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平成28年2月定例会(第10日) 本文
平成28年2月定例会(第10日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2016-02-10
    平成28年2月定例会(第10日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井上 忠敏君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。十中大雅君。(拍手) *十中議員質問 2 ◯五十番(十中 大雅君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団、十中大雅でございます。通告に従いまして質問をさせていただきます。  最初に、県南地域経済活性化についてお尋ねをいたします。本年一月の内閣府の月例経済報告によりますと、景気は一部に弱さも見られるが緩やかな回復基調が続いているとされており、福岡県が二月に発表しました県内経済の動向においても、福岡県の景気は緩やかに回復しつつあるとされております。確かに、経済関係の各種指標を見てみますと、厚生労働省が発表した昨年十二月の有効求人倍率は一・二七倍と二十四年ぶりの高水準となり、福岡県におきましても有効求人倍率が一・二倍を超えるなど雇用環境が大きく改善をしてきております。また、中小企業基盤整備機構が実施をしております中小企業景況調査におきましても、平成二十七年十月から十二月期の県内の中小企業の業況判断DIは前期から二・八ポイントマイナス幅が縮小するなど、まだまだ不安定な面は残るものの、県全体としては概括して景気回復の傾向にあるものと考えられます。  しかしながら、県内を地域別に見た場合、その状況には大きなギャップ、温度差があるのではないでしょうか。例えば、県南の久留米地域においても、雇用状況は改善しているものの有効求人倍率は昨年十二月に一・〇五となり、県全体に一年以上おくれて、ようやく一倍を超えた状況であります。また、地域企業業況判断DI値につきましても、久留米商工会議所の調査結果は、県内や福岡地域、北九州地域などの調査結果と比べ総じて低い傾向が見られております。事業者の方々からも、景気回復の実感は全く感じられないという声が多く聞かれる状況であります。このように、全国的、全県的な景気回復の流れを県南地域が十分に享受できているとは思えません。これまで、バイオ産業や農業を初めとしてさまざまな産業振興策を実施をしていただいておりますが、まだまだ県南地域の経済基盤は弱く、そういうところに要因があるのではないでしょうか。今後、本格化する人口減少社会に向けて、地方のまち・ひと・しごと創生が強く求められていく中で、安定した経済基盤づくりは最も重要な要素であり、県南地域経済活性化は本県の喫緊の課題であると考えております。  そのような中、このたび県南地域の新たな産業集積に向けて、久留米市とうきは市にまたがるエリアに、企業誘致の受け皿となる新たな工業用地の整備事業を予算化をしていただいたことは、大変ありがたく思っております。当該エリアの近接地には、ダイハツ九州久留米工場東プレ九州プレス工場及び技術センター自動車関連の主要な生産拠点が立地するとともに、昨年八月、ダイハツグループ九州開発センターが開設し、研究開発機能が加わったことにより、本県が進める北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想の非常に重要な拠点となっております。また、九州の高速交通クロスポイントも近く、周辺にはバイオ産業の集積や九州有数の農業生産地があるなど、当該エリアは産業集積のポテンシャルが大変高い地域であると考えております。今後は、整備事業を両市と連携し円滑に進めるとともに、エリアの利点を最大限に生かして足腰の強い産業の集積を図り、安定した雇用を創出していくことが不可欠であると考えます。  そこでお伺いをいたします。久留米・うきは工業用地整備計画地域をどのように知事は認識、評価をされているのか。それを踏まえて、当該エリアをどのような産業拠点としようとしているのか。また、どのくらいの新たな雇用を創出して県南地域経済活性化に結びつけようとしていくのか。知事のお考えをお聞かせください。  あわせて、県南地域の観光振興についてお伺いをいたします。人口減少、少子、高齢化に直面する中で、交流人口の拡大によって地方に需要を生み出し、新たな雇用を創出する観光は、地域経済活性化において非常に重要な産業となっております。今後は、県内の魅力ある観光資源を点から線、線から面へとネットワーク化し、その魅力をより効果的なものとするとともに、観光にかかわるさまざまな産業が新たなサービスや商品を生み出し、稼ぐ力を一層高めていくことを推進する必要があると考えます。県南地域においても、昨年は明治日本の産業革命遺産がユネスコの世界遺産に認定されるとともに、久留米・高良山コース九州オルレに認定されるなど、新たな魅力が加わっております。こうしたさまざまな地域の魅力や取り組みをつなぎ、広域的な観光圏形成による魅力の訴求力の向上や観光PRの強化、さらには県内の観光圏の周遊に結びつくような観光商品の企画などの仕掛けが重要であると考えます。  そこでお尋ねをいたします。県南地域における観光資源などの魅力をどのように認識、評価してあるのか、それらの資源をどう連携させ、観光客の誘客、周遊に向けてどのように取り組まれるのか、知事のお考えをお伺いいたします。  次に、農業者の所得向上に対する取り組みについてお尋ねをいたします。国は、農林水産業・地域の活力創造プランにおいて、農業を成長産業と位置づけ、輸出や六次産業化などにより強い農業を支える基盤づくりを進めることで、農業、農村の所得を十年間で倍増することとしております。また、平成二十八年一月二十二日に開催された農林水産業・地域の活力創造本部において、輸出力強化ワーキンググループの設置が決定されるなど、農林水産業輸出力強化に向けた政府の議論も本格化をしてきております。これに加え、生産資材の価格形成や流通、加工の業界構造の見直しなど、農林水産業体質強化策を本年六月にまとめるとしており、攻めの農業の実践は、まさに待ったなしの状況になっていると言えるのではないでしょうか。  このように、農林水産業成長産業化を実現し、若者たちが希望を持てる強い農業と、美しく活力ある農山漁村をつくり上げていくことが重要であると思います。そのためには、担い手対策や生産基盤の整備など施策を有機的、総合的に実施していかなければなりませんが、その際、各施策が農家所得の向上にどのようにつながっていくかをしっかりと検討することが大変重要であります。また手段として、販売力強化に着目することが特に重要であり、有効であると考えております。このような視点に立って質問をさせていただきます。  輸出や六次産業化などによる販売力強化は、農産物の生産量減少や価格低迷の現状を切り開き、TPPや少子、高齢化に伴う国内市場の縮小などによる農業を取り巻く環境変化に対応していく取り組みとして期待もされております。安全性や品質にすぐれた日本の農産物は、新興国の経済発展などを背景に、今後大きな需要が見込まれております。また、海外から観光客が増加し、インバウンド観光が注目される今、農家レストラン、観光農園、農家民泊などの取り組みは、農村地域における所得、雇用の確保のみならず、交流人口の増加、そして農村地域全体の活性化が実現できるものと考えております。  現在、県内の各自治体でも、海外への販路開拓や六次産業化促進に向けた数々の取り組みが行われております。私の地元である久留米市におきましても、農家がみずから生産した農産物を香港の店頭で販売し、輸出実務やマーケティングなどを学ぶ輸出に取り組む農業者支援研修など、輸出促進に向けた取り組みが独自に行われております。六次産業化では、商品開発や販路開拓に向けた補助支援、さらには見本市開催など市独自の取り組みが展開されております。特に、今年度の福岡県六次化商品コンクールでは、久留米市が開発支援などを行った商品、さくらんぼ大根のやさしい酢漬けが、最高賞である県知事賞を受賞したと伺っており、こうした地域の取り組みが成果につながったものだと考えます。  しかしながら、多くの農業者にとっては、輸出や六次産業化に取り組むに当たり、最初の一歩が踏み出しにくいというのが実情ではないでしょうか。今後、輸出や六次産業化を促進し、裾野を拡大していく上では、生産者や生産現場のニーズに合った、そして努力した農業者にメリットが所得として返ってくる仕組みづくりが必要であると考えます。そのためには、市町村や農業団体、農業者との意見交換など、現場の声をしっかり聞きながら頑張っている地域の取り組みを支援すること、さらには、すぐれた取り組みについては全県下に広げていくなども必要ではないでしょうか。また、取り組みを効果的に進めていく上では、県のリーダーシップのもと、県内市町村や農業団体、農業者としっかり連携していくことも重要であると考えます。  そこでお尋ねをいたします。知事は、このように地域で独自に進められている輸出や六次産業化の取り組みを、どう評価をされているのでしょうか。また、これらの取り組みを一層進めていくための支援について、どのように考えてあるのでしょうか。この二点について明確な御答弁をお願いいたします。(拍手) 3 ◯議長(井上 忠敏君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、久留米・うきは工業用地の整備計画についてでございます。今回整備を予定いたしておりますこの工業団地でございますけれども、高速道路へのアクセスなど交通の利便性が非常に高い、その周辺には、議員も御指摘ありましたように、ダイハツ九州エンジン工場ダイハツグループ九州開発センターといった多くの自動車関連企業、また地域の農産物を活用した食品関連企業、大学発の技術シーズを活用したバイオ関連企業が立地をしております。加えて、この地域には久留米大学、久留米工業大学高等専門学校等がございまして、豊富な理工系の人材が輩出されるなど、すぐれた立地環境を有している地域だというふうに考えております。
     これまでの企業誘致におきましては、隣接する吉本工業団地自動車関連企業七社、食品関連企業三社など計十三社が立地をしておりまして、約千二百名の雇用が生まれております。今回、整備をいたします工業団地におきましても、先ほど述べました地域のポテンシャルというものを最大限生かして、設計、開発から生産に至る幅広い分野の自動車関連企業を初めといたしまして、地元農産物を活用した食品関連企業など、できるだけ多くの雇用を創出する企業を誘致をいたしまして、物づくり産業の集積というものを図っていきたいと思っております。さらに、立地した企業と地元企業との取引の拡大を図っていくことによりまして、その経済効果を周辺地域にも波及させ、県南地域の経済の活性化につなげていきたいと考えております。  次に、観光を生かした県南地域の活性化でございます。県南地域には、柳川、八女、うきはといった伝統的な町並み、久留米絣、大川家具など伝統ある地場産業、有明海の新鮮な海の幸、質の高い八女茶、日本有数の酒蔵など魅力ある観光資源が数多くございます。また、昨年の七月でございますけれども、三池炭鉱や三池港がユネスコの世界文化遺産に登録をされたほか、御指摘ありましたように、九州オルレにつきましても、これまでの八女コースに加えまして、十月、久留米・高良山コースが認定をされました。このように、新たな観光の魅力というものがつけ加わっておりまして、今後、観光面で大いに伸びる可能性がある地域だというふうに考えております。県では、これまで九州新幹線の開業に合わせまして、JR九州とタイアップして、筑後三駅を起点といたしまして各地をめぐる旅、これを全国に紹介をしてきましたほか、筑後地域の十二市町とともに観光モニターツアーウエブサイトちく観光案内所による情報発信に取り組んでまいりました。今年度は、近代化特急福岡県と題しまして、明治日本の産業革命遺産を核といたしましたキャンペーンを、今展開をしております。あわせて、筑後地域の酒蔵、久留米絣、八女茶など体験型の新しい観光プログラムの開発も進めているところでございます。このように、地域の観光資源を磨き、それらをストーリーでつなぎ、広げ、魅力ある商品として売っていくことで、観光客の皆様に広く地域を周遊していただき、少しでも長く滞在、消費をしていただけるよう、市町村や観光協会など地域の皆さんと一緒になって取り組みを進めていきたいと思っております。  次に、輸出や六次産業化についてでございます。攻めの農林水産業へ転換を進めていくためには、海外へ販路を拡大していく輸出、それから農林水産物の付加価値を高める六次産業化といった取り組みが今までにも増して重要になると考えております。このような中、久留米市におきましては、地域の関係者が一体となりまして、特産物であります植木の輸出拡大に向けた協議会等の設立や、香港における柿の販売促進フェアなどの取り組みを行われておられます。また、ラディッシュの酢漬けや果実のドレッシングを開発されるなど、六次産業化も進めておられるところであります。こうした地域の特徴を生かした久留米市の取り組みは、大変意義あるものだというふうに考えております。このため県では、久留米市のような地域の取り組みが県内各地域に広がっていくよう支援を申し上げているところでございます。  具体的に申し上げますと、輸出につきましては、海外での販売促進フェアの開催や商談会への出展、さらには現地のバイヤーをこちらに招聘をする、そういった幅広い取り組みを進めているところでございます。久留米市の植木の輸出に向けた研修会、あるいは柿のフェアというのも、県が共同で実施させていただいたものでございます。六次産業化につきましては、商品開発に必要な専門家の派遣やその試作品への支援を行うとともに、展示商談会等による販売開拓を進めているところであります。また、先ほどお触れになりましたが、本年度の六次化商品コンクールにおきましては久留米市からも二点が入賞されておりますけれども、参加商品について、その内容を紹介する冊子等を作成いたしまして、各地域における新たな商品開発の参考に供しているところでございます。県といたしましては、今後とも市町村や農業団体の声もお伺いし、しっかり連携をしながら、こうした輸出、六次産業化の取り組みを進め、農業者の方の所得の向上を図ってまいります。 5 ◯議長(井上 忠敏君) 渡辺美穂君。(拍手) *渡辺(美)議員質問 6 ◯五番(渡辺 美穂君)登壇 皆様、おはようございます。民主党・県政クラブ県議団の渡辺美穂です。通告に従い質問させていただきます。  現在、日木の高齢化率は二五・一%、福岡県は約二六%です。十年後にはそれぞれ三〇%に伸びていくことが予想されています。人口増加率が政令市で日本一の福岡市においてでさえ高齢化率が上昇しています。つまり、今後、高齢者施策は全ての自治体において喫緊の課題であると言えます。  このような人口動向を背景に、現在多くの自治体で課題になっているのが高齢者施設の不足です。特に都市部の自治体では、特別養護老人ホームの待機人数の問題が深刻化していると思います。各自治体において地域包括ケアシステムの構築が進む中、昨年介護保険法が改正され、特別養護老人ホームの入所要件が原則介護三以上となったこともあり、認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護事業所などの地域密着型サービスへの需要が高まっていくことは間違いのないところです。この地域密着型サービスが望まれる理由の一つは、高齢者の方ができるだけ長く住みなれた地域で生活していただくための支援を行うということがあります。  そこでまず、この地域密着型サービス施設の整備促進に対する知事のお考えをお伺いいたします。  我が国は、昭和三十年代から五十年代にかけて丘陵地などの大規模造成を行い、団地整備を進めてきました。その際、市街化調整区域から市街化区域へ編入した地域が数多くあります。現在、このような市街化調整区域に囲まれた団地で高齢化が進んでいます。国交省が、市街化調整区域において社会福祉施設建設の必要性に言及しているように、本県においても一定の基準を満たせば建設は可能となっていますが、現実的には市町村段階でストップし、県への申請が行われていないことがあるようです。この要因は幾つか考えられますが、市町村の高齢者福祉施策都市計画マスタープランとの関係も理由の一つと推察しております。つまり、担当課間の連携が不十分ではないかということです。しかし、今後の高齢者施設の需要を考えると、市町村に対して県としてアドバイスなどが必要になると思います。例えば、長崎県などでは、建設関係向けではなく福祉関係の事業者が見ても建設許可範囲が理解できるよう、専門用語を使わないなど工夫を凝らしたチラシを作成し、ホームページなどで閲覧できるようになっています。  そこで知事にお伺いいたします。高齢者の方ができるだけ住みなれた地域で長く生活していただくための施設の建設が円滑に進むよう、市町村の福祉施策と市街化調整区域の活用も含めた都市計画マスタープランとの連携が必要と考えますが、どのようにお考えなのか、また建設業者のみならず福祉事業者でも一定の判断ができるよう、施設の建設が可能な要件をわかりやすく周知することについて、具体的な方法とそのお考えをお示しください。  二点目は、特別支援学級における児童生徒の定数についてお伺いいたします。現在、国の基準では、障害の種類にかかわらず特別支援学級児童生徒数は、一クラス八名以内となっています。本県では、平成二十七年度千九百二十一の特別支援学級があり、五年前と比較して五百六十一クラスもふえています。一クラス当たりの平均児童生徒数は四・一人ですが、これはあくまで平均であって、定数の八名で運営されている特別支援学級があることは事実です。この定数は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律が、平成五年に改正された際に決定された数字で、それから二十三年間改正されていません。厚労省の統計によると、近年、知的障害児の数が増加しています。しかし、学校現場では自閉症、情緒障害の特別支援学級がふえているという話をよく聞きます。自閉症、情緒障害の特別支援学級がふえている、このことは、自閉症のこういったクラスには、他人との意思疎通や対人関係の形成が困難であったり、心理的要因により社会生活への適応が困難だったり、注意力の問題や衝動的で落ちつきのない行動により生活上で著しい困難に直面している生徒が在籍しており、細かい個別対応が必要な場合が多くあります。そういう児童生徒を一度に八人も担当することは不可能です。  この困難な状況を緩和するため、学校における児童生徒の生活介助や見守りを行う支援員が配置されています。この配置に関しては、国の財政措置で市町村が主体となって行います。現在、支援員は政令市を含めて県内で千五百六十三名となっていますが、市町村によって積極的に配置する場合やほとんど配置しないなど対応がばらばらになっています。特に、支援員の配置が少ない特別支援学級の先生方は、多様化する障害への対応で非常に疲弊されていますし、何より子供たちの安全が担保されにくいということ、また支援員がいないため学習以外の生活介助の部分が大きくなり、十分な教育的指導を受けることができないという現状が報告されています。これは、障害者差別解消法において、合理的配慮を行うに当たって市町村が行う基礎的環境整備が十分に整えられていないということではないでしょうか。まずは、子供たちの安全を確保するという視点からも、特に自閉症、情緒障害の児童生徒が在籍する特別支援学級において厚目に支援員を配置するよう法の趣旨も踏まえて市町村に対し指導すること、あわせて国に対して、せめて障害に応じて学級編制基準を変えるなど実態に合わせて学級編制基準を引き下げるよう働きかけを行ってほしいと考えますが、教育長のお考えをお聞かせください。(拍手) 7 ◯議長(井上 忠敏君) 小川知事。 *知事答弁 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  私のほうから初めに、地域密着型サービス施設の整備促進についてでございます。  まず、この地域密着型サービス施設には、認知症の方に対しまして共同生活により介護などを行いますグループホーム、またサービス施設への通いを中心に訪問や短期の宿泊を組み合わせて介護などを行います小規模多機能型居宅介護事業所などがございます。これらの施設は、議員も御指摘になりましたが、介護が必要となっても可能な限り住みなれた地域で生活を継続できるようにするため、高齢者の方々の生活を二十四時間体制で支えるものでございまして、地域包括ケアシステムの構築を進めていく上で大変重要な課題であります。平成二十七年度から二十九年度までを期間といたします市町村の介護保険事業計画におきましては、グループホーム六十五施設、小規模多機能型居宅介護事業所五十五施設、看護小規模多機能型居宅介護事業所二十四施設、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所三十九施設をそれぞれ整備することとなっております。県といたしましては、こうした地域密着型サービス施設が計画に基づき着実に整備できるよう、福岡県地域医療介護総合確保基金を活用いたしまして、その財政的な支援を行っているところでございます。  次に、市町村における福祉施策と都市計画の連携でありますが、市街化調整区域というのは、市街化を抑制する区域でございまして、この区域内で開発を行うためには、県が定める審査基準に適合し、その許可を受けることが必要でございます。その際、県におきましては、地域のまちづくりとの整合性を図るため、地元市町村の意見を踏まえて許可をすることといたしております。地域密着型サービス施設の建設の許可要件でございますけれども、市街化を促進するおそれがなく、かつ福祉施策の見地から必要な場合としておりまして、円滑に整備が行われるためには、当該市町村都市計画部局と福祉部局の間の情報の共有、そしてその連携が必要であると考えております。県におきましては、地域の実情を踏まえた適切な対応が行われますよう、今後とも市町村に対しまして、都市計画と福祉部局との連携の重要性、また県の審査基準についての説明会を開催をするとともに、必要な助言を行ってまいります。  次に、市街化調整区域における地域密着型サービス施設の開発許可基準の周知でございます。本県では、地域密着型サービス施設の開発許可基準を都市計画法に基づく開発行為等の審査基準において定めております。この審査基準は、ホームページや各県民情報コーナーにおいて広く周知をしているところでございますが、今後、具体的な事例を加えるなど、よりわかりやすくするための工夫を行ってまいります。あわせて、事業者からの個別相談にも丁寧に応じさせていただきたいと、このように考えております。 9 ◯議長(井上 忠敏君) 城戸教育長。 *教育長答弁 10 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 自閉症、情緒障害の児童生徒が在籍する特別支援学級に対する支援についてでございます。自閉症、情緒障害の特別支援学級などにおいて、日常生活の介助や学習活動のサポートを行う特別支援教育支援員を活用することは、障害による困難を克服するための教育を行う上で有効でございます。小中学校における特別支援教育支援員の配置経費については、地方財政措置が市町村に対して講じられており、近年、市町村において徐々に実態に応じた配置が進んでおります。県教育委員会では、毎年、支援員の配置を市町村に要請しており、引き続き積極的な配置を働きかけてまいります。あわせまして、本年四月に施行される障害者差別解消法の趣旨も、リーフレットの配布や各種研修会を通して周知してまいります。また、特別支援学級の編制基準の引き下げによる教職員定数の改善については、昨年の十一月に全国都道府県教育長協議会等が国に対して、多様化、複雑化する教育課題に対応していくための特別要望を行っており、今後もこうした機会を通じて特別支援教育の推進体制の充実に向けた働きかけを行ってまいります。 11 ◯議長(井上 忠敏君) 渡辺美穂君。 12 ◯五番(渡辺 美穂君)登壇 二点、要望させていただきます。  市町村の都市計画審議会に県の職員の方が委員として参加されておられる場合があります。全ての市町村ではありませんが、少なくとも参加されている審議会において、都市計画マスタープランの作成や変更の際など、今回質問した趣旨を市町村の都市計画担当課に伝えていただくこと。  次に、障害者差別解消法は、小中学校などにおいても合理的配慮を行う根拠法であることから、特に公の組織においては法を遵守しなければなりません。学校現場であっても、基礎的環境整備は予算配分などにおいて、教育委員会だけではなく行政が担う部分もかなりあります。したがって、県教委としても知事部局と連携しながら、県内市町村へ、この法の趣旨を徹底していただくこと。  以上要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 13 ◯議長(井上 忠敏君) 西尾耕治君。(拍手) *西尾議員質問 14 ◯二番(西尾 耕治君)登壇 公明党の西尾でございます。それでは、通告に従い一般質問をさせていただきます。  現在私たちが生きているこの二十一世紀が環境の世紀と呼ばれており、事実そうであることは、言をまたないところであります。近年の地球規模の異常気象による自然災害も続発しており、世界規模で考慮すれば、特に被害が相次いでいるアジアにおいては、世界全体の温室効果ガスの排出量の約三〇%を占有していると言われる日本、韓国、中国の三カ国がお互いに連携し、地球温暖化の要因である温室効果ガスの削減を意欲的に推進すべきであると考えます。と同時に、日常の生活を送っている私どもも、環境問題に配慮しながら、身近な行動に反映していかなければならないと思います。そうすることによって、結果的には安心、安全の日々の生活につながっていくことと確信いたします。  本県における最上位計画と言える福岡県総合計画(マスタープラン)において、知事は、県民生活の安定、安全、安心が向上していく社会を構築することによって県民幸福度日本一を目指すとしており、その具体的な施策を十の事項の実現に取り組むことであらわしています。そして、事項の九番目には、「環境と調和し、快適に暮らせること」の部分で、低炭素社会・循環型社会をつくると、さらに言及されておられます。また、昨年の十二月に報告された環境に関する年次報告書の中では、本県が取り組んでいる施策として、汚水や廃棄物などの適正処理を計画的に進めていくこととしております。  今回私は、前任の上岡前議員が一貫して今まで取り組んでこられたテーマの一つでもある環境問題の中で、汚水処理、浄化槽、廃棄物処理などについて質問させていただきます。  初めに、汚水処理構想についてです。本県では、平成六年度に県の全域を対象に、総合的な汚水の処理構想として策定され、その後、人口減少や合併などの社会情勢の変化もあり、見直しが行われ、直近では平成二十一年に見直しが行われました。平成二十六年には、国の政府機関、農水省、国土交通省、環境省の三省合わせて、持続的な汚水処理システム構築に向けた都道府県構想の見直しの推進についてという通知がなされており、今後の十年間で汚水処理施設の整備をおおむね完了するように示してきております。本県においても、二十七年度の予算の中で、五百七十七万二千円で処理構想の見直しが執行されていることとは思われますが、国の意向に沿った内容になっているのか、今までとはどのような点で違うのか、また関係する県内の市町村とは連携をとっておられるのかなどの幾つかの疑問点が考えられます。  そこで、これまで汚水処理構想に基づき、下水道、農業集落排水、浄化槽整備などの取り組みと、状況に応じた汚水処理の政策が進められてきたことだとは思いますが、その進捗状況はどのようになっているのかお伺いいたします。  我が会派は今までも、その地域の地形の形状と、過去からの行政施策の状況と財政の実情に合わせて、汚水処理施設の中で、浄化槽の適切な配置と早急な普及を適宜求めてまいりました。浄化槽は、東日本の大震災のときにも確認されましたように、緊急事態にすぐれた対応能力があり、地形の形状に応じた設置が可能で、比較的安価で設置できる、またその浄化処理の完了した水は、河川に放流すれば河川流量の維持に役立つなどの利点があります。先月二月五日には、環境省や本県、浄化槽協会が主催となり、汚水処理の現状と今後の汚水処理のあり方を考察するため、また意識を向上させるため、県内自治体の関係者を対象に、浄化槽トップセミナーが福岡市内で開催されました。このように、国としてもかなり浄化槽施設の整備を推進されているようであります。  昨年十一月に行われた福岡県環境事業協同組合連合会の設立五十周年の式典の挨拶の中で知事は、今後のなお一層の浄化槽の普及を推進していくことを訴えておられたことと記憶しております。が、二十八年度の浄化槽整備促進費の当初予算を見れば、二十七年度と比較して四千三百万ほど減額されています。もちろん、整備状況が進み、希望する自治体からの箇所が減ったということかもしれませんが、県から市町村へのインセンティブ、動機づけの必要性を考えれば、処理水の水質からも、単独浄化槽から合併浄化槽への転換も含めて、整備をもっと早急に進めるべきだと考えます。  また、平成二十七年六月議会において知事は、今後十年間程度で汚水処理施設の整備をおおむね完了させるために浄化槽は有効な手段だと答弁されておられますが、浄化槽の整備を一層進めるために、今後本県としてはどのように取り組んでいかれるおつもりなのかお伺いいたします。  次に、汚水処理施設の中で、下水道事業についてお聞きいたします。自治体が下水道事業を持続的なシステムとして管理運営するためには、管渠や処理場などの施設のストックや管理運営の状況について正確に把握することが不可欠だと考えます。我が会派では、平成二十七年六月の定例県議会の代表質問、またその四年前の六月定例県議会の代表質問でも、自治体がストック情報、住民サービス、事業に要したコスト情報を正確に分析することで、長期的な効率性や経済性を明らかにすることが可能な公会計制度の導入について知事に質問をいたしました。下水道事業について、国は平成二十七年一月に、県が実施している流域下水道事業を含めて、平成三十二年四月までの公営企業会計への移行を要請したところであります。このことは、今後の汚水処理施設の効率的な整備や長期的な管理運営を図る上でも有効な取り組みであると認識いたします。  そこで知事に伺います。県が実施する流域下水道事業の公営企業会計への移行について、本県ではどのように対応されるのかお伺いいたします。  次に、廃棄物についてです。また、中でも前述の本県の最上位計画である総合計画の中では、低炭素社会・循環型社会をつくるの部分の、現状・課題あるいは施策の方向のところで、廃棄物の処理に関して、一般廃棄物も産業廃棄物もあわせて、不法投棄の防止や廃棄物の適正処理に向けた施策を推進することが必要と、強調するように繰り返し述べておられます。  そこで、県が把握している県内での不法投棄の発生状況と、現在及び今後の県の不法投棄の対策についてお尋ねいたします。  次に、廃棄物の処理について伺います。  まず、本県の廃棄物処理の指針の基本となるものは廃棄物処理計画と思われます。この計画は、廃棄物処理法第五条の五第一項の規定に基づき定めるもので、本県においては、平成二十三年度から今年度平成二十七年度までの五年間が対象となっております。本県の環境分野における基本計画である福岡県環境総合基本計画を支える計画として、三Rを推進し、廃棄物行政の諸施策を整理して提示しております。また、関係市町村の計画と調整し、意見を聞いていくこととなっており、そのことにより一般廃棄物の減量化や適正な処理を図っていくものであり、大変に重要な計画の一つと考えられます。前述のとおり、今年度で現計画の執行年度も完了するため、現在、次の計画を策定中のことだとは思いますが、どのような形で進められておられるのか、現計画とはどの部分で違ってくるのか、どこに主眼を置こうとしているのか。あるいは、余り変更はないのか、目標数値も変わっていくのか、関係する市町村とはどのように連携をとっていかれるのか、大変に気にかかるところであります。私は、廃棄物の処理に関しては、それぞれの種別に応じた適正な処理はもちろん重要なことではありますが、これからは、我が党もかなり以前より訴えてきたところの循環型社会の構築に向けて、三Rの取り組みが一層必要だと考えます。中でも、そもそも廃棄物の発生を抑制していくことこそが重要だと考えております。  そこで最後の質問として、議会における一般質問は政策論争が根本であるとの観点から、今後の廃棄物の基本的な処理に対する本県の考え方をお尋ねいたします。  ところで、産業廃棄物に関連して、環境配慮契約法という関係法があります。この法律は、国及び独立行政法人など並びに地方公共団体を対象に、入札などによる契約の段階で環境配慮契約の推進を図るものです。平成二十五年に、環境配慮契約法の対象として、適正処理の観点から、産業廃棄物の処理に係る契約が新たに追加されました。国の機関においては義務規定で、現在、地方公共団体は努力規定のようですが、県内の廃棄物の関係団体である福岡県産業廃棄物協会からの情報もあり、環境省から、かなり地方へこの事項を推進してくる様子とのことです。今月の十日には福岡でも、環境省主催でこの件についての説明会を行うようです。確かに、本県の現在の廃棄物処理計画の中でも、第二節の計画の進行管理のところで指摘されておりますように、「産業廃棄物については、調査対象が多数となること、処理の流れが複雑であること等の理由により毎年度の実態調査の実施が困難である」と記述されておりますし、国においても産業廃棄物の処理の流れを正確に掌握していくような流れが出てきたとも言えます。本県の入札物件に照らし合わせてみると、現実には該当するような物件の数は少ないか、あるいは該当なしとも推察できますが、国の全体的な流れであるならば、認識はしておかないといけないとも考えられます。また、この類いの情報を集めていく作業は今後も続けていくべきだろうと認識いたします。  さて、一方、一般廃棄物処理に関連しては、平成二十年六月、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長名で、各都道府県廃棄物処理担当部局長宛てに、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第六条第一項の規定に基づくごみ処理基本計画の策定に当たっての指針についての通達が、また平成二十六年十月には、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長名で、各都道府県知事、各政令市市長宛てに、一般廃棄物処理計画を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適正な運用の徹底についての通知が届いていることと思います。内容の趣旨は、一般廃棄物の処理の制度については、環境保全の重要性及び一般廃棄物処理の公共性に鑑み、経済性の確保などの要請よりも業務の確実な履行を重視していることを強調しており、このことから、執行に当たっては、県民の理解はもとより関係する団体、事業所の協力を得ながら進めなければならないとしております。  いずれにせよ、廃棄物処理の施策を進めるに当たっては、産業廃棄物にしろ、一般廃棄物にしろ、国の関係機関の情報を集めながら、県民、県内の市町村、関係団体、事業所と連携をとりながら、廃棄物の発生の抑制を中心とするような本県独自の環境政策を進めなければならないと認識いたします。知事及び執行部におかれましては、県民生活の安定、安全、安心を向上させるためにも、さらに引き続き、その職務に邁進していただくことを強く望み、私の一般質問を終わります。(拍手) 15 ◯議長(井上 忠敏君) 小川知事。 *知事答弁 16 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、浄化槽整備の進捗状況でございます。県では、平成二十一年三月に策定をいたしました汚水処理構想に基づきまして、平成二十七年度に汚水処理人口普及率を九〇%とする中期目標を掲げて、下水道や浄化槽の整備などに取り組んでまいりました。この目標の達成に向けまして、浄化槽につきましては、その普及率を二十七年度八・三%とすることを目指し、必要な予算を措置いたしまして、市町村を通じてその設置者に補助を行うことで、その整備を進めてまいりました。この結果、平成二十六年度末には、浄化槽の普及率は九・三六%となり、下水道整備などと合わせて汚水処理人口普及率につきましても九〇・五%と目標を一年前倒しで達成したところでございます。  浄化槽整備の一層の推進についてでございますけれども、浄化槽は、住居が散在し、下水道や農業集落排水施設といった集合処理が非効率な地域に最も適した汚水処理施設でございまして、今後十年程度でこの汚水処理施設の整備をおおむね完了させていくためには有効な手段であるというふうに考えております。現状では、し尿のみを処理するみなし浄化槽、単独浄化槽、また、くみ取りによる処理を行っている世帯が約一割程度残っております。今後、この合併浄化槽の一層の整備を進めるためには、こうした世帯につきまして、生活排水とし尿とをあわせて処理できる浄化槽への転換をいかに図っていくかが課題であるというふうに考えております。現在、汚水処理構想の見直し作業を進めているところでございまして、これを来年度中に策定することといたしております。この見直し作業の中で、今申し上げました課題への対応策も検討させていただき、浄化槽整備を一層推進してまいります。  次に、流域下水道事業の公営企業会計への移行でございます。下水道事業は、今後施設の老朽化に伴う更新投資の増大、人口減少等の社会情勢に伴う料金収入の減少ということが予想されますことから、経営基盤強化や健全化のさらなる取り組みが必要となってまいります。これらの取り組みがより的確に推進されますよう、国から、昨年一月でございますが、公営企業会計への移行について要請があったところであります。県といたしましては、これまで先進事例も調査をしながら、資産の評価の方法、また移行スケジュールなどについて整理を行っているところでございます。今後、こうしたこれまでの作業をもとに、来年度前半を目途にいたしまして、県としての対応方針を定めてまいります。  次に、不法投棄についてお尋ねがございました。まず、発生状況でございます。県が把握をしております廃棄物の不法投棄の発生件数は、この五年間で年間約二百件と横ばいの状態で推移いたしております。  これまでの取り組みでございますけれども、不法投棄の早期発見、早期対応を図るため、保健福祉環境事務所による通常監視に加えまして、不法投棄が行われやすい休日、夜間のパトロールを警備会社に委託し、これを実施しております。さらに、発見しにくい山間部などを監視するため、県警察と連携し、ヘリコプターによるスカイパトロールも実施させていただいております。また、不法投棄対策を迅速かつ効果的に進めるためには、市町村、県警察など関係機関が幅広く関連の情報を共有し、対応していくことが重要でありますことから、各保健福祉環境事務所に設置をいたしております地域連絡協議会を活用いたしまして、日ごろから関係者間の連携の強化を図ってきているところであります。  来年度からは、これまでの取り組みに加え、新たにGPS機能のついたカメラを用いまして、不法投棄場所や不法投棄物を特定し、その情報を市町村との間で速やかに共有するシステムを整備いたしまして、不法投棄の早期発見、早期対応を図ってまいります。また、不法投棄がなされやすい場所に監視用の小型カメラを配備することによりまして、その未然防止対策も強化をしてまいります。  次に、循環型社会の構築に向けた廃棄物の処理についてお尋ねがございました。循環型社会を構築していくためには、県民の皆様のライフスタイル、また事業活動の中に広くスリーRの取り組みが浸透することが必要でございます。これまで、そのスリーRの一つ、リサイクルにつきましては、最終処分されるごみの量を抑制する観点から、ごみの分別収集の促進や使用済み小型家電等のリサイクルシステムの構築などに取り組んできているところであります。また、廃棄物の発生量そのものを抑制する観点から、発生抑制(リデュース)、それから再使用(リユース)といったツーRについても取り組んできているところであります。まず、発生抑制(リデュース)につきましては、家庭ごみに多く含まれております紙類、そして食品廃棄物に着目をいたしまして、紙類の分別収集の徹底はもちろんのこと、飲食店、家庭から出る食品ロスの削減に取り組むことといたしております。再使用(リユース)につきましては、壊れた物を簡単に捨てずに、修理して長く使うことを推奨していくため、県内の修理店をまちの修理屋さんとして登録をいたしまして、これを県のホームページで広く御紹介をし、その利用を促す取り組みというものを実施しております。さらに、不要となった衣類や家具等のフリーマーケットやリサイクルプラザといった販売施設の紹介、また再使用にかかわる情報の発信に努めているところであります。今後も、国の情報等その収集に努めていきながら、県民、事業者、行政一体となりまして、こうしたスリーRの取り組みや廃棄物の適正処理というものを一層進めることによりまして、循環型の社会の構築を目指してまいります。 17 ◯議長(井上 忠敏君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時十分といたします。           午 前 十一時 五十八分  休 憩           午 後 一 時  十一分  再 開 18 ◯副議長(原竹 岩海君) 再開します。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。神崎聡君。(拍手) *神崎議員質問 19 ◯三十一番(神崎 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。緑友会福岡県議団の神崎聡です。  二月十一日は、建国記念の日であります。日本書紀は、初代神武天皇の即位を、辛酉(かのとのとり)の年の春正月(むつき)の庚辰(かのえたつ)の朔日(ついたちの日)に、と記しています。これを明治時代になって、太陰暦を太陽暦に換算して算出されたのが二月十一日であり、ことしは皇紀二六七六年、神武天皇崩御からちょうど二千六百年の節目の年に当たります。  ところで小川知事、神武天皇が田川で即位されたという説は御存じでしょうか。今月の二十日に、田川広域観光協会主催の神功皇后紀を読む会主宰の福永晋三氏による講演会が福岡県立大学で開催されるんですが、そこで明らかにされるそうであります。これが本当だったら、世の中ひっくり返るぐらい田川地区は一躍脚光を浴びることになります。これ、福岡県も後援しておりますけれども、教育長には、学術的に調査研究を進めていただき、事実確認をお願いしたいと思います。事実であれば、知事には大いにPRをしていただきたいと思います。まさに、九州は神話と伝説の地であります。神武天皇にまつわる言い伝えは県内各地で数多く残っておりまして、歴史的ロマン、文化的遺産が数多くあるのが我がふるさと福岡県なのであります。  少し横道にそれましたけれども、建国記念の日は、国民一人一人が、今日の我が国に至るまでのいにしえからの先人の努力に思いをはせ、さらなる国の繁栄を願う、まことに意義深い日であります。長い歴史の中で、災害や戦争など苦難のときもありましたが、いつの時代にあっても、先人たちは勇気と希望を持って新しい時代を切り開いてこられました。今日の我が国の発展は、先人たちが幾多の困難を乗り越えた礎の上にあります。こうした先人たちの努力に思いをいたしつつ、このとうとい平和と繁栄を次の世代に引き継いでいくことが私たちの使命なんだと思います。  それでは、通告に従いまして、県民並びに福岡県人会の郷土愛と誇りを育む取り組みについて質問いたします。私は、昨年十一月十日から二十一日の日程で、小川知事、井上議長を初め、会派を代表してパラグアイ、アルゼンチンの県人会の創立周年記念式典に参加し、ブラジルでは三年ぶりの訪問で県人会の皆さんと再会してきました。母国を思い、母県とのかけ橋となっておられます県人会の皆さんに、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。  一九〇八年(明治四十一年)六月十八日、最初の日本人移民七百八十一名を乗せた「笠戸丸」がブラジル・サントス港第十四埠頭に接岸した日であります。この日をブラジルでは日本人移民の日、日本では海外移住の日として記念いたしております。ブラジルに移り住んだ日本人、その日本人から生まれた日系人にとって「笠戸丸」はシンボルであり、ブラジルにおける日系人の悠久の歴史はこの「笠戸丸」をゼロ地点として里程標が刻まれています。私たちは、移民の歴史を知り、移民について理解と関心を深め、これからも海外県人会の皆さんとの交流を深めていきたいと思います。  さて、福岡県の歴史を振り返りますと、一八七一年(明治四年)の廃藩置県によって福岡県が誕生しました。初代知事には有栖川宮熾仁親王が着任されました。調べてみますと、廃藩置県の前日時点で現在の福岡県域を統治していた藩は、福岡藩(支藩として秋月藩があります)、豊津藩(これは旧小倉藩と支藩として千束藩)、そして中津藩、久留米藩、柳河藩、三池藩であります。七月十四日、廃藩置県により現在の県域に当たる筑前国(福岡県、秋月県)、豊前国(小倉県、千束県、中津県)、筑後国(久留米県、柳河県、三池県)が発足しています。同年十一月十四日、同一令制国の県同士を統合し、筑前国域が福岡県、豊前国域が小倉県、筑後国域が三潴県となっております。一八七六年(明治九年)四月十八日、小倉県を福岡県に編入。佐賀県を三潴県へ編入。八月二十一日、旧小倉県域のうち、旧中津藩領域であった下毛郡(現在の中津市ですが)及び宇佐郡(現在の宇佐市)が大分県域に編入されました。三潴県を福岡県へ編入し、同時に三潴県域のうち旧佐賀県域は長崎県へ編入。これにより、現在の県境がほぼ確定されています。  そこで知事にお尋ねいたします。現在、一都十四県で、都民の日、県民の日を制定しております。制定されている県では、県の歴史を振り返り、現状を十分に認識し、さらに豊かで住みよい郷土をつくるため、互いに力を合わせようという自治意識と郷土愛の精神を育もうという願いから制定されているものだと思います。知事は、一都十四県が制定しています都民の日、県民の日の意義をどこにあるとお考えでしょうか。知事の御見解をお尋ねいたします。  また、本県ではこれまで県民の日を制定する議論や検討をしたことはなかったのでしょうか。あれば、その経緯と過程について教えてください。なければ、なぜ検討されてこなかったのか理由をお聞かせください。また今後、検討する価値があるものなのかどうなのかについて、知事の御所見をお尋ねしたいと思います。  知事は、本県並びに福岡県民そして海外福岡県人会の皆さんに、どのような形で県民意識を向上させ郷土愛を育むように取り組もうとお考えなのか、あわせて御所見をお尋ねいたします。  記念日は、国民の祝日など国が法律で定めたり、地方自治体が条例で定めたりするほか、民間団体や個人、企業が活動や商品の宣伝を目的に設けるケースもあるようですが、記念日には各種の催しなどにより経済的効果もかなりあるのではないかと思います。  そこで知事にお尋ねいたします。仮に県民の日を制定した場合、どのような波及効果が考えられるのでしょうか。他都県での事例を参考にお聞かせいただければと思います。  次に、福岡県のシンボル、県章についてお尋ねいたします。私は昭和六十年大学を卒業し、地元企業に入社しました。入社式では社長から訓示とともに社章をいただき、その日から襟元に社章を掲げ、社会人としての自覚と会社への帰属意識、愛社精神が芽生えたのを覚えております。福岡県の県章は、梅の花を形どり、平仮名の「ふ」と「く」を梅の花で形どったものであります。五枚の花びらは、平和、県勢の発展、県民の融和と躍進などをあらわしています。県民から広くデザインを募集し、昭和四十一年五月十日に県が決めています。私たち議員の防災服、県職員の作業着にはこの県章が取り入れられていますが、県職員の襟元には記章がつけられておりません。県章の記章をおつくりにならないのでしょうか。県職員全員が県章を記章としてつけることによって、さらに情熱と使命感を持って業務の遂行ができるのではないかと思います。県民の皆さんが福岡県に誇りを持ち郷土愛を育んでいくには、まずは知事を初め、全ての県職員の皆さんが真摯に取り組んでいく志が大切であり、そのシンボルが県章だと考えます。知事の御所見をお尋ねいたします。  次に、福岡県民の歌についてお尋ねいたします。福岡県民の歌「希望の光」は、昭和四十五年、県民一体感の醸成を目的に制定を提唱したことを受けて歌詞の一般公募を実施し、入選作品を詩人で広川町出身の丸山豊氏が補作しています。作曲及び編曲は久留米市の旧制中学明善校(現在の福岡県立明善高等学校)出身で、「上を向いて歩こう」や「こんにちは赤ちゃん」、「明日があるさ」を作曲した中村八大先生が依頼により担当し、十月十七日に県民音頭「ふくおか音頭」とあわせて制定されました。こういったものは時代とともに消えていくのでしょうか。私は、県民一体感の醸成を目的につくられたんであれば、本来は、自然に親しまれ、歌い継がれていくようにしなければならなかったんじゃないのかと思います。郷土愛を育む上でも、子供のころからなれ親しむことは大変意義のあることだと思います。県主催事業などで県歌を積極的に活用したり、電話保留音に県歌を使用したり、あるいは県立高校や県主催のスポーツ大会時などに県歌を積極的に活用するなど普及活動を行わないと、なかなか普及、定着するには難しいんじゃないかと思います。一方、県民の歌が普及し、定着している県もあります。知事の率直な御意見をお聞かせください。  最後に、県民体操について教育長にお尋ねいたします。この福岡県民体操は昭和三十六年に考案された体操だと聞いています。今ではすっかり見かけなくなりましたが、私の高校時代は体育の時間で実施されていました。県民体操の特徴は、男性はたくましさを、女性はしなやかさを表現しようと男女で異なる動きがあることです。この県民体操は、どういった方々が、どういう思い入れでつくられてきたのでしょうか。その目的にもかかわらず、なぜ多くの学校でやめたのでしょうか。他県でも同様に県民体操がありますが、ほとんど定着できていないようです。現在、県民体操に取り組んでいる県では、どのような取り組みをしているのか、また県内の高校で取り組んでいる学校はどこで、生徒たちはどのような感想を持っているのかお尋ねいたします。  あわせて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、今後、郷土愛を育み伝統を守るため、この県民体操をどうしていこうと考えているのか、教育長の御見解をお尋ねいたしまして、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 20 ◯副議長(原竹 岩海君) 小川知事。 *知事答弁 21 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、都民の日、県民の日の意義でございます。都民の日、県民の日につきましては、東京都は東京市が誕生した日、それ以外の地域は明治四年の廃藩置県以降、初めてその県名が使用されたり、現在の県域がほぼ形成された日に由来しているようでございます。こうした都民の日、県民の日は、一都十四県で今つくられておりますけれども、それらは県の成立から百年目とか、そういう節目の機会をきっかけに、その多くが自治意識を高めるとともに郷土についての理解と関心を深め、ふるさとを愛する心を育む、そういう趣旨で制定されたのではないかというふうに考えております。  これまでの県民の日を制定する議論や検討についてお尋ねがございました。県民の日の制定につきましては、特段の要望や機運の高まりがなく、また県民の一体性が高かったことから、これまで議論や検討が行われていなかったものと承知をいたしております。自然な気持ちの発露としての郷土愛、これは県民の日の制定をもって高まるものではないと考えておりまして、むしろ郷土愛が高まっていき、県民の日を求める県民の声、それが広まってきたときにその制定についてどう考えるか、どうするか検討すべきではないかと考えております。  次に、県民意識の向上や郷土愛を育むことについてお尋ねがございました。本県におきましては、県民の日というものは制定しておりませんけれども、先般民間の経済誌が行ったアンケート調査の結果によりますと、郷土に対する愛着度、居住者の満足度というのは、四十七都道府県のうち我が福岡県がともに第一位という結果になってございます。この背景には、本県が持っております豊かな自然、食、歴史、文化などの多様な魅力というのはもとよりのこと、産業の集積、バランスのとれた住環境、明るい県民性などいろんな要素があると考えております。こうした本県の魅力や誇れる点というものを、県民の皆様と知恵を出し合って力を合わせてそれに磨きをかけていくことによってそれを磨いていき、県内外にそれを発信することによってこの郷土愛というものをさらに高めていきたいと考えております。  また、県人会の方々は、先ほど議員もおっしゃっていましたが、母県福岡とおっしゃいます。その郷土愛の強さというものについては、平成二十五年の十月に開催をされました海外福岡県人会世界大会において皆様方も実感されたことと思いますけれども、より一層福岡県に対する愛着を深めていただけるよう、これからも私自身も機会あるごとに、元気な福岡県の姿というものを海外の県人会の皆様方にお伝えしてまいりたいと考えております。  次に、県民の日を制定した場合の波及効果についてお尋ねがございました。県民の日を制定している自治体におきましては、この日に記念式典のほか、文化講演、スポーツイベント、文化、スポーツ施設を初めとした県有施設の無料開放といった取り組みを行っているところがあります。また、県によりましては、市町村や民間がこの日にちなみ、地域の祭りやスポーツイベントなどの協賛事業というものを始めたところもございまして、その取り組みの内容によっては文化、スポーツの振興、あるいは地域の活性化といった波及効果も考えられるところであります。その場合、当然のことながらそれらのイベントにかかわる経費が発生するわけでございますので、厳密に言えば費用対効果の分析が必要ではないかと考えております。  次に、県職員の記章の着用についてでございます。他県では、職員としての自覚を喚起し、品位を保持するため記章を定めている例もございますけれども、福岡県におきましては、職員が着用する記章については定めておりません。本県におきましては、県職員としての品位を保持し、自覚や使命感を高めるとともに県民サービスの向上、それから職員相互の円滑なコミュニケーションの促進ということを図ることを目的にいたしまして、平成十年からでございますが、職員が着用する県章つきの名札というものを導入しているところであります。この名札の着用は、庁外において業務以外の場面では使いませんけれども、記章の着用と同様の効果があるものと、このように考えております。  次に、県民の歌、県民音頭についてでございます。これらの歌は、今から四十六年前、昭和四十五年に県民の一体感の醸成を目的に制定されております。制定当時、多くの県民の皆様に親しんでいただけるようレコード六千五百枚を作成し、学校や市町村などに配付しております。その制定された昭和四十五年当時と現在では、社会情勢が大きく変化をしておりまして、音楽や歌に対する個人の受け取り方、接し方というものは多様化してきていると思っております。また、今までの間、普及という観点から、平成十九年度からはカセットテープの貸し出しを、また二十年度からはその利用許諾の対応を行ってきているところでございますが、昨年、決算特別委員会でこの県民の歌に関する御質問があった後、マスコミからカセットテープの貸し出し申請が一件あった以外には、これまでいずれも実績がないというのが実態でございます。こうした経緯を考えますと、これら県民の歌、県民音頭というのが、県民の皆様に歌い継がれていくような状況には今、残念ながらないということでございます。 22 ◯副議長(原竹 岩海君) 城戸教育長。 *教育長答弁 23 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 県民体操の考案者とその目的についてでございます。県民体操は、県教育委員会が高等学校教員、県体操協会関係者、県内の大学教員などから成る体操作成委員会を設置し、福岡県民の心身の健全な発達と明るく豊かな県民生活を目指して、昭和三十六年九月につくったものでございます。  学校において県民体操が実施されなくなった理由についてでございますが、つくられた当時は、県内の中学校や高等学校における体育の授業の準備運動や運動会等の演技として広く取り入れられました。しかし、この体操は複雑な動きが多いことに加えまして動きの見本となる映像や音源がなかったため、昭和四十年代から実施する学校が少なくなってきたと聞いております。また、学校体育における指導が変化をいたしまして、実施する種目に応じてストレッチ等の多様な準備運動を行う学校が多くなってきたことも、実施されなくなった要因と考えております。  県民体操が普及している他県の取り組み及び県内の実施校と生徒の感想についてでございます。ホームページ等で確認したところでは、県民体操は十数県でつくられていますが、現在学校に普及しているのは長崎県のみでございます。長崎県では、平成二十六年の国民体育大会に向けて長崎がんばらんば体操がつくられ、小中高等学校の運動会等の準備運動やその他の学校行事で実施されております。普及している要因として、つくられて間もないことのほか、各学校に見本となるDVDを貸し出したり、この体操のコンテストを実施したりしていることがあると聞いております。本県では、現在、小倉工業高校、宗像高校、福岡工業高校、筑前高校、宗像中学校の五県立学校が実施しておりまして、実施している学校の生徒からは、学校の伝統として守りたい、あるいは福岡県民の体操であることを誇りとしているといった感想も上がっております。  県民体操の今後の取り扱いについてでございます。県民体操は、当時体育指導時の準備運動として活用されたほか、県民意識を醸成する上でも一定の効果があったと考えております。しかしながら、さきに答弁いたしましたとおり、体育・スポーツにおける準備運動の考え方は大きく変化しております。現在学校では、実施種目に応じた準備運動やオリジナル体操を実施しているところが多く、多様化をしております。したがいまして、県民体操の実施につきましては、各学校の実態に応じた主体的な判断に委ねることが適当であろうというふうに考えております。 24 ◯副議長(原竹 岩海君) 神崎聡君。
    25 ◯三十一番(神崎 聡君)登壇 知事に再質問を一つと、知事並びに教育長に要望を一つさせていただきたいと思います。  県民の日の意義と知事御自身の認識を率直に示していただき、ありがとうございました。  一点、再質問は、知事の御答弁でありますので、大変恐縮ではございますけれども、県職員が着用する記章についてであります。私は、記章と名札は全く性質の違うものだと思います。記章の重みは名札とは比べ物にならず、同等に扱ってほしくないというふうに率直に思っております。学校の校章や企業の社章、さまざまな団体の記章は、校訓や社是、社訓、そして組織の理念などを共有し、胸に掲げた記章には、誇りや使命感、規範意識が植えつけられ、何よりも一つの目標に向かっていく仲間、同志としての連帯感、一体感、帰属意識が湧いてくる不思議な力があるんだと思うんです。私は学生服を着た中学生から、高校、大学そして社会人と、ずっと襟元にバッジをつけ、それを誇りに思い母校愛、愛社精神を育んできました。今は議員バッジをいただいておりますが、県民の皆さんからの負託を受け、大変な重責を担っていると思います。県民の皆さんの思いが、この記章、議員バッジの重みだと思っているんです。記章とはそういったものではないでしょうか。  悠久の歴史の中に私たち福岡県はあります。知事が提唱されております幸福度日本一も次の世代へと受け継がなければならない志の高い政策目標であり、崇高な理念であると思います。そういったトップの理念や先人たちの郷土愛の思いがこの県章に込められ、それを伝えていければ福岡県民並びに福岡県人会の皆さんは福岡県に誇りを持ち、いつまでも郷土愛が育み続けていくんじゃないかと思います。あの官衛兵バッジはすぐにつくられましたが、どうして県章を記章としてつくらないのでしょうか。記章は、県章つきの名札や名刺の類いとは明らかに違うと思います。知事は、記章と名札は、本当に同じ効果があると思われているんでしょうか。同じ重みなのでしょうか。企業に勤め、さまざまな団体に参加しております私にはよく理解できませんでしたので、再度質問させていただきます。  知事、教育長に要望を一点させていただきます。世の中には、時代とともに消えていくものと、風化させてはならないものがあるんだと思います。私は、県民の歌、県民体操は、先人の方々が、苦労し、努力しながら、郷土への思いを込められてつくられたんだと思います。そんな先人の人たちの思いを風化させてはいけなかったんじゃないかと考えます。自分たちの学校の伝統としてしっかり守ってきた小倉工業高校、宗像高校、福岡工業高校、筑前高校の四県立高校は、大変立派であります。今後は、このようなことがないように、伝統、文化、芸術をしっかり守っていただきますよう強く要望いたしまして、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 26 ◯副議長(原竹 岩海君) 小川知事。 27 ◯知事(小川 洋君)登壇 記章についてでございますけれども、今、記章の意義について議員からいろいろお聞かせいただいたところであります。今の時点で新たに記章をつくるというよりは、県職員としての誇りや自覚を持つよう職員一人一人の意識を高めていく、そのことが重要であるというふうに私は考えております。まさに、先ほど質問の中で議員もおっしゃいましたとおり、一人一人の真摯な取り組み、これが肝心であろうと思っております。その際、庁外においても業務という場面ではありますけれども、職員がその名札を着用し、県民の皆さんに氏名を明らかにするということはそれぞれの自覚、使命感、責任感、あるいは県民サービスの向上という観点から有用ではないかと、このように考えております。 28 ◯副議長(原竹 岩海君) 塩川秀敏君。(拍手) *塩川議員質問 29 ◯四十九番(塩川 秀敏君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の塩川秀敏でございます。通告に従いまして、一般質問を行います。  まず一つは、福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略についてであります。県は、昨年の十二月に福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略を策定しました。議会も承認したところでございます。これを見ますと、社人研(社会保障・人口問題研究所)が二〇六〇年、今から四十年先に福岡県の人口が三百六十万ぐらいになりますよという予測をしておりますが、だから百六十万ぐらい減りますと。これを、減り方を大体百万から六十万ぐらいに抑えようというのが人口ビジョンの骨子でございます。もう一つは、地方創生の総合戦略でございますけれども、魅力ある雇用の場をつくる、以下大体四つの基本目標を掲げておりまして、そして個々の政策には数値目標を掲げているところでございます。かなり立派なものができたんじゃないかと私、思っているところでございますが、大体こういうものをつくるときというのは、それぞれ各部局が横断的に額を合わせまして知恵を出し合ってつくるけれども、実行するとなるとどうしても縦割り行政で所管が中心となってやっていく。横の連絡が十分とれてないのが現状だと思います。また、今回の場合は特に地方を巻き込んで、そしてこれができたわけでございますけれども、じゃあ今度は、実際実行段階になると地方任せというようになるんじゃないかと思います。今から、四十年後どうするかということですので、知事も百歳を超えられますし、私も当然超えておりますし、あの世に行っているかもしれませんけれども。やっぱりこのときのビジョンが達成できて人口減が少なくなったなとか、あるいは総合戦略によって福岡県元気になったなと、四十年後こういうものが残るものでなけりゃいけないと私は思っているところでございます。  そのためには、私は今までずっと県の行政を見てきて三つのことが重要と思います。一つは、どうしても庁内各部の縦割りではなくて、私がいつも言う総合行政的な視点から庁内の取り組みをやっていくという、これは非常に大事なことと思います。もう一つは、今回特に市町村もそれぞれ人口ビジョンをつくっておりますし、総合戦略をつくっておりますので、そこと連携をとりながらいく、連携と共同、これが非常に、私重要と思います。これが二つ目です。三つ目は、この政策を見ますと、県境を越えた取り組みも当然行わなければいけない状況があるように思います。そういうものについてどのように知事が考え、どのように取り組まれる予定なのか、これをしっかり確認をしておきたいというのが第一点でございます。  次に、この総合戦略は、四つの基本目標がありますけれども、その一つの目標に地方創生を担う人材の育成・定着と首都圏等からの人材還流を進めるというのを掲げております。この地方創生を担う人材の育成と首都圏からこっちに人材を呼び寄せる。実は本県の大学で、あるいは短大で学ぶ生徒さん、学生さんは約三万人おります。このほかに留学生が一万三千人おります。こういう人たちは、やはり地域社会のイノベーションを担う若く優秀な人材であるし、人材の宝庫だと思います。そこでまず、大学生の地元定着促進、この三万人いる大学生をいかに地元に定着させるか。実質には福岡県の高等学校を卒業した人が、一万六千人くらいがそのまま上がっていっていますし、八千人くらいが外に出ていっていますけれども、一万二千人がよそから来ていますから差し引き四千人が福岡県におるというのは非常にいい情報なんですけれども、その中で、総合戦略に私注目したら、三つのことが書いてありました。一つは、福岡県の強みとして、まず、福岡県が九州・山口の学生の人口のダムになっている。外へ出ていくのを福岡県がとめているんだと。いわゆる三万人近くいる学生がここにいるという現実が一つ。もう一つは、ある就職情報企業の調査でありますけれども、福岡県で学んでいる学生のうち福岡県以外から来ている学生に、あなたの第二のふるさとはどこですかと聞きますと、宮崎以外は全部福岡と、こう言うんですね。ということは、宮崎は鹿児島に近いんだろうと思うんですけれども、やっぱり福岡県を第二のふるさととして思っている、そういう気持ちが福岡にある。これは非常に就職にはプラスになると思います。もう一つは、これも週刊誌の調査ですけれども、地元愛着率、居住者満足率というのがありまして、これは神奈川県を抜いて福岡県が全国一番ですよ。これはまさにJターン、Uターン、Iターンまで含めてこの地元に帰ってきたいなという素地になると思うんです。こういう福岡県の強みをどのように利用して大学生の地元定着促進を図るのか、まず知事の見解を伺いたい。  それから、二つ目は、留学生であります。一万三千人おる留学生、これは東京、大阪に次いで三番目なんですよ。これも大きな福岡の強みであると思います。そこで知事は、全国で三番目に多いこの留学生の定着促進、さらに留学生が福岡県に来るように、大学に来るようにどのようにその誘致に取り組んでいかれるのかということをお聞きしたい。  以上、人材育成について二点について、知事の見解と決意を聞かせていただきたいと思います。  次に、障害者と高齢者の虐待防止についてただしたいと思います。まず、障害者の虐待防止についてであります。ちょっと調べてみますと、我が福岡県では、平成二十六年、障害者福祉施設従事者による虐待事件が七件発生しています。これは、一昨年の二十五年よりも三件ふえておって、大方倍増しています。実は、私、二十五年の二月、ちょうど今から三年前になりますが、二月にここで質問しました。いわゆるリブロ事件です。これは考えられないような虐待行為が行われたわけでございますけれども、しかもその二十四年に行われたその虐待というのが、障害者虐待防止法が施行された年でありまして、そのときに知事はどう答えられたかといいますと、これはもう本当に早かった。間髪入れずに施設職員の指導、全施設訪問による県のチェック体制の整備ということを速やかに決意していただきまして、再発防止に向けて取り組んでいただきました。本当にこれは感謝申し上げます。ありがとうございました。それから三年たっておるんです。そしてしかも、県が今現在ある千百三十三のこの障害者施設にどれくらい回ったかというと約六割が回りおおせています、三年間で。あと四割残っているわけですよ。しかも、回ったところから、県の職員の方々が回られたところから後は虐待起こってないんですね。ここ重要と思うんです。やっぱり県が指導に入ったところからは虐待は起こってないということは、あと四割の施設についても早急に県の実地訪問をしていただいて、虐待が起こらないようにしていただきたいのであります。  知事も十分御存じかと思いますが、福岡県は恥ずかしいことがございまして、例の二十四年の虐待防止法の成立の原因となったのは、平成十七年のいわゆるカリタスの家の事件でありまして、これからざっと大臣まで来て、福岡県のこの事件があったから実は障害者虐待防止法ができた。その年にまたリブロの事件が起こったという、これは恥ずべきことでございますけれども、こういうことはやっぱり肝に銘じて政策をやっていかなきゃいけないと私は思うのでございます。虐待は決してあってはならない。福岡県から障害者の虐待ゼロを目指すということが重要かと思います。その虐待ゼロに効果を発揮しているのが、実は県の実地指導なんですよ。  そこで知事に伺います。まだ実地指導がなされていない約四割のこの事業所について、早急に実地指導を完了すべきであると思いますが、いかがでございますか。知事の御見解と決意を聞かせていただきたいと思います。  もう一つは、有料老人ホームにおける高齢者の虐待であります。これもちょっと調べてみましたら、本県の高齢者施設における虐待と判断された件数は二十六年で十五件。これは二十五年の九件から大幅に増加している現状であります。皆さん御存じのように、高齢者施設といいますと、県が許認可をする高齢者施設があります。これは、特別養護老人ホームとか養護老人ホームなんですけれども、全部で八百七あるそうです。この八百七の県の許認可制の高齢者施設については二年に一回監査がありますので、そこに職員が入っていくからある程度指導体制ができていると聞いています。ところが、届け出だけの高齢者の福祉施設があるんです。これを有料老人ホームとサービスつき高齢者住宅といいますが、有料老人ホームが七百五十五あるそうです。そしてサービスつきが二百一あります。ところが、この届け出制については十分な指導体制が整ってないのが現状である。ということは、この有料老人ホームは急速に増加しておりますので、それに対する定期的な立入検査がついていっていない状態にあるんですね。ところが先ほどの障害者のあれを見てみますと、やっぱり県が入ったところからは虐待が起こってない。となると、この定期的な立ち入りが追いついてない有料老人ホームについても、早急に実地指導を行うべきである。特にこの前、もう本当に川崎の事件がありまして、特に有料老人ホームの職員が今、殺人容疑で逮捕されておりますけれども、高齢者の多くの方は大きな不安を、私、抱かれていると思うんです。この不安を取り除くためにも、やはり有料老人ホームでの実地検査を行うべきである。もちろん高齢者施設で働くほとんどの皆さん方というのは、二十四時間三百六十五日、切れ目ないサービスの提供が求められている厳しい環境の中で、頭が下がるほど真摯に業務に専念されていることも事実でございます。要介護状態にある高齢者が安心して暮らせる環境を提供する、高齢者施設の虐待というのは一部の職員によることではありますけれども、極めて遺憾なことであり許されない人権問題であると思うところでございます。  そこで知事に伺います。十分な指導体制が整っていない七百五十五の有料老人ホーム、この中には政令市とか、中核市の所管もありますので、それを引きますと三百八十五になるそうですが、この三百八十五の有料老人ホームについて高齢者が安心していただくためにも、早急に実地指導を終わらせるべきであると思いますが、人命にかかわることでもあります、知事の具体的な回答と取り組む決意をお聞かせいただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 30 ◯副議長(原竹 岩海君) 小川知事。 *知事答弁 31 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、地方創生総合戦略の効果的かつ着実な推進でございます。地方創生は、産学官民を初め地域の各主体が一丸となって産業、雇用、福祉、教育など多岐にわたる施策を一体的かつ広域的に実施することによりまして、初めて実現できるものと考えております。その際、当然のことながら、政策間の連携、市町村、さらには他県との連携といったことが大変重要になると、このように考えております。このため、総合戦略の検討、策定の段階から私をトップといたします全庁横断的な人口減少対策本部というものを新たに設置をいたしまして、部局の枠組みを超えた議論を進めてまいったところであります。市町村との連携につきましては、市町村向けのワンストップ相談窓口を設置し、また広域地域振興圏ごとに会議を開催をし、また県職員が現地に出向いてその経験と専門知識を生かした助言を行います地方創生ふるさと貢献隊、これもつくらせていただきまして御支援を申し上げていたところであります。県域を越えた他県との連携でございますけれども、九州地域戦略会議におきまして、私のほうから提案をいたしまして、九州・山口各県一体となったUIJターンが今回、東京で初めて行われることになったところであります。来年度は、県、市町村とも地方創生総合戦略が計画段階からいよいよ肉づけ、具体化の段階に入るわけであります。県といたしましては、今申し上げました計画策定の段階からとっております連携体制というものを維持することといたしておりまして、そのもとで市町村を含め事業の進捗や目標の達成状況を把握しながら、必要に応じて施策の充実強化を図っていき、総合戦略を効果的、着実に進めていきたい、このように考えております。  次に、学生等の地元定着の促進についてでございます。本県の高校生の県内大学への進学率を見ますと、全国でも非常に高い水準にございます。さらに九州各県を初め県外から大学進学のタイミングで多くの若者が集まってきております。これらの若者が県外に流出することなく県内企業へ就職し、定着をしていくことは、人口減少対策、あるいは地方創生の観点から重要であるというふうに認識しております。このためには、まずもって私どもの地域に魅力ある雇用の場をつくっていくことが何よりも重要であります。県を挙げてさまざまな施策によってこれを実現しようとしているところでございますが、それに加えまして、県内の大学生等に地元企業の魅力を伝える見学会、大学等の就職指導担当者と県内企業の人事担当者との間で就職情報の交換会、これらを開催しているところであります。来年度は、その参加の企業数を増加をさせていきたいと考えておりまして、その規模を拡大して実施していきたいと思います。このような県内就職、定着に加えまして、先ほど申し上げました今月の二十一日でございますが、首都圏の大学生等を対象に九州・山口各県が一体となって地元企業に関する情報と就農、移住、定住に関する情報を同時に発信をいたしますUIJターン就職応援フェアを都内で初めてでございますが開催をさせていただきます。さらに、来年度は首都圏の大学生等を対象に、九州・山口各県の企業へのインターンシップを開始することといたしております。これらの取り組みを通じまして、県内の大学生等の県内への就職とその定着、また若者の首都圏からの還流を促進してまいります。  次に、留学生の誘致、定着促進についてお尋ねがございました。グローバル化が進展をしていく中で、国際的な人材の獲得競争というのが激化をいたしております。地方創生を担う人材の育成、定着という観点から、優秀な留学生の誘致、その定着の促進をしていく取り組みは重要であると考えております。このため県では、大学、経済界、行政機関等で設立をいたしております福岡県留学生サポートセンター運営協議会を通じまして、まず留学生の誘致を初め、来県した留学生の生活の支援、県民や地域との交流の促進、就職支援や卒業後のネットワークづくりなど、総合的に留学生への支援に取り組んでいるところであります。  まず誘致に当たりましては、海外では留学説明会を開催をする。また、現地日本語教育機関への働きかけを行う。また、各地の帰国留学生に呼びかけをしておりまして、今、順次組織化されております、その同窓会組織を活用した現地での勧誘、後に続く若者への勧誘、これらを実施しているところであります。一方国内では、日本語学校等の学生さんを対象にいたしまして、県内大学のキャンパス視察等を実施しております。また、その定着促進の取り組みといたしまして、大学の就職窓口と連携いたしまして就職を希望する留学生と地元企業との間のマッチング、専門指導員による留学生の個別の相談等を実施しております。  本県の留学生の数でございますが、全国第三位でございますが、一方で就職者の数は全国五位にとどまっております。地元へのさらなる定着促進を図っていく必要があると考えておりまして、来年度は、今申し上げました取り組みに加えまして留学生の地元企業への就職を支援する人材マッチングシステムを九州各県と一緒になって構築をいたしまして、その提供を図ってまいります。  次に、障害者施設に対する実地指導の取り組みについてでございます。障害者施設は、障害者の方々が個人の尊厳を保持しつつ、自立した生活を営むことができるよう支援することを目的に設置されております。そのような施設における障害者への虐待というのは断じてあってはならない、許してはならないことであると考えております。県は、施設職員一人一人が高い人権意識と倫理観のもとで日々の支援活動を行っていただくよう指導するため、御指摘のありましたリブロ事件後四名の専任の嘱託指導員を設置するなどその体制を強化し、平成二十五年度から三年間に一千百三十三の施設のうち六百七十三施設、実地指導を終わったところであります。残る四百六十施設につきましても虐待の根絶のため、二十九年度末までに実地指導を一巡させる、そういう計画で今進めておるところであります。現地指導の実施に当たりましては、虐待の兆候の早期発見のポイント、また虐待が疑われる場合の事実確認のやり方、手順、そういった職員に対する研修を強化することによって指導の質の向上にも取り組んでいきたいと思っております。こういうことを通じまして、虐待を未然に防止し、障害者の方が安心してそれぞれの施設を利用いただけるような環境をつくっていきたいと考えております。  次に、有料老人ホームにおける虐待防止についてでございます。県では、介護つき有料老人ホームの管理者を対象にいたしまして毎年講習会を開催し、虐待防止の取り組みを行うよう指導してきているところであります。昨年度からは、これまで対象としていなかった住宅型の有料老人ホームの管理者に対しましても講習会を開催し、同様の指導を行ってきているところであります。また、これらの施設で働く職員に対しましても、今後虐待防止や介護技術に関する研修を行うことといたしております。さらに、介護つき有料老人ホームにつきましては、県の担当職員が介護保険法に基づき実地指導を行う中で虐待防止の取り組み状況を確認をさせていただいております。あわせて、近年増加をしております住宅型の有料老人ホームにつきましては、県の担当職員を増員をいたしまして、今後三年間の間に全ての施設に対し老人福祉法に基づき実地指導を行うことといたしております。一方、有料老人ホームの職員や利用者の方から虐待が行われているのではないかといった情報の提供があった場合には、高齢者虐待防止法に基づき市町村と共同して立入調査を行ってまいります。虐待が確認された場合には、介護保険法あるいは老人福祉法に基づき改善命令等を行うことといたしております。このようにしまして、有料老人ホームに対する虐待防止の取り組みを強化することによって、虐待を未然に防止し、高齢者の方が安心してこういった施設が利用できるような環境を整えてまいります。 32 ◯副議長(原竹 岩海君) 畑中茂広君。(拍手) *畑中議員質問 33 ◯三十七番(畑中 茂広君)登壇 皆さん、こんにちは。民主党・県政クラブ、畑中茂広です。通告に従い一般質問をさせていただきます。  まず、本年四月から施行されます障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法施行に向けた本県の対応についてお尋ねします。我が会派は、障害の有無にかかわらず、誰もが平等で主体性が尊重され、家庭や社会で役割を持って生きることのできる社会の実現こそが大切と考えています。しかし、国民の大多数の方が、障害のある人を差別してはいけないと認識しているにもかかわらず、現実には、日常生活や社会生活において障害のある人の活動が制限されたり、社会への参加を制約しているソフト、ハード両面での社会的障壁、いわゆるバリアが存在し、その結果、障害のある人が、障害のない人との平等の機会を奪われていることが多い、そのような実態があると思います。したがって、障害のある人に対して、障害を理由にして差別したり、権利を侵害することのないよう、平等な機会の保障と差別禁止のための法の整備と、障害のある人の活動を制限し、社会参加を制約している社会的障壁(バリア)を取り除くことが重要となります。  このような中、障害のある人々を取り巻く世界的流れは、二〇〇六年十二月十三日、国連において障害者権利条約、我が国では障害者の権利に関する条約と訳されておりますが、国連障害者権利条約が採択されました。我が国では二〇一一年八月の障害者基本法の改正、そして二〇一三月六月、今、質問をしております障害者差別解消法の成立に伴い、国内法が国連の障害者権利条約の求める水準に達したとして、二〇一三年六月十九日、この国連の条約の批准を承認したところであります。  前置きが長くなりましたが、質問の本題であります、三年前に成立した、いわゆる障害者差別解消法についてであります。この法律は、第一条、目的として、「障害者基本法……にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、……障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する」ということになっております。  そこで、この四月からの障害者差別解消法施行に向けた本県の対応について、知事に三点お聞きします。一点目は、同法第十五条の啓発活動についてですが、条文では、「国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国民の関心と理解を深めるとともに、特に、障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。」とありますが、法制定以降、我が県ではこの三年間、県民の理解を深めるためにどのようなことを、どのくらい、どんな方法で啓発活動に取り組まれたのか、具体的内容をお示しください。  二点目は、同法第十七条、障害者差別解消支援地域協議会についてであります。障害者差別の「事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成される障害者差別解消支援地域協議会を組織することができる。」とあります。本県では、これまで本庁各担当課や保健福祉環境事務所、労働者支援事務所、社会福祉協議会などなど、さまざまな機関で障害者差別を解消するための事業を推進してきたと認識しておりますし、本県の福岡県障害者長期計画には、障害者やその家族が相談できる窓口として、福岡県障害者権利擁護センターを設置し、これまで障害者の権利擁護に努めてきたとあります。  そこで、本県のこうした障害者差別の解消を推進してきたさまざまな機関の連携のために、早急に障害者差別解消支援地域協議会を設置し、当事者、行政、NPO、学識経験者などが参加し、差別の相談事例の検討や他の機関への依頼など、差別事象を解決するための仕組みを構築することが必要だと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。  同時に、住民に一番身近な行政機関である市町村にも、障害者差別解消支援地域協議会の設置により、障害者差別解消の推進を図る必要があると考えますが、県として、どのようにして市町村への協議会設置を促しておられるのかお伺いします。  三点目は、本県の障害者差別の解消に向けた条例の制定についてであります。我が会派は、条例制定について、これまで知事の考えをただしてきましたが、知事は、法の施行を見守るとの考えを示すにとどまっていました。しかし、二〇一五年、昨年二月に閣議決定された国の障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針では、地方公共団体では、法の施行後においても、障害者にとって身近な地域において条例の制定も含めた障害者差別を解消する取り組みの推進が望まれると記されています。  そこで改めて知事に伺います。本年四月の法施行を機に、一歩踏み込んで、県の障害者差別の解消に向けた条例、県条例を制定すべきと考えますが、知事の見解についてお聞きします。  次に、現在国が推し進めようとしております地方創生に関した課題としての北部九州、とりわけ私の住んでおります京築地域の現状から、九州の東側の発展に関して、幾つか知事の御所見をお伺いしたいと思います。  来る四月二十四日、待望久しい東九州自動車道が全面開通の運びとなりました。多くの皆様方の御苦労の末に、やっとの思いで、この四月二十四日を迎えるわけでありますが、これは、地元地域の人々にとってこの上のない喜びであり、今後の地域発展の起爆剤となる期待の交通インフラだと思っています。しかしながら、この高速自動車道の開通は、九州縦貫自動車道、いわゆる九州の西側の動脈でありますが、全面開通からおくれることおよそ四半世紀、随分地域の格差があるものだなというふうに思います。また、九州新幹線の開通は二〇一一年三月十二日、あの東北大震災の発生の翌日であったことは、私たちの記憶に新しいところであります。当日、芦屋基地に来ておりましたブルーインパルスの組み、開通イベントなどさまざまな企画が自粛を余儀なくされたということが、私どもの記憶にまだ新しいものであります。  この九州新幹線の開通は、九州内の交通を大きく変えてしまったと言えます。例示をしますと、この新幹線開通によって、北九州市JR小倉駅からJR鹿児島中央駅まで、最速で一時間三十五分。片や、小倉駅から大分、宮崎経由で行くと、およそ六時間四十分、その差は五時間となります。また知事は、JR博多駅からJR小倉駅経由で大分市ないしは宮崎まで特急列車を利用されたことがあるでしょうか。この路線は、JR小倉駅で進行方向が逆になるため、乗車している利用者みずからが、座席の回転をしなければなりません。今どき珍しい光景に戸惑う利用者、あるいは外国からの旅行者をたびたび目にいたします。ここは、JR九州よる抜本的改善を期待したいと考えています。  さらに申し上げるならば、かつて宮崎県にリニアモーターカーの実験線があったことを、知事は当然御存じだと思います。このリニアのことでありますけれども、先日、東海道線リニア構想による具体的な工事が品川駅において着工され、品川─名古屋間を二〇二七年開業を目指すことが報道されました。いわゆるリニア中央新幹線であります。またまた東京への集中かと、あきれてしまうと同時に、この国の交通政策、ひいてはこの国の国づくりの危うさを感じます。  このような現状をつくりながら、一方で、地方創生の取り組みがにわかに動き始めたわけであります。我が福岡県でも幾つかの施策を提案しているようですが、今回の東九州自動車道の開通により、福岡、大分、宮崎を結ぶ東九州の時間は、確かにかなり短縮されると思います。  そこで、この東九州自動車道の開通を契機とした、北九州・京築地域の地方創生に、知事として本腰を入れていただきたいと考えていますが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。  次に、私は、決して交通の高速化全てを是認するものではありませんが、結果的に交通インフラの整備状況が、地域間の人口格差や利便性の格差を生んでいるのが現状ではないかと感じています。九州の西側と東側の差は、まさに交通インフラの差によるものだと考えています。したがって、九州内における地域間の格差を解消し、過疎過密や人口の一極集中を是正するために、高速道路が今、全てがつながったわけでありますから、次は東九州新幹線構想の具体化こそが必要だと考えています。知事の御所見をお聞かせください。  この項の最後に、北九州空港のさらなる活性化促進についてお伺いします。福岡県における両空港問題は、たびたびこの議会でも取り上げられてきました。先日、二月二十五日付新聞報道でありましたように、県は平成二十八年度から向こう三年間、北九州空港の利用促進の強化期間と位置づけ、さまざまな施策に取り組むことになっています。これは大いに期待を申し上げたいとともに評価をいたしておりますが、しかし今回の施策だけでは、混雑空港に指定されようとする福岡空港の過密化の解消と北九州空港の利用促進にとって決して十分とは言えないと、私は思っています。  そこで、いずれ早晩訪れる空の時代における福岡県の貴重な財産となる、この二つの空港の五十年、百年後を見据えた両空港の一体的運用のために、両空港間の移動時間の短縮とアクセス改善こそが急務と考えています。具体的に言えば、例えばJR小倉駅から北九州空港までの軌道の敷設について、今から国やJR九州などの関係機関と一緒に検討に入るべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。(拍手) 34 ◯副議長(原竹 岩海君) 小川知事。 *知事答弁 35 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答え申し上げます。  まず初めに、障害を理由とする差別の解消に関する啓発でございます。県では、平成二十五年度の障害者差別解消法の制定、また平成二十六年度の国による障害差別解消推進に関する基本方針、その策定を踏まえまして、その都度市町村、障害者施設、関係団体等に対しまして、障害を理由とした差別的取り扱いの禁止、また社会的障壁を取り除くための合理的配慮の提供といった法の趣旨等を文書で通知をいたしますとともに、会議や研修会を延べ十四回開催をいたしまして、その法律の内容や趣旨についての説明、その周知徹底を図ってきたところでございます。また、ことしの四月の法の施行を控えまして、企業に対しましては、その趣旨をわかりやすく説明した県独自のリーフレットを配布するとともに、その中におきまして、関係省庁が業界ごとに策定をしました対応指針につきましても、その周知を図ることといたしております。こうした取り組みに加えまして、三月五日には、広く県民の皆様の理解を深めるためのシンポジウムを開催することといたしております。  次に、障害者差別解消支援地域協議会についてでございます。県では、効果的かつ円滑な差別解消の取り組みに資するため、四月の法律の施行に合わせまして、学識経験者、障害者団体の代表者、県の関係所属長らで構成をいたします福岡県障害者差別解消支援地域協議会を設置することといたしております。この協議会におきましては、県の各窓口あるいは市町村から寄せられる相談事例を踏まえまして、障害を理由とする差別に対する取り組みについて協議を進めていただくこととなっております。各市町村に対しましても、身近な地域で障害者差別解消を推進していくために、県内四ブロックで説明会を開催し、市町村障害者差別解消支援地域協議会を設置していただくよう促してきたところであります。これによりまして、現段階におきまして、二十六の市町村においてその協議会が設置される見通しとなってございます。今後、県におきまして県内の各協議会との間で情報共有システムを構築することといたしておりまして、このシステムによって相談事例の情報が関係者間で共有され、困難事例の対応にも資すること、そういったことが実現いたしますので、このことについても説明をしながら、引き続き地域における協議会の設置を市町村に対して促してまいります。  次に、障害者差別の解消に向けた条例の制定でございます。障害者差別解消の推進につきましては、障害者差別解消支援地域協議会の設置、行政機関における職員対応要領の策定、そして個々の企業への国の対応指針の徹底など、法に規定されております障害者差別解消の取り組みを着実に進めていくことが重要であると考えております。したがいまして、まずは、そういった取り組みを先行させ、障害を理由とする差別的取り扱いの禁止、また合理的配慮の提供に対する県民や事業者の方々の理解を深めることによって、法の定着というものを図ってまいりたいと考えております。また、あわせまして条例の制定につきましても、制定済みの幾つかの県における運用の状況も見きわめながら、引き続き検討を進めてまいります。  次に、東九州自動車道の開通を活用した北九州・京築地域の振興についてお尋ねがございました。北九州・京築地域につきましては、これまでも新松山臨海工業団地の整備、国道十号線の四車線化、伊良原ダム建設などのインフラの整備に加えまして、自動車関連産業を初めとする企業の誘致、豊前海一粒かきなどの農林水産物のブランド化、そして京築神楽を活用した観光振興など、総合的にその地域振興に取り組んできたところであります。今回の東九州自動車道の開通によりまして九州縦貫自動車道、そして九州横断自動車道と一体となって、九州に循環型のネットワークが形成されることになります。人と物の交流が大きく促進され、効率化されることが期待されるわけであります。県といたしましては、北九州空港、国際拠点港湾であります北九州港、重要港湾の苅田港などとも連携をさせながら、農林水産物のさらなる販売促進、自動車産業や航空機産業といった先端成長産業の集積の促進、明治日本の産業革命遺産、官営の八幡製鐵所、門司港レトロ、平尾台、京築神楽などの観光資源を結ぶ広域観光ルートの開発を進めていく考えでございます。  次に、東九州新幹線についてお尋ねがございました。東九州新幹線は、時間距離の大幅な短縮によりまして、産業、経済や文化活動などさまざまな分野の交流を活発化させ、東九州の発展を導くために必要な高速交通機関であるというふうに認識をいたしております。昭和四十八年に基本計画路線に決定をされて以降、いまだ整備計画路線の決定はなされておりません。このため福岡県、大分県、宮崎県、鹿児島県、北九州市などで構成をしております東九州新幹線鉄道建設促進期成会や九州地方知事会におきまして、整備計画路線への格上げ、そして所要の整備財源の確保について国に要望を行ってきているところであります。期成会におきましては、現在経済波及効果や費用対効果などの試算を行っているところでございまして、その結果を踏まえながら、今後さらなる機運の醸成と要望活動の強化に取り組んでまいります。  次に、北九州空港までの軌道の敷設についてでございます。軌道系アクセスにつきましては、初期投資額が大きく、建設資金の回収や事業の採算性というものをしっかり見きわめた上で、その整備に着手する必要があると考えております。こうした観点から、平成十八年、北九州空港の開港に当たりまして、国、県、北九州市、学識経験者等から成ります委員会におきまして、軌道系アクセス導入の実現可能性について既に検討がなされたところでございます。その結果によりますと、事業の採算性を確保していくためには、年間四百五十万人相当の航空需要が必要との結論に至っているところであります。現在、北九州空港の旅客数を見ますと、平成二十七年の速報値ベースで年間、今百三十一万人にとどまっておりまして、四百五十万人、その差が大きゅうございます。まずは、旅客需要の拡大を図っていく必要があると、このように考えております。このため県では、来年度から三カ年を推進強化期間といたしまして、新規路線開設にかかわる助成を拡充し、北九州市、苅田町などと一緒になりまして、路線誘致活動を強化してまいります。 36 ◯副議長(原竹 岩海君) 畑中茂広君。 37 ◯三十七番(畑中 茂広君)登壇 答弁ありがとうございました。意見と要望を幾つかさせていただきたいと思います。  まず、障害者差別の解消に向けた条例の制定でありますけれども、他県の動向を見ながらという、非常に雄県福岡県らしくない、何で自分のところで先につくらないのかというふうな気がしてなりません。三月一日付大牟田市の「広報おおむた」で、特集を組んで市民の啓発を行っているのを見させていただきました。各地域ではそのような活動も、今進んでいるわけであります。法や条例は、確かにつくるだけでは意味はありませんが、そのことで県民の意識が変わっていくということもあるわけでありますから、どうか知事自身のリーダーシップに基づいた県独自の条例制定を強く要請いたします。  次に、東九州新幹線構想であります。昭和四十八年に基本計画路線に決定された、四十三年前に計画をした、それが一歩だに進まない。基本計画自体を見直すべきではないですか。ほぼないのと同じだというふうに思います。なぜ進まなかったのか。期成会への福岡県知事として主体的、積極的活動を強く、ここでは要望しておきたいというふうに思っています。  北九州空港の有効活用であります。鶏が先か卵が先かという議論がよくありますけれども、四百五十万が先なのか、百三十一万が四百五十万になるにはどうしたらいいのかというところを今議論しとるわけでありますから、費用対効果、確かにわかります。しかし、今後福岡空港と北九州空港を持っていくわけですから、これをどう四百五十、五百、千、二千というふうに多くしていくかというのは、これは政策誘導の何物でもないというふうに思うわけであります。ぜひとも、アクセスの整備を強く強く要求をしながら、一般質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 38 ◯副議長(原竹 岩海君) 吉村悠君。(拍手) *吉村(悠)議員質問 39 ◯十四番(吉村 悠君)登壇 自民党県議団の吉村悠です。  私の住む小倉南区は、北九州のシンボルである紫川の中上流地域を有し、特に上流地域では北九州市のブランドである合馬のタケノコの産地でもあります。地域の声をしっかりと受けとめ、通告に従いまして、放置竹林対策についての質問を行わせていただきます。           〔原竹副議長退席 井上議長着席〕  森林は、水源涵養や土砂災害防止、二酸化炭素吸収など、さまざまな公益的機能を有しています。しかし、林業活動の不振などにより間伐等の手入れがなされず、森林の荒廃が進み、森林の有する公益的機能が十分に発揮されず、県民生活への影響も懸念されます。福岡の森林面積は二十二万二千ヘクタールで、県土面積の四五%を占めております。この森林が持つ公的機能の重要性から、荒廃した森林の再生等を目的として、平成二十年四月から福岡森林環境税を導入し、荒廃森林の再生事業や森林づくり活動を行うNPO等への助成を行っています。このうち、荒廃森林再生事業では、平成二十年度から二十九年度の十年間で、福岡県の荒廃森林二万九千ヘクタールを健全な森林に再生する計画で、平成二十六年度までの七年間で一万八千三百九十一ヘクタールの森林で間伐等が実施され、再生が図られているとのことで、整備目標の達成が望まれています。  一方で、荒廃森林再生事業は杉、ヒノキといった人工林を対象としたものであり、福岡県民有林の約六%を占める竹林については、人工林に侵入した竹林の伐採など一部対象にはしているものの、竹林自体の整備は対象になっておりません。近年、タケノコ生産などで管理されている竹林以外は、手入れされず放置される、いわゆる放置竹林となり、北九州市、八女市を初め県内各地で問題になっております。北九州市でブランド化している合馬タケノコの産地の会合や行事に参加するたびに、生産者などから放置竹林の実情などをお聞きしております。北九州市や八女市などの自治体では、放置竹林に対してさまざまな対策が行われておりますし、学識経験者や民間企業、NPOなどが、竹を活用した製品開発、研究を進めております。しかし、現時点では、放置竹林対策の決定打となる状況には至っておりません。  福岡県の竹林面積は全国でも上位であり、率先して取り組むべき課題であります。放置竹林解消のモデル事業を、平成二十三年度から三カ年間実施したのは知っておりますが、実際にこのモデル事業を行った自治体や地元森林組合などに話を聞くと、放置竹林は竹が混み合い、足場が悪く、作業が非常に困難で、伐採、搬出に多大な経費がかかったとのことでした。対策を行う地元のボランティア団体の方と話す機会も多々ありますが、熱意があっても、素人ばかりでなかなか整備が進まない。講師を呼び、講習会を開いて、竹の効率的な切り方を聞いても、切った後の竹の処分方法がない。作業の厳しさから長続きするボランティアが少ない等、問題が多くあるそうであります。放置竹林対策は、多大な労力が必要になることは理解できますが、放置された竹林が隣接した森林へ侵入し、森林の荒廃が進むことにより、県民共有の財産である森林の持つ公的機能が、さらに低下することが問題となっています。  そこでお尋ねします。福岡県においては、放置竹林対策は竹林整備のみならず、竹材の有効活用を含めて総合的に取り組むべきであると考えます。どのように取り組んでいるのか、知事の答弁を求めます。  また、対策を進めるに当たっては、市町村との連携をより一層推し進めて、放置竹林の解消を目指す必要があると考えますが、知事の答弁を求めます。  知事の熱意ある答弁を御期待申し上げ、私の質問を終わります。(拍手) 40 ◯議長(井上 忠敏君) 小川知事。 *知事答弁 41 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  放置竹林対策でございます。管理が放棄をされた竹林は、それに隣接をしております森林に侵入をし、悪影響を及ぼしますことから、放置竹林の解消に向けた対策は必要であると、このように考えております。このため県では森林環境税を活用いたしまして、市町村が実施する杉などの人工林へ侵入しました竹の伐採や、NPO等の団体が実施しております竹の伐採などの活動に対し、それぞれ支援をしております。また放置竹林を解消させるために必要な経費などを検証するため、議員も御指摘がありましたが、平成二十三年度から三年間、県内四市町と連携をいたしまして、モデル事業に取り組みました。その事業の結果、議員も触れられましたけれども、竹の密度など現場条件に応じた整備コストというのが明らかになりまして、補助事業に係る単価を実勢に見合うよう、二十六年度に約四割引き上げさせていただいたところでございます。この結果、県や市町村、森林組合などが実施した放置竹林における他の樹種への植えかえ、それに人工林における侵入竹の伐採の面積は、合わせて、平成二十六年度には五年前の一・五倍の約二百九十ヘクタールとなっているところであります。  さらに、県におきましては、今年度から竹に含まれる機能性成分を活用した園芸作物の病害予防や成長促進につながる農業用の資材の開発、また竹チップから放出される発酵熱を活用した施設園芸作物の増収技術の開発、また栄養価の高いタケノコの皮を乳用牛の飼料として活用できる技術の開発、それらに取り組んでいるところであります。また、竹林の多い、御地元の北九州市などが進めておられる堆肥などへの有効活用の検討会に県も参加をさせていただき、指導、助言をやらせていただいているところでございます。県としましては、今後ともこうした取り組みを市町村と連携をして進めることによりまして、放置竹林の解消に努めてまいります。 42 ◯議長(井上 忠敏君) 田辺一城君。(拍手) *田辺議員質問 43 ◯二十番(田辺 一城君)登壇 皆さん、こんにちは。民主党・県政クラブの田辺一城です。通告に従い、政務調査に基づき一般質問をさせていただきます。  今回は、デマンド型交通システムを含むコミュニティーバスの市町村における導入促進と、高校におけるキャリア教育、職業教育の強化について、知事と教育長に質問、提案をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  私は、約二年前の二〇一三年十二月定例会一般質問におきまして、急速な高齢化の進行を踏まえ、買い物などの移動手段としての地域公共交通を確保する重要性を提起し、本県の課題と、できるだけ早期に政策を形成する必要性について、知事と認識を共有させていただきました。知事は、二〇一二年三月に策定した福岡県交通ビジョンを挙げながら、住民、交通事業者、行政の関係者が、幅広く福祉的な視点を踏まえて地域公共交通のあり方を検討し、その上で地域の特性に応じた最適な交通サービスを提供していく、それが重要であると認識しているとの考えを明らかにされました。  この際、私から提案をさせていただきましたのが、デマンド型交通システムの市町村における導入促進でした。改めて説明をいたしますと、デマンド交通とは、デマンド・レスポンシブ・トランスポートを略したもので、需要応答型交通を意味します。それぞれの利用者の事前の予約に応じてバスやタクシーを運行し、予約した利用者が一緒に乗って、自宅や医療機関、商業施設等への送迎を受けることができるといった送迎システムです。政策上、デマンド交通はコミュニティーバスの一つの形として分類をされています。  知事は、デマンド交通について、予約システムの設備投資や事業者との調整といった課題はあるものの、路線型バスに比べて経費節減や柔軟な運行による利便性向上というメリットの高さから、地域によって有効な運行方式とし、市町村長、首長が構成員となっている福岡県生活交通確保対策会議で、デマンド交通の意義や導入事例を説明し、県内での導入促進を図る考えを示していただきました。  こうした経緯などから、昨年十二月に策定された福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略に、デマンド交通や地域コミュニティー運送等持続可能な生活交通手段の確保が盛り込まれたと理解をしております。この重要業績評価指標(KPI)には、今年度は十二である導入市町村数を、二〇一九年度には十七市町村に拡大させることが掲げられてもいます。本県として、この目標達成のため、いや、目標以上の成果を上げるため、二〇一六年度以降にどれだけ取り組みを進めることができるのかが問われていると考えております。  そこで、この定例会に知事から提案をされました二〇一六年度の当初予算案を見ます。主要施策として、コミュニティーバスの充実などにかかわる市町村の取り組みを支援することなどにより、住民生活の基盤を整える目的で、地域公共交通充実・強化費が組まれています。このうち福岡県生活交通確保対策補助金として、市町村が運行するデマンド交通を含むコミュニティーバスの運行欠損額等に対する補助が七千七百五十四万円計上され、補助率は欠損額の八%から二〇%となっております。この補助率が複数あるのは、収支率が五〇%以上の場合は補助率が二〇%と高く、五〇%未満の場合は八%と低く設定されるなどしているためです。市町村には最大一千万円が補助をされます。  加えて、この中の新規事業として、市町村が新たに開設したコミュニティーバス路線やデマンド交通のような運行方式に対する補助率の優遇政策を盛り込んでおり、導入後三年間は収支率がどのようであろうと、補助率二〇%を適用することになっています。こうしたインセンティブを与える姿勢は、率直に評価をしたいと思いますが、一方で、二〇一六年度当初予算案では、計上額が年度前半の半年分の八百万円と少なくなっており、これは県内全体でわずか十六路線分の想定にとどまっています。ここにはやや疑問も覚えたところであります。  そこで知事にお聞きをいたします。第一に、前回質問した二〇一二年度以降、県内市町村におけるコミュニティーバスの運行状況はどのように変化をしたのか、福岡県生活交通確保対策補助金の活用実績の推移とあわせてお聞きをいたします。  その上で、当時八市町が導入していたデマンド交通が、今年度は十二市町に拡大していますが、その背景と導入に至った要因について、どのように認識しているのかお聞きをいたします。  第二に、二〇一六年度の当初予算案で新たに盛り込まれた新規開設路線への補助率優遇の政策への計上額が八百万円となっていることについてお聞きをいたします。今回、予算計上に当たり、デマンド交通を含むコミュニティーバスの路線開設に新たに取り組むことについて、市町村の意向を調査したと思いますが、既にコミュニティーバスを運行している自治体の例を見ても、一つの自治体で複数の路線を開設しているのが通常であり、県全体で十六路線の新規開設を前提とした予算計上は、県内各地で買い物弱者など移動手段の問題が生じている現実を踏まえますと、県民ニーズの実態とは乖離があるように感じます。  そこで、本県の交通政策の展開として、十六路線との想定は県民ニーズに応えるに十分なのか、知事の認識をお聞きいたします。  第三に、デマンド交通を含むコミュニティーバスの運行主体は市町村のため、県民ニーズに十分に応えていくためには、市町村との課題認識の共有化と導入に向けた県からの積極的な働きかけが不可欠と言えます。この二年間の福岡県生活交通確保対策会議において、デマンド交通を含むコミュニティーバスの導入について、市町村長、首長にどのように働きかけをしてきたのか、そして今後新規事業も含め、どのように導入を促していくのかお聞きをいたします。  その上で、二〇一六年度以降、本来の県民ニーズが顕在化して新規開設が増加し、現状の財政措置では対応できない場合の予算額拡大を念頭に置いておくべきだと考えますが、知事の考えをお聞きいたします。
     続いて、高校生へのキャリア教育、職業教育の強化についてお聞きします。先週、二〇一六年度の県立高校を含む公立高校の志願状況が明らかになりました。県立高校の志願倍率は一・二六で、前年から〇・〇一ポイント増加しました。中学卒業者数に占める総志願者数の割合は六二・三%と、前年から〇・五ポイント増加し、公私の比率が六対四であることを考えると、本県の県立高校は、ことしもぎりぎりのところで踏みとどまったと言えます。県立高校の役割は、近年ますます重要になっていると考えます。本県は二〇一六年度から貧困の連鎖を断ち切るため、経済格差が教育機会の格差につながらない、また子供が社会に出るに当たって準備をする機会の不平等につながらないようにするための施策を充実強化いたしますが、同様の文脈から、高校生一人一人の社会的、職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を養うキャリア教育と、一定または特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を養う職業教育を確実に行っていくことも、一層重要になっていると考えております。  まず、本県の高校卒業生のうち、どの程度が就職を選択しているのか確認をしてみます。私立高校も含む本県の高校生の就職率は、二〇一五年度一八・一%となっています。県立高校と中等教育学校で見ると一八・九%と、少し高くなります。その上で、県立高校を幾つか具体的に抽出をしてみると、工業や商業などの職業系専門学科で五割から六割の就職率となり、一般に大学や専門学校等への進学が前提とされる普通科よりも高い傾向にあることは当然とも言えますが、その普通科でも就職者が四割を超える高校が存在をしています。こうした現実は、職業系専門学科を有する高校における職業教育の充実に加え、普通科におけるキャリア教育の推進も図らなければ、生徒たちが十分な職業意識が形成されないまま社会に出ることになるため、県立高校の普通科においても、卒業時点で十分な職業意識を形成する教育を徹底していくことが求められている社会状況と言えます。  本県は昨年十二月、教育大綱と位置づけた、ふくおか未来人財育成ビジョンを踏まえ、学校教育において重点的に取り組む施策等を示す学校教育振興プランを策定し、重点施策の一つとしてキャリア教育・職業教育の推進を掲げました。本県の大きな課題として、高校、大学等への進学率や就職率については全国平均との大きな差は見られないものの、新規高卒者のうち四割超が就業後三年以内に離職していることが指摘をされており、高校卒業時点で十分な職業意識を形成するという出口戦略がまだ十分ではないと言えます。今回の質問では、教育施策の観点からただしておりますが、この点について、我が会派の代表質問におきましても、離職率を下げることが最も重要な雇用対策と指摘をし、労働政策の観点からも充実を求めたところです。  さて、本県は教育施策として、県立高校の普通科や総合学科で二〇一四年度から拠点校にキャリアコーディネーターを配置し、インターンシップの受け入れ先の開拓やマッチング指導、ライフプランの作成指導、就職のノウハウの構築などに取り組んでおり、二〇一六年度当初予算案にも二千七百万円余が計上されています。さらに加えて推進しなければならないのが、工業などの職業系専門学科を有する高校における職業教育の強化です。  この点、私が注目をいたしておりますのが、東京都立六郷工科高校でのデュアルシステムの取り組みです。東京都教育委員会によりますと、デュアルシステムとは、学校と企業が一緒になって生徒を育成する新しい職業教育のことで、生徒が一定期間企業で働く訓練を行い、その訓練を授業の一部として認め、働くことが学びになるシステムのことです。企業と生徒双方の合意により、就業体験先の企業に就職をすることも可能です。都立六郷工科高校の担当者の方に話を聞きますと、二〇〇六年度からデュアルシステム科を設置しており、現在、一学年の在籍者は三十五人。一年次にビジネスマナーなどを学び、企業見学や二つの社で、それぞれ五日間のインターンシップを体験します。二年次と三年次は、六月から七月と、十一から十二月の計二カ月間、二年間で計四カ月間、それぞれ長期就業訓練を行います。この長期就業訓練の期間中、生徒は自宅と訓練先の企業を往復し、学校には登校をしません。社員と同じ立場で働き、協力企業は、この高校の地元の大田区を中心に二百四十社に上るといいます。進路状況を見ますと、二〇一三年度の卒業生は十六人の就職者のうち十二人が提携企業に、二〇一四年度は十九人のうち十四人が提携企業に就職をしており、離職者数はそれぞれゼロと、生徒と企業の効果的なマッチング機能も果たしていると言えます。また就職から三年を超えた後に離職するケースも出るものの、高校時代にデュアルシステムで学んだ経験から、働くことの意義が理解できており、自分自身の特性に合った形で次の就業先を見つけることができているといいます。こうした成果から、東京都はことし二月に策定した都立高校改革推進計画・新実施計画におきまして、新たに葛西工業高校と多摩工業高校の二校にデュアルシステム科を設置する方針を盛り込みました。  一方、本県では県立戸畑工業高校がデュアルシステムを導入していると聞いていますが、ほかの高校には広がっておりません。二〇一六年度当初予算案を見ると、県立特別支援学校においてデュアルシステムのモデル校を設定して取り組む方針が初めて示されており、この事業自体は成果が上がるように期待をしていますが、県立の職業系専門学科を有する高校に導入を促していく方針はいまだ示されておらず、こちらも検討を始める段階であることを提起したいと思います。なお、就業体験先は、当然県内の地場企業となりますから、本県に雇用を生む、いわゆる地方創生の観点からも大いに意義があると考えます。  そこで教育長にお聞きします。第一に、本県が二〇一四年度から県立高校の普通科、総合学科の生徒のキャリア意識形成のため、拠点校に配置したキャリアコーディネーターについて、この二年間どのような成果が上がっているのか、具体的な事例も踏まえ、お示しください。  その上で、今後成果と課題を検証していくには、各学校において離職率等の把握も進めながら、本県の県立高校の普通科、総合学科におけるキャリア教育を、さらに強化していく必要があると考えますが、教育長の考えをお聞きします。  第二に、工業などの職業系専門学科を有する高校における職業教育を強化する必要性についてお聞きします。御紹介した都立六郷工科高校や、これを受けて策定された都立高校改革推進計画・新実施計画、戸畑工業高校におけるデュアルシステム導入の先進事例を参考にしながら、県内において協力企業を開拓し、本県としても職業系専門学科を有する高校でデュアルシステムの導入を促進していくべきと考えますが、教育長の考えをお聞きいたしまして、一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 44 ◯議長(井上 忠敏君) 小川知事。 *知事答弁 45 ◯知事(小川 洋君)登壇 まず、私のほうからコミュニティーバスについてお答えを申し上げます。県内で運行されておりますデマンド交通を含むコミュニティーバスでございますけれども、平成二十四年末の三十六市町の百九十路線から、現在は四十市町、二百二十六路線と増加をいたしております。このうちデマンド交通は、御質問にありましたとおり、導入市町村が八市町から十二市町へと大きく増加をしているところでございます。これは、市町村が利用者の利便性を最優先に考え、予約システムの整備やタクシー業者との調整などに努力した結果であると考えております。また、コミュニティーバスの定時運行に比べ経費節減が図られるといった、このデマンド交通のメリットというものを、県から市町村にいろいろ御説明してきたことも、導入拡大につながったのではないかと考えております。  市町村のコミュニティーバス等の取り組みにつきましては、国による補助制度のほか、県の生活交通確保対策補助金、これがございます。その私どもの実績につきましては、国の補助制度の対象となるものもございますことから、平成二十四年度二十一市町、四千八百万円余、二十七年度は十七市町、四千四百万円と、ほぼ横ばいとなっているところでございます。  新規開設路線への補助率の優遇についてでございます。県の生活交通確保対策補助金を活用したコミュニティーバスの新規開設数は、毎年五路線前後となってございます。来年度予算で見込んでおります新規開設路線数は、新たに導入する補助率優遇制度のもとで、市町村の意向をヒアリング等で確認しているわけでございますが、その結果を踏まえ、例年の三倍強、十六路線とさせていただいたところでございます。このため県としましては、それぞれの地域の住民ニーズを把握した市町村による新規路線の開設計画に応えられるものだと考えております。  次に、福岡県生活交通確保対策会議における市町村長への働きかけでございます。生活交通確保対策会議におきましては、地域の実情に応じた課題を協議するため、広域地域振興圏域ごとに地域別の会議を開催しているところでございます。これに加えまして、今年度新たに市町村に職員がみずから出向きまして、デマンド交通を含むコミュニティーバスの有効性、関連する財政的な支援制度の内容について市町村長に直接説明を申し上げ、その導入について働きかけを行ってきたところであります。今後とも、こうした取り組みを通じまして、先ほど御答弁いたしました新規路線に対する私どもの新たな補助率優遇制度を、市町村に対し積極的にPRしていくことによって、コミュニティーバスやデマンド交通の導入拡大に努めてまいります。  来年度以降の予算につきましては、今後の市町村における導入状況等を踏まえて、適切に対応させていただきます。 46 ◯議長(井上 忠敏君) 城戸教育長。 *教育長答弁 47 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 普通科等におけるキャリア教育についてでございます。キャリアコーディネーターの配置により、普通科におけるインターンシップの体験率は一三%から一九%へ上昇するとともに、就職希望者を対象とした労働関係法令等に関するセミナーを通して、生徒の職業に対する意識が高まっております。大学等に進学する生徒が多い普通科においては、大学卒業後の職業を初めとする社会参画の仕方をみずから描かせ、その実現に向けた具体的な将来設計を立てさせた上で、進学に対する明確な意識と能力を身につけさせるキャリア教育が必要であり、城南高校のドリカムプランは、その先駆的な取り組みとして高く評価されております。今後とも、このような考え方のもとに、各学校において卒業生の就業の状況等を把握し、これを指導に生かしつつ、組織的、系統的なキャリア教育を展開してまいります。  専門学科における職業教育の強化についてでございます。地元企業等が求める専門性の高い人材を育成するためには、これまで以上に体験的な学習や企業と連携した実習等を強化していく必要があると考えております。現在、戸畑工業高校ではデュアルシステムとして、卒業までに最長五週間の企業実習を実施しており、実践的な技術の習得やコミュニケーション能力の向上に効果があらわれている一方で、連携企業の開拓や補充授業日の確保などが課題となっております。こうした課題を踏まえまして、県教育委員会といたしましては、今後単位認定の弾力化や連携企業に関する情報提供を行うことで、専門学科における長期間あるいは複数の企業実習を円滑に実施されるようにしてまいりたいと考えております。 48 ◯議長(井上 忠敏君) 田辺一城君。 49 ◯二十番(田辺 一城君)登壇 御答弁をいただきました。  市町村におけるデマンド交通を含むコミュニティーバスの導入促進を図っていく上で重要なのは、いまだ全体の三分の一に当たる二十市町村で導入がなされていない現実であり、これに対応するに年間十六路線の新規開設との想定は、やはり少なく、県としてもっと積極性を出してほしいという思いで質問をいたしております。  市町村の中には、現場では住民ニーズが多分に存在をしているものの、今回のヒアリングで導入の意思を明らかにしていないというところもあり、潜在している市町村に動いてもらうことも、県の重要な責務というふうに考えております。引き続きこの点を強く意識して働きかけを強化し、予算も適切に対応するとの答弁をいただきましたので、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。  教育長には、専門学科を有する高校における職業教育の強化について答弁いただきました。特に、単位認定の弾力化に向けた意思表明は、長期の企業実習、就業訓練の実現において極めて重要なポイントでありまして、頑張っていただきたいと思います。  また、連携企業の開拓の点は、先ほど御紹介をいたしました都立高校でも大変苦労し、教員の方々のたゆまぬ努力で実現してきたとおっしゃっておられました。本県でもマンパワーの強化も含めて、実現に向けて努力をしていただきたいと思います。  一点、普通科等におけるキャリア教育について教育長に再質問をいたします。答弁では、大学卒業後の社会参画のあり方を設定した先駆的なキャリア教育を御紹介いただきましたが、今回の質問では、普通科でも、大学進学ではなく、多くの生徒が就職を選択する県立高校があるという指摘を、私はしております。そして、これへの対応を問うています。答弁では、卒業生の就業の状況等を把握とおっしゃっていましたが、四割を超える離職率の本県の状況を、少しでも正確に捉え、対策を講じていくためには、個々別々の高校における卒業生の就業や離職状況を正確に捉えなければなりません。この点、各高校で確実に離職状況等を把握する取り組みを進めるとともに、県教育委員会として、その情報の共有化を図り、調査、分析していく必要があると考えておりますが、教育長の答弁をいただきたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 50 ◯議長(井上 忠敏君) 城戸教育長。 51 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 普通科において就職をする者が多い学校における職業教育でございますが、これは進学者の多い普通科高校と異なりまして、その内容としては、職業高校に近いキャリア教育が必要というふうに考えております。そのために、具体的な技術は普通科高校で実施することができないわけでございますけれども、職業に対する強い意識、あるいはみずからを実現するための情報提供、こういったものに努めまして、キャリア教育の実践的な実施に努めてまいりたいというふうに考えております。  また、離職状況につきましては、なかなか難しいわけでございますけれども、今後どういう方法があるか、検討をさせていただきたいというふうに考えております。 52 ◯議長(井上 忠敏君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時  四 分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...