福岡県議会 > 2018-06-09 >
平成30年6月定例会(第9日) 本文
平成30年6月定例会(第9日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2018-06-09
    平成30年6月定例会(第9日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井上 順吾君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。吉松源昭君。(拍手) *吉松議員質問 2 ◯五十五番(吉松 源昭君)登壇 自由民主党県議団吉松源昭です。通告に従いまして、まずはJR九州の無人駅について質問いたします。  宇美─西戸崎間の二十五・四キロを結ぶ香椎線の十六駅のうち、香椎駅と長者原駅を除く十四駅を、二〇一五年三月より駅員のいない無人駅としています。これに伴い自動改札機の扉は機能が停止され、あるいはもともと扉のない構造のものとなっています。切符を購入せずに抜けようと思えば抜けられる状態となっています。このため、この無人駅間を利用する乗客の中には、無賃乗車が横行している事例があるとの指摘が、地元住民より上がっています。これでは、正規に運賃を払って乗車している利用客との間に不公平感が生じるのはもちろん、JR九州が利用客のモラルハザードを誘発していると言われても仕方ありません。もし、こういった事態が事実とするならば、風紀上あるいは子供たちの教育上、大きな問題だと考えますが、知事また教育長のお考えをお聞かせください。  JR九州の青柳社長は、本年一月二十六日の記者会見で、かなりの効率化をやっても収支を上向きに改善させるのは難しい、ローカル線は効率化できなければ長く維持できないと述べ、ダイヤの大幅な減便と無人駅の拡大方針を示しました。確かに、JR九州の売上高のうち鉄道事業は五割を割り込み、二〇一七年三月期の鉄道事業は約八十七億円の赤字となっています。しかし一方、六割を占める駅ビルやホテルの運営、マンション分譲などの流通、不動産事業などは、鉄道事業の赤字分を十分に吸収し、さらに四百四十七億円の純利益を出しています。その発足の経緯と、県民の交通インフラを維持するというその社会的責任と役割に鑑み、本来、県民の財産であった不動産などを活用して利益を上げたとしても、鉄道事業の赤字を補填するためだからと、県民は理解を示しています。  しかし、JR九州は年間四百億円以上もの純利益を出しながら、一日百十七便もの減便を断行、駅の無人化を推進、大幅に県民サービスを低下させています。このようなJR九州の方針は、早晩、県民の支持を失いかねないと危惧いたしますが、知事の所見をお聞かせください。  ここで一つ提案ですが、無人化された駅には、以前は駅員が常駐していたわけですから、その駅員室が今でもあるはずです。JR九州が経営の効率化のために駅員を置くのが難しいのであれば、無償で、あるいは無償に近い金額で店舗などとして第三者に貸し出し、そのバーターとして最低限の駅の管理をしてもらってはどうでしょうか、知事の考えをお聞かせください。  次に、児童相談所の運用についてお尋ねいたします。ことし三月、東京の目黒区で、親から長期にわたり虐待を受けた五歳の女児が命を落としました。五歳児の平均体重二十キロに対し、その体重はわずか十二・二キロ。体には殴られた跡があったそうです。両親は日常的に暴行を繰り返し、冬に自宅のベランダにはだしで放置、嘔吐して衰弱しても、虐待を隠すために病院にも連れていかなかったようです。警察は保護責任者遺棄致死の疑いで両親を逮捕。きのうの官房長官の記者会見では、今回のような痛ましい事案を二度と起こしてはならない、政府を挙げて児童虐待対策を徹底していくと表明しています。  福岡県では、警察との情報共有、連携を強化するため、平成二十七年四月より児童相談所に警察官を配置、さらに平成二十八年十一月に県警と県、福岡市、北九州市の四者で、児童虐待が疑われる児童の情報共有に関する協定が結ばれています。このことにより、県内で転居をする家庭についての情報共有は、かなり強化されているものと思われますが、今回の目黒区の案件を見るに、他の都道府県への転出、あるいは他の都道府県からの転入については、情報の共有、連携に不十分な部分もあるのではないかと懸念いたします。知事の見解をお聞かせください。  また、今回の目黒区の案件では、品川児童相談所が香川県より情報を引き継ぎ、二月に自宅を訪問しながら、母親に拒否されたため児童を確認しないまま引き返したことが、この痛ましい結果につながってしまいました。香川県で二度も一時保護が行われ、二度も父親が虐待の疑いで書類送検された情報がありながら、母親の言葉に従い児童を確認しなかったことは、到底理解できません。このケースの場合、当然に立入調査をすべきだったのではないでしょうか。我が県では、このような場合にどのように取り組んでいるのか、知事にお尋ねいたします。  以上です。(拍手) 3 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、駅の無人化が及ぼす風紀上、教育上の問題でございます。JR九州は、平成二十七年三月、JR香椎線の香椎、長者原の二駅を除く十四駅についてこれを無人化をし、駅遠隔案内システムを導入し、防犯カメラの設置及び集中監視室による監視を開始したところであります。駅の無人化によりまして不正乗車が発生をしているとすれば、それは明らかに犯罪でございまして、こういうことが発生しないように家庭、学校でモラル教育に努めていただくとともに、JR九州には不正乗車の防止策の充実を図っていただきたいと考えております。  減便や無人化を推進するJR九州の方針についてお尋ねがありました。JR九州は、鉄道ネットワークの維持のために、業務運営の効率化に向けた取り組みの一環として、減便や駅の無人化を進めているというふうにしております。JR九州は、住民の日常生活の維持に不可欠な公共交通を担う鉄道事業者であります。固定資産税など税の優遇措置、完全民営化に際しての経営安定基金の取り扱いなどを勘案いたしますと、JR九州を一般の民間企業と同列に論じることはできないと思います。より高い社会的使命を有していることを認識した上で、その事業運営を行っていただく必要があると、このように考えております。  次に、無人化された駅の活用と管理についてでございます。駅は、市町村がまちづくりを進めていく上で、その拠点施設でもあり、また人がいるということで利用者の利便性の確保とともに犯罪の防止など治安の確保にも寄与するものと考えております。JR九州の駅の中には、無人駅の駅舎の活用と切符の販売を観光協会やNPO法人が行っている事例もございます。県といたしましては、地元の意向も踏まえながら、JR九州に対しまして、こうした無人駅の活用と管理について働きかけを行ってまいります。  次に、他の都道府県への転出あるいは本県へ転入する家庭についての情報共有についてでございます。県の児童相談所におきましては、国の運営方針に基づきまして、虐待の疑いがある家庭が他県へ転出した場合には、転出先の児童相談所へ当該児童にかかわる全ての記録を引き継ぐとともに、必要に応じ出向いてその説明を行い、双方の職員が当該家庭を同行訪問するなど詳細な情報共有を図っているところであります。また、他県から転入をしてくる家庭につきましては、転出元の児童相談所から情報の提供を受けまして、今回のように情報の確認が必要と判断される場合には、転出元の担当職員に来県を求め、児童の状況を詳しく把握をし、家庭訪問を行うなど丁寧に対応しているところであります。  子供の面会を拒否された場合の対応についてお尋ねがありました。児童相談所におきましては、引き継いだケースのうち、虐待が疑われる場合、子供の安全を目視、現認するため、児童相談所や関係機関による訪問調査を行っております。今回のケースのように、保護者が子供との面会を拒否した場合には、管轄の警察官または私ども児童相談所に配置をされております警察官も同行の上、立入調査を行います。さらに、保護者が正当な理由なく面会を拒否した場合には、家庭裁判所の許可を得て臨検、捜索を行うこととなっております。
    5 ◯議長(井上 順吾君) 城戸教育長。 *教育長答弁 6 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 無賃乗車に係る子供の教育上の問題についてでございます。子供たちの目の前で無賃乗車等の法に反する行為が行われているとすれば、規範意識の育成に悪影響を及ぼすものであります。しかし、子供たちが生きていく上で、法に反する行為をしないように教えることが教育の責任でありまして、たとえ人に見られていなくても善悪の区別をしっかりと判断し、みずから行動を律することができるよう、規範意識を育てることが重要であります。各学校におきましても、このような考えのもと、道徳の学習を中心にしっかり指導されているものと考えております。 7 ◯議長(井上 順吾君) 吉松源昭君。 8 ◯五十五番(吉松 源昭君)登壇 目黒区の虐待の事件の件ですが、この親は、驚くべき日課を課していました。自分で目覚ましをセットさせ、毎朝四時に起床、平仮名を書く練習をさせました。その練習をした平仮名で、亡くなる十日前まで児童が書き残したノートが発見されています。その一部を読み上げます。   もうパパとママにいわれなくてもしっかりとじぶんからきょうよりももっともっとあしたはできるようにする  から もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします ほんとにもうおなじことはしません ゆ  るして きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことをなおします これまでどれだ  けあほみたいにあそんでいたか あそぶってあほみたいだからやめるので もうぜったいぜったいやらないから  ね ぜったいやくそくします これを読んで、涙がとまりませんでした。とても五歳児が書いたとは思えない内容です。この子がどんなに追い詰められた状況にあったか。私は、絶対にこの親を許せません。この幼い命が返ることはありませんが、この事件を他山の石とし、二度と繰り返さないことが私たちの務めではないでしょうか。そして、この子へのせめてもの弔いだと思います。知事並びに執行部の皆様には、このノートの言葉をしっかりと脳裏に刻み、今後、児童虐待対策に当たっていかれることを強く要望して、質問を終わります。以上です。(拍手) 9 ◯議長(井上 順吾君) 佐々木允君。(拍手) *佐々木(允)議員質問 10 ◯三番(佐々木 允君)登壇 改めまして、皆さん、おはようございます。民進党・県政クラブ県議団の佐々木允です。ただいまより一般質問を行います。  まず、再生可能エネルギー普及促進について知事にお伺いをいたします。我が国では、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故を契機として、国民生活や経済活動の基盤であるエネルギー、とりわけ再生可能エネルギー普及促進が進められています。二〇一二年七月からは再生可能エネルギー固定価格買い取り制度が導入をされ、太陽光、風力、中小水力、地熱などを用いた発電施設の導入が進んでいます。また、先日発表された国のエネルギー基本計画改定案では、再生可能エネルギーを主力電力化することを目指しています。本県では、安定的なエネルギー、電力需給を確保し、産業の活性化や雇用の確保を図るため、二〇一三年二月に福岡県地域エネルギー政策研究会を設置し、県に対して、新たなエネルギー社会を先導して実現するための課題や取り組みをまとめた報告書を二〇一五年三月に提出し、この提言を県は指針に置きかえています。  そこで一点目に、再生可能エネルギーを主力電力化していくという国の新しい方針案について、知事としてどのように認識しているのかお聞きをいたします。  二点目に、県指針から三年経過しましたが、これまでの県指針の進捗状況についてお示しください。  この指針の推進機関として小川知事は、自身を本部長とする福岡県エネルギー政策推進本部を設置しています。しかし、その推進本部については、これまで四回会議を行ったのみで、二〇一七年五月を最後に一年以上開催されず、最近では六月四日に開催されたということです。また、県民生活にも直接かかわりのある分野であることから、広く情報公開をすべき分野にもかかわらず、第一回の本部会議の様子はホームページに記載があるものの、その後はその記載すら行われず、エネルギー関連施策がどのように進んでいくのか、県民には十分な情報発信ができていない状況です。  そこで三点目に、この推進本部の位置づけを改めてお聞きするとともに、果たして三年間四回の会議で、推進本部としてどのような成果があったのか具体的にお示しください。  また今後、推進本部の活性化と情報発信について、知事としてどのように取り組まれていくのかお聞きをしたいと思います。  県指針では、再生可能エネルギーの今後の現状について、太陽光発電に偏重した現状を改め、多様な再生可能エネルギーの導入を進めることが必要であると述べています。一方、二〇一六年度末における本県の再生可能エネルギーの設備容量のうち、太陽光発電の割合は約九二%となっており、依然、太陽光発電に偏りを見せているのが現状であります。  そこで四点目に、本県における太陽光以外の再生可能エネルギーの普及の必要性について知事はどのように認識しているのかお聞きするとともに、県指針に基づき、太陽光発電以外の再生可能エネルギー推進のため、県として今後どのような取り組みを行っていくのかお答えをください。  本年三月に行われた地域エネルギー政策研究会の検討課題として、地域資源を活用したバイオマス利活用の拡大を実現するための地方の取り組みとして、特に地域の未利用間伐材を利用したバイオマス利活用事業の可能性について討議がされている状況です。現在、本県の未利用間伐材を使ったバイオマス発電所はありませんが、未利用材は一年間に約三十九万二千トン発生しており、国のエネルギー基本計画改定案にも、地域に密着したエネルギーとして長期安定的な電源の一翼を担う存在として期待がされています。  そこで五点目に、現在の本県の未利用材の利用量の状況についてお聞きします。その上で、未利用間伐材などバイオマス利活用を県内で行っていく必要性について、知事としてどのように認識しているのかお聞きします。  二〇〇九年に策定されたバイオマス活用推進基本法に基づき、二〇一〇年、国としてバイオマス活用推進基本計画が策定されました。その中で、都道府県にもバイオマス活用推進計画の策定を求めており、当初二年後の二〇二〇年度までの策定を求めていました。しかし、二〇二〇年度までに全都道府県での策定が困難であることから、二〇二五年までに全都道府県での策定達成に改められたところであります。現在、十八の道府県で策定されているものの、本県は未策定となっていますが、バイオマスを取り巻く社会情勢の変化に的確に対応するためにも、また全都道府県での計画策定を国も求めていることからも、計画策定は急務であると考えます。  六点目に、計画の策定の必要性について知事の認識をお示しください。その上で、県バイオマス活用推進計画策定に向けた取り組みについてもお聞きします。  本県は、私の地元田川市を初め県内各地に産炭地を抱え、日本の近代化と経済発展を石炭というエネルギーで支えた地域であります。ぜひ、再生可能エネルギーという新しいエネルギーにより光を当て、エネルギー立県として大きく飛躍することを期待し、この項を終わります。  次に、部活動のあり方について知事及び教育長にお聞きします。最近の新聞では、ブラック部活動という見出しをよく目にするようになりました。部活動は日本型学校教育の一つとして、知、徳、体を育む教育効果がある活動として評価されている部分もある一方、勝利至上主義や体罰問題などの課題も言われてきました。また、長時間の活動が生徒のバランスのとれた成長を阻むだけではなく、教員の過剰負担にもつながっている現状があります。二〇一六年度に文部科学省が実施した教員勤務実態調査では、小学校で約三四%、中学校では五八%の教員がいわゆる過労死ラインである八十時間以上の超過勤務を行っているという結果が新聞等で報じられ、大きな注目を集めたところです。  その要因の一つとして、部活動の指導、顧問が挙げられています。スポーツ庁が昨年七月に行った調査では、公立中学、高校の実に七割近くの教員が部活動の顧問を引き受けており、顧問の教員が抱える悩みとして、公立中学校では約半数が、公務との両立に限界を感じる、心身の疲労、休息不足を訴えているなど、極めて深刻な状況です。このことからも、部活動を取り巻く環境の整備は喫緊の課題であると考えます。  このような中、スポーツ庁はことし三月、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを策定しました。このガイドラインには、運動部活動の適切な指導に向けた取り組み内容が詳細に書かれており、スポーツ医科学的な視点も盛り込まれているところです。しかしながら、私はこの実効性に、正直不安を感じています。事実、一九九七年に当時の文部省が運動部活動に関する有識者会議を立ち上げ、中学校で週二日以上、高校でも週一日以上の休養日を設定するように提言したにもかかわらず、二十年以上たった今でも、それらが徹底されている様子はありません。そのような現状を踏まえると、今回国が提示したガイドラインがどれだけ適正に運用されるのかという点について懐疑的にならざるを得ません。  これらの課題を踏まえ、一点目に、国が示した本ガイドラインについて、教育長はどのように認識を持っているのかお聞きをしたいと思います。  次に、このガイドラインには、運動部活動の適切な運営のための体制整備については、学校だけではなく都道府県を初め市町村教育委員会等の学校の設置者、及び私立学校においては学校法人がガイドラインの趣旨を正しく理解することや、運動部活動の方針等を策定することが示されています。県として、県立学校だけではなく、各市町村教育委員会及び市町村立学校、また私立学校に対しても周知徹底を図ることが重要であると考えます。  二点目に、本ガイドラインの趣旨を県立学校及び市町村教育委員会私立学校等に対し、どのように周知をし、その後、適切な運用についてどのように把握をしていくのか、教育長及び知事にもお聞きをいたします。  本ガイドラインは、適切な運営の体制整備や、少なくとも週二回の休養日を設けるなど適切な休養日の設定を行うなど、速やかに運動部活動のあり方に関し抜本的な改革に取り組む必要があるとされています。また、三月にスポーツ庁文部科学省、文化庁の連名で出された運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの策定及び運動部活動の適切な運営等に係る取組の徹底についてでは、方針の策定や公表、フォローアップ、そして文化部活動においても本ガイドラインに準じた取り扱いを求めるなど、実効性の確保を強く依頼をしています。  三点目に、三月の通知を受け、県教育委員会として今後どのように取り組んでいくのか、工程なども含めて具体的にお示しください。  以上、知事と教育長の真摯な答弁をお願いいたします。(拍手) 11 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 12 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、国の次期エネルギー基本計画案再生可能エネルギー主力電源化を目指す、このようにされたことについてでございます。再生可能エネルギーは、天候に左右されやすいといった出力の不安定性、変動する出力を調整するための調整電源の確保の問題、さらには送電網の増強といった再生可能エネルギーの大量導入の実現に向けた課題がございます。その一方で、再生可能エネルギー主力電源化していくと、このように位置づけましたことは、温室効果ガスを排出せず、国内生産が可能で国際情勢に左右されにくく、エネルギー産業の育成に必要な先端技術の研究開発を促すとともに、新たな市場創出につながるなど再生可能エネルギーの特徴をより重視したものでありまして、そのことについて私も評価をいたしております。  エネルギー政策研究会から出された提言内容の進捗状況でございます。専門家で構成されました福岡県地域エネルギー政策研究会からの提言といたしまして、省エネルギーの推進、再生可能エネルギー普及促進、水素を本格的に利活用する水素エネルギー社会の実現、新たなエネルギー関連産業の育成、集積による地域振興と雇用の創出、この四つを目指すべき方向で示されたところであります。この提言を踏まえまして、省エネルギーの推進につきましては、家庭や事業所における省エネ、節電の推進、中小企業に対する省エネルギー導入の支援など取り組みを進めてまいりまして、平成二十七年度における本県の温室効果ガス排出量は二十五年度に比べて七%削減することができました。  再生可能エネルギー普及促進でございますけれども、県有施設への率先導入、市町村及び民間事業者による導入の支援など取り組みを進めまして、二十八年度末における本県の再生可能エネルギーの導入容量は百九十二万キロワットとなっておりまして、二十二年度末に比べ六倍強の増加となってございます。  水素エネルギー社会の実現につきましては、燃料電池自動車(FCV)の普及と水素ステーションの整備、これを一体的に進めることによりまして、県内で走行しておりますFCVは九十六台、水素ステーションは十カ所設置されるなど、その普及が進みつつあります。また工業技術センターや水素エネルギー製品研究試験センター、いわゆるHyTReCでございますが、これらを活用した県内企業の製品開発支援によりまして、水素濃度センサー等製品化が実現するなど、県内企業の水素ビジネスへの参入というものも進んできているところであります。さらに、地域振興、雇用の創出に関しましても新たに創設をいたしました中小企業者に対する融資制度を活用し、エネルギー関連の設備投資と事業について、これまで六十二件、約八億八千万円の融資が行われるなど新たなエネルギー関連産業の育成、集積も進んでいるところであります。  次に、エネルギー政策推進本部についてお尋ねがございました。このエネルギー政策推進本部は、エネルギー政策につきまして部局間の施策連携を図るとともに、全庁的に課題を共有し、翌年度の新規施策の企画立案につなげていくため、平成二十八年九月に私をトップとして設置したものでございます。昨年度は、年度当初に開催をいたしました推進本部での議論を踏まえまして、取り組みを具体的に進めるために、庁内約三十の関係課で構成しておりますエネルギー施策庁内連絡調整会議、これを四回開催をいたしました。その結果、県と春日市、九州大学共同による再生可能エネルギー電力供給事業、また県内の小中学生を対象とした環境教育事業など部局の間で連携した施策、これにつなげたところでございます。今年度も、去る六月四日、この推進本部を開催したところでございまして、今後連絡調整会議を活用しながら全庁的なエネルギー政策、総合的なエネルギー政策に取り組むことといたしております。また、この推進本部のもと、我が福岡県全体で取り組んでおりますエネルギー関連施策につきまして、ホームページなどを通じ、県民の皆様に一元的に、またわかりやすく提供をさせていただきます。  次に、太陽光発電以外の再生可能エネルギーの普及についてでございます。太陽光発電は、我が福岡県の再生可能エネルギーの導入容量の約九割を占めております重要な電源となっておりますけれども、その一方で、天候によって出力が大きく変動するといった課題もございます。このため、太陽光発電だけではなく、風力発電、バイオマス発電や小水力発電といった多様な再生可能エネルギーの導入を進めているところであります。これまで県におきましては、市町村が行うそれらの導入可能性調査に対する支援、風力、バイオマスなど電源ごとの専門家、アドバイザー、これを民間事業者へ派遣をする、また二つの既存の県営ダムに水力発電所を設置をする、そういったことを通じまして、再生可能エネルギー普及促進に総合的に取り組んできたところであります。こうした取り組みによりまして、現在、北九州市響灘沖の風力発電事業、豊前市、苅田町における大規模バイオマス発電事業などの取り組みが進められているところであります。今後とも、地域の特性を生かして多様なエネルギーのさらなる普及、拡大に取り組んでまいります。  次に、未利用間伐材などバイオマスの利用状況についてお尋ねがありました。県におきましては、木質バイオマスの利用拡大を図っていくために、間伐材の効率的な収集、運搬方法の普及を進めていくとともに、チップに加工する機械や温浴施設等の木質チップボイラーの導入というものを支援してきております。これらの取り組みによりまして、県内における平成二十八年の間伐材等の木質バイオマス利用量は二万六千トンとなっておりまして、五年前の五倍まで増加をいたしております。木質バイオマスを県内で利用することは、間伐材の有効活用はもとよりのこと、雇用の創出などによる地域の活性化にもつながってまいりますことから、引き続きその利用の拡大に向け、しっかり取り組みを進めてまいります。  次に、バイオマス活用推進計画についてでございます。この計画は、バイオマス活用の推進に関する施策を総合的、計画的に進めるため、バイオマス活用の取り組み方針、利用量の目標等を定めるものでございまして、バイオマス活用推進基本法により都道府県及び市町村は計画を策定するよう努めるものとされております。一方で、福岡県におきましては、福岡県農林水産振興基本計画や家畜排せつ物利用促進計画におきまして目標を定め、木質バイオマスエネルギー利用や良質な堆肥の生産、これらを進めているところでございます。また、目標値は定めておりませんけれども、福岡県環境総合基本計画や福岡県廃棄物処理計画におきまして、下水汚泥や食品廃棄物等の有効活用、これらも推進しているところであります。このように、国が今示しておりますバイオマスの種類について、県の各計画に基づきまして、それぞれの利用を進めているところであります。バイオマス利用計画の策定につきましては、これらの今私どもがやっております計画の今後の進捗状況を踏まえて判断をしてまいります。  次に、国が策定をしました運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインについてお尋ねがございました。本ガイドラインは、生徒にとって望ましいスポーツ環境を構築するという観点に立ちまして、地域や学校の実態に応じ、運動部活動が多彩な形で最適に実施をされることを目的として、本年三月に策定をされました。これは中学校、高等学校を対象としておりまして、私立学校にも適用されるものであります。県におきましては、同じく三月に私立中高等学校等を設置する学校法人及び学校長に対しまして、この本ガイドラインにのっとり適切に対応するよう通知をしたところでございまして、今後私学団体の会議等さまざまな機会を捉え、その周知を図ってまいります。  また、県教育委員会におきましては、学識者、公立、私立の学校の代表者及び庁内関係部署等で構成をする組織を設置をされ、協議を進められ、本県の運動部活動の方針が策定される予定となってございます。今後、本ガイドラインにのっとり、また県方針を参考に、各学校法人が策定をします運動部活動の方針の策定状況やその運用状況につきまして調査を実施し、その実態把握に努めてまいります。 13 ◯議長(井上 順吾君) 城戸教育長。 *教育長答弁 14 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの認識についてでございます。本ガイドラインは、生徒にとって望ましいスポーツ環境を構築するという観点に立ち、地域や学校の実態に応じ、運動部活動が多様な形で最適に実施されることを目的として策定されたものであります。県教育委員会といたしましては、生徒が生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現する資質、能力を育む基盤として運動部活動を持続可能なものとするため、国のガイドラインに沿って適切に対応すべきであると考えております。また、本ガイドラインに基づいた部活動の運営は、教員の働き方改革にもつながるものと考えております。  ガイドラインの周知徹底についてでございます。県立学校及び市町村教育委員会に対し、本ガイドラインについて通知するとともに、県立学校校長会を初め各市町村教育長及び校長会、保健体育科主任会等において、本ガイドラインの趣旨や具体的内容について説明をしております。また、県や市町村の教育委員会が国のガイドラインを受けて策定する運動部活動の方針を示すまでは、学校は本ガイドラインにのっとり、適切に対応するよう周知しております。今後、県立学校に対し、休養日等部活動の運営状況に関する調査を実施し、実態把握に努めますとともに、各種研修会等を通じて継続的に指導し、課題のある学校に対しては個別に指導してまいります。また、市町村教育委員会に対しては、県の調査方法等の情報を提供するなど、それぞれが設置する学校の実態把握に努めるよう促してまいります。  ガイドラインに係る今後の対応についてでございます。運動部活動は、我が国のスポーツ振興を支えてきたばかりでなく、学校教育の一環として、生徒の心身の発達や人格形成等に資するとともに、教職員にとっても、学級や授業中には見ることのできない生徒の姿を把握できるなどの教育的意義がございます。そのため県教育委員会といたしましては、運動部活動が持続可能なものとなるよう、今年度、学識者や公立、私立学校の代表校長、学校体育団体の代表者等で構成する運動部活動調査研究委員会を設置し、適切な休養日の設定や地域との連携のあり方、校務分掌や家庭の状況に配慮した顧問の決定方法など、本県の運動部活動の方針を策定することとしております。 15 ◯議長(井上 順吾君) 佐々木允君。 16 ◯三番(佐々木 允君)登壇 知事に一点要望をいたします。  バイオマス活用推進計画の策定について知事は、国が示しているバイオマスの種類について、各計画に基づき、その利用を進めていると述べられています。しかし、現在、本県で数値目標を定めているのは、このうちわずか三項目だけであります。一方、国の計画には九項目挙げられており、また国が都道府県向けに作成したマニュアルには十五項目の数値目標が定められています。また、ことし三月に行われた福岡県地域エネルギー政策研究会で農林水産省からは、全都道府県による計画策定を目標としていることが述べられたばかりであります。しかも、この計画は本来あと二年後の二〇二〇年度までに策定が求められ、農水省は六年前の二〇一二年九月には詳細な中身を示した策定のためのマニュアルまで準備をしている状況です。そして、まさに先ほど知事は、地域の特性を生かした多様なエネルギーのさらなる普及、拡大に取り組んでまいるとも述べています。  バイオマスに関しては、その原料、電力、熱、いずれも数値化しやすい分野であります。未利用材の県内発生量に関して、県内での利用率、利用量は、率にしてわずか六・六%であることも今回明らかとなりました。数値目標があるかないかで、その施策の進捗に大きな差があることは知事も十分認識されていることと思います。改めて、バイオマス推進計画について、その策定に向けた検討を早急に行っていただくよう強く要望して、一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 17 ◯議長(井上 順吾君) 西尾耕治君。(拍手) *西尾議員質問 18 ◯二番(西尾 耕治君)登壇 公明党の西尾耕治です。通告に従い一般質問をいたします。今回は、私ども公明党で取り組んでおります百万人アンケート調査の中で指摘がありました、養護老人ホームの入所状況についてです。  養護老人ホームとは、おおむね六十五歳以上の高齢者で、身寄りがない、居住環境が適さないなどの理由や、無収入、年金収入だけでは生活できないなど経済的な理由により、在宅での生活が困難な方が市町村の措置によって入所できる施設のことで、昭和三十八年の老人福祉法で制定された措置施設と言われるものです。特別養護老人ホーム、有料老人ホームに入所される方たちとは違う方たちをカバーするため必要な施設として国の制度で設置されていますが、現実には、措置控えという言葉が日常聞こえます。県内の養護老人ホームの入所率は八六・八%とのことで、平成二十九年の関係団体資料によると、施設別には、入所率が少ない八〇%台以下で二十九施設中十四施設もあり、中には三〇%台、四〇%台もあります。一般に、入所率九〇%を切ったら経営上運営が厳しく、どの施設も四苦八苦しており、場合によっては存続が危ぶまれる施設もあると思われます。国の制度であり、各市町村が入所の判断の責任を持つとはいえ、現実にこのような状況を見れば、県としてできることはあるのではないかとも思い、質問いたします。  初めに、県内における養護老人ホームの施設数、入所者数の近年の推移状況をお聞かせください。  次に、県の養護老人ホームに対する権限はどのようなものなのかお伺いいたします。  財源については、平成十七年の三位一体の改革で一般財源化され、各市町村に対して、被措置者数に応じ適切に財源措置がされているとのことです。つまり、適切に措置された経費は国が交付税として責任を持って財源措置を行うし、逆に措置を行わなかったら、その分が交付税の中で出ないということです。そして、市町村の福祉担当部局の職員の方たちが、地方交付税の仕組みなどの財源的な裏づけについて理解することが重要だと、以前の厚生労働大臣官房審議官も発言しております。財源がないので、市町村が単費で措置しなければならないと誤解をされている市町村の担当部署はないとは思いますが、よりわかりやすく、詳しい説明も必要かと思われます。県で、研修会や丁寧な説明会ができないのか、また茨城県のように、市町村への通知の中でもっと踏み込んだ説明を取り入れることができないものか、ぜひ検討していただきたいと思います。  経費に関しては、平成二十六年の消費税率の引き上げ、八%への移行に伴う措置費の改定についても、多くの市町村では五%のままの計算で行われているとも聞きます。入所率が落ちてきている上でこの状況ならば、施設は大変に厳しい財務の状況と思われます。なお、関係団体より、各市町村に対し関連する要望書が提出されたと聞いておりますし、また県にも同じような要望や陳情、相談が届いていることと思います。  そこで、県としては、このような施設の厳しい財務状況を掌握しておられるのか、また市町村へ措置費の改定について丁寧な指導や助言ができないものなのかお伺いいたします。  養護老人ホームへの措置手続については、平成十八年の老人ホームへの入所措置等の指針についての中で、市町村に入所判定委員会を設置するようにうたっております。構成者には、市町村内に、老人福祉担当者、老人福祉指導主事、保健所長、医師、地域包括支援センター長及び老人福祉施設長のそれぞれの代表者で構成することから、地域で意識を高く持つ地域内連携体制の理想形であり、ぜひとも各市町村で設置すべきと考えます。現在の県内市町村の入所判定委員会の設置状況を掌握されているのか伺います。  県内には、更生保護施設という施設があります。これは、刑務所から出所しても頼るべき親族や縁故者がおらず、いたとしても身元引き受けを拒まれ、行き場を失った人たちを受け入れる施設です。しかし、その後の受け入れ先として、本人も担当者の方も、養護老人ホームを望まれることが多いが、市町村の判断の段階で難しいことがあると聞きます。そこで、安価な宿泊施設に移動せざるを得ないことも考えられます。一方、国では、再犯防止推進法も制定され、基本的施策の中では住居の確保が第十五条の中で記述されています。また、身体や精神に障がいがあり、経済的な問題も含めて日常生活を送ることが困難な人たちが、健康に安心して生活するための保護施設として、救護施設と言われるものがありますが、やはりここでも、担当の方から養護老人ホームが最適だと思われるも、市町村の判断で却下され、いまだに救護施設に特例でとどまっているケースもあると聞きます。  近年、低所得者が多く入る宿泊施設で、施設の不備から火事になり、高齢者の死者が発生するという悲しい事故が起きております。もちろん、全てが劣悪な状況ではなく、高齢者ばかりではないと言えますが、本来、きちんと審査をクリアした養護老人ホームに入っていればよかったと思われるケースは多いと関係者からよく聞きます。市町村ではこのような施設の新設に当たってのバランスを考えての調整は難しく、やはり国や県が主導して高齢者施設のバランスや政策に配慮すべきと思います。  最後に、本県においても高齢化が急速に進む現状の中で、生活困窮者や単身生活の高齢者の増加、認知症や孤立、虐待など複雑化する問題がさらに多岐に広がっている感があります。そこで、この養護老人ホームの独特の役割をうまく利用すべきであると考えます。何か工夫を加えられないものかとも思います。今後の県としての取り組みについて、どのように進められるのかお伺いいたします。  今後の超高齢化は深刻な問題であり、避けては通れない課題だと思います。ならば、国の制度を十分に理解し、県として独自に工夫を加え、上手に利用していくことが重要であると思われます。知事及び執行部におかれましては、何のために政策を実行していくのか、誰のために職務を遂行していくのかとの原点を忘れずに、今後も日々の業務に邁進されることを強く望み、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 19 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 20 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、県内の養護老人ホームの入所者数の推移でございます。平成二十五年四月、四十施設、定員二千七百十二人でございまして、その入所者数は二千四百五十八人でございました。ことしの四月におきましては、四十施設、定員二千六百三十二人で、その入所者数は二千二百八十五人となっております。この五年間で入所者数は百七十三人減少してきているところであります。  養護老人ホームに対する県の権限でございます。県は、指定都市及び中核市を除く県域におきまして、老人福祉法の規定に基づき養護老人ホームの設置等について認可をするとともに、施設に対し指導、監督を行います。養護老人ホームへの入所措置につきましては、入所が必要な人の居住地の市町村がこれを実施しておりまして、県は市町村に対し、必要に応じて技術的な助言を行っているところであります。  施設の財務状況と市町村への指導、助言についてお尋ねがございました。県におきましては、毎年度、福岡県社会福祉法人経営者協議会及び福岡県老人福祉施設協議会と意見交換会を行っておりまして、その場で、養護老人ホームの財務状況は大変厳しい、その旨お聞きをいたしております。県といたしましては、消費税率の引き上げに伴う措置費の改定を行っていない市町村も多いことから、措置費の改定を適切に行うよう、市町村担当課長会議におきまして、毎年度、交付税交付金で補填されることも含め助言を行っているところであります。  市町村における入所判定委員会の設置状況でございます。県内六十市町村のうち、ここ数年、対象者のいなかった二町を除きまして全ての市町村において入所判定委員会が設置をされているところであります。  養護老人ホームの利用についてでございますけれども、高齢化の進展に伴いまして、高齢者の単独世帯また夫婦のみの世帯の増加、認知症高齢者や要介護者の増加によりまして、さまざまな問題を抱えておられる高齢者がふえていくと、このように見込んでおります。とりわけ居宅での生活が困難な低所得の高齢者にとりましては、養護老人ホームは重要な役割を果たしていくと考えております。県といたしましては、介護が必要になっても高齢者の方々が安心して暮らし続けることができるよう、高齢者の方々それぞれの多様なニーズ、またさまざまな状態に対応した多様な施設、その確保に取り組んでまいります。 21 ◯議長(井上 順吾君) 神崎聡君。(拍手) *神崎議員質問 22 ◯三十一番(神崎 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。緑友会・立志福岡県議団の神崎聡です。  新しく井上忠敏会長をお迎えいたしまして、初めての定例会であります。緑友会の部屋は、これまでにない甲高い笑い声が響き渡り、ますます明るく、和やかな雰囲気に包まれております。私たちは、井上忠敏会長のもと、会派一丸となって県勢の発展と県民福祉の向上に邁進していこうと決意も新たにしているところです。どうぞ御指導をよろしくお願いします。  さて、昨日、我が会派の代表質問で取り上げましたJR九州の問題でありますが、公共交通は、経済活動や県民生活を支える重要な社会基盤です。地域産業の活性化に必要な交通網の整備とともに、特に通勤、通学や買い物、通院など住民の皆さんの日常生活を支える公共交通機関の利便性確保が何より大事だということは言うまでもありません。昨日の代表質問でも知事は、JR九州の今回のダイヤ改正は、県及び市町村が定住人口の確保、観光振興による交流人口の拡大を目指して取り組んでいる地方創生にも大きな逆風となるものであると御答弁されました。  小川知事が会長を務めておられます福岡県地域交通体系整備促進協議会でも、JR九州の平成三十年春のダイヤ改正に関する特別要望を行い、先月二十五日には、九州七県の代表がJR九州本社を訪れ、ダイヤ改正で通勤、通学などに大きな影響が生じているとする自治体による調査の結果を示し、それぞれの路線ごとに減らした列車を復活させることなどを求める要望書を手渡したと聞いております。  実際に運行が開始されて以降、鉄道利用者から多数の苦情やクレーム、要望が寄せられていると思います。私の地元田川地域に関しましては、昨年七月に発生しました九州北部豪雨災害で甚大な被害に見舞われた日田彦山線と、福北ゆたか線に接続している後藤寺線があります。私のもとにも利用者から、大変不便になった、日常生活に大きな影響が出ているといった意見が寄せられております。例えば、高校生などの通学者からは、改正前は二両編成だったのが一両となったり便数が減少したため、車両の混雑がひどくなった、部活を早目に切り上げて帰宅しなければならない、あるいは二十時台の列車が田川後藤寺どまりとなり帰宅が困難、平成筑豊鉄道との接続が悪くなった。通勤での利用者は、会社が三交代で勤務時間に間に合わなくなった、新幹線で関西方面への日帰りができなくなった、博多へも小倉へも接続が最悪になっている。通院されているお年寄りの方は、これまで飯塚に行くのに田川後藤寺駅での乗りかえなしだった時間帯もなくなり、田川後藤寺駅では階段を渡らなくてはならず、JRの利用が困難となった。  私も実際に利用しておりますから、その切実な訴えを肌で感じているところです。県議会棟にJRで登庁する場合、日田彦山線で添田駅から田川後藤寺駅の列車に乗ります。そして後藤寺線に乗りかえるんですが、後藤寺駅での待ち時間を平均いたしますと、改正前が十分だったのが、改正後は二十九分になっていました。次に、新飯塚駅で福北ゆたか線に乗りかえますが、これまでは快速が多かったんですが、普通列車での接続が多くなっています。また、乗ってきた後藤寺線は新飯塚駅で折り返し列車となるんですが、驚いたことに、福北ゆたか線の上下列車の到着を待たず、上下列車到着二分前に発車してしまいました。私は唖然としました。一時間に一本しかない路線です。どうして二分を待てないんでしょうか。さらに最悪なのが、これまで博多駅から終点添田駅の最終が二十一時五十四分だったんですが、博多からの最終列車が、今は二十一時九分になっています。最終列車で帰宅しようとすると、一次会の懇親の途中で退席せねばならず、これでは懇親は深まりません。家族からは、帰宅難民って言われても仕方ないねと、そんなことまで言われています。昨年の北部豪雨で被災し、添田─夜明区間で運転見合わせが続いている日田彦山線に追い打ちをかけるような今回のダイヤに、私は非常に憤りを感じています。  そこで知事にお尋ねいたします。田川地域の利用者からは、どのような影響が出ていると言われているのでしょうか。一本一本の列車について、きちんと分析し、ダイヤ見直しについて、JR九州にどのような要望をされているのかお聞かせください。また、その影響について知事の認識をお聞かせください。  私は昨年二月定例会の会派代表質問で、上場したJR九州民営化について知事に質問をいたしました。株主となり、公的な立場から地域の意見を取り上げ、反映してもらうように訴えることは大変意義のあることだとの考えからでした。知事の答弁は、路線維持については、地元沿線自治体などが参加する公共交通確保のための各種協議会の場を通じJR九州に働きかけると答弁されました。  そこで、質問内容を変えて再度質問いたします。各種協議会などでは拘束力がなく、株主に比べると格段に発言力は弱いのではないかと考えます。沿線自治体と協力、連携を図り、JR九州株を出資し、地域の足として公共交通機関を守ること、地域公共交通ネットワークを確保することが、福岡県に、そして沿線自治体に課せられた使命なのではないでしょうか。知事は株主としてJR九州に要望することと、各種協議会で要望することと、どのような違いがあるとお考えでしょうか。知事の御所見をお尋ねいたします。  昨日の代表質問で、JR九州からは、一昨日の夕方に改善要望への対応を公表とするとの連絡を受けていることを明らかにされました。明らかにされましたが、昨日、きょうの新聞報道では、JR九州は車両増や運行時間は調整するものの、減便した列車は復活させない方針を固めたと具体的に書かれています。JR九州の青柳社長は、列車を増発するかは社内で議論した上で決めたい、九州豪雨で被災した久大線が全線で運転再開する七月十四日に実施したいとコメントを発表されていましたが、どのようなデータを分析したのでしょうか。私は、ダイヤ改正後、利便性が低下し、利用者が減少したデータの分析では、地域の声を反映した分析とは言えないと思います。したがって、改正前と改正後の利用客の分析をしっかりする必要があると思います。何よりも、お客様の声が一番のデータであることを、公共交通を担う事業者は忘れてはならないとJR九州に申し上げさせていただきたいと思います。そのことを、知事、しっかり伝えていただきたいと思います。  そこで、県はどのような観点からダイヤ改正の見直しをすべきだとお考えでしょうか。また、JR九州に対してどのような要望と交渉を行っていき、田川地域におけるJR九州の対応と今後の方針についてお答えください。  次に、特定外来有害獣アライグマについてお尋ねいたします。私はこれまで、有害鳥獣の質問を幾度となくいたしました。またですか、と思われているかもしれませんが、地元では深刻かつ切実な問題ですので、御理解いただきたいと思います。  イノシシ、鹿の有害獣対策としては、捕獲とジビエの消費拡大で本県としても取り組んできましたが、それでも、なかなか抜本的な解決方法が見つかりません。香春町周辺に生息するニホンザルにおいては、観光大使として群れごと外国に輸出できないものかと海外に出向いて交渉したり、あるいは絶滅したオオカミの再導入について、知事に御所見をお尋ねしましたが、やはり壁は高過ぎたように思いました。  そういった状況の中でも、地元添田町では、ロボットオオカミ、スーパーモンスターウルフを今年度予算化し、先日、設置した様子がテレビニュースで放送されていました。高さ五十センチ、体長六十五センチで、口の部分のスピーカーからオオカミの鳴き声などの音を出し、首を左右に振りながら目の発光ダイオードを赤く点滅させて威嚇し、動物を追い払います。効果があれば増設するそうなんですが、当面は地道に捕獲し、適正頭数に近づけていくしかないように私は思います。  さて、今回の質問は特定外来有害生物のアライグマであります。農産物への被害をもたらす特定外来生物アライグマの捕獲数が九州で急増しております。環境省や各県によりますと、十年前には長崎、佐賀、福岡三県で計百十匹だったのが、生息域は南九州まで広がり、九州全体で三千匹前後となっているようです。近年では、柿やスイカ、ミカンなど農産物の食害が深刻化し、各自治体が防除を強化しています。本県の昨年の捕獲数は六百三十八匹で、前年度と比べて約二・五倍と膨れ上がっています。私の地元添田町では、一三年度から三年で捕獲数が十倍となっています。見かけはかわいらしく見えますが、なかなかどうもうで、イノシシを捕獲する金網を設置してもアライグマは金網をよじ登って畑に侵入し、中には家の屋根裏に居つき、ふん尿で天井が腐ったなどの報告もあります。駆除が追いつかず、手の打ちようがない、すっかり定着した外来生物だと言えると思います。雌は満一歳から出産可能で、二歳以上の妊娠率は一〇〇%に近いそうです。年一回繁殖で、平均三頭から四頭出産しますから、例えば、二頭から始まりますと、五年後には八十頭、十年後には約二千三百頭、十五年後には約六万五千頭ふえる計算になります。つまり、ふえ続けるアライグマを減少に転じさせるためには、毎年半数以上を捕獲しないと難しいということであります。  そこで知事にお尋ねいたします。アライグマによる被害としては、農産物被害、生活被害等が挙げられますが、本県の被害の現状と対策についてお尋ねします。
     アライグマ対策については、国が特定外来生物として指定したのであれば、本来、国が責任を持って防除を行うべきなのではないでしょうか。どのような理由で、市町村がアライグマの防除に取り組んでいるのかお聞かせください。その上で、本県として市町村の取り組みにどのように支援していくのかお尋ねいたしまして、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 23 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 24 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず、JR九州のダイヤ改正にかかわる田川地域の利用者への影響でございます。県では、市町村、高等学校等に対しまして、ダイヤ改正実施後の四月、その影響調査を行いました。その調査の結果、日田彦山線につきましては、添田発田川後藤寺行きの列車が、御指摘もありましたが、車両数を二両から一両に減らしたことによりまして西添田駅で満員となり、豊前川崎駅や池尻駅で乗車ができないといった高校生の通学あるいは通勤への影響があると、このように報告を受けております。後藤寺線につきましても、新飯塚発田川後藤寺行きの列車が減便となりましたことから、田川から飯塚方面に通う高校生の帰宅時間が遅くなるといった声が寄せられております。このように田川地域において住民の皆様の日常生活に影響が出ておりますことから、県におきましては、この調査結果をもとに、ダイヤ改正前と改正後の状況を比較分析をし、個別の路線ごとの改善項目を示し、去る五月二十五日、九州各県とともにダイヤ見直しについて要望を行ったところであります。  次に、株主としての要望と、各種協議会を通じての要望の違いでございます。JR九州の株主となることは、みずからの意見や主張を経営に反映させる手段の一つである、このように思います。一方で、多額の資金が必要となりまして、出資につきましては財政負担の大きさと、その費用対効果、それらを総合的に勘案をし、判断をする必要があると考えております。一方で、各種協議会としての要望は、それぞれ公的な立場にあります九州各県、県議会、市町村が一体となりまして、それぞれの地域の利用者の声を集約し、直接交通事業者に対し、その見直しを求めていきますことから、効果は大きいものがあるというふうに思っております。  次に、JR九州の対応と今後の方針でございます。JR九州からは、ダイヤ改正前後の同じ時期における利用状況を比較した上でダイヤの見直しを検討したと聞いております。県では、先ほども申し上げましたように、市町村、高等学校などにダイヤ改正実施後の影響について調査を行い、路線ごとに具体的な支障を来している事例を取りまとめ、JR九州に対し、ダイヤ改善要望をしたところであります。JR九州からは、決まり次第、近日中に今回の改善要望への対応を公表するとの連絡を、一昨日の夕方に受けたところでございます。県といたしましては、今後、JR九州からその内容が示されれば、県議会を初め関係の皆様にもお伝えした上で、田川地域のダイヤ見直しに必要な対応を行っていきたいと考えております。  次に、アライグマによる被害の現状と対策でございます。平成二十八年度の農作物被害は、主に果樹、野菜でございまして、七百万円となってございます。また、屋根裏にすみつくなど生活環境の被害は約九十件報告がされているところであります。県におきましては、被害防止対策研修会を開催をするとともに、市町村が実施をしておりますアライグマに対応した捕獲器の導入、侵入防止用の電気柵の設置、さらに二十五年度からは捕獲活動に対し支援を行っているところであります。これらの取り組みの結果、捕獲頭数は年々増加しておりまして、二十三年度約六十頭でありましたものが、二十八年度は九百頭を超えております。農作物の被害額は、ピーク時二十三年度の約一千三百万円に比べまして、現在半減をしているところであります。  今後のアライグマ対策における市町村への支援でございます。アライグマにつきましては、平成十七年に施行されました特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律、いわゆる外来生物法でございますけれども、この法律によりまして、特定外来生物に指定をされております。また、この法律では特定外来生物は国が防除を行うこととされております。しかしながら、県内において農産物被害や生活環境被害が生じているその実態を踏まえまして、二十二の市町村が同法に、いわゆる外来生物法に基づきましてアライグマ防除実施計画を策定をし、国の確認を得て、みずからその防除に取り組んでいるところであります。県におきましては、これまでに市町村職員を対象とした防除講習会を開催をするとともに、先ほど述べました被害防止のための支援を実施しております。今後、新たに開発され、今年度から今市販をされておりますけれども、アライグマ専用捕獲器、これも補助の対象といたしまして、それについての情報を紹介するなど市町村への支援を強化していきたいと考えております。あわせて、国に対しましては、引き続き国の責任による防除の実施を求めていくとともに、市町村への財政支援、これについても要望をしてまいります。 25 ◯議長(井上 順吾君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。           午 後 零 時  十六分  休 憩           午 後 一 時 三十一分  再 開 26 ◯副議長(畑中 茂広君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。平井一三君。(拍手) *平井議員質問 27 ◯四十五番(平井 一三君)登壇 自民党県議団の平井一三です。通告に従いまして、まちづくりと用地に関する課題について質問をいたします。  人口減少、少子、高齢化の社会を迎え、市街地の中心部から郊外へ拡大していく高度成長期のまちづくりから、コンパクトシティーとネットワークのまちづくりに向けた取り組みが進められようとしております。また、今後老朽化を迎えるインフラの改築、近年の自然災害の増大への備え、農林業の後継者対策や農用地等の集約への取り組みなど、私たちが安全に安心して、そして快適に生活できる持続可能なまちづくりへの取り組みは喫緊の課題であると考えております。  昨年の六月議会一般質問で、都市計画道路の見直しについて質問をさせていただきました。都市計画道路に決定され、四十年以上未着手の道路が全体の五五%に及ぶ現状を踏まえ、社会情勢の変化、都市計画の変更などを考慮して、都市計画道路の見直しを早急に実施するべきであると提案をいたしましたところ、都市計画道路の新たな評価手法と見直しまでのロードマップが制定され、本年五月の都市計画審議会においてもその内容が示されました。建築都市部を初め関係部署の迅速な取り組みに感謝を申し上げますとともに、期待される成果につなげていただくことをお願いをいたします。  ところで、これからのまちづくりにおいて大きな障害の一つになっているのが、所有者不明の土地であり、不動産登記が適切に行われず、相続等で一筆の土地に多数の地権者が存在する土地の問題であります。これまで、所有者不明の土地は用地交渉ができない、解決までに多大な時間と労力を要する、危険な空き家が撤去できないなど、事業が滞る原因の一つとなってきました。特に民間の事業においては、土地に関する情報の収集にも限界があり、事業を断念せざるを得ないといった事態も生じていると聞いております。また、農地の集積、集約化や森林の適正な管理を推進する上でも、所有者不明土地は大きな問題となっておりますし、さらには自治体による固定資産税の徴収が滞る、そのような原因にもなっております。このように、土地の所有に関する諸課題は、健全なまちづくりを行っていく上でも、国土の有効活用といった観点からも、大変大きな障害となっております。  さて、所有者不明の土地を有効利用するための特別措置法が今月六日に衆議院本会議で可決し、都道府県知事の判断で十年間公益目的で使えるようになりますが、この特措法で、土地利用に関する諸問題がどの程度解決されるのかを確認しておきたいと思います。  そこで、まず三点について質問をいたします。一点目は、現在、全国の所有者不明土地の面積は、ほぼ九州の面積に相当すると言われ、今後さらにその増加が見込まれますけれども、福岡県内には所有者不明の土地がどれくらいあるのでしょうか。  二点目として、県事業において、所有者が不明な土地のために事業に支障を来している物件はどれぐらいあるのでしょうか。  三点目として、官民それぞれで、今回の特措法を適用するための具体的なスキームについてお聞かせください。また、土地利用の条件等があればお聞かせください。  しかし、今回の特別措置法は、所有者が不明となった土地の利用に関して定めたものであり、所有者不明の土地を生じさせない抜本的な対策とはなっていないと考えられます。所有者不明の土地が生じた大きな原因の一つは、相続登記が適切にされなかったことであります。その理由としては、地方部など土地需要が低下している地域では、不在地主化や高齢化も影響して、所有者による適切な管理がされない土地が増加していく中、不動産としての土地の資産価値が低下し、さらには土地を所有することへの負担感などがあるからだと考えられます。また、土地の権利関係の公示制度であります不動産登記の制度上、所有権の登記は第三者に対する対抗要件でありまして、義務化されているわけではないため、相続登記がされずに、不動産登記簿に記載された所有権登記名義人が現在の所有者でない場合も多く、相続を繰り返すうちに、関係相続人、土地に対して権利を有する人が相当数に達するといったことになっております。  これらの問題を解決するために、国において法の整備の検討が進められていると聞いておりますけれども、県、市町村のまちづくりにとって大変重要な課題でありますので、次の三点について、知事の見解と、県としての取り組み、国に対する働きかけについてお聞きをいたします。  一点目は、相続登記の義務化についてであります。  二点目は、所有権を手放すことができる制度の構築についてです。これは、土地の管理ができず、継続して所有することができない所有者から、土地を受け入れる仕組みも必要になってくるのではないかという考えのもとに、この質問をいたします。  三点目は、土地の基本情報をしっかりと管理できる制度についてであります。例えば、現状は、戸籍を扱う部署は、死亡届が出された方が不動産を所有していることを知りませんし、不動産登記を行う部署は、登記名義人が死亡したことがわからないといった状況であります。また、外国資本による土地の買収など、真の所有者の実態がわからないといった状況もありますので、土地に関する基本的な情報を管理できる仕組みづくりが必要であると思われますが、いかがでしょうか。  次に、地籍調査についてお聞きをいたします。登記簿の土地の面積や境界などの情報を得るための最も重要なのが地籍調査でありまして、市町村が主体となって実施されておりますけれども、調査が始まって六十年以上が経過した現在でも、全国的には五〇%程度しか進んでいないと聞いております。都市部ではもっと低い進捗状況だとも聞いております。境界確認の立会のために所有者を探す場合、登記名義人及び相続人の追跡調査が行われますけれども、住民票の除票、戸籍の付票の保存年限があり、調査し切れず、境界の確認が得られないケースがあります。その結果、隣接土地も含めて筆界が未定のまま処理されることとなっております。土地取得の協議においては、土地の所有者や関係者全員の合意が必要となりますが、地籍調査が進まないこと、境界がはっきりとしない状況にあることが、官民問わず、事業実施の大きな障害となっております。  そこでお聞きをいたします。これまでの地籍調査は、やりやすいところ、つまり地権者の確認がとりやすいところ、境界確認が比較的容易なところを優先して実施してきたと聞いております。今後は、調査環境の厳しいところが残されているため、その進捗が懸念されるところであります。このような中にあって、福岡県における地籍調査の実施状況はどの程度でしょうか。  また、今後調査を進めていく上での課題と、県としてどのような取り組みを行っていくのかについてお聞きをいたします。  最後に、用地交渉に携わる職員の育成についてお聞きをいたします。県事業の実施におきましては、用地をいかにスムーズに取得していくかが重要となります。事業に着手できない、あるいは中断している主な原因は用地の問題であると思われます。用地交渉に当たっては、これまでに述べたように、所有者が不明の土地、相続等により地権者が多数存在する土地への対応も求められます。地権者が遠方や海外に居住されている場合もありますし、またそれぞれの土地にはいろいろな思いを持った地権者がおられます。用地交渉を円滑に推し進めるためには、人間関係を構築しながら、地域性や事業内容を十分に把握した上で交渉を行っていく能力が求められます。用地交渉を行うための専門的な技術の蓄積とその継承が重要になってくると思われます。そのためにも、担当職員が誇りを持って、やりがいを感じることができる環境を整えていくことも必要であろうと思っております。  そこでお聞きをいたします。用地交渉に携わる職員の育成、計画的な配置について、どのように取り組んでおられるのか、また今後さらに円滑なる用地交渉業務を行っていくために、どのような取り組みを行っていくのかをお聞きいたします。  以上で質問を終わります。(拍手) 28 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 29 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、所有者不明土地の現状でございます。国土交通省の平成二十八年度地籍調査における土地所有者等に関する調査におきまして、我が福岡県におきましては二万五千八百六十七筆を調査をいたしました。その結果、不動産登記簿上で所有者の所在が直ちに確認できない土地は二千三百七十三筆で、その割合は約九・二%でございます。このうち、戸籍や住民票による追跡調査を行っても、その所有者が判明をしなかった土地は四十四筆ございまして、その割合は〇・一七%となっております。  次に、所有者不明土地による公共事業への支障についてでございます。公共事業に必要な用地が相続登記をされていない場合には、まず全ての相続人を確定をいたしまして、全員から買収の同意を得る必要がございます。さらに、相続人が確定できない場合には、民法上の不在者財産管理人制度や相続財産管理人制度を活用いたしまして、必要な用地の取得を行っております。これらの作業は、これまで、例えば相続人六十九名の確定と買収の同意に約二年を要した事例もございまして、多くの時間と労力が割かれることになります。過去四年間に県の公共事業全体で取得いたしました用地は八千八百四十八筆ございますが、そのうち相続調査を行っても、その所有者が判明しなかった土地は三十二筆あります。その割合は〇・三六%となっております。  次に、地域福利増進事業のスキームとその事業活用に当たっての要件についてお尋ねがありました。本事業は、市町村やNPO法人等が、公園、イベント広場など公益性のある事業に所有者不明土地を利用しようとする場合に、都道府県に土地利用権の裁定を請求できるものでございます。県は、この請求がありました場合には、市町村の意見聴取や公告などの手続を行った上で、土地の利用期間や補償額について裁定を行い、事業者はその範囲内で土地の利用権を取得をいたします。事業の対象となる土地でございますけれども、登記簿、戸籍、親族への聞き取りなどによっても所有者が確認できないことに加えまして、建物がなく、利用されていないことなどがその条件とされております。利用期間は十年以内となっておりまして、事業完了後は、その土地を原状に復することとされております。  所有者不明土地をふやさないための取り組みでございます。今月一日、国におきましては、関係閣僚会議を開き、相続登記の義務化、管理不全な土地を手放す仕組みなど、登記制度、土地所有権等のあり方、そして登記簿と戸籍等の連携など土地所有者情報を円滑に把握する仕組み、これらにつきまして二〇二〇年までに必要な検討や制度の改正を進める方針が決定をされました。こうした国の取り組みは、登記義務化の実効性をどう確保していくのか、また放棄された土地をどのように管理、活用していくのかといった課題はございますものの、所有者不明土地の問題を解決していくには、その解決に資するものであると、このように考えております。県といたしましては、引き続き国のこの検討状況を注視し、情報収集に努めてまいります。  次に、地籍調査の進捗状況と今後の取り組みでございます。地籍調査は、インフラ整備や災害復旧事業等を実施する上で重要な基礎データでもございます。本県の調査面積四千六百三十平方キロメートルのうち、平成二十八年度末までに三千四百二十五平方キロメートルについて調査済みとなっております。その進捗率は七四%となっておりまして、全国平均五二%を上回っているところであります。今後、調査を進めるに当たりましては、所有者の高齢化、不在地主の増加等によりまして、境界の立会確認、また測量作業に時間や経費を要することが見込まれることから、市町村の実施体制の整備、またその予算の確保が必要であると考えております。このため県では、市町村の担当職員に対しまして、積算の研修会あるいは工程管理の担当者会議を開催をいたしまして、地籍調査が計画的また効率的に行うことができるよう、技術的支援や助言などを行ってまいります。あわせて、国に対し必要な予算が確保されるよう、今後も働きかけを続けてまいります。  次に、用地担当職員の育成と計画的な配置でございます。用地担当職員は、不動産や税など広範にわたる専門的な知識が求められます。このため新任職員基本研修を初めといたしまして、相続調査や登記、税などの専門分野ごとの研修というものを毎年開催をいたしております。さらに、このような経験、ノウハウを継承していくために、経験豊富な職員によります事務指導、また交渉の場への同行など、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)による育成を図っているところであります。今後とも、用地業務が円滑に進むよう中長期的な観点から計画的に用地担当職員の育成を図り、その適切な配置に努めてまいります。 30 ◯副議長(畑中 茂広君) 大田京子君。(拍手) *大田(京)議員質問 31 ◯四番(大田 京子君)登壇 民進党・県政クラブ県議団の大田京子です。通告に従い、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現について質問いたします。  世界保健機関によると、人口十万人当たりの自殺者数をあらわす自殺死亡率は、アメリカ、ドイツ、イギリスなどの先進諸国が平均して一一・二であるのに対し、日本は一六・八であり、先進諸国と比較しても高くなっています。また、平成十年に急増して以降三万人を超えるなど、自殺はもはや個人の問題ではなく、その多くが防ぐことのできる社会の問題であると認識されるようになりました。  国においては、平成十八年に自殺対策基本法が施行され、翌年には自殺総合対策大綱が策定されるなど、国を挙げて自殺対策を推進してきました。さらに、平成二十八年に自殺対策基本法が改正され、都道府県及び市町村は、大綱等を勘案して地域自殺対策計画を定めることとされました。国は自殺死亡率を、先進諸国の現在の水準まで減少させることを目指し、平成三十八年までに一三・〇以下にするとしています。  本県では、この基本法改正を受け、ことし三月に、平成三十四年までの五カ年を計画期間として、福岡県自殺対策計画を策定し、自殺死亡率の目標を一四・四以下としました。本年三月、厚生労働省が発表した警察庁の自殺統計に基づく平成二十九年中における自殺の状況によると、本県の自殺者は八百七十九人であり、東京、神奈川、大阪などに続き全国九番目に多くなっています。また、自殺死亡率は一七・二であり、五カ年で目標の一四・四にするには、これまで以上に県を挙げて自殺対策に取り組む必要があります。  そこで一点目に、市町村における自殺対策計画策定の状況についてお聞きします。さきに述べたように、平成二十八年、基本法が改正され、市町村においても自殺対策計画を定めることとされました。本県の保健所圏域別自殺死亡率を見ると、最も低い地域が一一・七であるのに対し、最も高い地域では二四・四と二倍以上の開きがあります。本県に住む誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けて、各市町村が地域事情や特性に応じた実効性のある自殺対策計画を策定することは重要であると考えます。県としては、市町村の計画策定に向けて支援を行う必要があると考えますが、現在の県内市町村の計画策定状況をお答えください。その上で、いつごろまでに全ての市町村の計画策定をどう支援して、完了させる考えかお聞かせください。  次に、若年層の自殺対策についてお聞きします。日本財団が平成二十八年に二十代から七十代、約四万人に実施した自殺意識調査で、本気で死にたいと思ったことがある人の割合は、二十代と三十代が最も高いという結果が出ました。また、十代から三十代の死因の一位は、過去三年間の累積でいずれも自殺となっています。こうした傾向は、全国的に見ても同様であり、長野県は昨年九月、LINE株式会社と連携協定を締結し、SNSで相談に対応する取り組みを試行しました。中高生を対象に、二週間、十七時から二十一時の四時間に限定し、十名のカウンセラーを配置して相談に対応したところ、相談件数は五百四十七件に上りました。これは、長野県の平成二十八年度一年間の子供からの電話相談件数二百五十九件を大幅に上回る数となっております。長野県は、取り組みの成果を検証する中で、LINEが気軽にアクセスできる相談ツールであることから、ひとりで悩む子供たちに潜んでいた相談したい気持ちを掘り起こしたと、子供のニーズを発掘できたと評価しています。さらに、電話相談と比べて身近な相談がふえていることから、子供の悩みを解決可能な時期に解消し、深刻な事態に陥ることを回避できるという意義も見出しています。いじめが深刻化する前に、自殺を考えるほど思い詰める前に、子供の思いを酌み取り、対応できると考えられます。  本県では、電話相談子どもホットライン24を県内六カ所の教育事務所に開設していますが、昨年度の相談件数は二百十四件であり、長野県より児童生徒数が多い本県としては、潜在的な需要がまだまだ多くあると思われ、現在行っている相談体制だけでは十分とは言えません。  SNSによる相談体制の活用については、文部科学省も有効と判断し、平成二十九年度補正予算と今年度当初予算で、SNSを活用した相談体制の構築を図る都道府県や政令市などに補助を行う事業を盛り込み、現在十八都道府県と九市が実施を予定しています。厚生労働省でも、若者向けにSNSを活用した相談窓口をつくり、ことしの三月から九月までの期間で実施、その後、効果と課題を研究することとしています。  そこで教育長にお聞きします。先進事例を踏まえ、SNSを活用した相談体制の構築の有効性について、どのように認識しているのか明らかにしてください。  その上で、SNSによる対応技法の確立やカウンセラーの確保など課題はあるものの、今後、児童生徒向けに、本県としても国や事業者などと連携し早急に相談体制を構築する必要があると考えますが、教育長の考えをお聞きします。  また、二十代から三十代の若年層向けにも、SNSを活用した相談事業を行うことは非常に有用性が高いと考えますが、これについては知事の考えをお聞かせください。  三点目に、中高年の自殺対策についてお聞きします。本県年齢階級別自殺死亡率の年次推移を見ると、五十代が平成二十八年で二六・五と、県全体の一六・三を一〇・二ポイントも上回っています。中高年層は社会的にも重要な立場になり、特に仕事においては強い責任感やストレスを感じている人が多いと言われています。また、平成二十九年の四十代から五十代の有職者の自殺者は全国で三千七百五十二人にも上り、多くの方がとうとい命をなくされています。昨今、社会全体で働き方改革を推進する機運が醸成され、長時間労働の削減やメンタルヘルス対策に対する具体的な取り組みも始まっておりますが、産業医の選任義務のない五十人未満の中小企業で働く者へのケアや、ストレスチェック制度で、そもそも対象になっていない事業主や役員に対するメンタルヘルス対策は十分とは言えません。  現在、県では各保健所や精神福祉センターにて相談窓口を設置したり、社会福祉法人いのちの電話に業務委託をし、二十四時間三百六十五日での相談体制をとっていますが、実際に心の悩みを抱える労働者の方からは、どこに相談してよいかわからない、専門機関への相談や受診は敷居が高い、周囲からの目が気になり利用しづらいなどの声が上がっています。特に、本県は県内企業の九九・八%が中小企業であり、企業倒産は年間三百件を超えることから、労働者を初め事業主にもさまざまな面で強いストレスがかかっていると思われます。  そこで知事にお聞きします。ストレスチェックの対象とならない中小企業で働く労働者及び事業主へのケア、また心の悩みを相談できる窓口の対応を含むメンタルヘルス対策について、県として具体的にどのように行っていくのかお答えください。  以上、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、知事及び教育長の前向きな答弁を求めます。(拍手) 32 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 33 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、市町村の自殺対策計画策定についてでございます。本年五月末時点におきまして、五市が、その計画を策定いたしております。県におきましては、昨年七月に閣議決定をされました自殺総合対策大綱を勘案をいたしまして、本年三月に県の計画を策定したところであります。市町村に対し、これらを踏まえ計画を策定するよう支援をしているところであります。  計画策定の必要性やその取り組みの手法等につきまして首長の理解を深めるため、福岡県自殺対策トップセミナーを開催をするとともに、精神保健福祉センターにおいて研修会を開催をし、市町村の計画策定に関する助言を行っているところであります。さらに、保健福祉環境事務所ごとに、管内の市町村を対象にヒアリングを実施いたしまして、個別に支援を行っているところであります。こうした取り組みによりまして、今年度中に四十一の市町村が、また来年度中には七つの市町が計画策定を予定しているところであります。残りの七市町につきましても、その早期の策定に向け、個別に首長に働きかけを続けてまいります。  次に、若年層向けのSNSを活用した相談事業についてお尋ねがありました。若年層のコミュニケーション手段といたしまして、SNSが広く普及をいたしております。このため、これを活用することで、若年層が抵抗なく相談をし、心の悩みに早期に対応するということが期待されます。一方で、SNSを活用した相談事業については、悩みに対して共感や寄り添いなどを通して深くかかわることには限界がある、そのような指摘もございますので、いかに電話、対面による相談につないでその解決を図っていくか、これが課題であると考えております。厚生労働省におきましては、ことしの三月から若者を対象にSNS相談を実施をし、文部科学省におきましても、昨年度補正予算で、児童生徒を対象にSNS相談を実施する自治体への補助制度を創設しております。今後両省は連携をいたしまして、これらの事業の実施結果の分析、相談体制の整備方針の検討、相談支援ノウハウを集約をしたガイドラインの作成など、SNS相談対応の強化のための実践的な研究を行うこととされています。こうした国における研究の動向を注視しながら、SNSを活用した相談事業について研究を進めてまいります。  次に、中小企業のメンタルヘルス対策でございます。中小企業の職場におけるメンタルヘルス対策を推進するため、県内四ブロックでセミナーの開催や労働者五十人未満の事業所に保健所職員が直接出向き、講話や相談を行っているところであります。このセミナー等は、労働者のメンタルヘルス対策をその内容といたしておりましたけれども、これから先は、事業主自身のセルフケアも取り入れた内容にしていきたいと考えております。  心の悩みの相談につきましては、保健所や精神保健福祉センターに相談窓口を設けております。これらの相談窓口が幅広く利用していただけるよう、商工会議所、商工会等と連携を図り、中小企業の労働者、そして事業主が出席される会合など、さまざまな機会を捉え、当該窓口の周知を図ってまいります。 34 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 *教育長答弁 35 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 SNSを活用した子供の相談体制についてでございます。長野県の昨年十一月の中間報告によれば、SNSによる相談により、ひとりで悩む子供の潜在した相談ニーズの発掘や、子供の悩みの芽を解決可能な時期に早期に摘み取るなどの成果があると聞いており、児童生徒が気軽に相談し、早期の対応ができるようになることが期待できると考えます。ただし、先ほど知事から答弁がありましたように、自殺に関する深刻な悩みに対しては、SNSでは共感や寄り添いなどを通して深くかかわっていくことに限界があり、問題解決を図るために電話や対面による相談へとつなげていくことが課題であると考えております。今後は、他県でのSNSの活用事例を研究し、本県における適切な相談体制のあり方について検討してまいります。 36 ◯副議長(畑中 茂広君) 大田京子君。 37 ◯四番(大田 京子君)登壇 若年層向けSNSを活用した相談体制のあり方について、知事及び教育長に一点要望いたします。  いずれも御答弁は、気軽に相談でき、心の悩みに早期に対応できるとの認識を示しているにもかかわらず、国の研究の動向を注視しながら研究する、もしくは他県での活用状況を研究し検討するとして、慎重な姿勢となっています。長野県のLINEでの相談事業にかかわった臨床心理士の杉原保史京都大学教授は、若者のコミュニケーションツールはSNSに比重が移っており、こうした現状に即した相談体制を構築していくべきだと指摘されております。このまま本県が、国や他県の動向ありきでしか施策を進められないようでは、いつになっても、知事の言われる県民幸福度日本一を実現できないのではないでしょうか。ぜひSNSを活用し、時代に応じた相談体制を構築していただきますよう強く要望して、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 38 ◯副議長(畑中 茂広君) 壹岐和郎君。(拍手) *壹岐議員質問 39 ◯三十四番(壹岐 和郎君)登壇 公明党の壹岐和郎でございます。通告に従い、県と市町村並びに市町村間の連携強化について質問します。  さまざまな場面で、県と市町村や市町村同士の連携が強化されれば、施策の周知が進み、住民サービスが充実すると思えることがたくさんあります。好事例としては、平成二十八年、県と北九州市、国が共同設置したウーマンワークカフェ北九州があります。国、県、市が連携することで、ランニングコストを増大することなくサービスは向上できました。一方、市町村事業として、意思疎通支援事業があります。総務省の資料によれば、要約筆記者派遣事業の実施体制整備状況、県内全市町村に対する体制を整備している市町村の割合は、平成二十八年度の数値で、本県は四〇・〇%、全国平均七八・〇%の約半分、ちなみに、この数字は北海道三五・二%に次ぎ、ワースト二位です。地域間、市町村間の格差の問題です。また、地方公会計制度が大きく変わりました。特にストック情報をいかに有効活用するかが重要なポイントです。県としても当然有効活用について研究し、実務に生かしていかなければなりませんが、公営住宅や公民館などを数多く抱える市町村において、より切実です。しかしながら、政令市を除けば、人材やノウハウの面で市町村には荷が重いのも現実です。県との連携や支援は欠かせません。  このような現状を踏まえると、施策の効果を上げるためには、どうしても県と市町村のこれまで以上の連携強化が必要となります。同様の問題意識から、既に静岡県は独自に平成二十六年度より、市町との連携のためのプラットホームをつくり、先駆的に取り組んでいることを知りました。そこで、先日、静岡県の取り組みを視察してまいりました。立ち上げ当初から、中心者として苦労されてきた山梨理事を初め地域振興局長、担当課長、実務担当者である担当班長とフルメンバーから取り組みをお聞きしました。  静岡県は、住民に身近な行政は基礎自治体が担うべきとの分権社会の基本理念のもと、市町への権限移譲を進め、移譲法律数では十三年間全国トップの分権推進県です。しかし、市町からは、移譲事務に限らず、さまざまな悩みや困り事があることがわかってまいりました。県と市町が対等、独立であることが前面に押し出され、本来の連携、協力関係が希薄となり、県民一人一人の満足度、幸福度向上に寄与する体制になっていないのではないかという問題意識のもと、県と市町の連携強化のプラットホームである行政経営研究会を、平成二十六年、全市町の賛同のもとに立ち上げました。  この研究会の概要は、静岡県では、県と県内の市町及び県内の市町同士が連携し、県、市町が共通して抱える行政課題の解決に向けて取り組む実践的な組織として設置、構成メンバーは、静岡県、県内全三十五市町と静岡県市長会町村会総合事務局です。具体的な研究や課題検討は、部会と課題検討会で運営、トップは静岡県の地方分権・大都市制度担当の理事、副会長は市及び町から各一名、会長が指名する仕組みです。  以下の三点の視点から、取り組む課題を選定しております。一点目は、市町と連携することにより、事業、施策を効率的、効果的に進めることができる取り組み、二番目に、法令や国の制度改正に伴い生じる新たな業務を、市町とともに的確に進めるための取り組み、三点目は、市町でサービスの質が異なる場合、より高い水準に向けて県内全体の底上げを図るための取り組み。なお、冒頭挙げた課題もこの三点に集約されると思います。  研究会の成果として、広域連携に関しては、一市五町と県が共同で広域消費者センターを設置し、今まで市町で受けていた三倍の相談を受け、水面下に隠れていた可能性の高い被害者救済に役立ったことや、平成三十年三月、総務省が公表している地方公共団体における行政改革の取り組みにおいて、先進事例として取り上げられている指定管理者の募集に応募する事業者減少打開策として、県が市町と連携して事業者向けの説明会の共同開催、また県内四千百公共施設の情報を地理情報システム上に公開することにより公共施設マネジメントの推進をするなどがあります。ほかにも、災害発生時の情報システム部門における業務継続計画の策定など、四年間で多くの成果を上げています。また、本年二月、静岡県は四年間の取り組みを総括し、十五テーマ、三十九項目にわたる行政経営研究会実績報告書を取りまとめ公表しました。今後は、平成二十九年四月に設置した市町行財政総合相談窓口に寄せられた事例も参考にしながら、テーマ設定を行うとしています。また、本年、市町に対して実施したアンケートによれば、四年間の取り組みに対し、ほとんどの市町は効果を実感し、同時にこの研究会に対し前向きな姿勢で取り組んでいるのがわかりました。ちなみに、五年目となる本年度は、五月三十日に全市町政策担当者が一堂に会し、継続テーマや新規テーマを協議、政令市である静岡市、浜松市、両市もテーマを提案するなど積極的に参加しており、精力的にスタートした模様です。なお、ここで言う市町行財政総合相談窓口とは、複雑多様化する地域行政ニーズに随時的確に対応するため、日々住民に接し、多彩な業務を担う市町の相談をワンストップで受け付ける県の地域振興局に設置した窓口のことです。  以上、静岡県の取り組みの特徴は、県と市町、市町間の課題や悩み事を日常的に取り上げ、協議する場があること。その課題は県主導ではなく、主体は市町からの提案であり、協議も、課題として捉えた市町が主体的に行っていること。最後に、県にワンストップ相談窓口があることです。根本的には市町と一緒になって問題解決をしていこうという姿勢です。  そこで知事に四点ほど質問します。まず一点目、静岡県は市町とともに、地域協働、課題解決型の分権社会を目指すとしていますが、広域自治体としての本県の役割をどのように考えておられるのか。同時に、本県の市町村支援課の最大の使命は何と考えられているのかお尋ねします。  二点目に、静岡県では、市町行財政総合相談窓口を設置し、ワンストップで相談を受け付け、市町職員のために汎用性の高いと考えられる事項を九十項目にまとめ、静岡県市町行財政ガイドブックを作成、公表しています。本県では、市町村からの相談について、どのような相談が寄せられ、他の市町村との共通性などの分析を行い、県内市町村の業務執行に生かしていける仕組みはあるのかお尋ねします。もし、ないのであれば、つくるべきと考えますが、いかがでしょうか。  三点目に、静岡県では平成二十九年度から、今回お話を伺った山梨理事が県内全市町を訪問し、本年度は危機管理部幹部と防災を含めた意見聴取を六月までに一巡、年二回から三回訪問するとのことでした。理事は、この訪問により、市町との意思疎通を深め、県の施策を効果的に立案、推進できると語っておられました。市町村支援担当トップが県内市町村の首長を定期的に訪問することも、より連携を深める上からも重要と考えますが、どうでしょうか。  最後に、静岡県では行政経営研究会と市町行財政総合相談窓口をプラットホームとして、連携強化の仕組みを構築しました。市町との関係強化や信頼醸成も、待ちの姿勢では構築できないと、山梨理事は強調されていました。今後、確実に進む人口減少、住民ニーズが多様化、複雑化する中で厳しさを増す財政状況、地震や激甚化傾向にある豪雨災害などの環境変化を前提とすれば、効率的、効果的な事業運営や市町村間の格差の是正が必要です。それには県内市町村との連携強化は不可欠です。問題解決のために、県と市町村が連携、協力し合える具体的な体制整備が必要と考えますが、知事の所見を求めます。  静岡県山梨理事を初め職員の皆さんは、毎日寄せられる市町村の対応に大変な様子でしたが、それ以上に市町の事業が改善し、担当者が喜び、ひいては県民の皆さんの満足度が上がることに確かな手応えを感じてやる気いっぱいでした。ぜひ現場に行かれて、静岡県の取り組みを調査していただきたいと思います。  福岡県をより実践的な広域行政機関にしてもらうよう、現場主義を自認する小川知事に期待し、私の一般質問とします。ありがとうございました。(拍手) 40 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 41 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、広域自治体としての県の役割でございます。県は、治山、治水、交通政策、観光や産業の振興、研究開発など、市町村単位ではなかなか実現の困難な事務や十分行政効果が期待できない事務につきまして、広域的な観点から、その施策を推進することを、その役割といたしております。  市町村支援課の使命でございますけれども、誰もが住みなれた地域で暮らしていくことができる安全、安心で活力のある地域づくりを目指しまして、それぞれの市町村が、その地域の強みや特色に磨きをかけ、それを最大限活用することによりまして、地域を元気にしていくことができるよう支援をすることである、このように考えております。その基礎となります市町村の行政運営の最適化、効率化、また国、県の各種施策を活用した地方創生推進の支援など、市町村にとってのワンストップ相談窓口としての役割を担っているところであります。  市町村から県への相談内容と、市町村が業務執行に生かしていく仕組みでございますが、市町村支援課への相談は、地方自治法、公務員法、税法、公職選挙法の解釈、地方債の対象事業、地方創生推進交付金の活用など、市町村行財政、地方創生全般にわたっております。加えて、近年は豪雨災害や地震の発生に伴う被災地への職員派遣、また、財政措置にかかわる問い合わせというのがふえているところであります。  市町村が業務執行に生かしていく仕組みといたしましては、本県には、市町村圏域会議というのがございます。通勤、通学の人口動態、地理的状況、歴史的経緯、これらを総合的に勘案をいたしまして、県内に十五の広域地域振興圏を設定いたしております。平成二十七年度から、この圏域ごとに県と圏域内市町村で構成する会議を年二回から三回、現地で開催をいたしてきております。この会議におきましては、その圏域としての共通課題を持っております近隣市町村と県の担当課が集まり、市町村の区域を越えた連携と協力に向けた協議を行っております。また、全県的な協議の場といたしまして、年三回、副市町村長会議を開催をいたしております。当会議によりまして、行政各分野の最新情報、制度の新設、改正につきまして、全ての市町村幹部と協議を行っているところであります。また、施設整備への新規補助事業、地方創生交付金や地方債といった各事務事業分野の市町村の担当者に対しまして、新任実務研修や詳細な制度改正説明会というものを随時開催をさせていただいております。本県は、個々の市町村に対する支援を所管をしております市町村支援課と、市町村域を越えた広域的な圏域単位の地域振興を所管をしております広域地域振興課が、いわば車の両輪となりまして、県内各市町村の地方創生の充実を図る体制をとっております。この両課の連携によりまして、市町村の業務執行をしっかり支援申し上げているところであります。  市町村支援担当トップの県内市町村長への定期的な訪問でございます。本県の各地域におきましては、広域連携や都市圏活性化について、市町村長が協議をする会議は定期的に開催をされております。それには、市町村支援を担当する企画・地域振興部の幹部職員も出席をいたしております。その他の会議、式典、イベント等におきましても、現地によくお伺いをしておりまして、その際には、市町村長と直接お会いし、率直な意見交換に努めているところであります。今後とも、幹部職員が市町村長と常日ごろから意思疎通を図ることによりまして、県と市町村の連携強化を図ってまいります。
     次に、県と市町村の連携強化のための体制整備でございます。先ほど申し上げましたとおり、本県では副市町村長会議や担当職員研修会のほか、十五の広域地域振興圏ごとに市町村圏域会議というものを開催しているところであります。昨年度は、この会議の中で、コミュニティーバスの広域運用についての検討を行い、複数の市町村が連携して、互いを結ぶ路線を新規に開設する場合に補助率を優遇する制度というものを、今年度から新たに始めたところであります。今年度は、各市町村の地方創生総合戦略の進捗状況、これをテーマに議論を行いまして、県及び出席した市町村間で情報共有を図るとともに、国、県、市の関連の施策についての最新の情報の提供、また市町村の連携による施策の実施についても検討を行っているところであります。今後、さらにこの圏域会議におきまして、これまで以上に市町村の各部局から広く議題の提案が行われ、全県共通のテーマ、また圏域固有のテーマ、それぞれ積極的な意見が交わされるよう、事前の準備や会議の進め方についても工夫を凝らしていきたいと考えております。また、各圏域に共通する行政課題や施策につきましては、協議テーマや結論というものを、他の圏域市町村とも情報共有をし、県全体の行政サービスの向上を図ってまいります。 42 ◯副議長(畑中 茂広君) 壹岐和郎君。 43 ◯三十四番(壹岐 和郎君)登壇 二点ほど再質問させていただきます。  今、市町村からの相談に対して、共通性を分析し、他の市町村の業務執行に生かす仕組みについて、あるかどうかお尋ねしましたけれども、市町村圏域会議があると、そういうことですけど、一点は、住民参加や他の圏域の参考のためにも、ぜひ市町村圏域会議を公開されてはどうでしょうか。内容は、これから公表されていくということですけれども、圏域会議で出されたさまざまな提案とか課題、きちんと進捗や成果を整理して公表されていくのか、もう一回御答弁を願いたいと思います。  ちなみに、静岡県では研究会や部会は原則公開、課題検討内容については実績報告書として、また相談事項はガイドブックとして詳しくまとめられ、公表もされています。  二点目は、本県では十五の市町村圏域会議を活用して連携強化を図るということでした。地域の特性に合った仕組みでいいと思うんですが、市町村との連携強化については、知事は、会議やイベント、いろんなところで協議をして意見交換するから十分であるという認識のようですが、少なくとも静岡県はそれではだめだという判断で、市町村への個別の訪問が始まったということでした。確かに、静岡県と福岡県の状況は違います。福岡県の市町村の格差は、僕は大変に大きいんじゃないかと思っているんですね。知事がよく言われる、県民の幸福度の向上というのは、この市町村格差が解消できるかどうか、完全に解消するというのは難しいかもしれませんけれども、高いレベルで解消できるかに、大きくかかわってくると思います。そのときに、県の果たせる役割というのは、非常に大きいというふうに考えています。だから、もろちん県のかかわりだけでは解決できませんが、もう一重、市町村の悩みとか課題を積極的にえぐり出していくぐらいの気持ちでなければ、なかなか市町村格差解消へ向けた連携強化は困難じゃないかなというふうに思います。  ここでもう一回、連携強化へ向けた体制整備の必要性について再度知事の答弁を求め、一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 44 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 45 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず、市町村圏域会議の内容の公表についてでございますけれども、御指摘のありましたように、この会議におきましては、その圏域に固有のテーマだけではなく、各圏域にも共通するテーマ、これについてもいろいろ話し合いが行われておりますので、他の地域でも参考になるものも多いと考えております。このため、各広域圏の会議における各市町村の自由闊達な議論、これを担保しながら、その議論の概要を初め他の圏域の市町村や住民の方にどうお知らせするか、これについて参加市町村とよく相談をしていきたいと、このように考えております。  次に、県と市町村の連携強化のための体制整備でございます。先ほどもお答えをさせていただきましたが、本県では、市町村支援課のワンストップ相談窓口に加えまして、市町村圏域会議、副市町村長会議、事業分野別の担当者会議などによりまして、市町村の持っておられます課題を共有しながら、その解決策をともに協議をしていく体制というものをとってきております。また、本県は、それぞれの市町村に対する支援を所管する市町村支援課と、市町村域を越えた広域的な圏域単位の地域振興を所管をしております広域地域振興課、この二つの課が、いわば車の両輪となって地方創生の充実を図る体制をとっております。こうした、いわゆる県と各市町村、いわば縦と、それから、市町村間、いわば横、この連携を図る体制をそれぞれ充実していくことによりまして、今後とも各市町村が抱えている課題の解決というものを、しっかり県として支援をしていきたいと、このように考えております。 46 ◯副議長(畑中 茂広君) 片岡誠二君。(拍手) *片岡議員質問 47 ◯十二番(片岡 誠二君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の片岡誠二でございます。通告に従いまして、これより介護予防事業の推進について質問をいたします。  我が国は、生活水準の向上、医療体制の整備や医療技術の進歩、健康増進の取り組みなどにより、世界有数の長寿国を実現しました。一方で、世界に例を見ないスピードで高齢化が進み、本県においても、本年四月現在二六・七%である高齢化率が、平成三十七年には二九・六%になると予測されております。  こうした中、平成十二年(二〇〇〇年)に創設された介護保険制度、社会全体で高齢者介護を支援する仕組みは、ことしで十九年目を迎えました。その間、介護サービス利用者は制度開始時の三倍を超え、介護保険制度における介護給付費の総額は年々増加しており、本年度は、全国で十一兆一千億円、本県でも四千億円になると見込まれております。今後、少子、高齢化がさらに進展する中、我が国が世界に誇る介護保険制度を、将来に向け持続可能なものにしていくためには、この介護給付費の増加を最小限に抑える取り組みが必要不可欠であります。そのためにも、まずは高齢者の皆さんが介護を必要とする状態にならないこと、つまり介護を予防することが最も重要であると考えますし、県においては、介護保険の実施主体である市町村が介護予防事業にしっかりと取り組んでいけるよう、あらゆる面で強力な支援が求められていると思います。  そこで知事にお伺いいたします。県は、介護予防事業の推進に向けて、これまでどのような取り組みを行われてこられたのか。また、市町村における介護予防事業の取り組みをさらに推進するため、今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねをいたします。  最後に、介護予防事業の推進に対する知事の強い決意をお答えいただきまして、私の一般質問を終わります。(拍手) 48 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 49 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  介護予防事業の推進でございます。県におきましては、平成二十六年度から、ロコモティブシンドロームの予防のための簡単な運動であります、いわゆるロコトレ、その普及を行うロコモ予防推進員、その養成を図るとともに、一昨年度に、このロコトレを紹介するDVDを作成し、各市町村に配付をしたところであります。養成したロコモ予防推進員の皆様には、それぞれが所属される老人クラブ、ボランティア団体、また市町村主催のイベントなどにおきまして、このDVDを活用してロコトレの普及活動に従事をしていただいているところであります。また、介護予防を推進するため、市町村職員、病院や介護事業所に勤務をされるリハビリ専門職の皆さんに対しまして、他地域における先進的な取り組みも学んでいただきながら、介護予防に関する技術を習得する研修を行っているところであります。さらに、市町村が効果的に介護予防事業を実施できるよう、県内四カ所に介護予防支援センター、これを設置をいたしまして、市町村からの相談への対応、職員への技術指導など、支援を行ってきているところであります。国は、介護予防、重度化防止に関する取り組みを支援するため、今年度、保険者機能強化推進交付金というものを創設をいたしました。県といたしましては、今後これを活用して、新たな介護予防の取り組み、これを積極的に行うよう各市町村に助言をしてまいります。  高齢者が増加をしていく中、健康寿命を延ばし、それぞれの方の生活の質を高めていくためにも、介護予防、重度化防止というものは大変重要でございまして、今後とも市町村が行う介護予防のための取り組み、これについてしっかり御支援をしていきたいと考えております。 50 ◯副議長(畑中 茂広君) 田辺一城君。(拍手) *田辺議員質問 51 ◯二十一番(田辺 一城君)登壇 皆さん、こんにちは。民進党・県政クラブの田辺一城です。通告に従い、政務調査に基づき一般質問をさせていただきます。  まず、予防接種の免疫を消失した子供の再接種に対する公費助成の促進について、知事にお聞きをいたします。           〔畑中副議長退席 井上議長着席〕  私たちは、主に子供の時期に予防接種を受けています。予防接種法は、第一条で、「この法律は、伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延を予防するために、予防接種を行い、公衆衛生の向上及び増進に寄与する」ことを目的とするとうたっています。予防接種には、定期接種と任意接種があり、定期接種は市町村が実施主体となり、私たちは無料で受けることができます。なお、市町村の財源の約九割を国が交付税措置しています。  この予防接種ですが、特別な事情によって免疫が消失するケースがあります。小児白血病や小児がん等に罹患し、骨髄移植手術や抗がん剤治療を受けると、それまでに予防接種で獲得した抗体が失われ、その予防効果が期待できなくなります。この場合、予防接種の受け直し、つまり再接種が必要になりますが、国の現行制度では、最初の定期接種が無料でも、再接種が必要になった場合は任意接種扱いとなり、費用は全額自己負担となっています。定期接種のヒブ、小児用肺炎球菌、B型肝炎、四種混合、麻疹、風疹などは、一回の接種費用がおおむね一万円前後で、必要な再接種を全て受けると二十万円ほどかかることになり、経済的負担が大きいと言えます。がん患者を支える家族の経済的、身体的な負担が大きい上に、こうした予防接種の制度上の欠陥が、さらに当事者の負担を大きくしてしまっている現状は改善をしなければならないと考えています。私は、努力義務が課せられる一回目の接種と、特別な事情による再接種で、公的な助成の有無が異なることに合理性を認めることはできません。こうしたことから、特別な事情による再接種について、市区町村が独自に助成する制度を創設する動きが出てきています。  新潟県新発田市では、昨年九月定例会における議員からの提案を受け、今年度当初予算に費用を計上し、制度を始めました。新潟県内では、政令市の新潟市、上越市、見附市で制度があります。今年度から名古屋市や浜松市も制度を始めています。二〇一六年の地方分権改革に関する提案募集でも、地方から国に対し、制度改正によって再接種が必要な子供を救済する必要性が提起されましたが、国は、困難との極めて残念な見解を示しています。また、再接種が任意接種であるため、万一の健康被害の際の救済措置、つまり補償の額も定期接種とは異なることになり、この問題も地方分権改革に関する提案の中でも指摘をされているところです。こうした中、ついに大阪府が今年度から、再接種費用を助成する市町村に対し、府として補助をする事業を始めました。初年度の補助率は十分の十、来年度以降は二分の一となっており、市町村の助成制度創設を促進することが目的となっています。  そこで知事にお聞きします。第一に、骨髄移植手術や抗がん剤治療といった特別な事情がある子供が、予防接種の再接種を受ける必要性についてどのように考えているのか、お聞きをいたします。  第二に、全国各地の市区町村で、再接種の費用を独自に助成する制度が創設されていることについての見解を、本県内六十市町村の現状とあわせてお聞きをいたします。その上で、県として市町村と、特別な事情による再接種で経済的に重い負担をせざるを得ない人たちがいるという課題認識と、先行して助成制度を創設して取り組んでいる事例を共有するとともに、県としても大阪府のように市町村に対する補助事業を創設し、県内市町村における制度創設を後押しする必要があると考えますが、知事の考えをお聞きいたします。  第三に、国は、二〇一六年の地方分権改革に関する提案募集で、地方からの制度改正の要望に対して困難と回答をしています。私は、予防接種法の趣旨と目的に照らしても、自治体による助成制度に任せるのではなく、また健康被害の際の救済措置の観点からも、定期接種の再接種については本来国が制度改正を図るべきと考えますが、提案募集に対する国の回答への評価とあわせ、知事の考えをお聞かせください。その上で、国への制度改正を強く求めるべきと考えますが、知事の考えをお聞きいたします。  これに関連して、二〇一六年十二月定例会本会議で知事に提案をした骨髄移植のドナーに対する助成制度の創設について、改めて知事にお聞きをいたします。白血病の有効な治療法とされる骨髄移植ですが、日本骨髄バンクのドナー登録は、年間受け付け件数が減少し、ドナー数の減少が強く危惧をされています。そして、最も重大な課題の一つとして挙げられるのが、骨髄移植の前提となる患者とドナーとの白血球の型が一致する適合率と、実際に移植に至る移植率の乖離です。適合率が九割超と高いにもかかわらず、移植は六割未満にとどまり、その背景として、休業の問題が指摘をされています。ドナーから骨髄を採取するには、通院や入院で約一週間が必要とされ、仕事を休みにくい、仕事を休むと収入に影響するなどと、辞退をせざるを得ない人が多いと聞きます。そこで、全国の市区町村でドナーに対する助成制度創設の動きが広がり、その市区町村を財政支援する都府県も出てきている実態を示した上で、知事に対し、本県として県内市町村を支援する補助事業を実施して、ドナー助成制度を広げるように提案し、知事は、当時既に制度を設けている都府県における運用の実態や、その効果などについて調査をしたいと答弁していました。  そこで知事にお聞きをします。第一に、本県として県内市町村のドナー支援制度創設を後押しするため、市町村を支援する必要性を改めて指摘をします。私が提案をした二〇一六年十二月時点で、ドナー支援制度のある市区町村が全国で百九十七だったところ、ことし五月十五日時点で三百七十に拡大をし、市区町村への補助事業を実施している都府県は八から十五に拡大をしています。本県はおくれをとり始めています。また、本県が補助事業を実施しない中、提案当時にドナー助成制度を実施していた柳川市、みやま市、新宮町、大木町の四市町に加え、北九州市、古賀市、うきは市、八女市の四市が制度を創設し、計八市町になりました。  そこで、全国と県内市町村の動きをどのように考えているのか、本県として県内市町村の制度創設をさらに後押しする必要性についてどのように考えているのか、市町村への補助事業の実施を検討する考えはあるのかお聞きします。  第二に、二〇一六年十二月定例会本会議における答弁で、企業におけるドナー休暇制度の普及、拡大のため、がん登録推進事業所などに制度導入を働きかける新たな取り組みの実施を表明し、若年層対策として、成人式や入社式などの行事で啓発リーフレットを配布することを市町村や事業所などに働きかける方針が知事から示されておりましたが、この間の具体的な取り組みについてお聞きをいたします。  また、国として休業補償制度を創設するよう求めるべきと提案をしていましたが、この間の国への働きかけの成果と、今後どのように取り組んでいくのか、知事の考えをお聞きいたします。  次に、地域包括ケアシステムと連携したペット飼育支援体制の構築についてお聞きをいたします。地域を歩いていますと、高齢者の方々が犬や猫などの動物を飼育している場面に頻繁に出会います。ペットと暮らすことで、心の安らぎだけでなく、飼い主がペットと散歩をすることで、家に閉じこもることを防いだり、規則正しい生活や健康の増進、御近所さんとの交流などが図れ、コミュニティーの中で孤立しないといった前向きな効果も期待できます。  一方、飼い主の死亡や入院、介護施設への入所などで世話をする人がいなくなったり、日常的な世話ができなくなったりすることで、頭数の増加や悪臭の発生など衛生面で近隣トラブルが生じるといったケースもありますし、県が引き取ったとしても、譲渡に至らず、殺処分されることが想定をされます。こうしたことから、ペットの適正飼育を推進するため、高齢者を支援する体制を早急に構築しなければなりません。しかし、ペットの飼育は介護保険サービスの枠組みには当然入りません。そもそも介護職の方々はペットの飼育について手を出すことはできません。このため地域包括ケアシステムの枠組みでも、当然高齢者のペット飼育を支援することは想定されていません。県としては、生活衛生部門が動物関連の担当ですが、介護部門と連携する体制を構築しなければ、ペットを飼育する個々の高齢者が置かれた状況を日常的に把握することは困難です。先ほど申し上げた近隣トラブルに至らないよう、予防的に高齢者に適正飼育について理解をしてもらう機会をつくるためにも、地域包括ケアシステムの個別ケア会議などの場で情報を共有することも有効だと考えます。そのためには、ケアマネジャーら介護職の方々と、高齢者のペット飼育支援の重要性について認識を共有しておく必要もあります。  これらの課題を背景として、本県でNPO法人日本アニマルケースワーカー協会が昨年発足をいたしました。ペットと暮らす高齢者、介護などの福祉事業者、県や市町村行政とともに、高齢者が責任を持って飼育できるよう、高齢者と話をして適正飼育を理解してもらう予防的な対策を講じ、福祉事業者では取り扱えないペットの相談に対応し、飼い主の万一の事態にも即応する。これらを実行するために、行政と連携をすることを目指しています。現在、北九州市や古賀市などで活動を始めており、既に数十件の相談に対応しています。高齢者が増加していく中、行政だけの対応は困難性が高まっていくことが懸念をされ、こうした民間団体との連携は極めて重要と言えます。  そこで知事にお聞きします。第一に、高齢者がペットを飼育する意義についてお聞きをします。その上で、本県では高齢者のペット飼育に関してどのような相談が寄せられ、どのような体制で対応しているのか、市町村との連携も含め、お聞きをいたします。  あわせて、死亡や入院、介護施設への入所などで飼育ができなくなった場合、県の保健所で引き取り、県動物愛護センターによる他者への譲渡や殺処分といった対応が想定されますが、近年の高齢者からの引き取り頭数の推移と譲渡の割合をお示しいただいた上で、殺処分数の減少に向けた今後の対応の必要性について、知事の認識をお聞きいたします。  第二に、今後、高齢者の独居世帯や老老介護の世帯がさらに増加することを想定し、市町村が整備を進める地域包括ケアシステムの中で外部の民間組織などと連携し、高齢者に対するペットの飼育支援を推進する必要があると考えています。介護職では対応できない高齢者へのペット飼育に当たっての必要な知識の習得や、病院搬送などの緊急時のペット保護、結果として飼育できなくなった場合の受け入れ先の確保など、さまざまなペットにかかわる対応は、飼育の早い段階で当事者とともに予防的に課題を整理し、共有を図っておくことも重要です。  そこで、高齢者の増加に伴い、ペットの適正飼育の支援を図るためには、ケアマネジャーら介護職の方々、県や市町村の生活衛生部門や地域包括ケアシステムを担当する介護部門が、確実に連携をすることが求められると考えますが、今後の取り組みについて知事の考えをお聞きします。  さらに、行政だけの対応だけでは限界が生じると懸念されるため、地域包括ケアシステムの訪問介護や看護のサービスといった多面的支援の枠組みを生かし、NPO団体などの外部の民間組織と連携できる体制を県内各地で構築する必要があると考えますが、知事の考えをお聞きいたします。  以上、答弁をよろしくお願いします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 52 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 53 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、予防接種の免疫を消失したお子さんへの再接種の問題であります。骨髄移植や小児がん等の治療過程で免疫抑制剤等を使用した場合、発病前に受けた予防接種によって得られた免疫が低下もしくは消失することがあります。このような場合の治療後の再接種は、個人の発病予防という観点からは有効であると、このように考えております。  本県におきましては、再接種を行うお子さんに対する助成制度を創設した市町村は、今のところありません。他の自治体におきましては、御指摘がありましたとおり、制度を創設した例があることを承知いたしております。これら既に導入されている助成制度、その目的を読ませていただきますと、その多くは、個人の感染予防、あるいは保護者の経済的負担の軽減と、このようにされておりますけれども、制度の創設は、骨髄移植等以外の理由で免役が不十分である方とのバランスの問題、蔓延予防というよりは個人の感染予防という観点が強く、集団予防としての意義が薄いと、そういった課題があるのではないかと思っております。先行して助成制度を創設されております自治体の事例について、国のほうでは、全国の予防接種担当者が集まります研修会の場を通じて、その周知を図っておりまして、本県におきましても、市町村の予防接種担当者、これを対象とする研修会の場におきまして、その導入された制度の趣旨や目的について情報共有を行ってまいります。  次に、定期接種の再接種にかかわる国への要望でございます。予防接種法に基づく定期接種は、感染のおそれがある疾病の発生及び蔓延を予防し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的として実施されております。先ほども申し上げましたけれども、医療行為により免疫を失った場合の再接種につきましては、蔓延予防というより、その方個人の感染予防の観点が強うございまして、集団予防としての意義が薄い、そういったことから、平成二十八年の地方分権改革に関する提案募集において、国はこのような場合の再接種を定期接種として認めることは困難であると、そのように回答したのではないかというふうに考えております。国におきましては、今年度予防接種法の見直しが行われることとなっておりまして、県といたしましては、国におけるこうした今後の動きを注視してまいります。あわせて、他県の動向について情報収集に努めてまいります。  次に、骨髄ドナーに対する助成制度でございます。骨髄等移植の推進は、本来国全体で取り組むべき課題であると考えております。全国衛生部長会におきましても、骨髄移植につきましては、ドナーと患者との適合率が低いことから、日本赤十字社が全国的な規模でその適合性を判断し、骨髄等の提供が行われている、そういう実態を踏まえまして、骨髄等の提供を行いやすい環境の整備につきましては、それを国が行うのが適当であると、このような意見を持っているわけであります。一方で、骨髄等の提供を行いやすい環境を整備していく観点から、ドナーの方に対しまして休業補償を目的とした助成制度を独自に創設する自治体が、県内の市町村も含めて増加をしております。平成二十九年度までに創設をした十二の都府県におきまして、制度創設前と二十九年度の骨髄等の提供件数、その比較をやらせていただきました結果、七府県が増加をし、五都県が減少をしているところであります。このため、こうした先行的に取り組んでおられる自治体のその後の状況、これについて情報収集をしながら、全国及び本県における移植の必要な方々の人数、提供者数、ドナー登録者数、その年齢構成やその推移、地域間を越えた移植の状況等を総合的に調査、研究を進めていきたいと、このように考えております。  次に、骨髄ドナー休暇制度の普及、拡大と、国の休業補償制度創設についての働きかけでございます。企業に対する骨髄ドナー休暇制度の導入につきましては、県が発行しております「労働ふくおか」等で、その普及啓発を初め、約三千二百五十社のがん登録推進事業所へのメールの配信、事業所を対象とした各種セミナー等の場を活用して、その働きかけをしてきております。登録の少ない若年層に対しましては、多くの若者が参加をされますことから、ことしの一月でございますが、四十一の市町村の成人式で、また四月には、七十三の事業所の入社式で、このドナー登録のお願いをするパンフレットを配布させていただきました。  国による骨髄ドナーに対する休業補償制度の創設につきましては、全国衛生部長会での意見交換を経て、昨年六月に国のほうに要望させていただきました。ことしの二月には、同制度に関する国の全国調査が初めて実施されたところでございまして、引き続き国の動向を注視するとともに、国に対しては、この制度の創設の実現に向け、全国衛生部長会からの要望に加えまして、県としてもその要望を行ってまいりたいと、このように考えております。  次に、高齢者のペット飼育についてでございます。ペットは、私たちの生活に潤いと安らぎをもたらし、また、これに触れることで血圧が下がったり、表情が豊かになったり、心が落ちつくなど、高齢者の方々の心身の健康への効果というものが期待できると、このように考えております。一方で、高齢者の方が飼育する犬、猫に関しましては、飼い主の体調不良、入院などの健康上の理由により飼育が困難になったり、十分に世話ができないことによります悪臭や鳴き声といった周辺生活環境が悪化するなど、そういった相談が寄せられているところでございます。その件数を見てみますと、平成二十七年度百七件、二十八年度百六十五件、二十九年度百七十八件と増加をしてきております。本人、御家族、近隣の方から相談を受けた県の保健所では、必要に応じて市町村と一緒になって現地調査を行い、譲渡や飼育環境の改善などにつきまして助言を行っております。また、やむを得ない場合には引き取りを行っております。  高齢者からの犬、猫の引き取り頭数でございますけれども、平成二十七年度七十頭、二十八年度九十四頭、二十九年度百二十四頭と増加をしております。このうち、新たな飼い主に譲渡されたものの割合は、全体の統計の中ではわかりません。わかりませんが、昨年度県が引き取った全ての、どなたから引き取ったかは別にして、引き取った全ての犬、猫のうち譲渡されたものは約二割ございます。所有者から引き取りました犬、猫のうち、高齢者からの引き取り頭数は、大体約三分の一を占めておりますために、高齢者や御家族に対し、譲渡先の確保や飼育環境の改善などに役立つ助言をしていくことによりまして、引き取り頭数を減少させていくことが、殺処分削減のために重要なことであると、このように考えております。  このため、高齢者のペット飼育の支援でございますけれども、高齢者のペット飼育に関しましては、飼育が困難となったり、生活環境が悪化する問題が生じておりまして、近年その相談件数や引き取り件数が増加傾向にございます。そのことから、そうした問題を未然に防ぐ必要性というものが高くなってきていると考えておりまして、今後、高齢者のペット飼育を充実させるために、高齢者の生活にかかわっておられますケアマネジャー等介護職の方々、動物愛護業務を所管する市町村及び県の保健所等が連携することが重要であると、このように認識いたしております。このため、市町村及び県の高齢者福祉担当部局、地域包括支援センター、介護関係団体、そして市町村及び県の動物愛護担当部局等で、この高齢者のペット飼育にかかわる効果的な連携と支援のあり方について検討を進めてまいります。その際、高齢者のペット飼育支援を行っておられますNPO団体など民間の組織の活動についても、その情報を収集しながら、連携のあり方について検討をしていきたいと、このように考えております。 54 ◯議長(井上 順吾君) 田辺一城君。 55 ◯二十一番(田辺 一城君)登壇 御答弁をいただきました。  高齢者のペット適正飼育支援については、地域包括ケアシステムの多様な主体が連携し、さらには民間組織と連携することが必要という認識、これは示していただきましたので、早急に協議体を設置することを求めます。  骨髄ドナー支援について、本来国全体で取り組むべき課題であることは、私も認識を共有しておりますけれども、国が取り組まないので、一人でも多くの命を救おうと、志ある都道府県や市区町村が制度を創設をしています。知事に対し、国が取り組んでいない、だから、国が取り組むまでは、地方自治体として主体的に取り組むべきということを、改めて指摘をし、知事の姿勢に変化の兆しが見えていると、今受けとめられましたので、これ以上は、今回は申さないようにしておきます。  さて、予防接種の再接種について、知事には、政治家としての決断を求めたつもりでした。知事の答弁は、地方自治体ではなく、国の考えを代弁したように聞こえざるを得ません。本件は、このケースですね、本件は、助成制度を実施するにせよ、実施しないにせよ、どちらも理屈は成り立ちます。現に、私の取材などによると、大阪府は松井一郎知事が、府民から寄せられた意見でこの問題を知り、何とかしてやれへんのかと、助成制度の立案を庁内に指示したことが契機となったといいます。名古屋市の河村たかし市長は、昨年メディアに対して、全額助成でええ、苦労している子供さんとお母さんを助けないかんと述べており、今年度から制度が始まりました。苦しい状況にある住民の方々をおもんぱかってのトップダウンと言えます。  そこで知事に再質問をいたします。こうした自治体の首長たちが、どうしてこのような判断を成し得たのかということを念頭に置いていただいた上で、今回の質問に対する答弁で、知事は、市町村の担当者研修会の場で制度の趣旨や目的などについて情報共有を図るという考えを示していただきましたが、これは予防接種の免疫を消失した子供やその御家族を何とかしたいとの思いから市町村における制度創設を後押しする意図で行うものなのか、知事の価値観が明確になっていないので、お聞きをいたします。  御答弁よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 56 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 57 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  先ほども御答弁させていただきましたけれども、新しい補助制度の創設につきましては、ほかの理由で免役が不十分である方々とのバランスの問題、また蔓延防止というよりも個人の感染予防の観点が強い、集団予防としての意義が薄いと、そういった問題が一方ではあるわけであります。そういったこともありまして、またほかにもこの方々よりも緊急にこういった御支援が必要な方がいるのか、いないのか、そういったこともありますので、それらを十分に確認する必要があると、私自身は考えております。そのため、現段階では導入ということは考えてないということで申し上げたわけであります。  一方で、研修会の場で、いろいろ先行した事例についての御紹介をする、その趣旨、目的を御紹介するということは、そういった実態があること、それから、そういった動きがあるということを県内の市町村の皆様に広く共有をしていただくと、そのことをまず始めたいと、このように思ったわけであります。 58 ◯議長(井上 順吾君) 田辺一城君。 59 ◯二十一番(田辺 一城君)登壇 制度創設に対しての慎重な姿勢の意味はわかりましたが、この先進的なと、私は受けとめていますけれども、全国で先進的、先行した助成制度を創設した事例が出ていることについて、県内の六十市町村に対してこの制度があるよと、これは何なんだよということを伝えるわけですよね、市町村の研修会の場で。なぜ伝えるのかということですよね。この制度が意義あるものだということを知事が認めるから、もしくは県として検討に値する取り組みなんじゃないかと思うから、研修会の場で市町村担当者の皆さんに知ってもらう、そして各市町村に主体的にこの制度をどうすべきかということを考えてもらう機会を創出するということではないかと、私は思っています。  国が、地方に対する回答の中で示したことを踏まえて、閣議決定で、こうした事例について自治体に周知を図るということになった。それは何でですかという話ですね。この先行して取り組まれている制度が、もし意義なきものなら、当然国もそうした周知という行為には至らないと、僕は解しています。ですから、政治家としての知事に、一人一人の命を守っていくんだという観点から、この制度を市町村、せっかく研修会の場で周知を図ると言っていただいたわけですから、その含意は何かというところをしっかりと聞きたいという思いで、再質問をさせていただきます。よろしくお願いします。(拍手) 60 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 61 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  国のほうでは、制度として国が対応している、そういう段階には、今ないわけであります。制度の導入についてはないわけであります。しかしながら、一方で、こういった先行している事例がある、こういった自治体もある、こういう考え方もあるということについては、広く国民の皆様、市町村の皆様に知ってもらったほうがいいと、そういう判断は、国がしているわけです。私もそれに近いというか、それと同じような感じでございまして、県にとってこの制度を導入する、今するかと言えば、先ほど申し上げましたようなことがありまして、それについては、まだいろいろ詰めなきゃいかん、考えなきゃいかん、検討しなきゃいかんことがある。その一方で、こういった別の自治体、あるいは都府県、府ですね、この場合は府、それから市町村でやっているケースがあります。そのときの、その人たちの考え方、それらについては広く知っていただいて、こういった議論をしていく上では、裾野を広げていろんな議論が行われていく、その中で、いろんな制度の創設、あるいは変更、改善、そういったものが図られるから、その第一歩として、県としては、まだ検討する時間が要りますけれども、やっておられる制度の内容については広く知っていただきたいと、そういう意味では、国の、今やっている考え方と、私の思いというのは共通するものがあると、このように思っております。 62 ◯議長(井上 順吾君) 松尾嘉三君。(拍手) *松尾(嘉)議員質問 63 ◯十七番(松尾 嘉三君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の松尾嘉三でございます。皆様、お疲れでございましょうが、本日最後の質問でございますので、おつき合いのほど、よろしくお願い申し上げます。  今回の私の質問でございますが、福岡県の魅力を生かしたインバウンド観光の推進について、知事並びに関係所管にお尋ねいたします。  今を去ること四年前に、福岡県の歴史遺産観光についてのテーマにて質問をさせていただきました。それは、現在でも福岡県が誇る遺跡数は二万三千七百五十八基で堂々の全国第三位、神社数では三千四百二十一社で全国第三位、また寺院数では二千三百八十寺院で第十位となっております。また、福岡で盛んな武道や文化、食文化等を観光振興策に盛り込んでいただき、国内外へと情報発信することにより、国内外からの福岡県への観光客誘致につなげようとの試み、また県内で周遊観光を促すことよりまして、各地の商業や農産物の消費増進はもちろんのこと、六次産業化への可能性につながるのではないかとの思いで質問をさせていただきました。当時の知事の答弁では、「今後とも、市町村や観光協会など関係者の皆さんと一緒になりまして、地域に眠っている、あるいはまだ眠りから覚めて間もない、そういった歴史や文化などの地域資源を掘り起こし、人々の心に訴えかけるような切り口と、そしてまたストーリーというものをつくっていって、本県ならではの観光資源として磨き上げ、つなぐことによりまして、県内の周遊、観光客の県内周遊につなげていきたいと考えております。」と、力強くも頼もしい御答弁でございました。しかしながら、県内各市町村からは、観光による地域経済が向上した旨の報告が、いまだに聞かれておりません。唯一結果を残せましたのは、沖ノ島・宗像、新原・奴山古墳群の世界遺産登録のみではないでしょうか。  当時の言葉を繰り返させていただきますが、皆様も御存じのとおり、我が福岡県は、遠くシルクロードの時代から大陸との貿易の窓口として、いにしえの歴史や文化が根づいており、古代、中世、近代と歴代のさまざまな歴史遺産がございます。古事記に伝承されます能古島伝説や小呂島伝説、このたび世界遺産登録となりました沖ノ島、大島、宗像大社の三女神伝説と新原・奴山の古墳群、福岡の天孫降臨説のいまだ残っております糸島の雷山や添田町の英彦山、漢委奴国王として金印を授かった、我が町春日市の奴国王伝説や歴史教科書にも掲載してございます須玖岡本遺跡、良縁幸福の御利益で女性やカップルに人気の筑後市の恋木神社、久留米市にあります筑後一の宮の高良大社や全国水天宮の総本宮であります久留米市の水天宮、遠く古墳時代から千八百年もの歴史ある岡垣町の高倉神社、日峯山の山頂で古代祭祀が行われておりました北九州市八幡西区の日峯神社、仏教におきましては、遣隋使、遣唐使時代から栄え、仏教伝来の地と伝えられます福岡市博多区祇園、呉服町、大博町の歴史ある寺の数々、弘法大師が日本で初めて開山したと伝えられております篠栗八十八カ所参りの寺院や山々、また大宰府政庁の防衛の際に築かれました筑紫地区に広がる水城跡や井上順吾議長の御出身地でもございます大野城市の象徴、朝鮮式山城の大野城など、福岡県の歴史遺産は数多く存在いたしております。しかしながら、今なお福岡県では依然ショッピングや飲食が主となっておりまして、大半の外国人観光客のイメージは、大分県の別府や湯布院、熊本県の阿蘇や長崎県のハウステンボス、グラバー邸などの観光地に行かれるという状況でございます。  私は、歴史や文化の宝庫でございます福岡県が、なぜ観光地としてもっと発展していけないのか、県内を観光周遊していただけないのかと、残念な思いが、今でも続いております。  そこで知事にお尋ねいたします。まずは、この四年間で、どのように福岡県が誇る遺跡数、神社数、寺院数、それから、福岡で盛んな武道や文化、食文化等を観光振興策に盛り込んでいただいてきたのか。また、県内での周遊観光をどのように推進されてこられたのか。さらに、県内周遊を推進することによりまして、各地の商業の発展や御当地名物の消費拡大、農産物の消費拡大、六次産業化への発展など、どのような観光経済向上政策を打ってこられたのか、この四年間での成果をお尋ねいたします。  次に、当時も例えを出しましたが、外国人観光客は、今では各地を見学するのみでは飽き足らず、県内各地での日本文化の体験型観光へと、時代は進んでいると思っております。外国人にとりましては、神秘的に映っております旧筑前国、筑後国、豊前国の神社や寺院めぐり、神事体験、県内各地で開催されております福岡県独自のお祭りへの参加や、世界一の美しさを映し出しております各地の花火大会などへの参加、海外では決して体験できない公園での桜のお花見など、県内各地には観光名所が多々あると思っております。さらには、福岡県で盛んな武道や伝統を受け継ぐ華道、茶道、博多独楽、能、歌舞伎、筑前琵琶、小笠原流礼法など、福岡県を象徴する文化を、県が率先して海外へ情報発信し、また各市町村と連携を図り、各地の文化協会や体育協会、各種祭り保存会等の皆様に御協力を賜りながら、外国人向け文化体験型観光ルートの創設や武道体験型ルートの創設など、力を注ぐべきだと私は思っております。また最近では、宗教の世界観も広がっておりますので、外国人カップルに対して、神前結婚式や寺院での仏前結婚式の勧誘なども、海外向けにPRされてはいかがかと思っております。  福岡県の新たな体験型観光産業となり得ます観光振興策を、知事にお尋ねいたします。  最後になりますが、我が観光立国日本におきましても、海外からの観光客が、過去五年間で四倍近くに増加し、二千四百万人に上るまでとなっております。世界第十六位と急上昇しております。しかしながら、観光客一人当たりの消費額は、世界四十四位と低迷いたしておりまして、オーストラリアの観光消費額のわずか三分の一程度しかございません。そんな中、首都圏を中心に強力な打開策として打ち出されておりますのが、夜の経済、ナイトタイムエコノミーであります。確かに、福岡の都心部におきましても、深夜まで開催しております博物館や美術館、神社や寺院などはなく、深夜営業している量販店やドラッグストアなどに、連日多くの外国人観光客が殺到している状況でございます。今、外国人観光客の間では、日本は終電が早くて夜遅くまで楽しめない、日本の文化、芸術を夜に楽しめる場所がないとのことで、首都圏では、わざわざ夜に和太鼓や能のイベントを開催したり、繁華街に夜の観光大使を設置するなどして夜間の消費をふやそうという試みを行っております。実績では、二〇一六年に渋谷ハロウイーンで、一日におよそ七万人の人々がにぎわい、うち四〇%が外国からの観光客だとのことでございました。  福岡県の商業の発展や農産物の消費拡大を推進するためにも、福岡県でナイトタイムエコノミーを開催してはと思っております。御提案させていただきます。必ずや一石を投じてみる価値はあると思われますので、知事の御所見をお尋ねいたします。 64 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 65 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、県内の歴史的価値のある観光資源を生かした外国人観光客の誘客についてでございます。本県におきましては、いろいろ御指摘がありましたけれども、世界遺産に登録をされました宗像大社など、歴史的な価値のある観光資源を活用して、外国人観光客の誘客を図る取り組みを進めてきております。具体的には各市町村、あるいは各地の観光協会などの協力を得ながら、各地にあります神社仏閣、遺跡、その周辺の食、あるいは見どころ、これらについての情報を収集いたしまして、各地にモデルコースというものをつくってきました。これらを県の観光ホームページクロスロードふくおかやパンフレット、これらを通じまして、多言語によりまして情報発信をしてきております。さらに、海外の旅行博や商談会、また旅行会社やメディア、そして人気ブロガーの招請を通じまして、広く当県の各地の魅力を発信するとともに、観光素材やモデルコースというものを提案をし、旅行商品の造成と、これも促していくことで誘客に努めてきたところであります。  外国人観光客の県内観光地の周遊促進についてでございます。外国人観光客の興味や関心というのは、御承知のとおり、国・地域によって異なっております。それらを踏まえまして、市町村や観光協会などと連携をいたしまして、特に欧米の方には人気の酒蔵めぐりや、韓国の済州島が発祥であります九州オルレ、こういった新たな観光素材の発掘というものを行ってきております。これらの素材と周辺観光スポットとを組み合わせて、テーマに応じた県内の周遊ルートづくり、これに取り組んできております。これらの観光素材や周遊ルートにつきましては、旅行会社に提案をいたしまして、それぞれの旅行商品企画、その造成を促してきております。また、県内の周遊ルートを掲載をしております県のウエブサイト、また最近やっておりますけれども、世界八カ国で行いました、とんこつラーメン発祥の地福岡、そのPRキャンペーンで獲得しましたフェイスブックのフォロワーというのがおりますので、このフォロワーの方々に対する情報発信を今やっております。これらを通じまして、外国人観光客の県内周遊というものを促進しております。  次に、各地の観光振興についてでございます。これまでの取り組みの結果、例えば外国人観光客がほとんど訪れていなかった宮若市の脇田温泉、ここには韓国の観光客がふえております。北九州市の小倉城、門司港レトロ、ここには韓国や中国のお客様が、そのほか県内各地の観光農園などにつきましては、タイや台湾、香港などから多くの外国人観光客が訪れるようになっております。引き続き、市町村や観光協会と連携をいたしまして、各地の歴史、文化、自然など、それぞれの地域の資源というものを掘り起こしまして、観光資源として皆さんと一緒になって磨き上げ、各地の観光振興を図っていきたいと、このように考えております。  地域の観光振興を図っていく上での体験型観光についてお話がございました。外国人観光客に体験型の観光を各地で楽しんでもらうために、県におきましては、体験施設における多言語対応を促進してきております。そういったことで、体験型観光の受け入れ環境の整備というものを進めてまいりました。また、大川組子の制作やすしづくり、線香花火づくり、フルーツ狩りといった体験型観光ができる施設、あるいは店舗というもののリスト化を進めてまいりました。さらに、海外でのセミナーや商談会、個別の旅行会社に対する訪問を通じまして、働きかけを通じまして、こうした情報を提供し、体験型の観光を取り入れた周遊ルートの提案というものを行ってまいるなど誘客の増加に努めてきているところであります。本年二月でございますけれども、海外の旅行会社を招聘しまして、大濠公園の能楽堂におきまして、能のビデオ視聴や能面試着というものを体験をしてもらったわけです。外国人向けには、演目中の英語字幕を表示したらいいよとか、そういったさまざまな助言も受けたところでございまして、今後もこういった取り組みを通じて、体験型観光の掘り起こし、また工夫を凝らした情報発信に取り組んでまいりたいと、このように考えております。  ナイトタイムエコノミーについてお尋ねがございました。ナイトタイムエコノミーを充実させることによりまして、観光客の方の滞在中の満足度というものが向上すると言われております。その結果、消費が拡大をし、経済効果を生み出すことも期待できるわけであります。そのため、これまで県におきましては、市町村などと連携をいたしまして、福岡市内の屋台、ライトアップウオーク、九州国立博物館や美術館の夜間の開館、八女市の星の文化館における天体観測体験など、夜間における観光素材の発掘と、それらについての情報発信に取り組んでまいりました。また、国もこのナイトタイムを有効活用して観光消費を拡大したいと、このように考えておりまして、私どもは、県内自治体や関係団体と一緒になって、国や他の自治体の先行事例、これも研究しながら、見ながら、県内で活用できそうな各地の資源、これについて掘り起こし作業、また研究を進めていきたいと考えております。県といたしましては、そうした取り組みの成果も踏まえまして、市町村等と連携をいたしまして、歴史、文化を含め魅力ある観光素材を発掘をし、夜間における観光というものを充実させていきたいと考えております。 66 ◯議長(井上 順吾君) 松尾嘉三君。 67 ◯十七番(松尾 嘉三君)登壇 ただいま小川知事の御答弁をお聞きいたしましたが、知事は、やっている、やっているということでございますが、実は私、先月、宗像市の鐘崎の地へ行ってまいりました。県議会議員の皆様方も御承知ではございますが、昨年、天皇、皇后両陛下に行幸啓を賜り、宗像の地で盛大に全国豊かな海づくり大会が開催されました。そのときの思いを今上天皇陛下が御製に託され、その碑が鐘崎漁港に設置してあります。しかし、その設置してある場所は、漁港の端の広い駐車場の片隅にぽつんとたたずんでいるだけの寂しい光景でございました。
     私が、小川知事のお考えをただしたいことは、今上天皇陛下が、せっかく宗像の地にてお詠みになられた、いわば一つの観光資源にもなる御製の碑を、このように扱うのかと思っているからでございます。知事がおっしゃってある、地域に眠っている、そういった歴史や文化などの地域資源を掘り起こし、人々の心に訴えかけるような切り口と、そしてまたストーリーというものをつくっていって、本県ならではの観光資源として磨き上げ、つなぐことによりまして、観光客の県内周遊につなげていきたいとは、一体何を思われて言われているのか、理解に苦しみます。  このような、地域での観光振興に対する対応を見させていただきましても、とても魅力ある観光資源を発掘できるとは思えません。いま一度、福岡の隅々まで見聞を広めていただきまして、観光振興策を見直していただき、地域の方々が大切になさってある観光資源と言うべきものを再検討していただきますよう、強く要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。  本日はまことにありがとうございました。(拍手) 68 ◯議長(井上 順吾君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は六月十八日、取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時 二十六分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...