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平成28年12月定例会(第9日) 本文
平成28年12月定例会(第9日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2016-12-09
    平成28年12月定例会(第9日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(佐々木 徹君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。伊豆美沙子君。(拍手) *伊豆議員質問 2 ◯四十番(伊豆 美沙子君)登壇 おはようございます。自民党県議団伊豆美沙子でございます。本日は、大正十二年に我が国初の公立の女子専門学校として誕生し、九十三年もの長い間、一万二千人の女性リーダーを輩出してこられました県立の福岡女子大学の女子大生の皆さんが傍聴に来ていただいております。  では、通告に従いまして、児童虐待への対応について質問いたします。  児童虐待に関する相談件数は依然として増加の傾向が続き、幼い子供の命が奪われる凄惨な事件が連日のように新聞に報道されております。平成二十七年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待の件数は初めて十万件を超えて過去最高を記録し、本県においても初めて二千件を突破し、過去最高の二千三百九十八件となっています。増加している背景としては、少子化や核家族化、地域社会のきずなの希薄化などに伴う家庭の孤立化と養育力の低下、親にかかるストレスの増大などにより、児童虐待そのものがふえているということもありますが、行政などの取り組みにより、児童虐待への関心が高まった結果、これまで潜在化していたケースが顕在化したこともその要因となっているのではないかと思います。  自由民主党女性局では、これまで街頭演説やチラシ配布など全国統一の女性一斉行動を展開しながら、児童虐待の問題に取り組んでまいりました。その一環として、児童虐待の早期発見のための児童相談所全国共通ダイヤルを十桁から三桁にするよう、政府に働きかけてまいりました。そして、長年にわたる取り組みの結果、昨年七月に、全国どこからでも三桁の番号をダイヤルするだけで児童相談所へ電話がつながる、いわゆる一八九、イチハヤクのシステムが昨年導入されたことは皆様御承知のとおりでございます。新聞報道によると、全国共通ダイヤルを通じて児童相談所にかかってきた電話の件数は、番号が十桁であった平成二十六年度の二万百四十四件から、三桁化された二十七年度には二十三万三千八百八十件へと急増しているとのことです。私たち自民党女性局の地道な取り組みが実を結んだものと言えると思います。  そこで知事にお尋ねします。知事は、この一八九、イチハヤクの導入をどのように評価されていますか。また、県として一八九、イチハヤクの周知にどのように取り組まれてきたのでしょうか。  一八九などを通じ児童相談所に寄せられる通告や相談は増加を続けており、また昼夜を問いません。第一線の職員の皆さんは二十四時間体制で対応を行っておられるとのことであり、こうした大変な業務に従事していただいている職員の皆さんに対し、改めて心からの敬意と感謝をあらわすところでございます。  児童虐待未然防止と早期発見には、児童相談所だけではなく市町村、警察、学校などの関係機関が情報を共有し、連携していかなければならないと思います。情報共有の取り組みの一環として、県では県警察、両政令市と、児童虐待が疑われる児童の情報共有に関する協定を先日締結されたと伺っています。この協定の狙いと内容はどのようなものなのかお答えください。  児童虐待へ的確に対応していくためには、中核的役割を担う児童相談所マンパワーを充実し、市町村などの関係機関を含めた支援体制を強化していくことが必要不可欠であることは、これまで県議会にて多くの議員の方々が提案されてきたところであります。こうしたことから、ことしの六月に児童福祉法が改正され、児童相談所や市町村の体制強化が盛り込まれました。知事は、さきの六月議会で、法改正を踏まえ、児童相談所の人員体制の強化を行うとともに、児童福祉司などの専門職の配置を進めていくことを表明されましたが、今後、児童相談所職員体制をどのように充実していかれるのか、その具体的な方針についてお尋ねしたいと思います。  職員体制の充実に加え、児童相談所施設整備も、子供や親に対する効果的な支援を行うためには欠かすことができません。私の地元の宗像児童相談所は、平成二十一年、福岡児童相談所の支所から本所に格上げされましたが、庁舎は借家で手狭であることに加え、一時保護所が設置されておりません。児童相談所の重要な機能である一時保護を、自前の施設でできる庁舎の整備を関係者一同望んでおりましたが、今年度予算において一時保護所を備えた新たな庁舎の設計費が計上されました。ようやくという気持ちもありますが、とにもかくにも施設整備を決断していただいたことに感謝しております。関係者の皆さんはもちろん、私もその一員ですが、一刻も早い庁舎の完成を心待ちにしています。  そこでお尋ねいたします。宗像児童相談所施設整備はどのようなスケジュールで進められるのか、また新たな施設の概要はどのようなもので、一時保護所の設置に伴う職員体制はどうなるのか、つまびらかにしていただきたいと思います。  さらに、宗像以外の児童相談所施設整備については、どのようなお考えをお持ちなのでしょう、あわせてお答えいただきたいと思います。  児童虐待への対応に当たっては、児童相談所の充実に加え、市町村、教育、医療、警察、地域の関係団体などの間の連携体制を強化していくことも必要不可欠ではないかと考えます。そのような観点から、特に地域のボランティアである民生委員児童委員の活用と行政機関との連携強化についてお尋ねしたいと思います。家庭の養育力が低下し、社会全体で子育て家庭を支援することが重要になっています。このような中で、住民の立場に立ち、住民との信頼関係の中で子供や子育て家庭への支援活動を行う民生委員児童委員の必要性は高まるばかりですが、一方で、民生委員児童委員の活動が地域に理解されていない、行政機関などから活動のベースとなる情報が適切に提供されていないなどの声もあることは御承知のとおりです。平成二十一年三月に国は、学校や地域と民生委員児童委員が連携した活動事例を紹介し、地方自治体において民生委員児童委員を積極的に活用した、児童の健全育成や家庭教育支援施策を推進するよう通達しています。しかしながら、ボランティアとして熱心に活動を行っておられる民生委員児童委員の方たちから私のもとに、学校現場の状況や活動に必要な情報開示が不十分であるといった声が寄せられています。児童虐待対策における民生委員児童委員の役割についてどのように評価し、活用を図っていくのか、知事の考えをお聞かせください。  民生委員制度は、来年で創設百周年を迎える歴史のある制度ですが、その活動を取り巻く状況は、少子、高齢化の進展や地域社会のきずなの希薄化など大きく変化しています。このような中で、地域の赤ちゃんから高齢者まで、全てを民生委員児童委員がカバーすることは非常に難しくなってきているのではないでしょうか。また、民生委員の改選の時期は十二月となっていますが、行政は言うまでもなく、多くの会社や団体の人事の時期が四月となっており、人材の確保に支障を来しているという声もあります。私は、さまざまな状況の変化などに応じ、民生委員児童委員制度の改革も視野に入れるべきときに来ているのではないかと考えます。制度の改革は国の所管する事項ではありますが、県行政においても、そのような点も意識していく必要があるのではないかということを指摘しておきたいと思います。  「さしのべて あなたのその手 いちはやく」。これはことしの児童虐待防止推進月間の標語です。児童虐待を防止し、子供の健全な心身の成長と自立を促すため関係行政機関が緊密に連携し、切れ目のない総合的な支援を行われるようお願いするとともに、私たち一人一人も、未来の社会を担う子供たちが安心して生きていける社会の実現を目指し、手を差し伸べていくべきだと思います。県民幸福度日本一を掲げられる小川知事には、ぜひとも子供たちの笑顔に結びつくような温かい答弁をお願いして、私の質問を終わります。(拍手) 3 ◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
     まず初めに、児童相談所全国共通三桁ダイヤルでございます。昨年の七月の、この全国共通ダイヤルイチハヤク、その導入によりまして、県の児童相談所に寄せられた通告、相談件数は一月当たり平均五十四・五件と、導入前の約二倍となっております。このことから、イチハヤクは、児童虐待の疑いのある事例の通報を促していくために有用なシステムであると考えております。県では、このイチハヤクに対する県民の皆様の認知度を高めていくために、新聞の全面広告、全戸配布の広報紙、またテレビ広報番組、ポスター、チラシ、県のホームページなどを通じまして、繰り返しその周知を図ってきているところであります。  児童虐待が疑われる児童の情報共有に関する協定についてお尋ねがございました。この協定は、児童虐待未然防止とその早期発見を図ることを目的に締結をしたものでございます。その内容についてでございますが、児童虐待のおそれがあるとして警察署に寄せられました通報のうち、児童相談所への虐待通告には至らない事例につきましても、県、北九州、福岡両政令市、そして県警察がその情報を共有するというものでございます。  次に、児童相談所における職員体制についてでございます。本県におきましては、児童虐待防止法が施行された平成十二年度からこれまでに、県内六つの児童相談所の職員数を八十五名から百五十八名へと大幅に増員をしてまいりました。今後、相談支援業務を担当する児童福祉司及び心理カウンセリング等を行う児童心理司につきましては、今回の児童福祉法の改正により示されました配置基準というものを踏まえていきますとともに、業務の実態に応じた体制の充実に努めてまいります。また、法改正により児童相談所へ配置することとされた保健師、弁護士のうち、保健師につきましては、児童の健康及び心身の発達に関する専門的な指導を充実するために、新たに必要な職員の配置を検討してまいります。弁護士につきましては、本県におきましても保護者が弁護士に依頼するケースなど法的に複雑かつ困難な対応を要する事例が増加をしております。このため、来年度から職員として弁護士を配置する方向で、現在その検討を進めているところでございます。今後ともこれらの取り組みによりまして、児童虐待の急激な増加に的確に対応し、複雑な家庭環境を抱えた児童や発達障害児に対するきめ細かな支援が可能となる職員体制の充実に努めてまいります。  次に、児童相談所施設整備についてお尋ねがございました。まず、宗像児童相談所につきましては、来年度前半までに基本設計と実施設計を行いまして、その後、本体工事に着手をし、平成三十年度中の竣工を予定いたしております。相談支援業務は、その竣工後速やかに、また一時保護業務については、三十一年度当初の開始の予定で作業を進めているところでございます。宗像の新庁舎は、新たに一時保護所を併設をし、被虐待児など集団生活が困難な児童への配慮、児童の状況に応じた適切な援助が容易となるよう、少人数の居室というものを複数設けることといたしております。また、相談室等につきましては、落ちついて相談ができるようプライバシーの保護に留意したものにしたいと考えております。また、一時保護業務を開始するに当たりましては、児童指導員等の必要な人員を新たに配置をしてまいります。宗像以外の児童相談所につきましては、久留米の児童相談所には児童居室が事務室から死角になっているなどの施設構造上の問題がございまして、無断外出、児童間の暴力の発生が特に顕著となっております。そのことから、その改善を最優先課題として対応策を取りまとめてまいります。他の児童相談所につきましても、改善すべき点がないか、今後検証を進めてまいります。  次に、児童虐待対策における民生委員児童委員の役割についてでございます。民生委員児童委員は、日ごろからそれぞれの地域で、子育て家庭に対しまして、みずからの経験を生かした助言、地域の子育て支援に関する情報の提供というものを行っていただいております。また、市町村からの依頼に基づく家庭の調査、また見守りも行っていただいておりまして、こうした活動が児童虐待を防止する上で重要な役割を果たしている、このように考えております。県におきましては、これまで子ども虐待対応マニュアル子ども虐待対応ハンドブックというものを作成をいたしまして、児童虐待における民生委員児童委員の皆様の役割等について、市町村を初め関係者、関係機関に周知を図ってまいりました。今後とも、この民生委員児童委員の皆さんが効果的な活動を行っていただけるよう、市町村に対しまして民生委員児童委員への適切な情報提供等を促していき、虐待の未然防止在宅支援等の充実に努めてまいります。 5 ◯副議長(佐々木 徹君) 井上博隆君。(拍手) *井上(博隆)議員質問 6 ◯二十二番(井上 博隆君)登壇 皆さん、おはようございます。民進党・県政クラブ県議団の井上博隆です。通告に基づきまして一般質問をさせていただきます。  まず、産業廃棄物税のあり方についてお伺いします。本県は、地方分権一括推進法の施行に伴い産業廃棄物の排出抑制、再生利用等の促進を図り、循環型社会の実現に資するため、平成十七年度に地方税法に基づく目的税として産業廃棄物税、いわゆる産廃税を導入しました。産廃税は、産業廃棄物焼却施設または最終処分場への搬入に対して課税するもので、排出事業者の排出抑制とリサイクルに向けた取り組みに誘導することを目的とし、徴収された産廃税は、産業廃棄物リサイクル施設整備費や産廃不適正処理対策費市町村産廃対策支援事業費などの事業に対して充当されています。  そこでまず一点目に、産廃税の効果についてお伺いします。産廃税は導入以来五年後、十年後の二度にわたってその効果を検証していますが、近年、焼却施設への搬入量、最終処分場への搬入量はともに、おおむね減少傾向にある一方で、産業廃棄物の排出量はほぼ横ばいの状況にあります。このことに関する知事の認識と、使途事業を含め産廃税の効果をどのように考えていらっしゃるのかお聞かせください。  二点目に、産業廃棄物税収使途事業のうち、産業廃棄物リサイクル施設整備事業についてお伺いします。この事業は、循環型社会の形成に寄与する効果が大きいと認められる産業廃棄物リサイクル施設の整備に対し、補助率三分の一以内、または上限三千万円の補助金を交付するもので、平成十七年度に同制度が創設されて以来、これまでに十九件の事業が採択されています。本事業の補助対象となるための要件は、先導性があり他のモデルとなることや、産業廃棄物リサイクル、減量効果が高く、県内への波及効果が見込めるものとなっています。目的税の使途事業である以上、本事業を通して本県の産業廃棄物の減量化やリサイクル化といった事業目的がどの程度達成されているのか、あるいは他のモデルとなる先導性のある技術が本県においてどのように波及しているのかということを検証する必要があると考えますが、このことに対する知事の見解をお聞かせください。  三点目に、産業廃棄物税収使途事業のうち、市町村産廃対策支援事業についてお伺いします。本事業は、市町村が行う周辺地域環境調査事業廃棄物確認調査事業などの産業廃棄物適正処理確認事業や、不法投棄防止対策事業に対して補助金を交付するものです。制度導入以来十二年間でこの補助事業を利用した市町村数は延べで九十一ですが、一部の市町村が多年度にわたって複数回利用しているケースが多く、実際には二十一の市町村しか本事業を利用しておりません。目的税の使われ方として公平性という観点から大きな疑問が残りますが、このことに対する知事の見解をお聞かせください。  また、今後市町村に対して本事業のことを周知徹底するために、どのような方法をとられるのかお聞かせください。  四点目に、産業廃棄物税収使途事業の見直しのあり方についてお伺いします。近年、焼却施設最終処分場への産廃搬入量がおおむね減少傾向にあるということはさきに述べましたが、産廃の搬入量が減るということは当然、税収も減少傾向にあるということになります。平成十九年度には三億七千万円余あった税収は、平成二十五年度には一億九千万円余まで減少し、積立金もピークの平成二十年度には三億六千万円余あったものが平成二十七年度には一億五千万円余にまで減少しております。税収の減少傾向は今後も続くことが予測されており、税収使途事業に関しても、どの事業を重点化し、どの事業を縮小するかなどの見直しが必要になると考えますが、このことに対する知事の見解をお聞かせください。  次に、本県の伝統工芸品認知度向上と販売拡大についてお伺いします。長い歴史と風土の中で培われてきた我が国の伝統工芸品並びに伝統工芸品産業は、伝統的技術、技法を伝承するとともに、国民生活に豊かさと潤いを与えてきました。地域において伝承されてきた伝統工芸品は、地域で生きていく上での必要不可欠な生活様式そのものであるということもでき、本県に伝わる伝統工芸品はまさしく本県の歴史や伝統を今につなぐ本県の映し鏡であると考えております。本県の誇るべき伝統工芸品は、経済産業大臣伝統的工芸品として指定された博多織、久留米絣、小石原焼、上野焼、八女福島仏壇、八女提灯、博多人形の七品目と、これらに加えて福岡県知事特産民工芸品として指定した福津市の津屋崎人形、大川市の大川組子、久留米市の籃胎漆器、大木町の掛川、みやま市の天然樟脳など三十三品目があり、合計で四十品目となります。  本県の伝統工芸産業は、時代の変遷とともに、職人の高齢化や後継者不足、生活者のライフスタイルの変化や大量生産による安価な生活品の普及などにより、存続すること自体が非常に苦しい状況に追い込まれている一方で、小石原焼の小石原ポタリーや久留米絣のTUGU、掛川のKUSAWAKE、大川家具のSAJICA、博多織のサヌイ織物など、それぞれに伝統をしっかりと踏襲しながらも、その枠にとらわれることなく現代的な感性やテイストをあわせ持たせた伝統工芸品づくりにチャレンジする若手職人やブランドも台頭しており、時を捉えて本県としても伝統工芸品並びに伝統工芸品産業に対して積極的な関与と支援を行うことが必要であると考えます。  そこでまず、本県における伝統工芸品並びに伝統工芸品産業の置かれた現状について、知事はどのように認識していらっしゃるのかお聞かせください。  次に、伝統工芸品販路拡大策についてお伺いします。伝統工芸品の振興と、そのために必要な支援を考えたとき、最も重要な観点は、その伝統工芸品で食べていけるのか、つまり、その伝統工芸品で生計が立てられるだけの収入が得られるのかということに尽きます。当然、各伝統工芸産業の創意工夫や自助努力も必要となりますが、本県としては販路拡大支援を行うことが最も重要になると考えます。本県では、伝統工芸産業の活性化のために産地情報の発信や販路拡大を目指し、昨年から首都圏マーケティング事業をスタートさせていますが、本マーケティング事業を通して本県の伝統工芸品の販路拡大のために一体どのような成果が上がっているのか、またどのような課題が抽出されているのかお聞かせください。  次に、本県が毎年開催しております伝統的工芸品展についてお伺いします。この伝統的工芸品展は、福岡県と福岡県伝統的工芸品振興協議会アクロス福岡出展協議会が主催し、本県の経済産業大臣指定の七つの伝統的工芸品アクロス福岡で展示販売するというイベントです。この工芸品展は、九州や福岡にお住まいの方に本県の伝統工芸品をPRし、購買活動につなげるためには絶好のイベントであると考えます。ことしは第四十回という記念すべき年でもありましたので、私も非常に楽しみにアクロスへと向かいました。しかしながら、大変残念なことに、少々寂しい思いをして帰ることとなりました。何がそう思わせたのかというと、余りにも会場が狭いということ、余りにも出展作品数が少ないということ、そして余りにもお客さんが少ないということからでした。出展していた職人さんに後日お話を伺ったところ、会場が狭い関係で、それぞれの伝統工芸品出展スペースが狭く、出展作品数に制限が出てしまっている、出展作品数が少ないと大した売り上げが見込めないことから他の職人さんたちの協力が得にくくなる、結果として一部の世話役の職人さんたちが参加するだけの寂しいものとならざるを得ないという問題意識をお持ちでした。  知事もアクロスに足を運び、本展を観覧されたと聞いております。その内情を十分に御理解されているものと思いますので、まず本展に対する率直な御感想をお聞かせください。  その上で、アクロスの常設展は別としても、年に一度の伝統工芸品展にあっては、その重要性に鑑み、経済産業大臣指定の七品目に限るのではなく、知事指定の三十三品目も加えた上で、もっと大きな会場で、もっと大きな規模で開催したほうが集客も見込め、販売効果もPR効果も大きくなるのではないかと考えますが、このことに関する知事のお考えをお聞かせください。  最後に、伝統工芸品の世界戦略についてお伺いします。二〇一九年にはラグビーワールドカップ、そして二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが日本で開催されます。これまでのように電化製品や医薬品ばかりを買い求める人たちだけではなく、欧米を中心に、日本の文化や伝統工芸品に関心が高く審美眼を備えた訪日客の増加も見込まれており、これはまさしく本県の伝統工芸産業にとっても大きなチャンスであると考えています。本県でも県庁十一階のよかもんひろばやアクロス福岡匠ギャラリーなどでの伝統工芸品の展示販売のほか、首都圏マーケティング事業などに取り組んでいらっしゃることには一定の評価をするものであります。しかしながら、本県の伝統工芸品認知度向上販売力強化という意味ではまだまだ十分ではないと感じています。今後、首都圏や本県を訪れた外国人を初めより多くの方々に本県の伝統工芸品のすばらしさを知ってもらい、実際に購買活動に結びつけてもらうためには、東京や大阪、さらには、近年和文化への需要が高まりつつあるロンドン、パリ、ニューヨークなどの海外においてもマーケティングプロモーション活動工芸品展などを展開することも真剣に考える時期に来ているのではないかと考えますが、このことに対する知事の御所見をお伺いいたします。  以上、知事の夢と希望にあふれる回答を期待いたしまして、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)。 7 ◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。 *知事答弁 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、産廃税についてでございます。この産廃税は、平成十七年度から産業廃棄物の排出の抑制、そしてリサイクルの促進を目的に導入したものでございます。排出者が産業廃棄物焼却施設最終処分場に搬入する際に、その量に応じて課税をするものでございます。産業廃棄物の排出量につきましては、御承知のとおり景気の動向に大きく影響を受けるものでございます。産廃税導入後、経済活動が低迷した時期には、一時的にその排出量が減少し、その後経済の回復に伴いまして増加に転じ、平成二十三年以降はほぼ横ばいの水準で推移いたしております。減少傾向には至っておりません。しかしながら、産廃税導入以降、焼却施設及び最終処分場への搬入量、これを見ますと、平成十八年の約三十八万トンから、平成二十七年には約十九万トンと半減をいたしております。リサイクルの促進が図られているものと考えております。また、産廃税収につきましては、リサイクル施設の整備に対する補助事業、また廃棄物不法投棄等対策専門員による立ち入り指導などに活用されておりまして、リサイクルの一層の推進、また大規模不法投棄件数の減少にも寄与しているところでございます。  リサイクル施設整備費補助事業についてお尋ねがございました。平成十七年度の事業実施から昨年度までの十一年間で十九件の補助事業を採択をし、一件当たり最大で約三千万円の補助金交付を行ってきたところでございます。この事業の効果を検証していくために、補助事業者に対して補助事業終了後の三年間、その事業経過報告書の提出を義務づけておりますほか、その後も必要に応じて報告を求めてきております。これらの報告によりまして、受け入れた廃棄物の種類、量、リサイクル製品の生産、販売実績、その波及効果、これらについて検証を行ってきております。これまで採択をいたしました十九件のうち、事業継続をしているものが十二件ございます。それぞれリサイクル量が増加するなど一定の成果を上げております。また、補助対象となりました、例えば建設汚泥から流動化処理土を製造する事業におきましては、新たな事業者がこの分野に参入するなど波及効果も生まれてきているわけでございます。ちなみに、この対象となりました流動化処理土というのは、さきの博多駅の陥没事故で使われた製品でございます。  次に、市町村産廃対策支援事業についてでございます。住民の安全、安心の向上を図る観点から、産業廃棄物最終処分場周辺の環境調査及び処分場に搬入される廃棄物の確認調査、また不法投棄防止対策に関する施策を実施する市町村に対して補助をしているものでございます。この事業につきましては、毎年開催をする市町村廃棄物担当者説明会におきまして、事業内容等の説明を行うとともに、事業募集を行う際にも改めて全市町村に対し通知をいたしているところでございます。その結果、最終処分場のあります市町村や不法投棄が発生しやすい市町村などがこの事業を活用されているところでございます。  産廃税収使途事業の見直しについてでございます。税収使途事業については、制度創設の際に設置をいたしました有識者による専門家会議の御意見を踏まえて、産業廃棄物の排出抑制とリサイクルの促進、環境人材の育成、産業廃棄物の適正処理体制の整備、そして市町村の環境行政支援、この四つの施策に充ててきているところでございます。産廃税収は、産廃税の効果が発揮されればされるほどリサイクルが進み、減少することが見込まれます。産廃税収使途事業につきましては、これまでも必要に応じて見直しを行ってきたところでございますが、今後とも税収の動向を踏まえながら、事業の必要性、緊急度、これらを勘案し、見直しを行ってまいります。  次に、伝統工芸品産業に対する現状認識でございます。伝統工芸品産業は、それぞれの地域に密着した生活用品を提供し、私たちの生活に潤いや豊かさを与える産業として長い歴史の中で地域で育まれてきたものでございます。また、本県の重要な観光資源でもあります。しかしながら、伝統工芸品産業は、生活様式の変化や海外からの安価な輸入品の増大、さらには国内の人口減少等によりまして、その生産額が減少し、事業者数、従業員数ともに減少傾向にございまして、大変厳しい状況にあると、このように認識いたしております。一方で、二〇一九年のラグビーのワールドカップ、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック等それらの開催を控えまして、今後欧米等から、議員も御指摘になりましたが、日本の伝統文化や工芸品に関心の高い訪日客の増加というものが見込まれております。伝統工芸品産業にとりまして、またとないチャンスではないかと、このように考えております。  首都圏マーケティング事業についてお尋ねがございました。この事業は、訪日外国人への販売を見据え、首都圏市場への進出を目指す県内の伝統工芸品事業者の販売の拡大を支援することを目的といたしております。具体的には、首都圏を基盤として海外への展開も手がけております専門事業者と連携をいたしまして、あらかじめマーケティングや販売戦略を立てた上で、東京ミッドタウン内にあります伝統工芸品専門店におけるテスト販売、これらを行いまして、これを通じて消費者の声を反映した新たな展開を促すものでございます。昨年度は、この事業に二十三社が参加をし、そのうち十四社が新たな取引を開始をされております。今年度は三十三社が参加をいたしております。また、この事業をきっかけといたしまして、小石原焼や八女福島仏壇の産地組合がそれぞれ伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づく振興計画の策定に向け動き出すなど、産地を挙げた取り組みへとつながっているところでございます。しかしながら、さらなる認知度向上と販路の拡大が必要でございまして、本年度からは生産者、販売者と異業種、異分野の事業者との交流を始めたところでございます。今後、そういった成果も踏まえながら、新たな展開につなげていきたいと、このように考えております。  伝統的工芸品展に対する感想と今後の規模拡大についてお尋ねがございました。私は、通商産業省勤務時代に、制定間もない伝産法の運用に携わっておりまして、初期のころ、伝統的工芸品の指定業務に携わっておりました。それ以来、ずっと関心を持ってやってきております。このため、県内の伝統工芸品を一堂に展示をしておりますアクロス福岡匠ギャラリーにはたびたび足を運んでおりまして、ことしの九月十七日には、福岡県伝統的工芸品展にも行かせてもらいました。この展示会におきましては、県内七つの伝統的工芸品産地から職人の皆さんの高度な技術によるすぐれた作品約二百点が展示をされました。匠ギャラリーに隣接する会場におきまして多くの伝統的工芸品の魅力を紹介するいい機会になったのではないかと考えております。一方で、より充実させる点もあろうかと思っております。例えば、展示会の規模の拡大についてでございますけれども、伝統的工芸品産業には小規模の事業者が非常に多うございます。そういうことから、事業所の外での活動ははなかなか難しいといった課題も一方でございますために、産地組合の皆様の御意見も聞きながら、常設の匠ギャラリーとの連携も含め、どのような手法が有効であるか検討を進めていきたいと思います。  次に、東京や海外における伝統工芸品のプロモーションやマーケティングについてでございます。県におきましては、現在、東京ビッグサイトで開催をされる国内最大級の東京国際家具見本市、また都内百貨店で開催される全国伝統的工芸品わざ展などへの出展に対する支援を通じまして、県内伝統工芸品のPRに努めているところでございます。ことしの六月、外国人を含め三万八千人がこちらに来られましたライオンズクラブの国際大会、また先般開催されましたワンヘルスに関する国際会議など、あらゆる機会を捉えまして、伝統工芸品の展示販売というものを行っているところでございます。また、本年度新たに海外需要を取り込むための補助制度をつくったわけでございますが、これを活用して、小倉織の生産者がイタリア・ミラノで展示会に参加したほか、小石原焼の組合がフランス・パリで行われておりますジャパン・エキスポに出展するなど新たな動きにつながってきております。これに加えまして、ことし十月から六カ月間、経済産業省がパリで実施をしております常設展示とテストマーケティングに、小石原焼を初め県内の工芸品生産者五社が今参加をしているところでございます。海外需要の取り込みに当たりましては、綿密なマーケティングというのが必要でございます。伝統工芸品の生産者が、先ほど申し上げました首都圏マーケティング事業で培った、売れる物づくりの視点、ブランディング戦略、そして商品が持つ魅力の伝え方など、それらを十分に活用できるよう、私ども県が海外情報の動向を収集いたしまして、それを提供してまいりたいと考えております。このようなことを通じまして、これまで以上に本県の伝統工芸品の認知度の向上と販売の拡大の取り組みを支援をしてまいります。 9 ◯副議長(佐々木 徹君) 井上博隆君。 10 ◯二十二番(井上 博隆君)登壇 知事に二点要望をいたします。  まず、産廃税収使途事業の見直しに関してです。中でも市町村産廃対策支援事業の見直しに関して、一点要望申し上げます。私が何でこの質問をしたかというと、実は、市町村には、産廃は県がやるものだろうという固定観念があります。ですので、市町村が産廃税収使途事業の中に市町村支援メニューがあるということを知らないケースというのが、私の経験でもありました。実際に、この事業で何をやっているかというと、産廃対策として森などに産廃を捨てないでくださいといった看板や監視カメラをつけるような取り組みであったりとか、産廃の最終処分場周辺の水質検査を行っております。その一方で、同じ産廃問題でも、悪臭や煙といったものというのは、悪臭防止法などを根拠に、県ではなくて市町村でやってくださいというのが今の県の見解であります。同じく、県が許可した産廃で、水質検査はいいけれども悪臭問題はだめだよとか、県がやる仕事と市がやる仕事の線引きというのが非常にわかりにくくなっていまして、県に言わせると、水質検査に関しては県の事業の上乗せだから、市町村がやっていることに対しての補助金を出すんだと。しかし一方で、悪臭や煙といったものは、そもそもが県がやらない事業ですので、市町村がやっても上乗せにならないんです。そういった意味で、この制度をもうちょっと、せっかく市町村支援というメニューがあるんですから、もうちょっとわかりやすいものにしていただきたいと思いますし、そういったことが、ひいては県民の福祉の向上になるのではないかというふうに思いますので、見直しの際にはぜひとも、そういった視点でわかりやすいものとなりますように要望したいと思います。  また二点目に、伝統的工芸品に関してですけれども、私も小石原に陶器を買いに行ったり、大川に家具を買いに行ったりします。きょうは大学生の方も来られているということですけれども、今の小石原焼って、本当にかわいらしくて、おしゃれなんです。ぜひとも皆さんにも買いに行ってほしいなというふうに思っておりますし、そういった伝統工芸品をつくっている、特に若手の職人さんたちは、本気で世界を視野に入れた創作活動を行われておりますし、実際に世界に通用する伝統工芸品が続々とでき上がっていると確信しております。県としても、これまで以上にしっかりとした支援を行っていただきますよう強く要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 11 ◯副議長(佐々木 徹君) 西尾耕治君。(拍手) *西尾議員質問 12 ◯二番(西尾 耕治君)登壇 皆さん、おはようございます。公明党の西尾でございます。それでは、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。  我が国日本では、戦後著しい経済、産業の発展が進み、昭和三十年ごろよりは高度成長社会と言われ、急激なモータリゼーションの進展に伴い、国民の自動車保有台数の急増と、国内の、地方にも及ぶ道路整備が進む中、場所によっては過密な都市環境と交通状況が相まって、道路の周辺地域、沿道地域における自動車の騒音、振動問題が該当地域の住民問題として各地で発生し、これらの諸問題の解決が大きな問題となっております。私も、十八年間の議員活動の中では、市民相談としてこのような相談はかなり多く、解決へと進んだ内容もありましたが、なかなか解決への道筋が見えない事案があったことも現実であります。そこで、県内に主要な幹線としての県道を多く抱え、その管埋責任者であります県、県知事、関係部局にお伺いいたします。  まず、県内における道路交通の情勢、交通量の推移、自動車保有台数と道路整備状況の関連性を伺います。恐らく、県内の保有台数も交通量も増加しているとは思われますし、道路の整備状況の改善も進んでいることとは思いますが、特に福岡市近郊のような都市部とその周辺は、アイランドシティの開発のように、都市計画に基づいてとはいえ、相当量の車両の通行が劇的にふえていることだろうと考えられます。したがって、同様に比例して、騒音、振動の苦情、問題も増大していることと容易に想像ができます。  自動車の騒音、振動の原因として、自動車の走行に伴い発生している騒音には、自動車そのものが発生源である場合、エンジンなどの内燃機関からの発生音やタイヤと路面の接触部分から音を発するものなどがあり、道路交通振動には、道路上でのスピードや信号などの走行条件のほか、道路の構造や成層条件にかかわる地盤振動性状によるもので、特に路面の凹凸や、高架道路の継ぎ目などにより発生する衝撃性の音と同時に発生する振動は、その大きさが格段と大きく、顕著であるとの事例と考察もあります。一般的には、騒音、振動問題の起因箇所は、ポイントが決まっているという局所的な場所が多く、日常生活に直接影響を及ぼすため、苦情の多発につながります。特に、夜間には音も振動も共鳴しやすく、昼間に比較して相当量増幅されますので、被害を受けている当事者である住民への直接的な影響と、感情という心の部分で精神的な影響も当然拡大されます。したがって、限定された特定の地域における大きな住民問題となっていることが多く見受けられます。  そこで確認いたします。このような問題が持ち上がった場合は、住民の方はどこに相談したらよいのでしょうか。また、県で相談するとした場合の窓口はどこで、どのような対応をとられるのか伺います。  環境省では、地域の生活環境にかかわる問題への対策として、自動車交通騒音、振動対策を大きな柱として取り上げております。そして、これらの問題を抜本的に解決するために、自動車単体の構造の改善による騒音の低減などの発生源対策や、交通規制やバイパスの整備、物流拠点の整備などの交通流対策、定期的な道路の舗装工事や関連構造物の改修工事、あるいは空隙の多い舗装を敷設し、道路交通騒音の低減を図る低騒音舗装の設置や、遮音壁の設置などの道路構造対策、道路交通騒音の著しい地区において、緊急措置としての住宅などの防音工事助成により障害の軽減を図り、また各種支援措置を行う障害防止対策などを打ち出しております。また、道路交通騒音問題の解決のためには、地方公共団体の環境部局、道路部局、都市部局、都道府県警察などの関係機関が密接な連携を図る必要があります。また、大都市ではありますが、東京都では、道路騒音、振動対策として、優先的対策道路区間を設定し、低騒音舗装の導入や、交通規制、交通指導取り締まりなど各種対策の実施を促進して、道路交通騒音、振動の改善に努めていますし、大阪府では、自動車騒音・振動の現況・対策ということで、関連するたくさんの内容について、体系立てをして、文書、成果物として詳細にまとめておられます。  本県においては、このように関係する機関が連携して独自にされている施策はないように思われますが、本県の自動車騒音、振動対策についてはどのように行われているのかお尋ねいたします。  県内の幹線道路の近くでは、騒音、振動が環境基準の範囲内であっても、地域住民の方が困っておられる例は、かなりあると思われます。国では、自動車からの騒音や振動が「環境省令で定める限度を超えていることにより道路の周辺の生活環境が著しく損なわれると認め」られる場合に、市町村長が「都道府県公安委員会に対し、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)の規定による措置」を要請することができるとはなっておりますが、現実の環境省が定める限度の数値は、騒音が、昼間七十デシベル、夜間六十五デシベル、振動が、昼間六十五デシベル、夜間六十デシベルとかなり高い数値であります。一方、平成二十四年の環境省告示第五十四号によりますと、騒音にかかわる環境基準が、専ら住居の用に供される地域、いわゆる住居専用地域で、二車線以上の車線を有する道路に面する地域での基準値が、昼間六十デシベル以下、夜間五十五デシベル以下となっていることから、対策を進める要因の環境省の限度数値そのものが、住宅が密集している地域や住居が隣接している地域では不合理があるとも考えられます。こういったことからか、国では、平成十二年に発令した騒音規制法第十七条第一項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める総理府令の中で、第四条「学校、病院等特に静穏を必要とする施設が集合して設置されている区域又は幹線交通を担う道路の区間の全部又は一部に面する区域に係る限度は、都道府県知事及び都道府県公安委貝会が協議して定める自動車騒音の大きさとすることができる。」とも規定されています。これは、管理する自治体の裁量で、場合によっては、明らかに迷惑をこうむっている地域において騒音、振動の限度基準を改めて設定できると解釈できます。  そこで、このような法令を上手に利用し、本県内で困っておられる地域住民のために、規制の限度を厳しくできないものかお伺いいたします。  先日、新宮町、県道湊下府線の沿道の住民の方たちの御意見を受けました。県道湊下府線は、平成十四年に開通し、新宮町においては、三代地区から湊地区を結ぶ横断道路として大変に重要な道路となっておりますが、沿道で生活されておられる住民にとっては、自動車の騒音や振動に悩まされる道路となっており、開通当初より騒音、振動の解消について町へ要望がされておりました。道路の補修などについては、都度、実施されてはいましたが、根本的な解決には至っていないため、平成二十七年五月に関係住民が、県道五百三十七号線騒音・振動問題を考える会を発足し、七月には地元自治会の代表である湊坂区区長が、新宮町へ県道五百三十七号線における諸問題改善要望書を、直接影響を受けている住民の皆さん百四十名の方の署名とあわせて提出されました。新宮町では、その要望に伴い、平成二十七年から二十八年にかけて、二回にわたり自動車交通騒音、振動測定を実施されました。が、騒音は昼間も夜間も高い数値ではありましたが、基準値の昼間七十デシベル、夜間六十五デシベルにはいずれも届かず、振動も数値としては、やはり基準値の昼間六十五デシベル、夜間六十デシベルまでもなかったとのことでした。なお、住民の方々も専門の機械で測定したところ、騒音、振動に関して、全体としてはかなり高い数値を示したことと、加えて当該地区での交通量測定や通行車両の速度測定、暴走族の走行状況、交通事故などの履歴など詳細な記録を同町へ提出されておられます。地域の住民は、開通当初から日常的に繰り返し発生する暴走族による爆走音で夜もおちおち眠れず、さらに平成二十八年二月以降は、福岡市東区アイランドシティでの市場の開設に伴い流通関係の大型積載車両などの交通量が増加し、中には制限速度を守らないドライバーもいることから非常に危険であり、日中夜を問わない騒音や振動に心身ともに疲労こんぱいされ、健康上にも切実な問題となっております。  前述しましたように、国では、自動車からの騒音や振動が「環境省令で定める限度を超えていることにより道路の周辺の生活環境が著しく損なわれると認め」られる場合に、市町村長が「都道府県公安委員会に対し、道路交通法の規定による措置」を要請することができるとはなっておりますが、測定値としては基準値に届いていないため、また騒音規制法の中で、限度の変更を学校や病院などは該当しても住宅は外されているとの読み方や、幹線沿いは、むしろ限度の数値を逆に上げられるという法解釈をするならば、その手段もとれません。また、住民サイドで提出された数値や資料には法的な根拠もないため、判断の材料としては採用が難しいとも聞きました。まさに対象地の住民の皆さんにとっては八方塞がりの状況であります。そのため同町としては、当該地域の騒音及び振動の法規制など基準の見直しが国の法令に関連するため、重々難しいとは認識しながらも、周辺地域の住民の皆さんの気持ちを重く受けとめ、やむにやまれぬ思いで、道路管理者である福岡県担当部局へ先月初旬に要望書を出されたと聞き及んでおります。  そこで、測定した数値が、確かに指標となる基準値に微妙に達していなかったとしても、静ひつな住環境を維持し、住民の健康を守るという観点から、また長い時間が経過し、対策が進まないことからの失意で、諦めの境地にもなりかけようとしている関係者の皆さんの気持ちをそんたくし、人の道として、心の部分で何とかできないだろうかと考えれば、前述しましたような環境省の対策の数々を参考にして、道路状況の改善に関連する県土整備の立場から、このように困っている県内の地域に対して何らかの策を打てないものか、知事にお伺いいたします。  最後に、警察本部長にお伺いいたします。県内各地の住民の方から、暴走族がうるさくて眠れない、スピード違反の車が多くて危険であるとの声が聞かれます。これも安全面に加え騒音、振動の問題であると、私は思います。県警察では、県下の暴走族の取り締まりについて、どのように取り組まれておられるのでしょうか。また重大な事故の引き金となるスピード違反をする車に対して、どのような対策を講じているのかお伺いいたします。  私は、何よりも県民の安全、安心を守ることが、私ども議員と、県知事を初めとする執行部の皆さんの務めだと認識いたします。悩んでおられる県民の方がいらっしゃるなら、苦しんでおられる町民の方がいらっしゃるならば、相手の方に同苦し、相手の立場に立って一緒に悩む、そして少しでもお役に立てるように努力しようとする、知恵を出そうとしていくことが大切だと、私は思います。互いに、みずからの責任を自覚し、職務を推進していくことをともに確認し合い、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 13 ◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。 *知事答弁 14 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、県内における自動車保有数と道路の整備の状況でございます。自動車の保有台数につきましては、二十年前の平成八年四月時点の約二百七十七万台から、平成二十八年四月時点で三百三十四万台となってございまして、二一%の増加となっております。また、道路の整備状況についてでありますが、本県が管理をしております道路のうち、一般的に改良済みとされる大型車がすれ違うことができる幅員五・五メートル以上の道路が占める割合は、平成八年四月時点で五五%でありましたものが、平成二十七年四月時点で約七八%となってございます。着実に整備が進んでいる状況にございます。  自動車交通騒音、振動問題の相談窓口についてでございます。騒音規制法及び振動規制法に基づきまして、自動車騒音、振動の測定を行い、関係行政機関への改善の要請や意見を述べることができる権限を有しておりますのは市町村でございまして、その市町村が窓口となります。その上で、市町村から県に御相談があった場合には、環境部におきまして、騒音、振動の適切な測定方法や効果的な防音対策などにつきまして技術的な助言を行うほか、必要に応じて市町村が道路管理者や警察と協議を行う際の調整を行っているところでございます。  本県の自動車騒音、振動対策についてでございます。自動車による騒音につきましては、国が環境基本法に基づき、全国一律の環境基準を設定をいたしております。県におきましては、市と連携をいたしまして、道路に面する地域の騒音実態を把握するため、路線ごとの交通量を取りまとめた国の交通センサスをもとにいたしまして、交通量の多い路線について毎年調査を実施いたしております。平成二十年度から二十七年度までの間、四十二市町、三百一路線、一千百七十六区間の評価を行い、その結果を道路管理者に通知をいたしまして、環境基準を超えている区間については騒音対策の強化を要請しております。  自動車による振動につきましては、法律上全国一律の環境基準が設定されておらず、県による常時監視の義務もありません。騒音のような調査を、県としては今行っておりません。しかしながら、市町村から相談がありましたときには技術的な助言や関係機関との調整などを行っているところでございます。  騒音の要請限度の変更についてでございます。議員もいろいろ御指摘がありましたけれども、騒音規制法の規定というのは、学校、病院等、特に静穏を必要とする施設が集中している区域においては要請限度を厳しくできる、そういう趣旨でございます。このため、当該区域の実態を把握した上で、法律のこの要件に合致するかどうかを判断をいたしまして、合致する場合には、県公安委員会と、その要請限度を厳しくすることについて協議をすることとしております。  県管理道路における騒音、振動対策についてでございます。本県におきましては、環境基準を超える箇所を中心に遮音壁の設置、沿道への植栽、走行車両のタイヤ音などを吸収する低騒音舗装など地域の実情を踏まえた騒音対策を実施してきております。加えまして、日常巡視の中で、騒音や振動の発生原因となりますわだちや段差、そういった路面の変状を発見した場合には、速やかにその補修工事を実施いたしております。引き続き、これらの対策を通じまして沿道環境の保全に努めてまいります。 15 ◯副議長(佐々木 徹君) 樹下警察本部長。 *警察本部長答弁 16 ◯警察本部長(樹下 尚君)登壇 県下における暴走族の取り締まりと速度違反への対策についてお答えをいたします。県警察におきましては、年間を通じ一一〇番通報や地域住民の取り締まり要望などをもとに、時間帯、場所を分析した上で、爆音走行する暴走族に対して、集団暴走やマフラーの不正改造などの違反を捉えて徹底した取り締まりを実施をしております。また、速度違反につきましては、飲酒運転などと同様に重大な交通事故に直結する悪質、危険な違反であることから重点的に取り締まりを実施するとともに、道路管理者と連携し、減速を促す路面表示など車両の速度を抑制するための道路環境の整備にも努めているところであります。引き続き、交通実態に応じた対策を講じ、安全かつ円滑な道路交通の実現に努めてまいります。 17 ◯副議長(佐々木 徹君) 神崎聡君。(拍手) *神崎議員質問 18 ◯三十一番(神崎 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。緑友会福岡県議団の神崎聡です。師走に入り慌ただしくなってきました。夜の会合も多くなり、健康管理には十分に気をつけねばと思っているところであります。  ところで、本県では、生活習慣病などの研究を革新的な機能性食品や次世代医薬品などの分野に生かす産業を重要政策の一つとして位置づけていますが、例えば多くの人が悩みを抱えています膝痛、これは膝の痛みですけれども、あるいは腰痛などを軽減する医療福祉機器産業も、需要と雇用の創出効果が高い分野であり、この育成が本県の成長戦略の一つになってくるのではないかと思います。また、この分野は経済成長と雇用創出に直接貢献するだけでなく、高齢者への安心、安全、そして幸福度向上に寄与してきます。  そこで本日は、田川地域の新産業創出、田川地域のポテンシャルを活用した医療福祉機器産業の振興について質問いたします。  私は、これまで田川地域の特性を十分に踏まえ、ポテンシャルを生かした産業振興について何度となく質問してまいりました。御存じのとおり、田川地域は一市七カ町村、県内十五圏域の市町村の数では一番、市町村議員の数は百十七名で、これも一番。県内十三医療圏で、七十五歳以上、千人当たりの介護施設数を見ますと、田川医療圏は二十二・八八で、これも断トツのナンバーワンであります。高齢化率に至りましては、県平均が二五・九%に対して田川圏域は三三・三%であり、県議会でいつも取り上げられている統計は常に県平均を下回っておりますけれども、この分野では大きく上回っております。無論、これが大きな課題だということは重々承知していますが、見方を変えれば、チャンスに切りかえることができる分野がここにあるんだと思うんです。  私は、超高齢化社会という課題を抱えている地域としての成功モデルを、田川から、地方から発信していきたいと思っています。高齢者が元気に住み続けられる社会にするにはどうすればいいのか。それをつくるためには何が必要なのか。これを実現させ、魅力あるまちづくりができれば、これこそが日本国として世界の先進モデル、参考モデルになるのではないでしょうか。その鍵が福岡県立大学にあると思っています。県立大学の人材、知的資産を活用した産学官連携と、ヘルスケア、医療福祉産業の集積によって田川は生まれ変わり、大きな将来構想を描くことができるのです。  さて、県における新たな産業創出の取り組みを検証してみますと、先端成長産業の育成として、自動車産業を初めバイオ、先端半導体、ロボット、水素、Ruby、コンテンツ、さらには航空機産業と、さまざまな成長産業分野において地元の大学などの研究シーズや産業の集積、地域の持つ強みを活用して取り組んできています。いずれも産学官連携による研究開発や実証実験があり、それらを支える高度な人材を育成し、さらには新たな価値や雇用を生み出すベンチャー企業の育成や企業誘致を推進しております。間違いなく各プロジェクトは着実に進展しております。  ところが、田川地域においては、それらのプロジェクトの推進によって大きな恩恵が得られておらず、新たな産業創出に至っておりません。どうしてなのか。県が取り組まれているプロジェクトは、先ほど述べましたように、産学官の連携を基盤としており、先端技術を有する大学や中核となる企業の存在が不可欠となっているからであります。つまり、九州大学など多くの大学が存在する福岡地域、九州工業大学を初め学術研究都市整備が進む北九州地域、久留米大学を中心にバイオ産業の拠点化を進める久留米地域といったように、それぞれのプロジェクトにおいて地域の大学がその存在感を発揮し、プロジェクト推進に大きな役割を果たしていますが、田川地域には県立大学を中心とした核となる産業の産学官連携が働いていないからだと思います。  そこで、まず知事にお尋ねいたします。県においては平成二十六年度から、小川知事就任後の新たな施策として、今後大きな成長が見込める分野である医療福祉機器産業の振興に取り組まれています。福岡発となる医療福祉機器の開発において、これまでどういう課題があり、解決に向けた企業支援にどのように取り組まれているのかお尋ねいたします。  特に、医療機器の開発においては、厳しい薬事規制への対応が必要であり、中小企業にとっては大変ハードルが高いと思われます。規制対応に関係してどのように支援されているのか、具体的にお答えください。  県の取り組みの中で、九州大学先端医療イノベーションセンターが、意欲ある中小企業と機器の共同開発を行う医工連携モデル事業を実施しています。同様に、福岡県立大学のポテンシャルを生かして、医療福祉関連機器開発を支援することも可能ではないでしょうか。福岡県立大学では、高度な福祉社会の実現に貢献できる人材を育成するため、福祉行政、生涯学習など幅広い分野での教育、研究が行われ、高度な知識を蓄積するとともに地域貢献活動にも熱心に取り組んでいます。また、田川地域には多数の介護施設などが存在しており、県立大学の高度な知識と施設などとのネットワークを活用すれば、この地域での医療福祉機器開発をさらに推進できるのではないかと思います。  そこで、田川地域の産業振興のため、福岡県立大学を中心に戦略的に田川地域を実証フィールドとして活用するなど、具体的かつ実効性のある医療福祉機器開発の支援策を打ち出すべきだと思います。知事のお考えをお聞かせいただき、着眼大局、着手小局として、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 19 ◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。 *知事答弁 20 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、医療福祉機器開発における課題と支援でございます。医療福祉機器産業は、御指摘のありましたように、高齢化の進展、健康意識の高まりを背景といたしまして、今後成長が見込まれる分野であると考えます。本県には、機器開発に必要な高度な技術を持った企業が集積をいたしますとともに、医療、福祉系の大学、病院、福祉施設も数多くございまして、この分野での大きなポテンシャルを有しているのではないかと思っております。  一方で、県内の企業がこの分野に参入をし、開発、製品化を行っていくには、医療、介護の現場のニーズの的確な把握、開発した機器の実証の場の確保、そして医療機器の法規制への対応、そういった課題がございます。このため、県におきましては、平成二十六年七月に関係者が連携して対応していくために、ふくおか医療福祉関連機器開発・実証ネットワーク、これを設立をいたしました。そのもとで、現場ニーズの収集や開発に関するアドバイス、企業と病院、福祉施設とのマッチング、そして法規制に関する相談などの支援を行っているところでございます。これらの取り組みによりまして、医療福祉機器分野に新たに参入をし、内視鏡外科手術用の器具、福祉用の揺れるベッド、点滴時の薬剤注入量を調整する機器、そういったものを開発した当県内の企業も出始めてきているところでございます。  医療機器の開発における薬事規制対応でございます。医療機器は、保健衛生上の危害防止の観点から法規制が行われております。その製造、販売に当たりましては、厚生労働大臣の承認を受ける必要がございます。この承認の手続におきましては、開発機器の品質、有効性、安全性について審査をされることから、技術開発から臨床試験に至るまで、幅広い裏づけ資料というものが求められます。中小企業にとりましては、この薬事規制をいかにクリアしていくか、高いハードルになっております。県では、中小企業のこの承認申請を支援するために、平成二十六年度から技術基準、臨床試験、統計といった分野に詳しい専門家を開発相談コンシェルジュとして委嘱をいたしまして、申請手続の進め方、必要となる資料の作成方法等について助言を行っているところであります。また、東京、大阪に設置をされました審査機関の窓口まで何度も直接出向いて相談に行くというのは中小企業の負担になります。そのために、審査機関の担当者の方に出張してこちらに来ていただいて、出張相談というものを本県で定期的に開催もいたしております。さらに、承認取得に必要な試験データの収集、資料の準備等には多大な費用を要しますことから、この経費の一部を助成することによって、県内の企業の新規参入、また機器の開発というものを支援をしているところでございます。  福岡県立大学を中心とした医療福祉機器開発支援についてでございます。県立大学におきましては、福祉系の総合大学といたしまして、専門的な教育、研究が行われております。医療、介護の現場における福祉用具の活用に関しましても活発な研究がなされているところでございます。県におきましては、昨年度からこの県立大学が開催をしております福祉用具研究会に参画をし、県内企業、地域の病院、福祉施設に従事する職員の皆さん方と最新の福祉機器に関する情報交換を行っているところでございます。今後は、県立大学と連携を強化をいたしまして、福祉用具研究会のメンバーでございます医療、介護の現場を熟知された専門家が、県内企業による福祉機器開発へのアドバイスを行ってまいります。また、開発した機器につきましては、地域の病院、福祉施設、多数ございますので、それらの病院、施設における実証、評価を行うなど、田川地域のポテンシャルを最大限活用した取り組みを進めてまいります。 21 ◯副議長(佐々木 徹君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。           午 後 零 時 二十一分  休 憩           午 後 一 時 三十一分  再 開 22 ◯議長(中尾 正幸君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。阿部弘樹君。(拍手) *阿部議員質問 23 ◯四十八番(阿部 弘樹君)登壇 自民党県議団の阿部弘樹です。通告に従い、福津市津屋崎のカキ養殖について質問いたします。  私の地元福津市津屋崎は、古くは江戸時代から昭和初期まで行われていた塩の積み出し港として大いに栄え、そのにぎわいぶりは、家が千軒もひしめくようで、津屋崎千軒と呼ばれていました。残念ながら、今はその面影がわずかに残るのみで、観光客もなかなか集まっていないのが実情です。昔のようなにぎわいを取り戻すためには、多くの人を引きつける、魅力のある特産品をつくっていくということが、とても大切なことだと思います。幸いにも、来年には本県における全国豊かな海づくり大会が、そして二〇一九年にはラグビーワールドカップの開催が決定されております。また「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群がユネスコの世界文化遺産に登録されることも期待されるなど、さまざまな国民的、世界的な行事がめじろ押しで、特産品をPRしていくには絶好の時期であるというふうに考えております。  福津市津屋崎には宗像漁協津屋崎支所があり、県内では唯一の水産高校があります。また九州大学の水産実験所もあり、何かと水産業に縁のある地であり、水産物で何か特産品ができないかと考えておりました。水産物といいますと、最近では県内のさまざまな地域でカキの養殖が行われるようになり、その活気ある情景がたびたびマスコミに掲載されております。本県のカキ養殖を調べてみますと、昭和五十八年に豊前海の恒見で本格的に始められたようです。その後、豊前海の各漁協にも普及し、また筑前海においては糸島や福岡市、近年では北九州市や宗像市内でも着業されるようになったと聞いております。本県でカキ養殖が始まって三十数年ですが、今では水揚げ量が二千トンに迫るまで普及し、九州では一番の産地となっております。このような中、福津市津屋崎でもカキ養殖ができないだろうかと県水産局に相談したところ、早々試験に取り組んでいただいております。  そこでお尋ねします。まず、福津市にあります宗像漁協津屋崎支所に対する指導と、ことしのカキの生育状況について、知事から直接お聞かせ願いたいと思っております。  次に、漁業全体が疲弊する中、カキ養殖を行っている産地では、非常に活気あふれ、後継者も育っていると聞いております。また、そのカキを求めて多くの方が地域を訪れる。例えば、カキ小屋が盛んな糸島では、これまでは人けのない漁港に多くの観光客が詰めかけ、車の渋滞が起きるほどなどと聞いております。糸島だけでなく、どの地域にも、カキを買い求められるたくさんのお客さんで大変なにぎわいを見せています。それだけ人を引きつける魅力のある地域資源であると言えます。そうなると、とらぬタヌキの皮算用とは思いますが、どのように販売していくかが次の課題となります。福津市津屋崎でカキができるようになれば、このカキをうまく利用して、より多くのお客さんが津屋崎を訪れるようになる、これも地方創生の一つの姿ではないでしょうか。
     そこでお尋ねします。福津市津屋崎のカキの販売について、県はどのように漁協を指導するおつもりなのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。  最後に、後ほど知事から、福津市津屋崎のカキについてお答えいただくと思いますが、福津市津屋崎カキの生産が安定、拡大し、地域の名産となりますよう、今後ともしっかりと指導していただくように切に願い、私の質問にお答えいただくよう、よろしくお願いします。  ありがとうございました。(拍手) 24 ◯議長(中尾 正幸君) 小川知事。 *知事答弁 25 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  宗像漁協津屋崎支所のカキの養殖についてでございます。カキの養殖は、漁場が非常に近うございます。そのことから、使用する燃料が少なくて済みます。また大きな設備も必要といたしません。このため生産コストが低く、収益性が高いため、県におきましては、カキの養殖を希望される漁業者とともに、その導入を進めてきているところであります。津屋崎におきましても、平成二十四年度からでございますが、地元の県立水産高校とも連携をいたしまして、漁場に適した養殖いかだの構造、また垂下するカキの密度などを検討してまいりました。この結果、いかだを豊前海のものよりも小型化をいたしまして、垂下するカキの密度も低減することによって、品質もよく、単位当たりの生産量も確保できることが明らかとなりました。この結果を受けまして、漁協におきましては、今年度から養殖を開始されておりまして、現在カキの生育は成長、身入りとも順調であるというふうに伺っております。  次に、このカキの販売に対する指導についてお尋ねがございました。今後、地域の特産物として育てていくためには、まずは品質と量の確保、この二つが重要となります。品質につきましては、漁協に対しまして、カキに付着する細菌数の定期的な検査、紫外線で殺菌した海水での出荷前の浸漬処理などの衛生管理を指導しているところでございます。また、高品質なカキを販売するため、ホヤなどの付着生物を落として、身入りがよくなる年明け後に収穫をするよう指導を申し上げているところであります。  また、量につきましては、先ほど申し上げましたように、今年度の生育は順調でございます。このため、さらにいかだをふやし、生産拡大をすることを御指導しているところであります。 26 ◯議長(中尾 正幸君) 原中誠志君。(拍手) *原中議員質問 27 ◯三十五番(原中 誠志君)登壇 民進党・県政クラブ県議団の原中誠志であります。発言通告に従い、本県の林業振興について一般質問を行います。なお、今回の質問に当たり、政務活動として奈良県を視察しましたので、その視察も踏まえ、以下四点にわたり質問いたします。  まず一点目は、県産材の供給についてであります。本県の森林については、県土面積四十九万八千六百四十ヘクタールに占める森林面積の率は四五%で、二十二万二千百二十三ヘクタールとなっています。このうち計画対象となる民有林面積は十九万四千五百十ヘクタール、うち人工林面積は十二万七千九百九十七ヘクタールで、本県の森林面積に占める人工林面積率は六六%となっているところであります。この民有林のうち人工林の資源構成で見ますと、広葉樹は三千七百六十九ヘクタールに対し、杉、ヒノキ、松といった針葉樹は十二万四千二百二十七ヘクタールで全体の九七%を占め、これらの森林資源が今後の本県林業の主要な資源となるわけであります。  このような中、林野庁は、我が国の人工林資源は本格的な利用期を迎えており、資源面では、国産材には十分な供給余力があると指摘しているところであります。しかしながら、我が国の林業、木材産業は、小規模な森林所有者が多数を占め、また生産、流通、加工の各段階が小規模、分散、多段階となっており、需要に応じた効率的、安定的な供給体制の構築が課題としているところであります。また近年、住宅メーカーや工務店などからは、品質、性能の確かな木材製品の安定供給が求められているものの、こうした木材製品について、製材業等の供給体制は十分とは言えないと指摘されているところであります。  林野庁、二〇一四年木材需給に関するデータによると、国内の木材の総需要量のうち燃料用チップの数量を除くと、総需要量は七千四百十一万八千立方メートル、木材自給率は二九・八%となっており、依然輸入木材量は国内の木材総需要量の七割以上を占めており、またその九割は製品での輸入となっているところであります。このため国産材の国内供給量を増加させることが我が国として課題となっており、同様に本県林業の課題とも言えます。  そこで、県産材の供給力強化について質問いたします。先ほど申し述べましたけれども、本県林業の主要な資源となる杉やヒノキの人工林のうち七割以上が利用期を迎えており、県では主伐の推進に取り組んでいると聞いておりますけれども、主伐の推進にこれまでどのように取り組まれ、その結果、県内の原木生産量はどのように推移したのか、まずお尋ねいたします。また、今後も主伐を推進し、供給力を強化させる必要があると考えますが、どのように取り組まれていくのか、あわせてお答えください。  二点目は、林業経営についてであります。なお、本県内の林業経営にかかわる事業体ごとの収支資料がありませんでしたので、林野庁が示した我が国の林業経営の状況調査に基づき話を進めさせていただきます。  それによりますと、家族経営の林業経営体のうち、山林を二十ヘクタール以上保有し、施業を一定程度以上行っている経営体における一経営体当たりの年間の林業粗収益は、二〇〇八年度の百七十八万円から、二〇一三年度は二百四十八万円と増加しています。しかしながら、施業請け負わせ料金や雇用労賃等の林業経営費は、二〇一三年度が二百三十七万円で、林業粗収益から林業経営費を差し引いた林業所得は十一万円で、二〇〇八年度に比べて一万円の増にとどまっています。また、二〇一〇年世界農林業センサスによると、過去一年間に保有山林でみずから素材生産を実施した林業経営体の数は全体の九%である一万二千九百十七経営体であり、大多数の林業経営体にとって林業生産による収入は間断的なものにとどまっています。さらに、二〇〇五年農林業センサスによると、家族経営の林業経営体で林業収入が最大となっているものは、全体のわずか一・七%にとどまり、林業以外で生計を立てている林業経営体が大半となっています。  このように林業経営が非常に厳しい中、県では、主伐を推進することにより林業経営体の収入確保を図っています。一方、杉やヒノキが成長する段階で間引きを行う間伐では、県の白書を見てみますと、二〇一五年度では、間伐を実施した面積のうち約二六%しか搬出されていない状況にあり、ほとんどは切り捨て間伐、林地残材となっているところであります。これまで間伐のほとんどは保育間伐のため、このような数値になっていると思いますが、今後は木材の成長に合わせ、間伐材も利用を進め、少しでも収益を確保することが必要と考えます。  そこで質問です。県が主伐や間伐の利用を進めたとしても、林業経営そのものが成り立たなければ、充実した森林資源の循環利用を継続することはできないと考えます。このため、林業を担う森林組合などの林業事業体の収益の確保はもちろんのこと、森林所有者への収益の還元も必要であります。そのためには間伐材の搬出経費も含めて、木材の生産コストの低減が必要であると考えますが、県では、効率的な木材生産にどのように取り組まれているのかお答えください。  三点目に、木材の需要拡大についてであります。県産材の供給力強化とあわせて需要の拡大を図ることは、車の両輪のごとく、どちらも進めていくべき重要な課題であると考えています。冒頭申しましたが、県産材活用の事例を見るため、本年十一月に奈良県を視察をしたところであります。奈良県では、県産材の使用促進、生産量の拡大を図るため、県挙げて取り組みを進めており、その一環として、農林部に奈良の木ブランド課という課を設置し、奈良県産木材の利用、活用に取り組んでいるところであります。まさに県の姿勢が、この奈良の木ブランド課というネーミングにあらわれていると感じた次第であります。  また今日、全国にフランチャイズ展開をしております株式会社TSUTAYAと奈良県とで、県産材を積極的に利用推進することによる奈良県の林業、木材産業の活性化と、環境保全、活力ある地域社会の実現を目的とした連携協力協定を締結しています。この取り組みもまた、TSUTAYAの知名度とブランド力を生かした奈良県産材の利用促進の取り組みとなっています。  さらには、奈良県庁の屋上に設置している自動販売機一台と、奈良県庁分庁舎一階にありますふれあいコーナーの自動販売機一台については、奈良の木を使って自販機をパッケージしています。そして、最も感心したのは、木の香りや温かみを感じる県庁玄関をつくるため、二〇一三年度に奈良県庁玄関ホールの内装木質化を行ったことであります。県産材が天井や壁にふんだんに使用され、杉とヒノキの淡い色のコントラストと、均斉のとれた木目がモダンな雰囲気を演出し、木の香りと温かみを感じる落ちついた空間ができ上がっていました。もちろん材料には不燃木材が使用されており、耐久性、安全性も兼ね備えられています。広い県庁玄関ホールの一角には、県産ヒノキのオブジェも展示され、ソファーにまで県産材を使用し、県庁屋上や周辺に設置されているベンチは間伐材を利用した木のベンチとなっているなど、県庁に訪れた人々の目を楽しませ、癒やしを与えています。つい立ち寄ってみたくなる開放感あふれる空間となっています。そこで福岡県庁のロビーに目を向けますと、大理石とタイル張りで木質感はどこにもなく、温かみを感じるものがありません。  そこで知事に質問です。本県では、二〇一二年一月に福岡県内の公共建築物等における木材の利用の促進に関する方針を定め、公共建築物等における木材の利用拡大を進めていると聞いておりますが、木材需要拡大の取り組みとその成果についてお答えください。  また、県では、二〇一四年からは、福岡県木造・木質化建築賞を創設し、県内のモデルとなる優良な建築物を表彰されていますが、県みずからが強く福岡県産材の利用を発信していくためにも、まずは県庁一階のロビーに県産材を使用した椅子やベンチ、木工品の常設を図るとともに、ロビー周辺の壁や柱の周りを木材で囲むなど県庁舎の木質化を図るべきだと考えますが、知事の考えをお聞かせください。  最後の四点目は、合法木材の利用促進についてであります。合法木材とは聞きなれない言葉だと思いますが、その名のとおり、違法に伐採された木材ではなく、国際的にも森林関係の法令において合法的に伐採されたことが証明された木材のことをいいます。この合法木材を使用するという動きの背景には、法令に違反して行われる違法伐採が国際的に大きな問題になっているからであります。  違法伐採が問題となっているのは、インドネシア、マレーシア、ラオス、ミャンマーなど東南アジアの国々、そしてロシア、アフリカ、中南米などがあり、それらの違法木材が第三国を経由して日本に輸入されているという実態が国際的に指摘をされています。違法伐採による森林の破壊は、二〇〇〇年から二〇一二年の十二年間、日本の国土の六倍にも当たる二百三十万平方キロメートルに上り、貴重な森林が地球上から消失しているわけであります。また、違法伐採により世界の国々は百億米ドル、日本円で約一兆一千億円の収入を失う一方、国際犯罪ネットワークは、違法木材から三百億米ドル、約三兆三千億もの資金を入手しており、これらの資金が汚職、贈収賄、脱税などの犯罪組織の温床となり、特にアジア・太平洋地域の犯罪組織にとっては、違法伐採木材取引は二番目に大きい収入源となっています。  日本は、二〇〇五年七月のG8グレンイーグルズ・サミットを受け、国内における違法伐採対策として、二〇〇六年四月にグリーン購入法基本方針を見直し、紙類、オフィス家具、公共工事資材等の分野において、合法性、持続可能性が証明された木質材料を原料として使用しているものを政府調達の対象としたところであります。林野庁も、同年二月にガイドラインを示し、森林認証制度など合法木材使用の三種類の方法を示したものの、G8の国々からは、規制を導入した国に輸出できない違法伐採が日本市場に振り向けられている、規制を導入した欧米等の違法伐採対策の効果を抑制していると指摘をされ、日本は違法伐採木材の輸入規制について後ろ向きとの批判を受けました。  海外においては、アメリカが二〇〇八年にレイシー法を改正して、違法に伐採された木材等の取引や輸入の禁止等を盛り込んだほか、EU(ヨーロッパ連合)では、二〇一三年三月に、EU木材規則を施行し、違法に伐採された木材を市場に出荷することを禁止するとともに、事業者が出荷に当たり適切な注意を払うことを義務づけ、これを受けて、域内、ヨーロッパ各国で関係法令が整備されています。さらにオーストラリアでも同趣旨の法律が、二〇一四年十一月に施行されています。とりわけオリンピックの開催に当たっては、ロンドン・オリンピックでは、合法性のみならず持続可能性が第三者によって確認された認証材を九五%から一〇〇%使用し、リオ・オリンピックでも同様の対策がとられたため、二〇二〇年東京オリンピックに向けて、開催国としての責任を果たす必要が求められたところであります。  このようなことから、日本政府は本年五月、日本で開催される伊勢志摩サミットで、国際社会に向けて日本の新たな違法伐採対策をアピールするため、国会に合法木材利用促進に関する法案を提出し、サミットに先立つ本年五月十三日、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律、いわゆる合法木材利用促進法が全会一致で可決、成立をいたしました。  そこで知事に質問いたします。国内における合法木材利用促進法の制定も踏まえ、国際的にも問題となっている違法伐採を抑止するため、合法木材の利用促進を図ることが県としても必要であると考えますが、知事の見解をお示しください。  以上、知事の真摯な答弁を求めます。(拍手) 28 ◯議長(中尾 正幸君) 小川知事。 *知事答弁 29 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、県産材への供給力強化でございます。本県では、利用期を迎えた森林資源を有効活用することが重要な課題になっておりますため、一昨年度から主伐による県産材の供給力強化に取り組んできているところであります。具体的には、林業、木材産業関係者から成ります協議会を設立をいたしまして、流通ルートを確保するとともに、事業者に対し搬出経費等の一部を助成しているところでございます。この結果、事業者の主伐による意欲というものが向上し、平成二十七年の原木生産量は、事業開始前の二十五年から二割増加をいたしておりまして、十九万五千立方メートルとなったところでございます。また、製材工場が求めます均質な木材の供給が図られまして、二十七年の県内製材工場の需要に占める県産材の割合、シェアは、二十五年から一六ポイント増加をいたしまして三九%に達したところでございます。さらに、今年度から新たに事業者の主伐に対する意欲の一層の向上を図るために、主伐後の再造林への支援というものを強化いたしております。具体的には、事業者が主伐後に行います花粉の少ない苗木の植栽でありますとか、また鹿被害の防止対策にかかわる経費を助成し、その負担軽減を図っているところであります。県といたしましては、このような取り組みを通じまして、今後とも主伐を積極的に進め、県産材の供給力を強化をしてまいります。  次に、効率的な木材生産についてお尋ねがございました。生産コストの低減は、林業事業体、そして議員も御指摘になりました森林所有者、その収益を確保する上でも、また県産材の安定供給を図る上でも重要な課題であると、このように認識をいたしております。このため、森林作業の集約化を図り、生産基盤となります路網、いわゆる林道、作業道、その整備や高性能林業機械の導入を計画的に進めまして、平成二十七年度には五年前より路網の延長が二割増加をいたしております。また、導入された機械の台数は六割増加をしたところであります。この結果、杉の木材価格が低下をしている中にありましても、原木生産量は四割増加をしているところでございます。今後ともこのような取り組みによりまして、木材生産の低コスト化を進め、県産材の安定供給を図ってまいります。  次に、県産材の需要拡大についてでございます。県産材の利用を進めるよう、関係部局に私のほうから指示をいたしまして、これまでに交番の木造化を初めて行いましたほか、県立高等学校体育館など県有施設の内装の木質化に取り組んできているところであります。この結果、昨年度の公共建築物等における木材利用量は約八千七百立方メートルと、県方針の策定前の平成二十二年度と比べまして、約五割増加したところであります。また、県庁舎の木質化につきましては、県民の皆様の目に触れる機会の多い十一階の展望室の内装の木質化を実施いたしました。また、今回耐震化で改修をいたします一階の県民ホールの天井につきましても、現在のアルミ製ルーバーから、県産材を使ったルーバーに改修する補正予算を、今議会に提案をさせていただいているところでございます。  次に、合法木材の利用促進についてでございます。合法木材利用促進法は、違法伐採が自然環境の破壊、また地球温暖化を招くとともに、木材市場における公正な取引を害するおそれがあることから、木材関連事業者による合法伐採木材の利用、これを促進することを目的に制定をされ、来年の五月から施行される予定となってございます。県といたしましては、合法木材の利用を促進することは重要な課題であると、このように思っております。現在、国において対象となる木材等の範囲、またその確認方法など具体的な運用について検討がなされておりまして、今後その情報を収集し、県として必要な対応を検討してまいります。 30 ◯議長(中尾 正幸君) 原中誠志君。 31 ◯三十五番(原中 誠志君)登壇 今、知事から答弁をいただいたところでありますけれども、二点、要望を申し上げたいと思います。  今、答弁の中にありましたけれども、林業事業者に対する搬出経費の助成、路網の整備、高性能林業機械の導入などにより原木生産量は増加したということをお示しになったところであります。しかしながら、輸入木材の増加、木材価格の低迷などにより、我が国の林業経営者の林業所得はほとんど伸びていないというのが実態であります。そこで、本県の原木生産量並びに木材価格、そして事業体の収支を年度ごとにまとめ、分析した上で、次の一手を打つ、施策を打つという必要があろうかというふうに思います。そこで、本県林業経営の実態把握について、調査、統計化を図ることを要望いたしたいというふうに思います。  二点目は、合法木材利用促進法にかかわる今後の本県の対応についてであります。来年五月の施行に伴い、今後、政令や施行令が出されると思いますけれども、合法木材の利用促進、木材市場における公正な取引の推進に向け、福岡県として他の都道府県のモデルになるような施策を講じていただきますよう強く要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 32 ◯議長(中尾 正幸君) 松下正治君。(拍手) *松下議員質問 33 ◯二十五番(松下 正治君)登壇 皆様、こんにちは。公明党の松下正治です。昨日の緑友会さんの代表質問と重複する部分もございますが、大切な問題でありますので、私からは、通告に従い通学路の安全対策について一般質問をさせていただきます。  先月二十八日付で、文部科学省から通学路の交通安全確保の徹底について、全国の教育委員会等の関係機関等に対し通知がありました。通学路における交通安全の確保については、平成二十四年に京都府亀岡市において、集団登校中の児童らの列に無免許運転の自動車が突っ込み、十人が死傷した事故を初め全国で連続して登下校中の児童が犠牲になる重大事故が発生したことを契機に緊急合同点検が実施され、それ以降も現在まで継続的に取り組みが行われているところであります。我が会派としても、平成二十四年五月に、通学路などの安全総点検を求める要望書を当時の県教育長宛てに提出をしております。ところが、ことしの十月二十八日には、横浜市において登校中の児童の列に車両が突入し、一名が死亡、六名が重軽傷を負う事故が発生したほか、十一月二日には、千葉県八街市において同様の事故により四名が重軽傷を負う事故が発生するなどしており、国では、通学路の交通安全の確保に万全を期す必要があるとの考えに基づいて、改めて全国の教育委員会等に注意喚起を行っているところであります。  本県においては、通学路の安全点検を含む通学路安全推進事業を平成二十四年度から継続的に行っていますが、いま一度、通学路の安全対策の推進について、十分に検討を行う必要があるものと思われます。  そこで、教育長に本県の通学路の安全対策についてお尋ねいたします。まず、通学路の危険箇所について質問です。本県の通学路における危険箇所は、平成二十四年から現在までどのように推移をしているのでしょうか。最近の全国的に起きているような、児童が亡くなるような重大事故は、本県においては起きていないのでしょうか。本県における通学路の事故の発生状況をお尋ねいたします。  また、通学路の危険箇所については、地元の道路管理者、警察等と連携して安全対策を進めていると思われますが、宅地開発で新たに人が住むようになった地域や商業施設の新規開業、さらには道路整備等で通学路の状況が変化し、今まで危険でなかった場所が厳重に注意を要する場所に変化することが考えられます。  そこで質問です。本県において、このように通学路において道路環境の変化等に伴う安全対策についてはどのようになっているのでしょうか、お尋ねいたします。  各学校における通学路の危険箇所については、通常、子供が入学して、実際に学校に通い始めてから点検されることが多いように思われますが、そうすると、実際に児童が危険な状態になってからの後手に回った対応になってしまいます。児童を事前に危険から守るためには、入学予定の児童の保護者に対して、就学通知書を発送する時点で、所管の学校が通学路の危険箇所を把握する必要があるのではないでしょうか。学校の通学路における危険箇所の把握が早ければ早いほど、地元の道路管理者、警察等との連携した対応も早くでき、より早く児童の安全を確保できるものと考えます。  そこで提案ですが、本県における通学路の危険箇所について、入学時から安全に通学できるように、入学前、就学通知書を出す時点において合同点検を実施するように、各市町村の教育委員会に働きかけてはどうでしょうか。教育長の御所見を求めます。  さて、本県では通学路における安全を確保するため、特に対策が必要な市町村に対して通学路安全対策アドバイザーを派遣し、専門的な見地から必要な指導、助言のもと安全対策の推進が図られております。この通学路安全推進事業における通学路安全対策アドバイザーの効果は、実際に上がっているのでしょうか。これまでのアドバイザーの配置状況と具体的な効果があればお答えください。あわせて、今後のこうしたアドバイザーの活用についてはどのようにお考えか、教育長の御所見を求めます。  さらに、本県における通学の安全対策に交通安全教室の実施があります。児童生徒に交通安全の重要性を啓発する重要な取り組みでありますが、昨年度の実施状況を見てみると、小学校、高等学校の実施率がほぼ一〇〇%と高いのに比べて、中学校の実施率が七八・三%と、やや低い値になっております。しかし、中学校の校区は小学校区よりも広範囲であり、徒歩で通うケースも多く、部活等により帰宅が夜遅くなることもあります。そうした状況から、中学校における交通安全教室の実施は必要性が高いと考えます。また先月、本県で起きたSNSを利用した殺人予告事件に中学生がかかわっていたとされることから、人命を大切にする交通安全教室等の啓発事業は、本県全ての中学生に対し徹底して行わなければならないと考えます。また、先月九日に、福岡国際会議場において開催された福岡県交通安全県民大会に参加させていただきましたが、同大会では、表彰を通して小中学生の図画や作文による啓発活動の紹介がありました。こうした子供たちの交通安全に対する積極的な取り組みは、子供たちばかりでなく、大人への啓発にもつながると感じました。  そこで教育長に質問です。本県の児童生徒を対象とした交通安全教室の実施の目的と、今後の児童生徒に対する交通安全の啓発活動の推進について、教育長の御所見をお聞かせください。  さて、今回のSNSを利用した殺人予告事件では、トラックに十分注意するようにや、七日の下校時間を狙います等の書き込みがありました。通学路の安全対策については、日常的な対策とともに、このような突発的な問題に対しても適切な対応が必要であると考えます。  そこで教育長に質問です。今回の事件で、県教育委員会及び各学校はどのような対応を行ったのでしょうか。また、このような事案については、今後どのように対応していくつもりか、あわせてお伺いいたします。  通学路の危険箇所において、物理的に対応できない箇所が多く存在するのも事実であります。そうした箇所は、地域の方による見守り活動など人的な安全対策が欠かせないと考えます。しかし、現在そうした地域のボランティアに携わる方の高齢化や減少等が問題になっております。  そこで教育長に質問です。各地域の通学路における見守り活動について、本県の現況をどのようにお考えになっているのでしょうか。また今後、通学路の見守り活動を行うボランティアの人員確保に向け、本県としてどのような取り組みを行っていくつもりかお尋ねいたします。  最後に、本県における今後の通学路の安全対策のさらなる推進について教育長の御所見を求め、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございます。(拍手) 34 ◯議長(中尾 正幸君) 城戸教育長。 *教育長答弁 35 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 通学路の危険箇所数の推移についてでございます。平成二十四年度の通学路緊急合同点検で報告されました危険箇所数は千九百十五カ所でございましたが、徐々に減少し、現在は四十二カ所となっております。ただし、この中には新たに発見された危険箇所は含まれておりません。  登下校中の小中学生が関係する交通事故の件数につきましては、平成二十四年以降減少傾向にあり、死亡事故も発生しておりません。  通学路における道路環境の変化等に伴う安全対策についてでございます。児童生徒の安全を確保するためには、常に新たな道路環境に対応した対策を行うことが重要でございます。このため、県教育委員会といたしましては、市町村や学校に対し、道路環境の変化に応じて、登下校時の安全指導や保護者及び関係機関等と連携した見守り活動の実施、通学路の変更等の対策を、地域の実情により実施するよう指導しております。  入学時から安全に通学できるための合同点検の実施時期についてでございます。現在、通学路の合同点検は学校や地域の状況に応じて実施され、時期はさまざまでございます。今後は、児童生徒が入学時から安全に通学できるよう、市町村に対しできる限り早い時期に実施するよう指導してまいります。  通学路安全対策アドバイザーの効果と今後の活用についてでございます。平成二十五年度から通学路安全対策アドバイザーを延べ十八市町に派遣し、合同点検の立ち会いや安全マップ作成への助言、児童生徒に対する登下校指導等を行っております。派遣を受けた市町からは、地域や学校の実態に応じたより実践的な安全対策プログラムの策定や安全点検等を実施することができたとの報告を受けております。今後も学校や地域の実態に応じた安全対策を図るため、通学路安全対策アドバイザーの活用を推進してまいります。  交通安全教室の目的と交通安全啓発活動の推進についてでございます。交通安全教室の目的は、児童生徒に交通ルールやマナーを理解させ、事故防止に対する知識や態度を身につけさせることでございます。こうした各学校の学習活動に加えまして、県や各地域では、交通安全に積極的に取り組む学校の表彰や、交通規則の知識と自転車運転の技術を競う大会等を通しまして、児童生徒の交通安全に対する意識を高めるよう啓発活動を推進しております。  殺人予告事件に対する対応についてでございます。県教育委員会は、複数の市町村へ予告がありました当日、直ちに県内全ての学校において、児童生徒の安全確保に向けた適切な対応を図るよう通知を行いました。これを受けまして各学校においては、地域及び学校の実態に応じて集団下校や巡回指導等で児童生徒の安全確保を図るとともに、保護者への一斉メール配信による注意喚起等を行っております。今後もこのような事案が発生した場合には迅速に対処し、児童生徒の安全確保に努めてまいります。  見守り活動の現状とボランティア確保のための取り組みについてでございます。現在、多くの方々がボランティアとして見守り活動に携わっていただいております。しかしながら、新たな担い手がなかなか見つからない地域もあると伺っております。このため各市町村において、地域の交通安全協会等の関係機関と協力し、ボランティアの確保に努めるよう働きかけてまいります。  今後の通学路の安全対策の推進についてでございます。本県では、登下校中の交通事故発生件数は減少傾向にございますが、他県における重大事故も踏まえまして、今後関係機関と連携し、道路環境の変化に応じました実態把握と安全対策のより一層の推進に努めてまいります。 36 ◯議長(中尾 正幸君) 松下正治君。 37 ◯二十五番(松下 正治君)登壇 御答弁ありがとうございます。  一点だけ要望させていただきます。平成二十四年度に本県で通学路安全推進事業が始まりまして、今年度で五年目になります。その間、先ほど申し上げましたとおり、道路環境の変化等によりまして、新たに危険な状況になった通学路も少なからずあるのではないかと思われます。実際、私は地元で新たに危険な箇所となった通学路の御相談をよく受けることがあります。また北九州市では来年四月に、中尾議長のお膝元でもあります若松の地域にひびきの小学校が新規に開校されることに伴いまして、若松区と八幡西区とで大きな通学区域の変更も予定されております。今後、県としてこうした事情もよく考慮して、通学路安全アドバイザーのより効果的な派遣、活用も図る上からも、ぜひとも新たにふえた通学路の危険箇所の情報収集、また実態把握等にしっかりと取り組んでいただきますことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 38 ◯議長(中尾 正幸君) 野原隆士君。(拍手) *野原議員質問 39 ◯四十三番(野原 隆士君)登壇 自民党県議団の野原隆士です。通告に従いまして、県内の超高速ブロードバンドの整備状況についてお伺いします。  私たちの生活の中で、インターネットを通じて多くの情報を入手することが当たり前となってきている今日、通信環境、特に超高速ブロードバンドは情報通信技術、いわゆるICTの恩恵を受けるためには必要不可欠となっています。国が掲げている地方創生を実現するには、移住、定住の促進や産業の活性化などのさまざまな取り組みが必要となりますが、ここでも超高速ブロードバンドは欠かすことのできない通信インフラではないでしょうか。そのため本県の市町村においても、住民の利便性向上のために整備を進め、現在超高速ブロードバンドの整備率は約九〇%以上となっていると聞きます。しかしながら、県内の一部の地域には空白地帯が残っています。私の地元である福岡市西区においても、糸島半島の北部に位置する北崎校区や玄界島、小呂島が未整備地域となっています。玄界島や小呂島は地理的条件から技術的に難しいことは理解できますが、陸続きである北崎校区や隣接する糸島市桜野校区の一部が未整備となっているのは驚くばかりです。  この地域の隣接地には九州大学があり、九州大学の平成三十一年度までの総移転に伴い、周辺校区の皆さんは、九州大学の学生や関係者にも住んでいただけるように、よりよい環境づくりを目指して、学生の皆さんたちと意見交換会を開催してきました。しかし、そこで必ず出てくる意見として、インターネット環境の問題です。特に学生にとっては、超高速ブロードバンドが整備しているか、いないかで、その地域への定住にも影響があります。地域を活性化していくには、若い人が住んでもらえる環境づくりをしていかなければなりません。  そこで知事にお伺いします。未整備地域の解消に向けて、県はどのような支援を行っているのでしょうか、また行っていくのでしょうか。よろしく御回答をお願い申し上げます。(拍手) 40 ◯議長(中尾 正幸君) 小川知事。 *知事答弁 41 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  超高速ブロードバンドの未整備地域解消についてでございますが、離島、過疎地域などの条件が不利な地域の中には、民間事業者による超高速ブロードバンドの整備がすぐには期待できないところもございます。国におきましては、こうした地域を抱える地方公共団体が、その地域の活性化の観点から超高速ブロードバンドを整備する場合には、補助金に加えまして過疎債、辺地債など交付税措置のある有利な起債による手厚い支援制度を設けているところでございます。県といたしましては、市町村に対しこうした支援制度を、会議などを通じて広く御紹介をするほか、起債に必要な計画の策定に関する技術的助言を個別に行うなど、市町村の状況に応じたきめ細かな支援を行ってきたところでございます。県内には支援制度の対象とならない未整備地域もございますことから、国に対しまして、地域の実情を説明し、必要な制度改正を行うよう要望を行ってまいります。 42 ◯議長(中尾 正幸君) 野原隆士君。 43 ◯四十三番(野原 隆士君)登壇 知事、ありがとうございました。  最後に一つ要望をさせていただきたいと思います。この北崎校区の西浦から二見ヶ浦、芥屋の大門を通るサンセットロードは、日本の渚、夕陽百選にも選ばれるほど風光明媚であり、夏場はサーフィン、そしてこの時期にはカキ小屋もあり、週末には数多くの人でにぎわいます。沿道には飲食店、そしてまた物品販売店もあります。ここからの情報発信にも、やはり超高速ブロードバンドは必要であります。どうか、このこともお含みおきいただき、早期の対応をお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 44 ◯議長(中尾 正幸君) 田辺一城君。(拍手) *田辺議員質問 45 ◯二十番(田辺 一城君)登壇 皆さん、こんにちは。民進党・県政クラブの田辺一城です。通告に従い、政務調査に基づき一般質問をさせていただきます。           〔中尾議長退席 佐々木副議長着席〕  今回は、白血病等の血液疾患に有効な骨髄移植ドナー登録の推進における県の役割と、障害のある子供たちを放課後や休日に預かり、発達支援を行う放課後等デイサービスを中心に、障害のある子供の支援の充実について、知事と教育長に質問をしますので、よろしくお願いいたします。  まず、骨髄ドナー登録の推進と県の役割についてお聞きします。十二月四日の日曜日の午後、私は名古屋市内で開催された白血病と骨髄移植を考えるパネルディスカッションに参加し、ドナーとして骨髄を二度提供した経験のある男性の発した言葉から、改めて学ばせていただきました。医者じゃない、医療的な技術を何も持っていない自分が、重い病気を治す大事なお手伝いができるという喜びを感じました。感動というか、達成感というか、この先の人生で僕が何をなし遂げても、あの気持ちになれることはきっとないだろうと思います。そういうチャンスをもらったことに感謝をしています、こういった言葉でした。同じパネルの中で、あいち骨髄バンクを支援する会の水谷久美さんも、骨髄バンクのドナー登録のしおりの表紙にチャンスと大きく示されていることに触れながら、チャンスというと、患者さんが生きるチャンスというイメージがありますが、ドナーさんにとってのチャンスとおっしゃっていました。医療取材を手がけている中日新聞編集委員の安藤明夫記者も、ドナー体験のある女性が、骨髄バンクって提供者のためにあるんだ、とさえ思いましたと語ったことを紹介をしてくれました。  この社会に生きる私たち一人一人が、一人一人の命を助けることができる、それが骨髄バンク事業です。日本では、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律に基づき、公益財団法人日本骨髄バンクが主体となり、日本赤十字社や地方自治体の協力で行われており、平成二十八年九月末現在、ドナー登録者数は四十六万五千二百五十五人となっています。しかし、ドナー登録の年間の受け付け件数は年々減少傾向にあり、その一方で、登録可能年齢が十八歳から五十四歳であることから、五十五歳となって登録が取り消しとなる数は増加傾向にあります。平成二十七年度の取り消し者数はついに二万人を超えました。そして、登録者を年齢別に見ますと、四十歳代が多く、若年層が極端に少ない傾向も顕著です。このまま放置をしますと、ドナー数は確実に減少していくことが危惧をされています。若年層へのアプローチの強化が急務であり、埼玉県では公立、私立を問わず、県内全ての高校卒業生に啓発のチラシを配布をしています。  骨髄バンクに話を聞きますと、最も重大な課題の一つとして挙げられるのが、骨髄移植の前提となる患者とドナーとの白血球の型が一致するHLA適合率と、実際に移植に至る移植率の乖離です。平成二十七年を見ると、適合率が九五・九%と高いにもかかわらず、移植率は五四・六%にとどまっています。その結果、適合する人が複数見つかっても移植に至らず、亡くなるケースがあります。そして、移植率が低い背景として指摘されているのが、休業の問題です。ドナーから骨髄を採取するには、健康診断などの通院や三泊四日の入院で、合わせて約一週間が必要とされ、仕事を休みにくい、仕事を休むと収入に影響するなどと辞退せざるを得ない人が多いといいます。
     こうしたことを受け、全国の市町村では、ドナーへの助成制度を創設する動きが急速に広がっており、現在、百九十七の市町村で実施をされています。この制度は、ドナーが骨髄を提供するための通院や入院について、一日二万円で七日間を上限とする、つまり一回の提供につき十四万円を限度として助成するケースが一般的となっております。なお、福岡県内では、柳川市、みやま市、新宮町、大木町の四つの市と町が実施をしています。  さらに、一部の都道府県が先行して市町村の後押しを始めています。東京都や埼玉県、京都府など八つの都府県が市町村に補助する制度を創設しており、このうち福岡県より少し規模の大きい埼玉県では、平成二十六年度から、県内の市町村がドナーに助成をした場合、半額を県費で補助をしています。驚くのが、埼玉県内の全六十三市町村が、県からの働きかけを受けて助成制度を導入し、行政から県民への、全県を挙げて命を救いたいという県民の善意の気持ちを応援したいという強いメッセージにもなっていることです。なお、福岡県の状況を見ますと、骨髄を提供したドナーの数は、平成二十五年度七十五人、平成二十六年度七十一人、平成二十七年度五十四人となっております。  そこで知事にお聞きします。第一に、骨髄提供をめぐる現状と課題をどのように認識し、先行して制度を創設している都道府県や市町村の動きをどのように評価しているのかお聞きします。  その上で、福岡県として、県内の市町村が骨髄、末梢血幹細胞を提供したドナーに助成を行う制度を創設するよう、現在制度のない県内の全ての市町村に働きかけていくべきだと考えますが、知事の考えをお聞きいたします。  その上で、県として、こうした市町村を支援するための補助制度を創設すべきと考えますが、知事の考えをお聞きいたします。  第二に、企業における取り組みの促進も重要です。骨髄ドナーとなった社員に対し、労働基準法による年次有給休暇や疾病治療休暇とは別にドナー休暇制度を設け、有給として取り扱う企業、団体が全国で三百二十六社あるとされています。こうした動きを県内企業に広げていくため、県として協力を求めていくべきと考えますが、知事の考えをお聞きいたします。  第三に、ドナーや患者の居住地が広域にわたることから、全国共通の制度が最終的なあるべき姿と言えます。知事として、ほかの都道府県とも連携し、ドナーの休業補償制度を創設するよう国に求めるべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。  この項の最後に、知事と教育長にお聞きします。県民が骨髄移植に関する正しい知識を得られるよう、特に若年層でドナー登録が少ない実態を踏まえ、若手社会人や高等教育現場における働きかけを強化をすべきと考えますが、それぞれ考えをお聞きいたします。  続いて、障害のある子供の支援の充実についてお聞きします。障害のある子も、障害のない子も、教育を受け、社会で生きていくための基礎を築いていくことは普遍の権利です。この基本認識に立ち、質問いたします。  まず、県立特別支援学校を三校新設する方針についてお聞きをいたします。県教育委員会は九月定例会におきまして、県立特別支援学校を三校新設し、古賀特別支援学校の通学区域である糟屋、宗像、遠賀と、太宰府特別支援学校の通学区域の筑紫、そして糸島市域を設置場所として検討していることを明らかにしました。私は、二〇一四年二月定例会や一五年九月定例会におきまして、県の整備計画における児童生徒数の推計と現実の児童生徒数に大きな差が生じていること、現場における混乱等を示しながら、教育機会が保障されなくなっていることへの懸念、そして早急な対応を求めてきておりましたので、今回の方針は心から歓迎をしたいと思います。その上で、現場の皆さんから、新設までの間にも当然特別支援教育の必要な子供たちがいる、この子たちへの対応をどのようにしていくのか、県教育委員会の考えが明らかになっていないので知りたいというお声をいただいております。なお、県教委の明らかにしたところによりますと、知的障害などの特別支援学校の児童生徒は、今年度二千百七十四人と過去十年間で五四・七%増加をしており、二〇二五年度にはさらに約三割ふえる見込みです。  そこで教育長にお聞きします。新設する学校について、いつの開校を目指し、場所の選定や設計など開設までどのような工程で進めていくのかお聞きをいたします。  また、県立特別支援学校の受け入れられる児童生徒は、今後十年間で六百十二人増加すると見込まれており、毎年度平均で六十人程度ずつ増加し、確実に対応していく必要がありますが、県教育委員会として、三校が新設されるまでの間、既存の特別支援学校の増改築などを含め、どのように受け入れ態勢を整え、特別支援教育の保障と就学支援を図っていくのかお聞きをいたします。  次に、放課後等デイサービスの現状と課題を指摘し、県として今後どのように改善をしていくのかお聞きをいたします。放課後等デイサービスは、平成二十四年度に児童福祉法に位置づけられた、障害のある子供たちへの新たな支援の形です。事業者が放課後や休日に、支援を必要とする子供を受け入れ、個々の子供の状況に応じた発達支援を行います。子供は、友達と創作や運動、学習などのさまざまな経験をすることで、他者との信頼関係の構築、主体性や協調性、社会性の体得につなげていきます。先月から今月にかけて、福岡市や古賀市などで放課後等デイサービスを運営する複数の事業者の方々を訪ね、現場で話を聞かせていただきました。どこも社会福祉士や精神保健福祉士などさまざまな資格と経験を持った方々が、それぞれの子供たちの持っている力を引き出し、自立につなげるための支援のメニューを検討し、懸命に取り組んでいらっしゃいました。  さて、厚生労働省が平成二十七年四月に都道府県知事や政令市長などに出した放課後等デイサービスガイドラインは、支援の質の向上を求めています。事業者の方々の話をお聞きしていると、このガイドラインで求められていることを実践し、より充実したサービスを提供したいものの、連携すべき相手である学校などで制度の趣旨が十分に理解されていないために、これが困難といった実態などが明らかになりました。  そこで知事と教育長にお聞きします。第一に、放課後等デイサービスの指定事業者が全国で急増し、中には利用実態がないのに報酬を受け取ったり、必要な職員を配置していないなどの不正も報告をされています。事業者の指定権限は都道府県と政令市にありますが、福岡県内の指定事業所数も平成二十四年度に五十四カ所だったところ、平成二十八年度は三百九十四カ所と七倍以上の伸びとなっており、支援の質の確保は重要です。  そこで、これまでに福岡県内で指定取り消しとなったケースはあるのか、知事にお聞きします。  また、事業者が急増する中では、障害の特性を理解せずに、営利目的のみで参入する事業者も出てくるため、行政として個々の事業者の施設の運営実態を確実に把握する必要がありますが、本県ではどのような調査をしているのか、知事にお聞きをいたします。  第二に、放課後等デイサービスの事業者の多くは、国のガイドラインの趣旨にのっとり、支援の質の向上を意識しながら施設を運営していると理解をしています。そうした事業者の中からは、保護者への制度の浸透が行き届いていない実態があるとの意見も聞こえております。現在、放課後等デイサービスについて、どのように周知を図っているのか、知事にお聞きします。  また、放課後等デイサービスを利用するためには、相談支援事業所の相談支援専門員に利用計画を作成してもらうといった手続が必要ですが、行政の体制が十分でないために、保護者が放課後等デイサービスに精通した相談支援専門員にアプローチすることが困難との声も聞きます。放課後等デイサービスを必要とする子供の保護者が確実かつ円滑にサービスを受けられるよう、体制を整備する必要があると考えますが、知事の考えをお聞きいたします。  最後に、放課後等デイサービスを運営する事業者からは、個々の子供に応じた切れ目のない支援を行っていくためには、学校との連携を積極的に図っていくことが重要であるにもかかわらず、現状では、普通学校における特別支援教育コーディネーターが多忙で、接点を持つことが困難であったり、管理職や一般教員に制度の趣旨が理解されていなかったりする実態があるとの声も上がっております。また、保護者に対して、教育の側からも就学前健診や入学時などの機会を捉え、制度を確実に説明すべきと考えます。こうしたことについて改善を図る必要があると考えますが、教育長の考えをお聞きします。  その上で、実際に放課後等デイサービスを利用する子供について、事業者と学校の教員が日々の情報を共有することや、学校行事や授業参観などには事業者側も参加できるようにするなど、学校側が対応をとっていく必要があると考えますが、教育長の考えをお聞きします。  以上、御答弁よろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手) 46 ◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。 *知事答弁 47 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、骨髄提供に対する認識と助成制度を創設した自治体の動きについてでございます。骨髄ドナーは十八歳から五十四歳までが登録をすることができますが、その年齢層に当たる人口が減少いたしてきております。また適合者が見つかっても、ドナーの健康上の理由などで移植に至らないケースもございます。骨髄移植を推進するためには、ドナー登録者数を確保していくことが重要な課題であると、このように認識をいたしております。  骨髄提供を行ったドナーに対し、休業による経済的負担を軽減することなどを目的といたしまして、助成制度を創設する自治体の動きがあることは承知をいたしております。しかし、本県といたしましては、まずは、このドナー登録制度の趣旨、またその意義というものをより多く知っていただくための普及啓発に力を入れていきたいと、このように考えております。  骨髄ドナーに対する助成制度の創設についてでございます。現在、議員も御指摘になりましたが、八都府県で骨髄ドナーに対する助成を行っている市町村に補助をする制度を設けております。これらの都府県におきましては、骨髄等の提供件数の増加というものが、今のところ見られていないようでございます。骨髄移植につきましては、ドナーと患者との適合率が低い、そのことから、日本赤十字社が全国的な規模でその適合性を判断し、骨髄等の提供が行われております。このため、県や市町村が個々に助成制度を設けることにつきましては、その有効性などについて検証する必要があると考えております。このため、まず、既に制度を設けておられます都府県における運用の実態やその効果などにつきまして調査を行いたいと思います。  ドナー休暇制度の導入を企業に求めることについてお尋ねがございました。ドナー休暇制度につきましては、県が発行しております「労働ふくおか」、福岡県中小企業振興センターが発行されておられます「ビジネスサポートふくおか」におきまして、それぞれ企業に対しその導入の協力を求めてきております。今後は、現在二千八百社ございます、がん登録推進事業所などに対しまして、ドナー休暇制度の導入について働きかけを行ってまいります。また、県が開催をしております事業所フォーラム、そういった場などにおきましても、企業に対し協力を求めてまいります。  骨髄ドナーに対する助成制度の創設を国に求めることについてでございます。先ほど申し上げました、適合率の低さというものもございまして、助成制度の創設が骨髄等の提供件数の増加につながるか、そういった検証を行う必要があると考えております。したがいまして、国に対する要望を行う前に、全国衛生部長会などの場におきまして、助成制度について当県から提案をして意見交換をしたいと、このように考えております。  次に、若年層に対する骨髄ドナー登録の推進についてでございます。国は、骨髄ドナー登録を推進するため、毎年十月を骨髄バンク推進月間と定めております。県におきましては、推進月間に骨髄バンク推進キャンペーンを開催いたしまして、ドナー登録会の実施、リーフレットの配布などに取り組んでいるところであります。また市町村を通じまして、ドナー登録のしおりを配布させていただいております。今後は、登録の少ない若年層が多く参加をされる成人式、入社式、そういった行事の際に、このリーフレットの配布をしていただくよう市町村、事業所などに働きかけを続けてまいります。  次に、放課後等デイサービスの運営実態についてでございます。県内におきましては、これまでに放課後等デイサービス事業の指定取り消しとなった事業者はございません。  事業者の運営実態の把握についてでございますが、放課後等デイサービス事業者の指定に当たりましては、指導員、管理責任者等の人員配置、機能訓練に必要な機器の設置、利用者見込み等につきまして、書面だけではなく、現地に赴き、その申請内容を確認をいたしております。また、事業の開始後にありましても、三年に一回を基本として実地指導を行うほか、必要に応じ立入検査を行うなど、その運営実態の把握に努めてきておるところであります。  放課後等デイサービスの周知についてお尋ねがございました。県におきましては、放課後等デイサービスの県内全事業者をホームページに掲載いたしまして、その情報提供を行っているところであります。今後、それぞれのサービスの内容、利用決定までの手続などにつきまして提供情報の充実に努めてまいります。  放課後等デイサービスを含む障害福祉サービスを利用するに当たりましては、議員もおっしゃいましたが、相談支援専門員が作成をする利用計画案を添付し、市町村に申請する必要がございます。このため、県におきましては、市町村の職員、相談支援専門員を対象といたしまして、専門知識の習得やスキルアップのための研修というものを実施し、各地域の障害福祉サービスの相談対応能力の強化に努めているところでございます。また、市町村や相談支援事業所で相談を担っていただく人材を育成する、その中核機関となっております基幹相談支援センター、これが今現在十四市町の設置にとどまっております。このため、各地域の自立支援協議会に呼びかけをしまして、未設置市町村へのこのセンターの開設を促すことによって、市町村や相談支援事業所の相談機能の強化というものを図ってまいります。これらの取り組みを通じまして、サービスを必要とするお子さん、そして保護者が、確実かつ円滑に放課後等デイサービスを受けられます体制の整備が市町村において図られるよう努めてまいります。 48 ◯副議長(佐々木 徹君) 城戸教育長。 *教育長答弁 49 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 高校生に対する骨髄移植に関する知識の普及等についてでございます。現在、公民科におきまして、臓器移植にかかわる問題等に触れながら、生命の尊厳について考察させる学習を行っております。また保健体育科においては、健康を守るための保健、医療制度について学習する中で、発展的な学習として移植医療を取り扱っております。このような学習を通して、移植医療等の意義や正しい知識を身につけさせるとともに、関係機関と連携して骨髄移植の理解促進や骨髄バンク登録の周知に協力してまいります。  特別支援学校の新設と今後の対応についてでございます。新設を予定しております三校については、いずれもおおむね平成三十七年度までに開校したいと考えており、設計から造成、建築等に少なくとも五年程度を要することから、速やかに準備に着手したいと考えております。  なお、開校までの間の児童生徒数の増加に対しては、太宰府特別支援学校における校舎増築や、古賀特別支援学校における仮設校舎の設置により対応するとともに、地元の小中学校等への特別支援学校分教室の設置も検討することで、その適切な受け入れを図ってまいります。  小中学校における放課後等デイサービスへの対応についてでございます。障害のある子供の就学に当たっては、市町村教育委員会及び小中学校において、放課後等デイサービスの教育的効果等に関する適切な情報提供を保護者に行う必要があると考えております。また、ソーシャルスキルの向上など、自立支援のための活動を行う事業者との間で支援計画を共有したり、互いの活動に参加し合うことは、個に応じたより効果的な発達支援が期待できるものと考えております。このため県教育委員会としては、市町村教育委員会の就学事務担当者や小中学校の管理職及び特別支援教育コーディネーターを対象とする研修会において、その制度や意義等に関する周知を図り、保護者への情報提供の充実と事業者との連携強化を図ってまいります。 50 ◯副議長(佐々木 徹君) 田辺一城君。 51 ◯二十番(田辺 一城君)登壇 御答弁をいただきました。放課後等デイサービスにつきましては、子供と保護者が制度を利用する上での相談支援体制の強化、そして事業者と学校の連携の強化について具体的な取り組みを約束していただきました。この点、現状の改善につながるとの期待も込めて感謝をいたします。  骨髄ドナー登録の推進については、指摘をしておきたいと思います。私の知る人が先月亡くなりました。私と同世代、子供も生まれたばかりで、ドナー候補が四人いたにもかかわらず、移植には至りませんでした。まさに適合率と移植率の乖離の現実を示していました。きょう提案した内容は、その彼が、当事者の患者として病床で考えたことであり、彼の遺志でもあります。  さて、先ほど申し上げたように、現在八都府県が先行して市町村補助事業を行っていますが、先ほどは紹介しておりませんが、このうち山形、茨城、群馬、岐阜、岡山の五県は今年度から、京都府、東京都の二都府は昨年度から始めたばかりで、まず骨髄ドナー登録の普及啓発とあわせ事業の存在を広く周知することが重要といったタイミングであり、提供件数の減少傾向に歯どめをかけられるのか、また増加させられるかどうかは、今後の行政の努力にかかっています。最も先進例として紹介した埼玉県の担当者もそうした認識でした。ここは知事にしっかりと伝えておきたいと思います。  そして、今回の質問で最も重要なポイントは、なぜ八都府県と百九十七市町村のリーダーが、従来の普及啓発に加え、この助成制度を導入すべきと判断したのかというところです。人として、政治家としての価値観もあると考えております。この動きは、この一、二年で急速に全国で広がっています。現在、助成制度を独自に導入している県内の四つの市と町のほかにも、県内には北九州市のように、今年度、市の要望として県に対して補助制度の創設を求めている市町村もあるとお聞きをしています。そして、骨髄バンクの幹部は、人口の多い福岡県で制度の導入が進むと全国的にも大きな意味があり、ぜひ実現をしていただきたいと、私におっしゃっておられました。  知事におかれましては、きょうのやりとりを踏まえ、ぜひとも制度を導入している都府県や市町村の首長さんに、その価値判断について直接お聞きになり、本県の骨髄ドナー登録の推進につなげていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  これで私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 52 ◯副議長(佐々木 徹君) 中牟田伸二君。(拍手) *中牟田議員質問 53 ◯四十二番(中牟田 伸二君)登壇 自民党県議団の中牟田伸二であります。本日最後の質問者です。よろしくお願いします。それでは早速質問に入ります。  高齢運転者の対策について質問いたします。先ほど来、何度か話題に上っておりますが、十月末に、横浜市で八十七歳の男性が運転する車が登校中の小学生の列に突っ込み、子供が死傷するという痛ましい事故が起きました。この後も、五日連続を含めて、高齢運転者による悲惨な交通事故が後を絶ちません。高齢化の進展により高齢運転者は今後さらにふえていくことになります。こうした中、来年三月施行の改正道路交通法により、七十五歳以上の高齢運転者に対する認知機能検査が強化されることとなりました。県警察は、改正法施行後、認知機能検査の結果、医師の診断が義務づけられる高齢ドライバーは約三千三百人で、昨年の二百十人から一気に十六倍に増加すると予測しています。  認知症に限らず、視力や判断力の低下を懸念し、免許の自主返納を考えている高齢者は多いと思われますが、自動車にかわる交通機関の確保が困難な地域では、返したくても返せないのが実態ではないでしょうか。市町村によっては、免許を返納した高齢者にバスの回数券やタクシーチケットを配付しているところもありますが、これは自主返納を促すための一度きりの取り組みにすぎません。通院や買い物、仕事などで車を使っていた高齢者が、免許を返納した後も返納前と同じような生活を維持できるよう公共交通機関の整備や通院、買い物の支援など、官民挙げて社会全体で取り組んでいく必要があると考えます。内閣府も、十一月二十四日に高齢運転者交通事故防止対策ワーキングチームを発足させ、高齢者の交通事故防止のため早急な対策を講じる体制をとりました。今後確実に返納者がふえていくことが予想されます。  そこで、福岡県の高齢運転者対策について知事のお考えをお聞きしたいと思います。  よろしくお願い申し上げます。(拍手) 54 ◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。 *知事答弁 55 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  免許返納後の高齢者の方々の生活維持のための取り組みでございます。県におきましては、これまでも住民生活の足を確保する公共交通対策、高齢者の方の生活支援対策、警察による交通安全対策を総合的に実施をしてきたところでございます。  公共交通対策の面におきましては、生活路線を運行する民間バス事業者及びコミュニティーバス、デマンド交通を運行する市町村に対し、それぞれ助成を行ってきておりまして、今年度からはコミュニティーバスの新路線開設に対する補助率を引き上げたところであります。今後は、市町村域を越えたコミュニティーバスの広域運行にも取り組んでまいります。  高齢者の方々の生活の支援の面でございますが、市町村の地域包括支援センターが実施をしております日常生活の相談、訪問介護員によります通院時の付き添いや買い物代行のほか、地域の商店街の皆さんがやっておられます出張販売の取り組み、これらを支援しているところでございます。  県警察におきましては、免許を持たなくなった高齢者やその家族からの各種相談に応じまして、市町村の生活支援サービスの紹介を行っているところであります。  県では、来年三月の改正道路交通法の施行を踏まえまして、ことしの十月、知事部局、警察本部、部局横断的に関係課による連絡会議というものを設置したところでございます。これまで以上に緊密に連絡をとり、免許を持たなくなります高齢者の皆さんの生活の維持に取り組んでまいります。 56 ◯副議長(佐々木 徹君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は十二月十二日に取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時 五十九分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...