福岡県議会 2018-10-02
平成29年度 決算特別委員会 本文 開催日: 2018-10-02
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 平成三十年十月二日(火曜日)
午 前 十 一 時 零 分 開 議
◯樋口 明委員長 定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。
審査日程に従い、本日の議事を行います。
最初に、福祉労働部所管分の審査を行います。
まず、第一四〇号議案「平成二十九年度福岡県一般会計決算」のうち歳出について説明を求めます。神代福祉労働部長。
2
◯神代福祉労働部長 おはようございます。平成二十九年度一般会計歳出決算のうち福祉労働部所管分について御説明申し上げます。
お手元の
歳入歳出決算概要説明書の七十七ページをお開き願います。
歳出五款生活労働費でございます。生活労働費の決算額は、計欄にありますとおり、一千五百四十三億九千七百万円余となっております。
その内訳でございますが、二項福祉企画費につきましては、支出済額の計欄にありますとおり、五十一億八千九百万円余でございます。主なものは、平成二十九年七月九州北部豪雨災害の被災地・被災者支援のための経費等でございます。下の七十八ページに移りまして、不用額の主な理由は、二目の災害救助費等の執行残によるものでございます。
三項児童家庭費の決算額は五百十六億八百万円余でございます。
七十九ページをお願いいたします。主なものは、保育所や小規模保育等に係る給付費の県負担金、児童手当の支給などでございます。不用額の主な理由は、三目の
社会福祉施設整備費等の執行残によるものでございます。
下の八十ページをお願いいたします。
四項障がい者福祉費の決算額は四百三十一億一千六百万円余でございます。主なものは、障がい者の社会参加の促進や障がい者の援護のための経費などでございます。翌年度繰り越しを行っておりますものは、障がい者福祉施設の整備に時間を要したことによるものでございます。不用額の主な理由は、四目の障がい
者福祉施設整備費等の執行残によるものでございます。
次の八十一ページをお願いいたします。
五項生活保護費の決算額は三百六十三億四千五百万円余でございます。主なものは、生活保護費の支給経費等でございます。不用額の主な理由は、二目の生活保護費等の執行残によるものでございます。
下の八十二ページをお願いいたします。
六項社会福祉費の決算額は百五億三千六百万円余でございます。主なものは、子供等に対する医療費の助成経費などでございます。不用額の主な理由は、四目の人権啓発事業費等の執行残によるものでございます。
八十三ページをお願いいたします。
七項労働企画費の決算額は十五億三千八百万円余でございます。主なものは、若者、中高年齢者、子育て女性などの雇用の安定促進経費等でございます。不用額の主な理由は、一目の
中小企業労働力確保対策費等の執行残によるものでございます。
下の八十四ページをお願いいたします。
八項職業訓練費の決算額は五十七億八千百万円余でございます。主なものは、公共職業訓練費の実施経費等でございます。不用額の主な理由は、二目の職業訓練費等の執行残によるものでございます。
次の八十五ページをお願いいたします。
九項失業対策費の決算額は二億八千百万円余でございます。主なものは、高齢者等の雇用の促進に要する経費等でございます。不用額の主な理由は、一目の
中高年齢者等雇用促進費等の執行残によるものでございます。
以上が福祉労働部所管の一般会計歳出決算の概要でございます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
3 ◯樋口 明委員長 説明は終わりました。これより歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。香原勝司委員。
4 ◯香原勝司委員 皆さん、おはようございます。自民党県議団の香原勝司です。
保育行政の動向と課題について質問をしていきたいと思います。平均時間が、今、十五、六分で推移しているということですから、努力をしてその辺で終わりたいと思います。そしてまた、課長はデビュー戦だとお聞きしておりますので、頑張っていただきたいと思います。
平成三十年四月一日の県の待機児童数は九百九十五名となっております。県では待機児童の解消を図るため、これまで多くの保育所を整備し、平成二十九年では四千四百四十五人分、今年度は四千七百八十八人分の定員増の予定をしていると聞いております。
しかし、保育所を幾ら整備しても、そこで働く保育士が不足していれば、整備した保育所の定員を十分活用できない状況になります。現在、保育士不足により定員まで児童を受け入れられていない保育所もあり、保育士の確保は大きな問題となっております。そこで、保育士の不足に関する県の対応についてお聞きをします。
まず、県は保育所の施設整備は進めておられますが、この保育士の確保ということについてどのように対応されているのか、お聞きしたいと思います。
5 ◯樋口 明委員長
坪根子育て支援課長。
6
◯坪根子育て支援課長 保育士を確保するためには、新規保育士の確保、離職防止、現在保育現場で働いておられない、いわゆる潜在保育士の現場への復帰促進が重要となっております。新たな保育士をふやす取り組みにつきましては、保育士養成校の生徒を対象に五年間就業すれば全額免除される
保育士修学資金貸し付けを実施しております。就業継続も期待されることから、当制度の活用について養成校や高校に働きかけています。平成二十九年度においては百三十九名の方が利用されています。
次に、保育士の離職防止としましては、就職一年以内の新任保育士を対象とした離職防止セミナーや経営者等を対象とした管理者向け研修会の開催、職場環境改善に関する
無料コンサルティングを実施しています。また、保育士の負担軽減を図るため、短時間勤務の保育補助者の雇い上げに必要な経費の助成も行っております。
潜在保育士の現場復帰を促進する取り組みにつきましては、福岡県
保育士就職支援センターにおいて職業紹介や研修会を実施するとともに、未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸し付けや、再就職の準備のために必要な就職準備金の貸し付けなどを行っています。平成二十九年度は、保育料の一部貸し付けを百六人、準備金を六十五人の方が活用し、保育士に復帰されています。
7 ◯香原勝司委員 まず、先ほどの保育士の修学資金の貸し付けで百三十九名の方が利用されているということですけれども、この方々がしっかりと保育士になられたかどうかということは後追いをしていかなくてはいけないと思いますので、検証していくことを指摘しておきます。
そしてまた、潜在保育士の掘り起こしがやはり一番大事であると思います。その中で、準備金とかさまざまな施策をやられていますが、なかなか潜在保育士のマッチングというものが進んでいないというのが現状でありますので、潜在保育士のマッチングが進んでいないという状況についてどのように対応されていくのか、お聞きをしたいと思います。
8
◯坪根子育て支援課長 昨年度実施いたしました保育士再就職意向調査によりますと、再就職で重視することとしては、給与や休暇等の処遇面が最も多く、次いで勤務時間、職場の人間関係が続いています。保育士の確保に当たっては、これらを改善することが必要と考えています。
処遇面につきましては、平成二十九年度では全職員の処遇の二%改善、さらには、技能・経験に応じた最大四万円の処遇改善が行われており、引き続き、さらなる処遇改善について国に要望してまいります。また、技能・経験に応じた処遇改善の前提となる
キャリアアップ研修についても本年度から実施しているところです。
勤務時間については、再就職を希望する方は短時間勤務を希望する方が多く、ある程度の長時間勤務を望む求人側とのミスマッチが生じております。これについては、保育士の就業を支援する
保育士就職支援センターのコーディネーターを平成二十九年度から一名増員しまして、求職、求人、それぞれの希望を聞き取って、丁寧に調整していく体制を整備しております。これにより、二十九年度の実績は前年度比二十二名増の三十九名となっており、本年度は七十名を目標に業務に取り組んでおります。さらに本年度、求職求人登録や研修情報等の掲載、配信機能を持つ保育士の就職支援のためのシステム構築を進めておりまして、このシステムの活用により求職求人登録をふやし、マッチングの増加に努めてまいります。
9 ◯香原勝司委員 今年度については七十名を目標にやってあるということですので、しっかりとこの目標に到達するようにやっていただきたいと思います。
そのような中で、やはり保育士確保というところで一番大きな課題になってくるのが、先ほども言われましたけれども、処遇改善等を踏まえる賃金というものが安いということであろうと思っています。賃金が安い中で一番大きな問題になっているのは、地域手当、地域区分というものであろうと思います。そのことにおいて、近隣において保育士の給与に格差が生じている現状があるわけであります。そのことに対する県の考え方と、やはりこのことについてはしっかりと国のほうに要望していかなくてはいけないと思いますので、その辺についてお答えいただきたいと思います。
10
◯坪根子育て支援課長 保育所の運営費算定の基礎となる公定価格の地域区分は、国家公務員の給与に準拠して設定されております。平成二十七年度からの子ども・子育て支援法施行に際しまして地域区分が見直され、地方公務員の地域手当の支給対象地域やその隣接地域も勘案して設定されるなどの改善が図られています。国家公務員給与に準拠して設定することにつきましては一定の合理性があるものと考えておりますが、具体の区分のあり方については、より一層地域の状況を踏まえる必要があると考えており、十六大都道府県の児童福祉主管部局で構成する会議におきまして、国に対し継続的に要望しているところです。
11 ◯香原勝司委員 この地域区分というのは、私が思うには合理性が本当にあるのかなと、どこで地域区分の線引きをされているかという理由づけについても明確ではないと思っています。やはり福岡市、北九州市というある程度賃金が高いところと、それに隣接して賃金が地域区分において低くなっているところがありますので、そうなれば賃金が高い市町村に就職されるのは当然のことであろうと思います。この辺の改善についてはしっかりと福岡県が地域の実情を国のほうに訴えていくことが必要であると思いますので、引き続き、先ほど言われました十六大都道府県の会議において強く要望していただきたいと思います。
次は、視点を変えて、別の質問をさせていただきます。あくまでも消費税の増税が決定したことが前提であろうと思いますが、二〇一九年十月から幼児教育・保育の無償化を国は実施すると言っております。県としては、この無償化により福岡県の保育事情がどのように見込まれるのか、教えていただきたいと思います。
12
◯坪根子育て支援課長 第二子以降の保育料無償化を先行しました兵庫県明石市においては保育需要が増大しております。この事例を踏まえると、無償化は保育需要の増大につながるものと考えられます。今後、市町村においては平成三十二年度を始期とする市町村子ども・
子育て支援事業支援計画を策定することとなっています。この策定に当たっては、利用者の意向調査やこれまでの利用児童数の動向等を踏まえて策定することとなっておりまして、その中で、無償化による保育需要についても見込むこととなっております。
13 ◯香原勝司委員 本当に間違いなく人が減ることはないんだろうと思います。入園者は間違いなくふえていく。国としては、今の三歳児から五歳児についてはほとんどの方が行ってあるのでそんなにふえませんよと言っているみたいですが、間違いなく保育需要は増していく。今でも、現実、人が足りない、園が足りないという状況です。そして一番危惧するところは、これを市町村がしっかりと担っていかなくてはいけないということであろうと思いますので、今まだ制度設計も余り見えていない中において、この保育の無償化というものに県内の市町村が対応できるのかどうなのか。私はできないという声を聞いておりますが、その辺について、県の真意も踏まえてお聞きをしたいと思います。
14
◯坪根子育て支援課長 来年十月からの無償化を実施するためには、市町村においては保護者への制度周知や電算システムの改修などを行う必要があります。また、保育の必要性に関する認定作業の増加も考えられます。現在、市町村が保育委託していない届け出保育施設、いわゆる認可外保育施設の利用者も無償化の対象となっているため、当該施設を利用する児童の把握など新たな事務も発生いたします。しかし、いまだ国から制度導入に向けた市町村実務や無償化に係る県と市町村との費用負担のあり方も示されていないため、必要となる人員や予算の確保作業を進めることができない状況となっております。このため、国に対し、早急に詳細な内容を示すよう要求していくとともに、国から詳細な内容が示された場合には速やかに市町村への説明を行い、円滑な事業実施ができるよう支援してまいります。
15 ◯香原勝司委員 今の回答では、なかなかこの事業に対する方向性というものが進んでいないと思いますし、このことにおいて父兄の方とか保育事業者とか、そういうところに迷惑がかからないようにやっていかなくてはならないと。これが本当に国であったり行政の責任であると思いますので、しっかりとこれから取り組んでいただきたいと思います。
そのようなことも踏まえて、基本的には待機児童対策、そして、保育士の確保というものもあった中において、今度の子ども・子育て支援法の改正によって、県は保育に関する法的な根拠がある協議会というものを設置できるようになったと聞いております。待機児童の対策の現状と課題、先ほど言いました保育士の確保対策、そして、将来的には県費の投入までも踏まえて市町村と協議をしていかなくてはならないと思いますが、この協議会の設置ということについて県の回答を聞きたいと思います。
16
◯坪根子育て支援課長 子ども・子育て支援法の改正によりまして、都道府県は保育の受け皿確保や保育人材の確保等の市町村の取り組みを支援するための協議会を設置することができるとされました。平成三十年度においては、県所管の施設整備による定員増と離職者数を勘案すると、新たに四百三十五人の保育士が必要になると試算しております。県としましてはこのような状況を踏まえ、市町村や
県保育協会等関係団体との協議会を設置し、まずは待機児童の解消や保育士確保について、それぞれの市町村等の現状と課題を共有しまして、広域的な取り組みも含め、その対応策、必要な支援策について協議してまいります。
17 ◯香原勝司委員 ぜひとも協議会をつくって、しっかり地域の市町村並びに県保育協会等の実情を勘案された中において方向性を見出していただきたいと思います。
最後に、部長に決意をお伺いしたいんですが、現在、千人近い待機児童がいる中で、先ほど言いましたけれども、来年十月からは保育の無償化の導入も検討されています。そして今現在、四百名を超える保育士が足りないという説明もありました。そのような中において、保育需要の増大というものは間違いないと思います。今後、この増大が見込まれる保育需要に県はどのように対策をとっていくのか、部長の力強い決意をお願いいたします。
18 ◯樋口 明委員長 神代福祉労働部長。
19
◯神代福祉労働部長 無償化の導入による保育需要の増加に対応するためには、保育所等の施設整備による、いわゆる受け皿をまず確保しなくてはいけないという問題と、それを担う保育士の確保、この両方が必要になろうかと思っています。この課題に対応していくためには、まずは市町村において、平成三十二年度からの新たな子ども・子育て支援計画の策定において、無償化に伴う保育需要を確実に見込んでいただくことがまず必要だと思っています。その上で受け皿としての施設整備を着実に進めるとともに、先ほど課長が答弁いたしましたように、新規保育士の確保、それから、現在、保育士として従事していただいている方の離職の防止、それから、潜在保育士の現場復帰への促進、この三つに向けた施策を確実に実施していきたいと考えております。
そして、何といいましても、保育士という仕事を魅力ある職業として認識してもらうためにはさらなる処遇改善が必要です。県といたしましては処遇改善につながる
キャリアアップ研修への参加を事業所に働きかけていくとともに、国に対しまして、さらなる処遇改善について引き続き要望してまいります。
これらの取り組みに加えまして、新たに設置する協議会において待機児童の解消や保育士の確保について市町村とちゃんと協議をしてまいりたいと考えております。
20 ◯香原勝司委員 部長の決意等々はお伺いいたしました。ただ、保育需要の増大ということに対して、喫緊の課題でもありますので知事に直接御質問をしたいと思います。委員長、お取り計らいのほど、お願いいたします。
21 ◯樋口 明委員長 ただいま香原委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は十月十日水曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
22 ◯香原勝司委員 どうもありがとうございました。(拍手)
23 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。田辺一城委員。
24 ◯田辺一城委員 おはようございます。国民民主党・県政クラブの田辺一城です。
通告に従いまして、地域課題を解決するためのソーシャルワーカーの重要性について提起をしたいと思います。
総務省の自治体戦略二〇四〇構想研究会がことしの七月、住民の生活上のニーズに民間の力も活用して対応するため、ソーシャルワーカーが組織的に仲介する機能が必要だとする報告書をまとめ、関係者に衝撃を与えています。ソーシャルワーカーの国家資格として社会福祉士などがありますが、現代社会の課題の主体が高齢者、障がい者、子供、生活困窮者、外国人などと多様化、複雑化をし、さまざまな課題を解決していくためには、医療、介護、保険、雇用、就労、住まい、教育、防災、環境、多文化共生など、多岐にわたる分野で取り組みが求められる中、都道府県、そして市町村行政の現場で包括的な相談支援体制を構築していくためにソーシャルワーカーの任用を進める必要性が提起されたものと理解をしています。
そこでまず、ソーシャルワークの重要性について、県の認識を伺いたいと思います。
25 ◯樋口 明委員長 野上福祉総務課長。
26 ◯野上福祉総務課長 ソーシャルワーカーにはさまざまな機能があり、福祉の分野では、地域共生社会の実現に役立つ包括的な相談支援体制の構築、また、住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みる体制づくり、これらを推進するに当たりまして、その機能の発揮が期待されているところであります。
昨年度の県民意識調査では、今後行政に期待するものとして、平成二十四年度と比較しまして、住みなれた地域で安心して暮らし続けるための支援や高齢者、障がいのある人を介護する家族の負担の軽減を求める意見が増加をしております。また現在、地域における生活の現場では、育児と親の介護を同時に抱えている家庭やひとり親で障がいのある子供を育てる家庭など、複数の困難を同時に抱える方々も多く見られます。これらの課題解決のためソーシャルワークは必要不可欠なものであり、国が目指す地域共生社会の実現に向けても非常に重要なものであると考えております。
〔正副委員長交代〕
27 ◯田辺一城委員 現在、本県においてソーシャルワーカーである社会福祉士がどのような役割を果たしているのか、特に本県が取り組んでいる事業との関係でお聞きしたいと思います。
28 ◯野上福祉総務課長 社会福祉士の役割は、身体上もしくは精神上の障がいがある人や、病気や経済上の理由により日常生活を営むのに支障がある人の福祉に関する相談に応じ、それらの人を福祉や医療サービスを提供する関係者とつなぐということであります。
県と社会福祉士の関係でございますけれども、社会福祉士は公益社団法人福岡県社会福祉士会を組織しております。県では、この会に、長期間入院している郡部の生活保護受給者の社会復帰を支援します福岡県長期入院被保護者社会復帰コーディネートアドバイザー事業でありますとか、障がい福祉サービス事業所の従事者や管理者などの専門性の強化を図るための障がい者虐待防止・権利擁護指導者養成研修を委託しまして実施をしていただいております。また、この会と、災害時における福祉避難所等への福祉等専門人材の派遣に関する協定を締結しておりまして、災害発生時に社会福祉士を福祉避難所等に派遣し、要配慮者を支援する体制を構築しております。
29 ◯田辺一城委員 そうしたソーシャルワーカーが市町村と連携をして、さまざまな社会課題を解決していくことが今後一層求められてくると考えています。県内の市町村の状況はどのようになっていますか。
30 ◯野上福祉総務課長 先ほど申し上げました公益社団法人福岡県社会福祉士会では、県内の複数の市から長期入院被保護者社会復帰コーディネートアドバイザー事業でありますとか、子供の健全育成事業を受託しておりますほか、福岡市からはホームレス巡回相談事業、宮若市からは生活困窮者自立相談支援事業、これらの事業を受託して実施しております。また、社会福祉士は、高齢者や障がい者の虐待対応事務を担う市町村を支援するために、ケース会議等の場におきまして専門的な助言を行っております。
31 ◯田辺一城委員 ここまで御答弁いただきましたように、現状でも、事業との関係だけ見ても、冒頭申し上げましたように、かなり多岐にわたる社会課題に社会福祉士、ソーシャルワーカーの方が既に活躍しているというか、対応しているという現状がわかります。また、今挙げられたもののほかにも、まだ手の届いていない社会課題がさらにさらにあるというのが現代です。そうしたことを踏まえまして続けていきます。
こうした多様化、複雑化する社会課題を解決するためには、住民が主体的に地域課題を解決していく。つまり、お互いに支え合い、助け合いながら暮らしていける、こうした共生型のコミュニティーを形成していかなければなりません。この点は、政府の日本一億総活躍プランの中の地域共生社会の実現や、改正社会福祉法が市町村の努力義務とした包括的な支援体制の整備と方向性は同じと考えています。そして、これらを実現するためにはソーシャルワーカー、社会福祉士などの皆さんが住民に身近な地域に存在をし、課題解決のために住民に働きかけるなどの組織的な仲介を常時行える体制が不可欠だと考えます。
そこで今後、ソーシャルワーカーが都道府県や市町村で行政職員として任用されることが望ましいと考えますが、県の考えをお聞きします。
32 ◯野上福祉総務課長 現在、県が設置をしております児童相談所、障がい者更生相談所、保健福祉環境事務所、ひとり親サポートセンター、子ども支援オフィス、自立相談支援事務所、障害者就業・生活支援センターなどには住民の相談に応じるための職員が配置され、複雑多様化する個々のニーズに対応しております。また、市町村におきましても、福祉事務所、地域包括支援センター、地域子育て支援拠点施設などに住民の相談に応じるための職員が配置をされております。
これらの職員は必ずしも社会福祉士の資格を持っているわけではございませんけれども、研修や実務経験を通じましてソーシャルワーカーとしての知識や能力を身につけております。今後、
ソーシャルワーカーとしての知識や能力を有した行政職員がふえていくということは地域共生社会の実現や包括的な支援体制の整備のために大切なことであると考えております。
33 ◯田辺一城委員 現状でもソーシャルワークの能力を持った職員さんがいるというところは非常に前向きに受けとめます。ただ、これから、これまで申し上げているようなさまざまな社会課題に一層対応していくことが求められますので、職員としての任用という視点がとても大事になってくると思います。
そこで、
ソーシャルワーカーの行政職員としての任用を広げていくには、根本的に、税で人をふやすという姿勢が求められると考えております。参考になるのが、全国市長会がことし五月にまとめた「ネクストステージに向けた都市自治体の税財政のあり方に関する研究会」の報告書で提言をされております協働地域社会税(仮称)の創設です。税収を地域コミュニティー機能の強化に充てる、つまり、公共交通やコミュニティー拠点の運営、安全・安心の確保や助け合いの仕組みづくり、そして、人材の育成確保のための経費などが想定をされています。
ソーシャルワーカーの市町村における任用を進めていくためにはこうした新たな税制の構築が不可欠と考えますが、県の考えをお聞きします。
34 ◯野上福祉総務課長 全国市長会の研究会は、地域コミュニティーや社会的ネットワークの再構築のための新たな財源確保に向けた取り組みを行うということを提言しておりまして、具体的な財政需要と考えられるものとしまして、交通不便地域の住民の交通手段の確保や安全・安心の確保、助け合いといった地域コミュニティーのさまざまな公共的活動への支援、また、地域コミュニティーの拠点施設となるものの運営支援を挙げております。これらのうち、地域コミュニティーのさまざまな公共的活動への支援に対する財源確保というものは、福祉分野における政策推進の一助となるものと考えております。
35 ◯田辺一城委員 部長にお聞きします。今回、一連の質疑で私が提起をしましたのは、まとめますと、市町村の現場で起きている多様化、複雑化する課題を解決するため、実効性ある包括的な支援体制を整備していくには
ソーシャルワーカーの配置が必要であり、そのためには新たな税制の構築が望ましいという視点でした。全国市長会だけでなく、全国知事会も新しい地方税源と地方税制を考える研究会などで財源確保策を提起し始めていまして、こうした流れを促進していく必要があると考えています。
これらを踏まえ、本県としても財源論から逃げず、地方の新たな財源確保のための税制の構築を国に求め、市町村の地域課題解決を後押ししていくべきと考えておりますが、いかがでしょうか。
36 ◯守谷正人副委員長 神代福祉労働部長。
37
◯神代福祉労働部長 先ほど課長が申し上げましたが、全国市長会の研究会が提言されているような地域コミュニティーのさまざまな公共的活動への支援に限らず、子育て支援、障がい者福祉、医療、介護といった社会保障の充実に必要な財源を確保していくことは安心して生活していくために重要なことであると考えます。これまでも全国知事会や全国主要都道府県民生主管部(局)長連絡協議会を通じまして、これら社会保障の充実のため必要な財源の確保について国に要望してまいりました。また、全国知事会の研究会では、福祉分野における子育て支援への対応を初め、観光客増加とさらなる観光客誘致への対応や廃棄物処理への対応、自転車の活用や対策への対応など、近年新たに生じ、または増加している行政需要につきまして幅広く検討が行われたところです。今後、子育て支援に限らず、障がい者福祉、介護といった分野においてさらに財政需要が増加していくと予想されておりますから、知事会においてこの研究会の報告を受け、地方の福祉に関する財政需要の実態に即した議論をしっかりと行っていただきたいと考えております。
38 ◯田辺一城委員 全国知事会でしっかりと議論をしてほしいと私も思っています。ぜひ、部長におかれましては、今回、福祉労働部以外の部にもまたがる、そして税制にもかかわるところですので、ほかの関係部長の皆さん、そして、もちろん知事、副知事らときょうの議論をしっかりと共有をしていただいて、研究会の報告もしっかり踏まえて、本県として市町村を後押しするという姿勢をしっかり知事会の場でも示していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
39 ◯守谷正人副委員長 ほかに質疑はありませんか。大城節子委員。
40 ◯大城節子委員 おはようございます。公明党の大城節子でございます。
通告に従いまして、先ほども質問がございましたが、重複するところがあるかと思いますけれども、保育士確保対策について質問いたします。
厚生労働省は、待機児童解消加速化プランの確実な実施に当たっては保育を支える保育士の確保が重要であるとして、保育士確保プランを発表いたしましたが、全国的に保育士不足は深刻の度を増しているのが実態であります。同様に、本県における保育士の確保についても喫緊の課題だと思っております。
そこで我が会派は、平成二十九年三月議会の代表質問で、保育士を着実に確保するには、まず県内の保育士を把握する上で実態調査をするべきと指摘しました。その後、平成二十九年度に保育士実態調査を実施していますが、その調査結果はどのようなものだったのか説明を求めます。
41 ◯守谷正人副委員長
坪根子育て支援課長。
42
◯坪根子育て支援課長 調査の結果でございます。県が保有する保育士登録情報のうち、住所地が政令・中核市を除いたものから二万名を無作為抽出しまして郵送調査を行い、四千八百十五名の方から回答を得ました。四千八百十五名のうち、現在、保育士または保育教諭として働いている方は四七%の二千二百五十九名、保育所や幼稚園以外の職場で働いている方や現在働いていない方は四六%の二千百四十七名でした。また、保育士への職業紹介や相談対応を行っております
保育士就職支援センターから、今後、求人情報の提供や研修会等の就職支援情報の提供を希望するとした方は六百二十三名でした。
43 ◯大城節子委員 今回の調査では、政令・中核市を除いた県所管所在地の保育士二万名の約二四%の四千八百十五名から回答をもらい、その回答者の約四七%の二千二百五十九名が保育士として就労に従事、一方、回答者の約四六%の二千百四十七名が保育士以外の職場についています。約半々の割合だと思っております。また、実態調査により、回答者の約三%の六百二十三名が、今後、求人情報の提供や研修会等の情報提供を希望するという結果であったとの報告ですが、その活用状況に係る資料を要求したいと思います。
委員長、事前に保育士再就職意向調査結果の活用についての資料を執行部に要求していますので、お取り計らいお願いします。
44 ◯守谷正人副委員長 お諮りいたします。
ただいま大城委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
45 ◯守谷正人副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま大城委員から要求がありました資料につきましては提出できますか。
46
◯坪根子育て支援課長 提出できます。
47 ◯守谷正人副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
48 ◯守谷正人副委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
49 ◯守谷正人副委員長 資料が配付されましたので、大城委員、質疑を行ってください。
50 ◯大城節子委員 それでは、資料の内容について簡潔に説明してください。
51
◯坪根子育て支援課長 ただいま提出いたしました保育士再就職意向調査結果の活用状況についてでございます。
まず、連絡先情報の提供を受けた六百二十三名の方の就業等の状況ですが、保育所で働いている方が九十七名、幼稚園で働いている方が十九名、他業種で働いている方が二百五十一名、無職の方が二百四十二名でした。
次に、再就職に向けた働きかけの実施状況です。まず、現在就労されていない二百四十二名の方に対して、個別に電話による求職登録の働きかけを行いました。その結果、今すぐ就職したいと回答された方が十二名、検討中と回答された方が三十四名で、これら四十六名の方には求職票の送付等を行い、登録を促しました。また、近い将来と回答された方については、継続して就業意思の確認を行っておりまして、連絡がつかなかった方への再度の働きかけや在職者に対する情報提供も継続して行っております。
52 ◯大城節子委員 今、御説明いただきました。本当に個々的に電話を入れて、各人の状況等を把握しながら細やかな対応には大変な労力と時間を費やしたと思っておりますし、物理的にも精神的にも御苦労がつきまとったのではと推察できます。
そういう背景がある中で、その取り組みによってどれくらいの効果があらわれていると思われますか。
53
◯坪根子育て支援課長 これらの働きかけの結果、昨年度の求職者数は前年度比三十二名増の五十名、就業者数は前年度比二十二名増の三十九名となっております。
54 ◯大城節子委員 今御説明いただいた中で、求職者数五十名に対し、いわゆる就業者数が三十九名、約七八%の就業率だと思います。ある意味では執念の取り組みの成果に大変敬意を表します。
さて、厚生労働者は平成三十年四月一日付で、全国の保育所等利用待機児童数を公表しております。その中で本県の保育所等利用における待機児童者数は九百九十五名と明記されていますが、県の所管の内訳を見ますと、両政令市の福岡市が四十人、北九州市がゼロ、中核市の久留米市が四十四人、そして、県の所管であります、私たちが真剣に取り組まなければいけないところが九百十一名と大変多い数字が明記されておりました。
昨年度の県合計のいわゆる待機児童数は千二百九十七名と。これと比較しますとわずかに減少はしているものの、過去五年間の所管別待機児童数の推移では、何と県所管の待機児童数は増加の傾向を示していることがわかりました。すなわち待機児童の増加原因は保育士不足を浮き彫りにしていると捉えることができます。
ここ数年で本県においても保育所の施設整備は進めてきましたけれども、保育に従事する肝心の保育士不足が続いていると思うのですが、本県の保育士の不足解消のために具体的にどのような対策を行っているのか、簡潔に説明をお願いいたします。
55
◯坪根子育て支援課長 保育士を確保するためには、新規保育士の確保、離職防止、現在保育現場で働いておられない、いわゆる潜在保育士の現場への復帰促進が重要でございます。
新たな保育士をふやす取り組みにつきましては、保育士養成校の生徒を対象に、五年間就業すれば全額免除される
保育士修学資金貸し付けを実施しています。就業継続も期待されることから、当制度の活用について養成校や高校に働きかけてまいります。
次に、保育士の離職防止としては、就職一年以内の新任保育士を対象とした離職防止セミナーや、経営者を対象とした管理者向け研修会の開催、職場環境改善に関する
無料コンサルティングを実施しています。また、保育士の負担軽減を図るために短時間勤務の保育補助者の雇い上げに必要な経費の助成を行っています。
さらに、潜在保育士の現場復帰を促進する取り組みにつきましては、福岡県
保育士就職支援センターにおいて職業紹介や研修会を実施するとともに、未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸し付けや再就職の準備のために必要な就職準備金の貸し付けなどを行っています。
56 ◯大城節子委員 これまで保育士を確保するための政策といたしまして、今、お話を伺っているだけでも大変大きな項目が四事業として捉えて挙げられておりました。
ただ、対策は実施してきてはいますけれども、やはりまだまだ待機児童が多くて保育士が確保できないということでは、十分な事業の対策ではないと、このように言えるのではないかと思っております。待機児童を解消するためには保育士確保が重要と考えますけれども、人材確保がなかなか進まない課題というのはどこにあると課長は考えていらっしゃいますか。また、それにどのように対応していくのか、その点についてお答えください。
57
◯坪根子育て支援課長 昨年度実施しました保育士再就職意向調査によりますと、再就職で重視することとしては給与や休暇等の処遇面が最も多く、次いで勤務時間、職場の人間関係が続いています。保育士の確保に当たっては、これらを改善することが必要と考えています。
処遇面につきましては、平成二十九年度では全職員の処遇の二%改善、さらには技能・経験に応じた最大四万円の処遇改善が行われており、引き続き、さらなる処遇改善について国に要望してまいります。
また、技能・経験に応じた処遇改善の前提となる
キャリアアップ研修についても本年度から実施しています。
勤務時間については、再就職を希望する方は短時間勤務を希望する方が多く、ある程度の長時間勤務を望む求人側とのミスマッチが生じております。これについては、保育士の就業を支援する
保育士就職支援センターにおいて求人求職登録数の拡大や就業支援のために平成二十九年度からコーディネーターを一名増員し、求職、求人、それぞれの希望を丁寧に聞き取って、再就職につなげているところです。
58 ◯大城節子委員 今伺っているだけでも、大変さまざまな環境整備等々を整えながら何とか保育士の確保に取り組んでこられているのはよくわかります。ただ、保育士の現状を見たときに、いろいろな対策をとっても人がいなければ何もできないというのが実態であります。保育士さんに伺いますと、もちろんお子さんにかかわることがとても重要な仕事であるけれども、保育業務のほかに事務的な作業が大変多いんですというお声がありました。ということは、負担が大きいということを、皆さん、声を上げていらっしゃるわけです。そう考えますと、業務負担を軽減できる方策として、例えば保育士の資格を持っていない方で、保育の補助的業務を担ってもらえる方がいるかどうか。いるならば保育士の負担軽減につながっていると聞いてはいるんです。そうやって補助的に応援していただければ大変ありがたいですと。
そういう御意見等々を拾い上げますと、県では平成二十四年度から子育てマイスターを養成していますけれども、この方々はどのような活動を現在されているのか。また、マイスターに保育の補助者として保育現場で活躍していただくことを検討してはどうかと考えますけれども、その件についてはどのように見解を持っていらっしゃるか、お聞かせください。
59
◯坪根子育て支援課長 子育てマイスターは、豊かな知識や経験を持つ高齢者の方に地域の子育て現場で活躍していただくために、六十歳以上の方を対象として県が七日間三十時間の研修を実施し、研修修了者をマイスターとして認定する制度でございます。平成二十九年度までの認定者数は千四百十九名となっております。千四百十九名の子育てマイスターの方々のうち、活動状況アンケートによりますと、約一割の方が保育所や幼稚園、届け出保育施設で働いておられます。また、放課後児童クラブやファミリーサポートセンターのほか、ボランティアによる地域の子育て支援において多くの方が活躍されています。マイスターの方々が活躍している保育所では、保育士の負担軽減につながり、保育環境にもよい影響を与えているとの声もあります。また、もっと活躍の場が欲しいというマイスターの要望もありますから、保育所等での活動がより広がるよう、マイスターの活用について検討してまいります。
60 ◯大城節子委員 課長の答弁の中から、これからは保育士の確保もしかりでありますけれども、働き方改革をもう少し柔軟に捉えていかなければいけないのではないかと大変今実感しております。現在、マイスター認定者が千四百十九名いらっしゃいますが、その約一割の方が保育所や幼稚園、また届け出保育施設で現に働き、また、地域の子育て支援において活躍されているということでありますので、保育士の負担軽減につながっていることに効果が出ているという、そういう現場があることも私たちは改めて認識しなければいけないかなと思っております。
しかし、専門職ではありませんので、保育士の確保という意味においては大変不足しているということで、解消には至っていません。今後の働き方改革の中で、保育所でのマイスターの活動を多角的に検討されることを望みたいと思っております。
また、全国的に保育士不足の対策として、他県ではインターネットを活用し、求人求職の登録システムなどを運用しているようでございます。本県でも今年度、保育士の登録ができるシステムを構築すると聞いていますけれども、どのようなシステムを構築しているのか。例えば、保育士バンクのようなことをイメージするわけですけれども、そのことについてお聞かせください。また、そのシステムをどのように活用していくのか説明していただきたいと思います。
61
◯坪根子育て支援課長 現在構築しております保育士の就職を支援するためのシステムは、求職求人登録や登録情報の閲覧、検索ができるシステムとなっております。あわせて、県内市町村が実施する就職セミナーや相談会など、保育士確保施策情報の掲載や登録者への配信機能も整備し、潜在保育士の利便性を高めることとしております。より多くの潜在保育士の方に登録していただけるよう、保育施設や関係団体を通じ、システムの周知を図ってまいります。
62 ◯大城節子委員 これまではむしろ人力戦術といいましょうか、人材の掘り起こしをしてきたと、本県も努力してきたと考えられますけれども、潜在保育士の方が自発的に情報やさまざまどういう職場があるのかを閲覧・検索できて、なおかつ登録者をふやす対策の中においても潜在保育士などの利便性、なかなか動けないという方もいらっしゃいますので、利便性を高めると思いますので、今後、保育士確保の対策としてのキーワードとなり得るかと思っております。ぜひシステムの構築を促進し、その周知に努力されることを期待いたします。
さまざま、まだ課題はたくさんこれから出てくるかと思いますが、最後に、今後の保育士確保に向けた部長の決意を伺いたいと思います。
〔正副委員長交代〕
63 ◯樋口 明委員長 神代福祉労働部長。
64
◯神代福祉労働部長 先ほど課長が答弁いたしました新規保育士の確保、それから二つ目は、現在保育士として従事されている方の離職防止、また、潜在保育士の現場復帰の促進、この三つに向けた施策を確実に実施してまいりたいと考えております。そして、何といいましても保育士という仕事が魅力ある職業として認識してもらうためには、さらなる処遇改善が必要です。県といたしましては、処遇改善につながる
キャリアアップ研修への参加を事業所に働きかけていくとともに、国に対しまして、さらなる処遇改善について引き続き要望してまいります。今後とも保育の実施主体である市町村と連携を図りながら、保育士の確保に取り組んでまいります。
65 ◯大城節子委員 大変現実の問題の処遇改善等々は大切なことでありますが、職場への憧れとイメージをアップするためにも、できれば県としてマスコミ関係もありますし、地元の機関等々もございますので、若い、今人気のある俳優さん等々を使いながら、保育士の仕事はこんなにすばらしいんだというアピール性も必要かと思っておりますので、今後、検討していただければと思っております。このことを提案し、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
66 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。神崎聡委員。
67 ◯神崎 聡委員 おはようございます。緑友会の神崎聡です。本日は、女性の出産・育児休業取得後の職場復帰や再就職のためのキャリアアップ形成について質問いたします。
活力ある社会を維持するためには、今の時代、女性の活躍なしでは考えられません。ただ、三十代前後の女性は出産・育児により離職されている方が多く、就職率が低くなっていると推測いたします。この改善を図るため、出産・育児休業取得後に再度職場に復帰しやすい環境や、求職活動や再就職のしやすい環境とすることが必要だと考えます。
そこで、本県における二十五歳から四十四歳までの子育て期にある女性の就業状況に関する資料をあらかじめ執行部に要請しておりますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。
68 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。
ただいま神崎委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
69 ◯樋口 明委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま神崎委員から要求がありました資料については提出できますか。白鳥新
雇用開発課長。
70 ◯白鳥新
雇用開発課長 直ちに提出できます。
71 ◯樋口 明委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
72 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
73 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、神崎委員、質疑を行ってください。
74 ◯神崎 聡委員 それでは、資料の説明をお願いいたします。
75 ◯白鳥新
雇用開発課長 まず、子育て期にあります女性の就業人口について、五年ごとに実施されています国の就業構造基本調査をもとに、本県と全国平均の直近三回の推移をこちらに記載しております。
平成二十九年の本県の当該就業人口は四十七万二千四百人、就業率は七四・三%となっております。その就業率の推移を見ますと、ほぼ全国平均と同じように伸びております。
続きまして、本県の子育て期にあります女性の平成二十九年の就業希望状況等についてでございますが、仕事をしていない女性の方は十六万四千人おられまして、その約六割の九万七千人の方が就業を希望されておられます。そして、このうちの六割近くの五万七千人の方が求職活動をされておらず、その理由としては出産・育児のためが最も多くなっております。
76 ◯神崎 聡委員 今、説明していただきましたけれども、二十五歳から四十四歳、私の場合は一番脂の乗り切った仕事に集中していた年代であります。ごらんのとおり今も脂が乗っているんですけれども。それで、やむを得ず仕事についていない女性が十六万四千人おられるというのにびっくりしているところです。約六割の九万七千人が就職を希望しているということですが、こうした方々がスムーズに就職に結びつけるようにして、働きながら安心して出産・育児を迎えるようにしなければならないと思います。
本県においては県内四カ所に子育て女性就職支援センターを設置して、育児や家事で時間的制約の多い子育て中の女性の方に対して就職に向けた支援を行っていますが、就職を希望しているんだけれども、離職後のブランクがあって再就職への不安を抱えている方や、家事や育児が忙しいということで仕事と家庭の両立に不安を感じている方、あるいは家庭の反対などで悩みを抱えておられる方など、出産・育児で離職された女性の方の状況は、多分さまざまだと思います。
そこでお尋ねいたします。子育て女性就職支援センターにおける支援の取り組みは具体的にどのようになっているのでしょうか。センターの利用の人数とあわせてお尋ねいたします。
77 ◯白鳥新
雇用開発課長 センターにおける就職支援を受けるため、平成二十九年度には二千八百四十四名の方がセンターを利用されております。このセンターにおきましては、さまざまな事情を抱えたお一人お一人に対し、きめ細かな支援を行っております。具体的に申し上げますと、面談での丁寧なカウンセリングや就職に向けたセミナーを開催することによりまして、センターを利用された方が就職活動に一歩を踏み出す勇気や意欲を持っていただけるように働きかけを行っております。また、家事や育児で時間的制約の多い子育て中の女性の方の就職をより身近な地域で支援するため、市町村が設置しています男女共同参画センターや地域子育て支援センター等へ出張し、現在、十九カ所で就職相談を実施しております。そして、就職活動に踏み出された方への支援に当たりましては、その方に合った求人の紹介のほか、面接の指導、場合によっては面接の同行支援も行いまして、就職に対して自信が持てるように、利用される方に寄り添った支援を行っているところでございます。
78 ◯神崎 聡委員 就職につなげていくためには、求職側と求人側のニーズをうまくマッチングさせることが必要です。センターにおいてどのように取り組み、成果を上げているのか、お尋ねいたします。
79 ◯白鳥新
雇用開発課長 センターが求職中の子育て中の女性の方に面談を行った結果、就職を希望する職種といたしましては、事務職が約八割と大きく偏っております。一方で、県内のハローワークにおける本年七月の求人状況を見てみますと、事務職は約一割で、センターが独自開拓した求人におきましても事務職は約四割にとどまっております。このように、求職者の希望と求人状況のミスマッチが生じておりますので、求職者の適性や希望する勤務条件等をしっかり踏まえた上で、希望職種以外の求人情報等を紹介するなどしてマッチングの向上に努めております。また、企業に対しましても、求職者の方が応募しやすくなるよう、子育て中の求職女性が働きやすい勤務条件等についてのアドバイスを行っております。
このような取り組みの結果、二十九年度の就職者数は八百八十二人となっておりまして、平成二十一年度のセンター開設からの累計で約五千三百人の方の就職が実現しております。
80 ◯神崎 聡委員 今答弁いただきましたけれども、このミスマッチングの解消が行政の大きな役割だと思います。これからも、就職を希望している子育て中の女性が一人でも多く就職ができるように頑張っていただきたいと思います。
さて、女性が生き生き働き、活躍できる社会を目指す本県としては、この世代の女性にももっとチャンスを広げて、キャリアをつけてもらうことが大事だと思います。管理職への登用など女性活躍の実現に向けては、仕事と子育てを両立しながら能力を発揮できる職場環境づくりが重要と考えます。本県では、その職場環境づくりを促進する企業のトップみずからが従業員の仕事と子育ての両立支援を宣言する子育て応援宣言企業の登録拡大に取り組んでおり、現在、六千五百社あると聞いています。
課長、私が会社の社長のときに子育て応援宣言企業に登録したんですけれども、何番目だったか覚えていますか。
81 ◯白鳥新
雇用開発課長 六番目と聞いております。
82 ◯神崎 聡委員 八番目じゃないですかね。八番目です。当時、私も県に大変協力してきまして、忘れないでください。
それで、登録企業では数多くの両立支援の取り組みが宣言されておりますが、このうち、円滑な職場復帰に向け、仕事のブランク等を軽減するような取り組みがなされているか、お尋ねいたします。
83 ◯白鳥新
雇用開発課長 本年八月末現在、育児休業からの円滑な職場復帰に関する宣言をしている企業は八百四十八社ございます。このうち、育児休業復帰に向けた相談支援を行っている企業は最も多く、三百五十三社となっております。
先生御質問の仕事のブランク等を軽減するものといたしましては、育児休業中や職場復帰後における研修の実施がございまして、二百八十社が宣言しております。一例を申し上げますと、育休中における資格取得の支援やインターネットによるビジネス講座などの在宅講習、職場復帰後に商品知識取得のための研修などを実施している企業がございます。このほか、育休中においても社内行事への参加案内や社内報等の定期的な情報提供を行い、育休中の女性の方に仕事のブランク等を感じさせないような取り組みを行っている企業も多数ございます。
84 ◯神崎 聡委員 ここなんですね。女性が生き生き働き活躍できる社会には、企業としての取り組みが極めて大事です。女性の若手社員を含めて、社員の人材育成には十数年かけて投資していますから、結婚、出産、育児でやめられると会社にとっては痛手だと思います。今、事例を挙げていただきましたけれども、もっと取り組み企業をふやさないといけないと思います。ぜひ子育て応援宣言企業全体に働きかけをお願いします。
また、女性のキャリアアップに不可欠な就業継続を図る上で、男性の育児参加を促進する環境づくりが重要と考えます。県では子育て応援宣言企業に対する取り組みの柱の一つに男性の育児参加を促進する環境づくりを設けて、関係企業に当該宣言の働きかけを行っていると聞いております。
そこで、これまでの働きかけの成果と、どのような取り組みが宣言され、実施されているのか、お聞かせください。
85 ◯白鳥新
雇用開発課長 県では、男性の育児参加に積極的に取り組む宣言企業の事例や両立支援に関する国の助成金等を記載いたしました企業向けの手引書といたしまして、「イクボス・イクメンHand Book」を作成し、これを子育て応援宣言企業に配布するほか、宣言企業の新規開拓の際に活用するなどして、男性の育児参加を支援する取り組みを行うよう働きかけております。
また、子育て応援宣言の優良企業知事表彰の表彰基準に男性の育児参加促進の取り組みを追加して、男性の育児参加について顕著な功績があった企業を表彰するとともに、県のホームページ等で広く紹介しております。こうした取り組みによりまして、平成三十年八月末現在、千百七十五社が男性の育児参加に関する宣言をしております。取り組みの一例を申し上げますと、出産補助休暇といった企業独自の休暇制度の整備に関するものや、人事担当者から対象の男性従業員に対して育児休業の取得を直接働きかけるといった職場環境づくりに関するものがございます。
86 ◯神崎 聡委員 ありがとうございます。先日、私の地元で保育園の園長先生に話を伺う機会がありまして、園児のみんなに、お母さんとお父さんの口癖は何ですかと聞いたそうです。すると、お母さんのナンバーワンは、急いでと早くしなさい、これが口癖のナンバーワンなんです。お父さんは何だと思いますか。お父さんのナンバーワンは、ママに聞いて、これが一番だったそうであります。子供は本当に正直だなと思いました。また、親のことをよく見ているんだなと。女性というのは本当にすごいなと。今、課長もちょっとくすっと笑いましたけれども、その昔、心当たりがあるんでしょうかね。でも、これが実態だと思いますよ。この実態がこの資料にあらわれているんだと思います。
ところで、課長はイクボス宣言をされているとうわさで耳にしましたけれども、御自身の育児はどうだったんでしょうか。自分の体験を部下に伝えることで、職員の方も安心して子育て、育児を積極的にされると思います。新雇用開発課の職員の皆さんは、課長のことを育児に理解のある理想的な上司だと評価されているんでしょうか。これは通告にありませんけれども、もしお答えできたらお願いいたします。それと、このイクボス宣言というのは部長とか知事もされているのですか。
87 ◯白鳥新
雇用開発課長 イクボス宣言は、本県では知事を初め部長、次長、所属長が全員行っております。私もしています。
88 ◯神崎 聡委員 職員の方に後で聞いたらいいと思いますね。通告にありませんでしたので。
今おっしゃられたように、やっぱりこういう宣言なり取り組みというのは県庁全体で行っていく必要があると思いますし、所管の長だけが行うべきでもないと思います。これは企業にも言えることだと思うんですね。この制度をつくっても風土がつくられなければ何も意味がありません。したがいまして、子育て応援宣言企業や女性の就業支援等々さまざまな取り組みももちろん大事なんですが、先ほどの園児たちのお母さんとかお父さんの口癖が変わってくるような、そう社会全体の雰囲気を変えていくことこそが私は大事だと思います。
私はイクメンあるいはイクボスというのは、男性が育児参加していないから生まれた言葉なのかなと思います。共働きの夫婦というのは育児も家事も分担せざるを得ません。イクメン、イクボスという言葉で育児をする男性がちょっともてはやされるというのは、何とも私は個人的には少々違和感を感じております。よく考えますと、父親というのは自分の子供を育てるのは当然のことであります。私は、仕事以上に子供たちに接するのが楽しくて仕方がありませんでした。育児というのは、仕事とは比べものにならないくらいに幸福感で満たされます。
部長、女性活躍推進や一億総活躍社会を実現するためには、男女がともに子育てをしながら社会で活躍できる環境づくりが重要です。特に、子育て世代の三十代前後というのは気力も体力も充実している年齢です。ここでの蓄積が、四十代、そして五十代のときにさらに飛躍していけるようになるんだと思います。
そこで最後に、働く場における女性が活躍できる社会環境の整備をどのように進めていくのか、部長にお尋ねいたします。
89 ◯樋口 明委員長 神代福祉労働部長。
90
◯神代福祉労働部長 少子高齢化や人口減社会が進展する中で、女性が生き生きと働き活躍できる社会を実現することは、本県はもとより国にとって、そして何よりも女性本人にとって大変重要であると考えております。このため、県では子育て女性就業支援センターにおける再就職支援や、子育て中の女性を対象としたパソコン技能の習得、キャリアコンサルタントの養成を目的とした職業訓練に取り組むほか、仕事と家庭を両立して働き続けられる職場環境づくりに向けて子育て応援宣言の登録推進などに取り組んでいるところです。これらの取り組みに加えまして、長時間労働の是正や自分に合った働き方を選択できる雇用制度など、誰もが働きやすい魅力ある職場をつくっていく企業の働き方改革を促進しているところでもあります。今後ともこうした取り組みを着実に実施していくことにより、女性が妊娠・出産後も継続して働き続けることができる環境整備に努めてまいります。
91 ◯神崎 聡委員 ぜひその決意をお願いいたします。女性活躍がトレンドに終わってはいけません。男女の働き方、会社の仕組み自体を変革しなければならないと思います。女性が活躍する上で、部長がおっしゃられましたけれども、企業がすべきことは二つだと思うんです。一つは、育児期以降もきちんと仕事を続けられるようにすること、二つ目は、女性自身が実力をつけて、それを公平に評価して、結果として登用されるようにしていくこと。ぜひ県においては、仕事と家庭の両立を推進し、新しい就業形態の開発にたゆみない努力をしていただくことをお願いして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
92 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。高瀬菜穂子委員。
93 ◯高瀬菜穂子委員 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。
最低賃金について伺います。まず、最低賃金が決定される過程と最低賃金算出の根拠について、簡潔に御説明ください。
94 ◯樋口 明委員長 田上労働政策課長。
95 ◯田上労働政策課長 最低賃金につきましては、まず、国が設置する中央最低賃金審議会におきまして、賃金の実態調査結果など各種統計資料を十分に参考にしながら、公労使三者の協議によって引き上げ幅の目安が示されます。その後、国が示した引き上げ幅を参考に、都道府県労働局長が設置する地方最低賃金審議会で公労使三者による地域の実情を踏まえた審議、答申を得た後、異議申し出に関する手続を経て、都道府県労働局長により決定をされております。
96 ◯高瀬菜穂子委員 福岡県はその中でCランクに位置づけられており、ことしの改定で八百十四円となりました。全国の最高は東京で九百八十五円、最低は鹿児島の七百六十一円で、時給にして二百二十四円の差があります。三割近い格差になっています。そして、その差は毎年拡大しているわけです。
県はこれまで最低賃金の引き上げを国に要求してきたと思いますが、現在の水準についてはどのように評価しておられますか。また、福岡県がCランクであること、全国にこれだけの格差があり、さらに差が広がっていることについて、どのような見解をお持ちでしょうか。
97 ◯田上労働政策課長 最低賃金制度におきまして、毎年の引き上げ幅を決める目安制度のランクづけにつきましては、公労使から成る中央最低賃金審議会におきまして、一人当たりの県民所得、消費、給与、企業経営の状況などに関します十九の客観的指標をもとに、各都道府県の経済実態を総合的に勘案して設定をされております。そして、おおむね五年ごとに公労使それぞれの立場からの議論がなされた上で、指標のあり方やランク区分の見直しが行われているところでございます。
本県では一人当たりのGDPが全国二十一位であること、消費者物価指数や所定内給与額、製造業の付加価値額が他県に比べて低いことなどによりまして、総合指数が全国二十四位となっております。総合指数十七位までがBランクに位置づけられていることを考えますと、現在本県がCランクに位置づけられていることは、現行制度の結果といたしましてはやむを得ないものであると考えております。
98 ◯高瀬菜穂子委員 十九の指標の一つ、一人当たりの県民所得で、福岡県は三十一位と先日報道がありました。これが最賃に反映し、そのため県民所得が上がらない、そして最賃が上がらないと、こういう相関があると思います。
十九の客観的指標といいますが、その総合で本県が二十四位ということですけれども、四十七都道府県に差をつけ、順番に並べ、十七位までをBランクにするというようなやり方が本当に生活実態を反映した妥当なものなのでしょうか。全国労働組合総連合(全労連)が、二十五歳単身者が人間らしく暮らすのに必要な最低生計費の調査をマーケットバスケット方式で行っています。その結果は全国どこでも月額二十三万円前後で、大きな差はなかったということです。住居費が高い都会は交通費などの負担が少なく、逆に、地方では住居費は安いが車がないと仕事につくことが難しく、燃料費も含め負担が生じるなど、全体として大きな差はないということです。月額二十三万円以上を確保するには、やはり最低賃金は時給千円以上となる。全労連は、時給千円以上、千五百円を目指すとしています。政府も全国加重平均で千円を目指すと打ち出しました。
本県としても最低賃金千円以上を求めるべきではないかと考えますが、県の見解を伺います。
99 ◯田上労働政策課長 本県では、これまでも国に対しまして地域別最低賃金の改定に当たっては、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の賃金格差の是正や、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、八百円を超える最低賃金を実現することを要望してまいりました。本年度の最低賃金引き上げによりまして本県の最低賃金は八百十四円となり、当初の目標は達成をいたしました。
今後につきましては、ことしの要望の中でも賃金の上昇、消費の拡大、企業収益の向上という日本経済の好循環を継続していくためにも、国として適切かつ着実な最低賃金引き上げを継続することを求めているところでございます。
100 ◯高瀬菜穂子委員 本県が最低賃金八百円を目指してきたのは、最低賃金が生活保護基準を下回る逆転現象があってはならないと、八百円以上という目標を持ってきたと認識をしております。今後については、国にお任せというのではなく、必要な生活費はどのぐらいかを調査し、その確保のためには最低賃金はどのぐらいであるべきかという検討をすべきではないでしょうか。根拠を持って県として最低賃金引き上げを要求していただきたいと思います。政府も加重平均で千円と言っているのですから、本県としても新たな目標を持つべきだと考えます。この点については要望しておきます。
さて、最低賃金が地域ごとに決められ、全国で差があることの影響は、人口の流れにも影響していると考えられます。
これは、住民基本台帳の人口移動報告と二〇一七年度の地域別最低賃金との相関です。人口の流れと最低賃金の相関を示したものです。全国加重平均は八百四十八円です。黄色の線で示していますけれども、これを超えているのは七都府県のみです。
人口の流れというのにはさまざまな要因があるとは思いますけれども、最低賃金との相関が首都圏や、特に九州、東北などで見てとれるのではないでしょうか。県としてはどのように考えられますでしょうか。
101 ◯田上労働政策課長 御指摘いただきました人口の流出入の要因につきましてでございますが、それぞれの地域の経済状況ですとか住宅の事情、交通の事情など、さまざまな要因が複雑に関係していくものと考えております。最低賃金のみで人口の流出入が決まるものとは考えておりません。
102 ◯高瀬菜穂子委員 最低賃金のみでは決まらないと思います。もちろん人口の流出入にはさまざまな要因があることは言うまでもありません。しかし、同じ仕事であっても賃金に差がある場合、人口流出入に影響があることは明らかであると思います。
先ほど香原委員から保育士の賃金の地域格差について指摘があったところですけれども、例えば義務制教職員についても昨年度から政令市に移管をされました。同時に、全県一律にしていた地域手当に差が生じました。福岡市は一〇%、北九州市は三%、その他の県域は四・六%です。今、教職員の働き方改革が叫ばれているように、教師の仕事はどこでも大変ですが、それだけに、採用試験を受ける際のインセンティブとして賃金格差は大きく働くのではないでしょうか。北九州では、これだけ地域手当が違えば教師の確保が難しくなると不安の声が上がっております。同様に、同じ仕事をしていても、例えばコンビニで仕事をしていたとして、川を挟んだ隣の県で賃金が違うとか、長距離トラックの運転手が同様に長距離を走っても働く場所で賃金が違うと。そうなると人口の流出入にも影響を与えると考えます。私は地域手当やランクなどの格差自体を見直していくべきだと思います。
世界の主要国では賃金格差を設けておらず、日本のように四十七都道府県で細かく差をつけている国はありません。世界から見れば、小さな島国でこれだけの格差は異常とも言えます。このことについて福井県の西川県知事は、日本においても地域間の賃金格差をなくし、全国一律にすべきと発言をしておられます。全国一律の最低賃金にすることについて、県の見解を伺います。
103 ◯田上労働政策課長 地域間の賃金格差の解消につきまして、ランクごとに最低賃金の引き上げ幅を定めている現行方式では、上位県と下位県の金額の差は常に拡大をしていくという仕組みになっております。こうしたことから、全国知事会といたしまして、本年八月に国に対しまして、地域間格差の拡大につながっているランク制度を廃止し、全国一律の最低賃金制度を実現、最低賃金の引き上げ、これによって影響を受ける中小・小規模事業者への支援の強化という内容の提言をいたしているところでございます。
104 ◯高瀬菜穂子委員 全国知事会としてランク制の廃止と全国一律の最低賃金制度の実現に向け提言を行ったということは、私たちがかねてから要求をしていたことと方向を同じくするもので、大変心強いことです。知事会が全国一律最低賃金を提言したのはことしが初めてだということです。ぜひ知事会の提言が実現するよう、県としても強力に取り組んでいただきたいと思います。
次に、最低賃金を引き上げる場合に必要な中小企業・小規模事業者への特別な支援について伺います。全国知事会の提言にも中小・小規模事業者への支援の強化が盛り込まれていました。中小・小規模事業者への抜本的な支援強化なしに最低賃金の大幅引き上げはあり得ません。現在、最低賃金を引き上げるための中小企業施策にはどのようなものがありますか。また、その活用件数、実績についてお答えください。
105 ◯田上労働政策課長 最低賃金の引き上げに当たりまして、国におきまして、事業所内で最低の賃金を一定額以上引き上げ、かつ設備投資を行った企業に対し、その費用の一部助成を行う業務改善助成金というものが用意をされております。
この助成金の実績につきまして県内の実績でございますが、福岡労働局に確認いたしましたところ、平成二十九年度に五十七件ということでございました。
106 ◯高瀬菜穂子委員 現在のところ、業務改善助成金制度が唯一の中小企業支援だということで、本県の二〇一七年度実績がわずかに五十七件ということでした。山形県は、同制度で中小企業などが賃金を一定額以上引き上げた場合、国の助成に県が独自に上乗せをする奨励金を導入したということです。
本県としても上乗せを行うなど独自の施策が必要ではないでしょうか。お答えください。
また、この制度では賃金引き上げと設備投資を同時に行う必要があり、しかも助成額が五十万円から百万円と少額であります。これでは十分とは到底言えないと思います。最低賃金引き上げのための中小企業支援の抜本拡充を行うべきではないかと考えますが、県の見解を伺います。
107 ◯田上労働政策課長 最低賃金の引き上げによる影響を最も大きく受けるのは中小企業でございます。このため、中小企業に対する支援につきましては、最低賃金制度を所管している国におきましてしっかり実施していくべきものと考えております。
県といたしましては、最低賃金引き上げの要望の際に、企業収益を強化し、さらなる賃上げや投資が拡大する経済の好循環を地方の中小企業に行き渡らせ、さらに拡大深化させるための対策を講じることとして、特に経営基盤の弱い中小企業に対して経営力の強化や経営の安定化を進めるために生産性の向上や取引条件の改善を図るなど総合的な支援諸施策を強力に実施すること、こうしたことを国に対してあわせて要望しているところでございます。
108 ◯高瀬菜穂子委員 県としての独自施策は考えていないけれども、国に対して強力に要望するとの御答弁だったと思います。国としての施策は余りに乏しく、中小企業支援を強力に要望していただきたいと思います。
諸外国では、日本とは比較にならないほど中小企業支援を充実させております。フランスでは、社会保険料の事業主負担軽減に二〇〇三年から三年間で二兆二千八百億円、韓国では、三十人未満の中小企業約三百万人に対し、過去五年間の平均引き上げ率七・四%を上回る人件費に対し直接支援、これに九千八百億円、アメリカでは、〇七年から五年間で八千八百億円の中小企業向け減税を行っています。ところが、日本の中小企業への支援執行額は、三年間でわずかに八十七億円と極めて少ないのが現状です。国の中小企業支援予算を抜本的にふやし、特に社会保険料の事業主負担の軽減や中小企業向けの減税を行うことが重要だと思うんですけれども、こうしたことを行って中小企業の最低賃金引き上げを可能とするよう求めるものです。
最低賃金は、全ての働く人に人間らしい生活を保障する水準であるべきです。また、賃金格差が地方格差になるのでは、地方創生に逆行します。同一労働同一賃金を実現するためにも、中小企業を支援し、全国一律最低賃金千円以上を求めることについて、最後に部長の答弁を求めます。
109 ◯樋口 明委員長 神代福祉労働部長。
110
◯神代福祉労働部長 最低賃金の引き上げにつきましては、先ほど課長からも答弁ありましたけれども、国で、全国加重平均ではありますけれども、千円を目指すということを国が目標に掲げているところでございます。
県といたしましては、これも先ほど課長が答弁いたしましたが、賃金の上昇、それから消費の拡大、企業収益の向上という日本経済の好循環を継続していくために、適切かつ着実な最低賃金の引き上げを国に対してことしも要望いたしましたし、これからもそういった考えのもと、国に対して継続して要望してまいります。
111 ◯高瀬菜穂子委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
全国加重平均で千円を目指すと国が言っているんですが、先ほどお示ししたように、現在、八百四十八円です。ほとんどの県はこれ以下です。全国が千円になったとしても、本県が千円とはかなり格差があるのではないかと思うんですね。ですから、やはり独自に目標を持って、そして国に対して、中小企業支援とともに賃金を上げていくという要求をしっかりしていただきたいと思います。このことを重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
112 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。塩川秀敏委員。
113 ◯塩川秀敏委員 自民党県議団の塩川秀敏であります。
通告に従いまして、子供の貧困対策推進計画についてただしてまいりたいと思います。
まず、子供の貧困に関する指標の動向、そして、子ども支援オフィス相談実績から見える現状、動向についてという資料を前もって執行部にお願いしておりますので、お取り計らいをよろしくお願いたします。
114 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。
ただいま塩川委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
115 ◯樋口 明委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま塩川委員から要求がありました資料については提出できますか。前田保護・援護課長。
116 ◯前田保護・援護課長 直ちに提出いたします。
117 ◯樋口 明委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
118 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
119 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、塩川委員、質疑を行ってください。
120 ◯塩川秀敏委員 私は平成二十八年六月に一般質問をさせていただきまして、そのときに、福岡県子どもの貧困対策推進計画が二十八年三月にできましたので、そのことについてただしたわけであります。それから二年ちょっとたちましたので、きょうはその後の状況についてただしてまいりたいと思います。
まず指標、この資料の一ページにございますけれども、指標の動向はどうなっているのかということを、資料を中心に簡単に御説明願いたいと思います。
121 ◯前田保護・援護課長 お手元に配付させていただきました資料一ページ目でございます。
これは、子供の貧困対策において、その動向を示したものでございます。直近値という欄がございますが、これは下の括弧書きにありますように、平成二十八年度時点の指標の数値でございます。そして丸印が書いてあるものが計画策定時、平成二十五年度時点以降の変化を見たもので、その数字が上昇しているものに丸をつけています。一方、指標欄に米印を記載しています。これは、先ほど申し上げました二十八年度時点の県数値並びに同年度の全国数値との比較で、全国数値を上回っている状況でございます。
これらをあわせまして、状況としましては、二十五の指標のうち、二十五年度時点と比較をいたしまして県数値の把握が可能な十六指標では、生活保護世帯に属する子供の大学等の進学率、ひとり親家庭の就業率などに、また、丸印がついている十二の指標において改善の傾向が見られている状況でございます。
122 ◯塩川秀敏委員 この結果、改善傾向にあるということはよくわかりますけれども、計画策定時に重点項目として四項目設定しましたよね。その状況はまだまだ厳しい状況にあります。三十二年に全国平均を超えるという目標を立ててありますので、ぜひ達成に向かって努力をしていただきたいと思います。
そこで、次に入りますけれども、この計画には子供の貧困対策に係る施策事業として百一の事業が設定をされたところでありますが、そのうち八十六、これは二十八年三月の設定段階のときですが、百一設定された中で八十六の事業が以前から県がやっていた事業をそのまま使っている。プラス、新しい事業は十五であると。したがって、その八十六の事業について十分な評価等の検証をする必要があるのではないかということを言っておりましたけれども、評価はなさったんでしょうか、お答えください。
123 ◯前田保護・援護課長 本計画には、計画策定以前からそれぞれの目的を持って取り組まれてきた八十六の施策事業も含まれておりますけれども、当課といたしましては、計画策定以前のそれぞれの事業開始からの評価については行っていないところでございます。
しかしながら、計画策定以前から事業を実施しておりました八十六事業に、計画策定に伴い事業を開始した十五事業を加えた百一事業につきまして、計画の開始年度である平成二十八年度から施策、事業ごとに項目を定め、その実施状況を確認することにより事業評価を行っているところでございます。
124 ◯塩川秀敏委員 今、答弁がございましたけれども、二年たってもまだ手がついていないと。僕はこういう答弁も大事と思うんですよね。素直にやっていないということを認めていただく答弁というのは実にすばらしいと思います。今、いろいろな改ざんとかいうことがあっていますけれども、だけど、二十八年からは設定したものでちゃんとやっていますよというお答えですので、今後に期待をしたいと思います。
そこで、その当時、百一の事業がありました。今は百十一ということになっていますけれども、やっぱり時代のニーズに応じて新規事業を立ち上げていくことも非常に大事と思いますが、その新規事業の立ち上げに当たってはどんな取り組みをしているか、お答えください。
125 ◯前田保護・援護課長 時代のニーズに合った新規事業であるとか既存事業の拡充に当たりましては、当課において県内五カ所に設置をいたしました子ども支援オフィス、この支援オフィスの相談実績から見える現状と課題を整理し、関係課長を構成員といたします幹事会において具体的な事業内容などについて協議をすることとしているところでございます。
126 ◯塩川秀敏委員 その新しい事業の立ち上げについては、県下に四つ設置している子ども支援オフィスの相談、そういうものを参考にしながら立ち上げる。実に現場の意見を反映した施策ができ上がっていくだろうと期待をするところでございます。この資料の二ページ、三ページは、まさにその子ども支援オフィスの相談等についてまとめたものの中から幾つか抜粋をしていただいたものでございますが、この資料について簡単に御説明願いたいと思います。
127 ◯前田保護・援護課長 今、委員御指摘のございました資料の二ページ及び三ページは、平成二十九年十一月にまとめました子ども支援オフィスに寄せられた相談実績から見える現状と傾向でございます。
二ページの上段では、子ども支援オフィスへの紹介元では役場や社会福祉協議会などの公的機関からのものが約六〇%である一方、学校関係者からの紹介は三%にとどまっております。また、下段、二の相談内容では、お金に関する相談が百五十一件と最も多くなっています。
次に、三ページ上段、三、子供が抱えている課題でございますが、通学や学力、進路といった学業に係るものが三五%、発達障がいなどを含む心身に係るものが三八%、子供への養育に係るものが四八%となっています。また、下段、四の子供の課題に対する支援内容では、教育機関と連携した見守りや保育所等への入所支援であったり、学習支援や修学資金の貸し付けによる支援を行う。そのほか、心身に係る課題では障がい福祉サービスの利用支援や療育支援を行っているところでございます。
128 ◯塩川秀敏委員 相談内容の概要がわかったところでございます。
その中で気になるのが、相手が子供なのに、学校関係者から支援オフィスへ行ったらどうですかという案内が三%というのは、これはちょっと少な過ぎるのではないかと思いますが、この推進計画を見てみますと、その中の具体的な施策には、学校をプラットホームと書いてあるんですよ。プラットホームとした総合的な子供貧困対策の展開をしていくんだと。こういうことも含めて、非常に学校からの紹介が少ないということは、私は気になるところですが、今後どのような取り組みをなさっていくのですか。
129 ◯前田保護・援護課長 平成二十九年度にまとめました現状と傾向を整理した結果、学校関係者からの紹介が少なくなっていることが明らかになったところでございます。
学校は子供が一日の多くの時間を過ごす場所でもございますし、また、学校で働く教師の方々は、学習状況や健康状態などを通じて子供の状況を把握されておりますことから、子ども支援オフィスが支援を行う上において学校との連携というものは重要なものでございます。当課といたしましては、まずは現場の先生方にこの子ども支援オフィスを認識していただくことが必要との考えのもと、町村の小中学校の校長会でありますとか県立高校の各地区校長会へお伺いをさせていただき、子ども支援オフィスの機能であるとか連携の必要性の御説明をさせていただいて、各学校の先生方、スクール
ソーシャルワーカーの方への周知を依頼するといった取り組みを行っているところでございます。
130 ◯塩川秀敏委員 ぜひそれを進めて、学校との関係が密になるように努力をしていただきたいと思います。
先ほど課長からありましたように、この子ども支援オフィスの相談事がまとまったのが去年の十一月ということで、もう少し早くまとまればいいんですけれども、その状況の中で、余りこれ以上は、まだそういう状況ですから言えないと思うんですが、今まで課長の答弁を聞いていると、この推進計画、要するに百十一の事業と二十四の関係課がこれにかかわっていると思うんですが、それらをまとめて、事業の進捗状況、管理を行っていくのは保護・援護課と私は理解するんですけれども、それでいいかどうか答えてください。
131 ◯前田保護・援護課長 はい。委員御指摘のとおりでございます。
132 ◯塩川秀敏委員 簡単に委員仰せのとおりと言われましたけれども、これはよくごらんなっていると思うんですけれども、この推進計画の推進体制というところにどんなことが書いてあるかというと、福祉、教育、労働、住宅などの関係部局が連携し、各種の支援施策を一体的に展開するとともに、進行管理を行い、確実な進捗を図りますと。そのほかにも書いてありますけれども。こういうことを今やりますということですか。もう一回答えてください。
133 ◯前田保護・援護課長 この福岡県の子どもの貧困対策推進計画、これの進行であるとか事業の進捗状況につきましては、私ども福祉労働部にあります保護・援護課においてきちんと管理をしていくということでございます。
134 ◯塩川秀敏委員 ついつい課長の答弁に感動しましてすぐ立ってしまいましたけれども、やっぱり非常にやる気のある、私もずっとレクチャーを受けましたけれども、なかなかすばらしい課長さんだなと思ったところでございます。
それでは、最後に部長にお聞きしたいんですけれども、今、課長とのやりとりの中で、部長として何をどのように感じて、どう取り組まなければいけないと思われたか、お聞きしたいと思います。
135 ◯樋口 明委員長 神代福祉労働部長。
136
◯神代福祉労働部長 子供の貧困対策をまず進めるためには、委員からもいろいろ、二十四課総がかりでというお話がございましたように、対応が多岐にわたります。そのことから、庁内さまざまな分野にわたる所属が総がかりで取り組んでいかなくてはならないと思っているところです。このため、計画でも四つの柱というのを立てております。学習支援などの教育支援、それから生活に関する相談など生活支援、そして就職のあっせんなどの保護者に対する就労支援、そして手当の支給などの経済的支援、この四つを柱といたしまして、先ほど課長が申し上げました幹事会、そして、その上位にある知事をトップとした全ての部長等で構成する推進本部のもとに、全庁的にきちんと取り組んでいきたいと思っているところです。
私としても、経済的な要因によって子供たちが進学や就職、そして夢に向かってチャレンジしようということを断念することがあってはならない、なくしていかなければいけないと考えております。この気持ちを持ちまして、子供の将来が生まれ育った環境に左右されることなく、また、貧困が世代を超えて連鎖することがなく、本人の意欲と適性に応じて教育を受け、職業につくことができるよう、夢と希望を持って成長していける社会の実現に向けまして、計画の推進にしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
137 ◯塩川秀敏委員 まさにこの推進計画をしっかり読んでいただいて、その中からとっていただいたことをそのまま述べていただきまして、よく勉強してあるなと思いますし、ぜひお願いしたいんですけれども、今言われましたように、生まれ育った環境に左右されることなく、それから貧困が世代を超えて連鎖することなく、そして子供たちが夢と希望を持って成長していける社会をつくると、本当に立派なことが並んでいるわけでございまして、これに対して知事も、二十八年六月のときにも言いましたけれども、こういう計画書に全庁挙げてあらゆる施設を総動員し、市町村を初めとする関係機関や団体と密接に連絡を図りながら、地域を挙げて貧困の連鎖を断ち切るために取り組んでまいりますと、こんな決意が入った文章とか見たことがないです。知事も、恐らく今部長が答弁されたように、やる気が物すごく強いと思いますので、もう一回僕は知事に、どれぐらいやる気があるか、大事なことですので確認をしたいと思いますので、ぜひとも知事保留をお願いしたいと思います。
138 ◯樋口 明委員長 ただいま塩川委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は十月十日水曜日に行う予定でありますので御了承願います。
139 ◯塩川秀敏委員 ありがとうございました。(拍手)
140 ◯樋口 明委員長 この際、しばらく休憩いたします。再開は午後二時をめどに、放送をもってお知らせいたします。
午 後 零 時 五 十 六 分 休 憩
午 後 二 時 零 分 再 開
141 ◯樋口 明委員長 ただいまから委員会を再開します。
休憩前に引き続き議事を進めます。
福祉労働部所管分について、ほかに質疑はありませんか。大塚勝利委員。
142 ◯大塚勝利委員 皆さん、こんにちは。公明党の大塚勝利です。
通告に従いまして、介護分野の委託訓練について質問いたします。
私たち公明党は、この夏、全国で百万人訪問・調査活動を行いました。その中、特に多くの介護事業者から高齢者の入所希望者が増加する一方、スタッフが不足し、経営が成り立たない、廃業せざるを得ないと、その窮状を伺いました。介護人材の確保は深刻であります。本県では、二〇二五年には介護職員数は約九千五百人不足すると見込まれ、介護職の有効求人倍率も本年四月の時点で二・九二倍の中、本県では介護人材の確保、定着に取り組まれているところです。私たちの調査の中で、委託訓練によって多くの介護人材が輩出されていることを伺いました。今回は、公共職業訓練の中で県から事業委託を受けた民間の教育訓練機関が行い、雇用保険のある離職、転職者を対象に、短期間で資格が取得でき、就職に結びつきやすい委託訓練の介護分野に絞って質問をいたします。
まず、委託訓練全体及び介護分野の委託訓練の実施、計画状況について資料要求しております。委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いします。
143 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。
ただいま大塚委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
144 ◯樋口 明委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま大塚委員から要求がありました資料については提出できますか。南里職業能力開発課長。
145 ◯南里職業能力開発課長 直ちに提出いたします。
146 ◯樋口 明委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
147 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
148 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、大塚委員、質疑を行ってください。
149 ◯大塚勝利委員 資料説明の前に、まず、委託訓練とは何か、説明願います。また、本県が行う委託訓練には、介護やIT分野など多くの求人が見込まれる分野において実施されていますが、プログラムやコース数、定員の設定はどのように行われているのか、あわせて簡潔に御説明ください。
〔正副委員長交代〕
150 ◯南里職業能力開発課長 県では、主に離転職者や新規学卒者を対象といたしまして、七つの高等技術専門校で行う施設内訓練、それから民間教育訓練機関などに委託して行う委託訓練を行っております。
このうち委託訓練でございますが、これは求職者の就業に対する適性や能力はさまざまであることや、雇用・失業情勢の変動に応じて機動的、効果的に多様な職業訓練の受講機会を確保することが必要であることから、国からの委託によりまして県が民間教育訓練機関や団体等を活用し実施している職業訓練でございます。
また、プログラムやコース数、定員の設定につきましては、地域のハローワークや業界団体等へのヒアリングにより求人ニーズを把握いたしますとともに、求職者の応募、就職動向などを勘案しながら、国との協議の上、設定しております。
151 ◯大塚勝利委員 それでは、委託訓練全体、また、そのうち介護分野でのここ三年間のコース数と定員の推移、あわせて、就職の状況を資料によって御説明ください。
152 ◯南里職業能力開発課長 資料は二十八年度から三十年度の三年間についてのものでございます。
各年度の表の一番上の委託訓練全体のコース数と定員でございますが、平成二十八年度、二百十六コース、定員四千八百十八人、平成二十九年度、二百六コース、四千五百十九人、平成三十年度は計画数でございますが、二百十六コース、四千六百八十九人となっております。
また、その内数になります介護分野においてでございますが、1)介護職員実務者研修、2)介護職員初任者研修の二つのコースがございます。合計で申し上げますと、平成二十八年度、三十二コース、定員七百人、平成二十九年度、二十八コース、六百十五人、平成三十年度、二十三コース、五百二人となっているところでございます。
次に、就職の状況でございます。こちらは二カ年分でございます。表の一番右端の就職率をごらんください。委託訓練全体での就職率、平成二十八年度八〇・二%、平成二十九年度七四・三%、介護分野におきましては、1)と2)の合計でございますが、平成二十八年度八四・七%、平成二十九年度八〇・二%となっております。
153 ◯大塚勝利委員 ありがとうございました。委託訓練全体では、ここ三年間ほぼ横ばいで推移していますが、昨今、介護関係者から、初任者研修については応募者が少なく、企画競争の募集が中止となるなど、介護の委託訓練が減少しているとの声を聞きました。
介護人材の不足が言われる中、委託訓練をふやすべきと考えますが、資料の二十八年度と三十年度を比較しますと、介護分野のコースが三十二から二十三、また、定員が七百名から五百二名と減少しているのはなぜか、お尋ねします。
154 ◯南里職業能力開発課長 雇用情勢が改善の傾向にある中で、待遇や勤務時間等の条件が希望に合わない、また、すぐに就職したいなどの理由により、ハローワークにおける介護分野への就職相談や介護訓練に係る相談の件数は減少しております。その結果、介護分野の委託訓練の応募者は全体として減少傾向にございます。このため、国と協議の上、介護分野の訓練コースの数、定員数の見直しを行ってきたものでございます。
155 ◯大塚勝利委員 介護分野の委託訓練の応募者が減少しているとの答弁がありましたけれども、福岡労働局が県の中高年就職支援センターで中高年を対象に初任者研修を年五回開催しています。直近の七月コースでは定員二十四名に対して九十名近い応募があったとお聞きしております。また、市政だよりを活用した広報など、より応募者がふえたと聞いております。
まず、委託訓練の初任者研修と福岡労働局が県の中高年就職支援センターで実施する初任者研修について、制度の違いがあるのかお尋ねします。
156 ◯南里職業能力開発課長 先に、中高年就職支援センターで実施しております初任者研修でございますが、こちらは社会経験のある、おおむね四十歳から六十四歳までの方を対象にいたしまして、一カ月間の短期間で必要な技能を習得させるものでございます。一方、委託訓練につきましては、年齢の制限がなく、主に雇用保険等を受けながら、基礎的なスキルを含めて三カ月じっくり訓練を行うものでございまして、このような点に違いがございます。
157 ◯大塚勝利委員 期間と対象者、そもそも制度が違うということで応募者が違うことで理解をいたしました。
その中、広報です。広報の取り組み次第で応募がふえると思いますけれども、どのように広報の取り組みを行っているのかお伺いします。
158 ◯南里職業能力開発課長 介護分野の委託訓練の訓練生募集につきましては、受託機関が応募チラシの配布、そして新聞、求人誌による広報、これらを行うとともに、県はハローワークを通じて周知、広報を行い、求職者への情報提供に努めているところでございます。
今後は市町村のほか、県の年代別・対象別就職支援センターや男女共同参画センター、自立相談支援の窓口などとの連携を強化いたしまして、より幅広く募集、周知を行ってまいります。このほか、県のホームページやフェイスブック、ツイッターなども活用いたしまして、応募者の一層の増加を図ってまいりたいと考えております。
159 ◯大塚勝利委員 ぜひ効果的な広報に努めていただきたいと思っております。
実際に現場から声を聞きますと、介護福祉士を養成する各地の専門学校では、今、入学者が集まらない、定員割れであると。また、養成施設の学科では学科が閉鎖されるなど、また、雇用保険のない方を対象とした国が行う求職者訓練がございますけれども、応募者が少なく訓練が中止になっていると聞いております。その中で、実務者研修の修了者は、介護事業所からも介護施設の即戦力として期待をされ、就職後も定着率が高いと聞いております。
介護人材が不足する中、現場の声を反映して実務者研修をふやしてはいかがでしょうか。県の方針を伺います。
160 ◯南里職業能力開発課長 実務者研修につきましては、研修の修了に加え、介護現場で三年間の実務経験があれば介護福祉士資格試験の受験資格が得られるということもございまして、基礎的な介護知識を学ぶ初任者研修よりも受講状況がよく、就職率も高い状況でございます。介護業界からのニーズを踏まえ、また、訓練生により有利な条件で介護分野に就職していただくために、国と協議いたしましてコースの見直しを行っております。具体的には、平成二十八年度と平成三十年度で比較をいたしますと、実務者研修のコースの数を十二から十五に、また、定員を二百八十人から三百三十四人にふやしたところでございます。引き続き、応募状況や就職動向等を注視しながら、コースの見直しを行ってまいりたいと考えております。
161 ◯大塚勝利委員 どうぞよろしくお願いします。
これまでの質問では、コース、また定員について質問をしてまいりましたけれども、この委託訓練というのは就職率をいかに向上させるかが重要であると考えております。資料によりますと、確かに実務者研修の訓練生の就職率は高い状況ですけれども、介護業界における人手不足の状況からも、まだまだ努力をする必要があるのではないかと思っております。
初任者研修においては、さらに就職率の向上が求められると思いますけれども、就職促進のためにどのような支援をされているのか、また、受託事業者に対して就職率向上のためのインセンティブはあるのか、お尋ねします。
162 ◯南里職業能力開発課長 訓練生の就職につきましては、訓練を実施する受託機関が訓練期間中及び訓練の終了後も就職支援を行うこととなっており、地域のハローワークと連携いたしまして就職の促進に努めているところでございます。また、県が任用しております三十三名の巡回就職支援等指導員が訓練生の就職支援を行っているところでございます。
今、委員おっしゃられましたインセンティブでございますけれども、受託機関に対するインセンティブといたしまして、訓練終了後一定期間以上雇用された方の割合が六割以上ある場合、委託訓練の実施の経費に加えまして、就職支援経費を支給しております。例えば修了生二十名のうち六割の方が一定期間以上雇用された場合でございますけれども、六十四万八千円を支給しているところでございます。
163 ◯大塚勝利委員 今回、介護分野に絞って質問をいたしましたけれども、介護分野の委託訓練は介護人材不足が見込まれる中、安定した供給源になっていることが確認できました。特に、県から委託を受けた教育訓練機関が、育成に加え、インセンティブがあるとはいえ、就職率向上にも貢献していることがわかりました。現場調査の中でも、介護事業所において介護業界で働くことを希望され、三カ月、六カ月研修を受けた即戦力の訓練生に大変期待をされています。雇用情勢が改善傾向にある中、求職者へのより効果的な広報、また教育訓練機関の研修へのバックアップ、また就職率向上に取り組んでいただきたいと思っております。
最後に、介護分野の人材確保に向けた委託訓練の今後の実施について、福祉労働部長の決意をお聞かせください。
〔正副委員長交代〕
164 ◯樋口 明委員長 神代福祉労働部長。
165
◯神代福祉労働部長 人手不足が深刻な介護分野における人材確保におきましては、一定程度のスキルを身につけた人材が介護現場に就職していただくことが重要であると考えます。そのため、介護業界からのニーズや求職者の動向を踏まえまして、機動的に実施できる委託訓練において、人材育成から就職支援まで一貫した支援を民間の力を活用いたしまして、今、実施しているところでございます。今後とも、より効果的なコースの見直しを行うとともに、関係団体との連携を強化し、周知、広報に努め、受講者、受講希望者のさらなる拡大を図ってまいります。
166 ◯大塚勝利委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
167 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。渡辺勝将委員。
168 ◯渡辺勝将委員 昨日、十月一日に市民となりました自民党県議団の渡辺勝将でございます。
通告に従い、那珂川市市制移行に伴う福祉の対応について質問をいたします。
人は誰もが皆、健康で幸せに暮らしたいと願っておりますが、病気になったり、けがをしたり、失業により職を失ったりなど、さまざまな事情により不幸にして生活に困窮する状態となることがあります。そうした場合のセーフティーネットとしては、年金や労働災害保険による対応があり、次に、生活困窮者自立支援制度があり、最後に、第三のセーフティーネットとしての生活保護制度があります。
そして今回、いわゆる第二、第三のセーフティーネットである生活困窮者自立支援制度と生活保護について、実施主体が那珂川市へ移管されたと伺っております。生活保護を受給している方や生活に困窮している方の中には、市制移行に伴い初めて事業を実施することとなる那珂川市の対応に不安を感じている方が多いのではないかと思われます。県は市制移行に伴うこれらの業務移管に関し、住民が安心して継続した同様の支援を受けられるよう尽力いただいたと思われますが、幾つか質問をいたします。
まず、市制移行に当たり、生活保護に関してケースワーカーが変わるなど不安を抱える受給者がいると思われますが、県では受給者に対してどのように周知を行ったのか、お尋ねいたします。
169 ◯樋口 明委員長 前田保護・援護課長。
170 ◯前田保護・援護課長 受給者に対しましては、担当する福祉事務所やケースワーカーが変わることによる不安を払拭することが必要との認識のもと、本年八月から県と市の新旧ケースワーカーが受給者宅を同行訪問し、チラシを受給者お一人お一人に直接手渡し、説明を行うなど、丁寧に周知を図ってきたところでございます。具体的には、新たな福祉事務所の所在地であるとか連絡先といった福祉事務所の変更に関すること、市制移行後の窓口支給及び口座振り込みに関する支給日や受け取り方法などの変更点、医療機関を受診する際の手続方法の変更点などについて説明を行ってきたところでございます。
171 ◯渡辺勝将委員 それでは、生活保護に関して新たに業務を担うこととなった旧町に対して、県ではどのような支援を行ってきたのか、お尋ねいたします。
172 ◯前田保護・援護課長 県では、これまで担当しておりました筑紫保健福祉環境事務所におきまして、昨年四月には二名、ことし四月には十一名の職員の派遣を受け入れ、ケースワーカー予定者への支援を行ってきたところでございます。
支援の内容は、県の職員が講師となりまして生活保護制度研修をそれぞれ二カ月間行ったほか、実施のスキルを取得していただくことを目的といたしまして、受給世帯への同行訪問、ケース記録の記入、受給額決定において必要不可欠となります収入額であるとか各種加算の認定方法などを実際に経験をしていただきました。また、昨年四月からは二カ月に一度、町と県本庁及び筑紫保健福祉環境事務所との協議の場も設け、生活保護費の返還や徴収に関する取り扱い方法、医療扶助に関する事務手続など、実施機関として承知しておくべき生活保護制度の細かな事務の周知を図ってきたところです。そのほか県といたしましては、本年四月からケースワーカー経験のある県職員一名を派遣いたしまして、新市の福祉事務所体制整備に向けた支援を行ってきたところでございます。
173 ◯渡辺勝将委員 さらに近年の動きとして、生活保護には至らないが、経済的な問題や社会的な孤立、自立意欲の低下など、さまざまな要因を抱える生活困窮者への支援の必要の高まりを受け、平成二十七年度には生活困窮者自立支援制度が創設され、郡部については県が実施主体として対応していただき、市部については市が実施主体として対応することになっております。これまで旧町については、県が包括的な相談支援の実施などを行う自立相談支援事業のほか、家計改善支援事業や子供の学習支援事業など、個々人の事情に応じた支援を行ってこられましたが、生活保護と同様に、市制移行により那珂川市へ実施主体が移行することとなっております。
そこで、県では生活困窮者自立支援制度による支援を受けている方に対しどのような周知を行ってきたのか、お尋ねいたします。
174 ◯前田保護・援護課長 市制移行後も継続した支援を行う必要がある自立相談支援事業及び家計改善支援事業の対象者に対しましては、県が委託している事業者を通じまして市の相談員に引き継ぎ、これまでの支援が市制移行後に途切れることのないよう対応していく旨、周知をしてきたところでございます。
なお、十月一日には、市より自立相談支援事業及び家計改善支援事業の体制が整った旨の連絡がございましたので、五日に市の相談員へこれまでの支援経過、今後の支援方針など支援対象者一人一人の状況についてきめ細かく引き継ぎを行い、来週以降、順次新旧相談員による支援対象者への訪問を実施することとしております。
また、市制移行後も継続した支援を行う必要がある子供の学習支援事業の対象者に対しましては、町との協議の結果、開催日時や場所など、これまで県が実施してきた方法を変えることなく、市制移行後の那珂川市においても県と同一の事業者に委託し、引き続き実施することとなりましたことから、十月以降もこれまでどおり利用していただける旨、周知を図ったところでございます。
175 ◯渡辺勝将委員 それでは、生活困窮者自立支援制度に関して、県では旧町に対し、市制移行に当たりどのような支援を行ってきたのか、お尋ねいたします。
176 ◯前田保護・援護課長 県では、市制移行に向けた準備が円滑に進むことができるよう、昨年度から町に対し、生活困窮者自立支援制度について国から発出された通知などを用いて説明を行いますとともに、予算編成や実施体制の整備などを初めとします各事業の立ち上げに必要な情報を提供するなど、支援を行ってきたところでございます。さらに、生活困窮者自立支援制度に係る市担当者会議に町の担当者の方も参加をしていただき、制度の最新情報についてお伝えするなどの支援を行ってきたところでございます。
177 ◯渡辺勝将委員 市制移行が決定して以降、受給者や利用者への周知のほか、町に対する支援を行ってきたことについては理解をいたしました。
那珂川市は、福祉の中でも特に重要な生活保護や生活困窮者自立支援制度の実施主体に初めてなりますことから、これまでの準備に対する支援のみでは不安があるものと考えているところでもあります。特に生活保護については、最後のセーフティーネットとして生活扶助を初めとする各種扶助や収入の認定などの知識の蓄積に加え、受給者へのケースワークなど経験を要する部分もあるほか、市制移行と同じ十月一日には、五年に一度行われる生活保護基準の見直しが施行されることも踏まえ、制度の円滑かつ適正な実施を推進する上において、市制移行後も県による一定の支援を継続すべきと考えますが、最後に部長にお尋ねいたします。
178 ◯樋口 明委員長 神代福祉労働部長。
179
◯神代福祉労働部長 生活保護の基準改定と同時に今回市に移行されることになったわけでございますけれども、那珂川市に対しましては、先ほど申し上げましたケースワーカーの経験のある県職員を派遣いたしまして、福祉事務所の設置に向けた準備を初め、市制移行後のケースワーク業務や収入認定といった技術的な指導を含めまして、切れ目のない継続的な支援を行ってきているところで、今後もその職員はまだ配置されております。
さらに、市制移行後のケースワーク業務を行うに当たっては、今回の生活保護基準の改定に係る対応のほか、事前に研修した内容や同行訪問では経験することができなかった困難な事例も想定されますことから、県といたしましては、市制移行後につきましても福祉事務所を訪問し、直接ケースワーカーの悩みや疑問に対応する巡回指導の実施など、那珂川市の生活保護の適正な運営を確保する観点に立ちまして、これからも継続した支援を行ってまいります。
180 ◯渡辺勝将委員 市民はもとより、今回初めて市の職員もこのような福祉業務を担うということで、多分、大変職員の皆様、そして市民の皆様方も不安に思っていると思っております。最後に部長の答弁をいただきました。継続的な支援をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
181 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
182 ◯樋口 明委員長 ないようですので、以上で香原委員、塩川委員の知事保留質疑を残しまして、第一四〇号議案の質疑を終わります。
次に、第一四四号議案「平成二十九年度福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計決算」及び第一四五号議案「平成二十九年度福岡県災害救助基金特別会計決算」の二件について一括議題とし、まとめて説明を求めます。神代福祉労働部長。
183
◯神代福祉労働部長 それでは、
歳入歳出決算概要説明書の百五十九ページをお開き願います。
引き続き、第一四四号議案、平成二十九年度福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計の歳入歳出決算について御説明申し上げます。
この会計は、母子家庭、父子家庭及び寡婦の経済的自立と生活意欲の助長を図りますとともに、扶養しております児童の福祉の増進を図る、その双方を目的といたしまして、各種の資金の貸し付けを行うものでございます。
まず、歳入でございます。歳入済額は、計欄にありますとおり三億二千二百万円余、予算現額に対しまして八千八百万円余の収入減となっております。その主な理由でございますが、貸付金の元金償還額が見込みを下回ったことによるものでございます。また、収入未済額が三億六千七百万円余となっておりますのは、納入義務者の経済的困窮などによるものでございます。
下の百六十ページに移りまして、歳出でございます。決算額は二億三百万円余となっております。主なものは、母子家庭に対する各種資金の貸付費でございます。
一番下の不用額の主な理由ですが、貸付額が見込みを下回ったことによるものでございます。
以上が福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計の決算の概要でございます。
引き続き、次の百六十一ページをお開き願います。
第一四五号議案、平成二十九年度福岡県災害救助基金特別会計の歳入歳出決算について御説明申し上げます。
この会計は、災害救助法に基づきまして災害救助を実施する際の財源とするために、あらかじめ基金を積み立てておくものでございます。
歳入でございます。歳入済額は十億六百万円余となっております。内容は、基金の運用益などでございます。
下の歳出でございます。決算額も同額の十億六百万円余でございます。内容は、基金に必要とされる法定積立額の不足額を埋めるために積み増しを行ったものでございます。
以上が福祉労働部所管の特別会計決算の概要でございます。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
184 ◯樋口 明委員長 説明は終わりました。これより質疑を行います。質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
185 ◯樋口 明委員長 質疑がないようですので、第一四四号議案外一件の質疑を終了し、福祉労働部所管分の審査を終わります。
次に、労働委員会事務局所管分の審査を行います。
第一四〇号議案「平成二十九年度福岡県一般会計決算」のうち、歳出について説明を求めます。武田労働委員会事務局長。
186 ◯武田労働委員会事務局長 労働委員会事務局所管の決算につきまして御説明申し上げます。
歳入歳出決算概要説明書の八十七ページをお願いいたします。
五款生活労働費のうち労働委員会事務局所管の決算額は、十項労働委員会費で二億二千六百万円余でございます。これは労働委員会の運営等に要した経費でございます。
不用額を生じております主な理由は、報酬の執行残でございます。
説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
187 ◯樋口 明委員長 説明は終わりました。これより歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
188 ◯樋口 明委員長 質疑がないようですので、第一四〇号議案の質疑を終了し、労働委員会事務局所管分の審査を終わります。
次に、農林水産部所管分の審査を行います。
第一四〇号議案「平成二十九年度福岡県一般会計決算」のうち歳出について説明を求めます。岡本農林水産部長。
189 ◯岡本農林水産部長 農林水産部所管の決算について御説明いたします。
歳入歳出決算概要説明書の九十三ページをお開き願います。
第六款農林水産業費の決算額は五百九十八億九百万円余となっております。
内容について御説明いたします。一項農林水産業企画費は、決算額七十六億七千六百万円余でございます。この主なものは、新規就農者対策や中山間地農業の振興に要した経費でございます。翌年度へ繰り越しを行っております主なものは、中山間地域所得向上支援事業で、これは国の補正予算に伴うものでございます。不用額につきましては、九十四ページに参りまして、その主な理由は、農林業総合試験場施設等整備近代化事業費の執行残でございます。
九十五ページをお開き願います。二項農業費は、決算額九十六億三千二百万円余でございます。この主なものは、施設機械などの条件整備や農地中間管理機構事業に要した経費でございます。翌年度へ繰り越しを行っております主なものは、産地パワーアップ事業で、これは施設整備に日時を要したことなどによるものでございます。不用額を生じております主な理由は、産地パワーアップ事業費の執行残でございます。
九十六ページをお願いいたします。三項畜産業費は、決算額十八億九百万円余でございます。この主なものは、家畜伝染病の予防対策や畜産施設などの整備に要した経費でございます。翌年度へ繰り越しを行っております主なものは、強い畜産業づくり対策事業で、これは国の補正予算に伴うものでございます。不用額を生じております主な理由は、強い畜産業づくり対策事業費の執行残でございます。
九十七ページをお開き願います。四項農地費は、決算額百九十九億七千百万円余でございます。この主なものは、ため池整備などの農業農村整備に要した経費でございます。翌年度へ繰り越しを行っておりますのは、農業農村整備事業において地元調整に日時を要したことなどによるものでございます。不用額を生じております主な理由は、農業水利施設保全対策事業費の執行残でございます。
九十八ページをお願いいたします。五項林業費は、決算額百二十一億九千三百万円余でございます。この主なものは、森林整備、治山事業に要した経費でございます。翌年度へ繰り越しを行っております主なものは、治山事業、林道事業において地元調整に日時を要したことなどによるものでございます。不用額につきましては、九十九ページに参りまして、その主な理由は治山事業費の執行残でございます。
百ページをお願いいたします。六項水産業費は、決算額八十五億二千四百万円余でございます。この主なものは、沿岸漁場整備、漁港整備に要した経費でございます。翌年度へ繰り越しを行っております主なものは、漁港整備において地元調整に日時を要したことなどによるものでございます。不用額につきましては、百一ページに参りまして、その主な理由は漁業調査取締船「げんかい」代船建造費の執行残でございます。
百二ページをお願いいたします。第十一款災害復旧費の農林水産部所管の決算額は十二億六百万円余となっております。内容について御説明いたします。一項農林水産施設災害復旧費は、決算額十一億二千万円余でございます。これは、農地、農業用施設、林道などの災害復旧に要した経費でございます。翌年度へ繰り越しを行っております主なものは、団体営耕地災害復旧事業において地元調整に日時を要したことなどによるものでございます。不用額につきましては、百三ページに参りまして、その主な理由は団体営耕地災害復旧事業費の執行残でございます。
三項庁舎等災害復旧費は、決算額八千六百万円余でございます。これは、平成二十九年七月の九州北部豪雨により被害を受けた水産海洋技術センター内水面研究所の復旧に要した経費でございます。翌年度へ繰り越しを行っておりますのは、復旧工事において地元調整に日時を要したことによるものでございます。
以上で、農林水産部所管分一般会計の決算について説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
190 ◯樋口 明委員長 説明は終わりました。
これより、歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。栗原渉委員。
191 ◯栗原 渉委員 自民党県議団の栗原渉であります。
きょうは、災害の関係で農林水産部のほうに質問をしたいと思っています。
ことしの七月豪雨では、本県はもとより、中国、四国地方を中心に甚大な被害が発生をいたしました。もちろん福岡県でも大変な被害が出たわけであります。さきに補正予算の手当等々をいただきましたことは、私の地元朝倉地域でも、またことし随分被害がありましたので、感謝を申し上げますし、議員の皆様方にも心から厚く御礼申し上げる次第であります。
ちょうど一年前になりますが、去年の七月ですけれども、私の地元の朝倉市、東峰村を中心としたこれまで経験したことがない猛烈な豪雨によりまして大変な災害が出たことは御案内のとおりであります。そしてそのときは、朝倉市に黒川という地域があるんですが、ここで九時間の降雨量が七百七十四ミリに達するなど猛烈な激しい雨でした。それによりまして山は至るところで崩壊いたしましたし、また、河川とその周りは原形をとどめていない。そして家屋も根こそぎ流されるという状況で、私も現場に入るたびに、まさに言葉を失うような状況でありました。そして農地についても、農地そのものが流されてしまう、あるいは、土砂、流木が流れてきて埋まってしまう。施設について言えば、山の神ため池という比較的規模が大きいため池があるんですが、そこが決壊するなど、農業施設も甚大な被害を受けてしまいました。本日は、この農地と農業施設、この災害復旧について質問してまいりたいと思います。
九州北部豪雨で朝倉市の農地、農業施設の被害は七千九百七十二カ所あります。金額にして三百十億円でありまして、今から六年前になりますか、平成二十四年の九州北部豪雨の災害では県全体で百二十一億でありましたので、この数字からも被害の甚大さというのはわかるわけであります。
朝倉市、そして東峰村も、発災直後から避難所の設置はもとより、給水や通信の確保、孤立した集落の解消などに追われる一方で、被害状況の把握や災害査定への対応、職員の方々は昼夜を通して膨大な業務に本当に必死で取り組んでいただいている状況でありました。こうした職員の方々の努力のもとに、この復興に向けて、今、取り組んでいるところでありますが、残念なことでありますけれども、本年度、三十年度に入ってしばらくして災害復旧事業に申請されなかった被災農地というものがあると朝倉市で明らかになったわけです。
まずそこで、改めて確認をしたいと思いますが、そもそも災害復旧事業とはどのような基準で実施されるのか、また、どのような手順で行われるのかをお答えいただきます。
192 ◯樋口 明委員長 石松農村森林整備課長。
193 ◯石松農村森林整備課長 国の災害復旧事業は、日雨量の八十ミリ以上の大雨や地震といった自然災害により被災した農地や水路など農業施設を復旧するための事業であり、一カ所当たりの工事費が四十万以上のものが対象となります。事業を活用するためには、被災箇所ごとに工事費用を算定し、現地写真を添えた災害復旧事業計画概要書を作成することが必要です。この計画概要書をもとに、国の査定官、立会官の両者により技術的かつ財政的な視点から被災箇所ごとに災害査定を実施し、事業費が決定されます。
194 ◯栗原 渉委員 それでは次に、朝倉市の災害査定の作業ですね、発災後いろいろな準備をして査定に入るわけですが、この査定は具体的にいつ行われたのかを確認したいと思います。
195 ◯石松農村森林整備課長 朝倉市の災害査定は、昨年九月二十五日から始まり、比較的被害が軽度であった箇所から査定を順次実施しました。被害の規模が大きかった箇所や道路の寸断により時間を要した箇所については、十一月から十二月の二カ月間に集中的に実施し、十二月二十八日までに査定を終了いたしました。
196 ◯栗原 渉委員 十二月二十八日まで査定を行ってきたということであります。
この日数、あるいは机上査定の比率を上げたこと、さまざまな日数の確保も含めて、農林水産部は国に対して随分動いていただいたことについては感謝を申し上げますが、この三カ月間という期間が与えられたわけですけれども、これは限られた期間です。膨大な事務が伴う災害査定に限られた人員で対応していくという大変な仕事だったろうと思いますが、市はどのような体制でこの事務を処理されてきたのか、また、県はどのようなこの作業に対して対応をとられてきたかお伺いします。
197 ◯石松農村森林整備課長 朝倉市では、発災時に技術職員が数名の体制であったことから、県では民間コンサルタントに対し支援の技術者の派遣を要請する一方で、最大五名の県職員を市へ派遣し、災害復旧事業計画概要書の作成など、市と一体となって災害事務に取り組んでまいりました。市では、この県からの派遣に加え、市町村、民間コンサルタント等からも最大二十九名の技術系職員の応援を受け、災害事務に対応しました。
また、県としましては、職員の派遣だけでなく、災害復旧事業を集中的、効率的に実施するため、昨年九月に朝倉農林事務所に災害事業係を新たに設置し、復旧工法に対する指導助言、規模の大きなため池については市にかわって災害復旧事業計画概要書を作成し、災害査定を受けるなどの対応をしてきたところです。
198 ◯栗原 渉委員 今の御答弁から、県や市も最大限努力していただく中で災害査定をされてきたということはわかるわけですけれども、このような中で災害復旧事業に申請をされなかった被災農地や農業施設が存在することは残念に思うしかないわけであります。
本年七月だったと思いますが、私は農林水産省に行きまして、整備部長とこの点についてもちょっと話をしました。本省としては、法制度上、去年の災害をことしまで受けるわけにはいかない。しかしながら、何かやれる方法は検討していかなければならないですねという話も、そのときお聞きしたわけですが、そういうことで、今、大切なこと、必要なことは、関係者が一体となって復旧に向けて、実際に物事を進めていくということで、私はそれが大事だと思います。
そこで、九月十日に市が公表した被災件数、事業費も含めて確認したいと思います。
199 ◯石松農村森林整備課長 九月十日に朝倉市が公表した農地等の件数、事業費は、農地が六百八十件、十四億六百万円余、農業施設が百件、三億六千五百万円余、合計七百八十件、十七億七千百万円余です。
なお、市からは、この事業費を出すに当たり現地調査を行っていないと聞いており、県としましては、実態の把握には詳細な調査が必要と考えております。
200 ◯栗原 渉委員 今の説明のとおり大変な件数でありますが、この件数を詳細に調査するということになると、マンパワーも含めて市だけではとても対応できないのではないですかと、この問題が判明して、私が農林水産部の方とちょっと話をしてきていたところですけれども、県はこれに対してどのような対応をとっておられるのか質問します。
201 ◯石松農村森林整備課長 県では、朝倉市に被災箇所の位置図がなかったことから、まずその図面を作成し、市と一体となって被災箇所ごとに現地調査や生産者の復旧意向の確認を進めています。具体的には、水田や農業施設では、現地で被災状況の調査を行った後に生産者の復旧意向を確認することとしております。一方、被災件数の多い畑につきましては、被災状況が航空写真で確認できることから、現地調査に先立って、現在、生産者の復旧意向を確認しているところです。
202 ◯栗原 渉委員 それでは、現在、調査はどの程度進捗しておりますか。また、復旧が必要な農地農業施設はどの程度だと把握されているかお聞きします。
203 ◯石松農村森林整備課長 九月三十日現在、対象農地六百八十件のうち、水田については二百七十三件全て現地調査が終了しました。また、畑については、四百七件のうち約二割について生産者の意向確認が終了しました。農業施設百件についても全て現地調査を終えたところです。
これまで現地調査した農地や農業用施設の中には、生産者がみずから既に復旧したものや生産者の意向により復旧しないものもあることから、実際に復旧が必要な件数は市公表数を下回る見込みです。
県としましては、引き続き市と一体となって調査を進めてまいります。
204 ◯栗原 渉委員 復旧が必要な件数というのは減っていく見込みであるということであります。引き続きお願いしたいと思いますが、減ったとしても、市の負担というのはもちろん小さいはずはないわけであります。ですので、市単独なのか、どうやってやるのかというのはこれからだと思いますけれども、一番の被害者はもちろん生産者であるわけですから、復旧工事がおくれたり、生産者の負担がふえるということは、私は許されないことだろうと思っています。県においては、市をしっかり支援していていただきたい、また、いただかねばならないと思います。
そこで、部長の認識と考え、今後のことも含めてお伺いしたいと思います。
205 ◯樋口 明委員長 岡本農林水産部長。
206 ◯岡本農林水産部長 今、課長のほうからもお答えさせていただいたわけですけれども、私どもは現在、朝倉市とともに現地調査、生産者の意向などの詳細な調査を行っているところでございます。また、あわせまして、補助事業の積極的な活用について国と協議を進めているという状況でございます。
県としましては、その調査結果をまず踏まえ、速やかに市と協議しながら、国、県の補助事業、それから、なるべく少なくしたいんですけれども市の単独事業を活用しながら、早期着手できるような支援をしてまいりたいと、今、考えているところでございます。
具体的には、何が何でも急がなくてはならないと考えていますので、国、県の補助事業などを活用する箇所のまず仕分けを行いまして、また、採択に向けて必要な技術的助言、指導などを行ってまいりたいと思います。先ほど委員のほうからもありましたように、これらの取り組みを通じまして被災した生産者が一日も早く営農が再開できますように、市をしっかり支援してまいりたいと考えているところでございます。
207 ◯栗原 渉委員 今、部長のほうの答弁で、国、県の補助事業の活用も想定して考えながら、市と連携してやってきたいということであります。国の事業、県の事業、市の事業はもちろんそうですが、事業展開するに当たってはいわゆる補助率の区分があります。ですので、そこをよく踏まえてやらならければいけない。先ほども生産者の負担がふえてはいけないという話をしましたが、このことは、就任後しばらくしてこのことを知った今の林市長も、私と同じ考えでありまして、ここの農地は災害にのっているからこれだけで負担が済む、隣はこういうことがあったんでちょっと負担がふえる、こういうことはしてはいけないという思いは共通しているところなんです。ですので、この点はしっかり市と連携して、どういう組み立てでやるのが一番いいのか。もちろん、市町村等の負担率区分のところについては市が頑張らなければいけないということは当然でありますけれども、そうでないところは県もしっかり準備をこれからしていただきたいと思います。あわせて、これは全ての公共事業について言えることですけれども、いろいろな事業をするときにはもちろん事業計画を策定して、それから実施に当たるわけですが、その計画をつくる前の段階のいわゆる測量とか設計業務、これが進まないと何も始まらないというのがこの事業の性質だと思っています。ですので、これまでも随分県は頑張って応援していただいていますけれども、こういった災害復旧において急がなければならないことは県として何ができるのかをよく考えて、力強い支援をいただきますことをお願い、要望しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
208 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。中村誠治委員。
209 ◯中村誠治委員 国民民主党・県政県議団の中村誠治でございます。
今回は、種子の品種改良及びその関係事項について、数点伺わせていただきたいと思います。
さて、本県の昨年の農業産出額は二千百九十六億円で、その額の約六割が野菜と果樹などの園芸作物であります。これに米を加えると産出額の四分の三を占めます。中でも野菜については、種子を利用した栽培が主流で、その種子の多くは民間事業者が扱っております。これは、一世代しか品種特性が維持されないハイブリッド技術が普及して、ビジネスとして成り立っているからだろうと思います。
そこで、伺います。本県では、ナスやトマト、ネギといった品目の生産が盛んでありますが、これらの品目で使用されている代表的な品種はハイブリッド種なのか、お答えをいただきたいと思います。そうであるなら、なぜハイブリッド種子が普及したのか、その要因もお聞かせください。
210 ◯樋口 明委員長 川嵜農林水産政策課長。
211 ◯川嵜農林水産政策課長 代表的な品種としては、ナスでは筑陽、トマトではCF桃太郎はるか、ネギでは冬彦という品種がありますが、これらはいずれもハイブリッド種子であります。
次に、ハイブリッド種子が普及した要因であります。ハイブリッド種子は、通常の品種改良の範囲を超えて収量が増大したり、病気に強い、糖度が高いなど、もともとの品種を大きく超える特徴があり、生産者の所得向上につながることから、県でもその導入を進めているところでございます。
212 ◯中村誠治委員 総じて言えば、ブランド品をつくるためにはハイブリッド種子がいいということだろうと思います。
そうであれば、次は健康の問題をお聞きしたいと思っております。
ハイブリッド種子は、いわゆる雄性不稔を利用した増殖方法ですが、その方法を問題視する意見があります。一言で言えば、ミトコンドリア内に雄性不稔の原因となる遺伝子を持つ野菜を日々毎日食べ続けて大丈夫か、命や生態系にかかわる問題の提起であります。一方では、数年前に環境ホルモン問題が起きたことがありましたけれども、最近では話題にも上がらなくなった、そんなものと同様の問題だと一蹴する人もいるわけであります。
そこで、お尋ねいたします。県では、ハイブリッド種子は安全なものと考えているのか、それとも否か、本県の見解を率直にお聞かせください。
213 ◯川嵜農林水産政策課長 ハイブリッド種子は、植物が本来持つ性質を利用して開発した種子であることから、人体への影響はないものと認識しております。
214 ◯中村誠治委員 ハイブリッド種子の安全は確保されているという見解ですけれども、主要農産物については、いかがだろうかと思って今から質問をいたします。
米麦、大豆などの主要農産物の品種開発について見ますと、これらの種子は増殖効果が悪いこと、さらに基礎的食料という特性から今日まで公的機関が担ってまいりました。現在、我が国で行われている米の品種開発は人工交配によってすぐれた品種同士を組み合わせる交雑育種法が主流ですが、その技術によって開発された数は、昭和以降、国の農業試験場で約四百、都道府県の試験場で三百以上、合計七百品種とも言われております。
そこで、お尋ねいたします。初めに、本県ではこれまで何品種の米を開発されてきたのか、また、そういう米の品種を開発するため県農林試験場には米の品種開発に携わる職員が何人いるのかお尋ねをいたします。
215 ◯川嵜農林水産政策課長 本県では、夢つくしや元気つくし、実りつくしといった主食用米のほか、酒米の夢一献など十二品種を開発してきたところです。
現在、農林業総合試験場では、研究員四名及び研究を補助する職員三名の合わせて七名が米の品種開発に携わっております。
216 ◯中村誠治委員 次に、開発した品種の原種、原々種はどのように維持保全されているのかお聞かせください。
217 ◯川嵜農林水産政策課長 原々種については、元種子を用いて農林業総合試験場の圃場において三年から五年ごとに他の品種とまじらないよう厳重な管理のもとで生産し、五度以下の低温で保管しています。また、原種についても、原々種を用いて農林業総合試験場や県が委託した生産者の圃場で、他の品種とまじらないよう厳重な管理のもとで毎年生産しております。こういった取り組みにより、水稲品種の原々種、原種を維持しております。
218 ◯中村誠治委員 そういった努力の中で本県ブランド米の夢つくしや元気つくし、あるいはヒノヒカリがあるわけでありますが、それの作付面積と県全体の水稲作付面積にかかわる面積比、割合比、それぞれの現在の評価と市場価格についてお尋ねをしたいと思います。
219 ◯川嵜農林水産政策課長 本県の平成二十九年産水稲の作付面積は三万五千七百ヘクタールで、そのうち夢つくしは約四割の一万四千二百ヘクタール、元気つくしは約二割の六千二百二十ヘクタール、ヒノヒカリは約三割の一万一千五百九十ヘクタールとなっており、この三品種で水稲全体の約九割を占めています。特に、県育成品種の夢つくしと元気つくしは、家庭用のブランド米として県民からも高い評価を得ており、二十九年産の取引価格は六十キロ当たり約一万六千円となっています。また、ヒノヒカリは、家庭用や業務用として評価されており、二十九年産の取引価格は六十キロ当たり約一万五千円となっております。
220 ◯中村誠治委員 夢つくしや元気つくしは本県のブランドでありますけれども、やっぱりヒノヒカリも変わらぬ人気があるようで、何よりであります。
我が国の食料自給率は約四割であります。政府目標は四五%なんですけれども、過去一回もクリアしたことはありません。それどころか下降傾向を示しております。本県の自給率と言えば、残念ながら一九%で、全国平均の半分ですから、とてもいばれるものではございません。
しかし、そのことよりも、実は私が何より憂慮するのが、本県の自給力でございます。自給率と自給力であります。自給力とは、御案内のとおり、いざというときに必要な食料を国内で生産できる能力、いわゆる我が国の農林水産業の底力のことでございます。高齢化社会が来たわけでありますけれども、高齢等により担い手が減少し、回復ができない荒廃園が増加するなど、自給力は徐々に下落傾向にあるわけであります。現在、例えば戦時中のような芋類を中心の作付をすれば、一人一日当たり推定エネルギー必要量の二千百四十五キロカロリーはクリアできますけれども、通常の米、小麦、大豆の作付にした場合、この時点で約三百七十キロカロリー不足するわけであります。いざというとき、最低限の食料の供給体制をつくり上げるために、まず県がやるべきことは、高品質のものだけではなく、収穫が多い新たな品種の開発、普及にあると考えます。本県では、おいしい米、ブランド米をつくろうという品質向上を重視して研究を進めてきたことから、収穫を上げる視点での研究は停滞しているのではないかと、私は危惧するところであります。
そこで、食味がよく、温暖化にも耐え、収量が上がる米の品種開発にもっと力を注ぐべきではないか、私はそう思うわけでありますけれども、県の考えをお聞かせください。
221 ◯川嵜農林水産政策課長 県では、近年の温暖化による夏季の高温化においても、玄米の外観品質が低下せず食味もよい品種として、平成二十年度に元気つくしを開発しました。さらに、夏の高温に強く、食味がよいことに加え、同時期に収穫されるヒノヒカリよりも収量が一〇%多い実りつくしを二十六年度に開発いたしました。このように、食味がよいだけでなく、温暖化に対応し、収量が多いといった品種の開発を行っております。
222 ◯中村誠治委員 その方向で努力をしているよということだろうと思います。
私たち人類は、二十世紀以降、人口爆発と呼ばれる人類史上最大の人口増加を経験いたしました。一九〇〇年にはおよそ十六億人であった世界人口は、現在、七十六億人まで増加しております。二〇五〇年には九十八億人に達すると言われているわけであります。この人口の爆発的な増加に伴い、食料の増産も必要で、最初の食料増産ブレークスルーは、一九四〇年代から六〇年代にかけて登場します。多収性品種の開発や化学肥料、農薬の投入といった技術革新によって、小麦や米といった穀物の生産性が飛躍的に向上し、大量生産が実現いたしました。いわゆるこのことをグリーンレボリューション──緑の革命と言われているわけであります。その後、一九八〇年代から遺伝子組みかえ技術による品種改良が始まり、遺伝子組みかえ作物、いわゆるGM作物が商業化してまいります。私は、このことをもってグリーンレボリューション二期目と思っているわけでありますけれども、GM作物の反収はそれまでの品種より七、八割増という増収目覚しく、二〇〇〇年以降急激にその面積を拡大して、現在では世界二十六カ国で一億八千万ヘクタール以上の栽培面積を持つに至っているわけであります。
しかし一方、GM作物は健康被害や生物多様性への影響が危惧されておりまして、少なくとも我が国の消費者の理解はまだ得られていると言いがたい状況にあるわけであります。
このような世界潮流、背景があるわけですけれども、本県におけるGM作物の栽培の実績はあるかないか、お答えをいただきたいと思います。
223 ◯川嵜農林水産政策課長 本県ではGM作物の栽培は行われておりません。
224 ◯中村誠治委員 えらく自信を持って言い切りますね。GM作物の栽培は本県においての実績はないということであります。
我が国全体では、米の年間消費量の二倍を超える年間二千万トンに迫るGM作物が実は入ってきて、生産しないが、消費するという国内矛盾が生じているわけであります。
実は、この矛盾論争に決着をつけないまま、ままと言っていいかどうかわかりませんけれども、健康被害の心配を超えて世界に拡散していったGM作物の栽培面積は、実は、近年、二、三割程度の増産しか見込めず、徐々に鈍化しつつあるわけであります。このようなことから見て、GM作物にかわる新たなグリーンレボリューション──緑の革命の始まりを私は予感しています。この時宜に当たって、日本の科学技術の力は世界を変えていく可能性を持っていると私は考えているわけであります。
これまで日本農業は自然を壊すのではなく、自然と共生して農業を続けてきました。この精神は、他の先進国にはない発想と技術力につながると思います。
そこで、部長にお聞きをしたいと思います。世界をリードするグリーンレボリューションの核は品種改良であり、品種開発であります。今後、本県の園芸作物を含めた品種改良、品種開発をどう指導されていくつもりなのか、見解をお聞きしたいと思います。
225 ◯樋口 明委員長 岡本農林水産部長。
226 ◯岡本農林水産部長 県のほうでは、付加価値を高め、生産者の所得向上につながりますブランド化の取り組みを進めるために、先ほど課長が申しましたけれども、独自品種の開発を行ってまいりました。先ほどは米を中心に述べたわけなんですが、また、昨年度策定いたしました福岡県農林水産振興基本計画におきましても、県独自品種の開発の加速を非常に重要な柱として今、位置づけてやっているところでございます。
品種開発に当たりましては、外観、食味がよいといった消費者ニーズはもとより、収量が多いことや作業の省力化といった生産者ニーズへの対応、さらには、夏場の高温化でも品質が低下しないなど、近年の気候変動への対応にも力を入れているところでございます。また、その開発期間の短縮を図るために、遺伝子解析技術の活用といった新たな技術も積極的に取り入れているところでございます。今後もこうした取り組みによりまして、消費者、生産者の期待に応えられる品種の開発を進めてまいりたいと考えているところでございます。
227 ◯中村誠治委員 昨年、農林水産振興基本計画を策定して、独自品種のスピードアップ開発を大きな柱に据えたと。喜ばしいことだろうと思います。
フードアイランド九州としての発展、あるいはその中にあっての本県の役回りを考えたとき、営農技術の蓄積とともに品種改良や品種開発などの科学技術の蓄積は何より重要だと考えております。九州のリーダー県としてこの部分の技術を強く強く要望して、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
228 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。吉武邦彦委員。
229 ◯吉武邦彦委員 お疲れさまです。食と緑と海を守る緑友会の吉武邦彦でございます。
本日は筑前海の漁船漁業について質問をさせていただきます。
昨年開催されました全国豊かな海づくり大会福岡大会から早くも一年がたとうとしております。大会は大変盛り上がり、県の水産業に携わる皆様に対しては、本当にレガシーになったと思っております。私も地元議員として会場の宗像ユリックスに参加させていただきました。天皇皇后両陛下の御尊顔を目の前に拝しまして、涙ながらに日本国歌を斉唱したことが、私が議員になってから一番うれしかったことと思っております。そういうことで質問させていただきます。
先月二十三日に、私の地元宗像市の鐘崎漁協で開催されました漁師まつりでは、海づくり大会のパネル展示が行われ、来場者に水産資源の保護や地球環境保全の大切さを伝えるなど、大会の精神がしっかりと引き継がれておりました。
さて、この海づくり大会式典の中で、各海区から漁業の未来を担う若者からメッセージが発表されました。筑前海区からは、宗像市の鐘崎でまき網漁業とフグはえ縄漁に従事する若い御夫妻、局長もよく御存じだと思います。彼が、豊かな筑前海の海の恵みが次の世代に引き継がれていくよう力を尽くしますと、思いのこもった大変感動的なメッセージでありました。
そこで、お尋ねをいたします。
水揚げが最盛期より半減しておりますまき網漁業を継続させるためには、経営を安定させることが不可欠であります。このためには、まず、係るコストを削減する取り組みが重要ですが、県では漁業者に対しどのような指導を行ってきたかお答えください。
230 ◯樋口 明委員長 濱田水産振興課長。
231 ◯濱田水産振興課長 コスト削減につきましては、コストの多くを占める燃料費の節減を図ることが有効でございます。宗像のまき網漁業は五つの船団で操業を行っており、その日の漁獲量の多少にかかわらず、それぞれの船団が四隻の運搬船を運用していました。このため、県では各船団の運搬船を一隻休ませる共同運搬方式に取り組みました。この結果、燃油使用量を約一三%削減することが確認され、現在も継続して取り組まれております。
232 ◯吉武邦彦委員 コスト削減の取り組みはとても重要だと思っております。しかし、何より収入をふやす取り組みも必要だと考えております。県では、漁業者に対し、収入をふやすためどのような取り組みを行っているのかお聞かせください。
233 ◯濱田水産振興課長 近年、アジなどの魚群の来遊が早まっていることを勘案し、平成二十七年度からは、通常、五月から始まる漁期を約半月早めて県が操業の許可を出しております。あわせまして、魚群の情報を共有し、共同探索を導入するなど、全船団が共同で効率的な操業を行うことを指導しました。これによって漁獲量がふえるとともにコストも削減され、収益の向上につながっているところでございます。
234 ◯吉武邦彦委員 私は、県のこの取り組みを許可していただいた英断に本当に感謝を申し上げるところでございます。ありがとうございました。
では、そのような取り組み効果はどうだったのか、そして浜の漁業者の方々はこれらの取り組みに対してどう評価されているのか、お聞かせください。
235 ◯濱田水産振興課長 まず、これらの取り組みの結果、損益の分岐点が従来の二億七千万円から二億三千万円まで低下したところであります。まき網の漁業者からは、経費削減や収益の向上が図られたという声をいただいております。また、共同操業を行ったことにより、コスト意識を心がけた操業を行うことの大切さを痛感したとの声も聞かれるようになってきたところでございます。
236 ◯吉武邦彦委員 このような県の取り組みに対し、漁業者も一定の評価をしているということでございます。引き続き、県の力強い支援をお願いしたいと思っております。
さて、農水省では、ことし六月に農林水産業・地域の活力創造プランを改定いたしまして、水産政策の改革についての内容が示されております。この内容は国のホームページにも掲載されており、その第一項目には、新たな資源管理システムの構築に取り組んでいくと示されております。資源管理自体は、これまでも水産振興の柱として位置づけられていますが、これを一層進めていくという意味合いであると考えております。
この資源管理の方法には、インプットコントロールという言葉が出てきておりますが、この管理の方法はどういったものなのか、本県の取り組みについて説明をいただきたいと思います。
237 ◯濱田水産振興課長 インプットコントロールとは、資源保護のため漁船の大きさや操業区域を規制する方法です。既に実施しています本県のまき網漁業を例にとりますと、網船を十五トン未満に制限したり、地先海域に禁漁区を設定していることが該当いたします。
238 ◯吉武邦彦委員 次に、同じく資源管理の方法としてアウトプットコントロールという言葉も出てきております。現在、日本ではTAC法による管理がこれに相当すると考えられます。
このアウトプットコントロールの内容と、本県でのTAC法の取り組みについてお聞かせください。
239 ◯濱田水産振興課長 アウトプットコントロールとは、漁船や漁法ごとに漁獲量を制限する方法です。TAC法では、特定の魚種ごとに漁獲できる総量を定めております。本県では、アジ、サバ類などの年間総漁獲量の上限が定められ、月ごとの漁獲状況を把握し、数量の管理を行っております。
240 ◯吉武邦彦委員 では、鐘崎のはえ縄漁法による天然トラフグを漁業者みずからが漁獲できる大きさを制限していく取り組みについては、これら資源管理の手法で言うと、どのような感じになるのでしょうか。
241 ◯濱田水産振興課長 トラフグで行われている漁獲できる大きさを制限することはテクニカルコントロールと呼ばれております。これには、委員がおっしゃった大きさの制限のほか、トラフグを漁獲するはえ縄の長さの制限なども含まれております。
242 ◯吉武邦彦委員 それぞれの管理手法についてはよくわかりました。
先ほど触れたアウトプットコントロールについては、季節によって旬の多種の魚をさまざまな漁法において漁獲しているため、本県の漁業にはなじみにくいと思っておりますが、どう考えているのかお聞かせください。
243 ◯濱田水産振興課長 アウトプットコントロールにつきましては、主に欧米のようにサバなどの単一魚種を対象とする漁業の多い国々で取り入れられております。
西日本地域の漁業は、先ほど申しましたTAC法で漁獲量の上限を設定されている魚種がありますが、TAC法で定められていないマダイやヒラメ、カワハギ、エビなど、多くの業種をさまざまな漁法で漁獲するという特性があります。このため、委員御指摘のように、国は西日本地域の沿岸漁業にはアウトプットコントロールはなじみにくい面があるとの見解を示しており、本県においても同様であると考えております。
244 ◯吉武邦彦委員 そうですね。今後、国での議論がどのような結論になるにせよ、本県漁業者にとってよい方向になるよう、県としてもしっかりと国の動きを注視していただきたいと思っております。
さて、漁業者の皆さんは一生懸命資源管理に取り組まれているわけでありますが、イカナゴ、いわゆるカナギが今ほとんどとれておりません。また、カタクチイワシも少なくなっている。いつの間にか漁業の対象にならないほど資源が減ったものもあります。
このような状況になりますと、これらを対象とする漁業そのものが存続できないわけですが、どのような対策を行っているかお聞かせください。
245 ◯濱田水産振興課長 県では、これらの魚種を専門に漁獲していた漁業につきましては、例えば大きな設備投資を必要とせず、収益性の高いカキ養殖業への転換を推進してきたところでございます。
246 ◯吉武邦彦委員 御存じのとおり、宗像もカキ養殖をしているところがあるんですが、季節風が吹く北西向きでありますし、リアス式の海岸が少なくて、そして栄養価が海水も少ないということでなかなか、一部ではやっているんですが、広がりが見えていないところがあります。ぜひこれからも御指導をいただきたいと思っております。
さて、水産資源は環境の影響を強く受けるため、減る魚種もあれば、ふえる魚種もあります。例えば最近、南系ですね、暖かいところでとれるサワラやブリなどがふえたという話を聞きますが、とれ過ぎると魚価が安くなるのではと心配しております。このような魚種の販売や価格対策についてどう取り組んでいるのかお聞かせください。
247 ◯濱田水産振興課長 近年漁獲がふえておりますサワラにつきましては、漁獲後直ちにしっかりとした血抜きや冷却を施すなど、品質向上のためのマニュアルを作成いたしまして、これに沿って漁業者を指導し、その結果、市場で高い評価を得ております。
また、漁協では、魚価向上対策としまして、ブリをほぐし身にした加工品を開発し、百貨店などで販売する取り組みを行っており、県もこれを支援しているところでございます。
248 ◯吉武邦彦委員 ブリのほぐし身は小呂島がやっていて、私の冷蔵庫にも三種類、今、入っています。
これまで答弁いただきました筑前海の漁船漁業についてしっかりと考えていることが感じ取れました。
最後になりますが、冒頭に紹介しましたように本県における漁業の未来を担う若い漁業者たちが夢を持ち、食べていける漁業にしていただきたいと考えております。この春には新しく調査取締船「げんかい」も就航いたしました。この活用を含め、筑前海の漁業振興について水産のスペシャリストである石田水産局長より力強いお言葉をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
249 ◯樋口 明委員長 石田水産局長。
250 ◯石田水産局長 筑前海では、四季折々に非常に新鮮で魅力的な、しかも天然の水産物が生産をされます。まずは、この水産資源をしっかり持続的に利用できますように、新船「げんかい」の海洋調査ですとか資源調査の結果を活用しまして、資源管理、それから栽培漁業をさらに進展することで、まず資源の維持増大を図ってまいります。また、先ほど課長が申しました水揚げされました水産物の鮮度管理の徹底、それとか六次化によって付加価値を向上させます。そして販売面で言いますと、直売所、飲食店を活用しまして、県民の皆様方に本県自慢の水産物を購入、消費していただきます。
こうした一連の取り組みを通じまして、漁業経営を安定させると。これによって、これから先も担い手たる若手の漁業者の笑顔が絶えない、このような本県水産業の未来を描いてまいりたいと考えております。
251 ◯吉武邦彦委員 ありがとうございました。引き続き力強い御指導をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
252 ◯樋口 明委員長 この際、しばらく休憩いたします。再開は午後三時四十五分といたします。
午 後 三 時 三 十 二 分 休 憩
午 後 三 時 四 十 五 分 再 開
253 ◯樋口 明委員長 ただいまから委員会を再開します。
休憩前に引き続き議事を進めます。
農林水産部所管分について、ほかに質疑はありませんか。塩川秀敏委員。
254 ◯塩川秀敏委員 自民党県議団の塩川秀敏でございます。六年間、農林水産常任委員会におりましたので、なかなかこういうところで質問する機会はありませんでしたから、きょうは農林水産部に質問をしたいと思っています。
まず、集落営農組織の法人化についてただしていきたいと思っています。担い手と荒廃農地の状況についてという資料を前もって執行部にお願いしておりますので、お取り計らいをよろしくお願いします。
255 ◯樋口 明委員長 お諮りいたします。ただいま塩川委員から要求がありました資料を、委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
256 ◯樋口 明委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま塩川委員から要求がありました資料については、提出できますか。中馬水田農業振興課長。
257 ◯中馬水田農業振興課長 直ちに提出いたします。
258 ◯樋口 明委員長 資料を正副委員長に確認をさせてください。
〔資料確認〕
259 ◯樋口 明委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
260 ◯樋口 明委員長 資料が配付されましたので、塩川委員、質疑を行ってください。
261 ◯塩川秀敏委員 配付していただきました資料の上の段ですね、表一と表二を簡単に御説明お願いいたします。
262 ◯中馬水田農業振興課長 提出資料の表一にございますように、本県の基幹的農業従事者、いわゆる主に農業に従事している人は大きく減少しております。このような中、荒廃農地は、資料表二のとおり全国では増加傾向にございますが、福岡県においては、年次による変動はあるものの、耕地面積に占める割合は全国より少なく、五%台にとどまっている状況でございます。
263 ◯塩川秀敏委員 基幹的農業従事者は三割ぐらい減っている状況でございまして、荒廃農地も全国的には非常に増大をしていますけれども、福岡県は五%ぐらいで横ばいで頑張っているということでございます。
そういう意味でこの五%台に荒廃農地の推移がとどまっているということは、県が何か荒廃農地解消のための対策を実施しているからではないかと思うんですが、どんなことをされているか御説明ください。
264 ◯樋口 明委員長 成末農山漁村振興課長。
265 ◯成末農山漁村振興課長 県では、市町村や農業委員会と連携を図りながら、毎年、荒廃農地の発生状況や再生利用の可否などの実態を把握しております。また、国の荒廃農地等利活用促進交付金を活用し、耕作者となる担い手が行う雑草や雑木の除去、整地などの作業を支援するとともに、土地の条件に適した作物の選定や栽培指導を行っております。
県独自の支援策としましては、本年度から農山村と企業などから成る協同組織が荒廃農地を再生し、例えばソバの作付に活用することで中山間地域の農地を維持する取り組みを行っております。
266 ◯塩川秀敏委員 国の交付金を利用して荒廃地になっているところを、さらに使う人が出てきたときにはそこを使える状態にするのに国からのお金を利用したり、あるいは県独自で支援策をして、そういう荒廃農地の再生に取り組みやすい状況をつくっているということでございます。
そこで、次に、担い手への農業の集積ということについてただしていきたいと思います。この表の三、四について御説明を願いたいと思います。
267 ◯中馬水田農業振興課長 提出資料の表三の担い手への農地の集積面積についてでございますけれども、平成二十九年度が三万三百七十四ヘクタールで、集積率は六一%でございます。この内訳としましては、法人組織が一万二千三百九十一ヘクタール、そして任意組織が九千六百四十六ヘクタール、そして大規模農家が八千三百三十七ヘクタールとなっております。
続きまして、表四の集落営農組織でございますけれども、五百組織程度で推移してございます。平成二十九年度は五百三組織で、このうち法人化している組織が年々増加しておりまして、平成二十九年度は平成二十五年度の百四十二組織から百四十九増加しまして二百九十一組織となっております。
268 ◯塩川秀敏委員 今、県がそういう政策をしていったために、担い手に耕作地が集積する状況で、順調に進んでるという御報告がございました。
私の知るところ、担い手への農地の集積というのは、今まではJAが仲介をしたり、あるいは個人的にこの人につくってもらおうとかいって、その人に土地を貸したりしておりましたけれども、平成二十六年度から農地中間管理機構が土地の預かり、あるいは貸しを行うようになったということでございます。この農地中間管理機構とはどういうものなのか御説明を願いたいと思います。
269 ◯中馬水田農業振興課長 本県におきましては、農地中間管理機構といたしまして公的機関である福岡県農業振興推進機構を指定いたしまして、この機構が受け皿となって農地を預けたい農家から農地を借り受け、担い手にまとまった形で農地を貸し付けることで農地集積を促進する仕組みとなっております。
270 ◯塩川秀敏委員 そうすると、今までJAとか個人でやっていたものをこの農地中間管理機構がその役割の一端を担うようになったと。JAとか個人が行うことと、この農地中間管理機構が行うこととはどのように違って、どういう効果があるのか、ちょっと御説明ください。
271 ◯中馬水田農業振興課長 この農地中間管理機構の事業でございますけれども、農地を預けたい農家は農地中間管理機構が責任を持って農地を借り受けるため、安心して農地を預けることができます。また、担い手は、農地集積により経営規模を拡大することができるほか、農地を預けたい多くの農家と個々に契約を結ぶのではなく、農地中間管理機構とのみの契約でよくなることから、手続が簡素化されることになります。
272 ◯塩川秀敏委員 そうすると、農地中間管理機構が果たしている役割は、農地の集積ということについては、かなり大きなものがあると理解してよろしいでしょうか。再度確認します。
273 ◯中馬水田農業振興課長 この農地中間管理機構が果たす役割は非常に大きいと考えております。
274 ◯塩川秀敏委員 そういう動きもあって、この表でわかりますように、農地の集積というのが着実に進んでおります。これを見ますと、集積率は六一%、先ほど説明がございましたけれども、全体の六割が集積されていると。その中で結局、担い手というのは、集団営農組織とか大規模農家とかが担っていくわけでございますけれども、その中で、集落営農組織が大体七割以上その集積を行っているということでございますけれども、その集落営農組織がこういうことをやっていくことは、どういう効果があって、どういうメリットがあるか説明してください。
275 ◯中馬水田農業振興課長 集落営農組織の中で法人化した集落営農組織も増加しているわけでございますけれども、この法人化によりまして社会的信用が高まり、安定的な雇用の確保や資金の融資限度額を拡大できるといったメリットがございます。また、営農の継続性が確保できることから、さらなる経営の発展が図りやすいというメリットもございます。
276 ◯塩川秀敏委員 結局、集落営農組織には法人化されたものと任意のものがありますけれども、法人化されたものが担い手となって農地を集積していって、どんどん、どんどん、その経営規模を拡大していくということについては、やっぱり法人化したほうが、今あったように社会的な信頼もできるし、お金も借りやすくなる。あるいは、それが一つの会社みたいになってくると、そこを担う人を今度は新しく雇っていくことができるとか、いろいろな意味のメリットがあるという御説明でございました。こういうメリットを考えると、やっぱり担い手の中で集団営農組織の法人化というのは、私は非常に大事なものだろうと思っているところでございます。
しかも、やっぱりこれからの農業は産業化していくことが重要だろうと。つくることは専門家でございますけれども、それをやっぱり流通、販売までのせていくという意味で産業化していく。そのための第一歩は、法人化していくということは、いわゆる会計処理をしなければいけない。私が現場で集落営農組織の方々と話すと、つくるのはいいんばってん、貸借対照表とか損益計算とかよくわからないものねとか、こういうのが実態だと思うんですね。だから会計システムを簡素化して、余り知識がない人でも会計ができる組織をつくっていくことは非常に重要だと思うんです。
また、JAとかが青色申告の部会を使っていろいろやっているとか、税理士さんを雇用してやっている農家とかは知っていますけれども、そうじゃなくて、誰でも使える会計の処理システムをつくっていくことは非常に大事なことと思うんですが、そういう意味でいろいろ取り組みはなさっていますけれども、新しい一歩を踏み出す余地はございませんか、お答えください。
277 ◯中馬水田農業振興課長 会計処理のシステム化につきましては、集落営農組織の会計事務の負担軽減を図る上でも非常に重要な取り組みであると考えております。
これまで普及指導センターにおきましては、会計担当者に対する簿記研修や税務申告といった専門的な課題に対処できる税理士の派遣など会計処理御支援を行ってまいりました。
今後は、今、委員の御指摘を踏まえまして、会計処理の対応に課題を抱える組織に対しましては、専門的な知識の有無にかかわらず活用できる会計処理のマニュアルを作成しまして簡素化を図るなど、モデル地区を設定いたしまして、集中的に指導、助言を実施してまいります。
278 ◯塩川秀敏委員 非常に一歩踏み込んだ御答弁をいただいたと思います。今までは、一般的に会計処理の研修なんかをしていたけれども、それを各地区でやっている会計処理の情報を集めたりして簡素化した会計システムをつくる。それに対してモデル地区を設定してそれに取り組んでいきたいという御答弁もいただいたと思うんですが、私は、このモデル地区の指定等によって、そういう具体的な取り組みによって、本当に会計処理が簡素化されて、そして担い手の法人化がどんどん進んでいくということを望むものでありますので、ぜひ具体的な取り組みと成果を出していただきたいと思うところでございます。
最後に、部長がおられますのでちょっと部長にお聞きしたいと思いますが、今、課長とやりとりをしてまいりましたけれども、基幹的農業従事者が三割ぐらい。だんだん減ってきている。それから荒廃農地も、福岡県は横ばいですけれども全体的には増加をしていると。そういう中で、いわゆる担い手の中で集落営農組織が果たす役割は非常に大きくなってきたと。そういう中でも法人化していくということがこれから先、大事なことで、農業の産業化も含めてですね。そういうことを今、話してきたわけでございますけれども、まず一つ、会計処理も含めて、法人化をどうやって進めていくべきなのかということを伺いたい。
もう一つは、部長におかれましては、長年、福岡県の農政に携わってこられたことでございますので、福岡県の農政についての思いを聞かせていただきたいと思うところであります。以上です。
279 ◯樋口 明委員長 岡本農林水産部長。
280 ◯岡本農林水産部長 今、委員御指摘がありましたように、現在の担い手の減少、それから高齢化の進展という状況の中で、本県の水田農業につきましては、持続的発展をさせるためには、やはり法人化された集落営農組織、それから大規模農家といいました永続性のある担い手の育成、確保が非常に重要であると思っているところでございます。
先ほど来から、課長のほうから今までの法人化に向けての取り組み、あわせまして会計処理の取り組みについても御説明したとおりでございますけれども、さらに一歩踏み込む中で、特に法人化したい、今後考えているけれどもなかなか人材等がいないといった箇所につきましては、私ども普及指導センターを中心に、いろいろな関係機関と連携をとり、モデル地区を設定しながら、会計処理の簡素化、事務処理についての積極的な支援も、今までもやってきたんですけれども、引き続きモデル地区という名のもとにしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
それから、私の今後の思いということでございますけれども、私自身、農林水産業、中でも農業につきましては、県民生活に欠くことができない食料を供給するのみならず、水源の涵養、県土の保全、それから県民に多くの恵みをもたらしている重要な産業と思っているところでございます。また、このような役割については、今後も変わることはないと思っているところでございます。
したがいまして、私といたしましては、収益性の高い経営の確立を初め、意欲ある担い手の育成、確保などにしっかり取り組んでいく必要があると考えておりますし、そうしてきたつもりでございます。これまでも、当然、国の施策に加えまして、皆様方の御指導を仰ぎながら高性能機械、施設の導入支援、元気つくし、ラー麦といった新品種の開発、ブランド化の推進など、県独自の対策も進めてきたところでございます。こうした取り組みを今後とも継続していきまして、今後とも本県農林水産業及び農山漁村の持続的な発展が図られますように鋭意取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
281 ◯塩川秀敏委員 私も六年おりましたので、農林水産部の事業については少しはわかっているつもりですけれども、国の方針はもとより、県独自でどうすべきかということが、しっかりしたものができ上がっておりますので、そういうものにさらに上積みする中で県農政の充実・発展に尽くしていただきたいと思うところでございます。以上、終わります。(拍手)
282 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。野田稔子委員。
283 ◯野田稔子委員 国民民主党・県政クラブ県議団の野田稔子です。
通告に従い、平成二十四年七月九州北部豪雨災害からの復旧と農業生産基盤の整備について質問します。
先月、九月八日に、平成二十四年七月九州北部豪雨災害復旧事業竣工式が八女市で開催されました。その当時におきましては未曽有の災害でしたが、六年の歳月を経てこうして竣工式を迎えられたのも、ひとえに行政機関はもとより地元関係者や県内外から応援いただきましたボランティアなど多くの方々の御尽力によるものです。改めて、関係された皆様に心から感謝申し上げる次第です。本当にありがとうございました。
そこでまず、八女市、八女郡での農地・農道などの農業生産基盤の復旧実績はどうなっているのかお答えください。
284 ◯樋口 明委員長 石松農村森林整備課長。
285 ◯石松農村森林整備課長 八女市、八女郡の災害復旧事業の復旧実績につきましては、農地は二百十三カ所、三億八千万円余、水路が百十三カ所、七億九千万円余、農道が七十八カ所、二億三千万円余、その他井堰など四十七カ所、十億一千万円余、合計四百五十一カ所、二十四億二千万円余です。
286 ◯野田稔子委員 二十億円を超えるという規模で復興が行われたことがわかりました。
ところで、私は、平成二十八年三月の予算特別委員会でこの災害からの復旧状況などを質問しましたが、この中で復旧期間については、三年を目標に掲げているとの執行部からの回答を得たところです。しかしながら、現地では三年を超えて工事を行っている箇所も散見されました。
そこで、伺います。復旧期間の実績はどうだったのか、復旧に三年を超える時間を要した理由を含め、お答えください。
287 ◯石松農村森林整備課長 目標とした三年目の平成二十七年三月末までに全ての工事に着手しましたが、完了した箇所は約八割でした。残り二割の完成は工事用道路として利用する市道などの復旧工事を待たなければならなかったことから、一カ所を残し、二十八年三月末でした。
なお、残る一カ所につきましては中の井堰の復旧工事で、河川復旧工事と一体的に施工する必要があったことから、完成が二十九年三月となりました。
288 ◯野田稔子委員 その当時、八女地域においては非常に大きな災害であった中で、早期復旧に最大限の努力をした結果、昨年、平成二十九年三月までに全て完了したとの答弁をいただきました。
この復旧工事によりまして、今では土砂や石で埋没した茶畑や、河川沿いの流失した水田ももとどおりの立派な農地に戻りました。
そこで、伺います。農地の復旧について、水田、畑に分けて、その復旧面積と営農状況をお答えください。
289 ◯石松農村森林整備課長 農地の復旧面積は二十八ヘクタールで、このうち水田は二十一ヘクタール、畑は七ヘクタールです。復旧を終えた水田では、水稲はもとより、イチゴやナス、アスパラガスなどの施設園芸が行われています。また、畑では、茶やミカン、ブドウなどの生産が行われています。
290 ◯野田稔子委員 八女地域では農地や水路などの農業生産基盤が復旧され、もとどおり農業生産も行われるようになりましたが、このように一旦被災すると復旧までには多くの労力、事業費、そして時間を要します。災害を完全に避けることはできませんが、防災・減災のためにため池の整備など、災害に強い農村づくりを進めていくことは可能です。
昨年の朝倉市、東峰村に次いで、平成三十年七月豪雨災害が発生しました。災害の発生リスクは確実に高まっており、その備えを怠ることは許されません。
そこで、八女市、八女郡のため池は幾つあるのか、そして平成二十四年以降のため池の整備状況はどうなっているのか、あわせてお答えください。
291 ◯石松農村森林整備課長 八女市、八女郡におけるため池の数は百七十二カ所であり、このうち平成二十四年災害以降に整備したため池は十六カ所です。
292 ◯野田稔子委員 残念ながら八女地域のため池整備はまだまだといったところです。整備には大きな費用が伴うことから、一朝一夕に進むものではありません。県においても計画的に整備が進むように、市町に働きかけていただきたいと思います。
こうした中、とうとい人命を失いました朝倉に続き、昨年の九州北部豪雨に続いて、ことしの七月豪雨災害でも決壊等のため池の被害が西日本を中心に多数発生しました。これを受けて、下流に人家等があるため池を対象に、全国で緊急点検が行われました。本県でも三千九百五十一カ所のため池を対象に点検され、百二十九カ所のため池で応急措置が講じられたと聞いています。
そこで、伺います。八女市、八女郡のため池の緊急点検結果と、その対応についてお答えください。
293 ◯石松農村森林整備課長 八女市、八女郡では、下流に人家や公共施設等がある百四十八カ所のため池で緊急点検を実施しました。このうち堤体や洪水吐の一部損傷により、今後の豪雨や台風に備えて応急措置が必要なため池は三カ所ありました。県では、この調査結果を市町へ伝えるとともに、損傷部にブルーシートの設置など必要な措置を行うよう指導しました。これを受け、八月末までに三カ所とも応急措置が完了しております。このうち、今後、対策工事が必要なため池につきましては、県の技術的助言により市町が圃場事業などを活用して整備することとしております。
294 ◯野田稔子委員 八女地域のため池につきましては、防災・減災に向けた整備に加え、今回の緊急点検のようなソフト対策もしっかり講じていただきたいと思います。
さて、六年前の災害から八女地域は復旧しましたが、八女の基幹産業である農業の振興を図るには、水路や農道など農業生産基盤の整備が不可欠です。県内でも有数の農産物の産地である八女市、八女郡の農業をより一層発展させるためにどのように整備を進めていくお考えなのか、お答えください。
295 ◯石松農村森林整備課長 県では、旧八女市、黒木町、立花町、星野村の旧市町村単位ごとに事業地区を設定して、規模の大きな水路及び農道、農地等の整備を実施しているところです。また、小規模な水路や道路などについては、県の補助事業を活用して市町が整備を進めています。今後とも、市町と連携を図りながら農業生産基盤の整備を計画的に進めてまいります。
296 ◯野田稔子委員 八女地域の農業生産基盤の整備について先ほど課長より答弁いただきましたが、八女地域だけでなく、県内の農業を支える農業生産基盤の整備を進めていくことが重要と考えています。また、近年、各地で豪雨災害が頻発しておりますので、ため池整備など農村の防災機能の強化も重要と考えます。
そこで、農業生産基盤整備の推進について、最後です、部長の考えをお伺いします。
297 ◯樋口 明委員長 岡本農林水産部長。
298 ◯岡本農林水産部長 農地や水路、ため池など、農業生産にとっては重要な基盤でありますことから、圃場整備を初めといたしまして基盤整備にも積極的に取り組んで、農業生産の安定、生産性の向上に努めてきているところでございます。
また、ため池、クリークなどは防災・減災機能も担っており、農村地域の安全・安心の確保にも大きな役割を果たしていることから、ため池における洪水吐の改良、浸食したクリークののり面の護岸といった必要な整備を行っているところでございます。
さらに、これまで整備してきました水路、井堰などにつきましても、建設後、長期間経過し、老朽化したものが多くなっていることから、施設の点検、診断を行い、劣化した箇所の補修・補強などの施設の長寿命化を図るための対策を実施しているところでございます。
今後とも、国に対しましてこれらの整備に必要な予算の確保を働きかけていくとともに、市町村、農業者とも十分協議しながら整備を計画的に進めてまいりたいと思っているところでございます。
299 ◯野田稔子委員 部長のお考えを伺いました。
冒頭に申し上げましたように、おかげさまで八女地域では竣工式を無事に迎えさせていただきました。しかしながら、昨年の九州北部豪雨、そして、ことしの七月豪雨と、福岡県のみならず全国でいろいろな災害が起きております。一日も早く、その地域が竣工式を迎えられますこと心から願い、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
300 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。江頭祥一委員。
301 ◯江頭祥一委員 自民党県議団、江頭祥一です。決算特別委員会は今回が初めてでございます。よろしくお願いいたします。
通告に従い、新たな森林管理制度を活用した振興について質問いたします。
本県の農林水産業を振興していく上では多くの課題があると思いますが、特に担い手対策は待ったなしの状況であることから、本年六月議会の一般質問において県議会議員として最初の質問に林業担い手対策を選ばせていただきました。このとき、知事からは、原木生産の拡大と効率化を進めるための人材を安定的に確保、育成していくことが必要であるとの認識と、このための具体的な取り組みについて答弁いただいたところです。
こうした中、先月二日、嘉麻市において中山間地域再生を図り、「もうかる自伐林業の勧め」と題した講演が行われましたので、私、参加してまいりました。全国的にも自伐林家が注目されていることがわかりました。私自身も、自伐林家が森林を守る担い手の新しい形であり、その育成が必要であると感じました。
まず、この自伐林家について質問いたします。自伐林家とはどういうものか簡単に説明してください。
302 ◯樋口 明委員長 村田林業振興課長。
303 ◯村田林業振興課長 自伐林家とは、主に自分の持ち山で伐採から搬出、出荷までをみずからで行い、収入を得る林家のことであります。
304 ◯江頭祥一委員 では、この自伐林家を県の施策にどのように位置づけているかをお答えください。
305 ◯村田林業振興課長 昨年三月に策定いたしました福岡県農林水産振興基本計画におきまして、地域の特色を生かして農山漁村を活性化する施策の一つに位置づけ、間伐材などの森林資源の活用を促進するため、自伐林家を育成することとしております。
306 ◯江頭祥一委員 この自伐林家についてどのような支援をされているのか引き続きお答えください。
307 ◯村田林業振興課長 本県では、自伐林家を育成するため、立木の伐採や伐採した木材の搬出などを学ぶ講習会を実施してきております。さらに今年度からは、講習内容に作業道の設計や作設方法などを加え、日数もふやして充実を図るとともに、チェーンソーなどの機材の購入や木材の集出荷場の整備に対する支援を行っているところであります。
308 ◯江頭祥一委員 この自伐林家の育成については、今後もしっかりと取り組んでいただきますようお願いします。
一方、本県のスギ、ヒノキ林の七割以上が利用期を迎えている中、木を切って、植えて、育てて、また切るといったサイクルを回していく、さらにはこれを加速することが必要であります。これを担うのは、先ほど自伐林家に触れましたが、やはり私の地元にもある森林組合を中心とした林業事業体であると思っているところです。また、来年度から始まる森林経営管理制度においても、その中心を担わなくてはならないと思います。
今議会、我が会派の浦県議が代表質問において、森林経営管理制度や国の森林環境譲与税について質問しておりますが、本県の森林林業施策を進める上で有効な制度であり、財源でもありますので、この場でも改めて質問させていただきます。
まずは、森林経営管理制度の概要について、簡単に説明をお願いいたします。
309 ◯村田林業振興課長 森林経営管理制度は、林業の成長産業化と森林の適切な管理の両立を図るために創設されるものであります。この制度では、経営が不十分な森林を市町村を介して意欲と能力のある林業経営者に集約化するとともに、集約できない森林は市町村みずからが管理することとなっております。
310 ◯江頭祥一委員 概要を説明していただきましたが、この制度においては市町村の役割がとても重要であり、代表質問でもそのことは指摘し、林業の専門知識を持ったアドバイザー派遣などによる市町村への支援を行っていく考えと知事から答弁がございました。
しかし、この制度の多くの業務を担う市町村は大変心配しているようです。私の地元嘉麻市にも聞いてみましたが、林業が盛んな市でさえ森林所有者への働きかけや不在村者への対応などができるのかといった心配をしているのが実情です。
このため、嘉麻市のような森林を多く抱えるところはもとより、まずは市町村の意見をしっかりと聞いた上で、本当に必要な支援策を検討すべきと考えますが、県の考えをお答えください。
311 ◯村田林業振興課長 県としましては、今月から農林事務所ごとに説明会を開催し、市町村からの意見をしっかりと聴取した上で、制度の円滑な実施に向け支援策を検討してまいります。
312 ◯江頭祥一委員 ありがとうございます。しっかりと支援していただきますよう強く要望しておきます。
さて、この制度とあわせて国の森林環境譲与税が創設されることから、代表質問において一層の森林整備や地域課題のためにも市町村に対して森林環境譲与税の活用方針を示すべきと指摘し、知事は効果的な活用方針を示してまいりたいと答弁いただきました。
この森林環境譲与税は、国が定める譲与基準によって配分されるとのことであり、譲与総額の五〇%を私有林人工林面積、二〇%を林業就業者数、残りの三〇%を人口でそれぞれ案分されると聞いております。このように人口も加味して配分されることから、森林が全くない市町村にも譲与されることとなっていますが、本県には森林がない市町村は幾つあるのかお答えください。
313 ◯村田林業振興課長 森林環境譲与税の譲与基準である私有林人工林は、都道府県が定める地域森林計画の森林を対象としておりまして、この森林がない市町村は六市町となっております。
314 ◯江頭祥一委員 こうした森林がない市町村、あるいは少ない市町村では、森林環境譲与税がどのように使われるかお答えください。
315 ◯村田林業振興課長 市町村に譲与される森林環境譲与税の使途は、平成二十九年十二月に示されました税制改正の大綱におきまして、間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発などの森林整備及びその促進に関する費用に充てなければならないとされております。このため、森林がない、または少ない市町村では、木材利用の促進や森林が持つ公益的機能に関する普及啓発などに活用されるものと考えられます。
316 ◯江頭祥一委員 森林を多く抱える地域に住む私としては、豪雨災害が頻発する中、森林が持つ土砂災害防止などの機能を発揮させるためには、森林の整備を進めることは待ったなしの状況と考えています。したがって、森林が少ない市町村においては、先ほどお答えいただいた中でも、特に木材利用の促進に活用してもらいたいと考えています。例えば都市部の真ん中に木造の建築物や、内装にふんだんに木材を利用した建設の建築が進めば、県産木材の需要増加に加え、周辺施設への波及効果も期待され、さらなる需要拡大につながるものと思います。県産木材の需要がふえれば、その収益は山に還元され、森林の適正な管理につながります。私の地元には、間伐材でつくった「もりのきしょうぎ」という木製品がありますが、こうした木製品の利用を進めるとともに、さまざまな木製品を加工する施設をふやしていくことも必要ではないでしょうか。この木材利用の促進については、私が申し上げるまでもなく、福岡県森林環境税検討委員会から県に提言がなされたと聞いており、森林がないまたは少ない市町村では、ぜひ取り組んでいただきたいと思っています。
しかしながら、譲与税であるがゆえ、その使途の裁量は市町村にあるわけです。だからこそ、木材利用の促進につながる取り組みを県が積極的に働きかけをしていくことが必要ではないでしょうか。このことについて県の考えをお示しください。
317 ◯村田林業振興課長 木材利用を進めていくことは間伐などの森林整備の促進につながることから、森林がないまたは少ない市町村においては積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
県としましては、市町村に対して森林環境譲与税の効果的な活用方針を示すこととしておりますので、その中で公共建築物等の木造木質化はもとより、木製品の導入や、その利用促進につながる加工施設の整備など、国も示しております具体的な取り組み事例を示しながら、木材利用の促進を積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
318 ◯江頭祥一委員 森林環境譲与税が効果的に活用されるよう市町村に対して丁寧に説明していただきますよう要望しておきます。
最後に、来年度から森林経営管理制度と国の森林環境譲与税が導入されますが、この新しい制度の円滑な運用と譲与税の効果的な活用に向けた岡本部長の決意をお聞かせください。
319 ◯樋口 明委員長 岡本農林水産部長。
320 ◯岡本農林水産部長 先ほど課長が申しましたとおり、来年度から開始されます森林経営管理制度につきましては、林業の成長産業化と森林の適切な管理の両立を図るために創設されるものでございます。
しかしながら、制度の円滑な運用に当たりましては、林業行政に通じた市町村職員が少ないことや、森林経営の受け手となる林業経営者の確保といった課題があります。このため、県といたしましては、県へ譲与されます森林環境譲与税を活用いたしまして、林業の専門知識を持ったアドバイザー派遣などによる市町村への支援を行うとともに、林業経営を担う人材の育成確保につきまして対策を強化してまいりたいと思っているところでございます。
また、福岡県森林環境税検討委員会のほうからの提言を踏まえまして、今後、市町村に対しまして、今、委員から御指摘をいただきました木材利用の促進も含めた森林環境譲与税の効果的な活用方針を示し、本県における森林経営管理制度が着実に進められるように進めてまいりたいと考えているところでございます。
321 ◯江頭祥一委員 力強く、心強い答弁ありがとうございました。終わります。(拍手)
322 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。岩元一儀委員。
323 ◯岩元一儀委員 国民民主党・県政県議団の岩元でございます。どうぞよろしくお願いします。
本日は、漁港を中心とした漁村地域の活性化について質問をさせていただきます。
我が会派は、本会議代表質問でもありましたとおり、去る六月末に島根県隠岐諸島の西ノ島、それから海士町に視察をしてまいりました。私も参加してまいりましたけれども、この二つの町は離島という地理的な条件は同じでございますけれども、地域振興の手法は大きく異なっていました。特に、西ノ島町は豊富な観光資源に恵まれ、隠岐ユネスコ世界ジオパークとして二〇一五年に認定され、クルーズ船誘致活動など積極的な観光誘致政策を行っています。また、基幹産業であるまき網漁業につきましては、町として後継者確保事業を行うことで、漁業従事者を都会から呼び込むことに成功していました。
我が県でも、漁村地域には新鮮な水産物はもとより、すぐれた自然環境、さらには水辺のレクリエーションの場など、さまざまな魅力があふれています。私は、漁業や漁港のことについては詳しくありませんけれども、漁村地域を活性化させ、漁業を魅力あるものにするためには、その地域の中心に位置する漁港を漁業生産の拠点としてだけではなく、都市との交流の場、また観光の場として活用することも重要ではないかと考えております。
そこで、まずお聞きします。本県には幾つの漁港がありますか。また、そのうち県が管理している漁港は幾つあるのでしょうか、お答えください。
324 ◯樋口 明委員長 濱田水産振興課長。
325 ◯濱田水産振興課長 本県には六十五の漁港がございます。そのうち県が管理しております漁港は、筑前海区の大島漁港、津屋崎漁港、沖ノ島漁港、小呂島漁港、有明海区の沖端漁港、豊前海区の宇島漁港の全六カ所となっております。
326 ◯岩元一儀委員 ただいまありましたように、県内には県管理の漁港が六港、残りは市町が管理するものが五十九港ということであります。
こうした漁港では、漁業生産の拠点として各市で特徴的な水産物が水揚げされていると思います。そして、今後の漁業経営を安定させるためだと思いますが、県水産海洋技術センターの指導のもとにより、紫ウニなどの漁業として知られる岡垣の波津海岸において九月二十日、水産高校の生徒たちがウニを海藻の生えている藻場に移す移殖作業に取り組んでいることを新聞で目にいたしました。
そこで、これらの漁港や海岸線などを利用した地域活性化の取り組みがあれば、お答えください。
327 ◯濱田水産振興課長 県内の漁港では、朝市、夕市を開催しているところがあり、このような催しには、とれたての新鮮な水産物を求め、都市から多くの人が訪れております。また、漁港周辺の地域も含め、カキ小屋や水産物直売所を整備しているところも数多くございます。海を見ながらとれたての魚介類を食べることができるなど、来店された方に楽しんでいただいております。これらの取り組みは地域の活性化につながっており、漁業者の収益向上にも役立っております。
328 ◯岩元一儀委員 私もこれまで宗像の道の駅等を視察して、とれた魚介類等を求めて多くのお客様が訪れて買い物を楽しみ、風景を楽しんだりしている様子を見てまいりました。このような漁村地域ににぎわいが生まれていることは大変すばらしいことだと思っておりますし、一方で、このような漁村地域での楽しみ方は、県内にとどまらず、国内さらには国外の観光客に対しても非常に魅力的なものではないかと思います。
そこで、お伺いします。漁村地域において、地元県民のみならず、他県や外国からの観光客の受け入れについて行っている事例があれば教えてください。
329 ◯濱田水産振興課長 新鮮なカキを焼いて食べることができるカキ小屋には、旅行会社と連携し、国内客のほかアジアを中心とした海外からの観光客を受け入れている店舗もございます。中でも、カキ小屋が地域観光の一翼を担っております糸島地区におきましては、来客数が年々増加しており、昨年度の国内外からの来客数は五十万人を超えております。
330 ◯岩元一儀委員 海の近くで地元の新鮮なカキを食べることができるカキ小屋は、海という漁村が持つすぐれた自然環境も有効に活用して、これは漁港を中心とした漁村や海岸沿線の活性化のよい事例であると思います。今後も、インバウンドのお客様を受け入れることの拡大に向けて頑張っていただきたいと思います。
一方、冒頭で申し上げましたが、漁村はレクリエーションの場としても魅力を有しております。レクリエーションとして遊漁やクルージングなど、プレジャーボートを利用するマリンレジャーが思い浮かびます。
そこで、お尋ねします。現在、プレジャーボートが係留している漁港施設の状況をお答えください。
331 ◯濱田水産振興課長 県管理漁港のうち津屋崎漁港におきましては、プレジャーボートの係留施設を整備しており、現在、約三百隻の船が利用しております。このほか脇田漁港や浜崎今津漁港、岐志漁港などの市町管理漁港におきましても、プレジャーボートの係留施設が整備されております。
332 ◯岩元一儀委員 今、御説明がありましたとおり、プレジャーボート等の拠点としても活用されるということですが、そのほとんどが満杯であると聞きます。先進国の事例を見ると、これからプレジャーボート等の係留の要望は高まってくるものと思われます。新たな施設の設置も必要ではないかと考えますので、調査研究を要望しておきます。
次に、さまざまな資源があっても、それらを生かす担い手がいないということでは宝の持ち腐れだと思っています。そうならないように漁業の担い手の確保が重要だと思います。
そこで、お尋ねします。本県では、毎年どれくらいの人が漁業に新たに就業しているのでしょうか。
333 ◯濱田水産振興課長 新規漁業就業者数は、平成二十七年度が七十人、二十八年度が六十一人、二十九年度が六十九人となっております。
334 ◯岩元一儀委員 年間六十人から七十人程度の方が新たに漁業についておられるということですが、私は、漁業者は子供のころから親の手伝いで漁船に乗り、経験を積んでやっと一人前になるというイメージを持っております。このような新規の就業者の中には、親や親類が漁業者という方もあれば、一方で就職先として漁業に関心を持つ都市出身者が新たに就業される場もあるのではないかと思いますが、どのような構成となっているのか教えてください。
335 ◯濱田水産振興課長 直近五カ年間で見ますと、漁家で生まれ育った子弟が約七割、漁家子弟以外の方が約三割となっております。
336 ◯岩元一儀委員 今後、漁業の担い手を確保していくためには、親や親類が漁業者の方はもちろんのこと、先ほど隠岐の西ノ島町で取り組まれているように、都市出身者にいかに参入してもらうかが重要だと思いますが、県ではどのような対策をとられているのか、お聞きします。
337 ◯濱田水産振興課長 当課に漁業就業者確保育成センターを設置し、主にまき網など雇用型漁業の乗組員を求めている漁業者と漁業者への就業希望者とのマッチングを行っております。
また、福岡農林漁業新規就業セミナーを毎年開催し、就業に関する情報提供や就業相談を実施しております。
さらに、全国規模で開催される漁業就業支援フェアにつきまして、開催情報の提供に加え、ブースを出して乗組員を求める漁業団体、漁業者と連携しまして、フェア当日の求職者への対応を行っております。
338 ◯岩元一儀委員 先ほど漁業の新規就業者は漁家で生まれ育った子弟がおよそ七割で、残り三割が都会などから来られた人、漁業の未経験者であると思います。こうした中で、就業後の定着状況はどうなのかお聞きいたします。
339 ◯濱田水産振興課長 新規就業者がそのまま漁業者として定着する割合は、漁家で生まれ育った子弟の方が約九割、漁家子弟以外の方が約五割となっております。
340 ◯岩元一儀委員 例えば新規就業者が毎年六十人とすると、三割が未経験者ということで十八人ぐらい、この五割が定着しているが十人前後は離職していると考えられます。漁業の経験の少ない都市出身者などの方が、話だけを聞いて自分の人生を漁業にかけてみたいと判断するのは非常に不安で、難しいことだと思います。このような方たちに対して、就業後、長く漁業に定着してもらうために何か工夫されているのかお聞きいたします。
341 ◯濱田水産振興課長 漁船漁業に従事する場合には、労働環境や船酔いなど、実際に漁船に乗って体験してみないとわからない問題もございます。そこで、雇用契約を結ぶ前に、短期間、実際に海に出て、操業を経験してもらい、漁業とはどのようなものなのか理解してもらった後に雇用契約を結ぶよう、漁業者、求職者双方に指導しております。
また、カキやノリなどの養殖業につきましては、新規就業者に対して養殖技術や出荷時の衛生管理など、知識・技術レベルの向上を目的とした研修を行い、漁業への定着を促進しております。
342 ◯岩元一儀委員 きめ細やかな対応が今されつつあると。今年度から特にそうだと思うんですけれども。自分の人生をかけた仕事を決めるわけですから、相当な覚悟が必要だと思います。船酔いや体力的な問題など操業に対する不安に加えて、漁村という集落の中での新たな生活に対する不安もあるのではないでしょうか。
実際に漁業を体験した上で就業を決めるというお答えでしたけれども、具体的にはどのような事例があるのかお示しください。
343 ◯濱田水産振興課長 平成二十三年八月に開催されました福岡農林漁業新規就業セミナーを通じて、宗像市鐘崎のまき網船団の乗組員となった方がいらっしゃいます。当時、福岡市内に住まれていたその方は、セミナー会場で漁業者から、鐘崎での暮らしや漁の内容について話を聞き、後日、まき網船に乗って二日間の体験漁業に参加されました。その間、同僚となる乗組員と一緒に作業を行い、話をし、同じ釜の飯を食べることで将来に対する自信を深め、平成二十四年四月から正式に乗組員となりました。六年目を迎える現在も、元気に漁をされております。同様に、ことし六月に開催されました新規就業支援フェアからは、宗像市大島のまき網船団や福岡市漁協唐泊支所の二そうごち網にも、体験漁業を通じ乗組員になっている方がいらっしゃいます。
344 ◯岩元一儀委員 実際に操業の経験をした上で就業の決断をするのであれば、雇用契約後に思っていたこととは違ったということでやめてしまうケースも少なくなっていくのではないかなと思いますし、今後もきめ細やかな対応をお願いしたいと思います。
さて、これまで答弁をいただきましたけれども、漁港を中心とした漁村地域の活性化についてしっかりと考えてもらいたいと期待いたしますが、最後に、漁港を中心とした漁村地域の活性化について水産局長のお考えをお聞かせください。
345 ◯樋口 明委員長 石田水産局長。
346 ◯石田水産局長 委員御指摘のとおり、漁港を中心としました漁村地域には新鮮な魚介類、それからすばらしい自然がございます。これらを生かした地域の活性化、それとそれを支える担い手の確保は本県水産業の持続的な発展のために大変重要なことであると認識をいたしております。
幸いなことに本県は、筑前海、有明海、豊前海という三つの特徴を持った海を有しまして、漁業を営むには大変恵まれた環境にございます。それとともに、五百十万人の人口を抱えております。消費の面でも優位な面があると考えております。
今後とも県としましては、漁場づくりや資源づくりなどを確実に行っていきますとともに、カキ小屋などの例に見られますように、漁港を最大限活用して本県の優位性を生かした取り組みなどもしっかり進めてまいりまして、今後の漁村地域の活性化に努めていきたいと考えております。
347 ◯岩元一儀委員 ただいま決意を含めてお答えいただきましたけれども、インバウンドなどのお客様を取り込むことも積極的にやっていただきたいとも重ねて要望するとともに、市町村管理の漁港との連携、利用促進といったことも考えながら漁村地域の活性化をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
348 ◯樋口 明委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
349 ◯樋口 明委員長 ないようですので、第一四〇号議案の質疑を終わります。
次に、第一四六号議案「平成二十九年度福岡県就農支援資金貸付事業特別会計決算」、第一四七号議案「平成二十九年度福岡県県営林造成事業特別会計決算」、第一四八号議案「平成二十九年度福岡県林業改善資金助成事業特別会計決算」及び第一四九号議案「平成二十九年度福岡県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計決算」の四件については一括議題とし、まとめて説明を求めます。岡本農林水産部長。
350 ◯岡本農林水産部長 農林水産部所管の四つの特別会計の歳入歳出決算について御説明いたします。
歳入歳出決算概要説明書の百六十三ページをお開き願います。
第一四六号議案、平成二十九年度福岡県就農支援資金貸付事業特別会計決算について御説明いたします。
この特別会計は、新規就農者に対する資金の貸し付けを行うものでございます。
歳入につきましては、収入済額九千九百万円余でございます。収入未済額が生じておりますのは、納入義務者の経済的理由により貸付金償還金が年度内に納入できなかったことによるものでございます。
百六十四ページに参りまして、歳出につきましては、決算額七千三百万円余でございます。これは就農支援資金の償還などに要した経費でございます。不用額を生じております主な理由は、資金需要が見込みを下回ったことによるものでございます。
百六十五ページをお開き願います。
第一四七号議案、平成二十九年度福岡県県営林造成事業特別会計決算について御説明いたします。
この特別会計は、県有林、県行造林の経営を行うものでございます。
歳入につきましては、収入済額三億二千九百万円余でございます。
百六十六ページに参りまして、歳出につきましては、決算額三億二千九百万円余でございます。これは県営林の管理などに要した経費でございます。
百六十七ページをお開き願います。
第一四八号議案、平成二十九年度福岡県林業改善資金助成事業特別会計決算について御説明いたします。
この特別会計は、林業従事者などに対する資金の貸し付けを行うものでございます。
歳入につきましては、収入済額一億一千八百万円余でございます。収入未済額が生じておりますのは、納入義務者の経済的理由により貸付金償還金が年度内に納入できなかったことによるものでございます。
百六十八ページに参りまして、歳出につきましては、決算額九百万円余でございます。これは林業改善資金の貸し付けなどに要した経費でございます。不用額を生じております主な理由は、資金需要が見込みを下回ったことによるものでございます。
百六十九ページをお開き願います。
第一四九号議案、平成二十九年度福岡県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計決算について御説明いたします。
この特別会計は、沿岸漁業従事者に対する資金の貸し付けを行うものでございます。
歳入につきましては、収入済額二億六千四百万円余でございます。
その下、歳出につきましては、決算額六千六百万円余でございます。これは、沿岸漁業改善資金の償還などに要した経費でございます。不用額につきましては、百七十ページに参りまして、その主な理由は、資金需要が見込みを下回ったことによるものでございます。
以上で農林水産部所管分の特別会計について説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
351 ◯樋口 明委員長 説明は終わりました。
これより質疑を行います。質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者がある〕
352 ◯樋口 明委員長 質疑がないようですので、第一四六号議案外、三件の質疑を終了し、農林水産部所管分の審査を終わります。
以上で本日の議事を終了します。
なお、明日の委員会は午前十一時に開き、商工部、企業局、県土整備部及び建築都市部所管分の審査を行いますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 四 時 五 十 三 分 散 会
Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...