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平成29年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2017-03-16

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  1. 福岡県議会 2017-03-16
    平成29年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2017-03-16


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1    平成二十九年三月十六日(木曜日)    午 前 十 一 時 零 分 開 議 ◯井上忠敏委員長 おはようございます。定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。  本日は、平成二十九年度福岡県一般会計予算の歳出第三款保健費及び第四款環境費の審査を予定いたしております。よろしくお願いいたします。  それでは、第三款保健費について説明を求めます。松本保健医療介護部長。 2 ◯松本保健医療介護部長 おはようございます。三款保健費につきまして御説明申し上げます。  お手元の平成二十九年度予算に関する説明書、分厚い冊子でございますが、百五十九ページをお願いいたします。  一項保健企画費でございます。この主なものでございますけれども、二枚おめくりをいただきまして、百六十二ページの中ほどに、三目病院費がございます。説明欄に示しておりますけれども、病院事業会計負担金五億六千百万円余でございます。これは企業債の償還に係る負担金等でございます。一項保健企画費の総額は、計欄に示しておりますが、七十四億二千九百万円余をお願いいたしております。  次に、二項健康対策費でございます。この主なものは、一枚おめくりをいただきまして、百六十五ページの中ほど、三目難病等対策費七十四億七百万円余でございます。これは難病患者に対する医療費の公費負担等でございます。二項健康対策費の総額は、二枚おめくりいただきまして、百六十八ページの中ほどの計欄に示しておりますけれども、百三十九億九千三百万円余をお願いいたしております。  次に、三項生活衛生費でございます。この主なものは、恐れ入りますが二枚おめくりいただきまして、百七十三ページ、下のページになりますけれども、五目結核感染症対策費ですが、説明欄の上から五番目、感染症予防費四億八千万円余でございます。これはインフルエンザ対策等に要する経費でございます。三項生活衛生費の総額は、一枚おめくりいただきまして、百七十四ページ、計欄に示しておりますが、十七億三百万円余をお願いいたしております。  次に、四項医薬費でございます。この主なものは、一枚おめくりいただきまして、百七十六ページ、二目医薬費でございますが、右側の説明欄の一番下、地域医療介護総合確保基金積立金三十六億二千二百万円余でございます。四項医薬費の総額は、一枚おめくりいただきまして、百七十九ページの計欄に示しておりますけれども、百二十八億九千六百万円余をお願いいたしております。  次に、一枚おめくりいただきまして、百八十ページ、五項医療介護費でございます。この主なものは、同じページの一目医療介護総務費でございますが、説明欄の上から二番目、後期高齢者医療対策費七百三十億三千八百万円余でございます。これは高齢者の医療の確保に関する法律に基づきます県の負担金でございます。五項医療介護費の総額でございますが、一枚おめくりいただきまして、百八十三ページの計欄に示しておりますけれども、一千八百四十八億七千二百万円余をお願いいたしております。  次に、一枚おめくりいただきまして、百八十四ページ、六項高齢者支援費でございます。この主なものは、また一枚おめくりいただきまして、百八十六ページの三目高齢施設費でございます。説明欄の一番上、老人福祉施設整備費六十五億九千百万円余でございます。これは特別養護老人ホーム等の整備に対する助成等でございます。六項高齢者支援費の総額は、計欄に示しておりますが、百二十二億六千八百万円余をお願いいたしております。  説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 3 ◯井上忠敏委員長 説明は終わりました。  これより質疑を行います。質疑はありませんか。塩川秀敏委員。 4 ◯塩川秀敏委員 おはようございます。自民党県議団の塩川秀敏でございます。  通告に従いまして、地域包括ケアシステムの構築についてをただしていきたいと思います。  今、部長のほうから、後期高齢者の医療費の問題とか、医療介護費が一千八百四十八億円とか聞きまして、それと非常に関係しますし、国の社会保障の問題、それから我々団塊世代は八百万人おるそうでございますが、それが七十五歳になる二〇二五年問題、こういうことに関係しますので、ぜひこれは重要な課題と思って、ただしていきたいと思います。  まず、平成二十七年四月の介護保険法の改正によりまして、二十九年度から介護予防・日常生活支援総合事業を市町村で開始しなさいと、そして三十年からは、地域包括ケアシステムの充実を図りなさいという形で進んでおります。そして八年後、まさに二〇二五年、平成三十七年には地域包括ケアシステムを構築しなければならないとなっているところでございます。この構築を目指す地域包括ケアシステムとは大体どんなものか簡単に御説明ください。
    5 ◯井上忠敏委員長 大田高齢者地域包括ケア推進課長。 6 ◯大田高齢者地域包括ケア推進課長 地域包括ケアシステムとは、たとえ医療や介護が必要になっても、おおむね三十分以内で駆けつけられる圏域で、市町村が設置する地域包括支援センターなどが中心となりまして、高齢者個々人の心身の状態、あるいはニーズに対応した医療、介護、予防、生活支援、住まい、こういった五つのサービスが切れ目なく一体的に提供される地域の体制でございます。 7 ◯塩川秀敏委員 一口で言いますと在宅で生活できるように、そして、なるべく医療費がかからないようにしなさい、介護が必要にならないようにしなさいということだと思うんですけれども、今言われました医療、介護、予防、生活支援、住まい、この五分野について、どういうことなのか、どういうサービスを目指しているのか簡単に御説明ください。 8 ◯大田高齢者地域包括ケア推進課長 医療につきましては、在宅で十分な診療や看護が受けられる体制の整備を目指しております。平成三十一年度の一カ月間の訪問診療患者数二万四千人という目標に向けて、二十六年度は二万一千四百八十二人と増加をしているところでございます。  次に、介護につきましては、二十四時間対応の定期巡回随時対応サービスや、通所介護、訪問介護、短期の宿泊を組み合わせた小規模多機能型サービスなど、在宅生活を支えるサービスの整備を目指しております。現在、定期巡回随時対応サービスは三十八カ所、小規模多機能サービスは二百六十六カ所となっております。  予防につきましては、身近な場所で効果的な介護予防の取り組みが実施され、誰もが参加できることを目指しております。本年四月には、住民主体の介護予防など多様なサービスを目指す介護予防・日常生活支援総合事業を全ての市町村が実施いたします。  生活支援につきましては、買い物支援など高齢者のニーズに対応した、きめ細かなサービス提供体制の整備を目指しております。体制整備に中心となって取り組む生活支援コーディネーターは、三十五市町村に、現在、百五名配置されております。  住まいにつきましては、本人の希望や経済力にかなった住まいが構築されることを目指しております。サービス付き高齢者向け住宅は、昨年十二月現在で八千二百五十七戸まで増加いたしております。 9 ◯塩川秀敏委員 今、五分野といいますか、それに向かってどういうサービスを目指していくのか、そして現状はどうかということを説明いただきましたけれども、私が市町村を回ってみますと、市町村によってこの構築にはいろいろと差があるといいますか、取り組みぐあいに差があることも事実であります。そういうことに対して、県はどのような支援をしていくのか、市町村の差に対してどのような支援をしていくのかお答えください。 10 ◯大田高齢者地域包括ケア推進課長 御指摘のように、市町村で進捗状況に差があることに対しましては、市町村に対して四半期ごとに進捗状況の調査を行っております。その結果を踏まえまして、保健福祉環境事務所の管内ごとに、市町村との意見交換会を実施して、課題などをお聞きしております。その結果、進捗がおくれている市町村に対しましては、個別に必要な助言や支援を行っているところでございます。 11 ◯塩川秀敏委員 今、市町村の支援について説明をしていただきましたけれども、結果的には市町村が取り組むわけですが、その五分野をよく見てみますと、最初の医療とか介護とか、それから最後に説明いただきました住まいのことは、どちらかといえば市町村とか行政とかが取り組む内容になっていると思うんですけれども、そのほかの、いわゆる介護予防とか生活支援ということになってくると、これはやはり、住民の人たちの互助の精神が発揮されていかないと、本当にこういうものが充実しないのではないかなと思うわけでございます。  ですから、地域コミュニティーに互助の精神を養っていくこともあわせてやっていかないと、この地域包括ケアシステムの構想というものは実現しにくいのではないかと思うわけでございますが、その辺の、ちょっと課が違うかもしれませんけれども、地域コミュニティーとの関係はどのようにお考えですか。 12 ◯大田高齢者地域包括ケア推進課長 今、御指摘ございました介護予防や生活支援の分野につきましては、やはり地域の取り組みが重要でございます。そのため、その成功事例等につきまして、市町村に対し積極的に情報提供を行ってまいります。また、市町村が実施をする住民主体の介護予防の取り組みを支援するとともに、生活支援コーディネーターの養成に取り組みまして、介護予防や生活支援を担う地域の人材育成に取り組んでまいります。さらに、市町村支援課が設置を検討しております地域コミュニティーの機能向上に向けた関係各部各課に対する連絡会議に参加いたしまして、介護予防や生活支援に大きな役割を果たす地域コミュニティーの活性化に向けて、関係各部各課との連携を図ってまいります。 13 ◯塩川秀敏委員 今、地域コミュニティーの活性化について、市町村支援課と連携をとりながらやっていくと、これも非常に大事なことだろうと。これからは他の各部局と連携をとりながら進めていくと。私がきのう質問しました地域の自主防災組織についても、やはり同じことが言えるんじゃないかと思うんですが、五項目のうちの、いわゆる生活と介護予防については、今、説明いただきましたけれども、残り三つありますよね、いわゆる医療、介護、住まい、こういうことについて、これはやはり県とか行政がやるべきことですけれども、県はどのような支援をされていく予定ですか。 14 ◯大田高齢者地域包括ケア推進課長 まず、医療でございますけれども、在宅医療を充実させるということで、保健福祉環境事務所に設置をいたしました地域在宅医療支援センターで相談対応などを行いますとともに、訪問診療に携わる医師、あるいは訪問看護師の育成を行う郡市区医師会、看護協会の取り組みに対し財政的支援を行っております。  次に、介護に関しましては、定期巡回随時対応サービスの普及を図るために、事業者や介護支援専門員ケアマネジャーさんなどを対象に、そのメリットであるとか運営の仕方に関する説明会を開催いたしまして、事業者の参入を促進いたしております。  住まいに関しましては、サービス付き高齢者向け住宅の普及、登録を促進いたしております。 15 ◯塩川秀敏委員 今、その五項目についていろいろ、住民自体もコミュニティーの中で取り組まなければいけない。同時に、行政はほかの三分野について、いわゆる医療、介護、住まいについてはやっていく。そういうことをやっていって、今から八年後といいますか、我々が後期高齢者になったときに、本当に地域包括ケアシステムがうまいぐあいにできていくものかどうか、その辺の予測については、課長、どのようにお考えですか。 16 ◯大田高齢者地域包括ケア推進課長 これにつきましては、やはり市町村の規模などもいろいろございまして、いろいろ大変なところはございますけれども、私ども県といたしまして、広域的な立場あるいは専門的な立場からしっかり市町村を支援してまいりまして、二〇二五年には、県内全ての市町村で地域包括ケアシステムが構築されるように、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 17 ◯塩川秀敏委員 私は、なかなかそう簡単にいかないと思うんですよね。かなり、市町村との連携をしたり、財政問題もあるでしょうけれども、やはり積極的に取り組んでいかないと、地域の現状を見たら、非常に厳しいと私は思っています。私どもが七十五歳になるのが二〇二五年ですから、私どもの生活の安定も重要でございますけれども、やはり財政的な面とか、社会保障の面から考えても、ぜひこれは取り組んでいかなければいけない。  そういう意味で、これから部長にちょっと伺いたいと思います。先ほど言いましたように、我々団塊の世代、八百万人おるそうです。これが二〇二五年には七十五歳になります。七十五歳になった我々が直面するのが認知症の問題、あるいは単独世帯とか、そういうのが増加をする中で、やはり医療とか介護とか、生活に対するニーズはどんどんふえてくるだろうと、それに対応するために、今、包括ケアシステムをつくろうとしているわけですが、しかも、多くの人のアンケートを聞くと、可能な限り住みなれた地域で、自分らしい生活をしながら住んでいきたいという希望を持たれている方が多いし、私もそう思っております。その希望をかなえるためにも、今言った五つの分野に対して一体的なサービスが提供されるということが非常に重要であると思います。  御質問しながら、本当にこれできるのかなあと不安に感じているわけでございますけれども、県も、非常に長い名前の高齢者地域包括ケア推進課ですか、そういう長い名前の課をつくって取り組む意欲を十分示しているところでございますけれども、部長にぜひ、これをやり遂げる決意といってもなんでございますけれども、どういう気持ちでこれに取り組んでいただけるのかお聞きしたいと思うんですが。部長におかれましては、県政発展のために長い間御尽力をいただいておりますし、心から感謝と敬意を申し上げるところでございますが、これから部長に答弁していただきますけれども、姿勢を正して拝聴し、敬意を表したいと思います。どうぞよろしい御答弁をお願いします。 18 ◯井上忠敏委員長 松本保健医療介護部長。 19 ◯松本保健医療介護部長 塩川委員のただいまのお言葉、ありがたく受けとめさせていただきます。  私どもが地域包括ケアを進めなければいけないと思っている理由が、高齢者というサービスの受け手の立場に立って必要なサービスをいろいろ組み合わせて受けられるようにするという、高齢者にとって包括的にサービスが提供されるシステムだからでございます。委員御指摘のように、医療、介護は専門の資格を持った方、あるいは保険制度もございます。しかし、生活支援、予防は地域のボランティアの方とか、そういった方とやったほうがむしろいいのではないかと。高齢者は地域のコミュニティーの中で生活してあるわけですから、もちろん地域のコミュニティーは高齢者のケアだけが課題じゃなく、防災だとかいろいろ課題がありますけれども、高齢者がふえた今、地域コミュニティーにとって高齢者のケアの問題、私にとっての地域包括ケアの問題、これは目的、利益が共通するわけですから、ぜひとも連携して取り組まないかんと思っております。  いろいろな方が、いろいろなサービスを別々に、ばらばらに提供するんじゃなくて、それをうまく組み合わせていく。高齢者が暮らす場が地域コミュニティーですから、そういったことにも十分意を払いながらしていきますが、住民に一番近い基礎自治体は市町村でありますから、システムの構築というのは、まず高齢者の側、受け手の側にとって市町村で、先ほど委員がおっしゃられたような地域包括支援センター、あるいはケアマネジャーさんに活躍していただきたいと。そして県の側は、サービスを提供する立場から、まず専門人材の育成、確保、あるいは施設の整備、あるいは仕組みづくりをと、そういうふうに役割を分担しながら、それぞれしっかり取り組んでいくことが重要だろうと思っております。  私ども保健医療介護部としましては、高齢者の方お一人お一人が、住みなれた地域で、人生のラストステージをその人らしく暮らしていけるようにしていただきたいと、そういったことを目指しまして、委員のほうからあと八年という御指摘もございましたけれども、部としては、そういった未来を見据えて、全力で取り組んでまいりたいと思っております。 20 ◯塩川秀敏委員 すばらしい決意に満ちた答弁でございまして、きっと後続の部長にも届くと信じているところでございます。  本当に長い間ありがとうございました。終わります。(拍手) 21 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。原中誠志委員。 22 ◯原中誠志委員 民進党・県政クラブ県議団の原中誠志でございます。  発言通告に従いまして、福岡県地域医療構想にかかわる歯科口腔衛生の取り組みについてと民泊対策について質問いたします。  最初の項は、福岡県地域医療構想にかかわる歯科口腔衛生のかかわりについてであります。  初めに、本県が策定する地域医療構想について、その背景と目的はどのようなものであるのかお示しいただきたいと思います。 23 ◯井上忠敏委員長 刈茅医療指導課長。 24 ◯刈茅医療指導課長 団塊の世代の方々が全て七十五歳以上となる平成三十七年に向け、高齢化の進展に伴い、医療・介護の需要はますます増大してまいります。また、高齢化の進展に伴い、誤嚥性肺炎、あるいは転倒に伴う骨折、脳血管疾患といった高齢者特有の疾患が増加するなど、疾病構造も大きく変化をしてまいります。  一方で、高齢化の進展のスピードは、地域ごとに異なることが見込まれております。地域医療構想構想区域ごとに、これは県内の十三の二次医療圏でございますけれども、それから病床の機能、これは高度急性期、急性期、回復期、慢性期ごとに、平成三十七年の必要病床数を推計し、地域ごとに将来の人口構成の変化と疾病構造の変化を踏まえた将来の病床機能のあり方を示すものであります。そして、病床機能報告による現状の病床数と比較をいたしまして、それぞれの病床の機能に見合う病床を確保していくため、病床転換を推進していくものでございます。 25 ◯原中誠志委員 今、御説明をいただきましたけれども、もとは国の医療介護総合確保推進法に基づき、都道府県ごと地域医療構想を策定することになったと周知しているところであります。このような中、全国医系市長会は、本年の二月九日、政府に対して新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する要望書を提出しております。新専門医制度の導入に疑問を呈している状況であります。  そこでお聞きいたします。現在、新専門医制度が検討されていますが、これは地域医療構想とどのようなかかわりとなるのかお示しいただきたいと思います。 26 ◯刈茅医療指導課長 新専門医制度は、専門医の質の向上を図るため、これまで内科、外科などの学会がそれぞれ行っておりました専門医の認定を、この新制度では、中立的な第三者機関である日本専門医機構が専門医の認定、それから専門医養成プログラムの認証を統一的に行うものであります。  一方、地域医療構想は、地域ごと、病床の機能ごとに、将来必要となる病床数を確保するための病床の転換機能を促進するものでございまして、専門医の質の向上を図る新専門医制度とは目的が異なり、直接的にはかかわるものではございません。  なお、委員も指摘されましたが、新専門医制度については、研修医や指導医が、都市部の大規模病院に集中をし、医師の地域偏在を助長するのではないかという懸念が、医療関係団体や全国知事会等から示されたため、現在、その改善に向けた検討がなされております。 27 ◯原中誠志委員 さて、二〇二五年、来るべき超高齢社会をにらみ、あるべき医療提供体制の実現に向けて地域医療構想を策定する際には、精神、感染症等にかかわる入院医療や外来医療、在宅医療、歯科医療、薬局など、全体を見据えた上で五疾病、五事業等の医療計画において既に記載されている内容を踏まえて検討するとなっております。このような趣旨からしますと、地域医療構想は病床転換をいかに図るかはもちろんのことでありますけれども、地域の医療・介護を総合的に確保、育成するための構想でもなければなりません。したがって、地域医療構想には、医科に加えて歯科医療も当然含まれると考えるわけであります。  そうした観点からお聞きいたします。地域医療構想には歯科口腔保健の取り組みをどのように認識し、位置づけているのか、お示しください。 28 ◯刈茅医療指導課長 地域医療構想は、病床の機能転換を推進していくものでございまして、歯科口腔保健の取り組みそのものに焦点を当てるものでありませんが、一部、医科歯科連携の推進、それから訪問歯科診療について記載を行っているところであります。  具体的には、既存の医療資源の機能が十分発揮できるよう医療機関間の連携や、医科歯科連携を一層進めていく必要があるということ、それから、県歯科医師会等の関係団体と連携をしまして、在宅医療を初め、将来のあるべき医療提供体制を支える歯科医師、あるいは歯科衛生士の確保、養成を図っていくこと、それから、かかりつけ医、歯科医師、薬剤師、看護職員に対する認知症対応力向上研修を開催し、早期診断、早期対応の体制整備を推進していくこととしております。  また、このほか在宅医療、誤嚥性肺炎、認知症に関しまして、口腔ケアをしっかり推進していくことが重要といった区域での御意見もありましたことから、そういった意見も記載したところでございます。 29 ◯原中誠志委員 現在、日本人の二人に一人はがんにかかる時代であります。がん治療では、化学療法や放射線療法により患者の免疫力が低下し、口内炎や歯肉の炎症などが発生しやすくなります。一方、外科手術前の口腔ケアは、肺炎を初めとする術後合併症の予防効果があると知られているところであります。このように、がん患者が適切な治療を受けるためには、医科と歯科の連携が重要であると考えます。  そこで、医療と歯科口腔保健との連携についてお聞きいたします。県内には十九カ所のがん診療連携拠点病院があると聞いておりますけれども、拠点病院と拠点病院以外の病院での医科歯科連携の推進のため県がどのように取り組んでいかれるのか、また、今後どのように取り組んでいこうと考えておられるのかお伺いしたいと思います。 30 ◯井上忠敏委員長 岩本健康増進課長。 31 ◯岩本健康増進課長 県内十九カ所のがん診療連携拠点病院等のうち、現在、歯科の専門職が配置されている十五カ所の拠点病院につきましては、術前術後のがん患者の方への口腔ケアや、退院時の地域歯科診療所との連携が行われているところでございます。  歯科専門職が配置されていない四カ所の拠点病院に対しましては、配置に向けて病院に働きかけを行っているところでございます。  また、県では、拠点病院以外の病院での医科歯科連携を図るため、県歯科医師会に専任の職員を配置しまして、医科や歯科の関係者を対象として、がん患者の口腔ケアの必要性に関する研修会を実施しております。がん患者の方に対しましても、口腔ケアの必要性を啓発するパンフレットを作成し、病院において配布をしております。  今後も地域の医科歯科連携の充実を図るため、歯科専門職が配置されてない拠点病院に配置を働きかけるとともに、拠点病院以外の病院に対しましても、医科歯科連携の必要性を理解していただくよう取り組んでまいります。 32 ◯原中誠志委員 県では、がん患者等の医科歯科連携の効果的な促進を図るため、歯科医師、歯科衛生士等、歯科医療や歯科保健にかかわる多職種が、がん拠点病院等と患者情報を共有する地域歯科医療ネットワークシステムの構築を支援していると聞いているところであります。  そこでお聞きします。このようなシステムについて、今回の地域医療構想の中には盛り込まれているのかどうかお伺いしたいと思います。 33 ◯刈茅医療指導課長 医科歯科連携の推進を図る取り組みの一例といたしまして、がん患者等医科歯科連携整備事業というものを記載しております。御指摘のシステムにつきましては、この事業の中で実施をされております。 34 ◯原中誠志委員 中央社会保険医療協議会、いわゆる中医協の二〇一四年の特別調査によりますと、歯科訪問診療患者総数、歯科訪問診療料、歯科疾患在宅療養管理料、口腔機能管理加算、訪問歯科衛生指導料の算定も、患者数も年々増加しているところであります。このように医療機関と歯科医との連携が進み、歯科の訪問診療も増加しているところであります。  そこでお聞きします。県内の医療機関に対する歯科医の訪問診療の現状についてお聞かせください。 35 ◯井上忠敏委員長 大田高齢者地域包括ケア推進課長。 36 ◯大田高齢者地域包括ケア推進課長 歯科医の訪問診療の全体の数でございますけれども、本県の平成二十六年九月の歯科訪問診療件数につきましては三万四千五百七十五件で、平成二十三年九月の一万九千百十一件に比べて一・八倍に増加をいたしております。 37 ◯原中誠志委員 今回策定されます県地域医療構想において、歯科医の訪問診療をどのように位置づけておられるのかお聞きいたします。 38 ◯刈茅医療指導課長 地域医療構想では、在宅医療等の充実を図るための取り組み例といたしまして、訪問歯科診療推進整備事業を掲載するとともに、在宅医療の場面において、医療や介護と連携できる歯科医師や歯科衛生士の確保、養成が求められていることについて記載し、県歯科医師会と関係団体と連携して在宅医療を初め将来のあるべき医療提供体制を支える歯科医師、歯科衛生士の確保、養成を図っていくこととしております。 39 ◯原中誠志委員 今日我が国の高齢化の進展に伴い、歯科医の訪問診療先としては、自宅が最も多いと、これは調査結果でも明らかになっているところであります。今後、慢性期を含め在宅医療等の需要が増加すると言われておりますけれども、地域での在宅医療にかかわる歯科医のかかわりは今後ますます重要になってくると考えます。  そこでお聞きいたします。具体的に、これから地域や在宅での口腔ケア等訪問歯科診療について、どのように普及していくと考えておられるのか、執行部の考えをお聞きしたいと思います。 40 ◯大田高齢者地域包括ケア推進課長 県では、福岡県歯科口腔保健の推進に関する条例を制定いたしまして、啓発週間を設定するなど、成人期から高齢期における口腔機能の維持向上の重要性について、県歯科医師会と連携をし、普及啓発に努めております。  また、県内六カ所の郡市区医師会が、在宅歯科医療連携室を設置し、訪問歯科診療に係る相談対応、訪問歯科診療所との連携強化などに取り組んでおり、県はこの事業に財政支援を行っております。  さらに、介護支援専門員などが高齢者の口腔内の状態を把握して、適切なケアプランを作成できるようにするための県歯科医師会の取り組みにも財政支援を行っております。  このような取り組みによりまして、訪問歯科診療を推進し、その普及に努めてまいります。 41 ◯原中誠志委員 高齢者の死因の第三位は肺炎であります。その中でも、口腔内の歯周病菌や細菌が気道に入り込むという誤嚥性肺炎が非常に多いと指摘されているところであります。特に、高齢者施設の入所者の中には、身体機能や認知機能が低下して、自分で口腔清掃ができない方や介助が必要な方もたくさんおられます。  誤嚥性肺炎の予防のためにも、口腔ケアが必要となってくるわけでありますけれども、そこでお聞きいたします。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設といった高齢者施設における県の歯科口腔保健推進の取り組みと、今後の方向性についてお伺いしたいと思います。 42 ◯岩本健康増進課長 多くの高齢者施設では、口腔ケアを行っているのは主に介護従事者でありまして、歯間ブラシなどを使用した口腔ケアなどは十分に実施されておりません。このため、県では歯科衛生士が県内の四ブロック各一カ所の高齢者施設を定期的に訪問しまして、施設の職員に正しい口腔ケアの手法を指導する取り組みを行っております。これらの施設では、指導を受けました施設職員が、歯間ブラシでの清掃を入所者に対して行った結果、入所者の口腔状態は改善し、施設職員の口腔ケアに対する意識も向上しているところでございます。  また、その他の高齢者施設を対象にしまして、県内の四ブロックで正しい口腔ケアの手法に係る講習会を開催し、普及拡大を図っているところでございます。  今後は、施設職員が参加しやすいよう、県内の保健福祉環境事務所ごとに講習会を開催し、さらなる普及拡大を図ってまいります。 43 ◯原中誠志委員 今、やりとりを行いましたけれども、この項の最後に、部長に要望して終わっていきたいと思います。今回の地域医療構想においては、今後の本県の高齢化の進展に対応するための病床転換が基本にあると思います。医療を考える場合、歯科医療並びに歯科口腔保健のあり方も同時に考えるべきであると、先ほどからずっと申し上げているところであります。これからの本県の地域医療を考えるに当たり、医療と歯科口腔保健との連携をしっかり図っていくことに、しっかり県としても取り組んでいかれますよう要望したいと思います。  続きまして、本県の民泊対策について質問したいと思います。  今日、いわゆる違法民泊が横行する中、本年二月十八日、一般社団法人九州民泊協会が福岡市で設立されました。同協会では、民泊の多くは行政の管理外にある無許可営業のため近隣住民の不安が高まっている、そして、民泊と地域の発展のためにも無許可民泊の健全化を図りたいと、今後の取り組みを示されておられます。そして、こういう場に来ない無許可民泊業者が問題であり、取り締まりも必要であると問題提起をされているところであります。  全国的に旅館業の許可を得ていない違法民泊が問題視されている中、大阪府や京都府は取り締まりを強化し、行政指導や警察への告発も行っているところであります。  県内では、福岡市が行った違法民泊の調査によると、市内で旅館業の許可を得ているのはわずか四十七施設しかなく、市内の掲載物件のほとんどは無許可だと市は見ているわけであります。  また、近隣住民から、夜中に騒がしい、知らない外国人が出入りして不安などと苦情を受け、民泊業者へ福岡市が行政指導を行った件数は、二〇一五年では十二件、二〇一六年度は、これは七月末までに二十一件に上っているところであります。  そこでお聞きいたします。本県内の民泊物件について、民泊仲介サイトにおける掲載状態をどのように把握されているのかお聞きします。  あわせて、旅館業の許可を得ていない違法民泊が増加している中、大阪府や京都府は取り締まりを強化しておりますけれども、本県として違法民泊業者への立入調査、行政指導などを行ったことがあるのか否か、あわせてお聞きしたいと思います。 44 ◯井上忠敏委員長 坂本保健衛生課長。 45 ◯坂本保健衛生課長 県内物件の掲載状況は、報道によりますと約千五百件程度、そのうち福岡市の掲載物件が約千三百五十件程度とされております。県管轄区域では、現在四十件の掲載が確認されております。  本県においては、昨年十二月、民泊仲介サイトの掲載状況を確認し、県管轄区域について現地調査を実施しております。現在までの間、九十二件の掲載物件を確認しまして調査した結果、このうち九件が旅館業法の許可施設となっております。  無許可営業が疑われる八十三件のうち四十三件については、現地調査を行いまして、営業を中止させております。残り四十件については、継続して調査及び指導を行っているところです。 46 ◯原中誠志委員 違法民泊が非常に多い中で、大阪市の吉村市長は、違法民泊が増加している状況を看過できないとして、違法民泊はどんどん摘発して取り締まると、強化を明言しております。  そこで、本県として今日の違法民泊の実情に鑑み、県として違法民泊業者への指導並びに取り締まりを強化し、合法民泊を促すことが必要だと思います。今後、県警察への告発など、県警察との連携を図り、取り締まりを含め、どのような対策を進めるのかお聞かせいただきたいと思います。 47 ◯坂本保健衛生課長 昨年十一月に県警察及び保健所設置市の衛生部局と民泊に関する連絡会議を開催いたしました。この場で、そのときに無許可営業への指導状況等について情報共有を行いました。  会議におきましては、無許可民泊への対策について、今後とも県警と連携した対応が重要であることを再確認したものです。現時点におきましては、告発に至ったケースはございませんが、今後、行政指導に従わないなど悪質な事案につきましては、警察への告発など厳正に対処してまいります。 48 ◯原中誠志委員 近年の民泊を取り巻く情勢に鑑み、政府は、これまで旅館業法改正を視野に法改正の方向で検討されていました。しかし、このたび政府は、先週三月十日、マンションなどの空き部屋に旅行者を有料で泊める民泊を本格解禁するとして、住宅宿泊事業法案を閣議決定し、今国会に上程するとしております。  そこで、今回の民泊新法について、その概要とポイントについて、お聞かせいただきたいと思います。 49 ◯坂本保健衛生課長 法案の概要ですが、届け出及び登録に関する制度が創設をされております。まず、届け出制度ですが、住宅で宿泊事業を営もうとする場合は、都道府県知事等への届け出が必要となっております。  次に、登録制度ですが、住宅宿泊管理業を営もうとする場合は国土交通大臣の登録、住宅宿泊仲介業を営もうとする場合は観光庁長官の登録が必要となっています。新法案においては、旅館業法と異なりまして、住宅の年間提供日数が百八十日以内に制限される一方、建築基準法上、旅館業ができない地域においても、人を宿泊させることができることになっております。  また、宿泊場所として提供しようとする物件は、都道府県知事等に届け出が出ているものに限り、仲介サイトに掲載できるようになっております。  宿泊者名簿の記載内容、宿泊者の衛生の確保等に必要な措置は、今後、省令等により定められることになっておりますので、その内容を精査し、適切に対応してまいります。 50 ◯原中誠志委員 国会での民泊新法の上程によりまして、民泊は新たなステージに入ったと考えるところであります。県として、今回の民泊新法を視野に、今後しっかりと対応を講じていただきますよう要望申し上げまして、私の質問を終わります。 51 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。田中正勝委員。 52 ◯田中正勝委員 皆さん、こんにちは。公明党の田中正勝でございます。  新生児の聴覚検査について伺います。福岡県では、約四万六千人の新生児が一年間で生まれると聞き及んでおります。耳に障がいがあって誕生すれば、その後の人生に大きな影響を及ぼすことになるわけですが、聴覚障がいを持って生まれた赤ちゃんでも、生まれてすぐ発見して、適切な療育、人工両耳などの医療を施せば、聴力の正常な子供と同程度の言葉を話せるようになります。聞こえないから話せない、聞こえれば言葉を覚え、そして聞こえにくいといった一次障害を乗り越え、二次障害である言語発達のおくれも取り戻せると言われております。そして、社会参加の障害といった発達段階においても、早期発見をすれば半分くらいの聴覚障がい児は、普通の子供と同じく小学校にも通え、健常児と同じ生活が送れると言われております。それほど早期発見が大事であるということです。一人の人生に大きな影響を及ぼすことにもなります。
     そこで委員長、新生児聴覚検査に係る検査結果の把握状況等についての資料を要求しておりますので、取り計らいをお願いいたします。 53 ◯井上忠敏委員長 お諮りいたします。  ただいま田中委員から要求がありました資料を、委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 54 ◯井上忠敏委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま田中委員から要求がありました資料については提出できますか。岩本健康増進課長。 55 ◯岩本健康増進課長 直ちに提出できます。 56 ◯井上忠敏委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 57 ◯井上忠敏委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 58 ◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、田中委員、質疑を行ってください。 59 ◯田中正勝委員 新生児聴覚検査について、質問をさせていただきます。県は、新生児聴覚検査について、どのように認識されているのでしょうか。 60 ◯岩本健康増進課長 新生児聴覚検査は、聴覚障がいの早期発見と早期療育を図るため、全ての新生児を対象として実施することが重要であると認識しております。 61 ◯田中正勝委員 県では、新生児聴覚検査の実施を促進するため、市町村への支援を含め、これまでどのような取り組みを行ってきたのかお伺いします。 62 ◯岩本健康増進課長 本県では、平成十五年、十六年度に国のモデル事業を実施しまして、新生児聴覚検査のスクリーニング検査、精密検査、療育までの一連の流れの体制を整備したところでございます。その結果、現在では産科の医療機関の約八割で検査が実施されるようになっております。 63 ◯田中正勝委員 本県の取り組みで、現在、産科医療機関の約八割で実施されるようになったことについては、大変評価するところでございます。私も孫が生まれましたが、きちっと産婦人科でその検査を行っていただいていることもわかりました。このことについて、向上していることについては、大変評価するところでございます。  国は、平成二十八年三月に、早期発見、早期療育を図るために、全ての新生児を対象として新生児聴覚検査の実施を促す通知を、雇用均等・児童家庭局母子保健課長名で発出しています。この通知の内容について、簡単に説明をお願いします。 64 ◯岩本健康増進課長 この通知では、市町村は新生児聴覚検査の受診状況を確認し、検査の受診の勧奨を行うこと、検査結果を確認し、支援が必要な保護者に指導援助を行うこと、検査の目的や検査方法などにつきまして、保護者等に対して周知徹底を図ること、こういったことに取り組むとされております。  都道府県は、新生児聴覚検査の意義等に係ります周知を行いまして、療育機関や医療機関等の関係機関との連携体制づくりに取り組むこととされております。 65 ◯田中正勝委員 各都道府県は各市町村に対して、平成二十八年三月に新生児聴覚検査にかかわる取り組みの一層の充実が図れるように都道府県に周知徹底をお願いしているのであります。  続きまして、この通知が発出されて一年が経過するわけですが、県は具体的にどのような取り組みを行ってきたのかお聞かせください。 66 ◯岩本健康増進課長 平成二十八年三月の通知改正を受けまして、市町村に対し文書で周知するとともに、あわせて市町村の担当課長及び担当者が参加する会議の場で、通知の内容について説明を行いました。さらに、市町村が検査の重要性を認識することが必要であることから、県医師会、産婦人科医会、耳鼻科医会の協力を得て、専門的見地からの検査の意義や、療育の実際に関する研修会を昨年八月に実施し、市町村に理解の促進を図ったところでございます。 67 ◯田中正勝委員 それでは、先ほど要求しました資料について、説明をお願いいたします。 68 ◯岩本健康増進課長 この資料は、国が新生児聴覚検査の受診の有無を把握している市町村数や公費負担を行っている市町村数などを都道府県ごとに取りまとめたものです。  二枚目をごらんになっていただきたいのですが、一番下のところ、計とございますが、全国で見ますと、検査の受診有無を把握している市町村の割合は七三・八%、検査結果を把握している割合は六八・八%、公費負担を実施しているのは六・八%となっております。  本県では、太枠で囲っておりますが、検査の受診有無を把握しているのは四十五市町村でございまして、その割合は七五・〇%、検査結果を把握しているのは三十八市町村でございまして、その割合は六三・三%となっており、全国と余り変わりない状況となっております。 69 ◯田中正勝委員 説明をいただきましたけれども、この件については、特に新生児の聴覚検査については、何回となく質疑を繰り返してまいりました。当初は、福岡県はかなり低い割合であったことも事実であります。それから二十六年、二十七年と随分と上がってきたことについては認めるところでございますが、大事なのは、発見のためには本来一〇〇%実施されるべきだということです。一〇〇%実施された県も、九州でも長崎県を初め、岡山県等を含めたところでたくさんあるわけでございます。  そこで、この資料で、本県の状況を、二枚目の下段の福岡県のところを見ながら確認したいと思います。  本県の状況は、新生児聴覚検査が受けられなかった新生児に対する対策を行っているのは、六十市町村の中で、右から四つ目の箱ですが、わずか十一市町村しかありません。検査結果を把握している三十八市町村、左から五つ目の箱ですが、そのうち要支援児に指導援助がなされているのは、右から二つ目の箱ですけれども、半数の十九市町村でしかありません。この実態から、国の通知の趣旨を市町村が理解しているかどうかは甚だ疑問であります。  また、県の一年間の出生数は約四万六千人、検査結果を把握していない市町村が、これは福岡県の、四つ目の箱ですが、七五%。ですから、把握してない市町村が二五%ということは、県内の市町村は約一万人の新生児の検査結果について把握が行われてないことになります。このことを、割合の数値で見るのではなく、その一%という、特に二五%、一万人というのは、一万人の新生児、その一人一人の新生児の人生として捉えると、私は、その子の人生のその後を左右すると思います。  このようなことから、新生児聴覚検査の実施と適切な対応に努めて、聴覚障がいの早期発見、早期治療に向けた取り組みが進むよう、市町村に対して、私は、県がもっと旗振り役を担うべきだと思いますが、どのように今後取り組んでいかれるのかお聞きします。 70 ◯岩本健康増進課長 市町村に対しましては、新生児聴覚検査の受診状況を訪問指導等の際に、母子手帳──母子健康手帳のことでございますが、母子手帳を活用して確認し、未受診者に対しては受診勧奨を行うこと、また検査の結果を確認しまして、支援が必要な場合には適切な指導援助を行うことなどが徹底されますよう、引き続き研修会などにおいて働きかけてまいりたいと考えております。 71 ◯田中正勝委員 ですから、この研修会等を含めたところで、周知等は十分に行われておるか、このことについても、私は、県として市町村にしっかり指導すべきことが残されていると思います。ですから、周知をすることプラス、その実態把握を、今後徹底してやらないと、せっかく検査で早期発見、早期治療することによって、健常児とほぼ変わらない生活を送れることを思いますと、より努めていただきたいと思います。  国は、平成二十九年度の予算案で、新生児聴覚検査の体制整備事業が新規事業として取り組まれました。各機関等による協議会の設置も取り組まれました。県内における新生児聴覚検査の推進体制の整備を図っていくべきと思います。  このことも踏まえて、最後に部長に、新生児聴覚検査の実施促進についての強い決意をお伺いしたいと思います。 72 ◯井上忠敏委員長 松本保健医療介護部長。 73 ◯松本保健医療介護部長 田中委員、冒頭に、新生児に聴覚検査を実施すると障がいを軽減できると、このことは本当に子を持つ親の立場から見ても、非常に大切なことでありまして、新生児聴覚検査、これは国も通知を出して取り組むようにと、しかも、資料でお示ししていますけれども、その実施状況も把握しておると、そういうことでありますので、県としましても、市町村に対しては、先ほど課長が申し上げましたとおり、丁寧に理解を求めていく、働きかけていくということを、まずしたいと思っております。  それから、当然この検査は医療機関で行うわけですから、私どもから医療機関に対しまして、ぜひともこういった検査をしていただけないか、こういったこともお願いをしてまいりたいと考えております。  それから、子供さんのお母さん、こういった方に、こういった検査をしていただく、それをどういうふうに周知するかですけれども、母子手帳にこの検査結果を書く欄があるということでございます。ですから、市町村がその母子手帳を交付する際とか、あるいは妊婦健診の場であるとか、そのような機会を通しまして、ぜひ親御さんにもこういった検査があること、やったほうがいいことを周知してまいられるように、市町村にもまた、再度周知したらどうかと考えております。  委員御指摘の国の新規事業での協議会の設置でございますけれども、これは現在母子保健事業に関しまして、医師会とか、市町村とか、有識者、こういった会議がございます。この中で、どういったやり方がいいのか、そういったことも含めて事業の実施については検討してまいりたいと考えております。  以上のような取り組みを通じまして、県内におけます新生児聴覚検査、この実施促進についてはしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 74 ◯田中正勝委員 よろしくお願いいたします。県民幸福度日本一を目指す福岡県として、より福祉の向上に努めていただきますことを強くお願い申し上げまして、終わります。 75 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。高瀬菜穂子委員。 76 ◯高瀬菜穂子委員 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。  きょうは、通告に従いまして、国保の問題について伺います。  初めに、資格証明書の交付状況、滞納処分の実施状況、国保法第四十四条に基づく一部負担金減免実施状況について資料をお願いしておりますので、委員長、どうぞお取り計らいをお願いいたします。 77 ◯井上忠敏委員長 お諮りいたします。  ただいま高瀬委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 78 ◯井上忠敏委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま高瀬委員から要求がありました資料については提出できますか。飯田医療保険課長。 79 ◯飯田医療保険課長 直ちに提出いたします。 80 ◯井上忠敏委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 81 ◯井上忠敏委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 82 ◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、高瀬委員、質疑を行ってください。 83 ◯高瀬菜穂子委員 資料をいただきました。  まず、資格証明書について伺いたいと思います。滞納により窓口負担が十割となる資格証明書の発行は、過去五年間の推移を見ますと少しずつ減ってはいますけれども、約二万世帯が交付されている、この二万世帯は、十割負担ですから、事実上、医療が受けられない現状にあると思います。この深刻な実態についての認識をまず伺います。 84 ◯飯田医療保険課長 資格証明書でございます。今御指摘いただいたように、保険料を一年間滞納した場合に、被保険者証にかえて交付をするものでございまして、これが交付された被保険者の方々は、受診の際、一旦医療機関の窓口で医療費全額を支払い、後で保険者から保険給付分の支給を受けるということになります。滞納者との納付相談の機会の確保、それから被保険者間の保険料負担の公平を図るために設けられている制度でございますけれども、その影響は大きいことから、世帯主の疾病や失業等の特別の事情があると認められる場合には交付しないこととされております。  また、交付後も、被保険者の方が医療を受ける必要が生じ、医療費の一時払いが困難であるという旨の申し出を行った場合には、短期被保険者証を交付することができることとされております。  このような制度の趣旨を踏まえまして、個別の状況に応じたきめ細かな対応が求められるものであるという認識をしております。 85 ◯高瀬菜穂子委員 ただいま御答弁で、きめ細かな対応をされていると、必要な場合には短期証にかえられているという説明だったわけですけれども、全国保険医団体連合会の調査によりますと、資格証明書を交付された、つまり保険証を取り上げられた世帯の受診率は一般の五十三分の一と極めて低くなっており、しかも、さらに下がる傾向にあるということです。十割ですから、なかなか行けないということになるわけです。受診抑制により必要な医療が受けられない状況というのは深刻です。先ほど御答弁があったように、特別な事情の場合には発行すると、短期保険証を発行できると、国も県も何度も、この場でも御答弁があったわけですけれども、県内市町村の実態はどのようになっているでしょうか。 86 ◯飯田医療保険課長 特別の事情に準じると認めまして短期保険証を発行したり、また最初から資格証明書を発行しなかった、こういったケースが実績として、平成二十七年度の数値でございますけれども、県内の十二市町で千五十一件と把握をしております。 87 ◯高瀬菜穂子委員 十二市町千五十一件で特別の事情が考慮されているということですけれども、逆に言えば、四十八の自治体では実績がないということになります。  民医連が毎年、経済的事由による手おくれ死亡事例というものを発表しているんですが、経済的な理由で無保険になった、あるいは受診抑制のために手おくれになったという例が幾つもありまして、特に福岡が多くて胸が痛みます。  一例を紹介しますと、非正規労働者の四十三歳の男性ですね。借金はないが貯金もなく、自宅で吐血し、救急車で搬送されたと。末期の大腸がんであって、初診から三週間後に死亡している。この方は国保証は持っていたんですけれども、こういった事態になりました。  六十六歳の女性。娘さんが乳がんの治療が必要ということで、年金を担保に借金があり、そのため、自分の病院の受診を控えてしまったと。そして、肺がんが発見されたけれども、手おくれであって、初診から二カ月後に死亡していると。こうした例が幾つもあるわけなんですよね。  国保の滞納世帯は十一万世帯に上っていると言われていますが、その最大の要因は高過ぎる保険料にあります。大半の世帯が無職かパート労働者等で占められている中、被保険者にとっての保険料の負担は限度を超えています。病気の場合は特別な事情に当たるということを引き続き、市町村に指導していただいて、適正に短期証に必要な場合には切りかえるようお願いしたいと思います。この点について確認をしたいと思いますが。 88 ◯飯田医療保険課長 先ほど申し上げましたように、この資格証の趣旨に沿って個別の状況に応じたきめ細かな対応をしていくように市町村に対して働きかけをしていきたいと思います。 89 ◯高瀬菜穂子委員 確認をさせていただきました。よろしくお願いいたします。  次に、滞納処分の問題です。十一万世帯が滞納しているということで、滞納処分の資料を見せていただきますと、年々件数がふえております。平成二十七年度で一万三千件、額では三十億円相当に上っていますが、十一万の滞納世帯のうちの一万ですから、逆に言えば、大半は差し押さえもできない状況だということも一方での事実だと思います。  この滞納の処理ですけれども、多くの自治体で、国保以外の滞納である市町村民税や固定資産税や軽自動車税などとともに収納対策課や税務課が一括して行っています。このため、国保の滞納が持つ深刻な実態、いわゆる保険証を取り上げられて短期証になってしまうとか資格証明書が発行されるということに目が届かずに、国保の担当課や生活保護事務所との連携によって必要な医療が受けられるような措置がされていない実態を見かけます。県として、これまでどのような指導を行ってきたのか伺いたいと思います。 90 ◯飯田医療保険課長 国保税の収納事務を税務課などで他の税目と一元的に実施をしている市町村では、滞納世帯との納付相談から短期保険証や資格証明書の発行、それから滞納整理までその課で一元的に対応し判断をしております。  したがいまして、国保の収納対策が資格管理と関連するものであることをその担当する課が正しく理解することが重要であります。  このため、県では、市町村を訪問した際の事務指導を通じまして、それらの点について収納担当の職員に対して直接助言を行っているところでございます。 91 ◯高瀬菜穂子委員 滞納処分、差し押さえは、国民健康保険税が最も多いですね。幾つかの市町村で聞き取りも行いましたけれども、預貯金の差押さえが圧倒的に多いわけです。預貯金を差し押さえるに当たって調査を行っていますが、どういった性格の預貯金なのか、預金の取引履歴を確認した上で、給料なのか、児童扶養手当なのか、そういったことをきちんと確認しているところとそうでないところがあります。差し押さえ禁止財産や給与などの差し押さえ制限財産について、医療保険課としてはどのように市町村を指導してきたのか、お伺いします。 92 ◯飯田医療保険課長 ほとんどの市町村におきまして国保税として徴収をしておりまして、滞納整理などについては市町村民税それから固定資産税などほかの税目と共通であることから、私ども医療保険課では、税務課、市町村支援課と三課合同で市町村の担当職員を対象に研修を実施しております。こうした機会を捉えまして、差し押さえ禁止財産や給与などの差し押さえ制限財産などについて正しい知識を身につけてもらい、差し押さえが適切に行われるよう取り組んでいるところでございます。 93 ◯高瀬菜穂子委員 適切にということでしたけれども、しかしながら、生活保護でも認められている学資保険を押さえた例もありました。二〇一八年、来年度より県が市町村とともに共同の保険者となるため、収納目標を定めて徴収の強化、滞納処分の増加が起こるのではないかと懸念されております。人権侵害のような差し押さえが全国的には問題になっており、きのうはテレビまで差し押さえられるという例が報道されておりましたけれども、ぜひとも適切に対応していただくように強く要望しておきます。  次に、国保法第四十四条に基づく一部負担金減免制度について伺います。資料の三枚目ですけれども、県内市町村のこの制度に基づく減免件数を見ていただくと、この五年間、百二十七件、百七十九件、八十二件、七十件、百九十五件となっていて、これは、同じく国保法第七十七条による保険料の減免件数一万九千百四十一件と比べても桁違いに少ないんですよね。非常に少ない、余りにも少ないと考えますけれども、県はこの数字をどう受けとめておられるでしょうか。 94 ◯飯田医療保険課長 一部負担金の減免でございます。疾病や失業等で生活が著しく困難となった被保険者の方が必要な医療を受けられるよう認められるものでございます。御指摘のとおり、保険料の減免に比べますと件数が少ない状況にあります。  県では、制度の内容を県のホームページに掲載しております。市町村においては、被保険者向けのリーフレットによって周知に努めているところでございますけれども、制度が適切に実施されるよう引き続き機会を捉えて市町村に対して周知を働きかけてまいりたいと思っています。 95 ◯高瀬菜穂子委員 法に基づいて必要な、低所得者に対しては減免できるという制度なんですけれども、おっしゃったように、一つには周知されていないという問題があります。それから、県の指導にもかかわらず、要綱の策定ができていない自治体もまだあるわけですよね。  しかし、多くの自治体で適用されない理由というのが、国と同様の減免要綱をつくっているために、減免に関する要件として、収入が著しく低下したときという規定があるわけですよね。著しく収入が減ったというときでなければ適用されないと。そのために、ずっと低い水準で頑張って生活をしているという人には適用されていないという問題があるわけなんですね。これは全ての人に医療を提供するという趣旨でつくられた制度でありますから、そうした方が対象となるように市町村を指導していただくとともに、国に減免基準の拡大を要望していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 96 ◯飯田医療保険課長 県内の市町村においては、前年度からの収入が減少していなくても、生活保護世帯並みに収入が低い被保険者をこの減免の対象とするなど、国の基準を超えた運用を行っているところもございます。国の基準を超えた減免に係る費用は市町村の負担となり、国保財政に影響を及ぼすことにもなります。一部負担金の減免要件の設定に当たっては、このような観点も含めて、地域の実情を総合的に勘案しながら市町村が決定していくものであると考えております。  県といたしましては、今後の市町村の取り組み状況を踏まえながら、必要に応じて国と意見交換を行ってまいりたいと考えております。 97 ◯高瀬菜穂子委員 ぜひ国と意見交換をしていただきたい、そして強く要望していただきたいと思います。  広島市は多数の適用者がいるんですけれども、広島市の要綱を見ますと、収入が著しく減少したときという規定がありません。なので、生活保護基準相当の世帯はこの制度で医療が提供されることになっております。  生活保護基準といいますと、例えば福岡市の場合、夫婦と子供の四人世帯でその基準は月額二十万六千九百五十円、高齢者夫婦でありますと十二万八千六百二十円となっています。この基準以下で生活している世帯は本当にたくさんあるんですよね。生活保護の捕捉率はわずか二割と言われております。生活保護基準以下で生活して、保険料も払っているが、医療費が払えないために必要な医療が受けられない、我慢する。こんなことは人道的にも許されないことだと思います。私のところにも、生活保護は受けたくない、だけど、医療だけ何とかならないでしょうかという相談が多数あるんですよね。そういった思いの方はたくさんいらっしゃると思います。この国保法の第四十四条というのは、本来、そうした人のために活用されなければならないと思うわけです。  本県の場合、医療機関が行っている無料低額診療事業というものがありますが、その受診者は年間延べ四十三万六千人もいらっしゃるんですね。医療機関が行っている無料低額診療で救われている人が非常に多いわけです。こうした方々の多くは、本来は国保法の第四十四条か生活保護法で救済されなければならないものと思います。  国保法の第一条には、その目的として、社会保障及び国民保健の向上に寄与するとうたっています。法の趣旨に基づき、第四十四条、一部負担金減免要綱策定と適切な運用を指導していただきたいと思いますが、御答弁をお願いします。 98 ◯飯田医療保険課長 一部負担金減免制度の公平で適切な運用を確保する観点から、国が定める基準に基づきまして、県で市町村に対し参考例を示して要綱等の策定の助言をしているところでございます。現在、五十五の市町村で要綱等が策定されておりますので、残る五の団体に対しまして引き続き策定を働きかけてまいります。また、市町村が個別の状況をきめ細かく把握し、一部負担金減免の趣旨に沿って適正に実施されますよう、引き続き市町村に対して助言をしてまいりたいと考えております。 99 ◯高瀬菜穂子委員 要綱策定と適正な実施についてしっかりと取り組んでいただきますように強調しまして質問を終わります。よろしくお願いします。 100 ◯井上忠敏委員長 この際、しばらく休憩します。  再開は午後一時三十分をめどに放送をもってお知らせいたします。    午 後 零 時 二 十 四 分 休 憩    午 後 一 時 三 十 分 再 開 101 ◯井上忠敏委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。
     第三款保健費について、ほかに質疑はありませんか。中牟田伸二委員。 102 ◯中牟田伸二委員 自民党県議団の中牟田伸二でございます。  早速でありますが、医療情報ネットワークについて質問したいと思います。  電子カルテや電子レセプトの普及に伴い、県民の医療情報の電子化が進み、医療機関相互の情報の共有ができるような環境となっております。このような中、福岡県医師会では、今後の高齢化を見据え、病院と診療所との診療情報の共有、医療と介護の連携、災害時の診療情報のバックアップなど、医療に関する県民の安心・安全の向上を目的として診療情報ネットワーク、通称とびうめネットを普及させる取り組みが行われていると聞いております。  そこで、まず、とびうめネットとはどういうものなのか、メリットも含め、わかりやすく説明をお願いいたします。 103 ◯井上忠敏委員長 刈茅医療指導課長。 104 ◯刈茅医療指導課長 とびうめネットは、福岡県医師会が管理運営しているものでありまして、県民が安心して医療を受けられることを目的に、必要な患者情報を医療・介護関係者などが共有するシステムでございます。三つのシステムで構成されております。まず一つ目は、的確な救急医療が行えるよう、患者があらかじめかかりつけ医を通じて病歴、服用している薬などの患者基本情報を登録し、その情報を救急搬送時に受け入れ先の病院や消防機関が共有するものであります。二つ目は、在宅患者の療養支援を適切に行えるよう、患者基本情報や現在の患者の状態を医師、訪問看護師、介護支援専門員等の多職種間で情報を共有するものであります。三つ目が、災害時等でも継続して診療が行えるよう、病院の電子カルテやレセプトデータをバックアップするものであります。いずれのシステムも県民の安全・安心の観点から非常に有効なツールであると考えております。 105 ◯中牟田伸二委員 患者基本情報はかかりつけ医を通じて登録されるということであります。かかりつけ医にとっては、登録作業の負担が大変大きいと思われます。このことについての対応はどういうふうにお考えでしょうか。 106 ◯刈茅医療指導課長 患者基本情報は、患者の現在の病名、それから病歴、薬の処方、あるいはアレルギーなどの医療情報、これに加えまして、日常生活状態、介護度、認知自立度などの介護情報で構成されております。御指摘のとおり、項目が多いために基本情報を入力する際の負担が大きいといった課題がありました。  このため、福岡県医師会では、医療機関の負担を軽減するため、医療機関のレセプト請求のシステムから患者基本情報の一部を自動入力できるよう、とびうめネットのシステム改修を現在進めているところでございまして、今年度中には完成する見込みであります。 107 ◯中牟田伸二委員 とびうめネットは多職種連携のためのシステムであるということであります。市町村が地域包括ケアシステムを構築する上で、これを具体的にどのように活用するのかお聞かせください。 108 ◯井上忠敏委員長 大田高齢者地域包括ケア推進課長。 109 ◯大田高齢者地域包括ケア推進課長 市町村は、地域包括ケアシステムを構築するために、在宅医療と介護との連携を進めなければなりませんけれども、とびうめネットの多職種連携システムを活用することにより、医師や歯科医師、訪問看護師、介護支援専門員、訪問介護員等、多職種によるネットワークが強化され、支援が必要な高齢者の情報を関係者が画像と文字データによりリアルタイムで共有することが可能になります。これにより、高齢者について在宅医療と介護のサービスを切れ目なく、一体的、効率的に提供することができるようになります。  また、市町村は、介護保険を通じて介護に関する詳細な情報を有しておりますが、これととびうめネットを通じて入手した医療等の情報を合わせることにより、個々の高齢者についてきめ細かな支援を行うことができるようになります。 110 ◯中牟田伸二委員 ところで、平成二十九年度予算案に国保共同運営準備事業補助金(特定健診未受診者検査情報収集支援事業)として四百八十六万円が計上されていますけれども、何を目的としたどのような事業なのかお答えください。 111 ◯井上忠敏委員長 飯田医療保険課長。 112 ◯飯田医療保険課長 福岡県国民健康保険団体連合会におきまして、特定健診未受診者のうち医療機関で治療中の方々の検査情報を収集いたしまして、市町村保険者における保健指導の充実強化を支援する事業を計画しているところでございます。この事業を通じまして、市町村保険者の健診情報などのデータが充実し、これに基づく保健指導がより効果的、効率的に実施されることによりまして、被保険者の方々の健康増進や重症化予防につながると期待されます。  先ほど委員御指摘の事業予算でございますけれども、県がこの事業の立ち上げに向けたシステム構築経費について助成をするものでございます。 113 ◯中牟田伸二委員 その検査情報の収集に当たって、福岡県国保連合会はとびうめネットを活用すると聞いておりますが、どのような仕組みなのかお尋ねします。 114 ◯飯田医療保険課長 平成三十年度からの実施に向けまして、現在、国保連において具体的なスキームが検討されているという状況でございますけれども、同意が得られた対象者について、福岡県医師会が医療機関の検査情報をデータ化してとびうめネットに蓄積し、そのうち国保被保険者の特定健診に対応するデータを国保連に提供する、こういう仕組みだと聞いております。 115 ◯中牟田伸二委員 このように、とびうめネットは県民にとって大変有用なシステムだと考えますけれども、では、その普及拡大に向けて県はどのように取り組むのかお尋ねします。 116 ◯刈茅医療指導課長 県では、これまで県医師会と連携をしまして、患者登録拡大のために、医療機関や市町村を対象にした研修会を通じましてとびうめネットの紹介を行ってまいりました。とびうめネットの普及拡大のためには、まずは多くの医療機関に登録していただき、医療機関から患者に登録の呼びかけを行っていただくことが必要だと考えております。  今後は、これまでの取り組みに加えまして、医療機関、団体との協議の場でありますとか、県が個別に医療機関を訪問する機会を活用いたしまして、患者登録拡大について働きかけを行ってまいりたいと考えております。 117 ◯中牟田伸二委員 とびうめネットは、県民に活用されてこそ、その機能が生かされるわけです。そのためには、多くの県民の方に登録していただく必要があります。先ほど課長は、医療機関に働きかけを行うとの答弁を行われましたけれども、県民への周知も必要であります。県民への周知も含め、どのように取り組むのか、再度、部長の意見をお伺いいたします。 118 ◯井上忠敏委員長 松本保健医療介護部長。 119 ◯松本保健医療介護部長 県民への周知でございますけれども、これまでこの事業主体、福岡県医師会にしていただいておりまして、福岡県医師会におきまして病院におけるPR、あるいは新聞とかラジオなどのマスコミを通じました周知に熱心に取り組んでいただいております。  このとびうめネットのシステムは、実は県や市町村にとりましても、地域包括ケアを進める上で関係者の情報を共有するといったものにも使える非常に有用なシステムでございます。ですから、そういったメリットを、先ほど課長は医療機関を中心にということでありましたけれども、やはり住民に身近な市町村にも登録を働きかけてもらえるように、市町村に対します研修会などを通じまして働きかけを行っていきたいと思います。  それと、システムを改修して登録しやすくなったといったメリットもございますから、そういったメリットを含めまして、これまではかかりつけ医の方が登録するという仕組みが中心でございましたけれども、これからは病院から在宅へ帰られるときの病院の情報をかかりつけ医の先生につなぐという逆方向の意味合いからの登録も進めるといったことで、登録数を福岡県医師会と一緒になりましてふやしてまいりたいと考えております。 120 ◯中牟田伸二委員 ただいま部長から大変前向きな答弁をいただいたと思いました。  県民の安心・安全のための医療情報ネットワーク、とびうめネットに対する取り組みというのは、進め方によって非常に意義のあるものになることは間違いないと思います。ここはぜひ知事にもお考えをお聞きしたいと思いますので、委員長、知事保留質疑のお取り扱いをお願いいたします。 121 ◯井上忠敏委員長 ただいま中牟田委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。  なお、知事保留質疑は三月二十四日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 122 ◯中牟田伸二委員 ありがとうございました。(拍手) 123 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。田辺一城委員。 124 ◯田辺一城委員 皆さん、こんにちは。民進党・県政クラブの田辺一城です。  通告に従いまして、国民健康保険制度改革における市町村との連携についてお聞きしたいと思います。  国民健康保険制度改革によって、都道府県が国保財政の責任主体となります。実施は平成三十年度からとなっており、残すところわずか一年です。財政運営の責任主体は県となりますが、市町村は保険料率を決定して、住民に保険料を賦課徴収する主体であり、県としては市町村と十分に協議し、統一的な運営方針を定め、市町村がこの制度趣旨を確実に理解した上で平成三十年度から円滑に運営できるよう、スピード感を持って、次期平成二十九年度前半に取り組んでいく必要があると考えております。  一方で、市町村の現場からは、算定ルールや標準保険料率、さらには統一的な運営方針がいつ示されるのかと不安の声も上がっております。こうしたことを踏まえ質問をさせていただきます。  まず、大前提といたしまして、国は、制度改革を進めるために、国による財政支援の拡充を約束しておりました。その一環として、平成二十七年度から、都道府県が予期せぬ給付増で財源不足となった場合などに一般財源からの補填に頼らないで財政運営できるようにするための支援を行い、本県も財政安定化基金を既に設置しております。  しかし、当初、国は、制度開始前の平成二十九年度までに全国で総額二千億円を措置するとしておりましたが、平成二十九年度の政府予算案では、本来盛り込まれるべき額が措置されず、二千億円が千七百億円に減額される見込みとなっております。消費税増税を延期したあおりのようにも思えますが、この背景と本県への影響について教えてください。 125 ◯井上忠敏委員長 飯田医療保険課長。 126 ◯飯田医療保険課長 今、委員から御指摘いただきましたように、三百億円が減額をされることになりました。国は、消費税等の税率引き上げが延期された中で、社会保障の充実財源を確保するために行うものと説明しております。  なお、この減額分につきましては、平成三十二年度末までに速やかに必要な積み増しを行うことが、あわせて政府によって決定をされております。  本県における財政安定化基金の規模は、平成二十九年度末で、当初、七十七億円程度となるものと見込んでおりましたけれども、これが六十六億円程度になるという見込みでございます。  なお、これにより財政運営に支障が生じるおそれがある場合には、国の責任において対応いただく必要があると考えております。 127 ◯田辺一城委員 この減額分については、当然、後年に措置されるべきものと私も考えます。これについては、本県としても、また全国知事会としても強く求めていくべきと考えますが、見解をお聞きします。 128 ◯飯田医療保険課長 今回の国保改革によりまして都道府県が財政運営を引き受けることになるに当たりまして、全国知事会は、平成三十年度以降、毎年、三千四百億円の財政支援の拡充を前提条件としておりました。このため、今回、準備段階である平成二十九年度からの財政支援の減額は、この国と地方の合意をほごにするものであるとして、国保に関する国との協議の場などにおいて強力に申し入れを行ったところでございます。  その結果、平成三十年度以降の財政支援実施のための財源確保、基金の積み増し、期限等が政府決定に明記されたものだと考えております。基金の減額分の補填を含めまして国保への財政支援が今回の決定どおりに履行されますよう、今後とも機会を捉えて国に求めてまいります。 129 ◯田辺一城委員 答弁のとおり、しっかりと国に減らされた分は、後年、措置するよう求めてください。その上で、財政運営における県と市町村との関係についてお聞きしたいと思います。  まず、本県の市町村国保の全体の財政収支について見てみたいと思います。  委員長、ここで、あらかじめ執行部に対しまして福岡県の市町村国保にかかわる状況の資料について要求をしておりますので、お取り計らいをお願いします。 130 ◯井上忠敏委員長 お諮りいたします。  ただいま田辺委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 131 ◯井上忠敏委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま田辺委員から要求がありました資料については提出できますか。 132 ◯飯田医療保険課長 直ちに提出いたします。 133 ◯井上忠敏委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 134 ◯井上忠敏委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 135 ◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、田辺委員、質疑を行ってください。 136 ◯田辺一城委員 要点を説明してください。 137 ◯飯田医療保険課長 ただいま配付いたしました資料の、一枚おめくりいただきまして二枚目でございますが、平成二十七年度の市町村国保の財政状況でございます。六十の市町村の収支の単純合計でございますが、全体の財政規模は六千六百億円程度となっております。右側の歳出欄の保険給付費、いわゆる医療費が三千九百億円、全体の約六割となっております。左側の歳入でございますが、保険料収入が一千億円程度、それ以外に国・県からの負担金、あるいは被用者保険からの交付金を充てて賄っております。このほか、法定外繰入金として市町村が保険料以外の税金を百五十五億円投入しております。それでも生じている六十九億円の収支不足、赤字については、翌年度の収入により補填をしているところでございます。 138 ◯田辺一城委員 県全体の状況は、全部足し算引き算すると六十九億円の赤字になっているということです。  それでは、市町村ごとの財政収支の状況はどのようになっているか、法定外繰り入れの状況も含めて説明をお願いします。 139 ◯飯田医療保険課長 市町村ごとに見ますと、黒字が二十七団体、赤字が三十三団体でございます。赤字保険者の収支不足だけを取り上げますと、約九十三億円となります。また、黒字である保険者におきましても、先ほど申し上げたように、法定外繰り入れあるいは独自に保有している基金の取り崩しによって収支改善を図っている団体がございます。法定外繰り入れや基金の取り崩しによることなく黒字となっている団体は八でございます。 140 ◯田辺一城委員 非常に厳しい状況であることがわかります。  こうしたことを踏まえまして、新たな制度におけます国民保険料の賦課徴収の仕組みを確認したいと思います。 141 ◯飯田医療保険課長 配付いたしました資料の二ページと書いてあるところでございます。  新たな制度のもとでも、住民に身近な保険料の賦課徴収は引き続き市町村が行うこととされております。市町村は、県が算定をいたします納付金額を賄うのに必要な額を、加入者から保険料として徴収をするという仕組みでございます。県は、市町村が保険料率を設定する際に参考となります標準保険料率を、あわせて示すこととされております。 142 ◯田辺一城委員 今、御説明いただいたように、それぞれの市町村が県に納付金を支払うことになるため、住民から集める保険料や税などを財源とします。このため、県が、市町村が参考にできるように、納付金の算定ルールを決めまして、納付金の支払いに必要となる標準保険料率も示す必要があるという説明でした。  そもそも新制度は保険料を県内で均一化することを目指していますが、現状では市町村に大きな格差が生じておりまして、県として納付金を算定するに当たっては、市町村ごとの医療費水準や所得水準を考慮することになっています。これらの現状について確認したいので、これはどのようになっていますか、御説明ください。 143 ◯飯田医療保険課長 資料の三ページでございます。これが市町村国保における医療費水準の状況を示したグラフでございます。グラフが上に出ているものが県平均よりも医療費が高いことを示しております。最大の大牟田市と最小の東峰村の間には一・二四倍の格差がございます。  続きまして、資料の四ページでございます。同じく市町村国保における所得水準をあらわしたグラフでございます。加入者一人当たりの所得につきまして、最大が太宰府市、それから最小が川崎町となっておりまして、この間には二・三四倍の格差がございます。 144 ◯田辺一城委員 このように、所得水準も医療費水準も自治体によって非常に大きな差が生じていることがわかります。こうしたことを踏まえて、医療費水準や所得水準の違いが納付金の算定でどのように反映されるのか御説明ください。 145 ◯飯田医療保険課長 納付金の算定に当たりましては、公平な負担となりますよう、居住する市町村の医療費水準を反映し、加入者の所得を勘案して、県全体でこれを分かち合う仕組みとなります。  具体的に申しますと、県全体の医療給付費等の見込み額から国費、県費等の財源を差し引いた残りにつきまして、加入者数、世帯数、所得金額のシェアによりまして県内全市町村が納付金として負担をします。県全体の納付金額のおおむね半分が所得に比例した割り当てになり、所得水準の高い市町村ほど割り当て額は多くなりますけれども、一人当たりの所得が幾らであれ、所得当たりの負担率は同率となります。このように配分をすることで、同じ世帯構成、所得であれば、県内どの市町村でも同じ負担と、この段階ではなるわけでございます。こうして算定をした額をもとに、医療費水準が高い市町村は割り増しをし、医療費水準が低い市町村は割り引いて算定をすることになります。このような算定をすることによりまして、市町村の医療費水準により負担に差が生じることとなります。 146 ◯田辺一城委員 少し難しいのですけど、要は、所得水準より医療費水準のほうが非常に市町村ごとに差が生じることになってくるということです。こうなると医療費がかからないほど保険料は下がるということです。そう考えますと、健康づくり、介護予防も重要ですが、市町村からは健康づくりや介護予防に取り組むことの努力が新制度でどれほど反映されるのかという声も聞き及んでおります。果たしてこうした努力は報われる仕組みになっているのでしょうか。 147 ◯飯田医療保険課長 先ほど御説明したとおりに、各市町村に御負担いただく納付金は、医療費水準の多寡に応じて金額が増減をします。また、医療費の適正化等、各保険者の取り組みを支援する保険者努力支援制度というものが創設をされまして、全国で七百億円から八百億円の規模で公費が平成三十年度から新たに配分されることになります。このような仕組みがインセンティブとなりまして市町村の健康づくりの取り組みを促すことにより、住民の健康増進に寄与することが期待されると考えております。  県といたしましても、県内の統一的な方針として定めます国保運営方針に健康づくりの取り組みに関する事項を定めまして、市町村の取り組みを支援してまいります。 148 ◯田辺一城委員 保険者努力支援制度で七百億円から八百億円が全国で配分されるという御説明でした。インセンティブにならないとは言いませんけれども、例えば、先ほど配付いただいた資料の一ページ目を見ますと、法定外繰入金が本県だけでも百五十五億円に今上っていると。全国で七百億円、八百億円が配分されても、恐らく本県に来る額はこの法定外繰り入れの百五十五億円よりも少ない額が配分されるような状況になるんだろうと思います。それぐらいとは言いませんが、そういう規模感の額であるということですので、これは国としっかりインセンティブを本当に働かせるならどれだけが必要かは、今後きちんと県としても議論を起こしていく必要があるのではないかと考えております。そこは念頭に置いておいてください。  それでは、これらの水準、先ほど申し上げましたように、市町村ごとに実情が大きく異なると。納付金の算定ルールの決定と、これに伴う標準保険料の設定につきましては、市町村の理解を確実に得ていかなければならないと思います。しかし、ハードルは結構高いと思っております。これまでは、それぞれの市町村がそれぞれの域内の医療費を賄うことを念頭に保険料を設定すればよかった。しかし、新制度では県全体が前提となるため、市町村によっては、この広域化の影響でこれまでの保険料よりも上がるケースも出てくると推察されます。こうしたことも踏まえて、全ての市町村の理解を得ながら、納付金については県として条例を制定し、標準保険料については国保運営方針で定めなければなりません。いつまでに条例を制定し、運営方針を策定する考えかお聞きします。 149 ◯飯田医療保険課長 御指摘のように、市町村におきまして県が示す納付金、それから標準保険料の算定方式をもとにしまして平成三十年度の保険料率を具体的に検討、決定、それからそれを反映した予算編成を行っていくことが必要となります。このため、納付金に関する条例、それから国保運営方針については本年十二月までに策定し、制定する必要があるものと考えております。 150 ◯田辺一城委員 十二月ということなんですが、これは平成三十年度から始まりますので、平成二十九年十二月に何とか条例の制定と運営方針の策定という、賦課徴収する立場の市町村にとっては、非常に時間がタイトな状況に事務的になってくると思います。こうしたことから、冒頭申し上げた不安が上がっているということです。この状況の中、平成三十年度予算を市町村が編成することも念頭に置かなければなりません。  そうしたことから、納付金の算定ルールや標準保険料率に関し、現状の進みぐあいと、今後早くしてあげないといけない部分もあると思うんですが、どのように考えておられますか。 151 ◯飯田医療保険課長 現在、国において、新制度の中での公費のあり方など制度の詳細についての検討が続いている状況、まだ詳細が我々のほうに知らされていないという状況でございます。それから、昨年、国が作成いたしました納付金等の算定に関するガイドラインも見直しが予定されているところでございます。納付金や標準保険料の算定ルールを定めるに当たりましては、こうした国の示す検討結果を踏まえる必要がございます。さらに、県の国保運営協議会にお諮りする必要もございます。その際に、市町村の事前検討準備期間が確保されるように配慮することも必要でございます。これらを勘案しますと、ことし夏ごろには納付金、標準保険料に関する県の方針を固めまして、市町村が検討できる環境を整える必要があると考えております。また、市町村の事前検討、それから準備が円滑に進みますよう、国に対して早期の情報提供を求め、得られた情報を市町村に随時提供していく考えでございます。 152 ◯田辺一城委員 夏ごろとおっしゃっていただきましたが、可能な限り、それも前倒しできれば、そういう意識を持って取り組んでください。  最後に、平成三十年度に制度が動き出して以降も、不断に市町村との連携体制を深めて、運営方針も現状を踏まえながら検討され続けなければならないと考えておりますけれども、見解をお聞かせください。 153 ◯飯田医療保険課長 平成三十年度以降、県は市町村と共同して国保を運営することになります。この改革の狙いどおりに制度を運営していくためには、県と市町村が認識を共有し、それぞれの役割分担のもとで連携を深めていくことが必要でございます。また、国保運営方針につきましても、事務の実施状況などを踏まえまして、適宜、見直しを行うべきものと考えております。制度の円滑な運営が図られるよう、新たな制度のもとでも県と市町村との間で協議、検討を継続してまいりたいと考えております。 154 ◯田辺一城委員 部長、今、課長とやりとりをさせていただきましたけれども、財政の運営主体にはなるのですが、実態としては非常に市町村に頑張ってもらわなければいけない部分が大きい制度改正になりますので、きょうやりとりさせていただいたことをしっかり踏まえて、市町村が困らないように県として取り組んでいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 155 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。壹岐和郎委員。 156 ◯壹岐和郎委員 公明党の壹岐和郎でございます。  通告に従いまして、きょうは九州国際重粒子線がん治療センター、いわゆるサガハイマットについてお尋ねします。  最初に、資料要求をお願いいたします。サガハイマットの治療実績並びに先進医療の費用負担について、よろしくお取り計らいをお願いします。 157 ◯井上忠敏委員長 お諮りいたします。  ただいま壹岐委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 158 ◯井上忠敏委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
     執行部に申し上げます。ただいま壹岐委員から要求がありました資料については提出できますか。岩本健康増進課長。 159 ◯岩本健康増進課長 直ちに提出いたします。 160 ◯井上忠敏委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 161 ◯井上忠敏委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 162 ◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、壹岐委員、質疑を行ってください。 163 ◯壹岐和郎委員 最初に、九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット)が平成二十五年五月、国内で四カ所目、九州では初の重粒子線の治療施設として佐賀県の鳥栖市に開設されました。まず、福岡県として、先進医療施設であるサガハイマットをどのように捉えているのか、また、重粒子治療とはどういうものか、簡潔に説明を願います。 164 ◯岩本健康増進課長 重粒子線治療とは放射線治療の一つでございます。炭素イオンというものをがんに狙いを絞って照射します。そのため、従来の放射線治療に比べまして、がん細胞を殺傷する能力が二倍から三倍高いと言われておりまして、体への負担が少なく、短い期間で、通院治療が可能であり、また他の治療法では難しい難治性と呼ばれるがんの治療も可能になります。その適用となります主ながんとしましては、前立腺、肝臓、膵臓、頭頸部のがんなどとされております。  サガハイマットについてでございますが、サガハイマットは、福岡県にとりまして交通の便のよい身近なところに設置されておりまして、社会生活を続けながら最先端のがん治療を受けることができるメリットなど、がん治療の選択肢が広がったと考えているところです。 165 ◯壹岐和郎委員 では次に、今配ってもらった資料を使って治療実績と先進医療の費用負担について御説明願います。 166 ◯岩本健康増進課長 資料でございますが、図一は、サガハイマットにおけます重粒子線がん治療実績の地域別の割合を示したものです。平成二十五年八月に治療が開始されましてから平成二十九年二月末日までで延べ千八百八十四人の患者さんに対して重粒子線治療が行われております。その内訳としましては、福岡県が九百五十一人と最も多く、次いで佐賀県が三百三十二人、長崎県が百四十六人となっております。  図二は、サガハイマットにおける重粒子線がん治療の費用負担の概要を示したものでございます。重粒子線治療は先進医療ということで認可されておりまして、先進医療とは、新しい治療法のうち実績を積んで治療法として確立しているもので、保険適用すべきかどうか検討中の段階にある医療技術でございます。このため、重粒子線治療は全額自己負担となっておりまして三百十四万円となっておりますが、通常のがんの治療等と共通の部分でございます診察、検査、薬代などは公的医療保険が適用されております。 167 ◯壹岐和郎委員 これができたときというか、当初の本県の見込みと比較してこの数字がどうなのか説明願います。 168 ◯岩本健康増進課長 本県の利用者は九百五十一名となっておりまして、全体の約五割となっております。開設当初の見込みは約三割でしたので、それを上回っているという状況でございます。 169 ◯壹岐和郎委員 今、説明があったように、本県はかなり利用者が当初の見込みを上回っているというのですが、保険の適用が、重粒子線治療とは先進医療で三百十四万円と高額で、誰でも気軽に治療を受けられる金額ではないと。そういうこともあって、福岡県は設置県ではないにもかかわらず、平成二十六年度からサガハイマットで重粒子線治療を受ける方を対象に福岡県重粒子線治療費利子補給事業、要するに、借りたローンの利息を六%の範囲内で貸しましょうという事業に取り組んでおられると。その事業の概要と利用状況について説明願います。 170 ◯岩本健康増進課長 ただいま委員御指摘のように、重粒子線治療費につきましては三百十四万円と高額なものとなっております。県民の方が重粒子線治療によるがん治療を受けるために金融機関から治療費を借り入れた場合、利子の一部を県が助成するという事業でございます。  その場合の対象利子でございますが、年の利息は六%以内となってございまして、これには世帯の課税の総所得が六百万円以下という制限がございます。また、対象期間である七年間の利子補給の合計額につきまして計算しますと、一人頭最大七十一万三千円についての利子を補給することになってございます。  次に、利用状況でございますが、これまで三人の方が利子補給を受けていらっしゃいます。 171 ◯壹岐和郎委員 三人が多いか少ないかわからないですけど、何というか、一千人近い福岡県民の方が治療を受けられている、当然、民間保険なんかを使って先進医療の特約ということで治療を受けた方も多くおられるのではないかと思いますけど、三件というのはちょっと少ないのではないかと。実態を見ると、利子補給制度が余り知られていないのではないかなと。借りても、こういう制度に気づかなかったということがあるのではないかなと思うのですが、その辺、利用者の方が使えるように、こういうことが周知徹底されているか今の状況をお尋ねします。 172 ◯岩本健康増進課長 利子補給事業の周知についてでございますが、まず県では事業に関しますリーフレットをつくりまして、がん診療連携拠点病院等に配付しまして、重粒子線治療を検討している患者さんに対しまして事業について説明していただくよう依頼しております。また、県の医師会を通じまして、県内の他の医療機関にもリーフレットを配布し、事業の周知に取り組んでいるところでございます。  県民の方に対しましては、県のホームページや県が行うイベント会場での周知に取り組むとともに、市町村に対しましても、広報紙への掲載、窓口でのリーフレットの配布などを依頼しているところでございます。さらに、サガハイマットを受診した福岡県民の方に対しまして、リーフレットを直接手渡ししていただきまして事業について説明していただくよう依頼をしているところでございます。 173 ◯壹岐和郎委員 この治療の中身を見たら、サガハイマットの治療で一番多いのは前立腺がんの治療で、これは言うまでもないですが、五十代からふえて、気になっている男性の方もたくさんおられるのではないかと思いますけれども、仕事しながら治療を受けているという方もたくさんおられると思うんですね。特にサガハイマットはそれが一つの売りだと思うのですが。そういったサガハイマットの特性を生かした周知の工夫があるのではないかと思うんですね。治療は確かに高額なんですけれども、仕事をやめなくても治療を受けられるというのであれば、負担感とか精神的なストレスとかが随分緩和される。仕事しながら通院して、三百十四万円は決して安くはないですけど、ローンを借りてでも治療をしようかという気になると思うのですが、そういう方にある意味絞って、きっちりとそういう方にこういう制度がありますよとぜひ周知していただきたいと思うのですけれども、どうでしょうか。 174 ◯岩本健康増進課長 まず、がん患者の方が御自身の治療方法を選ぶ際に、重粒子線治療も選択肢の一つとするため、利子補給事業を活用できるようにすることは必要だと考えております。県としましては、先ほど御説明しましたように、医療機関と連携した周知にこれまで取り組んだところでございます。今後は、先ほど御説明しましたサガハイマットの治療実績等もございますので、前立腺がんを含めまして、がん患者がふえる四十代とか五十代の働く世代に焦点を当て、県が取り組んでいますがん検診受診率向上に取り組む登録事業所、また県と包括協定を結んでいる協会けんぽに加入している中小事業所に対しまして、サガハイマットの重粒子線治療と県が行う利子補給事業の周知に取り組んでまいります。その際には、利子補給事業やサガハイマットの重粒子線治療をわかりやすく記載した資料を活用し、働きかけていきます。 175 ◯壹岐和郎委員 課長は専門家ですから、皆さんわかっているだろうと思っているかもしれませんけど、結構わからない。利子補給の事業というのは、確かに利子補給する事業なんですけれども、これを通して最適な治療の選択の幅が広がったよと、福岡県民の皆さん、こういう治療がありますよと、ぜひそういう受けやすい環境をつくっていただきたいということを強く要望して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 176 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。岳康宏委員。 177 ◯岳 康宏委員 自民党県議団の岳康宏です。  本日は、母体搬送コーディネーター事業について質問させていただきます。  周産期救急医療は、少子化対策の観点からも、その体制整備が重要で、県民が安心して出産に臨める医療環境の実現に向け、柔軟で効果的な施策の実行が求められます。  そこで、本県における、ことし二月一日から始まった母体搬送コーディネーター事業はどのような事業なのか、まずお尋ねいたします。 178 ◯井上忠敏委員長 刈茅医療指導課長。 179 ◯刈茅医療指導課長 妊娠中あるいは分娩時に母体の状態が悪化、または悪化することが予想される場合には、集中的、専門的な治療を施すため、必要に応じまして患者を周産期母子医療センターに搬送いたしますけれども、福岡地域では、この母体搬送の依頼が総合周産期母子医療センターである福岡大学病院、九州大学病院に集中するといった課題があります。この母体搬送の集中緩和を図るため、九州大学病院総合周産期母子医療センターに母体搬送コーディネーターとして助産師を配置し、福岡地域の周産期母子医療センターなど九つの受け入れ病院の受け入れ可否情報をスマートフォンで一元的に管理いたしまして、分娩施設からの依頼を受けた場合に、効率的に受け入れ先の決定調整を行うものでございます。 180 ◯岳 康宏委員 福岡地域で、母体搬送の依頼が総合周産期母子医療センターに集中するといった課題があるとおっしゃっておりますけれども、福岡地域というのはそもそもどの範囲になりますか。また、コーディネーターの対応時間、対象患者というのはどうなっておりますか。 181 ◯刈茅医療指導課長 福岡地域の範囲でございますが、具体的には、福岡市、筑紫野市、春日市、大野城市、太宰府市、古賀市、福津市、宗像市、糸島市、それから筑紫郡の一町の那珂川町、それと粕屋郡の七町であります。  対応時間は、平日の夜間十八時から翌朝九時まで、それから土日・祝日は二十四時間、終日としています。  また、対象患者につきましては、コーディネーターを担う助産師が一定の基準、これは妊娠週数でございますが、その週数に基づき受け入れ病院を選定できるよう、早産あるいは早産のおそれのある切迫早産または前期破水、こういった方々で、妊娠高血圧症それから妊娠糖尿病などの合併症がない患者さんとしています。  なお、コーディネーターの対象にならない時間帯あるいは患者さんにつきましては、従来どおり、分娩施設と周産期母子医療センターの医師同士で調整を行うこととしております。 182 ◯岳 康宏委員 この事業の目的は、スムーズに受け入れ病院を選定できるように、選定困難事案の減少と選定時間の短縮、二番目には周産期母子医療センター等の医師の負担軽減にあると思います。平日においても、土日・祝日のように終日、二十四時間体制でなくてよいのか、また母子搬送コーディネーター事業の対象となる症例は、先ほど早産、切迫早産または前期破水で合併症のない症例ということでしたが、この事業の対象となる患者さんは、福岡地域では年間どのぐらい発生していますか。 183 ◯刈茅医療指導課長 本事業の制度設計に当たりましては、福岡地域の周産期母子医療センターなどの九つの受け入れ病院の現場の医師から成るワーキンググループを設置いたしまして協議を行ってまいりました。その中で、日中はスタッフ数も充実しているため、急患対応と搬送調整が重なっても対応は可能であるとのことで意見が一致いたしまして、スタッフが少なくなる夜間・休日としたものであります。  本事業の対象患者数でありますが、周産期母子医療センターに係る厚生労働省の調査がございます。これによりますと、福岡地域の周産期母子医療センターにおける平成二十四年度から平成二十六年度までの三年間の母体搬送受け入れ件数は、年平均で申し上げれば五百七十件であります。このうち、本事業の対象となる早産、切迫早産あるいは前期破水、さらに合併症のない症例というのは、専門家によりますと約五割と言われていることから、二百八十五件程度と見込んでおります。 184 ◯岳 康宏委員 では、なぜ福岡地域で母体搬送コーディネーター事業を行うことになったのかお答えください。 185 ◯刈茅医療指導課長 先ほど申し上げた周産期母子医療センターに係る厚労省調査によりますと、県内の周産期母子医療センターにおいて、ベッド満床などの理由によりまして母体搬送の受け入れをお断りした件数、お断りしたとは言いましても、断った病院が他の病院を調整することで最終的に受け入れが行われております。このお断りした件数というものが平成二十六年度では年間二百十一件発生しておりまして、そのうちの約七割、百五十二件が福岡地域で発生をしております。この百五十二件のうちの約九割が総合周産期母子医療センターであります福岡大学病院と九州大学病院となってございます。  このような状況から、周産期医療関係者で構成します福岡県周産期医療協議会におきまして、福岡地域の総合周産期母子医療センターに受け入れ依頼が集中し、重篤な患者のためのベッドの確保が厳しくなっているといった問題提起がなされました。これを受けまして、周産期医療関係者の間で検討してきた結果、福岡地域において本事業を実施することにしたものでございます。 186 ◯岳 康宏委員 それでは、福岡地域以外で母体搬送コーディネーター事業を行う必要は今のところないのかお答えください。 187 ◯刈茅医療指導課長 昨年度開催いたしました福岡県周産期医療協議会におきまして、福岡地域以外の地域では、母体搬送の受け入れに当たり大きな問題はないことが確認されておりまして、現時点では、母体搬送コーディネーター事業を福岡地域以外の地域で実施する状況にはないと考えております。仮に福岡地域以外の地域内で患者の受け入れができない、そして福岡地域への受け入れを希望する場合には、本事業のコーディネーターを利用できる仕組みとしております。 188 ◯岳 康宏委員 母体搬送コーディネーター事業を導入することで、重症患者のベッドの確保がスムーズに総合周産期母子医療センターで行われなければならないと思っております。福岡地域の九病院において受け入れ可否情報の情報共有を行うとのことですが、具体的にどのように行うのか説明してください。 189 ◯刈茅医療指導課長 福岡地域の周産期母子医療センターなどの九つの受け入れ病院において、毎日、朝の九時、十八時をめどに、スマートフォンのLINEを使いまして受け入れ可否情報をコーディネーターへ発信していただくこととしております。  受け入れ可否情報は、毎日の報告が負担にならないように単純化いたしまして、患者の受け入れが可能な場合は丸、満床であるが、やりくりすれば何とかなるといった場合には三角、満床でベッドのやりくりができない、あるいは医療従事者が対応できないといった場合はバツ、この三種類で情報を提供していただくこととしております。コーディネーターは、この情報をもとに受け入れ可否情報を一覧表にいたしまして九つの病院へ情報を提供し、共有する仕組みでございます。 190 ◯岳 康宏委員 スマートフォンのLINEで受け入れ可否情報をコーディネーターに発信して情報を共有するというのは画期的であると思いますが、医療機関が未受診妊婦などの医学的・社会的ハイリスク妊婦の受け入れを躊躇する傾向や、結果責任を問われることへの不安などからなかなか受け入れないこともあるようですし、患者が大病院を志向することも総合周産期母子医療センターが満床になりやすい要因のように感じます。これらの問題は受け入れ病院や患者側の理解が必要で、まだまだ運用に当たって課題が出てくると思います。コーディネーターが的確にその都度正確な情報を把握し、病院と患者のマッチングを行っていくことが肝要だと思います。なぜなら、母体や新生児の命にかかわるからです。近年、例えば高齢出産の増加など、さまざまな複合的要因で都市部における低出生体重児が増加しているとも聞いております。母体搬送コーディネーター事業は、妊婦の方が安心して出産できる環境の整備に寄与することから極めて大切な事業であると思います。この事業の成功に向けて部長の御決意をお願いいたします。 191 ◯井上忠敏委員長 松本保健医療介護部長。 192 ◯松本保健医療介護部長 私どもがこの事業を立ち上げましたきっかけは、委員御指摘のように、母体搬送をお断りしているケースがあると、場合によっては何カ所も断られてたらい回しが起こるおそれもあると、こういった危機的な状況が起こらないように、この問題を解決するために、関係者の間で何回も議論していただきまして立ち上げた事業でございますものですから、私としては、これはうまくいくはずだと思っております。  しかしながら、先ほど担当課長が説明しましたように、事業というのはやはり検証していくことが大事でありますので、検証会議というのを設置するようにしております。それで事業の実態を把握いたしまして改善をしていくと、このようにしております。  また、委員御指摘のように、患者さんの御理解も大切だということでありますので、この事業については、分娩施設などを通じまして周知してもらうようにしておりますし、以上のようなことを通じまして、この事業が妊婦の方が安心して出産できる環境づくりに寄与できるように、私どもとしては成功に向けてしっかり進めていきたいと思っております。 193 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。今井保利委員。 194 ◯今井保利委員 民進党・県政クラブ県議団の今井です。  通告に従い、質問を行います。  少子高齢化、地縁、血縁の希薄化などが進む中、ひとり暮らしの高齢者、障がい者にさまざまな課題が出てきています。その内容は深刻化、複雑化しており、既存の制度やサービスだけでは対応し切れないはざまの問題が出てきています。  近年、その課題の一つに保証問題が挙げられます。保証人、身元保証人、身元引受人など呼び方はいろいろありますが、頼める家族や親族がいないなどの理由から保証人を立てられず、施設や病院に入れないといったことが起きています。保証人を立てられない場合は、民間の保証会社を利用する方法もありますが、審査があることや費用がかかるため、利用できる人は限られております。また、保証会社の運営状況の信頼性の見定めが難しいこともあります。  では、施設や病院ではなぜ保証人を求めるのか。その理由としては、利用料の滞納、緊急時の連絡、医療の同意、亡くなったときの遺体の引き取りや所持品の引き渡しなどが挙げられます。このような理由から、施設や病院では、入所、入院の条件として保証人を求めています。  また、認知症の方の場合には、成年後見制度の利用を進めるところもあります。昨年五月には、成年後見制度の利用の促進に関する法律が施行されました。この法律では、都道府県は市町村が講ずる措置を推進するため、各市町村の区域を超えた広域的な見地から、成年後見人となる人材の育成、必要な助言、そのほかの援助を行うよう努めることとされております。今後、この成年後見人制度の利用が進むことが求められているところであります。このような、ひとり身で身寄りのない高齢者がふえている中、特別養護老人ホームの入所を希望しても、身元引き受け人がいないと入所できないという話も聞いております。実際に私自身も身元引受人になることをお願いされたことがあります。  そこで、質問します。特別養護老人ホームに入所するときに、まず入所契約を締結しますが、その際に施設から身元引受人を求められることがあります。そもそも身元引受人とはどのようなものですか、御説明をお願いいたします。 195 ◯井上忠敏委員長 小林介護保険課長。 196 ◯小林介護保険課長 特別養護老人ホーム等の入所契約において、入所者の方が病気等で医療機関への入院が必要になったときの手続や、入所者の方が亡くなられたときの御遺体や遺留金品の引き受けなどを行ってもらう方を求めている場合がございます。そのような方を身元引受人と呼んでおります。いわゆる身元引受人には御家族がなられていることが多いと思われます。 197 ◯今井保利委員 特別養護老人ホームに入所を希望する高齢者の中には、身元引受人になってくれる人がいない場合があると思いますが、その場合には、特別養護老人ホームには入所できないのでしょうか、お答えをお願いします。 198 ◯小林介護保険課長 いわゆる身元引受人は介護保険法などの法令に基づくものではございません。また、特別養護老人ホームにつきましては、基準省令におきまして、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないとされております。入院治療の必要がある場合など、入所者の方に適切なサービスを提供することができない、あるいは困難な場合以外には入所させる必要がございます。このため、いわゆる身元引受人がいない場合でも、施設は入所を拒むことはできないこととなっております。 199 ◯今井保利委員 しかし、現実には、特別養護老人ホームにおいて、身元引受人がいないという理由で入所できないことがあっているのではないでしょうか。入所契約の欄に緊急時の連絡先や身元引受人が記入できないと、施設として入所を断る事実があるのではないかと思います。そのようなことが起こった場合、県はどのように対応をするのでしょうか、お答えをお願いします。 200 ◯小林介護保険課長 県といたしましては、いわゆる身元引受人がいないという理由で特別養護老人ホームへの入所が断られたという情報があれば、そのような不適切な取り扱いを行わないよう当該施設に対して指導を行うようにいたします。 201 ◯今井保利委員 身元引受人がいないという理由で入所ができなかった場合には、県が施設に対し指導をすることがわかりました。  そもそも、そのような問題が起きないようにすることが必要です。県としては、特別養護老人ホームの入所契約に関する実態調査を行い、現状を把握した上で各施設に指導をするお考えはないでしょうか、お答えをお願いします。 202 ◯小林介護保険課長 委員御指摘のとおり、身元引受人がいないという理由で特別養護老人ホームに入所ができないということは、あってはならないことでございます。県といたしましては、入所時に身元引受人を求めていないか、身元引受人がいない場合にはどのような対応をしているかなど、特別養護老人ホームの入所契約の実態調査を実施したいと考えます。また、その結果を踏まえまして、特別養護老人ホームの施設長を集めて講習会形式で実施しております集団指導の場などにおきまして必要な指導を行ってまいりたいと考えます。 203 ◯今井保利委員 県において特別養護老人ホームの実態調査を実施することを行うと御答弁いただきました。しっかり調査、指導をしていただき、ひとり暮らしの高齢者の安心につなげることが大切です。  本日は、特別養護老人ホームの入所問題に限ってお聞きしました。しかし、身寄りのない高齢者は今後ますますふえることが予測されます。質問の冒頭で民間の保証会社のサービスがあることについて述べましたが、やはり安心できるのは公的な機関の保証であります。福岡県内では、遠賀郡の岡垣町社会福祉協議会が、高齢者や障がい者から預託金を預かって、亡くなった場合の葬儀や家財の処分等を行う「ずっと安心プラン」という事業を実施しています。また、福岡市や苅田町、篠栗町の社会福祉協議会も同様の事業を実施していると聞いております。福岡市では、来年度からやすらかパックと銘打って、身寄りのない高齢者の方がさらに低額で利用できる制度を市の社会福祉協議会とともに始めると聞いております。このような取り組みはまだまだ広まっていないようですが、身寄りのない高齢者の安心につながるものであります。身寄りのない高齢者の保証のあり方は、県や市町村の自治体でしっかりとした保証制度を構築することが急務と考えております。そして、そのことによって、より安心な社会基盤の形成ができると考えます。ぜひ高齢社会に対応した保証制度の構築を検討されることを強く要望し、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 204 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。大塚勝利委員。 205 ◯大塚勝利委員 公明党の大塚勝利でございます。  通告に従いまして、五歳児健診について質問をさせていただきます。  平成十七年に施行された発達障害者支援法の中で、地方公共団体の責務として、発達障がいの早期発見と発達障がい児に対する早期支援が求められるようになりました。同法の施行によって、発達障がいの早期発見につながる五歳児健診を実施する市町村が出てきており、我が会派ではこれまでその必要性を訴え、質問をしてきたところです。健診によって、発達、情緒に問題を持ち、社会性に問題を持つ子供を早期に発見し、子供、保護者への支援を開始することは、その後の就学や就労に大きな影響を与え、その子供が個性、能力を十分に発揮できることにつながるものであり、大きな課題と私は思っております。  そこで、まず、現在の乳幼児健診、一歳六カ月健診、三歳児健診では、発達障がいを早期に発見するためにどのような内容で実施されているのか、教えてください。 206 ◯井上忠敏委員長 岩本健康増進課長。 207 ◯岩本健康増進課長 健診におきましては、事前に保健師等が保護者から日ごろの子供の様子や子育てで気になることがないかを聞き取り、それを踏まえて、医師が問診により精神発達の状況、言語障がいの有無、育児上問題となる事項など、子供への声かけや親への聞き取りを行いまして、発達に問題がないかを判断しているところであります。 208 ◯大塚勝利委員 今、御答弁いただきましたけれども、それでは、一歳六カ月と三歳児の健診で発達障がいのお子さんを発見できるものなのかどうかお聞きいたします。 209 ◯岩本健康増進課長 この年齢の健診では、発達障がいのうち、精神遅滞や自閉症につきましては発見されやすいが、学習障がいや注意欠陥多動性障がいというものにつきましては発見されにくいと言われるなど、障がいの種類や重症度によりましては健診の場だけでは発見が難しい場合があります。このため、市町村では、発達障がいが疑われる場合には、専門の医療機関につなぐほか、市町村保健福祉事務所が行っている発達相談や療育訓練につなげたり、幼稚園や保育所に集団生活の状況を観察していただくようお願いするなど、経過を見ているところです。 210 ◯大塚勝利委員 乳幼児健診の場では発見が難しい場合があるとのことでありました。  それでは、五歳児健診についてお伺いいたします。  昨年二月、定例会の代表質問で、知事は、五歳児健診の有効性が必ずしも明らかになっていない現状のもとでは、就学時健診に加え、その一年前に新たに健診を実施するかどうかにつきましては、よく検討していく必要があると答弁されました。  今回、質問に当たりまして、厚生労働省の軽度発達障害児に対する気づきと支援のマニュアルというのがありまして、そこに五歳児健診の記載がありました。五歳児健診で多くの軽度発達障がい児や軽度精神遅滞児を就学前に発見できる可能性があると。ただ、その後の保護者への伝え方、療育、教育への橋渡しなどが鍵であると。このような記載がありまして、その有効性を認めるような書きぶりでありました。  そこで、質問ですが、五歳児健診を実施することで多くの発達障がい児を就学前に発見することができるのかどうかお伺いいたします。 211 ◯岩本健康増進課長 マニュアルが作成されました以降に実施された国の研究班における検討結果では、五歳児健診の実施により発達障がい児を多く把握することは可能という記述はあります。一方で、五歳児健診による発達障がいのスクリーニングにかかる特異度、つまり、的確にどれだけ検出できるか、また感度、つまりどれだけ敏感に検出できるかでございますが、この特異度、感度が明らかになっていないということから、現時点では五歳児健診は義務化されておりません。  そのため、保育所、幼稚園におきましては、適切な対応ができる取り組みの充実を図ることが重要とされておりまして、保育士、幼稚園教諭を対象に発達障がいに関する専門知識、支援方法についての研修会を実施しているところです。  また、一歳六カ月健診、三歳児健診及び就学前健診の機会に、「子育て応援団」という冊子を配布し、発達障がいについて家族に対し気づきを促しております。 212 ◯大塚勝利委員 再度お聞きしますが、昨年十一月の決算特別委員会の質問で、課長は、五歳児健診による発達障がいに関する有効性が国の研究では必ずしも明らかにはなっていないと答弁されておりますけれども、その後、国の見解を確認されましたか。 213 ◯岩本健康増進課長 国に確認しましたところ、新たな知見は出ておらず、見解については変わりがないということでございました。 214 ◯大塚勝利委員 五歳児健診は有効性が認められないということでありますけれども、少し御紹介します。先日、宗像市が行う年中健診を視察してまいりました。御紹介いたしますと、年中健診とは、発達障がいの早期発見を目的に、三歳児健診と就学時健診のちょうど間の満四歳児を対象とし、宗像市の宗像医師会と保育所、幼稚園、また宗像市が協力して、各園で実施している内科健診のときに合わせて平成二十四年度から実施されております。  具体的には、まず市が保護者に子供の家庭での状況のアンケートを送付、回収して、健診当日は、市の発達支援センター職員と園の職員が園医の診察に同席して、これは発達障がいの発見に一番大事とされていますけど、あわせて園から集団の様子も聞き取った上で、気になる子にスクリーニングをするという仕組みです。その後何らかのフォローが必要と判断された子供には、保護者に市のほうから連絡して、同センターへの来所相談や療育施設、医療機関につなげるなどの支援を行っています。  私がこの制度はすばらしいと思った三点のメリットがありました。一つが、三歳児健診から就学時健診のちょうど空白の期間に内科健診を活用することで市内全ての幼稚園、保育園の年中児を対象としていること、また二点目に、行政、教育、医療が連携して園の様子を見た後に協議して、発達に支援が必要な子供の早期発見などに効果が見込めると。結果も伺いました。三点目は、就学前健診が実施されておりますけれども、これは就学前において、入学後の通常学級また特別支援学校、特別支援学級の選択に──要するに、就学前健診ではなかなか時間が足りないということで選択に乗せることができず、課題を抱えたまま入学しなければならないけれども、この健診は一年前に行うということで就学相談に乗せることができ、また療育機関での指導、また専門医を受診する時間も確保される中で、入学後のクラスの編制にも配慮できているというお話を伺いました。また、年二回、センターが巡回相談を実施しておりまして、そのお子さんたちの様子を見に行く等、関係部局がしっかり連携して取り組んでおりました。  そこで、質問に入りますけれども、こうした宗像市の取り組みは、全ての市内のお子さん、幼稚園、保育園に通う年中児を対象に、予算をお伺いしたら、約九百人の対象者に対して三百万円程度の非常に少ない予算で取り組まれていると。そして、五歳児健診の目的である保護者が気づくきっかけになる重要な取り組みであると思っております。どうすれば、こうした仕組みを普及することができるのか、県として何ができるのか、お答えください。 215 ◯岩本健康増進課長 宗像市の取り組みにつきましては、幼稚園や保育園で行われている内科健診の機会を捉えまして、満四歳児を対象に市の発達相談支援センターの職員が保護者から子供の心身の発達に関する不安や悩みなどの相談を受けているものでございます。  県としましては、この宗像市の取り組みにつきまして、宗像市の関係者からその取り組みについて詳しく聞き取りを行わせていただくとともに、その他の市町村の参考事例についても把握してまいります。その上で、宗像市を含めまして、特色のある取り組みがあれば、県内の市町村に対して情報提供してまいります。 216 ◯大塚勝利委員 先ほどもお話ししましたけれども、発達障がいのおそれのあるお子さんに対して、行政──市、教育、医療が連携してそういった相談体制を構築している取り組みでございました。先ほど聞き取りということでありましたけれども、ぜひ特別委員会が終わりましたら、現地に赴いて現場の状況を確認いただければと思っております。  その中で、五歳児健診につきましては義務化されていないと先ほど御答弁がありました。ただ、私が地域でさまざまな御相談をいただく中で、発達障がいの早期発見、そして早期療育というのは大変重要な課題であると認識しております。発達障がいの早期発見の機会となる宗像市のような取り組みが必要であると。ぜひ県としても積極的に、義務化されていないということでありましたけれども、国を待たずに、県としてそういった可能性のあるものについては検証していく必要があると思っております。五歳児健診の実施について、改めて、保健医療介護部長のお考えをお聞かせください。 217 ◯井上忠敏委員長 松本保健医療介護部長
    218 ◯松本保健医療介護部長 まず、五歳児健診でございますけれども、これまで何度も答弁させていただいて恐縮でございますが、国の研究で必ずしもその有効性が明らかになっていない状況でございますので、県としてこれを市町村に、健診の実施を促すといったことは困難であると考えております。  しかしながら、同じ国の研究の中で、保護者や保育士などが発達障がいの可能性に気づくために、ふだんから発達障がいに関する情報が提供されていることが必要だとも書かれているわけでございます。そういったことから、県では、子供たちに日ごろ接しておられる保育士あるいは幼稚園の教諭に対する研修、それから保護者の方には「子育て応援団」というパンフレットを通じてそういった情報提供をしていっているところでございます。委員が御紹介された宗像市の事例は、こういった趣旨での好事例であろうかと思いますので、先ほど課長が答弁しましたように、勉強させていただいて、どのようなものかを把握してまいりたいと考えております。  とにかく発達障害の早期発見については、幼児期から適切な支援を講じることにより、学齢期の学校不適応、あるいは社会不適応、こういったことを防ぐことが可能になると言われております。重要な課題であると認識しておりますので、関係部局と連携して取り組んでまいります。 219 ◯大塚勝利委員 ありがとうございました。(拍手) 220 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 221 ◯井上忠敏委員長 ないようですので、以上で中牟田委員の知事保留質疑を残し、第三款保健費に関する質疑を終わります。  この際、しばらく休憩します。  再開は午後三時十分といたします。    午 後 二 時 五 十 六 分 休 憩    午 後 三 時 十 分 再 開 222 ◯井上忠敏委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。  第四款環境費について説明を求めます。野田環境部長。 223 ◯野田環境部長 それでは、第四款環境費について御説明を申し上げます。  お手元の平成二十九年度予算に関する説明書の百八十九ページからでございます。  一項環境費でございます。その主なものは、まず、百八十九ページ右側の説明欄の六番目にございますリサイクル総合研究事業化センター推進費などのリサイクル推進費二億七千五百万円余、次に、百九十一ページの説明欄の上から四番目、河川等の水質監視等を行う水質保全費九千万円余、続きまして百九十二ページの説明欄の上から二番目、浄化槽の設置に対する助成費などの環境衛生改善費五億四千万円余、同じくその下、産廃の不適正処理対策などを行う産業廃棄物対策費六億二千六百万円余、最後に、百九十三ページの説明欄の上から三番目、自然公園の施設整備などの自然公園費一億五千四百万円余でございます。  以上、一項環境費の総額は、百九十四ページの計の欄に記載のとおり、三十五億七千百万円余でございます。  説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 224 ◯井上忠敏委員長 説明は終わりました。  これより質疑を行います。質疑はありませんか。堤かなめ委員。 225 ◯堤 かなめ委員 民進党・県政クラブ県議団の堤かなめです。  水俣条約、正式名は水銀に関する水俣条約といいますが、この水俣条約と水銀対策についてお聞きします。まず、グローバルな課題、日本の課題についてお聞きし、それを踏まえ、県や市町村の取り組みについてお聞きしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  私自身、最近知ったことでありますが、世界的に、地球規模で水銀による環境汚染が広がっていると言われています。過去百年間に、人間の活動による水銀の放出により、世界の海洋表層百メートル──海の表面から百メートルの水銀量は二倍に増加しているとのことです。  水銀は常温で液体である唯一の金属元素で、気化して蒸気となりやすいという珍しい性質を持っています。そのため、一旦環境に排出されると、大気中で国境を越えて移動して全世界を循環し、地球規模の環境汚染を引き起こすことになってしまいます。近年では、かつての水俣病のような、工場など特定の汚染源による健康被害だけでなく、環境中の水銀が食物連鎖によって大型の魚介類などに高濃度で蓄積し、それを摂取することによる胎児への影響なども心配されるようになってきています。水俣条約が採択された背景には、このように水銀汚染が地球規模で取り組まなければ解決が難しいグローバルな課題として認識されるようになってきたことがあります。  そこでまず、この水俣条約についてですが、これは水銀及び水銀化合物の人為的排出から人の健康及び環境を保護することを目的としており、二〇一三年十月に採択され、五十カ国が批准してから九十日後に発効することとなっております。我が国は昨年二月二日にこの水俣条約を締結していますが、本年二月三日現在での批准国は三十八カ国であり、発効にはあと十二カ国の批准が必要です。  そこで、水俣条約ではどのような規制がされているのか、その概要を御説明ください。 226 ◯井上忠敏委員長 小磯廃棄物対策課長。 227 ◯小磯廃棄物対策課長 水俣条約の内容についてでございます。水俣条約は、水銀の産出や貿易、製品等への利用、大気への排出、廃棄などについて規制するものです。水銀の貿易につきましては、条約上で認められた用途のみに限定され、水銀使用製品は、二〇二〇年までに水銀を一定量以上含有する電池、蛍光灯などの製造、輸出、輸入が禁止されます。大気への排出につきましては、石炭火力発電所や非鉄金属精錬施設等からの排出削減対策を実施することとされております。さらに、廃棄に当たりましては、環境上、適正な管理が求められております。 228 ◯堤 かなめ委員 水銀による甚大な被害を経験した日本は、さまざまな規則を設けるとともに、行政機関、産業界、市民が一体となって水銀対策に取り組んでまいりました。その結果、現在では、水銀利用量は一九六四年のピークのわずか〇・五%に、排出量も大きく減少し、水銀管理に関しては世界でも優良国となりました。  しかし、その一方で、日本からの水銀の輸出量は、財務省貿易統計によると、二〇一二年で世界第十位、しかも二〇一二年から二〇一四年までは七十トン程度だったものが二〇一五年には約百二トン、二〇一六年は約百四十六トンと増加しています。我が国は、水俣病の経験を踏まえ、国際社会において水俣条約策定までの議論に積極的に貢献してきました。現在も引き続き国際社会と協力しつつ水銀汚染対策の強化をリードすべき立場にあることを考えると、このような日本からの水銀の輸出の現状には疑問を持たざるを得ません。  そこで、日本からの輸出について、国は何らかの制限をしていないのかお聞きします。 229 ◯小磯廃棄物対策課長 現時点におきましては水俣条約は発効しておりませんが、発効いたしますと、日本からの輸出につきましては、外国為替及び外国貿易法(外為法)によりまして水俣条約以上の規制を行うこととしております。この外為法によりまして、水銀が一定量未満の電池や照明ランプ、試薬などを除きまして水銀の輸出は原則禁止されることとなっております。 230 ◯堤 かなめ委員 輸出については、水俣条約が発効後、制限されるとのことですね。  しかし、発効後でよいのかという疑問は残ります。といいますのも、世界的な水銀利用量は国内外で減少傾向にあるものの、東アジア、東南アジアでの利用量が圧倒的に多く、用途としては零細小規模な金の採掘が最も多くなっており、採掘業に従事する人々の健康がまず懸念されるところです。さらに、日本から輸出された水銀が適正に使用されず、最終的に大気中へ排出され、回り回って福岡県、日本全体の環境を汚染し、県民の方々、私たち自身の健康に影響を与えかねないことも懸念されます。  水俣条約の発効を待たず、できるだけ早く他の先進諸国並みの輸出制限をする必要があると思いますので、県としてもぜひ国に働きかけていただくよう要望しておきたいと思います。  いずれにしましても、輸出が制限されると、今まで輸出していた水銀は国内にとどまることになります。このため、水銀について適切に対応するには、しっかり安全に回収し、安全に処理していく必要があります。  そこで、まず水銀使用製品の回収についてお伺いします。先ほど述べましたとおり、日本における水銀の使用量は減少しているものの、水銀使用製品は今も使用されていますし、これまで生産された水銀使用製品の全てが完全に回収されたわけではありません。このため、使用後の製品については適正に回収する必要があるのではないかと思います。水銀使用製品の回収などについてはどのような規制があるのかお伺いします。 231 ◯小磯廃棄物対策課長 水俣条約を的確かつ円滑に実施するため、平成二十七年六月に、水銀による環境の汚染の防止に関する法律、通称水銀汚染防止法が成立いたしました。この法律では、条約上の規定にはございませんが、水銀使用製品の適正な回収のための国、自治体等の努力義務が規定されております。国につきましては、市町村が水銀使用製品を適正に回収するために必要な技術的な助言その他の措置を講ずるよう努めなければならないとされております。また、市町村につきましては、経済的・社会的諸条件に応じて、廃棄された水銀使用製品を適正に回収するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされているところでございます。 232 ◯堤 かなめ委員 一昨年に成立しました水銀汚染防止法により、市町村は水銀使用製品を回収する努力義務が規定されたとのことでありました。  それでは、水銀の回収については昨年のこの委員会で高橋先生が質問されておられますが、現在、県内市町村ではどのような水銀製品をどのように回収しているのでしょうか、改めてお聞きいたします。また、家庭や医療機関に残されている水銀体温計や水銀血圧計などの回収も必要と思いますが、どのような対応がとられているのでしょうか、お聞きいたします。 233 ◯小磯廃棄物対策課長 県内におきましては、五十七の市町村が蛍光灯、ボタン電池や体温計等につきまして、いずれかあるいはその幾つかを何らかの方法で回収、分別しております。回収の方法といたしましては、資源ごみの回収日にごみステーションなどに住民の方が分別して持ち込むステーション回収や、市町村の施設や家電量販店、薬局等に設置いたしました回収容器に住民が直接持ち込む拠点回収などにより行われております。また、市町村による回収ではございませんが、電器店や時計店等の店頭に回収容器を設置し、事業者によって回収を実施する店頭回収も行われております。  家庭の体温計につきましては、環境省のモデル事業によりまして、薬局や市町村の庁舎の窓口等で回収促進事業が実施されております。  医療機関の水銀血圧計等につきましては、国のほうが昨年三月に医療機関に退蔵されている水銀血圧計等回収マニュアルを策定しております。環境省によりますと、このマニュアルは日本医師会を通じて各都道府県の医師会に提供され、多くの医師会において回収事業が実施されているとのことでございます。 234 ◯堤 かなめ委員 二年前に水銀汚染防止法が成立し、昨年、医療機関に向けた回収マニュアルが策定されるなど、水銀の回収が着実に動き出しているとの御説明だったかと思います。  それでは、次に、回収された水銀の処理についてですが、処理についてどのような規制があるのでしょうか、お聞きします。 235 ◯小磯廃棄物対策課長 水銀使用製品から回収されました水銀につきましては、これまで輸出や水銀使用製品に再利用されておりましたが、今後は水俣条約の発効により使用用途が制限されるため、廃棄物として取り扱う必要性が想定されます。水銀は人への毒性が強い物質であり、水俣条約でも廃棄に当たっては、環境上、適正な管理が求められております。このため、廃棄物処理法が一部改正され、水銀使用製品等から回収された廃水銀は、特別管理一般廃棄物または特別管理産業廃棄物に規定されております。収集運搬につきましては、平成二十八年四月から、水銀が常温で液体であり揮発するという特性から密閉容器の使用等が義務づけられております。また、処分につきましては、平成二十九年、本年十月から、安定した化合物にし、さらに固形化した上で処分することが義務づけられる予定でございまして、国において処分の基準が公布される予定となっております。 236 ◯堤 かなめ委員 市町村が水銀使用製品をきちんと安全に回収すること、そして回収した水銀を適正に安全に処理することが重要だと思います。  では、県はこれまで市町村等に対し、どのような取り組みを行ってきたのか、また今後どのような取り組みを行うのか、お聞きしたいと思います。 237 ◯小磯廃棄物対策課長 水銀汚染防止法において、市町村には廃棄された水銀使用製品の適正な回収を行うよう努力義務が定められておりまして、この規定は平成二十八年十二月に施行されているところでございます。  県といたしましては、これまで家庭から排出される水銀使用製品の分別回収に関しまして、国が策定した市町村向けのガイドラインや事例集について情報提供を行うとともに、昨年六月には市町村担当者に説明を行うなど、その周知を図ってまいりました。また、水銀廃棄物の適正処理につきましては、昨年三月に策定いたしました県の廃棄物処理計画にも記載しているところでございます。水俣条約の趣旨からも、家庭や医療機関から排出される水銀使用製品を適正に回収することが重要であるため、適正に回収されますよう、住民への周知、啓発などにつきまして市町村や関係団体と連携して取り組んでまいります。  水銀の処理につきましては、これまでも廃棄物処理法に基づき指導等を行ってまいりましたが、新たな基準が施行されれば、その周知を図るとともに、この新たな基準に基づいて適正な処理が行われるよう指導を行ってまいります。 238 ◯堤 かなめ委員 水銀使用製品の回収に関しては、昨年十二月に新聞で報道されましたように、回収拠点が、例えば北九州市には約二百カ所ありますが、福岡市には三十カ所しかないなど、市町村によって取り組みに差があることが明らかとなっています。このままでは適正な回収が進まず、適正な処理がなされないのではないかと危惧しております。水銀使用製品を分別していない市町村がまだあることや取り組みに差があるため、全ての市町村が水銀使用製品の分別、回収に取り組むべきだと考えます。  確かに、水銀使用製品の回収は市町村の責務ではありますが、県民の健康を守るため、県としても取り組んでいく必要があると思いますが、今後どのように取り組むのか、部長の決意をお伺いいたします。 239 ◯井上忠敏委員長 野田環境部長。 240 ◯野田環境部長 ただいま御指摘いただきましたように、水銀は人の健康、それから環境に非常に重大な影響を及ぼすと認識しておりまして、その回収とか廃棄物となった水銀の適正処理は非常に重要だと思っております。  このため、まず入り口となります市町村における水銀使用製品の回収が非常に大事でございます。これにつきましては、課長が答弁しましたように、国のガイドラインあるいは事例集を活用しまして、しっかりと取り組みをしていただくように働きかけをいたしまして、できるだけ早く県内の全市町村で何らかの回収の取り組みが行われるように努力したいと思っております。  また、今後は水銀を廃棄物として処理するケースがふえることが想定されますので、これについては廃棄物処理法に基づきまして、処分関係の事業者に対して適切に指導してまいりたいと考えております。 241 ◯堤 かなめ委員 部長、ありがとうございました。  今後さらに水銀の回収が進み、適切な処分がきちんと行われることを期待しております。  質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 242 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。松下正治委員。 243 ◯松下正治委員 皆様、こんにちは。公明党の松下正治でございます。  私からはエコファミリー応援事業についてお伺いしたいと思います。  本県では、福岡県地球温暖化対策実行計画におきまして二〇三〇年度の温室効果ガスの排出量を二〇一三年度比で二六%削減する目標を掲げることとしており、その目標達成のために、家庭における省エネの取り組みを支援する事業であるエコファミリー応援事業につきまして、今年度に引き続いて来年度も実施すると聞いております。  そこで、そもそもこのエコファミリーとは何なのか、あわせてエコファミリーの登録世帯数の推移はどうなっているのか、お伺いしたいと思いますが、事前に執行部のほうにエコファミリーの募集チラシ、またエコファミリー応援事業の登録世帯数について資料要求をしておりますので、委員長、資料要求のお取り計らいのほう、よろしくお願い申し上げます。 244 ◯井上忠敏委員長 お諮りいたします。  ただいま松下委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 245 ◯井上忠敏委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま松下委員から要求がありました資料については提出できますか。佐竹環境保全課長。 246 ◯佐竹環境保全課長 直ちに提出いたします。 247 ◯井上忠敏委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 248 ◯井上忠敏委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 249 ◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、松下委員、質疑を行ってください。 250 ◯松下正治委員 それでは、配付されました資料に沿って簡単な説明をよろしくお願いします。 251 ◯佐竹環境保全課長 それでは、資料のほう、二枚目のエコファミリー募集チラシのほうをお願いいたします。  エコファミリーといいますのは、家庭におけます地球温暖化対策を促進するために、電気、ガス、水道の使用量の節減などの省エネ節電に取り組んでいただく家庭のことでございます。  県では、エコファミリーへの参加登録や電気使用量などの報告をしていただきますと、協賛店舗で割引等が受けられます応援パスポートや金券として使用できますエコチケットの進呈などの特典を付与しているところでございます。また、優秀な取り組みを表彰する支援なども行っております。  次に、資料の一枚目をお願いいたします。  エコファミリー応援事業の登録世帯数の推移でございます。資料の上の段の表に記載しておりますとおり、平成十九年度の事業開始当初は約二千世帯でありましたが、本年二月末現在では約二万二千世帯となっております。  それから、本年二月末現在の地域別の登録世帯数につきましても、資料の下の段に記載していますとおり、福岡地域が全体の半数以上を占めております。  ちなみに、北九州市の登録世帯数は二千七百二十七世帯となっておりまして、北九州地域の約半数を占めている状況でございます。 252 ◯松下正治委員 北九州の状況も教えていただき、ありがとうございました。  概要は大体わかったのですけれども、エコファミリー応援事業に実際参加した県民の方の生の声にはどういったものが上がっているのでしょうか。 253 ◯佐竹環境保全課長 エコファミリーから寄せられた声としまして、まず地球温暖化問題や省エネ節電の取り組みに関心を持つようになった、また電気、ガスの使用量などの記録をつけるような習慣ができたということ、それから省エネ節電が二酸化炭素の削減だけではなく家計の節約にもつながることがわかったということで、今後も続けていきたいといったような意見が上がっております。また、一方で、エコチケットの利用ができるような店舗をもっとふやしてほしいというものや、より多くの人が取り組むようもっと広報してほしいなどの要望も上がっているところでございます。 254 ◯松下正治委員 さまざまな声が上がっているというのはわかりました。  エコファミリー応援事業の実績として、環境保全の効果に実際的にどのくらい貢献しているのか、効果が上がっているのか、どのように考えているのか、教えていただけませんでしょうか。 255 ◯佐竹環境保全課長 エコファミリーのほうから寄せられました平成二十七年度の報告によりますと、夏季の七月から九月の電気使用量は、エコファミリーが前年の同期と比較しまして一・七%減となっているのに対しまして、一般家庭は〇・八%増加しているという状況であります。また、冬季の十二月から二月におきましても、エコファミリーが七・三%減であるのに対しまして、一般家庭では二・六%減となっておりまして、エコファミリーに取り組んでいただいた家庭のほうが節電が進んでいるという状況でございます。  また、過去五年間におきまして、年度ごとに比較しましても同様の傾向となっておりまして、一定の効果は上がっていると考えております。 256 ◯松下正治委員 今、御説明いただきまして、実際この事業に参加すれば、ある一定の効果が上がるということはわかりましたが、ただ、最初の概要説明でお聞きしましたところによりますと、県全体で、過去十年間で十倍になってもまだ二万二千世帯余ということで、本県の世帯数を考えますと、二百二十万世帯ぐらいありますものですから、一%ぐらいの参加登録しかないということで、やはりこれは少ないように思うのですけれども、今後の事業の周知また運用等で工夫する点は何かお考えなのでしょうか。 257 ◯佐竹環境保全課長 地球温暖化対策実行計画に掲げております目標を達成するためには、家庭における温暖化防止に係る取り組みを一層推進していくことが重要であると考えております。  このため、これまでは電気使用量を報告することによりましてエコチケットを進呈しておりましたが、今後は電気使用量の削減、LED照明の購入、省エネ家電への買いかえなどの二酸化炭素削減に資する取り組みをポイント化しまして、取り組みに応じたチケットを進呈するよう見直しを行いますとともに、エコチケットの利便性の向上を図るということで、コンビニなどの利用店舗の拡大を図り、より魅力のある制度といたします。  また、県の広報紙、それからエコライフ応援サイトにおける普及啓発や環境副読本において小学生に紹介するほか、来年度は新たに幼稚園、保育所などの教育現場における啓発を行うことによりまして取り組み世帯数の拡大を図っていくこととしております。 258 ◯松下正治委員 私の住む北九州市では、こういった環境啓発の事業を推進するに当たりまして、環境マスコットキャラクター、ていたんというのを活用しております。ていたんはどういう設定かというと、北極出身で、地球温暖化で北極の氷が溶けてしまって、それで北九州市に来て、何とか温暖化をとめようと努力しているということでして、北九州市の環境の広報紙に、ていたんの四こま漫画を掲載する等、ストーリー性を持たせて、小さい子供にも親しみが持てるような工夫をしております。  一方、本県では、この募集チラシにもありますとおり、エコトンというキャラクターがありますけれども、このエコトンをもっともっと活用すべきではないかと思いますが、現在の活用状況と今後の方針についてお聞かせください。 259 ◯佐竹環境保全課長 環境部では、県のマスコットキャラクターでありますエコトンをエコファミリーの募集の街頭啓発、それから県、市町村の環境イベント等で活用しているところでございます。また、エコファミリーの募集ポスター、それからエコバッグ、ウエットティッシュなどのエコファミリーの啓発グッズにも活用しているところでございます。また、地球温暖化に関するさまざまな情報を掲載しております「ふくおかエコライフ応援サイト」につきましても、エコトンのキャラクターを活用しましてわかりやすく情報発信を行っているところであります。  今後も、県民の皆さんに地球温暖化問題につきまして関心を持っていただけるよう、幼稚園、保育園などの啓発活動で子供が親しみやすいエコトンを積極的に活用してまいりたいと考えております。
    260 ◯松下正治委員 今、課長から御答弁いただいて、しっかり子供をターゲットに当てると、その親にも影響が及ぶと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。  先ほど課長から紹介がありました北九州市の登録世帯数が、北九州の地域の中で、四千四百八十五世帯のうち二千七百世帯と、半分以上を占めていますということだったのですが、ただ、北九州の世帯数が大体四十万あるんですね。そのうちの二千七百といったら、一%に満たない状況なんです。  そこで、やはり県と市とがしっかり連携をとってこういう事業を進めていくべきだと思いますけれども、本事業を進めるに当たりまして、各市町村との連携をどう考えているのか教えていただけませんでしょうか。 261 ◯佐竹環境保全課長 今、県では地域に密着した温暖化対策を進めるために、市町村からの推薦により委嘱しました約百名の地球温暖化防止活動推進員と連携しまして各地域で環境イベントを開催して啓発を行っているところでございます。今回、制度を見直しましたことから、この地球温暖化防止活動推進員、市町村職員に対しまして研修を行うなど、改めて本事業の制度につきまして説明を行いますとともに、県内各地で開催されますさまざまなイベントにおきましても積極的にPRをしていくこととしております。 262 ◯松下正治委員 今、課長から御紹介のありました百名の推進員は、県内のばらつきとか偏りとかいうのはないのでしょうか。 263 ◯佐竹環境保全課長 これにつきましては、全市町村のほうに振り分けといいますか、枠を設けましてやっておりますので、満遍なく推薦していただいているという状況でございます。 264 ◯松下正治委員 しっかりと、今後とも市町村と連携を強化していっていただきたいと思います。  では、最後になりますが、環境部長のほうに本事業の推進につきまして御決意をお伺いしたいと思います。 265 ◯井上忠敏委員長 野田環境部長。 266 ◯野田環境部長 委員も冒頭にお触れになりましたけど、福岡県の温暖化対策の実行計画におきましては、二〇三〇年度の温室効果ガスの排出量を二〇一三年度比二六%削減するということで、かなりハードルの高い目標を掲げております。この目標を達成するためには、一世帯当たりのCO2排出量を四一%削減することが必要でございまして、特に家庭における省エネ節電の取り組みが非常に重要になってまいります。  このため、このエコファミリー応援事業のさらなる推進を図るために、今回の見直し内容についていろいろな工夫をしながら広く周知を行うことによりまして、県民の皆さんに地球温暖化という問題をみずからの問題として捉えていただきまして、身近なところから具体的に行動を起こしていただけるように、しっかり取り組んでまいりたいと思います。 267 ◯松下正治委員 ぜひよろしくお願いします。  終わります。ありがとうございました。(拍手) 268 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。小河誠嗣委員。 269 ◯小河誠嗣委員 緑友会の小河誠嗣でございます。  通告に従いまして、大牟田リサイクル発電事業についてお聞きをしたいと思います。自民党の代表質問で井上順吾議員が知事に質問しておられますが、私の地元であるうきは市と久留米市の一部で構成しているうきは久留米環境施設組合もこの事業に参加しておりますので、改めてお聞きしたいと思います。  本事業は、事業開始当初からさまざまなトラブルが発生し、三回のRDF処理委託料の値上げが行われています。この値上げについては、これまでの議会における質疑で、事業計画当時、施行されていなかった各種リサイクル法の相次ぐ施行や、事業参加市町村のごみ回収の有料化などのごみ減量化施策によってごみの排出量が減少し、RDF処理量が当初計画の約十万トンから約八万トンまで落ち込んだことや、消防法の改正に伴うRDF貯蔵サイロの改修費が必要となったことなどによるものと伺っています。私の聞いたところでは、焼却灰処理が当初計画と相違したことも値上げの原因になったと聞いております。  まず初めにお尋ねしますが、焼却灰処理費が増加した経緯を簡単に御説明ください。 270 ◯井上忠敏委員長 岩切循環型社会推進課長。 271 ◯岩切循環型社会推進課長 焼却灰処理費増加の経緯についてでございます。  焼却灰の処理につきましては、当初計画では、RDF焼却灰を固化し、固めまして道路の路盤材として活用する研究開発を民間企業と連携して進めましたが、最終的に重金属溶出の課題がクリアできなかったことから、結果的に活用が困難となり、セメント製造工場における原料としてリサイクルすることとなったため、焼却灰処理費が増加したものでございます。 272 ◯小河誠嗣委員 この灰処理方法の変更も、RDF搬出量の減少と同じく、当初計画からの見込み違いと言わざるを得ないと思います。  こうした経過があったことから、事業関係者で平成三十四年度末で事業終了の合意がなされたとはいえ、先月、平成二十九年二月に各組合から県に対して要望がなされたと承知しています。その主たる内容は、発電所の解体撤去費用、現時点で約十一億円と見込まれ、契約上は事業参加組合の負担とされているとのことですが、要望書では、この撤去費用の負担軽減を求めていると聞いています。具体的には、平成十五年に発生したサイロトラブル対策で必要になった資金需要に対応するために、県が二億一千万円の増資を行っています。この県が行った増資について、事業参加組合はサイロトラブルの発生に対する財政援助、すなわち補助金的な手当がなされたものと認識されていることから、解体撤去に充当することを要望しています。  まず、県の増資について、県と組合との間に見解の相違があると聞いていますが、県の考え方についてお聞きしたいと思います。 273 ◯岩切循環型社会推進課長 この増資につきましての県の考え方でございます。この増資につきましては、サイロトラブルが発生した際に、一時的に会社の運営資金が不足し、経営が不安定化することを回避するため、各組合から出された要望を踏まえ、電源開発とともに増資を行ったものでございます。  したがいまして、基本的には、事業終了時に会社に資産が残る場合には、出資者に返還される性格のものであると考えております。 274 ◯小河誠嗣委員 県の増資についての考え方はわかりました。  では、事業参加組合が要望している県の増資の解体撤去費への充当についてはどのように考えておられるのかお聞かせいただきたいと思います。 275 ◯岩切循環型社会推進課長 増資の解体撤去費への充当についての考え方でございます。県の増資に係る出資金の撤去費への充当につきましては、今後の会社経営の状況や撤去費の具体的な見積もりを見て判断すべき内容であることから、今後真摯に検討を行うとともに、事業参加組合の皆様の意見を丁寧に伺いながら協議を行ってまいります。 276 ◯小河誠嗣委員 それから、要望書にはもう一つの要望がなされています。それは、事業終了後の事業参加組合のごみ処理対策への県の支援についてであります。このことについて県はどのように対応されるのかお聞きしたいと思います。 277 ◯岩切循環型社会推進課長 この発電事業終了後のごみ処理に係る県の支援についてでございます。事業終了後のごみ処理につきましては幾つかのケースが考えられます。例えば、事業参加組合が引き続きRDFの製造を継続する場合、あるいは新たなごみ焼却施設を建設する場合、さらには他の市町村にごみ処理を委託する場合などが考えられますので、それぞれのケースに応じて支援に努めてまいりたいと考えております。  具体的には、市町村が引き続きRDFの製造を継続する場合には、発電施設以外へのRDFの処理委託を検討する必要がございます。RDFはセメント工場での利用も可能でありますことから、県におきましては、セメント工場への委託が実現されるよう支援を行ってまいります。  また、RDF製造を継続しない場合には、新たなごみ焼却施設を建設するか、他の市町村にごみ処理を委託することを検討する必要がございますので、県といたしましては、これらの場合に必要となる施設の整備計画の策定、国庫補助の確保、他の市町村との調整を行うなど、事業参加組合の構成市町村のごみ処理に支障が生ずることのないよう、しっかり支援に努めてまいります。 278 ◯小河誠嗣委員 大牟田リサイクル発電事業の終了に当たっては、各組合の構成市町村のごみ処理に支障が生じないよう、ぜひ県の十分な対応をお願いしたいと思いますので、部長の決意をお聞かせいただきたいと思います。 279 ◯井上忠敏委員長 野田環境部長。 280 ◯野田環境部長 大牟田RDF発電でございますけど、平成三十四年度で事業を終了するということになっておりますが、この事業に現在参加していただいております組合、市町村のごみ処理に支障が生じるというようなことは絶対あってはならないと考えております。平成三十五年度以降の市町村のごみ処理につきましては、今後、各組合、市町村において本格的に検討が始められるということだと思いますけれども、県といたしましては、先ほど課長が申し述べましたように、いろいろなケースに応じて適切な支援を行ってまいりたいと考えております。  それから、撤去費等の事業終了にかかわりますいろいろな課題につきましては、組合、市町村、それに県と並んで大口の出資者であります電源開発も含め十分に協議を行いまして、関係者が納得できる結論が得られるよう、しっかり努力をしてまいりたいと考えております。 281 ◯小河誠嗣委員 最後になりますが、新たなごみ処理施設を考慮する場合については、当然のことながら、環境省が所管する循環型社会形成推進交付金を活用することとなります。この交付金は、近年、ごみ処理の広域化の観点から、費用対効果の観点、それから処理対象人口を五万人以上とするか処理対象面積を四百平方キロメートル以上の計画とする必要がございます。  しかしながら、私の地元でありますうきは市が参画するうきは久留米環境施設組合については、今後の人口減少により五万人を割り込む可能性があり、交付金の対象とならない可能性があるとの危機感を持っているところでございます。  今後、組合においてはRDF発電終了後のごみ処理について計画を策定していくことになりますが、その際に、広域的な処理も視野に検討することとなります。したがいまして、県において広域的な処理について調整するなど、ごみ処理に支障が生じないよう支援をしっかり行っていただくことを強く要望いたしまして質問を終わります。(拍手) 282 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。原中誠志委員。 283 ◯原中誠志委員 民進党・県政クラブの原中誠志であります。  発言通告に従い、ツマアカスズメバチ対策について、福岡県地球温暖化対策実行計画について質問します。  最初の項は、本県のツマアカスズメバチ対策についてであります。時間の関係もありますので、前振りを全て割愛し、本文に入っていきたいと思います。  そこで、委員長、あらかじめツマアカスズメバチの巣が激減したという新聞記事並びに執行部に対してツマアカスズメバチに関する生息状況調査、侵入監視調査の結果報告について資料要求をしたいと思いますので、お取り計らいをお願いいたします。 284 ◯井上忠敏委員長 お諮りいたします。  まず、原中委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 285 ◯井上忠敏委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま原中委員から要求がありました資料については提出できますか。高田自然環境課長。 286 ◯高田自然環境課長 直ちに提出いたします。 287 ◯井上忠敏委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 288 ◯井上忠敏委員長 次に、原中委員から申し出がありました資料の配付についてであります。資料の内容については、理事会において確認しております。  お諮りいたします。  原中委員申し出の資料を配付することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 289 ◯井上忠敏委員長 それでは、ただいまより執行部及び原中委員から提出のありました資料を事務局から配付させます。      〔資料配付〕 290 ◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、原中委員、質疑を行ってください。 291 ◯原中誠志委員 まず最初に、持ち込み資料として、ツマアカスズメバチの駆除についての新聞記事がございます。環境省が実施した対馬市での駆除についてのこの新聞報道について、県としてどのように認識されているのか見解をまずお聞きします。 292 ◯高田自然環境課長 配付いただきました資料ですが、国では、対馬市でのツマアカスズメバチの生息数を抑制し、拡散を防止するため、ペットボトルに発酵させた乳酸菌飲料を入れたわなを発案し、昨年の春に地元住民の皆さんの協力を得まして島内二千四百カ所にわなを設置し、女王蜂の捕獲を試みたところです。この結果、七千匹以上の女王蜂の駆除に成功し、これまで増加傾向の続いておりました島内の巣の確認数は、平成二十七年度の二百五十九個から平成二十八年度の四十九個に初めて減少しております。対馬市におけるこの駆除につきましては、このわなをつくることは容易で、住民の皆さんの協力を得やすいことから、多数のわなを同時に設置することができるという特徴がありまして、ツマアカスズメバチの生息数の抑制や拡散の防止に一定の効果が期待できるものと認識しております。 293 ◯原中誠志委員 それでは、続きまして、執行部に要求いたしましたツマアカスズメバチに関する生息状況調査、侵入監視調査の結果報告について、配付された資料に基づき、簡潔に説明をいただきたいと思います。 294 ◯高田自然環境課長 資料に基づき、調査結果を説明いたします。  表一は、過去にツマアカスズメバチが確認された地域で、国が実施しております生息状況調査の結果でございます。平成二十七年九月に生息が確認された北九州市と隣接する下関市、平成二十八年五月に確認された宮崎県日南市、この二地域で各四回の調査を実施しまして、延べ六百二十七個のわなを設置いたしましたが、捕獲されておりません。  表二は、釜山や対馬と客船や貨物船の往来がある九州内の港湾で実施しております侵入監視調査の結果でございます。十四の港湾におきまして各二回の調査を実施いたしましたが、日南市の油津港で一匹が捕獲された以外は捕獲されておりません。  この侵入監視調査では、国と各港湾を管理する県や市が連携して調査を実施しており、具体的には、国が調査の場所や時期を設定し、わなの材料の調達、また捕獲された個体の種類の確認を行っております。県や市は、わなの設置に関する連絡調整、並びにわなの作製、設置及び回収を行っております。本県では三池港周辺での調査について国と協力して実施したところでございます。 295 ◯原中誠志委員 対馬市の状況を見ましても、一旦、ツマアカスズメバチが定着した場合、養蜂業や生態系などへ多大な影響が出ることがわかっております。このため、侵入の早期発見、そして早期対策が必要だと考えます。県として今後どのような取り組みを進められるのかお答えください。 296 ◯高田自然環境課長 外来種の対策につきましては、侵入を早期に発見し、侵入の初期段階で効果的な駆除を行うことが重要ですが、繁殖力が強いツマアカスズメバチについては、より一層、早期発見、早期駆除が重要であると考えております。侵入を早期に発見するためには、侵入監視調査の継続が必要であることから、これまでも繰り返しこの調査の継続を国に要請してきたところです。その結果、国では平成二十九年度も調査を実施することとしており、本県も引き続き協力してまいります。  また、ツマアカスズメバチの発見情報の収集につきましては、平成二十七年度以降、害虫駆除業や養蜂業の皆さんに情報提供をお願いするとともに、県ホームページや市町村の広報紙を通じて県民の皆さんにも情報提供を呼びかけているところです。このような取り組みも継続いたしまして、ツマアカスズメバチの早期発見に引き続き努めてまいります。 297 ◯原中誠志委員 この項の最後に、部長に要望をしたいと思います。本県でツマアカスズメバチの確認数が増加した場合においては、国に対して対馬市と同様の駆除対策をとるように求めるとともに、県は国と協力して徹底した防除に取り組まれますよう要望いたしまして、この項の質問を終わります。  次に、福岡県地球温暖化対策実行計画について質問いたします。あらかじめ委員会のほうで福岡県地球温暖化対策実行計画を持ち込み資料としておりますので、この資料に沿って質問していきたいと思います。  まず一問目は、県が策定しました地球温暖化対策実行計画については、計画策定の背景の項目に、大気や海洋の温暖化という表現はあります。しかしながら、地球の気温変動、海面水位の上昇は記されているものの、海水温の変動が書かれておりません。なぜなのかお答えください。 298 ◯井上忠敏委員長 佐竹環境保全課長。 299 ◯佐竹環境保全課長 気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCC報告書には、地球温暖化の科学的知見がいろいろと記載されておりますが、県の計画では、県民の皆さんに地球温暖化対策の状況についてわかりやすく示すため、大気、海洋の代表的な影響であります平均気温の上昇、それから海面水位の上昇を記載しているところでございます。 300 ◯原中誠志委員 実行計画の第三章の福岡県の地域特性には、自然的条件の地勢において、筑前海、有明海、豊前海の三つの海に面していると記されております。しかし、ここでも、平均気温の上昇については記載があるものの、海水温についての記載はありません。どういう理由であるものか、お聞かせいただきたいと思います。 301 ◯佐竹環境保全課長 気象庁によりますと、日本海周辺海域における海面水位の上昇にも気候の温暖化の影響があらわれていると考えられておりますが、評価している領域が狭いことから自然変動の影響を受けやすく、水温の上昇が必ずしも全て温暖化の影響と言えるわけではないとされていることから、記載していないものでございます。 302 ◯原中誠志委員 次に、地球温暖化の影響の部分の分野別項目についてお聞きしますけれども、ここには七分野が示されておりますが、食料問題という分野はありません。また、三十ページの将来推計、活動量の推計の表の中にも、食料問題という項目はありません。農業、林業、水産業の分野には、一等米比率の低下やマイワシ等の北方への移動等、食料問題につながる影響が指摘されているものの、病害虫の発生増加や山地災害の発生頻度の増加といった環境変化についても同列で並べられております。  したがって、気候変動の影響という分野は、食料問題と自然環境変化というふうに分けたほうがいいと私は考えるわけでありまして、県の考えをお示しいただきたいと思います。  さらに、第六章の福岡県における地球温暖化対策においても、施策の全体に食料問題、そして自然生活環境への影響というのを分けて入れる必要があるのではないかと考えますので、県の考えをお示しください。 303 ◯佐竹環境保全課長 国の適応計画では、七つの分野における気候変動の影響による評価結果の概要、それから今後の適応に関する基本的な施策がまとめられております。県の計画も、国の計画との整合を図るため、この区分に従いまして整理を行っているところでございます。この計画におきましては、農業、森林・林業、水産業の分野での気候変動の影響としまして、一等米比率低下などの食料に関する問題に加え、マイワシ等の北方への移動などが記載されておりまして、食料問題はこの中に包括されております。また、森林荒廃等によります山地災害などの発生頻度の増加につきましても、農業、森林・林業、水産業の分野に関係することから、あわせて記載されております。 304 ◯原中誠志委員 実行計画の五十ページには、二酸化炭素固定化のための県産材の長期利用という項目もありますけれども、地球上で最もCO2を吸収しているのは海洋であります。海であります。その点についての認識をお聞かせいただきたいと思います。  あわせて、海水温の上昇とCO2固定化の因果関係についてもお示しいただきたいと思います。 305 ◯佐竹環境保全課長 地球上で最もCO2を吸収しているのが海であることは認識しておりますが、海洋の吸収源対策につきましては、県が独自に施策を行うことが難しいことから、計画には記載していないものでございます。  なお、国の計画におきましても記載がございません。  また、気象庁のデータによりますと、二〇〇〇年代の平均で、海洋は人為起源の二酸化炭素排出量の三割を吸収しているとされておりまして、その量は増加傾向にあるということでありますが、海水温度の上昇とCO2固定化の因果関係につきましては、現在のところ、まだ明らかになっていないという状況でございます。 306 ◯原中誠志委員 実行計画の五十四ページ、気候変動の影響への適応の中に、農林水産業に関する対策の推進というものがありまして、高温条件下でも高品質、安定生産できる米の開発を進めるということは示されておりますけれども、では、果樹はどうなっているのか、花卉はどうなのか、畜産、養鶏はどうなっているのか、その対策について伺いたいと思います。 307 ◯佐竹環境保全課長 計画の中には、水稲、果樹の栽培技術の開発に取り組むことを示しておりまして、農業産出額に占める割合が高い野菜、果樹、花卉につきましては、気候に左右されにくい耐候性ハウスの導入を推進していくこととしております。畜産、養鶏につきましては、畜産農家の暑熱対策としまして、機械、施設の整備に対する支援を行うこととしております。 308 ◯原中誠志委員 次に、水産業における対策もあわせてお聞きしたいと思います。海水温や赤潮情報等の定期モニタリング結果を県のホームページで公表し、漁業者へ注意を促すと実行計画の中にはありますけれども、これは海水温の上昇という問題提起なのか、お考えをお示しいただきたいと思います。  さらに、漁業者へ注意を促すとも記載されておりますけれども、具体的にどういうことなのか、あわせてお答えください。  そして、内水面漁業についての考えはどうなのか、重ねてお答えいただきたいと思います。 309 ◯佐竹環境保全課長 水産業の対策では、海水温の上昇だけではなく、塩分、藻場の状況など、漁業環境の変化を的確に把握するためのモニタリング調査を行いまして情報提供を行うものでございます。漁業者に対してモニタリング結果の情報を提供することによりまして、漁業環境の変化につきまして意識づけを行うというものでございます。  国の気候変動の影響への適応計画によりますと、内水面漁業が気候変動により受けました影響はまだ顕在化していないとされていることから、県の地球温暖化対策実行計画におきましても内水面漁業について記載を行っていないところでございます。 310 ◯原中誠志委員 今回、県がつくられました実行計画では、環境省の調査、そして気象庁の調査、そうしたいわゆる国の調査等に基づく、データ等に基づく中身というのがありまして、国が示していないから県の計画にもうたえないといったことも多々あるのではないかと思いますけれども、国が盛り込んでいないからそれを示さなさいということではなく、むしろ国が示していないからこそ、先ほども言いました海水温の問題にしろ、内水面漁業の問題にしろ、あえて本県の計画には入れてほしかったなと思うところであります。  そこで、最後に、部長にお聞きしたいと思います。この実行計画は完成されたということではありますけれども、文言等の加筆修正、項目の追加は難しいということではありますけれども、この計画に基づき、今後、各部局、課ではそれぞれ事業計画を実施することになっております。したがいまして、計画に記載されている施策を着実に実行するためには、環境部が音頭をとる、陣頭指揮をとっていただくということで、全庁を挙げて、この計画に示された施策を実行していただくことが肝要だと思います。その点について、部長の決意もあわせてお考えをお示しいただきたいと思います。 311 ◯井上忠敏委員長 野田環境部長。 312 ◯野田環境部長 地球温暖化は最も重要な環境問題の一つでありまして、この影響は幅広い分野に及ぶということで、全庁的に対策を推進することが必要不可欠でございます。  特に今後は、委員も御指摘ございましたけれども、気温の上昇等によります農産物の品質低下とか水産業への影響とか、こういう気候変動による被害を最小化する、あるいは回避するための適応策の検討が非常に重要だと思っております。  このため、環境部といたしましては、関係各部に対しまして、積極的に温暖化に関します最新の知見あるいは国の施策などの情報提供を行いますとともに、この計画全体の進捗状況の把握管理、評価などを行いまして、計画の実効性が上がるように、環境部としてリーダーシップを発揮してまいりたいと考えております。 313 ◯原中誠志委員 地球環境の変化に伴いまして、一項目のツマアカスズメバチの問題もそうですし、海洋におきましては南方系の魚が福岡県近海でもとれるという状況があっておりまして、地球環境全体が福岡県に対する、いろいろな意味で、食料問題も含めて環境に及ぼしているという状況があります。
     したがいまして、先ほど部長がお答えになりましたけれども、この実行計画に書かれてあります諸施策に、しっかりと全庁を挙げて取り組んでいただきますように重ねて要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 314 ◯井上忠敏委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 315 ◯井上忠敏委員長 ないようですので、以上で第四款環境費に関する質疑を終わります。  以上で本日の議事を終了いたします。  なお、明日十七日の委員会は午前十一時に開き、歳出第五款生活労働費及び第六款農林水産業費の審査を行う予定でありますので、よろしくお願いいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午 後 四 時 十 七 分 散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...