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平成24年6月定例会(第10日) 本文
平成24年6月定例会(第10日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2012-06-10
    平成24年6月定例会(第10日) 本文


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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(新村 雅彦君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。井上順吾君。(拍手) *井上(順)議員質問 2 ◯四十六番(井上 順吾君)登壇 おはようございます。自民党県議団の井上順吾でございます。二日目トップバッターを務めさせていただきます。通告に従い一般質問を行います。  今回の一般質問は、世界遺産に向けた取り組みについてであります。福岡県が誇る歴史的貴重な遺産であります大宰府政庁跡、水城跡、大野城跡の一連の遺産群の世界遺産登録に向けての取り組みについてであります。  私は、ことし三月に、福岡県防衛議員連盟の会長として、久留米市にあります陸上自衛隊幹部候補生学校の卒業式に出席する機会がありました。久留米の幹部候補生学校は、陸上自衛隊において幹部自衛官を養成することを目的とした教育訓練をする学校です。部隊の隊長など幹部となるには、必ずこの地を訪れて厳しい訓練を受けなければならない学校です。その訓練の厳しさから、卒業してそれぞれの部隊に戻るとき、校門を去るときには、その仲間が「もう、来るめえ」と言って別れるそうです。  卒業式で会った現役司令官の方と話をしていると、私が大野城出身であることから話をされました。私たちがこの幹部候補生学校で研修を受けるとき、必ず学ぶ実地研修がありました。それは、水城の堤防跡であったり、日本最古の山城大野城跡でした。防衛上、国を守る築城のあり方など地政学的に学ぶことができる研修だからですと言われました。  四王寺山の大野城跡に立つとよくわかります。博多湾が一望でき、水城が築かれた場所は平野の最も狭くなるところで、交通の要衝に当たるこの部分に全長約一・二キロメートル、幅八十メートル、高さ十三メートルの人工盛り土の土塁、そして博多湾側には幅六十メートルの堀を築くことで、効率よく敵の侵入を防ぐことができたことが考えられます。また、大野城を初めとする古代山城は、七世紀中ごろに、当時の北東アジアの国際関係が緊張する中で、日本の国を守るために築かれた施設です。これらの古代山城は、西日本各地に二十二カ所存在し、いにしえの時代から一つ一つの山城が独立して存在するのではなく、対馬から近畿に至るまで、すべての城が連携して機能していたと言われています。再来年は、太宰府市の水城跡が築堤千三百五十年を迎え、その翌年には大野城跡が築城千三百五十年を迎えます。  九州に国立博物館をと、岡倉天心が唱えた夢から百年。九州の人々の熱望と歴史的背景を踏まえて、日本文化の成り立ちをアジア諸地域とのかかわりでとらえる博物館は、福岡県、福岡県議会などの誘致活動を初めとする県民の熱い思いが成就し、平成十七年秋に九州国立博物館が開館しました。以来毎年、文化交流展と特別展が企画され、その魅力からリピーターも多く、国の内外から訪れています。先月、開館からこれまでの入館者数は九百七十三万人を超えました。一千万人突破も目前に迫っています。また、先週の十二日には、太宰府市国分の国分松本遺跡から、人名や身分など戸籍の内容を記した国内最古の木簡が出土されました。国家統治のもととなる戸籍制度が、律令国家体制を整える大宝律令以前から機能していたことを示す戸籍木簡です。この発見は、人名や住民異動がわかる奇跡の発掘とも言われています。このように、この地域は国家運営の根幹をなす重要な知の宝庫であり、まさに国を守り、九州を治め、文化の華開かせた西の都であったのです。学ぶものも多く、後世に語り伝え、残さなければならない重要な歴史的遺産群です。  そこで知事にお尋ねいたします。これまで述べてきました九州国立博物館、そして昨年三月に九州新幹線が全線開通するなど、九州観光戦略の重要な柱は整ってきました。この太宰府の歴史的遺産を後世に残していくために、大宰府政庁跡、水城跡、大野城跡を日本の世界遺産として登録に向けた動きができないか、知事はどのような所見を持っておられるのか、また登録に向けたハードルはどこにあるのかお答えください。  我が福岡県においては、平成二十一年に、九州・山口の近代化産業遺産群と宗像・沖ノ島と関連遺産群が日本の世界遺産文化遺産暫定リストに登録されました。現在、日本の世界遺産文化遺産は、法隆寺地域仏教建造物や姫路城を初めとする十二件、日本の世界遺産、自然遺産は、屋久島を初め最新の小笠原諸島など四件であります。暫定一覧表には、彦根城を初め十二件が登録されています。  最後に教育長にお伺いします。大宰府政庁跡、水城跡、大野城跡歴史的価値について、どのようにとらえているかをお答えください。  一般質問を終わります。(拍手) 3 ◯副議長(新村 雅彦君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  世界遺産に向けた取り組みについてでございますが、大宰府政庁跡や水城跡、そして大野城跡につきましては、国の特別史跡に指定されておりまして、東アジア世界の中での、議員も御指摘がありましたが外交、軍事、文化の交流を考える上で、福岡県だけではなく国の中でも歴史的に極めて貴重な文化遺産であるというふうに認識をいたしております。  世界遺産の登録に当たりましては、文化財としての価値はもとよりでございますけれども、顕著な普遍的な価値を証明する必要があるなど、世界遺産として登録要件を満たす必要がございます。現在、これも議員御指摘になりましたが、日本国内では国がユネスコに提出をする暫定リストに既に十二件の文化遺産が記載されておりまして、一方ユネスコへの推薦は一年に一件と限られておりますところから、さらなる暫定リストへの追加はなかなか厳しい状況ではないかと思っております。世界遺産の登録に向けましては、まず地元市町村におきまして暫定リストの記載に必要な世界遺産としての価値を証明する、そのための調査を行いますなど積極的な取り組みと、それとあわせまして地元の機運の盛り上がりというのも必要になってまいります。県といたしましては、そうした地元の取り組み状況や、今後、先ほど申しました状況にございますので、国の動向、これを見ながら対応をしていきたいと考えております。 5 ◯副議長(新村 雅彦君) 杉光教育長。 *教育長答弁
    6 ◯教育長(杉光 誠君)登壇 大宰府政庁跡、水城跡、大野城跡歴史的価値についてでございますが、大宰府政庁は軍事基地と非常時の食料を保管する兵たん基地を兼ねて博多湾周辺に設置された施設、那津官家を六六三年の白村江の戦い前後に現在の地に移転造営したとする説が有力でございます。この大宰府には、軍事的機能のほかに西海道九国三島の行政、司法を所管する政治的機能、遣唐使や外交使節の出入国を管理監督する外交、貿易的機能があり、迎賓施設として鴻臚館を置くなど遠の朝廷とも呼ばれた重要かつ国家的な地方行政機関でございます。また、六六四年に築堤された水城、翌六六五年に百済からの亡命官僚の指導を受けて築城された大野城につきましては、いずれも白村江の敗戦後に唐、新羅連合軍の侵攻を想定し、大宰府の防衛を目的として築かれた本格的かつ強固な防衛施設でございます。これら大宰府政庁跡、水城跡、大野城跡が千三百年余りの時を経て、現在国の特別史跡に指定されていることは、歴史的に非常に大きな価値があるものと考えております。 7 ◯副議長(新村 雅彦君) 井上順吾君。 8 ◯四十六番(井上 順吾君)登壇 要望にとどめて。大変厳しいということはわかりました。今、知事から御答弁いただきましたように、日本の世界遺産として認められるには、大変高いハードルがあるということはわかります。しかし、高いからといってあきらめていいのかと思います。私は、ハードルが高いからこそ、その実現に向けてあきらめてはならないという気持ちがわいてきています。  昨年の五月二十五日、田川市と福岡県立大学が共同で申請した山本作兵衛氏の炭坑の記録画及び記録文書が日本で初めて世界記憶遺産に登録されました。この登録された喜びから、地元田川はもちろん福岡県の観光遺産と脚光を浴びています。明治時代後期から筑豊の炭鉱業の、まだ産業革命が継続していた二十世紀後期までの日本の発展状況を裏づける記録は、福岡県にとっても誇りであります。この価値は、次の世代を担う子供たちにとっても貴重な教育的資産として大きな貢献を果たしていると考えます。山本作兵衛氏により、世界に田川という地名が発信をされました。  教育長がお答えになった大宰府政庁跡、水城跡、大野城跡歴史的遺産は、大変大きな価値があることがわかりました。この価値を共有できる世代がいる今こそ、声を上げ続けなければならないと思います。そのことこそ、今に生きる私たちが、日本というすばらしい、美しい国に住める、この平和な国土を残してくれた先人に感謝をし、掘り起こしていかなければならないと思います。どうか知事部局、教育庁におかれましては、国の動向、文化庁が門戸を開いたときには、いつでも手を挙げられる準備をしていただきたいと願うものであります。  今の回答にもありましたように、そのためには地元市町村そして地域がその機運を盛り上げなければいけない、それは十分わかっております。大野城跡を構成する太宰府市、大野城市、糟屋郡宇美町、その大野城の四王寺山を囲ったその地域では、何とかこの地域を残していかなければいけない、そのようなことから、これは福岡県も入っておりますが、研究会が立ち上がっております。そのような研究会もあわせまして、今地元では何があっているかということでございます。太宰府市が大宰府政庁跡、水城跡で古都の光、そして大野城市においては大野城跡、四王寺山山頂に縦百メートル、横百メートルの大の字の文字をともす大文字まつり、それぞれの火の祭りを行っていますが、ことしの九月の祭りでは、同時開催を行ってはどうかとの声も聞かれるそうです。九州国立博物館という百年の夢がかなったように、大宰府政庁跡、水城跡、大野城跡歴史的遺産群が日本の世界遺産に登録されることが、近い将来実現することを信じまして、今回の一般質問として終わらせていただきます。  私も、この議会に議席を与えていただいて、これからの自分の取り組みとして、この声をずっとずっと発信をしていくことが私の責任であり、ともにこの筑紫地区に選出をされた議員の先生方、そして何よりも福岡県議会の議員の皆様方に、この歴史的遺産群を何とか福岡県の宝として残していくことを次の世代に伝えていただきますことを心から願い、私の一般質問を終わります。(拍手) 9 ◯副議長(新村 雅彦君) 大橋克己君。(拍手) *大橋議員質問 10 ◯二十番(大橋 克己君)登壇 皆さん、こんにちは。民主党・県政クラブの大橋でございます。発言通告に従いまして質問をさせていただきます。  まず、特別支援教育の充実についてお聞きいたします。福岡県教育委員会は、これまで福岡県の教育施策を策定してきましたが、今回、新しい福岡県の総合計画の体系に沿って内容を見直し、新たに平成二十四年度福岡県教育施策実施計画を策定いたしました。今後、この計画のもとに各教育施策が展開されることになっており、教育の基本目標に掲げている理念や総合計画に掲げる目標、目指す姿を達成するために、二十八の具体的な施策が掲げられています。施策四では、特別支援教育の充実がうたわれ、「障害のある幼児児童生徒教育的ニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行うことにより、一人ひとりが自立し、主体的に社会参加できる力を育成できるよう、特別支援教育の改善・充実を図ります。」と施策の基本的なねらいが明記をされています。平成二十四年度の主な取り組み・事業では、一、特別支援学校教育環境の整備、二、特別支援学校職業教育支援事業の実施、三、特別支援学校医療的ケア体制整備事業の実施、四、発達障害児等教育継続支援事業の実施、五、障害のある子どもの居住地校交流事業の実施、六、高等・中等教育学校における特別支援教育の充実が挙げられています。また、教育施策の進捗状況を把握して点検、評価を行うことにより、効率的な教育行政の推進と達成状況の説明責任を果たすために、各指標が設定されています。特別支援教育体制の整備では、平成二十二年度で四四・六%であった個別の指導計画を、平成二十六年度には一〇〇%にする指標が、同じく平成二十二年度で四〇%であった個別の教育支援計画を、通常の学級で作成している幼稚園・小・中・高等・中等教育学校の割合を、平成二十六年度には一〇〇%にする指標が設けられています。  そこで、特別支援教育の充実に当たり、多岐にわたる今年度の取り組み、事業が挙げられていますが、特別支援教育の充実にとってその指標内容が十分と考えておられるのか、またそれが核心をつくものであるとお考えになられているのか、教育長にお聞きをいたします。  障害のある子供一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行うことは、特別支援教育の充実にとって重要なものです。特に、特別支援教育に関する知識、経験を持つ教諭がその担い手であることは明らかであります。ところが、そのような知識、経験が必要な現場において、常勤、非常勤の講師の割合が高い現状であることをお聞きし、大変憂慮しているところでございます。  そこで、特別支援学校における現状の講師率をお示しいただいた上で、教育長はこの現状をどのように考えておられるのかお答えください。  次に、県立特別支援学校についてお聞きをいたします。福岡県では、知的障害養護学校在籍児童生徒数の増加及び高等部への進学ニーズの増大や障害の重度、重複化などの課題解決のために、県立特別支援学校の整備に関する計画が策定され、計画に基づき福岡養護学校新光園分校の統合などが実施され、二〇一二年度には新設の太宰府特別支援学校の開校、二〇一五年には直方養護学校直方聾学校の統合が進められているところでございます。しかしながら、開校や統合に伴って、施設の整備や人材配置など教育整備を初め当該校の職員や地域、保護者への説明や周知において不十分な面も出ており、子供たちの教育環境の低下への懸念の声も聞こえてきます。もちろん、福岡県教育委員会希望者全員入学取り組みを初め特別支援学校を取り巻く諸課題の解決に努めておられることは十分承知をしております。今後、目まぐるしく変わる現場の実態を着実に踏まえ、長期的視野に立った特別支援教育の推進を切に願うところでございます。  そこで、特別支援学校高等部学級編制基準の改善についてお伺いをいたします。国においては、平成十三年度から十七年度までの五年計画で第六次公立高等学校教職員定数改善計画を策定し、特別支援学校の一般学級八名、重複学級三名の学級編制の標準を設定していますが、福岡県では、その実現はほど遠い現状でございます。その背景には、福岡県教育委員会希望者全員入学を優先して取り組んだ結果であることは理解をいたしております。しかしながら、特別支援教育にとって、障害のある生徒の教育的ニーズに応じた適切な指導が不可欠であるということは言うまでもありません。そこで、希望者全員入学取り組みを堅持した上で、特別支援学校高等部学級編制基準の現状と学級編制基準の早期改善の見通しについての見解を教育長にお聞きいたします。  次に、大きな二点目です。昨年度十二月定例会で三池港の活用促進策について質問いたしましたが、今回も三池港について取り上げさせていただきます。  三池港は、大牟田市はもとより、福岡県南部地域の経済、産業の発展を支える重要港湾です。平成二十三年八月には国土交通省直轄事業である航路しゅんせつ工事が完了し、さらに平成二十四年三月には福岡県事業である公共埠頭多目的クレーン二基目の設置が完了し、韓国釜山港との国際定期コンテナ航路の週二便化、荷主助成制度有明海沿岸道路の三池港インターチェンジまでの延伸などと相まって、三池港の利便性が格段に向上いたしました。その結果、平成二十三年度の三池港の貨物取扱量は、前年比七万七千トン増加、率にして三・八%増の二百八万二千トンとなりました。そのうち、三池港─釜山港間の国際コンテナ定期航路の利用促進が進み、平成二十三年度の外貿コンテナ取扱貨物量は前年度比一・八倍の一万五千四百二十七TEUと、過去最高を更新しました。航路の増深、拡幅が実施された航路しゅんせつ整備事業により、船舶の大型化に対応することができ、取扱貨物量の増加が実証されました。  三池港の背後圏域は、福岡県南部から荒尾市、玉名市等の熊本県北部にまで及び、潜在する貨物需要があります。しかし、輸入のコンテナ貨物は増加しましたが、輸出はそれほど伸びていません。つまり、依然として三池港の背後圏域企業は陸路の輸送コストを使ってまでも伊万里港、博多港、門司港などから貨物を輸出をしているのが実情なのです。三池港の活用を促進する三池貿易振興会及びマイポートみいけ利用促進協議会からも、集荷拡大のための活動の展開と施設整備の必要性が提起をされています。  そこで、以下の質問を港湾管理者である福岡県知事にお伺いをいたします。  航路しゅんせつ整備事業により、大型船誘致及び新規航路開設が可能となりました。その中でも、背後圏域企業からの要望が強いのが中国との直行航路開設です。そこで、ことし四月に三池港の入出港基準の改定が行われたそうでございますが、その内容についてお聞かせいただきたいと思います。  二つ目に、コンテナ貨物の集荷拡大に伴う利用促進策として、荷主企業や船会社に対する助成制度があり、この助成制度が今般のコンテナ貨物の急激な伸びに大きく寄与しており、荷主企業や船会社からも、この助成制度の継続が望まれていると聞いています。そこで、これらを含めた利用促進策についてお考えをお聞かせください。  最後に、去る五月二十五日、政府において、稼働中の産業遺産又はこれを含む産業遺産群世界遺産登録に向けて推薦する場合の取扱い等について、が閣議決定されました。これによって、稼働資産である三池港の世界遺産登録に向けた環境が前進することになります。昨年十二月議会で知事はこの件に関する私の質問に対して、経済活動に支障を生じさせないよう国に強く働きかけるとお答えいただいております。世界遺産も地域振興に大切なものと考えておりますが、今回の閣議決定に関する知事の見解をお聞きします。  また、今後は関係者、関係機関に協力を求めていくことが重要と考えますが、あわせて知事の見解をお聞かせください。  以上、質問を終わります。(拍手) 11 ◯副議長(新村 雅彦君) 小川知事。 *知事答弁 12 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  三池港の入出港基準の改定についてでございますが、入出港基準と申しますのは、個別の港湾の特性に応じまして、船舶の安全な通行方法等につきまして海上保安部といった関係者との間で協議を行った上で、港湾管理者が定めるものでございます。有明海における重要港湾でございます三池港におきましても、船舶の入出港及び係留時の安全確保を目的とした岸壁の利用基準、安全な運航方法の基準を定めております。昨年度は航路の拡幅や、さらに深くする国の工事が完了いたしまして、一万二千トン級のコンテナ船の入出港が可能となったわけでございます。これを受けまして、従来六千トン級に加えまして、この一万二千トン級までの大型コンテナ船に対応すべく、その航行の安全確保のために運航方法などを見直しまして、関係者と協議の上、入出港基準を港湾管理者である福岡県が改定をしたところでございます。  三池港の利用促進策についてでございますが、三池港の外貿コンテナ定期航路につきましては、現在コンテナ取扱貨物量の増加、議員御指摘がございました、またコンテナ定期航路の安定維持のために、マイポートみいけ利用促進協議会を通じまして、荷主企業や船会社に対して助成を行っております。県といたしましては、必要な港湾整備を行っていきますとともに、荷主の輸送コスト削減つながり貨物量の増加が図れます大型定期コンテナ船の誘致活動を行ってきております。引き続き、三池港の競争力を向上させるための方策につきまして、関係者とともに総合的に検討をしてまいりたいと考えております。  次に、今回の産業遺産にかかわる閣議決定についてお尋ねがございました。九州・山口近代化産業遺産群の中には、この三池港を初め八幡製鐵所など稼働中の施設が構成資産の候補に含まれておりまして、世界遺産の登録に当たっては、その所有者や利用者の経済活動に支障が生じないようにしていくことが重要でございます。そういう観点から、いろいろ国のほうに対して働きかけを行ってきたわけでございますが、今回の閣議決定では、企業の経済活動に支障を生じさせないために、最も適当な法律、条例、協定といった手法で稼働資産を保全することとされております。また、遺産の適切な保全方法について調整、協議を行うために、国、地方自治体、民間企業等関係者で構成をいたします稼働資産保全協議会を地区ごとに開催することとされております。今回の閣議決定によりまして、遺産価値の保全と、一方で事業活動に与える影響の最小化を図る新たな枠組みというものが決定されたわけでございます。これによって三池港など稼働資産につきましては、港湾法、景観法などを活用して資産の保全をすることができるようになりますから、九州・山口近代化産業遺産群世界遺産登録が大きく前進するものと考えております。県といたしましては、これまでも三池港における事業活動への影響や問題点に関連いたしまして、大牟田市を初め地元関係者との間で意見交換を重ねてまいりました。今後は、この新しい枠組みに基づく地区協議会におきまして、港湾所有者、利用者等関係企業の理解を得ながら、保全方策などにつきまして具体的な協議を進め、平成二十七年度の世界遺産登録を目指して取り組んでまいります。 13 ◯副議長(新村 雅彦君) 杉光教育長。 *教育長答弁 14 ◯教育長(杉光 誠君)登壇 まず、特別支援教育充実に関します指標の設定についてでございます。特別支援教育に対するニーズが高まる中、特別支援教育の充実のために、本県では多岐にわたる取り組み、事業を行っておるところでございます。中でも、平成十九年度からの特別支援教育制度の開始によりまして、小中学校等に在籍しております発達障害等のある子供への対応が新たな取り組みとして求められております。そこで、この発達障害等のある子供への適切な指導や必要な支援を行うためには、個別の指導計画及び個別の教育支援計画の作成が不可欠であることから、特に教育施策実施計画の指標として設定をしたところでございます。今後とも、この設定した指標の達成を初めすべての学校で特別支援教育が充実するよう努力をしてまいります。  次に、特別支援学校におきます現状の講師率についてでございます。政令市を除きます県内の特別支援学校の講師率につきましては、平成二十四年五月一日現在で約三割となっております。これは他の学校種よりも高い率でございますが、特別支援学校の新設や特別支援学校に在籍する児童生徒数の増加が、この主な要因であると考えております。このため、教員採用試験において特別支援学校教員の試験区分を導入し、昨年度に引き続き本年度も三十人を別枠で募集するほか、市町村立学校からの人事交流を進めるなどの取り組みを行っているところでございます。今後も、これらの取り組みをさらに推進し、専門的な知識や経験を持つ教諭の確保に努めてまいりたいと考えております。  最後に、特別支援学校高等部学級編制基準の現状とその改善についてでございます。現在、国の学級編制の標準は、一般学級が八人、重複学級が三人となっておりますが、本県の基準では、一般学級が九人、重複学級が四人となっており、国の標準を満たしていない状況となっております。このため、今後とも高等部への進学希望者のニーズにこたえることを第一に考えつつ、現在進めております県立特別支援学校の整備に伴う高等部への進学ニーズの推移にも留意しながら、本県高等部の学級編制基準のあり方について検討を行ってまいりたいと考えております。 15 ◯副議長(新村 雅彦君) 大橋克己君。 16 ◯二十番(大橋 克己君)登壇 それでは、それぞれの項目について要望させていただきたいというふうに思います。  まず、特別支援教育の充実に関する指標についての件なんですけれども、先ほど質問の中でもお話ししましたように、平成二十四年度の主な取り組み、事業が六つ取り上げられているにもかかわらず、指標が一つだけということでございます。特別支援教育の充実というものは、非常に幅が広いわけでございますので、特にそれを指標化するのは大変難しいのかもしれませんが、もっと多面的な目線を持って指標を設定してもいいのではないかなというふうに思います。そういった面では、今後その項目に関する検討と研究を望みたいというふうに思います。  次に、特別支援学校における現状の講師率についてなんですけれども、先ほどの答弁では、他の学校種ではというふうな言い方をされましたが、全日制の講師率を調べてみますと、約一割程度というふうなことを聞いております。その一割程度、また今回の三割程度というのが高いのか低いのかというものは、またそこで検証しなきゃいけないとは思いますが、先ほど申しましたように、専門的な知識や経験が要求される特別支援学校、現場において、約三割の講師率というものに関しましては、いろんな要因があるとはいえ、異常な状態であるということは言わざるを得ないというふうに思います。先ほどの答弁の中で、教員採用試験の別枠の募集など、その解消に努めるという姿勢は評価しますが、もっと危機感を持って講師率の低下に努めていただきたいと要望をさせていただきたいと思います。  特別支援学校高等部学級編制基準の改善についてでございます。希望者全員入学を優先して取り組んだ結果であるということは、先ほど申したとおりでございますが、先ほど教育長のほうから、今後も全員入学については堅持をしていくということの明言をいただきましたので、改めてその方向性で進んでいかれたいというふうに要望します。その上で、高等部への進学ニーズをもう少ししっかりと的確に把握し、国の基準に本県の基準が一日も早く追いつくよう要望したいというふうに思います。  続いて、三池港の活用促進策についてなんですけれども、今回、先ほど御説明いただきましたように、入出港基準の改定が行われました。ただ、背後圏域の企業からの要望が強いのは、中国との直行航路開設なんです。といいますのは、現在のところ、三池港の貨物はすべて、釜山による積みかえをしておりまして、釜山に貨物が何日間か置かれているという状況にあるそうです。もしそこで中国との直行便開設となると、釜山に寄港しても貨物をおろすことなく上海等の中国の港に行けるため、企業にとって利便性が格段に向上するということを言われております。  今回、公共埠頭の入出港基準が六千トンから一万二千トンに緩和されましたけれども、六千トンを超える船舶は夜間の出港ができない状況にあります。つまり、荷役が終わっても翌朝の日の出まで三池港にずっと停留するというふうな形になっているわけです。そうなりますと、大型船舶の効率を考えると、荷役が終わり次第三池港から出港したいという要望があります。これが中国関連の船会社からも、三池港背後圏域企業の、先ほど申しましたけれども潜在的な需要があるわけで、これを見越して新規航路開設の打診があるんですが、今申しました大型船の夜間入出港基準の制限基準があることがネックで、なかなか新規の航路の開設に結びつかないというケースが現実にあるということをお聞きしております。そういった面では、背後圏域企業並びに船会社からの現実的なニーズがある今だからこそ、この時期に即応的に大型船の夜間の入出港の制限基準の見直しの検討、それから大型船入出港を想定した各種施設整備の検討を強く要望させていただきたいというふうに思います。  最後に、三池港の世界遺産登録についてでございます。今回の閣議決定によりまして、個別の資産に応じて最も適切な法律でありますとか条例、それから協定等の手法が活用できるようになりました。先ほども御答弁いただきましたように、各地区ごとに保全協議会が設置されて、そこでいろんな話し合いがされると思いますが、またこれまで以上に国それから地域であります大牟田市、それから関係企業と連携を密にしていただきながら、最も適切な、適当な保存の方策を策定いたしまして、世界遺産本登録に向けて前進をしていただくことを心から要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 17 ◯副議長(新村 雅彦君) 大塚勝利君。(拍手) *大塚議員質問 18 ◯二十六番(大塚 勝利君)登壇 皆さん、こんにちは。公明党の大塚勝利です。  初めに、いよいよ七月二十七日よりスポーツの祭典ロンドンオリンピックが、八月二十九日からロンドンパラリンピックが開幕します。オリンピック、パラリンピックは国境を越え、多くの人々に感動を与えます。それは選手一人一人の自身の壁を打ち破り、さらに限界に挑戦するひたむきな姿が勇気と希望を与えるからです。福岡県出身の選手を初め日本人選手の健闘、活躍を祈り、期待するとともに、我々もしっかり応援してまいりたいと思います。  それでは通告に従い、児童生徒のスポーツ障害の防止について質問をさせていただきます。  我が国では国民の多くが広くスポーツに親しんでいます。最近は、サッカー女子ワールドカップで金メダルのなでしこジャパンに象徴されるように、女性のスポーツ人口が著しく増加するなど、性別、年齢を超えて行われ、またアメリカ大リーグやサッカーに象徴されるように、日本人選手が世界を舞台に活躍するなど大きな広がりを見せています。その一方で、スポーツのためにけがや障害に苦しみ、そのためにスポーツをあきらめてしまう人もいます。  スポーツ障害とは、スポーツによって強い力がかかり、骨折や靱帯損傷、捻挫、肉離れなどの外傷、慢性的な刺激による野球選手の肩やひじ、テニスひじ、疲労骨折、成長期の子供特有の骨の成長に筋肉などが追いつかず、ひざの下が痛くなるオスグッド病などの障害をいい、特に成長期の子供に起こりやすいと言われています。  私は、高校時代野球部に所属しておりましたが、中学から期待されてきた選手が高校に入り、これまでとの練習量の違いから、ひじやひざなどを痛め、力を発揮できずに退部した友人がおりました。また少年野球にかかわっていた時期がありますが、小学生から体を酷使し、けがにより途中で断念せざるを得なかった子供たちもいました。特に、靱帯損傷などは医学の進歩した現在でも、手術、リハビリまで含め約一カ月間入院しなければならず、スポーツ再開まで時間がかかり、授業にも支障を来します。子供たちがスポーツ障害で苦しんだり、夢をあきらめざるを得ない現状を変えなければなりません。  成長期の子供に、なぜスポーツ障害が多いのでしょうか。プロやトップレベルのアマチュアスポーツでは、スポーツ障害を防ぐ知識やノウハウを持った指導者、トレーナーのサポートが当たり前となっています。しかし、それ以外のほとんどの競技者、特に中学、高校の運動部の部活動では医学的な健康管理が行われず、スポーツ医療の手の行き届かない中でスポーツが行われているからではないでしょうか。また、私の住む地域でも少年野球や少年サッカーなどの地域スポーツクラブが数多くあります。スポーツクラブの指導者は本来、高度な技能と経験のある指導者が適任なのでしょうが、実際には技能や知識があるとは限りません。スポーツにはけががつきものです。しかし、指導者がスポーツ障害に対する基本的な知識を持っていれば予防することができ、けがをしても適切な治療を行えば、ほとんどのけがや障害から改善、完治することができます。  先般、中学校の保護者を対象にスポーツ整形外科の医師から話を聞く機会がありました。簡単にまとめますと、近年スポーツでけがをする子供が多い。故障が起きない体づくりを行うには、成長期の小学生、中学生の身体的特徴を部活動の指導者や保護者が理解することが大切であり、子供たちのスポーツ障害を減らすことになる。特に、中学生の年代は体の発達が著しく、成長期の骨には両端に成長軟骨線と呼ばれる軟骨があり、成長の途中で練習のやり過ぎや過剰な負荷がかかると障害を起こす。例えば、中学一年生でも四月生まれと三月生まれの生徒では、約一年の差で成長軟骨の成長が全く異なる。スポーツでけがをしないコツは、生徒の成長のレベルに合わせて行うことである。そのほか捻挫の応急処置であるRICE療法、けがを防止するストレッチの必要性と方法、食事と睡眠の大切さなど、初めて聞くことも多く、スポーツを行う上で必要な基礎知識を学ぶ貴重な機会となりました。  現在、スポーツ事故、外傷、障害などの受診数のデータは存在しません。しかし、財団法人スポーツ安全協会のスポーツ安全保険では、二十一年度に全国で十八万七千件を超える傷害保険の支払い実績がありますが、このほかにも多く発生していることが推測されます。ある医師の調査によると、けがや障害にもかかわらず、整形外科を受診する競技者は少ない。その理由として、放置しても自然に治るとの誤った認識を持っていたり、強豪チームにありがちなレギュラー争いのため、我慢して治療をせずに競技を続けることなどを挙げています。スポーツ障害も早期に適切な治療が行われなければ進行し、場合によっては後遺症を残すことにもなります。これもスポーツ障害に対する誤解や知識の不足が、治療を受けない傾向につながっているからではないでしょうか。  一方、スポーツ整形外科医は、スポーツ障害に対する豊富な知識と経験を持っていながら、実際には社会に生かされていません。治療に来た競技者には指導、アドバイスを行うことができますが、一部の競技者に限られています。競技者の夢をはぐくもうと多くのスポーツ整形外科医や、スポーツ障害のリハビリに携わる理学療法士が、ボランティアで直接地域に出向いて指導者や選手に働きかけていますが、スポーツ医療の知識をもっと活用し、指導者とスポーツ整形外科医が連携する仕組みづくりが必要ではないでしょうか。  二〇一一年八月、スポーツ基本法が施行され、その第十四条には、国及び地方公共団体は、スポーツによって生じる外傷、障害などの防止や軽減のため、指導者研修の普及などに必要な措置を講じるよう努めなければならないと明記されました。指導者の資質向上を図り、スポーツ障害で悩むことなく、子供たちが思う存分スポーツに取り組める環境に変えなければなりません。  教育長に伺います。中学生、高校生にスポーツ障害が起こる原因の一つとして、部活動の指導者のスポーツ障害に対する知識が不足していることにあるとの指摘があります。特に、成長期における身体的特徴に対する理解不足が原因とも言われています。部活動の指導者が、スポーツ障害について基礎知識を持つことがスポーツ障害の減少につながると考えますが、教育長の所見をお伺いします。  県教育委員会では、トップアスリートを輩出し、本県スポーツの競技力向上を図るために、アクシオン福岡と連携した小中学生対象のタレント発掘事業に取り組まれています。そのノウハウを部活動の現場でも活用し、またスポーツ整形外科医と連携して、部活動や地域スポーツクラブの指導者を対象に、スポーツ障害についての正しい基礎知識、ストレッチ指導、食育と睡眠など基本的な講習を定期的に実施してはいかがでしょうか。あわせて希望する学校や部活動の合同練習会へ専門家を派遣する仕組みを検討されてはどうか伺います。  部活動やスポーツクラブの指導者の多くは、最新のスポーツ理論を習得するのは難しく、伝聞や迷信、最新の理論を不完全に取り込んで活動が行われています。県教育委員会として、スポーツ障害の基礎知識や、最も適切とされる治療、対症療法を明確に示す必要があるのではないでしょうか。指導者、競技者の指標となる、判断基準となるスポーツ障害のガイドラインの作成を検討されてはどうか伺います。  最後に、本来スポーツは適切な練習方法で行われるべきで、不適切なトレーニングを行うと障害が発生しやすくなります。例えば、誤ったフォームでの野球の投球やテニスのストロークなどを続ければ、ひじや肩を痛めやすくなります。ところが、中学、高校のクラブ活動の指導者は、学科かけ持ちの教員が大半で、学生時代に取り組んできた部活とは別のスポーツの指導者となることもあり、トレーニング理論、実践やスポーツの障害に対する知識を習得する余裕などありません。そのような中で、部活動の好成績を求められ、生徒の健康管理の責任を負わされている現状があります。独学で指導を行った結果、可能性のある生徒がスポーツ障害を負ったり、またけがを恐れる余り積極的な部活動が行われず、生徒たちのやる気を失わせる結果となる場合など、多くの指導者は悩みながら部活動の指導を行っているのではないでしょうか。指導者の技術力の向上が、スポーツ障害の減少につながると考えますが、指導者の技術力向上のために、県教育委員会としてどのようなサポートを行っているのか伺います。  以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 19 ◯副議長(新村 雅彦君) 杉光教育長。 *教育長答弁 20 ◯教育長(杉光 誠君)登壇 スポーツ障害の基礎知識に対する所見についてでございます。心身の成長が著しく、個人差も大きい中学生、高校生年代の運動部活動の指導は、発育、発達段階や体力レベル、さらには競技力に応じたきめ細かな指導が必要であります。そこで、従前から研修会を通しまして、指導者の資質向上を図ったり、専門的知識を有した外部指導者の活用など、さまざまな取り組みを行っているところでございます。特に、子供のころからの無理な練習等によるけがが、その子供の将来に影響を及ぼすおそれがあるスポーツ障害の防止につきましては、部活動の指導者がスポーツ障害に対する基礎知識を習得し、生徒の個人差に応じてスポーツ医科学の知見に基づいた適切な指導を行うことが大変有効な方法であると考えております。  次に、スポーツ障害等に関する講習と専門家の派遣についてでございます。県教育委員会では中学校、高等学校の運動部活動や地域スポーツクラブ等の指導者を対象に、昨年度から世界に羽ばたく中高生スポーツ選手育成事業を実施し、この事業の中で基本的なスポーツ医科学の知識を習得するスポーツ医科学研修会を行ったところでございます。本年度は、この研修会を一回から二回にふやすとともに、スポーツ栄養やコンディショニング、スポーツ障害等、さまざまなスポーツ医科学分野の内容を加えることによりまして、研修機会の拡大と、さらなる指導者の資質向上に努めてまいりたいと考えております。  また、スポーツ医科学の専門家の派遣につきましては、現在県体育協会が、日本体育協会公認スポーツドクターやトレーナーを地域のスポーツ活動に派遣しまして、スポーツ障害防止の講習会等を開催しております。さらに、スポーツ医科学の知識を持つ指導者を、希望する学校や部活動の合同練習会へ派遣するなど、運動部活動の指導者全員がスポーツ障害の基礎知識を習得できる機会の確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、スポーツ障害のガイドラインについてでございますが、このことにつきましては、日本スポーツ少年団や日本学校保健会など、さまざまな機関、団体が提示をし、冊子やホームページ等にまとめられております。県教育委員会ではこれらのガイドラインを活用しまして、運動部活動や各競技団体及び地域スポーツクラブの指導者等を対象とした各種の研修会で情報提供を行っているところでございます。スポーツ医科学分野の研究は日々進歩していることから、今後とも県立スポーツ科学情報センターや県体育協会のホームページ及び刊行物を活用しまして、最新のスポーツ医科学情報の提供を行うとともに、そうした関係機関と連携いたしまして、スポーツ障害防止のポイントをまとめた資料を作成してまいります。  最後に、指導者の技術力向上に対する取り組みについてでございます。指導者が最適なトレーニング方法や正しいフォームの習得等の技術的な指導力を向上させることは、スポーツ障害を未然に防止することに役立つものであると認識をしております。このため県教育委員会では、日本オリンピック委員会や国立スポーツ科学センターから講師を招聘いたしまして、最新のトレーニング方法等を習得するため、選手強化指導者研修会を実施し、指導者の資質向上を図っているところでございます。今後こうした研修会の中で、さらなる指導者の技術力の向上に対する取り組みを充実をさせてまいります。 21 ◯副議長(新村 雅彦君) 大塚勝利君。 22 ◯二十六番(大塚 勝利君)登壇 それでは要望を三点、再質問を二点させていただきます。  まず要望です。指導者研修につきましては、スポーツ医科学研修会、それと専門家の派遣、この二本立てで、すべての部活動の指導者に、そういったスポーツ障害の研修の機会を確保すると明快な答弁をいただきました。環境は整いましたので、あとはどう指導者の皆さんに参加いただくかであると思います。しっかり啓蒙していただきたいと思います。  二点目です。ガイドラインについてです。答弁の中で、ポイントをまとめた資料を作成すると明快な答弁がございました。大変情報が錯綜しておりますので、このガイドラインをつくる目的というのは、指導者はもとより子供たちや、特に保護者に興味、関心を持ってもらうことが大事であると思います。子供たちの異変に大人たちが気づいてあげることで、早期発見、早期治療につながると、ぜひ、内容が明確で、指導者の判断基準となり、現場で活用しやすいコンパクトなものを作成をしていただきたいと思います。  要望の三点目は、先般、理学療法士の若手の皆さんと懇談の場がございました。皆さんおっしゃったのは、とにかく現場に行ってスポーツ振興の役に立ちたい、もっと活用してほしい、我々も研さんに、励みになりますと、このようにおっしゃっておりました。もう既に、そういった理学療法士の皆さんとは連携があるのかもしれませんが、ぜひ活用を、また御検討いただければと思います。  再質問です。一点目は、指導者研修につきまして、地域スポーツクラブの指導者も、今回のスポーツ医科学研修会の対象であると、このような答弁でした。私は、部活動の指導者よりも、地域スポーツクラブの指導者への講習がポイント、かぎであると思っております。地域スポーツクラブの指導者を研修会にどのように参加させるのか、参加していただくのか、その方法と取り組みについて伺います。  二点目は、少年野球、また少年サッカーなど競技人口の多いスポーツは、各競技団体がありまして、その競技団体でも指導者研修等が行われていると聞いております。実際多くの児童生徒が参加しているわけですので、各競技団体でどのような研修が行われているのか、県教育委員会としても、現状を把握すべきであると思いますが、教育長の所見を伺います。(拍手) 23 ◯副議長(新村 雅彦君) 杉光教育長。 24 ◯教育長(杉光 誠君)登壇 まず第一点目の地域スポーツクラブの指導者が研修会に参加する際の方法、取り組みについてでございます。昨年度は、主に競技団体を通しまして、地域スポーツクラブの指導者に対し研修会の開催を周知し、参加を募っておりました。今年度については、昨年度同様に、競技団体を通じて周知をするとともに、郡市の体育協会とかスポーツ少年団と一層の連携を図り、スポーツ医科学研修会の開催の周知や参加促進を図ってまいります。  次に、競技人口の多い競技団体が実施しております研修の現状把握についてでございますが、競技人口の多い競技団体では、当該団体が独自に指導者に対してスポーツ医科学の研修会を実施をしていると聞いております。現在、県教育委員会では詳細の内容を把握をしておりませんが、今後各競技団体へのヒアリング等を通しまして、研修回数や内容等を十分に把握するなど、各競技団体のスポーツ障害防止の研修会が、さらに充実をされますよう指導、支援をしていきたいというふうに考えております。 25 ◯副議長(新村 雅彦君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時二十分といたします。           午 後 零 時  九 分  休 憩           午 後 一 時 二十一分  再 開 26 ◯議長(松本 國寛君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。江口善明君。(拍手) *江口議員質問 27 ◯三番(江口 善明君)登壇 皆さん、こんにちは。食と緑を守る緑友会福岡県議団の江口善明でございます。  質問通告に従い、高度医療都市づくりについて質問をいたします。明治時代、久留米の「三しゃ」という言葉があったそうです。「三しゃ」とは、医者、芸者、人力車を指しまして、この三つの職業が多い町、商都久留米が栄えたことの例えと言われております。芸者と人力車は廃れてしまいましたが、現在でも久留米市には多くの病院があり、医療都市としての性格を持っております。私は、がんの先進治療を目玉に、高度医療都市を目指す久留米市のまちづくりについて、小川知事の御所見をお伺いをしたいと思います。  一九八一年以降、日本人の死亡原因では、がんが第一位となっております。二〇〇九年、厚生労働省の人口動態統計では、がんによる死亡者が三十四万四千人でした。約三人に一人ががんで亡くなっております。また二〇〇四年の厚生労働科学研究推定値によりますと、日本人は生涯で二人に一人ががんになる時代を迎えているということであります。  がん治療には、現在四つの方法があると言われております。いわゆる手術の外科療法、抗がん剤などの化学療法、そして現在久留米大学医学部で臨床試験中のがんペプチドワクチンなどの免疫療法、久留米市に隣接をいたします佐賀県鳥栖市で開設をされる重粒子線治療などの放射線療法です。久留米・鳥栖地域では、がん治療の第三、第四の治療法と言われる重粒子線治療、がんペプチドワクチンという現在のがん治療の先進技術が集積をしております。  ペプチドとはたんぱく質の断片のことで、がんペプチドワクチンを注射することで、がん細胞を攻撃するキラーT細胞を増殖させるというものです。このがんペプチドワクチンによる延命効果は、従来の治療に比べて一・五倍から二倍と言われています。将来的には、がんペプチドワクチンでがんの進行をおくらせることができ、従来の生活のまま余生を過ごすことが可能になると言われています。現在、前立腺がんが高度医療として、ペプチドワクチンは承認をされております。久留米大学では、がんペプチドワクチン事務局を設置をし、ホームページも開設をして、その治療法を望む患者さんを対象に臨床試験を行っているというのが現状でございます。  重粒子線治療に目を移しますと、本県では今年度予算で五億九千万円を、佐賀県鳥栖市に来年春に開設をされます公益財団法人佐賀国際重粒子線がん治療財団に補助する予定となっております。本県はこの最先端がん治療設備整備費補助金の事業目的を、県民のがん対策を進めるため重粒子線がん治療設備の整備に対して補助を行い、本県において、これまで治療が難しかったがん患者の治療を進める。また、九州大学、久留米大学において重粒子線治療に対応可能な医師を育成をし、これに伴い医療技術の向上を通じ県民福祉の向上を図るとしております。この補助金につきましては、予算特別委員会でも議論がありました。隣接県とはいえ、県外の一財団に補助金を出すということは異例のことと思います。だからこそ、この補助金を県民福祉の向上、そして地域振興にも有効に活用していただきたいと思います。  そこで小川知事にお伺いをしたいと思います。私がこれまで述べてまいりました重粒子線施設は、岡山県より西では初めての先進的ながん治療施設でございます。また、がんペプチドワクチンも現在、臨床試験中ではありますが、将来大いに期待をされております。このような高度先進医療が集積をしている久留米・鳥栖地域には、福岡県内だけでなく九州一円、また全国、そしてアジア諸国からも患者が来ることが期待をされます。私は本県としても、県民福祉の向上はもちろんのことでございますが、久留米市などの県南地域の地域振興策の一つとして、がん治療先進地としての特性を活用しない法はないと思います。  一点目、久留米・鳥栖地域のがん治療の先進地としての位置づけをどのように考えておられるのか、小川知事の基本的な認識をお伺いをしたいと思います。  二点目、久留米市は、先ほどからも申し上げますとおり、医療機関が集積をしております。佐賀県鳥栖市の重粒子線がん治療センターとがんペプチドワクチンなどの併用、そして久留米地区にある医療機関との連携が、今後大いに期待ができ、久留米市が高度医療都市として発展する可能性が、私は大いにあると考えられると思います。小川知事の高度医療都市についての考えをお伺いをいたします。知事のしっかりした答弁をお願いいたします。  以上で一回目の質問、終わらさせていただきます。(拍手) 28 ◯議長(松本 國寛君) 小川知事。 *知事答弁 29 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  久留米・鳥栖地域のがん治療先進地としての位置づけについてでございますが、九州国際重粒子線がん治療センターは、久留米市に隣接する鳥栖市に設置をされまして、福岡県、特に久留米市にとって非常に身近な立地となってございます。また、久留米大学におきましては、議員御指摘のとおり、がんの第四の治療法と言われております、がんペプチドワクチン療法の拠点を目指しております。かねてから、私申し上げておりますが、これらの二つの施設の連携によりまして、久留米・鳥栖の地域が将来がん治療の高度先進拠点となっていくことが期待されます。
     次に、重粒子線がん治療センターと久留米地域の医療機関との連携についてお尋ねがございました。久留米大学には、センターへの患者紹介窓口が設置される予定となっております。またセンターでは、人事交流によりまして、久留米大学からの専門の医師が派遣され、治療を行うことになってございます。そこで実践を積んだ医師が、また大学に戻り、大学の医療もより高度化していくことが期待されるわけであります。久留米地域には、久留米大学のほか中核的な医療機関がたくさんあります。これらの医療機関もセンターと連携し、患者を紹介していくことによりまして、がん治療の患者さんにとりまして選択肢が広がっていきます。この地域の医療の高度先進化が進むものと期待をしております。このため、今後先進的ながん治療施設でございます、この重粒子センター及び各大学の患者紹介窓口につきまして、県内の医療機関でありますとか、県民の皆様に広く知っていただけますよう周知を図ってまいりたいと思います。 30 ◯議長(松本 國寛君) 江口善明君。 31 ◯三番(江口 善明君)登壇 まだ重粒子線につきましても、来年春からということでございます。そしてまたペプチドワクチンにつきましても現在臨床試験中ということでございますので、ぜひとも県が支援をしていただきたいという思いで、一点要望させていただきたいと思います。  久留米市は、現在医療観光に力を入れております。医療は国民皆保険制度に代表されるとおり、経済的な視点ということだけではいけないと思います。しかし、この久留米市の医療機関の集積、いわゆる医療都市である久留米市の地域の振興策としては、この地域資源をぜひとも活用することが重要であると思います。  なかなか資料がありませんでしたので、個人的に調べました。久留米で一番大きい事業所が、久留米大学が二千七百八十三人、そして久留米市内には大きい病院が二つありますが、千九百五十六人、九百七十八人と、非常に雇用が大きいのが実情であります。ちなみに、久留米市役所が千九百六十二人、自衛隊幹部候補生学校、久留米駐屯地も含めて約二千五百人ということでございますので、非常に医療について、医療は久留米を支えていると言っても過言ではないと思います。ゴム三社がありましたが、現在このゴム三社の従業員数につきましても、各社千人ずつという形でございます。  久留米市は平成二十三年度、姉妹都市である中国の合肥の市民を対象にした医療観光のモニターツアーを実施をいたしました。ツアーの内容は、久留米大学病院など市内の三つの医療機関でPET検診や人間ドック健診を行った後、石橋文化センターや田主丸町でのカキ狩り、酒蔵見学などの市内観光を楽しんだそうであります。本県では、福岡アジア医療サポートセンターを開設をしております。このセンターでは英語、中国語、韓国語に対応した外国人患者の相談、受け入れ、医療通訳の派遣などを行っております。久留米市は、従来から高度医療都市を標榜してまいりました。しかし、そのイメージは病院が多い町の域を出ておらず、目玉がなかなかありませんでした。私は、このがん先進医療が、この高度医療都市の目玉になると確信をしております。ぜひとも、高度医療都市久留米への本県の支援を強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 32 ◯議長(松本 國寛君) 桐明和久君。(拍手) *桐明議員質問 33 ◯十三番(桐明 和久君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の桐明でございます。通告に従い質問をいたします。  地元の方々より要望書をいただきました。内容は次のとおりです。八女市に産業廃棄物中間処理場うすま・ふぁーむぱーく株式会社が平成十四年十二月十六日操業を開始いたしました。以来十年間、鼻をつくような異臭と汚れた排水は、地元住民の生活に支障を来し続けております。市、県に再三指導を要望し、指導していただいておりますが、なかなか問題の解決に至っていないのが現状です。二月から五月まではましなほうで、それ以外の月は、窓をあけられない状態が続いています。少しでも風を入れるために窓をあけていると、突如として家の中に異臭が立ち込め、ひどいときは吐き気さえ覚えます。八女市へ連絡するも、市担当者が現地へ到着するころには異臭がなくなるという繰り返しで、ゆえにわかりにくく、理解していただけないようです。ことしの夏は、電気使用の一〇%以上の節電協力要請がなされている中で、窓を閉めたままでなく、私たちも自然の風を入れて生活したいと心より思います。隣接地には、八女市のシンボルであるパイロット茶園があり、八女市が推進している茶の国八女は大丈夫なのかとさえ疑いたくなります。何とぞ一日でも早く、今までの生活を取り戻すために、お力添えをいただきますようお願いいたしますという内容でありました。  この件につきましては、平成二十一年度の決算特別委員会で質問された経緯があり、議事録の内容は次のようであります。当時の廃棄物対策課の課長の答弁では、まず一つ、現在、南筑後保健福祉環境事務所におきまして、毎週立入検査を行っており、許可条件が遵守されるよう指導、助言しているところです。事業者においては、きちんとした維持管理がなされていないということは、我がほうもつかんでおるところでございまして、事業者には、平成十五年以来ずっと施設の改善工事が行われた後も、継続して週一回の立入検査を行いながら、指導し続けている状況です。悪臭の原因は、持ち込まれている物のせいではなく、この施設での適正な処理がなされていないがために、悪臭問題なりというのが発生していると考えるのが妥当だと考えております。また、部長の答弁におきましては、この施設の周辺の悪臭、排水の問題で、住民の方々から御意見をいただいているということは十分承知いたしております。これまでも臭気の測定、水質の検査などを実施し、これに基づいて必要な指導をしてきたところでございます。しかしながら、いまだ施設の維持管理上、作業手順などで問題があるようでございます。今後とも継続的に監視を行いまして、周辺の生活環境の保全に支障がないよう、事業者に対して指導、助言をしていきたいと考えておりますと答弁されております。  以来、県当局におかれましては、引き続き指導、助言されてこられたと思いますが、地元の方々とお会いし、確認いたしました結果として、下記のような状況が続いております。一つは、三百メーター以内に小学校があるわけでありますが、やはり風の向きではにおいがする。個別に記録をとっておられまして、特ににおいがひどいときは、今月の六月から一月の時期で、時間帯は十七時以降からであり、明け方までにおいが強いときがあるという状況でございます。また、この件につきましては、八女市議会でも頻繁に取り上げられており、本年三月議会の執行部の答弁といたしましては、悪臭の状況については、敷地境界における、うちは悪臭防止法に基づいて対応しており、一応基準値はクリアしておるけれども、施設がある限り、においはゼロにはならない。そういうふうなことで、やはり一部住民の方々からも今なお苦情が出ている。今、許可権が県にあるというふうなことで、県と連携をとりながら、今後とも継続的に行っていくということで、あの悪臭問題については非常に困難だけれども、やはり今後もずっと継続していきます。平成十年十二月十六日に県の許可がなったんですけれども、その当時から、翌年の三月、二月ごろから悪臭が発生したというふうなことで、悪臭防止法に基づいて強制的なことはできませんけれども、業者に対する要請、やはり悪臭を少しでも軽減するような方策はお願い、あるいは協議として行われていますけれども、営業上の問題もありますので、搬入の原料を減らせとか、中止せろとか、そういうことは言えませんと、非常に苦しい答弁をされております。  以上を踏まえて、まず環境部長にお尋ねいたします。県のこの施設に対する現状認識と、先ほど答弁されておりますが、その後の一年九カ月間どのような指導、助言をしてこられたか。またどのような改善が行われたのかお聞きいたします。  二点目といたしまして、本年度の十二月に、五年ごとの中間処分業の許可更新申請の予定でありますが、現状としてどう対応されるつもりかお聞きいたします。  また知事にお聞きいたします。今までの経緯と現状を説明いたしましたが、まさに知事は県民の生活の安全、安心と言われてありますが、このような悪臭の問題がある産業廃棄物処理施設について、どう考えておられるのかお聞きいたします。  続きまして、住宅太陽光発電促進について質問いたします。すべての原子力発電所が停止し、ことしの夏も全国的に節電が必要となされる中で、政府の電力需要対策では、九州電力管内では一〇%の削減とされ、期間を七月二日から九月七日の平日午前九時から午後八時までの間とされた削減目標が掲げられました。福岡県においても、すべての県の機関のことしの夏の電力使用量を、国が基準とする二〇一〇年の夏と比べて一四%以上の削減、期間は七月二日から九月七日とする節電対策方針を決定されておられます。一方、国民の中では、日本の電力発電用のエネルギーの燃料別割合で二五・九%、九州電力管内では四〇%でありますが、これを担う原子力に依存しない安全、安心エネルギー社会へ向けての動きの中で、再生可能エネルギーの活用が注目を集めています。  その中の一つであり、身近なものとして住宅用の太陽光発電があります。住宅用太陽光発電については、これまでも議会で質問に上がっておりますが、県の答弁といたしましては、県の状況では、平成六年度から平成二十二年度までの累計で、導入件数が三万七千三百六十四件で全国第三位、設備容量では十四万キロワット余りで全国二位であるということ。また、国の補助制度が引き続き実行されており、あわせて七月より余剰電力の買い取り制度が発足すること。また、発電導入コストが、都道府県の一般的な補助単価以上に価格が下がってきていること。また、公益性の観点からも慎重に検討をしなければならないとされております。  ではなぜ、太陽光発電に注目が集まっているのでしょうか。まず一番目は、御存じのとおり、東京電力の福島第一原発の事故を受け、先ほども申しましたが、原子力に依存しない安全、安心エネルギー社会へ向けて、エネルギーの分散化、エネルギーの地産地消を目指すのに適しているということ。二番目は、これに蓄電施設を併設することにより、エネルギーの自給率の向上と予期しない停電や災害時におけるエネルギー源の確保ができること。また、節電は小型発電所をつくるのと同じ価値があると言われておりますが、日本の省エネ技術は飛躍的に進歩しているにもかかわらず、ここ二十年間の家庭での世帯当たりのエネルギー消費量は減っておらず、省エネ成果が上がっているとは言えない状況であります。その一つの原因が、各家庭において、節電状況が目で確認できないからでありまして、今回の、この中のシステムとして、電力スマートメーターを設置することにより見える化し、節電を各家庭で推進する一因となるからであります。このような理由から、私は、住宅用太陽光発電を積極的に推進するべきであると考えます。  しかし現状では、国や市町村の補助制度により増加傾向ではありますが、まだまだ価格の面で、太陽光パネル当たり四キロワットで平均二百万円であり、これを十年間で償却する現状では、民間の家庭での負担は大きいのが現状です。今だからこそ、県がしっかりと支援をし、後押しをすべきであると考えます。どこかの国会議員の発言ではないんですが、二番目ではいけないのですかじゃなく、システム導入日本一の福岡県を目指すべきではないでしょうか。県民一人一人が意識を持って環境と調和し、快適に暮らせる福岡県づくり、生活の安定、安全、安心、まさにこれが、知事が言われる幸福度日本一の福岡県づくりであると思います。  知事、県も積極的に住宅用太陽光発電を推進するべきであると思いますが、知事のお考えをお聞きいたします。  以上で質問を終わります。(拍手) 34 ◯議長(松本 國寛君) 小川知事。 *知事答弁 35 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  悪臭問題がある産業廃棄物処理施設についてでございます。産業廃棄物は、私どもの産業経済の活動に伴い、必然的に発生するものでございまして、その適正処理の確保は、県民の皆様の生活環境を保全する上で極めて重要なものでございます。このため、産業廃棄物処理施設につきましては、廃棄物処理法に基づき厳格な審査を行った上で許可を行っております。またその施設の維持管理につきましても、県が策定をいたしております監視指導マニュアルによりまして、定期的に立入検査を行い、適正な維持管理が行われるよう指導を行ってきているところでございます。また、御指摘の施設につきましても、悪臭防止法を所管いたしております八女市と連携しながら、重点的に立入調査を行い、施設の改善を指導してきたところでございます。今後も県民の皆様の生活の安全、安心、これを確保するために、引き続き法律の厳正な運用と適切な指導を行ってまいります。  次に、住宅用太陽光発電の設置に対する県の支援についてお尋ねがございました。太陽光パネルの法定耐用年数は十七年と言われておりまして、実際上寿命は二十年以上とされております。設置十年目以降も太陽光パネルで発電は可能でございまして、発電した電気は家庭内で当然利用するほか、電力会社が定める単価によりまして売電も可能となる見込みでございます。  太陽光パネルにつきましては、その普及拡大に伴いまして、メーカーのスケールメリットというのも出てまいりまして、私が昔携わっておりましたころ、家庭用二キロワットで六百万を超えておりました。今、先ほど議員の御指摘のレベルまで下がってきている。そのように設備の導入コストは年々急速に低下をしております。加えて、国の補助制度やこれまでの余剰電力買い取り制度によりまして、昨年、平成二十三年度の導入件数は一万一千二百八十三件、一昨年から比べまして、一昨年は八千六百六十件でございましたので、一・三倍伸びております。全国平均一・二何ぼですから、それを上回る伸びになってございます。こうした状況を踏まえますと、県が取り組むべき事柄といたしましては、地域社会におきますエネルギー問題についての県民の皆様の意識を変えていただくことでありまして、そのために県有施設の太陽光発電設備等の率先導入、あるいは市町村や民間事業者等によりましてエネルギーの地産地消、そのモデルとなるような事業構築をしていく、それに対する支援、これらを重点的に実施することであるというふうに、私は考えております。  住宅用太陽光発電につきましては、先ほど来御指摘がありました国の補助制度、これが効果的に活用されますよう、県民の皆様に積極的に情報提供も、今行っております。そういうことを通じまして、その導入を促進していきたいと考えております。  残余につきましては、環境部長から答弁させていただきます。 36 ◯議長(松本 國寛君) 江口環境部長。 *環境部長答弁 37 ◯環境部長(江口 勝君)登壇 うすま・ふぁーむぱーく悪臭問題に対します県の認識と対応についてでございます。この事業者は汚泥、動植物残渣などの中間処理を行っておりますが、悪臭の問題が発生しましたことから、アンモニア濃度が一ppm以下となることなどを条件といたしまして、平成二十年に許可の更新をしたところでございます。その後事業者は県の指導などによりまして、事業場の入り口へのカーテンの設置、発酵処理方式の変更など、さまざまな改善策を講じてまいりました。結果、県の継続的な立入検査においてアンモニア濃度が許可条件を満たしていることを確認しております。また悪臭防止法を所管いたします八女市の検査におきましても、基準となる数値を下回っているという現状でございます。  平成二十二年十月以降の指導状況でございます。この施設は、重点監視施設として、職員が毎週一回立入検査を実施しております。廃棄物の適正処理の確認、アンモニア濃度の測定を行っております。また夜二十時から二十一時まで、早朝七時から八時まで周辺調査も実施をしておるところでございます。この間、昨年七月にアンモニアの濃度が脱臭装置のふぐあいによりまして、一時的に許可の条件を超えたことがございましたけれども、県の指導によりまして速やかに改善をされ、現在に至るまで許可条件を超える状況にはございません。今後も許可条件が遵守されるよう適切な指導、助言を行ってまいります。  次に、更新許可申請があった場合の対応についてでございます。産業廃棄物処分業の許可につきましては、廃棄物処理法による許可基準に適合している必要がございます。事業者から許可の更新申請が出された場合には、この許可基準及び県が付しております許可の条件について審査を行いまして、適切に判断をしてまいります。 38 ◯議長(松本 國寛君) 桐明和久君。 39 ◯十三番(桐明 和久君)登壇 まずは、太陽光発電のほうでございますが、知事の説明を聞きまして、ちょっと疑問に思うのは、まず一つ、確かに償却というのは二十年と、寿命というのは二十年ということでありますが、メーカー関係が出しています資料でいいますと、機械、システムは、やはり十年しか保証しないという状況でございます。要するに、この保証期間は製品についてはするけれどもということでありまして、やはり、この残りの十年というのが、それぞれの家庭が維持管理、当然要るわけであります。  例えば、パワーコンディショナーという機械がございます。要するに、これは太陽光発電で発生した電気を家庭で使うために変換する機械でありますが、これは寿命が十年ということでございまして、ほかにも、やはりそれぞれの点でしっかりと部品をかえていくというか、やはり十年を中心に維持管理するためには、それ以上の費用がかかるわけであります。その辺の御理解をいただき、先ほど言いましたように、ぜひ福岡県が日本一の推進の地域となることを希望いたすところでございます。  それと、産廃処理についてでございます。今のお返事もいただきましたし、特に、私が言いましたように、夜間ににおいがするというのが、やはり一番困ってありまして、しかし先ほどの説明では、夜二十時から二十一時、朝も七時から八時で周辺の調査も行っておるというしっかりとした答弁をいただきました。ぜひお願いしたいのは、このような重点的な立入検査等とかしていただくのは当然でありますが、施設の改善にも、今後とも努めていただき、皆さんが言われるのは、例えば、悪臭の検査または水質の検査なんかのデータをしっかり公表していただきたいというふうに思っております。そのことによって、住民の方々も少しでもそれに対する御理解をしていただけるんじゃないかと思っております。  私は、今回この要望をいただきまして、この質問をしたのは、もう一つ大きな理由があります。といいますのは、この施設ができて以来、本当に地域で、二百軒ほどの町内でありますが、ここで少しずつ、その地域の方々にひびが入っているというのが非常に心配するわけであります。特に、今回震災以来、地域のきずなということで県も推進しておりますが、やはりこういう問題が起こった中で、町内に少しずつコミュニティーにひびが入ってきておる、このことは本当により重視する点であると思います。  ぜひ県におきましては、市と連携をとっていただき、情報公開と解決に向けたお力添えをいただきますようよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。(拍手) 40 ◯議長(松本 國寛君) 仁戸田元氣君。(拍手) *仁戸田議員質問 41 ◯六番(仁戸田 元氣君)登壇 皆さん、こんにちは。民主党・県政クラブ県議団の仁戸田元氣です。政務調査に基づき、通告に従いまして、持続可能な住宅政策について、そして健診の受診率の向上について、以上二点、小川知事並びに執行部に質問させていただきます。  まず、一点目の持続可能な住宅政策についてお聞きをします。我が国の住宅ストックは、平成二十年時点で約五千七百六十万戸となり、世帯数約五千万世帯を一五%上回っています。本県においても同様で、平成二十年度時点で住宅ストックは約二百三十七万戸で、世帯数二百四万世帯を一六%上回り、住宅の量的充足が進んでいます。住宅の取得、確保は、従来新築住宅が中心でありましたが、今後住生活の向上を図っていくためには、住宅ストックを最大限活用することが重要となっています。また、長期優良住宅の法制化に際して、指摘されたように地球環境問題や資源制約の観点から、いいものをつくって、きちんと手入れをして、長く大切に使う、すなわち良質な住宅をつくり、適切にメンテナンスをし、必要に応じてリフォームをして、多世代にわたり使っていくシステムを構築していく必要があります。  一方で、我が国の中古住宅流通、リフォーム市場の規模は、いまだ欧米諸国に比べて小さいですが、住宅金融支援機構、住宅の住まい方に関する意識調査によると、住宅建築、購入の計画があると回答した者のうち約四割強が新築、中古にはこだわらないと回答しており、潜在的な中古需要は少なくはありません。実際、首都圏では中古マンションの取引量が新築マンションを上回るようになるなど、中古住宅の流通は次第に拡大しつつあり、またリフォームにより中古住宅の魅力を高める取り組みが広がりつつあります。この機会をとらえ、消費者、生活者の視点に立って、安心して中古住宅を取得でき、リフォームを行うことができる市場の環境整備を早急に進めることが必要であります。  具体的には、既存住宅のストックの質の向上や流通の促進、多様なニーズに対応した魅力ある中古住宅、リフォームを提供できる取り組みを総合的に推進することにより、住宅の選択肢の幅を広げ、県民一人一人が無理のない負担で、ライフステージやライフスタイルに応じた住宅を確保できるようにすることが、住宅政策の重要な課題と考えます。これは、新築中心の住宅市場から、住宅ストックの品質や性能を高めて、中古住宅流通により循環利用されるストック型の住宅市場へと少しずつ重心を変えるということです。国の新成長戦略では、二〇二〇年までに中古住宅流通、リフォーム市場の規模を倍増させるという目標を掲げています。本県においても、中古住宅の流通促進やリフォームの市場の活性化など、住宅のストック型社会への取り組みが必要と考えます。  ここで三点、知事にお聞きをします。まず一点目として、中古住宅の流通促進に対する県の目標値があれば教えてください。  次に、二点目として、我が国においては新築され、居住された住宅の平均築後年数は約三十年と、欧米諸国に比較してかなり短く、その資産価値も経年で大きく減少する傾向にあります。将来にわたり、住宅の価値を可能な限り落とさず、良質な住宅ストックを形成していくためには、新築時における良質な住宅の普及が必要だと考えます。また、既存の住宅においては質の維持向上のため、日常的な維持管理はもとより、東日本大震災の経験も踏まえて、地震に対する安全性を向上させることが重要と考えます。そこで、良質な新築住宅の普及と既存住宅の耐震化を促進するための本県の取り組みについてお伺いをします。  三点目として、厳しい経済、雇用環境を背景として、近年住宅の一次取得者層である三十代の勤労者の所得は低下傾向にあります。無理のない負担で、居住ニーズに応じた住まいを確保できるよう、初期投資が大きい新築住宅に限らず、中古住宅を活用するなど、住宅の選択肢を広げることが必要と考えます。しかし、中古住宅は新築時の品質や性能の違いに加えて、その後の維持管理や経年劣化の状況により物件ごとの品質等に差があり、消費者は購入に当たり、品質や性能に不安を感じています。そこで、中古住宅が安心して購入することができ、有効に活用されるための県の取り組みをお伺いします。  大きく二つ目、健診受診率の向上に向けてお聞きをします。私たちは、戦後焼け野原から立ち上がり、国民皆保険制度のもと、だれもが安心して医療を受けることができる医療体制を整え、世界一の長寿社会をつくってきました。これは人類の夢であり、世界に誇るべきことだということが、私の基本的な考え方であります。しかしながら、現状は少子、高齢化が進展していく中で大変厳しいものがあります。本県の医療を取り巻く状況を見ると、おおよそ今後三十年程度増加すると見込まれており、総人口が二〇〇五年ベースで二〇三五年までに一二%減少していく一方で、六十五歳以上の占める割合は一九・九%から三二・六%増加し、七十五歳以上では九・二%から二〇・一%に倍増すると予想されています。また、医療費ベースでいうと、本県の平成十七年度の県民医療費は約一兆四千九百八十五億円で、そのうち高齢者の医療費が三分の一以上を占めています。一人当たり県民医療費は二十九万六千七百三十八円で、全国の二十五万三千五百七十七円を上回り、一人当たり高齢者医療費に至っては百一万九千六百五十円で、全国平均の八十二万一千四百三円を大きく上回っている状況であり、現実的に現在の医療制度や医療供給体制を根本から見直すことは急務であると考えます。  特に、重要視する課題としては、医療費全体の約三五%、死因の六割、入院期間が長くなる傾向にあるなどの特徴を持つ生活習慣病を予防する健康づくりを徹底することであります。若いときから生活習慣を改善し、メタボリックシンドロームを予防していくことが大切で、予防を重視して健康づくりを促進していくことが、本県の中長期的な医療費の適正化につながり、先日西日本新聞で掲載されておりました、本県の全国平均よりも大きく低迷する健康寿命も延ばすことができ、県民の幸福度に貢献するものと考えております。そして、その対策としては健診を受ける、健診の結果を確認する、食事、運動、また病院に受診をするという、このサイクルを県民一人一人に認識をしていただき、その第一歩として国保ベースで六割余りの方が未受診の健診率を向上させることが急務であると考えます。  以下四点の質問を知事にさせていただきます。まず一点目でございますが、本県の高齢者の医療費は、年間一人当たり百十四・七万円であり、全国で最も高いものとなっております。本県の医療費適正化計画には、お年寄りの医療費と健診受診率の関係が記載されておりますが、医療費と健診率に相関関係があるかお答えください。  二点目として、本県の医療費適正化計画には特定健診の受診率の目標値が七〇%、国保加入者で六五%と記載をされておりますが、現状は大幅に未達であります。例えば、市町村国保の受診率は緩やかに上昇傾向にありますが、平成二十二年度においては二六・五%と、全国平均の三二%を下回っております。全国で健診を受けていない人が約三千三百七十六万人いると言われておりますが、特定健診受診率向上の取り組みとして、県はこれまでどういった取り組みをしてきたかお答えください。  三点目として、平成二十二年度国民生活基礎調査において、健診を受けない理由として、心配なときはいつでも医療機関を受診できるから、時間がとれない、面倒だからなどがあり、また奈良県の独自調査によると、忙しくて時間がとれない、健診に時間がかかる、結果の通知に時間がかかるなどのアンケート結果が出ております。日本全体で三千三百七十六万人いる未受診者の多くは、主婦層やフリーター、派遣社員、そして中小零細企業の従業員だと言われております。本県が本気で特定健診の未受診者が多いことが課題だと考え、医療費適正化計画の目標値まで持っていこうとするのであれば、その解決として、現在東京都や奈良県下で取り組まれている、未受診者に対して特定健診を受けてもらう動機づけとして、民間業者が行っているJRの駅等や遊技場あるいはイオン等で、結果も五分程度で出るワンコイン健診などの簡易な検査を活用、導入してはどうかと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。  最後に、今後多くの健診未受診者に対して、特定健診の受診を促す動機づけとして、本県が今まで以上にどのような取り組みを考えているか、具体的な案があればお聞かせください。  明確で誠意ある答弁をよろしくお願いいたします。(拍手) 42 ◯議長(松本 國寛君) 小川知事。 *知事答弁 43 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  良質な新築住宅の普及についてでございますが、新築住宅につきましては、良質な住宅ストックを形成するため耐震性、耐久性等にすぐれた長期優良住宅の普及促進に努めております。また、今年度から県内金融機関と連携をいたしまして、長期優良住宅の性能をさらに高めた、私ども独自のふくおか型長期優良住宅、これにつきまして、住宅ローンの優遇が受けられる制度を創設したところでございまして、その普及に努めているところであります。  次に、既存住宅の耐震化についてでございますが、これまでも県民の皆様に対し、住まいの耐震化教室、耐震改修セミナーを開催し、意識喚起を行う、注意喚起を行いますとともに、耐震診断アドバイザーの派遣や耐震相談を実施してきております。また、昨年度に木造戸建て住宅を対象といたしまして、耐震改修に補助を行う制度を創設したところでありまして、さらに耐震化を促進してきているところであります。  次に、中古住宅の有効活用についてお尋ねがございました。安心して中古住宅を購入していただくためには、買い主がなかなか把握することが難しい住宅の品質や劣化、そういった状況につきまして、物件情報を充実させ、買い手となる方々の不安を解消することが重要であります。このため、売り主が専門家による劣化状況などの建物診断結果を公開することで、買い主が客観的に判断ができるような仕組みづくりに取り組んでいるところであります。この中古住宅健康診断が、流通の過程に位置づけられることによりまして、買い手となられる方々の不安が解消され、中古住宅の流通が促進されるものと考えております。県といたしましては、今後とも買い主の方々が安心して中古住宅を御購入いただけるよう、不動産業界あるいは検査機関といった関係機関とも連携いたしまして、この仕組みを整備し、普及させることによりまして、中古住宅の一層の流通促進に努めてまいります。  次に、医療費と健診受診率の相関関係についてお尋ねがございました。平成二十年度に福岡県医療費適正化計画を策定いたしましたが、その際、国のデータをもとに分析をいたしましたところ、健診受診率が高い都道府県では、一人当たり老人医療費が低くなる傾向があることがわかりました。特定健診の受診率を医療費適正化計画における政策目標として位置づけましたのは、今申し上げました観点から、特定健診で生活習慣の改善の必要な方をまず把握をし、健康、保健指導に結びつけることによって生活習慣病を予防することができ、中長期的に医療費の伸びが抑えられると、このように考えたためでございます。  しからば、その特定健診の受診率をどうやって向上させるか、これまでの県の取り組みでございますけれども、平成二十年度の制度改正におきまして、健診の目的が病気の発見、治療から生活習慣病の発症自体を予防するものとなり、また健診の実施主体も市町村から医療保険者のほうに変わっていきました。県では、特定健診が円滑に行われますよう、健康づくり大会等の機会をとらえまして、健診の目的でありますとか制度の内容について広く県民の皆様に周知いたしますとともに、健診、保健指導に従事する人材の確保とその育成などに取り組んできております。また、先ほど申し上げました健診の実施主体の変更によりまして、特定健診とがん検診とを同時に受診しにくくなりましたために、平成二十二年度からは医療保険の種類にかかわらず居住地の市町村で特定健診とがん検診を同時に受診できる総合健診、これを推進し、現在二十一の市町村で実施されているところでございます。  次に、民間業者の方が行っておられるワンコイン健診についてでございます。このワンコイン健診というのは、受診者が、消毒した指先に使い捨ての器具を当てて自己採血を、まずいたします。業者が、この血液について検査機器を使いまして血糖値、中性脂肪、総コレステロール、そういった値を測定いたしまして、その場で検査結果を受診者に渡すという方法で行われているというふうに承知をいたしております。このような検査につきましては、臨床検査技師法の規定によりまして、衛生面や検査精度を保つ必要性から、医療機関がみずから行うか、登録された衛生検査所でなければ、これを行うことができません。民間業者によりますワンコイン健診というのは、迅速、簡便であるというメリットがございますけれども、今申し上げました理由から、他県で実際に行われている健診は、法の要件を満たしていない可能性もございますので、その活用につきましては慎重に検討する必要があると考えております。  特定健診の受診率向上に向けた今後の取り組みについてでございます。特定健診の受診率向上をさせていくためには、未受診者に対して受診の動機づけを行っていくことが重要でございます。そこで、新たに健診受診率が低いとされております県内の中小企業、この中小企業に対しまして個別に訪問を行いまして、健診の意義や内容などについて、その従業員の方や家族に、企業から情報提供を行っていただくよう中小企業に対し働きかけを行ってまいります。さらに、医療機関に通院している場合には、健診を行う必要がないと思っておられる方も大勢いらっしゃる、そういう報告もございます。したがいまして、市町村や県内すべての郡市医師会と協議をいたしまして、かかりつけ医による受診勧奨、そのお願いをしていきますなど、県民の皆様方の健診受診の動機づけに一層取り組んでまいります。  残余につきましては、建築都市部長から答弁をさせていただきます。 44 ◯議長(松本 國寛君) 小路建築都市部長。 *建築都市部長答弁 45 ◯建築都市部長(小路 芳晴君)登壇 中古住宅の流通促進に対する県の目標値についてでございます。本県では、平成二十年度の中古住宅の流通戸数は約八千四百戸、新築を含めました全流通戸数は約五万五千五百戸ありまして、全流通戸数に対する中古住宅の流通戸数の割合は一五%でございます。これを平成三十二年度には二七%とする目標値を、県の住生活基本計画において定めております。 46 ◯議長(松本 國寛君) 仁戸田元氣君。 47 ◯六番(仁戸田 元氣君)登壇 知事から御答弁いただきました。それぞれ質問項目について、一つずつ要望をさせていただきます。  まず、一点目の持続可能な住宅政策についての要望であります。現状は質問の冒頭で説明をさせていただきましたが、多くの県民の皆さんが住宅ローンを終了した後の住宅価値がほぼゼロになること、そして収入における住宅コストの割合の高さには不満を持っていらっしゃいます。また、新設住宅戸数の大幅な減少、住みかえがうまくいかないことにより空き家が増加し、住宅地域の環境が悪化する等の住宅の状況を見ると、真の豊かさを享受できなくなっていると思います。  今回、持続可能な住宅政策について知事にお伺いをした趣旨は、豊かさの面、景気、雇用の面からも、中古住宅をリフォームあるいはリノベーションして、多世代にわたり長く住んでいただく施策に方向転換していくことではないかと考えているからです。そのためには、需要の高い住宅、つまりはだれもが住みたいな、住みかえたいなと思えるような住宅あるいは住宅地域をつくることだと思います。具体的には、先ほどの知事の答弁とも重複するところがありますけれども、耐用年数の長い新築住宅の建設の促進、中古住宅の流通を促進するための住宅ローンの金利の引き下げや税制優遇、また佐賀県が取り組んでおります、予算特別委員会でも椛島県議が質問されておりますが、リフォームの助成、地価を上昇させるためのあらゆるコンテンツの集積や都市化、コンパクトシティー化による人口の集積を促すような政策に取り組むべきだと思います。知事は、海外経験も豊富だと思いますので、物価上昇を加味せずとも、欧米では中古住宅の資産価値が上昇している、あるいは豊かな生活を送っていることは御存じだと思います。ぜひとも県民幸福度を標榜される知事におかれましては、この持続可能な住宅政策について、より踏み込んだ取り組みと研究をお願いをしたいと思います。  それから、二つ目の健診の受診率の向上についての要望でございますが、これまでも、そしてこれからも、担当課の皆さんが知恵を絞って対策を講じてきた、また、あるいは対策を講じる予定であると、先ほど知事の答弁から理解はできました。しかしながら、今までの受診率の低迷から考えると、告知や、あるいはかかりつけ医さんからの告知では、抜本的な解決方法にはなっていないように思います。未受診者がどのような層の方々で、なぜ未受診であるかの理由も判明しているわけですから、要望ですが、改めて、私が本日提案させていただいたワンコイン健診以外でも構いませんので、ぜひとも知恵を絞っていただければと思います。  最後に、健診を受診するか、それともしないかは、確かに個人の裁量に任せるべきものなのかもしれませんが、最終的には医療費にはね返り、みんなで、社会で負担をしなければならないことを考えると、これは行政の課題であると思います。ぜひとも真剣に取り組んでいただければと思います。  以上二点を要望させていただきまして、私の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 48 ◯議長(松本 國寛君) 伊豆美沙子君。(拍手) *伊豆議員質問 49 ◯十二番(伊豆 美沙子君)登壇 自民党県議団の伊豆美沙子でございます。通告に従いまして、地域防災のあり方について質問いたします。  私は、今月、六月三日に行われた福岡県総合防災訓練に参加いたしました。住民参加型訓練として、地域住民の皆さんが参加する初期消火、応急手当て、炊き出し訓練が行われ、参加者の皆さんは真剣に取り組んでおられました。今回は新たに原子力災害に対する広域避難訓練が実施されました。訓練では、地震により大規模な土砂災害が発生し、負傷者などの搬送経路がすべて遮断されたとの想定で、陸上自衛隊のヘリや海上自衛隊のホバークラフト艇での離島住民の搬送訓練が行われました。また津波により被害を受けた沿岸部で火災が発生したという想定で、拡大する火災を、消防のヘリを使い消火する訓練なども行われました。多様化する災害への対応が急務であると感じた次第です。  地域の防災力の強化と大規模災害時の広域的な対応は、車の両輪のように同時に動かしていかなければならないと思います。平成七年の阪神大震災から十年後の平成十七年に、地震が起きないと言われていた福岡県で福岡西方沖地震が起きました。また、二十一年七月の中国・九州北部豪雨では、一時間の雨量が観測史上一位の豪雨により大きな被害を受けました。既に福岡県では想定外の大きな災害が起きていたのです。そして、あの昨年の東日本大震災から一年以上が経過して、やっと本年四月、総務部内に防災危機管理局を新たに設置し、専任の局長を置き、防災企画課と消防防災指導課の二課体制とし、組織を強化しました。しかし、もっと早期に設置されていれば、今ごろは相当の危機管理体制が構築されていたのではないでしょうか。  そこで知事に伺います。防災危機管理局の設置の意義と防災企画課と防災指導課の役割について、そして局の設置により、何がどのように変わっていくのか、市町村も地域住民も注目していますので、明快な答弁をお願いします。  大規模災害時においては、自衛隊との緊密な連携が必要であることは、現在ではだれもが認識していることです。佐賀県、長崎県、宮崎県の各県では自衛官OBが防災危機管理的な立場で常勤雇用されています。しかし、本県では月間十六時間以下という制限のもとで、防災アドバイザーが非常勤で配置されているのみです。我が会派は、これまでも何度も指摘しましたが、防災危機管理的な立場の人員の配置が、なぜ本県ではなされていないのかお尋ねいたします。  次に、地域防災力の強化についてお話しします。地域防災の核として活躍する消防団員の数は減少傾向にあり、十年前二万六千四百人だったのが、現在は二万五千二百人と千二百人減少しております。一方で、女性消防団員は五百六十人から八百人へとふえており、私は、消防団組織を維持するためには、女性消防団員を積極的に登用すべきではないかと考えます。女性消防団員は、平時は子供たちや母親に対する防災教育、非常時には災害時要介護者の避難支援、避難所における女性への配慮など、女性の視点からその果たす役割はますます大きくなっています。  そこで知事に伺います。女性消防団員をふやすために、これまで県ではどのような取り組みを行い、今後どのように対応されていくのでしょうか、お答えください。  続きまして、自主防災組織についてです。五月末に福岡県防災会議が開催され、福岡県防災計画の地震、津波対策が見直されましたが、市町村は県の計画に沿って、市町村地域防災計画を見直していかなければなりません。私の地元宗像市では、平成二十三年度に避難所の耐震性、機能、設備の調査を行い、本年度には津波や内水被害の想定、指定避難所の見直し、ハザードマップの作成など計画の見直しを行います。また、離島や海岸部に津波警報などを伝達するための屋外スピーカーや屋内個別受信機の設置などハード面の整備も行います。  私は、このような整備ももちろん必要であると考えますが、まずは、自分たちの命は自分たちで守るとの考えが地域に浸透することが何より大事であると考えます。七月発行の福岡県だよりでも、県の防災計画で自主防災組織の育成強化を進め、地域の防災力強化を高めることを啓発しています。自主防災組織の状況も、全世帯数に占める自主防災組織の加入率は、昨年四月六三・一%であったものが、ことし四月には七九%と大きく向上したと発表されました。しかしながら、せっかく新しい自主防災組織を設置しても、専門的な知識を有している人がいないと、何をやっていいのかわからないとの現場の声も聞きます。自主防災組織をつくり、継続して活動が行われるためには、ほかにも地域が抱えている高齢者支援、子育て支援、青少年の健全育成、環境などの日常的な生活課題に対応できる地域組織が必要であると思います。  ここで、宗像市の地域コミュニティーづくりを紹介させていただきます。ほかの地域と同様、宗像市においても少子、高齢化や核家族化が進み、小単位地域での自治会活動が困難となり、相互扶助意識の低下が見られました。その結果、健康福祉や環境、青少年の育成、防災問題など、一つの自治会で対応し切れない課題が生まれたのです。これではいけないということでコミュニティーの再構築を十年前から取り組み始めました。まず、百四十三の自治会を十二の小学校単位に編成し、それを地区別にコミュニティーとして組織化しました。その中に自治会や防災組織、防犯組織が構成されています。その活動拠点としてコミュニティーセンターを設置し、宗像市民は親しみを込めて、この施設をコミセンと呼んでいます。コミセンでは、買い物難民の支援策として宅配サービスの実施、大島のような離島における島内での貨物配達、今回の福岡県だよりでも掲載されています、宗像市田島地区自主防災委員会主導による沿岸地域での津波避難訓練など、さまざまな取り組みが行われております。宗像市の職員に聞きますと、このような取り組みは全国でも先駆的で、視察が後を絶たないということです。コミュニティーづくりの成果として、自分たちの地域は自分たちで守っていこうという意識が高まっていることを挙げています。  では知事に伺います。自主防災組織が継続して活動を行うためには何が必要でしょう。また、県としてどのように対応していかれるのか、私がこれまでお話ししてきたことも踏まえ、ぜひお答えいただきたいと思います。  最後に、防災に対する意識の地域間格差について触れたいと思います。自主防災組織がいまだに設置されていない市町村が、まだかなりあると聞いています。繰り返しになりますが、地域の防災力を強化するためには、地域住民に自助、共助の考え方が浸透しなければならないと考えます。自主防災組織の設置が進んでいない地域に対する県の取り組み状況についてお聞かせください。  私は、宗像市のような地域住民が主体となった取り組みを、ぜひ高く評価していただきたい。そして、県内の旗振り役として、自主防災組織の皆さんの意識もさらに向上していくのではないかと思っています。県として、このような先進的な取り組みについて広報啓発していただければと思います。知事自身も、「寄ってたかって」広報啓発をしていただければありがたいです。知事の見解をお示しください。  人の幸せは物差しでははかれないことであろうと思います。でも、知事はそんな福岡県民の幸せそうな姿を見れば、御自身も幸せであるとお答えになりました。私も一県民でございますが、知事の踏み込んだ答弁がいただけましたら、まことに幸せでございます。この後も県民幸福度日本一を目指して、歯を食いしばって頑張っていく所存でございます。私がこのたび質問しました地域防災の話は、五百万県民の命を預かる知事としては大変大切なことであろうと思います。ぜひ知事の積極的で具体的な答弁を期待して、私の一般質問を終わります。(拍手) 50 ◯議長(松本 國寛君) 小川知事。 *知事答弁 51 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず、防災危機管理局の設置の意義と、それを構成する両課の役割についてお尋ねがございました。これまで本県では、消防防災課におきまして自然災害や大規模事故、国民保護法に基づきます武力攻撃等への対応、消防関係法に基づく消防職員の教育、訓練等の事務を担っておりました。昨年三月十一日、東日本大震災が発生いたしました。それを踏まえまして、まず第一に、原子力災害や津波、そういった新しい分野を含む防災対策を強化しなければならない。二番目に、避難計画の策定など市町村が地域防災計画をつくっていくわけですが、それに対してきめ細かな支援が必要になること。そういったことを実現していくためにはいろんな関係機関と、相当高いレベルでの折衝も必要になる。そういったことから、増大する業務といった目的で、ことしの四月でございますが、防災危機管理局を設置したものでございます。  この局では、専任の局長のもと、二課体制で業務を遂行しております。まず、防災企画課におきましては、原子力安全対策係というものを新設いたしますなど体制を強化した上で、防災危機管理全般にわたる企画立案を行うこととしておりまして、原子力防災対策や情報収集、伝達体制の強化、避難体制の整備などに重点的に取り組んでおります。また、もう一方の課でございます消防防災指導課でございますけれども、ここでは自主防災組織の育成など地域の防災力の強化を図るとともに、市町村の防災力強化への取り組み、これに対して総合的な支援を行っているところでございます。この体制のもとで、先ほど申し上げました目的であります、つまり新しい、いろんな分野を含みます防災対策の強化でありますとか、避難計画を含む地域防災計画の策定支援、そういった防災危機管理対策に万全を期していきたいと考えております。  次に、自衛隊OBなど防災危機管理監等への任用についてお尋ねがございました。本県では、平成十七年度から自衛隊OBの方を非常勤の防災アドバイザーとして任用いたしておりまして、国民保護計画の策定でありますとか研修会に携わっていただき、県職員の防災意識の向上をお手伝いいただいているところでございます。また、それとあわせて、各種災害対策における新たな課題にも対応できますよう職員の育成に取り組んでいただいておるところでありますし、今後いただくことにしているところであります。また、平成十五年七月、御指摘がありました水害を契機にいたしまして、自衛隊と申し合わせを行いました。県が災害対策本部を設置する際には、自衛隊幹部職員を県に派遣していただくこととなってございます。自衛隊との組織対組織での業務上の連携は十分図られているというふうに考えております。今回の東日本大震災での津波災害や原子力災害など、これまでにない大規模な災害の発生を踏まえますと、このように従来から行ってまいりました自衛隊との業務上の連携を、平常時から深めていくことがより重要であるというふうに考えております。
     先日の福岡県総合防災訓練におきましては、議員も御指摘がありましたけれども、御紹介がありましたが、陸上自衛隊のヘリ、海上自衛隊のホバークラフト艇によります姫島住民の搬送訓練を実施することができました。また、原子力災害対策訓練におきましては、陸上自衛隊に放射線被曝検査に参加をしていただいたところでございます。今後とも、このような連携をさらに具体的に積み重ねていくことによりまして、その実効性を上げていきたいと考えております。  女性消防団員についてお尋ねがございました。本県の女性消防団員数は、ここ数年ふえてきてございます。平成二十四年四月一日で八百三人となっております。消防団員に占める女性の割合が、全国平均の一・五倍、当県は三・二%という状況でございます。県では、これまで市町村消防団担当者会議でありますとか、消防団長総会におきまして、女性消防団員の現場での活躍ぶり、その実態を紹介しながら、その役割の重要性について、皆さん方の理解を深める取り組みを進めてまいりました。今後もこうした取り組みに加えまして、女性防火クラブの会議、あるいは火災予防週間や地域防災シンポジウムといったイベントの機会、いろんな機会をとらえまして新規加入を呼びかけるなど、さまざまな取り組みを積極的に行いまして、女性消防団員数をふやし、地域の防災の一翼を担っていただきたい、そのための人材を確保してまいります。  自主防災組織が継続して活動を行うために何が必要であるかというお尋ねでございました。自主防災組織は、自治会などの地域コミュニティー組織が主体となりまして、平常時には危険箇所の把握でありますとか避難訓練、また災害時には初期消火や避難誘導といった地域に密着した活動に当たっていただきます。この自主防災組織が継続した活動を行っていくためには三つ、第一に、日ごろから消防団や地域のさまざまな団体と連携をいたしまして、地域で行われる行事と防災活動をうまく組み合わせていく、そういったことなど地域に根差した活動を行っていくこと。第二に、構成員の活動意欲を高めるために中長期的な個々人の目標を設定した計画、いわゆる達成目標と達成度をチェックして、もう一遍高みに上がっていく、そういった計画に基づいて活動をすること。三番目は、自主防災組織の核となりますリーダーの育成を図ること。この三つが不可欠であると考えております。このため、平成二十四年度から自主防災組織のメンバーや市町村職員などに対しまして、自主防災組織の活動において、まさに工夫していかなければならないポイント、それから組織体制の整備方法、そして目標設定計画の策定方法などにつきまして指導することといたしております。また、ハザードマップの作成、要援護者の避難方法などを内容といたします自主防災組織のリーダーの養成研修を行ってまいります。今後とも、こうした幅広い取り組みを展開いたしまして、自主防災組織が継続的な活動ができるよう支援をしてまいります。  自主防災組織の設置が進んでいない地域に対する県の取り組みについてお尋ねがございました。東日本大震災の教訓からも、自主防災組織というのは地域防災のかなめでございますけれども、一方で、多くの住民の防災に対する意識が薄いといいますか、希薄でありますために、自主防災組織の設立が進んでいない地域がございます。このような地域におきましては、自助、共助のうち、まず自助、自分たちの地域は自分たちで守ると、そういう意識の啓発が必要であると考えます。加えて、地域住民の指導を行う市町村職員などの人材の育成を、養成をしていくことが重要であります。このため県では、住民の防災意識の啓発を目的といたしました防災講演会や住民参加による災害図上訓練というものを実施してきております。また、市町村職員等を対象にいたしました図上訓練指導員の養成など人材育成にも努めてきております。こうした取り組みを通じまして、新たな自主防災組織の設立を進めてまいります。  次に、防災に関する先進的な取り組みに関する広報でございます。自主防災組織が行っておられますすぐれた取り組みというのは、それぞれの地域で防災活動に携わっておられる方々にとりまして、大いに参考になるものでございます。それは、自主防災組織の育成強化に資するものであります。このため県では、先ほど御紹介がありました宗像市の田島地区の津波避難訓練でありますとか、筑紫野市の湯町地区の総合防災訓練など、自主防災組織の優良事例といった事例につきまして、県政の出前講座でありますとか防災講演会、全戸配布の「福岡県だより」、広報紙でございます、七月号で宗像のこの訓練について紹介をさせていただいておりますが、そういった広報紙などを通じまして、活用いたしまして、広く紹介をしているところでございます。また毎年、特にすぐれた取り組みにつきましては、福岡県防災賞というものを授与させていただきまして、県民に対してそのすぐれた活動内容というのをお知らせしているところであります。今後も、こうした先進的な取り組みにつきましては、あらゆる機会をとらえまして積極的に広報し、関係者の方に大いに参考にしてもらえるようにしていきたいと思います。 52 ◯議長(松本 國寛君) 中村誠治君。(拍手) *中村(誠)議員質問 53 ◯二十三番(中村 誠治君)登壇 民主党・県政クラブ県議団の中村誠治でございます。六月議会で登壇の機会を与えていただきましたことを心から感謝申し上げます。  早速でありますが、通告に従い、瓦れき処理問題、原発再稼働に係る件、そして農政における育種の強化の順で質問を始めたいと思います。  さて、先月、会派の視察で東北は宮城県に行ってまいりました。三・一一の大震災が起きて東北地方を訪ねるのは、私としてはこれで四度目でした。私自身の初当選とほぼ時を同じくする大震災に、何か因縁づいたものを覚えています。  私はこの一年三カ月の間、震災瓦れきや災害廃棄物という呼び方に抵抗を持ち続けています。震災瓦れきと呼ばれるたび、頭に描かれるものは、黒ずんだ石ころや割れたかわら、またそれらが入りまじったごみの塊です。形が変わっても、瓦れきは東北の方々の歴史と財産です。あるいはかけがえのない大切な品々でした。そのような思いを心で受けとめ、北九州市は早くから災害廃棄物の広域処理の受け入れ検討が進められていました。そして本日、北九州市議会の本会議において、北橋市長が災害廃棄物の受け入れを表明されたとの知らせを聞き、我が事のように大変うれしく思っています。           〔松本議長退席 新村副議長着席〕  北九州市では三月に、市議会において受け入れに関する決議が行われて以来、被災地の視察や被災地の自治体の意向確認、検討会の開催、試験焼却の実施、タウンミーティングや地元説明会など精力的に検討が進められ、西日本では初めてのケースとして、本日の受け入れ表明になりましたことに対して、北橋市長を初め北九州市民の皆様の心温かいきずなに、改めて深甚の敬意を表します。これにより、被災地の一日も早い復旧、復興に拍車がかかるとともに、北橋北九州市長の英断が県内自治体の弾みとなって、広域処理の実現に向かう大きな一歩を踏み出したものと祈念いたします。  いよいよ今度は私ども福岡県政の出番です。今、議会の我が会派や公明党さんの代表質問、自民党中尾先生の一般質問で、知事の被災地訪問の意義、北九州市の取り組みの評価、県の対応、県内市町村の動向、風評被害など受け入れに当たっての課題、北九州市への支援など、福岡県政の議論も深まりつつありますが、その中で知事はこう答弁されました。被災地の復旧、復興には広域処理が必要であること、福岡県としても協力、支援を行いたいこと、広域処理の先行事例について説明会を設けたいこと、その説明会を早く開催したいことなどです。北九州市が受け入れを表明されたこの機会をとらえて、速やかに説明会を実施し、北九州以外の県内自治体にも、災害廃棄物の受け入れを強く呼びかけるべきではないかと考えております。ついては、知事が答弁された市町村に対する説明会は、いつ、どのような形で、何をポイントに開催されるのでしょうか、知事のお考えをお聞かせください。  続いて、原発再稼働と火力発電についてお尋ねいたします。九州電力の今夏の電力需給見通しと節電への協力のお願いにはこう書かれています。電力の需給逼迫が予想される七月二日から九月七日のお盆を省いた平日四十六日間、朝九時から夜の八時までの十一時間について、今夏は一昨年比一〇%以上の使用最大電力の節電をお願いしたい。これは、原子力発電所の運転停止が継続する中、供給力確保のために最大限の努力を払っているものの需給ギャップは埋まらず、仮に昨年と同等の節電努力をいただいたとしても、ことしは恐らく、まだ三%足りない。それゆえに一昨年比一〇%以上の節電をという趣旨のものです。加えて、もしそれらを達成できなかったり、火力発電所がトラブったり、あるいは急激な気温の上昇などで需給が逼迫したりした場合は、計画停電を実施するということであります。当然ながら、主要な医療機関や公共交通機関のほか、県庁や市町村庁舎などは対象から除外する方針は立てられていますが、福祉施設や心障者、また病中病後の家庭療養者、あるいは高齢者などの社会的弱者と言われる社会的領域までは考えられておりません。また、円高、デフレで苦しむ工場やメーカーにこれ以上の節電努力を強いて大丈夫なのか、電力不足や料金値上げとなれば、中小企業にも海外移転が促進され、さらなる産業の空洞化を招きはしないかと心配は膨らみます。このような中で、六月八日に野田総理は、関西電力大飯原発三、四号機の再稼働の判断を表明いたしました。国論が二分する現下、時の総理として苦渋の選択であったに違いありません。  そこで、福岡県のトップリーダーである小川知事は、その総理判断をどのように受けとめられたのか、御所見を伺えたら幸いであります。  一方、再稼働の判断をしたとはいえ、今あるすべての原発の再稼働を示唆したものであったり、恒久稼働の立場を打ち出したものとは思えません。新たな安全基準の設定や、政府のエネルギー・環境会議では震災前の原発比率を下回ることを基本に議論が進んでいますし、何よりも世界に冠たる安全、安心のモデル都市を被災地東北に具現化していくとき、従前のままだとは考えにくいからであります。  これから政府は、再生可能エネルギー、節電、火力発電、原子力発電などによるエネルギーミックスの選択肢を示し、その後、国民的議論を待つようですが、今でも予見できることは、この議論の延長上には原発の縮小があり、それをリカバーするその他のエネルギーの比率が必ず高まることであります。つまり再生可能エネルギーや火力発電、あるいは新エネルギーなどの比率が今よりずっと高まってまいります。その中でも一番現実的なエネルギーとなれば、それはやはり火力なのだろうと思います。しかしながら、本県の平成二十四年度当初予算では、再生可能エネルギー導入促進の諸事業やLED化の節電事業、水素エネルギーに係る事業費の計上はありますが、火力発電の展開は見受けられません。なぜでしょうか。加えて、火力発電のかさ上げで問題となるのが、化石エネルギーによる地球温暖化の問題です。石炭になれば、なおさら地球温暖化問題、環境問題は深刻さを増します。  そこで環境ビジネスとグリーンアジア特区の関係ですが、世界のエネルギーの主軸はまだまだ石炭で、世界に向けた環境ビジネスには大いなる期待が持てます。火力発電を含む県内の電力供給問題、なかんずく石炭火力についての知事の御所見を賜りたいと思います。  また、県民の人気と期待度の高い再生可能エネルギーについては、技術的、制度的なネックがあっても、もう本格的導入の論議は避けられないと思います。特に規制面の調整に積極的に取り組むべきだと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。  次の項では自然災害にかんがみ、新たな社会秩序づくりを目指す農政の役割について議論させていただきます。穀物は、一般的に人の主食とされる食料であります。その我が国の穀物自給率は、二〇〇七年度ベースで二八%ですが、フランスの一六四%、アメリカの一五〇%、イギリスの九二%に比べると極端に低く、不足する大部分をアメリカに依存しています。品目別に見ると、米は九四%、野菜類は八一%ですが、牛肉は四三%、小麦は一四%、大豆は五%、トウモロコシはほぼゼロで、数字上は四三%ある牛肉も、実際にはおよそ九割をアメリカなどの海外飼料に頼っております。日米安保ばかりではなく、食料安全保障もアメリカにゆだねているのが実情です。  実は、穀物や肉だけではありません。野菜も心配になってまいりました。野菜類の八割以上は国内で生産されている統計になっていますが、市販されている野菜類の多くが一代限りの優秀性を持つF1品種で栽培されています。このF1の日本市場への参入をねらって、アメリカのモンサント社が、遺伝子組み換え作物の承認申請を農林水産省に提出いたしました。種子の発芽を一代限りにしてしまうターミネーターテクノロジーという独自の技術を加えて、モンサント社は世界の遺伝子組み換え作物の種子販売をほぼ独占しています。今回、菜種、トウモロコシ、綿の三種類の作物だけで、この技術による種子の流通はまだ確認されていませんが、生産性を最重視する余り、なかんずく先進の園芸農業を自負する本県農業は、今後格好の標的となるやもしれません。  農政の究極の目的は、国民、県民に対して、安全な農産物を安定的に一定の価格で将来にわたって供給することですが、穀物は米を省いてほとんどを、肉もえさという形で大部分を、野菜も種子をもって支配されることになれば、本県農政の意義を問われることになります。自給率という数字を見ても深刻ですが、食料安全保障という側面から見れば、実態はさらに深刻であります。もしアメリカに不測の事態が起きたら、アメリ力政府はまず自国の対応から始めます。幾ら同盟国とはいえ、我が国への食糧援助は二の次です。また全世界の問題として、気候変動と水資源の問題があります。世界人口はふえ続け、それを養う地球環境は年々悪化をたどっています。  昨年、東北地方に天変地異が起きました。原発事故を伴って、東北地方は広い範囲での食料の生産活動が鈍っています。確かに農業も産業ですから、ヒット商品や高級ブランドの開発は最も重要な事柄の一つでありますが、この教訓から学び取れるものは、放射能汚染は別の物として、地域の風土に合った気候変動や災害にも耐久性を発揮する品種の開発は、さらに重要であるということであります。この出来事を対岸の火事とせず、福岡県農業試験場においても、このような視点に立って今後の育種に力を注ぐべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  最後に、これらの取り組みに加えて、数多くの種の保管機能も兼ね備えた食料安全保障の一翼を担う試験場として、ますます活動の場を広げてもらいたいという期待と激励を申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 54 ◯副議長(新村 雅彦君) 小川知事。 *知事答弁 55 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  広域処理に向けた市町村説明会、これについてのお尋ねでございます。本日北九州市の北橋市長が、災害廃棄物の受け入れを表明されました。広域処理を安全に行い、また北九州市民の皆様に安心して受け入れていただくために、北九州市が進めてこられた手続、また丁寧な説明と正確な情報提供というのは、県内の他の市町村にとりましても大いに参考になるものと考えております。  県では、ことしの三月でございますが、受け入れの検討を要請する説明会を開催させていただきました。その後、北九州における取り組み、あるいは受け入れ検討中の市町村の増加、広域処理にかかわる国の支援措置の追加、災害廃棄物の推計量の見直しが行われたところから、こうしたものを踏まえまして、改めて市町村説明会を、できる限り早く開催をしたいと思っております。その際、その説明会では、私が訪問いたしました際も含めまして、被災地の現状、それから北九州市を初めとする先行事例の紹介、広域処理の必要性、安全性について改めて取り上げ、説明をすることによりまして、また県の支援策についても説明をしていきたいと思っております。開催に当たりましては、すべての市町村に呼びかけを行い、一つでも多くの市町村が受け入れについて検討をしていただけるよう取り組んでまいりたいと思っております。  次に、関西電力大飯原子力発電所の再稼働についてお尋ねがございました。今回の大飯原子力発電所の再稼働につきましては、国の責任においてストレステストや再稼働に当たっての安全性に関する判断基準への適合性確認を行い、総理みずからが直接国民に説明した上で、地元の同意を踏まえて決定されたものと受けとめております。電力の安定供給は、国民生活や経済活動の基礎、基盤になるものでございます。今回の決定はございましたけれども、私どもは、先ほど来お話が出ております、一昨年比一〇%の削減に引き続き取り組んでまいりますけれども、このたびの大飯の再稼働の決定によりまして、夏場の電力需給の危機的状況を脱することを期待しているところでございます。  次に、石炭火力のビジネス展開についてお尋ねがございました。御承知のとおり、石炭は埋蔵量が豊富でございます。燃料価格も他の燃料に比べて安価であると、そういったメリットがございますが、一方で二酸化炭素の排出量が極めて多くて、地球温暖化問題、地球環境問題の見地から排出抑制策の対策の強化、あるいは高効率の燃焼と言ったほうがいいかもしれませんが、それが求められております。そのため、国や電力会社におきまして二酸化炭素の排出を抑制するための石炭ガス化複合発電などといった技術開発が、今行われているところでございます。県内の北九州市のJ─POWER若松研究所では、二酸化炭素分離回収型の石炭のガス化技術の実証試験、これが行われております。そういった成果も踏まえまして、J─POWERと中国電力では十七万キロワット級の実証プラントの建設工事を広島県において開始をし、二〇一六年度以降に実証試験を開始することといたしております。今後のエネルギーミックスを考えていくと、その中で石炭火力におきます電力供給、いかにあるべきか、あるいはまた御指摘のような世界における環境ビジネスという観点からの石炭ビジネスといったものを考えるに当たりましては、今申し上げました二酸化炭素の排出抑制あるいは高効率の燃焼、そういった技術的な課題が克服できるかにかかっているわけであります。したがいまして、今後の技術開発、その成果、これにかかっております。その結果実用化がされていくわけでございます。したがいまして、クリーンな石炭利用技術の実用化に向けて、まずは今行われております技術開発、その動向とその成果というものを注視していきたいと、このように考えております。  次に、再生可能エネルギーの普及のための規制緩和についてお尋ねがございました。国におきましては、平成二十二年度以降でございます、毎年度、規制・制度改革に係る方針というものを閣議決定をし、エネルギー分野を含めた規制、制度改革というものを推進してきております。これまでに工場立地法に基づく太陽光発電設備の面積規制の緩和でありますとか、小水力発電の導入円滑化のための水利使用許可手続、国土交通大臣に意見を照会するとか、そういった手続の簡素化でございますが、そういった手続の見直しなどが行われてきております。県におきましては、国や地方公共団体によります各種規制がどういう状況になっているのか、またその窓口はどこにあるのか、そういったものを取りまとめ、県のホームページで公開をするほか、エネルギー政策室に設置をいたしました総合相談窓口におきまして、こうした手続などに関連いたしまして、民間事業者から寄せられる相談に積極的に対応しているところでございます。今後も県におきましては、この総合相談窓口を通じまして、現状を踏まえた規制緩和等ニーズ、これをしっかり把握をさせていただき、必要があれば国等に対し規制見直しを働きかけるなど再生可能エネルギーの導入促進に向けた環境整備に努めていきたいと考えております。  次に、農業試験場におきます育種、品種開発の強化についてお尋ねがございました。農業生産は、自然災害や病害虫との闘いでありまして、国はもとより各県の試験研究機関におきましては、こうした自然災害、病害虫に打ちかつ新品種や新技術の開発に鋭意取り組んできているところであります。東日本大震災では、津波の発生により農地に塩害が発生しております。塩害に強い品種が開発されれば、被害は軽減されると考えられております。  本県の試験場では、ブランド化を目指した品種を含めまして、これまで数多くの品種の開発を進めてまいりましたが、その際は、品質というものはもちろんのことではございますけれども、御指摘のような自然災害、あるいは近年の温暖化によります高温障害、病害虫へ対する抵抗性、そういった事柄を基本にして、対象の植物といいますか、それを選抜してまいりました。高温障害に強い品種につきましては、米の元気つくしというのが挙げられると思います。あと、菊の夏日和、ネギの夏元気、また病気に強いラー麦、これらを開発してまいりました。さらに、大雨によります湿害、湿気ですね、湿害に強い大豆、高温に強いナシの開発にも取り組んでいるところでございます。このように、品種開発は消費者のニーズにこたえ、生産者が安定した生産を行うために不可欠な手法でございます。県としましては、これまでも果たしてまいりました試験場のこの役割と機能を、今後ともしっかり発揮をさせていきたいと思っております。 56 ◯副議長(新村 雅彦君) 中村誠治君。 57 ◯二十三番(中村 誠治君)登壇 ありがとうございました。三つ要望させていただきたいと思います。  広域瓦れき処理の問題でありますけれども、説明会に係る話でありますけれども、県下の自治体全員が参加をしていただく努力をしていただきたいと思っています。我が県が本気だと、例えば、ベンチを含めて打って一丸というのが全員野球でありますから、説明会に、事情がある自治体も多々あるものだとは思いますけれども、そこをリーダーシップを示していただき、そういう説明会にはしっかり出ていく、そういう環境をつくっていただきたいと思う次第であります。  それから、計画停電でございますけれども、計画停電は、やはり社会的に強い影響を与えます。そうならぬためにも、県は今まで以上のPR活動、啓蒙活動が必要であろうかと思います。節電一大キャンペーン、こういうものをしっかり張っていただいていくべきであろうと、私は思っています。そのことについて要望申し上げたいと思います。  最後、育種についてであります。私は、農政上の目標達成は、究極は育種いかんだと思っております。育種の強化に、知事も今御理解を示していただきました。売れるヒット商品、高級ブランドというのは、経済論理であります。そうではない、公がやるところが、まさにこのことだろうと私も思っておりますので、十分御理解をいただきながら進展していただくこと、そのことを再度お願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。(拍手) 58 ◯副議長(新村 雅彦君) 香原勝司君。(拍手) *香原議員質問 59 ◯十番(香原 勝司君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の香原勝司でございます。通告に従いまして、国保広域化等の支援について、さわやかに、要点を絞って質問させていただきますので、明快な御答弁をよろしくお願いを申し上げます。  市町村が運営する国民健康保険、市町村国保は、被用者保険に加入する人などを除くすべての人を被保険者とする公的医療保険制度であり、国民皆保険の最後のとりでと言える医療保険制度であります。すなわち職域を対象とする健康保険や各種共済組合の被保険者、組合員やその被扶養者以外の人を対象とするもので、医療保険制度の基本的な役割を果たす制度であります。国保に加入する被保険者は農業、自営業者、無職の人、零細企業の従業員やその家族の人たちなどさまざまであります。職域単位での制度でカバーをし切れなかった人たちを、地域を単位に把握して構成する医療保険制度であるということが言えます。  そこで、まずお聞きをしたいのは、小川知事の職域は何でしょうか。そして、医療保険はどこに加入をされていますか。  市町村国保は、現在福岡県で七十七万世帯、県内全体の約三五%の方が国保に加入をされています。少子、高齢化社会において、国保の構造的な大きな課題を指摘させていただくと、加入者年齢構成が高く、医療費水準も高いことや所得が低いこと、その影響で保険料負担が重く、保険料の収納率が低下をしていること、財政運営が不安定になるリスクの高い小規模保険自治体の存在、そのために生まれてくる保険料の市町村格差、それを是正するために発生する一般会計からの繰り入れや繰り上げ充用など、負の連鎖に陥っている状況であります。  私が、加入をしている直方市の国保の状況を説明させていただきますと、直方市の場合、繰り入れや繰り上げを行っていませんので、標準的なモデル世帯での保険税を試算すると、県内第四位の高さであり、一方で被保険者一人当たりの所得は県内第四十七位となっており、被保険者にとって負担感が大きいということが推察をされます。後期高齢者医療保険は、広域連合を保険者として、県内全域で同じ所得水準であれば同一の保険料が設定をされています。対照的に市町村国保は地域によって保険料負担の格差を生じているのが現状です。県としてこの状況をどの程度把握をしているのか、そして、このことについての知事の所見をお聞きいたします。  また、平成二十二年五月に施行された国保法の一部改正により、都道府県は国保事業の運営の広域化または国保財政の安定化を推進するための市町村に対する支援の方針を定めることができるとされ、福岡県においても同年十二月に福岡県市町村国保広域化等支援方針が打ち出されております。保険料負担の格差の平準化や、小規模保険者の財政運営の安定化を図るため、この支援方針を定められたものと理解をしていますが、支援方針に定められた取り組み状況はどのようになっているでしょうか。  昨日の、他会派議員の質問の折、知事は市町村国保の広域化では、先ほど私が説明をしました致命的な国保の構造的な課題を解決できないというふうに答弁をされました。広域化で解決ができないとすれば、この構造的な課題に対してどのような対策を考えておられますか。  そしてまた、さかのぼってお聞きをしますが、当時市町村の合併問題もあったというふうに推測します。平成十四年から十六年にかけて、国保の広域化や市町村合併の際の保険料平準化などの支援を目的に、国が費用の半分を負担し、福岡県国保広域化等支援基金を約十億円積み立てておられますが、この基金の活用状況についてお尋ねをいたします。  次に、この市町村国保の広域化に関して、ことし四月の国民健康保険法の改正により、これまで一件三十万円を超えるレセプトを対象としていた保険財政共同安定化事業について、平成二十七年度から対象医療費がすべての医療費に拡大されることになりました。市町村財政に対する大きな影響も考えられるところであります。県としてその影響をどのように分析し、対応しようとしているのかお尋ねをいたします。  知事の明快な御答弁を期待いたします。(拍手) 60 ◯副議長(新村 雅彦君) 小川知事。 *知事答弁 61 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答え申し上げます。  私は現在地方公務員でございまして、医療保険は地方職員共済組合に加入いたしております。  次に、市町村国保の保険料の格差についてお尋ねがございました。県内市町村間の保険料格差につきまして、仮に三十歳代の夫婦お二人の標準的な世帯の保険料の額を算出いたしますと、一番高いところで三十万九千円、一番低いところで二十万三千二百円、その格差は一・五二倍、このような状況でございます。このような保険料の格差というのは、主として市町村間の所得水準や、あるいは医療費水準の差、また一般会計からの繰り入れや保険料の徴収率の違い、そういったところからもたらされております。同じ所得金額であっても、居住している市町村によって保険料に格差があるということは、負担の公平性の観点から望ましいものではないというふうに考えております。  福岡県市町村国保広域化等支援方針に定めた取り組みの状況についてお尋ねがございました。この支援方針は、市町村国保の広域化に向けまして、市町村が共同で取り組むべき事項について定めたものでございます。具体的な取り組みといたしましては、まず保険者規模別に保険料の目標収納率というものを設定いたしまして、それぞれ収納率を向上させていくための取り組みを促しております。平成二十二年度でございますが、六十市町村のうち三十九の市町村が目標収納率を超えております。目標を達成してない市町村に対しまして、改善のための助言等を行っております。また、今年度から新たに市町村が共同で設置いたします収納アドバイザー、そういった専門家が収納率向上のための指導助言を行うモデル事業、これを行うことといたしております。さらに、高額の医療費を共同で負担します保険財政共同安定化事業の対象医療費の拡大のために、いろいろ意見調整をやってまいりましたが、本年四月、御指摘のような国保法の改正がありまして、平成二十七年度からすべての医療費に拡大されることとなっております。  市町村国保の構造的な課題、それに対する所見と県の対応についてでございます。高齢者の割合が高く、それによって医療費水準も高くなること、また所得水準が低いために保険料収入が得にくい、そういった国保が抱えております構造的な課題というのは、市町村国保の財政運営を非常に厳しくさせていると、このように考えております。県としては、その財政基盤を強化する観点から、保険財政共同安定化事業の拡大が円滑に進むよう取り組んでまいりますとともに、国の定率負担の引き上げによります公費負担の拡大など国が一層の財政責任を果たしますよう、全国知事会を通じて国に働きかけを行っております。また少子、高齢化が進展していく中で、市町村国保のこういった構造的な課題を解決し、安定した制度運営を将来にわたって確保していくために、市町村国保だけではなく被用者保険を含めたすべての医療保険制度の全国レベルでの一元化、これについても国に働きかけを行っているところでございます。  国保広域化等支援基金の活用状況についてお尋ねがございました。この基金は、国保の広域化に際して保険料の平準化を支援するために、一つには資金の貸し付け、交付、また市町村において国保財政の赤字が見込まれる場合にその赤字を一時的に補てんするために資金の貸し付けを行う、この二つを目的として設置されたものでございます。この基金につきましては、保険料の平準化や赤字補てんのための貸し付けを受けた場合に、国の通知によって保険料を適正に引き上げた上で返さないかんと、このようになっている、そういう仕組みでございますために、これまでのところ活用実績がないという状況にございます。  保険財政共同安定化事業の拡大に伴います県の対応でございます。今回の制度改正によりまして、対象医療費が拡大いたします。それに伴いまして、事業規模が約二・四倍に拡大をいたします。その結果、市町村ごとの拠出額と交付額の差が、現状よりも大きくなる傾向が出てまいりますために、市町村によっては国保財政に大きな影響が出てくることが見込まれます。このため、県といたしましては、対象医療費の拡大に伴う、それぞれの市町村国保財政への急激な影響、それを緩和する観点から、この県の調整交付金の活用について検討してまいります。 62 ◯副議長(新村 雅彦君) 香原勝司君。 63 ◯十番(香原 勝司君)登壇 では再質問をさせていただきます。本当は一回で終わろうというふうに思ったんですが、まず基金のところですが、やはり十年間活用実績がないというふうに言われれば、再質問しないわけにいかないのかなという気がします。この十年という月日で十億円、そのまま据え置いているということについて、一つは、県の十年間の無策ということは当然言えるというふうに思います。そして、かなり使い勝手の悪い基金であるというふうに言えると思います。この基金を動かすためにはどのような活用促進策というものを、県が直ちに行えばいいのか、そのことを質問して、私の一般質問を終わります。(拍手) 64 ◯副議長(新村 雅彦君) 小川知事。 65 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答え申し上げます。  国保の広域化等支援基金の活用促進策をどう取り組むかということでございます。二十二年の国民健康保険法の改正によりまして、広域化等支援方針を定める施策の実施に要する費用にも基金が充てられることになりました。このため県としましては、国保連合会十四支部の代表市町村、それから国保の連合会、そして私ども県から成ります福岡県市町村国保広域化等連携会議、これがございますので、その会議の中で広域化に向けた、例えば医療費の通知事務の共同実施でありますとか、具体的な取り組みとあわせまして、基金の有効な活用方法について協議を行いたいと思います。それを通じまして、広域化に積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。 66 ◯副議長(新村 雅彦君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時 二十二分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...