え方を入れていくべきと考えますが、どのように考えておられるのか伺います。  次に、七月の西日本豪雨で、ため池の決壊被害が予想以上だったことから、農林水産省が、防災重点ため池に関しての対応策を発表しております。内容の一つは、その防災重点ため池の見直しを都道府県に促すものであります。今後、本県においても、この対応策に基づき防災重点ため池の選定など検討されるものと思われます。まずは、昨年に引き続き豪雨災害を受けた本県では、防災、減災、備災に対応したため池に整備していくことが必要と思いますが、今後、どのような考えでため池の整備を進めていくのかお伺いいたします。  次に、災害時における緊急給油体制についてであります。平成三十年七月に発生した豪雨災害の被害状況を見ますと、人的被害はもちろん、家屋、道路、河川、橋梁、土砂災害の被害内容は多岐にわたっております。現在では、八年前の東日本大震災以降、大規模災害発生時に応急対策用の緊急の車両の出動要請は重要であり、あわせて、その燃料供給体制の整備が求められていると思われます。茨城県では、東日本大震災における燃料不足の混乱を踏まえ、県、市町村、医療機関などが、あらかじめ災害応急対策車両を指定し、優先順位に応じたステッカーを備えておく取り扱いを定めています。  そこで、本県では、災害応急対策車両の事前指定は行っているのかお伺いいたします。  また、指定した車両には、順位に応じて色分けしたステッカーなどを支給して、災害時には一目でわかるように、車両につけたり、見やすいところに設置してもらうといったことを考えてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。県で行うことによって県内の各市町村も参考にできるし、県内の統一した形ができれば、県民の皆さんへの啓発と、明らかに緊急車両と認識できる警察車両、消防車両以外の、緊急物資や災害ごみの運搬車両などの災害応急対策の車両の存在に対しての御理解へとつながることになると思われますが、いかがでしょうか。県として、今後についての考え方をお伺いいたします。  また、災害応急対策車両に優先的に給油してくれる優先給油所の指定はあるのか伺います。  さらに、給油に関しては、優先給油対象や給油の順位などを系統立てて決めているのかお伺いいたします。  また、本県では、災害発生時に、県民の生命の維持、ライフラインの迅速な復旧を図るため、業務を継続することが必要な施設である重要施設への燃料供給体制の整備については、どのように考えているのかお伺いいたします。  次に、ソフト面での災害対策の充実の件で、マイタイムラインの作成についてであります。先々月十月十三日は国際防災の日でした。今、防災は、国際社会においては大きな関心を集めるテーマとなっております。そして、今や防災は、国だけではなくて、地域や民間の力が不可欠であり、私たち一人一人の課題でもあります。災害のたびに指摘されているのが、住民の逃げおくれです。このことは、逃げる気持ちが住民にあっても、実際の行動に移す難しさを示しています。そこで、逃げる力を育むために、他県では、災害時に個人がとるべき避難行動を時系列にまとめた計画、マイタイムラインづくりが進んでおります。これは、行政などで策定が進んでいるタイムラインの個人版と言えるもので、作成のポイントは三点あり、一つ目は、地域のハザードマップなどを参考にして、自分が住んでいる地域のリスク(危険性)を調べ認識する。二つ目は、自分がとるべき行動を時系列に沿って一覧表に書き込んでいくこと。三つ目として、地域の状況は、時間の経過と同様に変わっていくため、定期的に更新していくことが重要であります。また、茨城県においては、国の河川事務所が、子供たちに教育の場所で啓発するために、台風時における洪水を想定とした、小中学生向けの防災学習教材として開発した逃げキッドを活用しています。この逃げキッドを活用してのマイタイムラインの作成講座は好評を博しており、現在まで、七千四百人の子供たちがマイタイムラインを作成しているとのことです。  本県においても、二年連続の洪水被害を踏まえ、洪水に対するマイタイムラインの作成を初めとする個人の避難を促す取り組みを今後、推進していく必要があると考えますがいかがでしょうか、お伺いいたします。  また、今後の課題として、このマイタイムラインを初めとする取り組みによって、広く県民へ洪水時に適切な避難行動がとれるよう啓発すべきと思いますがいかがでしょうか伺います。  また、今後は、学校の教育現場でも、子供たちへの防災教育の一つとして、このマイタイムラインを初めとする取り組みの必要性について啓発し、推進していくことが重要だと考えますがいかがですか、お伺いいたします。  河川工学の専門家として災害対策などの研究に励むとともに、行政の各種委員会の要職を歴任されておられる九州大学名誉教授の小松利光先生は、このように述べられておられます。依正不二という法理があります。人間を取り巻く一切の環境を意味する依報と、生を営む主体、人間を指す正報が、不二、すなわち分かちがたく関連しているということです。自然環境と人間は、互いに深いところで支え合い、結びついていると洞察します。また、自然と人間がつながり合っているということは、私たち人間の内なる一念の変革によって、自然環境に影響を及ぼし、そこに変革をもたらすことができるとも考えられるでしょう。地球環境の問題といっても、そこに暮らす人々の意識改革が何よりも必要であり、自然との調和と共生を目指す価値観を広げていかなくてはならないと私は思います。もちろん、公助は今後も必要でしょう。しかし、とうとい人命を守るためには、公助だけに頼るのでは不十分であることは、さまざまな災害の事例を見ても明らかです。これからは、私たち一人一人が主体的になり、それぞれの地域における自助、共助の仕組みを強化して、自助、共助の力をフルに発揮できる環境を地域社会に築いていかなければなりません、と言われております。  知事、職員の皆様におかれましては、自助、共助を支える公助にしっかりと取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 13 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 14 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  総合的な治水対策の考え方を入れた河川の計画でございます。総合的な治水対策には、河川、下水道の整備といったハードの対策、洪水ハザードマップの周知といったソフト対策だけではなく、流域内で雨水を貯留、浸透させ河川への流出を抑制する流域対策も必要でございます。例えば、本県におきましては、市街化が進んだ都市部を流れております樋井川において、農業用ため池を治水に活用するといった流域対策を計画に入れているところであります。河川の計画を策定する際には、市街地の密集度、過去の被害状況などを勘案しながら、関係自治体と協力をして、効果的な流域対策について検討を進めてまいります。  次に、豪雨災害を踏まえたため池の整備でございます。県におきましては、これまで、ため池堤体の形状変化や漏水度合いなどを踏まえまして、関係市町村と協議を行い、計画的にため池の整備を進めてまいりました。こうした中、昨年の記録的な豪雨により堤体が決壊、流失したことから、被災後の十一月に、国の研究機関や専門家などと意見交換を行いまして、豪雨時のため池の安全性の確保のためには、水位調整を行う洪水吐きの規模、構造、これが極めて重要であるとの意見をいただいたところであります。これを受けまして、県におきましては、ため池の整備に当たっては、堤体の形状変化などだけではなく、洪水吐きの規模、構造も十分考慮して改良していく考えで、現在それを進めているところであります。今年度は、十一カ所のため池で、これまでの堤体の改修に加えまして、洪水吐きを豪雨時に下流に水を流せる規模にするとともに、流木等がこれを閉塞しない構造に見直しをしまして、その整備を進めております。また、豪雨に備えた水管理を強化するため、IoTを活用しまして、ため池の水位等の情報を現地に行かずに随時把握できるシステムを開発をしているところであります。  次に、災害時における緊急給油体制でございます。県におきましては、災害発生時に、災害対策基本法に基づき災害応急対策に従事する車両を緊急通行車両に認定をいたしまして、法令に定められた様式の標章、いわゆるステッカーを交付することといたしております。緊急通行車両は、大規模災害の発生による交通規制が行われた場合でも、消防、警察車両と同様に、災害応急対策を行うため規制区域内を通行できることになります。本県におきましては、茨城県が行っているような災害応急対策車両の事前の指定や給油の優先順位の設定は行っていないところであります。緊急通行車両への燃料の優先供給につきましては、平成二十七年十一月に、福岡県石油商業組合との間で締結をしております災害時における石油類燃料の供給に関する協定において、これを定めております。また、この協定におきまして、災害対策本部となります庁舎、指定避難所、医療機関、社会福祉施設など災害対策上重要な施設への燃料の優先供給についても、この協定に定めているところであります。御質問にありました災害応急対策車両の事前指定や給油の優先順位の設定につきましては、他県の事例を参考といたしまして、また石油商業組合や車両を使用する関係機関などの御意見もいただきながら、今後、研究していきたい、このように考えております。  次に、洪水に対するマイタイムラインの作成を初めとする個人の避難を促す取り組みについてお尋ねがございました。あらかじめ自分の逃げ方を時系列で整理した行動計画でありますマイタイムラインの作成は、先駆的な事例として国土交通省関東地方整備局、茨城県、関係市町などで構成する大規模氾濫減災協議会において取り組まれております。住民一人一人が災害時に逃げおくれないためにも、個人の避難を促す取り組みというのは有効でございます。このため本県では、プッシュ型の防災メール・まもるくんの活用に加えまして、危機管理型水位計や監視カメラを増設をし、その情報をスマートフォンで確認できるようにすることなどによりまして、住民の皆さんの避難を促す取り組みを進めているところであります。今後は、さらに個人の避難を促すマイタイムラインといった取り組みについても情報収集に努めてまいります。  次に、適切な避難行動をとるための啓発についてでございます。本県におきましては、被災リスクに対する認識や防災意識の向上を図るため、県独自の自助行動のすすめというパンフレットを作成をし、県のホームページへの掲載、県や市町村が実施する防災イベントでの活用などによりまして、県民への周知を図っております。本県といたしましては、今後も、このような取り組みに加えまして、マイタイムラインといった先駆的な取り組みの状況を踏まえ、啓発活動の充実に努めてまいります。  学校教育におけるマイタイムラインを初めとする取り組みの必要性でございます。県内七圏域の大規模氾濫減災協議会におきましては、小中学校の防災教育を支援するため、河川氾濫などの仕組みや避難に当たっての注意点について、子供たちが興味を持つように、わかりやすいイラストを用いた教材を提供することといたしております。本県におきましては、今後も、マイタイムラインといった先駆的な取り組みについて情報収集を行いつつ、引き続き、子供たちが興味を持つような防災教育というものに努めてまいります。 15 ◯議長(井上 順吾君) 吉武邦彦君。(拍手) *吉武議員質問 16 ◯三十二番(吉武 邦彦君)登壇 お疲れさまです。食と緑を守る緑友会・立志福岡県議団の吉武邦彦です。よろしくお願いします。  離島振興について質問をいたします。離島とは、離島振興法の基準に基づき指定された有人の島で、本県においては八つあります。このうち、私の地元宗像市の大島、地島は、どちらも神湊から二十分程度で渡れる島であります。大島は、周囲約十六キロ、人口約六百人の島で、基幹産業の漁業に加え、最近は観光スポットとしても注目されています。特に、釣りやプレジャーボートが楽しめる、うみんぐ大島、世界遺産を構成する宗像大社中津宮、沖ノ島を海を隔てて参拝するための沖津宮遙拝所など、世界遺産のファンや歴史好きな方など、多くの方が訪れています。地島は、周囲九キロ、人口は百五十人ほどであります。島には、ツバキが約六千本ほど群生しており、椿ロードと名づけられた遊歩道が整備され、展望台からは玄界灘、響灘が一望できます。特産品としては、このツバキを利用したツバキ油のほか、ワカメやメカブなども人気であります。そのほかの六つの島も、いずれも自然に恵まれ、それぞれに美しい景観を有しており、最も遠い福岡市小呂島でも船に乗って一時間程度と、気軽に行けるところばかりであります。このように、自然や景観に恵まれている離島ですが、人口の減少、少子、高齢化が、本土よりも急速に進行しています。また、離島の性格として、人の往来や生活に必要な物資等の輸送に要する費用が本土と比較して多額であるなど、厳しい環境にさらされています。  このような中、離島の活性化を図るため、県では平成二十五年に、計画期間十年間の離島振興について施策の方向性をまとめた福岡県離島振興計画を策定しました。私は、計画が策定された平成二十五年の六月議会代表質問で、この離島振興計画が、島民の声を反映したものになっているのか、また県として今後この計画に基づき離島地域の振興をどのように進めていくつもりなのかお尋ねしました。知事からは、アンケートや離島訪問などを通じ、島民の声を直接聞いて計画に反映したこと、また、安心して暮らせる住みよい島づくり、地域資源を生かした活力と魅力ある島づくり、交流と連携による島づくりを基本方針とし、定期航路の維持確保、水産業の振興、離島高校生の就学支援など振興施策を推進すると答弁いただきました。離島振興計画策定から五年が経過しようとしています。そこで、離島振興対策について、気にかかっている三点についてお尋ねいたします。  まず、一点目です。魅力ある島づくりのためには、島の将来を考え、地域の活性化を担う人材の育成が不可欠と考えます。そこで、人材育成のため、現在では、どのような取り組みを行っているのか、具体的にお聞かせください。  二点目は、島の活性化を図る上で、地域間交流は大変有効な手段と考えます。例えば、地域間交流の一つとして、離島留学があります。宗像市の地島では、平成十五年度から漁村留学が行われており、福岡市など島外から小学校四年生から六年生の子供が毎年五人、地島の子供たちと一緒に学んでいます。漁村留学の子供たちは、一年間、港のそばにある漁村留学センターなぎさの家で、自分でできることは自分で、自分たちでできることは自分たちでをモットーに、共同生活をしています。私も、なぎさの家を訪れたことがありますが、島の子供と見分けがつかないほど真っ黒に日やけした子供たちがいて、感動をいたしました。聞くところによると、一年たっても、帰りたくない、もう一年島にいたいと希望する子供が多いようです。この制度は、留学する子供たちや島の子供たちだけでなく、島全体の活性化にも大きく役立っています。地域間交流としては、離島留学のほかにも、島の行事やイベントの島外の方々の参加促進、島の魅力発信なども重要です。  そこで、島の交流人口を増加させるため、どのような取り組みを行っておられるのか、お答えください。  次に、三点目です。離島における基幹産業は、何といっても漁業であります。地島では、定置網でサワラ、イカ、スズキが、大島では、まき網でアジ、サバ、ブリが、また、両島ではアワビやサザエ、ウニなど、四季を通じて旬の魚介類が漁獲されています。近年、水揚げの減少に加え、魚価の低迷などにより、職業としての漁業の魅力が失われつつあります。このような状況に輪をかけて、社会情勢の変化により、平成二十八年三月には一リットル当たり三十七・三円であった燃油価格は、その後上昇に転じ、先々月には八十二・〇円まで上昇したことで、漁業を初め各産業への影響を大変危惧しているところであります。両島では新鮮でおいしい魚を県民の皆様に届けるため、とれた水産物を、主に福岡市の中央卸売市場に出荷していますが、漁獲物を出荷する際には、漁場から直接市場へ持っていくか、島内で一旦荷を集め、魚の運搬船で対岸の神湊や鐘崎などに運び、さらにトラックに移しかえ持っていかなければならないという不利な点も持ち合わせています。  そこで知事にお伺いいたします。地理的に不利な状況にある地島、大島に対する水産物の販売対策について、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いをして、私の質問を終わります。  ありがとうございます。(拍手) 17 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 18 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、離島における人材の育成でございます。県におきましては、離島を有する四市一町、八つの離島の島民で構成をしております福岡県離島振興協議会におきまして、まず島の活性化の指導的立場を担うリーダーの育成、島づくり活動の実践を行う人材の育成、将来の島づくりを担う若手の育成、これらを目的といたしまして、人材の育成の取り組みを進めてきているところであります。まず、指導的な立場を担うリーダーの育成でございますけれども、島の漁業団体、青年部、女性部の代表を対象といたしまして、先進的な島づくりで成果を上げている全国の有識者から直接講義を受ける離島指導者研修会を行っております。次に、島づくりを実践する人材の育成につきましては、島の各団体の構成員を対象に、特産品の開発、その販路の開拓といった島づくりの活性化につながる実践的な研修を実施しております。また、将来の島づくりを担う若手の育成につきましては、若者の代表を事例研究やワークショップで意見交換を行います短期集中型の講座であります島づくり人材養成大学に派遣をいたしております。これらの取り組みの結果、小呂島におきましては、研修に参加した漁協の青年部と女性部を中心とした島づくりグループというのが結成をされまして、天然ブリを原料とした小呂島漁師のしまごはん、その開発につながったところであります。また、大島におきましては、研修で学んだ特産品の開発の手法を生かして、島の皆さんや地域おこし協力隊、民間企業との連携のもと、特産のアマナツを使った甘夏カステラ、これを開発するなど成果を上げておられます。今後とも、市町や関係者と連携をいたしまして、離島における人材の育成に取り組んでまいります。  次に、離島の交流人口を増加させるための取り組みでございます。県におきましては、離島を有する市町や島民の皆さんと連携をいたしまして、美しい景観、歴史、文化的な資産、豊富な海の幸といった島ならではの地域の資源を活用いたしまして交流人口を増加させる取り組みを行っております。具体的には、大島の、県が建設をいたしました海洋体験施設うみんぐ大島や世界文化遺産を初めといたしまして、新宮町の相島の猫、地島のメカブ御飯や姫島のサバの押しずしといった食文化など島の魅力を発信するため、県と市町の連携でパンフレット「ふくおか島散歩」を作成をいたしまして、観光案内所やホテル等で配布をしているところでございます。また、県本土との交流を促進するため、中学生のガイドが島の歴史、文化、絶景スポットを案内をする新宮町相島ウオーキング、野村望東尼獄舎跡など歴史スポットを地元ガイドとめぐる姫島魅力発見ツアーを実施しているところであります。このほか、大島には県内最初のオルレコースが整備をされ、国内外から多くの方が訪れられています。これに加えまして、地元の小中学校やNPO法人などが行います北九州市の藍島での海の生き物観察やスナメリウオッチング、馬島でのワケギの作付やタコつぼ漁体験などのイベントの開催に対しまして支援を行っているところであります。今後とも、県内離島八島と連携をいたしまして知恵や工夫を凝らした取り組みを行い、その交流人口の増加に取り組んでまいります。  次に、地島、大島における水産物の販売についてお尋ねがございました。離島は、本土の漁港に比べまして卸売市場への出荷に時間を要することから、議員も御指摘があったわけでございますが、漁獲した水産物の鮮度保持がより重要になってございます。このため県におきましては、魚のしめ方や冷やし方の技術指導を行うとともに、製氷施設などの整備について支援を行っているところであります。また、地島は、お話がありましたが、ツバキ、大島は世界遺産など多くの観光資源に恵まれ、これらを求めて多くの観光客の皆さんが訪れられています。これらの方々に新鮮でおいしい水産物を直接買っていただき、食べていただくことも重要であります。このため県におきましては、漁協などに対しまして、地島のお食事どころなごみや大島の直売所さよしま、これらの施設整備などを支援しております。さらに、魅力ある商品づくりのため、地元水産物をふんだんに使った弁当、まき網で大量に漁獲されるアジ、海藻のアカモクなどを使った加工品の開発を支援しているところであります。これらの商品の販路につきましては、道の駅むなかたや鐘の岬活魚センターなど島外にも広がってきているところであります。県といたしましては、今後とも、このような市場出荷や直接販売の取り組みを通じまして、離島における水産物の販売の拡大を進めてまいります。 19 ◯議長(井上 順吾君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。           午 後 零 時  十六分  休 憩           午 後 一 時 三十一分  再 開 20 ◯副議長(畑中 茂広君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。高瀬菜穂子君。(拍手) *高瀬議員質問 21 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、一般質問を行います。  日米合同委員会は、米軍再編ロードマップに沿った措置で、米軍普天間基地の機能を移転するとし、去る十月二十四日、日米両政府は、築城基地の三百メートル滑走路延長、米軍弾薬庫、二百人規模の米兵宿泊所、駐機場、燃料タンクなどの施設整備を行うと発表しました。普天間基地の代替としての築城基地強化について、県は、防衛省からいつ、どのような説明を受けたのか、明らかにしてください。また、県として、これをどのように受けとめ、どういう対応をしているのか、お答えください。  九州防衛局からの聞き取りによると、普天間と同様の二千七百メートル滑走路に飛来する戦闘機はF15、16、35、輸送機はC5、C17、KC135など普天間で運用されているもの全てであり、などの中にオスプレイも含まれるということでした。米軍機は墜落を含む重大事故を続発させています。普天間第二小学校では、落下物の危険から、授業中に七百回以上も避難する事態が続いており、二つの避難所までつくられました。対米従属の日米地位協定を見直さず、普天間基地の代替機能を受け入れれば、築城周辺が同様の危険にさらされるだけでなく、福岡県、九州全体の空域で騒音と事故の危険が予測されます。騒音や事故の危険についての知事の認識を伺います。  また、米軍弾薬庫は現在の自衛隊弾薬庫とフェンスの間、より民家に近い位置につくられる計画です。普天間基地の米軍機が現在弾薬を搭載している嘉手納弾薬庫には、劣化ウラン弾があります。また、米国務省が六月に公開した外交文書で、米側が沖縄返還の最低条件として、核兵器の緊急時の貯蔵、通過の権利を日本に求めていたことが明らかとなりました。その核の貯蔵施設が嘉手納と辺野古の弾薬庫だとされています。その嘉手納弾薬庫の機能を築城に移転するのかと防衛局にただしたところ、具体的にどう運用するかは、これからの日米間の協議と答え、これを否定しませんでした。核の貯蔵の可能性が否定できない米軍弾薬庫を築城に整備することについて、知事の見解を伺います。  あわせて、二〇〇七年二月二十六日に福岡防衛施設局と地元市町との間で結ばれた協定では、緊急時使用への対応について、その内容がわかり次第、速やかに地元に説明すると規定されていますが、この説明はどのようになされているのか、また、緊急時とはどんな事態を指すのかも、あわせてお答えください。  本年七月、全国知事会は日米地位協定の抜本見直しの提言を行いました。同協定は、安保条約に基づき、米軍のさまざまな特権を認めるものですが、全国知事会はこれに対し、航空法や環境法令などの国内法の適用、事件、事故の際の自治体職員の立ち入りの保障などの見直しを求めています。米軍は事故を起こしても、日本側の調査さえ認めません。先日、築城基地のF2戦闘機二機が訓練中に接触事故を起こしました。もし、これが米軍機であったなら、落下物があったとしても、調査もできないということになります。全国知事会の提言どおり、抜本見直しなしに基地強化は認められないと県として防衛省に表明すべきではありませんか。知事の見解を伺います。  次に、福岡空港の米軍使用について伺います。二〇一七年に米軍機が日本全国の民間空港に着陸した回数は三百二十四回に上り、発着回数が全国トップとなったのが福岡空港で九十四回を記録します。同空港は一九七〇年に住民の闘いで返還が実現しましたが、空港内には、地位協定第二条一項に基づく米軍専用区域が残っており、県、市、市議会などでつくる板付基地返還促進協議会は、福岡空港の軍事利用反対などを掲げ、基地の全面返還を求めてきました。しかし、報道によると、米国防総省幹部は、朝鮮半島に近く、今後も基地能力を確保する、平時は商業空港として活用すべきだが、有事には作戦拠点として機能を強化したいと明かし、日米共同使用区域である滑走路や駐機場なども軍事作戦に使う構想がある、としています。米軍の福岡空港使用は、何のために行っているのですか。防衛省を通じての情報提供は行われているのですか、お答えください。  本議会に、福岡国際空港への出資金の議案が出されていますが、県民と利用者の安全を守るためには、空港の米軍利用、軍事拠点化は断じて許されないとの立場から、全面返還を改めて強く求めるべきではないでしょうか、知事の見解を伺います。  最後に、築城基地が普天間、岩国の代替基地となり、福岡空港の米軍利用がふえ、オスプレイの佐賀空港配備が進められる中、基地問題について、専門に情報を集め、県民に対し発信し、対応する部署がいよいよ必要になっていると考えます。かねてから要求していましたように、基地対策の部署を県庁内につくることを改めて求めたいと思います。知事の見解をお聞きし、質問を終わります。(拍手)
    22 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 23 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、築城基地の施設整備、そして騒音や事故の危険についてお尋ねがございました。まとめてお答えさせていただきたいと思います。今回の施設整備につきましては、十月二十四日、九州防衛局から説明を受けました。この説明によりますと、平成十八年五月に日米合意をいたしました在日米軍再編ロードマップに盛り込まれた普天間飛行場の能力を代替することに関連するものであり、築城基地を米軍が緊急時に使用するため、駐機場、燃料タンク、弾薬庫等の整備、また滑走路の延長等を行うというものでございました。築城基地の施設整備、そしてその基地の運用につきましては、国家、国民の安全保障にかかわる問題でありますために、国において適切に対応されるべきものだというふうに考えております。一方で、本県も含め、基地を抱える都道府県で構成しております渉外関係主要都道府県知事連絡協議会、いわゆる渉外知事会でございますけれども、この協議会といたしまして、住民の騒音被害や航空機事故に対する不安を踏まえ、国に対し、騒音軽減及び飛行運用の制限等に関する条項の新設など、日米地位協定の改定を求めているところでございます。  次に、米軍弾薬庫の整備についてお尋ねがございました。築城基地の運用につきましては、今御答弁いたしましたように、施設整備を含め、国家、国民の安全保障にかかわる問題であるため、国において適切に対応されるべき事柄だというふうに考えております。  次に、緊急時使用への対応に関する説明についてでございます。今回の築城基地の施設整備につきましては、御指摘の協定に基づき九州防衛局から地元市町と私ども福岡県のほうに説明がされたものであります。緊急時につきましては、九州防衛局から我が国の安全並びに極東における国際の平和及び安全の維持にかかわるさまざまなケースが考えられるので一概に申し上げることは困難であるが、あえて例えるならば、我が国が武力攻撃を受けた場合というものも該当すると考えている、その旨の説明を受けているところであります。  次に、日米地位協定の抜本的見直しについてでございます。日米地位協定は、締結以来一度も改定されておらず、運用改善が図られておりますものの、国内法の適用や自治体の基地立ち入り権がないなど、我が国にとって、依然として十分とは言えない現況でございます。このことから、本県を含め、全国知事会として国に対し、本年七月、日米地位協定を抜本的に見直し、国内法の適用や自治体職員の立ち入りの保障などを明記するよう提言をしたところであります。  築城基地の施設整備につきましては、るる、再三御答弁しておりますとおり、国家、国民の安全保障にかかわる問題であるために、国において適切に判断されるべきもの、このように考えております。  米軍の福岡空港の使用についてお尋ねがございました。福岡空港は、日米地位協定に基づき米軍が使用しておりまして、その使用目的につきましては、ことしの十一月二十七日の参議院外交防衛委員会におきまして、河野外務大臣が答弁をされているところでございますけれども、九州地方における輸送拠点として、他の米軍基地との間の物資や人員の輸送などのために利用している、そういうことでございます。基地問題は、国家、国民の安全保障にかかわる問題でありますため、国において適切に対応するべきものでございますけれども、本県といたしましては、全国知事会や基地を抱える都道府県で構成しております、いわゆる渉外知事会において、国に対し、米軍基地の整理縮小、返還というものを要望しております。また、本県も参加をしております板付基地返還促進協議会の活動といたしまして、国に対し、福岡空港内の米軍施設の早期全面返還に努めるよう要望をしております。  次に、基地対策の部署の設置についてでございます。基地対策につきましては、現在、総務部の防災危機管理局が対応しておりまして、独立した担当部署を設けるということよりも、今の体制できちんと対応させていただきたいと、このように考えております。 24 ◯副議長(畑中 茂広君) 高瀬菜穂子君。 25 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 知事に再質問をいたします。  国において適切に対応されるべきものというお答えが四回も繰り返されました。それほど国任せでよいのか、ということをまず申し上げたい。協定により緊急時の対応に関する説明がなされているとのことですが、お答えだと、今回の築城基地の機能強化については、発表のその日に、しかも電話とメールで報道と同じ中身が説明されただけというではありませんか。福岡空港の米軍使用は何のためか、参議院での外務大臣の答弁を引用されましたが、防衛省を通じての直接の説明はなかった、また、こちらから聞いてもいないということではないのですか。このような対応で、県民の安全は守れないということを強く申し上げておきます。  大分県知事は、オスプレイを使った日米共同訓練に先立って、県民の安全の観点から、納得できないと防衛大臣に対し中止の申し入れを行っています。また、広島県知事は、米軍FA18戦闘機の墜落事故の後、事故原因が明らかになるまでは同型機の飛行を中止するよう政府に要請するとともに、米軍に対しても直接要請書を提出しています。これに対し、小川知事の対応は余りにも情けないと言わなければなりません。沖縄県を初め基地を持つ自治体では、基地の情報、訓練内容、政府への申し入れ、地位協定の説明など、さまざまな情報発信をホームページなどを通じて行っています。本県のホームページでは、基地や訓練に関する情報はほとんど見出せません。  知事、基地問題を所管する部署はどうしても必要ではありませんか。この点について、もう一度お尋ねいたします。 26 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 27 ◯知事(小川 洋君)登壇 先ほどもお答えを申し上げましたけれども、基地対策につきましては、現在、総務部の防災危機管理局において、九州防衛局からの情報収集を初め必要な対応をやらせていただいている、このように考えております。現時点では、御指摘のような独立の担当部署を設けるという考えを持っておりません。 28 ◯副議長(畑中 茂広君) 高瀬菜穂子君。 29 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 知事、それでは対応できないということを申し上げたいと思います。現在の日本は、憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会があるとも言われています。安保法制制定後、緊急時すなわち有事を想定し、日米共同訓練は規模と激しさを増しています。福岡県は出撃拠点にされようとしています。これに機敏に対応する部署は最低限必要です。渉外知事会の知事として国任せにせず、毅然として対応していただくよう強く申し上げ、質問を終わります。(拍手) 30 ◯副議長(畑中 茂広君) 吉村悠君。(拍手) *吉村(悠)議員質問 31 ◯十五番(吉村 悠君)登壇 自民党県議団の吉村悠です。通告に従いまして、障がい者にとっても優しい社会づくりについて、爽やかに質問を行ってまいります。  先日、地元の会合に出席した際に、福岡県の進めるヘルプカードについて御質問をいただきました。その内容とは、端的に言って、使い勝手が悪いので工夫をする必要があるのではないかといったものでした。皆さん御存じであるとは思いますが、そもそもヘルプカードとは、平成二十八年から福岡県で導入しているカードです。障がいのある方、認知症を患っている方、妊娠をしている方などの中には、手助けが必要であっても、外見では不自由や障がいに気づかれにくい人、コミュニケーションがうまくとれずに、なかなか伝えられない人がいます。このため、県ではこのような方々が持っておくことで、周囲の人が困っていることにすぐ気づくことができるようにこの取り組みを開始したと聞いております。福岡県のホームページによると、このヘルプカードの導入は、東京都に次ぎ全国で二番目であり、この取り組みを通じて、県民の方々とともに、県内の思いやりの輪を広げ、誰もが住みなれた地域で安心して生活していただける共助社会を目指すものとされております。私はこの取り組みの趣旨や目的は非常にすぐれたものであると思いますが、具体的な取り組みについては大きな問題があると考えましたので、その課題について尋ねていきます。  そもそも、ヘルプカードによく似た取り組みでヘルプマークというものがあります。ヘルプマークは、義足や人工関節を利用している方、内部障がいや難病の方、または妊娠初期の方など、外見からわからなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の人に配慮を必要としていることを知らせることで援助を得やすくなるよう、東京都において作成されたマークで、キーホルダーのようにぶら下げる樹脂製のものとして配布をされております。東京都では、そのヘルプマークの配布や優先席へのステッカー表示等を、平成二十四年十月から都営地下鉄大江戸線で、平成二十五年七月から全ての都営地下鉄、都営バス等々に、平成二十八年末には都立病院や保健医療公社にまで広げ、民間企業への働きかけは平成二十六年から行っているそうです。ヘルプマークはキーホルダー型なので身につけやすいものですから、それを見かけたら、一、電車、バスの中では席を譲ること、二、駅や商業施設では声かけを行うなどの配慮、三、災害時は、安全に避難をするための支援、これらの行動をとるように呼びかけています。ちなみに、このヘルプマークですが、同じ理念のもと、本年度の時点で三十四都道府県が採用、来年度からの導入を検討しているのが四県となっています。福岡県はこの中に入っておりません。ヘルプマークの著作権は東京都に帰属し、商標登録もされておりますが、その趣旨に合致すれば作成、活用することが認められています。福岡県のヘルプカードの表面にもヘルプマークのデザインと、「あなたの手助けが必要です。」という記載が使われており、裏面にこのカードを使用される方が自身で私が手伝ってほしいことを記載できるようになっています。  そこで知事にお尋ねいたします。まず最初に、そもそも障がいのある人に優しい社会づくりに向けた福岡県の取り組みについて問います。障がいのある方に対する県民の理解が進み、障がいを持つ人にとって優しい社会づくりが必要と考えますが、県としてどのような取り組みを行っているのか知事、お答えください。  次の質問です。福岡県ではヘルプカードを十七万五千枚作成しているそうですが、この枚数はどのような考えによるものなのか。そして、どういう手法で配布を行っており、現在までにどれくらいが配布済みで、今後どのようなスケジュールで配布が終了する予定なのかお答えください。  三点目の質問です。福岡県では、このカードの配布は行っていますが、カードの配布のみで、所有者がカードを持っていることが外見からわかるようなホルダーやケースのようなものは配布していません。これでは、せっかく援助や配慮を必要としている人が私が手伝ってほしいことを記載していても、周囲の人には伝わらずに援助や配慮ができないと考えます。そのような中で、福岡県のヘルプカードはどのようにして援助や配慮につなげようとしているのか、その考えをお示しください。  最後の質問です。福岡県で作成している「ヘルプカードはじめました。」というチラシでは、「思いやりを届けましょう!ヘルプカードがお手伝いします。」として六つの活用事例が示されています。ちなみに事例一では、「内部障害、難病がある方、妊娠初期の方など長時間立っているのが大変な方に、すすんで席を譲りましょう。」と記載してあります。この六つの事例のイラスト中では、そのうち五つの事例がヘルプカードをカードケースに入れて使用することを前提としているわけです。そうでありながら、紙製のカードだけを配り、あとは障がいのある方たちが適当に用意をしてくださいというのでは余りにも不親切ではないでしょうか。肝心なカードケースを必要な方に提供せずに「ヘルプカードはじめました。」では、単なる実績づくりととられても仕方がないのではと考えます。先ほど、東京都の事例で述べた樹脂製のキーホルダー型のヘルプマークを全国の多数の県と同じように導入するなり、カードケースを配布するなりして、援助や配慮の可能性を見える化することで、電車やバスの中で席を譲るなどの行為につなげたほうが施策としての効果が大きいと考えます。小さな工夫で大きく成果を上げられると考えるそれらの導入についての知事の考えをお答えください。  もともとこのヘルプマークやヘルプカードは、繰り返し述べたように、外見からわからなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲にそのことを知らせる手伝いをすることが最大の目的です。そうでありながら、紙のカードを配るだけの福岡県の取り組みは、その本来の趣旨、目的が果たせない非常に中途半端な施策にとどまっていると言わざるを得ません。我が会派からの代表質問で、障がい者差別のない社会づくりのための今後の取り組みについて力強く答えられた知事ですので、形だけでなく、本当に障がいを持つ方にとっても優しい社会づくりの第一歩として、今回の質問に関しましても誠意ある答弁を期待し、私の質問を終わります。(拍手) 32 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 33 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  障がいのある人に優しい社会づくりに向けた県の取り組みでございますが、県におきましては、障がいのある人がかけがえのない個人として尊重され、個性や能力を存分に発揮をし、積極的に社会参加できる共生社会、その実現を目指してさまざまな取り組みを行っております。こうした基本的な考え方のもと、県の責務並びに市町村、事業者及び県民の役割を明らかにし、障がいのある人に対する差別の解消と合理的配慮を進めるため、昨年三月、福岡県障がいを理由とする差別の解消の推進に関する条例を制定をいたしました。また、これまでも障がいや障がいのある人に対する県民の皆様の理解の促進のために、毎年四月の発達障害啓発週間、これに合わせた講習会、また県民文化祭における障がい者美術展の開催、県民体育大会障がい者の部などを開催してまいりました。このほか、身体障がいのある人や内部障がいのある人、高齢者、妊産婦などを対象としております、ふくおか・まごころ駐車場の普及でありますとか、障がいのある人がつくるまごころ製品の百貨店、県庁、県議会棟、各種イベントにおける販売促進等を通じまして、障がいのある人に対する県民の皆様の理解を深める取り組みを進めてきているところであります。  次に、ヘルプカードの作成と配布状況でございます。ヘルプカードは、障がいのある方のみならず、難病の方、妊娠をされている方、認知症のある方など、外見からわからなくても援助や配慮を必要とされている方を、周囲の人に配慮を必要としていることを知らせることで援助を得やすくすることを目的といたしております。本県におきましては、導入当時、ヘルプカードを必要とする方が入手しやすい身近な場所で自由におとりいただくことができるよう、県内の市町村、福祉事務所、社会福祉協議会、相談支援事業所、障がい者関係団体に対し約一万枚を配布したところであります。その後、広く県民の皆様にこのヘルプカードを知っていただけるよう、コンビニエンスストアや産婦人科医院も加えることといたしまして、これまでに八万六千枚を配布をしたところであります。今後は、ヘルプカードを必要とされる方にとって、さらに入手しやすくなるよう、産婦人科医院だけではなく、その他の病院、診療所にも配布するなど改善に努めまして、その効果的な普及啓発を進めてまいります。  次に、ヘルプカードの活用についての考え方でございます。本県のヘルプカードにつきましては、障がい者団体から、障がいのあることを知られたくない人もいらっしゃる、そういう御意見がありました。そのために、障がいのある方が手伝ってほしいことなどを、あらかじめ書き込んで、これを携帯していただいて、必要に応じ出し入れできるよう、私どもはカード形式とさせていただいたところであります。なお、当初作成をいたしました大きさのカードではカードケースに入らない、そういったお声もありましたことから、昨年度、名刺サイズのカードも作成し、より活用しやすいものと変えさせていただいたところであります。  次に、ヘルプカードへのケースの導入などでございますが、紙のカードでは、ぬれたり、折れ曲がったりしやすく、また出し入れに手間がかかるという課題もあります。今後、樹脂製のヘルプマークやケースの導入を含めまして、障がいのある人にとって使い勝手のよい方法となるよう検討を進めさせていただきます。  また、県では、障がいのある人への合理的配慮につきまして事業者及び県民の皆様の理解を深めるため、ことしの五月、ガイドブックを作成し、障がいのある人に対する支援に有効な手段といたしまして、ヘルプカードを盛り込んだところでございます。今後、このガイドブックも活用しながら、障がいのある方に優しい社会となるよう普及啓発を進めてまいります。 34 ◯副議長(畑中 茂広君) 今井保利君。(拍手) *今井議員質問 35 ◯二十番(今井 保利君)登壇 国民民主党・県政クラブの今井保利です。通告に従い、一般質問を行います。  福岡県で策定された第八次福岡県高齢者保健福祉計画によりますと、六十五歳以上の高齢者人口は、福岡県では、二〇一五年には百三十二万人と本県人口の二五・九%となっておりますが、今後増加すると予測されています。特に、七十五歳以上の後期高齢者人口の増加傾向は著しく、二〇一五年では本県人口の一二・五%を占めておりますが、二〇三五年には、本県人口の二〇・五%まで増加すると予測されています。私の地元である芦屋町におきましても同様に、二〇二五年には後期高齢者が二千五百人を超え、町内の総人口に占める後期高齢化率は二〇%に達することが予測されています。地域、圏域別に見ますと、圏域によっては高齢者がふえるところ、逆に高齢者が減るところがありますが、福岡県全体としては高齢者は増加していきます。この状況で、高齢者の生活をどのように見守り、ケアしていくのか、社会での生活をどのように支援し、高齢者の生活を守るのかが、福岡県の今後の大きな課題です。そこで、高齢者の生活の中で大きな要因となる二つの課題に焦点を当てて質問を行います。  一点目として、老人クラブ活動の意義についてお聞きいたします。老人クラブは、地域を基盤とする高齢者の自主的な活動組織であり、老人福祉法第十三条において、老人福祉を増進するための事業を行う組織として位置づけています。老人クラブでは、会員相互の親睦を図るための催しの開催、世代間や地域での交流を深める地域活動やグラウンドゴルフなど身近なスポーツ活動など、高齢者の生きがいと健康づくりに向けて、自主的に活動されておられます。また、ひとり暮らし高齢者などを訪問しての声かけや見守り、地域における集いの場づくり、日常生活上の困り事がある高齢者の支援などにも取り組まれております。高齢者人口が増加する中では、地域の老人クラブが行う見守り活動などの意義はどんどん増しているのではないかと考えます。しかし、なかなかこの活動が発展していくということに困難さがあると思われます。  そこで、知事は老人クラブの活動について、どう認識され、どのような活動を期待されているのか、具体的にお答えください。  次に、老人クラブのクラブ数と会員数の推移についてお聞きします。老人クラブが抱える問題としては、老人クラブの数、そして会員数の減少です。高齢者人口が増加しているにもかかわらず老人クラブに加入する方が少なくなっている現状とお聞きします。  そこで、本県における老人クラブのクラブ数及び会員数の推移について、まずお答えください。  福岡県の老人クラブ連合会の会員増強計画では、五年間で三万人の目標で活動されているとお聞きしますが、会員数が減少の傾向です。会員数目標をクリアにするためには県の支援が必要ですが、県の老人クラブに対する支援内容について、お答えください。  二点目の質問として、高齢者の地域交通の確保についてお聞きいたします。福岡県警察が発表されている資料では、二〇一七年では、二〇〇八年に比べ、交通事故全体の件数は、四万四千三百五十三件から三万四千八百六十二件と減少傾向にあるものの、六十五歳以上の高齢運転者が当事者となった交通事故の件数は、五千三百六十四件であったのが、逆に六千八百三十一件と増加傾向にあります。このような高齢運転者による交通事故を未然に防ぐ対策として、二〇一七年三月には改正道路交通法が施行され、七十五歳以上の高齢者が運転免許を更新する際の認知機能検査の受検が義務づけられ、免許返納者がふえていく中、免許返納後の高齢者の生活を支える移動手段をどう確保していくのかは大きな課題となっています。高齢化社会が進む中では、高齢者が、社会、文化、経済そのほかの分野の活動にみずからの意思で参加し、生き生きと活躍でき、住みなれた地域で安心して快適な生活を営むためには、日常生活や社会参加ができるような快適で安全な生活環境をつくることが重要であります。しかしながら、高齢者にとっては、過疎地域のみならず、都市部の高台や傾斜地に立地している団地や住宅地でも、移動が困難な地域となっており、地域住民や高齢者にとっては、移動手段である路線バスやコミュニティーバスなどの生活交通の維持、確保が課題となっております。  そこで、高齢者が、住みなれた地域で安心して自分らしい暮らしを続けていくために、高齢者の交通手段の確保についてどのように考えておられるのか、知事の所見を伺います。  その上で、車社会の進展や少子、高齢化の進行により、公共交通の利用者が減少し、路線バスの減少、廃止も進んでいる中で、県としては具体的にどのような取り組みで交通手段確保を行っていくのか、知事にお聞きいたします。  今後、高齢化が進む中では、高齢者に対する対応をしっかり行い、高齢者を生かす方策が今以上に必要となります。増加する高齢者を生かし、地域コミュニティーを支えることそのことが、地域の活性化につながると考えます。そのためには、仕事を終わり、定年を迎えた人々が、地域コミュニティーの担い手として入り込める環境づくりが大切です。そうすることで、高齢者の主体的な地域社会への参画を促進するとともに、地域社会における相互扶助そのほかの機能が活性化するように条件整備を図ることが、県行政の目標となると考えます。このことを前提に前向きな知事の答弁を期待し、私の質問を終わります。(拍手) 36 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 37 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  老人クラブ活動の意義でございます。老人クラブの活動は、地域の高齢者の皆さんがスポーツ活動や趣味サークルなどの生活を豊かにする楽しい活動、そしてひとり暮らしの高齢者等の定期的な訪問、地域の清掃といった地域を豊かにする社会活動、これらに自主的に取り組んでいただいているものであります。今後、さらなる高齢化の進展に伴いまして、いわゆる健康寿命を延ばすことが重要になってまいります。また、高齢者、特にひとり暮らしの高齢者や高齢夫婦世帯の増加が見込まれます中、地域の支え合い活動というのも重要になってまいります。こうしたことから、老人クラブの皆様には、健康づくり、介護予防のための活動、ひとり暮らし高齢者の見守り、日常の困り事のお手伝いなどの活動を活発にしていただきまして、高齢者の方々が健康で生き生きと安心して生活できる地域づくりに大きく寄与していただくことを期待しているものであります。  老人クラブの数と会員数の推移についてお尋ねがございました。本県におきましては、会員数がピークでありました平成十年に六千二百クラブ、約三十七万九千人でありましたものが、ことしの三月末現在で四千六百クラブ、約二十三万六千人となっておりまして、この二十年間で、クラブ数は一千六百クラブ、それから会員数は約十四万三千人それぞれ減少しているところであります。こうした状況にありますことから、県老人クラブ連合会は、活動の基盤となる会員の増加に向けまして、市町村の老人クラブ連合会や地域の老人クラブとともに、その会員の勧誘や広報活動などに取り組んでおられるところであります。  県の支援についてでございますけれども、この県の老人クラブ連合会に対しまして、老人クラブの広報担当者を対象とした広報紙のつくり方研修会、女性会員を対象とした女性リーダー育成研修会などの取り組みについて助成をさせていただいております。また、地域の老人クラブや各市町村の老人クラブ連合会に対しましても、健康づくり、高齢者の見守りといった日ごろの活動とそれぞれの会の運営について助成をしているところであります。今後とも、こうした取り組みを通じまして、それぞれの地域で老人クラブ活動が円滑に継続して実施されるよう、県としても支援を続けてまいります。  次に、高齢者の交通手段の確保についてお尋ねがございました。高齢化が進み、免許返納者が増加しております中、高齢者が住みなれた地域で安心して日常生活を送るためには、通院、買い物などの移動手段の充実確保が必要でございます。こうしたことから、市町村におきましては、コミュニティーバス、デマンド交通、福祉タクシーなど、それぞれの地域の実情に応じて高齢者の移動手段を確保するさまざまな取り組みを実施されております。また、県におきましては、高齢者の方々を初め県民の皆様の生活の交通の確保という観点から、国と連携をいたしまして、交通事業者に対して、路線バス維持のための運行経費に対する助成を行うとともに、コミュニティーバスの普及、充実に取り組まれる市町村に対しては、県独自でその運行経費や車両購入費に対する助成を実施しているところであります。さらに、広域地域振興圏域ごとに設置をしております地方創生市町村圏域会議、これを活用いたしまして、市町村域を越えたコミュニティーバスの広域運行、高齢者の自宅まで送迎するデマンド交通、住民ボランティアによる地域コミュニティー運送など、交通手段の多様化についても取り組んでいるところであります。今後とも、これらの取り組みを通じまして、高齢者の皆さんが通院や買い物といった日常生活を営む上で、より利用しやすい生活交通の充実強化を図ってまいります。 38 ◯副議長(畑中 茂広君) 中牟田伸二君。(拍手) *中牟田議員質問 39 ◯四十二番(中牟田 伸二君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の中牟田伸二です。通告に従い、コミュニティ・スクールについて質問いたします。現在まで多くの方が質問をしてこられた内容でありますが、近年、その効果が大きな進展が見られるように思いますので、あえて質問させていただきます。  コミュニティ・スクールとは、公立学校に、保護者や地域住民等を委員とする学校運営協議会を設置することにより、学校運営に家庭、地域の声を反映させる仕組みのことであります。現在、子供たちを取り巻く環境や、学校が抱える課題は複雑化、多様化している中、これらの課題を解決し、未来を担う子供たちを豊かに成長させるためには、学校だけではなく、家庭や地域と連携し、社会総がかりで子供たちを育てていくことが不可欠ではないかと思います。その実現のためには、どのような子供を育てていくのかということについて、学校と地域住民とがしっかりと考え、互いの力を結集して同じ方向に向かって力強く進んでいくことが何より重要であります。こんな学校づくり、地域づくりのためのコミュニティ・スクール制度の導入が大変有効であることは疑う余地はございません。  この制度は、平成十六年度に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律で法制化され、その後、法改正により、平成二十九年からはこの制度の導入が努力義務化されています。制度化された当初は、学校や教師にとっては、学校外の人から学校運営や教員人事に意見が出される制度であるため、教育委員会や学校から敬遠され、なかなか導入が広がらなかったと聞いています。しかしながら、各地でコミュニティ・スクールの制度が導入され、学校と地域との連携によるさまざまな取り組みが実践されるにつれ、学校が、地域住民の方々とともに子供たちを育てることが、子供たちに対する教育の質を向上させること、そしてさらには、学校の課題解決にも大きく寄与するという効果があることが明らかになってきたと思います。例えば、子供たちの登下校中の見守りや、各地域の危険と思われる場所の見守りなどの活動によって、子供の安全、非行防止、不審者等対策などの防犯を初め、安心して通える学校づくりが進められています。また、運動会などの学校行事や、日々の教育活動に地域の方々が運営のお手伝いをしたり、また住民の特技をもってゲストティーチャーとして授業を補助したりする支援によって、行事の円滑な実施や、より充実した教育が行えるようになります。さらには、そんな支援を受けることによって、教師がしっかりと子供と向き合える時間が持てる効果もあると考えられています。  このように、このコミュニティ・スクールによって、地域の力を得て学校教育を充実させることによって、ひいては、今、学校が抱えている課題、例えば、子供の学力向上や、いじめ問題、不登校などの課題が解決につながると考えられます。さらに、コミュニティ・スクールの制度の利点として、地域とともに学校づくりを進めることで、学校を核とした地域づくりが進み、地域の活性化が促されるという効果もあります。例えば、コミュニティ・スクールにかかわる地域住民の方々の学校運営における頑張りを見て、子育て世代の若い保護者や子供たち自身が、地域の活動や伝統行事に興味を持ったり、夏祭りや餅つきなどに多くの人が参加するようになるなど、地域活動に若い世代を取り込む仕組みにもできると思います。地域の活動を担う人材の不足や、高齢化が進み、コミュニティー自体が衰退していること、また若い世代での地域における人間関係の希薄化などが懸念されていますが、こういう時代だからこそ、地域づくり、そして地域の未来を担う子供たちをしっかり育てていくために、コミュニティ・スクールを積極的に導入し、運用していくことが、今の学校と自治体に求められているのではないかと強く思う次第であります。  そこで、教育長にお聞きいたします。まず、現在福岡県において、コミュニティ・スクールを導入する市町村は実際にふえているのか、全国の状況と比較して具体的に説明してください。  次に、私は、導入の意義がいまだ各自治体に十分に理解されていないのではないかということを危惧しているところでありますが、県教育委員会として、コミュニティ・スクールを導入することの意義について、どのように認識しているのかをお聞かせください。  また、学校づくり、地域づくりに関して、今日的な価値が認められるコミュニティ・スクールを本県に広げるために、県としてどのような取り組みを行ってきたのかをお聞きします。  加えて、今後、県内の導入状況を加速させるためには、県として、さらに効果的な啓発のあり方を考えるべきだと思いますけれども、このことについての教育長の考えをお聞きいたします。  以上で私の一般質問を終わります。(拍手) 40 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 *教育長答弁 41 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 コミュニティ・スクールの導入状況についてでございます。本県でコミュニティ・スクールを導入した市町村等の割合は毎年着実に増加をしておりまして、平成三十年四月現在の割合は四六・九%、この五年間で二倍以上の伸びとなっております。これは全国平均と比較いたしますと約一六ポイント多く、都道府県の中では十番目となっております。  コミュニティ・スクール導入の意義についてでございます。この仕組みを先進的に導入した春日市においては、学校と地域とが連携した教育活動が充実し、例えば、子供が地域行事等に積極的に参加することなどを通して地域への愛着や誇り、感謝の思いが育つとともに、保護者や地域の協働意識、参画意識が高まり、地域そのものの活性化にもつながっていると聞いております。このようにコミュニティ・スクールは、学校、保護者、地域住民が子供の育成のために目標やビジョンを共有し、それぞれが教育の当事者として協力し合うことにより、子供たちの学びを充実させる有効な仕組みであると認識しております。  コミュニティ・スクール導入促進の取り組みについてでございます。コミュニティ・スクール推進のため、これまで未導入の市町村教育委員会職員や学校の管理職を対象にした研修会を各地区で開催し、導入の意義や仕組みのあり方などについて啓発を行ってきたところでございます。今後は、新しい学習指導要領においても、社会に開かれた教育課程を理念とする教育活動が重視されていることから、学校と地域とが一体となった教育活動の重要性を広めるとともに、運営組織を見直しながら改善を進めている先進事例を具体的に紹介し、全県的な浸透を促してまいります。 42 ◯副議長(畑中 茂広君) 堤かなめ君。(拍手) *堤議員質問 43 ◯三十五番(堤 かなめ君)登壇 皆様、こんにちは。国民民主党県政クラブ県議団の堤かなめです。養育費の受給率向上について、知事に五点質問いたします。           〔畑中副議長退席 井上議長着席〕  養育費は、子供を育て教育するために必要な費用のことで、子供の健やかな成長に必要不可欠なものです。海外の研究によれば、養育費の受け取りは、子供の言語能力などの学習成果を向上させること、また子供の健康状態を改善することなどがわかっています。そのため、先進諸国の多くでは、行政が主体となり、子供と別居している親から養育費を受給できるよう支援しています。国立国会図書館の調査によれば、アメリカでは、行方不明になった親を行政が捜索したり、養育費の滞納者に運転免許の停止を行う制度があります。イギリスでは、給料から強制的に天引きするほか、不払いの場合、最長六週間の収監も可能です。フランスでは、税金の徴収官が養育費の取り立てを行うということです。また、北欧諸国では、国が養育費の立てかえ払いをすることなどにより、受給率はほぼ一〇〇%となっています。一方、日本では、養育費に関する国や行政の関与が極めて限定的であり、実際に養育費を受け取っている割合は、先進国の中で最低レベルであり、二五%にも満たない状況にあります。  そこで一点目に、知事は、養育費の重要性についてどのように認識されているのかお聞かせください。  二点目に、本県のひとり親世帯における養育費の取り決めや受給の状況についてお聞きします。  三点目に、二〇一一年の民法改正を機に、翌年度から、離婚届け出書に養育費の取り決めの有無のチェック欄が設けられ、さらに本年十月、法務省の法制審議会において、行政のより積極的な関与を可能とする要綱案がまとめられたと聞いていますが、これら養育費に関する国の近年の取り組みについて、知事はどのように評価しているのかお聞きします。  四点目に、本県における養育費相談の状況についてです。本県では、二〇〇三年に、ひとり親サポートセンターを春日市に、二〇〇八年には、その支所を飯塚と久留米に設置し、養育費に関する相談事業を行っており、今年度は、新規事業として、養育費一一〇番と弁護士相談クーポンの取り組みも開始しています。  そこで、これらのセンターにおける相談件数や相談内容についてお聞きします。  五点目に、県が作成した養育費に関する啓発動画の活用についてです。本県では、養育費への理解を広く啓発するため、二〇一八年八月に動画を作成し、NHKのテレビ番組でも紹介されたと聞いています。日本では、養育費に関する社会的関心が低いことが指摘されており、このような本県の取り組みは全国的に見ても画期的なものであると高く評価するものですが、今後、養育費に関する関心をもっと高めたり、養育費一一〇番などについて広く周知するため、どのようにこの動画を活用するのかお聞きします。  以上、子供たちへの知事の温かい思いに満ちた御答弁を期待し、降壇させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) 44 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 45 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  養育費の重要性でございますが、養育費は、お子さんが経済的、社会的に自立するまでに要する衣食住、教育、医療などに必要な経費でございまして、子供の健やかな成長にとって極めて重要なものである、このように認識いたしております。養育費の支払いは、子供に対して、別れた親が自分と同じ水準の生活を保障するという強い義務だというふうにされております。  ひとり親世帯における養育費の状況でございます。本県が一昨年度実施をいたしました、ひとり親世帯等実態調査、この結果によりますと、養育費の取り決めをしている母子世帯の割合が四四・〇%、これは父子世帯の場合は二三・五%とそれぞれなっております。また、現在、養育費を受給している割合でございますけれども、母子世帯が二三・八%、父子世帯が三・三%となっており、極めて低い状況にございます。  国の近年の取り組みに関する評価でございます。国のほうでは、平成二十三年、民法改正を行いまして、協議離婚の際に、養育費と面会交流を取り決めることが明文化をされ、平成二十四年四月から、離婚届に、取り決めの有無をチェックする欄が設けられたところであります。しかしながら、これは取り決めを義務づけるものではございませんで、取り決めがなくても離婚届が受理されますことから、必ずしも養育費の確保に効果を発揮しているとは言いがたい状況にあろうかと思います。また、現在、法務省の法制審議会におきましては、養育費の不払いで強制執行を行う際に、裁判所を通じて、相手方の銀行口座、預金残高、不動産などの情報を把握する新たな制度というのが検討されております。この制度が実現をいたしますれば、相手方の財産状況が不明であっても、裁判所を通じて得た情報で差し押さえが可能となりますことから、申立人による調査等の負担が軽減をされ、養育費の確保について、実効性が高まるものと考えております。  本県における養育費相談の状況でございます。本県におきましては、これまで、ひとり親サポートセンターにおいて、元夫から養育費が支払われずに困っている、養育費について取り決めをせずに離婚したけれども、どうしたらいいかといったような相談に対応してきておりまして、昨年度は二百十五件の相談がございました。また、養育費請求の調停申し立てなど法的な対応が必要な場合には、弁護士による無料法律相談も行っておりまして、昨年度のこの相談件数は九十九件になっております。今年度からは、新たに、弁護士による年四回の集中電話相談、養育費一一〇番や、相談者の都合のよい時間と場所で弁護士の相談が無料で受けられる弁護士相談クーポンというものを配布いたしまして、より相談しやすい体制をとったところであります。養育費一一〇番につきましては、これまで二回実施をいたしまして、四十五件の相談があり、弁護士相談クーポンは、十一月末現在で二十五枚配布をさせていただいているところでございます。  養育費に関する啓発動画の活用でございます。養育費の受給率向上を図るためには、まず、県民の皆様に養育費の取り決め、これを行うことが重要であることについて知っていただく必要がございます。このため、今回初めて、養育費に関する啓発動画「離れていてもパパとママ」、これを作成をいたしまして、県内全ての市町村にDVDを配付するとともに、県や市町村、県母子寡婦福祉連合会のホームページで配信をすることによりまして、ひとり親サポートセンターへの相談というものを促しているところであります。今後は、ひとり親サポートセンターや男女共同参画センターで実施をします研修会、イベント、市町村が行います児童扶養手当支給手続の会場におきまして、この動画を活用した啓発を行うとともに、県政出前講座などにおいてもこれを利用しながら、養育費の重要性について、県民の皆様に広くその周知を図ってまいります。 46 ◯議長(井上 順吾君) 堤かなめ君。 47 ◯三十五番(堤 かなめ君)登壇 知事より御答弁いただきました。  一点要望をさせていただきます。知事は、法制審議会の案に盛り込まれた、養育費の不払いで強制執行を行う際に、預貯金の残高などの財産情報を取得できる新しい制度について、実効性が高まるとの認識を示されました。確かに一定の効果はあると考えますが、この制度を使うには、強制執行に関する取り決めが定められた公正証書があること、あるいは家庭裁判所の調停や審判もしくは確定した判決があることなど、実際に利用するには、かなり高いハードルがあります。また、そもそも、預貯金を持たない、事前に預貯金を引き出して強制執行を免れるといった場合も含めると、現実には、どの程度有効性があるのか、疑問を持たざるを得ません。そのような中、兵庫県明石市の泉房穂市長は、先月、明石市養育費立替パイロット事業をスタートしました。これは、市が業務委託した保証会社が、養育費の取り決めをしたひとり親家庭との間で養育費保証契約を結び、養育費の不払いがあった場合には、同社がひとり親家庭に対し養育費の不払い分を立てかえて支払い、別居する親に対して立てかえ分を催促して回収するものです。初回の保証料は、上限五万円で市が負担します。この明石市の事業は、試行的な実施とはいえ、注目に値するものであると考えます。  ひとり親家庭の子供たちの多くが置かれている経済的に厳しい状況を打開するため、本県としても、この事業の展開に注視するとともに、国の取り組みを待つだけでなく、本県としても独自に、より有効な養育費の受給率向上策を考案し試行することなども御検討いただきますよう要望し、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。(拍手) 48 ◯議長(井上 順吾君) 板橋聡君。(拍手) *板橋議員質問
    49 ◯十九番(板橋 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。一般質問初日のトリを務めます自民党県議団の板橋聡です。通告に基づきまして、農業の観光資源化について質問をいたします。  本年八月、ラグビーワールドカップのジャパンプロモーションや農林水産省が進めるフードバリューチェーンの研究などを目的としてオーストラリアを視察しました。その中で、クイーンズランド州の州都ブリスベーンから車で三時間ほど離れたスタンソープという見渡すばかりの平野が広がる田舎町でイチゴ栽培の現場を訪問する機会を得ました。オーストラリアは日本以上の慢性的な人手不足で、特に農業分野は深刻な状況とのことです。そのため、オーストラリア政府はワーキングホリデービザに着目し、最初の一年間で三カ月農林水産業に従事すると、もう一年ビザが延長され、つい先月には、二年目に六カ月農林水産業に従事するとさらにもう一年、合計三年滞在期間が延長できるような制度変更をしました。州都ブリスベーンから遠く離れた、観光とは全く無縁と思われる田舎町のスタンソープでも、農繁期になると先進国からワーキングホリデーでオーストラリアを周遊する若者が続々と集まってきて、ルームシェアをしながら数カ月滞在し、イチゴのピッキングやパッキングの作業を行いながら、農村地域の異文化体験を楽しんでいるそうです。  一方、日本では、京都の非農家であった喜多氏が、荒廃した茶畑を借り、茶の生産から販売までを行う、おぶぶ茶苑合同会社を設立、二〇一六年から会社内に、トラベル京都ティーツーリズム支店を設置して、国内外の観光客に宇治茶の歴史を説明、茶畑見学やお茶のテースティングなどを提供し、参加者は二年足らずで通算千人を超える人気アクティビティーとなっております。注目すべきはその体験料。何と四時間コースで一万二千円、滞在型の十二日間コースでは三十万五千円だそうです。  東京在住の友人が福岡に来て、あした一日、あるいは半日暇なんだけど、どこに行くのがお勧めかと言われると困惑する自分がいます。福岡県はもっともっと観光資源の磨き上げ、発掘が必要なのは間違いありません。今回知事が政治生命を賭して取り組まれている宿泊税の問題において、あれだけ福岡市が強気に出られるのも、結局福岡市以外で福岡県に行くとこあるのかという上から目線の裏返しでもあり、地方の若者を吸い上げ繁栄を謳歌する福岡市が、宿泊税も市単独で課税しようとする姿勢は、おまえの物は俺の物、俺の物は俺の物というジャイアニズムを感じずにいられません。しかしながら、県下全域が福岡市になることは不可能です。県が観光の広域性を実現するためには、所有では得られない体験や思い出、人間関係に価値を見い出す事消費を県下あまねく仕掛けていかなければ活路は見出せません。その視点から、農業文化、食文化を体験することで日本ファンになり、リピーター効果も期待でき、県下に広くポテンシャルを秘めたグリーンツーリズム、アグリツーリズムが打開策となり得ると期待をして、今回、農業の観光資源化をテーマに質問させていただきます。  知事は我が会派の代表質問で、宿泊税によって得られる財源を活用した施策について、DMO設立支援を挙げていらっしゃいましたが、具体的にどうやって地方のDMOが観光で稼ぐのか、また欧米豪からのインバウンド誘客とおっしゃいますけれども、それをどうやって県内全域に周遊してもらうのか、具体的な構想がなければ絵に描いた餅です。  そこで質問です。県内津々浦々にポテンシャルがある農林水産業を観光資源化し、磨き上げることができれば、宿泊税の効果をスピード感を持って県全域で共有し、知事がおっしゃるとおり観光行政が広域性を有するようになるのではないでしょうか。知事の所見をお聞かせください。  農業を観光資源化していくためには、地域のJA、観光協会の連携が肝となりますが、それぞれ独立した組織であり、県においてもJAは農林水産部、観光協会は商工部が所管をしており、グリーンツーリズムの立ち上げに向けて緊密な連携がとりにくい状況です。  そこで知事に質問です。地域において農業をつかさどるJAと観光をつかさどる観光協会が、地域の強みを把握して、農業の観光資源化の必要性を認識しタッグが組めるよう県は働きかけを行い、農業の観光資源化を進めていくべきと考えます。また、将来的にはそれぞれの地域で観光資源化された農業体験をつなぎ、福岡に行けば一年中農業体験ができるように希望者と地域のマッチングをするなど、県として主体的にグリーンツーリズムの広域化に関与する必要があります。そのためには、県においても商工部と農林水産部の連携が不可欠と考えます。この二つの連携をどのように進めていくのか、知事の所見をお聞かせください。  ところで、県内では朝倉地域がいち早くグリーンツーリズムに取り組み、先進地域と呼べるような実績と経験をお持ちだと聞いております。  そこで知事に質問です。朝倉地域のグリーンツーリズムの現状、課題についてお聞かせください。  知事は以前、観光振興策について問われると、ワンモア福岡、すなわち福岡でもう一カ所、もう一食、もう一泊とおっしゃっていましたね。最近はとんと聞きませんが。このワンモア福岡の考え方は、県内最大の宿泊者数を誇る福岡市に訪れた観光客に、もう一カ所、もう一食、もう一泊県内のどこかでしてほしい、具体的にはオプションツアーでワンモア、つまり柳川で川下りをしてもらう、太宰府天満宮に来てもらう、イチゴ狩りをしてもらう、そんなイメージじゃないかと思います。これでは観光の主体となる福岡市が宿泊税問題で強気になるのも仕方ありません。今回私がグリーンツーリズムをテーマにしたのは、観光における主従関係に変化を生み、選択の幅を広げたいとの思いからです。例えば、グリーンツーリズムで筑後地方で一週間滞在し、オプションツアーで一日は福岡市内に行って買い物をする、野球を見る、屋台を体験するような新しい福岡の楽しみ方を生み出していくべきですし、そういうビジネスモデルの確立なくしてはDMOもどうやって地方が観光で稼ぐか頭を抱えるばかりではないでしょうか。  そこで知事に質問です。朝倉地域に芽吹いているグリーンツーリズムを、県内津々浦々で取り組んでいけるようにするためには、国内外の先進事例を研究し福岡に適したビジネスモデルをつくり上げる必要があります。それをもとに、まずは県内数カ所でパイロットモデル地区を設定し、福岡県でも地域に滞在し、農業、日本文化、日本の生活、食を楽しみ、体験する、そしてその滞在と体験で地域が稼ぐことができるような先進事例をつくり上げ、徐々にその範囲を広げていくことが近道だと考えますが、知事の所見をお聞かせください。  宿泊税の問題が私の地元でもよく話題に上ります。多くの県民の皆さんは、新たな財源による観光振興策に大きな期待を寄せています。知事にはその期待を裏切ることがないような答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手) 50 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 51 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず、農業の観光資源化でございます。本県は、自動車とか半導体とか製造業が盛んでございますが、一方で、全国有数の農業県でございます。その生産地を訪れ、農業者と交流をしたり、農産物の収穫体験を行うことは、本県の魅力的な観光資源として大いに活用できるものと考えております。昨年七月に策定いたしました私どもの観光振興指針の中では、魅力ある県産の食を体験できる観光ルートの開発及び提案、外国人観光客に向けた観光農園、農業体験を観光資源として確立していくことへの取り組みについて書かせていただいております。県におきましては、農業者と連携した体験プログラムの開発、農業体験を含む体験プログラムの県観光ホームページでの情報発信、またその体験プログラムの旅行会社への情報提供などに取り組み、農業体験を活用した誘客というものを促しているところであります。今後は、農業体験と地域のさまざまな観光資源を組み合わせ、こうした観光資源を目的にその地域を訪れ、滞在し、これらの観光資源をめぐり、また体験をする方がふえるよう取り組んでまいります。  次に、農業の観光資源化に向けた商工部と農林水産部との連携でございます。県内各地域の観光振興を図っていくためには、市町村、観光協会、JAなどさまざまな関係者が協力をし、地域の特色を生かしながらそれぞれの観光地づくりを進めていく必要がございます。そのため、農林水産部におきましては、農業体験に取り組んでおられる農業者の情報に加えまして、JAや市町村に働きかけ、今後、農業体験に取り組む意向のある意欲的な農業者あるいはJAの部会、これらについての情報を収集をしてまいります。その上で、このような情報を商工部におきましては、地域の観光協会に提供し、県、市町村、JA、農業者、観光協会が連携をいたしまして、農業体験を地域の観光資源として磨き上げ、その体験プログラムを広域的につないでいくことによりまして、その当該地域への誘客につなげていきたいと、このように考えております。  次に、朝倉地域のグリーンツーリズムの現状と課題でございます。グリーンツーリズムは、訪れられた方たちに農業、農村のすばらしさを体験をしていただくだけではなく、地元住民が農業や地域の魅力をみずから再確認することを通じまして、地域の活性化にもつなげていく重要な取り組みでございます。県内でも有数の農業地域でございます朝倉地域でございますけれども、平成二十二年に朝倉グリーンツーリズム協議会が設立をされまして、農家民泊や農業体験と小石原焼など伝統工芸の体験、大刀洗の平和記念館での平和学習などを組み合わせた体験プログラムを作成をし、小中学校の修学旅行を積極的に受け入れておられます。県、朝倉市、筑前町、東峰村で構成をしております朝倉地域広域連携プロジェクト推進会議におきましては、この取り組みを推進するため、協議会と連携をし、体験プログラムを紹介するパンフレットの作成、県内外の旅行会社や小中学校への誘致活動、受け入れ家庭の募集や研修会などを行ってきているところであります。こうした取り組みの結果、平成二十九年度には、登録家庭が百四十軒にまでふえ、七校、九百五十四名の修学旅行生を受け入れるまでに至りました。この朝倉地域におきましては、九州北部豪雨の影響や高齢化の進行によりまして受け入れ家庭が減少し、ニーズに対応できなくなることが懸念されておりますことから、県といたしましては、地元市町村と連携をし、受け入れ家庭の拡大、新たな体験プログラムの掘り起こしなど、さらなる支援を行っていく考えでございます。  農業体験による滞在型観光のパイロットモデルの構築についてお尋ねがございました。先ほど申し上げましたとおり、朝倉グリーンツーリズム協議会の取り組みというのは、農村への滞在、農業体験と地域の特色を生かしたさまざまな観光資源を組み合わせ、年間を通した誘客につなげておられます。こうした取り組みを他の地域に広げていくことによりまして、県内の農村地域への誘客を促し、観光消費を伸ばすことにつながっていくと、このように考えております。グリーンツーリズムの取り組みを進めていくためには、宿泊施設の準備、農業体験と地域の観光資源とを組み合わせたプログラムづくり、二次交通の確保、インバウンドの受け入れ態勢の充実など、地域の観光協会とJAそして地元市町村が連携して検討していかなければならない課題が多くあります。まずは、朝倉グリーンツーリズム協議会や安心院町のグリーンツーリズム研究会を初めとした国内外の先進的な取り組み事例につきまして、市町村、JA、観光協会など関係者に対しまして、その情報提供を行ってまいります。あわせて、こうした方々と意見交換を行いながら、県内のグリーンツーリズムに関心を持つ地域の掘り起こし、地域における課題の抽出など具体的な検討を進めていきたいと考えております。例えば、現在県内では、柳川市観光協会、みやま市観光協会が農業体験と、柳川の川下りや、みやま・清水山オルレなど地域の観光資源を組み合わせたプログラムづくりを検討されておられます。県におきましては、今後、両協会にグリーンツーリズムに取り組むことを提案をしていきたいと思っております。こうした取り組みを県内でモデル的に進めていくことによりまして、農業を観光資源として活用した観光振興、この輪を広げていきたいと、このように考えております。 52 ◯議長(井上 順吾君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時 五十三分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...