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  1. 福岡県議会 2018-09-14
    平成30年9月定例会(第14日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井上 順吾君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。渡辺勝将君。(拍手) *渡辺(勝)議員質問 2 ◯八番(渡辺 勝将君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団渡辺勝将です。通告に従い、オーストラリアとの交流について質問いたします。  オーストラリアは人口約二千五百万人、日本の二十倍という広大な国土を有し、経済も堅調であります。オーストラリア側から見ると、輸出入の相手国として、日本は貿易総額で、中国、アメリカに次ぎ三位となっています。しかし、福岡県との関係では、現在、本県とオーストラリアの間には直行便もなく、経済、観光、農業、スポーツなどの各分野で、オーストラリアと本県との交流はまだ十分とは言えないのが実情ではないでしょうか。来年はラグビーワールドカップが開催されます。オーストラリア代表は隣県の大分県での試合が予定されており、オーストラリアから多くのファンが九州を訪問することが予想されます。まさに、福岡県とオーストラリアとの交流拡大の絶好の機会であります。  このような問題意識から、福岡県国際交流推進議員連盟は、福岡県とオーストラリアとの今後の交流拡大の可能性を探るために、八月十六日からオーストラリアを視察いたしました。視察団は、ニューサウスウェールズ州カウラ市にあるサブローナガクラ公園を訪ねました。この公園は、福岡県出身の元九州電力会長永倉三郎様が整備され、現在は御子息で本県在住の永倉成二様が、カウラ市との協力のもと管理を行われており、カウラ市の名誉市民になっておられます。また、カウラ市は第二次世界大戦当時の一九四四年八月五日に起こった日本捕虜脱走事件で二百三十五人の死者を出した地でもあります。地元の方が、現在でも、亡くなった日本兵のために慰霊をしていただいていることに大きな感銘を受けたところでもあります。まさに、日豪友好の地と言っても過言ではありません。そのほかにも、シドニーで開催されたラグビーオーストラリア代表ニュージーランド代表戦の会場において、ラグビーワールドカップの機会に福岡への訪問を呼びかけるプロモーションを実施しました。会場では、オーストラリアラグビーファンの熱い思いを目の当たりにし、ラグビーワールドカップオーストラリアラグビーファンを福岡に誘客する大きなチャンスであることを改めて実感したところでもあります。あわせて、ラグビー先進国であるオーストラリアとのスポーツ交流についても大きな可能性を感じたところであります。  交流は、きっかけが大切であります。例えば、福岡県ゆかりの方である永倉三郎元会長をきっかけとして、自治体レベルオーストラリアとの交流を深めていくことなども検討できるのではないかと感じたところでもあります。自治体外交という観点からも、福岡県には現在、アメリカ、韓国、中国、ベトナム、オーストラリアの五カ国の総領事館や領事館があります。さらに、タイの総領事館も新たに開設される予定であります。六つの領事館が存在するのは大変大きな意味を持ち、実際友好提携などが結ばれ、さまざまな交流が行われているところでもあります。しかし、これら領事館を設置している国のうち、福岡県が自治体レベル友好提携を締結していないのはオーストラリアだけであります。また、知事自身、就任以来オーストラリアを訪問されたこともないとお聞きしているところであります。  そこで知事に質問です。知事はオーストラリア総領事館の存在意義をどう考え、自治体外交の観点でオーストラリアをどう認識されているのかお尋ねします。  また、県では現在、ハノイ市やバンコク都など海外の六つの自治体などと友好提携を締結し、交流を進めています。仮に、今後、オーストラリアとの間で観光やスポーツの分野で継続的に交流拡大に取り組んでいくのであれば、自治体レベル友好提携を締結することについても検討していく必要があるのではないでしょうか。  そこで知事に質問です。これまで友好提携を行うことにより、どのように交流拡大が図られてきたのかお尋ねします。  また、今後オーストラリアとどのような分野で交流が期待できるのかお尋ねします。  先ほど述べたとおり、来年はラグビーワールドカップにおいて、隣県大分県においてオーストラリア代表チームの試合が予定されており、オーストラリアから多くの方が福岡県を訪れると思われます。これは逆に考えると、福岡県にとってオーストラリア側に訪問を働きかけやすいとも捉えられます。  そこで知事に質問です。来年のラグビーワールドカップや先ほど述べたカウラ市との縁を活用し、オーストラリア自治体との友好提携に向けて具体的な動きをすべきと考えますが、知事の所見をお尋ねし、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、オーストラリアに対する認識でございます。オーストラリア総領事館は、日本国内に大阪と福岡、二カ所、今開設をされております。それぞれ自国の広報、それから経済、文化交流などの活動を行っておられます。本県におきましては、総領事館と共同いたしまして、海外留学を希望する県内の若者を対象にオーストラリアの情報を提供するセミナーを実施をしております。また、総領事館におきましては、県内企業の依頼に応じまして、オーストラリアの企業が製造する船舶や車両、それらの調達をサポートするとともに、九州大学において総領事みずから日豪の経済関係をテーマとした講義を行うなど、福岡県とオーストラリアをつなぐかけ橋の役割を果たしておられます。オーストラリアは、近年の安定した経済、これを背景にいたしまして、訪日旅行客も増加いたしております。来年開催をされますラグビーワールドカップでは、議員が御指摘ありましたように、大分県で行われるオーストラリア戦、これによりまして本県及び九州を訪れられる観光客の増加というものが期待できると、このように認識をいたしております。  友好提携による交流についてでございます。本県は、アメリカのハワイ州、中国の江蘇省、タイのバンコク都、インドのデリー準州、そしてベトナムのハノイ市とそれぞれ友好提携を締結をし、経済、青少年、環境、文化などさまざまな分野の中から、それぞれの地域のニーズに合わせた交流というものを着実に進めてきているところであります。その結果、例えばバンコク都との間では、高校生の相互派遣から環境、介護などの分野にもその交流分野が広がっており、ことしの二月、タイ王国の総領事館の本県への設置というものが発表され、両地域の交流の拡大が図られているところでございます。  次に、オーストラリアとの交流が期待できる分野についてお尋ねがございました。先ほど申し上げましたとおり、来年のラグビーワールドカップの開催によりまして、本県や九州を訪問されるオーストラリア人観光客の増加というものが期待できます。このため本県におきましては、九州観光推進機構や熊本県、大分県と連携をいたしまして、旅行会社を招請し、旅行商品、その造成を促してきているところであります。また、旅行博、商談会への参加、メディアの招請のほか、海外に展開をしております福岡ゆかりラーメン店と連携をいたしまして、豚骨ラーメン発祥の地福岡、そのPRキャンペーンを実施するなど福岡県の認知度向上や、あるいは福岡県への誘客に努めてきたところであります。また、宗像市におきましては、毎年、サニックスワールドラグビーユース交流大会が行われておりまして、この大会におきましてはオーストラリアチームも参加をし、指導者間の情報交換や選手相互の交流というものも行われてきているところであります。スポーツの交流により、福岡県への誘客を促し、県内を周遊していただくこと、特にワールドカップ終了後もこの動きを継続していくことが大変重要であると考えております。このようなことから、スポーツまた観光の分野については、今後オーストラリアとの交流が期待できるのではないかと、このように考えております。
     次に、オーストラリアの自治体との友好提携でございます。友好提携というのは、両地域のお互いの産業、経済、文化などそれぞれの状況をお互いに理解をし、ウイン・ウインになる交流分野を見つけて具体的な交流を積み重ね、その結果、締結されるものであると、このように考えております。このため、ラグビーワールドカップの開催、それから御指摘のありましたカウラ市との御縁、これも踏まえながら、まずは観光、スポーツなどの分野におきまして、オーストラリアの自治体との交流の芽、これを育てていきたいと、このように考えております。 5 ◯議長(井上 順吾君) 佐々木允君。(拍手) *佐々木(允)議員質問 6 ◯三番(佐々木 允君)登壇 改めまして、皆様、おはようございます。国民民主党県政クラブ県議団、田川市選出の佐々木允でございます。通告に従い、早速質問に入らせていただきます。  今回の質問は、第一に、障がい者スポーツの振興に向けたパラリンピックキャンプ地誘致について、第二に、建設労働者待遇改善に向けた諸施策について、以下質問いたします。  それではまず、障がい者スポーツの振興に向けたパラリンピックキャンプ地誘致について質問いたします。本年八月十九日、私の地元田川市が、ドイツ車椅子フェンシング競技東京パラリンピックに向けた事前キャンプ地の実施に係る基本合意書に調印をいたしました。この調印式には、県の代表として大曲昭恵副知事が、田川市長とともにドイツ・ハンブルクまで足を運んでいただいたと聞いております。福岡県では、これまでに県内の市町村と一体となってキャンプ地誘致に取り組んできた結果、八つの国と地域で基本合意を締結しています。またパラリンピックでは、七月に南アフリカと調印した飯塚市に続き、田川市は県内二例目のキャンプ地決定となりました。田川市は、六年前から日独スポーツ少年団同時交流として、ドイツのスポーツユーゲントの子供たちを受け入れており、このことをきっかけとして、東京オリンピックパラリンピックキャンプ地誘致についても、当初からドイツを意識した誘致活動に取り組んでいるところであります。田川市長や市の担当者が何度もドイツを訪問する中で、先進的なドイツの障がい者スポーツの現状に触れ、ぜひ田川市に誘致したいとの熱い思いを持って関係者と協議を重ねてきたことが、この結果につながったと言えます。市関係者の皆様の御労苦に心から敬意を表するところです。  この誘致活動の過程においては、ことし六月、全日本車いすフェンシング選手権大会が初めて田川市で開催をされました。私も観戦させていただきましたが、パラリンピック金メダリストを初め香港、韓国の選手を含む二十一人の選手が熱戦を繰り広げ、市の内外から観戦に訪れた多くの方々に、車椅子フェンシングの競技のすばらしさが実感できたのではないかと思います。ことし八月には、県主催のパラスポーツ体験イベントが、同じく田川市で開催をされました。これにも参加をいたしましたが、障がいの有無にかかわらず、障がい者スポーツを身近に感じてもらい、その魅力を県民の皆様に発信する機会をふやしていくことが必要だと感じたところであります。その点からも、パラリンピック競技事前キャンプ地の誘致は、障がい者スポーツの振興を図る上で大変意義深いものだと考えます。一方で、パラリンピック競技を誘致するためには、施設のバリアフリー化や専門の競技用器具等の準備が必要となるため、市町村単独ではなかなか難しい状況があるという話も聞いています。ぜひ、県として、でき得る限りの支援を求める立場から、以下、知事に質問いたします。  まず一点目に、障がい者スポーツの振興に向けたパラリンピック競技キャンプ地誘致の意義について、知事はどのように考えるのかお聞きします。  二点目に、市町村のパラリンピック競技キャンプ地誘致について、これまで県はどのように支援を行ってきたのかお聞きをいたします。  三点目に、田川市や飯塚市など受け入れ市町村は、パラリンピック競技事前キャンプ受け入れや相手国との交流に取り組む必要がありますが、一自治体では海外との交流や協議にふなれな部分も多くあるのが実態です。県としてどのような支援を行っていくのか、あわせてお聞きします。  また、パラリンピック競技大会の自国開催は、障がい者スポーツの振興に大きな価値を残してくれるものだと思います。この絶好の機会に、本県として、どのように障がい者スポーツを推進していくのか、知事の考えをお聞きします。  続いて、建設労働者待遇改善に向けた諸施策について質問をいたします。建設業は、地域のインフラの整備、維持の担い手であると同時に、暮らしと地域経済の支え手として、なくてはならない存在であります。特に、昨年、ことしと続いた多くの自然災害においても、建設業は災害復旧に即座に対応し、復興のためのインフラ、住宅の整備の担い手として極めて大きな役割を担ってくださいました。それらを現場で担うのが、建設労働者や一人親方の皆様ですが、その担い手不足が大きな問題となっており、その点は、さきの我が会派代表質問でも知事にただしてきたところです。  そもそも建設業は、危険な業務である上、休日が他業種より少なく、月給制度を採用していない職場も多いことなどから、近年、若年層から敬遠されているところもあるのが現状です。そのため、二〇一五年度における国全体の建設業就業者の実に三人に一人が五十五歳以上である一方、二十九歳以下はわずか一割程度と年齢偏在が顕著で、技能労働者全体の数は一九九五年の四百三十八万人から二〇一五年度の三百三十一万人と、この二十年で百万人以上の減少となっています。国も建設労働者の確保を進めるため、とりわけ待遇改善につながる諸施策を実施しています。社会保険の加入対策では、未加入企業を下請企業に選定しない、またはペナルティーを科すなど、強い姿勢で臨み、建設業許可業者のうち雇用保険、健康保険、厚生年金保険の三保険に加入している割合は、ことし五月現在九三%と、二〇一一年度の五六・七%から大きな進展を見せています。この一例をもっても、建設労働者待遇改善において、行政の役割が極めて重要であることがわかります。その基本となる国の法律などを踏まえ、本県として建設労働者待遇改善を強力に推し進めることを求める立場から、以下知事に質問いたします。  まず一点目に、本県における建設労働者の求人及び労働者の充足状況、年齢構成、賃金の状況及び近年の労働災害の現状と特徴がどのようになっているのかお示しください。また、それらに対する知事の認識もお聞きします。  さて、二〇一七年三月、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律、いわゆる建設職人基本法が施行されました。この法律は官民の全工事を対象に、適正な請負代金や工期、安全衛生経費の確保、設計施工等における安全の確保などを求めており、その具体化のため、国は基本計画を策定し、実効性の確保も図っています。  そこで二点目に、知事は同法及び同基本計画について、どのような意義があると認識しているのかお答えください。  この項の最後に、本県の実態に即した建設職人基本法県計画の策定についてお聞きします。同法第五条には、都道府県の責務として「基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて、当該都道府県の区域の実情に応じた建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と規定し、その具体策として、同法第九条に都道府県に対して計画の策定を求めています。  そこで、本県は同法に基づき県計画の策定を行う予定はあるのかお聞きします。  また、策定に当たっては、労働者団体や業界団体など幅広い方々からの意見を集約する機会を設けるとともに、同法第五条にある「当該都道府県の区域の実情に応じた」中身となるよう、また国の計画にも記載されている、適切な賃金水準の確保等のため、本県の実態に合わせた実効性のある計画の策定が必要だと思います。今後の県計画策定に向けた県の取り組みについても、あわせてお聞きします。  以上、知事の前向きな答弁を期待し、終わります。ありがとうございました。(拍手) 7 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  障がい者スポーツの振興に向けたパラリンピック競技キャンプ地誘致の意義でございます。パラリンピック事前キャンプは、県民の皆さんがトップアスリートのプレーを身近に感じるいい機会になり、障がい者スポーツに対する関心を一層高めることにつながっていく、そのことはもちろんのことでございまして、特に障がいのあるお子さんたちにとりまして、夢や希望を与えてくれるものでもございます。また、パラリンピック競技キャンプ受け入れるためには、施設等のバリアフリー化はもちろん、選手をサポートするボランティアの育成などその体制を整えていくことも必要となります。国は、こうした取り組みを推進する自治体を、共生社会ホストタウンとして登録をしてきておりまして、県内では本年五月、田川市と飯塚市がそれぞれ登録をされました。両市におきましては、ハード、ソフト両面での環境整備に着手をいたしますとともに、パラリンピックを契機とした障がい者スポーツの推進に取り組んでいるところでございます。このようにパラリンピック競技キャンプ地誘致というのは、県民の皆様の障がい者スポーツへの理解を深めていくとともに、地域における共生社会の実現に向けた取り組みの推進にもつながっていくものと考えております。また、スポーツ立県福岡、その実現を目指す福岡県にとりましても大変意義のある取り組みである、このように考えております。  市町村のキャンプ地誘致に対する県の支援でございます。県におきましては、これまでオリンピックパラリンピックキャンプ地誘致を希望する市町村との連絡会議を立ち上げ、県が収集した情報の共有を図りながら、対象となる国や競技の絞り込み、視察の受け入れや相手国との協議、交渉など市町村と一体となってその誘致活動に取り組んでまいりました。また、誘致活動に要する財政的負担を軽減をするため、市町村に対しまして視察受け入れプロモーションツールの制作に要する経費を補助してきております。さらに、パラリンピック競技受け入れが決定した田川市と飯塚市につきましては、共生社会ホストタウンの登録の申請に当たりまして、県は国との協議、また国への申請手続に関し助言等を行ってまいりました。現在、両市におきましては、宿泊施設、競技施設などのバリアフリー化に取り組むとともに、車椅子体験会相手国文化を学ぶ教室の開催など心のバリアフリーを推進する取り組みも進めておられまして、先進事例として国からも視察に訪れられるなど全国でも注目される存在となっているところであります。  市町村のキャンプ受け入れ及び相手国との交流に対する県の支援と障がい者スポーツの推進についてお尋ねがございました。パラリンピック競技キャンプ地実施にかかわる基本合意を締結いたしました両市につきましては、今後、相手国との具体的な交流が始まってまいります。このため、今年度、キャンプ受け入れられた選手やコーチと県民の皆さんが交流する事業に要する経費を、これについて助成制度を新たに設けたところであります。また、県におきましては、我が国でのパラリンピック開催を契機といたしまして、障がいの有無にかかわらず、誰もがスポーツに親しむことができるよう、パラスポーツ体験イベントの開催、特別支援学校を活用した障がい者スポーツ拠点づくり、これに取り組んでいるところであります。県といたしましては、今後ともパラリンピック競技キャンプ受け入れによる相手国との交流を推進するとともに、障がい者スポーツの振興にしっかり取り組んでまいります。  次に、建設労働者の求人等の現状についてお尋ねがございました。本年七月における福岡労働局管内ハローワーク建設業関係職種の求人数は四千三百三十七人となっております。これに対する充足数は百二十一人でございまして、極端な未充足の状況にございます。平成二十九年における本県の建設業就業者の平均賃金でございますが、厚生労働省の調査によりますと、月額約三十六万円となっております。ここ数年、上昇傾向にありまして、全産業の約三十一万円に比べると高い状況にございます。年齢構成について見てみますと、総務省の調査では、本県の平成二十九年における全産業に占める三十四歳以下の就業者の割合が二五・九%であるのに対しまして、建設業は一八・四%となっております。一方で、五十五歳以上の割合について見ますと、全産業が二九・八%であるのに対し、建設業は三四%となっております。若年労働者が不足をし、高齢化の状況にあることがうかがえます。また、労働災害につきましては、福岡労働局の調査によりますと、平成二十九年における本県の休業四日以上の死傷者数は、建設業で六百四十一名となってございます。全産業に占める建設業の割合、就業者数で見ますと八%でありますので、これと見比べますと死傷者数は一二・一%、死亡者数では二二・二%と労働災害の発生率は比較的高い状況にございます。こうした状況から、建設業においては、高齢化や安全確保が課題となっておりまして、若年者の人材確保、処遇改善、そして労働安全衛生取り組みが重要であると、このように認識をいたしております。  いわゆる建設職人基本法と国の基本計画についてお尋ねがございました。建設職人基本法は、公共のみならず全ての建設工事につきまして、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策を総合的、計画的に推進をし、建設業の健全な発展に資することを目的に制定をされました。また、同法に基づく国の基本計画は、多くの建設工事従事者が現場で被災をされていること、高齢化が進む中、中長期的な担い手の確保が急務であること、それらなど建設業を取り巻く現状や課題を踏まえまして、基本的な方針、講ずべき施策、そして施策の推進に必要な事項について定めております。建設職人基本法の制定そして国の基本計画の策定によりまして、建設業が全ての業種の中で労働災害死亡事故が最も多いという状況の中で、その従事者の安全、健康の確保はもとより、処遇の改善及び地位の向上などの取り組みが進んでいき、今後の建設業の健全な発展に資するものであると、このように認識いたしております。  県計画の策定についてお尋ねがございました。昨年六月の国の基本計画の策定を受けまして、県では同年十一月に県工事発注部局や労働、商工など庁内関係各課で構成をする県計画策定のためのワーキンググループを設置しております。県はこれまで、県発注工事現場での安全点検、労働安全衛生関係法令の周知徹底、社会保険等への加入指導など、これは議員が御指摘されましたけれども、社会保険等への加入指導など建設工事従事者の安全確保や処遇の改善に向けた取り組みを行ってまいりました。これらに加えまして、現在、国の基本計画の内容を踏まえて、県計画に盛り込むべき施策というものを検討しているところであります。今後は、建設業団体、労働者団体の皆さんから幅広く意見を聞くなど県内の実態というものを踏まえ、建設業全体の安全意識の向上、従事者の処遇改善の促進が図られるよう、県計画の策定に取り組んでまいります。 9 ◯議長(井上 順吾君) 佐々木允君。 10 ◯三番(佐々木 允君)登壇 知事に、建設労働者待遇改善に向けた諸施策について、二点要望をいたします。  今回、県として建設職人基本法に基づく県計画を策定していく、そのことが明らかとなりました。また、策定に当たっては、労働者団体や建設業団体の意見を聞くこと、県内の実態を踏まえた県計画をつくるという力強い答弁をいただいたところです。特に、県内の実態を踏まえるためには、県内の建設業や建設労働者の置かれた現状がどのようになっているのか、実態調査を行わないと実態は踏まえられないはずであります。計画策定の前提となる実態調査を早期に実施するよう強く要望いたします。  また、県は公共工事の発注者であります。そして計画を策定する主体でもあります。当然のことながら、県発注公共工事で、建設職人基本法や今後策定する県計画の理念の具現化の先鞭を切ることが必要なのではないでしょうか。施策展開においては、県計画に即した入札制度改革にも取り組んでいただくことを、あわせて要望いたします。  今後も本県の建設産業が、建設労働者に寄り添い、人が育つ建設産業へ大きく転換していくことを期待し、終わります。ありがとうございました。(拍手) 11 ◯議長(井上 順吾君) 壹岐和郎君。(拍手) *壹岐議員質問 12 ◯三十四番(壹岐 和郎君)登壇 公明党の壹岐和郎でございます。通告に従い、本県のアレルギー疾患対策について質問します。  平成二十六年六月二十日に、アレルギー疾患対策基本法が議員立法により成立して、平成二十七年十二月二日、厚生労働省健康局長名で、アレルギー疾患対策基本法の施行についての施行通知が出されました。その通知文書には、我が国では国民の約二人に一人が、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、花粉症、食物アレルギーなどのアレルギー疾患に罹患していること、その患者数は近年増加傾向にあるにもかかわらず、地域によっては体制の整備のおくれや情報不足のため適切な医療機関を選択できず、誤った民間療法で症状が悪化する場合も少なくないことなど、アレルギー疾患を取り巻く厳しい環境の現状を打開するために基本法が成立したことが、簡潔に述べられています。  この基本法の概要を申し上げますと、国や自治体、医療関係者、学校などの責任を明確にし、アレルギー疾患対策を総合的かつ計画的に推進することがうたわれ、主に次の三点が基本理念として掲げられています。一点目は、科学的知見に基づいた正しい診療ガイドラインに基づいた的確な医療を全国どの地域でも受けられるように、医療の均てん化を図ること。二点目に、患者の生活の質(QOL)の向上並びに研究の推進と、その活用、発展を図ること。三点目に、専門性の高い医師の育成と医療機関の整備、他の医療従事者の教育と育成、相談体制の整備を進めること。つまり、どこに住んでいても適正な治療が受けられるように、国、自治体、関係機関の責任を明確にし、医療提供体制の整備を推進していくための根拠法として制定されました。地方公共団体の責務については、第五条に、「国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施するよう努めなければならない。」とあり、第十三条には、「都道府県におけるアレルギー疾患対策の推進に関する計画を策定することができる。」とあります。そして、より具体的な推進を図るため、平成二十九年三月に、国は基本的な指針をつくりました。  基本法の法制化からかかわってこられ、アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会委員を務めるなどアレルギー疾患対策について中心的な役割を果たされている、国立病院機構福岡病院、西間三馨名誉院長によれば、指針の重要なポイントは二点。一点目は、アレルギー疾患の重症化を防ぎ、最新の情報に基づいた標準的な治療を、どの地域に住んでも受けられるようにするためには、診療ガイドラインにのっとった医療をさらに普及していくことが重要であるということ。アレルギー治療の研究は日進月歩で、次々と新しい事実や治療法がわかってきています。二点目は、医療機関の連携強化の重要性です。具体的には、アレルギー疾患医療の全国的な拠点となる医療機関と、地域の拠点となる医療機関の役割、そして拠点医療機関とかかりつけ医の連携体制を整備していくことです。医療機関の連携が大切な理由は二点あります。一点目は、アレルギー疾患の特徴によるものです。アレルギーと他の疾患との大きな違いは、アレルギーマーチと言われるように、乳児から高齢者まで、一人の患者さんの身体にさまざまな症状を不定期に繰り返すため、全身の疾患として診る必要があるためです。二点目の理由は、専門医が少なく、専門医以外の医師をかかりつけ医にしている患者が多いため、この専門医以外の医師の能力を継続的に向上させていく仕組みが必要となるためです。その仕組みを構築するためには、専門医以外の医師が、専門医との連携で容易に最良の知識を得て、適切な治療や管理ができるようバックアップする拠点病院の整備が必要になるわけです。  拠点病院の整備については、平成二十九年七月に、厚生労働省から、都道府県におけるアレルギー疾患の医療提供体制の整備についてが通知され、都道府県はアレルギー疾患医療の拠点となる都道府県拠点病院を選定し、当該病院と日々のアレルギー疾患医療を行っている診療所や一般病院との間のアレルギー疾患の診療連携体制を整備することが求められています。今後、福岡県におけるアレルギー疾患医療提供体制を整備する上で中心となるのが、拠点病院と言えます。国立成育医療研究センターアレルギー科の大矢幸弘医長も、残念ながら、不適切な診療で症状を悪化させるケースがある、そうした患者の負担を減らすには地域の拠点病院は不可欠と述べられています。  先日、北九州市で、アレルギー科のみを診療科目として、アレルギー患者を専門で診ておられる診療所の院長にお話を伺う機会がありました。アレルギー疾患診療提供体制の脆弱さを指摘されておりました。日本アレルギー学会によれば、二〇一四年度、全国で継続的に医療を受けている患者は約二百三十五万人に対し、アレルギー患者のみを専門的に診ている専従医は二百九名で、他の診療科と比較しても極端に少ない。具体的な現象として、他の医療機関から、お話をお伺いした院長への紹介状が、二〇一七年度だけでも三百件ほどあり、本来アレルギー疾患を有する患者に、高度な医療を提供すべき公立病院を含め総合病院などからも、年間七十件を超えているようです。診療科目にアレルギー科を掲げている一般のクリニックや総合病院から、紹介状が一個人診療所に日常的に来ているという現象は、正常な姿とは言えないのではないかと話されていました。当初は、このことが専門医であるという誇りも感じられていたそうですが、全国的にもアレルギー疾患のある人は増加傾向にある中で、このような状況が続けば、いずれアレルギー患者に対する適正な診療ができなくなるのではないか、現状でも表にあらわれていないだけで、適正な診療を受けることができない人が多くいるのではないかとの、医療提供体制に対する危機感に変わっていったとのことです。また、当初入院が必要な患者が、アレルギー科を持つ総合病院にかかった後に、この紹介された診療所で治療を受け、また入院治療のため総合病院に行かなくてはならないなど、患者に大きな負担をかけることもよくあるということでした。以下六点、知事並びに教育長に質問します。  一点目に、北九州市の実態を取り上げましたが、アレルギー疾患医療の現状は楽観できる状況ではありません。がん、肝炎に続き、特定の疾病別の法律では三番目の基本法であるアレルギー疾患対策基本法が制定されたことに対し、知事の見解をお尋ねします。  二点目に、基本法並びに基本方針において、学校においても果たすべき責務が明記されました。アレルギー疾患対策を推進する上で、非常に重要な役割を担っております。学校現場においての取り組みについて、教育長の見解をお尋ねします。  三点目に、本県におけるアレルギー疾患の医療提供体制の整備を進める上において、拠点病院をできる限り速やかに選定する必要があります。拠点病院の選定並びに県アレルギー疾患医療連絡協議会の設置についての進捗状況を知事にお尋ねします。  四点目に、患者や家族への自己管理のための情報提供や専門医による講演会の案内、専門医、医療機関情報、各種マニュアルなど一元的に情報提供するサイトを開設すべきと考えますが、知事にお伺いします。  五点目に、平成二十六年の厚生労働科学研究、アレルギー疾患対策の均てん化に関する研究において、全国のアレルギー科標榜医療機関の医師約七千名のうち、アレルギー専門医資格を持つ医師は三〇・二%、また日本アレルギー学会員は五二・〇%、患者側調査では、六九%の成人患者や六二%の小児患者の養育者は、かかりつけの主治医がアレルギー専門医資格を有しているかどうかわからなかった、またアレルギー科を標榜している医療機関でも、必ずしも最新の診療ガイドラインを参照しているのではないことが報告されています。東京都が平成二十八年度に実施した同様の調査でも、アレルギー疾患の診療を行っていると回答した医療機関のうち、約四割がアレルギー疾患診療ガイドラインに準ずる標準的治療を行っていないと回答しています。本県でもしっかりした調査を行い、実態把握に努めるべきと考えますが、知事の見解をお尋ねします。  最後に、本基本法ではアレルギー疾患対策に関する計画を策定できるとなっていますが、北九州市での状況、増加傾向にあるアレルギー疾患の現状、県の果たすべき広範な責務、多岐にわたる拠点病院の役割等勘案すれば、アレルギー疾患対策を総合的に推進する計画を策定すべきと考えますが、知事の見解を伺います。  以上です。ありがとうございます。(拍手) 13 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 14 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、アレルギー疾患対策基本法についてでございます。アレルギー疾患には、急激な症状の悪化を繰り返したり、重症化により死に至ったりするものもありまして、職場、学校等あらゆる場面で日常生活に多大な影響を及ぼしております。アレルギー疾患は、医療の進歩によりまして、その症状を抑えることによって生活への影響を少なくすることができるようになってきておりますが、どこの地域でも同じように医療を受けることができる体制に、必ずしもなっていない、そういう御指摘もなされているところであります。アレルギー疾患対策基本法が制定をされまして、アレルギー疾患を有する者がその居住する地域にかかわらず適切な医療を受けることができるための対策等を、国、県、医療関係者などが一体となって総合的に推進することが定められましたことは、医療提供体制を確保していく上で意義あることだと、このように考えております。  拠点病院の選定についてお尋ねがございました。国は、アレルギー疾患を有する人が適切な医療を受けるため、重症及び難治性のアレルギー疾患患者の診療、地域の医療従事者への研修、住民への普及啓発といった役割を持つアレルギー疾患医療拠点病院を都道府県ごとに原則一、二カ所整備をするよう求めております。このため県におきましては、現在、県内の医療機関につきまして拠点病院の選定要件となっておりますアレルギー疾患の診療経験が豊富な内科、小児科等の医師の配置状況、これらについて調査を進めているところであります。また、地域の実情に応じたアレルギー疾患対策を推進をしていくため、専門家等で構成をします福岡県アレルギー疾患医療連絡協議会を設置することといたしておりまして、現在その設置に向けて準備を行っているところでございます。拠点病院につきましては、この協議会に意見を伺いながら選定作業を進めていきたいと考えております。  次に、一元的な情報提供を行うサイトの開設についてお尋ねがございました。県におきましては、これまで学校、保育施設の管理者、職員等に対しまして、平時あるいは緊急時のアレルギー対応について研修会を実施してまいりました。また、児童生徒に食物アレルギー症状が出現した場合の緊急対応マニュアルを作成をいたしまして、教職員に周知をするとともに、ホームページに掲載し、県民の皆様に対しても広くその周知を図っているところであります。  患者、家族の自己管理のための情報につきましては、国が最新の知見に基づいた疾患ごとの基礎知識、重症化の予防方法などウエブサイトを通じて提供する予定になっていると、このように伺っております。県といたしましては、これまでの学校向けのマニュアルに加えまして、拠点病院が行いますセミナー、またアレルギー専門医やアレルギー科標榜医療機関につきましての情報等をホームページに掲載をしてまいります。また、あわせまして、この県のホームページを、先ほど申し上げました国のウエブサイトにリンクを張ることによりまして、アレルギー疾患にかかわる情報について県民の皆様にわかりやすく、また一元的にそれを提供してまいります。  次に、アレルギー疾患医療の現状把握と計画についてでございます。アレルギー疾患対策基本法におきましては、県はアレルギー疾患医療の提供の状況、現状等を踏まえ、アレルギー疾患対策の推進に関する計画を策定することができるとされております。このため本県におきましては、医療機関へのアンケート、ヒアリング等を行いまして、医療提供等の現状についてしっかり把握をしてまいります。その上で、協議会の意見も伺いながら、計画の策定について検討することといたしております。 15 ◯議長(井上 順吾君) 城戸教育長。 *教育長答弁 16 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 学校におけるアレルギー疾患対策についてでございます。学校においては、アレルギー疾患を有する子供が安心して楽しく学校生活を送ることができるよう、学校給食など教育上の配慮に努めますとともに、日ごろから緊急時の対応への準備を行っておくことが必要であります。現在、県教育委員会では、管理職、養護教諭、栄養教諭などを対象に、アレルギー疾患の正しい知識の習得やアドレナリン自己注射薬の使用方法などの実践的な研修会を実施しております。また、各学校では、その内容を校内研修会で共通理解を図るとともに、校内アレルギー対応委員会を設置し、組織的な対応に努めております。今後も、アレルギー疾患を有する子供が安心して学校生活を送ることができるよう、対策の徹底、充実に努めてまいります。 17 ◯議長(井上 順吾君) 壹岐和郎君。 18 ◯三十四番(壹岐 和郎君)登壇 御答弁ありがとうございました。二点、知事に要望をいたします。  一点は、アレルギー疾患に関する情報を一元的に提供していただけるということですが、相談窓口等も含めて、県民の皆さんに最新の情報をわかりやすく、特にわかりやすいというのがポイントですので、ぜひ提供できるように工夫をお願いしたいと思います。  二点目は、拠点病院についてですが、既に昨年度、拠点病院の選定や推進計画策定を終えている自治体も事実あります。一日も早く拠点病院を選定していただいて、本県のアレルギー疾患医療の全体像をしっかり把握して、アレルギー疾患を有する患者、家族が安心して暮らせるように、医療提供体制の充実をスピード感を持って進めていただくよう要望して、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 19 ◯議長(井上 順吾君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時といたします。           午 前 十一時 五十一分  休 憩           午 後 一 時  一 分  再 開 20 ◯副議長(畑中 茂広君) 再開いたします。 *諸般の報告  諸般の報告を行います。  人事委員会から職員の給与等に関する報告及び勧告、教育委員会から教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行状況についての点検及び評価が、それぞれお手元配付のとおり提出されました。  以上、報告いたします。  休憩前に引き続き、一般質問を行います。順次発言を許可いたします。神崎聡君。(拍手) *神崎議員質問 21 ◯三十一番(神崎 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。緑友会・立志福岡県議団の神崎聡です。今から五十六年前、一九六二年(昭和三十七年)九月二十日、きょうでありますけれども、私は田川郡添田町に生まれました。その一九六二年からさかのぼることちょうど九十年前、一八七二年(明治五年)十月十四日、皆さん、何の日か御存じでしょうか。新橋─横浜間を結んだ日本初の鉄道が開業した日であります。その開業から五十年後の一九二一年(大正十年)十月十四日に鉄道開業五十周年を記念して鉄道博物館が開館されたことから、十月十四日を鉄道記念日として制定し、現在では鉄道の日とされています。ことしも鉄道の日を記念して、各鉄道会社では各種のイベントが実施されます。  私が初めて汽車に乗ったのは、母の里帰りのときでした。国鉄添田駅から日田彦山線に乗り、夜明駅で久大線に乗りかえての帰省でした。片道三時間ぐらいかかったんじゃないかと思います。物心ついたころは、妹をおんぶした母に手を引かれ、蒸気機関車の中ではしゃぎながら乗っていました。特に、彦山駅から筑前岩屋駅の間の釈迦岳トンネルはとにかく長くて真っ暗で、窓から顔を出すと顔がすすだらけになりました。楽しい列車の旅行だったのをおぼろげながら覚えております。全長四千三百八十メートル、一九五六年に完成するまで十九年も要した難工事のトンネルで、筑前岩屋駅付近には工事で犠牲になった人たちの慰霊碑が建てられていることを、先日、JR九州を退職された方から話を伺いました。完成当時は九州で一番長いトンネルだったそうです。先輩たちが苦労に苦労を重ねてつないでいった日田彦山線、何としても復活してもらいたい、そう話されていました。私はきっと、JR九州の社長を初め、JR九州の社員の皆さん、鉄道関係者の方々も同じ思いなのではないかと思いました。  初めに、JR日田彦山線の復旧についてお尋ねいたします。JR九州は、昨年の九州北部豪雨で一部不通になっていた久大本線を七月十四日に運転を全線で再開いたしました。当日、特急ゆふいんの森号の出発式には知事も出席されていたと思いますが、大変うれしいニュースでありました。一方で、久大本線と同様に九州北部豪雨で大きな被害を発生した日田彦山線であります。今もなお、不通になっている添田─夜明間の二十九・二キロが、運転再開の目標時期も示されておらず、それどころか復旧工事に着手するめども立っていません。今議会で自民党県議団の代表質問や、我が会派の代表質問にも取り上げられましたように、日田彦山線復旧会議の実務者による検討会で議論をしているさなか、JR九州の青柳社長は七月二十五日の記者会見で、所有者と運行事業者を分ける上下分離方式を、復旧後の運行形態の一案として沿線自治体との協議会で議論する考えを示しました。また、八月二十七日の記者会見では、復旧方法などをめぐる自治体との協議がまとまらない場合、バスなど鉄道以外による交通網の維持を提案する可能性を追求されたのであります。  御承知のとおり、六月十五日、議員立法で提出され審議が続いていた鉄道軌道整備法の改正法案が、国会議員の先生方を初め多くの政治家の皆さんの御尽力で、参議院本会議において全会一致で可決、成立いたしました。まさに政治が大きく動いた瞬間でした。その直後に、その対象となる日田彦山線について述べられましたJR九州社長の一連の発言は、改正鉄道軌道整備法をないがしろにしたかのような発言であり、非常に遺憾で、まことに残念でありました。  そこで知事にお尋ねいたします。JR九州の青柳社長の一連の発言の真意はどこにあるとお考えでしょうか。そもそも日田彦山線の復旧については、代表質問で御答弁いただきましたように、JR九州の青柳社長からの提案で、鉄道で復旧するための日田彦山線復旧会議が立ち上がった経緯があります。にもかかわらず、このような一連の発言は復旧会議を混乱させるようなもので、沿線自治体や県に対して条件を引き出すために政治的な駆け引きをしているようにも思えます。その真意を確かめるためにも、小川知事とJR九州の青柳社長とのトップ会談が重要だと考えますが、知事はJR九州の社長と直接お会いになって会談されないのでしょうか、お尋ねいたします。  実務者レベルでの日田彦山線復旧検討会をスピード感を持って進めなければなりませんが、政治問題化された日田彦山線の復旧問題に対して、知事として、今後どのような行動をとられ、沿線自治体及び住民の期待に応えていくのでしょうか、お尋ねいたします。知事が考える日田彦山線の全線再開までの議論の進め方、復旧の方法、開通の時期など具体的な道程をお示しください。  また、日田彦山線は大分県との連携が欠かせません。日田彦山線の復旧に関して、これまで大分県知事と直接お話はされたのでしょうか。あわせて、今後、どのように連携を深めていくのかお尋ねいたします。あわせて、九州地方知事会でのローカル線維持のための議論はどのように進められているのかお聞かせください。  今こそ、財務省や監督官庁である国土交通省に働きかけを行うなど、知事の政治力が問われている事案だと考えますが、知事の決意をお尋ねいたします。  地方のローカル線をしっかり守りながら株式上場を果たしたJR九州です。鉄道事業の路線維持こそがJR九州の信用力の源だと思います。それこそが安心、安全で信頼されるJR九州の企業価値であり、JR九州のブランド力ではないのでしょうか。  知事に一つ要望させていただきます。知事も御存じだと思いますが、現在不通区間となっております道の駅歓遊舎ひこさんの最寄り駅として、平成二十年三月十五日に開業した歓遊舎ひこさん駅があります。JR九州の五百五十七番目の駅だということです。平成十九年度福岡県産炭地域振興センター助成金交付事業から新駅建設事業として、三千二百六十二万八千円の助成金が出されています。添田町の自主財源三千六百二十五万四千円と合わせて、七千二百五十万八千円が新駅設置の建設費用となっています。当時から、道の駅歓遊舎ひこさんは、北九州や福岡市から多くのお客さんでにぎわっていました。新駅を隣接に設置することで、鉄道による観光を充実させるとともに、観光客に旬の野菜などを提供し、道の駅とJR駅との相乗効果を期待していたはずだと思います。JR九州もまた、日田彦山線にゆふいんの森号を走らせたり、特急「あそぼーい!」の車両で行く日田彦山線の旅や、SL人吉の客車で行く!日田彦山線の旅!を企画し、沿線市町村と一体となって観光PRや特産品の販売などが開催されてきました。JR九州も日田彦山線を何とかしたいという思い入れもあるんだと感じます。地元は誰もが鉄道が大好きです。JR九州と力を合わせ鉄道利用に取り組んでいこうとする地元の熱意をぜひ、JR九州の青柳社長にお伝えいただきたいと思います。  次に、平成三十年七月豪雨災害によって被災した平成筑豊鉄道についてお尋ねいたします。今回の豪雨災害で線路の一部が被災するなどしたため、地域住民の日常生活にも影響が生じています。知事は、被災直後の七月十二日、私も同行いたしましたが、不通となった田川線の田川伊田駅と崎山駅の間の被災現場などを視察されました。線路の下の盛り土が崩壊したような状況を目の当たりにし、被害の大きさを痛感したと思います。現地の方の話によると、イノシシが線路脇の土を掘り起こし、そこに雨水がたまり、多量の水が流れ込んできたため崩壊したのではないかと言われていました。鹿も鉄分を摂取するために線路に飛び出してきますが、有害獣は農林業の被害にとどまらず、交通をも麻痺させる、私たちの日常生活を脅かす存在になっていることを改めて認識させられました。  我が会派も、知事に対し早期全面復旧に向けた支援について要望を行いましたが、そのことも踏まえ、今議会において、平成筑豊鉄道の復旧の後押しをするため災害復旧費を含んだ二千八百万円余の県予算が提案されています。今回の被害状況は九カ所、うち糸田線の一カ所は既に復旧されています。復旧費用はおおよそ一億九千万円余になりそうだということです。十月中には全線開通されると平成筑豊鉄道のホームページには掲載されています。平成二十二年、平成二十四年に豪雨災害で被災したときも、不通区間はバス、タクシーによる代行輸送を実施してきました。今回は四カ月の間不通となっていまして、利用者は非常に不便な状態が続いています。  私の場合、高校生の子供を自宅から赤村の油須原駅まで毎日送迎しているのですが、油須原駅からの代行バスは犀川駅まで行き、そこから列車に乗りかえて新豊津駅まで行きます。油須原駅の代行バスは五時五十五分発です。これに間に合うためには五時半には家を出なければなりません。朝食をとりますので、遅くとも五時に起床ということになります。子供も大変ですが、親も大変です。帰りはもっと大変で、先ほどの逆のルートで帰宅しますが、部活動がありますので帰宅時間がとんでもなく遅くなります。結局、余儀なく毎日二山を越えて、みやこ町の学校までの送迎をしなければなりませんでした。定期代は油須原駅から新豊津まで半年間で四万八百三十円、田川伊田駅からですと五万七千百四十円です。決して安い金額ではありません。三カ月の定期代が無駄になりました。  そこで知事にお尋ねいたします。不通になって三カ月以上なりますから、私でさえ、学校までの送迎にはなれてきました。したがって、平成筑豊鉄道の豪雨災害による顧客離れが心配です。今回の被災の損失が今後の経営にどのような影響が出てくるのか、それに対して、平成筑豊鉄道はどのような対策をとるのか、あわせて県並びに沿線市町村はどのような支援や取り組みを考えているのかお尋ねいたします。  また、JR九州とはイベント企画などで、どのような連携をとられているのでしょうか。平成筑豊鉄道は台湾鉄路管理局平渓線との姉妹鉄道協定を締結されていますが、インバウンド需要をどのくらい見込んでいるのかお尋ねいたします。  最後に、今後の自然災害の頻発化、大規模化を踏まえ、鉄道施設、整備の被害からの復旧に向けた支援スキームの拡充を図ることが必要であると考えます。今後の鉄道防災、予防保全の支援スキームの拡充とともに、どのようなお考えをお持ちなのかお聞かせをいただき、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 22 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 23 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、JR九州青柳社長の記者会見での発言でございます。日田彦山線の復旧につきましては、議員も御指摘がありましたけれども、JR九州の青柳社長から鉄道で復旧したいので協議の場に参加をしてもらいたい、その申し入れがありましたことから、本県、大分県、沿線市町村、JR九州による日田彦山線復旧会議、これを設置をいたしまして、実務者レベルの検討会においてもその協議を行ってきたところであります。こうした協議のさなかに、JR九州の青柳社長が定例記者会見におきまして、運行費用の負担や鉄道以外での運行といった協議の場に提案すらされていないことを発言されました。今までの経緯から見て、その真意のほどをはかりかねるところでございますけれども、このことは鉄道での復旧を切望しております沿線住民の方々、そして我々自治体に大きな不安と不信感を与えるものでございます。私といたしましては、事業者であるJR九州が公共交通機関としての使命感を持って主体的に鉄道で復旧すべきであると考えておりまして、本来の協議の場でございます日田彦山線復旧会議を早期に開催をし、鋭意協議を進めていく考えであります。  次に、日田彦山線復旧に対する取り組みでございます。これまで、日田彦山線復旧会議のもとに設置をいたしました実務者レベルでの検討会で協議を重ねてきたわけでございますが、七月二十日に開催されました同検討会におきましては、福岡、大分両県からは、災害復旧事業を活用することでJR九州が当初提示をいたしておりました七十億円の鉄道復旧費は、五十六億円まで低減をできること、また沿線市町村からは、日田彦山線の復旧後の継続的な運行を確保するため、利用促進のための具体的な取り組みを行うこと及びその内容についてそれぞれ提示をしたところであります。その上で、年度内に議論をまとめ、早期着工を目指していくことで関係者の合意が得られたところであります。今後とも、鉄道での復旧、これを大前提といたしまして、一日も早く沿線住民の方々が被災前の利便性を取り戻していただけるよう、関係自治体と連携して協議を進めてまいります。  次に、日田彦山線問題にかかわる連携でございます。大分県知事とは、九州地方知事会など直接お会いする機会を捉えまして、また必要に応じ電話で協議を行い、常に情報を共有し意思の疎通を図ってきているところであります。また、五月二十二日に開催された九州地方知事会議におきましては、JR九州が保有する鉄道ネットワークは、日常生活や経済活動のあらゆる面で私ども九州の発展には欠かせない重要な社会インフラであり、JR九州は、九州創生の重要なパートナーであることを再認識し、みずからの役割をしっかり果たしていただきたい、そういった声明文を九州地方知事会では採択をいたしまして、JR九州に対しその申し入れを行ったところであります。  国への働きかけでございますけれども、これまで県議会とともに関係省庁に対して日田彦山線の早期復旧にかかわる要望活動を実施するとともに、九州地方知事会を通じましても同様の要望を行ってきたところでございます。引き続き、国に対ししっかり働きかけを続けてまいります。  次に、平成筑豊鉄道の今回の災害の影響でございます。平成筑豊鉄道では、一日も早く全線復旧するように全力でその復旧工事を進めているところであります。十月中には運行再開ができる見通しとなっております。一方、復旧まで一定期間を要しているため、収益の面では運休期間の運賃収入の減少、これはもとより、運行再開後におきましても、議員がおっしゃいました利用客離れによる運賃収入の減少が懸念されるところであります。このため、会社におきましては、この利用客離れを防止するため、中高校生の通学時間に合わせて代行バスを運行するなどその利便性の確保に努めてきているところであります。今後、市町村にも呼びかけまして、私ども、会社とともに学校、企業訪問による定期券販売を精力的に実施する予定でございます。これに加えまして、この災害復旧に係る予算をこの議会にお願いをしておりますほか、県といたしましては、来春の観光列車の運行開始、また田川伊田駅におけるマルシェの開設などを通じまして、インバウンドを含めた域外からの利用客の呼び込みを支援することで、平成筑豊鉄道の経営改善につなげていきたい、そのように考えております。
     次に、JR九州また台湾鉄路平渓線との連携でございます。十月に開催をいたします、へいちくフェスタとあわせて、JR九州ウォーキングを実施するとともに、外国人向けのフリーパスJR九州レールパス、その購入者の方々に対し、平成筑豊鉄道の一日乗車券が割引価格で購入できる特典を設けるなど、JR九州とはその連携を図ってきているところであります。台湾鉄路平渓線とは、双方の交流を強化し知名度を高めることを目的といたしまして、ことしの五月、姉妹鉄道協定を締結をしたところであります。現在、会社では台湾最大の乗降客数を誇る台北駅などで大型ディスプレーやポスターを使って平成筑豊鉄道の沿線のPR、また使用済み一日乗車券を持参すれば双方、相手方の鉄道に無料で乗車できる乗車券の交流、フェイスブックへの駅の写真投稿者に対する鉄道グッズのプレゼント、これらを予定しているところでございます。台湾からは、年間約二十九万人の観光客が福岡県を訪れられております。平成筑豊鉄道の知名度を高めることによりまして、台湾からの利用客の増加、これにつなげていきたいと考えております。  次に、今後の鉄道防災、予防保全、災害復旧についてお尋ねがございました。鉄道防災、予防保全という点では、のり面を固定する落石防護設備など、鉄道施設の安全確保のための補助制度がございます。県では、これまでもこの制度を活用し、支援を行ってきたところでございます。また、鉄道事業者が災害に備え加入する土木構造物保険制度、こういう制度がございまして、平成筑豊鉄道もこの保険制度に加入をしているところであります。災害復旧時には、御指摘の鉄道軌道整備法による国、地元自治体の支援制度がございまして、基本的にはこれにより対応することになります。しかしながら、仮に鉄道の存続にかかわるような想像を超えるような大規模な災害が起こった場合には、その状況に応じて個々に対応していくことが必要になると考えております。 24 ◯副議長(畑中 茂広君) 神崎聡君。 25 ◯三十一番(神崎 聡君)登壇 再質問を一つさせていただきます。  JR日田彦山線の復旧問題は、知事の政治力、政治力が問われている事案だと考え知事の決意をお尋ねいたしましたが、知事からは、日田彦山線復旧会議を早期に開催し、鋭意協議を進めていきたいとの御答弁でした。関係者のトップ全員がそろった復旧会議を一日も早く行うことは当然だと思います。私はそんな、職員がつくったかのような、当たり前の答弁を期待したわけではありません。知事は行政のトップというお立場と同時に県民から選ばれた政治家でもあります。今回のように、意見が対立し平行線をたどるような難しい局面というのは、政治の世界では多々あると思います。職員による事務的な会議や、しゃくし定規的な会談だけでは、どうしても解決できない事案もあるのではないでしょうか。それを乗り越えることができるとすれば、それは政治の力ではないのでしょうか。政治は人です。人が全てであります。それは人間関係であり、信頼関係なんだと私はそう思います。  小川知事にしかできない、知事ならできる駆け引きや交渉、個人的な人脈、政治力を今こそ発揮していただきたいと思います。知事御自身が持たれている、あらゆるチャネルや人間関係で、関係者に働きかけをしていただき、解決への糸口を見出していただけないでしょうか。最後に、政治家としての知事の見解を求めて、再質問とさせていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手) 26 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 27 ◯知事(小川 洋君)登壇 先ほど御答弁を申し上げましたけれども、これまでも県議会の皆さんと一緒に関係省庁に対して日田彦山線の早期復旧にかかわる要望活動を実施してまいりました。また、九州地方知事会を通じても同様の要望をさせていただいてきているわけでございますが、引き続き、大分県、また沿線市町村ともしっかり連携をいたしまして、また、私の持てる力、これを使って、国及び関係者に働きかけをしっかりやらせていただきたいと思っております。 28 ◯副議長(畑中 茂広君) 高瀬菜穂子君。(拍手) *高瀬議員質問 29 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、一般質問を行います。  まず、学校給食無償化についてです。子供の貧困が叫ばれる中、学校給食無償化の流れが加速しています。文科省は、昨年、全国千七百四十自治体を対象に給食費補助制度についての調査を行い、その結果をことし七月二十七日に発表しました。小中学校で完全無償、一部無償を実施している自治体は五百六自治体で二九%、約三割に上っています。本県においても、二〇一七年度十八市町村に及んでおり、また本年六月議会でも、国の負担で学校給食の無償化を求める意見書が、直方市、鞍手町、苅田町で採択されました。憲法二十六条には、「義務教育は、……無償とする」と定められています。学校給食は言うまでもなく教育の一環です。しかし、現在無償なのは授業料や教科書に限られており、給食が、貧困家庭の命綱という側面があるにもかかわらず無償ではありません。俳優の風間トオルさんが出版した「ビンボー魂」には、小学校時代、学校が休みになるイコール学校給食にありつけない、中でも空腹との長く厳しい闘いが強いられる夏休みをどうやってしのぐかが大問題と書かれています。二学期明け、痩せて登校してくる児童生徒がいるとの報告もあります。子供の貧困が広がる中で、払いたくても払えない家庭の子供に対する給食停止などの措置は、子供の身体的、精神的成長に著しい悪影響を及ぼすと考えます。学校給食は、憲法に規定される無償化の対象とすべきではないでしょうか。学校給食無償化についての教育長の見解をお聞かせください。  国に対して無償化を求めるとともに、市町村に広がる助成制度を後押しするための県としての助成制度の創設についても検討していただきたいと思いますが、あわせて見解を伺います。  次に、給食費の徴収について伺います。県教育委員会は現在、教職員の働き方改革に取り組まれており、その柱として、公会計化の推進を位置づけています。自治体が学校給食費を歳入歳出に位置づけ保護者からの給食費徴収も行う公会計化は、教員の働き方の改善に大いに資すると考えます。給食費徴収業務は、給食会計簿の管理、未納の督促など担任にとっては全て五時以降の仕事と悲鳴が上がっています。現在、県内十三市町村で公会計が実施されていますが、人件費の増大やシステム構築のための初期投資費用の負担等の問題で、導入が進んでいないとも聞いております。県教委としては、公会計化に今後どのように取り組むのかお答えください。初期投資がネックとなっている場合について、県として助成制度をつくってはどうかと考えますが、あわせて見解を伺います。  次に、ベトナム戦争時に使用された枯れ葉剤と同様の成分の除草剤が、県営五ケ山ダムから一キロの山に埋設されている問題について伺います。ベトナム戦争時、敵が隠れているジャングルを枯らすために米軍が使用した枯れ葉剤が、これに含まれる猛毒ダイオキシンによって二重体児や奇形、無脳症などの出産異常を引き起こしたことは余りにも有名です。この枯れ葉剤の2・4・5Tと呼ばれる成分は、日本国内、本県の三井化学でもつくられました。そして、製造過程でつくられる副産物、塩素酸ソーダやPCPと呼ばれる成分とともに、除草剤として日本の山林や水田に大量散布されたと、枯れ葉剤の研究者北九州大学の原田和明氏が指摘しています。除草剤の毒性が叫ばれ、一九七一年に行われた2・4・5Tの鳥類への影響実験で、ウズラ四十八羽中四十五羽が死ぬなどの結果を受け、林野庁は、この年、2・4・5Tの使用中止に追い込まれました。その後、これを国有林などに埋め四十年以上も放置してきました。福岡、佐賀県境近く吉野ヶ里町坂本峠が、七月五日の豪雨による土砂崩れで通行どめとなりましたが、この坂本峠付近の国有林の一角に猛毒2・4・5T剤が埋設されている問題を西日本新聞八月二十三日付が大きく報じています。「2・4・5・T剤を埋没してありますので囲い内の立ち入りや土石等の採取をしないで下さい。」との看板が立つ緑のフェンスで囲われた区域は、数メートル先に九州自然歩道の散策路があり、一キロ下には五ケ山ダムが完成したばかりです。林野庁は、廃棄に際し、除草剤の十倍程度に当たる量の土とまぜ、セメントで固めてコンクリート塊にし、水源から離れた地中に一カ所三百キロ以内の分量で埋めるよう通達を出したとのことですが、ここ坂本峠には、決められた分量の三倍以上、九百四十五キログラムが大量投棄されたことを林野庁も認めています。  そこで知事に伺います。このような事実について県は認識していたと思いますが、林野庁に対して撤去の要請は行ったのですか、伺います。  猛毒2・4・5T剤の撤去または無害化処理を行わないまま、わずか一キロ下流に五ケ山ダムを建設したことについて、どのような検討がされたのですか、お答えください。  また、このたびの豪雨災害で土砂崩れが起こり、地中漏出も考えられますが、今後、どのように対応するつもりですか。周辺の土壌調査、水質検査及び埋設物の撤去が早急に必要だと考えます。知事の見解を伺います。(拍手) 30 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 31 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  埋設除草剤撤去、これについての要請でございます。林野庁佐賀森林管理署は、昭和四十六年に林野庁の通達を受けまして佐賀県吉野ヶ里町の山林に除草剤をセメントにより固化をし、モルタルやビニールで覆って埋設をしております。県といたしましては、除草剤が五ケ山ダムや南畑ダムに近い場所に埋設をされておりますことから、毎年度、佐賀森林管理署に対しまして、埋設地の一層の適正管理を行うとともに、抜本的な解決に向け処理方法を検討するよう要請を行っているところであります。これに対しまして林野庁は、埋設除草剤の撤去には飛散等の危険が伴うため、埋設箇所への立ち入り及び土石採取などの行為を禁止し、モニタリングを継続していくことが最善の方策であると、そういう見解を示しております。そして、佐賀森林管理署におきましては、月二回の現地点検、定期的な土壌及び水質の調査を実施してきておりまして、これまで異常が認められない旨の点検結果を定期的に受けているところでございます。  五ケ山ダムへの影響でございます。県といたしましては、森林管理署が実施をしております点検や調査に加え、利水者でございます福岡市が実施をしております年一回の水質調査におきましても、いずれも異常が認められていないことから、国が適切に管理をしている、このように認識をし、五ケ山ダムの建設を進めてまいりました。  次に、埋設除草剤への対応でございます。これまでに実施をされました国や市の調査におきましては、異常が認められておりません。このため、県といたしましては、引き続き埋設除草剤の管理者でございます林野庁に対し、定期的に土壌及び水質調査を実施するなど、その埋設地の一層の適正管理を行うとともに、抜本的な解決に向け処理方法を検討するよう要請を続けてまいります。 32 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 *教育長答弁 33 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 学校給食の無償化についてでございます。学校給食費は、学校給食法において保護者が負担することとなっており、経済的理由により負担が厳しい保護者に対しては、生活保護や就学援助制度による支援がなされております。学校給食費の無償化は、一義的には国が検討するものでございますが、実施主体である市町村が、地域の実情に応じて無償化や保護者負担軽減策を決定することは可能であります。このため県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会に対し、就学援助制度の周知徹底を指導するとともに、国の動向や参考となる自治体の取り組みについて情報提供をしてまいります。  学校給食費の公会計化についてでございます。学校給食費を公会計化し自治体に事務を移管することは、教職員の負担軽減等の面で有益であると考えております。国の調査によれば、公会計化を導入していない自治体では、初期投資のほか業務増による自治体職員の負担が課題と考えられております。県教育委員会といたしましては、県内の市町村がこれらの課題を解決できるよう、県内外の先進事例の情報を提供するなどして学校給食費の公会計化を進めてまいります。 34 ◯副議長(畑中 茂広君) 高瀬菜穂子君。 35 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 枯れ葉剤埋設問題について再質問いたします。  驚くべき御答弁だと思います。2・4・5Tは猛毒だから、水源に埋設してはならないと林野庁が通達を出しているのに、県はわずか一キロ地点に水源となる巨大ダムをつくり、しかも、独自に水質検査、土壌検査もしていない。福岡市の年一回の水質調査で異常がないから、五ケ山ダムの建設を進めたとは、余りにも無責任ではありませんか。佐賀森林管理署の月二回の点検は目視であり、定期的な土壌、水質検査は四十七年間にたった六回ということです。これで命の水が守れるのでしょうか。ダム建設の中で、撤去や無害化処理を行うこともできたと思いますが、そのような検討はしなかったのですか、お答えください。  県管理のダムですから、少なくとも水質、土壌調査は県が独自に行い、その結果を公表すべきだと思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか。  撤去など抜本的な解決を国に求めるのは当然ですが、国がすぐにできないのならば、ダムをつくった県が撤去、無害化処理をかわって行うべきと考えます。想定を超える災害が続いており、山崩れなどの危険もある中です。知事の前向きな答弁を期待し質問を終わります。 36 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 37 ◯知事(小川 洋君)登壇 先ほど御答弁申し上げましたように、県としましては、埋設除草剤の管理につきまして林野庁が最善の方策であると見解を示していること、また一方で森林管理署、福岡市が実施した点検や調査においてもこれまで、それまでの間、異常は認められませんでした。そのことから、国が適切に管理をしていると判断をしたところであります。  除草剤の管理者である国及び利水者である福岡市が、今申し上げましたように定期的に検査を行い、これまで異常が認められておりませんから、現時点では県が調査をすることは考えておりません。  またこの埋設地の適正な管理あるいは抜本的な解決に向けた処理の方法等、それについては国がしっかり行うべきものであると考えており、それらについて要請を続けていきたいと、このように考えております。 38 ◯副議長(畑中 茂広君) 高瀬菜穂子君。 39 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 同内容の御答弁でしたけれども、枯れ葉剤と同様のものが水源に入るということは大変な問題です。県が主体的にもっとかかわるべきだということを指摘し、前向きの検討をお願いしまして質問を終わります。(拍手) 40 ◯副議長(畑中 茂広君) 大田満君。(拍手) *大田(満)議員質問 41 ◯十一番(大田 満君)登壇 自民党県議団の大田満です。通告に従い、地域の再生、活性化に向けた方策について、地域文化を活用することを切り口に質問してまいります。  平成にかわる時代の幕あけが、来年四月三十日に天皇陛下が退位され、翌五月一日には皇太子殿下が即位されます。新たに天皇が即位される際、即位の礼の後にとり行われる大嘗祭、そこで献納される新米を耕作する水田、いわゆる斎田は、御所がある京都を中心に東と西に分けて、それぞれ一カ所が選ばれます。東の斎田を悠紀斎田、西の斎田を主基斎田と呼びます。  昭和三年、昭和天皇の御即位、大嘗祭の際には、福岡県早良郡脇山村、現在の福岡市早良区脇山が主基斎田に選ばれました。当時、脇山の地は斎田決定の伝達から京都への輸送に至るまでの約七カ月、県を挙げての一大事業の舞台となりました。ちなみに、東の悠紀斎田には現在の滋賀県野洲市三上の地が選ばれました。  ところで、ことしはそれから九十年という節目の年に当たります。六月には、脇山地区の方々を中心に周年行事が開催されました。当日は、会場である脇山小学校の体育館に展示された数々の資料から、脇山の主基斎田について詳しく知ることができました。当初、県内九十四カ所もの候補地の中から、最終候補地として早良郡脇山村のほかに糸島郡長糸村(現糸島市)、筑紫郡山口村(現筑紫野市)の三カ所に絞り込まれ、その後、国の実地調査で決定されたという九十年前の斎田選定の経緯。交通機関が十分に発達していなかった当時に、三日間で何と十五万人もの拝観者が訪れたというお田植えの模様。また、気象観測、田んぼや水の衛生、害虫駆除など、献納する米には細心の心配りが求められ、刈り取り後には胴割れした米や砕けた米を取り除き、一粒一粒きれいな米を延べ二千人の手で選別、さらにはその献納米を運ぶ青年団の行列、熱狂する見物人など、当時の盛り上がりの様子が存分に伝わってまいりました。脇山校区自治協議会会長で記念事業の実行委員長をお務めになった重松重興さんからは、地域の伝統文化や歴史、美しい自然を後世へ継承したいという思いに加え、十年後の百周年に向けて地域が一致団結し、機運の醸成と地域文化の継承を目指すという力強い決意が述べられました。  この日一番の盛り上がりは、地元の小学生と婦人会が披露するお田植え舞でした。「早苗とるしづが菅笠いにしへの手ぶりおぼえてなつかしきかな」、明治天皇にまつわるこの和歌に合わせて、矢部村の茶山唄、星野村の反耶舞、城島の酒造唄の節をもとに、振りつけは宇島、大里、一貴山の盆踊りなどを取り入れ、九十年前のお田植え祭でも踊られたこの舞は、戦争によって一時途絶えていましたが、昭和四十年代に地元有志の尽力によって復活、その後は婦人会、自治協議会、小学校の人々の熱意と努力によって、校区や学校での行事、またオイスカ西日本研修センターとで共催されるフェスティバルで披露されるなど、郷土の地が主基斎田に選ばれたことを誇りに、現在まで脈々と引き継がれております。この日も記念式典の会場で、小学校に隣接する水田で繰り返し披露されていましたが、このように地域の文化を生かして、地域の全体が盛り上がる様子を目の当たりにして、深い感動を覚えたところです。  ところで、大正の悠紀斎田の地である愛知県岡崎市、主基斎田の香川県綾川町では、三年前の平成二十七年に百周年を迎えられ、ともに秋篠宮、同妃両殿下の御臨席の中で記念行事が挙行されました。記念式典やお田植え祭りなど、百周年記念行事は大変な盛り上がりを見せたそうです。関係自治体はもとより、地元の方々に至っては、記念事業の準備、運営に当たり言い知れぬ努力と苦労があったのではないかと拝察いたします。脇山地区の方々は、今回の九十周年記念行事を契機に地域の機運を醸成し、百周年に向けた新たな展開を目指しております。その実現のためには、地域の方々の熱意はもちろんのこと、あわせて県の力強い支援が必要でありまして、まだまだ十年先のことではありますが、県の積極的な関与に大きな期待を寄せるものであります。  さて、脇山における取り組みのように、地域の人々が協力し合って主体的に進める取り組みや文化の魅力を発信する活動は、地域の人々を元気にするとともに地域を訪れる客足を伸ばすなど、観光や農産物などの販売の促進といった地域産業の活性化につながる可能性を秘めております。また、県内各地には歴史的資源、伝統芸能を初め、音楽、美術、舞台といった地道に続けられている芸術活動、漫画やアニメ、食、お祭りなど、多種多様な文化が存在します。私は、これらを創造的なアイデアや手段で魅力的に発信することにより、地域を元気にする、このような活動を広げることが地方創生にもつながると考えます。  一方で、人口の減少や高齢化が際立って進む地域においては、活動を支える人材の不足、ノウハウの継承が危ぶまれる心配があります。大部分が中山間地域を占める脇山校区においても、十年後はどうなるだろうかと不安の声を多く耳にしますし、県内各地には同様の課題を抱える地域が少なくないと考えます。  そこでお尋ねします。まず知事は、地域の文化を生かして地域活性化を進めることに対し、どのような認識を持っておられるのか。あわせて、人材不足などの懸念も踏まえた今後の県の取り組みについてお尋ねします。  次に、県では、地域課題の解決を図るために、地域が自立的に持続的に活動できるよう地域コミュニティーの活性化に取り組んでいますが、これまでに、どのような取り組みを行ってこられたのか、お答えください。  また、活力ある地域社会を再生する上で、地域の担い手となる人材をいかに確保していくかということも重要な課題になります。県は、地域の担い手確保について、どのように取り組みを進めていくのか、お尋ねします。  以上、知事には、地域社会を取り巻くさまざまな課題、その一つ一つを着実に克服していくという強い姿勢をお示しいただく、そのような御答弁をお願いして、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 42 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 43 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、文化を生かした地域の活性化と今後の取り組みでございます。県内各地におきましては、住民の皆様によって保存、継承されているものを初めといたしまして、特色のある文化資源が幅広く存在をしております。地域の文化資源を生かした活動は、それに参加し、これを行う方々の地域への愛着を深めるとともに、地域外の人々の交流拡大へとつながるなど、地域の活性化を図っていく上で重要なことであると思っております。御指摘のとおり、今後、人口減少、少子、高齢化の進展に伴いまして、こうした活動の担い手の減少というものが懸念されます。そのことから、まずは多くの県民の皆様に地域の文化活動についての情報を伝え、それに関心を持っていただき、応援をしていただく人々をふやしていく必要があると、このように考えます。このため、地域の文化情報の収集に努め、さまざまな情報媒体を活用して、これを発信してまいります。  さらに、地域のお祭りの運営を支援するボランティアを確保する取り組みや芸術家、芸術分野のノウハウを持っておられる団体、そして住民の皆さんとが連携して取り組んでいく特色ある文化支援を生かした活動、これを推進することによりまして、地域の活性化につなげていきたいと考えております。  次に、地域コミュニティー活性化の取り組みでございます。少子、高齢化、人口減少が進んでいく中で活力ある地域をつくっていくため、県におきましては、平成六年度に自主的な地域づくり活動を行っております団体の育成、そしてその相互交流を行う地域づくりネットワーク福岡県協議会を設置をいたしまして、県内五地域での研修会、全体交流会、優良団体表彰などを行ってきたところであります。こうした取り組みによりまして、現在県内三百四十の団体がこの協議会に登録をし、さまざまな分野で地域づくりの活動を行っておられます。このほか、各地域のコミュニティーの活性化の参考にしていただくため、県が発行しておりますコミュニティー情報誌であります「きずな」、これや県のホームページにおきまして子供と地区の住民の皆さんが一体となって実施をされます防災避難訓練、また住民が主体となって策定した校区ごとの地域振興計画などコミュニティーの活性化に効果的な県内外の先進的な事例というものも広く御紹介をしているところであります。  次に、地域の担い手確保の取り組みでございます。県におきましては、自治会役員や市町村職員を対象にいたしまして自主防災、地域包括ケア、地域おこし活動など、地域コミュニティーにかかわる諸課題について、有識者の講演、参加者による事例発表、また、それらを題材にしたワークショップなどを行います研修会を、平成二十一年度から実施をしておりまして、地域コミュニティー活動の担い手の育成に取り組んできているところであります。また、地域おこし協力隊につきまして、その募集から任期中の活動、任期満了後の起業、就業に至るまで切れ目のない支援に努めてきているところでございまして、平成二十九年度は、三十一市町村において百三十二名の地域おこし協力隊の隊員が、観光振興、移住、定住の促進、六次化商品の開発など地域の活動に従事をしていただいております。また、任期満了を迎えた隊員に引き続き地域の担い手として活動してもらうための定住の促進にも取り組んできておりまして、これまで十五名の方が県内に定住をされているところであります。県といたしましては、これらの取り組みをさらに拡充させ、市町村と連携をいたしまして地域の担い手の確保に取り組んでまいります。 44 ◯副議長(畑中 茂広君) 堤かなめ君。(拍手) *堤議員質問 45 ◯三十五番(堤 かなめ君)登壇 皆様、こんにちは。国民民主党県政クラブ県議団の堤かなめです。地球温暖化対策について四点、知事にお聞きします。  一点目に、地球温暖化の現状認識についてです。この夏、日本、そして北半球の多くを猛暑や豪雨が襲いました。世界気象機関は、七月二十四日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で記者会見し、世界各地で記録的な猛暑が広がっていると発表しました。また、同機関は、さきの七月の西日本を中心とした豪雨災害も含め、一連の異常気象は温暖化ガスの増加による長期的な地球温暖化の傾向と関係していると分析しています。地球温暖化は、人類全体にとって大きな脅威であり、地球規模で取り組むべき問題であります。従来の水質汚濁、大気汚染などの環境問題は、いずれも工場などの特定の汚染源があり、その周囲の河川、大気などが汚染されるというものでした。このため、原因の特定もある程度容易で、法律による規制などの対策もとりやすいといった特徴がありました。しかし、地球温暖化問題は、特定の個別の原因があるわけではなく、いわば人間の活動の活発化が原因と言えるものです。さらに、その影響がある特定の地域ではなく地球規模であるがゆえに対策が非常に難しい問題と言えます。とはいえ、気温の上昇が加速化している中、今、解決へ大きな一歩を踏み出さなければ、地球は後戻りできない大きな変化に見舞われることになりかねない状況にあると言われています。  そこで知事にお尋ねします。本県の地球温暖化の現状及びその県民生活への影響について、どのような認識をお持ちなのかお聞かせください。  二点目に、温室効果ガスの排出の抑制についてです。本県は、二〇〇六年三月に福岡県地球温暖化対策推進計画を作成し、昨年三月には、県民、事業者、行政などの各主体がさらに積極的に地球温暖化対策に取り組むための指針となる実行計画を新たに策定しました。同実行計画においては、地球温暖化対策について、地球の温度上昇を抑制する緩和策と、実際の気候変更に適応する適応策の両面から考える必要があるとしており、緩和策は、さらに二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減と吸収源対策の二つに大別されています。本県における温室効果ガスの排出量は、県が直近にまとめた実績では、二〇一三年度から二〇一五年度までの二年間で七%削減されており、着実に削減が進んでいる状況にはあります。しかしながら、この計画では、二〇三〇年度において二〇一三年度比で二六%削減することを目指しており、県として今後さらに削減に向けた取り組みを進めていく必要があります。  そこで知事は、本県における温室効果ガス排出量削減の目標達成のため、どのような取り組みを行うのかお聞かせください。  また、同実行計画では、吸収源対策として、一、森林の適正管理、二、まちの緑の創造、三、二酸化炭素固定化のための県産材の長期的利用、四、農地土壌炭素吸収源対策の四つの柱を掲げています。これら四つのいずれも重要な対策ですが、今回はそのうち、まちの緑の創造及び農地土壌炭素吸収源対策の二つについて、以下質問します。  三点目に、まちの緑の創造についてです。国が二〇一六年に策定した地球温暖化対策計画では、二〇三〇年度において、都市緑化等によって年間九百十万トンの二酸化炭素の吸収量を確保することを目指すとしています。加えて、緑地は、直射日光の遮断や蒸発散作用等により気温の上昇を抑える機能を有しているため、都市部の気温を低減させる役割も有しており、ヒートアイランド現象の緩和という点からも重要と考えます。しかしながら、近年では、まちの緑の創造どころか、都市部の緑がどんどん少なくなってきているように感じます。かつては、子供たちが鬼ごっこや草野球で遊んでいた原っぱがあちこちに点在していましたし、こんもりとした緑に囲まれた一戸建ての家々も少なくありませんでした。ところが、今では、空き地が次々にアスファルトで固められた駐車場となったり、草取りや落ち葉掃除が大変といった理由などから庭木の緑を維持する家庭が減ってきているように思います。県では、県有施設の緑化や都市公園の整備などを通して緑の創造に取り組んでおられますが、公有地だけでなく、民有地の緑化も非常に重要と考えます。  そこで、都市部における民有地の緑化の促進について、県として、どのように取り組んでいくのか知事にお聞きします。  四点目に、農地土壌炭素吸収源対策についてです。実行計画には、堆肥などの有機物を投入した土づくりを推進することにより、農地土壌による炭素の貯留を促進することが掲げられています。これは、大気中の二酸化炭素を吸収した植物を、緑肥あるいは堆肥として土壌にすき込むことで、一旦、二酸化炭素を炭素の形で土の中に貯留し、その後、堆肥が土壌の微生物により分解されることで、二酸化炭素がゆっくり大気中に放出されるというものです。今月十二日の新聞には、農林水産省が、緑肥の作付や堆肥の施用などに取り組む農家らを対象とした環境保全型農業直接支払制度の中間評価を取りまとめたとの記事が掲載されていました。この制度は、化学肥料や化学合成農薬の施用を五割以上低減する取り組みとあわせて、地球温暖化防止などの営農活動に対して支援するものです。同省は、有機栽培や緑肥のすき込みにより、この制度に基づく取り組みだけでも、大気中の温室効果ガスの排出量を年間十五万トン削減できると試算しています。  そこで知事に伺います。堆肥などの有機物の施用は、二酸化炭素の吸収源として有効な取り組みだと思いますが、農地への堆肥の施用を、現地でどのように進めているのか、また環境保全型農業直接支払制度の本県の活用状況についても、あわせてお答えください。  以上、小川知事の意欲あふれる答弁を期待し、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 46 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 47 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、地球温暖化の現状と県民生活への影響でございます。福岡管区気象台の発表によりますと、県の年平均気温は、百年間で約二・五四度上昇し、最高気温が三十度以上の真夏日は、この十年間で約一・四日増加をしているところであります。また、降水量百ミリ以上の日数も増加傾向にございまして、温暖化が進んでいるものと思われます。こうした気候の変化に伴いまして、夏季の気温上昇による熱中症患者の増加、米や果樹など農産物の品質の低下、さらには集中豪雨によります水害や土砂災害の頻発など、県民生活のさまざまな面でその影響が生じていると認識をいたしているところであります。  温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みでございます。県の地球温暖化対策実行計画の目標を達成していくためには、産業部門に比べ二酸化炭素排出量の削減が進んでおりません家庭及びオフィスなどの事業所における取り組みというものを一層推進していくことが重要であると考えております。このため、昨年度から省エネ、節電に取り組む家庭を支援するエコファミリー応援事業を大幅に拡充をいたしまして、家庭における自主的な取り組みというものを促しているところでございます。また、事業所に対しましては、省エネ相談、省エネ講座の開催に加えまして、今年度から、新たに企業のトップに直接省エネを呼びかけます経営フォーラムを実施をいたしまして、県内事業所における省エネの取り組みを支援しているところであります。さらに、これらの施策の推進に当たっては、全庁横断的な連絡調整会議、これを活用いたしまして、毎年度、進捗状況を点検、評価しながら本県の地球温暖化対策に取り組んでまいります。  次に、都市部の民有地の緑化の推進についてお尋ねがございました。都市部の緑化を推進するため、土地所有者間の合意により、緑化に関する取り決めを行う緑地協定や、市町村などが土地の所有者と契約をいたしまして緑地や緑化施設を設置、管理をする市民緑地、そういった制度がございます。県におきましては、これまで市町村に対し緑化に関する会議や研修を通じまして、こうした制度についての周知を行ってきております。現在、県内におきまして、緑地協定が九つの市町九十四件締結をされ、市民緑地につきましては一市二カ所、これが設置をされているところであります。今後も民有地の緑化の促進に向けまして、さらに多くの地域でこうした制度を活用していただけるよう市町村に働きかけを続けてまいります。  次に、農地への堆肥施用についてでございます。堆肥の施用は、農地土壌へ炭素を蓄えることによりまして、二酸化炭素の排出抑制に寄与するところであります。また、土がやわらかくなり、作物の根の張りがよくなりますとともに、肥料の効きが長く緩やかになる、そういった効果もありますことから、作物の安定的な生産につながるものと考えております。こうしたことから、施用に当たりましては、普及指導センターが作物ごとにその施用基準を設定をいたしまして、生産者に対し栽培講習会などを通じて適切な施用というものを図ってきているところであります。  次に、環境保全型農業直接支払制度、その活用状況でございます。この制度は、化学肥料及び化学合成農薬を五割以上減らすとともに、地球温暖化防止につながる堆肥を施用するなどの取り組みに対して助成を行うものであります。県におきましては、これまで市町村や生産者に対し、説明会を開催しこの制度の活用を働きかけてきたところであります。その結果、地球温暖化防止につながる取り組み面積というのは、平成二十四年度、五百九十五ヘクタールありましたが、二十九年度には約七割増の九百九十八ヘクタールまで拡大をしているところであります。 48 ◯副議長(畑中 茂広君) 山口律子君。(拍手) *山口議員質問 49 ◯二十九番(山口 律子君)登壇 日本共産党の山口律子です。平成三十年七月豪雨災害に関する対策事業について質問します。           〔畑中副議長退席 井上議長着席〕  久留米市は、七月七日午前二時二十分までの四十八時間雨量で、観測史上最大となる三百八十三・五ミリを記録しました。筑後川とその支川の水位は一斉に上昇したため、本川から支川への逆流のおそれが生じ、水門を閉め排水ポンプで支川の水を筑後川へ押し流しています。しかし、支川の流量がポンプの能力を超え、陣屋川や山ノ井川などで氾濫し千五百戸以上の浸水被害が生じました。筑後川支川は、二〇一二年の九州北部豪雨災害でも氾濫しており、久留米市はかねがねポンプの能力向上を国に求めてきたと聞きます。私たち日本共産党の国会議員団、県議団、久留米市議団共同で、災害後、筑後川河川事務所に話を聞きに行きましたが、支川の拡幅や堤防のかさ上げなどの改修を行わなければ、ポンプの能力をアップしても生かせないと言われました。つまり、国、県、市、一体となった総合的な河川整備が必要かと思われますが、二〇一二年の災害以降、この問題について国と協議は行われてきたのでしょうか。どのような検証が行われ対策を行ってきたのかお尋ねします。  二〇〇三年七月の集中豪雨により、飯塚市における明星寺川及び片島地区全域では千五百戸強の床上浸水を含む約千八百戸の浸水被害が発生しました。嘉穂劇場付近が一・八メートルの浸水となり、劇場の存続が全国的にも注目されました。この被害を受けて、排水機場の新設、流域下水道、飯塚橋のかけかえ、河道掘削など、国、県、市一体となった明星寺川の浸水対策事業を行った結果、大きく改善されました。今回の豪雨でも一部地域で軽微な被害にとどまっています。かつては繰り返し甚大な被害が出ていた福岡市の御笠川や北九州市の紫川でも同様です。手だてを講じることで被害を防げる、減少させることができることを示しているのではないでしょうか。昨年の決算特別委員会での私の質問に、県の河川整備計画は県管理二級河川五十二水系のうち十三水系で策定済み、四水系で策定中との答弁がありました。現在はどうなっていますか、お答えください。  河川整備を行ったところは治水効果を発揮しています。ダムの治水効果も下流域の河川の整備があってこそです。河川整備計画の策定を急ぎ河川整備を進めるために、抜本的に予算をふやすべきではないですか。私ども共産党県議団にも、県河川のしゅんせつや、柳など川底に繁茂する樹木などの伐採を望む住民からの相談も幾度も寄せられています。河川整備に関する予算が余りにも少な過ぎると感じますが、知事の御所見を伺います。  北九州市では、崖崩れが二百七十八カ所と多数発生しました。門司区奥田地区では二人のとうとい命が奪われています。このまま放置すると二次被害など新たな崩壊のおそれがあり、早急な対策が求められています。県の事業としては、治山と砂防の両面で国の補助を受けて県が行う事業と、国や県の補助を受けて市町村が行う事業がありますが、それぞれに高さ、保全戸数、事業費などの採択要件があります。命と財産を守る立場で、各部局協力して一カ所でも多く制度が適用されるよう切にお願いするところです。昨年の豪雨災害を受けて、私たちも国の治山対策の補助事業について要件緩和を農水省に要請しましたが、担当官からは、我々は困っている方を採択要件で切っていく立場ではないので、理屈がつく範囲でできるだけ採択できるようにしたい。個別、個別に対応したいと、柔軟に対応する旨、回答がありました。ぜひこの立場で事業の採択を進めていただきたいと思います。  比較的小規模の崖崩れは、砂防の災害関連地域防災がけ崩れ対策事業や、治山の林地崩壊防止事業などを利用して市町村が行うことになっていますが、あくまでも市町村からの申請が必要になります。既に制度については各市町村に周知しているとお聞きしましたが、自治体によっては対象にならないだろうと判断している場合、自治体の負担があるからとちゅうちょしている場合もあるかもしれません。災害対応になれていない市町村もあります。このため、積極的に当該自治体に働きかけていただきたいと思います。  そこでお尋ねします。崖崩れの災害復旧事業が十分に活用されるよう、市町村に周知し協議を進めることが必要だと考えますが、県はどのように取り組んでいるのか、お答えください。  平地が少ない北九州市は、高度経済成長期に人口が飛躍的にふえており、山地を開発して宅地が造成されていった経緯があります。今回もそういった傾斜地の至るところで被害が発生していますが、造成された宅地であるため当然人工崖です。しかし、人工崖といった私有財産には公的資金は投入できないとの法律上の制限があることから、現在の制度ではいずれの事業の対象にもなりません。阪神・淡路大震災の際には、同様の趣旨で被災住宅の再建に何の支援もありませんでした。今、たび重なる災害を経て、不十分ながら被災者生活再建支援制度ができ、支援金の増額などの見直しも行われました。高齢化が進み年金生活者がふえていく中で、自力での修復は困難だと思われます。いつまた集中豪雨や地震が発生するとも限りません。民家が密集しているところでもあり、放置することは大変危険です。私有財産だから個人責任では済まない問題だと思います。人工崖を事業の対象とするようぜひとも国に働きかけていただきたい。そのうち、例えばレッドゾーンなど危険な箇所については、県としても予算をつけ制度を見直していただきたいと考えますが、知事の御答弁をお願いいたします。(拍手) 50 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 51 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  平成二十四年七月九州北部豪雨災害後の対応でございます。平成二十四年七月豪雨では、久留米市内の筑後川支川におきまして、山ノ井川など十河川で浸水被害が発生をいたしました。この浸水被害を受けまして、国、県、市の間で被害の状況や要因について協議を行いました。被害の要因につきましては、この協議の中で本川の水位が上がり、支川の水がはけ切れず被害が発生したことを確認をしたところであります。これを踏まえまして、河川の改修、河道の掘削などの対策を順次講じてきているところであります。  次に、県管理河川の整備に関する予算についてお尋ねがございました。河川改修につきましては、過去の浸水被害、流域の人口、家屋などの集積の状況、費用対効果などを総合的に勘案をいたしまして、優先度の高い河川から実施をしてきております。県といたしましては、近年の降雨状況、浸水状況なども踏まえ、効率的、効果的な維持管理や河川の改修を実施をし、治水安全度の保持、向上に努めてまいります。  次に、崖崩れの災害復旧事業に関する市町村への周知でございます。災害が発生をした場合、発生した場所や被害の状況に応じまして砂防事業、治山事業を活用して、県や市町村がその復旧事業を実施をいたします。このため、県におきましては、市町村担当者会議等におきまして、事業の内容やその採択要件などを説明をし、事業が十分に活用されるよう、その制度の周知に努めているところであります。実際に災害が発生した場合には、市町村とともに現地調査を行いまして活用する事業などについて協議を進め、早期の復旧に取り組んでいるところであります。  次に、人工崖対策でございます。県や市町村が実施をします災害復旧事業の対象となりますのは、議員も御指摘になりましたように急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律、これがございまして、崖崩れの箇所が自然崖に限られているところであります。この考え方は、宅地造成などにより形成されたいわゆる人工崖については、その宅地造成等を行ったわけでございますから、その行為者の責任において対策をすると、そういう考え方に立っているものと思います。
     なお、残余につきましては県土整備部長から答弁をさせていただきます。 52 ◯議長(井上 順吾君) 見坂県土整備部長。 *県土整備部長答弁 53 ◯県土整備部長(見坂 茂範君)登壇 二級河川の河川整備計画の策定状況についてお答えをさせていただきます。現在、県管理の二級河川五十二水系のうち十四の水系で策定済みであり、三つの水系において策定中でございます。 54 ◯議長(井上 順吾君) 山口律子君。 55 ◯二十九番(山口 律子君)登壇 河川整備の予算拡充の必要性についての質問に、知事は全くお答えになりませんでした。近年の異常気象のもと、毎年のように豪雨災害や台風被害などで人命を含む甚大な被害が発生しています。不要不急の大型開発優先の予算を見直し、河川に限らず防災、減災対策の予算を抜本的に拡充するよう求めます。  災害復旧には、農地や住宅など一部私有財産への支援も既にあります。人工崖についても危険性の高い箇所については事業対象にするなど、重ねて強く要望いたしまして、質問を終わります。(拍手) 56 ◯議長(井上 順吾君) 岳康宏君。(拍手) *岳議員質問 57 ◯十番(岳 康宏君)登壇 自民党県議団の岳康宏です。通告に従って、土砂災害特別警戒区域についてと、宿泊税について一般質問させていただきます。  まず初めに、土砂災害特別警戒区域についてお尋ねします。私は、先般、九州の自立を考える会で、国連や赤十字が防災モデル国として注目するキューバを訪問し、中央政府の市民防衛参謀本部にて、キューバが世界で最も多くのハリケーンが襲来する地域でありながら、なぜ最小限に被害を防げているのかを興味深く調査いたしました。それは、国を挙げたトップダウンの避難命令を発し、危険地域からの迅速な避難を実現させる統治力と、市民一人一人の事前の危機意識の高さが要因であります。まず、キューバは、自然の猛威を正しく認識し、人命と生活を守るために、国・地域が総力を挙げて立ち向かうという精神が重要視されています。キューバでは、四十年以上も前からハリケーンや豪雨などの自然災害から国民を守ることを目的とし、憲法に基づいて市民防衛制度が設けられています。市民防衛制度では、リスクが高い地区について調査し、市民参加でハザードマップをつくり、警戒体制を組織するとともに企業、病院、工場などの各組織も、近くの河川で、氾濫に弱く、海岸からの高波で浸水するおそれがある箇所を的確に把握し、何が脆弱かを事前調査によって熟知することで、災害時に備えて機材を早目に移動させるなどの訓練を行っています。  さらに学校教育でも防衛が授業科目として導入され、大学では全学部で防災システムや災害防衛システムが必修科目となっています。そのため、子供でもハリケーンの経路内にとどまっていたときのリスクを理解しているので、自発的に逃げようとするのだそうです。迅速な避難の実現の背景には、危険に対する国民の理解があり、加えて、避難者側への細かい配慮として、ペットがいるとなかなか逃げられないという人たちの心配を考慮して、避難所には獣医を待機させ、現在では、避難が長期にわたる際には家畜の避難まで対応して、伝染病などの対策にも気を配っているのです。つまり、キューバでは、あらかじめ準備すること、そして、市民一人一人の危機意識が高い、高くなるように教育しているということです。  もちろん、社会主義国のように避難命令はなかなかできないにしても、やはり、福岡県においても、自己責任として、常日ごろから防災意識を高め、自分が土砂災害特別警戒区域などの危険な場所に住んでいるということを認識し、住んでいる場所の正確な環境や情報を熟知しておく必要があると感じます。また、災害の際に、キューバの子供のように、自発的かつ迅速に避難しなければならないとの危機意識を持ってもらうことは重要です。  広島県など西日本豪雨において、特に、土砂災害特別警戒区域の指定を受けたところの被害が大きかったと聞いております。広島県は高度経済成長期に山を削って宅地開発を広げたため、土砂災害特別警戒区域に多くの宅地があります。そこで、広島県では、ダム、河川、砂防の個別テーマの部会を設置し、今回の豪雨災害を踏まえた今後の水害・土砂災害対策のあり方検討会を一カ月もたたない八月に設置し、十二月を目途に最終取りまとめを行うと聞いています。  福岡県は、平成三十年版の防災白書で、土砂災害発生件数が二百四十四件、過去十年間の平均が十八件ですから格段に上がり、過去十年間で最も多くなり、全国一位の土砂災害発生件数となっています。このような現状を踏まえて、広島県同様に検討会の設置を考えたり、土砂災害特別警戒区域に指定されると特定開発行為の制限や建築物の構造規制、移転などの勧告があり得るなどの制約があることを住民の方々に周知したりすることも重要と考えます。私見ですが、移転支援に対して住宅金融支援機構の融資制度があります。建築物の構造規制についても、土砂の衝撃に対して住民に安全な構造を求めるのであれば、その構造強化にかかる資金に融資枠があってもよいのではないかと思っています。  そこで知事に質問いたします。福岡県において、住民に対し、土砂災害に備えて常日ごろから事前にどのような認識を持ってもらうように注意喚起しているのか。また、災害時の危機意識をどう植えつける努力をしているのかお教えください。  また、土砂災害防止法の目的である土砂災害から生命、身体を保護するために、将来想定される豪雨災害に対して今後どのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお示しください。  では次に、宿泊税についてお尋ねします。  九州の自立を考える会は、九州の成長戦略に係る政策提言の中で、第一の柱である観光振興について、「九州観光推進機構等のDMOの活動促進と財源の充実(観光税等、新たな財源措置の創設)」を政策提言の一つに挙げています。一般社団法人九州観光推進機構は、二〇一八年三月三十日に観光庁が設置する日本DMO法人として認可され、観光が九州の基幹産業になるように目指し、国から広域周遊観光促進のための支援をいただきながら、各観光事業の最大化に努めていらっしゃいます。また、九州観光振興議員連盟は、当初は、二〇一六年の熊本地震や阿蘇山の噴火など自然災害からの復興支援や風評被害対策で各県が九州は一つとの思いの中、県境の枠を超えて緊密に連携することを確認し、九州全体の広域的な観光振興の推進に寄与することを目的として設立されました。第一回は大分県、第二回は鹿児島県で開催され、第三回九州観光振興大会並びに九州観光振興議員連盟総会は、ことしの八月三日に本県で開催されました。去る九月十三日に、福岡県旅館ホテル生活衛生同業組合から、観光振興財源(宿泊税)導入に関する意見書が知事宛てに提出され、翌九月十四日には、福岡市長から意見書が相次いで提出されました。  私は、広域行政の面からも、今までの九州の自立を考える会、九州観光振興議員連盟、九州知事会、そして九州観光推進機構の議論や関係からも、宿泊税は、もし九州において導入されるならば、県税として徴収すべきと考えます。現在、福岡県では、学識経験者も含めて福岡県観光振興財源検討会議が行われ、慎重かつ丁寧な議論が行われているにもかかわらず、そのことを知った上で、あえて二重課税も懸念され、細部にわたる課題について福岡県との調整を十分に行わないまま、この九月、議会で福岡市の局長が迅速に対応すると答弁し、一方的に福岡市議会で条例を可決してしまいました。その上、福岡県には遠慮させて、福岡市が福岡県内に占める観光宿泊者の割合が五〇%を超えるという理由だけで、福岡市のためのMICEなどをつくる予算の一部を宿泊税で捻出しようとするのは、唯我独尊と言わざるを得ず、意見書提出についてもこれだけの案件、内容にもかかわらず、文書一枚、意見書を送付し、福岡県は「事情を参酌の上、慎重な検討を」と書かれてありますが、何を参酌しろと言うのでしょうか。  京都府ではなく、福岡市と同じ政令市の京都市が宿泊税を導入するのは、京都には寺院仏閣が多く、固定資産税が取りにくいことと、厳しい景観条例があるため高層建物が余りないなどの理由で、京都市が宿泊税を導入し、観光施策に対する財源の確保を考えていると聞いています。  私ども自民党県議団では、政務調査も活用し、福岡県と姉妹関係にあるハワイ州の観光当局と意見交換を行うなど広域性の強い観光政策について、やはり福岡県が主体性を持って、九州各県とともに、また、温泉アイランド九州を標榜する九州観光推進機構とも連携して、九州に人を引き込み、魅力を高める努力を広い視野で考えていかなければならないと考えますし、実際に、長年にわたり慎重な中にも活発で綿密な議論を重ねてきたところであります。  そこで知事に質問いたします。知事はこのたび、福岡市観光振興条例が可決、成立したこと、そして福岡市が提出した意見書についてどのように感じておられるのかお聞かせください。  福岡市長が先頭に立って行った熊本震災での支援において、たしかウィズ・ザ九州を合い言葉になさっていたと思いますが、今回宿泊税についてはウィズ・ザ九州の精神は福岡市側にあるのでしょうか。私がその意見書を読む限り、福岡県観光振興財源検討会議で宿泊税について福岡県も検討していることをわかった上で、二重課税のおそれがあるので、先に福岡市議会が条例を可決したのだから、福岡県は遠慮しろと福岡市長は言っているように感じます。もしそれが当たっているなら、福岡市の意見書は、福岡県、九州の自立を考える会、九州各県議会、九州知事会、九州観光推進機構の真摯な取り組みを全くないがしろにした内容で、到底看過できないと考えるところです。  九月十八日、宿泊税の件で県と市が初協議する予定が急遽中止となり、新聞によると、ある福岡市の幹部は、県の姿勢はだまし討ちのようなものだと語ったとありますが、福岡県の立場からすれば、福岡市の姿勢のほうがだまし討ちだとはっきり申し上げたい。  そこで、福岡県として、二重課税問題にも発展しかねないこの問題について今後どのように対処されるおつもりなのか、知事の御所見をお聞かせください。(拍手) 58 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 59 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、土砂災害特別警戒区域に居住する住民の防災意識の向上でございます。災害時に適切な避難行動を起こすためには、平常時から自分がどのような危険な箇所に住んでおり、どのような災害が起こる可能性があるのか、これを知っておくことが非常に重要であります。そのため、県におきましては、住民に対する土砂災害についての出前講座の実施や市町村の防災訓練の機会を活用することなどによりまして、土砂災害特別警戒区域の危険性の説明を行うとともに、避難行動の事前準備の重要性について、その啓発を図ってきているところであります。県といたしましては、引き続き、私どもがつくりました「福岡県防災ハンドブック」、これも活用するなど住民の皆様の一層の防災意識の向上に努めてまいります。  次に、福岡市観光振興条例が可決、成立したこと、また福岡市が提出した意見書についてでございます。一昨年の十月、この福岡県議会で議員提案による観光振興条例を成立していただき、その中に知事は新しい税制を含めた財源に関する検討を進め、その確保に取り組む、そういった規定が入っているわけであります。これを受けまして、県におきましては、本県観光のさらなる振興のために必要となる施策、その財源の確保策などについて検討を進めるため、本年七月、外部有識者による観光振興財源検討会議を設置をいたしまして、さまざまな課題について慎重かつ丁寧に、また公開の場で議論を進めてきたところであります。  検討会議で議論を進めていくに当たりまして、関係者の意見を聞くことが大変重要であると委員の御指摘がありました。これを踏まえて、現在、県内六十の市町村に対し、各市町村における観光振興の取り組み、県に期待する役割や支援、観光振興財源についての意見照会を行っているところであります。  また、福岡市に対しましては、ことしの四月、県において有識者会議を夏までに立ち上げる予定であることを説明しておりました。また、ことしの五月、福岡市議会において宿泊税導入を目指す条例の制定が検討されているとの報道を受けまして、改めて有識者会議の立ち上げ時期を説明するとともに、会議立ち上げ後は、その会議での検討や議論の状況などを適宜説明をしてきたところであります。こうした経緯があった中で、福岡市議会において条例が可決されたその日に、福岡市は報道機関に対して、県に意見書を提出したとの発表をされました。しかしながら、この提出でございますけれども、事前に連絡もなく、一方的に県に届けられ、その際、意見書の提出の趣旨、その内容についても何らの説明もありませんでした。その上、意見書の中で、「県も宿泊税を課されることとなれば、二重課税となり、……過重な負担がかかるおそれがあるなど、その影響が大きい」ことから、県におかれては「慎重な検討を」するよう要望しておられます。しかし、さきに述べましたように、これまでの経緯からいたしますと、事前の説明もなく、二重課税となる可能性を十分認識した上で市は宿泊税導入の実務手続の開始、その決定をしており、これらのことは、県のこれまでの取り組みを全く無視するものであり、大変遺憾であると、このように考えております。  そこで、私どもは観光振興財源の検討に当たりましては、これまで観光振興に必要な施策とその財源のあり方、受益と負担の関係、観光地としての競争力の影響などについて慎重かつ丁寧に検討する必要があると考えております。市長は、これまで宿泊税に限らず新たな税を徴収するのであれば、その目的と不足する予算を明確にする必要があり、納税者に納得していただく必要があると発言をされております。税という事柄の性格上、受益と負担の関係、導入による影響を含め、福岡市でも慎重かつ丁寧な御議論を行っていただきたいと、このように考えます。  福岡市におきましては、宿泊税導入に向け、今後実務手続に入ると、そのことを決定されたわけでございますが、県は既に新たな観光振興財源の検討を進めてきており、納税者にとって過重な負担とならないよう、県と市との間で十分な調整を図っていく必要があると、このように考えております。このため、市に対し調整の場を設けるよう申し入れをしてまいります。  また、福岡市に宿泊された方は、県内各地を回る方も多く、また九州全体を回る方が多いわけでございます。県内全体の観光を振興することで、福岡市に来られる方や宿泊される方もふえていくことになります。こうしたことから、観光振興というのは、議員も御指摘がありましたように、広域的な観点から議論をすべき、そういった県の考え方につきましても福岡市のほうにしっかり伝えていきたいと、このように思っております。  さらに、県におきましては現在検討会議におきまして慎重かつ丁寧に御議論をいただいているところでございますが、今回、福岡市が観光振興条例を可決したこと、またその後の福岡市の動向を踏まえまして、今後の検討会議のスケジュールについて委員の皆様にもお諮りしながら議論をしたいと考えております。県としましては、この検討会議、また県内の他の市町村の意見も十分踏まえて、福岡市としっかり調整を進めてまいります。 60 ◯議長(井上 順吾君) 以上で一般質問を終わります。 *決算特別委員会設置  日程に従い、決算特別委員会の設置についてお諮りいたします。  さきに上程いたしました決算関係議案を審査するため、三十一名の委員をもって構成する決算特別委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。           〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 61 ◯議長(井上 順吾君) 御異議がありませんので、そのように決定いたしました。 *同委員選任  それでは、ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任を行います。  お諮りいたします。同委員の選任については、この際議長の指名に御一任願うこととし、お手元配付の委員一覧表のとおり指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。           〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 62 ◯議長(井上 順吾君) 御異議がありませんので、ただいま指名いたしましたとおり選任することに決定いたしました。      ────────────────────────────────────────── *議案審査付託 63 ◯議長(井上 順吾君) 次に、提出議案審査のため、さきに上程いたしました第一二〇号議案から第一五九号議案までの四十件を、お手元に配付いたしております議案付託表のとおり所管の常任委員会並びに決算特別委員会に付託いたします。      ────────────────────────────────────────── *請願上程 64 ◯議長(井上 順吾君) 次に、請願一件がお手元配付の請願文書表のとおり提出されましたので、これを報告上程いたします。      ────────────────────────────────────────── *審査付託 65 ◯議長(井上 順吾君) ただいま上程いたしました請願一件は、所管の常任委員会に付託いたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時 四十七分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...