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平成30年12月定例会(第5日) 本文
平成30年12月定例会(第5日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2018-12-05
    平成30年12月定例会(第5日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井上 順吾君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。吉松源昭君。(拍手) *吉松議員質問 2 ◯五十五番(吉松 源昭君)登壇 自民党県議団の吉松源昭でございます。二月議会に引き続き、一年に二回も登壇させていただくと、私も全く想定していない事態でありますけれども、その機会をいただきました自民党県議団同志の皆様方に心から感謝を申し上げるとともに、しっかりやれという皆さん方の期待をしっかりと背負って代表質問させていただきたいと思います。知事におかれましては、しっかりと答弁いただきますように、まず要望しておきます。  それでは、代表質問に入ります。  まず最初に、福岡県政にとって当面する最大の政治課題とも言うべき宿泊税問題について小川知事の政治姿勢として問いただします。先月十六日、第四回福岡県観光振興財源検討会議が開催され、同会議の神野直彦委員長から小川知事に対し、本県の観光のさらなる振興のための施策を実現するために必要な財源確保策として、宿泊税の導入が適当とする旨を提言した報告書が提出されました。この宿泊税の本県における議論のスタートは、一昨年十月に議員提案により制定された観光王国九州とともに輝く福岡県観光振興条例の第十二条において、「知事は、観光振興に関する施策を安定的かつ継続的に実施するため、新たな税制を含めた財源に関する検討を進め……その確保に取り組むものとする。」との規定が設けられたことにさかのぼります。この条例の制定を受け、執行部において本県の観光の課題や施策の方向性などの検討が進められ、昨年七月、福岡県観光振興指針が策定され、この中で、観光施策の推進に必要な財源について、税や寄附などを含め、研究を行う旨が明記されました。その後、国においても新たな財源確保等の検討が進められ、昨年十二月、国際観光旅客税の導入方針が決定されましたが、我々地方が求めた観光振興のために自由に使える地方譲与税としての配分は、遺憾ながら認められなかったようであります。こうしたことから、県では、県独自の安定的な財源の確保を図るため、ことし七月に有識者から成る福岡県観光振興財源検討会議を設置、その後五カ月間にわたり、新たな税制を含めた財源についての検討が広い角度から進められ、先月の報告書の提出に至ったものと理解しているところであります。  この報告書にある宿泊税は、地方税法第七百三十一条に規定されている法定外目的税に当たるものと思料します。法定外目的税とは、地方公共団体が、特定の目的や事業の経費とするため、地方税法で定められている税目以外の税目を条例で定め、賦課することができる税であります。もともと地方公共団体には、地方税の税目や税率設定などについて自主的に決定し課税することができる、いわゆる課税自主権が認められていますが、法定外目的税の新設に当たっては、地方税法第七百三十一条第二項の規定により、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならないこととなっています。要するに、条例可決後に総務大臣に対して同意を得るための協議を行うことが必要となります。そして、その同意要件は同じく地方税法に定めがあり、国税又は他の地方税と課税標準を同じくし、かつ、住民の負担が著しく過重とならないことなどの条件をクリアする必要があるとされているのであります。  そこで知事にお尋ねします。まず、宿泊税導入の提言を受け、現在検討されている制度設計の中身について、具体的に説明願います。  そして、この宿泊税によって得られる財源をどのような施策に活用しようとしているのか、御説明ください。  ところで、法定外目的税は、都道府県だけでなく、基礎自治体である市町村にも課税権が認められています。現在、福岡市においても独自に宿泊税導入の検討が進められています。そこで、これまでにもこの本会議を初めさまざまな場で再三論議されてきたところですが、このままでは県と市の双方が課税することとなるため、住民の負担が著しく過重となるようであれば、総務大臣の同意が得られないおそれがあります。このため、我々はさきの九月県議会で知事に、その政治生命や出処進退をかけて解決すべき重大案件として厳しく問いただしたわけであります。私どもは、観光の広域性というものを考えたとき、その振興に必要な財源である宿泊税は、まずは基本的に広域行政を担う県が確保すべきと考えます。知事は、この問題の解決に向け、先月一日に福岡市の高島市長と会談し、実務者同士で協議する方針を確認されたと伺っています。しかしながら、報道によりますと、このトップ会談の際、市長から、宿泊税だけでなく、子供医療費森林環境税といった問題についても包括的に協議したいとの申し出があり、その後、この取り扱いについて、県と市の間の認識に大きなそごが生じているために、実務者協議に関する調整が難航しているとのことです。私は、宿泊税とそのほかの項目は内容的に全く無関係なものであり、そもそもこうした性格の異なる項目を包括的に議論することには、かなりの無理を生じ、本来はあり得ないとは考えますが、一方、政治は生き物であります。原則論、セオリーだけでは通じないものがあることも、また厳然たる事実です。  そこで、このトップ会談のときの状況はどうだったのか、まずお聞かせください。  次に、トップ会談から既に一カ月以上が経過しましたが、実務者同士の協議が進展しているとの報道はいまだありません。知事、お忘れではないでしょう。我々がさきの九月県議会、当面する県政の最大課題の一つとして、この宿泊税問題を取り上げ、知事の政治生命を賭し、出処進退をかけた問題としてただしたわけであります。その際、知事は何と答弁され、県民にどのようなことを約束されましたか。改めてトップ会談後、県と福岡市との間でいかなる調整が行われ、現在どういう状況にあるのか、御説明ください。  あわせて、もしこのまま実務者同士での協議が進まない場合、知事はこれまでの言明どおり出処進退を明らかにされるものと考えますが、いかがでしょうか。単刀直入、明確に所信をお示しください。  次に、知事の政治姿勢として、もう一点厳しくただしておきます。県は、さきに四日付で、企業局職員の全く前代未聞とも言うべき事案を内容とした懲戒免職処分を発表されています。この職員は、もともと十五年半にわたって、母親が生活保護を受けていたことを隠して総額約百四十二万円の扶養手当を違法に受け取り、県が返納を求めていたようですが、この件とは別に、この職員は本業の県職員としての勤務とは別に訪問介護サービス事業所訪問介護職員として、実の親の介護に従事したとして、平成二十六年からことし三月までの間、介護サービス記録を改ざんし、月額約十六万円の報酬を得ていたという、公務員としてまことに驚くべき、かつ、あるまじき行為を繰り返していたことが明るみになり、免職処分が発表されたと聞いています。正式の手続をとったものであれば、公務員の兼職が全面的に禁止されているわけではないでしょうが、この県職員のように訪問介護サービス事業所と契約し、訪問介護員として訪問介護サービス事業に従事、その介護サービスの対象が実の母親などという事案が見逃されていたということは、まさに前代未聞の出来事ではないでしょうか。深い怒りを覚えるところであり、我々が再三再四、職員の不祥事防止をこの議会で論議を深めていたことが一体何だったのか、むなしさを感じてなりません。  そこで知事にただします。この職員に関しては、早くに外部から通報などで違法行為の指摘があっていたと伝えられていますが、なぜ放置されていたのか。  一体知事がこの職員の不法行為について報告を受けたのはいつなのか、その時点でなぜ迅速に対応されなかったのか。  この職員は昨年、六十歳で企業局に再任用されていますが、その際、何ら問題の事実をつかみ得なかったのか。  知事には、さきの決算委員会で、これまでの相次いだ職員不祥事で政治生命を賭して再発防止に努めるべきと訴えいたしましたが、事ここに至っては、明確にその責任を果たす時期に至ったと判断しますが、見解をお示しください。  次に、福岡空港の運営会社に対する県としての出資についてお聞きします。福岡空港の民間委託につきましては、県議会本会議や関係常任委員会調査特別委員会などにおいて民間委託の是非、民間委託する際の条件、また福岡空港と北九州空港という二つの空港を抱える本県の空港政策に対する基本的な考え方などについて我々も真摯に議論を行ってきました。平成二十六年十一月には、安全性の確保を大前提とし、福岡県の空港の将来構想の実現に係る協力、地域の意向を空港運営に反映させる仕組み、空港周辺地域との共生や環境対策の充実などを民間委託の条件とした地元の意見を国に提出しました。こうした結果、平成二十九年三月には地元の意見が反映された民間委託の実施方針が、そして五月には募集要項が国から公表され、本年五月、いわゆる地元連合と呼ばれる福岡エアポートホールディングスグループ優先交渉権者として選定されました。さらに、八月には優先交渉権者が設立した空港運営会社である福岡国際空港株式会社が国と実施契約を締結、十一月には空港ビル運営事業が先行して開始されるなど、来年四月からの民間委託開始のための手続、準備が着々と進められていると聞き及んでいます。こうした経緯もあってか県は、八月に優先交渉権者構成員と出資・役員派遣契約を締結、募集要項で認められた同社に対する一〇%を上限とした出資と、県からの非常勤取締役派遣受け入れについて確認した上で、その上限である一〇%の出資金三十五億七千万円が、今議会の補正予算案として提出されています。  そこで、改めて知事にお尋ねします。県が福岡空港の運営会社に対し出資を行い経営参画する目的と、出資の割合を一〇%とした理由、いわば根拠について、まず見解をお示しください。
     そもそも福岡空港の民間委託の目的は、国が示した実施方針や募集要項、国と運営会社との実施契約などによれば、空港の活性化を核として、空港や空港周辺地域の振興、発展に貢献し、もって内外交流人口拡大などによる地域活性化、地域の振興、発展を図ること、さらには、福岡空港の周辺地域が市街化されており、周辺環境に引き続き配慮しつつ、戦略的な路線誘致や効率化により利用者の利便性を向上させることなどとされています。  そこで、福岡空港の運営を担う空港運営会社は、こういった事業の背景を十分理解し、自社の利益だけに走らず、地域の実情などに十分配慮した上で、事業で得た利益が地域にも還元されるような運営を心がけていくべきであります。その上で、広域自治体である県は出資者として、このような運営が常になされているかどうかについてのチェック機能を確実に果たしていかなければならないことは言うまでもありません。  福岡空港においては、今後三十年にわたり民間による空港運営が行われますが、県と空港運営会社がどのように連携を進めていくのか、知事の考え、そして決意をお聞きします。  次に、障がい者福祉について知事の見解をただしてまいります。国の省庁による障がい者雇用の水増し問題が、やがて全国の自治体にも波及した中、本県では法の趣旨が堅持され、二・五%とされる法定雇用率を上回る雇用率が達成されていたことにつきましては、まずは本県の努力に一定の評価を与えておきたいと思います。しかしながら、肝心の障害者差別解消法が施行されてはや二年半、我が会派の代表質問により日の目を見ることとなった障がい者差別解消推進条例が施行されて一年余りが経過しました。この間、障がい者差別の実態が時折報道されるようになりましたが、県民の関心は依然低いものがあると感じています。障がい者を差別してはならないということを理解しているつもりの人でも、その対応について普通に思い浮かべるイメージは、段差をなくす、建物にエレベーターを設置する、イベントで手話通訳をつけるということなどではないでしょうか。これは、障がいはそれを持つ個々人の問題であり、そのハンディキャップを解消することによって、問題を解決しようとする考え方であります。  しかし、法律なり県条例の考え方はそうではありません。ちなみに、条例第二条、定義の条文では、一項三号、社会的障壁について、「日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念」云々と書かれています。段差は事物の範疇であり、これは先ほど申し上げた個々人のハンディキャップ解消にとどまる課題です。一方で、制度や慣行、文化、観念などが意味するものは、障がい者、健常者を問わず我々が暮らしている社会環境そのものであります。ここに障がい者差別のない社会に行き着くための長いトンネルが横たわっているのであります。身の回りの社会環境こそが障害であり、それを取り除いたり、改善していこうという条例の趣旨を理解している県民がどれだけおられるでしょうか。たとえ理解しているつもりでも、無意識に障がい者差別を引き起こしている実態は多々あることでしょう。  そこで小川知事の所見をお伺いしたいと思います。通り一遍のシンポジウムや単発の講演会を開催することで理解が広まるとは到底思えません。条例の理解促進のため、これまでどのような取り組みをされてきたのでしょうか、答弁を求めます。  また、条例施行後今日までの間に、障がい者差別に関し実際にどのような相談が寄せられているでしょうか。相談内容や件数、対応経過などについて具体的にお答え願います。  障がい者差別を解消していくためには、粘り強く条例の考え方を説明し、理解を求め、社会を変えていくことが求められます。まさに社会運動であります。来年度以降も、この条例の周知、啓発はもとより障がい者差別のない社会づくりのため、ぜひとも積極的な取り組み及びそのための予算措置を継続していくべきだと考えます。小川知事の考えをお示しください。  次に、障がい者就労施設からの優先調達の状況についてであります。これは目に見える障がい者福祉政策の一つの例ですが、まごころ製品の購入に関し、我々県議会としても、これまで並々ならぬ協力をしてまいったと自負いたしております。  そこで小川知事にお尋ねします。いわゆる障害者優先調達法が施行されて五年が経過しました。県では年度終了後、毎年、優先調達の実績について公表されております。ホームページには平成二十九年度の調達実績が、過去最高で全国四位という誇らしげな文字が躍っていました。  まずは、この五年間の調達目標及びその考え方、調達実績及びその内訳についてお答え願います。  あわせて、優先調達の実効を上げるため、どのような取り組みをされてきたのか、そのあたりの状況についてもお答え願います。  さて、今回私が特に問題意識を持っておりますのは、随意契約の活用についてであります。県で公表されている優先調達方針では、地方自治法施行令第百六十七条の二第一項第三号の規定に基づく随意契約を積極的に活用することと定められています。この条文は障がい者支援施設シルバー人材センター母子福祉団体など政策的に保護支援すべき団体については、一般競争入札の例外として随意契約を認めるというものであります。金額の上限もありません。また、契約金額が少額により随意契約が認められるものについては、見積書提出者の中に、障がい者就労施設を一者以上含めるよう努めることという規定もあります。  そこで小川知事にお伺いいたします。先ほどただしました優先調達実績の中に、こうした随意契約活用方針による実績が、各年度、何件、幾らあったのかお答え願います。あわせて、その結果について、知事としてどう評価しているかについてもお答えください。  五、六年前の包括外部監査による指摘を踏まえ、県では委託契約のあり方を大幅に見直し、結果、随意契約が大幅に減ったと伺っております。個々の事情はしんしゃくせずに、とにかくあつものに懲りてなますを吹く役人かたぎにより、障がい者施設からの優先調達に悪影響が及んでいないのか、懸念されるところです。法制度により、随意契約の道が開かれているわけでありますから、外部監査人の指摘にかかわらず法や条例の意を酌み積極的に随意契約を活用すべきと思います。小川知事が本領を発揮され、条例本来の趣旨に沿った随意契約の活用による優先調達のさらなる拡大に向けた決意を強く求め、知事の見解をお尋ねします。  次に、いわゆる買い物弱者と呼ばれる生活弱者を支援するための県の施策についてただします。今回、我が会派として改めて取り上げましたのは、依然として、この買い物弱者対策に進展が見られず、本県における買い物弱者対策が関係する部局がそれぞれ十分な課題意識を持って取り組んでいるのか、また、これまで講じてきた対策はどのような成果を上げており、今後どう展開していくことで、この問題を解決に導き、県民生活の向上につなげていこうとされているのかを知るためにも、改めて知事の見解をただしたいためであります。  まず、知事にお尋ねします。本県にいわゆる買い物弱者と言われる方々がどれくらいおられるのか、直近の状況を把握されておられますか。一昨年の六月議会で知事は、数は把握していないが、経産省の調査結果から推計して約二十七万人存在するとの見解を示されていますが、県が現在行っているさまざまな施策は、この数字をベースに組み立てておられるのでしょうか、それとも県としての数を確認し対策を進めようとされているのか、実績をお示しください。  この問題は、複数の部局にまたがる典型的問題であり、それぞれが連携して事に当たる必要があることは言うまでもありません。このような場合、通常、どこかの部局が第一義的な所管課となり、内容に応じて関係部署との連絡調整を行いながら施策を進めていくというのが一般的なやり方だと理解しています。その上で、関連する部局が、それぞれみずからの課題であるという認識を持って、所管部である保健医療介護部と協力することが大事ではないかと思いますが、いかがでしょうか。見解をお示しください。  買い物弱者の問題は、医療や介護と比べ、生命に直結する深刻な問題と捉えにくく、公的な支援制度の整備も不十分です。したがって、買い物弱者の問題に対する県のスタンスは、前知事時代も含め、過去の議会答弁からうかがい知るところでは、基本的には地域で、市町村や地域のいろいろな民間団体、事業者などなどに地域の実情に合わせて支援を行ってもらい、県は事業に取り組む市町村に対して助成するというものだと理解しています。このスタンスは現在も変わりはないのでしょうか。問題の解決は、第一義的には市町村が担い、県は市町村を下支えするというスタンスから、もう一歩踏み出して、市町村とともに事に当たるという積極的な姿勢を見せていただきたいと思います。知事のお考えをお聞かせください。  買い物弱者対策事業は、地域の実情や市町村やNPO、民間事業者の創意工夫により、さまざまな事業が実施されていると承知しています。知事は、これら先進的な事業の成功モデルを研究し、広く紹介していくと答弁されています。県が成功モデルとして紹介した結果、新たに事業参入した事例がどれくらいあるのか、お答えください。  また、関連しますが、買い物弱者の実態は市町村によってさまざまであろうと想像します。福岡県ではこの買い物弱者対策については、当面市町村が中心主体となり、県はそれをバックアップするという基本姿勢を崩さないのであれば、市町村に対して、本当に役立つ情報を提供することや市町村の状況に応じた適切な助言を行うことが県の重要な役割であろうと思います。事例の紹介を行う以上、成功のポイントはどこにあるのか、異なる状況に置かれている他の地域で成功するための留意点などもあわせ紹介しなければ、有用な事例紹介にはなりません。買い物弱者については、国においても統一的な基準がなく、支援の対象も確立していないため、有効な対策を講じていくためには、それぞれの地域が置かれている実態をまず把握するための調査をしっかりと行うことが言うまでもなく必要であります。市町村や関係機関と連携して実態調査を行い、それによって得られたデータに基づいて、広域的な観点からの県の対応を検討するとともに、市町村の取り組みを支援し、市町村の実態に応じた適切な情報提供を行うべきと考えます。地域ごとに、具体的に誰が、どこで、どのように困っているのか、また、そのような方がどのくらい存在するのかといった現状を把握せずして、有効な施策展開や市町村に対する適切な助言を行うことが果たして可能でしょうか。到底、そのようには判断しがたいものがあります。現状について、経産省の調査をもとにした推計のみで事業を考えるのではなく、市町村と協力して、まず県内六十市町村それぞれの実態を把握するための調査を実施すべきと思います。知事のお考えをお聞かせください。  全国の先進的な事例を持つ市町村に照会しただけでは、その情報を十分に生かすことができない市町村も少なくありません。そのような市町村にとって、単なる情報提供では、対策を進めていく上で何のありがたみもありません。具体的に、それぞれの市町村の実情に合うように活用の方法まで含めたところで助言して初めて意味のある助言となるのではないでしょうか。  また、広域的な連携会議で市町村の方々と意見を闘わせる場合に、議論の相手となる市町村の現状を把握し理解した上で、適切な処方箋を示すことこそが県の最大の役割ではないでしょうか。県内のさまざまな地域で顕在化している買い物弱者に対する支援である以上、市町村が取り組むために必要な財政的な支援を行うだけでなく、あわせて広域的、専門的な調査研究を市町村と連携して行うことこそが県の役割だと思います。知事の見解をお示しください。  次に、現在行われている買い物弱者対策についてお尋ねします。買い物弱者問題へのアプローチは大きく分けて三つに分けられます。一つに買い物弱者をお店まで運んでいく、二つにお店を買い物弱者の住まいの近くまで呼ぶ、三つに商店空白地域をなくしていくといった対応です。  そこで知事にお尋ねします。このような観点から県内市町村が行っている買い物弱者対策事業には、どのような事業があるのか、そして、それらの事業に対して県はどの程度関与しているのか、またしていこうと考えているのか、あわせてお答えください。  最後に、買い物弱者問題解決フロントランナーとして活動している民間事業者に対する知事の評価をお尋ねします。知事は、移動スーパーとくし丸という名をお聞きになったことがおありでしょうか。このとくし丸は、その名の示すとおり、二〇一二年に徳島県の山間部で事業開始し、わずか六年余りで対象地域を四十三都道府県に広げ、稼働する移動販売車も三百台を超える急成長を遂げている会社です。その事業活動について個別に詳しく述べることは避けますが、総務省の統計では、移動販売の七割が実質的な赤字となり、金銭的な援助や人的援助なしで事業継続をしていくことが困難な状況に置かれているそうです。このような厳しい状況において、補助金なしに急成長を遂げる同社の事業は、まさに研究に値する成功モデルではないでしょうか。この事業を立ち上げた企業の経営者は、補助金は要らない、むしろ規制緩和を望む。いろいろな挑戦をしたくても、法律の壁に阻まれて断念せざるを得ないと言われているようです。食品を扱うために保健所の許可を初め多くの規制がしかれており、クリアするために冷凍庫をつけるなど車両整備にコストがかかるなど大変なようです。そこで望むことは、地域の問題を解決するためのアイデアに法律が壁となって立ち塞がるならば、地域の先兵として、県が先頭に立ってその壁に穴をあけるべく国に物申すべきだと思います。全国知事会が闘う知事会として地方分権を推進したのは遠い昔の話ではありません。福岡の知事として、地方の総意を代表し、その責任のもとに国に対して物を申す責任感と気概をお持ちかどうか、知事の覚悟をお聞かせください。  次に、ブロック塀の安全対策のその後についてお聞きします。本年六月に発生した大阪府北部地震において、小学校のブロック塀が倒壊し、登校中の児童が犠牲になるという痛ましい事故が発生しました。これを受け、我が会派議員が六月の定例県議会で質問した本県のブロック塀の安全対策について、知事は、小学校及び中学校の通学路の安全点検を早急に行い、改善を要する所有者への指導に取り組むと答弁されました。その後、九月の補正予算において、県立学校など県有施設のブロック塀の撤去、改修などの安全対策費を確保するとともに、民間の危険なブロック塀の撤去費に対する市町村への助成制度を創設するため、必要な予算を可決したところです。一方、国交省では、避難路沿道などにあるブロック塀などの所有者に対し、耐震診断の義務づけが可能となる制度改正とあわせて、その改修や撤去の支援策が検討されているとも聞いております。  学校施設や県有施設、小中学校の通学路沿いの既存ブロック塀の点検はどのように行ったのか、点検箇所の数及びその結果はどうだったのか、その後の対応とあわせて、知事及び教育長にお伺いします。  また、今般創設した民間の危険なブロック塀の撤去費に対する市町村への助成制度について、取り組み状況をお伺いします。  次に、農政問題に移ります。まずは国際貿易交渉についてです。既に御承知のように、今月三十日にはTPPイレブンが発効され、来年二月には日・EU・EPAの発効も確実視されており、来年には関税削減や無関税輸入枠などにより安い外国産の農林水産物が市場に出回ることになります。中でも我が国の牛肉輸入量の約半数を占める豪州産の関税率は、さきに締結した日豪EPAにより段階的に削減が始まっておりますが、TPPイレブンの発効により来年四月以降はより低い関税率が適用され、さらなる輸入増加が懸念されております。一方、協定では輸入が急増した際に国内産業を保護するため、一時的に高い関税をかけるセーフガードが設けられておりますが、TPPイレブンでは米国の復帰を前提としていることから、発動基準数量の見直しが行われておらず、豪州などの輸入が急増しても機能しないとの指摘もあります。その上、米国との間では、年明けから日米物品貿易協定の協議が始まるとのことですが、TPPを超える市場開放を求めてくるのは確実であります。TPPを超える市場開放など断じて認められるものではなく、政府は毅然とした態度で交渉に挑んでいただきたい。  一方、国内に目を向けてみると、和牛の子牛価格は二十六年度に六十万円程度であったものが、二十八年度には八十万円を超え、現在も七十五万円程度で推移しております。これにより肥育農家の経営は生産コストが粗収益を上回る状況となっており、畜産のセーフティーネット、肉用牛肥育経営安定特別対策事業、俗に言う牛マルキンが発動していると聞いております。我が会派は、これまでも本県農林水産業の競争力強化について繰り返し訴えてきたところでありますが、協定発効が目前に迫り、特に牛肉を初めとする畜産業が本当に国際競争の中で生き残っていけるのか、大変危惧しているところであります。本県畜産業の振興について、どのように取り組んでいくのかお答え願います。  次に、水田農業問題に若干言及しておきます。TPPイレブンでは豪州に対し八千四百トンの米の無関税輸入枠が新たに設けられますが、この輸入米が国内の米価に影響を与えないよう、増加する輸入量に相当する国産米を国が備蓄米として買い入れることとなっております。農家の皆さんは、米の需要量の減少に合わせ毎年作付を減らしており、そういった中、米を輸入すること自体、農家にとっては耐えがたいことであります。このような中、米の需給調整は本年産から大きく変わり、国主体から生産者、産地主体に移行しました。各生産者や産地の経営判断で米の作付を行うものであり、大きく政策を転換した初年度の全国の動向が気になるところであります。国が公表した本年産の米の予想収穫量は、一大産地の北海道の作況が不良となったことや、西日本の大半の県で米の作付を減らしたことなどにより、適正生産量の七百三十五万トンを下回ってはいますが、作付面積は秋田県や新潟県で大幅に増加したほか、東北や関東を中心に増加した県も多く、全国で百三十八万六千ヘクタールと前年に比べ約一%、一万六千ヘクタールの増加となっています。この増加した面積は、ちょうど琵琶湖に次ぐ広さの八郎潟を干拓し、昭和五十二年に完成した秋田県大潟村の干拓地の面積と同じであり、本県で最も耕地面積が広い久留米市の約二倍に当たります。ところで、今引き合いに出した大潟村ですが、食糧管理法時代、集落内で減反反対派と賛成派に分かれて激しく対立したことで有名でありますが、本年産の米の作付は昨年に比べ一割以上もふやしております。食料増産や来るべき国際化時代のモデル農業の実証を使命に誕生した村でもあり、農家の米を生産したいという意向が強い上、独自の販売ルートも確立していると聞いており、こういった動きになったのではないかと考えております。  このように作付を大幅にふやした産地がある中、本年産は結果として需給バランスが崩れることなく米価も安定していると聞いています。しかしながら、全国には本年産は様子見という産地も多いようで、そういった産地が来年、秋田や新潟のように作付を大幅にふやしてこないとも限りません。そうなれば米の需給バランスは一気に崩れ、米価が下落する可能性は十分に考えられます。まじめに需給調整に取り組んだ生産者や産地がばかを見るようなことは絶対にあってはなりません。需給調整の主体が生産者や産地に移ったといえども、国は責任を持ってこの新しい需給調整システムがしっかりと機能するよう支援しなければ、需給調整がうまくいくはずはありません。  そこでお尋ねします。生産者や産地が主体となる新たな米政策のもとで取り組まれた本年産の需給調整を知事はどう評価されているのかお聞かせください。  また、本県では生産者や産地の協力により、本年産の作付面積は約三万五千ヘクタールと県水田農業推進協議会が見込んだ需要量約十八万トンに相当する面積約三万六千ヘクタールを三%程度下回っており、需要に応じた生産であったと聞いておりますが、来年産の需給調整にどう取り組んでいかれるのかあわせてお答えください。  次に、教育問題に移ります。先日、文部科学省から、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果が公表されました。これによると、昨年度の本県の高等学校中途退学者数は千七百五十八人、また本県の中学校における不登校者数は四千三百三十五人、高校の不登校者数は二千三百二十六人という結果でありました。中途退学者数については前年度を下回っておりますが、不登校者数については、中学校、高校ともに前年度から増加している状況です。これについては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの外部専門家を活用し、学校における教育相談機能を高めることで、生徒一人一人に対するきめ細かな指導、支援を充実させる必要があると考えます。ぜひ未然に防止する取り組みを進めていただきたいと考えます。  一方で、学校生活への不適応により、勉学意欲を持ちつつも、やむなく中途退学や不登校に至った生徒のその後を支援することも必要な施策であります。このような生徒たちの、もう一度勉強したいという意欲に対し、学習が継続できる機会を提供することは、大変重要であると考えます。福岡県教育委員会は、平成九年度に博多青松高校、平成十五年度にひびき高校の二校を新しいタイプの高校として設置しています。両校の近年の入学志願者の状況を見ますと、約三割の志願者が、他の高校を中途退学していたり、中学卒業後に進路が未決定のままであったりした生徒とのことでした。ほかにも、現在在籍している生徒の中には、中学校で不登校となった経験を持つ生徒が多くいるとのことであります。両校は、不登校や高校を中途退学した生徒のその後の学習継続のための受け皿として大変重要な役割を果たす一方で、毎年、難関と言われる大学への進学実績も出しており、進学意欲が強く学力レベルの高い生徒が自己の進路希望の実現に集中できる学習環境も整えられております。志願倍率を見ても、近年は一・七倍から一・九倍程度と高い水準を維持しており、県立全日制課程の平均志願倍率である一・二倍強を大きく上回り、大変人気のある学校であるということが言えると思います。この二校の成果は、日ごろから献身的で熱心に御指導いただいている教職員の努力もさることながら、通常の全日制高校とは異なる学習システムであること、すなわち、単位制であり、定時制であることが大きな要因であると考えます。このことによって、自分の興味、関心や将来の目標に沿って、生徒自身が科目を選択し、独自の時間割りを作成し学習するということが可能となり、自身に必要な内容を効果的、効率的に学習できております。  しかしながら、県内には、このような定時制単位制の高校は福岡地区と北九州地区にしか設置されておりません。博多青松高校とひびき高校は、比較的交通の便がよく、広範な地域からの通学が可能な立地条件にあるとはいうものの、県内全域からの通学は、時間的にも距離的にも、また経済的にも困難であると推察されるところであり、新たな設置が望まれるところであります。また、学校活性化の観点からも、定員割れが続く学校をこのような定時制単位制高校に改編することで、志願者の増加が期待できると考えます。過去、ひびき高校の前身である戸畑中央高校は定員割れが続いておりましたが、定時制単位制高校となることで、二倍近くの志願倍率を維持するなど、大変人気のある学校となっております。  そこで教育長にお聞きします。まず、定時制単位制高校について、どう評価されているのか、また、こうした学校が設置されていない地域の生徒の進学ニーズについて、今後どのように対応するのか、教育長の考えをお聞かせください。  次に、学校の空調問題について質問します。先月七日、ことし大きな問題となった学校のブロック塀や空調対策に係る国の補正予算が成立しました。我が国では、学校に空調を設置すべきかといった議論を長年してきたところでありますが、今回をきっかけに、国は、空調は学校の必需品と判断したと言えます。我が会派は、九月議会でもただしましたが、整備がおくれている県内小中学校でも、来年の夏には冷房がきいた教室で子供たちが勉強している姿が見られるよう、市町村はしっかり取り組んでいただきたいと思います。県教育委員会でも、この動きに対応して、今議会に特別支援学校などの空調整備に係る補正予算を出されておりますが、一部高校整備分も含まれてはいるようです。これまで高校の普通教室の空調は、ほとんどがPTAにより設置、維持管理されておりますが、このままでよいと考えておられるかどうか。もともとPTAによる設置や維持管理については、地財法で問題ありとされたところであり、また、施設の学校間格差も招きやすいとして法的疑義も招いていた問題であると聞いているところであります。我が会派としては、今日の学校において、空調は、もはやなくてはならないものであり、そうであれば、県の責任において設置、維持管理すべきと考えますが、この点についての認識とともに、今後、空調未設置の教室を含めどのように対応されるつもりなのか、教育長に伺います。  それでは最後に、教育問題に関連し、今後の本県のスポーツ振興についてただします。本県だけでなく、我が国のスポーツが大きく動き出しています。二〇一九年ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック競技大会、世界水泳選手権など、大規模国際スポーツ大会が間近に迫ってきています。国は昨年三月に、第二期スポーツ基本計画を策定し、スポーツで人生が変わる、スポーツで社会を変える、スポーツで世界とつながる、スポーツで未来を創るを基本方針として掲げ、スポーツ参画人口を拡大し、一億総スポーツ社会の実現に取り組むとしています。私は、スポーツ界だけでなく、我が国が大きく変革しようとしているこの機を追い風と捉えております。本県のスポーツ振興につきましても、まさしく、今は大きなチャンスであります。折しも、ことし一月に知事は、スポーツ立県福岡を打ち出されました。それからは、事あるごとにスポーツ立県福岡を目指すと話されていますが、果たして、このスポーツ立県福岡がどう進んでいるのか、今後どのように進むのか、県民も私どもも皆目わからないままです。  ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピック競技大会の事前キャンプ地や直前キャンプ地については、本県は国内でも非常に多い誘致数であると聞いています。しかしながら、私は、本県にとって、ラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピック、またそれらのキャンプ地誘致がゴールではなく、まさに本県のスポーツ振興のスタートであると考えています。これを機に真のスポーツ立県となるためには、競技力の向上が望まれ、国際大会に出場するなどの優秀なアスリートなどの人材育成が必要であります。また、そういったアスリートを育てていくためには、高い指導技術を有する指導者の育成も不可欠です。ひいては、こういった人材育成の積み重ねにより、県民に夢や感動を与えていくことができるものと考えます。  つまり、これらの大規模国際スポーツ大会のレガシーとして本県が将来に残していくべき人、物、事、県民としてのアイデンティティーなどなど、たくさん考えられます。今回は、本議会に、福岡県スポーツ推進計画(骨子)が上程されていますので、スポーツの振興に特化し、今後の五年間だけでなく、将来の本県のスポーツ振興の展望について、知事の見解をお伺いします。  また、スポーツを振興するためには、その基盤となる財源が不可欠であることから、我が会派はこれまで、予算特別委員会において、スポーツ振興のための新たな基金の創設もその財源確保に向けた一つの考えであると提案してきました。また、九州の自立を考える会からもスポーツ振興財団の設立について提言がなされたところであります。スポーツ立県福岡を表明され、いよいよ来年にはラグビーワールドカップも開催されるこの時期になっても、知事は財源確保策について何ら方針を示されていません。  そこで、今後のスポーツ振興のための新たな基金を創設する考えはあるのかお尋ねいたします。  以上で質問を終わります。(拍手) 3 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、現在検討しております宿泊税の制度設計でございます。先月十六日に、福岡県観光振興財源検討会議から報告書が提出をされ、宿泊税の制度設計にかかわる基本的な考え方が示されました。その中で、宿泊税の対象者につきましては、宿泊施設の形態にかかわらず一定程度の行政サービスを宿泊者が享受しておりますことから、簡易宿泊所及び民泊の宿泊者も対象とすることが適当である。税額の区分につきましては、宿泊料金にかかわらず宿泊者一人一人が受ける行政サービスの内容は同等であること、税を徴収する宿泊事業者にとって簡素な制度とすることが負担軽減にもつながることから、免税点を設けず一律とすることが適当である。具体的な税額については、先行自治体の事例を参考に、新たな観光振興施策に要する費用を確保するには、県主体事業分百円と市町村主体事業分百円を合わせた一人一泊二百円とすることが適当である。ただし、市町村が独自に宿泊税を導入する場合、例えば、当該市町村の区域内においては県主体の事業分百円のみの税額とするなど、宿泊者に過重な負担とならないよう慎重な検討が必要である、このようにされているところであります。これらの内容は、幅広い見地から新たな税負担を求めるに当たってのさまざまな課題が考慮されたものである、このように考えております。そのため県といたしましては、この報告書で示された内容を基本にして、宿泊税に関する制度設計を行っているところでございます。  宿泊税によって得られる財源を活用した施策でございますが、観光という産業は非常に幅広い業種を含んでおりまして、裾野の広い産業分野であります。また、観光客は一つの市町村にとどまらず、行政の区域を越えて県内を広く周遊するといった広域性を有しております。こうしたことから、広域にわたる観光行政というのは広域自治体であります県が取り組むべき行政課題であると、このように考えております。県といたしましては、宿泊税による財源を活用して広域的な観点からの観光振興施策、観光地づくりの核となる組織体制の強化、市町村が実施する観光振興施策への財政的支援に取り組んでいく考えであります。例えば、県が取り組む広域的な観点からの観光振興施策におきましては、広域サイクリングルートの整備、欧米豪からのインバウンド誘客キャンペーン、体験型観光プログラムの開発、空港での観光サービス機能の強化、また多言語コールセンターによる災害時等における外国人旅行者への情報提供など県全域で取り組むべき観光施策に活用いたします。観光地づくりの核となる組織体制の強化を図る施策につきましては、市町村の観光協会の強化、DMO設立へ向けた支援の充実、観光にかかわる人材の育成などの施策に活用いたします。市町村への財政的支援につきましては、市町村がそれぞれの地域の現状と課題を踏まえまして創意工夫を凝らして観光施策を実施できるよう、自由度の高い交付金というものを配分したいと考えております。こうした観光振興の施策を県と市町村が一体となってスピード感を持って取り組んでいくことによりまして、福岡県全体の観光の魅力を底上げをし、福岡県の観光における競争力というものを高めていきたいと、このように考えております。  次に、トップ会談についてでございます。観光振興財源の導入に当たりましては、納税者等にとりまして過重な負担とならないよう、県と市との間で十分調整を図る必要がございます。このため十月二日、知事名で福岡市長に対しまして、文書により協議の申し入れを行いましたが、一カ月近く経過いたしましても福岡市からの回答が得られませんでした。そうした中、先ほど申し上げました十月三十一日に開催されました福岡県観光振興財源検討会議で宿泊税の導入、そしてその税制について基本的な考え方が示されました。そこで、改めて十一月一日の昼、福岡市内で開催をされました伝統的工芸品月間国民会議全国大会、その行事が始まる前の時間に高島市長と同席をいたしましたので、その際、トップ会談の申し入れを行い、その夜、行事の終了後、会談を行いました。会談の中で、宿泊税について、速やかに、かつ精力的に事務方同士で協議を行い、その結果を踏まえて改めてトップ会談を行う、子供医療費森林環境税など、その他の県と市との間の懸案、課題については関係部局の間で整理をしていく、この二点を確認したと私自身は認識いたしております。  トップ会談後の調整状況でございますが、宿泊税の問題は、緊急かつ重要な課題でございまして、県民の皆様の不安を払拭するためにも、課税を検討されている福岡市との協議を進め、建設的に解決をしたい、言いかえますと、県と市が互いに理解を深め合いながら、解決に向けてしっかり協議を積み重ねていきたいと、このように私は考えております。このため、さきの決算特別委員会におきましては、知事として、みずから先頭に立って職を賭す、あるいは政治生命をかける、そうした覚悟で取り組んでいきたいと申し上げたところであります。  宿泊税の実務者協議につきましては十一月二十一日から、子供医療費森林環境税などその他の事項につきましては翌二十二日から、それぞれ協議を開始しているところであります。宿泊税の協議は、これまで二回行われまして、協議の中で福岡市は、九州のゲートウエー機能の強化やMICEの充実などを独自に取り組んでいる、また地方自治の原則は基礎自治体優先であり、二重課税は二重行政を招き、税の原則である簡素性に反するとともに、事業者の負担となることから、二重課税は避けるべきである。したがって、福岡市内においては県は課税すべきではないと、そういう意見を述べておられます。これに対して、県は、九州のゲートウエー機能を担う福岡空港等の整備、九州への誘客に取り組む九州観光推進機構の運営に多額の負担をしている。地方自治法の考え方においては、広域にわたる観光行政は県が取り組むべき行政課題であり、県は、県全体の観光の底上げを図るための施策に取り組む。二重課税そのものが二重行政を招くのではなくて、互いの施策が最大の効果を発揮するよう調整をすると。税額は原則二百円でありますけれども、市が課税する場合は、納税者の負担を軽減するため市内は百円とすると、そういう意見を述べておるところであります。引き続き、こうした論点について実務者同士の協議をしっかり積み重ねてまいります。その上で、協議の状況を踏まえて、必要に応じトップ会談を行いたいと、このように考えております。  これから先の見通しを言うのはどうかと思いますけれども、仮に、実務者同士の協議が進まない場合、その場合でも、状況を見て、再度私のほうから福岡市長にトップ会談を申し入れて、この問題の解決を図っていきたいと、このように考えております。  次に、企業局職員の不祥事でございます。ことしの五月でございますけれども、再任用で企業局に勤務する職員が、福岡市内の介護サービス事業所のスタッフとして訪問介護に従事しているとの外部通報があり、直ちに企業局において、本人に対し事情聴取を行うとともに、福岡市の介護担当部局に連絡をいたしました。その後、福岡市からは、七月に企業局に対し、当該職員が実際に介護に従事した時間帯と介護記録に違いがある可能性があるため、引き続き調査を行うと、その旨の情報提供がありました。これを受けまして、八月に人事課長から、企業局において、事実確認のために福岡市に調査を急ぐことをお願いをしていること、その調査の結果、事実関係の全容が明らかになった段階で、場合によっては当該職員を処分する可能性があること、その旨、私に途中経過報告がございました。その後、十月に福岡市は、当該事業所に対する立入調査を行い、十一月二十七日に、当該事業所に対する業務改善勧告と介護給付金の返還命令を行いました。これを受けまして、十一月三十日、企業管理者から私に対しまして、信用失墜行為の禁止に加え、兼業禁止に抵触する事実関係の全容が確認はできたので、企業管理者名で懲戒免職処分を行う、その旨の報告を受けました。  この職員につきましては、今回の懲戒免職の処分事由ではございませんけれども、新聞報道等にありますように、平成十四年十一月から平成三十年三月までの間、本来受け取ることができない扶養手当を受給していた事実が判明いたしております。この事実経過でございますけれども、ことしの四月、企業局に対し、福岡市の生活保護担当部局から、当該職員の在籍確認と扶養手当の受給の有無について問い合わせがございました。そのため企業局では、直ちに事情聴取を行い、その際、職員は、母親が受給する生活保護費が年間百三十万円未満だと思っていたと、このように答えております。ことしの五月、企業局におきましては、当該職員同意のもと、福岡市から生活保護費支給額の情報提供を受けまして、六月には、直ちに確認できる直近五年分の扶養手当支給額四十八万円を本人に返納請求をしたところ、即日納付されたところであります。残りの十年分の約九十四万円につきましては、制度改正等の影響がございまして、今のシステムを使えませんので、手計算で確認作業を行ったため、その金額の確定が本年十一月になったわけでございますが、この分につきましても本人に返納請求をしているところでありますが、今のところ納付をされていない、そういう状況でございます。  本案件につきましては、企業局におきまして、これまでの確認作業においては、当該職員が故意に行った不正受給とまでは言えないとの判断をしているところでございますけれども、県民の皆様に対しまして、県における公金の適正な支出に疑念を抱かせることになりまして、大変申しわけなく思っているところであります。県では、毎年九月、この扶養手当の確認を行っているところでございますが、本年九月からは、扶養手当の認定と確認の際のチェックを強化をするとともに、職員に対する支給要件の周知徹底、これを行っているところであります。  なお、この人は再任用の職員でございますけれども、再任用の可否につきましては、ことしの二月に判断をしております。それまでの当該職員の勤務状況には不審な点がなく、また今回の懲戒免職の理由であります不祥事に関する外部からの情報提供が五月でありましたことから、再任用の可否の際には、問題となる事実の把握ができませんでした。  企業局職員のこの事案に関する私の責任でございます。ことしの十月から、県として、新たな対策を含め、徹底した不祥事撲滅の取り組みを始めておりましたそのやさき、ことしの三月までのそれまでの四年間にわたりまして、企業局職員が訪問介護に従事をし、実際の介護実態と異なる記録を作成することで不正に報酬を得ていた行為が判明をいたしましたことは、県民の皆様の県に対する信頼を大きく損なうものでございまして、まことに申しわけなく、県行政のトップとして責任を痛感をしております。議会の皆様から厳しい御指摘をいただき、不祥事の再発防止に努めてきたにもかかわらず、再び今回の事案というものが判明をいたしました。不祥事を撲滅したいという私の強い思い、これを全ての職員に行き渡らせることができなかった、このことにつきましては自分に至らぬ点はなかったかと、じくじたる思いでございます。そのことに深く思いをいたしまして、私自身、みずから厳しく律し、職員の先頭に立って、県民の皆様のニーズにお応えする県政の推進に邁進をしていくこと、それと同時に、不祥事の再発防止に職員と一緒になって全力を挙げて取り組んでいくこと、これらによりまして県民の皆様方の信頼を取り戻していくこと、それが私の責務であると、このように考えているところであります。  次に、県が福岡空港の運営会社に経営参画する目的と一〇%の出資についてお尋ねがございました。福岡空港は、九州、西日本の拠点空港にとどまらず、今後、アジアの拠点空港にもなり得る空港でございます。本県のみならず、九州、西日本の将来を左右する重要なインフラでございます。その運営のあり方は、観光、産業、経済、国際交流など幅広い分野における広域的な地域振興に大きな影響を及ぼすものでございます。福岡県の空港の将来構想におきましては、両政令市に二つの空港を擁する広域自治体として、福岡空港におけるアジア、北米等を結ぶ戦略的な路線誘致に加えまして、福岡空港と北九州空港との連携、相互補完を進めることで、ゲートウエーとしての利便性の向上を図り、九州、西日本の発展に寄与していくことが私ども福岡県の役割であることを明らかにしたところであります。こうした福岡空港の重要性、本県が果たすべき役割に鑑みまして、また民間委託について、地元の方々に安心感を与え、福岡空港が我々地域の期待する役割を将来にわたって持続的に果たしていくためには、私ども地域の意向を公的な立場から空港運営に適時的確に反映をさせていくことが必要でございます。このため、出資により経営に参画することとしたものでございます。  その出資割合でございますけれども、昨年五月に公表されました国の募集要項におきましては、その上限が一〇%と定められております。この一〇%は、会社法上、株主総会で提案が否決されても繰り返しその提案ができること、また解散請求権といった権能を有する大事な数字でございます。また、ことしの八月、運営会社の民間株主と私ども県との間で出資・役員派遣契約を締結したわけでございますが、その締結に当たり、先方からは、福岡県がこれまで培ってきた空港行政のノウハウを生かし、今後も空港運営を通じた地域振興につなげていくためには県との連携は極めて重要である、そのため最大の枠を用意していると、そうおっしゃられ、出資の要請を受けたところであります。こうしたことから、出資割合については一〇%としたところであります。  次に、県と福岡空港の空港運営会社との連携についてでございます。民間委託後の福岡空港が地域の期待する役割を将来にわたって持続的に果たしていくためには、地域の意向を公的な立場から空港運営に適時的確に反映させていくとともに、民間株主がそれぞれの事業で培ってこられた経験、ノウハウに基づく創意工夫と、地域の経済、観光、国際交流などの分野における私ども地域が持っております戦略やニーズ、それらを融合させることによる相乗効果、これを発揮させることが大変重要であると、このように考えております。このような観点から、県といたしましては、まず出資者といたしまして、経営の最終的な意思決定の場である株主総会で議決権を行使をするとともに、事業計画の策定など業務執行上重要事項を決定する取締役会に非常勤取締役として参画し、必要な意見を述べ、あわせて経営の監督やチェック機能もしっかり果たしていきたいと、このように考えているところであります。このような役割を果たすに当たりましては、空港運営会社との間で十分な意思疎通を図ることが重要でございます。このため、空港運営会社との間で定期的な協議の場を、県との間で協議の場を設けることによって、その事業運営と県の施策と方向性を共有していく考えでございます。また、空港運営会社が必要とする県の地域振興の経験やノウハウ、その提供、それから地域の実情に精通した体制づくりへの協力につきましても継続的に対応していきたいと、このように考えております。こうした取り組みによりまして、空港運営会社との連携を進め、地域の期待に応える福岡空港の運営の実現を図ってまいります。  次に、福岡県障がいを理由とする差別の解消の推進に関する条例についてでございます。障がいを理由とする差別の解消を進めていくためには、県民の皆様の理解が何より重要であります。県におきましては、平成二十八年四月の法施行を受けまして、障がい者団体、事業者団体、行政機関等を構成員とします福岡県障がい者差別解消支援地域協議会を設置をいたしまして、差別解消に向けた取り組み、差別に関する相談と対応状況などにつきまして、情報共有と意見交換を行っているところであります。続いて、昨年の十月の条例施行に合わせまして、差別解消に関する専門相談員を障がい福祉課内に配置をいたしますとともに、紛争防止または解決のための福岡県障がい者差別解消委員会を設置をいたしまして、相談体制を整備をいたしました。また、事業者向けに、不当な差別的取り扱いや合理的な配慮の事例を紹介をするガイドブックを作成をいたしまして、事業者団体の研修会等に職員が出向き、直接説明をさせていただいております。このほか、差別解消や合理的な配慮を普及させるため、表彰制度を創設をいたしました。精神障がいのある人の運賃割引を全国の私鉄大手で初めて導入をされた西日本鉄道、そしてSNSで手話を紹介する動画を配信しておられる那珂川町をそれぞれ表彰したところであります。さらに、昨年度から、障がい児者美術展を県民文化祭の中で開催をするとともに、県民体育大会に障がい者の部、これを創設をいたしました。今年度は、同大会に、ウィルチェアーラグビーなど四競技を追加をしまして合計八競技に拡大をするなど、障がいのある方々の社会参加と県民のそういう方々との理解を深める取り組みというものを進めているところであります。  相談への対応状況でございます。差別解消法が施行されました一昨年度から本年度までの間に寄せられた相談件数は、差別的な取り扱いに関するものが三十四件、障がいのある人への合理的な配慮に関するものが三十件、その他障がい福祉の制度に関する相談等が百三件で、合計百六十七件となっております。差別的な取り扱いに関する事例といたしましては、有名歌手のコンサート会場の受け付けの際、提示をされました知的障がいのある方の療育手帳が本人確認の書類として認められず入場ができなかったという事案につきまして、チケット販売元と協議を重ね、今後、本人確認の書類として取り扱うようになりました。合理的な配慮に関する事例といたしましては、盲導犬同伴で飲食店入店を拒否された事案につきまして、店側と協議をし、今後、盲導犬同伴を受け入れることになったところであります。  障がい差別のない社会づくりのための今後の取り組みでございます。県におきましては、先ほど申し上げました障がいのある方への合理的な配慮事項を紹介するガイドブックに加えまして、医療や公共交通機関など条例に定めた事業分野ごとの配慮事項を掲載したガイドブックの作成を今、進めているところでございまして、これらを活用して、さらなる啓発に取り組んでまいります。また、障がいのある人が利用しやすいトイレやまごころ駐車場等に関する情報を表示できるバリアフリーマップのウエブサイト、これを開設する予定でございまして、市町村による最新の情報の入力を積極的に働きかけてまいります。何人も障がいの有無によって分け隔てられることがなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生をしていく社会を目指し、障がいを理由とする差別を解消していく必要がございます。このため、周知、啓発はもとより、障がい者差別のない社会づくりに資する取り組みというものを粘り強く継続して進めてまいります。  次に、障がい者就労施設からの優先調達についてお尋ねがございました。福岡県では、平成二十五年八月に、知事部局、教育庁及び警察本部から成る福岡県障がい者優先調達推進本部を設置をいたしまして、毎年度、県の調達方針を定め、取り組みを進めているところであります。具体的には、障がい者就労支援B型事業所の平均工賃を全国平均以上とする目標に向けまして、毎年度、前年度の調達実績額を上回ることとしております。さらに、二十八年度からは、部局ごとの目標額及び全庁の目標額を設定して取り組みを進めているところでございます。その調達実績でございますが、平成二十五年度、三千五百三十一万円でありましたところ、二十九年度には一億一千九百三十六万円と約三・四倍にふえております。その内訳でございますが、事務用品などの物品が千八百三万円、印刷など役務サービスが一億百三十三万円となっております。また、市町村における優先調達が促進されるよう、県の優先調達方針や県及び市町村による具体的な調達事例について情報提供するとともに、注文をワンストップで受ける共同受注窓口についてもその紹介をし、活用を促しているところであります。企業に対しましては、県内の障がい者就労施設等から年間十万円以上調達をいただいた企業を障がい者応援まごころ企業として認定をし、協力金融機関による融資の優遇など特典を設けているところであります。さらに、それぞれの障がい者施設がどのような物品や役務を取り扱っておられるか、これを広く知ってもらうために、ウエブサイト及び県庁地下にまごころ製品ショップアンドデスク、これを設置をいたしまして、その運営に当たっておられる特定非営利活動法人セルプセンター福岡に対し支援を行っているところであります。このほか、毎年度好評をいただいております百貨店における大規模販売会、さまざまなイベントを活用した販売促進の取り組みは、優先調達の拡大にも役立っているものと考えております。  次に、優先調達実績のうち、随意契約の実績と評価でございます。平成二十五年度は百五十八件、三千五百三十一万円、二十六年度は二百四十九件、八千九百七十七万円、二十七年度は三百二件、九千五百五十七万円、二十八年度は五百六十七件、一億八百四十一万円、二十九年度は七百九件、一億一千八百五万円となっております。優先調達実績に占める割合は、平成二十九年度で件数で九九・三%、金額では九八・九%となってございまして、各部局において積極的にこの随意契約が活用され、それが優先調達の実績向上にもつながってきているものと評価をしているところであります。  優先調達のさらなる拡大でございます。県におきましては、これまで県庁各課が独自に発注できる物品の調達額の引き上げなど、財務会計の制度面におきましても随意契約による優先調達がしやすくなる改正をしてまいりました。先ほど申し上げましたとおり、随意契約の活用は優先調達の実績拡大に大きく貢献をしておりますことから、優先調達が可能な物品、役務に関する情報を庁内で共有するとともに、随意契約や共同受注窓口の活用を通じ、優先調達の拡大に努めてまいります。  次に、買い物が困難な方々についての取り組みでございます。県内のいわゆる買い物弱者と言われる方々は、平成二十六年度の経済産業省の調査の算出方法で、ことし十一月一日現在の六十歳以上の高齢者人口から推計をいたしますと約二十八万人となります。本県におきましては、これを参考にしまして、商店街が行う出張販売や宅配サービスなどの取り組み、市町村に対するコミュニティーバスや路線バスの運行経費等に対する助成、さらには市町村が実施する買い物代行などの取り組みへの財政支援を行っております。  関連する部署の協力でございますけれども、食料品など日常の買い物が困難な状況に置かれている方々は、まず近隣に店舗がないこと、店舗に行くための交通手段が確保できないこと、さらには買い物代行などの支援が受けられないことなどの課題がございます。このため県では、商店街が行う出張販売への支援など買い物手段の確保対策、市町村が行うコミュニティーバスの維持、普及への支援など交通手段の確保対策、さらには市町村が実施する買い物代行などへの取り組みへの財政支援を行っているところであります。これらの事業は複数の部署において実施をしているところでありますので、より効果的に各事業を実施するため、保健医療介護部を中心に庁内関係課で構成をする会議を設置をし、関係部署が連携してこの買い物弱者対策に取り組んでいるところでございます。  県の姿勢でございます。日常の買い物が困難な状況に置かれておられる方々に対するサービス提供体制や交通手段の確保につきましては、基本的には、住民に身近な自治体でございます市町村が地域の実情に応じた取り組みを進め、県は市町村を支援をしているところであります。しかしながら、その一方で、県の行きたくなる商店街づくり事業のように、地元の市町村や商店街の皆様方のニーズ、またその意見を踏まえて、県のほうで制度を構築をし、市町村とともに商店街を支援するといった買い物弱者のための施策、これらについてもあわせて講じているところでございます。  買い物弱者対策事業への新規参入事例でございます。県では、市町村や商工会議所、商工会などに対する中小企業関係施策の説明会、商店街の店主を中心に商店街活性化のための事業アイデアを出し合う意見交換会におきまして、公民館や老人ホームで出張販売を行う北九州市若松区の商店街の例、また電話一本で宅配サービスを行う筑後市の商店街など他の参考となる事例と、それらについての各種支援策、これについて紹介をしているところであります。こうした情報提供の結果、川崎町の本町商店街におきまして、県の行きたくなる商店街づくり事業の助成を受けまして、空き店舗を改装し、買い物弱者対策と地域コミュニティー再生、これらを目指すワイワイガヤガヤ商店、これが十一月二十五日オープンをし、毎週水曜日に朝市が開かれることになっております。また、事業者が国の小規模事業者持続化補助金を活用いたしまして、弁当の宅配サービスや店舗への送迎サービスなど新たな取り組みというのが県内で昨年度六件、今年度三件、それぞれ実施されているところでございます。  次に、それらの実態把握でございますが、効果的に買い物弱者対策を実施していくためには、日常の買い物が困難な状況に置かれている方々がどの地域に、どれくらいおられるかなど買い物弱者に関する実態を把握することが重要であると考えております。介護を初め支援が必要な高齢者の方々のニーズを把握をするため、県内全ての市町村は、三年ごとにその調査を実施しております。その中で、地域ごとに、食品、日用品の買い物ができない高齢者の割合等についても把握をしているところであります。県といたしましては、広域地域振興圏域ごとに設置をいたしております地方創生市町村圏域会議を、この場を活用いたしまして、こうした調査結果なども参考にしつつ、買い物弱者の実態把握につきまして、その内容、方法などを市町村と協議をしていきたいと考えております。また、広域的、専門的な調査研究でございますけれども、県民の皆様の買い物など日常生活の行動範囲は市町村域を越えるケースも少なくありません。このため県といたしましては、先ほどの会議に担当部署の専門職員を参加させ、広域的な買い物弱者対策について、市町村と協議を進めていきたいと考えております。その際、住民のニーズ、またサービス提供者の状況などを踏まえながら、市町村に対し、適切な助言を行ってまいります。  次に、市町村の取り組みでございます。買い物が困難な方々に対する支援といたしまして、今年度、本県におきましては、三十一の市町村が四十七事業を予算化をしております。これらの市町村におきましては、コミュニティーバスの運行や路線バスの事業者の運行経費に対する助成、出張販売や宅配、買い物代行サービスを行う団体への補助などさまざまな事業が実施をされております。県におきましては、市町村に対して、そのコミュニティーバスや乗り合いタクシーの運行経費及び車両購入費、路線バスの運行経費、さらには買い物が困難な方々に対する買い物代行や配食サービスに要する経費について助成を行っているところであります。また、県におきましては、二十三年度から、商店街に来ていただくことが困難な方々のための出張販売、宅配サービスなど買い物支援を行う商店街への助成も行っているところであります。これまで十三の商店街を助成したところでありますが、このうち、九商店街が助成終了後の現在もその取り組みを継続をされております。また、先ほど申し上げました川崎町におきまして新たな取り組みが始まるなど、地域から高い評価を受けているところであります。このほか、国の交付金を活用いたしまして、過疎化、高齢化が進む地域で買い物、福祉、交通手段など日常生活に必要な機能を整備をする小さな拠点づくり、これを現在、四地域で行っているところであります。これからも、こうした事業を活用いたしまして、買い物弱者対策を進めてまいります。  次に、買い物弱者問題の解決を図る上で必要な規制緩和でございます。地域の実情に合わない不合理な規制につきましては、その緩和を国に求めていく必要があると、このように考えております。買い物弱者対策につきまして、今後、市町村と協議をしていく中で、過度の規制や不合理な規制、これらが明らかになってきた場合には、内閣府の地方分権改革に関する提案募集制度を活用するなど、国に対し、その緩和を求めてまいります。さらに、ほかの県と共通するような課題でありますれば、全国知事会や九州地方知事会に問題提起を行ってまいります。  次に、県有施設の既存ブロック塀の点検状況等についてでございます。福岡県では、大阪府北部地震発生の翌日から七月末にかけまして、ブロック塀を有する県有七百十二施設全てにつきまして、国土交通省告示に定められた調査項目と方法により、外観に基づく緊急点検を実施をいたしました。その結果、百八の施設で劣化、損傷や現行建築基準法の基準に適合しないことが判明をいたしました。これらのブロック塀につきましては、今年度中に撤去、改修を行うこととしておりまして、十一月末現在で、二十七の施設でその工事を完了しているところであります。また、外観点検で問題がないとされましたブロック塀につきましても、現在、内部点検を実施しているところでありまして、今年度中にその点検を完了することといたしております。内部点検の結果、安全が確認できなかったものにつきましては、危険状況の度合い、道路通行がある箇所等、緊急性を考慮しながら、速やかに撤去、改修を実施してまいります。  次に、小中学校の通学路沿いにある既存ブロック塀の点検状況と今後の対応でございます。県では、平成二十八年の四月の熊本地震以降、小学校の通学路等に面したブロック塀の再点検を実施してきたところでございますが、ことし六月の先ほど申し上げました大阪府北部地震を受けまして、その完了時期を前倒しをすると。それから、あわせて新たに中学校の通学路をその対象範囲に加えまして、この十月までに点検を完了させております。県が所管する区域内の二万二千六百八十三カ所において、道路側からの目視等により点検を行った結果、撤去、改修されたものが百一カ所、安全性に問題があるとされたものが四百二十五カ所ございました。このため、これらのブロック塀の所有者に対しまして、直ちに撤去、改修を行うよう指導するとともに、安全が確保されるまでの間は、通行者等への注意表示のプレートを設置するなど、それを促しているところでございますが、引き続き、所有者に対しこうした働きかけを行い、ブロック塀の安全対策を進めてまいります。  ブロック塀撤去の助成の取り組み状況でございます。県におきましては、危険なブロック塀の撤去を促進するため、撤去費補助を行う市町村への助成制度を十月に創設させていただきまして、現在、事業実施の働きかけを市町村に行ってきているところであります。現在、四市が補助事業を実施をしておりまして、二十市町が今年度中の実施を検討しております。また、二十六の市町村が来年度からの実施に向け検討を行っておりまして、それ以外の市町村に対しましても、引き続き働きかけを行ってまいります。今後、県のホームページや現在作成中の改善事例を紹介するパンフレットを活用いたしまして、広く所有者に補助制度の周知を行い、危険なブロック塀の撤去を進めてまいります。  次に、牛肉を初めとする畜産業の振興でございます。今後、TPPイレブン協定や日・EU・EPAによる畜産物の関税削減に伴い国内価格の低下が懸念をされ、畜産経営が厳しくなることも考えられるところであります。これまで県におきましては、畜産業の競争力の強化に向け、経営の改善、消費の拡大、セーフティーネット対策など取り組みを進めてまいりました。具体的には、経営の改善につきましては、肉量が多いなど生産性の高い牛の導入、繁殖雌牛の改良に必要な人工授精、肉質分析等を活用した肥育技術の向上への取り組みを支援をしてきているところであります。特に、博多和牛のブランド化につきましては、昨年度の全国和牛能力共進会初出品への支援を初め、飼養改善、肉質向上の現地検討会や技術指導を行いまして、博多和牛の肉質、最高の五等級の割合が五年前の一割から、現在三割まで上昇しております。さらに、本年十一月、新たに畜産団体により、福岡県肉用牛振興協議会を設立いたしました。今後、この協議会を核といたしまして、繁殖農家と肥育農家との間で子牛の血統や出荷などの情報を相互に提供し合うことによって、高品質な子牛の県内確保を進め、博多和牛の肉質向上に取り組んでまいります。消費拡大におきましては、各種イベントでのPR活動に加え、ホテルシェフによる料理の試食を取り入れた商談会、産地における生産者とバイヤーとの交流会などの販売活動を通じまして、認知度向上に取り組んでいるところであります。セーフティーネット対策につきましては、国と生産者が基金を積み赤字を補填する制度、これへの加入促進を積極的に進めていくため、生産者の負担する負担金の一部を県が助成をしているところであります。今後とも、こうした取り組みを通じて、畜産農家が安心して経営を続けていただけるよう、畜産業の振興を図ってまいります。  平成三十年産米の需給調整と今後の取り組みでございます。三十年産米につきましては、行政による生産数量目標の配分が廃止をされたところでありますけれども、本県を含む四十五道府県が目標にかわる生産の目安を設定をし、この目安に沿った生産に取り組んだところであります。その結果、本県の作付面積は、生産の目安であります三万五千九百ヘクタールを下回る三万四千九百ヘクタールとなってございます。一方、全国の作付面積でございますが、生産の目安であります百三十八万七千ヘクタールを下回る百三十八万六千ヘクタールとなっておりますものの、都道府県別に見ると、作付面積が増加した道県がございます。こうした状況を踏まえますと、県としましては、全ての都道府県において、全国の需給見通しに基づく生産をより一層徹底していくことが重要であると、このように考えております。国のほうでは、今後も、米の需給見通しや産地別の価格、在庫量等の情報を提供するとともに、全国会議を開催し、都道府県と翌年産の取り組みについて情報交換を行うことによって、需要に応じた生産を促し、米の需給安定を図ることといたしております。県におきましては、米の需給安定に向けた取り組みを強化するよう、ことしの十一月でございますが、県議会の皆さんとともに、国に対し、需要に応じた生産の促進、水田フル活用の推進に必要な予算の確保について要望をしたところでございまして、引き続き働きかけを続けてまいります。  また、三十一年産米の生産に当たり、前年と同様、農業団体等と一体となって組織をしております県水田農業推進協議会におきまして、国から提供された需給見通しを踏まえ、米の生産の目安となる数量を算定し、市町村、農協等で構成される地域協議会へ提示を行ってまいります。県協議会におきましては、引き続き、国からの情報を把握しながら、地域協議会と連携して、需要に応じた米の生産、これを進めてまいります。  次に、今後の本県のスポーツ振興についてでございます。スポーツには、体力の向上や健康の増進、生きがいづくりといった人を元気にする力があるほか、経済の活性化、国際交流など多岐にわたる効果がございます。これから本県では、ラグビーのワールドカップを初め国際スポーツイベントがめじろ押しでございまして、東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプ地の基本合意締結件数も全国有数となっております。この機を捉え、今こそ福岡県のスポーツを支え、振興することによりまして、スポーツをより元気にし、そのスポーツの力で県と県民生活をより元気にするスポーツ立県福岡、これを目指すべきと考え、取り組みを進めさせていただいているところであります。  このたび、今後五年間のスポーツ推進施策の方向性を取りまとめた福岡県スポーツ推進計画の変更を本議会に提案をさせていただいております。まずは、この五年間、計画に基づく施策を着実に推進をし、アスリートや指導者の育成、大規模スポーツ大会の誘致、開催、スポーツを通じた国際交流や地域の活性化などにしっかり取り組んでまいります。  私が目指すスポーツ立県福岡の将来の姿でございますけれども、県内のあらゆる地域で、年齢や性別、障がいの有無にかかわらず、誰もがそれぞれの体力や目的に応じて、気軽に県民の皆さん方がスポーツを楽しんでおられる、そしてその中から、世界を舞台に活躍するトップアスリートが継続的に輩出され、多くの方々がそれを応援をしている、そういった姿でございます。こうした姿を目指し、今後、スポーツの振興にしっかり取り組んでまいります。  次に、新たな基金の創設についてお尋ねがございました。これまで福岡県は、アスリートの育成や地域スポーツの振興、キャンプ地の誘致などに向け、従前を大きく上回る予算を一般財源として措置をし、取り組んでまいりました。今後、こうした取り組みをさらに加速させ、また充実強化させるとともに、国際規模の大会を県内に誘致し、開催していくためには、機動的に活用できる安定した資金、これを確保していく必要があり、基金の創設というのは、その一つの方策であると考えております。一方、その創設に当たりましては、対象となる事業の範囲、規模、管理運用の主体と方法、積み立てに要する原資の確保などさまざまな課題を整理し、解決をしていく必要があります。このため、まずはこれらの課題をどのように解決をしていくのか検討を進めてまいりたいと、このように考えております。 5 ◯議長(井上 順吾君) 城戸教育長。 *教育長答弁 6 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 学校のブロック塀の点検とその結果及び今後の対応についてでございます。点検は、国土交通省告示に定められている調査項目、方法により、外部点検と外観上問題がなかったブロック塀の内部点検を行っております。県立学校につきましては、八十八校のブロック塀について学校職員と専門家による点検を行った結果、外部点検で八十三校、内部点検で三十一校のブロック塀に問題がありました。これらのブロック塀については、今年度末までに撤去、改修工事を行うことにしております。現在、高さが二・二メートルを超えるなど緊急に対応が必要なものから工事に着手し、十一月末現在、二十七校の九十一カ所が完了しております。市町村立学校につきましては、六百八十四校のブロック塀の外部点検を行った結果、五百六十校のブロック塀に問題があり、十月末現在、百四十一校が工事に着手し、そのうち六十九校が完了しております。また、内部点検についても、同日現在、対象の四百十校のうち六十五校で実施され、十四校のブロック塀に問題がございました。今後、国のブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金を活用し、各市町村において、速やかに内部点検及び安全対策が講じられるよう指導、支援してまいります。  定時制単位制高校に対する評価と今後の対応についてでございます。多様な学習歴や就学条件を持つ生徒が高校で学ぶためには、みずからの興味、関心や進路希望に応じて教育内容を選択し、自己のペースで学習できる環境が必要であり、定時制単位制は、こうした学習ニーズに適した制度であると認識しております。県教育委員会といたしましては、中途退学者や不登校生徒の学習の継続、または大学進学を見据えた集中的な学習など多様な学びを支援するためには、未設置の筑後地区、筑豊地区にも定時制単位制高校が必要であると考えており、今後、整備対象校や教育内容等の検討を進め、その方針を取りまとめたいと考えております。  PTAが空調の設置と維持管理をしていることの認識及び今後の対応についてでございます。高校の普通教室の空調につきましては、PTAにより設置、管理されておりますが、近年の猛暑への対応や日常生活の中で空調使用が一般化している状況、さらには学校の夏休み短縮化の動き等を考慮すれば、学校の空調設置は教育活動上必須のものであり、県において設置、管理を行う必要があると考えております。今後は、特別教室を含めた空調整備のあり方について、鋭意検討を進めてまいります。 7 ◯議長(井上 順吾君) 吉松源昭君。 8 ◯五十五番(吉松 源昭君)登壇 職員の不祥事問題についてでありますが、ただいま知事は答弁の中で、不正受給とまでは言えないと答弁されました。これは、公金、県民の税金が不正に受給された不正問題であります。百四十二万円もの公金が搾取されたと言ってもいい問題であるにもかかわらず、知事は不正受給とは言えないとおっしゃいました。間違いありませんか。 9 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 10 ◯知事(小川 洋君)登壇 先ほどお答え申し上げましたように、これまでの確認作業におきましては、当該職員が故意に行った不正受給とまでは言えないと、そういう判断をしているというふうにお答えしたとおりであります。 11 ◯議長(井上 順吾君) 吉松源昭君。 12 ◯五十五番(吉松 源昭君)登壇 知事、質問でも申しましたが、この職員は介護報酬の不正受給、生活保護の不正受給、そして扶養手当の不正受給と、三つもの不正受給の疑いがあるわけであります。県においては、この扶養手当が対象となるわけでありますが、こういった事態の中で、不正受給とまでは言えない、こういった知事の認識の甘さ、そしてガバナンスの甘さが、こういった不祥事をたびたび起こしている。私は決算委員会の中でも指摘をしたわけであります。  時間がありませんので、このことについては、しっかりと所管の常任委員会で審議を尽くす必要性があるということを明確に示して、私の代表質問を終わります。(拍手) 13 ◯議長(井上 順吾君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時五十分といたします。           午 後 零 時 四十一分  休 憩
              午 後 一 時 五十一分  再 開 14 ◯副議長(畑中 茂広君) 再開いたします。  休憩前に引き続き、代表質問を行います。発言を許可いたします。佐々木允君。(拍手) *佐々木(允)議員質問 15 ◯三番(佐々木 允君)登壇 皆さん、こんにちは。国民民主党・県政クラブ県議団、田川市選出の佐々木允です。今回は、吉村会派会長を初め、会派の皆様の特段の御配慮をいただき、この十二月議会で、初めての代表質問をさせていただく機会をいただきました。また、本日は地元からも多くの皆様にお越しいただきました。県政発展につながるものになるよう、しっかり質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  それではまず、本県の観光振興と宿泊税の導入について、知事にお聞きします。本県が導入を進めている宿泊税は、これまで多くの報道がされていることからも、県民にとって大きな関心事となっています。また、宿泊者に対して新たに税負担を行うことからも、導入の意義や丁寧な議論はもちろんのこと、多くの県民、観光客、事業者等に税負担の理解と協力を得るために、その制定過程も含めて、説明責任を果たすことが必要だと考えます。  以上の点を踏まえつつ、我が会派としては、観光振興は一自治体のみで完結しないものが多数あること、また近年の外国人観光客を中心とした観光客の大幅な増加を踏まえ、市町村とともに必要な受け入れ環境整備が急務であることからも、宿泊税は県税で行うべきであるという立場から、以下、質問に入ります。  二〇一六年九月議会において、議員提案により全会派一致で、観光王国九州とともに輝く福岡県観光振興条例を制定しました。その十二条には、観光振興財源の確保として、「新たな税制を含めた財源に関する検討を進め……その確保に取り組む」と、宿泊税について言及されています。また、福岡県の観光振興に資する宿泊税の導入に関しては、二〇一七年二月議会において、我が会派の議員でありました田辺一城議員が、宿泊税を導入し本県の観光振興のための財源にすることについて、知事に質問しています。しかし知事は、宿泊税を導入している東京都、大阪府と比較すると本県の宿泊者数は少ないと述べた上で、検討すべき課題が多岐にわたっている、動向を注視すると消極的な発言に終始をいたしました。ところが、この答弁の一年半後の本年七月に福岡県観光振興財源検討会議が発足し、宿泊税の導入に向けた議論が始まり、十一月には報告書が知事に提出されました。またその後、宿泊税導入については、報道でもあるように、県政の大きな課題となってしまいました。  そこで一点目に、もし二〇一七年二月議会の時点で、我々の提案をもっと重く受けとめすぐに導入に動いていたら、今日のような事態にはならなかったのではないか思いますが、観光振興条例制定後、どのような検討を行ってきたのかお聞きいたします。  あわせて今回、四回にわたる検討会議の結果、提出された報告書について、知事はどのように認識しているのか、その点についてもお聞かせください。  次に、宿泊税については、福岡市も独自課税に向けて有識者会議を開き、このほど報告書が出されました。その上で、福岡市としても宿泊税の導入に向けて条例提案等を検討しているとのことでした。それらを受け、本県は宿泊税に関しての実務者協議を行うことを提案し、現在、この協議が始まっています。しかし、福岡市からは、宿泊税とあわせて森林環境税子供医療費助成等についても協議事項とすることが提案され、協議が始まっています。子供医療費助成等について市側の求めをそのまま受け入れた場合、本県から政令市への助成額が大幅にふえることとなり、その額は両政令市合わせて約五十億円にも上ると言われております。これは非常に重い課題を我が県に突きつけられているということになります。  そこで二点目に、宿泊税とあわせて森林環境税や医療費等への助成を議題として包括的に協議を行おうとする福岡市の提案について、知事はどのように認識しているのかお聞きいたします。  また、宿泊税を含む全ての協議事項について実務者協議が合意に達し終了しなければ、宿泊税について福岡市長とのトップ会談は行わないのか、あるいは実務者協議での合意がない場合でもトップ会談を行い、事態の収拾を図るおつもりがあるのか、お聞きをいたします。  三点目に、本県と福岡市の双方が宿泊税を導入した場合、いわゆる二重課税となります。報道によれば、福岡市は、二重課税で宿泊者にしわ寄せがあってはならない、宿泊税のあり方については基礎自治体が優先するという原則があるとして、県と市の二重課税を避けて福岡市が単独で課税すべきとの考えを示しています。この福岡市の考えに対し、知事はどのように認識されているのかお聞きをいたします。  さて知事は、宿泊税の導入に対して、再三再四スピード感を持って臨むことを表明しています。しかし、知事の任期は、来年の四月までと限られています。  四点目に、仮に福岡市が宿泊税の導入を行った場合においても知事は宿泊税の導入を進めるのか、また知事はいつ宿泊税の提案を行っていく予定なのかお聞かせください。  続いて、県立三大学の振興について、知事にお聞きします。本県は、私の地元田川市にある福岡県立大学を初め、福岡女子大学、九州歯科大学の三つの県立大学を有し、それぞれの特色を生かした大学運営がなされています。一方、昨今の高校生の減少に伴い定員割れとなる大学も出てきています。幸い、県立三大学は定員割れの状況はないものの、特に福岡県立大学のように、地方にある大学の運営は、今後一層厳しいものになると危惧をしています。  そのような中、二〇一六年十一月、全国知事会は地方大学の振興に関する緊急抜本対策を発表しました。これは、地方創生において研究機関として、また地方への若者定着の観点からも地方大学が果たす役割が極めて重要であるということから、地方が行う地方大学振興のための諸事業に関して特別の財政措置を講ずること、大学の東京一極集中の是正を図ることなどが柱となっています。その後、国はこの提言を受け、二〇一七年二月に地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議を立ち上げ、同年十二月に最終報告を行いました。この最終報告は、地方の特色ある創生のための地方大学の振興、東京の大学の定員抑制・地方移転、地方における若者の雇用の創出の三つの柱で構成されています。  そこで一点目に、この最終報告が県立三大学に与える影響について、知事はどのように認識しているのかお聞きします。また、この最終報告では、首長のリーダーシップのもとで産官学の組織レベルでの持続可能なコンソーシアムを構築するとありますが、知事は、県立三大学に対してどのようにリーダーシップを果たすおつもりなのかお聞かせください。  二点目に、地方大学・地域産業創生交付金についてお聞きします。この最終報告に基づき、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律が本年六月に施行されています。これは地方を担う若者が大幅に減少する中、地域の人材への投資を通じて地域の生産性の向上を目指すことを目的に、首長のリーダーシップのもと、産官学連携により地域の中核的産業の振興や専門人材育成などを行うすぐれた取り組みを、新たな交付金により重点的に支援する制度で、今年度だけで百億円の予算が計上されています。その後、公募が行われ、例えば富山県では、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造計画を富山大学、富山県立大学と経済界や薬業連合会等が参画機関となって策定し、総額十億一千五百万円余の交付対象事業が認められています。  そこで、この地方大学・地域産業創生交付金について、福岡県立の三大学では検討されたのかお聞きするとともに、今後の取り組みについてもお聞かせください。  この項の最後に、私の地元田川市にある福岡県立大学について触れさせていただきます。福岡県立大学は、福祉系大学として、現在学生数約千百人を有しています。学生は地元田川地域を中心に、医療、福祉施設へのボランティアを積極的に行っており、全学生の約七割が何らかのボランティア活動を行っているとのことです。また、本県の有効求人倍率は、本年九月現在、介護サービスの職業では三・五七、社会福祉の専門的職業では二・八八と福祉系人材が慢性的に不足している状況となっており、福祉系人材を輩出する福岡県立大学の役割は、今後、ますます重要になると考えます。一方、冒頭で申し上げたように、福岡市にある福岡女子大学、北九州市にある九州歯科大学と違い、田川市という地方にある大学であり、今後も多くの学生から選ばれる大学となるためには特段の取り組みが必要だと感じます。今年度、福岡県立大学は新たな中期事業計画を策定し、六年間にわたり計画に基づいた各種取り組みを行う予定にしています。  そこで、新たな中期事業計画の実行のため、設置者である知事としてどのような支援を行っていくのかお聞きするとともに、特に不足する福祉、看護人材を本県でふやしていくために、県内就職の促進はもちろん、学生数の増加の必要性について、知事の認識をお聞きします。  次に、女子高生による接客などを売りにする営業形態の規制強化、いわゆるJKビジネスの規制強化について、知事と県警本部長にお聞きします。警視庁によると、SNSなどで児童ポルノや児童買春といった被害に遭った子供は、二〇一七年に千八百十三人に上り、約十年で二倍以上になるなど、青少年を狙う卑劣な犯罪が増加をしています。本県では、さきの九月議会で福岡県青少年健全育成条例を一部改正し、新たに裸の画像等を青少年に要求する行為を禁止し、罰則規定を設けました。この改正により、言葉巧みにだましたり、おどしたりするなど、不当な手段を用いて裸の画像等を要求した場合には、画像送信前であっても検挙することが可能となりました。この条例改正について、我が会派は高く評価するとともに、さらなる青少年の健全育成のための施策として、JKビジネスの取り締まり強化について、以下、お聞きをいたします。  JKビジネスには、女子高生などの十八歳未満の青少年に、飲食店やマッサージ店などで接客させたり、性的感情を刺激する撮影、一緒に散歩させるなどのものも含まれますが、二〇一七年、警視庁が実施したJKビジネスで働いた経験がある少女たちへの調査結果では、約半数が勤務を通じて客との性行為の経験があると回答しており、いわゆる裏オプションと呼ばれる性的サービスが行われ、JKビジネスが犯罪の温床になっている実態が浮き彫りとなりました。また、昨年十二月の調査では、JKビジネスの店は、東京都と大阪府を中心に百三十一店舗確認されており、本県においても、二〇一五年九月、福岡市内において女子高生を水着姿で接客させていた店舗が、青少年を特殊な遊興的接客業務に従事させたとして労働基準法違反で摘発されています。  そこで一点目に、本県におけるJKビジネスの実態についてお聞きします。本県の実態把握については、二〇一七年の予算特別委員会における我が会派の原中誠志議員の質問に対して、県警総務部長は、福祉犯事件の捜査や風俗営業店などへの立ち入りや、街頭における少年補導やサイバーパトロールなど、各種活動を通じ、幅広く把握に努めているところであると答弁をされています。そこで、この答弁から一年以上が経過をしていますが、県警本部として、その実態をどの程度把握されているのでしょうか。JKビジネスには店舗型だけでなく青少年を派遣するような無店舗型もあると聞いていますが、それぞれについて具体的にお示しください。  二点目に、JKビジネスを規制する条例についてです。児童福祉法、労働基準法などの現行法では取り締まることができないものの、青少年に有害な影響を与えるJKビジネスを規制するため、愛知県は二〇一五年三月に青少年保護育成条例を改正しました。その後、二〇一七年十二月に兵庫県、本年三月に大阪府と神奈川県、十月に京都府と埼玉県が、同様の条例改正を行っています。これらの条例改正により、青少年にマッサージや添い寝など、専ら異性の客に接触したり、接触させることや、青少年に客の同伴をさせること、また、このようなサービスを提供する店に青少年を客として勧誘することなどが禁止されました。違反した場合は懲役や罰金を科すものもあります。さらに、東京都においては、昨年七月、特定異性接客営業に関する条例が施行され、JKビジネスについて厳しく規制する内容が盛り込まれ注目を集めています。特に、十八歳未満の青少年が客に接する業務に従事していると連想させる写真や絵を広告にした場合も規制の対象となる内容となっています。条例による規制については、さきの原中議員の質問に対し、警察総務部長は、JKビジネスをめぐる条例については、本県における実態を踏まえつつ、他県の制定状況や効果を見ながら、その必要性について研究していくと答弁されています。  そこで、本県においても早急にJKビジネスを厳しく規制しなければ、既に規制が厳しくなった他県の業者が本県に流れてくるのではと危惧をいたしますが、本県における規制の必要性についてどのように考えておられるのか、我が会派は、他の都府県のようにJKビジネスを厳しく取り締まると同時にJKビジネスを未然に防ぐことができる新たな条例を制定すべきと考えますが、知事及び県警本部長の見解をお聞かせください。  次に、民間委託後の福岡空港の諸問題について、知事にお聞きをいたします。  一点目に、福岡空港の危機管理体制についてです。さきの台風二十一号で関西空港が被害を受けた際、責任の所在が明確でなく、運営会社の対応のおくれや運営会社と国や自治体との連携の不備により空港内に約八千人が取り残され大きな混乱が生じました。関西空港は二〇一六年四月から民間委託されていますが、今回、これまで見えていなかった民間委託の弱点が一気に露呈したものと言えます。福岡空港についても、本年十一月一日からターミナルビルが、来年四月一日から滑走路等の運営が民間に委託されることになっており、県はこの民間会社に対する出資を決定いたしております。また、福岡空港は警固断層南東部に位置しており、福岡県の地震想定によれば最大震度六強となっています。さらに想定し得る最大規模の雨量や高潮による福岡空港の浸水想定は、最大で五メートル未満となっています。  そこで、今回の関西空港の事態を教訓に、このような大規模災害が万一起きた場合、運営会社はどのような対応をするのか、県や自治体との連携はどうするのか、あらかじめシミュレーションを行い具体的な計画を策定しておくべきと考えますが、知事の見解をお聞きします。  二点目に、福岡空港の環境対策についてです。福岡空港では近年発着回数が増加しており、二〇一七年度にはヘリコプターを除き飛行機の発着回数が過去最高の年間十七万一千回を記録しました。さらに国土交通省が二〇一四年に行った福岡空港の需要予測では、二〇三五年度の発着回数は中位ケースで十八万一千回、上位ケースでは二十万五千回へと、大幅にふえると試算されています。  そこで、既存の滑走路だけでは今後の需要に対応できないことから、現在誘導路の新設及び滑走路の増設が進められています。七月十九日付の西日本新聞によると、運営権者に選定された福岡エアポートホールディングスグループの提案概要では、南からの進入経路を変えることなどで旅客数を現在の五割増しの年間三千五百万人、発着回数を約六万回増の二十三万回に増加することを見込んでいると報道されていました。進入経路の変更により発着回数が増加するということは、騒音などの影響が増加する地域が発生し、そのことは現在の騒音対策区域が広がることにつながると思いますが、県としてどの程度まで広がると予想しておられるのかお聞かせください。  現在、福岡空港周辺の環境対策は、騒音防止法に基づき設置された独立行政法人空港周辺整備機構及び一般財団法人空港振興・環境整備支援機構の二つの機構が行っていますが、まずそれぞれの役割や事業内容、財源及び年間の支出額についてお示しください。  次に、民間委託後は、一般財団法人空港振興・環境整備支援機構は廃止され、もう一方の空港周辺整備機構が経過措置として十年間程度は現在の業務を続けていくと聞いていますが、廃止される機構がこれまで行っていた業務はどうなるのかお聞かせください。  次に、経過措置で残されている機構も十年後に廃止された後、騒音区域が広がる中、委託会社は財源も含めどのように対応するのか、今わかる範囲でお聞かせください。  この項の最後に、現在毎年国が支払っている約八十億円の空港敷地内の民有地に対する借地料については、民間委託後どのような財源を使い、どこが支払っていくのかお聞かせください。  続いて、がん対策の推進についてお聞きします。がんは、福岡県においては一九七七年から四十年以上にわたり死因の第一位となっています。また、人口動態統計によると、二〇一六年では、本県におけるがんの死亡者数は一年間で一万五千五百三十一人で、三人に一人ががんで亡くなっています。そのため本県は、二〇〇八年度から、二回にわたりがん対策推進計画を策定し、本年三月に二〇二三年度までの第三期のがん対策推進計画を策定しました。  そこで一点目に、検診受診率についてお聞きします。まず、過去二回の推進計画である二〇〇八年度から二〇一七年度の十年間において、検診受診率はどのように推移してきたのか、目標値と実績値をお聞かせください。  次に、本県は二〇二三年度までの達成目標として検診受診率五〇%以上を掲げていますが、これまでの実績を踏まえ、どのようにして目標達成するのか、具体的な取り組み内容について御説明ください。  二点目に、働く世代のがん患者支援の充実についてお聞きします。働く世代のがん患者支援の充実は、本年策定された計画においては、主な四つの施策の一つとして位置づけられています。その背景として、毎年全国で約八十七万人が新たにがんに罹患していますが、その三分の一に当たる約二十六万人が二十歳から六十四歳の働く世代であります。  そこで、治療しながら働き続け職場復帰するために、事業所ではどのような職場環境の整備が必要となるのか、県の考えをお聞かせください。  三点目に、働く世代をがんから守る検診推進事業所についてお聞きします。本県では、社会で働く世代にがん検診を受診してもらうため、働く世代をがんから守る検診推進事業所を登録し、支援する取り組みを進めています。  そこで、登録事業者はがん検診推進のため、具体的にどのようなことを取り組む必要があるのか、またその結果、登録事業所のがん検診受診率はどの程度となったのかお聞かせください。  この項の最後に、地域貢献活動評価項目そのものについて、触れさせていただきます。働く世代をがんから守る検診推進事業所の登録事業所の分類を見ると、建設業が全体の四割を占め、建設業に偏っている現状があります。これは、登録事業所になることで、入札参加資格審査において加点をされるためだと思われます。ほかにも、登録事業所になることで加点対象となる、子育て応援宣言企業では建設業が全体の四五%と半数近く、ふくおか農林漁業応援団体では、実に八一%とほとんどが建設業と、明らかに偏っています。  そこで、加点を受けたものの、その後、登録だけで特段の取り組みをすることなく加点目的の登録と思われるようなケースが考えられますが、入札参加資格審査における加点という恩恵を受けた登録事業所に対しては、その後の進捗状況の報告等、一定の義務づけを行うことが必要ではないかと考えますが、知事の認識をお聞きします。  以上、答弁をよろしくお願いいたします。(拍手) 16 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 17 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、観光振興財源の検討経緯でございます。田辺議員の御質問を受けました昨年の二月時点の状況、これを整理をさせていただきますと、国のほうでは、一昨年三月策定をいたしました観光ビジョンで、次世代の観光立国実現のための財源の検討について提言をしておりますけれども、具体的な検討は始まっておりませんでした。一方、全国知事会は、国のこの観光ビジョンを受けまして、新しい地方税源と地方税制を考える研究会を立ち上げまして、宿泊税の議論に着手したところでありました。他の地方自治体におきましても、宿泊税を導入している事例は東京都と大阪府のみでございました。新たな税の導入は、納税者に通常以上の負担を課すものでございまして、慎重にさまざまな課題を検討する必要があると、このように考えております。このため、県におきましては当時、国、全国知事会、他の自治体の動向を注視していたところであります。  そうした中、昨年の六月、全国知事会の先述いたしました研究会におきまして、新たな税源の創設については、既に法定外目的税として一部の地方団体で課税をしていること等を踏まえまして、法定外税として普及させることも考えられる、また、都道府県税として賦課徴収した上で、その一部を一定の基準に基づき市町村交付金として配分する方法が考えられる、そういった中間論点が整理されたところであります。こうした中、県では宿泊税に正面から向き合う必要があると考えまして、昨年の七月策定をいたしました福岡県観光振興指針の中に、観光振興に必要な財源の研究を行うことを明記をさせていただきました。また、昨年の七月、全国知事会は国に対しまして、仮に航空旅行等に国税を課す場合には、その一定割合を地方が観光振興のために自由に使える地方譲与税として地方に配分することを提言をいたしました。しかしながら、昨年の十二月、国は国際観光旅客税の導入方針を決定したわけでございますけれども、全国知事会が求めておりました地方譲与税の配分というのは盛り込まれなかったわけであります。  以上のような状況を踏まえまして、県としましては今後、継続的に観光振興を図っていくためには県独自の安定的な財源の確保が必要であると、このように考えまして、ことしの七月に観光振興財源検討会議を設置をし、慎重に議論をしていただいた結果、先月十六日、観光振興財源として宿泊税の導入が適当である旨の提言が、県になされたものでございます。県といたしましては、この提言を受けて、宿泊税に関する制度設計を行っているところであります。  この報告書に対する認識でございますが、ことしの七月に検討会議を設置し、神野委員長を初めとする学識経験者に加え、経済団体、観光関連団体、宿泊事業団体の代表者など、外部有識者の方々に議論を尽くしていただきまして、本県が取り組むべき観光施策、その観光振興財源の確保策としては宿泊税の導入が適当であること、また、宿泊税を導入する場合の税制について基本的な考え方をまとめていただいたわけであります。また、市町村が課税自主権に基づき宿泊税を導入する場合には、県の税額を減額するという特例措置を講ずる案も例示をしていただいたわけであります。この報告書は、今後の県と市町村が一体となって本県の観光のさらなる振興、これを図っていく観点から、大きな道筋を示していただいたものと考えております。県といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、この報告書を基本として宿泊税に関する制度設計を行っているところであります。  次に、福岡市からの提案とトップ会談でございます。私は、十一月一日に福岡市長と会談を行いまして、宿泊税について速やかに、かつ精力的に事務方同士で協議を行い、その結果を踏まえて改めてトップ会談を行う、子供医療費森林環境税などその他の県と市との間の懸案、課題については関係部局の間で整理をしていくと、この二点を確認したと、私自身認識しております。その後、県から市に宿泊税に関する協議を申し入れた際に、市からは、宿泊税と子供医療費森林環境税は包括的に協議すべきとの考えが示されましたが、私は宿泊税とその他の課題というのは緊急度が違い、内容的にも一緒に議論すべきものではないと、このように認識をいたしております。そのため、県からその旨を市にお伝えをし、宿泊税とその他の課題に分けてそれぞれ協議を行っているところであります。宿泊税につきましては、引き続き実務者同士の協議をしっかり積み重ねてまいります。その上で、協議の状況を踏まえて必要に応じトップ会談を行いたいと考えております。また、仮定の話をすべきではないかもしれませんが、仮に、実務者同士の協議がこれ以上進まないといったような場合にも、再度私のほうから、福岡市長にトップ会談を申し入れましてこの問題を解決していきたいと、このように考えております。  次に、二重課税についてでございます。地方自治法の考え方では、広域にわたる観光行政というのは、県が取り組むべき行政課題であり、県全体の観光の底上げを図るための施策を実施することは県の役割であると、このように考えております。本年五月に策定をされました全国知事会の新しい地方税源と地方税制を考える研究会の報告書では、宿泊行為に対する課税について、観光地と宿泊地が異なる場合の受益と負担の関係、消費税、地方消費税創設以降の特別地方消費税等における対応、税源の偏在等の存在などを考慮すると、都道府県税として賦課徴収した上でその一部を一定の基準に基づき市町村交付金として配分する方法も考えられる、その旨の報告がなされているところであります。地方公共団体が有する課税自主権につきましては、既に宿泊税を導入している自治体、東京都とか大阪府でございますが、自治体の例にありますように、県と市町村いずれか一方が優先されるというものではございません。県といたしましては、全国知事会による報告書の趣旨、また、私どもの財源検討会議の報告書の内容を踏まえて、県が持つ課税自主権に基づき宿泊税を導入する考えであります。  県の宿泊税は税額を原則二百円とし、その税収の半分を市町村が主体となって取り組む事業に充てることができる自由度の高い交付金として配分をいたします。しかしながら、仮に、市町村が独自に宿泊税を導入する場合、宿泊者に過重な負担が生じないよう、当該市町村内の税額については市町村主体事業分に相当する百円を減額するという特例措置を講ずる考えであります。この場合、形式的には二つの税が並立することにはなりますけれども、その負担が宿泊者及び特別徴収義務者であります宿泊事業者にとって過重なものかどうかというのが大事な要素である、このように考えております。  福岡市が宿泊税を導入した場合の対応でございますが、県としましては、県内の市町村の観光の振興の取り組みを支援をして県全体の観光の底上げを図っていくため、宿泊税の導入を検討しているものでございます。現在、検討会議の報告書をもとに制度設計を行っているところでございますが、先ほども申し上げましたとおり、福岡市が課税自主権に基づき独自に宿泊税を導入する場合には、宿泊者に過重な負担が生じないよう福岡市内の税額については市町村主体事業分に相当する百円を減額するという特例措置を講ずる考えでございます。宿泊税につきましては、現在福岡市と実務者同士の協議を行っておりまして、この協議をしっかり積み重ねてまいります。その上で、協議の状況を踏まえ、必要に応じトップ会談を行いたいと考えております。  次に、地方大学の振興にかかわる国の報告書と県立三大学の関係でございます。この報告は、地方圏での若者の減少、東京一極集中が進む中、地方における若者の修学、就業の促進に向けまして、全国の若者や海外からの留学生を引きつけるような地方大学の振興、東京の大学の定員の抑制、地方における若者の雇用の創出などについて提言がなされたものであります。県外や海外からの学生を多く受け入れて人材育成を行っている私ども県立三大学にとりましても、この報告は有用な方向性を示しているものと、そのように認識をしております。県立三大学に対しましては、これまでも私自身、学長さんたちと直接お目にかかって話をしてきたところでございまして、各大学におきましては、県の行政課題を踏まえた事業を地域の関係機関と連携して積極的に展開をしていただいております。九州歯科大学におきましては、地元歯科医師会と連携した摂食嚥下障がいに関する臨床研修、福岡女子大学におきましては、企業等と連携した上級管理職対象の女性トップリーダー育成研修を、福岡県立大学におきましては、認定看護師の養成を目的とした看護実践教育などにそれぞれ取り組んでおられます。引き続き、県立三大学に対して、産学官の関係機関との一層の連携、県が抱える行政課題への対応を積極的に求め、地方創生を担う人材の育成を支援してまいります。  次に、地方大学・地域産業創生交付金についてお尋ねがございました。この交付金は、地域における中核的な産業の振興、当該産業に関する専門的な人材の育成を推進し、地域の生産性の向上、若者の定着を促進する計画に対し、重点的に支援が行われるものとなっております。ことし十月に交付決定された事例を見てみますと、製薬や航空産業など物づくりを中心とする事業計画が採択されているところでございまして、こうした中核的な産業の振興と当該産業を支える雇用の創出につながる事業計画が求められているところでありますため、県立三大学につきましては、現時点で計画の立案には至っていないという状況でございます。地方創生の推進に関する国の支援には、当該交付金のほかにも、地方創生推進交付金などがございまして、福岡女子大学の女性トップリーダー育成研修を含む女性リーダー養成事業、これにはこの地方創生推進交付金を活用させていただいております。県といたしましては、地方大学・地域産業創生交付金を含め、地方創生を推進する国の各支援メニュー、これらについての情報を集め、こうした国の支援を活用した事業の実施について、これからも各大学と協議を進めてまいります。  次に、福岡県立大学に対する支援でございます。同大学におきましては、保健、医療、福祉の現場で中核となって活躍できる資質をお持ちの優秀な職業人を育成するとともに、地域の拠点として地域社会に対する貢献活動に取り組んでいただいているところであります。今年度から、六年間の新たな中期計画が始まり、先ほど申し上げました認定看護師の養成を目的とした看護実践教育のほか、不登校・ひきこもりサポートセンターの運営、筑豊地域の市町村が行う補充学習の場への学習ボランティアの派遣など地域の関係機関と連携した地域貢献活動に取り組んでおられます。さらに計画におきましては、新たにキャリア支援の項目を設け、就職に関する相談、県内企業を知る機会の拡充に取り組むこととしております。県といたしましては、県立大学がこうした取り組みを通じて新たな中期計画の実効性を高めていくことができるよう積極的に支援を行ってまいります。  なお、学生数の見直しでございますけれども、今後の我が国の十八歳人口の減少に伴う全国的な大学定員の見直しの動向、高齢化の進展に伴う将来的な本県の福祉、看護人材の需給ギャップの状況、同様の人材養成施設の状況、そういった事柄を総合的に勘案して検討する必要がございまして、学生数を増加させる場合には、一方で優秀な教員の確保、大学や実習施設の環境整備などの課題も生じますことから、その必要性について同大学から意見を聞いていきたいと、このように考えております。  次に、JKビジネスに対する規制でございます。JKビジネスは、法律上の定義はございませんけれども、女子高校生が接客することを明示、もしくは連想させる広告や宣伝を行い、会話、ゲームの相手や制服姿を撮影させたり客と一緒に散歩させるなどのサービスを提供する営業形態だとされております。JKビジネスは、児童買春の温床となり、青少年が性犯罪に巻き込まれる危険性を含んでおりますことから、青少年の健全育成を阻害するものだと認識いたしております。県といたしましては、県警と連携をいたしまして、県内における営業の実態、これを踏まえるとともに、既にJKビジネスを規制している他の都府県の条例の内容とその効果、それらを参考にしながら、条例による規制の必要性について研究してまいります。  次に、大規模災害が起きた場合の空港運営会社の対応でございます。ことし九月の台風二十一号による関西国際空港の被災事例については、国におきまして有識者による検討委員会を設置をし、その検証を踏まえた教訓を主要空港に生かすことといたしております。具体的には、ハード面の対策とともに災害に対応する空港全体のマネジメント体制、周辺自治体を初めとする関係機関との連携方策などソフト面の対策について今年度中に取りまとめられることになっております。  福岡空港の運営会社におきましては、この国の検討委員会で議論されております対策を随時反映をさせながら、新たな空港全体の災害対応にかかわる計画というものを、来年四月から始まる空港運営までに策定することといたしております。また、計画の実効性を確認するため、実際に訓練も行って、その結果を適宜計画に反映をしていく予定であると承知をいたしております。県といたしましては、福岡空港が被災したとしても、空港利用者の安全の確保はもとより、早期の復旧が果たされ、重要インフラとしての機能を継続的に果たすことができるよう、関係自治体との適切な連携対策等について運営会社と十分に意思疎通を図ってまいります。また、委託者であります国に対しましても、運営会社の防災対策が万全なものとなるよう適切な指導監督について働きかけを行ってまいります。  次に、進入経路変更に伴う騒音対策区域の広がりでございます。本年七月に国と運営権者により公表されました提案概要における南側からの直線進入方式につきましては、あくまで周辺地域の理解を大前提として導入を検討するとされております提案であります。現時点で運営会社において具体的な飛行経路などの詳細が策定されているものではございません。したがいまして、航空機騒音防止法に基づき設定された現在の騒音対策区域が南側直線進入方式にとってどのようなものになるか、現時点で予見することは困難でございます。いずれにいたしましても、騒音対策区域につきましては、滑走路増設後に騒音測定をもとに見直されることとなっております。航空機騒音防止法におきましては、国土交通大臣は、その区域指定に当たって知事の意見を聞くことになっておりますので、県といたしましては、適切な区域の設定となるよう国に必要な意見を述べてまいります。  民間委託後の空港周辺の環境対策についてお尋ねがございました。独立行政法人空港周辺整備機構は、航空機騒音防止法に基づきまして住宅への騒音防止工事の助成、移転補償などの周辺環境対策事業を行っております。平成二十九年度にこの事業に要した支出額は約十七億円となっておりまして、その財源は主として国が収受する着陸料となっております。  また、一般財団法人空港振興・環境整備支援機構は、周辺地域との共生を図ることなどを目的にいたしまして、周辺住民の健康診断の実施、共同利用施設への空調機器やパソコン等の備品購入の助成などを行っているところであります。平成二十九年度の、その支出額でございますが、空港別には公表されておりませんが、全国総額で約五億円となっております。その財源は、全国十六の空港で同機構が運営をしております駐車場事業からの収益となっております。  これら両機構の環境対策というのは、福岡空港民間委託の実施方針に基づき、空港周辺整備機構事業は民間委託開始十年後に、また空港振興・環境整備支援機構事業は直ちに、運営会社にそれぞれ承継され、その財源であります着陸料収入や駐車場事業収入も、民間委託後に運営会社が収受することとなります。あわせて、運営会社におきましては、両機構から承継される事業に加えて、空港機能の拡充に伴う助成対象の拡大でありますとか、地域の住民の意向に沿った新たな地域共生事業についても実施することといたしております。  次に、空港敷地内の民有地に対する借地料でございます。借地料につきましては、平成二十六年に、県が福岡市と連名で国に提出をいたしました意見書において、借地の安定的な使用を確保するため、国が責任を持って対応するように要請をしております。これを踏まえ、民間委託後におきましても、これまでどおり国が所有者と賃貸借契約を締結し、国の予算として自動車安全特別会計空港整備勘定から借地料を支払うこととなっております。  次に、がん検診受診率についてお尋ねがございました。これまで、本県のがん対策推進計画におきましては、肺がん、大腸がん、胃がん、乳がん、子宮頸がんのいずれも検診受診率五〇%を目標値としてその検診受診率の向上に取り組んでまいりました。その結果、計画策定前の平成十九年と直近の二十八年、それぞれの検診受診率を比較いたしますと、肺がんは一七・九%が四〇・九%に、大腸がんは二〇・九%が三六・四%に、胃がんは二七・一%が三八・二%に、乳がんは二一・七%が四〇・九%に、子宮頸がんは二二・八%が三七・九%にそれぞれ上昇しておりますが、いずれも目標値五〇%を下回っている状況にございます。  第三期計画における目標達成のための取り組みでございますが、居住地の市町村でがん検診と特定健診を同時に受診できる総合健診は、地域住民の利便性が高まりますことから、がん検診受診率の向上というものが期待できます。このため、県におきましては、総合健診の実施を市町村に働きかけておりまして、今年度から県内全ての市町村で行われることになりました。また、人口は多いけれども受診率の低い政令市と共同いたしまして、働く世代が受診しやすい日時と場所に出向いた検診に取り組んでおりまして、今年度は個人タクシー組合員を対象に大腸がんの検診を実施いたします。さらに、今年度から新たに中学校において、がんの経験者など外部講師を活用したがん検診受診勧奨事業に取り組んでおります。具体的には、講演を受けた生徒が、家族など大切な人への思いを書いたメッセージカードを作成をいたしまして、居住する市町村のがん検診日程表をあわせて大切な人に渡すことによりまして、その受診勧奨を行うものでございます。今年度は、十五市七町の三十八校の中学校で実施をいたします。ことし八月には、県民の健康づくりを推進するため、保健医療関係団体、経済団体、大学、行政など百を超える団体から成る県民会議を設立をいたしました。この県民会議の構成団体を通じまして、地域や職場などいろんな角度から、県民お一人お一人にがん検診受診を働きかけてまいります。これらの取り組みによりまして、目標達成に向け、がん検診の受診率向上に一層力を入れてまいります。  次に、がん治療と仕事の両立の支援でございます。国の調査によりますと、がんに罹患された方が働き続けるために必要な取り組みとして、事業所における通院等のための短時間勤務制度、時間単位の休暇制度などの柔軟な勤務、そして休暇制度の導入というものが求められております。このため県におきましては、今年度から中小企業団体に出向き、事業主の意識啓発を図るとともに、社会保険労務士をアドバイザーとして事業所に派遣をし、治療と仕事の両立支援のための勤務制度等の導入に向けた個別の相談を実施しているところであります。また、治療と仕事の両立支援制度を導入するため、就業規則の見直しを行う事業所に対しましては、一事業所当たり十万円を上限に助成を行っているところであります。  次に、登録事業所におけるがん検診受診率についてでございます。県におきましては、従業員やその家族に対し市町村等が実施するがん検診への受診を働きかける事業所を登録し、支援をする取り組みを進めております。登録事業所数は十一月末で、三千四百四十二となっております。この登録事業所におきましては、日ごろから社内会議などで従業員やその家族へがん検診を呼びかけたり、従業員が平日でも検診に行けるよう勤務時間の調整や休暇をとりやすくするなど、事業所の実情に応じた取り組みを行っているところであります。こうした取り組みによりまして、平成二十九年度に報告のあった登録事業所の検診受診率を見てみますと、肺がんでは七〇・四%、大腸がんでは七〇・三%、胃がんでは八〇・〇%、乳がんでは六一・五%、子宮頸がんが五九・一%となっておりまして、いずれも県の目標値を上回っている水準となっております。  次に、地域貢献活動評価対象事業における報告の義務づけでございます。本県におきましては、県が推進する施策へ積極的な協力を促すため、県が定める要件を満たす企業に対しまして入札参加資格審査において加点評価というものを行っております。現在、地域貢献活動を評価しております三十項目のうち二十四項目につきましては、加点評価の際に正規雇用の増加数や防災協定の締結といった実績をそれぞれ確認しているところであります。また、飲酒運転撲滅宣言など残りの六項目については、任意で優良事例の募集など事業報告を求めることによって事業の実効性を高めてきたところでございます。しかしながら、今後は登録事業者に加点評価を行う場合には、残りの先ほど申しました六項目につきましても取り組みの実績というものをそれぞれ確認してまいります。 18 ◯副議長(畑中 茂広君) 高木警察本部長。 *警察本部長答弁 19 ◯警察本部長(高木 勇人君)登壇 いわゆるJKビジネスについてお尋ねがありました。県警察といたしましては、福祉犯事件の捜査や風俗営業店への立ち入り、あるいはインターネットでの検索や補導した少年からの聞き取りなど、さまざまな警察活動を通じて、いわゆるJKビジネスの実態把握に努めているところでありますが、これまでのところ、女子高生などの児童が接客することを明示ないし連想させる広告宣伝をし、児童に性的感情を刺激する姿をとらせ撮影させる、あるいは客と一緒にデートさせるなどの営業形態をとるいわゆるJKビジネスについては、店舗型、無店舗型ともに把握をしておりません。  引き続き、いわゆるJKビジネスの実態把握に努め、少年に有害な営業に対しては労働基準法など各種法令を適用して徹底した取り締まりを行い、適正な風俗環境の維持に努めるとともに、御指摘の条例の必要性につきましても、知事部局とも連携しつつ、既に条例を制定している都府県の状況を把握するなどにより研究をしてまいります。 20 ◯副議長(畑中 茂広君) 佐々木允君。 21 ◯三番(佐々木 允君)登壇 御答弁をいただきました。知事に、福岡空港の諸問題及びがん対策の推進についてそれぞれ要望をいたします。  まず福岡空港についてですが、本県はこの議会において運営委託会社に実際の出資上限の一〇%に当たる三十五億七千万円を出資する補正予算案を計上しています。その理由について知事は、地域の意向を当該空港運営に適時的確に反映させていくことが重要と述べておられます。であるのならば、知事はとりわけ騒音問題に悩まされている福岡市や筑紫地域の皆様に寄り添うための必要な対策を、県民を代表する知事という立場で、そして環境対策の一部を担う空港運営会社の株主という立場で発言する責務があります。知事は、騒音対策区域の再設定に当たっては適切な区域の設定となるよう国に必要な意見を述べると答弁されましたので、今後、申し上げた点を十分に踏まえた意見を述べていただくとともに、今回の我が会派の指摘を受け、騒音環境対策についてより一層の対策を講じられますことを強く要望いたします。  続いて、がん対策推進計画において二〇〇七年度から十年間の目標として検診率五〇%を掲げ続けてきましたが、九年経過した現在においてもその目標を到達していません。その上、第三期がん対策推進計画においても、五年間の数値目標を、前回同様検診受診率五〇%としています。冒頭に申し上げたように、本県はがん罹患率が高くて、かつ検診受診率が低い県であり、がんの早期発見、早期治療に有効ながん検診率の向上は、本県挙げて行うべき施策であり、だからこそ知事は、がん対策に特化した課を二年前に新設したはずであります。今後は、検診受診率の向上はもとより、その前提としてどの年代、どの業種の人が受診率が低いのかといった分析についても本県として独自に行い、その分析に基づいて必要な施策を組み立てていくことを強く要望をいたします。  それでは次に、建設アスベスト対策の強化について質問いたします。アスベストは安価で、耐熱性、耐火性が非常に高く、セメント等に混ぜると耐久性も増すなどの性質から、産業機械、化学設備、家庭用品などで幅広く利用されてきました。しかし、建設アスベストを吸引後、十年から四十年とも言われる長期間の潜伏期間を経て、肺がんや中皮腫、石綿じん肺などの重篤な病気を発症することから、多くの建設労働者、一人親方がアスベストの吹きつけや、アスベスト含有建材の処理によって飛び散った粉じんを吸い込み、多く方がお亡くなりになりました。このような問題を受け、国も二〇〇六年三月に石綿による健康被害の救済に関する法律を施行し、救済給付事業や特別遺族給付金などの制度をつくり、労災保険等の対象とならない方の被害者救済に当たり、県も、保健福祉環境事務所において、救済給付事業の受け付け業務を行っています。  そこで一点目に、本県においてアスベスト被害者の被害救済の申請及び認定状況はどのようになっているのかお聞きします。また、被害に遭った可能性のある人に対して、本県は、現在の救済制度の周知、啓発をどのように行ってきたのかお聞きします。  二点目に、新たなアスベスト被害を生まない対策についてお聞きします。県内の建築物では、いまだに多くのアスベスト含有建材が使われています。また、建物の解体に当たって、労働安全衛生法、大気汚染防止法などで、防護服の着用や飛散防止対策などが規定されており、本県は、政令市を除き大気汚染防止法に基づき、飛散防止対策が必要な解体現場について、届け出の受理や確認、指導する権限を有しています。しかし、飛散防止対策については、あくまでも解体する事業者等からの届け出となっており、解体現場等では届け出をしないまま解体が行われたり、十分な飛散防止対策がとられていないなどの声も聞かれます。  そこで、新たなアスベスト被害者を生まないために、建築物の解体に当たって本県はどのように指導を行ってきたのか、お聞きをいたします。  また、学校施設を含む県有施設でも多くのアスベスト含有建材が使われていると思います。アスベストの使用状況の把握はどのように行われているのかお聞きするとともに、撤去などについて万全を期しているのかお聞かせください。  三点目に、アスベスト被害の早期解決についてお聞きします。アスベスト被害に関する救済制度については、一人親方や零細事業主は、法律上労働者でないため労災の保護の対象とならないこと、また、国などの責任については、国、事業者等とも認めてこなかったことなどから、全国各地で建設アスベスト訴訟が提訴されました。そして直近の大阪高等裁判所まで、十回連続、国の責任及び一人親方や零細事業主の損害賠償について認定する判決が出されています。判決では、多くの原告が遺族原告となっていることからも、早期解決を国に求めています。こうしたアスベスト裁判が続く中、アスベスト被害の早期救済の必要性について、知事はどのように認識しているのか、お聞かせください。  次に、労働者の待遇改善と最低賃金引き上げについて、知事に質問いたします。本年九月議会における我が会派の大田京子議員による代表質問において、建設労働者の適切な賃金確保のために入札評価項目を見直すことについて、知事にただしました。知事は、建設労働者の不足に関して深刻な人手不足に直面しているという認識を示し、働き方改革を通じた労働環境の改善や適正な労働条件確保の取り組みについて、加点評価の項目に追加できないか、検討を進めていくと答弁しています。そもそも我が会派は、これまで一貫して公契約条例の制定を求めてきました。この公契約条例の本来の狙いは、近年の労働者不足や官製ワーキングプアの根絶、また本県が施策として働き方改革を進める立場からも、まずは県が進める事業や公共工事が率先して、労働者の待遇改善に資することが必要であるという点にあります。  そこで一点目に、入札参加資格審査の地域貢献活動項目については、その改定が二年に一回で、かつことしが改定年であるとお聞きしていますが、ここに、賃金の適正確保や働き方改革に資する項目について、どのような検討がされているのか、進捗状況と今後の見通しについてお示しください。  二点目に、最低賃金の引き上げについてお聞きします。知事は、これまで議会において、できるだけ早期に最低賃金八百円を実現することが必要であるという認識を示し、その後、これまで八回にわたり中央最低賃金審議会等へ、最低賃金を八百円以上にすることを全国の知事としては唯一求め続けてきました。そして、ことしの十月、本県は最低賃金が、知事が求める八百円以上を超え八百十四円となりました。これまでの知事の働きかけの成果でもあり、この点については我が会派としても評価をいたします。  一方、最低賃金八百十四円を一月の法定労働時間上限百七十七・一時間で計算すると、給与は十四万四千百五十九円となり、年収でも百七十三万円程度となります。これは、いわゆる働く貧困層、ワーキングプアと言われる年収二百万円未満に当たります。また、最低賃金の上昇に伴い、最低賃金での求人が年々増加しているという実態も見られます。  そこで、このようなデータから考えると、最低賃金が八百円を超えたとはいえ、現状の最低賃金水準では特に非正規労働者の待遇改善に不十分と思われますが、知事はどのように考えるのかお聞かせください。  また、国の働き方改革実行計画においては、二〇二〇年度までに、最低賃金全国加重平均が千円になることを目指すということも掲げていますが、十月現在の全国加重平均額は八百七十四円であり、本県は加重平均以下となっています。また、年収二百万円以上になるためには、最低賃金が千円以上必要となります。  そこで知事として、新たな目標を設定し、中央最低賃金審議会等へ要望することはしないのかお聞きするとともに、新たな目標として時給千円以上とすべきと我が会派は考えますが、知事の認識をお聞かせください。  続いて、私の地元田川地域のインフラ整備、とりわけ主要地方道田川直方線バイパスの延伸整備について質問いたします。現在使用している主要地方道田川直方線バイパスは、炭鉱閉山後厳しい状況が続いていた田川市と直方市を結ぶ重要な幹線道路として、一九八一年七月に供用が開始されました。この間、田川地域から直方・北九州地域への物流、通勤などで大きな役割を果たすと同時に、幹線道路沿いには商店や住宅地などが形成されるなど、地域経済にも大きく貢献をしてきました。一方、田川直方線バイパスの田川市側は、国道二百一号においてはT字路交差点で終わっており、その後、田川市から大任町、添田町へ抜けるには彦山川の河川沿いを通る県道を迂回する必要があり、この県道では慢性的な渋滞箇所が見られるなど、市民生活に大きな影響を及ぼしています。こうした課題を解決するために、二〇一一年七月、地元政財界が発起人となり、主要地方道田川直方線延伸整備促進期成会が発足し、その後、地道な要望活動を県に対して行ってまいりました。その結果、国道二百一号から国道三百二十二号バイパスまでの区間を一般県道今任原伊田線、主要地方道八女香春線を含めて、いわゆる主要地方道田川直方線バイパスの延伸を二〇一六年度から着手したところです。田川地域は、現在、工業団地や新たな住宅団地の造成を行っており、また、近年頻発している各種災害に対応するための緊急輸送道路の整備など新たな課題もあります。これらの課題の解決のため、知事に、以下二点質問いたします。  一点目に、国道二百一号と国道三百二十二号バイパスを結ぶ現在の彦山川沿いの県道の課題について、知事の認識をお聞きします。  二点目に、現在着手している田川直方線バイパス延伸事業について、この事業が供用開始されることによってどのような効果があるのか、今後の取り組みも含めお示しください。  県立高校における課外授業のあり方について、教育長にお尋ねをいたします。昨年九月議会の代表質問において、我が会派の今井保利議員が、課外授業の参加が生徒の意思に基づかないものになっている実態を明らかにするとともに、課外授業のあり方について教育長をただしました。それに対し、教育長は、「生徒や保護者の意向の確認や尊重が不十分な状態で実施している学校も見受けられる」と答弁しています。その後、県教育委員会は、昨年十一月、各県立高校に対して、一、実施手続において趣旨や内容を周知するとともに、生徒及び保護者への参加意思の確認を徹底すること、二、正課の授業の一部とみなされるものではないこと、三、教員の従事においても意向確認を徹底すること、四、会計年度終了時に残金があった場合は、原則として保護者への返金を行うこと、などの通知を行っています。また、新聞報道等でも課外授業については大きく取り上げられました。しかし、一部の県立高校では、同意しなかったら親に電話して保護者面談をするや、全員課外授業を受けるのは当然などと言われ、事実上強制されたと訴える県立高校生の声を聞いています。
     そこで一点目に、昨年十一月の県教育委員会の通知後、課外授業はどのように変化したのかお聞きします。また、さきの県立高校生の声にあるように、事実上の強制につながるような指導とならないよう、どのような指導を行ってきたのか、教育長の見解をお聞きします。  二点目に、課外授業の選択方法についてお聞きします。課外授業の受講方法については、全科目一括の受講や、教科ごとの選択、または年間一括や学期ごとに選択の有無を聞くなど、各学校違った運用が行われているのが実態のようです。しかし、本来の課外授業の趣旨を考えると、学ぶ意欲を引き出すために不得意な教科を、生徒が主体的に選ぶことが大切だと考えます。また、その趣旨から、教科ごとに選択を可能とする県立高校も一部にあると聞いています。  そこで、現在、課外授業の受講方法について県教育委員会としてどのように認識しているのか、お聞かせください。  三点目に、課外授業の会計についてお聞きします。昨年十一月の県教育委員会の通知では、会計年度終了時に残金があった場合、原則として保護者への返金をすることになっています。  そこで、現在の会計状況について適切に行われているのかお聞きするとともに、残金がかなりの額累積している県立高校があったと聞いていますが、その取り扱いについてどのようになるのかお聞かせください。  以上、答弁をよろしくお願いします。 22 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 23 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  アスベスト被害救済の状況と制度の周知でございます。石綿健康被害救済制度によります県内の救済給付申請件数でございますが、制度発足の平成十八年度から二十九年度までの間に七百六十八件ございます。そして、給付決定件数は四百四十六件となっております。また、同じ期間に申請のありましたアスベスト被害の労災保険と特別遺族給付金の請求件数は、それぞれ五百五十一件と七十二件となっておりまして、給付決定件数はそれぞれ五百五件及び四十三件となっております。県におきましては、ホームページによりましてアスベスト被害救済に関する相談窓口や申請手続について情報提供を行い、救済制度について周知を図ってきているところであります。あわせて、独立行政法人環境再生保全機構と連携をいたしまして、申請窓口を開設をしております全ての保健所やがん診療連携拠点病院などに対して、ポスターやパンフレットを配付し、その周知を図っているところであります。今後は、これらの取り組みに加えまして、県の広報紙への掲載、県医師会と連携した医療機関に対する説明会の開催などを実施いたしまして、この制度の周知啓発というものを強化してまいります。  次に、建築物の解体時におけるアスベストに関する指導でございます。建築物の解体工事が行われる際には、大気汚染防止法及び労働安全衛生法に基づき工事事業者が事前調査を実施することとなっております。この調査の結果、飛散性の高いアスベストが確認された場合、発注者は県または保健所設置市に対し、また工事事業者は労働基準監督署に対し、アスベスト飛散防止対策について届け出を行うこととなっております。県におきましては、工事事業者に対しまして、これらの調査や届け出の義務につきまして文書で周知を図るとともに、労働基準監督署と連携して届け出が確実に行われるよう指導してきているところであります。また、届け出のありました全ての解体工事を対象に立入検査を実施をし、アスベストの飛散防止対策が確実に行われているか確認をするとともに、必要な指導を行っております。今後は、これらの取り組みに加えまして、県建造物解体工業会や県産業資源循環協会等の関係団体に対する説明会を開催をいたしまして、この法制度の周知徹底と指導の強化に取り組んでまいります。  県有施設におけるアスベストの使用状況と対策でございます。県では、平成十七年度から二十年度までに全ての県有施設一千二百十八施設ございますが、これを対象に飛散性の高い吹きつけアスベストの使用状況を調査をいたしました。このうち、五十八の施設で使用が確認をされ、平成二十五年度までに五十四の施設で除去等の対策が完了しております。残る四施設につきましては、外壁の内側や天井裏など人の活動空間と隔離された部分にアスベストが使用されておりまして暴露のおそれがない状況にございますけれども、今後、これらの改修等の際には対策を検討してまいります。また、アスベストを含む断熱材や保温材、これについても学校や庁舎等七百九十六の施設を対象に平成二十八年度と三十年度に調査をいたしまして、いずれも暴露のおそれがないことを確認をしているところであります。県有施設を撤去する際には、これらの調査結果も踏まえながら、アスベスト関係法令及び環境省のマニュアルに基づき、アスベストの飛散防止対策を確実に講じた上で、解体工事を実施することとしております。  次に、被害の早期救済でございます。アスベストによる健康被害につきましては、長期にわたる潜伏期間を経て生命や健康に影響を及ぼすため、因果関係の特定が非常に困難であります。こうしたことから、個別の因果関係を問わず社会全体でアスベストによる被害者の経済的負担を軽減することを目的といたしまして、いわゆる石綿健康被害救済法に基づく救済制度が設けられたものであります。現在、この制度では補償されない慰謝料などを求めて、国や企業に対し損害賠償を求める裁判というものが係属していることは承知をいたしておりますけれども、県といたしましては、この救済制度が安定的、着実に運営されることが一人でも多くのアスベスト被害者を迅速に救済することにつながっていくものと考えております。このため、制度の周知や石綿健康被害救済基金への拠出というものを実施をするとともに、国に対しては、全国知事会を通じまして、救済制度を初めアスベスト対策の充実強化、これについて求めているところであります。  次に、地域貢献活動評価項目の検討状況でございます。企業における労働者の賃金向上の取り組みや、働き方改革を通じた労働環境改善の取り組みを地域貢献活動における加点評価の対象とすることにつきまして、本年十一月、労使双方の意見を聞く場を設けたところであります。その結果、働き方改革に資する項目については労使ともに積極的に進める立場でありまして、これを加点評価の対象とすることに異論はないと。次に賃金については、本来労使間で自主的に決定されるべきものである。次に、本制度の対象となるのは入札に参加する元請企業であるため、賃金にかかわる項目を加点評価の対象としますと元請企業の賃金のみが上昇し、下請、孫請へのしわ寄せが懸念されることから、慎重に検討すべきであるとの御意見をいただいたところであります。現在、こうしたいただいた御意見を踏まえ、どのような項目を加点評価の対象にするのか検討を進めているところでございます。  次に、最低賃金の水準についてお尋ねがございました。本県は、全国で唯一、国に対して最低賃金の引き上げの提言を継続して行ってまいりました。この結果、本県の最低賃金は八百十四円となりまして、これまで目標としていた県内の生活保護の水準であります八百円を超えることができました。これは大きな前進であると考えております。一方で、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇には依然として差があり、非正規雇用労働者の賃金は低い状況にございます。このため、同一労働同一賃金の実現と、着実な最低賃金引き上げの継続が必要であり、県としてもその旨、国に対し要望をしているところであります。  新たな目標の設定についてでございますが、労働者の賃金が上昇することで消費が拡大をし、企業収益の向上にもつながるという日本経済の好循環が生まれるわけであります。この好循環を継続していくためにも、最低賃金の引き上げの継続は必要であると考えております。これまで本県が行ってまいりました最低賃金引き上げの要望は、国が目標をまだ示していなかった時期から明確な目標を定めて要望してまいりましたこと、それを達成したことに大きな意味があったというふうに考えております。現在、国においては、全国加重平均で千円を目指すと、その目標を掲げておりますので、まずはこの国が示しております目標の達成に向けた着実な引き上げを求めていきたいと考えております。また、地域ごとに最低賃金の引き上げ額を定めております現行のランク制度におきましては、上位県と下位県との格差が拡大することになりまして、本県の場合、全国平均を下回ることとなっております。このため、本年八月、全国知事会から国に対し、地域間格差につながっているこのランク制度を廃止をし全国一律の最低賃金制度を実現すること、最低賃金の引き上げによって影響を受ける中小、小規模事業者への支援を強化すること、これらについて提言を行ったところであります。  次に、国道二百一号と国道三百二十二号バイパスを結ぶ、彦山川沿いの現在の県道の課題でございます。現在供用中の田川直方線バイパスから国道二百一号を通り国道三百二十二号バイパスを経由して大任町、添田町へ向かうためには、彦山川沿いを通る県道田川直方線、今任原伊田線、八女香春線を利用する必要がございます。しかしながら、この区間にはJR日田彦山線との立体交差部で冠水の危険、高さ規制、道路の幅が狭いといった通行支障箇所がございまして、また国道二百一号との交差点であります東大橋交差点におきましては、交通渋滞も発生していると、このように認識をいたしております。  主要地方道田川直方線バイパス延伸事業における効果と今後の取り組みでございます。県におきましては、国道二百一号バイパス入口交差点から南側への延伸を計画をいたしまして、国道二百一号から国道三百二十二号バイパスまでの約四・三キロメートルの区間を、平成二十八年度から事業着手しております。現在、用地買収を進めているところでございまして、一部工事にも着手したところであります。本線バイパス延伸事業によりまして、筑豊地域の南北の交通軸の強化が図られますとともに、東大橋交差点の渋滞の緩和、これも期待できます。また、冠水の危険や幅員狭小など通行支障箇所を回避できることで災害時における救援物資等の輸送にも資する道路となります。さらに延伸区間の周辺には、観光、産業振興の拠点となります道の駅おおとう桜街道や桑原工業団地などがございまして、これらへのアクセスの向上というのも期待できるところであります。今後、この早期完成に向けて地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、用地買収あるいは工事を着実に進めてまいります。 24 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 25 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 課外授業の現状と指導の取り組みについてでございます。本年度の課外授業につきましては、その実施手続と内容、教員の従事及び会計に関し、全ての学校で昨年十一月の通知に基づき確実に実施されていることを、県教育委員会として確認をしております。その結果、課外授業を実施している普通科高校六十三校のうち、参加率一〇〇%の学校数は昨年度の五十校から本年度は一校のみとなっております。また、課外授業の適正な実施を徹底するため、チェックリスト等により状況把握に努めるとともに、参加を強制されたと受け取られかねない不適切な指導や、参加していない生徒が定期考査等で不利となる取り扱いなどをしないよう校長会等で具体的な指導を行っております。  課外授業の受講方法についてでございます。現在、一年次から教科ごとに選択できる学校は八校にとどまっておりますが、二年次からは進学や就職の進路希望に応じ受講する教科を選択できる学校が増加し、三年次では半数以上の学校が選択制となっております。また、参加希望の確認時期につきまして、学期ごとに行っている学校は半数程度でございますが、通年で申し込みを行う学校であっても、希望により中途で受講内容の変更を認めるなど柔軟な対応がなされております。県教育委員会といたしましては、課外授業は生徒の進路実現を図る上で重要な機会であり、生徒、保護者のニーズを踏まえ、多様な学習内容が提供されることが望ましいと認識しております。このため、学期ごとの意向確認を行うとともに、生徒の進路希望や習熟の程度等の実態に応じ、受講できる教科等の選択肢を拡大するよう各学校を指導してまいります。  課外授業の会計についてでございます。平成二十八年度末時点で、一部の高校において会計報告の不備や余剰金の取り扱いなど適切ではないと思われる事例がありました。それらの学校に対しては個別に調査を行い、改善が必要な点について指導をしており、平成二十九年度からは課外授業を実施している全ての県立高校で適正に会計処理がされております。また、累積している余剰金については、各学校の課外授業の主催者でありますPTAにおいて、課外授業に係る物品の購入や進路指導費、生徒会費等へ繰り入れるなど、役員会、総会等で説明し、承認を得た上で、生徒の教育活動に還元されるような取り扱いがなされております。今後も保護者負担軽減の観点から、引き続き会計処理が適切に行われるよう各学校に指導するとともに、校長協会や事務長会に対しても協力を要請してまいります。 26 ◯副議長(畑中 茂広君) 佐々木允君。 27 ◯三番(佐々木 允君)登壇 知事に、最低賃金に関して二点再質問をいたします。  小川知事は、二〇一一年から毎年、できるだけ早期に本県の最低賃金を八百円以上にするよう国や中央最低賃金審議会に意見書を出されてきました。しかし、この具体的な時給を示し、国に意見書を知事が提出するという取り組みは、そもそも麻生県政時代に始まったことであります。また、知事は、国が示した全国加重平均千円の達成のために引き上げを求めると答弁しています。これは、これまで知事が続けてきた本県の最低賃金目標の額を明示した上での要望を、今後は行わないということになります。これでは、国の方針に倣う姿勢に終始するだけで、知事独自の判断をやめることになり、これまでの取り組みから大きく後退することになります。  そこで一点目に、知事がこれまで最低賃金八百円以上と述べてきたように、本県の新たな最低賃金の目標を、知事が指し示すことはされないのか、するのかしないのか、明確にお示しください。  二点目に、知事は国に引き上げを求めるとありますが、これまでと同じように、国や中央最低賃金審議会等への意見書を提出されるのか、引き上げを求める手法について具体的にお示しください。 28 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 29 ◯知事(小川 洋君)登壇 新たな目標の設定でございますけれども、先ほど御答弁いたしましたように、今八百円を超えるところまで来たわけでございますが、現在、国のほうでは全国加重平均で千円という目標を掲げておりますので、まずはこの目標の達成に向けた着実な引き上げというものを求めていきたいと、このように考えているところであります。  その上で、国に対してどういう対応をするかということでありますが、私は先ほど御答弁いたしましたように、最低賃金の引き上げというのは日本経済の好循環を継続していく上で必要でありまして、一方で、一歩一歩確実に進めていかないかん、そういう課題であるというふうに認識しているわけであります。引き続き、県として国に対し適切かつ着実な最低賃金の引き上げ、これについて要望を続けていきたいと、このように思います。 30 ◯副議長(畑中 茂広君) 佐々木允君。 31 ◯三番(佐々木 允君)登壇 御答弁をいただきましたが、結局、知事は、幾らとするかという具体策を最後まで述べることはしませんでした。結局、知事がみずから、県として目標を指し示さないということになり、みずから決めるというリーダーシップを、残念ながらここでも示されなかったことになります。これまで県議会では、各会派の議員から、知事のリーダーシップの不足が指摘されてきました。またここでも同じ状況が繰り返されたこと、要するにこれまでは麻生県政から続けてきたことを踏襲する、そして今後は国が言うことをそのままやっていく。結局、知事としてどのようにしていくのか、そのことについて述べないというのは、極めて残念だと言わざるを得ません。引き続き、知事は本県の最低賃金目標額を具体的に指し示し、それを国等に意見していくこと、そのことについて会派として強く要望し、代表質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 32 ◯副議長(畑中 茂広君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は十二月十日、取り進めることといたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時 二十一分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...