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平成30年9月定例会(第7日) 本文
平成30年9月定例会(第7日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2018-09-07
    平成30年9月定例会(第7日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井上 順吾君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。浦伊三夫君。(拍手) *浦議員質問 2 ◯九番(浦 伊三夫君)登壇 皆様、おはようございます。自民党県議団の浦伊三夫でございます。会派を代表して質問する機会をいただきましたこと、大変光栄に思います。御配慮賜りました自民党県議団会長を初め会派議員の皆様に深く感謝を申し上げますとともに、日ごろから御支援をいただいております地元糸島の皆様に感謝しながら、代表質問を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。  さて、冒頭まずただしておかなければいけない問題は、やむことを知らない福岡県職員の不祥事とこれに対する県行政トップとしての知事の政治責任の明確化であります。今さら言うまでもなく、この一年間で福岡県職員の不祥事は八件と多岐に上っております。これは県政史上でも初めてのことであり、恐らく四十七都道府県においても例を見ない異常さのようで、一体福岡県では何が起きているのかと他県から不審がられている事実を知事は御承知でしょうか。恐らく、こうした事態を知事は把握されていないのではないでしょうか。ですから、不祥事が発生、発覚するたびに知事の発言は、当該不祥事職員に対しては厳正な処分を行い、全職員に対しても公務員として深い自覚を持つよう研修の充実強化、違法行為に向けた厳正なる注意喚起などさらなる取り組みを進めているとした発言にとどまり、県民に対してその責任が明らかにされておりません。これが部下職員がこの一年間に八件もの不祥事を起こした組織のトップの発言として県民に説得力を持つものではありません。研修の徹底と毎度、声にされ、県民に発信されます。これは初めて不祥事が起きた際には幾分の説得力を持っても、ここまで不祥事が相次ぐと、県民にはお決まりの常套句としてしか映らず、言葉は悪いが、念仏を唱えているとしか聞こえないのであります。  知事、知事の発言は一体なぜ、こうした空虚な響きを投げかけるのでしょうか。それは知事自身がその責任を明確にされていないためであり、県民には知事の統治能力、言葉をかりるならばそのガバナンスに疑問の声が上がっているからであります。たしか相次ぐ一連の不祥事に際し、知事は県議会代表者会議の中で、引き続き県政の推進に邁進するとともに不祥事の再発防止に努め、県民の皆様の信頼を回復していく決意であると述べられています。多くの責任が問われる中で、引き続き県政を担当することで不祥事の再発防止に努めるとしたこの発言は開き直りであり、不遜であります。政治家が口にするこの種の発言は、文字どおり出処進退をかけた際にしか発言できないものであります。ですから、政治生命を賭したと受けとめます。また、先ほども述べました代表者会議の中で我が会派の代表は、自分が先頭に立って厳しくと知事が言われるが、厳しくとは何なのか、トップとしてはどうあるべきかをただしております。知事のこれまでの発言から見る限り、もはや知事はみずからの出処進退を明らかにされる以外に、不祥事多発により地に落ちた福岡県政に対する信頼回復と威信回復への方途はなさそうです。  そこで、改めてこの代表質問でただします。今、県民の不信や疑念を取り除き、県政に対する信頼回復のためには、知事がみずからのガバナンスの欠除をどう自覚されているのか、明確に見解をお示しください。  それでは、災害関係についてでございます。  本年七月五日からの豪雨による災害につきまして、とうとい命を失われた方々に対し、まず謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された方々に対しお見舞いを申し上げます。  本県では、昨年七月に九州北部豪雨に見舞われ、甚大な被害を受けた朝倉市、東峰村などの被災地は、今なお復旧、復興の途上にあります。そのような中、この七月、折しも七月五日の祈念行事が行われるその日に再び豪雨災害に見舞われることとなり、人的な被害を初め、家屋、道路、河川などで大きな被害が発生しました。今回の災害では、気象庁が数十年に一度の最大級の警戒を呼びかける大雨特別警報が県内五十一市町村で発令されるなど、広範囲で記録的な豪雨となりました。本県では、三名のとうとい人命が失われ、重傷者八名を含む十五名の方々が負傷されました。また、全壊十五件、半壊二百二十二件を含む三千六百件を超える家屋が被災し、道路損壊や埋没が四百三十七件、河川の溢水や決壊などの被害が二百七十八件発生しております。県内における被害額は八月三十一日現在で三百九十億円を超えております。  このような大きな被害が発生する中、我が会派では、いち早く現場に足を運び、また地元の声をしっかりと聞きながら、被災地の復旧、復興への支援を進めてまいりました。発災直後の七月十日には、自由民主党福岡支部連合会長及び自由民主党福岡県議団会長から知事に対して、平成三十年七月西日本豪雨災害対策についての要望書を提出し、被災者の生活や経済活動が一日も早く回復するよう、県に対して災害対策を要望しました。そこで、この要望を踏まえ、県は今回の災害対策にどのように取り組んできたのか、お尋ねいたしたいと思います。  まず、被害の大きかった道路や河川などの公共土木施設についてお尋ねします。今回の豪雨災害による公共土木施設の被害の状況と被害額について伺います。  次に、今回の豪雨では、県下全域にわたり多くの全面通行どめが発生し、住民生活に大きな影響が出ていますが、その原因とその状況について伺います。  また、今回の特徴として、河川では浸水被害が多く発生しました。四十数河川で越水や溢水が発生し、家屋への浸水被害が多く生じたとのことでしたが、それは何が要因なのか伺います。  特に、筑後川流域における浸水被害は甚大なものとなりました。国管理の水門閉鎖に伴いポンプによる本川への排水が実施されたものでありますが、県は国管理の水門や排水機操作に係る情報を知っていたのかお伺いします。  また、支川の流量が水門閉鎖時のポンプの排水能力を超過する場合の情報伝達について、支川の河川管理者である県の対応について伺います。一部の報道には、筑後川の支流において、水門を閉じた後、ポンプの排水が追いつかずとのことでしたが、そうであるのなら、ポンプの能力アップなどの必要な施設の改良に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。  さらに、今回の浸水被害は、県内広範囲にわたっております。このような浸水被害への今後の対策についてもお伺いします。  次に、今回の豪雨による土砂災害警戒情報がどのように発表されたのか、また土砂災害の発生状況がどのようであったのか、今後の対策とあわせてお伺いします。  次に、ダムの効果について伺います。今回の豪雨で効果が発揮されたダムはあるでしょうか。ある場合、その効果の内容について伺います。  他県では、ダムの異常洪水時防災操作、いわゆるただし書き操作を実施したことで、下流の浸水が発生したとの報道もあります。本県のダムにおいて、この操作を今回の豪雨で実施されたのかお伺いします。
     ただし書き操作を行う場合、関係する市町村や地域住民に対してどのように情報を伝えているのでしょうか。また、今回の豪雨を踏まえた伝達方法に問題はないのかお伺いします。  次に、一日も早い災害復旧のためには、復旧工事の入札、契約方式について弾力的な運用を行うべきと考えますが、この際、改めて見解をお伺いします。  また、昨年被災した朝倉地域においても再度被災していると聞いていますが、主な公共土木施設である道路、河川、砂防の状況及び対応について伺います。  この項の最後として、今回の豪雨時に河川防災情報がアクセスしにくい状況にあったことから県管理河川の状況が把握できない状況であったと聞いております。その原因及びその後の対応についてお伺いします。  次に、平成筑豊鉄道の被災についてであります。今回の豪雨で大きな被害を受け、被災した七月六日から通常運行ができない状況となっております。その後、数日で伊田線、糸田線については運行再開がなされましたが、特に被害の大きかった田川線の田川伊田駅と崎山駅の間は、現在も不通となっております。被災直後に、我が会派の井上議長、地元の大島県議が被災現場を訪れ、線路の下の盛り土が崩壊した状況を目の当たりにし、被害の甚大さを痛感したと聞いております。平成筑豊鉄道は、通勤、通学を初め買い物や通院など地域住民の方々の日常生活に大切な交通手段であります。また、沿線の観光振興にとっても重要な路線であります。このため、我が会派としても知事に対し、早期全線復旧に向けた支援について要望を行ったところであります。こうしたことも踏まえ、県当局から、今議会において、平成筑豊鉄道の復旧の後押しをするための災害復旧費を含んだ補正予算案が提案されております。一方、住民の方々の復旧までの移動手段の確保を図るため、平成筑豊鉄道では、七月十日から、田川伊田駅から犀川駅までの区間において、バスによる代行輸送を行っております。また、途中での乗りかえが必要となるなど不便な状況が続いております。  そこで知事にお尋ねします。今回の豪雨における平成筑豊鉄道の被害はどのような状況だったのか、また一日も早い復旧が待たれますが、今後の全線復旧の見通しはどうなっているのかお伺いいたします。  次に、災害廃棄物についてですが、今回の災害では、県内で多くの家屋が床上、床下浸水の被害を受けており、被災家屋から膨大な家庭ごみ等が発生しております。これらの災害廃棄物は迅速な処理が必要ですが、県は被災市町村に対してどのような支援を行ってきたのか伺います。  また、市町村が実施する災害等廃棄物処理事業について、予算の確保及び早期採択、さらには手厚い地方財政支援を行うよう国に要請することが必要だと考えます。国に対する働きかけの状況についてもあわせて伺います。  次に、被災された方の生活再建についてです。今回の災害では、県内四十二市町村において家屋被害が発生するなど、被害が広範囲に及んでいます。被災された方々の早期生活再建を図るため、これまで我が会派の代表質問において、被災者生活再建支援制度における支給対象の拡大と支給額の増額を求めてきたところであります。報道によると、ことしの七月に開催された全国知事会議において、支援制度の見直しが検討されることになったとのことです。支援制度の見直しに向けた動きと、今後県としてどのように対応していくのかお伺いいたします。  また、被災者の生活再建を円滑に行うためには、速やかに被害認定調査を行い、罹災証明書を発行することが重要であります。昨年の九州北部豪雨では、国が示している被害認定基準運用指針が複雑であることから、被害の確定に四カ月以上を要した地区がありました。このため、自由民主党福岡支部連合会は、指針を簡素化し罹災証明書の発行が迅速に行われるよう、自由民主党本部に対し要望したところであります。指針はことし三月に改定され、被害認定調査の効率化、迅速化が図られたと聞き及んでおります。今回の豪雨災害に際しても、被災地では、罹災証明書を迅速に発行できるように種々取り組まれているとのことであります。この一年で相当の改善があったと思いますが、罹災証明書発行のさらなる迅速化のために、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  さらに、被災者生活再建支援法は、被災者の生活再建を目的とした制度ですが、本制度による支援だけでは限界があります。被災された方々の被災の程度や暮らしの状況に応じて、きめ細やかな支援が必要であると考えますが、県では、これまでどのような支援を行い、今後どのような支援を行っていくのかお伺いします。  今回の災害により自宅に住めなくなった被災者に対し、速やかに県営住宅を初め公営住宅の提供を行うなど、住宅の確保に万全を期すことが必要ですが、これまでどのような支援を行ってきたのか、また今後どのような支援を行っていくのか伺います。  また、被災児童等が被災により就園、就学の継続を断念することがないよう、支援制度を拡充することについて、国に要請するベきと考えますが、県としてどのように国への働きかけを行ってきたのか伺います。  次に、被災した中小企業への支援についてであります。今回の災害では、県内の広い範囲で中小企業に被害が生じており、被害額は八月三十一日現在で七億円程度となっております。被害を受けた中小企業に対し、災害からの復旧に向けた円滑な資金繰りを支援するべきと考えますが、これまでどのような支援を行ってきたのか、また今後どのような取り組みを行っていくのか伺います。  また、事業の継続、早期再開に向け、被災した事業者が行う販路開拓等取り組みに対して国の支援が必要と考えますが、これまでの国への働きかけの状況を伺います。また、県としてはどのような取り組みを行うのか伺います。  次に、農林漁業者に対する支援についてでございます。昨年の九州北部豪雨災害では、被災現場までの道が寸断されるなど被害状況の把握に時間を要したことで、本格的に農地や農業用施設災害査定が始まったのは十月に入ってからだと記憶しております。このため、今回の災害において、我が会派は、被災された農林漁業者が一日も早く事業が再開できるよう、災害復旧事業の早期着手に向け、迅速かつ柔軟な対応を要望してきたところであります。その結果、今月三日から本格的に災害査定が始まり、また事務の簡素化も進んでいると聞いており、大変安堵しているところであります。  また、今回の災害は、県内の各地で河川が氾濫し、農業用ハウスが水につかるなどの被害が発生しております。こうした中、我が会派は、河川が氾濫し、広範囲に農業用ハウスが冠水した久留米市北野町の現場に入りました。被災状況を見せていただいた農家では、コマツナやニラ、オクラが水につかり、出荷ができなくなったほか、かん水用のポンプが動かなくなるといった被害が発生をしております。農家の方は、ハウス内の片づけやまき直しなど、復旧に向け懸命に取り組まれており、我々もこうした被災者をしっかりと支援していかなければと、思いを強くしたところであります。  県では、こうした被災農林漁業者の思いに応え、一日も早い事業再開に向け、これまでどのような支援を行ってきたのか、また今後どのように進めていくのか、被害状況とあわせて伺います。  最後に、国の財政支援について伺います。これまでるる申し述べてきたところですが、今回の豪雨災害では、県内の広い範囲で住宅や事業所、道路、橋梁、河川、農地、農作物など、多大な被害が発生しております。このため、災害復旧、復興に当たっては、県及び被災市町村の財政負担は大きく、国の財政支援が欠かせないと考えますが、県としてこれまでどのような働きかけを行ってきたのかお伺いします。  次に、日田彦山線の問題についてお尋ねします。昨年の九州北部豪雨日田彦山線が被災し、一年二カ月が経過しましたが、この間、添田─夜明間は不通となっており、現在は代行バスによる輸送が行われております。この日田彦山線の復旧に向けては、我が会派の二月議会の代表質問を受けて、県当局では大分県や東峰村、添田町、日田市とも調整を進め、これにJR九州を含めた六者で構成し、鉄道で復旧する方策を検討する日田彦山線復旧会議が四月四日に立ち上がったところです。この復旧会議で、知事は、地元負担ありきではなく議論を進めていくことが大事。復旧額七十億円については、自治体による災害復旧に係る事業との調整を図ることでJR九州の負担を軽減できると思われるので、この調整を進めるべきといった趣旨の発言がなされておるようであります。復旧会議での知事の発言のもと、事務レベル会議である検討会においては、JR九州が示した復旧額の軽減や復旧後の継続的な運行の確保のための利用促進策の検討が進められていると聞いています。  このような中、JR九州青柳社長からは、記者会見を通じて、上下分離方式など運行費用の地元負担や、路線バスやBRT(バス高速輸送システム)への転換などを示唆するような発言がなされております。また、八月二十七日の記者会見では、議論が進まないようならば、鉄道での維持は難しいと地元の皆さんがおっしゃったということになるとの発言はテレビでも放映されました。次から次にこのようなニュースが流れると、鉄道での復旧を切望している地元では、一体どうなっているのかと不安を募らせている状況であります。こうしたJR九州青柳社長の発言に対し、去る八月三十一日には、福岡、大分両県と沿線の市町村がJR九州に対して抗議を行ったところであります。  そこで知事にお尋ねします。これまで、この復旧会議でどのような議論が行われてきたのか、また、JR九州青柳社長による一連の記者会見での発言に対し、復旧会議での議論を踏まえ、知事はどう考えるのか、お答えください。  次に、国の働き方改革と本県の取り組みについて若干触れておきます。少子、高齢化が進み、我が国全体での人口減少が懸念される中、既に県内の企業は人手不足に直面し、特に中小企業では事業に必要な労働力を確保できないなど、経営にも大きな影響を受けております。一方で、さきの通常国会において、いわゆる働き方改革法案が成立し、国を挙げて働き方を変えようという動きが進んでいます。人口減少社会の到来、AIを初めとした技術革新など、企業を取り巻く環境が大きく変わる中、本県の経済が好循環を続けていくためには、経営者にも働き方について、いま一度しっかりと考えていただかなければいけないところであります。  そこで知事にお尋ねします。中小企業を含めた本県企業を取り巻く雇用情勢と、それに対応するための方策についてどのように考えているのか、その中で、働き方改革はどのように位置づけられているのか、県内企業への支援策を含めてお答えください。  また、県内企業に対して、働き方改革を積極的に推進していくためには、県庁みずからが働き方改革に率先して取り組んでいくことが重要でもあります。これについて、昨年十二月、福岡県職員の働き方改革について、知事は、本県も、平成二十九年六月に、福岡県庁における「働き方改革」の取組方針を策定した。職員一人一人がやりがいを持って意欲的に職務に精励し、組織の活力を一層高めていけるよう取り組んでいくと答弁されております。この方針に基づき、県ではこれまでいろいろな取り組みがなされていることと思いますが、具体的にはどのようなことに取り組んだのか、その成果についてもあわせてお答えください。  また、取組方針では、多様で弾力的な勤務形態の導入やICTの活用について検討を進めるとされています。これらの検討状況と今後の取り組みについてお答えください。  次に、働き方改革を推進するに当たっての事業主としての県職員に対する県の責務についてであります。本県の行政改革大綱の改革事項に掲げられている都市部の総合庁舎の建てかえに合わせた事業所内託児施設については、現在、既に七都県が設置しており、さらに今後も設置予定の県があると聞いています。こうした施設の充実については、なぜ官が先走るのかといった批判や異論が一部にあることは事実ですが、男女ともに働きやすい環境を整えるという観点に加え、ワーク・ライフ・バランスを民間に普及させる効果も期待できるといった観点に立てば、他県におくれることなく推進していく必要があることは、既に今日的課題にもなっていると考えるところであります。  平成二十九年二月議会で我が会派が事業所内託児施設について代表質問を行った際、知事は、地域住民や企業の従業員も利用できる事業所内託児施設の設置を検討すると答弁されていますが、その後の検討状況はどうなっているのか、お答えください。  次に、我が会派がこれまで一貫して提唱してきた読書活動の推進についてお聞きします。インターネットやスマホ、ゲーム機の普及などで本離れが加速し、出版不況が深刻な状況にある今日ですが、我々は昔から読書を通して多くの知恵を得てきました。もちろん、インターネットなど、読書以外にも知恵を得る方法があります。また、読書量と年収には相関関係があるという意見も多数あります。事実、ビル・ゲイツを初め、我々が知る世界の大富豪は皆読書家のようであり、読書には、知的なトレーニングとしての意味があるという意見も一理ありそうです。仮に、読書によって、さまざまな物事の生産性を高めることができるとするならば、我が会派がさきの六月県議会でただした書店ゼロの自治体の存在は、地域活性化という視点からも無視できない重大な課題だと認識するべきであります。そこで、書店の減少が防ぎようがないものとするならば、書店にかわる場所、例えば、公立図書館を充実させるなどの対策が必要になると考えます。そこで、さきの議会に引き続き、改めて伺います。  まず、知事は読書の意義をどのように認識されておられるのか、そして、活字離れから起きる書店の減少という現状に対し、何らかの対策を講じる必要があると考えておられるのか、初めにお答えください。  次に、教育的な観点から、書店の減少がもたらす影響について教育長にお尋ねいたします。教育的な観点から、読書の持つ重要性を否定する者はいないと思います。県では、子供たちが自主的に読書習慣を身につけることができるよう、家庭、地域、学校、民間が一体となった読書活動の環境整備に取り組むため、福岡県子ども読書推進計画を策定しています。計画では、子供の読書活動を推進し、子供の読書習慣の形成、定着、確立を図るため、さまざまな施策を展開することになっております。また計画には、家庭、地域、学校、民間が子供の読書活動を推進していくために担うべき役割や課題が書かれていますが、書店が持つ重要な機能について具体的に触れられてはおりません。子供、とりわけ幼児から小学生くらいまでの子供たちにとって、リアル書店の激減は、書籍に触れるという選択肢が奪われるという深刻な事態を招くおそれがあると言っても過言でなく、この時期に書籍に触れることが、将来読書好きになるのか、読書に強い関心を持たないまま大人になるのか、分かれ道ではないでしょうか。確かに、書店のかわりに図書館に行けば、実際に書籍に触れ、好みの本を選ぶ楽しさを味わうことができます。しかしながら、昨今の公立図書館は高齢者の利用者が多く、子供用の書籍があっても落ちついて読むことはできません。幼児用のスペースを設けている図書館もありますが、どちらかというと遊ぶスペースになっていて、読書のための場所ではないように感じます。また図書館では、人気の本は常に貸し出されており、読みたい本がいつでも読めるわけではないので、だんだんと足が遠のいていくこともまれではありません。子供だけで落ちついて読書できるスペースを別に設けるとか、新刊は一定期間、貸し出し禁止にして、図書館に来れば必ず手にとることができるようにするといった工夫が必要になると思いますがいかがでしょうか、教育長の見解をお伺いします。  子供の読書推進の拠点の一つとなるのは、福岡県立図書館子ども図書館だと思いますが、このような施設は、県立以外に県内の市町村に何カ所ぐらいあるのでしょうか、また、県内の公共図書館子供読書推進のためにどのように連携をとられているのか、教育長にお伺いします。  そこで、改めて述べます。幼少期から書籍に親しむことがなければ、小中高の間に活字を読む機会は激減することは必至です。こうした観点から我が会派は、子供たちを中心にした読書県民運動の展開を、前麻生知事の時代から県に呼びかけてきたと先輩議員から聞いております。そこで、この我が会派提唱の読書県民運動について、現在の小川知事がどのような認識を持たれているのか、所見を述べ聞かせていただき、改めて読書県民運動の展開について、その抱負をお示しください。  次に、農林問題を何点かお聞きいたします。  まず初めに、農政問題としての学校給食の取り組みについてであります。国は、平成十七年七月に施行した食育基本法に基づき、食育推進基本計画を策定し、若い世代を中心とした食育の推進や、健康寿命の延伸につながる食育の推進等の施策を実施しているところであります。また、これにあわせ、学校給食法も、これまでの栄養改善といった観点から食育を重視するものに改正され、その目標の一つとして、学校給食における地場産物の使用割合をふやすことが掲げられております。明治五年に学制がしかれて以降、最初に学校給食を実施したのは、明治二十二年に、現在の山形県鶴岡市にある私立忠愛学校が最初であると言われております。いわば日本における学校給食の嚆矢であります。現在、鶴岡市では、郷土料理を取り入れた給食メニューの開発やオール鶴岡産給食の実施などに取り組むとともに、学校給食は生きた教材として、小中学校での生産者や漁業者による講話や実演なども実施され、こうした特別の取り組みの結果、地元農産物の利用割合は平成二十九年度で約三七%と聞いております。学校給食を活用した食育や地産地消の取り組みは、子供たちが本県のすぐれた農林水産物や農林漁業を理解し、将来の消費につながる大事な取り組みであります。本県においても、米飯給食への県産米導入を支援し、全ての小中学校の米飯給食で県産米が使用されるようになったほか、福岡有明のりの学校給食への導入支援などの例も見られるようになってきております。しかしながら、こうした施策にもかかわらず、県産農林水産物の利用率は、青果物ではいまだ二五%程度にとどまっており、しかも、市町村によってその利用率は大きく差があるように聞いております。  そこで知事に伺います。学校給食への県産農林水産物の利用拡大のため、どのように取り組んでいかれるのか、知事及び教育長にお答え願います。  次に、森林の適正な管理についてであります。本県には約十九万ヘクタールの民有林があり、このうち杉やヒノキなどの人工林が約十三万ヘクタールを占めていると聞いております。こうした現状に対し、持続可能な林業経営の確立と、健全な森林づくりを推進するため、県はこの人工林を、経営が困難なものと、経営が成り立つものに分けて施策を展開する方針と聞き及んでおります。例えば、経営が困難な森林が実に約七万ヘクタールあり、これについては県は今後、森林の持つ公益的機能が発揮できるよう保全に相当な力を入れていかなければならないようであります。一方、経営が成り立つと見られる人工林は約六万ヘクタールとされていますが、これについても実際に経営が行われているものは、わずか四万ヘクタール程度にすぎず、残り約二万ヘクタールでは、経営が行われていない、全く厳しい状況にあるようであります。困難な状況を克服し、逆に成長産業化が叫ばれる今日の林業情勢の中ですから、本来ならばこうした現状に対し、県があらゆる方策を講じ、県主導でしっかりとした経営が行われるよう誘導していくことが、県森林行政の最重要課題と考えているところです。現状からすると、残念ながら、これまで県が積極的な対策を講じてきたとは言いがたい状況ではないでしょうか。もちろん、行政客体である森林原野の実情把握さえ困難な林業行政の隘路は十分踏まえた上での指摘であります。  ところで、こうした中、国は、来年四月から森林所有者みずからが経営管理できない森林を林業経営者や市町村に委ねる新たな森林経営管理制度を開始すると聞いております。また、この制度とあわせて、国版の森林環境税を創設し、来年度から森林環境譲与税として譲与されます。その使途は、森林整備及びその促進に関する費用に充てなければならないとはされていますが、地域の実情に応じて、弾力的な活用が可能であるとも伝えられております。こうした国の取り組みは、経営管理が行われていない森林を適正に管理していく上で非常に有効な制度であり、県の施策が不足している部分を補完するもので、我々としても大変期待をしております。しかしながら、この制度で重要な役割を担う市町村の体制を見てみますと、森林を有する五十四市町村のうち、林業専門の部署を設置しているのはわずか十市町村にすぎず、こういった状況で、本当にこの制度が機能するのか、大変危惧しているところであります。  そこでお尋ねします。県では、新たな森林経営管理制度の円滑な運用に向け、どのように取り組んでいくのか。また、来年度から県の森林環境税に加え、国の森林環境譲与税も活用できることから、一層の森林整備や放置竹林などの地域課題の解決のため、県がその活用方針を示すべきではないでしょうか。知事の所見をお伺いします。  それでは、私の代表質問の最後に、教育問題について何点かただします。  まず初めに、ことしから教科に位置づけられた道徳科の評価をめぐる問題についてであります。ことし平成三十年は、小学校において特別の教科と位置づけられた道徳科が開始されました。中学校での実施は来年度平成三十一年度からであります。これまでも、学校では時間割りの中で道徳の授業が行われてきましたが、教科ではなく教育課程の一領域としての道徳の時間という位置づけでありました。教科ではなく一領域ということで、他の教科に比べて軽んじられる嫌いがありました。安易に他の教科等に振りかえられたり、学校や先生によっては、教職員組合の主導のもと、この道はいつか来た道と、あたかも軍国主義復活のごとくあおり、道徳を戦前の修身教育の再来として忌避しがちな風潮もあったと先輩方から聞いております。こうした苦難な道をたどりながら、この道徳教育は、平成二十五年二月、教育再生実行会議が、道徳について、新たな枠組みによって教科化を提言し、この提言を皮切りとして、中央教育審議会の答申を経るなどして、学校教育法施行規則の改正により、特別の教科道徳が実現したことは、皆様御存じのことだと思います。今後、グローバル化や価値観の多様化が進み、一つの問題に対する正解が必ずしも一つでない時代に対応するためには、特定の価値観を押しつけ、言われるままに行動してしまう主体性のない子を育てる指導では、道徳教育本来の目的には到底たどり着かないことは明らかです。教材の内容を読み取ることに終始しがちであったとの指導上の反省を踏まえ、考え、議論する道徳に転換し、道徳教育の本来の使命を果たせるものにすることこそが、道徳の教科化の趣旨であるはずであります。  ところで、本年四月以降の新聞報道等の情報では、通知表に評価をどう書けばよいのか、思うように記述できない、などと伝えられ、学校現場の先生方が、指導要録や通知表における評価をどのようにすればよいか迷いや不安を抱えているということが一部で伝えられています。先生方にとって、特に、評価をまず記述式で行うことが他の教科と異なり、さらには道徳性は評価の対象とせず、学習状況や成長の様子を適切に把握し評価することなどが示されて、評価の方法が十分に理解されないままであることなどが不安を喚起したのではないかとも指摘されています。評価が適切になされず、恣意的な指導に陥ってしまうのであれば、せっかくの教科化の意味が失われると言っても過言でありません。本県において、ぜひ、先生方が教科化の趣旨を踏まえて、自信を持って授業実践と評価を行い、道徳科を適正に推進していかなければならないと考えているところであります。  そこで教育長にお尋ねいたします。まず、従来の道徳の時間が、特別の教科道徳として教科化されたことについて、教育長はどのように認識されているのかお伺いします。  さらに、今回一部のマスコミ報道で伝えられていますような評価をめぐって教師の迷いや苦悩、混乱の現象は、本県ではどのような状況にあったのでしょう。混乱や迷いなく評価が整然と行われているのか、実情をお示しください。  また、この際ですからあえて聞いておきます。この道徳のいわば教科昇格については、教科化と、殊さら、化という字が強調されているような嫌いがあります。これは、単に教科の一つに加えられました、ということを意味することにとどまらないような気がするのですが、いかがでしょう。特別の教科とされているように、化に特別の意味が持たされているのでしょうか、御教示ください。  次に、これから道徳科が、本来の趣旨に基づいて適正に実施され、授業の質的充実が図れるようにするためには、学校や地域として、道徳教育の推進のため、いわば地域ぐるみの体制整備が不可欠だと考えます。このことについて、県教委は何か方針を持たれているのか、考えをお聞かせください。  また、授業の質を高めるためには、やはり日々の授業や評価を行う教員の資質の維持、向上が何より必要であります。昨今の大量退職、大量採用の進行により、熟練教員の知識や技術が若年教員に十分に伝承されない状況が危惧されており、我が会派は昨年十二月議会において、教員研修が非常に重要であることを指摘いたしました。特に、若年教員が道徳科を含め、質の高い授業の実施と評価を適切に行えるよう、その資質向上をどのように進めていくのか教育長に伺います。  次に、教育問題の締めとして、学校の空調問題について質問します。ことしは全国各地で記録的な猛暑が続き、新聞報道によりますと、ことし七月の熱中症が原因の緊急搬送者及び死者は、いずれも一カ月当たり過去最高の状況であるとのことです。このような状況の中、学校現場では、七月十七日に愛知県豊田市において小学校一年生の児童が校外学習から学校に戻った後に熱中症によって死亡するという大変痛ましい事故が発生し、学校の空調設備の設置が大きな問題となりました。この空調設備については、過去には子供の成長や教育上の問題からいろいろな意見、考えがあり、議論を呼んだところですが、この災害とも言える状況で、一刻も早く学校に空調設備を設置していく必要があるのではないでしょうか。文部科学省が実施した調査によりますと、平成二十九年四月一日現在の本県公立小中学校普通教室の空調設備設置率は六五・五%となっており、県教委は全国平均の四九・六%を一五・九ポイント上回っているとよく説明されます。全国平均よりも本県の設備設置率が若干高い位置にあることは十分承知していますが、問題は、いまだ未設置の市町村があることであります。まだ導入が進んでいない市町村に対し、早期の設置を促すべきだと考えます。  そこで、市町村の設置状況を説明いただくとともに、未設置の市町村に対して県としてどのような対応を行っていくのか、教育長の考えをお聞かせください。  以上で代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、県職員の不祥事についてでございます。不祥事の再発防止に取り組んでおりますさなか、今回、再び職員が逮捕される事件が発生しましたことは痛恨のきわみでございまして、県民の皆様に大変申しわけなく思っているところであります。このような事態になりましたことに、県民の皆様から負託を受けた県行政のトップといたしまして責任を痛感いたしております。このような事態にありましては、まずは私自身、みずからを厳しく律し、全身全霊で職務に邁進する姿を職員に示すことが組織のトップとしての責務であると、このように考えております。その上で、再び不祥事を起こさせないことはもとより、県民の皆様からの県に対する信頼を取り戻すため、職員一丸となりまして仕事に取り組む組織風土をつくり上げていくことが私の最大の使命であると考えております。  続きまして、今回の豪雨災害による公共土木施設の被害の状況と被害額でございます。今回の豪雨におきましては、五十一市町村において大雨特別警報が発表され、昨年の九州北部豪雨のような局所的な被害とは異なり、県内の広い範囲にわたり災害が発生をいたしております。公共土木施設につきましては、県管理道路における全面通行どめが最大百十二カ所、県管理河川における浸水被害四十九河川、人家や公共施設に影響のある土砂災害百六カ所、そのほか海岸への漂着物、港湾の土砂埋塞、水道の断水が発生をいたしております。県管理の公共土木施設の被害額でございますが、道路九十カ所、河川三百七十三カ所、砂防十五カ所、海岸及び港湾八カ所、計四百八十六カ所でございまして、約百三十八億円となってございます。  次に、通行どめの原因とその後の状況でございます。今回の豪雨によりまして、最大、先ほど申し上げましたように、百十二カ所の全面通行どめを行いました。その主な要因でございますが、雨量通行規制、のり面崩壊、道路の冠水、路肩の崩壊でございます。そのうち被害の大きなのり面崩壊五カ所、路肩崩壊三カ所、計八カ所につきましては、現在も全面通行どめを継続いたしております。現在、これらの箇所につきましては、現地のひび割れや地質の調査を行いながら復旧方法を検討しているところでございます。できるだけ早期にその復旧工事を行い、安全性が確保され次第、全面通行どめを解除してまいります。  次に、浸水被害が多く生じた要因でございます。今回の豪雨が広範囲で長時間続き、多量の雨水が河川に流れ込んだため、本川や支川の水位が上昇し、水の行き場がなくなりまして、支川からの越水、溢水したことが浸水の主な要因と考えております。  筑後川流域における国管理の水門や排水機、ポンプですね、排水機操作の情報と河川管理者としての県の対応についてでございます。国によれば、国が管理しております水門と排水機の操作は久留米市に委託をされておりまして、その操作規則におきましては、県への情報提供を行うことは規定していないということであります。そのため県においては、情報は把握しておりませんでした。今回の事態を踏まえまして、国、県、関係市町が専門家を交えた久留米市街地周辺内水河川連絡会議を設置いたしまして、水門等の操作状況の情報を関係機関が共有する方法、自治体による住民へのわかりやすい情報の周知など今後の対応について検討を行っているところであります。また、県といたしましても、水位計を設置するとともに、この連絡会議の検討結果を踏まえ、地域住民への情報提供を行い、適切な避難につながるよう関係市町を支援してまいります。  次に、ポンプ等の排水施設の改良についてでございます。今回の豪雨では、広範囲の長期間の降雨となりましたため、筑後川本川の水位が高くなり、支川への逆流による被害の甚大化を防ぐため水門が閉じられました。この閉門に合わせ、ポンプによって支川の流水を本川である筑後川に排水をしたわけでございますけれども、それを上回る水量のため支川が越水、溢水をし、周辺に浸水被害をもたらしたものであります。今回の浸水被害につきましては、ポンプの能力アップだけではなく、堤防のかさ上げなど対策を総合的に考えていくことが必要であると考えております。このため、本川の管理者であります国、地元市町と協議を行っているところでございまして、その中で今後の対応方針を検討してまいります。  次に、今回の浸水被害の今後の対策でございます。今回の浸水被害は県内の広い範囲で発生いたしておりまして、現在、浸水被害のありました河川において、浸水実態の把握を行っているところであります。特に、被害の大きかった河川につきましては、国、県、関係市町などから成ります筑後川水系の先ほど申し上げました久留米市街地周辺内水河川連絡会議、遠賀川水系の平成三十年七月豪雨浸水対策連絡協議会におきまして、それぞれ浸水状況やその要因を共有し、点検、確認、検証を行い、今後の対策を検討してまいります。それらの検討結果を踏まえ、河川改修などのハードの対策、地域住民への情報共有、連絡体制のあり方といったソフト対策、その両面から総合的に検討してまいります。  次に、土砂災害の発生状況と今後の対策でございます。土砂災害警戒情報とは、土砂災害の発生する危険度が高まりました場合に、福岡県と福岡管区気象台が共同して市町村単位でこれを発表するものでございます。今回の豪雨におきましては、七月五日から七日までの間に、筑紫野市を初めとし、土砂災害警戒区域にある五十五の市町村全てで土砂災害警戒情報が発表されたところであります。今回の豪雨におきましては、北九州市を中心に県内で人家や公共施設に影響のある土砂災害が百六カ所で発生いたしております。県におきましては、国との協議を進めた結果、北九州市門司区奥田地区など八カ所の災害関連事業が採択をされたところであります。また、今回の豪雨を受けまして、国により、全国を対象に激甚災害に指定されましたことから、高さ五メートル以上、保全家屋数二戸以上の崖崩れ箇所につきましても、市町村で災害関連事業を実施することが可能となりました。県といたしましては、市町村に対する技術的支援を行いながら、この事業採択に向けて、国に働きかけをしてまいります。今後とも、県、市町村連携して、しっかり土砂災害対策に取り組んでまいります。  次に、今回の豪雨によって効果が発揮されたダムの有無とその効果についてでございます。ダムには、降雨時、雨が降ったときに上流からの流入量がふえた場合に、一時的にダムに水をため、流入量、入ってくる量よりも、放流量、出す量を減少させることで、下流河川の水位の上昇を抑制する洪水調節の機能がございます。今回の豪雨におきましては、県管理十五ダム、試験湛水中の二つのダムの全てにおきまして洪水調節機能が発揮されたところであります。具体的には、五ケ山ダムでは、七月六日十六時三十分ごろに観測しました最大流入量毎秒百四十立方メートルに対し、毎秒二立方メートルを放流し、流入量の九九%をダムに貯留をし、また力丸ダムにおきましても七二%を貯留いたしております。この結果、南畑ダムと五ケ山ダム下流の那珂川におきましては、両ダムの効果を合わせて、福岡市の南区の下曰佐地区では約一・七メートルの、力丸ダム下流の犬鳴川におきましては、宮若市本城の宮田橋地点で約〇・八メートルの水位の上昇をそれぞれ抑制いたしておりまして、下流河川の浸水被害の防止、抑制に対して効果を発揮しております。  次に、異常洪水時防災操作、いわゆるただし書き操作についてでございます。このただし書き操作でございますけれども、ダムの水位が上昇し、洪水調節容量が満杯となることが予測された場合に、ダムからの放流量を流入量と同量になるまで徐々にその放流量を増加させる操作のことであります。ただし書き操作開始後も洪水調節の機能は継続しておりますので、下流河川水位のピーク時間をおくらせることにより避難活動の時間を確保することができます。また、放流量と流入量が同量となった場合でも、ダムがない河川と同様の状態になりますことから、ダムがない場合と比べて、ただし書き操作による被害の拡大というものはないと考えられております。なお、本県が管理するダムにおきまして、今回の豪雨の際、ただし書き操作は実施されておりません。  次に、関係する市町村や地域住民への情報伝達についてでございます。このただし書き操作を実施することが予測される場合には、国の通知がございまして、これに従い、関係する市町村へファクシミリを用いて、操作開始予測時刻の三時間前、一時間前及び操作を開始したときに、それぞれ情報提供や通知を行うこととなっております。関係する市町村は、これらの情報やその他の防災情報を踏まえまして、住民への避難勧告や避難指示といった避難情報の周知を行うことになっております。今回の豪雨におきましては、このただし書き操作の実施が予測されるダムがありましたため、国の通知に従い適切に情報提供や通知を行いました。さらに、所管の県土整備事務所長等から関係市町の首長などに対しまして直接電話を行うとともに、県では、地域住民に対しまして、ホームページにおきまして、市町の情報に従い避難行動をとっていただくよう、その注意喚起を行ったところであります。今回、他県におけるただし書き操作の実施に伴い、情報が流域住民の避難行動につながっていないとの報道や学識者からの指摘がございます。このため国におきましては、検証の場を設け、より有効な情報提供や住民への周知のあり方について検討が進められているところであります。また、本県におきましても、県管理の全てのダムの下流市町村の防災担当職員に対しまして、ダム操作の正しい理解を得るための説明会を開催したところであります。今後は、国の検討結果も踏まえて、情報提供のさらなる改善を行ってまいります。  次に、復旧工事の入札、契約方式でございます。通常の県発注工事におきましては、発注金額に応じまして、一般競争入札、指名競争入札を実施しております。しかし、発災直後には一刻も早い対応が求められておりますことから、今回の災害に当たりましても、応急工事につきましては、昨年の九州北部豪雨災害、そのときと同様に、地元の建設業者との間で年度当初にあらかじめ締結をしております協定に基づき、随意契約による速やかな発注を行っております。今後発注することになります本格的な復旧工事につきましても、一日も早く工事に着手することができますよう、一般競争入札よりも手続を要する期間が短い指名競争入札や随意契約といった入札契約方式を弾力的に選択をしてまいります。  次に、昨年被災した朝倉地域の公共土木施設の状況についてでございます。道路につきましては、昨年被災した箇所で、特に地域の生活に大きく影響する国道二百十一号につきましては、再度被災をいたしまして通行どめになりましたが、早急にその復旧工事を行い、通行どめの解除を行ったところであります。また、緊急車両のみ通行可能といたしておりました五路線、三十九キロ区間におきましても被害が発生をいたしましたが、三路線、二十二キロで全面通行どめを実施しましたが、その後、啓開作業を実施し、八月十日、この二十二キロ全てで緊急車両の通行を可能としたところであります。河川につきましては、昨年、十二河川で二十七・七キロメートルが埋塞をしておりましたが、ことしの梅雨までの間に被災前の河川断面を確保しておりましたことから、今回は、そのうち七河川の八・九キロメートルに土砂の流入こそありましたが、家屋の被害はありませんでした。また、この流入した土砂の撤去作業についても全て完了いたしておりまして、被災前の河川断面を確保しているところであります。斜面崩壊箇所につきましては、大型土のうやブルーシートを設置いたしまして、また砂防ダムにつきましては、堆積した土砂や流木を撤去していたことによりまして、被害の拡大や家屋被害はありませんでした。  次に、河川防災情報にアクセスしにくい状況の発生についてでございます。県のホームページ上の河川防災情報では、県管理の河川の水位、ダムの貯水位、雨量観測所の降雨量データ及び河川監視カメラの映像を配信をいたしております。今回の豪雨は、七月五から六日にかけまして、県内の全域に及ぶ広範囲の降雨であったため、その時点の処理能力の三倍近いアクセスがございました。このため、非常にアクセスしにくい時間帯が発生をいたしました。この状況を踏まえ、早急に七月十日にサーバーの増強を行いまして、処理能力をそれまでの十倍まで向上させております。今後も、県民の皆様が安全、円滑に避難ができますよう、河川防災情報をしっかり提供してまいります。  次に、平成筑豊鉄道の被災状況と復旧についてでございます。ことしの七月の豪雨で、平成筑豊鉄道は築堤崩壊、線路内への土砂の流入、ポイントの水没など、九カ所で被災をいたしました。会社におきましては、早期復旧に全力で取り組み、伊田線及び糸田線は七月九日から運行を再開いたしております。しかしながら、田川線につきましては、七月十日から一部運行を再開したものの、特に被害の大きかった田川伊田駅から崎山駅間では、復旧作業に相当の期間を要しますことから、現在、代行バスを運行いたしております。筑豊地域、京築地域の住民の皆様の日常生活にとりまして大切な交通手段であります平成筑豊鉄道が一日も早く全線復旧するよう、会社では全力で復旧工事を進めているところであります。県といたしましても、この災害復旧にかかわる予算を今議会にお願いをしているところでございまして、十月中には運行再開ができる見通しになってございます。また、災害に伴う利用客離れを防止するため、会社におきましては、中高校生の通学時間に合わせた代行バスダイヤとするなど利便性の確保に努めております。今後、県はもとより、市町村にも呼びかけまして、会社と一緒になって学校、企業訪問によります定期券販売を精力的に実施する予定でございます。県といたしましても、来春の観光列車の運行開始や田川伊田駅におけるマルシェの開設などを通じまして、インバウンドを含めた域外からの利用客の呼び込みを支援することによりまして、この平成筑豊鉄道の経営改善につなげていきたいと考えております。  次に、災害廃棄物の処理についてでございます。県は発災後、速やかに県内市町村の災害廃棄物の発生状況、支援の必要性について調査を行い、支援要請のありました久留米市と飯塚市につきまして、災害廃棄物処理の支援を行ったところであります。具体的には、県の要請によりまして、大牟田市及び行橋市が飯塚市へ、公益社団法人福岡県産業資源循環協会が久留米市へ、それぞれ収集運搬車を派遣し、災害ごみの撤去に協力をしたところであります。また、同協会は、飯塚市の仮置き場の管理も支援をしたところであります。国への要請につきましては、七月三十一日、議長と一緒になりまして環境大臣に対し、災害等廃棄物処理事業の予算の確保とその早期採択などを要望してまいりました。現在、県は、同事業の補助申請に向けまして、被災市町村への指導、助言を行っているところであります。  次に、被災者生活再建支援制度の見直しでございます。現行の支援制度におきましては、同一の災害で被害を受けましても、市町村ごとの被害世帯数によりましては法が適用されない場合がある、半壊世帯や一部損壊世帯には支援金が支給をされない、現行の支給額では住宅の再建には不十分であるといった課題がございます。このため県におきましては、制度の見直しに向け、県議会とともに繰り返し国に要望するとともに、全国知事会を通じて働きかけを行ってきたところであります。全国知事会におきましては、これらの課題の解決に向け、七月の知事会議におきまして、国への提言案を検討するためのワーキンググループが設置されることになりました。現在、このワーキンググループにおきまして、自助、共助、公助のバランスを踏まえた上で、支給対象の範囲、支給額、見直しに伴う財政負担のあり方について検討しているところであります。県におきましては、被災された方々に寄り添った見直しが行われますよう、県議会とともに引き続き国に働きかけを行っていくとともに、全国知事会に対し、福岡県の意見を伝えてまいります。  次に、罹災証明書発行のさらなる迅速化についてお尋ねがございました。罹災証明書を迅速に発行するためには、その前提となります被害認定調査の簡素化と被災市町村の調査体制の強化というものが必要でございます。このため県といたしましては、議長とともに、国が定めております被害認定調査のための運用指針の簡素化、これについて要望してまいりました。また、自由民主党福岡県連合会からも、自由民主党本部に対して御要望いただいたところであります。その結果、ことしの三月、運用指針が改正をされまして、被害が軽微なものについては現地調査を実施せず、被災者自身が撮影した写真により一部損壊と判定することを認めるなど、その効率化が図られたところであります。今回の豪雨災害では、福岡市と筑紫野市におきまして、この写真による判定が実施されました。一方で、半壊の判定など、現地調査が必要な場合もありますことから、罹災証明書の発行をさらに迅速化していくためには、被災した市町村において調査を行うマンパワーの確保が重要であると考えております。県では、被災市町村からの支援要請に応じて、家屋調査の経験を有する県や他の市町村の職員を派遣をしているところであります。これに加えまして、ことし八月、今後の被害認定調査に協力をしていただけるよう、土地家屋調査士会などとの間で災害時協力協定というものを締結をしたところであります。市町村に対しましては、その旨、周知を図ったところであります。  被災地の生活再建に向けた支援でございます。災害によりお亡くなりになられた方の御遺族や著しい障がいを受けた方に対しましては、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づく災害弔慰金や災害障がい見舞金が支給をされます。県におきましては、この法律で対象とならない被害につきましても、独自に災害見舞金を支給しているところであります。また、災害援護資金の貸し付けにつきましては、市町村が利子を負担する場合、県がその二分の一を助成して利用者の金利負担を軽減しております。さらに、被災者生活再建支援法が適用されない市町村にお住まいで住宅が全壊、大規模半壊などの被害を受けた方に対しましては、県独自で法と同一の支援を行っております。加えて、昨年七月の九州北部豪雨災害を対象に実施をしております住宅再建融資にかかわる利子相当額の一括助成につきまして、これにつきましては今回の災害も対象とすることといたしました。このほか、災害義援金につきまして、生活再建の支援を重視する観点から、昨年度、この配分基準を見直しをし、全壊や半壊世帯への配分比を大幅に引き上げるとともに、一部損壊それから床上浸水世帯も対象に加えることといたしたわけであります。また、この義援金につきましては、福岡県義援金品配分委員会の決定に従い、速やかに市町村に配付を行ってまいります。  次に、被災者に対する住宅支援でございます。今回の西日本豪雨におきまして、本県では、全壊十五件、半壊二百二十二件のほか、一部損壊、床上浸水、床下浸水の被害合わせて三千六百件を超えるなど多くの住宅が被害を受けております。県におきましては、被災者の一時的な住宅を緊急に確保するため、災害発生直後の七月九日、被災者住宅支援窓口を設けまして、県営住宅の入居に関する相談の受け付けと提供を開始するとともに、市町村に対しましても、それぞれ所管をする公営住宅等の提供をお願いしたところであります。現在、県営住宅には十六世帯三十一人、県内市町村営住宅等を含めますと、合わせて八十一世帯百七十二人の方が入居をされております。今後は、被災された方が一日も早くもとの生活に戻れるよう、住まいの再建に向けた支援が必要となります。そのため県におきましては、被災者住宅支援窓口において引き続き相談対応を行いますとともに、市町村に対し、被災者の状況に応じたきめ細かな対応ができるよう、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資、住宅関連の減税措置などについての情報提供、あるいはその助言を行ってまいります。加えて、先ほど申し上げました県が実施をします住宅再建融資にかかわる利子相当額の一括助成を行うなど、支援をしてまいります。  次に、被災児童等への支援制度の拡充に対する国への要請でございます。被災を起因とした経済的な理由によりまして幼児児童生徒が就園、就学の継続を断念することがないよう、就学の機会を確保することが必要であります。このため県におきましては、今回の豪雨により被災した生徒に対する緊急措置といたしまして、低所得者世帯の生徒を対象とした私立高等学校の授業料を軽減する補助金の支給対象に自宅が全壊または半壊した世帯の生徒などを加え、その支援を実施しているところでございます。また、七月三十一日、県議会とともに国に対し、市町村が行う幼稚園の保育料に対する補助事業及び小中学校の学用品や通学費などに対する補助事業、これらについて熊本地震と同様、国の補助率をかさ上げするよう支援の拡充をお願いしたところであります。  中小企業に対する金融支援でございます。被災された中小企業の資金繰りを支援するため、発災直後から相談窓口を設置するとともに、低利融資、返済条件の緩和措置を行ってまいりました。さらに、追加の対策といたしまして、県制度融資に通常よりも低利で、かつ保証料を全額県で負担をします緊急特別融資枠を創設をし、被災中小企業の負担軽減を図ることといたしたわけであります。八月三日から、その取り扱いを開始しておりますが、八月末時点で十四件、一億三千万円余の融資を実行しております。今後とも、被災中小企業の資金需要に応じて、関係機関と連携して円滑な資金繰りを支援してまいります。  次に、被災事業者に対する販路開拓等の支援についてでございます。県におきましては、七月三十一日、国に対し、議長と一緒に被災事業者が事業の継続、早期再開に向けて行う販路開拓等取り組みに対し支援を行うよう要望いたしました。これを受け、国におきましては、県内の被災事業者が行う販路開拓の取り組みを支援するための小規模事業者持続化補助金を措置をいたしまして、八月二十一日から公募を開始しているところであります。県といたしましても、国の補助金に採択された事業者に対しまして、その自己負担分の一部を県から助成することによりまして、被災事業者の事業の継続、早期再開というものを支援してまいります。  次に、農林水産業の被害の実態と事業再開に向けた支援でございます。今回の豪雨によりまして、農業におきましては、農地の冠水による農産物の損傷、ハウス施設、農業用機械の損壊、家畜用飼料の流失、農地のり面の崩壊、ため池や水路の損壊などの被害が発生をいたしました。また、林業におきましては、山腹の崩壊、林道、森林作業道ののり面の崩壊など、漁業では、有明海の航路への土砂の堆積、スイゼンジノリの流失など、被害が発生をいたしました。その被害額は、八月三十一日現在時点で、農業百二億円、林業五十一億円、漁業一億円、合わせて百五十四億円と大きな被害になっております。県では、災害発生直後、直ちに農業共済団体に対し、損害評価の迅速かつ適切な実施と共済金の早期支払いを要請するとともに、各農林事務所、普及指導センターなどに相談窓口を設置をいたしまして、被災農林漁業者に対し、融資、共済などの支援制度に関する情報の提供や、栽培技術、経営の相談といった支援に取り組んでいるところであります。さらに、無利子融資制度を創設いたしましたほか、ハウス施設や農業用機械の再取得、修繕、被害を受けた農産物の種苗、土壌改良資材、流失した家畜用飼料の購入などに要する経費を支援しております。今後、農地、農業用施設、林地、林道の復旧、有明海の堆積土砂の撤去を初め、被災地の農林水産物の販売促進などにつきましても全力で取り組んでまいります。  次に、県及び被災市町村に対する国の財政支援でございます。県におきましては、まず災害救助法が適用となりました飯塚市における応急対策が迅速に進められますよう、七月十二日、国に対し、普通交付税の繰り上げ交付の申請を行い、七月十七日には、九月分の普通交付税の一部がいち早く飯塚市に交付をされました。今回の災害は被害が広範囲に及んだため、復旧、復興対策には多額の経費を要します。このため、国の手厚い財政支援が受けられますよう、七月十八日、全国知事会を通じて激甚災害の早期指定を国に要望し、七月二十四日、その指定が行われたところであります。七月三十一日には、議長と一緒に関係省庁及び自民党本部を訪れまして、必要な予算の確保、特別交付税の配分などについて要望をいたしました。今後も、復旧、復興が着実に進んでいきますよう、必要な財政支援について、引き続き国に対し、しっかり働きかけを行ってまいります。  次に、日田彦山線の復旧でございます。日田彦山線の復旧につきましては、JR九州青柳社長から、鉄道で復旧したいので協議の場に参加してもらいたいとのお申し入れがありましたことから、本県、大分県、沿線市町村、JR九州による日田彦山線復旧会議を設置をし、実務者レベルの検討会においても、その協議を行っているところであります。七月二十日に開催されました検討会におきまして、福岡、大分両県からは、災害復旧事業を活用することによって、JR九州が当初提示した七十億円の鉄道の復旧費は五十六億円まで低減できること、沿線市町村からは、日田彦山線の復旧後の継続的な運行を確保するため、その利用促進のための具体的な取り組みを行うことと、その内容をそれぞれ提示をしたところであります。その上で、年度内に議論をまとめ、早期着工を目指すことで関係者の合意が得られたところであります。こうした協議の中、JR九州青柳社長が定例記者会見におきまして、運行費用の負担や鉄道以外での運行といった協議の場に提案すらされていないことを発言をされました。このことは協議の場をないがしろにするだけではなく、鉄道での復旧を切望しております沿線住民の方々及び自治体に大きな不安と不信感を与えるものでございます。協議の前提となる信頼関係を大きく損なうものであると言わざるを得ず、私としても、憤りを感じているところであります。そこで、大分県、沿線市町村に急遽呼びかけを行いまして、去る八月三十一日、復旧に向けた議論については日田彦山線復旧会議の場において進めていくよう、JR九州に対し強く要請をしました。JR九州からは、青柳社長の会見における一連の発言について謝罪がなされたところであります。  JR九州には、国鉄の時代から線路の整備、鉄道の運営に多額の税金が投入され、民営化に当たりましては、それまでの債務の承継が免除され、三千八百七十七億円の経営安定基金が投入されるとともに、固定資産税の減免がなされていることを踏まえますと、JR九州には、鉄道ネットワークを維持していく重要な責務があると考えます。私としては、事業者であるJR九州が公共交通機関としての使命感を持って主体的に鉄道で復旧すべきであると考えております。JR九州は、一日も早く沿線住民の方々が被災前の利便性を取り戻すことができるよう、誠実に対応すべきであります。日田彦山線復旧会議を早期に開催をし、鋭意、その協議を進めていく考えでございます。  次に、本県の雇用情勢を踏まえた働き方改革でございます。本県の雇用情勢は、有効求人倍率が一・六四倍と過去最高水準で推移するなど着実に改善をしております。一方で、少子化による生産年齢人口の減少の影響もありまして、企業は深刻な人手不足に直面をいたしております。生産年齢人口の減少という構造的な問題の中にありまして、企業が持続的に発展をしていくためには、女性、高齢者、障がいのある方など多様な人材が活躍できる企業風土を築くとともに、労働生産性を向上させていく働き方改革に取り組んでいくことが重要であります。具体的には、長時間労働の是正、自分に合った働き方を選択できる雇用制度など誰もが働きやすい魅力的な職場環境をつくり、多様な労働参加を促していくこと、同じ時間で、より成果を出せるよう働き方を見直すとともに、雇用形態にかかわらない公正な待遇を確保し、働くモチベーションを高め、労働生産性を向上させることなどに取り組むことによって、働く人一人一人がよりよい将来の展望を持ち得るようにすることが企業の人材の確保とその成長につながっていくと考えております。県といたしましては、働き方改革推進大会の開催、実際に企業に働き方改革を宣言、実行していただきます、ふくおか・よかばい・かえるばいキャンペーンの実施を通じまして、県内企業の働き方改革に向けての機運を醸成するとともに、具体的な取り組み方法がわからない企業にアドバイザーを派遣するなど、企業の働き方改革というものを促してまいります。  次に、県庁における働き方改革でございます。県におきましては、福岡県庁における「働き方改革」の取組方針に基づき、その業務の見直し、平準化、時間外勤務の縮減などに関し全庁的に取り組んでおります。具体的には、年度途中の突発的な業務増に対応する柔軟な人事配置、全庁一斉消灯日における定時退庁の徹底、長時間勤務を行った職員の多い所属に対する改善策の検討の指示などの取り組みを行っているところであります。このような取り組みによりまして、災害などやむを得ない場合を除く昨年度の時間外勤務について見ますと、年間七百二十時間を超えた職員がそれまでの六十六人から四十七人に、月百時間以上の時間外勤務を行った職員が百四十一人から百六人にそれぞれ減少しているところであります。今後とも、積極的に働き方改革を進め、時間外勤務の縮減、ワーク・ライフ・バランスの推進というものを図ってまいります。  次に、多様で弾力的な勤務形態の導入、ICT活用についてでございます。本県では、福岡市内の所属でのみ、交通混雑緩和のため時差通勤というものを実施してきました。ことしの六月からは、職員の通勤に係る負担を軽減するとともに、生活スタイルに合わせて勤務時間を選択できるよう、この時差通勤というものを県内全域に拡大をしたところであります。また、七月から九月の間は通常の勤務時間よりも早く出勤をし、退庁する夏の朝型勤務、これを選択できるようにしております。ICTの活用につきましては、仕事の生産性向上を図るため、昨年十月、東京事務所及び職員研修所をサテライトオフィスといたしまして、主張中の職員が各種業務システムや全庁共有のデータフォルダにアクセスし、業務を行うことができるよう、共用のパソコンというものを設置したところであります。また、来月からは、現地での技術指導、企業訪問などに活用できるタブレット端末を普及指導センターや東京事務所など二十三の所属に合計九十台導入することといたしております。今後は、こうした取り組みの効果を検証するとともに、国や先進事例の動向も注視しながら、サテライトオフィスの拡充など、さらなる取り組みについて検討してまいります。  県における事業所内託児所の設置検討状況でございます。これまで庁舎内に設置をしております東京都など先行四都県について、その運営方法、利用状況等についての調査を実施するとともに、職員を対象といたしまして、設置場所、定員、開所時間、延長保育など条件を示したニーズ調査というものを実施してまいりました。その結果、託児施設の設置について職員のニーズは非常に高く、先行している全ての県が本庁舎に設置をしていることがわかりました。このため本県におきましても、子育て世代が最も多く勤務をする本庁舎に設置することが適当であると考えております。その施設の内容でございますけれども、他県の状況を参考に、定員二十名程度の認可保育所とし、地域住民や企業の従業員のお子さんたちも利用可能な地域枠というものを設けたいと考えております。今後、福岡県保育協会など保育関係者の御意見も伺いながら、本庁舎の改修内容、運営方法等について検討を進めてまいります。  次に、読書の意義と公立図書館の充実でございます。読書は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものであります。県民の読書環境の整備は重要であると、このように認識をいたしております。公立図書館を充実させるため、県立図書館におきましては、県民の多様なニーズに応じまして、郷土資料を初めビジネス、医療、文学など幅広い図書館資料の収集、貸し出し等を行っております。また、公立図書館と連携をいたしまして、県立図書館所蔵資料を最寄りの図書館で受け取り、返却ができます遠隔地サービス、また未所蔵資料を他の図書館と貸し借りをする相互貸借サービスというものを行っております。さらに、公立図書館等職員に対します研修、図書館の運営に関する情報提供、相談活動を行い、職員の資質向上を図ることによりまして、県民の皆様へのレファレンスサービス、利用者が必要とする情報や資料を提供することでございますが、それらの充実に取り組んでいるところであります。今後とも、これらの取り組みを通じまして、公立図書館の充実を図ってまいります。  子供たちを中心にした読書県民運動についてでございます。子供の読書活動を推進していくためには、子供の読書への関心、意欲を高め、読書の習慣化を図ることが必要でありまして、そのためには、全ての大人が子供の読書活動の必要性を認識し、それにかかわっていくことが重要であると考えます。このため、福岡県子ども読書推進計画に基づき、社会全体で子供の読書活動の推進に取り組んでいるところであります。学校におきましては、現在、全校一斉の読書活動等に取り組んでおりまして、また今年度から、読書ボランティアと県の社会教育関係職員が読書活動応援隊といたしまして、小学校の保護者に対し、入学説明会や保護者集会などの機会を活用して、読書の重要性の啓発と読み聞かせの手法等をお伝えしているところであります。家庭におきましては、親子で同じ本を読んだり、読み聞かせをする、家庭での読書、家読に取り組んでおります。また、地域におきましては、公立図書館職員と読書ボランティアなどが図書館や公民館、子育て支援センターなどにおきまして、子供に司書体験をさせたり、お話し会などを行っているところであります。今後、教育委員会や関係団体との連携をさらに深め、全ての学校における読書活動取り組みを初め、子供の読書活動をより一層推進してまいります。  次に、学校給食への県産農林水産物の利用拡大でございます。県では、県産米の元気つくしや夢つくし、福岡有明のりの学校給食への導入を支援するとともに、県産農林水産物を活用した学校給食料理コンクールなどを実施しておりまして、すぐれたレシピは、それぞれの学校で工夫を加え、広く活用されているところであります。また、学校給食への青果物の利用を高めるため、教育庁やJA、学校給食関係者などで構成しております会議におきまして、県産青果物、これらを使った加工品の導入を検討し、キウイフルーツやミカンジュースなどが多くの学校で利用されているところであります。学校給食への利用が進んでおります市町村におきましては、直売所やJA、栄養教諭等との定期的な協議によりまして産地と教育現場との連携が図られ、県産青果物の利用の割合が四割を超える市町村もございます。一方で、利用が進んでいない市町村からは、学校と生産者との連携の仕方がわからない、また地元農産物の品目や出荷時期がよくわからない、そういった課題が掲げられております。このため、これまでの取り組みに加えまして、一昨年度から、学校とJAと直売所との連携により導入が進んだ事例というものを紹介し、昨年度からは、学校の栄養教諭等を対象とした生産現場の視察などを行っているところであります。県といたしましては、今年度から、食育・地産地消推進計画に基づきまして、青果物のみならず、畜産物、水産物などを含めた全体の利用状況を今、把握しているところでございまして、そのデータを踏まえつつ、学校給食における県産農林水産物の使用割合の目標値であります三〇%、その達成に向け、取り組みを進めてまいります。  次に、森林の適正な管理についてお尋ねがございました。来年度から開始をされます森林経営管理制度は、林業の成長産業化と森林の適切な管理の両立を図るために創設されるものでございます。この制度は、経営が不十分な森林を市町村を介して意欲と能力のある林業経営者に集約化するとともに、集約できない森林につきましては市町村みずからが管理することとなっております。しかしながら、この制度の円滑な運用に当たりましては、林務行政に通じた市町村職員が少ないこと、森林経営の受け手となる林業経営者の確保といった課題がございます。このため県といたしましては、県へ譲与される森林環境譲与税を活用いたしまして、林業の専門知識を持ったアドバイザー派遣などによります市町村への支援を行うとともに、林業経営を担う人材の育成、確保対策を強化していく考えであります。また、森林環境譲与税が創設されることを踏まえまして、今月六日、福岡県森林環境税検討委員会から、福岡県森林環境税を継続をし、荒廃森林の再生等の取り組みを計画的に実施をすること、市町村への譲与税は、森林整備のほか、木材利用の促進、放置竹林対策など地域独自の取り組みにも活用すること、この二つの税を効果的に活用するため、県は、森林環境譲与税の使途というものを市町村に示すこと、これらについての御提言をいただきました。県といたしましては、この提言を踏まえ、今後、市町村に対し、森林環境譲与税の効果的な活用方針というものを示していきたいと考えております。 5 ◯議長(井上 順吾君) 城戸教育長。 *教育長答弁 6 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 子供が読書好きになるための図書館における工夫についてでございます。県立図書館では、親子で本を読むためのスペースや子供が落ちついて読書や調べ学習を行うことのできるスペースを設けております。また、お薦めの本の紹介や発達段階に応じたお話し会の開催など子供が読書に興味を持つための工夫をしております。こうした取り組みは、県立図書館の働きかけにより、県内の公立図書館においても広く実施されており、今後とも、県立図書館が子供の読書活動の推進拠点としての役割を果たしていけるよう努めてまいります。なお、新刊の一定期間貸し出し禁止につきましては、定期刊行物の一部について行っております。  県内子供図書館の現状と子供読書推進のための連携についてでございます。県内市町村に公立の子供図書館はありませんが、子供専用の読書コーナーを設置している図書館は五十八館ございます。県立図書館では、公立図書館と連携して、子供の読書に適した学校貸し出し図書セットの内容を充実させ、利用の促進を図っております。また、子供の読書活動にかかわるボランティアや図書館職員を対象に研修を行い、読み聞かせや本の紹介を競い合うビブリオバトルなどに関する資質、能力の向上に努めております。こうした連携を通じて、子供の読書活動を推進しております。  学校給食への県産農林水産物の利用拡大についてでございます。学校給食に県産農林水産物を活用することは、地域の自然や食文化、生産者の努力に対する児童生徒の理解を深め、食に対する感謝の念を育む上で大変重要でございます。そのため県教育委員会といたしましては、県産農林水産物の使用を条件とし、中学生を対象とした学校給食レシピコンクールや給食調理員を対象とした学校給食料理コンクールを毎年度開催し、その成果を各学校へ周知するなど学校給食への利用促進に努めております。また、学校や地域の実態に応じた地元食材の活用を各学校の学校給食献立年間計画に位置づけるよう、栄養教諭研修会を通じて啓発をしているところでございます。今後とも、これらの取り組みを推進し、児童生徒の郷土への関心を高め、地域の食文化の継承につながるよう、学校給食への県産農林水産物の利用拡大に努めてまいります。  道徳の時間の教科化に対する認識についてでございます。これからの複雑、困難な社会においては、子供たちが高い倫理観を持ち、人としての生き方や社会のあり方について、よりよい方向を目指す資質、能力を備えることがこれまで以上に重要でございます。こうした人格形成の根幹にかかわる道徳の時間が特別の教科道徳として教科となり、学校教育の中核に位置づけられたことは大変意義深いことであると認識しております。  道徳科の評価についてでございます。道徳科は、人格形成の根幹にかかわる特質を有するものであることから、数値による評価は行わず、道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、記述式により行うべきものであるとされております。このため県教育委員会としては、教員が道徳科の特質や指導法に対する理解を深め、適切に評価を行うための指導資料を作成、配付するなどの支援を行っており、一学期を終了し、本県における道徳科の評価は、学校現場から特に問題があるとの報告を受けておらず、おおむね円滑に実施されているものと認識しております。  教科化の意味についてでございます。学校教育における教科は、一般的に、系統的に組織化された教育内容を教授するものとされております。一方で、道徳の時間は、単に系統的な教育活動としてあるだけでなく、その特性として、学校の教育活動全体を通じた道徳教育のかなめとしての役割を果たすものというその特別な性格を重視し、特別の教科道徳として教科に位置づけられたものであると理解しております。  道徳教育推進のための体制整備についてでございます。本県では、道徳教育推進市町村を指定し、その地域における実践的な研究を進めることを通して、その成果を県内に普及啓発しております。また、各地域の道徳教育の推進リーダーとなる道徳教育推進教員を毎年二十四名育成してきております。これらの推進教員が市町村や各学校での指導的役割を担うことで、各地域の授業の質的向上を図り、道徳教育の充実につなげるようにしているところでございます。  若年教員の資質向上についてでございます。道徳科を含め各教科の質の高い授業を実現するためには、急増する若年教員の資質向上が喫緊の課題でございます。こうした背景のもと、本県においては、教員の資質、能力を明確にした育成指標を作成するとともに、それに基づく研修計画を次年度から実施することとしております。特に、若年教員については、授業力の向上に重点を置き、授業の構想、展開、評価に係る育成指標に基づいた研修を充実させ、基礎的、基本的な資質の育成を図ってまいります。  市町村における空調設備の設置状況及び未設置市町村に対する県の対応についてでございます。本年九月一日現在、公立小中学校の全ての普通教室に空調設備を設置している市町村が三十ある一方、未設置の市町村は四、一部設置の市町村は二十六となっており、県全体の普通教室数における設置割合は八一・六%となっております。なお、整備がおくれている市町村においては、いずれも近年の猛暑等を考慮し、整備を進めていく考えがあることから、県教育委員会といたしましては、市町村の空調整備が計画どおりに実施できるよう、国における十分な予算の確保について、県単独あるいは教育長協議会等を通じて文部科学省に強く要望を行っているところであります。また、市町村教育委員会に対しては、今後増加が予想される国の補助金を活用して計画的に整備を図るよう促してまいりたいと考えております。 7 ◯議長(井上 順吾君) 浦伊三夫君。
    8 ◯九番(浦 伊三夫君)登壇 答弁をいただきました。知事の答弁は到底納得いくものではありません。  職員の不祥事に対する答弁にしては、これは六月の議会と同じ答弁ではないですか。本気で不祥事を撲滅するという気概が全く感じられません。  また、日田彦山線の復旧に関して言わせていただくならば、大分県など、急遽呼びかけ、JR九州に要請したという答弁でありましたが、知事は、その要請の場に行かれてはいないじゃないですか。JR九州社長の発言に対して直ちに反応したのは大分県知事ではないですか。災害が発生して以降、この件に関して知事の向き合う姿勢というもの、これが県民に対して大変不信感を持たれているということであります。  これらのことに対して、我が会派は決算特別委員会などで出処進退についても追及をさせていただくことをお伝えして、代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 9 ◯議長(井上 順吾君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後二時二十分といたします。           午 後 一 時  十二分  休 憩           午 後 二 時 二十一分  再 開 10 ◯副議長(畑中 茂広君) 再開いたします。  休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。大田京子君。(拍手) *大田(京)議員質問 11 ◯四番(大田 京子君)登壇 皆様、こんにちは。国民民主党・県政クラブ県議団の大田京子です。本日は代表質問の機会をいただき、地元福岡市南区を初めこのように多くの方に傍聴にお越しいただきましたこと、心より感謝申し上げます。それでは質問に入ります。  初めに、昨年七月の九州北部豪雨、本年七月の西日本を中心とする豪雨、台風二十一号、さらには北海道胆振東部地震によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。  さて、こうした大規模災害が続く中、多くの自治体職員が災害復興に取り組んでおり、本県職員においても日夜懸命に励んでいるところです。しかしながら、一部の職員とはいえ、本県において、昨年八月からこの一年間で八人の逮捕者が出るなど不祥事が相次いでいることは言語道断であり、決して許されることではありません。これら不祥事は何の前ぶれもなく突然起こるのではなく、仕事や私生活にストレスや悩みを抱えているなど何らかの原因がある場合が多いと言われています。  そこで、今後の不祥事再発防止に当たっては、職員が悩みを抱え、誰にも相談できず孤立することがないよう、職場で支え合う環境を築いていく視点を持った対応が重要であると考えますが、知事の見解をお聞きします。  また、これまでも知事は、不祥事のたびごとに陳謝と再発防止を答弁されていますが、まことに遺憾ながら、その後も不祥事が続いています。これは、これまでの再発防止策が何ら効果を上げていないことを如実に示しています。午前中の代表質問でも厳しい指摘がありましたが、昨年八月の陳謝から回を重ねて、今回の陳謝はその内容と重みが違うと思いますが、こうした事態について知事はその責任をどのように受けとめておられるのかお尋ねいたします。  次に、二〇一八年七月西日本豪雨について知事にお聞きします。七月五日からの豪雨では、本県でも死者三名、家屋被害三千六百五十九件、道路の全面通行どめ百十二カ所など、人命も含めた多くの被害が発生しました。特に飯塚、久留米地域において大規模な浸水被害となり、家屋や農作物に大きな被害が生じました。また、今回の豪雨は県内の広範囲にわたったことから、遠賀川や筑後川といった大きな河川の水位が上昇し、そこに合流する河川において浸水被害が発生しています。  そこで一点目に、二〇一八年七月豪雨における県管理河川での被害状況及び特徴についてお聞きします。  二点目に、本県の浸水対策の状況と課題についてお聞きします。本県が管理する河川の総延長は千九百十四キロに及び、県土整備部を中心に河川の維持管理についてさまざまな取り組みを行っていますが、県管理河川の維持管理、河川改修に係る県単独事業費においては、この四年間で一億四千五百万円減少し、補助、交付金事業においても同年比で約四十億円の減少となっています。県管理河川については、二年連続で大きな河川災害が発生していることを踏まえると、これまで以上に維持管理及び保全の対応が急がれます。  そこで、まず県管理河川の維持管理や改修工事について、どのような優先順位をつけているのかお示しください。  また、今後も予算の減少傾向が続けば県管理河川の維持管理、改修が適切にできるのか危惧いたしますが、知事はどのように考えるのかお聞きします。  三点目に、今後の浸水対策を含む防災対策についてお聞きします。昨年発生した九州北部豪雨では、多くの被害が発生したことを教訓に、県地域防災計画を初めさまざまな防災関連のマニュアルの再検討及び災害に即応するための防災危機管理局の体制見直しが図られています。  そこで、今回の豪雨被害において、前回の再検討の上変更された防災に関する各種計画等による具体的成果についてお答えください。その上で、さらに検討を要するもの、より強化すべきものは何か検討が必要であると考えますが、お答えください。  この項の最後に、土砂災害についてお聞きします。七月五日の西日本豪雨では、北九州市門司区で崖崩れが発生し、二名の方がお亡くなりになりました。土砂災害危険箇所については、地すべり危険箇所、急傾斜地危険箇所などに分類され、人家五戸以上に被害が発生するとされる要対策箇所は、二〇一七年度末で五千五百七十一カ所に上ります。一方、対策工事済み箇所は同年末で九百七十カ所と全体の一七・四%にとどまっています。九年前の二〇〇九年度における対策工事済み箇所の全国平均整備率は二三・七%となっており、このことからも本県の整備は極めておくれていると言えます。また、ここ五年の新規事業箇所は年平均で二十一カ所となっており、未着工箇所の四千六百一カ所全てで事業を完了させるには、あと二百十九年かかる計算になってしまいます。予算や土地所有者との交渉などでさまざまな制約があり長期間になることは理解できますが、だからこそ優先順位をいかに決めるかが重要であると考えます。  そこで、未着工の要対策箇所の優先順位について、どのように分析しているのかお示しください。その上で、全国平均に比べ整備が進んでいない現状からも、今の進捗のままでいいと考えているのか、今後の対策も含めお答えください。  次に、在福岡タイ王国総領事館の開設を契機とした、さらなる日タイの交流促進について知事にお聞きします。福岡県議会とバンコク都議会が友好提携を締結して、ことしで十一年、また福岡県とバンコク都においてはことしで十二年になります。この間、廃棄物処分場の福岡方式の普及や、高齢者の健康づくりの推進、高校生の相互交流など多岐にわたり交流を進めてきました。ほかにも九州の自立を考える会の協力もいただき、バンコク都などに十二台の消防車を寄贈したことに加え、去る八月にはナコンシータマラート県に消防車一台、ごみ収集車二台を贈る調印式も行いました。また、同じく八月に、バンコク都のワット・ヌアンノラディット高校を訪問し、そこの生徒たちが西日本豪雨の復旧、復興を祈り描いてくれたという絵と横断幕を受け取りました。この絵と横断幕は、本県及び県内市町村が復興支援で職員を派遣している愛媛県の宇和島市に届けられ、地域の公民館で展示されるとともに、福岡県庁でも展示されました。また、これまで約二年にわたり、タイ議連を中心としてタイ王国総領事館の誘致に取り組み、その実現を果たしました。  そこで、我が国とタイ王国の交流促進のため、県議会と県行政はそれぞれバンコク都議会とバンコク都との友好提携を軸に、ともに重要な役割を担ってきたと自負していますが、その成果と意義についてお聞きします。  その上で、在福岡タイ王国総領事館が近く開設され、両国関係の新たな一ページを開くことになりますが、開設に向けた進捗状況と、開設を契機として本県としてどのように交流を深化させていくのか、取り組みを進めていくのか、知事の考えをお聞きします。  次に、本県とタイとの関係をさらに深める重要な取り組みとして、スポーツ交流の促進を提案します。本年八月、私たちタイ議連は、タイ政府スポーツ庁を訪問し、サンウィアン・ブントー副総裁と会談しました。この際、副総裁は、本県がバンコク都と直行便で結ばれていることや、スポーツ関連施設が充実していることに期待感を示し、タイ政府としてスポーツ関連の出先機関を海外に設置することが法律上可能であると説明しました。また、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、各競技団体に対し本県での事前キャンプの要望の聞き取り調査や、スポーツ界を担う選手育成のキャンプ実施を検討しているとの話もありました。私たちはこれらの話から、先方が福岡県にスポーツ庁の事務所を置くことを検討したいという強い意志があるものと受けとめました。  そこで、本県として、副総裁からのこれらの提案を踏まえ、タイ政府スポーツ庁の海外事務所を誘致するために全力を挙げるとともに、スポーツ交流を積極的に推進すべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。  次に、入札評価項目の見直しについてお聞きします。建設業で働く労働者の確保は、近年極めて厳しい状況に置かれています。福岡県の有効求人倍率は、本年七月現在一・六四となっていますが、建設・土木技術者は四・〇二、建設躯体工事においては八・五八にも上り、土木建設の現場からは、働き手がいないという悲痛な声が届いています。建設労働者の確保のためには、その待遇改善を図ることが喫緊の課題であり、建設労働者の待遇改善に資する施策の充実について、以下知事に質問します。  まず初めに、先ほど述べた近年の建設労働者不足の状況について、知事としてどのように認識しているのかお聞きします。  二点目に、入札参加資格における評価項目についてお聞きします。本県の公共入札制度は、二〇一三年度から入札参加資格審査において地域貢献活動を評価項目に導入しています。その内容は、障がい者雇用や子育て応援、防災協定、飲酒運転撲滅など三十項目あります。  そこで、この地域貢献活動の導入の目的について、知事としての認識をお聞きするとともに、評価項目に入れたことによって、どのような成果があったのか具体的にお示しください。  三点目に、地域貢献活動における建設労働者の適切な賃金、労働条件確保についてです。我が会派は、本県が発注する公共工事に従事する労働者の適切な賃金水準の確保を目指し、公契約条例の制定などについて、たびたび質問してきました。また、知事は二〇一五年九月定例会において、我が会派の中村誠治議員の代表質問において「県が発注する公共工事に携わる労働者の適正な労働条件を確保していくことは、公共工事の円滑な執行を図る上でも重要なことである」と答弁しています。現在、本県ではさきに述べたように入札参加資格審査において地域貢献活動を評価項目として導入しており、労働者の適正な労働条件確保に資する項目が含まれています。我が会派が求めてきた公契約条例の本来の狙いは、近年の労働者不足や官製ワーキングプアをなくすこと、労働者の労働環境の改善を図っていくという点にあります。  そこで、入札参加資格審査の地域貢献活動項目において、賃金の適正な確保や働き方改革に資する項目を新たに設けるべきだと考えますが、知事の考えをお聞きします。  次に、外国人のための医療体制の整備についてお聞きします。我が会派は、本年六月に、ベトナム社会主義共和国における外国人のための医療体制を視察すべく、ホーチミン市にあるファミリーメディカルプラクティスを訪れました。ベトナムにおいては、二〇一〇年から二〇一六年の経済成長率が年平均六%であり、活発な経済活動に伴い在留外国人や外国人観光客数が増加し、同時に外国人の医療受診者も増加しています。ファミリーメディカルプラクティスは、ベトナム国内で計五つのクリニックを開設し、二十四時間三百六十五日対応での救急車搬送サービスを初め、日本語、英語、スペイン語などの十五を超える言語について二十四時間体制で通訳サービスを行うなど、各地域での緊急の事態に対応しています。  そこで、本県においても二〇一三年から二〇一七年の五年間で、在留外国人数は約一・三倍、入国外国人数は三倍以上と急増しており、外国人のための医療体制の整備が急務であることから、以下知事に質問します。  一点目に、本県における外国人のための緊急医療体制の充実についてです。昨年二月議会の代表質問において原竹岩海議員が一一九番通報への多言語対応について質問し、その後、県内二十五消防本部全てで多言語対応の体制が整備されました。しかしながら、多言語対応には、一、外国語の音声案内によるもの、二、外国語の応答マニュアルによるもの、三、三者間同時通訳によるものがあり、本県の三者間同時通訳を行っているところは十六本部のみとなっています。総務省は、この三者間同時通訳を、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックまでに一〇〇%整備するという方針を打ち出し、昨年度より導入する市町村に対して地方交付税措置を講じています。  そこで、本県では二〇二〇年に間に合うよう、どのように一〇〇%の整備を指導するのかお聞きします。  二点目に、外国人のための医療相談体制についてです。福岡県は、福岡市と共同で、外国人が安心して医療を受けられるようにするため、福岡アジア医療サポートセンターを運営しています。同センターにおいては、二十四時間三百六十五日、十五言語で対応する医療に関する外国語対応コールセンターを開設しており、利用件数は一昨年度の三十七件から、昨年度は計三百五十六件へと大きくふえています。その主なサポート内容は、症状の確認などの問診、診断結果や処方薬の説明、手術後の注意事項の説明などであり、正確な通訳技術だけでなく、医学用語や医療制度の知識などが求められ、質の確保が重要であることがわかります。  そこで、同コールセンターで通訳を担っている方々に求められる、一定レベル以上の通訳技能の質をどのように確保しているのか、また通訳者の語学認定の取得を進めていくべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。  次に、人口減少地域における地域振興についてお聞きします。我が会派は、島根県隠岐諸島の海士町、西ノ島町を六月末に視察しました。この二つの町は、離島という地理的条件は同じですが、地域振興の手法は大きく異なっていました。西ノ島町は、豊富な観光資源に恵まれ、隠岐ユネスコ世界ジオパークとして二〇一五年に認定され、クルーズ船誘致活動など積極的な観光政策を行い、基幹産業であるまき網漁業については、後継者確保対策事業を行うことで漁業従事者を都会から呼び込むことに成功しています。一方、海士町は、特筆すべき観光資源も基幹産業もないことを逆手にとり、ないものはないをキャッチフレーズとし、公共事業からの脱却、島に産業を興し、島の商品を売り、島に人をふやすことを目標に活動をすると同時に、町の活性化において、いわゆる、よそ者、若者の意見を取り入れることで隠岐牛、塩、岩ガキなどのブランド化に成功するなど、独自の産業育成の地域振興策を進めてきました。このような町を挙げての努力の結果、海士町は、二〇〇七年の地域づくり総務大臣表彰で大賞に選ばれました。町の総人口こそふえていませんが、Uターン者が増加し、Iターン者も三百八十四世帯ふえ、町の総世帯数千百八十三世帯の約三割を占めるようになり、新しい視点や発想を有するUターン者、Iターン者の増加が町の原動力となっています。  そこで知事にお聞きします。福岡県においても、ふくおかよかとこ移住相談センターでUターン、Iターン、Jターンの促進に取り組んでいますが、どのような活動を行っているのか、実際に移住した人たちの人数や移住先、人口が減少している市町村への対応も含めてお聞きします。あわせて、市町村の移住施策について、特徴的な施策や成功している事例があれば教えてください。  また、国は、地域おこしの支援や農林水産業への従事などを行う地域おこし協力隊の取り組みを全国的に展開しています。そこで、福岡県では何人の地域おこし協力隊員が活動されているのか、またその活動内容についてお聞かせください。  その上で、この協力隊員は三年の任期を終えると、その地域に定住することを期待されていますが、任期を終えた隊員の県内への定住状況及び任期満了後の定住を促進するため、県としてどのような支援を行っているのかお答えください。  次に、高校教育改革による町の活性化について教育長にお聞きします。海士町でただ一つの高校である島根県立隠岐島前高等学校は、一時深刻な廃校の危機に直面していましたが、特色ある授業を行うことで全国的に注目を集め、今では全国から入学希望者が集まる高校になっています。以前は海士町の中学校を卒業した子供たちの多くが本土の高校へ進学していましたが、近年では海士町にとどまって島前高校に進学するなど、地域振興にも貢献しています。ほかにも、生徒が地域行事に積極的に参加することで島の住民とのきずなが育まれ、他県から来た高校生たちにとっても海士町が第二のふるさととなり、島に残り就職したり、みずから起業する卒業生もいるとのことです。さらに、島前高校では、離島が抱えるさまざまな地域課題について生徒たち自身で解決策を模索する実践的な教育や、ICTを活用した外国を含む地域外の人たちとの交流などを通じて豊かな学びの場を提供する授業を行っています。  そこで初めに、これらの取り組みについてどのように評価されているのかお聞かせください。  また、本県においても地域の人口減少に伴って入学試験の競争倍率が低下したり、定員割れとなっている県立高校がありますが、島前高校は県立高校ながら特色ある学校づくりに取り組み、学校を活性化させ地域の発展にも寄与しています。  そこで、本県の県立高校においても、このような地域の発展にも寄与できる魅力ある学校づくりをすべきと考えますが、教育長の見解をお聞きします。  以上、知事及び教育長の真摯な答弁をお願いいたします。(拍手) 12 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 13 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、今後の不祥事の再発防止でございます。不祥事の再発防止のためには、全職員が公務員としての深い自覚を持ち、みずからの行動を厳しく律することはもとよりのことといたしまして、職員が互いに信頼をし合い、活発な意見交換、公私を問わずに相談できる風通しのよい職場づくり、これが大事だと思っております。私自身、さまざまな機会を通じて職員の皆様に声をかけ、意見を聞き、信頼関係の構築に努めてきております。また、幹部職員によります職場への訪問や職員への声かけ、これも行っているところであります。このほか、所属長が全職員と個別面談を行い、悩み事の相談に応じますとともに、職員が自由に発言できる環境を整えるため、係単位でのミーティングというのを定期的に行っているところでもあります。このように、これからも風通しのよい職場づくりに全庁挙げて取り組んでいき、不祥事の再発防止に努めてまいります。  不祥事が相次いでいる事態についてお尋ねがございました。不祥事の再発防止に取り組んでいるさなか、今回再び職員が逮捕される事件が発生しましたことは痛恨のきわみでございまして、県民の皆様に大変申しわけなく思っております。このような事態になりましたことに県行政のトップとしての責任を痛感しておりまして、再発防止に全力で取り組んでいくとともに、県政の推進に邁進をいたしまして、県民の皆様の信頼を回復していきたいと、このように考えております。  次に、豪雨災害、御質問がございました。  まず、県管理河川での被害状況と特徴についてでございます。県管理河川におきましては、浸水被害が四十九の河川、護岸や堤防の施設被害が三百七十三カ所で発生いたしております。今回の豪雨では、昨年の九州北部豪雨のような局所的な被害と異なりまして、五十一市町村において大雨特別警報が発表されるなど広範囲で長時間の降雨により県内の広い範囲にわたり被害が発生をしております。このような降雨によりまして、本川や支川の水位が上昇し、水の行き場がなくなりまして、支川から溢水したことによる浸水被害が多く発生した、そういう特徴がございます。  県管理河川の維持管理、改修工事についてでございます。堆積土砂のしゅんせつなどの維持管理につきましては、所管の県土整備事務所が河川の巡視、地元要望などをもとにいたしまして、治水上の安全度、これを判断をして実施をしてきているところであります。河川改修につきましては、過去の浸水の被害、流域の人口や家屋などの集積状況、費用対効果などを総合的に勘案をいたしまして、優先度の高い河川からこれを実施してまいりました。県といたしましては、近年の降雨状況、浸水状況などを踏まえまして、効率、効果的な維持管理、そして河川改修を実施をいたしまして、治水安全度の保持向上に努めてまいります。  次に、今後の防災対策の充実についてお尋ねがございました。県におきましては、一昨年の熊本地震、昨年の九州北部豪雨における私どもの対応の検証を行いまして、その結果を踏まえて、地域防災計画の改正、初動態勢の強化など防災対策の充実を図ってまいりました。まず、副知事をトップといたします被災者支援チームというものを計画の中に位置づけまして、その体制を明確にしたことによりまして、今回の豪雨災害におきましては生活再建、事業継続、行政運営の支援に迅速に取り組むことができました。また、災害時緊急派遣チームを計画の中に位置づけまして、被災自治体への派遣要員の候補者をあらかじめ登録をし、その研修をしておきますことから、全国知事会からの、今回愛媛県宇和島市への派遣要請、これに迅速に対応することができました。さらに、車両や衛星携帯電話など資機材を防災危機管理局に新たに配備をいたしまして初動態勢を強化したところでありますが、そのことによりまして発災直後から被災自治体へ現地情報連絡員を派遣することができ、彼らを通じて現地の状況というのを迅速に把握することができました。今回の災害で特に被害の大きかった河川につきましては、国、県、関係市町から成ります筑後川水系の久留米市街地周辺内水河川連絡会議、遠賀川水系の平成三十年七月豪雨浸水対策連絡協議会におきまして、それぞれ浸水状況やその要因を共有し、点検、確認、検証を行ってまいります。加えて、国や、特に甚大な被害をお受けになった広島県、岡山県におきましても、それぞれ検証を行うこととされております。県といたしましては、今後、これらの検証結果も踏まえて、必要に応じて地域防災計画の改正などを行ってまいります。  次に、土砂災害対策でございます。ハード対策に際しましては、保全対象の人家の戸数、公共施設の有無、過去の災害の履歴、地元の協力態勢などを勘案をいたしまして、効率的、効果的な整備に努めてまいりました。また、今回の豪雨災害を受けまして、県では国との協議を進めた結果、北九州市門司区奥田地区など八カ所の災害関連事業というのが採択をされたところであります。さらに、国によりまして全国を対象に激甚災害に指定されましたことから、高さ五メートル以上、保全家屋数二戸以上の崖崩れ箇所につきましても、市町村において、その災害関連事業を実施することが可能となりました。県といたしましては、市町村に対する技術的支援を行いながら、その事業採択に向けて国に働きかけをしてまいります。引き続き、県、市町村連携をいたしまして土砂災害対策に取り組んでまいります。  しかしながら、一方で施設整備には土地の提供等地元の協力が必要でございまして、また多額の費用と時間を要するものであります。このため現在、要配慮者利用施設に配信をしております土砂災害危険度情報、これをあらかじめ登録していただいた県民の皆様にもプッシュ型でメール配信できるよう、ソフトの対策の充実にも今後努めてまいります。今後とも、ハード、ソフト一体となった総合的な土砂災害対策をしっかり進めてまいります。  次に、バンコク都及びバンコク都議会との友好提携を軸にした交流の成果と意義でございます。県におきましては、友好提携先でありますバンコク都を中心に、中小企業経営者の相互交流、福岡方式の廃棄物処分場の整備、議員が指摘されたとおりでありますが、高校生の相互派遣、介護予防人材の育成など幅広い分野でタイとの交流を推進してきています。また、県議会におかれましても、バンコク都議会との友好提携に基づく交流を積み重ねられるとともに、バンコク都やタイ南部のナコンシータマラート市に対し消防車などを寄贈されるなど活発にタイとの交流を進めてこられています。特に、タイの総領事館の設置につきましては、県議会はこれまで培ってこられた人脈を生かし、タイ政府に対する積極的な働きかけを行ってこられました。また、県はタイ政府や我が国外務省に対し、さまざまな機会とルートを通じて働きかけを行ってまいりました。このたびの総領事館の福岡設置というのは、このように県議会と県が相互に連携をいたしまして、タイとの交流を積み重ねてきた結果が結実した大きな成果であると、このように考えております。福岡県とバンコク都のみならず日タイ間の交流にさらに弾みをつける上で大変意義深いものであると、このように考えております。  次に、総領事館開設に向けた進捗状況等でございます。ことしの二月、来県されたタイ王国のソムキット副首相が、総領事館を本県に開設することを発表されました。その後、本県におきましては、駐日タイ大使館に対する県内物件の情報提供、タイ政府視察団が来県した際の候補地への同行などさまざまな支援を行ってきておりまして、現在、タイ政府において、その開設に向けた準備を着々と進めておられるところであります。本県におきましては、総領事館の開設を記念し、タイ政府の協力を得て、今月末、タイの文化や食などを県民の皆様に紹介をするタイフェスティバルを開催するほか、来月、タイ経済セミナーを開催することといたしております。本県といたしましては、ベトナム総領事館の開設によって留学生や在留ベトナム人が飛躍的に増加をし、貿易や投資等の額も大幅に拡大したように、今回のタイ王国の総領事館開設を大きな契機として捉えまして、観光客や留学生の増加など人的交流を一層促進するとともに、貿易、投資といった経済交流、さらには文化交流など、それらの拡大につなげていきまして、バンコク都を初めタイ王国との友好交流関係をさらに強化してまいります。  次に、タイとのスポーツ交流でございます。県におきましては、これまで東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ地誘致活動に関係の市町村と一体となって取り組んでまいりました。その結果、北九州市は昨年の七月、タイの卓球協会との間でキャンプ実施に関する協定を締結をいたしました。この協定に基づきまして、ことしの六月ですが、北九州市で開催されました卓球ジャパンオープンの荻村杯、その際には、タイのユース世代の選手によるトレーニングキャンプが実施をされまして、地元の北九州の高校生との合同練習などスポーツの交流が行われたところであります。またことしの五月、同国タイのテコンドー競技の事前キャンプの実施が北九州市で決まっておりまして、タイと北九州市のスポーツ交流がさらに進んでいくものと考えております。北九州市以外の市町村につきましても、事前キャンプ、相手国とのスポーツ交流が始まってきておりまして、県といたしましても、こうした市町村との連携を強化しながら、大会の後も各国とのスポーツ交流を進めていく考えであります。  御質問にありましたように、タイ政府がスポーツ庁関連事務所を海外に設置されるということになりました場合、またそれが本県に設置されることになりますと、タイと本県とのスポーツを通した交流が推進されることになると、このように考えます。このため、まず私どものバンコク事務所を通じまして、タイ政府の意向など、その情報収集に努めてまいります。  次に、近年の建設労働者不足に対する認識でございます。本県におきましては、建設業関係職種の求人が求職を大きく上回る状態が続いておりまして、その中でも鉄筋工、型枠工といった建設躯体工事の職業におきましては有効求人倍率が八倍を超えるなど深刻な人手不足に直面をしている、このように考えております。県におきましては、建設業界における人材の育成確保を図るため、建設業界の魅力を発信するセミナー、企業と求職者のマッチング、高等技術専門校や認定職業訓練施設における職業訓練、これらを実施してきているところであります。また、深刻な建設労働者不足の状況を踏まえ、業界団体と相談をし、本年度から新たに認定職業訓練に躯体基礎科というものを加えたところであります。  次に、入札参加資格における加点評価でございます。本県におきましては、県が推進する施策への積極的な協力を促すため、地域貢献活動というのを加点評価に導入したわけでございます。平成二十五年度から導入しております。現在、防災協定や子育て応援といった三十の項目につきまして、県が定める要件を満たす企業に対し、入札参加資格の格付におきまして加点評価を行っているところであります。その成果でございます。地域貢献活動にかかわる申請件数は当初、スタートさせたときは一万六百四十二件でありましたが、昨年度は一万六千二百二十九件と年々増加をしてきておりまして、企業における地域貢献活動の取り組みというのが着実に広がってきているというふうに考えております。  建設労働者の適正な賃金、労働条件確保を地域貢献活動の評価項目とすることについてお尋ねがございました。適正な労働条件を確保することは、労働者自身のみならず企業における人材の確保、定着を図る上でも重要であると、このように考えております。このため現在、建設業における雇用管理者への研修や労働災害防止に取り組む企業について、地域貢献活動における加点評価の対象としているところであります。これらに加えまして、働き方改革を通じた労働環境の改善、適正な労働条件の確保の取り組みについて加点評価の項目に追加できないか、その検討を進めてまいります。なお、賃金につきましては、本来、労使間で自主的に決定されるべきものでございまして、これを加点の評価に加えることにつきましては、労使双方の意見を十分に聞いた上で慎重に判断しなければならない、そのように考えております。  次に、消防本部における一一九番通報への三者間同時通訳についてでございます。三者間同時通訳は、外国人からの一一九番通報、その対応を円滑にするため、電話通訳センターを介して通報者と消防本部の指令員と通訳者、この三者の間で通話を行うものでございます。外国人からの通報に迅速、的確に対応するため有効なものであるというふうに考えております。県内二十五消防本部のうち、十六の消防本部が、既にその導入を行っているところでありまして、残り九消防本部のうち七つの消防本部が東京オリンピック・パラリンピック開催までに導入をすることといたしております。県といたしましては、残りの二つの消防本部に対し、担当部局が直接出向きまして、私ども県また他の消防本部における、こういった導入の事例、複数の消防本部で一括契約を行った場合の利点などについて情報提供を行いまして、東京オリンピック・パラリンピック開催までにこの二つの本部も導入するよう促してまいります。  次に、外国人のための医療相談体制についてお尋ねがございました。電話通訳を実施する上で質の確保は重要であります。このため県におきましては、医療通訳についての知識や経験、語学力、通訳者の技能向上などについて審査を行いまして、医療に関する外国語対応コールセンターの事業者というものを選定しております。また、その受託事業者におきましては、通訳者の採用に当たって、原則、英語はTOEICの八百五十点以上など基準を設けているところであります。あわせて、ネーティブスピーカーによる面接試験などを行っておりまして、語学に関する認定は有しない場合でありましても、十分な通訳能力というのを有していることを確認しております。  なお、認定の取得につきましては、通訳能力の高さを客観的に判断できますことから、その取得を進めていくよう受託事業者と協議を進めているところであります。また、医療通訳におきましては、語学力以外にも医療に関する知識が求められます。このため、受託事業者に対し、医薬用語や医療制度にかかわる研修を行わせるなど通訳技能の質の向上にも取り組んでいるところであります。  次に、本県のUIJターン促進の取り組みについてお尋ねがございました。福岡県におきましては、平成二十八年七月、東京有楽町と福岡市の天神に、ふくおかよかとこ移住相談センターを開設をいたしまして、県内各市町村における就業、住宅、子育て支援等に関する情報をワンストップで提供するとともに、専任の移住相談員が移住希望者お一人お一人のニーズに応じてきめ細かな対応を行ってきているところであります。センターにおきましては、市町村と連携して、仕事、住宅事情といったテーマ別のセミナーや相談会を開催をしておりまして、これまでにセミナーで移住相談やPRを行った、三十二市町村ございますが、そのうち約八割に当たる二十五の市町村が、県の人口移動調査において人口が減少している市町村となってございます。これらの取り組みによりまして、ことしの八月末までにこのセンターを利用して移住された方は、二十四市町二百四十七名となってございます。このうち福岡市への移住が百十八名と最も多くなっておりますけれども、一方で六十四名が人口が減少している市町に移住しております。県といたしましては、人口減少地域におきまして、人口流出を抑制し、首都圏等からの移住、定住を促進することによりまして地域を活性化させることが重要であると考えております。引き続き、市町村に対しまして、センターの活用を積極的に働きかけることによりまして、その移住、定住者の増加を図ってまいります。  次に、市町村の移住施策における特徴的な施策などについて御質問がございました。例えば、うきは市におきましては、地域おこし協力隊員が、うきは暮らしプランナーとなりまして、うきは市での暮らしを体験すると同時に、その働き先まで探す移住体験ツアーというものを実施をしたり、創業を希望されている方にはそのニーズに合った物件を探すなど、移住希望者へのきめ細かな対応による支援というものを行っておられます。昨年度、これらの支援制度の活用によりまして、うきは市には十八人が移住をしております。また、久留米市におきましては、住宅を購入し転入した方に最大三十万円を補助する支援制度、市への移住を検討している方を対象に短期滞在していただくトライアルステイなどを実施しておられます。昨年度は、これらの支援制度を活用され六百十八人が移住をしておられます。加えて、久留米市は東京事務所に移住コンシェルジュというものを配置され、毎週移住相談会を開催するなど首都圏においても積極的な取り組みを展開されております。このほか、香春町や上毛町では、築百年以上の駅舎あるいは古民家を改修した移住交流拠点というものを設置されておりまして、町外からの多くの方々が交流イベントに参加をし、地域とのつながりというものを育みながら移住相談窓口の利用、あるいはお試し居住の体験につなげておられるところであります。県といたしましては、こうした先進事例の紹介も行いながら、市町村の相談体制の充実を図っていくことで、本県への移住、定住というものを促進してまいります。  次に、地域おこし協力隊の活動についてでございます。本県におきましては、平成二十九年度、三十一市町村におきまして百三十二名の地域おこし協力隊が活動しております。今年度は七月一日現在で三十六市町村において百二十五名の隊員が活動しておりますが、新規に隊員を募集するところが二町三名ございます。合計三十名の募集が行われる予定となっております。隊員は、それぞれの市町村のニーズに応じ、観光振興、地域情報の発信、移住、定住の促進、六次化商品の開発、農林水産業関係など多様な活動に従事をされておられます。  任期を終えた隊員の定住状況でございます。本県におきましては、平成二十二年度の地域おこし協力隊受け入れ開始以降、昨年度末までに二十一名の隊員の方が任期を終え、その七割に当たる十五名の方が任地あるいは近隣の市町村に定住をされておられます。定住をされた隊員は、観光業や広告業の起業、それから地元企業や市町村への就職、それから新規の就農などさまざまなお仕事に従事をされています。県におきましては、県内の隊員を集めた交流会、活動報告会、これらを開催をいたしまして、隊員相互のネットワークの構築を通じて福岡県への愛着を深めてもらうことによりまして、任期満了後のその定住促進に努めているところであります。また、就業面では、若者しごとサポートセンターなど就職支援機関への橋渡し、また起業したり就農を志される隊員への起業セミナーなどを実施しているところであります。これらに加えまして本県では、昨年度からでございますけれども、少人数の隊員から成る起業部を新設をし、経営、創業相談所である福岡県よろず支援拠点と連携をいたしまして、県が率先して、希望する起業の分野あるいは起業準備のレベルに合わせた形でのきめ細かな支援を行うなど、ほかの県ではない取り組みというものを行っているところであります。今後、任期満了を迎えられる隊員も増加してまいりますので、こうした隊員お一人お一人の希望や事情に応じた取り組みというものを一層充実させ、一人でも多くの隊員の定住につながるよう取り組みを進めてまいります。 14 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 *教育長答弁 15 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 隠岐島前高校における特色ある取り組みについてでございます。ここでの地域課題学習の取り組みは、学校と地域社会とが連携、協働し、学校外の人材や伝統文化等の資源を活用しながら、地域にとどまらず世界にまで学びを広げることで新しい時代に求められる資質、能力を育むものとなっております。また、学校と連携した町立の塾や学生寮にICT環境が整備されており、遠隔授業等を活用したキャリア教育や生徒一人一人に対応した教科学習に大きな成果を上げております。こうした先進的な教育活動が注目され、県内外からの入学希望者や交流人口が増加していると聞いており、学校を中核とした地域活性化の好事例として、本県県立高校にとっても参考になるものと考えております。  本県における魅力ある学校づくりについてでございます。県立高校における教育活動の活性化のためには、地域社会と連携し、その信頼のもとに学校づくりを進める必要があると考えております。例えば、現在、嘉穂総合高校においては産業用ドローンを活用し、地域産業への貢献を視野に、農薬散布や空中撮影、プログラミング技術の習得等に取り組んでおります。また、伝習館高校では、部活動を中心に地元の食文化であるニホンウナギの保全を目的として、その生態の研究を続けております。県教育委員会といたしましては、生徒がみずから課題を発見し、解決する能力を身につけ、将来地域の発展に貢献できるよう、このような魅力ある学校づくりを支援してまいります。 16 ◯副議長(畑中 茂広君) 大田京子君。 17 ◯四番(大田 京子君)登壇 県職員による不祥事について知事から答弁がありましたが、一点指摘をさせていただきます。  県職員による不祥事について、この間知事は、陳謝と再発防止について何度も繰り返し答弁してこられましたが、毎回同じ内容であり、不祥事がなくなっていないことからも、職員の心に全く届いていないと言わざるを得ません。この際、知事自身の迫力ある言葉で、不祥事を起こさせないとの強い意気込みが、しっかり職員に伝わるようにすべきであると指摘させていただきます。  それでは次に、本県における主要農作物種子の保全についてお聞きします。現在、世界における種苗の市場規模は四百五十億ドル程度と言われおり、その約八割をわずか八社のグローバル企業で占めています。これらの会社が提供している種子はほぼ全てハイブリッド、いわゆるF1と言われる第一世代の種子、あるいはGMと呼ばれる遺伝子組み換えの種子となっています。ハイブリッド種子もGMの種子も、農作物の生産量を一気にふやすことができるため、特に人口増加が顕著な国においては食糧難を回避できるというメリットがある一方で、ハイブリッド種子は次世代に同じ性質を持ったものができず、またGMの種子は自然界にはない遺伝子であるため、人体に与える影響を懸念する声もあります。  そこで一点目に、知事は、ハイブリッド種子やGMの種子についてどのような認識をお持ちなのか、また本県でGM種子を利用した栽培は行われているのかお聞かせください。  その上で、発展途上国において、特にGMの種子を使って栽培された農作物が増加傾向にある中、海外から本県にも加工食品として入ってきているという現状についても、御所見をお聞かせください。  二点目に、主要農作物種子法についてです。この法律は、日本の原種、原原種などの種子を守るとともに、地形や気候など各地域の特性に応じた種子を開発するための都道府県の予算措置の根拠となっていました。一九五二年、日本が主権を回復して間もなく成立したこの法律こそが、戦後食糧難にあえぐ日本の食料安全保障を支えてきたと言われています。しかし、本年三月三十一日をもってこの法律は廃止されました。  そこで、種子法は国にとって生命線である食糧を守る極めて重要な法律でありながら、国会でほとんど議論されることなく唐突に廃止されたことについて、県民の安全、安心を守る立場にある知事としての考えをお聞きします。  三点目に、本県独自の条例の制定についてです。昨年六月議会の一般質問で我が会派の渡辺美穂議員が、この法律の果たしてきた役割に対する知事の認識を確認した上で、法律廃止後、県としてどのように対応するのかをただしました。知事は、種子法が果たしてきた役割を高く評価され、同様の取り組みの必要性は認めたものの、一義的な責任は国にあるものとして、今後の県としての独自の取り組みについては明言されませんでした。  そのような中、新潟県、兵庫県、埼玉県が本年四月から同法にかわる独自の条例をそれぞれ施行しました。また現在、北海道においてもその動きがあると聞いていますが、本県では条例化は行わず、二〇一四年に県が定めた福岡県農林水産業・農山漁村振興条例を補完する形で、四月一日に福岡県稲、麦類及び大豆の種子の安定供給に関する基本要綱を定めました。この基本要綱は、種子の圃場の保全や奨励品種に関して言及するなど、種子法よりもさらに本県の実情に即した内容となっており、その点は高く評価したいと思います。しかしながら、本県は条例を制定した埼玉県よりも米の生産量が多く、九州一を誇っています。また、小麦は全国第二位、大豆は全国第五位と本県において農業は重要な産業となっています。要綱のままでは、執行者がかわるとその内容が変えられる可能性があり、今後予算確保を担保する根拠となるには脆弱であると言わざるを得ません。今後も安全な農作物を安定的に県民に供給し続けることは本県の重大な使命です。  そこで、これまで先人が培ってきた知見を守り、継承していくためにも、本県として要綱の内容などを核に条例化すべきと考えますが、知事の考えをお伺いします。  あわせて、種子法廃止後、引き続き安全な種子が安定的に供給されるのか、農業従事者の間で不安が広がることが心配されますが、現在ある基本要綱の内容について、どのような方法で周知を行っているのかお答えください。  次に、障がい児保育の拡充についてお聞きします。近年、特別支援学校・学級、通級指導教室に在籍する子供の数が急増しており、子育てと仕事の両立を望む家庭の高まりを背景に、より低年齢の障がいのある子供に関する保育ニーズが高まっています。二〇一四年に厚労省から出された障がい児支援のあり方に関する報告書では、子供に障がいがあるからといって就労が制限されるようなことがあってはならないとの考え方が示されています。しかしながら、保育所では障がいに関する専門的な知識や技能を持つ保育士の確保が難しいことや、国の制度である療育支援加算の額が人件費に見合わないなどの理由から、全ての障がい児を受け入れられる態勢になっていないのが現状です。そのため、障がい児を持つ多くの保護者は、正社員で仕事を続けることを諦めたり、仕事をやめるなど、就労が制限されている実態があります。  そこで初めに、障がい児の保護者が希望する就労形態で働けていない実態があることについて、知事はどのように認識しているのかお聞きします。  二点目に、特別支援学校の幼稚部における放課後の受け入れ態勢についてお聞きします。現在、県立特別支援学校は県内に二十校ありますが、そのうち七校には、早期の療育が特に重要とされる視覚、聴覚障がい児が通う幼稚部が設置されています。幼稚部の教育活動時間は、平日のおおむね九時から十四時で、夏季休業などの三期の長期休業があります。そのため、保護者のどちらか一方がフルタイムでの勤務を諦めざるを得ません。  そのような中、保護者の強い要望を受け、県内で唯一、特別支援学校の空き教室を利用し、発達支援サービスを行っているNPO法人があります。このNPO法人は、久留米聴覚特別支援学校内で発達支援事業を行い、十四時以降の預かりや長期休業中の預かりを行っています。そのため、同じ障がいを持つ多世代との交流や、遊びを通じて実践的な療育が行えるなど、条件と内容のよさから、わざわざ他の地域から通わせている保護者も少なくないとのことです。一方、幼稚部があるほかの六校の特別支援学校については、学校内ではないものの、近くの児童発達支援事業所が送迎を行い、十四時以降の預かりを実施しているところもありますが、こうした施設が近くにない特別支援学校もあると聞いています。  そこで知事にお聞きします。十四時以降の預け先がない特別支援学校において、さきに示した久留米聴覚特別支援学校の事例のように、放課後の空き教室を活用するなどにより、幼稚部に通う子供たちの十四時以降の預け先を早急に整備すべきと考えますが、知事の考えをお聞かせください。  三点目に、幼稚部がない県立特別支援学校についてお聞きします。現在、県立特別支援学校の幼稚部は、さきに述べたように七校には設置があるものの、残り十三校の知的障がい者、肢体不自由者または病弱者に対する幼稚部は設置されていません。障がい児に対する療育は、障がいの種別に関係なく早期に行うことが非常に重要だと言われており、知的障がい者、肢体不自由者または病弱者に対しても視覚、聴覚障がい児と同様に、幼稚部を設置すべきと考えますが、教育長の考えをお聞きします。  また、さきに述べたように、保育所が全ての障がい児を受け入れられる態勢になっていない現状を踏まえると、新たに設置されるであろう幼稚部の十四時以降の預け先の確保についても検討すべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。  次に、学校における働き方改革の推進についてお聞きします。文部科学省が実施した二〇一六年度教員勤務実態調査によると、月平均残業時間八十時間が目安の過労死ラインを、小学校教員の約三割、中学校教員の約六割で上回っていることがわかりました。翌二〇一七年八月、中央教育審議会は、「教職員の長時間勤務の看過できない実態の改善に向け」、「教職員がその効果を確実に実感できるようにする」と強い決意を示す緊急提言を発表しました。これを受け、昨年十二月の代表質問において我が会派の野田稔子議員が、この提言をどう受けとめたのか問うたところ、教育長は、「本県教職員も厳しい勤務実態にあると認識しており、今回の提言を重く受けとめ、……今年度中に教職員の長時間労働の改善に向けた指針を策定」すると応じました。そして本年三月、本県教育委員会は教職員の働き方改革取組指針を策定しました。  そこで初めに、県立学校における働き方改革についてお聞きします。この指針の策定に先立ち、本県教育委員会は昨年度、県立学校八校に所属する教員を対象に調査を実施しました。その結果、一カ月当たりの超過勤務時間は平均五十五・六時間で、八十時間以上の超過勤務を行った教員の割合は二四・二%と約四分の一を占めており、本県県立学校においても厳しい勤務実態があることがわかりました。そのため、この指針では、本年度中に全ての県立学校にICカードによる勤務時間管理システムを導入し、超過勤務時間の正確な把握を行い、この超過勤務時間を基準として、翌年度にその一割、翌々年度にさらにその一割を削減するとしています。我が会派は、県教育委員会が初めて具体的な数値目標を掲げたことを高く評価したいと思います。
     その上で、指針が掲げる、三年で二割の超過勤務の削減という目標を確実に達成するため、本県教育委員会は今後どのような取り組みを進め、進捗状況を管理するのか、具体的にお聞かせください。  あわせて、過労死ラインを超える八十時間以上の超過勤務については早期にゼロにすべきと考えますが、教育長の考えをお示しください。  次に、公立小中学校における働き方改革についてです。県内の公立小中学校で働く教職員の勤務実態についても、本県教育委員会は二〇一四年度に調査を実施しており、一カ月当たりの超過勤務時間を算出すると、小学校では四十六時間四十分、中学校においては七十一時間三十二分の超過勤務の実態があることがわかりました。さらに、小中学校においては、二〇二〇年に新しい学習指導要領が全面実施となり、道徳の教科化、小学校三、四年生への外国語活動の前倒し、五、六年生への外国語の教科化などが導入されることから、学校現場ではさまざまな準備が必要となっています。  そこで、小中学校においては、今後、時間外労働が縮減されるどころか、かえってふえるのではないかという不安を抱えている教職員も少なくないことから、県立学校と同様、具体的な数値目標を掲げ、超過勤務時間を確実に削減すべきと考えますが、教育長の考えをお聞きします。  あわせて、指針等の策定、タイムカード等による勤務時間の適正な把握など、県内各市町村における教職員の働き方改革の取り組みについて、現時点での進捗状況をお聞かせください。  三点目に、公立小中学校における研修の改善についてです。採用から一年の間に行われる初任者研修については、研修内容が多く負担が大きい、校外研修の出張が続き学級運営上望ましくないといった意見があるため、我が会派の渡辺美穂議員が、本年二月議会の一般質問において改善を求めたところ、初任者研修については、研修内容の分散や免除規定を設けることを検討すると答弁されています。しかし、指針では、教職員研修の体系化を進め見直すとあるのみで、初任者研修についての具体的な改善策は明記されていません。  そこで、研修全体とりわけ初任者研修について、どのような検討を行い、どのように改善を図るのかお聞かせください。  以上、御答弁よろしくお願いいたします。 18 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 19 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、ハイブリッド種子とGM種子でございます。農作物の品種改良におきましては、従来、一番よくできたものを選んでその種をとり、その種をまいて育てたものの中からまた一番よいものを選んでその種をとる、そういったことを何世代にもわたって繰り返し、すぐれた品種を生み出してきたわけであります。一方で、こうした改良した品種を選別して交配をした場合に、一代限りでございますけれども、通常の品種改良の範囲を超えて収量が増大をしたり、病気に強いあるいは糖度が高いといった、もともとの品種を大きく超える性質があらわれます。この種子がハイブリッド種子と呼ばれているわけであります。このハイブリッド種子は、本県で栽培されておりますトマト、ナスなどの野菜の多くで利用されておりまして、人体への影響はないものの、農家みずからが種苗をつくることができませんから、毎年その種苗を購入することになります。  また、GM種子でございますけれども、遺伝子組み換え種子のことでございます。病気や害虫あるいは乾燥に強いといった特定の性質を持つ生物から、それに関連する遺伝子を取り出す、抽出をしまして、本来その性質を持たない農作物の遺伝子にそれを組み込んで育成するものであります。国内で栽培をするGM種子につきましては、生物多様性への影響、人体への安全性について懸念をする声がありますことから、法律に基づき国の承認を受けることとなっております。現在、トウモロコシや大豆、バラなど八作物百三十六品種が国内で栽培できるものとして承認をされておるところでございますが、本県におきましては、これらの栽培の実績はございません。  次に、遺伝子組み換え農作物加工品の流入についてお尋ねがありました。加工食品の原材料である遺伝子組み換え農作物が国の安全性審査の手続を経て公表されたものでない限り、当該食品の製造、輸入、販売等が食品衛生法により禁止をされております。このため、組み換えられたDNAまたはこれによるたんぱく質が残存する加工食品として規定されるものを輸入しようとする者は、原材料に遺伝子組み換え農作物が含まれているか否かについて検疫所へ届け出をしなければならず、さきに述べました安全性審査の手続を経て公表されたもの以外は、税関により輸入が許可されないことになっております。お尋ねの本県への流入の状況については、検疫所への輸入の届け出の実績というものが国のほうで公表されておりませんため、私どもではわかりません。  次に、主要農作物種子法の廃止についてでございます。この廃止法案の審議の中で、都道府県の種子生産が後退するのではないか、種子生産の予算を確保する際の根拠がなくなるのではないか、そういった御議論が国会でなされた、このように承知をしております。こうした意見を踏まえまして、参議院の農林水産委員会におきましては、都道府県の種子生産の予算の確保、種子の品質確保などを求める附帯決議というのが採択をされたものと認識をいたしております。国は、この附帯決議を踏まえまして、引き続き地方交付税措置を講じるとともに、種子の品質基準の設定などを行っているところであります。県といたしましては、米、麦、大豆の優良種子の安定供給に取り組む必要があると、このように考えておりまして、ことしの七月、県議会とともに地方交付税措置の確保につきまして国に要望したところであり、引き続きその働きかけを続けてまいります。  次に、種子の安定供給に関する条例制定についてでございます。本県におきましては、平成二十六年十二月に、福岡県農林水産業・農山漁村振興条例、これを制定いたしました。その中の主要施策の一つに、新品種の開発並びにその普及に必要な施策というものを掲げさせていただいておりまして、具体的には元気つくし、実りつくし、ラー麦といった県独自の品種を開発をし、その生産拡大のため種子の確保や栽培技術の指導などに努めてきているところであります。県におきましては、今回の種子法の廃止に伴いまして、米、麦、大豆の種子の安定供給を図るため、種子の生産計画の策定、異品種混入の防止のための審査などにつきまして、基本要綱を定めたところであります。これら条例と要綱に基づきまして、普及すべき優良な品種の決定、その品種の原原種、原種の生産、さらには種子増産のための圃場の指定と生産された種子の審査、これらを通じまして優良種子の生産、普及にしっかり取り組んでまいります。  次に、この基本要綱の周知についてお尋ねがございました。県におきましては、ことし四月以降、農協及び生産者に対する説明会などを実施をしてまいりました。特に生産者に対しましては、現地の講習会や種子生産部会の会議などを活用してその説明を行うとともに、チラシを作成し、その周知を図ってまいりました。先ほど申し上げましたように、国会での附帯決議、その趣旨を尊重して、国では今取り組んでいるわけでございます。県といたしましては、引き続き農協、市町村等関係機関に対するこの基本要綱の周知に努めるとともに、この基本要綱に基づいて優良種子の安定供給、これを図ってまいります。  障がい児の保護者が、希望する就労形態で働けていないことについてお尋ねがございました。県におきましては、保育所での障がい児の受け入れを促進するため、国、市町村とともに運営費の加算、受け入れに必要となる施設の改修費への助成を行っております。また、保育士の専門性向上を図るため、障がい児保育に関する研修というものも実施しております。さらに、県内の四十七の市町村におきましては、独自の補助事業を実施をしておりまして、障がい児の受け入れに努めているところであります。五月一日現在で県内で千七百三人の障がい児を県内の保育所において受け入れているところであります。しかしながら、障がいの種別また程度によりましては、より特別な対応が必要となりますことから、専門的知識を有する人材やその雇用に要する経費を確保することがなかなか困難であると、そういった市町村の声もお聞きしておりまして、保育を必要とする全ての障がい児を受け入れるに当たりましては、こうしたことが課題になると、このように認識いたしております。  特別支援学校幼稚部に通うお子さんの預け先の整備についてでございます。現在、県立の久留米聴覚特別支援学校幼稚部におきましては、校内の空き教室を利用いたしまして、NPO法人により児童発達支援等を組み合わせた活動が行われております。また、小倉聴覚特別支援学校幼稚部及び直方特別支援学校幼稚部に通う児童に対しましては、地域の児童発達支援事業所等によります送迎サービスや支援が行われているところであります。特別支援学校幼稚部に通う児童の放課後の預かりというものを実現していくためには、まずは受け皿となる事業者が必要となります。その際、継続した事業を行うためには、保護者のニーズの把握と職員の確保ができるか、そういった課題がございます。このため県といたしましては、特別支援学校幼稚部に通う児童の保護者の方々の御意向、これを把握するとともに、サービスの利用決定を行う市町村及び実際にサービスを提供することになります近隣の事業者と事業実施の可能性などについて協議を進めてまいります。 20 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 21 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 知的障がい者、肢体不自由者、病弱者に対する県立特別支援学校の幼稚部の設置についてでございます。これらの障がい種別に対応する都道府県立特別支援学校は全国に八百十四校あり、その約一・八%に当たる十五校に幼稚部が設置されておりますが、そのうち十一校では在籍者が三人以下という状況でございます。また、県内には幼児の療育や集団生活への適応訓練等を行う施設が二百カ所以上あり、障がいのある幼児の受け入れがなされております。県教育委員会といたしましては、現時点では、急増している小中高等部の児童生徒に対する適切な教育環境の提供に向けて県立特別支援学校の整備に全力を傾注してまいりたいと考えております。  県立学校における働き方改革の進捗管理についてでございます。県立学校における勤務実態を的確に把握するため、現在ICカードによる勤務時間管理システムの導入作業を進めており、システム導入後は各学校で勤務時間等の実態に応じ、管理職による適切な業務マネジメントや教職員の業務改善につなげてまいります。また、県教育委員会では、各学校から教職員の一月当たりの平均勤務時間や超過勤務時間が八十時間を超える者等について報告を受け、各学校の実態に応じた指導、助言を行い、目標達成に努めてまいります。  一月当たり八十時間以上の超過勤務の解消についてでございます。教職員が健康で生き生きとやりがいを持って業務に取り組むために、心身に不調を来すような長時間勤務は改善する必要があると考えております。このため指針においても、一月当たりの超過勤務時間が八十時間を超えるものが生じないことを目指しており、できる限り早期に実現できるよう働き方改革の取り組みを推進してまいります。  小中学校における数値目標による超過勤務時間の削減についてでございます。教職員全体に勤務時間を意識した働き方を浸透させるとともに、業務改善を着実に促進するためには、数値目標などの明確な目標を定めることが効果的であると考えています。そのため県では、働き方改革全体の指針を策定し、その中で超過勤務時間を三年間で二〇%削減するとの具体的な目標を設定したところであります。この指針については、各市町村においても取り組んでいただくよう働きかけを行うこととしており、現在、服務監督権を有する市町村教育委員会に対して、会議等のさまざまな機会を通じて県の目標設定状況を周知するなど具体的な目標を設定することについても働きかけを行っております。  各市町村における教職員の働き方改革の取り組み状況についてでございます。七月末時点において指針を策定または策定予定の市町村が二十五、タイムカード等により勤務時間の把握を行っているまたは行う予定の市町村が三十八、学校閉庁日を設定または設定予定の市町村が五十四となるなど各市町村においても着実に取り組みが進められていると考えております。  初任者研修の改善についてでございます。本県では、教員研修の質的向上と効率的な実施が図られるよう、内容の重点化や重複の整理などの観点から見直しを行い、来年度から新たな体系による研修を実施することとしております。特に初任者研修につきましては、若年教員研修として、採用後三年間に内容を分散させて実施することや、校外研修の一部を校内での研修に切りかえる等の見直しをしております。また、一定の指導力が認められる講師経験者等については、校外研修の一部を免除するなど初任者の負担軽減を図りつつ、学び続ける教員としての基礎を培う研修を効果的、効率的に実施してまいります。 22 ◯副議長(畑中 茂広君) 大田京子君。 23 ◯四番(大田 京子君)登壇 種子の保全について二点要望いたします。  国では、海外から入ってくる遺伝子組み換えの加工食品について、検疫所において届け出を受け付けているにもかかわらず、それを公表していないという答弁でした。先ほど申し上げたように、遺伝子組み換えの人体に与える影響を懸念する声がある中、国はこの届け出の状況についてきちんと公表すべきであると考えます。ぜひ、知事からも国に対して強く要望していただくようお願いいたします。  次に、条例の制定に関してですが、執行部の種子を守るという強い意気込みは高く評価しますが、将来的な予算確保をより永続的なものにするために、今回の要綱を核とした条例制定に向けて、今後検討を進めていただくよう要望いたします。  以上で私の代表質問を終わります。最後まで御清聴ありがとうございました。(拍手) 24 ◯副議長(畑中 茂広君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることといたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時 四十四分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...