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  1. 福岡県議会 2017-12-11
    平成29年12月定例会(第11日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(樋口 明君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。板橋聡君。(拍手) *板橋議員質問 2 ◯十八番(板橋 聡君)登壇 おはようございます。自民党県議団の板橋聡です。通告に基づき、十二月議会の一般質問トップバッターとして、事業承継による地方創生について質問させていただきます。  日本の中小企業は、企業数三百八十一万社、従業員数三千三百六十一万人を擁し、雇用を通じて我が国の財政や地域経済に大きく貢献しており、日本経済の活力の源泉と言っても過言ではありません。しかし、国の調査によると、我が国では中小企業経営者の高齢化が進んでいます。最も経営者が多い年齢は六十六歳で、今後五年間で三十万人以上の経営者が七十歳に到達しますが、このうち六割の中小企業において後継者が決まっていない状況にあります。今後、経営者の高齢化が一層進み、後継者不在を理由に廃業がふえれば、地域の雇用が失われるだけでなく、技術やノウハウが途絶し、我が国経済の大きな損失となります。また、事業承継については、単に中小企業の廃業防止にとどまらず、企業の成長や地方創生にもつながる積極的な側面があります。  中小企業庁の調査によると、経営者の年齢が上がるほど投資意欲の低下やリスク回避性向が高まる傾向にあり、一方で経営者が交代した企業や若年の経営者のほうが利益率や売上高を向上させているという結果も出ており、事業承継は企業を成長させ、ひいては経済活性化への呼び水とも言えます。さらに、故郷を離れ都市部で暮らす若者が、両親の事業を引き継ぐために地元に戻ってくれば、人口減少や少子、高齢化の流れに一矢を報いるのはもちろん、このような外部で新しい視点や価値観を学び、経験を積んだ若い経営者が地域にかかわることによって、地域コミュニティーに刺激を与え、地方創生のうねりを起こす人物、いわゆる若者、ばか者、よそ者として地方の停滞を打ち破る起爆剤になる可能性を秘めています。  このように、地方に若い経営者を生み出す事業承継を積極的に進めることは、雇用の維持だけでなく、中小企業の成長、人口減少、少子、高齢化対策、地域の活性化、つまりは地方創生のために不可欠であると私は考えております。一方、現実論として事業承継を行うとなると、株式や事業用資産の贈与など法律上、税務上の対応が必要となることや、後継者が決まっていない場合は後継者候補とのマッチングMアンドAなど、日常業務に追われる中小企業の経営者では十分な対応や準備ができないのが実態であります。このため事業承継を進めるためには、中小企業経営実態や家族構成などに応じた、きめ細やかな支援が必要と考えます。  そこで知事に質問です。知事は事業承継をどのように認識されておりますか。また、その認識のもと、本県では県内各地域において中小企業事業承継を促進させるために、現在どのような支援を行っているのかお聞かせください。  国の調査によると、六十歳代の経営者の約六割、七十歳以上の経営者でも半数が事業承継の準備に着手していないのが現状です。事業承継を促進するためにも、現在最も必要とされているのは、中小企業の経営者に事業承継の必要性を認識してもらい、その準備に着手してもらえるよう積極的に働きかけることではないでしょうか。特に、中小企業に寄り添うことができる地方において、どれだけきめ細やかでタイムリーな対応ができるか否かが事業承継促進の分水嶺になると考えます。  そこで知事に質問です。現在、福岡県内中小企業における事業承継の準備状況はどのようになっていますか。また、中小企業事業承継の準備が進んでいない現状について、どのような原因があると考えていますか。知事の所見を御披瀝ください。  現在、国において、中小企業事業承継を促進するために事業承継税制の見直しが検討されています。新聞報道によると、来年度から十年間の時限措置として、非上場企業の株式などを先代経営者から取得した場合の相続税、贈与税に関する特例措置の対象を拡大するとともに、適用要件を緩和し、さらに外部人材の登用やMアンドAによる事業承継についても、株式、事業の譲渡益にかかわる税負担の軽減などを検討しているとのことです。このように、国が中小企業に対し事業承継に取り組むインセンティブ付与を十年間の時限措置として検討している中、地方もこの機会を捉え、国の制度見直しを活用し、中小企業事業承継の準備を積極的に働きかけていくべきと考えます。事業承継は経営者の決断なくして始まりません。今こそ経営者に決断を促すべき絶好のチャンスではないでしょうか。  そこで知事に質問です。国の動きを踏まえ、福岡県として、中小企業に対し事業継承取り組み働きかけるために、今後どのような施策をお考えかお聞かせください。  今後十年間、国の集中的な時限措置により事業承継が促進されれば、若い新たな経営者がふえることは間違いないと考えます。一方で、若い、新たなということは、逆に言えば経験やノウハウが足りないことと表裏一体ですし、地元に戻って間もない経営者は、経済界や地域コミュニティーにおける人脈形成に苦労することも予想されます。また、事業承継後、変化し続ける経営環境に対応し企業を存続、成長させるには、前例踏襲だけでなく業容拡大や新たなニーズへの対応などが必須となります。  そこで知事に質問です。国が集中的に促進する事業承継により、今後若くて経験が浅い経営者が増加することが予想されます。また、事業承継を契機に新たな事業展開を行う場合もあります。こうした経営者への支援について、県は今後どのように充実強化を図っていくのでしょうか、知事の御所見を披露ください。  代表質問の二日間、喉の調子のせいでしょうか、ちょっと元気がないように見受けられた小川知事でございますけれども、本日は艶々と潤いのある声で、前向きな、歯切れのよい答弁を期待して、質問を終わります。(拍手) 3 ◯議長(樋口 明君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 御期待に添えるように頑張りたいと思います。  まず初めに、地方創生を進めるための事業承継の促進でございますけれども、地方創生を進めていくためには、地域に魅力ある雇用の場をつくっていくことが極めて重要であります。そのためには、県内の雇用を約八割担っていただいております中小企業の振興というのが何よりも大切だと思っております。国の調査によりますと、若い経営者のほうが成長意欲が高く、また売上高を増加させるというふうにされておりまして、事業承継を契機として、若い経営者が、その事業を成功させることにより、雇用の創出というのが地域に期待できます。また、事業を承継した若い経営者が地域の方々と交流しながら、そのコミュニティーの再生、また地域資源の掘り起こしなどに取り組むことによりまして、地域の活性化にも寄与することになると考えております。このため、円滑な事業承継を促していきますことは、活力ある地域社会を維持し、地方創生を担う人材の確保という観点からも重要な取り組みであるというふうに考えております。  本県におきましては、中小企業事業承継につきまして、商工会議所、商工会の経営指導員が経営者からの相談に応じるとともに、後継者が定まっている場合には、地域中小企業支援協議会が相続税や債務の引き継ぎなどに対応できる専門家を派遣をして、その支援を行っております。また、後継者がいない場合には、国が福岡商工会議所に設置をいたしております福岡県事業引継ぎ支援センター、これにつなぎまして、譲り受けを希望する企業とのマッチング創業希望者の紹介等の支援を行っているところでございます。
     次に、事業承継に向けた取り組み状況と経営者への働きかけでございます。県がことしの七月、県内の中小企業約一千社、これを対象にして調査を実施しましたが、その調査結果によりますと、経営者が六十歳以上の企業のうち、後継者が決まっている中小企業は約五割にとどまっております。また、そのうちの五割は、まだ事業承継への準備に着手をしていないというふうに回答をいただいております。事業承継を確実に進めていくためには、経営者に対して積極的な働きかけを行うことによりまして、経営者が事業承継、その重要性というものを認識していただき、実際に承継に向けた準備に取りかかっていただくことが大事であります。  県の今後の取り組みでございます。現在、国におきましては、今後十年間程度を事業承継集中実施期間と位置づけまして、取り組みを強化することといたしております。具体的には、相続税や贈与税の負担軽減を図るための事業承継税制抜本的拡充、またMアンドAによります事業承継を促進するための株式等の譲渡益にかかわる税の軽減措置などにつきまして検討が行われているところであります。このような国による制度改正が実現がされれば、中小企業の経営者の方が、この期間内に事業承継に取り組むための強力なインセンティブになると、このように考えております。このため県といたしましても、こうした国の動きというものを契機といたしまして、中小企業の経営者への働きかけというものを強化をしていきたいと、このように考えております。このため、商工会議所、商工会を初め金融機関、専門家団体事業引継ぎ支援センターなど多様な機関が参画をし、これらの機関が一体となって中小企業事業承継を進めるための体制について検討をしていきたいと思っております。また、経営者への働きかけを一層充実させるため、経営指導員スキルアップを図るための方策、また外部人材の活用などについてもあわせて検討を進めてまいります。  次に、事業承継をされた経営者に対する支援についてでございます。事業承継により経営者が交代されたその直後というのは、信用力の低下により資金調達が困難になる場合や、経験不足等により売り上げが減少する、そういった場合がありますことから、経営の安定を図るための支援というものが必要であると考えております。また、新しい商品やサービスの開発など事業承継を契機とした新しい事業環境への適応や新たな事業へのチャレンジ、これを促し、売上高の向上につなげていくということも大事であります。このため、今後事業を承継した経営者に対しまして、経営指導員がこれまで以上の頻度で訪問指導を実施をし、資金調達や売り上げの現状などをきめ細かく把握をするとともに、新事業に取り組む意欲のある経営者に対しましては、売り上げ向上を図るための経営革新計画の策定というものを重点的に働きかけてまいります。また、個々の企業の課題に対する専門的な支援が必要となります場合には、県の中小企業振興事務所商工会議所、商工会、金融機関、それから専門家団体等で構成をいたしております地域中小企業支援協議会、ここが中心となりまして、個々の企業の個々の課題の解決を支援してまいります。  さらに、事業承継をした企業の成長と地方創生を担う人材の育成を図る観点から、県内成功企業の具体的な事例についての情報提供でありますとか、先輩経営者若手経営者とが交流する場を設定をし、さらにはそうした場を活用し、若手経営者地域振興活動への参画というものを促していくための情報提供などについて、今後検討を進めていきたいと考えております。 5 ◯議長(樋口 明君) 田辺一城君。(拍手) *田辺議員質問 6 ◯二十番(田辺 一城君)登壇 皆さん、こんにちは。民進党・県政クラブの田辺一城です。通告に従いまして、政務調査に基づき一般質問をさせていただきます。  最初に、自転車を活用した地域振興策自転車活用推進計画について、サイクルツーリズムに詳しいサイクリストの方々の御意見などから課題を共有させていただいたことを踏まえ、知事に本県の現状改善に向けた取り組みを提案いたします。  近年、自転車を活用した観光として、サイクルツーリズムへの関心が国内外で高まっています。福岡市内で会社を経営する知人の川原弘光さんが先月、オーストラリアを約千二百キロ走破をいたしました。川原さんがフェイスブックで旅の様子を発信し、とても充実した様子が伝わってきたこともあり、帰国直後の今月一日、宗像市内で会い、話を聞かせていただきました。その際、川原さんがおっしゃった一言が、サイクルツーリズムの魅力の本質をあらわしていると感じます。それは、自転車による旅は気づきと触れ合いがたくさんあるということです。自転車を活用した旅の特性は、自動車と異なり、風を受けながら走り、その土地の四季折々の景色やにおいを感じられ、柔軟に小まめにめぐり、そこに暮らす人々と触れ合い、その地域の歴史と文化、その魅力を五感で感じられることにあります。  本県はことしの夏、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群が世界遺産に登録されました。私は既にこの本会議で、我が会派の議論を踏まえた総意として、宗像・沖ノ島と関連遺産群を本県の観光振興の核と位置づけ、その構成資産の歴史的価値と魅力を積極的に発信していくことはもちろん、これに加えて、構成資産周辺の魅力ある地域資源、さらには本県のさまざまな地域資源とつなぎ、周遊ルートを形成するなどの観光振興策の重要性を提起をしています。  今回、自転車の活用に注目すると、例えば、遠賀町の遠賀川沿いから響灘と玄界灘沿岸を抜け、宗像市の釣川沿いを走るひびき灘自転車道がありますが、ここから宗像大社や福津市の新原・奴山古墳群、津屋崎千軒、宮地嶽神社を走る。また、古賀市の薬王寺温泉小山田斎宮から、国宝級の馬具が多数出土した船原古墳に抜け、さらに新宮町の的野や立花山、そして福岡市東区の海の中道、志賀島へ。このほかにも宿場町跡が残る旧唐津街道沿いの活用も魅力と言えます。こうしたルートを具体的に提示し、旅行者の皆さんと共有をすることが求められます。そして、その前提として、行政や民間事業者が連携、協力し、受け入れのための体制を整備することが大変重要です。  こうした声も聞きます。自転車でめぐっていて、いつもあそこのカフェが気になるが、サイクルスタンドがないので自転車をとめられない。サイクルスタンドさえあればコーヒーを飲むのにといった声です。スポーツ用の自転車は自立性のスタンドがついていないため、こうしたことが起きます。飲食店や温泉を初め入浴施設などの民間事業所で、自立するスタンドのない自転車を置くためのサイクルスタンドの設置や、統一規格での標識設置などを推進しなければなりません。また、交通結節点である空港や駅、道の駅などに自転車を組み立てたり、修理などのための工具を貸し出したり、自転車を持ち運ぶための輪行袋を宿泊施設等の別の地点に輸送したりできるサイクルステーションを設置することも進めなければなりません。  この点、愛媛県は国内有数の先進県です。私は二年前の二〇一五年十月、広域行政推進対策調査特別委員会としての調査で、愛媛県観光交流局から取り組みを聞き取りましたが、瀬戸内海を渡るしまなみ海道を生かした国際大会の開催はもとより、愛媛マルゴト自転車道作戦と銘打ち、全二十の市町においてファミリー向けや中上級者向けに分けての多彩なサイクリングコースの設定、サイクルスタンドの設置、サイクリストをわかりやすく誘導するための距離や注意喚起の標識、また路面へのブルーラインの整備など、気合いの入った取り組みの数々に驚かされました。  多くの魅力ある地域資源に恵まれた本県が、自転車の受け入れ環境を整えられていないことで、せっかくの資源を生かすことができないのは、大変もったいないことと言えます。自転車を受け入れるさまざまな環境が整備されていれば、滞在時間も長くなり、消費の機会もふえます。先日お会いした元競輪選手で北九州市の林次郎さんも、地域での環境整備が大切と強調をされていました。そして、その際、市町村には、絶対にどの自治体が欠けてもいけないという意識を持ってもらう必要がある。サイクルツーリズムを成功させるためには、市町村に対して、必ずあなたの町の参加が必要と伝える必要があるとの助言もいただきました。広域連携が不可欠という視点です。  そこで知事にお聞きします。第一に、受け入れ環境の整備についてお聞きします。本県としても、観光振興策の一環として、サイクルツーリズムの促進を図っていくことが重要と考えます。現在、サイクリストの世界では、本県は自転車で観光しやすいとは認識されていない状況にあります。そこでまず、現状と課題について知事の認識をお聞きいたします。  その上で、県内の全ての市町村とサイクルツーリズムに取り組むことで地域活性化を図る重要性を共有し、行政と民間事業者が連携して受け入れ環境の整備を推進していく必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのかお聞きをいたします。  第二に、広域連携と情報発信の推進についてお聞きをいたします。サイクルツーリズムは、当然に多くの市町村を周遊することが前提となることが多くなります。先ほど紹介したひびき灘自転車道を初め県内には複数の自治体にまたがる五つの自転車道があり、さらに、そうした自転車道にかかわらず歴史や文化、これにまつわる地域資源は複数の自治体でつながっており、市町村域を越えた広域連携が極めて重要です。また、四季折々の魅力ある各所の景観も、広域連携でつなぐことが、より一層本県の魅力を伝えることになると考えます。自転車による周遊を目的とした観光客に対応したルート形成やマップの作成、ホームページやSNSなどのインターネットツールを活用した情報発信などについて、県と関係市町村が広域で連携して取り組む必要があると考えますが、取り組みに向けた知事の考えをお聞きします。  あわせて、サイクルツーリズムは海外の関心も高く、国際路線を有する福岡、北九州両空港がある本県としては、海外観光客を呼び込むための多言語対応も県と関係市町村が連携して取り組む必要がありますが、知事の考えをお聞きいたします。  第三に、自転車活用推進法に基づく本県としての計画策定についてお聞きします。ことし五月、自転車活用推進法が施行されました。自転車の活用を総合的、計画的に推進するため、都道府県や市町村にも区域の実情に応じ計画を定めるよう努めることを求めています。基本方針の中には、観光来訪の促進や地域活性化の支援、国際交流の促進も掲げられており、サイクルツーリズムも意識された内容になっています。本県としても、県内各地域の実情を踏まえたサイクルツーリズムの推進も念頭に、今回の質問で提起した課題も踏まえ、早期に計画を策定する必要があると考えますが、知事の考えをお聞きいたします。  次に、次年度以降の多重債務者支援についてお聞きをいたします。本県は二〇〇八年度から、多重債務者生活再生事業を実施しています。多重債務者の個別の相談に応じ、家計状況や背景を把握した上で債務整理を前提とした家計管理による生活指導を行い、生活資金を貸し付けるという、相談と貸し付けが一体となった伴走型の支援を、民間のグリーンコープ生協ふくおかに委託して行ってきました。しかし、次年度からは、この事業を見直すとの県の方針が明らかになっています。  そこでまず、この事業に本県として取り組んできた意義と成果について知事にお聞きをいたします。  その上で、この見直しによって、この事業を必要とする県民の皆さんへのサービスの水準が現在よりも低下することはあってはならないと強く指摘し、本県として適切な見直しをすることができるのか、ただしたいと思います。この事業が見直される背景として、新たに生活困窮者自立支援制度が二〇一五年度から始まり、その中の家計相談支援事業が、多重債務者生活再生事業と類似の取り組みとなっていることがあると聞きます。しかし、家計相談支援事業任意事業であり、県内では、県が担当する三十二の町村と十六市は実施していますが、福岡市など十二の市は実施をしていません。つまり、県内どこの地域に住んでいても対象となる多重債務者生活再生事業を見直した場合、家計相談支援事業を行っていない十二の市に住む県民は支援を受けられなくなるという不利益が生じることになります。これは県としての取り組みの後退であり、見直しを行うならば、県の責任として十二の市で確実に家計相談支援事業が実施されるように取り組むべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。  また、多重債務者生活再生事業は、相談と貸し付けが一体である点に特徴があるとされますが、事業の見直しによって一体性がなくなり、必要な資金の貸し付けが受けられなくなるのではないかと懸念の声も聞きます。この点についても、次年度以降どのようにこの懸念を払拭して取り組んでいくのか、知事の考えをお聞きいたします。  以上、御答弁よろしくお願いいたします。(拍手) 7 ◯議長(樋口 明君) 小川知事。 *知事答弁 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、自転車で観光しやすい環境整備、この取り組みでございます。自転車は、自分のペースで好きなところに行くことができますことから、定番の観光地だけではなく、隠れた観光スポットにも立ち寄っていただくための効果的な交通手段だと考えております。また、台湾、欧州などにおきましては、自転車を楽しむ人が非常に多く、自転車を活用した観光は、国内観光客だけではなくインバウンド向けの新たな観光資源としても有効であると考えております。現在、久留米市や糸島市などにおきましては、自転車による観光客の増加を踏まえ、独自の取り組みを進め、一部の観光施設や飲食店におきましてサイクルスタンドの設置などが始まっております。このほか、福岡市の志賀島、宗像市などにおきましては、レンタルサイクルの利用者が増加し、朝倉市や添田町などにおきましては自転車を使ったイベントも行われているところであります。しかしながら、こうした取り組みには市町村間で差がございます。このため県におきましては、今年度、市町村、観光協会、そして有識者などで構成をしますサイクルツーリズム検討会、これを立ち上げたところでございます。現在、二十一の市町村がこれに参加をしておりまして、これを玄界灘・遠賀川流域、それから筑後川流域、そしてその他の地域の三つのエリアに分けて、それぞれ検討を進めております。県といたしましては、この検討会におきまして、安全性の確保、サイクリングに適したコースの設定、交通結節点や飲食店などにおけるサイクルスタンドの設置、休憩場所、トイレ、割引などのサービスを提供する協力店舗の普及拡大など自転車で観光しやすい環境の整備に関する基本的な方向性につきまして、来年度の早い段階で取りまとめてまいります。その上で、より多くの市町村及び観光協会、さらには民間事業者の方々の参画を促し、県を挙げた取り組みにつなげていきたいと考えております。  次に、市町村と連携した情報発信と多言語対応でございます。自転車で旅をする観光客の皆様に、県内各地を広く周遊していただき、ゆっくり滞在をしていただくためには、サイクリングに適したコース、サイクルスタンドの設置場所などについての情報に加えまして、郷土の食、温泉、名所旧跡の場所やお土産を購入できる店舗などについての観光情報を一体的かつ適時に発信をしていくことが重要であると考えております。その際、コース周辺の四季折々の美しい風景写真やイベント情報などを盛り込んでいくことが効果的であると思います。近年、国内外を問わず個人の旅行者が、その割合がふえております。それらの方々が詳細な情報を求めてSNSなどインターネットを活用して行き先を決める、そういう観光客が多くなっているわけであります。このため県では、先ほど申し上げました検討会におきまして、県観光連盟、市町村、観光協会と協力をいたしまして、サイクリングや観光に関する情報というものを集約化し、フェイスブック、インスタグラムなどのSNSを活用した情報発信のあり方についても検討していきたいと思っております。その際、外国人観光客にもその情報がしっかり伝わるよう、多言語での発信についても検討を進めてまいります。  次に、自転車活用推進法に基づく本県の計画策定についてでございます。自転車活用推進法は、身近な交通手段でございます自転車の活用によりまして、環境への負荷低減、災害時における交通機能の維持、国民の健康増進等を図ることが重要な課題でありますことから、自転車の活用を総合的、計画的に推進するために制定されたものでございます。この法律におきましては、サイクルツーリズムを含む観光客の来訪の促進はもとよりのこと、自転車専用道路、路外駐車場等のハードの整備、交通安全にかかわる教育、啓発、公共交通機関との連携の促進など広範な分野にわたる施策を重点的に実施することを基本方針として定めておりまして、これに基づき国は、来年の六月を目途に自転車活用推進計画の策定を進めているところでございます。本県の計画策定につきましては、県内の自転車を取り巻く実情や課題というものを把握をしながら、また国の策定作業というものを注視しながら検討を進めてまいります。  次に、多重債務者生活再生事業の意義と成果についてお尋ねがございました。この事業でございますけれども、多重債務問題が深刻な社会問題化する中で、多重債務者の生活を再生させることを目的といたしまして、多重債務の整理に関する相談、これへの対応、それから必要な生活資金の貸し付け、それを行うものでございまして、平成二十年度から取り組んできております。これまでの間、国が貸金業者への対策といたしまして、年収の三分の一を超える貸し付けを禁止する総量規制を実施をしました。また、本事業の取り組みを初め市町村の相談窓口の整備や関係機関との連携を図ってまいりましたことによりまして、本事業の相談件数や貸し付け件数は減少してきているところであります。こうした国の対策また本事業などの取り組みによりまして、県及び市町村の消費生活センター、消費生活相談窓口に寄せられております多重債務相談件数は、平成二十年度の約五千五百件から、平成二十八年度には約千三百件へと大きく減少しておりまして、この事業は一定の成果を上げているものと考えております。  次に、家計相談支援事業を実施していない十二の市への対応でございます。多重債務者対策におきましては、多重債務者が、どこにも相談できないまま生活に行き詰まるおそれを未然に防止することが重要であります。このため県におきましては、これまで住民に身近な市町村の相談窓口の整備や体制の強化を進めまして、本年度に入り、県内全市町村の消費生活センター、相談窓口に専門知識を有する消費生活相談員の配置が完了したところであります。これによりまして、県内どこでも消費生活相談員が多重債務者からの相談を受け、必要な検討や助言を行った上で、債務の整理や家計管理の指導が必要な場合には弁護士会、日本貸金業協会など専門機関へつないでいくことが可能となってございます。また、債務整理後、償還にめどが立つ場合には、セーフティーネット貸し付け機関であります社会福祉協議会等につなぎまして、生活福祉資金などのあっせんも行っているところであります。こうした相談窓口の整備、体制の強化のほか、町村を管轄する本県及び十六の市では、生活困窮者に対する支援として行われております、議員御指摘の家計相談支援事業を活用し、家計相談、家計管理の指導、さらには債務整理後の対象者に対する貸し付けのあっせんなど取り組みを行っているわけであります。このため、未実施であります県内十二の市に対しまして、引き続きこの家計相談支援事業の有効性を示すことによりまして、事業実施をするようしっかり働きかけを続けてまいります。  次に、多重債務者生活再生事業の見直しに伴う相談と貸し付けとの連携でございます。先ほど御答弁いたしましたように、本年度に入りまして、全市町村の消費生活センターや相談窓口に消費生活相談員の配置が完了いたしました。多重債務者からの相談を受ける体制を整え、セーフティーネット貸し付け機関につなぎ、相談と貸し付けの連携が図れるようになってきたわけであります。今後も、こうした連携を円滑に進めるため、消費生活相談員を対象にいたしまして、多重債務者の実情に応じた債務の整理方法などを助言する研修、これを実施するほか、多重債務相談対応マニュアル、それを充実強化をしていきますが、その強化をする中で、セーフティーネット貸し付け資金のあっせん事例や相談と貸し付けの一体的な運用方法などを具体的に示していきたいと考えております。  なお、本事業による貸し付けは、生活再生のための資金確保の一つとして今利用されているところでございますけれども、他の資金調達手段が整ってまいりましたことから、今後の資金需要を見きわめ、貸し付け委託を終了していきたいと、このように考えております。 9 ◯議長(樋口 明君) 田辺一城君。 10 ◯二十番(田辺 一城君)登壇 御答弁いただきました。多重債務者生活再生事業について知事に再質問をいたします。  まず、本事業を見直すに当たり、現在本県として提供している支援の水準を決して低下させてはならないということを改めて指摘をいたします。知事の答弁からは、消費生活相談員の全ての市町村への配置で多重債務者生活再生事業で行ってきた支援の水準を維持できるとも受けとめられる認識が伝わってきましたが、消費生活相談員の方々は、多重債務問題だけを扱っているわけではありませんし、専門機関につなぐといっても、これまで民間委託で行ってきた相談と支援が一体となった伴走型のきめ細かい取り組みと同じ水準になるでしょうか。仮にその水準を維持できると考えているならば、現在の委託先の支援手法などのノウハウを支援関係者、団体それぞれが完全に吸収するなどの何らかの手だてによってその質を確保できるようにしなければ、県としての責任を果たすことにはならないと考えますので、この点は強く指摘をしておきます。  その上で、結局、民間に委託してきめの細かい支援を行ってきた本事業の水準を本当に維持するには、本事業がモデルとなった生活困窮者自立支援制度家計相談支援事業を県内全ての市町村が実施することが必要不可欠と考えます。現在、未実施の十二の市に対し県が責任を持って家計相談支援事業を実施するよう説明、説得しなければなりません。そうでないと県内あまねくどこに住んでいても支援を受けられていたのに、次年度からは同じ水準の支援が受けられない事態が生じると強く懸念をいたします。知事は先ほど、これを実施するようしっかり働きかけてまいると答弁していただきましたが、一市でも欠けると県内全域をカバーできる現状の維持にはなりません。全ての市が家計相談支援事業を実施するよう県として最大限の努力をすべきだと考えますが、知事の強い信念と考えをお聞きしたいと思います。  最後に、知事は今後の資金需要を見きわめ、貸し付け委託を終了していきたいと答弁をしていただきましたが、つまるところ、次年度から直ちに貸し付け委託を終えるものではないと解しますが、いかがでしょうか。  以上、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 11 ◯議長(樋口 明君) 小川知事。 12 ◯知事(小川 洋君)登壇 三点、御質問がございました。  まず第一点でございますが、県内全市町村で相談体制を整えたと申し上げたわけです。その中身を充実するために、先ほども御答弁しましたように、いわゆる相談と貸し付けの連携を図っていくことが非常に重要でございますので、この連携を具体的に進めていくために相談員さんを対象に、多重債務者の実情に応じた債務の整理方法などを助言する研修、その際は、これまで委託をさせていただいたグリーンコープとか、そういった経験の、それらも含めていろいろ研修で相談員の方々にお伝えをしたいというふうに考えております。  また、多重債務相談対応マニュアル、この中でも具体的にどういう相談を受けて、どういうあっせんをしたのか、またその貸し付けと相談をどうやって一体化して運用していったのか、そういったことについても、先ほど御答弁したとおり具体的に示していきたいということで、全市町村にあります各相談窓口あるいはセンターにおける相談員さんの問題意識といいますか、対応能力というか、これを高めていきたいと思っております。  それから、二点目でございますけれども、おっしゃるとおり、家計相談支援事業これが今十六と、うちの県でやっておりますので、十二の市町村については、これはできるだけ早く家計相談支援事業の有効性ということを示すことによりまして、その実施について県を挙げてしっかり取り組ませていただきたいと思います。  それから三点目でございますけれども、現在委託事業で行っております貸し付けの部分でございますけれども、これも先ほど御答弁したわけでございますけれども、他の資金調達手段が整ってきております。そこを見きわめながら、一方でグリーンコープさんのその資金需要の推移、それから今後の見通し、それを見きわめて委託の終了というものを考えていきたいと、そういうふうに考えております。 13 ◯議長(樋口 明君) 松下正治君。(拍手) *松下議員質問 14 ◯二十五番(松下 正治君)登壇 皆様、こんにちは。公明党の松下正治です。  通告に従いまして、まず、本県のインフルエンザ対策についてお伺いしたいと思います。インフルエンザは、普通の風邪とは異なり、突然の三十八度以上の高熱や、関節痛、筋肉痛、頭痛などのほか、全身倦怠感、食欲不振など全身症状が強くあらわれるのが特徴です。また、インフルエンザに感染すると、重症化や合併症を引き起こす可能性があり、特に、高齢者にとっては死亡につながるリスクが高いと言われています。さらに、近年、子供がインフルエンザにかかると、治療薬の服用の有無、種類にかかわらず、マンションから転落するなどの異常行動が問題になっております。こうしたことに鑑み、県民の健康を守るためには十分なインフルエンザ対策が必要不可欠であると考えます。  そこで知事に質問します。現在、全国的にインフルエンザが流行する時期に入っていますが、本県におけるインフルエンザの流行は、どのような状況にあるのでしょうか。また、今後、流行の拡大を防ぐために、県として、どのようなことに取り組んでいるのかお尋ねいたします。  次に、インフルエンザワクチンによる予防接種は、インフルエンザ感染後に発病する可能性を減らし、重症化を予防する効果が期待されております。しかし、ことしはワクチンの製造、供給が昨年よりもおくれ、ワクチンが不足しているとの報道があっておりましたが、本県における今後のインフルエンザワクチンの供給の見込みはどのようになっているのかお尋ねいたします。  また、予防接種法では、重症化するリスクが高い六十五歳以上の高齢者や、六十歳から六十五歳未満で心臓、腎臓等に障がいがある方は、市町村が行うインフルエンザの定期予防接種の対象となっており、県内全ての市町村で実施されています。自己負担額は、市町村によって異なりますが、おおむね千円から千五百円程度で受けることが可能で、生活保護世帯等は全額公費負担となっているところも多いと聞いております。しかし、一方で、高齢者以外の方に関しては、任意接種となっているようです。ところが、ある難病にかかり、身体障がい者の認定を受けているお子さんを持つ親御さんから相談がありました。それは、難病の子を持つ親の集まりがあった際に、医師から、子供の体力的な面を考慮した場合、インフルエンザに感染すると重症化するおそれがあるので、ぜひ予防接種を勧めると言われるが、経済的な負担が大きいため予防接種を受けるのに戸惑いがあることが話題になったそうです。子供でも、重い難病を患っていたり、身体障がいがあったりして、医師からインフルエンザの予防接種を受けるよう勧められる場合には、行政からの接種費用の助成が受けられないかとの相談でありました。インフルエンザの流行、拡大が、子供の通う学校で始まることが多いことを考えると、難病や身体障がいのある子供にとって、インフルエンザは大変に危険であると言えます。しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、高齢者等のケースとは異なり、子供の予防接種については任意の予防接種となるため、全額自己負担が原則となっています。しかも、子供の場合は、大人と違い二回接種する必要もあり、その分、経済的な負担は大きなものがあると言えます。  そこで知事にお尋ねします。経済的な負担を軽減するために、独自で助成制度を設けている市町村もあるかとは思いますが、本県において、十五歳未満の小児の予防接種に対する助成制度を設けている市町村の数、自己負担額に対する助成額の状況はどのようになっているのでしょうか。  また、難病や身体障がいを持つ子供のために、このような市町村における小児の予防接種に対する助成制度導入を推進するべきと考えますが、知事の御所見をお伺いし、この項の質問を終わります。  続きまして、まごころ製品について質問いたします。本県では、障がいのある方々の収入向上を図るため、障がい者施設で働く方がつくる製品や提供するサービスを、まごころ製品と名づけ、障がい者就労施設等からの、まごころ製品の調達の推進を図るための方針を策定するなどして、その売り上げ拡大に取り組んでおります。我が会派は当初から一貫して、このまごころ製品の施策を全面的に支援してまいりました。本県では、インターネット上に、まごころ製品ショップウエブサイトを立ち上げ、県庁地下に、常設のまごころ製品ショップやまごころ製品デスクを設置するなど、まごころ製品の売り上げ拡大にさまざまな取り組みを行っていることを大いに評価したいと思います。しかし、一方で、障がい者施設等の事業所の現場からは、施設で働く障がい者の賃金向上のためにも、まごころ製品のもっと安定した売り上げ拡大を図りたいとの声が聞かれるのも事実であります。  そこで知事に質問します。まず、本県における障がい者の平均工賃について、ことしの二月議会の我が会派の代表質問に対し、平成二十四年度から二十七年度にかけて三・一%の増加があったとのことでしたが、直近の工賃はどのような状況にあるのでしょうか。全国的に見て、本県は低い水準にあるとの指摘がありますが、知事の本県における障がい者の工賃に対する認識を改めてお伺いいたします。  次に、本県が開設している、まごころ製品ショップウエブサイトの運用状況は、現在どのようになっているのでしょうか。売り上げは伸びているのでしょうか。また、売り上げを伸ばすための今後の取り組みをどのようにお考えか、知事の御所見を求めます。  次に、県庁の地下売店に開設した、まごころ製品ショップとまごころ製品デスク、これは、企業や官公庁からの注文にワンストップで対応する共同受注窓口ですが、この運用状況は現在どのようになっているのでしょうか。あわせて、まごころ製品ショップに対する県庁職員等の反応はどうなのか、お尋ねいたします。  さて、例年、議会棟の一階ロビーで十二月議会中に、まごころ製品の販売会が開催されています。この販売会は定着してきており、以前に比べて、売り込みをされる施設職員の方の声かけも格段に上達してきているように思われます。また、先月十一月十八日には、小倉駅JAM広場にて、「まごころ製品」マーケットKOKURAが開催されましたが、この販売会では、農福連携マルシェin小倉を同時開催し、障がいのある働き手と農業という働く場所をつなぐ農福連携の農産物を新たにラインアップに加え、まごころ製品の魅力をより多くの県民に発信するという工夫をした企画でありました。まごころ製品を広く紹介し、その認知度を高め、本県の農産物とともに販売促進につなげる大変によい試みであったとの声が上がっております。  そこで知事に質問します。こうしたまごころ製品の販売会は、年々創意工夫をしながら開催しているようですが、まごころ製品の販売会の近年の開催状況はどのようになっているのでしょうか。また、来場者は何人くらいに上るのでしょうか。さらに、売り上げは着実に伸びているのかお尋ねいたします。  今回の小倉駅JAM広場での販売会に参加されたある事業所の方からさまざまな御意見をお伺いしました。その中で、まごころ製品の販売について、県内の事業所の売り上げは全体的に頭打ちになっている感じがする、まごころ製品を扱う事業所の経営改善のために、市民講座等に参加するなどして経営の仕方を勉強しているが、販路拡大について専門家からの具体的なアドバイスをぜひ受けたい等の声がありました。ぜひ、まごころ製品の販売については、商工部からも経営的なアドバイスを提供してもらいたいと思いますし、また、まごころ製品の売り上げを向上させるには、販売元である事業所の経営力の強化が必要不可欠であると考えますが、この点、県として、どのように取り組むのか知事の御所見をお伺いします。  あわせて、まごころ製品販売拡大のための商談会の本県の実施状況もお尋ねいたします。  さて、まごころ製品を販売している業者の中に、置き菓子という手法によって、複数の事業所の製品を北九州市内の数十カ所で販売している業者がありました。どの事業所のどの製品が売れ筋であるのか、事業所の中でお互いに情報を共有することが可能となり、各事業所の特性を生かした相乗的な効果によって、全体的に売り上げが伸びているとのことでした。九月議会における決算特別委員会で、私は本県中小企業のマーケティング対策の重要性を指摘させていただきましたが、このことは、まごころ製品に携わる事業所にも言えることであると思います。  そこで知事に質問いたします。まごころ製品に対するマーケティング面での県の支援を今後、充実強化すべきではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  また、今、御紹介した置き菓子の手法は、まごころ製品デスクでも取り入れてみる価値があるのではないかと思います。試しに、県庁内で行ってみてもよいのではないかと思いますが、あわせて知事の御所見を求めます。  さらに、まごころ製品デスクによる県内の市町村域を越えた共同受注窓口の設置を通して、県内各地のお互いの事業所の情報共有を図ることは、それぞれの事業所の特性をより生かすメリットがあると思われます。こうした取り組みはぜひ推進すべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  まごころ製品は、誰もが働く喜びと生きがいを社会に広げるすばらしい取り組みであり、本県における今後一層の普及を望むところです。まごころ製品を取り扱う事業所によっては、障がい者施設で製作したのではなく、自宅で作業し、製作したまごころ製品を販売しているところもあります。そうした個人の方の製品は、一事業所に集約しにくく、製品として売り出しにくい面があると思われますが、その製品の中には、ほかには見られないすばらしい作品もあると伺っております。  そこで、最後に知事にお尋ねします。障がい者施設等の事業所に属さない、在宅の障がい者のまごころ製品の支援について、県として拡充していくべきと考えますが、知事の御所見を求めます。  以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 15 ◯議長(樋口 明君) 小川知事。 *知事答弁 16 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、インフルエンザの流行状況と感染拡大防止についてでございます。国は、定点調査によります一週間当たりの平均患者数が一人を超えた場合を流行シーズン入りの目安といたしております。本県におきましては、十一月二十七日から十二月三日までの一週間の報告数が四・三三人となっております。既に流行シーズンに入っているというふうに判断されます。県では、感染拡大防止のため、手洗いの励行、せきが出るときのマスクの着用、室内における適切な湿度の保持、十分な休養、バランスのとれた栄養摂取といった対策をマスコミ、県のホームページ、ツイッターを通じて広く県民の皆様に呼びかけております。今後さらに、各戸配布の「福岡県だより」も活用して広く注意喚起を行ってまいります。  次に、インフルエンザワクチンの供給でございます。今季は、国立感染症研究所におけるインフルエンザ株の選定に時間を要しましたことから、ワクチンの供給におくれが生じております。このため県におきましては、医薬品卸売業者から定期的に報告を求め、ワクチンの供給状況について把握をしているところであります。十一月末現在の本県のワクチンの供給状況でございますけれども、昨年と比較し、約八割程度となってございます。例年十一月までとなっております製薬企業からのワクチンの出荷というのが本年は十二月までこれが継続することになっておりまして、厚生労働省においては、供給が需要を上回るというふうに見込んでいるところであります。  次に、小児のインフルエンザ予防接種に対する市町村の助成でございます。県内の十一の市町村がこの助成制度を有しておりまして、助成額は市町村によって異なりますけれども、一回当たりおおむね二千円から四千円となってございます。市町村における助成制度の導入の推進についてでございますけれども、まず他県の状況を勘案をするとともに、国においては、現在、小児へのインフルエンザワクチン接種の有効性に関する調査研究というものを進めているところでございまして、その動向を注視していきたいと考えております。  次に、障がい者の工賃についてお尋ねがございました。本県の障がいのある方の平均工賃は、平成二十四年度、月額一万三千七十八円、二十七年度は一万三千四百八十五円と増加をいたしております。全国平均一万五千三十三円と比較しますと低いものの、二十八年度は一万三千五百三十九円となっており、増加をしてきております。障がいのある方がお一人お一人の特性に応じてその能力を発揮され、働きがいや生きがいを持って自立した生活を実現していただけるよう、これからも工賃の向上を図ってまいります。  次に、まごころ製品ショップウエブサイトについてお尋ねがございました。このウエブサイトは、平成二十六年度に、特定非営利活動法人セルプセンター福岡が開設をしまして、県は、その運営を助成してきております。サイトに参加をしております施設でございますけれども、当初六十七ありました。現在百八、商品の数は当初の三百七が現在五百三とそれぞれなってございまして、増加が図られているところでございます。ウエブサイトによる販売額でございます。決済機能がないために、これを正確に把握することはできませんけれども、アクセス数は、これまで二十五万件を超えておりまして、事業者の中には、出店当初に比べ工賃が一・五倍以上引き上げられたところもありますなど、まごころ製品の販売拡大と工賃のアップに寄与しているものと考えております。今後とも、このサイトに参加する施設と商品の数をふやしていくとともに、魅力ある商品を掲載していくことによりまして、サイトの内容を充実させ、販売の拡大を図ってまいります。  次に、まごころ製品ショップとまごころ製品デスクについてお尋ねがございました。まず、まごころ製品ショップに参加をしております施設は、昨年度、この立ち上げ時に三十一ございましたが、現在四十二と施設はふえております。また、今年度上半期までの累計で、売上額は約九百五十万円となってございます。また、まごころ製品デスクの登録施設は、立ち上げ時の二十九というのが現在三十六と増加をし、累計で、売上額は二千六百三十万円となっております。昨年度実施しました職員アンケートによりますと、身近なところでまごころ製品を購入できること、これを評価する声がある一方で、商品の追加や入れかえなど品ぞろえの充実というものを希望する意見がございました。こうした要望を受けまして、スイーツやドレッシングなど人気商品を追加をいたしますとともに、ハロウイーン、クリスマス、正月といった季節に合わせて商品の充実を図ってきているところであります。  次に、まごころ製品販売会についてお尋ねがございました。平成二十五年度以降、集客が見込まれます天神の百貨店での大規模販売会、博多駅における美味しいものグランプリ、議会棟、県庁地下での販売会などを行ってきております。今年度からは、農福連携をテーマに加えた「まごころ製品」マーケットを小倉駅で開催をしたところであります。これまでの取り組みによります来場者は延べ十三万人となりまして、売り上げは約八千七百万円となってございます。  次に、企業経営の専門家によるアドバイスでございます。まごころ製品の販売促進には経営マネジメントを行う力が必要でございます。そのためには、商品の企画、販路拡大、販路の確保、原価管理、収益分配などが重要となってまいります。県といたしましては、商工部で活用しております中小企業診断士など専門家を用いた集団指導を実施していきたいと考えております。これに加えて、実地指導や収支報告書のチェック等を通じて経営上の課題を把握した上で、支援が必要な事業所に対しましては、経営マネジメントを行う力を強化するために、工賃アップを支援する専門NPOの活用など、検討を進めてまいります。  平成二十五年度から二十八年度まで実施をしました商談会でございますけれども、市町村、国の機関、民間企業等を対象に十一回開催をいたしまして、七十六件の成約を見ているところであります。  次に、マーケティング面における行政の支援でございます。まごころ製品デスクでは、官公需だけではなく、民間需要も含めて製品や役務について、事業所との需給マッチングを行っております。県では、公務上発注が見込まれる啓発ポスターの作成やテープ起こし、また封筒に入れる封筒入れの作業等、発注事例などマーケティングに活用できるもろもろの情報をデスクのほうに提供をし、販売拡大につながる支援を行っております。今後は、県での発注事例だけではなく、市町村における発注事例についても情報収集し、これをデスクに提供してまいります。民需につきましては、県からも商工会、商工会議所、民間団体に対しまして、ノベルティーグッズなど大量の需要が見込まれます商品や、またダイレクトメールなど施設の受注拡大につながっていくような情報について、またまごころ製品デスクを紹介するための機会をつくっていただく、その依頼を行うなど、マーケティングに寄与する取り組みというものを支援していきたいと思っております。  県庁舎各執務室における置き菓子でございます。民間のお菓子の会社では、企業等の職場に菓子の入った箱を置いてもらって、購入された商品の代金を集金する、そういうビジネスモデルの事例がありますことは承知をいたしております。一方で、販売店職員の執務室への立ち入りといったセキュリティーの問題、あるいは食べながら仕事をすることの是非といった課題も指摘されているところでございます。県庁におきまして、このような販売手法を取り入れることにつきましては、特定の事業者に対する便宜供与に当たる、そういう懸念、また購入代金の管理責任などをどうするか、そういった問題があり、難しいというふうに考えているところであります。  次に、まごころ製品デスクの活用による事業所情報の共有でございます。デスクにおきましては、商品、サービス、所在地などの事業所に関する情報を一元的に管理をし、マッチングにこれを生かしていくことで、大口や早期の納品にも迅速に対応することが可能となってございます。また、参加する施設は、デスクにおける事業所情報を互いに共有することによりまして、みずからの商品の強みや、その特性を生かしていくことも可能になります。これらの利点を、現在参加をしていない事業所にも理解してもらうことによりまして、このデスクに参加する施設等の数をふやしていくよう、事業主体でありますセルプセンター福岡に促してまいります。  次に、在宅の障がい者の方のまごころ製品についての支援でございます。在宅で工芸品や美術品などのまごころ製品を製作をされております障がいのある方にとりまして、みずから販路を見つけて販売をしていくことは大変な困難が伴うと思います。県にとりましても、誰が、どのようなまごころ製品をつくっておられるのか、販売の意向はおありなのか、それらについての情報をすることがなかなか困難な状況にございます。こうした状況の中で、在宅の障がいのある方に、まごころ製品ショップウエブサイトを御活用いただき、販売につなげていただくことは非常に有効な手段ではないかと思っております。このため、今後、このウエブサイトや県のホームページ、障がい福祉サービス事業所等を通じまして、在宅の障がいをお持ちの方に、まごころ製品のウエブサイトの活用について呼びかけてまいりたいと思います。 17 ◯議長(樋口 明君) 松下正治君。 18 ◯二十五番(松下 正治君)登壇 御答弁ありがとうございます。  一点、インフルエンザ対策について要望したいと思います。ただいま知事から、市町村における小児に対するインフルエンザ予防接種の助成制度の導入推進などの対策については、他県の状況を勘案するとともに、国の調査研究の動向を注視したい旨の御答弁いただきましたが、インフルエンザの予防接種につきましては、実際に助成を行っている自治体の効果を検証するとともに、行政ばかりではなく、勤務先の職場等においても、福利厚生の一環として、インフルエンザ予防接種の助成を行っているところがあると伺っておりますので、ぜひ知事におかれましては、そうした現状にも着目しまして、県民の健康を守るための施策をしっかりと進めていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わります。(拍手) 19 ◯議長(樋口 明君) 堀大助君。(拍手) *堀議員質問 20 ◯二十六番(堀 大助君)登壇 皆さん、こんにちは。緑友会の堀大助です。通告に従って、一般質問を行います。  本年六月の定例議会代表質問において、我が会派の吉武議員が再犯防止推進について知事にただしました。今回は、その後の動きやさらなる推進について伺います。  先月発表された平成二十九年版犯罪白書では、検挙された刑法犯の再犯者数が十一万三百六人、再犯者率で言うと四八・七%で、二十年連続で上昇しました。六月の吉武議員の質問の際に引用した、昨年版の再犯者率四八%からさらに上昇し、過去最高を更新しました。このことからも、再犯防止推進は待ったなしの課題であることが明らかです。  そこでまず伺います。昨年十二月に議員立法で成立した再犯防止推進法は、国に対し再犯防止推進計画の策定を義務づけ、都道府県、市町村には努力義務として求めています。国は年内にも同計画を策定するとの情報がありますが、現在どのようになっているのか、まずお聞かせください。  その上で、県としてはどのような体制で取り組み、どのようなスケジュールで計画策定に臨むのか御教示ください。  さらに伺います。ある保護司に聞いたところでは、市町村レベルでは、まだ再犯防止推進法や計画についての情報が浸透していないところもあるそうです。再犯防止推進を進めるため、基礎自治体である市町村の積極的な取り組みは不可欠です。市町村への情報提供、計画策定の支援などについて、どのように考えているのかお聞かせください。  次に伺います。二十九年版の犯罪白書などでも明らかになったように、再犯防止のためには、いわゆる高齢犯罪者の再犯率を下げていく必要があります。高齢犯罪者には、貧困や健康不安などにより、社会内処遇より、むしろ矯正施設への収容を望む場合さえもあると言われております。社会内に居場所、受け皿をつくらなければ、高齢犯罪者の再犯率は下がらず、全体として再犯防止推進を大きく減退させることになります。  そこで伺います。知事は、高齢犯罪者の再犯増加をどう受けとめ、これに対してどのような対策が必要だとお考えでしょうか。  次に、再犯防止推進を担う関係機関の支援などについて伺います。さまざまな機関が再犯防止に尽力中ですが、今回、特に、民間の篤志家である保護司の支援について伺います。保護司とは、保護司法、更生保護法に基づき、法務大臣から委嘱を受け、犯罪や非行に陥った人の更生を任務とする、無給の非常勤一般職国家公務員です。保護司の定員は全国で五万二千五百人と定められていますが、現在約四万八千人となっております。高齢化も進んでおり、現在約八〇%が六十歳以上と言われております。保護司は、今後の再犯防止推進にとって非常に重要な役割を占める存在であるにもかかわらず、その責任の重さや無給であることからの精神的、経済的負担や、今述べた高齢化などから、今後のなり手不足が懸念されています。一説によると、高齢化の影響で、今後十年間で半減するとも言われており、対策が急務となっています。その一方で、昨年導入された刑の一部執行猶予制度の影響などにより、今後、保護司需要はますます高まるとの予測もあります。刑事政策、更生保護はこれまで国が中心に行ってきたものとは思いますが、再犯防止推進法の成立を受け、今後は都道府県、市町村も積極的に役割を担っていかなくてはなりません。その際、地域の実情をよく知り、住民の信頼も厚い保護司の協力は不可欠です。厳しい環境に置かれている保護司の方に、ぜひ積極的な支援をお願いしたいと思います。
     そこで最後に伺います。県はこれまで、保護司や保護司会に対し、どのような支援を行ってきたのでしょうか。  また、再犯防止推進法の成立を受け、今後どのように保護司、保護司会と連携し、支援を行っていくのでしょうか。再犯防止推進計画の策定に当たり、どのような役割が期待されているのか御教示ください。  さらに、今後のなり手不足解消のため、どのように保護司の充実を図っていくのか、保護観察所や市町村との連携も含め、お聞かせください。  以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 21 ◯議長(樋口 明君) 小川知事。 *知事答弁 22 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず、再犯防止推進計画の策定でございます。昨年の十二月の再犯防止推進法の成立を受けまして、国におきましては、再犯防止推進計画の策定に向け、現在検討を行っております。今月、閣議決定がなされる予定だというふうに承知をいたしております。県や市町村は、この国の計画を踏まえて、地方の再犯防止推進計画の策定に努めることとされておりまして、国は、年明けにも都道府県や政令市に対しまして、その計画策定のための説明会を開く予定だというふうに聞いております。県におきましては、今後、説明会で示されます地方の計画策定に際しての留意点、国と地方の役割分担などを踏まえまして、必要な体制や手順を検討した上で、計画の策定に着手をしてまいります。  次に、市町村への情報提供、計画策定に向けた支援でございます。市町村に対しましては、これまで法律の概要を初め国が取り組んできております再犯防止に関する施策や再犯防止推進計画策定に向けた検討状況などにつきまして情報提供を行ってきたところであります。今後、さきに述べました国の説明会の内容について情報提供をしていくとともに、まずは策定する県の計画の中で、市町村と県との役割を明確にしていくことが大事だと、大切であると考えております。  次に、高齢犯罪者に対する再犯防止対策でございます。刑務所などの矯正施設を退所した高齢者は、経済的に困窮をしていたり健康上の問題を抱えている者が多く、自立した生活が困難であること、また親族等と疎遠になっており帰住先がない、そういった理由によりまして、再び罪を犯してしまうことが多いというふうにされております。このことから、高齢者の再犯を防ぐためには、刑務所などの矯正施設、保護観察所及び保護司、県が設置をいたしました退所者の支援を行います地域生活定着支援センター、福祉、医療機関、社会福祉施設等が連携を強化をいたしまして、これらの方々に必要な福祉サービスを提供していくことが重要であると考えております。  保護司や保護司会に対する支援についてでございます。県では、これまで保護司会がそれぞれの地域で取り組んでおられる青少年の非行防止、薬物乱用防止の活動に対してそれぞれ助成を行うとともに、更生保護事業の功労者に対する顕彰というものを実施してまいりました。保護司の皆様は、犯罪や非行を犯された人たちが地域社会の中で自立し、再び罪を犯すことがないよう指導や助言を行うなど重要な役割を担っておられます。今後も、再犯の防止の取り組みを進めていく上で欠くことのできない存在であると考えております。再犯防止推進法におきましては、国及び地方公共団体と保護司会など民間団体が連携をし、再犯防止対策を推進することが規定されております。今後、私どもの県の計画を策定するに当たりましては、再犯防止の取り組みを進める上で、どのようなことが必要なのか、保護司の皆様方の御意見も聞きながら検討を進めてまいります。  次に、保護司の人材確保についてお尋ねがございました。本県で活動されておられます保護司の数は減少傾向にございまして、高齢化も進んでおります。現在、国では、この保護司の確保に向けまして、地域の実情に応じ、自治会関係者や市町村職員などを含む協議会を設置をして取り組んでいるところでございます。保護司の活動は安全、安心な地域社会をつくっていく上で非常に重要な事柄でございます。県といたしましても、今後、保護司、保護観察所などの御意見も伺いながら、人材の確保に向けて協力を進めてまいります。 23 ◯議長(樋口 明君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時五十分といたします。           午 後 零 時 三十六分  休 憩           午 後 一 時 五十一分  再 開 24 ◯副議長(守谷 正人君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。桐明和久君。(拍手) *桐明議員質問 25 ◯四十一番(桐明 和久君)登壇 自民党県議団の桐明でございます。通告に従い一般質問を行います。  さて、皆さんにとりまして、学校はどのような場所でありましょうか。県内のそれぞれの地域環境によって、また年代層によっては、校舎のつくりが木造の時代から鉄筋コンクリートへと変化がありましたが、それぞれの年代に過ごした大切な場所、特に小学校は、義務教育のスタートとして六年間学んだ場所であり、数多くの思い出がある場所ではないでしょうか。また、地域の皆さんにとっても、学校は、長い伝統、歴史があり、なれ親しんだ、なじみ深い、たくさんの思い出が詰まった、愛着のある貴重な場所でもあります。しかし、そんな学校も、少子、高齢化が進む中、人口の減少が続いており、地域を担う若者の減少とともに、子供の減少、つまり学校に通う児童数が減少しております。このことは、地域に存在した学校が、統廃合などにより減少しており、全国では、毎年約五百校前後の廃校が生じていると報告されております。  そこでまず、教育長にお尋ねしますが、本県内の公立小中学校の廃校数の状況についてお聞きいたします。  次に、文部科学省が平成二十八年五月に実施した廃校施設等活用状況実態調査によると、現存する廃校施設のうち約七割がさまざまな用途に活用されているとのことでありますが、この示す意味は、全国においても、廃校施設の約三割が活用されていないということであります。  そこでお聞きいたしますが、県内ではどのような状況なのでしょうか。県内の活用されていない廃校施設の数と、なぜ活用されていないのか、その理由についてお聞きいたします。  次に、学校のある場所は、子供たちが歩いて通える場所にあり、その通う子供たちを見守る地域の中にあり、学ぶのに適した静かな環境にあるなど、地域の貴重な財産として、地域の中でもよい条件の場所に、多くの学校が設置されております。でありますから、学校が統廃合等でなくなることは、地域にとっての元気、活力も一緒になくなってしまうのではないかと、不安になるともお聞きしております。  そこで知事に質問いたしますが、地域の貴重な財産であります廃校施設を地域全体の活性化の拠点として活用すべきであると考えますが、廃校を有効活用することの意義についての認識をお聞きいたします。  あわせて、県内にそのような事例があればお聞きいたします。  私の地元であります八女市は、平成十八年に上陽町と、平成二十二年に黒木町、立花町、星野村、矢部村と合併し、四百八十二・四四平方メートルの広範囲になりました。それぞれの町、村の行政区ごとに学校があり、学校行事にも町内全体行事として積極的に参加し、支援してまいりましたが、子供の減少により、やむにやまれず学校が統廃合され、伝統のある学校が廃校となっており、貴重な財産である廃校の有効活用に向け、検討がなされております。それぞれの地域の状況により、廃校を活用しての企業の誘致による雇用の創出、地域経済の活性化も必要でありますが、学校が廃校になっても、それぞれの地域のシンボル的存在である学校に再び明かりがともり、地域に住んでいる皆さんが集う、地域にとって大切なコミュニティーの場となることが意義深く、重要であると考えます。  私は、昨日、築上郡上毛町にある西友枝体験交流センターゆいきららを訪問いたしました。校門の先には、懐かしい木造の校舎があり、正面玄関横に創立百周年の記念碑がありました。事務局長の末松さんにお話を聞くと、この校舎は、西友枝小学校として明治七年に創立され、以来、百三十六年間で千八十四名の卒業生を送り出し、長い間、地域の人々の心のよりどころとなってきた学びやであったとのことでありました。施設内教室の活用状況などを案内していただき、現在の状況と課題についてお聞きいたしました。平成二十二年三月に閉校が決定し、一年前から検討してきた結果、地元の約七割を超す多くの方々が木造のまま残しての活用を望まれ、翌年より八千八百万かけて校舎の耐震化等改修を行い、平成二十四年度完成したとのことであり、これからが大変ですが、このすばらしい豊かな山の恵みに、ふるさとの家に帰ってきたような、どこか懐かしい場所として感じていただき、西友枝のかつて学びやだった校舎に、再び笑い声があふれるような施設に、地域の皆さんとともにしていきたいとのことでありました。  そこでお聞きいたしますが、まずは地域の方々が地域の活性化となる拠点として廃校の有効な活用に向けて考えていただき、その計画による地域の活性化に向けた市町村が行う廃校の活用について、県はどのような支援をしていく考えなのかお聞きいたします。  地域の活性化は、福岡県政の重要課題の一つでもありますので、地域で頑張っておられる方々に対する、心のこもった知事の力強い答弁を期待し、質問を終わります。(拍手) 26 ◯副議長(守谷 正人君) 小川知事。 *知事答弁 27 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、廃校施設を有効活用することについての意義でございます。県内におきましても、廃校となりました学校施設が地域の皆様方の創意工夫によって、さまざまな用途に活用されております。八女市の黒木町、御地元ですが、笠原東交流センターえがおの森におきましては、都市住民と農山村をつなぐ場といたしまして、棚田での稲作、茶摘み、山仕事などさまざまな体験活動を通じて地域住民の皆さんとの交流が図られております。また、議員が御指摘になりました、私もお訪ねしたことがございますが、上毛町の西友枝体験交流センターゆいきらら、ここにおきましては、都市住民との交流会に加えまして、地域の高齢者の方々が健康チェックやレクリエーションを行うサロン、また地元の食材を生かした居酒屋を開設されるなど、地域の住民の方々が集う拠点になってございます。いずれの施設も旧小学校区の住民の皆様方が主体となりまして、地域の特色を生かした運営が行われており、このような形で廃校施設を有効に活用していくことは、地域の活性化にとって大いに意義あるものだと考えております。  これらに対する支援でございます。市町村におきましては、今申し述べましたように、廃校を地方創生の拠点として整備する、そういった事例も多く見られるわけであります。県におきましては、市町村の地方創生取り組みを支援するために設置をいたしておりますワンストップ相談窓口におきまして、これら廃校施設の活用方法の相談があった場合には、先進事例の紹介を行うほか、活用に当たっての課題解決に向けたさまざまな助言をやらせていただいております。また、具体的な取り組みの実現に欠かせない財源の確保につきましても、地方創生推進交付金を初めとした各種助成制度について、その情報提供をさせていただいております。さらに、NPO、自治会、まちづくり団体など地域づくりの活動を行っておられる団体が参加する地域づくりネットワーク福岡県協議会、その研修会におきましても、こうした優良事例や運営手法などを御紹介をし、市町村やまちづくり団体の取り組みというものをしっかり支援をさせていただきたいと思っています。 28 ◯副議長(守谷 正人君) 城戸教育長。 *教育長答弁 29 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 本県の公立小中学校の廃校数と廃校施設の活用状況及び活用されていない理由についてでございます。本県では、平成二十四年度から平成二十八年度までの過去五カ年で三十四校が廃校となっております。そのうち十五校が社会体育施設や企業等の施設として活用されており、十九校が未活用の状況でございます。なお、未活用の廃校施設については、各市町村において活用方法を検討中であり、施設の老朽化や財源の確保等の課題があると聞いております。 30 ◯副議長(守谷 正人君) 大田京子君。(拍手) *大田(京)議員質問 31 ◯四番(大田 京子君)登壇 皆様、こんにちは。民進党・県政クラブ県議団の大田京子です。通告に従い、本県の多文化共生の推進についてお聞きいたします。  多文化共生とは、国籍や民族の異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員としてともに生きていくということです。法務省が発表した二〇一六年末の在留外国人数は約二百三十八万人で、過去最高を更新しています。本県における在留外国人数もこの五年間で一万人以上増加し、およそ六万五千人、全国で九番目に多くなっています。国籍別に見ると、多い順から、中国、韓国・朝鮮、ベトナム、ネパール、フィリピンとなっており、国籍や民族が異なる人々との交流が地域や職場、学校などで見られるようになっています。そこで今後、本県における多文化共生の推進がますます重要となることから、以下知事に四点お聞きいたします。  初めに、本県における在留外国人に対する生活支援についてです。在留外国人は、日本語が話せなかったり理解できないことで、必要な情報が届かず不利益をこうむることや、地域や職場で孤立することも少なくありません。本県在留外国人の半数以上が生活している福岡市が実施した外国人市民アンケートでは、日本語以外の言語で診療が受けられる病院についての情報が少ない、言葉が通じないの項目で、困っていると回答した人が三割を超え、相談する友人、知人がいない、趣味や遊びを楽しむ時間や場所がないとの回答も二割を超えています。最も在留外国人数が多い東京都では、二〇一六年二月に、東京都多文化共生推進指針を策定し、外国語放送専門局を利用し、医療、防災等の情報、健康情報などを外国語で案内することを始めています。また、外国語専門員による日常生活に関する相談対応、外国語による労働相談、外国語対応可能な医療情報サービス等、幅広く生活全般にわたって体系的かつ組織的に支援をしています。特に、命にかかわる医療分野については、総務省から出された地域における多文化共生推進プランの中でも、外国語対応可能な医療機関の情報提供を初め、医療通訳者の派遣システムの構築、健康診断、健康相談の実施などに取り組むよう記載があり、本県としても支援の充実が求められているところです。  そこでお伺いします。本県は福岡市とともに、外国人向けの医療環境を整備するために、福岡アジア医療サポートセンターを共同運営し、ことし四月から二十四時間化と多言語化を行っていますが、センターの具体的な支援内容と利用実績、また、このセンターの周知をどのように行っているのかお伺いいたします。  次に、生活支援の中でも在留外国人の方々が直面している問題の多くに通底する言葉の問題、つまり日本語支援についてお聞きいたします。当然ながら、在留外国人の方々が地域に参画するためには、日本語で円滑にコミュニケーションを図れることが望ましく、日本語の習得が大変重要です。そのため、主に地域のボランティアによって運営されている日本語教室が果たす役割は非常に大きいと言えます。本県には、現在、二十八市町村に九十八の日本語教室があり、在留外国人数の伸びとともに、開催市町村数、教室数も年々増加をしています。  そこで、在留外国人に対して、これまで本県はどのような日本語支援を行ってきたのかお聞きします。また今後、本県の日本語教室など支援団体、公共施設、日本語以外の言語で診療が受けられる病院等の生活情報を市町村を通じて届けるなど、より効果的に周知していくことが求められると考えますが、このことについて知事の考えをお聞きいたします。  三点目に、在留外国人の就労支援に関してお聞きします。人手不足を背景に、日本で働く外国人労働者の数は二〇一五年に百万人を超え、本県の外国人労働者数も二〇一六年十月末時点で三万人を超えています。外国人労働者を雇用する事業所数は五千六百四十カ所となっており、ともに過去最高を更新しています。中でも、本県は、在留外国人の四分の一が留学生で占められており、留学生の就職支援は非常に重要であると考えます。実際、留学生サポートセンター、こくさいひろばなどの相談受け付け機関に寄せられた過去四年間の相談実績では、就職、仕事、アルバイトに関することが全体の四九・八%と圧倒的に多くなっています。また、先月十一月には、留学先の専門学校を除籍になった後も就労を続けていたとして、ベトナム国籍の女性が入管難民法違反の疑いで逮捕されており、雇用した企業側も家宅捜索を受けるなど、双方にとって不幸な結果となりました。  そこで、本県の留学生への就職支援について、どのような取り組みがなされているのかお聞きいたします。また、県内企業に対する支援も強化すべきと考えますが、知事の考えをお聞かせください。  四点目に、本県独自の多文化共生推進計画の策定についてです。二〇〇六年三月、総務省は、多文化共生について、増加する外国人住民への対応が全国的な課題になっているとして、各都道府県に対し、多文化共生施策の推進に関する指針、計画を策定し、地域における多文化共生の推進を計画的かつ総合的に実施するよう促しました。しかし、本県では、総務省通知から十一年がたったにもかかわらず、いまだ多文化共生に特化しての理念や施策を体系化した指針や計画を策定していません。  そこで、本県としても、多文化共生の理念を示す多文化共生推進計画を早急に策定し、体系的、組織的かつ総合的に多文化共生を推進すべきと考えますが、このことについて知事の考えと、今後の取り組みをお聞かせください。  以上、知事の答弁を求めます。(拍手) 32 ◯副議長(守谷 正人君) 小川知事。 *知事答弁 33 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、福岡アジア医療サポートセンターについてでございます。福岡アジア医療サポートセンターにおきましては、二十四時間三百六十五日、十五言語で医療機関と外国人との電話通訳を行います電話通訳サービス、また外国人に対し県内の医療機関の案内などを行っております医療に関する案内サービス、これを実施しているところであります。また、平日の九時から十八時まで、医療機関からの依頼に応じまして、英語、中国語、韓国語の医療通訳ボランティアを派遣する医療通訳派遣サービス、これを実施いたしております。本年四月から十一月までの利用実績について見てみますと、電話通訳サービスが百十九件、医療に関する案内サービスが三十三件、そして医療通訳派遣サービスが九十五件となってございます。  センターについての周知でございますけれども、二十四時間三百六十五日対応としたことに伴いまして、県におきましては、改めて医師会、病院協会など医療関係団体を通じまして、そのサービス内容の周知を行い、これを受けて、医師会におきまして、みずからの広報紙にその掲載を行っていただいたところであります。また、外国人の方への周知のため、新たに、英語、中国語、韓国語のチラシと案内カードを作成をいたしまして、市町村、在福岡各総領事館、留学生サポートセンター、各大学の留学生担当課などに配布をいたしております。さらに、センターでは、英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語の五カ国語に対応したホームページを作成をいたしまして、そのサービス内容と利用方法等について周知を図っているところでございます。  次に、在留外国人に対する日本語学習支援でございます。福岡県国際交流センターにおきましては、平成二十年度から五年間、市町村やNPOと連携をいたしまして、日本語ボランティア講師の育成、教室運営に関するノウハウの提供を行いまして、県内における日本語教室の新規開設というものを支援してまいりました。さらに、日本語教室での授業をより充実させるために、専門家による講師のスキルアップ講座を行うほか、平成二十六年度からは、事例発表、交流会によります教室相互の情報交換を実施をいたしまして、在留外国人の日本語学習を支援をしているところであります。こうした取り組みの結果、現在、日本語教室は二十八市町、九十八カ所となってございます。県内十五の生活圏域全てにおいて、この日本語教室が開設されているところでございます。  次に、在留外国人に対する生活情報の提供でございます。県におきましては、在留外国人の方を対象といたしまして、日本語教室を初め医療、防災など生活に関する基本的な情報を県のホームページ、また福岡県の国際交流センターが発行する情報誌であります「こくさいひろば」、これらを活用して多言語で提供しているところであります。今後は、こうした情報に加えまして、地域の身近な生活情報、これを在留外国人のお一人お一人に届けるため、市町村窓口での住民登録の手続の際、チラシなどで、こうした必要な情報が提供されるよう各市町村を促してまいります。  次に、留学生の就職支援でございます。グローバル化が進展をする中で、国際人材の獲得競争は激化をいたしております。地方創生を担う人材の育成、定着という観点からも、海外留学生の就職支援の取り組みというのは重要であると考えております。本県におきましては、平成二十年度から、地域の産学官が一体となりまして、福岡県留学生サポートセンター運営協議会を設立をし、大学の就職窓口と連携をいたしまして、留学生と地元企業とのマッチング、専門指導員による留学生の方々への個別相談、これらを実施しております。さらに、ことしの一月からは、本県を初め九州各県、国、経済界が連携をいたしまして、九州の企業と留学生をつなぐマッチングサイトを運営しております。九州で学んでおられる留学生の地元就職というものを促し、企業のグローバル化を支える人材として活用していこうというものでございます。このサイトの活用によりまして、引き続き、留学生の県内企業への就職支援に取り組んでまいります。  次に、多文化共生推進計画についてお尋ねがございました。県はこれまでも、日本人と外国人が互いに異なる文化や価値観への理解を深めるための講座や交流事業、在留外国人に対する多言語での医療、防災などの情報提供、また相談対応、留学生サポートセンターによる留学生の就職支援などに取り組んでおります。これらの取り組みは、国籍や民族など異なる人々が互いの文化的な差異を認め合い、地域社会の構成員としてともに生きていく地域づくりを目指すものでございます。そして、それは多文化共生の推進にも資するものでございます。こうした取り組みは、県の総合計画の関係箇所に盛り込んでいるところでございます。今後、在留外国人のさらなる増加が見込まれております。その中にありまして、国籍、民族、在留目的等の多様化、企業、学校、地域社会における国際化というものが一層進展していくということが、また国においては、在留資格の見直し、これも行われることとなってございます。そうしたことを考えますと、多文化共生推進計画の策定につきましては、こうした動きを把握した上で検討していきたいと考えております。 34 ◯副議長(守谷 正人君) 新開昌彦君。(拍手) *新開議員質問 35 ◯六十四番(新開 昌彦君)登壇 公明党の新開昌彦でございます。通告に従いまして一般質問を行います。今回は、障がい者の六十五歳問題について伺います。  先日、私は、身体障がい者一級の男性のお宅を訪問いたしました。ここではAさんと呼びたいと思います。Aさんは、五十四歳、独身であります。Aさんは、とても元気で前向きな生き方をしておられます。数年前からアパートの一階に住んでいます。小児麻痺で歩行が困難であります。電動車椅子がなければ一歩も外には出られません。生活は、障がい福祉事業所の訪問サービスを受けています。Aさんは、前向きな考え方を持つ方でありますが、障がい者の仲間同士で共通の心配事があると教えてくれました。それが、障がい者の六十五歳問題であります。障がい者は、長く障がい福祉事業所のサービスを受けていても、六十五歳になると介護保険事業所のサービスを受けるようになります。しかし、障がい福祉事業所から介護保険事業所にかわることによって、今まで受けていたサービスが受けられなくなったり、なれ親しんだ訪問サービスも新しい事業所の方にかわってしまい、ぎくしゃくすることが多いといいます。また、介護保険サービスに移行するに伴い、負担がふえると聞きます。生活ぎりぎりの収入しかない障がい者にとって六十五歳になっての負担増は、生活そのものに大きな影響があるといいます。Aさんは五十四歳ですが、先行きがとても不安だといいます。  私は、この六十五歳問題について調べてみました。国は、障害者総合支援法を改正し、来年四月一日から法施行となります。具体的な改正点は二点あります。一点目は、利用者負担についてであります。高齢障がい者に対して、介護保険サービスの利用者負担を来年四月から軽減をする、そういう仕組みがスタートするとお聞きをしています。もう一点は、障がい者の継続した支援を受けやすくするために、障がい福祉事業所が、介護保険事業所の指定を受けやすくするというものであります。来年四月一日施行とお聞きしておりますので、知事に何点か確認をさせていただきます。  まず、障がい者の負担軽減について伺います。障がい者が非課税所得の場合、六十四歳までは、障がい福祉サービス等にかかる負担は無料です。しかし、六十五歳になり、介護保険に移行すると、非課税世帯の場合、最大で二万四千六百円の負担になります。今回の制度改正でどの程度抑えられるのでしょうか、お答えください。  次に、所得の把握について伺います。障がい者福祉制度の所得の把握は、本人及び配偶者の収入であります。しかし、介護保険制度の所得の把握は、世帯全員の所得の合算、これが基本であります。六十五歳になった障がい者の負担が増加する原因は、この点にもあります。長く障がい福祉サービスを継続して受けてきた障がい者に対しては、介護保険制度の所得の把握を本人及び配偶者のみの所得で判断するように国に働きかけるべきと思いますが、知事は、いかがお考えでしょうか、お答えください。  次に、支援の継続性を担保するために障がい福祉事業所が、介護保険事業所の指定を受けやすくするという仕組みについて伺います。しかし、制度が全く違う事業所の指定を受けやすくするといっても、そう簡単なことではないと思います。まず、障がい福祉事業所は本県に幾つありますか。次に、障がい福祉事業所は、今回の制度改正の詳細を承知しておりますでしょうか。さらに、今後、介護保険事業所の指定を受けようとしている障がい福祉事業所は幾つありますか、把握されておられればお示しください。  次に、人材面についてもお聞きしておきます。介護保険事業所の指定を受ける場合、障がい福祉事業所には少なくとも、相談支援専門員と介護支援専門員などが必要になります。障がい福祉事業所が人材面で整えるには、どのような課題がありますか、お答えください。  次に、介護保険事業所についても今回の制度改正により障がい福祉事業所の指定を受けやすくなりますけれども、その周知もすべきと考えますがいかがでしょうか、お答えください。  最後に、障がい者の六十五歳問題解決のために知事の決意をお聞かせください。  次に、住宅のセーフティーネットについても指摘をしておきたいと思います。Aさんは、数年前、母親を亡くし、父親は、認知症が重くなってしまい、何とか父親を施設に入れることができたのですが、残ったのは障がい者のAさんだけ。以前住んでいたアパートの大家から出ていくように迫られました。Aさんは市営住宅を借りようとしましたが、抽せんに落選し民間のアパートを探すこととなりました。しかし、保証人もいないし、障がい者のひとり暮らしに快くアパートを貸してくれるところも見当たらないまま退去の期限が迫ってきました。そんなときに、障がい福祉事業所の所長が見るに見かねて動いてくれて、やっと今住んでいるアパートを見つけることができました。私は、そもそも、一人になった障がい者に住宅を退去させること自体、このことがおかしいと思いますが、それが現実だったということであります。高齢者のひとり暮らしの方も住む家を探すのに苦労をしています。障がい者や高齢者が住宅が借りにくい理由の一つに、アパートなどの貸し主が、孤独死や急な病気などでその部屋が汚れ、長期で空き部屋になってしまうというリスクを恐れているからだとお聞きしたことがあります。しかし、近年では、アパートの居室ごとに、見守りサービスや保険を組み合わせることによって貸し主のリスクを軽減し、積極的に障がい者やひとり暮らし高齢者を受け入れるアパート経営者や住宅会社も出てきています。  国は住宅セーフティーネット法も改正し、県もやっと動き出しております。ぜひ、障がい者やひとり暮らし高齢者など住宅弱者が困ることのないよう制度をつくり上げていくことを強く要望しておきたいと思います。知事の答弁を求めます。(拍手) 36 ◯副議長(守谷 正人君) 小川知事。 *知事答弁 37 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  来年の四月、障害者総合支援法の改正によります高齢障がい者の介護保険サービス利用者負担の軽減措置、これについてお尋ねがございました。障がい福祉サービスを利用しておられる方が六十五歳になり、介護保険サービスに切りかえた場合には、住民税非課税世帯で、現在、月額最大二万四千六百円の利用者負担が生じます。法改正によりまして、来年四月以降は、六十歳前から五年以上引き続き障がい福祉サービスを利用されてきた方で非課税世帯の方または生活保護受給中の方は、六十五歳になられても利用者負担分は自立支援給付により全額手当てされることになり、自己負担はゼロということになります。  次に、介護保険制度の所得の把握でございます。障がい福祉サービスにおいて、所得把握を本人及び配偶者の所得で判断することとされておりますのは、障害者自立支援法の抜本的な見直しに向けた緊急措置といたしまして、利用者の負担額が同居をしている父母等の所得の影響を受けないよう、平成二十年七月から実施をされたことによるものでございます。介護保険サービスでは、利用者負担額を世帯全員の課税状況から判断をしているため、障がい福祉サービスでは自己負担のなかった方が、六十五歳後の制度移行により利用者負担が生ずる場合がございます。このことは、障がいのある方の自立に大きな影響を及ぼすものと考えられますことから、福祉制度に関し意見交換を行い、国に働きかけを行います全国主要都道府県民生主管部長連絡会議、この場におきまして、課題解決に向けた制度改正について、当県から議題とするよう提案をさせていただきます。  次に、障がい福祉サービス事業所数及び今回の制度改正の周知でございます。県内の障がい福祉サービスの事業所数でございますけれども、複数のサービス提供による重複はございますけれども、入所系サービスが七百八十三事業所、通所系サービスが一千四百一事業所、居宅訪問系サービスが千五百事業所、相談系サービスが四百五十四事業所と、合計四千百三十八事業所となっております。県では、今回の法改正によりまして、利用者負担軽減の仕組みが設けられますこと、障がい福祉サービスと介護保険サービスを同時に提供する場合の職員配置基準等の緩和など改正事項について事業所のほうに通知をし、八月と十二月の研修会でそれぞれ説明を行いました。しかしながら、法改正後の報酬基準、また必要な資格職員の兼務の範囲等について、まだ明らかになっておりません。そのため、詳細な内容の周知には至っていないところがございます。今後、これらの内容が国から示され次第、障がい福祉サービス事業所とあわせて、介護保険サービス事業所に対しても、速やかにその周知を図ってまいります。制度の詳細が明らかでない現段階におきましては、介護保険サービス事業所の指定を受けようとされている障がい福祉サービス事業所の数につきましては、今把握をしていないところでございます。  次に、障がい福祉サービス事業所の人材確保の問題でございます。障がい福祉サービス事業所が、介護保険サービスを開始する場合には、その指定要件といたしまして、社会福祉士、介護福祉士といった資格を有する人材を確保する必要がございます。また、在職する職員に資格を取得させようとする場合におきましても、資格取得のための経費、また専門知識の習得や、代替職員の配置というのが必要になってまいります。多くの障がい福祉サービス事業所は、小規模経営でありまして、このような人材確保に要するコストが課題であると、このように認識をしております。  次に、いわゆる六十五歳問題解決についての私の決意でございます。障がいのおありの皆さんからは、年齢にかかわらず、利用者の負担をふやさないでほしい、なれ親しんだ事業所でサービスを利用したい、そういった要望が寄せられております。このため、都道府県間で意見交換をし、国に対して働きかけを行う会議、先ほど申し上げました会議に、適切な利用者負担の実現の必要性を議題として提案をするとともに、事業所への法改正の周知と丁寧な説明に努めてまいります。 38 ◯副議長(守谷 正人君) 新開昌彦君。 39 ◯六十四番(新開 昌彦君)登壇 知事に一点要望させていただきます。  知事の答弁をお聞きしておりますと、国が、国がという言葉が多かったのには、仕方がない部分もありますけれども、少し残念でありました。しかし、国の詳細が決まればしっかりと取り組む、国にも声を届けるという決意は、ありがたく受けとめました。  国の詳細は、二月か三月に決まるとお聞きしております。県内に四千を超える事業所があり、ダブりを外しても二千五百の事業所があると聞いています。四月一日実施に間に合うのか大変不安でなりません。いずれにしましても、障がい者の六十五歳問題は、障がい者本人、家族にとっては切実で、とても大きな問題なんです。私は、これからも継続して取り組んでまいりますが、知事におかれましては、障がい者の声をしっかりと受けとめ施策を実行していただくことを切に要望して、私の一般質問を終わります。  以上です。ありがとうございました。(拍手) 40 ◯副議長(守谷 正人君) 井上博行君。(拍手) *井上(博行)議員質問 41 ◯十二番(井上 博行君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の井上博行です。通告に従い、御笠川と那珂川の河川改修について質問させていただきます。  本年七月に発生いたしました九州北部豪雨災害のように、線状降水帯の発生等による集中的な豪雨が近年しばしば見られるようになってきています。例えば、平成二十六年八月に広島市で発生した豪雨による土砂災害、平成二十七年九月に発生した関東・東北豪雨が、線状降水帯による豪雨の例として記憶に新しいところであります。台風は一過性のものであるのに対しまして、線状降水帯が発生した場合には、数時間にわたり強い雨が降り続けるため、甚大な被害が生じてしまうところであります。このような集中豪雨がこの博多でも起こる可能性は十分にあると思います。そして、博多における豪雨被害で思い出されるのは、御笠川と那珂川の氾濫であります。そこで、博多を流れるこの二つの河川の改修について改めて確認をしておきたいと思います。  まずは、近年の御笠川と那珂川の浸水被害状況について確認したいと思います。相当な被害であったため、皆さんも記憶されているところだと思いますが、御笠川においては、平成十一年六月に、床上浸水千九十八戸、床下浸水千四百七十八戸、さらに平成十五年七月には、床上浸水二千三百十二戸、床下浸水千九百二十三戸と続けて大きな被害を受けております。JR博多駅周辺では、家屋やビルなどの建物に加え、地下街、地下鉄などの地下施設でも浸水し、平成十一年には死者も出るなど甚大な被害でありました。また、那珂川では、平成二十一年七月に、大きくは那珂川町役場周辺が浸水し、床上浸水九十三戸、床下浸水二百八戸の浸水被害が発生しているところであります。  これらの豪雨被害を契機として、御笠川と那珂川の河川改修が本格的に着手されたところでありますが、まず、現在の御笠川の改修状況についてお聞かせください。  また、那珂川については、既存の南畑ダムに加え、五ケ山ダムの完成が近いと聞いております。先般の九州北部豪雨の際にも、朝倉市にある寺内ダムによる洪水調節により、十分な効果が発揮され、ダム下流の佐田川流域において、被害がほとんど発生しなかったと聞いております。  このように、ダムによる洪水調節と下流の河川改修を一体的に進めることが重要であると考えますが、現在の那珂川の改修状況とあわせて五ケ山ダムの完成に伴う那珂川での整備効果について伺います。  降雨の状況では、平成二十九年九州北部豪雨においては、朝倉市黒川において、十二時間雨量の気象台観測記録の七百七ミリをわずか九時間で上回る七百七十四ミリを観測しており、過去の降雨に比べて記録的な豪雨でありました。御笠川が氾濫した平成十五年七月十九日の降雨は、太宰府観測所で時間最大九十九ミリ、総雨量三百六十一ミリと、太宰府観測所の時間雨量と日雨量は観測以来第一位の記録となっております。また、那珂川が氾濫した平成二十一年七月二十四日から二十六日にかけての降雨は、上流部の小川内観測所で、二十六日の午前九時から十二時の三時間に百八十九ミリという昭和四十八年の豪雨災害以来の記録的な降雨量が観測されております。このときの豪雨は、平成二十一年七月中国・九州北部豪雨と命名され、広域的な被害が起きており、七月の平年の月降水量の二倍近くもの雨がわずか三日間で降るほどの規模でありました。御笠川、那珂川の河川改修は、ある程度進んでいるとは思いますが、それでもやはり想定を超える災害が起きてしまう可能性はゼロとは言えないと思います。今回の朝倉市や東峰村を襲った平成二十九年七月九州北部豪雨では、今までの想定を超える出水や、被害が発生しました。  そこで、平時から住民が防災意識を高く持つような啓発活動を行うことや、万が一災害が起きてしまった場合にどのように避難するかなどを住民の皆さんにあらかじめ理解していただくことが重要だと思います。特に、介護施設や障がい者施設、小中学校、幼稚園、保育所、病院など、災害避難の際に配慮を必要とする高齢者や子供らが利用する施設に関しては、より一層の事前準備が必要と考えます。平成二十九年六月十九日に施行された改正水防法では、このような要配慮者利用施設の管理者に対して、避難確保計画の作成及び避難訓練の実施を義務づけています。県としても、計画作成の指導や、訓練実施の支援、働きかけを行うことが期待されているところであります。また、先般の九州北部豪雨において、朝倉市や東峰村で被災した河川のうち、県が管理するものは十八河川あり、そのうち水位計を設置していたのは一河川のみで、それ以外の十七河川には設置していなかったと聞いております。国と県が設置した筑後川右岸流域河川・砂防復旧技術検討委員会でも、今回の九州北部豪雨における被害状況の分析結果として、中小河川では水位計の設置が進んでおらず、洪水時の河川の現況把握が困難であったという課題が挙げられ、中小河川を対象に水害による危険が高い箇所に水位計の設置を行い、住民の避難に活用すべきとの知見が示されています。  そこで、御笠川と那珂川における、水位計の設置状況と住民の避難判断の目安となる水位情報の提供状況についてお聞かせください。  九州北部豪雨災害が起こったこともあり、御笠川の教訓を生かして、防災についてしっかり検討していただき、その対策に取り組んでいかれることを要望し、一般質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 42 ◯副議長(守谷 正人君) 小川知事
    知事答弁 43 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  御笠川の河川改修状況でございます。御笠川では、平成十一年六月及び十五年の七月に、御指摘のありました豪雨災害が発生をいたしました。これを契機といたしまして、再度の災害を防止する観点から、河口から大野城市に至る約十キロメートル、この区間におきまして、河川激甚災害対策特別緊急事業というものを実施をし、河川の拡幅や土砂掘削等の河川改修を二十年度までに完成、完了させております。平成二十一年には十五年と同等の降雨がありましたけれども、その際も御笠川において浸水被害は生じておらず、改修の効果が出たものと考えております。  次に、那珂川の河川改修状況と五ケ山ダムの整備効果でございます。那珂川におきましては、福岡市、那珂川町で甚大な浸水被害が発生をいたしました平成二十一年七月豪雨災害、これを契機といたしまして、再度の災害を防止する観点から、福岡市博多区から那珂川町に至る約十四キロメートルの区間におきまして、床上浸水対策特別緊急事業を実施をし、河川の拡幅、土砂掘削等の河川改修を行い、二十七年度に完了いたしております。これによりまして、二十一年に発生した豪雨と同等の降雨があった場合であっても、住家等の浸水被害は防止される見込みでございます。これに加えて、流域では商業施設や住家が集中しておりまして、さらなる治水安全度の向上を図る、その観点から、上流部での洪水調節等を目的とした五ケ山ダムの建設、また河川整備計画に基づく中下流部での護岸や堤防の整備というものを行っているところであります。  次に、御笠川と那珂川の水位情報の提供についてお話がございました。この二河川につきましては、平野部を流れており、降雨時における水位の上昇が緩やかであるため、水位情報というものが住民の避難判断の目安として有効でありますこと、過去に大きな規模の浸水被害が発生をしておりますこと、またダム管理上、水位の観測が必要でありますこと、こういった理由から、この水位計を既に御笠川五カ所、那珂川三カ所にそれぞれ設置しているところであります。これらの水位情報につきましては、避難判断水位等に到達した際に、市町の避難勧告等の発令の判断の目安となるよう、河川管理者である私ども県から市町へ提供をするとともに、インターネットで常時提供をさせていただいているところであります。 44 ◯副議長(守谷 正人君) 井上博隆君。(拍手) *井上(博隆)議員質問 45 ◯二十二番(井上 博隆君)登壇 皆さん、こんにちは。民進党・県政クラブ県議団の井上博隆です。通告に基づき、就労継続支援A型事業所のあり方についてお伺いいたします。  就労継続支援A型事業所、以下、A型事業所と呼ばせていただきますが、これに関しましては、先週金曜日の緑友会・立志県議団の代表質問においても質問がなされました。しかしながら、できるだけ内容が重複しないように質問いたしますので、御理解のほどをよろしくお願いしたいと思います。           〔守谷副議長退席 樋口議長着席〕  さて、A型事業所の果たすべき社会的意義は、雇用契約に基づく就労が可能な障がい者に就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けての支援をすることであり、働く意欲のある障がい者が経済的な自立を目指す上で、非常に重要な役割を担っております。しかしながら、ことし七月に岡山県、香川県において七つのA型事業所が一斉閉鎖され、障がい者二百八十二人が解雇されるというショッキングな事案が発生しました。続く八月にも愛知県で経営に行き詰まった運営会社が二カ所を閉鎖し、六十九人が仕事を失う事態となり大きなニュースとなっております。このA型事業所の経営難の背景として、国が四月から適用した給付金運用の厳格化が大きな要因と考えられます。A型事業所には利用者の人数に応じて一人一日当たり六千円の訓練等給付金が国から給付されます。この給付金は本来、賃金に充当することは認められておらず、利用者に支払われる賃金は、生産活動で得た事業収入から支払われなくてはならないはずだったのですが、これまではその運用がルーズになってしまっており、事業収入が少ない事業所では給付金を賃金に充当しているケースが散見されていました。少し詳しく説明しますと、この訓練等給付金とは、利用者がたとえ一時間の利用であっても、八時間の利用であっても、A型事業所を利用することで一人当たり一律に六千円が給付されるという性格のものです。仮に、A型事業所には賃金を支払えるほどの事業収入がなかったとしても、この訓練等給付金を賃金に充当することや、利用者の就労時間を故意に短くすることなどで最低賃金を保障しつつ、全ての利用者に賃金を捻出することが可能となっていました。結果として、間違った認識のまま、最初から給付金を当てにし、不確実な事業計画をもとに起業してしまったケースも少なくなく、今回、国が給付金の運用を厳格化し、賃金に充当することを明確に禁止したことでこのような事態が発生したわけです。こうした事実を受け、厚生労働省が実施したA型事業所の経営実態調査では、全国三千六百事業所のうち、七から八割の事業所が指定基準を満たさず経営改善の必要があるということを明らかにしております。  そこで、一点目に、今回発覚したA型事業所の経営難問題における本県の現状についてお聞きします。本県には約二百六十のA型事業所が存在すると聞いておりますが、そのうち、指定基準を満たし、健全な経営体制であると思われる事業所は一体どれくらいあるのかお聞かせください。  二点目に、本県の指導のあり方についてお聞きします。先ほど申しましたように、本来、給付金は賃金に充当してはいけなかったはずですが、ルーズな運用がまかり通ってきました。このことに対する経緯を明らかにするとともに、これまでA型事業所に対してどのような指導をしてきたのか、また今後、どのような指導をするのかお聞かせください。  三点目に、A型事業所の現状認識についてお伺いします。全国的に、ここ数年におけるA型事業所の利用者数、事業所数の推移を見ますと、一月平均利用者数は平成二十四年には約二万四千人であったものが、平成二十八年には約六万三千人に、事業所数は平成二十四年には千三百四十四であったものが、平成二十八年には三千四百十九へと、毎年大きく増加してきています。一方で、最低賃金が保障されているはずの賃金は、平成十八年度には約十一万三千円であったものが、平成二十七年度には約六万八千円にまで減少しております。  そこで、本県におけるA型事業所の利用者数並びに事業所数の推移をお聞かせください。その上で、本県における賃金の推移はどのようになっているのか、その認識もあわせてお示しください。  四点目に、今後のA型事業所に対する取り組みについてお聞きします。今回、国が給付金に対する取り扱いを厳格化したことで、明確になったことがあります。それは、A型事業所は障がい者就労に大きな貢献をしている福祉的な事業所ではあるけれども、事業収入が必要経費を上回らないと赤字となってしまい、存続することができなくなってしまうということです。このことは民間の事業所と全く同じであります。一方で、多くのA型事業所は福祉畑出身の方が、熱い思いはあるものの、経営や営業経験のないまま起業されているケースが多く、経営感覚が欠如しているという課題も指摘されています。加えて、A型事業所には県からの監査が行われますが、その実施主体は福祉労働部であり、その内容はあくまでも指定基準が遵守されているのかどうかということであり、経営に関するアドバイスは皆無であるとお聞きしております。  そこで、この際、A型事業所がしっかりと事業収入を確保し、給付金に頼らずに事業活動を展開していくためには、民間企業同様に、経営指導や経営改善、ビジネスマッチングといった経営力を高めるための取り組みに積極的に関与していく必要があるのではないかと考えます。今回判明したように、多数のA型事業所が経営難であることから、事業が成り立たず廃業する事業所が発生するとすれば、障がい者の就労支援という観点からも多くの損失が生じるものと思われます。その意味においても、福祉労働部が商工部に協力を仰ぎながら、A型事業所の経営力強化に取り組むことは必須であると考えますが、このことに関する知事の考えをお示しください。  最後に、働く意欲のある障がい者を守るという観点からお伺いします。今回発覚したA型事業所の経営難問題で、少なからぬA型事業所が早晩廃業あるいは統廃合となることが余儀なくされることが予測されます。そうなると、これまで就労に意欲を燃やし、A型事業所に通われていた障がい者の方々の行き場がなくなってしまうことや、あるいは辛うじて廃業を免れたとしても、勤務時間を無理やり短くすることなどで対処しようとする事業所があらわれることは容易に想像がつくことからも、不本意な就労形態を受け入れざるを得ない障がい者が生じてしまうことを強く危惧しています。今回の問題では、A型事業所が健全経営を行っていくためにどのような対策を行うのかということも重要ですが、最も重要なことは、いかにして働く意欲のある障がい者の就労の機会や社会参画の場が守られるのかということであると考えています。  そこで、知事は、働く意欲のある障がい者の方々が就労の場を失う、あるいは不本意な働き方を強いられることを防止するためにどのような対策をとるつもりなのか、また実際に職を失った障がい者の方々に対してどのような対策を考えていらっしゃるのかお聞かせください。  以上、障がい者に寄り添う知事の温かみのある答弁を期待し、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 46 ◯議長(樋口 明君) 小川知事。 *知事答弁 47 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、就労継続支援A型事業所の現状でございます。本県の就労継続支援A型事業所は、平成二十九年四月一日現在で二百六十二カ所となっております。訓練等給付費を利用者への賃金に充てずに運営ができている事業所は、このうち六十八事業所、全体の二六%となってございます。  本県の指導についてでございますが、これまでA型事業所の指定に当たりましては、最低賃金を支払うことが可能な事業内容であるか、就労内容が障がい特性を踏まえた継続可能なものになっているかなどにつきまして審査を行ってまいりました。厚生労働省が定めるA型事業所の運営基準におきましては、賃金を自立支援給付費から支払うことが明確に禁止をされていなかったことから、実地指導の際に、生産活動から利用者賃金を拠出できているかどうか、その観点からの指導は行っておりませんでした。ことしの四月、法律の改正後は、従来の決算書や経営状況の確認に加えまして、生産活動による収支報告を毎年度求めることによりまして、自立支援給付費を利用者の賃金に充てていないかを確認することとしております。その上で、指定基準を満たさない場合には、改善計画の提出を求めることといたしております。  就労継続支援A型事業所の現状についてでございますけれども、本県における就労継続支援A型事業所の利用者数は、平成二十四年三月は九百七十三人でありましたが、二十九年三月には四千二百二十七人と、五年間で四・三倍となってございます。また、A型事業所数は、平成二十四年四月は五十九カ所ございましたが、二十九年四月では、それが二百六十二カ所と四・四倍となってございます。県内A型事業所利用者の平均賃金でございますが、A型事業所の制度を開始をいたしました平成十八年度では十二万三千四百九十七円でありましたところ、直近のデータの二十七年度におきましては、これが六万八千百二十九円と低下をいたしております。この原因の一つとしましては、日給ではなく時間単位で定めております最低賃金を維持するために、就業時間を減少させてこれを維持させている実態というものが挙げられます。さらに、経営管理能力が不足している新設事業所の急激な増加でありますとか、高度な障がいのある方の就業が拡大している、それもその原因の一つとして考えられるところであります。  次に、経営指導でございますけれども、雇用型就労を提供する就労継続支援A型事業所の運営におきましては、原価管理、収益分配、労務管理など経営マネジメントを行う力というものが求められます。県といたしましては、商工部で活用しております中小企業診断士など専門家を用いた集団指導というものを実施してまいります。これに加えまして、実地指導や収支報告書のチェック等を通じて経営上の課題を把握した上で、支援が必要な事業所に対しましては、どのような方法で経営マネジメントを行う力を強化をしていったらいいのか、どのように優良な事業所を確保していくのかについて、今後検討を進めてまいります。  次に、働く意欲のある障がい者を守る取り組みでございます。働く意欲をお持ちの障がい者の方が仕事をやめさせられたり、不本意な働き方を強いられているようなとき、県の本庁、出先機関、また市町村におきましては、それぞれの役割、専門性のそれぞれの立場からお互い連携、分担をし、障がいのある皆さんが身近な箇所で相談できるよう体制を整えているところであります。不適切な運営を行っていることが判明をいたしました事業者に対しましては、関連法令に基づく是正指導を行うことで不適切就労の防止に努めてまいります。  就労継続支援A型事業所の事業の休廃止に伴い障がい者の就労の場が失われる場合、継続してA型事業所で就労を希望される方々に対しましては、相談支援事業所や県みずからが再就職の支援に当たってまいりました。また、企業への就職を希望される方々には、障害者就業・生活支援センターが再就職の御支援に当たってまいりました。今年七月、事業を休廃止する場合、事業者は、利用者が引き続き必要なサービスを受けることができるよう新たな就職先の提供を行わなければならないことが国から通知をされたところであります。県としましては、この内容を事業者にしっかり遵守をさせてまいります。 48 ◯議長(樋口 明君) 伊豆美沙子君。(拍手) *伊豆議員質問 49 ◯四十番(伊豆 美沙子君)登壇 自民党県議団の伊豆美沙子でございます。東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ地誘致の取り組みについて質問いたします。  先週の十二月四日、東京のブルガリア大使館公邸において、宗像市が、ブルガリア柔道競技の東京オリンピックに向けた事前キャンプの実施について、基本合意書に調印しました。この調印式には、大曲昭恵副知事が、お忙しい中、東京まで御出席をいただいたと伺っています。福岡県では、このブルガリア以外にも、これまでに市町村と連携して、複数の国と基本合意を締結し、現在も、幾つかの国や地域とも基本合意に向けた交渉を継続中と承っています。海外のチームとの事前キャンプについての基本合意と申しましても、そう簡単にたどり着けるものではないと思います。海外のスポーツ関係者とのやりとりは言葉の壁や文化の違いがあります。そのような中、相手国に出向いて直接交渉したり、視察に招いて競技場や宿舎を案内したりして協議を重ねるなどしてこられました市町村職員や県職員の皆様、本当にありがとうございます。とりわけ、何とかして海外チームの事前キャンプを受け入れたいという市町村の熱い思いを受け、昼夜を問わず取り組んでいただいている多くの県職員の皆様に改めて感謝申し上げる次第でございます。  さて、調印式の翌日からは、早速、ブルガリアの柔道選手、コーチが宗像市のグローバルアリーナにて、まさに今、オリンピックに向けたトレーニングキャンプが行われているわけです。このキャンプ地でありますグローバルアリーナは、株式会社サニックスの創業者であり、ことし一月、六十七歳で急逝された故宗政伸一氏が私財を投じて整備された施設であります。故宗政氏は、地域の子供たちの豊かな心と体づくり、スポーツや文化を応援するために、一般財団法人サニックススポーツ振興財団を設立されました。これまでにジュニアを対象としたラグビーやサッカー、柔道、ハンドボール、新体操の国際大会を長年主催し、青少年の健全育成、国際交流に尽力していただいています。また、地元宗像地区の小学校にラグビーの指導者を派遣してタグラグビー教室を開催するなど、まさに地域に密着してスポーツを通じた子供たちの健全育成に努めてこられました。今回の調印相手のブルガリアとは、民族舞踊や新体操、ブルガリアフェスティバルを毎年開催されるなど、日本とブルガリアの活発な国際交流を図ってこられました。こうした取り組みから、宗政氏は平成十九年、在福岡ブルガリア共和国名誉領事に任命されました。今回のブルガリアと宗像市の調印は、こうした思いと地道な努力と熱意が実を結んだ結果ではないかと、改めて宗政伸一氏の功績に敬意を表する次第であります。これからも多くの人々が故宗政氏の志を引き継ぎ、将来にわたり友情と交流の輪が広がり続けることを願ってやみません。  さて、ブルガリアの柔道チームは、来年度以降も、二〇二〇年の大会に向けて、毎年、宗像市でトレーニングキャンプを行う計画と聞いています。また、今後、県内の他の市町村においても世界各国の選手が次々にキャンプに訪れることになり、オリンピック・パラリンピックに向けて、本県が盛り上がっていくことが期待されます。このように、世界のトップアスリートによるキャンプが県内で行われることになれば、そのパフォーマンスを直接見たり、交流したりする機会が生まれ、福岡の子供たちに夢や希望を与えることにもつながるものと考えます。子供たちにとって、自分の地元でオリンピック選手と、一生に一度あるかないかの、かけがえのない触れ合いが、オリンピック・パラリンピックのレガシーとなって、その後の成長にすばらしい影響を与えてくれることでしょう。しかしながら、一方で、誘致活動やキャンプの受け入れに当たり、万全の準備を進めることは、市町村単独ではなかなか難しいという話も聞いています。  そこで知事にお尋ねします。まず、東京オリンピック・パラリンピックの本県におけるキャンプ地誘致の最新の状況はどのようになっているのでしょうか。  次に、知事は、誘致の実現に向け、市町村と一体となって取り組んでいく旨の答弁をこれまでなさってこられました。現在、キャンプ地誘致に取り組んでいる市町村に対し、福岡県としてどのような支援を行っているのでしょうか。  最後に、事前キャンプの実施が決定し、今後、相手国との交流が始まる市町村に対し、県はどのような支援をしていくのでしょうか。お答えをお聞かせください。  以上三点について答弁を求めます。(拍手) 50 ◯議長(樋口 明君) 小川知事。 *知事答弁 51 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ地誘致の最新の状況でございます。今月四日、議員もお触れになりましたが、宗像市が県と合同で、ブルガリア柔道連盟と事前キャンプ実施にかかわる基本合意書に調印をいたしたところであります。本県ではこれまでに、県と合同で福岡市がスウェーデン、ノルウェーと、久留米市がケニアと、北九州市は単独でタイと、それぞれ基本合意書への調印を済ませております。今回の宗像市の調印によりまして、県内五カ国目のキャンプ地決定となります。また、県が柳川市、みやま市、みやこ町、築上町の四市町と連携して誘致活動に取り組んでまいっておりますオセアニア諸国につきましても、今週中に調印式を行う予定でございます。このほかにも、田川市がドイツと車椅子フェンシングのキャンプ実施に関する確認書を交わしており、飯塚市には、南アフリカから、車椅子テニス競技のキャンプ実施内定の連絡が入ってきております。現在、田川、飯塚両市ともに、県と協力をしながら、それぞれの相手国と基本合意に向けた協議を進めているところでございます。さらに、久留米市がカザフスタン、北九州市がフィンランドの現地視察を受け入れているところでありまして、現在、両市と連携しながら、それらの国と基本合意に向けた交渉を進めているところでございます。  次に、キャンプ地誘致に取り組む市町村に対する支援でございます。県におきましては、キャンプ地誘致を希望される市町村と連絡会議を立ち上げておりまして、県が収集した情報の共有を図りながら、対象とする国や競技の絞り込み、視察の受け入れや相手国との協議、交渉など、市町村と一体となって誘致活動に取り組んでいるところであります。また、キャンプ地誘致に要する市町村の財政的負担を軽減をするため、市町村に対しまして、視察受け入れやプロモーションツール制作に要する経費、その補助をやらせていただいております。このほか、ホストタウンに登録をされた場合には、交流事業等を対象とした特別交付税措置や地域活性化事業債、これによる競技施設の改修等への支援を受けることができるようになりますため、市町村に対し、積極的なホストタウン登録を促し、これまでに県内六市がホストタウンとして登録をされているところでございます。  次に、市町村事前キャンプ受け入れや交流に対する支援でございます。誘致活動が進展をいたしまして、事前キャンプの実施が決定した市町村におきましては、今後、相手国と具体的な交流が開始されることになります。今月四日に調印したブルガリア柔道チームは、議員も御指摘されましたように、早速、宗像市に入り、まさに現在、トレーニングキャンプや市民との交流をやっている最中でございます。来年度以降も、こうしたアスリートによる事前キャンプや、さまざまな地域との交流事業というのが県内各地で実施されていくことになります。事前キャンプの受け入れや、その中で行われます交流事業の支援につきましては、現在、受け入れ予定の市町から交流計画等について聞き取りを行っているところでございまして、それらを踏まえて、どのような支援が必要か検討を進めているところであります。 52 ◯議長(樋口 明君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時  九 分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...